ZENSHIN 2002/10/07(No2072 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2072号1面1)

 農民圧殺の暫定滑走路延長粉砕! 反戦の砦を守れ!

 10・13三里塚に全国総決起を

 米英日帝のイラク攻撃阻止、有事立法粉砕!10・21闘争へ

 国労大会・代議員選勝利を

 イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕を掲げた9・22全国結集闘争は東京・芝公園に2150人の大結集をもってかちとられた。イラク人民を始めとする世界の闘う人民と連帯して米英日帝のイラク侵略戦争阻止闘争の火ぶたが切られた。帝国主義が三たび、世界戦争・核戦争へ人類を突き落としていくことへの絶対反対の思いが会場に高まった。さらに米帝のイラク侵略戦争情勢の中で実行された日帝・小泉の訪朝=日朝首脳会談と日朝ピョンヤン宣言をもってする対北朝鮮侵略外交への弾劾をたたきつけた。9・22闘争を出発点にして、10・13三里塚全国総結集闘争、10・21全国統一行動を巨大な反戦闘争として闘いぬこう。イラク反戦・有事立法粉砕の大闘争を今こそ巻き起こそう。日帝の一大資本攻勢と闘い、その焦点である国鉄闘争の勝利をかけて、代議員選に勝利して、11・24、25国労大会で本部を打倒し、闘う新執行部を樹立しよう。この闘いをイラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕闘争と結合して闘おう。

 第1章 ブッシュ「国家安全保障戦略」とイラク攻撃

 米帝ブッシュと国際帝国主義の対イラク攻撃はいよいよ切迫してきている。
 9月19日、ブッシュが米議会に提出した対イラク決議案原案は、イラクによる対米攻撃の危険を指摘し、「対イラク先制攻撃は国連憲章で定められた自衛権の行使に当たる」との横暴な論理を展開している。さらに対イラク戦争に関する全権をブッシュに白紙委任するものになっている。
 翌20日、ブッシュは対イラク戦争を皮切りとする世界戦争計画=「米国家安全保障戦略」(ブッシュ・ドクトリン)を発表した。
 〔序文〕と〔地球規模テロ撲滅のための同盟強化〕の項では、米国が直面する最大の脅威が、大量破壊兵器の保有を企てる「テロ」組織や「ならず者国家(イラク、イラン、北朝鮮)」であると規定し、「脅威が米国の国境に達する前に破壊することで米国の利益を防衛する」とし、「テロ」組織や「ならず者国家」を「国境に達する前に」、先制的に戦争で粉砕するとしている。そして、「必要とあれば、単独行動をためらわず、先制する形で自衛権を行使する」と対イラクの先制攻撃を宣言している。
 〔大量破壊兵器による脅威の防止〕の項では、「湾岸戦争時に、イラクの企てが化学兵器だけでなく、核、生物兵器にも及んでいたとする証拠を入手した」とイラクを断罪し、さらに「北朝鮮はこの10年で世界の主要な弾道ミサイル供給源に」なっていると対イラク侵略戦争から北朝鮮侵略戦争への拡大をも完全に宣言するものになっている。
 〔各地域の主要国との協力活動〕の項では、アフガニスタン侵略戦争での日本の対米協力の前進を評価し、「われわれ(米日)は韓国と共に働き北朝鮮に対する監視を続ける」と北朝鮮侵略戦争を完全に射程に入れている。また、「中国は時代遅れの道を歩んでいるが、やがて社会的、政治的自由のみが偉大さの源だと気づくだろう」と、スターリン主義中国の体制転覆をにじませている。
 最後に〔21世紀の国家安全保障戦略〕の項では、「米国と同等か、それ以上の軍事力を築こうとする潜在的な敵を思いとどまらせるに十分な、強力な軍事力を持つ」と中国や日本を念頭に置いて、21世紀中も敵対国、潜在的な敵対国の登場を許さず米帝が世界の圧倒的な覇権国であり続けることを宣言している。
 これは、米帝ブッシュの世界戦争計画、新帝国主義宣言そのものである。
 9・11と9・12のブッシュ演説と同時に、米軍は陸海空軍と海兵隊から成る米4軍全組織をあげてペルシャ湾岸周辺地域に展開、配備を加速し、イラク攻撃の準備を整えている。
 すでにクウェートやサウジアラビアなどの周辺国に兵力2万3000人以上が展開。洋上には陸軍部隊9000人が待機し、ヨルダンでの訓練を終えた海兵隊員2200人がクウェートで揚陸急襲訓練に入る。海軍の空母3隻が出撃可能になった。空軍は200機以上の攻撃機と支援戦闘機が周辺諸国に配備され、B2爆撃機の出撃基地としてインド洋のディエゴガルシア基地の使用をイギリスに求めている。対イラク攻撃の前線本部として中東で最長の滑走路を持つカタール・ドーハのアルウデイド空軍基地が有力視されている。イラク北部のクルド人支配地域には米特殊部隊が展開し、CIAと連携して偵察活動を行っている。完全な臨戦体制に入ったのだ。

 第2章 米本国を始め全世界で反戦闘争の爆発へ

 最近ブッシュに提出された戦争計画によると、イラク攻撃は長期間にわたる空爆で始まり、B2爆撃機などを使って精密誘導兵器でイラク軍の中枢施設や防空施設を破壊し、通信を途絶させ指揮系統を破壊する。同時にクウェートや周辺諸国から海兵隊や陸軍の大規模部隊が出撃し、特殊部隊も含めた攻撃対象は数千カ所にのぼるとされている。
 この戦争が91年イラク・中東侵略戦争以上のイラク人民、アラブ人民、ムスリム人民に対するむきだしの一方的な、一大虐殺戦争となることは間違いない。
 9月16日、戦争重圧の中でイラクは国連の大量破壊兵器査察団の復帰を無条件で受け入れると表明した。ところが、ブッシュは「だまされるな、これはフセインの戦術だ」と叫び、あくまでも侵略戦争遂行の態度をみじんも変えていない。
 これは、米帝の新帝国主義宣言の実行であり、中東と世界の石油資源の米帝的支配と略奪を狙うものであり、古典的植民地主義以上に凶暴な侵略戦争の強行である。だがイラクのあり方はイラク人民自身で決定すべきものである。イラク侵略戦争を許せば、米帝の他民族圧殺、民族自決権じゅうりんの大攻撃は全世界に広がっていく。
 なぜ、これほどまでにして米帝はイラク侵略戦争に全力をあげているのか。
 これは世界唯一の超大国でありながら世界帝国として没落の危機と恐怖にあえぐ米帝が、帝国主義的危機を世界戦争に転化してのりきろうとする世界戦争計画の一環としてあるからだ。
 米経済は9月24日、ダウ平均株価が7700jを割りこみ7683jまでに急落した。昨年9・11後の最安値(7702j)を更新した。企業収益に下方修正が続出し、景気も二番底への先行不安がある。イラク攻撃の切迫による原油高騰など国際情勢への危機感がつのり、債券や金に資金が流出している。また米経常赤字も02年1〜6月期が2424億j強(前年同期比17・1%増)と過去最大を更新している。株価とドルの暴落への危機が高まっているのである。
 米帝は今日の世界危機の絶望的な深さを本能的に察知し、帝国主義の論理をむきだしにして、世界再支配・再分割のための世界侵略戦争−世界戦争の路線を突進している。特に中東支配が崩壊的な危機に陥っていることに対して戦争に訴えようとしているのだ。
 米帝のイラク攻撃の切迫に対応してパレスチナ情勢が重大化している。9月19日にはイスラエル軍は、パレスチナ自治政府議長府を再包囲し、攻撃し、破壊し、アラファト議長を再監禁して、虐殺・抹殺あるいは国外追放という自治政府解体の攻撃に出ている。
 イスラエルによるパレスチナ民族抑圧・抹殺戦争絶対反対を対イラク侵略戦争阻止と結びつけて闘いぬいていこう。
 米帝のイラク侵略戦争は絶対にスムーズには進まない。泥沼化と米帝自身の体制的危機の爆発は不可避である。アフガニスタン侵略戦争を見よ。米帝は勝利などしていないのだ。
 さらに米国内において、ワシントンでは10・26にイラク攻撃反対の大規模デモが計画されている。米帝内におけるイラク反戦闘争の内乱的発展は不可避である。全世界でも反戦闘争が必ず爆発する。

 第3章 排外主義の嵐と有事立法攻撃を粉砕せよ

 日帝・小泉は米帝のイラク侵略戦争を積極的に支持している。とんでもないことであり、絶対許せない。
 日帝は10月18日開会と言われる臨時国会で有事立法4法案(武力攻撃事態法案など3法案と個人情報保護法案)の成立を図り、現行テロ対策特措法の基本計画の再延長や米帝支援でアフガニスタンそのものへの派兵を可能とする新テロ対策特措法の成立を策動し、イラク侵略戦争参戦を狙っている。
 有事立法は直接的には北朝鮮・中国侵略戦争法案である。しかし同時に、周辺事態法やテロ特措法などと一体的に運用されれば、中東諸国を含めた全世界へ完全武装の自衛隊を派兵できる内容に転化していく。
 イラクは米軍兵力が周辺諸国に配備されたのを見て予備役の招集に入ったと報道されている。武力攻撃事態法案では、これが武力攻撃の「予測」事態にあたり、首相は武力攻撃事態を宣言し、自衛隊は防衛出動待機命令が出され、防御陣地の構築という形で全国に完全武装の自衛隊が出動していくことができるのだ。
 日帝が新対テロ特措法を成立させてイラク参戦状態に入れば、ペルシャ湾周辺の自衛隊のみならず、日本の関連施設や船や航空機や民間人は対イラクの戦争状態に入り、攻撃を受ける可能性がある。有事立法が成立すればそれだけで武力攻撃事態が宣言される可能性も出てくるのだ。
 今秋臨時国会における新テロ対策特措法と有事立法攻撃を、イラク侵略阻止と固く結合して絶対に阻止しなければならない。
 イラク侵略戦争が緊迫する中で行われた9・17日朝首脳会談と「日朝ピョンヤン宣言」は、日帝の侵略戦争政治であり、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の屈服と譲歩を完全にとりつけるものであった。
 北朝鮮はあらゆる項目(請求権、拉致・不審船問題、ミサイル・核問題)で全面屈服し、日帝はすべての要求を認めさせ、戦前の36年間の侵略と植民地支配の一切について謝罪も賠償も補償もせず、「経済協力を実施する」とした。
 北朝鮮は一貫して戦前の日帝の植民地支配責任、強制連行と強制徴用、軍隊慰安婦政策、侵略戦争への動員と戦争犯罪を主張してきたが、すべてを取り下げて全面屈服した。これは南北朝鮮人民への大裏切りだ。
 北朝鮮スターリン主義を打倒するのは、米日帝の侵略戦争ではなく、南北朝鮮人民自身の闘いである。解決の道は、南北朝鮮人民が主体的、蜂起的に決起し、民族解放・革命戦争=南北分断打破・革命的統一の闘いの勝利をかちとること、そして南北朝鮮人民と連帯して日本の労働者階級人民が自国帝国主義打倒に立ち上がることの中にある。
 日帝・小泉は拉致問題を使って北朝鮮を一層追いつめ、屈服を迫り、米日帝の北朝鮮侵略戦争のプロセスを打ち固めようとしている。排外主義の嵐が吹き荒れている。しかし一切の根源は帝国主義にある。日帝の戦争責任、植民地支配責任、戦後補償問題を追及し、米日帝の侵略戦争攻撃を阻止する闘いが核心である。日本の労働者人民は、闘う朝鮮人民と連帯し、在日・滞日人民を支援・防衛し、排外主義を打ち破り、イラク・北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕に総決起しなければならない。
 三里塚闘争は一貫して反戦闘争の一大拠点である。現在的にはイラク・北朝鮮侵略戦争を阻止する闘いの砦(とりで)である。
 さらに三里塚闘争は有事立法決戦の最大の拠点である。有事立法粉砕においては、軍事基地のための土地強奪拒否の闘争が決定的なのだ。
 空港公団新総裁・黒野匡彦は8月13日、記者会見で「ジャンボ機の離着陸が可能になるように(暫定滑走路を)一刻も早く2500bにしたい」と発言し、当初計画どおり平行滑走路を完成させる日帝の意志を露骨に表明した。そして黒野は「地権者の交渉と北側延伸を両にらみで進めたい」と、交渉に応じなければ滑走路の北側延伸で頭上にジャンボを飛ばすぞと敷地内農民を脅した。
 天神峰の市東孝雄さん宅に対するジェットブラストによる追い出し攻撃を許さず、農地強奪の攻撃を粉砕しよう。東峰神社裁判に勝利しよう。10・13三里塚全国集会に総決起しよう。
 名護新基地建設阻止、イラク侵略戦争出撃阻止の闘いを軸に沖縄闘争を今こそ爆発させよう。

 第4章 チャレンジと反動革同の国労本部打倒を

 国鉄闘争は、11月24、25日の国労定期大会を前に、あらゆる反動を打ち破り、15年の闘いを前進させる重大な決戦局面に突入した。次期大会を「解決案批准の大会にする」とうそぶき、大会開催を引き延ばしてきた国労本部は、組合員の怒りに押されて大会開催に踏み切らざるをえなかった。
 大会を開く以上、本部はその場で総辞職すべきだというのが、圧倒的多数の国労組合員の声である。だが、本部は、この大会で「国鉄闘争終結」を宣言し、国労闘争団966人全員を切り捨てるとともに、全国単一体としての国労を解体する大反動をたくらんでいる。「4党合意による解決」の破産を居直り、逆に国労解散に向けて一挙に歩を進めようというのだ。この反動を打破するために、何としても代議員選に勝利し、現本部執行部を引責辞任に追い込んで、新執行部樹立、国労の再生をかちとろう。
 「国鉄闘争再構築路線」を掲げる日本共産党=反動革同は、動揺を重ねつつもチャレンジとともに最後の裏切りに加担しようとしている。定期大会に向かっての代議員選挙が、国労の生死をかけた闘争になった。チャレンジや反動革同に立候補の資格はない。彼らを一切の役職から引きずり落とそう。代議員選挙に何としてでも勝利しよう。
 ファシスト的な凶暴化と白色テロル策動を強めるカクマルとJR総連を粉砕、打倒して前進しよう。
 03年統一地方選勝利への闘い、超長期獄中同志を防衛・奪還する闘い、財政闘争、機関紙拡大闘争、党勢倍増闘争を、今秋決戦の重大な環として進めよう。

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週刊『前進』(2072号1面2)

 拉致問題契機に噴出する排外主義の嵐を粉砕せよ

 日共の小泉翼賛を許すな

 9・17小泉訪朝・日朝首脳会談と、その後の拉致問題をめぐって噴出する排外主義の嵐(あらし)と全力で対決し、在日・滞日朝鮮人への襲撃・暴行を阻止しなければならない。
 本紙前号の「革共同の態度」で表明したように、日朝首脳会談は、米日帝の北朝鮮侵略戦争計画の一過程であり、米帝のイラク侵略戦争の切迫情勢の重圧のもとで北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国の金正日スターリン主義政権に屈服を迫り全面譲歩させたものである。その共同声明において、金正日は米日帝の要求をすべてのんだ。小泉訪朝はまさに日帝の新たな戦争外交の始まりである。
 米帝は、小泉訪朝を受けて、10月に米政府高官を特使として訪朝させようとしている。「悪の枢軸」論を掲げながら直接北朝鮮に乗り込んで、金正日を追い詰め、侵略戦争発動・体制転覆に踏み出そうとしているのである。

