ZENSHIN 2002/09/23(No2070
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週刊『前進』(2070号1面1)
イラク攻撃阻止・有事法粉砕 新テロ特措法の国会提出を許すな
9・22全世界反戦闘争の先頭に
11・24−25定期大会で国労本部=チャレンジ・反動革同打倒せよ
9・11反米ゲリラ戦から1年、米帝ブッシュと国際帝国主義によるイラク侵略戦争突入の動きが激烈な形で進行している。イラク侵略戦争の現実化、切迫化は、とてつもない世界史的大問題である。ブッシュは9・11テレビ演説と9・12国連演説をもって事実上イラクへの宣戦布告を行ったのだ。日帝・小泉は、訪米してブッシュに対しイラク侵略戦争への支持と協力を誓った。われわれは、このイラク侵略戦争に反対するイラク反戦闘争を今日の第一の課題として「イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕」の一大闘争を猛然と闘っていかなければならない。日帝は、イラク侵略戦争への参戦と有事立法の臨時国会での成立をめざして猛烈な攻勢に出てきている。この情勢の中で、労働運動の最大の焦点である国鉄決戦が決定的な局面を迎えた。国労本部は11月24、25日に定期大会を開くことを決定した。この定期大会を、4党合意を葬り去り、チャレンジ・反動革同の本部執行部を打倒し、国労の階級的再生をかちとる国鉄闘争の決戦中の決戦として闘いぬこう。反戦共同行動委の9・22全国総決起闘争を突破口に今秋決戦の大爆発を切り開こう。
第1章 ブッシュが対イラク侵略戦争の宣戦布告
9・22―今秋決戦の最重要の課題は、イラク侵略戦争の恐るべき侵略戦争性に対する人民の怒りを総結集し、イラク反戦闘争を爆発させ、「イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕」に総決起することである。
米帝は9・11の1周年をとおして完全にイラク攻撃過程に突入した。米紙によると、米軍はすでにイラク周辺国で兵力増強を開始。ドーハ(カタール)駐留の陸軍部隊は1500人から5000人に増え、さらに、カタールとクウェートに展開予定の9000人が米本土から送り込まれる準備が整った。特殊部隊も周辺地域に投入されている。
9月5日には米英軍100機が出動し、過去4年間で最大規模のイラク空爆を強行した。本格的なイラク攻撃の前段階が実施されているのだ。
ブッシュは、9月11日夜のテレビ演説で、「われわれは、大量殺人兵器によって文明を脅すテロリストや独裁者を許さない」と語り、対イラク攻撃を強調した。ホワイトハウスは、フセイン政権の「国連決議違反」や「大量破壊兵器開発」などイラクの「脅威」を叫ぶ「イラク報告書」を公開した。そして、12日のブッシュ国連演説で「イラクが国連や米国を無視するなら、世界は断固としてイラクに責任を取らせなければならない」と述べ、事実上の対イラク宣戦布告を行った。
米帝ブッシュと国際帝国主義のイラク侵略戦争は、イラク人民、アラブ人民、ムスリム人民へのむき出しの一方的侵略戦争、一大虐殺戦争である。
今、この時間にもイラクでは長期の経済制裁と空爆で、浄水施設も破壊され、子どもたちが病気になっても医薬品もなく、命を落としている。91年湾岸戦争後10年以上にわたってイラク人民に対して暴虐のかぎりを尽くしてきたのは米帝だ。その上に今度は地上軍まで投入してバグダッドに攻め込み、フセインを虐殺してかいらい政権を打ち立てる侵略戦争を仕掛けるのだ。米帝はイラクより無限大倍も大量の皆殺し・破壊の核兵器を持ち、それを使ってイラクに襲いかかろうとしているのだ。
これは米帝(国際帝)による現代におけるすさまじい植民地主義的政策である。米帝は、「大量破壊兵器」の問題などと言っているが、何よりまず、米帝の思い通りにならないフセイン政権を政権根こそぎ打倒することが初めから目的とされている戦争なのだ。これほど恐るべき民族圧殺、民族自決権じゅうりんはない。イラクのあり方はイラク人民自身によって決定されるべきなのだ。
米帝のイラク攻撃は、必ずや全中東諸国への民族圧殺、民族自決権じゅうりんの大攻撃に発展する。さらに全世界へのそれに発展する。これは戦後の植民地解放・民族解放闘争の大きな世界史的流れへの大逆流である。
また、この攻撃は中東および世界の石油資源の米帝(国際帝)支配を狙うものであり、古典的植民地主義以上に凶悪な強盗的戦争である。そこでは大虐殺の上に、イラクの油田を強奪しようとしているのである。
同時にそれは、世界唯一の超大国でありながら、世界帝国として没落の危機にあえぐ米帝が、帝国主義的危機を世界戦争で突破しようとするのりきり策動の一環なのである。具体的には、01年QDR―02年国防報告に表される世界戦争計画の全面的発動の開始である。アフガニスタン侵略戦争に次ぐ決定的第二段階への突入である。
この戦争をこのまま進行させれば、次にはイランや北朝鮮に対する戦争へと発展し、ひいては対中国侵略戦争へと発展していく。全面的な世界戦争の道そのものである。
日帝・小泉は、米帝ブッシュのイラク攻撃の宣言についてペテン的言辞を吐いているが、実際は英帝ブレアについでブッシュのこの侵略戦争に支持を表明している存在である。日帝は、新しいテロ対策特措法の成立を策動し、有事立法を強行してアフガニスタン侵略戦争への一層の加担=参戦と、イラク侵略戦争への参戦を図ろうとしている。
有事立法攻撃は、イラク侵略戦争として開始されている米帝の世界戦争計画の発動という情勢に、日帝が争闘戦的に対応して延命するために、自らの世界侵略戦争計画を実行していく上での決定的なステップなのだ。
現行の周辺事態法、テロ対策特措法と新しく策動される新テロ対策特措法や有事立法は、一体となって、アフガニスタン↓パレスチナ↓イラク↓北朝鮮へと世界戦争計画を拡大・激化させようとする米帝の動向への、日帝の必死の共同的=競合的参戦のための法制的整備の大反革命である。イラク侵略戦争反対の闘いと、新テロ特措法粉砕、有事立法粉砕を一体のものとして闘おう。
米帝(国際帝)のイラク侵略戦争は絶対にスムーズには進行しない。米帝にとって泥沼化は必至である。そして、全世界の労働者階級人民の闘いは必ず巨大な規模で爆発する。世界史はまったく新しい情勢に突入したのだ。帝国主義間の矛盾も一挙に促進されるだろう。
イラク侵略戦争阻止・新テロ特措法粉砕・有事立法粉砕の歴史的大闘争に今こそ立ち上がろう。
「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・イラク・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の反帝国主義・反スターリン主義世界革命の旗を高く掲げ、前進しよう。
第2章 10月臨時国会開会へ有事立法粉砕に立て
今秋決戦において、イラク反戦闘争と結合し、北朝鮮・中国侵略戦争突入のための有事立法を粉砕する臨時国会決戦の大爆発をかちとらなければならない。
日帝・小泉は、イラク侵略戦争への参戦を図ると同時に、有事立法の臨時国会成立を最優先課題として突破しようとしてきている。臨時国会を10月中、下旬に開会しようとしている。自民党の山崎幹事長や福田官房長官などが繰り返し、有事4法案(武力攻撃事態法案など有事3法案と個人情報保護法案)の優先的成立を公言している。
武力攻撃事態法案の核心は、「武力攻撃事態」という新概念に「武力攻撃が予測されるに至った事態」を付け加えることで、限りなく早い段階で「武力攻撃事態」を宣言できるようにしていることだ。米帝の北朝鮮侵略戦争の開始↓周辺事態法の適用の開始↓「予測されるに至った」という認定のもとに対処行動の開始、として日帝自身の北朝鮮侵略戦争が開始されていくのである。
本紙2065、66号の有事3法案の逐条暴露、前号と今号の「暴露のポイント」上・下を学習し、主体化して、猛然と大衆的な宣伝・扇動を強めよう。
さらに、日帝は、アフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争により深々と参戦するためには、今のテロ対策特措法では無理があるとして、新たなテロ対策特措法を立法しようとしている。有事立法に優先して、新テロ特措法をつくり、直ちに発動する構えであり、イラク反戦闘争の重大な一環として、断固国会提出を阻止しなければならない。
そして、この有事立法攻撃と一体のものとして、小泉訪朝・日朝首脳会談が行われようとしている。これは米帝のイラク侵略戦争の切迫下で、北朝鮮への屈服を脅迫的に求めるものであり、国交正常化の名で北朝鮮への新植民地主義的侵略を図るものである。
訪朝発表後、9月6日に「能登半島沖に不審船」という情報が流され、大げさに取り上げられたが、これは「能登沖」というよりは明白に「ナホトカ沖」の、日本の排他的経済水域外のことであり、北朝鮮の国旗を付けた船である。また、11日には、奄美沖の撃沈船の引き揚げが大々的に行われた。これらは日本の労働者人民に対する排外主義扇動であり、北朝鮮・金正日政権を揺さぶるために演出されたものだ。小泉訪朝が、「拉致」「不審船」「ミサイル」などの「疑惑」をあおることによって金正日政権の屈服を図る攻撃であることを示している。
小泉訪朝に対する日共・志位の「歓迎」「協力」の態度表明は、有事立法闘争の解体攻撃であり、日共の国益主義・祖国防衛主義、北朝鮮と朝鮮人民への排外主義・差別主義の全面開花である。日共スターリン主義を打倒して、闘う朝鮮人民・在日朝鮮人民と連帯し、米日帝の北朝鮮侵略戦争を阻止し、有事立法を粉砕しなければならない。
有事立法攻撃を容認・加担する連合5・16見解を職場、地域で打ち破り、労働者階級の階級的決起をかちとろう。労働組合の戦争協力への踏み込みは、かつての産業報国会の道であり、どんなことがあっても打ち砕かなければならない。
9・8沖縄統一地方選挙で、名護市の宮城康博氏がトップ当選、読谷村の知花昌一氏が再選、北中城村の宮城盛光氏が堂々5選を果たした。9・11以来の対テロ・キャンペーンの中で、米軍基地に反対することなど問題にならないという攻撃が吹き荒れ、一方で米軍演習が激化し、事件・事故が後を絶たないという状況の中で、イラク侵略戦争反対、米軍基地新設絶対反対、有事立法反対の沖縄人民の声を体現し、真っ向から訴えてかちとった勝利である。とりわけ、宮城康博氏の勝利は、日帝・小泉、稲嶺県政、岸本市政と対決して、名護新基地建設阻止の大運動を巻き起こす鬨(とき)の声である。
三里塚農民の不屈の闘いに追い詰められた政府・空港公団は、成田暫定滑走路の北側延伸を公然と打ち出し、「地権者との交渉と両にらみで進めたい」と脅迫してきている。敵公団に対する怒りを燃え立たせ、10・13全国総決起闘争に総結集しよう。
日帝支配階級はこの間政治支配の危機を深めている。長野県知事選での田中康夫氏の圧勝、東京電力の原発事故隠しの露呈などいたるところで従来の支配のほころびが出てきている。労働者人民が団結して闘えば勝てる条件が満ち満ちているのだ。
第3章 日共の破産うち破り国鉄決戦勝利開こう
国労本部は、9月11日の中央執行委員会で11月24、25日に定期大会を開くことを決定した。国労執行部は、4党合意路線が完全に破産する中で、「ゼロ解決」をなりふり構わず丸のみし、自民党・甘利やJR資本に闘争団を切り捨ての大会を開くことを誓約し、国労を完全に権力・資本に売り渡す最後のかけに出てきたのだ。
執行部は完全に追い詰められており、何の成算も展望もなく、グラグラだ。闘う国労再生への3大要求「@闘争団への生活援助金・物販凍結の解除を、A闘争団の除名処分策す査問委員会は解散せよ、B第70回定期大会を開催し、4党合意破棄を」を掲げ、日共のペテン的「国鉄闘争の再構築路線」を暴露して闘ってきたことが、確実に展望を切り開いているのだ。
高嶋、寺内らチャレンジと久保ら反動革同の執行部は、8月28日の「採用差別事件の解決に対する本部の決意」で、「ゼロ回答」を丸のみし、闘争団を切り捨て、国鉄闘争を解体し、国労解散(=JR連合への合流)に踏み切る決意を表明した。この中で、本部は「雇用対策本部を設置し、一定の期間、雇用対策をしっかりと行う」などと言っているが、これは、JR採用はゼロでいいと、国労の側から「ゼロ解決」を要求し、国労が「雇用対策」を行うというものなのだ。それはかつて清算事業団雇用対策支所が「再就職あっせん」と称してやったことと同じことを国労本部が行うということであり、国労本部が966人の国労闘争団員全員を国労から切るためのものなのだ。
チャレンジの中には、4党合意はもはや終わったとして、国労を脱退してチャレンジユニオンに合流する動きも公然化しており、国鉄闘争からの算を乱した脱走が始まっている。
また、反動革同は、日共中央のペテン的「路線転換」方針に大混乱しながら、苦し紛れに「国労組合員である以上、国労大会決定には従わなければならない」と日共中央に弁明し、日共中央もこれを容認した。4党合意路線の破産の中で、ペテン的にあがきながらも、結局はゼロ回答受け入れ、国労解体への裏切りの道を突進しようとしているのだ。
だが、9月8日からの闘争団の上京行動は、36闘争団全体の行動としてかちとられた。これは4党合意による分断を打ち破り、解雇撤回、地元JR復帰の原則を貫くものである。
今や、圧倒的な反転攻勢が始まった。闘う闘争団、闘う国労組合員は、防戦から攻めに入る確信を得た。4党合意の破産は今や明らかである。最後的にこれを葬り去り、高嶋・寺内執行部を打倒し、次の闘う陣形をつくらなければならない。10月代議員選挙でチャレンジ、反動革同を打ち破って勝利しよう。
日共のペテン的「路線転換」は、日共の一層の混乱をもたらしている。日共の4党合意支持路線は、94年の第20回党大会で「資本主義の枠内での民主的改革」を打ち出して、一切の階級的対決を回避することを党是としたことから必然化したものである。それが、国内階級闘争では資本攻勢への屈服として現れ、外に向かっての侵略戦争に対する態度では、安保の容認、自衛隊の有事活用の容認として現れているのである。今やマルクス主義・レーニン主義の放棄と歪曲をとことんまで進め、愛国主義、国益主義を鼓吹する日共スターリン主義を打倒することは、すべての労働者人民の共通の課題である。
また、ファシスト・カクマルは、われわれの91年5月テーゼ以来の新たな対カクマル戦争の前進によって、ついに黒田・中央派と松崎・JR総連派とに真っ二つに分裂した。この問題は、カクマル両派にますます重くのしかかって、危機を深めている。そこから彼らは自らの危機を、革共同に対する怒りと憎しみにファシスト的に転嫁し、白色テロ策動を図っている。断固打ち破り、怒りをもってカクマル打倒へ闘おう。
星野同志を始め長期獄中同志奪還へさらに闘いを強めよう。とりわけ獄中16年を超えようとしている迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の須賀、十亀、板垣の3同志を今秋必ず奪還することを決意し、闘おう。
財政闘争を強化し、機関紙拡大に圧倒的に取り組み、党勢の倍増へ前進しよう。被抑圧民族人民と連帯して帝国主義の侵略戦争を内乱に転化し、帝国主義を打倒するために、革命党の強化こそが一切の展望を切り開くのだ。すべての闘う労働者人民が革共同に結集しともに闘うことを熱烈に訴える。9・22―今秋決戦を死力を尽くして爆発させよう。
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週刊『前進』(2070号1面2)
9・11一周年 天田書記長が新宿駅で演説
イラク反戦・有事闘争訴え 小泉とブッシュを徹底弾劾
「9・11反米ゲリラ戦の1周年を迎え、革命的共産主義者同盟は訴えます」
革共同の天田三紀夫書記長の第一声が響き渡った。帰宅途中の労働者や学生であふれる喧噪(けんそう)の新宿駅南口の雰囲気が一変した。
昨年の9・11反米ゲリラ戦争から1年を迎えた9月11日の夕方、革共同は天田書記長を先頭に新宿で大街宣を行った。職場から直行した労働者や学生ら50人を超える同志が続々と集まり、JR新宿駅の南口と新南口前を制圧して、イラク侵略戦争阻止と有事3法案粉砕などを訴える宣伝を行った。
