ZENSHIN 2002/06/17(No2057 p06)

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週刊『前進』(2057号1面1)

北朝鮮・中国侵略戦争法案を葬り去れ 首都に絶対廃案の嵐を
日帝の有事立法・核武装化阻止
 6・16代々木公園に結集し 大署名運動を広め国会決戦へ

 全世界的な大激動、とりわけ有事立法粉砕決戦と国鉄決戦の激しい階級攻防の中で、労働者階級とその党は生死のかかった決戦局面に突入している。有事立法粉砕決戦は、全人民の怒りが募っていく中で、5月衆院通過を阻止し、6月の攻防に一切がかかった。一方、連合は「有事立法賛成・推進」の5・16連合見解を打ち出し、日帝の侵略戦争の先兵としての反革命的正体をあらわにした。この労働運動をめぐる大流動情勢のもとで、「陸・海・空・港湾労組20団体」など3団体の呼びかけで、6月16日(日)に代々木公園で有事立法の廃案を求める全国大集会が開催される。全国で巨万人民の署名運動を大胆に拡大し、宣伝・組織活動を全力で展開し、6・16代々木公園集会に総力で結集しよう。沖縄人民の怒りと一体となって闘おう。衆院での強行採決を、国会決戦の実力闘争的大爆発で絶対に阻止し、北朝鮮・中国侵略戦争法案=有事3法案を廃案に追い込もう。そして有事立法粉砕決戦と一体で国鉄決戦の不屈の前進をかちとり、この戦争と大失業の時代に帝国主義を打倒する階級的労働運動の前進を闘いとろう。

 第1章 衆院採決を阻止し廃案に追い込もう

 有事立法は絶対阻止できるし、全力で阻止しなければならない。日本の労働者人民の血債をかけて、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争、そのための有事立法3法案を廃案に追い込む国会決戦を大爆発させなければならない。
 労働者人民は、ひしひしと戦争の危機を感じ取っており、街頭署名の反響は大きく、署名者数は日ましに多くなっている。「有事3法案を廃案へ」は、今や圧倒的多数の人民の声だ。
 あらためて「有事立法絶対阻止!」の不退転の決意をうち固め、職場・地域・街頭・キャンパスで、人民を猛然と組織しぬこう。一切の力を署名運動の拡大と6・16代々木公園総結集として実現しよう。組合旗、自治会旗、あらゆる団結の旗を押し立てて、代々木公園へ! 首都で10万人の大デモを! 衆院での強行採決策動に対し、戦闘的実力デモをたたきつけよう。
 国会情勢はいよいよ緊迫している。有事3法案のほかにも、言論弾圧法案(個人情報保護法案、人権擁護法案)、郵政関連4法案、「心神喪失者等医療観察法案」=保安処分新法、健康保険法改悪案など悪法が次々と提出されているが、小泉は通常国会の会期を延長してでも有事3法案など全法案の成立を狙っている。6月5日に成立した、国家権力と闘う団体や運動を破壊する「テロ資金規制法」の発動を絶対に粉砕しよう。
 まさに「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いの正念場が来ている。戦争の元凶=帝国主義を労働者人民の闘いで打倒することだ。これこそ帝国主義戦争を阻止する唯一の道なのだ。

 「自衛」の名で侵略戦争突入

 有事立法は、日帝・小泉が言うような、「備えあれば憂いなし」などというものでは全然ない。対イラク侵略戦争に続いて、1〜2年のうちにも米帝の北朝鮮空爆→北朝鮮侵略戦争が開始されようとしている。そのために有事立法が決定的に必要だからこそ、強引に通そうとしているのだ。
 有事立法3法案は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争、世界戦争路線に、日帝が共同的=競合的に参戦するためのものだ。「(日本に対する)武力攻撃事態」の概念、適用範囲を無制限に拡大しているのも、「自衛」の名をもって北朝鮮・中国に対する空爆、侵略戦争に突入できる道を開こうとしているからである。
 重要なことは、この有事3法案は、日米新安保ガイドライン―周辺事態法の「周辺有事」と完全に一体化して適用されることだ。米帝の北朝鮮侵略戦争の突入とほぼ同時に日帝は「武力攻撃事態」を宣言し、それらへの北朝鮮の必死の反撃ないしその動きをとらえて、「自衛のため」と称して全面的に参戦していくのだ。周辺事態法で規定している米軍への「後方支援」の形式だけでなく、自衛隊自らが北朝鮮攻撃に直接参戦できる道を開こうとしているのである。
 次の事実は、そのことをはっきりと示すものだ。
 @官房長官・福田は、「敵が武力攻撃に着手した時(おそれの段階)から反撃が可能だ」「敵のミサイル基地をたたくことは自衛の範囲内だ」と言明した。
 A自衛隊の統合幕僚会議は94年の朝鮮危機を総括し、「朝鮮有事」に実施すべき自衛隊の行動として、「空自戦闘機が北朝鮮上空まで進入し、500ポンド爆弾を投下」「北朝鮮軍事基地、弾薬庫など戦略拠点を攻撃」する作戦計画を立案している。(朝鮮新報01年6・6付)
 これは米帝の北朝鮮侵略戦争計画5027に日帝が完全に一体化し、さらには「作戦計画5027」をも超えて、日帝が積極的・能動的に北朝鮮攻撃に参戦する恐るべき侵略戦争計画である。
 98年改定版「5027」では、米軍が5つの空母機動部隊で朝鮮半島を包囲し、「攻撃の兆候」だけで北朝鮮に先制攻撃を加え、壊滅的空爆と大規模地上侵攻作戦で首都ピョンヤンを占領し、現政権を転覆して米帝が北朝鮮を占領統治する段階まで作戦化されている。
 「北朝鮮のミサイル発射のおそれ」が叫ばれれば、日本の国内は一挙に戦時編成へ突き進む。このまったく実践的、実戦的な恐るべき攻撃として、有事3法案があるのだ。
 また中谷防衛庁長官は、5月16日、「ハイジャックされた民間機への武器使用(=撃墜)は可能」と言い放った。国家機関を守るためには、航空乗務員(労働者)や乗客を自衛隊の手で虐殺するということだ。自衛隊が守ろうとしているものは、彼らがいう「国民・国民生活」ですらなく、日帝の帝国主義国家体制、国家機関、天皇制、帝国主義軍隊だということを真正面から宣言したのだ。断じて許すな。

