ZENSHIN 2002/07/15(No2061 p06)

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週刊『前進』(2061号1面1)

有事立法の衆院採決阻止・継続審議粉砕! 7・26全国から国会デモへ
自民・甘利の国労解体宣言粉砕しチャレンジ・革同打倒の国鉄決戦へ
 東西革共同集会に大結集せよ

 北朝鮮・中国侵略戦争法案である有事立法3法案をめぐる階級攻防は7月にもつれ込んだ。これは4、5、6月闘争が切り開き、かちとった大きな成果である。しかし、日帝政治委員会は、先のカナナスキス・サミットを反動的巻き返しの転機として、小泉や山崎が3法案の継続審議のみならず衆院強行採決の檄(げき)を飛ばしていることを、はっきりと見据えなければならない。反戦共同行動委員会が呼びかける7・26全国総結集−対国会デモを爆発させよう。今こそ職場・産別、学園、地域、街頭で有事立法絶対反対の署名運動のうねりをつくり出せ。有事立法決戦と一体のものとしてますます死活的な決戦となった国鉄決戦を全力で闘いぬこう。

 第1章 有事立法の廃案へ緊迫する7月決戦

 小泉はサミット時の記者会見で「提出している法案は全部を成立させたい」と言明した。6月30日には自民党の山崎幹事長がNHKのテレビで「いつでも採決できる審議時間は確保している」と述べ、衆院通過を狙う決意を示した。
 どんな手段をとっても有事立法3法案の成立を図ることが、日帝の当面する最大の政治的課題である。米帝ブッシュの世界戦争突入の情勢があり、日帝はこの世界戦争−北朝鮮・中国侵略戦争への共同的=競合的参戦を必死になし遂げようとしているのである。
 しかも、日帝の有事立法攻撃に呼応して、連合が有事立法賛成見解を発表した。連合傘下700万人の労働者を丸ごと侵略戦争に動員する決定的な攻撃が行われているのだ。
 他方では、連合などのナショナルセンターの枠組みを越えて、陸・海・空・港湾労組20団体は先進的な闘いを開始している。20労組は戦争になれば真っ先に矢面に立たされ、帝国主義軍隊の被抑圧民族虐殺戦争に直接間接に加担させられ、あげくに自らの命を奪われることに危機意識をもって立ち上がった。「職場が戦場になる、だから有事立法には絶対反対だ」と訴え6・16代々木公園の6万人結集の原動力になった。
 20労組の決起の根底には、国家総力戦となる帝国主義侵略戦争に直面する労働者の危機感があふれている。有事立法と無関係な労働組合や労働者人民はいないのだ。有事立法はあらゆる水路から労働者を北朝鮮・中国侵略戦争に動員する。有事立法は全労働者、全人民の思想、信条、生活、行動のあらゆるものを抑圧して、戦争動員をかけるものであることが明らかなのだ。
 翻って見れば、9・11−10・7情勢とは、世界全体が戦争の渦中にたたきこまれた情勢ということであり、帝国主義に対する国際的内乱が始まった新たな情勢ということだ。日帝も米帝のアフガニスタン侵略戦争に参戦し、「対テロ戦争」=被抑圧民族虐殺を掲げた侵略戦争の渦中にある。
 有事立法攻撃は労働者人民に戦争に賛成か反対かをいや応なく迫る攻撃である。戦争に賛成なら具体的に戦争に協力せよ、戦争に反対するなら非国民だ、職場や地域から排除するぞという二者択一的な攻撃だ。
 この有事立法攻撃の先兵になっているのがカクマルである。20労組陣形の6万人決起に驚愕(きょうがく)し大打撃を受け、ついに「北朝鮮・中国侵略戦争などというのは中核派が思いえがいた勝手なイメージにすぎない」(反革命通信『解放』7月8日付)と公言してしまったのだ。よくぞ言った。これは文字どおり有事立法粉砕闘争への敵対宣言である。
 戦争をめぐり、帝国主義が排外主義・愛国主義を武器に労働者人民を総屈服させるのか、「連帯し、侵略を内乱へ」の勢力が労働者人民を獲得するのかをかけた壮絶な決戦が有事立法粉砕・改憲阻止決戦だ。
 日帝・小泉は、ここで勝負をかけてきている。敵には時間はない。米帝ブッシュはイラク侵略戦争を今秋にも発動する計画だ。そして北朝鮮への侵略戦争突入まで1〜2年と言われる緊迫した情勢にある。その情勢下で、日帝・小泉は時計を見ながら攻撃をかけてきているのだ。
 そういう意味でも有事立法は是が非でもこの時点で粉砕しなければならないのだ。衆院採決を粉砕し、継続審議決議を粉砕し、修正論議・協議機関設置を粉砕することが直接の決戦テーマである。有事立法廃案のために、労働者人民は決起して実力で闘う以外にない。それが広範な人民に浸透し始めている。
 反戦共同行動委員会から提起された7・26全国総結集闘争の大爆発のために、ただちに態勢を強化し、国会へ国会へと労働者人民の怒りを結集させる大宣伝戦と猛然たる組織化の闘いを展開しよう。そして何よりも7・26闘争を有事立法粉砕の国会決戦本番として断々固として闘いとろう。
 署名運動を全力でやりぬこう。7月中に50万人の署名を貫徹しよう。国会攻防を連続的に闘いぬいていこう。陸・海・空・港湾労組20団体と連帯して闘おう。有事立法阻止と沖縄闘争を結合して闘おう。

 第2章 世界戦争への情勢加速したサミット

 日帝の有事立法攻撃の根底には世界危機の深まりと、米帝ブッシュの世界戦争路線がある。
 カナナスキス・サミットはドル下落、ニューヨーク株価急落という新たな米帝経済危機−世界経済危機の激化という深刻な事態が生起する中で行われた。ところがサミットは現に火を噴いているドル不信とそれを生み出している米帝経済の危機の問題は素通りし、帝国主義の世界侵略戦争を協議する場となった。サミットが経済問題を素通りしたことは、もはや世界経済の国際的政策調整など不可能となっていることを示している。世界経済のブロック化を加速し、帝国主義間争闘戦を激化させ、世界戦争情勢をますます促進するものだ。
 ブッシュは、世界戦争路線を貫徹するために、パレスチナ人民圧殺攻撃をエスカレートさせ、秋にもイラク侵略戦争に突入するための政治的諸条件をつくりあげるために全力をあげた。サミットは、大枠でブッシュ版中東「和平」構想を受け入れ、世界戦争・世界核戦争政策の実行にゴーサインを出した。
 ブッシュは、パレスチナ人民の蜂起戦を「テロ=悪」と決めつけ、アラファト議長排除を公然とぶちあげ、また「軍事力を排除しない」と米帝自ら武力攻撃することをも公言した。パレスチナ問題の一切の歴史と真実を無視抹殺して、対テロ戦争の反動的論理をストレートに適用する対象としてパレスチナ問題を決定的に位置づけ直した。これは、パレスチナ人民の民族自決と民族解放闘争を全面否定し、さらにアラブ人民・ムスリム人民の民族解放闘争とその全存在を否定するものである。そして、このことでイラク攻撃に向かっているのだ。
 さらに、米帝の世界戦争計画の柱である核戦争体制の再強化のために、ロシア(ロシア・プーチン体制)を帝国主義体制の側に決定的に取り込んだ。大量核兵器の拡散防止を対テロ戦争の目的の中に位置づけ、ロシアを対テロ戦争の陣形に引きずり込むことでロシアの核管理を進め、米帝の核戦争体制を強化しようとしているのだ。
 同時にロシアの取り込みをもって中国・ロシアを決定的に離反させること、もって当面の最大の戦略的目的である対中国(対北朝鮮・中国)侵略戦争陣形の構築を狙っている。さらには、ロシアの大量の石油資源の掌握と確保をも戦略的に狙っているのだ。
 小泉は、ブッシュの中東「和平」構想を評価し、自らの「改革」路線の推進を強調した。さらに北朝鮮のいわゆる「拉致疑惑」問題に繰り返し言及し、北朝鮮侵略戦争を日帝自らの主体的・積極的課題として押し出した。対テロ戦争の最前線に登場する反動的な立場を表明したのだ。
 サミットの確認を日帝が実行することは、具体的には有事立法を一日も早く強行成立させることである。これはいわば国際公約となったのである。
 世界戦争路線を促進するサミットと関連して、朝鮮情勢が一挙に緊迫した。
 サミット閉幕直後の6月29日、南北朝鮮の艦艇が砲撃戦闘を展開し、双方に死傷者を出した。サミットによるイラク・北朝鮮への侵略戦争切迫の重圧が、北朝鮮と韓国をぎりぎりと締めつけている。米帝ブッシュの世界戦争路線が朝鮮半島と全朝鮮人民の上に緊張と戦争の惨禍をもたらす原因となっているのである。
 加えて、6月25日から日帝は昨年12月に奄美大島沖で撃沈した小型外国船の引き揚げ作業を開始した。この引き揚げ過程は、すさまじい排外主義宣伝が吹き荒れる対北朝鮮の軍事外交の反動的エスカレートとなる。これ自体が侵略戦争である。徹底的に弾劾せよ。

 第3章 米帝のバブル大崩壊と没落の新局面

 米帝バブル経済の全面崩壊の深刻化の中で、米帝は戦後体制を自ら破壊し解体し、世界戦争を通じて他帝国主義をたたきのめし、新たな米帝体制を構築して延命しようとしている。
 米帝経済危機はいよいよ激化している。起きていることはドル暴落・株価暴落の本格的開始である。29年型世界大恐慌への本格的突入情勢が始まっている。帝国主義の過剰資本・過剰生産力の矛盾と世界経済の分裂化がこのような形で再爆発してきている。
 米帝の貿易赤字、経常赤字が増大し、国際資金のアメリカ離れが進んでいる。
 そこにエンロンに続いて米通信大手・ワールドコムの巨額の粉飾決算が明らかになった。ここで浮き彫りになった企業会計、いや米資本主義そのものへの不信が米帝経済に及ぼす打撃と没落は、想像するよりはるかに大きい。
 サミットの直前の6月25日、ワールドコムの約38億j(4500億円)もの粉飾決算が明らかにされた。これに衝撃を受け、日本から始まった26日の主要株式市場は世界同時株安となり、アメリカでは一時9000jを割り込んだ。7月3日のニューヨーク株価は一時8900jを割り込んだ。米帝経済のバブル崩壊と没落は、もはや後戻りのできない過程に突入したと言ってよい。
 エンロンの経営破綻(はたん)以来、不正経理の疑いは、電力・ガス卸売大手の売上高水増しの発覚など通信、小売り企業、さらにGE、タイコインターナショナルなどすべての企業に広がっていた。取締役会、アナリスト、監査法人、金融機関と米資本主義そのものが不信の対象となっている。米資本主義の構造的問題なのである。
 また、個人消費の減退、企業収益悪化なども深刻化し、米帝自身の過剰資本・過剰生産力の解消はまったくできない情勢である。
 日帝経済は、米帝経済危機の直撃を受けて、激しい円高と株安に見舞われている。ただでさえ恐慌状態を脱出することができない日帝経済が、ただならない危機に陥ることは明白だ。
 円高は日帝経済の柱である輸出企業の業績悪化を呼び起こし、株安は金融危機をさらに激化させることは火を見るよりも明らかだ。
 そして国の借金を国債を始め600兆円以上も抱えて「国家総破産」状態にある。日帝・小泉の反人民的な「構造改革」は完全に破産しており、もはや戦争的手段による打開しかない状態に陥りつつある。
 こうした中で5月の失業率は前月から0・2ポイント上昇し5・4%を記録した。日帝は一切の矛盾を労働者人民に押しつけ、税制改革では消費税の大幅アップを中心とする大増税、社会保障の切り捨て、労働強化と労働組合つぶしと大失業攻撃に出てきている。
 一大資本攻勢は日帝の有事立法攻撃と一体のものだ。一大資本攻勢に対し、労働者人民は連合などの制動を粉砕して労働組合的団結を固め闘う時である。

 第4章 国労闘争団除名の攻撃に総反撃せよ

 日帝の一大資本攻勢との攻防の最大の焦点が国鉄決戦にあることは明白だ。
 国鉄闘争は、闘争団の除名を許すのかどうかをめぐる一大決戦に突入している。有事立法の強行をたくらむ日帝権力は、侵略戦争に労働者を動員するために、階級的団結のかなめをなす国鉄闘争を解体しようと全力をあげてきた。
 国労本部は、この日帝の凶悪な攻撃の先兵に転落した。彼らは与党3党声明に屈服し、5月27日の臨時大会において、次期定期大会で闘争団への統制処分を発動することを決定した。さらに与党3党声明を振りかざし国労の総屈服を求める権力は、5・27臨大決定に基づいて国労に対して「闘争団除名」を露骨に求めている。それが6・6甘利発言だ(2面参照)。6月6日、自民・公明・保守・社民の4党協議では、与党3党声明を「基本原則」として国労に対処することを確認している。4党協議後の記者会見で、自民党副幹事長・甘利明は、国労に対して闘争団の「統制処分、組織からの除名処分」を露骨に要求した。
 甘利は、鉄建公団訴訟などを取り下げさせろとわめきちらした揚げ句に、闘争団の除名処分を要求した。 これでは甘利が国労の絶対的支配者ではないか。権力によるこんな労働組合支配の例は過去にない。
 まったく冗談ではないのだ。もともと自民党が国鉄分割・民営化の張本人だ。国労解体の仕掛け人だ。国家的不当労働行為を実施に移した極悪人だ。国労を最も憎悪している奴らだ。
 それが、1047人闘争の不屈の発展の前に、ついに表舞台に飛び出し、国労解体を無理強いしているのである。国労本部の裏切り者たちは、ありもしない「解決」幻想にしがみつき、国労の魂であり、国鉄闘争の偉大な原動力である闘争団を切り捨てようとしているのだ。
 国労書記長・寺内は、臨大後のインタビューで「(鉄建公団訴訟の取り下げに)どうしても応じない闘争団員は、これも遅くない時期に処分の量刑を決めて査問委員会に送致をし」「結論をできるだけ早期に出し、その直近の大会で答申して、承認する」(6月15日付『公益企業レポート』)と言い放った。
 「処分の量刑」とはいったい何だ。腹の底から怒りがわいてくる。甘利と寺内らは二人三脚で国労の死刑執行をしようとしているのである。そこに貫いているのは、闘う国労の破壊、闘争団の切り捨てだ。国鉄分割・民営化という国家的不当労働行為を「正当」だと承認することで闘う闘争団をいけにえに差し出すことだ。そして労働組合を自ら解体することだ。
 さらに重視すべきなのは反動革同(日本共産党)の裏切りである。反動革同は与党3党声明に完全に賛成している。甘利と寺内を全面支持している。「資本主義の枠内での民主的改革」という日共の路線が行き着いた、絶対容認できない反革命的裏切りだ。徹底的に弾劾し粉砕しよう。
 定期大会に向けた国労代議員選挙は、これら裏切り者の大反動を打ち破る、後がない決戦になった。闘争団除名に賛成する者は一人残らずたたき落とすこと、この勝敗に、国労の死か再生かがかかっている。
 有事立法粉砕決戦と一体の闘いとして、代議員選挙に絶対に勝利するために全力をあげよう。
 沖縄闘争を有事立法闘争のかなめとして闘いぬこう。有事立法攻撃そのものである三里塚への攻撃を粉砕し、反対同盟と連帯して闘おう。反軍闘争を戦略的に強化しよう。7・14関西新空港闘争に決起しよう。
 今年の8月広島−長崎反戦闘争は例年以上に重要だ。大高揚をかちとろう。
 保安処分新法を粉砕し、差別・抑圧と闘う諸闘争の前進をかちとろう。
 住民基本台帳ネットワークシステム(国民総背番号制)の8月5日施行強行を阻止しよう。
 有事立法粉砕闘争が大高揚している真っただ中に『前進』を意識的・組織的にもちこみ拡大しよう。
 夏期一時金カンパ闘争に総力で取り組もう。一時金闘争の成果が7月決戦および今秋闘争と巨大な党建設の展望を決定するのだ。
 今年前半の闘争の全成果を東西革共同集会に集約しよう。21世紀革命に勝利するための党建設に勝利することが一切である。必ず党勢倍増をかちとろう。
 7・26闘争を頂点に7月決戦を大爆発させよう。

