ZENSHIN 2002/07/01(No2059 p06)

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週刊『前進』(2059号1面1)

6万人が有事法廃案へ決起
7月国会決戦爆発へ連合見解打ち破る労働者の反戦闘争を
 米日帝のイラク・北朝鮮攻撃阻止

 第1章 陸海空港湾労働者とさらに連帯して

 「陸・海・空・港湾労組20団体」など3団体が呼びかけた「STOP!有事法制 6・16全国大集会」は全国から6万人を超える労働者人民が会場の代々木公園B地区を立錐(りっすい)の余地なく埋め尽くし、空前の熱気の中でかちとられた。
 労働者階級は、29年型世界大恐慌過程への突入による大失業(賃下げと首切り)、生活破壊攻撃の強まりの中で、戦争の切迫をひしひしと感じ取り、有事立法絶対阻止の決意で全国から結集した。とりわけ連合傘下の労組が連合中央の制動をのりこえ、組合旗を掲げ、分会・支部決定をもって続々と結集した。
 また前日15日には、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」主催の全国集会が東京・上野で開かれ950人が集まった。集会後、上野、池袋、新宿、渋谷の駅頭で6・16集会への結集を呼びかける大街宣が展開された。
 6・16代々木公園集会を頂点に、この間沖縄、大阪、福岡を始め全国で、ナショナルセンターや政党の違いを越え、数十万人の労働者人民が有事立法反対の集会・デモに参加した。99年の新安保ガイドライン関連法―周辺事態法粉砕闘争時を超える決起である。労働者階級の壮大な反戦決起が、総評解体、連合結成による階級的労働運動圧殺攻撃に抗して、ものすごい勢いで生み出されたのだ。
 「戦争法案を廃案へ!」の声と力が国会にたたきつけられ、日帝・小泉政権に大きな打撃を加えたのである。陸・海・空・港湾労組20団体の訴えにこたえ、反戦共同行動委の呼びかけにこたえ、有事立法絶対廃案、採決粉砕・修正論議粉砕・継続審議粉砕の闘争態勢をうち固め、7月国会決戦の大爆発へ前進しよう。
 政府・与党は7月末日まで42日間の国会会期延長を強行した。怒りを込めて弾劾する。与党党首会談は「全法案の成立」を確認した。これは、何よりも有事立法の強行突破を狙う大攻撃である。加えて労働者階級に犠牲を押しつける医療改悪法案、郵政関連法案、医療観察法案=保安処分新法の成立のためである。日米争闘戦での敗勢に追いつめられる日帝の危機の深さと、それゆえの凶暴さをしっかりと見据えて全面対決しなければならない。7月の階級攻防が、強行採決か廃案か、継続審議か廃案かの一大決戦となった。
 衆院段階の法案採決はもちろん、いかなる修正論議も継続審議に持ち込むことも、断じて許してはならない。廃案に追い込み、有事立法=改憲策動に壊滅打を与えなければならない。職場・学園・街頭で宣伝・署名活動を繰り広げ、デモ・集会をたたきつけ、労働者階級人民の実力で国会闘争を闘い抜こう。6・16の6万人集会を引き継ぐ7月の壮大な労働者階級の決起こそ、強行成立を実力阻止し、廃案に追い込む闘いの土台である。

 第2章 北朝鮮・中国侵略戦争のための法案

 武力攻撃事態法を始めとする有事3法案は、米帝の恐るべき世界戦争計画がアフガニスタン侵略戦争として実行に移された現情勢の中で、日本帝国主義が生き残りをかけて、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦していくための体制を一挙につくりあげるためのものである。
 世界最大のスーパーパワーとしての米帝・米軍が、それと比べたら圧倒的に弱小な北朝鮮に対して「悪の枢軸」「テロ国家」などというレッテルを張りつけ、軍事重圧をがんがん加え、ここ1〜2年の内にもイラク攻撃に続いて、北朝鮮の体制転覆を狙った軍事侵略攻撃をしかけようと策動している。これに対してまさに侵略され踏みつぶされようとする北朝鮮が、当然にも必死で反撃する。その一場面、一局面をとって「日本への武力攻撃だ」「予測される事態だ」「おそれがある」などと言って、直ちに自衛隊は米軍と一体化して武力攻撃事態への「対処措置」(第3条)という名で戦争行為を発動するというのだ。まさに有事3法案は、イラクと北朝鮮・中国への侵略戦争法案なのだ。
 6月26、27日にカナダのカナナスキスで開かれるサミットは、「対テロ戦争」を最大の柱とする帝国主義首脳会議だ。ブッシュはここでイラク攻撃について各国帝国主義の協力を取りつけ、世界戦争戦略を一層推し進めようとしている。日帝は、この反テロ・サミットをもテコとして、有事立法の成立をあくまで狙っているのだ。
 ブッシュの核先制攻撃宣言、未臨界核実験の強行など、イラク・北朝鮮への核先制攻撃がきわめて切迫したものとなっている。断じて許してはならない。
 わいろ・利権をほしいままにしてきた自民党・鈴木宗男の汚職事件は、小泉自民党の党ぐるみの犯罪である。こんな腐りきった小泉自民党政権の進める有事立法攻撃をどうして許すことができようか。
 福田の核武装=非核三原則破棄発言と防衛庁個人情報リスト問題は、有事立法攻撃そのものである。福田発言は、米帝が核戦争をやる時代の到来を想定して、日帝もやる気だということである。防衛庁リスト問題は、ついに軍隊が「国民監視」を始めたということだ。人民敵視のやり方に、労働者人民は腹の底からの怒りをたたきつけ、有事立法を絶対に粉砕しよう。
 個人情報の国家による一元的管理、支配の強化を狙う個人情報保護法案を粉砕しよう。8月5日からの住民基本台帳ネットワークシステム(全国民に11けたの背番号をつけ、個人情報を国家が管理する)の発動を許すな。大衆的闘いの爆発で阻止しよう。

 戦争動員への危機感と怒り

 有事立法が成立すれば真っ先に戦争動員の対象とされる陸・海・空・港湾労働者の危機感は鋭く、深い。船員は、かつて太平洋戦争で10万人以上が戦争動員され6万2千人以上が死亡した。海軍軍人の死亡率20%と比べても大変な犠牲者を出した。全日本海員組合発行の『海なお深く』(太平洋戦争・船員の体験手記)は、「それにしても、戦時中に船員が、軍国主義下での非人間的、消耗品並みの扱いを受けた屈辱は忘れることができない。こんな暗黒時代は二度とあってはならない」と語っている。まさに「船乗りは平和な海を希求する」は、船員の心からの願いなのだ。
 航空労働者も同様だ。軍事物資や兵員輸送に動員されれば、相手国の直接の攻撃にさらされる。空港で働く労働者も危険にさらされる。中谷元・防衛庁長官は「政府中枢への攻撃を阻止するために、ハイジャックされた民間航空機に対して自衛隊が武器使用する(=ミサイルで撃墜する)ことは合法だ」と言い放った(5・16国会答弁)。日帝・自衛隊自らが航空労働者と乗客を虐殺することもある、それは合法だと言ったのだ。こんなことが許されるか。断じて否だ! 「民間航空の軍事利用反対」「空の平和と安全を守れ」は、航空労働者の切なる願いである。
 陸・海・空・港湾労働者の願いは、6千万日本労働者階級の願いだ。だからこそ、ナショナルセンターや政党の違いを越え、有事立法反対の一点で、巨大な闘いを実現したのだ。この広範な統一戦線は、労働者階級の壮大な反戦総決起への発展の展望をもった、真に労働者的な闘いなのだ。
 また帝国主義の侵略・民族抑圧と闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民との国際的連帯の展望をもった闘いだ。
 米・日帝国主義のイラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争を阻止する闘いは、日本労働者階級の絶対的責務である。今こそ「米帝の世界戦争計画を許すな」「イラク侵略戦争阻止」「日帝の北朝鮮・中国侵略戦争法案粉砕」の闘いを大胆に持ち込み、労働者階級の有事立法反対、一切の戦争協力拒否の闘いを猛然と推し進めよう。
 連合の「有事立法賛成」の5・16見解の反労働者性を暴く討論を巻き起こし、連合傘下の労働者・労働組合の圧倒的な決起を実現しよう。陸・海・空・港湾労働者と連帯して闘おう。

 第3章 連合の屈服粉砕し7月決戦総決起へ

 7月決戦の第一の課題は、連合や日共スターリン主義の屈服と排外主義的な「テロ弾劾」キャンペーンを粉砕し、有事立法反対署名を水路に、労働者階級の階級的組織化を全力で推し進めることである。
 連合の「5・16見解」はけっして「有事立法反対」の立場ではない。「大規模テロなどの緊急事態に備える法整備は必要」と言っているのであり、いま出されている法案は不完全だから急いで成立させることは反対だと言っているのだ。そして、「どのように審議されるかを見極め……必要な対応をしていく」と述べ、法案賛成に回る道すら準備している。
 連合の主張は、日本帝国主義のイラク、北朝鮮・中国侵略戦争参戦のための有事立法攻撃の凶暴な狙いをおし隠し、日帝の侵略戦争を「自衛戦争」「テロ対策」の名のもとに容認していくものである。そもそも米帝ブッシュや日帝・小泉の「対テロ戦争」は、民族解放闘争圧殺の世界侵略戦争―世界戦争の攻撃である。侵略と民族抑圧に対するパレスチナ・中東・ムスリム人民、アジア人民の必死の抵抗闘争を「テロ」と言って非難し襲いかかっているのだ。最も非難されるべきは、帝国主義の侵略戦争と民族抑圧と大虐殺だ。
 ところが連合や日共はこれをまったく批判せず、「テロ対策は必要」と帝国主義の宣伝に屈服しているのだ。連合の有事立法賛成見解を打ち破り、連合傘下の労働組合の中から、有事立法絶対廃案の大きなうねりをつくり出そう。
 その最大かつ緊急の環は、有事立法反対の署名運動の圧倒的推進である。署名活動は有事立法阻止の大衆運動であり、「労働者の中へ」「大衆の中へ」の実践そのものである。キャラバン隊を組織しよう。街頭へ出よう。何よりも労働組合に大胆に持ち込み、単組・支部・分会での取り組みを強めよう。それを国会決戦へつなげよう。
 連合見解との闘いが猛然と開始された。国鉄決戦を闘ってきた全産別の同志、戦闘的労働者が、自らの職場・産別で、一段と飛躍した闘いを開始した。有事立法粉砕闘争は、職場での資本との力関係、労組御用幹部との力関係を革命的に変革する闘いである。
 この闘いは、7月国会決戦の力であり、8月広島・長崎反戦・反核闘争―今秋決戦へとほとばしる力となり、必ず成果を生む。NTT労働者が、大リストラ・労組破壊攻撃と対決して立ち上がっている。自治労、教労、全逓、民間を先頭に全産別で総決起しよう。
 第二の課題は、国鉄決戦への総決起である。1047人闘争の圧殺と国労解体を狙う与党3党声明を粉砕しよう。4党合意―与党3党声明に頭を垂れることは、有事立法に屈服することと同じなのである。有事立法反対運動を国鉄職場に持ち込み、4党合意賛成派に、有事立法反対の態度をはっきりと突きつけよう。全党は国鉄決戦態勢を強固に確立して決起しよう。7月代議員選に勝利し、9月定期大会へ、闘う国労の再生のために闘おう。
 第三の課題は、有事立法攻撃と闘う最前線、農民たたき出しと対決する三里塚闘争に決起することである。暫定滑走路の4・18供用開始後、敷地内農民に対する攻撃は激化している。絶対に許せない。反対同盟の呼びかけにこたえ、6・30現地緊急闘争に立とう。7・14関西新空港闘争に決起しよう。
 第四の課題は、夏期一時金カンパ闘争に総力決起することである。財政問題の死活性について組織討論を強め、全党一丸となって目標達成へ闘おう。
 第五の課題は、『前進』拡大闘争に総決起することである。階級情勢の激動化は、革命党にとって危機であると同時に飛躍の絶好のチャンスだ。激動情勢を主体の力に変え、党的に物質化する武器は革命党の機関紙だ。6・16闘争に決起したすべての労組指導部・活動家、青年労働者、学生に『前進』を勧め、定期購読を拡大しよう。
 そして、7・28関西―8・4東京の東西革共同政治集会に総結集しよう。
 最後に、それら一切の力を総結集し7月国会決戦を大爆発させることだ。反戦共同行動委の呼びかけにこたえ、全学連を先頭に労働者階級人民の実力で有事立法を廃案に追い込もう。郵政関連法案、医療制度改悪法案、医療観察法案=保安処分新法を粉砕しよう。
 今こそ〈北朝鮮・中国侵略戦争法案〉粉砕のスローガンをすべての闘う労働者人民のものとして闘うことが重要だ。陸・海・空・港湾労組20団体と連帯し、法案採決も修正論議も継続審議も粉砕せよ。7月国会決戦の戦闘的・大衆的発展をかちとろう。

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週刊『前進』(2059号1面2)

決戦に勝ちぬくため一層の資金カンパを

 すべての同志諸君。『前進』読者のみなさん。有事立法阻止決戦のただ中で、夏期一時金カンパを熱烈に訴えます。
 第一に、有事3法案の廃案をかちとり、巨大な有事立法・改憲阻止決戦にかちぬくための闘争資金が絶対的に必要となっているからです。
 6・16代々木公園は全国からの6万人を超える結集で埋め尽くされました。陸・海・空・港湾労組20団体を軸に、ナショナルセンターの枠を越える全階級的な統一戦線が形作られつつあります。「戦争許すまじ!」、この陣形の力こそ、有事立法・改憲阻止決戦の最大の土台となるものです。
 北朝鮮・中国侵略戦争法案は絶対に廃案に。この6〜7月こそいよいよ白熱的な闘いの時です。この切り開かれた地平の上に、さらにさらに闘いが必要です。そのための圧倒的な闘争資金が求められているのです。
 第二に、この有事立法決戦と一体のものとして闘われている国鉄決戦の勝利と全産別・全戦線での階級攻防の勝利のための闘争資金が必要です。
 02春闘と今年前半の階級攻防が突きつけているように、死の苦悶(くもん)にあえぐ日本帝国主義は、戦後的な労働者支配のあり方を根本から転換し、終身雇用制と年功序列型賃金制度の解体を主軸に歴史的な大失業攻撃に打って出てきています。そして連合は、その労働代官となって現場の怒りを押さえつけ、帝国主義的労働運動としての役割を担っています。
 JR総連カクマルに続いて、自らベアゼロとワークシェアリングを呼号し、組合員の大量首切りにも率先協力するNTT労組や電機連合の指導部。郵政公社=民営化推進の全逓本部。そして何より国労闘争団を切り捨て国労そのものを売り渡そうとする国労執行部。
 他方で、動労千葉の72時間ストライキを先頭とする3・30春闘総行動が闘われ、国鉄1047名闘争支援陣形の形成と闘う労働者の総結集、階級的労働運動の進撃が始まっています。
 革共同は、労働者党としての責務をかけて、国鉄決戦を主戦場に全産別・全戦線での勝利のために闘いぬく決意です。
 第三に、そのためにも、今こそ労働者階級の党の建設が急務であり、そのための圧倒的なカンパを訴えるものです。
 今日、私たちは明らかに歴史の転換点に立っています。すでに帝国主義の恐るべき世界戦争過程が始まっています。これに終止符を打つものは、反帝・反スターリン主義のプロレタリア世界革命以外にありません。
 革共同のこれまでの闘いは、数限りないみなさんの献身的なカンパによって支えられ、苦闘をともにして進んできた労働者階級の血と汗と涙の歴史でした。そしていよいよこれからが決戦本番です。昨秋9・11をもって新たな段階に突入した世界戦争情勢に対決する本格的な革命党建設のために、圧倒的な資金が必要です。
 21世紀革命勝利の突破口を開くために、これまでを倍する夏期一時金カンパの集中を訴えます。