 第2章 有事立法を許せば日帝は核武装する

 さらに、福田官房長官と安倍官房副長官らの断じて許せない核武装化発言が行われた。徹底的に弾劾し、粉砕しなければならない。
 @安倍が、5月13日の早稲田大での講演で「大陸間弾道弾は、憲法上は問題ではない」「小型であれば原子爆弾の保有も問題ない」と発言。
 A福田が5月31日、「専守防衛なら核兵器を持てる。持ってはいけないという理屈にはならない」「今は憲法だって変えようという時代だから、国際情勢や、国民が持つべきだということになれば、(非核3原則は)変わることもあるかもしれない」と発言。
 B極右ファシストの都知事・石原慎太郎が、「核は持つことができる。頑張れ」と福田を電話で激励。石原はまた、ニューズウィーク韓国版(6・12付)で、「自分が総理になれば、北朝鮮と戦争をしてでも、抑留された日本人を連れてくる」と憎むべき排外主義の扇動と戦争挑発を行った。許しがたいことだ。
 こうした小泉政権およびファシスト石原の核武装化発言は、北朝鮮・中国侵略戦争が間違いなく核戦争となることに対応した日帝としての国家意志の表明であり、有事立法攻撃と完全に一体である。有事立法を持ったなら日本は核武装しなければならないし、朝鮮・中国への核攻撃もやると言っているのだ。
 米帝の世界戦争路線の展開のもとで、核戦争の危機が急速に現実化している。その中で日帝は、北朝鮮・中国侵略戦争に突入しようとしているからこそ、核武装化の衝動を決定的に強めているのだ。日本の労働者人民が持っている根強い反戦・反核意識を解体しようとしているのだ。有事立法攻撃は、同時に核武装化攻撃でもあることをはっきりさせなければならない。
 また、防衛庁が情報公開請求者の身元を組織的に追跡調査し個人情報リストを作成していた事件は、日帝・防衛庁が人民を潜在的に敵と見なしていることをあからさまに示した。有事立法攻撃は、日帝・防衛庁のこのような「憲兵政治」を日常化させ、侵略戦争に向かっての人民の生活と権利のじゅうりんを横行させていくものだ。
 日帝の核武装化発言に対して、広島・長崎の被爆者や、朝鮮・中国・アジア人民を先頭に、労働者人民が強い怒りと抗議の声を上げている。ともに連帯して、有事立法粉砕・核武装化阻止へ総決起しよう。

 核戦争に突き進むブッシュ

 各国帝国主義は、米帝を先頭に29年型世界大恐慌の爆発、侵略戦争、帝国主義間戦争―世界戦争に向かって突き進んでいる。米帝ブッシュは6月1日、陸軍士官学校の卒業式で演説し、「テロとの闘いでは守りに回っていては勝てない。敵に戦闘を挑み、敵の攻撃を崩壊させねばならない」「脅威が現実化するまで待ったら、待ちすぎだ」「安全への唯一の道は行動だ。米国は行動するだろう」と、直接にはイラク侵略戦争突入の意図を露骨に、かつすさまじい焦りに駆られて表明した。
 しかも、米帝は対イラク・北朝鮮侵略戦争で核兵器を使う可能性がきわめて高い。アフガニスタン侵略戦争で米軍は、地下の拠点やタリバン政権の中枢を狙って核爆弾B61-11を使うことを検討していた。(5・27東京新聞)
 またブッシュ政権の「核戦力体制の見直し」では、米軍が核兵器を使う「身近な有事」の例として「イラクによるイスラエルや周辺国への攻撃、北朝鮮による韓国への攻撃、台湾をめぐる中国の軍事作戦」を具体的に挙げているのだ。
 米帝のイラク・北朝鮮・中国侵略戦争、核戦争攻撃を絶対に許すな。日帝の共同的=競合的な侵略戦争突入を粉砕せよ。一切をかけて有事3法案の実力粉砕に立ち上がろう。

 第3章 連合の「戦争協力」宣言を粉砕しよう

 この日本労働者階級の未来をかけた重大な決戦の時に、連合は5・16中央執行委員会で、まったく許せないことに「有事立法」賛成の見解を打ち出した。
 連合見解は、「憲法の枠内での(有事)法整備は、基本的には必要」と述べ、「本法案は不完全」だから「今国会で急いで成立をさせることには反対」「どのように審議されるかを見極め、……必要な対応をしていく」というものだ。これは「十分な有事立法を」という要求であり、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争に積極的に協力することを宣言したものである。
 労働運動のナショナルセンターが日帝の行う戦争に積極的賛成を表明したことは、戦後労働運動史上、かつてなかったことであり、全力で粉砕しなければならない。日帝・小泉は、この連合の屈服を見てとり、「与党単独でも強行成立」の路線をひとまずやめて、民主党・連合を修正協議に引き込み、採決の場に引き出そうとしている。どんなことをしてでも有事立法を通そうとしているのだ。
 連合の戦争協力(戦争への労働者動員)を断じて許すな! 職場からの怒りの決起で5・16見解を撤回させよう。帝国主義戦争に屈服する連合中央、自治労、日教組、全逓中央などの腐敗した労働貴族どもを打倒し、帝国主義と真っ向から対決する新潮流運動の大前進をかちとろう。
 また、日本共産党スターリン主義は、この連合見解について、5・17付「赤旗」で「連合が有事三法案に反対/今国会、成立させない」の見出しで全面肯定した。批判のコメントは一言もなく、帝国主義的労働運動への綱領的屈服、すり寄りをあらわにしている。
 そもそも日共の立場は、「テロ弾劾」論であり、「有事の自衛隊活用」論(00年の22回大会)だ。被抑圧民族の反帝・民族解放闘争を「テロ」と非難し、その絶滅を叫び、帝国主義の侵略戦争を「テロに対する制裁、報復」の名で全面的に擁護している。
 今回の有事3法案についても、「日本と国民をアメリカの戦争のために危険にさらす」「日本を守る法案ではない」から反対だ、と言っているのであり、連合見解と本質的に同じ立場なのである。「本当に日本が危機にさらされていれば、何はさておいても協力しようというのが、国民の普通の感覚」(『前衛』6月号)と言って、帝国主義打倒の立場、「連帯し侵略を内乱へ」の闘い、プロレタリア世界革命の闘いに全面的に敵対しているのだ。
 さらに日共は5月30日、医療観察法案(保安処分法案)について、「精神障害者の再犯予測は可能」「凶悪犯罪から市民の生命と安全を守り、不安を解消するのは社会的要請だ」として、政府原案を基本的に支持するという絶対に許せない裏切り方針を打ち出した。排外主義、差別主義をあらわにする日共の敵対を打ち破り、労働運動の革命的再編に切り込もう。
 さらに、カクマル中央派と松崎・JR総連の反革命的な闘争破壊を絶対に許すな。国鉄分割・民営化、20万人首切りの先兵となったカクマル、松崎・JR総連は、日の丸賛成、自衛隊賛成、日帝の核武装賛成を唱えるファシスト労働運動だ。有事立法推進勢力だ。全戦線から一掃・打倒するために総決起しよう。

