ZENSHIN 2003/04/14(No2097 p08)

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週刊『前進』(2097号1面1)

革共同の4月アピール
米英帝は無差別爆撃やめろ
全世界の反戦のうねりと連帯し4・27統一地方選決戦の必勝へ
 武力攻撃事態法案・個人情報保護法案阻止を

 第1章 新たな労働者の政党として躍り出る闘い

 4月27日(統一地方選挙投票日)まであと3週間。東京・杉並区、神奈川・相模原市、大阪・高槻市での必勝、とりわけ杉並区議選での3候補の全員当選に向かって全党総蜂起体制を確立し、全世界のイラク反戦のうねりのただ中で、持てる力のすべてを投入して闘いぬくことをまず何よりも訴えたい。
 われわれは今年1〜4月、@イラク侵略戦争阻止・北朝鮮侵略戦争阻止=有事立法粉砕決戦、A国鉄決戦−国労5・27臨大闘争弾圧裁判闘争―03春闘決戦、B統一地方選挙決戦、という3大決戦を、〈戦時下の階級闘争の全面的・決戦的展開〉として一体的に位置づけて闘ってきた。そして、@とAの決戦を爆発させることが選挙決戦勝利のために不可欠であり、選挙決戦もこの全体の一環として闘いぬくことで初めて勝利できると位置づけ、1月イラク反戦闘争から動労千葉のストと3・29春闘総行動、30三里塚闘争までのぼりつめてきた。
 その上にわれわれはこの4月、3大決戦のもつ全重量をいったん杉並区議選決戦(統一地方選挙決戦)ひとつにかけ、絶対に勝利するという基本的考え方に立って、「4・27」を決着点とする蜂起的決戦に突入している。
 杉並区議選決戦の勝利に向けて確認すべきことは何か。
 第一に、それが今日の内外情勢の中で革共同が労働者党として躍り出る決定的な闘いだということである。
 杉並区議選での3候補の勝利は、杉並区という首都・東京の重要な地域で、一つの新しい政党として労働者人民の支持と認知を受けて登場することを意味する。それは、直接には区議会における幹事長会派となることで、革命的な野党勢力として、総与党化し密室政治が横行している区議会全体を揺るがすことが可能な位置を占めることである。
 そのことで、杉並区民(居住的形態をとった労働者とその家族)の革命的大衆行動をあらゆる側面から発展させていくことができ、石原都政さらには小泉政権と対決し打倒する決定的なテコを手にすることになる。とりわけ労働運動・労働組合運動の前進と発展をかちとることに精力を注ぎ、革命的大衆行動と党建設の一大飛躍をかちとるのである。これはまさに、革命的議会主義を党建設上の契機として位置づけ、「選挙闘争で党をつくる」(革共同政治局の03年1・1アピール)ことの成否をかけた実践そのものである。
 われわれが労働者人民の党として躍り出るには、学生運動や労働運動など、どこから切り込んでも分厚い壁を打ち破らなければならないが、杉並区議選にはその決定的な突破口を切り開く可能性と現実性がある。このことへの展望と確信をもって「4・27蜂起」に突き進もう。
 第二に、4月統一地方選挙はすでに知事選・県議選などの前半決戦に突入しているが、これが日帝・小泉政権と労働者人民の当面する最大の政治的対決点となっていることである。
 「小泉改革」が戦争国家への道であり、労働者人民への一切の矛盾の押しつけで成り立っているものだということがはっきりして、小泉政権への幻想は基本的に崩壊している。その中で、日帝の政治・経済危機の爆発過程が進行し、大島農水相辞任と後任人事問題に表れているように小泉政権の求心力が失われ始めている。小泉政権と自民党は、この選挙は負けられない政治決戦だと構えている。他方、屈服と無力さを露呈している民主党や社民党・日本共産党の既成政党やミニ政党は、それぞれの盛衰・存亡がかかった選挙として必死の形相で突っ込んできている。
 そして、労働者人民はこの選挙の場をとおして、帝国主義の侵略戦争と経済危機=生活破壊に対する意志を表明したいという気持ちを強めている。しかし、労働者人民がどのような投票行動をするかを確信をもって言える者は誰もいない。平時の感覚や従来の延長線上の選挙での思考は通用しない。激動する内外の階級情勢が労働者人民の意識をかつてなく流動化させ活性化させているからである。
 したがって、階級情勢の非和解的発展に規定されて、選挙における政党間闘争はこれまでとは比較にならない激しいものになっている。地方選挙とはいえ、全人民が政党選択という形で政治的に白熱化し、党派的に分裂し、他方であらゆる政党がその本質をむきだしにして党派性を貫いて登場する。われわれが労働者人民の決起と支持をかちとるためには、党派性を何ひとつ隠すことなく、反戦と介護を軸に、政党間闘争を正しく遂行しぬかなければならない。このことの中に3候補当選の道があるのだ。
 第三に、われわれは、この杉並区議選決戦を1・1アピールで提起した「新しい型の『社会主義と戦争』(世界大戦下のプロレタリアートの任務)の内容の創成」の実践として闘い勝利するのだ。すなわち「革命的情勢下の革命党の三つの義務」の実践として宣伝・扇動―革命的大衆行動―革命党建設での新地平を切り開くということである。
 宣伝・扇動の闘いを40万有権者・20万世帯全体に向かって繰り広げ(第一の義務)、そして杉並区民の「革命的気分」(レーニン)をつかみ、その要求に形を与えて育て実らせる闘いを革命的大衆行動として推進し(第二の義務)、さらにその中に闘う労働者人民を広範に組織し、革命党建設の圧倒的な前進へと転化していくのである(第三の義務)。
 第四に、日々進行しているイラク侵略戦争をめぐる闘いの推移こそが階級闘争全体を決していることを正確につかみ、全世界の反戦闘争と連帯し、イラク反戦闘争を杉並区議選決戦の推進軸として打ち立てて闘うということである。
 3候補への投票行動がイラク反戦闘争への決起そのものであることを訴えて、杉並区民の決起を切り開き、選挙闘争を闘おう。統一地方選挙の最大の争点が小泉政権のイラク侵略戦争への支持・参戦の政策だと言える情勢が訪れている。その戦争政策に賛成か反対かが、大衆的レベルで問われる選挙になっている。「イラク反戦闘争の先頭に立つ3候補を区議会へ!」「3候補の当選をかちとり、戦争政策を進める小泉政権に痛打を!」「労働者人民の力と行動がすべてを決める時代を切り開こう!」というスローガンを掲げて闘おう。
 第五に、杉並区議選で3候補の勝利をなんとしてもかちとろうということである。イラク侵略戦争突入と大恐慌下での増税や医療制度・介護制度の改悪という情勢の中で、〈反戦と介護〉での実のある闘いを、3候補は他のどの候補者よりも実践し実績をあげてきている。〈反戦と介護〉の大方針と諸政策、3候補必勝の組織方針をひとつも漏れなく闘いぬくならば、3候補当選の道を必ず切り開くことができる。
 「4・27蜂起」へ全力疾走しよう。

 第2章 侵略戦争の泥沼化と残虐な殺りく・破壊

 3・20イラク侵略戦争突入から2週間。戦況は米帝ブッシュ政権が「ショックと恐怖」作戦で思い描いていたようには進まず、長期化・泥沼化の様相を濃くしている。米英帝は、イラク人民の特殊的=極限的な決起を含む抵抗に迎え撃たれ、「速戦即決」論はたちまち破産させられ、大義なき侵略戦争の本質を日に日に暴露されている。そして、早くも10万人を逐次投入的に増派せざるをえない状況に追いつめられ、ベトナムのジャングル戦とは違う、砂漠での戦争の泥沼に引きずり込まれつつある。
 そして、米英帝は「フセインは罪のない男女や子どもを軍の盾にしている」(3・19開戦宣言)と居直り強盗の論理を振りかざしながら、イラク人民への無差別攻撃と大量虐殺を合理化し、クラスター爆弾や劣化ウラン弾を大量に撃ち込んでいる。さらに、食糧倉庫や水道施設などの生活基盤を徹底的に破壊している。ブッシュが言う「イラク解放」とか「人道援助」とかが許しがたいウソであることが暴かれている。
 他方、戦争の長期化が避けられないという見方が強まり、ブッシュ政権がそれを自認するにつれ、アメリカ経済の諸指標は全般的な悪化の徴候を見せ、恐慌激化の過程に突入しようとしている。それと連動して日本およびEUの経済もますます危機を深めている。

 三つのブッシュ演説

 イラク反戦闘争の本格的な高揚を切り開いていくために、米帝ブッシュが開戦にあたって行った3つの演説を弾劾することが重要である。いくつかの文章をとりあげて、イラク侵略戦争の階級的本質を明らかにしていこう。
 第一。「イラクを二度とテロリストの逃避先にしてはならない」(3・16米英スペイン首脳会談〔α〕)
 米帝は、イラクの後ろに、01年9・11反米ゲリラ戦争に連なり励まされたムスリム人民の決起を見てとり、フセイン政権の抹殺とムスリム人民の怒りの決起の根絶・一掃を狙っているのだ。
 第二。「イラクの解放は、われわれの関与の始まりであって終わりではない」(同)
 「イラクの独裁者がいなくなれば、中東に平和な国をつくる先例を示すことができる」(3・17最後通告演説〔β〕)
 米帝は、イラクの軍事占領と再植民地化、そして中東全体の軍事的制圧と親米カイライ国家群形成への再編成を狙っているのだ。
 第三。「天然資源はイラク国民のために使われることを保証する」(α)
 米帝はここで「イラク国民のため」ともっともらしいことを言っているが、イラクを米軍占領下、再度の植民地支配のもとにおくのだから、その資源は米帝が支配することになる。この言辞のもとで米帝は、イラクにとどまらず中東の石油支配権を他の帝国主義国やロシア・中国を排除して独占的に握ることを狙っているのである。
 第四。「悪意のある人間が生物・化学兵器や核による脅しをたくらんでいる今世紀には、宥和(ゆうわ)政策はかつてない災いをもたらすだろう」(β)
 米帝は、30年代のナチス・ドイツに対する宥和政策になぞらえて独仏帝を悪しざまに批判し、米帝のコントロール下に入ることを強要している。そして、EUの対米ブロック的形成・発展を阻止することを狙っているのである。
 第五。「この軍事作戦は、イラクを武装解除して国民を解放し、世界を大きな危険から守るためだ」(3・19開戦宣言〔γ〕)
 米帝は、その軍事力を直接的に行使して、体制的危機を突破し、世界を暴力的に再編することを狙っている。それは、帝国主義間争闘戦が帝国主義侵略戦争さらには第3次世界大戦へと推転していく過程の始まりである。
 第六。「脅威を打ち砕くためにあらゆる手段を講じる。恐ろしい日が来る前に危険を排除する」(β)
 米帝のイラク侵略戦争は、QDR(4年ごとの戦力見直し)とブッシュ・ドクトリンに基づく世界戦争計画の発動だ。そこで実行されようとしているのは、先制攻撃戦略であり、核戦争戦略である。
 以上の第一から第六は、本紙前号5面無署名論文でイラク侵略戦争の階級的本質として明らかにしたことである。われわれは、ブッシュ自ら語った言葉をとおしてイラク侵略戦争の階級的性格と本質をとらえることができるのだ。

 小泉の反革命的突出

 日帝・小泉政権は、米帝のイラク侵略戦争の核心的本質が帝国主義間のつぶしあいにあることをつかみ、米帝に共同=競合してイラク侵略戦争参戦政策を推進している(米帝が占領軍への自衛隊の派兵を要請)。そして、「大量破壊兵器が危険な独裁者の手に渡ったらどのような危険な目に遭うか。日本も人ごとではない」(小泉の3・20アメリカ支持談話)と公言し、朝鮮民主主義人民共和国を明確に敵視し北朝鮮侵略戦争に突き進もうとしている。そして、石破防衛庁長官が3月27日に「他国への攻撃能力を保持することを検討する」と発言したことに示されているように、長距離ミサイル、戦略爆撃機、空母の保有に向けて動き始めている。軍事偵察衛星=スパイ衛星の打ち上げ(3・28)はその第一歩なのである。
 さらに、武力攻撃事態法案など有事3法案を4月中に衆院通過させ、個人情報保護法案=報道・言論規制法案の早期成立を狙っている。日帝の北朝鮮侵略戦争策動はますます強まっている。

