ZENSHIN 2002/11/04(No2076
p06)
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週刊『前進』(2076号1面1)
全世界の労働者階級と被抑圧民族は団結し米帝の世界戦争計画粉砕を
賃闘放棄・有事立法賛成の連合打倒 11月労働者総決起かちとれ
10・7弾圧粉砕し国労大会決戦へ
米帝ブッシュのイラク攻撃が切迫する中で、世界各地で高揚するイラク反戦闘争と連帯して日本の10・21国際反戦デー闘争が闘い抜かれた。9・22闘争に続いて、イラク反戦・有事立法粉砕闘争の突破口が開かれた。10月18日には臨時国会が始まった。事態はきわめて緊迫している。米帝(国際帝国主義)のイラク攻撃を絶対に阻止せよ。北朝鮮・中国侵略戦争法案である有事立法3法案と個人情報保護法案を粉砕するために10−12月臨時国会決戦を闘おう。10・7弾圧による国鉄闘争破壊の攻撃を粉砕し、11月国労大会決戦に勝利しよう。何よりも全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組の呼びかけにこたえ、現下の一大資本攻勢と対決し、11月全国労働者総決起集会に全力をあげて合流しよう。
第1章 イラク攻撃阻止へ日本人民の決起を
11月闘争の第一の課題は、イラク反戦闘争の大爆発をかちとることである。
10月10、11日、米上下両院は3分の2以上の賛成で対イラク武力行使決議を採択した。ブッシュの恐るべきイラク攻撃方針が米帝の国家意志として確定した。きわめて重大な事態だ。
米帝ブッシュのイラク攻撃戦争はあまりにも異常であり異様である。これまでの国際政治上の常識をはるかに超え、新帝国主義丸出しで、超大国の軍事力をむきだしにし、一切の国際ルールは米帝が決めるという論理で侵略戦争を強行しようとしているのだ。イラクの国家主権など歯牙(しが)にもかけず、先制攻撃することを当然としているのだ。
ブッシュのイラク攻撃を正当化する報告書を見ても、それを裏付ける明白な事実証拠はまったくない。
@アルカイダとのつながりについても直接証拠は何ひとつ出せない。拘留されているアルカイダ兵士の伝聞証拠のみだ。A核兵器についても「機械の搬入を試みた」「ウランを入手しようとした」というたぐいの情報でしかない。「搬入した」わけでも「入手した」わけでもないのだ。B「生物・化学兵器」についても、一定のレベルのものであれば、一定の工業力や化学産業を持つ国ならどこの国でも可能である。これを問題にするなら、イラクだけでなく一定の工業力を持つすべての国家を破壊するしかなくなるだろう。
しかも、91年イラク・中東侵略戦争以来、イラクは米英帝の厳重な監視下にあるのだ。イラク領土の北緯36度以南、38度以北は米英空軍が制空権を握り、日常的に空爆を続けている。超高度超高速偵察機や通信衛星を使って、すべての建物がいつ建てられたかなど一切を掌握している。
どこをどう見てもブッシュは「大量破壊兵器の脅威」とイラクを結びつけることができていないのだ。
それでも米帝ブッシュはイラク攻撃に突進している。ということは、米帝にとってイラクのフセイン体制の存在自体が悪であり、許せないということが戦争の本当の理由なのだ。
米帝がこのようなイラク攻撃を強行しようとしているのは、イスラム諸国人民(パレスチナ人民・中東人民・全世界のムスリム人民)の米帝に対する怒りが全世界に充満していること、すさまじいエネルギーが蓄積され、爆発し始めていることに恐怖しているからなのである。昨年9・11反米ゲリラ戦争はその最初の大爆発であった。
こうした情勢のもとで、中東・イスラム世界のど真ん中に、イラク国家が反米的国家として、91年から10年たっても存在し続けていることが米帝にとって危機なのだ。ここから危機が爆発し拡大するかもしれないという底知れぬ恐怖におののいているのである。
米議会決議は、米英帝国主義がイラク侵略戦争に突入し、イラクと中東の支配権を牛耳ることの宣言だ。
関連して、ブッシュはフセイン政権転覆後の構想を明らかにし始めている。米軍主体の占領を前提に、第2次世界大戦後の日本を想定したイラク版GHQ(連合国総司令部)を検討し、反体制派への軍事訓練も承認した。統治形態は国連方式ではなく、米軍占領方式を想定している。米英連合軍に参加しなければイラク・中東の石油利権からも完全に排除されるのだ。
「対テロ戦争」や「大量破壊兵器」はイラク侵略戦争の口実である。真の目的は石油資源の独占・強奪であり、破綻(はたん)した米帝の中東支配を再編し、イスラム諸国人民を軍事力で抑え込むことである。
日帝は、対イラク参戦のための新テロ対策特措法を策動し、さらに米帝の要請にこたえてインド洋へのP3C派遣、独・仏・加などへの給油作戦の拡大にも応じようとしている。
このイラク侵略戦争は米帝ブッシュの世界戦争計画の凶暴な推進としてあり、それは同時に石油問題の爆発や米株価の暴落、ドル暴落などを引き起こし、世界経済の大崩壊に連動する。
この中で世界戦争か世界革命かが全世界の人民に問われてくるのだ。イギリス、アメリカを始めとする国際反戦闘争の大爆発はそうした時代の到来を告げている。ムスリム人民は、イギリス、アメリカで帝国主義国労働者階級とともに先頭で決起し、またアフガニスタン、クウェート、イエメン、インドネシア、フィリピン、そしてチェチェンで激しく蜂起している。米帝の世界戦争計画とムスリム人民を始めとした国際的内乱との激突情勢が発展しているのだ。
米帝によるイラクに対する一方的な侵略戦争、虐殺戦争を許してはならない。イラクが「気にくわない体制」だから転覆するなどというのは歴史の大逆流だ。
米帝の世界戦争計画を粉砕せよ。今こそ日本の労働者人民は全世界の労働者人民、ムスリム人民と連帯し、イラク開戦阻止、イラク反戦・有事立法粉砕へ総決起しよう。
第2章 小泉のイラク参戦と有事法粉砕せよ
11月闘争の第二の課題は、激動する朝鮮情勢と対決し、有事3法案と個人情報保護法案反対闘争を闘い抜くことである。
10月16日、米国務省声明で北朝鮮の「核開発計画」(高濃縮ウラン製造計画)の存在が突然発表された。
10月3〜5日のケリー訪朝の際に、ケリーが北朝鮮の核開発計画の「証拠」を突きつけたことに対して、北朝鮮が開き直り的に高濃縮ウランの保有を認めたというのである。
この問題の核心は、米帝が今、世界戦争計画の凶暴な実行の一切をイラク攻撃に全力集中している情勢であること、イラクの次に北朝鮮(中国)侵略戦争を現実に構えていること、それらが北朝鮮に軍事大重圧を加えているということだ。
北朝鮮スターリン主義は、あまりの内外危機のゆえに、核開発計画の存在を開き直るというかけを行ってでも米帝をテーブルに引き出そうと躍起である。日朝交渉をも盾に使って、米帝に生き残りをかけた瀬戸際政策的な危機的な取引をしかけている。だがそれは逆に米帝の世界戦争計画の発動のえじきとされる以外ないものである。
米帝は、今はイラク攻撃に全力をあげており、北朝鮮への軍事行動を直ちに起こす情勢ではないし、北朝鮮情勢をコントロールしようとしている。だが、94年米朝枠組み合意の破棄を日程に上らせるのは不可避と言わなければならない。実際にも、日本、韓国、中国、ロシア、EUなどを総動員して国際包囲網を形成し、イラク後の北朝鮮攻撃を準備しているのだ。
日帝は、この事態を受け、日朝交渉の展開を米帝の世界戦争計画に沿ったものとしてますます強く位置づけ返し、拉致問題と並んで核・ミサイル問題を対北朝鮮戦争外交の焦点に前面化する方針を明確にさせた。9・17日朝首脳会談とそれ以後の日朝交渉が、「国交正常化」の名による米日帝の北朝鮮侵略戦争のための舞台づくりにほかならないという性格を一層あらわにし始めたのである。
山崎が「朝鮮半島で事態があれば周辺事態になる。日朝国交交渉は安全保障の問題だ。北朝鮮はテポドンを100発そろえている。1発でも撃てば侵略だ。武力攻撃事態を未然に防止しなければならない」(20日NHKテレビ)と扇動し、安倍が「北朝鮮には日本のみを射程にしたミサイル100発が配備されている。そこに核を積まれると大きな脅威になる」(19日)と叫び、有事立法攻撃に拍車をかけている。
何よりも、小泉は所信表明演説で「有事法制や個人情報保護法案など継続審議となっている法案に優先的に取り組み、成立を期す」、「国民保護のための法制について検討して」きたと述べ、有事3法案と個人情報保護法案の成立と国民保護法制推進の反動的決意をむきだしにした。
イラク攻撃が超切迫し、朝鮮情勢がすさまじい戦争的緊張をはらんだものになった中で、日帝・小泉は有事3法案と個人情報保護法案の強行に踏み切っているのだ。イラクの次は北朝鮮(中国)侵略戦争が不可避なことを見据え、帝国主義としての存亡をかけて有事立法攻撃に出てきている。
拉致問題と核・ミサイルを使った日帝の対北朝鮮排外主義と真正面から闘い、在日朝鮮人民防衛の闘いに立ち上がり、有事立法3法案の粉砕に決起しよう。朝鮮人民の南北分断打破=革命的統一、米日帝打倒、金正日スターリン主義打倒の闘いに連帯し、闘おう。
有事立法反対闘争とイラク反戦闘争を一体のものとして闘いぬこう。
第3章 国鉄決戦に勝利し資本攻勢と闘おう
11月闘争の第三の課題は、国鉄決戦に勝利し、一大資本攻勢と闘い抜くことである。
00年5月以来の4党合意路線は、今やその破産が明らかになった。そもそも1047人闘争は国鉄分割・民営化そのものを問う闘いだったのである。だが、4党合意は「JRに法的責任なし」を国労に認めさせ「人道的解決」の名で闘争終結=国労の無条件降伏を図るものであった。これに対し激しい怒りが生まれた。闘う闘争団が結成され、統制処分も辞さずに闘いを貫き、ついに4党合意を破産させたのだ。
この過程で本来の1047人闘争の方向が確立されてきた。4月に結成された国鉄闘争共闘会議は「1047名の解雇撤回」を明確に掲げた。1047人闘争とは、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の3組合が一体となって解雇撤回闘争を闘うことであり、これが最も威力を発揮する陣形だ。国鉄闘争勝利に向かっての大きな基盤ができた。国家権力にとっては大変な危機である。
だからこそ1047人闘争の最先頭で闘う国労組合員に対する10・7弾圧が起きた。きわめて正当な組合活動をした国労組合員が不当にも逮捕されたのだ。
10・7弾圧は、闘う側がつくりだした勝利の地平に対する国家権力の密集した大反動である。闘いの前進が生み出した反動を打ち破ってこそ勝利の道がたぐり寄せられるのだ。
闘争団を始めすべての労働者の総反撃で不当逮捕された8人の起訴を絶対粉砕し、闘う仲間を戦列に取り戻さなければならない。仲間を権力に売り渡した国労本部と東京地本を徹底追及し、11・24−25国労定期大会決戦に攻め上ろう。
この中で、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかけている11・10全国労働者総決起集会はきわめて重要な闘いだ。呼びかけにこたえ全国から日比谷野音に結集しよう。
日本の労働運動は、一大資本攻勢のもとで苦闘を強いられている。資本は戦後的労資関係の基軸であった終身雇用制の解体と賃金体系の破壊に踏み切ってきた。それが02春闘を転機に加速している。
NTTに象徴される基幹産業でのアウトソーシングや、首切りと賃金体系の抜本的改変の攻撃が吹き荒れている。特にアウトソーシングは、アメリカのように労働者の多くを不安定雇用に突き落とすものだ。
総務省労働力調査によれば、8月の完全失業率は4カ月連続の5・4%、完全失業者は361万人で17カ月連続で増加した。8月の常用雇用は前年同月比42万人減、13カ月連続でマイナスとなり、他方で臨時雇用は40万人増で8カ月連続増になっている。仕事につけない労働者が増え、実に361万人(横浜市の人口を上回る)に達し、たとえ就職できても不安定雇用の仕事にしかつけないという実態が明らかになっている。
賃金体系についても、NTTに見られるように事業の大半を子会社に移し、労働者を退職させて子会社に再就職させ、その際に賃金を2−3割カットするという攻撃が全面化している。
重要なことはこれが既成労働組合指導部の全面的な屈服と協力のもとで行われていることだ。
さらに労働法制改悪、社会保障制度解体などの攻撃が一斉にかけられている。
今や「労働者は闘わなければ生きていけない状況に入った。今までわれわれに耳を貸さなかった労働者たちは、今は闘う方針を求めている」(中野洋・動労千葉前委員長)のだ。
資本攻勢に対して連合、全労連、JR総連カクマルは完全に屈服している。
国鉄決戦勝利を突破口に、有事立法に賛成し労働者を侵略戦争に動員する連合路線、5・16連合見解と9・12通達と対決し、連合足下から労働者の決起をつくりだそう。敵の最大の弱点は連合である。闘う側に最大の好機が生まれている。労働者を信頼し、労働者は必ず立ち上がるという信念をもって11月労働者総決起を組織しよう。
教育基本法の改悪阻止へ
10月17日、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会がまとめた中間報告・素案の全容が判明した。「教育基本法の見直しを行うべき」という結論を明示し、「個人の能力の伸長」「公共心、道徳心、規範意識」「伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心」を盛り込むべき理念としてあげている。これは現行の教育基本法の教育理念を逆転させ、国のため、天皇のための教育に転換するものだ。「教員の使命感を明確」にするというのは、教員を再び教え子を戦争に動員する「死の手配師」とすることだ。
中教審は年内にも中間報告をまとめ、自民党は次期通常国会に改悪案を提出するとしている。有事立法反対闘争と結合して教育基本法改悪反対闘争をつくりあげなければならない。
さらに、以上の闘いと一体のものとして、沖縄闘争、三里塚闘争の前進、03年統一地方選挙戦勝利への闘いの強化、10・27−28闘争に続く狭山闘争への決起、長期獄中同志奪還・1億円基金運動貫徹などの闘いを全力で推進しよう。
そのただ中で、機関紙拡大闘争、財政闘争、党勢倍増の闘いをやりぬこう。
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週刊『前進』(2076号1面2)
10・21統一行動 全国でイラク反戦デモ
米ANSERからメッセージ
東京・渋谷、デモに熱い共感
米帝のイラク侵略戦争が切迫し、ムスリム人民を先頭に全世界で反戦闘争が爆発する中、10・21国際反戦デー全国統一行動が東京、大阪、広島、福岡、仙台、富山など全国各地で闘い抜かれた。(東京以外の闘いは5面)
(写真 「有事立法粉砕! 侵略阻止!」のかけ声とともにデモ隊は渋谷の街を進んだ。イラク反戦闘争の爆発への反戦共同行動委の気迫は、多くの市民の共感を集めた【10月21日】)
10・21国際反戦デー中央総決起集会は21日午後6時半から東京・代々木公園B地区に360人が結集して開催された。折りからの雨をついて学生・労働者が続々と結集、熱気あふれる集会とデモをうちぬいた。「『前進』をときどき本屋で買っている」という青年労働者や、キャンパスで配られたビラで知ったという学生ら、「今、声を上げなければ」という思いで集会に初めて参加した人びとも多かった。
冒頭、主催者を代表して反戦共同行動委の滝口誠事務局長があいさつし、「今日は全国で決起している。三多摩の仲間は横田で反基地闘争を闘っている。けっしてあきらめず、必勝の決意で3カ月の決戦を闘いぬこう」と奮起を呼びかけ、また11・10労働者集会への全力結集を呼びかけた。
沖縄、在日朝鮮人、アメリカ反戦団体からの連帯のメッセージが、集会の熱気を最高に盛り上げた。9月の名護市議選トップ当選の宮城康博市議が連帯メッセージを寄せた。「沖縄の民意は基地反対にある。名護市議選での私の勝利はその現れだ。反戦の水脈は全世界の民衆の中に流れている。侵略戦争につながる一切を拒否して闘おう」と呼びかけた。
エッセイストの朴慶南(パクキョンナム)さんは「イラク侵略戦争を絶対に許せない。今すさまじい勢いで北朝鮮に対する排外主義が吹き荒れている。私たちは身の危険を感じる。ともに闘う人びとの存在は、とても心強い。強い連帯の思いを皆さんに伝えたい」と緊張感に満ちたメッセージを寄せた。
10・26全米百万人行動―全世界一斉行動を呼びかけているアメリカの反戦団体ANSWERからもメッセージが寄せられた(4面に全文,
英語原文)。ANSWERは、「世界中の人民だけが戦争を阻止できる勢力だ」「国際的連帯万歳! 米軍は朝鮮と日本から出て行け! イラクへの戦争をやめろ!」と呼びかけた。
