ZENSHIN 2002/06/17(No2057 p06)

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週刊『前進』(2057号1面1)

北朝鮮・中国侵略戦争法案を葬り去れ 首都に絶対廃案の嵐を
 日帝の有事立法・核武装化阻止
 6・16代々木公園に結集し大署名運動を広め国会決戦へ

 全世界的な大激動、とりわけ有事立法粉砕決戦と国鉄決戦の激しい階級攻防の中で、労働者階級とその党は生死のかかった決戦局面に突入している。有事立法粉砕決戦は、全人民の怒りが募っていく中で、5月衆院通過を阻止し、6月の攻防に一切がかかった。一方、連合は「有事立法賛成・推進」の5・16連合見解を打ち出し、日帝の侵略戦争の先兵としての反革命的正体をあらわにした。この労働運動をめぐる大流動情勢のもとで、「陸・海・空・港湾労組20団体」など3団体の呼びかけで、6月16日(日)に代々木公園で有事立法の廃案を求める全国大集会が開催される。全国で巨万人民の署名運動を大胆に拡大し、宣伝・組織活動を全力で展開し、6・16代々木公園集会に総力で結集しよう。沖縄人民の怒りと一体となって闘おう。衆院での強行採決を、国会決戦の実力闘争的大爆発で絶対に阻止し、北朝鮮・中国侵略戦争法案=有事3法案を廃案に追い込もう。そして有事立法粉砕決戦と一体で国鉄決戦の不屈の前進をかちとり、この戦争と大失業の時代に帝国主義を打倒する階級的労働運動の前進を闘いとろう。

 第1章 衆院採決を阻止し廃案に追い込もう

 有事立法は絶対阻止できるし、全力で阻止しなければならない。日本の労働者人民の血債をかけて、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争、そのための有事立法3法案を廃案に追い込む国会決戦を大爆発させなければならない。
 労働者人民は、ひしひしと戦争の危機を感じ取っており、街頭署名の反響は大きく、署名者数は日ましに多くなっている。「有事3法案を廃案へ」は、今や圧倒的多数の人民の声だ。
 あらためて「有事立法絶対阻止!」の不退転の決意をうち固め、職場・地域・街頭・キャンパスで、人民を猛然と組織しぬこう。一切の力を署名運動の拡大と6・16代々木公園総結集として実現しよう。組合旗、自治会旗、あらゆる団結の旗を押し立てて、代々木公園へ! 首都で10万人の大デモを! 衆院での強行採決策動に対し、戦闘的実力デモをたたきつけよう。
 国会情勢はいよいよ緊迫している。有事3法案のほかにも、言論弾圧法案(個人情報保護法案、人権擁護法案)、郵政関連4法案、「心神喪失者等医療観察法案」=保安処分新法、健康保険法改悪案など悪法が次々と提出されているが、小泉は通常国会の会期を延長してでも有事3法案など全法案の成立を狙っている。6月5日に成立した、国家権力と闘う団体や運動を破壊する「テロ資金規制法」の発動を絶対に粉砕しよう。
 まさに「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いの正念場が来ている。戦争の元凶=帝国主義を労働者人民の闘いで打倒することだ。これこそ帝国主義戦争を阻止する唯一の道なのだ。

 「自衛」の名で侵略戦争突入

 有事立法は、日帝・小泉が言うような、「備えあれば憂いなし」などというものでは全然ない。対イラク侵略戦争に続いて、1〜2年のうちにも米帝の北朝鮮空爆→北朝鮮侵略戦争が開始されようとしている。そのために有事立法が決定的に必要だからこそ、強引に通そうとしているのだ。
 有事立法3法案は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争、世界戦争路線に、日帝が共同的=競合的に参戦するためのものだ。「(日本に対する)武力攻撃事態」の概念、適用範囲を無制限に拡大しているのも、「自衛」の名をもって北朝鮮・中国に対する空爆、侵略戦争に突入できる道を開こうとしているからである。
 重要なことは、この有事3法案は、日米新安保ガイドライン―周辺事態法の「周辺有事」と完全に一体化して適用されることだ。米帝の北朝鮮侵略戦争の突入とほぼ同時に日帝は「武力攻撃事態」を宣言し、それらへの北朝鮮の必死の反撃ないしその動きをとらえて、「自衛のため」と称して全面的に参戦していくのだ。周辺事態法で規定している米軍への「後方支援」の形式だけでなく、自衛隊自らが北朝鮮攻撃に直接参戦できる道を開こうとしているのである。
 次の事実は、そのことをはっきりと示すものだ。
 @官房長官・福田は、「敵が武力攻撃に着手した時(おそれの段階)から反撃が可能だ」「敵のミサイル基地をたたくことは自衛の範囲内だ」と言明した。
 A自衛隊の統合幕僚会議は94年の朝鮮危機を総括し、「朝鮮有事」に実施すべき自衛隊の行動として、「空自戦闘機が北朝鮮上空まで進入し、500ポンド爆弾を投下」「北朝鮮軍事基地、弾薬庫など戦略拠点を攻撃」する作戦計画を立案している。(朝鮮新報01年6・6付)
 これは米帝の北朝鮮侵略戦争計画5027に日帝が完全に一体化し、さらには「作戦計画5027」をも超えて、日帝が積極的・能動的に北朝鮮攻撃に参戦する恐るべき侵略戦争計画である。
 98年改定版「5027」では、米軍が5つの空母機動部隊で朝鮮半島を包囲し、「攻撃の兆候」だけで北朝鮮に先制攻撃を加え、壊滅的空爆と大規模地上侵攻作戦で首都ピョンヤンを占領し、現政権を転覆して米帝が北朝鮮を占領統治する段階まで作戦化されている。
 「北朝鮮のミサイル発射のおそれ」が叫ばれれば、日本の国内は一挙に戦時編成へ突き進む。このまったく実践的、実戦的な恐るべき攻撃として、有事3法案があるのだ。
 また中谷防衛庁長官は、5月16日、「ハイジャックされた民間機への武器使用(=撃墜)は可能」と言い放った。国家機関を守るためには、航空乗務員(労働者)や乗客を自衛隊の手で虐殺するということだ。自衛隊が守ろうとしているものは、彼らがいう「国民・国民生活」ですらなく、日帝の帝国主義国家体制、国家機関、天皇制、帝国主義軍隊だということを真正面から宣言したのだ。断じて許すな。

 第2章 有事立法を許せば日帝は核武装する

 さらに、福田官房長官と安倍官房副長官らの断じて許せない核武装化発言が行われた。徹底的に弾劾し、粉砕しなければならない。
 @安倍が、5月13日の早稲田大での講演で「大陸間弾道弾は、憲法上は問題ではない」「小型であれば原子爆弾の保有も問題ない」と発言。
 A福田が5月31日、「専守防衛なら核兵器を持てる。持ってはいけないという理屈にはならない」「今は憲法だって変えようという時代だから、国際情勢や、国民が持つべきだということになれば、(非核3原則は)変わることもあるかもしれない」と発言。
 B極右ファシストの都知事・石原慎太郎が、「核は持つことができる。頑張れ」と福田を電話で激励。石原はまた、ニューズウィーク韓国版(6・12付)で、「自分が総理になれば、北朝鮮と戦争をしてでも、抑留された日本人を連れてくる」と憎むべき排外主義の扇動と戦争挑発を行った。許しがたいことだ。
 こうした小泉政権およびファシスト石原の核武装化発言は、北朝鮮・中国侵略戦争が間違いなく核戦争となることに対応した日帝としての国家意志の表明であり、有事立法攻撃と完全に一体である。有事立法を持ったなら日本は核武装しなければならないし、朝鮮・中国への核攻撃もやると言っているのだ。
 米帝の世界戦争路線の展開のもとで、核戦争の危機が急速に現実化している。その中で日帝は、北朝鮮・中国侵略戦争に突入しようとしているからこそ、核武装化の衝動を決定的に強めているのだ。日本の労働者人民が持っている根強い反戦・反核意識を解体しようとしているのだ。有事立法攻撃は、同時に核武装化攻撃でもあることをはっきりさせなければならない。
 また、防衛庁が情報公開請求者の身元を組織的に追跡調査し個人情報リストを作成していた事件は、日帝・防衛庁が人民を潜在的に敵と見なしていることをあからさまに示した。有事立法攻撃は、日帝・防衛庁のこのような「憲兵政治」を日常化させ、侵略戦争に向かっての人民の生活と権利のじゅうりんを横行させていくものだ。
 日帝の核武装化発言に対して、広島・長崎の被爆者や、朝鮮・中国・アジア人民を先頭に、労働者人民が強い怒りと抗議の声を上げている。ともに連帯して、有事立法粉砕・核武装化阻止へ総決起しよう。

 核戦争に突き進むブッシュ

 各国帝国主義は、米帝を先頭に29年型世界大恐慌の爆発、侵略戦争、帝国主義間戦争―世界戦争に向かって突き進んでいる。米帝ブッシュは6月1日、陸軍士官学校の卒業式で演説し、「テロとの闘いでは守りに回っていては勝てない。敵に戦闘を挑み、敵の攻撃を崩壊させねばならない」「脅威が現実化するまで待ったら、待ちすぎだ」「安全への唯一の道は行動だ。米国は行動するだろう」と、直接にはイラク侵略戦争突入の意図を露骨に、かつすさまじい焦りに駆られて表明した。
 しかも、米帝は対イラク・北朝鮮侵略戦争で核兵器を使う可能性がきわめて高い。アフガニスタン侵略戦争で米軍は、地下の拠点やタリバン政権の中枢を狙って核爆弾B61-11を使うことを検討していた。(5・27東京新聞)
 またブッシュ政権の「核戦力体制の見直し」では、米軍が核兵器を使う「身近な有事」の例として「イラクによるイスラエルや周辺国への攻撃、北朝鮮による韓国への攻撃、台湾をめぐる中国の軍事作戦」を具体的に挙げているのだ。
 米帝のイラク・北朝鮮・中国侵略戦争、核戦争攻撃を絶対に許すな。日帝の共同的=競合的な侵略戦争突入を粉砕せよ。一切をかけて有事3法案の実力粉砕に立ち上がろう。

 第3章 連合の「戦争協力」宣言を粉砕しよう

 この日本労働者階級の未来をかけた重大な決戦の時に、連合は5・16中央執行委員会で、まったく許せないことに「有事立法」賛成の見解を打ち出した。
 連合見解は、「憲法の枠内での(有事)法整備は、基本的には必要」と述べ、「本法案は不完全」だから「今国会で急いで成立をさせることには反対」「どのように審議されるかを見極め、……必要な対応をしていく」というものだ。これは「十分な有事立法を」という要求であり、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争に積極的に協力することを宣言したものである。
 労働運動のナショナルセンターが日帝の行う戦争に積極的賛成を表明したことは、戦後労働運動史上、かつてなかったことであり、全力で粉砕しなければならない。日帝・小泉は、この連合の屈服を見てとり、「与党単独でも強行成立」の路線をひとまずやめて、民主党・連合を修正協議に引き込み、採決の場に引き出そうとしている。どんなことをしてでも有事立法を通そうとしているのだ。
 連合の戦争協力(戦争への労働者動員)を断じて許すな! 職場からの怒りの決起で5・16見解を撤回させよう。帝国主義戦争に屈服する連合中央、自治労、日教組、全逓中央などの腐敗した労働貴族どもを打倒し、帝国主義と真っ向から対決する新潮流運動の大前進をかちとろう。
 また、日本共産党スターリン主義は、この連合見解について、5・17付「赤旗」で「連合が有事三法案に反対/今国会、成立させない」の見出しで全面肯定した。批判のコメントは一言もなく、帝国主義的労働運動への綱領的屈服、すり寄りをあらわにしている。
 そもそも日共の立場は、「テロ弾劾」論であり、「有事の自衛隊活用」論(00年の22回大会)だ。被抑圧民族の反帝・民族解放闘争を「テロ」と非難し、その絶滅を叫び、帝国主義の侵略戦争を「テロに対する制裁、報復」の名で全面的に擁護している。
 今回の有事3法案についても、「日本と国民をアメリカの戦争のために危険にさらす」「日本を守る法案ではない」から反対だ、と言っているのであり、連合見解と本質的に同じ立場なのである。「本当に日本が危機にさらされていれば、何はさておいても協力しようというのが、国民の普通の感覚」(『前衛』6月号)と言って、帝国主義打倒の立場、「連帯し侵略を内乱へ」の闘い、プロレタリア世界革命の闘いに全面的に敵対しているのだ。
 さらに日共は5月30日、医療観察法案(保安処分法案)について、「精神障害者の再犯予測は可能」「凶悪犯罪から市民の生命と安全を守り、不安を解消するのは社会的要請だ」として、政府原案を基本的に支持するという絶対に許せない裏切り方針を打ち出した。排外主義、差別主義をあらわにする日共の敵対を打ち破り、労働運動の革命的再編に切り込もう。
 さらに、カクマル中央派と松崎・JR総連の反革命的な闘争破壊を絶対に許すな。国鉄分割・民営化、20万人首切りの先兵となったカクマル、松崎・JR総連は、日の丸賛成、自衛隊賛成、日帝の核武装賛成を唱えるファシスト労働運動だ。有事立法推進勢力だ。全戦線から一掃・打倒するために総決起しよう。

 国労本部打倒、国労の再生へ

 国鉄決戦を、有事立法決戦と一体の闘いとして前進させよう。
 5・27国労臨大決戦では闘争団を先頭とする国労組合員の怒りが大爆発し、敵権力の国労解体攻撃をひとまず、はね返した。激烈な攻防戦、死闘戦はこれからが本番だ。闘争団を守り、国労本部打倒、国労の階級的再生へ、不屈に闘おう。
 警察庁・千葉県警による『前進』編集・発行人への出頭要求は、日帝が北朝鮮・中国侵略戦争突入情勢下にあって、必然的に、革共同の存在とその機関紙『前進』による革命的宣伝・扇動の威力をこのままにしておくことはできない、という死活的な反革命として打ち出された破防法型弾圧だ。それは、戦争反対を訴えることそのものへの言論弾圧以外のなにものでもない。断じて許すな。有事立法粉砕決戦は、まさに革命党の存亡をかけた決戦なのだ。『前進』を闘う労働者人民の新聞として守り、一層発展させよう。このことを労働者人民に広く訴えて、圧倒的な定期購読拡大をかちとろう。
 長期獄中同志保釈奪還の1億円基金運動と、夏期一時金カンパ闘争を結合し、猛然と取り組もう。決戦の渦中で、プロレタリア世界革命に勝利する不抜の革命党を建設しよう。
 6月有事立法粉砕決戦の戦闘的・大衆的大爆発のために、今こそ死力を尽くして闘おう。

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週刊『前進』(2057号1面2)

