ZENSHIN 2002/07/01(No2059 p06)

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週刊『前進』(2059号1面1)

6万人が有事法廃案へ決起
7月国会決戦爆発へ 連合見解打ち破る労働者の反戦闘争を
 米日帝のイラク・北朝鮮攻撃阻止

 第1章 陸海空港湾労働者とさらに連帯して

 「陸・海・空・港湾労組20団体」など3団体が呼びかけた「STOP!有事法制 6・16全国大集会」は全国から6万人を超える労働者人民が会場の代々木公園B地区を立錐(りっすい)の余地なく埋め尽くし、空前の熱気の中でかちとられた。
 労働者階級は、29年型世界大恐慌過程への突入による大失業(賃下げと首切り)、生活破壊攻撃の強まりの中で、戦争の切迫をひしひしと感じ取り、有事立法絶対阻止の決意で全国から結集した。とりわけ連合傘下の労組が連合中央の制動をのりこえ、組合旗を掲げ、分会・支部決定をもって続々と結集した。
 また前日15日には、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」主催の全国集会が東京・上野で開かれ950人が集まった。集会後、上野、池袋、新宿、渋谷の駅頭で6・16集会への結集を呼びかける大街宣が展開された。
 6・16代々木公園集会を頂点に、この間沖縄、大阪、福岡を始め全国で、ナショナルセンターや政党の違いを越え、数十万人の労働者人民が有事立法反対の集会・デモに参加した。99年の新安保ガイドライン関連法―周辺事態法粉砕闘争時を超える決起である。労働者階級の壮大な反戦決起が、総評解体、連合結成による階級的労働運動圧殺攻撃に抗して、ものすごい勢いで生み出されたのだ。
 「戦争法案を廃案へ!」の声と力が国会にたたきつけられ、日帝・小泉政権に大きな打撃を加えたのである。陸・海・空・港湾労組20団体の訴えにこたえ、反戦共同行動委の呼びかけにこたえ、有事立法絶対廃案、採決粉砕・修正論議粉砕・継続審議粉砕の闘争態勢をうち固め、7月国会決戦の大爆発へ前進しよう。
 政府・与党は7月末日まで42日間の国会会期延長を強行した。怒りを込めて弾劾する。与党党首会談は「全法案の成立」を確認した。これは、何よりも有事立法の強行突破を狙う大攻撃である。加えて労働者階級に犠牲を押しつける医療改悪法案、郵政関連法案、医療観察法案=保安処分新法の成立のためである。日米争闘戦での敗勢に追いつめられる日帝の危機の深さと、それゆえの凶暴さをしっかりと見据えて全面対決しなければならない。7月の階級攻防が、強行採決か廃案か、継続審議か廃案かの一大決戦となった。
 衆院段階の法案採決はもちろん、いかなる修正論議も継続審議に持ち込むことも、断じて許してはならない。廃案に追い込み、有事立法=改憲策動に壊滅打を与えなければならない。職場・学園・街頭で宣伝・署名活動を繰り広げ、デモ・集会をたたきつけ、労働者階級人民の実力で国会闘争を闘い抜こう。6・16の6万人集会を引き継ぐ7月の壮大な労働者階級の決起こそ、強行成立を実力阻止し、廃案に追い込む闘いの土台である。