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週刊『前進』(2059号2面1)

戦争法案許さぬ 廃案への怒りと熱気が最高潮
 6・16大集会 首都揺るがす大デモ 陸・海・空・港湾労組先頭に “STOP有事法制”の叫び

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 6月16日、代々木公園B地区で開催された「STOP!有事法制6・16全国大集会」には、6万人を超える労働者、市民、学生などが大結集した。陸・海・空・港湾労組20団体と平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットの呼びかけにこたえて、連合傘下からも多くの労働者が結集し、「継続審議も許さない。有事法制を絶対に廃案に」という決意とエネルギーに満ちた大集会がかちとられたのである。この労働者人民の力を解き放った時、有事立法は絶対に阻むことができる。6・16大集会に結集した巨大な力をさらに広げ、国会会期末まで1カ月、法案強行採決はもちろん、継続審議も絶対許さず、なんとしても有事3法案廃案をかちとるため、全力で闘い抜こう。
 集会の最後に、呼びかけ団体の陸・海・空・港湾労組20団体を代表して、航空安全推進会議の大野則行議長が閉会宣言に立った。
 「この会場には6万人を超える方が集まっています。しかもまだ、原宿から代々木から集まってくださっています。本当にありがとうございます。全国には、この有事法制を廃案に追い込むために闘っているまだまだ多くの方たちがいます。その方たちとともに、政府・与党に糾弾の声をあげましょう」と力強く提起し、集会宣言(別掲)を読み上げた。
 そして「声を合わせ、心をひとつにし、右手のこぶしを高々とあげて、私たちの思いを表しましょう」という大野議長の音頭に合わせて「有事法制反対! 戦争協力反対! 戦争動員反対! いのちと安全を守ろう! 有事法制を廃案にしよう! 有事法制を廃案にしよう!」と、6万人のシュプレヒコールがとどろきわたった。
 集会に先立ち、ステージでは午後0時20分、和太鼓演奏が始まった。その間も、原宿駅から代々木公園への結集は尽きることなく続く。オープニングのトランペット演奏では「原爆許すまじ」などのメドレーが高らかに響きわたった。
 いよいよ午後1時、全国大集会が始まった。ステージ前は、最後方の参加者が見えないほど、人の波で埋め尽くされた。またサッカー場を隔てて設置された第2会場も、完全に埋め尽くされた。
 司会は、航空安全推進会議の中川香事務局次長。中川さんは、第2会場でオーロラビジョンを見ている参加者にも元気なエールを送った。
 まず開会宣言を、平和をつくり出す宗教者ネットの石川勇吉上人が行った。「マスコミは有事法制について、政府与党が継続審議の方針を固めたと伝えています。しかしみなさん、私たちの願いは、継続審議ではなく廃案です」。会場全体から「そうだ!」の声があがる。「全国で市民、労働組合、文化人、法律家、青年・学生が立ち上がっています。私たちの闘いいかんによっては、有事法制を廃案にできる展望が生まれています」と述べた。
 日赤病院看護師の三村真理子さんが「ハイアン(廃案)募金」の訴えを行った。「人の命を守ることが私たちの仕事です。人を殺す戦争の手伝いはしたくありません」ときっぱりと表明した。真剣な訴えに、カンパ袋には続々とカンパが寄せられた。
 続いて、「ゼッタイ・ハイアン」各界アピールが行われた。集会の賛同人で脚本家の小山内美江子さん、沖縄から基地をなくし世界の平和を求める平和市民連絡会の本永春樹さん、日本共産党の志位和夫委員長、社民党の土井たか子党首、民主党の生方幸夫衆院議員、日弁連の伊礼勇吉副会長、全労連、東京高校生平和ゼミナールの高校生が次々と発言した。
 沖縄から参加した本永さんは「6月8日に沖縄・北谷町で5500人の有事法制反対集会を成功させました。沖縄戦で親やきょうだいを殺され、戦中戦後土地を基地に奪われていった人たちの証言もありました。もう二度と沖縄の基地からアジアへの侵略を許してはなりません」と訴えた。参加者は、沖縄人民とともに有事法制廃案へ闘い抜く決意を固くした。
 アピールの最後に発言したのは、全日本海員組合の片岡和夫副組合長だ。「私は、世界にまたがって船舶に乗り組む船員の代表として、有事法制を絶対に廃案にする決意をもってまいりました。私たち船員にとって有事法制は、かつて船員徴用令により根こそぎ戦時動員され、6万人余が犠牲となった悪夢を思い起こさせます。船員は戦後も、少なからぬ仲間を戦争で失った労働者集団です。一昨年、神戸に開設した『戦没した船と海員の資料館』の鎮魂の碑には『海洋国日本にとって、平和な海は絶対の生存条件であり、われわれ船員は再び海を戦場にしてはならないと決意する』と刻まれています。有事法制をなんとしても廃案に持ち込み、二度と日の目を見ることのないよう、完全にお蔵入りさせなければなりません」。固い決意に燃えた片岡さんの発言に、拍手がなりやまなかった。

 3つのコースで長蛇の行進

 集会終了後、参加者は宮下公園コース、明治公園コース、新宿コースの3つに分かれてデモに立った。
 呼びかけ団体・労組20団体は、渋谷駅方向に向かう宮下公園コースだ。先頭には制服姿の航空労働者、医療労働者、宗教者が立ち、「STOP!有事法制」の横断幕を掲げた。そろいのたすきを身につけのぼり旗を立てた「憲法と人権の日弁連をめざす会」の弁護士が続いた。
 「民間航空の軍事利用反対」の横断幕を掲げ、のぼり旗を林立させた航空労働者。「有事法制に反対」のポスターを高々と掲げた港湾労働者。マリンブルーの旗を掲げた全日本海員組合の隊列には、青年労働者も多く参加した。
 6・16全国大集会には、連合指導部の制動を打ち破って、連合傘下の自治労、日教組、全逓などから多くの労働者が参加した。自治体労働者は東京や関東各県などから各単組や支部の旗を掲げて結集した。日教組傘下の教育労働者や都労連傘下の労働者も、それぞれ組合旗を掲げて結集した。「有事法制賛成」の連合見解を打ち破る現場労働者の必死の奮闘によりかちとられた決起だ。
 日本の労働者人民の「二度と戦争の過ちは繰り返さない」という心の底からの誓いが、「今こそ有事法制を絶対廃案へ」という巨大な奔流となって動き始めた。この闘いの先頭に、真っ先に戦争動員の対象とされる交通・運輸労働者が根底的な危機感を持って立ち上がっている。また自治体、医療、教育、建設、民間などの労働者も大きく決起を開始している。この怒りと危機感を全労働者人民のものとして、〈北朝鮮・中国侵略戦争法案〉粉砕の闘いをさらに押し広げよう。7月国会決戦の爆発で絶対に廃案をかちとろう。

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週刊『前進』(2059号2面2)

百万人署名が3千人 廃案へ心をひとつに

 6月16日、代々木公園に集まった大集会の中で、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」は、全国から3000人もが集まり長い列をつくった。黄色いサンバイザーをかぶった人波がひときわ目立った。
 集会参加者が膨大なので長い間デモ出発の順番を待つことになった。特に明治公園コースは最後尾が出発するまで2時間かかった。その間、それぞれの団体が独自の集会を開いた。
 百万人署名運動は、事務局次長の小田原紀雄さんがマイクを握り、前日の全国集会の報告をし、有事法制阻止へ署名拡大を訴えた。
 大阪から参加した小西弘泰高槻市議は、高槻から80人が参加していることを報告、「医療制度改悪も戦争と軌を一にしたもの」と暴露した。さらに、山陰・松江、富山、岡山、神奈川など各地の連絡会から闘いの報告があった。
 月刊小新聞「野火」を発行する桜井善作さんは、「絶対に戦争してはならない」と熱烈に訴えた。
 また、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長が連帯発言を行い、「反戦反核の砦(とりで)三里塚から有事立法反対に立ち上がる」と宣言した。北富士忍草母の会の天野美恵さんや部落解放同盟全国連合会、国鉄千葉動力車労働組合も多数参加していることが報告された。
 本集会終了から2時間、百万人署名運動のデモ出発の番になった。高齢者がデモ隊列に数多く加わり、組合旗が何本も翻った。白衣の医療労働者、若者が行進し、子ども連れも目立った。あらゆる年齢層、無数の団体が延々と続いた。緑や青、黄色ののぼりが林立した長蛇の隊列はこれまで経験したことのない光景だった。工夫をこらしたプラカードやデコレーションの隊列。原宿駅前の雑踏の横を進むデモ隊列は、ひときわ大きな注目を集めた。

 不当逮捕はね返し学生デモ

 全国から結集した学生は、明治公園コースの最後尾で意気高くデモをした。警察権力がデモに襲いかかり、不当にも2人の学生を逮捕した。沿道の声援にこたえ、弾圧にひるむことなく最後まで闘いを貫いた。

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週刊『前進』(2059号2面3)

集会宣言

 「有事関連三法案を廃案にしよう」−この思いをアピールするために、私たちは、ここ東京・代々木公園に全国から集まりました。これは、4月19日、5月24日に続いて三回目の大集会です。
 「有事関連三法案」は、アメリカが起こす武力攻撃に公然と加担し、日本を戦争のできる国にするものです。罰則付きで国民を強制し、地方自治体、赤十字やNHKなどの「指定公共機関」、国の行政機関を総動員するもので、まさに国を挙げての「戦争遂行法案」であります。
 私たちは「有事法制」で脅威を作り出すより、「平和」を訴えることこそが戦争を防ぐ道であると確信します。
 私たちは、いのちと安全、人権を尊重し、平和な暮らしを求める立場から、有事法制の危険をもっと多くの人たちに知らせ、「有事関連三法案」の廃案までたたかい続けることを宣言します。
 2002年6月16日
 STOP!有事法制  6・16全国大集会

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週刊『前進』(2059号2面4)

人事交流粉砕へ70人が決起 近畿郵政局弾劾

 近畿郵政局は4月25日、人事交流という名の強制配転を行った。自らのダイレクトメール汚職、不正選挙を恥じることなく、またも900人という大規模な強制配転を発令したのだ。「新集配システム」、パワーアップモデル局の指定などの組合つぶしと連動した、悪らつな人事交流である。
 これに対し5月15日、全逓労働者を先頭に70人の集会とデモで近畿郵政局に怒りをたたきつけた。こうした人事交流反対闘争は、一昨年以来、不屈に積み上げられている。
 昨年、31年勤務した京都西陣局から兵庫尼崎局に強制配転された労働者が司会をし、小泉「構造改革」がどんづまりの危機にあること、有事法制反対と郵政公社化−民営化反対をともに闘うこと、米帝の世界戦争政策に反対し、本日の闘いを意気高く闘おうと訴えた。主催者代表が「人事交流の本質は組合破壊と強制退職に追い込むリストラ政策だ。有事立法反対・強制配転反対の闘いとして断固闘おう」と呼びかけた。
 支援のあいさつが続き、港合同の労働者が、関西合同労組成友印刷分会にかけられた不当弾圧(雇用保険の仮給付受給を詐欺とし、倒産攻撃に対し自主再建をめざす組合活動を否定する攻撃)への反撃を訴えた。
 今回の人事交流で配転された3人の労働者が決意を表明し、その不屈の意志は集会全体の決意になった。
 東灘局の「反対する会」副代表の団結ガンバローで集会を終え、近畿郵政局を2周し、天満橋駅に至る弾劾デモを打ち抜いて、有事法制反対、強制配転・郵政民営化反対のシュプレヒコールをとどろかせた。
 (投稿/全逓労働者 T)

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週刊『前進』(2059号2面5)

資本攻勢&労働日誌 2002 6月1日〜13日
 鉄鋼労連 ベア要求否定の春闘総括
 企業年金加入者4.9%減/ILOが公務員改革批判

●1日 日本労働弁護団が全国一斉に「リストラ110番」を実施。給与が払われない、一方的に解雇されたなど、深刻な訴えが計604件寄せられた。
●3日 鉄鋼労連は4日まで春闘総括の中央討論集会を開催。「ベア要求2年に1度」との論議があったという報道も。(要旨別掲
◇政府の経済財政諮問会議は「経済活性化戦略」をまとめた。雇用労働に関する分野では、(1)派遣労働の対象範囲拡大など労働制度を引き続き見直す、(2)解雇の基準やルールを立法で明示する、(3)雇用保険3事業の抜本的合理化、などを挙げている。
◇厚労省発表の4月の毎月勤労統計調査(速報)では、製造業の残業時間は前年同月比2.7%減で14カ月連続で減少した。(17日発表確報
●4日 竹中経済財政担当相や政府の財政制度審議会の公務員賃下げ論を受けて、日経新聞が社説で「公務員賃下げ」を提唱。
●5日 厚労省は、これまで厚生年金に加入していなかったパート労働者に厚生年金の適用を拡大する方向で本格的な検討に入った。厚労省が同日開いた「雇用と年金に関する研究会」の初会合で一致し、年末に向け検討を進める。
●6日 厚労省が発表した労働経済動向調査によると、来春の新規学卒者の採用予定数について、今春の採用実績より「減少」と答えた企業が「増加」と答えた企業を2年ぶりに上回った。
●10日 今年3月末現在の企業年金加入者総数が前年より4.9%減の2019万人となり、3年連続で減ったことが信託協会や生命保険協会などのまとめで分かった。
●11日 ILO(国際労働機関)の条約勧告適用委員会で、「労働基本権の制約を維持する」とした日本政府の公務員制度改革大綱にアメリカなど各国の労働団体から批判が集中。議長集約は人勧制度の問題点をあらためて指摘し、団体交渉による労働条件決定を定めた98号条約の全面適用に向けて改善措置を取るよう求めている。
◇連合は12日まで政策・制度中央討論集会を開いた。有事法制について「地方で幅広い反対運動が広がっており連合はその先頭に立つべきだ」(全国一般)との意見が出る一方、「政府案には欠陥があるが、テロや不審船など非常時に備えるものは必要」(造船重機労連)との見解表明も。
◇第3回総合規制改革会議に日本経団連は「経済活性化に向けた規制改革緊急要望」を提出、「労働者派遣法における派遣対象業務の拡大と派遣期間制限の見直し」や「有期労働契約における派遣期間制限の緩和」を要望した。
●13日 日本経団連が発表した今年夏の一時金の妥結額調査の中間集計によると、大手168社の平均妥結額は74万4840円と、昨年夏より1.47%減少した。