それぞれのメッセージに参加者は熱烈な拍手でこたえ、決意をうち固めた。
青年アジア研究会が朝鮮情勢について語り、「アメリカと日本が、核や拉致問題を口実にして北朝鮮侵略戦争を準備している。今こそ血債をかけて闘う時だ。南北分断打破=革命的統一を求めて闘う朝鮮人民・在日朝鮮人民と連帯しよう」と、イラク・朝鮮侵略戦争絶対阻止、有事立法粉砕を呼びかけた。
基調報告を行った全学連の大山尚行委員長は、「米帝ブッシュの世界戦争路線は全世界を戦争に引きずり込むものだ。今ほど行動が求められている時はない。米軍基地包囲行動、国会デモ、署名運動などで、ベトナム反戦闘争を超える大反戦闘争をつくり出そう。11月労働者集会に合流し、12・8全国総結集闘争へ闘おう」と呼びかけた。
三里塚反対同盟の木内秀次さんが連帯のあいさつを行い、「反戦反基地闘争の砦(とりで)として、三里塚は廃港に向かって闘う」と決意を表明した。
国労組合員が10・7国労弾圧を怒りを込めて弾劾し、仲間の奪還と国鉄決戦勝利へともに闘うことを訴えた。部落解放同盟全国連合会の代表は、反戦闘争を全力で闘う決意を表明するとともに、差別糾弾闘争圧殺を狙う人権擁護法案を阻止し、10・27狭山中央闘争−28最高裁要請行動に総決起することを呼びかけた。
締めくくりに全学連の女子学生が、「イラクの子どもたちを殺すな! 学生は米軍基地包囲デモやストライキで戦争を必ずとめよう。失業や自殺のない社会に変えよう。国際連帯で帝国主義を包囲して闘おう」と呼びかけ、参加者を奮い立たせた。
集会後、勢いよくデモにうって出た。NHK前から公園通りを進み、渋谷駅前へ。雨上がりの渋谷の街にはたくさんの人びとがあふれている。「有事法粉砕! 侵略阻止!」のデモ隊のかけ声に、多くの人びとが立ち止まり注目した。手を振ってデモ隊を激励する女性の姿も見られた。
"DON'T ATTACK IRAQ!"の英文やアラビア語のプラカード、横断幕、英文やハングルのビラに注目が集まった。私服刑事が苦々しい顔をしている。警察の妨害と分断を打ち破って圧倒的な合流がかちとられた。
闘うムスリム人民、アジア人民、全世界の労働者階級と連帯して、帝国主義のイラク・北朝鮮侵略戦争を国際的内乱へ転化する巨大な反戦闘争の爆発が始まった。
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週刊『前進』(2076号2面1)
組合員の売り渡し許すな 国労大会 極反動本部の打倒へ
東京地本指導部の責任重大
11月24、25日に開催される国労第70回定期全国大会をめぐる決戦は、代議員選を経て、いよいよ激烈な決戦局面に入る。その当面する闘いの柱は、10・7弾圧を何がなんでも粉砕することである。不当にもデッチあげ逮捕された闘争団員2人を含む5人の国労組合員、3人の支援者を守り抜き、直ちに奪還しよう。絶対に起訴を粉砕しよう。
10・7弾圧は、国労本部および準備地本で警備責任者の東京地本執行部=酒田一派の協力なしにはあり得なかった。直接にこの弾圧を引き出した酒田、芝崎、阿部、笹原ら東京地本執行部、そしてこれを容認した高嶋、寺内、久保、大西ら本部執行部。この極悪どもをわれわれは断じて許さない。絶対に責任をとらせなければならない。
彼らは警察のデッチあげ弾圧に積極的に協力し、組合員を権力に売り渡したのだ。解雇されて不屈に解雇撤回闘争を闘う闘争団員を獄に閉じ込めるなどということを、よくも平気でできるものだ。JR資本の差別攻撃に耐えながら“闘争団の切り捨てを許すな”と立ち上がった組合員を権力に差し出すことがどうして許せるのか。
極悪幹部どもよ。お前らが売り渡したのは、5人の国労組合員だけではない。1千闘争団員のすべて、2万余の国労組合員のすべてだ。国労の団結をずたずたに破壊し、伝統ある国労の旗を泥靴で踏みにじったのだ。その罪の深さを思い知るがいい。
10・7弾圧は、5・27国労臨大での組合員への説得を「暴力行為」にデッチあげたものだ。労働組合の団結を守り抜くための正当な活動に対する、警察権力の露骨な介入ではないか。4党合意が明確に破産を突きつけられる中で、新たな国労解体攻撃、国鉄闘争絶滅攻撃として強行されたのだ。この警察権力の介入を招き入れたのが、お前たちなのだ。
いったい「暴力行為等処罰法」の発動に加担したことの重大さを自覚しているのか。「暴力行為等処罰法」という戦前以来の治安弾圧法、労働運動弾圧法を引き出し、憲法28条と労組法に基づく刑事免責という戦後労働運動の獲得地平のすべてをひっくり返したのだ。そもそも団結して資本・権力と闘うことそのものを「犯罪」とされ弾圧されてきた労働者階級が、幾多の仲間の屍(しかばね)をのりこえてかちとってきた団結権を、お前らは完全に捨て去ろうというのだ。その大罪の前におののくがいい。
およそ国家権力・資本と対決すべき労働組合の指導部に値しない、こんな連中が国労の指導部を名のる資格があるのか。大会に何度も機動隊出動を要請し、国家権力の懐深く抱え込まれ、階級移行してしまった。労働者の魂を自ら売った連中なのだ。
10・7弾圧への加担は、国労本部、チャレンジ一派、反動革同、酒田一派による“代議員選対策”そのものだった。この弾圧が代議員選告示日に強行されたことから明らかだ。国労本部が、7月末時点で4党合意の破産が明らかになったにもかかわらず「解決案を出させる」などと称して大会開催を引き延ばし続けてきたのは、権力の弾圧策動をにらみ、権力と有無相通じながらのことだったといえる。
こんな裏切り者を一刻も早く打倒し、たたき出さなければならない。こんな裏切り者がのうのうと幹部の席に居座っていたら、国労は国労でなくなる。労働組合としての死だ。労働組合の団結の名において彼らを引きずり下ろさなければならない。
このような前代未聞の弾圧に加担した彼らはいったい何をやろうというのか。
闘争団を切り捨て、国労を解体し、JR連合に合流し、その奴隷頭として延命しようというのだ。
権力・資本と闘う路線築け
定期大会に向けて国労本部が出した運動方針案の第1次草案は、4党合意の破産を開き直り、あくまでもこれにしがみつき、そのために闘争団を切り捨てることを宣言している。
この“4党合意しがみつき”路線も、10・7弾圧を前提にしたものだ。
4党合意による国家権力への全面降伏路線こそが、権力への組合員の売り渡しに行き着いたのだ。
だが、追いつめられているのは、権力と国労本部ら反動の側である。もはやどうやっても闘争団の闘いを抑え込むことはできなくなった。その上、国労闘争団と全動労争議団、そして動労千葉争議団の1047人闘争の陣形が形成されようとしている。そうした中で、彼らは10・7弾圧にすべてを託したのだ。
4党合意が破産した以上、政治解決路線、すなわち国家権力に依存し、全面屈服することを引き換えに「人道的解決」なるものを引き出そうとする路線を全面的に総括し、新たな闘いの方針を打ち立てなければならない。それは国家権力とJR資本に全面対決する方針でなければならない。
すべての国労組合員の皆さん。革共同は、心の底から訴える。国労本部、チャレンジ、反動革同、酒田一派らに10・7弾圧の責任をとらせ、彼らを執行部から引き下ろし、闘う新たな執行部を打ち立てよう。
そして国家権力・JR資本と闘い、JR総連カクマルを打倒し、解雇撤回・JR復帰の原則を貫く1047人闘争の方針を打ち立てよう。国鉄労働者を先頭に11月労働者総決起をかちとり、国労大会決戦勝利の布陣を形成しよう。
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週刊『前進』(2076号2面2)
郵政公社化=民営化粉砕、イラク反戦闘争の先頭に 全逓労働者の11月総決起へ
米帝ブッシュのイラク侵略戦争が切迫する中で、全世界で反戦闘争が爆発している。アメリカの港湾労働者の闘いが示したように、労働者の不屈の反撃がまき起こっている。これと連帯し、イラク侵略戦争、北朝鮮侵略戦争政策、排外主義と有事立法の攻撃を全力で粉砕しよう。この闘いの中から、日帝・小泉の郵政公社化=民営化の攻撃に対する一大反撃に立ち上がり、11月労働者総決起の先頭に立とう。
現場労働者に犠牲を転嫁する郵政公社化
9月6日に小泉首相の私的諮問機関「郵政三事業の在り方について考える懇談会」が最終報告をまとめた。経営形態について、@特殊会社、A郵貯・簡保の事業を存続しての完全民営化、B郵貯・簡保の廃止による完全民営化の3案を併記したものだ。中間報告では「06年度まで郵政公社の成果を見極める」とした記述を削除し、1〜2年後の民営化を検討する記述へと変更した。
9月26日には、日本郵政公社の設立委員14人が発表され、座長には日本経団連会長の奥田碩が就任した。郵政公社の初代総裁には、海運業界で何万人ものリストラを行い「首切り生田」と呼ばれた商船三井会長の生田正治が決まった。
日帝・小泉の郵政改革の真の狙いとは何か。それは全逓労働運動の解体による労働者支配政策の転換であり、同時に戦争国家化のための財政金融構造の転換を目的としたものである。
今日、日帝はかつてない金融・財政危機に直面している。まさに国家的破綻(はたん)の危機だ。だからこそ国家財政の5倍に達する郵貯・簡保資金を、帝国主義ブルジョアジーの救済のために使おうとしている。
日帝が再びアジア侵略戦争を強行するために登場したのが小泉政権である。現に自衛隊をアフガニスタン侵略戦争に、さらに中東・イラク侵略戦争に派兵し、歴代の政権が踏み込めなかった領域を次々と突破し、突出している。
だが、国と地方の公務員労働者を戦前のように国家権力の番犬と化することなしに、また、それをもとおして日本の労働者階級総体を侵略翼賛へと転換することなしに、日帝の侵略戦争体制は完成しない。実はここが最大の壁であり、日帝・小泉の最大の弱点なのだ。そこに全逓改革運動の位置の大きさがあり、われわれの勝利の展望もある。
郵政公社化=民営化が今後どう推移しようと、敵の攻撃の核心は、経営形態の変更に伴う全逓労働運動の全面的解体にあり、労働者の階級的団結の破壊にある。これに対する労働者の怒りを、現場から巻き起こそうではないか。
郵政公社初代総裁となる生田は、10月2日にマスコミ各社のインタビューに答え、「中期経営計画は4年だが、改革はスピードをつけてやった方がいい。最初の2年で何ができるかのプランを考えたい」「合理化に取り組む。すべての費目で圧縮を考えたい」と表明した。従来からの「郵便新生ビジョン」合理化の残り4年分を2年間で達成するだけでなく、新しい削減攻撃も2年間で次々とやると宣言しているのだ。
郵政事業庁は「能力給を積極的に導入」(10・9付日経新聞)と表明し、賃金差別をテコにした職場支配への転換を打ち出している。また「公社発足時から基本給一律10%を削減し、能力給の原資に回す」(10・12付読売新聞)と発表した。このような労働者支配の大転換と、それによる現場への犠牲転嫁こそが、経営形態変更の真の狙いであることを見据え、公社化=民営化粉砕に向かって闘わなければならない。
橋本政権の6大改革以降、民営化動向の強まりの中で、当局は、人員削減合理化を激化させてきた。98年集配8千人削減、99年〜01年郵便内務・地域区分局中心の5千人削減、01年以降は「郵便新生ビジョン」に基づく1万5千人削減計画、貯金・保険統廃合による人員削減など、「民営化回避」の名による人員削減が次々と強行されてきた。
人員を削減し利権温存する労資癒着構造
下の表は総務省が「郵便事業4年ぶりの黒字」と称して発表した01年度決算と00年度の郵便事業の比較である。費用(支出)に注目すると、物件費にかかわる経費節減はまったくやらず、むしろ物件費を増大させる一方で人件費のみを節減していることがわかる。
00年度支出は2兆2524億円、01年度は2兆1995億円で、529億円減である。その内訳は輸送コスト削減(9・5%減)、合理化による定員減(2003人減)とボーナス0・05月分引き下げ分などである。つまり01年度の支出減の529億円のほとんどが、ボーナス減や輸送費節減=日逓ほかの輸送労働者の給与2〜3割カット分など、人件費なのである。
他方、経済不況の結果、事業収益が349億円減となっている。しかし前年度から人件費を529億円も削減することで、収益から費用を引いた80億円の利益を上げたとし、「4年ぶりの黒字」を実現したと言っているのだ。物件費支出はそのまま、収入が減っても削らない。削るのは人件費だけという構造だ。
【単位:億円】()は対前年度増減率(▲=減)
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区別
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2001年度
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2000年度
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増減額 |
収益
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22,075(▲1.6%)
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22,424(▲0.1%)
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▲349
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費用
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21,995(▲2.3%)
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22,524(▲2.0%)
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▲529
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損益
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80
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▲100
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180
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郵政3事業にかかわる物件費は、郵便事業だけでも約8千億円で、貯金・保険事業を合計すると、軽く1兆円を突破する巨額である。ここに政・官・業と全逓、全郵政労組幹部の癒着構造が存在する。
当局も全逓中央も、ともに「成果」と強調した郵政公社法の「出資条項」は、これらの癒着構造を温存させるものとなる。物件費のほとんどは、郵政互助会や郵政弘済会を通して子会社・孫会社へ流れている。これらの実態は公表されていないが、本庁と11の地方郵政局総体で数百社に及ぶとされている。
そのすべてに郵政OBと労働組合幹部が天下り、物件費で市価の倍の物品を入れ、その上前をはねて、その一部が政治家へと流れている。公社の出資条項とは、これらを郵政公社が出資した子会社・孫会社へと衣替えすることを保障したものだ。こうした政・官・業と労組幹部の癒着と腐敗の構造を温存したまま、NTT型の子会社を設立し、首切りとリストラ・賃下げを行うものである。
NTT型リストラ公言する全逓中央倒せ
全逓委員長・石川正幸は出資条項について、それが「生首」を回避すると称して「雇用確保の視点からも不可欠」と称賛している。「関連会社を作ることが出来れば、そこに業務の一部をアウトソーシングし、NTTが行った構造改革のように、その会社で引き続き頑張ることが可能ですし、業務拡大に再チャレンジすることもできる」(公益企業レポート8・15付)と最大級の評価をしている。何という言いぐさだ。
NTTでは事実上の50歳定年制が導入され、NTT東西本体に残れば1割から2割の賃金減額と全国配転が強要される。51歳以上の労働者のほとんどが、いったん退職願いを提出した上で、賃金が地域によっては3割から半分にまで減ってしまう子会社を選ばされた。これによって11万人いた本体は、現在4万人にまで減少したのだ。
NTTは、人件費は大幅削減されたが、海外投資によってグループで7500億円もの赤字をつくり出した。この赤字の穴埋めに、さらに人員削減を計画し、すべての犠牲を現場労働者に押しつけている。また赤字の西会社は料金値上げを、黒字の東会社は料金の値下げを主張するなど、分解の危機に直面している。これがNTTの実態だ。