 北朝鮮に一層の屈服を迫る

 今、右の側から小泉訪朝を「非難」し、「国交正常化交渉は時期尚早」とするキャンペーンがマスコミを先頭に吹き荒れている。この排外主義の大合唱を追い風に、日帝・小泉は「拉致究明が優先」として、日朝交渉の材料に徹底的に駆使しようとしている。「北朝鮮側の通知に家族が納得できる状態にならなければ、交渉は再開できない」(外務省幹部)という高圧的姿勢だ。そうして金正日に対して、一層屈服と服従を強制しようとしているのだ。また、それが蹴られた場合は、米帝と共同・競合して北朝鮮に攻め込むことを考えているのである。
 北朝鮮の国家機関による日本人拉致の実行と、拉致された内の「8人の死亡」という事実それ自体は重いものである。だがこのことがすべてであるかのようにマスコミがあおっていることは、断じて許されない。
 拉致問題は、植民地支配下で600万人もの朝鮮人が強制連行=集団拉致され20万人もの女性が軍隊慰安婦政策のもとでじゅうりんされたことの、比較を絶する重さを抜きに語られてはならない。拉致問題をクローズアップすることで、植民地支配の歴史を帳消しにしようとすることなど絶対に許すことはできない。

 自国帝国主義と完全一体化

 日本共産党スターリン主義は、小泉訪朝過程で、さらに一段と帝国主義への屈服と加担にのめり込んでいる。8月30日の小泉訪朝発表に際して「直接対話の決断を歓迎」「必要な協力は惜しまない」と、全面的な翼賛談話を発表した志位委員長は、9・17小泉訪朝・日朝首脳会談を受けて「国交正常化への重要な前進の一歩」とたたえた。
 さらに、志位はこの談話で拉致問題を大きく取り上げ、「真相解明、責任者処罰、被害者への謝罪と補償」を要求するという形で、日本帝国主義と同じスタンスでこの問題を扱っている。そこには米日帝のイラク侵略戦争、有事立法攻撃、北朝鮮に対する侵略戦争攻撃という現実に対する一言の言及もない。
 また、過去の侵略と植民地支配に対する謝罪と賠償・補償の問題が、日韓条約と同様の「財産及び請求権を相互に放棄し、経済協力を行う」と決着させられたことを全面的に支持している。志位は、帝国主義と一緒になって、朝鮮人民を踏みにじったのである。
 さらに志位は、拉致問題を「許すことのできない犯罪」と言うが、ほかならぬ日帝が戦後の朝鮮南北分断体制に責任を負っていること、北朝鮮と戦争的敵対関係にあったことを徹底的に無視している。
 自国帝国主義の戦争政策、他民族抑圧政策に主要な問題があるにもかかわらず、それに触れず、拉致問題を大騒ぎするのは、帝国主義支配階級の側への転落以外の何ものでもない。
 また、ファシスト・カクマルは、今回の小泉訪朝と日朝首脳会談について、党派として責任ある態度を示すことができず、もっぱら「金正日政権の(中ロの支援に支えられた)『平和』攻勢」としてのみ事態を描きだしている。まったく転倒している。日帝が圧倒的な国力差で、米帝とともに北朝鮮に軍事重圧を加えているという基本構図を見ようとしないのだ。これは、カクマルが米日帝の北朝鮮侵略戦争を絶対に見据えようとしないところからきている。カクマルは、日帝の手先となって北朝鮮に対する排外主義攻撃に加担しているのである。
 排外主義に転落した日共・カクマルを粉砕・打倒し、米日帝のイラク・北朝鮮侵略戦争、有事立法攻撃を粉砕しよう。闘う朝鮮人民と連帯して闘おう。

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週刊『前進』(2072号2面1)

 定期大会決戦へ代議員選に勝利を

 国労再生へ総力結集しよう

 破産した4党合意にしがみつく本部=チャレンジ・革同打倒せよ

 11・24−25国労第70回定期全国大会に向かって、10月初めにも大会代議員選挙が行われようとしている。定期大会で本部執行部打倒、国労再生の歴史的勝利をかちとるために代議員選になんとしても勝利しなければならない。ここでの勝敗が国労と国鉄闘争の命運を決すると言っても過言ではない。9月26日、鉄建公団訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。ついに、闘争団員自身の手によって国鉄(清算事業団)=政府・JRの首切り責任を徹底的に追及する新たな闘いが始まった。闘争団の不屈の闘いが、あらゆる反動を押し返し、一大反転攻勢ののろしを上げたのだ。今こそ、闘争団とJR本体組合員の総力を結集して代議員選勝利をかちとろう。

 国鉄闘争の終結と国労解体狙う最後のあがき打ち破れ

 国労第70回定期全国大会は、まさに国労の56年の歴史と伝統をかけた歴史的大決戦である。
 その一切は、代議員選挙にかかっている。代議員選挙自身が、どういう大会をかちとるのかの大激突である。1047人闘争―国鉄闘争を終わらせて闘争団員全員を追放し国労を解散させてしまうのか、それとも4党合意を破棄して新執行部を樹立し、国労の旗を守るのか。この代議員選に反対派の持てる力のすべてを結集して闘い抜くこと、それが国鉄闘争勝利と国労再生の強力なエネルギーに転化するのである。
 国労本部は、大会日程を決定して2週間以上経過した現在まで、大会議案を明らかにしていない。4党合意が完全に破産した以上、これまでの方針を全面撤回し、新たな運動方針を提案しなければならない。いやそもそも現執行部は、直ちに総辞職し、新執行部にゆだねなければならない。
 だが高嶋−寺内執行部は、4党合意にすがった最後のあがきと延命策動に出ている。8月28日の中央執行委員会に提案された「採用差別事件の解決に対する本部の決意」では、国労が「雇用対策本部」なるものを設置するという方針を打ち出した。これは、国鉄闘争終結を前提にして、国労が闘争団員に対して一定期間「雇用対策」なるものを行うというものだ。966人の闘争団員全員を国労から切り捨てるための断じて許しがたい方針である。国労本部は、国労自らの手で闘争団を最後的に圧殺するという「本部の決意」を国家権力に示すことによって“ゼロ解決でもいいから早く出してくれ”とすがりついているのだ。
 だが、それすらもはや何の成算もない。すでに国労本部は7月末の時点で4党合意が最後的に破産したことを突きつけられている。
 7月30日に自民党、保守党、社民党、国土交通省による4者会談が行われた。この会談には、自民党から野中元幹事長、古賀前幹事長、甘利副幹事長が出席。社民党からは村山元首相、伊藤元運輸相、保守党からは二階前運輸相、国土交通省からは石川鉄道局長、梅田鉄道局次長が出席したと言われている。
 この会談の場で社民党の村山元首相が「4党合意に基づいてなんとか解決案を出してほしい」と要請し、野中元幹事長らは「4党合意はもうない。社民党は手を引いた方がいい」と、4党合意の解消を突きつけた。社民党は自民党に対して「8月いっぱい待ってくれ」とすがり、「8月いっぱい様子を見よう」となったと言われる。
 そして国労本部は、8月31日に「最後の説得の機会」と称して北海道の闘争団オルグを行った。だが本部は「定期大会は解決案批准の大会にしたい。9月中旬には判断し、11月中に開催する。鉄建公団訴訟と最高裁第三者申し立てを下ろせ」と繰り返すのみで、「説得」どころか闘争団の怒りを買い、4党合意の破産が浮き彫りになった。
 9月になって、社民党の渕上副党首が「4党合意はもうない。9・26鉄建公団訴訟が始まればそれで終わりだ」と公言している。
 どんづまりに追いつめられた本部は、ようやく大会日程を明らかにしたが、「9月中旬」になっても「解決案」など出るはずはなかった。17日に行った査問委員会は、チャレンジユニオンの分裂の首謀者について不問に付し、事実上、解散してしまった。
 もはや国労本部には何の展望も成算もない。だが、国労本部がそのまま4党合意の破産を認めて引き下がることはあり得ない。
 チャレンジ一派は分解と瓦解(がかい)を深めつつ、その一部は「チャレンジユニオン」への分裂策動を激化させている。
 こうした中で国労本部は、定期大会で「宮坂補強5項目」を復活させ、「国鉄闘争終結宣言」を行い、闘争団を解散し、もって全国単一体としての国労の解体と会社ごとの単組の連合体への移行―JR連合合流を果たそうとしているのだ。8・28「本部の決意」で言う「解決を機会にJRにおける運動の前進をはかることに全力を挙げる」とは、そういう意味だ。
 国労を丸ごと権力・資本に売り渡す最後のあがきを断じて許してはならない。

 日共=反動革同の転向路線が4党合意に行き着いた根源

 このような国労本部、高嶋・寺内らチャレンジ一派のあがきを許している日共=反動革同を徹底的に弾劾しなければならない。
 日共中央が7月に「国鉄闘争再構築路線」なるものを打ち出したのは、4党合意が破産したことを日共自身が自認せざるを得なくなったからだ。だが本部の田中、久保ら反動革同どもの言動は、日共中央の「再構築路線」なるもののペテン性を事実をもって示している。彼らは、「国労組合員である限り国労大会の方針に従わなければならない」と全面的に開き直り、これを日共中央が容認し、早くもそのペテンと反革命の馬脚を現している。
 チャレンジ一派と酒田一派は、グラグラになりつつも、こうした日共=反動革同の言動を見てとり、最後のあがきに出ているのだ。
 「4党合意依存路線からの転換」と言うのなら、この間の裏切りについて全面的に自己批判しなければならない。そして「闘争団への生活援助金凍結・物販排除を直ちに解除せよ」「4党合意破棄、現執行部は直ちに総退陣せよ」などの方針に賛成し、具体的行動で示さなければならない。だが日共中央は、自らのぶざまな大破産にたじろいで、卑劣な逃げを打って延命を策しているのだ。
 例の「メモ」では『赤旗』に解説論文を掲載すると言っているが、いまだに出されていない。
 実は、日共中央こそが、反動革同の裏切りを一貫して支持してきたのだ。それだけではなく、日共の路線こそが4党合意路線の根源をなしてきたのである。
 その出発点は、日共の94年20回大会以降の「資本主義の枠内の民主的改革」路線にある。94年とは朝鮮半島の戦争的危機があり、社会党の大転向を経て村山自社政権が誕生するという階級闘争の転機の年だった。そして日経連の永野会長(当時)が「2千万人失業」宣言を発し、95年には日経連が「新時代の『日本的経営』」報告を打ち出し、大失業攻撃を本格化させる。ここで日共は、日帝資本とは闘わず、資本を守るという大転向を行った。
 この時、国鉄闘争も中労委命令から裁判に移る過程にあり、一方で「闘争団切り捨て」を叫ぶチャレンジ一派が登場し、他方で日共が「政労使交渉」=〈和解路線〉を主導するのである。そして、日共=反動革同は98年5・28判決を契機に、これに全面屈服して反動的に純化し、チャレンジ一派と一体となって「政治解決」の名のもとに4党合意路線を突き進むのだ。
 4党合意が破産したということは、日共による「体制の枠内で解決しよう」という〈和解路線〉が破産したということなのだ。
 日共中央は「再構築路線」の「メモ」の中でも国鉄闘争について「雇用問題の解決」という言葉を一貫して使っているが、これ自体、〈解雇撤回・JR復帰〉の闘いを放棄した〈和解路線〉そのものである。これを全面的に清算する以外に、真の路線転換はあり得ない。
 勝利の道は、4党合意破棄、本部執行部打倒の闘いと結合し、〈1047人闘争〉としての発展をかちとることである。そして、この国鉄闘争と有事立法決戦を結合し、帝国主義と対決する階級的労働運動をつくり出すことである。
 ここで重要なのは、従来のように革同の多数がチャレンジ一派と結託して本部賛成派が代議員勢力で3分の2を占めてきた構造が、もはやそのまま成り立たないということである。チャレンジ一派も反動革同も酒田一派も、いずれも相互に依存し結託してしか権力を維持できない。だが彼らの矛盾は一層深まるだけだ。チャレンジの弱点は反動革同であり、反動革同の弱点はチャレンジだ。今こそ徹底して彼らの裏切りを断罪し、大攻勢をかける時だ。
 代議員選で裏切り者を徹底的にたたき落とし、打倒しよう。

 裏切り者たちを引き下ろし闘う国労の旗を守り抜こう

 今次定期大会―代議員選は、米帝のイラク侵略戦争の超切迫、有事立法の臨時国会強行策動、「日朝国交正常化交渉」などの重大情勢の中で闘われる。アメリカを始めとする帝国主義経済の破局的危機、とりわけ日本経済の危機の中で日帝資本の生き残りをかけた資本攻勢は、数千万の労働者に対する首切り・不安定雇用化、賃下げ、権利はく奪の大失業攻撃として襲いかかっている。戦後最大の階級決戦の様相を一層激烈化させている。
 このような中で連合の帝国主義的労働運動としての純化、何よりも5・16「有事法制賛成」見解がある。それに対する下からの反乱と分岐・流動化が始まっている。全労連も、国鉄労働運動における大破産に象徴される日共の労働運動指導の危機の中で、流動化している。ナショナルセンターを超えた陸・海・空・港湾労組20団体を始めとする決起が、連合・全労連を揺るがしている。
 このような情勢は、国鉄闘争支援陣形が一層拡大する情勢なのだ。有事立法決戦、国鉄決戦を柱に、激化する資本攻勢に労働者階級の団結をもって対決する階級的労働運動の新潮流を発展させる情勢である。
 代議員選―定期大会決戦に勝利し、国労を再生させることに成功するなら、その情勢を一挙に促進することができる。9・26鉄建公団訴訟をもって攻勢に立った国労闘争団と、動労千葉争議団、全動労争議団の〈1047人闘争〉としての真の発展の局面が切り開かれるのだ。

 JR総連が組織的危機に

 他方で、JR総連カクマルは、国鉄分割・民営化以来最大の組織的危機に陥っている。この間、JR東労組千葉地本の小林克也(新委員長)が「動労千葉をつぶす」と暴言を吐き、東労組高崎地本が「他労組への嫌がらせ的、威圧的行動」などを行っているのは、危機ゆえの凶暴化である。
 カクマル本体と分裂し「カクマル問題」をのりきることで延命を図ってきたJR総連カクマルだが、内部の矛盾が爆発しつつあり、今や松崎・カクマル支配は瓦解の危機を迎えている。
 これも闘争団を先頭とした国労組合員の必死の闘い、動労千葉の闘いがつくり出した情勢だ。われわれ革共同は、カクマルと体を張って闘い抜いてきた党として、そのことをはっきりと確認することができる。
 国鉄―JR労働運動をめぐる大流動情勢が訪れているのだ。1047人闘争とJRにおける闘いの発展にとって絶好機の到来だ。
 闘争団とJR本体の国労2万余が一体となって、そして1047人とその支援勢力が一体となって闘うことこそ、この情勢を勝利へと結実させるカギである。何よりも総力を傾注して代議員選―定期大会決戦に勝利し、闘う新たな執行部を樹立することである。
 4党合意に賛成したチャレンジ、反動革同を一人残らずたたき落とそう。勝利へ確信も固く大攻勢を!