 鉄鋼労連春闘総括集会での鉄鋼労連中央の発言(要旨)

●ベア要求放棄を開き直り
「雇用春闘にまじめに取り組み、実践した産別は鉄鋼しかない」
●春闘を放棄し、政策提言路線
「労働側は生産性上昇率や支払い能力論だけで対峙できるかどうか疑問」「経済政策と運動で賃上げを求めるドイツのIGメタル(金属産業労組)の例を真剣に考えなければならない」と、「骨太の経済政策」を提唱。
●資本の尻押しを提唱
「組合員は『自動車メーカーのボーナスはなぜあんなにいいのか』と言っている。業種間搾取ではないのか」との声に「日産もトヨタも一層の値下げ計画を持っている。逆提案を払いのけ値上げ要求を通す必要がある。経営側にエールを送り、しりをたたきたい」

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週刊『前進』(2059号3面1)

戦争法案許さぬ 廃案への怒りと熱気が最高潮
 6・15上野 百万人署名 各地の連絡会勢ぞろい 老若男女、反戦の思い語る

 「とめよう戦争への道!百万人署名運動」主催の「つぶせ!有事法制6・15全国集会」が、6月15日午後、東京・上野公園水上音楽堂で行われ、大きな成功をおさめた。この集会の意義と今後の闘いの方針について、事務局次長の小田原紀雄さんに寄稿していただいた。(編集局)

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 運動の飛躍をかけて7月50万署名達成を
 百万人署名運動事務局次長 小田原紀雄さん

 87万人の署名を集めた実績を持つ百万人署名運動ではあるが、自発性に基づく、出入り自由な不定形な大衆運動にとって、新たな課題に取り組む時は常に運動の新たな起ち上げである。
 「戦争法」としか表現しようのない「有事法制」に対して、再度百万人署名を提起し、署名を集める過程での情宣活動を通した対話によって、広範な民衆にこの法律の危険極まりない性格を伝えていくこと、全国各地に澎湃(ほうはい)として生まれた連絡会がそれぞれの地域性と会の個性に応じて創意工夫をした活動を展開するという、中央集約型の運動にはない自由さをわれわれは最も大切にしてきた。それが、かつてあった激しい妨害活動からの影響を最小限度にとどめ、逆に運動を大きく発展させることになった。その証しが、「つぶせ!有事法制6・15全国集会」であった。
 20労組から呼びかけられた6・16集会の前段集会であり、また反安保闘争の記念すべき日である6・15に、百万人署名運動は上野公園水上音楽堂に全国から集まり、各地からの運動報告を集会の要に置いて、それぞれが経験を交流し、共に有事法制を廃案に追い込む運動の仲間としての確認をし合った。北海道から沖縄まで、まだ連絡会を形成できていない地域からも含めて全国の仲間950人が参加した。
 そこで確認された当面の方針等については以下の記事に譲るが、この集会の何よりの成果は、小異を互いに認め合いつつ「反戦」の志を持った者が広範に集まったことであろう。地域によっては日本共産党との課題別共闘を推進していたり、宗教者との固い結合を獲得していたり、もちろん社民党系、新社会党系の諸運動とも共闘関係にあるという報告もなされ、地域の労働組合への協力要請も積極的になされている。
 互いにレッテル貼りをして運動の足を引っ張り合っているようなことで、小泉政権の突然の思いつきなどではない、戦後保守政治が一貫して狙ってきた戦争のできる国家体制の構築に立ち向かえるはずがない。
 百万人署名運動は、他の運動をあれこれ言うのではなく、まず自らがこれまでの運動の在り方の誤りを克服することを通して、本当に有事法制を阻止する闘いを創り出すことを追求してきた。
 現在20万筆をこえたが目標まではまだ遠い。具体的な成果だけでなく、運動の在り方そのものもいまだしである。しかし、悲観もしていない。緒に着いたばかりなのだから。(日本基督教団靖国・天皇制問題情報センター)

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 950人参加で盛り上がり

 「つぶせ!有事法制6・15全国集会」には全国から950人が集まった。30近い各連絡会の代表などが登壇し、それぞれの取り組みの報告や戦争と有事法制反対の思いを訴えた。国会での継続審議を許さず廃案に追い込むこと、7月末までに50万筆の署名を達成することなどが確認された。
 集会は歌のライブから始まった。「♪ユージ(有事)くんを知ってるかい? 知らないとヤバイことになるらしい」という歌詞の「ユージくん」は会場から一緒に歌う声が呼応した。
 続いて「沖縄」「平和」などをテーマに音楽活動を続ける『寿(ことぶき)』の2人が登場した。ボーカルのナビィさんが、名護新基地建設問題の話題にふれながら「軍事のない世の中をつくりたい」とトーク。「我ったーネット」「ひとつのおもい」などを歌った。三線(さんしん)メロディーの「あかたすーどぅんち」では参加者がカチャーシーを踊り出し、大いに盛り上がった。
 呼びかけ人である早稲田大学名誉教授の佐藤昭夫さん(写真下)が開会あいさつを行った。法案は、武力攻撃事態の「おそれ」や「予測」と称して権力や軍が思いのままに武力攻撃を行う「武力行使授権法」であり、戦時の常態化が起こると深い憂慮を表明し廃案を訴えた。
 2月の名護市長選を新基地建設反対を訴えて闘った宮城康博さんが沖縄から駆けつけた。97年の市民投票の話題から始めた宮城さんは、名護の新基地建設は最初から、日本が有事法制で戦争のできる国になる一環だったと話した。そして辺野古の海を守るために闘うオバーやオジーたちの戦争反対の思いを語り゛軍隊は人民を守らない。軍隊は軍隊を守る″のが戦争の真理だと訴えた。(要旨別掲)
 航空労組連絡会の「戦争ともなれば真っ先に動員される私たち航空労働者は、戦争の被害者にも加害者にもならない決意のもと、人のいのちと空の安全を守るため、陸海港湾の仲間と共に精一杯たたかいます」というメッセージが紹介され、翌日に迫った「STOP!有事法制6・16全国大集会」が呼びかけられた。国会議員からのメッセージも紹介された。
 憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士が発言した。高山さんは「日本国憲法は、私たち法律家の基本精神」と語り、継続審議を許さず有事法制を廃案にしようと訴えた。また司法改革は、司法のあり方を暗黒の治安司法に変え戦争体制をつくることが狙いだと話し、「我が国の防衛」「東洋平和」というまやかしを見抜けなかった戦前の弁護士の轍(てつ)はけっして踏まない、と闘いの決意を語った。

 各地の代表が登壇し報告

 続いて集会のハイライトである各地からの報告とアピールに移った。各地の連絡会の代表が登壇し、老若男女、多彩な顔ぶれが並んだ。司会が団体名と代表者の名前を紹介した。それぞれ紹介されると会場から拍手やかけ声がかかる。壇上からは手を挙げたり幟(のぼり)を振ったりして参加者にこたえ、会場全体が一体感に包まれた。
 福岡の女性は、「敗戦を迎えた時、子どもだった私の『(戦争で)死にたくない』という気持ちを表したのが憲法だった。これで安心して生きられると思った」と話した。山陰の青年は目標の1万5000筆の署名を必ず達成する、と決意を語った。
 広島の女性は「広島で被爆した多くの人は、国民総動員で(軍都だった)広島市内での作業に従事していた人だった」と語り、8月6日のヒロシマ大行動への参加を呼びかけた。愛媛の男性は、6月14日に、愛媛県では30年ぶりという社共共闘での1300人による有事法制の反対集会を行ったことを報告した。
 京都の若者は、党派や立場の違いを超えてさまざまな集会や学習会に参加して、自分たちの考えを臆せず積極的に訴える中で、運動が大きく広がり始めたことをエピソードを交えて報告した。愛知の女性は、4月16日の閣議決定の時の自分たちの座り込みが報道され、そこからドンドン運動が拡大し、ついには6月5日に5000人の集会になったと報告した。また42年前の6月15日、樺さんの死を賭した闘いで自分の人生は変わったと話し、60年安保闘争を超える情熱と覚悟で闘おうと熱く訴えた。
 東京からは三多摩の男性が6600筆の署名と30万円のカンパが集まった都内キャラバンや850人が集まった八王子の集会とデモなどを報告。千葉の女性は、相手の目を見てお願いするのが大切と署名の゛極意″を語った。新潟の男性は公聴会の抗議行動の報告を行った。最後に法政大学の学生が発言した。
 百万人署名運動の今後の方向が事務局次長の小田原紀雄さんから提起された。国会会期中の成立を阻んだことは全国の民衆の反戦の闘いの成果だと総括。延長国会中も気を緩めず廃案まで闘うことをあらためて呼びかけた。当初、立ち上がりが遅れた署名運動も、最近は毎日3〜4000筆の署名が集まり、すでに18万筆を超えた。しかし目標の5分の1にも達してないと一層の奮闘を呼びかけ、今後、全国各地でキャラバンを行い、延長国会中に50万筆の署名を集めることを提起し、集会をまとめた。
 集会後、参加者は上野、池袋、新宿、渋谷の4駅頭で街宣を行い、3300筆の署名を集めた。

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週刊『前進』(2059号3面2)

軍隊は人民守らぬ 前名護市議 宮城康博さん

 97年に名護市民が、新しい米海兵隊の基地建設をめぐる住民投票を行った時、条件付き賛成派の人びとは、反対派は戦争が来ると言ってお年寄りや女、子どもを不安に駆り立てていると誹謗(ひぼう)しました。
 住民投票の時、私は一度も「戦争が来る」というような話はしませんでしたが今から考えてみると、あの時すでに、有事法制で戦争のできる国になろうとする動きの一環として、米海兵隊の航空基地の建設があったと断じざるを得ません。それをくい止めてきたのは、名護市民が示した反対の意思です。あれから5年たっても杭(くい)一本立っていない。
 住民投票以降、政府はとにかくお金で沖縄県民を懐柔しようと真剣に取り組んできました。サミット、2千円札しかりです。しかし、2月の市長選で政府に反対の意思を示した名護市民の私への1万有余の票は本当に大きい。
 海が米軍基地でつぶされようとしている辺野古のオバー、オジーたちに、こんなにも仲間がいることを見せたい。辺野古のオバーたちは孤独で厳しい闘いを強いられています。辺野古の海は戦後、物資も食べる物もない時に辺野古の人びとの命を救ったのです。戦争だけはさせない、この海を次の世代につなげるのが仕事だと70代、80代、90いくつの人が頑張っている。
 軍隊は人民を守らない。軍隊は軍隊を守る――これが戦争の真理です。これを肝に銘じて、有事法制を廃案にしましょう。基地のない沖縄にするために、日本の人民の平和の願いを実現するために、みんなで力を合わせて頑張ろう。

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週刊『前進』(2059号3面3)

都内4駅で大街宣

 「つぶせ!有事法制6・15全国集会」の終了後、集会参加者で、上野、池袋、新宿、渋谷の4駅頭で大街宣を行いました(写真は新宿駅西口)。各駅100人を超える大街宣は壮観で、駅頭の雰囲気を一変しました。
 私は新宿駅西口での街宣に参加しました。子どもを抱きながら署名を集める若いお母さん、40年ぶりに署名板を持つという男性。交代でマイクを手に広島の被爆者や女性たちが戦争体験を語り、戦争を繰り返してはならないと訴えました。人波の中で必死に声をかけ、署名を集めました。わずか1時間の街宣でしたが、4駅で計3300筆の署名が集まりました。
 (投稿 T・N)

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週刊『前進』(2059号3面4)

労組主軸に反戦の渦 関西、九州で大規模集会

 1万人規模の御堂筋デモ 6・8大阪

 6月8日午後、平和フォーラム関西ブロック主催の「有事法制の廃案を要求する関西集会」が1万人規模で開かれ、大阪・扇町公園から難波までの御堂筋デモが十数年ぶりに行われました。連合中央の反動的な「有事関連3法案に対する見解」にもかかわらず、有事法制絶対反対の闘いが爆発し始めたのです。
 本集会に先立ち、自治労青婦部の独自集会、自治労近畿地連の決起集会が行われ、各府県の代表は連合の見解などまったく問題にせず、戦争法案阻止の一点で闘おうと訴えました。
 本集会では、主催者あいさつ、情勢報告(基調)に続き、沖縄から特別報告として「基地はいらない宜野湾市民の会」副代表の石川元平さんが沖縄の過去・現実の告発を行い、有事法は国民を守るものではないことを突き出しました。
 いよいよ御堂筋デモへの進撃です。地元大阪の隊列は大阪市職、市従青年部の若々しい隊列が有事立法反対、安保粉砕のシュプレヒコールを力いっぱい叫んで行進し、自治労の大隊列の後に各県教組が「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて続きました。
 労組隊列に続いて、百万人署名運動や関西反戦共同行動委の隊列が1時間後にようやく出発。飛び入り参加の労働者も含め、最後までデモを貫徹しました。
 4、5月以来の闘いの高揚の中で、連合支配下の労働者が青年の決起を先頭に連合指導部の思惑を超えて決起する情勢がつくり出されつつあります。関西の地でも、万といえる労働者大衆がついに立ち上がり始めたのです。 (投稿 N)

 九州各地から7500人 6・9福岡

 6月9日、福岡市須崎公園で九州ブロック各県労組会議などが主催の「6・9許すな有事立法! 九州ブロック総決起集会」が開かれた。7500人が結集し集会とデモが行われた。
 参加者は有事立法反対の横断幕をつけた大型バスに分乗し、九州各県から集まった。沖縄から多くの労働者が参加し、平和運動センター議長の崎山嗣幸さんが決意表明を行った。法案で指定公共機関とされる全港湾の博多支部委員長や日放労九州支部の代表が決意表明をした。
 有事立法反対闘争は大きなうねりを見せ始めた。4・28に福岡市で開催された集会とデモを皮切りに、九州各県・各地で集会・デモ・座り込み・学習会が開催されている。
 この闘いを地熱に十万人、百万人の決起と実力闘争が結合する時、必ず有事立法粉砕と小泉政権打倒は勝利する。マスコミは「有事法制成立困難」などと武装解除のキャンペーンを行っている。秒読み段階に入った米帝のイラク侵略戦争と、北朝鮮・中国侵略戦争の切迫の中で、日帝・小泉政権は死の苦悶(くもん)にあえぎながら必死に参戦しようとしている。小泉政権の延命は有事立法強行成立以外にない。延長国会を阻止せよ。衆院採決阻止が最大の攻防点だ。全国から国会に結集し、実力闘争で採決を阻止し、廃案に追い込もう。 (投稿 K)