生田総裁の号令のもとで郵政事業庁は、郵政公社発足と民営化を前提に、06年度完了予定の1万5千人削減を柱とした新生ビジョンの2年間前倒し達成を迫られている。では、そこで「21世紀の郵便事業のゆくえを決定する」「失敗の許されない施策」と労資が位置づけた新集配システムの現状はどうなっているか。
増大する物量を短時間職員がさばききれず、持ち戻った処理を本務者が代行する。その結果、通配業務に遅配・欠配が続出し、速達1号にも手がまわらないため、速達2号、3号便の方が早く配達されてしまうなど混乱に拍車がかかっている。集配営業課の人員を半減し短時間職員を導入して置き換えることを柱とした計画は、施行後半年たった今日でも、このように依然として混乱が続いている。
その上、ゆうメイトや短時間職員にまで営業のノルマを強制したり、陰湿な労務管理を強化した結果、定着率が悪く、郵政事業庁は新集配システム計画の修正や撤回まで余儀なくされている。机上の空論計画は郵政事業の内務・外務を問わず、ことごとく破綻に直面しているといえる。
当局は、こうした破綻を突破するために、さらなる人員削減と労務管理=労働者支配の強化で対応しようとしている。そうである以上、現場での激突は、もはや避けることはできない。郵政公社化=民営化阻止の一切は、現場での攻防が決する。新生ビジョンとの現場での闘いの中から4月公社化=民営化に向けた攻撃を粉砕するうねりをつくり出していこう。
NTT型攻撃は、労働組合の全面的屈服ぬきにはありえない。したがって、どこまでも組合指導部が屈服しても現場労働者の不屈の決起があれば、攻撃の正体は暴かれ粉砕される。NTTにおける不屈の闘いは、怒りの総決起の拠点をつくり、敵の攻撃の破綻点をつくりだすことを示している。労働組合の全面屈服なしに雇用と労働条件を一方的に変更することなどできない。
だからこそ公社化=民営化粉砕の闘いの最大の鍵は連合全逓中央打倒の闘いにある。NTT型リストラ推進を公言した全逓石川委員長発言を徹底弾劾しよう。
それは同時に、有事立法に賛成し、5・16連合見解と9・12通達をふりかざし、反戦闘争を圧殺して労働者を侵略戦争に動員しようとする連合全逓中央との闘いでもある。有事立法粉砕と郵政公社化=民営化粉砕の闘いは一体である。
現場労働者の怒りは必ず爆発する。「これが労働組合と言えるのか」という現場労働者の怒りと憤激を組織化し、たたきつけよう。
こうした闘いの柱に、78越年反マル生闘争に対する79年4・28処分粉砕の闘いがある。労働組合の指令のもとで闘って処分された組合員を守るか否かは、労働者と労働組合の死活をかけた核心問題である。4・28闘争こそ、全逓と全郵政の「統合」によるニューユニオンなるものをふき飛ばす闘いであり、現場から階級性と戦闘性を復権させていく全逓改革運動の核心をなす闘いである。
全国で現場からの反撃の闘いをまき起こし、4月公社化=民営化阻止へ向けて、11月労働者総決起を闘いぬこう。
〔マル青労同全逓委員会〕
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週刊『前進』(2076号2面3)
闘争団員、元気に出廷 勾留理由開示公判 弾圧許さぬ闘志満ち
10・7弾圧との闘いは連日激しく貫かれている。10月18日、許し難いことに東京地裁は8人の被逮捕者の勾留延長を認める決定を下した。被逮捕者は、怒りに燃えて完黙・非転向の獄中闘争を闘い抜いている。
24日、不当逮捕された闘争団2人の勾留理由開示公判が東京地裁で開かれた。採用差別と人生をかけて闘い抜いてきた2人の闘争団員が、闘志みなぎる表情で裁判官をにらみすえた。
闘争団員の家族が上京し、国労本部に「弾圧に加担するな」と要請行動を行った後、公判に臨んだ。
弁護団が「被疑者は、採用差別を受け、JRへの復職を求めて闘い続けている闘争団員であると承知していたのか。国労組合員であると承知していたのか」と語気鋭く迫った。「国労組合員であることは証拠上、明らかではなかった」と逃げる裁判官に、弁護団は「これは国労の方針をめぐる対立の中で起きたことだ。刑事免責が適用される正当な組合活動とは考えなかったのか」とたたみかけた。裁判官は「正当な組合活動とは言えないと判断した」と言い放った。だが、国労組合員であるかどうかも分からないのに、どうして「正当な組合活動ではない」と言えるのか。弁護団が矛盾をつくと、裁判官は「被疑者の所属がどうであろうと、行為に正当性はない」「正当性がないと判断した理由は答えない」と全面的に居直った。
弁護団は、早期釈放を求める署名の束を積み上げ、「不当弾圧にこれだけの怒りが集まっている。直ちに釈放せよ」とデタラメきわまる勾留決定を弾劾した。
閉廷後、傍聴者は一斉に被逮捕者に声援を送った。2人の闘争団員は、こぶしを上げてそれにこたえた。 権力は弾圧のあまりの不正義性におびえながら、ただただ居直るほかになくなった。8人の釈放をなんとしてもかちとろう。起訴策動を粉砕しよう。
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週刊『前進』(2076号2面4)
(7) ●インタビュー 国労闘争団
国労を再出発させる大会に 労働組合としての根本的あり方が問われる
北海道G闘争団 Aさん
逮捕の意図明白
――いよいよ大会が近づいてきました。
A 9月に鉄建公団訴訟が始まり、闘う側が攻勢に出る局面に入りました。
さらに10月に入って組合員が逮捕されるという事態まで起きた。なぜわざわざ今の時期に逮捕するのか。その意図は明白ですよね。
結局4党合意で進めようとしている今の国労本部には、警察が張り付いちゃっている。その最たる現れが大会への機動隊の導入です。なんと言っても4党合意は、大会承認を3回も阻まれて、結局最後は1千人の機動隊に守られて押し通したものだし、その機動隊の警備を要請したのが国労本部なんだから。機動隊導入なんてことを何回もやって、慣れっこになっちゃってるのが恐ろしいよね。
そういう意味では、今度の大会は、単に1047名闘争をどうしていくのかという問題だけでなく、国労が今後いったいどうしていくのか、労働組合としての根本的なあり方が問われる大会になったと思います。
――今の国労本部についてどう思っていますか。
A 労働争議である以上は、「当事者が納得できるか」ってことが大切で、多数決の論理じゃないんです。そういう基本的なところで本部が決定的間違いを起こしてきたことが、今の混乱の最大の原因ですよ。
やはり争議における原則を謙虚に学ぶべきです。例えば裁判ひとつとっても、解決の最後に調印してから裁判を取り下ろすのが争議の原則なのに、「先に裁判を下ろす」とか、ましてや「先に『JRに法的責任なし』を認める」なんて話になったり。そういうきわめてでたらめなことをしてきたことが、組織を大混乱させてきた。その指導部の責任は本当に大きい。
国労として勝つ
でも僕たちは国労として闘ってきたわけだし、敵の側も、国労をつぶすために国鉄をつぶし、不当解雇したわけです。だから、勝つ時は国労として勝ちたいんです。そして国労を具現化しているのは、まさに現場で額に汗してきたわれわれ労働者です。しかも闘争団は、国労の指導を最も忠実に具現化した部隊です。それだけに今の本部のありように悔しさと残念さが募りますよね。
僕らの闘いは、何の悩みもなく「この道が絶対正しいからやってる」、そんな格好いいものじゃないんです。ただ、ここまで歩んできたことの重みを自ら無にするようなことは、誰に何と言われようが了解はできません。筋の通らないことを認めれるほど器用ではないもので……。
15年という時間は確かに取り返しのつかない長い貴重な時間だけど、でもこれから先の30年、40年の人生を「失敗した。こんなはずじゃなかった」なんてふうに生きていくことだけは絶対に避けたいですからね。
なのに本部は今、「雇用対策本部を設置して、国労が雇用に責任を持つ」なんて言い出してます。闘争団がいつ、国労に雇用の責任を求めたのか。労働組合に雇用保障なんてできない。雇用を守る闘いを保障するのが労働組合でしょ。それが「お前、いつから雇用主になったんだ」って、もう本末転倒を超えてますよ。
争議とは、解決するまでは未解決なわけで、その過程では闘争を強めることはあっても、ゆるめちゃいけない。でも、4党合意を飲んで以降の本部は、闘争らしい闘争を何ひとつ提起しない。闘わないことが4党合意の前提ですからね。
今、国労に問われているのは、これまでの経過にきちんとけじめをつけることだと思う。われわれは絶えず「納得いく解決」を求めているわけで、そのためには、4党合意にきちんとけじめをつける必要がある。
今やもう4党合意による解決はありえないことは、みんなわかってる。間違いを認めることに憶病になることないですよ。そこから次の可能性が倍に広がることもあるんだから。
ところが最後まで間違いと認めない本部の委員長や書記長がいる。それは、そのことを認めた瞬間に責任問題が生じるという自己保身でしょう。でも、とりわけ執行部の責任問題はあいまいにすべきじゃない。
――闘争団員も4党合意に賛成・反対と「対立」させられていますよね。
A 賛成派の団員も同じクビを切られた当事者で、精神的にも肉体的にもいろんな傷を負ってきたし、それは全然いやされていない。それはみんな同じなんです。賛成している人も、大半は「1千万円、2千万円の解決金が出る」なんて怪情報によって賛成しただけで、それがうそだとわかれば必ず変わる、そのことに自信と確信があります。
4党合意では「反対・賛成」でもう散々やりあってきた。国家権力にとっては「高見の見物」でつぶれていくのが一番楽な話です。
だから今大事なのは、36闘争団全体で原点に立ってまとまることだと思う。だって4党合意と言うと「反対しているのは3分の1」と言われるけど、「要求」という点では、今でも団員の3分の2の600人以上が「地元JR復帰」を求めているんですからね。
本部は責任とれ
――最後に大会へ一言。
A 今大会では、国労として間違いを間違いとしてきちんと総括し、本部にその責任をとらせることが必要だと思っています。
それを渋るとしたら、それはメンツとかそんなたぐいのものでしかない。国労と組合員の将来を考えれば、一個人の「メンツを立てないと」なんて、“ふざけんな”って思いますよ。どれだけの人の人生がかかっているのか、親・兄弟、親戚、友人、子どもたちも含めて、無数の人たちを巻き込んできたんですから。
JR本体で頑張っている人たちとも連携をとりながら、みんなで、本当の意味で国労を再出発させる大会にしたいと思っています。
(聞き手/本紙・上原祐希)
◎取材メモ
地元で闘争団を支援する労組では、30歳代が機関役員のところも多いという。Aさんは「『国鉄の時は子どもだったから分割・民営化ってよくわからない』という人たちに、『そもそも国鉄闘争とは何なのか』を一から訴え、共闘関係を再形成すべき時がきていると思っています」と語った。
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週刊『前進』(2076号3面1)
10・7弾圧粉砕し11月労働者総決起へ
“共闘の申し入れは拒否せよ” 有事立法闘争の破壊狙う9・12連合通達うち破れ
連合中央は9月12日に「政策課題をめぐる他団体との共闘について」と題する通達を出した(本紙2073号参照)。これは、連合が5・16「有事立法賛成」見解を今一歩反動的に進め、有事立法反対闘争を抑え込み、日帝・小泉政権の有事立法成立策動に全面的に協力する意志をむき出しにしたものだ。だがそれは逆に、連合が結成以来最大の危機に陥り、いよいよ連合指導部と連合路線を打ち破って階級的労働運動を前進させるべき時の到来でもある。以下、9・12通達を始めとした連合路線を徹底弾劾し、連合内外のあらゆる職場から、11月労働者総決起に合流することを訴える。
「5・16見解」で有事立法に賛成した連合
連合の9・12通達は、有事法制をめぐって「全労連またはそれに関係する団体等からの共闘申し入れについては……明確な拒否の対応決定をお願いします」と、構成組織および地方連合会に指示したものだ。
9・12通達は、その前提として、「通常国会では『成立阻止』に向けて取り組み、継続審議となった」とした上で、「今後の臨時国会での対応については、現在、三役会議で検討中です」と言う。連合はいまだ臨時国会での有事立法に対する方針を公式には出していない。10月3日の中央委員会で「政策・制度実現の取り組み方針」を決定したが、そこには「有事関連法案の再審議の可能性もある」との文言があるのみだ。明らかに成立に賛成する方向だということだ。
そもそも5・16見解は「緊急事態を速やかに排除」するための「法整備は必要」として、有事立法そのものを完全に認め労働者の戦争動員を宣言したものだった。小泉政権は、この連合見解をとらえ、与党単独での強行方針から、民主党など野党を巻き込む方針に転換した。連合を戦争動員の機関として使い切ることなしには戦争体制をつくることができないからだ。
だが、連合内外で広範な反対闘争が巻き起こる中で、通常国会を延長しても成立させることができなかった。そのため小泉政権は、今一度、連合を全面的に屈服させることに全力を挙げたのだ。
9・12通達は、この小泉政権の国家意志を背景に打ち出された。小泉政権に全面協力し、反対運動を圧殺する先頭に連合が立つことを宣言したのだ。つまり、連合中央は、労働者が有事立法に反対すること自体をたたきつぶすというのだ。
連合が有事立法賛成、戦争賛成へと明確にかじを切ったのは、連合の主流をなす民間大単産の基盤が激しく揺さぶられているということがある。終身雇用制を解体する激しい資本攻勢の中で、企業別労働組合の労資協調路線のままでは連合は成り立たない。だから「国際競争力」を叫び、帝国主義間争闘戦に勝ち抜き、そのためには侵略戦争まで行う帝国主義の側に完全に移行しようとしているのだ。とりわけ昨年の9・11反米ゲリラ情勢が、この連合の転換を促進した。
5・16連合見解を主導した草野事務局長の出身単産である自動車総連は、6月の連合の政策・制度中央討論集会で、有事立法に反対する労組を、「憲法解釈の議論自体を、戦争に加担するように言うのなら、連合を脱退する」と恫喝した。
草野らが狙っているのは21世紀臨調の中間報告「国の外交・安全保障・危機管理に関する基本法制上の課題」を連合方針にすることである。それは戦後の日本が「負の遺産」に直面しており「日本の国家戦略を構築する」ことが必要だと叫び、まず「憲法の枠内で行いうる諸改革」として有事立法や安全保障基本法を制定し、そして憲法改悪に踏み込むというものだ。
700万人の労働者を擁する連合が、ナショナルセンターとして全面的に戦争に賛成するのか否かが問われる決定的な分岐点を迎えている。連合傘下の労働者は、自らの所属する労働組合が侵略戦争に賛成することを黙って放置していいはずがない。5・16見解と9・12通達を打ち破って、今秋イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕へ、連合の内外から反対闘争に立ち上がろうではないか。
共闘陣形拡大が連合の原点を揺るがす
連合が9・12通達を出した背景には、連合傘下からナショナルセンターの枠を越えた共闘の陣形が中央・地方を問わず広がっていることがある。
連合はすでに6月13日付の通達「重要法案に関連する地域での共闘について」で、事実上、共闘禁止を指示していた。それは、全国各地の有事立法反対集会への傘下の組合員の参加を阻止するためだった。だが、全国で20年ぶり、30年ぶりといわれる闘いが爆発、さらに陸・海・空・港湾労組20団体や宗教者らが呼びかけた6・16大集会には6万人余が結集し、連合傘下から多くの労組が結集した。
もはや、連合の制動がまったくきかない状況となったのだ。そうした中で、臨時国会決戦を前に、連合が先制的に9・12通達を出したということだ。
ここで重大なのは、6・13通達が地方連合会あてだったのが、9・12通達は、それに構成組織が加わったことだ。ナショナルセンターの枠を越えた共闘を求める動きが産別レベルで起こっているからだ。今夏の各産別の大会では、私鉄総連や自治労を始めとして有事立法反対の声があふれ、それぞれ中央が抑えることはできなかった。
この事態を、連合中央は連合の結成の原点が揺らぐ事態だととらえている。6・13通達では「連携や共闘については、統一をめぐる過去の経過や連合の『進路と役割』などその基本原則が重要視されなければなりません」と述べていた。これを9・12通達であらためて確認しているのだ。
ここで言う「進路と役割」とは、87年に発足した民間連合の綱領であり、89年に結成された連合の綱領=「連合の進路」にそのまま引き継がれた。