 第2章 北朝鮮・中国侵略戦争のための法案

 武力攻撃事態法を始めとする有事3法案は、米帝の恐るべき世界戦争計画がアフガニスタン侵略戦争として実行に移された現情勢の中で、日本帝国主義が生き残りをかけて、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦していくための体制を一挙につくりあげるためのものである。
 世界最大のスーパーパワーとしての米帝・米軍が、それと比べたら圧倒的に弱小な北朝鮮に対して「悪の枢軸」「テロ国家」などというレッテルを張りつけ、軍事重圧をがんがん加え、ここ1〜2年の内にもイラク攻撃に続いて、北朝鮮の体制転覆を狙った軍事侵略攻撃をしかけようと策動している。これに対してまさに侵略され踏みつぶされようとする北朝鮮が、当然にも必死で反撃する。その一場面、一局面をとって「日本への武力攻撃だ」「予測される事態だ」「おそれがある」などと言って、直ちに自衛隊は米軍と一体化して武力攻撃事態への「対処措置」(第3条)という名で戦争行為を発動するというのだ。まさに有事3法案は、イラクと北朝鮮・中国への侵略戦争法案なのだ。
 6月26、27日にカナダのカナナスキスで開かれるサミットは、「対テロ戦争」を最大の柱とする帝国主義首脳会議だ。ブッシュはここでイラク攻撃について各国帝国主義の協力を取りつけ、世界戦争戦略を一層推し進めようとしている。日帝は、この反テロ・サミットをもテコとして、有事立法の成立をあくまで狙っているのだ。
 ブッシュの核先制攻撃宣言、未臨界核実験の強行など、イラク・北朝鮮への核先制攻撃がきわめて切迫したものとなっている。断じて許してはならない。
 わいろ・利権をほしいままにしてきた自民党・鈴木宗男の汚職事件は、小泉自民党の党ぐるみの犯罪である。こんな腐りきった小泉自民党政権の進める有事立法攻撃をどうして許すことができようか。
 福田の核武装=非核三原則破棄発言と防衛庁個人情報リスト問題は、有事立法攻撃そのものである。福田発言は、米帝が核戦争をやる時代の到来を想定して、日帝もやる気だということである。防衛庁リスト問題は、ついに軍隊が「国民監視」を始めたということだ。人民敵視のやり方に、労働者人民は腹の底からの怒りをたたきつけ、有事立法を絶対に粉砕しよう。
 個人情報の国家による一元的管理、支配の強化を狙う個人情報保護法案を粉砕しよう。8月5日からの住民基本台帳ネットワークシステム(全国民に11けたの背番号をつけ、個人情報を国家が管理する)の発動を許すな。大衆的闘いの爆発で阻止しよう。

 戦争動員への危機感と怒り

 有事立法が成立すれば真っ先に戦争動員の対象とされる陸・海・空・港湾労働者の危機感は鋭く、深い。船員は、かつて太平洋戦争で10万人以上が戦争動員され6万2千人以上が死亡した。海軍軍人の死亡率20%と比べても大変な犠牲者を出した。全日本海員組合発行の『海なお深く』(太平洋戦争・船員の体験手記)は、「それにしても、戦時中に船員が、軍国主義下での非人間的、消耗品並みの扱いを受けた屈辱は忘れることができない。こんな暗黒時代は二度とあってはならない」と語っている。まさに「船乗りは平和な海を希求する」は、船員の心からの願いなのだ。
 航空労働者も同様だ。軍事物資や兵員輸送に動員されれば、相手国の直接の攻撃にさらされる。空港で働く労働者も危険にさらされる。中谷元・防衛庁長官は「政府中枢への攻撃を阻止するために、ハイジャックされた民間航空機に対して自衛隊が武器使用する(=ミサイルで撃墜する)ことは合法だ」と言い放った(5・16国会答弁)。日帝・自衛隊自らが航空労働者と乗客を虐殺することもある、それは合法だと言ったのだ。こんなことが許されるか。断じて否だ! 「民間航空の軍事利用反対」「空の平和と安全を守れ」は、航空労働者の切なる願いである。
 陸・海・空・港湾労働者の願いは、6千万日本労働者階級の願いだ。だからこそ、ナショナルセンターや政党の違いを越え、有事立法反対の一点で、巨大な闘いを実現したのだ。この広範な統一戦線は、労働者階級の壮大な反戦総決起への発展の展望をもった、真に労働者的な闘いなのだ。
 また帝国主義の侵略・民族抑圧と闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民との国際的連帯の展望をもった闘いだ。
 米・日帝国主義のイラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争を阻止する闘いは、日本労働者階級の絶対的責務である。今こそ「米帝の世界戦争計画を許すな」「イラク侵略戦争阻止」「日帝の北朝鮮・中国侵略戦争法案粉砕」の闘いを大胆に持ち込み、労働者階級の有事立法反対、一切の戦争協力拒否の闘いを猛然と推し進めよう。
 連合の「有事立法賛成」の5・16見解の反労働者性を暴く討論を巻き起こし、連合傘下の労働者・労働組合の圧倒的な決起を実現しよう。陸・海・空・港湾労働者と連帯して闘おう。