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週刊『前進』(2059号3面5)

動労千葉 団結の力ここにあり ストはいかに実現されたか (4)
 スト圧殺策動との対決 最後は会社に謝罪させる

 「立ち上がり」

 動労千葉はいよいよ28日、ストライキに突入した。乗務員の全面ストライキは29〜30日の2日間だが、28日から泊まり勤務の乗務員がストに入った。
 一方、千葉支社当局はスト圧殺策動を強めていた。ストの正式な通知は26日だが、その1週間くらい前から東労組の組合員へのスト破りの呼び出しを開始していた。そして、「立ち上がり」の場面で午前0時まで職場への入構を一切拒否すると通告してきたのだ。「立ち上がり」とは、ストを終了して勤務に戻ること。30日の泊まり勤務者は31日もストを続行するが、31日の日勤行路の者は乗務することになっていた。最も早い勤務は31日午前3時台の「前泊行路」。通常は前夜に宿泊して乗務する。ところが当局は、乗務員に前夜の睡眠時間もとらせないという「スト対策」をとったのだ。
 「当局は、ある種の呪縛(じゅばく)にとらわれて、午前0時まで職場に入れなければ、動労千葉は乗務員を寝させないで乗務させることはないだろうから、翌日も戦術を拡大するはずだ、と勝手に判断して、代務を用意した」(田中委員長)というのだ。
 「当局は『戦術拡大の通知はいつしてくれるんですか』と聞いてくる。それに対して『当局に強く抗議する。ストの戦術は通知してあるとおりだ』と対応する。今度は、31日午前8時以前に出勤の者は『不価値労働にする』、つまり就労とは認めないと言い出して、大げんかになる」
 結局、当局は撤回したが、今度は「就労を認めるが、予備勤務にする」として、あくまでも代務の東労組組合員に乗務させるというのだ。動労千葉は、31日の予備勤務者はストに入れると通告していた。泊まり勤務でスト続行中の組合員の代務に予備勤務者が使われてしまうからだ。だから、31日に予備勤務に指定されれば、動労千葉としては当然にもスト対象にせざるを得ない。
 そもそも組合が初めからストライキに指定している勤務に勤務指定をするとは、とんでもないことだ。 千葉支社は、「本社の指令どおりにやっただけで、それは自分たちもおかしいと思う。でもこうするしかなかったんです。申し訳ありません」と言って、全部撤回した。最終的には30日の夜まで交渉が行われ、「通常どおり出勤してください」と言わざるを得なかった。
 東労組の組合員をスト破りの代務の勤務指定から解除するわけにもいかず、彼らを予備勤務にした。

 木更津の攻防

 千葉支社のスト圧殺策動との攻防の焦点になったのは木更津支部だ。内房線木更津駅から房総半島の真ん中の上総亀山駅まで走る久留里線の運転職場で、ほぼ100%を動労千葉組合員が占める。ストに入れば100%運休する。
 多田敬治郎支部長は「木更津支部はしゃきっとしているよ。一枚岩だから」と自信たっぷり。
 久留里線は枝線で、地域住民の生活線という性格が強いため、動労千葉は30日1日のみのストにすると通知していた。ところが、支社は、「久留里線は31日は運行率ゼロ」と発表した。
 「おれらはやる気になれば前倒しでも戦術拡大でも、なんでもできる。しかし今回はそこまでやらない、動かすと言っているのに、そういうことをやるのは理解できない」と多田支部長は当局の対応にあきれた様子だ。

 支社は大混乱に

 久留里線では通常、運転士は夜、終点の亀山に泊まって、翌朝4時くらいに起きて乗務する。だから、立ち上がりの時には支部で車を手配して亀山まで送って、翌朝の乗務に備える。ところが午前0時まで職場に入れないというのだ。
 また、30日午前0時でストに入るから、亀山でストに突入する組合員を車で迎えに行く。木更津に出勤してそこで着替えて私服をロッカーに置いているから、木更津に戻って私服に着替えるということで現場長とは話がついていた。ところが、「これもスト中だから職場に入れない」と言ってきたというのだ。
 支社は本社の指示で、なんとか動労千葉に敗北感を強制しようとして、めちゃくちゃな対応をする。現場長はそのとおりにやろうとして混乱する。
 結局、木更津支部も、あらゆるスト破壊策動を打ち破ってストを貫徹し、通常どおりの勤務に就いた。
 「最終的に当局が謝って、組合が威張ってストを終わった。そういう力関係でストを終わることができた」と田中委員長は言う。
 スト参加者は地上勤務者と貨物の労働者を含め、全体で延べ546人、運休本数は647本に上った。
 (つづく)
 〔本紙・大沢 康〕

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週刊『前進』(2059号4面1)

三里塚暫定開港に猛反撃を
排ガス噴射と頭上40メートル騒音の殺人的な生活破壊を粉砕せよ
 斉田 猛

 “国家権力への屈服は誇りが許さない”

 三里塚闘争は、開港後の新たな決戦過程に入った。
 4・18開港は、反対同盟に対して殺人的な環境と生活・営農破壊を強制している。天神峰・東峰では、朝6時から夜11時まで、90から100デシベルという電車のガード下なみの騒音が押し寄せている。芝山町の菱田や千代田地区でも75から85デシベルという地下鉄車内なみの轟音(ごうおん)が生活の平穏を破壊している。
 必要のない欠陥滑走路を反対農民たたき出しのためだけに運航し、重さ200dにもなるボーイング767、777などの巨大ジェット機を、農民の頭上40bに飛ばしている。半永久的な騒音地獄を三里塚農民に強いているのだ。
 これが、反対同盟や空港反対農民に今現在加えられている攻撃である。国土交通省・空港公団は、まさにこの殺人的農民殺しをもって、反対同盟のたたき出しを狙っているのだ。
 しかし、これほどまでに理不尽な国家的地上げ・農民たたき出し攻撃に対して、反対同盟は、あくまで闘いの陣形を守り抜き、「国家暴力に屈服することは人間としての誇りが許さない」(北原事務局長)との固い決意で闘い抜いている。
 これまで同盟は、「2000年度平行滑走路完成攻撃」を打ち砕き、「暫定滑走路建設の発表」(99年5月)に屈せず、「同滑走路の着工」(99年12月)、「軒先工事(〜01年10月)」、「暫定滑走路完成、テスト飛行(01年10月〜02年4月)」という連続的な国家的地上げ攻撃と闘ってきた。そして、暫定滑走路開港と開港後の騒音たたき出し攻撃に対しても、断固として反撃に立ち上がる方針を決めた。
 反対同盟は5月12日、拡大実行役員会を開き、当面する4つの闘争方針を決定した。これは開港後の新たな三里塚闘争の前進のための道筋である。
 方針の第一は6月24日から始まる東峰神社名義書換要求裁判を反対同盟としても全力で取り組むことである。同盟は大衆的な傍聴闘争を呼びかけている。
 第二が、新たに騒音地獄にたたき込まれている滑走路南北の騒音地域に対して、一大情宣活動、対面聞き取り調査などを行い、空港反対闘争を拡大していく闘いである。滑走路を800bも北にずらして開港したことによって、暫定滑走路北側では、本来であれば騒音地域にならない所まで騒音地獄にたたき込まれている。こうした地域を中心に空港南北で怒りの声が渦巻いている。反対同盟のもとに激励や支援の声が届いている。空港反対闘争をつぶすために開業した暫定滑走路が逆に闘いを拡大させ、〃暫定滑走路を閉鎖せよ”の声で包囲されるような展望が生まれている。
 第三が、限度を超える環境破壊に対し、抵抗闘争を貫いていくための生活防衛を闘いの一環として取り組んでいくことである。反対同盟は成田市に対し対策フェンス設置など、実効ある対策を直ちに取るように要求した。
 第四が、以上のような開港後の新たな三里塚闘争の局面について、全国の労農学に向かってアピールし、新たな三里塚闘争への決起を呼びかける闘いである。反対同盟は5・226有事立法反対全国総決起集会、6・16集会などに参加して有事立法粉砕闘争の先頭に立つとともに、暫定滑走路閉鎖に向けた闘いへの決起を訴えている。
 こうした闘争方針を実現するものとして反対同盟は6・30緊急現地闘争を決定した。6・30闘争は、開港後のたたき出し攻撃総体に対する反撃の第一弾である。反対同盟は総力結集を訴えている。アピールに全力でこたえ、闘いの爆発をかちとろう。
 このように反対同盟が、4・18開港攻撃、開港後の騒音・排気ガス地獄をはねのけて前進し始めたことは、日帝・空港公団に大きな打撃を与えている。「ジェット機の騒音には耐えられまい」「農民は出て行くはず」という、暫定滑走路延長のための一切の前提が打ち砕かれたのだ。「ジャンボ機も飛べない」という欠陥滑走路が欠陥のまま固定化し、成田空港の完成が永遠に不可能になるという最悪のシナリオが現実化してきたのだ。
 反対同盟の意気は軒昂(けんこう)である。

 8空整でハブ空港争奪戦の完敗自認

 闘争開始以来37年にもわたって闘い続けてきた三里塚闘争は、日帝の空港建設政策に致命的打撃を与えている。国土交通省は今年8月末に発表する8次空整(第8次空港整備5カ年計画=2003年から2007年)の中間報告において「ハブ空港の建設を断念する」旨を打ち出す方針であることが判明した。
 新聞各紙は5月10日、7次空整まで一貫して日本の空港政策の目標としてきた国際ハブ空港建設計画について「国際ハブ空港建設には滑走路1本につき1兆円規模の財政支出が必要となる。東アジアのゲートウエー(玄関口)を目指す時代は終わった」「日本には適当でない」として、国土交通省が180度の方針転換を固めたと報道した。
 同省はハブ空港建設について「雇用機会の拡大以外に格別の経済効果が期待できない」「アジア各国が欧米との直行便を運航できるようになり、日本をハブとする国際的乗り継ぎ需要が減少している」「航空機の大型化で直行便がさらに増える」などを理由にハブ空港建設からの撤退を合理化している。
 また地方空港についても「整備計画に個別の空港名をあげることは廃止する」として、建設を抑制する方針を明らかにした。こうした新方針を徹底するため、6月11日には「地方空港旅客予測と実績との乖離(かいり)」を示す内部資料を一部マスコミにリーク、「いかにデタラメな予測のもとに地方空港建設が野放図に行われてきたのか」を自ら暴いてみせ、「地方空港建設の時代は終了した」との世論誘導を開始した。
 以上の方針転換は、航空・空港をめぐる国際争闘戦から日帝が脱落する危機に陥っていることを自己暴露するものである。
 危機をもたらした主因は、三里塚闘争による成田空港政策の挫折なのである。
 日帝は、治安政策と政治的メンツの両面から、成田空港建設にすがりつくことで、空港建設政策総体に30年間の遅れを生じさせてしまった。1期暫定開港まで12年、2期暫定滑走路開港まで24年も時間を費やした。
 それだけかかって造った暫定滑走路にしてもジャンボ機の飛べない欠陥滑走路でしかない。
 その結果、成田の次の首都圏空港政策が完全に破たんした。20年前には完成していなければならないはずの首都圏第3空港が、いまだに候補地の選定で右往左往している状態だ。これも「第3空港の議論をすると成田不要論につながる」として「成田問題に配慮した結果」なのである。
 三里塚闘争による空港建設政策の破たんの結果、国際航空争闘戦の分野で日帝は、取り返しのつかない敗退を強いられてきた。
 まず航空輸送をめぐる日米争闘戦で日帝は決定的な差をつけられ、今ではアメリカから国内運航権を意味するカボタージュの要求まで突きつけられている。
 また、アジアをめぐるハブ空港建設競争でも後退を強いられている。成田で停滞していたこの20年間にアジアでは巨大空港の新設、増設が次々と行われた。中国上海の浦東空港、韓国の仁川空港、香港国際空港、マレーシアのクアラルンプール新空港、シンガポールのチャンギ空港など。この結果、乗り継ぎ客の争奪戦でも日本は敗れている。
 国際ハブ空港の条件となる乗り継ぎ旅客の割合は、シンガポール・チャンギ空港が63%、香港国際空港が30%であるのに対して、成田はわずか19%。さらに上海浦東空港、韓国仁川空港などがこれから台頭してくると言われており、日本はハブ空港争奪戦からも事実上脱落している。こうした現実を受けて前述の国土交通省の方針転換になったという訳だ。
 「首都圏3千万人の航空需要があるから、ハブ空港争奪戦でも負けることはない」などと高をくくっている間に、経済そのものが沈没し、ハブ空港争奪戦での完敗を自認せざるをえなくなった。ここでも三里塚農民の抵抗によって成田空港建設に失敗したことが決定的ダメージとなっている。
 37年間にわたる農民殺し政策に断固として抵抗し、巨大空港建設を阻止し続けてきた三里塚の闘いが、日帝の空港政策総体をガタガタに揺るがし、重大な打撃を強制しているのだ。三里塚闘争の決定的勝利を確認しなければならない。