皆さんの熱いカンパが侵略戦争阻止の力です

 全国の同志のみなさん。『前進』読者のみなさん。革共同は、夏期一時金カンパへの圧倒的なご協力を声を大にして訴えます。
 今、革共同は、みなさんのカンパの力が勝敗を決すると言っても過言ではない、決定的な闘いに突入しています。
 ついに有事立法3法案粉砕闘争への怒涛(どとう)のような労働者の決起が始まりました。5・20大阪・扇町公園集会、5・24東京・明治公園4万人大集会、そして5・26反戦共同行動委員会の闘争を頂点として、日帝・小泉政権の有事立法攻撃に対する大反撃が始まりました。それと5・27国労臨大決戦が一体のものとして爆発しました。
 昨年の米帝−国際帝国主義のアフガニスタン侵略戦争への突入以来、ついに日本の地において4万、5万もの労働者人民の反戦決起が実現したのです。戦争絶対反対、ヒロシマ・ナガサキをくり返すなという叫び、怒りがいたるところから巨大な規模で沸き起こり始めました。
 そして、運動を継続して6月16日に再び全国から首都に総結集し、5・24をはるかに上回る力の爆発で、あくまで有事立法3法案を廃案に追い込むまで闘いぬく鮮明な檄が発せられました。陸海空港湾労組20団体が軸となって呼びかけ、有事立法阻止の一点で、ナショナルセンターの枠を超え、運動方針の違いを超えて、共同の総結集が実現しました。いま総評解体以来の労働戦線の新たな根底的再編の流れが大きくつくり出されつつあるのです。
 一方、連合は5月16日、中央執行委員会で有事3法案への「連合見解」を発表しました。それは、「有事法制は必要だ。しかしこの法案では不完全なので今国会での成立には反対」という、とんでもない内容です。戦後初めて「日本が戦争をやることを支持する」とナショナルセンターが表明したのです。しかも重大なことは、この「連合見解」に自治労本部と日教組本部が率先賛成しているということです。
 闘う仲間のみなさん。戦後最大の階級決戦が訪れました。日帝の朝鮮・中国−アジアへの残虐な侵略戦争を再び許してはなりません。日本の労働者人民は侵略の加担者になってはなりません。
 革共同は昨年、第6回大会を開催し21世紀の早い段階での反帝・反スタ世界革命の実現を宣言しました。いま、その重大な正念場(チャンス)が到来しているのです。私たちは、6−7月有事立法絶対阻止の闘いにまなじりを決して決起します。陸海空港湾労組20団体の呼びかけという形をとって始まった、労働者人民の巨大な反戦決起の先頭で闘います。
 日・米帝の北朝鮮・中国侵略戦争を阻止するために、苦しい生活の中ですが、絶大なカンパを寄せてください。私たち革共同は、皆さんの信頼と期待にこたえ、有事立法を阻止し、開始された労働者階級の革命的奔流の先頭で闘い、日帝・小泉政権を打倒します。ご協力をお願いします。

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週刊『前進』(2057号2面1)

小泉政権打倒、郵政公社法案粉砕を  全逓56回大会に向け訴える
 連合全逓中央の戦争賛成、民営化推進方針を許すな
 マル青労同全逓委員会

 全逓第56回定期全国大会が6月19〜21日、水戸市の茨城県立県民文化センターで開催される。今大会は、日帝・小泉政権が有事法制3法案および郵政公社関連4法案などの成立を狙う通常国会の会期末(19日)―会期延長という緊迫した情勢下で開かれる。郵政民営化攻撃と有事立法攻撃は完全に一体である。連合全逓中央は、今大会を「03年4月1日の公社を無事スタートさせ、新しい、夢のある公社に向かう決意をする大会」(菰田書記長)と位置付け、郵政民営化攻撃を全面的に推進する大会にしようとしている。また、「有事法制賛成」の5・16「連合見解」を最先頭で推進する方針を決定しようとしている。この連合全逓中央を徹底弾劾し、郵政民営化阻止、有事法制阻止へ総決起しよう。陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかける6・16大集会に職場から総結集し、水戸大会闘争に決起することを訴える。

 連合有事法見解を率先推進した中央

 まず、今大会の歴史的な階級決戦性を明らかにしたい。何より、日帝・小泉が有事3法案と郵政公社関連4法案を一体の攻撃として強行を狙っている、そのただ中で開催されることだ。
 小泉政権は、5月末に今通常国会で郵政公社関連4法案を最優先で成立させる方針を固めた。これは、小泉の「構造改革」の中心的攻撃である郵政民営化攻撃が貫徹できなければ、「構造改革」路線もろとも小泉政権がぶっ飛ばされる危機にあるからだ。
 4月26日に「日本郵政公社法案」と「信書便法案」の2法案を自民党の事前承認もないままに閣議決定―国会提出するという異例の事態となったが、この時、小泉は「自民党が小泉内閣をつぶすか、小泉内閣が自民党をつぶすかの戦いだ」とうそぶいた。
 小泉政権の危機突破をかけて臨んできているということだ。40〜50日間の会期延長をしてでも有事法制の成立を狙い、そのためにも、郵政公社関連法を成立させるということだ。〈戦争と大失業〉という帝国主義の攻撃として、有事立法攻撃と郵政民営化攻撃は一体なのだ。
 「反対」派の頭目であった野中らが、容認・妥協せざるを得なかったのも、日帝ブルジョアジーが有事法制の突破に向けて反動的に密集したためである。
 連合全逓中央は、この郵政公社関連法案の成立に全面協力しようとしている。それは、民主党を抱き込んで有事法制の成立を狙う小泉政権に全面協力することにほかならない。
 しかも許せないことに、連合全逓中央は、5月16日の「有事関連3法案に対する連合の見解」に全面賛成したのだ。この連合見解は、700万余の労働者を擁するナショナルセンターとして有事法制に全面賛成を表明したものであり、国、地方公共団体、指定公共機関などで働く連合傘下の労働者の戦争動員の協力を誓ったものである。
 連合全逓中央は、各地本・支部に直ちに「連合見解」を送付し、「全逓はもとより連合の全組織がこの見解に基づいて、有事関連3法案に対応していくことになります」(賛成するということだ!)とコメントしている。
 郵政事業は公社に移行しようが、戦争協力を義務づけられるのだ。これに全逓中央は、自治労や日教組などとともに最先頭で賛成したということなのだ。
 しかも、この連合見解の基になった連合の政治方針(99年10月の第6回連合大会決定)を積極的に推進したのが全逓中央だ。この政治方針は、「憲法論議を否定するものではない」として、有事法制から改憲までをも容認するものだった。全逓中央は、改憲にも賛成しているのだ。断じて許すことはできない。

 NTT型リストラ狙う公社関連法案

 小泉は、郵政公社法案と信書便法案に続いて、公社法施行法案・信書便法整備法案を5月7日に提出し、6月4日から衆院総務委員会での実質審議に入った。
 郵政公社化=民営化攻撃は、自民党をまきこんだ日帝ブルジョアジーのおぞましい利権の奪い合いによるあつれきや抗争をはらみながら、日帝の危機突破と資本攻勢の貫徹をかけた至上命令として激化の一途をたどることは明らかだ。
 はっきりと確認しなければならないのは、郵政公社化は民営化攻撃そのものだということである。小泉はこの郵政公社関連法案について「民営化への一里塚」とうそぶいている。また「民営化は私の持論。今回は公社化の法案。民営化と公社化は全然矛盾しない」と述べている。
 国会審議では、中央省庁等改革法の「民営化等の見直しはしない」という規定は、「公社化以降のことまで規定したものではない」(内閣法制局長官)などという議論が行われている。
 自民党郵政族が(全逓中央も)「経営の自由度を高める」ために要求している「出資規定」の問題については、総務省は、郵便事業の委託先となる民間企業に限って出資できるようにする方針を決めた。これは、関連会社をつくり、業務を全面的に外注化し、そこに労働者を転籍−首切りすることが狙いだ。NTTの11万人合理化と同じ手法がたくらまれているのだ。これはすさまじい大リストラ攻撃である。
 そもそも「企業会計原則」を導入し、「民間の経営手法」で経営される「日本郵政公社」は、経営形態を別にすれば、すでに民営化と相違ないのである。日帝ブルジョアジーは、公社化―民営化の過程で大々的なリストラ・首切りと、全逓労働運動の解体=現場労働者の団結の解体を徹底的に行おうとしているのだ。このことは、国鉄分割・民営化の過程を見るまでもなく誰にもわかることだ。
 「郵便危機」「小包危機」を呼号しての、「民間に負けるな」「事業発展のために」という攻撃は、『郵便新生ビジョン』のもとでその頂点に達している。「郵便事業の生き残り」をかける、「事業の立ち枯れを阻止する」として、大量人員削減攻撃、大合理化、営業強制、処分攻撃が、さらには「人事交流」=強制配転がかけられている。それにとどまらず、服装・髪の毛・ヒゲ・ピアスまでもが攻撃の対象にされているのだ。
 また、「ABC(活動基準原価計算)調査」と称して、郵便労働者の活動を時間(分・秒)ごとに価格化し、コストを計算し、人件費を徹底して削減するための調査が始まっている。
 自らの経営責任にはほおかむりして、一切の責任を現場労働者に転嫁してきている。多くの職場では労働協約なしの状態に追い込まれている。このような攻撃が、「公社」のもとでさらに激化するのだ。労働者の権利や尊厳を守るには、今こそ団結を強め立ち上がるしかないのだ。
 このような情勢の中、われわれは、今56回全国大会で、有事立法の成立絶対阻止、郵政公社化=民営化絶対阻止の闘う方針を決定することが求められているのだ。有事立法賛成、公社化=民営化推進の本部議案を、連合全逓中央ともども葬り去り、闘う全逓の再生を実現しよう。

 終身雇用制解体を進める最悪の議案

 本部議案は、超反労働者的な、全逓運動史上最悪、極反動の、およそ労働組合の方針といえない内容だ。
 冒頭に、「郵政公社発足を契機に、新時代への『リフレッシュスタート』をここに宣言」し、「郵政公社にふさわしい事業像や職員像を語り合い」「新たな労働運動を創造する」としている。今、現場労働者が我慢できないほどの労働条件におかれ、その解決が労働組合に求められている時に、その任務をすべて投げ捨てて何が労働組合・労働運動だ。この反労働者性は、「主要課題」「付属方針」に中でさらにはっきりと示されている。
 「新たな労働運動」とは、「(経済の動向が)生活や労働条件に大きな影響を及ぼしている状況下で労働組合に求められる任務は組合員に安心を保障するセーフティネットの役割」「労働運動の原点は相互扶助。これまでは労働条件とりわけ賃金、勤務時間の改善に力点を置いてきたが、今後は自主福祉活動を強化する」という、まったくふざけきったものだ。
 公社化関連4法案については、「評価できる点」「主な問題点」として羅列されているが、基本的に賛成であり、問題点としてあげられているのは、「出資規定見送り」「(国庫・市町村への)納付金」「(民間業者の)参入条件」など、野中ら自民党「郵政族」が言う「修正条件」と同じだ。民営化推進に伴う「利権の食い合い」のレベルのことでしかないのだ。
 さらに、「主要交渉課題」は、来年度出されるとされている「勤務時間等の見直し施策」も含め、「業務運行・サービス改善・財政寄与の面から必要かどうかを見極める」として、全面的に賛成の態度をとっているのだ。「人員削減」「要員算定基準」「外部委託」「始終時間の繰り下げ繰り上げ」「夜間労働の回数制限の撤廃」等々を、「必要」だから賛成すると言うのだ。絶対に許せない。
 また、今年4月から試行された、当面4200人削減目的の「新集配システム」についても同様だ。実施局における混乱と、本務者の労働強化に目をつぶり、「失敗は許されない」として積極的に推し進め、「複合型労働力構成」=不安定雇用化を一層推進しようとしている。
 本部議案は、郵政民営化を推進し、終身雇用制を破壊する日経連の「新時代の『日本的経営』」路線を「労組」として推進する、絶対に許されない方針だ。
 「公社における新たな処遇に向けた全逓の基本的考え方」(1号議案付属方針)は、そのことをあからさまに示すものだ。
 「考え方」は、「各企業は、これまでの『年功序列型』から『職務能力型』へ、さらに『成果・実績型』へと抜本的な制度見直しを行っています」とした上で、全逓として「努力と結果が公正に報われる制度」を要求し、そのために「人事・処遇両面にわたる評価システムの確立」を求めるというのだ。そして、「年功的要素の濃い制度を維持していくことは困難」、「新たな事業運営にふさわしい労働条件」を確立する、「『自立』した職員として意識改革をはかる必要がある」として、差別賃金導入とマル生運動の導入を積極的に提言するのだ。
 「職員の『働き方』を事業がめざす方向に変えていく」人事制度、「能力・実績型を重視する評価制度」を求め、「年齢加給的要素をもつ俸給表の見直し」「特別昇給はより能力・業績が反映されるものに」「期末手当に業績査定を導入」、このどれをとっても怒りなくして読むことはできないものだ。
 「付属方針」の内容は、「総務省・郵政事業庁における『人事制度改革推進協議会』の設置と検討状況について」の内容と百パーセント同じなのだ。
 連合全逓本部の本音は、公社化=民営化推進の中で、労働者を徹底的な低賃金と劣悪な労働条件で搾り取り、こき使い、労働代官としての自らの利権を守ることなのだ。
 連合全逓中央は、もはやわれわれ労働者の代表でもないし労働組合でもない。総務省・郵政事業庁の代弁者、いやそれ以上だ。怒りの決起で打倒しよう。

 全逓中央打倒へ決起しよう

 本56回大会は、まさに全逓労働者の生き死にがかかった決戦になろうとしている。今、ここで連合全逓中央を打倒し、闘う全逓労働運動を再生しなければ、全逓労働者は大リストラ攻撃によって次々と職場を追われることになる。そうでなければ、権力と当局(資本)の奴隷としてのみ生きることを強制されるのだ。われわれは、このような道を断固拒否する。
 全逓労働者の皆さん! 郵便局で働くすべての皆さん!
 今こそ、現場から怒りの声を上げようではないか。地本、支部や総分会、分会の役員、そして大会代議員に対して、本部方針に反対して闘うことを訴えよう。
 3・27東京地裁不当判決を弾劾し、4・28反処分闘争をともに闘おう。そして今、4・28被免職者の切り捨てと同様の攻撃にさらされようとしている国労闘争団を始めとする1047人闘争に連帯して闘おう。
 水戸大会闘争を全力で闘い抜こう。全逓労働者の総決起で小泉政権を打倒しよう。

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週刊『前進』(2057号2面2)

4・28免職処分裁判 反動判決弾劾する
 有事法攻撃下の団結破壊

 3月27日、東京地裁民事19部は、「4・28懲戒免職処分」の取り消しなどの請求を棄却する超反動判決を下した。
 この反動判決は、国労の採用差別事件での98年5・28反動判決に匹敵する、いやそれ以上の歴史を画する反動判決である。憲法28条を踏みにじり、団結権を解体するものだ。それは、今日の労働組合破壊の一大資本攻勢そのものであり、これ自体が有事立法攻撃そのものだ。また、司法改革攻撃の反動的方向を示すものである。
 この反動判決をあらためて徹底的に弾劾し、4・28反処分闘争を強化することを訴えたい。

 大量・不当・選別処分を全面擁護

 そもそも、「4・28処分」とは何か。
 @「郵政マル生」攻撃に対する全逓の組織的反撃として闘われた78年末〜79年初めの越年物ダメ闘争に対して、79年4月28日に強行された全国で懲戒免職58人、解雇3人を始めとする8183人の理不尽な大量不当処分攻撃である。
 Aだが、この不当処分の特徴は、全逓の組織を挙げた争議として反マル生闘争が闘われたにもかかわらず、当局は「組織的責任」をあえて無視し、現場の一般組合員を狙い撃ちにして処分したことである。
 Bしかも、当局の「現認及び現認対象の選定」は、まったく恣意(しい)的であり、指導行為の「現認」を意識的に行わなかった、不公平・不公正きわまるものである。
 これに対して、判決は、(1)「怠業行為の程度、態様はいずれも著しく……諸般の事情を考慮してされた本件処分が不当に過酷であることはない」と、大量不当処分を全面的に擁護している。
 その際、「公労法17条(争議行為の禁止)は憲法28条に違反しない」「公労法18条により解雇するか、国公法82条により懲戒処分を行うかは、争議行為の程度、態様等に応じ、処分権者の合理的裁量に委ねられているから、公労法18条に違反しない」としている。
 (2)さらに、この一般組合員と組合役員の「均衡を失する」処分について、「均衡を失しているといえなくもない」と言いつつ、「反社会性、反規範性が強い」から、一般組合員でも懲戒免職処分にできるとし、役職者は「指導行為が現認されなかった」から「問責することはできない」としている。
 (3)さらには、原告以上の怠業行為をした労働者もいることを認めつつ、当局が現認と現認対象の選定を恣意的に行ったことに対して、「常に怠業の態様、程度の極端なものから順次可能な範囲で現認を行ったものであって、何ら不合理、不公正はない」「懲戒権者は、懲戒事由に該当する行為のほか、当該公務員の当該行為前後における態度、懲戒処分等の処分歴、影響、諸般の事情を考慮して、決定することができるから、それらのことは懲戒権者の裁量にまかされる」と強弁している。