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週刊『前進』(2072号2面2)

 有事法攻撃下の労組弾圧に反撃

 治安諸立法許さぬ

 9・14反弾圧闘争に220人

 第27回9・14反弾圧闘争が9月13日午後6時から東京・銀座の京橋プラザ区民館で開かれ、大恐慌過程突入下での争議の激発と日帝の反動立法攻撃の一挙的激化への危機感から昨年を上回る220人が結集した。
 9・14反弾圧闘争は、1976年の争議団に対する大量刑事弾圧への共同反撃の闘いとして出発。反弾圧共闘として首都圏で唯一の陣形であり、全国の争議団が参加する。動労千葉や労組交流センターからも多くの労働者が参加した。
 最初に破防法・組対法に反対する共同行動などの発言があり、共同行動は、カンパ禁止法の制定を弾劾し、国際的組織犯罪条約批准のための結社禁止法制定による共謀罪の新設攻撃と闘う重要性を訴えた。続いて予防拘禁法を許さない戦線から発言があり、保安処分新法である医療観察法案の廃案を呼びかけた。さらに、憲法と人権の日弁連をめざす会が発言し、司法改革攻撃の問題点を暴露した。続いて、三里塚反対同盟などのアピールが読み上げられ、関西の全国金属機械港合同など全国から参加した争議団が連帯のあいさつを行った。
 基調報告が以下の内容で提起された。@労働運動への刑事弾圧が、全日建運輸連帯関西生コン支部、鳥井電器争議、千葉学校労働者合同労組、関西合同労組などへの攻撃として相次いでいること、A東京都迷惑防止条例改悪攻撃は阻止したが、司法制度改革や、労働法制の改悪、労働委員会制度の解体攻撃などがかけられていること、B99年の組対法成立以降、治安立法のラッシュともいうべき攻撃がカンパ禁止法、保安処分新法、終身刑導入、個人情報保護法、住基ネットの発動など、とりわけこの1年間に集中していること、C背景に昨年の9・11反米ゲリラ戦以降の米帝による世界戦争攻撃と、昨秋テロ対策特措法制定による米帝の侵略戦争への日帝の後方支援と有事立法攻撃があること、D勝利の道は、国労闘争団や動労千葉などを始めとした闘う労働運動の潮流を形成して反撃する中にあること。
 その後、各争議団と支援からの決意表明が続いた。集会の最後に、「保安処分新設立法『心神喪失者医療観察法案』に反対する決議文」と、米日帝によるイラク侵略戦争反対を強調した「有事法制・結社禁止法に反対する決議文」が読み上げられ、全体の拍手で確認した。集会後、途中から土砂降りの雨の中、日比谷公園まで戦闘的なデモ行進を貫徹した。
 今年の9・14反弾圧闘争は、「9・11」以降の情勢激変を背景に反弾圧闘争が質的な飛躍をとげつつあり、有事立法決戦をスケール大きく展開する上で、示唆に富む意義深い闘争であった。
 (投稿/H・A)

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週刊『前進』(2072号2面3)

国労の誇りかけ  国労闘争団(3)

 卑劣な兵糧攻めに負けない

 俺たちは労働者だ。心や友を売ってはならぬ

 北海道C闘争団 Gさん、Nさん

 白紙委任認めぬ

 ――4党合意に反対して闘い抜いてこられて、今のお気持ちは。
 G おれたちが求めてきたのは「『闘ってよかった』という中身があればいい」ってことなんです。ところが今の本部は何も示せない。だからおれたちは4党合意に反対するんです。
 4党合意が国労に求めているのは白紙委任です。仮に国労がこれをのんでも、さらにハードルが高くなるだけです。国労をつぶすのが目的なんだから。
 おれはそんな高望みはせん。人間らしく生きられる条件を整えてくれるのであれば、一日も早い解決を望みます。だけどやはり人間として譲っちゃいけないことがある。「おれたちは労働は売っても、奴隷じゃない。労働者だ。心や友を売ってはならん」。それを合言葉に闘ってきたんです。
 N 本部は「情勢が悪いから、この程度にしよう」としか言わないけど、情勢が悪ければ悪いだけ踏ん張らなきゃならん。何のために15年間も頑張り続けてきたのか、そこがすっ飛んだ方針は絶対認められない。
 本部はもう亡霊として名前だけ残っている4党合意にしがみついているだけ。でもここまできたら潔く「私たちがやろうとしたことは通りませんでした」とはっきりさせるべきです。
 4党合意の当初言われた「解決金は80万円、JR採用は75人」というのも、今や甘利に「時間がたってどんどん下がっている」と脅されてる。私たちが認められる解決内容は一切ない。
 G いろんなせめぎ合いの中で、一つや二つ、涙をのまなきゃいけない時はあるかもしれない。でも「闘ってかちとった」という満足感も何もなしで闘争を放り出す、そんなんで納得できるはずがない。
 「仲間を大事にする」って感覚があれば、おれたちじゃなくてもみんな同じことをやると思う。それだけ正直で、世渡りが下手くそな人間がクビになっちゃったんだよ。闘争団ていうのは、そんな正直でぶきっちょな人間の集まりですよ。
 ――5月分から生活援助金が凍結されましたよね。
 G もともと貸付金が少ない中での2万5000円のカットだから、この金をつくるのは大変なことです。どこの団も、一日も早く解決するためにギリギリいっぱいのところで闘ってきた。そこを兵糧攻めする本部の援助金の凍結は、本当に恨みを買うよね。
 ――それでも絶対に屈しない。
 G 本部も困っているでしょう。8月31日に北海道オルグに来て「本部が雇用に責任を持つ」なんて言い出した。そんなのは空手形だし、そもそも言っちゃダメなことなんだよ。国労が「仕事をください」と頭を下げて歩くという話でしょう。加害者と被害者が逆で、政府・JRに責任をとらせられないじゃないか。
 チャレンジの連中は、JR当局に「早くカクマルと同じ土俵に乗ってこい。そうしたら差別されないで済むぞ」と言われて、「闘争団闘争を終わらせて、早くJR連合と合併しよう」というのが本音ですからね。
 おれは「JRにいれば月に40万、50万の給料をとってもいいのに、おれたちは毎月、団の貸付金十数万円で闘っているんだぞ。毎月20万も30万も賃金カットくらっているのと一緒だぞ」と言うんですけどね。

 団と本体は両輪

 G だけど「闘争団のためにJR組合員は犠牲になってくれ」とは言わない。闘争団とJR組合員は、車の両輪だから。JRの仲間に「闘争団の闘いに勝たない限り、JRの国労敵視の労務政策なんか絶対に変わらんぞ」と言うんですよ。
 N 今、4党合意に賛成してきた闘争団からも「援助金カットなんてやめれ」という声が出ている。そして「もう一回、36闘争団が『要求』でまとまろう」という議論が進んでいます。
 国鉄闘争共闘会議も爆発的に増えています。共闘会議は、国労の966人だけでなく「1047名闘争の支援」ということでつくられたわけです。それに対してこれまでの中央共闘会議は雪崩的に崩れている。向こうはお城もお堀もずたずたです。今が踏ん張りどころですよね。
 ――今、有事法制にも国労が先頭に立って反対すべき時ですよね。
 N 国鉄闘争とは人権の問題でもあり、戦争こそ人権を全面否定するものだから、反戦・平和の闘いをしっかりと結合しなきゃならん。逆に言うと、国鉄闘争で「4党合意でいい加減に済ませよう」という状況で、どうして有事法制反対が言えるのか。今、労働者が物を言えない状況に押し込められている。歴史を振り返れば、こういう時が一番危ない。だから国鉄闘争が重要なんです。

 本部の破産明白

 ――次期大会へ向けて訴えたいことは?
 N 今や本部方針は混迷している。われわれが言ってきたことの正しさがJR組合員の中にも広がっている。私たちの地道でうそのない、大道を歩んでいる取り組みが、光り輝いてきていると思ってますよ。
 G 今の苦闘をのりこえたら、おれたちはまた一皮むけるよね。だから本部に、「おれたちはまだまだ元気だぞ。何こいたもんだ、びくともせんぞ」って言ってやりたいよ。絶対に負けないよ、おれたちは。必ず苦境をのりきってみせる。本部がどんな攻撃をかけてきても、意気軒高と闘い抜きますよ。
 (聞き手/本紙・上原祐希)

■生活援助金の凍結

 国労は、JR組合員から月1000円のカンパを任意で集め、全闘争団員に生活援助金として毎月2万5000円給付していた。しかし国労本部は今年4月、最高裁第三者訴訟参加申し立て組合員と鉄建公団訴訟原告に対して、生活援助金を凍結し、物資販売からも排除することを決定、5月分から凍結されている。

◎取材メモ

 闘争団の生活は組織自活による貸付金制度が基本だ。団員は、月々稼いだ賃金をすべていったん団に入れてプールし、それを年齢や家族の収入などに基づき貸付金として給付する。専従の事務局体制やオルグの派遣なども担いながらの闘いゆえ、月40万円を稼いでも十数万円しか給付を受けないという団員も多い。「生活そのものが闘いだよ」。これが15年の闘いを支える強じんな力だ。

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週刊『前進』(2072号3面1)

 9・22 イラク反戦・有事立法粉砕へ高揚

 今秋決戦の火ぶた切る

 小泉訪朝・戦争外交を弾劾

 10・21へ国際連帯の決起誓う

 反戦共同行動委員会主催のイラク侵略戦争阻止、有事法制粉砕の9・22全国総決起闘争は東京・芝公園に2150人の労働者、学生、市民が結集し、激しい危機感に燃えて戦闘的に闘い抜かれ大高揚した。差し迫る米帝のイラク侵略戦争、それと一体となって日帝の参戦のために推し進められる有事立法攻撃、その中で日帝・小泉の北朝鮮訪問と日朝ピョンヤン宣言による北朝鮮侵略戦争の策動。こうした帝国主義の侵略戦争をなんとしても阻止しようと戦闘的熱気が満ちあふれ、今秋決戦爆発への巨大な突破口が切り開かれた。

 日比谷へデモ

 デモは全学連を先頭に労組交流センターの隊列が次々と梯(てい)団を連ね、部落解放同盟全国連合会、婦人民主クラブ全国協などの市民団体の隊列が続いた。全学連の部隊が激しく機動隊ともみ合いながら先頭を切り開いた。権力の弾圧策動をスクラムで跳ね返し日比谷公園までのデモを闘い抜き、沿道の市民が注目し、声援を送った。
 開会前から芝公園には熱気が満ちあふれた。3日間の大会で決戦態勢を確立した全学連が陣取って戦闘性あふれる独自集会を開き、場内デモで盛り上げた。市民運動に集う仲間の反戦の思いを込めた演奏が行われ会場がひとつになった。
 正午過ぎ集会が開始された。東京反戦共同行動委代表の三角忠さんが主催者あいさつし、「小泉は金正日の屈服につけ込んで侵略戦争の道筋をつけようとしている」と弾劾、イラク侵略戦争阻止へ「全世界の労働者、被抑圧民族と連帯し闘おう」と訴えた。
 連帯のあいさつでは関西新空港に反対する住民団体を代表して淡路町反対同盟の安藤真一事務局長が、関西新空港の二期や神戸空港を「巨大な軍事空港」と暴き、決起を呼びかけた。

 三里塚が訴え

 三里塚芝山連合空港反対同盟からは、北原鉱治事務局長、敷地内の市東孝雄さん、本部役員の鈴木幸司さん、野平聡一さん、伊藤信晴さんが登壇。代表して北原さんが、「有事3法案が通れば自衛隊出兵が発動される」「成田を軍事使用させないをスローガンに闘い抜いている」と三里塚闘争の意義を訴えた。そして、「闘えば必ず勝てる確信を持って10・13全国集会を開催する。三里塚に結集しよう」と呼びかけた。
 反弾圧戦線から救援連絡センター事務局長の山中幸男さんが、「ブッシュの世界を一元支配しようとする戦争への道に、みなさんとともに闘い抜く」と述べ、「共謀罪の新設や治安維持法を上回る弾圧立法をつくろうとしている。弾圧立法、治安立法を許さないためにともに闘う」と訴えた。
 在日台湾人元日本兵の林歳徳さんは、日帝の中国侵略の歴史を弾劾し、有事立法について「中国を侵略するための法律」と鮮明に暴き、「私たちの闘いが負けたら第三次世界戦争になる。天皇制ある限りアジアに平和はない。天皇制日本帝国を打倒しよう」と熱烈に呼びかけた。続いて青年アジア研究会の代表が、小泉訪朝による北朝鮮侵略戦争の策動を明らかにし、日本人拉致問題を使った排外主義の嵐に対して「体を張って在日・滞日アジア人民を防衛しよう」と訴えた。
 北富士忍草母の会の天野美恵事務局長が、「有事立法が成立すれば北富士を始めとした人民の闘いが圧殺される」と怒りを込めて発言した。また、4月1日に建てた鉄塔を撤去する仮処分攻撃に対し「富士を平和の山に取り戻す。塔は取られても命の続く限り闘う」と不屈の決意を語った。
 とめよう戦争への道!百万人署名運動の西川重則事務局長は、有事3法案の一部修正について、「野党は修正したら賛成なのか」と怒りを表明した。米帝のイラク攻撃を支援するための新テロ対策特措法の攻撃を弾劾し、「署名運動をとおして廃案しかないことを全国にアピールしていく」と決意を語った。

 知花氏が報告

 沖縄から知花盛康さんが駆けつけ、沖縄地方選での反戦・反基地を闘う候補の勝利を「未来を託せる力強い歩み」と報告した。さらに「57年前の沖縄戦をとおして軍隊が住民を守らないことを知っている。基地をなくすまで闘い続ける。有事立法をなんとしても粉砕し、戦争への道を断つ」と力強い決意を表明した。沖縄労組交流センターの労働者は、宮城康博さんのトップ当選は「名護市民の渾身(こんしん)の回答であった」と訴え、既成政党の裏切りを弾劾して「新しい潮流が本格的に力強く登場する時」と呼びかけた。
 基調報告を反戦共同行動委事務局長の滝口誠さんが提起。米帝がイラクに先制攻撃をかけると宣言していることを弾劾し、イラク侵略戦争阻止への全力決起を訴えた。日朝首脳会談で戦争外交を進める小泉政権を弾劾し、「日朝人民の真の連帯をかけて朝鮮侵略戦争を阻止し、排外主義の攻撃と闘う」と呼びかけた。
 さらに有事立法について、北朝鮮・中国侵略戦争法案であることを弾劾し、加えて個人情報保護法案が「新たな国家機密法であり国家総動員体制づくりの一環だ」と警鐘を鳴らし、保安処分新法など反動諸法案の粉砕を強調した。そして「有事立法が通ったら戦争。この秋闘わなければならない」と反戦共同行動委員会の飛躍を激しく訴えた。最後に10・21国際反戦デー闘争を世界の反戦闘争と連帯して闘う方針を提起し、10・13三里塚闘争や11月の闘いなどを全力で闘おうと呼びかけた。
 カンパアピールを都政を革新する会の北島邦彦事務局長が行った。
 教育労働者が教え子を戦場に送らないために「できることをすべてやる」、国鉄労働者は国労大会決戦に向かって闘う決意を表明した。反戦兵士と連帯する会がイラク反戦闘争を訴え、関東「障害者」解放委員会の代表が保安処分新法の廃案を訴えた。部落解放同盟全国連の金平通雄共闘部長は差別糾弾闘争を圧殺する人権擁護法案の粉砕を訴えた。婦人民主クラブ全国協の代表は、米軍相模総合補給廠(しょう)でイラク侵略戦争の準備が進んでいることを弾劾した。最後に松尾純一全学連副委員長が全国の大学で千人の決起をつくりだすと力強く宣言した。

 中野代表から

 集会のまとめは中野洋反戦共同行動委代表だ。まずブッシュ・ドクトリンについて「イラクに対して先制攻撃で侵略戦争を行い、世界中を戦争にするものである」と弾劾。さらに北朝鮮の拉致問題を使った排外主義に対して、「これと闘わなければ有事立法粉砕闘争は成り立たない」と訴え、有事立法粉砕に向かって「歴史上かつてない闘いをやろう」と呼びかけた。
 泉佐野市議の国賀祥司さんが行動方針を提起、全員がデモに打って出た。
 9・22総決起闘争は、今秋決戦突入の第一波の闘いとして戦闘的に打ち抜かれた。今秋決戦の突破口が圧倒的に切り開かれた。米帝(国際帝)のイラク侵略戦争を全力で阻止し、有事立法粉砕へ10・13―10・21の巨大な爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(2072号3面2)

