ZENSHIN 2002/08/05(No2064
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週刊『前進』(2064号1面1)
8・4革共同集会に大結集を
今秋有事立法闘争を戦後最大の政治決戦として爆発させよ
8・6広島−8・9長崎反戦闘争へ
日帝・小泉政権による有事立法3法案および個人情報保護法案の継続審議強行を許すな。参院での健康保険法改悪など医療制度改悪法案の採決強行・成立を怒りをこめて弾劾する。5月、6月、7・26と闘い抜いてきた地平を踏まえ、新たな決意で有事立法粉砕の臨時国会決戦に総進撃しよう。すでに始まった帝国主義の世界戦争過程に対して、自国帝国主義の侵略戦争阻止、祖国防衛主義の打破をかけた広範で戦闘的な有事立法3法案粉砕決戦の大爆発が求められているのだ。国鉄決戦勝利のための闘いとそれを水路とする戦闘的労働運動再生の闘いを、有事立法攻撃下の死活をかけた闘いとして意義づけ、新たな決意で猛然と闘おう。8・4革共同政治集会に総結集し、今秋決戦の路線と方針も鮮明に、反スターリン主義・革命的共産主義運動の新たな発展の時代を切り開くことを訴える。
第1章 9・11をもって世界戦争情勢に突入した
02年前半期、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争法としての有事立法3法案を粉砕するために、日本の労働者階級人民は必死に闘ってきた。連合の有事立法翼賛の5・16見解を下から打ち破る労働組合・労働者の決起が組織され、生み出された。日帝の侵略戦争で真っ先に動員される陸・海・空・港湾労働者が立ち上がったことを牽引(けんいん)車として、広大な統一戦線が形成された。あらゆる階層・世代の決起がつくり出された。全学連の新たな進撃の時代が切り開かれつつある。朝鮮・中国―アジア人民、13億イスラム諸国人民との新たな国際主義的連帯をかけて、闘いは推し進められた。そして情勢を切り開き、有事立法の成立強行を押し返した。
しかし、有事立法粉砕決戦を文字どおり60年、70年を超える戦闘的大衆闘争として爆発させることからすると、闘いはまだ始まったばかりである。党の前衛的決起とそれを媒介とする労働者階級の内乱的な決起が求められている。そこに向かって、われわれ自身の再武装と再突入をなんとしても強めなければならない。
7・26闘争を闘い抜いた地平から、ここにわれわれは02年後半戦を、有事立法絶対阻止へ、戦後史のすべてをかけた大決戦、戦後史上最大の政治決戦として圧倒的に闘い抜くことを宣言する。革共同集会をそのための熱烈な総決起集会として大成功させ、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争をかつてない大闘争としてかちとり、反戦共同行動委が呼びかける9・22全国総結集闘争―今秋有事立法粉砕決戦に進撃しよう。
有事立法粉砕決戦の基底にある情勢の核心は何か。
それは何よりも、01年9・11反米ゲリラ戦をもって内外情勢が完全に一変し、世界危機が世界戦争に転化する過程がついに始まったことである。
米帝(国際帝国主義)は戦後一貫して侵略戦争を繰り返してきたが、9・11と10・7アフガニスタン侵略戦争をもって、世界戦争の過程に突入した。米帝の戦争目的は「テロ根絶」という凶暴で反革命的な被抑圧民族虐殺戦争であり、全世界でアルカイダを始めすべての武装勢力と民族解放闘争を根絶し圧殺することなしには、終結しえないものである。
だから米帝(国際帝国主義)が開始した戦争は、どこまでも長期化し、無期限化し、全世界に拡大して、人民の無差別な大量虐殺を繰り返す恐るべき世界侵略戦争−世界戦争に転化していかざるをえないのだ。そして現実に、アフガニスタン・パレスチナ・中東での侵略戦争の果てしない拡大、対イラク、対北朝鮮・中国侵略戦争への進展は、不可避的に帝国主義間争闘戦の爆発、帝国主義間戦争へと発展し、第3次世界大戦へと直結していくものとしてあるのだ。
米帝経済の大規模な粉飾決算の露呈と会計不信・ドル不信の噴出をもって始まった米株価とドルの暴落情勢は、29年型世界大恐慌の本格的爆発の始まりであり、米帝の歴史的没落の新段階である。これは29年を超える大恐慌・大不況へと進展し、世界経済の分裂化・ブロック化、帝国主義間の争闘戦を非和解化させ、帝国主義の物質的根底において世界戦争過程を激しく促進する。
そして今秋から来年明けにも、米英帝(国際帝国主義)のイラク侵略戦争が開始されようとしている。7月5日付ニューヨークタイムズがリークした米軍のイラク攻撃計画を直視せよ。それによれば米帝は、クウェート、カタール、トルコの3方向から陸軍・海兵隊よりなる大規模な地上軍を投入し、同時に周辺8カ国に展開する航空戦力を総動員して、イラクを大空爆しフセイン政権を打倒するという戦争計画を作成し、日々更新しているのだ。
米帝の01年版QDR(4年ごとの戦力見直し)を分析すれば明らかなように、それは「国益主義」を振りかざした米帝の「新帝国主義宣言」であり、同時に米帝の世界戦争計画なのだ。そこで「グローバルな大規模戦争」と言っていることは、何よりも対中国の侵略戦争のことであり、究極的には日帝との対決となることも想定した世界戦争戦略だということである。
北朝鮮情勢も中・台情勢も、この米帝新世界戦略と完全に連動している。現在、米帝が強行しているアフガニスタン・パレスチナ・中東侵略戦争は、不可避的にアジアに拡大する。この1〜2年のうちにも北朝鮮・中国侵略戦争が切迫している。米帝は今、ナチス・ドイツがポーランドに侵攻した1939年9月の情勢にすでに突入しているのだ。今度の米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争は、第3次世界大戦の実際の歴史的な始まりである。
このような恐るべき情勢下に今われわれはいるのだ。この中で日帝の政治・経済・軍事の全面にわたる体制的危機が進み、超反革命化が引き起こされている。日帝・小泉の有事立法攻撃こそ、米帝の世界戦争戦略に必死に食らいつき、帝国主義的争闘戦での生き残りをかけて、北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に、全面的に参戦するためのものである。そのための国家総動員体制を形成しようとするものだ。
同時に日帝・小泉は、有事立法攻撃そのものとして「構造改革」を叫び、一大資本攻勢―リストラ・大失業攻撃をかけてきている。闘争団除名・国労解体攻撃を最先端として労働運動・労働組合つぶしの攻撃を激化させている。
この日帝の攻撃と全力で激突し、戦後史上最大の政治闘争として、今秋有事立法粉砕決戦を大爆発させなければならない。
第2章 北朝鮮への侵略戦争強行を狙う有事立法
有事立法決戦爆発のためのポイントは何か。
第一は、闘う労働者人民とともにわが革共同自身が火の玉となって日帝と激突し、自国帝国主義打倒、革命的祖国敗北主義の闘いを断固として貫くことである。自国帝国主義打倒をかけて「連帯し侵略を内乱へ」の闘いを実践することである。〈9・11〉に対する新たな7・7自己批判の貫徹をかけて、闘うパレスチナ・中東・ムスリム人民、闘うアジア人民と連帯し、有事立法粉砕の大衆闘争を爆発させることだ。
第1次世界大戦の勃発(ぼっぱつ)に対する「第2インターの崩壊」を断固のりこえた、レーニンの革命的祖国敗北主義―「帝国主義戦争を内乱へ!」の闘いを本当に実践する闘いが必要なのである。
第二は、有事立法粉砕の大衆闘争を、もっともっと全力を傾注してつくり出すことである。党自身がそのために徹底的に闘うことだ。繰り返し学習会や活動者会議を行って、有事立法決戦論を深める。街頭へ出て演説する。署名街宣を行う。労組オルグを展開する。この中で闘いのイデオロギー的対決軸を一層鮮明にし、宣伝・扇動をみがきあげていく。党自身が〈闘う大衆〉となって階級情勢を切り開いていくということである。党の意識的闘いに媒介されて大衆闘争は絶対に爆発していくのだ。
レーニンが「日和見主義と第2インタナショナルの崩壊」(1916年)で、戦争に対する社会主義者の実践綱領として「非合法組織の結成」(=党建設)と「革命的大衆行動を支持し、発展させ、拡大し、激化させ」ることを強調していることに学び、党自身が全力で大衆闘争の爆発のために闘おう。
第三に、大衆闘争を爆発させるためには、有事立法3法案の徹底的な逐条批判に基づく階級的批判がさらに必要だということである。これを前提化しては大衆闘争にならない。この7〜8月、あらためて有事立法3法案の全面批判に猛然と取り組もう。
有事立法3法案は日帝が北朝鮮・中国侵略戦争をやるための法案である。民主党などは法案に「不備」があるから反対と、とんでもないことを言っているが、現在の条文そのものが米日帝の北朝鮮・中国への侵略戦争を具体的に想定した実戦のための法案なのだ。
(1)武力攻撃事態法案は、具体的な対北朝鮮の戦争挑発とそれへの北朝鮮の対応、そしてそれを口実とする侵略戦争全面突入の作戦計画から策定された戦争遂行・戦争動員のための基本法だ。首相に戦争遂行・戦争動員の最高権力(戦争大権)を与え、首相直属の武力攻撃事態対策本部のもと侵略戦争を実際に遂行する法案なのである。
(2)自衛隊法改正案は、武力攻撃事態法の「対処基本方針」(=戦争方針)を自衛隊が直ちに遂行するための有事自衛隊法=戦時自衛隊権限法であり、国家総動員のための法案である。
(3)安全保障会議設置法改正案は、゛侵略戦争方針策定会議″法案であり、首相みずから自分に戦争大権を付与するための「諮詢(しじゅん)機関」(装置)をつくるための法案である。
この有事立法3法案が、すでに成立している新ガイドライン―周辺事態法と結合すれば、「不備」どころか明日にも北朝鮮侵略戦争に突入できるし、一挙に国家総動員体制がつくれるのだ。「武力攻撃の発生した事態」「そのおそれのある場合」「予測されるに至った事態」という規定のもとに、米帝が北朝鮮侵略戦争を開始した瞬間はもとより、小規模なゲリラ戦やいわゆる「不審船」問題などあらゆる事態を口実に、日帝も侵略戦争に突入できるということである。
有事立法のさらに深めた条文批判を猛然と階級の中に持ち込み、大衆闘争の爆発をつくりだしていこう。
同時に、個人情報保護法案(および住民基本台帳ネットワーク)が有事立法そのものであり、有事立法第4法案であることを明確にし、その反人民性を暴露し、粉砕のために闘おう。これは国家機密保護法、反戦闘争禁止法であり、きわめて広範囲の言論弾圧法である。絶対に粉砕せよ。
小泉は秋の臨時国会に「国民保護法制」の概要を中間報告として提出し、民主党などを修正協議に巻き込んで、3法案の成立を一気に図ろうとしている。戦後最大の政治決戦の爆発へ、全党・全人民が火の玉となって突撃していこう。
第3章 大衆闘争のただ中で革命党建設の前進を
7・28関西に続く8・4革共同大政治集会は世界戦争情勢と有事立法をめぐる巨大な攻防の真っただ中で開催される。これを今秋有事立法決戦への吶喊(とっかん)の熱烈な総決起大会として大結集をかちとることを訴えたい。
今年の8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争は、既成の原水禁・原水協の破産と無力化を断固としてのりこえていく大闘争である。有事立法4法案粉砕、北朝鮮・中国侵略戦争阻止、そして米帝の世界戦争戦略―核先制攻撃と日帝の核武装化の野望と大衆的に対決する闘いだ。全国から大結集し成功させよう。
また有事立法攻撃下の8・15をさまざまな形で闘いぬこう。
さらに、9・8沖縄選挙闘争の勝利を当面の焦点とする沖縄闘争の発展、反対同盟との血盟をかけた4−10月三里塚6カ月決戦の勝利への闘いを、有事立法粉砕の最先端の闘いと位置づけて闘おう。
有事立法決戦と一体のもうひとつの重要な階級決戦が国鉄闘争である。日帝は自民党の甘利副幹事長を先頭に、「ゼロ解決案」を振りかざし、闘争団除名と国労解散を強硬に要求してきている。これは有事立法攻撃そのものである。国労本部の高嶋・寺内・久保ら反動執行部、そしてチャレンジ、反動革同、酒田一派はこれに全面降伏し、国労の魂である闘争団を除名し国労を解体するという大裏切りに突き進んでいる。この反階級的暴挙を断じて許すな。定期大会に向けた代議員選挙での3分の1を超える絶対反対派の形成と、闘争団防衛・本部打倒・国労再生へ総決起しよう。
この夏―秋の今ひとつの組織的決戦が、党建設の闘いだ。世界戦争と革命的情勢の到来のもとでは、レーニンが強調したように革命党なしには一切が空語である。党勢倍増の闘い、機関紙拡大闘争、一時金カンパと財政決戦を不断に計画的にやり抜き、世界革命と日帝打倒に勝利できる強大な党を建設しよう。
反弾圧の闘いが決定的だ。酷暑の中で、病気と闘い、不屈に頑張りぬく超長期の獄中同志と連帯し、保釈・奪還の闘いを強め、10万人署名、1億円基金運動を全力で推進しよう。
最後に、有事立法情勢下の日帝権力とファシスト・カクマルの革共同に対する反革命攻撃と対決し、断固粉砕することを訴えたい。
権力は革共同が支持を広げ、大衆運動を組織しつつあることに危機感をつのらせ、治安弾圧攻撃を激化させている。カクマルは5―6月闘争の大高揚に打撃を受け、革共同と大衆運動へのファシスト的敵対に躍起となっている。この反革命策動を粉砕し、今秋有事立法決戦の爆発へ猛然と決起していこう。
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週刊『前進』(2064号1面2)
労働者階級の未来かけ闘う革共同にカンパを
すべての『前進』読者、支持者のみなさん。世界史の転換点にあたり、絶大な夏期カンパを訴えます。
エンロン、ワールドコムなどの巨大粉飾決算−経営破たんを引き金に、米企業・米金融市場に対する不信が米株価暴落となって爆発しています。これは米帝にとって9・11と並ぶ打撃であり、米帝の没落の画期をなす歴史的事態です。もはや29年大恐慌を上回る世界大恐慌の到来と第3次世界大戦への過程は、不可避に始まっています。
イスラエル・シャロン政権のパレスチナ自治区への全面軍事侵攻を支持する米帝ブッシュは、今年後半から来年前半にもみずから対イラク侵略戦争に突入すると公言しています。さらには対北朝鮮−対中国の侵略戦争も辞さない構えです。米帝の世界戦争計画の最大の戦略目標は中国への侵略戦争と体制転覆であり、さらには帝国主義間戦争さえ設定されています。
10・7アフガニスタン侵略戦争突入をもって、米帝の凶暴な世界戦争路線と戦争計画が実行されつつあるのです。
しかし、この情勢の中で、全世界で労働者が巨大な規模で立ち上がっています。パレスチナ・イスラム諸国人民の命をかけた解放闘争、イタリアやスペインの首切り反対の1千万人を超えるゼネスト決起、南朝鮮・韓国の労働者の永続的闘争が激しく闘われています。
革共同は反スターリン主義・革命的共産主義の党として、開始された世界戦争への過程、始まった国際的内乱、全世界的規模で急接近する革命的情勢をプロレタリア革命の勝利に必ずや転化するために全存在をかけて決起しています。
昨年、第6回大会をかちとり、21世紀の早い時期に世界革命−日本革命をかちとる勝利の路線を打ち立てました。清水選集第5巻序文で「新たな7・7自己批判」を深め、戦後の帝国主義支配体制の根底的打倒の道筋を照らし出しました。
小泉政権の有事立法・改憲攻撃は、戦後の支配体制を戦争一色に塗り替えるおそるべき攻撃です。今秋の臨時国会をめぐる有事立法阻止決戦は革共同と労働者階級の飛躍をかけた未曽有の階級決戦です。
同時に国鉄闘争も正念場です。国労を解体して階級総体を戦争に動員しようとする有事立法と一体の攻撃です。今秋決戦の勝敗は日本の未来を完全に決するものとなりました。革共同は勝利するために総力を傾けます。