 争議行為否定し犯罪視する判決

 ここで弾劾すべきことは、(a)何よりも、マル生攻撃という悪らつきわまる不当労働行為に対する労働組合としての当たり前の反撃の闘いを、「非違行為」の名のもとに、刑事犯罪に等しい扱いを行っていることである。「指導行為と単純参加行為の区別はなく」「怠業の態様、程度の極端なもの」が問題であるということは、全逓の労働組合としての存在と争議行為を根底から無視・抹殺し、争議を一般犯罪行為、被処分者を犯罪者のように扱っているということである。
 しかも、単に、その行為だけではなく、その「前後における態度」「処分歴」(犯罪歴というのか!)から重処分にし、さらにはそういう戦闘的組合活動家に狙いをつけて「現認対象の選定」を行ったと言っている。これが選別的な狙い撃ち攻撃でなくて何か。
 この判決は、4・28処分が日帝・郵政省の一大反革命攻撃であり、悪らつな政治的処分攻撃であったことを自己暴露している。
 その反動性の核心は、労働組合と労働運動の刑事免責・民事免責を否定し踏みにじるという考え方で、不当処分を擁護していることである。この刑事免責・民事免責の抹殺は、80年代に吹き荒れたレーガンの労働組合破壊攻撃のやり方であった。日帝総資本は、このアメリカ型資本攻勢に踏み込み、02年労問研報告では「警察官の増員」を叫び始めている。
 まさに3・27判決は、この日帝・日経連の資本攻勢そのものを完全に体現したものなのである。

 公務員労働者の戦争動員を狙う

 (b)したがって、この判決の反動性は、労働組合の団結権・争議権の徹底的な否定・破壊、憲法28条の団結権の否定に帰着する。
 労働組合の争議行為すなわち団結権を否定し、集団的行為ではなく個々人の行為にしたがゆえに、どんな理由で処分しても構わないと言っているのである。その理由とは、全逓労働運動の絶滅・解体であり、戦闘的労働者の選別的な一掃である。恣意的な判断と自由裁量で、労働者一人ひとりの生命も運命も決められるというのだ。
 (c)繰り返すが、反マル生闘争は、労働組合の方針として闘われた。したがって、そこには労働組合の団結の最も重要な証(あかし)としての指導行為が存在している。にもかかわらず、その指導責任が問われなかったということは、明らかに全逓指導部の裏切りがあったということだ。
 実際にその後、全逓中央は4・28反処分闘争を投げ捨て、裁判を取り下げ、組合員資格剥奪(はくだつ)まで強行するのだ。これは今日、〈4・28型〉として、国鉄1047人闘争にも適用(もっと卑劣に)されようとしている。
 この大裏切りこそ、今日の連合全逓中央の超反動的姿に行き着く。だが処分の恫喝のもとで、全逓労働組合の根こそぎの変質・解体を推し進めようとした策動は、4・28反処分闘争の不屈の存在によって粉砕された。今回の反動判決は、連合全逓中央の全面的転向と変質をテコにして、今度こそ、4・28闘争を絶滅する攻撃として襲いかかったのである。
 この反動判決は、小泉構造改革と郵政民営化攻撃がいかなる攻撃であるかを示している。すなわち労働者の団結を破壊し、労働運動を解体するということだ。また、動労千葉採用差別事件の3・28東京地裁反動判決と一体のものとして出された。4・28反処分闘争の破壊のみならず、全逓労働運動の解体から全戦線にわたる労働組合、労働組合運動の徹底的破壊の一大攻撃なのである。
 さらに重大なことは、有事法制下における労働者の戦争動員、とりわけ公務員労働者からの労働基本権剥奪体制を一層強化し、公務員労働者に戦争協力を強制する攻撃そのものである。労働組合としての争議など絶対に許さず、個々の労働者の抵抗も重処分―解雇の恫喝で圧殺しようというのだ。3・27判決は、まさに有事立法そのものなのだ。
 権力は、この判決に追い打ちをかけるように、4月8日、4・28被免職者当該を含む3人の労働者を、鳥井電器争議を口実として不当逮捕した。獄内外が一体となった闘いで粉砕したとはいえ、断じて許せない弾圧である。意気軒高と闘い抜く被免職者を守りぬき、3・27反動判決粉砕、処分粉砕・原職奪還へ闘おう。
 全国大会闘争をとおして全国の組合員に4・28反処分闘争支援を訴えよう。

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週刊『前進』(2057号2面3)

“変革の先駆けをなす” 労組交流センター女性部が全国大会

 全国労働組合交流センター女性部の第9回定期全国大会が4月27、28日、神奈川県川崎市で開催された。4月21日に地区交流センター女性部を結成したみやぎ、神奈川を始め、全国から代議員・傍聴者が結集。各地での実践を生き生きと報告し、女性部運動の強化と有事法制反対闘争に全力で立ち上がることを確認し合った。 (写真)
 女性部長があいさつに立ち、「女性労働者はいつの時代も変革の先駆けをなしてきた。日本帝国主義を揺るがす起爆剤になる力をもっている。私たちはいつまでも少数派に甘んじていることはできない」ときっぱりと言いきった。
 全国労組交流センター本部の佐藤芳夫代表と婦人民主クラブ全国協議会のメッセージが読み上げられた。
 執行部が大会議案を提起した。昨年度を「女性部建設の組織的前進をかちとった1年であった」と総括し、@有事立法・教育基本法改悪―憲法改悪、参戦国家化攻撃を粉砕しよう、A闘うイスラム人民・アジア人民と連帯し、日米帝国主義の侵略戦争を阻止しよう、B「4党合意」粉砕、国鉄1047名闘争勝利のために闘おう、C小泉「聖域なき構造改革」を暴露し、職場・地域から闘いと団結をつくりだそう、D階級的労働運動路線のもと、交流センター女性部をつくろう――の5点の闘いの基調と課題、具体的取り組みを提案した。
 討論では、新3カ年計画と闘うNTT労働者の特別報告を始め、労組結成を模索するパート労働者、労組婦人部で活躍する労働者、「日の丸・君が代」の強制を「不起立」で闘う教育労働者、国労闘争団とともに地域で闘いを開始した自治体労働者、組合分会長に立とうと決意した労働者、争議を闘う民間の労働者など、産別、職場で苦闘しながら、かつ元気に闘う団結をつくりだして闘っていることが報告された。
 全国交流センターの中野洋代表が講演し、02春闘行動―動労千葉の4日間のストライキの意義を明らかにし、「有事法制反対の闘いに立ち、職場、組合に入ろう」と激しく提起した。
 最後に事務局長が、「終身雇用制を解体し、職場の労働者の団結をつぶし、労働者の誇りの一切を奪っていく攻撃がかけられてきている。職場を基礎にした労組女性部の闘い、女性労働者の団結を強めることが重要になっている。有事法制が審議入りした。必死で取り組もう。各地で署名運動をやろう。なんとしても廃案に追い込もう」とまとめた。

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週刊『前進』(2057号2面4)

資本攻勢&労働日誌 2002 5月17日〜31日
 日経連と経団連が統合、新組織
 過労死認定が68%増/世帯主失業者数過去最悪に

●17日 連合総研が「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」結果を発表。(要旨別掲)
●20日 「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)が公務員制度に関する緊急提言を行い、現在の改革は「首相を中心とする内閣主導体制」の確立を困難にすると、根本的な再検討を求めた。
●21日 電機連合は鈴木委員長の後任に松下電器労組の古賀委員長を決めた。
●22日 厚生労働省は、ワークシェアリングを実施する企業に対し、財政支援を行う雇用保険法施行規則改正案を発表した。
厚労省のまとめによると、過労死の認定が2001年度は前年度比68%増の143件で過去最高に。
●23日 鉄鋼労連と造船重機労連、非鉄連合が統一し、今秋に発足する新組織の名称が決まった。正式名称は日本基幹産業労働組合連合会で、略称は基幹労連。
◇勤務時間中に組合活動をしたとして、都教委が小中学校の教育労働者3000人余に賃金の返還を求めていた問題で、都教委は返還に応じない48人に返還請求訴訟を起こす方針を決めた。
●26日 竹中経済財政担当相は記者会見で、国家公務員の給与削減も検討すべきと述べた。
●27日 金属労協(IMF・JC)は春闘総括を確認。自動車と造船が業績好調にもかかわらずベアゼロに終わったことについて「国際競争問題」を持ち出して合理化した。
●28日 日経連は第55回定時総会を開き解散を決めた。引き続き、経団連と統合してつくられる「日本経済団体連合会」(略称、日本経団連)の発足総会が開かれた。初代会長には、日経連の最後の会長となった奥田碩トヨタ会長が就任した。
◇日経連によると、今春闘の大手企業の平均賃上げの最終集計は5249円、賃上げ率1.59%で、昨年比1116円減、賃上げ率0.34ポイント減となった。5年連続最低更新。日経連としての最後の発表。
●30日 財務省・財政審の「03年度予算編成の基本的考え方」素案が明らかに。民間でも賃下げが相次いでいるのを口実に失業手当の引き下げや生活保護の受給基準額の引き下げなどを打ち出した。
◇厚生労働省は失業保険給付日数の正社員・パート一本化の検討を労働政策審議会・雇用保険部会に提示した。
●31日 総務省発表の4月の労働力調査(速報)によると、世帯主の完全失業者数が108万人に達して過去最高を記録。4月の完全失業率(季節調整値)は前月と同じ5.2%。完全失業者数は375万人と前年同月より27万人増え、13カ月連続の増加。厚生労働省発表の一般職業紹介状況によると4月の有効求人倍率(季節調整値)は0.52倍と前月を0.01ポイント上回った。

 連合総研「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」

●雇用不安
 今後1年の間に自分自身が失業する不安を「感じる」は20.9%と、5人に1人。建設業で特に高い。
 自分自身または家族、親類、友人・知人で、過去1年の間に失業の経験をした人が「いる」と答えた人は37.9%と4割弱。
●リストラ攻撃の実態
 「勤め先で最近1年間に不況対策・雇用調整を実施」は52.0%と過半数。「賃金カット」が43.3%で、前回と比べると「賃金カット」等の割合が上昇した。
●予測されるリストラ攻撃
 「賃金低下もありうる賃金制度の導入」(43.9%)が、前回(38.2%)よりも5.7ポイント上昇、最も多くなった。その他「人員の削減」(35.4%)。

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週刊『前進』(2057号3面1)

国労臨大「決定」粉砕せよ
 闘争団圧殺叫ぶ自民党・甘利 権力の支配介入を打ち砕け

 国労本部は、5・27臨大でJR採用差別裁判の取り下げと闘争団切り捨てを主要内容とする総屈服方針を決定した(前号既報)。与党3党声明にこびへつらい国労を死に導くすさまじい裏切りが、機動隊による戒厳体制下の「大会」で強行されたのだ。だが、闘争団を先頭とする国労組合員は、怒りの反撃で国労の旗を死守し抜いた。有事立法攻撃と一体のものとして、国労の息の根を止めようと企てた権力の攻撃は、ぎりぎりのところで阻まれた。権力はこの結果に歯がみしながら、さらに国労本部を締め上げて国労解散へ一気に突っ走らせようとしている。国鉄闘争は、こうした新たな国労解体攻撃との激しい攻防に突入した。今こそ本部執行部を打倒し、国労の階級的再生をかちとらなければならない。

 鉄建公団訴訟取り下げを露骨に要求

 5・27臨大の直後、4党協議座長の自民党・甘利明は、国労本部に対して「4党合意に向けた国労執行部提案が、臨時国労大会において可決されたということは評価したい。残された課題について定期大会までに解決されることを期待する」と言い放った。さらに甘利は、自民党役員連絡会で「定期国労大会で(一部組合員が提起している)裁判の取り下げが行われるかどうかが問題だ。全面的な取り下げがあれば、与党がJR側にあらためて採用の検討や和解金の問題を働きかける」とうそぶいた。
 ついに自民党は、闘争団に向かって鉄建公団訴訟などを取り下げろとあからさまに要求するに至ったのだ。5・27臨大における国労本部の全面屈服にもかかわらず、闘争団を先頭とする国労組合員の闘いが不屈に貫かれていることに業を煮やし、これまで以上の露骨きわまるやり方で国労内部に手を突っ込んできたのである。この凶悪な支配介入を許してはならない。
 甘利は、次期定期大会で全裁判を取り下げ、闘争団の闘いを根絶して、国労を解散しろと迫っている。
 こんな図に乗った権力の攻撃を引き出したのは、与党3党声明をことごとく受け入れる5・27臨大方針を強行した本部と賛成派代議員の責任だ。今や本部は、最も献身的に国労運動を担ってきた闘争団員を、権力の命じるままに暴力的に切り捨てようとしている。この策動を粉砕しなければ、闘争団を先頭とする国労組合員が必死に築き上げ守り抜いてきた闘いの拠点を死守することはできない。
 権力にせかされた本部の側に時間の余裕はない。東エリア本部書記長の佐藤勝雄らチャレンジは、査問委員会や統制処分の手続きさえ吹き飛ばして、ゼロ解決受諾とともに全闘争団員を「除籍」とし、組合員資格を奪うことさえたくらんでいる。そうして「争議継続はない」ことのあかしを立てようとしているのだ。こんなことは国労の死だ。断じて許してはならない。

 裏切り者を追及し執行部を打倒せよ

 権力によるこれほどまでの国労の蹂躙(じゅうりん)を許した責任の一切は、チャレンジと反動革同=日本共産党、東京地本・酒田一派にある。彼らの裏切りは、5・27臨大でとめどなく進行した。
 そのことをあからさまに示したのが、国労史上最悪の高嶋のおぞましい限りの委員長あいさつである。高嶋は、「日本の政治を預かる主要政党が崇高な理念と責任に基づいて提起した4党合意」「4党合意がうたう人道とは、人間の尊厳に敬意を払い、信頼と寛容に基づくものと信じてやみません」などと述べて権力にひれ伏した。
 小泉政権が有事立法=北朝鮮・中国侵略戦争法案の成立に全力を挙げているこの時に、政権与党を「崇高な理念」のもとで「人道」の実現に邁進(まいしん)する者として描き出すことは、「大東亜共栄圏」の思想そのものだ。しかも今、陸・海・空・港湾労働者を先頭に有事立法粉砕の闘いは激しく火を噴いている。他方で連合が有事立法賛成の見解を出し、労働者の戦争動員を率先推進する極反動の立場を明確にした。こうした中で権力は、有事立法攻撃を貫徹するために労働組合を暴力的にたたき伏せるという権力の意志をむき出しにして、与党3党声明を国労に突きつけた。高嶋はこれをおしいただいて受け入れたのだ。これ自身が、労働者階級総体の偉大な反戦決起に敵対する反階級的大罪にほかならない。
 だが、国労本部がそこまではいつくばっても、与党から引き出し得たものは、〃闘争団を除名しなければ4党合意は破棄する”という、さらなる屈服要求だったのである。
 もはや、彼らを執行部にとどめておくことは一瞬たりとも許されない。
 5・227臨大は、与党3党声明に全面降伏し、鉄建公団訴訟の原告などの闘争団員への統制処分を次期大会で決めるとの方針を強行決定した。一方的な裁判取り下げも決めた。こんなものを国労組合員は絶対に受け入れない。こんな方針を推進したやからは、もはや国労組合員ではない。そもそも、本部方針は国労にとって死を意味する重大きわまるものだったにもかかわらず、職場討議には一切付されていない。組合員に責任を有する代議員であれば、こんなものには反対する以外の選択はあり得なかったのだ。賛成した代議員はもちろん、白票を投じた代議員にも、国労を敵に売り渡した重大な責任がある。彼らを徹底的に追及せよ。それが、国労の階級的再生の道を開くのだ。

