ZENSHIN 2002/08/12(No2065 p10)

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週刊『前進』(2065号1面1)

9・22大闘争を反戦共同が決定 7・26東京
有事立法廃案へ連続国会デモ
 イラク・北朝鮮侵略戦争に怒り
 米原子力空母リンカーン 佐世保寄港を阻止せよ
 8・6広島−8・9長崎に立とう

 延長国会が最終局面を迎える中、「有事法制成立阻止! 継続審議粉砕! 7・26全国総決起闘争」が、反戦共同行動委員会結成以来初のウイークデーの昼夜連続闘争として闘われた。休暇をとってかけつけた労働者を始め全国から1050人が港区の桧町公園に結集し、有事3法案の絶対廃案を訴え国会デモを戦闘的に貫徹した。秋の方針として9・22全国総決起闘争が決定され、その場で呼びかけられた。全力で夏秋決戦を闘い、反戦共同行動委員会の力で有事立法粉砕決戦の爆発を根底から切り開くことを誓い合った。
 デモの先頭は全学連だ。「行くぞー」。デモ指揮のかけ声でがっちりとスクラムを組む。実力デモを貫徹する決意がみなぎる。機動隊が先頭部隊を制圧してデモを規制しようとする。だが何度試みてもデモ隊に押され、恐れをなして側面へ退かざるをえなかった。有事立法粉砕の決意が国家権力を圧倒したのだ。
 これに続く労組交流センターや部落解放同盟全国連合会など市民団体のデモも権力を圧倒した。労組交流センターの労働者はジグザグデモを敢行し、有事立法絶対廃案のうねりが官庁街を席巻(せっけん)した。有事3法案の継続審議を狙う国会に労働者人民の怒りがたたきつけられたのだ。

 祖国防衛主義との対決訴え

 午後1時30分、集会は全学連の司会で始まった。まず東京反戦共同行動委員会代表の三角忠さんが、「有事立法をめぐってしのぎを削る攻防が続いている。最後まで国会闘争を闘おう。8・6―8・9、8・15をとおして秋の有事立法決戦へ勢力を倍増しよう。そして9・22総決起闘争に結集し、有事立法廃案のうねりをつくりだそう」と主催者あいさつを行った。
 続いて関西新空港反対を闘う住民団体を代表して国賀祥司さんが、「廃案をかちとるために今日の闘争に来た。泉佐野市議選を闘った住民がともに決起している。有事法制ができれば、関西新空港が指定公共機関とされ、民間機を止めて米兵50万人を運ぶことになる」と発言した。
 北富士忍草母の会からのメッセージに続き、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長が「暫定開港は有事立法に対応した攻撃だ。軍事空港反対を貫き闘ってきた。必ず廃港に追い込む」と宣言した。
 反戦自衛官の小多基実夫さんは「陸上自衛隊西部方面隊の対ゲリラ特殊部隊で3人が自殺した。インド洋派遣部隊にも1人の戦死者が出た。延長に次ぐ延長で7回も艦隊を送り出し、1日も休むことなくアフガニスタン侵略戦争をやっている。このままイラク総攻撃に自衛隊がのりこもうとしている」と弾劾し、「自衛隊兵士や家族を包摂する反軍闘争を」と呼びかけた。
 全国被爆者青年同盟の友野幽委員長は米帝の核先制攻撃路線、日帝の核武装路線を弾劾し、「小泉の祈念式典出席は被爆者の英霊化攻撃だ。小泉は被爆者の怒りを恐れ、『被爆者の要望を聞く会』への参加を拒否した。小泉来広を実力糾弾しよう」と訴えた。
 沖縄労組交流センターを代表してバヤリース労組が「政府は『不審船』事件をキャンペーンしているが、名護では米軍の機関銃の弾が農地に飛び込んでいる。米軍こそが沖縄人民の安全を脅かしている。宮城盛光さんが小泉に『有事法制許さんぞ』と突きつけたのは全沖縄人民の声を体現したものだ」と訴えた。
 基調提起は、全学連の大山尚行委員長だ。「24日の衆院の特別委員会ではこそくなやり方で継続に持ち込んだ。本会議での継続審議決定を絶対に阻止し、有事3法案を廃案にたたきこもう。反戦共同行動委がどう闘うかが決定的だ。『日本が攻められたらどうするのか』などという排外主義・祖国防衛主義と対決し、有事3法案が北朝鮮・中国侵略戦争のための法案であることを具体的に暴露し、9・22の大結集をかちとろう」と熱烈に訴えた。
 青年アジア研究会のカンパアピールの後、決意表明が行われた。
 東京労組交流センターは「5・16見解で有事立法に賛成した連合の支配をくい破って有事立法を廃案に追い込む」と力強く宣言した。婦人民主クラブ全国協議会は「7月222日から国会前で座り込みを続けている。31日の国会最終日まで貫徹する」と発言した。解同全国連の金平通雄中執は「イラクや北朝鮮に対する戦争が始まろうとしている」と危機感をもって訴え、8・9、10・31狭山闘争への決起を呼びかけた。神奈川労組交流センターは「労働者の戦争動員を許さない」と決意を述べた。関西労組交流センターを代表し、関西合同労組がこの間の反弾圧闘争を報告した。
 決意表明の最後に全学連の学生が立った。法政大学の1年生は「労働者が休暇をとって闘争に参加しているときに、学生が勉強だけしているわけにはいかない」と、東北大生は「9・11の19人の戦士を始めイスラム諸国人民と連帯し、学生は弾圧を粉砕して有事立法を実力粉砕する」と、京大生は「有事立法粉砕・侵略戦争阻止のためには労働者人民の内乱的決起が必要だ。全学連が最先頭で切り開く」と決意表明した。
 中野洋反戦共同行動委員会代表が「今国会で有事3法案を通さなかったことを確認したい。9・11を機に世界戦争過程が始まった。有事立法を阻止することこそが日本の労働者人民の任務だ。8〜9月を夏休み返上で闘おう。これまでのあり方を一変し、9・22に大結集しよう」とまとめを提起した(別掲)。そして反戦共同行動委の滝口誠事務局長が行動提起を行い、国会デモに出発した。

 夜の銀座デモに拍手

 夜の集会は午後7時から中央区の坂本町公園で、解同全国連の司会で行われた。まず滝口事務局長が「私鉄総連の大会で20労組が呼びかける闘いへの取り組みの強化が訴えられ拍手が起こった。石川島播磨重工ではアフガン侵略戦争への労働者動員に拒否と動揺が起きている。連合傘下の労働者の決起をかちとり、6・16闘争の6万人を10万、20万にしていこう。今こそ反戦共同行動委の出番だ」と、基調を提起した。
 続いて決意表明が行われた。動労千葉は「JRの労働者にも自衛隊を運ぶ命令が出る。有事立法粉砕へストライキ含め闘う」と宣言した。みやぎ労組交流センターは「連日有事立法粉砕で決起している。王城寺原でも朝鮮侵略戦争のための米軍実弾演習が始まっている」と発言した。福岡県労組交流センターは「8・9長崎反戦闘争、8月米原子力空母リンカーンの佐世保寄港阻止闘争に結集を」と訴えた。全学連を代表して広島大生が「日本人民は日帝が再び侵略戦争に出ていくときは命をかけて阻むと誓った。今がその時だ」と全参加者を奮い立たせた。
 最後に東京反戦共同行動委事務局長の結柴誠一さんが「延長国会の最終日まで有事立法廃案のために闘い抜こう。世界戦争過程が始まった。反戦共同行動委は新たに生まれ変わる。有事立法廃案へ向けた戦闘宣言を発し、巨大な隊列をつくりだそう」とまとめの提起を行った。
 夜のデモは有楽町や銀座を通って日比谷公園まで行われ、労働者人民の注目と共感を集めた。日本橋では夫婦がデモ隊に次々と握手を求めた。数寄屋橋では女性が「わーっ」と歓声を上げ、手をたたいた。新橋では飲食店の店員が汗だくのデモ隊をうちわであおいで激励した。
 有事立法廃案を求める労働者人民の闘争心は確実に高まっている。反戦共同行動委の闘いがそれを解き放つものであることが示されたのだ。9・22闘争にはさらに隊列を倍増させて、有事立法粉砕の巨万人民の決起をつくりだそう。

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週刊『前進』(2065号1面2)

世界戦争の開始情勢に労働者階級の総決起を 中野洋代表のアピール

 この通常国会で有事3法案を通さなかったことを確認したい。われわれ反戦共同行動委員会の闘いや百万人署名運動の皆さんの闘い、20労組に結集する労働者の闘いが必死に闘い抜かれたからです。その上で有事法制をめぐる攻防はこれから半年、1年がかりの闘いになろうかと思います。この闘いの中でほんとうに有事法制を葬り去る決意をこの場で再確認したい。
 9・11をもって世界は一変し、世界戦争過程が始まりました。ブッシュ政権はアフガンに続いて、アメリカに逆らう国を「悪の枢軸」「ならず者国家」と決めつけ、核兵器をも使ってたたきつぶす戦争に突入しています。そのターゲットは「テロ撲滅」であると言っている。テロ撲滅という以上、地球上の半分近い人間を殺し尽くさない限りこの戦争は終わらないのです。
 アメリカ経済は深刻な危機に直面しています。資本主義の中の資本主義であるアメリカが末期症状を示し、戦争をやる以外に解決する道がないのです。イラク攻撃を始めるのは必至です。パレスチナ人民の自分の命をかけた闘いが、これをかろうじて阻止しています。そして全世界の人民の闘いが阻止しているのです。われわれはこの一翼を担い、有事立法粉砕闘争の中で日本の労働者人民の闘いの神髄を示さなければならない。
 そういう上に立っての9・22全国闘争です。臨時国会から来年の通常国会にかけてのさきがけ的な闘争をやり、最後の決着をつける闘いもやる。そういう反戦共同行動委員会になりたいと考えています。
 そのためには8〜9月をどう闘うのか。夏休みもへったくれもない。ズバリ戦争をやる法案が通ろうとしているわけですから、すべてを投げうって闘いに立ち上がらなければならない。8・6広島―8・9長崎を有事立法粉砕闘争として地元の仲間たちと一緒に盛り上げなければならない。さらに8・15が呼びかけられており、9・1防災訓練阻止闘争があります。
 米軍と自衛隊はすでに有事体制下にあります。沖縄ではいろんなことが起きていると報告されました。その中で沖縄は9月に統一地方選があります。これを有事立法闘争として闘って勝利しなければならない。
 なんといっても労働者の闘いが帰趨(きすう)を決する。連合は5月16日に有事法制が必要だとの見解を出した。「憲法の枠内」でと言っているが、憲法の枠内での有事法制は成り立たない。7百万人のナショナルセンターが有事法制賛成を決めたことの重大性をとらえ、これを下からどうひっくり返していくのかが労組交流センターに結集する労働者の任務です。これに成功したときに、有事立法を根底から粉砕する情勢が切り開かれるはずです。
 有事法制は日本が攻められたら戦うという法律ではありません。侵略戦争のための法律です。しかも、朝鮮半島や中国をターゲットにした侵略戦争です。朝鮮で、中国でどういうふうに戦争をやるのかシミュレーションを頭に描いて条文を読めばよくわかります。
 この法律が通れば、直ちに日本全体が有事体制に入ります。指定公共機関に指定されたJRを始め自治体も医療機関も有事体制に入る。そうなると福田官房長官が言うように、労働基本権も、思想信条の自由も、結社の自由もなくなるのです。だから私たちは今までのあり方を一変させて、有事立法粉砕に多くの仲間を結集させ、国会を包囲し、労働者はストライキを敢行していく。本日を出発点として、そうした状況をわれわれの力でつくりだそう。

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週刊『前進』(2065号1面3)

皆さんの熱烈カンパが今秋決戦勝利の力です

 すべての『前進』読者のみなさん。闘う労働者・支持者のみなさん。世界史の転換点にあたり、革共同への絶大な夏期一時金カンパを訴えます。
 陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかけた6・16大集会の6万人の結集を頂点とした労働者階級人民の決起は、今国会での有事立法成立を阻止しました。しかし、闘いはまだ始まったばかりです。日帝・小泉政権は、有事立法3法案と個人情報保護法案を継続審議にし、秋の臨時国会での成立を何がなんでも強行しようとしています。
 60年、70年を超える労働者階級人民の内乱的決起が今こそ求められています。革共同はこの秋、有事立法決戦を戦後最大の政治決戦として爆発させることを決意しました。すでに反戦共同行動委員会が決定した9・22全国総結集闘争、臨時国会冒頭からの総決起にむけて、夏休みを返上して闘いに立ちあがっています。
 世界は9・11反米ゲリラ戦をもって世界戦争情勢に完全に突入しました。米帝ブッシュはアフガニスタン・パレスチナでの残虐な民族抹殺戦争をくり返し、イラク攻撃はもはや時間の問題となりました。北朝鮮・中国への侵略戦争もほとんど一体で進む恐るべき情勢にあります。この背景には巨大企業の粉飾決算が露呈し、ドル急落・株価暴落という、29年型大恐慌情勢の到来があります。帝国主義が生き延びるためには、被抑圧民族を何百万人殺してもかまわないという、こんな帝国主義は打倒する以外にありません。
 今こそ労働戦線の一大前進をかちとり、「5・16見解」をもって産業報国会への道に転落した連合を突き崩し、帝国主義を打倒する労働運動を巻き起こしていかなくてはなりません。国鉄決戦はそのカギを握っています。闘争団除名を絶対に許さない全国大会決戦に猛然と突入します。
 一切は革命党の存在と闘いにかかっています。革共同は、昨年第6回大会を開催し、対カクマル戦の勝利を宣言し、帝国主義の恐慌と戦争の時代への突入に対して21世紀の早い段階での反帝・反スターリン主義世界革命−日本革命の達成を宣言しました。革命的祖国敗北主義の闘いを実践する、社・共に代わる労働者党を本格的に建設する方針を確立しました。
 その真価を発揮するためには財政力が必要です。資本攻勢で苦闘する労働者のみなさんのカンパこそが勝利を切り開きます。夏期一時金カンパの絶大なる集中を訴えます。 

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週刊『前進』(2065号2面1)