 有事立法攻撃下で新たな決戦に突入

 現代における航空運輸は「軍事」と直結し、帝国主義の延命にとって欠くことのできない死活的な分野である。航空運輸における力量なしに、帝国主義間の争闘戦に勝ち抜くことは不可能である。
 特に日帝の「悲願」である航空機製造業を確立し、さらに戦闘機製造能力の確保に向かう思惑も実現することはできない。こうした航空運輸の基礎体力を決めるのが巨大空港整備なのである。空港整備計画には日帝の存亡がかかっている。したがって8次空整において、いったん後退を強いられるとはいえ、日帝が航空運輸とそのための空港建設から全面撤退することはありえない。
 日本の航空宇宙企業は今年に入って、自前による航空機製造にむけた動きを強めている。3月21日付朝日新聞は「夢はばたく国産旅客機」のタイトルでこの問題を扱い、「昨年11月、30年ぶりに自衛隊の次期輸送機と哨戒機の製造計画が具体化し、主開発企業に川崎重工が決定した」と報じた。そしてその他にも三菱重工などが「民間機製造から国産旅客機を実現する」計画を保有している事実も併せて報道した。
 主要帝国主義国で、航空機製造業を確立していないのは日本だけである。アメリカはもちろんヨーロッパ諸国やカナダまで、規模の違いはあれすべて自国の航空機製造業を持っている。いったん有事になれば、自力で戦闘機、爆撃機、輸送機、哨戒機などを作る能力が求められるのは、あまりにも明らかだ。まして帝国主義同士の戦争となった場合には言わずもがなである。
 1970年代から80年代をとおして、P3C対潜哨戒機、FX次期主力戦闘機、FSX次期支援戦闘機の国産開発問題で、日米は露骨な争闘をくり広げてきた。いずれも日本側がアメリカの要求に屈してきた歴史だった。
 このような抗争は、民間機開発でも同様だった。YSXという民間機開発をめぐっては、共同開発に選ばれた米ボーイング社が、日本の独自開発につながるような計画を拒否し、結局時間を浪費しただけで頓挫(とんざ)した。
 前記「朝日」の報道は、こうしたアメリカ側の30年間にもわたる〃妨害”に業を煮やし、日帝の航空宇宙企業大手がついに国産旅客機開発を独自に進める検討に入ったことを示している。
 有事立法、テロ対策特措法といった法制度面の戦争体制づくりとならんで、軍需産業の確立というハード面でも日帝が一線を越えつつある現実を示している。
 以上の航空機製造の基盤となるのが、航空運輸の力量であり、そのインフラとなる空港建設なのである。巨大空港それ自体が軍事空港として戦争を支える基盤施設でもある。
 こうして、日帝の航空政策の前に立ちはだかる三里塚闘争に対して、有事立法攻撃とひとつになったきわめて凶暴な破壊攻撃が強まっている。
 暫定滑走路の開港攻撃自身が今まで考えられなかったような反対同盟破壊攻撃である。暫定滑走路は必要ない。昨年9・11反米ゲリラ戦以降の航空需要の落ち込みで、成田の航空需要は4000b滑走路1本でまかなえることが明らかになっている。
 また、内陸空港の騒音問題から来る飛行コースの制約のため、暫定滑走路を開港しても成田空港総体の飛行便数は増えず、逆に減少することが判明した。4000b滑走路の1本の時には1時間当たりの最大飛行回数が32回であったのに、暫定滑走路が開港した後は、最大飛行回数が合計で1時間当たり30回に減少した。
 「滑走路を増やしたのに飛行回数は減少?!」という珍妙な現象が起きているのだ。この点からも暫定滑走路建設は意味がない。
 このようにまったく必要のない滑走路を開港したのもただただ農民を追い出すためだけであり、有事立法情勢下の治安攻撃として強行されたのだ。
 そして開港後、90から100デシベルなどという、およそ人間が住めないような環境を、暴力的にかつ半永久的に強制して、追い出しを図っている攻撃の背景も同様である。
 このような治安目的を含め日帝権力は、あくまで闘う三里塚農民に対して、読売新聞を先頭としたブルジョアマスコミを使い「反対農民居座りは国民的迷惑だ」だとか「強制収用のための法的手段を考えるべき」などと世論を操作するキャンペーンを開始した。「強制収用のための法的手段」とは有事立法そのものである。
 そして「ボーイング777、767の騒音で出て行かないなら、ジャンボ機を飛ばせるようにして、ジャンボの騒音でたたき出せ」という暴論まで登場してきている。ねばり強く抵抗するパレスチナ人民に対して、「民族丸ごと抹殺してしまえ」と戦闘機・ミサイルまでくり出すイスラエルの皆殺し政策に限りなく近い。
 三里塚では成田治安法を頂点とする「有事立法の先取り」ともいうべき攻撃を実力で打ち破ってきた。有事立法的攻撃を階級闘争の最先端で粉砕してきた。その結果、千葉県収用委員会を解体する闘いの地平を戦取し、土地収用体制を粉砕している。帝国主義の支配を切り崩すことで戦争体制作りを阻止する陣形を作り上げてきている。
 さらに、アメリカと日本による朝鮮侵略戦争計画では、成田空港を戦略空輸基地に指定しているが、成田空港の戦争動員攻撃に対しても、空港を包囲し実体的に阻止する決定的橋頭保を築き上げている。
 このような三里塚闘争の地平が、リストラ攻撃に怒る6千万労働者階級の闘いと結びついた時には、歴史を動かす激動情勢を生み出すことになる。三里塚闘争を破壊することなくして、有事立法強行―戦争体制作りは不可能なのだ。
 日帝・警視庁は革共同に対して5月20日、「前進」編集・発行人の呼び出しという前代未聞の攻撃をかけてきた。これは、朝鮮・中国・アジア侵略戦争体制下の革命党破壊攻撃であり、「第2の1969年4・27情勢」ともいうべき新たな破防法攻撃である。歴史の示すように、参戦体制下では一切の闘いや運動が根絶やしの弾圧攻撃にさらされる。
 それが5・20呼び出し攻撃という形で始まったのだ。そしてこれは三里塚闘争の革命的ゲリラ戦を止めよという三里塚弾圧でもある。編集・発行人呼び出しの口実が、「千葉県長南町で行われた4・22ゲリラに関する報道について聞きたい」とのことであった事実からも明らかだ。
 反戦闘争の最強の砦(とりで)・三里塚に襲いかかる破壊攻撃を今こそ全人民の決起で粉砕しよう。
 有事立法攻撃のもと、三里塚闘争は新たな決戦過程に突入した。
 夏から秋の三里塚闘争の任務方針は以下のとおりである。
 第一は、6・30緊急現地闘争に総力で結集することである。開港攻撃に対する反撃の第一段である。開拓道路封鎖を粉砕し反対同盟との連帯をかちとるべく、開港後の新たな三里塚闘争にかけつけよう。
 第二は、6・24東峰神社裁判の傍聴闘争に結集することである。正午、千葉地裁に集まろう。
 第三はジェット噴射ガス防止フェンスを設置させるなど生活防衛を対行政闘争としてやり抜くことである。反対同盟の追及に追いつめられ、成田市が空港公団に噴射ガス防止フェンス設置を要請したことが、6月11日の市議会で明らかになった。反対同盟の闘いの重大な成果だ。さらに成田市を追及し環境保全措置を取らせよう。
 第四は今秋10・13全国総決起闘争へ前進することである。
 最後に、「三里塚ゲリラを止めろ」という警視庁の破防法的弾圧に対して、革命的武装闘争の断固たるエスカレーションをたたきつけることである。4・22戦闘に続く革命的ゲリラ戦をかちとろう。
 開港後のたたき出し攻撃に負けず闘い抜く反対同盟を守り抜こう。今こそ新たな三里塚闘争に決起しよう。

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週刊『前進』(2059号4面2)

6・30三里塚現地へ 反対同盟が緊急闘争招請

 三里塚反対同盟から6・30現地闘争の呼びかけが発せられた。これにこたえ全力で決起しよう。(編集局・1面に要項)
  ◇  ◇  ◇
 反対同盟とともに闘う支援のみなさん。
 暫定滑走路の供用後、敷地内に対する権利侵害と生活破壊攻撃が強まっています。
 天神峰・東峰地区における騒音とジェット噴射の排気ガスは予想以上に激しく、許されるものではありません。また空港公団は東峰十字路の北にある駒之頭開拓組合道路の入り口に、車両の通行を阻止するために3基のコンクリート塊を置きました。
 同道路は開拓組合の所有地であり、通行に制限を加えることは所有権・通行権を侵害する違法行為です。反対同盟は5月20日付で通告書を空港公団に送り、成田市に対しても行政指導を求める要望書を送りましたが、公団・成田市ともにいまだ答えられずにいます。
 また木の根では住民に無断で生活道路を封鎖するという攻撃がありました。
 反対同盟は、騒音と排気ガスの被害を明らかにするために成田市を呼び、状況を確認させるなど生活と権利を守る闘いを始めていますが、こうした暴挙の一つ一つを弾劾しうち破る決意です。
 そのために下記のとおり現地闘争に決起します。緊急ではありますが、多くの皆さんの参加を呼びかけます。
 2002年6月15日
 三里塚芝山連合空港反対同盟
 記
 6・30現地闘争 
 【日時】6月30日(日)午後1時30分
 【集合場所】開拓組合道路

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週刊『前進』(2059号4面3)

医療改悪法案成立阻め 衆院強行採決を弾劾する 健保本人負担3割化許すな

 小泉政権は医療制度改革関連法案を6月14日に衆院厚生労働委員会で与党単独強行採決、衆院本会議でも強行採決を狙っている。この暴挙を徹底弾劾する。
 小泉は、医療制度改革関連法案を今国会で成立させなければ「構造改革」そのものが吹き飛ばされるという危機感に駆られ、強行採決に突っ込んだ。この中に、小泉政権の危機性と凶暴性が現れている。日帝は、医療制度改革関連法案の衆院通過をもって、有事立法強行への反動的突破口を開こうとしているのだ。このことを見据え、有事立法と一体のものとして医療制度改悪を粉砕しよう。
 今回の改悪の主な内容は、次のとおりだ。現役世代に対しては、@健保の患者本人負担を現行2割から3割に引き上げ(来年4月実施予定)、A高額療養費の自己負担減度額も引き上げる(今年10月実施予定)、B保険料もアップする。高齢者に対しては、@外来の月額上限制を廃止して一律1割負担とし、A自己負担限度額も引き上げ、B老人医療の対象を70歳以上から75歳以上に段階的に引き上げる(いずれも今年10月実施予定)。
 これらは、労働者人民から医療を奪う許しがたい攻撃だ。健保本人負担は、98年に1割から2割に引き上げられた。労働者階級にすさまじい賃下げの攻撃が襲いかかっている今、さらなる負担増が押しつけられようとしているのだ。
 とりわけ、高齢者に対する攻撃はすさまじいものとなる。例えば、高齢者の多数である「一般所得者」の外来自己負担上限額は、月3000円から1万2000円に引き上げられる。
 必要な医療を受けられない人は確実に増える。介護保険で悲惨な現実を強いられている高齢者は、さらに破滅的なところにたたき込まれようとしている。命を奪うにも等しい攻撃だ。
 日帝は、それらをすべて「構造改革」「自立・自助」の名で正当化しようとしている。医療改革関連法案の一つの健康増進法案は、国民の「健康増進」義務を打ち出した。「努力」をしても病気になる時はなる。にもかかわらず、病気になるのも、医者にかかる金がないのも、すべて自己責任だというのである。
 この攻撃は、有事立法と結びついて、労働者人民にいわば「生命観の転換」を迫るものになろうとしている。侵略戦争を遂行する国家とは、同時に国家や資本にとって役に立たない生命を平然と切り捨てていく国家なのである。医療現場では、戦時医療体制の構築が激しく開始されている。
 その切っ先にあるのが「心神喪失等医療観察法案」=保安処分新法だ。「犯罪を犯した」と権力が見なした「病者」は、「再犯のおそれ」(判定など不可能だ!)が〃明らかにない場合”を除き、身柄拘束し続けるというのだ。断じて許してはならない。
 医療制度改革関連法案の衆院本会議通過に手を貸した民主党や、「再犯防止」のためと称して保安処分新法推進を公然と表明した日本共産党を弾劾し、敵対をはねのけて、医療労働者、高齢者、「障害者」を先頭に労働者人民の総決起で有事立法もろとも医療制度改革を葬り去ろう。

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週刊『前進』(2059号4面4)

 6月11日〜18日
 石原が「北朝鮮と戦争」発言 都議会、迷惑防止条例改悪案

●都議会に迷惑防止条例改悪案 東京都議会の定例会に迷惑防止条例の改悪案が提出された。労働組合や市民運動、学生運動の規制を狙う改悪案に反対の声があがっている。(11日)
●ブッシュ「攻撃こそ防御」 ブッシュ米大統領がミズーリ州カンザスシティーの高校での演説で「攻撃は最大の防御」などと語り、対テロ戦争で先制攻撃も辞さないことを強調した。(11日)
●自民国防部会で「自衛官の暴走」あおる発言 自民党の国防関係3部会が開かれ、防衛庁の個人情報リスト問題をめぐって、出席議員から「自衛官は暴走するくらいの方がいい」「どんどんやりなさいと言わないと情報を集める人は育たない」など、防衛庁・自衛隊を擁護する発言が相次いだ。(12日)
●「国民保護法制は法案成立後着手」 小泉首相が有事立法関連3法案に関係する政府と都道府県知事の意見交換会であいさつし、「地方自治体と関係の深い『国民の保護のための法制』は、本法案の成立後直ちに着手する」と明言した。知事からは注文、懸念が続出した。(12日)
●石原「北朝鮮と戦争」発言に批判 北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国の朝鮮中央通信が、石原慎太郎東京都知事が日本人の「拉致」疑惑問題に関連し、米誌ニューズウィーク日本版(6月19日号)で「私が総理だったら北朝鮮と戦争してでも取り戻す」と語ったことに対し、「戦争暴言だ」と激しく批判した。(12日)
●ヘリ以外の使用拒否と名護市長 名護市の岸本市長が市議会の定例会で、米軍普天間飛行場代替施設の使用協定について「ジェット戦闘機や輸送機の使用はさせないよう(協定)を結んでいきたい」との認識を示した。米海兵隊の次期主力機と目されるMV22オスプレイについては「欠陥機といわれて開発も進んでいないと聞く。このような機種の配備は求めない」と述べた。13日の市議会では日米地位協定の改定も求めていく姿勢を示した。(12日)
●ABM制限条約が消滅 米国が旧ソ連と72年に結んだ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約が米国の一方的な離脱で消滅した。迎撃ミサイルの実験や配備を制限していた枠組みが消えることで、米国は迎撃ミサイル実験基地の建設に本格着工するなど、ミサイル防衛(MD)計画を加速させる。(13日)
●普天間代替、政府案の修正を検討 米軍普天間飛行場の代替施設問題で防衛施設庁は、政府が先に提示した3工法8案以外の建設案を具体的に検討していることが分かった。政府から提示されていた「リーフ上」を極力沖合に移動させるという名護市長の求めに応じるもの。(14日)
●海自艦を米が戦術指揮 防衛庁海上幕僚監部の派遣チームが昨年11月、バーレーンの米中央軍第5艦隊司令部で当時のムーア司令官に会い、インド洋での補給作戦で海上自衛艦が米海軍の「戦術指揮統制」下に入ることを容認していた。複数の日本政府関係者が明らかにした。「戦術指揮統制」は部隊を現場で具体的、局地的に動かす権限。(15日)
●英で新世代核兵器の工場計画 英日曜紙オブザーバーが英国で新世代核兵器の製造工場を建設する計画が進められていると報じた。テロ組織や「ならず者国家」への先制攻撃を念頭に、使いやすい小型核弾頭を設計、実験する施設になるという。(16日)
●CIAにイラク政権打倒命じる ブッシュ米大統領が中央情報局(CIA)に対し、イラクのフセイン政権を打倒するために、「あらゆる手段」をとるよう命じた。CIAや特殊部隊を投入する際は、フセイン大統領の暗殺も許可されるという。米ワシントン・ポスト紙が報じた。(16日)

