ZENSHIN 2002/10/21(No2074
p06)
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週刊『前進』(2074号1面1)
全世界の労働者階級・ムスリム人民と連帯し10・21国際反戦大行動へ
対イラク開戦を阻止せよ 資本攻勢・治安弾圧・有事立法粉砕へ
11-12月労働者総決起を
10・21国際反戦デー闘争の大爆発へ、あと1週間全力で闘おう。米帝ブッシュのイラク侵略戦争が切迫している。10月10日、米議会は下院でイラクへの武力攻撃を容認する決議を採択した。イラク開戦攻撃を決定的に加速するものだ。これに対して全世界でムスリム人民、労働者階級人民の反戦闘争が爆発している。これと連帯し、イラク攻撃絶対阻止へ闘おう。また米帝と日帝・小泉の対北朝鮮侵略戦争政策、排外主義の嵐と有事立法攻撃を全力で粉砕せよ。今こそ、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「闘うイスラム諸国人民と連帯し、中東侵略戦争を国際的内乱へ転化せよ」のスローガンのもと、イラク反戦・有事立法阻止闘争の大爆発をかちとる時だ。10・7弾圧=国鉄闘争つぶしの大攻撃を粉砕し、11月労働者総決起、国労大会決戦勝利へ突き進もう。
第1章 イラク人民大虐殺の凶暴な侵略戦争
10月7日、日帝国家権力・警視庁は、東京と関西、九州、沖縄で、闘う国労組合員5人と支援者3人の計8人を不当逮捕した。あろうことか5・27国労臨時大会での闘いを「暴力行為」とデッチあげて逮捕したのだ。許すことのできない大弾圧であり、絶対に粉砕しなければならない。
この弾圧は、日帝権力の主導で、国労代議員選挙の告示日を狙って準備され、発動された国鉄闘争破壊の大がかりな政治弾圧である。1047人の解雇撤回をめざす国鉄労働運動の不屈の前進に対する大反動、反革命攻撃である。
日帝権力の弾圧に全面的に協力し、組合員を権力に売り渡した国労中央と東京地本を断じて許すな。その責任を徹底追及し、国鉄労働者の怒りの爆発で今こそ打倒・一掃しよう。8人の逮捕者を防衛し、直ちに奪還しよう。国労代議員選で4党合意路線を推進する裏切り者をたたき落として勝利し、11月国労定期大会決戦へ突き進もう。
1110日に米議会が武力攻撃容認を決議したことで米帝のイラク侵略戦争が切迫している。米帝はイラク周辺で兵力を大増強している。これまで湾岸地域に駐留する米軍は2万人だったが、部隊増派や洋上兵力を合わせて、展開兵力は6万人を超えた。クウェートでは先月下旬から米・クウェート合同演習が行われている。命令が下れば、直ちにイラクに攻め込む態勢だ。地上軍の侵攻作戦のために、米軍は空爆によるイラク軍事施設の破壊作戦を続行しており、また米特殊部隊がイラク領内に潜入して作戦を展開している。米中央軍はすでに司令部をカタールに移し始めている。湾岸戦争の時と同じく、司令部の前進配置である。ブッシュは、イラク攻撃を中間選挙後の11月下旬に定めて準備を加速しているのだ。開戦を絶対に阻止しよう。
国連安保理の審議は大詰めを迎えた。米英両国による決議案は事実上の宣戦布告である。また、ブッシュは仮に国連の決議が得られなくても、米帝単独で攻撃を強行するつもりだ。
米帝は91年湾岸戦争で30万人ものイラク人民を虐殺した。さらにこの11年間、経済制裁と空爆でイラク人民を痛めつけ、劣化ウラン弾による放射能被ばくや伝染病で160万人を虐殺した(イラク政府発表)。その上に今度は、最新鋭の精密誘導爆弾、劣化ウラン弾、地下軍事施設破壊のための新型爆弾、さらに数万数十万の大量の地上軍を投入して、イラクの政権と2200万人民に襲いかかり、大虐殺し、その生活基盤を破壊しさろうとしているのだ。
これほどの不正義はない。米帝は「大量破壊兵器」が問題だなどと言うが、イラン・イラク戦争の際にイラクを援助して生物・化学兵器を使わせたのはそもそも米帝ではないか(10・2朝日新聞など)。そして、今度の戦争は、米帝の思いどおりにならないフセイン政権を根こそぎ打倒することが、初めから目的とされている。これほど恐るべき民族圧殺、民族自決権のじゅうりんはない。
またこの攻撃は中東および世界の石油資源の米帝支配を狙うものであり、古典的植民地主義以上に凶悪な強盗的戦争である。米帝ブッシュは、イラク人民大虐殺の上に、世界第2位の埋蔵量をもつイラクの油田を意のままに強奪して、中東と世界における石油の独占的支配を打ち立てようとしているのだ。
同時にそれは、世界唯一の超大国でありながら、世界帝国としての没落の危機にあえぐ米帝が、帝国主義的危機を世界戦争で突破しようとするのりきり策動の一環なのである。
9・20ブッシュ・ドクトリンは、「米国は必要なら単独で先制行動を起こし、自衛権を行使する」「大量破壊兵器の脅威が現実になる前に抑止し、防御する」「米国をしのごうとする潜在的な敵国を思いとどまらせるため、十分な軍事力を保持する」と宣言した。
これは、言語に絶する凶暴性をもった、「米国の国益」むきだしの世界戦争戦略である。「自由と平和」「開かれた社会」などと言いながら、米帝は大虐殺と破壊の世界戦争を起こそうとしているのだ。だが、それは米帝の強さの現れではけっしてなく、まったく逆に、超大国・米帝の没落の運命をはっきりと示すものである。戦争によってしか、米帝は延命できなくなっているのだ。
日帝は、91年の湾岸戦争以来10年以上、米帝のイラク攻撃を全面的に援助してきた極悪の帝国主義だ。イラクに空爆を繰り返してきた戦闘機は三沢と嘉手納の基地から交代で派遣された米空軍部隊だ。佐世保に寄港し補給した米空母リンカーンは、攻撃部隊を満載してペルシャ湾に展開している。また湾岸戦争の際の日本政府の130億jの援助資金が米軍によるイラク人民虐殺に使われてきた。
小泉が成立を狙う有事立法および新テロ対策特措法は、アフガニスタン→パレスチナ→イラク→北朝鮮へと世界戦争計画を拡大する米帝の動向に、日帝が争闘戦的に対応し、日帝自身の世界侵略戦争計画を実行していくための決定的なステップである。イラク反戦・有事立法粉砕の闘いは、まさにイラク・中東人民に対する血債のかかった、国際連帯の闘いなのだ。
イラク情勢と連動して、米帝は10月冒頭、ケリー米国務次官補が北朝鮮に乗り込み、戦争の脅しを背景に北朝鮮の屈服を迫った。イラク攻撃準備に全力を挙げつつ、米帝は朝鮮情勢をコントロールしながら、次に向けて北朝鮮侵略戦争の準備を進めているのだ。
このアメリカ帝国主義の全世界的な戦争政策は、一方で、全世界的な労働者階級・被抑圧民族人民の国際連帯による決起の条件をつくり出しつつある。
パレスチナでは、10月7日、イスラエル軍がガザ地区南部のハンユニスの民間地区を戦車とヘリで攻撃し、子ども4人を含む14人を虐殺し、百人以上を負傷させた。パレスチナ人民の怒りは沸騰し、新たな反イスラエル闘争が燃え上がっている。9月下旬、欧州ではロンドン40万人、ローマ10万人のイラク反戦デモが街頭を埋め尽くし、米ワシントンではG7に対して700人の逮捕者を出す抗議行動と、反戦デモが打ち抜かれた。10月6日にはニューヨークで2万人デモ、シカゴ、サンフランシスコ、ポートランドでも大規模デモが打ち抜かれた。
北米西海岸の港湾労働者は、荷役作業の合理化=首切り攻撃に反対し労働協約改定交渉でロサンゼルス、シアトルなど主要29港で闘いに立ち、資本のロックアウトに抗し、ブッシュ政権と米帝ブルジョアジーに大打撃を与えている。港湾封鎖の影響で、軍需産業も部品納入が滞り操業危機に陥った。これがイラク侵略戦争準備を進めるブッシュ政権を直撃した。大統領は8日の演説で、「米国の安全を脅かしている」と非難し、タフト・ハートレー法(労働関係法)による政府の指揮権発動に踏み切った。まさに、労働者の団結した闘いが、帝国主義の侵略戦争を粉砕する決定的な武器なのだ。
沖縄―日本からの米軍の出撃をとめよう。労働者階級は10・21イラク侵略戦争阻止・新テロ特措法粉砕・有事立法粉砕の歴史的大闘争に今こそ立ち上がろう。
第2章 拉致問題を使った排外主義うち破れ
日帝・小泉政権は、米帝のイラク攻撃の重圧を背景に、北朝鮮に全面屈服を強いる帝国主義的軍事外交を行っている。9・17日朝首脳会談で日帝は、過去の植民地支配と強制連行・強制徴用、日本軍軍隊慰安婦政策の一切について開き直り、謝罪と賠償を拒否した。そして、拉致・不審船問題を突きつけて「北朝鮮=テロ国家」と規定し、朝鮮侵略戦争の枠組みづくりを全力で行っている。
それに対して金正日スターリン主義は、プロレタリア自己解放闘争、世界革命に敵対するスターリン主義反革命だからこそ、対日植民地賠償という全朝鮮人民の痛切な願いに敵対し、いとも簡単に裏切ってしまったのだ。そして、在日朝鮮人民を日帝社会の排外主義襲撃の前にさらしているのである。
拉致問題は、日帝の植民地支配とその継続である朝鮮南北分断体制のもとで、北朝鮮スターリン主義によって引き起こされた反革命的、反人民的な軍事作戦であった。北朝鮮スターリン主義が行った作戦は、朝鮮の南北分断打破=革命的統一の立場に立ったものではなく、体制的延命のためのものでしかなかった。この点は、きっぱりと断罪しなくてはならない。
こうした中で、この拉致問題を口実とした日帝・小泉政権の対北朝鮮の排外主義攻撃、北朝鮮・中国侵略戦争法=有事立法制定策動を粉砕することこそが、プロレタリアート人民に問われている最大の闘いなのである。日帝は、拉致された人びと・家族の苦しみや悲しみをも狡猾(こうかつ)に使い、「人道」づらをして、北朝鮮侵略戦争の格好の口実としてこの問題を利用し、排外主義を扇動している。歴史的に見て、帝国主義による強盗的利害のための他民族虐殺の侵略戦争は、このようなたぐいの口実で強行されたのだ。日本の労働者階級人民は、再び日帝が侵略戦争に突入することを断じて許してはならない。
われわれは日帝の敗戦、植民地支配崩壊後も、帝国主義の侵略戦争(朝鮮戦争)とスターリン主義体制のもとで苦闘してきた北朝鮮人民、南北朝鮮人民と、今こそ血債をかけて連帯し、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争を阻止するために全力で闘い抜かなくてはならない。さらに、一切の排外主義襲撃から在日朝鮮人民を防衛して闘わなくてはならない。
「米日帝国主義の北朝鮮侵略戦争絶対阻止、金正日スターリン主義打倒! 朝鮮人民と連帯し米日帝国主義打倒、南北分断打破・革命的統一をかちとれ」の旗を掲げて闘いぬこう。
有事立法突撃内閣と対決を
小泉改造内閣の反動的性格は次のように特徴づけられる。まず@対北朝鮮排外主義をあおり、有事立法と個人情報保護法案(報道・言論規制法案)を臨時国会で成立させようとしている有事立法突撃内閣である。
A日帝の金融危機が爆発している中で、日帝・金融独占資本の延命と救済のために、一層の倒産ラッシュと大失業を労働者に強制する内閣であり、B社会保障制度を解体し、治安弾圧で反戦運動と労働運動を弾圧する内閣である。
新防衛庁長官・石破茂は超タカ派国防族の政治家だ。「有事法制は一日も早く成立させたい」と発言し、国家総動員体制の確立を強調し、そのための民間防衛基本法を提唱している極悪の人物である。
この小泉と石破のもとで日帝は、有事立法制定攻撃を全力で進めている。8日の全国都道府県知事会議で政府は「国民保護法制」概要の素案を提示し、検討状況を説明した。
同法制では、民間人に対する物資保管や業務従事、土地提供の命令権を、国・自治体に付与する。命令に従わなかった場合の罰則規定を盛り込む。また一般国民が参加する民間防衛組織の設置に向けて「国民の協力」を明記する。それは、まさに国家総動員法的な内容だ。福田官房長官は「臨時国会で法案の輪郭を示す」としている。これと全力で闘おう。
イラク反戦・有事立法粉砕の最先端の戦略的闘いとして、沖縄闘争と三里塚闘争を強化しよう。
第3章 連合打倒し階級的労働運動の前進を
29年型世界大恐慌がいま一層深刻化し、本格化しつつある。10日の日経平均株価は一時19年ぶりに8100円台にまで下落した。9日のNYダウも5年ぶりの安値を更新した。世界同時株安が進行している。
倒産やリストラによる失業者の増加に加えて、労働者は賃下げと社会保険料の負担増にあえいでいる。小泉・竹中の「不良債権処理」策の強行は、これまでの水準をはるかに超える連続的な企業倒産、大量首切り・失業、賃下げ攻撃をもたらすものだ。
失業、賃下げ、労働強化、労働災害などで労働者階級が日に日に追いつめられている。労働者階級は闘わなければ生きられない。
動労千葉は10月6、7日、定期大会を圧倒的にかちとった。労働者の団結を大切にして、階級的原則を貫いて闘う労働組合の強さと自己解放性、エネルギーが満ちあふれている。動労千葉および民間の戦闘的労働組合の闘いに学び、連帯し、大失業時代の労働運動の前進をかちとろう。
連合は日帝・ブルジョアジーの手先だ。有事立法に賛成する5・16連合見解に続き、今度は9・12共闘禁止通達で、有事立法反対闘争の高揚に対する制動・陣形破壊に踏み込んできた。さらに賃金闘争を完全放棄し、春闘解体路線を突き進んでいる。労働者階級の味方づらをした敵階級の手先=連合指導部を倒すことは階級的団結を固めるための必須不可欠の闘いだ。〈闘う新潮流〉が今こそ労働運動の主流派に躍り出なければならない。国鉄労働者を先頭に階級的労働運動の怒りと力で、10・7弾圧をぶっ飛ばして前進しよう。今こそ団結し、小泉極反動政権打倒、日帝打倒の闘いに決然と立ち上がろう。
さらに、03年統一地方選勝利への闘いをいよいよ強めよう。10・27狭山闘争に決起しよう。獄中同志奪還、1億円基金運動を推し進めよう。
この激戦激闘の中でこそ党を建設しよう。全人民の中に『前進』を広めよう。
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週刊『前進』(2074号1面2)
闘争団・国労組合員ら8人のデッチあげ逮捕を弾劾する
権力に仲間売り渡した国労本部・東京地本許すな
(1)
国労第70回定期大会の代議員選挙(10月18日投票)告示日にあたる10月7日の早朝、警視庁公安部は1都1府2県の計8カ所を一斉に捜索し、闘争団2人を始め国労組合員5人と支援3人の計8人をデッチあげ逮捕する大弾圧を強行した。
これは、日帝国家権力による国鉄闘争と戦闘的労働運動に対する未曽有(みぞう)のデッチあげ弾圧である。また、ここにおいて国労本部と東京地本の酒田・阿部一派は、闘争団と国労組合員を権力に売り渡す恥ずべき大裏切りを演じた。
すべての国労組合員、全国の闘う労働者の怒りの総反撃で、絶対に粉砕しなければならない。
(2)
この大弾圧は第一に、日帝・小泉の有事立法攻撃と一体をなす、労働運動・労働組合運動へのすさまじい治安弾圧攻撃である。
権力が弾圧の口実にしているのは、5・27国労臨大での宿舎前のビラまき行動だ。国労本部と東京地本の指令により、東京地本の組合員ははからずも機動隊導入の攻撃に加担させられ、警備に動員されていた。それを目の当たりにして、警備動員をきっぱりと拒否するよう、必死に説得したのである。国労の団結と闘いを守るための、労働組合運動としてまったく当たり前の正義の行動であった。
国労本部は、4党合意や与党3党声明という国家権力の労働組合への支配介入を受け入れ、闘争団を切り捨てる運動方針を強行しようとしていた。それに断固反対することを訴えた行動は、闘う国労を守り、闘争団の切り捨てを阻むための、組合員としてあまりに当然の行為である。
それは、どんな労組の大会でも行われるまったく正当な闘いだ。ところが権力は、それを「暴力行為」にデッチあげ、全国一斉の不当逮捕を強行した。断じて許せないことである。
第二に、権力は不当弾圧の手段として「暴力行為等処罰法」を適用した。これは、爆発物取締罰則とともに戦前から存続する悪法であり、治安維持法、治安警察法のもとで労働組合運動と争議行為の弾圧に猛威を振るった治安法である。
この法律は、「団体または多衆の威力を背景とする集団的暴行・脅迫、器物損壊・面会強要」を特に重く処罰すると規定する。争議の抑圧を公然と叫ぶ治安警察法の条文撤廃と併せて制定されたこの法律のもとで、労働運動弾圧は逆に無制限に拡大され、1926年の制定以後わずか2年間で51件に適用され、被逮捕者は382人に及んだ。
この法律が適用されたことは、今回の弾圧が有事立法攻撃下のデッチあげ治安弾圧、政治弾圧であり、労働運動圧殺攻撃そのものであることの証明だ。
今回の弾圧の核心は、まさに労働基本権=団結権の解体にある。それは闘争団と国労組合員、すべての労働者にかけられた労働組合運動圧殺攻撃なのである。
第三に、この弾圧は、4党合意や与党3党声明が完全に破産する中で、国鉄闘争の不屈の前進に追い詰められた国家権力が、むき出しの国労解体、国鉄闘争圧殺の攻撃に出てきたことを示している。
不当逮捕された国労組合員はすべて、4党合意を不当労働行為として訴えた労働委員会闘争の申立人である。4党合意撤回労働委闘争は、不当労働行為の張本人である自民党・甘利を証人喚問にまで追い詰めた。この闘いは、4党合意を破産に追い込む原動力となった。この弾圧は、まさにこれに対する報復だ。弾圧の元凶こそ、甘利その人なのである。
