ZENSHIN 2002/07/22(No2062
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週刊『前進』(2062号1面1)
7・26国会決戦の大爆発を
世界戦争・29年型大恐慌と対決し有事3法案の絶対廃案かちとれ
国鉄決戦勝利、闘う労働運動再生へ
7月決戦の最大の課題は、有事立法3法案=北朝鮮・中国侵略戦争法案の衆院採決・継続審議を絶対に粉砕し、断固として廃案をかちとることである。4〜6月の闘いが切り開いた地平を断じて後退させず、さらに発展させなければならない。有事立法絶対反対の巨万人民の署名運動を全力で推進し、反戦共同行動委員会の呼びかける7・26全国総結集闘争−国会決戦の爆発を総力をあげてかちとることを訴える。7月決戦は同時に、有事立法粉砕と一体の闘いとして、闘争団除名処分・国労解体の攻撃に対して怒りの反撃をたたきつけ、代議員選挙―定期大会決戦に上りつめる国鉄決戦の最大の正念場である。さらに夏期一時金カンパ闘争、機関紙拡大闘争を始めとした党建設の闘いの最大の決戦場である。この一個三重、一個四重の闘いを、歴史的使命感に燃えて断固やり抜こう。
第1章 サミットが世界戦争と有事立法を加速
7月31日を会期末とする今国会の最終段階において、日帝・小泉政権は、有事立法3法案の早期成立のために強行採決を含めた継続審議の攻勢に出てきている。怒りと危機感をもって総決起することを訴える。
6月下旬のカナナスキス・サミットは、「テロとの戦い」「テロ抑止への努力の継続」が最大のテーマとして論議、確認されたことが示すように、世界危機の世界戦争への転化の過程を促進する重大な転機となった。25日の日米首脳会談(秘密会談)では有事立法の「早期成立」が確認されている。日帝・小泉はこれを反動的巻き返しのてことして、あくまで有事立法の強行を狙っている。小泉・自民党は、一方では「審議は尽くした、採決の環境はできている」と野党を恫喝し、民主党の内部矛盾をつき、それと並行して郵政関連法案の今国会成立のめどをつけたことをバネに、会期最終段階で衆院採決−継続審議へ突き進もうとしている。他方では、いわゆる「拉致」事件と撃沈外国船の引き揚げを使った反北朝鮮の排外主義キャンペーンを強めて、法案強行を狙っている。
まさに、7・26は今国会攻防の中でも最大最高の階級的激突の時となった。有事立法の衆院採決・継続審議の策動を、署名運動推進と7・26国会決戦の爆発で絶対に阻止せよ!
あらためて有事立法とは何か。「武力攻撃事態法案」「安保会議設置法改正案」「自衛隊法改正案」の有事立法3法案は、新ガイドライン―周辺事態法などと一体のものとして、日帝が米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に全面的に参戦するための法案であり、侵略戦争突入の国家総動員体制を確立するための法案である。
米帝ブッシュは9・11反米ゲリラ戦を歴史的契機として10・7アフガニスタン侵略戦争を開始し、世界戦争路線―世界戦争計画の実行に突き進み始めた。基軸帝国主義であり唯一のスーパーパワーである米帝が、他の帝国主義を圧倒する形で、すでに先制的に帝国主義世界戦争の政治と軍事、経済政策の次元に突入したのだ。それは激しい帝国主義間争闘戦、とりわけ対日争闘戦としてもある。
この現実の中で日帝・小泉は、帝国主義としての生き残りをかけて、こうした米帝の世界戦争路線、具体的にはアフガニスタン、パレスチナへの侵略戦争とそれに続く対イラク、対北朝鮮・中国の侵略戦争発動に必死に食らいつき、それに共同的=競合的に、積極的主体的に参戦するために、有事立法成立に全力で突き進んでいるのである。有事立法は、対イラク侵略戦争に続き、この1〜2年のうちにも発動されようとしている米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争のための侵略戦争突入法案、国家総動員体制づくりの法案なのだ。
第2章 北朝鮮・中国侵略戦争参戦のための法案
ところが、こうした米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争の攻撃という現実を否定し、有事立法粉砕決戦に敵対・妨害しているのが日本共産党であり、ファシスト・カクマルだ。
日本共産党の基本的立場は、「アメリカのアジア介入戦争に国民を強制動員するものだから反対」というもの。この根底にあるものは帝国主義に屈服した「テロ根絶」論であり、対米従属論と反米民族主義である。意図的に「侵略戦争」と言わずに「介入戦争」などとして米帝とその被抑圧民族虐殺戦争を免罪しているのだ。そこから「アメリカの戦争だから嫌だ」「それに国民を強制動員することに反対」と言っているに過ぎない。日帝自身が米帝に全面協力し積極的に北朝鮮・中国侵略戦争をやろうとしているのだという断罪のない日帝免罪論なのだ。
そして本音では、「仮に本当に日本に武力攻撃があったときには、国民は罰則なんか科さなくても、自らの命、財産、家族の安全を守るために立ちあがる」(筆坂政策委員長)と、「武力攻撃があったら国を守るために戦う」ことを正しいとし、日帝自身の侵略戦争は擁護する民族排外主義に転落しているのだ。
ファシスト・カクマルは『解放』1726号(7・8付)で、ついに「『武力攻撃事態』=『日帝の北朝鮮・中国侵略戦争』などと言うのは、中核派の……思いえがいた勝手なイメージにすぎない」(羽場論文)と公言するにいたった。70年決戦以来、「被抑圧民族迎合主義反対」を叫び、極悪の帝国主義的排外主義の立場から「朝鮮侵略戦争などない」と強弁してきたカクマルは、6・16の20労組陣形の6万人決起に驚き大打撃を受けて、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争が新たに切迫しているまさにその時に、こう公言したのだ。
9・11―10・7を歴史的契機に、米帝(国際帝国主義)がアフガニスタン侵略戦争を開始し、世界危機が世界戦争へと転化する過程が始まっている現実。米帝ブッシュ自身がイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつけて侵略攻撃を具体的に準備し、この3国にシリア、リビア、中国、ロシアを加えた7カ国を核攻撃の対象と規定している事実。さらに米帝の「新帝国主義宣言」である01年QDR(4年ごとの戦力見直し)が、対中国の世界的大戦争を核心的要素として組み立てられているという事実。まさにこうしたリアルな情勢を前に、北朝鮮・中国侵略戦争の切迫、その現実性を否定するとはいったい何ごとか。
それは有事立法粉砕闘争へのカクマルの明らかな敵対宣言である。米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争に反対して闘うこと、「連帯し侵略を内乱へ」の闘いを貫くことへの全面敵対である。
一方で連合は、5・16見解をもって有事立法に賛成し、自治労と日教組は、転向してこの連合見解を推進した。絶対に粉砕しよう。
闘争の敵対者、妨害者となっている日共とカクマル、そして連合を粉砕し、のりこえて、7・26を軸に有事立法粉砕決戦を全力で爆発させよう。20労組陣形の闘いを発展させよう。沖縄闘争、三里塚闘争と結合して闘おう。7・26国会デモに全国から総決起せよ!
第3章 「テロ根絶」掲げたイラク攻撃が超切迫
7・26国会決戦を軸とする7月決戦は、今激しく進展する世界戦争と29年型世界大恐慌の情勢と真っ向から対決する闘いである。
「テロ根絶」を掲げた米帝の世界戦争計画のもとで、今、対イラク侵略戦争が切迫してきている。
7月5日付の米ニューヨーク・タイムズは、米軍が、陸海空の各戦力25万人と戦闘機・爆撃機を数百機動員して、イラクを南、北、西の3方向から攻撃すると報じた。ブッシュは7月8日の記者会見で、フセイン政権打倒のためには「使える手段はすべて使う」と公言した。さらに7月7日付の英サンデー・テレグラフは、イラク攻撃に英軍3万人と、戦闘機50機、一空母戦闘群を派兵する、戦争開始は03年初春が「最良の選択」とされていると報じた。要するに、米英帝を軸とした対イラク侵略戦争が、今秋から来年前半期にも強行されようとしているということだ。
米帝の世界戦争計画における「テロ根絶」という戦争目的は、アフガニスタンのタリバン政権を崩壊させたにとどまらず、パレスチナの民族解放闘争を圧殺し、アルカイダを始め全世界の武装勢力のすべてを絶滅することなしには達成されない。しかしそんなことは絶対に不可能だ。この反革命的な戦争目的は、米帝の戦争を長期化、無期限化させ、全世界に拡大させ、被抑圧民族人民の無差別虐殺を限りなく拡大していく恐るべき本質をもつ。
アフガニスタン・パレスチナ・中東での民族解放闘争圧殺と人民大虐殺の侵略戦争の果てしない激化、その対北朝鮮・中国侵略戦争への拡大は、必ず帝国主義間矛盾の爆発、帝国主義間戦争へと転化し、ついには第三次世界大戦へと発展していく。9・11―10・7をもって、今やこうした世界戦争過程が始まったのだ。
サミットを前後して再爆発を開始したドル下落(円高の進行)・米株価の急落とその世界的波及という形での米経済危機―世界経済危機は、ドルと米資本主義への根底的不信に発しており、29年型世界大恐慌の本格的爆発の始まりである。これは帝国主義の分裂化・ブロック化、争闘戦の非和解化と第三次世界大戦への道に直結している。この面からも世界危機の世界戦争への転化の過程が進む。
こうした恐るべき情勢に対決し、9・11を契機に打ち固めてきた新たな7・7自己批判の立場にたちきり、「連帯し侵略を内乱へ」の戦略的総路線を全面的に物質化して、反帝・反スターリン主義世界革命の実現に向けて全力で闘うことこそが求められている。
このことを確信をもって訴え、7・26国会決戦への総結集をかちとろう。
第4章 闘争団除名など絶対許してはならない
日帝権力の闘争団除名・国労解体攻撃を粉砕して、本部打倒と国労再生をかちとる国鉄決戦は、有事立法粉砕決戦と一体の闘いだ。
日帝は北朝鮮・中国侵略戦争に全面的に参戦していくために、国労を解体し、一切の労働組合・労働運動を一掃しようとしているのだ。同時に、労働者に一大資本攻勢をかけてきている。それなしに「城内平和」を確保して戦争体制、国家総動員体制をつくることはできないからである。
自民党副幹事長・甘利明が要求していることは、一切の訴訟の取り下げと闘争団の選別、「統制処分、組織からの除名処分」である。そして国労は解散しろと言っているのだ。こんな無法な政府権力の組合介入、組合支配がかつてあったか。断じて許しがたいことだ。国労の魂であり、闘いの精華である闘争団の除名処分など、何があっても粉砕しなければならない。
日帝・甘利らに全面降伏し、はいつくばって、闘争団除名と国労解体に突き進んでいる国労本部の高嶋―寺内執行部とチャレンジ、反動革同(日本共産党)、酒田一派らの転向分子、裏切り者に、労働者の階級的怒りをたたきつけよ! これまで国鉄決戦として切り開いてきた一切の力を結集し、代議員選挙に勝利し、定期大会決戦に全力で攻め上ろう。闘争団防衛・国労再生をかけて、国鉄決戦に総決起していこう!
郵政公社関連法の衆院通過は、国鉄・NTTに続く郵政民営化−大首切り・リストラの大攻撃だ。特殊法人解体と一体の攻撃だ。団結を固め反撃していこう。
第5章 7月の重要な決戦課題は党建設の闘い
7月のいまひとつの決戦課題は、有事立法粉砕決戦と国鉄決戦の真っただ中で党を建設する闘いだ。
9・11―10・7以降の世界戦争情勢と国際的内乱の発展情勢は、わが革共同に党的主体的な抜本的飛躍を要求している。レーニンは『第2インタナショナルの崩壊』で革命的情勢の接近に対応した革命党の基本的な三つの義務として、@革命の宣伝と扇動、A革命的大衆行動の組織化、B非合法組織の結成を提起している。そして、これ以外のものは「すべて、うそか空文である」と言いきっている。
革共同は60年安保闘争、70年安保・沖縄決戦の経験と、先制的内戦戦略のフェーズT・フェーズUを闘いぬいた地平の上に、唯一の革命派として生き残ることに勝利し、今、歴史的主体として登場している。『革共同第六回全国大会報告・決定集』上・下巻および『清水丈夫選集』第5巻序文(書き下ろし)として表されている6回大会路線で今こそ全面的に武装し、党建設に打って出るべき時である。
同時に、20労組陣形の闘いを始め4〜7月の有事立法粉砕決戦の、新たな豊かな経験の上に、党と労働組合・大衆団体と統一戦線の闘いの現在的な再構築、革共同の闘い方の創造的発展を、断固かちとっていくことが求められている。
6回大会を実現し、反スターリン主義・革命的共産主義に裏打ちされた世界革命の綱領と路線を手にしている革共同は、世界に誇りうる党である。この党を、開始された国際的内乱に勝利できる強大なレーニン主義的革命党として、民主集中制と党活動の3原則に凝縮される規律と細胞性で打ち固められた組織として、今こそ大胆に拡大し、強化し、発展させていこう。
先進的な闘う労働者人民は、唯一の革命的機関紙である『前進』をぜひ定期購読し、それを武器に闘ってほしい。そして6回大会路線のもと革共同に加盟し、ともに闘ってほしい。
この7月、6回大会路線で全党が武装し奮い立ち、有事立法粉砕決戦を死力を尽くして大爆発させ、この闘いと結びつけて夏期一時金カンパ闘争、機関紙拡大闘争、党勢倍増闘争を始めとした党建設的課題を、一個三重、一個四重の闘いとして重層的にやりぬこう。
7・26に総決起し、さらに東西革共同政治集会の大成功と、8月広島―長崎反戦反核闘争の大高揚に向けて前進していこう。
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週刊『前進』(2062号1面2)
21世紀革命の展望切り開く東西革共同集会に総結集を
闘う労働者・学生・市民のみなさん! 7・28関西―8・4東京の革共同政治集会への参加を呼びかけます。
有事立法決戦と内外情勢の激動
今年の集会は有事立法粉砕決戦の真っただ中で、加えて内外情勢もこれまでになく激動している中で開かれます。
国際情勢は、9・11反米ゲリラ戦争と10・7アフガニスタン侵略戦争によって世界戦争への転化の新たな段階に突入しました。米帝・イスラエルの人民圧殺戦争に極限的闘いで対決するパレスチナ人民の闘いは、われわれに国際的内乱と革命の時代を切り開くことを呼びかけています。
米帝ブッシュは、「悪の枢軸」と叫んで、まずイラク、次いで北朝鮮への侵略戦争(核戦争も公言している!)を準備し、日に日に戦争重圧を強めています。米帝は、この侵略戦争の遂行をとおして他の帝国主義とりわけ日帝をたたきつぶすことによって延命を図ろうとしているのです。帝国主義が体制的危機をのりきるために、その力をむきだしにしてぶつかりあう時代が三たび到来したのです。
日帝は、90年バブル崩壊以降の没落の危機がより深刻化する中で生き延びるために、この米帝の戦争策動に食らいつき、共同的=競合的に参戦することによって戦争国家に転換を遂げようとしています。小泉政権の登場は決定的な転換点であり、テロ特措法の成立と昨年来のアフガニスタン侵略戦争への参戦として戦争国家化が進行しています。そして、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争の切迫の中で、侵略戦争突入・国家総動員法案としての有事法制3法案を打ち出したのです。
そして他方で、労働者人民への犠牲転嫁の攻撃と、さまざまな治安政策の強化や差別・排外主義の悪質な扇動が行われ、さらには許しがたい腐敗・汚職や暴言が次々と明らかになり、労働者人民の怒りをかきたてています。
今国会の最大の対決法案である有事立法攻撃に対して、労働者・学生・市民は怒りと危機感をみなぎらせて決起しています。陸海空港湾労組20団体などが呼びかけた集会には、4・19―5千人、5・24―4万人、6・16―6万人が決起しました。
その結果、有事立法の5月さらには6月の衆院通過を押しとどめました。日帝・小泉は、審議未了=廃案の危機に直面する中で、どたん場での衆院採決と継続審議決定を狙っています。7月31日の会期末に向かう緊迫した情勢の中で7・26国会闘争(反戦共同行動委員会主催)を打ちぬき、廃案をかちとろう。
東西革共同政治集会は、今年前半期の闘いを総括し、内外情勢を鮮明に分析し、開始された有事立法決戦を「連帯し内乱へ」の大決戦へと推し進める今夏・今秋の闘いの方針を打ち出す場です。
今こそ革命的労働者党の建設へ
国鉄決戦を頂点としてあらゆる産別で資本攻勢・労働運動解体攻撃との攻防が熾烈(しれつ)に闘われています。労働者階級の反戦闘争への決起の基盤を根底から解体する攻撃との闘いという意味で、これは有事立法決戦と一体です。
国労本部チャレンジ・革同の裏切りを始めとして既成指導部の屈服と転向はとどまるところを知りません。連合(「5・16見解」を見よ!)・全労連などの産業報国会化と戦争翼賛化を打ち破ることなしに、労働者人民はその生活と権利を守ることができないばかりか、労働現場さらには戦争でその生命も奪われてしまうことになるのです。