新宿駅頭はこの日、「イラク侵略戦争を許すな」などと書かれた横断幕が張られ、何本もの『前進』ののぼりや中核旗がひるがえった。駅前のかなり広い範囲で、「9・11反米ゲリラ戦1周年にあたっての革共同の新たな戦闘宣言」と「小泉訪朝に対する革共同声明」を掲載した『前進』の展示・販売が行われ、有事立法反対の署名が呼びかけられた。
天田書記長や全学連の大山尚行委員長らが次々とマイクを握って訴えた。9・11と世界戦争の危機、イラク侵略戦争の切迫、小泉首相の訪朝、有事立法――など、労働者や学生にとってタイムリーなテーマについて、核心と本質に迫り、労働者階級人民のとるべき立場を鮮明に説くアジテーションが続いた。
労働者や学生の関心は高く、弁士の訴えや有事立法反対の署名、『前進』購読の呼びかけに対して、あちこちで討論の輪が広がった。数千枚のビラが手渡され、数百の有事立法反対の署名が集まり、数十部の『前進』が販売された。
天田書記長は冒頭、ニューヨークで行われる9・11の1周年式典でブッシュ米大統領がイラク攻撃を宣言しようとしていることを弾劾し、9・11反米ゲリラ戦に対する労働者階級人民の態度について以下のように訴えた。
「昨年の9月11日、ムスリム人民の19人の戦士が、根底的な反米ゲリラ戦争に決起しました。中核派は、この闘いを真っ向から受けとめ、日本の労働者階級人民が帝国主義の戦争政治を阻止し、帝国主義打倒に決起することが、9・11に対する態度であると考えてきました」
そして、イラク侵略戦争への突入が世界を第3次世界大戦に向かう過程としてあることをはっきりさせる必要があるとして、日本の労働者階級人民が世界の闘う労働者階級、被抑圧民族人民と団結・連帯し、イラク侵略戦争阻止・有事立法絶対粉砕の闘いに立つことを熱烈に訴えた。
また、有事3法案について、具体的に条文を例示しながら、「予測される事態」と認定しただけで事実上の防衛出動を行うことなどを暴露し、有事3法案が北朝鮮・中国侵略戦争法案であることを明らかにして、法案粉砕へ革共同とともに闘うことを訴えた。
小泉首相の訪朝問題について、朝鮮に対する36年間の植民地支配、強制連行、軍隊慰安婦の強制、関東大震災での大虐殺など日帝の戦争責任について、日帝・小泉政権は何ひとつ反省もせず、謝罪していないことを糾弾。北朝鮮に対して有事立法などの日帝の戦争政策・侵略外交への屈服を迫るのが小泉訪朝の目的だと暴露・弾劾した。特に日本共産党が小泉訪朝に全面賛成=屈服していることを明らかにして、日本共産党は戦争反対勢力ではなくなったと断罪した。
最後に「米帝ブッシュ政権のイラク侵略戦争、世界戦争戦略、小泉の戦争政治と対決する道は、帝国主義国の労働者階級と被抑圧民族の人民が団結して帝国主義を打倒することだ」と訴えた。
革共同の9・11反米ゲリラ戦に対する見解を初めて聞いたという学生や、有事立法絶対反対という労働者など、この日の革共同の大街宣は老若男女の大きな注目と反響を集めた。天田書記長の熱烈な訴えを最後まで熱心に聴いていた年配の男性は、演説を終えた天田書記長に話しかけて握手し、『前進』を買って帰った。
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週刊『前進』(2070号2面1)
国鉄闘争と日本共産党
日共路線の破産つき破り階級闘争の歴史的転換を
東山 整一
日本共産党は7月中旬までに、党中央委員会の指導のもとに「国鉄闘争再構築路線」なるものを打ち出した。これに関する内部メモはすでに本紙2066号で暴露した。国鉄1047名闘争の文字どおり最後の正念場におけるこの「路線転換」が意味するもの、およびこの背後に黒々と横たわる日本共産党の危機について、以下若干論じたい。前提として2点を強調したい。ひとつはわれわれはこの問題をけっして静的・平面的にではなく、あくまで主客のダイナミックな動的関係の中でとらえる、最も短くとってもこの2年余の国労闘争団を先頭とする4党合意との闘いがついにこじ開けた巨大な展望としてとらえなければならない。今ひとつは、これを国鉄闘争の帰趨(きすう)を決する事態であると同時に、それを超えて一言で言えば9・11情勢下における日本共産党の危機と破綻(はたん)、労働運動・階級闘争をその最深部から揺り動かす大流動の始まりとしてとらえなければならない。連合支配=5・16見解に抗する今春有事法制闘争が日本階級闘争の大地をグラリと一揺れさせたとすれば、今度は国鉄闘争をめぐって同じ大地・岩盤に鋭い亀裂が走った。それはわれわれに今秋国鉄闘争と有事法制闘争の一体的爆発と勝利に向けて全力で闘いぬくことを待ったなしに求めている。
何が「再構築路線」を強いたか
まず、なぜ、今、このような「再構築路線」が出てきたのかから見ていこう。このことはこの「路線転換」なるものの実相を見きわめることにもつながる。常識的に考えれば、まさに土壇場に追いつめられた国労の次期定期全国大会(9月になっても日程も決まらない異常事態にあったが)に向けて出されたように見える。だが本当にそうなのか。
問題のメモは盛んに今年4月26日に出た3与党声明の「根本的弱点」を強調し、「これを最大限に使って路線転換のチャンスとする」と強調している。だがこの1カ月後の5月27日、3党の恫喝で急きょ開かれた国労臨時大会はどうだったか。ほかならぬ日共=革同の田中副委員長の開会あいさつ「与党3党からの声明を解決に向けての最後の機会と受けとめ本大会を招集した」に始まり、革同、チャレンジなどが一体となってJR採用差別訴訟取り下げと闘う闘争団除名のための査問委送致などの方針を決めた。この大会をもって国労内の対立は4党合意の是非という路線問題の次元を大きく超えて、闘争団の除名、その当然の結果としての4党合意をめぐる国労の分裂という後戻りできない組織問題に転化した。
もし日本共産党が、理由が何であれ2000年5・30以来の4党合意推進路線を「転換」するのであれば、今年5月臨大前が最後のチャンスだったはずだ。ところがそれからさらに2カ月後に出てきた出し遅れの証文は、もはや国労や国鉄闘争に対する日本共産党の指導という動機を超えたところから出てきたものと見るしかない。すなわち疑いもなくこの「転換」は、今年7月24〜26日の全労連第20回定期全国大会をのりきるために、まさに唐突に、国労革同が「放心状況」(メモ)に陥ることも辞さずに出てきたのである。
このことを明らかにするためにも2年前の全労連第19回大会での国鉄闘争をめぐる激しい論議を簡単に振り返っておきたい。
これが開かれたのは00年7月25日から3日間で、4党合意から約2カ月後、演壇占拠でこれを阻止した7・1国労臨大から3週間余り後、そして8・26国労続開大会の1カ月前だ。この大会初日、大会代議員から「国鉄闘争方針についての全面的補強意見」が出され、特殊法人労連、京都総評、建交労鉄道本部、北海道労連、建交労、高知県労連などから国鉄闘争に関する発言が続き、いずれも「4党合意批判を明確にすべきだ」と主張、さらに大会冒頭の小林議長あいさつにある「(国鉄闘争の)人道的立場に立った解決」への反論も噴出した。こうして最終日、坂内事務局長は総括答弁で「国鉄闘争をめぐって集中的討議がなされた。採用差別を強行し不当労働行為を繰り返したJRに法的責任がある、という点ではすべての代議員・組合員が一致する。……国労本部の方針にさまざまな意見があることも承知の通りだ。(しかし)加盟組合でない国労の対応について全労連が今日の段階でコメントすることは適切ではない」と苦しい逃げを打った。
今年の全労連大会ではもはやこんな逃げは通用しないところにまで状況は煮つまり、内部の矛盾は高まっていた。だから「路線転換」なのだ。その結果全労連第20回大会では国鉄闘争についてはほとんど議論はなかった。これが日共中央の狙いだった。はっきりしていることは日共の「再構築路線」の中に、「国鉄闘争を労働運動の原点に立って再構築する」ための今後の闘いを期待することなどまったくできない。この「路線転換」の中には、国鉄闘争の核心、「解雇撤回・地元JR復帰」の言葉はなく「雇用問題解決」などの言葉にすり替えられている。そのインチキ性はこの一点で明らかだ。ここにはなんの幻想もない。
しかし5月臨大まで「毒を食らわば皿まで」の精神で突っ走ってきたのだから最後までその路線を貫くことによってしか革同は守れない。にもかかわらず日共中央は今や「たとえ党からの離党といった『血』が流れること」(メモ)があろうが、つまり一言で言えば革同にどれだけ矛盾が集中しても全労連の失陥、空中分解を阻止しなければならないとして、この超アクロバット的「転換」に踏み切ったのである。
だがそれではこの「再構築路線」は単なる茶番なのか。いや違う。重要なことは、4党合意への怒りは日共中央をしてこんなにもむちゃくちゃな「路線転換」劇を演じさせざるをえないほど日共足下でも激しいのだ。そして「ひょうたんからこま」ではないが、それは中央の動揺と権威の失墜の中でこの「転換」をさしあたり額面どおり実践しようとする良心的・戦闘的労働者や日共党員、革同活動家を国労内や全労連内に一定の規模で必ず輩出させ、彼らの決起と行動はもはや日共中央のどんな制動をも突き破って進むに違いないのである。また何よりもわれわれは、このような決起と行動を左から正しく促進し、支援し、拡大していくことを求められており、そのために日本共産党とのかつて経験したことのない超接近戦的な党派闘争に踏み出さなければならないのである。
国鉄闘争終結へ反革命的突出
もともと日本共産党は4党合意に対して首尾一貫して推進の立場と指導を貫いてきた。先の全労連第19回大会直後の00年8月に『赤旗』は「N・S」署名の解説記事を載せ、4党合意に対する批判がましい主張を展開した。だがこれも全労連内などの怒りをかわすための純然たる煙幕にすぎず、こと国労内での革同指導に関しては、それ以降も革同内に生じた一部反対派を封じ込めつつ、当時の革同キャップ・上村副委員長を先頭に、8月続開大会でも、9月一票投票でも、10月定期大会でも、さらに翌01年1月続開大会でもあらゆる場面で4党合意推進の突撃隊の役割を果たした。
4党合意とは言うまでもなく、社民党を先兵に使った自民党など政権党による新たな国労解体攻撃であり、その受け入れは国労の自殺行為以外の何ものでもない。にもかかわらずそれが01年1・27大会で3分の2近い代議員の支持を集めたのは、ただ日共=革同のスターリン主義反革命としての存在の上に初めて可能だった。いわゆるチャレンジグループももちろん賛成した。しかしチャレンジ(一周遅れで後を追う東京地本・酒田一派も同じ)は極悪の帝国主義的労働運動とはいえ、その出発点はしょせん崩れ協会、崩れ民同で、頭にあるのは自分の保身だけ、口にできるのは「じり貧論」かせいぜいJR西会社あたりに吹き込まれた「JR東=カクマル包囲論」ぐらいしかないというぜい弱性をもっている。
しかし革同には日本共産党の綱領があり、路線があった。その路線のもとでは国労を自己解体に導くことは正しい道と位置づけられたのである。どんな路線か。言うまでもなく日共が90年代中葉から打ち出す「資本主義の枠内での民主的改革」路線である。当然それはそのまま全労連の基本路線になった。言い換えれば国鉄闘争はもはや資本主義の枠内を超えた闘いになりつつある、だから終わらせなくてはならない、終わらせることによってこそ全労連も前進でき、党勢も拡大できる、選挙での躍進もでき、「よりまし政権」参加の道も開ける――これこそが、革同の4党合意推進のための反革命的突出をここまで支えてきた路線なのである。だから彼らはチャレンジ以上の使命感と凶暴性で、例えば一連の国労大会で闘う闘争団を排除するピケの先頭に立った。そして日共=革同のこの路線と暴力に支えられて初めて烏合(うごう)の衆のチャレンジは国労にとどまり(一部は脱落したが)、4党合意賛成派が多数を占めるという事態が続いてきたのだ。
01年3月に『赤旗』は、1月に4党合意路線を採択した国労新三役が共産党本部を訪問したことを報じ、「高嶋委員長はこの間の日本共産党の協力にたいして謝意を表し、1月大会で採択された運動方針への理解を求め」、これに対応した市田書記局長は「国労のみなさんが、……解決の方向を確認されたことは本当によかったと思います」と激励したと記している。「本当によかった」――これが日共の4党合意への考えのすべてである。
この何年間かの国鉄闘争の激動の日々を、『赤旗』は努めて小さく、努めて客観主義的に報ずる姿勢を貫いてきた。だがそれは日共が国鉄闘争を軽視してきたことを示すのではなく、逆に労働者に隠れたところでいかに重視してきたかを示している。実際今日の日共を指導する不破や志位は、90年代後半からなりふり構わず財界へのすり寄りに走り、大企業の資本家を前に講演し、「私たちは大企業の敵ではありません」「資本主義のルールある発展を望んでいるだけです」「これからも一緒に汗を流しましょう」などと繰り返してきた。だがこんな舌先三寸にブルジョアジーはだまされない。だからこそ国鉄問題という総資本と国家権力の存亡をかけた階級決戦的課題で、日共=革同は最もあくどい形で権力・資本の先兵の役割を買って出るのだ。日共がこの5月国労臨大まで貫いてきた4党合意推進路線は、その「企業との対話」とか、「ルールある資本主義」とか、「資本主義の枠内での改革」などという総路線の最重要の環をなしていたのであり、それが今、一大頓挫(とんざ)したのである。それだけ大きな破綻なのだ。
これによって国労はどうなるのか。まず革同は混沌(こんとん)状態に入るだろう。メモも自認せざるをえないように流血は避けられない。もちろん「路線転換」の内実からして、革同が丸ごと4党合意反対派になり、国鉄闘争再構築に邁進(まいしん)することなどありえない。しかし革同がもはや4党合意推進派の心棒たりえなくなったことも明白だ。そしてこの支えを失ったチャレンジや酒田一派も同じ迷走状態に入る。だがこの中で本部は8月末の中執で国労内に「雇用対策本部」なるものを設けるなど、あくまでゼロ回答丸のみの道を突き進もうとしている。
求められているのは4党合意反対派が、「放心」する革同系組合員への工作を圧倒的に強めつつ、醜悪にも居直り続けようとする本部を打倒し、国労の権力を握りしめることである。新生国労の建設に向かっての一歩を踏み出すことである。これは必ず、国鉄闘争というものの戦略的位置と階級的本質からして、全労連−連合を貫く日本労働運動全体を貫く激震の引き金となるだろう。それだけではない。この国鉄闘争における日共の破綻とそれをのりこえる闘いの開始は、ある意味でそれより巨大な安保・防衛問題をめぐる日共の破綻と連動・共鳴しあいながら、大恐慌と世界戦争の時代における日本階級闘争の革命的地殻変動ののろしとなるに違いないのだ。
安保容認の転向路線は変えず
日本共産党は今日深刻な危機にある。ある意味では結党以来の、控えめに言っても宮本顕治体制が成立した57年以来の危機と言っていい。究極的には、それはソ連スターリン主義が崩壊して以降もこの党はスターリン主義党として存続しうるのかという根本的問題に直面しているのだ。
最も鋭い危機の指標は昨年7月の参議院選挙の結果である。ここで日共は3年前の98年参院選での15議席、820万票、得票率14・6%から5議席、431万票、7・9%に激減した(得票数、得票率はいずれも比例区)。議席で3分の1、得票数で2分の1だ。ここで話を単純化するために3年ごとに定期的に行われる参院選に絞って89年→92年→95年→98年→01年の選挙での社会党と共産党の当選者数の変遷を見ていく。まず社会党だが、46→22→16と90年代前半での政治改革攻撃の中で急減し、村山内閣下での安保・自衛隊問題での大転向を経て3分解し(民主党、社民党、新社会党)、社民党はその後5→3とさらに凋落(ちょうらく)する。他方、共産党は5→6→8→15→5となる。すなわち日共は95年から98年にかけて8→15と議席を大きく伸ばすが、これは明白に転向・分解した社会党から離れた票の一部の受け皿に日本共産党がなっていたことを示している。
ではこの議席数が01年選挙で一挙に3分の1になるのはなぜか。直接には明白に、98年参院選での「大躍進」に浮かれた日共中央が、これで自民党に代わる共産党を含む暫定政権をつくる展望が出てきたとして、いわゆる「よりまし政権」に参加するために日共の綱領的スローガン=安保廃棄の「凍結」を打ち出したことにある。00年の第22回党大会ではさらに「有事における自衛隊活用論」を採択する。前者は97年新ガイドライン締結から99年周辺事態法の真っただ中、後者はまさに今日の有事法制が日程に上る時期である。何のことはない、共産党もまた社会党に続いて安保・防衛政策での大転向をとおして労働者人民から決定的に見放されたのである。
