ZENSHIN 2002/06/03(No2055 p06)

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週刊『前進』(2055号1面1)

 有事立法の衆院採決絶対阻止 国会を戦争反対で埋め尽くせ

 与党3党声明を徹底粉砕し 本部打倒、闘う国労の旗守れ

 第1章 北朝鮮と中国への侵略戦争が切迫

 5月24日夜、東京・千駄ケ谷の明治公園に陸・海・空・港湾労組20団体などの呼びかけで「STOP!有事法制5・24大集会」が、4万人を超える労働者・学生・市民の大結集でかちとられた。〃有事法制3法案を絶対に廃案に!”と、強い怒りと危機感をもった労働者人民の意志が力強く示された。有事立法決戦は新たな爆発過程に入った。労働者人民の怒りで国会を包囲し、絶対阻止へ闘おう。
 有事立法阻止決戦は、5月最後の週と6月上―中旬過程が一気に重大な階級的激突の時となった。
 小泉は野党の全面屈服と審議協力をなんとか引き出して、早期の衆院通過と6・19会期末までの成立強行のために総力を挙げている。この急迫した反革命攻撃をしっかり見据え、全面対決しなければならない。
 日帝・小泉が一切の危機を朝鮮・中国侵略戦争でのりきろうとしている時、労働者階級人民には有事立法阻止、日帝の朝鮮・中国侵略戦争阻止を階級間激突の最大火点に押し上げて闘うことが求められている。有事立法が具体化したということは、日帝が侵略戦争・帝国主義間戦争によってしか生き延びられないことをあからさまにしたということだ。この日帝の危機を促進し、日帝を打倒するために、革命的情勢に対応した革命党の3大義務の貫徹が今こそ必要なのだ。
 有事立法阻止闘争の大爆発をもって「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ」の路線を今こそ日本階級闘争の大地の中に浸透させるのだ。われわれの血と汗の量が情勢の一切を決定する。巨大な内乱勢力として登場することだ。国論を真っ二つに分ける内戦的激突へ階級闘争を発展させることだ。
 全国でさまざまな決起が生み出されている。一つの決起が全情勢を一変させる激動期型の階級闘争が始まった。こうした無数の決起が、陸・海・空・港湾労組20団体を中心とする5・24明治公園の5万人集会の大成功を支えたのだ。
 5月最後の週は、連日国会を包囲する戦争反対の大津波をつくろう。職場、学園での討論、そして有事立法反対署名運動の力で5月から6月へ、有事立法絶対阻止へ数倍、数十倍の闘いをつくりあげよう。
 朝鮮人民・在日朝鮮人民との連帯、アジア人民、イスラム諸国人民、パレスチナ人民との連帯をかけて有事立法を絶対阻止するために、断固最先頭で闘い、「連帯し、侵略を内乱へ」を掲げた巨大な潮流をつくりだそう。

 排外主義扇動を打ち破ろう

 有事立法3法案が日本の労働者人民に、朝鮮・中国−アジア人民に何をもたらすのかを鮮明に暴露し訴えなければならない。
 有事立法3法案は、朝鮮・中国侵略戦争法案である。米帝ブッシュは、「対テロ戦争」を宣言し、当面はイラク侵略戦争、次に朝鮮侵略戦争を準備している。これは朝鮮人民百万人が虐殺されるという作戦計画がすでにある戦争だ。アフガニスタン侵略戦争をはるかに上回る残虐で大規模な侵略戦争なのである。
 小泉は、インド洋への自衛隊艦隊の派遣を半年間延長した。これはアフガニスタン侵略戦争の継続・激化であると同時に、イラク侵略戦争への参戦を狙った攻撃だ。自衛隊が侵略戦争に深く踏み出しているのだ。
 同時に、北朝鮮への侵略戦争のための具体的行動が展開されている。2月までに日米新安保ガイドラインに基づく、「周辺事態」に対応した「相互協力計画」が締結され、日米共同演習も行われている。
 昨年12月22日の「不審船」と称した小型外国船撃沈はその布石であった。その外国船引き揚げの過程がさらに北朝鮮への侵略戦争の実施過程になっていく。
 さらに昨年10月の海上保安庁法改悪によって、海上保安庁は武器使用の制限を緩和し、人を殺してもいいという立場に転換した。原発所在地の海上では、海上保安庁の巡視船が原発の常時警戒に当たっている。なぜか。米日帝は激しい軍事重圧を北朝鮮スターリン主義に加えている。だから反撃を恐れているのだ。
 日帝は、小型外国船撃沈事件を焦点化し、さらに瀋陽の日本総領事館事件をめぐって中国に対する排外主義を大宣伝している。
 日帝に「難民に対する人道的措置」を言う資格はない。アフガニスタン難民を受け入れることもなく、問答無用で入管収容所に閉じ込め、残虐な状態を強制しているのが日帝・法務省・入管当局だ。「難民排除と強制送還」、これが日帝の難民問題への基本方針だ。
 日帝はただただ「国家主権」を振り回して中国を非難し、国家主義を大扇動し、愛国主義と帝国主義的民族排外主義をあおる。何のためか。中国への侵略戦争を構えているからだ。
 こうした国家主義と排外主義むきだしの政治はすべて米日帝の朝鮮・中国侵略戦争の布石なのだ。

 第2章 「予測」や「おそれ」で先制攻撃に突入

 有事立法3法案は、朝鮮侵略戦争の「作戦計画5027」に対応し、かつ9・11反米ゲリラ戦−国際的内乱情勢に対応してつくられている。
 米帝は、自分にとって最も有利な時と場所を選んで朝鮮侵略戦争を強行する戦略をとっているのだ。
 武力攻撃事態法案には、日帝・自衛隊が新ガイドライン−相互協力計画と共同作戦計画(日本有事)に基づいて米軍と一体となって、いつでも侵略戦争を開始できるように、武力攻撃事態の定義に「おそれのある場合」と「予測される事態」をつけ加えた。
 政府答弁では「予測される事態」の事例として、「予備役の招集や軍の要員の禁足、非常呼集、新たな軍事施設の構築」をあげている。
 このような事例は、まったく恣意(しい)的でいい加減なものなのだ。有事3法案作成者の久間元防衛庁長官は「予測される事態」について、「相手に(武力攻撃の)その気がなくても、こっちがあると思えば『予測』になる」(5・21東京新聞)などと平然と言っているのだ。米帝が北朝鮮への軍事侵略を具体的に準備し始めるや、北朝鮮が反撃を準備しようとしまいと関係なく、日帝は「北朝鮮からの武力攻撃が予測される」と勝手に決めつけ、その「発生を回避」するための軍事行動ができるというのだ。こんなデタラメがどうして許されようか。
 こうして「予測される事態」を認定して武力攻撃事態を宣言すると、自衛隊には防衛出動待機命令、予備自衛官と即応予備自衛官には防衛招集命令が出る。さらに自衛隊は原発や米軍基地や自衛隊基地、空港や港湾、運輸拠点、政経中枢などに展開地域を定めて防御陣地の構築を始める。農地や漁場や漁港、国立公園や国定公園、森林、河川などあらゆる所が強制使用の対象になる。土地の立ち入り検査を拒否すれば逮捕され、罰金をとられる。
 展開地域で、自衛隊は武器の使用ができる。土地の強制使用に抵抗した場合、自衛隊が銃を発砲することさえもできるのだ。
 米軍と自衛隊の戦争態勢がそこまで進めば当然、北朝鮮は必死の防衛戦争の準備に入る。それを見て米日帝は「武力攻撃のおそれ」を勝手に確認し、自衛隊に防衛出動が発令され、自衛隊は武力行使に踏み切る。
 この時点で、北朝鮮の側からゲリラ攻撃が行われる可能性もあり、海上からロケット弾を発射することもあり、ミサイル攻撃の準備に入ることも当然ありうる。福田は、相手のミサイル発射準備の段階で先制攻撃できると公言しているのだ。
 完全武装した自衛隊が米軍と一緒になって武力行使する事態が周辺事態まで広がる。それを自衛権の発動と称してやろうとしている。それは「武力攻撃を排除」「武力攻撃事態を終結させる」ために「武力を行使」するものだ。単に一時的、一回だけ武力を行使するというのではない。「排除」とはどこまでも追撃しせん滅し尽くすことであり、朝鮮半島に侵略上陸することである。
 しかも「事態の終結」とはゲリラの根を断つことであり、北朝鮮の政権の暴力的転覆以外の何ものでもない。まさにそれは、米軍50万人、自衛隊25万人を全面投入し、かつ日本の権力中枢と地方自治体と官民すべてをあげた国家総力戦なしにはできないことだ。そこに「作戦計画5027」の戦争目的があることが明記されている。
 こうして「自衛権発動」の名で正真正銘の侵略戦争が遂行されるのだ。それは戦前の侵略戦争の歴史とまったく同じだ。戦前の日帝はそのようにして侵略戦争を開始し拡大していった。
 有事立法下では、地方公共団体は戦争協力を強制される。空港や港湾の米軍・自衛隊への提供や支援。防御陣地構築のための土地の使用、立ち木の伐採、物資の保管命令、運輸・土木・建設・医療労働者への従事命令が都道府県知事や、緊急の場合は自衛隊現地司令官の公用令書で実施される。
 空港や港湾の提供を都道府県知事が拒否すれば、首相は代執行ができる。
 陣地構築をスムーズに行うために展開地域における避難命令が出され、自衛隊が住民を追い出して田や畑をじゅうりんし、家屋を破壊して陣地をつくるというめちゃくちゃなことが「合法」とされるのだ。
 さらに民間防衛組織=隣組をつくろうとしている。協力しない住民は「非国民」「テロリスト」呼ばわりし排除する。このようにして労働者人民をがんじがらめにしながら戦争への国家総動員を行おうとしているのだ。
 さらに重大なとんでもない発言が行われた。
 5月9日、中谷防衛庁長官が、戦闘地域では、自衛隊は武力行使を定めた自衛隊法88条だけに縛られると説明した。憲法には縛られないということだ。
 言葉を変えれば自衛隊を非常事態法的軍隊として新たによみがえらせるということである。これは大日本帝国軍隊を復活させ、自衛隊を帝国主義の侵略戦争と内乱鎮圧の軍隊に変ぼうさせるものであって、憲法および戦後法体系を完全に否定する内容であり断じて認められないものだ。
 憲法、特に第9条は、第2次世界大戦の反省をバネとする戦後日本革命の爆発と敗北の副産物として、戦争を放棄し自衛権も天皇大権も否定するものとして成立したのである。
 ところが武力攻撃事態法案による自衛権の発動は憲法の丸ごとの否定であり、完全な改憲であり、憲法に対する死刑判決なのだ。

 第3章 小泉打倒、「連帯し内乱へ」を貫こう

 有事立法3法案の激突で、日本の労働者階級人民の進むべき道がはっきりと問われている。再び朝鮮・中国人民の虐殺戦争を繰り返すのか。きわめて切迫した選択が突きつけられているのだ。そんなことは絶対に繰り返してはならない!朝鮮・中国侵略戦争絶対阻止、朝鮮・中国人民との国際主義的連帯を高く掲げて、有事立法阻止を闘おう。小泉政権と日帝を打倒し、アジア人民、イスラム諸国人民と連帯し、国際帝国主義を打倒しよう。「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いを貫こう。世界革命を実現し、万国の労働者、被抑圧民族人民が団結して社会主義、共産主義の社会を築いていく闘いを前進させよう。

 日共・革同の裏切り粉砕を

 5・27国労臨大をめぐる最大の正念場の国鉄決戦は、有事立法阻止決戦と完全に一体の闘いである。日帝権力は有事立法攻撃そのものとして4・26与党3党声明を国労に突きつけ、国労解体と労働者の戦争動員を狙ってきた。3党声明は絶対粉砕あるのみだ。日共・革同とチャレンジはこれに全面降伏し、裁判を取り下げ、闘う闘争団を統制処分し、国労を自ら解散する道に突き進んでいる。
 この日共・革同とチャレンジら裏切り者をたたき出し、現執行部を打倒し、与党3党声明を徹底粉砕して、闘う国労の旗をどんなことがあっても守り抜かなければならない。
 国鉄決戦は、日帝の有事立法・改憲、朝鮮・中国侵略戦争への突入攻撃と対決し、「連帯し、侵略を内乱へ」を貫く闘いそのものである。すべての労働者階級の死活のかかった基軸的闘いとして、どこまでも不屈に徹底的に、国鉄決戦勝利に向けて闘いぬこう。動労千葉と連帯し、1047人闘争に勝利しよう。
 有事立法粉砕の最前線の戦略的闘いとして沖縄闘争、三里塚闘争(6カ月決戦)を全力で強化しよう。
 長期獄中同志奪還の10万人署名運動と保釈奪還1億円基金運動を、「司法改革」粉砕の闘いと一体のものとして展開しよう。
 有事立法粉砕決戦の巨万の爆発は、党建設の決定的な基礎である。『前進』への前代未聞の言論弾圧を打ち破り、5−6月決戦のただ中で機関紙拡大、党勢倍増、夏期一時金カンパ闘争の闘いをどん欲に大胆に推進していこう。

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週刊『前進』(2055号1面2)

 『前進』弾圧を許さぬ

 革共同が記者会見 報道規制は戦争への道

 革共同は5月23日、前進社本社に新聞、テレビなどのマスコミ13社を招き、記者会見を開いた。日帝権力によるこの間の『前進』への前代未聞の言論弾圧を徹底弾劾し、それを許さず闘うことを宣言するとともに、事態の重大性について警鐘を打ち鳴らした。
 会見は、革共同の代表から「声明」(3面掲載)が発表され、それを軸に活発な質疑応答が交わされた。
 今回の攻撃は、機関紙『前進』紙上での革命軍の三里塚ゲリラ戦報道、つまり革命軍の軍報(速報と軍報)の転載について、警察庁と千葉県警が編集・発行人である城戸通隆同志への出頭攻撃をかけるという、かつてない言論弾圧であり、有事立法策動下のメディア規制攻撃の先取りそのものである。
 このことを、革共同の代表は、各社からの質問に答えて、破防法との対決の長い過程の経験や、階級闘争における『前進』の役割を紹介しつつ、詳しく訴えた。また革共同の新規約を紹介しながら、破防法など権力の弾圧と闘う革命党を防衛することの必須性、『前進』での革命軍のゲリラ戦の報道の意義について、ビンラディン氏らアルカイダとカタールの報道機関であるアルジャジーラ社との関係の例を挙げるなどして、説明した。
 また、革共同の同志たちへの超長期の勾留攻撃について、それがいかに凶暴な攻撃であるかを強く訴え弾劾した。

 不当捜索弾劾

 この日朝、千葉県警と警視庁は共同で、前進社に対する不当な家宅捜索を強行した。4・22ゲリラ戦闘で千葉県警が、また5月18日にA同志を「免状不実記載」デッチあげで逮捕した件で警視庁が、それぞれ同時に強行した。記者会見ではこれを同時に弾劾した。
 革共同の代表は、「今回の攻撃を有事立法による戦時下での治安弾圧攻撃を先取りしたメディア規制、言論弾圧として敏感にとらえ、徹底的に重視し、反撃し、必ずや有事立法ともども粉砕する」と宣言した。

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週刊『前進』(2055号2面1)

 与党3党声明粉砕せよ

 現本部執行部を打ち倒し 闘う国労の旗守りぬこう

 第2の「7・1」実現し国労再生へ

 5月27日は国労の存亡をめぐる激突の日となった。決戦の先送りはあり得ない。この日の攻防は、日本労働運動の生死を分かつものとなる。国労の最終的解体を狙う与党3党声明を、国労組合員の渾身(こんしん)の決起で粉砕し尽くさなければならない。国労本部は、またも国家権力・機動隊を導入し、あくまでも与党3党声明を丸のみするための臨時大会を強行し、JR採用差別訴訟の取り下げと闘争団の切り捨てを決定して、国労を自らの手で壊滅に追いやろうと策している。この暴挙を絶対に粉砕しなければならない。チャレンジと反動革同によるこの最大級の裏切りを、死力を尽くして阻止しよう。社会文化会館前に大結集し、第2の「7・1」を実現して裏切り執行部を打倒し、闘う新たな方針と執行部を打ち立てよう。それこそが与党声明に対してたたきつけるべき唯一の回答だ。