国労闘争団の闘いを先頭に、非妥協・不屈の闘いを貫くすべての労働者と労働組合の団結を固めて、階級的労働運動の再生と発展をかちとるために立ちあがらねばなりません。
陸海空港湾労組20団体は、社共共闘の崩壊をのりこえる新たな結集軸として登場しています。その5、6月の闘いは、既成指導部のもとにいる労働者人民が労働者魂を失わず、戦闘的な行動力を持っていることを示しました。
求められているのは、帝国主義的労働運動、スターリン主義的労働運動、ファシスト労働運動(JR総連)を打ち破る階級的労働運動の再生と発展をかちとる路線であり、その先頭に立つ指導勢力・労働者政党なのです。
29年型世界大恐慌の到来が不可避となり、世界危機の世界戦争への転化の情勢が一段と進行する中で、日本において70年闘争以来の労働者と労働組合の政治闘争への決起の情勢が切り開かれています。当時と比べて既成政党の屈服と無力化が進み、階級的分岐と対立が激しくなっている中で、当時以上の切実感を持って「社・共に代わる労働者党を」という欲求が労働者人民からわきあがってきています。
わが革共同は、昨年前半期に第6回大会の開催を実現して以来1年、9・11―10・7の新情勢に全力で対応し闘ってきました。そして、今年前半の有事立法決戦と国鉄決戦の勝利の展望を切り開いてきました。
闘う労働者・学生・市民のみなさんが、「社・共に代わる労働者党」への前進と飛躍のために革共同に結集しともに闘うことを訴えます。東西革共同政治集会への参加を呼びかけます。
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週刊『前進』(2062号1面3)
真の労働者党建設へ熱烈な夏期カンパを
有事法制の廃案を希求し、国鉄闘争の勝利を念願している労働者人民のみなさん。一時金カンパ闘争を闘いぬいている同志のみなさん。
20労組呼びかけの6・16集会の6万人の歴史的大結集が示した日本階級闘争の現段階の核心は、社・共をのりこえた真の労働者党、この待ったなしの登場ということです。
70年決戦以来とも言える反戦政治闘争への6万人の結集は、何ゆえ可能となったのか。労働者人民の決起を押しとどめてきた権力の弾圧とカクマルの白色テロに対して革共同が勝ち抜き、5月テーゼ以来の国鉄を基軸にした階級的労働運動の営々たる実践があったからです。それなしにはありえなかったものです。
革共同は、昨年第6回全国大会を開催し、第3次世界戦争の不可避性とともに被抑圧民族の民族解放・革命戦争の不可避性も明らかにし、21世紀の早い時期に反帝・反スターリン主義世界革命によって帝国主義を打倒する現実的決断をしました。昨年9・11反米ゲリラ戦争とそれに続くアフガニスタン侵略戦争、パレスチナ民族抹殺戦争は、まさに世界戦争と国際的内乱の激突の時代としての現代を現出させ、6回大会路線の正しさと革共同の責務の重大さを明示しました。
他方、戦後最大の階級攻防点、表裏一体の攻撃である有事法制と国労解体攻撃に、社・共は責任をとるどころか、決起を開始した労働者に反動的制動をくわえ、闘争圧殺者としての本性をあらわにしています。社・共をのりこえた労働者党への革共同の飛躍は、主観的願望ではなく、結集した労働者人民の現実的要請となっているのです。
今、何よりも必要なことは、戦争反対に立ち上がった数十万の労働者人民に、「連帯し内乱へ」の路線のもと、戦争の元凶である帝国主義打倒を鮮烈に呼びかけ、実践する機関紙『前進』の党、これを保証する非合法・非公然の党、これらの党建設課題を労働者階級の要求として実現するということです。
すべてのみなさん。革共同が勝利者として21世紀に登場しえたのは、ひとり革共同の奮闘のみではなく、多くの労働者人民の自己解放的決起、とりわけ非合法・非公然体制を維持・防衛するための年2回の財政闘争・カンパ闘争の勝利があったからです。労働者の生活をかけたカンパによってこれほど支えられてきた党派はほかにありません。革共同は労働者の党なのです。
70年決戦を真にのりこえる橋頭保に、われわれは立っています。なんとしても勝利するために、これまでの革命準備期を上回る圧倒的カンパを革共同に寄せられるよう訴えます。
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週刊『前進』(2062号2面1)
カクマルとJR総連の大分裂〈上〉
坂入「自己批判」は主犯松崎を別格化する中央派の政治文章
松崎明(JR総連特別顧問)を先頭とするJR総連派と、黒田寛一を頭目とする中央派とへのカクマルの分裂は、もはや修復のできないものとなった。一昨年11月にカクマル中央派によって拉致・監禁されたJR労研事務局長・坂入充は、今年4月に1年半ぶりに解放され、「帰宅した」とされている。その間、昨年6月には坂入「自己批判」文書が書かれ、8月に坂入の妻とJR総連がカクマルへの告訴・告発を取り下げた。一連の事態は、カクマル中央派と松崎・JR総連が、もはや関係修復できない現実を踏まえ、このままでは共倒れになるという双方の恐怖から、一定の政治的取引を行ったことを物語っている。反革命的悪行を40年も繰り返してきたファシスト・カクマルが、ついに大分裂をとげ、その土台から打倒される歴史的な情勢が生み出されているのである。
修復不可能になり共倒れ回避に走る
JR総連は、99年12月にカクマルからの組織分裂を決断して以降、中央派による白色行動的な押しかけとの泥仕合を深める中で、00年10月にJR九州労の組合員が大量脱退した。それをもって、社会的に(対権力、対当局!)JR総連がカクマルから分裂したことを印象づける形をもとりつつ分裂を進めた(これ自体は九州労組合員のJR内生き残りをかけた選択だった)。
それに対して中央派は、松崎だけはカクマルに所属しているかのように装いながらJR総連に対して激しく対応した(JR総連事務所への押しかけビラまきやJR社宅への『主張』『進撃』などのカクマルビラの投げ入れ、00年9月過程の9条連をめぐる争い=中央派による押しかけなど)。
『主張』や『進撃』の内容が、「過去の松崎発言の線へ戻れ」というものであったことは、カクマルが松崎を最後まであてにしていたこと、また松崎の分裂・離反が黒田・中央派カクマルにとって決定的な打撃であることを示したものだった。
また九州労事務所への襲撃と文書奪取などをしながら、11月に入ってついにJR総連・中央労研事務局長の坂入充の拉致・監禁へと進んだのである。これに対してJR総連はカクマルの告訴を決断した。ここに至ってカクマルはJR総連執行部を「階級敵」と規定し、「打倒」を宣言した。
ここに双方の分裂は不可逆的事態となった。そうした中で、沈黙を守っていた松崎明による12月9日のJR東労組全支部委員長会議発言が明るみに出たのだ。
「私はそんな組織(カクマル)に一時期ではあってもかかわりをもったことを恥と思っています」
「彼らは……私が手を切ったことを認めたくはないのでしょう」
「万が一にも私が彼ら(カクマル)の軍門に下るようなことがあれば、私は皆さんの前から姿を消します」
01年に入ると黒田の「異星人にもの申す!」とか「『歌を忘れたカナリア』=立花(小田裕司・現JR総連委員長の組織名)よ」を公表するなど相互の対立・批判はさらに深まり、分裂は北海道から九州までの全国的様相をあらわにするとともに、教労組織を始めとしたカクマル産別組織全体を覆う組織分裂・脱落として進行していった。
一方、坂入拉致とそれへの告訴を理由として、警察権力は中央派カクマルへの追及だけではなく、JR総連カクマルへの事情聴取=介入を進めた。
こうしたカクマル双方の組織的危機=共倒れ危機の進行の中で、昨年6〜8月になって、両者は政治協定を結ぶことへと追い込まれていった。そこで中央派カクマルは、今後はJR総連組合員に対して暴力的行動をとらないことや対立の激化を進めないこと、坂入の命は保証すること、またJR東労組批判をしないことなどを約束し、他方、JR総連は、松崎によるカクマル批判をしないこと、カクマルへの告訴は取り下げるなどを相互に約束した。その過程の文書が「坂入自己批判書」であり、坂入の妻・操子の「告訴取り下げ」である。
こうした中で、JR総連・東労組は、これまで以上に資本との癒着を強めることで延命を策し、6月の「メンテナンス外注化協定」、8月「第4次労使共同宣言」という形で積極的に資本への協力を明らかにしていった。
JR総連は、政治組織として「マルクス主義」を掲げる党派の立場の「制約」から自らを解き放ち、労働組合としての立場を押し出しながら、露骨にファシスト労働組合運動を自己展開していく道に入ったのだ。
しかし、これはJR総連カクマルにとっても決定的破産であり、破滅への一歩である。それまでJR総連にとって、資本との交渉力として存在していたカクマルの軍事力がなくなったのだからである。ストライキを否定しているJR総連=カクマルにとって、それまでは唯一カクマル白色軍事力だけが資本との間でのバーゲニングパワー(交渉力)だっただけに、このことは小さなことではない。
なぜなら資本との取引材料を持たなくなったことは、資本への一層露骨な、積極的な協力をもってしか生き延びられなくなったということだからである。
それは第二の分割・民営化の大合理化を進めているJR資本に対して、カクマル松崎が労働代官として組合員の首切りを先頭になって進めるということだ。
米日帝の朝鮮・中国侵略戦争の超切迫を背景として、JR総連は、労働組合員を白色暴力で支配しながら、自らはその奴隷頭としてより徹底的に資本の先兵になりきって生き延びることを唯一の路線としたのである。すでにそれは02年の春闘の中で、東労組のベアゼロ回答丸のみによって明らかとなっている。
他方、中央派カクマルは組織の最大の実体であるJR総連の分裂によって、自らを支える理論も組織も失っただけでなく、政治党派としてのカクマルの財政力や政治基盤がなくなってしまい、組織的にも「本来の戦線」である産別組織がグラグラとなっている。
そうした中で、より巨大な打撃が革共同から加えられた。わが第6回党大会の発表とそこでの対カクマル戦での基本的勝利宣言、および黒田哲学の徹底批判である。これはカクマル組織の存立基盤そのものを奪うものとなっている。
今やカクマルは、これに一切沈黙を決め込むのみであり、特に黒田哲学批判についてまったく触れることもできないありさまである。革共同に対しても理論的・路線的・政治的な批判などはできず、せいぜい「スパイ集団」などと誰も信じないレッテル張りで自己をごまかしている無理論の党派であることを暴露している。表向きは傲慢(ごうまん)だが、内容がない内部情報操作をこととする文字どおりの謀略集団へと転落してしまった。
彼らは明らかに、このところ学生においても、労働者集会においてもその結集力を減少させている。特に組織的に大きいのが、「神戸謀略論」デマ運動の破産である。「謀略論」路線というカクマル組織の骨格をなす路線の破産は、黒田とその指導部の権威を失墜させ、組織的吸引力を失わせる結果となっている。
カクマルが最近刊行した『内ゲバにおける警備公安警察の犯罪(上・下)』なる本はカクマルの「謀略論」路線への必死のしがみつきを物語っている。
90年代対カクマル戦の勝利
カクマルとは、階級闘争の内乱的発展に敵対し、その敵対のためには革命党と戦闘的人民に対する白色武装襲撃をも行う武装反革命勢力である。70年安保・沖縄闘争の爆発に恐怖し、権力の破防法弾圧に呼応して背後から襲いかかり、革共同の最高指導者・本多書記長を暗殺した集団である。彼らは「革命」や「マルクス主義」の仮面をかぶり、「左翼」の一員であるかのように装いながら、革共同を破壊することを最大の目的にして生きてきたのだ。
そのカクマル組織の最大実体がJR総連である。JR総連とは、国鉄分割・民営化攻撃の最大の先兵になり、国鉄労働者を敵に売り渡すことで生き残りを図った黒田と松崎の指導でつくられたファシスト組合である。JR総連という存在そのものが、カクマルの反労働者性、反革命性を体現しているのである。
これに対する動労千葉と国労闘争団を先頭とする戦闘的国鉄労働者の不屈の闘いと連帯して、革共同は対カクマル戦の最大のテーマとしてJR総連打倒闘争を据え、全力で闘いぬいてきた。とりわけ91年の5月テーゼ以来の90年代の対カクマル戦を、松崎・JR総連打倒を焦点として展開してきた。その革共同の路線が、ついにカクマルを分裂に追い込み、最大の危機にたたき込んだのである。
政治的取引文書としての「自己批判」
次に、より具体的に、JR総連カクマルとカクマル中央派の関係を見ていこう。ここでは、昨年夏の「坂入自己批判」文書の核心問題を明らかにしたい。
結論的に言って、カクマル中央派とJR総連カクマルの共倒れ回避のための相互欺瞞(ぎまん)、相互瞞着の「政治的取引」、それが昨年6月29日付の坂入「自己批判」文書である。
この「自己批判」文は、要するに徹底的な政治的欺瞞、政治的取引文書である。他方で、その中に重要なカクマルの内情を自己暴露したものである。
その内容は以下のようなものである。
「@自分(坂入)は松崎を裏切った、A松崎は九州問題などと関係ない、B松崎は正しい指導をしていた(しようとしていた)」
このような結論を引き出すためにのみ、この自己批判文書は書かれている。
「00年9月上旬の会議において……松崎が帰ってから本番の会議をもち、そして『生ぐさいことは(松崎の)耳に入れない』などといってそれを正当化した」
「松崎の指示にもとづいて『(共産党)宣言』から学習をやれといわれていたにもかかわらず、私達は学習会の組織化を放棄してきました」
「ところが最近、(坂入文書を書いている時点で)松崎は直接『変革の哲学』(黒田の著作)をテキストとして論議を指導的メンバーとの間ではじめたとききました」
「(九州労問題で)出席されていた松崎の退席後に本格的密談をもちました」
「(カクマルが『主張』で松崎の過去の主張を再録してJR総連執行部批判をしたことについて)私たち労研メンバーの質をみるにみかねて(カクマル中央は)私たちを教育するためにこそ配布された」
このように、松崎を美化し、松崎だけは労研メンバーと違ってカクマル中央と同じ立場にあったかのように描くことを目的に書かれている。JR社宅へのカクマルのビラ入れも、松崎がOKしていたと言いたげである。
一方で坂入は、「犯罪の組織的根拠……この問題の反省はいまなおできていません」というトーンを平然とくり返している。これはカクマルによる「監禁」の合理化(党内論理としての)としての意味もある。しかし坂入が本当の自己批判はしない、しえないことを意味している。
「私たち労研指導部の面従腹背的犯罪の積み重ねに絶望していたカクマル指導部は、9条連集会のビラまきさえやめて、JR総連とは無縁な地平において労働運動を組織化するという形式を今日ではとっているとのことです」
「私を先頭とする労研指導部が労研組織の破壊の先頭に立っていたことをくつがえすために松崎は塾のピラミッドをつくりはじめているとのことです。@『経哲草稿』、A『ドイツイデオロギー』、B『変哲』(黒田『変革の哲学』)。これらの本をチャンと学習せよ、という指示が出されているということをきいた私は、私の犯した犯罪を恥じ、涙した次第です」
「9月上旬の陰謀会議には、小田、山下もいました。小田はこうした犯罪を犯していることを自覚していないが故に、警察権力に『告訴・告発』を行うことになったのです。……今日にいたるまでこの『告訴・告発』を撤回しようとしません」
以上を見ると、この「自己批判」文書がカクマル中央派の意図にそって松崎を別格化し、彼をカクマル中央に対するJR総連カクマルの「陰謀」から免罪する(排除する)というストーリーづくりのために書かれていることは明白である。
それどころか、松崎は一貫して腐敗せず(カクマル中央からみて)正しいスタンスをとり続けたかのように描こうとしている。これは99年12月〜00年12月に進行した分裂事態が、松崎を先頭に行われたものであるとすることが、カクマル中央=黒田にとって壊滅的打撃であることを示している。どんなことをしても、松崎はこの圏外にいたとしないと「もたない」のだ。
「松崎無関係」をデッチあげ
しかしながら、この「自己批判」文書自体が、この〈松崎無関係説〉のもつデッチあげ性を自己暴露している。
「(対カクマルの)陰謀会議」に言及していながら、松崎を含む指導部がいたのに、松崎だけ退席した後、「本番の」「陰謀会議」をもったなどと言っている。「問わず語り」とはこのことだ。松崎だけが退席して他の指導部メンバーはすべて居残って秘密会議をやる――こんなことは天地がひっくり返ってもありえない。だいたい、このあまりにも不自然な事態に松崎が不審に思わないなどということがありうるのか。松崎の組織掌握力がゼロだったとでも言うのか。