なぜ日共がこんな道を選択したかははっきりしている。権力や資本が本気で攻撃してきたら屈服する以外にないというのが日共の、スターリン主義の本質なのだ。90年代半ば、日本のブルジョアジーが日本的経営の「三種の神器」などかなぐり捨てて大失業攻撃に出てきたからこそ「資本主義の枠内での改革」路線(正式決定は97年第21回党大会)になった。新ガイドラインのもとで日帝が侵略戦争と戦争国家づくりに本格的に踏み出したからこそ、98年の安保廃棄の「凍結」、00年の「自衛隊の有事活用」になった。
だがこれは、不破、志位らの思惑とは逆に、選挙での躍進ではなく大後退を結果した。ここで共産党は、社会党からこぼれた票だけではなく、従来からの古い日共支持層のかなりも失ったはずだ。しかも闘争など起こるはずがないと思っていた新ガイドラインをめぐっては、先進的な労働者・市民・宗教者らの地をはうような闘いをとおして99年春の情勢がこじ開けられていった。そうすると日共は、基本路線の転換は棚上げして、おっとり刀で駆けつけ、乗っかる。例えばこの過程で反戦闘争の広範な結集軸に押し上げられてきた陸・海・空・港湾労組20団体の闘いへの日共・全労連のかかわり、今春有事法制闘争でも続いている関係は周知のとおりである。
日本共産党はここでもアクロバットを演じている。98年以降の路線は何も変わらない。例えば昨秋のテロ特措法とともに国会提出された海上保安庁法改悪案に、社民党さえ反対したのに日共は賛成した。これは党史上初めての安保関連法賛成である。しかも共産党のたちの悪さは、99年国旗・国歌法問題に典型を見るように、法律が成立し、それに合致すれば何でも賛成するという超合法主義にある。この延長で日共は、目前に迫ったイラク戦争にも、これへの自衛隊参加にも賛成しかねない。91年湾岸戦争にも賛成した日共のことだ。そして結局は朝鮮戦争にも賛成するだろう。凶暴な対北朝鮮戦争計画・戦争体制を背景にした小泉訪朝への「大歓迎」コメントはその第一歩である。
にもかかわらず日共は高まる党内の欲求不満を発散させ、他方では選挙で無党派票が欲しいからだろうが、党員を反戦・平和運動に動員し、20団体集会などにはせ参じる。当然まじめな党員はまじめに努力する。だがこんな二枚舌、建前と本音の乖離(かいり)の上の綱渡りがいつまで続けられるか。このような悪あがきは、安保・防衛問題をめぐる党内矛盾を必ず深刻化させ、やがて必ずや中央と対立する、あるいは中枢の一角をも巻き込んだ「新々日和見主義」的潮流を生み出すだろう。99年以来の反戦・反安保闘争をめぐる全国からの情報は、このような臨界点が刻々と近づいていることを示しているように見える。
日本の旧左翼は日本共産党そのものも戦前の労農派の伝統を引き継ぐ社会党協会派も、結局は日本の労働者人民に依拠し、全世界の労働者・被抑圧民族と連帯して帝国主義を打倒するという立場も戦略ももちえず、ソ連スターリン主義の存在をすべての前提にする国際権威主義的傾向を一貫してもってきた。この傾向は前者よりむしろ後者の方で純化しており、協会派はソ連崩壊とともにいち早く世界観と歴史観を完全に失い分解する。そのなれの果てがチャレンジだ。
これに対して日共は94年の第20回大会以来、恥ずかしげもなく党の歴史を「ソ連覇権主義との闘い」の歴史に改ざんしたり、また戦前・戦後を貫く党の無謬(むびゅう)神話なるものを喧伝(けんでん)し、この大会では特に戦前の日共の戦争責任に言及した丸山真男の大昔の小論文に集中攻撃を浴びせるなどして、その「自主独立路線」の精神的支柱をねつ造しようとあがいた。しかしねつ造はしょせんねつ造だ。メッキはメッキでしかない。頼るべきソ連スターリン主義がなくなり、もともと日本の労働者など信頼もしていない党が、最後に寄りかかるのは、どんなコースをたどってであれ日本帝国主義以外にない。だから「資本主義の枠内での民主的改革」「安保廃棄の凍結」「自衛隊の有事活用」なのだ。だがこれで日本共産党は今後も日本共産党であり続けることができるのか。
このような政党に階級闘争・労働運動をこれ以上ゆだねておくことは犯罪に等しい。90年代の一定の時期(98年ぐらい)までは、まだ社会党(社民党)の没落を共産党が補い、両党合わせた議席は20以上、投票率も20%以上の水準を維持していた。しかしそれ以降は一挙に雪崩的崩壊が進み、この対極に登場するのが99年の石原であり、01年の小泉である。階級闘争の危機と流動はここまできている。しかしわれわれは悲観も絶望もしていない。この過程こそ同時に4党合意と闘う国鉄闘争と新ガイドラインと闘う反戦・反安保闘争が、総評も社会党もない焼け野原の中から新しい、力強い芽生えと反転攻勢を開始した時期だからだ。
日本の階級闘争は歴史的結節環を迎えている。この秋、文字どおり剣が峰にさしかかった国鉄闘争に勝利し、何の誇張もなしに21世紀の日本の行方を決する戦後最大の政治決戦として有事法制阻止の闘いに決起しなければならない。そしてそのすべてを反スターリン主義・革命的共産主義者の党、社・共に代わる闘う労働者の党の建設に集約しなくてはならない。
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週刊『前進』(2070号2面2)
インタビュー 国労闘争団(1)
ここで踏ん張れば強くなる 自民党にすり寄って「有事法反対」言えるか
九州A闘争団 Kさん
国労定期大会を前に、全国の国労闘争団を訪ね、15年間の思いと大会に向けての訴えを聞きました。闘争団に対する統制処分が策動されている緊迫した情勢でもあり、団名と個人名は伏せて紹介することをお断りします。(編集局)
4党合意認めぬ
――Kさんは、鉄建公団訴訟に参加されていますが、今のお気持ちは。
K 98年5・28東京地裁判決で負けて、高裁でも負けた。しかし、判決は国鉄に不当労働行為責任がないとは言っていない。その時に鉄建公団を相手にした戦術もあったと思う。しかし本部はあわてふためいて、「政治的解決」と言う。2年前の5月30日、新聞を見たら「JRに責任なし」で合意したと。なんでJRの責任をあいまいにして解決できるのか。社民党も含めて、私たちの気持ちをとらえたものではない。闘争団員全員が「これはおかしい」という気持ちになったと思いますよ。
それが、「本部を信頼して統一と団結でやった方がいい」というのがちらちら出てきた。結果的に、この前の5月27日の臨時大会で明らかなとおり、4党合意を認めたら、十何年間も頑張ってきたのは何なのかということになりますよ。だから、絶対に認められないし、鉄建公団訴訟が解決につながるのなら、そっちを選ぶ。その結果が除名につながるということで、果たしていいのか。おかしいことはおかしいと言えなくなってしまったら、有事法制にもつながってしまう。
――団の中での議論はどうなっているのですか。
K 私は、99年の改革法承認の時から、権利が主張できなくなるからと反対してきた。その時は、役員はまだみんな一緒に頑張ろうと言っていた。だけど、4党合意が出てから、役員がコロッと人間が変わったようになる。その人たちから指導されてきたのに、今は「国労を分裂させるためにお前はやりようとか」と言われる。分裂させるためじゃなくて、国労をもう一度立て直そうということでやっているのに、それをはき違えられている。
分割・民営化の時に、当局が国労を脱退しろとオルグし、分会の役員がコロッと変わって脱退するというのがあったけど、今は、国労本部が組合員をたたき落とそうとしている。本当に情けないですよ。
生活援助金払え
――7月に本部のオルグがあったようですが。
K 用事があったから家にはいなかった。委員長の名刺が入っていただけですよ。委員長が来る時には家にいるのが当たり前みたいに言われるけど、たまったもんじゃない。それに高いカネを使うより、生活援助金を払えと言いたい。生活援助金まで切られて、仲良くしようとはならない。家族が納得いかんから。
鉄建公団をやっつけて、その後にJRを引きずり出すという順序立てで鉄建公団訴訟をやっているわけです。全国の闘争団にも呼びかけを流した。それが分裂行為、組織破壊者だみたいに言われるけど、もっと物事を考えて、鉄建公団訴訟を全国的にも検討していいと思う。闘いを継続したくないのなら、4党合意でいいかも知れないけど、裁判も何もかも下ろさなければ解決案も出さないというのは、民間の争議でもないでしょう。
――賛成派の闘争団家族が甘利に要請に行って、ゼロかプラスアルファだと突き付けられましたね。
K ゼロかも知れないし、プラスアルファが3千万になるはずがない。家族ががっかりして帰ったと。だから、もっといろんな手段があることを考えてほしい。本部の役員は4党合意で解決しなかったらどうするのか。専従は、辞めても飯を食える。退職金もあるし、4年間の賃金保障もある。だけど闘争団と家族の生活はきつい。それを考えてほしい。一人ひとりの生活状況を把握するためのオルグだったらいいけど、ただ訴訟を下ろせというオルグだから、みんな腹が立って、ふざけんなとなる。
今度の大会では、4党合意で解決するのは無理だから、本部として考え直して、鉄建公団訴訟も一つの手である、皆さんそれでどうでしょうかと、腹をくくって言ってくれれば、盛り上がる。
――ところが、大会では闘争団の除名を決めようとしているわけですね。
K 査問委員会は、本来なら弁護人をつけて聞き取り調査をしなければならない。しかし強行的にやる可能性が大きい。大会の代議員選が重要になってくる。全力でやらなくてはいけないと考えています。
仲間大切にする
――国労を立て直したいと言われましたが、国労にこだわるのはどういう点ですか。
K やっぱり仲間を大切にするということです。4党合意によって仲間が切り裂かれた。だから、元の国労に戻ろうという努力をしなければならない。こだわりは、不当労働行為があったのは事実だから、JRに復帰すること。そのために頑張ってきたわけです。
それに国労の組織拡大も、きちんと働き掛けていけば、若い人も理解してくれると思う。総評労働運動を継承しながら、全国の労働者が立ち上がる。闘争団が勉強して先頭で指導し、地域の労働運動をつくる。それが国労の役割です。
4党合意賛成派の人たちは、自民党にすり寄って、よく「有事法制反対」とか「自衛隊派遣反対」と言えるなと思う。
国労はこれから先も闘う国労であってほしい。地域や民間の皆さんと一緒になって闘っていけば、強いですよ。自民党も少しは譲歩しなければならないとなりますよ。どれだけこっち側が強くなるか。今はやられっぱなしになっているから、私にとっても踏ん張りどころです。
(聞き手/本紙・大沢康)
■鉄建公団訴訟
国労闘争団員・遺族283人が今年1月28日に東京地裁に提訴した。1990年4月1日の清算事業団による解雇の無効と地位の確認、不払い賃金の請求などを、清算事業団(旧国鉄)を継承した日本鉄道建設公団に求める訴訟。
◎取材メモ
Kさんは、闘争団員として地域の労働運動や反戦運動の先頭に立っている。記者が訪れた時も、反戦行動を準備している最中だった。「安保も自衛隊も、有事法制も絶対に認めない」という強い決意が印象的だった。
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週刊『前進』(2070号2面3)
36闘争団が国会座り込み
9月9日から13日まで、国労闘争団全国連絡会議が国会前座り込み行動に立ち上がった。36闘争団でまとまって久々の上京行動。「JR採用差別事件の早期解決を求める」と訴え、JR本体の組合員や支援の労組も多く合流した。国労再生へ新たなうねりが開始された。(写真は9月9日、衆院第2議員会館前)
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週刊『前進』(2070号3面1)
名護 宮城康博氏がトップ当選 読谷 知花氏再選、北中城 宮城氏は5選
“基地と有事法に反対”訴え
9月8日投開票の沖縄統一地方選挙で実に偉大な勝利がかちとられた。名護市議選では、有事立法に反対し、名護新基地建設絶対反対を訴えた宮城康博氏が堂々トップで当選した。読谷(よみたん)村議選では反戦地主の知花昌一氏が2期目の当選をかちとり、さらに「慰霊の日」の6月23日、小泉首相に対して「有事立法許さんぞ!」と抗議に立ち上がった宮城盛光氏は北中城(きたなかぐすく)村議選で5期連続当選を果たした。「イラク侵略戦争反対」「名護新基地建設絶対阻止」「有事立法許さんぞ」の沖縄の怒りの爆発である。この勝利は、全国の今秋有事立法阻止決戦の偉大な突破口である。
対イラク攻撃の切迫と対決
名護市議選・宮城康博氏は1375票(定数30中1位)で圧勝した。読谷村議・知花昌一氏は696票(定数22中19位)、北中城村議・宮城盛光氏は360票(定数20中11位)を獲得し、それぞれ堂々の当選をかちとった。
米帝のイラク侵略戦争が超切迫している中で、これと真っ向から対決して立ち、基地沖縄の現実に怒る人民の圧倒的支持を獲得したのだ。有事立法決戦の第一弾として、明確な反対の意思表示が3氏の当選に結実した。
とりわけ名護市での宮城康博氏の大勝利は、7月29日の第9回代替施設協議会で、名護市辺野古地先の「リーフ上・2500b滑走路・埋め立て方式」という基本計画決定に対する名護市民の勇気ある意思表示だ。康博氏は、新基地建設反対と有事立法反対、戦争反対を唯一訴えて市内を駆けめぐり、一軒一軒訪ね歩いて支持を訴えた。立候補当日、真っ先に辺野古に飛んで、「サンゴやジュゴンが生きる豊かな海に、戦争のための巨大海上基地を造らせないために一緒に頑張ります」と呼びかけた。
今年2月の名護市長選で基地建設推進の岸本市長に、康博氏は真っ向から勝負を挑み、敗れたとはいえ1万1148人が「基地絶対反対派」として立ち上がった。それは97年名護市民投票で示された基地建設反対の民意がたくましく生き続けていることを示し、今回に引き継がれたのだ。
反基地訴えず日共が大敗北
他方、日本共産党の候補者は2人とも落選、議席をゼロとした。地元紙は次のように総括している。「市長選以降、『基地問題では票は集まらない』として争点に挙げなかった他の革新系候補の姿勢が、革新支持の市民に受け入れられなかった」(琉球新報)。「根強く基地の是非を問う浮動票が『争点にあげなかった候補を避けたのだろう』とみる」(沖縄タイムス)
読谷村の知花昌一氏も全力で反戦・平和を訴えた。5日間の選挙期間中、村内68カ所でスポット演説に立った。「私には譲れないものがある。それはいのちの問題。一つは、戦争につながる一切に反対、有事立法廃案へということだ。二つは福祉。介護保険に反対」と訴えた。
地域、家族一体となった奮闘が2期目の勝利を切り開いたのだ。
北中城村の宮城盛光氏は5期目の挑戦。16年間、堅実な議会活動と地域を結んだ運動を持続してきた。今春、北中城村議会は有事立法反対の決議を上げた。
盛光氏は70年安保・沖縄闘争では全軍労牧港支部青年部として闘いの先頭に立った。反戦平和を信条に、労働運動で培った行動力を議会活動に存分に生かしきった。この闘いが、盛光氏の6・23の小泉弾劾の実力決起につながったのだ。
6・23以後、全国からの激励が殺到し、「勝利のひと押しにつながった」(盛光氏)。イメージカラーの黄色ののぼり、はちまきで後援会である十五日会の仲間とともに全村を駆けめぐっての勝利だった。
基地建設断念させる 名護市議 宮城康博氏
新たな基地建設は絶対断念させるという名護市民の思い、あきらめないという思い、沖縄に生きる人間、民衆の祈りが、この結果だと思う。
私としては、この願いを受けて、基地建設はもちろん当然断念させる。日米両政府の期待や思惑は吹き飛ばす。これを吹き飛ばせば、沖縄を「捨て石」にすることで何かやろうとしていることがらの根幹を揺るがすことになる。それをやれと言った名護市民が大勢いるんだということです。
基地に絶対ノンだと言っている人がこれだけいる。間違いなくこの基地は頓挫(とんざ)させることができる。
有事立法などを見て、世の中がおかしく動いていることを十分に感じ取って、だめなものはダメ、ヤスヒロ頑張れという票です。頑張りましょう!