 暴力的な労組破壊に怒りを込めて反撃を

 与党3党声明は、国労に全面無条件降伏を迫る、日帝権力の最後通牒(つうちょう)だ。4党合意とそれを受け入れた国労本部の方針が破産したというレベルの問題では断じてない。日帝権力は、4党合意に代わる新たな国労解体攻撃として、与党声明を振り下ろしてきたのである。
 これは、有事立法攻撃下で、闘う労働者・労働組合の存在は一切認めないという、暴力的な労組破壊攻撃そのものだ。今こそ、腹の底からの怒りに燃えて、与党声明粉砕の闘いに立つことを、すべての国労組合員に訴えたい。
 一昨年5月の4党合意以来、国労は激しい分岐と激突の中にたたき込まれてきた。反動革同やチャレンジの見境のない裏切りが進行する一方、闘争団を先頭とする国労組合員は、4党合意によってずたずたに引き裂かれた闘う団結を取り戻すために、あらゆる辛苦を一身に引き受けて奮闘を重ねてきた。鉄建公団訴訟を始めとした不屈の闘いに立ち上がってきた。それは、賃下げ・首切り攻撃が吹き荒れた今春闘において全力のストライキ決起を貫いた動労千葉の闘いとも手を携えて、国労の階級的再生をかちとり、JR総連を打倒して国鉄労働運動全体を復興させるための、血路をこじ開けつつあったのだ。
 こうした闘いの前進が、与党3党の声明という、国家暴力をむき出しにした巨大な反動を引き出したのである。国鉄決戦は、この大反動と激突し、煮えたぎる怒りの中でこれを粉砕すべき新たな段階に突入した。
 与党声明は、国労が昨年1月の大会で4党合意を受諾したにもかかわらず、訴訟を継続していること、4党合意に反対する組合員の活動が不屈に展開されていることを「2つの矛盾」としてあげつらい、「国労執行部が2つの矛盾を早急に解消して4党合意の前提条件を成就する目に見えた結果を出し、これが関係者に評価されることが必要」「この対応が5月30日までに国労執行部においてなされない場合は、与党としては、4党合意から離脱せざるを得ない」と言い放っている。
 国労組合員の首を切った張本人の自民党らが、「裁判をやめろ」「闘争団を処分せよ」と国労に迫っているのである。権力による労働組合へのこれほどあからさまな支配介入、屈辱の強制はほかにない。分割・民営化以来の国家的不当労働行為が行き着いた、凶悪きわまる攻撃だ。
 権力は、゛闘争団の闘いを全面的に鎮圧せよ″と国労本部を恫喝しているだけではなく、国労本部にそうした大反動を押し貫く力がないならば、権力と資本が直接のり出して、自らの力で国労を暴力的に解体すると宣言したのだ。与党声明の核心にあるのは、闘争団を先頭とする国労組合員の不屈の闘いを、この際一気に押しつぶすという敵階級の意志である。
 この攻撃の激しさをしっかりと見据え、与党声明粉砕へ怒りの総決起をかちとろう。4党合意との攻防の中で闘争団と国労組合員が必死になってつくり上げてきた闘いの拠点は、ここでの激烈な攻防を貫くことによって初めて、守り抜くことができるのだ。
 他方、国労本部は、与党声明に屈服し、国鉄闘争を全面清算して全組合員を敵に売り飛ばすことを最終的に決断した。彼らは、この臨大でJR採用差別訴訟の取り下げを決め、鉄建公団訴訟の原告となった闘争団員、最高裁への訴訟参加を申し立てた闘争団員の組合員権停止−除名処分を強行することさえたくらんでいる。これは、国労分裂の引き金を引く大暴挙である。
 そして、権力・機動隊を3たび大会に導入し、反対の声を封殺して、有無を言わさず闘争団を切り捨てようとしているのだ。権力は、有事立法国会の警備と一体となった超戒厳体制下で、大会の運営まで暴力的に管理し、わずか3時間で終わらせ、国労を一直線に解散に追い込もうとたくらんでいる。これこそ与党声明の真の正体なのだ。
 東京地本・酒田一派は、これに呼応して積極的に警備動員を引き受けた。東日本本部書記長の佐藤勝雄は、大会準備地本でもない盛岡などからチャレンジ一派を大動員して、反対派の圧殺を狙っている。
 こんな形で、国労の誇りある歴史を終わりにさせてなるものか! 反動革同、チャレンジ、酒田一派らのもとにいる心ある組合員は、今こそ彼らとたもとを分かち、闘う国労の旗のもとに総決起しよう。
 @与党3党声明を徹底的に粉砕せよ、A闘争団への生活援助金打ち切り・除名処分粉砕、B裏切り者をたたき出せ、闘う国労の旗を守れ、C動労千葉と連帯し、1047人闘争勝利を! の闘争スローガンのもと、勝利しよう。

 反動革同=日共、チャレンジをたたき出せ

 国労本部は、与党声明は「解決の最後の機会」として、全組合員に権力・資本に投降せよと迫っている。本部書記長の寺内は、「鉄建公団訴訟が起き、これを契機にして解決が困難となった。あわせて千葉地労委で甘利証人を認める動きもあった。……事態の打開をはかるため、与党対策を進めてきた。その結果、求めた動きとは違って感情が入ったものだったが、3党からの声明が出された」(5・14全国代表者会議)などと言い放ち、「事態を打開するもの」として与党声明を賛美している。国労本部は、闘争団と組合員の闘いを圧殺するという点で権力と完全に立場を同じくし、与党声明に奴隷のようにはいつくばっているのである。

 6項目の念書で権力に屈従

 こうした裏切りをスターリン主義としての反革命的突出力で推進しているのが反動革同=日共だ。彼らは、「裁判の取り下げは解決時」としてきたこれまでの表向きの立場を投げ捨て、裁判取り下げと闘争団切り捨てを臨大で決めることに完全な承認を与えた。
 彼らが主体となって、@5月中に臨大を開催する、A「JRに法的責任なし」を再確認する、B鉄建公団訴訟の取り下ろしを求め、応じない者について査問委員会にかける、C4党合意による解決後に争議継続はない、DILOへ追加情報を提出する、E臨大後、すみやかに解決交渉を行なう、とした「6項目」と言われる念書が作成され、与党に提出されたとされている。彼らは、これを「解決の担保」と言い張り、臨大開催を先頭で推進した。
 だが、国労が与党に念書を差し出すことが、どうして「解決の担保」になるのか。「担保」とは、相手から差し出させるものではないのか。そもそも、大会前に「闘争団を査問にかける」と権力に誓約するとはどういうことか!
 最悪の裏切り者=チャレンジと反動革同=日共を丸裸で国労からたたき出せ。
 決戦に向けての前哨戦は始まっている。21日、JR本体の組合員209人が、闘争団を代表する10人とともに、闘争団への生活援助金の支給凍結の撤回を求めて仮処分を提訴した。
 国労内の分岐と激突は、これまで以上に激烈に進行する。だが、それにひるんではならない。この中にこそ、勝機がある。誇りある国労の魂を呼び覚まし、国労の階級的再生をかけて闘い抜こう。

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週刊『前進』(2055号2面2)

 動労千葉 団結の力ここにあり

 ストはいかに実現されたか (1)

 3カ月間決戦突入を決断 組織破壊に反撃を開始

 動労千葉は3月28〜31日、4日間にわたる春闘ストライキを打ち抜き、3・30春闘総行動の最先頭で闘った。その団結力をいかんなく発揮した闘いは、労働者が社会を変革する力を持っていることを示した。この闘いがどのようにして実現されたのか。ストの勝利的地平の上で新たな闘いに突入している動労千葉の本部執行部と拠点支部の労働者に話を聞きながら、その激闘を振り返ってみた。(本紙・大沢 康)

 本部役員を配転

 攻防の発端は、昨年末に本部の繁沢敬一副委員長と長田敏之組織部長が強制配転されたことだった。
 2人が所属していた幕張電車区は、車両の検査・修繕(検修)と構内での入れ換えや出入区を行う職場だ。業務の外注化攻撃の対象であり、動労千葉が過半数を占める拠点だ。その幕張支部の弱体化を狙った組織破壊攻撃だった。
 2人を含む6人(動労千葉5人、国労1人)が、12月1日に仕業検査の業務からはずされた。3日に1回の検査周期を6日に1回に延伸して要員を削減したのだ。そして12月25日、2人は京葉電車区と習志野電車区に強制配転された。
 業務の外注化は、一昨年の11月に出されたJR東日本グループの中期経営計画「ニューフロンティア21」の中心的攻撃だ。そのうち設備部門の外注化はすでに強行され、国労組合員を中心とする大量出向が始まり、続いて検修・構内部門が焦点となっていた。「シニア制度」とセットになったこの攻撃を、動労千葉は「第2の分割・民営化」と位置付けて全面的に対決する方針を立てていた。その緒戦の攻防だったのだ。
 2人の異動に関する団体交渉で、千葉支社が示した人選の基準はまったくデタラメであり、支社は挙げ句に「本部役員はどこに行っても活動できる。支部役員ではないから不当労働行為ではない」などと回答し、組織破壊を意図したことを露骨にした。
 当事者の繁沢副委員長は「京葉電車区は、東労組の『聖域』にして若い者を養成するという労務政策だったので、そこに配転されるとは思わなかった。だから当局の対応が完全に変わったと感じた」と言う。
 田中康宏委員長は、「分割・民営化以降、本部の役員や支部長が配転されることはしょっちゅうだった。しかし、第2の分割・民営化攻撃の焦点である幕張支部の中心メンバーが配転されたことは、これまでとはレベルの違う攻撃だととらえた。配転攻撃が予想された時点で先制的に闘いを配置できなかった反省も含め、執行部で激論を交わし、ここが勝負だと構えきることを決断した」と振り返る。

 新執行部の決断

 この決断の背景には、昨年の9・11反米ゲリラ戦―米帝の10・7アフガニスタン侵略戦争突入という情勢の激変があり、02春闘を前にして、連合が賃上げの統一要求を放棄するという事態があった。この情勢にどう対抗するかが問われた。11・11全国労働者集会を呼びかけた全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3組合が02春闘総行動を呼びかけると決めたのも、この時期だった。
 「動労千葉の現場の攻防と、全体的な情勢と対決する総行動が結合したことで、本当にいい闘争になった」と田中委員長は語る。
 田中委員長は、昨年10月の定期大会で委員長に就任したばかりだ。新体制で初めての闘争を指導する責任は重い。「われわれは、こうした攻撃に対して一歩も引くつもりはなかったけれど、今度の闘争は、突入したら、それこそもう引くに引けないところに自分を立たせることになる。自分が委員長になったこともあり、緊張感はあった」
 現職で運転士をしながら非専従の書記長に就任した中村栄一書記長は、「やっぱり中野前委員長の存在は大きかったし、同じように闘って団結を守れるかが問われた。新執行部になって、ここでなめられたら、敵の攻撃をエスカレートさせるだけだと思った」と振り返る。
 年明け早々、執行部は「02春闘3カ月間決戦」を決断し、1月10日に「最も効果的と判断する時期、規模においてストライキを含む争議行為を実施する」と千葉支社に通知した。

 いざ闘争に突入

 2月13日に動労千葉は「02春闘勝利! 闘争突入総決起集会」を開催した。初めて基調報告を行った中村書記長は「うちの組合員は集会ではざわざわしているけど、聞くべきところは聞いているから、すごく緊張しますね」と言うが、「闘って団結を固めるのが動労千葉だ」と訴え、全体の意志統一をかちとった。
 この時、検修・構内外注化が支社から提案されていないのは水戸と千葉だけになっていた。「新保全体系」合理化の提案も迫っていた。動労千葉は幕張を始めとする各電車区で、2月20日から時間外・休日労働を拒否する「非協力闘争」に突入した。
 (つづく)

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週刊『前進』(2055号2面3)

 全金本山 解雇撤回、全員就労を

 5・12〜13 決意固く全国闘争

 5月12、13日、全金本山全国闘争が闘われた。
 12日の全国総決起集会には60人が結集。長谷武志委員長が「5月は暴力ガードマン導入との闘いだが、夏季物販突入の総決起集会でもある。『本山労組への攻撃は、あなたのところにかけられている資本の攻撃と一体。だから本山は負けられない』と全国を回ってオルグしてきた。02春闘と有事立法は、労働運動をつぶし、戦前のような国家体制を復活させようという攻撃だ。労働組合はどうするかが問われている。きわめて重要な物販闘争となっている」と訴えた。
 青柳充書記長が仙台地裁での和解作業中断以降の団交などの闘いを総括し、「組合としては解雇撤回、全員の就労しか選択の余地はない。仙台地裁に出された会社側の主張は『全金本山労組は争議至上主義、会社倒産運動だ』というものだ。『別棟就労』については、1973年に就労説明会を開催することができなかったから、『業務命令はなかった。強制したことはない。組合が勝手に入ってきていない。だから企業側に責任はない』と言っている。こんな言い分が通用するはずはない」と断罪し、現経営陣と、大株主である本山一族の責任を厳しく追及し、完全勝利をかちとる方針を鮮明に提起した。さらに、本山労組が呼びかけた3月10日の東北労働者集会に多くの参加と賛同が寄せられたことをステップに、地域での共闘を強め、闘う労働運動の再生をかちとることを呼びかけた。
 決意表明では、都職労の労働者が、「自己目標」「チャレンジ目標」など、労働者を分断し労組を弱体化しようとする攻撃に「職場の中に闘いをつくる。職場を砦(とりで)にして闘う」と反撃していることを報告し、また国鉄闘争勝利への決意を表明した。
 東京本支連は、「本山闘争の勝利は個別の勝利ではない。『一人の首切りも許さない』闘いの勝利は、国鉄1047人闘争の勝利に通ずる。現場闘争、物販闘争を強化する」と、完全勝利をともに闘いとる決意を明らかにした。
 県内の労働者が3・10集会の組織化の報告と物販への取り組みの決意を述べた。特別報告として、鳥井電器争議で不当逮捕された3人のデッチあげ起訴を粉砕し、奪還したことを、救援を担った労働者が生き生きと報告した。
 集会の最後は当該組合員の決意表明。庄子和副委員長は「今年61歳になるが、あくまで就労を求めて闘い抜く。2名の解雇撤回と全員の就労はイコールであり、人生をかけた闘いだ。有事立法が登場した今日、あらゆる差別・弾圧に抗して闘う」と、「労働運動に定年なし」の言葉どおりの烈々たる決意を語った。
 13日は早朝より大衡村本社工場での就労要求集会と門前デモを闘い、昼休みには、みずほ銀行仙台支店、仙台中央支店を包囲しての追及行動を貫徹した。
 本山闘争もいよいよ大詰めだ。02年決戦で2人の解雇撤回・全員の原職奪還の完全勝利をかちとろう。夏季物販・カンパ闘争を成功させよう。

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週刊『前進』(2055号2面4)

 北富士 有事立法粉砕の宣言

 演習場内で集会を開く

 北富士忍草母の会と忍草国有入会地守る会は5月19日、北富士演習場で集会を開き、有事立法粉砕宣言を発した。演習場のど真ん中に「霊峰富士を有事法制実行の拠点にするな」「入会権者を犯罪人とし、政府を愛国者とする有事法制反対」の大のぼりが翻る。
 正午過ぎに開始された集会には50人の労働者・学生・市民が結集した。母の会の天野美恵事務局長が、「入会地奪還、有事立法反対の集会を開く」と宣言し、「有事立法が成立したら北富士は大変なことになってしまう。だから私たちは有事立法と闘わなければならないと思ってきた」とこの日の闘いの意義を訴え、入会地無断使用を許さず入会小屋への座り込みを闘い抜く決意を表明した。
 婦人民主クラブ全国協代表の西村綾子相模原市議、部落解放同盟全国連合会の代表、都留文科大学生協労組の代表も有事法制阻止に決起する決意を語った。全学連の大山尚行委員長は、有事立法が米日帝の朝鮮侵略戦争突入のためであることを弾劾し、「二度と侵略戦争を繰り返さないという誓いを貫くことが問われている」と訴えた。
 集会の最後に国有入会地守る会の天野重知会長が、「沖縄にいる小泉首相にこの北富士のど真ん中から天野が訴える」と激しい気迫を込めて宣言し、「有事立法フンサイ宣言」を全学連反戦北富士現闘が読み上げた。宣言は、「小泉総理大臣に対し、入会権者として『有事立法』の撤回を求める」「小泉総理、忍草入会集団を甘く見るな」と激しい決意をたたきつけた。
 集会後、参加者は演習場の奥深く着弾地域の高台まで上がり、徹甲弾ドームや移動標的などを眼下に、天野美恵事務局長から母の会が着弾地に突入し座り込んだゲリラの説明を受けた。その後、演習場入り口の入会小屋に場所を移し、母の会の心づくしの山菜の天ぷらと忍野名産のそばに舌鼓を打った。