関西革共同集会
労働者細胞建設へ大前進 天田書記長、熱烈な方針提起 今秋有事立法決戦を誓う

 7月28日、大阪市の大淀コミュニティーセンターにおいて、関西における革共同政治集会が450人を結集して開催された。権力の監視・弾圧を粉砕し、かつてない集中の中で闘いとられた。天田三紀夫書記長が「有事立法粉砕決戦と国鉄闘争に勝利し、国際主義の旗高く強大な党の建設を―世界戦争情勢と革命的共産主義者の任務」と題して80分にわたる熱烈な基調報告を行った(本号第U部7〜9面に加筆して掲載)。有事立法決戦、国鉄決戦に勝利し、「連帯し、侵略を内乱へ」「党勢2倍化」の闘いを労働者細胞が中軸となって闘いとる総決起の場となった。
 今年前半期の闘いのビデオ上映の後、女性労働者の司会で集会が始まった。
 京都府委員会の同志が、70年決戦以来、内戦の中を育児や介護をし、闘病しながら50歳を超えて革共同に結集した女性労働者や、自分たちの未来をかけて結集した青年労働者のことを紹介し、「同志の思いを絶対に勝利に結びつけ、本格的に革命に勝利する党をつくる」と決意を表明した。
 30年以上にわたって最前線で闘いぬいてきた大阪府委員会の同志は、「6回大会で宣言した21世紀の早い時期の反帝・反スターリン主義世界革命―日本革命の達成を実現するために、また、労働者階級の解放は労働者階級自身の事業であるという命題を実現するために府委員会を結成した」と報告した。常任中心の会議から「労働者細胞による機関紙を軸にした会議・討論、方針形成」の会議への変革をとおして中央と労働者細胞の直結をつくり出す闘いが始まっていることや、有事立法決戦と労働者の組織化の決意を語った。
 国賀祥司泉佐野市議が、住民自身の決起で5期目の勝利をもぎとったことを報告し、「戦争をしなければ生きられない帝国主義を打倒する革命をともに闘おう」と述べた。住民の代表の「生活と平和を守るためにともに闘う」との決意に大きな拍手がわいた。
 続いて部落解放同盟全国連の中田潔書記長が連帯のあいさつをし、「世界戦争の始まりと日帝の侵略戦争への突入は部落差別を強める。侵略戦争を阻止することの中に部落解放運動が勝利する道がある」と決意を表明した。そして「人権擁護法案は部落解放運動を弾圧・解体し戦争への翼賛運動にする反動法案だ。廃案に追い込む」と述べ、三大闘争を全面的に発展させ、5万人組織を実現する闘いが力強く開始されていることを報告した。「10・27狭山中央闘争を革共同との共同の闘いとして実現しよう」との呼びかけを全体の拍手で確認した。
 三里塚決戦勝利関西実行委員会の永井満代表は「有事立法は心ある者すべてが全力で取り組まなければならない。志を同じくしてともに闘いたい。71年の三里塚の代執行の場で、機動隊に正面からぶつかっていく闘いに感動して、これだ! と思った。ともに闘ってきて本当によかった。三里塚の勝利が戦争を阻む力になる」と呼びかけた。
 三里塚芝山連合空港反対同盟、獄中同志のメッセージが紹介された。
 入管戦線の同志は、新たな7・7路線のもと、被抑圧民族人民の国際的内乱に革共同がなんとしても合流しよう、労働者階級の階級性に根底的確信をもって侵略戦争と闘おうと訴えた。
 全国沖縄青年委員会の同志は、沖縄はこれまで以上に戦場の島を強制され、沖縄人民の自己決定要求との非和解的激突となることをはっきりさせ、本土人民が沖縄への矛盾と犠牲の集中と全力で闘うことが絶対に必要だと訴えた。
 労働戦線からの提起ではまず、国鉄戦線の同志が6回大会への確信を述べ、「次の国労大会は労働運動の未来を決める。闘う闘争団の処分を許さず、国労の旗を守り党派闘争に勝ちぬく」と決意を表明した。
 中小零細の労組で闘う金属の労働者同志は、戦闘的労働運動を闘いぬいてきた労組に学び、闘う労働組合と組織を自らつくり出す気概で闘うと決意を述べた。
 地域合同労組で闘う同志は、阪神大震災被災地での合同労組建設、失業者の組織化の意義を確認し、労働運動と共産主義を結合し、幾千万の労働者の一斉武装蜂起に向け闘う立場でこそ大失業と闘えると訴えた。
 「9・11に揺り動かされて決起した」という学生戦線の女性同志から、アフガニスタン、パレスチナで決起する仲間からの呼びかけに日帝を打倒する闘いでこたえようとのカンパアピールが行われ、15万円を超えるカンパが集まった。
 基調報告を受け、関西地方委員会の党勢拡大のアピールは、「党勢拡大の主体的準備が6回大会とその実践の苦闘をとおして完全にできている。1年間で党勢の2倍化をやりとげよう」と呼びかけた。
 獄中同志奪還の訴えに立った橋本利昭同志は、長期獄中同志をレーニンの時代に死刑の恫喝をはねのけて「内乱」を支持した議員団にたとえ、「わが分身であり、存在そのものをとおして労働者人民を扇動しているかけがえのない獄中同志を絶対奪還するため全党が立ち上がろう」と訴えた。
 最後に決意表明だ。学生戦線が「わが身をもって内乱をこじあける」と決意を語り、労働戦線からは兵庫県党の同志が「連合見解を粉砕し、戦闘的労働運動をつくり出す先頭に立つ」との決意を語った。

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週刊『前進』(2065号2面2)

労働者の尊厳と未来かけ闘争団除名を阻止しよう
権力と本部の国労解体粉砕へ

 国鉄決戦は、日本労働運動の最基軸の死闘を繰り広げながら、ついに最大の決戦局面に突入した。この闘いは、9・11反米ゲリラ戦以降、世界情勢が一変する中で闘われている。米帝ブッシュは、「テロ根絶」を叫び、世界を戦争のただ中にたたき込んで生き延びようとしている。そして、アフガニスタン侵略戦争に続いてイラク侵略戦争の作戦計画を具体化し、さらには北朝鮮・中国への侵略戦争を強行しようとしているのだ。日帝は、この米帝の侵略戦争に共同的=競合的に参戦するため、何がなんでも今秋、有事立法を成立させようと全力を挙げている。この有事立法攻撃下、労働組合の絶滅をもくろむ日帝は、国労本部をして闘争団を国労から除名させるというすさまじい攻撃をかけてきたのだ。労働者階級の未来をかけ、あらゆる手段で闘争団除名の暴挙を粉砕しなければならない。

 除名賛成派打倒し代議員選の勝利を

 4月26日の与党3党声明と6月6日の自民党副幹事長・甘利明の記者会見で、日帝権力はついに自らの手で国労を解体するという、戦後労働運動史上において最大とも言うべき反動攻撃に踏み込んだ。
 与党声明は、「不採用関係者の約3分の1もの組合員が鉄建公団を相手取り新たな訴訟を提起するなど、むしろ矛盾は拡大している」として、国労本部に「矛盾の解消」を迫っている。そこで言う「矛盾の解消」とは、闘争団員を国労から除名しろということである。6月6日の記者会見で、甘利はそれをあけすけに公言した。
 「(鉄建公団訴訟を起こしている)確信犯をできるだけ絞り込んでください」「どうしても(裁判を)自分はやるんだという人は組織から外れてもらう」「(除名は)致し方ないじゃない。しなければだめだ」
 権力が労働組合の内部に手を突っ込み、組合員を除名しろなどと指図すること自体、労働運動の歴史の中でかつてなかった事態である。しかも、そうした命令を下した自民党はJR採用差別という国家的不当労働行為の張本人であり、除名の対象はその被害者の闘争団員なのだ。こんなことがまかりとおったら、もはや労働組合は存在しえない。労働者は生きていくことができない。
 ところが国労本部は、自民党の命令に無条件で従った。与党3党声明を受けて強行された5月27日の臨時大会で、チャレンジと反動革同、東京地本・酒田一派は、「訴訟の取り下げに応じない闘争団員に対しては、中央執行委員会として統制処分案を決定し、速やかに査問委員会に送致する。査問委員会は規則に基づいて作業を進め処分を決定し、直近の全国大会で決定する」との方針を押し通した。そして、7月10日には中央執行委員会が「処分の量定」を査問委員会に送致したのだ。
 被解雇者があらゆる手段で解雇撤回闘争を闘い抜くのは当然のことだ。それを支えるのが本来の労働組合だ。だが、本部は権力の言いなりになって、闘争団を除名しようというのだ。こんな暴挙に賛成した連中は、国労のみならず日本労働運動を死滅に導く反階級的な大罪を負っている。
 彼らは、大会代議員の3分の2を確保して、何がなんでも次期大会で闘争団の除名を強行しようとしている。さらにチャレンジは、全国単一体としての国労を解体し、国労の解散へと一直線に突っ走ろうとしている。反動革同もこれに完全に追随する構えでいる。こうした連中に、大会代議員の座を断じて渡すな。労働者の尊厳と誇りにかけて、この暴挙を絶対に粉砕しなければならない。一人ひとりに、労働者であるかどうかが突きつけられている。全組合員の総決起で、闘争団と゛闘う国労の旗″をなんとしても守り抜こう。

 4党合意を超える有事立法下の攻撃

 7月11日、4党合意賛成派の闘争団家族と面会した甘利は、「何千万の解決金や、全員の雇用など幻想を言われても困る。執行部には『ゼロプラスアルファ』という現実の中で選択してほしいと言ってきた」と言い放った。ここに至って自民党は、゛4党合意を受け入れた以上、ゼロ回答を受け入れるしかない″と居丈高に通告したのである。
 もはや権力は、「JR不採用問題の解決」などという装いさえかなぐり捨てた。与党3党声明をもって、権力は国労と国鉄闘争を跡形もなくたたき伏せる意志をむき出しにしたのだ。4党合意のレベルをもはるかに超えた、すさまじい暴力的な攻撃が襲いかかっているのである。
 ゛権力や資本に少しでも逆らうな。闘いも要求も認めない。労働者の団結体は解体せよ″――これが3党声明と甘利記者会見を貫く論理である。それはまさに、有事立法と一体の労働組合抹殺攻撃だ。有事立法の成立を許したら、労働者が団結して闘うことは一切禁圧される。そうした有事立法下の労働組合破壊を先取りする攻撃が、すでに国労をめぐって始まっている。5・16見解で連合を有事立法賛成に取り込んだ日帝は、国労に対してはその解散によって戦争翼賛に転落したことのあかしを示せと迫っているのである。

 全力で闘えば展望は開ける

 だが、有事立法は労働組合が体を張って拒否すれば、根底から粉砕することができる。だからこそ、国労解体攻撃と全力で対決し粉砕する決戦には、国労はもちろん、労働者階級全体の命運がかかっている。
 国鉄闘争と国労にこうした激烈な攻撃が襲いかかっているのは、80年代の国鉄分割・民営化以来の国鉄労働運動解体攻撃が根底において破産しているからだ。
 有事立法攻撃は、敵にとっても容易ならざる階級決戦である。そのただ中に、闘争団・1047人闘争は労働運動の階級的再生への核となるべき部隊として登場した。他方で、有事立法に対する労働者階級の危機感と怒りの中から、陸・海・空・港湾労組20団体を先頭とした闘う労働者部隊が台頭している。
 敵権力はこのことに恐怖して、「闘争団除名」を絶叫しながら国労絶滅の攻撃に踏み込んだのだ。だが、ここには敵の絶対の不正義が刻印されている。ここに敵の最大の弱点がある。
 国鉄分割・民営化のあらしのような攻撃に耐え抜き、98年5・28反動判決以来、00年5月の4党合意以来の激烈な国労解体攻撃をくぐり抜けてきたすべての国労組合員は、今再び大きな試練に立たされている。だが、2万数千の国労組合員が、権力・資本に身も心も売り渡した一握りの国労内反動派の言いなりになって、闘争団の除名を認めることなどありえない。それは、一人ひとりの国労組合員にとって自己史を否定する選択にほかならないからだ。今、最大の決戦が訪れ、その先に巨大な勝利の展望が開けている時に、そんな屈辱にみすみす甘んじてはならないのだ。
 闘争団の除名などという労働運動史上最悪の裏切りに突き進む国労本部・高嶋−寺内−久保執行部を全組合員の怒りの決起で打ち倒そう。国労の団結を崩壊の瀬戸際まで追いやってきたチャレンジと反動革同に国労組合員の命運を決める権利など断じてない。
 「闘争団除名絶対反対・闘争団を守り抜こう」「闘う国労の旗を守ろう」をすべての国労組合員の合言葉にして大会代議員選に勝利し、チャレンジと反動革同をたたき落として国労の階級的再生をかちとろう。有事立法粉砕決戦の先頭に、闘う国労の旗を今こそたなびかせよう。

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週刊『前進』(2065号2面3)

新たな「10万人切り捨て」を丸のみした本部を打ち倒せ NTT労組5回大会弾劾する

 電通労働運動再生の展望は確実にある

 エンロンに続いてワールドコムが倒産し、世界情勢は、世界恐慌、世界戦争に向かって突進している。連合は02春闘と有事立法を契機に完全に産業報国会に転落した。たった半年の間に戦後の歴史は一変した。
 激動する情勢の中、有事立法反対闘争は、臨時国会の会期延長で法案成立をたくらんだ小泉の狙いを阻止した。継続審議になったとは言え、この3月〜7月の闘いは、60年安保、70年安保・沖縄闘争以来の6万を超える労働者の闘いをついに実現した。上部団体を越えた20労組の呼びかけに、「連合見解」に危機感を深めた連合傘下の労働者の組織的参加が始まった。小泉構造改革への怒りがこの運動と結びつき始めている。
 NTT労働者が、小泉構造改革の先頭を行く攻撃=「新3カ年計画」と真正面から絶対反対の立場を貫いて闘うなら展望が切り開けることもはっきりした。「新3カ年計画」攻撃に全国でさまざまな闘いが起きている。確実に職場に変化が始まっている。
 NTT労組全国大会で三役への不信任が231票中20票、NTT労組東日本本部大会では172票中40票も出た。NTTとNTT労組本部のすさまじい管理選挙で選出された代議員の反対票は重大な意味を持っている。この数字は私たちを限りなく激励し、電通労働運動の再生の可能性を確信させた。闘いはこれからが本格的になる。腐りきったNTT労組本部を打倒すること、階級的電通労働運動を再生することは十分に可能だ。

 有事立法賛成の本部を弾劾する

 5月10日、NTT労組本部は第15回企業本部委員長会議に「有事関連3法案に対するNTT労組見解(案)」を提起した。その内容は連合見解と基本的な点はまったく同じである。
 「国はいかなる武力攻撃からも主権国家として国民の生命と財産を守る義務があり、そのための実力行使は国際法上も『自衛権』として認められており、現に諸外国の多くは緊急事態時の法案を有している」「憲法の枠内での法整備は、基本的に必要であると考える」というものだ。有事立法自体には賛成なのだ。
 7月3〜4日のNTT労組第5回大会で、本部は大会議案から有事立法問題を完全に抹殺することで実際には「賛成」するという最も卑劣な方法をとった。議案の「平和活動」の項目は「広島、長崎、沖縄、北方領土の平和行動への参加」のみで、大会で唯一有事立法について発言した沖縄の代議員も絶対反対の論陣ではなく、質問も答弁も連合見解の枠内での「懸念の表明」に終始した。
 組合員を守ることよりNTT防衛を方針とし、労働者の首切りと賃下げに走ってきたNTT労組本部は、ついにアジア・中東の人民虐殺にNTT労働者を動員することを決定したということだ。NTT労組本部のこそくなやり方は職場の怒りを恐れているからだ。彼らの弱点はここにある。有事立法反対、「二度と再び侵略戦争に加担しない」労働者の国際連帯の立場を守り、ここで勝負しよう。

 新3カ年計画粉砕へ怒りの5・1忘れるな

 「世界にもまれな合理化」(朝日新聞)とさえ言われた「新3カ年計画」によって、5月1日、10万人の子会社が発足した。この10万人の半分、5万人の51歳以上の労働者はいったん退職して賃金3割カットで再雇用された。諸手当も全面廃止で手取りは半減した。
 書きたくもない辞職願を書いて子会社に再雇用となった労働者が90%を超えた(東は97%)ことは、それだけNTTとNTT労組本部の恫喝が激しかったことを物語っている。
 いったんは「本体に残る」意思表示をしながら「全国配転するぞ」「仕事は企画・専門職しかないぞ」と呼び出されて子会社を選択した労働者もかなりいる。50歳以下は意向調査もなく仕事とともに子会社に強制的に出向になった。違法の50歳定年制は、こうして暴力的に強行された。
 さらに業績給が去年4月から本格的に導入され、夏季一時金は組合員の多くが占めるCランクでは去年に比べ20万円のカットとなった。(NTT本体も同じ)
 生活のやりくりは危機的状況だ。同じ仕事をしながら51歳以上と以下の賃金が分断され、誇りを奪われ、団結・連帯が破壊されている。会社予定より3倍もの労働者が「希望退職」という形で絶望して辞めていったが、その後補充もなく、現場では混乱と労働強化がまかり通っている。子会社によっては「業容拡大」と称して、バス・ハイウェイ・メトロカード、米・図書券の販売が強要され、弁当配達・墓掃除の請負を始めたところもある。
 何も選択せず「白紙」で提出した組合員は会社が勝手に「本体を選んだ」とみなし、見せしめ的研修や遠隔地配転を強制されている。本来、技術屋の労働者を法人営業に配転し、仕事が分からなくても放置し、売り上げだけを強制する状態になっている。こうした攻撃に対し、全国で裁判闘争を含んださまざまな闘いが始まっている。
 この違法・脱法の極致の「新3カ年計画」はNTT労組本部の協力なしにはできなかった。労組本部の信頼は地に落ち、「会社も憎いがそれ以上に組合本部が憎い」というのは圧倒的な組合員の気持ちだ。5・1の怒りを忘れるな。怒りを闘いに変えよう。