6・16代々木公園の6万人結集を頂点に日本の労働者階級はダイナミックな胎動を開始しました。労働者は戦争を阻止し、帝国主義を打倒する力を発揮し始めました。革共同がいよいよ労働者党の真価を発揮する時です。この力を本当に勝利に結びつけるのは革命党の力、組織力と財政力にかかっています。勝利のために決戦カンパを全力でお寄せください。
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週刊『前進』(2064号1面3)
9・8沖縄選挙闘争の勝利へ 闘う候補の全員当選かちとれ
(一)日帝・小泉政権は、有事立法を継続審議にし、秋の臨時国会での強行突破を図ろうとしている。夏から秋の闘い方によって一切が決まる情勢になった。
われわれは、国鉄決戦を軸に階級的労働運動の再生か根絶かをかけたギリギリの攻防が闘われている中で、有事立法決戦に労働者階級本隊が「絶対反対派」を軸に決起しつつある情勢をさらに力強く発展させていかなければならない。
(二)そのためにも、有事立法決戦と沖縄闘争との結合をかちとっていくことがいよいよ重要となってきている。復帰30年目の5・15闘争を引き継いだ沖縄の6月闘争は、6・8の有事立法反対の県民集会と6・23の摩文仁の慰霊祭における小泉弾劾の闘いを頂点として闘われた。日帝の有事立法攻撃が、実際に戦争に突入する国家体制の確立(国家総動員体制)であることに対して、沖縄戦と戦後の米軍支配下での戦争動員の体験をもつ沖縄県民の危機感と怒りは爆発的に高まっている。
沖縄闘争と有事立法決戦の結合とは、どういうことか。絶対反対・絶対阻止の闘い以外の中途半端な道はないということがその核心である。それは、安保粉砕・米軍基地撤去と日帝の戦争体制確立との正面対決を一体のものにすることによって、帝国主義打倒(革命的祖国敗北主義)の死活性を鋭く突きつけ、促進するのである。
(三)9月1日告示−9月8日投票の日程で沖縄で一斉に行われる市町村議員選挙戦は、現在の階級的攻防情勢下で重要な結節環の位置を占めている。この選挙は、全体として有事立法そのものを焦点としていると言えるのであるが、中でも決定的なのは、名護新基地建設(県内移設攻撃)をめぐる闘いが正念場を迎えているということである。日帝支配階級は、この数年間のあらゆる圧殺策動にもかかわらず名護を先頭とする沖縄人民の闘いが不屈に継続し、新基地建設攻撃を阻み続けていることに追いつめられ、激しくイライラをつのらせている。
今年2月の名護市長選における「1万人の絶対反対派」の決起は決定的であった。それは、岸本市長の着工策動に大打撃を与えた。それどころか、稲嶺県政をも大きく追いつめた。具体的に言えば、稲嶺も岸本も、「15年使用期限問題」を中心とするペテン的な「条件」(公約)に大きく縛られ、日帝の早期着工強要に簡単に応じられないのである。この中で、しびれをきらした自民党政調会長麻生が、恫喝的に「15年期限といううそをいつまで続けるのか」と日帝支配階級としての本音を吐いたのである(琉球新報7・6付インタビュー)。麻生は、いったん基地を建設したら何十年でも使うのが当然だ、そうでなければこの財政危機の中で1兆円を超えるばく大な金を出せるはずがないではないか、と言っているのである。小泉はこの発言にノーコメントを決め込んでいる。これ自体がすさまじい恫喝である。これと一体のものとして、自民党沖縄選出議員の下地幹郎による「普天間基地の嘉手納統合案」が提出される事態も生まれた。
こうして、名護新基地建設阻止の闘いは、明らかに新しい局面に入ったのである。日帝支配階級は、「膠着(こうちゃく)状態」と言われるような事態をもはやこれ以上許すことはできないという意志を明確にしている。結論は、半永久的・無制限使用を前提にした早期着工の強要である。そうでなければ、96年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告そのものが決定的に破綻(はたん)する情勢となる。日帝は、戦争体制構築の前提がぐらつくだけでなく、米帝との関係においても大変な国家的外交的破綻に追い込まれる。
(四)こうした情勢下で行われる名護市議選を始めとする沖縄の9月一斉選挙が、有事立法決戦、新基地建設阻止=県内移設攻撃粉砕と直結していることは言うまでもない。実体的にも、名護における選挙は直接的に、新基地建設をめぐる攻防情勢を左右するものとなるのである。
とりわけ、2月の市長選において岸本(その背後の日帝国家権力)と真っ向から対決して闘った宮城康博氏の名護市議選における勝利をかちとることが決定的である。それは闘う全人民の義務であると言わなければならない。さらに、読谷村議の知花昌一氏や北中城村議の宮城盛光氏を始め、現在の情勢下での決定的な攻防点をなす選挙戦が同時一体的に闘われている。
総体として沖縄の9月選挙闘争は、有事立法・沖縄・国鉄決戦の本格的な爆発を戦取していく重要な突破口、鋭い決戦場となっている。
革共同は、以上の立場から、沖縄県委員会を先頭に9月沖縄選挙闘争を闘う。そして革共同は、全国の同志、闘う労働者人民が、可能なさまざまな形で、1カ月間の沖縄選挙決戦に決起することを熱烈に呼びかける。開始された有事立法決戦を文字どおりの歴史的大決戦として切り開くために、「熱い8月」を沖縄とともに闘い抜こうではないか。
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週刊『前進』(2064号2面1)
闘争団除名の暴挙は絶対阻止する
国労解散狙うチャレンジ・革同に代議員の席を断じて渡すな
派閥政治うち破り国労の旗守れ
マル青労同国鉄委員会
有事立法をめぐる大決戦下での国労攻防は、第70回定期全国大会で闘う闘争団の除名を許すのか否かをかけた大決戦に突入した。この闘いには、国鉄分割・民営化以来の国鉄闘争の決着がかかっている。同時にそれは、有事立法によって北朝鮮・中国侵略戦争に突入しようとしている日帝足下での、労働運動の生死をかけた決戦だ。国鉄闘争の勝敗抜きに日本の労働運動を語ることはできない。国鉄決戦はそれほど大きな決戦なのである。闘争団と、闘う国労組合員は、今こそ「闘争団の除名絶対反対」の階級的総決起をつくり出し、国労と国鉄1047人闘争の内側からの解体を策す国労本部執行部、それを牛耳るチャレンジ、革同久保一派、東京地本・酒田一派らを打倒しよう。国鉄闘争と有事立法粉砕の大衆的高揚を結合し、戦争と大失業の小泉反動政権を打ち倒そう。
JR連合と手組み、単一体の解体を策動する高嶋・酒田ら
次期国労定期全国大会は、最高裁訴訟に第三者参加を申し立てた、あるいは鉄建公団訴訟を起こした国労闘争団組合員の除名を許すか否かの大決戦である。
この闘いは、絶対に後戻りのできない決戦である。全国大会代議員選挙において、チャレンジと革同久保一派に大会代議員の3分の2を絶対に握らせてはならない。どんなことがあっても全国大会代議員選挙に勝利し、闘争団の除名を阻まなければならない。
彼らは、3分の2の代議員を握って闘争団除名のフリーハンドを得ようとしている。それだけではない。中央本部委員長・高嶋と東京地本委員長・酒田らは、98年の宮坂「補強5項目」どおりに全国単一体組織である国労の解散=連合体化を図ることで合意している。東日本エリア本部書記長・佐藤勝雄らは、「『スト基金』を取り崩して賛成派闘争団への手切れ金にする」ことさえ画策している。そればかりか組織規約を変更し、国労の闘う歴史と伝統を丸ごと破壊しようとしているのだ。
これは、国労の組織破壊に手を染めた裏切り者=新井修一らと呼応した国労解体の暴挙である。7月3、4日に開かれたJR連合の大会では、ジェイアール東日本ユニオンの新井が新たに執行委員に就任するとともに、「組織混乱の続く国労への対応に積極的に取り組む」なる運動方針を確認した。彼らは、国労本部の屈服と裏切りを突いて、新井らを先頭に国労解体に突っ込んでこようとしているのだ。高嶋・酒田・佐藤勝雄らは完全にこれと連動してうごめいている。こんなことが許せるか。
まさに今次定期全国大会は、闘争団の除名を許すのか否か、国労の解散と国鉄闘争の破壊を許すのか否かをかけた天下分け目の大決戦なのである。
4党合意反対派は、今こそ「闘争団組合員の除名処分を絶対に許さない」という全国的統一方針をしっかりと持ち、絶対に勝利する鉄の意志を固めて、2万人余の国労組合員、とりわけJR本隊組合員を丸ごと獲得する壮絶な闘いに打って出る時である。闘う国労組合員は、チャレンジ、革同久保一派打倒のために全国大会代議員選挙に総決起し、「闘争団除名絶対反対、闘争団を守りぬこう」「闘う国労の旗を守ろう」と訴えて総決起しよう。
自民党の命令で臨大を強行
4月26日の与党3党声明と6月6日の自民党・甘利の記者会見は、これまでの4党合意の枠を越えた攻撃であり、政府・支配階級の階級意志が国鉄闘争の解体、国労の解散にあることを鮮明にした。「有事立法下で国鉄闘争が続いていることや国労という組合が存続することなど許さない。つぶしてしまえ」という、まさに有事立法攻撃そのものの攻撃である。
与党3党声明は、「闘争団を除名し、最高裁訴訟を取り下げなければ、4党合意を離脱する」という文字どおりの全面降伏を突きつけた最後通牒(つうちょう)である。しかし、これは、敵の危機の現れでもある。国労本部を取りこんだ4党合意策動は、この間の闘争団・1047人を先頭にした不屈の闘いによって根本において破綻(はたん)している。
しかし、国労本部は、この攻撃に全面屈服した。4党合意策動が大破産し、与党3党声明において国鉄闘争と国労の解体が目指されていることを百も承知で、与党3党の指示どおり5・27臨時大会を強行した。またも機動隊を導入して、(1)すべての国鉄改革関連訴訟の取り下げ、(2)鉄建公団訴訟などへの参加組合員の直近の全国大会での除名処分、(3)ILOへの追加情報の撤回、というとんでもない裏切り決定まで強行したのである。国鉄闘争の全面降伏を宣言し、闘争団の切り捨てに踏み切る歴史的大裏切りである。
5・27臨大を受けて行われた6月6日の自民党副幹事長・甘利明の記者会見は、5・27臨時大会を「評価」するとともに、「(次は、8月全国大会で)確信犯である闘争団を組織から外せ」という闘争団の除名要求、国鉄闘争と国労の解体要求そのものであった。
団結破壊する「ハガキ行動」
国労本部は、自民党の指示・命令で闘争団の除名へ暴走を開始している。
7月10日、国労中央執行委員会は闘争団の統制処分案を査問委員会に送致した。国労本部は、闘争団に一切の責任を転嫁し、「総団結」の名のもとに、除名に向かっての許し難い分裂策動を繰り広げている。
6月には北海道の闘争団員宅を突然訪れ、屈服を迫る押し込み強盗まがいの「説得活動」を行っている。このやり方は、動労千葉の分離独立の過程で動労カクマルがやったことと同じである。だが、この「説得活動」に応じて本部への「委任状」を提出したのはわずか数名にとどまり、その有効性さえまったく疑わしいものと言われている。
さらに中央本部は、「処分の量定」を決め、査問委員会に送致するという規約にもないやり方をしている。また、JR本隊組合員に対して除名をのませるための踏み絵として「ハガキ行動」を強制してさえいる。これは多くの地本で歯牙(しが)にもかけられず、すでに「お蔵入り」になったところもある。
だが、これら団結破壊としか言えない一つひとつのやり方は、本部が政府・自民党による国鉄闘争と国労解体策動の先兵になり果てたことを示している。
今こそ定期全国大会における本部執行部の闘争団除名策動を渾身(こんしん)の総決起で粉砕し、除名絶対反対、高嶋−寺内−久保執行部打倒、国労の階級的再生へ総決起しよう。
統制処分は絶対に不正義だここに反動派の弱点がある
国労内外から、こうした大反動を打ち破る総決起が大きく燃え広がっている。
何よりも、国労本部の妨害をけって、3分の1を超える闘争団員が最高裁訴訟第三者参加、鉄建公団訴訟に決起したことは決定的である。この闘いは、これを支援する国鉄闘争共闘会議の結成を促し、10万人の支援組織を立ち上げることに成功している。全国では、「闘争団を守りぬき、1047人闘争を発展させよう」という支援共闘の輪が大きく広がりつつある。国鉄闘争は、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団を軸に「1047人闘争」として新たな発展を開始しているのだ。
7月5日、「どうせ門前払いになる」などと高をくくっていた国労本部・弁護団の思惑を突き破って、鉄建公団訴訟で訴訟費用猶予の決定がかちとられ、9月26日の第1回口頭弁論が決定した。自民党・甘利を追いつめた4党合意労働委員会闘争の成果の上に、与党3党声明を「究極の不当労働行為」として徹底糾弾する新たな労働委員会提訴が開始されようとしている。
一方、これを包み込む闘いとして、小泉政権による有事立法攻撃に対し、また大失業をもたらす小泉「構造改革」に対して、全国的な怒りと反撃がかつてない大きさで開始されている。
今や定期全国大会の決戦の成否を決する闘いは、国労本部、チャレンジ、革同久保一派、東京地本・酒田一派のくびきを突き破るJR本隊の決起にかかっている。全国大会代議員選挙で、闘争団の除名に賛成するような連中に3分の2の代議員を絶対に握らせないということである。
闘争団の除名は絶対不正義である。ここに国労本部、国労内反動派の最大の弱点がある。
有事立法が大問題になり、375万人の完全失業者が生まれているまさにこの時に、首を切られた側の国労が、首を切った自民党の命令に従って、首を切られた闘争団員を除名する−−こんなことが許されてたまるか。こんなことを許していたら労働者の闘いは戦争と大失業攻撃の前に粉砕されてしまうのだ。
政府自民党・JRは、闘争団の除名という自らが犯した不正義の前に完全に追いつめられている。本部は「全国大会は解決水準を決める大会」(7・4全国代表者会議)などと、「除名を決める大会にはしない」かのようなペテンを弄(ろう)している。しかしそんなペテンはもはや誰にも通用しない。自民党の言いなりになって国労を解体的危機に陥れたチャレンジ、革同久保一派、酒田一派は、全国大会で除名を決定しなければ、4党合意ばかりか自らも崩壊してしまうことに恐怖し、何がなんでもそれを強行しようとしているのだ。
解決金は幻想と甘利が明言
7月11日、国労本部は、北海道本部・佐藤や九州本部・田口らチャレンジと闘争団家族(すべて賛成派)を引き連れて、甘利への要請行動を行った。
この要請行動で甘利は、次のようにまくし立てた。
@(自分は)副幹事長という立場なのでやむをえず時間を割いてやっている。A名誉(回復)を望むなら裁判をやった方がいいと言ってきた。BJR東は民営化されており、党からいろいろ申し上げられないと当初から言っている。何千万の解決金や、全員の雇用など幻想を言われても困る。執行部には「ゼロプラスアルファ」という現実の中で選択してほしいと言ってきた。C3分の1の反対者がいては4党合意とはならない。反対者が組織に残っていることはありえない。
甘利は、「名誉回復はない」「解決金も雇用も幻想」「反対者が国労に残っていれば4党合意は破棄」と叫び、゛闘争団を除名し、国労解散を決議する以外にない″とあらためて迫ったのである。
「大会を闘争団除名大会にするな」「執行部は総辞職せよ」「派閥政治をのりこえて全国大会代議員選挙闘争に勝利しよう」と、今こそ声を大にして訴えたい。国労組合員は、国労の存亡をかけた決戦に総決起し、闘争団の除名に突き進む一握りの確信犯をたたき出し、闘争団と゛闘う国労″の旗を守りぬこう。
有事立法粉砕決戦と結合し勝利の戦略的展望切り開け
国鉄闘争と有事立法粉砕決戦を結合し、「国鉄闘争勝利、有事立法粉砕」の旗を打ち立て、戦争と大失業の小泉政権を打倒する戦略的展望をしっかりともって、闘う国労の再生に総決起しなければならない。