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週刊『前進』(2055号2面5)

 資本攻勢&労働日誌 2002

 5月3日〜17日

 連合が有事立法に見解を表明

 平均消費支出2.1%減/独金属労組が10日間のスト

●3日 米労働省発表の雇用統計によると、4月の失業率は前月から0.3ポイント上昇して6.0%になった。
●6日 ヤマト運輸は5月から労働者の居住地や勤務地で格差をつける新賃金制度を導入する。従来に比べ6.8%の賃下げ。(日経)
●7日 横河電機は雇用延長のモデルケースといわれた子会社、横河エルダーを清算した。(日経)
●8日 総務省による01年度の全世帯の家計調査では、1世帯あたり月平均消費支出は30万6384円と実質で前年度比2.1%減少。前年度の水準を下回るのは6年連続。(01年度の特徴
●9日 私鉄総連は臨時大会で、有事法制反対の意向を明らかに。17日の中央委で「有事関連三法案に反対するアピール」を決定し、「『戦争法』としての危険な性格を見逃すことなく、平和憲法を擁護するたたかいを強めていこう。そのため先頭にたってたたかう」と表明。また、有事の際、交通労働者が軍事輸送や兵員輸送を強いられ、従わなければ刑事罰が科せられることなども指摘。
◇連合は第5回賃金等改定集計を発表。平均賃金方式では5374円(1.73%)となり、昨年対比で606円の減少となった。
●10日 連合は瀋陽総領事館事件について、事務局長名で「総領事館員が中国の『主権侵害』に毅然たる態度をとらなかった」と排外主義的談話を発表した。
◇日経新聞がまとめた02年春闘の賃上げ調査最終集計によると、平均賃上げ率は過去最低の1.64%、賃上げ額は4957円と初めて5000円を割った。
◇今春の高校新卒者の3月末現在の就職内定率は前年同期を3.1ポイント下回る89.7%で、過去最低の厳しい就職環境であることが厚労省のとりまとめでわかった。
●15日 ドイツのIGメタルの賃上げ交渉は今年4%、来年3.1%で決着した。10日間のべ10万人以上が参加したストが大きな力に。
◇日本エアシステムのパイロットらからなる乗員組合は、15日から国際線に限り全便でストライキに入ると通告した。
●16日 連合は中央執行委員会で有事法制関係3法案に対する見解を確認した。(要旨別掲
◇シャープが労働者に「サービス残業」をさせていたとして、労基署から是正勧告を受けていたことが分かった。フレックスタイム制を悪用したもの。
●17日 経済産業省が発表した「2001年海外事業活動基本調査」によると、00年度の製造業の海外生産比率は過去最高の13.4%となった。業種別では輸送機械31.1%、電気機械が21.9%と高い。
◇三菱電機が伊丹、尼崎市内にある事業所などの労働者に「サービス残業」をさせていたとして労基署から是正勧告を受けていたことが明らかに。シャープと同様フレックスタイム制を悪用していた。

 有事関連3法案に対する連合の見解(要旨) 見解全文
 日本が武力による侵略を受けないという保証はなく、また大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロあるいは大規模災害など、現行の対応システムによっては対処しえない緊急事態が発生した場合には、……緊急事態を速やかに排除し、国民の生命および財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は必要。
 緊急事態におけるルールが明確になっていなければ超法規的措置によって対処せざるを得なくなり……法治国家としてふさわしくない。 
 この法案では、あらゆる緊急事態に対処して国の独立と主権を守り、国民の存立を保全するという理念が見えず全体的な法体系が示されていない。
 その点から本法案は不完全なもの。

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週刊『前進』(2055号3面1)

 “第2の沖縄戦許さぬ”

 復帰30年式典粉砕に立つ 有事立法阻止決戦へ弾み

 復帰30年、基地押しつけと有事立法のための政府・沖縄県共催の「沖縄復帰30周年記念式典」に対する闘いは、5月16〜18日の平和行進、18日の県民大会、18日の平和市民連絡会の県庁前座り込みと夜のデモ、19日の平和市民連絡会の式典弾劾のデモなどさまざまに闘いぬかれた。反戦共同行動委と沖縄労組交流センターは、これらの闘いと連帯し、ともに闘うとともに、独自の集会・デモを打ちぬいた。

 平和行進迎え県民大会8千

 18日午後、宜野湾市の海浜公園野外劇場で、平和運動センター主催の「5・15復帰30年/平和とくらしを守る県民大会」が開かれ、全国からの平和行進参加者など約8000人が集まり、会場を埋め尽くした。30度を超す真夏日の炎天下、有事立法許すまじの声がとどろいた。
 平和行進は、名護市辺野古からキャンプ・ハンセンなどを回る東コース、名護市役所から嘉手納基地などを回る西コース、那覇市役所前から自衛隊基地や南部戦跡を回る南コースの3つのコースで行われた。本土から多くの青年労働者を始め、雨の中や灼熱(しゃくねつ)の太陽のもとで行進を続け、この日、会場に到着した。
 青年会のエイサーが行われた後、喜納昌吉&チャンプルーズの特別ライブが行われた。数百人の青年が舞台前に駆け寄ってカチャーシーを踊りだすなど、乗りに乗ったライブだった。
 平和行進団の各コースの団長と本土代表から報告が行われた。それぞれ日を追って参加者が増え盛り上がり、行進を貫いた達成感があり、「有事立法ができたらどうなるか、沖縄を歩いて分かった。この地から運動を始めよう」などの発言が相次いだ。
 県民大会は、翌日の「記念式典」がすぐそばのコンベンションセンターで行われるにもかかわらず、この式典に反対の声を上げず、また5・24陸海空港湾労組20団体の5万人集会にも触れないなど、多くの問題を抱えていたが、集まった参加者は、有事立法を第2の沖縄戦の道としてこれを打ち砕く決意を固めあった。
 反戦共同行動委員会の本土から派遣された部隊と沖縄労組交流センターは、カクマルの敵対をはねのけ、集会に参加しともに闘いぬいた。

 反戦共同委ら戦闘的に決起

 19日午前11時、記念式典会場である宜野湾市の沖縄コンベンションセンター近くの「わかたけ児童公園」で反戦共同行動委と沖縄労組交流センター共催の式典粉砕闘争が闘われた。
 全学連が基調報告し、「復帰30年の現実は、沖縄米軍基地の再編強化だ。沖縄の怒りを抑え込もうとする記念式典を弾劾する。この沖縄圧殺攻撃と有事立法攻撃は一体のものだ。この1週間を有事立法粉砕決戦として総力で闘おう」と5・24−26への総決起を力強く訴えた。続いて沖縄労組交流センターが「沖縄は有事立法を絶対に許さない」、婦人民主クラブ全国協議会は「女性の力をひとつに反戦を闘う」と決意表明、ただちに式典会場に向かってデモに出た。
 地元の中高生らが沿道から手を振ってデモを声援、「有事立法反対!」とこぶしを上げる場面も。

 ゛小泉帰れ゛と式典会場デモ

 同日正午すぎ、真志喜児童公園で「沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会」が呼びかけた式典反対集会が開かれ、反戦共同行動委も参加した。
 正面には「復帰30周年記念式典・基地押し付け弾劾!」「復帰30周年、この現実を撃つ!」の横断幕。崎原盛秀事務局長が主催者あいさつに立ち、「小泉首相は『SACO合意を忠実に実行する』と言ったが、これは沖縄の基地を半永久的に固定化し、押しつけるもの。記念式典を徹底的に弾劾しよう」と訴えた。
 名護のヘリ基地反対協の安次富浩代表を始め次々と闘う決意が語られた後、午後2時からの式典開始を弾劾する約300人のデモが赤旗やのぼり、プラカードを林立させて出発した。
 進行を妨害する警察警備に弾劾のシュプレヒコールをあげながらデモは進む。機動隊が阻止線を構えて会場前に立ちはだかる。
 「沖縄に基地を押しつける記念式典粉砕! 小泉は帰れ!」――ギラギラの太陽のもと、式典弾劾のシュプレヒコールが力強くとどろいた。

 本土と沖縄の闘う交流集会

 19日夜、那覇市の八汐荘で、「復帰30年糾弾・沖縄闘争勝利/5・19全国交流集会」が行われ、120人が参加した。主催は沖縄労組交流センターと反戦共同行動委員会。
 反戦共同行動委の滝口誠事務局長が主催者あいさつに立ち、有事法制を絶対に粉砕することを訴えた。
 連帯のあいさつとして、読谷村議の知花昌一さん、沖縄万人(ウマンチュ)の力で星野さんを取り戻す会の知花盛康さん、那覇市議の島田正博さん、宜保幸男さん、沖縄民衆会議の崎浜秀俊さん、本土から沖縄民権の会の座覇光子さん、反戦自衛官の小多基実夫さんが次々と発言した。島田さんは、「沖縄戦の20万人の死を生かさなかったら、沖縄は今度は加害者に転化してしまう」と述べた。小多さんは「有事立法が通れば平和憲法体系は全部変わる」と闘いの重要性を語り、自衛官を巻き込んだ闘いを訴えた。
 動労千葉の特別報告に続き、基調報告が沖縄労組交流センターの若い労働者から提起された。@「復帰」30周年、有事立法=第2の沖縄戦を許すな、A「復帰30年」の総括、「5・15体制(72年返還体制)」の破綻(はたん)、沖縄人民と日本帝国主義との非和解的対立の激化・発展、B沖縄闘争の勝利の道、Cわれわれの新たな「5・15宣言」と、今日の沖縄闘争の路線と有事立法粉砕闘争論を全面的に提起しきった。
 これを受けて決意表明が行われた。沖縄からNTTなど3人の労働者が発言した。本土から部落解放同盟全国連合会、関西労組交流センター、全国労組交流センター女性部。最後に全学連の学生が初参加者を中心に感想と決意を述べた。沖縄の基地の現実、沖縄人民の闘いと合流したことを喜ぶフレッシュな発言が続いた。「この感動を〃産地直送”で持ち帰り、5・24−26への結集を呼びかけたい」と言う学生もいた。
 「本集会の結論は5・24−26大結集だ」と何人もから提起され、確認された。有事立法粉砕決戦へ闘いぬくことを誓ってシュプレヒコールを行った。

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週刊『前進』(2055号3面2)

 『前進』への前代未聞の言論弾圧許さず有事立法攻撃粉砕へ闘う

 革命的共産主義者同盟

  (T)

 わが革共同の機関紙『前進』での革命軍の三里塚ゲリラ戦争の報道について、警察庁・千葉県警が許せないことに、編集・発行人である城戸通隆同志への出頭要求の攻撃をかけてきた。
 この弾圧は、直接には、ワールドカップ厳戒体制の一環としてあり、ワールドカップ期間中とそれ以後の三里塚闘争および三里塚ゲリラ戦争の発展を圧殺しようとする、むき出しの予防反革命である。
 同時に、これは、今次国会に提出された有事立法3法案を頂点とする一連の戦争国家体制構築と治安弾圧体制強化の攻撃の先取りである。日本帝国主義・支配階級は、米日帝による朝鮮侵略戦争発動が切迫している情勢に対応して、国家総動員体制構築を狙い、労働者人民の団結権、結社の自由、表現の自由を圧殺し、知る権利、戦争協力拒否の権利を剥奪(はくだつ)しようとしている。今回の攻撃は、まさに暗黒の戦時型治安弾圧体制構築への最先端の攻撃としてあり、わが革共同と機関紙『前進』に対し、いち早くメディア規制・言論弾圧をかけてきたものである。
 このことを、われわれはすべての労働者人民の皆さん、言論界の皆さん、法曹界の皆さん、反弾圧・救援戦線の皆さんに訴える。そしてともに侵略戦争と暗黒社会の再来に反対して立ち上がることを呼びかける。

  (U)

 5月13日以降、警察庁の指揮のもと千葉県警が4度にわたり電話で「『前進』に載った4月22日のゲリラ事件の捜査のために聞きたいことがある。編集発行人など責任ある者が5月20日に茂原署に出向くように」と出頭を要求してきた。それに対して、われわれが強く抗議すると「ゲリラの捜査のために呼び出すのは当然だ」などと開き直った。これが今回の弾圧の具体的事実である。
 『前進』での革命軍のゲリラ戦報道、つまり革命軍の軍報(速報と軍報)の転載に関して、警察権力がそれを掲載した『前進』の編集・発行人に対して、調査するとか、まして出頭を要求するなどということは、革命軍の闘いが始まって以来初めてのことだ。そもそも『前進』の報道を捜査の対象とするなどというのが1959年以来の『前進』発行史上初めて、前代未聞の暴挙なのである。
 『前進』への直接的な規制の攻撃は、わが革共同に対する69年と71年の2度の破防法発動、90年天皇・三里塚決戦の際の破防法発動寸前の大弾圧、たび重なる破防法恫喝との闘いの中でも、明示には一度もなかった。それほど越境的で反革命的な大攻撃なのである。
 また、およそすべての言論、新聞、メディア、その報道に対する治安弾圧、国家権力の介入という点でもきわだった弾圧である。

  (V)