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週刊『前進』(2061号1面2)

いま、時代の転換点に革共同へ大カンパを

 すべての『前進』読者のみなさん。有事立法に怒り、資本攻勢と日々奮闘しているすべての労働者のみなさん。有事法制の継続審議粉砕、絶対廃案の闘いの真っただ中で、再々度革共同への一時金カンパを訴えます。
 文字どおりの世界戦争会議となったカナナスキス・サミットで、米帝の「対テロ戦争」と極悪の新中東政策を唯一支持した小泉は、日本帝国主義の生き死にをかけて、あくまで有事立法攻撃を強行しようとしています。
 ブッシュが核先制攻撃や暗殺まで叫び、小泉政権も官房長官や副長官が北朝鮮への先制攻撃、核兵器使用を公言しています。有事立法が通れば、朝鮮侵略戦争が始まるのです。まさに有事立法決戦は、「連帯し、侵略を内乱へ」の本番です。
 死に瀕(ひん)し、戦争以外に延命の方法を失った国際帝国主義に、死を宣告する国際プロレタリアートと被抑圧民族人民の決起が始まっています。
 そしてアラブ・パレスチナ人民や朝鮮・アジア人民の闘いを革命党として受けとめこたえられるのは、血債の思想を深め発展させてきた革共同だけです。
 5、6月に4万人−6万人と発展した、社・共、連合・全労連の枠を越える労働者人民の決起は、小泉の有事立法強行を阻んでいます。「5・16連合見解」で現代の産業報国会へ転落する寸前という連合の中で、わが同志はその連合足下からの闘いを猛然と開始し、これを食い破る労働者の感動的決起を実現しています。
 上部の制動を超えて、6・16の6万人集会への決起を実現した多くの連合傘下の組合。家族を含めて組合員数を数倍する署名を集めている組合。そして街頭は有事立法絶対反対の声でいよいよ熱を帯び、署名の列ができています。有事立法に怒り、沖縄で小泉を痛撃した宮城盛光さんの決起に感動した一人の女性が、街頭で5万円をカンパしたそうです。
 プロレタリアート人民は、戦争を阻止し、帝国主義を打倒する力を発揮し始めたのです。この力が革命党の闘いと結合できるかどうかに一切がかかっています。私たちは革共同の力を求める多くの人びとの声に、全力でこたえる決意です。
 革共同の5月テーゼ以降の営々たる闘いは、6回大会を成功させ、「ドイツ・イデオロギー」の新訳と読み解きの実現というイデオロギー闘争の画期的な地平を実現し、さらに9・11反米ゲリラ戦以降の情勢にこたえて「連帯し、侵略を内乱へ」の路線をいまひとつ高い次元へ押し上げてきました。
 さらに闘いの飛躍のために求められるものは、それを支える財政力です。この1年が時代の革命的転換点になるかどうかは、今夏の一時金カンパにかかっていると言って過言ではありません。
 カクマルを分裂に追い込み、基本的に勝利した革共同は、日本革命―世界革命の勝利へ、さらに大きく前進する決意です。質的にはもちろん量的にも全労働者人民の党になるための圧倒的なカンパを心から訴えます。

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週刊『前進』(2061号2面1)

闘争団除名せよと迫る甘利明を弾劾する
指示通りの大会策す国労本部 怒り燃やし代議員選に勝利を

 国労定期大会をめぐる情勢が緊迫している。6月6日、自民党副幹事長・甘利明は4党協議後の記者会見で、国労に闘争団の除名を強要する許しがたい発言を連発した。甘利はその後も「8月中に大会を開け」と執ように迫っている。国労本部・高嶋―寺内執行部は、「確信犯を絞り込み、定期大会で組織から外せ」という甘利の指示をそのまま忠実に実行しようとしているのだ。7月4日の全国代表者会議で国労本部は、まず闘争団を切り崩して処分者を特定し、処分案をつくり、それを承認する大会を開くという方針を提起した。いまだ大会日程を打ち出せないでいるが、次期定期大会は間違いなく闘争団の除名をめぐる大決戦となる。闘争団除名―国労解体か、闘争団防衛―国労再生かの決着をかけた、まさに後のない歴史的大決戦なのだ。3分の2の代議員を確保してあらゆる手段で闘争団を切り捨てようとする国労本部、チャレンジ、反動革同、酒田一派らをたたき落とせ。代議員選に絶対勝利し、定期大会決戦に攻め上ろう。そのために、甘利の6・6記者会見録の全文を暴露する。この一言一言に怒りを燃やし立ち上がることを訴える。

 甘利自民党副幹事長 記者会見録(全文) 2002年6月6日衆議院議員会館内

○甘利副幹事長

 決定事項について報告を聴取をいたしました。国労側からは巷(ちまた)で報道されているような決定を致しましたという報告がありました。
 私の方からはまず臨時大会の決定についてはまず評価を致します。第2として、残された問題があります。それは訴訟問題ですね。鉄建公団訴訟、第三者参加の問題、それぞれ283名、266名、ほとんど重複しているそうですが、が起こしている訴訟問題。それからILOに対しての国労執行部の申し出等は2年前の4党協議における4党合意の時点では発生していなかった新たな国労の責任の問題。それの解決を次期定時国労大会まで解決されるよう要請すると。そして、その時点で先般の与党3党声明にあるように、その後の諸問題の解決を図ってもらった後に与党として、あるいは社民党として解決に向けて行動を起こすということであります。
 その後に4党で話し合いました。国労執行部に退席をしていただいた後に話を持たせていただきましたが、各委員から基本原則に則って予定通りやってもらいたい。振れずに、基本原則というのは3党声明に則ってやってほしいという話が与党側から何人か出ました。社民党さんからは特に話はなかったが、引き続き私と渕上さんとを窓口に進展の情報交換をして参りましょうということでございました。
 私から先般の国労臨時大会から8月の定期大会までの間に4党協議会として具体的行動をすることはしないが、しかし、国労執行部の行動をエンカレッジすると、激励するということはする。今日の4党声明でも27日の国労大会の決定については評価をするということが4党協議会の一致した考え方でありますので、それをもって国労執行部の行動をエンカレッジする、今後のですね。

 確信犯を絞り組織から外せ

○質疑応答

Q 8月の定期大会まで具体的に行動することはないのか。

A 交渉を開始するのは8月の大会で諸課題の解決の後だ。だから具体的に採用人員の交渉をするとか、和解金の問題の段取りを取るという行動はしないが、先の臨時大会についてはよく頑張ったねということ。それをもって執行部の後押しをしたい。それから4党協議会として国労臨時大会の結果を評価するということはJR側にも伝わるだろうし国労側が今後とられる努力は逐一伝わっていくであろうと思う。従って、それをもってJRも一生懸命やれば過程を評価していくであろうということである。

Q 評価するということは伝えるのか、伝わるのか。

A 伝わる。

Q 夏の大会までの課題は鉄建公団訴訟、第三者訴訟などで反対する闘争団をまとめるということか。

A これは取り下げということ。ただし、組織としてやっているのは組織が取り下げればいいでしょうけども、個人でやっているのは言うこと聞かないでしょうから、それはオルグしていくということ。3党声明の中にあるように国労の組織としての総意として「JRに法的責任がない」ことを認めることで、大会で認めたが、相変わらず多人数が訴訟を起こしているということでは困るわけだから、その確信犯をできるだけ絞り込んでください。最後、どうしても残る人がいるでしょうと。その人たちは組織から外れてもらうことになりますねと、統制処分が最後の8月の定期国労大会ということになる。ですから、これから8月まで何もしないでいきなり全員除名では組織の総意にならない。総意と認めてもらうようにオルグは一生懸命やってくださいということ。国労側が8月までにやることはまだ期日ありますよと。それに関しては第1段階はわれわれ評価しますから、この路線で間違っていませんよと。

 除名しなければだめだ

Q そうすると最後まで言うこと聞かない人は、統制処分、組織からの除名ということも致し方ないということか。

A 致し方ないじゃない。しなければだめだということ。

Q どのぐらい絞り込むということか。

A やってみなければわからない。努力を見守るということ。

Q 反対者の決意が固くて300人近くいるが、数がほとんど変わらないということになっても一生懸命やれば仕方ないということか。

A 一生懸命やればもっと減ると思う。正直な話が、3党の評価はそれほど真剣に取り下げの働きかけやっているとは思われない。委任状3人しか集まらないとか。信任されてやっている執行部であるから命がけでやってもらえば、3人分の委任状ということにはならないと思う。

Q 絞られたとして除名ということになったときに裁判で争う人もいるようだから、はからずも違法の結論もありうる。そうなったらどうするか。

A 国労側が取りうる組織の意思とはずれる人は組織から外れてもらうという、いろいろ知恵をだしてほしいと思う。

Q 除名以外でも解決対象の枠をはずすということでも多少幅があるのか。

A 基本は組織から外れてもらうということだ。それで徹底的にやってもらわなければならない。この時点でいろんな方法がありますよっていっても何も動かない。

Q 過去の判例見ると、難しいところもある。甘利さんが言うように最後まで言うことを聞かなければ除名だということが裁判で違法という判決が出れば政党が違法行為を組合に強要していると批判が出るのではないか。

A そうなるなら政党も干渉しない。言われるように間に入ることがそういうことを招くのであれば4党合意は解散する。

Q そういうことになるのではないか。

A そういうことになると国労が言ってくればはっきりと3党は4党合意から離脱する。

Q 政治家としての見識の話ではないか。

A 見識の問題ではなく、もともとこれは、4党合意としてスタートしたのは法的問題、国労側の裁判闘争の主張に割って入るのではなくて、人道的見地から政治が何らかの対処ができないのかという要請を、国労が、社民党さんが国労の意を受けて通じて来られた。そこであくまでも人道的見地からできることないのかということでこういう項目を掲げたわけだ。これでよろしければやりますよと言った時にそれで結構ですよと言われたということでスタートした。ところが結構ですという状況が変わる。第1回目の大会で対応していただければとっくに済んだこと。それを新しい事態を起こしてきて組織がそれをちゃんと整理できないと。自分が整理できないのは裁判で負けるからだと。政治的には干渉してはいけないと、それはそれとして解決図りなさいということでは4党合意は成り立たない。もともとの前提条件が満たされていないんだからその時点で4党合意は解散だ。

Q 前提条件が満たされていないわけで、だから解散すべきじゃないのか。

A だから前提条件に戻ってくださいと。その努力を見ますよと言っているわけだ。4党合意ができた時点がこういう条件でと言ったんですから。その条件がなくなった時点で本来なら4党合意は解散だ。満たされないのだから。

Q だから本来なら解散すべきだったんじゃないのか。

A それで結構でございますといえばそれで解散だ。ところがそうしないでくれ、われわれは努力するからとおっしゃるから、努力を見守っているんであって、何も我々がこういうことをこうするまで、もどすまで期限を切って強制してわれわれが待たないでくれと頼んでいるわけでも何でもない。

Q いずれにしても夏の大会の結果をみて最終判断するということか。

A そうだ。そうだが、第1段階は評価する。彼らも評価してもらわなければ組合員を説得する材料にならないだろう。

Q 8月までに国労に求められるのは、まとめること、なるべく多く取り下げることと、残った人への統制を決めることだけか。

A ILOの問題とね。

Q 国労として組織として起こしている裁判があるが、いわゆる鉄建公団訴訟とかじゃなくて……。

A 組織として起こしているのは下げてもらう。組織がJRに法的責任なしと決めておいて組織がそうじゃないんだという訴訟を起こしていること自体、矛盾だから。

Q これも8月までにやってもらえばいいと。

A そっちはなるべく早くやった方がいいと思う。

Q 特に今日は取り下げについては社民党に要請とか、それ受けて社民党が国労に言ったということはないのか。

A 国労に対しては3党声明をもう一度、よく読んでくださいと。第1段階はクリアされましたと。それは評価しますと。残りの課題について次の大会までに解決していただかねばならんですからと。3党声明の中身をきちんと読んでそれで努力してくださいという要請はしておいた。具体的にいうと4党合意以降、この2年間に発生した新しい事態の処理を致しますという話はした。

 8月大会までに訴訟下ろせ

Q 組織としてかかわっている訴訟も8月までにはおろしてもらうと?

A もちろん。8月までには全部残りの問題を解決してもらわないと。

Q ということは国労の方を先にやってもらってそれから与党としての対応が行われるとか。8月までに今、中労委がやっている最高裁訴訟これを前広に降ろしてもらうということか。

A 組織として参加している裁判、組織人たる個人として参加している裁判。それは取り下げるよう努力してほしい。つまり、個人の裁判の資格をはく奪することは憲法上できない。しかし、組織が組織としての決定として認めていながら、その人が決定と正反対のことでまさに訴訟を起こしていることは組織の決定に対してノーということ。だから個人として起こされることは憲法上、差し止めはできない。ですから組織の決定に対して組織の一員として明確に反することについてはそういう状況を解消してほしい。組織内において取り下げていただくのが一番いい。だがどうしても下げないというなら強制的に下げさすわけにはいかないから、憲法で保障されている権利だから。それは組織としての決定にノーということだから組織の決定は決定として生きさせなきゃならない。

Q 今、中労委が争って国労が補助参加しているが。

A それも含めて当然だ。裁判の根拠となることの大前提を国労が大会で決定したんで、二重人格になっちゃうわけだから。

Q 社民党から要請されると考えていいのか。

A 社民党がというか、3党声明で社民党を通じて国労に申し入れている。それを受け入れますか、受け入れませんかと言ったら、受けますという話だったんだから。

Q 4党合意では「JRに法的責任なし」が決まった後に、自民党がJRに要請し、社民党が裁判取り下げを要請すると、あと和解金とこの3つがパッケージになっている。国労が2項目の国鉄改革訴訟の取り下げを夏の大会までに前広にやるということなのか。

A 今まで第1項目が満たされないにもかかわらず、これは非公式です、内々にJR側にこういう前提が近々、打開されますと。された場合にはどう対応してくださいますかと、ごく内々に、非公式に打診は続けてきた、何度も。その度に次の大会ではクリアされます、その次にはというのをずっとやって、全部ダメだったと。その結果、JR側の不信感がピークに達していった。もうJRの中にはもう今後どういう決定されようとわれわれは貸す耳を持ちませんということすら言う非公式に聞こえてくるJRもあった。そこで、相当な決意と誠意を示さないと、われわれがどう働き掛けようとも、JR側の不信は解消されませんよ、ということを社民党さんや国労執行部に伝えた。であるがゆえに、そっちがこうするなら、こっちもこうするよという交渉の段階を離れている、信頼関係も。ですから、きちんと対応していただかないと、いくら我々働き掛けようとも、国鉄ではないですから今。民間鉄道会社でありますし、やがて政府保有株をみんな放出するということになれば、ますます距離は遠くなる。われわれは努力を致しますという約束はしていますけれども、何人保証しますとか約束はしていない。ですから今までの2年間の経緯が非常に不誠実であったということが今日のこの結果に至っていると思う。

Q 自民党が動いていないのに、組合側に先にやらせるというのはちょっとやり過ぎではないか。

A それはあなたの思っていることだ。

Q いや、4党合意に反するんじゃないですか。

A そういうことで、4党合意自身がその時の状況から変質しちゃっているんじゃないか。

 国労執行部は全部納得した

Q 国労としても先に降ろすことは承知しているのか。

A 与党3党の中でこういうずるずるした話し合いを続けるなら解散しましょうという声が出た、そこで社民党さんに4党合意はもちません、4党合意というか4党協議が。そこで期限を切ってこういうことをして下さいということ、事細かに書いた紙を社民党さんに渡して、これを国労さんにお渡して下さいと。それならば4党合意からみんな脱落するのを(やめるよう)説得をしますからという経緯。それを全部読んでいただいてそれに従ってじゃあ行動起こしていきますということだ。だから4党合意を決めた時点と違う、もう。

Q 国労はもう納得していると4党としては考えているのか?