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週刊『前進』(2059号5面1)

各地で戦争への道阻む闘い アフガン出兵許すな  自衛艦出航阻止に立つ

 6・8佐世保 海自補給艦はまなを弾劾

 6月8日、反戦共同行動・福岡と長崎は、海上自衛隊佐世保基地の補給艦「はまな」のアフガニスタン侵略戦争参戦のための出撃阻止闘争に決起した。
 午前9時半から佐世保市前畑岸壁で、佐世保地区労主催の抗議集会が開催された。社民指導部は「戦争は終わったのになんで派遣するのか」と言う。冗談じゃない。米英日帝によるアフガニスタン侵略戦争は終わっていないし、終わらせることもできない。このことをはっきりさせることだ。
 補給艦はまなの出撃は2回目だが、何をやってきたのか。米英軍艦への給油・物資の補給でアフガニスタン人民虐殺に参戦してきたのだ。民族解放・革命戦争を特殊的極限的に闘った9・11戦士を先頭とするイスラム諸国人民の圧殺に手を染めてきたのだ。
 米帝はそれにとどまらず、パレスチナ侵略戦争の全面的展開で中東に戦争を拡大、今やイラク侵略戦争に向かって必死になっている。北朝鮮・中国に向かって行くことは不可避だ。イラク侵略戦争が強行されれば、アフガニスタン侵略戦争の延長の形で日帝の参戦は不可避だ。米帝の世界戦争計画にぴったりと密着し積極的に参戦していく狙いが、今回の有事立法攻撃だ。はまな派兵はこの攻撃と一体だ。
 北朝鮮・中国侵略戦争法案を阻止せよ。延長国会を許すな。実力闘争で廃案にたたき込め。小泉政権を打倒せよ。死の苦悶(くもん)にあえぐ日帝を今こそ、日本労働者人民の怒りの決起で打倒せよ。

 6・8大湊 せとぎり出港労働者の怒り

 6月8日、小泉政権は、米帝のアフガニスタン侵略戦争参戦の自衛隊艦隊派遣として新たに青森県大湊基地から護衛艦「せとぎり」を、佐世保からは補給艦を出港させようとした。
 反対闘争の高まりをおそれ、出港予定の発表は前日。そのためにマスコミ報道も一部をのぞきほとんどない中で出港が準備されていた。「護衛艦8日出港」の知らせにただちに闘争を準備し、8日早朝、平和労組会議など青森の労働者・市民は、海上自衛隊大湊基地前の岸壁に結集した。
 闘う仲間たちは、基地入口正門前で出勤してくる自衛隊隊員や見送りの家族たちに出港に抗議するビラまきを行った。反対闘争を封じ込めようという徹底した情報統制で高をくくっていた権力は、ビラまき開始後、警察車両5台を大慌てで出動させ、監視・弾圧のために動き回った。
 この警察の弾圧と正門かか自衛隊警務隊が監視する中だったが、不安を抱えた家族はもとより自衛隊員もビラを受け取っていった。
 その後、地元むつ市を始め青森市からも駆けつけた平和労組会議に結集する労働者と合流し、ともに出港阻止集会に参加し闘った。
 はるか向こうの護衛艦「せとぎり」の甲板に白い制服姿の乗組員が勢ぞろいしているのが見える。出港の送迎式典をやっているようだ。「出港はやめろ! 海外派兵を許さないぞ!」――結集した労働者とともにシュプレヒコールをたたきつける。
 午前9時すぎ、眼前の海上に護衛艦「せとぎり」が姿を現した。甲板に勢ぞろいしている乗組員たちが見える。シュプレヒコールに一段と力を込める。多くのアフガニスタン人民を殺りくする侵略戦争への参戦をどうして許しておくことができようか。
 しかも有事立法攻撃の最中、そして防衛庁・自衛隊の情報公開請求者のリスト作成−思想調査問題、福田官房長官の「非核三原則見直し、核武装できる」発言などが人民から徹底して批判されている中での今回の出港攻撃は、絶対に許すわけにはいかない。
 今回の出港攻撃は、東北地方で初の海上自衛隊艦艇のアフガニスタン侵略戦争参戦であり、しかも有事立法攻撃そのものとも言える決定的攻撃だった。
 同日、佐世保で闘う九州の労働者人民と固く連帯して、大湊での闘争を反革命カクマルの登場と闘争破壊を一切許さず、断固闘いぬいた。 (投稿 S)

 6・6長崎 米イージス艦入港に抗議

 6月6日、米海軍イージス艦「カーティス・ウィルバー」が長崎港松ケ枝埠頭に入港した。8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会は、長崎地区労の労働者とともに入港反対闘争に決起した。
 カーティス・ウィルバーは、空母キティーホークとともにアフガニスタン侵略戦争の軍事作戦に参戦し、アフガニスタン人民を虐殺した軍艦である。しかも核弾頭が搭載可能な巡航ミサイル・トマホークを搭載しているのだ。今回の入港は、長崎港を北朝鮮・中国侵略戦争の最前線基地とし、核戦争を遂行するための攻撃である。被爆地長崎への入港は絶対に許せない。
 さらに入港弾劾闘争は、米帝が7日にネバダ州の地下核実験場で強行した17回目の臨界前核実験への抗議行動としても闘われた。

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週刊『前進』(2059号5面2)

“有事立法廃案へ” 4・28実行委 150人が天神をデモ

 6月16日、有事立法成立阻止の4・28集会実行委員会が主催する「有事立法絶対反対!国会会期延長阻止!廃案へ!」集会とデモに参加した。
 午後3時、炎天下の焼けつくような熱気の中、150人もの人が集まった。福岡市天神のど真ん中にある警固公園で、若者の注目の中、開会が宣言された。
 最初に、小泉首相靖国神社参拝違憲九州・山口訴訟団団長の郡島恒昭さんが主催者を代表してあいさつした。
 続いて、実行委員会から元福教組委員長の梶村晃さんが力強く提起した。「有事立法の国会審議はストップしたままです。今こそ、国会会期延長を許さず、有事立法を廃案に追い込みましょう!」。
 婦人民主クラブ全国協の平井禮子福岡支部長は「有事立法反対でいろんなところに出かけて行き、いろんな人に会いました。みんな有事立法許せないと言っている。私は、体を張ってでも有事立法を阻止します」と意気高く九州キャラバン報告を行った。
 続いて、「つぶせ!有事法 みんな集まれ 6・15全国集会」に参加した婦人が「東京の集会で福岡がトップで発言しました。最後に、若い学生が力強く有事立法阻止のアピールをやったのが感動的でした」と報告した。
 各地の闘いの報告として、筑豊地区から宮田町議のわたなべひろやすさん、部落解放同盟全国連合会から梅本健二甘木支部長、地区労の労働者、九州大学学生自治会、最後に親子で参加した弁護士の発言が続いた。九州大学学生自治会の学生は、「有事立法は北朝鮮、中国への侵略戦争突入法案だ。今こそ国会へ全国から総結集し、有事立法を絶対に廃案に追い込もう。小泉政権を打倒しよう!」と闘いの檄(げき)をとばした。6・16集会アピールが読み上げられ全員の拍手で採択された。
 反戦共同行動・福岡の石崎昭哲代表が「ありとあらゆる闘いで有事立法を廃案に追い込もう!」と鮮明な行動提起、「有事立法はいらない久留米市民の会」が音頭をとって団結ガンバローを唱和し、ただちにデモに出発した。
 宣伝カーを先頭に、大横断幕が風をはらむ。旗とのぼりを林立させたデモ隊が、元気よく福岡市の繁華街である天神を進んだ。デモに飛び入り参加する人が続出した。
 集会に先立ち、天神岩田屋前で1時間の街頭宣伝。瞬く間に142筆の署名が集まった。有事立法への怒りは、今や沸騰寸前だ。
 6・16闘争は、東京・代々木公園の6万人決起と連帯して闘われた。有事立法の廃案をかちとろう!
 (投稿 佐々木泉)

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週刊『前進』(2059号5面3)

フォークシンガー まよなかしんやさん語る
 ビエケス−米軍との闘い 「満月まつり」で民衆連帯 軍港造らせない

 ――那覇軍港の浦添移設攻撃は、辺野古と並ぶ新基地建設の攻撃ですね。

 一坪反戦地主会浦添ブロックは99年2月にできた。軍港反対市民の会は98年12月にできたんだけど、99年以来浦添の地で5・15の闘いを、そして軍港を造らせない、キャンプ・キンザーを撤去し市民に解放せよと過去3年やってきた。
 軍港問題では、国と県と那覇と浦添の4者の協議会で港を造り、その一角に軍港を造ることが協議され、「那覇港管理組合」も発足した。国の動きや「組合」の動きを見ながら、軍港を造らせない運動をつくらないといかんと思う。住民投票を実施して市民の声をきちんと聞くべきだと学者・文化人たちが市長に申し入れている。
 今、アメリカは「テロ撲滅」を看板にして戦争拡大をやっている。アメリカの戦争拡大に日本が追随し、有事法制をつくっていく。さらに沖縄に基地を新たに造っていく。それはすべて一体化して、有事法制関連法案と同時進行している。僕らは体を張って阻止しなければならないという、大事な時期だと思う。

 ――「満月まつり」を毎年なさっていますが。

 「満月まつり」の出発は99年。新ガイドラインの関連法案の周辺事態法などが強行採決され、日本はまたアジアの人に銃を向けるという動きが出てきた。われわれは、沖縄の民衆として日本の民衆として、日本の軍国化にけっして従わない、アジアの人びとにわれわれの平和の意思を直接伝えたい。そこで思いついたのが「満月まつり」。
 韓国でもフィリピンでも世界の人びとが、同じ日の同じ時間に、ひとつの同じ満月を見つめながら、この満月の下で21世紀の平和な世界をつくるぞ、銃を取って闘うことはけっしてしないぞと、ともに誓い合う。民衆の国際連帯こそが世界の平和をつくることだということを確認しあう祭。今年は11月17日の日曜日に「第4回満月まつり」をやります。韓国の梅香里(メヒャンニ)でもビエケスでもやることになっている。
 僕らは元気な闘いを、勝利する闘いをめざしている。世界の民衆と連帯した闘いを組んでいかないかぎり沖縄の闘いは勝利しないし、日本の闘いも勝利しないと思うわけ。
 反サミットの運動の中でもビエケスや韓国の人たちを沖縄に呼んで、連帯闘争を強化してきた。
 韓国の闘いは沖縄の反基地運動を学んで発展した。最近では沖縄の反基地運動をも超えて、韓国の方が前に進んでいる。運動の交流の中で韓国の運動は発展したと思う。

 基地に入る闘い

 ちょっとは冗談なんだけど、去年の11月にビエケスに行ってスピーチをした。2000年沖縄サミットの時に、2万7千人の民衆が嘉手納基地を「人間の鎖」で包囲したと言ったらビエケスの人が「えっ、2万7千人がペンチで金網切って嘉手納基地に入ったんじゃないのか」と言うわけ。
 ビエケスで99年4月にガルシア基地のガードマンが一人、誤爆で亡くなった。それを契機に99年5月から翌年5月までのべ千人以上の人が1年間も基地の中に泊り込み演習を阻止した。彼らは「人間のタテ」と呼び、真夜中にペンチで切って基地の中に入っていく。
 それで2000年5月に強制排除され、その後は基地に入っては排除され、入っては逮捕されということを繰り返してきた。彼らは2000年7月20日以後は真っ昼間から堂々と、ペンチで金網を切って基地の中に入るという運動をやっている。

 ――すごいですね。

 それを沖縄から学んだというわけさ。ビエケスはアメリカの自治領になっていて、人口9500人ぐらい。人口の半分はアメリカに働きに行っている出稼ぎの島です。アメリカにとっては低賃金労働として大いに重宝がられている。
 1941年に米海軍の射爆場が建設された。島の70%が米軍基地に奪われて、60年たつ。
 ガルシア基地のゲート前の道路を占拠した状態で、ぐるぐるとデモを繰り返す。アンプ・スピーカー置いて、ラテンのサルサ音楽をがんがん演奏する。その演奏に合わせてデモ隊も踊りながらタンバリンたたいて「ビエケシィー! マリーナノォー!」とコールをする。「ビエケシィー」は〃ビエケスは正しい”「マリーナノォー」は〃海軍はいらない”ということ。歌の途中途中でそのコールをやるわけ。そういう明るさという点でも沖縄と共通している。

 ――11月というと9月の事件の後ですね。

 ニューヨークの貿易センターには数百名のビエケス・プエルトリコ出身者が働いていた。清掃やウエートレス、メンテナンス関係の仕事を数百人のプエルトリコの出稼ぎの人がやっていた。あの事件で数百人が亡くなった。
 それでも彼らは「テロ」にもアメリカの報復戦争にも反対だという立場で、集会を開いている。「テロ」が起こるというのは抑圧、差別、貧困があるからだよね。それをなくさないかぎり「テロ」はなくならない。ビエケス民衆は涙をふいて闘っている。沖縄の「命(ぬち)どぅ宝」とつながるものがあると思う。
 このガルシア基地の前では毎週土曜日から日曜日にかけて泊り込みで集会している。2000年5月に基地から排除されて以来、多い時には千人、少なくても数百人が集まる。ところが「テロ」事件後、委縮ムードがうまれて一挙に20〜30人に減ってしまった。でも運動のリーダーたちはゲート前の集会をずっと頑張ってきた。
 それが、1万5千`も離れた沖縄からわれわれが来るというので、この集会が100人ぐらいになった。先週までは20〜30しか集まらなかった集会が一挙に100人を超えたと喜んでくれた。われわれ沖縄代表4人もうれしかった。

 住民投票でノー

 ――ビエケスの基地撤去の動きはどうですか?