 子会社の切り捨て表明した和田新社長

 6月26日、和田新社長は株主総会後に記者会見をして、子会社の10万人を最後的に切り捨てる絶対に許せない発言をした。
 「私どもが構造改革という言葉を使っているのは、グループ20万人弱の従業員の半分の10万人近い社員を仕事ともども切り離したことである。コスト削減の面については、今から注力していかなければならないのは、地域ごとに切り離して作った会社は、NTT法の規制を直接には受けないので、社員の意識を変える、あるいはそのための環境を作っていく、つまり研修や業績評価に基づく処遇なりをビルトインして、10万人の社員に新たな事業領域をめざして展開してもらうことである。それにより、東西地域会社は従来の仕事の委託費をカットできると同時に、アウトソーシング会社は場合によってはまったく違った会社に変容していくかもしれないことを含め構造改革と言っている」
 敵の側からこれほどまで露骨に「10万人切り捨ての構造ができた」と発言しているのである。

 「更なる挑戦」は社長発言丸のみ

 ところが、NTT労組大会のスローガンは「構造改革を継承し更なる挑戦で確かな未来を切り拓こう!」であった。このスローガンの主語はNTTの組合員ではなくNTT資本である。
 議案の一言一言が絶対に許せない内容だ。
 大会議案は、どこにも、たったの一言も組合員の現状に触れていない。組合員をどん底に陥れた「子会社化」については、「企業本部、支部の万全な体制下での精力的な取り組みと、組合員の理解と合意を得て、5月1日、新体制への移行を行うことができました」とNTTのために大喜びしているのだ!
 白石事務局長は、NTT労組新聞6・8付で、大会の目標を次のように露骨に述べている。「今年の大会は『これからも改革にチャレンジするぞ』ということを決めるのが最大の任務」「『改革に魂を入れる2年間』だということを組織全体で共有したい」
 「改革に魂を入れる」「これからも改革にチャレンジするぞ」とは何か? 新社長発言の丸のみである。
 大会では「これからも改革にチャレンジする」方針を決定した。「改革続行」だけを決め、次の中央委員会でいきなり具体的な攻撃を出してくる。これがNTT労組本部のいつもの卑劣なやり方だ。「中期事業計画」「新賃金制度」「新3カ年計画」もそうだった。
 NTT労組本部は、「組合」の名において労働者を支配するNTT資本の補完物である。
 98年のNTT労組への名称変更(「綱領」の変更)→99年7月のNTT再編・IT革命へ→3度の超大量首切り・合理化。この過程が明らかにしたことは、NTT労組本部と組合員は非和解的でありNTT労働者が生きるためにはNTT労組本部を打倒して闘う執行部をつくらなければならないということである。

 有事立法を阻む闘いの最先頭に

 秋の臨時国会は民主党の翼賛化による有事立法成立へと激しく動き、連合、労働組合をめぐる攻防が焦点化してくる。自分の組合がどちらに立つか、激しい分岐を攻勢的につくり出していかなければならない。
 そのためにも動労千葉の72時間ストから徹底的に学ぶ必要がある。「時代を画するような攻撃には労働者階級として本来闘うべき闘い=ストライキで闘う」ことを決断したこと、資本に打撃を与える闘いのみが組織破壊攻撃から動労千葉を守り、団結をつくり出し、労働運動の再建の展望をこじ開けることを確信したからストが貫徹できた。
 私たちがこのストから学ぶことは、「今ある力から闘いを設定する」のではなく、敵の攻撃が「階級としての私たちに要求する闘いを定め」、そこに向かって必死の努力をしていく闘い方なのだ。
 電通委員会は、「新3カ年計画」攻撃に対して真正面からの闘いを開始している。NTT労働者は資本とNTT労組本部の奴隷に甘んじる存在ではない。有事立法粉砕、国鉄闘争勝利と一体で「新3カ年計画」の新たな攻撃と闘おう。闘いはいよいよこれからだ。電通労働運動の再生をかちとるために闘おう。
 〔マル青労同電通委員会〕

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週刊『前進』(2065号3面1)

自治労第73回大会へのアピール
自治労中央の有事立法翼賛うち破れ 公務員制度改革阻止し自治労の戦闘的再生を

 自治労第73回定期大会が8月23日から3日間、山口県スポーツ文化センターで開催される。今大会は中間年大会のため総括と経過報告が中心で、運動方針は次回大会に回るが、「有事立法攻撃下での自治労の立場」を決する重大な大会となる。有事立法粉砕の戦後最大の政治闘争の爆発へ、連合・自治労中央と対決し戦闘的自治労を再生するために、自治体労働者の大会への決起と集中を訴える。

 連合見解に賛成する自治労「基本的立場」

 今大会の第一の課題は、全国の自治体労働者に「戦争協力を拒否せよ!」と訴え、有事立法阻止への総決起を実現することである。
 有事立法3法案は北朝鮮・中国への戦争発動法案であるという認識が急速に広がりつつある。陸・海・空・港湾労組20団体の戦争動員に対する危機感と闘いの臨場感が普遍性と求心力を持ち、ナショナルセンターの枠を越えた統一戦線を形成した。
 こうして日帝・小泉は、有事立法強行の戦略的立て直しを余儀なくされ、秋の臨時国会での成立に向けて野党の取り込みに全力を挙げているのだ。
 この時、連合は小泉政権を背後から支える役回りを演じている。5・16「有事関連3法案に対する連合の見解」は、有事立法を必要と断定し、もっと完全な法案をつくれとの内容だ。
 この「連合見解」をめぐって、連合第8回中央執行委員会(5・16)は激論になった。ここで自治労は「見解」をまとめる反動的役割を果たした。「見解」の原案は4月25日に「取扱注意」で自治労県本部代表者会議に提案された。ここで「有事関連3法案に関する自治労の基本的立場」を決定し、5月30日の中央委員会で承認された。それは@「自衛隊」「日米安保」の存在は認める、A安全保障基本法の制定が必要である、B憲法論議を排除しない、C連合の「国の基本政策」検討作業委員会で、憲法や有事法制について整理する、D「連合の政治方針」を逸脱しない立場で臨む、E有事法制については「法整備が必要」と認識する、F「平和フォーラム」に結集し、自治労第74回定期大会(03年)で「安全保障のあり方について」提案し、連合に意見反映する――という骨子である。

 「憲法の枠内」のペテン性

 これは、日帝の有事立法攻撃―公務員の戦争動員に屈服した労働組合としての転向宣言である。自治労は、この立場から「憲法の枠内で」という文言を「連合見解」に盛り込むことで有事立法に賛成したのだ。だが、有事立法とは戦争のためにあり、戦争と憲法が矛盾することは明らかだ。それを百も承知で「憲法の枠内」などというペテンを使ったのだ。
 「自治労の基本的立場」は他方で、20労組を軸にした闘いを抑え込もうとするものだ。その結集軸が「平和フォーラム」運動である。この行動綱領は、「人間の安全保障」と「平和基本法」制定にある。
 「平和基本法」制定とは、自治労の「政治方針」(97年8月)である安全保障基本法制定運動に対応し、連合第6回大会(99年10月)で「政治方針」として採択されたものである。
 また「人間の安全保障」とは、国連開発計画(UNDP)が出した「人間開発報告書1994」に基づいて、経済・社会・環境・保健衛生など人間の安全に対する脅威に照準を合わせた運動が必要というものだ。しかし軸心は国家の安全保障のために「人間の安全保障」が必要だとしている点にある。連合・自治労中央は、「9・11」―戦争突入という現実に動転して、この戦争翼賛の反動イデオロギーを密輸入したのだ。「平和フォーラム」の進める署名運動とは、良心的組合員を束ねて戦争へ誘導しようとする底意ある戦争翼賛運動なのである。
 また、有事法案の国会提出を間近にした2月22日、21世紀臨調(「新しい日本をつくる国民会議」、会長・亀井正夫)は、「国の外交・安全保障・危機管理に関する基本法制上の課題」と題する中間報告を出した。それは、集団的自衛権行使のない有事法制論議は桎梏(しっこく)と化しているとし、まず「憲法の枠内での法整備」を挙げ、その中から改憲の国民的合意を形成する、その上で国家戦略諮問会議のもとに、安全保障基本法の制定と「人間の安全保障」運動を推進すると言う。
 21世紀臨調には得本輝人前金属労協議長、草野忠義連合事務局長(いずれも自動車総連出身)らが参加し、この中間報告をそのまま連合に持ち込んだ。そして、草野を委員長とする連合三役直属の「国の基本政策」検討作業委員会を設置し、「連合見解」の原案をまとめた。トヨタのベアゼロをのんで春闘解体の先頭に立った自動車総連が「連合見解」を主導したのだ。作業委員会には、自動車総連、電機連合、ゼンセン同盟などとともに、政府の有事3法案を直接作成した内閣参事官が加わっている。さらに自治労の岡部謙治副委員長が参加している。政労資一体となって有事立法を推進したのだ。
 この「連合見解」に賛成し、また「平和フォーラム」の中心となっている自治労中央の裏切りを断じて許してはならない。「平和フォーラム」事務局長には、不正経理問題で自治労中央本部の書記長を解任されたばかりの福山真劫が、中央委員会の承認も得ずに4月末に着任している。
 有事立法決戦の爆発、階級決戦化に動揺しているのは日帝・小泉だけではない。連合は結成の意義が問われる存立の危機にある。この連合を揺るがす最大の焦点が自治労をめぐる攻防である。自治労中央は、連合内での「批判的」ポーズのペテンが暴露されることを死ぬほど恐れている。自治労中央の策動を徹底的に暴露し、粉砕することは自治労組合員の義務である。

 公務員労働者への 大リストラを許すな

 第二の課題は、公務員制度改革攻撃と闘う方針を打ち固めることである。
 自治労を中心とする連合官公部門は、条件付きで政府の進める公務員制度改革推進の立場に転換した。しかし政府が昨年12月25日に決定した公務員制度改革大綱は、ことごとくその条件を無視した内容であった。当然である。公務員制度改革は戦争へ向けた国の統治機構の整備に目的がある。さらに公務員の大リストラを強行し、日経連の終身雇用制解体攻撃を全労働者に拡大する攻撃である。公務員の戦争動員をも射程に入れた労働運動解体攻撃が課題になっている時に、これと全力で闘うことぬきに、スト権も含む労働基本権の要求など受け入れられるはずはないのである。
 自治労中央は、公務員制度改革と有事法制攻撃との一体性をまるで理解せず、むしろ有事法制に賛成することとバーターで公務員制度改革の譲歩があると考えていた。さすがの自治労中央も、この「ゼロ回答」に対して「撤回と抜本的見直し」の態度をとらざるを得なかった。そして「公務員の労働基本権を保障し、対等・平等な労使関係制度を確立する」というスローガンを掲げて1千万人署名運動を展開している。
 さらに6月20日、ILO第90回総会は日本政府に対して、公務員の労働基本権制約について改善を求める議長集約を確認した。こうした中で自治労中央もあいまいな妥協を許されない状況にある。
 人事院は7月19日、民間給与実態調査の結果を発表した。8月初めに発表される勧告は、初のマイナス勧告になることは間違いない。4月にさかのぼって賃金返還という事態となる。さらに本格的に退職金削減に着手する。政府の公務員制度改革大綱の白紙撤回とともに、公務員制度改革に対する闘いを有事立法阻止、侵略戦争―公務員の戦争動員阻止の闘いに押し上げて闘おう。

 不正経理問題究明し階級的団結の創造へ

 第三の課題は、不正経理問題の徹底究明をとおした自治労再生である。
 昨年来39億円の不正使用が発覚し、自治労は結成以来最大の危機に直面している。1月臨時大会では、不満は充満したが、結局は役員の倫理問題にすり替え、人事を刷新し、反対派13県本部を副委員長、書記長ポストに取り込むことで、「再生プログラム」を承認した。しかし問われているのは闘いによる階級的規律である。腐敗や不正は規約ではただされない。
 5月末の中央委員会では、犠牲者救援基金を取り崩し各県本部への50億円の還付を決定し、10月から実施する。また今大会で社会的貢献基金30億円の支出を決定する。カネで地方の批判をかわし、社会的批判をかわそうというのだ。解任された大原義行委員長は関連利権団体UBC理事長に、福山書記長は平和フォーラム事務局長に横滑りしている。何ということか。結論は明白だ。政府・検察に対して「もう闘いなどしませんから許してください」と完全屈服したのだ。
 この攻撃は、最大の公務員労組=自治労を狙い撃ちにして、もって一挙に戦争と戦争翼賛団体に持っていこうという日帝の体重をかけた組合破壊なのだ。こんな「再生」を誰が許しておけるのか。大会での社会的貢献基金30億円支出決定を絶対に許すな。ここに自治労の再生か解体かの明確な分岐点が存在するのだ。

 闘う旗鮮明に戦闘的潮流を

 第四の課題は、自治労内の戦闘的翼の形成である。
 今、自治労は全面的に戦争翼賛へ転換しようとしている。来年夏の大会での転向新綱領「21世紀の自治労宣言」採択に向かって、今大会で決定的な踏み切りを行おうとしているのだ。
 しかし、連合内、自治労内に反対の声があふれ出した。連合・自治労傘下の良心的活動家を戦闘的翼に獲得しなくてはならない。
 国鉄1047人闘争を支える国鉄支援陣形の核に自治労傘下の労組が座っている。国労が闘争団を除名処分にすることを許すのか否かが、自治労組合員にも問われている。
 国鉄闘争と反戦闘争の戦略的結合の実現をとおして戦闘的労働運動をよみがえらせよう。「社民党・共産党にとって代わる前衛党」「新たな階級的労働運動のナショナルセンター」への闘いはもはや待ったなしである。今こそ連合・自治労内で旗幟(きし)を鮮明にして総決起すべき時だ。
 全国の闘う自治体労働者諸君! 小泉政権打倒、有事立法阻止、公務員制度改革粉砕へ、自治労第73回大会を先頭で闘うことを強く訴える。マルクス主義青年労働者同盟に結集しよう。
 〔マル青労同自治体労働者委員会〕

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週刊『前進』(2065号3面2)