 国労本部打倒、国労の再生へ

 国鉄決戦を、有事立法決戦と一体の闘いとして前進させよう。
 5・27国労臨大決戦では闘争団を先頭とする国労組合員の怒りが大爆発し、敵権力の国労解体攻撃をひとまず、はね返した。激烈な攻防戦、死闘戦はこれからが本番だ。闘争団を守り、国労本部打倒、国労の階級的再生へ、不屈に闘おう。
 警察庁・千葉県警による『前進』編集・発行人への出頭要求は、日帝が北朝鮮・中国侵略戦争突入情勢下にあって、必然的に、革共同の存在とその機関紙『前進』による革命的宣伝・扇動の威力をこのままにしておくことはできない、という死活的な反革命として打ち出された破防法型弾圧だ。それは、戦争反対を訴えることそのものへの言論弾圧以外のなにものでもない。断じて許すな。有事立法粉砕決戦は、まさに革命党の存亡をかけた決戦なのだ。『前進』を闘う労働者人民の新聞として守り、一層発展させよう。このことを労働者人民に広く訴えて、圧倒的な定期購読拡大をかちとろう。
 長期獄中同志保釈奪還の1億円基金運動と、夏期一時金カンパ闘争を結合し、猛然と取り組もう。決戦の渦中で、プロレタリア世界革命に勝利する不抜の革命党を建設しよう。
 6月有事立法粉砕決戦の戦闘的・大衆的大爆発のために、今こそ死力を尽くして闘おう。

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週刊『前進』(2057号4面1)

戦争国家体制狙う有事法制阻止せよ
福田官房長官「核持てる」発言許すな 有事3法案と一体で核武装化を狙う攻撃

 5月31日午後の記者会見で福田康夫官房長官が核兵器について「専守防衛なら持てる。持ってはならないという理屈にはならない」と発言した。さらにそれに続く記者との懇談で「今は憲法だって改正しようというぐらいになっているから、国際情勢や国民が持つべきだということになれば非核三原則も変わることになるかもしれないよ」と発言した。日帝が有事立法3法案を強行しようとしている策動と一体で、核武装を目指そうとする発言であり、絶対に許してはならない。労働者人民の怒りの総決起で福田をただちに辞めさせ、有事立法を粉砕し、小泉内閣を打倒しよう。
 福田発言は、安倍晋三官房副長官が早稲田大学での講演で「大陸間弾道弾(ICBM)は憲法上は問題ではない」「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね」と発言したことに対して、記者の質問に答えたものだ。安倍や福田個人だけでなく、小泉政権が核武装に向かって本格的に策動を開始していることを示したものだ。
 この事実が新聞で報道され、労働者人民の怒りが燃え上がった。被団協を始め広島、長崎の被爆者団体や沖縄からも怒りの声が沸き上がった。またアジア人民の激しい怒りの中で韓国政府、中国政府なども反発を強めた。
 こうした中で、福田も小泉もペテン的な言い逃れでごまかし、逆に報道に問題があったかのように居直り、有事立法3法案など戦争体制構築に全力を挙げている。だが、福田の発言が核武装に向かって人民の反対を押し切っていこうと狙ったものであることは明白だ。何よりも安倍発言について一切否定することなく、「理屈から言えば持てるのではないかと思う」と支持していることからも明白である。また石原慎太郎都知事が福田に「核は持つことができる。頑張れ」と電話で激励していたことも明らかになっている。
 もともと日帝が言ってきた「非核三原則(持たず、つくらず、持ち込ませず)」なるものがまったくのペテンである。実際には67年に佐藤が沖縄返還政策に際して言い出した当初から米軍に対しては沖縄や横須賀への核持ち込み・保有を認めるという密約が交わされており、空母や原子力潜水艦などの米核艦船が常時配備されているのだ。それだけではなく、日帝は核武装に向けて原発などの核開発を進め、さらに衛星打ち上げ実験を積み重ねることによってミサイル技術を開発している。
 そもそも、核兵器やICBMが、戦力の不保持と武力行使の放棄を規定した憲法上認められるという主張自身が絶対に許せない暴論であり、こうした発言がまかり通っていること自身が許しがたいことである。「自衛のため」と称する帝国主義戦争の論理に屈服した日共を始めとする野党の裏切りの犯罪的役割を厳しく弾劾しなければならない。福田は、有事法制の国会審議で、ミサイル準備などの「着手の段階から反撃が可能である」と発言したが、まさに「着手」と称して空爆や地上軍派遣によって攻撃するだけでなく、核ミサイルによる先制攻撃をも狙っていることがはっきりと示されたのだ。
 福田発言の背景には、米帝がアフガニスタンへの侵略戦争に突入し、さらにはブッシュの「悪の枢軸」発言をもって凶暴な侵略戦争を展開しようとしていることがある。今や世界大恐慌の危機の中で帝国主義は完全に侵略戦争・帝国主義間戦争の時代へと突入したのだ。米帝は凶暴な戦争の大展開によって世界支配を再編しようとしているのだ。
 しかも米帝の凶暴なアフガニスタン侵略戦争が、一方ではイスラエル・シャロン政権のパレスチナ圧殺のための人民大虐殺を促進しており、他方ではインド・パキスタンの核戦争危機を一挙に激化させている。
 こうした情勢に対して日帝は、危機感に駆られて戦争のできる帝国主義として登場し、侵略戦争に打って出ようと全力を挙げた攻撃に出てきている。有事3法案を始めとする戦争国家体制構築の攻撃に全面的に出てきており、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦しようとしている。その中で、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くために日帝が核武装した帝国主義として登場しようと凶暴な焦りを深めているのである。
 福田の居直り、有事立法を強行しようとする策動を絶対許すな。朝鮮・中国侵略戦争、戦争国家化に向かって突き進む小泉政権を今こそ打倒しよう。

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週刊『前進』(2057号4面2)