 第3章 連合の屈服粉砕し7月決戦総決起へ

 7月決戦の第一の課題は、連合や日共スターリン主義の屈服と排外主義的な「テロ弾劾」キャンペーンを粉砕し、有事立法反対署名を水路に、労働者階級の階級的組織化を全力で推し進めることである。
 連合の「5・16見解」はけっして「有事立法反対」の立場ではない。「大規模テロなどの緊急事態に備える法整備は必要」と言っているのであり、いま出されている法案は不完全だから急いで成立させることは反対だと言っているのだ。そして、「どのように審議されるかを見極め……必要な対応をしていく」と述べ、法案賛成に回る道すら準備している。
 連合の主張は、日本帝国主義のイラク、北朝鮮・中国侵略戦争参戦のための有事立法攻撃の凶暴な狙いをおし隠し、日帝の侵略戦争を「自衛戦争」「テロ対策」の名のもとに容認していくものである。そもそも米帝ブッシュや日帝・小泉の「対テロ戦争」は、民族解放闘争圧殺の世界侵略戦争―世界戦争の攻撃である。侵略と民族抑圧に対するパレスチナ・中東・ムスリム人民、アジア人民の必死の抵抗闘争を「テロ」と言って非難し襲いかかっているのだ。最も非難されるべきは、帝国主義の侵略戦争と民族抑圧と大虐殺だ。
 ところが連合や日共はこれをまったく批判せず、「テロ対策は必要」と帝国主義の宣伝に屈服しているのだ。連合の有事立法賛成見解を打ち破り、連合傘下の労働組合の中から、有事立法絶対廃案の大きなうねりをつくり出そう。
 その最大かつ緊急の環は、有事立法反対の署名運動の圧倒的推進である。署名活動は有事立法阻止の大衆運動であり、「労働者の中へ」「大衆の中へ」の実践そのものである。キャラバン隊を組織しよう。街頭へ出よう。何よりも労働組合に大胆に持ち込み、単組・支部・分会での取り組みを強めよう。それを国会決戦へつなげよう。
 連合見解との闘いが猛然と開始された。国鉄決戦を闘ってきた全産別の同志、戦闘的労働者が、自らの職場・産別で、一段と飛躍した闘いを開始した。有事立法粉砕闘争は、職場での資本との力関係、労組御用幹部との力関係を革命的に変革する闘いである。
 この闘いは、7月国会決戦の力であり、8月広島・長崎反戦・反核闘争―今秋決戦へとほとばしる力となり、必ず成果を生む。NTT労働者が、大リストラ・労組破壊攻撃と対決して立ち上がっている。自治労、教労、全逓、民間を先頭に全産別で総決起しよう。
 第二の課題は、国鉄決戦への総決起である。1047人闘争の圧殺と国労解体を狙う与党3党声明を粉砕しよう。4党合意―与党3党声明に頭を垂れることは、有事立法に屈服することと同じなのである。有事立法反対運動を国鉄職場に持ち込み、4党合意賛成派に、有事立法反対の態度をはっきりと突きつけよう。全党は国鉄決戦態勢を強固に確立して決起しよう。7月代議員選に勝利し、9月定期大会へ、闘う国労の再生のために闘おう。
 第三の課題は、有事立法攻撃と闘う最前線、農民たたき出しと対決する三里塚闘争に決起することである。暫定滑走路の4・18供用開始後、敷地内農民に対する攻撃は激化している。絶対に許せない。反対同盟の呼びかけにこたえ、6・30現地緊急闘争に立とう。7・14関西新空港闘争に決起しよう。
 第四の課題は、夏期一時金カンパ闘争に総力決起することである。財政問題の死活性について組織討論を強め、全党一丸となって目標達成へ闘おう。
 第五の課題は、『前進』拡大闘争に総決起することである。階級情勢の激動化は、革命党にとって危機であると同時に飛躍の絶好のチャンスだ。激動情勢を主体の力に変え、党的に物質化する武器は革命党の機関紙だ。6・16闘争に決起したすべての労組指導部・活動家、青年労働者、学生に『前進』を勧め、定期購読を拡大しよう。
 そして、7・28関西―8・4東京の東西革共同政治集会に総結集しよう。
 最後に、それら一切の力を総結集し7月国会決戦を大爆発させることだ。反戦共同行動委の呼びかけにこたえ、全学連を先頭に労働者階級人民の実力で有事立法を廃案に追い込もう。郵政関連法案、医療制度改悪法案、医療観察法案=保安処分新法を粉砕しよう。
 今こそ〈北朝鮮・中国侵略戦争法案〉粉砕のスローガンをすべての闘う労働者人民のものとして闘うことが重要だ。陸・海・空・港湾労組20団体と連帯し、法案採決も修正論議も継続審議も粉砕せよ。7月国会決戦の戦闘的・大衆的発展をかちとろう。