譲れないものがある 読谷村議 知花昌一氏
なんとか2期目をのりこえ、ほっとしています。
今回、有事法反対と反戦平和が自分の訴える大きなポイントだと思って、有事立法の廃案を訴えた。人間のいのちにかかわる問題には、譲れないものがある。
当初は5日間で100回以上のポイント演説をしようと思ったんだけど、2日間の台風で結局68回の演説をつないでやった。
福祉も人間のいのちにかかわる問題だから、これも精いっぱいやりたいと思っている。今、「障害者」福祉もそうだけど、介護保険がどうしようもない。読谷は65歳以上の介護保険料の平均が3400円から5000円になる。老人福祉に力を入れたいと思います。
議会内で反戦平和のテーマで突っ込んでいく議会活動は1期目よりできる。反対決議など有事法廃案への動きをつくっていきたい。
反対の大きな声持続 北中城村議 宮城盛光氏
今回重要だったのは、継続審議中の有事3法案。小泉内閣は通そうという野心・野望があるが、私は廃案にするべきだと強調して訴えてきたわけです。
それは、6月23日の慰霊の日に私が小泉首相を糾弾したことも、勝利につながったひと押しになっているということです。きょうも6・23で私を知った人たちが、新聞を見て当選しているということで、喜びの電話が他市町村や全国からもあります。支援の輪も大きく広がり、若者たちの共感も呼んで、多くの応援者が生まれてきたことが大きな勝利になりました。
ほんとにこの沖縄が勇気をもって、大きな声をあげていかなくちゃならないということも、支持者の声であります。議会内でも自分の信念を貫いて、これまでも頑張ってきたことを持続して、ずっと頑張っていきます。
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週刊『前進』(2070号3面2)
“小泉訪米を許さぬ” 反戦共同 市民の声援受け羽田デモ
9月9日、反戦共同行動委員会は、「9・11犠牲者追悼」と称した小泉の訪米に対して、羽田現地で訪米阻止・日米首脳会談粉砕闘争に立ち上がった。平日の緊急闘争であったが、労働者、学生ら95人が結集し、羽田空港に向けて戦闘的デモを打ち抜いた。
デモに先立ち、午前9時過ぎから西蒲田公園で決起集会を開いた。
冒頭、全学連の大山尚行委員長が基調報告に立ち、まず前日の沖縄地方選で宮城康博さん、知花昌一さん、宮城盛光さんが勝利したことを報告すると、会場は大きな拍手に包まれた。続けて、世界の帝国主義者どもがアメリカに集まる「9・11犠牲者追悼式典」なるものが、「反テロ」を掲げた被抑圧民族抹殺の一大反革命であり、イラク侵略戦争のための大攻撃であることを怒りを込めて弾劾した。そしてブッシュ・小泉会談がイラク・北朝鮮問題を議題とする文字どおりの戦争会議となることを弾劾した。
さらに、「この1年、全世界で無数の“9・11”が闘われている。帝国主義足下の人民が被抑圧民族と連帯して闘うことが問われている。有事立法を必ず粉砕しよう」と呼びかけた。
青年アジア研究会の代表が特別報告を行った。9月17日の小泉の北朝鮮訪問が、日帝の植民地支配責任を開き直り、「拉致・不審船・ミサイル」問題を排外主義的に宣伝して北朝鮮を追いつめ、侵略戦争を行うための戦争外交だと弾劾した。そして「強まる排外主義のあらしと対決して在日朝鮮人・中国人と連帯して闘おう。有事立法を粉砕し、イラク・北朝鮮・中国侵略戦争を絶対阻止しよう」と呼びかけた。
続いて決意表明が行われた。婦人民主クラブ全国協の代表は「米英軍の100機がイラク空爆を行った。すでに戦争は始まっている。有事立法を粉砕し戦争をやめさせよう」と訴えた。千葉労組交流センターの青年労働者は9月1日、柏での「防災」を掲げた戦争訓練に60人で反対デモを打ち抜いた闘いを報告し、「今日のデモ頑張ろう!」と呼びかけた。最後に全学連の学生が「イラク攻撃の米軍艦船、戦闘機は日本から出撃している。絶対許さない。9・22決戦の大爆発をかちとろう」と締めくくった。
参加者は警視庁の弾圧をはねのけてデモを闘った。沿道の住民、労働者が仕事の手を休めて外に出てきてデモ隊に注目し、声援を送った。
中核派は9・11反米ゲリラ戦1周年の「革共同の新たな戦闘宣言」と、「日朝首脳会談に対する革共同の声明」の2種類のビラを沿道の人びとに配り、米日帝国主義のイラク・北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕へともに立ち上がることを呼びかけた。
萩中公園まで1時間のデモを意気高く打ち抜いた参加者は、有事立法粉砕の9・22全国総結集闘争の爆発の組織化のために各地・各戦線で全力で闘うことを誓い合って、この日の闘いを終えた。
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週刊『前進』(2070号3面3)
暫定滑走路延伸阻止・有事立法粉砕 10・13三里塚集会へ招請状
反対同盟の訴えに応えよう
三里塚芝山連合空港反対同盟は、10・13全国総決起集会への招請状を発した。これにこたえて、全国から総決起しよう。(編集局)
◆招請状
闘う仲間のみなさん。小泉内閣は臨時国会で有事関連法案を再度強行しようと策動する一方、成田空港暫定滑走路の延伸を公然とうちだしました。私たちは十月十三日に全国集会を開催します。有事法制・改憲攻撃と闘うすべてのみなさんとともに、暫定滑走路延伸攻撃を粉砕し軍事空港建設を阻止する決意です。
黒野匡彦空港公団新総裁が打ち出した暫定滑走路の延伸計画を絶対に許すことができません。黒野新総裁は、二五〇〇メートル平行滑走路の完成を掲げて敷地内農家に「話し合い」を強要しています。他方で「地権者との交渉と北側延伸を両にらみで進めたい」と語り、農家が「話し合い」に応じなければふたたび計画を変更し、暫定滑走路をさらに北側に延長すると脅迫しています。国交省は農家の移転を前提にした七十三億円の「平行滑走路整備費」を、来年度予算の概算要求に盛り込みました。
暫定滑走路は平行滑走路の破綻をなんとか取り繕うとした運輸省(現・国交省)と空港公団の窮余の一策でした。民家にジェットブラストを浴びせ、上空四十メートルでジェット機を飛ばすなどは常軌を逸した暴挙です。それでも用地が強奪できないとわかると、ふたたび計画変更を口走り「こんどはジャンボ機を飛ばすぞ」と脅して移転を迫っているのです。北側に延長しても、ジャンボ機は連絡誘導路の欠陥と限界によって滑走路に来ることができません。生活破壊と脅迫による追い出し攻撃は粉砕あるのみです。
不況は深刻さを深め、リストラと賃下げ、増税と社会保障制度の改悪が私たちの生活を脅かしています。すべてが戦前に舞い戻ろうとする動きの中で、言論を統制し、労働運動を弾圧し、土地を徴発して人民を戦争に駆り立てる有事法制の立法化が強引に進められ、朝鮮半島有事の際の兵たん・出撃基地として成田空港が指定されているのです。
私たちは「国策」に対して闘うことの正義を確信します。「国策に歯向かうなら代執行だ」という三十年前の言葉は、「国のために土地と命を差し出せ」という戦時の言葉に替わって全国民に向けられようとしています。暫定滑走路開港の前日、読売新聞社説は「個人の権利は国益に従属する」と主張し「用地での居座りは国民的迷惑だ」と敷地内の農家を攻撃しましたが、これこそ有事法制と侵略戦争の論理なのです。
「国益」のもとに他国を侵略して人々を殺害し、自らも殺される悲惨な戦争を絶対に繰り返してはなりません。そのために今、体を張って闘うべきなのです。
十・一三全国集会は、朝鮮・中国、アジアに侵略するための有事立法攻撃と闘い、暫定滑走路延伸攻撃を粉砕する総決起集会です。イラク侵略戦争と自衛隊の派兵を阻止しよう。ジェットブラスト被害を防ぐための対策フェンスをなんとしても設置させ、天神峰の生活を守り抜こう。東峰神社裁判の支援を強化し勝利しなければなりません。
暫定滑走路の開業で成田空港は矛盾をさらに深めました。空域問題と「へ」の字に曲がった誘導路に象徴される暫定滑走路の欠陥によって、航空管制の混乱と遅れが日常化しています。この現実から逃れたいという公団のあがきが暫定滑走路延伸攻撃です。
反対同盟はこのぶざまな滑走路を閉鎖させ、軍事空港を廃港に追い込む決意です。十・一三全国集会に総結集されるよう呼びかけます。
二〇〇二年九月四日
記
■集会名称■
暫定滑走路延伸阻止
有事立法粉砕
10・13全国総決起集会
■日時■十月十三日(日)正午
■会場■成田市東峰 反対同盟員所有地
■主催■三里塚芝山連合空港反対同盟
(連絡先)事務局長・北原鉱治 成田市三里塚一一五
TEL 0476(35)0062
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週刊『前進』(2070号3面4)
「反対同盟の方が勝ってる」と実感 首都圏A大学1年 N
三里塚へ、現地見学と援農のために8月24、25日と行ってきました。以前、一度だけ現地でデモをしたのですが、その時の現地闘争は半日ほどで終わってしまい、三里塚の人と話し合っていないことや、半日の現地闘争だけで三里塚の暮らしはわからないだろうという思いがあったので、まだ不十分な気持ちでいました。この気持ちがあったため、今回の援農の話が出た時に、少しでもいいから現地の人たちに近づけたらいいと思って参加を決め、参加した次第です。
その時の感想や、後で自分なりに整理したこと、考えたことを書こうと思います。
まず、24日に現地案内をしてもらったことについて。暫定滑走路拡大を防いでいる人や建物・道路などを見て、全体的にイメージが変わったことがありました。それは、三里塚の反対同盟の方が勝っているんだ、ということです。自分は三里塚闘争のことを聞いた時、漠然と「空港側」の方が有利だという気持ちがありました。もう空港ができてしまっているじゃないかという思いがあったからです。しかし、現地を見て、説明を受けて、反対する人たちが実際に暫定滑走路の拡大を防いでいること、またそれだけではなく、滑走路自体を欠陥なものに追い込んでいることを見て、三里塚反対同盟が「空港側」よりも勝っていることを感じたのです。
右の思いになったのは、北原鉱治事務局長の「民主主義」に対する疑念の話を聞いたことも、きっかけになっているかもしれません。市東孝雄さん宅の防音フェンスにしても、他のところでは十分な高さなのに市東さん宅のはそうではないのを見ると、本当に「民主主義」はあるのか、と思いました。
25日に援農をして、行く前に考えていたように、少しは三里塚の人に接近できたと思っています。けれども、三里塚を離れたらそれで終わりではいけなくて、自分も権力の被害者になる、なっているのを察して、弾劾や抵抗をすることで連帯が深まると思いました。
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週刊『前進』(2070号3面5)
教育基本法改悪絶対阻止へ 有事法と一体で戦時教育へ大転換
「皇国民育成」が教育目的に
教育基本法の見直しを審議している中央教育審議会は、9月末に中間報告、年内に最終報告を出し、それを受けて文科省は来年の通常国会には改悪案を提出すると言われている。
教育基本法改悪は、教育と教育労働者に対する有事立法攻撃であり、教育と教育現場を戦争一色に染め上げるものだ。有事立法反対と教育基本法改悪を一体のものとして闘いを広げていかなければならない。
教育基本法はどのように改悪されようとしているのか。教育改革国民会議報告、文科省の中教審への諮問文、中教審の審議経過の概要などからその改悪内容が明らかになってきた。
第一は、教育目的の大逆転的な転換である。教基法は、教育目的を前文で「個人の尊厳を重んじ、平和と真理を希求する人間の育成を期する」とし、第1条は「教育は、人格の完成をめざして」と定めている。これらの規定は「まず新しい教育は『個人の尊厳』を重んじて行われなければならない。従来の教育は極言すれば国家あって個人を知らなかったということができる」(制定当時の文部省「教育基本法の解説」より)という戦時教育への強い批判と反省から出ている。
ところが、教育改革国民会議報告や文科省の中教審への諮問文によると、教育基本法の見直しは、これに「新しい時代を生きる日本人の育成」「社会的規範を尊重する精神を養い、人間性豊かな日本人を育成する」などを加え、「日本人の育成」を新たな教育目的として打ち出している。
文科省の諮問文には「我が国の伝統、文化など次代の日本人に継承すべきものを尊重し、発展させていく必要がある」とある。
国民会議報告では「人間性豊かな日本人像」として「国を愛する心」とともに、「個人の力を超えたものに対する畏敬(いけい)の念」を打ち出している。
「我が国の伝統、文化」とは天皇制・天皇制イデオロギーのことであり、「個人の力を超えた畏敬の念」とは天皇を「神」として宗教的に崇拝することである。これらの言葉を盛り込むことは、教育目的を〈天皇を崇拝する日本人〉の育成に転換することであり、戦前と同じ皇国民育成論を復活させるものである。
教育目的が「個人の尊厳」から「国家や天皇に忠誠を尽くす人間」の育成に大転換され、教育が戦争翼賛・天皇賛美一色に変えられていくのである。
差別・選別のエリート教育
第二は、文科省の諮問文が、教育理念の検討の視点として、「伝統・文化の尊重」とともに「一人一人の能力・才能を伸ばし創造性をはぐくむ」ことをあげている点である。これは、帝国主義間争闘戦に勝ち抜く創造的エリートの養成のことである。学校教育体系を平等主義から差別・選別の体系に変えるということである。これは中高一貫校の選択的導入から始まっているが、戦前の複線型学校体系を復活させるものだ。
「ゆとり教育」を提唱した三浦朱門はその狙いを露骨に語っている。「できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養ってもらえばいい」。エリートには英才教育、その他の労働者人民の子どもには勤労精神と愛国心と天皇崇拝をたたきこめばいいとするものだ。
「宗教的情操」と愛国心育成
第三に、これはPHP研究所など民間の提言であるが、教育目的に「伝統・文化の尊重」「愛国心の育成」とともに、道徳教育の強化と「宗教的情操の涵養(かんよう)」を提言している。これは天皇への宗教的崇拝を学校教育に持ち込むものだ。皇居遥拝(ようはい)、靖国神社参拝などの国家神道を学校教育に復活させるものである。
国民会議報告は、道徳の教科設置や社会人教師の活用、小・中2週間、高校1カ月間の奉仕活動を提案した。これらはすでに推進されつつある。
道徳教育については文科省によって小学校低・中・高学年用、中学校用の4種類の「心のノート」が作成され全国の小中学校に配布された。これは国定修身教科書の復活である。その中学校用に次の文章がある。
「ふるさとを愛する気持ちをひとまわり広げると/それは日本を愛する気持ちにつながってくる。私たちが暮らすこの国を愛し/その発展を願う気持ちは、ごく自然なこと。/でも私たちはどれほどにこの国のことを知っているだろうか。/いま、しっかりと日本を知り、優れた伝統や文化に対する認識を新たにしよう」
教育基本法が改悪されれば、子どもたちはこんな歌を歌わせられるだろう。
「皇御国(すめらみくに)に 生まれ来た/感謝に燃えて 一心に/学ぶ 国民学校の/児童だ われら朗らかに/輝く歴史 うけついで/共に進もう 民の道」(「国民学校の歌」)
教師が再び「死の手配師」に
第四に、「教育振興基本計画の根拠となる規定を教育基本法に盛り込む」として第10条の換骨奪胎がもくろまれている。
教基法第10条は、教育と教育行政を峻別(しゅんべつ)し、1項では「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの」と規定し、支配政党や教育行政権力による教育統制を「不当な支配」として排除することを主眼としている。2項で教育行政は教育の条件整備に限定するとしている。これも戦前教育があまりにも中央集権的な国家主義教育であったことへの反省から来ている。
ところが諮問文は、10条に「国は教育振興計画を策定し、地方公共団体と一体となって教育改革を推進する」といった条項を盛り込もうとしている。教育振興計画とは、戦争のための教育、帝国主義間争闘戦に勝利するための教育に転換させることであり、それを中央集権的、国家主義的に推進するものである。10条の規定を百八十度ひっくり返すものだ。
このように、教育基本法が改悪されれば、「日の丸・君が代」も、「つくる会」教科書も、反戦・平和教師に対する「不適格教員」排除も、すべて正当化される。国防教育も軍事教練も徴兵制も当然とされる。さらに、教師を労働者から「聖職者」に変える攻撃、日教組を解体する攻撃、教師を子どもたちを戦場に送り出す「死の手配師」とする攻撃が全面化する。教育基本法改悪は絶対に阻止しなければならない。
教え子を再び戦場に送るな
戦後、教え子を戦場で失った教師たちは、「逝(ゆ)いて還らぬ教え子よ/私の手は血まみれだ/君をくくったその綱の/端を私も持っていた/しかも人の子の師の名において」(高知の一教師)と、痛烈に反省した。その反省に立って日教組を結成し、51年大会で「教え子を再び戦場に送らない」という誓いを立てた。
今、この誓いの実践が現実の問題になっている。教育労働者は、今なお日教組という労働組合を持っている。これは戦前とはまったく違う地平である。教育労働者が団結して闘えば、戦争は必ず阻止できる。
日教組本部の文科省とのパートナーシップ路線という転向・屈服を絶対に許さず、日教組の戦闘的再生をかちとろう。教育労働者は自らの職場を組織し、組合を動かし、日教組本部の屈服を打ち破り、「教え子を再び戦場に送らない」のスローガンをよみがえらせなければならない。有事立法に賛成した5・16「連合見解」の撤回をかちとろう。
有事立法に反対する全国と地域の労働者人民、在日人民、部落大衆、さらにアジア人民と連帯し、有事立法反対闘争を大爆発させ、教育基本法改悪反対闘争の巨大なうねりをつくりだそう。「日の丸・君が代」闘争、「つくる会」教科書採択阻止闘争の勝利の教訓を生かそう。
(仙石悟)