税調答申を批判する
「広く薄く」と累進課税解体 低所得者から戦費調達狙う 有事法と一体の戦時税制許すな

 政府税制調査会が6月14 日に答申した「基本方針」は、「景気回復のために」高所得者と大企業は減税、その一方で、「広く薄く」と称して労働者人民に大増税しようとしている。実に怒りに堪えない。
 第一に、「広く薄く」課税は小泉「構造改革」路線の税制版であり、戦後税制を破壊するものだ。
 たとえば所得税は、高所得者ほど高負担になる累進課税で、最高税率は86年までは70%、99年までは50%だった。現在は累進性が弱められて最高37%、最低10%の税率になっている。「広く薄く」は実質「上に薄く下に厚く」となり、累進課税を解体するものだ。実際、竹中平蔵経済財政担当相は「所得税率を一律に、消費税を14%に」と言っている。また渡部昇一は「相続税をゼロに、所得税を一律10%に」とあおっている。
 しかも戦後初めて所得税の課税最低限を引き下げて、税収増を図ると言う。引き下げると、これまで非課税の人が新たに課税されるほか、今まで納税していた人も課税対象額が増えて増税になるのである。戦後税制では累進課税によって低所得者ほど税率は低くなり、もっと低所得なら非課税になる。これは、課税最低限=最低限の生活費であって、それには課税しないという意味である。だから、戦後一度も大幅引き下げなどはなかったのだ。課税最低限引き下げは、最低生活費に課税するのと同じ、まさに苛斂誅求(かれんちゅうきゅう=租税などをむごく厳しく取り立てること)である。
 課税最低限は、具体的には基礎控除・配偶者控除・扶養控除などを合計した金額であるが、「広く公平に」と称して、この各種控除を見直し縮小しようとしている。各控除の該当者ごとに利害が異なる点をついて、団結して反対する闘いを分断しようとする攻撃である。
 「公平」とは何か。もちろん隣家の税額と比べることではない。戦後憲法は「国民の納税義務」を定めるとともに、「基本的人権」「法の下の平等」「健康で文化的な生活」を送る権利を定めている。だから戦後税制の「公平」は、能力に応じて平等に負担するという意味なのである。
 このように、累進課税・最低生活費非課税・応能負担を柱とする戦後税制と、今回答申の「広く薄く」はまったく違う。日帝は税制においても戦後憲法を投げ捨て(89年の消費税導入もそうだったが)、戦費を調達できる戦時税制をつくろうとしているのである。
 ところで課税最低限は、夫婦と子ども2人なら384万2000円。単身者なら114万4000円(一時金なしとすれば月収で9万5333円)。果たしてこれが最低生活費と言えるのか。今でさえ課税最低限はこのように低い。低いのにもっと引き下げようというのだ。しかも大失業攻撃のもと、労働者の賃金はどんどん下がっている。給与所得者約5300万人のうち、約2割が非納税者で、そのうち約7割が年収200万円以下である。こういう時に、今は非課税の人にも、今後は課税するという。最低生活費以下の収入しかない人には、むしろ社会保障が必要なのだ。すでにギリギリの生活をしているのに、賃金は下がり、新たに税金をとられ、社会保障も削られ、生きていけないではないか! 労働者は生きなくてはならない。
 第二に、消費税を将来引き上げると明記したことである。そのために今回は「消費税制度の信頼性を高めるため、益税(消費税分を納めないでもうけている)をなくしたい」と言う。これが、年間売上3千万円から1千万円への免税点引き下げ。だが中小事業者は、仕入れで支払った消費税を売値に転嫁できず、「益税」どころか実「損」となることが多い。そもそも売上3千万円以下の中小零細事業者は約500万人。人数は個人事業者700万人のうち約70%を占めるが、売上高はわずか5%である。「益税」キャンペーンは、消費税増税へのステップであり、労働者の怒りを中小零細事業者に向ける意図がある。労働者と中小零細事業者との分断攻撃をはね返して闘おう。
 第三に、活力重視と称して法人課税を引き下げるため、外形標準課税を導入しようとしている。法人課税は法人税(国税)、法人事業税(都道府県税)、法人住民税(市町村税)からなっている。このうち法人事業税の税率を半分に引き下げて法人課税全体で現行約41%を38%程度にし、引き下げの減収分は外形課税方式で赤字企業にも課税して取り戻すという。人件費の比率が高い非製造業や資本金1〜2千万円規模の企業で税負担が大幅に増え、中小企業倒産がさらに増加する。大企業のみが生き残れば良いとする許しがたい攻撃だ。中小零細の企業経営者とともに反対しよう。
 最後に、納税者番号制度について。政府税調答申は「早急に検討を開始する」と明記した。「税金逃れを防げる良い制度」と称しているが、実に危険な戦時税制への布石である。所得税の課税最低限を引き下げ、消費税の免税点を引き下げると、どちらも納税者の人数が増える。より多く納税者をリストアップしておけば、いざ「有事」には税率を上げ、効率良く税金を徴収できるからだ。
 納税者番号制導入の前提となる、財務省・国税庁の内部管理用電算システムが昨年から全面稼働を始めている。住民基本台帳ネット(総務省)、基礎年金番号(厚労省)などとリンクしたいと言っており、国民総背番号制を狙うものだ。
 有事立法攻撃と一体の「税制改革」に反対しよう。労働者人民への生活破壊攻撃を許さず、闘おう。
 (中沢彩子)

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週刊『前進』(2065号3面3)

解同全国連婦人部大会 「モノにかわる団結を」 5万人建設へ熱気と力

 7月20〜21日、「モノにかわる新たな部落の団結を婦人の5万人組織建設の力でつくりだそう」をスローガンに、部落解放同盟全国連合会婦人部第11回大会が静岡・伊豆長岡温泉で開かれ、185人が結集した。有事3法案、狭山異議審棄却、同和対策事業打ち切り、人権擁護法案など、世界戦争危機下で激化する日帝・小泉政権の大反動と対決し、婦人部が全国連5万人組織建設の最先頭に立つ決意と方針、団結を固める大会となった。
 1日目、中田照美婦人部副部長が開会宣言、全国連中央本部の中田潔書記長、北浦寿恵子婦人部長が主催者あいさつを行った。北浦婦人部長は、部落大衆の生活に最もかかわりの深い婦人が全国連5万人組織建設運動の中心となり、各地区で婦人部をつくり、その力で有事立法・憲法改悪を阻止し、石川一雄さんの無罪をかちとろうと訴えた。
 三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長と北富士忍草母の会の天野美恵事務局長のメッセージが紹介され、婦人民主クラブ全国協議会の西村綾子代表と全国労組交流センター女性部が来賓あいさつを行った。
 特別企画として、長野県連と茨城県連の婦人が活動報告に立った。長野の婦人は、県連結成大会に際して婦人が支部結成の決定的な役割を果たしたことを報告、茨城の婦人は、婦人学級や研修会をとおして婦人部―支部を活性化させてきたことを報告した。
 次に「私の歩んだ道」と題して中川せの婦人部副部長が講演した。81歳の中川さんは、「学校にはほとんど行けなかったが、子守り、養蚕、草履作り、農作業などでは誰にも負けることなく生きてきた」と自信をもって話し、「読み書きは今も苦手だが実践が大事。部落解放のために今後もがんばる」と語った。
 事務局の岩崎喜子さんが2001年度活動報告を提起した。有事立法廃案をかけて7・26国会闘争に立ち上がろうと呼びかけ、狭山異議審棄却、3月「法」打ち切り、人権擁護法案国会提出など部落解放運動つぶしの攻撃の中で、全国連5万人組織建設の課題を婦人部が正面から引き受ける決意を明らかにした。
 続いて小林あや子事務局長が2002年度運動方針を提案した。@「婦人の手で5万人組織を実現しよう」を中心に、A「とりまく情勢」、B「運動方針」、C「婦人部建設の課題」を提起。特に、階級的団結をつくり出し、全国連が本部派にとって代わる位置を占めようと訴えた。
 活動報告と運動方針案をとおして、「法」と同和事業に依拠したモノによる団結ではなく、差別撤廃に向けて闘う村全体の新たな団結の重要性が明らかになった。また組織建設の教訓が示された。奈良では、執行委員会の改革と活性化、婦人部の活性化がかちとられ、各種闘争委員会をつくり、婦人がその責任を担っている。荒本では、医療・介護・福祉部会が全住民を対象にして活動している。
 全国連が村全体に責任を持ち、少なくとも3分の1勢力になろうと提案され、一人ひとりが責任と役回りをもち、主人公となって闘うことが確認された。
 2日目は、2つの分散会で活発な討論が展開され、経験交流を深めた。
 再度、全体集会を開いた。中田書記長は「全国連5万人組織に向かって具体的な実践の領域に踏み込めた意義ある大会だった」とまとめた。議案、人事案、決議案、スローガンを採択した。新役員を代表して北浦婦人部長(3選)は「6・16集会の6万人を見て、5万人組織を建設すれば日本全体を動かせる、石川さんの再審無罪も、部落の解放も、戦争をなくすこともできる、と確信した。部落差別から逃げず、闘おう」と力強く結んだ。

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週刊『前進』(2065号3面4)

資本攻勢&労働日誌2002 7月12日〜24日
厚労省審議会 雇用保険改悪の中間報告
米UPSでパートの正社員化/松下が「転籍」導入

●12日 厚労省は雇用保険基本手当の日額の最低額及び最高額などを引き下げると発表した。毎月勤労統計調査の2001年度平均給与額が前年度比約0.9%低下したことに伴う対応。8月1日から適用。(発表概要
◇松下電器は8月から「松下ビジネスサービス(MBS)」という子会社に労働者を転籍させる制度を導入する方針。55歳以上を転籍させ、大半を年収450万円にする。
●15日 米国最大の宅配便会社UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)とチームスターズ(全米運輸労組)が新たな労働協約。@パート1万人の正社員化A時給5jの賃上げを行いパートにはさらに1jを上積みする。
●18日 化学リーグ21が19日まで大会。JEC連合(日本化学エネルギー産業労働組合連合会)結成を決定。JEC連合は化学リーグ21(約9万人)と石油労連(約2万人)、新化学(約8000人)、全国セメント(約4500人)が加盟、化学総連(約5万9000人)がブリッジで参加。10月10日に結成。
◇厚労省の雇用政策研究会は「雇用政策の課題と当面の展開」をまとめた。「多様な選択」をキーワードに、裁量労働制の導入手続きの簡素化や解雇ルールの立法化に言及している。
◇経産省・産業構造審議会のサービス経済化・雇用政策小委員会は終身雇用制を前提としたこれまでの雇用の維持・安定政策から、不安定雇用化への転換を提言。(提言全文
●19日 厚労省・労働政策審議会の雇用保険部会は、雇用保険料の引き上げなど雇用保険制度を見直す中間報告。(要旨別掲
◇小泉首相は「基本方針2002」を踏まえて各府省の制度・政策改革案をとりまとめるよう指示。労働関係では雇用政策の改革や雇用保険給付のあり方・水準の見直しなどが挙げられている。
◇人事院は、2002年職種別民間給与実態調査の結果の一部を公表。ベース改定を行わない本店事業所の割合は53.4%で過半数にのぼり、ベアも定昇も行わない本店事業所の割合は19.6%と昨年より倍増。マイナス人勧への導水路。
◇厚生労働省のパートタイム労働研究会はパートの処遇改善を求める最終報告。「同一労働同一賃金」の考え方は日本にはなじまないなどと提言している。
●23日 政府の総合規制改革会議は「中間とりまとめ−経済活性化のために重点的に推進すべき規制改革」を決定した。労働分野では@労働者派遣及び有期労働契約の拡大、A民間職業紹介事業の規制緩和、B労働基準法の抜本的改正、C裁量労働制の拡大を提案。
●24日 全労連が26日まで定期大会。議案に「連合が日本最大のナショナルセンターとして、……役割を発揮することを期待する」と初めて明記し、連合にすり寄る姿勢を明確にした。

 「雇用保険制度の見直しについて(中間報告)」

 厚労省・労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会
▽基本認識
・現在は積立金残高が大幅に減少。このままでは、2003年度中には積立金が枯渇することがほぼ確実。
・雇用保険制度を給付・負担の両面から全面的に見直すことが必要。
▽見直しの視点
 雇用保険3事業(雇用安定事業・能力開発事業・雇用福祉事業)を整理=円滑な労働移動の支援などに重点化。
▽当面の対応
・失業認定の厳格化
・不正受給の把握に努め、確認された事案に対し厳正に対処。
・弾力条項の発動(保険料率の0.2%引き上げ)もやむを得ない。

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週刊『前進』(2065号4面1)

有事立法3法案を全面的に暴露する〈上〉
日帝の北朝鮮・中国侵略戦争突入のための法案を粉砕せよ
 戦争遂行・動員の基本法−武力攻撃事態法案

 本稿は、有事立法3法案の全面的な分析と暴露を目的としている。有事立法3法案が現実には北朝鮮・中国侵略戦争のための法案であることの暴露を中心に据えていくことは依然として決定的ポイントだ。その上で、3法案の条文をよく読めば読むほど、この法案そのものが北朝鮮・中国への米日帝国主義の侵略戦争をきわめて具体的に想定した実戦のための法案であることがより明白となる。3法案は一体のものとして構成され、侵略戦争遂行のための戦争法案そのものなのである。@「武力攻撃事態法案」(武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案)は、戦争遂行・戦争動員に関する基本法で、首相に戦争遂行・戦争動員の最高権力(戦争大権)を一元的に与え、首相直属の武力攻撃事態対策本部のもとで侵略戦争を遂行するための法案である。A「安全保障会議設置法改正案」(安全保障会議設置法の一部を改正する法律案)は、侵略戦争方針策定会議法案であり、首相自ら自分に戦争大権を付与する諮詢(しじゅん)機関(装置)を設けるための法案である。B「自衛隊法改正案」(自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案)は、武力攻撃事態法案の「対処基本方針」=戦争方針をただちに自衛隊が遂行するための有事自衛隊法=戦時自衛隊権限法であり、国民総動員法である。今号では〈上〉として武力攻撃事態法案の全面的な分析と批判を行いたい。

 第1章 総則(第1条〜8条)
 日帝の侵略戦争突入を合法化し武力行使と国家総動員を規定

 侵略戦争法案隠しのペテン的構造見抜け

 武力攻撃事態法案の本質は、米帝の北朝鮮・中国・アジア・世界(アフガニスタン・パレスチナ・イラク・イラン)侵略戦争に呼応し協力して遂行される、日帝の帝国主義的侵略戦争のための戦争法案にほかならない。この法案はきわめてペテン的で複雑な法律作成技術を駆使しているため、法案の侵略戦争としての本質・基本的組み立てがきわめてわかりにくいものとなっている。このペテン的構造をうち破って、本質をしっかりと見抜いていかなければならない。

 なぜ「武力攻撃事態」概念を拡大するのか

 第1章は「総則」という抽象的なタイトルとなっている。また、法案の「目的」を規定した第1条の主な内容は「武力攻撃事態への対処のための態勢を整備」するとしていて、きわめて抽象的である。
 この「武力攻撃」とは、第2条の「定義」によれば、「我が国に対する外部からの武力攻撃」のことであり、「武力攻撃事態」とは「武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいう」としている。
 この中に、この法案の侵略戦争法案としての本質があらわれている。何よりも「武力攻撃事態」を「外部からの武力攻撃が発生した事態」にきわめて狭く限定したとしても、非常にあいまいでいくらでも拡大解釈できるものでしかない。政府が5月16日の衆院有事法制特別委で示した「武力攻撃事態に関する政府見解」では、この点について「武力攻撃を加えてくる主体としては、国だけでなく、国に準ずる者もあり、攻撃の規模の大小、期間の長短や攻撃が行われる地域、攻撃の態様等も様々であり、武力攻撃の態様は一概に言えない」としている。
 これでは、「武力攻撃事態」はとてつもなく広い範囲を含むものとなってしまう。小規模なゲリラであっても、あるいは日本の船舶への攻撃(領海を越えたり、すれすれの接近行動をとる時も含めて)であっても、すべて外部からの武力攻撃として、武力攻撃事態の発生ということになってしまう。
 こうしたことは歴史上、帝国主義が侵略戦争の発動に際して常に使ってきた口実なのだ。帝国主義は、被抑圧国(民族)に対してありとあらゆる重圧を加え、それに対して被抑圧国(民族)の側から少しでも反撃があると、これを重大な国益侵犯として戦争発動の口実としてきた。
 ところが、今回の法案の場合、まだなんら軍事的・武力的攻撃が加えられていない時点でも、すでに武力攻撃事態と規定して対応しようとしているのだ。
 それどころか、「武力攻撃のおそれのある場合」に加えて、さらに「武力攻撃が予測されるに至った事態」もすでに゛武力攻撃事態に突入した″と宣言できるというのである。
 この点でも、5・16政府見解は重大な問題をつき出している。これによれば、「武力攻撃のおそれのある場合」とは「ある国が我が国に対して武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させている」場合などとしている。また、「予測されるに至った事態」というのは、ある国が日本攻撃のために「予備役の招集や軍の要員の禁足、非常呼集を行っているとみられることや我が国を攻撃するためとみられる軍事施設の新たな構築を行っていること」などの動きがある場合だとしている。
 武力攻撃事態の概念をここまで拡大するということは何を意味するのか。現実の国際情勢の中でみれば、武力攻撃事態の考え方というものが「日本が侵略を受けた場合」などではまったくなく、逆に日帝の側が侵略戦争へと突入していくことをあらゆる口実で合法化するためのものであることは明らかである。現実には米帝の北朝鮮侵略戦争と共同した日帝の北朝鮮侵略戦争のためのものなのである。法案の骨格をとらえ、この3法案全体を分析すればするほど、それらが北朝鮮侵略戦争のための法案であることがよく分かるのである。