 クリントン前大統領が2003年5月までには演習を中止すると発表し、ブッシュ政権もその約束をめぐって11月6日に住民投票を実施することになった。
 しかし、米連邦政府が予定する住民投票には「演習の即時停止」の項目がなかったので、7月29日にプエルトリコ政府主催の住民投票が行われることになった。選択肢は、@演習の即時停止、A03年5月まで演習を認める、B03年5月以降も演習を認める、の三択。ビエケス有権者の80% の3230人が参加し、68%が「演習の即時停止」を求める結果となった。Bを支持したのは島民の2%にも満たない81人だった。
 そして11月6日に連邦政府の住民投票をやるというので、今回の訪問はその住民投票に立ち会うという目的もあった。ところが今年の1月に延期され、それも先送りになっている。連邦政府は住民投票をやる意思がないんだろうね。プエルトリコ政府が実施した住民投票で「基地にノー」の明確な結果が出ているのだから、それに従うべきだ。

 ――最後に、若い人たちにメッセージを。

 あきらめないで、粘り強く闘い続けて、東京行動も含めた有事法制反対の沖縄の島ぐるみの闘いを新基地建設反対運動と合わせて闘っていくことだと思う。
 ワクワク、ドキドキするビジュアルな、若者たちが参加できる運動を企画したい。歌は世の中を変えないかもしれないけれど、歌は人を変える。人が変われば世の中も変わる。僕は自分が歌で変わったから、人が変われば世の中も変わると思っている。
 ともに前進を!]

 ●まよなか しんや さん

 本名大城信也。1967年伊江島の阿波根昌鴻さんと出会い「アカバナー」を創作、以来平和・人権・環境・共生をテーマに歌い続ける沖縄フォークのパイオニア。浦添軍港反対市民の会幹事、一坪反戦地主会浦添ブロック事務局長
 ◎4thCDアルバム「AKABANA」が5月15日出盤!¥2500
 申し込み先:電話.098-875-4605/FAX.098-876-1352

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週刊『前進』(2059号5面4)

 第3部 植民地支配の歴史(13)
 朝鮮C 韓国併合条約 正当性一片もない植民地化

 1905年11月17日の乙巳(ウルサ)条約=第2次日韓協約後、反日運動は一挙に拡大する。民衆は、乙巳条約に賛成した5閣僚の一人、李完用(イワニョン)大臣宅を焼き打ちにした。彼らは今日に至るまで「乙巳五賊」と厳しく弾劾されている。
 さらに抗日上疏(じょうそ)が始まった。封建時代には両班(ヤンバン)たちは常に国王に対して直訴する権限があった。これを「上疏」と言い、国王は必ずこたえなければならないとされたが、日本官憲の妨害で上疏が国王に届かず、抗議自殺が相次いだ。
 伊藤博文初代統監のもと日本軍が増強され、統監府による軍事支配が強化されていく中、1907年6月にオランダのハーグで開かれた第3回万国平和会議に、朝鮮皇帝・高宗(コジョン)は、各国の支援をとりつけようと3人の密使を派遣した。だが外交権がない中、会議出席さえかなわず、密使のひとり李儁(イジュン)はハーグで割腹自殺し抗議した。

 ハーグ事件機に

 このハーグ事件を機に伊藤統監は、朝鮮の全権掌握を図った。まず伊藤は、李完用内閣(同年5月成立)と謀り、高宗に皇太子への譲位を強要した上、軟禁状態に置いた(7月)。
 さらに、同月、伊藤統監と李完用内閣との間で「第3次日韓協約」=丁未(チョンミ)条約を調印した。法令の制定・行政処分・高等官の任免・外国人雇用などすべてに統監の承認もしくは同意が必要となり、朝鮮政府各部(省)の次官に全部日本人官吏が任命されることになった。この次官政治は、のちのニセ「満州国」で実施した支配形態のかなめである。
 さらに付属の秘密覚書により、@大審院以下の裁判所の新設と日本人判事・検事の任命、A朝鮮軍隊の解散が取り決められていた。この時、解散を強要された朝鮮軍隊は、反乱を起こしながら抗日義兵運動に合流していく。
 1909年7月、日本政府は「適当な時期に朝鮮を併合する」方針を閣議決定した。10月に伊藤博文が義兵として決起した安重根(アンジュングン)に処刑された後、先の方針に沿って日本は11月に司法・監獄事務を直接掌握する。

 「韓国併合」前夜

 翌10年5月、寺内正毅が桂内閣の陸軍大臣のまま第3代統監となり、「併合」実行に着手した。6月には警察も完全に日本の直接掌握下に置かれ、7月には明石元二郎憲兵隊司令官が警務総長を兼ね、憲兵警察制度が成立した。
 さらに5月以来、日本軍が首都・漢城(現ソウル)に集結し、軍隊・警察による厳戒体制がつくりあげられた。
 そして迎えた8月22日、「韓国併合に関する条約」が、寺内統監と李完用総理によって結ばれた。第一条には「韓国皇帝陛下ハ韓国全部ニ関スル一切ノ統治権ヲ完全且(かつ)永久ニ日本国皇帝陛下ニ譲与ス」とある。さらに、この条約締結は1週間後の8月29日に公表された。この1週間の間に朝鮮のすべての団体を解散し、すべての新聞を廃刊にし、そしてすべての抗日運動家たちに監視をつけ、動きを封殺した。しかも南山には大砲をずらっと並べ、反抗すればいつでも砲撃するという包囲下で発表したのである。
 韓国併合条約の条文は、ペテン的にも「譲与ス」との形式となっているが、3次にわたる日韓協約同様、日本軍の制圧のもとで強行されたクーデターであり、韓国併合には一片の正当性もない。現在もなお日帝が、日韓協約および韓国併合条約について「当時の国際法にのっとり締結されたものであり、合法」と強弁していることを徹底的に弾劾しなければならない。
 石川啄木は同年の大逆事件の衝撃と重ねて、韓国併合を「地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつつ秋風を聴く」と歌った。@dan
 日韓協約締結後、朝鮮人民は命がけの抗日闘争に立ち上がった。特筆すべきは抗日武装闘争の爆発=義兵運動だった。

 安重根の決起

 1909年10月26日、ハルビン駅に降り立った伊藤博文を朝鮮人・安重根が狙撃、3発の銃弾で伊藤は30分後に絶命した。朝鮮民族の不倶戴天(ふぐたいてん)の敵、伊藤博文69歳。ロシア官憲に捕まった安重根は「朝鮮万歳」を3回絶叫したという。
 条例によりロシアから日本大使館に引き渡された安重根は、旅順で公判を受けた。安重根は、個人的な怨恨(えんこん)から出た行為ではないので、刑事被告人として裁判するのではなく、戦争捕虜として国際公法により、列国の人びとの立会いのもとで審判すべきであると主張した。
 要求はかなわず、翌10年2月に死刑宣告、3月26日に旅順監獄署で絞首刑となった。31歳だった。
 安重根は、乙巳条約後、街頭で愛国啓蒙運動の指導者の一人、安昌浩(アンチャンホ)の演説を聞き、やがて江原道(カンウォンド)の義兵闘争に参加し、銃をとって日本軍と戦い、ウラジオストークに亡命して独立運動を続けていた。
 乙巳条約が締結された05年には江原、忠清、京畿、慶北で蜂起が相次ぎ、06年には忠清南道、全羅道で儒教者らに率られた蜂起が続き、慶尚北道では申石乙石(シントルソク)率いる義兵が活躍した。07年の朝鮮軍隊解散後、兵士が農民と合流、義兵闘争はまったく新しい段階に入り、全国に拡大する。同年12月には分散していた義兵が京畿道楊州(ヤンジュ)に集結し、一気にソウルに攻め上ろうとした。
 この独立戦争に参加した朝鮮人は15万人にも及ぶ。日本軍側の資料(朝鮮駐箚〔ちゅうさつ〕軍司令部編『朝鮮暴徒討伐誌』)でさえも、07年(8〜12月)の戦闘回数323、戦闘に参加した義兵数4万4116人、最高潮に達した08年は1451回6万9832人、09年898回2万5763人となって、先細りしながらも14年まで続いた。
 正規軍を動員して鎮圧にあたった日本軍の報復は残虐をきわめた。
 義兵闘争鎮圧のため、軍隊・憲兵・警察を増強し、村ごとに憲兵を配し、地域制圧をもくろみ、08年には憲兵補助員制度(朝鮮人から補助員を募集)を設け、朝鮮人民の分断・統治を図っていく。憲兵政治は植民地時代をつうじて、一貫した暴力的民族抑圧機構として機能していく。
 (室田順子)

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週刊『前進』(2059号6面1)

 

 森尾誠著 マルクス主義文献学習シリーズ6

 マルクス・エンゲルス 『ドイツ・イデオロギー』

 唯物史観形成の原点に迫る 初めての本格的な読み解き
 黒田哲学と日共スターリン主義を痛撃

 唯物史観の本来の姿を復権

 2年前に出版され、党内外に大きな反響を呼び起こした新訳刊行委員会訳・発行の『新訳 ドイツ・イデオロギー』(00年7月刊、発売元・現代文化研究所)に続いて、その新訳の成果を全面的・本格的に活用した待望の解説書がついに刊行された。
 本書刊行の意義は実に大きい。まず第一に、革共同の5月テーゼ―19全総・20全総路線のもとで追求されてきたマルクス主義の革命的復権の闘いが、本書にこの上なく豊かな形で結実したことである。まさに革共同第6回大会の戦取と一体の勝利といえる。著者・森尾誠同志のねばり強い努力を軸に党の最高の理論的・イデオロギー的成果がここに集約され、反スターリン主義・革命的共産主義運動の理論的深化と発展を内外に強烈に指し示すものとなっている。
 本書は、生き生きとした鮮烈な『ドイツ・イデオロギー』像、唯物史観と共産主義の本来の姿をわかりやすく提示することによってわが党の理論武装に巨大な前進をもたらすこと、とりわけ激動期の生き方・闘い方を真剣に求める青年労働者や学生たちの学習意欲と探究心に火をつけ、マルクス主義・共産主義への確信を一挙に増幅させるに違いない。
 本書の大きな特徴の一つは読みやすさ・わかりやすさにある。それは、表現のわかりやすさだけでなく、新訳で厳密に整序された原典本来の道筋にそって、マルクスとエンゲルスの「実践的唯物論者=共産主義者の立場」を基軸に読み解こうとする基本的な姿勢の明快さにもとづいている。
 本書刊行の意義は第二に、これによって党派闘争上の巨大な管制高地をしっかりと築いたことである。なかでも黒田・カクマル、黒田哲学にたいするとどめの一発とも言うべき決定的なイデオロギー的巨弾となっている。
 黒田は、もともとの出発点においてマルクスの実践的唯物論の革命的把握に敵対し『ドイツ・イデオロギー』にはねとばされた人間なのだ(「おわりに」参照)。だからこそ、黒田のスターリン主義批判には原点におけるまやかしがあるのである。したがって本書は、全編が黒田哲学批判であり、同時に根源的なスターリン主義批判である。第6回大会は、対カクマル戦勝利の歴史的情勢(黒田・中央派と松崎JR総連派への分裂)と全面的な黒田哲学批判の貫徹の上にかちとられ、革命的共産主義運動の本格的発展期の到来を告げ知らせた。この黒田哲学批判を可能にしたものこそ『ドイツ・イデオロギー』の新訳と解説への闘いにほかならなかった。
 本書刊行の意義は第三に、今現在の階級闘争の主体的飛躍にとって本書が決定的な実践的役割を果たすという点である。21世紀冒頭の今日、帝国主義の危機とスターリン主義の崩壊がもたらす戦争と恐慌と大失業の攻撃の中で、労働者階級人民が決起し20世紀を超える勝利をかちとっていくためにも、マルクス主義の労働者階級自己解放と世界革命の理論による武装が不可欠なのだ。その意味で、長い間スターリン主義者によって歪曲・改ざんされてきたマルクス・エンゲルスの『ドイツ・イデオロギー』を原典本来の姿に再生=奪還すること、そして「マルクス主義がマルクス主義としてその基本骨格を形成した飛躍の現場」(「はじめに」)に肉薄することをとおして、そこに込められた真に革命的な内容を「本格的に読み解く」ことはすぐれて今日的・実践的な意味をもつ事柄なのである。
 以下、各章の内容を紹介していこう。

 実践的唯物論=共産主義の立場

 序章は本書の導入部および総論にあたり、ここでマルクス主義の形成・発展過程における『ドイツ・イデオロギー』の位置が明らかにされる。そのことは同時に、『ドイツ・イデオロギー』をどういう立場で、どこに重心をおいて読み解くかというわれわれ自身の基本視点の明確な提示につながっている。
 序章の冒頭に、『ドイツ・イデオロギー』の数カ月前に書かれたいわゆるフォイエルバッハ・テーゼの有名な最後のまとめ「哲学者たちは世界をさまざまに解釈してきたにすぎない。だが大切なのは、世界を変革することである」(第11テーゼ)をとりあげ、ずばり次のように言いきっているが、この点にこそ類書を寄せつけない本書の最大の特徴がある。
 「これが『ドイツ・イデオロギー』でマルクスとエンゲルスが宣言した実践的唯物論=共産主義の立場です。そして実際に……この実践的唯物論=共産主義の立場から、歴史についての唯物論的見方つまり唯物史観=史的唯物論の基礎的・原型的、第一歩的な提起がなされています。ここに『ドイツ・イデオロギー』の意義が凝縮されています」(9〜10n)
 本書の意図、基本的視点、特徴点もまた、ここに簡潔に示されている。序章の後半で、フォイエルバッハ・テーゼの決定的位置が強調されているが、これは黒田批判という点からも重要だ(テーゼの検討は第八章で、また黒田批判は「おわりに」で詳述されている)。
 第一章「ドイツの哲学者たちへの決別宣言」は、原典の第一巻序文からA節冒頭の序文的部分までの簡潔な解説。ここではフォイエルバッハと青年ヘーゲル派に共通する゛思想が現実を規定している″(したがって)゛思想を変えれば現実が変わる″論へのマルクスとエンゲルスの批判・最後的決別の革命的意義が確認されている。
 第二章「歴史の根源=人間生活の物質的生産」から、いよいよテキスト本文の解説に入る。第二章でA節本文の前半が、第三章「歴史観の根本」でその後半がとりあげられる。
 A節本体の冒頭におけるマルクスとエンゲルスの共産主義者宣言と重ね合わせながら基本的なフォイエルバッハ批判を展開していることを出発点に、その後の展開の構造を以下の見出しで明らかにしている。
 @実践的唯物論=共産主義の立場の表明とフォイエルバッハ批判、A「第一の歴史的行為」としての人間生活の物質的生産、B人間の物質的活動と意識の生産、C分業と私有財産、D社会の分裂と国家および共産主義、E市民社会〔生産諸力と交通形態〕――この展開構造自体が、新訳=新編集の威力を見事に引き出している(スターリン主義者による歪曲=改ざんでずたずたに分断された分業論・所有形態論、国家論、革命論・共産主義論に明確な論理的・立体的な道筋がつけられる)。
 この点は第三章も同様である。第二章と三章をつうじて、人間生活における第一の歴史的行為の確認から市民社会(ブルジョア社会)と国家の問題、そしてプロレタリア革命と共産主義の問題に至る唯物史観=史的唯物論の躍動に満ちた展開の最初のハイライト部分として、ここはぜひ原典テキスト=新訳本とセットでじっくりと読み進めたい。
 続く第四章「『哲学的解放と現実の解放』および唯物論的歴史観の根本」は、A節冒頭部の2つの異文についての分析。青年ヘーゲル派の哲学的解放論にプロレタリアートの現実的解放論を対置しながら唯物論的歴史観を確立していく飛躍の現場をつかむためにも、異文の把握が重要であることを指摘。