したがって、ここの坂入の言辞は、逆にこの00年9月の陰謀会議に松崎が出席していたこと、あるいは松崎の方針の貫徹の場であったことをはっきりと示している。松崎が万一政治的に立ち回って「退席」したとすれば、それは逆に松崎方針が坂入にとって百パーセント明確で、松崎方針の百パーセントの坂入による貫徹が保証されていたということでしかない。つまり、松崎が主犯中の主犯であることを示すこと以外の何ものでもない。
また、松崎が労研の再建にのりだしているなどと言いながら、その一方でJR総連の小田、山下らが昨年6月29日の時点で「告訴・告発」を「撤回してない」などと言っている。これでは松崎はまるで影響力がなく、JR総連を動かしていないことになる。
これでは松崎はカクマルとJR総連の分裂の主犯なのに犯人ではないとされ、松崎は何ひとつ自己批判もせず、その路線についても何ひとつカクマルに言い訳もせず、今後もやっていくということになるのだ。
「滞納金5億円踏み倒し」とは
この坂入「自己批判」文書では、このほかに次のような重要な事柄が自己暴露されている。
@93年秋から94年6月にかけて対立が激化し、94年6月に上野らが「第二戦線づくり」に踏みきった。
A95〜96〜97年〜と「面従腹背」が進んでいった。
B99年12月某日に労研指導部会議は、@(カクマルの)機関紙・誌はとらない、A滞納金5億円をふみたおし、今後の会費は払わない、B組織的断絶を公にすることを決定し、これを12月20日に通告した。これはカクマルが99年末から対JR総連ビラまきを始めたことと一致する。
90年代をとおしてJR総連カクマルとカクマル中央との対立が激化し、分裂が進行したことを、この坂入「自己批判」文書(=カクマル公認文書)は自己確認している。
しかし、より重大なことはその決定内容だ。それは決定的事実を示している。
労研とはカクマルのJR総連組織である。JR総連カクマル・グループ会議と言ってもいい。したがって松崎が労研の再建のため「学習会」をしているうんぬんは、松崎が今もカクマルメンバーそのものであることを示している。
また、会費を払わないとカクマルに対して決定している。このカクマルに対する会費とは党費以外の何ものでもありえない。
さらに、滞納金5億円とは何か。いつからの滞納金かが問題だが、あまりにも膨大である。これは単に党費や紙誌代の滞納にとどまらないだろう。黒田本の大量一括購入が行われていたことは明白である。これはJR総連からカクマルに膨大な5億という規模の資金(滞納分だけで)が流れていたことの証拠であると言っていい。JR総連のカクマル党員の党費であり、JR総連組合費の流用なのだ。 (つづく)
◆JR総連関連日誌
99・12・20 JR総連指導部がカクマルに絶縁を通告
中央派がJR社宅への『解放』投げ入れ開始
00・2・7 JR総連執行委員会名でカクマルの「組織介入」を公然と非難
3・1 JR東労組が「シニア協定」を締結
6・28 JR東日本会社、大塚新体制発足
9・4 東京の9条連集会に中央派が押し掛け排除される
10・5 JR九州労から大量脱退
11・3 中央派が坂入充を拉致監禁
11・16 JR総連、カクマルを告発、告訴
11・29 「ニューフロンティア21」発表
12・8 カクマルが「JR総連打倒宣言」
12・9 松崎が東労組全支部長会議で講演
01・6・13 JR東労組が「メンテナンス外注化協定」締結
6・19 松崎明がJR東労組会長を辞任
6・29 坂入「自己批判文書」
8・1 JR東労組が当局と「第4次労使共同宣言」を発表
8・9 坂入の妻とJR総連が「捜索願」と「告発状」を取り下げ
12・30 松崎が『鬼の咆哮』を発行
02・1〜2 松崎が『サンデー毎日』で連載5回
2・5 松崎がJR総連「特別顧問」就任
4・13 坂入、自宅に戻る
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週刊『前進』(2062号2面2)
国労本部が査問委送致を強行
「闘争団除名」粉砕しつくす代議員選勝利の決戦態勢を
7月10日、国労本部は、鉄建公団訴訟原告団と最高裁第三者参加申立人の闘争団員を査問委員会に送致するという暴挙に及んだ。訴訟参加者を4ランクの「罪状」に分けて除名を始めとする処分を決定せよというのだ。国労本部はついに組合員の除名、しかも国家的不当労働行為と最も不屈に闘う闘争団員の〃首切り”という歴史的大罪に手を下したのだ。断じて許すな。直ちに徹底弾劾の声を国労本部に集中しよう。次期定期全国大会で、闘争団の除名を絶対に阻止しなければならない。〈闘争団除名―国労解体か、闘争団防衛―国労再生か〉をかけた、文字どおり後のない決戦だ。国鉄闘争と日本労働運動の死活をかけた、そして有事立法阻止決戦の帰すうをも左右する大決戦である。8月にも行われる代議員選へ、直ちに絶対勝利の決戦態勢に突入しよう。「闘争団の除名を絶対に許すな!」――この一点で、闘争団とJR本体組合員は一致結束し、チャレンジ一派、反動革同、酒田一派らをたたき落とそう。定期大会で高嶋・寺内・久保ら中央本部を総退陣させ、今こそ4党合意を破棄し、国労と国鉄1047人闘争の新たな出発をかちとろう。
「解決案批准の大会」なる見え透いたデマ
国労本部は、7月4日の全国代表者会議で、規約に基づく7月代議員選と8月定期全国大会を決定することができなかった。
これはきわめて異例の事態である。5・27臨大からすでに1カ月半も経過し、6月6日の4党協議と甘利記者会見(前号2面)で「8月大会で除名を決定せよ」と迫られ、国労本部もそれを了解していながら、いまだに大会日程すら決められないのだ。
全国代表者会議で寺内は、「統制処分」と「解決水準」の二つを議論し決定する大会にするなどと称して、そのための「条件整備」を7月いっぱい行うなどと言っている。
だが、「解決水準」なるものは、初めから「ゼロ回答」であることは明らかである。日帝権力、自民党・甘利らは、国労が闘争団を除名し丸ごと全面降伏しなければそれすら出さない、と言っているのだ。寺内らはそのことを百も承知ではないのか。
にもかかわらず、こんなことを言ってあがいている寺内らは、いったい何を恐れているのか。
闘争団の除名だけを強行するとなれば、代議員選での3分の2の確保は困難である。首切りに抗して闘い続ける闘争団を労働組合が首を切るということはあまりにも不正義なのだ。これに対する組合員からの怒りと弾劾が巻き起こることに恐怖しているのだ。
国鉄分割・民営化攻撃以来の差別・選別、不当労働行為の数々に耐えながら、闘争団とともに歩んできた国労組合員にとって、闘争団の除名に賛成することは、自らの人生そのものを否定するに等しい。そんなことができるのは、敵権力に魂を売った一握りの裏切り者しかいない。
だから、寺内は「(甘利は)定期大会の前に障害がなくなればいつでも解決作業が始まり、案を出すと言っている」だとか「処分を求めているのではない」などと、見え透いた大ウソと奇弁をろうしているのだ。
彼らがこの間やっていることは、まさに甘利の指示どおりのことである。すなわち「確信犯をできるだけ絞り込んで、どうしても残る人は組織から外れてもらう。統制処分が最後の8月の国労大会になる」「これから8月まで何もしないでいきなり全員除名では組織の総意にならない。総意と認めてもらうようにオルグは一生懸命やってください」(甘利記者会見)と言われたことを、そのままやっているのだ。
本部は6月22〜24日に北海道、29〜30日に九州の闘争団員のオルグと称して「戸別訪問」し、「鉄建公団訴訟を下ろせ」と恫喝した。それは団をとおさず、何の連絡もせず、突然、自宅を訪問し、家族を脅すという襲撃に等しいものだった。ほとんどが粉砕されたとはいえ、それはかつて動労カクマルが動労千葉の分離・独立の際にやった組織破壊の手口とまったく同じ暴挙である。
だが、闘争団の固い意志と団結を突き崩すことはできない。「全力でオルグした」というアリバイにしかならない。7・4全国代表者会議では、本州の全機関に闘争団への「オルグ」や「はがき行動」を指示したが、それで闘争団を切り崩すことなどできはしない。
すでに国労本部は、鉄建公団訴訟や最高裁第三者参加申立人の闘争団員への生活援助金の支給を5月から凍結している。査問委員会を開く前から事実上の統制処分=組合員権停止を発動しているのだ。労働運動史上、こんな暴挙に手を染めたのは、国労本部だけだ。卑劣な兵糧攻めに対して、闘争団は心の底から怒っている。JR本体の組合員からも怒りの声がほうはいとわき起こっている。東京地裁に生活援助金支給凍結の禁止を求める仮処分も提起されている。
その上で、除名を決める大会となれば、いよいよ怒りは沸騰し、国労内の分岐は決定的となる。それでも強行するというなら、徹底粉砕あるのみだ。
有事立法阻止決戦の成否かけた大攻防へ
今こそ、こうした腐敗しきった裏切り者=中央本部を打倒し、新たな闘う執行部を打ち立てるために全力で闘わなければならない。
第一に、与党3党声明と甘利記者会見などの、むき出しの国家権力の支配介入に怒りを爆発させて対決することである。
労働組合の組織状況にここまで手を突っ込んで、組合員の除名まで迫るという政権政党の攻撃がかつてあったか。国家権力は、そうまでして国労の存在をこの世から抹殺したいのだ。それは、国鉄労働運動が日本労働運動再生の基軸となることを恐れているからだ。
有事立法の強行を狙う国家権力は、反対勢力、とりわけ有事立法で戦争に真っ先に動員される労働者の闘いを圧殺することに全力を挙げている。連合を5・16見解で「有事法制賛成」に取り込んだが、しかし陸・海・空・港湾労組20団体が軸となった反対闘争が高揚している。国労がその一角を占めていると同時に、国鉄闘争支援労組が連合内にも多数存在し、それが連合をつうじた労働運動の翼賛化攻撃を打ち破る可能性を持っているからだ。
敵の国労解体攻撃を粉砕することは、有事立法粉砕闘争の一層の壮大な発展をつくり出すものとなる。
さらに、小泉政権の「構造改革」のペテンがあらわになり、その本質が郵政民営化を始めとする一層の大リストラ、大増税など労働者人民への犠牲転嫁であることは明らかだ。いつ労働者人民の大反乱が起きるか分からない。その前に階級的労働運動を根絶やしにしようとしているのだ。
だから、甘利らは露骨な支配介入であることを開き直り、すべて国労執行部がオーケーしているから問題ないんだと、ごり押ししている。絶対に許すな。
第二に、この国家権力に屈した5・27臨大決定をあらためて徹底的に弾劾し、粉砕することである。
5・27臨大決定は、@「JRに法的責任なし」を再確認し、「最高裁での判断を公正に求める」とした方針を撤回する、A訴訟参加の闘争団員について、中央執行委員会が統制処分案を決定し、速やかに査問委員会に送致、査問委員会は処分を決定し、直近の全国大会で決定する、B臨大終了後、社民党の要請に基づき速やかに国鉄改革関連の訴訟を取り下げる、C4党合意受諾にもかかわらず解決が進展しないのは政府の責任だとして国労本部がILOに提出した追加情報を撤回する、というものであり、与党3党声明に逐一応じたものだ。
この方針を「4党合意がうたう人道とは、人間の尊厳に敬意を払い、信頼と寛容に基づくもの」「日本の政治を預かる主要政党が崇高な理念に基づいて提起した4党合意」と権力をあがめる高嶋委員長あいさつとともに確認したのだ。
もはや労働組合としての一片の道理もなく、一線を越えた、度外れた全面降伏方針である。このうちAの査問委員会送致をすでに強行した。徹底的に弾劾し、訴訟取り下げなどの強行を絶対に阻止しよう。
第三に、このような裏切り方針を強行した国労本部、チャレンジ一派、本部中執の久保ら反動革同、東京地本・酒田一派ら、賛成派をたたき落とすことだ。
彼らは、どんな手段を使ってでも定期大会で除名を決定できる3分の2の代議員を確保するために反革命連合を組んでいる。これを粉砕し、代議員選勝利をかちとろう。
東京地裁は7月5日、鉄建公団訴訟原告団が申請していた「訴訟救助」について、「申立人らが本案訴訟において勝訴の見込みがないとは言えない」として、訴訟費用の支払いを猶予する決定を行った。これは、「どうせ門前払いだ」などと触れ回っていた本部や賛成派、とりわけ反動革同らに大打撃を与えている。
闘争団は、「1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」という新たな支援陣形の発展にも勇気づけられ、あらゆる反動をはね返して不屈に前進している。
今こそ、この闘争団を守りぬき、「除名処分」粉砕へJR本体組合員と共闘の総力を結集し、代議員選―定期大会決戦勝利へまなじりを決して進撃しよう。
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週刊『前進』(2062号3面1)
有事立法を絶対廃案へ
「日本の戦争なら協力」叫ぶ日共は反戦勢力ではない
有事立法粉砕の7月決戦に全力で決起し、衆議院採決も継続審議も許さず、廃案に追い込もう。この闘いは、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争を阻止する、二度と侵略戦争を許さない闘いとして、命懸けでかちとらなければならない。この時に日本共産党は、闘いの戦列にいるかのように装っているが、ただただ選挙での集票に利用しようとしているだけだ。彼らの立場は、「アメリカの戦争ではなく日本の戦争なら協力する」というきわめて誤った思想である。日共を批判しのりこえることは今、緊急不可欠の課題だ。
「テロ根絶」と侵略戦争擁護
帝国主義の侵略戦争に対する日本共産党の態度がいかに誤ったものであるか、3点明らかにする。
第一は、昨年の9・11反米ゲリラ戦に対して、「テロ反対」と叫び、被抑圧民族人民の帝国主義に対する民族解放闘争に根本的に敵対し、それによって、帝国主義の侵略戦争、世界戦争に対する屈服を表明したことである。
志位は言う。「戦争ではテロはなくせない。テロに戦争で対抗しようとすれば、その戦争は終わりがなくなる。法と理性にもとづく世界の団結した行動によってこそテロは根絶できる」(7・8日共創立80年記念講演会)
被抑圧民族の武装解放闘争、ゲリラ戦争は、帝国主義の抑圧と差別と弾圧と虐殺が生み出しているのだ。それは、帝国主義に対する直接的な闘いであると同時に、帝国主義のもとにある労働者人民に対する糾弾と連帯を呼びかける闘いとしてある。帝国主義と労働者階級、帝国主義と被抑圧民族人民の非和解的対立を認めず、帝国主義の世界支配を是とし、それを前提にものを語る者のみが、帝国主義と一緒になって「テロ反対」「テロ根絶」を叫ぶことができるのだ。
志位は、「法と理性にもとづく世界の団結した行動によってテロは根絶できる」と言うが、これは実に恐ろしいことを言っているのだ。「世界の団結した行動」とは、現にアフガニスタン侵略戦争を凶暴に展開しているブッシュや小泉の帝国主義支配階級を含んだ、つまり帝国主義との団結ということなのだ。
ブッシュやシャロンは、パレスチナの「テロを根絶する」と称してパレスチナ民族抹殺的な虐殺戦争を展開している。彼らに「法と理性」を説くなど、まったくナンセンスだ。
帝国主義こそ戦争と搾取と収奪と抑圧の元凶であることを語らず「テロ根絶」を叫ぶ日共は、結局、帝国主義の侵略戦争に屈服し後押しするものでしかない。
北朝鮮侵略戦争切迫に沈黙
第二は、有事立法が日本帝国主義の主体的・積極的な侵略戦争突入のための法案であることを否定し「日本を守る戦争ではなく、アメリカの戦争への参戦(だから反対)」という態度をとり、「日本を守る戦争なら賛成」という意思表示をしていることである。
志位は先の講演で、「(有事法制は)日本を守るためのものではなくて、アメリカが海外でやる戦争に武力行使をもって自衛隊が参戦する、日本の国民を強制動員する、そういう恐るべきものだ」と言っている。
一見、日共が有事法制は侵略戦争のための法律と言っているかのように見えるが、そうではない。「アメリカが海外でやる戦争」と言うのなら、当然、北朝鮮・中国に対する米帝の侵略戦争に反対ということを言わなければならない。ところが日共は、北朝鮮侵略戦争の切迫ということにまったく触れることなく、肝心のことを押し隠している。
米帝ブッシュの世界戦争路線、先制攻撃、核攻撃という激しい動きに、日帝・小泉政権が必死に対応し、共同的=競合的に参戦しようとしていることがものごとの本質なのだ。そこに日帝の帝国主義としての死活をかけているのであって、日共のように「対米従属を脱する」などを対置するのは、日帝の尻押しにしかならないのだ。
日共はさらに、「日本人の生命・財産・家族の安全が侵されたら日本国民は罰則などなくても立ち上がります」(筆坂政策委員長)という立場を表明し、祖国防衛(日帝国家防衛)を表明したのである。これは「国を守ることは当たり前」という小泉と同じ論理だ。
古今東西、帝国主義は必ず「自衛」を掲げて侵略戦争に突入してきたのであり自衛戦争承認は帝国主義戦争承認にほかならない。
実力闘争に根本的に敵対