4党合意が完全に破産する中で、動労千葉と国労闘争団、全動労が合流し、1047人闘争は分割・民営化以来の全反動を打ち破って新たに発展しようとしている。今回の弾圧は、このことへの恐怖にかられた反動だ。1047人闘争を解体し、国鉄闘争陣形を分断する攻撃を絶対に粉砕しなければならない。
第四に、この弾圧は、国労本部、チャレンジと反動革同、東京地本・酒田一派の、闘争団と国労組合員を権力に売り渡すとんでもない裏切りとして行われた。
彼らは、労働組合の争議を圧殺し、労働基本権解体を狙う権力の治安弾圧攻撃の前に闘争団・組合員を差し出したのだ。あくまで国労内の方針をめぐる政治的対立としてあった事態に権力が介入し、大弾圧を強行したのは、東京地本の酒田、阿部、芝崎、笹原らの極悪どもと国労本部のチャレンジ、反動革同が全面協力し、組合員を権力に売り渡したからなのだ。
これこそ4党合意の帰結である。4党合意強行のために国労大会に機動隊を導入した極反動どもの裏切りは、ついにここまで行き着いた。
東京地本・酒田一派、本部のチャレンジ・反動革同どもは、代議員選挙と大会を前にして、4党合意の完全な破産にもかかわらず、なおもそれにしがみついている。彼らが、闘争団切り捨て−連合への合流路線に自らの延命を託したのも、今回の弾圧を前提にしていたからにほかならない。
だが、この大弾圧は、怒りの火に油を注ぐものとなった。反動どもは、自ら墓穴を掘ったのだ。
第五に、この弾圧は、9・11反米ゲリラ戦争以降の世界戦争突入情勢、米帝(国際帝)のイラク侵略戦争の切迫、これに共同的=競合的に参戦しようする小泉の有事立法攻撃と一体のものであり、侵略戦争体制を構築するための攻撃だ。
それは、国鉄闘争解体を狙うだけでなく、闘う労働運動の新潮流運動の発展や、有事立法反対を闘う陣形の前進を圧殺・分断する目的を持っている。
(3)
この弾圧を絶対に許してはならない。すべての国労組合員、全国の闘う労働者の怒りの総反撃で粉砕しなければならない。
獄中の8人の仲間を守りぬき、即時奪還をかちとろう。檄文を集中しよう。権力と国労本部・東京地本への抗議の嵐を巻き起こそう。未曽有の大弾圧への怒りを、今秋決戦の爆発への決定的なバネに転化して闘おう。11月労働者大結集運動の発展を切り開こう。
何よりも、代議員選勝利と11・24−25国労大会決戦勝利ヘ総決起し、今こそ全反動どもを打倒して、国労の闘う旗を守り抜こう。
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週刊『前進』(2074号1面3)
資本攻勢うち破れ 11月労働者総決起へ
破局的な経済危機が深まる中で大失業攻撃が激化しています。これと真っ向から対決する11月労働者総決起に向けて、この間の資本攻勢の特徴を暴くシリーズを開始します。
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週刊『前進』(2074号2面1)
動労千葉定期大会 田中体制1年に確信 “1047名闘争の全面に”
第2分割・民営化と闘う方針
10月6、7日、国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は第31回定期大会を千葉市のDC会館で開催した。昨年の大会で田中康宏委員長の新執行体制を確立して以来1年、02春闘ストを始めとした闘いに確信を深め、第2の分割・民営化に立ち向かい、1047名闘争の前面に打って出る闘争方針を決定した。
“敵を追いつめ主導権握った”
今大会のメインスローガンは「大失業と戦争の時代、第2の分割・民営化攻撃に敢然とたち向かう不屈の団結で、動労千葉の明日をきりひらこう!」だ。昨年の大会は「新世代の動労千葉」の確立が目標だったが、いよいよその真価を発揮する時が来たのだ。
田中委員長は冒頭のあいさつで、この1年間を「攻防の主導権をとり、組合員の団結した力が見事に敵を追いつめた」と自信に満ちて総括した。
情勢の厳しさを見ても、それは簡単なことではなかった。昨年9・11反米ゲリラ戦とアメリカの10・7アフガニスタン侵略戦争の開始という荒波の中に田中新体制は船出した。第2の分割・民営化攻撃が本格化し、検修・構内作業の全面外注化攻撃が迫っていた。その対象となる幕張支部所属の繁沢敬一副委員長と長田敏之組織部長が、年末に強制配転された。これは「敵の戦闘宣言であり、これにいかに立ち向かうのかが試金石だった」のだ。
執行部は02春闘3カ月決戦を決断し、長期の非協力闘争と4日間のストライキに決起した。そして外注化提案を阻止し、新保全体系合理化も支社をして「とん挫した」と言わせるところまで押し返し、組織破壊攻撃を完全にくい止めたのだ。田中委員長は「団結して闘えば必ず勝利できる」と訴え、「第2ラウンドに突入する」と宣言した。
田中委員長はまた、4党合意が破産した状況のもとで、「動労千葉が1047名闘争の前面に登場し、一から再構築する決意だ」と訴えた。
さらに、この1年間で4人の組織拡大を実現したことを明らかにし、JR総連解体、「平成採用」の青年労働者の獲得に打って出る決意を表明した。
東労組・小林の発言撤回求め
繁沢副委員長が経過報告を行い、中村栄一書記長が運動方針案を提案した。方針案の「闘いの課題」は次のとおりだ。
@1047名(動労千葉9名)闘争が国労の解体か再生かをかけた決定的局面を迎えていることを見すえ、全力で立ち上がる。
A1年間の地平の上に、ニューフロンティア21、ニューチャレンジ21=第2の分割・民営化攻撃粉砕に向けて全力で立ち上がる。
B反合・運転保安闘争の全面的な強化をかちとる。
C闘う労働運動の全国ネットワークの発展―春闘の再構築をめざして、03春闘に全力で立ち上がる。
Dイラク―北朝鮮への侵略戦争阻止、有事立法制定絶対阻止、小泉超反動政権打倒、反戦・政治闘争の高揚をめざす。
EJR総連解体―組織防衛・強化・拡大の闘いに組織の総力で決起する。
特に、「1047名闘争をめぐる新たな事態は、動労千葉の存在と闘いを情勢決定要因として押し上げている。それゆえに密集せる反動が集中する。われわれにも大きな飛躍を突きつけている」とした上で、動労千葉・国労・全動労にまたがる1047名の統一した闘いが必要であること、国労が資本―カクマル結託体制と真正面から闘い抜くことを訴えた。
さらに、JR総連解体に向けて、東労組千葉地本委員長・小林克也の「動労千葉をつぶす」という発言に対して、謝罪・撤回まで闘い抜くことを提起した。
討論は、例年以上に活発に行われた。幕張支部の外注化阻止の闘いが前進した報告、貨物職場の統廃合阻止に向けた闘いの強化を訴える発言、駅合理化との闘いや強制配転者の原職復帰への決意などが語られた。
田中委員長は総括答弁で特に「組織拡大に全精力を使ってほしい」と奮起を促し、動労千葉が全日建運輸連帯関西地区生コン支部と全国金属機械港合同とともに呼びかけている11・10全国労働者総決起集会に組織を挙げて取り組むことを訴えた。
運動方針を満場一致で承認し、スト権を満票で確立した。「イラク侵略戦争反対、有事立法制定阻止、戦争協力拒否に向けた特別決議」が採択された。
最後に君塚正治副委員長が「方針を血や肉にするために、各支部で闘う体制を固めてほしい」と閉会の言葉を述べた。
集会には多くの来賓や支援が参加した。三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長は、「労働者と共闘し、反戦の砦(とりで)として勝利する。10・13三里塚集会に結集してほしい」と訴えた。さらに顧問弁護団の葉山岳夫弁護士、社民党千葉県連合、新社会党千葉県本部、動労水戸、OB会、家族会などが連帯あいさつ。動労千葉議員団の中江昌夫船橋市議、中村俊六郎御宿町議、水野正美勝浦市議が発言し、来春統一地方選の勝利へ闘うことを確認した。
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週刊『前進』(2074号2面2)
「運転台の目線で闘う」 布施前副委員長を励ます会
布施宇一前副委員長が顧問に退くことになり、大会1日目終了後、「励ます会」が千葉市内で開かれた(写真)。61年に国鉄に入社し、79年に不当解雇。常に第一線に立ち続け、分割・民営化反対のストで公労法解雇された28人の解雇撤回に尽力。「常に運転台にいる目線で臨んだ」と勝利の教訓を語った。
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週刊『前進』(2074号2面3)
国労代議員選勝利を 弾圧に加担した本部打倒へ
国労定期大会に向けての代議員選挙は、4党合意−3党声明による国労解体を許すのか、それを粉砕して国労の再生をかちとるのかをかけた大決戦である。
大会代議員選告示日の10月7日、国家権力は国労組合員5人、支援者3人を不当にも逮捕しさった。被逮捕者の中には、代議員選挙への立候補の意志を表明していた組合員も含まれている。不当逮捕は、代議員選挙と国労そのものに対する弾圧だ。権力は、組合員が自主的にその代表を選ぶことを禁圧し、国労を警察管理下の組合に決定的に変質させることを狙っている。
この弾圧を手引きしたのは、高嶋・寺内らチャレンジや久保・山根・上村ら反動革同、東京地本の酒田・阿部・芝崎らの極反動だ。国家権力に屈して組合員を売り渡したこれら反動分子を代議員選でたたき落とすことをもって、権力の国労解体攻撃への回答としなければならない。
国労本部は、次期定期大会を国鉄闘争終結宣言の大会、966人闘争団員切り捨ての大会として強行しようとしている。本部が職場討議に下ろした大会議案(第1次草案)は、闘争団への統制処分をあらためて強調するとともに、全国単一体としての国労を解体し、JR連合に合流する意思をむき出しにした。
さらに本部は、国労の名前さえ投げ捨てるとした「宮坂補強案」をも上回る最悪の裏切り方針を突如として提案し、押し通すことまで策している。
だが、そんなことが組合員に受け入れられるわけがない。組合員を権力に売り渡す以外に、4党合意にしがみつくことも、執行部の座に居座る方策も見いだせなくなった国労本部。ここに彼らの最大の破綻(はたん)点がある。
鉄建公団訴訟を始めとする闘争団の不屈の闘いや、それを支えるJR組合員の決起が拡大する中で、国労本部は「4党合意による解決」の完全な破産に直面した。だが、彼らは4党合意にしがみつく以外に延命の道を断たれている。
だからこそチャレンジと反動革同、酒田一派らは、追いつめられた末の最悪のあがきとして、この弾圧に加担したのだ。
国労本部は、闘争団の除名を迫る与党3党声明にはいつくばり、「崇高な理念に基づく4党合意」と言いなして5・27臨大を強行した。闘争団への生活援助金の支給も停止した。闘争団の首を切った自民党の求めに応じて国労から闘争団を除名する――この悪らつきわまる5・27臨大決定の暴力的本質は、今回の弾圧でむき出しになった。こうして本部は、逮捕・投獄の恫喝で組合員を押し黙らせ、闘争団の除名に突き進もうとしているのだ。
5・27臨大における抗議行動を口実に強行されたこの弾圧は、5・27臨大決定と完全に対をなしている。3党声明を受諾した国労本部は、反対する組合員を権力に売り渡し、獄壁に閉じこめることをもって、あくまでも権力の庇護(ひご)のもとに生き延びようとあがいている。
今回の弾圧は、「暴力行為の処罰に関する法律」という戦前来の争議弾圧法を振りかざし、組合運動に「暴力行為」をデッチあげて強行された。それに全面的に協力したチャレンジと反動革同、酒田一派に労働組合を名乗る資格は一切ない。国労結成以来の営々たる闘いの中で確立された国労綱領は、「政府・資本の側の不当な弾圧、干渉を排して、労働基本権の確立をはかるために闘う」とうたっている。この綱領は、弾圧を積極的に導き入れた国労本部の手で無残にも引き裂かれ、徹底的にじゅうりんされた。国労に背を向けた統制違反者は、高嶋・寺内・久保・酒田ら執行部に居座る一握りの極反動だ。
こうした裏切り執行部を打倒し、4党合意を破棄しなければ、国労は労働組合とは名ばかりの、警察管理下の「警察労働運動」に転落してしまう。イラク侵略戦争・有事立法情勢のもとでそれは、侵略戦争に労働者を強制動員する産業報国会へと一気に突き進むということだ。
チャレンジや反動革同、酒田一派らは、この弾圧で大会をのりきることができると小躍りしているという。なんとおぞましいことか。組合員が不当逮捕されて手をたたいて喜ぶ労組幹部がどこにいるのか! 恥を知れ! これが彼らの正体だ。とりわけ日本共産党=反動革同よ。どんな言い訳をしようと、お前たちが労働者階級の敵対者であることは、はっきりと歴史に刻印されたのだ。
これら極反動どもを全組合員の怒りの決起で打ち倒すことをもってのみ、国労は階級的に再生する。
代議員選に必ず勝利し、本部打倒、4党合意破棄、1047人の解雇撤回闘争勝利へ突き進もう。
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週刊『前進』(2074号2面4)
全逓4・28反処分裁判 控訴審が始まる 被免職者が意見陳述
10月2日、全逓4・28懲戒免職処分取り消し訴訟の控訴審第1回口頭弁論が東京高裁民事第1部で開かれた。今年3月27日、同訴訟で東京地裁が被免職者の請求を棄却する超反動判決を下したのに対し、原告の被免職者7人全員が控訴したものだ。
4・28処分とは、全逓の78越年反マル生闘争に対して、79年4月28日にかけられた処分だ。郵政省当局の全逓つぶしを意図した露骨なマル生(生産性向上運動)の不当労働行為に対し、全逓本部の指導のもとに78年末から79年にかけて年賀を含む1億6千万通の郵便物を滞留させた空前の争議が闘われた。これに対して、全国で解雇3人、懲戒免職58人を始め8183人もの大量不当処分が行われた。特に東京地本は懲戒免職55人で、若い現場労働者に集中してかけられた。
この処分の取り消しを求め、全逓本部の闘争終結―被免職者切り捨てを打ち破って裁判は続けられた。
一審東京地裁判決は、郵政当局のマル生攻撃を免罪し、全逓本部の指導に従ったにすぎない一般組合員を免職にするという違法な処分を「処分権者の裁量権」をふりかざして容認した超反動判決だった。国労に対する5・28反動判決と同様、労働者の団結権を侵害する許しがたい判決だ。
この日の裁判で、被免職者の神矢努さんが意見陳述を行った。特に、一審判決が当局のマル生攻撃を無視したことに抗議し、それぞれの職場で当局と全郵政が一体となって全逓組合員に対する脱退強要などの不当労働行為を露骨に、また陰湿に行ったことを具体的に明らかにした。
そして、反マル生闘争は、これに対する労働組合としての当然の反撃の闘いであることを烈々と訴え、原判決の破棄を求めた。
江見弘武裁判長は、国鉄分割・民営化を前に、最高裁調査官から国鉄総裁室に出向し、国鉄改革法の原案を作成した人物だ。裁判の行方は予断を許さない。被免職者らは、なんとしても勝利し、原職奪還をかちとる決意を新たにした。次回口頭弁論は、12月2日に行われる。
被免職者と支援の全逓労働者らは、裁判を前に裁判所前で宣伝行動を行った。約50人が傍聴に集まった。国労闘争団の鉄建公団訴訟原告らも駆けつけた。
4・28反処分闘争は、郵政民営化攻撃を打ち砕き、闘う全逓労働運動の再生に向けた結集軸となる闘いだ。また、国鉄1047人闘争とともに、日本労働者階級の未来をかけた闘いだ。全力で支援しよう。
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週刊『前進』(2074号2面5)
(5)
●インタビュー 国労闘争団
今、多数派になる時が来た
本部追いつめた力に自信もち、攻めに入ろう
北海道E闘争団 Tさん
破産示す方針案
――国労本部が大会議案を出しましたが、感想は。
T いよいよ本部は打つ手がなくなったと、強く感じますね。生活援助金を止め、物販から排除し、それでも闘う側は全然動揺しない。9月26日には鉄建公団訴訟も始まりました。
そういう中で出た運動方針案は、表紙に「解決案を批准するための大会とするために全力をあげる」と書いてある。「4党合意で解決できなかった」と認めたら、本部は責任をとって総辞職せざるをえないから、「解決案は出ない」とは絶対に言えない、だからあくまでも4党合意にしがみついているという惨状です。
しかも、°国労組織の全国単一体の解消″を言い出した。いよいよ本音が出てきたと思いましたね。
われわれに除名処分の脅しもかけたけれど、査問委員会の審議も進まず、今大会では処分できないこともはっきりした。
もうどうしようもない状態に本部が陥っていることは、はっきりしています。
本部は、「生活援助金を止めればすぐ降参するだろう」と甘く見ていたんでしょう。でもそうはいかないところに闘う側が追いつめたし、結局その闘いが、共産党も方針転換せざるをえないところに追いつめた。