連合中央が今さらのように「進路と役割」を持ち出したのは、連合が資本の意を受けてめざした階級的労働運動一掃の狙いが破産の危機にあるからだ。
80年代初めから「民間先行」の名のもとに本格化した「労働戦線統一」の運動は、選別・排除の論理を徹底的に貫いた。「(労戦統一を)右翼的再編と一方的にきめつけ、教条的な誹謗(ひぼう)、妨害をはかろうとする団体、組織に対しては、毅然(きぜん)として対応していく」として、直接には日共系=統一労組懇を排除することが狙いだったが、本質的に革命的左翼を含む左派を完全に排除するということだった。共産主義の排除、階級的労働運動の一掃である。
だから民間連合の結成に際して、時の総理大臣・竹下が「抱擁したい」とまで称賛したのだ。
すなわち、連合は、日帝が戦後憲法体制からの転換を本格化させる中で、日本における本格的な帝国主義的労働運動をめざしたナショナルセンターとして発足したのだ。
国鉄闘争との結合で階級的運動の前進を
さらに連合の結成は、国鉄分割・民営化攻撃と一体となって進められた。
国鉄分割・民営化攻撃とは、中曽根が公言したとおり「行政改革で大そうじをして、お座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」「国労が崩壊すれば、総評も崩壊する」ことを狙った攻撃だった。これに対して動労千葉がストライキで対抗した一方、国労は基本的に反撃の闘いを組織できないまま組織破壊攻撃にさらされた。そして動労カクマルが分割・民営化攻撃の手先となり、総評をいち早く脱退して総評解体の先兵に転落した。こうした中で、国労を除く総評の官公労系労組が一挙に連合への参加に走ったのだった。
だが、これで日本労働運動の連合支配が完成したわけではなかった。何よりも、1047人の解雇撤回闘争を中軸とする国鉄闘争が、十数年にわたって闘い続けられているからである。国労が残り、さらに動労千葉が団結を打ち固めてJR総連カクマル、JR資本との闘いを継続しているのだ。
この国鉄闘争は、連合の内外に広範な支援陣形を形成しながら、連合の足元を揺るがし続けている。そして、今や国鉄闘争の最後的解体を狙った4党合意の破産のもとで、国労闘争団と全動労争議団、そして動労千葉争議団の1047人が一丸となって闘う陣形が築かれつつある。文字どおりナショナルセンターを越えた陣形である。
今日、この国鉄闘争の陣形に加えて、これと重なりながらもさらに広範な有事立法反対陣形がつくられている。有事立法反対闘争と国鉄闘争を戦略的に結合し、連合内外で労働者の広範な決起をつくり出すこと、連合傘下の労組で連合路線を打ち破る、あらゆるレベルでの組合権力を打ち立てること、このことが階級的労働運動の前進をつくり出す決定的なかぎであることは、今や明らかだ。
アメリカ労働組合のナショナルセンターであるAFL・CIOは、レーガンの激しい資本攻勢―労組破壊攻撃にさらされたが、その中から今日のイラク反戦闘争の基盤ともなる新しい労働運動の潮流を形成している。日本においても、連合の危機は、まったく新たな階級的労働運動が台頭するチャンスでもあるのだ。
日本階級闘争は、イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕決戦、03春闘に向けた大失業・賃下げ攻撃との闘い、国労定期大会をめぐる決戦など11−12月労働者総決起の時を迎えている。国鉄闘争への10・7弾圧や連合による闘争圧殺策動は、闘いの爆発に対する国家権力の恐怖の表れである。
この反動を打ち破って新たな階級的労働運動の旗を打ち立てよう。全日建運輸連帯関西地区生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の3労組が「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!」をスローガンに呼びかけている11・10全国労働者総決起集会の成功が、11−12月から03年の階級決戦の爆発を切り開くための決定的位置を占めている。呼びかけにこたえ、全力で結集しよう。
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週刊『前進』(2076号3面2)
第3回
労働者の団結権を否定 国労組合員逮捕の暴挙
組合運動に権力が介入
11月労働者総決起をつくり出す闘いは、労働組合の団結と闘いの解体を策す国家権力との闘いと完全に重なった。イラク侵略戦争切迫と有事立法攻撃、29年型世界恐慌の本格化という情勢の中で、日帝は資本攻勢を強めている。同時にそれは、闘う労働運動を暴力的に壊滅させ、労働者の戦争動員を狙う攻撃だ。労働組合の刑事・民事免責を全面的にはく奪し、労働者の団結権を根本から否定しようとしているのだ。この攻撃と全面的に対決することをとおして、11月労働者総決起を実現しよう。
10月7日、国家権力は国労組合員らに対する大弾圧を強行した。国労の大会代議員選挙の告示日を選んで組合員を逮捕しさった事実こそ、弾圧の狙いが国労解体にあることをあからさまに示している。
権力は「暴力行為等処罰法」を適用した。この法律は戦前、治安維持法とほぼ同時期に制定され、労働争議、小作争議の圧殺に猛威を振るった。団結権を保障した戦後憲法とは相入れないにもかかわらず戦後も生き残り、戦闘的労働運動への弾圧のためにしばしば発動されてきた悪法だ。
だが今回の弾圧は、イラク侵略戦争と有事立法情勢のただ中で発動されたという点で、これまでとは異なる重大な意味を持つ。しかも、弾圧の対象となった国鉄闘争は、労働運動総体の帰趨(きすう)を決する位置にある。また、弾圧の口実とされた5・27臨大での説得活動は、国労がいかなる方針を形成するのかをめぐって展開された組合内部の問題だ。そこへの権力介入は、組合の団結と自治を否定する暴挙である。
権力の筋書きどおり、国労に闘争団除名の方針を決めさせ、反対する組合員は国家権力が監獄に放り込む――こんなことがまかり通ったら、労働組合運動は成り立たない。権力は、この弾圧をとおして資本や権力と闘う一切の労働組合とその運動を壊滅しようと狙っている。まさに、戦時下の労組破壊攻撃に踏み込んできたのである。
刑事免責否定する攻撃
団結権を保障した憲法のもとで、労働組合には刑事免責が認められている。外形的には刑法犯にあたるとされる行為でも、労働組合の正当な活動である限り、それを処罰できない。刑事免責がなければ、ピケを伴うストライキは威力業務妨害とされ、団交は恐喝や監禁にされかねない。刑事罰からの解放は、団結権保障の根幹をなしている。
事実、戦後労働運動の歴史の中で、実力ストを犯罪視する官憲の弾圧を打ち破り、無罪判決をかちとった例も少なくない。例えば、労組の婦人部長がスト破りの運転する炭車の前に立ちはだかり、通行を阻んだことが威力業務妨害に問われた三友炭鉱事件で、最高裁は「同じ組合員に対する行為」であったとして無罪判決を出している(56年)。札幌市労連事件でも、スト破りが乗り込んだ市電の運行を阻止した組合員の行動について、最高裁は「組合の団結がみだされ同盟罷業(ストライキ)がその実効性を失うのを防ぐ目的」でなされた行為は威力業務妨害に当たらないと判断した(70年)。
もとより、反動の牙城(がじょう)の最高裁が労働者の味方であるはずがない。これらの判決は、三池闘争に至る過程での民間労働運動の激発や70年安保・沖縄闘争の高揚が、敵階級に強いた譲歩であった。
憲法第28条の団結権保障と労組法に定める刑事・民事免責は、国家が恩恵的に労働者に与えたものでは断じてない。かつては、労組の結成はそれ自体が犯罪とされ、官憲による血の弾圧にさらされた。ストライキは債務不履行として損害賠償請求の対象となった。だが、労働者階級は、資本のあくなき搾取と収奪の中で生存と生活、人間的尊厳を守りぬくために、流血もいとわず闘うことをとおして階級的団結を培ってきた。
「個々の労働者と個々のブルジョアのあいだの衝突は、ますます二つの階級のあいだの衝突という性格をおびる。労働者は、ブルジョアにたいする同盟を結成し、賃金要求のために結集するようになる。労働者はみずから恒常的な組織をつくり、反抗の場合にそなえて備蓄をおこなうようになる。闘争は、ときによっては暴動となって爆発する」(マルクス、エンゲルス『共産党宣言』)
今日でも、中小零細企業での労組の結成は資本の憎しみの的となり、不当労働行為の集中砲火を浴びるのが常である。公務員労働者は、労働基本権否認の体制下で、一切の争議行為を禁圧されている。だが、団結権はこうした抑圧とのたえざる闘いの中で、労働者階級がもぎりとった歴史的獲得物なのである。
今や日帝は団結権の否定に公然と踏み出している。労働者の権利を実力で守りぬこうとする労組に対しては、ストライキや資本への団交要求を「威力業務妨害」にデッチあげての刑事弾圧が襲いかかっている。動労千葉の前倒しストに対するJRの損害賠償請求に見られるように、労働組合の民事免責をはく奪する攻撃も吹き荒れている。
小泉政権は、「不良債権処理の加速」を叫び、倒産・解雇を激発させ、労働者を一層の大失業の中にたたき込もうとしている。企業再編法制をさらに改悪し、倒産と立ち向かう労働者の闘いを徹底して抑圧しようと策している。労組との団交による労働条件決定も認めないというのが日帝資本の意志なのだ。
さらに、99年に組織的犯罪対策法を制定し、03年の国際的組織犯罪条約の批准に向けて「共謀罪」の制定を画策するなど、団結それ自身を犯罪とする治安弾圧立法に踏み込んでいる。国労への98年5・28反動判決以来、労働委員会制度の空洞化と自己解体が進んでいる。司法制度改革は、これらを全面的に支え推進するものだ。
だが、こうした攻撃は労働者が団結して闘うことへの日帝の恐怖の現れだ。資本攻勢が引き起こす闘いの激発におびえているのだ。
弾圧と全力で闘いぬくことをとおして味方の団結を打ち固めるならば、敵の狙いは裏目に出る。団結こそ労働者階級の武器であり、団結を維持しぬけば、最後に勝利を手にするのは労働者階級の側なのだ。10・7弾圧を粉砕し、怒りをバネに11月労働者総決起へ進撃しよう。
労働組合の刑事免責
〔憲法〕
第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する
〔労働組合法〕
第1条2項 刑法第三十五条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であつて前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。
〔刑法〕
第35条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
〔長沢典久〕
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週刊『前進』(2076号3面3)
中教審中間報告素案を弾劾する 「愛国心」盛り込み
教育基本法改悪阻止へ
文部科学省・中央教育審議会が、教育基本法の全面改悪へ突き進んでいる。
10月17日の中教審基本問題部会で「中間報告素案」を提出。30日の中教審総会で中間報告をまとめ、年内にも最終答申を提出しようとしている。文科省は来年の通常国会に教育基本法改悪案を提出する方針。有事立法と軌を一にした教育基本法改悪を絶対に阻もう。
中間報告案は、「現行法には、新しい時代を切り拓(ひら)くたくましい日本人を育成する観点から重要な教育の理念や原則が不十分であり、見直しを行うべきであるとの結論に至った」と明言して、教育基本法の全面改悪を宣言した。
教育基本法とは、教育勅語下の「皇国臣民」育成の戦前教育を否定して制定されたものだ。米日帝のイラク・北朝鮮侵略戦争が急迫し、日帝が有事立法制定へと突き進んでいる今、戦争を担う人材を生み出す教育に再び大転換することが宣言されたのだ。
中間報告案は「国家戦略としての教育改革」「このままでは我が国が立ち行かなくなるという危機感を持って、教育の在り方を根本にまでさかのぼって見直していかなければならない」と表明し、「新しい時代の教育の目標」として「国家や社会の構成員として有為な国民を育成する」「大変革の波に挑み、激動の時代を切り拓いていく日本人を育成する」と打ち出した。
これは現行教育基本法の「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者」という規定を全否定し、「権利としての教育」をすべて「国家戦略」に従属させる、教育の原理的大転換の宣言である。
さらに「『公』に主体的に貢献する意識」「日本人としてのアイデンティティ」「伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心」を盛り込むなど、愛国主義教育への転換も明記した。
そして、学校教育法の教育目標の見直しを中教審で検討することまで明言した。教基法の教育目的に「愛国心」「『公』への貢献」を盛り込むことで、学校教育法の教育目標にも「愛国心の涵養(かんよう)」「国家・社会に奉仕する態度の育成」などを盛り込むことを狙っているのである。
さらに重大なのが教育労働者への全面攻撃の宣言である。教育と研修の自主性を否定し、教基法6条に官制研修による「資質向上」を盛り込み、“国体思想”を注入しようとしている。これは、教育労働者を再び「戦場に教え子を送る死の手配師」とするものだ。
そして、国家による教育への不当な支配を排除し、教育行政の任務を教育の条件整備に限定した現行教基法10条に「国は教育振興計画を策定しその達成に努める」といった規定を盛り込むことで、その趣旨を大逆転させようとしている。
中間報告案は、“国家による国家のための教育”“戦争を担う国民づくり”への大転換を宣言したものだ。イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕と結合して、教基法改悪阻止へ、巨大な闘いを巻き起こそう。
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週刊『前進』(2076号3面4)
被災地・神戸 反失業総行動に立つ 反戦掲げて県庁に要求
「被災地を戦争の街にするな! 失業対策事業を再開せよ! 10・15第16回被災地反失業総行動」が、10月15日の火曜日に「しごと開発就労者組合」を先頭に105人が集まって闘われました。今回の総行動はイラク侵略戦争前夜と、有事立法の強行成立を狙う臨時国会の18日開催を前に、反失業の闘いと戦争反対の闘いが「根っこは同じ」という認識のもと、平日の対行政闘争として闘われた画期的な闘いでした。
兵庫県庁2号館階段下の全体集会に先立ち、就労者組合は県庁前の座り込み闘争に突入し、関西合同労組は小林運輸資本への抗議闘争を闘いました。
午後1時から開始された集会は、ゼッケンとはちまきに身を固めたしごと開発就労者組合、被災地雇用と生活要求者組合、被災地労働者企業組合、関西合同労組兵庫支部、そして関西の各地から駆けつけた支援の労働者の結集で闘われました。「全日建運輸連帯関西地区生コン支部の仲間も結集しています」との紹介に全員が割れるばかりの拍手でこたえました。
主催者から県への要求書の説明が行われました。そこには、@失業対策事業の再開やケミカルシューズ産業への助成など失業対策、A被災地しごと開発事業の再開など被災者対策、B住基ネットからの離脱や、非核神戸方式の堅持など、国の有事立法と戦争政策への県の反対の表明などの諸要求が掲げられています。
その後、連帯のあいさつがス労自主労組と、泉佐野市会議員の国賀祥司さんから行われました。
「被災地雇用と生活要求者組合」代表の長谷川正夫さんが基調報告を行いました。「長田区は10人に1人が失業だ。県がしごと開発就労者1400人の首を切った。身近にまで戦争問題が迫ってきている。神戸港に空母が、海兵隊が来ても良いのか。私たちは食うために戦争協力を拒否する。だからこそ、有事立法廃案へ今こそ闘おう! 10・18神戸、10・21関西の集会とデモに総決起しよう」。怒りのこもった鮮明な提起に参加者すべてが、「神戸から有事立法反対の声を!」の決意を打ち固め、18、21日の連続闘争への決起を確認しました。
しごと開発就労者組合の女性組合員は、「地労委闘争も公益委員の妨害をはねのけ、12月から証人尋問が始まる」と、闘いの決意を述べました。同和(改良)住宅の家賃値上げに反対して闘う番町と芦原地区の住民から怒りの糾弾がたたきつけられました。被災地労働者企業組合の女性労働者は、「失業反対と戦争絶対反対で闘おう。戦争と失業のない社会をめざしてともに闘おう」と、労働者の生きかつ闘う道筋を鮮明に提起しました。