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週刊『前進』(2070号4面1)
有事3法案 暴露のポイント〈下〉
米帝の北朝鮮侵略戦争に全面的に参戦する侵略戦争法案
国会の事前承認は後景に退き戦争事実が先行
ここで、今回の有事3法案のひとつ、自衛隊法改正案で、防衛出動についての国会承認の問題について重大な改悪が強行されようとしていることをしっかりと確認し、これを全面的に暴露していく必要がある。
防衛出動については、現行の自衛隊法第76条第1項、第2項において次のように規定している。
第1項「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む)に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には(p)、国会の承認を得て(q)、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる(r)。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる(s)」
第2項「前項ただし書の規定により国会の承認を得ないで出動を命じた場合には、内閣総理大臣は、直ちに、これにつき国会の承認を求めなければならない(t)」(pqrstの記号は引用者)
ところが、今回の自衛隊法改正案では次のようになっている。
改正案の第76条第1項「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む)に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には(p1)、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる(r1)。この場合においては、武力攻撃事態法第9条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない(q1プラスs1)」
この2つを比較すれば、歴然たる相違が明らかになる。現行法では、防衛出動を命ずるにあたっては、原則として、事前の国会の承認が必要であるとなっているが、改正案では、まず内閣総理大臣は出動を命ずることができるとなっていて、国会の承認はストレートな鍵かけの意味をすでに失っている。どちらかといえば、後からでも承認されればよい、というようにされている。
その上、改正案では国会承認の問題については武力攻撃事態法第9条の定めるところによるとなっているが、この武力攻撃事態法第9条では第4項第1号で「自衛隊法第76条第1項に基づく国会の承認の求め」となっているにすぎない。ところが、この第76条第1項(改正案)をいくら読んでも事前に承認を求めるという規定は出てこない。あえていえば、武力攻撃事態法第9条第4項では、緊急の必要があり事前に国会の承認を得るいとまがないときだけ、内閣総理大臣命令の出動命令が記載できると言っていることから逆算して、そうでない時は、事前に国会の承認を求めることができる場合なのか、と言うことはできる。しかしその場合にも、はっきりと、国会の承認がなければ防衛出動を命ずることができないとはしていない。
また、武力攻撃事態法案第9条第4項では、緊急で内閣総理大臣が防衛出動命令を出す場合と、そうではなくて国会の承認を得ようとする場合というようになっていて、両者は対等の場合となっている。あえていえば、緊急の場合の出動命令のほうが主といった感じさえする。国会の承認を求めるのはそうでない場合といった感じである。つまり、「原則として事前承認が中心なのだ」とはまったくなっていない。
しかし、さらにつっこんでいえば、自衛隊法改正案の場合には、「内閣総理大臣は防衛出動命令を出せる」とまずなっていて、ついで「その場合、国会の承認を得なければならない」となっているのであるから、純法律的には国会の承認の前に防衛出動命令を出しても、命令それ自体は有効で、内閣総理大臣は国会の承認を受けないと違反になるというだけのことになると解釈できる余地が生じるのである。
とにかく、今回の有事3法案によって、防衛出動の条件として「原則、事前承認が必要である」ということは圧倒的に後景に退けられてしまっているのである。武力攻撃事態法案をみても、自衛隊法改正案をみても、「防衛出動についての国会の事前承認が大原則である」ということを明示する内容はどこにもない。
ここにも、武力攻撃事態法を軸に、「予測されるに至った事態」ですでに戦争状態に突入し、その嵐のようなプロセスの一コマに、防衛出動の国会承認を位置づけ、どちらかといえば「緊急の場合」の幅を大きく拡大して、まず内閣総理大臣権限で防衛出動命令を出すということを中軸とする方向へ大きくもっていこうとしていることが示されている。侵略戦争への突入というものがそうしたなし崩しの事実先行型、行政府優先型を求めているということであり、今度の有事3法案はそれにこたえようとしているのだ。
対策本部は戦争指導の最高本部・総合司令部
武力攻撃事態への突入(くどいようだが、これは「予測」される段階ですでに武力攻撃事態であるとされる。実際には、米帝が北朝鮮に実力行使することがほぼ確定して情勢が動き出した時)とは、戦争事態への突入という宣言である。直ちに国家あげての戦争遂行体制に突入する。対処基本方針の決定と同時に、「武力攻撃事態対策本部」(「対策本部」)が設置される。(第10条〜)
この「対策本部」というペテン的名称の実態は、戦争指導の最高本部である。戦争そのものの遂行と戦争遂行上の調達・動員活動=軍事活動の全体を指揮する戦争総本部、戦争総合司令部である。対策本部長には内閣総理大臣がなり、戦争指導上の全権限が首相に一元的に集中される。全閣僚は対策本部員となるが、各閣僚の権限は内閣総理大臣に集約され一元化される。
対策本部には職員が置かれる。この職員は内閣官房の職員を始め、指定行政機関や指定地方行政機関の長または職員の中から、内閣総理大臣が任命する。そして、指定行政機関の長はその権限を、この本部「職員」に委任することができる(第13条)。この「職員」には防衛庁職員、自衛隊員などが当然にも含まれていて、それが本部の中核となることは明白だ。
以下のようにして本部長は、戦争への国家総動員の全権限を付与される。
「対策本部長は……指定行政機関(=中央と地方の行政機関の全部)、関係する地方公共団体及び関係する指定公共機関が実施する対処措置に関する総合調整を行うことができる」(第14条第1項)
ここで規定されている総合調整は、拒否が許されない、事実上の絶対命令(総合調整権)である。
第15条では、この総合調整=戦争遂行上の全施策の指示に従わない時は、強制的に実施させることを規定している(強権発動)。
前述のように、武力攻撃事態対策本部は戦争遂行の最高指導機関(戦争上の総合的司令部と言っていい)である。そしてこの本部長=首相は、国家権力のほとんどの権能を一元的に集約し、もって戦争指導を遂行する。
この前提として、第3条(武力攻撃事態への対処に関する基本理念)で、「武力攻撃の排除」=「武力行使」が宣言され、国家が戦争に突入することが確認されている。また、第4条(国の責務)、第5条(地方公共団体の責務)、第6条(指定公共機関の責務)、第7条(国と地方公共団体との役割分担)、第8条(国民の協力)の各条項で、国家・国民のすべてが「責務」をもつことが確認され、国家総力戦、国家総動員が確認されているのである。
人民の権利・自由奪い米軍活動の自由拡大
武力攻撃事態法案の第3章(武力攻撃事態への対処に関する法制の整備)では、これからいくつかの「事態対処法制の整備」をするとしている。その基本的方向と内容は、戦争にともなう人民の生活、経済、活動、政治活動などすべてのことがらが、戦時統制と戦時強制を受けるということである。戦争にともなう膨大な被害や損害が発生する。これに耐えよということである。このことを言っているものでしかない。ますます労働者人民の権利と自由を奪い、規制だらけの抑圧的社会政治機構をつくりだすということだ。
今ひとつは、米軍の活動の自由と活動への支援が大々的に打ち出されてくるということだ。この場合、自衛隊法第103条関係の事項はすべて、米軍にも拡大的に適用されるとみていい。
以上の結論として、武力攻撃事態法案を基本法とする有事3法案は、切迫してきている米日帝による対北朝鮮・対中国の侵略戦争のための戦争法案であることがはっきりした。断固粉砕あるのみである。
安保会議が戦争方針の決定に重要な役割担う
武力攻撃事態法案は米帝の対北朝鮮(中国)の侵略戦争遂行法であるが、その発動の一切の起点となるのは武力攻撃事態法案第9条で規定している「政府は、武力攻撃事態に至ったときは、武力攻撃事態への対処に関する基本的な方針(以下『対処基本方針』という)を定めるものとする」(第1項)ということである。そしてこの対処基本方針の内容としては武力攻撃事態の認定(第一号)、武力攻撃事態への対処に関する全般的な方針(第二号)、対処措置に関する重要事項(第三号)の3つをあげている。(この重要事項の中には予備自衛官の招集、即応予備自衛官の招集、防衛出動待機命令、防御施設構築の措置及び防衛出動命令の発動などの決定・承認が入っている)
この武力攻撃事態法案第9条にいうところの、政府が対処基本方針を決定するに際して重要な役割を演ずるものが安全保障会議である。戦争方針策定について内閣総理大臣の諮問に答えるように、安全保障会議の体制と役割を実戦型に強化するのが今回の改正の狙いである。このため、今回の改正案では、内閣総理大臣の諮問事項の中に、武力攻撃事態に対処する基本的な方針や武力攻撃事態に対処する重要事項が新しく付け加えられたのである。
こうした実戦的な戦争方針の策定ということに対応して、安保会議そのものの構成も拡充されている。
さらに、安保会議には「事態対処専門委員会」を設置して分析・調査を集中的に行い、機動的に進言する体制をとるとしている。この事態対処専門委員会は内閣官房長官を委員長に、内閣官房職員や他の行政機関の職員を委員にあてるとしている。他の行政機関の職員の中には、統幕議長を始め防衛庁・自衛隊の幹部、警察・内閣調査室・外務省などの職員(幹部または専門家)が含まれる。
要するに、対処基本方針の策定にかかわる諮問に恒常的に対応できるように設置されるということである。
この専門委の設置は、安保会議の恒常性と即応性を高めるものとなるはずである。しかも注目すべきことは、この安保会議の構成も内閣総理大臣プラス内閣の大半のメンバープラス専門職員という構成をもっており、対策本部と重なっているということだ。そして、戦争方針の策定や実施という内容からして、専門職員の役割は決定的に重大であるといえる。この専門職員は防衛庁、自衛隊の統幕会議、三軍の幕僚幹部や各自衛隊の各方面の幹部などが重要な構成員となる。さらに、情報関係の専門家が必ず入ってくることは明らかである。
このようにみてくると、安保会議設置法の今回の改正の狙いは第一に、戦争方針の策定にかかわる内閣総理大臣の諮問に答え、その戦争方針決定に参与し、総理大臣に戦前の天皇のような戦争大権を付与することを支える装置として安保会議をはっきり位置づけることである。
第二に、たんに戦争の開戦決定過程だけでなく、戦争の途中の段階でも専門家が不断に情勢を分析し調査し、その結果をめぐって安保会議が大小の規模で随時開催されていくことが想定されているということだ。
第三に、前記の専門委の設置ということから明白となるが、日帝の戦争方針の策定と実施にかかわることは、現実には米帝の対北朝鮮攻撃などの展開としてある中で、新安保ガイドライン合意(97年)に基づく「包括的メカニズム」「調整メカニズム」による政治レベルと軍事レベルの共同作戦プランの作成や実施という動きと一体で進行するのである。専門委の設置はこの意味でも、新ガイドラインや周辺事態法の発動と武力攻撃事態法の発動のメカニズムと一体であり、通底していることをはっきりと示すものである。
安全保障会議設置法の問題で重要なことは、この改正案が成立すれば直ちに安全保障会議は再編・拡充・強化され、その機能を発揮し始めるということだ。この場合、官房長官のもとに設置される専門委員会は情報・情勢の分析・調査を開始し、いつでも総理大臣や安保会議に進言できる体制がつくられる。そして、その中には新ガイドラインによる日米の「包括的メカニズム」「調整メカニズム」との関係強化、情報調整などの仕事も含まれていることは当然のこととなる。つまり、北朝鮮・中国への侵略戦争に向かって、このマシーンは法案成立と同時に直ちに正式に動き出すということだ。
防衛出動が「予測」されれば陣地が構築できる
今回の自衛隊法の「改正」なるものは一部改正などでは断じてない。自衛隊をはっきりとアジア、具体的には北朝鮮・中国を侵略するための軍隊へと変貌(へんぼう)させる重大法案である。
まず、第76条の重大きわまる改正について暴露しなければならない。これは前号でも言及したが、武力攻撃事態法案に対応するかたちの自衛隊法第76条のたんなる整合的改正ではない。実際にはこの整合的改正に名を借りた実質的な大改変である。
この自衛隊法改正案では、内閣総理大臣は、外部からの攻撃(おそれの場合も)に対して、必要なら「自衛隊の全部または一部の出動を命ずることができる」とされている。重要なことは「国会の承認を得て」命ずることができるという現行法の条項が削除されていることだ。いったん「出動を命ずることができる」とした上で、「この場合には…(武力攻撃事態法)第9条の定めるところにより国会の承認を得なければならない」とされているのである。
まず、こうした文章構成、論理構成の場合、発せられた出動命令はそれ自体としては実効性をもってしまう(と解釈できるのだ)。これでは国会の承認が否決されるまでは出動命令は有効ということになりかねない。
いまひとつは、この点では武力攻撃事態法第9条の規定も、どこをどう読んでも、事前に国会の承認を得なければ、出動命令を発することはできないとは書いてないのである。逆に「緊急の場合」の首相命令による防衛出動は、対処基本方針の全体の承認といっしょくたになって国会の承認を得ることになっている。
今度の武力攻撃事態法案とミックスした自衛隊法第76条第1項の改正は、防衛出動命令にとっての国会の承認という重要条件の締めを緩めてしまう、または外してしまうというとんでもない反革命的意図を示しているということである。
米帝の北朝鮮・中国への攻撃として開始され、それに全面協力するかたちで日帝が参戦していくという戦争が百パーセント想定されていて、米帝の攻撃の開始は即「対日武力攻撃のおそれ」ということから、「緊急の場合」として「おそれ」の段階ですでに防衛出動命令を出すことを狙っていることが背後にある。
第二に、さらに決定的なことが、第77条の2という条文の新設である。この第77条の2という新しい条文は、今回の一連の有事3法案の中でも実体的基軸(少なくともそのうちのひとつ)をなす条文なので、全文を引用してみる。
「長官は、事態が緊迫し、第76条第1項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、同項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の部隊を展開させることが見込まれ、かつ、防備をあらかじめ強化しておく必要があると認める地域(以下『展開予定地域』という)があるときは、内閣総理大臣の承認を得た上、その範囲を定めて、自衛隊の部隊等に当該展開予定地域内において陣地その他の防御のための施設(以下『防御施設』という)を構築する措置を命ずることができる」
現行の第77条では、同じ「予測される場合」において、長官はただ「出動待機命令を発することができる」とのみされている。これは明らかに「待機する」のみであって、「展開予定地域」で「防御施設」の構築などはまったくない。この次に第77条の2を新設するという。
まず始めにここで、「予測される場合」ということについて検討しておく。
これは武力攻撃事態法案の「武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」という定義(第2条)にいうところの「予測されるに至った事態」とはどんな関係にあるのか。
現行の自衛隊法の「予測される場合」と武力攻撃事態法案の「予測されるに至った事態」を比較していえることは、両者の中で規定される「予測」は同じ文言であるにもかかわず、その予測の直接の対象が違うということである。
現行の77条での「予測」は防衛出動命令が発せられることが予測されるということである。この場合の予測というのは、防衛出動命令を出すことが政府において検討されていて、それがほぼ確実に出されることが予測される、というニュアンスをもっている。もちろん、この場合、武力攻撃(おそれを含む)が発生すると予測され、その結果として防衛出動命令が予測されるという意味での「予測」がまったく含まれないとはいえない。しかし、現行の自衛隊法の「予測」は、主体の側の政府や防衛庁の動きとして防衛出動命令が予測されるというニュアンスが強い。それは、「武力攻撃またはそのおそれのある場合」の「おそれのある場合」にかなり近接したニュアンスでとらえるのが妥当だろう。
これに対して武力攻撃事態法案でいう「武力攻撃(おそれのある場合も含む)が発生した事態、または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」という時の「予測」というのは、事態についての予測である。しかも、この条文はどうみても (イ)武力攻撃、(ロ)武力攻撃のおそれのある場合というケースとは別に「または事態が緊迫し……」と言って新しいケースとして、(ハ)「武力攻撃が予測されるに至った事態」というものをあげている。現行の自衛隊法の「(防衛出動命令が)予測される場合」と比較すれば、一般的にいえば、武力攻撃事態法案の「予測されるに至った事態」の「予測」の方が、武力攻撃やそのおそれのある場合からはかなり手前の情勢(事態)とみるのが妥当である。