あとは、闘う側が勝利の戦略をしっかり打ち出していくことが重要だと思っています。今までも確信はあったけど、とにかく本部の攻勢に防戦する方が忙しかったよね。それが今、間違いなくこちらが攻める局面に入った。だからこそ、一人ひとりが確信を持って闘える戦略をつくり出すことが大切だろうと思います。
われわれが国労の多数派にならないと解決しないことははっきりしているわけで、今こそ多数派になる戦略をつくり上げていくことが、大事な課題でしょう。JR本体にもわれわれと一緒に闘う人たちは多く存在しているし、今まで中間的に動揺していた人たちも闘う戦列にくる局面が来ていると思っています。
――共産党が「路線転換」を打ち出しましたが。
T 今度ばかりは、革同賛成派の指導部は深入りしすぎているから、今さら党中央に「路線転換」と言われても、転換するのはかなり難しいだろうとも思います。一般の組合員なら「失敗したな」と変わる人は多く出てくるだろうけど、指導部は全面自己批判して方針転換することなどできないほど深入りしている。
しかし、革同内で大変な内部抗争が起きるだろうし、今まで賛成してきた革同から反対にまわる人は間違いなく出てくると思う。だからわれわれが、これまでの力関係を塗り替えて多数派になっていく展望と戦略をもって闘っていくことが重要だと考えています。
――今の国労本部について、どう感じてますか。
T 国労の歴史を振り返ると、修善寺大会で一番腐敗したところを追い出したのに、その本部がまた同じようになっちゃった。もちろんそうならなかった立派な人もいますが、そういうことの繰り返しでした。
現場の力が源泉
国労は、腐敗した幹部を批判し、あまり悪質なら放り出すという、下からの突き上げの力を持っていた。その力の源泉は、国鉄労働者が自分の仕事に誇りを持っていたということでしょう。「一生ヒラの職員でいい。現場で仕事を回しているおれたちの方が、管理職より偉いんだ」という誇りを多くの現場組合員が持っていたことが、腐った幹部を放り出し、国労を腐敗させない力になっていた。
今JRに残っている国労組合員は、そりゃ多少給料は安いけど、でも「生き方とカネのどっちを選ぶんだ」と言われたら「生き方を選ぶ」って人たちですから、まだ健全ですよね。
――分割・民営化の前に「クビになる腹は固まってた」と言う人もいます。
T 86年秋ころにはみんな「国労にいたら残れんのは当たり前」と腹をくくっていたというのはありましたよ。でも最初から「労働者のために」とか思想とかそんなんじゃなくて、「うまくいけば清算事業団で再就職できるんじゃないか」という思いも多少は持っていた。ところが清算事業団に行ったら中身が大違い。「再就職なんてどこの話だ、冗談じゃねぇ」って尻まくって、闘争団になったというのが正直なところでしょう。闘争団に共通するのはとりわけ清算事業団の3年間への怒りですよね。
筋を曲げない
だから絶対に筋を曲げたくないですよね。でもHIV訴訟やハンセン病でも、国に責任を認めさせるまでにたくさんの人が亡くなっていますよね。あそこまでの厳しさで闘って、敵が謝罪するところまで追い込まなければならない。「自分たちは生活をかけて闘っている」と訴えることができた時に、大衆的な広がりも持てるんだと思う。
――今、国鉄闘争に新たな支援が広がってますね。
T 新たに闘いに加わってきている人たちもいるし、戦略的には展望がいっぱいあると思っています。しかし他方で、今までの支援陣形の中で、この2年間のごたごたで離れてしまっている人もいる。国鉄闘争への意識的な支援をつくり直すことが課題でしょう。
――最後に、大会に向けて一言お願いします。
T 今、われわれが本部に勝てる展望が現実に開けてきた。国労の中で自分たちが主流派になる、解決の主導権を自分たちがとるという条件ができてきた。そのことに自信と確信を持って闘っていきます。
(聞き手/本紙・上原祐希)
国鉄闘争関連年表(2000〜02年)
00年 |
5月30日 |
4党合意。国労に「JRに法的責任なし」の大会決定を求める |
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7月 1日 |
第66回臨時大会。組合員が壇上占拠、休会に追い込む |
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8月26日 |
臨大続開大会。4党合意承認を再び阻む |
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9月末 |
一票投票強行 |
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10月28、29日 |
第67回定期大会。休会に追い込み、4党合意承認を三たび阻む |
01年 |
1月27日 |
定期大会続開大会。機動隊の制圧下で4党合意の大会承認を強行 |
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10月13、14日 |
第68回定期大会 |
02年 |
1月28日 |
鉄建公団訴訟を提訴 |
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2月 3日 |
第172回中央委員会。闘争団処分への査問委設置を決定 |
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4月16日 |
「1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」結成 |
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4月25日 |
本部が生活援助金凍結を決定 |
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4月26日 |
与党3党声明 |
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5月27日 |
第69回臨時大会。次期大会で闘争団を統制処分に付すと決定 |
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6月 6日 |
甘利が闘争団の除名を要求 |
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7月11日 |
甘利が「解決内容はゼロかプラスアルファ」と言明 |
◎取材メモ
国鉄にクビを切られて15年半、大学生や社会人になった団員の子どもも多い。「僕は『尊敬する人は誰か』と聞かれたら『父です』と答えます」と言う息子さん。「人生、好きなように生きていていいんじゃない?」と優しく笑う娘さん。子どもの言葉からも団員の生き様がうかがえた。
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週刊『前進』(2074号2面6)
「他労組へ威圧、嫌がらせ的行動」 東労組、カクマル色むき出しに
分科会長 JR東労組高崎車掌区分会
各殿 執行委員長 柳沢 学
青年部長 他労組 解体班
一企業一労働組合の実現をめざした行動への参加のお願い
お疲れさまです。この間の三機関合同でのたたかいに、心から敬意を表します。
さて、私たちJR東労組高崎車掌区分会は、たたかいの柱の一つである「他労組解体」のたたかいを推し進めているところです。朝ビラ配布や社宅ビラ配布、そして役員との論争など、職場から具体的なたたかいを展開しています。
この度、「他労組組合員への家庭訪問」を実施したいと考えます。3930M問題、磯部駅事件、マンガ本事件、そして淫行事件と、他労組に「やられてばかり」の私たちでした。他労組組合員宅への訪問を行い、威圧や嫌がらせ的行動を展開したい所存でおります。
何かとお忙しいとは思いますが、分科会や青年部のみなさまのお力をお借りして、たたかいを貫徹したいと思っております。是非、ご理解とご協力の程を宜しくお願い申し上げます。
つきましては、下記の通りに行動を展開致しますので、分科会・青年部の各常任委員への参加要請と、お一人一回の具体的参加のご報告をお願い致します。お手数をお掛け致しますが、宜しくお願い致します。
上に掲載した文書は、JR東労組高崎車掌区分会が8月に「公式」に出したものだ。これが労働組合の文書と言えるのか。「他労組解体班」なる組織をつくり「他労組組合員宅への訪問を行い、威圧や嫌がらせ的行動を展開したい所存でおります」と、分科会や青年部に動員指令を出しているのだ。こんなことを平気で書ける感性はいったい何だ。それはカクマルそのものだ。カクマル本体と分裂したことで、「自分たちはカクマルではない」と言い張ろうが、カクマルの本性はまったく変わらないのだ。
今や、東労組のカクマル支配は崩壊の危機にある。「不祥事」続きで、自らの組合員からも忌み嫌われるカクマル分子が、他労組への攻撃で内部固めを図ろうという魂胆のようだが、ますます組合員の離反を招くだけだ。東労組組合員は今こそカクマル支配と決別しよう。
「動労千葉を絶対つぶす」と公言して東労組千葉地本の委員長に就任した小林克也は、この高崎車掌区出身である。高崎車掌区で東労組を脱退して国労に加入した「平成採」の青年労働者3人を拉致・監禁した張本人だ。千葉地本のてこ入れのために送り込まれた人物だ。断じて許すな!
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週刊『前進』(2074号3面1)
第1回
小泉の大失業攻撃に反撃を
恐慌激化と倒産ラッシュ 加速する終身雇用制の解体
29年大恐慌を上回る世界大恐慌が本格化しつつある。どんづまりの日帝資本は、資本攻勢を一挙にエスカレートさせようとしている。日本の労働者階級は、イラク侵略戦争阻止、有事立法粉砕へ戦後最大の政治決戦を闘いとるとともに、この一大資本攻勢を打ち破るために団結して総決起しなければならない。臨時国会攻防が本格化し、国労の定期大会が開催される11月は、日本労働者階級の死活をかけた決戦の時となる。大失業と戦争の攻撃を打ち破るために、労働組合の防衛と再生をかけて11月労働者大結集運動を成功させよう。そのために、現在の大失業攻撃―一大資本攻勢の特徴を明らかにしながら、「全労働者の団結」で反撃することを訴えたい。
今こそ資本主義にノー
日本の株価はバブル崩壊後の最安値を更新し続け、83年以来19年ぶりの水準に落ち込んでいる。10月9日には日経平均株価が一時8500円割れを記録した。金融恐慌が再爆発する危機の中で、日銀は大手銀行が保有している大企業の株式を直接に買い取ることを決定した。帝国主義の歴史上にない「禁じ手」である。もはや資本主義―帝国主義の「自己破産宣言」とも言うべき事態である。
こうした中で日帝・小泉政権は、有事立法強行体制を固めるとともに、どんづまりの経済危機を打開すると称して内閣改造を行った。柳沢金融相を更迭し、竹中経済財政担当相に金融相を兼任させ、不良債権処理の加速と公的資金再投入を強行する「ハードランディング(強行着陸)」路線に転換しつつある。これは日帝経済の恐慌を再爆発させ、倒産ラッシュを引き起こし、リストラ・大失業を強制する政策だ。
不良債権処理の加速とは、過剰債務を抱える企業を暴力的に整理し、大手銀行も「国有化」したり大再編することを意味する。竹中は「本当に痛んでいれば、(企業が)大きいからといって放っておくと周りも悪くなる。悪いところは退出してもらう」と、大企業でも構わずにつぶすと公言している。金融庁は不振企業の再建計画の前倒しを求める方針であり、ゼネコン、不動産、流通などで企業再編や倒産の加速は必至だ。スーパー大手のダイエーも含まれる。倒産激増の影響は数百万人に及ぶ。
小泉の「構造改革」は完全に破産した。その中で出てきた竹中主導のハードランディング路線は、より反人民的で破滅的な政策である。小泉や竹中らの言動が株安を促進している。その中でひたすら倒産と失業を激増させ、労働者人民に犠牲を転嫁するというのだ。
もともと小泉「聖域なき構造改革」路線は実に反人民的で、破滅的な政策だった。小泉が登場して以来やったことは、歴代内閣が果たせなかった有事立法の国会提出であり、かつてない大失業攻撃である。それは端的に言って、戦後の憲法9条体制と終身雇用制に象徴される労働者支配のあり方を全面的に転換することである。日帝・小泉は、いよいよその「聖域」に本格的に踏み込んできた。
労働者階級は、資本の代弁者になった連合や「資本主義の枠内での民主的改革」を掲げる日共・全労連のもとでは闘うことはできない。資本主義・帝国主義にノーを宣告して闘うべき時代を迎えているのだ。
ここで現在の大失業攻撃の実態を見てみよう。
8月の完全失業率は、4カ月連続の5・4%を記録した。完全失業者数は361万人で17カ月連続で増えている。この17カ月は、ちょうど小泉政権の在任期間と重なる。(図参照)
また8月の常用雇用は前年同月比で42万人減り、13カ月連続マイナスとなった一方、臨時雇いは40万人増で8カ月連続増加となっている。正社員を不安定雇用労働者に置き換えている実態が明らかになる。
8月の企業倒産(負債額1千万円以上)の負債総額は前年同月比44・0%増で8月としては戦後2番目を記録した。
さらに、厚労省の「雇用政策研究会」は、06年までの5年間に1900万人(年平均380万人)が転職(首切り)を強いられるとしている。
日帝資本は、いよいよ日経連「新時代の『日本的経営』」路線を全面的に貫徹し、大リストラ・首切り、総額人件費削減の攻撃を推進しようとしている。
95年に日経連は「新時代の『日本的経営』」報告を発表した。それは、戦後日本の高度成長の原動力となったとされる「終身雇用制、年功賃金制、企業別組合」のいわゆる「三種の神器」を全面的に解体することを宣言したものだった。
その中で、「雇用・就業形態の多様化」を打ち出し、雇用形態を、@長期蓄積能力活用型グループ、A高度専門能力活用型グループ、B雇用柔軟型グループの三つに分ける考え方を打ち出した。すなわち、ごく一部の基幹的労働者を@の正社員とし、研究・開発などの専門的労働者をAとする以外は、大多数の労働者をBのパート、派遣、契約社員などの不安定雇用労働者にするということだ。
80年代のアメリカにおいて労働組合を徹底的に解体し、解雇の自由化と不安定雇用化を徹底して推し進めたように、日帝資本もそうした資本攻勢に踏み切ることを決断した。日帝は、その後、アメリカともヨーロッパとも違う日本的な「第3の道」を提唱するが、トヨタ自動車会長の奥田が日経連会長に就任して以降の00年労問研報告で本格的にアメリカ型資本攻勢を貫徹することをあらためて決断した。02年労問研報告では、「雇用多様化の推進」を特に強調している。それは、今年5月に日経連と経団連が統合した日本経団連(会長・奥田)にそのまま引き継がれている。
NTT型の大リストラ
日帝資本は、今日の日帝経済が帝国主義間争闘戦での敗勢にあり、その原因が「高コスト構造」にあるとして、それを是正するためには「雇用・賃金・労働時間を含めた総額人件費」を徹底して削減しようとしているのだ。本シリーズで後に賃下げ攻撃の実態を見るが、今回は総額人件費の削減のための大リストラ攻撃の特徴として、「アウトソーシング」(注)について見る。
その典型が、アウトソーシングによる転籍強要と実質的な50歳定年制を柱とするNTT型のリストラだ。
NTT東日本、西日本は、昨年4月に発表した「新3カ年計画」で11万人を子会社に移す大リストラ計画を打ち出した。電話の保守・管理、営業などの業務を新設の地域別子会社(アウトソーシング=OS会社)に外注化し、その業務で働く労働者を移すというものだ。特に51歳以上の労働者は、NTTをいったん退職し、子会社に2〜3割の賃金カットで再雇用されるという「転籍」を強制された。「本体に残れば全国どこにでも配転する」という恫喝のもとで、ほとんどの労働者が「自主的な選択」という形で退職・再雇用を強制されたのだ。本体に残った労働者には実際に遠隔地への配転が強制されている。NTT東日本は、来春にもまた本体の5000人を同様の手法で子会社に移す追加合理化策を打ち出そうとしている(10・9付日経新聞)。
また、JR東日本では「ニューフロンティア21」で業務の全面外注化が推進されている。その特徴は、鉄道輸送業務の根幹をなす保線、電気や電車の検査・修繕、構内運転などが外注化されることだ。駅の営業関係や車掌、運転の一部も外注化が画策されている。
さらに郵政公社化が来年に迫り、民営化が狙われているが、新たな公社が子会社に出資し、業務を委託することが狙われている。
いずれも、その部門で働く労働者を丸ごと子会社・外注会社に転籍し、本体の人員を大幅に削減しようとするものだ。労働者はその際に一挙に賃金を切り下げられる。さらに派遣やパートなどの不安定雇用労働者に置き換えられていく。