第三に日共は、「有事法制を廃案に」とは言うが、あくまで議会主義の枠内で言っているにすぎず、労働者人民のあらゆる力を総結集して、その大衆的な力をもって法案粉砕をかちとるという立場に敵対しているのである。
有事立法は憲法改悪の外堀も内堀も埋めてしまうものであり、この法律が通ったら即戦争であるという、労働者人民としての絶体絶命の危機感をもって、あらゆる手段で、逮捕も流血も辞さず闘うことが問われている。
ところが、日共は有事立法絶対粉砕などまったく考えていない。次の総選挙に有利なように「反対」を唱えるという以上のことは抑制しているのだ。したがって日共中央は、議会主義の枠を越える闘いは徹底的に抑圧するのだ。全労連や日共系市民団体の活動家の中には、「党中央が本気で大衆闘争をやろうとしていない」「それどころか、抑圧している」という不満と怒りがくすぶり、燃え上がりつつある。
帝国主義の侵略戦争に真っ向から対決するということは、侵略戦争でしか延命できない帝国主義そのものを打倒する、という課題に必ず直面する。ところが日共はこの根本問題を押し隠し、帝国主義の体制を傷つけない範囲で「戦争反対」を掲げるというものでしかないのである。
結局、それは日共が「戦争絶対反対派」ではないということなのだ。議会で多数決で成立したら、戦争に従う、戦争動員にも協力するというものなのだ。現に日共はそのようにして、現実を追認し、擁護してきたのである。
この数年間の、帝国主義の危機のもとでの戦争国家化攻撃、侵略戦争突入攻撃に対して、日共は一つひとつ屈服し、協力してきた。
日本共産党は、98年に「安保廃棄の凍結」という形で野党連合政権に入ることを表明し、99年には「国旗・国歌の法制化」を要求して「日の丸・君が代」法制定のお先棒を担ぎ、00年の22回党大会では、「有事には自衛隊の活用は当然」という立場を公然と表明した。
昨年はテロ対策特措法とセットで提出された海上保安庁法改悪(船舶に対する危害射撃を認める)に賛成した。新安保ガイドライン締結以来の日帝の戦争国家化の攻撃に屈服し、一歩一歩協力してきたのが日共である。
このような日共に、労働者人民の戦争絶対反対、あらゆる手段で有事法制を粉砕しよう、という意志をゆだねることはできない。日共を批判しのりこえ、社民党、日共に代わる新しい労働者党をつくり、登場し、戦争絶対反対・有事立法粉砕の新しい流れをつくりだそう。
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週刊『前進』(2062号3面2)
迷彩服で搭乗 陸自北方機動演習
民間機の軍事利用許すな
陸上自衛隊が6月30日から7月31日まで北海道十勝管内の演習場で行っている北方機動特別演習の一環として、迷彩戦闘服の自衛官が民間航空機に搭乗した。往路は7月5日と7日に羽田から新千歳、帯広、釧路の各空港へ約80人の自衛官が搭乗した。さらに復路では7月23、24、28日に、新千歳と釧路から羽田、新潟の各空港へ約80人が迷彩服や作業服で搭乗しようとしている。
民間航空定期便を利用した自衛隊の戦闘服での部隊移動は、99年より、新ガイドライン−周辺事態法の発動の実戦訓練として位置づけられ行われてきた。
その上で今回の自衛隊の部隊移動は、有事立法攻撃と一体の、交通・運輸労働者の戦争動員体制づくりの先取りそのものである。そして何よりも、陸・海・空・港湾労組20団体として有事立法阻止を闘う航空労働者へのきわめて挑戦的な攻撃にほかならず、絶対に許すことはできない。
これに対し、航空労働者は、抗議・弾劾の闘いに立ち上がっている。
航空安全推進会議、航空労組連絡会、日本乗員組合連絡会議の3団体は7月2日、防衛庁長官・中谷元に対して「民間航空の軍事利用の中止についての要請」を提出し、「戦闘服や作業服での移動は明らかに民間航空の軍事利用にほかなりません。私たちはかねてから、民間航空機の軍事利用は……航空法の目的である『航空の安全』をおおいに脅かすものであることから反対してきました。このような迷彩服での移動を中止するようここに要請いたします」と求めた。
さらに航空連は8日、往路の部隊移動が強行されたことに対して抗議声明を発表し、「これらは、有事法制の成立を予定して、地ならし的に行っているものです。今月末の帰路便での迷彩戦闘服着用搭乗の中止を求ます」と訴えている。
戦争動員と対決して闘う航空労働者と連帯して、民間機の軍事利用に抗議の声を上げよう。
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週刊『前進』(2062号3面3)
解同全国連茨城県連大会
「法」廃止と対決 “差別許さぬ”と団結
6月30日、茨城県潮来市中央公民館で、部落解放同盟全国連合会茨城県連合会の第11回定期大会が開かれ、360人の県連同盟員、県市町村職員、共闘団体が参加して大成功した。
狭山異議審棄却と同和対策法期限切れによる解放運動解体・部落差別攻撃の激化、さらに有事立法攻撃という重大情勢の中で、6・23全国支部代表者会議の成功を受けて、茨城県連大会は、全国連の先頭で今まで以上に解放運動を強く発展させていく決意と熱気の中で開かれた。そして、「法があろうがなかろうが、差別ある限り今まで以上に解放運動を発展させていく」との大会宣言を発した。
開会あいさつに立った石川辰衛茨城県連委員長は、「部落差別はなくなっていない。差別解消は人間の義務だ。真の民主主義社会構築へ頑張ろう」と大会の成功を呼びかけた。
県と潮来市の代表、県内共闘団体と部落解放東日本共闘会議の山川博康事務局長が来賓あいさつした。
続いて解同全国連の中田潔中央本部書記長が、「法のない時代の解放運動」と題して、約1時間の記念講演を行った。中田さんは、「同和対策事業の打ち切りは施策の後退にとどまらず゛部落差別はよくない″゛差別をなくすべきだ″という社会的合意の後退を意味する。実際、この間インターネットや電話などで悪質な部落差別事件が続発している」と訴えた。
そして、「闘わなくなった解同本部派から部落大衆の組織離れが進んでいる」と述べ、これからの解放運動について、「水平社の時代には法も同対事業もなかったが、差別を徹底糾弾し部落大衆の生活と権利のために闘った。その気持ちで闘えば必ず部落解放をかちとることができる」と述べ、「これまでの同対事業の枠に縛られない自由な発想で闘っていこう」と結んだ。
解放運動の豊かな経験を踏まえた中田さんの講演は説得力にあふれ、県連大衆のみならず、参加した多くの市町村職員に鋭く問題を提起した。
昼休み後、議案提起が行われ、井橋昌夫事務局長が経過報告、高橋昭一書記長が運動方針を提案した。
井橋事務局長はこの間の運動を総括し、狭山異議審棄却弾劾闘争や、同和対策打ち切りに反対し一定の事業の3年間継続をかちとったことなどを県連の取り組みの成果として総括した。
高橋書記長は、法打ち切り後の解放運動の展望を語り、糾弾闘争圧殺の人権擁護法案に反対し、茨城県連の一層の強化を訴えた。さらに、世界戦争危機の切迫と有事立法阻止闘争の重要性を提起し、狭山闘争を軸とする差別糾弾闘争、生活要求闘争、階級的共同闘争の三大闘争を闘い、全国連5万人建設に突き進もうと、県連全同盟員の一層の飛躍を呼びかけた。
その後、共闘団体が連帯あいさつし、自由討論の後、石川委員長以下の役員を再選して閉会した。
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週刊『前進』(2062号3面4)
労働現場から
闘うNTT労働者広島で支援の集会
中里勇輝
6月29日、広島市・東区民文化センターで行われた「NTT11万人合理化反対! 『新3カ年計画』粉砕! 労働者連帯集会in広島」に参加しました。昨年発足したばかりの「闘う労働組合ネットワーク広島」の主催です。
この集会は、NTTの大合理化攻撃――02年5月をもって、東西会社とME(子会社)など10万人を新設の子会社に業務もろとも移行させる――に対し、解雇も覚悟して決起した広島のNTT労働者を支援する目的で開かれました。
何よりも感動的だったのは、地元広島を始め各地からNTT労働者が参加したことと、支援の輪が産別を越えて広島の闘う労働者を網羅する形で組織されことです。
司会の「元気のある集会にしよう」とのかけ声で集会は始まり、部落解放同盟全国連合会広島支部が連帯のあいさつを行いました。
広島のNTT労働者が基調報告に立ち、開口一番「新3カ年計画は絶対に認めない」と宣言しました。新3カ年計画とは、50歳以上の労働者に「退職・再雇用」か「満了型」かの選択を強制するもので、「現在の職場で働き続けたければ辞職願いを出せ。満了型を選べば全国どこにでも飛ばすぞ」という労資一体の恫喝に、多くの労働者が「退職・再雇用」に追い込まれています。
報告ではさらに、再雇用後に賃金の30%カットに直面したNTT労働者の苦闘などを紹介。2万人が希望退職に応じ、50人の自殺者が出た現実を怒りを込めて弾劾しました。最後に、解雇攻撃も覚悟して「何も選択しない」という立場で闘う決断をして会社に通告した時、会社は結局「満了型」扱いにしかできなかったという経過と勝利の展望を報告。闘いへの支援を呼びかけました。
続いて、全国から参加したNTT労働者全員が登壇して発言し、次のような現場の声が聞けました。
「広島の頑張りにこたえて、自分も」「宮津社長は『NTTをめちゃくちゃにする』と発言した。それが新3カ年計画だ」「同じ仕事をして15万円もの賃金の差がある」「新3カ年計画反対を宣言して、職場委員をやっている」「今回の問題はJRの時と同じ」
「まったく経験のない営業に、会社に反抗した人が集められ、35人の職場だが2カ月たった今も『売上ゼロ』だ」「34年間勤めた職場から、商品のセールス研修に出されたがさっぱり内容がわからず、パソコンばかり見ている」「全国大会の代議員に挑戦し投票の約4割を獲得した。来年こそは代議員を取る」
国労、広島連帯ユニオン、全造船、医療、郵政、教育など広島の闘う労組・産別の仲間からの発言後、「闘う労働組合ネットワーク広島」共同代表の平岡誠さん(動労西日本委員長)が、まとめの提起を行いました。
労働現場から
機関決定かちとり6・16集会に参加
自治体労働者 三田雄介
代々木公園を埋め尽くす人、人、人…。「立錐(りっすい)の余地もない」とはこのことだ。集会後のデモ行進に出発するまで2時間かかるという。どこからこれほどの労働者が集まってきたのか? こんな多数の結集を見たのは初めてで感動した。
私は会場近くまで電車で行ったのだが、集会は成功するなと感じていた。というのは車中で有事立法に関する新聞記事を読んでいる人が目についたし、駅につくと集会参加者が行列をつくっているではないか! 私はすかさず駅で、車内で有事立法反対署名をとって回った。
今回の集会で階級闘争の新しい段階が始まったと感じた。なぜなら主催者も参加者も真剣に戦争を阻もうと闘っていることと、そのためにナショナルセンターを超えて、多くの労組の新しい団結がかちとられていることだ。確かに共産党系の団体が多い。しかし連合傘下から、全労協傘下から、そして国鉄闘争支援陣形から大結集をかちとっているではないか。このことは階級的労働運動の新たな連帯と団結を構築できたということだ。
私の労組は連合自治労の傘下である。平和フォーラム主催のものしか動員を下ろしてこなかった。20労組などが主催する集会の機関決定は無理だろうとあきらめていた。だが、連合見解がどうしても許せなかったし、6・16が成功すれば連合見解は内側から崩せると思うとなんとしても組織決定をかちとりたかった。百万人署名運動の地域連絡会に相談をもちかけると二つ返事で組合本部への6・16参加の呼びかけを引き受けてくれた。結果はすべりこみセーフで呼びかけは成功だった。うれしかった。
組合決定がかちとれた要因は、ひとつは百万人署名を組織決定で取り組んでいたこと、それに平和フォーラム主催の集会もまじめに取り組んで有事法制の論議をしてきたことだと思う。組合員も労組役員も有事立法が通ってしまったら大変だという認識はあるのだ。ただ「こうすれば法案を粉砕できるよ」ということを誰が言い出して、誰がその行動の先頭に立つのか、なのだ。今回20労組と宗教者が6・16を呼びかけてくれたことに心から感謝したい。この陣形をもっともっと大きくして労働者・労組が先頭で国会をとりまくなら、必ず廃案にすることができる。
6・16集会には私の地区からかつてない多くの仲間が参加してみんな自己解放的になっている。地元でも党派を超えた大きな統一戦線をつくる動きが始まっている。「6・16」効果である。問題は自分の職場で戦争動員反対の職場闘争と仲間をしっかりつくっていくことだ。
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週刊『前進』(2062号3面5)
税制大改悪を阻め〈中〉
諸控除の全面的な縮減で戦後税制の大転換を図る
増税策押し連ねた税調答申
経済財政諮問会議の「基本方針」は、「税制改革は2003年度に着手し、゛広く薄く″等との理念の下、本格的かつ構造的な税制改革に取り組む」と宣言した。それを具体化するものとして、政府税制調査会は「あるべき税制の構築に向けた基本方針」を小泉に提出した。それは労働者への大増税のリストである。
低所得者からも搾り取る
税調は、個人所得税の課税最低限の引き下げを打ち出した。課税最低限とは、所得がそれ以下であれば課税されない境界線のことを言う。これまで所得税を課されなかった低所得者にも課税するということだ。
その増税効果は課税対象者全員に及ぶ。課税最低限は、税額算出にあたり所得から差し引くさまざまな控除の積み上げで決まるからだ。つまり諸控除の縮減・廃止→課税最低限の引き下げ→大増税ということだ。
戦後の税制改編の歴史の中で、一時的な減税を停止した例はある。しかし、大々的な諸控除の縮減はかつてなかったことである。それは、日経連路線のもとでの資本のベアゼロ・賃下げ攻撃への踏み込みが戦後労働者支配の決定的な転換点になったことにも匹敵する、税制面での大攻撃だ。
(1)中でも配偶者控除・配偶者特別控除の廃止に、当面最大の狙いが定められている。配偶者控除とは、配偶者(ここでは妻とする)に課税されるほどの収入がない場合、納税者本人(夫)に38万円の控除を認めるというものだ。ただし、この制度のもとでは、妻の給与収入が103万円を超えると妻にも課税所得が発生し、夫は配偶者控除を受けられなくなる。その結果、世帯全体の手取り収入がかえって減少する「逆転現象」が発生する。
そうした不合理を解消するため、88年に配偶者特別控除が設けられ、配偶者の給与収入が141万円以下であれば控除が認められることになった。
しかし、財政破たんに直面した日帝は、配偶者特別控除を廃止しようとしている。その場合、「逆転現象」が復活する。そこで税調は、゛配偶者控除もともに廃止してしまえ、そうすれば「逆転現象」は起こらない″という乱暴な結論を引き出したのだ。
国税庁の00年民間給与実態調査によれば、民間事業所で働く給与所得者4494万人(男性2839万人、女性1655万人)のうち、配偶者控除または配偶者特別控除を受けている人は1337万人と推計されている。極端な話、そのすべてが男性労働者だと仮定すると、男性労働者の約半分がその対象なのである。それは、大半の労働者家庭において、妻の給与収入が141万円以下に抑え込まれていることを示している。また、配偶者控除と配偶者特別控除をあわせて適用されている人の控除額の平均は71・3万円だ。この人びとが最低税率(10%)を適用される平均的な労働者だとすれば、配偶者控除・配偶者特別控除がともに廃止された場合、増税額は約7万円になる。
税調は、゛配偶者にかかわる控除は「男女共同参画社会の形成」を阻んでいる″と強弁する。女性労働者に対して激しいリストラ・首切り・賃下げを強行している日帝が、大増税を貫くためにのみこうした論理を振り回しているのだ。
(2)さらに税調は給与所得控除の縮減を打ち出した。給与所得控除とは、給与所得者の収入のうち「必要経費」が一定割合を占めているとして、それを課税対象にしないとする制度である。個人事業者との均衡を図るためのものとされている。給与所得控除の額は、平均して給与収入の約3割にあたる。しかし税調は、「実際に必要経費と認められる支出は収入の1割」と主張する。給与所得控除を収入の3割から1割に減らそうとしているのだ。
民間給与実態調査では、00年の民間労働者の平均給与は461万円だ。この数字をもとに、給与収入の1割しか控除が認められなくなった場合の平均的な労働者の増税額を計算すると、それは約10万円に達する。
(3)また、税調は退職金への課税強化を打ち出した。その目的は、勤続年数が長いほど退職所得控除額が大きくなる現行制度を破壊することにある。終身雇用制を前提とした現税制は、不安定雇用化の推進にとって決定的な制約なのだ。