 巨大な階級的うねり

 他方、世界各国のイラク反戦闘争は1、2月の空前の盛り上がりを引き継いで、3・20侵略戦争突入後、各国家権力の大量逮捕攻撃をはね返す実力闘争として発展している。そして、米英日など帝国主義国の労働者階級人民の闘いと、アラブ・中東やアジアのイスラム諸国を始めとする新植民地主義体制諸国の被抑圧民族人民の闘いが、インターネットとメールを媒介にして相互に波及・連動して一つの闘いとしてかちとられている。まさに「連帯とは世界革命をともにたたかいとる」(「清水丈夫選集」第2巻序文)ことだという情勢が進展しているのである。米帝のイラク侵略戦争突入は主客において革命的情勢を引き起こし、「帝国主義のイラク侵略戦争を国際的内乱に転化する」闘いが始まったのだ。
 こうした情勢の中で動労千葉の72時間ストライキが打ち抜かれ、3・29労働者集会がかちとられた。
 動労千葉は3月27日から30日にかけて、「ベアゼロ回答打破―大幅賃上げ獲得、運転保安確立、検修・構内業務の全面外注化阻止」などの要求を掲げて72時間のストを貫徹し、591本の電車を止め、今春闘の頂点に位置する闘いを切り開いた。これをイギリスおよびアメリカのレイバーネットがトップニュースとして掲載し、「動労千葉、ストに立つ」のニュースは世界を駆けめぐった。イラク侵略戦争情勢下で、動労千葉は世界の労働者人民の闘いの最先端に立ち、階級的労働運動の真価を発揮したのだ。さらに関西生コン支部や全港湾なども開戦時のストや職場集会に立ち上がっている。
 そして、3・29労働者集会は1600人を結集し、動労千葉スト支援、03春闘勝利、イラク反戦の声をあげ、労働組合の赤旗を林立させたデモを打ち抜き、渋谷駅頭で「ワールド・アクション」の学生・青年労働者と合流し交歓した。
 動労千葉のストと3・29労働者集会は、イラク侵略戦争突入と資本攻勢の全面的激化のもとでの闘いとして重要な位置と意義をもつものであり、既成の労働組合と政党をのりこえる闘いへの、労働者人民のかつてない支持と注目、そして共感を集めた。
 この闘いの成否に動労千葉や労働戦線での統一戦線さらに労働戦線における党建設の展望がかかっており、われわれはこれに全力をあげて取り組んだ。この闘いの前進の中でつかんだ成果を確認するとともに、さらに変革して突破すべき課題を明確にして、労働運動を闘う党への飛躍を今こそかちとっていかなくてはならない。
 さらに「ワールド・アクション」は3・29で3度目の闘いを3000人のデモとして打ち抜き、イラク反戦闘争の主導勢力としての位置を定着させた。この1〜3月の闘いをとおして、米英の反戦諸団体が軸となった国際的な労働者人民の巨大な連帯の流れがつくりあげられつつあり、われわれは激変する情勢に対応してそれに合流していく闘いの先頭に立ってきた。そして、この間の数千人規模の集会とデモを実現した経験と教訓をとおして、何万、何十万人もの革命的大衆行動の本格的な発展を切り開くのだ。
 また、3・30三里塚闘争は、この間の勝利的な前進を確認し、その「反戦闘争の砦(とりで)」としての位置をあらためて鮮明にした。そして、米ANSWER連合との国際連帯という点でも画期的集会としてかちとられた。
 このように、動労千葉のストと3・29〜30の闘いは、戦争突入情勢下での階級闘争・反戦闘争と労働運動の立体的な発展構造を明確にさせたのである。

 危機にかられた弾圧

 こうしたイラク侵略戦争と対決するわれわれの存在と闘いの発展は、日帝国家権力を追いつめ、その動に対する反動として予防反革命的な弾圧攻撃を呼びおこした。権力の攻撃は、3・20以降、杉並選挙ビラまきへの弾圧(1人逮捕、23日)、九州大学学友会委員長らへの「暴力行為等処罰に関する法律」を使ったデッチあげ弾圧(3人逮捕、3カ所家宅捜索、26日)、三里塚闘争でのデッチあげ弾圧(3人逮捕、30日)、前進社本社と都革新事務所への家宅捜索(31日)など、7人逮捕と5カ所家宅捜索が集中するという激しさである。
 イラク・北朝鮮侵略戦争に全面参戦していこうとしている日帝・小泉政権にとって、「連帯し、侵略を内乱へ」の旗を掲げて反戦闘争の先頭で闘う革共同は命取りの要因に転化しかねない存在であると危機意識にかられているのだ。完黙・非転向と大衆的な反撃の闘いでこれらの弾圧を打ち破り、権力との死活的な攻防戦に絶対に勝利していこう。

 第3章 4・12国際反戦行動と4月の重要諸任務

 その上でさらに、杉並区議選決戦(統一地方選挙決戦)を総括軸とする4月決戦の具体的な行動方針と重要な組織的任務について訴えたい。
 第一に、イラク反戦闘争の行動方針である。「ワールド・アクション」の次のデモは、米英の反戦諸団体が呼びかけている4・12国際連帯行動だ。ここがイラク反戦闘争の勝負どころとなろうとしている。4月12日、渋谷駅頭ハチ公前―宮下公園に総結集しよう。
 第二に、4月衆院強行通過を狙っている有事立法攻撃との闘いである。イラク反戦・有事立法反対の百万人署名運動を強力に推進し、陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかける4月国会前行動に決起しよう。ブックレット『有事立法』(前進社刊)を学習し広め、有事立法粉砕闘争陣形の確立を急ごう。同時に、有事立法第4法案である個人情報保護法案=報道・言論規制法案の成立を絶対に阻止しよう。
 第三に、国労5・27臨大闘争弾圧との闘いである。2月の初公判以来、裁判闘争と「許さない会」運動は着実な前進をかちとってきた。その闘いの広がりの中で、これが戦闘的労働運動の防衛と発展にとってもつ意義の大きさが明らかになっている。この間の先進的な経験を学び、職場・産別での活動を基礎にして、もっと大きく広い構想で「許さない会」運動をつくっていこう。4月21日の第5回公判に総結集しよう。
 第四に、4〜5月入管闘争への総決起を呼びかける。米日帝による北朝鮮侵略戦争策動の強まりの中で、金正日政権の反人民的瀬戸際政策を口実とする対北朝鮮排外主義の攻撃が吹き荒れている。在日朝鮮人民の支援・防衛・連帯の闘いを強めよう。東京・牛久(茨城県)・茨木(大阪府)など入管収容所との闘いに取り組もう。そして、入管体制の有事体制化を進める入管法改悪を粉砕しよう。
 第五に、『前進』拡大運動への取り組みである。「4・27蜂起」戦を闘う中でこそ職場・大学での『前進』拡大をかちとる意識的な指導と実践が求められている。03年前期の機関紙活動の成否はここにかかっている。そして、02年後期の総括からも明らかなように、街頭が新たな読者とめぐりあう決定的な場になっており、『前進』街宣の定期的な貫徹が読者の獲得と党勢拡大の重大な水路になっている。この闘いをやりぬこう。
 一切の力を4月統一地方選挙決戦に投入し、闘う候補者全員の当選、とりわけ杉並区議選の3候補の勝利をかちとり、革共同の躍進の時代を切り開こう。

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週刊『前進』(2097号2面1)

動労千葉ストを先頭に03春闘総行動
3・29労働者集会 賃下げとイラク戦争に反撃  “社会を変える団結の力”
 赤旗を林立させ渋谷をデモ

 国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は3月27〜30日、591本の列車を止める72時間ストライキを打ち抜いた。この歴史的な春闘ストを先頭に、03春闘における日本労働運動の最先端に位置する闘いが実現された。3月29日、東京・代々木公園で開かれた「03春闘勝利! 3・29全国労働者集会」だ。動労千葉が主催し、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同が協賛して開催された集会には1600人の労働者人民が結集。「生活防衛! 反弾圧・国鉄闘争勝利! イラク反戦・国際連帯! 小泉内閣打倒!」を掲げ、03春闘でのベアゼロ・定昇解体―賃下げ攻撃に反撃し、闘う労働運動再生の方向を指し示すとともに、労働組合を中軸としたイラク反戦・有事立法阻止闘争としてかちとられたのだ。集会後、渋谷・宮下公園までの戦闘的なデモ行進が行われた。その先頭に林立する赤旗は、労働者・労働組合の団結こそが社会を変革する力を持っていることを示し、全世界の労働者の団結を呼びかけた。その高揚は、同日夕の「STOP WAR! WORLD ACTION3・29」にも引き継がれた。

 世界に届く“国際連帯”の闘い

 JR東と貨物の本社に抗議

 3月29日、千葉から東京にのりこんだ約300人の動労千葉組合員は、二つの部隊に分かれて、午前11時から新宿のJR東日本本社、飯田橋のJR貨物本社への抗議行動を行った。
 JR東日本本社前では、ガードマンが「集会禁止」「横断幕禁止」の看板を立てて弾圧態勢をとる中、「ベアゼロ回答を撤回せよ」「検修・構内外注化阻止」のシュプレヒコールをたたきつけた。動労水戸の組合員も合流して闘った。
 JR貨物本社前には動労西日本の組合員も駆けつけた。ベアゼロに続いて「賃金制度の白紙的見直し」=定昇解体を狙う貨物会社に怒りをたたきつけた。
 午後1時からの集会には、組合旗を掲げる労働者や反戦のメッセージボードを持った若者らが集まった。司会を動労千葉の川崎昌浩執行委員が務めた。
 動労水戸の国分勝之委員長が「日本の労働者のもう我慢できないという思いを体現し、歴史的な一歩の一日にしよう」と開会を宣言し、動労千葉の田中康宏委員長が主催者を代表してあいさつした。
 田中委員長は、27日からのストがJR資本に大きなダメージを与えていることを意気高く報告し、「資本と国家が生き延びるために、労働者が虫けらのごとく犠牲にされようとしている。その一方で戦争が世界を覆っている。この二つの根っこは一つだ。こんな社会を労働者の団結の力で変えたいという思いを込めたストだ」と訴えた。
 そして、「数千万の労働者が全世界で燎原(りょうげん)の火のごとく怒りの声を上げている。戦争に対する怒りと大失業に対する怒りが結びついて、新しい時代を切り開く力を握り始めている。日本でもそういう闘いを今日の闘いを契機に始めたい。全国の仲間がともに立ち上がろう」と呼びかけた。
 連帯あいさつの最初に、国労5・27臨大闘争弾圧裁判弁護団長の佐藤昭夫弁護士が、弾圧の不当性を明らかにし、「これを許さないためには、裁判所に民衆の怒りを実感させるほかない。許さない会の賛同者を広げることだ。労働者に対する弾圧は戦争をやるための準備だ。動労千葉の闘争を起点に大きな力を結集してほしい」と訴えた。
 近畿―5・27臨大弾圧国労家族の会の代表は「夫たちの勾留は半年になろうとしている。夫たちの闘いは国家権力中枢に大きな打撃を与えている。たいしたもんだと尊敬している。しかし非人間的な獄中に閉じこめられていいはずがない。一日でも早く取り戻したい」と涙ながらに訴え、公判への大結集を訴えた。
 「とめよう戦争への道!百万人署名運動」事務局次長の小田原紀雄さんは、「戦争に反対するためには、小泉政権打倒を掲げ、自らの労働現場における労働条件の切り下げ、首切り自由化に闘いを挑まなければならない。労働者に対する弾圧、共謀罪の新設、有事法制など、あらゆる攻撃と闘い、社会を変えよう」と労働者の奮起を訴えた。
 WORLD ACTION実行委の代表で法政大学経営学部自治会委員長の松尾純一さんは、「3・15、22の渋谷・宮下公園での集会・デモに集まっている半数が青年労働者だ。若い人は労働組合の闘う姿を見た時、『労働組合ってかっこいい』と感想を言う。一緒に戦争を止めよう」と連帯を表明した。

 関生支部と港合同が協賛

 動労千葉とともに11月集会を呼びかけてきた協賛組合からのあいさつを受けた。関西生コン支部執行委員の中北好昭さんは、「ブッシュと小泉は戦争犯罪人だ」と糾弾し、3月16日にアメリカの戦争政策に反対し、セメント関連産業の業界再建をめざし、200台のミキサー車でパレードを行ったこと、24日には51職場で2時間ストを行ったことを報告。「労働者が軸になり小泉構造改革と闘わなければ、反戦平和と生活権、団結権を守れない。関生支部は春闘においても元気に闘いを継続している」と発言した。
 港合同昌一金属支部執行委員の木下浩平さんは、「アメリカのイラク侵略戦争に港合同も断固反対の立場を鮮明にしたい」と述べ、24日に大阪港への自衛艦5隻の入港に反対し、28日には港合同単独でイラク侵略戦争反対の総決起集会を開催し、デモで市民にアピールしたと報告した。また、「春闘では2万円の統一要求を掲げ、倒産・破産に絶対に屈せず、リストラ・合理化攻撃に大反撃をたたきつけたい」と決意を明らかにした。