今回の有事3法案は、この点で2つの「予測される」ケースについてかなり曖昧(あいまい)に扱い、武力攻撃事態法で新しく規定する「予測されるに至った事態」に引きつけて、防衛出動待機命令の出るケースとしての「予測される場合」を解釈しようとしているたくらみがある。
「防御施設の構築」は実質的な戦争突入だ
武力攻撃事態法案の第9条は、この観点から、武力攻撃事態(予測されるに至った時点で発動)が認定されるとすぐ実行する項目として陣地構築(防御施設構築の措置)などをあげている。
また自衛隊法第77条の2の新設は、この「予測される場合」(自衛隊法)と「予測されるに至った事態」(武力攻撃事態法案)との関係が曖昧にされ、拡大解釈されている中で、いわゆる防衛出動待機命令が出た段階で、直ちに自衛隊は展開予定地域に展開し、防御施設の構築ができるとしている。だが、この第77条の2は「出動を命ぜられた自衛隊の部隊を展開させることが見込まれ」る地域に展開すると言っている。つまり、ここで「予測されるに至った事態」にできるとしていることは、実は現行法では防衛出動の第1段階として行う任務なのである。実際、新設の第77条の2でできるという「防御施設の構築」とは、防衛出動の際、遂行される重大な戦争行為のかなりの部分をなしているのだ。「おそれ」のケースで防衛出動した場合などで自衛隊が行うことは、実質的に第77条の2で「できる」としていることにほかならないとも言えるのだ。
つまり、これは実質的に、出動命令=戦争全面突入の前倒しなのだ。対立する側の国家からみれば、これは日本が自国に対して戦争宣言を発したに等しいことを意味する。しかも、ここでおさえておくべきことは、この武力攻撃事態というのは抽象的・一般的な想定ではない。米帝と日帝が共同して行う対北朝鮮・中国の侵略戦争なのである。したがって、日帝・自衛隊が「防御施設」構築で事実上の防衛出動に踏み切った時は、すでに米帝の攻撃が始まっている段階である。米軍の側の戦争準備が日本本土で周辺事態法を当面の武器として強行されている時である。米軍の攻撃と日帝のそれへの支持と防衛出動の事実上の開始は、戦争の実質的勃発(ぼっぱつ)であり、相手国・北朝鮮(中国)などとの関係は戦争状態となるのだ。したがって、対日反撃戦の権利の行使宣言が当然出てくる情勢となる。この場合、ミサイル攻撃などのケースを考えれば、たちまち「武力攻撃」あるいは「武力攻撃のおそれのある場合」のどちらかの条件が成立したことにされうる。とすれば、たちまち防衛出動の要件が整う。いや、「緊急の場合」ということで、首相権限での防衛出動を先行させる条件だってほとんど同時に成立するとみていい。
自衛隊・米軍への徴発と徴用の圧倒的な強化
われわれは今回の有事3法案の本質を、現実の侵略戦争の動きとその合法化としての法制的整備の動きと必ず一体化して暴露する必要がある。
今回の自衛隊法改正案の動きはすべてこうした視点でみる必要がある。
@今回の改正の後半部分は第103条を軸にしての防衛出動時および防衛出動命令の予測される段階における自衛隊の戦争的展開に必要な権限の拡大と物資・人員の動員の権限の圧倒的強化である。
Aまず、防衛出動時の物資の収用、保管すなわち物資の強制的徴発の強行が確認され、これに違反する者には罰則も科せられることになった。また、防衛出動時には多くの職種において、労働者に従事命令を出すことができる(これは現行法がそのまま)。これについては、罰則の見送りうんぬんはほとんど意味がない。従事命令は自動的に強制的な力をもつことになるのだ。
ここで付け加えたいことは、ひとつは、現実的な侵略戦争の動きは米日帝の対北朝鮮・中国の侵略戦争としてあり、防衛出動命令が出ている時と、防衛出動待機命令レベルの時との差異はあまりない。米帝の攻撃開始とほとんど同時に防衛出動そのものが命令される可能性が強いからである。したがって、この防衛出動レベルの問題をひとつ先の未来のことと考えては断じてならないのである。
いまひとつは、この物資の徴発と人員の徴用という大動員の反労働者的攻撃は自衛隊だけの問題ではなく、米軍の要求に対しても圧倒的に強行される。むしろ、その方が大きいとすら言える。
Bついで、今度の改正案では、「予測される場合」に対応しての「防御施設の構築(工事)」に関連して、膨大な数の法律が自衛隊の作業にとって適用除外とされる。これは「防御施設の構築」が、防衛出動の事実上の始まりであり、戦争突入宣言そのものであるということに対応している。要するに、自衛隊はありとあらゆるところに陣地やレーダーサイト、ミサイルや高射砲の台座などをつくれるということであり、道路もどんどん改造できるということである。
個人情報保護法案は第4の有事立法だ
有事3法案に対する暴露と闘いは、すべてこの攻撃が現実の米日帝の対北朝鮮・中国の侵略戦争のための準備であるととらえることがポイントだ。しかもその際、日帝は米帝の攻撃と共同して戦争するのであるから米帝の攻撃開始とほとんど同時に在日米軍はフル稼動し、日帝・自衛隊も戦争状態に前のめりに突入していくのである。そして、「武力攻撃事態」というまやかしの概念の設定が、日帝・自衛隊の先制的な戦争突入を可能にするのだ。有事3法案全体がこの基本理念で一体となっていることを暴露していかなければならない。
個人情報保護法案の攻撃は、一方では言論統制であり、他方では反戦・反政府の活動・運動、その担い手としての個人・団体を個人情報管理の治安的強化によって圧殺しようとする動きであり、住基ネットの攻撃と一体となった第4の有事立法である。有事3法案と個人情報保護法案の粉砕へ全力で闘い抜こう。
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週刊『前進』(2070号4面2)
9・3広島 「防災訓練」を弾劾
9月3日、広島反戦共同行動委員会は、広島市主催の「防災訓練」と称する自衛隊の治安出動演習、そして戦時型国民総動員訓練を徹底弾劾して闘った。
「防災訓練」は、陸上自衛隊第13旅団が中心となり、自治体労働者や日赤の医療労働者、消防団、町内会や民間の防災組織、地元の小学生や大学生ボランティアなど約2800人を動員して強行された。
会場となった広島駅東側の貨物ヤード跡地には、早朝から自衛隊の装甲車やヘリなどが押し寄せていた。午後1時半からの演習にあわせて集まって来る参加者に、闘う労働者・学生は、「自衛隊参加の戦争訓練やめろ!」というビラを次々と配布した。
そして演習が開始される瞬間に会場の直近から、「戦争訓練を許さないぞ!」「有事立法を阻止するぞ!」とのシュプレヒコールをたたきつけた。シュプレヒコールは会場全体に響き渡った。
広島反戦共同行動委員会の闘いによって、この訓練が戦時動員訓練であることが完全に暴き出された。
広島反戦共同行動委員会は、9・22有事立法粉砕の全国闘争へ、全力をあげて闘いぬいている。
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週刊『前進』(2070号5面1)
小泉訪朝賛美の日共弾劾する
日帝の有事立法を批判せず「歓迎」「協力」申し出た志位
日本共産党の志位和夫委員長は、小泉訪朝と日朝首脳会談について9月2日、談話を発表し、「直接対話の決断を歓迎」「世界の平和に寄与するものになる」「必要な協力は惜しまない」という態度を表明した(資料別掲)。さらに6日には、他の3野党党首とともに直接に小泉と会い、歓迎と協力の意を伝えた。これは、日帝が北朝鮮侵略戦争突入を正当化する口実づくりに手を貸すものであり、現下の有事立法闘争に対するこの上ない敵対、朝鮮人民の民族解放・革命戦争への全面的敵対そのものである。そして、日共の反革命的転向の新たな次元を画する重大事態である。全力でこれを弾劾し、イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕決戦に勝利しよう。
首脳会談は「平和と友好」の道なのか?!
日共の小泉訪朝賛成談話は、米日帝がまさに今イラク侵略戦争に突入しようとしている中で発表された。帝国主義の世界戦争政策にまったく異を唱えることなく、それにさおさして訪朝を賛美したのである。
小泉は9・11の1周年にあたって、訪米してブッシュと会談し、「テロ根絶」を誓い、イラク侵略戦争への支持と協力を表明した。そして帰国するや今度はきびすを返して北朝鮮に乗り込む。
イラク侵略戦争は、イラク・イラン・北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んで打倒対象として公言したブッシュによって強行されるのであり、北朝鮮への体制転覆攻撃の前段階である。そのことで追い詰められた北朝鮮の窮地につけ込んで、日帝は北朝鮮を屈服させようと戦争外交を展開しているのだ。小泉のイラク侵略戦争協力の表明と北朝鮮訪問は、ひとつながりの攻撃である。
この小泉訪朝に賛成することは、北朝鮮をつぶすことに賛成ということであり、またイラク侵略戦争を擁護するということである。米日帝のイラク、北朝鮮侵略戦争に反対し、有事立法に反対する立場からは絶対に訪朝歓迎ということは出てこないのだ。
したがって重要なことはこの日共の小泉訪朝賛成論は、小泉のイラク参戦と有事立法攻撃に協力し、イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕闘争を闘わないという宣言であることだ。
考えてもみよ。小泉は有事立法攻撃の真っただ中で訪朝するのだ。有事立法という北朝鮮・中国侵略戦争法案をつくり、北朝鮮に対して米帝と一緒になって近いうちに攻撃を加えようとしている張本人自らが、北朝鮮に乗り込もうとしているのである。この一事をとっただけでも、小泉の訪朝が小泉や日共の言う「アジアや世界の平和」のためでも何でもなく、帝国主義的な侵略の外交、戦争外交そのものであることは明白ではないか。
志位は、小泉に対して「訪朝するなら、有事立法を廃案にしてから行け」「戦争責任を明確にし、謝罪せよ」と、一言でも言ったか。まったく言わない。それどころか、この談話では、有事立法のことなどなかったかのように、まったく一言も触れないのだ。
日共はこの間の、南北朝鮮の閣僚級会談や日朝外相会談などの動きを「対立・緊張から対話・交流へ」の動きとして評価し、今回の日朝のトップ会談でその流れが一挙に促進され、戦争政策に歯止めがかかるかのような幻想を振りまいている。しかし日帝・小泉が行っていることは、「拉致」だ、「不審船」だ、「ミサイル」だなどと、さまざまなハードルを設けて北朝鮮に徹底的な屈服を迫ろうとする徹頭徹尾新植民地主義的な侵略外交である。
それは「平和」外交などでは断じてない。この侵略の政治の延長上に侵略戦あるのだ。
日帝の北朝鮮敵視政策一貫して支持
志位は、「わが党は、日本と北朝鮮の政府間交渉の正常なルートを開くことを、早くから主張してきた」と言っている。これは99年1月の衆議院本会議で不破哲三議長の代表質問を指している(高田隆志『日本共産党―改憲派への転向』参照)。
この時不破は、「北朝鮮の政権あるいは政権党が、国際社会におけるルールについて、われわれと共通の常識を持たないことは、私たちもよく知っています」とまで言って北朝鮮を非難している。そうであればあるだけ、「北朝鮮との正式の対話と交渉のルートを確立する努力」が必要だと言っているのだ。
北朝鮮が何をするかわからない危険な存在だから、日帝の北朝鮮敵視の軍事外交路線を支持・応援するというのが、日共の一貫した排外主義的な主張である。
99年3月に「不審船」に対する自衛隊の初の「海上警備行動」発令、射撃と爆弾投下が強行されたことに対し、「全容を明らかにする必要がある」と言って事実上支持した。さらに昨秋、テロ対策特措法とセットで提出された海上保安庁法改悪(危害射撃の合法化)に賛成した。そして続いて起こった12月の奄美沖「不審船」への海上保安庁の銃撃・撃沈・虐殺の暴挙に対しても、国家主権を主張して賛意を示し、まったく弾劾する態度をとらなかった。さらに今回、小泉訪朝決定直後に、ナホトカ沖の北朝鮮船舶に対するスクランブル態勢に対しても、『赤旗』はまったく態度表明をしていない。「不審船」に対しては、徹底的に取り締まれ、と一貫して主張してきているのだ。
だがこの日共の主張にはそもそも、日米帝と北朝鮮の力関係がまったく無視されている。世界のGDP(国内総生産)の44%も占める日米帝が、東アジア10万人の米軍、そしてアジア最大の軍事力を持つ自衛隊を始め圧倒的な軍事力で北朝鮮に重圧を加え、侵略戦争計画を持ち、攻め込もうとしていることこそが、本質的な事柄なのだ。
日共は、「ならず者国家」論にくみし、どのように制圧しようかと帝国主義の立場で提言しているのだ。この党が、今や小泉訪朝外交を支持することで一線を踏み越えたのである。
さらに志位は、与党内の反対論や慎重論について、「何もかも一回の首脳会談で解決しなければならない……という考え方ではことは進まない」と述べ、小泉の立場に立って、「一歩踏み出した意義」を認めよ、などと言っている。与党内外からの(右からの)反対論に対して、小泉を擁護する立場で、応援しているのである。
「日本の国益」主張し戦争外交に加担
また、志位は、日朝外務省局長級協議で「国交正常化に関する諸問題」と「日朝間の諸懸案の解決」を包括的に議題にすることを決めたことは「賢明な交渉の進め方」だと評価する。
前者の「諸問題」は日帝の植民地支配と戦争犯罪の謝罪と賠償の問題であり、後者の「諸懸案」はいわゆる「拉致問題」などを指している。
日共は、一貫して北朝鮮と朝鮮人民、在日朝鮮人民に対して排外主義的・差別主義的に敵対し、日帝の対北朝鮮敵視政策を支持してきた。日共は日帝・小泉とまったく同じ立場からこの二つの問題をバーターして北朝鮮を屈服させるべきだと主張しているのだ。
だが、日帝は植民地支配36年間、朝鮮人民から国、土地、財産から言語、姓名まですべて奪い取った。600万人もの朝鮮人が強制連行された。20万人もの女性が日本軍軍隊慰安婦にさせられた。この筆舌に尽くせない国家犯罪の謝罪と補償こそ果たさなければならない第一の責務なのだ。いわゆる「拉致問題」と並べること自体が許されない。
ところが日共は、自民党などと同じ立場に立って、「拉致問題」をカードにして北朝鮮に迫り、それをもって日帝の過去の国家犯罪について帳消しにする策動に加担しているのである。
さらに重要なことは、「必要ならば大いに協力する」と踏み込んで態度表明を行ったことである。そして、なんと、「わが党は、小泉首相とは国政の基本問題で対立しているが、……ことは日本の国益、アジアと世界の平和にかかわる重大な問題であるので、野党であっても必要な協力をすることは当然だ」と言っている。
だが、小泉訪朝という日帝の戦争外交は、「国政の基本問題」そのものではないか。すでに「安保廃棄の凍結」をうたい、「自衛隊の有事の活用」を宣言した日共は、日帝の戦争に賛成しているのだ。
「日本の国益にかかわる重大な問題」であるという規定は重大だ。日本の国益とは、帝国主義、大資本家どもの利益という以外の意味はない。帝国主義と労働者人民の利害はまったく一致しないどころか、非和解的に対立しているのだ。
そもそも、「国益にかかわる問題なら、野党も協力するのが当然」とは、自民党のせりふではないか。これは、挙国一致で帝国主義の利益を拡大しよう、国益を守るためには戦争=有事立法しかない、という論理なのである。そして、日本の国益を振りかざして北朝鮮に植民地的屈服と不利益を要求する帝国主義的抑圧民族の祖国擁護主義そのものである。まさに、日共の新たな転向の姿なのだ。
日共はスターリン主義党として、帝国主義が危機に陥り、まさに戦争が始まろうとしている時に、階級的なものを葬りさり、帝国主義に協力して労働者人民の闘いを粉砕しようとして襲いかかってくるのだ。このスターリン主義反革命を打倒して闘いぬこう。闘う朝鮮人民と連帯し、米日帝の北朝鮮侵略戦争に反対し、イラク侵略戦争を阻止し、有事立法を粉砕しよう。
資料 志位委員長の談話
一、わが党は、日本と北朝鮮の政府間交渉の正常なルートを開くことを、早くから主張してきたが、今回の両国政府の最高責任者同士による直接の対話という決断は、重要な意義があり、歓迎する。
一、首脳会談が、日朝両国間に存在する諸問題を道理ある形で解決し、日朝の国交正常化にむけた前進をかちとるならば、それは日朝両国の平和と友好にとってのみならず、世界の平和に寄与するものとなる。
その立場から日本共産党は、今回の日朝首脳会談が、国交正常化にむけた前進の一歩となることを強く希望し、そのための必要な協力は惜しまない。
一、(与党内に拉致問題で大幅な前進がないと期待はずれだという声や、過大な期待をすべきでないという声があるが)
交渉ごとだから、どういう前進が得られるかは、やる前からわからない面もあるだろう。いろいろな結果がありうるが、何もかも一回の首脳会談で解決しなければならないと最初からきめて、そうでなければだめだという考え方ではことは進まない。首脳会談の結果として、継続的に日朝間で話しあえる関係が前進するということになれば、それ自体が一歩踏み出した意義あることになると思う。
交渉をすすめるうえで、八月二十五、二十六日におこなわれた日朝外務省局長級協議の合意は、大事な内容を含んでいる。そこでは「双方は、国交正常化に関する諸問題及び日朝間の諸懸案の解決を包括的に促進するという方式の下で国交正常化交渉を早期に再開することの可能性につき検討する」こととしたとされている。
「国交正常化に関する諸問題」とは、植民地支配など過去の清算を含む国交正常化の問題であり、「日朝間の諸懸案の解決」というのは、拉致疑惑問題も含めた人道上の問題を含む問題の解決ということだ。それを「包括的」に議題にして、テーブルにのせて解決をはかるという方式でのぞむという確認になっている。これは賢明な交渉のすすめ方だと思う。どちらかを優先議題として、それが解決しないと進めないという方式でなく、「国交正常化に関する諸問題」と「日朝間の諸懸案の解決」を、「包括的」に話し合って、問題解決の方式についての一致点を見いだそうというやり方は、現状からみて適切なやり方だと思う。