 『前進』販売し大街宣

 首都圏4駅頭 排外主義の嵐に反撃

 9月22日、反戦共同行動委の全国総決起集会・デモの後、中核派の労働者・学生130人がJRの渋谷、新宿、池袋、横浜の4駅頭で『前進』販売キャンペーンの大街宣を行った(写真は池袋駅前)。1時間半の間に最新号107部が売れた。
 雨の中、PRカーからアジテーションを響きわたらせ、ビラをまき、中核旗と『前進』ののぼりを持って、「日朝首脳会談に対する革共同の態度」とイラク反戦闘争アピールの載った『前進』最新号を高く掲げて購読を呼びかけた。
 「日朝首脳会談、拉致問題キャンペーンは日本とアメリカのイラク・北朝鮮侵略戦争計画の一過程だ。排外主義のあらしを打ち破り、闘う朝鮮・中国・アジア人民と連帯し、イラク侵略戦争と有事立法攻撃を粉砕しよう」との訴えは圧倒的に注目を浴び、「あ、中核派だ」と立ち止まって聴く人が多数現れた。
 特に学生、青年労働者、在日・滞日の朝鮮人・中国人が強い関心を示した。「あんたたちは一番左だね」と声をかけてきた中年の労働者や、「本当に襲撃から守ってくれるのか」と危機感を訴え『前進』を買った在日三世の青年。「私も戦争反対」と言う高校生。
 他方で、「朝鮮人は日本から出ていけ」「拉致は許せない」という排外主義の罵声(ばせい)を投げつけるやからもいたが、それを打ち破って闘い抜いた。
 大衆とりわけ若者の危機意識、反戦意識が強まっている。『前進』を拡大するのは今だと確信を強めた街頭販売活動だった。

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週刊『前進』(2072号3面3)

 呉出港阻止に立つ

 護衛艦派兵に怒り

 9月17日、広島反戦共同行動委員会の労働者・学生は、海上自衛隊呉基地からの護衛艦「ひえい」「さみだれ」の出兵阻止闘争に早朝から決起した(写真)。
 「テロ特措法」に基づく呉からの侵略出兵により、インド洋で自衛隊が行う補給行動がどれほど多くのアフガニスタン人民に流血を強制したことか。今回の出兵は、アフガニスタン侵略に加えてイラク侵略戦争にも直結している。絶対に許すことはできない。
 アレイからすこじま公園の沖合に停泊する「ひえい」「さみだれ」に向け、労働者・学生は声を限りに弾劾した。「アフガニスタン人民を虐殺するな」「イラク人民の虐殺に手を貸すな」「兵士は侵略出兵を拒否せよ」。午前9時、2隻は怒りのシュプレヒコールの中を出港した。
 9月17日、小泉訪朝と合わせて強行されたこの侵略出兵は、今秋臨時国会に提出される新テロ特措法と有事立法の先取り的適用の攻撃だ。日帝が常時、侵略軍を海外展開する状態を許してはならない。今秋臨時国会決戦の爆発で有事立法4法案を葬り去ろう。

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週刊『前進』(2072号3面4)

 小泉訪朝弾劾に立つ

 全学連 防衛庁にデモ

 9月17日、小泉が北朝鮮に乗り込み日朝首脳会談を行っているまさにその時、全学連は「小泉訪朝弾劾」を真正面に掲げ、キャンパスから街頭に打って出た。
 デモに先立ち、法政大学キャンパスで情宣をした。「小泉訪朝は、圧倒的な軍事重圧のもとで北朝鮮を屈服させようとする戦争外交そのものだ。拉致問題を徹底的にキャンペーンしているが、いったい日帝はどれだけアジア人民を拉致し、強制連行してきたのか。朝鮮人民に対するすさまじい排外主義扇動と対決し、有事立法阻止決戦に決起しよう」と訴えた。
 その後、防衛庁に向けて戦闘的デモに打って出た。「小泉訪朝弾劾! 拉致問題を利用した戦争外交を許さないぞ!」という力強いシュプレヒコールがこだました。雨が強く降りしきる悪天候の中、インパクトある行動は沿道の労働者・市民の圧倒的な注目を集めた。小泉が訪朝しているまさにその時に決起したことが決定的だった。右翼の街宣車が何台も走り回る中、排外主義攻撃と全面対決する行動として闘われた。
 日帝の総力を挙げた排外主義扇動と真っ向から対決し、イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕決戦に立とう。

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週刊『前進』(2072号3面5)

 実弾射撃演習断じて許さぬ

 日本原で阻止闘争

 9月17日、岡山県奈義町の日本原東地区演習場で陸上自衛隊第37普通科連隊によるロケットランチャー砲の実弾射撃訓練が強行された。小泉訪朝と一体の北朝鮮侵略戦争に向けた訓練だ。同日闘われた呉闘争と連帯し、岡山の学生・労働者は早朝から実力阻止闘争に決起した。
 演習場内でデモをかちとり、不当な立ち入り禁止規制を叫ぶ自衛官に対し断固シュプレヒコールをたたきつけ、訓練に動員された兵士に「侵略の銃をとるな」「反戦自衛官とともに闘おう」と決起を呼びかけた。
 有事立法制定・イラク侵略戦争情勢、北朝鮮侵略戦争情勢にあって、日本原闘争の意義はますます鮮明になっている。地元農民とともに日本原演習場でのあらゆる侵略演習を許さない決意をあらためて固めた。

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週刊『前進』(2072号3面6)

失業労働者の団結へ 被災地・神戸からの報告 (6)

 階級的団結形成の試練 階級意識の獲得を促す

 学習会で運動の危機を克服

 被災地の失業労働者組織化の闘いは、95年後半の雇用保険の失業給付切れ、中高手帳発給要求闘争の敗北などによって、要求に基づいた結集と闘争が大きな壁にぶつかった。
 要求が実現しない中では、階級的団結を形成していかない限り、展望を開けない。このような状況の中で、私たちが取り組んだのが、96年冒頭から開始した組合員の権利意識、階級意識の自覚を促す学習会だった。簡単なリーフレットをつくって職種や元職場、各地区ごとに組織した組合員の学習会を行った。
 阪神大震災は自然災害だがその被害は人災だということ、最も被害が大きかったのが神戸市など行政が放置してきた長田区などの労働者街だったこと、火事を消そうにも水の出ない消火栓、復興政策は大企業だけがもうかる仕組み、国や行政は労働者の味方ではなく大企業の味方であること、権利は団結した力によってしか勝ちとれないこと、などなど。
 震災後の国や行政の労働者見殺し策に対する怒りに燃えていた被災失業者には、このリーフレットの内容が染みいるように入っていった。この学習会から反失業闘争を担う核になるグループが生み出され、激しい行政闘争を闘う中で、実質的な失業対策事業としての「被災地しごと開発事業」をかちとることにつながっていった。
 これらのパンフレットは「帝国主義」とか、「階級」という言葉を使わないで、労働者が理解しやすいように工夫をしたが、中身そのものは労働者人民の敵対物としての帝国主義国家への認識を促し、階級意識を引き出していくことを狙ったものであった。
 このように高度の政治内容であっても、労働者が敵を認識し、闘争意欲が盛り上がっている時には、全員が聞きもらすまいと食い入るように集中し、内容がぐいぐいと入っていく。
 労組の結成時などの決定的な時をとらえて離さず「鉄は熱いうちに打て」という精神で熱烈に訴えることが労働者階級のあるがままの意識を転換し、階級意識の獲得を促す上で決定的に重要だと私は思う。

 労働者に通用するパンフで

 これらの学習会用のリーフレットやパンフレットをつくる苦闘そのものが、労働者階級に通用する政治内容をわれわれの中に形成していく作業でもある。
 いくら「正しいこと」を百回言ったところで、労働者大衆に理解されなければ、それは何も言っていないに等しい。帝国主義という言葉が理解できない労働者に、「帝国主義が帝国主義である限り、戦争は不可避だ」などといくら言ってもチンプンカンプンなだけである。
 労働者大衆の意識にかみあって、帝国主義という言葉を使わなくても帝国主義についての理解を得るようにするために一汗も二汗もかく、理解し、認識してもらうことに、組織者として命をかけることだと思う。
 被災地労働運動にかかわるまでは意識的労働者個々人と話すことはあっても広範な労働者大衆との接触が希薄だった私は、その点が不十分だったと思う。これでは労働者階級を丸ごと組織することはできない。

 「根は一つ」と共通の敵認識

 96年4月28日、沖縄から桑江テル子さんを招いて「沖縄とともに被災者切り捨てを許さず闘う総決起闘争」を行った。その時の桑江さんの「根っこはひとつ」という提起が被災地の労働者の心をとらえた。
 大企業優先の復興政策のもとで見殺しにされてきた自らの体験から、沖縄に基地を強制し労働者住民を虫けらのように扱うものと、自分たち被災地の労働者を苦しめているものが同じ帝国主義だということを、闘う者の直感で理解したのだ。その年の大阪での6・15沖縄闘争には、被災地から30人が決起した。
 97年10月に始まった被災地反失業総行動は、この10月総行動で16回目を迎えるが、総行動という表現にはいろいろ重要な意味が込められている。
 長田で反失業闘争を軸に闘う時、在日の人びとや部落大衆、沖縄・奄美の人びととともに闘うことを意味する。そこではあらゆる差別を許さない闘いは運動の死活のかかった課題であり、階級意識を取り戻し、団結を形成する闘いだ。ここでも「根っこはひとつ」帝国主義なのだ。総行動はそのことを意味している。

 職場闘争と政治闘争を結合

 帝国主義の戦争と大失業攻撃の中で、あらゆるところから生きんがための要求を掲げて労働者の闘いが噴き出す。阪神大震災被災地での闘いは、まさにそうした闘いの先駆けだった。
 国・行政や資本への激しい実力闘争や、要求貫徹のためのストライキなど職場(現場)闘争の中で労働者の階級意識は活性化する。レーニンが言うように、ストライキの中で労働者は自らの力に目覚め、社会の主人公であることを自覚する契機を獲得するのだ。
 被災地での闘いの経験から言えることは、職場(現場)闘争のこのような活性化があれば、労働者大衆への政治の持ち込みが彼らの意識とかみあう形でできるし、階級意識の活性化と政治闘争への決起を容易につくり出すことができる。逆に、政治闘争組織化の闘いが、職場(現場)闘争における大衆の政治意識を高め、職場闘争を活性化させる。これらは、相互に励まし合い、高めあう関係にあるということだ。
 私は、職場(現場)闘争の激しく大きな高揚と労働者大衆の政治決起をつくり出すために奮闘する決意だ。
 (投稿/田中文夫)

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週刊『前進』(2072号4面1)

 全学連62回大会

 巨万の大衆決起に確信

 世界戦争への道と対決 イラク反戦・有事法阻止を

 “キャンパス1000人集会”実現へ


 9月19〜21日、全学連第62回定期全国大会が東京都内で行われ、今秋決戦態勢をうち立てた。
 まず大会の冒頭、大山尚行委員長が今秋決戦方針を提起した。「『イラク侵略戦争阻止! 有事立法粉砕!』は、世界戦争情勢と真っ向から対決する決戦スローガンだ。今秋決戦の第一の任務は、『イラク侵略阻止・有事立法粉砕』を掲げた数千・数万・数十万の大衆決起を切り開くことだ。9・22を突破口に、10・21国際反戦デー闘争、11・15全国学生総決起闘争の大爆発をかちとろう。そしてこれと一体で、拠点大学を中心にクラス・サークル・寮からの丸ごと決起をかちとり、キャンパス1000人集会を実現しよう。そのために全大学で網の目の学習会を組織しよう」と、具体的な政策方針と組織戦術が打ち出された。
 さらに第二の任務として大有事立法決戦下の大学闘争の発展を切り開くこと、第三に路線的破産と敵対を深めるカクマル、日共に対する大攻勢にうって出ること、そして第四に全国大学に自治会を建設し、全国学生運動の革命的統一をかちとることが提起された。

 活動を革命的に一変

 続いて、大山委員長は総括議案の提起を行った。大山委員長は、昨秋アフガニスタン反戦闘争から今年前半の有事立法決戦を総括して、次のように課題を提起した。「世界戦争が始まったということを本当にはっきりさせ、全学連の闘いの一切を革命的に一変させる必要がある。そして大衆を丸ごと決起させるスケールの大衆行動方針を提起しなければならない。その核心は扇動だ。労働者人民の中にある憤激を正しく帝国主義に対する階級的な怒りとして組織していくならば、巨万の大衆決起は必ず実現できる」と、全学連の課題と飛躍の方向を鮮明に突き出した。
 国際情勢は内山佳久書記長が提起した。内山書記長は、まず9・12ブッシュ国連演説を徹底的に弾劾し、イラク侵略戦争を絶対に阻止することを今秋決戦の第一の任務に掲げることを宣言した。そして01年QDR(4年ごとの戦力見直し)や02年国防報告を批判しながら、「歴史的没落を深める基軸帝国主義=米帝が自国の帝国主義的利害をむき出しにして世界大的な侵略戦争に踏み切っている。米帝はその戦略的打倒目標を中国スターリン主義の転覆に据え、さらに帝国主義間戦争をも決断した。そうした観点から先制攻撃、核攻撃を積極的に位置づけ、イラク侵略戦争や北朝鮮侵略戦争を発動しようとしているのだ」と情勢の核心を明らかにした。結論として、「完全に歴史的生命が尽き、世界戦争でしか延命できない帝国主義を全世界のプロレタリアート人民と被抑圧民族人民が連帯して打倒する時だ」と宣言した。
 さらに井上亮副委員長が国内情勢を提起し、日帝が世界戦争への参戦を開始した重大情勢と真っ向から対決することを訴えた。
 以上の総括と情勢の議案提起を踏まえ、大山委員長が任務・方針を提起し、イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕決戦の歴史的決戦性を明らかにした。
 東北大学自治会、山形大学、法政大学、富山大学自治会、京都大学、大阪市立大学、広島大学自治会、九州大学自治会などから大学報告が行われた。

 排外主義扇動全力で破ろう

 自由討論では、松尾純一副委員長が「拉致問題の排外主義キャンペーンは、いよいよイラク侵略戦争と北朝鮮・中国侵略戦争、有事立法攻撃が一個の世界戦争情勢として激しく動き出したということであり、米帝の激しい戦争展開に対して日帝が日帝自身の戦争として北朝鮮侵略外交を開始したということだ。まさに拉致問題を使って北朝鮮への侵略戦争をやろうとしていることを徹底的に暴き出すことを核心に据えて、全力で粉砕しよう」と訴えた。
 広島大の学生は「沖縄人民の怒りは9月沖縄地方選で有事立法反対・名護新基地建設反対を掲げた宮城康博さんら3人の候補を当選させた。世界戦争と対決する沖縄闘争の新たな発展をかちとろう」と訴えた。
 また、「カクマルは『反テロ局地戦』『北朝鮮・中国侵略戦争ない』論を主張し、帝国主義を擁護している」(九州大)、「日共は小泉訪朝・日朝首脳会談を全面賛美し、戦争の元凶が帝国主義であることを隠ぺいしている」(富山大)と、1000人決起のためには日帝の有事立法攻撃の先兵となっているファシスト・カクマルや日共スターリン主義を徹底的に批判し、打倒することが決定的だという発言が相次いだ。
 自由討論の最後に、井上副委員長が「ブッシュは『イラクや北朝鮮が脅威だ』と言うが、どちらが脅威なのか。他国への先制核攻撃を『自衛権』だと主張し、世界大的な侵略戦争を進める米帝ではないか。広島の原爆資料館を見て、これをもう一度やろうという人間がいるだろうか。これをブッシュはやろうとしているのだ。沖縄の闘い、20労組の闘いを見よ。あるがままの労働者人民が有事立法反対で立ち上がっている。しかし他方で『拉致』『不審船』問題を言われたら何と言っていいかわからずに苦闘している。帝国主義の排外主義扇動や戦争を正当化する論理をわれわれがうち破った時、労働者人民は必ず決起する」と激しくアジテーションした。
 白熱的な討論を経て、議案と「私文書偽造同行使」のデッチあげ弾圧と闘う全学連M君の即時奪還の特別決議が圧倒的な拍手で採択された。