 アメリカからメッセージ

 集会には多くのメッセージが寄せられた。なかでもアメリカの「タフト・ハートレイ・抑圧・民営化」反対キャンペーン、レーバーネットのスティーブ・ゼルツァーさんが動労千葉に寄せた連帯メッセージは、国際連帯闘争の新たな発展を示すものだ。動労千葉家族会の代表が読み上げた。
 「みなさんの行動は、アメリカの労働者のみならず全世界の労働者にとって、世界の戦争屋や本当の『テロリスト』との闘いで、自分たちは決して孤立していないという激励を与える。戦争を阻止する力は、飛行機、列車、トラックの運行を止める数百万の労働者の生産点での直接行動です。必要なのは、組織された労働運動を一つの団結した行動にもっていくことです」
 「1047名の解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」の二瓶久勝議長の「戦争反対! リストラ・首切り反対! 春闘勝利!をともに闘う」とのメッセージを、九州の国労闘争団員が国労再生の決意を込めて読み上げた。
 カンパアピールをスタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合の入江史郎委員長が行った。
 決意表明では、全逓の組合員が4月1日に控えた郵政公社化との闘いを訴え、「現場での攻防に勝ち抜き、帝国主義と対決し反戦を闘う労働運動を全逓の中に再生させる」と述べた。全金本山労組の長谷武志委員長は「3月31日に別棟就労の仙台地裁判決が出る。あくまで解雇撤回・原職復帰まで闘い抜く」と表明した。
 動労総連合の統一ストライキに決起している動労連帯高崎の和田山繁委員長は、「労働者が労働者の権利であるストを打つことが戦争への道を許さないことだ」と訴えた。同じくスト決行中の動労水戸の木村郁夫書記長は、「分裂状態にあるJR総連カクマルを打倒し、多くの労働者を解放するために、組織拡大に打って出たい」と述べた。
 動労千葉の中村栄一書記長は、「4月1日以降も恒常的スト体制を堅持し、不当労働行為があった時には直ちにストに突入する。その刃(やいば)を敵に突きつけて闘いを進める」と宣言した。
 滝口誠共闘部長による行動提起に続いて、テンポよいリズムにのって「NO WAR!」「動労千葉GO! GO!」「動労千葉FIGHT! FIGHT!」と元気なコール。動労千葉の組合員も笑顔と拍手で応じた。
 君塚副委員長の閉会あいさつ、繁沢敬一副委員長の発声で団結ガンバローを行い、デモに出発した。
 赤旗を林立させた動労千葉・動労総連合の隊列を先頭に全国の労働者の隊列、市民団体の隊列などが、にぎわう渋谷の街に繰り出した。多くの人が飛び入りで参加。渋谷駅前では、WORLD ACTION実行委の学生・青年たちが「戦争協力を拒否する労働者と一緒に闘おう」と訴え、「動労千葉ガンバレ」と声援を送った。

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週刊『前進』(2097号2面2)

動労千葉スト 72時間で591本が運休 JR資本・カクマルを痛撃

 動労千葉の27日から30日までの72時間ストは、何よりも3万8000円の大幅賃上げを要求し、JR貨物とJR東日本のベアゼロ回答に対する怒りの反撃として闘い抜かれた。JR東日本の全乗務員を先頭に組織を挙げた闘いとして見事に貫徹された。
 28日には千葉市の千葉県労働者福祉センターに400人の組合員と支援を集めてスト貫徹総決起集会を開催。田中委員長は「労働者の団結した力だけが世の中を変え、戦争を止めることができる。日本労働運動の新しい流れが、このストから始まったと言われる闘いにしたい」と強調した。
 支援の青年労働者は「自分の組合でも動労千葉のような闘いをできるように頑張りたい」と述べ、盛んな拍手を浴びた。各支部代表が、検修・構内業務の外注化阻止、習志野運転区廃止など基地統廃合阻止、強制配転者の原職奪還、反合理化・運転保安確立、貨物の4年連続ベアゼロに続く定昇解体攻撃などと闘い抜く決意を表明した。
 集会後、JR東日本千葉支社までデモ行進した。

 スト圧殺破産平成採も期待

 千葉支社当局は、東労組組合員などの休日呼び出し、年休変更などでスト破りの動員を図ったが、591本を運休せざるを得なかった。また、スト終了後の30日の勤務者を午前0時まで職場に入れないなどの妨害を狙い、30日のスト破り要員の呼び出しを行ったが、結局、動労千葉の一糸乱れぬ団結の前にスト圧殺策動は破産。動労千葉は整然とストを打ち抜いた。
 職場では、組合員が東労組の「平成採」の労働者らに、「闘わなければ一生賃金が上がらなくなる」と、スト破りを拒否してともに闘うことを訴えた。多くの労働者が休日呼び出しには応じないと表明し、ストへの期待を寄せた。ある支部では、東労組の逮捕問題での署名をきっぱりと拒否し、国労5・27臨大闘争弾圧被告の早期釈放を求める署名には応じるという状況も生まれた。
 動労千葉は、ストを打ち抜いて、JR資本とJR東労組カクマルの結託体制を打倒し、組織拡大を実現する手ごたえをつかんでいる。東労組は松崎派と嶋田派の対立・分裂が進み、特に千葉地本はその焦点となっている。千葉地本委員長の小林克也が本部の松崎派から公然と「嶋田派」と断罪されている。2月15日に行われた東労組千葉地本の定期委員会では、松崎派の本部執行部がのりこんで、小林とののしり合う始末だ。本部の奈良副委員長は「形式上は分裂していないけど、本質上分裂している」と発言している。
 こうした東労組の危機は、動労千葉が不屈に闘い続けてきた千葉において最も深まっているのだ。
 動労千葉は、ストの成果を打ち固め、いよいよこれから本格的な組織戦に打って出る方針だ。

 海外でも反響呼ぶ 米英レーバーネットで

 動労千葉のストは、海外でも大きな反響を呼んでいる。インターネットで国際的な労働者の連帯をめざして設立されたレーバーネットのホームページは、「動労千葉がイラク戦争と民営化、抑圧に抗議して600本の列車を止めるストライキを打った」とのレポートを掲載した。
 動労千葉のホームページのアクセスは1日1200〜1300件に跳ね上がった。激励も多数寄せられた。ある私鉄の労働者は、ストを闘わない自分の組合への怒りを表明し「同じ運転職場で働く仲間として大変勇気づけられます」とのメールを寄せた。「もっと戦争反対を訴えて」という電話もあった。会社に抗議の電話をしたら「タクシー代を組合に請求しろ」と言われたとして、「それはひどい」と動労千葉に連絡してきた労働者もいた。
 支援の労働者がJR総武線沿線などで行ったビラまきでも、かつてない支持と共感の声が寄せられた。

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週刊『前進』(2097号2面3)

動労総連合が統一スト

 動労総連合は、3万8000円の大幅賃上げ要求などを掲げて、全国で統一ストに決起した。
 動労水戸は29日に16人の組合員がストに決起し、JR東日本本社抗議行動から3・29集会に合流した。
 動労連帯高崎も29日、24時間ストに決起。会社の不当な対応に対して戦術を拡大し、30日の明けまでストを貫徹した。29日には国労熊谷支部の協力を得てスト決起集会を開き、熊谷駅前での宣伝を行って3・29集会に結集した。
 動労西日本は28日、大阪の吹田機関区で小川正哉書記長が指名ストを貫徹した。国労の労働者を始め支援の労働者が駆けつけ、機関区門前でスト突入集会を開催した。国労5・27臨大闘争弾圧被告の職場であり、小川書記長は「奪還するため闘う」とあいさつした。吹田機関区では13日に建交労(全動労)がストを行ったが、「一緒にストせなあかん」という声が上がっている。なお動労西日本は3月8日、金沢総合車両所松任本所で出口威委員長が第1波ストに入った。

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週刊『前進』(2097号3面1)

STOP WAR! WORLD ACTION “平和は黙ってても来ない” “土曜の夜は渋谷” 若者ら3000人

 3月29日夕、東京・渋谷で「STOP WAR! WORLD ACTION」が行われた。15日、22日に続いて3回目の土曜の行動だ。すでにイラク開戦から10日がすぎ、戦火の中でイラクの人びとが殺されている。°黙っていられない″°今すぐ戦争をやめさせたい″と、若者を中心に3000人もの人びとが集まった。
 宮下公園での集会参加を呼びかけるキャンペーンが午後3時すぎから渋谷駅ハチ公前で始まった。
 学生・青年労働者を中心としたボランティアがスタッフとなり、2回の集会とピースウオークを実行してきた。この日も続々とボランティアが集まり、パフォーマンスやアピールに大活躍。今この時も続いているイラク空爆、この不正義の侵略戦争を一刻も早く止めたい、イラクの子どもたちを殺させてはならない――この思いは共通だ。求められているのは戦争を止める行動だ。チラシを渡せばデモ隊が増える。話しかければスタッフとなり、集会参加者となる。
 午後3時半すぎ、公園通りから赤旗を翻したデモ隊が大挙してやってくる。ストライキで春闘を闘っている動労千葉だ。「動労千葉ガンバレ!」のエールがハチ公前から送られた。
 午後5時半、宮下公園では、中学生の歌声から集会が始まった。青年労働者が登壇、「われわれは軍事輸送には絶対に反対です。きょうも戦争反対を掲げて千葉のJRの運転士たちがストライキをやっています。世の中を動かす力をわれわれの手に取り戻しましょう」と熱っぽく訴えた。
 アメリカ人の男性は「ブッシュ政権、ブレア政権、小泉政権がこの戦争をやっている。これは僕たちの戦争じゃない、あいつらの戦争だ。アメリカの市民はこの戦争に反対ですよ」。 初参加者は次からはリピーター。これが断然多い。前回発言した看護士の女性は「先週参加して、次回は1人が5人以上連れてくるようにというノルマを達成しました。平和は黙っていてもきません。さあ、みんなで頑張るぞ」と同僚や後輩とともにアピール。
 主催者の学生が「小泉政権は最小限の犠牲にとどめたいと言っています。それなら今すぐ戦争をやめればいい! 劣化ウラン弾やクラスター爆弾による無差別大量虐殺以外の何ものでもないと思いませんか!」、怒りが会場に充満する中、「4月12日、全世界統一行動日にまたこの場所に集まりましょう!」と呼びかけた。次は4・12(土)だ。
 今すぐ戦争を止めよう!うねるようなエネルギーが渋谷の街に押し出された。ピースウオークに出発だ。また新たな参加者が続々と行動に加わり、渋谷の街に反戦の声が響きわたった。

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週刊『前進』(2097号3面2)

沖縄 ストップ イラク攻撃 米軍司令部前に千人

 3月30日、「ストップイラク攻撃! 緊急抗議集会」(主催・緊急集会実行委)が、北中城村の在沖米軍司令部のゲート前で行われ、初夏を思わせるような晴天のもと、1000人が参加した。労働団体を先頭に、家族づれや中学生など幅広い層が集まった。イラクの子どもたちの写真や、メッセージボード、寄せ書きなどが米軍司令部前のゲートを覆いつくした。(写真)
 平和運動センターの発言に続いて、基地の県内移設に反対する県民会議代表の山内徳信さんが「県内の米軍基地や領事館の前では、毎日どこかで抗議行動が行われている。沖縄から『平和の刃(やいば)』を米英に突きつけている。世界中の反戦運動と沖縄も合流しよう」と強く訴えた。
 「沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会」を代表して、今年1月にバグダッドを訪問した平良夏芽さんが「『戦争を止めます』とイラクの人びとに誓ってきた。だから米領事館前でハンガーストライキもやりました。しかし、9日間座り込んでいたということは、9日間も戦争を止められなかったということ。基地を完全撤去するためにどうすればいいか、真剣に考える時だ」と述べた。
 石川市立中学校の生徒たちは、地域での平和運動への取り組みを紹介し、「なぜ考え方が違うからといって戦争なの? 罪もないイラクの人びとが死んでいくのは悲しい。おじい、あばあは『戦(いくさ)や繰り返してならんどう』と私たちに教えてくれた。この戦争は止めなければなりません。イラクの人びとに恐怖ではなく希望を与えたい」と訴えた。各政党あいさつの後、抗議のシュプレヒコールを上げ、沖縄からの出撃を許さない決意をたたきつけた。
 在沖米軍基地からは、グリーンベレー(特殊部隊)に続いて約800人の海兵隊がイラクに派遣された。イラクだけでなく北朝鮮侵略戦争もにらみ、嘉手納基地から連日、ミサイルや「核施設の監視」と称した大型偵察機が飛び立っている。本土から300人の機動隊が「テロ警備」の名目で派遣され、沖縄で高まる反戦闘争を圧殺しようとしている。今回の集会も米軍憲兵と機動隊の厳戒体制を打ち破ってかちとられた。
 「沖縄の戦場化」と闘う沖縄人民と連帯しよう。