29年型世界大恐慌がいよいよ本格化する中で、米帝は世界を戦争にたたき込んで延命を図ろうとしている。日帝は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦するため、有事立法の制定に全力を挙げている。この中で、労働組合絶滅の攻撃が極限的に強まり、国鉄闘争はその矢面に立って攻撃の全面的な貫徹を阻んできた。
有事立法粉砕決戦は、陸・海・空・港湾労組20団体を軸に大規模な盛り上がりをみせた。4・19−5・24−6・16と燃え上がった労働者人民の決起は、有事立法粉砕の現実性を指し示した。今こそ国鉄労働者は、この闘いを幾層倍にも拡大し、全人民的総決起をつくり出す闘いの先頭に立つべき時である。そのためにも、20労組の一角を占める国労の階級的再生は待ったなしである。
しかし、6・16への「根こそぎ動員」の本部指令にもかかわらず、大衆闘争を放棄した本部のもとで国労の動員は200人足らずのていたらくだった。4党合意を受け入れ、闘争団を除名しようとする革同久保一派やチャレンジに、有事立法反対闘争を真正面から闘うことなど不可能なのだ。
連合が5・16「連合見解」で有事立法に賛成したことはきわめて重大である。同時に、国労組合員、JR労働者の有事立法反対闘争への決起を阻んでいる最大の要因はJR総連カクマルであり、国労本部なのである。国労の屈服こそが危機に立つJR総連カクマルの有事立法反対闘争への介入を許しているのだ。
JR総連カクマル=松崎の「有事立法反対」の大ペテンは明白だ。「21世紀労使共同宣言」を結んだJR総連は、「指定公共機関」として、有事の際に軍事輸送を担うことをすでに誓っているのであり、松崎の「ストライキの放棄宣言」はJR総連カクマルの側からの軍事輸送協力宣言なのである。
しかし、日本の労働者階級は、これらの裏切り者をのりこえて、有事立法を粉砕し小泉「構造改革」を粉砕する60年、70年を超える一大高揚の過程に突入している。今や労働者は闘わなければ生きられない時代であると同時に、闘えば勝てる時代である。70年安保・沖縄闘争の大高揚とマル生闘争の勝利を見るまでもなく、正念場に突入した国鉄闘争と有事立法粉砕闘争を戦略的に結合して闘うなら、国鉄闘争の勝利をわが手にたぐりよせることは可能なのだ。自民党・甘利らは、そのことに恐怖して「闘争団の除名」を国労本部に命じているのである。
首切り反対闘争を不屈に闘ってきた国労が、国鉄闘争と有事立法粉砕闘争を結合して闘うことは、JR総連カクマルを打倒し、JR労働運動の階級的力関係を大きく転換していく決定的な闘いである。しかも国鉄闘争は、郵政公社化=民営化や「公務員改革」などの国鉄分割・民営化型の大量首切り攻撃に対する闘いの原点であり、この解体なしに小泉「構造改革」は実現できないのである。
こうした絶好機を投げ出し、政府・自民党に屈した本部執行部、チャレンジ、革同久保一派、酒田らの裏切りを断固として粉砕しなければならない。
今こそ国鉄労働者、国労組合員は、国労結成以来の闘いと歴史、その伝統を守りぬき、「除名絶対反対」の国鉄闘争と有事立法闘争を戦略的に結合して戦争と大失業攻撃を打ち破り、闘う国労の再生の道を切り開こうではないか。
全職場に強靱な細胞建設を
定期大会に至る決戦を、チャレンジと革同久保一派を打倒し、国労運動の階級的再生をかちとる闘いとしなければならない。
有事立法粉砕決戦(有事立法粉砕プラス国鉄決戦)をテコに、革共同第6回大会路線の先頭に立って、闘う強大な党細胞を全職場に建設することである。
チャレンジは、今井・新井らが「ジェイアール東日本ユニオン」を結成し分裂・脱落した。その残党は、佐藤勝雄(仙台)、吉田(長野)、酒田(東京)一派に分裂し、離合集散を繰り返している。「クラブ社会」は最後的な分裂過程に突入しているのだ。
一方、革同久保一派は4党合意反対派を全国各地で「革同会議」から除名し分裂を深めている。闘争団・家族をめぐっても、札幌・釧路など悪質な確信犯と北九州地区3闘争団の対立が激化している。その分裂と対立は、全労連、日共内部にも大きく拡大している。
JR本隊でも、鉄産労に追随して初めて貨物の「成績率2%」問題で労働委員会申し立てを行うというていたらくである。5年連続のストなし春闘、4党合意による「労使関係正常化」と称して、合理化攻撃への全面的な屈服が底なしに進んでいる。
もはやいかなる「学校政治」も「派閥政治」も、組合員大衆から見向きもされなくなっている。そもそも86年修善寺大会でこれら既成の「学校」は、国労組合員大衆に本質的にのりこえられてきた。今日まで残ってきたのは、その残がいにすぎない。
この「派閥政治」を打ち破り、根底からのりこえる階級的な団結をつくり出すことが、今、強く求められている。これこそが朽ち果てた「派閥政治」を打破する唯一の道である。
すべての国鉄労働者は国鉄決戦勝利へ総決起するとともに、今こそ革共同とマルクス主義青年労働者同盟の旗のもとに結集しよう。カクマルJR総連派とカクマル中央派ともども、国鉄−JRとすべての戦線で粉砕・打倒し、1047人闘争の勝利をかちとろう。闘争団除名を絶対に阻止し、闘う国労を守りぬき、その戦闘的再生をかちとろう。
「除名絶対反対、執行部打倒」を掲げ、全国大会代議員選挙闘争の勝利へ総決起しよう。この勝利から定期全国大会決戦に総決起しよう。
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週刊『前進』(2064号2面2)
電機連合「職種別賃金」は春闘解体と賃下げの攻撃
有事立法と団結破壊許すな
日帝の有事立法攻撃の真っただ中で、「内への階級戦争」としてしかけられた今春闘での終身雇用制解体と低賃金社会化の攻撃が、労働組合の裏切りによって今一歩、決定的に推し進められようとしている。電機連合が7月3日からの定期大会で鳴り物入りで打ち出した「職種別賃金決定方式」がそれである。
終身雇用制解体攻撃に全面屈服
電機連合の「職種別賃金決定方式」は、労組自らが大幅賃下げを提案するという戦後労働運動史上かつてない決定的な事態である。
電機連合は、今春闘においてベア要求を放棄するだけでなく、資本から「02年度緊急労務対策」と称する賃下げ提案を受けながら一般組合員にはひた隠しにして、3月13日のベアゼロ妥結後、次々に賃下げと定昇凍結をのんでいった。日経連労問研報告の「ベアゼロだけでなく定昇凍結も」という路線を資本の先兵となって労働者階級に押しつけたのだ。
さらに、今回の電機連合の方針は、今春闘での屈服・リストラ容認を開き直るだけでなく、許し難いことに来年度以降の積極的な賃下げ攻撃容認を宣言したものなのだ。
そこでは、電機における10万人リストラ・首切りを受け入れたことを棚上げにし「雇用構造が変化した」ため「雇用の適切な移動」(終身雇用制解体・不安定雇用化と読め)に対応し、「移動が不利にならない処遇システム」(何たる言いぐさ!)を構築するなどと言って、早ければ06年度にも11種類の職種(表上参照)に分けて「産業内横断的」な職種別賃金決定を目指すというものだ。
特定の職種についての賃金が産業内で横断的に決定されていれば、転職しても不利にならないというわけだ。だが、これは転職が前提であり、終身雇用制解体・年功賃金解体攻撃を労組が容認し、推進するものだ。断じて許せない。
しかも、電機連合前委員長・鈴木は、「誰でもできる仕事については、今後一層、価格は下がるだろう」などと言っている。職種別賃金とは、職種間の賃金格差を容認し、大多数の労働者の不安定雇用化と賃下げを意味するとんでもない攻撃なのだ。鈴木は大会で「私たちが発展途上国に駆逐されようとしている」と危機感を絶叫し、国際競争力の観点から「高コスト構造」を「惰性を排して抜本見直し」を行うと、資本と同じ言葉で賃下げ攻撃の先兵になることを誓った。
日経連の多立型賃金と同じ主張
電機連合の職種別賃金のとんでもない裏切り性は、日経連の諸報告を見ればよりはっきりする。
日経連は、5月28日の経団連との統合に先立って、労使関係特別委員会報告「成果主義時代の賃金システムのあり方−多立型賃金体系に向けて」と、「原点回帰−ダイバーシティ・マネジメントの方向性」と題する報告書を相次いで発表した。ダイバーシティとは「多立型」という意味であり、前者は賃金の、後者は人事(雇用)の両面から終身雇用制および、それと一体の年功賃金制度を解体して低賃金社会化を狙うものである。(表下参照)
これを見れば、その内容が、95年の日経連「新時代の『日本的経営』」そのものであることがわかる。3つのグループ分けもそのままだ。日経連がアメリカ型の資本攻勢を打ち出し、労働組合破壊・終身雇用制−年功賃金制度の解体を宣言したのは95年の「新時代の『日本的経営』」であった。ただ、その方針はストレートには貫徹できず、今春闘における連合の屈服による賃下げ攻撃の「成功」をもって、本格的な方針として打ち出してきたのだ。
2つの表を見比べれば、細かな違いは別として、基本的にはまったく同じものであることが分かる。電機連合の打ち出した「職種別賃金決定方式」なるものの正体は、これで完全に明らかになった。
それは、29年型世界大恐慌への突入情勢を背景に日帝の「外への侵略戦争」=有事立法攻撃と対応し、労働者階級に犠牲を転嫁する「内への階級戦争」攻撃であり、資本と有無相通じて賃金闘争による労働者階級の階級的団結を解体・破壊しようとするものだ。
しかも、有事立法容認の5・16連合見解とも一体の国家主義・企業防衛主義そのものだ。電機連合は、造船重機労連や自動車総連とならんで、軍需産業を多く抱える単産であり、その現実に企業防衛主義的に屈服することで、有事立法推進派として犯罪的役割を果たしている。この5・16見解と一体で電機連合の賃闘解体攻撃が繰り出されているのだ。有事立法推進の先兵・電機連合中央打倒が切実に求められている。
電機の後を追う連合中央の方針
連合は、春闘否定の電機「職種別賃金」を連合全体の方針として受け入れようとしている。今春闘でのベア統一要求の放棄に対して、中小を中心に怒りの声が噴出しているにもかかわらず、連合中央は、6月26〜27日の中央委員会でナショナルセンターとしては今後、春闘のベア要求基準を示さない考えを打ち出した。自動車やJAMなどIMF−JC(金属労協)内では、ベア要求(一律賃上げ)を放棄して、「職種別賃金」を今後の賃金要求の基軸に据えようという意見が出てきているのだ。
「職種別賃金」への移行と終身雇用制解体攻撃を許さず、今こそ一律大幅賃上げを掲げて動労千葉のようにストライキで闘うことが問われている。有事立法決戦と一体で職場からの根こそぎの決起を組織し、戦闘的労働運動の革命的復権をかちとろう。(湯村宏則)
電機連合の職種別賃金
@製品組立職
A装置操作職
B機械・加工職
C監督指導職
D企画職
E事務職
F営業職
GSE職
H研究職
I開発・設計職
Jその他の職種
日経連「多立型賃金体系のイメージ」図
区分
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職務(例)
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組織役割
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処遇決定の要素
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定型的職務 |
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一般技能職・一般事務職・販売職 |
定められた手順・手法、システムの職種 |
職務習熟 |
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非定型的職務 |
監督技能職・高度技能職 |
構築された諸システムの調整・保守修得困難な手順・手法、システムの職種 |
職能・役割・成果 |
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企画調査職・研究開発職・営業職・管理職 |
新たなシステムの創造・既存システムの更新とシステム化 |
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週刊『前進』(2064号3面1)
郵政民営化阻止、有事立法粉砕へ
NTT型の首切り推進する連合全逓中央を打倒しよう
56回大会総括と闘う労働者の進路
マル青労同全逓委員会
日帝・小泉政権は、7月延長国会で郵政関連4法案を成立させ、有事立法3法案を継続審議に持ち込もうとしている。危機に陥った小泉は、郵政民営化―大リストラ強行への道筋をつけることで、求心力の回復を図り、支配階級を反革命的に密集させ、秋の臨時国会での有事立法成立へ突進しようとしているのだ。闘う全逓労働者は「郵政民営化阻止、有事立法粉砕」を掲げ、小泉政権打倒へ闘おう。ここに有事立法攻撃との鋭い対決点がある。夏から秋への戦後史上最大の政治闘争を全逓労働者こそが先頭で闘うことを訴えたい。「有事立法賛成」の連合中央を打倒する戦闘的労働者の大隊列を今こそつくり出そう。
全逓第56回定期全国大会が6月19〜21日、水戸市の茨城県民文化センターで開かれた。今大会で連合全逓中央は、「有事立法賛成」の5・16連合見解を全面的に支持し、戦前の産業報国会への道に転落すると同時に、現場労働者の利益を売り渡し、全逓労働運動を解体する方針を決定した。
総務省は7月12日、郵政3事業の01年度決算で「郵便、郵貯の黒字化」を発表した。郵便の黒字80億円は約2千人の人員削減によるものとしている。〃労働者の首を切り事業を守る”――これが労資一体の連合全逓路線の現実だ。郵政関連法成立に連合全逓中央は全面的に賛成した。その核心は公務員の首切り・リストラを郵政公社設立=民営化をとおして全面的に進めようということだ。郵政事業と労働者を食い物にしている郵政族議員・官僚、組合幹部を断じて許すことはできない。現場労働者の怒りで一掃しよう。全国大会を総括し、闘う全逓労働者の任務と方針を以下明らかにしたい。
破産深める全逓中央離反する現場労働者
戦争反対の旗を大きく掲げ、現場労働者の利益と階級的全逓労働運動の前進をつくり出すという、われわれの全逓改革運動が支持される時代が到来したことを、確信をもって大会の総括の第一としたい。
われわれが大会代議員選挙で、また大会に結集した全逓労働者に声を大にして訴えたことは、「戦争法案に反対できない組合は労働者の利益も守れない」「労働者の利益を守れない組合は戦争法案に賛成する」――そういう大恐慌・大失業と戦争の時代に直面しているということだ。そして、有事立法を始めとする戦争国家化攻撃や資本・当局と闘う階級的全逓労働運動を新たに再構築しなければならないということだ。
この過程ではっきりしたことは、連合全逓中央路線に対する怒りや離反・流動化がさらに深まっていることである。代議員選挙での本部派の妨害や不正選挙、それを跳ね返しての反対派の得票数の全体的増加、有事立法反対署名への賛同などはそれを示している。
本部答弁の「昨年1年間の組合員の減少は全逓史上最高」が意味するものは、連合全逓中央路線に対する現場労働者のNOの声である。全逓労働者が求めているのは、今の時代に通用する路線と方針と闘う指導部の登場である。
現場労働者の中にさらに分け入って、われわれの時代認識と全逓改革路線の中身を訴え、ともに闘う全国的陣形をなんとしてもつくり上げなければならない。
第二に確認したいことは、本部方針が形の上では賛成多数(反対42票、賛成328票)で承認されたが、大会代議員の発言で、郵政当局と本部に対する不信と批判が続出したことである。本部方針全面賛成の発言はごくわずかであった。
今後、有事立法や職場の雇用と労働条件をめぐって、当局や連合本部派との現場的な激突が本格的に開始される過程に入ったということである。
全国大会3日間の討論をふり返ってみたい。