いよいよ県への抗議行動と、デモへの出発です。全員がプラカ−ドを掲げて、県庁2号館の階段を上りつめると、2号館前には県職員60数人と、兵庫県警の警察官30数人が弾圧の機会を狙っているではないですか。2度にわたって、知事室に突入した就労者組合の怒りと闘いへの行政の回答がこの弾圧体制なのです。
全員の怒りは、要求書を受け取りに来た県の管理職員にたたきつけられ、構内デモとなって爆発しました。不当な弾圧を狙う権力に、「ここはおれたちの税金で建てた県庁の敷地や! 県民が表現の自由を行使して何が悪い!」と怒りをたたきつけました。
そのままの勢いで市街地デモに出発。恒例の「赤信号でも止まらない」デモはこの日も健在で、数カ所でのジグザグデモには、沿道から拍手が起こりました。
デモ終点の神戸市役所前に到着。神戸市への抗議代表団を送り、解散集会を行いました。その場で10・7国労弾圧を弾劾し、釈放を要求する署名が呼びかけられ全員が署名しました。
(投稿/労働者S・M)
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週刊『前進』(2076号4面1)
米帝ブッシュの世界戦争計画と日朝関係の新展開について
米日帝の北朝鮮侵略戦争策動粉砕を
先の9・17日朝首脳会談とそれに続く日朝関係の新展開は、米帝ブッシュの世界戦争計画のもとで重大な情勢をつくり出しつつある。ケリー米国務次官補の訪朝、そこでの北朝鮮の新たな核開発問題の暴露とその米帝による発表、北朝鮮サイドの開き直り的な高濃縮ウラン保有の確認、米帝内部からの「北朝鮮脅威論」の噴出、日帝政府・自民党による「北朝鮮の100発のミサイルと核の脅威」キャンペーンの激化、10・15からの拉致された日本人5人の帰国と拉致問題の一層の前面化・重大化、韓国内からの拉致・行方不明問題の政治問題化、10・25ブッシュ・江沢民会談、10・26米日韓首脳会談、10・29〜30日朝国交正常化再開交渉、そしてそれらをも規定するイラク情勢の激しい進展……。こうした情勢展開に対して、日本の労働者人民はイラク反戦・有事立法粉砕闘争の戦闘的・大衆的爆発をもってますます鮮明に対決していかなければならない。以下、あらためて9・17日朝会談とそれがもたらすものについて明らかにしたい。
北朝鮮スターリン主義の体制危機と日帝の侵略政策
9・17日朝平壌(ピョンヤン)首脳会談の結果が示したものは何か。
一言で言って、北朝鮮スターリン主義の当面している内外の危機が予想をこえるレベルに達しているということである。第一に、米帝の「悪の枢軸」論による、イラクの次は北朝鮮という軍事重圧が北朝鮮をしめつけ、北朝鮮スターリン主義としてはあらゆる方法でこの攻撃を逃れようとしていることである。第二に、北朝鮮が帝国主義の歴史的国際的包囲による重圧と、スターリン主義としての危機のゆえに、解体的危機の重圧を受けているということである。
この土壇場に追い込まれた北朝鮮に対して、日帝・小泉は米帝との共同と競合の政策をテコとして(半ば虎の威を借りつつ)、いわば最後通牒(つうちょう)的な外交的手段を弄(ろう)して、日帝としての諸要求をつきつけ、そのかなりの部分を°のみこませた″ということである。
日帝・小泉のこのスタンスは、「日朝首脳会談のやりとり」についての日本政府側の説明資料――もちろん日本政府側のものであり、一面的、一方的なものである。しかし、大きく虚偽の事実をつくりあげることはできない――での小泉と金正日のやりとりに示される。小泉は自己のテーマを次々と先制的に繰り出し、それがまず議論となり、植民地支配問題の総括と賠償・補償に関する部分は後回しになっている。
小泉は、金正日に拉致問題を絶対条件としてつきだし、背に腹は代えられぬ立場にある金正日は、ついに拉致を認め、13人についての安否確認のリストを提出した。そしてうち8人の「死亡」という大問題を通告した。金正日は、米帝の「テロ支援国家」規定をかわし、日帝・小泉の「絶対条件」の重圧をクリアするためには、ついにこうせざるをえなかったのだ。
これは金正日体制にとって重大な意味をもつ。拉致=テロル、それも国家的テロルの承認は重大な問題である。国家的テロルとしての拉致を認めた以上、それをめぐる追加的追及や要求を拒否できなくなる。交渉上の一大ハンディとなる。日帝の対北朝鮮の排外主義的扇動の決定的エスカレーションに道を開くものとなっていく。米帝もけっしてそれを見逃さない。長期的には金正日体制への解体攻撃のクサビとしてくい込んでいく。
日本人拉致問題は、帝国主義の包囲下にある北朝鮮スターリン主義の反革命的対抗的反人民的政策の一環として強行された反階級的軍事作戦であり、われわれは真っ向から断罪する。それは、北朝鮮スターリン主義が世界革命の立場、南北分断打破の立場、朝鮮民族解放=自己解放の立場、被抑圧民族と帝国主義国労働者階級の団結の立場に立っていないことをはっきりと暴露している。
したがって、拉致問題を金正日が開き直り的に認めたことは、すべての朝鮮人民に大きな不信、怒り、絶望をもたらしている。とりわけ帝国主義日本社会の中にいる朝鮮総連傘下の人びとはもちろん、すべての在日朝鮮人が受ける打撃はきわめて大きい。金正日は、在日朝鮮人民総体を今や棄民政策で切り捨てるという大裏切りを行ったと言わなければならない。
さらに金正日は、不審船問題においても、北朝鮮の°国家的行為″であることを認めた。これも今後に大きく尾をひく。
不審船問題を認めただけではなく、核・ミサイル問題などの安保問題を日朝間の交渉のルールにのせるとしたことも重大である。これは将来、日帝が米帝の対北朝鮮戦争政策に協力(共同・競合)するというケースにおいて決定的なテコとなるからである。
日帝・小泉が〈内外危機の土壇場であえぐ>金正日に、おしつけた今ひとつの重大な問題は、賠償・補償方式から「請求権の相互放棄」と「国交正常化」後の「経済協力」方式へと原則的スタンスを変更させたということである。これは、日帝の植民地支配という問題、あるいはそれをめぐる民族解放戦争と日帝の侵略戦争との激突という歴史を抹殺し、経済協力という日帝のヘゲモニーを貫ける方式を強制するものであった。すなわち、これは経済協力の名において、日帝が北朝鮮の政治・経済に介入し、新植民地主義的侵略政策を貫く道を開くことになる。
これは抗日パルチザン戦争の評価ひいては金日成主義・金日成神話の崩壊的危機につながる問題にも発展する意義をもつ。
もちろん、金正日のこのような日帝・小泉に対する対応は、米帝の攻撃圧力をそらし、日帝からの「経済協力」をテコにして、国内経済の破綻(はたん)的危機をなんとしてものりきろうとするための切羽つまった政策としてある。しかしながら、こうした金正日の政策は実際にはすべて両刃(もろは)の刃(やいば)であって、米・日帝の対北朝鮮の反革命的政策の一層の激化をひきだすものとなっていくだろう。
すでに拉致問題や核開発とミサイルと通常戦力という安保問題が北朝鮮スターリン主義の思惑をこえて重大化しつつある。
拉致問題について言えば、金正日がいったん正式に認めたということを軸点として、ある意味で「拉致家族の当然の要求」という形式で、金正日体制を揺さぶる帝国主義的排外主義的武器として、どこまでもいつまでも働き続けるものとなっている。さらに、いわゆる不審船問題やミサイル問題、核開発問題などを正式の交渉対象としたことが、予想をこえる大きさでやはり金正日体制を揺さぶり、しめつけることもはっきりしてきた。ただ、北朝鮮危機の深刻さを米帝と日帝がどう読み、その急激なルーマニア的崩壊――1989年東欧スターリン主義崩壊の一環としてチャウシェスク体制が一挙的に打倒されたルーマニア的危機の爆発――を避けて、当面コントロール下におくという点でどうするか、あるいはイラク情勢の推移からどうするか、などの問題があり、日朝国交正常化交渉は予断を許さないといえる。
米帝の「北朝鮮=悪の枢軸」論−体制転覆攻撃が根底に
今日の現実のもとでは、米帝の対北朝鮮政策(または対日朝会談対応政策)が情勢を大きく規定しているし今後もしていくだろう。米帝は今、対イラク戦争問題と全力で取り組んでいる。このイラクへの集中の必要からして、さしあたって北朝鮮―朝鮮情勢、アジア情勢をコントロール可能な状況におくことをめざしている。この枠内での日朝関係の展開やそれによる一定の北朝鮮情勢のコントロールを歓迎し支持するであろう。あるいは、そのためには日朝会談をテコとしてケリー訪朝やそれに続く米朝関係の一定の交渉関係化も進めるだろう。
しかし、米帝は基本認識として、北朝鮮は本質的に「悪の枢軸」国家であり、「テロ支援国家」たることをやめないとみている。したがって、基本政策として一定の時期に体制転覆を視野に入れた戦争を仕掛けることをあくまでも狙っているということである。94年米朝枠組み合意の破棄が日程にのぼってくることは避けられない。また、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)ルート、その他のルートをとおしての新植民地主義的侵略の内在的貫徹を狙っていくことも続ける。したがって米帝は、日朝の正常化交渉なるものがストレートに日帝の思惑どおりに、つまり日帝的新植民地主義的介入強化として進むことは認めないであろう。この意味では、米帝はいわゆる大量破壊兵器問題(核およびミサイル問題)をめぐって、また北朝鮮のスターリニスト権力的あり方の根幹をめぐって、非和解的対立関係を保持し続けるであろう。
このことは、日帝もよく承知していて、日朝国交正常化交渉による新植民地主義的介入の強化を進めるとともに、さしあたっては米帝的枠内でそれを進めることにとどめるであろう。
以上のように、米帝の世界戦争政策および日帝のそれへの協力との関連で9・17日朝会談をとらえるということである。
米帝世界戦争戦略への日帝の共同的=競合的参戦政策
いわゆる日朝国交正常化交渉は、さしあたってかなり速いテンポで進行しつつある。それは日朝ピョンヤン宣言の前文および第1項と第2項の内容が示している。
前文では、「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致する」とうたっている。
第1項は、「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注する」としており、「2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開する」としているのである。
第2項では、「双方は……無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致する……誠実に協議することとした」ときわめて具体的に経済協力の方式について言及している。
また、第4項において、「双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力……」「地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していく」などとしているのは、朝鮮情勢への米・中・南・北・ロ・日の6カ国の安保協議的枠組みをつくるということである。日帝はアジア政治大国的動向への道を開く手がかりとしようとしているが、それはそう簡単ではありえない。
こうした日帝の朝鮮半島への介入度の著しいレベルアップは、米帝の政策と共同・競合のきしみあいの中でのみ進む。またストップ・アンド・ゴーともなる。
すなわち、日朝関係は、米帝のイラク攻撃戦争陣形づくりの政治の中で進むのである。これが最大基軸にある。
同時にそれは、米帝の対中国・対北朝鮮戦略の枠組みの中で進むのである。これが基本軸と言える。
日帝は、米帝の世界戦争計画との共同・競合の関係で日帝的な帝国主義的目的を貫いていくしかない。したがって日帝は、イラク侵略戦争支援・有事立法攻撃の強化と一体のものとして日朝関係を進めるだろう。
総じて、米帝の世界戦争計画を軸とし、日帝のそれへの共同・競合の戦争政策を今ひとつの軸として、日朝関係はそのプロセスの一コマとして進むということである。
拉致問題を口実・テコとした北朝鮮への排外主義許すな
日帝は戦前的植民地支配をとおして、また戦後的新植民地主義的政策をとおして、朝鮮、北朝鮮に対しておそるべき行為を積み重ねてきた。戦後の場合でも、米帝と一体となって南北を分断し、50年朝鮮戦争の担い手となって朝鮮人民にとてつもない反革命行為を働いてきた。また、戦後一貫して軍事的・政治的・経済的重圧を加えて、北朝鮮に打撃を強制してきた。しかも、一片の謝罪も賠償もしてこなかった。また、150万人にものぼる膨大な残酷きわまる強制連行・強制労働(圧倒的な千倍、万倍の拉致のことだ!!)をしてきた。
朝鮮人民、北朝鮮人民はこれと闘ってきたが、金日成・金正日のスターリニスト政権は、それを真の民族解放・革命戦争として南北統一に向かって進めるという政策をとらず、反人民的反革命的スターリン主義政策をとってきた。この行きづまりの中で、70年代〜80年代に、問題となっている拉致問題も引き起こしたのである。この点はやはり許されるべきではないし、正されるべきである。もちろん、それはまず北朝鮮人民自身によって、そして国際プロレタリアート人民の手によって(あるいはその立場に立って)である。
ところが、いま進行していることは、帝国主義の重圧の中でどんづまりまで追いつめられた北朝鮮のスターリニストが行った拉致問題を口実とし、テコとして、これを北朝鮮に対する(これは朝鮮全体に対するのと同じ)新しい侵略戦争や新植民地主義的侵略のための情勢をつくるための大運動へとすりかえているということである。
はっきり言って、われわれは北朝鮮スターリニストの拉致について、正しいと思わない。しかし、これが今日進行しているように、帝国主義の戦争政策の推進の中で、帝国主義外交の道具とされ、利用され、北朝鮮への排外主義を巻き起こす口実、テコとされているという事態を断じて許すことはできない。米帝と日帝がアフガニスタンやイラクのように北朝鮮も攻撃するぞと重圧を加えて、北朝鮮政府に譲歩を強制するやり方がとられている。そして、北朝鮮政府が「譲歩」すれば、それをテコにさらに「譲歩」を迫るというやり方を推進しようとしているのだ。
そして、いわゆる国交正常化交渉なるものが戦慄(せんりつ)すべき北朝鮮侵略戦争へのレールを敷いていく舞台とされようとしているのである。北朝鮮人民を裏切って、日帝の植民地支配や新植民地主義の問題を塗り隠し、否定するような「経済協力方式」を北朝鮮政府に強制し、彼らを日帝の資金提供力でもって引き回そうとしている。まさに新植民地主義的経済侵略そのものである。そして、他方では拉致問題を帝国主義外交の道具として、あくどく使いぬこうとしているのである。そして、拉致問題や不審船問題、核問題、ミサイル問題などの「安保問題」をからめつつ、(日朝人民をだましながら)圧力を加え続けようとしている。このことは、イラクから北朝鮮、中国へと侵略戦争を拡大していく米帝の世界戦争計画にそって、日帝・小泉政権が、全面的に協力して再び朝鮮・中国への侵略戦争へと突入していく口実とされ、テコとされようとしているのだ。
日帝によるこのような拉致問題の悪用と闘うためには、そして問題を北朝鮮人民(本質的に全朝鮮人民)自身の手によって、また国際プロレタリアート人民自身の手によって真に解決していくためには、何が必要か。日本人民自身も、日帝下の現実の中で日帝に加担させられることによって、長い朝鮮植民地支配をとおして、朝鮮人民への断じて許されない反革命的な虐殺・圧殺・抑圧に手を貸してきたことについて、徹底的に問題としなければならない。日帝を糾弾・打倒するとともに、自己自身の階級的自己批判も行っていくことである。
特に、拉致とからめて言うなら、強制連行という歴史について、巨大な問題としてはっきり受けとめなければならないのである。150万人という規模で行われた日本への強制連行こそ、まさに国家による大規模で組織的な拉致そのものであったのだ。そして、多くの人びとが強制労働につかされ、死んでいった。それに加えて、日本軍の軍隊慰安婦とされた人びとも膨大に存在するのだ。こうしたことが、朝鮮人民に与えた苦しみの大きさはどれほどのものであったか。こうしたことについて、日帝の責任を徹底的に糾弾するとともに、自らも真っ向から受けとめ階級的に自己批判していくという立場を抜きにして、拉致問題をうんぬんするのは断じて正しいあり方とは言えない。この点をあいまいにするようだと、米帝ブッシュや日帝・小泉のもとでこうした拉致問題や核問題を利用して、北朝鮮への新しい侵略戦争を遂行しようとする動きに対して真に闘うことはできない。
以上のことをスローガン的に確認しよう。
a.米日帝のイラクに続く北朝鮮侵略戦争策動を許すな!