 われわれは、今回の弾圧を満腔(まんこう)の怒りを込めて徹底弾劾する。そしてこの攻撃を粉砕するために闘うことを宣言する。
 第一に、日帝権力がワールドカップ厳戒体制の名でどんな治安弾圧をやってもいいというような風潮をつくり出し、およそ超憲法的な大弾圧体制を敷いていることを怒りをこめて弾劾する。今回の『前進』編集・発行人へのかつてない出頭要求の攻撃も、このような中で起きているのだ。
 ワールドカップ厳戒体制は断じて許しがたい。競技場およびその周辺、繁華街など市街地に監視カメラが増設され、監視カメラ搭載のヘリコプターが常時旋回している。大量の警察官、装甲車、パトカー、武装ヘリコプターなどを動員して実に異常な厳戒警備を敷いている。それは、無差別の検問、通行止め、交通規制に始まり、競技場周辺を立入禁止区域に設定し、医療機関の強制的休診や期間中の裁判の中止さえ行う無法極まるものである。
 加えて、自衛隊が全国・全域で武器を携帯した国内治安出動に出ているのだ。空中警戒管制機AWACSの出動、海上保安庁の巡視船の出動がなされ、日韓にまたがった日韓米の軍隊の対テロ戦争体制の発動、対潜哨戒機P3Cや対生物化学兵器テロ部隊などの出動まで行われるのだ。
 また警察官の発砲規範がルーズ化され、大量不当逮捕が策動され、入管収容所や警察留置場の体制が強化されているのである。
 テロ対策、フーリガン対策を理由とすれば何でも許されるなどということを断じて認めてはならない。それは朝鮮侵略戦争演習であり、有事立法および憲法改悪の先取りだ。われわれはワールドカップ厳戒体制を断固として粉砕して、有事立法阻止決戦を闘う決意を表明する。
 第二に、ワールドカップ厳戒体制の期間中に三里塚ゲリラ戦争が起こることへの恐怖の予防反革命であり、三里塚ゲリラ戦争に対する報復弾圧、予防弾圧である。だが、権力の農民殺しを許さない革命軍の三里塚ゲリラ戦争をこのような弾圧で封殺できると思ったら大間違いである。われわれは、三里塚農民の農地死守、暫定開港粉砕、強制追い立て攻撃粉砕、軍事空港建設阻止の闘いにどこまでも固く連帯して、三里塚軍事空港廃港まで闘い抜くことをあらためて宣言する。
 第三に、今回の『前進』への弾圧は、国鉄闘争破壊の攻撃だということだ。現在、日帝権力は4・26与党3党声明をもって国労中央本部に最後通牒(つうちょう)を突きつけ、裁判取り下げ、闘う闘争団の統制処分、国労解散を要求してきている。これに対して、わが革共同と『前進』は、闘う闘争団、すべての戦闘的組合員と固く連帯し、3党声明絶対粉砕、裏切り者のチャレンジおよび日共・革同を打倒して、闘う国労の旗をどんなことがあっても守り抜くために闘っている。そのための戦闘的な檄(げき)を発し、闘う方針を原則的に提起し続けている。この闘いを破壊するためにこそ今回の大弾圧があることはあまりに明白だ。
 第四に、革共同と『前進』は今、超長期の獄中同志を防衛・奪還する闘いを本格的に強めている。また弁護士戦線や、組対法、団体規制法(第2破防法)と闘う反弾圧・救援戦線の多くの人びとと連帯して、権力の弾圧との闘いを推進し、とりわけ有事立法と一体の「司法改革」攻撃を粉砕するために闘っている。『前進』への弾圧は、「司法改革」粉砕、獄中同志奪還、反弾圧・救援運動への治安攻撃そのものである。
 第五に、日帝・支配階級は今、有事立法3法案とメディア規制法案を軸にして「テロ対策」とか、「武力攻撃から日本を守る」とか、「個人情報保護」「人権擁護」だとかを口実として、戦争国家体制と戦時型治安弾圧体制をつくりあげようとしている。その先端的な攻撃として、革共同と『前進』に対する今回の弾圧に出てきたのだ。これは直接的なメディア規制の攻撃そのものである。
 今国会には、有事立法と同時に健康保険法改悪案、郵政改革関連法案、テロ資金供与防止条約の批准、保安処分新法案、さらに人権擁護法案、個人情報保護法案などなどが提出されている。戦後史にもかつてないほどの超反動国会である。
 まさに今回の『前進』への言論弾圧は、ひとり革共同に対する攻撃ではない。すべての労働者人民、労組、学生自治会、市民団体、あらゆる言論とメディアに対する弾圧であることを声を大にして訴えたい。
 ところで、破防法体制は革命党と革命運動に対する究極の弾圧体制であり、戦前の治安維持法の戦後的形態である。われわれはこの破防法体制と日常的に対峙して闘っている。だが重要なことは、今回の出頭要求の攻撃は、その破防法ではどうしても壁となっている問題を、対テロ戦争の論理、有事立法の論理で反動的に突破し、革命党とその言論・報道活動、反戦闘争、三里塚闘争を何としても鎮圧しようとしてきたものだということである。
 『前進』は革命党の報道機関が出している新聞である。革命党の主張を明らかにし、取材、報道を行い、宣伝・扇動を展開している。これ自体を弾圧・取り締まりの対象にする攻撃が、今回の出頭要求にほかならない。その本質は、革命運動とその党を禁圧の対象とするところにある。これはまさに、団結の権利の破壊、結社の自由の侵害の極致であり、取材・報道、言論・表現への国家権力の介入そのものである。
 権力の狙いはあまりにも明らかだ。この攻撃は次には『前進』への立入検査、さらに発行禁止、廃刊までをも狙う攻撃の始まりなのである。破防法だけではできない、しかし破防法の狙いを達成しようという攻撃の始まりであり、団体規制法の観察処分、再発防止処分に道を開こうとするものである。したがって、今回の弾圧は、結社の自由、取材の自由、報道の自由、言論・表現の自由、反政府言論の権利、反戦の呼びかけの権利など、およそ労働者人民の自由と権利を圧殺する攻撃へと直結していくものなのである。
 日帝権力は、対テロ戦争の論理、反テロキャンペーンの中で初めて、このような言論弾圧に踏み込んできたのだ。これを許すことは今国会に提出されているすべての治安弾圧―言論弾圧法案の成立を許し、ひいては再び三たびの朝鮮・中国侵略戦争と、暗黒の戦時型治安弾圧に屈することになるのだ。このことを、われわれはすべての人びとに警鐘をうち鳴らし、ともに闘われるよう訴える。

  (W)

 すべての労働者人民の皆さん、言論界、法曹界で闘う皆さん、反弾圧・救援運動を担う皆さん。
 有事立法3法案を頂点とする憲法破壊、憲法停止の歴史的大攻撃が加えられていることを怒りをもって弾劾し、切迫する米日帝の朝鮮・中国侵略戦争阻止、一切の治安弾圧粉砕、有事立法阻止・改憲粉砕の闘いにともに立ち上がろうではありませんか。わが革共同はその先頭に立ち、どのような暴力的な治安弾圧をも真っ向から打ち砕き、日本帝国主義打倒まで闘い抜くことを宣言する。
 2002年5月20日

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週刊『前進』(2055号3面3)

 今こそ介護保険廃止へ

 高齢者抹殺し、労働者家族に犠牲を強いる医療制度大改悪を阻止しよう

 介護保険が実施されて2年がすぎた。この間、介護保険によって介護を奪われた高齢者家庭の悲惨な事件を始めとして重大な矛盾が労働者人民を襲っている。厚生労働省は、来年4月の介護保険制度見直しに向かって訪問介護の介護報酬を引き上げる方針を打ち出している。お金のない高齢者はますます介護を受けられなくなる。現在、医療制度大改悪法案が国会に提出されており、これが成立すればこの10月から強行実施される。この攻撃は、有事立法3法案制定の攻撃と一体である。日帝が戦争国家への大転換を図る中で、膨大な軍事費のために福祉関係の予算を徹底的に削減しようとしているのだ。介護保険制度廃止、医療制度改悪法案阻止へ今こそ闘い抜こう。

 「保険料天引きは死ねという意味」

 介護保険実施2年の現実はどうなっているのか。
 @まず何よりも、介護を受けている高齢者の中で利用料が払えないために利用を抑制せざるを得なくなっていることである。国民健康保険中央会の調べでは、要介護認定を受けた人のうち介護保険を利用していない人が23%に上っている(5人に1人が利用できないでいる)。特に要介護4、要介護5の重度の人の利用率が83・7%、80・4%となっていることは、介護が必要であるにもかかわらず、利用料が高くて介護を受けられないという、問題の深刻さを示している。
 Aまた、介護保険料が高くて払えない高齢者が生活できない状態を強制されていることである。東京・杉並を始めとして介護保険料が高くて払えない高齢者の不服審査請求が全国各地に広がっている。「私の年金は月4万円足らず。そこから介護保険料を天引きされたら生活できない」「年金1万5000円から保険料を引くというのは死ねという意味です。年寄りにも生きていく権利がある」「どうして弱い者をいじめるのか」という怨嗟(えんさ)の声が巻き起こっている。
 Bこうした中で保険料を減免せざるを得なくなった自治体が増えており、65歳以上の高齢者からの介護保険料の徴収を独自に減免している自治体が4月1日現在429市町村にのぼり、昨年10月1日に比べて4割も増加している。
 その一方で、保険財政の赤字を理由に介護保険料の引き上げを検討している自治体も増加している。介護保険制度によって国庫からの負担金は大幅に減らされ、半分を保険料から賄うことになっているが、保険財政赤字が膨らみ、一般会計からの繰り入れも禁止されている中で、自治体はサービスを切り縮めるか、あるいは保険料を引き上げようとしているのである。例えば、北海道の鶴居村では3400円だった保険料が4000円に値上げされたばかりだが、単純に計算すると保険料を7000円以上にせざるを得くななっている。政府が財政削減を強行した矛盾が労働者人民の保険料の引き上げに転嫁されているのだ。
 Cさらに、介護保険料を払えない人が罰則の適用で介護や医療を受けられなくなる事態が生まれている。すでに一昨年4月の介護保険実施以来、保険料の滞納者が激増し、国民健康保険の保険証が取り上げられる事態も激増している。特に65歳以上の高齢者の場合、介護保険料の全額徴収が昨年10月から始まっており、今年10月から罰則適用でいったん全額自己負担(償還払い)を強いられる人が増えると予想されている。
 D介護保険制度の導入を突破口に、高齢者福祉の切り捨て、社会保障制度の解体が一層進められている。医療制度大改悪の法案が国会に提出されており、さらに来年には「障害者」への支援費制度が導入され、「障害者」の介助制度が大改悪されようとしている。

 訪問介護値上げ長期入院者追放

 訪問介護の介護報酬引き上げを始めとした厚生労働省の提示した改定作業の方向性は、身体介護、家事援助、複合型の訪問介護の3類型を2つないし1つにまとめ、報酬単価を引き上げる、代わりに施設サービスの報酬を引き下げて全体の調整を図るという内容だ。「訪問介護事業者の赤字」を理由とする訪問介護の報酬単価引き上げは、ますます低所得の高齢者から介護を奪うものだ。資本の利益のために高齢者を犠牲にするものにほかならない。
 しかも訪問介護の利用料が払えないために、要介護度の高い人ほど施設入所を選ばざるを得ない例が増えており、施設入所は2年待ち、3年待ちという状態だ。施設サービスの報酬引き下げは、施設の不足を一層深刻にさせ、介護を必要とする高齢者の行き場を奪ってしまうものだ。
 この4月から実施された診療報酬改定で6カ月以上入院した場合には入院基本料の15%が自費払いになったために基本的に6カ月以上は入院できなくされてしまった。これまでも施設が満杯で介護施設に入所できなくて「社会的入院」という形で入院していた人が、病院から出ざるを得ない状況を強いられており、さらに介護施設の不足が深刻化すれば、高齢者家庭、労働者家族はとんでもない悲惨な状況に陥ることになるのだ。
 また、介護施設の多くは介護保険への移行で経営を維持するために職員の数を減らし、労働強化を強制しており、そのために介護事故が増加している。介護保険は資本攻勢と一体であり、終身雇用制解体、不安定雇用化、低賃金の強制なのだ。施設サービスの報酬引き下げは、介護事故の一層の増加となって高齢者を襲うことになるのだ。介護保険廃止、医療制度大改悪法案阻止へ全力で闘い抜かなければならない。

 高齢者の怒りと団結で改悪阻め

 介護保険制度に対して高齢者を始めとした労働者人民の怒りが高まっている。昨年12月9日に介護と福祉を要求する杉並住民の会、高槻健診介護要求者組合、東大阪国保と健康を守る会介護要求部会などを始めとして「介護保険に異議あり!全国ネットワーク」が結成され、3月29日には240人の高齢者が集まって国会行動を展開した。さらに各地で介護保険に対する不服審査請求が行われ、口頭意見陳述が行われている。この口頭意見陳述は、介護保険に苦しめられている高齢者の生の声を直接行政にぶつけ、日帝・厚労省を追いつめている。ここで語られる高齢者の一言一言が、高齢者を犠牲にする介護保険の犯罪性を鋭くつきだし、厳しく告発しているのだ。
 この高齢者の怒りを先頭に介護保険制度廃止、医療制度大改悪阻止の闘いを巻き起こそう。6月2日に行われる介護と福祉を要求する杉並住民の会の定期総会(午後1時半、西荻勤労福祉会館)に結集しよう。

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週刊『前進』(2055号4面1)

 排外主義うち破り朝鮮・中国侵略戦争法案を阻め

 朝鮮侵略戦争の開始に身構え有事立法阻止決戦の大爆発を

 瀋陽総領事館事件の意味するもの

 反北朝鮮・反中国の排外主義扇動許すな

 朝鮮半島と中国をめぐる米日帝国主義の侵略戦争攻撃が、昨年9・11反米ゲリラ戦争以後、非常に深いところで激しく進展していることを、われわれ日本の労働者階級人民ははっきりと認識しなければならない。そのことを示すものこそ、北朝鮮からの脱出者が在中国の外国公館などに駆け込む事件が多発していることであり、5月8日に瀋陽市の日本総領事館で北朝鮮からアメリカへの亡命を求めた駆け込み事件が発生したことである。
 瀋陽総領事館事件をめぐって、日帝は「中国による日本の国家主権の侵害である」などと大々的に騒ぎ立て、反中国キャンペーンをぶち上げている。日帝が中国侵略の歴史的拠点と位置づけている瀋陽(かつての奉天)の地にある総領事館の敷地に中国武装警察が入ったということで、「在外公館が襲われた。国家主権が侵害された」と言う。盗人たけだけしいとはこのことだ! 在日台湾人元日本兵の林歳徳氏が弾劾しているように、それは37年7・7盧溝橋事件をデッチあげた手法そのものだ。
 そこには同時に、反北朝鮮のすさまじい排外主義がある。米日帝は、「北朝鮮は人権無視国家だ」「だから民主化するために北朝鮮の政権を転覆してもいい」「圧制と飢餓に苦しむ北朝鮮の人々を救え」と北朝鮮攻撃を強めている。それは朝鮮人民の民族自決を踏みにじる侵略戦争の論理そのものではないか。
 しかも、日帝は、「その北朝鮮を擁護するなら中国も同罪だ」などとうそぶいて、北朝鮮危機をめぐる日中激突の政治的構図をつくりあげている。それらは、北朝鮮への侵略戦争、中国への侵略戦争を実際に発動するための状況づくりにほかならない。まさに、今次有事立法3法案とそこに貫かれている朝鮮・中国侵略戦争路線を先取り的に具体化しているのだ。
 それに既成政党、マスコミが加担し、日本共産党スターリン主義などは「外務省はだらしない」「主権侵害だ」などと排外主義をあおり、中国を非難する宣伝を行っている。これらを徹底的に弾劾し、粉砕しなければならない。
 米日帝は実は、北朝鮮スターリン主義の危機と崩壊の情勢の中で、北朝鮮人民がスターリン主義への怒りをもって決起することを恐れている。また、南朝鮮・韓国人民が南北統一を求めて、米日帝の侵略に反対して北朝鮮人民とともに決起することを恐れている。だからこそ、南北朝鮮人民の内乱的決起をなんとしても抑圧しようと大規模な朝鮮侵略戦争を準備してきている。そのため、北朝鮮人民の苦境につけいり、その解放への願いを帝国主義の反北朝鮮政策に利用しようと、さまざまな形態での新植民地主義的・反共主義的な介入を策動しているのだ。
 われわれは、南北朝鮮人民の偉大な南北分断打破=革命的統一に向かっての苦闘と連帯し、帝国主義強盗どもの朝鮮侵略戦争に真っ向から対決し、これを国際的内乱に転化して闘わなければならない。日帝の反北朝鮮・反中国の排外主義的対応は、朝鮮侵略戦争情勢を加速させるとともに、有事立法を一気に制定にもっていくための攻撃そのものである。朝鮮・中国人民との国際主義的連帯の旗を高々と掲げ、急迫する米日帝の朝鮮・中国侵略戦争絶対阻止、有事立法阻止のために全力で決起しよう。