石川委員長の大会あいさつでも明らかなように、連合全逓中央は「郵政公社発足を契機に、新時代への『リフレッシュスタート』を宣言」し、「郵政公社にふさわしい事業像や職員像を語り合い」「新しい郵政労働運動を創造する」ものとして今大会を位置付けた。「運動」「事業」「ライフ・ワークスタイル」の3つのリフレッシュと称して、有事立法と一体の郵政公社化=民営化に向けての郵政関連4法案をそのまま全逓の基本方針とし、団結破壊と全逓労働運動解体の方針を提起した。
子会社へ転籍狙う出資条項
その具体的な中身としての「付属方針」=「公社における新たな処遇に向けた全逓の基本的考え方」は、終身雇用制解体、不安定雇用化推進、社会保障制度解体の日経連路線を、全逓として全面的に推進しようというものだ。
それは、大リストラ・合理化、賃下げ・賃金体系改悪、劣悪な労働条件に全逓労働者を差し出すための「新たな処遇」である。公社移行に際して現行労働協約を全面的に破棄し、事実上の民営化として、NTTやJRのようなすさまじいリストラ攻撃が可能な「人事制度、評価制度、賃金制度、非常勤職員制度」にすることを労働組合として提案したのである。
連合全逓中央が自民党郵政族と一体となって「修正要求」した「出資条項」が郵政公社法に盛り込まれた。これは、きわめて重大な攻撃である。公社が関連子会社に出資できるという規定であり、子会社に業務を全面的に外注化し、労働者を転籍―首切りすることが狙いなのだ。NTTが「労使合意」で51歳以上の労働者を退職させ、子会社に再雇用し、3割もの賃下げを強行したのと同様の攻撃だ。
公社に移行しても「国家公務員身分」のままで、スト権剥奪(はくだつ)の代償としての「身分保障」がある。だが「労使合意」があれば好き放題にリストラができるということだ。
現在進められている「郵便新生ビジョン」に基づく1万5千人の削減計画は攻撃の始まりに過ぎない。それをはるかに上回る大リストラに全逓中央は合意を与えたのだ。それは本務者を1割、非常勤などの不安定雇用を9割にするという日経連路線の貫徹である。全逓中央は大会後、この「複合型労働力政策」を、「公務のワークシェアリング」のモデルとして、公務員労働者全体に拡大することさえ提唱している。
日帝は、NTT型の大リストラを今後の一大資本攻勢の方向性にしようとしている。ここには、労働者の団結を破壊して戦争に動員しようとする資本攻勢と有事立法攻撃の一体的な攻撃の激しさがある。
これを推進する連合全逓中央は、これまでの裏切りとも一線を画する大裏切りに踏み込んだのである。
「新たな処遇」に批判が続出
これらに対して代議員の発言に共通していたものは、郵政当局の経営責任や「郵便新生ビジョン」合理化、付属方針への不満・不安、批判であった。
「次々と出される施策に組合員は疲れ切っている」(中国)、「新たな処遇の交渉の節々には職場討議を保障し、慎重な対応を要請する」(近畿)、「郵便新生による痛みをわれわれだけが享受してきた」(東海)「職場では非常勤職員が急激に増加し、どんなに策をつくしても日々の要員確保に苦慮している」(関東)、「新生ビジョン案が示されて以降の職場実態は、心配したとおり効率化施策は実施されるが、管理者の意識改革はほとんど進んでいない」(北陸)などだ。
また、「平和を脅かす動きに対し毅然(きぜん)と対応する決意をこの際組織内外に明らかに」(北海道)、「平和運動は沖縄だけの問題ではない。全国の組合員が今こそ真剣に考えなければならない」(沖縄)、「議案提案で有事法制に対して明確に反対すると説明があったが、議案に書いて欲しかった。被爆地長崎を抱える九州として断固反対であり、全逓が主体となって廃案を求めることを強く本部に求める」(九州)など、有事立法反対の意見も出された。
これに対して本部(野田交渉部長・金子企画部長)の最終答弁は、「交渉姿勢はトータル雇用の確保」「国民に支持される公社の創造」と言いなして、労働組合ならざる方針を強弁し居直りに終始した。また、全郵政との統一問題については一言も触れることができず、ニュー・ユニオン構想の破産を自認したが、全逓を自ら解体する方針に変わりはない。
連合全逓中央の路線に対する現場労働者の離反は、さらに深まっている。労働者は闘わなければ生きられない時代が到来した。全逓労働者もその生き方、闘い方を問われている。
大会をとおして現場全逓労働者の階級性は脈々と生き続けていることがあらためて明らかとなった。連合全逓を大きく揺り動かす闘いを、反戦政治闘争・職場闘争の爆発で必ずつくりあげよう。
有事立法賛成の連合揺るがす反戦闘争を
昨年の9・11反米ゲリラ戦以降、世界情勢が一変する中で、米帝ブッシュ政権はアフガニスタン侵略戦争を強行し、イラク、北朝鮮への戦争を準備している。世界は間違いなく世界戦争に突き進んでいる。米帝は核先制攻撃さえ狙い、中国の政権転覆を最大のターゲットにしている。有事立法は、米帝の侵略戦争に日帝が共同的=競合的に参戦するための侵略戦争法案だ。
9・11が被抑圧民族人民の怒りの爆発であり、帝国主義国の労働者人民への糾弾であると受け止めたわれわれは、帝国主義の侵略戦争を阻止するために、何よりも日帝の有事立法攻撃を粉砕するために全力で闘わなければならない。
米帝が世界戦争にまで訴える背景には、90年代以降続いていたアメリカ経済のバブルが崩壊し、世界大恐慌が一気に爆発しかねない状況に追い込まれていることがある。日本経済も破たん寸前だ。そして日帝・小泉政権は、ついに戦後の労働者支配のかなめであった終身雇用制の解体を軸とする一大資本攻勢と、憲法解体を意図した有事立法攻撃をかけてきている。
こうした攻撃は、年金を始めとした社会保障制度や福祉、税制など戦後の社会のあり方すべてを覆し、弱肉強食の論理で社会を覆うことである。帝国主義間争闘戦での生き残りをかけて労働者に一切の犠牲を押し付け、他方で有事立法・改憲により侵略戦争のできる国に転換しようというのが小泉構造改革の正体だ。
一大資本攻勢に屈服した上に「有事立法賛成」を打ち出した連合の極反動的役割は戦前の産業報国会そのものであり、断じて許すことができない。今、小泉政権は、連合の5・16見解を最大限に利用して、民主党を取り込み、継続審議で法案を成立させようとしている。その見解の中身とは、「緊急事態を速やかに排除し、国民の生活及び財産を守り、基本的人権を尊重するため、憲法の枠内での法整備は、基本的に必要である」「どのような権利がどの程度制限されるのかについて明確にすべき」「十分な議論と解明が必要であり、今国会で急いで成立させることは反対」というものだ。「憲法の枠内」に戦争法案があるはずもない。法案が「不十分」だとして逆に有事立法制定の後押しをし、小泉に救いの手を差し伸べたのである。
それも日本の労働者700万人を組織するナショナルセンターが公然と賛成を表明したことは、戦後史を画する重大な事態としてとらえなければならない。そして、その連合見解にわが全逓を始め自治労、日教組の本部は、賛成したのだ。電機連合や自動車総連、造船重機労連などのIMF−JC系と一緒になって、労働組合の翼賛化にかじを切り、各産別の労働者の戦争動員を始めたのである。国益擁護・労資運命共同体の連合の存在と路線に対する対決が決定的に重要だ。
職場での資本・当局との職場(経済)闘争と有事立法反対の政治闘争への日常的・具体的闘いが、連合路線を現場から粉砕し転覆する決定的な水路となる。断固それを推し進めよう。
その闘いを実践しているのが、海員組合・航空安全会議を始めとする陸・海・空・港湾労組20団体の有事立法反対の陣形だ。4月5千人、5月4万人、6月6万人と画期的闘いが始まっている。新たな情勢の到来の中で労働運動のこれまでの枠組みや常識を超えた本当の闘いが始まっているのである。この20労組の闘いにこたえると同時に、60年安保、70年安保・沖縄闘争を上回る壮大な闘いに発展させなければならない。連合傘下から連合路線を打ち破る決起が求められている。われわれ全逓労働者こそ、その先頭に立たなければならない。
連合派を引き下ろし分会・支部権力握ろう
闘う全逓労働者の第一の方針は、有事立法関連3法案を粉砕するために、職場・地域で署名運動を始めとする闘いに取り組むことである。分会・職場有志などによる創意工夫ある闘いをつくりあげ、連合全逓中央や地本・支部に反対の決議等をたたきつけよう。
また、職場の労働者に大恐慌と戦争の時代認識を真正面から内容豊かに語り、連合派を引きずり下ろして分会・支部権力をかちとる絶好のチャンスとして闘い抜こう。
第二の方針は、郵政公社化=民営化攻撃に対する職場闘争を徹底的に推進し、それを第一の方針と一体のものとして、連合全逓中央を打倒する闘いとして闘うことだ。
現在の新集配システムなどの人員削減合理化、「人事交流」=強制配転などの団結破壊の攻撃を上回る攻撃が、公社化に伴って狙われている。局の廃止の攻撃などがすでに始まろうとしている。そして前述のように郵便労働者の大半を転籍、不安定雇用化する攻撃がたくらまれている。
だが重要なことは、それらの攻撃は、労働組合の合意なしには貫徹できないということだ。連合全逓中央を打倒し、職場の団結を固め、階級的全逓労働運動をつくり出すならば、それらの攻撃を打ち破ることは可能なのだ。
そして、そのかぎは4・28反処分闘争の陣形を拡大することにある。権力は4・28反処分闘争に対して、今春3・27東京地裁反動判決を振り下ろし、その後に被免職者をデッチあげ逮捕した。国労への5・28判決に続く団結権破壊の超反動判決だ。その凶暴性は、郵政民営化と有事立法攻撃の激しさゆえである。
こうした中で連合全逓中央は、公社化までに被免職者を再び組合から排除することを狙っている。闘う全逓労働者を一掃しない限り、ニュー・ユニオンも民営化もできないということだ。4・28被免職者を守り抜き全逓改革をなし遂げることが求められている。支援陣形を拡大し、10月から始まる高裁での控訴審闘争を支えぬこう。
第三の方針は、日本の階級的労働運動の攻防点となっている国鉄決戦勝利のために、動労千葉、国労闘争団を始めとする1047人国鉄闘争の勝利をともにかちとることである。有事立法阻止決戦の中で、日本労働運動の戦闘的再生をかちとろう。
第四の方針は、党建設―職場細胞建設の闘いである。この間の「労働者の中へ」の闘いのすべてを機関紙拡大と党勢の倍増に集約しよう。そして、その力で獄中同志の奪還を一日も早く実現しよう。
夏から秋の有事立法決戦は歴史を画する闘いである。渾身(こんしん)の力を振り絞って労働者を組織しよう。闘う全逓労働者の大隊列の登場こそ、有事立法粉砕、小泉政権打倒の勝利の展望を開くということをがっちりと確認しよう。
同時に、分裂したカクマル中央派とJR総連カクマル・松崎派を打倒しよう。全逓カクマルは、松崎路線で民営化賛成にのめり込んだが、今や完全にグラグラになっている。全逓戦線から一掃しよう。
闘う全逓労働者は、『前進』を読み、マルクス主義青年労働者同盟に結集し、ともに闘おう。
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週刊『前進』(2064号3面2)
労働現場から 賃上げも有事法も地域の団結で闘う 自立労組京都A
私たちの組合は、誰でも一人でも入れる地域合同労組です。4支部があり、今春闘は3支部で賃上げを軸に闘いました。資本の壁は厚く3支部とも賃上げはかちとれていませんが、パート労働者を中心とした支部では、事前協議合意約款を取りました。もう一つの支部では、経営側の一方的賃金決定に対し「組合と協議する」という文言を給与規定に入れさせました。交渉はさらに続いています。
また、失業対策の一環として公的就労事業の実施を2月の府議会に要請し、それに基づき職安前などで3月から署名活動を始めました。他労組にも協力を要請し、3労組が協力、市民グループも署名を集めてくれました。その協力関係の中で、6月3日、マスコミ文化情報労組会議主催の「有事法制・メディア規制法反対」のデモ行進への参加を新聞労組から呼びかけられ、百万人署名運動の仲間とともに参加しました。
組合も有事法制反対の闘いに積極的に参加しようと執行委員会で決定し、5月20日の陸海空交通運輸関係14労組が呼びかける「有事法制反対関西集会」に参加しました。6月12日には有事法制の勉強会を新組合員も含む15人でやりました。
翌13日には、「廃案にしよう!有事3法案」の集会に参加しました。実行委員会にも加わり、集会決議文案の中で「巻き込まれ」論を修正することもできました。16日には上京し代々木公園の集会に参加、6万人の闘いの息吹に興奮しながら、廃案まで闘い抜こうと決意を新たにしました。
7月3日には、公的就労事業の実施について、府議会に請願書を提出しました。内容は、@府独自の公的就労事業の創設、A市町村への創設要請、B雇用期間を少なくとも1年以上とする、B緊急雇用創出事業の雇用期間の延長などです。集まった署名、個人991筆・団体1筆とともに出しました。
地域合同労組は、組合員が一堂に会する機会が少なく、職場も労働条件もバラバラという中で、いかに団結を維持し強化していくかが問題です。定期的な機関紙の発行、執行委員会の定期開催と組合員への報告を重視し、常に闘いの方向性を出していくことに力を入れています。また、勉強会や親ぼく会も定期的に取り組むようにしています。
まだまだ小さい微力な組合ですが、当たり前の闘う労組として今後も歩んでいきますので、ご支援ご協力よろしくお願いします。
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週刊『前進』(2064号3面3)
税制大改悪を阻め〈下〉
交付金、補助金の大幅削減で地方自治の解体を狙う
有事体制促進する「歳出改革」
すでに見たように、小泉が強行しようとしているのは労働者への大増税と資本への大減税だ。資本の延命のために労働者に犠牲を押しつけるという小泉のやり方は、財政支出の面でもこれまで以上に徹底される。
経済財政諮問会議の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(骨太方針第2弾)は、「税制改革は歳出改革と一体」として「徹底した歳出削減」を叫んでいる。それは、資本救済のための膨大な国費投入を維持する一方で、労働者の生活に直結する予算は容赦なく削り取るための、欺瞞(ぎまん)に満ちたスローガンだ。
医療費や年金を厳しく抑制
経済財政諮問会議は、来年度予算編成の基本的考え方として「予算の過半を占める制度予算・義務的経費を見直す」と言う。それは、具体的には医療・年金など社会保障にかかわる予算を徹底して削減するということだ。
すでに、今年度予算は医療制度改悪法案の成立を前提に社会保障関連費を大幅に削り込んでいる。その結果、厚労省の試算によれば患者自己負担や保険料の増額も併せた「国民負担」の増額は1・5兆円に及ぶ。財務省は、来年度予算についても、9000億円と見込まれる社会保障費の自然増を、年金支給額の削減などで6000億〜7000億円に抑え込む方針だ。
雇用保険の保険料も今年10月から0・2%引き上げられて月収の1・4%(労働者負担分は0・7%)になる。厚労省は、雇用保険法を改悪し、手当の削減や失業認定の厳格化で給付を抑え、保険料もさらに大幅アップする方針だ。母子家庭に支給される児童扶養手当は今年8月から削減される。また、小泉はマイナス人勧を強行し、公務員の給与・退職金も厳しく抑え込む構えでいる。
中でも重大なのは、「地方行財政改革」と称する戦後地方自治の解体が準備されていることである。
自治体財政は破滅的危機に
「骨太方針第2弾」に先だって、小泉は経済財政諮問会議に「総理大臣指示」を発出した。そこでは、次のように言われている。
「国庫補助負担金、地方交付税交付金、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討し、改革案を今後1年以内にとりまとめる」「補助金について、数兆円規模の削減を目指す」