防衛庁リスト事件弾劾 人民敵視する本性あらわ

 防衛庁が、情報公開法に基づく請求者の身元を独自に調べて、リストを作成し、自衛隊内で使っていたことが暴露された。この事実は、防衛庁・自衛隊が法律に基づいて情報請求をする労働者人民すら、敵と見なして調査・監視していることを示すものだ。帝国主義軍隊=自衛隊の反人民的正体をさらけ出している。怒りをもって弾劾し、有事立法を絶対に粉砕しよう。
 情報公開の請求手続きで申請書類に書き込むのは、請求した個人または法人の名前と住所、開示を求める行政文書名だけだ。ところが、防衛庁は独自に職業、所属団体や生年月日、転居先や旧姓を調べ上げ、さらには「受験者(アトピー)の母」「反基地運動の象徴」などと思想・信条・病歴にまで踏み込んで追跡調査してリストをつくっていたのだ。
 個人情報リストは最初に暴露された海上幕僚監部だけでなく、防衛庁内局と陸上幕僚監部、航空幕僚監部でもそれぞれ独自に追跡調査し作成していた。要するに、防衛庁と陸海空自のすべてが、組織ぐるみで、「日常業務」として、情報請求者の身元調べを行っていたのだ。リスト化された請求者の数は海幕が141人、陸幕が139人、空幕が120人、防衛庁内局は「不明」としている。
 これほど自衛隊総ぐるみで組織的にやっていながら、防衛庁は、組織関与を否定する「調査結果」を発表して、人民をだまそうとしていた。最初に暴露された海幕の3等海佐の個人行動として済ませ、防衛庁内局や陸空幕でのリスト作成の事実を隠ぺいしようと画策していたのだ。一体どこまで悪らつなのか。
 要するに人民には真実を知らせず、自分たちに都合の悪いことは隠ぺいし、うそをついて北朝鮮・中国侵略戦争に突き進もうとしているのだ。
 こんなことを許していたらどうなるか。役所の情報を調べようとする人物は国家に敵対する要注意人物だとレッテルを張られ、秘密裏に身元調査され、自衛隊や公安警察が常時マークし、弾圧する――こんな社会になってしまう。
 さらに重大なことは、日帝は「個人情報保護法案」の強行と、8月からの「国民総背番号制」(「国民全員」に11けたの番号をつけ個人情報を行政機関が利用)の実施によって、今回自衛隊がつくった個人情報リストをもっと大規模に作成し、労働者人民の戦争動員と治安管理の体制を強めようとしていることだ。
 防衛庁や自民党内部では、リストをつくったことそのものよりも、それが外部に漏れたことを問題視し、一層内部の秘密を守る方向に、そしてそれを暴くメディアの規制に力を入れようとしている。それは必ず国家機密法(スパイ防止法)や自衛隊による人民の監視・取り締まりの方向を促進するものとなる。
 防衛庁リスト事件を徹底弾劾し、侵略戦争に突き進む日帝・小泉政権、中谷防衛庁長官を人民の怒りで打倒しよう。有事立法粉砕、言論弾圧法案(メディア規制法案)粉砕へ闘おう。

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週刊『前進』(2057号4面3)

連合の有事立法賛成見解を労働者の怒りで粉砕しよう
 6・16集会へ職場から総決起を

 有事立法3法案をめぐる決戦は、5・24−26の大爆発によって、6月に持ち越された。その勝敗は陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかける6・16集会を頂点とする6月中・下旬の闘いに絞り上げられた。
 6月決戦の最大課題は、労働者階級の反戦決起を抑圧し、戦争動員を狙う連合中央の打倒だ。700万人を超える労働者を組織するナショナルセンターの連合が侵略戦争法案に賛成したことの犯罪性は計り知れない。全職場で連合「5・16見解」への怒りを組織して6月決戦を爆発させ、有事立法を廃案に追い込もう。

 有事立法に賛成

 連合は、5月16日に「有事関連3法案に対する連合の見解」(以下「5・16見解」)と題する有事立法への見解を明らかにした。
 「5・16見解」の第一の犯罪性は、あろうことかナショナルセンターとして戦争賛成の立場を公然と打ち出したことだ。
 そこでは、「日本が武力による侵略を受けないという保証はなく、また大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロあるいは大規模災害など、現行の対応システムによっては対処しえない緊急事態が発生した場合には……国民の生命および財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は、基本的には必要」と言っている。
 「大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロ」とは、9・11反米ゲリラ戦争の爆発以降、米日帝が報復戦争の口実にしてきた文言ではないか。米帝は、゛大規模テロのおそれを先制攻撃で抑止する″と北朝鮮やイラクなどを「悪の枢軸」と名指しして凶暴な侵略戦争を行おうとしている。そして日帝は、これに共同的=競合的に参戦するために有事立法を強行しようとしていることが、この間の国会における政府答弁で完全に明らかになったではないか。
 にもかかわらず、連合は゛日本が攻められた時の法的整備をするのは当たり前だ″と言って戦争賛成を表明したのだ。
 この見解に自治労、日教組、全逓、全金(現在はJAM)など戦後の日本の反戦闘争の主力を担った労働組合がこぞって戦争に賛成したという事態の重さを、ふるえるような危機感で見据えなければならない。

 人権制限を要求

 「5・16見解」の第二の犯罪性は、゛法案は不完全だ、人権の制限を明文化し、もっと完全な有事法制にしろ″と、連合が労働者の戦争動員の積極的な先兵を買って出ていることだ。
 「有事における国民の自由と権利がどこまで保障されるのか全く不明……その点から本法案は不完全なもの」「連合は、国・地方公共団体や『指定公共機関』の業務に従事する多くの組合員を抱えており……どのような権利がどの程度『制限』されるかについて、明確にすべきである」とはなんたる言いぐさか。
 有事とは戦時であり、「国民の自由と権利」などは、はなから問題にもならない。戦争が一切に優先され、憲法が停止される、それが有事なのだ。戦前の痛苦の歴史を見ればそれはあまりにも明らかだ。
 「『指定公共機関』の業務に従事する多くの組合員を抱えて」いる自治労を始めとする連合中央はこのことを知り抜いているからこそ、戦争賛成の立場から「どのような権利がどの程度『制限』されるかについて、明確にすべき」などと主張している。すなわち、労働者を戦争に動員するためには、その権利を奪うための法律を明確にすべきだと言っているのだ。

 成立の水先案内

 「5・16見解」の第三の犯罪性は、日帝・小泉による新たな有事立法成立策動の水先案内人になっていることだ。
 「今国会で急いで成立をさせることは反対」「国会でどのように審議されるかを見きわめ、組織内外で慎重な論議をし、必要な対応をしていく」などというのは、何を意味するのか。
 日帝・小泉は、与党単独での衆院強行採決という方針から民主党をまき込んで、会期を延長してでも成立させるという方針に転換した。その背景には「5・16見解」がある。連合が賛成したからなのだ。労働者の戦争動員抜きに侵略戦争は成立しない。だから小泉は、連合が支持母体となっている民主党取り込みの策動に全力をあげているのだ。これが、中央公聴会中止を始めとした一連の事態の本質だ。連合は有事立法成立策動の先兵となったのだ。断じて許すな。