 唯物史観の定式とは何か

 第五章「『ドイツ・イデオロギー』といわゆる唯物史観の定式」は、本書のすぐれた独自性を示す重要な章である。前章までに部分的にふれてきた『経済学批判』の序言のいわゆる唯物史観の定式(テーゼ)を内容的に掘り下げ、実践的唯物論の観点から生き生きと復権したものとして画期的である。第七章の所有形態論・共産主義論への適切な橋渡しでもある。そして、『ドイツ・イデオロギー』での唯物論的歴史観の明確な打ち出しによって資本制生産とブルジョア社会の歴史的特殊性の把握が可能となり、それがその後の経済学的研究の本格的段階への突破口となったことが明示される。
 この章は、テーゼを歪曲・図式化して一国社会主義論のためのひからびた公式にすり替えてしまったスターリン主義への根底的批判の章としても重要な位置を占めている。
 第六章は、原典の第一章「フォイエルバッハ」の〔B 歴史を思想の支配の歴史とみる観念論的見方への批判〕(新訳72〜79n)の部分の解説であり、第七章は、同じく〔C 所有の近代的形態と共産主義〕(80〜146n)の全面的で体系的な解説である。
 とくに第七章は、第二章と並んで本書の中軸をなす大型の章である。原典のC節をどう位置づけるかについて次のように述べ、「歴史を唯物論的に解明していくキー」としての所有形態論から近代的資本と共産主義の問題(近代社会の歴史的特殊性と共産主義の必然性の把握)、生産諸力と交通形態(のちの生産関係)の矛盾的発展構造の基礎的解明の問題へと論を進めていく。
 「現実の歴史の発展の諸段階、諸形態を一歩踏み込んで具体的につかみとり、そのなかでの近代社会(資本制社会)の歴史的位置づけを明らかにし、共産主義革命が必然化せざるをえないことを提起していくことがC節の内容」(169n)
 第七章は7節に分けられている。著者のつけた以下の見出し(原典のC節にはない)を見ただけでも、この章において唯物史観=史的唯物論の第一歩的・原型的な具体的展開として『ドイツ・イデオロギー』の核心部が鮮やかに読み解かれていることがわかるだろう。
 すなわち、@近代社会以前の所有の諸形態について(C節冒頭部)、A近代的資本の成立とその特質、B生産諸力と交通諸形態とその矛盾の爆発としての革命、Cプロレタリア階級の形成とブルジョアジー、D階級への従属とそれからの解放、E近代的資本と共産主義、F所有にたいする国家と法の関係
 ここでは、二つのことを強調しておきたい。一つは、世界史的存在・世界革命の主体としてのプロレタリアートの明確な位置づけ(およびそれを可能にする物質的諸条件の明確化)であり、それを「結合した諸個人による現存の生産諸力の全体の獲得=自己実現」として明らかにし、実践的唯物論の立場に立った共産主義論の中身を豊かに実践的に描き出したことである。
 もう一つは、「所有にたいする国家と法の関係」(第七節)にふれたC節最後の国家論の重視である。この部分は第二章第五節の「共同利害」と国家の関係についての叙述や「おわりに」の黒田批判の部分とあわせて、レーニン『国家と革命』につながるマルクス主義国家論の深化を示すものであり、国家の本質を支配階級の意志やイデオロギーの問題に切り縮めた「幻想的共同性」論をとる黒田・カクマルのいんちきな反革命的国家論を完ぷなきまでに粉砕するものだ。
 最後の第八章では、フォイエルバッハ・テーゼについて各テーゼごとに詳しい解説をほどこし、「マルクスのマルクス主義が、歴史的に殻を破って羽ばたく瞬間の表現」と規定して『ドイツ・イデオロギー』との不可分の関係をあらためて検証している。

 本書を労働者・学生の中へ

 このように本書は、共産主義が労働者自己解放の運動と理論=マルクス主義としてかちとられてくる飛躍の現場を、『ドイツ・イデオロギー』の新訳=新編集にもとづく厳密でわかりやすい読み解きによって明らかにした。ここで浮き彫りにされた実践的唯物論と唯物史観の本来の姿は、現在のわれわれ自身の運動と理論にめざましい飛躍をもたらすに違いない。日々の苦闘・激闘の中にある労働者・学生に本書(と新訳)を広めよう。
 〔秋本 和樹〕

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週刊『前進』(2059号6面2)

関西新空港反対! 7・14全国闘争に立とう 湾岸住民4団体などが招請状

 大阪湾岸住民4団体と関西反戦共同行動委員会は、7・14関西新空港反対全国集会への招請状を発した。これに応え総決起しよう。(編集局)
 
  ご案内
 全国のたたかう仲間のみなさん! 7月14日、泉佐野現地で関西新空港反対全国集会を開催します。2期事業と有事立法に反対して闘っている現地へこぞって参加されますよう呼びかけます。
 まず、泉佐野市議選の勝利をバネに関西新空港反対闘争を爆発させていきましょう。
 5月19日、泉佐野市議選で国賀祥司泉州住民の会事務局長が1482票を獲得し、堂々5選を果たしました。国賀事務局長は選挙戦で「関空2期を中止し、いのちと暮らしを守る市政を!」「有事立法反対、戦争反対、軍事空港反対!」を訴え、多くの市民が熱烈に支持しました。小泉政権が提出した有事3法案に反対する、関空と泉佐野市を戦争の拠点にしてはならない、という訴えは市民の中に染み込み支持が広がりました。初めてマイクを持つ市民が次々に宣伝カーに乗り「戦争反対、軍事空港反対」の訴えを、それぞれ工夫をこらして素晴らしい言葉で熱烈に訴えかけました。選挙戦を通して、関西新空港の軍事空港としての本質が暴露され、そうであるが故に市民の命と暮らしを犠牲にしてきた現実に怒りがふつふつと沸いてきたのです。多くの市民が次々と決起し、激しい選挙戦を勝ち抜き、新たな運動を起こす画期的な選挙戦として勝利したのです。
 つぎに、有事立法3法案に反対し、国会成立を阻止するために闘いましょう。
 有事立法3法案は、北朝鮮・中国侵略戦争法案です。ブッシュ米大統領は「対テロ戦争」を宣言し、イラク侵略戦争と朝鮮侵略戦争を公言しています。小泉政権はこの侵略戦争に参戦するために有事3法案を何がなんでも今国会で成立させようとしているのです。戦後最大の決戦となりました。
 5月26日反戦共同行動委員会は東京・芝公園で2100名が参加する有事立法阻止闘争を闘いました。5月20日には大阪・扇町公園で6千人集会、5月24日には東京・明治公園で4万人集会が陸・海・空・港湾労組などの呼びかけで行なわれました。全国で広範な闘いが始まっています。
 会期内成立が絶望的になった小泉政権は、会期を7月末まで大幅延長し何がなんでも成立させようと攻撃を強めています。防衛庁リスト問題、福田官房長官の核兵器保有発言は小泉政権の本性を示しています。野党の屈服と裏切りを許さず、全国で反対闘争を盛り上げ国会を戦争反対の人波で埋め尽くし、人民の力で有事3法案を阻止しましょう。
 さらに、関西新空港の軍事使用と2期事業を中止させるために闘いましょう。
 有事3法案で民間空港として関西空港と成田空港を「指定公共機関」に入れようとしています。災害対策基本法で「指定公共機関」60カ所の中に関西空港と成田空港を指定していることからも明らかです。関空の軍事空港化は、同時に泉佐野市と市民の戦争動員を強制するものです。
 4月22日東京で開いた関空シンポジウムで太田大阪府知事は「国家のセキュリティを担う」ために2期事業が必要と述べ、軍事空港のための2期であることを隠そうともしていません。
 関空は止まらない地盤沈下と増え続ける赤字のために実質的に破綻(はたん)しています。今やこの危機を乗り切るためにも軍事空港化しかなくなったということです。アジア人民、全国人民と連帯して2期阻止するために闘いましょう。
 また、暫定滑走路の真横で不屈に闘う敷地内農民と三里塚反対同盟と連帯して東西で闘いましょう。暫定滑走路は、まさに関空2期と同じ軍事空港です。不屈に闘う三里塚闘争こそ反戦闘争の砦(とりで)です。連帯して闘いましょう。
 さらに神戸空港を中止に追い込むために闘いましょう。環境・需要予測・財政問題など全面的に批判し尽し、工事の中止を求めて闘う「神戸空港工事の中止を求める市民の会」、東灘区住民の会と共に闘いましょう。
 また戦後半世紀に渡って不撓(ふとう)不屈に闘い続けてこられた北富士闘争と連帯して闘いましょう。
 そして沖縄復帰30周年式典粉砕闘争を闘い、米軍基地撤去、名護・浦添への新基地建設阻止を闘う沖縄人民と連帯して闘いましょう。
 以上の趣旨で現地集会を開催します。7月14日全国から泉佐野へこぞって参加されますよう呼びかけます。
 2002年6月
 大阪湾岸住民4団体(泉州・淡路・明石・東灘)
 関西反戦共同行動委員会
 記
n関空二期反対、軍事使用阻止! 有事立法阻止、小泉政権打倒!
 7・14関西新空港反対全国集会 
nとき 7月14日(日)午後1時半
nところ 末広公園コミュニティーひろば
n主催 大阪湾岸住民4団体(泉州住民の会、淡路町反対同盟、明石住民の会、東灘区住民の会)・関西反戦共同行動委員会
n協賛 三里塚芝山連合空港反対同盟

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週刊『前進』(2059号6面3)

 M同志裁判勝利へ決起を 治安判事 中谷の保釈却下弾劾!

 5月14日、東京地裁刑事第2部中谷雄二郎裁判長は、M同志の保釈請求の却下を決定。さらに、29日には、接見禁止全面解除申立に対しても、翌日に電話一本で職権不発動を通告してきた。極悪治安判事中谷徹底弾劾!無実の全学連戦士・M同志を奪還しよう!
 昨年6月12日の不当逮捕以来、すでに1年が過ぎた。M同志は、「再び戦争をくり返してはならない」と、三里塚、沖縄、都議選の先頭でたたかっていた。そして、高円寺駅街宣現場において結柴都議候補の演説がまさに開始されようとした瞬間に不当逮捕された。戦争に反対するものはデッチあげても監獄に入れるという、まさに「有事立法」弾圧そのものある。
 極悪公安の貞山明らによる52日間・300時間以上の取調べは、「反戦運動をやめろ」という転向強要であり、母親を東京に呼びつけ、その手紙を「遺書」と書いた封筒に入れてM同志に見せ、脅迫するというまったく許し難いものだった。M同志は、この攻撃を完黙・非転向で跳ね返し、公判では、現代の特高警察=公安刑事らのデッチあげ証言を徹底的に弾劾して闘いぬいている。
 中谷裁判長は、「(公安事件は)あらかじめ捜査を予測して偽装工作を施し証拠を隠蔽するなど、証拠収集が非常に困難で、証拠の薄いまま起訴されるケースもないわけではない」(『ジュリスト』89・3・25付)と公言する極悪の裁判官である。5月9日の公判では、M同志の長期勾留と中谷裁判長の訴訟指揮を弾劾する意見陳述について、その読み上げを禁止し、自らが弾劾されることへの恐怖を自己暴露した。さらに弁護団の抗議にもかかわらず、千葉県警の公安刑事が、本件とはまったく関係ないゲリラ事件の捜査を行ったことをあえて証言させた。弁護団は直ちに証言部分の公判記録からの削除を要求した。また、M同志の地元から「支える会」の方が車椅子による傍聴を行おうとしたところ、一方的に傍聴場所を指定するという差別的な訴訟指揮を行った。絶対に許すことはできない。階級的憎悪に燃え、刑事裁判の体裁すらふみにじり、検事をしったし、「中核派立証」を行わせようとする治安判事中谷を、人民の決起で打倒しよう!
 前回公判までに、米本治史、貞山明、井崎正和、岡崎聖、山澤慎一など警視庁公安刑事や鑑定官、千葉県警らが許し難いデッチあげ証言を繰り返したが(一覧参照)、M同志と弁護団が一体となってことごとく粉砕してきた。
 公判は、検事側立証の最大の山場・筆跡鑑定人尋問を迎えている。「経験と勘」でデタラメな筆跡鑑定を繰り返し、警視庁によるデッチあげに加担する馬路充英証人のペテンを徹底暴露しよう。
 公判日程は、6月27日、7月10日、7月23日、8月27日の午後1時15分から。いずれも東京地裁426号法廷である。M同志の地元「支える会」の傍聴・保釈要求署名運動と連帯し、傍聴に結集しよう。M同志を激励しよう。獄中通信『光速空間』を購読、投稿しよう。

 公安警察のデッチあげ証言一覧

米本治史
公安1課警部補
 大学当局に休学願等の任意提出を強制。
貞山 明
公安1課警部補
 Mさんの実家を不当捜索し、押収したノートの物理の数式を「暗号である」とデッチあげ。
井崎正和
公安1課警部補
 問診表の任意提出(医者の守秘義務違反)を強制。筆跡によるデッチあげ。
岡崎 聖
公安1課警部補
 陸運局の鉛筆が特殊な鉛筆であるとして、デッチあげを狙う。実際には鉛筆はどこの文房具店にもあるトンボの鉛筆。
山澤慎一
公安1課巡査部長
 関係ないゲリラ事件と結びつけようとデッチあげを狙う。
金子秀夫
警視庁指紋鑑定官
 不鮮明で部分的な掌紋によるデッチあげ鑑定。明治時代からの経験で、立証は可能とデッチあげ証言。
山田達雄
警視庁科捜研化学研究員
 X線マイクロアナライザーで鉛筆成分を分析。陸運局備付の鉛筆と書類に記載された鉛筆が同種とデッチあげ。結果の数値はデタラメ、あらかじめわかっている結論にこじつけた。
菊池朝男
千葉県警公安3課
 まったく関係ないゲリラ事件の証言を強行。

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週刊『前進』(2059号6面4)

4人の闘いが自分のささえ 新潟・教育労働者 M

 自分が弾圧されたときのことを思い出している。あの時以来、弾圧の問題を考えてきたが、爆取弾圧被告の4人ががんばっているのを知ると自分もがんばってきて良かったと思う。
 保釈闘争を注目しているし、カンパという形でかかわれるようにしている党は、すごいと思う。この保釈の闘いは紙面にできるだけ載せてほしい。1人1万ということで4万円カンパします。

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