自治体財政は、地方交付税交付金や国からの補助金がなければ成り立たない構造になっている。今年度の地方財政計画によれば、全国の自治体の歳出は総計87・6兆円、税収は34・3兆円と見込まれている。その差額は、国から交付される地方交付税交付金や補助金、あるいは地方債の発行などで埋められる。
地方交付税交付金とは、国が徴収した所得税、法人税、酒税、消費税、たばこ税の一定割合を地方自治体の「財源不足額」に応じて各自治体に配分するというものだ。だが、そこで言う「財源不足額」とは、現実に発生する自治体の赤字のことではない。国が政策的に定めた算定基準に従って各自治体の「基準財政需要額」と「基準財政収入額」が決められ、その差が「財源不足額」となる。だから、国の政策に含まれない自治体独自の施策は、それがどれだけ住民に必要なものであっても交付税の交付対象にはならない。同様に、国庫補助金も国の政策に沿う事業に対してのみ交付される。
こうした形で、自治体財政は国の厳しいコントロール下に置かれてきた。これに対して、自治体は自主的に使える財源の移譲を国に求めてきた経緯がある。
ところが小泉は、「地方分権」を言いながら財源移譲は口約束に押しとどめ、交付金や補助金の大幅カットだけは容赦なく強行しようとしているのだ。これは労働者の生活に重大な影響をもたらすものになる。
国から自治体に支払われる補助金(総額12・7兆円)のうち、最も大きな割合を占めるのは義務教育国庫負担金(3兆円)だ。生活保護などの福祉予算への補助金も大きな位置を占めている。ところが小泉は、補助金はすべて無駄な公共事業に使われているかのようなデマゴギーで、その大幅削減を強行しようとしているのだ。しかし、実際には小泉に公共事業を縮小する意志など毛頭ない。ここに小泉のペテンがある。
自治体財政はすでに危機的状態に至っている。その原因は、度重なる恐慌対策に自治体財政も動員されてきたことにある。しかも国は、その大部分を補助金のつかない地方単独事業としてやらせてきた。バブル崩壊後の91年から数年間、自治体の投資的経費は毎年10%以上の伸び率で上昇した。その結果、地方財政は大幅に悪化し、00年以降、投資的経費の伸び率はマイナスに転落している。国が資本救済のために財政支出を拡大させようとしても、自治体財政はそれについていく力を失っている。それどころか、自治体財政はこの数年、総計10兆円以上の地方債を発行しなければ成り立たない状態だ。
そこに、大規模な交付金・補助金のカットが襲いかかるのだ。それは自治体財政を破滅状態にたたき込む。小泉は、「地方に格差が出るのは当たり前だ」と言い放ち、自治体自らが福祉や教育破壊の先頭に立つことを強いている。東京都知事・石原はこれに呼応して、福祉施設の大規模な切り捨てを打ち出した。
日帝は、こうした自治体財政破壊の攻撃を道州制導入の突破口に位置づけている。それは、有事立法と結びつき、自治体のあり方を根本的に転換させるものになる。地方自治を名実ともに踏みにじり、自治体を侵略戦争への労働者人民の動員機構に強権的に再編しようとしているのだ。
労基法も否定する特区構想
アメリカの株価急落がとめどなく進行する中で、経済財政諮問会議は、財務省がいったんは拒否した法人税減税を再び声高に主張し始めた。自民党も「デフレ対策」と称して大々的な投資減税構想を打ち出した。金融庁も、銀行への新たな公的資金投入のための資金枠設定を要求している。
だがそれは財政破たんによる恐慌の一層の激烈化を準備するものでしかない。
他方で経済財政諮問会議は「解雇ルールの立法化」を叫び、総合規制改革会議は、労働者派遣に関する規制や労働基準法の最低基準さえ撤廃した「特区」の設置が「経済再生」の特効薬であるかのように触れ回っている。労働者の権利はく奪に突進しているのだ。
国家の階級的本質がこれほどむき出しになった時はない。破産した「構造改革」もろとも、小泉政権を葬り去ろう。
〔岩谷芳之〕
(おわり)
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週刊『前進』(2064号4面1)
有事法の継続審議許すな 7・24国会前 特別委の「決定」に怒り
国会の会期末が7月31日に迫る中、有事3法案の廃案を求める多くの労働者や市民が連日、国会前に駆けつけた。反対や廃案の声に包囲される中、衆院有事法制特別委は7月24日、与党の一部から出ていた「いったん凍結」「出直し」方針ではなく、あくまでも原法案の継続審議を採決もなしに決定した。会期末の本会議で継続審議を採択しようとしている。絶対に阻止しなければならない。
衆院有事法制特別委の審議最終日となった24日、継続審議を許さず、廃案に追い込もうとさまざまな団体が国会前に集まった。婦人民主クラブ全国協や百万人署名運動、日本山妙法寺などが終日、座り込みを行い、継続審議決定を徹底弾劾した。
また、数カ月にわたり国会前座り込みを続ける北富士の忍草国有入会地守る会は、この日も座り込みを続け、北富士演習場の返還や有事法案反対を訴えた。
午前中から衆院第2議員会館前では、座り込みや署名集めが行われた。国会前を通る人びとの関心も高く、有事3法案反対の署名の呼びかけに次々応じた。多い人は、一日で50筆近い署名を集めた。また有事法制反対の歌などのバンド演奏や紙芝居が行われた。
午後1時、衆院有事法制特別委が始まった。特別委では終了間際、瓦委員長は「次回は公報でお知らせします」の一言で、継続審議を決めた。継続審議という言葉の一言も、採決をとることもない。委員の誰からも弾劾の声も疑問の声も出ない。インチキきわまりない継続審議の決め方だ。
傍聴を終えた婦民全国協の会員は「(日本は)本気で戦争やる気だと思った」と有事法案審議への強い危機感を示した。
日帝は、有事3法案の原法案を貫いて民主党や連合を全面的に取り込んで秋の臨時国会で強行突破を狙っている。
政府・与党は実際に、@「有事法制制定推進本部」を新設する、A内閣府に有事法制担当特命相を置く−−などして、今国会終了後ただちに、「国民保護法制」の検討作業に着手し、米帝の世界戦争戦略に必死に対応して北朝鮮・中国侵略戦争突入を図っているのだ。
この日の審議でも、自民党の久間元防衛庁長官が、国民保護法制は、複数の省庁を横断する膨大な量の法案になるので担当の大臣が必要だと迫り、福田官房長官や中谷防衛庁長官が賛意を示した。
継続審議阻止へ最後まで闘おう。
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週刊『前進』(2064号4面2)
“絶対廃案へ”国会包囲 20労組などの呼びかけで
7月23日昼、陸・海・空・港湾労組20団体などの呼びかけで、有事法制廃案を求める国会前闘争が闘われた。6月16日の6万人集会の熱気を引き継ぎ、厳しい暑さを吹き飛ばして、1000人が参加した。
集会の司会は航空労組連絡会の村中哲也副議長が務めた。日本共産党、社民党の国会議員の発言に続き、全建総連の佐藤正明書記長が連帯あいさつに立った。「建設労働者は戦争になると非常に『役に立つ』。なぜなら軍隊の宿舎もつくることができるし、無用な施設を壊すこともできるからです。小泉さんは『備えあれば憂いなし』と言うが、今まで日本が行った戦争はすべて、アジアの多くの民を無残に殺した侵略戦争ではないか。沖縄でも県民を軍隊の盾にして、手りゅう弾まで持たせて自決することを教えたではないか。有事立法を許してはならない。暑さに負けず、小泉に勝ちぬきましょう」
呼びかけ団体の平和をつくりだす宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネット、全日本海員組合の平山誠一政策教宣局長が発言に立ち、平山さんは「今、『ブッシュは今秋から来春にかけてイラクを攻撃する』と言われています。私どもが思い起こすのは91年の湾岸戦争です。70万人の多国籍軍が投入され、1000万dもの物資がサウジアラビアのダンマン港に運ばれた。当時の海部首相はブッシュ大統領に『30隻のロールオン船を提供してくれ』と要請され、結局3隻の日本船がペルシャ湾に就航した。飛来するスカッドミサイルをパトリオットが迎撃し、船の上空で大爆発を起こすという、命からがらの状況でした。もしイラク戦争が起こったら、私ども交通運輸の労働者には強制力をもつ従事命令が発せられることになります。鉄道や航空、陸送は現代戦争を支える主要産業であり、その労働者の協力なくして戦争はできません。なんとしても有事法制を廃案に追い込むため、20団体は最後まで闘います」と訴えた。
最後に全員で「戦争動員反対! 有事法制廃案!」と怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
この日国会前は、有事法、医療制度改悪を始めとする悪法に抗議し座り込む人びとであふれかえった。
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週刊『前進』(2064号4面3)
福岡で県民大集会 20労組先頭に廃案へデモ
7月21日午後1時、福岡市冷泉公園で陸・海・空・港湾労組20団体呼びかけの「有事法制を廃案に! 福岡県民大集会」が行われた。福岡県下、64団体1500人の労組、市民団体が結集し、有事立法を絶対廃案に追い込む決意があふれた。とめよう戦争への道!百万人署名運動・福岡県連絡会、反戦共同行動・福岡、九州大学学生自治会などの学生、労働者、市民もともに闘い抜いた。
主催者を代表して全港湾九州地本委員長の村永孝司さんがあいさつ。全日本海員組合の井手本榮組合長が、「船員にとって有事立法反対の闘いは自らの命と生活を守る闘いそのものです。絶対廃案までともに闘いましょう!」と提起すると割れるような拍手が沸いた。決意表明は、航空連福岡地連、全日建福岡県本部、福岡市職労の労働者が立った。集会後、天神までのデモに決起した。
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週刊『前進』(2064号4面4)
8・9長崎反戦闘争へ 統一実行委から参加の呼びかけ
8・6広島―8・9長崎反戦・反核闘争統一実行委員会から8・9長崎反戦・反核闘争実行委員会参加の呼びかけが発せられたので紹介します。(編集局)
〔呼びかけ人〕
本島等(元長崎市長)高實康稔(長崎大学教授)三角忠(三一書房労組)下田禮子(反戦被爆者の会)知花昌一(反戦地主・読谷村議)坂井留吉(核燃から漁場を守る会)佐藤芳夫(元中立労連議長)桜井善作(月刊小新聞「野火」発行人)吉田義久(相模原反核市民の会)大野康平(弁護士)
日本が侵略戦争をしたらどうなるのか? 日本が世界戦争をしたらどうなるのか? ヒロシマ・ナガサキの原爆地獄ではないか!
だが、小泉・自民党政権は有事立法をもって、アメリカ帝国主義と共同してイラク・北朝鮮侵略戦争に突進せんとしています。
2月、ブッシュが来日し小泉と会談して「われわれはイラクを攻撃する。間違いなくやる」と明言しました。小泉は「テロとの戦いで日本は常に米国とともにある」と答えました(6月9日毎日新聞報道)。また、ブッシュは6月1日と6日、イラクへの事実上の宣戦布告の演説を連続的に行い、「テロとの戦いでは、守りに回っていては勝てない。敵に戦闘を挑み、敵の計画を崩壊させねばならない」と、いよいよイラク・フセイン政権打倒の本格的な軍事作戦の実行に入ることを宣言しました。アメリカのアフガニスタン侵略戦争は、終わることも終わらせることもできなくなっており、イスラエルを使ったパレスチナ解体攻撃はイスラム人民の英雄的決起の前に泥沼化しつつあります。こうした膠着状態をアメリカ帝国主義は総力を対イラク戦に集中して突破しようと懸命となっているのです。そして今秋にも「核戦力体制見直し」(NPR)を具体化し、イラクへの核先制攻撃に踏み込もうとさえしています。イラク侵略戦争は、世界戦争状態を一挙に引き寄せる恐るべき戦争でもあるのです。
アメリカ帝国主義・ブッシュの対イラク戦争への突入は、北朝鮮・金正日体制の転覆を目指す北朝鮮侵略戦争を不可避とし、ついには中国との大侵略戦争に到ることになります。今日の世界はすでに世界戦争のはじまりという情勢下にあるのです。
アメリカの北朝鮮・中国との戦争は、日本帝国主義を絶望的危機に叩きこみます。このような情勢の切迫に突き動かされて、小泉首相は有事立法=侵略戦争法制定に全力を挙げているのです。
日本帝国主義・小泉政権は、国家としての存亡を有事三法案をはじめとする戦争法(北朝鮮・中国侵略戦争突入法)の制定にかけています。有事立法は、朝鮮における戦争の始まりから、遂行、そして最終目標までをきわめて具体的に想定し、作成されたものです。朝鮮・中国人民への民族差別、排外主義イデオロギーを振りまき、北朝鮮・中国への敵視を強めています。また昨年12月22日、海上保安庁は航空・海上自衛隊と共同して「北朝鮮の不審船」と称した小型外国船を追い回し、ついに中国領海で撃沈し15名の人民を虐殺しました。また、「テロ対策法」の下、アフガニスタンに自衛艦を派遣し、参戦し、戦争を継続しています。
安倍晋三宮房副長官、福田康夫官房長官は、「憲法も変えようという時代だから、国際情勢が変化したり世論が核を持つべきだとなれば、変わることだってあるかもしれない」と、ひとたび、戦争に突入した後、日本も核武装を狙っていくべきだと言っているのです。安倍・福田発言の真意は、有事立法、日米共同の朝鮮侵略戦争、対中国との戦争というように事態が推移することを想定し、「核保有国である中国との対決になれば、日本も独自の核戦力で対抗する以外にない。核戦争の現実性に日本独自での対応が迫られている」というところにあります。
世界は戦争に向かつて激しく進んでいます。イラク攻撃は今年の後半から来年早々には開始されようとしており、北朝鮮・中国侵略戦争もそれとほとんど一体で進む恐るべき情勢にあります。
原爆被爆者のみなさん。沖縄のみなさん。日本帝国主義の侵略戦争と世界戦争、原爆被爆を体験し、戦争への怒りをもとに、この戦後、反戦・平和のためにつくしてこられたみなさん。とりわけ有事立法反対に立ち上がった全てのみなさん。みなさんの戦争に対する怒り、思い、運動の営々たる成果は、今、小泉・自民党政権の有事立法によって足蹴にされようとしています。有事立法とは朝鮮・中国への侵略戦争開始です。行き着くのは沖縄戦であり、核戦争の果てのヒロシマ・ナガサキの地獄です。絶対に忘れることのできない歴史であり、繰り返させてはならないことです。
帝国主義の侵略戦争・帝国主義間戦争で犠牲になるのは労働者階級です。また、農民であり、中小商工業者、市民です。有事法案が成立すれば、あらゆる労働者は戦争に動員されます。運送業者も、飛行機のパイロットも、医師も看護婦も、戦場に引き出されます。
だから、日本海員組合の労働者など海・陸・空・港湾の労働組合20労組がついに立ち上がりました。労働者階級は有事法案を廃案にし、戦争の道を断ち切る力を持っています。侵略戦争、戦争の道を進む小泉政権を打倒しよう。
被爆57周年、長崎反戦・反核闘争に立ち上がり、原水禁連動の新たな一歩を踏み出そうではありませんか。
2002年6月23日
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週刊『前進』(2064号4面5)
元長崎市長 本島等さん
侵略戦争の反省と謝罪が大切
有事立法許さぬ不戦の誓いを
――被爆57周年を迎える今年の8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争への思いを聞かせて下さい。
原爆を論じる場合にも、多様性、相対性をもった議論が必要ではないでしょうか。原爆はもう2度とあってはならない。だからこそ被爆地の主張が独断やナショナリズムに凝り固まったものではなく、国際的に通用する主張でなくてはならないのです。