 国労再生かけ総力の決起を

 闘争団を先頭とする国労組合員は、すさまじい怒りに燃えて5・27臨大を闘い抜いた。国労の旗はぎりぎりのところで守られた。この臨大で国労をたたき伏せようとした権力・資本の思惑は、根底的なところで打ち破られた。
 だが、だからこそ敵はあらためて激烈な国労解体攻撃に手を染めようとしている。それは、国鉄分割・民営化以15来年の決着をかけたものであるからこそ、国労内の分岐と激突はこれまでになく厳しいものとなるだろう。だが、ひるんではならない。ここで勝ち抜けば巨大な展望が開かれる。@与党3党声明を徹底的に粉砕せよ、A闘争団への生活援助金打ち切り・除名処分粉砕、B裏切り者をたたき出せ、闘う国労の旗を守れ、C動労千葉と連帯し、1047人闘争勝利を! のスローガンのもとに、今こそ総力で闘おう。

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週刊『前進』(2057号3面2)

杉並住民の会第3回総会 “介護・医療を奪うな” 高齢者が命の叫び

 6月2日、介護と福祉を要求する杉並住民の会の第3回総会&記念集会が西荻窪の勤労福祉会館に200人の住民の参加で開かれた。記念講演や琉球舞踊、ビデオ上映などの多彩な催しの中で、介護保険を廃止に追い込み、公的介護の完全実施を要求し、医療制度改悪に反対する高齢者を始めとした住民の命の叫びが深い感動を呼び起こした。
 第1部の住民の会総会では、最初にビデオ上映が行われ、続いて司会の男性が「介護保険が実施されて3年目に入っており、さらに医療制度改悪や年金制度改悪で高齢者に圧迫が加えられ、住みにくくなっている」と小泉政権を批判し、開会を宣言した。
 住民の会の八木ケ谷妙子代表があいさつを行った。八木ケ谷さんは「この会は世直しの会。年寄りは社会の質を高めている宝物なんです。一緒に生きましょう。自信を持って発言し、行動していきましょう」と呼びかけた。
 来賓のあいさつでは、介護保険に異議あり!全国ネットワークの水上信也代表が「杉並住民の会と連帯し闘っていく」と表明した。新城せつこ杉並区議は「国に物申している住民の会の運動が全国の激励になり、力になっている」とその意義を伝え、一方で杉並区には「切実な声が届いていない」と区の姿勢を弾劾して、決起を訴えた。
 また、九州大学の伊藤周平助教授らからのメッセージが読み上げられた。
 高田普次夫副代表が活動報告を行い、1年間の闘いを「小なりといえども、杉並区も、東京都も、国も無視できない高齢者の団体として前進」してきたと総括した。その上で、高齢者の孤独死の増加、介護保険料未納者に対する罰則適用の焦点化、利用料1割負担のためにサービスが利用できない現実、特に医療制度改悪の攻撃を弾劾し、「今こそ、力をあわせてたたかいに立ちあがりましょう」と呼びかけた。決算、役員人事の議案が採択され、第1部を終了した。
 第2部は記念集会。まず、琉球舞踊が披露され、会場が華やいだ。続いて女子高校生2人がパフォーマンスによる谷川俊太郎の詩『生きる』を朗読した。
 記念講演は、高槻市議で医師の小西弘泰さんと、同じく医師の土肥徳秀さん。
 小西さんは今国会に医療制度改悪関連法案と有事立法が提出されていることについて「命と平和は一つの問題」とその一体性を指摘し、医療制度改悪について核心を暴露した。健保本人負担の1割から3割への引き上げ、老人医療制度の大改悪、180日を超える入院については85%しか健康保険を適用しない問題などを具体的に明らかにした。また今国会に提出されている健康増進法が「働けなくなったら生きていく必要はない」という高齢者切り捨ての論理であることを厳しく弾劾した。
 土肥さんは、介護保険制度の実施で家族の介護の負担が増えていること、ヘルパーの労災事故が5倍に増えていることなどを明らかにし、「介護保険制度を廃止し、きちんとした仕組みを作るべきだ」と訴えた。
 連帯のあいさつでは「障害者」運動の代表と、労組交流センター医療福祉部会のヘルパーの労働者が、ともに闘う決意を表明した。
 地域からの報告は感動にあふれた。ひとりで子どもを育てた女性は、転んで入院して退院して介護を受けようとしたけれども、区役所はパンフレットをくれただけでどうしたらいいかわからず途方に暮れていた時に、住民の会が手伝って手続きをしてリハビリをすることができて元気を取り戻した、「それがなければ今ごろどうなっていたかわかりません」と語った。
 娘を亡くし、障害者の孫と暮らす女性は住民の会で介護を受けられて元気を取り戻し、「私は幸せです」と繰り返した。住民の会という高齢者の団結が、生きる勇気と希望を与えてきたこと、「命のネットワーク」としての貴重な役割が強く感じられた。
 また琉球舞踊に触れながら「かつてこの年代の人たちをひめゆり部隊に動員した。その後は沖縄に基地の重圧を押しつけた。戦争に向かおうとする政府を許せない」という訴え。高齢者が先頭に立って闘う姿が参加者を奮い立たせた。
 集会宣言が読み上げられた。「青春を戦争で奪われ、生き残って精一杯生きてきた私たちが、また再び戦争の動きの中で、医療と介護を受けられずに命を奪われるというのか」「私たち自身の手で生きる権利を取り戻し、『命のネットワーク』をうち立てよう」――感動的な宣言が発せられた。最後に、介護保険廃止、医療制度改悪阻止、有事立法阻止へ闘おうという行動方針が提起されて、闘う決意をうち固めた。

 全国ネットが請願署名提出 1万1千筆超える 

 6月3日、介護保険に異議あり!全国ネットワーク(介護と福祉を要求する杉並住民の会、高槻健診介護要求者組合、東大阪国保と健康を守る会介護要求部会、荒本地区介護と福祉を要求する会、八尾北医療センター患者会介護要求部会)などは、水上信也代表、高田普次夫代表、八木ケ谷妙子杉並住民の会代表ら11人が国会を訪れ、3月29日の国会請願行動に引き続いて追加の誓願署名を国会議員に手渡した。今回の追加提出で誓願署名数は合計で1万1千筆を超えた。

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週刊『前進』(2057号3面3)

動労千葉夏季物販に協力を 春闘ストの意義を全国へ

 02春闘でストライキを打ちぬいた動労千葉は今、夏季物販闘争に総決起している。3月28〜31日の4日間、組織の総力をあげて闘い、スト参加者546人、運休本数647本になり、当局に大打撃を与えた。動労総連合も30日、24時間ストに立った。この動労千葉の物販闘争にこたえ立ち上がろう。スト決起の意義を全国の職場に広げよう。
 第一に、日本労働運動の命運を決する国鉄闘争勝利を掲げてストに決起したことを訴えよう。
 動労千葉は1047名の解雇撤回・JR復帰を掲げてストを貫徹した。1047名闘争は今、重要な段階に入っている。「4党合意」という政府・自民党の国労・動労千葉解体攻撃に対して、国労本部は機動隊導入による大会で受け入れを強行した。「4党合意」にあくまで反対し、解雇撤回を掲げて闘う国労闘争団への統制処分を強行しようとしている。動労千葉は、国労闘争団の決起に連帯し、解雇撤回を要求してストライキに立ち上がった。
 そして第2の分割・民営化−保守部門の全面外注化撤回を要求して立ち上がった。第2の分割・民営化とは、これまでの鉄道輸送の根幹をなしてきた保守部門を全面的に外注化するという恐るべき安全無視の攻撃である。そして保守部門で働く労働者を、すべて外注会社に追いやる首切り攻撃である。営業=駅、車掌などJRのすべての職種で外注化がたくらまれている。
 動労千葉の組合員が多数を占める幕張電車区を中心とした検修・構内外注化阻止に立ち上がり、当局の外注化提案をストップさせている。
 第二に、資本の「ベアゼロ」攻撃に反撃し、大幅賃上げ−02春闘勝利を掲げてストに立ち上がった。
 02春闘は、1兆円の経常利益のトヨタの「ベアゼロ」回答を引き金に、ほとんどの企業が「ベアゼロ」を強行した。これは総資本が年功制賃金・終身雇用制解体に全面的に踏み切ったことを意味した。全労働者の90%を不安定雇用労働者に追い込む攻撃である。
 もはや労働者は、闘わなければ生活できない現実に追い込まれている。しかし連合は、この攻撃に対して闘う方針をまったく打ち出していない。動労千葉は、JR当局の「こんな時代になぜストライキをやるのだ」という攻撃に、「こんな時代だからストライキ」と闘いに立ち上がった。
 第三に、反戦・有事立法阻止を掲げてストライキに立ち上がった。
 有事立法は、武力行使法であり、国家総動員法である。朝鮮・中国侵略戦争法案である。連合本部は5月16日、「……法整備は、基本的に必要」と有事法制を認める方針を打ち出した。この連合方針に日教組、自治労も反対せず認めている。政府は、この連合を取り込んで今国会で有事法制を強行しようとしている。
 今こそ職場から有事法制阻止に決起することを訴えよう。「日教組や自治労が有事法制に賛成している」――この戦慄(せんりつ)すべき現実に、激しい危機感をもって総決起しよう。
 以上の3点を訴えて全職場に入ろう。動労千葉は今、執行部を先頭に全国を駆けめぐっている。どれだけ多くの職場を訪問できるかが勝負である。まず自分の職場全員に物販への協力を訴えよう。動労千葉の物販闘争こそ、階級的労働運動をつくり出す基礎だ。有事立法阻止闘争と結合し、物販闘争へ立ち上がろう。

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週刊『前進』(2057号3面4)

動労千葉 団結の力ここにあり ストはいかに実現されたか (3)
 ベアゼロ弾劾し総決起へ この時代だからストだ 田中委員長

 スト方針を決定

 動労千葉は3月2日に定期委員会を開き、3月28〜31日にストライキを実施する方針を決定した。ここで確認した「闘いの課題」は以下のとおりだ。
 @02春闘勝利、3万8000円の大幅賃上げ獲得、貨物ベアゼロ攻撃―差別・能力給の導入阻止!
 A検修・構内外注化―新保全体系合理化阻止、反合・運転保安確立!
 B1047名(動労千葉9名)の解雇撤回・原職復帰!
 C反戦―国際連帯、有事立法・改憲阻止、小泉超反動政権打倒!
 D新たな動労千葉根絶攻撃粉砕、JR総連解体―組織強化・拡大
 E懸案要求の解決、シニア制度撤廃―定年延長実現! 強制配転者の原職復帰、士職登用、不当労働行為根絶!
 これらの方針にJR東日本千葉支社当局は激甚に反応した。『日刊動労千葉』でスト方針を公表すると、まだ正式にスト通知をしていないのに、千葉支社は書面で「拝聞するに、ストライキを予定されているようであるが、このような時代にお客様に迷惑をかけるストライキは中止してほしい」と申し入れてきた。
 これに対して動労千葉は「この時代だからストライキを打つんだ!」と真っ向から宣言した。
 「冗談じゃないということですが、それは当局に言ったというより、われわれ自身にとってそうだということです。この時代に対してストライキをやるんだと言えるか言えないかで、その労働組合の方向が決まってしまう」と田中委員長は語る。
 中村書記長も「労働者が団結しているのを一番見せつけるのはストライキだから、それを見せつけなかったら、いくら団体交渉をやろうが当局は何も認めない。ストをやって要求が通らなくても、そういう構えがなければやられっぱなしです」と言う。

 軒並みベアゼロ

 3月13日の金属大手の回答は軒並みベアゼロで、あの史上空前の1兆円の利益を上げるトヨタ自動車でさえベアゼロだった。電機では、ベアゼロ妥結直後に「春闘とは別の提案」として5〜7%の賃金カット、定昇凍結などが提案された。これで事態ははっきりした。その企業がもうかっていようがいまいが、日帝総資本の意志としてベアゼロ―賃下げを強行し、終身雇用制も解体するということなのだ。
 NTTでは東西の11万人の首を切り、地域別子会社に転籍する大合理化が進行中だ。51歳以上の労働者は3割もの賃下げを強制される。
 これらの攻撃にJRも無縁ではない。14日にはJR西日本と東海がベアゼロを強行。西日本は「今後はベアの考え方はもたない」と回答した。
 2年連続ベアゼロの貨物では最大組合のJR総連・貨物労組(日貨労)が「ベアゼロ要求」で、3年連続ベアゼロが必至だ。JR貨物は1月31日に「ニューチャレンジ21」を提案し、現在の9千人から7千人へと2千人を削減する計画を打ち出した。また来年4月から「賃金制度の白紙的見直し」と称して年功序列賃金体系を廃止し、成果主義賃金や地域別賃金を導入しようとしている。
 動労千葉の組合員も、自らの身に降りかかる攻撃がいかなるものかを自覚せざるを得なかった。ここで闘わなければベアゼロどころか賃下げ、そして業務の外注化でNTTのように出向から転籍=首切りが強制されるのだ。

 JR総連が妥結

 3月18日夕方、約100人の組合員がJR千葉駅前で宣伝行動を行い、千葉支社への抗議行動に立った。例年だとストの最中に行う行動だが、スト前にこれだけの組合員が決起したことで、組合員の闘う意欲がかつてなく高まっていることが分かる。
 一方、千葉支社当局はJR総連カクマルと一体となって、ストの1週間以上前からスト破りの休日呼び出しを開始し、職場は国労組合員も含めた抗議の声で騒然とした状況になった。
 こうした中で東労組は緊急の全国代表者会議を招集し、ベアゼロを受け入れる意思統一をし、職場でも「全体がこういう状況だから仕方がない」というオルグを始めていた。
 25日はJR貨物がベアゼロを回答、日貨労は即妥結。27日にはついに東日本もベアゼロを回答した。東労組も何ひとつ抗議することなくその場で裏切り妥結した。
 動労千葉は、ベアゼロ回答に対して3万8000円の大幅賃上げを真っ向から対置する、労働組合の存在価値をかけたストライキに突入する。まさに時宜にかなった決定的な闘いとなるのである。
 (つづく)
 〔本紙・大沢 康〕

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週刊『前進』(2057号4面1)