A そうだ。

Q 個人で訴訟に参加している人についてはその人の判断か。

A その人の判断ではなくて、法的に強制的に裁判に参加をするということを本人の意思を強制的に押さえつけて、裁判を止めさせるということはできないでしょうと。説得はしてもらう。説得してもらわなきゃ困る。ですから、組織の中にいて個人の裁判参加から外れてもらうのが一番いい。その説得をずっと続けてもらう。最後、残った人たちに対して強制的な力によって裁判をやめさせるということは、それは、裁判をする権利をはく奪することはできないから、どうしても自分はやるんだとおっしゃる方は組織の決定と違うんだから、組織から外れてもらうと、これは理の当然じゃないですか。組織がそういう意思決定しているんだから。

Q 国労だけでなくて組合員も補助参加人として十何人か入っていますね。

A 国労という組織と国労組合員に対して言っていることだ。

Q 補助参加しているのは国労の組織だけじゃないが……。

A 私が言っているのは簡単明瞭。国労という組織と国労組合員とこの2つ。

Q 社民党にボールを投げて社民党が要請するかしないか、国労は社民党が要請すれば取り下げると大会で決めたわけですよね。

A 社民党は当然、それは要請しなきゃおかしい。

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週刊『前進』(2061号2面2)

動労千葉 団結の力ここにあり ストはいかに実現されたか 東労組カクマルに大打撃 組織拡大の展望をひらく

「駄馬」で馬脚

 スト最終日の31日、JR東労組千葉地本は『御礼』なるビラを職場に掲示した。それは「おかげさまをもちまして、千葉労(駄馬)の無意味なストは何の影響を与えることなく終了しました」というものだ。
 千葉運転区でビラを張った東労組の分会長に、中村書記長が「お前ら、なんだ」と言うと、その分会長は「上が張れと言ったから」と答える。「『駄馬』とはなんだ。お前はカクマルか」と追及すると、「違います」と逃げる。そういうやり合いが直ちに現場で始まる。
 JR総連カクマルは、カクマル中央派と分裂したことで、もはやカクマルとは関係ないかのように振る舞ってきた。特に東労組千葉地本は、カクマル中央派との対立・分裂騒ぎが本格化する以前の99年に、いち早く「盗聴のカクマル弾劾」と言い出していた。しかし、「千葉労(駄馬)」という言葉はカクマルしか使わない。こんな表現で人を非難した気になれるのは、カクマルだけだ。打撃感から、思わず馬脚を現したのだ。

 「疲弊感」と本音

 実際、このビラは次のように言っている。
 「彼らの今次ストは、『JR総連解体』など一切前進するはずのない目的を掲げ、いたずらに千葉労組合員および対策に借り(ママ)出された東労組組合員の疲弊感のみを残した、まさに『無意味』なストでした」「『愚か』としか言い様がありません」と。
 動労千葉の組合員には全力で闘い抜いた後の心地よい疲労感はあっても、「疲弊感」などみじんもない。「東労組組合員の疲弊感」とは、まさに彼らの本音であり、泣き言である。だが、千葉支社と結託して東労組組合員をスト破りに動員したのは、役員のカクマルである。本社・支社がとったデタラメなスト対策のために、必要もない代務に駆り出されたり、機関役員などは「不測の事態に備えて3泊4日のたたかいを展開」したのだそうだ。「組合員の疲弊感」はやがて役員への怒りとして爆発することを、彼らは知らないのだろうか。
 中村書記長は語る。
 「東労組は、3月1日から組合員にスーツ・ネクタイ通勤を強制して、自分たちだけは会社に特別扱いしてもらえると言っているけど、結局ベアゼロをのんだ。定昇だけだと、若い連中はほとんど上がらない。若い人はけっこう賃金にシビアなんです。不満が渦巻いている。それをいかにくみ取るのかが問われている。『今年みたいに最高の利益を上げている時に上がらなければ一生上がらないよ。だからお前らの組合の裏切りは大きい。一緒に闘おうよ』と言っている」

 頑張っての声も

 動労千葉の組合員に「ストライキ頑張ってください」と声をかけてきた「平成採」の東労組組合員が、かなりの数でいるそうだ。今回のベアゼロ妥結は、想像以上に東労組の危機を促進していると言えよう。
 これまで東労組カクマルは、西日本や東海の回答を見て、それをわずかでも上回る回答を引き出すことで「日本一の賃上げ」などと大騒ぎしてきた。だが「ニューフロンティア21」の大合理化を「第4次労使共同宣言」で推進することを誓った東労組に、資本はそんなアメをやる必要もない。とことん資本の奴隷として使い切るということに、JR東資本は転換した。
 だから他労組に対する差別・選別によって優遇されてきたのとは違い、これからは賃下げと大合理化が東労組の組合員も含めて全労働者に例外なく襲いかかる。その時に、どの組合が労働組合の原則を貫いて闘っているかということが問われるのだ。
 東労組カクマルは、「ベアゼロで集約せざるをえなかったのは、JR連合による東の民主化策動とそれに乗じた輩(やから)の労使関係に対する攻撃が激化したからでもある」などと言っている。また、「何者かによる悪質な列車妨害」「国家権力に操られた何者かのどす黒い手」などというキャンペーンを始めている。自らの裏切りを「謀略論」で正当化しようという魂胆だ。だが、こんなことはいつまでも通用しない。
 今こそ組織拡大の最大のチャンスが訪れている。
 「戦後の労働運動の歴史を見ても、けっこう原則的に頑張った組合は数多くある。しかし結局は会社の労務政策で解体されたり、それを跳ね返しても新規採用者を獲得できずに負けている例が多い。動労千葉のように闘い続ける組合が本格的に組織拡大をすることは、戦後初めてのことです。本当に必死になってやりたいですね。今までの壁を破るのはもう一歩だという気がしている」と、田中委員長は闘志を燃やす。
 (つづく)
 〔本紙・大沢 康〕

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週刊『前進』(2061号2面3)

資本攻勢&労働日誌 2002 6月15日〜28日
 連合中央委 春闘ベア要求放棄を提案
 スペインでゼネスト/女性失業率過去最悪を更新

●15日 社会経済生産性本部などが、今春の新入社員を対象に「働くことの意識」調査。4割が「リストラされるのではないか」という不安を抱え、「いずれ会社が破たんするのでは」という回答も3割に上った。
●18日 人材派遣会社パソナが大卒者を対象に行った意識調査で、正社員としての就職希望者が60.1%に達したことが分かった。
●19日 国労組合員2人の転勤をめぐる中労委の救済命令が不当としてJR東日本などが起こした取消訴訟で、東京地裁は不当労働行為を認める判決を行った。
●19日 厚労省が発表した「労働協約等実態調査」によると、パート労働者が労働組合に加入していても労働協約が適用されていない例が9.4%と1割近くあることが分かった。
◇厚労省は雇用保険料を2段階で引き上げる検討に入る。まず10月に保険料率(労使折半)を月収の1.2%から0.2%引き上げ、次に来年の関連法改正を経て0.2%上乗せし、1.6%程度にしたい考えとの報道記事。(日経)
●20日 スペインで、失業手当削減など政府の雇用保護制度改悪に反対する24時間ゼネストが全土で決行され、1600万人が参加した。
●21日 松下電器は「福祉年金」の給付利率引き下げ方針を見直す。一度も受給していない退職者などから利率引き下げに対して「松下電器、だまし討ち」「条件違う」との反発が強まっていた。
●22日 経済財政諮問会議が骨太方針第2弾を発表。厚労省関係では、@有期労働契約や裁量労働制の見直し、A派遣労働法制における対象範囲拡大、B募集・採用における年齢制限廃止努力の徹底、C有料職業紹介の規制緩和等労働制度を引き続き見直す、D解雇の基準やルールについての立法化を検討、などを記載した。
●24日 いすゞ自動車は2003年3月期から退職手当のうち定年退職加算分を廃止する。定年退職加算分は、企業側が退職金に上乗せする手当として毎期積み立て、労務費として費用計上していたもの。
●25日 終身雇用を重視する企業は8.5%、年功序列重視はわずかに0.8%であることが厚労省「02年雇用管理調査」でわかった。
●26日 連合は27日まで中央委員会を開き、02春闘の「中間まとめ」を提出。春闘のベア要求基準を示さない考えを打ち出したことをめぐり、討論では中小産別や地方から異論が出され(別掲)、議論継続の扱いに。10月の中央委員会で最終的なまとめを提起する。
●28日 総務省発表の5月の完全失業率(速報)は前月比0.2ポイント上がり5.4%に。特に女性の完全失業率は前月比0.4ポイント上がり5.3%で過去最悪となった。厚労省発表の5月の有効求人倍率(季節調整値)は0.53倍と前月比0.01ポイント上昇した。

 連合中央委員会での討論内容要旨

・全国一般
 「大手結果がもろに響き、ベアゼロなどが目立つ」「企業別中心の日本ではナショナルセンターの役割は大きい」「地域や中小が春闘に取り組めるよう、具体的要求を示せ」
 ・連合宮崎
 「情勢の後追いでなく、現状切りひらく方針を。春闘は労組最大の運動」
 ・JAM
 「ミニマム闘争を進めるため、地域最賃を重視した最賃闘争を」
 ・電機連合
 「ベアからの脱却を求め電機として職種別賃金の確立をめざしている」
 ・自動車
 「(連合は政策・制度に力を入れ)連合と産別役割を明確にすべき」

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週刊『前進』(2061号3面1)

6・30三里塚 殺人的騒音に反撃 150人が滑走路脇で集会

 6月30日、三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけで三里塚現地闘争が闘われた。開港攻撃への反撃の第一弾だ。暫定滑走路の脇腹に突き刺さる開拓道路の先端に労働者や学生150人が結集し、意気軒高と集会とデモを貫徹した。
 4月18日の開港から2カ月余り。暫定滑走路は、周辺住民に対して殺人的な騒音(100 )と排ガス噴射を強要し、生活と営農の破壊を日々行っている。集会中も、ジェット機が目と鼻の先で離着陸し、大轟音(ごうおん)が響き渡り、発言が中断された。腹に響く轟音のすさまじさを体感した集会参加者は、反対同盟に加えられる攻撃の激しさに、あらためて怒りを燃やした。「国家権力には絶対に屈服しない」(北原鉱治事務局長)と不屈に闘い抜く反対同盟と三里塚闘争を守り抜き、空港廃港まで闘うことを再度固く誓った。
 集会は反対同盟の伊藤信晴さんの司会で始まった。伊藤さんは、「反対同盟は勝利的に闘っている。有事立法攻撃を迎え撃つ闘いだ」と元気に宣言した。
 北原事務局長が発言に立った。北原さんは「暫定滑走路での離発着に伴う騒音とガスは並大抵ではない。しかし反対同盟は37年間、国家権力の悪らつな切り崩しや暴力と闘い抜いてきた。三里塚闘争37年の歳月は、農民とそれに共感する全国の人民が流血も逮捕も恐れず闘ってきた。民主主義は闘わなければわれわれの手には戻ってこない。成田空港を廃港に追い込む闘いの中で、今の政治を根本から変える。闘えば勝利できる」と訴え、さらに「生活の中に闘いがあり、闘いの中に生活がある」と、成田市空港対策課を相手に生活防衛を闘うことを呼びかけた。
 続いて動労千葉の代表が「この地に来てあらためて、農民と空港は共存できないことを実感した」と農民追い出しの攻撃を許さないと語り、「動労千葉は空港廃港まで反対同盟とともに闘う」と労農連帯の強い決意を述べた。さらに有事立法粉砕の闘いと国鉄闘争を結合させて闘うことが重要だと訴えた。
 婦人民主クラブ全国協は、農民へのこのような理不尽な攻撃は絶対に許せないと怒りを表明。神奈川県相模原では、地元の座間基地で3軍合同演習が行われ、民間の医療機関も動員して戦争を想定した訓練が行われていることを報告。三里塚の農民圧殺の攻撃は有事立法や戦争と一体の攻撃だと弾劾し、三里塚闘争を有事法案粉砕の最先端の闘いとすること、さらに7月が有事立法粉砕の重大局面だとして国会闘争に立つことを呼びかけた。
 最後に全学連の大山尚行委員長が決意表明を行った。「許せないという怒りがわいてくる」と暫定滑走路粉砕へ1985年の決戦に並ぶ実力闘争を実現するとその決意を語った。また北朝鮮・中国侵略戦争では成田空港が軍事拠点になるとして、三里塚闘争を有事立法粉砕と一体で闘うことを訴え、有事法案の継続審議か廃案かをかけた国会闘争を提起し、「廃案以外ない。国会を実力デモで包囲しよう」と呼びかけた。
 最後にシュプレヒコールを全員で行った後、敷地内の萩原進事務局次長、市東孝雄さんら反対同盟を先頭にデモに出発した。東峰部落内を周回し、市東さん宅前を通り、団結街道を直進。デモを貫徹した。
 暫定滑走路による生活・営農破壊を許さず、反対同盟とともに生活防衛闘争に立とう。三里塚闘争の新たな発展をかちとろう。
 8・26東峰神社裁判傍聴闘争に結集しよう。10・13全国総決起闘争を成功させよう。

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週刊『前進』(2061号3面2)