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週刊『前進』(2059号2面1)

戦争法案許さぬ 廃案への怒りと熱気が最高潮
6・16大集会 首都揺るがす大デモ 陸・海・空・港湾労組先頭に “STOP有事法制”の叫び 

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 6月16日、代々木公園B地区で開催された「STOP!有事法制6・16全国大集会」には、6万人を超える労働者、市民、学生などが大結集した。陸・海・空・港湾労組20団体と平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットの呼びかけにこたえて、連合傘下からも多くの労働者が結集し、「継続審議も許さない。有事法制を絶対に廃案に」という決意とエネルギーに満ちた大集会がかちとられたのである。この労働者人民の力を解き放った時、有事立法は絶対に阻むことができる。6・16大集会に結集した巨大な力をさらに広げ、国会会期末まで1カ月、法案強行採決はもちろん、継続審議も絶対許さず、なんとしても有事3法案廃案をかちとるため、全力で闘い抜こう。
 集会の最後に、呼びかけ団体の陸・海・空・港湾労組20団体を代表して、航空安全推進会議の大野則行議長が閉会宣言に立った。
 「この会場には6万人を超える方が集まっています。しかもまだ、原宿から代々木から集まってくださっています。本当にありがとうございます。全国には、この有事法制を廃案に追い込むために闘っているまだまだ多くの方たちがいます。その方たちとともに、政府・与党に糾弾の声をあげましょう」と力強く提起し、集会宣言(別掲)を読み上げた。
 そして「声を合わせ、心をひとつにし、右手のこぶしを高々とあげて、私たちの思いを表しましょう」という大野議長の音頭に合わせて「有事法制反対! 戦争協力反対! 戦争動員反対! いのちと安全を守ろう! 有事法制を廃案にしよう! 有事法制を廃案にしよう!」と、6万人のシュプレヒコールがとどろきわたった。
 集会に先立ち、ステージでは午後0時20分、和太鼓演奏が始まった。その間も、原宿駅から代々木公園への結集は尽きることなく続く。オープニングのトランペット演奏では「原爆許すまじ」などのメドレーが高らかに響きわたった。
 いよいよ午後1時、全国大集会が始まった。ステージ前は、最後方の参加者が見えないほど、人の波で埋め尽くされた。またサッカー場を隔てて設置された第2会場も、完全に埋め尽くされた。
 司会は、航空安全推進会議の中川香事務局次長。中川さんは、第2会場でオーロラビジョンを見ている参加者にも元気なエールを送った。
 まず開会宣言を、平和をつくり出す宗教者ネットの石川勇吉上人が行った。「マスコミは有事法制について、政府与党が継続審議の方針を固めたと伝えています。しかしみなさん、私たちの願いは、継続審議ではなく廃案です」。会場全体から「そうだ!」の声があがる。「全国で市民、労働組合、文化人、法律家、青年・学生が立ち上がっています。私たちの闘いいかんによっては、有事法制を廃案にできる展望が生まれています」と述べた。
 日赤病院看護師の三村真理子さんが「ハイアン(廃案)募金」の訴えを行った。「人の命を守ることが私たちの仕事です。人を殺す戦争の手伝いはしたくありません」ときっぱりと表明した。真剣な訴えに、カンパ袋には続々とカンパが寄せられた。
 続いて、「ゼッタイ・ハイアン」各界アピールが行われた。集会の賛同人で脚本家の小山内美江子さん、沖縄から基地をなくし世界の平和を求める平和市民連絡会の本永春樹さん、日本共産党の志位和夫委員長、社民党の土井たか子党首、民主党の生方幸夫衆院議員、日弁連の伊礼勇吉副会長、全労連、東京高校生平和ゼミナールの高校生が次々と発言した。
 沖縄から参加した本永さんは「6月8日に沖縄・北谷町で5500人の有事法制反対集会を成功させました。沖縄戦で親やきょうだいを殺され、戦中戦後土地を基地に奪われていった人たちの証言もありました。もう二度と沖縄の基地からアジアへの侵略を許してはなりません」と訴えた。参加者は、沖縄人民とともに有事法制廃案へ闘い抜く決意を固くした。
 アピールの最後に発言したのは、全日本海員組合の片岡和夫副組合長だ。「私は、世界にまたがって船舶に乗り組む船員の代表として、有事法制を絶対に廃案にする決意をもってまいりました。私たち船員にとって有事法制は、かつて船員徴用令により根こそぎ戦時動員され、6万人余が犠牲となった悪夢を思い起こさせます。船員は戦後も、少なからぬ仲間を戦争で失った労働者集団です。一昨年、神戸に開設した『戦没した船と海員の資料館』の鎮魂の碑には『海洋国日本にとって、平和な海は絶対の生存条件であり、われわれ船員は再び海を戦場にしてはならないと決意する』と刻まれています。有事法制をなんとしても廃案に持ち込み、二度と日の目を見ることのないよう、完全にお蔵入りさせなければなりません」。固い決意に燃えた片岡さんの発言に、拍手がなりやまなかった。