日本は多様な文化を受け入れるという点ではいまだ鎖国状態と言っていい。私が市長をしていた89年、ベトナムや中国からの難民が漂着したとき、長崎市として宿泊所を提供し、面会にも行きました。むやみに強制送還するべきではないと私の考えを述べたら、抗議の電話がきた。多くの日本人があたかもとんでもない人間が来たかのごとく考え、難民を拒絶する態度をとっています。収容施設をつくろうとしたら周辺住民が反対するとか。私は長崎に朝鮮語の塾をつくろうとしているが、なかなか成り立たないのが現実です。
有事法制がなぜ出てくるのか。小泉首相を始めとする政治家たちは、日本は侵略戦争をやって中国の人びとに迷惑をかけたという教育を一滴でも受け取ったのだろうか。彼らは原爆の被害ばかりを強調した教育を受けて育ち、戦争そのものの本質を論じずにきたのではないでしょうか。
侵略加害責任切り捨てるな
多くの日本人が敗戦の8月15日から出発する。みんな過去の一切の侵略加害の罪を切り捨てて、平和の使徒になって、原爆の被害ばかり言ってきたわけです。そのためにあの戦争が道義的に正しかったのか、正しくなかったのかさえわからなくなってしまった。
平岡前広島市長は原爆投下があったことと侵略加害とは関係なかったという。だが、私はどんなにしたって戦争が始まって最後に原爆投下があったとしか思えない。核兵器の廃絶を訴える前に、世界から戦争をなくそうということがなくては、ほんとうの核兵器廃絶論とは言えません。
岩垂弘氏らが『日本原爆論体系全7巻』を図書センターから発刊した。その人が言うには「こんなに日本中でたくさん原爆の本が出ている。だけどみんな被害ばかりを強調している。これだけ原爆の問題に盛んに取り組んできたが、日本政府の考え方を変えさせたことは一度もない」。それでいいのだろうか。
ようやく1980年終わりごろから、あの戦争の謝罪をしなければならないと言うものがでてきた。そのころに僕たちは長崎の平和宣言でそれを言い始めたわけです。
原爆の残酷さは戦争の帰結
長崎では7万人、広島では14万人が原爆投下からその年の年末までに亡くなりました。原爆による死は大変に残酷なものであり、二度とあってはならない。けれども、ほかの死と比べ、その残酷さにおいて原爆の死が優先されるとはいえません。
1944年8月22日、約800人の沖縄の児童が九州への疎開のために乗っていた「対馬丸」が米潜水艦の攻撃を受けて沈没しました。この児童たちの死にざまが原爆の死に劣るのか。情景も殺され方も違うが20万人が殺された沖縄戦の地獄と、長崎の原爆地獄とを比べられるのか。東京大空襲での死はどうか。
アッツ島など太平洋の島々で玉砕した兵士たちはどうだったのか。まず負傷兵が手りゅう弾での自決を強要されたりして処分された。日本人戦死者310万人のうち80万人が゛内地″で、230万人が゛外地″で死にました。そのうち150万人は餓死・栄養失調死であったといいます。どれも悲惨きわまりないものです。
あえて言えば、殺されるとわかってから殺されるまでの恐怖の時間が長ければ長いほど残酷な殺され方ではないでしょうか。
たとえば南京大虐殺など、捕まって後ろ手に縛られて、処刑される場所まで連れて行かれて、数時間後に殺された。そして何日間も放置され、腐りかけたころに川に捨てられたりした。軍隊慰安婦にされた女性たちは「あなたたちはそれでも人間か」と糾弾した。日本軍は中国に数万発の化学兵器を残した。日本軍の行った残虐行為はまことに尋常ではなかった。
反戦と結びついた反核こそ
要するに、原爆の残酷さは戦争そのものの残酷さであり、原爆による死だけを特別なものとするわけにはいかないのです。
核兵器廃絶の主張と反戦の闘いが結びつかないとだめだと思います。戦争が出てこない原爆の話があるのか。戦争を防ぐということこそが問題なのではないか。反核運動においても、この点をはっきりさせてほしいですね。
もうひとつ重要なことは相手だけ責めてもだめで、自分の反省が先に徹底的に行われなくてはならないということです。広島と長崎に原爆が落とされて、侵略を受けたアジアの人びとは手をたたいて喜んだと書いたら広島から抗議がきた。しかしこれが世界の現実なのです。侵略戦争への徹底的な反省と謝罪がない限り、アジアの人たちから理解は得られません。
――本島さんは「天皇に戦争責任がある」と発言し、右翼に銃撃されましたが、それでも屈せずに頑張っておられますね。
万事は天皇の名で行われた
あれは日ごろ自分が思ってたことを言っただけのことです。戦争は天皇制のもとで行われました。もちろん国民全体に戦争責任はあるが、万事が天皇の名のもとに行われたあの戦争で天皇が果たした役割を考えると当たり前の話です。
そんなに勇気があったわけではないけど、周りが考える天皇や自由についての考えが自分とは違っただけのことです。日本には今も本当の自由はありません。
それとあの戦争は治安維持法と切り離せません。自由主義の本が2冊あったからアカだと捕まえられたり、ある奥さんがバケツリレー訓練ばかりさせられるので、けが人を助ける救護訓練もした方がよいと言ったら警察に留置された。旧制高等学校はひどいものだった。特高が勝手に下宿に上がり込み、そういう本を見つければ捕まえてひどい拷問を加えていた。
――若い人に言いたいことはありませんか。
われわれはこの50数年、戦争を二度としてはならないという不戦の誓いがなかった。だから有事立法みたいなものがでてくる。戦中派の私は戦後派の人たちに申し訳ないと思っています。有事立法は日本が再び戦争をやるための戦争立法です。もっと多くの人がそのことを言わないものかと思う。若い人には憲法を改悪させてはならないと呼びかけたい。多大な犠牲を払ってやっと闘いとった憲法を踏みにじってはいけないのです。
●もとしまひとしさん 1922年長崎県生まれ。79〜95年長崎市長。長崎から反戦・反核・平和のメッセージを発言し続けた。88年12月「天皇の戦争責任はあると思う」と長崎市議会で発言。90年1月に右翼に撃たれて重傷を負った。
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週刊『前進』(2064号4面6)
7月17日〜23日
「国民保護法制」今秋提出へ
「民間防衛」で自主防災組織
●首相公選制の報告書案 小泉首相の諮問機関「首相公選制を考える懇談会」が首相に提出する報告書案をまとめた。8月上旬にも首相に提出する。報告書案では、@国民が直接選挙で首相を選ぶ大統領制型案、A衆院選時に政党が首相候補を掲げて事実上の首相公選とする案、B現行憲法下で可能な改革提言――が盛り込まれた。@とAは改憲が必要としている。(17日)
●有事法制で「自主防災組織」活用も 政府が有事法制に関連して検討している民間の防衛活動に、自主防災組織の活用を想定していることがわかった。同組織は、特別職の地方公務員である消防団と異なり、原則としてボランティアの民間人で構成される。消防庁によると、自主防災組織は昨年4月時点で全国2503市区町村に約10万組織、2353万人が参加しているという。(17日)
●民主党憲法調査会「多国籍軍へ全面参加可能に」 民主党が7月中にまとめる党憲法調査会の最終報告の安全保障問題の原案で、国連決議に基づき編成される多国籍軍に全面的に参加できるようにすべきだとの考えを打ち出し、9条解釈の変更、憲法前文や9条の改悪もひとつの選択肢と位置づけた。(17日)
●国民保護法制の前倒し提出も 政府・与党は有事法案に関し、2年以内を目標に整備する予定だった国民保護法制を前倒しして提出し、3法案と一括して審議する方向で検討を始めた。(18日)
●インド洋展開の米英艦、燃料の40%が日本提供 米海軍第7艦隊司令官の交代式で、ドーラン太平洋艦隊司令長官はインド洋に展開する米英両海軍の艦船の燃料の約40%を日本の海上自衛隊補給艦が無償提供したと述べた。(18日)
●象のオリ工事赤土流出で施設庁「中止、変更考えず」 沖縄米軍楚辺通信所(象のオリ)の移設工事に伴い、恩納村の長浜川に赤土が流出した問題で、防衛施設庁の中矢信之建設部長が衆院外務委員会で、工事の中止や移設場所の変更を検討する考えのないことを明らかにした。(19日)
●米大統領、先制攻撃強調 ブッシュ米大統領がニューヨーク州のフォートドラム陸軍基地で演説、「増大する危険を無視すれば、逆に危険を招く。黙って手をこまねいているわけにはいかない」「世界のある地域では、米軍による直接行動に訴えるしかない」などと述べ、「必要となれば武力を行使する」と先制攻撃を辞さない姿勢を示した。(19日)
●北朝鮮脱出者支援のNGOに米議会が資金
中国国内の在外公館を舞台に続発する北朝鮮の脱出住民による駆け込み亡命を支援する韓国の複数の非政府組織(NGO)に、米議会の資金提供を受けた米国のNPOが資金援助していることが明らかになった。(21日)
●海自が現場判断で演習参加 米ハワイ沖での「環太平洋合同演習(リムパック)02」に参加している海上自衛隊が、現場の判断でカナダ海軍の掃海部隊の演習に、オブザーバーで参加していたことが分かった。現場判断で他国の演習にオブザーバー参加するのは初めて。(22日)
●ガザ空爆、15人虐殺 イスラエル軍がハマス幹部を狙ってガザ市の住宅街を空爆、子ども9人を含む15人を虐殺した。(22日)
●政府・与党、臨時国会成立方針 政府・与党は、有事法制3法案を衆院有事法制特別委で継続審議とし、秋に予定される臨時国会で、国民保護法制の「輪郭」を示すとともに、3法案も野党の主張などを入れて修正・成立させる方針を確認した。(23日)
●憲法調査会が11月に中間報告 衆院憲法調査会がこれまでの論議をまとめた中間報告を11月3日に公表し、9条改憲も視野に入れた内容となることが明らかになった。(23日)
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週刊『前進』(2064号5面1)
W杯中、スト貫いた民主労総
金大中が「労使和平宣言」強要
労働弾圧許さず団結して反撃
日韓共催ワールドカップ・サッカーが開催され、南朝鮮全土が燃え上がったと報じられた中で、これを打ち破って民主労総を始め労働者人民はストライキ、長期争議を不屈に闘いぬいた。この闘いに学び、連帯し、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争のための有事立法攻撃を粉砕しなければならない。5〜7月の南朝鮮労働者の階級的死闘を振り返る。
米帝・ブッシュは6月1日、あらためてイラン、イラク、北朝鮮を「悪と呼ぶべきだ」と発言し、「対テロ戦争では先制的軍事行動も必要となる」と先制攻撃戦略を公言した。日韓共催ワールドカップ開催中、朝鮮半島近海には米艦船が展開、すさまじい軍事重圧で北朝鮮に迫った。02リムパック合同軍事演習中の6月29日、西海(ソヘ)北方限界線(NLL)南方で南北海軍が交戦した。
一方、日韓首脳会談では、日韓投資協定の国会承認をへて、さらに自由貿易協定(FTA)締結へと動き出した。日帝の労働運動圧殺要求を金大中政権が全面的に飲み、W杯下でもすさまじい労働弾圧を世界に見せつけた。
さらに、統一地方選挙の投票日の6月13日、2人の女子中学生が、米軍の架橋運搬用装甲車のキャタピラーに押しつぶされ即死するという痛ましい事件が韓国北端の京畿道(キョンギド)楊州(ヤンジュ)郡で発生した。怒りは怒りを呼び、大衆的決起に突き動かされた韓国政府・法務部は、韓米駐屯軍地位協定(SOFA)に基づき駐韓米軍に裁判権放棄を初めて要請した。
反米反基地闘争は、まさに民族の尊厳と生存権をかけた闘いであり、この先頭にも地域住民とともに労働者が立っている。
賃金・団体協約交渉求め5・22から波状スト
4・2ゼネスト回避以降、苦闘を続ける民主労総はW杯開催をめぐる金大中政権の「労使和平宣言」強要攻撃を跳ね返して、果敢なストライキでW杯反動を迎え撃った。賃金・団体協約交渉闘争(春闘)の第1次集中闘争を5月22日からと定めた民主労総は、20日に記者会見を開き、労働弾圧の中断と労働条件の後退なき週5日勤務制導入、基幹産業私有化の中止と産別交渉受け入れを求めてストライキに立ち上がることを宣言した。
民主労総はW杯を考慮、争議集中時期を5月下旬に繰り上げ、政府・使用主に誠実な交渉実現を求めてきた。しかし金大中政権はワールドカップ労使和平宣言運動を繰り広げ、民主労総の屈服を迫った。
今年の労働運動弾圧の激しさは以下の数字にも明らかだ。拘束労働者は民主労総の段炳浩(タンビョンホ)委員長以下31人、手配労働者44人、告訴・告発、召喚状発付者1384人、損害賠償・仮差し押さえ1067億4646万ウォン、懲戒解雇者は974人という驚くべき現況なのだ。(5月18日現在)
5月21日に金大中政権は「W杯期間中の国家イメージを損なう不法ストライキや集団行動に対しては厳正対処する」と決定した。
22日、金属労組傘下の斗山(トゥサン)重工業、万都(マンド)機械、ヨンチョン楽器など、民主化学連盟傘下のクムホタイヤ労組、韓国合繊など、106事業場3万人余がストライキに突入した。
翌23日、保険医療労組傘下ソウル江南(カンナム)聖母病院など41病院1万6千人、社会保険労組5千人、京畿道労組員800人がストライキに入った。
さらに24日午前4時、民主タクシー連盟スト突入。社納金制度撤廃(注)、月給制実施要求をめぐる徹夜交渉が決裂、ソウル、仁川(インチョン)、光州(クヮンジュ)など全国106事業所で1万人が一斉にストに立った。
26日午後にはソウルの大学路で組合員1万6千人が参加し「全国労働者大会」が開かれ、白淳煥(ペクスンファン)民主労総非常対策委員長は「労働者には拘束・解雇・仮差し押さえなど労働弾圧が加えられている。政府はなんの解決策も提示しないまま『ストなしW杯』ばかりを強要している」と弾劾した。この日、全国教職員労働組合(イスホ委員長)は「教育不平等解消と公教育正常化要求全国教師決起大会」を開き、大会に合流した。
民主労総と韓国労総、参与連帯は28日、今年9月から1年間適用される最低賃金額を平均賃金の45%水準である月当たり定額基準61万2千ウォン(2700ウォン/時)への引き上げを要求した。
28日には全教組30人が、9日に妥結した団体協約を国公立学校にだけ適用し、私立学校を排除する内容の解説書を配布したことに抗議し、ソウル市教育庁で徹夜ろう城に決起。30日現在タクシー・金属・社会保険・保険医療・化学など95事業所の組合員3万6207人がストを続行。そして31日開幕のW杯中は、「レッドデビル」の熱波に抗して労働者の闘いが続いた。
5月22日に始まったストライキ闘争は、2カ月以上の長期戦となっている。金属労組所属で最大事業所の昌原・斗山重工業は事業所占拠の無期限ストを続行中。コルト楽器、カブルプラスティックなど中小製造業でも交渉が行き詰まったままストを続けている。民主タクシー労組も仁川を中心にストを続けている。
慶煕(キョンヒ)大医療院や聖母病院(江南、汝矣島=ヨイド、議政府)など保健医療労組所属の大型病院なども長期スト中。6月24日朝には慶煕医療院や江南聖母病院に数百人の戦闘警察を伴った数十人の私服が、チョウンスク慶煕医療院支部長ら労組幹部逮捕を狙って突入、労組員らが押し返した。同日午後には保健医療労組の蔚山(ウルサン)南地域本部長が組合事務所から連行され、25日未明、明洞(ミョンドン)聖堂でろう城中の発電労組の李鎬東(イホドン)委員長と副委員長が警察に連行された。
W杯期間だけで、病院スト関連で保健医療労組18人、斗山重工業スト関連で22人など40人の労組幹部らに逮捕状が発付され、労組に対する百億余ウォンの損害賠償請求訴訟が提起され、関係者の財産が仮差し押さえをされた。
1年間の壮絶なストを闘う女性労働者
さらに、韓国シグネティクス、浦項(ポハン)製鉄雇用承継特別委員会(サンミ特殊鋼労組)など長期争議を闘う16事業所労組は、5月21日からソウル都心で無期限路上ろう城に突入し、W杯期間中に世界に訴えようと決戦を構えた。