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週刊『前進』(2097号3面3)

韓国軍のイラク派兵案 国会通過に怒り爆発 民主労総先頭に決起

 南朝鮮・韓国の盧武鉉(ノムヒョン)政権は、4月2日午後5時20分、韓国軍のイラク派兵同意案の国会通過を強行した。
 ソウルの国会前では前夜から徹夜の座り込みが続けられ、午前中の盧武鉉大統領の国会演説をめぐって警察部隊と激突が始まった。
 阻止線として並べられた警察バスの屋根に駆け上がった労働者・学生が、国会に突入しようと機動隊とにらみ合っていた。
 そこに派兵案通過の報が届いた。「戦犯国家になるのか! もはや国会は死んだ! 無効だ!」――国会前に詰めかけた2千人の労働者・市民の怒りは火山のように噴き出した。
 民主労総は声明を発表、「韓国軍イラク派兵同意案が国会で通過した今日を平和を愛する全世界人類と歴史の前に屈辱の日として宣布する」とし、同時にイラク派兵阻止闘争計画を明らかにした。全世界統一行動の日の4月12日に取り組まれる「反戦平和100万総決起大会」に積極的に参加するとともに、4月いっぱい全国民仕事放棄反戦平和運動を展開、5・1メーデーをイラクと韓半島(朝鮮半島)において戦争を阻み平和を実現するための全世界労働者共同闘争の日とするなど、盧政権との総力戦を構えている。
 盧武鉉は2日午前の国会演説で、「名分を掲げ、韓米関係を対立関係に追い立てるより、米国を支援し韓米関係を強固にすることが北朝鮮問題の平和的解決にプラスになるはずだ」と派兵案強行に踏み切った。こんな道理は通用しない。
 米英帝のイラク侵略戦争に加担するイラク派兵案の国会通過をもって5月中旬に工兵隊600人、医療支援団100人、合計700人規模の韓国軍をイラクへ派兵するというのだ。
 闘う南朝鮮人民と連帯し、4・12反戦行動からイラク・北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕へ、全力で闘いを広げよう。

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週刊『前進』(2097号5面1)

4月統一地方選 “反戦と介護”闘う候補の必勝へ
 戦争と福祉切り捨てに反撃 住民と共に行動する議員を

 3月20日、米英帝は凶暴なイラク侵略戦争に突入した。子どもや女性、高齢者など、すでに700人以上の人民が虐殺されている。日帝・小泉政権はこの残虐な侵略戦争を真っ先に支持し、アラビア海にイージス艦を始め自衛艦隊を派兵し、事実上参戦国となっている。米英帝のイラク侵略戦争、人民大虐殺を絶対に許してはならない。このイラク侵略戦争への日帝の事実上の参戦の一方で、福祉切り捨てと生活破壊の攻撃が激化している。小泉政権の戦争と福祉切り捨てに対し、杉並を始め全国で闘う候補の当選をかちとり、イラク戦争阻止と福祉・介護を要求する労働者住民の広範な決起を巻き起こしていかなければならない。

 保険料値上げと本人負担増

 イラク反戦と福祉・介護を真っ向から掲げて、4月統一地方選になんとしても勝利しよう。
 @この4月1日から介護保険の65歳以上の保険料が引き上げられた。最終的な全国平均の引き上げ額は明らかにされていないが、昨年末の朝日新聞の調査では全国平均で15%、450円の引き上げが見込まれている。また、介護報酬の見直しが行われ、1時間半を超えるとホームヘルパーの報酬単価が激減するため、介護が受けられなくなろうとしている。
 低所得の高齢者はますますヘルパー派遣などの介護が受けられなくなっている。しかも、在宅での生活が困難だからと仕方なく施設入所を希望しても、施設が足りないために入れない。昨年末の特別養護老人ホームの入所待機者は23万人になっており、98年段階の5倍にも上っている。
 Aこれと併せて「障害者」に対する支援費制度の導入が強行された。介護保険制度と同じような契約制度を「障害者」介助制度に導入するものである。「障害者」が非人間的な施設への隔離政策を打ち破ってかちとってきた地域自立生活を、措置制度もろとも解体する福祉切り捨てが強行されたのである。
 Bまた医療保険については、健康保険の本人負担が3割に引き上げられた。政管健保の保険料も0・7%引き上げられて8・2%になる。医療制度に関して昨年10月に高額医療費の自己負担限度額が引き上げられ、6万3600円から7万2300円になったばかりだ。高齢者に対しても月額上限制が廃止され、一律1割負担とし、月額上限制の月額も引き上げられた。
 C医療制度についてはさらに、この4月から大学病院の医療費の「包括払い(マルメ)方式」が導入された。老人医療の一部に導入されていた包括払い方式が本格的に拡大されようとしている。この方式では、病気によって決められた一定額を超える医療は自己負担となり、お金のない人は、一定以上の医療が受けられなくなる。
 Dその一方で年金の支給額は物価スライドと称して削減された。00年4月の厚生年金の報酬比例部分の給付水準の5%削減に続く年金支給額の削減である。またこの4月から年金保険料が、これまでの月給を基本にしたものから、一時金を含めた総報酬に保険料を課す総報酬制になった。雇用保険の失業給付も生活保護も削減されている。

 資本家は1兆8千億円減税

 こうして福祉が切り捨てられる一方で、大資本の救済と戦争のために巨額の資金が投入され、果てしない軍拡が続けられている。
 政府は、今年度予算で銀行救済のための公的資金の投入に財政的裏付けを与えた。また、銀行から不良債権を買い取る産業再生機構には10兆円の政府保証枠が付与された。
 政府は、医療費負担増などで2兆5000億円もの負担増を強制しておきながら、一部の金持ちに対しては相続税や贈与税の最高税率を70%から50%への引き下げ、株式の配当や譲渡益への課税引き下げによって1兆8000億円もの減税を行っている。この一部の大資本家に対する大幅な減税が、すべて労働者に大増税となって襲いかかっているのである。
 また、軍事予算という点では、01年から05年の期間に総計25兆円もの資金が投入される。政府が北朝鮮への侵略戦争のために打ち上げたスパイ衛星は、開発費だけでも2500億円もかかっている。
 政府は、米帝がイラク侵略戦争の戦費、総額2000億j(24兆円)の一部負担を求めていることに応じようとしている。一昨年12月から昨年8月にかけてのアフガニスタン戦争支援のために日帝が行った米軍への給油だけで67億円にも上っている。こうした戦争のための費用が、すべて労働者人民の負担として押しつけられるのである。
 政府によるこうした福祉削減の上に石原都政による福祉切り捨てが加わってくる。「東京発医療改革」と称して、都立母子保健院の廃止など都立病院の再編整理が進められている。これによって、病気になっても病院に行けない状態が生まれており、医療事故の危険が増している。
 石原都政は、都立病院への一般会計からの繰り越し金を509億円から421億円に88億円も削減した。その一方で、都財政赤字の元凶である臨海副都心開発には資金を注ぎ続け、建設中の臨海道路には1`あたり500億円もの事業費を投じているのである。
 大資本救済と戦争のために巨額の資金を投入する一方で、次々と福祉を切り捨てて労働者人民の生活を破壊しているのである。

 住民の大衆決起で要求実現

 労働者人民は今や闘わなければ生きられない。福祉は労働者人民の当然の権利であり、生きるための当然の要求だ。労働者人民の闘いで福祉を要求し、実現していかなければならない。
 その闘いを実現してきたものが「介護保険に異議あり全国ネットワーク」に結集する杉並、高槻、東大阪などの高齢者、住民の闘いだ。
 高齢者がいのちの要求を掲げて闘うことによって厚労省や区、市など自治体を追いつめ、一歩一歩要求を実現している。杉並では介護と福祉を要求する杉並住民の会が、大衆的に運動を広げ、杉並区との交渉を重ね、4月からの介護保険料引き上げを、当初300円から500円の案が検討されていたのに対し、60円にまで抑制させた。
 住民自身が闘いに立ち上がることによってこうした成果が切り開かれたのである。また新城せつこ区議や北島邦彦都政を革新する会事務局長、けしば誠一前区議がこうした杉並住民の会の人びととともに行動し闘ったことが大きな力となった。労働者住民とともに行動し闘う候補こそが本当に人民の要求を実現することができる。

 日共や民主党では絶対ダメ

 日本共産党は、当初から福祉を切り捨てる「殺人保険」であるこの介護保険を容認して、推進の立場に立った。実施後に深刻な矛盾が噴出しているにもかかわらず容認し続けている。だが、お金のない高齢者から介護を奪い、保険料をむしり取って高齢者を死に追いやる介護保険は廃止以外にないのだ。
 民主党は介護保険を推進してきた張本人だ。「介護の社会化」だとか「社会で介護を支える」という大ペテンを振りまきながら、高齢者から介護を奪う介護保険を推進してきたのだ。
 口では「福祉」を言いながら、実際には自民党と一体となって福祉の切り捨ての先兵となっている反動諸党を打ち破って、反戦と福祉・介護の北島邦彦氏、新城せつこ氏、けしば誠一氏を始めとした闘う全候補の絶対当選をかちとろう。住民とともに闘う反戦と福祉の政党を登場させよう。

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週刊『前進』(2097号5面2)

イラク開戦に抗議 杉並でキャンドルウオーク

 イラク攻撃が始まった3月20日夕、杉並では阿佐谷から荻窪まで緊急キャンドルウオークが行われた。主催した「戦争はいや!! 平和。杉並実行委員会」は、毎週土曜日のキャンドルウオークや街頭宣伝などイラク反戦に取り組んできた。
 ベビーカーを押しながら参加した女性や仕事帰りの労働者など、100人近くの区民が参加。ジャンベや太鼓のリズムに合わせた「ノーウォー! イラク攻撃反対! 今すぐ攻撃やめろ!」の呼びかけは、駅前や沿道の注目を浴びた。自転車に乗ってこぶしを突き上げる高校生、駆け寄り最後まで歩いた女性たちなど、怒りの輪が広がった。
 北島邦彦氏や新城せつこ区議も、ただちに駅頭でイラク開戦を弾劾、反戦闘争を呼びかけ、自らキャンドルウオークに駆けつけた。
 (本紙 室田順子)

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週刊『前進』(2097号5面3)

米ANSWER連合 リン・ニーリーさんの3・30発言(要旨)

三里塚の闘いに励まされた 日米の労働者農民の団結万歳

 成田空港に反対して闘っている三里塚芝山連合空港反対同盟の皆さん! ANSWER連合を代表してここにいることを光栄に思います。
 ANSWERは「戦争を止め人種差別主義を阻止するために直ちに行動しよう」という趣旨の団体です。われわれは、三里塚芝山連合空港反対同盟がアメリカと日本の帝国主義に対して、また成田空港に反対して行ってきた英雄的な闘いに大いに激励されています。私は、空港拡大とそれに伴う汚染に反対して闘う米国のさまざまな団体の連帯のメッセージを携えてきました。彼らも反対同盟の長期の闘争から力を得ています。今日、世界の労働者が連帯の意志をもつことはますます重要です。