 反対運動の解体

 「5・16見解」の第四の犯罪性は、20労組を先頭にした絶対反対の運動の解体を狙っていることだ。
 日本共産党は『赤旗』で「連合が有事立法に反対」などと報道し、全面肯定した。ここに日共スターリン主義の帝国主義戦争への屈服が鋭く表現されている。しかし、自治労中央など平和フォーラムの20労組への敵対に見られるように、連合こそ内側から闘いの爆発を必死になって阻止している張本人である。
 連合傘下の労働者は自らの労働組合が戦争法案に賛成したことを許してはならない。職場から抗議・反対の決議などを上げ、20労組の決起を下から支える職場丸ごとの総力決起を実現しよう。国鉄闘争支援陣形に大胆に分け入り、連合・全労連の制動を突破して6月闘争の爆発で有事立法の廃案を実現しよう。

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週刊『前進』(2057号5面1)

有事立法粉砕=北朝鮮・中国侵略戦争阻止の総力決戦を
 死の苦悶にあえぐ日帝を打倒せよ

 武力攻撃事態法案を始めとする有事立法関連3法案の攻撃は、小泉が「備えあれば憂いなし」などと言うような一般的な備えのための方策では断じてない。この3法案の狙いは、すでに9・11反米ゲリラ戦を契機としてアフガニスタン侵略戦争として開始されたアメリカ帝国主義の恐るべき世界戦争計画の実行という現在の情勢の中で、日本帝国主義が激化する帝国主義間争闘戦での生き残りをかけて、この米帝の世界戦争路線に全面的に協力する形態で積極的に参戦していくための体制を一挙につくりあげるところにある。つまり、米帝の世界戦争の遂行に日帝が帝国主義としての存亡をかけて積極的に参戦していくための戦争法案=侵略戦争法案だということだ。われわれは、有事立法をめぐる決戦が、米帝の北朝鮮爆撃−北朝鮮侵略戦争が早ければ今年中にも、遅くとも1〜2年のうちに展開されようとしていることとまさに一体化した日帝の北朝鮮・中国侵略戦争突入をめぐる決戦であることをはっきりさせ、〈北朝鮮・中国侵略戦争法案粉砕〉のスローガンを鮮明にさせて闘っていかなければならない。

 今日の世界はすでに世界戦争状態にある

 日帝はすでに「周辺事態法」(そのもとになっているのが日米新安保ガイドライン協定)を持っている。また、9・11に対応しての「テロ対策特別措置法」という範囲の限定のない参戦法をも持っている。またPKO関連の侵略派兵を可能にする法も持っている。この上に今日の有事立法3法案が制定されようとしているのである。実を言えば、米帝の世界戦争計画がどんどん進行し、戦線がどんどん拡大していく中で、上述のすべての法案は一体化し連動して、日帝を帝国主義的侵略戦争に全面的に突入させていくことを可能にしていくものとしてある。
 有事立法3法案問題を考える時、われわれは何よりも今日の内外情勢、世界危機の中で、基軸帝国主義としての米帝の動向と、それによって激しい争闘戦的現実に突き落とされて帝国主義的にあがく日帝の動向という視点を持たなければならない。今日の世界は9・11以後の世界だ。また、アフガニスタン侵略戦争として開始された米帝の世界戦争計画(路線)が実行されつつある世界である。その意味で今日の世界はもはや平時ではない。世界戦争過程に突入した戦争状態にある世界だ。このことをトコトンはっきりさせ、すべての暴露の中で基軸に据えなければならない。
 実際にどうなっているか。米帝は今やアフガニスタン侵略戦争をどこまでも継続しようとしている。これは重要だ。米帝はこれをけっして終わらせないし、終わらせることもできない。その上で、米帝は9・11−アフガニスタン侵略戦争の流れの中で強行されたイスラエル・シャロンのパレスチナ自治区への全面的侵攻(本質的には米帝とイスラエルのパレスチナ侵略戦争の一層鋭い遂行)を支持する形で、戦争を中東へと拡大した。これはパレスチナ人民・中東人民・世界のムスリム人民の強烈な反撃にあって大きな打撃を受けた。しかし、米帝・イスラエルはパレスチナへの攻撃の現実を一定集約しつつ、今や対イラク戦争に向かっての情勢づくりのために必死になっていると言える。
 イスラエルの力の支配の現実を基礎に、米帝は、そのもとでのパレスチナ情勢の一定の米帝的集約の中に、アラブ・中東諸国を引き込むための策動を強めている。それはイラク攻撃への態勢を確保するためと言ってよい。米帝のこの間の動きは、パレスチナ人民の反撃で混乱した対イラク攻撃のプランを建て直し、早急にイラク戦争に突入するための国際情勢を確保するための動きだ。このため米帝は、ブッシュのロシア訪問−米ロ首脳会談などをとおしてプーチン・ロシアの取り込みに全力をあげている。プーチンもそれと知って一定それにのっている。中国には重圧をかけつつ、しかし、さしあたっては対立が爆発しないようにしようとしている。その上で「悪の枢軸」論のもとで北朝鮮に対して(戦略的な対中国スターリン主義政策のもとで)一定の政策を展開している。それは基本的には重圧を加えながら、外交的には若干のやり取りをして、北朝鮮をコントロールのもとに置こうとしている。これらはすべて、イラク攻撃において、支持または中立、または形式的反対=実質的黙認ということを狙っている動きだ。
 この問題は、さらに詳しく検討されるべきだが、米帝はその帝国主義としての「世界帝国」支配体制の護持のために、今やイラク侵略戦争を大きな目的として立てようとしている。イラク攻撃戦は02年後半から03年前半にかけて開戦が準備されている。これが現実なのだ!
 この米帝のイラク侵略戦争の強行は、10・7アフガニスタン侵略戦争とその永続化、パレスチナ情勢への波及と大爆発、その攻防の永続化に引き続いて、さらに10倍も100倍も世界戦争情勢を激化させる。この推移は予断を許さない。もちろん、日本人民を始め全世界人民、とりわけ全世界のムスリム人民の総決起をつくりだす一大国際攻防となっていく。
 しかし、イラク侵略戦争の推移いかんによっては、米帝の動きはやはり対北朝鮮−対中国へと発展していくことは不可避だ。実際に米帝が北朝鮮に空爆の重圧を加え始めたら、世界とりわけアジア、北東アジアはとてつもない大動乱に突入する。米帝の北朝鮮介入は、今回は明白に北朝鮮の体制転覆をめざす。となると、中国スターリン主義の政治的・地政学的危機は極点に達する。とてつもない大動乱の時代が一気に接近してくる。
 米帝が今日、最大の戦略的打倒目標としているのはスターリン主義中国であり、一切をこれへの準備過程として位置づけている。その中でパレスチナの帝国主義的制圧→イラク侵略戦争→北朝鮮侵略戦争(中国・北朝鮮侵略戦争)の流れがきわめて具体的なものとなって進められている。
 この全過程は、実は一体であり、米帝という基軸帝国主義が自ら戦後の帝国主義世界体制を破壊的に再編しようとする世界戦争過程としてある。日帝は今日、恐慌と大失業の危機にのたうちまわっている。また、帝国主義間争闘戦における軍事力・軍事体制の歴史的制約性にのたうちまわっている。この中で日帝の延命の道はさしあたって、この米帝の世界戦争計画にぴったりと密着して自ら積極的に参戦して戦争のできる国家へと絶望的に飛躍する以外にはないのである。