戦争国家体制狙う有事法制阻止せよ
 福田官房長官 「核持てる」発言許すな 有事3法案と一体で核武装化を狙う攻撃

 5月31日午後の記者会見で福田康夫官房長官が核兵器について「専守防衛なら持てる。持ってはならないという理屈にはならない」と発言した。さらにそれに続く記者との懇談で「今は憲法だって改正しようというぐらいになっているから、国際情勢や国民が持つべきだということになれば非核三原則も変わることになるかもしれないよ」と発言した。日帝が有事立法3法案を強行しようとしている策動と一体で、核武装を目指そうとする発言であり、絶対に許してはならない。労働者人民の怒りの総決起で福田をただちに辞めさせ、有事立法を粉砕し、小泉内閣を打倒しよう。
 福田発言は、安倍晋三官房副長官が早稲田大学での講演で「大陸間弾道弾(ICBM)は憲法上は問題ではない」「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね」と発言したことに対して、記者の質問に答えたものだ。安倍や福田個人だけでなく、小泉政権が核武装に向かって本格的に策動を開始していることを示したものだ。
 この事実が新聞で報道され、労働者人民の怒りが燃え上がった。被団協を始め広島、長崎の被爆者団体や沖縄からも怒りの声が沸き上がった。またアジア人民の激しい怒りの中で韓国政府、中国政府なども反発を強めた。
 こうした中で、福田も小泉もペテン的な言い逃れでごまかし、逆に報道に問題があったかのように居直り、有事立法3法案など戦争体制構築に全力を挙げている。だが、福田の発言が核武装に向かって人民の反対を押し切っていこうと狙ったものであることは明白だ。何よりも安倍発言について一切否定することなく、「理屈から言えば持てるのではないかと思う」と支持していることからも明白である。また石原慎太郎都知事が福田に「核は持つことができる。頑張れ」と電話で激励していたことも明らかになっている。
 もともと日帝が言ってきた「非核三原則(持たず、つくらず、持ち込ませず)」なるものがまったくのペテンである。実際には67年に佐藤が沖縄返還政策に際して言い出した当初から米軍に対しては沖縄や横須賀への核持ち込み・保有を認めるという密約が交わされており、空母や原子力潜水艦などの米核艦船が常時配備されているのだ。それだけではなく、日帝は核武装に向けて原発などの核開発を進め、さらに衛星打ち上げ実験を積み重ねることによってミサイル技術を開発している。
 そもそも、核兵器やICBMが、戦力の不保持と武力行使の放棄を規定した憲法上認められるという主張自身が絶対に許せない暴論であり、こうした発言がまかり通っていること自身が許しがたいことである。「自衛のため」と称する帝国主義戦争の論理に屈服した日共を始めとする野党の裏切りの犯罪的役割を厳しく弾劾しなければならない。福田は、有事法制の国会審議で、ミサイル準備などの「着手の段階から反撃が可能である」と発言したが、まさに「着手」と称して空爆や地上軍派遣によって攻撃するだけでなく、核ミサイルによる先制攻撃をも狙っていることがはっきりと示されたのだ。
 福田発言の背景には、米帝がアフガニスタンへの侵略戦争に突入し、さらにはブッシュの「悪の枢軸」発言をもって凶暴な侵略戦争を展開しようとしていることがある。今や世界大恐慌の危機の中で帝国主義は完全に侵略戦争・帝国主義間戦争の時代へと突入したのだ。米帝は凶暴な戦争の大展開によって世界支配を再編しようとしているのだ。
 しかも米帝の凶暴なアフガニスタン侵略戦争が、一方ではイスラエル・シャロン政権のパレスチナ圧殺のための人民大虐殺を促進しており、他方ではインド・パキスタンの核戦争危機を一挙に激化させている。
 こうした情勢に対して日帝は、危機感に駆られて戦争のできる帝国主義として登場し、侵略戦争に打って出ようと全力を挙げた攻撃に出てきている。有事3法案を始めとする戦争国家体制構築の攻撃に全面的に出てきており、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦しようとしている。その中で、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くために日帝が核武装した帝国主義として登場しようと凶暴な焦りを深めているのである。
 福田の居直り、有事立法を強行しようとする策動を絶対許すな。朝鮮・中国侵略戦争、戦争国家化に向かって突き進む小泉政権を今こそ打倒しよう。

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週刊『前進』(2057号4面2)

防衛庁リスト事件弾劾 人民敵視する本性あらわ

 防衛庁が、情報公開法に基づく請求者の身元を独自に調べて、リストを作成し、自衛隊内で使っていたことが暴露された。この事実は、防衛庁・自衛隊が法律に基づいて情報請求をする労働者人民すら、敵と見なして調査・監視していることを示すものだ。帝国主義軍隊=自衛隊の反人民的正体をさらけ出している。怒りをもって弾劾し、有事立法を絶対に粉砕しよう。
 情報公開の請求手続きで申請書類に書き込むのは、請求した個人または法人の名前と住所、開示を求める行政文書名だけだ。ところが、防衛庁は独自に職業、所属団体や生年月日、転居先や旧姓を調べ上げ、さらには「受験者(アトピー)の母」「反基地運動の象徴」などと思想・信条・病歴にまで踏み込んで追跡調査してリストをつくっていたのだ。
 個人情報リストは最初に暴露された海上幕僚監部だけでなく、防衛庁内局と陸上幕僚監部、航空幕僚監部でもそれぞれ独自に追跡調査し作成していた。要するに、防衛庁と陸海空自のすべてが、組織ぐるみで、「日常業務」として、情報請求者の身元調べを行っていたのだ。リスト化された請求者の数は海幕が141人、陸幕が139人、空幕が120人、防衛庁内局は「不明」としている。
 これほど自衛隊総ぐるみで組織的にやっていながら、防衛庁は、組織関与を否定する「調査結果」を発表して、人民をだまそうとしていた。最初に暴露された海幕の3等海佐の個人行動として済ませ、防衛庁内局や陸空幕でのリスト作成の事実を隠ぺいしようと画策していたのだ。一体どこまで悪らつなのか。
 要するに人民には真実を知らせず、自分たちに都合の悪いことは隠ぺいし、うそをついて北朝鮮・中国侵略戦争に突き進もうとしているのだ。
 こんなことを許していたらどうなるか。役所の情報を調べようとする人物は国家に敵対する要注意人物だとレッテルを張られ、秘密裏に身元調査され、自衛隊や公安警察が常時マークし、弾圧する――こんな社会になってしまう。
 さらに重大なことは、日帝は「個人情報保護法案」の強行と、8月からの「国民総背番号制」(「国民全員」に11けたの番号をつけ個人情報を行政機関が利用)の実施によって、今回自衛隊がつくった個人情報リストをもっと大規模に作成し、労働者人民の戦争動員と治安管理の体制を強めようとしていることだ。
 防衛庁や自民党内部では、リストをつくったことそのものよりも、それが外部に漏れたことを問題視し、一層内部の秘密を守る方向に、そしてそれを暴くメディアの規制に力を入れようとしている。それは必ず国家機密法(スパイ防止法)や自衛隊による人民の監視・取り締まりの方向を促進するものとなる。
 防衛庁リスト事件を徹底弾劾し、侵略戦争に突き進む日帝・小泉政権、中谷防衛庁長官を人民の怒りで打倒しよう。有事立法粉砕、言論弾圧法案(メディア規制法案)粉砕へ闘おう。

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週刊『前進』(2057号4面3)

連合の有事立法賛成見解を労働者の怒りで粉砕しよう
 6・16集会へ職場から総決起を

 有事立法3法案をめぐる決戦は、5・24−26の大爆発によって、6月に持ち越された。その勝敗は陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかける6・16集会を頂点とする6月中・下旬の闘いに絞り上げられた。
 6月決戦の最大課題は、労働者階級の反戦決起を抑圧し、戦争動員を狙う連合中央の打倒だ。700万人を超える労働者を組織するナショナルセンターの連合が侵略戦争法案に賛成したことの犯罪性は計り知れない。全職場で連合「5・16見解」への怒りを組織して6月決戦を爆発させ、有事立法を廃案に追い込もう。

 有事立法に賛成

 連合は、5月16日に「有事関連3法案に対する連合の見解」(以下「5・16見解」)と題する有事立法への見解を明らかにした。
 「5・16見解」の第一の犯罪性は、あろうことかナショナルセンターとして戦争賛成の立場を公然と打ち出したことだ。
 そこでは、「日本が武力による侵略を受けないという保証はなく、また大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロあるいは大規模災害など、現行の対応システムによっては対処しえない緊急事態が発生した場合には……国民の生命および財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は、基本的には必要」と言っている。
 「大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロ」とは、9・11反米ゲリラ戦争の爆発以降、米日帝が報復戦争の口実にしてきた文言ではないか。米帝は、゛大規模テロのおそれを先制攻撃で抑止する″と北朝鮮やイラクなどを「悪の枢軸」と名指しして凶暴な侵略戦争を行おうとしている。そして日帝は、これに共同的=競合的に参戦するために有事立法を強行しようとしていることが、この間の国会における政府答弁で完全に明らかになったではないか。
 にもかかわらず、連合は゛日本が攻められた時の法的整備をするのは当たり前だ″と言って戦争賛成を表明したのだ。
 この見解に自治労、日教組、全逓、全金(現在はJAM)など戦後の日本の反戦闘争の主力を担った労働組合がこぞって戦争に賛成したという事態の重さを、ふるえるような危機感で見据えなければならない。

 人権制限を要求

 「5・16見解」の第二の犯罪性は、゛法案は不完全だ、人権の制限を明文化し、もっと完全な有事法制にしろ″と、連合が労働者の戦争動員の積極的な先兵を買って出ていることだ。
 「有事における国民の自由と権利がどこまで保障されるのか全く不明……その点から本法案は不完全なもの」「連合は、国・地方公共団体や『指定公共機関』の業務に従事する多くの組合員を抱えており……どのような権利がどの程度『制限』されるかについて、明確にすべきである」とはなんたる言いぐさか。
 有事とは戦時であり、「国民の自由と権利」などは、はなから問題にもならない。戦争が一切に優先され、憲法が停止される、それが有事なのだ。戦前の痛苦の歴史を見ればそれはあまりにも明らかだ。
 「『指定公共機関』の業務に従事する多くの組合員を抱えて」いる自治労を始めとする連合中央はこのことを知り抜いているからこそ、戦争賛成の立場から「どのような権利がどの程度『制限』されるかについて、明確にすべき」などと主張している。すなわち、労働者を戦争に動員するためには、その権利を奪うための法律を明確にすべきだと言っているのだ。

 成立の水先案内

 「5・16見解」の第三の犯罪性は、日帝・小泉による新たな有事立法成立策動の水先案内人になっていることだ。
 「今国会で急いで成立をさせることは反対」「国会でどのように審議されるかを見きわめ、組織内外で慎重な論議をし、必要な対応をしていく」などというのは、何を意味するのか。
 日帝・小泉は、与党単独での衆院強行採決という方針から民主党をまき込んで、会期を延長してでも成立させるという方針に転換した。その背景には「5・16見解」がある。連合が賛成したからなのだ。労働者の戦争動員抜きに侵略戦争は成立しない。だから小泉は、連合が支持母体となっている民主党取り込みの策動に全力をあげているのだ。これが、中央公聴会中止を始めとした一連の事態の本質だ。連合は有事立法成立策動の先兵となったのだ。断じて許すな。

 反対運動の解体

 「5・16見解」の第四の犯罪性は、20労組を先頭にした絶対反対の運動の解体を狙っていることだ。
 日本共産党は『赤旗』で「連合が有事立法に反対」などと報道し、全面肯定した。ここに日共スターリン主義の帝国主義戦争への屈服が鋭く表現されている。しかし、自治労中央など平和フォーラムの20労組への敵対に見られるように、連合こそ内側から闘いの爆発を必死になって阻止している張本人である。
 連合傘下の労働者は自らの労働組合が戦争法案に賛成したことを許してはならない。職場から抗議・反対の決議などを上げ、20労組の決起を下から支える職場丸ごとの総力決起を実現しよう。国鉄闘争支援陣形に大胆に分け入り、連合・全労連の制動を突破して6月闘争の爆発で有事立法の廃案を実現しよう。

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週刊『前進』(2057号4面4)

保安処分新法審議入り弾劾
 阻止共闘が国会行動 与党案「支持」の日本共産党許すな

 「精神病者」を先頭に「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議(阻止共闘)は、政府与党案の「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法案」の撤回と廃案を求め、連続的に5月国会行動を闘った。
 5月28日、衆議院本会議で森山法務大臣が「医療観察法案」=保安処分新法の主旨説明を強行した。日帝はついに有事立法と一体で予防拘禁を命じる保安処分制定に着手したのだ。絶対に認めることはできない。阻止共闘の仲間は衆議院議員会館前に陣取り、本会議の審議入りを徹底弾劾し、終日闘い抜いた。(写真)
 政府案とはどのようなものか。これまで「犯罪事件」容疑で「心神喪失、心神耗弱」と判断された「病者」は、刑法の責任主義原則や刑法39条に照らして刑事手続き上では「不起訴」や無罪および「施行猶予つき釈放」とされながら、その多くが精神保健福祉法による措置入院で強制入院させられてきた。法案は、「これでは被害者感情に応えられない、措置入院といえども医者の鑑定では不十分」と裁判とは似て非なる「地裁審判」を持ち出し、裁判官決定によって6カ月ごとの拘禁を何回でも更新可能な「入院処遇」か、5年を限度とし、いつでも再入院手続きに移行できる保護観察付きの強制「通院処遇」によって「病者」を長期・永遠に保安施設に閉じこめようとするものだ。
 説明に立った森山は「この法案は保安処分とは異なる」と必死に弁解した。冗談じゃない! 森山は形式だけの「審判」を振りかざしながら、また裁判官決定に精神科医を動員して見かけ上の「合議制」を装って「過去に提案されたような裁判官単独決定の保安処分ではない」と言いくるめようとした。だが、法案では精神科医も裁判所の選任・任命であり、「審判」なるものも「事実」を争ったり「控訴」を申し立てることを初めから大幅に制限した代物だ。ただただ「保安処分批判」をかわすための道具にほかならない。
 さらに厚労大臣の坂口も説明に立った。「再犯のおそれは予測可能であり、世界標準の英国のオックスフォード大学の教科書に載っている」。これも冗談ではない! 政府原案が言うような「6カ月の範囲で予測できる」などという事実はどこにもないし、非科学的で恣意的なこじつけでしかないのだ。「再犯のおそれ」という概念を無理矢理デッチあげることで、実はいったん終了した刑事手続きのぶり返しを正当化しようという実に悪どい憲法破壊のキーワードなのだ。
 一方、民主党の水島広子議員が「現行法の改定で対応できる」と、とんでもない対案を提出した。「病者」の犯罪を「初犯から防止する」と称して各県に判定委員会をつくり、ここで一括して「犯罪事件」とは限らず日常的に措置入院・非措置入院を振り分けようというのだ。しかもPICUなる「精神科救急病棟」を新設し、収容する。厚労省が10年前に提示したが、とん挫した「処遇困難者病棟」構想とまったく同じだ。この対案は絶対に認めることはできない。
 日本共産党は5月30日に党見解を発表し、「再犯のおそれ」判断は可能、「審判所」創設賛成、「病者」へは医療以外の強制も必要、市民から犯罪を守る制度をつくり不安を解消するのは国の責任……と強弁し、与党案支持のお先棒かつぎを表明した。何たるハレンチさか。絶対に許せない。日本共産党の差別排外主義を徹底的に弾劾する。
 共産党の大裏切りと敵対をはねのけて、「医療観察法案」廃案めざす保安処分反対をさらに闘い抜こう。

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週刊『前進』(2057号4面5)