 武力攻撃事態への対処とは戦争突入だ

 さて、第1条(目的)の「武力攻撃事態への対処のための態勢を整備」するとは、一見しただけではあまりに抽象的で何のことか分からない。「対処のための態勢を整備」などというと、この法案では「対処」そのものは中心問題ではなく、「そのための態勢づくり」が問題であるかのように聞こえる。
 ところが、この法案の第1章(総則)では、第2条(定義)と第3条(武力攻撃事態への対処に関する基本理念)によって、「武力攻撃事態」(広く拡張されたそれ)に対して、国の総力をあげて武力行使に突入すること、そして、日米安保条約に基づく米軍の軍事行動を全面的に支援していくことをうたいあげている。つまり、全力をあげて戦争に突入することを宣言しているのだ。
 この場合、この武力行使=軍事行動=戦争行為のことを「対処措置」などと言って、ことの本質を隠蔽(いんぺい)しようとしていることが重要だ。これは自らの行為の正当性を主張しきれないことを問わず語りに明らかにしている。第2条(定義)という条文をテコに、武力行使=赤裸々な軍事力行使=戦争への突入そのものを「対処措置」にすり替えるというペテンを、怒りをもって暴かなくてはならない。
 この点で、第3条の見出しが「武力攻撃事態への対処に関する基本理念」となっていて、ここでも問題の中心が「武力攻撃事態への対処」をできる限り必要不可欠で最低限なものにすべきだということにあるかのような雰囲気を醸し出そうとしていることも見抜かなければならない。第3条自体があたかもそうした武力行使への制限条項であるかのようにみせかけているのである。ところが実際には、第3条こそが武力行使=軍事力行使=戦争行為への突入を宣言し、「武力攻撃事態への対処」とは戦争突入のことだとしているのであって、この法案の中軸中の中軸をなすものなのだ。
 したがって、第3条は「武力行使への突入」という見出しをつけなければならない条文なのだ。実際、第3条は憲法第9条を踏みにじって、日帝が戦争行為に突入することをすべての項目において規定している。
 すなわち第3条第1項は、国・地方公共団体・指定公共機関、そして何よりも国民の協力と連携による「万全の措置」を確認し、国をあげての総力戦を規定している(これを第4条〜8条でさらに規定している)。

 武力行使による「武力攻撃の排除」うちだす

 そして第3条第3項はストレートに「武力行使」による「武力攻撃の排除」をうちだしている。「速やかな終結を図る」というのは、全力で戦い、速やかに敵を粉砕するという意味以外にはない。断固たる武力行使の宣言だ。
 また第3条第2項は「武力攻撃が予測されるに至った事態」において、「武力攻撃の発生が回避されるようにしなければならない」と言っているが、事実はまったく逆だ。「予測されるに至った事態」で、日帝はただちに戦争態勢に入り、各種の戦争動員を開始し、軍事対決情勢を一挙にエスカレートさせていくのである。回避の努力をうんぬんしながら、その後に続く条文には、外交的・政治的努力というような表現はまったくない。この文言のままだと、先制的に攻撃して相手国の対日攻撃力を奪うことも「回避」する行為に入るのである。実際、中谷防衛庁長官や福田官房長官はミサイル発射前に相手国の基地をたたくことも許されると言っている。
 次の第3条第4項では、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利に制限が加えられる場合」があると言っている。「制限は……必要最小限」などと、あたかも、この条文がその制限の必要最小限化のためのものであるかのようにみせかけているが、憲法に保障された自由と権利を制限する内容をうちだしている法律の本質を、こんなペテン的な言い方で押し隠そうとしているのである。

 米軍と自衛隊を戦争遂行主体と位置づけ

 さらに第3条第5項は、「武力攻撃事態への対処」=武力行使=戦争において、日米安保条約に基づいて米帝と軍事的に協力することを主内容としている。ここでも、あたかも国連などの「国際社会の理解及び協調的行動が得られるように」するなどという話に重点をずらしている。この条項も米日帝の対北朝鮮侵略戦争を百パーセント前提としているものである。つまり、米軍が、自衛隊とともに「武力攻撃事態への対処」のもうひとつの主体として明確に法案の中に位置づけられているのであり、そこにこの法案の特徴がある(第2条第六号イ〔2〕、第22条第三号でも)。
 第4条から第8条までは、まごうかたなき国家総力戦、国民総動員戦の方針をうちだしているものだ。

 戦時の中央行政権力への権力集中を宣言

 第4条(国の責務)は、国の「組織及び機能のすべてを挙げて」戦争を遂行することが必要であるとしている。また、その際「国全体として万全の措置」をとるべきだとして、地方公共団体、指定公共機関、国民が、国のために国の指揮に従って行動することをうたっている。そして第4条が、第5条から第8条までの内容をも規定しているのである。
 第5条(地方公共団体の責務)は、「地方公共団体」も国と一体となって全力で戦争に協力するのが責務であるとしている。
 第6条(指定公共機関の責務)は、「指定公共機関」も国・地方公共団体・その他の機関と協力して戦争を遂行するのだとしている。それが「責務」だと言っている。実質的に戦争動員・協力の絶対命令を規定しているのである。
 第7条(国と地方公共団体との役割分担)は、戦争において戦争遂行上の主体は国であり、地方公共団体は国の方針(地方的任務の部分)を忠実に実行するのだと言っている。これは戦時下の中央行政権力への権力集中の宣言であり、地方自治体の権限の否定と解体にほかならない。
 第8条(国民の協力)は、戦争への国民の全面的協力の義務を確認するもので、国民総動員体制の宣言だ。「国民は……必要な協力をするよう努めるものとする」というペテン的言辞にだまされてはならない。

 第2章 武力攻撃事態への対処のための手続き等(第9条〜20条)
 政府の独断で侵略戦争の全般的方針決定、全権力を首相に集中

 閣議決定だけで戦争突入の命令が可能に

 第2章は「武力攻撃事態への対処のための手続き等」というタイトルだが、これもまたきわめてペテン的である。このタイトルからだと、「対処基本方針」すなわち武力行使=軍事活動=戦争についての基本方針の国会承認などが中心のように勘違いしかねないが、それはとんでもないミスリードなのである。
 第2章の第9条(対処基本方針)は実にわかりにくく、法律作成上の技術を駆使して、いったいここでは何を言っているのかがよくつかめないように書かれている。しかし、よく読めば明白となるが、この第9条においては、武力攻撃事態への対処基本方針の内容とは、まず何よりも「武力攻撃事態の認定」(第2項第一号)と「武力攻撃事態への対処に関する全般的な方針」(第2項第二号)だとしているのである。さらに、第2項第三号は「対処措置に関する重要事項」となっている。
 そして、この第三号にかかわる事項として、第3項以下、対処基本方針に記載すべき事項として、閣議決定事項、国会承認事項、対処方針の公示、対処方針の実施にあたっての内閣総理大臣の指揮監督権、基本方針の変更・廃止などの諸問題について規定している。
 これらは確かに、基本方針の作成や閣議決定、国会承認など、つまりある意味で手続き問題が規定されているようにみえる。したがって、方針が形成され、国会が承認して、それから実施に移っていく流れが規定されているようにみえる。そして、その一面はあるといえばある。
 しかし、よく検討すると、国会の承認によってはじめて基本方針が動き出すという構造にはなっていないのである。第9条第3項の第一号から第四号および第4項の第一号と第二号は、形式上「対処基本方針」に記載するべき事項の列挙である。ところが、第3項の各号は、予備自衛官を招集する「防衛招集命令」(第一号)、即応予備自衛官を招集する「防衛招集命令」(第二号)、自衛隊の全部または一部に対して発せられる「防衛出動待機命令」(第三号)である。これらは防衛出動命令が発せられることが予測される場合に発せられるものである。実質的な防衛出動の第一歩である。同じく防衛出動命令が発せられることが予測される情勢下で自衛隊法(今次改正案)第77条の2(防御施設構築の措置)に基づいて行われる「防御施設構築の措置の承認」(第四号)が規定されている。そして、これらについて内閣総理大臣が承認した場合には、これを対処基本方針に記載せよと言っているのだ。
 つまり、これらの事項はすでに実行に移されているのである。対処基本方針が国会承認されてから実行されるのではない。ちなみにこれらの事項は、日本と対立する国家がこれらの行為を行った場合には「武力攻撃が予測されるに至った事態」となると政府見解が言っていることがらである。日本に対立する国家の側からみれば、日本政府のこうした行動は〈自国への武力攻撃が予測される場合という武力攻撃事態にたちいたった〉ということを意味する。つまり、相手国に戦争的・軍事的重圧をかける行為をすでに開始しているということだ。
 さらに重大なことは、第9条第4項の問題である。ここで記載すべき事項として言われていることは、「緊急の必要がある」として、国会の承認なしに、自衛隊法第76条(防衛出動)第1項の規定によって内閣総理大臣の命令で防衛出動がすでに発動されている場合のことである。この場合は、たんに防衛出動命令が出ているというだけにとどまらず、当然にも軍事活動=戦闘行為へと自衛隊は突入しているのであり、日本は戦争に突入しているのである。
 「緊急の必要がある」場合というのはきわめて政治的裁量の余地がある条件である。例えば、米軍が北朝鮮に最後通牒(つうちょう)をつきつけ、軍事的攻撃(爆撃または艦船の臨検・拿捕〔だほ〕・撃沈など)をもって脅迫する中で、北朝鮮が対抗的に、「もし米帝による爆撃を受けた場合には日本の米軍基地を攻撃する」と表明したり、ミサイルを日本に向けてセットしたり、あるいはそうした情報が米帝・米軍からもたらされた時には、日帝・自衛隊は米軍とともに、自らも北朝鮮に先制攻撃をかけることが今日の軍事情勢のもとでは十分にありうるとされているのだ。この場合、一手遅れればミサイル攻撃を受けるという意味で「緊急の必要がある」と主張しうるのである。
 したがって、この法案とりわけこの第9条によって、政府は「対処基本方針を決定」するとともに、ただちに武力攻撃事態への突入を宣言し、戦争を開始することが完全に合法化されるのである。

 対処基本方針は国会承認前に実施される

 ここで再び、第9条の冒頭の第1項において「政府は、武力攻撃事態に至ったときは、武力攻撃事態への対処に関する基本的な方針を定めるものとする」と言っていることの意味をはっきりとつかまなければならない。つまり、この「対処基本方針」は政府が「定める」ものであって、形式的には閣議決定をもって決定となる。そして、国会承認の前にもすでに基本方針として一部または全部は実施に移されるし、国会承認を受ければ゛承認された決定″となるのである。ここに行政権の決定的な優先性が明らかとなる。
 このことは第10条(対策本部の設置)以下に規定されている「武力攻撃事態対策本部」(戦争遂行最高指導機関といえる)が、「対処基本方針が定められたとき」はただちに閣議決定だけで設置されるとしていることにも通じている。「対処基本方針が定められたとき」というのは政府が決定した時であって、国会が承認した時ではないのだ。
 ここに「対処基本方針」の政府決定即実施ということがありありと示されている。そして、「対処基本方針」の「国会承認」は、実際にどんどん軍事行動を起こし武力行使にいたるどの時点であっても、国会に求めてもいいのである。
 また、米軍の作戦の開始や切迫、北朝鮮などの激しい反応という国際情勢の中で、ミサイル被弾の危機感の扇動や9・11型ゲリラの大都市圏での発生の危険などの排外主義的扇動で、国内政治情勢や野党の動きなどを大いに左右する力を、権力が持つ可能性が大きい。そうした中ではむしろ、国会承認事項が戦争への国民的な意識の高揚の手段に使われることさえある。
 なおこれに関連して、この第9条でさらに問題なのは、一旦承認された「対処基本方針」すなわち戦争遂行方針の「廃止」に関する規定である。第13項および第14項がこれを規定しているが、この「廃止」=戦争終結の一切のプロセスが政府=内閣総理大臣の権限となっていて、国会自体に「廃止」を決定する権限がないのである。したがって、開始した戦争をいつやめるかは、すべて内閣総理大臣の権限にかかっているのである。
 第9条には今ひとつ重大なことがある。それは「対処基本方針」の実施に関して内閣・閣僚などの全権限が内閣総理大臣に集中することだ。こうした問題は第11項で定めている。すなわち「内閣総理大臣は、対処措置を実施するに当たり、対処基本方針に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する」となっている。内閣総理大臣のもとに戦争遂行に関する一切の権限が一元的に集中され、いわば首相独裁体制が敷かれ、首相に戦争大権が付与されるのである。そして、この首相の戦争大権発動の中心的・基軸的機関となるのが、次の第10条から第20条にいたる諸条文において規定されている「武力攻撃事態対策本部」である。

 首相独裁のもとでの戦争指導の最高本部

 第10条(対策本部の設置)によって設置される「武力攻撃事態対策本部」は戦争遂行上の全権限を首相に一元的に集約した首相独裁のもとでの戦争遂行・戦争指導の最高本部である。戦争の遂行が国家をあげての事業となる中で、戦争遂行上の全権限が首相に一元的に集約され、いわば戦争大権が首相に与えられるのである。これは、戦時に名を借りて実質的に、日帝権力構造自体が首相独裁体制に移行するに等しいことである。
 また、ここで注意し確認しておくべきことは、対策本部という名称や、第10条以下の条文が一見戦争上の動員(総動員)、人的・物的・精神的動員に関わる本部のように書かれていることから、この対策本部が調達本部・動員本部のように受けとられかねないが、実際にはそうではないということである。このことは第10条をきちんと読めばはっきりする。
 第10条では、内閣総理大臣は「当該対処基本方針に係る対処措置の実施を推進するため」対策本部を設置するとなっている。「対処措置の実施」とは戦争行為の実施、戦争の遂行ということであって、その調達・動員だけを意味しない。つまり対策本部は対処基本方針の実施・貫徹の機関なのであり、戦争遂行・戦争指導の最高の権力機構というべきものなのである。
 これに関連して第10条で留意しておくべきことがさらに二つある。第一は、この対策本部は、対処基本方針が定められた時、ただちに設置されることになっていることである。つまり国会承認後ではない。しかも、国会承認以前にもどしどし諸方策を実施できるのである。
 第二は、この対策本部はきわめて重大な任務を持つ機関にも関わらず、法律(内閣法第12条第4項の規定では別に設置法が必要。人事院、内閣法制局、安保会議などはすべてそれぞれの設置法によって設置されている)によらず、閣議にかけるだけでただちに設置しうるとしている点である。つまり、首相が戦争開始を決断した時点で、対処基本方針の決定と同時に設置されるのである。これはこの対策本部が戦争実施本部であることをいかんなく示している。
 第11条では、「対策本部の組織」を規定しているが、ここにも重大な特徴が見いだされる。第11条は、対策本部の本部長は内閣総理大臣を、副本部長(複数も可)には国務大臣を、そして本部員には正副本部長以外の国務大臣全員を充てるとしている。つまり、閣僚全員が本部員となるのである。さらに、対策本部には本部の職員が置かれる。この職員は「内閣官房の職員、指定行政機関の長(国務大臣を除く)その他の職員または関係する指定地方行政機関の長その他の職員のうちから内閣総理大臣が任命する」となっている。