 米帝の激烈な対北朝鮮重圧

 この間、北朝鮮から中国への大量の脱出者・家族が生みだされている。3万人(韓国政府)とも15万人とも言われる。それには反北朝鮮を掲げる特定のNGOが主導的に関与している。
 これに対して、中国側は脱出者の駆け込みに備えて瀋陽などで反動的で反人民的な封殺体制を敷いてきた。一方、日帝・外務省は、大量脱出・亡命の動きに対して、難民受け入れ拒否、入管体制による外国人の徹底排斥・追放を基本政策としている。
 こうした中で、瀋陽での中国の武装警察による阻止・拘束・連行という事態が発生したのである。
 では、この間相次ぐ北朝鮮からの脱出者の背後にある問題は何か。それは、一言で言えば、米日帝の北朝鮮スターリン主義に対するすさまじい戦争重圧であり、体制転覆のための諸策動の強まりである。クリントン時代の94年10月21日に策定された米朝合意枠組みを徹底的に使った米帝の朝鮮政策、さらにブッシュ政権になってからの01年QDR(4年ごとの戦力見直し)戦略が北朝鮮のすさまじい体制的危機をつくりだしているのである。
 米帝国主義は、94年10・21米朝合意枠組みに北朝鮮を縛りつけ、激しい戦争重圧を加えつつ、北朝鮮スターリン主義の核武装化路線を阻止・粉砕することを推し進めてきた。黒鉛炉から軽水炉への転換、核特別査察の要求などを突きつけてきた。また、北朝鮮の「ミサイル開発・輸出問題」と「人権問題」を意図的にクローズアップし、これを材料に経済制裁の恫喝を加えてきた。
 米帝は、そうした戦争重圧の政策を基軸にしつつ、北朝鮮側の「米朝関係改善」と経済的代償の要求を見透かして、新植民地主義的な政治介入・経済侵略をどしどし進めることも追求してきている。KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)による軽水炉建設工事という形で、帝国主義の資金、物資、文化、イデオロギー・デマゴギーをとうとうと流入させ、人的工作を大きく進めてきた。北朝鮮の政治・経済・軍事・社会生活などの全領域に深々と介入し、その内部から体制を崩壊・転覆させる要因を生み出させてきたのだ。
 つまり米帝は、94年以来、5年がかり、10年がかりの対朝鮮半島政策を推し進めてきたのであり、これは朝鮮侵略戦争作戦「米韓作戦計画5027」の全面的発動を「合法化」「正当化」する枠組みづくりと言うべきものである。
 しかも米帝は、中国スターリン主義を押さえ込みつつ、日帝とのアジアをめぐる争闘戦に勝ち抜くためには、南朝鮮を含む朝鮮半島全体の米帝的支配を確保することが決定的前提をなしていることを知り尽くしている。米帝は、自己にとって最も有利なスタンス、方法をもって侵略戦争政策を貫いてきたのだ。
 こうして、米帝がクリントン政権からブッシュ政権に代わる以前の過程において、北朝鮮の絶望的危機から中国、とくに延辺などへの大量の脱出が生み出されていたのである。

 朝鮮半島をめぐって侵略戦争攻撃が激化

 米朝関係は、ブッシュ政権成立と9・11情勢をもって、今まさに途絶状態にあると言える。
 01年6月に、ブッシュ新政権は前政権の対北朝鮮政策の見直しを正式表明した。10・7以後のアフガニスタン侵略戦争の重圧のもとで、ブッシュ政権は11月には、イラクと北朝鮮に対して核査察受け入れを強力に要求した。そして今年1月、大統領一般教書で「イラク・イラン・北朝鮮は悪の枢軸」論を基軸的路線として押し出したのである。
 さらに同月、「核体制の見直し」を発表し、北朝鮮、中国、イラクなどを対象に「通常兵器では撃破できない敵」に対して、先制的に核戦争をしかける路線を打ち出したのである。
 この戦争重圧を背景に、米帝は北朝鮮に「核査察を受け入れよ」とする政治的・軍事的重圧を一層強めている。IAEA(国際原子力機関)による査察を全関連施設で実施するというものである。
 KEDOによる軽水炉建設は現在は用地の掘削中で、8月に終了予定である。そこから鉄骨枠組みづくりのためのセメント基礎工事が始まり、原発施設の建設が新たな段階に移る。
 米朝合意に基づくと、そのまま進めば、今年中には核査察に入る。全関連施設をやると最短でも3年かかる。それが終了したことを前提にして、05年にも、原子炉の主要部品提供の段階が来るとしている。だから米帝は、02年の時点で、核査察問題を大きく焦点化させてきたのである。
 そうした北朝鮮への帝国主義的な体制転覆の策動は、昨年9・11反米ゲリラ戦―10・7アフガニスタン侵略戦争突入以来、一段と激化した。何よりも、アフガニスタン侵略戦争の大展開―「対テロ戦争」路線は、それを目の当たりに見せられている北朝鮮スターリン主義にとってどのような戦争重圧となっているか、はかりしれないものがある。ほとんど体制破壊的な状況をつくり出す作用を及ぼしているのである。
 4月9日に米日韓の外務局長級の監督・調整グループ(TCOG)定例会合で、米が対北強硬路線を表明した。北朝鮮の対話姿勢を引き出していることを積極的に確認するとともに、日帝が主張する「拉致疑惑」の重要性を確認した。
 米帝と日帝などが出資している世界食糧計画(WFP)は5月2日、北朝鮮の高齢者や中学生などへの食糧援助停止を発表した。これにより約640万人が飢餓にひんするという。
 さらに、米議会の中には、「北朝鮮が核査察を拒否し続けるなら基礎工事を始めるな」という動きが起こっている。工事中断は北朝鮮に対する一種の経済制裁であり、侵略戦争前段の始まりとなる。
 他方、金正日は、北朝鮮のミサイル発射実験の凍結期限を03年としている。それに対して、ミサイル発射実験を再開するかどうかを、米帝は対北朝鮮の侵略戦争発動の口実としていつでも使えるようにもっている。しかも、ブッシュ「悪の枢軸」論の中では、北朝鮮スターリン主義が対米の瀬戸際政策を打つ余地はまったくない。少しでも口実を与えると、即第2のアフガニスタン情勢になるからである。
 米帝の強硬な対北軍事外交は、北朝鮮の独自の対韓国政策の展開を暴力的に封じ込め、南北関係展開の政治空間をなくしてしまうものである。同時にまた韓国・金大中政権自体とその南北対話政策を窮地に追い込むものとなっている。
 他方、北朝鮮への戦争重圧はそのまま中国スターリン主義への戦争重圧である。中国スターリン主義は、それに屈服し、帝国主義の侵略戦争に国際的内乱を呼びかける立場にまったく敵対している。中国のスターリニスト支配体制を防衛するためにのみ、北朝鮮との歴史的関係を利用し、北朝鮮人民を見殺しにする反革命的な裏切りに走っている。
 北朝鮮スターリン主義は、そうした中で米日帝国主義の間の矛盾をつこうと躍起になっており、その一環としてさまざまな日朝関係のルートを開こうとしている。まず、いわゆる「拉致事件」について「行方不明者調査」の前向きポーズを示している。また、日帝の戦争責任・植民地支配責任をめぐる賠償問題をカード化する構えを示している。
 だが、日帝の対応は北朝鮮にとってきわめてけわしいものがある。「年内に北朝鮮が核査察受け入れで態度を示さないと、朝鮮半島に何かが起きるかもしれない」という外務省幹部の言がある(4・30日経)。日帝は、北朝鮮スターリン主義の深刻な危機と米帝の対北朝鮮の侵略戦争政策の重大段階突入の認識をもって共同的・競合的に朝鮮侵略戦争に参戦する国家的踏み切りをしているのである。

 日帝の朝鮮侵略戦争政策の本格的な展開

 日帝は、昨年12月に中国の経済水域にまで追撃して一方的に砲撃・撃沈した外国船の「引き揚げ、正体解明」問題を政治焦点に押し上げようと躍起である。北朝鮮船籍であるとか中国の関与があるとかの「調査結果」を発表し、それをもって「武力攻撃事態」情勢なるものを排外主義的にあおろうというのである。
 また日帝は、いわゆる「拉致事件」疑惑を前面化させ、KEDO軽水炉建設費の立て替え分の分担金を今年1月から停止した。食糧援助も停止した。日帝は、ある意味で、米帝に先行して、対北朝鮮の経済制裁に出ているのであり、実質的な戦争挑発をごりごりと展開しているのである。
 小泉は、靖国神社公式参拝を、有事立法のために絶対に必要な儀式として強行した。あえて朝鮮・中国―アジアの人民の怒りを受けてでも、外交的に日中対立、日朝対立の構図をつくったのであり、他方では、「靖国の魂」を有事立法に吹き込もうとしたのである。さらに、高校の日本史教科書での侵略戦争の美化、その教科書の採用がまたしても強行されている。
 そして有事立法攻撃の中で「敵国の国籍を持つ外国人の把握」を打ち出し、公安調査庁による生活実態調査など在日・滞日アジア人民への新たな戦時型入管攻撃を強めているのだ。
 また、日帝の過去の強制連行、軍隊慰安婦制度に関して、北朝鮮との間で、国家賠償は絶対にしないが、あたかも個人補償の余地はあるかのように振る舞っている。そうすることで北朝鮮を交渉の場に引き出し、日朝関係を独自につくり、「拉致問題」、外国船引き揚げ問題などと合わせ、対米対抗の対北朝鮮政策を展開する政治・外交空間をもとうとしている。
 また日韓にまたがるワールドカップ厳戒体制は、日韓米の軍隊の出動、自衛隊と警察の治安出動協定の実施という形で、朝鮮侵略戦争演習を強行するものであり、戦時型治安弾圧体制―戦時型入管体制に突入するものである。
 すべてが朝鮮侵略戦争の発動に向けて実に急ピッチである。日帝は中国・朝鮮をめぐる緊迫情勢に駆り立てられて、対北朝鮮・対中国の排外主義扇動を推進しているのであり、それをてこに、有事立法を必死に策動しているのだ。
 これらの背景には、米帝ブッシュの01年QDR路線―「悪の枢軸」論―核政策見直し=核戦争路線化が、すでに実行過程に入っており、対北朝鮮・対イラクの侵略戦争計画がいつでも発動できる段階に入っていることがある。さらに、そこには中国を対象とする世界大戦争がはっきりと位置づけられている。
 以上のように、瀋陽総領事館事件をとおして、帝国主義の戦争重圧と北朝鮮内部への侵略と介入によって、北朝鮮人民のいかに深刻な窮境がつくりだされているか、北朝鮮スターリン主義の全体制的危機がいかに著しく強まっているかが突き出されているのである。しかも北朝鮮スターリン主義の対応いかんでは、米日帝の側からの朝鮮侵略戦争がいつ発動されてもおかしくない状況なのだ。
 すべての労働者人民諸君。米日帝の朝鮮侵略戦争過程がもう始まっていることについて、激しい危機感と怒りを爆発させよう。朝鮮侵略戦争は実質的に中国侵略戦争であり、それは文字どおり世界大的戦争―第3次世界大戦とならざるを得ない。有事立法はその朝鮮・中国侵略戦争遂行体制のためなのだ。帝国主義の第3次世界大戦の地獄か、反帝・反スターリン主義世界革命の勝利の時代を切り開くのか――有事立法をめぐって問題はこう立てられているのだ。

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週刊『前進』(2055号4面2)

 「日本の防衛の戦争だったら罰則なしでも協力して戦う」

 有事立法攻撃に屈服する日共

 有事立法阻止闘争の勝利をかちとるためには、日本共産党スターリン主義のペテン的・反革命的な「有事立法反対」論を打ち破ることが不可欠である。日共は、アメリカの戦争への巻き込まれ論であり、最も核心的な有事立法攻撃の狙いである朝鮮・中国侵略戦争の切迫を隠蔽(いんぺい)している。彼らは、「自主的、主体的に国を守る」立場に転落し、22回党大会で「有事における自衛隊の活用」論を確認している。今また、9・11以後、「テロ根絶」論を前面化し、帝国主義への屈服を一段と深めているのである。愛国主義と排外主義を強め、自国帝国主義の最後の番兵に転落した日共を打倒し、のりこえよう。

 「米のための戦争国家法案」と規定

 日共の有事立法論の根本問題は第一に、「アメリカの国益のための戦争国家法案」と言って、これが日帝の主体的積極的な武力行使法案であり、朝鮮・中国侵略戦争遂行と国家総動員体制構築のための有事立法であるという本質を覆い隠していることである。
 日共は、「日本への武力攻撃の可能性はありません。有事法制の『有事』とは米軍の『有事』のことなのです。アメリカの戦争に巻き込まれるものです。だから有事立法に反対です」という論立てなのである。
 その場合、日共は「海外での武力行使」とは言うが、具体的に朝鮮・中国への侵略戦争だとは絶対に言わないし、それに反対して闘おうとしないのだ。
 例えば、CS放送朝日ニュースターの志位インタビュー(5・16)。
 質問者 「悪の枢軸」として名前が出ているイラク、イラン、北朝鮮。特に日本に関係するという意味では、朝鮮半島の場合はかなりたいへんな発言だといえるでしょうね。
 志位 ええ。イラクだって、私はこの法案とのかかわりが出てくると思います。(赤旗5・17)
 明らかに、「朝鮮半島」と水を向けられているのに、意図的にはぐらかしている。朝鮮、中国に触れることを意識して避けているのだ。日帝が米帝とともに共同的=競合的に朝鮮・中国侵略戦争に突入するために有事立法攻撃をかけてきていること、この切迫した攻撃と全力で闘わなければならない時に、これを覆い隠しているのである。

 「侵略されたら立ち上がる」と表明

 第二に、「侵略されたら国民は立ち上がる」という態度表明をして、日帝の戦争への協力を表明していることである。
 「日本に万一のことがあったらどうする?」というキャンペーンに対して、日共・筆坂政策委員長は、「仮に本当に日本に武力攻撃があったときには、国民は罰則なんか科さなくても、自らの命、財産、家族の安全を守るために立ち上がる。当たり前の話です」(4・21NHK日曜討論)と、「国を守るために国民がこぞって立ち上がる」ことを正しいことと表明した。
 日共政策委員会の松竹伸幸は、次のように言う。「ほんとうに日本が危機にさらされていれば、何はさておいても協力しようという気持ちになるのが、国民の普通の感覚ではないだろうか」(前衛6月号)
 そして、「国民の協力が得られないから法律で強制するという考え」は間違いであるとして、「政府・与党は、国民に協力を求める戦争が……アメリカの国益のために追随する戦争だということが痛いほど分かっている……ので、罰則つきで動員しようとしている」(同)と言うのである。
 彼らはここで、国民は(つまり日共は)国が危機の時には自主的に立ち上がるというあけすけな愛国主義、排外主義の立場から「有事立法反対」を表明しているにすぎないのである。
 日共は、日本が19世紀後半以来、一貫して朝鮮・中国、アジア・太平洋諸国を侵略してきた帝国主義国であり、今また米帝と共同的=競合的に朝鮮・中国侵略戦争にのり出そうとしている軍事大国であることをけっして言わない。この核心問題を言わないで、「侵略を排除する」などと言っているのは、小泉が「備えあれば憂いなし」と言って、あたかも日本が侵略されるかのようにデマ宣伝していることにさおさすものでしかないのだ。

 武力行使そのものには反対せず

 第三に、武力攻撃事態法の「武力の行使」そのものには反対しない立場を打ち出していることだ。
 志位は、5月8日の衆院有事法制特別委の総括質問で「『おそれ』や『予測』で『武力の行使』をやったら、先制攻撃になるのですよ。これは、国際法違反になるのですよ。……(ところが)この法案のなかには禁止する条項がない。一方で『国際法規の遵守』を落としてしまっている。これはいったいどういうことなのか」と発言している。
 あたかもこれは、この法案が「おそれ」や「予測」まで武力攻撃事態の定義を拡大して、戦争を拡大していくことを突いた質問であるかのように見える。これ自体は重大な焦点である。ところが、志位の言っているのは、「武力攻撃事態」そのものが発生した時には武力行使は当然認める、ということなのである。
 志位は、「(武力攻撃が発生した事態、おそれのある場合、予測される事態の)すべての場合で、『武力の行使』ができるということになりますが、これはいかがですか」と質問し、それに対して小泉が「わが国が武力攻撃を受けた場合は、武力の行使はできますよ。……(おそれや予測の段階では)武力行使なんて必要ない」と答えると、その前段の「武力の行使はできますよ」のところは問題にせずに、すぐ後段の「追及」にのみ専念する。「武力攻撃事態」における武力行使は当然の前提として議論を進めているのだ。
 これは第二のところで指摘したことと併せてみると鮮明になる。つまり日共は「侵略されたら、国民こぞって立ち上がる」ことを確認し、それを「自衛隊の武力行使」を先頭に戦うと確認したのだ。
 日共は「憲法は自衛権を認めている」と言い、00年の第22回大会で「有事の自衛隊活用」を宣言した。日帝・自衛隊の武力行使を容認することはすでにこの時に予測されたが、ついに現実になったのである。
 帝国主義の戦争に対して階級的態度をとるとは、革命的祖国敗北主義の立場、全世界の労働者階級・被抑圧民族人民との国際連帯の立場に立って、帝国主義の侵略戦争に反対し、帝国主義打倒をかちとる立場でなくてはならない。ところが日共は、完全に帝国主義の立場に立って、超階級的に戦争協力することを表明したのだ。有事立法に根本のところで屈服している。こんなものは絶対に反対勢力とは言えない。日共を打倒しのりこえることなしに有事立法闘争の勝利はない。