 帝国主義こそ元凶だ

 そして初参加者が演壇に並び決意表明した。「9・11で同級生が死んだ。米帝が9・11を口実に戦争を始めたことは許せない。同級生の死に『ブッシュ、お前のせいだ!』と言いたい」「これまで戦争はいやだという意識で活動してきたが帝国主義こそが戦争の元凶だとわかった。帝国主義打倒を目指して闘う」「1000人決起は夢みたいな話だと思ったが、議論をとおして必ず実現できると感じた」など、今秋決戦への主体的な発言に、大会の成功がはっきりと示された。
 最後に、全学連の新役員が選出され、代表して大山委員長が「今大会をもって階級情勢を一変する闘いに突入した。明日の9・22闘争を突破口に巨万人民を動かす闘いを開始しよう」と決意を述べた。
 全学連大会には、革命的共産主義者同盟の天田三紀夫書記長を始め、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、動労千葉の川崎昌浩執行委員、部落解放同盟全国連合会の青年が招かれ、連帯のあいさつを行った。

 今秋決戦スローガンを確立

 今大会が切り開いた地平は、第一に、「イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕」という今秋決戦スローガンを、米帝の世界戦争への突入と日帝の参戦の開始という大情勢と対決する闘いの路線と方針として、がっちりとうち立てたことだ。
 第二に、米帝の世界戦争への突入と日帝の参戦という反革命の激しさを真正面から見据え、それがもたらす階級情勢の大激動を巨大な大衆決起に転化していくために、全学連の活動のすべてを革命的に一変させることをはっきりさせた。
 第三に、「イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕」を掲げた数千・数万・数十万の大衆決起、キャンパス行動、街頭デモ、大使館行動、基地闘争、国会闘争、とりわけキャンパス1000人決起をかちとる核心が、現実の戦争の階級的性格を徹底的にはっきりさせる扇動にあるということをつかんだことである。

 全学連新執行部
 委員長 大山尚行(東北大)
 副委員長 松尾純一(法政大・経営)
 同 宮城啓(大阪市大・文)
 同 井上亮(広島大・総合科学)
 書記長 内山佳久(法政大・U法)
 書記次長 新井拓(東北大・理)
 同 倉岡靖子(京都大・農)

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週刊『前進』(2072号4面2)

 10・13三里塚に総結集を

 反対同盟からのアピール(上)

 10・13三里塚全国集会に向け三里塚芝山連合空港反対同盟からのアピールを2回にわけ紹介します。全力で結集しよう。(編集局)

 成田廃港への意欲 事務局長 北原鉱治さん

 三里塚は37年目の闘いの秋を迎えました。10・13全国集会を前に、全国の心ある人びとに廃港に向けさらなる決起を訴えます。
 現地では、政府・国土交通省・空港公団が、思い上がったやり方で、暫定滑走路延長の攻撃を加えているが、そもそも暫定滑走路は危険きわまりない、国際空港としては無様な滑走路であり、反対同盟はますます意思を強固にして、空港を葬り去るべく闘い続けています。
 最近、空港公団の総裁が交代し、黒野匡彦なる人物が新総裁となった。黒野は「地権者が用地交渉に応じるか北延伸かの両にらみ」と住民を脅迫して暫定滑走路延長を策している。国家権力が37年間この地でやってきたことをなんら反省することなく、権力万能の姿勢を強め、暴力で住民をたたき出すことに没頭する姿は、反対同盟を始め三里塚闘争に心を寄せる人びとに対する新たな挑戦である。われわれは真っ向から対決し、成田空港廃港への意欲を持って闘い続ける。
 現在、東峰神社裁判が闘われているが、東峰神社は、住民の心の拠り所であり、総有財産であることは自明である。空港公団による立ち木伐採の犯罪行為を黙認する警察の態度は、何人も許せるものではない。さらに警察は、開拓組合道路入り口にコンクリートブロックを置き交通を遮断するという暴挙に及んだ。われわれの抗議の結果、県警はこっそり撤去した。
 暫定滑走路の開港で農家の頭上40bに連日連夜、ジェット機を飛ばし続け、同盟員の市東さん宅では、ジェットブラストの直撃で、人体や作物が甚大な被害を受けるなど、許しがたい農民いじめが続いている。
 まさに人間の尊厳がおかされている。人である限り、この状況をみたらひどいと思うのが当然であり、これに対して抵抗心を持つのは正当である。
 いま国会では小泉内閣が、有事3法案の成立に必死になっている。戦争への道を歩ませないという力が加わり、通常国会では阻止されたが、小泉首相は法案成立を放棄せず、継続審議となっている。
 だが、これまでの政府のやり方をみると、継続審議は国民を欺瞞(ぎまん)する方法であり、強行採決を狙うのは明らかだ。第2次世界大戦での悲惨な侵略と虐殺を重ねた日本の歴史をくり返さないために、大衆の一人ひとりが立ち上がり、有事法案を廃案に追い込むことが問われていると痛感している。
 三里塚闘争は、反戦・反核の砦(とりで)であることを訴えてきたが、今後も国家権力の暴政を根本から変える闘いだと自負している。10月13日、三里塚現地で全国総決起集会を開催します。多数の皆さんの結集を心から訴えます。

 公団は平気でウソ 敷地内・天神峰 市東孝雄さん

 9月8日に一坪共有地の立ち入り調査のために空港の中に入った。その時、滑走路の一番北側20〜30b手前で15分ぐらい待たされた。ということは飛行機はそれ以上に待たされているわけです。離陸するジェット機は、着陸してくるジェット機が完全に着陸しないと動けない。不便ですね。
 現闘本部前の誘導路は、北原事務局長などの一坪共有地のために曲がっている。近くで見ると「へ」の字どころか「U」の字ぐらい曲がっています。あれではジェット機は、かなり曲がりづらいと思う。あんなに曲がっているとは思わなかった。ジャンボは絶対に通れない。
 空港公団の用地部の職員が「誘導路をまっすぐにして下さいよ」と言ってきたが、冗談ではないです。伊藤(信晴)さんが「お前たちは普段から行いが悪いから、誘導路が曲がるんだ」って怒って言い返していました。
 現闘本部の前方に誘導路を映すカメラがあるのですが、いつも微調整しています。管制官が見えにくいんでしょうね。無理につくった滑走路はしょせん無理がある。今度空港公団の新総裁になった黒野という人は「北側延伸」と言っているらしいけど、絶対に不可能だし、脅しに過ぎない。
 ジェット機の排ガス問題について、空港公団は調査したと言うが、いったいどこを調べたのか。盛り土がしてあるので誘導路が家や畑より高いことも見て知っている。ところがこれについては一言もない。フェンスはエンジンの高さをとってあるから大丈夫だというが、だけど2bも盛り土があるからエンジンはもっと上に来る。畑にあるやぐらのはしごからフェンスの高さの位置で見ると、完全にエンジンが出ている。現実に被害が出ているのに公団は平気でウソを言う。ひどいですよ。一度公団の人間を木に一日中縛り付けて、どれだけ臭いか思い知らせてやりたいよ。
 タイヤが路面にこすれた臭いと排気ガスの混ざった臭いはすごい。現闘本部の横にある畑ではタイヤのこすれた臭いが特にひどい。
 天神峰に帰ってきて3年がたった。周りの助けを借りて、知らないこともいっぱいあるが慣れてきた。だが無農薬・有機栽培は、草とか虫、天候不順で大変。自然相手は結構難しい。ちょっと前まではサツマイモ畑の虫がすごかった。葉を上げると虫がボトボトって落ちてくる。すごい数だよ。農家は難しいけどおもしろい。つくったものが良くできても悪くできても、成果に表れる。手を抜けばすぐわかる。
 10・13集会に全国からの結集をお願いします。

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週刊『前進』(2072号4面3)

 暫定滑走路を閉鎖せよ

 「北延伸」計画は空論だ

 不屈の農民国家を告発

 今年4月の成田暫定滑走路開港は、人が住む村の中に巨大滑走路を割り込ませる国家犯罪ともいうべき暴挙だった。天神峰の市東孝雄さん宅では、騒音ピークが1日に200回を超え、50bの至近距離からジェット排ガスが直撃する事態が生まれた。東峰の農家では、頭上わずか40bを離着陸するジェット機が飛び交う。この殺人的な事態は、開港がもたらす物理的暴力で反対農民をたたきつぶし、平行滑走路の当初計画(暫定滑走路の「北ずらし」分800bを含めた3300b)を実現しようとする政府・空港公団の意思をむき出しにしたものだ。
 空港公団は、農家の軒先まで一方的に滑走路をつくり、「(開港後は)絶対に生活できない。農家は必ず落ちる」と公言した。また滑走路南端の東峰神社の立ち木を盗伐し、これに抗議した反対同盟の萩原進さんを逮捕するなど“力の政策”をむき出しにした。国土交通省は「用地交渉に応じなければ、滑走路を北に延長してジャンボ機を飛ばす」というデマ文書まで送り付けて地権者を脅した。こうして暫定開港は力ずくで強行された。
 反対同盟・地権者農民は、これらの農民殺しの攻撃に対して、生活防衛の闘いを粘り強く前進させつつ、新たな団結と闘争陣形を打ち固め、創意あふれる反撃を開始したのだ。
 農民たちはあくまで屈服を拒んだ。37年間、闘いを貫いてきた農民としての誇りと尊厳にかけて、自らの身を過酷な環境にさらしてでも、暫定滑走路開港という国家犯罪を告発する道を選んだのである。
 反対同盟・地権者農民の反撃は、あらためて露呈した政府・公団の農民無視に対する怒りに満ちたものとなった。

 欠陥だらけ暫定滑走路

 まず公団による東峰神社立ち木の盗伐に対し、萩原進さんら東峰部落全戸が原告となって、立ち木の原状回復を求める裁判闘争を起こした。神社立ち木は部落の総有関係にあり、暫定滑走路開港は、住民の財産を強奪して初めて成立したものだ。本訴訟の提起は暫定滑走路による農民殺しの実態を社会的に暴きつつ、開港の法的正当性を土台から揺るがし始めた。「必ず落ちる」と考え、住民の財産を強奪してまで開港を強行した公団は衝撃を受けている。これによって東峰地区の買収が前提となる平行滑走路の「当初計画」復帰は絶望的となった。
 また自宅と畑が誘導路に食い込んでいる天神峰の市東さん宅脇のジェット排ガス対策塀について、嫌がらせ目的で意図的に低くつくった公団のやり口を、反対同盟は詳しく暴露した。同盟は行政当局をとおして追加対策を要求し、「対策は不要」と言い張る公団を窮地に追いつめている。
 暫定滑走路は地権者の屈服を前提に一方的につくられた。常識では到底考えられない被害が出ているのはそのためだ。暫定滑走路には法的な整合性すらない。反対同盟・地権者の告発はあまりに正当だ。事実が社会的に明らかになること自体、公団にとって致命的なのである。
 37年間の三里塚闘争が築き上げた成果は絶大だ。滑走路や誘導路用地はズタズタに寸断されている。土地収用法の適用も不可能化し(事業認定の消滅)、成田空港の完成は百パーセント不可能だ。
 さらに暫定滑走路自体の欠陥性も露呈した。誘導路が不備のため(一方通行、「へ」の字のわん曲、停止信号など)、離着陸の遅れが常態化した。上空待機が急増し羽田への着陸先変更も続出、各航空会社で大問題となっている。暫定滑走路の処理能力は公称「年間6万回」だが、現状の約2万回ですでに事故寸前の危険水域に突入している。
 また暫定滑走路の開港後、成田空港の発着便数は約30%増えたが、旅客総数は横ばいだ。暫定路の増便分がそのまま搭乗率の低下となった。昨年9・11以降、A滑走路のスロットはガラ空き状態が続いてる。
 結局、暫定滑走路は民間空港としては必要なかったのだ。Aランだけで足りるし、採算面でも大赤字だ。暫定滑走路の目的は、地権者へのイヤガラセだけだ。「暫定滑走路をただちに閉鎖せよ」との反対同盟の要求はまったく正当である。

 約束をほご強権的手段

 追いつめられた空港公団は凶暴な本性をむき出しにしてきた。7月に新総裁に就任した黒野匡彦(元運輸事務次官)が、「地権者が用地交渉に応じないなら、滑走路を北に延長してジャンボ機を飛ばす」と公言、期限付きで反対農家に立ち退きを迫ったのだ。水面下での脅迫材料だった「北延伸」問題を公然化させ、「出て行かなければ殺す」と二者択一を要求したのだ。東峰地区の未買収地への工事予算も来年度概算要求に計上した。これに呼応し、開港時に「反対農家を強制収用せよ」との反動的論陣を張った読売新聞が、反対同盟の追及に開き直り「新法制定による収用」を主張している。
 国交省・公団はかつて、公開シンポ・円卓会議(91〜94年)で「過去の一方的な強制収用や用地取得を謝罪」し、「今後は地権者の同意なくして滑走路はつくらない」と確約したはずだ。「強制的手段は放棄する」とも確約した。いずれも公的な確約だ。暫定開港はこれらを完全にほごにする暴挙だ。新法制定など論外なのである。
 公団のあからさまな農民無視の姿勢に、反対同盟・地権者の怒りは爆発している。実力闘争の正当性はいよいよ明らかだ。地元農民の怒りに動揺した成田市などの自治体が、相次いで公団・黒野に“苦言”を呈し「北延伸に反対」するという事態も生まれている。
 「北延伸」計画の空論性は明らかだ。誘導路が狭く大型機はそもそも暫定滑走路に入れない。公団が水面下で流した「新たな誘導路設置」も、用地確保が不可能であることが判明した。
 黒野の狙いは、地権者を脅して用地交渉のテーブルに無理やり座らせることにある。その最大の先兵が千葉県の堂本知事だ。堂本は三里塚闘争の破壊を最優先課題に掲げて知事となり、収用委再建を強硬に主張している。暫定滑走路上の地権者切り崩しを実行したのは、千葉県だった。

 軍事空港の確保が目的

 行き詰まった成田空港建設に日帝・国交省が執着する最大の動機は、軍事空港としての死活性と治安政策上の要請だ。米帝の対イラク攻撃が実行可能段階に入ったメルクマールは、クウェートやカタールなど中東・湾岸諸国に十数カ所の空軍基地(大規模空港)を確保できたことだ。「イラクの次は北朝鮮」と公言する米帝は、新安保ガイドラインの締結以来、成田空港など日本国内の巨大空港の占有的使用を強く要求している。有事法制制定の緊急の実践的要請も、空港の確保とアクセス(鉄道、道路など)の軍事使用にある。
 イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕の闘いの一環として10・13全国集会をかちとろう。日帝の朝鮮・アジア侵略を阻止する砦=三里塚に、労働者人民の新たな戦闘的結集を実現しよう。

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週刊『前進』(2072号4面4)