 周辺事態法と一体化して有事立法を発動

 日帝はすでに現実には周辺事態法的基盤をテコに、テロ対策特措法への飛躍を実現して、「対テロ」「対アルカイダ」ということでアフガニスタン侵略戦争に米軍の補給部隊として大々的に参戦している。これは11月まで延期されたが、いくらでも延長できる。イラク侵略戦争が爆発すれば、日帝はこのテロ対策特措法の既成事実の上で、米軍のイラク侵略戦争に対して、アフガニスタン侵略戦争の延長線の形態で実質的に強力に「支援」し、参戦していく。激しいイラク攻防を踏まえつつ、米帝の動きがアジア−北朝鮮−中国に向いてくれば、一定の状況ではそれは周辺事態法の適用という情勢が出てくる。
 しかし、実はこの周辺事態法の適用条件というのは、今次の武力攻撃事態法案の適用条件とほとんど同じである。武力攻撃事態法案の定義する「事態」は、@武力攻撃が発生した事態、Aその「おそれのある場合」、Bその「予測されるに至った事態」の3種を含んでいて、これは武力攻撃事態として一括されている。
 この点に関して言えば、5・16に発表された「武力攻撃事態」に関する「政府見解」の内容はさらに驚くべきものである。そこでは、狭義の「武力攻撃事態」について「武力攻撃を加えてくる主体としては、国だけでなく、国に準じる者もあり、攻撃の規模の大小、期間の長短や攻撃が行われる地域、攻撃の態様等もさまざまであり、武力攻撃の態様は一概に言えない」としている。これでは、一発のミサイルの発射や着弾どころか、小規模なゲリラ戦的抗議行動などでも「武力攻撃事態」の中に入っているということになってしまうのだ。
 加えて、この「政府見解」では「予測される事態」というのは、国際緊張が高まる中で、ある国が日本への攻撃のために「予備役の招集」「禁足」「非常呼集」を行っていると見られることや、「我が国を攻撃するためとみられる軍事施設の新たな構築を行っていること」などの動きがある場合だ言っている。さらに、「武力攻撃のおそれのある場合」というのは「ある国が我が国に対して武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させている」場合などとしている。
 現実的にこれを適用してみればどうなるであろうか。米帝・米軍が次は北朝 鮮攻撃がテーマだと宣言し、一定の体制を取り始めれば、北朝鮮は当然にも非常事態を宣言し、臨戦体制にたちまち突入するだろう。予備役の招集や部隊の集結や航空機の移動を即座にするだろう。さらに米帝が重圧を強めれば、ミサイルの発射に向けて準備するだろう。在日米軍基地やそれに全面協力している自衛隊基地は真っ先にそのターゲットとなるであろう。一定の段階では、北朝鮮は当然の権利として侵略者・日本の基地を攻撃すると表明するだろう。武力攻撃事態法案をこれらの動きと対比してみれば、たちまち「予測されるに至った事態」や「おそれのある場合」に当たるものとなろう。こうなれば、日帝は米軍の活発な動きと全面的にタイアップして動くから大変な情勢になる。さらに米軍が実際に北朝鮮空爆を開始したら、北朝鮮は(そして基本的には中国も)そのミサイルを日本に向けてセットするし、一定の情勢では発射(威嚇または実害を狙って)するだろう。また、あらゆる形で日本での反米・反日のゲリラ戦を追求し、またアピールするだろう。これは死活をかけた総力戦として当然のことだ。
 この観点からみると、「武力攻撃事態」「おそれのある場合」「予測される事態」についての法案の表現および政府見解の表現は、《米帝が北朝鮮攻撃への動きを具体化し、日帝が日帝の帝国主義的目的のために、これに全面協力=参戦していく》という事態との関係ですべてつかみとられるべきものだ。実際、米帝の大恫喝を受け、米帝の軍事重圧を受けた北朝鮮、そして、それに日帝が米帝と一体となって参戦することが必至という情勢のもとに立たされた上記のような北朝鮮の動きを想定すれば、「政府見解」での説明はすべてぴたりと符合するのだ。
 つまり、事実はこうなのだ。
 (イ)米帝とそれに協力する日帝の北朝鮮(中国)への重圧がどんどん強められる。これがすべての原因だ。
 (ロ)これに北朝鮮が必死の反撃体制をつくろうとする。その方向のひとつは、当然にも侵略者・日帝に向かう。
 (ハ)そうした動きを一定、北朝鮮(中国)が示し始めたら、それは武力攻撃事態(3つの事態の総計)となるというのだ。
 (ニ)そして、日帝はそれを口実として、いよいよ全面的な侵略戦争体制をとるということだ。
 武力攻撃事態法案の規定とそれについての政府見解や中谷防衛庁長官の国会答弁は、規模の大小・形態のいかん(ミサイルか、ゲリラか、サボタージュか)にかかわらず、組織だった日本への武力攻撃であれば、それはすでに武力攻撃事態そのものであると言っている。要するに、これがブッシュの言う「悪の枢軸」規定の実態であり、世界侵略戦争計画の遂行のありのままのプロセスなのだ。
 ここでわれわれが言っていることは、仮定の想定、仮定の上に仮定を重ねたなどというものではない。すべてこの1〜2年あるいは2〜3年のうちにも現実化する可能性がきわめて高い「現実」なのだ。有事立法3法案はまさにこうした日帝の帝国主義的侵略戦争のためのさし迫った必要に迫られた緊迫した大反革命なのだ。「国家と国民をあげての」戦争をいつでも遂行できるために必要な、その合法化のための法案なのだ。
 ここに有事立法3法案の階級的本質がある。当然のことだが、これは米帝の世界戦争計画に日帝が同調していく戦争法案であって、これが国会を通過するということは、たんに北朝鮮・中国・アジアへの侵略戦争体制がつくられるというにとどまらない。この戦争法案はいわば日帝の「世界戦争」計画の目玉をなすもので、この成立はあらゆる形での米軍と自衛隊のアフガニスタン・フィリピン・パレスチナ・イラク・中東・全世界への戦争遂行の水車にがんがん水を注ぎかけるものになるのだ。
 ここで言わずもがなであるが、武力攻撃事態法案が侵略戦争の法案であることをしっかりと確認しておきたい。これまでの叙述からも明らかだが、アジア・北朝鮮(中国)をめぐる情勢は、米帝が北朝鮮に対して一方的に問答無用に「悪の枢軸」国と決めつけ、「その体制が人民抑圧的であるから、体制を転覆する」などということまで強弁して、いきなり軍事重圧を加え、言うことを聞かなければ空爆を開始するといったことを押し通していることが一切の起動要因なのだ。そして、世界最大最強のスーパーパワーとしての米帝・米軍によって踏みつぶされることに北朝鮮が全力で対抗しようとする中で、さまざまな反撃が追求されるのだ。この追求の一場面、一部分をとって、「日本への武力攻撃だ」「そのおそれがある」「予測される」などと言ってただちに自衛隊は米軍と一体化して武力攻撃事態への「対処措置」(武力攻撃事態法案第3条で定義している)という名の戦争行為を発動すると言っているのだ。この全過程をみるとき、これが侵略戦争でなくて何であろうか。この点をはっきりさせる必要があるのだ。