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週刊『前進』(2055号4面3)

 5月15日〜21日

 「民間機撃墜も可能」と中谷

 小泉出席し「復帰30年式典」

●沖縄、「復帰」から30年 沖縄が日本に「復帰」して30周年となった。今なお国内の米軍施設の75%が集中。(15日)
●海自、政府決定前に活動延長指示 海上自衛隊がテロ対策特措法に基づく対米支援でインド洋に派遣している自衛艦3隻に対し、政府が基本計画で承認している活動期限を1カ月近く超える6月12日までの活動延長を、政府の決定に先立って指示していたことが明らかになった。(16日)
●「自衛隊は軍隊」「民間機へ武器使用も」
 中谷防衛庁長官が衆院有事法制特別委員会で「外国からの侵略に対して対抗する実力を持つものを軍隊と言うのであれば、自衛隊も軍隊と言うのは可能。国際社会において軍隊と位置づけられていると認識している」「政府の中枢を狙った攻撃がある場合、自衛隊がハイジャックされた民間航空機やテロリストの乗った小型の航空機に対して武器を使用することは法理論上可能」と述べた。(16日)
●米軍支援、半年延長を閣議決定 政府は、テロ対策特措法に基づく米軍などへの協力支援活動の半年間延長を閣議決定した。延長の期間は5月20日から11月19日まで。(17日)
●「国民保護法制」の枠組み 有事の際の国と地方の役割や、国民が求められる協力の内容を盛り込む「国民の保護のための法制」の枠組みが明らかになった。(17日)
●W杯中、自衛隊出動態勢 サッカー・ワールドカップ期間中の自衛隊出動を含む警備方針が明らかになった。航空自衛隊の空中警戒管制機(AWACS)が警戒監視に当たるほか、治安出動としてF15戦闘機の出動もありうるとしている。陸上自衛隊はすでに、各道府県警と治安出動時の役割分担を想定した現地協定を結んでいる。(18日)
●ミサイル燃料注入で「おそれの事態」 安倍晋三官房副長官が、報道番組で、「武力攻撃のおそれのある事態」について「日本攻撃の意図を表明していれば、(ミサイルに)燃料を注入した段階だ。これはきわめて(武力攻撃の)着手に近い」と述べた。(19日)
●復帰30周年式典 政府と沖縄県共催の沖縄復帰30周年記念式典が宜野湾市で開かれ小泉首相らが出席した。ベーカー駐日大使はあいさつで「軍隊やその家族を受け入れてくれてありがとう」と述べ怒りを買った。(19日)
●ジュネーブ条約追加議定書締結視野に 川口外相が衆院有事法制特別委員会で、武力紛争時の無差別攻撃の禁止や民間人の保護などを決めたジュネーブ条約の2つの追加議定書について「締結するということで今後進めていく」と述べた。(20日)
●米軍への武器・弾薬提供「検討」 中谷防衛庁長官が衆院有事法制特別委員会で、「武力攻撃のおそれがある段階」「武力攻撃が予測される段階」で、米軍支援に武器・弾薬の提供を含めるかどうかについて「相手側のニーズがあるので(米側との)協議を通じて検討していく」と述べた。(20日)
●復帰前、米が名護に基地構想 米軍普天間飛行場の移設予定地となっている沖縄県名護市東岸で、復帰前、米国が大規模な海兵隊飛行場などの建設を構想し、96年に普天間移設を日米で協議した際、日本側に非公式に同様の案を示していたことが分かった。(20日)
●米原潜28隻の寄港、非公開 「テロの標的になる」との理由で、米原潜が日本国内に寄港する際の事前通告が公表中止になって半年余りが過ぎ、関係自治体によると、横須賀10隻、佐世保10隻、沖縄8隻の延べ28隻分の事前通告が伏せられた。(20日)
●与党単独で公聴会議決 衆院有事法制特別委で、有事3法案についての中央公聴会を27、28日に、地方公聴会を24日に石川、熊本両県で、27日に横須賀市で開くことを与党3党単独で議決した。(21日)

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週刊『前進』(2055号5面1)

 インタビュー 反対! 有事立法 −私はこう考える− B

 自治体労働者(港湾) 皆川俊夫さん(仮名)に聞く

 反対の一点で大人民闘争を

 港湾めぐる攻防が焦点化 陸海空港湾陣形を全国に

 戦前は国管理で戦争の拠点

――有事立法で地方自治体の戦争協力が義務化され、特に港湾がクローズアップされています。
 戦前の港湾は国家の管理下にあり、侵略戦争の拠点でした。そうした反省から戦後は憲法と港湾法などによって、港湾管理権が法的には自治体に移りました。
 しかし実際は、その港湾管理権をめぐって、国と自治体との攻防が続いてきました。そしてそれが今、大きな焦点になってきています。国から見ると港湾というのは国境なんです。特に数年前からは入国管理をちゃんとやれと「水際作戦」なるものが行われている。入国管理局や海上保安庁、警察と一体で自治体が入国管理をやらされるという状況があります。気をつけないと私たち自治体労働者も国の手先になって密告者になりかねない。昨年の9・11以降、国から「密航防止対策」として「警備状況」の報告を求められました。港湾の問題でも、排外主義の攻撃と闘わなければやっていけない。
――戦争になれば海員や港湾労働者が真っ先に徴用されますね。
 朝鮮戦争の時も港湾労働者が朝鮮半島まで連れて行かれて、港湾労働に従事して死んだ人もいます。イラン・イラク戦争では日本人船員は2人の死者を出しています。戦後、港湾関連には多くの朝鮮人が従事していましたが、朝鮮戦争の時にはその在日朝鮮人が決起し、それが港湾労働者の決起につながることもあったと聞いています。業務拒否やサボタージュという抵抗闘争があったそうです。昔から港をめぐる闘いは戦闘的に行われてきたのです。

 力関係の突破狙う有事立法

――港湾という点で、有事立法は何を狙っているのでしょうか?
 地方自治法に「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として」とあるように、住民や滞在者の安全や健康、福祉を保持するのが地方自治法の意義です。もうひとつは港湾法。港湾は港湾法によって自治体が管理し、物流の拠点として地域経済のためにあることになっています。
 だから99年の周辺事態法といえども、これらの法律を超えるものではなかった。周辺事態法は、協力を「お願い」するというものでした。各自治体の質問に対して政府が策定した「周辺事態法9条の解説」でもそう言っています。周辺事態法で港湾や空港を国の下に置こうとしたが、結局は「地方自治」は超えられないと国も認めざるをえなかったのです。
 昨年2月、米海軍のブルーリッジが苫小牧に寄港した時には、反対運動が起こって結局、水深の問題もあって接岸を断念したケースなど、周辺事態法ができても、簡単には米軍の思い通りにはならないのです。
 核を搭載してないという証明がないと入港させない「神戸方式」から始まった「非核平和条例」制定運動も小樽、札幌、苫小牧、室蘭、横須賀、和歌山、高知県、沖縄県、石垣市など全国に波及して大きな抵抗運動となってきました。労働組合や市民運動がしっかりしていれば、自治体も、国の言いなりにはならずに抵抗できるのです。
 私の職場でも演習で使う弾薬の荷役を拒否したこともあります。危険物規定をクリアーしたから認めろと言ってきた。組合員が自主的にそれを拒否したのです。そういう現状を突破するものとして有事立法が出てきていると思います。
 港湾運送事業法などの法律も罰則があり、民間の業者には厳しい状況がある。米軍や自衛隊は、軍事物資の輸送を自分が直接やるだけでなく、それを民間業者に輸送させる。そうすると民間業者と自治体の港湾管理者との関係になるわけです。軍事物資の荷役や輸送を拒否するには、そこにどう踏み込むのかが問題になる。米軍や自衛隊と民間業者との関係もあるから難しくなる。有事立法ができるとますます拒否できなくなるのです。
 だから港湾や海上で働く労働者はものすごい危機感を持っています。

 戦争協力拒否で首相と対決

――有事3法案には地方自治体に対する首相の指示権や代執行権が出ています。
 私たちは地方自治体の首長の下で仕事をしているわけです。例えば首長が戦争協力を拒否して、首相が直接指示するといっても、仕事をするのは、私たち自治体労働者です。首相が現場に来て仕事をするわけではないから、そういう意味では、私たちの立場は重要なポイントです。自治体労働者が首相と対決することになる。現場の労働組合が力をつけないといけない。
 有事立法でいう港湾の軍事使用のイメージは、毎年9月の防災訓練がオーバーラップします。防災訓練は戦争や有事立法の訓練であることが明らかになったと思う。自衛隊の指揮に自治体の担当者や住民が従う。あれが本当の戦争になっていくのです。自衛隊の出動した防災訓練に対して業務命令を拒否して闘った経験は重要だと思います。
 また地方分権一括法の中でも港湾法があげられています。そこで法の文言を書き換えて、国の関与を強めた。中央省庁改革や公務員制度改革も有事立法の流れの中にあることをはっきりさせる必要があります。
――港湾以外にも自治体にはいろいろありますが。
 例えば海岸法の適用除外も自衛隊法の改悪案の中に入っています。海岸には海岸保全区域という看板が立っています。これは海岸法に基づいて立ててある。その看板が立っている所は港湾管理者の許可が必要です。それを適用除外で自衛隊が勝手に陣地を構築してよいと言っているのです。自衛隊法改悪案には、20くらいの法律の適用除外があります。道路にしろ医療にしろ、自治体の管理や事業がほとんどです。港湾だけでなく医療、土木、公園。公園に自衛隊の宿舎を建設するなんて公園法の趣旨からも許されない。一つひとつの法律のどれをとっても大変な問題がある。自治体全体が最大の当事者です。
――有事立法に対する職場の様子はどうですか。
 有事立法に対する危機感が出てきて、署名もやろうという雰囲気が出てきました。私の単組でも支部レベルで百万人署名運動が進んでいます。今まで全然署名をやってないところもドンドン署名が広がる雰囲気があります。私の職場でも毎週、有事立法反対のビラをまき始めました。

 20労組陣形は法案阻止の環

――陸・海・空・港湾労組が先頭で有事立法反対を闘っています。
 首都圏の陸・海・空・港湾労組20団体や関西の陸海空交通運輸関係14労組が有事立法反対の先頭で頑張っています。港湾や空港を管理している自治体の労働組合もどんどん参加すべきです。陸・海・空・港湾労組の陣形は有事立法を粉砕する大きな拠点です。
 全国には千を超える港があり、それぞれ国、自治体、船員、港湾運送、検数、気象、通信などに従事する労働者がいる。各県・各地域で陣形をつくっていくべきだと思います。ここは有事立法の中でいう戦争遂行の拠点であり影響も大きい。同時に、労働組合が決起していく環にもなります。だから20労組陣形の発展と横への広がり、そして全国化が大きな課題です。上部団体や政治的立場を超えて、有事立法反対の一点で、大きな人民的な闘いを全国的な規模でつくり出す。このことが、労働運動の再生にもつながると思います。有事立法阻止へ頑張りましょう。
 (聞き手・水野慶太)

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週刊『前進』(2055号5面2)

 泉佐野市議選 国賀市議が5選勝利

 住民の決起が勝利の力に 「有事法反対」の訴え貫く

 5月19日、大阪・泉佐野市議選(定数23人、立候補者33人)が行われ、国賀祥司(こくがよしじ)候補は、堂々の5選勝利をかちとった。
 19日夜、国賀選挙事務所に50人を超える住民がつめかけた。午後11時半、当確の一報が入った。1482票、18位。堂々の勝利である。「やった!」、勝利の大歓声があがった。ただちに祝勝会が始まった。
 司会を宣伝カーと集票の先頭に立った女性の住民が行い、「国賀祥司と語ろう会」会長のあいさつの後、国賀議員が大きな拍手を受けてマイクをとった。国賀議員は「今回の勝利こそ、自分と住民のみなさんが本当に一緒になってかちとった勝利です」と、数々の感動的エピソードを紹介しながら、国賀陣営の支持者大衆自身の力でもぎりとった画期的勝利であることを確信を込めて明らかにした。そして「戦争反対、軍事空港反対。平和こそ命と暮らしを守る基本。この立場でみなさんが全力で立ち上がり、1482票の支持をかちとった。この選挙戦で闘ったようにみんなが声を上げ、みんなが行動を起こし、そして政治を変えていこう。特に、さし迫った有事法制を阻止する闘いに立ち上がろう」と熱烈に呼びかけた。
 泉州住民の会代表の森田恒一さん、淡路町空港反対同盟事務局長の安藤眞一さん、全日建運輸連帯労組関生支部葵分会のあいさつに続いて、選挙事務所開設以降、事務所運営と宣伝活動を一手に引き受けて頑張り抜いた女性たちが全員ならび、全員がマイクをとって、国賀議員の勝利を自らの闘いでかちとった自信と喜びあふれるあいさつを行った。
 最後に、語ろう会の2人の副会長が、かつてない激しい乱戦を、議員と支持者が一丸となって勝ちぬいた勝利の総括を述べた。
 小泉人気が崩壊し、政治腐敗が際限なく暴露され、人民大衆の政治不信が頂点に達する中で闘われた今回の泉佐野市議選は、保守、公明、日共、国賀陣営、すべてが組織力と組織力をぶつけ合う激烈な闘いとなった。その集中的な現れが、泉佐野選管始まって以来という、5784人もの膨大な不在者投票の数である。しかも23議席を33人が争うというすさまじい激戦の中で、組織の力を持ったものだけが勝ち残るという闘いだったのだ。そして国賀陣営の支持者大衆は、票の食い合い、つぶし合いという激しい分捕り合戦に勝ちぬき、日共1人を含む現職3人を引きずり落として、文字どおり力ずくで勝利をもぎりとった。革命的議員と深々と結合した人民大衆の底力が全面的に発揮されたのだ。
 選挙戦の全過程をとおして、国賀陣営は「パレスチナ人民連帯、有事立法反対」を真っ向から訴えて闘い抜いた。この5月、かちとられた泉佐野市議選の勝利は、有事立法粉砕の全人民決起の号砲である。5―6月国会闘争へ、全力で決起しよう。

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週刊『前進』(2055号5面3)

 港湾

 アフガン戦争荷役を拒否

 「港を再び軍港にするな」

 港湾においては、すでに戦争協力を拒否する闘いが開始されている。
 「昨年10月にはテロ対策特別措置法が成立し、(インド洋派遣の)基本計画が閣議決定したのは11月16日、海上自衛艦が出港したのは11月25日でしたが、実は先遣隊が11月9日に佐世保港を出港しています。企業側に弾薬荷役の要請があったのは11月1日でした。全港湾としてはインド洋に向かうことが明らかであったので作業を拒否しました」。(全港湾ホットニュース33号より)
 全国港湾労働組合協議会(=全国港湾。72年に発足。全港湾を始め港湾関係7組合の協議会)は、陸・海・空・港湾労組20団体の中心部隊として闘いぬいている。今年2月15日には、全国港湾と全日本海員組合が「有事法制に反対する海員・全国港湾共同声明」を発し、次のように訴えた。「私たちは、戦争の悲劇を繰り返した20世紀から『平和な21世紀』へ、そして平和な海と平和な港の実現を強く希求します。そのために、真っ先に戦時動員の対象とされる陸・海・空・港湾の交通運輸労働者はじめ、広範な有事法制反対の声を結集して運動することを決意し、ここに共同してアピールします」