(4)高齢者に対する大増税も強調されている。特に重大なのは、公的年金に対する課税強化だ。税調は、「公的年金等控除については、社会保険料控除がある以上、本来不要」と言い切った。介護保険の導入を始めとする社会保障制度の解体とともに、重税がのしかかろうとしているのだ。
(5)さらに税調は、労働者の約8割が最低税率(10%)の適用対象となっていることを「特異な状況」と言い放ち、この層を狙った税率アップも狙っている。
(6)99年から所得税を4分の3に引き下げてきた「恒久減税」も廃止となる。
(7)日帝にとって消費税のアップは戦略的課題だ。税調は「今後、税率を引き上げ、消費税の役割を高めていく必要がある」と言い放った。自民党は2%ないし5%の引き上げ案を示している。竹中経済財政担当相は、消費税の税率を14%にせよと唱えてきた人物だ。
総務省の家計調査によれば、01年の勤労者世帯の1カ月平均支出は33・5万円だ。その生活水準を維持しようとすれば、消費税率が2%上がった場合に税負担は年間8万円増え、5%上がれば20万円増える。
外形標準課税で首切り促す
(8)税調は都道府県税の一つである法人事業税に外形標準課税を導入することを打ち出した。現在は、法人事業税は企業の所得に応じて課税される。それを、基本的には付加価値に応じて課税する制度に変えようというのだ。付加価値とは、報酬給与額、純支払利子、純支払賃貸料、単年度損益の総計のことだ。これにより、赤字法人にも税金が課されることになる。「努力した企業が報われる税制」と言いながら、企業の淘汰(とうた)を激しく推し進めようとしているのだ。
これは、企業にとっては支払う賃金が多いほど税金が高くなる制度である。平均すると、給与総額は企業の付加価値の約7割を占めている。企業が税金を逃れようとすれば、賃下げや首切り、アウトソーシングはさらに激しく進む。
東京都の銀行課税も外形標準課税の一種である。石原銀行課税は東京地裁によって否定されたが、それは全企業を対象とする外形標準課税の導入という大攻撃のためには、支配階級内部の意思を強固に統一しておけと命じたものなのである。攻撃は、この判決をも契機にさらに激化する。
大資本家には露骨な減税
こうした大増税の一方で、高額所得者・大資産家には惜しみなく減税を施すというのが税調の方針だ。
@中でも、きわめて露骨なのが相続税の最高税率の引き下げだ。前税調会長の加藤寛も、相続税の最高税率が適用されるのは年に10人前後にすぎないと認めている。ほんの一握りの大金持ちのための減税だ。
Aさらに、贈与税を相続税並みに引き下げるとしている。贈与税は、課税逃れを防止するため相続税より重くされてきた。だが、税調は「高齢者の保有する資産が現在より早い時期に次世代に移転するようになれば、経済社会の活性化に資する」として、贈与税の引き下げを図っている。大資産家の子どもはさらに富み、資産格差は拡大する。弱肉強食の原理を一段と徹底しようというのである。
こうした税制改悪が、来年度にも実行に移されようとしているのだ。(つづく)
〔岩谷芳之〕
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週刊『前進』(2062号4面1)
被爆57周年 8・6広島−8・9長崎に立とう
闘う被抑圧民族と連帯し戦争法=有事立法粉砕を
今夏反戦・反核闘争の歴史的任務
深沢 明夫
戦争切迫とヒロシマ・ナガサキの教訓
われわれは、被爆57年目の8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争を、ついに世界戦争過程(ヒロシマ・ナガサキの世界大的な再現だ!)に突入した中で迎えるに至った。
米帝ブッシュはイラク侵略戦争を決断し、今年後半から来年前半にも全面的に強行しようとしている。これと一体で米日帝による北朝鮮・中国侵略戦争が世界大戦級の戦争として超切迫している。有事3法案とは、まさに北朝鮮・中国侵略戦争法案であり、日本帝国主義の絶望的危機の突破をかけた攻撃である。
この重大情勢を前にして、今あらためて「ヒロシマ・ナガサキ」の教訓とは何だったのか、と問い直さなければならない。
1945年8月6日と9日、米帝が投下した2発の原爆のエネルギー(放射線、熱線、熱風)は、わずか10秒間で広島・長崎の2都市を壊滅させた。被爆直後の死者は広島14万人、長崎7万人。その後死者は一般人約32万人、軍人約4万人、うち朝鮮人・中国人約4万人。その6割以上が子ども・女性・高齢者であり、死亡を確認できない人が4割と言われている。多くの人びとは熱線に焼かれ生存の痕跡さえ止めていない。45年9月、米帝は「放射能のために、生き残っている者は皆無」と発表し、以後プレスコード(報道官制)を敷いた。これをもとに日帝はすべての救護施設を閉鎖し、その後救護援助が開始されたのは実に12年後の57年であった。このために被爆直後から数年の間に10万人以上が死亡した(殺された!)のである。
この人類史的な惨劇の中から発せられた「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな!」という日本−国際プロレタリアート人民の血叫びは、帝国主義と帝国主義戦争を人間の尊厳にかけて告発し、〃核”という究極の大量殺戮(さつりく)兵器を生み出した帝国主義と帝国主義戦争に対する根底的な怒りである。
そこには日本の労働者人民が体験した帝国主義戦争の苦しみや痛みを突き抜け、自らが加担したアジアへの侵略戦争に対する自己批判的立場が内包されている。戦前の階級闘争の敗北と帝国主義戦争への屈服・加担がこの惨劇を許してしまったこと、しかもアジアへの侵略の上に(在日)朝鮮・中国−アジア人民を被爆の巻き添えにしてしまったこと、そのすべてに対する痛苦の思いが貫かれているのである。
この戦後の誓いを再び階級闘争の敗北によって裏切ってしまうのか、それともその誓い=教訓を革命的に貫徹するのか。有事立法攻撃と対決している今、労働者階級人民はこの歴史的分岐点に立っている。まさに「このままではヒロシマ・ナガサキがふたたび繰り返されてしまう!」という土壇場なのである。
すでに米帝を始め国際帝国主義はアフガニスタン−パレスチナ−イスラム諸国人民に対して、許しがたい大虐殺の侵略戦争を強行している。91年イラク侵略戦争で数十万のイラク人民を虐殺した米帝は、「劣化ウラン弾」なる核兵器によって広島原爆の数万倍の放射能をまきちらし、恐るべき放射能惨禍を強制している。その上、米帝の総力をあげた侵略戦争を強行しようとしているのだ!
パレスチナ人民を始めとした被抑圧民族人民は、帝国主義の暴虐きわまる侵略戦争の泥沼的拡大と不屈に対決して闘っている。問題は一点、帝国主義国の労働者階級人民の反帝決起にかかっている。生きた国際主義の真価がギリギリと問われているのだ。
世界中で国際反戦闘争が歴史的高揚局面を迎え、日本の地でも有事立法に反対して十万規模の労働者人民が決起している。この力をなんとしても国際帝国主義を打倒する国際的内乱に転化・発展させなければならない。
20世紀は、帝国主義打倒の世界革命の嵐のような発展の世紀になるべきものとして切り開かれた。だが、労働者階級人民は、核と戦争のない社会の実現という世界史的課題の解決を目指して闘いながら、スターリン主義の裏切りによって勝利できなかった。この総括の実践的貫徹をかけて、開始された国際的内乱を21世紀プロレタリア世界革命に転化しよう!
今ここで、日本の労働者階級人民は自らに問わなければならない。「ヒロシマ・ナガサキを絶対にくり返させないためにどうするのか!」と。あの世界史的惨禍を体験した階級としてその世界史的な責務において有事立法を粉砕し、国際帝国主義の最弱の環=日本帝国主義を打倒し、世界革命の突破口を切り開くことがその回答ではないのか! 今夏8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争を、闘う全世界人民との連帯をかけた国際反戦闘争の強力な一環としてかちとろう!
米帝の核戦争阻止する国際的内乱を
世界経済は米超バブル経済の崩壊を画期として29年型世界大恐慌過程に突入した。石油資源強奪とそのための中東暴力支配が破綻(はたん)し、戦後新植民地主義支配体制が崩壊的危機を迎えた中で、米帝ブッシュは民族解放闘争を撲滅・解体するための侵略戦争の拡大と世界大的戦争政策にはっきりと踏み切った。6月のカナナスキス・サミットは、米帝を始め国際帝国主義の争闘戦と世界戦争過程を全面的に激化させるものとなった。
何よりも米帝ブッシュは、イラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争を核戦争として強行しようとしている。今年1月に発表したNPR(核戦力態勢の見直し)では、「テロ組織」や「敵対国」への先制核攻撃を基本路線として公然と打ち出した。その機密部分の中では、「大量破壊兵器や通常兵器による大規模攻撃を抑止する」として、核戦力を米軍事戦略の柱に据えた。そして、「北朝鮮とイラクはこれまで常に軍事的懸念であり続けている」として、北朝鮮・イラクへの先制核攻撃に踏み出すことを決定している。
それは同時に、核大国である中国を米核戦略の主敵とし、中国への侵略戦争とスターリン主義体制の暴力的転覆を戦略化した、ということである。実際に米帝ブッシュは、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約からの一方的離脱、地下核実験の再開、水爆の起爆装置となるプルトニウム・ピットの製造再開など、先制核攻撃のために突っ走っている。
こうして民族解放闘争の特殊的・極限的な闘いとしての9・11反米ゲリラ戦争を契機に、米帝を基軸とする帝国主義の戦後世界支配は一層の危機を深め、基軸帝国主義である米帝自身がアフガニスタン侵略戦争をもって、戦後帝国主義世界の暴力的再編に向かって全世界を巻き込んだ戦争に打って出ているのである。
福田官房長官や安倍官房副長官らの核武装発言は、こうした帝国主義の世界支配の激変と米帝の先制核攻撃路線に対応したものである。それは「失言」などというものでは断じてなく、一般的な将来の核武装についての言及でもない。有事立法攻撃として、米帝の先制核攻撃を含む朝鮮・中国侵略戦争と一体となって侵略戦争を強行しようとしている日帝の体内から噴き出した、きわめて具体的な核武装衝動である。
日帝は、米帝の世界戦争戦略、帝国主義間争闘戦の激化と重圧の中で国家存亡の危機にたたきこまれ、すさまじい現状破壊的凶暴さをもって、北朝鮮・中国侵略戦争を行おうとしている。昨年12月22日に撃沈した外国船引き揚げの軍事的強行と大キャンペーン、さらに都知事・石原を先頭に「拉致疑惑」キャンペーンで北朝鮮脅威論をあおり立てている。
こうしたむきだしの侵略戦争衝動を粉砕し、日帝・小泉の北朝鮮・中国侵略戦争絶対阻止をかけて闘おう。「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」。このスローガンを掲げ、被抑圧民族人民と労働者階級人民の共同の闘いで帝国主義を打倒し、帝国主義侵略戦争−世界核戦争を阻止しよう!
北朝鮮・中国侵略戦争法案を廃案に
日帝・小泉の有事立法攻撃とは、世界がすでに世界戦争過程に突入し、米帝のイラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争が切迫している中でこのプロセスにストレートに対応するものとしてかけられている。日帝経済の恐慌突入情勢は有事立法攻撃を促進し、すさまじい大資本攻勢と一体のものとして労働者人民に襲いかかっている。
自国政府の侵略戦争への本格的踏み込みの中で、階級情勢は革命的情勢に端緒的に突入している。この4〜6月、有事立法決戦として陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかけた反戦政治闘争への6万人を超える労働者人民の決起、これと一体の国労の再生をかけた決戦、その全一体が明らかに戦争突入過程での革命的情勢の急接近としてある。とりわけ20労組の決起が意味するものは、自らの職場が戦場とされ、自らの労働が戦争の道具とされることへの激しい危機感であり、労働者としての自己解放的な根底的決起である。
一方でこの情勢は、すさまじい階級闘争の危機をはらんでいる。連合は5・16見解で公然と「有事法制賛成」を表明し、自国政府による労働者の戦争動員の先兵となることを表明した。まさに第一次世界大戦での「第二インターの崩壊」的な裏切りである。
こうした階級情勢の核心にあるのは、あの15年戦争についての日本の労働者人民の階級的総括にかかわる問題である。階級闘争の敗北によってアジア侵略戦争に加担してしまったこと、その結果としてヒロシマ・ナガサキ、オキナワをはじめとして日本の労働者階級自らもまた、おびただしい戦争の犠牲者とされてしまったこと、日本の労働者人民すべてが体験したこの戦争経験の歴史的大きさということである。それはいかなる意味でも「戦争の後遺症」(小泉)などというものではないのだ! 労働者人民にとって戦後の出発点は、日本革命−アジア革命の一体的勝利によって、その戦争の元凶である日本帝国主義を打倒することでなければならなかった。しかし、スターリン主義の裏切りによってその闘いがゆがめられ、敗北させられたこと、そして戦争犯罪に対して何一つ責任を取らせることができなかった(アジア人民の決死の糾弾にもかかわらず、「戦犯裁判」と「戦後憲法」によってあいまい化してきた)ことの決定的問題性である。
戦後の日本階級闘争は常にこのことをめぐる攻防としてあった。安保・自衛隊、改憲、有事立法、教育基本法改悪、「日の丸・君が代」攻防のすべてにおいて、実は階級的総括が問われていた。とりわけ99年ガイドライン闘争、そして2001年の「つくる会」教科書をめぐる死闘戦と小泉の靖国神社公式参拝をめぐる決戦の中で、この問題があいまいさのない形で突き付けられてきた。そして今、自国政府が本格的な侵略戦争に再び踏み出そうとしている中で、まさに今日的問題として全日本・全アジアの大政治問題と化してきたのである。
われわれは戦後日本の労働者階級・人民大衆が歴史的に蓄積し内在化した反戦意識=人間的・階級的エネルギーに圧倒的な確信を持っている。この力が朝鮮・中国−アジア人民、そしてイスラム諸国人民の民族解放・階級的解放の力と結び付いたとき、日本帝国主義を打倒するような巨大な階級的エネルギーとなって爆発することに確信を持っている。だからこそ、「この(大衆の革命的な)気分を意識化し、深め、それにはっきりとした形を与えるために手助けをすること」(レーニン『社会主義と戦争』)に全力をあげなければならない。戦争への不安や危機感、怒りを階級的エネルギーへ、反帝的決起へと発展させること、ここに真の前衛党の役割がある。
日本共産党スターリン主義は、まさにその対極にある。すなわち、世界がすでに戦争状態にあり、帝国主義の延命をかけた世界戦争、核戦争が不可避であることを徹底的に否定し、労働者人民の「反戦的気分の高まり」を徹底的に解体し、逆に「テロ根絶」という帝国主義のイデオロギーのもとに労働者人民を組織しようとしているのだ。
今こそ、レーニンが提起した「革命的情勢における三つの義務」を貫徹しなければならない。戦争が差し迫ったことに警鐘を乱打し、この戦争の歴史的・階級的本質が、米帝と日帝の強盗同盟による中国・朝鮮−アジアの新植民地主義的権益をめぐる強盗戦争であり、日帝・小泉はアジアと日本の労働者人民に再びあの凄惨(せいさん)な惨禍と災厄をもたらそうとしていること、しかもこの戦争を先制核攻撃として強行しようとしていることを徹底的に暴露しよう。
この戦争がつくり出している社会的激変が、戦争なくしては生き延びられない自国帝国主義を打倒する革命的情勢を全面的につくり出しつつあること、労働者階級は団結し命がけで闘うならば、必ず勝利できることを徹底的に明らかにし鼓舞激励して闘おう。革命党は、数十万、数百万の人民と結び付く能力、宣伝・扇動を研ぎ澄まし、大衆行動の圧倒的な組織化をかちとろう。そして、あらゆる工場・職場・地域に労働者細胞を組織し、連合支配を食い破って階級的労働運動の再生をかちとり、労働者階級の内乱的総決起情勢を切りひらこう。
有事立法をめぐる「継続審議粉砕−廃案へ」の7月決戦に、日本階級闘争の一切がかかった。あらゆる楽観主義を粉砕し、警鐘を乱打し、闘争主体の立ち遅れ・危機をのりこえ、革命的反戦闘争の巨大な爆発をたたきつけよう。20労組陣形のさらなる発展を全力で促進しよう。有事立法反対の署名運動の爆発で、広範な大衆の行動への組織化を闘いとろう。全学連を始めとした反戦共同行動委の戦闘的な牽引(けんいん)によって7・26国会闘争の爆発をかちとり、有事立法を廃案に追い込もう。
今、革命的共産主義者に必要なことは、レーニン主義的原色性を鮮明にさせ、全存在をかけて自己解放的に決起することだ。この7月決戦を党と階級の総力決戦として闘い、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争の大爆発をかちとろう!