 5月29日〜6月4日
 ブッシュが先制攻撃を宣言 米がプルトニウム製造再開

●国会40日延長か 政府・与党は国会(6月19日まで)の延長について、40日程度を軸に本格的な検討に入った。(29日)
●「米軍駐留、沖縄に有益」 ウルフォウィッツ米国防副長官が、沖縄での米軍駐留について「沖縄の人びとや日本国民、地域のすべての人びとにとってきわめて有益であることは疑う余地がない」と述べた。(29日)
●オスプレイ飛行再開 米国防総省がMV22オスプレイ(垂直離着陸機)の飛行試験を米メリーランド州の海軍飛行場で再開した。20機の試作機のうち4機が墜落し安全性が疑問視されている。(29日)
●横田基地訴訟で国に24億円賠償命令 米軍横田基地(東京都福生市など)の軍用機騒音をめぐり、周辺住民ら5917人が早朝と夜間の飛行差し止めや損害賠償を国に求めた「新横田基地公害訴訟」の判決が東京地裁八王子支部であった。約24億円を支払うよう国に命じたが、飛行差し止め請求は「国は米軍の活動を制限できない」として棄却した。(30日)
●「不審船」引き揚げ方針 政府は昨年12月に海上保安庁が撃沈・虐殺した、いわゆる「不審船」を引き揚げる方針を決めた。現場が中国の排他的経済水域(FEZ)内にあることから、小泉首相が川口外相と扇国土交通相に対し、台風シーズン前に引き揚げを終えることができるよう、中国政府との協議を指示した。(31日)
●福田官房長官「核持てる」 福田官房長官が核兵器保有について「専守防衛なら持つことができる。持ってはいけないという理屈にはならない」と言明した。また政府首脳という形で「非核3原則は憲法に近いものだ。しかし、今は憲法改正の話も出てくるような時代になったから、何か起こったら国際情勢や国民が『(核を)持つべきだ』と言うことになるかもしれない」と述べた。(31日)
●米、プルトニウム製造再開 米エネルギー省が89年以来停止していた核弾頭用プルトニウム塊の製造再開方針を表明した。プルトニウム塊はさまざまな核兵器の中核に使われ、爆発の引き金(トリガー)の役割を果たす。9月には製造工場の建設地選定を始めるとしている。現在、プルトニウム塊が必要になった場合は、解体した古い核兵器から取り出して再使用することにしているが、エネルギー省は「こうした限定的な製造能力では、将来不足する」と述べ、20年までに実際に製造を始めるとしている。(31日)
●治安出動も武力攻撃対処方針に 政府が閣議決定した有事3法案に関する答弁書は、武力攻撃事態で政府が定める対処基本方針に治安出動が含まれる可能性があることを明らかにした。(31日)
●那覇地裁が基地検証 米軍用地特措法に基づく土地の強制使用は違法だとして、首相の使用認定取り消しと沖縄県収用委員会の裁決取り消しを求めた訴訟で、那覇地裁が伊江島補助飛行場や普天間飛行場など10施設内にある契約拒否地主の土地について基地外から検証することを決めた。(31日)
●ブッシュ、先制攻撃を強調 ブッシュ米大統領が、ニューヨーク州の陸軍士官学校で「テロとの戦いでは、守りに回っていては勝てない。敵に戦闘を挑み、敵の計画を崩壊させなければならない」と述べ、先制攻撃をしかける必要性を強調した。(1日)
●個人情報リスト、内局・陸空幕も作成 中谷防衛庁長官が、情報公開請求者の個人情報リストは海上幕僚監部だけでなく、防衛庁内部部局と陸上幕僚監部、航空幕僚監部でもそれぞれ独自に作成していたことを明らかにした。同日、陸空幕僚長と官房長が「業務としてやっていた」と説明、組織ぐるみの行為だったことを初めて認めた。(3日)

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週刊『前進』(2057号4面6)

北富士 天野会長が座り込み
 “有事法・入会権抹殺許さぬ” 国会前で連日の決起

 北富士国有入会地守る会の天野重知会長が、有事立法の制定策動に反対して連日国会前で座り込みを行っている。93歳の天野さんは「有事立法が通ったら北富士はどうなるのか。入会権は完全に抹殺されてしまう」と自衛隊の入会地無断使用を弾劾し「自分が生きているうちに入会地を取り戻したい」と決死の決起を貫いている。

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週刊『前進』(2057号4面7)

24日 東峰神社裁判 反対同盟とともに闘おう

 東峰神社裁判が6月24日(月)から始まる。三里塚反対同盟の呼びかけにこたえて、公判闘争をともに闘おう。
 空港公団は昨年6月16日、成田空港の暫定滑走路を阻む東峰神社の立ち木を、突然、切り倒した。反対同盟と敷地内農民の抗議の声を機動隊暴力で抑え込んで、この国家的大犯罪を強行したのだ。
 空港公団はこの立ち木盗伐を、「神社の土地の所有権は公団にあり、だから樹木も公団の所有物だ」と開き直っている。断じて許せない大うそである。
 東峰部落は、神社の土地所有権が部落にある(総有関係)ことの確認と、違法に公団名義とされた登記名義を真正な名義(部落各戸の名義)に回復すること、伐採した立ち木を原状に戻すことを求めて提訴した。
 その初公判が24日に開かれる。日帝・公団による盗伐の暴挙を断じて許さず、三里塚闘争の勝利をかけて公判闘争を闘おう。
 (日時)6月24日(月)午後1時10分から
 (場所)千葉地方裁判所
 正午/千葉地裁前集合

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週刊『前進』(2057号5面1)

有事立法粉砕=北朝鮮・中国侵略戦争阻止の総力決戦を
 死の苦悶にあえぐ日帝を打倒せよ

 武力攻撃事態法案を始めとする有事立法関連3法案の攻撃は、小泉が「備えあれば憂いなし」などと言うような一般的な備えのための方策では断じてない。この3法案の狙いは、すでに9・11反米ゲリラ戦を契機としてアフガニスタン侵略戦争として開始されたアメリカ帝国主義の恐るべき世界戦争計画の実行という現在の情勢の中で、日本帝国主義が激化する帝国主義間争闘戦での生き残りをかけて、この米帝の世界戦争路線に全面的に協力する形態で積極的に参戦していくための体制を一挙につくりあげるところにある。つまり、米帝の世界戦争の遂行に日帝が帝国主義としての存亡をかけて積極的に参戦していくための戦争法案=侵略戦争法案だということだ。われわれは、有事立法をめぐる決戦が、米帝の北朝鮮爆撃−北朝鮮侵略戦争が早ければ今年中にも、遅くとも1〜2年のうちに展開されようとしていることとまさに一体化した日帝の北朝鮮・中国侵略戦争突入をめぐる決戦であることをはっきりさせ、〈北朝鮮・中国侵略戦争法案粉砕〉のスローガンを鮮明にさせて闘っていかなければならない。

 今日の世界はすでに世界戦争状態にある

 日帝はすでに「周辺事態法」(そのもとになっているのが日米新安保ガイドライン協定)を持っている。また、9・11に対応しての「テロ対策特別措置法」という範囲の限定のない参戦法をも持っている。またPKO関連の侵略派兵を可能にする法も持っている。この上に今日の有事立法3法案が制定されようとしているのである。実を言えば、米帝の世界戦争計画がどんどん進行し、戦線がどんどん拡大していく中で、上述のすべての法案は一体化し連動して、日帝を帝国主義的侵略戦争に全面的に突入させていくことを可能にしていくものとしてある。
 有事立法3法案問題を考える時、われわれは何よりも今日の内外情勢、世界危機の中で、基軸帝国主義としての米帝の動向と、それによって激しい争闘戦的現実に突き落とされて帝国主義的にあがく日帝の動向という視点を持たなければならない。今日の世界は9・11以後の世界だ。また、アフガニスタン侵略戦争として開始された米帝の世界戦争計画(路線)が実行されつつある世界である。その意味で今日の世界はもはや平時ではない。世界戦争過程に突入した戦争状態にある世界だ。このことをトコトンはっきりさせ、すべての暴露の中で基軸に据えなければならない。
 実際にどうなっているか。米帝は今やアフガニスタン侵略戦争をどこまでも継続しようとしている。これは重要だ。米帝はこれをけっして終わらせないし、終わらせることもできない。その上で、米帝は9・11−アフガニスタン侵略戦争の流れの中で強行されたイスラエル・シャロンのパレスチナ自治区への全面的侵攻(本質的には米帝とイスラエルのパレスチナ侵略戦争の一層鋭い遂行)を支持する形で、戦争を中東へと拡大した。これはパレスチナ人民・中東人民・世界のムスリム人民の強烈な反撃にあって大きな打撃を受けた。しかし、米帝・イスラエルはパレスチナへの攻撃の現実を一定集約しつつ、今や対イラク戦争に向かっての情勢づくりのために必死になっていると言える。
 イスラエルの力の支配の現実を基礎に、米帝は、そのもとでのパレスチナ情勢の一定の米帝的集約の中に、アラブ・中東諸国を引き込むための策動を強めている。それはイラク攻撃への態勢を確保するためと言ってよい。米帝のこの間の動きは、パレスチナ人民の反撃で混乱した対イラク攻撃のプランを建て直し、早急にイラク戦争に突入するための国際情勢を確保するための動きだ。このため米帝は、ブッシュのロシア訪問−米ロ首脳会談などをとおしてプーチン・ロシアの取り込みに全力をあげている。プーチンもそれと知って一定それにのっている。中国には重圧をかけつつ、しかし、さしあたっては対立が爆発しないようにしようとしている。その上で「悪の枢軸」論のもとで北朝鮮に対して(戦略的な対中国スターリン主義政策のもとで)一定の政策を展開している。それは基本的には重圧を加えながら、外交的には若干のやり取りをして、北朝鮮をコントロールのもとに置こうとしている。これらはすべて、イラク攻撃において、支持または中立、または形式的反対=実質的黙認ということを狙っている動きだ。
 この問題は、さらに詳しく検討されるべきだが、米帝はその帝国主義としての「世界帝国」支配体制の護持のために、今やイラク侵略戦争を大きな目的として立てようとしている。イラク攻撃戦は02年後半から03年前半にかけて開戦が準備されている。これが現実なのだ!
 この米帝のイラク侵略戦争の強行は、10・7アフガニスタン侵略戦争とその永続化、パレスチナ情勢への波及と大爆発、その攻防の永続化に引き続いて、さらに10倍も100倍も世界戦争情勢を激化させる。この推移は予断を許さない。もちろん、日本人民を始め全世界人民、とりわけ全世界のムスリム人民の総決起をつくりだす一大国際攻防となっていく。
 しかし、イラク侵略戦争の推移いかんによっては、米帝の動きはやはり対北朝鮮−対中国へと発展していくことは不可避だ。実際に米帝が北朝鮮に空爆の重圧を加え始めたら、世界とりわけアジア、北東アジアはとてつもない大動乱に突入する。米帝の北朝鮮介入は、今回は明白に北朝鮮の体制転覆をめざす。となると、中国スターリン主義の政治的・地政学的危機は極点に達する。とてつもない大動乱の時代が一気に接近してくる。
 米帝が今日、最大の戦略的打倒目標としているのはスターリン主義中国であり、一切をこれへの準備過程として位置づけている。その中でパレスチナの帝国主義的制圧→イラク侵略戦争→北朝鮮侵略戦争(中国・北朝鮮侵略戦争)の流れがきわめて具体的なものとなって進められている。
 この全過程は、実は一体であり、米帝という基軸帝国主義が自ら戦後の帝国主義世界体制を破壊的に再編しようとする世界戦争過程としてある。日帝は今日、恐慌と大失業の危機にのたうちまわっている。また、帝国主義間争闘戦における軍事力・軍事体制の歴史的制約性にのたうちまわっている。この中で日帝の延命の道はさしあたって、この米帝の世界戦争計画にぴったりと密着して自ら積極的に参戦して戦争のできる国家へと絶望的に飛躍する以外にはないのである。

 周辺事態法と一体化して有事立法を発動

 日帝はすでに現実には周辺事態法的基盤をテコに、テロ対策特措法への飛躍を実現して、「対テロ」「対アルカイダ」ということでアフガニスタン侵略戦争に米軍の補給部隊として大々的に参戦している。これは11月まで延期されたが、いくらでも延長できる。イラク侵略戦争が爆発すれば、日帝はこのテロ対策特措法の既成事実の上で、米軍のイラク侵略戦争に対して、アフガニスタン侵略戦争の延長線の形態で実質的に強力に「支援」し、参戦していく。激しいイラク攻防を踏まえつつ、米帝の動きがアジア−北朝鮮−中国に向いてくれば、一定の状況ではそれは周辺事態法の適用という情勢が出てくる。
 しかし、実はこの周辺事態法の適用条件というのは、今次の武力攻撃事態法案の適用条件とほとんど同じである。武力攻撃事態法案の定義する「事態」は、@武力攻撃が発生した事態、Aその「おそれのある場合」、Bその「予測されるに至った事態」の3種を含んでいて、これは武力攻撃事態として一括されている。
 この点に関して言えば、5・16に発表された「武力攻撃事態」に関する「政府見解」の内容はさらに驚くべきものである。そこでは、狭義の「武力攻撃事態」について「武力攻撃を加えてくる主体としては、国だけでなく、国に準じる者もあり、攻撃の規模の大小、期間の長短や攻撃が行われる地域、攻撃の態様等もさまざまであり、武力攻撃の態様は一概に言えない」としている。これでは、一発のミサイルの発射や着弾どころか、小規模なゲリラ戦的抗議行動などでも「武力攻撃事態」の中に入っているということになってしまうのだ。
 加えて、この「政府見解」では「予測される事態」というのは、国際緊張が高まる中で、ある国が日本への攻撃のために「予備役の招集」「禁足」「非常呼集」を行っていると見られることや、「我が国を攻撃するためとみられる軍事施設の新たな構築を行っていること」などの動きがある場合だ言っている。さらに、「武力攻撃のおそれのある場合」というのは「ある国が我が国に対して武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させている」場合などとしている。
 現実的にこれを適用してみればどうなるであろうか。米帝・米軍が次は北朝 鮮攻撃がテーマだと宣言し、一定の体制を取り始めれば、北朝鮮は当然にも非常事態を宣言し、臨戦体制にたちまち突入するだろう。予備役の招集や部隊の集結や航空機の移動を即座にするだろう。さらに米帝が重圧を強めれば、ミサイルの発射に向けて準備するだろう。在日米軍基地やそれに全面協力している自衛隊基地は真っ先にそのターゲットとなるであろう。一定の段階では、北朝鮮は当然の権利として侵略者・日本の基地を攻撃すると表明するだろう。武力攻撃事態法案をこれらの動きと対比してみれば、たちまち「予測されるに至った事態」や「おそれのある場合」に当たるものとなろう。こうなれば、日帝は米軍の活発な動きと全面的にタイアップして動くから大変な情勢になる。さらに米軍が実際に北朝鮮空爆を開始したら、北朝鮮は(そして基本的には中国も)そのミサイルを日本に向けてセットするし、一定の情勢では発射(威嚇または実害を狙って)するだろう。また、あらゆる形で日本での反米・反日のゲリラ戦を追求し、またアピールするだろう。これは死活をかけた総力戦として当然のことだ。
 この観点からみると、「武力攻撃事態」「おそれのある場合」「予測される事態」についての法案の表現および政府見解の表現は、《米帝が北朝鮮攻撃への動きを具体化し、日帝が日帝の帝国主義的目的のために、これに全面協力=参戦していく》という事態との関係ですべてつかみとられるべきものだ。実際、米帝の大恫喝を受け、米帝の軍事重圧を受けた北朝鮮、そして、それに日帝が米帝と一体となって参戦することが必至という情勢のもとに立たされた上記のような北朝鮮の動きを想定すれば、「政府見解」での説明はすべてぴたりと符合するのだ。
 つまり、事実はこうなのだ。
 (イ)米帝とそれに協力する日帝の北朝鮮(中国)への重圧がどんどん強められる。これがすべての原因だ。
 (ロ)これに北朝鮮が必死の反撃体制をつくろうとする。その方向のひとつは、当然にも侵略者・日帝に向かう。
 (ハ)そうした動きを一定、北朝鮮(中国)が示し始めたら、それは武力攻撃事態(3つの事態の総計)となるというのだ。
 (ニ)そして、日帝はそれを口実として、いよいよ全面的な侵略戦争体制をとるということだ。
 武力攻撃事態法案の規定とそれについての政府見解や中谷防衛庁長官の国会答弁は、規模の大小・形態のいかん(ミサイルか、ゲリラか、サボタージュか)にかかわらず、組織だった日本への武力攻撃であれば、それはすでに武力攻撃事態そのものであると言っている。要するに、これがブッシュの言う「悪の枢軸」規定の実態であり、世界侵略戦争計画の遂行のありのままのプロセスなのだ。
 ここでわれわれが言っていることは、仮定の想定、仮定の上に仮定を重ねたなどというものではない。すべてこの1〜2年あるいは2〜3年のうちにも現実化する可能性がきわめて高い「現実」なのだ。有事立法3法案はまさにこうした日帝の帝国主義的侵略戦争のためのさし迫った必要に迫られた緊迫した大反革命なのだ。「国家と国民をあげての」戦争をいつでも遂行できるために必要な、その合法化のための法案なのだ。
 ここに有事立法3法案の階級的本質がある。当然のことだが、これは米帝の世界戦争計画に日帝が同調していく戦争法案であって、これが国会を通過するということは、たんに北朝鮮・中国・アジアへの侵略戦争体制がつくられるというにとどまらない。この戦争法案はいわば日帝の「世界戦争」計画の目玉をなすもので、この成立はあらゆる形での米軍と自衛隊のアフガニスタン・フィリピン・パレスチナ・イラク・中東・全世界への戦争遂行の水車にがんがん水を注ぎかけるものになるのだ。
 ここで言わずもがなであるが、武力攻撃事態法案が侵略戦争の法案であることをしっかりと確認しておきたい。これまでの叙述からも明らかだが、アジア・北朝鮮(中国)をめぐる情勢は、米帝が北朝鮮に対して一方的に問答無用に「悪の枢軸」国と決めつけ、「その体制が人民抑圧的であるから、体制を転覆する」などということまで強弁して、いきなり軍事重圧を加え、言うことを聞かなければ空爆を開始するといったことを押し通していることが一切の起動要因なのだ。そして、世界最大最強のスーパーパワーとしての米帝・米軍によって踏みつぶされることに北朝鮮が全力で対抗しようとする中で、さまざまな反撃が追求されるのだ。この追求の一場面、一部分をとって、「日本への武力攻撃だ」「そのおそれがある」「予測される」などと言ってただちに自衛隊は米軍と一体化して武力攻撃事態への「対処措置」(武力攻撃事態法案第3条で定義している)という名の戦争行為を発動すると言っているのだ。この全過程をみるとき、これが侵略戦争でなくて何であろうか。この点をはっきりさせる必要があるのだ。