日本の製造業は、自動車に象徴されるように、部品は系列の下請け企業に委託し、本社工場は組み立てを専門とする形をとっていた。現在では、委託が組み立てラインにまで及び、派遣労働者が働いているという例が多い。こうした基幹部門のアウトソーシングがあらゆる産業で、これまでの外注化のレベルを超えたコストダウン=総額人件費削減、終身雇用制解体の攻撃として、大々的に採用されているのだ。自治体の現業部門の外部委託なども全面化している。
重要なことは、これらが労働組合の全面的な協力のもとで推進されていることだ。NTTでも労組の協力なしにはできなかった。また、郵政でもNTTのような合理化を全逓が提唱している。JRでもJR総連カクマルの協力によって推進されている。
つまり、労働組合がこうした攻撃を許さずに闘い抜くならば粉砕することができる。JRの外注化攻撃を阻止している動労千葉に学び闘おう。また、膨大な不安定雇用労働者、中小・未組織の労働者を組織することが死活的になっている。「全労働者の団結」こそが求められているのだ。
〔大沢 康〕
n■アウトソーシング (Outsourcing)
「外注化」「外部委託」などと訳されている。アメリカで80年代以来、大々的に推進された。情報処理部門に始まり、機械製造部門や経理、人事、管理運営まであらゆる部門が外部の会社に委託されている。
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週刊『前進』(2074号3面2)
事故の風化許さぬ 東海村臨界被曝事故3周年行動に参加して
99年9月30日午前10時35分、茨城県東海村のJCO東海事業所内で「青い光」が走った。JCO臨界被曝(ひばく)事故発生の瞬間である。事故現場に出現したのは作業に使用した100gの容器の「裸の液体原子炉」であった。この原子炉は事故後20時間も臨界を継続した。事故による大量被曝にのため、大内久さんと篠原理人(まこと)さんの2人の現場労働者が亡くなった。JCO従業員と周辺住民あわせて700人が被曝し、31万人の住民が避難した。
事故3周年の9月30日、9・30臨界事故3周年東京圏行動実行委員会主催の行動に参加した。
午前10時から、霞が関の経済産業省別館(原子力安全保安院がある)前で、2人の犠牲者の追悼と国に抗議する集会が行われた。事故原因をJCOの作業者に押しつけ、罪をかぶせようとしている国。被曝した多くの周辺住民を切り捨てる国。集会参加者から怒りの発言があいついだ。
午前10時35分、42人の参加者は2人の死を悼み1分間の黙祷(もくとう)を行った。集会後、15人の代表団が経済産業大臣あての事故原因再調査の申し入れ行動を行った。
夕方から、中央区京橋プラザで臨界事故3周年の集会が行われた。地域や職場でさまざまな運動に取り組んでいる220人が参加した。
主催者は基調報告で、この3年間に反原発に初めて取り組む団体の参加がいくつもあり、大きく広がった行動を実現できたことを報告した。また今後の方針として、事故の原因と責任を追及すること、原発を廃止させることなどを呼びかけた。
核物理学者の槌田敦さんが「JCO事故と原発事故」のテーマで講演を行った。槌田さんは、容量9・5gのバケツの使用ならば臨界事故はなかったと断言した。事故の責任は、100gの沈殿層の使用を許可した当時の科学技術庁と安全委にあり、処理能力のないJCOに委託した核燃料サイクル開発機構(旧動燃)も同罪だと指摘した。そして、最大の責任は臨界を知らない労働者(通常の仕事は排水処理係)に作業をさせたJCOにあると弾劾した。
また、背景には経済問題(親会社の住友金属鉱山での合理化によるJCOの「稼げるものなら何でも食う」経営方針)があることを暴露した。
最後に、東海村の臨界事故被害者の会が発言に立った。9月3日に、JCOと住友金属鉱山を相手とする損害賠償訴訟を水戸地裁に起こしたことを報告し、支援を訴えた。ただちに会場からカンパが集められた。
集会後、約100人の参加で日比谷公園までキャンドルデモ。途中の東京電力本社前では、検査偽造・損傷隠しに対し怒りのシュプレヒコールをたたきつけ、5分間にわたり弾劾行動を行った。
人類には核エネルギーを制御する力はない。核と人類は共存できない。労働者や住民を犠牲にしても原発を推進する国。そこに見えるのは、独自の核武装への道だ。有事立法攻撃と核武装の根っこはひとつ。闘いへの決意をあらたにした一日だった。(投稿 河上博)
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週刊『前進』(2074号3面3)
介護保険 全国ネットが厚労省交渉 高齢者の怒りで圧倒
「介護保険に異議あり!全国ネットワーク」が9月30日午後、衆議院第一議員会館第1会議室で厚生労働省交渉を行った。交渉には介護と福祉を要求する杉並住民の会、高槻健診介護要求者組合、東大阪国保と健康を守る会介護要求部会、荒本地区介護と福祉を要求する会を始め八尾や広島などから60人が参加した。
交渉には厚生労働省から介護保険課の舞立係長を始め老健局と保険局から5人の担当者が出席した。冒頭それぞれの参加団体の代表があいさつし、杉並の住民が要望書を読み上げた。
「『介護を社会全体で支える』との介護保険の理念が、うそ八百であることは完全に明らかであり、介護保険は直ちに廃止すべきです」と要求し、孤独死の実態調査、来年4月の保険料の値上げはどの程度になるのか、保険料減免措置を指示するのかどうか、第一号被保険者の保険料普通徴収の実態と払えない人への罰則適用についての4点にわたって回答を求めた。
厚労省の回答は、介護保険制度によって国が福祉の責任を投げ捨てたことを露骨に示す無責任なものに終始した。孤独死についての実態調査は何も行っていない。介護保険料が来年4月に値上げされる問題についても、各自治体が国から借金をした場合の返済期限を延ばすというほとんど無意味なものでしかない。
保険料減免措置については、国が減免をしてはならないと自治体を恫喝してきたことを隠して、最初から軽減策がとれるようになっているかのようなうそを答弁した。保険料を払えない人への罰則の問題についても、「払っている人がいる」ことを理由に罰則適用を居直った。
厚労省の回答に対して参加者が激しく追及した。
まず、孤独死や介護の先行きを悲観した心中や殺人の現実が杉並や東大阪から突き出された。「孤独死は、介護保険が始まってからだ。介護保険で十分介護を受けられているのはお金のある人だけ。お金のない人は金だけ取られて介護を受けられない」と。この追及と一体となって都政を革新する会の北島邦彦事務局長が杉並の孤独死の例を引きながら厚労省に詰め寄った。
また、保険料、利用料問題でも鋭い追及が行われた「介護保険で金だけ取られるけど、いざ病気になって医者に行こうと思っても一割負担で病院にも行けない。介護保険で2年間納めた金を返してほしい」「年金が夫婦ともない。夫婦で死にたいという気持ちでいっぱいです。なんとか介護保険料をただにしてほしい」「どうして役所は年寄りをいじめるのか。保険料をなしにしてほしい」と。ここでは結柴誠一前杉並区議が参加者の怒りの先頭に立った。
若い時は野球をやって元気だったという男性は「介護保険の2万6000円がかかってくるようになった。どうやって払えばいいのか。貯金通帳は8000円しか残っていない。年寄りを苦しめないでほしい」と絞り出すように訴えた。
この高齢者の訴えに厚労省の役人も完全に打ちひしがれた。その中で、保険料、利用料の減免について、「否定するものではない」と言い、これまで厚労省が減免措置を採らせないためにつけていた3条件(ゼロにはするな、一律減免はするな、一般財源は充てるなというもの)について「強制ではない」「市町村で適切に判断していただきたい」と言い出した。交渉の大きな成果だ。実際には、厚労省は強力にこの3条件を強制し、これによって自治体は減免措置などを拒否してきた経過がある。
だが、介護保険に対する人民の怒りが高まる中で、介護保険制度を維持しようとする日帝の政策が破たんしつつあるのだ。
最後に、まとめの集会を持ち、交渉で厚労省を追いつめて大きな成果をかちとったことを確認した。都政を革新する会の北島事務局長と結柴前区議が今後の闘いへの決意を表明。森田充二全国ネット事務局次長が、窓口となった社民党の議員秘書からも連帯して闘っていくとの表明があったことを報告し、この日の交渉の大きな成果を確認した。
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週刊『前進』(2074号3面4)
(8)
現本に運動の根幹学ぶ 弾圧には直ちに反撃を
被災地・雇用と生活要求者組合 長谷川正夫代表に聞く
シリーズ最終回に、95年の阪神・淡路大震災以来、被災地で反失業闘争の先頭に立ってこられた長谷川さんにお話をうかがいました。(編集局)
◇関西合同労組被災地現地闘争本部(現本)と出会ったきっかけは。
まず、この場を借りて95年1月の阪神・淡路大震災直後からの支援に、お礼を言いたい。全国の支援の力に支えられてきたし、その中で運動に目覚めてきた。
新聞広告の労働相談の見出しで10字位載っていたのがきっかけ。失業給付の話は知っていた。そこで職安に交渉に行ったが、「事業主を探してこい」と。しかし事業主は焼け出されてどこか分からない。神戸新聞に載った関西合同労組の労働相談の広告を見て長楽公園に行った。
行ったのは2月9日、あのころは、まだちらほらと5、6人しか相談に来ていなかった。それが、雇用保険の遡及(そきゅう)加入の自己申請を始めてから、1人の相談員に10人が待っているようになった。2月末の第1回目の集団申請の時に雇用保険要求者組合を結成して、私が代表になった。総勢で1500人の集団申請になった。雇用主を見つけられない中で、これは本当に値打ちがあった。
◇その後も一緒に運動を続けていこうと思われたのはなぜか。
地震で足元が揺らいで、家もつぶれた。しかし、私は現本によって運動というものの根幹を初めて知って本当に心を揺さぶられた。だから今もやっている。自分のためじゃない。
労働相談と言いながら実際には生活相談だった。相談者と指導者が一緒になって考えた。解決できなくても、必死になって相談にのってくれる事務局がいることが、未組織労働者の中に頼れる事務所がある、というイメージをつくった。
だから、いったん相談に来なくなっても、解雇などに直面して再度相談に来る。その時には初めて労働者として目覚めて相談に来る。2回目来る時は生活相談じゃない。これが、現在の合同労組づくりにつながっている。
◇長谷川さんは「労働運動としての被災地運動」と言われますが、その意味は。
長田で労働者という認識がない中で〔注〕、現本は被災者が相談に行くと、「あなたたちは労働者なんだ。労働者の権利として雇用保険がかちとれるんだ」という話をした。最初は労働権があるというのが、はっきりと分からなかった。だが、団結して集まって職安に行ったことで失業給付が可能になった。労働者は一人では生きていけないということを知った。
被災地運動というのは、最初は同情から始まった。今は、労働者であることに目覚めた労働者が全国に反失業闘争を広めていく。段階が一つ違う。一番けじめとなったのが、支援連の解消。99年には被災地は支援されるのではなくて共闘をやると、震災4周年の総行動の中で提起した。
◇98年2月の宮武さん(関西合同労組書記長)逮捕の時には、一人で長田署に乗り込まれたそうですが。
宮武さんの逮捕については、権力としては一般の労働者に目覚めてほしくないという意図が、明々白々にあった。私にも、あいつら過激派やと言われた。しかし、労働者を守る人間がどの党派だろうが関係ない。宮武さんが捕まった時は、自分が捕まったのと同じくらいの苦しみを味わった。
事務局が制止する中、私一人で長田署にかけこんだ。事務局としては態勢を整えてという考えがあったとは思う。しかし、態勢を整えてというよりも「あ、断ち切られる」というものすごい危機感があった。今すぐ奪還しないと被災地運動ができないと思った。
その日の夕方に土砂降りの雨の中、タクシーをとばして長田署に行った。「おい、公安3課出せ」と言ったら、「ここ公安3課ないんです」「ないことあるかえ。今日、宮武…」と言ったとたんに、どどっと権力が出てきた。それから朝晩40人で押しかけた。
運動の敏感性が問題だ。たとえば有事法制。国会審議になれば、緊急に結集して行かなければならない。被災地で、宮武が逮捕されるのは、国会で有事法制が通るのと同じ。労働者の権利が奪われていくことに対して、すぐに立ち上がらなければいけない。本物だから弾圧は今後もある。弾圧があってあたりまえ。被災地は弾圧があればあるほど強くなっていく。私はそこに本物の労働運動の芽が生まれてきていると思う。
◇動労千葉、港合同から学んだものは。
港合同と動労千葉は、被災支援連の中で初めて知った。支援をまとめていただいて感謝している。港合同の南労会闘争に参加させてもらっているが、権力の弾圧は、被災地と同じだ。破産・倒産攻撃と闘う中で自主生産をやっている。動労千葉争議団と国労闘争団の1047人闘争。いずれも自分が支えた人間を守り通すということ。港合同・動労千葉から学び、被災地で失業者がいなくなるまでやっていきたい。
◇反戦闘争について。
いくら賃金闘争で勝っても、戦争になって動員されたら関係ない。賃金闘争で勝っても、差別があってあんたらは在日だからだめ、と切り捨てられたら終わりだ。片一方は勝ったかしらんが、同じ労働者、人間が負けるんですよ。
戦争は国がするのか。有事立法は自衛隊だけがするのか。そういうまやかしで労働者が動員されてはいけない。被災地は行政闘争を反戦闘争としてやる。
◇最後に、『前進』の読者に訴えたいことは。
20年・30年とやっている人びとに私が言いたいのは、労働者と同じ立場でものごとをとらえてほしいということ。
首切られた人間が相談に来た時に、まずどうして運動させるかと考えるのではなくて、精神的なものをどうフォローするのか、自分が首切られたのと同じように考えないといけない。
本当に涙流しながらできる運動が、労働者の心をゆさぶり、自分たちと同じ仲間になる。上から見ない。自分が一緒のレベルになって、同じ苦しみで闘わないといけない。その時についてきた労働者が1ランクも2ランクも上がって、活動家となっていく。
被災地に労働者がいる限り、抑圧された労働者が権利を求める限り、私は闘いたいと思う。
(聞き手/本紙・有馬唯郎)
〔シリーズおわります〕
(注)
長田の零細ケミカル産業では賃金は多くは「うけ取り」。これは事実上の「出来高払い賃金」。これにも規定され、長田の労働者は自分は労働者と思っていなかった。労働者学校で一番苦労したのはその点だった。「賃労働と資本」が入っていかないのだ。
今の日本の多くの労働者も同じ。19世紀のマルクスの時代、労働運動創成期の原点が問われている。
(現本談)
はせがわまさおさん
1950年神戸市で生まれる。1968年高校中退後、金属職場で労組職場委員を経験。1981年以降、長田のケミカル製靴工場で工場長など。1995年阪神大震災に遭遇、「被災地・雇用と生活要求者組合」結成時から代表。被災地労働者企業組合理事長。
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週刊『前進』(2074号4面1)
産業・金融両面で経済収縮29年型大恐慌が本格化へ
米経済は世界戦争危機の震源
ITバブルの崩壊、9・11、会計不信の衝撃を経て、米株式市場では、29年恐慌以来の歴史的大暴落が進行している。生産や企業収益など実体経済が悪化しているだけでなく、物価下落、不良債権の増加、信用収縮など金融面でも危機が深まっている。29年型世界大恐慌が本格化しつつあるのだ。以下、世界戦争危機の震源をなす米帝危機を明らかにする。
秋月丈志
ダウ平均が4割弱もの歴史的な暴落
10月7日現在で米株価は、優良企業30社の指標であるダウ平均が7422j84kで、2000年1月14日のピークから約4300jも暴落。下落率は約37%に達している。ハイテク関連中心のナスダック総合指数は約78%の大暴落。なかでもナスダック通信株価指数の下落率は実に90%以上に達している。主要500社のS&P500指数や米企業全体の株価をカバーするウィルシャー5000指数は5割近い下落率である。米株価全体は、ピークの半分近くまで暴落しているのだ(図1)。
これまでの暴落で米株価の時価総額は6兆j(約720兆円)以上消失した。日本のバブル絶頂期における東京証券市場の時価総額が約600兆円だったが、これを上回る資産額が2年半あまりで消滅したのだ。いかに巨大なバブル崩壊が進んでいるかということだが、これでもまだ始まりでしかない。
2倍以上割高
米株価は企業収益の実態からみるとまだ2倍以上も割高である。
株価が企業の実際の収益とくらべて割高か割安かをみる株価収益率PERという指標がある。株価を1株あたりの利益で割ったもので、株価が企業利益の何倍であるかを示す。この数値が高いほど株価は割高ということになる。S&P500を構成する米企業のPERは、過去40年、およそ15倍程度で推移してきた。しかし、現在のPERはまだこの歴史的水準の2倍もある(図2)。S&P500指数はすでに半分近くまで下がっているが、さらに半分まで暴落してやっと現実の企業利益の実態につりあうのだ。