被爆者圧殺の小泉の式典出席許すな
小泉は6・23沖縄全戦没者追悼式への出席に続き、8・6広島、8・9長崎の祈念式典に出席しようとしている。沖縄で「小泉は帰れ! 沖縄戦犠牲者を冒涜(ぼうとく)するな!」という糾弾を浴びながら、「どんな法案でも賛成、反対はある」などと傲然(ごうぜん)と開き直った小泉。特攻隊精神を賛美し、「お国のために」玉砕することに感動する小泉。福田・安倍の核武装発言に対して、「どうってことない」と開き直り、日本の核武装を当たり前だと言い切った小泉。この小泉が一体何のために、広島・長崎にやって来ようとしているのか! 被爆者を「英霊」として祭りあげ、愛国主義と「靖国の魂」で被爆地を蹂りんし、有事立法のもとで再び侵略戦争に動員するためだ!
被爆者はその被爆体験ゆえに帝国主義戦争を憎み、その非人間性をあばく生き証人である。日本帝国主義に対して戦争責任・被爆責任を徹底追及せずにはいられない反戦・反核闘争の主体である。だからこそ日・米帝国主義は敗戦直後から、被爆者抹殺を共通の利害とし、一貫した被爆者抹殺攻撃をかけてきた。日帝による80年茅答申(原爆被爆者対策基本問題懇談会答申)における「(被爆は)国をあげての戦争による『一般の犠牲』として、すべての国民が等しく受忍しなければならない」という攻撃はその最たるものだ。
こうした攻撃にもかかわらず、50年朝鮮戦争のさなかの8・6広島で、反戦闘争が非合法化されている戦時下の弾圧を食い破って、被爆者は原爆症の体にむち打って「朝鮮戦争反対」を叫んで立ち上がった。こうした闘いが、8・6ヒロシマ−8・9ナガサキの原点を形成し、帝国主義戦争に対する労働者人民の階級的魂を覚醒し、戦後反戦政治闘争の原動力となってきたのだ。
小泉はこの被爆者の闘いを憎悪し、解体しようとしている。反戦被爆者の会、全国被爆者青年同盟と全学連を先頭とした闘いで、小泉の祈念式典出席を絶対に阻止しよう!
8・6ヒロシマ−8・9ナガサキに、有事立法攻撃と闘う労働運動の新たな潮流を登場させよう! 連合指導部の裏切りを食い破る労働者階級の壮大な決起を実現しよう。教育基本法改悪−憲法改悪を阻止する巨大なうねりを国際反戦闘争の「聖地」=広島・長崎からつくり出そう。
朝鮮・中国−アジア人民、中東・ムスリム人民との血債をかけた国際主義的連帯を貫き、被抑圧民族人民との共同の事業として、日帝打倒=日本革命勝利−朝鮮・中国・アジア革命、世界革命を闘いとろう。
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週刊『前進』(2062号4面2)
アジア侵略をくり返すな! ヒロシマ大行動へ
「8・6ヒロシマ大行動」のアピールが発せられた。これにこたえて全国から結集を訴える。(編集局)
−被爆57周年−
「再び戦争をくり返すな! 8・6ヒロシマ大行動」
実行委員会参加の呼びかけ
▼アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワをくり返すな!
▼許すな有事法制! 教育基本法・憲法の改悪を阻もう!
▼朝鮮・中国・パレスチナ、世界の民衆と連帯し、国際反戦行動を!
反戦・反核、平和を願う全国のみなさん!
戦争を阻むために、私たちの力を総結集すべきときがきました。「過ちをくり返さない」この誓いの真価が、今問われているのです。ヒロシマから「−被爆57周年−再び戦争をくり返すな! 8・6ヒロシマ大行動」への参加を心より訴えます。
小泉内閣はついに、公然たる戦争法=有事法制を強行成立させようとしています。自衛隊が武力行使=侵略戦争を行い、罰則で国民を総動員するものです。非核三原則の見直し・核武装の目論みまで公言し、防衛庁は思想調査まで既に行っています。「国を守るために」と国家総動員の下で行った戦争が何をもたらしたのかを今一度思いおこそうではありませんか。何千万人ものアジアの人々を殺し、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワの惨劇をもたらしたのです。なんとしても有事法制を廃案に追い込みましょう。平和と民主主義を理念とする教育基本法と憲法の改悪を阻む声を大きく拡げていきましょう。
被爆者、沖縄県民、反戦・反核・反差別、平和・人権のためにたたかう全国のみなさん!
米ブッシュ大統領は、世界中に戦火を拡大し核兵器を使うと公言しています。しかし一方、世界の民衆は反戦・反核のたたかいに次
々とたちあがっています。
朝鮮・中国・アジア、パレスチナ、世界の被抑圧民衆と固く連帯し、有事法制を阻む大行動として今夏「8・6ヒロシマ大行動」を成功させようではありませんか。8月6日、ヒロシマに集まりましょう。「戦争絶対反対」の声を上げ、行動にたちあがりましょう!
2002年5月10日
【共同代表】北西允/広島大学名誉教授 栗原君子/元参議院議員 小森龍邦/元衆議院議員、部落解放同盟広島県連合会委員長 佐久川政一/沖縄大学教授、普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民会議共同代表 山今彰/広島県教職員組合協議会議長 弓削達/東京大学・フェリス女学院大学名誉教授
8・6ヒロシマ大行動要項
−被爆57周年−再び戦争をくり返すな! 8・6ヒロシマ大行動
とき/8月6日(火)正午
ところ/広島県立総合体育館(小アリーナ)
広島市中区基町4−1
午後3時〜デモ行進
主催/8・6ヒロシマ大行動実行委員会
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週刊『前進』(2062号4面3)
7月2日〜8日
「イラク攻撃、すでに決定」
官房長官「有事、報道制限も」
●米、北朝鮮への特使派遣を撤回 バウチャー米国務省報道官が、ケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)を10日に北朝鮮に派遣するという提案を撤回したことを明らかにした。南北朝鮮の砲撃戦が発生したことで、「(米朝)対話を受け入れられない雰囲気を北朝鮮がつくりだした」「予定を組み直すのは先の話だ」などと語った。(2日)
●PKO兵士訴追で米が免責1年を提案 国際刑事裁判所(ICC)に反対する米国が、平和維持活動(PKO)に参加する兵士をICCの訴追から免責するよう求めている問題で、米国が「免責の期間を1年とする」などの妥協案を示した。この間に兵士は帰国でき、その後にICCが兵士を訴追するには安保理の承認が必要で、米国を含む常任理事国はここで拒否権を使うことができる。(2日)
●「有事、報道制限も」「有事協力、18歳未満除外」と官房長官 福田官房長官が衆院有事法制特別委員会で、有事の際に報道機関が自主的に報道を控える「報道協定」について「状況に応じ、人命尊重の観点から必要な場合はお願いすることはありうる」と述べた。また、武力攻撃事態法案に盛り込まれている「国民の協力」について「18歳未満は対象にならない」と述べた。(3日)
●嘉手納基地、航空団再編へ 嘉手納基地報道部が、第18航空団が遠征能力を強化する大幅な組織再編を8月15日に実施すると発表した。構成する5つの管理戦術部隊(群)のうち主要な2つの後方支援部隊を再配置。兵たん支援と機動機能を統合した「任務支援群」と航空機や機器の整備修理能力向上を図る「整備群」を新たに創設する。再編は、世界各地へ展開する柔軟性と機動力の確保を目指す米戦略の一環として行われる。(3日)
●沖縄県議会が有事法案慎重審議の意見書 沖縄県議会が6月最終本会議で、有事法制関連3法案の慎重審議を求める意見書を全会一致で可決した。同法案が「地方自治体や国民の生活に重大な影響を与えるおそれがある」と指摘している。都道府県レベルでは長野に続き2件目。三重県では法案の撤回を求める決議をしている。(4日)
●イラク攻撃計画判明 米ニューヨーク・タイムズ紙によると、米中央軍がイラクのフセイン大統領を打倒するための同国への攻撃計画をまとめ、ブッシュ大統領に報告した。クウェートから海兵隊と陸軍が数万単位で侵攻し、トルコ、カタールなど8カ国の基地から数百機が出撃、イラク国内の飛行場、交通・通信網を空爆する想定。(5日)
●米軍「急使」即日釈放 那覇市内の飲食店で6月16日、ライター1個を盗んだとして、那覇署が窃盗容疑で緊急逮捕した米軍整備士が、日米合同委員会の合意事項で身柄を拘束されない特権を保障された「急使」の身分証明書を所持していたため、即日釈放する措置が取られていたことが分かった。(5日)
●海自、米艦艇を初指揮 ハワイ沖で行われている環太平洋合同演習(リムパック2002)で、海上自衛隊が初めて本格的に米軍艦艇の一部を指揮して対テロ演習などを予定していることが分かった。(7日)
●9・11後、米原潜の任務が3割増 昨年の9・11反米ゲリラ戦後、「テロ組織に対する通信傍受」の任務にあたるため、米軍の攻撃型原潜の任務が3割以上増えている。米海軍幹部の発言として琉球新報が報じた。沖縄県勝連町のホワイトビーチへの寄港も相次ぎ、今年上半期は12回。半年間で昨年1年の数に並んだ。(8日)
●「イラク攻撃、米すでに決定」 英下院外交委員会のドナルド・アンダーソン委員長が、ブッシュ米政権がイラクへの軍事介入をすでに基本路線として決定している、と明かした。年明け以降、中東和平の進展次第で決まるとの見通しを示した。(8日)
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週刊『前進』(2062号5面1)
沖縄戦再現の有事法許さぬ
かつて2千万人殺したアジアに銃向けるのか
一坪反戦地主 崎原盛秀さん
構造的な沖縄差別
◇有事立法攻撃が「復帰30年」と軌を一にして出てきました。
◆有事3法案は、沖縄基地と大きく連動しています。 本土の捨て石作戦をとった沖縄では、3人に1人が犠牲になるという悲惨な歴史的体験、地上戦を強いられました。私の母は摩文仁(まぶに)で、子どもたちの目の前で爆死した。小学校の時からパラオに働きに出ていた兄の一人は現地召集され、兵隊となって戦死しました。まさに沖縄をめぐる状況は地獄だった。
沖縄は常に天皇制護持のために利用され、差別・抑圧されてきた。戦前・戦中、そして戦後もなお日本の構造的な沖縄差別支配が続いています。
沖縄は、二重に三重に弾圧されてきた歴史がある。例えば戦後1955年、民衆の圧倒的支持によって選出された那覇市長が、反基地を唱えているからと、布令改正で市長から追放された。また関税の対象でなかったサンマを輸入した時、軍政がこれに関税をかけようとした。民事裁判では沖縄は勝ったが、急きょ布令を出して軍事裁判に移送。そこでは逆転敗訴でした。
それだけじゃない。青信号で手を挙げて渡った国場君という少年が米軍トラックにひき殺された。ところが軍事法廷では無罪です。
1970年12月20日、この沖縄市で暴動が起こった。怒った市民がアメリカ軍車両84台を道路の真ん中に引っ張り出して焼いた。民間に被害がいかないように、さらに黒人車両にも一切手を付けない。黄色ナンバーで白人の車を全部引き出した。コザ暴動です。
直接には、米軍人が起こした交通事故の処理をめぐって沖縄人が抗議したことに米軍MPが発砲したことによるが、その背景には、糸満で米兵の酔っぱらい運転によって女性が轢殺(れきさつ)された事件がある。暴動の1週間前だったか、軍事裁判でこの米兵が無罪になった。虫けらのように扱われる沖縄の民衆の怒りが暴動として行動に立ち上がらせたものでした。
◇その中で復帰闘争が闘われたわけですね。
◆1972年5月15日、沖縄が復帰になる。基地問題では日本政府はアメリカ政府とまったく同じか、あるいは日本政府の方がより悪質じゃないかと思う。
米軍は、銃剣とブルドーザーで沖縄の土地を取り上げたが、今日、日本政府がやっていることはどうか。72年5・15以降、日米安保が沖縄に適用され、いわゆる「極東の平和と安全を維持するための基地を提供する」という。その基地提供を拒否する反戦地主が出てきた。当初は3千名ぐらいいた。その主張は、他国民衆を苦しめる侵略基地への土地提供の拒否です。
その時に、米軍用地特措法が沖縄に適用されて、沖縄の人たちの土地を取り上げることになった。
97年に特措法を改悪し、さらに99年の改悪で最終的に誰が抵抗しようが総理大臣の一存で土地を強制的に取り上げ、米軍に提供することができるようになったわけです。つまり、沖縄民衆の財産権、生活権を平然と奪いとったのです。
沖縄では、基本的人権が認められる平和憲法下でも米軍政下と同じ軍事優先。それ自体が沖縄に対する構造的差別支配であるし、日本にとって沖縄はまだ今日でも植民地的な存在でしかない。
97年名護市民投票
◆1997年の名護市民投票もそうです。SACO報告が出され、辺野古に海上基地を造るという時に、日本政府はあくどい介入をした。日本全国から駆り出された防衛施設庁の職員が2〜3人一組で、きれいな青写真をもって「被害はありません。名護は豊かになります」と一軒一軒回って歩いた。利益誘導をやりながら、基地建設を強行しようとした。
しかし市民投票の結果は基地反対、市民の勝利でした。この厳然たる事実を日本政府は認めるべきなのに、背後から市長を操ってこれを覆していくという、まさに市民不在、民衆不在の行政手法をもってきた。
一方では振興策という形でお金をばらまいて沖縄の心を買おうとする。そうやってあくどい手法で民衆を分断しようとしている。
6・23小泉に怒り
◆最近の県民世論では、以前よりまして69%、約70%の人たちが新しい基地建設はだめだという意思表示をしている。この現実をどうつぶすかというのが小泉が沖縄にやって来た一つの狙いでもあった。露骨には言わないにしても、新基地建設と沖縄基地の固定化が彼の意図ですよ。
6月23日、沖縄ではすべての民衆が喪に服し、沖縄戦犠牲者の死を悼み、二度と戦争の惨禍を拒否し、平和な社会の実現を誓う日です。事もあろうに戦争法制定を進める小泉が、その日開催された沖縄全戦没者追悼式に臨んだ。
当然にも沖縄民衆の反発を買っている。会場入り口では「沖縄戦犠牲者冒涜(ぼうとく)を許すな」の横幕を持った市民団体や式典参加者の「小泉帰れ!」の抗議にあい、献花の際にも式典参加者の中から「有事法許さんぞ」「小泉帰れ!」の声があがり、沖縄民衆の厳しい批判を浴びせられた。
◇有事法制の狙いは?