 首相=最高戦争指導者の下に全権力を集中

 さて、有事立法3法案の本質は、こうした侵略戦争の遂行のための戦争発動法案ということだが、武力攻撃事態法第1章第1条〜第8条は、この侵略戦争への参入を内閣総理大臣(内閣)の権限をもって(国会承認は形式的)実際に決定すること、そして、それを国家・国民あげた総力戦として戦うこと、そしてそれを〈国・地方公共団体・指定公共機関・国民〉が一致して自己の責務としなければならないことを規定している。
 第2章第9条〜第20条において、政府権力−内閣総理大臣のもとに全権力を集中して、武力攻撃事態対策本部長=首相=最高戦争指導者のもとで、戦争遂行方針をつくり、地方公共団体や指定公共機関はこれに従わなければならないことを規定している。国会や内閣やあるいは地方自治体や指定公共機関は、戦時的急迫情勢の名のもとに、憲法や法律で保障された権利や権限を停止されてしまう。この意味で、百パーセント完全に戦時の非常事態体制を規定している法案である。緊急時の名のもとに憲法の全部または一部を停止する戦争体制のための法案だ。
 第3章(第21条〜第23条)は、上記の戦争を遂行するための諸方策の実施において、憲法や法律によって与えられている権利や自由を著しく制限し、停止し、解体することになることの確認をしている。国民の生活・権利・職場などを戦争のために勝手に破壊し、制限し、ねじまげることを許す諸方策の項目がほとんど網羅的に列挙されている。これらは2年以内を目標に「法制化」するとうたっている。実際にどんどん法制化するつもりでいる。しかし、場合によっては法案を準備しておいて戦争的危機の中で、世論をナショナリズムであおっておいて一挙に決定することも明らかに考えている。重要なことは、この法制化がまだできていないから、この有事立法は欠陥があるとか、役立たないなどと言うのは超反動分子の戯言(たわごと)であるということだ。ここに項目をあげているものだけでも、緊急時には一挙に実行してくるという面もあるのだ。また、この法案が通過した後では、日本の情勢は激変する。ここにある項目は、すべて第2次世界大戦や50年朝鮮戦争の時のように強引に実行される。このことを危機意識をもって強力に暴露することが必要である。
 第4章(第24条)では、「武力攻撃事態以外の緊急事態」ということをあげて、それに断固対処していくとしている。これはいわゆる「不審船」問題や、国内のゲリラや大ストライキやデモなどに対しても、武力攻撃事態法案の一環として、その基本精神で対処すると宣言しているのだ。つまり、基本的にこうした事態にも武力行使をするということである。また、自衛隊だけではなく、海上保安庁も第2自衛隊として軍事行動していくのである。民主党・鳩山などが、この項目の法制化が確認されていないのは問題だなどというのも超右翼分子どもの許しがたい翼賛発言だ。法制化しても、あるいはしなくても「緊急事態一般」というだけで武力行使をどしどし遂行していくという基本は、このことが武力攻撃事態法の第24条となっていることによってすでに担保されているのだ。

 軍隊が特権的に行動 労働者を国家総動員

 こうした武力攻撃事態法案の階級的本質は、同時に提出されている「安保会議設置法改正案」「自衛隊法改正案」の検討をすれば一層明らかとなる。
 簡単に特質を言えば、「安保会議設置法改正案」は、安保会議の構成を拡大するとともに、常設の「事態対処専門委員会」を設置し、武力攻撃事態への対処基本方針=戦争方針を内閣総理大臣に具申して、総理大臣の決断を補佐する機能を持つということだ。それは内閣総理大臣の戦争大権の確立のための装置である。
 「自衛隊法改正案」は戦時下において自衛隊の戦争準備に必要となることは、憲法や既存の法律にかかわらず特例、例外としてすべて可能とするということである。
 第一に、大きな問題は「第77条の2」という新しい条文が設定され、武力攻撃が「予測される事態」という時点で、すでに展開予定地点に陣地等防御施設を構築することができるとされたことだ。このために、自衛隊が必要とすれば好き勝手に土地を使用し、立ち木を切り、家屋の形状を変更できるなど、事実上、土地収用をしてよいということだ。また、これに抵抗するものには武器を使用してもよいとしている。
 防衛出動時と、防衛出動が「予測される事態」とが多くの場合、同等に扱われる。さまざまな法律において「適用除外」を受けるか、「特例措置」を受けるようになっている。
 第二に、きわめて重要なことは、防衛出動時における物資の保管命令と業務従事命令に関する規定の問題だ。保管すべき物資の種類・数量、保管すべき場所・時間を指定して、それをきちんと保管することを命令できるのだ。必要な軍需物資は国家・軍隊が確保するということだ。これは一般的な法規としてはすでに自衛隊法第103条に規定されているが、今回の改悪によって保管場所に立ち入り、検査することができるのだ(新設の「第103条の13」によって)。すさまじい私有財産の侵害である。
 しかも、それだけではない。第124〜126条が新設され、罰則が科せられるようになった。すなわち、立ち入り検査を拒んだり、妨げたり、虚偽の報告をしたりすれば、20万円以下の罰金が取られる(第124条)。保管すべきものを隠匿・毀棄(きき)・搬出したものは6月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる(第125条)。さらに上記の第124条、第125条の違反については、直接の行為者のみならず、法人そのものも罰金を科せられる。刑の軽重をこえて、これによって保管命令は今や完全に強制力を持つものとなったのだ。
 いろいろ言えるが、今次の自衛隊法改悪案によって、自衛隊は完全に軍隊として特権的に戦闘中心に行動し、国民の生活・権利などはそのために退けられてしまうということだ。戦前・戦中の国家総動員法(1938年制定)のもとで強行されたことが、どんどんできるようになるのだ。要するに、戦争行為の発動に向かって体制を整えてきたということだ。
 ここでおさえておきたいことは、「武力攻撃事態」「そのおそれのある場合」「予測される事態」の区別など、言われているほどないのである。米帝のイラク攻撃が進み、北朝鮮への空爆が現実化した時は、「周辺事態」と連動しつつ、一挙にすぐさま「武力攻撃事態」へと突き進むということだ。その時は、在日米軍の動きと自衛隊の動きは、まさに戦争体制そのものとなる。この時には今回の自衛隊法改悪点は、たちまち実働するということだ。
 このように、今次有事立法3法案は〈北朝鮮・中国侵略戦争法案〉であり、〈侵略戦争突入・国家総動員法案〉なのである。

 憲法破壊の大攻撃に血債かけた総反撃を

 以上のことから、今次有事立法3法案を粉砕する決戦の核心問題は明らかである。第一に、要するにこの有事立法3法案は、きわめて現実的な米帝・米軍の世界・中東・アジアへの戦争計画と完全に一体化した日帝による積極的な参戦法案だということである。これが最大の核心であり、暴露の軸であり、闘争の組織化のポイントである。もちろん、このことは日本の国家体制上の大変更である。戦争放棄を本質とする憲法を真っ向から否定するものである。
 戦後の新憲法とは、第2次世界大戦や明治以来の侵略戦争の歴史、とりわけ膨大なアジア人民を虐殺し、日本人民を戦死させた歴史の教訓から、制定されたものである。それは本来、戦争の原因としての帝国主義の打倒をプロレタリア革命として実現することで果たされるべきであった事柄を、戦後革命が敗北したため、戦争放棄の憲法の制定ということで我慢させられたというものとしてある。
 だから、その憲法を平然と踏みにじることなど労働者階級人民として断じて許せるものではない。ところが、今回の有事立法はこれを真っ向から否定するものだ。歴史の教訓を踏みにじり、憲法を破壊して、有事立法を強行成立させようとしているのは、再び激しい侵略戦争をするためだ。そして、そのために憲法を否定した軍事国家、軍事独裁国家をつくるものなのだ。これに対して日本の労働者人民は、在日・滞日アジア人民を始めとするアジア人民の怒りを受けとめて、日本人民の血債をかけた怒りをもって断固反撃しなければならない。
 第二に、有事立法粉砕決戦を闘う路線を鮮明にさせることである。
 米帝は今や世界を戦争過程にたたき込んで、解体した戦後世界体制を米帝支配体制として再編しようとしている。日帝は米帝のこの帝国主義間争闘戦で国家存亡の危機にたたき込まれ、帝国主義としての延命のためにこの戦争過程に独自の利害をもって参戦しようとしている。世界史全体を世界戦争過程へと推進させる主体のひとつとなろうとしている。しかも、その情勢は帝国主義経済を襲う大恐慌・大不況の重圧、大失業の重圧、そして世界のブロック化の危機の進展として動いている。労働者階級は大失業・大幅賃下げ・無権利化・労働基本権剥奪(はくだつ)の危機にたたき込まれている。この労働者階級に対して侵略戦争への動員の大反革命が襲いかかってきているのだ。この情勢は帝国主義の死の苦悶(くもん)であり、帝国主義のもとでは絶対に解決できない矛盾の爆発だ。このままでは労働者階級にとっては、失業・生活苦・戦争ということしかない。
 この現実を打開するのは、労働者階級の根底的解放、つまり帝国主義の打倒、プロレタリア革命の達成によって新しい真の社会主義・共産主義の実現をかちとっていくしかない。こうした時代には帝国主義打倒の立場で武装した前衛党や革命的労働者が先頭になって反戦闘争に立ち、労働組合の既成指導部の腐敗を打破して、労働組合の階級的再生のための闘いに立ち、労働者の生活と権利の要求を掲げて断固闘うしか道はない。その路線は「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・パレスチナ・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の闘いの路線しかありえない。
 第三に、この有事立法3法案=北朝鮮・中国侵略戦争法案阻止の闘いは、またこの間確認してきたアフガニスタン・パレスチナ・中東人民・世界ムスリム人民との血債をかけた闘いとして断固かちとられなければならない。
 この3法案はけっしてアジア諸国にのみ矛先を向けているのではない。米帝のアフガニスタン・パレスチナ・イラク・イランへの侵略戦争、イスラム諸国への侵略戦争こそその世界戦争計画の重大な環をなしている。ここをぶちぬくことで対中国(対北朝鮮)へと攻め上ろうとしている。そして、日帝の周辺事態法もテロ対策特措法も今次の有事立法3法案も、すべて一体の戦争法だ。その矛先はさしあたってパレスチナ・アフガニスタンに、そしてイラク(イラン)に向けられている。われわれは、ムスリム人民の米帝・日帝への怒りと闘いに全身で連帯して闘わなければならない。われわれは、当面のその連帯の環をなすものとして、有事立法3法案の粉砕闘争を全力をあげて闘うのである。
 最後に、有事立法阻止決戦は、日本階級闘争の帰すうを決める。すでに陸・海
・空・港湾労組20団体呼びかけの5・24明治公園4万人大集会や5・20大阪・扇町公園集会が大高揚し、さらに反戦共同行動委員会の5・26闘争は2100人の結集で戦闘的にかちとられた。有事立法反対署名運動が日ごとに勢いを増している。最大の犠牲を集中的に受ける沖縄人民の怒りが一気に強まっている。しかし闘いはまず国会会期末の6月19日をめぐって、さらには延長国会をめぐって死闘が続く。この闘いに勝利するか否かは、革共同の党的生命にかかわるものだ。
 闘いはこれからだ。革共同のすべての同志はこれまでの成果を踏まえ、その足りないところをのりこえ、不退転の決意で労働者階級人民の先頭で闘いぬこう。この闘いを国鉄決戦の5・27臨大決戦を結節点とする史上最大の攻防戦と結合して、どこまでも闘いぬこう。国鉄決戦もこれ自体「連帯し内乱へ」の闘いの最先端をなすものだ。この間の党的討議の成果をふまえ、反戦闘争と国鉄決戦をがっちりと結合して、闘う労働者・学生・人民の総決起をかちとろう。全党は火の玉となって総決起しよう。
 全同志の総決起により、党の画期的な前進を今こそ切り開こう。
 60年代以来闘ってきた同志! 70年代以来闘ってきた同志! 80年代以来闘ってきた同志! 90年代以来闘ってきた同志! すべての同志はそれぞれの革命家人生、いや全人生そのものをかけ、この歴史の一大転換点において決起しよう。闘いはまだまだこれからだ。6月決戦の大爆発をもって革共同のめざましい姿を全労働者人民の前に突きだそう! さらに7月闘争へ進み出よう。

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週刊『前進』(2057号6面1)

インタビュー D 反対! 有事立法 −私はこう考える−
 “軍隊と共存ありえぬ”が沖縄戦の教訓 宜保幸男さんに聞く
 有事法とメディア規制は表裏一体 課題別の共闘会議を 火をつければ燃える