b.帝国主義者はスターリニストによる拉致問題を口実とし、テコとして、イラクに続いて、北朝鮮侵略戦争への道を開こうとしている。日帝は何十万、何百万の朝鮮人民を虐殺しようとしているのだ。断じて許すな!
c.帝国主義者は拉致問題を口実とし、テコとして、「植民地支配の歴史と犯罪」をごまかし、塗り隠そうとしている。断じて許すな!
d.こうしたやり方は拉致問題の解決どころか、その悪化と深刻化を引き起こすだけだ。
e.「闘う朝鮮人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ」の立場に立って、7・7自己批判の立場に立って闘い、排外主義を打破し、日朝人民の連帯をかちとっていくことこそが、一切の問題を真に解決していく道を切り開く。
f.朝鮮人民・在日朝鮮人民の南北分断打破=革命的統一の闘いを支持し、連帯してともに闘おう!
g.米日帝のイラク侵略戦争反対!
h.米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争反対! 有事立法粉砕!
i.反帝国主義・反スターリン主義世界革命の勝利をめざし、全世界の労働者と被抑圧民族は団結せよ!
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週刊『前進』(2076号4面2)
ANSWERからのメッセージ 英語原文
イラクへの攻撃に反対し、全米100万人行動と全世界での一斉行動を呼びかけている「A.N.S.W.E.R.」から、反戦共同行動委員会の10・21全国統一行動に寄せられたメッセージを紹介します。(編集局)
ANSWERから日本の平和運動の皆さんへ
アメリカの反戦運動とANSWER連合は、日本の若者、学生、労働者と平和を愛する人々の運動にあいさつを送ります。
61年前、わが国の支配者はアメリカ人民を残忍な世界戦争に引き込みました。この戦争はアメリカがヒロシマとナガサキに対し、大量破壊兵器を犯罪的に使用して終焉(しゅうえん)しました。私たちは、このようなことがいかなる国の人民に対しても再びおこなわれることを許してはなりません。
今週、わがアメリカとベルギー、イギリス、デンマーク、ドイツ、インド、イタリア、オランダ、ポルトガル、プエルトリコ、南朝鮮、スペインの人々が、イラクに対する戦争が開始される前にそれを阻止しようとデモをします。
ブッシュ大統領は、なぜ国防総省がイラクを攻撃し、何万人ものイラク人民を殺さなければならないかについて様々な理由をあげました。しかしこれらの理由はすべて虚偽なのです。
真実は、アメリカがイラクの石油を支配したいからブッシュがこの攻撃を計画しているということです。真実は、イラクを植民地に引き戻すためにブッシュがこの攻撃を計画しているということです。真実は、アメリカの経済的利益に基づいて世界のエネルギーの流通を支配できるように、ブッシュがこの攻撃を計画しているということです。真実は、ブッシュがイラクを攻撃し、半世紀以上にわたってアメリカ軍を日本と朝鮮に駐留させたのとまさに同様にイラクにアメリカ軍を駐留させようと計画しているということです。
ブッシュ政権はこうしたことを、「国家安全保障戦略」の中で認めています。それは、アメリカが世界のすべての地域を政治的、軍事的、経済的に支配できるようにペンタゴンが戦争を計画しているということを表明するものです。
アメリカ政府は、アメリカ帝国主義を世界の支配者とする帝国を築くために、戦争を行おうと計画しています。
アメリカの反戦運動に参加するわれわれは、あなたがたに鮮明なメッセージを送りたいと思います。われわれアメリカ人民は、この戦争に反対します。われわれはこの帝国のための兵士となることを拒否します。
私たちは、アメリカ議会に対し私たちがこの戦争に反対していることを何度も伝えました。しかし、政治家たちはブッシュの戦争を支持する投票を行いました。私たちは世界の諸大国のどの政府も、国連さえもブッシュの戦争への突進に抵抗できないと見ています。
私たちは政治家には頼ることができないということを学んできました。他の諸大国の支配者に頼ることもできません。私たちは私たち自身にしか頼ることはできません。つまり、若者、学生、さまざまな人種、国籍の労働者にしか頼ることができないのです。この帝国の中に住むわれわれと世界中の人民だけが戦争を阻止することのできる勢力なのです。
国際的連帯万歳!
アメリカ軍は朝鮮と日本から出て行け!
イラクへの戦争をやめろ!
「A.N.S.W.E.R.」とは
「Act Now to Stop War & End Racism」(戦争をやめさせ人種差別を終わらせるためにいま行動しよう)というスローガンの頭文字をとって、戦争に対して反対を回答とするという意味を込めて名付けられた。現在アメリカで最も広範な反戦運動の結集体となっており、全世界に広がりつつある。10月26日に、メッセージにあげられている各国で大規模なデモが行われる。
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週刊『前進』(2076号4面3)
10月16日〜22日
海保が対テロ訓練へ巡視船 北朝鮮「核計画」を米が公表
●教基法、「愛国心」盛り改悪提言 教育基本法の改悪に向け検討を続けてきた文部科学相の諮問機関・中央教育審議会がまとめた中間報告の全容がわかった。「法の見直しを行うべき」とする結論を明示。公共心や道徳心、郷土や国を愛する心を基本理念に盛り込むほか、教員の使命感や責務、家庭の役割や責任を規定することを提言。(16日)
●厚木騒音、国に27億円賠償命令 在日米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県)の周辺住民約5千人が、騒音で被害を受けたとして、国に損害賠償を求めた「第3次厚木基地騒音訴訟」の判決が横浜地裁であり、騒音被害を認め、総額約27億円を支払うよう国に命じた。(16日)
●北朝鮮、核開発認める 米国務省は、ケリー国務次官補が10月初めに朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪れた際、北朝鮮側が高濃縮ウラン施設建設など核兵器開発を継続していることを認めたと発表した。(16日)
●イスラエル報復容認 ブッシュ米大統領が訪米中のシャロン首相と会談し、イラクがイスラエルを攻撃した場合、「もしイラクがあすイスラエルを攻撃すれば、シャロン首相は反撃するだろう」と述べ、イスラエルの報復を容認する考えを示した。(16日)
●「武力行使容認」を削除 米英両国は、査察受け入れをイラクが拒否した場合には武力攻撃を容認するという、両国作成の国連安保理決議から、「武力行使の容認」に相当する表現を削除、修正する方針を固めた。(17日)
●米軍が兵士に予防接種 米国防総省は、生物・化学兵器の攻撃に対応するために、供給不足のため中断していた兵士への予防接種を再開した。予防接種は危険地帯への部隊派遣の少なくとも45日前に始められなければならないため、イラク攻撃の条件整備のひとつとみられる。(17日)
●対テロ訓練へ巡視船派遣 インドネシア・バリ島やイエメン沖での爆破事件を受け、海上保安庁は、巡視船を東南アジア周辺海域に派遣し、テロを想定した訓練や情報交換などを周辺各国と行うことを決めた。テロを想定した巡視船派遣は初めて。(18日)
●臨時国会始まる 第155臨時国会が召集された。小泉首相が有事法案や個人情報保護法案の成立を期すなどと所信表明。(18日)
●靖国を集団参拝 超党派の議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の89人が秋季例大祭に合わせ靖国神社を集団参拝した。閣僚では平沼赳夫経済産業相が参加した。(18日)
●「核ミサイルの標的は東京」と森 森前首相が秋田県で講演し「一方では拉致のような野蛮なことをし、一方では核ミサイルを日本に向けて狙うような危険な国が隣にある」「(標的は)ソウルか東京しかない」などと述べた。(19日)
●「米朝枠組み破棄」報道 ニューヨーク・タイムズ紙は、北朝鮮が核開発計画を認めたことを受け、ブッシュ米政権が94年の米朝枠組み合意を破棄することを決めたと報じた。ブッシュが決断を下したという。(20日)
●公明「加憲」を提唱 公明党は憲法に環境権やプライバシー権など「新しい権利」を明記する改憲を検討する方針を固めた。従来の「論憲」の立場から踏み込んだ。(20日)
●「武装解除説得」とブッシュ ブッシュ米大統領は、北朝鮮が核開発を認めた問題で「金正日に武装解除をするよう説得しなければならない」と語った。この問題でブッシュ自身が発言したのは初めて。(21日)
●米国務次官補が外相らと協議 来日中のケリー米国務次官補が川口外相、石破防衛庁長官と会談し、北朝鮮の核開発を中止させるために日米韓で協議していくことで合意した。(21日)
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週刊『前進』(2076号4面4)
臨時国会開会日に怒りの抗議
反戦共同行動委員会は10月18日、国会開会日に国会前抗議闘争に決起し、日帝・小泉による有事立法の臨時国会成立策動を徹底弾劾した(写真)。その後有楽町で街頭宣伝を行い、イラク反戦と有事立法反対の署名を呼びかけた。
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週刊『前進』(2076号5面1)
10・21国際反戦デー “イラク攻撃阻止せよ”
米総領事館へデモ 大阪 国際連帯掲げ455人
「イラク侵略戦争を許さないぞ」。夜の大阪の街に怒りのシュプレヒコールが響き渡った。インターナショナルとワルシャワ労働歌の大合唱がこだました。
関西反戦共同行動委員会主催の10・21国際反戦闘争は455人が集まり、全国統一行動の一環として、全世界の闘いと連帯して闘われた。天6交差点から大阪市役所まで、イラク人民虐殺を絶対に許さない、怒りと決意に満ちた戦闘的デモをうちぬいた。
デモ隊はプラカードやのぼりを持ち、全学連の部隊を先頭に、労組交流センター、関西合同労組、部落解放同盟全国連、婦人民主クラブ全国協、泉州住民の会を始めとする住民団体などの長蛇の列が続いた。
自民党大阪府連に「小泉は戦争参加をやめろ」と怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。さらに、米総領事館を「イラク侵略戦争をやめろ」と、激しい怒りの声で揺るがした。米総領事館前ではアメリカ人女性が一緒にシュプレヒコールをし、デモに合流した。沿道の市民から圧倒的な注目と共感が寄せられた。
デモに先立ち、大阪市立住まい情報センターで集会を行った。関西反戦共同行動委員会の永井満代表が主催者あいさつ。アメリカの反戦団体「ANSWER」からのメッセージが紹介され、集会に参加したアメリカ人男性から熱い連帯のあいさつを受けた。
関西労組交流センターの森田充二代表が基調報告。部落解放同盟全国連、関西労組交流センターの国鉄労働者、全学連が決意表明を行った。国鉄労働者は10・7の8人逮捕を弾劾し、この会場だけで奪還署名2百余筆とカンパ8万円近くが集まったと報告した。
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週刊『前進』(2076号5面2)
10・21国際反戦デー
原爆ドーム前集会 広島 沖縄と固く連帯
中四国反戦共同行動委員会は10月20日、10・21国際反戦デー闘争としてヒロシマ反戦行動を闘った。広島市内で一斉街宣を行った中四国各地の労働者・学生約210人が原爆ドーム前に結集した。
沖縄からかけつけた桑江テル子さんが原爆ドーム前で一人芝居。戦前・戦後をとおした沖縄の怒りと闘いを情熱的に演じ、オキナワとヒロシマの固い団結でイラク侵略戦争と有事立法を阻止しようと訴えた。
続いて、全学連の井上亮副委員長が基調報告。
「イラクの子どもたちを殺しているウラン弾は、広島の米軍弾薬庫からも運ばれている。有事立法の狙いは、あらゆる口実で北朝鮮・中国に対し先制攻撃、空爆、地上戦で政権を転覆することだ。排外主義を粉砕し、国際的な反戦闘争と連帯して帝国主義の侵略戦争を阻止しよう」
アメリカの反戦団体ANSWERからのメッセージが紹介された。百万人署名運動広島県連絡会の平岡誠さんが「ブッシュは世界支配のために侵略戦争を強行している。拉致問題で北朝鮮への脅威をあおり、再侵略を狙う小泉を許さない」と連帯のあいさつ。反戦被爆者の会の下田禮子さんは「有事立法とイラク侵略戦争を許さぬため、ヒロシマから勇気をもって声をあげましょう」と訴えた。
教育労働者と国労組合員が発言。国労組合員は10・7弾圧に怒りを込め「定期大会決戦に勝利し、国鉄労働運動を再建しよう」と訴えた。
「石油のためにイラク人民を殺すな」などと書かれた大量のメッセージボードを掲げ、広島市内デモに出た。原爆ドームから紙屋町を抜け、買い物客でにぎわうアーケードを練り歩いた。一緒にこぶしを突き上げる若者など、大きな注目を浴びた。
原爆ドーム前での解散集会では、広島大学学生自治会、全国被爆者青年同盟などから決意表明を受け、圧倒的な高揚のなかで行動をしめくくった。
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週刊『前進』(2076号5面3)
10・21国際反戦デー
地元の集会に合流 福岡 改憲・有事法に反対
「有事立法粉砕実行委員会・福岡」の労働者や学生は10月21日、福岡市天神の須崎公園野外音楽堂で開催された「戦争はいやだ! 憲法改悪・有事法制反対!/10・21国際反戦デー福岡集会(原水禁福岡地区実行委員会、平和・人権・環境福岡県フォーラムが主催)に参加した。福岡の労組、市民団体など30団体、600人が結集した。
主催者として原水禁福岡地区実行委員会の津留雅昭さんが「現実に迫る戦争に私たちはどういう態度をとるのかが問われている」と提起した。福岡県フォーラム代表の中村元気さん、社民党、部落解放同盟福岡市協が連帯のあいさつ。県職労、全国一般、福教組の決意表明が続いた。
有事立法粉砕実の九大学生自治会、福岡県労組交流センター、部落解放同盟全国連、婦人民主クラブ全国協はデモの先頭で闘った。
集会に先立ち天神繁華街で街頭署名に立ち、290筆の署名が寄せられた。
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週刊『前進』(2076号5面4)
10・21国際反戦デー
豊田さん講演に衝撃 仙台 7大学から結集
東北大学学生自治会など東北地方4大学5団体の主催という画期的陣形で10月19日、仙台に東北各地から7大学の学生が結集して、フォトジャーナリストの豊田直巳さんの講演会と市内デモを行った。
集まった100人の学生や市民を前に、豊田さんがスライドを使って熱心に訴えた。「イラクでは白血病やガンで苦しむ子どもが急増している。湾岸戦争で1兆円を超える軍事費を渡したのは誰か。この金で劣化ウラン弾がつくられ、子どもたちが苦しんでいる。これは私たち日本の責任ではないですか。この現実をあなたは黙ってみていられますか?」