 イラク戦争は米の国家テロ

 ブッシュ政権は、バグダッドに住む500万人の民間人に何千発もの爆弾とミサイルを投下する「衝撃と恐怖」作戦を行いました。
 世界の人びとにとって、広島と長崎に投下されたアメリカの原子爆弾によって20万人の日本人が瞬時に殺されたことは、想像を絶する恐ろしいテロ行為でした。また、12年間の制裁によって弱められたイラクへの根拠のない攻撃は、現代の最も過激なテロ行為の一つです。
 アメリカ政府は、イラク人民の解放と民主化を主張していますが、真の目的はフランクス司令官の指揮下にイラクの軍事占領を実現することです。ブッシュ政権の言う「民主主義」は矛盾だらけです。
 世界は新しい時代に入りました。米国はイラク侵攻をもって、征服と占領のために自分たちが残虐な暴力とテロリズムを用いることを世界の全人民に告げ知らせました。イラク侵略はアメリカ帝国をつくるための踏み台です。
 昨年9月に出された国家安全保障戦略報告(ブッシュ・ドクトリン)には「大統領は、ソ連崩壊から十余年、抜きん出た力をもつに至った米国に迫るいかなる外国勢力も許さない」とあります。「先制攻撃の権利」など軍事威嚇の言葉に満ちています。アメリカ体制の右翼軍部にとって念願の夢がかなった文書です。
 米支配階級は、資本主義体制崩壊の危機感に突き動かされています。しかし、市場は干上がっています。企業家には資本主義の危機の世界的な広がりを止めることはできません。
 アメリカ政府は、ペンタゴン(国防総省)の圧倒的な軍事力を使って経済優位を確立するつもりです。第三世界を支配するだけでなく、欧州、日本などの対抗的な帝国主義諸国をも服従させようとしています。
 米国は、世界中の人間に米国のルールに従うことを要求し、アメリカ帝国の建設に協力することを強制します。このような米国の行動は、世界の人民の憎悪を呼び覚まし、反対と団結の世界的な動きに火を付けるという、アメリカ政府にとっての「衝撃と恐怖」を招く結果となります。
 米国の支配階級は労働者の忠誠に依存していますが、この2年間で200万以上の仕事が消え去り、公式の貧困率は2倍になりました。憲法は弾圧諸法によってずたずたになりました。労働者は、敵がバグダッドにではなくワシントンの中にいることに気づき始めました。そこでは社会保障費、教育費、医療費などから数千億jが不正義の戦争の資金に転用されることが決められるのです。どの世論調査においても戦争支持は減少しています。

 9・11機にANSWER創立

 ANSWERがどのようにして生まれたかを理解するには、9月11日以前の米国の状況を考えるとよいと思います。
 ANSWER創立前の2001年1月20日、現ANSWERの構成団体IAC(International Action Center)はブッシュ大統領の就任日にデモンストレーションを行いました。アメリカ支配階級の中で最も反動的、人種差別的なグループの代表であるブッシュの不当な当選に抗議するため何万人もの人民がワシントンに集まりました。 
 そして、その年の9月21日に予定されていた国際通貨基金と世界銀行の年次総会にむけて抗議デモを計画していると、9月11日にだれも予想しなかったことが起こりました。
 われわれは、(倒壊した世界貿易センタービルの)ほこりがおさまらない時点で、この事件が巨大な政治的転換期をもたらすだろうと予測しました。ブッシュ政権がアフガニスタンと中東での大規模で無制限の戦争を進める口実としてこの事件を利用しないわけがないからです。
 9月11日以降、連邦政府は全米の大都市に警察と国家警備隊を配備し、中東系の人びとを中心に千人以上を逮捕しました。彼らは依然として裁判も弁護士との接触も絶たれています。
 しかし、戦争の脅威に積極的に反対しようと考える人もいました。これをきっかけにANSWERという新しい連合体が生まれました。数日のうちに全米と世界中から500以上の組織が参加しました。
 9月29日、4万人以上がアフガニスタンと中東での戦争に「ノー」を言うためにアメリカ中でデモを行いました。ワシントンでは、ブッシュと国際通貨基金と世界銀行に対する2万5000人の抗議闘争が反戦運動に転化しました。
 この3月22日には全米で数十万人もがイラク侵略に反対してデモを行いました。ニューヨークでは25万人、サンフランシスコでは7万5000人、ロサンゼルス、シカゴ、シアトルなどの主要都市ではそれぞれ数千人が参加しました。
 3月20日以来、毎日のように地球上で大規模な抗議デモが行われています。木曜日(3月28日)、何百人もの学生がパークアベニュー(ニューヨーク)の交通を止めるダイインをやりました。
 3月20日に米軍がバグダッドにミサイルを発射して以来、反戦の波が地球を覆っています。2月15日に力を示したこの運動は、より深く、より広くなってきました。
 アメリカと世界の人民がこのような情熱で、このような人数で反戦を表現したのは、人類史上初めてです。世界中で星条旗が燃やされ、アメリカ大使館が爆破されたり、放火されたりしています。
 19世紀、イギリス帝国主義は“大英帝国に陽の沈む時はない”と豪語しました。今や3月20日以来、“アメリカ帝国主義に対する反戦運動に陽の沈む時はない”と言えます。

 困難のりこえ反戦運動爆発

 ANSWERの将来は多くの条件にかかっています。まず、イラク人民がどのくらい米軍に抵抗できるかという問題があります。これは、世界の反戦運動の発展につながります。
 ギリシャ、イタリア、スペイン、ドイツまたはイギリスのような国ではゼネストが可能です。これはわれわれの運動への助けになります。イラク人民が長く抵抗すればするほど、世界の反戦運動は成長し、より戦闘的になり、反帝国主義的になるでしょう。イラク人民のこれまでの英雄的抵抗は素晴らしい模範です。
 帝国主義に対する闘いは一方では複雑ですが、他方では単純です。
 それはカップ一杯のお茶を沸かすようなものです。台所に行き、水をやかんに入れ、コンロに火を付けて待つ。水が沸騰するのを待つ。長い間、何も起こらないようです。しかし、突然、沸騰するのです。
 人間社会も同じです。変革のために頑張って、頑張っても何も起こるようにはみえない長い期間があります。そして突然、水が沸騰し始め、多くの事が起こり始めるのです。このように厳しいけれども重要な時代がまさに今なのです。
 徹夜までしてデモを準備したり、ビラを書いたり、配布したり、警官と闘ったり、他の団体と話しあったり、新しく人脈をつくったりします。
 忘れてはいけないのは、10年前が本当に困難な時だったことです。ソビエト連邦の崩壊により、米国はより一層軍事化し、世界的規模で侵略を拡大しました。反戦運動のあきらめムードが深刻化し、お湯が沸くのを待つしかなかったのです。しかし、絶対にお湯が沸くことは分かっていたのです。やかんの下に火があることを知っていたからです。

 4・12世界同時デモに決起を

 現在、われわれの運動は沸騰し始めています。今後の課題は、イラク戦争の実状をアメリカ人民に実感させることです。戦争に対する政治意識を高めることです。
 ANSWERの次のステップは、4月12日に予定している世界同時デモへの呼びかけです。
 すでにデモが予定されているのは、ブラジル、メキシコ、ニカラグア、プエルトリコ、韓国、フィリピン、イタリア、スウェーデン、イギリス、ドイツ、アメリカです。4月のデモに参加してください。
 イギリスで4月12日のデモを主催する団体は英国戦争阻止連合(Stop the War Coalition UK)です。150万人以上が参加した2月15日のロンドンでのデモを実行した団体です。
 米国では、われわれは4月12日にホワイトハウス包囲と各都市でのデモを呼びかけています。
 われわれの作戦は、長期にわたって圧力をかけ続けることであり、コンロの火を強くすることです。あらゆる人に街頭を占拠せよと訴えましょう。
 米国での軍隊への支持は少ない。労働者の多くは反戦の炎に身を投じようとしています。彼らを迎え入れたいと思います。
 私は、三里塚芝山連合空港反対同盟の強い意志と成田空港拡大に対する粘り強い闘いに非常に感動しています。
 日本に来る前に、私は米国に拡大予定の空港が3000あることを知りました。そのうち400は主要都市にあります。
 ニューヨーク市の郊外では小規模の空港を拡大しようとする動きがあります。これは、900万人のニューヨーク市民の飲料水の9割を供給するケンシコ貯水池を汚染することになります。貯水池の周りの土地がなくなるだけでなく、水道を汚染するのです。
 私は、成田空港に反対する同盟の皆さんの闘いの歴史を読んで勇気づけられました。私が最も奮い立たせられた点は、第一に、皆さんが集団で闘い続けたことです。
 第二に、皆さんが非常に献身的に団結していることです。皆さんは、多くの困難を克服して成果を上げています。
 第三に、皆さんが多くの戦線で活動し、さまざまな戦術を用いていることです。
 第四に、皆さんが他の諸団体と同盟を結んでいることです。人間らしい生活のために闘う人びとと結合していることです。
 第五に、有機栽培の促進を、搾取、グローバル化、帝国主義戦争などに反対するより大きな課題と結び付けていることです。
 われわれANSWERは困難に負けない、断固とした労働者と農民との連帯を築くこのような機会をもてたことをうれしく思います。
 成田空港の拡大に反対する三里塚芝山連合空港反対同盟の闘い万歳! 日本とアメリカ合衆国の労働者と農民の団結万歳! 世界のすべての人民の団結万歳!

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週刊『前進』(2097号6面1)

直ちに行動し戦争とめよう 新入生諸君! 全世界の変革のために立ち上がろう!

 新入生のみなさん! 今、アメリカ帝国主義はイラク侵略戦争を強行し、世界戦争に突き進んでいる。そして労働者人民への首切り、賃下げ、生活破壊の攻撃が吹き荒れている。この戦争と大失業の攻撃に対して、全世界で何千万人もの人民がデモやストライキに立ち上がっている。4月12日に全世界で国際連帯行動が呼びかけられた。戦争をとめるために直ちに行動しよう! 恐慌と世界戦争に向かうしかない帝国主義を打ち倒し、戦争も搾取も差別もない、私たちが主人公となる社会を自らの手でともにつくり出そう。

 4・12イラク反戦国際連帯へ 中核派とともに闘おう

 マルクス主義学生同盟・中核派はすべての新入生、青年・学生諸君に訴える。
 4月12日、アメリカの反戦行動団体・ANSWERが、ホワイトハウスを包囲する100万人デモを呼びかけている。イギリスの反戦行動団体・戦争阻止連合はロンドンの中心街を埋め尽くす100万人デモを呼びかけている。4月12日はイラク侵略戦争を直ちにやめさせるために全世界で一斉に行動に立ち上がる日である。日本においても、WORLD ACTIONによる4・12東京・渋谷の反戦行動をはじめ、全国各地で4・12反戦行動が呼びかけられている。
 すべての新入生、青年・学生諸君。4月12日は、あなたの反戦の意志を行動として示す時である。――イラク人民への無差別・大量虐殺を直ちに中止せよ。米軍は直ちにイラクから出て行け。この戦争はまったくデタラメであり、何一つ大義はない。これは米帝・ブッシュによる百パーセント不正義の戦争であり、大国同士が石油をぶんどり合う戦争だ。日本の参戦を許すな。自衛隊の派兵を認めないぞ。北朝鮮侵略戦争のための有事立法の成立を阻止せよ。戦争と大失業の小泉政権を倒せ――このことを声を大にして叫ぼう。街頭を埋め尽くす大デモで訴えよう。イラクの人民と全世界の労働者人民と固く連帯して日本の地で一大反戦行動を巻き起こそう。

 戦争か革命か

 始まった戦争と激動の本質を根本的なところで把握しているのはマル学同・中核派だけである。
 時代は、再び三たび人類が世界戦争という破局に転落するのか、それとも戦争の元凶である帝国主義を打倒する世界革命に向かって前進するのか、という歴史的な選択をめぐって激動している。そして、今この瞬間の私たち一人ひとりの行動の選択、生き方の選択が、その歴史の行方を決する時が来ているのだ。

 戦争の原因は

 この戦争の根本的な原因は帝国主義にある。そして戦争をとめるということは戦争の原因である帝国主義を打倒することである。
 アメリカという国が帝国主義であること、アメリカ帝国主義(米帝)の対イラク戦争が「石油のための民族虐殺戦争」であることがこの間、ますます明らかになっている。
 この戦争は、米帝にとって都合の悪い反米政権を力ずくで転覆し、イラクを軍事占領し、イラク人民を徹底的に抑圧し、石油と中東の支配権を独占しようという帝国主義的な侵略戦争である。しかも、その基底には、アメリカやドイツ、フランス、日本といった帝国主義諸列強間の分裂と抗争という大問題がある。
 米帝は、自らが戦後の世界支配のルールとしてきた国際法や国連をも無視する凶暴なやり方に訴えている。米帝は戦後世界体制を自ら破壊的に再編し自分だけが生き残ろうという凶暴な世界戦争計画を発動しているのだ。そして、米帝の戦争政策に追いつめられたドイツやフランスや日本などの諸帝国主義も独自の戦争政策に踏み出す以外にない。この戦争は第3次世界大戦につながるものだ。
 帝国主義は自ら戦争をやめることも、とめることもできない。核とドルと石油を独占し世界を支配するという米帝のやり方がもはや完全に行き詰まっているのだ。経済はますます深刻な恐慌状態に落ち込み、新植民地主義支配はいたるところで崩壊し、帝国主義諸列強は分裂し抗争し、足下の労働者支配も破綻(はたん)している。米帝にとって、もはや戦争に訴え、一切を暴力的に破壊する以外のいかなる政策もない。