 首相=最高戦争指導者の下に全権力を集中

 さて、有事立法3法案の本質は、こうした侵略戦争の遂行のための戦争発動法案ということだが、武力攻撃事態法第1章第1条〜第8条は、この侵略戦争への参入を内閣総理大臣(内閣)の権限をもって(国会承認は形式的)実際に決定すること、そして、それを国家・国民あげた総力戦として戦うこと、そしてそれを〈国・地方公共団体・指定公共機関・国民〉が一致して自己の責務としなければならないことを規定している。
 第2章第9条〜第20条において、政府権力−内閣総理大臣のもとに全権力を集中して、武力攻撃事態対策本部長=首相=最高戦争指導者のもとで、戦争遂行方針をつくり、地方公共団体や指定公共機関はこれに従わなければならないことを規定している。国会や内閣やあるいは地方自治体や指定公共機関は、戦時的急迫情勢の名のもとに、憲法や法律で保障された権利や権限を停止されてしまう。この意味で、百パーセント完全に戦時の非常事態体制を規定している法案である。緊急時の名のもとに憲法の全部または一部を停止する戦争体制のための法案だ。
 第3章(第21条〜第23条)は、上記の戦争を遂行するための諸方策の実施において、憲法や法律によって与えられている権利や自由を著しく制限し、停止し、解体することになることの確認をしている。国民の生活・権利・職場などを戦争のために勝手に破壊し、制限し、ねじまげることを許す諸方策の項目がほとんど網羅的に列挙されている。これらは2年以内を目標に「法制化」するとうたっている。実際にどんどん法制化するつもりでいる。しかし、場合によっては法案を準備しておいて戦争的危機の中で、世論をナショナリズムであおっておいて一挙に決定することも明らかに考えている。重要なことは、この法制化がまだできていないから、この有事立法は欠陥があるとか、役立たないなどと言うのは超反動分子の戯言(たわごと)であるということだ。ここに項目をあげているものだけでも、緊急時には一挙に実行してくるという面もあるのだ。また、この法案が通過した後では、日本の情勢は激変する。ここにある項目は、すべて第2次世界大戦や50年朝鮮戦争の時のように強引に実行される。このことを危機意識をもって強力に暴露することが必要である。
 第4章(第24条)では、「武力攻撃事態以外の緊急事態」ということをあげて、それに断固対処していくとしている。これはいわゆる「不審船」問題や、国内のゲリラや大ストライキやデモなどに対しても、武力攻撃事態法案の一環として、その基本精神で対処すると宣言しているのだ。つまり、基本的にこうした事態にも武力行使をするということである。また、自衛隊だけではなく、海上保安庁も第2自衛隊として軍事行動していくのである。民主党・鳩山などが、この項目の法制化が確認されていないのは問題だなどというのも超右翼分子どもの許しがたい翼賛発言だ。法制化しても、あるいはしなくても「緊急事態一般」というだけで武力行使をどしどし遂行していくという基本は、このことが武力攻撃事態法の第24条となっていることによってすでに担保されているのだ。

 軍隊が特権的に行動労働者を国家総動員

 こうした武力攻撃事態法案の階級的本質は、同時に提出されている「安保会議設置法改正案」「自衛隊法改正案」の検討をすれば一層明らかとなる。
 簡単に特質を言えば、「安保会議設置法改正案」は、安保会議の構成を拡大するとともに、常設の「事態対処専門委員会」を設置し、武力攻撃事態への対処基本方針=戦争方針を内閣総理大臣に具申して、総理大臣の決断を補佐する機能を持つということだ。それは内閣総理大臣の戦争大権の確立のための装置である。
 「自衛隊法改正案」は戦時下において自衛隊の戦争準備に必要となることは、憲法や既存の法律にかかわらず特例、例外としてすべて可能とするということである。
 第一に、大きな問題は「第77条の2」という新しい条文が設定され、武力攻撃が「予測される事態」という時点で、すでに展開予定地点に陣地等防御施設を構築することができるとされたことだ。このために、自衛隊が必要とすれば好き勝手に土地を使用し、立ち木を切り、家屋の形状を変更できるなど、事実上、土地収用をしてよいということだ。また、これに抵抗するものには武器を使用してもよいとしている。
 防衛出動時と、防衛出動が「予測される事態」とが多くの場合、同等に扱われる。さまざまな法律において「適用除外」を受けるか、「特例措置」を受けるようになっている。
 第二に、きわめて重要なことは、防衛出動時における物資の保管命令と業務従事命令に関する規定の問題だ。保管すべき物資の種類・数量、保管すべき場所・時間を指定して、それをきちんと保管することを命令できるのだ。必要な軍需物資は国家・軍隊が確保するということだ。これは一般的な法規としてはすでに自衛隊法第103条に規定されているが、今回の改悪によって保管場所に立ち入り、検査することができるのだ(新設の「第103条の13」によって)。すさまじい私有財産の侵害である。
 しかも、それだけではない。第124〜126条が新設され、罰則が科せられるようになった。すなわち、立ち入り検査を拒んだり、妨げたり、虚偽の報告をしたりすれば、20万円以下の罰金が取られる(第124条)。保管すべきものを隠匿・毀棄(きき)・搬出したものは6月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる(第125条)。さらに上記の第124条、第125条の違反については、直接の行為者のみならず、法人そのものも罰金を科せられる。刑の軽重をこえて、これによって保管命令は今や完全に強制力を持つものとなったのだ。
 いろいろ言えるが、今次の自衛隊法改悪案によって、自衛隊は完全に軍隊として特権的に戦闘中心に行動し、国民の生活・権利などはそのために退けられてしまうということだ。戦前・戦中の国家総動員法(1938年制定)のもとで強行されたことが、どんどんできるようになるのだ。要するに、戦争行為の発動に向かって体制を整えてきたということだ。
 ここでおさえておきたいことは、「武力攻撃事態」「そのおそれのある場合」「予測される事態」の区別など、言われているほどないのである。米帝のイラク攻撃が進み、北朝鮮への空爆が現実化した時は、「周辺事態」と連動しつつ、一挙にすぐさま「武力攻撃事態」へと突き進むということだ。その時は、在日米軍の動きと自衛隊の動きは、まさに戦争体制そのものとなる。この時には今回の自衛隊法改悪点は、たちまち実働するということだ。
 このように、今次有事立法3法案は〈北朝鮮・中国侵略戦争法案〉であり、〈侵略戦争突入・国家総動員法案〉なのである。