 3つのコースで長蛇の行進

 集会終了後、参加者は宮下公園コース、明治公園コース、新宿コースの3つに分かれてデモに立った。
 呼びかけ団体・労組20団体は、渋谷駅方向に向かう宮下公園コースだ。先頭には制服姿の航空労働者、医療労働者、宗教者が立ち、「STOP!有事法制」の横断幕を掲げた。そろいのたすきを身につけのぼり旗を立てた「憲法と人権の日弁連をめざす会」の弁護士が続いた。
 「民間航空の軍事利用反対」の横断幕を掲げ、のぼり旗を林立させた航空労働者。「有事法制に反対」のポスターを高々と掲げた港湾労働者。マリンブルーの旗を掲げた全日本海員組合の隊列には、青年労働者も多く参加した。
 6・16全国大集会には、連合指導部の制動を打ち破って、連合傘下の自治労、日教組、全逓などから多くの労働者が参加した。自治体労働者は東京や関東各県などから各単組や支部の旗を掲げて結集した。日教組傘下の教育労働者や都労連傘下の労働者も、それぞれ組合旗を掲げて結集した。「有事法制賛成」の連合見解を打ち破る現場労働者の必死の奮闘によりかちとられた決起だ。
 日本の労働者人民の「二度と戦争の過ちは繰り返さない」という心の底からの誓いが、「今こそ有事法制を絶対廃案へ」という巨大な奔流となって動き始めた。この闘いの先頭に、真っ先に戦争動員の対象とされる交通・運輸労働者が根底的な危機感を持って立ち上がっている。また自治体、医療、教育、建設、民間などの労働者も大きく決起を開始している。この怒りと危機感を全労働者人民のものとして、〈北朝鮮・中国侵略戦争法案〉粉砕の闘いをさらに押し広げよう。7月国会決戦の爆発で絶対に廃案をかちとろう。

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週刊『前進』(2059号2面2)

百万人署名が3千人 廃案へ心をひとつに

 6月16日、代々木公園に集まった大集会の中で、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」は、全国から3000人もが集まり長い列をつくった。黄色いサンバイザーをかぶった人波がひときわ目立った。
 集会参加者が膨大なので長い間デモ出発の順番を待つことになった。特に明治公園コースは最後尾が出発するまで2時間かかった。その間、それぞれの団体が独自の集会を開いた。
 百万人署名運動は、事務局次長の小田原紀雄さんがマイクを握り、前日の全国集会の報告をし、有事法制阻止へ署名拡大を訴えた。
 大阪から参加した小西弘泰高槻市議は、高槻から80人が参加していることを報告、「医療制度改悪も戦争と軌を一にしたもの」と暴露した。さらに、山陰・松江、富山、岡山、神奈川など各地の連絡会から闘いの報告があった。
 月刊小新聞「野火」を発行する桜井善作さんは、「絶対に戦争してはならない」と熱烈に訴えた。
 また、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長が連帯発言を行い、「反戦反核の砦(とりで)三里塚から有事立法反対に立ち上がる」と宣言した。北富士忍草母の会の天野美恵さんや部落解放同盟全国連合会、国鉄千葉動力車労働組合も多数参加していることが報告された。
 本集会終了から2時間、百万人署名運動のデモ出発の番になった。高齢者がデモ隊列に数多く加わり、組合旗が何本も翻った。白衣の医療労働者、若者が行進し、子ども連れも目立った。あらゆる年齢層、無数の団体が延々と続いた。緑や青、黄色ののぼりが林立した長蛇の隊列はこれまで経験したことのない光景だった。工夫をこらしたプラカードやデコレーションの隊列。原宿駅前の雑踏の横を進むデモ隊列は、ひときわ大きな注目を集めた。