「北朝鮮と戦争する」 有事立法あおるファシスト石原

 東京都知事の石原慎太郎がニューズウィーク誌上で、またしても許しがたい暴言を吐いている。
 「軍事力を背景にした彼ら(中国)の拡張主義はアジアの安全、安定、平和のために好ましくない傾向だ」「日本は自分の力で領海水域を守り、北朝鮮や中国の領海侵犯を防がねばならない。それがエスカレートしたときは、アメリカと共同戦線を張ることだ」
 「私が総理だったら、(拉致された日本人を)北朝鮮と戦争してでも取り戻す。アメリカがそれに協力してくれないとしたら、安保条約は意味がなくなる」  (日本版6・19付=写真)
 石原は、いわゆる「拉致」問題と外国船事件を口実に北朝鮮侵略戦争をやれとあおり、ひいては中国侵略戦争だって辞さないという扇動を行っているのだ。それは、特に北朝鮮を名指しにして侵略戦争を仕掛けるというむき出しの戦争宣言を行った点で、かつてない大暴言である。有事立法粉砕決戦の一環として、石原暴言を徹底追及せよ。
 これは何よりも有事立法攻撃そのものだ。第一に、石原は、日帝の軍事外交戦略のかなめに、いわゆる「拉致」事件と外国船事件を据え、それを口実に対北朝鮮戦争、対中国戦争をやる決断をせよと扇動している。それは今次有事立法の真の目的を声高に唱えるものだ。先にも石原は「小泉内閣が(撃沈した外国船を)引き揚げないのなら倒閣運動をやる」などと小泉政権を激しく突き上げた。石原は6・16大集会などの有事立法反対の大衆闘争が発展していることに危機感を募らせ、小泉政権を激励して、何がなんでも有事立法を成立させろとたきつけているのだ。
 第二に、その際、石原は、米帝が近いうちに確実にイラク侵略戦争および北朝鮮侵略戦争に突入するという形勢を見て、むしろ米帝に先んじて、日帝のヘゲモニーで対北朝鮮攻撃をしかけよ、日米安保―新ガイドライン体制において日帝が主軸となれと主張しているのだ。ここに石原(日帝)の対米対抗性がはっきりと突き出されている。この石原発言こそ有事3法案の核心を示しているのだ。
 有事3法案は北朝鮮・中国侵略戦争参戦のための戦争法案だ。日帝は米帝の世界戦争計画にピッタリと密着しつつ、「不審船」事件や「拉致」問題をテコに、北朝鮮・中国侵略戦争を日帝の主体的な「対テロ戦争」と位置づけ、主導的役割をもって積極的に進めようとしている。日帝は、米帝の争闘戦の重圧のもとで政治的にも経済的にも国家存亡の危機にたたき込まれ、帝国主義としての延命をかけて、対イラク、対北朝鮮、さらには対中国の侵略戦争に共同的=競合的に参戦しようとしている。日帝は激しい凶暴性をもって戦後憲法体制を打破し、対米対抗性を有する世界戦争の主体として登場しようとしているのだ。
 また福田康夫官房長官が「憲法だって変えようという時代だから非核三原則だって変わることもあるかもしれない」などと発言し、人民の激しい怒りを買った時も、石原は「核兵器は持てる。がんばれ」と福田を激励した。こうした石原の発言以外にも、「大陸間弾道弾は憲法上問題はない」(安部晋三官房副長官)、「徴兵制は合憲」(自民党の石破茂衆議院議員)、「自衛官は暴走するくらいの方がいい」(自民党国防部会での発言)など、超ど級の好戦的発言がどんどん飛び出している。すでに恐るべき戦争衝動が日帝の体内から噴き出していること、それが有事立法攻撃を突き動かしていることを見すえなくてはならない。
 第三に、この石原暴言は、日帝の真の狙いであり、しかし支配階級が正面切っては言えないことを公言した、文字どおりファシスト的排外主義と戦争挑発の大攻撃である。今日の日帝は、石原的ファシズムあるいは侵略美化教科書の「つくる会」的ファシズムの右バネを必要としており、それを使って帝国主義的生き残りの道を突進しようとしているのである。
 そもそも石原はフランスのルペンやオーストリアのハイダー以上の人種差別主義者・排外主義者であり、極右ファシストだ。2000年4月9日、石原は陸上自衛隊式典で「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」「もし大きな災害が起こったときには大きな騒じょう事件すら想定される」などと暴言を吐いた。2001年5月8日付産経新聞紙上では「(中国人の犯罪は)民族的DNAを表示する」ものだと決めつけた。これら民族差別、他民族虐殺を扇動する暴言をどうして許せるか。その石原を擁護し、持ち上げるマスコミも徹底的に弾劾されなくてはならない。
 小泉の「構造改革」路線の破産と恐慌の激化の中で石原ら極右ファシスト勢力がさらに前面化している。このことに怒りと危機感を燃やして、有事立法粉砕−北朝鮮・中国侵略戦争阻止闘争に立ち上がろう。日本の労働者人民の階級性にかけて、極右ファシストの台頭をうち破ろう。有事3法案成立阻止の7月決戦にさらに猛然と決起しよう。反戦共同行動委員会が呼びかける7・26国会闘争に大結集しよう。
n石原に抗議の声を集中しよう。(〒163-8001 東京都庁知事室/電話 03-5321-1111/ファクス 03-5388-1233)

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週刊『前進』(2061号3面3)

“予防拘禁法を廃案へ” 「病者」ら204人が銀座デモ

 6月23日、東京・新橋の国労会館で「心神喪失等医療観察法案」の廃案に向けて「予防拘禁法を廃案へ! 保安処分新設を許さない6・23集会」(集会実行委員会主催)が204人の結集で開かれ、大成功した。集会後、銀座を通り水谷橋公園までのデモを行った。
 「処遇困難者病棟」新設阻止共闘会議(阻止共闘)の一員で全障連関東ブロックの「病者」が司会を務めた。まず実行委員会から都内「病者」作業所で活動するOさんが経過を報告。昨年6月の大阪池田小事件以後、立法化作業の指示が小泉首相によって直々に行われたこと、5月に入り野党の中では共産党だけが賛成の見解を示したことなどを弾劾し、廃案行動への総決起を訴えた。
 連帯のあいさつでは、阻止共闘の八王子の「病者」が、この間の法務委員会傍聴を踏まえて発言。「森山法相が『社会復帰を目的としたから保安処分と違う』とか、坂口厚労相が『再犯のおそれは判断できる』とか言いふらしているが、すべてペテンであり、私たちの生活・人権・命を奪うもの」と怒りに震えて指弾した。さらに民主党の対案も初犯防止=「処遇困難者病棟」の推進をあおるものであり、賛成するわけにはいかないと強調し、法案阻止を訴えた。
 次にY病院患者会の「病者」が登壇。法案は、地裁に審判制度を創設し刑期を終えた人、不起訴の人などに新たに拘禁を課す制度であり、違憲だと指摘。それは「病者」のみに適用しようという差別であるばかりか罪刑法定主義を破り、えん罪や対象者の拡大をも生む、と批判した。また精神科医のTさんも登壇。精神神経学会が「再犯のおそれは判断不可能」と声明を出して法案に反対していることをアピールした。
 次に評論家の針生一郎さんの講演に移った。針生さんは、保安処分が一貫して医療・医学と無関係であり、人権無視であり、「優れた民族のみが子孫を残し劣ったものは子をつくるな」という優生学と一体であったことを訴え、さらに「大正時代から保安処分法案は国会上程されようとしてきたが、そのつど廃案や見送りになってきた」「今こそ民衆の力で情勢を切り開こう」と、檄(げき)を発した。
 カンパアピールに続き、練馬の患者会グループが登壇。連帯と決意を込めて団結豊かなパフォーマンスをくり広げ、会場を熱気に包んだ。さらに寄せられた連帯のアピールを精神科医Oさんが紹介、愛媛、静岡の患者会、仙台連帯集会のアピールが紹介された。最後に決議文を採択し銀座デモに出発した。
 また解散地では兵庫から参加した「病者」がアピールした。「自分も心神喪失に陥ることがある。法は私のこうした状態をも対象にして拘禁しようというのだが、それは病気の責任を、それを招いた社会の原因を何ひとつ問題にすることなく、すべて個人の責任に押しつけようという暴論である」と怒りを込めて発言し、ともに法案粉砕へ総決起することを訴えた。
 さらに法案廃案へ団結をうち固め、7・18国会デモに立ち上がろう。

 ■7・18国会デモ
 7月18日(木)午後6時
 星陵会館
   (千代田区永田町)
 午後7時国会デモ出発
 主催 6・23実行委員会

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週刊『前進』(2061号3面4)

全金本山が銀行闘争 みずほ株主総会を弾劾

 6月25日、全金本山労働組合は、みずほホールディングス株主総会に対して、本山製作所資本を支えるみずほ銀行を弾劾して立ち上がった。2人の組合員の不当解雇と全組合員のロックアウトとの闘いは、32年目に入っている。富士銀行は、本山資本のメインバンクとして、組合つぶしの攻撃を支えてきた。たとえ「みずほ」に統合され名を変えても、その責任は消すことはできない。現にみずほ銀行は本山資本への融資を続け、その経営を指導し続けているのだ。
 この日、早朝から、全金本山組合員と、労組交流センターを始めとした支援の労働者は、株主総会会場となる東京国際フォーラム前に陣取り、宣伝活動を開始した。全金本山労働組合だけでなく、みずほ銀行が当該資本を支える争議組合が次々と結集し、ともにみずほを弾劾した。労働者を踏みにじりながら、自らは公的資金を注入され統合して生き延びようとする銀行に対する階級的怒りがうず巻いた。
 全金本山は、会場前の宣伝活動で、総会に出席する株主に本山資本とみずほ銀行による首切りと組合つぶしの責任を追及するビラを次々と手渡していった。自ら株主となっている長谷武志委員長ら2人を代表として株主総会に送り出した。
 全金本山は、あらかじめ「通知書」を用意し、みずほに追及事項を突きつけた。富士銀行仙台支店は、銀行側の独自の判断として、いったんは「争議解決まで新規融資はしない」との措置を取った(72年)が、今日時点でその措置を取ることを強く求めた。社員株主を総会の最前列に配置し、質問を封じて強引に議事進行しようとするみずほホールディングスに対して、会場の内外で呼応して闘いぬいた。
 全金本山は、会社門前闘争を始め、地労委闘争、裁判闘争、そして銀行闘争やユーザー闘争など、あらゆる闘いを駆使して不屈に闘いぬいている。そして今、夏季物資販売とカンパ闘争の真っ最中だ。これをさらに大きく広げ、「一人の首切りも許さない」闘いを全力で支え守りぬこう。

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週刊『前進』(2061号3面5)

アフガン派兵許さぬ 呉・佐世保で阻止に立つ

 自衛官は侵略の銃をとるな 呉基地

 広島反戦共同行動委は7月1日、海上自衛隊呉基地からインド洋に出撃する護衛艦いなづまの出兵阻止行動に立った。(写真上)
 アフガニスタン侵略戦争への参戦を11月まで延長したことに伴う派兵で、イラク侵略戦争への参戦も狙っている。現地指揮官も第4護衛隊群(呉)司令の加藤耕司海将補に代わる。日帝の朝鮮・中国侵略戦争策動の強まりの中で呉の侵略出撃拠点としての強化が図られているのだ。
 広島反戦共同行動委員会は、呉基地前、アレイカラス小島公園に早朝より結集。沖合に停泊中のいなづまに怒りのシュプレヒコール。「自衛官は侵略の銃を取るな」「アフガン人民を殺すな」。いなづまは弾劾の声の中で出撃した。呉からはさらに補給艦とわだが再出撃しようとしている。
 広島反戦共同行動委員会は、有事立法阻止、8・6反戦・反核闘争の爆発とともに、侵略出撃阻止行動を闘いぬく。

 地区労とともに出港に抗議 佐世保基地

 7月1日、海上自衛隊佐世保基地から護衛艦あさかぜが、アフガニスタン侵略戦争参戦のためにインド洋へ出撃した。佐世保基地からのアフガン派兵は7隻目(全体で13隻)だ。すでに2人の死者も出ている。
 反戦共同行動委は、「護衛艦あさかぜ出港阻止、有事立法絶対反対」を掲げて闘争に決起した。朝9時半から前畑ふ頭での佐世保地区労主催の抗議集会に参加し(写真下)、午前11時から午後3時まで市内の四ケ町アーケードで有事立法阻止の街頭宣伝行動を行った。
 今回の派兵は、今なお激しく続くアフガニスタン侵略戦争とパキスタンへの軍事作戦の拡大に日帝自身が手を染め、切迫するイラク侵略戦争に日帝が参戦するための攻撃だ。それは北朝鮮・中国侵略戦争へと発展していく。
 有事立法攻撃を打ち砕く闘いは、この派兵攻撃一つひとつをあいまいにせず、何度でも決起し、労働者学生に具体的事実を暴露し、怒りをかきたて、行動に組織することで切り開くことができる。7月国会決戦へ総決起しよう。

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週刊『前進』(2061号3面6)

税制大改悪を阻め〈上〉
 恐慌対策で放漫財政継続ツケは大増税で労働者に
 小泉「構造改革」のペテン露呈

 6月21日、経済財政諮問会議は「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」を決定した。その中心テーマは税制の抜本改悪だ。小泉政権はこれを「構造改革」の基本路線を示す「骨太方針第2弾」と位置づけ、有事立法攻撃と一体をなす資本攻勢の一層の激化と社会保障制度の解体に突き進もうとしている。だが、それは小泉改革の大破産をも突き出している。本シリーズでは、税制問題に焦点を当てながら小泉「構造改革」を批判する。

 「骨太方針第2弾」で株価急落

 経済財政諮問会議は、日帝が税制の理念としてきた「公平、中立、簡素」の3原則を「公平、活力、簡素」に改め、「日本経済の活力の回復を最重視」するとした税制改悪の基本視点を攻撃的に打ち出した。労働者人民への大増税を強行する一方、資本には大減税をするという宣言だ。
 だが、「基本方針」が打ち出された21日、日経平均株価は急落した。資本にとって、「基本方針」に示された資本減税はきわめて不十分なものだったのだ。この間、小泉政権が何らかの経済政策を打ち出すたびに株価下落の引き金を引くという事態が繰り返されている。小泉「改革」は労働者にすさまじい生活破壊をもたらすが、日帝の危機はそれによって突破できるものではないのである。
 経済財政諮問会議は、「国際競争力の強化」を旗印に、法人税の税率の大幅引き下げを柱とする「大胆な税制改革の断行」を「構造改革」の重要な柱に位置づけていた。そのモデルとなったのがレーガン税制だ。80年代、米帝レーガンは、それまで14段階あった所得税の累進税率を2段階に削減するとともに最高税率を半減し、法人税の税率も大幅に引き下げた。資本への大減税である。竹中経済財政担当相らは、アメリカ経済のバブル的浮揚をにらみながら、゛アメリカの強さの基礎にあるのはレーガン税制だ″と強弁して、日帝資本に大減税への期待を目一杯あおっていた。
 だが、そのアメリカ経済はついに大崩壊しつつある。しかも、竹中らの思惑は財政再建を最優先する財務省によって拒まれた。「基本方針」は、大増税による財政再建をあくまでも強調するものとなり、経済財政諮問会議の中では異論が強い法人事業税への外形標準課税の導入についても「検討する」との方針が押し込まれた。さらに6月14日の政府税制調査会答申は、竹中らを牽制(けんせい)する形で、法人税について「これ以上の税率引き下げを行うことは適当ではない」と言いきった。
 こうした事態が示しているのは、レーガン税制のような一か八(ばち)かの「経済活性化策」にかけてみる決断など、日帝にはできなかったということだ。

 赤字たれ流しは小渕と同じ

 ここで、日帝の財政状況を見ておこう。
 02年度予算の新規国債発行額は30兆円、今年度末の国の長期債務残高は528兆円に達する見通しだ。地方自治体も含めれば、それは693兆円に膨らむ。
 国債発行額は、小渕政権下の98年に急増した。この年の当初予算で15兆5000億円とされていた国債発行額が、3度にわたる補正予算で34兆円に倍増したのだ。97年のアジア通貨危機、同年末からの金融恐慌突入にあわてふためいた日帝は、なりふり構わず恐慌対策、赤字放漫財政に突っ込んだのである。以来、毎年30兆円を超える新規国債が発行され続けている。
 小泉は、「国債発行額30兆円以下」の枠組みを堅持することが財政規律のかなめであるかのように振る舞ってきた。だが、30兆円にも達する国債発行自体、放漫財政以外の何ものでもない。さらに小泉は、03年度予算編成に向けて30兆円の枠そのものを投げ捨てようとしているのだ。
 他方で税収は大きく落ち込んだままである。99年、小渕政権は総額9・4兆円もの大幅減税を実施した。所得税の最高税率を50%から37%に引き下げ、法人税の税率も34・5%から30%に引き下げるという露骨な大資本優遇策であった。
 「痛みを伴う構造改革」を呼号しながらも、小泉はこうした財政構造・税収構造に手を着けようとはしなかった。ここに小泉のペテンがある。大資本にとって「痛みを伴う」政策を実施した途端、日帝経済は奈落の底に突き落とされる。かといって、小渕政権を上回る資本減税を強行すれば、財政悪化と国債暴落を引き起こしかねない。それは日帝にとって破滅の道だ。事実、今年2月には、膨大な不良債権を抱えた上に株安に見まわれた銀行が、大量の国債を売却して、国債暴落の寸前にまで行った。
 経済財政諮問会議も、こうした危機を自覚しているから゛資本減税の財源は歳出削減に求めるべき″などと言う。だが、そんな歳出削減が可能であれば、30兆円もの国債発行が毎年続く異常な事態はとうに改められていたはずだ。小泉は02年度予算で公共事業費を1割削減したと吹聴するが、それは「都市再生」や「IT推進」の名目で、別の費目に付け替えられただけである。国家財政に大資本が寄食する構造は、何も変わってはいない。むしろ、医療費削減などと引き換えに、それはさらに拡大されている。「特殊法人改革」においても、資本の利益に奉仕する法人は、そこに働く労働者への犠牲転嫁を強めつつ、基本的に存続されることになっている。