 大本営発表を毎日聞かされ

――沖縄にとって有事立法が何を意味するのか。沖縄戦や戦後の歴史の教訓をお聞かせください。
 有事立法とメディア規制3法と、これを表裏一体としてとらえないといけないですね。戦前日本は治安維持法と国家総動員法、新聞規制令で戦争に入っていきます。
 新聞に載っていた有事法案を見たらNHKが入っていた。これは驚きです。戦争中の大本営発表と同じです。私の小さいころは、放送局からの大本営発表を朝晩毎日聞かされた。毎日勝ちいくさ、実際は負けているのに。メディア規制法と有事法制は表裏一体です。
 私なんか当時12〜13歳ですからまったく無批判です。僕たちは、天皇陛下と言われると直立不動の姿勢になるんです。天皇のために死ねと教えられ、そういう覚悟でした。
 私は両親の出稼ぎで名古屋で生まれ、46年に沖縄に帰って来るまで名古屋にいました。学徒挺身(ていしん)隊で行ったのは日本陶器株式会社、そこで飛行機のエンジンを磨く砥石(といし)を作った。今の中学1年生だったが、模擬手りゅう弾を持ち、脚半を巻いて通った。
 各工場には配属将校がいた。内藤中尉といったが、この人は空襲警報が出るとすぐに僕たちを家に帰した。僕は不満だった、非常時なんだから空襲警報があっても作業を続けるべきじゃないかと。やはり学校教育とマスコミの大量宣伝。そしてこれの中心が天皇制だったと思います。
 親父の年代の人たちは沖縄でどういうふうに教育されたか。沖縄の宗教は祖先崇拝、自然崇拝です。沖縄ではウタキと言いますが、あちこちに御嶽(おたけ)がある。木の根っこや石を拝んだり。この民俗的な信仰を国家神道に変えていったわけです。

 占領下の沖縄で戦争動員

――沖縄の戦後はどうでしたか?
 朝鮮戦争当時、私の琉球大学在学中の話ですが、ここで米軍の灯火管制を経験した。空襲警報などの演習です。日本でも戦争中よくやりましたが、全部消して真っ暗闇にしておく。空からアメリカ軍が見てあるく。私は琉大の南星寮の寮長をしてましたが、屋上で光をつけたりしました。これ誰がやったか翌日の朝にはアメリカが知っていて、琉大の事務局長に連絡が来ている。学生の中にスパイがいたんです。
 ベトナム戦争で壊れた戦車なんかは、牧港兵站(へいたん)基地で修理した。あそこで死体も全部洗うわけです。その死体は北谷にある米軍の病院で消毒して本国に帰す。これも沖縄人もやるわけです。
 沖縄人は那覇軍港でも働いた。船に荷物を載せるでしょ。それから輸送船でベトナムまで連れられて行った。相当数いたと思います、私が知っている人たちもいます。輸送船です、LSTと言ってました。戦車や物資を積んでいくわけです。占領下とは言え、私たちは本来は外国人です。それを引っ張っていくわけですからね。有事立法ができたらそういう労働をやらされる。
――有事立法反対の闘いはどのように進めるべきでしょうか。
 僕は、沖縄では従来やってきた闘争形態を学べと言いたい。私も長い年月を復帰協でやった。これも祖国復帰という課題で闘った。教公2法をつぶすという課題で闘った。違憲共闘も反戦地主の土地強制使用をやめさせるという課題でやっている。そういう課題別共闘が沖縄の闘い方だ。
 有事法制についても、課題別ということで新しい共闘会議をつくるべきだ。沖縄の理屈ではできるわけです。つくってそこに全部結集する。
 今の基地県内移設に対して県民の69%は反対ということです。本来火をつければ燃えるんです。
 有事というがまったく戦時と同じ、あるいは戦時の直前ね。戦時の直前の沖縄では学校もみんな兵舎でした。民家もみんな兵舎です。片隅にその家の人は住んでいた。
 今回の国会論戦で、沖縄は無事な所に避難すればよかったと国会議員が言った。無事な所はありました、自然壕(ガマ=鍾乳洞)はいっぱいあった。しかしガマに入っていると兵隊が来て追い出したんだ。
 当時5〜6歳だったらわかるんです。どんなにひどかったか、みんな覚えてます。戦争後遺症、あるいは戦争トラウマというか。国会論戦をすればするほど、怒りの火が燃えてきます。
 この前、ペシャワール会の中村医師が沖縄で講演をしたら1500人が集まった。写真にアフガンの子どもたちがしょんぼり立っている。その姿に自分の子どものころを見るわけです。このオジイ、オバアの話を子どもたちが聞いてる。
 一番大事なのは、こういうのを歴史としてきちんと告げることですね。体験としては風化してなくなる。体験を再現しないために、体験をきちんと伝えることが一番の課題ですね。
 戦争中に沖縄人はものを言わなくなっている。牛島中将から命令が出る。沖縄人の方言を使っている者は間諜(スパイ)と見なせと。だから沖縄人は自己抑制型の人間にものすごく変えられていったわけです。
 とにかくそんな沖縄の状況を考えると、今のメディア規制とか有事法制とかは、民衆に必ず害悪をもたらします。これを強調しておきたい。
――闘いの展望についてどうお考えですか。
 私はやはり10年がかりでいいから歯を食いしばって、60年安保闘争を再現するような努力を積み重ねるほかないだろうと。

 本土と沖縄の運動には落差

 60年安保では、沖縄の話は出てないんです。だから米軍基地は沖縄に来た。本土での反対闘争に押され、ごまかすために米軍基地は沖縄に押しつけられた。
 60年にアメリカ大統領アイゼンハワーが沖縄に来たんです。だがアイクは東京に行けないで朝鮮に行った。日本にアイクを上陸させなかったと言ったが沖縄には来てるんです。沖縄では私たちが、銃剣と対峙して阻止した。アイゼンハワーは1号線(今の58号線)に戻れなくて、琉球政府の裏口から逃げ帰った。
 総評がベトナム反戦闘争で10・21国際反戦デーを行いますが、私の記憶では1回目は沖縄のスローガンが入ってません。でも、日教組などが「ベトナム反戦と沖縄返還の二本立てにしなさい」と、2回目か3回目から総評も沖縄返還を言いだした。本土と沖縄の運動の落差です。
 問題を抱えた所が一番深刻、これはもう沖縄であることは間違いない。知らないことが悪いのではなく、知っている人が知らさんといかんわけですよ。
 一番大事なことは有事法制をつぶすこと。これはもう一番大きな課題です。これをつぶす中で「基地移設」もつぶれる。だから沖縄の基地問題とか沖縄戦とか占領体験とか含めて、全部本土に訴えて、本土全体を含めて沖縄のようになっちゃいかん、だから有事法制はつぶせ、メディア法案をつぶせと訴えます。
(口述要約・文責編集局)
●ぎぼゆきおさん
 1939年生まれ。琉球大学卒。高教組委員長。1976年に祖国復帰協議会会長。「沖縄県祖国復帰闘争史」の編さん委員会委員長。違憲共闘会議議長を歴任。現在、高退教会長。

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週刊『前進』(2057号6面2)

インタビュー D 反対! 有事立法 −私はこう考える−
 “軍隊と共存ありえぬ”が沖縄戦の教訓 平良修さんに聞く
 “軍事力信者の国民国家を超えて” 国際的な民衆連帯を 戦争を阻止する責任

――有事法制に対して、沖縄からどのようにとらえられますか。
 なぜ今まで有事法制ができなかったのか、遅すぎたぐらいだと首相はよく言いますが、本音だと思います。その基盤になっている解釈改憲という事態を押し返すことができず、解釈改憲そのものが違憲なのだという強烈な世論をつくってそういう政府をつくりだし得なかった民衆の弱さの結果、ここまで追い詰められているのだと思います。
 「軍事的な備えがなければ憂いがある」ということはそれこそ、どこの国家、どこの政府も言っているところの常識です。そういう意味で日本の国家もそうだし、国連も含めて軍事力信者です。
 私が最近とみに言っているのは、「軍事力信者の国民国家を超えていこう」というアピールなんです。国家だけではない。国民もそういう信仰にあまりにも濃厚に洗脳されていますから。しかし民衆の中には軍事力信仰を超えていく可能性はあります。その可能性をどう膨らませていくかということです。
――特に沖縄戦を体験された人から大きな怒りと危機感が表明されていると思うんですが。

 戦争体験は風化しない

 沖縄の新聞の投書欄を見ると、今の傾向に対して警告を発する投書が結構あります。今の政府の政治の方向性をよしとする投書はほとんど見当たりません。だけども沈黙の形で、今の体制を支持してしまっている。
 知性を持っている人間は、知性の政治をやらなくてはいけない。本能の政治をやっているかぎり、自らを守るためには相手を倒すしかない、ということになる。だからそうではないという自覚を持った者たちの、全世界の声を、魂を、力を結集していく努力をしなければならないですね。
 伊江島の阿波根昌鴻(あはごん・しょうこう)さんのような人が非常に大事だと思います。あの人は、相手を人間として尊重するということに徹底していました。けれども、相手の意見が自分と違う時には絶対に賛成しない。人間として対応するけれども、間違った意見には絶対に従わない。真理にかなっていると思う。
 国際的な民衆連帯の可能性を確信しなければならない。それぞれの国で、それぞれの民衆がしなければならないことがある。私たち日本では、国際連帯の中で有事法制とどう対峙するかということが現実の問題です。
 沖縄の平和祈念資料館の中に「戦争をおこすのはたしかに人間です/しかしそれ以上に/戦争を許さない努力のできるのも/私たち人間ではないでしょうか」という詩があります。私はこの詩の精神に沖縄の人たちが立ち返るということが義務だと思います。立ち返らせるために平和教育もやってきたのですから。
 沖縄戦を体験した人たちの戦争体験は風化したとよく言われますが、戦争体験は風化するようなものではないと思います。ですから沖縄には現状阻止の責任と可能性があります。

 沖縄戦の追体験が私の肥料

 宝珠山という防衛施設庁長官が「基地反対、基地反対とばっかり言わないで、基地と共存共生する方向に変わってほしい」(94年)と言って物議をかもしました。私はあれは大いなる矛盾だと思っているんです。基地というのは共生を否定するものなんです。軍事力で相手をつぶすことによってわが意を通そうとする仕組みなんです、軍隊というものは。沖縄戦の教訓からは、軍事力組織との共存共生ということはあり得ません。
――平良さんご自身の沖縄戦体験はどんなだったんでしょうか。
 私は、1931年生まれですから、まさに15年戦争の間に誕生して成長していった時期なんです。宮古島で生まれ育ち、中学1年の夏、家族と一緒に台湾に疎開しました。直接的には沖縄戦を体験していません。
 宮古島において沖縄戦の前哨戦となる精神的な構築はかなりなされていたんです。小学校から中学校にかけて、徹底的に軍国主義教育を受けました。私はずっと優等生でしたから、軍国主義教育を施す教師の右腕のような立場です。書道以外の科目は全部「優」で、しかも作文は優の上の「秀」でした。私の作文は徹頭徹尾軍国主義的な作文だったのです。
 台湾で敗戦を迎えて、宮古に戻りました。宮古の家は完全になくなっていました。宮古島は艦砲射撃と空襲を受けましたから。中学3年の春、復学したわけですが、かつて軍国主義教育をした教師が、なんで教師として教壇に立つことができるのかという不信感がありました。そういうところから、権力に対する疑い、教育に対する疑い、国家に対する疑念、そんなものを持つようになりました。
 そういう意味では私の今日の人間としての存在には、戦争中のそういうものがすべて肥料になっています。私は直接体験ではないけれども、沖縄戦の大事な追体験をして今日に至っています。

 復帰運動の総括問われる

――復帰30年ということについて。
 私は沖縄のいわゆる祖国復帰運動に対してどれだけ厳密な総括がなされているのか、疑いを感じています。
 そもそも米軍統治から自らを解放するために選んだ選択肢が日本復帰だった。
 私もその時、復帰運動のデモの中に身を置いていた一人です。同時に72年5月15日の復帰式典が那覇市民会館で行われた時に、道一本隔てた与儀公園で、大雨の中、抗議集会が開かれ、その中にも私はいました。矛盾です。だから自分自身の中にも総括しなければならない問題があるんです。
 平和憲法のもとにある新しい日本に期待して、日本への復帰を求めていった。しかし1952年に沖縄の切り離しをした日本というのは、平和憲法のもとにある日本だったんです。私たちのあこがれている平和憲法のもとで沖縄の切り離しをやり得た日本国なんです。それに私たちはどれだけ気がついていたか。
 沖縄の復帰を求める大衆の声を無視できなくなった。抑えていたらかえってマイナスだけが増える。だから沖縄を日本に返し、日米安保条約の枠の中で安定的に基地を使えばいい。これは明らかに日米安保体制の強化のための復帰です。これは疑いのない事実です。私は「沖縄の復帰で日本の戦前が始まった」と思っています。復帰運動をした者として大きな責任を感じます。
 私は星野文昭さん(デッチあげられ無期懲役判決で服役中)の救済の運動をしていますが、彼の場合、今の状況を見越して当時闘ったわけです。的確な判断だったと思います。
 「復帰30年式典」は、日本政府が進めていこうとしている方向に、沖縄を祝い事で絡めとっていこうとすることではないですか。反対とは言わなくても、少なくとも祝えない気分を、沖縄のすべての人がもっていることを日本政府は知るべきです。
●たいらおさむさん
1931年生まれ。日本キリスト教団牧師。元沖縄キリスト短大学長。一坪反戦地主大行世話人。万人(ウマンチュ)の力で星野さんを取り戻す会世話人。

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週刊『前進』(2057号6面3)

衝撃を伝える写真集『イラク 湾岸戦争の子どもたち』 劣化ウラン弾の被害実態

 写真集『イラク 湾岸戦争の子どもたち−劣化ウラン弾は何をもたらしたか』(高文研)が4月に発刊されました。
 著者の森住卓氏は、1998年以来4回にわたってイラクを取材、特にサウジとクウェートとの国境地帯にある非武装地帯には外国人ジャーナリストとして初めて入ることができたとのことです。そこは、劣化ウラン弾によって深刻な放射能汚染を被り、地雷が多数残っている地域でもあり、命がけの取材でした。
 劣化ウラン弾によって「障害」をもって生まれた子どもの写真は見るのも辛いほど衝撃的です。無脳症の赤ん坊についての一文を紹介しておきます。
 「……その頭部の上半分は欠損し、脳のようなものが飛び出している。まるまると太った腕には認識テープが巻かれ、口から泡を吐き、荒い呼吸をしている。肉の塊のように見える眼球は見開かれたままなので、表面が乾いていた。緑色のシーツの上に横たわっているその赤ちゃんは、時どき全身を痙攣(けいれん)させる。それでも必死に生きているのだ」
 栄養失調や白血病やガンで死亡する子どもも激増しています。しかし経済制裁によって薬品は欠乏し、満足な治療も受けられない。医師ですらガンに冒されているという有様です。
 イラク(とクウェート)には300dから800dもの劣化ウラン弾が撃ち込まれました。これは広島の原爆の1万4千倍から3万6千倍もの放射能になり、ほぼ永久的にイラクを汚染し続けます。このままではイラクの人びとは本当に死に絶えてしまいます。
 しかし、イラクの人たちは懸命に生きている。病と闘っている子ども、大人に交じって働く子ども、治療費を稼ぐために必死で働く家族、路上生活をする子ども、破壊された戦車からスクラップを取り出すベドウィン、砂と闘いながら農業を続ける農民……こうした姿もしっかりとフィルムに収められています。この写真集には、湾岸戦争について「フセインが悪い」とか「国益のためなら仕方ない」という間違っているが根強くある認識を根底から打ち砕く力があります。
 この人たちをアメリカは再び爆撃しようとしている。怒りがこみ上げ、米日帝のイラク侵略戦争を絶対に許してはならないと決意を新たにしました。
 「ブッシュ大統領は、北朝鮮やイランとともにイラクを『悪の枢軸』と呼び、またもイラク攻撃をちらつかせている。この写真を、世界中の心ある人たちに見てほしい、と私は願う。この写真を見た上で、それでもなおかつ爆撃を強行するとしたら……私は言うべき言葉を知らない」
 (投稿 如月次郎)

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