 不当逮捕はね返し学生デモ

 全国から結集した学生は、明治公園コースの最後尾で意気高くデモをした。警察権力がデモに襲いかかり、不当にも2人の学生を逮捕した。沿道の声援にこたえ、弾圧にひるむことなく最後まで闘いを貫いた。

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週刊『前進』(2059号2面3)

集会宣言

 「有事関連三法案を廃案にしよう」−この思いをアピールするために、私たちは、ここ東京・代々木公園に全国から集まりました。これは、4月19日、5月24日に続いて三回目の大集会です。
 「有事関連三法案」は、アメリカが起こす武力攻撃に公然と加担し、日本を戦争のできる国にするものです。罰則付きで国民を強制し、地方自治体、赤十字やNHKなどの「指定公共機関」、国の行政機関を総動員するもので、まさに国を挙げての「戦争遂行法案」であります。
 私たちは「有事法制」で脅威を作り出すより、「平和」を訴えることこそが戦争を防ぐ道であると確信します。
 私たちは、いのちと安全、人権を尊重し、平和な暮らしを求める立場から、有事法制の危険をもっと多くの人たちに知らせ、「有事関連三法案」の廃案までたたかい続けることを宣言します。
 2002年6月16日
 STOP!有事法制6・16全国大集会

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週刊『前進』(2059号3面1)

戦争法案許さぬ 廃案への怒りと熱気が最高潮
 6・15上野 百万人署名 各地の連絡会勢ぞろい 老若男女、反戦の思い語る

 「とめよう戦争への道!百万人署名運動」主催の「つぶせ!有事法制6・15全国集会」が、6月15日午後、東京・上野公園水上音楽堂で行われ、大きな成功をおさめた。この集会の意義と今後の闘いの方針について、事務局次長の小田原紀雄さんに寄稿していただいた。(編集局)

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運動の飛躍をかけて7月50万署名達成を
 百万人署名運動事務局次長 小田原紀雄さん

 87万人の署名を集めた実績を持つ百万人署名運動ではあるが、自発性に基づく、出入り自由な不定形な大衆運動にとって、新たな課題に取り組む時は常に運動の新たな起ち上げである。
 「戦争法」としか表現しようのない「有事法制」に対して、再度百万人署名を提起し、署名を集める過程での情宣活動を通した対話によって、広範な民衆にこの法律の危険極まりない性格を伝えていくこと、全国各地に澎湃(ほうはい)として生まれた連絡会がそれぞれの地域性と会の個性に応じて創意工夫をした活動を展開するという、中央集約型の運動にはない自由さをわれわれは最も大切にしてきた。それが、かつてあった激しい妨害活動からの影響を最小限度にとどめ、逆に運動を大きく発展させることになった。その証しが、「つぶせ!有事法制6・15全国集会」であった。
 20労組から呼びかけられた6・16集会の前段集会であり、また反安保闘争の記念すべき日である6・15に、百万人署名運動は上野公園水上音楽堂に全国から集まり、各地からの運動報告を集会の要に置いて、それぞれが経験を交流し、共に有事法制を廃案に追い込む運動の仲間としての確認をし合った。北海道から沖縄まで、まだ連絡会を形成できていない地域からも含めて全国の仲間950人が参加した。
 そこで確認された当面の方針等については以下の記事に譲るが、この集会の何よりの成果は、小異を互いに認め合いつつ「反戦」の志を持った者が広範に集まったことであろう。地域によっては日本共産党との課題別共闘を推進していたり、宗教者との固い結合を獲得していたり、もちろん社民党系、新社会党系の諸運動とも共闘関係にあるという報告もなされ、地域の労働組合への協力要請も積極的になされている。
 互いにレッテル貼りをして運動の足を引っ張り合っているようなことで、小泉政権の突然の思いつきなどではない、戦後保守政治が一貫して狙ってきた戦争のできる国家体制の構築に立ち向かえるはずがない。
 百万人署名運動は、他の運動をあれこれ言うのではなく、まず自らがこれまでの運動の在り方の誤りを克服することを通して、本当に有事法制を阻止する闘いを創り出すことを追求してきた。
 現在20万筆をこえたが目標まではまだ遠い。具体的な成果だけでなく、運動の在り方そのものもいまだしである。しかし、悲観もしていない。緒に着いたばかりなのだから。(日本基督教団靖国・天皇制問題情報センター)