 港湾労働者の戦争動員の歴史

 第二次大戦中、港湾労働者は海員とともに戦時徴用され、数知れない死者を出した。日本国内の港にとどまらず、侵略した地域における陸揚げ作業にも動員されたため、海員とともに陸・海軍の徴用船に乗せられて、次々に船が空爆・撃沈されて、死んでいったのだ。しかしその記録はほとんど残っていない。港は長い間、暴力団・暴力手配師に支配され、そのもとで港湾荷役が行われていたためである。
 日帝の敗戦後、港湾労働者は、1946年7月、全日本港湾労働組合同盟(のちの全港湾)を結成した。それは何よりも、侵略戦争への反省から、「港を再び軍港にするな」という港湾労働者の決意の結晶であった。全港湾の綱領の第一項には「我等は万国の労働者と提携し、世界の進運に寄与し、以て国際平和の確立を期す」とある。
 しかしそれから4年後の1950年、アメリカ帝国主義は朝鮮侵略戦争に突入した。GHQの支配下で、港湾労働者はまたしても、日本の港で軍需物資などの荷役への動員だけでなく、朝鮮半島にまで動員され、軍需物資を荷下ろしする作業を担わされたのである。
 朝鮮戦争への港湾労働者の動員も、どれほどの規模であったのかは明らかではない。横浜港の港湾労働者だけで数千人という規模で朝鮮半島に連れて行かれて荷役作業に就かされたという記録もある。また「朝鮮作戦向け兵器弾薬など軍需品その他積載、輸送、警備、付帯業務等の兵站(へいたん)補給作業に従事したものも相当数にのぼったと推定される」、その中で「特殊港湾荷役者=業務上死亡1名、業務上疾病79名、その他21名(うち死亡者3名を含む)。計101名」(『占領軍調達史』)という記録もある。
 この中で全港湾は、朝鮮侵略戦争に反対し、軍需物資の荷役拒否を闘った。

 朝鮮・ベトナム侵略に反対闘争

 朝鮮戦争のただ中の51年、大阪の久保重分会(はしけ)は、幹部の不当解雇反対100日間ストを、朝鮮戦争反対を掲げて闘った。53年春闘では、関門支部がMP(アメリカ陸軍の憲兵)に銃口を突きつけられながらも、朝鮮向け軍事物資の荷役を拒否した。
 これらの闘いは、同時に暴力手配師による港湾支配との実力対決でもあった。56年には神戸港で港湾労働者が暴力手配師に撲殺された。67年には大阪支部関光汽船分会の脇田分会長が、ピケ中に暴力団に刺殺された。こうした死闘を闘いぬきつつ、戦後一貫して、港の軍事基地化や自衛艦・米艦の入港阻止闘争、弾薬庫設置反対闘争などを各港で展開してきたのである。
 58年8月には、米軍の地対空ミサイル「エリコン」(核弾頭装備も可能)の横浜港への陸揚げに対して、阻止闘争を1週間にわたって展開し、結局エリコンは海上自衛隊横須賀基地に陸揚げせざるをえないという状況に追い込んだ。
 65年の米帝の北ベトナム爆撃開始に対しても、南ベトナム向けの軍需物資の荷役拒否の方針を確立。65年、七尾(石川)・伏木(富山)の両支部がベトナム向け軍需用木材積み出しを荷役拒否した。68年5月と10月には、関門支部が米軍のチャーター船からの弾薬荷役を拒否して闘った。

 「団結は海を越えて」の旗掲げ

 港湾労働者は、海員労働者と並んで、その仕事の性格ゆえに、国際連帯の意識は非常に強い。
 1959年5月には、東京で第1回全太平洋アジア港湾労働者国際会議が開催され、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、インド、中国など9カ国の労組が参加した。61年の第2回大会では「団結は海を越えて」というスローガンが掲げられた。
 港湾における国際連帯闘争とは、きわめて具体的なものだ。世界各地、どれほど離れていても、同じ港に働いていれば、他国の港湾労働者の合理化・労働条件の改悪が、自分たちの合理化に直結するからである。
 60年代には、国際的に見ても劣悪だった日本の港湾労働者の労働条件に抗議して、アジア・太平洋の港湾労働者がストライキを含む連帯行動を展開し、国際的な支援も受けて日本の港湾労働者も決起して、港湾労働法の前身を実現した。
 マルコス政権下のフィリピンの海員労働者は、自国でストをやると弾圧が厳しいため、横浜や神戸の港で停船ストライキに決起した。フィリピンの労働者が民営化に反対して神戸港で40日間にも及ぶ停船ストライキに決起した時に、40人近い船員に日本の港湾労働者が食料カンパなどを行い、支援・激励してともに闘ったこともある。
 日本の港湾労働者がストライキを闘っている時にスト破りの日雇い労働者を組織して出港を強行した場合、船がサンフランシスコに行くのであれば、アメリカの港湾労組に連絡を入れ、サンフランシスコの港で荷役が拒否される。また逆に、他国の港湾労働者がストライキに決起した時には、スト破り船が日本に入港しようとした場合、日本の港湾労働者が荷役作業をボイコットする。このように、港湾における連帯行動は他の組合に見られないほど具体的だ。まさに「団結は海を越えて」である。
 いざ戦争となれば、港湾労働者は、これまでともに闘ってきたアジアの労働者に対する侵略戦争の直接の加害者とされるのだ。「港を再び軍港にするな」という決意をともに、進もう。
 (本紙 上原祐希)

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週刊『前進』(2055号5面4)

 5・20 関西で画期的共闘

 交運14労組軸に6千人

 5月20日、大阪市北区扇町公園で陸海空交通運輸関係14労組の呼びかけで、有事法制反対5・20関西集会が開催され、5600人が結集した。これは、有事立法決戦が始まって以来、関西における最大の反戦闘争への結集となった。今国会での有事立法成立攻撃を打ち破る決定的な成功だ。
 この日、扇町公園には、陸海空の産別を超えた交通運輸労働者が演壇正面に結集し、全労連傘下の労働者が右側に、連合系・全労協系・中立の労働組合やその他の諸団体が左側に広がって、ナショナル・センターの枠を超えた労働者が「有事立法反対」の一点で大同団結した。これは連合結成以来、初めてと言える光景だ。中立組合の全港湾が、組織としてはけっして大きくないにもかかわらず、単産としては最大の動員を出すなど、集会実行委の中で終始重要な役割を果たした。その実現を支えた根本的な力は、闘いを求める現場組合員の熱意であった。
 14組合を始めとした各労組が、路線上の違いや歴史的諸事情を超えて結集し、呼びかけ組合にも賛同団体にも入っていない自治労大阪市職・市従や日教組系の単組からも組織参加がかちとられた。
 関西反戦共同行動委員会と関西労組交流センターの隊列はその最左翼の位置に陣取り、ともにこの日の闘いを貫いた。
 午後6時半、全日建運輸連帯関西地区生コン支部青年部の太鼓演技が始まり、集会が開会された。集会実行委員会を代表して全港湾関西地本の佐野委員長があいさつし、今国会での有事法制の成立を絶対阻止するアピールを発した。
 呼びかけ団体の運輸労連、海員組合、航空連の労働者が発言し、「交通運輸労働者が戦争に動員されようとしていることに絶対に反対だ」「かつての戦争で商船の乗組員など膨大な犠牲を強制された歴史をくり返してはならない」と熱烈に訴えた。さらに、医労連の看護労働者と宗教者が決意を述べた。東西本願寺の僧侶を結集して自然・平和を守る活動をしてきたという山本さんは、「殺すな、殺されるな、殺させるな」と呼びかけた。
 「有事法制三法案を廃案に」と訴える集会決議が採択された。国労西日本本部の代表が、JRの全労働者を代表する立場で閉会のあいさつ。最後に、全日建運輸連帯近畿地本の奥薗さんが団結ガンバローの音頭を取り、大阪駅方向へ2コースに分かれてデモに出た。
 集会を呼びかけた14労組は、首都圏での陸・海・空・港湾労組20団体の呼びかけ陣形にも触発され、中立系単産である全港湾が発起人となって結集し、2月から集会の準備を開始した。関西労組交流センターや関西合同労組なども実行委に積極的に参加し、闘いをともに担った。

 「一日共闘」超えさらなる闘いへ

 集会実行委は、この陣形を成立させるための討議の中で、「一日共闘」として組織を後に残さないことを確認しているが、有事立法との闘いが5月で終わるはずがないことは誰もが承知している。この集会の成功で、さらなる闘いを求める労働者の声がより大きくなることは間違いない。この日の共闘の成功は、新たな闘いの出発点を築くものとなった。

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週刊『前進』(2055号6面1)

 人権擁護法案を廃案に

 差別糾弾闘争を解体し 言論弾圧体制狙う悪法

 有事立法とともに今国会で重大な争点となっている法案に人権擁護法案がある。これは有事立法の一環としての言論弾圧法であり、同時に日帝による差別糾弾闘争解体法案である。断固、粉砕しよう。

 有事立法と一体で報道と言論を禁圧

 この法案は42条の四項で「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関又は報道機関の報道若しくはその取材の業務に従事する者がする次に掲げる人権侵害」について「特別救済」の対象にすると定めている。
 すなわち、犯罪行為の被害者、犯罪行為を行った少年などについて「その者の私生活に関する事実をみだりに報道し、その名誉又は生活の平穏を著しく害すること」、あるいは「取材を拒んでいるにもかかわらず、(つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、見張りをし、押し掛け、電話をかけることなどを)継続的に又は反復して行い、その者の生活の平穏を著しく害すること」について、これを「人権侵害」と見なして、「特別救済」の対象とし、「調査し、出頭を求め、質問し、立ち入り検査し、差し止める」ことができるようにしているのである。
 マスコミはこの点をとらえて「巨悪スキャンダル防止法」と批判しているが、まさにそうである。次々と明らかになる国会議員の醜聞を始めとして、官僚、裁判所、検察、警察、自衛隊、大企業をめぐる汚職、腐敗の数々は、日帝が中枢からボロボロ化し、統治能力を完全に喪失していることを示している。小泉政権に対する労働者階級人民の怒りは爆発寸前だ。同時に提出されている個人情報保護法案とは、こうした権力・支配階級にかかわるスキャンダルや政治、軍事・治安に関する一切の情報を「個人情報」として「保護」=隠ぺいするものである。日帝は人権擁護法案と個人情報保護法案をもって、全社会的に言論を統制しようとしているのである。
 はっきりさせるべきことは人権擁護法案の「その他の報道機関」という規定で『前進』などへの弾圧を狙っていること、さらに個人情報保護法案では゛個人情報を扱うすべての国民″を規制の対象にしていることである。マスコミはもちろん、闘う人民や革命党の宣伝扇動活動をも禁圧し、さらに人民一人ひとりをも縛りつけて、戦前のようにもの言えぬ暗黒社会をつくりだそうとする有事立法攻撃そのものである。

 糾弾闘争の解体へ解同本部派と合作

 この人権擁護法案のいまひとつの核心は部落解放運動に対する差別糾弾闘争解体法だという点にある。
 日帝はこれまで、狭山を階級決戦的基軸にしつつ、86年の地対協意見具申と89年法務省見解をもって差別糾弾闘争の全面的解体に踏み込んできた。そして、ついに日帝は、97年の54回大会をもって本部派を綱領改正に追い込んで階級的転向の分水嶺(れい)を越えさせた。本部派は、2001年には「プロジェクト報告路線」を打ち出し、日帝の差別糾弾闘争解体路線の先兵となってきた。人権擁護法案は、この本部派の「プロジェクト報告路線」と対をなす日帝自身の差別糾弾闘争解体路線である。
 本部派はプロジェクト報告の「差別糾弾闘争強化基本方針」の中で「多様な差別糾弾闘争を」と題して次のように言っている。
 「人権救済機関が存在するのか否か、差別禁止法が制定されるのか否か、またそれらの内容がどのようなものかによって、部落差別事件に対する取り組みの形態も変化する。これは差別糾弾闘争を放棄するものでも、変質させるものでもない」
 「以上述べた諸事情を勘案し、確認会や糾弾会を設定しない形態も存在する。それらの形態も差別糾弾闘争であることはいうまでもない」
 「語るに落ちる」とはこのことである。本部派は日帝が救済機関をつくってくれたら、差別糾弾闘争をやめます、とここではっきりと宣言したのである。本部派はすでにこの時点で何らかの救済機関をつくることで法務省と合意しており、それを前提にして、このプロジェクト報告路線を打ち出したのだ。この人権擁護法案はそこでの合意に基づく日帝主導による本部派との醜悪な合作にほかならないのである。
 本部派はこの人権擁護法案の先兵となることによって、部落解放運動の魂である差別糾弾闘争を最後的に日帝に売り渡し、綱領改正に続いて実践的運動的にも帝国主義の側に完全に転向=階級移行したと言わなければならない。

 人権委員会は権力そのもの

 この法案が日帝の差別糾弾闘争解体路線であることを示す第一の問題は、「救済機関」たる人権委員会が日帝の権力機関そのものだという点にある。
 人権委員会は国家行政組織法に基づく組織として法務省の外局に位置づけられ、委員長を始めとする委員は両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することになっている。
 日帝はこの5人の人権委員で構成される人権委員会に権限を集中し、そこを頂点にして、全国に地方事務局を置き、その統括のもとに各市町村ごとに全国で2万人の人権擁護委員を配置し、中央集権的に日帝の差別糾弾闘争解体の意志を貫こうとしているのだ。
 本部派は、この法案の中では、人権委員会に相談があった場合に「紹介する公私の団体」のひとつとされている。本部派は権力の下請け機関となり、権力の意向に沿って、「事件解決」=差別糾弾闘争圧殺の役割を果たすものと位置づけられているのである。
 第二の問題は、部落差別を始めとする差別についての「定義」が何もなく、したがって、何が差別なのかは人権委員会が判断するという構造になっていることである。逆にいえば人権委員会の「判断」「決定」以外に差別を「認めない」ということである。
 これは差別糾弾闘争の主体であり、自己解放の主体である部落民と部落解放運動の存在と闘い(さらには在日を始めとした被抑圧民族、女性、「障害者」の存在と闘いも含めて)そのものを抹殺するものであり、日帝が差別問題にかかわる全社会的ヘゲモニーを握り、統制し、従属させ、それらすべてを融和主義的に解体しようとするものである。
 このような意味でこの法案は、部落解放闘争のみならず日帝のもとで抑圧され、差別されているすべての被差別・被抑圧人民の闘いを圧殺し、帝国主義的翼賛勢力として取りこんでいくテコであり、戦時体制の確立攻撃の一環である。

 差別事件に対する国家権力の介入

 第三の問題は、「第四章の人権救済手続」として打ち出された「救済措置、救済手続、差し止め措置等」はいずれも国家権力による差別事件と差別糾弾闘争に対する介入そのものであり、差別事件の差別糾弾闘争への発展、部落大衆(−すべての被抑圧・被差別人民)の総決起をあらゆる契機をとらえて、圧殺しようとするものである。
 「救済」の手続きと内容は「相談」に始まって「調査、調査の嘱託、助言、法律扶助のあっせん、公私の団体への紹介、説示、啓発、調整、告発」のいずれも国家権力・行政権力を差別事件に介入させるものである。「一般救済手続」を定めた441条の五では「犯罪に該当すると思料される人権侵害について告発すること」と規定されており、この「救済措置」が警察権力と一体となった告訴・告発路線を基軸としていることは明白である。
 また「特別救済手続」として定められた「出頭、質問、文書の提出、立入検査、調停及び仲裁、職権調停、勧告、訴訟援助−訴訟参加、差別助長行為等の差止め等で定められた勧告、差止請求訴訟」も同様であり、いずれも差別糾弾闘争に権力が介入し、つぶすための措置として網羅されている。
 このように「救済措置」のすべてが権力によって行われること、差別糾弾闘争に権力が「強制的措置」をもって介入し、それを否定し、圧殺するという点にこそ最大の「特徴」があるのだ。
 すなわち、この法案はこうした権力の介入を、当事者との「相談」に始まって「助言、紹介、勧告、仲裁・調停」から「告発、訴訟参加」にいたるまで重層的に体系化し、さらに職権による介入の規定(職権調査、職権調停)を織り込み、差別糾弾闘争として闘う一切の契機を奪い取るものとして構想されているのである。
 例えば「訴訟援助」の規定では「人権委員会が保有する当該特別人権侵害に関する資料の閲覧又は謄本若しくは抄本の交付の申出があるときは……閲覧させ■■ることができる」とされている。これは差別事件にかかわる全資料を人権委員会が独占管理するということを前提にしている。「調査」とか「立入検査」とはまさにこうした資料の独占=隠ぺいのためであることは明白だ。
 さらに、「人権委員会は人権侵害による被害の救済又は予防を図る」「被害を受けるおそれのある者及びその関係者に対して……措置を講ずることができる」と定めている。これは差別糾弾闘争が爆発する前に権力が予防的に介入できるようにするものであり、差別者を差別糾弾闘争から「守り」、あるいは差別糾弾闘争への大衆決起を事前に圧殺・封殺しようとするものである。
 第四の問題は、差別犯罪者の人権擁護を打ち出していることである。
 第五の問題は、内閣、警察、検察、裁判所、刑務所、入管を始めとする権力と権力機構の差別犯罪については「人権救済」に名を借りて、人権委員会という権力自身の手によって隠ぺいし、抹殺することがそもそもの前提になっていることである。
 人権擁護法案、個人情報保護法案は、今日の有事立法−改憲攻撃の流れの中に完全に位置づけられ、差別糾弾闘争の解体・圧殺を核心として全社会的な言論弾圧体制をつくりだすものとしてたくらまれている。有事立法とともに成立阻止、廃案へ闘おう。