日誌 '02  9月18日〜24日

 沖縄で公園に金属片が飛来

 ブッシュ・ドクトリン発表

●高速道に米軍装甲車 沖縄県浦添市内の高速道インター近くの国道で、米軍の装甲車が走行しているのが目撃され、住民からの通報でパトカーが出動する騒ぎとなった。(18日)
●米大統領が開戦権限を議会に要求 ブッシュ米大統領が、議会に対して、イラクのフセイン政権の転覆を視野に「大統領が適切と認める、武力行使を含むあらゆる手段を行使する権限」を与えるよう求めた。実質的な開戦権限となる。議会は10月前半にも何らかの形で武力行使を認める決議を採択する見通し。(19日)
●ブッシュ・ドクトリン ブッシュ米政権が、敵への先制攻撃を正当化し、他国の追随を許さない軍事力の圧倒的な優位を堅持することを打ち出した政策文書「米国の国家安全保障戦略」を発表した。昨年の9・11後をにらんだ米国の安保政策の集大成と言えるもの。(20日)
●北朝鮮、攻撃対象に ブッシュ・ドクトリンについて背景説明を行った米政府高官は、先制攻撃や単独軍事行動を辞さない対象国として、イラクのほかに北朝鮮が想定されるとの考えを表明した。(20日)
●米国防長官「空爆では不十分」 ラムズフェルド米国防長官が上院軍事委員会の公聴会で、「問題は空爆だけでは解決できない」と述べ、ブッシュ大統領が武力行使を決断した場合、地上軍を投入してフセイン政権転覆を目指す考えを示した。(20日)
●公園に金属片が飛来 沖縄県嘉手納町の兼久海浜公園に、隣接する米軍の保養施設「嘉手納マリーナ」の方向から、「パーン」という発射音とともに金属片が飛んできた。公園の敷地内から、半径約25bの範囲にわたり6個の金属片が散乱しているのが発見された。金属片は形状から信号弾とみられる。(20日)
●レンジ8に戦闘訓練施設 在沖米陸軍の特殊部隊(グリーンベレー)が、キャンプ・ハンセン内に新たな都市型戦闘訓練施設の建設計画を進めている問題で、在沖米軍は、同施設をレンジ8射撃場に建設することを明らかにした。工事着工は、米会計年度の2003年度(今年10月から来年9月)までとしている。地元・恩納村の大城村長は、「議会、地域住民と一体となって反対していく」と、計画反対を表明した。(21日)
●イラク、米主導の新決議「拒否」 イラク国営のバグダッドラジオは、大量破壊兵器の査察問題をめぐり、米英が進めている新たな国連安保理決議案について、イラクはこれを拒否するとの声明を伝えた。(21日)
●米地上軍は数万人、1〜2月が最適 米国防総省が、イラク攻撃の詳細な作戦計画を複数策定し、米中央軍のフランクス司令官がブッシュ大統領に文書で提示した。攻撃は衛星誘導弾を装備したB2爆撃機による空爆で始まり、イラク軍の指揮系統や防空システムを破壊。バグダッドの通信網を切断してフセイン大統領を孤立させる。同時にクウェートなど近隣諸国に展開する海兵隊や陸軍など数万人がイラクに侵攻する。国防総省は開戦の最適期を1月か2月とみている。米紙ニューヨーク・タイムズなどが報じた。(21日)
●イスラエル「イラクが攻撃なら報復」 イスラエルのシャロン首相は、米国のイラク攻撃に対し、イラクがイスラエルを攻撃した場合、報復攻撃を行う方針を米政府に伝えた。(21日)
●米、イラクに長期駐留計画 ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、米国が目指すイラクのフセイン政権打倒が達成された場合について「米国と同盟国はイラク復興に全面的に関与することになるだろう」と述べ、米国が長期間にわたりイラクに駐留する考えを示した。(23日)

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週刊『前進』(2072号5面1)

 5・16連合見解を徹底批判する

 有事法賛成と労働者の戦争動員への全面的協力を表明した連合

 はじめに

 5月16日に出された「有事関連3法案に対する連合の見解」(5・16連合見解)の核心は何か。それは、日帝・小泉政権が必死で成立させようとしている有事3法案に対して、連合が賛成することを正式に表明したという点にある。それどころか、この見解の内容をよく検討してみると、連合は、有事立法(や自衛隊法など)に基づく戦争動員に全面協力していくことを確認しているのである。
 5・16連合見解は、有事3法案に対する連合の見解を7項目にわたって示しているものだが、この見解の全文をどう読んでも、有事3法案に反対する文言はどこにも見当たらない。ただ最後の第7項において、「今国会で急いで成立させることは反対である」と言っているだけである。しかし、これはこの有事3法案を戦争法案=侵略戦争法案として断固阻止していくために言っているのではない。ただ、連合と一定の「論議」をして決めたという形式にしてくれと、日帝に対して懇願しているにすぎない。
 したがって、有事3法案阻止闘争へのいかなるベクトルもない。それどころか、日帝・小泉政権が強行成立を図れば、それを認めるし、従う態度がありありと見えるものなのだ。これを有事立法賛成の見解であると言わずしてなんと言うべきか。歴史上、帝国主義の戦争に屈服し、協力し、労働者階級を裏切ったすべての労働組合運動は、まさにこの連合見解のようなレトリックをもって、その裏切りを合理化してきたのである。

 「事態を速やかに排除」と武力の行使さえ主張

(1)まず、この連合見解の本質は第2項の一連の文言によってはっきりとその正体を現している。
 第2項では初めに、「日本国憲法は、国際紛争を武力によって解決しないという平和主義を掲げており、『国家緊急権』も規定していない。政府はこの法案が想定するような緊急事態が起こらないよう平和外交を積み重ねる努力をすべきであり……」と、連合がいかにも憲法の立場に立っているかのように言う。しかし、これはただちに次のように言うことによって徹底的に踏みにじられるものでしかない。
 「しかし、現実的には可能性は少ないとしても、日本が武力による侵略を受けないという保証はなく、また大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロあるいは大規模災害など、現行の対応システムによっては対処しえない緊急事態が発生した場合には、警察・消防等と自衛隊の役割を明確にし、シビリアンコントロールを堅持しつつ、それらの緊急事態を速やかに排除し、国民の生命および財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は、基本的には必要である」
 この意図的に間接的・抽象的表現を用いている長々しい文章の骨格をずばり取り出したらどうなるか。
 @「日本が武力による侵略を受け」ることはありうる。また「大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロ」などの攻撃を受けることもありうる。Aその時はそれらの「緊急事態を速やかに排除」する必要がある。Bそのためには「法整備は、基本的には必要である」−−となる。
 このAはみえすいたペテン的言い方である。「事態を速やかに排除する」というのは日本語にはなっていない。実は、この「排除する」とは、武力を行使して相手の「武力攻撃を排除する」という意味である。すなわち戦争を遂行して敵を撃ち破ることを指す、帝国主義やその追随者が使うこそくな常套(じょうとう)語なのである。だから、上記の@ABはもっとはっきり言えば、「武力による攻撃」を受けた時は(その大小にかかわらず)武力を行使して(=戦争を遂行して)、これを撃破(=排除)する、そのために有事立法が必要である、ということなのである。
 以上、5・16連合見解は、小泉政権の提起している有事3法案の基本的考え方と百パーセント完全に一致している。まったく同じである。つまり、武力攻撃を受けたら断固戦争する、したがってそのための有事立法をつくるという点で、連合は、日帝・小泉政権を全面的に支持すると言いきったのである。
(2)このことは、連合が憲法(第9条)を真っ向から踏みにじることを実践的に示したということである。5・16見解は「憲法の枠内での法整備」=憲法の枠内での有事立法は必要であると言っているのだ。しかし、憲法第9条は、「武力の行使は……永久にこれを放棄する。陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と言っているのであって、自衛権とか自衛のための戦争は、国家の固有の権利とは断じて認めていない。
 だいたい「自衛のため」という論理はきわめて恣意(しい)的で自在のものだし、自衛のためには先制的に敵を粉砕するしかない、先制的に攻撃しなかったら敵から自衛できない、といった論議を当然はらんでいるものである。だから、自衛権を放棄することなしに「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とはならない。これは抽象的な平和主義の問題ではない。労働者人民にとって憲法第9条というのは、日本帝国主義(日本は戦前から帝国主義であり、戦後もその体制は基本的に変わらない)の侵略戦争の歴史を踏まえた、帝国主義との闘いの武器としてのみ意味を持つものであり、そうした歴史的かつ具体的なものなのだ。
 自衛のためと言おうが何と言おうが、日帝の軍事力保持は、必ず侵略の軍事力となって働くのみなのだという労働者人民の歴史的総括の意識の問題を離れて、憲法第9条をうんぬんするのは、侵略戦争への道を開こうとする帝国主義者やその手先どもの言い方なのだ。実際、この連合の5・16見解は、帝国主義の侵略戦争を全面的に支持し、協力する道に突き進もうとするものとなっている。
(3)5・16連合見解の第2項目をめぐる検討をここで終わることはできない。なぜなら4月に国会に提出された有事3法案の問題は一般的・抽象的な世界の問題ではないからだ。現代世界は、一般的に国家群が存在している世界ではない。実際には帝国主義が存在し、米帝と諸帝国主義が存在している世界である。そして、スターリン主義の体制が崩壊し、再び帝国主義が残存スターリン主義諸国を取り込んだり、転覆したりして、帝国主義基軸の世界を形成しつつある(形成している)世界なのだ。もっと具体的に現実に引き寄せて言えば、今日の世界は、圧倒的な軍事力を持つ米帝が昨年の9・11反米ゲリラ戦争を契機として、アフガニスタン・パレスチナに侵略戦争を行い、それに続いて、イラク・イラン・北朝鮮を「悪の枢軸」と言って、攻撃しようとしている世界である。さらに、米帝はその世界戦争計画の基軸を対中国戦争に据えつけている。米帝はこうして軍事力=戦争の力によって世界の再編を図ろうとしている。これに対して日帝を始めEU諸帝国主義は、この米帝の戦争の争闘戦的威力に対抗し、帝国主義として存続するためには自らも積極的に米帝と共同・競合する形態をとりつつ、侵略戦争へとうって出ようとしているのだ。
 したがって、日帝をめぐる具体的な国際情勢の中で有事3法案の問題を考えなければならない。もちろん5・16連合見解もその中で検討しなければならない。今日、実際に進んでいることは、アジア−日本というレベルでみれば、米帝の対中国戦争とその歴史的突破口というべき対北朝鮮戦争がもっとも決定的に重大なことである。日帝・小泉政権の動きも、まさに米帝のこの動きに、帝国主義として必死に対応しているものとしてとらえなければならない。
 そのようにみれば、日帝・小泉政権や連合見解が言っているような「日本が武力による侵略を受けないという保証はなく」とか「大規模テロ……武装ゲリラ……」うんぬんという形で、何か日本は純粋に正義でいるのに、突如襲ってくる悪者がいるといったストーリーとして描き上げるのは、まるでおかしいことなのだ。現実には、米帝が北朝鮮・中国を圧倒的な武力で攻撃し、転覆しようとしていることがまず戦争の根源中の根源なのだ。これに日帝が必死で協力して自己の利益のために侵略戦争にうって出ようとしているのが現実なのである。
 9・17小泉訪朝と日朝ピョンヤン宣言も歴史的・大局的にみれば、その一階梯(かいてい)ということでしかない。
 有事3法案をよく検討すれば、このことは手に取るように明らかだ。
 すなわち、米帝(と日帝)の戦争的重圧または先制空爆に耐えかねて北朝鮮(中国)が、米帝と同盟している日帝に若干のミサイル攻撃を構えたり、実行したり、またはさまざまなゲリラ戦争を構えたりすることを、日帝・小泉政権は武力攻撃を受ける可能性・現実性として措定しているのだ。
 つまり、巨大な帝国主義(日米同盟も加えて)による、体制転覆をも狙う圧倒的な大攻撃(侵略戦争)が、一切の根源・元凶として存在しているのである。
 ところが、このことをぬきに、「日本への武力攻撃のおそれがある」といった一面的な議論にすり替えて、侵略戦争を戦える体制をつくろうとするのが有事3法案なのだ。
 5・16連合見解は、この現実的な有事立法攻撃に際して「法整備は基本的には必要である」と表明したのだ。これは帝国主義の侵略戦争への根底的なところでの支持と協力の表明にほかならない。日本の労働者人民を再び三たび侵略戦争に引き込もうとする連合見解の歴史的裏切りを断じて許してはならない。これを甘く見てはならない。「急いで成立をさせることは反対」と言っているだけでもまし、といった甘い認識ではだめだ。
 こうした裏切りのコースは始まったら一挙に加速度的にいくのである。日本の労働者階級は、この5・16連合見解の粉砕のために総決起しなければならない。
(4)なお、第2項の最後の一文で「緊急事態におけるルールが明確になっていなければ超法規的措置によって対処せざるを得えなくなり」などと言っているが、これもまるで正邪を転倒させた反革命的見解だ。これこそ、78年に自衛隊の栗栖統幕議長が、「緊急事態の際に自衛隊は超法規的に行動せざるをえず」と、有事立法の必要性を叫んだ論理そのものだ。日帝・小泉政権も自民党など与党3党もみなこれを言っている。5・16連合見解のこの部分には、こうした軍事クーデター的な動きを、人民の闘いで粉砕するという考え方はまったくない。それどころか、むしろそうした軍部の動向は当然と正当化する思想だ。もちろん、攻撃者(帝国主義)と反撃者(被抑圧諸国)の関係をひっくり返していることこそそもそも完全な誤りである。

 「あらゆる緊急事態に対処」すべきだと要求

(5)第3項もまた、きわめて反動的で許せない内容となっている。ここでは、今国会に提出されている武力攻撃事態法案について「冷戦期の発想のまま現実的には想定しにくい大規模武力攻撃に対処する仕組みが中心の基本法的なもの」にすぎないと言っている。また、自衛隊法改正について「自衛隊の行動を円滑にし国の権限を強める自衛隊法の改正案のみである」と言っている。
 この見解の水準を何と言うべきか。いったい全体、きちんと有事3法案を研究したのか。米帝と日帝とが協力・共同して対北朝鮮・対中国の大規模侵略戦争を構えていこうとしていることを考えたこともないのか。米帝がイラク侵略戦争をするというのは、ただラッパを吹いているにすぎないとみているのか。「悪の枢軸」論で北朝鮮を攻撃していることをなんとみるのか。QDR(4年ごとの戦力の見直し)を始め米政府・議会の重要公式文書が対中国の戦争計画を土台に据えて、5年後、10年後、15年後を見据えて動いていることをどうみているのか。その時、日帝はどう動くか。また日本はどんな国際政治=軍事情勢の中にたたきこまれると思っているのか。
 武力攻撃事態法案が、「予測されるに至った事態」をも武力攻撃事態=戦争状態とし(第2条=定義)、その際、自衛隊が防衛出動の初期的行動をただちに起こすと言っていることを連合指導部は読んでいないのか。また、対中国戦争などがどれだけ巨大なスケールを持つかについて何ひとつみていないのか。
 しかも、一方で、上記のようなことを言って有事3法案の恐るべき反革命性、反革命的現実性から労働者人民の目をそらしておきながら、他方で、連合見解第3項は次のように言っている。
 「この法案では、あらゆる緊急事態に対処して国の独立と主権を守り、国民の存立を保全するという理念が見えず、全体的な法体系が示されていない」
 この文言の意味は何か。この文章のあとで言っている「有事における国民の自由と権利」の「保障」とか「情報の開示」が大切だということといったいどうつながるのか。上記の引用部分は「あらゆる緊急事態に対処する」ように国の有事体制を圧倒的に強化せよと言っているとしか取りようがない。つまり、連合見解は、今の武力攻撃事態法案や自衛隊法改正案ではまだ足りない、これを出発点にしてもっと完全な有事立法をつくれ、と小泉の尻をたたいているのだ!
(6)第4項では、提出された有事関連法案(=有事3法案)について、「十分な議論と解明が必要である」と言って、4つの論点をあげている。それぞれ重要な論点だが、連合が見解発表の時点で法案を検討して一定の分析を行い、賛否の意見を言うべきものである。ところが連合見解は、ただ「論議が必要である」とだけ言って、価値判断を避けるとともに、現在提出されている有事3法案にはけっして反対していない。これでは小泉から「論議し、そして可決しましょう」と言われるだけである。
 いかにも有事3法案の問題点を提起しているふりをして、実際には論議だけして反対せず、法案を承認していく立場であると言っていい。第2インターの労働貴族もこういう手法を駆使して帝国主義戦争に参加していったのである。
 各論点について、簡単に言及しよう。
 @「武力攻撃のおそれがある場合」と「予測されるに至った事態」というのは「拡大解釈または恣意的な解釈になりやすいのではないか」などと言っている。しかし、これらの言辞はまったく欺瞞(ぎまん)的だ。話は逆なのだ。拡大解釈し、恣意的に解釈して、現実に攻撃される前に日本では「予測されるに至った事態」として、早くも武力攻撃事態を宣言し、陣地構築や部隊の戦争的展開などを開始してしまうことを狙って有事3法案を出しているのだ。したがって、侵略戦争のための先制攻撃と一体の体制づくりの問題として暴露すべきことなのだ。拡大解釈になるかどうか「論議する」などというのはまるでトンチンカンなのだ。「論議する」などと言っていることは現実の進行の前にひざまづくことでしかない。つまり、有事3法案に賛成する、従っていくという見解でしかない。
 A周辺事態法の「周辺事態」と「武力攻撃事態」が「併存することが考えられるがその場合集団自衛権の行使につながらないか」としている。これもまったく逆転した問題の立て方だ。日帝・小泉政権は「周辺事態」と「武力攻撃事態」を意識的に重ねるために今回の有事3法案を出しているのだ。その意図をこそ暴露すべきなのだ。しかも「周辺事態」ということで、米帝の侵略戦争に日帝は全面協力し、実質的に同盟行動を行い、それによって相手国側からの日本への対立行動、対立意図の表明が激化すれば、日本への武力攻撃の「おそれ」や「予測」ということで、自衛権としての防衛戦争と日米間の戦争協力を行い、実質的には集団的自衛権の行使とまったく同一の形になることを狙っているのである。こんなことは「論議していく」ことではなくて暴露していくべきことなのだ。反対として闘っていくべき時に「論議していく」というのは、現実政治の中では、支持し、賛成することと同じである。
 B「有事における米軍の行動に関する法整備」はどうするかとしているが、これもまやかしだ。日帝・小泉政権はこれについても、これから全力でやると言っている。連合はただその尻をたたいているにすぎない。米軍の行動は自衛隊以上に激しいのであり、彼らは侵略戦争の中軸となっていこうとするのだ。問題ははっきりしている。こうした動きに絶対反対していくとすべきなのだ。結局、連合見解は、文句を言っているふりをして、実際は支持していくものでしかない。
 C「国際人道法の的確な実施」ということについては、ジュネーブ条約追加議定書(ゲリラ兵士にも戦闘員資格、捕虜資格を与える……)や国際刑事裁判所条約(国際人道法に違反して大量虐殺に手を染めた個人などを処罰する……)に日本がまだ加入していないことなどをあげて「どうか」などと言っている。これもいかにも「十分論議する」ということの理由付けとして言っているにすぎない。日帝・小泉政権は反動的意図から、これらに加入していないのであり、そうした精神でペテン的な「国際人道法の的確な実施」をうたっているにすぎないのだ。これも暴露し弾劾していくべきなのに、これから論議しようなどとして容認し協力していこうとしているのだ。