 時代の転換点

 今日の巨大な帝国主義的な生産力、帝国主義文明、高度消費社会はたしかに人間自身が生み出したものである。にもかかわらず人間がコントロールできない巨大な力となり、むしろ人間を超えて極限的に人間を支配し、戦争という破壊を人間にもたらしている。
 これはどういうことなのか。資本主義・帝国主義がもはや歴史的な限界に突き当たっているということだ。資本主義がもはや命脈が尽きて死の苦しみにあえいでいるからこそ、凶暴であり、デタラメなのだ。
 彼らのデタラメで凶暴な姿の中に、彼らの時代が終わりつつあること、労働者人民の勝利と資本主義から社会主義社会への前進の展望が開けつつあることがはっきりと示されているのだ。

 団結した力で

 米帝のイラク侵略戦争はイラク人民の抵抗闘争を引き出している。それはフセインなどのためではない。民族の解放のための闘いである。さらにイスラム諸国人民が続々と闘いに決起している。
 そして何よりも帝国主義国の労働者人民が、このイスラム諸国人民と連帯し百万単位でデモに決起している。資本攻勢と闘う労働者階級が中軸となってイラク反戦闘争が爆発している。鉄道や港湾で軍事物資の輸送を阻止し、反戦ストが闘われている。一度に数千人が逮捕されるような実力闘争が闘われている。帝国主義国の労働者階級の闘いが自国政府の敗北と打倒を目指す闘いへと発展しつつあるのだ。
 米帝は今や泥沼の侵略戦争に引きずり込まれ、絶望的に凶暴化している。それに対して、闘う人民が国際的な内乱を激化させ、被抑圧民族人民と労働者階級の団結した闘いによって打ち倒す時がついに来たのだ。

 新しい社会を

 時代は、世界戦争による人類の死滅か、帝国主義の打倒かをかけた歴史的決戦に突入した。このことを革命的な時代認識として徹底的にはっきりさせよう。そして問われていることは、戦争の元凶が帝国主義にあり、戦争を阻止するとは帝国主義を打倒することであり、戦争の危機が逆に帝国主義を打倒する好機であるということをつかみ取ることである。
 イラク侵略戦争に参戦し北朝鮮侵略戦争のための有事立法攻撃に突き進む日本帝国主義を打倒することはわれわれの責務だ。有事立法阻止に総決起しよう。
 今こそ、中核派に結集し、全世界人民とともに帝国主義を打倒し、新しい社会を建設する闘いに自らの生き方をかけて、ともに立ち上がろうではないか。

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週刊『前進』(2097号6面2)

世界を戦争に引き込む米帝 戦争の元凶=帝国主義打倒を

 イラク戦争の実態は人民の大虐殺だ

 「これは虐殺だ。世界は何が起きているかを知るべきだ!」。カタールのアルジャジーラ放送はバスラでの空爆犠牲者の映像を流した。少年は頭の半分を吹き飛ばされていた。
 「戦争で破壊されるのは私みたいな子どものことなんです。みなさんの息子が手足を切られて苦しんで叫んでいるのに、痛みを和らげることも何もできないことを想像してください。娘が崩壊したビルのがれきの下から叫んでいるのに、近づくこともできないことを想像してください」と、アメリカの少女は訴えている。バグダッドの医師は、「多くの家が壊され、たくさんの市民が死に、傷ついている。これは『きれいな戦争』なんかじゃない」と叫んだ。
 イラクでは今日も91年の湾岸戦争をはるかに上回る空爆と地上戦が行われている。米軍は3月末までに1万発近い精密誘導爆弾や巡航ミサイルを撃ち込んだ。米帝はこの猛爆撃を「衝撃と恐怖」作戦と称し、「広島と長崎に落とされた原子兵器が日本人に与えたショック」をイラク人民に強制すると豪語してきた。
 「民間人の被害を少なくする」というのはウソだ。精密誘導弾は人民を無差別虐殺する恐るべき「大量破壊兵器」だ。米軍が今回多用している誘導爆弾GBU−31が爆発すれば、半径120b以内は8500度の高熱と爆風で生存率ゼロとなる。GBU−28には1・5dものウラン(戦車破壊などで使う劣化ウラン弾の300発分!)が使われている。米軍はクラスター爆弾や劣化ウラン弾も使っている。
 米軍は住宅地、学校、病院なども爆撃している。3月28日にはバグダッドの市場が爆撃され、一瞬で少なくとも58人以上が虐殺された。イラクのムバラク保健相は27日、民間人の死傷者が約4000人に上っていると発表した。
 何が「イラクの人びとを解放する」だ。ブッシュよ、答えてみろ。殺されていく何万人もの人びとをどのように解放するのか! 家族を殺された何百万人もの人びとに解放の日が来るのか!
 米帝は当初、イラク人民は米軍を解放軍として歓迎するとしていた。だがイラク人民はフセイン政権への支持、不支持に関わりなく、侵略者である米英軍と命がけで闘っている。ヨルダンなどへ出稼ぎに出ていたイラク人民が、米軍と闘うために故郷に帰っている。イスラム義勇兵たちが毎日バスでバグダッドに入っている。「サダムを守るんじゃない。イスラムの国を守るんだ」と。
 イラク侵略戦争への反撃戦は、イスラム諸国人民の民族解放戦争に転化しつつある。彼らは米帝打倒までやむことのない闘いに決起している。イラク侵略戦争の泥沼化・長期化と米帝の絶望的な凶暴化は避けられない。自国の敗北を求める米英日など帝国主義国の労働者人民の闘いこそが決定的に問われているのだ。

 ブッシュ・ドクトリンで先制攻撃宣言

 ブッシュ政権は昨年9月米国家安全保障戦略(ブッシュ・ドクトリン)を発表し、米帝にとって将来脅威になる恐れがある国は先制攻撃で転覆すると宣言した。イラクはその最初の標的とされた。ブッシュはイラクの「大量破壊兵器の脅威」「アルカイダとの関係」を口実にしているが、具体的な証拠を示せなかった。米帝が主張する「イラクがニジェールからウラン500dを輸入しようとした」とする証拠文書はねつ造であることがわかった。「ウラン増殖のためのアルミのパイプ」は、実験用ロケットのパイプだった。米英の情報をもとに国連査察団が3カ月以上も徹底的な査察を行ったが、大量破壊兵器の具体的な証拠は見つかっていない。
 国連査察団が査察の継続を要求していたにも関わらず、米帝は「イラクの非協力」を国連決議1441号違反だと決めつけ、同決議の採択時に合意していた「武力行使容認」決議の採択さえ放棄し、英帝などとともに開戦した。
 ブッシュが言う「イラクの大量破壊兵器の除去のため」というのは大ウソだ。

 イラク軍事占領

 昨年2月7日、米上院外交委員会で、PNAC(新アメリカの世紀プロジェクト)のクリストル議長はイラク侵略戦争の狙いをはっきりと証言した。
 「イラクでの親米政権の樹立がもたらす政治的、戦略的報酬は巨大である」「親米的で自由な産油国イラクが誕生すればイランを孤立させ、シリアをおびえさせ、パレスチナ人はイスラエルとの交渉により誠実となり、サウジアラビアは中東と欧州の政治家に対する影響力を弱めることになるだろう」
 これはブッシュ政権の「中東民主化」構想について述べたものだ。だが中東人民の自己決定権を尊重し自由な選挙を行えば、間違いなくイスラム主義、民族主義の反米政権が登場する。クリストルが言うように、「民主化」とは米帝の軍事支配のもとでの「親米政権」づくりのことなのだ。
 米帝の狙いは突出した反米政権であるフセイン政権を転覆し、イラクを軍事占領してかいらい政権をつくることにある。それを突破口にパレスチナ人民を始めとするイスラム諸国人民の民族解放闘争を圧殺し、反米国家のイラン、シリアをたたき、サウジアラビアをアメリカの言いなりにしようというのだ。
 「フセインの圧制からイラク人民を解放すべきだ」ということが言われる。確かにフセインは米帝と結託してイラン革命を圧殺する反革命として登場し、人民の闘いを徹底的に弾圧してきた。しかしフセイン政権の打倒は、イラク人民自身が自己解放的に実現すべきものである。帝国主義の軍事占領などで解決すべき問題ではないし、できるはずもない。
 そもそもフセイン政権を育成したのは米帝(帝国主義)である。生物・化学兵器も与えた。米帝は91年湾岸戦争後に起きた北部のクルド人や南部のシーア派民衆の反フセイン蜂起を、中東の激動と民族解放闘争の高揚を恐れて見殺しにした。帝国主義こそがイスラム諸国人民に対する侵略と圧制の元凶なのであり、帝国主義の支配を覆すことなしにイスラム諸国人民が解放されることはない。帝国主義国での体制変革こそが必要なのだ。

 中東支配が破綻

 米帝がイラク・中東諸国を直接軍事制圧し、完全な従属下に置こうとしているのは、米帝の中東支配が全面的に破綻しているからだ。
 米帝は中東石油支配のために古典的帝国主義以上の残虐行為を行ってきた。第3次大戦後、米帝はパレスチナに軍事基地国家=イスラエルを建国し、そこに住んでいた数百万人のアラブ人を虐殺・追放した。
 米帝はイスラエルを使って5次にわたる中東戦争を行い、何十万、何百万人ものアラブ人民を虐殺し、アラブ諸国を屈服させ、中東石油支配を暴力的に貫徹してきた。
 イスラエルは国連決議さえ無視し、1967年の第3次中東戦争で軍事占領したヨルダン川西岸やガザ地区に居座り続け、パレスチナ人民を虐殺して入植地を拡大している。
 91年の湾岸戦争は、米帝が自らの軍事力で中東支配の破産を暴力的に突破するためのイラク・中東侵略戦争であった。米帝はイラク人民を数十万人も虐殺し、イラク全土を徹底的に破壊した。
 米帝はサウジアラビアへの軍事駐留を行い、湾岸諸国への支配力を強めた。と同時に湾岸諸国からパレスチナ人を追放し、PLO(パレスチナ解放機構)指導部を屈服させた。
 パレスチナ人民はPLO指導部の屈服をのりこえ、イスラエル・シャロン政権の民族抹殺戦争に抗してインティファーダと呼ばれる民衆蜂起に決起していった。他方イラクでは湾岸戦争後も続いた経済制裁で、医薬品と食糧が不足し、毎月4千人以上の子どもたちが殺されている。こうした米帝とイスラエルによる大虐殺は、イスラム諸国人民の怒りを極限まで高めた。イスラム教の聖地であるメッカ、メディナの守護者を自認しながら、米軍を駐留させ続けるサウジアラビアや、アラブの盟主を名乗るエジプトなどの親米政権がイスラム諸国人民から弾劾され、体制的危機を深めていった。サウジアラビアはEUなどとの関係を強めるとともに、急進的な若者の闘いが自分に向かわないよう国外で闘うイスラム武装組織に金を与えるようになった。
 こうした状況の中で2001年の9・11反米ゲリラ戦争が爆発した。それは米帝が中東石油支配のために行ってきた言語を絶する民族抑圧・大虐殺に対するイスラム諸国人民の怒りの大爆発としてあった。米帝はイスラム諸国人民の民族解放闘争を圧殺するためにも、中東諸国を直接の支配下に置くしかないところに追いつめられているのだ。

 石油強盗の戦争

原油確認埋蔵量グラフ 同時に、これは石油強奪のための強盗戦争だ。
 ブッシュ政権は「イラクで起きることはOPEC(石油輸出国機構)の終わりの始まりになりうる」(米国務省高官)と、イラクの石油を押さえてOPECの解体を狙う意図を隠そうともしない。米帝はイラクに親米国家をデッチあげて、イラン革命とOPECの石油戦略などで失った米系メジャーズ(国際石油資本)の独占的地位を奪い返そうとしているのだ。
 現在フランス、ロシアなどがイラクと契約を結び、経済制裁が解除されれば石油採掘が大規模に行われることになっている。米帝はフセイン政権を打倒して現在の契約を白紙に戻し、イラクの石油権益を独占しようとしているのだ。米国再開発局が発注する大型復興事業を、チェイニー副大統領が経営していたハリバートン社などの米企業が独占することがあきらかとなった。イラクの戦後復興を誰が主導するのかをめぐって、フランスやドイツはもとより、イギリスまでもが米帝と対立している。
 石油は通貨の問題でもある。すでにイラクは石油決済をドルからユーロに切り替えている。これにイランが続こうとしている。サウジアラビアまでも「このままドルが下落するのであれば、石油の決済をドルだけでなく、他の通貨でも考えなくてはならない」と言い始めている。
 米経済の対外累積債務は2兆jに達し、02年の経常赤字は5034億j、03年の財政赤字はイラク戦費を除いても3042億j(米政府見通し)で史上最悪となっている。米企業も米政府も世界からの借金でようやく回っている状態だ。連邦政府の国債発行残高は6兆4千億jでGDPと同額になった。すでにバブル経済が崩壊した中で、今後米株価の暴落も一段と進む。ドルが大暴落し、米から国際的な資金が流出すれば米経済は崩壊する。米帝はドル暴落をくい止めるためにも、イラク侵略戦争以外の選択はなかったのだ。