実際にはさらに下がってもおかしくない。なぜなら恐慌の進行で企業利益自体が大幅に減少していくからだ。しかも、エンロン、ワールドコムのようなあからさまな不正会計だけでなく、「創造的会計」と称した「合法的」な手口による企業利益のかさ上げが、米主要企業全体を覆い尽くしているという問題もある(2063号島崎論文参照)。帳簿操作で利益をごまかし、過剰資本状態を隠ぺいしてきたことが、恐慌の爆発をより激烈なものにしようとしているのだ。
実体経済の悪化と過剰資本状態露呈
アメリカの恐慌は、今秋以降、本格的な段階に突入しようとしている。何よりも実体経済の悪化が明確になってきた。企業収益の低下、製造業の景気指数の悪化、鉱工業生産の低下、設備投資の減少、雇用情勢の悪化が進んでいる。巨大倒産も続出し、倒産規模歴代ワースト10のうち5社が今年破たんした企業だ。29年恐慌を上回る大恐慌が現実に始まっている。
壊滅的なIT
今秋以降の株価の暴落は、米経済に対するいっさいの幻想と粉飾がはがれ落ち、ついに全産業的な過剰資本・過剰生産力状態がむきだしになってきたことを示すものである。この暴落は一時的なものではありえず、長期にわたって深く進行していく。
「IT投資は情け容赦ないほどの不振が続いている。9月末にかけて一段と悪化した。いつ回復するか見当もつかない」(ストレージ〔外部記憶装置〕大手EMCの社長)。ついこの間まで「無限の成長」を豪語していた「ニューエコノミーの旗手」たちはいまやパニックに陥り、悲鳴をあげている。今年後半にはIT投資が本格的に回復するなどと言われていたが、現実には大幅な投資減、業績悪化が進んでいる。米主要ハイテク企業80社の7―9月期の予想増益率は、7月1日時点では81%だったが9月には43%と半減、さらに10月4日の時点では28%まで落ち込んだ(米調査会社集計)。
「改善する前にさらに悪くなることは確かだ。また、いつ改善するかもわからない」(米投資運用会社の通信関連株担当)―IT関連企業にはバブル期に行われてきた過剰投資、巨額M&A(企業の合併・買収)などによる膨大な損失と過剰債務が、死の重みとなってのしかかっている。
かつて年間数百億ドル規模の機器を購入し、ネットワークの構築を競っていた通信大手企業は、破たんしたワールドコムをはじめ、ことごとく壊滅的状況にある。00年には、1160億jに膨らんだ通信業界による設備投資は、今年は半分以下の460億jに落ち込む見通しだ。
IT・ハイテク関連各社は相次いでリストラを行っているが、収益改善の見通しはまったくない。通信機器大手のルーセントは、10万6000人までふくれ上がった従業員を一気に半分以下まで減らしたが、それでも黒字に転換できないありさまだ。
“逆資産効果”
米実体経済を収縮に向かわせているのはIT・ハイテク部門だけではない。いまや全産業的に業績悪化が進んでいる。過剰資本・過剰生産力状態を隠ぺいしてきた「消費バブル」がついに最後的に消滅しようとしているからだ。
さきに述べたように、すでに6兆jにも達する株式関連資産が消失したことにより、逆資産効果が本格的に顕在化しつつある。
すでに夏以降、あらゆる企業の売上・収益の伸びは鈍化し、生産も下降しつつある。物価も「ディスインフレ」(インフレが抑制された状態)を通り越し、いまや明白にデフレの兆しがあらわれはじめている。FRB議長グリーンスパンらがもっとも恐れてきた「日本のバブル崩壊の二の舞い」ということが現実化しつつあるのだ。
確かにこれまでは急激かつ大幅な金利引き下げが住宅販売を伸ばし、不動産関連資産を増加させて株式関連資産の喪失をある程度補てんしてきた。自動車もゼロ金利ローンやキャッシュバックセールの継続によって販売拡大を続けてきた。さらに2000億jを超す大規模減税の効果や失業保険給付、軍拡・「対テロ戦争」戦費支出(空港警備員の大増員等を含む)などの財政支出も消費を下支えした。まさに国家独占資本主義的な恐慌対策を総動員した感がある。しかし、これらは一時的に恐慌を緩和することはできても、過剰資本・過剰生産力を根本的に解決することはできない。
さらなる株暴落、失業・リストラによる所得の減少、減税・財政効果の消滅、401k破産による老後生活資金の消失、家計債務負担の増大、これらの結果、住宅も自動車も必ず大崩壊する。しかも住宅・自動車は、バブル崩壊が始まった後も、強引に販売が拡張されてしまった分だけ、より激しい反動的落ち込みを招くことになる。29年恐慌も、バブル期における自動車と住宅部門の過度の拡張と、急激な収縮によって激烈化した。現在の自動車・住宅販売の拡張とその経済全体への波及力は、29年当時をもしのぐものである。この点からも今度の恐慌は、29年恐慌よりも激しいものとならざるをえない。
不良債権問題と金融危機が顕在化
バブルと借金と財政で隠ぺいされ、増幅されてきた過剰資本・過剰生産力の一挙的露呈は、銀行、金融機関の不良債権問題の深刻化、金融危機の爆発によって暴力的に促進される。
98年から01年までの4年間に、アメリカの銀行がIT関連企業に貸し出した資金の総額は、約4000億j、日本円にして約50兆円近くに達する。
ワールドコムの破たんなど現在のIT関連企業の惨たんたる状況をみるならば、これら米銀の貸出債権のほとんどが、不良債権と化すのは明らかだ。いまやIT関連企業は、日本のゼネコンのような「バブル業種」になり果てたのだ。
米銀には日本のような不良債権問題は生じないといわれていたが、これはまったくのウソだ。
米銀は7―9月期の業績見通しをあいついで下方修正している。「通信業界向けの融資が予想以上に焦げ付き、不良債権処理額が大幅に膨らんでいる」(10・6日経)からだ。米銀最大手のJPモルガン・チェースは、7―9月期の不良債権処理が前期の約4・6倍の14億jに膨らみ「業績が前期実績を大幅に下回る」と異例の見通しを発表。「市場には不良債権問題が深刻化しているという不安が広がっている」(同前)。米銀は日本の銀行同様、今後長期にわたってこの不良債権問題にのたうち回ることになる。
金融政策破産
こうした状況下にあっては、米銀は企業への貸し出しを減らさざるをえない。これ以上不良債権を増やすことはできないからだ。日本の銀行と同じ「貸し渋り」が始まっているのだ。そして国債投資へのシフトも同様である。
かくして米企業は、株価暴落と社債発行の困難化により直接市場からの資金調達が厳しくなっただけでなく、銀行からの借り入れも難しくなっている。金融市場の収縮が、米実体経済を収縮させ、それがさらなる金融収縮を進行させる…。まさに米経済は日本と同じデフレスパイラルの渦の中へ深々と引きずり込まれつつあるのだ。
これは01年以来、大幅な利下げを行ってきたFRBの金融政策の完全な破産を突きつけている。FRBは6月に「デフレ阻止、90年代の日本の経験から得られる教訓」と題したレポートを発表した。この中身は要するに「日本は金融緩和が遅すぎた。しかし早めに大幅な金融緩和をすれば、デフレは回避できる」というものである。確かに「日本に学んだ」FRBは矢継ぎ早に大幅に金利を引き下げた(昨年1年で4・75%)。だが、にもかかわらず、今現在進行していることは物価の下落であり、金融市場の収縮と実質金利の上昇であり、さらなる株価の暴落である。いったいどこが日本のバブル崩壊で起きたことと違うのか?
FRBは金利をもう一段引き下げる時期を探っている。だが、現在の政策金利は1・75%で、もはや大幅な引き下げ余地はない。しかも、こうした金融政策をまったくの無に帰す海外資金の流出という事態が差し迫っているのである。
資金の流入が細りドル暴落の現実性
今日の米帝経済は、海外からの巨額の資金流入の持続によって初めて成立している。もし年間4000億jもの経常赤字を穴埋めする海外資金の流入が細り、止まるなら、米金融市場はたちどころに金詰まりをおこし、長期金利(長期国債・社債やローンの金利)は急上昇せざるをえない。社債、住宅ローンなどの金利の上昇は、過剰債務にあえぐ米企業と家計に壊滅的打撃を与えることになる。
すでにITバブルが崩壊した01年初めからアメリカへの資金流入は減り始めていたが、9・11と会計ショックで減少は加速した。とくに99年以降大きく増大してきたヨーロッパからの対米投資(証券・社債投資)が、ほぼ半減している。
こうした結果、今年第1四半期の対米資本流入は前期の2507億jから1133億jに半減、前年同期と比べると3分の1にまで落ち込んだ。一方、同期の米経常赤字は過去最悪の1125億j(年換算で4500億j)を記録している。つまり、経常赤字を海外資金の流入で穴埋め(ファイナンス)するという構造が、ついに破たん寸前のところまできたのである。これは米帝経済の底が抜けてしまうような事態である。
確かにまだ資金の本格的流出=ドル暴落には至ってない。まだ株や社債市場から逃げ出した資金の多くが、米国債市場に流れ込み、米国内にとどまってはいる。だが、いまやドル暴落の現実性が完全にみえてきたのである。
経常赤字のさらなる増加、株価暴落・米経済悪化による対米投資のいっそうの減少、税収減と支出増による米財政赤字の急拡大、イラク攻撃の強行、破産に瀕した日・欧の金融機関による在米資産投げ売りによる資金回収等々の要因が重なり合っていくとき、米からの資金流出、ドル暴落は不可避となるであろう。
イラク侵略戦争は恐慌を激化させる
以上のように、米帝経済はにっちもさっちもいかない大崩壊の危機に追いつめられている。米帝ブッシュにはもはや戦争以外にいかなる手も残されていない。
イラク侵略戦争の背景には、確かにブッシュ政権と直結した石油資本や軍需産業の利益がべっとりと張り付いている。だが、それらの利益が確保されたからといって、米帝経済が恐慌の危機から脱出できるわけではまったくない。むしろ戦争の長期化は、原油高騰、個人消費の収縮、財政の急激な悪化、ドル不安等々で恐慌を決定的に激化させる可能性もある。事実、株式市場はブッシュが対イラク強硬姿勢を示すほど値を下げる展開になっている。
米帝のイラク侵略戦争の真の目的とは、あえて言えば積極的、先制的に世界を戦争の嵐の中にたたきこむことにある。そうして軍事力のみがものをいう情勢をつくりだし、全世界を暴力的に再編して、米帝の軍事的・金融的・経済的支配を貫徹しようとしているのである。
だが、この米帝の凶暴さは、米帝の「圧倒的強さ」を示すものではない。それは、没落と滅亡の予感に震え上がっている世界帝国の死のあがきなのだ。
米プロレタリアートは、「反テロ」の排外主義の嵐を突き破り、イラク反戦闘争に立ち上がっている。10月6日、ロサンゼルスで「ブッシュを止めろ!」と5千人のデモが行われた。10・26には全米で百万人の決起がかちとられようとしている。大リストラ攻撃に対し歴史的ストライキ闘争を闘っている西海岸の港湾労働者もその主力部隊だ。米・欧・中東・イスラム諸国・アジア、全世界を貫くイラク反戦闘争の爆発は、帝国主義打倒への連帯と団結を力強く成長させるであろう。全世界のプロレタリアートと被抑圧民族の前に示されているのは、米帝打倒・全帝国主義体制打倒の現実性である。
今秋、イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕闘争の大爆発をかちとろう。
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週刊『前進』(2074号4面2)
(5)
戦争指導の最高会議に改変
安全保障会議設置法 首相独裁を補佐
安全保障会議設置法改悪案は、安保会議の位置づけを、武力攻撃事態に対処する具体的な戦争方針を策定し決定する〈戦争指導上の最高会議〉に格上げするものだ。
安保会議設置法改悪のポイントは、@内閣総理大臣の諮問事項を武力攻撃事態法に対応して改変すること、A安保会議の議員の構成を変えること、B安保会議を補佐する機関として事態対処専門委員会を設置するということにある。
内閣中の内閣
まず第2条で、内閣総理大臣が安保会議に諮問する事項の中心として「武力攻撃事態への対処に関する基本的な方針」などをおしだした(表1)。ここで言う「対処に関する基本的な方針」「重要事項」とは、武力攻撃事態法第9条の2で定められた「武力攻撃事態の認定」「武力攻撃事態への対処に関する全般的な方針」「対処措置に関する重要事項」のことだ。この「重要事項」には、首相が必要と認める限りで、予備自衛官・即応予備自衛官の招集、防衛出動待機命令、防御施設構築の措置および防衛出動命令の発動などの決定・承認が含まれる。
すなわち実際上は、武力攻撃事態の認定や対処基本方針の決定は、国会はおろか内閣ですらなく、首相を議長とし、最高指導者とする安保会議が行うのだ。そして安保会議の決定をもって、「武力攻撃事態対策本部」という戦争遂行総本部・総合司令部が設置され、安保会議が策定した対処基本方針に基づいて戦争の遂行とそのための労働者人民の動員が行われる。
これに対応して、安保会議の構成も見直した(表2)。総務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣を安保会議の常置の議員に加え、他の国務大臣をも随時、議員として組み込めるようにした。武力攻撃事態法案第2章、3章などに基づく自治体の戦争動員、民間防衛、経済統制、運輸・交通統制のための所管大臣を加えて、国家総動員体制をつくるのに必要な議員構成に変えた。
また、議員数を増やし、他の閣僚も入れて拡大会議を開いて運用できるようにする一方で、総務大臣、経済産業大臣、財務大臣をはずした内閣総理大臣と5人の閣僚でより機動的に安保会議を開き、重大決定を下せるようにした。さらに安保会議には統合幕僚会議議長などを出席させ、意見を述べさせることができるようになっている。
このように安保会議の体制と役割が、実際に北朝鮮・中国侵略戦争に突入することを想定して、きわめて実践的に改変・強化されるのである。
これによって安保会議の性格が変わるというだけではない。日帝の国家体制が戦争を遂行するための国家体制に抜本的に変わるのだ。常設の首相直属機関である安保会議が、いわば「内閣中の内閣」、あるいは「戦時内閣」として、「予測される事態」を始めとした「武力攻撃事態」の認定を行い、戦争を決定し、戦争計画を立案していく。そして首相の独裁的な権限のもとに、対策本部が戦争遂行を指揮し、国家総体を戦争へと動員していくのである。
武力攻撃事態法案は首相にかつての天皇大権に比すべき強大な「戦争大権」を与えているが、それを保障するものがこの安保会議なのだ。これによって行政府、とりわけ首相が圧倒的な独裁的権力を握るのだ。
また法案第2条の1項七号もきわめて重大だ。これは現行法第2条の2項としてあった、その他の「重大緊急事態」を第1項に格上げするものだ。その狙いは、「テロ」や「不審船」についても「重大緊急事態」として軍事的緊張をあおり、さらには「予測されるに至った事態」として「武力攻撃事態」を宣言して、侵略戦争に突入していくことを狙っているのだ。
「専門委員会」
さらに、この安保会議のもとに「事態対処専門委員会」を設置し、日常的に事態にどのように対処するかを調査・分析し、進言する体制をとるとしている。
この事態対処専門委員会は内閣官房長官を委員長に、内閣官房、防衛庁、外務省の職員、自衛隊の幹部などで構成される。実務上は、この専門委員会が中心的な役割を果たすことになる。
戦争という国家の命運をかけた非常事態では、戦争遂行上の必要性が一切に優先されることになるため、軍事専門家を含めたこの専門委員会が政策決定や法案づくりにおいて決定的な主導権を握ることになる。そのことで専門委員会は安保会議が戦争指導の最高機関として機能していくことを補佐すると同時に、戦争指導上の決定的役割を果たしていくのである。
日帝の戦争方針の策定と実施は、現実には米帝の朝鮮・中国侵略戦争の展開と密接に連携している。新安保ガイドラインに基づく「包括的メカニズム」「調整メカニズム」による日米の共同作戦計画の作成と実施の動きとも当然、連動・連携して運営される。こうした日米間の戦争遂行上の取り決めや調整に関わるメンバーが、事態対処基本方針などの作成をも担うのだ。そしてここでの取り決めが、事態の認定から、対処基本方針を始め戦争遂行上の方針を決定していくことになる。
これによって国会は安保会議で決めたことを追認し、立法化していくための機関に過ぎないものとなっていく。まさに有事立法の制定は、あらゆる意味で戦後憲法体制を根底から改変していくものである。
安全保障会議設置法が改悪されると同時に、安保会議は直ちに再編・強化され、北朝鮮・中国侵略戦争に向かって動き出すことになるのだ。 (山川哲哉)
〈表1〉内閣総理大臣が諮問すべき事項
第2条 内閣総理大臣は、次の事項については、会議に諮らなければならない。
一 国防の基本方針
二 防衛計画の大綱
三 前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱
四 (現行)防衛出動の可否→(改め)武力攻撃事
態への対処に関する基本的な方針
五 (新設)内閣総理大臣が必要と認める武力攻撃