 政官財の利権構造も温存

 こうした財政運営を続けながら、恐慌過程は深化する一方だ。その中で日帝は、労働者人民への大増税に本格的に突き進むことで延命を図ろうとしている。資本減税をめぐる財政諮問会議と財務省の対立は、日帝をそうした方向にさらに駆り立てるものになっている。アメリカに端を発した世界的な株暴落は、それに拍車を掛けている。
 もともと小泉「改革」なるものは、国家機構や財政構造の大再編に着手するかのように装いながら政官財の利権構造は温存し、労働者の無権利化・賃下げ・不安定雇用化を徹底的に推し進めれば゛経済は活性化するはずだ″とする、きわめて安易で無責任かつ攻撃的なものだったのである。
 財務省も経済財政諮問会議も、労働者人民への大増税を貫徹しようとしていることにおいて変わりはない。それは、有事立法攻撃とあいまって、労働者の生活を根底から破壊するものになる。
 (つづく)
 〔岩谷芳之〕

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週刊『前進』(2061号4面1)

革命党の建設こそ勝利のカギ
有事立法粉砕決戦の只中で労組活動家に『前進』拡大を
 前進経営局

 6・16闘争は有事立法粉砕闘争の巨大な勝利的展望を切り開き、階級闘争総体の地殻変動を生み出した。有事立法闘争の勝利のためにも、また決起した労働者人民に責任を持ち、階級闘争全体に責任をとるためにも、社・共に代わる党を建設しなければならない。これが6・16闘争が党に突きつけている課題だ。機関紙拡大、党勢拡大闘争に決起しよう。6・16闘争に決起し感動した労働者学生の多くが『前進』読者になっている。職場学園に『前進』を持ち込み、拡大している。この闘いを全党が猛然と推し進めよう。

 6・16闘争の大高揚と革命党建設の死活性

 「陸海空港湾労組20団体」など3団体が呼びかけ、6万人が大結集した6・16有事立法粉砕闘争は、勝利への展望を大きく切り開いた。日本労働者階級の闘う力は打ち破られていないことを示した。
 集会に決起したすべての人びと、闘いを知ったすべての人びとが感動し、確信を深めた。6万人の集会とデモ、そこには解放感と高揚感、闘うもの同士の連帯感が満ちあふれていた。
 政治を決定するのは一部の支配者でも、国会の議席数でもなく、労働者人民の闘いであるという真理を実践によって示した。
 米・日帝国主義の北朝鮮・中国侵略戦争攻撃と対決して全国10万人の決起が実現されたことは巨大な意義を持っている。現実に日本帝国主義の基軸的国家政策を阻むことのできる力が台頭したのである。このことを決起した労働者人民が実感したことは決定的だ。

 (1)階級情勢全体に責任を持つ党の建設

 6・16を頂点とする有事立法粉砕の大衆運動を真に発展させる核心は、あらゆる反動との闘争に打ち勝ってこの闘争の発展をかちとる強固な革命党の建設である。とりわけあらゆる労働組合の中に党の影響力を強め、拡大することである。
 そのためには、6・16闘争に決起したすべての人びと、特に労働組合の指導者と活動家のすべてに『前進』を持ちこみ、販売し、定期購読をかちとることが絶対に必要である。「鉄は熱いうちに打て!」だ。

 (2)「壁」は打ち破られた

 これまで戦闘的大衆と『前進』を隔ててきた大きな「壁」は、ひとつは権力の弾圧であり、もうひとつはカクマルの白色テロルであった。
 6・16闘争において、日帝が戦後憲法を真っ向から踏み破り、侵略戦争に突入する法案を強行しようとしていることに怒りを燃やした労働者人民は、こうした制約を突破してこの日の闘いに決起したのだ。
 わが革共同は、70年以来の対カクマル、対権力の死闘に勝利し、5月テーゼを闘いとり、カクマルに中央派とJR総連カクマルへの分裂を強制し、第6回大会を闘いとってきた。カクマルのファシスト襲撃と生死をかけて戦ってはねかえし、国労・総評解体による連合化の攻撃と対決し、国鉄決戦を軸に戦闘的労働運動の防衛と再生のために粘り強く闘ってきた。
 この勝利の地平が階級闘争の前進を押し開く中で、20労組陣形という画期的な統一戦線が形成され、米・日帝国主義の北朝鮮・中国侵略戦争を前にして、ついに全国10万人規模の反戦政治闘争が実現されるまでに至ったのだ。
 6・16闘争は、70年以来の地をはうような苦闘がついに生み出した日本階級闘争の到達点なのである。6・16闘争の全参加者はこの現実を目にし、感動した。今こそ、戦闘的労働者と『前進』が結合し、大進撃する時である。
 カクマルとの闘いと、国鉄決戦について毎週報道している『前進』は、戦闘的・良心的な労働組合の指導部と活動家に心から求められている。今こそ『前進』を、すべての労働組合に、連合下で苦闘しているすべての労働組合に持ちこむ時だ。

 (3)社民党・日本共産党に代わる革命党を

 6・16闘争が突きつけているものは、闘争全体に責任を持つ党の建設である。それは革共同が飛躍する以外にありえない。
 6・16闘争に実体的には最大党派として登場した日本共産党は、闘争全体を代表することもけん引することもできなかった。
 日本共産党は、安保も自衛隊も資本主義も認め、2000年の第22回大会で「有事の自衛隊活用」を宣言した。彼らは「日本を守るため」の戦争には賛成であり、自衛隊の武力行使に賛成なのだ。日帝が侵略戦争参戦へ大きく踏み出そうとしている時に、「日本を守るため」と称してそれに賛成する立場を公然と表明したのだ。
 このような立場では有事立法反対闘争を進めることができないことは言うまでもない。強固な戦争反対派が存在し、粘り強く闘うならば日本共産党を一挙に粉砕し、労働者の多数派を獲得できるのである。
 米帝経済のバブルが崩壊し、帝国主義世界経済は大恐慌の爆発へ急速に転落している。帝国主義はその一切の矛盾を戦争によって突破しようとしているのだ。有事立法粉砕、北朝鮮・中国侵略戦争阻止の闘いは、この帝国主義との倒すか倒されるかの決戦が開始されたということなのだ。この中で、労働者人民が勝利するためには、帝国主義打倒の思想・立場・戦略を持った革命党の存在が不可欠である。
 社民党・日本共産党に代わる革命党を建設しなければならない。これが革共同第6回大会の実践的結論である。6・16闘争は、その闘いの現実性と可能性を全人民の前に指し示したのだ。
 労働運動にとって、機関紙をもった党を維持するのは大切なことである。革命党とその機関紙なしに、どのような労働運動も勝利することはできない。
 機関紙活動を軸として、@職場細胞建設、A職場闘争、B職場拠点建設の闘いを推進しよう。
 機関紙活動によってこそ闘争と党建設を一体的に進めることができる。

 機関紙を軸にした党活動の原則的確立を

 そのためには、機関紙を軸にした党活動を再確立しなければならない。
 全党・全労働者細胞が機関紙を熟読し、拡大し、配布し、代金を回収し、機関紙を軸に毎週の地区委員会・細胞会議を闘いとらなければならない。
 『前進』2050号の機関紙活動アピールは、革命的情勢の接近にこたえて蜂起に勝利する党を建設するために、機関紙活動を基軸としたレーニン主義革命党の建設を提起した。
 各組織で真剣な討論が行われ、実践が開始された。労働者細胞建設・労組の指導権奪取に向けて主要拠点への拡大闘争が進められ、学生戦線でも有事立法闘争の中での拡大闘争が進み、財政闘争の取り組みが強められた。
 これらの活動を引続き強めつつ、6・16によって圧倒的に切り開かれた情勢の中で、機関紙活動を飛躍的に強化しなければならない。
 第一に、指導部先頭に『前進』の全紙面を読むことが最も大切なことである。
 党活動においてこれより優先される課題はない。『前進』には党活動の全課題が提起されている。それによって自己の任務を把握することができるし、位置付けることができる。「読む」ことが日常活動の中で、後回しになっているとすれば、そういう党活動のあり方そのものが変革されなければならない。
 『前進』には、常に最良のものが提起されている。『前進』を読めば読むほどそのことは実感される。トップ論文、主要論文だけでなく、闘争報告や小論文、日誌や投稿のすべてに至るまで重要でないものは一つもない。『前進』の全紙面を読むことで、階級闘争への関わり方は一変すると言っていい。
 第二に、『前進』で毎週の細胞会議を行い、読み合せと討論をしなければならない。主要論文の読み合せと討論は絶対に不可欠だ。
 第三に、機関紙の配布と集金について、拡大闘争について会議で議題にして討論し、実践しなければならない。
 第四に、『前進』に投稿と意見を集中し、自らの機関紙としていかなければならない。
 闘争の激しさ、課題の多さの中で「『前進』を読む時間がない」という声が聞かれるが、時間がないからこそ『前進』を基軸にし、『前進』を読み、『前進』で組織することが必須なのだ。
 情勢は切り開かれた。これに対応して党活動が変革されれば、機関紙拡大、党勢拡大は一気に進む。頑張ろう!

 『前進』で労働者の多数派を獲得しよう

 革共同6回大会第2報告の第2章でレーニン主義の再把握を行い、党組織論に力を入れて論述している。この中でレーニンがマルクス主義の深化・発展に向かって初めて提起した党組織論についての位置付けを明確にした。
 それは、「革命と反革命の起伏にとんだ革命運動の全過程を最終的な勝利に至るまで対象化して党建設の問題はだされるべきだ」(第2報告)ということである。
 その立場に立てば、全国的政治新聞『前進』を軸として、労働者階級にとって最高・最適の党指導部と指導系列を、生産点と地域に根をはった労働者細胞・住民細胞の建設に立脚してつくりあげなければならないということである。
 日本帝国主義の有事立法攻撃を前にして、連合が有事立法賛成見解を明らかにして産業報国会への道を歩もうとしている時に、第1次大戦を前にしたレーニンの機関紙活動から学ぶことが大切である。

 〈機関紙による工場丸ごとの獲得〉

 レーニンが第1次世界大戦を前にメンシェビキを打ち破ってロシアの自覚的労働者の5分の4の統一をつくりだしたのは、ボルシェビキ機関紙『プラウダ』の拡大闘争によってである。レーニンは解党派メンシェビキ機関紙『ルーチ』を打ち破って工場丸ごと『プラウダ』に獲得する闘いを進めた。
 「『プラウダ』拡大のカンパニアを、十倍にも強めなければならない。もっと多くの予約者をつくり、一つ一つの工場を『ルーチ』から奪いとり、『プラウダ』予約者をめぐる工場間の競争をおこすことを要求して、直接に各工場で『プラウダ』のための闘争をおこなわなければならない」(レーニン全集35巻「『プラウダ』編集局へ」)
 とくに解党派メンシェビキの影響下にある労働者に対して、『プラウダ』を持ち込み、工場丸ごと獲得したのである。
 労働運動へのマルクス主義の持ち込みは絶対に必要である。レーニンは『何をなすべきか?』の中で、階級闘争の三つの形態の一つとして、政治闘争、経済闘争と並べてイデオロギー闘争の意義を確認している。それは革命党の機関紙『前進』による以外にはない。それは労働者の自己解放にとって絶対に必要なことであり、可能である。労働者はマルクス主義をつかみとることができる。

 〈非合法・非公然の党を〉

 有事立法攻撃下において、警察庁による『前進』弾圧が起きたのは機関紙のもつ重要性を逆に鮮明にしたのである。
 パレスチナの手作りのラジオ放送局が建物ごとイスラエルによって爆破されたことに見られるように、戦時下においては戦争に反対すること、否、事実を報道すること自体が自国政府によって「過激派」「非国民」として弾圧されるのである。この弾圧に対して非合法・非公然体制を堅持して闘う党の存在なしに、反戦を主張し反戦闘争を闘うことも、帝国主義打倒の闘いを進めることもできない。
 『前進』を軸にした活動こそ非合法・非公然の革命党を創り出す唯一の方法である。『前進』を圧倒的に広め、非合法・非公然の革命党を建設しよう。ここにこそ勝利の道がある。
 7〜8月闘争過程において、独自の闘いとして『前進』拡大闘争を猛然と推し進めよう。
 夏季特別号の大販売・学習活動を行おう。

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週刊『前進』(2061号4面2)

8月広島・長崎反戦反核闘争へ
ヒロシマ・ナガサキの原点かけ北朝鮮・中国侵略戦争法阻め
 全国被爆者青年同盟アピール

 全国被爆者青年同盟から、被爆57周年8・6広島―8・9長崎反戦・反核闘争への総決起を訴えるアピールが発せられたので、紹介します。被青同のアピールにこたえ、全国から8・6ヒロシマ―8・9ナガサキに総決起しよう。(編集局)
 昨年の「9・11」―「10・7」をもって、世界情勢は「戦争か革命か」の動・反動のさかまく大激動の時代へと再び突入した。この時代を前に、われわれはあらためて問う。労働者人民にとって、ヒロシマ・ナガサキの原点―「過ちをくり返さない!」の誓い―とは何だったのかと。それは「帝国主義戦争を二度とくり返すな!」「国が再び戦争を起こそうとするその時は、今度こそ体を張ってでも阻止しよう!」「『あの時戦争に反対していれば』などという後悔は絶対くり返すまい!」という固い決意の誓いだったはずだ。それを命がけで実行に移すべき時がついにやってきた!
 「帝国主義の本質は侵略であることが白日の下にさらけ出されました。…帝国主義の頭目は米帝であり、あの米国へのテロ事件は早晩起きるべき要素のものであったことは、ブッシュ自身がとっくに気が付いたはずです。そのことを口実にブッシュは戦争を決断し、中東での殺人劇に突っ走りました。…日帝の小泉は、いの一番に対米協力を宣言して自衛隊を走らせました。不戦を誓った平和憲法は一夜にして反故(ほご)にされました。日本丸は何処(どこ)へ、何をしに行こうとしているのですか。…しかし、歴史の歯車は労働者、人民が力強く回すのです。嵐(あらし)の時代であっても人民は屈しません。〃万国の労働者は団結しよう”のスローガンの下で、固いスクラムで勇往邁進(まいしん)しましょう! 集会参加の皆さんに革命的な栄光あれ!」
 昨年10・21国際反戦デーに、末期ガンとの闘病中の身をおして、病院を抜け出し、原爆ドーム前にこのメッセージを携えて参加された在日朝鮮人被爆者・故朱碩(チュソク)さんの一言一句をかみしめ、わが全国被爆者青年同盟は、被爆57周年8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争に立つことを決意する。
 「有事立法・改憲攻撃粉砕=北朝鮮・中国侵略戦争阻止!」を掲げ、最大最高の8・6―8・9反戦反核闘争の爆発をかちとろう!

 ブッシュの核戦争戦略粉砕

 米帝ブッシュは昨年アフガニスタン・パレスチナ、中東侵略戦争へ突進し、「悪の枢軸」と叫んで北朝鮮・イラク・イランへと戦争の泥沼的拡大を策動する一方で、中国など7カ国を対象に核戦争計画の策定を決定した。これに基づき、地下核実験再開決定、臨界前核実験強行、CTBT(包括的核実験禁止条約)批准拒否、MD(ミサイル防衛)構想加速、水爆の引き金にあたるプルトニウム・ピット製造再開、と次々と核の実戦体制に突入しつつある。
 われわれは、アフガン・パレスチナ人民の大虐殺を絶対許さない。ましてや、イラクや北朝鮮・中国での原爆地獄の再現など絶対に許さない。国際反戦闘争の大爆発で、米帝ブッシュの世界戦争=核戦争戦略を粉砕しよう!