 閣僚の権限は一元的に首相に集中される

 ここでは次の重要な点に留意しなければならない。ひとつは、この「対策本部」は内閣構成の全メンバーを含んでいるが、いわゆる閣議ではなく首相の一元的な指揮監督の下での一つの「対策本部」としてある。そして各閣僚が持つ権限や閣議の機能はすべて首相に吸い上げられている。
 今ひとつは、ここでいう本部の職員というのはきわめて重要な権能を有するということだ。これは第13条(指定行政機関の長の権限の委任)で規定されているが、本部職員は、自らの出身母体である指定行政機関や指定地方行政機関の長がその「対処措置を実施するため必要な権限の全部または一部を……委任することができる」存在なのである。簡単に言えば、対策本部長は、全閣僚によって構成される本部員および行政機関の長の対処措置上の権限の一部または全部の委任を受けた職員や一般職員を統一的に指揮監督して、戦争遂行上の一切の措置を実施できるのである。このことが第11条の第2項の「対策本部長は、対策本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する」ということの意味である。
 さらに重要な点は、この対策本部の本部長・副本部長・本部員(国務大臣)が事故や不在の時は、あらかじめ誰を代行に任命するか決められていることである。副本部長が2人以上の時は、本部長の代行となる順序さえ決めている。まさにここに、この対策本部が一瞬の空隙(くうげき)もあってはならない、戦争遂行・戦争指導の最高権力機構であることがよく示されている。
 第12条は、「対策本部の所掌事務」についての規定である。所掌事務という官庁用語(または法律用語)にごまかされてはならない。それは国家権力、地方公共団体、指定公共機関のすべてが実施する対処措置(=戦争遂行上のすべての行為)を、対処基本方針に基づいて総合的に推進する、つまり総合的に一体的に実施する任務を行うということだ。
 第13条(指定行政機関の長の権限の委任)は、先に言及したが、対策本部の職員が対処措置上の必要な指定行政機関の長の権限の全部または一部の委任を受けることができるという条項である。これによって、対策本部は本部長の指揮監督のもとに国家の全機構・機関を戦争遂行に向かって組織することができるのである。

 対策本部長は強制権持つ戦争最高指揮官

 第14条は、「対策本部長の権限」の規定である。この規定によれば、本部長=首相は全行政機関・全地方公共団体・全指定公共機関に対して「実施する対処措置に関する総合調整を行うことができる」。ペテン的な言い方をしているが、本部長=首相は戦争遂行上の諸課題をこれらすべての行政機関・地方公共団体・指定公共機関に実施させることができるということだ。まさに、これは戦争遂行上の全権限の一元化を確認するものだ。実際、この本部長の方針・指示に対しては、それを受けた者は「意見を申し出ることができる」のみであって拒否権はないのである。
 第15条は、「内閣総理大臣の権限」という見出しになっているが、実質的には対策本部長の権限と同じである。ただ、前記第14条での本部長の地方公共団体等に対する総合調整=実施命令が遂行されない時、法律に定めるところによって実施を指示できるとしている。
 さらに、第15条の第2項は強烈である。ここではこうした指示を地方公共団体や指定公共機関が実施しない時は、内閣総理大臣の権限で自ら実施したり実施させたりできるとしている。内閣総理大臣の強制権を確認しているのだ。またこの第二項では、地方公共団体などの実行・不実行にかかわらず「緊急を要する」時は内閣総理大臣の権限で必要な措置を実施したり実施させたりすることができるとしている。
 これらについては「別に法律で定めるところにより」となっているが、その内容はきわめて反人民的であり、かつ地方自治権を否定するものなので、卑劣にも今回は具体案を出していない。しかし、実際には戦争上必要なことはすべて強制するというところに本質があるのだ。
 なお、第15条に基づく強権発動は、第15条の第1項の冒頭で「国民の生命、身体若しくは財産の保護または武力攻撃の排除に支障があり、特に必要があると認める場合であって」と言っているが、ここでいう「武力攻撃の排除」というのは、「武力攻撃」に対して自ら武力行使によってせん滅・撃退することを意味する官庁用語である。つまり、戦争の全面的な遂行ということであり、労働者人民・住民の全生活を戦争に巻き込み、戦災にさらすことだ。そして、その際に地方公共団体や公共機関に実施を強制する内容は、すさまじい質と量をもっているのである。
 朝鮮戦争あるいはベトナム戦争という米軍の大規模侵略戦争の例や、最近のイラク侵略戦争やアフガニスタン侵略戦争が示しているように、米軍・自衛隊の大規模な移動、膨大な軍需物資の調達と輸送、医療活動への人的・物的動員などはとてつもない規模になる。陸・海・空・港湾労組20団体や医療関連労組の有事立法に対する危機感と闘いは、このことをすでに肌で感じとっていることによるのである。
 第16条で規定している「損失に関する財政上の措置」は、戦争方針の実施にともなう地方公共団体・指定公共機関の損失も巨額・膨大なものに及ぶことを明確に示している。
 第17条で規定する「安全の確保」の問題も同じである。そもそも軍隊や軍需物資の輸送は、常に攻撃対象であり、かつ戦争的にも危険な地域へと突入していくものとしてある。それがミサイル攻撃やゲリラ攻撃の重要な対象となることは明白である。こうした業務に労働者人民を動員しようというのである。
 第18条(国際連合安全保障理事会への報告)は、国連への報告の項目であるが、ここで「自衛権の発動」のみならず、日米安保でいう「共同防衛」のケースをあげていることに注目しなければならない。
 日米安保条約では、日本の領域でいずれか一方への攻撃があれば、共同防衛に突入する。例えば米帝の北朝鮮への攻撃が在日米軍基地や領海・領空内の船舶・航空機への反撃を生むならば、これをもってただちに共同防衛体制発動へ進むということである。
 第19条(対策本部の廃止)は、「対処基本方針の廃止」とリンクして規定している。しかし、先に言及したが、「対処基本方針の廃止」は国会の決議によっても廃止されるようにはなっていないのである。
 第20条(主任の大臣)は、対策本部の「主任の大臣は、内閣総理大臣とする」というものである。対策本部という強大な権力装置の主宰者が内閣総理大臣であることを明記し、その権限の所在を確認しているのである。

 第3章 武力攻撃事態への対処に関する法制の整備(第21条〜23条)
 自衛隊と米軍の軍事行動は自由 労働者人民の自由と権利は制限

 人・物を徴用・徴発、拒否した者には罰則

 第3章「武力攻撃事態への対処に関する法制の整備」もきわめてペテン的な方法・内容となっている。
 この間、政府やマスコミは、あたかも有事において「国民の生命と財産を保護する」ための法制の整備の必要性が最大の核心のように宣伝し、そのために有事法制を今から定めておくことが必要であると言ってきた。ところが、ここには二重三重のペテンがある。
 まず第一に、今回の有事3法案の基本が、戦争法、戦争基本法、戦争遂行法であり、それもあたかも防衛戦争の形態を装って侵略戦争を合法化するための侵略戦争遂行法だということである。つまり、憲法第9条を事実上破棄する戦争法(侵略戦争法)だということを隠蔽していることである。
 第二に、第22条(事態対処法制の整備)第1項第一号、第二号で言及していることのペテン性である。第二号では次のように言っている。「武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する行動が円滑かつ効果的に実施されるための次に掲げる措置その他の武力攻撃事態を終結させるための措置」。つまり、自衛隊が全面的に武力行使をするために、その行動の自由と諸権限を定め、そのために労働者人民の自由・権利・生活・職場などをそれに沿って制限し、従属させ、犠牲にするということだ。続く第23条では、そのための法律を2年以内に整備すると言っているのだ。
 ところが、これに続く具体的な項目には、イ捕虜の取り扱いに関する措置、ロ電波の利用その他通信に関する措置、ハ船舶及び航空機の航行に関する措置――の3つの措置について法整備の必要があると言っている。
 確かにこれらは重大な問題であるが、本来この項目において言及されるべきことは、第2条(定義)の第六号において規定している「武力攻撃の排除」=戦争の遂行、武力行使のための自衛隊・米軍への「物品、施設または役務の提供その他の措置」の全ぼうである。そして、そのうちのかなりの部分が今次「自衛隊法改正案」において提起されている。この自衛隊法改正案は「自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案」などという抽象的でペテン的なタイトルをつけて提出されているが、その内容は自衛隊が「武力攻撃事態法」にのっとって戦争に突入していく際の行動の自由、土地・物・人についての使用・徴用・徴発の権利と、それを拒否した者への罰則規定なのである。
 したがって、武力攻撃事態法案の第3章第22条においては、自衛隊の有事における武力行使にともなう諸法制と今次自衛隊法改正案が、自衛隊をめぐる有事法制整備として行われていることに言及し、なおかつ以下(前記のイロハ)の法制化が必要となると言うべきなのである。立法技術を巧みに駆使して、人民をペテンにかけようとしているのである。

 米軍関連の有事規定は項目さえも出さず

 第三は、第22条第1項第三号の問題である。いわゆる有事において、労働者人民の権利・生活その他を侵害し破壊し制限する最大のものは、具体的には米軍の行動の問題であろう。ところが、この米軍の「必要な行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置」について、問題となる具体的な項目の列挙さえしていないのである。
 米軍はすでに日米安保条約や日米地位協定などによって巨大な特権をもっているが、有事においてはさらに大きな、さまざまな動きを示すのであって、新安保ガイドライン関連法(改悪米軍用地特措法)ですでに言及している諸項目を始め物資・役務の提供、土地の収用・使用、陸海空の輸送の膨大化とその従事命令、とりわけそれらの沖縄での適用・実施と、有事法制上からいえば最大級の諸問題がはらまれているのだ。
 第四は、有事において「武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護するため」と言っている第22条第1項第一号の問題である。これは「国民の保護」などと言っているが、実は国民の戦争への協力を要求(強制)し、「国民の生活・経済生活」を戦争に従属させ、統制支配しようとするものであり、憲法に保障されている自由と権利を生活の隅々にいたるまで奪っていくものとしてある。
 第3条(武力攻撃事態への対処に関する基本理念)で「憲法の保障する国民の自由と権利に制限が加えられる場合」について言及していながら、第21条から第23条、つまり第3章全体をとおして、この「国民の自由と権利の制限」に言及していないというのは破廉恥である。

 自衛隊法改悪と表裏一体で軍事優先強制

 第3章のペテン性の暴露は、すでに第21条、第22条などに関して内容的にも言及しているので、各条の問題点については以下、簡単に確認しておくにとどめたい。
 第21条は、「事態対処法制の整備に関する基本方針」と称して、「国際人道法」にのっとるとか、対処措置の内容に応じて「安全の確保」を図るとか、「被害の復旧」についての「財政上の措置」をとるとか、「国民の協力が得られるよう」とか、「損失」に対して財政上の措置を講ずるとか――いろいろと言うことによって、国民にそれほど負担をかけないもののように言いなそうとしている。
 これは事態を180度ひっくり返している。「基本方針」でこのようなことを強調するのは、「対処措置」とは戦争であり、それは攻撃すると同時に攻撃されるものであり、その結果、さまざまな負担・被害・危険を強制するものであることを示している。しかも、憲法の保障する「国民の自由と権利」も制限されるのである。しかし、この肝心の点に言及していないのだ。
 第22条(事態対処法制の整備)は、その第1項第一号で「国民の生命、身体及び財産を保護するため」とか、「国民生活及び国民経済に影響を及ぼす場合において当該影響が最小となるようにする」とか言って、イロハニホヘの事項を掲げているが、これらはすべて侵略戦争に際して、国民を戦争遂行に協力させ、生活を変更させ、さらに爆弾やミサイルの攻撃を受け、人が死に、家が焼かれ、必要不可欠の施設が破壊されることを意味しているのだ。
 日帝は、イラク・アフガニスタンへのようにありとあらゆる攻撃を北朝鮮や中国に行うつもりだから、その必死の反撃の結果としてミサイル攻撃を受けたり、ゲリラ攻撃を受けたりすることを想定しているのだ。
 ニの「輸送及び通信に関する措置」の中身は何か。輸送や通信はすべて軍事優先となり、一般の利用はそれに従属させられる。輸送関係の労働者は強制的に軍需輸送に従事させられることを意味する。
 ホの「国民の生活の安定に関する措置」も、項目だけであるが、物価の統制や配給ということがすでに第2条(定義)で言及されている。
 さらに重大なことは、ハの「保健衛生の確保及び社会秩序の維持に関する措置」の項目だ。これは明らかに反戦・反政府行動や労働者のサボタージュやストライキ行動への取り締まりをにおわせている。治安維持法とか戒厳令へと直結する内容を示唆している。
 第二号は、有事法制の中軸のひとつをなす。船舶および航空機はすべて戦争のために優先的に動員される。労働者は攻撃を受ける危険な作業(軍需物資・兵員の輸送など)に強制従事させられる。自衛隊法とその改悪によって、鉄道輸送も軍事動員体制に組み込まれる。
 指定公共機関は、武力攻撃事態法案の第6条(指定公共機関の責務)や第14条(対策本部長の権限)、第15条(内閣総理大臣の権限)などで国の命令に従う以外にないようにされているのだ。地方公共団体は、その管理する空港や港を軍隊が使用することを強制され、拒否できなくされる。
 「電波の利用」も内容は恐ろしいものとなる可能性が大きい。徹底的に軍事統制を受けるし、民間人の自由な利用はさまざまに規制されるのだ。
 ここでの問題は、すでに述べたように自衛隊法および今次自衛隊法改正案が持っているものすごい有事立法性である。これらはまさに人的・物的資源の総動員を定めているに等しいものである。今次自衛隊法改正案は、戦時における自衛隊の自由な行動の権限を付与する戦時自衛隊行動権限法であり、国家総動員法であることを同時に暴露していかなければならない。
 第三号は、武力攻撃事態=戦時における米軍の行動の自由、物資の補給や人・物の輸送の保障などの問題を内包しており、有事法制の最大級の対象である。この問題を、こんなところに、こんな抽象的なかたちで押し込んでいることはまったく許せない。
 第23条(事態対処法制の計画的整備)では、第3章(第22条第1項第一〜三号)であげている事態対処法制(有事諸法)の整備について「その緊要性にかんがみ、この法律の施行の日から二年以内を目標として実施する」と言っている。
 これについて油断せずに構える必要がある。ひとつは、この法案が成立し施行される事態となれば、日帝権力はかさにかかって一挙に2年以内にこうした諸法案の攻撃をかけてくることは明白だ。しかし、重要なことは、今次有事立法3法案との闘争そのものの中に、この第3章の内容をも引き込んで闘い、3法案そのものを粉砕するために全力をあげることがもっとも正しい闘い方であろう。
 また、第22条がらみの諸法制は、労働者人民の生活と経済にストレートに大きくかかわり、法案の提出は大反撃を引き起こす可能性があるので、「三矢研究」で検討された方式(百近い戦時諸法案を、委員会審議を省略していきなり本会議にかけ2週間ですべて成立させる)で、情勢が緊迫した時点で一気に短期決戦で国会を通過させる方法をとる危険性もある。この点も暴露していこう。

 第4章 補則(第24条)
 「緊急事態」も武力攻撃事態の法的枠に入れ戦争始める

 第4章「補足」の第24条(その他の緊急事態対処のための措置)では、「武力攻撃事態」以外の、そうした「事態」とまではいえないが、「国家の安全」にとっての「緊急事態」が発生した時の対処をあげている。武力攻撃事態の定義そのものにあてはまらないとしても、それに準じる「緊急事態」として武力攻撃事態法の法的枠内に取り入れ、第24条として規定しているのだ。このことは実質的には、いわゆる「領域警備」といわれる範疇(はんちゅう)のものや9・11型またはそれに相応するような中小のゲリラなどの際にも、武力攻撃事態法の精神で対処する、つまり戦争的・軍事的に対応することを確認しているのである。また、それが戦争挑発の手段となることもきわめてありうることである。
 これは安保会議設置法改正案で第2条第1項第七号として新たに規定されている「重大緊急事態」への対処と呼応するものだ。しかし、同案では内閣総理大臣の諮問すべき事項としてあげられているが、武力攻撃事態法案では「対処を迅速かつ的確に実施するために必要な施策を講ずるものとする」というように、すでに施策の実行が法的に根拠づけられている。
 もちろん、この第24条関連の有事立法が行われることもありうる。
 重要なことは、いわゆる「不審船」問題のようなケースも、すでに武力攻撃事態の範疇に引き込んで対処するということであり、それは、一種の前哨戦的形態をとった軍事行動・戦争行為の遂行であり、戦争挑発や威力偵察活動ということだ。これは侵略戦争行為の始まりである。 (つづく)

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週刊『前進』(2065号5面1)