事態への対処に関する重要事項
六 (現在の第五項)その他内閣総理大臣が必要と
認める国防に関する重要事項
七 (格上げ)内閣総理大臣が必要と認める重大緊
急事態への対処に関する重要事項
※「重大緊急事態」では、内乱的な事態、ゲリラ戦、「不審船」、大規模災害などが想定される。
〈表2〉安全保障会議の参加メンバー
議長 内閣総理大臣
議員 総務大臣、外務大臣、財務大臣
経済産業大臣、国土交通大臣
内閣官房長官、国家公安委員長、防衛庁長官
※下線がある大臣が新たに追加された。また議長と外務大臣、内閣官房長官、国家公安委員長、防衛庁長官、国土交通大臣で会議を行い、重大な決定を下せるようにした。
※議長は、これ以外の国務大臣を、議案を限って、臨時に議員として出席させることができる。また、議長は統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。
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週刊『前進』(2074号4面3)
10月1日〜8日
国民保護法制で「政府素案」 米英がイラク攻撃へ決議案
●「無条件」査察で合意 イラクの大量破壊兵器の国連査察再開について、「即時・無条件・無制限」をイラクが受け入れることで、国連とイラクが合意した。(1日)
●米国務長官「新決議前の査察認めず」 パウエル米国務長官は、査察受け入れでイラクと国連が合意したことを受け、緊急に記者会見し、「査察団は、新たな国連安保理決議にもとづく新たな指示を得ない限り、イラクに入るべきではない」と述べ、米英両国が目指す新たな安保理決議採択前に査察を再開することを認めないとの立場を示した。(1日)
●米英、安保理に決議案 米英両政府は、イラクに対して期限付きで大量破壊兵器の査察受け入れを求め、拒否された場合には武力行使を容認することを盛り込んだ国連安保理決議案を各常任理事国などに示した。(2日)
●「武装解除を優先」米国務長官 パウエル米国務長官は、イラクが大量破壊兵器の廃棄を受け入れればフセイン大統領がいまの地位にとどまれるとの見解を示した。政権交代より武装解除を重視する考えを米政府高官が明言したのは初めて。(2日)
●メディア規制凍結 政府と与党3党は、継続審議中の人権擁護法案について、メディア規制の規定を凍結とし、秋の臨時国会で早期成立をはかる方針を固めた。メディア規制の規定は削除ではなく、別の立法で解除するまでの凍結。また人権委員会の新設については修正には応じない構え。(3日)
●査察合意を棚上げ 大量破壊兵器の査察再開について、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は、「イラクとの合意には不審な点がある」と、10月中旬に予定していた査察先遣隊のイラク入りを延期する方針を示した。米英両政府の意向に配慮した事実上の査察合意棚上げ。(3日)
●読谷補助飛行場の返還に合意
日米両政府は日米合同委員会で、沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)最終報告で返還が確認されていた読谷補助飛行場の全面返還と、楚辺通信所(象のオリ)のキャンプ・ハンセンへの移設に伴う建物工事の実施で合意した。両施設とも05年5月末までには返還される見通し。(3日)
●米朝高官協議 北朝鮮を訪問していたケリー米国務次官補はソウルでの記者会見で、大量破壊兵器など北朝鮮に対する米国の「深い憂慮」を表明して対話による解決を強調し、北朝鮮の努力で関係改善はできると伝えたことを明らかにした。北朝鮮側は米国の「テロ支援国家」リストからの北朝鮮除外と体制存続の保障を求めた模様。(3日)
●テロ時の消防活動に国の「指示権」 市町村消防のあり方を考える消防庁の研究会は、テロやNBC(核・生物・化学兵器)災害に対応するために、自治体に対する強制力のある国の「指示権」を確立し、国の負担で体制を整えるべきだとの中間報告をまとめた。(4日)
●ブッシュ演説で大量破壊兵器の廃棄要求
ブッシュ米大統領が、イラク問題について演説し、フセイン・イラク大統領に対し、保有、製造している生物・化学兵器など大量破壊兵器を完全に廃棄するよう要求、「従わない場合米国は、兵器解体のため多国籍軍を率いる」と述べ、武力行使に踏み切る決意を示した。(7日)
●国民保護法制の政府素案 政府は全国都道府県知事会議で、国民保護法制の基本的構成素案を各知事に示した。有事の際、都道府県に対策本部を設置することや、民間、警察、消防などによる「協議会」を地方自治体に設置することが今後の検討項目とされている。また「国民の協力」として、住民が防災組織やボランティア団体などに協力することも盛り込んでいる。(8日)
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週刊『前進』(2074号5面1)
米帝(国際帝)のイラク攻撃許すな
先制攻撃で政権転覆の新戦略 ブッシュ・ドクトリン
日帝の参戦・有事立法阻止を
最悪のジェノサイド
イラク・フセイン政権を転覆するという米帝(国際帝国主義)の侵略戦争は、91年の湾岸戦争と違って、400万人近い住民を抱える首都バグダッドでの市街戦を作戦に組み込んでいる。湾岸戦争とは比較にならない人民が犠牲となる、恐るべき人民大虐殺の戦争となるのだ。91年の湾岸戦争では、イラク軍民30万人の死者が出た。しかも戦争終結後の10年余で、多国籍軍が使用した劣化ウラン弾による放射能の影響や経済制裁による食糧や医薬品の著しい不足で、160万人を超える人民の生命が奪われているのである。
イラク攻撃は、数週間後とも報道されている。数十万人、数百万人のイラク人民が犠牲になる最悪のジェノサイド戦争が、われわれの生きるこの現代世界でリアルタイムに行われようとしているのである。絶対に許してはならない。
米帝ブッシュは「イラクの大量破壊兵器の開発」が戦争の原因であるという。
しかしその米帝自身が、イラン革命(79年)の圧殺を狙ったイラン・イラク戦争(80〜88年)で、炭疽(たんそ)菌などの病原菌をイラクに提供し(9・30AP通信)、イラクの化学兵器使用を知りながら、軍事情報の提供などの支援を行ってきたのだ(8・18NYタイムズ)。なんという恥知らずな欺瞞(ぎまん)か!この戦争の真の階級的性格を明らかにしなければならない。
この戦争は、米帝(国際帝)によるイラク・中東人民大虐殺の戦争であり、民族自決権をじゅうりんする民族圧殺の侵略戦争である。米帝(国際帝)は、100年にわたる中東支配・中東石油支配の全面崩壊と失陥の危機に直面する中で、フセイン政権を転覆して新政権を樹立するという古典的植民地主義以上に悪らつな、核の使用や何百万人もの犠牲もいとわない凶暴な侵略戦争を行おうとしているのである。一切の元凶は帝国主義(米帝)にある。闘う中東・イスラム人民と連帯し帝国主義の侵略戦争を国際的内乱に転化して、帝国主義を打倒する。このことが歴史的にも現実的にも課題となっているのだ。
帝国主義侵略の歴史
中東地域は、世界の石油埋蔵量の7割を占め、世界の3大陸(ヨーロッパ、アジア、アフリカ)を結ぶ交通の要衝である。中東は19世紀以来、帝国主義の植民地支配と侵略戦争、帝国主義間の激しい争闘戦の舞台となってきた。
第1次大戦中、英帝は戦争を有利にするために中東の諸民族に戦後の独立を約束して、戦争に利用した(アラブの反乱)。しかし英帝は戦後、独立の約束を反故(ほご)にし、中東は帝国主義列強によってバラバラに分割されたのである。パレスチナ、トランスヨルダン、イラクは英の委任統治領に、シリアとレバノンは仏の委任統治領となった。基本的にはこれが、現在の中東国家群の国境となった。
これらの委任統治領は30年代から第2次大戦直後にかけて「独立」を達成していくが、それはアラブの真の独立と統一を実現するものではなく、帝国主義の思惑によって分断された、委任統治領時代の国境を継承するものだった。「独立」後も腐敗した王族や首長ら支配者を媒介にして帝国主義の支配は続いた。さらに、米帝の中東支配・中東石油の独占的支配、中東の制圧・支配のために、シオニスト国家イスラエルのデッチあげが強行された。中東の諸国家間(産油国と非産油国、あるいは産油国間)と、イスラエルとアラブという分断と対立の中で、全体として帝国主義の支配が貫かれる状況が形成されたのである。
第2次大戦後から50年代にかけて、中東では大油田が発見・開発されるが、帝国主義の暴虐で暴力的な中東支配をベースに、国際石油資本(石油メジャー)は、少額の利権料を払うだけで、産油国には介入の余地がほとんどない操業権を独占した。石油メジャーは、生産量と販売量を制限する国際カルテルなどで、原油価格の決定権を独占した。こうして石油メジャーは、1950年代には原油生産量の90%、石油精製量の70%、石油製品販売量の75%に及ぶ石油支配を確立したのだ(現在は石油メジャーの直接支配はかなり減少している)。
帝国主義の中東支配・中東石油支配――すなわち中東からの安価で大量の石油「供給」=収奪ぬきに石油化学工業の発達など帝国主義の戦後発展はありえなかった。帝国主義が石油の大量消費で巨大な生産力を築く一方で、中東の人民は、第1〜5次中東戦争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争など、絶えざる戦乱で何百万人もの人民が生命を奪われ、難民となり、帝国主義と結びついた王族や首長ら反動的な独裁支配者層による富の独占、政治警察の人民抑圧と弾圧、貧困に苦しんできたのだ。
米帝(国際帝)は、自らの中東支配・中東石油支配の継続のために、イラクの民族自決権を踏みにじり、イラク人民大虐殺の侵略戦争に踏み出そうとしているのだ。それは帝国主義の中東支配・中東石油支配の血塗られた歴史に新たなページを刻むものなのだ。
米帝が元凶イ・イ戦争
米帝ブッシュは、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつけ、その脅威を宣伝している。しかし、中東支配・中東石油支配のために米帝は何をやってきたのか。イラン・イラク関係に限定して検討するだけでも、たちまちその欺瞞は明らかになる。
米帝は第2次大戦後、イスラエルと並んでイラン・パーレビ体制を「中東の憲兵」として強力にテコ入れし、中東支配・中東石油支配の要としてきた。
イランでは、51年に首相に就任したモサデクの石油国有化が、米帝(CIA)の謀計とクーデターで覆され、米帝の援助でパーレビ国王の独裁が復活した。パーレビは米帝と強く結びつき、米軍基地を次々建設し、最新鋭の米国製の武器が供与され、米から約3万人の軍事顧問を招いた。イランは中東随一の軍事国家となり、米帝に忠実な「憲兵」として中東ににらみを利かせてきたのである。シオニスト国家イスラエルとイラン・パーレビ体制こそ、米帝の中東支配・中東石油支配の枢軸だった。
パーレビは63年以降、石油の富を背景に「白色革命」と呼ばれる上からの強引な「近代化」政策を推進した。零細商工業者の困窮、農民の都市流入など経済格差が広がった。秘密警察のサバクが暗躍し、その末期には「人権じゅうりんについてイランほど恐ろしい記録を持つ国は世界中にない」とまで言われた。
そしてついに、イラン人民の反乱が始まった。パーレビは国外追放となり、イスラム・シーア派の聖職者ホメイニが帰国。ホメイニは、イスラム共和国の樹立を宣言した。イラン革命(79年2月)である。
他方、隣国イラクは、英帝の委任統治、間接統治が続いたが、ファイサル国王の反共路線に対し軍がクーデターをおこし、58年から共和制となった。そして68年にバース党が権力を掌握し、79年にはフセインが大統領に就任した。バース党政権は74年にソ連と友好条約を結んでアラブ民族主義路線をとった。米帝との関係はよくなかった。
イラン・パーレビ体制という中東支配・中東石油支配の重要な支柱を失った米帝は、イラン革命が中東全域に波及することを恐れ、今度はイラクに接近したのである。80年〜88年のイラン・イラク戦争は、この米帝とイラク・フセインとが有無通じ、革命後の混乱に乗じてイラクが侵攻する形で始めた戦争である。この戦争は事実上、米帝によるイラン革命圧殺の反革命戦争、侵略戦争だった。
イラン・イラク戦争は双方で推定100万人の死者を出し、1兆jの戦費を費やした。この金額は、イランが1919年から、イラクが1931年からの石油収入の総額をはるかに超える。米帝はイラン革命によって破産した中東支配・中東石油支配を維持するために、イラクを取り込む泥縄式の中東政策で、イラン革命圧殺のために戦争をやらせてきたのだ。
しかしイラクの敗勢が続くと、米帝はこの戦争の事実上の「交戦国」として中東に登場した。米帝は84年にイラクと国交を回復し、イラン軍の情報をイラクに提供し、さらに兵器も供与した。それにとどまらず、ペルシャ湾に米艦船を航行させ、イラン軍と散発的な戦闘もくり広げた。そして米帝は、生物兵器や化学兵器の開発を援助し、その使用を容認してきたのだ。イラン革命圧殺のために化学兵器を使用したのは事実上、米帝自身なのだ。
イラン・イラク戦争を通じて軍事大国化したイラクがクウェートに侵攻すると、米帝は自らイラク軍を圧倒する大規模な軍事力を中東に展開し、イラク・中東人民を大虐殺する侵略戦争にうって出たのである。米帝は第2次大戦以来の大兵力を動員し、イラク全土を無差別空爆し、ハイテク兵器やクラスター爆弾・劣化ウラン弾などの残虐な兵器でイラク軍民の一方的殺りくを行ったのだ。
中東石油は、硝煙と人民の血の犠牲の上に、世界に「供給」=収奪されてきたのである。日本の石油輸入の86%は中東からであるように、われわれ自身、このことと決して無縁ではありえないのだ。
そして今再び、米帝はイラク・フセイン政権を転覆する一大侵略戦争を行おうとしているのだ。このイラク侵略戦争を肯定、あるいは黙認することは何を意味するのか。米帝は中東支配・中東石油支配のために、中東・イスラム諸国人民を分断・対立させ、何百億jもの兵器を売りつけ、化学兵器・生物兵器さえ与えて、戦乱を中東人民に強制してきた、その帝国主義の暴力と収奪の全歴史を肯定し、永遠に認めることになるのだ。
「新帝国主義」の論理
米帝が9月20日に公表した「米国家安全保障戦略」(ブッシュ・ドクトリン)の核心は何か。米帝ブッシュは「米国は必要なら単独で先制行動を起こし、自衛権を行使する」と公言し、イラクのフセイン政権を転覆して新たな国家をデッチあげることを狙っている。世界戦争計画を凶暴に推進している。それは新帝国主義の世界戦略である。
国連が74年に採択した「侵略の定義」に関する決議は、「侵略」を「国家による他の国家の主権、領土保全もしくは政治的独立に対する、または国連憲章と両立しないその他の方法による武力の行使」と定義している。ブッシュ・ドクトリンは、この国連の「侵略の定義」にすら全面的に抵触するものなのである。
かつて日帝が1931年に「満州国」をデッチあげた時、時の外務大臣・松岡洋右は国際連盟総会でこう演説した。「中国の無法的国情が根本原因であって、中国は平和の攪乱者であり、満州国の独立のみが極東の平和と秩序の唯一の保障である」と。
松岡演説とブッシュ演説はそっくりではないか。日帝は、朝鮮・台湾を植民地とし、中国・アジアへ恐るべき侵略戦争をくり広げ、アジア人民2000万人の大虐殺を行った。ブッシュ・ドクトリンは、この戦前日帝の論理に負けず劣らずの露骨な植民地主義、侵略戦争の論理なのである。
ブッシュ・ドクトリンは、帝国主義の100年に及ぶ極悪の植民地支配と侵略戦争、世界戦争のすべてを積極的に肯定・再現し、否それ以上のウルトラな侵略戦争と世界戦争を始めることを宣言しているのだ。
第2次世界大戦で、米英など連合国は「民主主義」や「民族自決」という一見“普遍的なスローガン”を掲げて戦争を合理化した。そして戦後、国連その他の集団安全保障体制を構築した。それは戦勝帝国主義(及びソ連スターリン主義)による戦後革命の圧殺と世界再分割の戦後体制だった。帝国主義やその追従者はこれをもって「世界戦争など2度と起きない。もう帝国主義ではない。レーニンの時代とは違う」などと言ってきたのだ。
しかし、今や基軸帝国主義の米帝自身が、「民主主義」も「民族自決」も投げ捨て、植民地主義、侵略主義丸出しで世界戦争路線を走っているのだ。ブッシュ・ドクトリンは、現代世界がまぎれもない帝国主義の時代であることを示している。現代世界が、20世紀前半のような露骨な侵略戦争、世界戦争の帝国主義の時代なっているのだ。
帝国主義の侵略戦争、世界戦争を阻むために、一切の元凶である帝国主義の打倒こそが現代世界と国際プロレタリアートの課題であることをはっきりさせ、レーニン主義革命論の現代的有効性を復権させて闘うことが必要である。
ところでブッシュ・ドクトリンは、米帝の強さ、万能性を示しているのか。そうではない。世界帝国としての没落と米帝の世界支配、中東支配が根底から覆される危機に直面しているのだ。そこに規定される凶暴さの表れなのだ。