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 950人参加で盛り上がり

 「つぶせ!有事法制6・15全国集会」には全国から950人が集まった。30近い各連絡会の代表などが登壇し、それぞれの取り組みの報告や戦争と有事法制反対の思いを訴えた。国会での継続審議を許さず廃案に追い込むこと、7月末までに50万筆の署名を達成することなどが確認された。
 集会は歌のライブから始まった。「♪ユージ(有事)くんを知ってるかい? 知らないとヤバイことになるらしい」という歌詞の「ユージくん」は会場から一緒に歌う声が呼応した。
 続いて「沖縄」「平和」などをテーマに音楽活動を続ける『寿(ことぶき)』の2人が登場した。ボーカルのナビィさんが、名護新基地建設問題の話題にふれながら「軍事のない世の中をつくりたい」とトーク。「我ったーネット」「ひとつのおもい」などを歌った。三線(さんしん)メロディーの「あかたすーどぅんち」では参加者がカチャーシーを踊り出し、大いに盛り上がった。
 呼びかけ人である早稲田大学名誉教授の佐藤昭夫さん(写真下)が開会あいさつを行った。法案は、武力攻撃事態の「おそれ」や「予測」と称して権力や軍が思いのままに武力攻撃を行う「武力行使授権法」であり、戦時の常態化が起こると深い憂慮を表明し廃案を訴えた。
 2月の名護市長選を新基地建設反対を訴えて闘った宮城康博さんが沖縄から駆けつけた。97年の市民投票の話題から始めた宮城さんは、名護の新基地建設は最初から、日本が有事法制で戦争のできる国になる一環だったと話した。そして辺野古の海を守るために闘うオバーやオジーたちの戦争反対の思いを語り゛軍隊は人民を守らない。軍隊は軍隊を守る″のが戦争の真理だと訴えた。(要旨別掲)
 航空労組連絡会の「戦争ともなれば真っ先に動員される私たち航空労働者は、戦争の被害者にも加害者にもならない決意のもと、人のいのちと空の安全を守るため、陸海港湾の仲間と共に精一杯たたかいます」というメッセージが紹介され、翌日に迫った「STOP!有事法制6・16全国大集会」が呼びかけられた。国会議員からのメッセージも紹介された。
 憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士が発言した。高山さんは「日本国憲法は、私たち法律家の基本精神」と語り、継続審議を許さず有事法制を廃案にしようと訴えた。また司法改革は、司法のあり方を暗黒の治安司法に変え戦争体制をつくることが狙いだと話し、「我が国の防衛」「東洋平和」というまやかしを見抜けなかった戦前の弁護士の轍(てつ)はけっして踏まない、と闘いの決意を語った。