 サンゴ礁を埋め立て2500メートル滑走路 名護新基地計画決定弾劾する

 日帝・小泉政権は、7月29日、第9回普天間代替施設協議会を開き、名護市辺野古への米海兵隊新基地建設についての「基本計画決定」を強行した。有事立法と一体の米軍基地強化・沖縄圧殺の攻撃である。
 「基本計画」は、「辺野古のリーフ(サンゴ礁の隆起部分)を埋め立て、滑走路2500b、総面積184f、工期9年半、総工費3300億円、環境影響アセスメントに3年間かける、2015年供用開始」というものである。
 また、「普天間代替施設の使用協定基本合意」について、尾身沖縄担当相、川口外相、中谷防衛庁長官と稲嶺沖縄県知事、岸本名護市長が調印した。その中身は、「施設・区域としての機能については、SACO最終報告の内容に何ら変更のないことを確認する」として、岸本が名護への新基地建設受け入れ7条件としてペテン的に掲げてきた「基地の整理・縮小」「周辺住民生活の安全確保」などを一蹴した。「15年使用期限」問題について、稲嶺知事は、「着工までには一定の方向性を示していただくよう……要望した」と強がって見せたが、川口外相は、国際情勢を理由に問題にもならないと回答した。
 この基本計画の内容は、97年の市民投票で拒絶された政府案の2倍以上の規模で、しかも辺野古からわずか2・2`の海面を埋め立てる恒久施設であり、絶対に許せないものだ。
 小泉政権の「基本計画決定」は、下地幹郎衆院議員の「普天間基地の嘉手納統合案」やそれを受けた麻生政調会長の「15年期限といううそをいつまでつき続けるのか」という発言をもテコとして、絶望的な現状を突破しようとするものだ。小泉政権が狙っているのは、稲嶺の県知事再選をもって「基本計画への県民世論の支持」と強弁し、着工への階段を一気に上ることである。そのために沖縄の反基地闘争を国家的重圧で押しつぶそうとしている。とりわけ、名護市長選で勇気ある決起をした1万人余の基地絶対反対の市民・労働者・農民・学生の闘いを圧殺しようとしている。
 日帝・外務省は、第9回普天間代替施設協の日程公表と同時に、ブッシュ政権の対日安保政策の責任者・アーミテージ米国務副長官の来日(8月27日)と、そこでの「日米戦略対話(96年4月の日米首脳会談で合意)」着手を発表した。「日米戦略対話」の目的は、対イラク侵略戦争への日帝参戦の決定であり、そのために日帝に有事立法・SACO貫徹の対米公約の完全履行を迫るものである。有事立法・SACO貫徹=沖縄圧殺攻撃の絵に描いたような展開である。
 米帝ブッシュ政権は、7月12日に公表した国防総省「中国軍事情勢報告」で、「中国の核ミサイルの一部は沖縄の米軍基地を標的にしている」と初めて記述した。米帝は、世界戦争戦略のアジアにおける軍事拠点として沖縄を位置づけ直し、沖縄を対中国・北朝鮮への侵略戦争の戦場にすると公式に言明したのだ。
 日帝・小泉政権は、米帝ブッシュによる第3次世界戦争過程への突入に対し、とりわけ北朝鮮・中国に対する世界大戦級の侵略戦争に共同的=競合的に参戦することで、世界恐慌と帝国主義侵略戦争が渦巻く21世紀初頭での帝国主義的延命を図ろうとしている。
 だが、これに立ちはだかってきたのが、名護新基地建設とSACO実施を6年間にわたってストップさせている沖縄の闘いであり、陸・海・空・港湾労組20団体を軸に労働者階級本隊の中から巻き起こっている有事立法阻止の闘いである。
 名護新基地建設阻止・SACO粉砕!米軍基地撤去の闘いを日帝・小泉政権にたたきつけよう。とりわけ9月8日投票の沖縄一斉地方選挙では、宮城康博前名護市議の必勝を頂点に基地絶対反対を闘う議員すべての当選へ総決起しよう。

 名護被弾事件に怒りを

 7月23日、名護市数久田で農作業中の男性のわき2bに米海兵隊の重機関銃M2(50口径)の実弾が着弾する事件が起きた。米軍は、キャンプ・シュワブ内の実弾射撃場「レンジ10」を使って実弾演習を実施しておりその弾が標的をそれて民間地域に飛んできたのだ。78年ころに相次いで発生した被弾事件(走行中のタクシーや民家に被弾)への県民の抗議を受けて、米軍自身が、「レンジ10は狭く、民間地域に近い」として使用禁止にしていた。この危険なレンジ10を使って、しかも、被弾事故防止策として装着が義務づけられていた射角制御装置もつけず、さらに、車両にM2をとり付け、移動させながら実弾を射撃していたのだ。まさしく、実戦型の演習を行っていたのだ。
 この間、沖縄の米海兵隊基地であるキャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンでは、機関銃などの実弾演習が激しくなっていることが周辺の住民によって確認されていた。今回の事件も含め一連の演習激化は、在沖米軍が10・7以後戦時体制に突入していることを裏付けるものだ。北朝鮮・中国侵略戦争切迫下で、大惨事がいつ起きても不思議ではない事態なのである。
 有事立法への危機感と重なり、沖縄の怒りは沸騰している。米軍の実弾演習阻止―米軍基地撤去の新たな闘いを爆発させよう。

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週刊『前進』(2065号5面2)

 コミューン 9月号 有事法賛成の連合

 特集は「有事立法に賛成した連合」。
 第1章では、5・16連合見解が労働者階級全体を侵略戦争に総動員する恐るべき攻撃であること、他方で海員組合を始め連合内で有事立法反対の声が噴出し連合が大動揺していることを明らかにしている。有事立法反対で組合を組織し連合見解を粉砕することを訴えている。
 第2章では、侵略翼賛勢力として登場を図る連合が、PKO法案反対闘争を抑圧できず、93年「連合の政治方針」で統制を強め、小沢路線と一体となってついに社会党解体の最大の反動的役割を果たした政治過程を整理し連合の本質を暴いている。
 第3章では、95年日経連路線の下、企業主義と企業別組合という組織基盤の崩壊を前にした連合の危機を暴き、そうした中で連合が祖国防衛主義をふりまき国家主義で労働者統合を図り、侵略戦争翼賛で危機乗り切りを狙っていることを徹底的に弾劾している。最後に右翼労戦統一運動と連合結成の歴史をまとめた。
 医療/『人体を「資源」にする生命操作の実態』(上)では、人クローン規制法で推進される優生政策をQ&Aで論じている。優生学運動の本質が、危機に陥った帝国主義による、革命的階級闘争の分断・圧殺だということを、歴史と現在の具体的資料にもとづいて解明している。そして「障害者」差別・抹殺との対決を全人民の課題として呼びかけている。

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週刊『前進』(2065号6面1)

弾圧と闘う 迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判
長期投獄うち破れ 裁判所の権力犯罪許さず4同志を即時奪還しよう

 3畳の独房に16年の拘禁は非人間的拷問

 迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志への未決勾留はこの10月で16年目に入ろうとしている。福嶋昌男同志はすでに10年目に入っている。裁判も終わらず判決も出ないうちから、このような長期間にわたって、無実の4同志を獄中に閉じこめておくことは絶対に許せない。
 たとえどのような重罪容疑で指名手配された場合でも、15年たてば時効が成立する。ところが無実の4同志は、裁判とも言えないデタラメな裁判で、判決なしで事実上の無期懲役にも等しい長期にわたる身柄の拘束を受けているのだ。このような理不尽な人権侵害をこれ以上続けることを絶対に許してはならない。
 獄中の同志がたびたび訴えているように、人間は長期間にわたってひとりでいるようにはできていない。多くの人と触れあい、話し合い、時には対立しけんかしたりしながら人間関係を形成して生きている。
 ところが、3同志の場合、16年間も東京拘置所に隔離されているのだ。一言で「未決勾留16年」というが、その一日一日は、3畳ほどのコンクリートの壁に囲まれた独房で自由に歩き回ることすら禁止され、24時間監視された生活を強いられているのだ。公判への出廷と面会(家族との面会も含めて一日一回30分以内)のみが、唯一の人間的な会話の時なのだ。このような非人間的な生活を強制されることは、たとえ数カ月間でもすでに拷問的であり、ましてや16年間という途方もない時間を強制するのは、まさに恐るべき人権侵害=拷問である。
 迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判闘争は、ロケット弾戦闘そのものとの関係も、獄中被告との関係も何ひとつ明らかになっていない「証拠物」を、検察側が次から次へと提出し、それを裁判所がほとんどすべて認めるというデタラメな裁判と闘いぬいてきた。被告・弁護団と家族・支援者が一体となって必死にこの権力犯罪を暴いて闘ってきた結果、検察側立証は次々と破綻(はたん)し、公訴の前提条件が崩壊してしまい、本来ならとっくに公訴棄却となって当然なのである。
 にもかかわらず裁判所が全力で検察官を救済し続けた結果、検察側立証だけで13年も費やすという前例のない不当な長期裁判になっている。つまり、裁判所と検察官が一体となって、被告を判決もなしに長期に拘禁し続けるために爆取裁判をデッチあげたとしか言いようがない。これ自体とてつもない被告への人権侵害であり、絶対許されない権力犯罪である。
 このような、裁判所自らが憲法も刑訴法も踏みにじり、被告の人権を無視した裁判によって強制された16年の長きにわたる非人間的な拘禁生活によって、獄中の4同志の健康状態は日々損なわれ続けている。
 とりわけ板垣同志は、現在、頸椎(けいつい)症からくる手や背中のしびれ、痛みの症状が激しくて公判準備もままならない状態にある。頸椎症の診断を行った東拘の医師ですら、頸椎症の診断にはレントゲン撮影のほかに、MRIやCTスキャンによる検査は不可欠であり、「MRIは外では常識である」とすら言っている。東拘にはMRI検査の設備はない。東拘によるおざなりの診断では、ほとんど満足な治療は望めず、被告・弁護団は外部の医療機関による医療鑑定を請求して闘っている。獄中同志の健康問題を考えると、身柄の奪還=治療はもはや人道上の問題、人権問題なのだ。
 この点では、昨年いったんは外部医療機関での医療鑑定をかちとった須賀同志の治療とリハビリも、東拘では基本的に不可能であり(これは東拘の医師自身が言っている)、リハビリがきちんと保障されれば健康も回復できるのに、それすら奪われている。
 同様に十亀同志も、また福嶋同志も不当な長期勾留の結果その健康はきわめて厳しい状態におかれており、身柄の奪還が火急の課題となっている。
 獄中の4同志が不屈の戦闘精神で闘っていることをもって、獄外にあるわれわれがその奪還を一日でも遅らせることがあってはならない。昨年の12・15革共同集会における長期獄中同志即時奪還の決意をあらためてわがものとして全力で決起しよう。

 「不当に長期でない」と強弁、居直る木口

 本年2月の3同志に対する保釈却下の不当な決定において木口裁判長は、「不当に長期ではない」「罪証隠滅のおそれ」を主な理由として上げている。
 なんということか。15年もの拘禁生活を「不当に長期ではない」などということが許されるのか。逮捕された年に生まれた子どもは中学を卒業する年なのだ。また、検察側立証がすでに終了しているのに、「罪証隠滅のおそれ」がどこにあるというのか。何ひとつまともに主張できる理由はない、4同志をこれ以上獄中に閉じ込めておく理由はまったく存在しない、ということを裁判所自らが認めたに等しいのである。
 なぜ、このような理不尽で非人間的な弾圧が行われているのか。それは、不屈に反戦闘争を闘い、爆取1条という重罪攻撃のデッチあげにも屈せず、帝国主義の侵略戦争を非妥協的に断罪し続けている4同志の存在に、日帝権力が心底恐怖しているからである。
 9・11反米ゲリラ戦争に対して、米帝ブッシュ政権が10・7アフガニスタン侵略戦争への突入をもって世界戦争を開始したことに対し、日帝・小泉政権は、北朝鮮・中国への侵略戦争を想定した有事立法制定に全力を挙げている。切迫する北朝鮮侵略戦争への全人民の総動員体制をつくることに、日帝としての死活をかけている。だから、いかなる弾圧にも屈せずに獄中非転向を貫いている4同志の存在に、日帝権力は死ぬほど恐怖しているのだ。

 闘うものへの見せしめ攻撃

 そもそもこの爆取デッチあげ弾圧とは何なのか。
 1986年、昭和天皇の在位60年式典と東京サミットの開催に反対して、サミット会場の迎賓館と米軍横田基地に対するロケット弾戦闘が闘われた。この戦闘は、「戦後政治の総決算」攻撃を掲げて、軍事大国化・改憲の道に踏み込み、国鉄分割・民営化をもって戦後労働運動の解体攻撃に手をかけていた日帝・中曽根に対する怒りの決起であり、実力で闘いぬかれた反戦闘争である。
 世界の耳目の集まる中で打撃を受け、面目丸つぶれとなった自民党・中曽根政権は、5月7日には警察庁長官が「テロ・ゲリラを根絶せよ」との声明(いわゆる「5・7宣言」)を出し、警察の総力をあげて「犯人探し」に突入していったのである。
 それ以降、日帝権力の反戦闘争に対する弾圧は、従来以上にあくどいデッチあげ弾圧を常套(じょうとう)手段とするようになった。「私文書偽造」「免状不実記載」などのデタラメきわまりない手口でのデッチあげ弾圧が日常的に強行される中で、87年10月13日、別件の岩手弾圧で逮捕され獄中にいた須賀、十亀、板垣の3同志を迎賓館・横田事件の「実行犯」としてデッチあげ逮捕し、福嶋同志を全国指名手配したのである。だが、権力は、4同志がこのロケット弾戦闘とは無関係であり、ましてや「実行犯」などということは百パーセントうそであることは百も承知でデッチあげたのだ。
 権力自身が「実行犯」として逮捕しておきながら、「事前共謀」に変更して起訴した「起訴状」で自白しているように、〈事前共謀については、その日時は不詳、場所も不詳、氏名も不詳の者と4人が「事前共謀」した〉というのだ。
 これほどデタラメな起訴状がほかにあるのか。要するに、〈内容は何でもいい、中核派が行った戦闘だから中核派から犯人を出せ〉という論理で逮捕し起訴したのである。まさに、ブッシュやイスラエル・シャロンのやっていることとまったく同じではないか。
 日帝の侵略戦争と闘う者にはむき出しの暴力で屈服を迫っているのだ。戦争に反対して不屈に闘う者は誰であれ、その思想信条が問題であり「非国民」だとして投獄し、いつまでも閉じこめておくというのだ。「迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判」で逮捕・起訴された4同志への攻撃は、かつての治安維持法下で強行された予防拘禁の復活そのものだ。だから、闘う者への見せしめとして、デッチあげ逮捕して起訴し、裁判ならざる「裁判」で長期に獄に閉じこめ、保釈も認めないというのである。
 まさに、このような攻撃に真っ向から立ち向かっている4同志の闘いは、有事立法攻撃との闘いそのものであり、反戦闘争そのものなのである。

 10万人署名運動強め地裁を追いつめよう

 裁判所も検察官も、これ以上4同志を拘禁し続けておく正当な理由を示すことがまったくできない。ここに敵の最大の破綻点がある。権力をもち、監獄という暴力を独占しているから通用するように見えるだけなのだ。本来、法の名によって人民を支配する裁判所や検察官が今、自らそれを踏みにじっている姿は、危機に立ち余裕を失っているのは敵権力なのだということを示している。
 このような権力の攻撃は、巨万の労働者階級人民の憤激・怒りをたたきつけるならば必ずうち破れる。10万人署名運動が大きく前進し始めている。この闘いはすでに、多くの弁護士、学者、宗教者などを先頭に、誰にでもできる署名運動という形態をとって、真実と人間的怒りに満ちた10万人の声として、裁判所を揺るがす力となりつつある。それは16年の長期の獄中闘争として不屈に戦争反対を貫く獄中被告を先頭にした反戦闘争そのものだ。
 〈不当な長期勾留をやめさせるために!10万人署名運動〉の呼びかけにこたえて、なんとしても8月中に5万筆を達成し、9月の新たな保釈請求で絶対に4人を奪還しよう。4同志の保釈奪還を突破口に、星野文昭同志を始めとする全獄中同志の実力奪還へ突き進もう。