復職闘争6年目を迎えている浦項製鉄雇用承継特別委の熟年労働者たちは、浦項製鉄ユサンブ会長の家の前などで20余日間のろう城闘争に決起した。大宇(テウ)自動車のGMへの吸収による構造調整に対決し闘っている大宇自動車販売労組も都心で一人デモを展開。その後も逮捕状が出ている労組幹部らは仁川タプトン聖堂でろう城中だ。
全国金属労組韓国シグネティクス支会の女性労働者の1年にわたるストライキ闘争は壮絶なものだ。半導体組み立ての生産職場は、320人中80%が既婚の女性労働者。構造調整下で再建した資本が買収され、全社員が安山(アンサン)工場に異動になった。通勤に往復3時間もかかり、3交替勤務制で1年に4カ月は早朝4時出勤という無理な条件は、全員解雇に等しい。ろう城闘争に立った組合員160人が解雇された。ヤクザに脅され切り崩されたが、業務妨害などで拘束中の3人を含む98人がストを貫いている。6月10日、64人の組合員が集団断食に決起した。12日からは労使政委員会を占拠して集団断食を続け、会社との交渉再開を要求した。子どもをもつ女性組合員がハンストろう城という激しい闘いで迫ったにもかかわらず、会社側は強硬姿勢を崩さなかった。次々と救急車で病院に送られる中、11日目にハンストを中断した。チョンヘギョン支会長(34)は「こんなに長引くとは思いませんでした。でも失ったものよりも得たもののほうが多かったんです。平凡なおばさんたちが、闘う中で世の中と社会に目を開くようになったんです」と、ろう城現場で他の労働者たちや学生と出会うなど、「人を得た」と言う。
5月の失業率は2・9%だが、その実態は不安定雇用の急増であり、女性労働者の実に70%以上が差別的非正規職として搾取されている。
6月27日、世界の労働者が連帯闘争に立ち上がった。26カ国の韓国大使館前には計数千人の労働者が集まり、韓国政府の労働弾圧に抗議の声を上げた。
7月15日、民主タクシー連盟仁川本部は仁川市庁前でストライキ勝利、悪徳企業主拘束貫徹を掲げて第3次全国タクシー労働者決意大会を開催、スト指導部35人が無期限断食徹夜座り込みに入った。25日以降、車デモ、高速道路占拠、タクシー葬礼式などあらゆる闘争を展開することを明らかにした。22日には全国民主タクシー連盟が、仁川のタクシー労働者4500人がスト60日目を迎えたとして記者会見、25日までに解決しなければ決死闘争に入ると宣言した。市民運動も「仁川地域タクシーストライキ早期解決のための市民対策委員会」を組織し支援闘争を闘っている。
民主労総は7月26日午後4時、宗廟(チョンミョ)公園で「労働弾圧中断!ストライキ闘争勝利!民主労総決意大会」を開き、労働運動弾圧中断、拘束労働者釈放・手配解除、長期ストライキ事態解決、不当労働行為事業主処罰を要求するデモを闘う。金大中政権による労働組合運動圧殺に総力闘争をたたきつけるのだ。
闘う朝鮮人民と連帯し有事立法粉砕へ
6月13日の統一地方選挙は、史上最低の投票率の中、与党・千年民主党が惨敗し、金大中政権と既成政党に対する労働者人民の不信が突きつけられた。この中で民主労総は民主労働党を推して闘い、前民主労総委員長で現代重工業労組委員長出身の李甲用(イガビョン)氏が蔚山東区長に当選したほか、134万票余(8%)を獲得し、ハンナラ党、民主党に続く第3党に躍り出た。
秋には大統領選挙が控える中、息子の不正腐敗問題が爆発し、文字どおり末期的危機にあえぐ金大中政権を、労働者人民の怒りで打倒することが求められている。米・日帝国主義による北朝鮮侵略戦争情勢がいよいよ切迫する中、日本の労働者人民は有事3法案粉砕に総決起し、その中から闘う朝鮮人民、中国・アジア人民、中東・イスラム人民との国際主義的連帯を貫く共同闘争を実現しよう。
〔室田順子〕
●注 社納金制度 1日平均6万6千ウォンを会社に義務的に出し、残りの運送収入金を6対4の比率で会社と分け合う制度。1日10時間以上運転して月100万ウォン(約10万円) 程度の収入にしかならない。政府は97年から処遇改善を目的に運送収入金全額管理制を実施したが、事業主が守らず問題が発生。仁川では完全月給制を要求、その前段として「加減累進成果給型月給制」(月平均運送収入金の50%を賃金ポイントとし、残りは業績に応じて加減する)の実施を求めている。
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週刊『前進』(2064号5面2)
イスラエルのガザ住宅地への空爆・人民大虐殺を弾劾する
屈服迫る米帝の新「和平」策動
7月23日未明、イスラエル軍がガザ市のイスラム抵抗運動ハマスの指導者サラハ・シャハダ師を暗殺するためにF16戦闘機から1d爆弾で爆撃し、付近の住民を含む15人を虐殺し、150人を負傷させた。闘いの指導者を暗殺するために住宅密集地のど真ん中に1d爆弾を撃ち込んだのだ。パレスチナ人民の闘いを圧殺するためには民族丸ごと抹殺しようとするシオニストの凶暴な攻撃である。
暗殺されたシャハダ師は、イスラエルの占領政策に反対する武装闘争を闘い、13年間の投獄と不屈に闘いぬき、ハマスの軍事部門カッサム旅団を結成したと伝えられている。この暗殺と無差別人民虐殺を満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。
このイスラエルの暴虐に対してパレスチナ人民の怒りが燃え上がっている。犠牲者の葬儀には数万人の民衆が結集し、「イスラエルに死を」「アメリカに死を」と叫んだ。米帝は全世界で労働者人民の怒りが燃え上がっていることに追いつめられ、「行き過ぎだ」と批判のポーズを取った。だが、実際にはこの事件は米帝に支持されて行われた大虐殺である。実際、米帝がアフガニスタンやイラクでやっていることもまったく同じではないか。何よりも米帝がジェニン大虐殺の真相究明を圧殺し、シャロン政権を擁護した直接の結果にほかならないのだ。
米帝ブッシュは6月24日、パレスチナ自治政府の刷新を条件に暫定国家の樹立を支持するという新中東和平構想を発表した。だが、その内容は、「テロに屈服しない、これまでと違う新しいパレスチナ指導部が必要だ」という言葉に示されているように、パレスチナ人民に闘いの放棄を要求し、米帝・イスラエルの支配への全面屈服を迫るものである。イスラエルの軍事支配のもとで、土地を奪われ、家を奪われ、命を奪われて、なおかつ一切の抵抗が許されないということなのだ。70%もの失業率のもとで、450万人もの難民という状況に甘んじろということなのだ。
ブッシュは、この提案によって帝国主義各国やアラブ反動諸国を屈服させ、その承認を取り付け、パレスチナ人民の闘いを圧殺して、イラク侵略戦争に突入しようとしているのだ。そのための策動として7月16日、米、ロ、EU、国連の4者協議を開き、日本とノルウェー、世界銀行、IMFを加えた8者で作業部会を持ち、パレスチナ解放闘争圧殺のための「包括的な行動計画」を作成することで合意した。
だが、こうした策動でけっしてパレスチナ人民の闘いを圧殺することはできない。パレスチナ人民はイスラエル・シャロンのアルアクサ・モスクじゅうりんに対するアルアクサ・インティファーダ以来、永続的蜂起ともいうべき壮絶な闘いに決起している。自爆決起の数を見ても、93年オスロ合意以降2000年までは年に2、3戦闘だったものが、01年には12戦闘、02年は6月までですでに23戦闘に上っている。自爆決起以外にも、イスラエル軍検問所を襲撃しイスラエル兵士多数をせん滅するなどの戦闘が連続的に闘われている。しかもこうした戦闘が82年レバノン侵攻以来の大軍を動員したイスラエルの3、4月のヨルダン川西岸自治区大侵攻、ジェニン大虐殺をのりこえて敢然と闘われているのだ。
特に最近では、6月18日にエルサレムの路線バスで自爆闘争に決起し、19人が死亡し、50人が負傷した。続く19日には、エルサレムのバス停で自爆闘争に決起し、7人が死亡し、40人が負傷している。このほかにも、20日にはナブルスの南にあるユダヤ人入植地で銃撃戦闘が戦われ、5人が死亡した。7月16日にはナブルス南西のユダヤ人入植地エマニュエルで銃撃戦闘が戦われ、7人が死亡、30人が負傷した。17日にはテルアビブで自爆戦闘に決起、通行人3人が死亡し、40人が負傷した。また7月1日にはガザで自治政府を弾劾する5000人の大デモが巻き起こった。米・イスラエルに屈服し、人民の闘いに敵対して利権のみをむさぼる自治政府指導層にパレスチナ人民の怒りが燃え上がっている。
イスラエルは、パレスチナ人民の不屈の決起に追いつめられており、6月15日以来、ヨルダン川西岸自治区に全面的な再侵攻を開始し、自治区の7都市に対して恒常的な外出禁止令を敷き、住民を日常生活もできないような軍事監獄の状態に置いている。活動家をミサイルで暗殺し、外出禁止令が一時解除されて市場に買い物に出た民衆を無差別に銃撃し虐殺するなど、見境のない虐殺が日常的に繰り返されている。また、イスラエルは6月17日以来、ヨルダン川西岸を分離する巨大な壁の建設に着手した。この壁は、幅40b、高さ3bで金網に電流を流し、全長が350`にも及ぶ長大なものだ。パレスチナ人民を壁の中に封じ込めてしまおうとする〃アパルトヘイト政策”であり、あらゆる手段を使ってパレスチナ人民の闘いを圧殺しようとしているのだ。
米帝はこのシャロン政権を全面的に支え、自治政府を屈服させて、パレスチナ人民の闘いを全面的に圧殺しようとしている。それによってアラブ反動諸国を屈服させて、イラクへの侵略戦争に全面的に突入しようとしているのだ。クウェートから海兵隊と陸軍が数万単位で侵攻し、トルコ、カタールなど8カ国の基地から数百機が出撃するという作戦計画を策定している。この凶暴な侵略戦争を絶対に許してはならない。
イスラエル・シャロン政権によるパレスチナ人民大虐殺を許すな。闘うパレスチナ人民と連帯し、米帝・イスラエルによるパレスチナ人民圧殺を阻止しよう。
米日帝のアフガニスタン侵略戦争の継続を許すな。
イラク、北朝鮮・中国への侵略戦争を阻止せよ。今夏今秋有事立法粉砕決戦の大爆発へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2064号5面3)
第3部 植民地支配の歴史 (16)
朝鮮F 「文化政治」
「産米増殖」計画で食糧略奪
人民分断を図る
三・一独立運動の後、海軍大将の斎藤実(まこと)が朝鮮総督に就任した。斎藤は「文化政治」を掲げ、「武断政治」からの改革を強調した。総督の権限縮小、憲兵警察制度の普通警察制度への改編、教員や官吏など文官の制服帯剣の廃止などを打ち出したが、いずれもペテン的な「改革」であった。
例えば、総督は「文武官のいずれも任用できる」としたが、結局、最後まで総督は軍人であった。憲兵政治の廃止にしても、それまで憲兵が担っていた行政的事務を警察に移し、憲兵を弾圧機関に純化させるということである。憲兵や警察官は増強され、思想弾圧が徹底的に強化された。「文化政治」の本質は「武断政治」となんら変わらなかったのだ。
また、民族主義運動の指導者を買収し親日派として取り込み、人民の分断を図ることに「文化政治」の大きな特徴があった。
一方、朝鮮人民はついに集会・結社、出版・言論の自由をかちとった。事前検閲や臨検など厳しい制限があったが、三・一運動で流した血の代償として得た成果である。『朝鮮日報』『東亜日報』など朝鮮人民による朝鮮語の新聞を始め、多くの雑誌が発行された。これらの言論や出版は、社会主義思想を伝える媒体となり、種々の運動の宣伝機関となった。
経済政策の面では、「産米(さんまい)増殖計画」に力が注がれた。18年に米騒動が起こり、食糧問題が大問題化する中で、朝鮮を日本の食糧供給地にする目的で行われた。だがそれは「土地調査事業」に続く朝鮮の食糧と土地の略奪計画にほかならなかった。
20年から34年まで日帝資本と総督府は、ばく大な資本を投入し生産力の増大を図った。その結果、朝鮮の米生産量は増えたが、増産分をはるかに超える米穀が日本へ運び出され、また日本人地主への土地の集中が一層進んだのである。
「産米増殖計画」によって朝鮮人民はさらに貧窮をきわめた。特に農民の多くが貧農化し流民となり、都市部で「土幕民」(貧民)となるか、山に入って火田民(焼き畑耕作民)となるか、生存そのものが脅かされる極限的状況にたたき込まれていった。
震災時の大虐殺
こうした状況の中で、日本に渡航せざるをえない人びとが生み出されていく。日帝は日本への渡航政策を調節しながら、資本にとって必要な規模だけを導入していった。こうして、20年代に在日朝鮮人労働者の数が急速に増加していった。
激しい民族差別と無権利、最悪の労働条件が彼らを待ち受けていた。22年には山奥の現場で朝鮮人労働者がリンチで殺され、川に流される事件(信濃川水電事件)が起こった。朴烈(パンニョル)ら朝鮮人留学生は、事件の真相究明・糾弾の闘いに立ち上がった。日本の労働者階級が本格的連帯闘争に立ち上がることが求められていた。
しかし、こうした中で23年9月1日、関東大震災における朝鮮人・中国人大虐殺が起こった。国家権力が「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」などと排外主義デマを流し、軍隊と警察、さらに日本人自警団が6千人をこえる朝鮮人・中国人を無差別虐殺した。
これを最先頭で指揮した内務大臣・水野錬太郎は、先に斎藤実が朝鮮総督に就任した際、政務総監として同行し、ソウル駅で斉藤とともに朝鮮人民の爆弾闘争の洗礼を受けた人物である。三・一運動で朝鮮人民の民族解放闘争のすさまじさを突きつけられた水野は、その恐怖の中でこのような排外主義テロルの扇動・行使に至ったのである。
労農大衆運動
20年代、社会主義思想が朝鮮に深く浸透し、人民の闘いに大きな影響力を及ぼしていった。「ブルジョア民族運動から社会主義(マルクス・レーニン主義)的民族解放闘争への移行」(梶村秀樹『朝鮮史』)が始まっていくのである。
この時期、労働争議や小作争議が激発し、労働者や農民の組織化が急速に進んだ。20年4月には最初の労働団体として朝鮮労働共済会が結成され、21年9月には5千人余りの埠頭労働者が釜山でゼネストに決起した。24年4月、全国の労農団体を結集して朝鮮労農総同盟が結成された。これに先立つ23年4月には40万人の被差別民「白丁(ペクジョン)」を組織した衡平社が結成されている。
ロシア革命の影響を受けた朝鮮社会主義者は、こうした労農大衆運動の現場に分け入って闘った。さまざまな紆余(うよ)曲折をへて、25年4月にはソウルで朝鮮共産党と高麗共産青年会が非公然で創立された。
こうした動きに対し、総督府は治安維持法を朝鮮に施行し、徹底的に弾圧した。その中で26年6月10日には国王純宗(スンジョン)の葬儀にあわせ6・10万歳運動が闘われた。しかし、その後の数次におよぶ一斉検挙によって朝鮮共産党は活動基盤を奪われてしまう。またコミンテルンが28年に朝鮮共産党の支部としての承認を取り消したことも、彼らの国内での活動を困難にした。
しかし、帝国主義の危機が29年世界大恐慌として爆発していく中で、朝鮮人民は新幹会運動など創造的に闘いを発展させていく。28〜29年には元山で石油労働者のストライキをきっかけに全産業労働者による3カ月間のゼネストが爆発した。また、農民も権力と激突しながら全国で蜂起していった。
さらに29年11月3日の光州学生運動を始め学生運動が大高揚した。「文化政治」の中での日本語の強要=朝鮮語の禁止などの植民地主義的教育に対し、「奴隷教育撤廃、朝鮮歴史の教授要求、校内朝鮮語使用の要求、学生会の自治要求」などを掲げて決起した。
一方、中国東北部の鴨緑江沿岸や豆満江(トマンガン)沿岸には、李朝の封建統治や日帝植民地支配の圧制によって移住を強いられた朝鮮人が多かった。この地域は朝鮮独立運動の一大拠点であり、20年10月の青山里(チョンサンリ)戦闘で日本軍に大打撃を与えたのを始め、義兵闘争以来の伝統を引き継ぐ対日実力抗争の主要な舞台となってきた。
こうした抗日パルチザン闘争は、日帝が本格的に中国侵略戦争を開始していく30年代以降、さらに激烈さを増していった。