イラン革命やパレスチナ人民のインティファーダに代表されるような中東・イスラム人民の不屈の民族解放の闘いは、米帝(国際帝)の中東支配・中東石油支配の矛盾をつくりだし、根底から破産に追い込んできたのだ。そして91年湾岸戦争で米帝は、中東支配・中東石油支配の維持のために、イラク・中東人民の大虐殺に手を染めたのだ。
米帝(国際帝)こそが、中東・イスラム人民の民族自決権の圧殺、人民抑圧、貧困、何より戦争の一切の元凶なのだ。中東・イスラム人民の米帝(帝国主義)に対する怒りと憎しみはどれほどのものか。
中東・イスラム人民にとって、米帝(国際帝)の打倒こそが、歴史的にも現実的にも正面課題となっている。昨年の9・11反米ゲリラは、中東・イスラム人民の民族解放闘争の特殊的・極限的形態としてあった。パレスチナでは若者を先頭にすべての人民が体を張って闘っている。
日帝は、アラビア海で展開する自衛隊に、そのままイラク侵略戦争を行う米軍の後方支援をやらせようと画策している。そのために有事立法・新テロ対策特措法を制定しようしている。沖縄と本土の在日米軍基地から米軍が出撃するのだ。在日米軍の出撃を阻め。日帝の参戦を許すな。
闘う中東・ムスリム人民と連帯して、米帝(国際帝)のイラク・中東侵略戦争を阻止せよ。イラク人民の大虐殺を許すな。侵略と戦争の元凶の帝国主義を打倒しよう。10・21国際反戦デー全国統一行動へ、今秋イラク反戦・有事立法粉砕闘争を大爆発させよう。
〔片瀬 涼〕
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週刊『前進』(2074号5面2)
10・27狭山中央闘争に立とう
寺尾差別判決へ怒り新たに最高裁闘争の爆発で再審へ
全党の同志の皆さん、全国各地で闘っている皆さんに、部落解放同盟全国連合会が主催し、解放共闘が共催する「10・27寺尾差別判決28カ年糾弾! 特別抗告審闘争勝利狭山中央闘争」に、全国から全力で結集することを熱烈に訴える。
10・27狭山中央闘争は、米帝のイラク侵略戦争の切迫と労働者人民の反撃の高まり(ロンドン40万人デモ)のなか、日帝のイラク・北朝鮮・中国侵略戦争参戦のための有事立法攻撃(有事関連3法案と個人情報保護法案)との今秋臨時国会決戦下で闘われる。
また1・24異議審棄却決定、3月法うちきりと同和事業全廃の攻撃、糾弾闘争つぶしの人権擁護法案の国会提出という、一連の解放運動つぶしの攻撃の激化のなかで開催される。
排外主義と対決し、切迫する米帝のイラク侵略戦争に反対し、「イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕」今秋決戦・国鉄決戦と固く結合し、10・27狭山中央闘争に総決起しよう。人権擁護法案を粉砕しよう。
10・27狭山中央闘争は今年最大の闘いであり、第2次再審・特別抗告審闘争の勝利への展望を切り開く重要な闘いである。10月末予定の弁護団の補充書提出によって特別抗告審闘争は本格的、全面的闘いに突入する。国家権力の差別犯罪を徹底糾弾し、石川一雄さんの再審無罪をかちとるために全力で決起し、権力の牙城・最高裁に怒りの大デモをたたきつけよう。
石川さんの「一日も早く真の自由の身になれますよう」という、8・9アピールにこたえて、10・27狭山中央闘争の爆発的成功をかちとろう。
無実の叫びを圧殺した寺尾
寺尾確定判決は、今なお石川さんを「殺人犯」として縛りつけ、汚名を着せ続けている極悪の差別判決である。石川さんが仮釈放の身であり、常時権力の監視下におかれ、見えない手錠をかけられ、自由を奪われていることを、片時も忘れてはならない。
特別抗告審闘争は、寺尾確定判決とこれを護持する高橋・高木棄却決定を徹底糾弾し、完膚なきまでに粉砕しつくす闘いである。
控訴審の第一回公判冒頭、石川さんは、「私は中田善枝さんを殺していない」と無実の血叫びを裁判所にたたきつけ、権力の差別犯罪を糾弾し、無罪をかちとる闘いに決起した。
狭山差別裁判は、無実の被差別部落民・石川さんを死刑にし、国家権力の暗黒の差別犯罪を闇から闇に葬るための死刑宣告の場として設定された。
しかし、石川さんの怒りに燃えた不屈の決起は、これを、石川さんが権力の差別犯罪を暴露・弾劾し、権力を裁き、無念を晴らし、自らの無実を明らかにする死闘の場に転化した。
10年にわたる二審・東京高裁における石川さんの決死の闘いは、一審をとおして隠されつづけてきた真実を、300万部落民と全労働者人民の前にくまなく明らかにした。すなわち、石川さんの無実と、部落民であることのみをもって、石川さんを「犯人」にデッチあげた国家権力の極悪の差別犯罪を、満天下に暴き出した。
1969年11月14日、石川さんの闘いにこたえて5人の戦闘的部落青年が、石川さんに一審死刑判決を宣告した浦和地裁を実力占拠し、差別裁判を実力糾弾する歴史的闘いに決起した。この闘いを突破口にして、狭山差別裁判糾弾闘争は全国の部落大衆と戦闘的労働者人民の巨万の実力闘争へ発展した。
石川さんの無実が鮮明になり、一審内田死刑判決の取り消し・無罪判決が不可避となり、国家権力・最高裁は、狭山差別裁判が根底から崩壊する危機に直面した。最高裁は、反動的、強権的突破を狙って、井波裁判長の後任として寺尾正二裁判長を送り込んだ。
寺尾裁判長は、事実調べを打ち切り・早期結審によって石川さんに有罪判決を宣告し、狭山差別裁判糾弾闘争を解体することを階級的使命として着任した。
着任4カ月後に、寺尾は、井波裁判長が決定した石川さんの無実を証明する重要証人である上田鑑定人(殺害態様は扼殺〔やくさつ〕ではなく絞殺であると鑑定)の証人採用を一方的に取り消し、鴨居の現場検証申請や証人申請をことごとく却下して、事実調べを暴力的にうち切った。そして、一度も事実調べを行うことなく差別判決を強行した。以来今日にいたるまで、狭山差別裁判では、事実調べが28年間ただの一度も行われていない。
1974年9月26日の石川さんの意見陳述公判には、11万人の部落大衆・労働者人民が日比谷公園・霞ケ関を埋め尽くし、東京高裁を包囲した。寺尾の事実調べ打ち切りを弾劾し、無罪判決を要求する集会・デモを貫徹し、東京高裁を揺るがす実力糾弾闘争が爆発した。
同年10月31日、寺尾裁判長は、石川さんの無実の血叫びを踏みにじり、部落大衆と労働者人民の闘いを足蹴にして、石川さんに無期懲役判決を宣告した。
警察は、部落民である石川さんをイケニエにし、長谷部・関ら警察官が共謀して、「殺して埋めてしまう」とか、兄の六造さんを逮捕すると言って石川さんを脅迫し、「殺したと言えば10年で出してやる」とだまして石川さんをわなにかけ、ウソの「自白」を強制した。さらに、ニセの証拠を捏造(ねつぞう)し、エセ鑑定書をデッチあげて、石川さんを「犯人」にしたてあげた。
寺尾判決は、石川さんをウソつき呼ばわりして証言の信用性を否定し、警察官の偽証を根拠に、権力の卑劣な差別犯罪について、そんな事実はないと強弁し、石川さんに「殺人犯」の烙印(らくいん)を押した。そして、33年間にわたって無実の石川さんを獄中に閉じ込めた。
事実調べ・証拠開示かちとれ
第2次再審請求審・高木裁判長、異議審・高橋裁判長は、事実調べを拒否し、東京高検の証拠開示拒否に対して、開示勧告・命令を行わずに棄却決定を強行した。
棄却決定は、寺尾確定判決が有罪判決の根拠とした、筆跡や殺害態様などに関する寺尾判決の事実認定を維持できなくなり、これを勝手に変更・改ざんしている。また齋藤鑑定を始めとする多数の弁護側鑑定、小名木証言や万年筆に関する元警察官証言を、鑑定人・証人尋問もせずにペテン的言辞を弄(ろう)して否定するというでたらめな手口を用いて、寺尾確定判決を護持した。
しかし、寺尾確定判決は事実上崩壊しており、強権によって辛うじて護持されているに過ぎない。高木・高橋棄却決定には一片の真実も正義もない。
憎みて余りある寺尾確定判決を最後的に粉砕する闘いこそ、特別抗告審闘争である。
特別抗告審闘争において事実調べを実現し、最高裁に、石川さんの無実と権力の差別犯罪の事実を認めさせなければならない。高橋・高木棄却決定を取り消させ、再審開始決定をかちとらなければならない。そのカギは、最高裁第一小法廷に、証拠開示勧告・命令を行わせ、最高検が隠し持つ高さ2〜3メートルにもなる全証拠(新証拠)を開示させることだ。
最高裁は、解同全国連と解放共闘の要請行動に対して、一貫して強圧的な態度を取りつづけている。要請行動が最高裁に対する怒りの実力糾弾闘争として爆発することに心底から恐怖している。裁判所の周囲に私服刑事や制服警官を配置して弾圧体制を取り、裁判所構内には警備員を多数配置して厳戒体制を敷くなど、戦々恐々としている。
要請団の人数を20人(当初は17人)、時間を30分に制限し、問答無用の態度を取り、裁判所に対する要請には一切回答せず、自己の見解をまったく述べず、要請の場を単に要請文を受け取る形式的な手続きの場とすることで、要請行動を圧殺しようとしている。
最高裁のこの圧殺攻撃は、東京高裁を揺るがした全国連・解放共闘の大衆的糾弾闘争が、最高裁に向かうことに恐怖しているからにほかならない。
この間の最高裁要請行動は、最高裁の圧殺攻撃と真っ向から対決してこれをうち破る実力糾弾闘争として貫徹されてきた。全国連・解放共闘の要請文の内容も裁判所を追い詰めている。10・27狭山中央闘争の圧倒的成功をバネに、最高裁に勇躍して攻め上ろう。
狭山10万人決起へ向けて、5万人組織建設路線を推進する全国連と固く連帯し、労働者人民の闘いを猛然と推進しよう。
狭山新百万人署名運動を強力に推進し、狭山新パンフ「この差別裁判を許すな!」と部落解放闘争34号掲載の「異議審棄却決定批判(秋田ひろし)」を学習し、紙芝居・ビデオを活用し、大挙して10・27狭山中央闘争に結集しよう。
10・28最高裁要請行動を実力糾弾闘争として闘おう。再審開始決定・特別抗告審闘争の勝利へともに闘おう。
10・27狭山中央闘争
▼10月27日(日)午後1時30分開会
▼星陵会館(東京都千代田区永田町2)
※集会後、最高裁糾弾デモ
主催/部落解放同盟全国連合会
共催/部落解放共闘会議
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週刊『前進』(2074号5面3)
イラク反戦で緊急闘争
9月29日、東北大学の学生40人は「イラク・北朝鮮侵略戦争阻止・有事立法粉砕」の緊急闘争に立った。
仙台市内での戦闘的なデモでイラク反戦を訴え、街頭の雰囲気を一変させた。
東北大の学生は、イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕の大闘争に数千人規模の決起を実現する決意だ。
(投稿 東北大・T)
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週刊『前進』(2074号5面4)
看板修復
台風21号で倒れた大看板の修復を終え、こぶしをあげる市東孝雄さん(10月6日 成田市天神峰)
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週刊『前進』(2074号6面1)
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判
無実の4同志保釈の決戦へ 1億円保釈金カンパ完遂を
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧による須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志の3同志への違憲・違法、超長期の未決勾留は、この10月13日をもって実に16年目に入った。福嶋昌男同志の未決勾留もすでに10年半に及んでいる。3同志の公判は弁護側立証の最終局面に入り、また福嶋同志の公判も弁護側立証開始が近づき、この二つの公判闘争と4同志の保釈奪還闘争は、ともに最大の山場に突入した。4同志に対する日帝国家権力による不法不当なデッチあげ逮捕と非道な超長期勾留という権力犯罪を、心底からの怒りをもって打ち砕こう。日夜不屈の死闘を続けている4同志の保釈奪還を今こそかちとり、無罪判決の戦取へ、全力をふりしぼって闘いぬこう。1億円保釈金カンパを完遂しよう。この4同志弾圧の粉砕と、星野文昭同志へのデッチあげ無期投獄粉砕の闘いは、イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕の決戦と表裏一体である。今秋決戦を大爆発させ、その中ですべての獄中同志奪還の道を切り開いていこう!
公判と保釈闘争が最大の山場に
9月24日、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う4同志は、弁護団とともに日本弁護士連合会・人権擁護委員会に対し人権侵害救済を申し立てた。
3同志にかかわる東京地裁刑事11部・木口信之裁判長、および福嶋同志にかかわる同刑事3部・服部悟裁判長が、保釈請求を却下し続け、前代未聞の違憲・違法の長期勾留を強制していることを告発した。また森山法務大臣、法務省矯正局長、東京拘置所長に対し劣悪な獄中医療を始めとした獄中処遇を糾弾した。
また同日、須賀、十亀、板垣の3同志と弁護団は、刑事11部・木口裁判長に対して第6次の保釈請求を突きつけ、ただちに保釈を決定せよと要求した。
いよいよ、暴虐のデッチあげ大弾圧を粉砕する決戦の時が来た! 昨年12月15 日、革共同が「無期・爆取攻撃と闘う長期獄中同志奪還大集会」で宣言したことをかちとるのだ。4同志の血の叫びを自分の決意として必死に闘いぬくのだ!
全国の同志、ならびにすべての闘う労働者人民の皆さんに心から訴える。4同志が完全に無実・無罪であることを心の底から確信し、仲間に、天下に、どこまでも知らせて下さい。
1986年5月4日、東京サミット会場の迎賓館にロケット弾が撃ち込まれた。その直前の4月15日には米軍横田基地へロケット弾が発射された。それらは、米帝レーガン、英帝サッチャーと結ぶ日帝・中曽根の「戦後政治の総決算」という日本の戦争国家化戦略、その中での三里塚二期攻撃ならびに国鉄分割・民営化攻撃に対する大衆的大反撃の先頭に立って革命軍が敢行した戦闘であった。昨年の9・11反米ゲリラ以降のアフガニスタン・パレスチナ・イラク侵略戦争反対・有事立法絶対阻止の現在の闘いに連なる大きな正義の闘いであった。
この両戦闘に大打撃を受けた日帝・山田警察庁長官は5月7日に「テロ・ゲリラを根絶せよ」との声明(5・7宣言)を出した。そして突如として翌87年10月、別件で東京拘置所に勾留されていた須賀、十亀、板垣の3同志を爆取第1条(死刑、無期もしくは7年以上の懲役)でデッチあげ逮捕した。また福嶋同志をデッチあげ指名手配し、93年3月に逮捕したのだ。
だがしかし、4同志はこの2件のロケット弾戦闘には完全に無関与・無関係であり、まったく無実なのである。
刑事と検事が、須賀同志に「お前は今回の事件に直接関与していないが、黙秘を続けていたら中核派の爆弾ゲリラの責任をすべて取らせるぞ。獄死だぞ。お前が転向声明を発表するまで何度でも起訴してやる」とわめいた。すべては、4同志が無実であることを承知の上で、死刑・無期の脅しで転向を強要し、革共同と革命軍を破壊し、労働者人民の闘いをつぶそうとする策謀であった。
しかし、4同志は完全黙秘・非転向を貫くことをとおして、デッチあげを粉砕してきた。検察官は4同志の「有罪」を立証するなんらの「証拠」も提出できなかった(できるはずもない)。そればかりか、「状況証拠の積み重ねで」と称し て法廷に持ち出してきた紙くずは、4同志と弁護団の反論を受けて、こなごなに粉砕され尽くしたのだ。
検察官の動揺、撤回、追加が重なる中で、東京地裁の木口ら反動裁判官の加担により、「検察側立証」なるものが昨年6月11日まで 12年9カ月間、155回にもわたって続けられてきた。だが彼らは「デッチあげの完全破産」という墓穴を掘った。法廷は4被告の無実・無罪を輝くばかりに実証する場に転化した。4同志の共産主義者としての、人間としての怒りが、権力犯罪を暴露し、断罪し、勝利への道を切り開いたのだ。
人権侵害・拷問の16年の未決勾留
今や4同志を監禁しておく理由など何一つ存在しないことは明々白々だ。4同志を勾留し続け裁判を継続すること自体が犯罪、つまり権力犯罪である。ただちに公訴棄却(裁判中止)、4同志釈放、裁判長・検察官・警察の謝罪と処罰、賠償があって当然である。
ところが現状は、無実の4同志の未決勾留が超長期に続いている。「判決なき無期刑」に等しい不法な権力犯罪であり、非人間的拷問であり、絶対に許されない人権侵害である。
3畳ほどのコンクリート壁に囲まれた独房で、座った姿勢が強制される。テレビもなく、自然からも遮断され、24時間看守に監視される毎日。入浴も運動もわずか週に2〜3回。唯一の人間的な会話は公判に出廷した時と、家族も含めて1日1回30分以内の面会の時だけ。このような非人間的な「檻(おり)の中」を強制されることは、たとえ1カ月でも耐えがたい人権侵害であり、拷問である。まして、3同志は16年間、福嶋同志は10年半も、その投獄を強制されてきたのだ!