参加者全員が心を揺り動かされ、帝国主義が強制している現実に対して、何よりも帝国主義国の人民の態度が問われていると感じた。参加した学生は「アフガンへの報復戦争は正しいと思っていたが、今日の講演を聞いて、イラク攻撃をやめさせねばと思った」と感想を述べた。
講演会の雰囲気をそのままにイラク侵略戦争阻止のデモを行った。道行く市民が横断幕やプラカードに注目。「戦争になったら反対できなくなる」と2人の大学生が途中からデモに飛び入り参加した。デモ隊の主張や怒りが街中に伝わり、市民と一体となった。
キャンパスでは、イラクの現実を受け止め自己変革的に決起が次々と始まっている。この秋1000人のイラク侵略戦争阻止、有事立法粉砕の決起は必ずつくり出せる。ここに展望があると実感した。
(投稿 東北大・T)
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週刊『前進』(2076号5面5)
DON'T
ATTACK IRAQ 闘うムスリム人民 世界の人民と連帯して
劣化ウランと経済制裁で160万人が犠牲
湾岸戦争から11年のイラク人民の生活
米帝ブッシュ政権は早ければ11月にもイラク侵略戦争に突入しようとしている。何十万何百万というイラク人民を大虐殺する凶暴な侵略戦争が再び行われようとしているのだ。これを絶対に許してはならない。全世界で決起している労働者人民と連帯し、この日本でイラク反戦闘争の巨万の決起を巻き起こそう。
そのために、帝国主義の中東支配、とりわけ91年湾岸戦争(イラク・中東侵略戦争)とその後の経済制裁や空爆でイラク人民がどのような現実におかれているのかをはっきりさせよう。
放射能被害
湾岸戦争で使われた米軍の劣化ウラン弾によって、ガンや白血病などの放射線や化学毒性の被害が、時がたつとともにますます深刻になっている。白血病やガン、無脳症などの先天性異常、さらには経済制裁による栄養失調のために5分に1人の割合でイラクの子どもたちが死んでいる。バグダッドにある白血病専門病棟のある二つの病院の一つ、マンスール病院だけでも毎日4〜6人の子どもが亡くなっているという。
イラクではガンや白血病の治療ができる病院が限られており、しかも経済制裁の中で治療のための材料や施設、薬品が手に入りにくい。治療を待っているうちに死んでいく人、薬がなくなって治療を受けられなくなり死を迎える人など悲痛な現実が人民の上に重くのしかかっている。
劣化ウランは、天然ウランの中から原爆や原発の原料となるウラン235を分離し、ウラン235の含有率が低くなったウラン(ウラン238)である。「劣化」と付いているが実際はウランそのものである。ウランは比重が重く、硬度も高く貫通力に優れている。また衝突の際に発生する摩擦熱で発火して燃焼し、戦車の乗員を焼き殺す。その際燃焼したウランは粉末となって空中に飛散する。
このウラン238の放射能の半減期は45億年で、ほぼ地球の余命と同じだ。すなわち、劣化ウラン弾による放射線被害は永久になくならない。湾岸戦争では米英軍によって戦車からの砲弾として約1万個、航空機の機関砲弾として約94万個が使用された。使われた劣化ウラン弾は8万8千dにのぼり、広島型原爆の1万4千倍から3万6千倍の放射性原子に当たる。劣化ウラン弾はまさに核兵器そのものである。
( 〔図〕91年湾岸戦争で米軍が劣化ウラン弾を使用した主な地域)
栄養失調死
次に、劣化ウラン弾以上にイラク人民の生活に広範な影響を及ぼしているのが国連の経済制裁である。
イラクは湾岸戦争の直前まで食糧自給率が3割で、7割を輸入に頼ってきた。また国家収入の9割を石油輸出に頼ってきた。その石油輸出がヨルダン向け以外止められたことの経済的影響は激甚であった。
湾岸戦争後、輸出入を近隣諸国とのヤミ交易に頼らざるを得なくなり、物価が著しく上昇し、一時は年率500%ものインフレになった。食糧品価格は、95年の段階で4000倍になった。人民の生活は著しく困窮を極め、上級公務員ですら終業後にアルバイトをせざるを得ない状況になった。人びとの多くは政府からの一日あたり1000`カロリーの配給に頼って生活している。
こうした中で食糧不足に伴う栄養失調が深刻な問題となり、特に体力の弱い子どもたちに襲いかかった。乳幼児の死亡率が著しく上昇した。首都バグダッドでは戦争前の乳児死亡率が8・04%だったのに対し、95年では16・07%に倍増した。5歳未満児死亡率も4・06%から19・82%に激増している。栄養失調の子供が増えており、91年〜95年の間に成長不良の子供は2倍、低体重児の子供は7%から29%になった。
しかも経済制裁で医療衛生関係の物資も著しく不足している。注射用の抗生物質から点滴薬、麻酔薬さえ手に入らない。医師たちは薬がないために手の施しようがなく、死んでいくのをむなしく見守らなければならない状態になっている。
また米帝は、湾岸戦争でイラク人民の生活基盤となる電力施設やミルク工場などを狙って破壊しており、その影響が今でも深刻に残っている。特に経済制裁で上水の殺菌用の塩素が輸入できないことによって浄水施設が機能しなくなっており、コレラなど伝染病の被害を大きくしている。
世界的批判
経済制裁のこうした深刻な影響に対して世界的に批判が強まり、96年12月から「食糧のための石油」計画が開始され、一定の枠でイラクの原油輸出が認められた。しかしこの計画は、戦災補償などが義務づけられており、イラク中央政府の取り分は輸出代金の半分程度にしかならない。しかもその輸出代金も国連が管理し、輸入物資については国連が承認した人道物資に限られ、それすらも、半年間の期間終了時に届くのはほんのわずかである。食料は4分の1程度、医薬品に至ってはわずか1%という状態である。しかもそれは米英が制裁委員会を使って輸入案件を保留する形で意図的に遅らせるのである。
こうした劣化ウラン弾による被害や経済制裁、さらには米英軍によるうち続く空爆によって湾岸戦争後に命をなくした人は160万人にのぼる(イラク政府発表)。そのイラク人民の頭上に猛爆撃が加えられようとしている。米帝の中東・石油支配、世界支配の再編のための世界戦争計画の発動としてのイラク侵略戦争を、何がなんでも強行しようとしているのである。
この凶悪な侵略戦争を絶対に許してはならない。
イラク人民の大虐殺を黙ってみていることが許されるのか。日帝は、91年湾岸戦争で130億jの資金を拠出し、イラク人民大虐殺に手を染めた。さらにアフガニスタン侵略戦争に自衛隊を派兵して参戦し、アフガン人民を大虐殺しているのだ。中東・イスラム諸国、ムスリム人民への血債にかけて、職場で、学園で労働者人民の巨万の決起を巻き起こし、イラク侵略戦争を絶対に阻止しよう。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2076号5面6)
(1)
階級のきょうだいとして 有事立法とめよう
戦争の流れと差別の強まり
反米ゲリラから1周年のブッシュの9・11演説と9・12国連演説は、アメリカ国民のイラクへの排外主義と好戦気運をあおり、イラクへの宣戦布告を発した。イラクのフセインは、国連の核査察の受け入れを表明したにもかかわらず、ブッシュはそれを徹底して無視し、アメリカ単独でも軍事侵略を強行しようとしている。中東支配と石油資源を略奪するために、イラク人民虐殺戦争をあくまでも強行しようとしているのだ。それは、まさに第3次世界大戦の開始ともいうべき重大事態である。
米帝ブッシュはイラク侵略戦争に備え、クウェートなど周辺各国に6万人以上の兵力を集中している。湾岸地域には空母エイラハム・リンカーンとジョージ・ワシントンが展開し、数百機の攻撃機が出撃体制についているのだ。さらに米軍特殊部隊の一部はCIAと合流、イラク国内の反体制派と連携し偵察活動に入っている。
小泉訪朝と日朝首脳会談は、アジアと世界の平和をもたらすどころか、米日帝の対イラク・対北朝鮮侵略戦争攻撃を加速させるものであった。小泉は、拉致問題をめぐって北朝鮮へのすさまじい排外主義を扇動しつつ、有事立法制定へ拍車をかけている。とくに新テロ特措法の強行成立を図り、イラク侵略戦争に参戦しようとしている。たたかうイスラム諸国人民・たたかうアジア人民と固く連帯し、臨時国会での有事立法制定を阻止しよう!
有事立法は、周知のように武力攻撃事態法・安全保障会議設置法・自衛隊法改正案であるが、個人情報保護法案と住基ネットを新たに加え、四法を一体の戦争法としてたたかうことが要請されており、ともに廃案にしなければならないのである。住基ネットはさらに今一つ、徴兵名簿作成の布石であるとともに、「差別を商う」部落人名総鑑として利用されることが必至である。差別糾弾闘争を全面的に禁止する人権擁護法案と住基ネットが一体となることで、部落差別攻撃の激化に拍車がかかることも明白な事実である。差別糾弾闘争の圧殺・一掃を狙った戦時型の攻撃だといわなければならない。
日本帝国主義の今日の部落差別攻撃は、狭山第2次異議審棄却による差別裁判の護持路線を支柱として、同対事業の最後的打ち切りの強行、部落差別事件の恐るべき悪質化と激発、そして人権擁護法による差別糾弾闘争の解体のいっそうの促進などである。住基ネットの攻撃を加えて、これまでの差別攻撃の比ではまったくないのである。
労働者の闘いが時代決める
だが、帝国主義の危機の時代、〈戦争と恐慌と革命>の時代は、労働者階級のたたかいと団結、存在の真価が発揮される好機ではないだろうか。労働者階級は小泉政権が強行しようとしている北朝鮮・中国侵略戦争を阻止できる全人民を代表する普遍的な立場にあり、全人民の有事立法反対の決起と怒りを引きうけて立たなければならないのである。
米日帝による北朝鮮・中国への侵略戦争は、労働者が全人民の先頭で反対勢力の旗を、生命がけで振りつづけるかぎり阻止することができる。有事立法による戦時体制構築の絶対的土台は、国家総動員の圧倒的多数を占める、労働者階級の戦争動員にほかならないであろう。
したがって労働者が戦争協力を断固として拒否し、推進勢力にならないかぎり、帝国主義国家権力の侵略戦争のもくろみを打ち砕くことができるのである。その意味で連合が、〈5・16連合見解>で傘下の700万労働者のみならず労働者階級全体を積極的に戦争動員しようと、戦争協力の役割を買ってでると宣言したことは、実に許しがたいことである。
労働者階級は、戦争・恐慌・大失業の階級情勢のなかで、自らにかけられた資本攻勢のすさまじい倒産・首切り、大リストラ、大幅賃下げばかりか、労働法制改悪・団結権解体=労働組合破壊攻撃などの想像を絶する困難とたたかうという課題に直面している。と同時に、差別・排外主義の扇動による戦争動員の攻撃を阻止するたたかいを断固おしすすめなければならない。このたたかいは、イラクや北朝鮮、中国への侵略戦争が切迫している今こそ、有事法制を廃案へ追い込むうえの、階級全体の決起をつくるために避けられない課題だからである。
部落解放は労働運動の課題
戦時体制下では、帝国主義が、侵略イデオロギーのもとに国家総動員体制をつくらざるをえず、全人民の団結による階級的反乱を予め阻止するために差別・排外主義の扇動を極限までおしすすめ、階級を分断して統合する常套(じょうとう)手段を駆使して、挙国一致体制を構築しようと図る。そのゆえに、労働者が部落解放闘争を自己解放の課題としてたたかうことは、本来的なありかたとして当然であるばかりでなく、戦争反対のための全人民の総決起が要請されているとき、欠くことのできない決定的なテーマなのである。
部落解放同盟全国連合会は、〈戦争と大失業と差別の大洪水の時代>の認識をうちたて、有事法制の廃案こそ部落解放の道ととらえ、組織をあげて渾身(こんしん)の決起をつづけている。その底には、階級政党や労働組合の屈服につづく戦前の、全国水平社の敗北を真に引きうけ、乗りこえようとする痛恨の思い―階級的自己批判が深くこめられている。それは300万部落大衆の人間的解放の未来の実現に責任をとろうとしているからである。
労働者階級は、部落解放同盟全国連合会をはじめとする300万部落大衆を、「本質的に自己の隊列の一翼を形成する」(『清水丈夫選集』)〈階級のきょうだい>ととらえて固く連帯し、部落解放の課題を労働者自己解放の課題としてたたかうことによってはじめて、帝国主義の差別分断支配とそのための攻撃を具体的に打ち破ることができる。それだけではなく、そのことをとおして戦争動員を目的とした排外主義と一対をなす差別主義扇動の攻撃をも同時に打ち破り、侵略戦争を阻止することが可能となるのである。
(部落解放理論センター所長/西村豊行)
(次号から6面に掲載します)
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週刊『前進』(2076号6面1)
100年前に否定された方法採用 「小島筆跡鑑定は誤り」
迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判 数学者が弾劾の証言
10月18日、東京地裁刑事第11部で、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の第170回公判が開かれた。
この日は、明治大学名誉教授で数学者である木下信男氏が弁護側証人として出廷し、警視庁科学捜査研究所の小島直樹による筆跡鑑定のインチキ性を暴き徹底弾劾する証言を行った。
検察官は、岩手借家押収物の中にロケット弾の製造に関係する「メモ」があったとし、筆跡鑑定によりこのメモ類が須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志によって書かれたと主張した。だが小島が行った鑑定は客観的証明のない、数理統計学への完全な無知にもとづく誤った鑑定であり、およそ科学の名に値しない代物であることがこの日の証言でくまなく明らかにされたのである。切削根問題での警察鑑定の崩壊に続き、筆跡問題でもデッチあげの根幹が粉砕されたのだ。
木下証人はまず、小島が用いたような勘と経験にのみ頼る伝統的筆跡鑑定がどんなに多くの冤罪事件を生み出してきたかを、多数の実例をあげて説明した。特に19世紀末フランスで起きたドレフュス事件について、デッチあげの手段となったのは当時フランスで法医学の権威者として君臨していたペルティヨンが行った誤った筆跡鑑定であったことを紹介し、その鑑定では科学を装ってでたらめな確率計算が行われていたことを明らかにした。
ペルティヨンは、二つの文書の4文字の特徴が一致するから確率計算により両文書の筆跡は同一とする鑑定を行った。その計算は、4文字それぞれの特徴の出現率を0・2(5人に1人)と推定し、それを単純に4乗すれば4文字の特徴が同時に出現する確率(625人に1人)が得られるというものである。
だがこの方法は、@最初の0・2の数値に何の根拠もないこと、Aいくつかの事象が同時に起きる場合にその一つひとつが他と無関係に独立に発生することの証明がなければ、ペルティヨンがやったような単純な確率の掛け合わせはできない、逆にとんでもなく間違った答えを引き出す点で根本的に誤っている。事実、ペルティヨンの確率計算は後に学問的にも完全に否定され、ドレフュスの無実が証明されたのである。