一、(必要な協力は惜しまないといわれたが、どのようなことがあるのか)
必要ならば、大いに協力するということだ。その形態は、さまざまあると思う。わが党は、小泉首相とは国政の基本問題で対立しているが、この問題では首相は前向きの方向に踏み出そうとしているわけだし、ことは日本の国益、アジアと世界の平和にかかわる重大な問題であるので、野党であっても必要な協力をすることは当然だ。
(赤旗9・3付)
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週刊『前進』(2070号5面2)
(3)
国会承認なしで戦争突入へ 武力攻撃事態法B 首相独裁の「対処方針」
武力攻撃事態法案の第2章「武力攻撃事態への対処のための手続き等」(第9条〜20条)は、単なる手続き問題ではなく、首相が戦前の天皇大権にも等しい戦争大権を発動して侵略戦争に突入することを合法化するものである。
対処基本方針
まず冒頭の長文の第9条(対処基本方針)は、きわめて意図的に分かりにくく書かれているが、結論的に言えば、いわゆる「武力攻撃が予測されるに至った事態」をもって武力攻撃事態を宣言し、事実上の戦争状態に突入することを狙ったものである。
対処基本方針の内容は(表1)のとおりだが、1も2も3も、国会の承認によって初めて実行可能になるという構造にはなっていない。
9条冒頭の規定により、この「対処基本方針」は政府が「定める」ものであって、形式的には閣議決定をもって決定となる。そして、国会承認の前にすでに実施に移されるのである。9条6項に規定する「直ちに、国会の承認を求めなければならない」は、事後的な承認の求めなのだ。
このことは第10条で「武力攻撃事態対策本部」(戦争遂行の最高指導機関)が閣議決定だけで設置されるとしていることにも通じている。「対処基本方針」を閣議決定すれば、直ちに実施に移されるのである。
そもそも、表1の「3、重要事項」の@〜C、すなわち▽予備自衛官の招集、▽即応予備自衛官の招集、▽自衛官の出動待機命令、▽出動待機命令下の陣地構築は、まったく法的に問題なく国会の事前承認なしにやれることとされている。「出動待機命令下の陣地構築」は、今回の自衛隊法改悪の核心部分のひとつ(77条の2の新設)だが、部隊がどんどん出動して陣地を構築するという戦争行為そのものが、国会の承認がないまま、首相の専権でやれるようになるのだ。
予備役の招集とか軍隊の禁足令(出動待機)とか、陣地の構築などは、米日帝に攻撃される国家の側からみれば、完全に(日本政府が言うところの)「自国への武力攻撃が予測されるに至った事態=武力攻撃事態」なのである。つまり、首相の独裁権限で相手国に戦争的・軍事的重圧をかける行為がこの段階で激しく開始されるということだ。
さらに重大なことは、第9条第4項の防衛出動の問題(表1のDE)である。Eは、国会の承認なしに、防衛出動命令がすでに発動されている場合のことである。防衛出動命令が出ているということは、当然にも自衛隊はすでに軍事活動=戦闘行為に突入しているのである。このことがEという形で完全に合法化されているのだ。
Dの場合でも、戦争推進本部がすでに成立し、対処基本方針がどしどし実行に移されている時に、防衛出動の国会承認を求めれば、それは賛成派に圧倒的に有利で、反対派に不利であることははっきりしており、そういう中で即決に近い形での国会承認を狙っているのだ。
戦争指導本部
対処基本方針の実施に関しては内閣・閣僚などの全権限が内閣総理大臣に集中する(9条11項)。首相のもとに戦争遂行に関する一切の権限が一元的に集中され、いわば首相独裁体制が敷かれ、首相に戦争大権が付与される。このための中心的機関となるのが「武力攻撃事態対策本部」である。(第10条)
これは、戦時に名を借りて実質的に、日帝権力構造自体が首相独裁体制に移行するに等しい。(表2)
この対策本部はきわめて重大な任務を持つ機関であるにもかかわらず、法律によらず、閣議にかけるだけで直ちに設置しうるとしている。首相が戦争開始を決断した時点で、対処基本方針の決定と同時に設置されるのである。
しかも、本部長=首相は全行政機関・全地方公共団体・全指定公共機関に対して、戦争遂行上の諸課題を実施させる権限を持ち、地方公共団体や指定公共機関が実施しない時、あるいは緊急の時は、自ら自衛隊などを使って実施できるのである(14、15条)。
つまり、戦争の全面的な遂行ということであり、労働者人民の全生活を戦争に巻き込み、戦災にさらすのだ。
(高村 晋)
(表1)
「対処基本方針」の内容(第9条のポイント)
1、武力攻撃事態の認定(=「予測される」で戦争突入)
2、対処に関する全般的な方針(=国家総動員体制)
3、重要事項(=自衛隊の動員)
@予備自衛官の招集
A即応予備自衛官の招集 *
B自衛官の出動待機命令 *
C出動待機命令下の陣地構築
D防衛出動命令のための国会承認の求め
またはE緊急のための国会承認なしで行う防衛出動
(*A〜Bは国会承認なしでやれる)
(注)
T 首相が作成→閣議で決定→実施→国会の承認
国会承認の前にどんどん実施に移される!
U ほとんど形骸化する国会承認のやり方
(1)上記D(防衛出動命令)以外をまず承認求める
(2)こうして規制事実化を進めておいて、その戦争的状況下でダメ押し的に「防衛出動」の承認を求める。「緊急」と称して事前の国会承認なき防衛出動(上記E)が実際は基本。
V 承認された方針の廃止=集結も首相権限。
国会に権限なし。
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(表2)
武力攻撃事態対策本部とは(10〜20条のポイント)
首相独裁による戦争遂行最高本部
@法律によらず、閣議決定だけで設置
A本部長は首相、副本部長・本部員は国務大臣
B職員は首相が任命(軍人が中心に座る)
C全行政機関、公共団体、公共機関に戦争遂行上の諸課題を実施させる強大な権限を持つ
D指示権(民間、地方公共団体などに対して)=民間の自主権、地方自治の完全な剥奪
E直接実施権
Dの指示にかかわらず実施されない時、また緊急時は、首相が自衛隊などを使って直接実施
例・海運会社や航空会社の日常業務を停止させて、武器弾薬・兵員輸送を急きょ行わせる。従わなければ指示を出し、それでもダメなら直接執行
・輸送会社労働者のストライキ・サボタージュに自衛隊が出動、代わりに軍事物資輸送
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週刊『前進』(2070号5面3)
7都県市合同防災訓練と闘って 9・1柏 投稿 千葉県東葛地域労働者
9月1日に千葉県柏市で行われた「7都県市合同防災訓練」に地域の仲間とともに抗議の集会・デモを行った報告です。(写真)
今年の柏の「防災訓練」は、有事法制が国会を通ることを前提に、今年早くから企画会議をかさねて練りあげられたもので、有事立法下の「防災訓練」と言うべきものでした。昨年の東京都のビッグレスキューを首都圏全域に拡大する内容でもあるので、露骨に自衛隊が主導しました。
731部隊の伝統をひきついで細菌戦の研究を行っている陸上自衛隊化学学校や侵略・急襲のパラシュート部隊である習志野空挺(くうてい)団のもとに、町会や自治体労働者、指定公共機関など100団体、9300人を動員して旧日本軍の跡地である柏の葉公園で大規模に行いました。
私たちは午前中、柏駅頭で市民への宣伝活動を行ってから、防災訓練会場のすぐ近くの児童公園に集まり正午から弾劾集会を開催しました。始めたとたん、耳をつんざくごう音とともに百里基地の偵察機FR4ファントムが頭上を通過。一同、口々に怒りの声をあげました。
司会者が「小泉訪朝は戦争の挑発です」「自衛隊や小泉に柏の街をじゅうりんさせてはならない」と訴え、参加者が次々にマイクをとって発言しました。
教育労働者は「不適格教員」のレッテルはりで解雇された仲間の支援と教え子を戦場に送らない決意をのべ、公立病院の労組はトリアージ訓練を弾劾し、反戦ストライキで闘う決意を表明。動労千葉はシニア協定で地労委闘争に勝利した報告と国鉄闘争を有事立法闘争と一体で闘おうと訴え、自治体労働者は、「関東大震災の朝鮮人・中国人虐殺を忘れるな、今この時も在日は『いつ日本人に殺されるかわからない』と思っている、日本の労働者の責務にかけて有事立法を絶対に阻もう」と訴えました。
いよいよデモに出発。すると目の前でUH60ヘリが降下訓練、即座に「自衛隊は帰れ」のシュプレヒコールを行いました。
デモの途中で小泉首相が専用ヘリで到着し、デモの警備が倍にふくらむ。「軍国主義者・小泉は帰れ!」を何度もコールしました。保育園のこどもや母親もデモに加わり、地域の力を発揮した自己解放的な一日共闘が成功しました。この力で有事4法案を絶対に廃案に追い込む決意です。
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週刊『前進』(2070号5面4)
9月4日〜10日
新テロ対策特措法を検討 米英機100機がイラク空爆
●海自で秘密文書紛失 海上自衛隊呉地方総監部所属の練習用護衛艦「あおくも」から「秘」指定の「護衛艦電子戦準則」がなくなっていたことが分かった。(4日)
●「独軍、クウェート撤収」 ドイツのシュレーダー首相は、米国が単独でイラクを攻撃した場合、クウェートに駐留している独連邦軍の特殊部隊約50人を撤収する方針を表明した。(4日)
●「不審船」あおる ロシアのナホトカ沖250`メートルの海上で、北朝鮮国旗を塗装した北朝鮮に向かって航行していた船を、日本の排他的経済水域外にもかかわらず、海上自衛隊や海上保安庁が「不審船」として、護衛艦や巡視船艇で追跡・監視した。(4日)
●「議会の承認求める」 ブッシュ米大統領は議会指導者との会談で、対イラク攻撃の前に議会の承認を求める考えを明らかにした。下院議長は、議会の会期が終了する10月中に採決が行われる見通しを示した。(4日)
●イラク基地を米英機100機が空爆 米英両軍の戦闘機など約100機が、イラク西部アンバル州の防空施設を攻撃した。過去4年間で最大規模。(5日)
●対イラク攻撃で米が給油継続望む 対イラク攻撃に踏み切った場合、アフガニスタンでの軍事作戦で海上自衛隊の艦船による輸送や給油活動の続行を期待していることを複数の米政府当局者が明らかにした。(6日)
●査察か攻撃かで圧力と米英首脳 ブッシュ米大統領とブレア英首相が、ワシントン郊外のキャンプデービッドで会談。米英の軍事力を背景にイラクに査察に応じるよう国連に求めていくことで合意した。(7日)
●「武力査察」を提唱 米有力シンクタンクのカーネギー財団は、イラクへの強制査察について、新たな国連安保理決議で、査察チームに軍事力を持つ査察実施部隊を加え、疑惑施設への立ち入りや破壊を強制力をもって実施――などと提唱した。(7日)
●F15嘉手納に緊急着陸 米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が同基地に緊急着陸。9日にも同機が同基地に緊急着陸した。(7日)
●国民保護法制、200条の大型法案に 政府は国民保護法制について、全部で200条に上る大型法案とする方針を固めた。都道府県が避難、救援などで基本的な「計画」を策定するよう法定受託事務として規定したことなどが柱という。(7日)
●イラク攻撃の軍事行動「数週間で決定」
チェイニー米副大統領は、イラク攻撃を、「数週間中」に決定すると述べた。(8日)
●ひき逃げ米兵逮捕 飲酒運転でひき逃げ事故を起こし、男子高校生に重傷を負わせたとして、沖縄署は、キャンプコートニー所属の米海兵隊1等軍曹を逮捕した。(8日)
●新テロ特措法を検討 政府は、米国のイラク攻撃とアフガニスタン情勢に対応するために、自衛隊による輸送業務などを想定した、新たなテロ対策特別措置法の検討に入った。米国がイラク攻撃に踏み切った場合、日本がアフガニスタンの治安活動を支援するなどが狙いという。(9日)
●国連査察決議拒否なら攻撃の方針 米ブッシュ政権は、国連安保理で大量破壊兵器の国連査察受け入れを数週間の期限付きでイラクに迫る決議を求め、拒否された場合は武力行使も辞さない方針を固めた模様。(9日)
●小泉が訪米 小泉首相が、米国・ニューヨーク市で開かれる9・11の追悼式典や国連総会に出席するために訪米した。(9日)
●国境付近で米軍が大規模作戦 米軍報道官は、アフガニスタン南東部パクティカ州のパキスタン国境に近い渓谷で、米軍が大規模なアルカイダ掃討作戦を展開していることを明らかに。作戦名は「チャンピオン・ストライク」で、米兵数百人が参加。(10日)
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週刊『前進』(2070号6面1)
住基ネット 前進社が番号消去要求 江戸川区長らに申し入れ
住民基本台帳ネットワークシステム実施が8月5日から強行された。東京・前進社本社の居住者一同は9月冒頭、郵送されてきた番号通知を一括して江戸川区役所に返却し、番号の消去を要求した。代表が区役所区民課に申入書を手渡し、「侵略戦争に人民を動員し、人間的自由を奪い取る国民総背番号制に反対する。江戸川区は住基ネット・システムから離脱せよ」と要求した。さらに、区長、助役、区議会議長および区議全員に申入書を提出した。また、江戸川区職労にともに連帯して闘おうと呼びかけた。全国で住基ネットに対する闘いが広がっている。東京都杉並区、国分寺市、横浜市、福島県矢祭町の4自治体の不参加に続き、11日に中野区が「個人情報の安全対策が不十分である」として住基ネットを離脱した。全国各地で拒否・離脱要求の運動を広げ、住基ネット粉砕、個人情報保護法案粉砕へ闘おう。
申入書
2002年9月1日
江戸川区長 多田正見殿
前進社居住者一同
今般、8月5日より稼働を開始した住民基本台帳ネットワークシステムは、すべての住民に牛のように背番号をつけ、国家による労働者人民の管理・監視を徹底的に強化し、戦争に全国民を総動員するための国民総背番号制度そのものであると言わなければなりません。
それはまさに、米国がアフガニスタンからイラクさらには朝鮮・中国へと拡大しようとしている侵略戦争に、日本も参戦しようとする有事立法攻撃と一体の住民への攻撃であり、ひいては徴兵制の名簿・データを住基ネットで集積しようとするものにほかなりません。北朝鮮・中国への侵略戦争に向かって全人民を総動員していくために、住民を監視し人間的自由を奪い取ってしまう住基ネット=国民総背番号制攻撃を、私たちは絶対に受け入れることはできません。
そもそも住基ネットとは何なのか。
99年8月に成立したこの制度導入の目的として、日本に居住している者すべてを、その居住し生活している場所において一人残らず国家が掌握しようとすることが最初からの狙いなのであります。在日外国人登録と連動させ、住基ネットで「他の行政機関に住民基本台帳の情報を提供する」ことを目的としているのです。「住民サービス」等々を前面に押し出してキャンペーンをはってきたのは、この目的を押し隠すためなのです。基本的には地方自治体からの要求などはそもそも関係ないところから出発し、準備し、計画されてきたものであることは明らかです。
そのために都道府県レベルと国家レベルの2段階のホスト・コンピューターに住民基本台帳の基本データを蓄積するというのです。要するに、国からみると住基ネットのコードによって、地方自治体や国家機関に蓄積しているあらゆる個人データは、一瞬のうちに掌握できるシステムが作られるのです。恐るべき戦争国家体制であり、全人民の総動員体制であると言わなければなりません。
さらに、この住基ネット攻撃のもっているあくどさは「住民基本台帳カード」いわゆるICカードを一人一人に持たせようとするところにあります。つまり、住民一人一人の個人の情報が書き込まれたIC(集積回路)が埋め込まれたカードを、最終的には身分証明書として全国民に携帯させようとするものです。この国家の発行するICカードを身分証明書として携帯させられるということは、それをどのように説明しようとも、われわれ一人一人の人間が「国家権力の許可をもらって住む」というところに行き着くということです。
ICカードを持たない者、持つことができない者は、ごく普通の日常的買い物や旅行すら不可能なところまでたちどころに行き着くことは、小泉内閣の政策からも明らかです。
小泉内閣が、5月の時点ではまだ稼働もしていない住基ネットシステムで利用しようとしている国家機関による93種の行政的事務を、さらに264種に拡大するという改悪案を先の国会に提出していることを見ても、このことが単なる危惧(きぐ)ではなくて現実の問題であることは明白なのです。
これではまるで°牢獄的監視社会″そのものではありませんか。権力を持たないあらゆる者は、その生活の一部始終を監視されてしまうのです。誰もが治安的な「犯罪者」として扱われることになってしまうのです。°牢獄的監視社会″は決して空想でも何でもなく、現実にすでに始まっているのです。侵略戦争のために、このような社会を作り上げようとする住基ネット=国民総背番号制度を絶対に阻止しなければなりません。
私たちはこのような侵略戦争のための暗黒の監視社会をつくり出す住基ネットに絶対に反対であり、私たちが住む江戸川区が率先してこの住基ネット・システムから離脱することを、すでにこの7月はじめに『とうしょうかわら版』で区長および各区議会議員に申し入れました。
にもかかわらず、江戸川区が住基ネットを8月5日をもってスタートさせたことに私たちは強い怒りを覚えます。改めて、江戸川区がこの住基ネットから離脱することを強く求めます。私たちは、この強い要請を江戸川区に表明するために、私たち一人ひとりに背番号を付ける住基ネットの番号通知を返却し、番号を消去することを要求するものです。
以上、申し入れます。
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週刊『前進』(2070号6面2)
(6)
確定判決批判@ 草場裁判長が審理打ち切り ウソ供述もとに無期懲役
やっていない!