 EU分裂を画策

 帝国主義にとって石油の独占的確保は世界支配の問題であり、帝国主義ブロックが生き残るための死活的な位置を持っている。
 ラムズフェルド米国防長官はドイツやフランスを「古くさいヨーロッパ」と見下し、新たにNATOに加盟した東欧諸国を「新しいヨーロッパ」と賞賛して、イラク侵略戦争支持に回らせるなどしてEUの分裂を図っている。
 米帝がイラクをかいらい国家にするのは、EUを中東から排除して独自の石油資源確保を阻止し、EUを米帝のコントロール下に置く狙いがある。だからドイツとフランスはイラク侵略戦争に最後まで反対したのだ。イラク侵略戦争は米帝がEUの地域ブロックを粉砕し、世界経済をドル体制として何としても維持しようとする戦争なのだ。
 帝国主義が地域ブロックの形成を基礎に、世界市場・資源(石油)・勢力圏を奪い合っている。92年EUが市場統合された。99年には通貨統合も行われドルに対抗してユーロが登場した。他方、米帝は94年にNAFTA(北米自由貿易協定)を発効させ、南北アメリカ大陸にまたがるFTAA(米州自由貿易圏)の完成を目指している。日帝は一度は米帝の圧力でつぶされた東アジア自由経済圏の形成に向かっている。
 ソ連スターリン主義が崩壊し、これまでの戦後世界の枠組みが崩壊したことは、帝国主義の世界再分割戦に拍車をかけている。東欧や中央アジアなどの崩壊したスターリン主義圏や中国などの残存スターリン主義をめぐって、あるいは中東などの新植民地主義体制諸国をめぐって、これらの死活的な地域をどの帝国主義が分捕るのかが激突点になっている。
 こうした世界市場をめぐる帝国主義間の争闘戦(帝国主義としての生き残りをかけた激突、つぶし合い)が、いわゆる「経済のグローバル化」の根本にある。29年型世界大恐慌の過程が始まった中で、こうした帝国主義のブロック化と争闘戦の激化は、軍事的な激突として進まざるをえない。イラク侵略戦争はその画期をなすものだ。他方で、帝国主義は被抑圧民族人民の抑圧と収奪を強めるとともに、自国の労働者階級に対し、地域ブロック内での自由化をテコに低賃金と不安定雇用を強制して、搾取と弾圧を激化させている。もはや労働者階級人民は被抑圧民族人民と連帯し、帝国主義の資本攻勢や戦争政策と闘わなかったら生きていけない。

 中国打倒を狙う

 ブッシュ政権はイラク侵略戦争を突破口に世界戦争計画を実行に移し、世界全体を暴力的に再編しようとしている。その最大の焦点は、中国スターリン主義の転覆または転覆的な取り込みによる、日帝のアジア勢力圏化の阻止である。
 @ブッシュ・ドクトリンは「米国の国家安全保障戦略は、わが国の価値観と国益の合一を反映したきっぱりとアメリカ的な国際主義に基づくものとしていく」と述べて、米帝の「価値観と国益」を軍事力で貫徹することが、アメリカ流の「国際主義」だと言い切った。そして「必要とあれば単独行動をためらわない。先制的に行動する」「脅威が現実となる前に抑止し、防御しなければならない」と、国際法や国際協調を破壊しても、米帝が「脅威」と見なせば、他国を先制攻撃するとしている。

 新帝国主義宣言

 ここで「米国の国益」とは、世界の被抑圧民族人民を抑圧・虐殺し、収奪して得られるアメリカの資本家階級の利益のことだ。米帝はそうして世界の富の約6割をかき集め、世界のGDP(国内総生産)の約3割を占めてきたのだ。「価値観と国益の合一」とは、「自由と民主主義の拡大」というイデオロギー的粉飾をこらして国益のために戦争を行い、反米国家をアメリカのかいらい国家に変えるということだ。
 Aブッシュ・ドクトリンの中心的執筆者であるライス大統領補佐官は、次のように述べている。
 「9月11日ほどの強度の地震は、国際政治の地殻構造のプレートを動かしうる。ソ連という大国の崩壊以来、国際政治は、流動状態にある。……粘土が乾いてしまう前に、アメリカと友好国、同盟国はその新しいチャンスを活用するために、決定的な行動を起こさなければならない。……1945年から1947年の時期に似かよっていて、自由にとって役立つ新たな力のバランスをつくり出すべき時期である」
 米帝は第2次世界大戦とその後の戦後処理過程で日独帝をたたきつぶし、英仏帝を引きずり下ろし、米帝を軸とした帝国主義世界への再編を実現した。ライスはその時期を引き合いに出し、「決定的な行動(戦争だ!)」を起こして、今こそ世界を米帝に有利なように再編し、他帝国主義の対米対抗的な台頭を粉砕すべきだと言っているのだ。
 こうした主張は、「唯一の超大国となった米帝の圧倒的な力を行使し新たなアメリカの世界秩序を建設する」というPNACの主張そのものだ。PNACはチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官など現ブッシュ政権の主要メンバー多数が賛同して1997年に創設された新保守主義者(=新帝国主義者)の政策理論集団である。こうしたファシスト的な主張を持ったグループが、軍事寡占体や石油産業と結びついて政治権力を握ったのが、ブッシュ政権だ。帝国主義の危機と没落の中で、1930年代のドイツ・ナチスのような政権がアメリカに登場し、世界を戦争に引きずり込もうとしているのだ。
 B米帝の世界再編の最大の戦略目標は中国スターリン主義である。ブッシュ・ドクトリンは、イラクや北朝鮮よりも大きなスペースをさいて、はっきりと中国スターリン主義の転覆を押しだしている。
 「共産主義の最悪の形態からの脱皮のプロセスが始まってから4分の1世紀が経つのに、中国のリーダーたちはまだ、この国の性格に関する次の根本的選択を行っていない。中国はアジア太平洋地域の隣国を脅かしうる先進的な軍事能力を追求しており、……時代遅れの道を行っている」「共産党による全国的な一党支配に強くこだわり続けている」
 米帝の世界支配にとって、巨大な中国スターリン主義の存在とその危機は、ある意味で中東以上に重大な破綻点としてある。
 中国は「改革・開放」路線のもとで帝国主義の経済的浸透を呼び込んでいる。01年12月にはWTO(世界貿易機関)に加盟した。今後中国市場が帝国主義資本に全面開放され、あらゆる規制がとり壊される。中国スターリン主義の危機はいずれ大爆発する。
 米帝は日帝の対米対抗的な台頭を許さないためにも、これに受動的に対応するのではなく、米帝の軍事戦略のもとで中国スターリン主義の転覆を図っていこうとしている。そうした観点から北朝鮮侵略戦争を行おうとしているのだ。

 世界経済の大恐慌大不況と世界戦争

 米帝がイラク侵略戦争を突破口に世界戦争戦略に決定的に踏み出したことで、他帝国主義は独自の帝国主義的軍事力、侵略戦争を行う能力を持つ必要に迫られている。それなしには地域ブロックを形成できず、帝国主義として生き残れなくなったのだ。
 独仏帝国主義にとって、米帝の軍事戦略がEUブロックと独自の軍事路線を粉砕するものであるからイラク侵略戦争に反対した。逆に日帝は現実的な階級関係、対米関係から、当面は日米安保同盟をテコに戦後憲法体制を突破していくしかないために、イラク侵略戦争を全面的に支持し、米帝の戦争に全力で参戦しようとしているのだ。
 29年型世界大恐慌がいよいよ本格化し、帝国主義が2大陣営に分裂し、第3次世界大戦へと向かう過程が始まったのだ。
 事実、世界経済はもはや世界戦争に向かう以外にないほど行き詰まっている。帝国主義世界経済の戦後発展は、すでに74−75年の恐慌をもって行き詰まり、過剰資本・過剰生産力を露呈させた。帝国主義は自立的に発展する力を失い、外部的な要因に頼らずには発展できなくなった。
 たとえば日本の場合、国債の大量発行による公共事業での人為的な需要の創出、アメリカへの輸出ラッシュなどの手段をとって延命を策した。しかし、それは国債発行残高の巨大化とアメリカ経済の没落による日米対立の激化を招いた。米帝は軍事を経済にリンクさせた対日争闘戦で日本経済を弱体化させ、日帝のアジア勢力圏化を破産させた。
 日本においては資本が生産的な投資の場を失って株式や土地の投機に向かい、経済バブルを発生させた。バブルの崩壊とともに、回復の見込みのない恐慌と長期不況に突入した。米帝もまたITやハイテク産業を軸に超巨大な経済バブルを発生させたが、今やそれが崩壊するに至った。
 米経済のバブル崩壊で、世界経済はあらゆる延命策が尽きて最後的な破産をとげた。資本主義的な生産関係のもとでは、社会的な生産力が巨大になりすぎて、それが破壊的な意味しか持たなくなった。要するに、資本と生産力が巨大になりすぎて資本家がもうけられなくなった。資本家がもうけることを唯一の動機に生産が行われるシステムが限界に達したということだ。
 この巨大な生産力を生み出す資本(労働者が働いて生み出したものだ!)を、労働者が資本家から奪い返して、資本家のためではなく、労働者人民の生活の豊かさのために利用しなくては、社会が成り立たなくなったということだ。
 すなわち、帝国主義の戦争と大失業の攻撃と闘って、労働者の団結と国際連帯をつくり出し、根底的な社会変革(=反帝国主義・反スターリン主義の世界革命)を実現する以外に労働者階級人民の生きる道はないのだ。

 歴史的命脈尽きた帝国主義の打倒を

 米帝のイラク侵略戦争−世界戦争計画の発動は、米帝の生命力の現れではなく、すでに命脈が尽きた最末期の帝国主義の絶望的なあがきである。
 世界大恐慌の深まりと世界経済の分裂化によって、米帝はドル体制の崩壊=米経済の破産という恐るべき現実が目前に迫っている。しかも9・11を契機に、米帝の世界支配−階級支配の危機が大爆発し始めた。今やアメリカ革命=世界革命の現実性が突きつけられているのだ。
 だから米帝はアメリカの労働者人民を「反テロ」「民主主義の拡大」なる偽りのイデオロギーで民族解放闘争を圧殺する侵略戦争に動員し、他帝国主義をけ落として、世界支配−階級支配を貫いていくしかないのだ。それは米帝と帝国主義の没落と最後的な破産を生み出していく。
 この理不尽で残虐な戦争は国際階級闘争の新局面を開いた。戦争が始まる前から、世界中で反戦闘争が数千万人規模で爆発している。ゼネストや軍事輸送阻止の実力闘争が闘われている。帝国主義の危機と矛盾が世界戦争を不可避とする以上、この国際的内乱は世界革命に発展する。
 世界人民と連帯し、全世界の解放を目指して闘おう。有事立法、「イラク復興支援法」を阻止し、小泉戦争政権を打倒しよう。

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週刊『前進』(2097号7面1)