◆よくアメリカの戦争政策に追随し、協力体制を持つための有事法と言われるけれど、狙いはそれだけではない。周辺事態法とかテロ対策法をつくったが、まだ物足りない。具体的に戦争のできる法律を基本骨格として有事法をつくるというのが一つ。もう一つは日本が軍事大国化の道をめざすということ。僕はこの二つが有事法の最も基本的な性格だろうと見ています。
しかも有事法は、アメリカが「悪の枢軸」と言っているイラクやイランや北朝鮮、さらに中国さえも射程に入れていくもの。日本がかつて2千万の民衆を殺戮(さつりく)したアジアに再び銃を向ける犯罪的行為が意図されています。
◇日本が主体的に戦争をやろうとしている。
◆そう。96年ぐらいから日米安保に「極東」という言葉がなくなって、日米安保は、完全にアメリカの世界戦略の中に位置づけられて、アジア・太平洋、あるいは中東地域すべてを含むという中で解釈されている。だから今、「対テロ戦争」という戦争にインド洋まで自衛隊が出ている。
法律は作られれば、どんどん拡大されていく。一方で、憲法の平和主義が完全に骨抜きにされ、空洞化されている。憲法改悪は非常に難しいから、既成事実を先行させて憲法の機能を失効させる、これも有事法の大きな問題点としてあるんじゃないか。
沖縄の人たちは、有事法制の中に敏感に沖縄戦そのものを想起し、非常に危機感を抱いている。日本の軍事大国化を阻止するための運動の拡大をつくりだすため、これから若者たちに有事法の中身を具体的に知らせていくことが大事だと思っています。
(聞き手・永田朋実)
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週刊『前進』(2062号5面2)
沖縄戦再現の有事法許さぬ
「備えた」結果が沖縄戦 実態を語り反転攻勢を
平和市民員連絡会代表世話人 新崎盛暉さん
たくみな世論操作
◇沖縄から、有事立法攻撃について率直なところを。
◆権力者の側が、戦後の日本、日本国憲法で規定された日本のありよう自体を桎梏(しっこく)に感じていて、それをどうやって突破するか試みているということだろう。
解釈改憲を積み重ねてきたけど、それも限界。どうしても憲法を改正せざるを得ないにもかかわらず、憲法改正が間に合わないので、それをのりこえる形で有事法制が出てきている。
そういう意味では、彼らが、去年9月11日のアメリカの中枢部に対する自爆攻撃を絶好のチャンスとして利用しているのは間違いないわけで、あれを契機にきわめて巧みな世論操作を展開している。
世論操作上も「反テロ」というスローガンのもとにすべてが正当化されている。これはおかしいと感じている世論はたくさんあると思うが、まだひとつの大きな力として結集しきれてない。だからわれわれの課題は、世論が漠然と感じている疑問をどのように具体的なものにしていけるかどうかだろう。
沖縄との関係で言えば、有事立法は別に沖縄にだけ適用される法律じゃない。現実に日本を外から武力攻撃する意図や能力をもっている国家は百パーセントない。しかし、武力攻撃がもしあり得るとすれば、それはアメリカの軍事行動に対するある種の反撃として、軍事作戦行動の拠点である米軍基地などに向かって発動される可能性だ。これはむしろアメリカ側が引き起こしていることで、「悪の枢軸」と言ったり、先制攻撃も辞さないと言っていれば、それに対する反撃のターゲットになりうるのは米軍基地だ。
だから有事立法は、米軍の軍事作戦の拠点、簡単に言えば基地が存在している地域の住民と、さらに特定の職業に従事している人たち、医療とか運輸で働いている人たちがまず具体的に権利を制限されたり、生活権を脅かされたり、戦争に協力させられたりすることになる。沖縄は複合的に75%もの米軍基地が集中しているわけだから、一番危険度が高いことは明瞭(めいりょう)だ。
◇沖縄の人たちは、沖縄戦の記憶と結び付けて有事法制をとらえていますね。
◆沖縄でも直接戦争の体験者はもう人口の1割から2割になった。今戦争体験を語っている人たちは宮良ルリさんらひめゆりの人たちを始めとしてごく一部だ。むしろ語らない人の方が多い。それでも語らざるを得なくて、ぽつんと一言もらす。そういう中から2世代下の大学生にも沖縄社会が経てきた体験が見える。
戦争体験者は国家総動員法のもとでの自分たちの社会的体験と有事立法を結び付けて考えている。その動きが広がってきている。
何がなんでも有事立法成立を、という動きは、別の理由でややトーンダウンしているけど、むしろこれを反転攻勢の契機としてとらえることができるかどうかが今の事態じゃないか。
6月23日に小泉首相が沖縄に来たのは、来ざるを得ない状況があるからだ。彼らは、沖縄を振興策で手なずけたつもりでいるが、いつ民衆の反乱が起きるかわからないという不安感も常にあるから、毎年来るんだ。しかし、小泉は、その沖縄で反発を食らい逆効果になった。
゛1%の反乱゛恐れ
◇沖縄を押さえないと安保防衛政策は成り立たない。
◆それは95年から97年の段階で示された。(全人口の)わずか1%の人間が反乱を起こすと、それが伝播(でんぱ)してしまう危険性、彼らにとっての危険性が常に沖縄にはある。
例えば米軍政下の沖縄でも、50人以上のデモは届けなけりゃいけないというデモ規制法があった。でも60年代末には、無届けで何万もの民衆がデモをしたら、そんな規制は問題にならなくなった。
60年代末から復帰までの間というのは、沖縄の民衆が最も生き生きと何にもとらわれずに行動できた時代じゃないかと思う。復帰以降は日本の法体系下に入るわけ。その前は「日本の法体系よりも悪い、米軍の直接支配下だから復帰を」と言っていた。ところがそれはいつのまにか空洞化していた。彼らは強権発動の権利を握っていながら、それをうっかり発動したらどうなるかわからないという不安感を持つようになった。
今、韓国はそれに近い状態にあると僕は理解している。もちろん国家保安法などがあること自体は非常に危険なことだけど、民衆の力が強ければ、悪法も十分には生かせないわけだ。
自覚を芽生えさせ
◇ブッシュの世界戦争戦略の中でどう闘うかですが。
◆どこが彼らの弱点なのか見抜くことが必要だろう。例えばブッシュ政権が凶暴化すれば凶暴化するほど民衆に対して説得力を欠いてくる、そういうところをどうつかまえるか。つまりアメリカ内部の反対勢力と結んだ闘い、ベトナム反戦でもアメリカ国内に反戦運動が出てくることによって非常に大きな力になった。
イスラエルでも徴兵拒否などが出てきた。イスラエルとパレスチナの関係だけでなく、イスラエルの内部から問題に対する自覚を芽生えさせることが必要だ。
◇小泉政権について、どう思いますか?
◆小泉政権は、経済的な不況を大胆な改革で克服できるかのような幻想を振りまきながら登場してきた。それがその後、経済的には何もできないで、政治的な右傾化を促進することによって、大衆の欲求不満を分かりやすい言葉で右翼的に吸収してきた。例えば「備えあれば憂いなし」なんてまさにそうだよね。歯切れはいいが実態はない。ところが表現されない実態こそが危険きわまりない。その化けの皮をどこまではがせるかなんだ。戦前はどうだったか、あんなに備えて結局沖縄はどうなったか、そういう具体的な実態を話さなければならない。
われわれが、常に虎視眈々(こしたんたん)と、緊張感をもって、それこそ反転攻勢の契機をどこでつかめるかということを考えながら、地道な運動をつくっていくことだ。
(聞き手・永田朋実)
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週刊『前進』(2062号5面3)
被爆57周年 8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争へ
全国統一実行委のアピール
被爆57周年に発せられた反戦反核闘争全国統一実行委の呼びかけを転載します。(編集局)
被爆57周年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
呼びかけ人一同
本島等(元長崎市長)/知花昌一(反戦地主・読谷村議)/吉田義久(相模原反核市民の会)/三角忠(三一書房労組)/下田禮子(反戦被爆者の会)/坂井留吉(核燃から漁場を守る会)/大野康平(弁護士)/佐藤芳夫(元中立労連議長)/桜井善作(月刊小新聞「野火」編集発行人)/高實康稔(長崎大学教授)
小泉政権は国会を延長し、有事3法案(武力攻撃事態法案、安保会議設置法改正案、自衛隊法改正案)を何とか成立させようとしています。全国統一実行委員会結成以来「改憲と有事立法制定攻撃」が必至であり、それに立ち向かわなければ、新たな核戦争をくいとめることができないことを、私たちはこれまで全力で訴えてきましたが、いよいよその時がやってきたことを痛感しています。
昨年9月11日の「反米ゲリラ事件」を契機として、アメリカ・ブッシュ大統領は「報復戦争」を声高に叫び、アフガニスタン空爆を強行、無差別に民衆を虐殺する暴挙に踏み切り、石油利権の再収奪を狙って新たな中東支配に乗り出そうとしています。そのために、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しで非難し、本年年頭には、ラムズフェルド国防長官の名で「核態勢見直し報告」を発表し、帝国主義の生き残りをかけた世界戦争=核戦争へ踏み切ることを宣言したのです。
一方これに呼応して日本の小泉首相は、昨秋インド洋に海上自衛艦をくりだし、ついに憲法9条を踏みにじる集団的自衛権の発動に踏み切り、本年通常国会に有事3法案という戦争法案を提出するに至りました。また5月31日には福田官房長官が「専守防衛であれば法理的に(核兵器を)持ってはいけないという理屈にはならない」との核武装発言を行い、事実上「非核3原則」の見直しを公言するに至っています。日本の核武装は、プルサーマル計画の推進と原発増設、ロシアの解体核兵器の安価なプルトニウムを輸入することを検討していることも併せ、今まさに現実化しようとしているのです。
小泉首相は、「備えあれば憂いなし」とうそぶき、「軍隊は民衆を守らない」というオキナワの血の教訓を踏みにじり、ヒロシマ・ナガサキの被爆者を英霊化し、さらに「死んでも靖国に祭られることを名誉と思え」と、日本の労働者民衆をアジア侵略戦争に動員しようとしているのです。しかし、戦争を望む労働者などひとりもいません。そのことを何よりも鮮明に示しているのが、陸・海・空・港湾労組20団体が中心となって闘いぬかれた5月24日の4万人集会と6月16日の6万人集会の大高揚です。
目を転じれば、アメリカの帝国主義的利害と一体となったイスラエルのパレスチナ攻撃、虐殺が続いています。私たちの反戦・反核闘争にとっても正面からこれを見すえ、パレスチナ民衆の不屈の抵抗と連帯する必要があります。
全国統一実行委員会は、こうした基本的な認識に立ち、「くり返すなアジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワを」という3年前から確立されたメインスローガンに加え、「有事立法粉砕・日本の核武装阻止、小泉戦争内閣打倒」を鮮明にして闘い、切迫する北朝鮮・中国に対する核戦争攻撃を何としても阻止する決意です。7・20反戦反核東京集会と8・6ヒロシマ−8・9ナガサキ反戦反核闘争への多くの参加を訴えます。
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週刊『前進』(2062号5面4)
第3部 植民地支配の歴史(14) 朝鮮D武断政治
憲兵が人民の生殺与奪の権
韓国併合後、統監府に代わって朝鮮総督府が置かれ第3代統監の寺内正毅が初代総督となった。1945年8月の日帝敗戦までの36年間、朝鮮総督府による植民地支配が行われる。その最初の10年間、1919年3・1独立運動までを「武断政治」と呼ぶ。
朝鮮総督が君臨
朝鮮植民地支配の頂点に立つ総督は、絶対的権力者として君臨した。歴代総督はすべて陸海軍大将が就任し、朝鮮駐剳(ちゅうさつ)軍司令官を兼任した。総督は天皇に直属し、軍事、立法、司法、行政に及ぶ絶大な権力を与えられた。
その一例に制令公布権がある。それは「朝鮮ニ於テハ法律ヲ要スル事項ハ朝鮮総督ノ命令ヲ以テ之ヲ規定スルコトヲ得」(朝鮮ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律第1条)とされ、総督の命令が法律となった。これが「制令」である。
また日本の法律が朝鮮で施行される場合は勅令=天皇の命令としてなされた。まさに「天皇または総督によって上から下りてくる命令に朝鮮人民の意思が反映される余地はなく、一方的に服従だけが強制されるという状況」(姜在彦『日本による朝鮮支配の40年』)だったのだ。
寺内総督はこの制令公布権を使い、「朝鮮刑事令」など幾多の治安弾圧法を作った。そして手あたりしだいに朝鮮人民に襲いかかり検挙、投獄、虐殺した。当時朝鮮にいた日本人記者の釈尾東邦は、「各種の取締令を濫発(らんぱつ)して之を極端に励行し、一般人民の自由を拘束して全く軍隊に在るかの思ひあらしむるに至り、朝鮮半島は全く軍営化されたり」(『朝鮮併合史』)と記している。
武断政治の実態は、軍隊と憲兵による恐怖支配だった。甲午農民戦争以来の朝鮮人民の反日闘争に心底恐怖していた日帝は、軍事力をもって抑え込む以外になかったのだ。
日露戦争以来、義兵闘争圧殺のために駐屯していた朝鮮駐剳軍は、兵力を増強し2個師団が常駐。郡庁所在地や各駅に守備隊を配置するなどものものしい戒厳体制が恒常化された。
寺内は総督直属の弾圧機構として憲兵警察制度をつくり、朝鮮全土に行き渡らせた。総督府には警務総長をおき、朝鮮駐剳軍憲兵隊司令官がこれを兼任した(初代警務総長は明石元二郎)。また、各道警察部長はその地域の憲兵隊長が兼任した。つまり、軍事警察を担う憲兵が主力であり、それが警察官も兼ねたのだ。さらに朝鮮人民を憲兵補助員として分断・動員する体制をつくり、地域の情報や義兵運動の動向などをスパイさせた。
憲兵は警察的任務のほか、実に多岐にわたる任務・職権を与えられていた(別掲)。それらは「情報の蒐集(しゅうしゅう)」「暴徒の討伐」から「雨量の観測」、さらに「日本語の普及」「副業の奨励」にまで及び憲兵が朝鮮人民の生殺与奪の権を握っていた。武断政治が憲兵政治とも呼ばれるゆえんである。
「犯罪の即決」
特筆すべきは、「犯罪の即決」制度である。一定の懲役刑や罰金について憲兵や警察官は裁判所の裁判によらずに即決できるというものである。同様の制度は日本にもあったが、朝鮮では即決処分の範囲が格段に広がった。その理由に、「(朝鮮人は)慣習上権利の観念に乏しい」(『朝鮮総督府施政年表』)からという許しがたい差別的偏見をあげている。また、朝鮮人民には笞刑(ちけい)という残虐な刑罰を適用した。日帝は、朝鮮人民を奴隷扱いする暴力的な民族抑圧を加えたのである。
一方で寺内と明石は、朝鮮人民から集会・結社、言論・出版の自由を根こそぎ奪った。宗教を除いて朝鮮人民の自主的な社会的活動を完全に禁圧したのだ。
まず併合直後の8月25日、警務総長明石は全政治団体に1週間以内の解散を命じ、今後も一切結社を許さないと宣言した。
次に一切の政治集会、講演会、演説会を禁止した。「三人集まって話をすれば不法集会取り締まりの対象とされるという、息もつけない状況であった」(梶村秀樹『朝鮮史』)。さらに、愛国啓蒙運動の宣伝媒体として数多く発行されていた新聞、雑誌をすべて廃刊にし、代わりに総督府の御用新聞3紙のみとした。
しかし、こうした状況にあっても朝鮮人民は市(いち)や教会、学校など人が集まれる場所で反日独立の闘いを継続した。また義兵闘争も日本軍に追いつめられながらも、国外に拠点を構えつつ闘いぬかれた。
「土地調査事業」
また、経済政策として日帝は「土地調査事業」(10〜18年)に全力をあげた。「近代的土地所有権の確定」を口実に、実にあくどいやり方で朝鮮人民から土地を略奪していった。
土地所有権の認定について、土地の耕作者ではなく、総督府の役所に住所・氏名などを申告した者に認めた(申告制度)。朝鮮の農民の大半は文字の読み書きができず、近代法の知識もなかった。そのため申告できない農民も多く、その人たちの土地が無主地として強奪されたのだ。
さらに、日本人の高利貸や商人が、総督府ですら「過酷」と評した悪らつな手口で朝鮮人民の土地を次々と奪った。その元締めこそ東洋拓殖会社(東拓)である。東拓は、土地を抵当に朝鮮の農民に金を貸し、抵当流れにもち込んで土地を奪っただけでなく、日本人農業移民を毎年朝鮮に送り込み、奪った土地の地主にしたのである。
こうした「土地調査事業」の結果、全農家の約3%が耕作地の50%以上を所有する地主となり、約77%の農民が土地のない小作農や自作兼小作農となり、20%が自作農となった。地主の中では100町歩以上の大地主ほど日本人が多く、その最大のものが東洋拓殖会社であった。
さらに小作農には厳しい小作料が課され、生きるに生きられない現実を強制された。飢えていながらも作った米を小作料として納めなければならず、その米が日本へ輸出された。
こうした日帝の武断政治は朝鮮人民の怒りをかきたて、1919年3・1万歳革命として大爆発する。
◎憲兵の任務
1諜報の蒐集 2暴徒の盗伐 3将校下士の検事事務代理 4犯罪の即決 5民事訴訟の調停 6執達吏の業務 7国境税関の業務 8山林監視 9民籍事務 10外国旅券 11郵便護衛 12旅行者の保護 13種痘 14屠獣検査 15輸出牛の検疫 16雨量の観測 17水位の測量 18海賊及密猟及密輸入の警戒取締、即ち警備船に関する業務 19害獣の駆除 20墓地の取締 21労働者取締 23日本語の普及 24道路の改修 25国庫金及公金の警護 26植林農事の改良 27副業の奨励 28法令の普及 29納税勧告など
(五十嵐茂生)
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週刊『前進』(2062号6面1)
女性の力で有事法阻止を