 憲法破壊の大攻撃に血債かけた総反撃を

 以上のことから、今次有事立法3法案を粉砕する決戦の核心問題は明らかである。第一に、要するにこの有事立法3法案は、きわめて現実的な米帝・米軍の世界・中東・アジアへの戦争計画と完全に一体化した日帝による積極的な参戦法案だということである。これが最大の核心であり、暴露の軸であり、闘争の組織化のポイントである。もちろん、このことは日本の国家体制上の大変更である。戦争放棄を本質とする憲法を真っ向から否定するものである。
 戦後の新憲法とは、第2次世界大戦や明治以来の侵略戦争の歴史、とりわけ膨大なアジア人民を虐殺し、日本人民を戦死させた歴史の教訓から、制定されたものである。それは本来、戦争の原因としての帝国主義の打倒をプロレタリア革命として実現することで果たされるべきであった事柄を、戦後革命が敗北したため、戦争放棄の憲法の制定ということで我慢させられたというものとしてある。
 だから、その憲法を平然と踏みにじることなど労働者階級人民として断じて許せるものではない。ところが、今回の有事立法はこれを真っ向から否定するものだ。歴史の教訓を踏みにじり、憲法を破壊して、有事立法を強行成立させようとしているのは、再び激しい侵略戦争をするためだ。そして、そのために憲法を否定した軍事国家、軍事独裁国家をつくるものなのだ。これに対して日本の労働者人民は、在日・滞日アジア人民を始めとするアジア人民の怒りを受けとめて、日本人民の血債をかけた怒りをもって断固反撃しなければならない。
 第二に、有事立法粉砕決戦を闘う路線を鮮明にさせることである。
 米帝は今や世界を戦争過程にたたき込んで、解体した戦後世界体制を米帝支配体制として再編しようとしている。日帝は米帝のこの帝国主義間争闘戦で国家存亡の危機にたたき込まれ、帝国主義としての延命のためにこの戦争過程に独自の利害をもって参戦しようとしている。世界史全体を世界戦争過程へと推進させる主体のひとつとなろうとしている。しかも、その情勢は帝国主義経済を襲う大恐慌・大不況の重圧、大失業の重圧、そして世界のブロック化の危機の進展として動いている。労働者階級は大失業・大幅賃下げ・無権利化・労働基本権剥奪(はくだつ)の危機にたたき込まれている。この労働者階級に対して侵略戦争への動員の大反革命が襲いかかってきているのだ。この情勢は帝国主義の死の苦悶(くもん)であり、帝国主義のもとでは絶対に解決できない矛盾の爆発だ。このままでは労働者階級にとっては、失業・生活苦・戦争ということしかない。
 この現実を打開するのは、労働者階級の根底的解放、つまり帝国主義の打倒、プロレタリア革命の達成によって新しい真の社会主義・共産主義の実現をかちとっていくしかない。こうした時代には帝国主義打倒の立場で武装した前衛党や革命的労働者が先頭になって反戦闘争に立ち、労働組合の既成指導部の腐敗を打破して、労働組合の階級的再生のための闘いに立ち、労働者の生活と権利の要求を掲げて断固闘うしか道はない。その路線は「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・パレスチナ・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の闘いの路線しかありえない。
 第三に、この有事立法3法案=北朝鮮・中国侵略戦争法案阻止の闘いは、またこの間確認してきたアフガニスタン・パレスチナ・中東人民・世界ムスリム人民との血債をかけた闘いとして断固かちとられなければならない。
 この3法案はけっしてアジア諸国にのみ矛先を向けているのではない。米帝のアフガニスタン・パレスチナ・イラク・イランへの侵略戦争、イスラム諸国への侵略戦争こそその世界戦争計画の重大な環をなしている。ここをぶちぬくことで対中国(対北朝鮮)へと攻め上ろうとしている。そして、日帝の周辺事態法もテロ対策特措法も今次の有事立法3法案も、すべて一体の戦争法だ。その矛先はさしあたってパレスチナ・アフガニスタンに、そしてイラク(イラン)に向けられている。われわれは、ムスリム人民の米帝・日帝への怒りと闘いに全身で連帯して闘わなければならない。われわれは、当面のその連帯の環をなすものとして、有事立法3法案の粉砕闘争を全力をあげて闘うのである。
 最後に、有事立法阻止決戦は、日本階級闘争の帰すうを決める。すでに陸・海
・空・港湾労組20団体呼びかけの5・24明治公園4万人大集会や5・20大阪・扇町公園集会が大高揚し、さらに反戦共同行動委員会の5・26闘争は2100人の結集で戦闘的にかちとられた。有事立法反対署名運動が日ごとに勢いを増している。最大の犠牲を集中的に受ける沖縄人民の怒りが一気に強まっている。しかし闘いはまず国会会期末の6月19日をめぐって、さらには延長国会をめぐって死闘が続く。この闘いに勝利するか否かは、革共同の党的生命にかかわるものだ。
 闘いはこれからだ。革共同のすべての同志はこれまでの成果を踏まえ、その足りないところをのりこえ、不退転の決意で労働者階級人民の先頭で闘いぬこう。この闘いを国鉄決戦の5・27臨大決戦を結節点とする史上最大の攻防戦と結合して、どこまでも闘いぬこう。国鉄決戦もこれ自体「連帯し内乱へ」の闘いの最先端をなすものだ。この間の党的討議の成果をふまえ、反戦闘争と国鉄決戦をがっちりと結合して、闘う労働者・学生・人民の総決起をかちとろう。全党は火の玉となって総決起しよう。
 全同志の総決起により、党の画期的な前進を今こそ切り開こう。
 60年代以来闘ってきた同志! 70年代以来闘ってきた同志! 80年代以来闘ってきた同志! 90年代以来闘ってきた同志! すべての同志はそれぞれの革命家人生、いや全人生そのものをかけ、この歴史の一大転換点において決起しよう。闘いはまだまだこれからだ。6月決戦の大爆発をもって革共同のめざましい姿を全労働者人民の前に突きだそう! さらに7月闘争へ進み出よう。

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