有事立法阻止へアピール
北朝鮮への侵略戦争発動で100万人民を虐殺する超悪法

 “先制攻撃は当然”と小泉発言

 小泉首相は3月20日、米帝のイラク侵略戦争を正式に支持した。
 小泉は戦争を支持する理由を「大量破壊兵器が独裁者に渡ると危険」「日米同盟が重要」などと述べた。すなわち、「大量破壊兵器開発」を理由にした先制攻撃は正当だと言って、ブッシュと同じ先制攻撃論の立場に立つと宣言したのだ。
 これは米帝がイラクの次の標的とする北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を念頭に置いた発言だ。小泉は米帝の北朝鮮侵略戦争を日帝自身の侵略戦争としてとらえ、全面的に参戦することをはっきりと決断しているのだ。それどころか、日帝が侵略戦争をリードする役割さえ果たし、北朝鮮を先制攻撃することを狙っている。実際「拉致問題」や「不審船問題」をテコに、独自の対北朝鮮侵略外交を進め、北朝鮮への排外主義をあおっている。
 国会では北朝鮮への先制攻撃は当然だという恐るべき議論が行われている。3月27日、石破防衛庁長官は自衛隊が外国の基地を攻撃する能力を持つことに意欲を示した。防衛庁は巡航ミサイル「トマホーク」(射程1700`)の導入に向けて検討に入った。軍事偵察衛星も打ち上げられた。
 日帝は“イラク攻撃で米政府に歩調を合わせることが、北朝鮮との戦争を回避する協力を米政府から得るために必要だ”と説明している。まったく恥知らずなウソだ。米帝は北朝鮮侵略戦争計画「5027」を、北朝鮮を先制攻撃する作戦計画「5027−98」へと改訂した。これは朝鮮人民が100万人死傷すると言われる恐るべき作戦計画だ。北朝鮮の核開発やミサイルが脅威だと日帝はキャンペーンしているが、米日帝こそが北朝鮮侵略戦争を先制的に強行しようとしているのだ。
 日米帝は、北朝鮮の反人民的な軍事対抗をあたかも巨大な「脅威」であるかのようにデッチあげ、そのわずかな動きをも口実に侵略戦争の全面発動に踏み込もうとしている。今国会で成立が狙われている武力攻撃事態法案など有事3法案と個人情報保護法案は、そのための北朝鮮侵略戦争法案である。南北朝鮮人民の南北分断打破=革命的統一の闘いを断固支持し、「アメリカ(のイラク攻撃)をとめなければ、北朝鮮への攻撃をとめられない」と韓国軍のイラク派兵阻止に決起する南朝鮮・韓国人民と連帯し有事3法案の廃案をかちとろう。

 「予測」段階で北朝鮮を攻撃

 日帝・小泉政権は、「4月にも衆院を通過させる」と有事関連3法案の強行を公言している。米帝のイラク侵略戦争発動、北朝鮮侵略戦争策動の強まりの中で、有事立法をめぐる情勢が加速している。
 小泉らは「北朝鮮の脅威」をあおりたて、「備えあれば憂いなし」などと人民をあざむいて有事立法攻撃を推し進めようとしている。まったくのペテンだ。法案の条文をきちんと読めば、これが「万が一の脅威に備える」とか「日本を守るため」の法案などではなく、日帝・自衛隊がアメリカ帝国主義と一体となって再び対北朝鮮・対中国侵略戦争にうって出るためのとんでもない戦争遂行法案であることが明白になる。
 有事関連3法案の狙いは何よりも第一に、アメリカ帝国主義が強行しようとしている対北朝鮮・対中国侵略戦争に日帝が全面協力し、自ら積極的に参戦していくことにある。そのために従来の「外部からの武力攻撃」とは区別された概念として「武力攻撃事態」といういくらでも拡大解釈できる新概念をデッチあげたところに核心がある。
 武力攻撃事態法案(与党修正案)第2条では、「武力攻撃事態」を「武力攻撃が発生した事態または武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」とし、さらに「武力攻撃予測事態」を「武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」と定義している。
 そもそも「武力攻撃事態」という概念自体が、日本の在外公館や船舶−ひいては日本企業への攻撃まで含むものであり、どこまでも拡大解釈が可能だ。しかしさらに重要なことは、これと区別してわざわざ「…予測されるに至った事態」というケースを設定した点である。政府は、予備役の非常呼集や軍要員への禁足令すらも「予測事態になる」と言っている。実際に武力攻撃が発生するはるか以前の段階も広義の「武力攻撃事態」に組み込み、その段階でただちに自衛隊が動き出すのだ。つまり「武力攻撃事態」とは、とてつもなく広い範囲を含むものであり、この法案の真の目的が「日本が侵略を受けた場合」への対処などではなく、あらゆるきっかけをとらえて(場合によってはデッチあげてでも)一方的に「武力攻撃事態」を宣言し、日本帝国主義が侵略戦争へと突入していくことを合法化するためのものなのである。
 実際に有事立法はどういう状況で動きだすのか。すでに日帝は、新しい日米防衛協力の指針(新ガイドライン)を締結し(97年)、周辺事態法の成立を強行している(99年)。「周辺事態」という新しい概念を導入することで、周辺事態における対米支援の範囲は朝鮮半島全体・中国・アジア諸国・世界全体に拡大された。
 ブッシュ政権が北朝鮮に対する軍事的対決をさらに強めたり、国連による経済制裁が決議された場合、それが日本の平和と安全に重要な影響を与える「周辺事態」と認定され、自衛隊は軍事行動を開始している米軍との共同作戦に突入していく。これに対して当然にも取られるであろう北朝鮮の応戦体制(あるいはその兆候)をとらえ、直ちに「武力攻撃事態」が宣言され有事立法体制がフル回転を始めるのである。
 実際に石破防衛庁長官は「東京を火の海にするという表明があり、それを実現するために燃料注入を始めたということになれば(武力攻撃の)着手」と述べ(1月24日衆院予算委)、「自衛権の行使としての先制攻撃を憲法は妨げていない」というのが政府見解だと繰り返し宣言している。米帝・日帝という世界第1位、第2位の帝国主義が、自らが攻撃されたわけでもないのに「国益論」「自衛権論」をどこまでも拡大解釈し、「悪の枢軸を武装解除する戦争は正義だ」とか「自衛のための先制攻撃の権利」を堂々と主張して、おそるべき侵略戦争を始めているのだ。
 これは歴史上、帝国主義が侵略戦争を発動するときに常に使ってきたやり方だ。米帝ブッシュ政権の世界戦争戦略のもと、新安保ガイドライン・周辺事態法と有事立法が一体で動きだしたとき、それは恐るべき先制攻撃体制、侵略戦争体制となるのだ。
 有事関連3法案は第二に、こうした巨大な戦争を遂行するために首相権限を圧倒的に強化する。そして国家と社会全体を戦時非常体制にたたき込むのである。
 閣議決定だけで戦争に突入でき、国会承認はこれまで原則事前承認だったが、それが外され、基本的にまず戦争に突入し、戦争下で事後承認を迫る形になる。そして首相のもとに戦争遂行に関するいっさいの権限が集中され、首相にいわば戦前の天皇大権と同じような戦争大権が付与されるのである。その大権発動の中心機関となるのが武力攻撃事態対策本部であり、安全保障会議である。その実態は戦争総合司令部そのものである。そして安全保障会議法案で置かれる事態対処専門委員会が戦争指導の中枢となる。
 そのもとで自衛隊は全面的な行動の自由を確保する。自衛隊法改悪案によって「予測事態」の段階から実質的な出動が行われ、猛然と戦時体制に突入していく。また、法令の適用除外や特例措置も圧倒的に強化し、すべてが軍事優先にされていくのだ。

 国家総動員と報道・言論統制

 有事関連3法案は第三に、こうした首相独裁のもとで全社会・全労働者人民を動員する国家総動員体制づくりを狙うものだ。法案では、国の「組織および機能のすべてを挙げて」戦争を遂行することが「責務」であるとした上で、全地方自治体と指定公共機関(日本銀行、電気・ガス・水道・鉄道・航空・NHKなどあらゆる領域におよぶ)の戦争協力を「責務」であるとし、対策本部への圧倒的な権力集中を定めている。
 さらに「国民の協力」についても明記し、人民の権利を制限し、自由を奪い、人・物・土地などを強制使用・徴用・徴発すると宣言している。拒否者の罰則規定まで設けられている。日本全土が出撃・兵たん基地とされるのだ。
 第四に、いわゆる個人情報保護法案は有事関連3法案と完全に一体のものであり、言論・出版を始めとする表現の自由を圧殺し、国家機密保護法への道を開き、労働者人民のあらゆる運動を鎮圧するための戦時法案=第4の有事立法そのものである。
 第五に、昨秋の臨時国会で「輪郭」が示された国民保護法制の重大性である。これは名称とは正反対に、日帝が戦争を遂行するための人民の権利はく奪法・非協力者処罰法というべきものである。その中には労働者人民の徴用や物資の徴発、物価統制、流通規制、産業の軍需産業化、「隣組」復活や郷土防衛隊など民間人の軍事的組織化、ストライキやサボタージュ禁止などの治安弾圧規定、言論統制や検閲までも含まれる。与党修正案では、この国民保護法制の整備本部設置を盛り込んでいる。武力攻撃事態法案の成立を許せば、次々とこうした戦争法規が作られていくのだ。
 総じて有事立法は、「遠い将来のための準備」などではなく、目前に切迫している北朝鮮侵略戦争に直ちに全面的に参戦していくためのものだ。「北朝鮮の脅威」をあおり立て、憲法9条を事実上全面破棄して日米共同作戦を強行し、労働者人民の総動員を実現しようとするものなのだ。 有事立法の今国会成立阻止へ全力で決起しよう。

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週刊『前進』(2097号8面1)

バクダッド市内デモ敢行 (続)小野正春 現地レポート
 着弾音の中で市民と交流 決死のジハード参加青年

 米英帝の対イラク開戦2日後の3月22日にバグダッド入りした小野正春同志らは、市内で25日、28日と2度にわたり反戦デモを敢行した(小野同志は、30日にイラクを出国、4月3日に帰国)。空爆下のバグダッドからのレポートの一部を前号に続き紹介する。(編集局)
●3月25日(火) バグダッド発
 昼、パレスチナホテルで日本人グループが断固デモを貫徹しようと国際部隊に呼びかけ、横断幕を掲げ、サドゥン通りを行進。バグダッドに60`の所まで米英軍が迫っているという情報下での戦時下のデモンストレーションとなりました。
 フランス人、アメリカ人、オーストラリア人、チュニジア人が加わり、それに子どもたちも大喜びで隊列に加わったので一番多い時には40人ぐらいの隊列となり、ミサイル着弾の音が聞こえる中での、2`メートル余の大声をあげての行進は、バグダッド市民、軍人からも圧倒的な歓迎で迎えられました。静まり返っている街の中にシュプレヒコールが響き、手を振ってこたえるバグダッド市民と交流、やったー!
 「ノーモーウォー」「ナウストップ ボムビング」「ストップストップ ボムビング」「セーブイラーキー チルドレン」
 帰路はチグリス川寄りのデモで、爆風でガラスが吹き飛んでいる建物を横に見ながら、対岸の政府官庁街は、白い煙幕の中、とうとうデモを貫徹しました。
 土色の雨、劣化ウランの塵(ちり)をものともせず、みんな元気でした。
 パレスチナホテルに戻って、マスコミのインタビューに答え(大手は引き揚げてどこにもいませんが、フリーの残留部隊がそれをやる)、それぞれが決意を表明。
 ちょうどバスラの電力、水道のインフラが破壊され、何十万という市民の生活が危機に陥っているというニュースを聞いた後なので、僕も「われわれはドーラのウォータープラント(浄水場)でヒューマンシールドとして配置に着いているが、断固頑張ります」と発言しました。
 その後、ムジャヒディンが結集しているアルサディアホテルに行って食事をしました。
 アルジェリアからジハードで参加した37歳のダウト・サイは、家族の心配を振り切ってここへ来たと決死の決意を語ってくれました。ヨルダンからジハードで参加した青年は、自分はヨルダン・ソルジャーだったが、その軍を抜け出して、恋人のことは心配だが、ここへ来たと士気盛んなものがありました。本当に死ぬ決意で来ていることが伝わってきます。
 そのほか、シリア、エジプト、イエメン、サウジ、パキスタン、インドネシア……イスラムの青年100〜200人くらいがホテルのロビーで気勢をあげ、イラクの担当兵士が次々とそれを登録していました。
 シリアとの国境で会った大型バス2台もここへ来ていたことがわかりました。
 夜はドーラ・ウォータープラントに戻って寝ましたが、原稿を書いている今も、ドーンと爆弾がどこかに落ちて窓がびりびり震えています。
●3月26日(水)
 ……正午すぎにはものすごい砂嵐。視界20b、しかも土色の雨。午後2時からやる予定だったデモもしたがって中止。
●3月28日(金)
 正午、パレスチナホテル前の広場で行われているイラク国旗、赤旗、青旗をひるがえした政治集会に飛び入り参加。最前列でオーストラリアの女性の隣で手を突き出して口をパクパクさせて「ポロー ピディーム ニブディク」(命と血を捧げる)の掛け声に調子を合わせました。
 午後2時からは情報省屋上で行われた国際決起集会でスウェーデン、ノルウェー、フランス、ロシア、チュニジア……、その中で日本人は最大多数の十数人のヒューマンシールドが参加し、横断幕を掲げ、シュプレヒコールを声を限りに叫びました。
 この後、タクシーで移動中に、道路横に草木で偽装されたタンクを2台現認しました。
 今朝方、つながりにくくなっていた電話が、国際電話も市内電話もついにまったく機能しなくなりました。電信電話局がミサイルで破壊されたということでした。

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