 有事法=改憲・核武装阻止を

 「備えあれば憂いなし」の本意とは、世界大恐慌過程が一段と深まり、日米争闘戦が激化の一途をたどる中で、米帝の圧倒的核軍事力を突きつけられた日帝の絶望的飛躍の決意であり、日本を米帝に対抗=競合しうる戦争国家に大改造するとの宣言であり、核武装・改憲が大前提の北朝鮮・中国侵略戦争突入宣言である。すでに、日本はアフガン参戦を通して日米連合軍を結成しているのだ(つい先日も、アフガン参戦の海自艦隊が米軍指揮下に編入されていることが発覚)。しかも、一方で「不審船」撃沈・引き揚げを強行し、アジア侵略戦争へ再び突撃を開始している。日帝こそ「おそれや予測の事態」を次々と生み出している元凶そのものではないか!
 強盗戦争を遂行しておいて、民族解放闘争の反撃を「おそれや予測の事態」と言いくるめ、一挙に国を挙げた侵略戦争に打って出ようなどとは、あまりにも虫がいい。盗っ人猛々しいとはこのことだ!
 しかも、有事立法とは憲法を停止し、首相が独裁権を握るというものだ。特攻隊精神に感動すると言い、「玉砕」を英霊として賛美し、「お国のため」を強制する小泉が、独裁者になったら、この社会はどうなるのだ。アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ―オキナワへ再び一直線ではないか! そんなことは絶対に許せない! 血債と、国際主義的連帯にかけて有事3法案を絶対廃案に追い込もう!

 小泉政権の核武装発言弾劾

 福田官房長官や安倍官房副長官らの「非核三原則」見直し=核武装発言は、この小泉の「備えあれば憂いなし」を受けてのものであり、小泉も福田・安倍も一つ穴のムジナだ。彼らが強行しようとする有事立法攻撃は、まさに改憲・核武装攻撃そのものなのだ。
 戦後憲法は確かに戦後革命の敗北の「代償」ではあるが、しかし、労働者階級人民の闘いの結果として、日帝に「二度と戦争しない」と約束させた、いわば不変の誓約書ではないか。憲法前文や憲法9条には、帝国主義侵略戦争に加担した日本人民の痛苦な反省、平和への希求、そして「核兵器は絶対使わせてはならない」という被爆者の悲痛な思いがこめられている。福田は「(最近の世論は)憲法改正を言う時代だから、非核三原則だって、国際緊張が高まれば国民が(核兵器を)持つべきではないかとなるかもしれない」と暴言をはき、安倍は「大陸間弾道弾は憲法上は問題ない」と放言した。小泉は「どうってことない」と居直った! 「日本も戦争するんだから核武装は当たり前だ」というのだ。
 ついに日帝は、あの戦後革命期以来の「誓約」を公々然と反故にする暴挙に打って出たのだ。この小泉の祈念式典出席などどうして許せようか。8・6―8・9闘争で有事立法廃案・小泉政権を打倒しよう!

 原水禁のりこえる大闘争を

 すでに、全世界で、帝国主義侵略戦争に対する被抑圧民族人民の人間の尊厳にかけた民族解放闘争と、またこれに連帯する帝国主義国人民の反戦闘争がまき起こっている。そして日本においても、有事立法粉砕闘争が、国際主義的連帯にかけて、ついに巨万の隊列をもって開始された。この沸き起こる有事立法粉砕闘争と完全に一体となり、史上空前の「8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争」の爆発をかちとろう!
 すでに社・共既成原水禁運動をのりこえる新たな統一戦線の本流として、ヒロシマ大行動の巨大な胎動が始まっている。勝利の展望は帝国主義戦争に対し、「連帯し、侵略を内乱へ」を命がけで実践することだ。
 わが全国被爆者青年同盟は、反戦被爆者の会とともに、「くり返すな! アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ―オキナワを」の旗のもと、「有事立法攻撃=改憲・核武装阻止!」「被爆者解放・日帝打倒!」を掲げてその最先頭で決起する。ともに闘わん!
 2002年7月1日

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週刊『前進』(2061号4面3)

広島反戦共同委 引き揚げやめよ 「外国船」で申し入れ

 6月27日、広島反戦共同行動委員会は、撃沈された「外国籍船」引き揚げの中止を求めて、海上保安庁長官と第6管区本部への抗議行動に決起した。(写真)
 日帝・小泉政権と海上保安庁は、昨年12月22日に不審船と見なした「外国籍船」を中国の経済水域まで追跡侵入し、撃沈して全乗組員を虐殺した。今回の引き揚げ攻撃の目的は、「北朝鮮籍船」であるとか、中国の関与があるとか、旧ソ連製の改良型地対空携帯ミサイルや対空機関砲を積載などと「調査結果」をおどろおどろしく発表し、日帝が「北朝鮮による侵略=武力攻撃事態」情勢をあおろうとするものである。 
 第6管区本部5階で行った即刻中止の申し入れに対して、総務課の佐藤裕幸は、「『侵略』されたからやった」「(経済水域侵入について)中国の了解はとっていない」「(砲撃・撃沈・虐殺は)憲法違反とは思わない」「(今後も繰り返すのか)そうだ」などと居直ったが、「あらかじめすべての情報を知っていて、沿岸警備の巡視船が中国領海まで追跡侵入し、砲撃・撃沈・虐殺したのは、計画的であり、戦争挑発・侵略戦争行為で憲法違反だ。責任を取るのか」という追及にグラグラに動揺した。
 引き揚げ攻撃は、米日両軍の包囲の中で、巡視船「いず」と2隻のサルベージ船によって強行される。
 日帝は北朝鮮・中国侵略戦争の超切迫に対し、有事立法即参戦を狙っている。「外国籍船」引き揚げの排外主義の大キャンペーンで一挙に戦争翼賛情勢をつくろうとしているのだ。有事3法案を廃案に追い込み、今一つの海軍=海上保安庁の侵略戦争参戦を阻止しよう!

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週刊『前進』(2061号4面4)

日誌 '02  6月25日〜7月2日
 米軍機が「誤爆」、120人死傷

 有事法案今国会で衆院通過と山崎

●カナナスキスでサミット 主要国首脳会議(サミット)がカナダのカナナスキスで始まった。「アフリカ行動計画」を採択し、「持続的、包括的なテロ対策に取り組む」という「議長総括」を発表した。(26日)
●「武力行使排除せず」 ブッシュ大統領は、サミット出席のために訪問中のカナナスキスで、パレスチナ自治政府のアラファト議長らの退陣を求めた「新中東和平構想」に関連して、「軍事力を排除しない。すべての選択肢がある」と述べ、武力攻撃に踏み切る可能性を示した。(26日)
●またも空自が緊急着陸 航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)所属の電子測定機YS11が機器トラブルのため那覇空港に緊急着陸した。滑走路が5分間閉鎖され、民間機4機に最大で15分の遅れが出た。6月に入り自衛隊機が原因の滑走路閉鎖は3件目。(26日)
●統幕が3自衛隊統合運用 防衛庁は、陸海空3自衛隊を、平時から統合して運用する権限を持つ組織を、統合幕僚会議の中に設置する方針を固めた。7月上旬に中間報告を発表し、防衛庁設置法の改悪や、人事・予算上の措置の中身を詰め、年末までに最終案をまとめる。「統合運用組織」という名称になる見通し。現在は各幕僚監部の調整役として、統合幕僚会議が置かれているが、実際に各自衛隊を指揮する権限はない。統合運用組織ができれば、統幕議長が3自衛隊の部隊運用の権限を持つことになる。(27日)
●在韓米軍装甲車が女子中学生2人はね即死
 韓国の一般道で13日、在韓米軍の装甲車に女子中学生2人がひかれて即死する事件が起き、遺族や支援する市民団体の代表らが、運転していた在韓米軍の兵士ら6人を業務上過失致死などの容疑でソウル地検議政府支部に告訴した。(27日)
●住宅地に空砲171発 沖縄県宜野座村の民家の敷地内で6月1日、ライフル銃用とみられる空砲171発が発見され、石川署に届けられた。キャンプ・ハンセン演習場に隣接、米軍車両が頻繁に通行。(27日)
●米公文書に「密約」明記 72年の沖縄返還協定をめぐる交渉で、米国が負担すべき土地の復元補償費400万jを日本が肩代わりすることになった問題を「日米間の密約」と明記した米政府の公文書を毎日新聞が入手、報道した。(28日)
●嘉手納の航空団が大幅な組織再編 米空軍嘉手納基地の第18航空団が、遠征能力と機動力強化を図る大幅な組織再編計画を進めていることが分かった。嘉手納基地の一層の機能強化が懸念されている。(28日)
●南北朝鮮が銃撃戦 黄海の南北朝鮮の境界に近い大延坪(ヨンピョン)島付近で、韓国海軍の警備艇と北朝鮮の警備艇との間で銃撃戦があり双方に多数の死傷者。(29日)
●民間防衛組織「自治会が核」と総務相 片山虎之助総務相が、国民保護法制に関連し「有事の際の民間防衛組織は自治会、町内会が核になる」と述べた。(29日)
●リムパックで海自が対空訓練 日米など8カ国が参加し、ハワイ周辺海域で行われている海軍演習「環太平洋合同演習(リムパック)02」で、海上自衛隊の対空訓練が行われた。演習シナリオにはテロに対する報復攻撃というものもある。海自の参加は今回で12回目。護衛艦4隻、潜水艦1隻、P3C哨戒機8機と隊員約1100人が参加。(30日)
●有事法案「今国会で衆院通過させたい」
自民党の山崎拓幹事長が、有事3法案について「いつでも採決できる審議時間は確保した」と述べ、今国会で衆院は通過させたいとの考えを示した。(30日)
●アフガンで米誤爆、120人死傷 アフガニスタン南部で米軍機の爆撃で住民少なくとも120人が死傷した。(1日)

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週刊『前進』(2061号5面1)

 

許さんどー 戦世(いくさゆー) 沖縄からの声 命が一番大事と知った 戦場がどれほど悲惨か沖縄戦の真実伝えたい

 ひめゆり証言者 宮良 ルリさん

ひめゆり学徒隊として陸軍病院に配属されたのはいつですか?

◆1945年3月23日でした。そして6月19日にガス弾を投げ込まれたんです。

宮良さんは、「ひめゆりの塔」の壕(ごう)の生存者のお一人ですね。6月18日に解散命令があり、翌19日未明に壕を脱出しようとしていた矢先、米軍に包囲され、壕の中にガス弾を撃ち込まれた。

 「生きていたか!」

◆ひめゆりの壕は第三外科壕でした。あの時、壕の中には96人がおりました。そのうち11人が助かった。学徒隊が5人、看護婦が5人、そして住民が1人です。私はその時なぜ自分が生き残っていたのか、分からないんです。
 死体の下敷きになっていて、首をもたげたのを、先に生き返っていた引率の玉代勢(たまよせ)先生が「生きていたか!」と引き寄せてくれた。「水、水」という私に岩しずくを脱脂綿で吸い取って、私の唇に含ませてくれました。そのまま3、4日ほど壕の中で過ごしました。見ると地面が真っ白。真っ白い花が咲いたと思ったら、それは全部ウジでした。
 死臭で臭くて耐えられませんでした。壕を脱出することになり、足をケガした看護婦の安谷屋(あだにや)さんと二人で組んで、板はしごを登りました。それまで1週間は何も食べていません。どういう力があって登れたのかと思います。壕周辺の様子はすっかり変わっていました。美しい琉球松林だったのに焼き尽くされていた。匍匐(ほふく)前進でしたが、腐った死体にさわってしまうと手がぶくっと沈むんです。
 まったく時間の感覚はなく、方向も見失ってしまい、とうとう米軍に見つかってしまった。いよいよ最後だと、安谷屋さんが持っていた手りゅう弾の信管を抜いて、二人の間の地面にたたきつけました。でも不発でした。死ねなかったことがとても恥ずかしかった。アメリカーが少しでもへんなことをしたら舌をかんで死んでやろうと思った。
 米軍は泥まみれでよれよれの着物をつけた人びとを両手でトラックに抱き上げていた。それを見て私は、これはアメリカの宣撫(せんぶ)工作だと思ったんです。こんなのにだまされてたまるかと。豊見城(とみぐすく)の仮収容所に着くと、誰が助かったのか、皆がトラックに寄ってくるんです。その中に女子師範の人が3人いました。それで捕虜は私一人だけでなかったとほっとしました。
 収容所で最低限の衣食住を与えられ、それからです、「出て来い、出て来い」と米軍に言われた時に出ていけば、みんな死なずにすんだと分かったのは。
 私たちは命を捨てることは教わったけれど、命の尊さ、大切さは知らなかった。沖縄は戦争で命を失った代わりに、たった一つ命が一番大事だということを知ることができたんです。

3月から6月までの間、同級生が目の前で亡くなられた。でも最後まで日本の国のために戦おうと?

◆私はあまりにまじめすぎたのね、あの教育に対してですよ。なんの批判も持たないで、そのまま教えられたままについていってしまった。批判したらすぐ憲兵がひっぱって行きますからね。生徒たちも教えられ、信じ込んでいたんです。

同じ石垣出身で師範学校の宮良英加(えいか)さんは、現地入隊になった時、壮行会で「戦争のない時代に生まれたかった」と。

◆あの時は私は、なんてことを宮良さん言っているんだと、国のために死ぬのは当然のことじゃないかと、師範学校の優秀な男子生徒がね、こんなことを言うのかと、逆に憤慨したんです。

でも亡くなられた。

◆そうです。負傷して陸軍病院に運ばれて来た。右手を切断することになった。右手切断ぐらいは治るんですが、ガス壊疽(えそ)菌に冒されて、最後は石垣の方言で「あっぱー(お母さん)、あっぱー」と言って亡くなったと聞きました。

 「スグ帰校セヨ」

師範学校は官費なんですか。それを理由に疎開が阻止されたんですか?

◆44年の7月に「戦争になりそうだから、もう学校に戻らなくてもよい」と言われて帰省しました。家では「台湾にでも疎開しようか」などと話していたんですが、9月になると学校から「スグ帰校セヨ」との電報が何度も届いたのです。
 師範学校は官費でした。私たちは国からお金をもらって学校に通っていたのです。1カ月25円、私たちの時から急に支給額がふえた。もし学校に帰らなければ、お金を返さなければならない。私の場合、4年間もらっているので、それを返すとなると莫大な金額になり、父亡きあとの母一人の力では返せるわけがありません。何より教員免許がもらえない、卒業証書がもらえないと、そう言われたもので。

法律的には学徒動員はなんの根拠もなかった?