ところが小島鑑定は、この100年前のペルティヨンとまったく同じことを平然とやっているのだ。小島は、鑑定方法への質問に対し、希少性(珍しい特徴)のある文字を3種以上見つけてその同時出現率により判断していると答えた。
そして「出現が1つの文字が10%としますと、それらが3文字同時に10%の文字が出現する確率というのは1千分の1、例えばその特徴が1%としますと100万分の1くらいの確率で同時に出現する」と言い、「私としては100万分の1くらいの確率でないと明確な鑑定は出せないと考えています」などと得意げにのたまわっている。この鑑定方法自体が完全な誤りだ。
木下証人は、小島鑑定のような「鑑定」が現在でもなお横行していることは驚くべきことであると鋭く弾劾した。
木下証人はさらに、裁判における証明とは論理的で科学的、客観的な証明でなければならないとし、とりわけ筆跡鑑定のような鑑定では数理統計学の厳格な適用が不可欠であることを力説した。
特に筆跡鑑定では、筆癖の「常同性」(ある筆癖が同一文字すべてに現れ、例外があっても偶発的な場合)と「希少性」(同一筆者が書く文字以外には出現しないか、その出現頻度がきわめて少ない場合)の二つを考慮しなければならない。だが小島鑑定は「常同性」の検討を放棄し、一字だけあればよいと否定しているでたらめなものである。さらに同一筆跡を立証する場合に不可欠の「希少性」の科学的証明(サンプリング調査などによる測定)がまったくなされていない。これは「筆跡鑑定の名におよそ値しないもの」だと断言した。
証人は最後に、小島鑑定がその17件の鑑定書中10件において、鑑定人として絶対にやってはならない、ほとんど作為に近い誤りを犯していると指摘した。十亀同志の筆跡鑑定で小島は、メモ類のごく一部(A)と十亀同志自筆の文書(B)を比較した上で、今度はそのAと残りのメモ類(C)を比較し、A=BでかつA=CだからB=Cだとしたのである。だが、仮にA=Bである確率が70%でA=Cである確率も70%とした場合、B=Cとなる確率は実際には49%でしかない。科学的厳密さが要求される鑑定でこんな三段論法の適用など論外だと弾劾した。
木下証人の熱意に満ちた証言に、裁判官さえも身をのりだして聞き入った。あわてた検事は必死の反対尋問を試みたが、その質問自体が逆に自らの無理解をさらけだすものとなった。
この勝利の上に、弁護側立証の完全勝利へ突き進もう。次回11月11日(月)は刑法学者・足立昌勝氏による爆取違憲の証言が行われる。傍聴にかけつけよう。
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週刊『前進』(2076号6面2)
横浜市長に抗議 神奈川前進社 “住基ネットやめろ”
10月3日、前進社神奈川支社は、横浜市市民局地域振興部事業課長と事業課システム整備等担当係長(住基ネットの直接の統括責任者)に対して、住基ネット番号通知を返却し中田宏横浜市長あての申入書をたたきつけ、断固たる抗議闘争を行った。
横浜市は、すでに住基ネットに参加し、なおかつ個人情報保護法案が成立すれば、345万人の市民全員(「非通知」の申し出も含めて)の個人情報を住基ネットに送信しようとしている。徹底的に弾劾する。
申し入れは、まず横浜市が、住基ネットから直ちに離脱することを要求し、さらに12月下旬にも、個人情報(「非通知」の申し出の人を除いた)を住基ネットに送信しようとしていることを弾劾した。同時に345万人全員の個人情報を絶対に送信しないことを要求した。
中田横浜市長は、住基ネットに対する怒りの爆発を恐れている。だからこそ「市民選択制」を導入し「非通知」の申し出を受け付けて、あたかも「非通知」を選択すれば、個人情報を住基ネットに送信しないかのような幻想をあおっている。
前進社神奈川支社は、横浜方式と言われる「市民選択制」「非通知」が実は、住基ネットに参加しさらに個人情報保護法案の成立を狙っていることを怒りをもって弾劾し「住基ネット番号通知」をたたき返した。申入書は、横浜市が「安全性が確認されれば全員分の情報を送る」「非通知については個人情報保護の法整備が行われるまでの緊急避難的措置」と個人情報保護法案を推進していることを弾劾し、個人情報を送信しないことを要求した。
横浜市では「非通知」の申し出が、80万人(横浜市民の23%、10月11日現在)を突破した。「非通知」が申出制であり、また煩雑な手続きが必要なことを考えると、345万横浜市民の多数が、住基ネット反対の意志表示をしたに等しい。横浜市は直ちに住基ネットから離脱しなくてはならない。
総務省と神奈川県は、「全市民の情報でなければ受け取れない」と個人情報の受け取りを拒否している。住基ネットは、すべての労働者人民の情報が集中されてこそ日帝にとって意味あるものになるのであって、たとえ一人の情報であってもそれが欠けると無力化するのだ。住基ネットは、現在、大破綻(はたん)の危機に瀕している。
わが前進社神奈川支社は、全県下に数多く居住する在日朝鮮・中国・アジア人民と固く連帯して、日帝の入管体制を粉砕するために全力で闘う。在日朝鮮・中国・アジア人民は、外国人登録法によって、終生不変の番号で登録され、外国人登録証の常時携帯を強制されている。しかし粘り強い不屈の闘いで、指紋押捺制度の廃止をかちとり、入管体制を一つひとつ打ち破って生きる権利をかちとっている。在日アジア人民と固く連帯しともに闘う中で、住基ネットを粉砕しよう。
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週刊『前進』(2076号6面3)
有事法制廃案へ熱気 陸・海・空・港湾労組20団体シンポ
10月15日夕刻、東京・明治公園隣の日本青年館大ホールで陸・海・空・港湾労組20団体主催のシンポジウムが開かれ、700人が集まった。(写真)
全日本海員組合の平山誠一氏が開会あいさつに立ち「小泉内閣はなお早期成立を目指して一部野党の取り込みを視野に準備を進めている。ストップ有事法制はこれからが天王山。シンポジウムで法案とその背景を厳しく検証し、廃案へのスプリングボードにしよう」と語った。
「有事法制で日本はどうなる」と題したシンポジウムでは、パネリストに安保軍事問題を追うジャーナリスト松尾高志氏(大阪経済法科大学アジア研究室客員研究員)、日本弁護士連合会有事法制問題対策本部事務局長の岡部保男氏を迎え、航空労組連絡会の村中哲也副議長がコーディネーターを務めた。
冒頭、松尾氏は、「武力攻撃事態法案で『武力攻撃事態』と認定されると平常の行政システムが機能しなくなり、戦時システムに切り替わる。そういう国家システムが戦争を放棄した日本国家の中にビルトインされる」と明快に指摘した。
岡部氏は「日弁連は全国1万9千人の弁護士が強制加入している組織であり、自公支持者もいる。そういう人たちも含め、この有事法制は、憲法が保障する基本的人権、平和主義、国民主権に反するものであり、廃案をめざして積極的に活動していこうという立場だ」と報告した。
村中氏は二人に論争的な質問を繰り出し、推進論に一つひとつ反論していく展開となった。「わが国への外国からの侵略の可能性は?」「いざ起こってからでは遅いとも言われるがどうか」「武装した不審船に対処するには?」など。
松尾氏は、97年新ガイドラインからの流れをたどり「有事法制は現実的な政治プロセスで動いてきた」。「有事法制の立法事由は、日本が積極的に戦争に参加する必要性だ。ここの説明があいまいなまま進んでいる」と、岡部氏。
「原則として米軍と一緒に戦おうと書いてある」と言う松尾氏に「結局のところアメリカの戦争につきあわされるのでは?」と村中氏がたたみかける。松尾氏は「日本は積極的能動的に米軍と肩を並べて戦おうとしているんです。巻き込まれるのではない」。(「うん、そうだ!」と私)
最後に岡部氏は「平和がすべての根本。最後まで力を抜かずにやり抜こう」と訴え、松尾氏も「現実は変えることができる。ともに頑張ろう」と結んだ。
日本青年団協議会からの連帯のあいさつがあり、最後に、航空安全会議の大野則行議長が今後の取り組みについてアピール。12月1日、陸海空港湾労組20団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットの呼びかけで代々木公園で開催する「STOP!有事法制『秋の大集会』」への大結集が呼びかけられた。10、11月を闘って12月へ!
(投稿/梶村未来)
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週刊『前進』(2076号6面4)
(11)
勝利への訴え 全国に「救う会」を広げ 再審開始をかちろう
革共同の決意
星野文昭同志はデッチあげ殺人罪で無期懲役を宣告され、今も徳島刑務所で闘っている。昨年の12・15「無期・爆取攻撃とたたかう長期獄中同志奪還大集会」で確認したように、私自身、あなた自身の分身が獄中にとらわれ、日々闘っているのだ。
革共同は訴える。同志諸君! 『前進』読者の皆さん! 日帝の無期攻撃と正面から対決し、星野同志奪還へ総決起しよう。
星野同志は、『総括と展望』(01年3月刊)の中で「星野デッチあげ無期弾圧とはどのようなものなのか」と自問し、次のように答えている。@70年闘争と、その本格的全面的発展(今日の闘い)に体制的崩壊を突きつけられた日帝がその体制的延命をかけて圧殺しようとする、破防法、カクマル反革命と一体の攻撃である。A体制的延命=体制的体重をかけた、文字どおり、極限的な国家テロルの発動としての極刑攻撃である。
後に最高裁長官に抜擢(ばってき)される草場良八が、無期懲役を宣告したのはけっして偶然ではない。日帝・国家権力は、70年安保・沖縄闘争の発展に「革命の現実性」を見て、革共同と日本階級闘争に対する圧殺攻撃をかけてきたのだ。
有期懲役と無期懲役とはまったく質が違う。無期懲役とは、星野文昭という生きた人間にかけられた「極限的な国家テロルの発動としての極刑攻撃」なのである。革命的共産主義運動が初めて直面した死刑求刑・無期懲役は、まさに党と階級への抹殺攻撃である。このことを徹底的に見すえ、星野同志を実際にわが手に取り戻す闘い、それが星野闘争なのである。「再審をしない」とした党の誤りの全総括を踏まえ、この具体的目標を絶対にあいまいにしてはならない。革共同は、星野同志を取り戻すために必要なあらゆる闘いをやり抜く決意である。
闘いの第一は、裁判闘争である。異議審闘争に勝利し、再審開始の決定をかちとろう。これが、星野同志を取り戻す最大の闘いである。
星野同志は機動隊員せん滅にはいかなる関与もしていない。星野同志は無実だ。ここに、星野闘争の核心がある。星野同志は、再審請求人として提出した「意見書」で、次のように訴えている。
「私は、やっていない。私は、一審以来、一貫して主張し、陳述書においても、既に明らかにしているように、中村巡査を殴打していないし、中村巡査への火炎瓶投擲(とうてき)の指示もしていない」(99年10月25日)
無期懲役という極限的な弾圧が、デッチあげの上にしか成立していないところに、日帝・国家権力の決定的な弱点がある。デッチあげは必ず無理を生じ、破綻する。現に、「共犯」とされた6人の内、5人までが公判廷で捜査段階の供述を撤回している。
星野同志がやったとするデッチあげを崩す新証拠を明らかにして、再審開始の決定をかちとろう。検察官が隠し持つ全証拠を開示させよう。
闘いの第二は、全国的な大運動である。各地の「救う会」の闘いに学び、協力し合って、力ある大衆運動をつくり出そう。
率先して「救う会」の賛同会員になり、全国に「救う会」を広げよう。これが、運動を底辺で支える最も重要な活動である。再審要求の10万人署名(現在、6万5600人)を訴え、03年星野カレンダーと絵はがきを闘いの武器として広げよう。
『ある冤罪』のビデオ上映会を組織し、現地調査に行こう。また、弁護団との連携を強め、確定判決を粉砕するための学習会を組織しよう。さらに、星野同志が自己のすべてをかけて闘った沖縄闘争の歴史的内容を明らかにしよう。
分断のりこえ
闘いの第三は、獄内外の分断を打ち破り、獄中同志と家族を防衛していくことである。
星野同志が「星野=暁子闘争」として訴えている内容は重要である。獄中同志と家族はまさに一体であり、闘う主体としてある。星野暁子さんは、本紙の連載で「獄内外の分断をのりこえて運動を拡大し、奪い返したい」と訴えている。劣悪で非人間的な日本の刑務所と闘って、獄中同志と家族を防衛しよう。国家権力の「マル特無期」攻撃、終身刑導入の攻撃を絶対に阻止しよう。
星野同志を取り戻すために、今こそ総決起しよう。
(おわり)
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週刊『前進』(2076号6面5)
街宣で『前進』15部売る
神奈川 K・I
政治的事件が起こった時には『前進』街宣を行おうという『機関紙活動の手引き』の提起にこたえて、国会開会日にM駅で街宣を行った。若者を中心に『前進』を15部販売した。
東南アジア音楽に関心の深い20代の若者は、バリ島の爆弾闘争について「インドネシアを抑圧しているオーストラリアなどがやられたのは当然」「古いマルクス主義ではなく、新しいマルクス主義を求めている」と語った。「反帝国主義反スターリン主義」を示すと、「素晴しいスローガンですね」と『前進』を購入。これからも討論を継続していく約束になった。
法学を学ぶ学生は「有事立法は明白な違憲なのに、どの政党もきちんと批判していない」と怒り、『前進』を買って勉強していくことになった。
「アメリカの横暴は許せない」と、プッシュのイラク攻撃宣言に怒る主婦は、『前進』に共感してすぐに購入。既成政党に不信をもつ若者は、20労組や国鉄支援陣形など新しい潮流が登場しているという提起に感動して購入した。
『前進』街宣を継続してきた結果、活動を始めた若者や、友人を誘って地区集会に来た学生など、多くのつながりができている。
特に重要なことは、多くの同志が『前進』街宣で自信をつけ、街頭・職場・大衆闘争などで『前進』を提起し討論を治めたことだ。 『前進』を勧めることと大衆闘争を呼びかけることが一体的にできるようになってきた。向こう1週間で定購を5部拡大すると張り切っている同志がいる。この秋、『前進』拡大の新段階を切り開く決意だ。
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週刊『前進』(2076号6面6)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
11月11日(月)午前10時
福嶋同志裁判
11月6日(水)午後1時15分
☆6・12私文書弾圧裁判
10月31日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁
◆訂正 前号で須賀・十亀・板垣同志裁判が「11月18日」とあるのは「11日」の誤りです。
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