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週刊『前進』(2055号6面2)

 夏期一時金カンパの訴え

 戦後最大の決戦闘う革共同に正義の力を

 革命的共産主義者同盟

 全国のすべての同志、支持者、『前進』読者、青年労働者の皆さん。
 戦後最大の階級決戦、有事立法・改憲決戦の真っただ中で、今次夏期一時金カンパ闘争への圧倒的なご協力を心より訴えます。今こそすべての力を私たち革共同に結集してください。日本労働者階級人民の階級的魂をこめて日本帝国主義・小泉政権を打ち倒そう。二度と再び日帝の朝鮮・中国−アジアへの残虐な侵略戦争を許してはなりません。
 この5−7月の有事立法・改憲阻止決戦の爆発に、すべてがかかっています。革共同は、この最大の歴史的決戦の到来に、あらゆる反動と反革命を踏みしだき、すべての力を投じて闘います。ついに再び凶暴な侵略帝国主義としての本質をあらわにした日本帝国主義の朝鮮・中国−アジア侵略戦争を阻止するために、力を合わせて闘い抜きましょう。今次夏期一時金カンパ闘争の大勝利が必要です。今こそ正義を力ある正義へと打ち固めるために、心からのカンパをぜひともお願いします。

 有事立法阻止を

 第一に、私たち革共同が訴えたいことは、朝鮮・中国への軍事侵略と国家総動員を狙う有事立法を絶対に阻止しなければならないということです。そのために皆さんの決意を込めた圧倒的な夏期一時金カンパが絶対に必要なのです。
 5月7日から衆議院有事法制特別委員会で審議が開始された有事立法3法案を見てください。米日帝が朝鮮・中国侵略戦争に突入するための戦争体制、国家総動員体制をつくりあげる攻撃にほかなりません。3法案が国会を通れば、憲法9条は死刑を宣告され、もはやないも同然となります。
 しかもこの重大情勢を前にして、国会審議の反動性、茶番、ペテン性は本当に許しがたいものがあります。民主、自由、日共などの野党の追及も「日本が外から武力攻撃されたらどうするか」「生命、財産、家族の安全をどう守るか」といった日帝・小泉の土俵にのった論議でしかありせん。事態はまったく逆です。日帝・小泉政権が米帝・ブッシュ政権の北朝鮮・中国に対する侵略戦争に共同的=競合的に参戦し、日帝自身が主体的に北朝鮮や中国、アジア・イスラム諸国に対して武力を行使し、侵略戦争をやろうということです。
 すでに米帝・ブッシュ政権は9・11反米ゲリラ戦で決定的な危機を深め、「テロ根絶」を絶叫し、10・7アフガニスタン侵略戦争開始をもって世界戦争路線に完全に踏み切っています。さらにイラク侵略戦争を発動しようとしています。北朝鮮と中国への侵略戦争が完全に切迫しています。
 今こそ立つ時です。日本とアジア、全世界の闘うプロレタリアート、被抑圧民族人民の未来をかけた歴史的決戦に立つ時です。そのためにも歴史をかけた決断、人生の選択をかけた決断にふさわしい熱烈で圧倒的な一時金カンパの集中を心より要請するものです。

 労働者党の建設

 第二に、私たち革共同が訴えたいことは、今ほど社・共に代わる労働者党の圧倒的な登場・建設が求められている時はないということです。この歴史的大事業の成否の中に、日本と世界の被抑圧民族人民とプロレタリアート人民の未来がかかっているのです。
 この歴史的情勢の到来に心躍らせ、今こそすべての皆さん、とりわけ青年労働者の皆さんが、私たち革共同とともに断固として進むことを熱烈に呼びかけます。革共同の労働者党としての強固な建設と発展のためには、日帝・国家権力の弾圧を打ち破り、破防法攻撃をも打ち返す圧倒的な党中央―労働者細胞建設をさらにさらに強力に推進することが不可欠です。
 そのために若い青年労働者の皆さんが、わが革共同に結集することを心から訴えたい。歴史の未来をともに断固つかみとる時です。
 私たち革共同は、2001年前半期に第6回全国大会を開催しました。権力の弾圧態勢から大会を完全に防衛し、圧倒的な大成功をかちとり、21世紀の早い段階で反帝国主義・反スターリン主義世界革命−日本革命を達成することを真正面から宣言しました。
 「21世紀は、20世紀が解決するべくして解決しえなかった世界史的大課題、すなわち帝国主義とその支配体系の全面的打倒・転覆を反帝国主義・反スターリン主義のプロレタリア世界革命の達成として早急になしとげ、共産主義社会への全人類史的移行を必ず実現するべき世紀として到来した」(第6回大会第2報告)
 この決意を共同の決意とする、熱意に満ちたカンパの集中を心より要請するものです。

 国鉄決戦勝利へ

 第三に、私たち革共同が訴えたいことは、今こそ国鉄決戦を戦略的推進軸に、階級的労働運動の防衛と再生の闘いの飛躍を闘いとろうということです。
 その圧倒的な準備と戦略配置のために、今こそ、今次夏期一時金カンパが絶対不可欠であることを、真正面から訴えます。
 02春闘は、日帝・資本家階級のかつてない賃下げ・首切り攻撃の吹き荒れる中で、革共同にとっては21世紀革命を実現するための真の労働者党への飛躍をかけた歴史的関門としてありました。そして連合・全労連など既成労働運動指導部の度し難い総屈服情勢のもとで、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、動労千葉の3組合が呼びかけた春闘総行動と動労千葉・動労総連合のストライキの意義は、はかりしれないものがありました。動労千葉・総連合のストライキ闘争と3・30春闘総行動−新宿デモは、帝国主義との実力対決を貫く最高の階級的団結を打ち固める場でした。闘うパレスチナ・アフガニスタン・イスラム諸国人民と連帯する国際反戦闘争を日本でも開始し、小泉の有事立法攻撃を粉砕する歴史的突破口を切り開いたのです。
 この「帝国主義を打倒する労働運動」こそ「帝国主義の侵略戦争を国際的内乱へ」のスローガンを実践に移すものであり、レーニンの「3つの義務」の生きた現実的実践として貫くものです。
 この闘いをさらに進め、何よりも国労の階級的再生をかけた国鉄決戦の大前進を闘いとること、裏切り執行部打倒の闘いの歴史的大勝利を何がなんでも闘いとるために今次夏期一時金カンパの巨大な集中を心より呼びかけます。

 獄中同志奪還を

 第四に、私たち革共同が訴えたいことは、すでに熱烈に訴えられているとおり、「爆取デッチあげ弾圧4被告の保釈署名と1億円カンパの協力」の圧倒的推進を、この夏期一時金カンパ闘争と一体不可分のものとして推進し、ともにその勝利をなんとしても闘いとろうということです。
 ここにさらに多くの人民的力を集中し、戦前・戦中の治安維持法下の予防拘禁の事実上の復活であり人権じゅうりんそのものである超長期未決勾留の権力犯罪を根底から打ち砕かなければなりません。それはまた、戦争体制づくりを推し進め、有事立法やメデイア規制法案の成立を今国会で強行しようとする小泉政権の治安政策と対決するものです。
 無実なのに15年も未決勾留されている4人の被告の1億円保釈金カンパ闘争を必ず達成し、早期保釈奪還を絶対闘いとろう。
 これらすべての成否が今次夏期一時金カンパにかかっています。すべての皆さんの総力決起を心からお願いするものです。

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週刊『前進』(2055号6面3)

 有事法案阻止へ決起

 デモの途中でスポット演説

 ●広島反戦共同行動委

 5月19日、広島反戦共同行動委員会は有事立法阻止を訴え、広島市内でのデモ街宣に立った。(写真上)
 原爆ドーム前に集まった労働者や学生は、本通り−金座街へデモに出た。アーケードの随所でスポット演説を行いビラをまき「今こそ、再び戦争を繰り返すなの決意を有事立法の成立を狙う小泉政権にたたきつけよう」と訴えた。熱気ある訴えに、街頭から反応がビンビンと伝わってくる。50代の男性が「頑張れよ」と声をかけこぶしをつきあげた。高校生が「『日の丸』『君が代』を押しつけてくるのは、やっぱり日本がまた戦争をやろうとしているからだ」と怒りを表した。
 民衆の中には、戦争への危機感と有事立法への怒りが激しく渦巻いている。この戦争法案を絶対廃案に追い込もう。
 (広島 G)

 キャンパスを50人がデモ

 ●東北大

 東北大の学生は5月14日、有事立法絶対阻止の行動に立ち上がりました。
 昼休みのキャンパス内集会に約50人の学生が集まり「なんとしても有事立法を阻止する」という気運が高まりました。集会の基調提起は、有事立法が朝鮮・中国侵略戦争に突入するための攻撃であり、侵略戦争に加担するのかパレスチナ人民やアジア人民と連帯して侵略戦争を阻止するのか問われていると訴えました。
 続いて東北大学学生自治会が「差別主義、排外主義と対決して有事立法を阻止する闘いへ」と訴え、寮や有志からの発言後、学内デモを行いました。(写真下)
 夕方には仙台市内デモに立ちました。「有事立法を阻止しよう」の訴えに、若者たちがデモの後ろに続き、市民が拍手で迎えました。労働者人民の中に渦巻く有事立法に対する怒りにこたえる形で、有事立法絶対阻止派が登場したことは決定的でした。有事立法阻止の展望を確信しながらデモを貫徹しました。
 全国の労働者・学生と大合流し有事立法を葬り去る決意です。
 (東北大 N)

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週刊『前進』(2055号6面4)

 『前進』拡大の最大のチャンスが到来した

 前進経営局

 首尾一貫した革命の組織者

 戦後階級闘争史上最高の決戦期が到来した。有事立法・国鉄決戦の勝利のためにも、社・共に代わる闘う労働者党の建設のためにも、機関紙『前進』を労働者階級・人民に広めよう。決戦期こそ階級意識の高揚期、変革期である。『前進』拡大にとって最高最大のチャンスの到来である。この機を逃すな。『前進』販売に突撃しよう。
 『前進』は革命の首尾一貫した組織者である。革命的情勢が接近し、労働者人民の闘いが高揚すればするほど、革命党の機関紙と機関紙活動の意義は決定的となる。
 今この時に、『前進』という偉大な革命党の機関紙に権力の攻撃が開始された(3面「声明」)。有事立法攻撃の最初の攻撃が『前進』に向かってまず来たことは、『前進』がどれほど権力に恐れられているかを示している。
 機関紙活動を軸にすえることによって、一斉武装蜂起の観点から組織建設のプランをたて、基幹産業、基幹部門を中心に労働者細胞建設を進めていくことができる。
 革共同第6回全国大会で真っ向から打ち出した党建設の闘いを、機関紙活動を軸として、@職場細胞建設、A職場闘争、B職場拠点の建設の闘いとして推進しよう。1部のバラ売り、1部の定購の獲得が革命をたぐり寄せるのだ。
 02年前期機関紙拡大闘争は、3月の助走を経て4〜5月に拡大のすう勢に入った。6〜8月、この闘いを徹底的に推進しなければならない。機関紙拡大闘争を軸にすえることによって一切が切り開かれるのだ。
 4〜5月の機関紙拡大闘争は、有事立法・パレスチナ反戦闘争の渦中で、学生戦線で大きな成果があがっている。学生戦線は新歓過程で「最初から『前進』で真っ向勝負する」という方針を実践し、多数のばら売りと定購獲得を実現した。それを闘争への決起と党拡大へと結びつける闘いを進めている。
 さらに地区党を中心に、3月全国機関紙担当者会議に基づき、機関紙活動の意識的な取り組みが開始されている。機関紙活動の現状を再把握し、機関紙を軸とした労働者細胞建設−拠点職場建設の闘いを計画し、拠点産別・拠点職場で計画的な拡大闘争が強化された。この過程で機関紙財政闘争も意識的に強力に取り組まれた。
 これらをふまえて、6〜8月は有事立法・国鉄決戦の真っただ中で、機関紙活動を圧倒的に強化しなければならない。

 『前進』武器に闘いの先頭へ

 第一に、『前進』で有事立法闘争を組織しよう。『前進』は有事立法・国鉄決戦の最大の武器である。
 有事立法攻撃は、米・日帝国主義が朝鮮・中国侵略戦争に突入するために、戦争国家体制、国家総動員体制を構築する攻撃である。それは同時に憲法9条に死をもたらすものである。『前進』を武器に、攻撃を暴露し全人民的闘いの先頭に立とう。
 米・日帝国主義の朝鮮・中国侵略戦争に反対し、闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民と連帯して日本帝国主義を打倒しなければならない。『前進』で、この党の見解を真っ向から労働者人民に提起し、国家主義・排外主義・愛国主義を打ち破って大闘争を組織しよう。
 『前進』を武器に、日本共産党との党派闘争に勝利しなければならない。
 日本共産党・政策委員長の筆坂は4月21日、NHKの日曜討論で、「日本に対する攻撃が発生した場合には当然立ち上がる(=戦争に協力する)」と発言した。日本共産党は「武力攻撃があったらどうするのだ」という帝国主義の攻撃に屈服し、「自衛」の名による朝鮮侵略戦争に全面協力することを表明したのである。
 このような日本共産党の敵対を打ち破ることなしに闘いの勝利はない。党派性の鮮明化こそ闘争の前進を切り開くのだ。
 第二に、国鉄労働者と国鉄闘争支援陣形、そしてさらにすべての労働者の中に『前進』を持ち込もう。
 与党3党声明丸のみを策す5・27国労臨大強行に大反撃をたたきつけなくてはならない。与党3党声明は、国家権力が国労解体を行うというむきだしの反革命である。有事立法下で闘う組合の存在、諸権利を一掃する攻撃である。日帝は、労働者の戦争動員を貫くために、階級的団結のかなめをなす国鉄闘争の解体を絶対的課題として襲いかかってきたのだ。
 陸・海・空・港湾労働者を先頭にした有事立法粉砕闘争の高揚の中で、現執行部を打倒して国労を階級的に再生させるなら、戦争・大失業と闘う労働運動の成否を決める決定的な位置を持つことになる。
 『前進』を国鉄労働者と国労支援陣形の中に持ち込み、チャレンジと革同を粉砕して階級的労働運動を前進させよう。

 機関紙・財政・党勢の拡大へ

 『前進』を軸にして労働者職場細胞を建設し、学生細胞の建設を強力に推進しよう。機関紙活動を軸に革命勝利の党を建設していこう。街頭やあらゆる大衆闘争で『前進』を宣伝し販売しよう。この間、全力で意識的に取り組まれている機関紙財政闘争は機関紙活動の死活的な原動力である。
 そして機関紙・誌財政、基本財政の確立の闘いは、党建設の基礎であり、この真剣な取り組みの中から真に革命的な党がつくり出され、党勢倍増の道が切り開かれるのである。
 有事立法・国鉄決戦の終始一貫した旗手として『前進』が人民の前に登場すること、このことをとおして巨大な党を建設しよう。

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