 労働者の戦争動員への協力を前提化した論議

(7)第5項と第6項はきわめて重要なところだ。連合として、有事3法案などのもとで労働者が職場で戦争のために動員される問題について言及している。
 結論から言えば、労働者が膨大に戦争動員に駆り出され、労働者の生命、身体、生活に重大な影響が出ることを確認し(第5項)、その上でほとんど無条件でそれに協力し、従うことを表明している(第6項)。
 まず第5項においては、「連合にとってこの有事関連法案は、構成組織の組合員の生命、身体、生活に極めて重大な影響を与え、また組合員が働く職場についても緊急的対処を余儀なくされる性格をもつものである」と言って、その主なものをあげている。
 @武力攻撃事態法案第6条で「指定公共機関」とされる日赤、NHK、電気、ガス、輸送、通信などの公共的事業においては「業務について必要な措置を実施する責務を有する」とされていることをあげている。A自衛隊法(現行)第101条において、JR、NTTの各社は自衛隊への協力が「義務」づけられていることをあげている。同じく自衛隊法103条では医療、土木建築、輸送等を業とする者への「従事命令」が定められていることをあげている。B武力攻撃事態法案第5条では地方公共団体の責務が定められ、「武力攻撃事態対策本部長」が必要とする措置を実施することが強制されることをあげている。
 しかし、ここでは、大変なことが労働者に要求されることを、ただ列挙しているのみである。これに対する連合の対応は次の第6項で言及している。そこで次のように言っている。全文を引用する。
 「連合は、国・地方公共団体や『指定公共機関』の業務に従事する多くの組合員を抱えており、それらの職場に働く労働者の生命・身体が保護されるとともに、憲法が保障する基本的人権を守る立場から、思想及び良心の自由は守られなければならないのは当然であると考える。また『事態法』第3条は、『国民の自由と権利は尊重を(を=ママ)されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は必要最小限のものであり、公正かつ適正な手続きによらなければならない』と規定しているが、どのような権利がどの程度『制限』されるかについて、明確にすべきである」
 この第6項は、前半と後半(「また」以下)に分けることができる。決定的なのは前半である。第5項で、労働者が大量に戦争に動員されることを指摘した上で、それへの対応がここで言及されているからだ。ここの文言は何を意味するのか。ここで言っていることは、こうした戦争への労働者の動員そのものについての否定や抗議ではまったくない。全面的に協力していくことは前提とされてしまっているのである。
 その上で、ペテン的な条件ならざる条件をただ言っているだけである。問題となっているのは、戦時における戦場への労働者の動員や従事命令なのであって、これらは兵士とともに、あるいは軍需物資とともに労働者が存在し働くことを意味する。したがって当然、そもそも有事での労働者のこうした動員は生命、身体が危険にさらされるのである。侵略戦争への動員反対の闘い以外に、労働者の生命や身体を守る道があるわけもない。ところが、戦争と有事立法を認めている連合にとっては、日帝支配階級から°ともに協力して戦争の犠牲を最小限にするのは当然だ″と言われたら、一も二もなく同意するのである。
 また、「思想及び良心の自由」うんぬんと言っているが、戦争に協力させられ、その犠牲者にさせられる中で、「心の中はいつも自由であるべきだ」というだけでは話にならない。侵略戦争そのものに反対しない限り、戦争への動員と闘うすべはないのだ。結局、こういう連合の見解は戦争と有事立法への全面的な協力を示すもの以外ではないのである。
 侵略戦争と有事立法の必要性について、日帝権力と一致を示している第2項と、戦争動員への協力を表明している第6項の二つこそ、連合見解の重大な裏切り性を示す決定的ポイントである。激しく糾弾し、闘い、下から職場から反乱を組織していく必要がある。
 第6項後半では、「国民の自由と権利」の制限について「その程度を示せ」と言っている。戦争と有事立法とは、そもそも憲法の全部または一部の停止といった内容を持つものであり、労働者に必ず重大な被害と抑圧をもたらすものである。その要求するベクトルにもよるが、連合見解には、この批判と暴露の立場が欠如している。ここでのこうした言い方も、有事立法を認めるための、ためにする言辞でしかない。

 連合をのりこえ打倒し労働者の反戦総決起を

(8)最後の第7項で言っていることは、以上の5・16連合見解の全体から出てくる有事3法案についての連合の態度にかかわることだ。
 「以上のことから連合は、今回提出された有事関連3法案については、今国会で急いで成立をさせることは反対である」
 これはなんということか。要するに「今国会で急いで成立させる」ことに反対ということだけなのである。逆に言えば、今度の有事3法案には原則的にはなんら反対ではないのだ。もっとより充実した有事立法にすべきであると言っているにすぎないのだ。いや、そうとまでも言っていない。ただ「今国会では……」とだけしか言っていないのである。
 その上で、見解は最後に、いかにも今国会で急いで成立させないで、さらに議論しようということをもっともらしく見せるために、次のように言っている。
 @「政府は2年をめどに整備するとしている緊急事態に係わる法体系の全体像を国民の前に明示すべきである」
 A(次のような諸問題を)「十分に議論する必要がある」
 (イ)武力攻撃事態の定義、(ロ)シビリアンコントロールと国会承認規定の有効性、(ハ)国民の権利に対する制限や保障のあり方、(ニ)自治体に対する首相の指示権の内容、(ホ)命令違反に対する罰則規定の是非。
 なんとこれについて論議しようと言っているのだ!
 これらはすべて現実に提出されている有事3法案について、連合が基本的に賛成し、有事立法に基づく戦争への労働者動員に協力していくという基本的態度をすでにうち出していながら、いかにも慎重に論議していこうと装うためのポーズにすぎない。
 たとえば、@については、政府与党は今秋臨時国会冒頭にアウトラインを示すとしており、連合の「口実」は封じ込められ、実質的に賛成する立場へと吸引されようとしている。Aについては、すでに出されている有事3法案でも賛否がうち出せることが多くあるのに、ただこのように列挙して、いかにも「論議していく」という体裁をとっているだけだ。
 例えば、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)などはすでに一定の内容は出されているのに、連合見解はそれへの賛否を避けている。ということは、進行していることを承認している、つまり賛成しているということだ。
 最後に第7項の終わりで、「連合は、有事関連3法案が国会でどのように審議されるかを見きわめ、組織内外で慎重な論議をし、必要な対応をしていく」としている。
 これはまったくペテン的態度だ。連合はこの5・16見解の中ですでに有事3法案に基本的に賛成し、それに基づく労働者の戦争動員に協力すると言っているのだ。それでいながらこれから「論議して」態度を決めるかのように言っているのだ。これは、有事立法に基本的に賛成という連合の態度表明をとらえて、日帝権力・政府与党があわよくばほとんど実質的に何の譲歩もすることなく、ペテン的な若干の取り引きによって民主党と連合を賛成に巻き込んで有事3法案を成立させようとするか、あるいはそうした反階級的話し合いで労働者人民の闘いを圧殺する中で、与党単独で強行成立させるか――という選択(結局ひとつのことだが)の幅を広げていこうとしていることに、連合指導部が対応しているにすぎない。
 しかしはっきりしていることは、与党単独での強行成立を狙う時、連合は本質的にこれを容認し、成立した有事3法案には協力していくということだ。
(9)結語的に確認すべきことは、米帝・日帝のもとでイラク攻撃からさらに北朝鮮・中国などへの侵略戦争が展開されようとしている時、連合のこの見解は、侵略戦争のための有事立法に賛成することを表明し、労働者の戦争動員に協力することを明らかにしたことである。帝国主義侵略戦争への連合の屈服と協力という、日本階級闘争における歴史的大転換の決定的重要性を、すべての闘う労働者、革命的左翼はしっかりと確認すべきである。今こそ、戦後の反戦平和の闘いの成果を一切合切吸引して、連合のこの反動的「見解」をすべての労働者人民に全面暴露し、日米帝の侵略戦争を阻止する闘いへの労働者階級の決起を、下からどしどしつくり出していこう。そして、連合をのりこえ、打倒し、階級的労働運動の爆発的発展を切り開こう。
(10)5・16連合見解の批判は、たんなる有事3法案の暴露の一環ではない。これは労働戦線の内部で、労働者大衆の中に有事立法粉砕闘争を持ち込み、秋の大決戦への決起を訴え、組織していく運動論であり、闘争組織戦術である。5・16連合見解とは、労働者階級の中に、帝国主義と帝国主義的労働運動の指導部(=連合指導部)が有事立法攻撃を右から持ち込んだということなのだ。労働者階級人民の大流動をつくり出すものだ。闘う労働者は、これに断固食らいつき、大討論を巻き起こし、行動への決起をかちとっていこうではないか。

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週刊『前進』(2072号6面1)

弾圧と闘う 日弁連に人権救済申し立て

 デッチあげ爆取4同志 15年の長期勾留告発

 保釈請求・署名提出も行う

 迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判を闘う須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志と福嶋昌男同志は、9月24日、日本弁護士連合会に対し人権侵害救済の申し立てを行った。須賀・十亀・板垣の3同志への未決勾留は今秋10月13日をもって実に16年目に入ろうとしている。福嶋同志への未決勾留も10年目に入っている。この前代未聞の長期勾留をいまだに強制し続ける東京地裁刑事11部・同3部に対し、このような違憲・違法の人権侵害はもはや断じて許されず、即刻停止されなければならないと怒りをこめて告発した。同時に、東京拘置所での劣悪な獄中医療を始めとした非人間的な獄中処遇について、森山法務大臣、法務省矯正局長、東京拘置所長を糾弾し、実態調査と人権回復への行動を早急に起こすことを要請した。
 また同日、須賀・十亀・板垣の3同志と弁護団は、東京地裁刑事11部に第6次の保釈請求を行った。未決勾留が16年目に入ることは絶対に許さないという決意をもって、直ちに保釈を決定せよとの強い要求をたたきつけた。

 十万人保釈署名運動が1日行動

 この人権侵害救済申し立ておよび保釈請求と一体で、「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」の一日行動が闘われた。代表の森山■(つとむ)牧師を始め呼びかけ人・賛同人と家族ら14人が、この数カ月間で集めた1万1099筆(累計3万7816筆)の署名を東京地裁に提出した。その足で弁護士会館におもむき、日弁連人権擁護委員会に4同志の申立書を提出すると同時に大衆団体としての要請を行い、続いて記者会見を行った。
 地裁刑事11部はこの間、保釈署名運動による署名提出や申し入れ行動に対して、書記官室のドアにかぎをかけて一切の応答を拒否する不当な対応を繰り返してきた。しかしこの日は偶然にもドアが開け放たれており、すかさず参加者全員が中に入り、持参した7分冊にのぼる大量の署名簿を受付窓口に積み上げ、即時保釈を強く要求した。
 主任書記官が憮然(ぶぜん)とした表情で「この場で署名は受け取れない。訟廷管理官をいま呼んでいますので」と拒否しようとするが、積み上げられた署名を突っ返すことはできない。「この一筆一筆にこんな人権侵害は許せないという思いがこもっている。これだけの市民の声を無視して裁判所はさらに勾留を続けようというのか」という弾劾の声に、あわてて登場した訟廷管理官ともども、一言も発せず聞き入るばかりだ。最後に署名1万1099筆を確かに受け取ったという確認書に署名・捺印させ、次の行動に移った。
 日弁連では、4同志の人権擁護委員会への申立書とともに、署名運動を代表して森山牧師から「4人の被告たちの健康が日々悪化していることに胸が痛みます。一刻も早い人権救済を」との要請書が提出された。応対に出た人権課の職員は、迎賓館・横田裁判での長期勾留が大問題となっているのは「よく知っています」と、家族の訴えにうなずきながら聞き入った。
 午後1時半から弁護士会館で記者会見が行われた。森山さんの趣旨説明、裁判事務局からの経過報告、家族の訴えに続いて、呼びかけ人の大島孝一さんが発言した。「憲法をまったく無視している裁判官がいることは驚くべきことだ。こんな裁判所を許しているのは主権者である私たちの責任でもある」と、報道関係者の奮起を促した。

 80人が地裁にデモ 9・25

 翌25日には3同志の裁判の第169回公判が開かれ、傍聴者ら約80人が昼休みに東京地裁への抗議デモを行った。「4人は無実だ! 裁判所は直ちに保釈せよ」「人権侵害は戦争への道だ」と、怒りのシュプレヒコールを霞が関一帯にとどろかせた。

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週刊『前進』(2072号6面2)