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週刊『前進』(2065号6面2)

無実の星野同志を取り戻そう 無実の星野同志を取り戻そう (1)

 28年目の獄中闘争 再審開始・無罪獲得へ 全国的救援運動の拡大を

 奪還の誓い

 この8月6日、星野文昭同志は不当逮捕から27年を迎えた。いま酷暑の徳島刑務所で、28年目の獄中闘争に突入している。
 われわれは昨年の12・15革共同集会で、無期攻撃と闘っている星野文昭同志、そして爆取(爆発物取締罰則)攻撃と闘っている須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志、福嶋昌男同志の奪還のために総決起することを誓った。
 同時に、二重対峙・対カクマル戦の先頭に立って弾圧を受けた同志、デッチあげ攻撃と闘う同志の奪還を決意した。
 しかし、われわれは、いまだに星野同志らを奪還できていない。12・15集会で誓ったように、星野同志を始めとする諸同志はわれわれの分身である。わたし自身、あなた自身の分身が、クーラーも扇風機もない真夏の獄中で、そして冬にはこごえる獄中で闘い抜いているのである。このことを革命党として痛恨の思いで確認し、労働者階級の総決起で奪還するために総力で決起しよう。
 われわれは、あらためて確認しなければならない。星野同志は無実である。国家権力は、虚偽の供述だけを「証拠」として星野同志に死刑を求刑し、無期懲役を宣告した。
 この現実を片時も忘れることなく、12・15集会での誓いを必ず実現するために闘い抜こう。

 71年11・14闘争

 71年11・14闘争はどのような闘いであったか。それは、沖縄人民の願いを逆手にとった日帝のペテン的返還政策との決死の闘いであった。
 「復帰」後30年目の沖縄の現実を見てほしい。過去も現在も、沖縄は日本帝国主義の差別的政策のもとに置かれ、基地の島、戦争の島としてのあり方を強制され続けている。沖縄人民の本土復帰闘争は、戦後の米軍支配の現実を打ち破るための闘いであった。そこには、米軍だけでなく米軍政を強要している日帝への根底からの糾弾と現状変革の叫びが込められていた。70年安保・沖縄闘争において革命的左翼は、ベトナム反戦闘争の高揚を基礎に、沖縄人民の血の叫びを全身で受けとめ、沖縄と本土の人民の革命的合流をめざして日帝と激突した。
 これに対して日本帝国主義は、それまでの沖縄政策を維持できない所に追い詰められて、沖縄人民の願いにこたえるかのようなポーズをとりながら、その実、基地の島としての現実は維持・強化するという文字どおりペテン的な沖縄返還政策を強行したのである。
 沖縄人民は、70年コザ暴動から71年ゼネストへと闘い抜き、根底的な「ノー」を突きつけた。われわれは、社・共の体制内的要求と制動をのりこえて沖縄人民に連帯し、返還協定批准阻止に向けて決死の覚悟で立ち上がった。
 それは、平和的な闘いではありえなかった。日帝・国家権力は、東京を戒厳令にも等しい状況下に置き、一切の集会・デモを圧殺しようとした。69年に続いて破防法を発動し、機動隊の暴力で政治的危機を突破しようとしたのである。これに呼応して、カクマルが反革命として動きを開始していた。
 11・14は、それまでの闘いと違い、結集や移動そのものが軍事的闘いだった。学生や労働者は、各所で機動隊の襲撃を受けながら渋谷突入をめざして闘った。池袋駅では永田典子同志が、機動隊の襲撃で虐殺された。
 星野同志を先頭とする労働者・学生約150人は、午後3時過ぎ代々木八幡駅に降り立ち、一路渋谷をめざして進撃した。途中、立ちはだかる機動隊を粉砕して、すべての店がシャッターを降ろし「死の街」と化した渋谷に登場して、待ち受ける数千人の人民と合流したのである。

 うその供述

 日帝・国家権力は、労働者階級の憎しみの的・機動隊が粉砕され、隊員1人がせん滅されたことに驚がくし、震え上がった。
 国家権力は凶暴な報復弾圧をめざしたが、機動隊が敗走したため現場での逮捕者も直接の物証もゼロだった。行き詰まった権力は、闘争参加者の中に群馬県の闘争経験の浅い学生たちがいることに目をつけ、ここに攻撃を集中した。
 国家権力は、三里塚闘争で2件の指名手配攻撃を受けながら、渋谷突入の先頭に立った星野同志に対して、最初から死刑攻撃を意図していた。革命的左翼の闘いで初めての死刑を求刑するために、一般的な共謀共同正犯ではなく、現場共謀に基づく機動隊せん滅の実行正犯とするストーリーをデッチあげた。
 75年8月、星野同志は不当にも逮捕・起訴され、12月、荒川碩哉(ひろや)同志、奥深山幸男さんの裁判と併合された。権力の密室でつくられた供述調書が唯一の「証拠」だったが、6人のうち5人が、うその供述を強いられて真実を語らなかったことを法廷で証言した。残りの1人は証言を拒否した。79年2月、検察官は星野同志に死刑を求刑した。ただちに死刑阻止の大運動が展開され、半年で12万人の署名が集まった。同年8月、東京地裁は懲役20年の有罪判決を下した。
 検察官はあくまで死刑を求めて異例の控訴を行った。控訴審では、一審では隠されていた警察官面前調書(員面調書)が法廷に出された。星野同志と弁護団の必死の努力で、いよいよデッチあげの核心が暴かれようとした時に審理が打ち切られ、83年7月、草場良八裁判長(後の最高裁長官)によって無期懲役が宣告された。86年星野同志は暁子さんと結婚した。
 87年7月、最高裁が上告を棄却して無期懲役が確定した。10月、星野同志は徳島刑務所に移監され、無期懲役との闘いが始まった。星野同志の父、三郎さんは、無念にも90年に逝去された。
 70年代後半から80年代後半にかけて、われわれは二重対峙・対カクマル戦を必死に闘い、前進を切り開いてきた。86年日帝・国家権力の「5・7宣言」体制と激突し、日本革命の命運をかけた攻防戦を展開してきた。権力は星野同志に憎しみを集中して攻撃を強めてきた。草場良八による無期懲役の判決、最高裁の上告棄却は日帝の階級意思そのものである。日帝は、星野同志を人質に取りその一身に攻撃を集中することによって、革命的武装闘争への回答としてきたのである。
 われわれは、対カクマル戦下の厳しい状況の中でも、星野同志と関係諸同志を先頭に懸命の闘いを展開して12万人の署名を集めて死刑を阻止した。しかし、この地平の上に、無期懲役を見すえて闘うことは、十分にできたとは言えない。特に、再審をしないという誤った決定をした。われわれは、獄中の星野同志および家族、救う会の糾弾と訴えを受けて自己批判し、再審を決意した。

 「マル特無期」

 91年5月、再審弁護団が発足し、96年4月に再審請求書を提出した。無期懲役の確定から、実に9年を要した。その内容は、星野同志の無実を完全に証明するものだった。しかし、2000年2月、東京高裁第11刑事部は再審請求を棄却した。ただちに異議申し立てが行われ、現在、第12刑事部において異議審が闘われている。
 再審開始、無罪獲得、これが一切の基軸である。あらゆる証拠を洗い直し、なんとしても星野同志の無実を証明するのだ。
 最高検察庁は、98年6月に「マル特無期」に関する通達を発した。この通達は、今年1月に朝日新聞が暴露するまで隠されてきた。通達は、検察官が「動機や結果が死刑事件に準じるくらい悪質」と判断した者を「マル特無期事件」と位置づけ、「終身か、それに近い期間、服役させる」もので、事実上の終身刑制度を導入するものである。
 日帝・小泉政権は、9・11をもって世界戦争情勢に突入したことに対応して、有事3法の成立を強行し、一気に戦争国家への転換を行おうとしている。国内治安体制の確立のために、反動法案が次々と国会に提出されている。権力は、これを先取りするものとして、事実上の終身刑を導入したのである。そして、今秋の臨時国会にも終身刑導入の法案が公然と提出されようとしている。
 われわれは満身にわき上がる怒りを抑えることができない。戦争国家確立に向けた治安政策の強化を打ち破り、無実の星野同志を絶対に奪還するのだ。われわれは、星野同志を実際に取り戻すために、あらゆる闘いを展開しなければならない。これは、再審開始・無罪獲得とならぶ、星野闘争の重要な柱である。また、劣悪で非人間的な獄中処遇改善の闘いも全力で展開する必要がある。
 これまで全国で闘ってこられた救う会の人たちに学び、ともに闘おう。その呼びかけにこたえ、率先して会員になり救う会を全国に広げよう。そして実際に星野同志を取り戻す「力ある運動」をつくりだそう。
 そのためには、学習が重要だ。大小の学習会を組織し、星野同志が無実であることを体得しよう。『ある冤罪』のビデオ上映会は、きわめて有効である。
 署名運動を拡大しよう。再審要求の署名を集める先頭に立とう。そして、東京高裁への申し入れ、要請行動を強めよう。検察庁が隠し持つすべての証拠を開示させよう。無実の星野同志奪還へ総力で決起しよう。

 星野再審闘争

 71年沖縄返還協定批准阻止に立ち上がった11・14渋谷暴動闘争で機動隊員1人が死亡した事件に対して、権力は星野文昭同志を殺人罪デッチあげで指名手配した。75年8月不当逮捕・起訴。79年2月死刑求刑。東京地裁は懲役20年の判決。83年東京高裁で無期懲役判決。87年最高裁は上告棄却。徳島刑務所に下獄した。96年、無実を訴え再審請求書を提出。00年2月、東京高裁は再審請求を棄却。現在、東京高裁第12刑事部に異議申し立て中。86年に獄中結婚した暁子さんとともに闘っている。現在56歳。

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週刊『前進』(2065号6面3)

6・16を闘って 全組合員に『前進』 6・16報道持ち込む 関東 河野健一

 5月24日、6月16日の(20労組など呼びかけの)2波の有事立法反対の全国集会は、99年の周辺事態法をも上回る大衆的決起が闘いとられ、その陣形は今もって大きく広がっている。わけても今回は20労組を軸とした運動の拡大を「平和フォーラム」がなんとか抑え込もうと、集会への動員など、連合系労組の合流を阻止しようとしたことが大きな特徴と言える。
 今回連合系労組に所属する者なら誰でも体験したと思うが、組合中央のていたらくは目に余るものがあった。かつて、連合参加に際して「内部から批判する」と言っていた日教組、自治労はその典型ではなかったか。
 私の住んでいるA県でも、5月24日、6月16日の動員はなく、5月23日、6月12日(平和フォーラムの集会)だけはしっかり下までおろしてきたが。24日の集会を後日、新聞で知った組合員の本部への不満が相当あったと聞いている。
 そのような中で、私の職場では、特定の組合員には今までも『前進』を売っていたのだが、16日以降、従来のやり方を改め、全組合員にオープンに持ち込むことにした。ただ売るのではなく、自分が16日の集会までの地域・職場での活動を話すことをとおして、そして何よりも、自分たちが今「主流派」として頑張らなくてはならないことを訴えて売っていく。こういう立場をとることをとおして、同時に自分ももう一度さらにきたえてゆこうと考えた。
 もちろん今まで私のことをまったく知らなかった組合員もいるわけで、それは一面ではかなり時間のかかる作業ではあったけれども、若い時の(?)自分に戻ったような気分にもなれたし、結構楽しかった。(今考えてみると)反応はかなりの程度あった。つまり普段私が持ち歩いている『前進』がすべて売れてしまったのだから。
 普段は仕事が忙しくてなかなか時間をとって話す機会がないことが『前進』の販売部数に影響していると思い込んでいたが、たとえ少ない時間ではあっても、私の仕事場に来た時に、すかさず「16日の集会は、このとおりだよ」と言って渡してゆくことによって、限られた時間の中でも内容のある話し合いができるようになった。
 どうしても長年の習慣になれてしまい、発想の転換ができないという自分の弱さを克服してゆくことが大事であるとあらためて痛感した。連合系、共産系が混住する職場であるが、今、組織化の絶好の機会だと思っている。拡大を組織化につなげてゆくために頑張りたい。

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週刊『前進』(2065号6面4)

日誌’027月23日〜30日
普天間代替協が「基本計画」 名護で民間の畑に実弾被弾

●名護市のパイン畑に銃弾 沖縄県名護市数久田のパイナップル畑で男性が農作業をしていたところ、約2bの至近距離に米軍キャンプ・シュワブ演習場「レンジ10」から発射されたとみられる銃弾が着弾した。現場は演習場境界のフェンスから約300b離れた民間地域。過去に流弾事件が相次いだことから、同レンジでの50_口径機関銃訓練の中止を決めていたが、日本政府に通知せず再開していたことが明らかになっている。(23日)
●有事には「思想・信仰の制約も」 福田官房長官が衆院有事法制特別委の質疑で、武力攻撃事態での権利制限について「国及び国民の安全を保つという高度の公共の福祉のため、合理的な範囲と判断される限りにおいては、その制限は(個人の尊重などを定めた)憲法13条に反するものではない」などと述べ、「思想、良心、信仰の自由が制約を受けることはあり得る」として、思想や信仰を理由に自衛隊への協力を拒否することができないケースがあるとの考えを示した。(24日)
●米司令部に自衛官 アフガニスタンでの軍事作戦を統括し対イラク攻撃計画を策定している米中央軍司令部(フロリダ州)に、日本政府が自衛隊員を連絡調整官として派遣する計画を進めていることが分かった。(24日)
●衆院憲法調査会11月3日に中間報告 衆院憲法調査会の幹事会が、今年11月3日に、これまでの議論を総括する中間報告を公表することを決めた。(25日)
●来月に日米戦略対話 アーミテージ米国務副長官が8月27日に訪日し、外務省の竹内行夫事務次官との間で、外交・安全保障問題を包括的に協議する日米戦略対話を行う予定であることが分かった。次官級の戦略対話の開催は初めて。(27日)
●英がイラク攻撃準備 英紙サンデータイムズが、英海軍がイラク南部に対する米軍との陸海空からの軍事行動に向けて、最新鋭の艦船をペルシャ湾へ派遣する準備に入ったと報じた。(28日)
●普天間代替、リーフ埋め立て全長2500bに 政府と沖縄県など関係自治体でつくる代替施設協議会が開かれ、同県宜野湾市の米軍普天間飛行場の代替基地につき、同県名護市辺野古沖のリーフ(サンゴ礁の隆起部分)を埋め立て、滑走路の全長がオーバーラン帯を含めて2500bとなるとした政府の基本計画案を了承した。(29日)
●アフガン「誤爆」で米軍が証拠隠し 英紙タイムズは、米軍が7月1日にアフガニスタンで結婚披露宴の会場を「誤爆」し40人以上が死亡した事件の直後、現場に米軍の要員が入り「爆弾の破片や血痕などの証拠を隠す工作をした」と批判する調査報告書の草案を国連がまとめたと報じた。(29日)
●政府、有事立法に5作業班で推進態勢 政府は、秋に予定される臨時国会で有事立法関連3法案の成立を図るため、今国会終了後ただちに内閣官房を中心に新たな推進態勢をとることを決めた。@国民の保護、A自衛隊の行動の円滑化、B米軍の行動の円滑化、C捕虜の取り扱い、D武力紛争時における非人道的行為の処罰の5分野について、関係省庁を横断した作業チームを設置、前倒しで検討に着手するという。(29日)
●バグダッド占領作戦検討 米紙ニューヨークタイムズは、ブッシュ政権が、イラクのフセイン政権打倒のため、少ない人員でバグダッドを一気に制圧する軍事作戦を検討中と報じた。フセイン大統領を殺害するか孤立させ、指揮命令系統を破壊する内容。(29日)
●臨時国会召集を確認 小泉首相と公明党の神崎代表、保守党の野田党首が与党党首会談を開き、秋に臨時国会を召集し、有事関連3法案と個人情報保護法案をあわせて成立を図る方針を決めた。(29日)

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