 各地の代表が登壇し報告

 続いて集会のハイライトである各地からの報告とアピールに移った。各地の連絡会の代表が登壇し、老若男女、多彩な顔ぶれが並んだ。司会が団体名と代表者の名前を紹介した。それぞれ紹介されると会場から拍手やかけ声がかかる。壇上からは手を挙げたり幟(のぼり)を振ったりして参加者にこたえ、会場全体が一体感に包まれた。
 福岡の女性は、「敗戦を迎えた時、子どもだった私の『(戦争で)死にたくない』という気持ちを表したのが憲法だった。これで安心して生きられると思った」と話した。山陰の青年は目標の1万5000筆の署名を必ず達成する、と決意を語った。
 広島の女性は「広島で被爆した多くの人は、国民総動員で(軍都だった)広島市内での作業に従事していた人だった」と語り、8月6日のヒロシマ大行動への参加を呼びかけた。愛媛の男性は、6月14日に、愛媛県では30年ぶりという社共共闘での1300人による有事法制の反対集会を行ったことを報告した。
 京都の若者は、党派や立場の違いを超えてさまざまな集会や学習会に参加して、自分たちの考えを臆せず積極的に訴える中で、運動が大きく広がり始めたことをエピソードを交えて報告した。愛知の女性は、4月16日の閣議決定の時の自分たちの座り込みが報道され、そこからドンドン運動が拡大し、ついには6月5日に5000人の集会になったと報告した。また42年前の6月15日、樺さんの死を賭した闘いで自分の人生は変わったと話し、60年安保闘争を超える情熱と覚悟で闘おうと熱く訴えた。
 東京からは三多摩の男性が6600筆の署名と30万円のカンパが集まった都内キャラバンや850人が集まった八王子の集会とデモなどを報告。千葉の女性は、相手の目を見てお願いするのが大切と署名の゛極意″を語った。新潟の男性は公聴会の抗議行動の報告を行った。最後に法政大学の学生が発言した。
 百万人署名運動の今後の方向が事務局次長の小田原紀雄さんから提起された。国会会期中の成立を阻んだことは全国の民衆の反戦の闘いの成果だと総括。延長国会中も気を緩めず廃案まで闘うことをあらためて呼びかけた。当初、立ち上がりが遅れた署名運動も、最近は毎日3〜4000筆の署名が集まり、すでに18万筆を超えた。しかし目標の5分の1にも達してないと一層の奮闘を呼びかけ、今後、全国各地でキャラバンを行い、延長国会中に50万筆の署名を集めることを提起し、集会をまとめた。
 集会後、参加者は上野、池袋、新宿、渋谷の4駅頭で街宣を行い、3300筆の署名を集めた。

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週刊『前進』(2059号3面2)

軍隊は人民守らぬ 前名護市議 宮城康博さん

 97年に名護市民が、新しい米海兵隊の基地建設をめぐる住民投票を行った時、条件付き賛成派の人びとは、反対派は戦争が来ると言ってお年寄りや女、子どもを不安に駆り立てていると誹謗(ひぼう)しました。
 住民投票の時、私は一度も「戦争が来る」というような話はしませんでしたが今から考えてみると、あの時すでに、有事法制で戦争のできる国になろうとする動きの一環として、米海兵隊の航空基地の建設があったと断じざるを得ません。それをくい止めてきたのは、名護市民が示した反対の意思です。あれから5年たっても杭(くい)一本立っていない。
 住民投票以降、政府はとにかくお金で沖縄県民を懐柔しようと真剣に取り組んできました。サミット、2千円札しかりです。しかし、2月の市長選で政府に反対の意思を示した名護市民の私への1万有余の票は本当に大きい。
 海が米軍基地でつぶされようとしている辺野古のオバー、オジーたちに、こんなにも仲間がいることを見せたい。辺野古のオバーたちは孤独で厳しい闘いを強いられています。辺野古の海は戦後、物資も食べる物もない時に辺野古の人びとの命を救ったのです。戦争だけはさせない、この海を次の世代につなげるのが仕事だと70代、80代、90いくつの人が頑張っている。
 軍隊は人民を守らない。軍隊は軍隊を守る――これが戦争の真理です。これを肝に銘じて、有事法制を廃案にしましょう。基地のない沖縄にするために、日本の人民の平和の願いを実現するために、みんなで力を合わせて頑張ろう。

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週刊『前進』(2059号3面3)

都内4駅で大街宣

 「つぶせ!有事法制6・15全国集会」の終了後、集会参加者で、上野、池袋、新宿、渋谷の4駅頭で大街宣を行いました(写真は新宿駅西口)。各駅100人を超える大街宣は壮観で、駅頭の雰囲気を一変しました。
 私は新宿駅西口での街宣に参加しました。子どもを抱きながら署名を集める若いお母さん、40年ぶりに署名板を持つという男性。交代でマイクを手に広島の被爆者や女性たちが戦争体験を語り、戦争を繰り返してはならないと訴えました。人波の中で必死に声をかけ、署名を集めました。わずか1時間の街宣でしたが、4駅で計3300筆の署名が集まりました。
 (投稿 T・N)

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