 片山武夫同志が出獄

 12年の獄中闘争に勝利

 9月23日、91年5・1戦闘戦士、片山武夫同志が12年間の長期獄中闘争に勝利して横浜刑務所からの出獄をかちとった。
 片山同志は、91年5月1日、ファシスト労働運動を進めるJR総連幹部・カクマル湯原せん滅戦闘を、警察権力の銃撃にもひるまず戦いぬいた革命的戦士である。この戦闘は、ファシスト・カクマルが同年4月に凶行した結柴誠一杉並区議への卑劣きわまりない白色襲撃に対する正義の報復であり、革命党は革命的人民に対する白色テロルをけっして許さず報復することを示した偉大な戦闘である。
 日帝権力は、K=K連合(警察=カクマル連合)の庇護(ひご)のもとにいた湯原を救えとばかりに、片山同志に違法な銃撃を加えて右顔面と左胸に銃弾が貫通する重傷を負わせた。だが、片山同志は不屈の闘魂でこの殺人的弾圧をはね返して生きぬき、権力の不法を真っ向から弾劾する裁判闘争と完黙・非転向の獄中闘争を闘いぬいた。
 23日は早朝から、結柴さんを始め数十人の同志や友人が真紅の中核旗と「出獄歓迎」の横断幕をもって横浜刑務所の門前につめかけた。片山同志がかつて労働争議を闘った富山の地からは、富山大学の学生が、革命運動の大先輩を出迎えようとかけつけた。
 午前8時、片山同志が門の向こうに姿を見せるや、拍手と歓声が一斉に上がった。満面の笑みをたたえて獄門を出る同志に四方八方から手がのび、固い固い握手が交わされた。女性同志から贈られた花束を受け取った片山同志が、その手を高くかざすと、ひときわ大きな歓声が同志を包んだ。
 「出獄したらそのまますぐに次の闘いに入ろうと決意していた。大歓迎に驚いている。花束を贈られるなんて初めてです」と片山同志。獄外の党・人民との合流を果たした輝くような喜びがあふれていた。

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週刊『前進』(2072号6面3)

無実の星野同志を取り戻そう (8)

 現地調査

 “O証人は見ていない”

 デッチあげ暴くI証人

 現場で無実確信

 前回、確定判決を支える6人の供述が、権力によってデッチあげられた虚偽のものであることを明らかにした。現場を歩いて調査すると、権力がつくったストーリーがいかに不自然でペテン的なものか明らかになる。現地調査に行こう。
 代々木八幡駅から渋谷まで、星野同志をリーダーとする部隊が通った道を歩いてみよう。格好の案内がある。ビデオ『ある冤罪』だ。これは、01年に「星野再審ビデオ制作委員会」によってつくられた。すべての同志・『前進』読者は、このビデオを学習し、現地を歩いてほしい。
 ☆代々木八幡駅
 駅の改札口を出る。この改札口は狭くて、大勢が一度に通過するのは容易ではない。71年11月14日、この駅前路上に約150人の労働者・学生が集まり、星野同志が「渋谷突入」を訴える短い演説をした。この先、前方左手のNHK方向には機動隊の配置が予想された。短い意志一致で出発したことが良く分かる。渋谷方向に向かい、井の頭通りとの交差点を過ぎると、もう東急本店屋上の広告看板が見える。渋谷は驚くほど近いのだ。この交差点からはバス通りである。道幅は約7bしかなく、5〜6人が並んで走ったら、いっぱいになるような道だ。
 ☆神山交番跡
 機動隊が阻止線を張った神山交番は、今はない。デモ隊の先頭部分が機動隊を撃破追撃している時に、かなりの人数がここに滞留していた。交番が目の前で炎上していたのだ。ここに立つと、それが実感できる。
 これは重要なポイントだ。確定判決のカギとなるO証人もここで時間を過ごし、実は中村巡査殺害の場面を見ていないのである。
 粉砕された関東管区「富沢小隊」の大半が、前方左手の路地に逃げた。数人の機動隊が直進し、それを追ってデモ隊の先頭部分が突進した。
 ☆元都民交通前
 O証言に出てくる「タクシー会社」は都民交通という会社であったが、今はホテルになっている。しかし、位置関係は変わっていない。殺害現場の梅沢米店までは、約70bある。O証人は、ここから、奥深山さんが機動隊員をシャッターに押しつけて殴っているのを見たと供述している。そんなことが可能かどうか、自分の目で確かめてほしい。絶対に不可能だ。
 再審請求の新証拠として弁護団が提出したI新証言は、自分が先頭から数人目を走っていたこと、O証人は自分の前にいなかったことを明らかにしている。O証人は、先頭部分からかなり遅れて走っていたのだ。
☆梅沢米店から東急本店へ
 梅沢米店は当時のままの建物である。そのわきには、小さな石碑が建てられている。
 逃げ後れた2人の機動隊員の内、1人はこの先の角を左に曲がって逃走した。2人のデモ隊が追いかけたが、すぐに戻って来た。1人の機動隊員が梅沢米店の前で捕捉された。O証言は、この両方を見たことになっている。しかし、I新証言は、自分がいったん現場を行き過ぎたあと、梅沢米店前に戻ってきた時、遅れて到着したO証人と目があったと語っている。O証人は見ていない、これが真実なのだ。
 十字路との位置関係など重要なポイントなので、自分で確かめてほしい。
 梅沢米店前から渋谷方向に進んだ十字路、ここに星野同志はいた。星野同志がここに立った時、すでに左手のNHK方向には機動隊の姿が見えていた。いつ襲撃してくるか分からない緊迫した状況だった。デモ隊のリーダーとして、渋谷突入を急ぐ星野同志の緊迫感が伝わってくるような気がする。
 約300b進むと東急本店前に出る。いきなりにぎやかな通りに出て驚く。ここはもう渋谷の街だ。星野同志たちは、目の前にいた機動隊の車両を火炎びんで炎上させ、バリケードを築いて闘いを展開したのである。

 全力で再審へ

 神山交番方向からばらばらに集まってくるデモ隊、NHK方向には襲撃の態勢を整えつつある機動隊という状況のなかで、星野同志は両方が見渡せる十字路に立っていた。機動隊を殴打する囲みとは、絶対に両立しない。6人の供述調書は、権力によってデッチあげられた虚偽のものである。一刻も早く渋谷突入を果たすため、星野同志は十字路に立って指揮を取っていたのだ。
 再審弁護団と支援のグループは、00年、現地を歩きO証人の現場「引き当たり」の再現実験を行った。その結果、調書では全行程が1時間半で終わったことになっているが、そんな時間ではおよそ実現不可能であり、時間の配分もきわめて不自然であることが分かった。これも、現地を調査して初めて判明したことである。権力の密室でつくられたデッチあげ調書には、必ず矛盾がある。これを、現地調査で打ち破るのだ。現地に行くと、星野同志の無実が実感できる。
 星野同志の無実は明白である。再審を実現し、一日も早く星野同志を取り戻そう。

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週刊『前進』(2072号6面4)

 保安処分新法を廃案へ

 「病者」の社会的抹殺許すな

 労働者の戦争動員への攻撃

 私たちは「心神喪失者等医療観察法(保安処分新法)案」に対して、労働者人民、何よりも「精神病者」の大衆的決起で7月国会成立を阻止した。法案は継続審議となり、決戦は次期臨時国会にもちこされた。敵は保安処分新法成立に戦時体制構築の成否をかけている。労働者人民の総決起で廃案に追い込もう。

 「病者」は自己の生存をかけ決起

 5―7月国会において、「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議に結集する「病者」は、画期的な自己解放闘争に立ち上がった。国会・法務厚生労働委員会の開かれた計9回、毎回阻止共闘の10−30人が押しかけ抗議行動を闘った。私たちも関西から何度も上京し国会闘争を闘った。また関西各地で街頭宣伝を行った。「病者」にはこの過程は体調を崩し症状が出るかもしれないという決死の決起だった。「病者」はぎりぎりのところで自己の生存をかけて決起し勝利した。
 この過程で同時に、私たちは全国各地での有事立法阻止の大衆的闘いの先頭に立ち、首都へも結集して闘った。有事立法情勢下だからこそ、保安処分の攻撃が加えられているのだ。それは戦時治安維持立法という問題であり、侵略戦争に労働者人民を動員するための思想攻撃だ。日帝は、戦時下で「病者」が自己解放に決起し、それと労働者人民が結びつくことを何よりも恐れている。労働者人民を差別・排外主義の攻撃で屈服させて動員し、労働者をして被差別・被抑圧人民を虐殺する主体へと思想的大転換をさせようとしている。そう自覚することをとおして、私たちは有事立法決戦を主体的に担いぬき、闘うイスラム人民、パレスチナ人民、北朝鮮・中国の人民と連帯するべく闘った。

 大衆的力で法案成立を阻止した

 5―7月国会は、国会内情勢だけを見れば、法案を阻止することなど到底できないのではないかと思わせる危機的な状況だった。新法は「対決法案」でさえなく、何の抵抗にもあわず通る可能性が圧倒的に存在していたのだ。事実、自民党・与党は3回の審理で法案を通すと言っていた。民主党は対案という修正案を出し、日本共産党は事実上政府案支持の党見解を発表していた。社民党の中からも民主党案支持の発言が出ていた。
 この情勢を押し返したのは議会外での「病者」大衆の闘いだった。多くの「障害者」団体が法案反対を表明し、精神科医、医療労働者の団体も多数反対を表明した。賛成していたのは民間精神病院の経営者団体など2団体にすぎない。阻止共に結集する私たちの闘いによって融和主義者、中間主義者たちが簡単には裏切ることができないという情勢を強制した。私たちは、当初のあきらめムードを噴き飛ばし、闘って勝てるのだという確信に燃え、その熱気を全「病者」に波及させた。私たちが法案絶対反対・民主党案にも反対という大衆決起を実現したことで情勢は基本的に決定した。
 国会外の運動が国会情勢を動かした大きなものとして、オックスフォード教科書問題があった。坂口厚労相は「再犯予測」が可能だとする唯一の根拠としてイギリス・オックスフォード大の医学教科書に再犯予測は可能であると書いてあると答弁した。しかし、ある精神科医が実際にそれを読んでみると「再犯予測は極めて困難である」と書いてあったのだ。イギリスには保安処分制度があり、それを担わされている精神科医がその苦悩を率直に書いたものだった。それを国会議員に伝え質問した結果、坂口はその教科書を実際には読んでいなかったと答弁せざるをえなかった。「再犯予測」が不可能だとすればこの法律はその論理的根拠を失うのだ。
 また、このことは政府と歩調をあわせて「再犯予測は可能だと外国で言われている」と主張していた共産党に対しても大きなダメージを与えるものだった。共産党は、以後、党見解などなかったかのように反対派のポーズをとらざるをえなくなった。

 生存の権利奪われている「病者」

 私たち「病者」は資本主義・帝国主義の社会において、その生存する権利の一切を奪われ、否定されている者である。生存に必要な賃金を得ようにも、社会的有用性無き者として賃労働と資本の関係から本質的に排除されている。また、優生思想のもと、生まれてきてはならない者、生きる価値無き存在として規定され抹殺の対象となっている。
 たまたま幸運な人は福祉の網にかかり最低限の生存を保障されているが、網からもれる人のほうが圧倒的多数だ。福祉行政は、福祉を与えることではなく奪うことを任務としている。多くの「病者」の場合、家族に犠牲を転嫁されている。したがって、家族内での「病者」の扱いは人間としてのものでない場合が多数ある。さらにそこからももれた多数の「病者」が殺され続けている。「ホームレス」として、またそれにもなれずに生存権を否定されている「病者」が多数いる。自殺者は年間3万人を超えているが、その9割は「病者」だといわれている(毎日新聞)。1日80人以上の「病者」が文字どおりに殺されているのだ。
 さらに30万人の「病者」がいつ終わるとも知れない精神病院の鉄格子の中で隔離・収容されている。多くの精神病院は人間が生存するにはふさわしくない環境にある。多くの「病者」が、医療従事者に隷属させられ、もの言わぬ奴隷として最低限以下の生活を余儀なくされている。
 そもそも「病気」そのものが社会的なものだ。精神病は、社会の矛盾が一個人に転嫁させられる中で、脳内に肉体的変化が現れて発病していくのだと言われている。精神病は個人の資質の問題でもなければ、遺伝でもない。また、一個人の思想上の、意識の歪みといったものでもない。社会の歪みを受け止めやすい人が発病するとも言える。にもかかわらず「病者」は今まで病気の結果に責任を取らされ続けてきた。

 「矯正治療」は保安処分そのもの

 政府・坂口厚労相が5−7月国会審議で答弁した(対象者は)「重大犯罪を犯した人だから」(人権を奪っていいのだ)という論理は、いままで「病者だから人権は認めない」と言われ続けて来たのとまったく同じ論理だ。また「医療と社会復帰」を行うのだから保安処分ではないという政府の理屈は、いままで「医療と社会復帰」の名のもとに「病者」の人権を奪い奴隷のごとく隷属させ、命まで奪ってきた精神病院のあり方そのものだ。また政府は刑務所(矯正施設)に入れるのではないから保安処分ではないと言っている。刑務所の処遇と精神病院の処遇のどこが違うというのか。
 またその「治療」の中身は「怒りのマネージメント」だと言っている。すなわち「怒り」という感情を奪ってしまうことだ。「病者」は怒ることさえ禁じられるのだ。怒りの感情を奪うということは、人間としての喜怒哀楽という感情そのものを奪うことだ。
 人間から一切の感情を奪うものにロボトミー手術という、脳の感情をつかさどる部分を外科手術で切り取ってしまうものがある。あまりに非人間的ということで最近は行われなくなったが、厚労省は治療指針の中に温存している。それが復活する可能性だってあるのだ。また、「患者に対し療養に取り組ませる療法」としていままで以上に医療従事者に対して絶対服従させ、隷属させるということが言われている。
 さらに坂口厚労相は「医療の面からでない、犯罪を犯したという面からの矯正治療を行う」のだと答弁している。矯正治療とは保安処分そのものだ。それは初めから医療上の必要から行われることではなく、犯罪防止の観点から精神医療を使うということだ。医療に名を借りて人格矯正が行われるのだ。人格を変えてしまうというのはいままで医療が目的としてきたことではない。ひとりの人間としてのあり方そのものを破壊し否定することだ。
 犯罪それ自体は社会的なものである。社会的要素を考慮もせず、絶対に犯罪を犯さないように人格矯正をするということは、社会に対して何の反応も示さなくすること、すなわちロボトミー手術によって感情の一切を奪い、「廃人化」をするということ以外にない。
 精神医学に「再犯可能性をなくせ」と要求することは、医学を反人間的なものとして使えということを意味する。もともと精神医学は犯罪防止の目的で作られたものを、「精神病者」の告発と糾弾によって、「病者」のためのものに作り変えることが試みられてきた。ロボトミーの中止などもその一部だ。それに対して、精神医学を犯罪防止、再犯防止の目的に再転換するということは、今までの「病者」の苦闘をまったく無に帰させるものだ。そのような精神医学の反動的大転換に、私たち「精神病者」は生死をかけて反対する。

 政府案と民主党案を葬り去ろう

 民主党案は、現行の措置入院が重大な人権侵害を起こしている事実があるにもかかわらずその強化を打ち出し、政府案では初犯を防げないとして、精神医療を犯罪防止のために使うという原理的転換に賛成し、精神病院の機能分化や精神科救急の推進を打ち出している。
 厚労省が機能分化ということを言い出したのは「処遇困難者」病棟が必要だというところからだった。民主党案ではそれに道を開くことになる。「精神病院の機能分化」とは、医者の数が一般科の3分の1しかいないといういまの精神医療の劣悪さを塗り隠し、「犯罪につながる可能性」があるということで「急性期病棟」に医師を重点配置することで、精神医療に犯罪防止の機能を持たせるものだ。一方で、圧倒的多数の「慢性期病棟」といわれる長期入院施設の収容者からはいままで以上にすさまじく医療を奪うことになる。
 精神科救急は、本人通報では移送されず、第三者通報しか認められていないように、「病者」を社会から病院へ狩り込むための制度だ。こんなものが推進されたら「病者」は社会の中で暮らすことができなくなる。この精神科救急の推進とは犯罪予防という要請にのみこたえ、「病者」の365日24時間の診療を行って欲しいという要求をふみにじるものとしてある。
 臨時国会での法案審議入りを許さぬ大衆的闘いをたたきつけよう。いかなる保安処分にも反対し、政府案と民主党案を同時に葬り去ろう。今秋−冬の有事立法決戦として、武力攻撃事態法案など3法案プラス個人情報保護法案とまったく一体の有事法案である保安処分新法を、全人民の総力決起で粉砕しよう。
 関西「障害者」解放委員会 吉村隆生

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