「被告人は判決が出るまでは無罪の推定を受ける」「裁判に付される者を勾留することが原則であってはならない」という法理が、18世紀フランス革命以来国際的に闘い取られ定着してきたというのに! いま日帝・国家権力の革命家や政治犯に対する獄中弾圧は、日帝の危機が深まるほど、昔ロシアのツァーリズムの監獄も驚くほどの、戦前・戦中以上の凶暴なものとなろうとしている。
この非人間的な牢獄に4同志は耐え抜き、不屈に闘ってきた。それは4同志が革共同であるからだ。プロレタリア世界革命の未来を確信する革命的共産主義者であるからだ。このような同志を、私たちは心から誇りとする。だからこそ、その無法な牢獄から同志たちを奪還しないではいられないのだ。
4同志は、その不屈の闘いに本当に身を削り、著しく健康を害している。
須賀同志は98年2月に腰つい間板ヘルニアを発病したが東拘当局は治療もリハビリもなしに放置、須賀同志は車イスでの出廷を余儀なくされるに至っている。
十亀同志は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、両眼結膜結石、腰痛である。
板垣同志は頸椎(けいつい)症による手や背中のしびれ、痛みが激化しているが、東拘当局はMRIやCTスキャンなどの設備がないことを口実に、検査をネグレクトしている。彼は腸ヘルニア、アレルギー性結膜炎、胃炎、前立腺肥大、耳鳴り、白内障をも併発している。
福嶋同志の健康もきわめて厳しい状態にあり、この2月には出廷を見送らざるをえない日もあった。また前立腺肥大とその薬の副作用に苦しんでいる。
4同志の身柄の保釈、外部医療機関における全面的な治療開始は、もはや一刻の猶予もならない人道上の問題、人権問題でもあり、絶対的な必要事である。
刑事訴訟法91条は「勾留による拘禁が不当に長くなったときは、裁判所は勾留を取り消し又は保釈を許さなければならない」と規定している。それなのに、一審未決16年も勾留し続け、それを「不当に長くなったとはいえない」と強弁して保釈却下を続ける木口ら裁判官を、もはや断じて許すことはできない。
1億円集めきって保釈奪還実現へ
今こそ4同志の救出、すなわち保釈奪還と無罪判決獲得へ総決起しよう。それをかちとる最大の力とは、侵略戦争と治安弾圧をぶち破る党と労働者人民の闘いだ。世界恐慌への転落の中で米帝ブッシュは世界戦争に存立をかけ、日帝・小泉も米帝に共同・競合してアフガン参戦に続きイラク侵略戦争参戦・有事立法強行を企図している。
その彼らが最も恐れるものこそ、革命党と労働者階級人民の怒り、総決起、反乱、内乱だ。だから今、小泉政権は多くの弾圧立法を有事立法とともに制定し、革共同と労働者人民の闘いを破壊しようと攻撃している。今秋イラク侵略戦争粉砕・有事立法粉砕へ総決起しよう! それと一体の弾圧粉砕闘争の焦眉の課題こそ、4同志保釈奪還の決戦の勝利を切り開くことだ。
n公判傍聴に押し寄せ、昼休みデモに決起し、東京地裁・霞が関を揺るがして4同志即時釈放・無罪判決を要求しよう。
n弁護士、学者、宗教者を始めとする多くの人士が呼びかけている10万人保釈要求署名を広げ完遂しよう。
n4同志に面会しよう。手紙を書こう。
n1億円保釈金基金カンパを完遂しよう。これが4同志保釈実現の最後の決め手だ。目標額の過半は超えた。しかし想定される「高額保釈金」の攻撃を打ち破るには目標完遂が絶対に必要だ。今秋決戦の中でこそ、誰彼となく、いたる所で、4同志保釈実現への協力を訴え組織していこう。
nそれらすべての力を総結集して、必ず今秋、4同志保釈奪還の最大の高揚に登りつめ、保釈戦取の勝利を闘いとろう!
n次の資料をご覧下さい。
★パンフ「私たちは無実だ」迎賓館・横田爆取デッチあげ被告団/02年3月1日発行/頒価100円
★『コミューン』11月号特集「4同志は無実だ 即時奪還しよう」前進社発行/本体価格300円
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週刊『前進』(2074号6面2)
(10)
暁子さんの訴え
獄内外の分断のりこえ 運動拡大し奪い返したい
ともに生きる
星野文昭は、今年獄中28年目の秋を徳島刑務所で迎えている。私自身も、星野文昭と獄中結婚してから、16年目を迎えた。
84年に、裁判の傍聴をとおして文昭と出会った当初、月1回15分の東拘での面会と文通を続けた2年間、そして獄中結婚してからも、私は自分の人生をかけるような形で、星野をとり戻す運動にかかわろうとは思ってはいなかった。文昭も、私には自分の仕事をしてほしいと言っていた。
それが明らかに変わったのは、87年7月17日、最高裁での無期懲役刑の確定に直面してからだった。ほとんど、マイナスからの出発として始めなければならなかったが、数年の試行錯誤の中で、奪われているがゆえに対話すること、わかりあうことの大切さを学んだ。獄中処遇のあまりに厳しい現実も痛感した。また、一つひとつの困難さにごまかさずに向きあうことで、のりこえる力が生まれることも学んだ。期限のない無期ゆえに、問題を先送りせず、今できる最高の形で実現することが、次のステップを築き、生きる力を与えあうことも学んだ。文昭とのきずなが深まる中で、無期に立ち向かうことが少しずつできるようになっていった。
星野=暁子闘争として私たちは闘ってきたが、それは一つには、獄中とその家族が、権力から奪われていることの大きさゆえに、救援の対象であるとともに、闘いの主体としてあることを提起してきた。さらに二つには、生死が問われる中で互いに助けあい、夫妻としてのきずなとともに生きる喜びを大切につくりあってきた。
政治裁判の構造
私にとって一審判決、控訴審判決に向きあって、それを読む作業はつらい作業だった。一審、控訴審に共通するのは、殺人罪の事実認定をされている点だ。さらに、控訴審では、一審で「未必的殺意」としていたのを、「確定的殺意」をもっていたと認定を変えた。そして、「実行行為をやった。しかし、仮にやっていないにしても、やったに等しい」というのだ。権力側が、沖縄をめぐる東京での実力闘争での機動隊員1名死亡に関して、「極刑弾圧」を結論として持っていたということだ。
「やっていない」にしても現場の指揮者であった星野に、全責任をとらせるというのだ。そのためには、実行行為と火炎びん投てきの指示をやったことにしなければならなかった。政治裁判の構造がデッチあげによって成り立っていること、それこそが星野裁判の決定的弱点だった。
権力側の弱点を弱点として突き出し、極刑弾圧に勝利するには、主体の側の総括も深められなくてはならないだろうと思う。
一つには、権力の死刑求刑・無期と向き合って、デタラメ極まるデッチあげによる事実認定を、トコトン事実をもって覆す闘いが決定的に弱かったことを反省し、再審の場でのりこえることが必要だと思う。
二つには、獄中と獄外の分断の現実の上に立って、「革命家はどんな弾圧も引き受けるべきだ」というようなあり方は、「過激派に人権なし」とする権力の横暴を許してしまうことを、率直に教訓化する必要がある。獄中の「非転向」の闘いに甘んずることなく、自ら弾圧される側に身を置いて、ともに生き、とり戻すことによって責任をとる組織と運動をつくることが大切だと思う。
そして三つには、裁判的にも運動的にも、沖縄「返還」協定批准における日本政府の責任は言い続けなくてはならないこととしてあるということだ。
事実を裁くということ、「疑わしきは罰せず」の戦後の刑事訴訟法の精神も武器として闘うことが、当然のことながら重要なこととしてある。
「政治囚」の闘い
「事実がどうこうということはまったく聞かれず、組織をやめろ、運動をやめろ、転向しろということばかり言われた」。反戦運動で逮捕された人の話を聞くと、ほとんどの人がこう口をそろえる。文昭は、「転向しない限り、一生出られないようにしてやる」と言われ続けたと、取り調べのことを話してくれたことが一度だけあった。
このような現実を見る時「日本には政治犯はいない」などという日本政府の公式見解はとうてい納得できない。日本の受刑者全体の処遇が、外部交通、健康、懲罰などあらゆる面で劣悪であることは有名だが、その中でも「政治犯」には、「公安事件」としての差別があることが、文昭の話をとおしてもわかる。こうした中での「政治犯」としての獄中の闘いは、この「転向攻撃」との闘いが軸にすわるのは当然のことだ。星野文昭の闘いの中でも、それは原点だと思う。
憲法に照らせば違法そのものの代用監獄のもとでの不当な取り調べを権力の側はやめようとしない。弁護人の立ち会い、テープ録音などが保障されれば、冤罪も激減するし、転向強要なども論外になるはずだが。
しかしそれ以上に問われるのは、「政治囚に人権なし」の考え方が、運動をする側にも浸透していることではないだろうか。「覚悟の上の政治囚なら再審はするべきではない」「覚悟の上での政治囚とその家族なら、子どもを生み育てることなど望むべきではない」というふうに。
こうした意見の前提には、一般刑事囚も含めた受刑者の置かれている今の刑務所の過酷な現状への無理解、無関心がある。さらには、獄中が生きるための権利を生命がけで求めることに対する獄外からの高みに立った批判は、分断を固定化した敗北主義ではないだろうか。こうした傾向は日本の民衆の闘いの現状とも言えるが、私は必ずのりこえていけると思っている。
勝利するために
2002年、激しい時代に入ったと思う。今までの闘いの中でつくりあげてきた“豊かさ”も、また飛躍の材料にしていくべき不十分さも見すえながら、星野文昭をとり戻すための運動の広がりをつくり出したいと思っている。そうした時に、前方から、有事法制下での「マル特無期」「終身刑導入」「共謀罪」などが次々に押し寄せてくる。日本の支配者たちは、明らかに「変わる」ことを決断し、着手している。
それに対し、戦争に反対する人、そして組織と運動はどのように自らを変えることができるのだろうか。全体の運動の状況の中でも様々な分断の現実性に対し、ともに生きる喜びを糧として連帯しあえるかどうかが、大きなテーマになっているように思う。
星野文昭をとり戻す闘いも、今年は、ぶつかっては一歩ようやく進める、そんなことを何回か繰り返している。人として生きる喜びは様々だが、互いに信頼しあい、解放に向かう一歩一歩を大切にしたいと思う。
@再審を事実審として着実に進めること、A権利としての「仮釈放」を切り開くこと、B広範な大衆運動をつくり出すこと、昨年11月、沖縄での総会で確認した方針を足がかりに、「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」は、主体性をもった大衆運動として、今年も運営委員会を軸に一歩一歩進んできた。
「できることを、できる形で」、署名、賛同会員、運動の拡大など、多くの皆さんの協力を心からお願いしたい。
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週刊『前進』(2074号6面3)
東京高裁の保釈却下弾劾 無実の水嶋同志 即時釈放を
東京高裁第8刑事部(山田利夫裁判長)は10月7日、無実の水嶋秀樹同志に対して10月2日に東京地裁が行った保釈決定を取り消し、保釈請求を却下するという暴挙に出た。検事抗告を全面支持する超反動的な政治的決定であり、腹の底からの怒りで弾劾する。
そもそも10・2保釈決定は、「共犯者」とされた正井証言によって水嶋同志の無実が明らかになったことを踏まえた決定であり、検察立証が全面破綻(はたん)した結果なのだ。
水嶋同志は、88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘のデッチあげ弾圧によりすでに1年5カ月も不当勾留されている。無実の水嶋同志の保釈は当然の権利だ。保釈奪還、無罪判決戦取へ全力で立ち上がろう。
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週刊『前進』(2074号6面4)
医療観察法案 臨時国会で廃案へ 阻止共闘が討論集会
9月29日午後、東京・渋谷区で「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議(阻止共闘)主催による「保安処分新法を廃案へ!討論集会」が開かれた。「病者」を先頭に70人が集まり、活発な討論を繰り広げた。
集会は、国会前で連続的に衆院法務委員会前座り込み闘争を闘いぬいてきた「病者」が司会を務めた。「心神喪失等医療観察法案」という名の保安処分新法の通常国会成立を3月国会提出以来実力で阻止してきた自信と気迫に満ちたあいさつで始まった。
続いて四つの報告を受けた。まず「闘いの経過報告」が行われた。7月30日の衆院理事懇談会で民主党と自由党が裏切り的に政府案の継続審議の賛成に回ったこと。社民党と共産党が法案継続には反対し廃案を要求したこと。しかし共産党は5月30日以来「再犯のおそれの判断は可能」なる政府案支持の党見解を表明し続けてきたこと。これらの反動性が指摘された。
次に「国会審議の論点と批判」では新法が恣意(しい)的で将来にわたる「再犯のおそれ」を護持し、また精神医療への司法関与を柱に「病者」への強制・矯正治療を一層強めていることを批判した。
続いて「法務・厚生労働連合審査の経過報告」では、政府側参考人として陳述した東京医科歯科大の山上が「精神障害とともに、もともと強い犯罪傾向を持っている人が、獄中発病や精神病院への転院でその傾向を増し重大犯罪に至る」と吹聴し、だから司法精神医療を確立して「反社会性人格障害」などを見抜き欧米型の保安施設で拘禁すべきとあおったことを指弾した。
最後に「民主党対案批判」では、対案は池田小事件を繰り返すなと称して「病者」や精神医療にその対策と責任を転嫁し、かつての「処遇困難者病棟」なる精神科救急センター(PICU)設置や司法精神鑑定センター設置による「病者」への起訴促進をもって「政府と犯罪予防を競おうとしている」と断罪した。また“犯罪を犯した「病者」にはキッチリとした鑑定と刑罰、予防的な措置入院の強化を”なる要求を合言葉に昨年の法案の下準備段階から民主党対案と一体となって精神科医、弁護士、全精連など「病者」団体を始め政府案への取り込み策動が強められてきた事実も明らかにし批判した。
会場討論に移ると、まず兵庫の「病者」が「『触法精神障害者対策』そのものが『健常者』社会の防衛を動機にした『病者』への予防拘禁であり、私たち『病者』の訴えと別物」と批判した。また宇都宮病院事件を糾弾し活動する諸団体も報告。さらに東京下町患者会からは地域で生き抜くことを合言葉に集会・デモを単独で繰り広げてきた経緯を報告し決意を語った。
「刑法改悪阻止!保安処分粉砕全都労働者実行委員会」は「保安処分新設が差別立法であるとともに治安弾圧や健兵思想を植え付ける戦争体制づくりと一体」と訴え労働者としてともに闘う決意を語った。墨田の「病者」は「池田小事件を契機に強制医療に飛びつくのは許せない」と指弾した。川崎からは「病者」とともに闘う家族が「アウシュビッツを繰り返すな、戦争に反対する人は皆反対してほしい」と訴えた。
関東障解委は「有事立法粉砕、イラク反戦闘争とともに臨時国会決戦で廃案めざし闘おう」と呼びかけた。さらに都内「病者」、病院患者会、神奈川、多摩などから発言が続いた。
今後の行動提起として逐次の国会前座り込み行動と11月4日(月)の宮下公園・渋谷デモ、5日(火)の国会行動が、阻止共闘事務局より呼びかけられた。
最後に全体で集会決議を採択し、民主党対案や全精連が振りまく「触法精神障害者」対策への加担をも批判し、新法廃案へ闘いぬこうと誓い合った。
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週刊『前進』(2074号6面5)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
10月18日(金)午前10時
福嶋同志裁判
10月22日(火)午後1時15分
☆6・12私文書弾圧裁判
10月16日(水)午後1時15分
10月31日(木)午後1時15分
*いずれも東京地裁
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