◆そうです。あの当時であっても、戦争は絶対やっていけないという人はいたと思うんですよ。だけどもメディアは規制されるし、ことに憲兵隊がおりますでしょ。がんじがらめの社会だったんです。今度の有事立法も罰則が付くから、ものが言えないようになるんです。そうして戦争に放り込まれていくんです。
 戦争が終わってこんどは米軍が銃剣とブルドーザーを突きつけて、沖縄の土地を奪っていきました。そして日本の米軍基地の75%を背負うという事態を沖縄は押しつけられたんです。

 教え子に戦争語り

戦後、証言をされるまでには時間がかかった。

◆小学、中学で教えましたが、すぐには戦争体験を話すことはできませんでした。何年かたって、教え子たちが戦場とはどういうものか、どれほど恐ろしい悲惨なものであるかを知らないから、少しずつ話し始めました。
 歴史の真実を、教員であれば教えることができる。そして真実を言える社会をつくらんといけない。
 ひめゆり平和祈念資料館ができたのは89年6月23日です。ここでは一日3人で交代して話をしています。
 私は「命(ぬち)どぅ宝」という言葉を知らなかったんです。国のため天皇陛下のためなら命は惜しまない、桜の花がぱっと咲いてぱっと散る。そのいさぎのよいのが大和魂であり、大和なでしこはそうでなければならないと教え込まれ、信じ込んでいました。

若い人たちに一言。

◆有事法制案が出てきています。当時は1938年に国家総動員法がつくられ、戦争への道を歩み始めました。現在とまったく同じです。有事法制案は、戦争に国民を巻き込もうとする法律のように私には感じられる。どうしても阻止しなければいけない。
 戦争は勝っても負けてもけっしていいことはない。日本がしかけた戦争で沖縄でもアジアでも罪のない人たちが殺された。自分の国だけじゃなくて近隣諸国にも迷惑をかけた。二度とこういうことをしてはいけない。仲良く手をつないでいかなきゃなりません。みんなが安心して住める社会をつくっていくためには真実を学ぶことです。それを歴史から学ぶことなんです。
 小泉首相は「備えあれば憂いなし」とか言うけれど、備えある所が攻撃されたんです。慶良間列島では集団自決がありました。ところが慶良間列島の前島には基地がなかった。だから爆弾一発も落とされなかったんです。基地がない所には絶対に敵は来ません。
 今の若い人たちはパソコンのゲーム感覚でいるのかしら。ゲームでは撃たれても生き返ってきますよ。でも人間は死んだらおしまい。戦争では多くの人を殺すんです。一般の世界で人を殺したら殺人罪、戦争だって殺人罪なんです。
 今声を上げて有事法制反対と叫ばなければならない時なのです。国民が反対の声をあげなければ日本は戦争への道を歩むことになると思います。
 (聞き手・永田朋実)

 「戦争のない時代に生まれたかった」

 (壮行会で宮良英加さんは)「私は徴兵検査がくりさげになって十九歳から入隊しなければならないということを聞かされた時、頭の先から爪先にかけて、鉄の棒をつきさされたようで、非常に残念でたまらなかった。師範学校に入学したからには、一度は生徒を教えてみたかった。年老いた両親が一枚の卒業証書を待ちこがれているのに、それを見せることもなく、勉学の途中で入隊しなければならないというのは非常に残念でたまらない。しかし、いったん戦場に出たからには、生きのびて帰れるとは思えない。女の人は男子より助かる機会が多いから、生き残ったら必ず伝えてほしい。戦争は非情なものだ。どんなに勉強したくてもできない。したいことがまだまだたくさんあったのに。戦争のない時代に生まれたかったということをのちのちの人に伝えてほしい」としめくくった……戦争が終わったあと、初めて英加さんの言葉が私の胸の奥深く残っていたことに気づきました。
(宮良ルリ著『私のひめゆり戦記』ニライ社73〜74n)

◎沖縄戦に動員された学徒

 44年12月、日本軍と沖縄県学務課は中等学校生徒戦場動員計画を作成。沖縄師範学校女子部・県立第一高等女学校を始め、県下の13〜20歳の女子生徒391人を45年3月以降、戦場に動員。少女たちは負傷兵の看護から死体処理まで献身的に働いたが、日本軍は6月18日に解散命令、投降を許さず米軍包囲下にほうり出した。ひめゆり学徒と職員は計219人が死亡した。
 また、師範学校男子部や中学校の男子生徒は1780人が「鉄血勤皇隊」や通信隊として動員され、890人が犠牲になった。
野田校長をかこむ女師学生(1944年春)=「ひめゆり平和祈念資料館公式ガイドブック」から

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週刊『前進』(2061号5面2)

インタビューE 反対! 有事立法 私はこう考える
高槻医療・福祉労働組合 森田充二委員長に聞く
 医療労働者の戦争動員許さぬ
 トリアージのパンフレット 全医療・福祉施設に激震

 戦時体制への医療制度改悪

――有事法制攻撃と医療労働者というテーマでお話を聞かせてください。

 先日、大阪でワールドカップがあるということでうちの病院に、非常の場合に何人受け入れられるかという問い合わせがありました。その内容はトリアージ(注)そのものなんですね。大阪だけではなく、全国の病院に調査と依頼が行われていると思います。
 また、すでに大阪府医師会から「災害時における医療施設の行動基準(第1版)」というパンフレットが送られてきています。その中でトリアージをどのように行うのか詳しい説明が出されています。また、研修も実施されています。このパンフレットのトリアージは災害時ということで重傷者を優先する形になっていますが、これが戦時医療ということになれば、重傷者を後回しにして再び戦場に送り返せる者を優先させることになると思います。
 アメリカの作戦計画5027などでは核兵器の使用が本気で考えられていますが、そうなれば米兵も何千何万という規模で負傷したり、被爆することになると思います。そうすれば、日本の医療機関では絶対カバーしきれない。自衛隊病院や国立大学病院や自治体の病院を動員し、日赤病院は4万床あるようなことを言っていますが、それでも絶対にカバーしきれないと思います。
 そういう核戦争まで想定した形で対応できるように戦後の医療制度を再編していくことが、トリアージの行動基準を示したパンフレットを各医療機関に配布している最大の目的ではないかと思います。
 戦後の医療制度は戦前の反省に基づいていると思いますよ。医療法もそうなんです。゛生命の大切さ″の強調とか、お金もうけの道具にしてはならないとか。その中で戦後の医療のシステムが確立してきたわけです。戦時体制への医療制度改悪といった時に、思想の面だけでできるわけじゃない。だから政府の側は、考え方もシステムもマニュアルも、今必死になってつくっている。その作業に着手し始めたというのが「医療施設の行動基準」じゃないかと思うんです。

 「公用令書」で受け入れ強制

 ――有事3法案が通れば日赤など指定公共機関だけでなく、民間の医療機関も強制的に動員されると思うんですが。

 動員という点では、自衛隊病院だけではとうてい足りるはずがなくて、真っ先に日赤の医療機関と労働者が動員されると思います。日赤の看護学校出身の看護師は、「誓約書」に署名、押印をさせられ、日赤の招集にはいつでも応じるということが誓わせられたんです。だから日赤出身の看護師は戦争が起きたときに鋭敏に反応します。労働者として、医療従事者を戦争に動員することは絶対に許せない。
 その他の民間の医療労働者も動員されるでしょう。日本全国の医療機関が動員の対象になります。
 それと医療の動員という場合に、直接戦場に動員することもあるでしょうが、大半は傷病兵を日本に移送してきて日本の病院を使うことになります。
 例えば、現在どの病院でもほぼ満床状態ですから、1000人の傷病兵を受け入れたとしますと、1000人の入院患者が指定公共機関の病院などから追い出される。そうしたら1000人が家に帰るのかというと違うんです。よその病院に行くんです。例えば高槻日赤や大阪医大に100人来たとして、そのうちの10人はうちが受け入れろと「公用令書」で命令される。その10人のうち大半は老健(老人保健施設)などの介護保健施設へ移さざるをえなくなり、今度はその施設から半ば強制的に退所させられることになってしまいます。福祉施設も無縁ではないのです。医療施設も福祉施設もこういう形でフルに戦争動員に使われます。

 患者が病院から追い出され

 ――患者さんがベッドから追い出される。

 うちの病院に元日赤の看護師がいました。第二次世界大戦の時に、戦地から負傷兵が送られてきて病院から患者さんが追い出された経験があると言っていました。あれはひどかったと言っていました。同じ病人さんだからそんなことしたくないけど、軍の命令で仕方なくやったと。有事立法が通れば実際にそうやられると思います。
 今、病院のベッドの充足率は90%と言われていますけど、これは全体で90%であって、「指定公共機関」になるような特定機能病院とか地域支援病院はほとんど100%です。待機者がいるんですから。退院の日取りまで決められているんです。手術して、治療して、状態を安定させて、と病名によってマニュアルがある。通常は、自宅で治療できるとなったら退院させるんですよ。その方が家族がないとか、70歳の人が団地の5階に住んでいて上がり下りできない、しかも独居だ、買い物にも行けない、そんな場合は介護保険施設の活用を考えるんですが、自己負担などのハードルがあって簡単には利用できないのですが、そんなこと関係ないんです。
 そういう状態のところに何千人もの傷病兵を入れるというのは激震ですよ。むりやり罰則付きで強制的に受け入れさせることになっていくのではないか。今回はそこのところの罰則は入っていないが、今後入れることは間違いありません。そうしないと医療の戦時体制はつくれないですから。
 また戦争での負傷者を入院させる場合に、ベッドだけあればいいというわけにはいきません。スタッフから何から総動員しなければなりません。2対1以上の看護体制を取らなければならないと思います。医者は充足できるかもしれないけど、看護労働者はたぶん充足できないと思います。
 一方では今は医療制度改悪の大再編過程なんです。介護保険制度だって安定化していない。来年はまた値上げするわけでしょう。しかも高齢者は行き場がなくて入所できないでいるわけです。どこで矛盾が爆発するかわからない。公的な入所施設がまったく不十分な中に、多くの傷病兵を受け入れるのは無理が生じる。大量に高齢者を殺すことになるのではないか。本当に許せない話です。高齢者福祉にかかわっている立場からして絶対に許せない。
 有事3法案を絶対に粉砕して、北朝鮮に対する侵略戦争を阻止しましょう。
  (聞き手・梨原智之)

もりたみつじさん 高槻医療・福祉労働組合執行委員長。「介護保険に異議あり!全国ネットワーク」事務局次長。健診介護要求者組合事務局長。大阪・高槻の住民とともに地域医療、福祉に取り組み、労働組合運動の先頭に立ってきた。

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週刊『前進』(2061号5面3)

戦争動員と対決する労働者 陸運 “軍事物資は運ばない” 陸上輸送は戦争遂行の要

 戦時における国内の兵員や軍事物資の大量輸送において、民間のトラック、バスやその労働者の動員は不可欠である。
 すでに97年9月に締結された日米安保新ガイドラインでも、「別表」の『周辺事態における協力の対象となる機能及び分野並びに協力項目例』で、「米軍の活動に対する日本の支援」として「人員、物資及び燃料・油脂・潤滑油の日本国内における陸上・海上・航空輸送」「人員、物資及び燃料・油脂・潤滑油の輸送のための車両及びクレーンの使用」「日本国内における死傷病者の輸送」が明記されている。

 米軍がトラック300台を要求

 アメリカ帝国主義が朝鮮侵略戦争突入の寸前まで突き進んだ94年に、在日米軍が日本政府に要求した支援項目に対して、防衛庁が96年までにまとめた検討内容がある。その中では、24時間通関態勢、通信や労務の提供、トラック、クレーン、コンテナなど荷役機材の提供などの米軍の要求に対して、沖縄を含めた国内の主な民間空港、港湾を米軍の施設として提供することが検討された。
 この検討内容は、すでに米軍においては具体的な戦争遂行計画に組み込まれている。97年夏、在沖米軍の物資輸送を担う米陸軍軍事輸送管理軍の担当者2人が、通訳を伴って、沖縄県トラック協会を訪れた。「緊急の際、300台以上のトラックを数日間、24時間態勢で確保したい。協力は可能か」。米軍担当者の打診に、同協会は「対応できない」と断ったという。

 米軍実弾演習で兵士・弾薬を輸送

 さらに米軍の演習においては、民間の運輸労働者の動員が開始されている。
 米海兵隊が沖縄で行っていた県道104号越え実弾演習は、97年6月から北富士を始めとする本土の演習場に移転された。この演習で特筆すべきことは、兵士、物資、弾薬の輸送を、政府−防衛施設庁が民間業者に担わせたということである。防衛施設庁が日本通運と一括契約し、航空機、バス、船舶、トラックなどの下請け各社に輸送を割り当てたのである。
 以下、大分県陸上自衛隊日出生台(ひじゅうだい)演習場で99年2月4日から行われた実弾砲撃演習における物資輸送を見てみる。
 日出生台での演習には、米海兵隊一個中隊約210人が参加した。1月27日には先発隊約100人が迷彩服姿で民間空港である大分空港に降り立ち、「亀の井バス」の大型バスで演習場まで移動した。軍事物資は、日本通運のトラック2台が輸送した。
 155_りゅう弾砲の弾薬は、米軍佐世保基地から日通のトラック7台で輸送された。このトラックには危険物である火薬類の積み荷を示す○火の表示がつけられた。九州の西端の佐世保から東側の日出生台まで、約160`もの距離を横断して5時間半かけての移動だった。
 1月29日には、民間の貨物船で輸送された155_りゅう弾砲4門と車両約40台、米軍の装備品が大分港に接岸した。大分港では日通の作業員が、米軍トラック、大型ジープ9台、小型コンテナ5個、りゅう弾砲4門を陸揚げし、クレーンで日通のトレーラーに積み込んで輸送した。
 米海兵隊本隊約110人は2月1日に大分空港に到着し、観光バス3台で演習場まで移動した。本隊の荷物は日通のトラック3台が日出生台まで輸送した。
 こうした弾薬輸送を米軍は「オペレーション(作戦)」と位置づけて実施し、演習を指揮した米軍中佐は「すべてを民間が輸送した。それによってスムーズにいった」と評価した。

 即応予備自衛官制度導入と闘う

 トラック労働者を「即応予備自衛官」に動員しようという動きも進んでいる。
 99年秋、陸上自衛隊は、北海道トラック協会が発行する広報誌で「即応予備自衛官制度」を紹介し、運送会社に対してこの制度を積極的に採用するように呼びかけた。即応予備自衛官制度とは、陸上自衛隊の非常勤として「民間人」を強制的に動員する「軍事補強政策」として、陸自が97年に導入したものである。
 即応予備自衛官は、予備自衛官とも違い、「有事」には常備自衛官とともに最前線で戦う部隊に編入される。陸自が即応予備自衛官制度の広報のために作成したパンフレット『Ready Reserve』は、「従来の予備自衛官は、自衛隊が防衛出動する場合において、後方の警備や後方支援等の任務に当たるのに対し、即応予備自衛官は、常備自衛官とともに第一線部隊の一員として運用される」と明記している。陸自は将来的には、陸自定数16万人のうち約1割の1万5000人を即応予備自衛官で対応する計画をもっている。
 しかも陸自は、この制度を採用した企業に「即応予備自衛官雇用企業給付金」として1人につき年額51万2400円、即応予備自衛官には「各種諸手当」として年額約60万円を支給する措置を行って、経営危機にあえぐ運送会社やトラック労働者を金で揺さぶって即応予備自衛官の増員をめざしているのである。
 運送会社がこの制度を採用した場合には、対象となるトラック運転手は、年間30日間の実戦訓練への参加を義務づけられ、第一線の自衛隊員として養成される。もちろん招集を拒否することはできない。また訓練期間中や招集期間中の「運転手」は、労働者としての権利をはく奪される。前述のパンフでも「訓練招集中の即応予備自衛官については、自衛隊法第108条の規定により労働基準法等は適用除外になっています」と明記されている。
 陸・海・空・港湾労組20団体の構成団体である全日本建設交運一般労働組合(建交労)は、運転手を戦争に送り込む即応予備自衛官制度に反対する運動を続けている。02春闘では、福岡のトラック部会の集団交渉で「新ガイドライン法の発動阻止、有事立法反対、安保破棄、軍事費削減、即応予備自衛官に反対」などで経営側4社と合意し、協定書を交わした。
 陸運労働者は、自らの戦争動員の切迫に心の底から危機感をもって「おれたちは軍事物資を運ぶためにトラックを運転しているわけではない」と決起している。
 (本紙 上原祐希)

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週刊『前進』(2061号6面1)