差別・分断の激化と戦争動員攻撃を打ち破ろう プロレタリア女性の怒り解き放て
柚木真理
日帝・小泉政権による有事立法策動に怒りを燃やし、労働者階級人民は新たな質と規模をもって決起を開始している。この決起をさらに推し進め、有事立法を廃案に追い込もう。闘うパレスチナ人民、中東・イスラム諸国人民、闘うアジア人民と固く連帯し、日米帝共同の北朝鮮・中国侵略戦争を絶対阻止しよう。危機にのたうつ帝国主義打倒へ攻め上ろう。有事3法案の6月強行策動を打ち破ったとはいえ、日帝・小泉政権は有事立法を断念したわけではない。有事立法の阻止か、再び侵略戦争を許すのか、今が決戦中の決戦である。かつてない大衆闘争の爆発をさらに推し進めるために、この間世界中で、とりわけプロレタリア女性(女性労働者・労働者家族・女性大衆)が「二重の抑圧」を打ち破り先鋭に決起していることに着目し、以下提起したい。
国際階級闘争を牽引する女性の反戦決起
現代世界は、世界戦争状態に突入している。基軸帝国主義アメリカは、アフガニスタン侵略戦争を突破口に、新たな世界戦争戦略に突進している。アフガニスタンへの侵略戦争は今も継続し拡大されている。さらに米帝ブッシュは、イラン・イラク・北朝鮮を標的と定めた先制的な核攻撃を宣言している。
この外に向かっての侵略戦争と表裏一体で国内治安体制が強められている。「9・11」後の米帝による新たな世界戦争戦略においてとりわけ特徴的なのは、帝国主義といえども国土を戦場外とすることはできないということだ。愛国者法、国家安全保障法にみられるような、時代を画した国家総動員体制なしには、帝国主義は一歩も戦争を遂行することはできない。
米帝の世界戦争の遂行に、日帝が帝国主義としての存亡をかけて積極的に参戦していくための戦争法案=有事3法案にもこの特徴は色濃く反映されている。法案には「指定公共機関の責務」「国民の協力」として、医療労働者、ライフラインに関わる労働者、航空、鉄道などの運輸労働者を始め、労働者への戦争動員が盛り込まれている。
また片山総務相は6月26日、今後整備する有事法関連の「国民保護」法制について、「有事の際の民間防衛組織は自治会、町内会が核になる」と述べた。侵略戦争への内外からの抵抗をおそれるがゆえの「民間防衛組織」=隣組の復活を狙っているのだ。労働者階級人民は、兵隊として侵略の銃を握らされるだけではない。あらゆる職場・地域で戦争と無縁であることはできないし、侵略戦争との対決になるのだ。
有事立法攻撃下で、労働者階級への戦争と大失業の攻撃は、帝国主義の本質をむき出しに襲いかかってきている。「有事法制は必要」という5・16「連合見解」は、この日帝の意を受けて出されたものだ。労働組合の名で労働者を戦争動員に駆り立てることを絶対に許してはならない。
帝国主義の侵略戦争と、危機ゆえの搾取・収奪の強化に、プロレタリア女性は地域・職場で怒りの決起を開始している。パレスチナ女性の自爆決起、日本軍軍隊慰安婦とされた女性たちの闘いは国際階級闘争を最先頭で牽引(けんいん)するものとなっている。この怒りと闘いに学び、さらなる革命的大衆行動の戦略的爆発を切り開こう。
女性の戦時型分断・動員攻撃
日帝の有事立法攻撃下で労働者階級人民への差別・抑圧は極限まで激化されようとしている。日帝が公海上で撃沈した外国船の引き揚げ、瀋陽領事館事件などをもテコに排外主義があおられ、在日・滞日外国人に襲いかかっている。狭山異議審の棄却、同和対策うち切り、人権擁護法案と、部落解放闘争への圧殺攻撃も激化している。また、保安処分新法=医療観察法など「障害者」への差別・抹殺の攻撃を強めている。
プロレタリア女性が二重の抑圧をはねのけ革命的大衆行動の真の牽引役となるために、日帝による女性差別・抑圧、階級分断と国策への動員がどういう形で女性にかけられようとしているのか、特徴的な点を見ていきたい。
ひとつは、「つくる会」教科書に典型的な家族主義・女性差別イデオロギーの復古的な扇動だ。
「つくる会」教科書の著者は、二重の抑圧からの解放を求める女性の闘いに悪罵(あくば)を投げかけている。そればかりか、マルクス主義・レーニン主義の勝手な解釈と引用で共産主義批判を試みている。
ドイツのナチスは、「女性解放には共産主義の精神がしみこんでいる」「共産主義は家内平和と国内平和の敵」「母性原理こそが家族の崩壊を救済する」などと主張し、女性解放運動を敵視しながら反革命的に女性を動員していった。まったく同じ主張が今またくり返されている。プロレタリア女性の決起がロシア革命の口火を切った歴史的事実、マルクス主義・レーニン主義をつかみとった女性たちが自己解放的決起でプロレタリアートの隊列を打ち固める予感に恐怖しているのだ。
こうした差別の扇動の先頭に立つのが都知事・石原慎太郎だ。石原は、昨年110月の都の会議での学者の発言を引用して「子どもを生む力のない女性が生きているのは地球にとって弊害だ」と女性差別をあおった。女性の人格を否定し、「子産み道具」「性的欲望の対象」とみなす女性差別・蔑視(べっし)のファシスト的扇動を絶対に許すことはできない。
いまひとつは、女性の力を認めるかのようなポーズを取りながら、国策に協力させていくあり方である。
自衛隊の東ティモールPKO派兵に、初めて女性自衛官7人が参加した。日帝はこれを女性週刊誌などで大々的に広告し、PKO派兵が平和的で民主的であるかのようなデマをあおっている。
現代帝国主義は女性を兵士として戦場に送り込んできた。イラク・中東侵略戦争でも多くの女性兵士が動員され、侵略戦争を担うとともに、劣化ウラン弾の被害や男性兵士によるレイプの多発に直面してきた。男女雇用機会均等法、男女共同参画基本法などの女性の動員政策の極致が帝国主義侵略戦争への女性の兵士としての動員であり、日帝もついにこの道を進み始めたのだ。
ワークシェアリングでさらに無権利促進
この動きと一体で、戦時型の労働者支配・動員攻撃が始まっている。今春闘での資本によるベアゼロ・賃下げ攻撃への連合の全面屈服を受けて3月29日、厚生労働大臣・日経連会長・連合会長の三者名で「ワークシェアリングに関する政労使合意文書」が出された。ここに示された「日本型ワークシェアリング」は、終身雇用制とそれを前提とした税制や社会保障制度を解体し、家族制度を再編することによって、全社会的関係・階級関係を戦争国家と国家総動員体制にもっていこうとするものであり、5・16「連合見解」と一体の歴史を画する大攻撃だ。
この政労使合意で出された「多様就業型ワークシェアリング」は、「少子高齢化の進展や就業意識の多様化等に対応し、女性や高齢者を含む労働者の働き方に対する希望に応え、その能力を十分発揮させることにより、生産性の向上を図ることができるとともに、少子高齢社会における支え手を増加させることができる」とその「効果」をあげた。女性の「働き続けたい」「差別的な扱いはいやだ」という思いにこたえるかのような形でワークシェアリングが叫ばれているが、それは、女性労働者を一層の低賃金・無権利にたたき込み、さらに全労働者を不安定雇用労働者化しようとするものだ。断じて許すことはできない。
エンゲルスが『イギリスにおける労働者階級の状態』で書いたようなプロレタリア家族の解体状況は、資本による労働者の徹底的な搾取・収奪によって引き起こされた。「日本型ワークシェアリング」は「労使は、生産性の維持・向上に努めつつ、具体的な実施方法等について十分協議を尽くす」(ワークシェアリングの取り組みに関する5原則)とあるように、連合の合意のもとで、労働者を資本に売り渡すものだ。
4月に発表された厚生労働省の調査では、調査対象である全国2589の事業所のうち84・8%の職場が「サービス残業」に関して労働基準法に抵触していた。何が「雇用の創出を目的とした時短の推進」だ。「日本型ワークシェアリング」は首切り・賃下げにしかならない。
プロレタリア女性の要求は全労働者の賃金水準、権利水準を下げることではない。ワークシェアリングが全労働者を不安定雇用化と一層の低賃金・無権利に追い込むものであること、家事・育児は一層私的なものとされ、プロレタリア女性の二重の抑圧を強めることを怒りをもって暴露・弾劾しよう。女性労働者の怒りや要求をもっと引き出し、連合支配をうち破り、帝国主義を打倒する労働運動の爆発をつくり出そう。
小泉は総裁選出馬の所信表明から「家族の復権と教育の再興」を掲げて登場した。その中で反動的に「少子化」対策を自らの課題としてきた。
小泉は低下する一方の出生率に対して、この9月までに「新しい少子化対策」の素案をまとめるよう厚生労働省に指示した。新たな対策案とは「子供を安心して産み育てられる職場づくり」(小泉)、「子育て世代の三十、四十歳代(男性)が最も労働時間が長く、育児に関与しづらい現状」「長時間労働などの日本型雇用慣行を改める」(厚労省幹部)などというものだ。そもそも日帝と資本が労働者に長時間労働を強いてきたこと、労働者家族を解体し、子を産み育てることもできない状況を生み出している中で「少子化」が引き起こされている責任を一切棚上げにして、まったく逆に「少子化対策」をワークシェアリング推進のテコにしようとしているのだ。
保育政策も破綻(はたん)している。小泉は歴代首相として初めて所信表明演説で「保育所の待機児童ゼロ作戦を推進」すると唱えた。しかし、認可保育所の待機児童(全国で3万5000人)は減らず、統計のやり方を変えて数をごまかすという有り様だ。しかも、民営化でJR資本などを参入させ資本の食い物にして、保育労働者の処遇を改悪し、また保育料を値上げして子どもを預ける側の負担を増やすものだ。
小泉よ、子どもを産み・育て、働く女性労働者の怒りの深さを思い知れ! 二重の抑圧ゆえに、プロレタリア女性の闘いは階級闘争を爆発的に推進する。雇用労働者の40%以上を女性が占める現在、ロシア革命を超える力をプロレタリア女性は発揮するだろう。
排外主義を打ち砕き有事立法絶対廃案へ
帝国主義は女性の動員に成功しなくては戦争を遂行することはできない。戦前、国防婦人会は「一旦緩急国家総動員になれば国防上婦人が男子に代わらねばならぬ」という政府の思惑のもとで組織されていった(国防婦人会を指導した陸軍省中井良太郎大佐の演説。1933年)。それは今の政府も同じだ。
歴史的には、女性の国家的動員・組織化がプロレタリアートの階級意識の解体・一掃のテコに使われた。「男女同権」の主張が、戦争協力者としての「同権」として、排外主義に屈服していったのだ。戦前の日本階級闘争と女性解放運動が歩んだこの道をのりこえて闘おう。
その道筋は見えている。「つくる会」教科書採択阻止の闘いに続き、有事立法阻止闘争が膨大な女性を国際階級闘争に引き出している。戦争絶対反対の思いが、闘うパレスチナ人民、中東・イスラム諸国人民との連帯、闘うアジア人民との連帯を求めている。膨大な闘う女性の反戦の思いに国際主義が吹き込まれたとき、必ず革命的大衆行動は爆発する。排外主義との対決を鮮明にさせて立ち上がろう。小泉政権打倒、有事立法阻止。北朝鮮−中国侵略戦争を阻止しよう。
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週刊『前進』(2062号6面2)
インタビューF 反対! 有事立法 −私はこう考える−
東灘区住民の会代表 山本善衛さんに聞く
黙っていたら戦争になる
無自覚のままに学徒出陣 アジアの声が人生変えた
――戦争中に少年時代を過ごし、学徒出陣で陸軍に入営されていますね。
敗戦の時(1945年)は25歳です。振り返ってみると、敗戦までの25年間、その後の25年間、それから現在までと、私の生き方は大きく変わった。敗戦までは無自覚というか、当時の日本になんの矛盾も感じなかった軍国少年でした。
小学校に入ったのが大正天皇が死んだ年です。1年間は喪中ということで暗かったが、喪が明けると今度は、新しい昭和の御代になったと「万歳、万歳」の提灯行列で、御大典を国中あげてやった。私も家族と京都の御所へ行きました。
小学校2〜3年生の時、共産党に対する大弾圧があった。私は神戸の小学校に通っていて、近くに摩耶山(まやさん)という山があり、よく遊びに行った。ある日、校長が全校生徒を集めて「摩耶山に行ってはいけない。赤い鬼がいる」と言った。今考えてみると摩耶山の天上寺の僧坊に共産党のアジトがあったんでしょうね。それが検挙された。共産党は怖い、赤鬼だという教育を受けて、小中学生時代を過ごした。
中国へ侵略戦争に出ていった時代です。「徐州陥落」「南京陥落」と提灯行列をした。それをおかしいとも思わなかった。
それから真珠湾攻撃で米国と戦争を始めた。あの時は関西学院の専門部の英文科にいた。ラジオからは四六時中軍艦マーチが鳴って「敵軍艦を何隻轟沈(ごうちん)」というニュースが流れていた。それを疑いもしないで信じていた。
最初の学徒兵で陸軍に入営
大学に進みましたが、1943年には最初の学徒出陣となり、文科系の学生はすぐに徴兵検査を受けさせられた。私はその最初の学徒兵として陸軍に入り見習士官になって、長野県の野辺山の野砲隊で軍隊生活を送り、そこで敗戦を迎えました。
その時まで日本の敗戦を想像もしないで、一途にやっていました。今から考えると単純だった。敗戦後に「きけわだつみのこえ」を読んだら、私と同世代の若者が戦争に対する疑問を書いている。私はそんなこと考えもしなかった。敗戦になった時も負けて残念というより虚脱状態でした。これが私の最初の25年です。
――そんな山本さんが変わったきっかけは?
敗戦後、私は母校の関西学院に勤めました。戦争中のことを反省する機会がいくつかありました。
一番最初は、敗戦後3年ぐらいのころです。米国の良心的兵役拒否者の青年に会った。彼らは「人を殺す戦争はできない」と良心的兵役拒否を貫いた。けれども彼らはそのために、例えば、南方の戦線で必要なマラリアの特効薬をつくるための人体実験の材料にされたという話を聞いた。また彼らは、村八分にされ、家族が商売も結婚もできないという中でも、戦争反対を貫いた。これを知った時にはショックでした。
2番目は、32〜33歳のころに米国に留学した時のことです。フィリピンと韓国から留学していた牧師と親しくなった。韓国から来た牧師は、親しくなるにつれて、戦争中の話や三一独立運動をどう思うか、と聞いてくる。ところが私はその時、三一独立運動について何も知らなかった。
また私が米国に行って間もないころ、フィリピンから来た牧師に誘われ、留学生の会合に行った。昼食の時、フィリピンの学生が20人ぐらい集まって弁当を食べ、一緒に歌ったりしていた。私もそこに入った。フィリピン人の顔と私の顔はそんなに違いません。みんな私をフィリピン人だと思っているわけです。ところが、友人が「日本から来た山本だ」と紹介した途端、にぎやかだったのが止まった。友人が懸命に取りなしたが、沈黙が続いた。
「父は日本兵に殺された」
すると1人の女性が「みんなが黙っているわけを話す」と立ち上がった。その女性は「牧師だった父が、日本軍と戦っていたフィリピン人の民兵を教会にかくまい、自分の目の前で、日本兵に銃剣で刺し殺された。『日本から来た』と聞いて、そのことを思い出して言葉が出てこなかった。みんなそういう経験を持っている」と話した。なんということを日本はしたんだろうか。謝るといっても謝りようがない。黙って下を向いていた。
それまでの自分の生き方を根本的に否定するような場面に遭遇して変わっていくうちに、学園紛争、教会闘争が始まった。私は学校では教頭、教会でも役員をやっていた。学園紛争が終わったころ、疲れが出たのか気が抜けたのか、健康診断で結核と言われ、丸一年間の療養所生活を送った。
療養所で知ったのが三里塚です。療養所ではすることがないので本や新聞をよく読んだ。新聞に三里塚の第一次代執行の記事が出ていた。当時は三里塚の場所も知らなかったが、国と農民の戦争だと思いました。三里塚では、平和憲法とか民主主義とは全然違うことが行われているという強い印象を持って退院した。
そして退院した年に、神戸空港に反対する東灘区住民の会がつくられ、顔を出すうちに住民の会の代表になって、三里塚にも行くようになった。ここからが現在までの約30年です。
私は最初から戦争に抵抗してきたわけではなく、戦争に全然抵抗できなかった人間が25年かかって、三里塚闘争や、関西では神戸空港、関西新空港の問題で闘うようになったのです。
87年に天皇訪沖に反対して初めて沖縄に行った。このころから、天皇制が問題だとはっきり思うようになった。敗戦時に天皇の問題をうやむやにしたままだった。その天皇が沖縄を売り渡した。「日の丸・君が代」も反対です。単なるシンボルではなく、シンボルが人間の心を変えてしまう。
――有事立法への危機感をお聞かせ下さい。
一度目は過ちでも二度目は
小泉首相が「備えあれば憂いなし」なんて言っていますが、何の備えか。攻めるための備えです。非常に恐ろしく腹立たしい。栗原貞子さんの詩に「一度目は過ちでも/二度目は裏切りだ」とある。有事立法に黙っていたら、完全に裏切りです。私は戦争中の25年を正当化するつもりはない。恥ずかしいが事実です。私は今、82歳ですが、誰かの責任ではなく、自分の責任で生きねばならないと思う。だから有事法案を廃案にするために私も闘う。
5万、10万人の労働者が有事立法反対の集会に集まっている。軍艦マーチで戦争に入っていった時代とは、ひと味もふた味も違う。いずれ60年安保闘争で国会を取り囲んだような力が出てくる。戦争は外堀から真綿で首を絞めるようにやってくる。気づいてみたら戦争への道しかないというようになる。軍靴の足音は、聴こうと思わないと、聞こえません。黙っていたら戦争になってしまうのです。
(聞き手 水野慶太)
●やまもとぜんいさん 1920年生まれ。43年、学生の徴兵猶予停止で陸軍に入営(学徒出陣)。25歳で敗戦、関西学院高等部の教員に。71年から関西新空港反対運動に参加、76年に神戸の東灘区住民の会の代表。全関西実行委員会世話人。
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