(五十嵐茂生)
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週刊『前進』(2064号6面1)
11ケタの国民総背番号で戦争動員と治安強化狙う住基ネット8月強行阻止を
日帝・小泉政権は、「住民基本台帳ネットワークシステム」(以下「住基ネット」)を、実施反対の多数の声を踏みにじって8月5日から強行しようとしている。これは、すべての「国民」に11ケタの背番号をつけ、国家による労働者人民の管理・監視を徹底的に強化し、帝国主義戦争に全人民を総動員するための国民総背番号制度そのものである。それは、現在の有事立法攻撃と一体のものであり、米帝と共同的=競合的に日帝が開始しようとしている侵略戦争に人民を動員するためのものである。人間的自由の一切を奪い取る住基ネット=総背番号制攻撃を、労働者階級の怒りの総決起で粉砕しよう。
徴兵制に行きつく国家による住民の管理
日帝は、北朝鮮・中国侵略戦争のために労働者階級の戦争動員を不可欠としている。また、そのために戦争に反対する者を一人残らず摘発し圧殺することを必要としている。そのために日本に生活している一切の人間を敵視し、個人情報を百パーセント掌握して国家の狙いを貫徹しようとするものが、住基ネット攻撃である。
そもそも住基ネットとは何か。96年3月の政府の「研究会報告」では、「他の行政機関に対する住民基本台帳情報(氏名、住所、性別及び生年月日の4情報)の提供を行うことを可能とするため、住民基本台帳を基礎とし、住民基本台帳に記録されたすべての住民を対象とした、すべての市町村を結ぶネットワークシステムを構築する」としている。
そのために都道府県レベルと国家レベルの2段階のホスト・コンピューター(システムの中心にある大型コンピューター)に住民基本台帳の基本データを蓄積するというのである。これにより、地方自治体や国家機関に蓄積しているあらゆる個人データが、住基ネットのコードによって、一瞬のうちに権力が掌握できるシステムが作られるのである。恐るべき超管理体制=戦争国家体制であり、全人民の総動員体制である。基本的には、地方自治体からの要求などとはそもそも無関係なところから出発し準備されてきたのである。
そもそも住基ネットは、99年5月の周辺事態法と一体で、組織的犯罪対策3法などの弾圧立法と同時に8月に住民基本台帳法改悪で制度導入が決定された。今日的には有事3法案、個人情報保護法案、医療観察法案=保安処分新法などと一体のものであり、侵略戦争と治安弾圧のための攻撃そのものである。在日人民に対して外国人登録法によって先行してやられてきたことを、日本人全体に広げようとしているのである。
要するに住基ネットは、帝国主義の侵略戦争に労働者人民を動員するためのシステムであり、ひいては徴兵制の名簿・データを集積する攻撃である。「住民サービス」などを前面に押し出してキャンペーンをはってきたのは、この真の狙いを押し隠すためである。
身分証明書の携帯強制され隅々まで監視
さらに、この住基ネットの重大な反人民性は、「住民基本台帳カード」というICカードを一人ひとりに持たせようとするところにある。つまり、住民の個人情報が書き込まれたIC(集積回路)が埋め込まれたカードを、最終的には身分証明書として全国民に携帯させようとするものである。国家の発行するICカードを身分証明書として携帯することを強制されることは、一人ひとりの人間が「日帝国家権力の許可をもらって住む」というところに行き着くということである。
逆に言えば、ICカードを持たない者、持つことができない者は、ごく普通の日常的買い物や旅行すら不可能なところまで行き着くのである。そのような管理社会=監獄国家になってしまうということである。
ICカード攻撃のこの恐るべき人民管理・監視的な性格が表面化すれば、それは住基ネットそのものを根底から吹き飛ばす人民の怒りの爆発を引き起こす。日帝権力はこのことを恐れて、03年8月から配布するICカードについて、「希望者のみに有料で」などというペテン的言辞を弄(ろう)している。
だが、住基ネットシステムで利用しようとしている93種の行政事務を、さらに264種に拡大する改悪案を、日帝・小泉内閣が今国会に提出していることを見ても、このことが単なる危惧ではなく現実の問題であることは明白である。
住基ネットはすさまじい人民管理・監視の体制である。プライバシーの最後の一枚までもはぎ取って、国家権力の前に人民を丸裸にし、恐るべき「牢獄的監視社会」をつくり出すのである。
「牢獄的監視社会」とはどのような社会か、想像してみよう。権力を持たない者は、その生活の一部始終を監視される。誰もが治安的な「犯罪者」として扱われる。何時にどの列車にどこから乗り、どこで降りたのか、あるいはどの高速道路を使い、どこの街に出かけて買い物をし、食事をしたか。どこからどこに電話をしたか。こうしたすべてが、国家権力のホスト・コンピューターに記録されていく社会のことである。
すでに現在、高速道路や主要道路および東京につながる幹線道路には、通過するすべての車両を記録する「Nシステム」が700台以上設置されている。歌舞伎町に設置された50台の人間監視カメラはすでによく知られているが、都営地下鉄や繁華街に急増している人間監視カメラは、「人間Nシステム」と呼ばれるレベルまでその個人識別能力を備えてきている。゛牢獄的監視社会″はけっして空想ではなく、現実にすでに始まっているのだ。帝国主義のために、このような、日常生活の隅々まで監視される社会をつくり出そうとする住基ネット=国民総背番号制度を絶対に許してはならない。
有事立法闘争と一体で住基ネット粉砕へ
戦前、日帝は天皇制ボナパルティズム支配体制のもとで、〈隣組制度〉という人民の相互監視体制をつくりあげ、極限的な人民管理・監視体制を敷いてアジア侵略戦争に突入していった。ところが、戦後は日帝の帝国主義的復活・発展の中で、伝統的社会の一定の解体と、また敗戦帝国主義としての政治的・イデオロギー的支配の弱さを突破できず、労働者階級人民への治安的掌握は一貫して弱点をなしてきたのである。
日帝は、労働者階級の治安的掌握なしに侵略戦争に突入できない。そこで、有事立法と一体の攻撃として、戦後いまだ成し遂げられていない労働者階級の治安的掌握を、個人情報保護法案と一体で住基ネットをもって一挙に実現しようとしているのである。
住基ネットの8月5日スタートは、絶対に粉砕しなければならないし、それは可能である。在日人民が外国人登録に対するねばり強い闘いで一つひとつうち破ってきた闘いから学び、すでに自治体を含む広範な労働者人民の闘いが開始されている。法律が成立しているからといって、まだけっして決着はついていないのだ。住基ネット攻撃に対する恐れとたじろぎで、ブルジョアジー内部にすら動揺と分裂が生み出されている。住基ネット攻撃をなんとしても粉砕しよう。
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週刊『前進』(2064号6面2)
「障害者」先頭に国会へ 保安処分新設阻止へ決意
7月18日、新たな保安処分立法である「心神喪失等医療観察法案」の廃案を求める国会請願デモが、6・23集会実行委員会の主催で「精神障害者」を先頭に135人で闘いぬかれた。国会デモに先立ち、「保安処分新設を許さない! 予防拘禁法案を廃案へ!」の集会が永田町の星陵会館で開かれた。
集会は全障連関東ブロックの「病者」の司会で始まり、練馬の患者会の「病者」が国会内外の情勢を報告した。東京八王子の「病者」が、「法案は『病者』をひとりの人間として見ていない。一度犯罪を犯せば『再犯のおそれ』をちらつかせて『病者』だけ一生拘禁する。怒るという表現もできなくなる」と発言し、有事立法とともに保安処分新法の粉砕を訴えた。
精神科医のN氏は、「政府答弁は完全に破綻(はたん)している。反対運動の手ごたえを感じる。衆院での採決や継続審議を許してはならない。廃案へ」と檄(げき)を飛ばした。社民党議員も「対案で政府案に対決するのではなく、保安処分には廃案しかない。大衆運動で闘おう」と力強い激励を寄せた。この日、京都の患者団体がハンストに入ったことも報告された。
いよいよデモだ。夕方7時、参加者は請願文とシュプレヒコールを確認し直ちに国会に向かった。
まず参議院の議員面会所前では社民党・福島瑞穂議員が、「裁判官介入は不当だ。差別助長であり、悪意に満ちた保安処分そのもの」と喝破し廃案への決意を語った。又市征治議員も有事法制反対とともに闘うとアピール。民主党の議員も参加した。
デモ請願団からは精神科医のO氏が司会を行い、練馬の患者グループが「再犯のおそれがないことを証明するのは大変。ずっと収容する悪法」と法案の極悪さを指摘し、「国会は当事者である患者の声を聞くべき」と力強く訴えた。
続いて衆議院に移動した。法務委員の植田むねのり議員ら社民党議員が廃案へ固い決意を表明した。民主党からも参加した。
また無所属の川田えつ子議員が法案廃案を表明し、「先の『ホームレス支援法』に私は反対した。それは社会復帰のかけ声の裏で実際には路上生活者の排除が進められるからだ」と指摘した。「医療観察法案」による「社会復帰」のかけ声がまさに「病者」を無期限拘禁と強制治療の保安施設に追い立てるものであることを指弾した。
請願団もこの決意にこたえ、司会の民間精神病院医療従事者を始め、江東の患者会や八王子の「病者」がそれぞれ力強くアピールした。その後、日比谷公園までのデモを貫徹した。
継続審議―今秋臨時国会での成立策動を断じて許すな。国会デモの成功を踏まえ、さらに法案廃案へ闘おう。
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週刊『前進』(2064号6面3)
「百万署名運動」呼びかけ人のみなさんへの前進編集局の謝罪
本紙掲載の記事について、「とめよう戦争への道!百万人署名運動」から抗議と要請がありました。抗議を受けとめ、心からお詫びします。抗議と要請文ならびに編集局の謝罪文を以下に掲載します。
抗議と要請
2002年6月10日付『前進』第2056号に、「『報復戦争に反対する会』はカクマルの偽装団体だ!」なる記事が掲載されました。
私たち「とめよう戦争への道!百万人署名運動」はその出発の当初から、特定の政治党派と思われる勢力から執拗かつあくどい妨害を受けてきました。だが私たちは、何回もの呼びかけ人会議での討議をへて、このような誹謗・中傷には決して直対応することなく、あくまで現実の運動の発展で応えるという姿勢を堅持してきました。
しかし今回の『前進』掲載の上記記事に対して、私たち「百万人署名運動」の呼びかけ人でもあり、「報復戦争に反対する会」の共同代表でもあられるお二人の方から、この記事は、反戦・平和を願って活動している自分たちを「誹謗するもの」であり、「許せないものであると思う」旨の文書が、私たち「百万人署名運動」事務局および呼びかけ人宛に送付されました。
事務局会議で話し合った結果、上記の『前進』掲載記事は、党的組織と大衆運動・市民運動との関係の原則を著しく逸脱するものであるという認識に達しました。ここに私たちは『前進』編集局に対し強く抗議し、今後二度とこのようなことがなされないことを要請します。また本文書を『前進』紙上に掲載の上、貴編集局の見解を表明して下さることを要請します。
以上
2002年7月20日
とめよう戦争への道!百万人
署名運動
事務局長 西川 重則
事務局次長 小田原紀雄
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「とめよう戦争への道!百万人署名運動」呼びかけ人、および事務局のみなさんへ
謝罪
『前進』第2056号掲載の「『報復戦争に反対する会』はカクマルの偽装団体だ!」なる記事に関し、「とめよう戦争への道!百万人署名運動」の事務局長、事務局次長から別紙のような「抗議と要請」を受け取りました。真剣に検討させていただきました。
私たちは、カクマル派という党派が、一貫してあらゆる大衆運動、労働運動に敵対してきたファシスト党派であることを暴露し、これとの長期にわたる厳しい闘争を闘いぬいてきました。前記の記事もその一環として掲載したものです。
しかし私たちの主観的意図はともかく、この記事が、指摘されている通り、いま日本の反戦・平和の闘いにおいて切実に求められている年齢や性別や宗教や党派の違いをこえる運動づくりに身を挺して立ち上がっている人士を攻撃し、中傷する役割を果たしてしまっていることは明白です。党派と大衆運動とのあるべき関係を逸脱し、運動に混乱だけをもたらしていることを認めないわけにはいきません。
私たちはここに、関係各位、「百万人署名運動」呼びかけ人と事務局のみなさんに心からお詫びし、二度とこのような過ちを繰り返さないことを誓います。
以上
2002年7月23日
『前進』編集局
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週刊『前進』(2064号6面4)
富山大の学生自治会が 小松基地に抗議 “朝鮮出撃許さぬ”
7月11日、富山大学学生自治会は石川県の航空自衛隊小松基地に対して空自の移動訓練弾劾の門前闘争を闘いました。(写真)
小松基地で7月8日から29日まで、青森県三沢基地のF4戦闘機16機とT4練習機4機、兵員230人が朝鮮半島有事のための移動訓練を行うと発表されました。これは、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に日帝が共同的=競合的に参戦するための侵略戦争実戦演習そのものです。
小松基地は朝鮮侵略戦争の戦略的な出撃拠点です。94年の朝鮮侵略戦争切迫情勢の中では、空自のF4戦闘機が北朝鮮を爆撃して帰還する図上演習を行いました。99年の能登半島沖での「不審船」事件の際には、海自と海上保安庁の共同作戦を援護するために、小松基地のF15戦闘機が制空行動をとりました。
そして現在、日帝の有事立法攻撃の中で、小松基地の強化が狙われています。
第一に、軍民共用の小松空港の民間貨物便の重量制限を解決するという口実で、滑走路のかさ上げ工事が計画されています。その際造られる仮滑走路は、戦争に突入した時の第2の滑走路として使えるようにされています。多数の戦闘機の出撃や大型輸送機による兵員や物資の輸送を可能にする基地強化の策動です。
第二に、75年に結ばれた騒音防止協定の見直しを、防衛施設庁が4月に小松市など周辺自治体に申し入れています。これは基地を制約なしに使うための新たな攻撃です。
当日はゲート前に横断幕を張り、演習の即時中止を申し入れ、質問状への回答を要求しました。昨年の9・11以降、基地は「戦時下の基地」へと一変しています。正面ゲートは半分が閉鎖された上に土のうが積まれ、車止めが物々しく置かれていました。
1時、基地内でラッパが鳴り響くとともに、轟音を立ててF4が飛び立っていきました。私たちは「侵略実戦演習弾劾」のシュプレヒコールをあげました。
申し入れに対応した渉外室職員は、「三沢基地で滑走路の補修があるから移動してきただけ。訓練の詳細や兵員の輸送体制については答えられない」と、侵略実戦演習であることを必死で押し隠そうとしていました。また、情報公開請求者のリスト作成問題については、「基地の方ではリストは作成していない」と逃げていました。「訓練は軍事機密だ。『情報公開せよ』と言う者は非国民だ」とする人民敵視の本質がむき出しになっています。
私たちは、自衛隊の兵士に「有事立法は北朝鮮・中国侵略戦争のための戦争法だ。再びアジア侵略の銃を握ってはいけない。勇気を持って反戦闘争に決起しよう」と呼びかけました。
富山大学の学生は小松基地からの出撃を絶対に許しません。全国の皆さん、ともに闘いましょう!
(投稿/富山大学・K)
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