新刊紹介 清水選集第5巻を刊行
 米帝の戦争政策を分析し21世紀の世界革命を宣言

 9・11反米ゲリラ戦に支持と連帯表明

 「清水丈夫選集」全10巻の第7回配本として第5巻『米帝の歴史的没落と闘いの任務』が刊行された。第4巻から2年ぶりの刊行である。
 この間に、主体的には第6回大会の戦取(01年前半期)があり、大情勢では01年9・11反米ゲリラ戦争―10・7アフガニスタン侵略戦争―パレスチナ人民の闘いが展開された。主客の情勢がともに歴史的な変化と飛躍をとげたのだ。
 清水議長が書き下ろした序文は、第6回大会第2報告の提起を踏まえて、9・11―10・7―パレスチナ情勢に全面的に対応したものになっている。質・量で1冊の本に匹敵する重要論文である。
 この巻には、清水議長が76年3月から77年12月までに執筆した6つの論文が収録されている(目次は下の広告を参照)。前半の5つの論文は、75年3・14反革命1周年から1年半の間に、二重対峙・対カクマル戦の勝利のために書かれた政治・軍事論文であり、最後の「アメリカ帝国主義とカーター」は当時、米帝分析の新たな地平を切り開いた論文である。
 この中で「機関紙活動をさらに強化し、三割拡大計画を完遂しよう」は、今日進めている機関紙拡大闘争にとっても教訓に富む論文であり、ぜひ読んでほしい。
 清水議長は、対カクマル戦の総括は第4巻の序文で全面的に展開したとして、本巻の序文では「米帝カーター論に関連するかたちで、アメリカ帝国主義の中東政策の帝国主義的・植民地主義的本質の暴露に重点をおいた提起」(1〜2n)をしている。序文は「九・一一に際して全読者に訴える」とされていることに示されるように、9・11を「日本階級闘争そのものと直結している大問題である」ととらえ、「九・一一は民族解放・革命戦争の一定の情勢のもとでの特殊的・極限的形態であるとして、それを断固支持し、それと連帯して、階級的自己批判の精神を鮮明にし」た(3n)立場に立って書かれている。
 序文はまさに、「二〇〇一年九・一一反米ゲリラ戦争への自己批判的受けとめと血債の思想にたって、ただちにその自己批判を実践する精神で書かれた画期的な論文」であり、「二一世紀の世界革命への激しい呼びかけであり準備であり、その促進のための戦略的な意義のある路線的な提起」(解説、536n)だということである。

 世界戦争過程の本格的開始を解明

 この序文の重要なポイントを紹介していきたい。
 「一、九・一一と一〇・七を画期とする新しい帝国主義戦争=世界戦争の時代の始まり」では、清水議長は第一に、アフガニスタン侵略戦争にかんして、「〔テロ根絶という〕戦争目的の抽象性と茫漠(ぼうばく)性は、この戦争が長期化し無期限化し、世界大に拡大し、人民の無差別虐殺をとめどなく拡大していく本質をあらわす」(15n)として、それによって世界危機の世界戦争への転化の過程が本格的・全面的に始まったと言い切っている。
 第二に、第3巻序文で明らかにした「70年代中期の転換点性」を踏まえて、これ以降「きわめて新しい特質と傾向をもった戦争が次つぎと勃発(ぼっぱつ)し、戦後世界体制の解体を促進し、今日の情勢を形づくっている」(17n)という視点から、以下具体的な分析を進めている。清水議長は、序文の各所で新しい視点からの分析を行い、この30年間の世界史を見事に描きだしている。
 まず、ベトナムのカンボジア侵攻と中越戦争、そしてソ連のアフガニスタン侵略戦争をとりあげ、スターリン主義が自ら「ベトナム波及・連動情勢にとどめを刺」し「八〇年代における米帝の反革命的・反動的巻きかえし」(21n)を許した裏切り性を暴露している。
 次に、第4次中東戦争―エジプト・イスラエル平和条約―82年の第5次中東戦争の歴史的意義を明らかにしている。
 さらに、イラン・イラク戦争、ソ連のアフガニスタン侵略戦争の2つを、米帝の中東支配をめぐる80年代の大戦争という観点から分析している。後者に関する「民族解放闘争へのCIA型介入の帝国主義的侵略戦争」(28n)という新たな規定が重要である。
 そして、91年ソ連崩壊という世界史の節目との関連では、米帝のイラク・中東侵略戦争、スターリン主義圏における諸戦争、米帝の朝鮮・中国に対する侵略戦争政策をとりあげている。ここでは、スターリン主義圏における諸戦争に関する分析の意義を明らかにしておきたい。
 清水議長は、アルメニア・アゼルバイジャン戦争、チェチェン戦争、ユーゴスラビア連邦解体・再編戦争の経過と内実を分析している。
 この分析は一つに、スターリン主義の民族政策の反革命的本質を暴きだし、レーニンの闘いを受け継いで、われわれがどのように闘っていくべきかが明確にされている点で重要である。
 いま一つは、「二九年型世界大恐慌の現実化が始まり、世界経済のブロック化がいよいよ進行してくるなかで、崩壊したスターリン主義圏と残存スターリン主義圏のとりこみをめぐって争いが具体的に激化していくとき、帝国主義対帝国主義の対立は、帝国主義であるかぎり第三次世界大戦へとつきすすむしかない」(『大会報告・決定集』上206n)という第6回大会第2報告で打ち出された「新・現代戦争テーゼ」を生き生きと実証するものである。
 この戦争に対して「米帝の新たな世界支配体制構築への帝国主義的侵略戦争の現代的形態の第二段階」(51n)という新しい規定を与えている。イラク侵略戦争が「第一段階」である。そして、これらを「前段階」として今日のアフガニスタン侵略戦争とパレスチナ情勢があるという歴史的位置づけをしている。
 第三に、これらの戦争を総括して「米帝はスーパーパワーとして生き残らなければならず、そのためにみずから戦争を次つぎとひきおこしていく以外になく、それが没落の危機をさらに促進する過程が進行していった」(53〜54n)とその歴史的特質を明確にしている。そして、「この歴史過程の総括は、二一世紀がどのような世紀になるのかという本質規定にかかわる重要なテーマなのである」(54n)と強調している。
 次の節では、この歴史的特質に規定された米帝の現在の戦争政策に関して、ランド研究所の報告などを分析している。
 第四に、この戦争政策の思惑をうち砕くものとして米帝にたたきつけられた9・11の歴史的意義を明らかにしている。
 清水議長は、9・11を「特殊的・極限的状況下」で「特殊的・極限的形態」をとった民族解放・革命戦争として積極的・肯定的に評価し、それへの「支持・連帯」の意志を明快に打ち出している。そして「七・七自己批判は理論的・思想的にはパレスチナ・中東・イスラム諸国人民もふくめて全世界の新植民地主義体制諸国人民を対象としている」(67n)ことを「身についた階級的意識や認識」として今こそ打ち固めなければならないと訴えている(「新たな7・7自己批判」論)。
 その立場から「二、米帝のパレスチナ・中東・イスラム諸国政策の恐るべき反動性と反人民性」の章が展開されている。

 米帝の中東政策の植民地主義的本質

 この二章では、米帝・イスラエルのパレスチナ侵略戦争、イラン・イラク戦争、ソ連のアフガニスタン侵略戦争、91年イラク・中東侵略戦争、そして石油支配と収奪をめぐる問題が全面的に分析されている。
 最初にパレスチナ侵略戦争に関して、「スターリン(主義)のユダヤ人政策の問題性」や「ユダヤ人問題の原則的な解決」というテーマにも言及しながら、パレスチナ問題を原点から明らかにしている。
 そして、第一次から第五次中東戦争まで、一方でそれぞれの歴史的経過と意義を確認し、他方では作戦の展開や使用された兵器など戦争の実態面に踏み込んで分析している。さらに、インティファーダとオスロ合意以降02年3月にいたる過程をおさえている。
 その中で、現在イスラエルの首相としてパレスチナ人民への圧殺戦争を繰り広げているシャロンが、これらの戦争のすべてに関与してきたことを具体的に明らかにし、「まさにシャロンはイスラエル軍の中心中の中心に位置し、中東戦争―パレスチナ圧殺戦争の申し子のような人物なのである」(96n)と暴露している。
 パレスチナ情勢の現局面を理解し、パレスチナ反戦闘争を根底から組織していくために、この節の学習は不可欠である。
 イラン・イラク戦争、ソ連のアフガニスタン侵略戦争、91年イラク・中東侵略戦争そして石油支配と収奪をめぐる問題についてもこれまでにない視点や角度からの分析が縦横になされている。

 米ブッシュ政権の軍事政策を批判

 「三、九・一一反米ゲリラ戦争の巨大な衝撃と米帝のアフガニスタン侵略戦争の泥沼化」を明快に描き出しつつ、「四、アメリカ帝国主義の新たな世界戦争戦略の展開(二〇〇一年QDRの恐るべき内容)」に入っていく。
 清水議長はここで、QDRを最初から最後まで逐条的に検討し、重要な個所をあまさず引用して鋭い批判を加え、米帝の世界戦争戦略を全面的に解剖している。
 「新帝国主義宣言」「『能力ベースのアプローチ』論の本質は対中国の世界戦争計画」「未曽有(みぞう)の大軍拡プラン」「全世界的な米軍基地網の形成」「対中国戦争の具体的攻防を想定」「戦争のできる国防省への変革」「対イラク侵略戦争さらには対中国侵略戦争、第三次世界大戦への道」という報告の各章の分析につけた見出しから明らかなように、「米帝が新世界戦略の核心中の核心に中国スターリン主義との戦争をかまえ、究極的には日帝との対決となることも想定している戦略を基軸にすえてきていること」(136n)にQDRの本質があることを明らかにしている。
 米帝ブッシュ政権の軍事政策の分析と暴露のためにこの章の学習を勧めたい。
 清水議長は、最後の「五、アフガニスタン・パレスチナ・イラク・イラン・北朝鮮への侵略戦争に反対し、有事立法=改憲攻撃と対決し、大資本攻勢に階級的反撃をたたきつけ、小泉政権を打倒しよう」で、02年決戦の基本路線と方針を明らかにしている。この章は、解説で指摘されているように「宣伝・扇動のあり方」を学ぶという観点からも読み、有事立法決戦の勝利のために実践的に活用してほしい。
 「清水丈夫選集」第5巻の学習と、既刊本を含めた拡大・販売を強く訴える。
 〔「清水丈夫選集」刊行委員会〕

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週刊『前進』(2061号6面2)

弾圧と闘う 爆取弾圧裁判 板垣同志の医療鑑定行え 東拘・地裁の無対応許せぬ

 6月24日、東京地裁刑事第11部(木口信之裁判長)で迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の第166回公判が行われ、15年の不当長期勾留によって健康状態が悪化している板垣宏同志に対する医療鑑定申立書が弁護団より提出された。
 板垣同志は、昨年秋より頸部脊椎症に起因すると思われる激しい頭痛、後頭部のしびれ、めまいに悩まされている。また3月以降は手足のしびれも続いていて、公判の準備にも支障が生じるという状態である。ところが、裁判所も東京拘置所も一向に真剣に取り上げようとしていない。弁護団は怒りに燃え医療鑑定申立を行ったのである。
 板垣同志の健康状態はこの間さらに悪化しており、6月の中頃からは左右の手首より先がしびれて厚ぼったくふくれあがったような感覚と痛みに襲われており、肩から背中全体にかけての痛みと、のどの痛みもあり、まともな治療ひとつ行おうとしない東拘の対応によって、さらにいっそう耐え難い状態になっているのである。
 頸椎症の診断を行った東拘の医師ですら、頸椎症の診断にはレントゲン撮影のほかに、MRIやCTスキャンによる検査は不可欠であり、「MRIは外では常識である」とすら言っているのだ。
 直ちに医療鑑定を行い、その診断にもとづく正しい治療は絶対に必要である。だが、東拘にはMRI検査の設備はないのだ。
 にもかかわらず、東拘は5月30日に弁護団から請求された病状照会に対して「頭痛の訴えはない。しびれは訴えるが痛みは訴えていない」などと回答し、レントゲン撮影2枚で済まそうとしているのだ。断じて許すことはできない。
 東京地裁木口裁判長は、裁判所の責任で外部の医療機関における板垣同志の医療鑑定を直ちに実施せよ。

 15年もの長期勾留が原因だ

 5月30日に行われた須賀武敏同志の医療鑑定では、この間訴えていた原因不明の血便に関連して、大腸の専門医の検査により大腸のポリープが発見され、摘出し病理検査にかけられた。このポリープは東拘での検査では発見できなかったものである。
 だが今回の鑑定ですべてが究明されたわけではない。ましてや、適切な治療を行うためには、東拘ではまったく問題にもならない。直ちに保釈・奪還し、治療を行わなければならない。
 同様に十亀弘史同志の健康状態についても、また福嶋昌男同志の健康状態についても不当な長期勾留の結果きわめて厳しい状態におかれており、一日も早く身柄を奪還することが火急の課題となっている。
 このように獄中被告の健康状態を悪化させ、そもそも公判廷への出廷すら危機に陥らせるような事態を作り出している原因は、ひとえに逮捕以来15年を超える長期勾留を被告に強制してきたことにある。
 東京地裁の責任は重大である。東京地裁木口裁判長は被告全員を直ちに保釈し、十分な医療を保証せよ。裁判所が被告の健康を破壊し、無罪立証のための弁護活動を妨害することは断じて許されない。

 弁護側証人を全員採用せよ 

 24日の公判で、板垣同志を公務執行妨害でデッチあげ違法逮捕した岩手県警の元警察官の津志田正雄への尋問を徹底的に行った。
 この間、違法逮捕を隠すための虚偽の証言を繰り返してきた結果、被告・弁護団の厳しい追及の前に、津志田はついに証言できなくなって下を向いてしまい、デッチあげの破たんをさらけ出したのだ。
 この尋問に先立って被告団より、弁護側証人全員採用の要求が木口裁判長にたたきつけられた。
 検察側立証は、13年間かけてほとんど「事件」とは何の関係もない60人もの証人採用を行って、デッチあげ証言をやらせてきた。
 にもかかわらず、弁護側立証のためには26人の証人申請に対して8人しか認めようとしないのだ。特に、爆取の違憲性を立証する学者証人やデッチあげ弾圧の政治的背景を明らかにするための証人をまったく認めようとしないことは許されない。このような不公平かつ不当で理不尽な木口裁判長の訴訟指揮は絶対に認めることはできない。
 木口裁判長は26人の全証人を直ちに採用せよ。不当な長期勾留を受け健康を損ねている被告人を直ちに釈放せよ。4人の獄中同志を即時釈放させるための保釈署名と保釈基金カンパ闘争に全力で決起しよう。傍聴闘争に結集し被告と連帯して闘おう。

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週刊『前進』(2061号6面3)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
7月19日(金)午前10時
8月28日(水)午前10時
福嶋同志裁判
7月17日(水)午後1時15分
8月30日(金)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
7月25日(木)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
7月10日(水)午後1時15分
7月23日(火)午後1時15分
※いずれも東京地裁

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週刊『前進』(2061号6面4)

 

署名の輪 奮戦記 5万円カンパに元気百倍 東京 八代真一

 都内のJR駅頭街宣で、有事立法反対の署名を呼びかけた。足を止めた女性に「日本が戦争をする法律が国会で審議されているのを知っていますか」と問いかけると、「いいえ。具体的にどうなるのですか」と聞いてきた。「今の憲法が停止され、戦争中の社会が来ます」と答えると「それはいつですか」と聞かれた。「早ければこの1秋にも米とのイラク侵略戦争で、1〜2年後には朝鮮・中国へも拡大しようとしています」と言うと、女性は衝撃が強かったのか思わず涙ぐみました。
 6万人集会の載った署名ニュースを見せ、「一部買っていただけませんか」と言うと、2万円をカンパ袋に入れてくれた。「6月23日には沖縄で怒りの声が上がっています」と新聞のコピーを紹介し、「周りの人にも広めて下さい」と話すと、さらに3万円をカンパしてくれ「私にも出来ることがあれば連絡下さい」と電話番号を書いてくれた。人民大衆は必ず決起する。それを実感した。

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