「私は、やっていない。私は、一審以来、一貫して主張し、陳述書においても、既に明らかにしているように、中村巡査を殴打していないし、中村巡査への火炎瓶投擲(とうてき)の指示も一切していない。このことを、私は、私の良心に照らして、人間としての全存在にかけて、改めて、一点の曇りもなく言い切ることができる」(星野文昭「意見書」99年10月25日)
この意見書は、東京高裁第11刑事部に、星野同志が再審請求人として提出したものである。これこそが、真実の叫びだ。ここに、星野同志の訴えと思いのすべてが込められている。この声を全身で受けとめよう。
真実を踏みにじり、今日に至るまで無期懲役による投獄を強制しているもの、それが東京高裁・草場良八裁判長による控訴審判決(83年7月13日)である。87年に上告が棄却され、これが確定判決となった。
獄壁を打ち破り、無実の星野同志を奪還するには、この控訴審判決=確定判決をこなごなに粉砕しなければならない。以下2回に分けて確定判決を批判する。
「共犯者」のウソ
71年11・14渋谷闘争を闘った星野同志は、三里塚闘争の2件と併せて全国に指名手配された。75年、不当にも逮捕・起訴された星野同志は、荒川碩哉同志、奥深山幸男さんとの併合裁判を闘うことになった。
79年2月13日、検察官は星野同志に死刑を求刑した。死刑阻止の大運動が展開され、わずか半年で12万人の署名が集まった。東京地裁は、この闘いに押されて死刑を強行できず、懲役20年の判決を下した。
しかし、内容的には検察官の主張を全面的に受け入れて、機動隊員殺害に関する星野同志の「実行行為」と「現場共謀」があったと認定したのである。これを手掛かりにして、検察官はあくまで死刑を求めて異例の控訴を行った。
控訴審では、被告・弁護団の必死の闘いによって、「共犯」とされた者たちの供述のウソが徹底追及され、ついに一審では隠されていた「員面調書」(警察官面前調書)が法廷に引き出された。83年1月26日、いよいよ星野同志の無実が明らかになるというその時に裁判長・草場は突如、証拠調べを打ち切った。そして7月13日に強行された無期懲役。それは70年安保・沖縄闘争、渋谷暴動闘争に対する日本帝国主義の階級的報復であった。
「確定的殺意」
確定判決の核心は、星野同志が「確定的殺意」をもって機動隊中村巡査を殺害したとするところにある。判決文には、次のように記されている。
「……被告人星野の『やれ。』との号令……に呼応し、即時同所において、右の者らは、共同して同巡査が死に至るかも知れないことを知りながら意思相通じて……同巡査の頭部、肩部、腹部を多数回にわたって乱打し」「被告人星野の指示のもとに……数名の者が、中村巡査めがけて、火炎びんを数本投げつけ、……右火傷により同巡査を死亡させた」
「この段階においては、『火炎びんを投げろ。』と号令した同被告人はもちろん、右号令に基づいて火炎びんを投てきした……者には、確定的殺意を内容とする共謀があったと考えるのが相当」である。
確定判決は、@星野同志が、機動隊員を自ら鉄パイプで殴打するとともに、「やれ」と号令した、A倒れた機動隊員に「火炎びんを投げろ」と号令した、という二つの「事実」を認定している。そして、当初は「未必的殺意」であったものが、火炎びんを投げる段階では「確定的殺意」に変わっており、この点で一審判決には誤認があるので、これを破棄して「無期懲役に処する」としている。
しかし、これらはすべてウソであり、デッチあげである。星野同志はこれらの行為を行っていないし、行える状況にもなかった。星野同志は、十数b離れた交差点の中で、いつ襲撃してくるか分からない機動隊に注意を集中し、デモ隊を渋谷に突入させることに全力をあげていたのだ。
最大の問題は、判決の裏付けとなる「証拠」だ。機動隊が敗走したために、現場逮捕はゼロであり、物証もなかった。国家権力は、渋谷周辺で逮捕した300人以上の闘争参加者を追及したが、完黙・非転向の前にすべて粉砕された。
行き詰まった権力は、未成年を含む群馬県の若い学生に攻撃を集中し、ウソの供述を得ることに総力をあげた。その結果、つくりだされたのが6人の虚偽供述である。星野同志の顔も知らない、闘争経験の浅い学生である。このうち5人は、公判廷で自分の供述はウソであり、権力に強制されたものであることを証言した。残りの1人は証言を拒否した。
一切の証拠もなく星野同志は無期懲役を宣告され、今も徳島刑務所につながれている。(この項つづく)
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週刊『前進』(2070号6面3)
板垣同志の医療鑑定決定 16年目の長期勾留許すな
9月4日、東京地裁刑事第11部(木口信之裁判長)は、板垣宏同志の医療鑑定をついに決定した。
板垣同志は、今秋で16年目に入るという長期勾留によって、後頭部および腕と足の痛みやしびれ、原因不明ののどの痛み、白内障、前立腺肥大症、めまい、はきけなどの耐え難い症状が起きていた。
ところが東京拘置所は、後頭部や上肢・下肢の痛みやしびれに対して、レントゲン写真を2枚撮影しただけで「頸椎(けいつい)症」とのみ診断し、詳しい検査や診断を放棄してきた。「経過観察する」とか「裁判への出廷に支障はない」などと言うのみで、治療は一切してこなかった。
この非人間的な処置を弾劾し、6月24日、板垣同志と弁護団は獄外の医療機関による検査と診断を求めて、医療鑑定を請求した。
板垣同志を先頭に、須賀同志、十亀同志も一体となって、毎回の裁判で「医療鑑定を認めよ」と、怒りの意見陳述を木口裁判長にたたきつけてきた。弁護団は、裁判所と折衝を繰り返し、10万人保釈署名運動による東京地裁への申し入れ行動が行われた。裁判所正門前でビラをまき、署名を集めて、労働者人民に訴えてきた。そうした闘いを全力でうちぬいて「医療鑑定」をかちとったのだ。
この勝利を突破口に今秋保釈闘争に突入しよう。日帝の侵略戦争突入情勢下で、治安体制の戦時型転換攻撃が急ピッチで進んでいる。日帝の侵略戦争阻止を体を張って闘いぬいている3同志と福嶋同志には、「獄から出さない」という許しがたい攻撃が一層強化されている。不屈・非転向の革命戦士であることをもって16年も獄中に閉じ込めるのは、予防拘禁そのものだ。こんな極悪な人権無視の国家暴力に怒りを爆発させ、党を先頭に広範な労働者人民の力で、なんとしても保釈・奪還を闘いとろう。
3同志と福嶋同志の不屈の獄中闘争にこたえ、10万人保釈署名を全力で集めよう。裁判闘争に総結集しよう。
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週刊『前進』(2070号6面4)
9・2狭山 最高裁を徹底糾弾 解同全国連と解放共闘 “証拠開示命令を出せ”
9月2日、無実の石川一雄さんと連帯し、狭山特別抗告審闘争の勝利をめざして、部落解放同盟全国連合会と部落解放共闘会議は3回目の最高裁要請行動に決起した。40人が参加し、終日戦闘的に闘いぬいた。
この間5月、7月に闘われた2回の要請行動は、最高裁に大打撃を与えた。日帝権力・支配階級にしてみれば、皇居を守るようにそびえ立つ日帝権力の象徴=最高裁が、部落大衆と労働者人民によって徹底的に糾弾されることなど、°あってはならない″ことなのである。それゆえ最高裁は警視庁と結託し、前回から要請行動への規制と弾圧を徹底的に強めてきたのだ。
この最高裁の反動的姿勢を打ち破り、なんとしても特別抗告審の勝利をもぎりとろうと、全員が意気高くこの日の闘いに決起した。
午前10時から永田町の星陵会館で決起集会を開いた。冒頭、本部あいさつに立った小森勝重糾弾闘争本部長は、「最高裁をめぐる攻防は、差別糾弾闘争の解体を許すのか、それとも復権をかちとるのかの分かれ道だ。絶対に負けられない。徹底的に闘おう」と全員の奮起を訴えた。
楠木吉秀事務局長が基調提案を行った。楠木さんは冒頭、小泉訪朝など戦争に向かって激動する内外情勢について語り、「反戦共同行動委の9・22闘争を爆発させ、敵に先んじて秋の有事立法決戦の火ぶたを切ろう」と訴えた。
そして、狭山闘争について、「最高裁を相手に本格的な闘いをやる。前例のない大衆的な最高裁糾弾闘争をたたきつけよう」と呼びかけた。この大衆的糾弾闘争の爆発で高木・高橋棄却決定を取り消させ、事実調べ・再審の実現と、検察庁の隠し持つ証拠の開示をかちとっていこうと、闘いの方向を鮮明に提起した。
参加団体の決意表明が次々と行われた。
長野県連の代表は、「有事立法に反対する田中知事の排除を許すな」と市民に訴えて取り組んだ県知事選の勝利を報告した。山口から参加した青年は、「有事立法も狭山闘争も自分の問題だ。闘いの中で自分を変えていく。戦争と差別をなくすためには若いもんが頑張らないとダメだ」と同世代の決起を呼びかけ、全体を奮い立たせた。
集会後、最高裁糾弾のデモを闘いぬき、午後1時から20人が入構して要請行動を行った。要請団は、事実調べもせず証拠開示命令も出さずに再審請求を棄却した東京高裁の高木・高橋決定を怒りを込めて糾弾した。そして最高裁がこの高木・高橋決定を取り消し、最高裁自らが事実調べ・再審を行うこと、検察庁に証拠開示命令を出すよう強く要求した。
「積み上げれば2〜3bになる」という狭山事件の証拠を検察庁が開示しないのは、開示によって石川さんの無実が決定的に明らかになるからだ。広範な人民の要求、国連の勧告を無視して開示拒否を続けることは、断じて許せない。要請団は、最高裁が開示命令を出すよう強く迫った。
これに対して、最高裁の書記官は、「私の立場ではこたえられない」と繰り返すのみの、不誠実で差別的な対応であった。要請団は怒りを倍加させて、今後一層強く再審実現・証拠開示へ闘うことを誓って、この日の行動を終えた。
無実の石川一雄さんの再審実現・無罪戦取に向け、10・27狭山中央闘争と最高裁要請行動を闘おう。
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週刊『前進』(2070号6面5)
教基法改悪反対で集会 教職員、市民ら200人
8月31日、東京・中野区のなかのZERO小ホールで教育基本法改悪に反対する集会が開かれました。主催は教育基本法改悪に反対する教職員と市民の会で、200人が集まりました。(写真)
主催者を代表して多摩教組の見城赳樹さんが、「日教組の路線転換のもとで、教育基本法改悪に反対する運動をここに集まった人たちで闘っていこう」とあいさつしました。
集会のメインは新潟大学法学部教授の成嶋隆さんの約1時間にわたる講演。今回の改正論の問題点として民間団体が出している教育基本法改正案を素材にして述べました。ここでは3点を紹介します。
1点目は、教育基本法の前文と第1条の目的規定に「日本の歴史、伝統、文化の尊重」「愛国心の育成」「奉公の精神」という国家主義的な教育目的を盛り込み、それを手掛かりとして教育実践を統制しようとしていること、特に競争社会における脱落者を国家主義に吸収する目的があることを指摘しました。
2点目は、宗教的情操論で、「宗教に関する寛容の態度」を削除し、「宗教的情操の涵養(かんよう)」を入れることの意味の重大性を述べました。戦前の35年に文部省は宗教的情操を強調し、教育勅語が言う義務としての天皇防衛から、天皇のために死ぬことが民族として生き続けることだと教え、これが国家総動員につながった点を指摘しました。
3点目として、教育基本法の中で10条が最も重要な意味を持っているとした上で、1項の教育と2項の教育行政が区別されていることを指摘し、教育は「不当な支配」に服してはならないとは政治権力や教育行政機関などの支配であると述べ、会場から「そのとおり」と声が上がりました。
改正案は、この「不当な支配」の前に「一部の政党や団体などからの」という文言を挿入したり、「不当な支配」を削除しようとしていると批判しました。
教育現場から発言があり、東京の教育労働者は、学校現場で加えられている激しい攻撃の実態を報告し、闘う決意を表明しました。神奈川の教育労働者は、今春の「日の丸・君が代」闘争の報告とともに、有事立法と教育基本法改悪反対を日教組再生の闘いとして展開しようと力強く発言しました。
(投稿/平戸保)
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週刊『前進』(2070号6面6)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
9月25日(水)午前10時
福嶋同志裁判
9月18日(水)午後1時15分
10月2日(水)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
10月11日(金)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
9月30日(月)午後1時15分
※いずれも東京地裁
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