ZENSHIN 2002/05/06(No2052
p10)
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週刊『前進』(2052号7面1)
パレスチナ人民蜂起と連帯を
朝鮮・中国侵略戦争絶対阻止へ 有事立法粉砕・小泉政権打倒を
カクマルの介入と敵対を粉砕せよ
マルクス主義学生同盟中核派
はじめに
パレスチナ人民虐殺を直ちにやめろ! 5―6月決戦の大爆発で「武力行使法」「新自衛隊法」「首相大権法」としての有事立法3法案の成立を絶対に阻止しよう! 5・20(大阪)―5・24と5・26全国総決起闘争への大結集を訴える!
第一に、帝国主義による被抑圧民族人民の大虐殺を絶対に阻止しなければならない。日帝・自衛隊が有事法制をもってついに朝鮮・中国人民、被抑圧民族人民を虐殺する武力行使に踏み切ることを日本の労働者人民は絶対に阻止しなければならない。
今、この瞬間も帝国主義が大虐殺を強行している。米帝は、最新の軍事兵器でアフガニスタン人民を大虐殺し、米帝に後押しされたイスラエル軍が、ジェニンのパレスチナ難民キャンプを襲撃し、破壊し尽くし、1000人以上の大虐殺を凶行した。さらに米帝は、連日イラクを空爆している上に「フセイン政権を転覆する」と公言して、明日にも大々的なイラク侵略戦争に突入しようとしている。
さらに、米帝は北朝鮮に対して核査察問題を口実にして追い詰めながら、大規模な侵略戦争を強行しようとしている。日帝はこの米帝の侵略戦争に、共同的=競合的に参戦しようとしている。断じて許してはならない。
第二に、有事立法3法案を絶対阻止しよう。自国帝国主義=日帝の武力行使=侵略戦争への決定的踏み切りを阻止する闘いに命がけで決起しよう。そして、闘う被抑圧民族人民と連帯して、ともに帝国主義打倒の展望を切り開くのだ。
第三に、10万、20万の労働者の国会包囲デモ、そして陸・海・空・港湾の労働者を先頭に戦争動員を拒否するゼネスト、60年、70年を超える労働者の大闘争を爆発させ、国会審議を止め、法案をなんとしても廃案に追い込もう。
侵略戦争への全面的突入と労働者の戦争動員が切迫する中で反戦闘争の巨大なうねりが始まった。4・19の陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかけた5000人集会は、10万人、20万人の実力決起に向かう巨大なうねりだ。
日本共産党スターリン主義の闘争破壊を打ち破って闘うことが必要だ。日共は、有事立法3法案について、「アメリカの戦争に協力するものだから反対」「日本が攻められる理由がない」などと言って、日帝が帝国主義的利害をかけて主体的に中国・朝鮮侵略戦争に突入するものであることを隠ぺいしている。それは、実は、米帝ブッシュ政権の「対テロ戦争」と称した現実にある侵略戦争にも、さらに新たに発動される侵略戦争にも、真に対決するものではないのだ。日共は、日帝との本格的な激突になることを恐れて闘いの発展を押しとどめようとしているからだ。
日共は昨年10月、参戦3法の一つである海上保安庁法の改悪に賛成し、この海上保安庁による12・22外国船撃沈=15人虐殺という日帝の露骨な武力行使=戦争挑発を何ひとつ弾劾もしていない。日帝自身の積極的・主体的な朝鮮・中国侵略戦争策動を免罪し擁護しているのだ。
このような日共の敵対を粉砕し、3・30春闘総行動によって切り開かれた地平の上に百万人民の大署名運動をもって有事立法決戦への労働組合の組織化に全力を挙げて闘おう。
学生運動の突出した闘いが今ほど求められている時はない。反スターリン主義・革命的共産主義運動が、学生運動として、荒々しく登場することが求められているのだ。一切は反戦共同行動委員会の5・26闘争における学生運動の大隊列の登場とその実力闘争にかかっている。学生が大隊列となって激しく闘うことが開始された反戦闘争のうねりを一挙に大爆発・大発展させることになるのだ。
有事立法3法案粉砕の闘いは、5月決戦の爆発にかかっている。全国で、集会やデモ、クラス決議や大署名運動などの行動で、大学・職場・地域から巨大な有事立法粉砕決戦のうねりをつくり出し、5・24と5・26全国総決起闘争への大結集で有事立法を粉砕しよう!
〔T〕米帝・イスラエルの大虐殺 国際反戦闘争で打ち破れ
パレスチナ人民は、帝国主義の世界支配の全体重をかけた包囲と皆殺し戦争と対峙し、壮絶な全人民蜂起に立ち上がっている。自らの身体をも武器とした自爆戦闘に次々と決起している青年たちの血叫びを見て、聞いて、われわれはどうするのか。この現実を座視していていいのか。われわれ一人ひとりが命をかける決意を打ち固め、パレスチナ連帯闘争の空前の爆発をかちとり、米帝打倒―シオニスト国家イスラエル解体をかちとろう。
ジェニンで1000人以上が虐殺された
ジェニンを始め全パレスチナ自治区で強行された未曽有(みぞう)の大虐殺を断じて許してはならない。パレスチナ人民の不退転の闘いに追いつめられたイスラエル軍は、「テロリストの基盤を破壊する」とパレスチナ人民を大虐殺し、家を破壊し、奪い尽くしたのだ。
1`四方に約1万5000人が暮らすジェニン難民キャンプは、イスラエル軍に包囲され、1週間にわたり昼夜を分かたず戦車と武装ヘリによる猛攻撃が加えられた。数百b四方が瓦礫(がれき)となり、徹底的に破壊された。キャンプ住民約1万5000人のうち、21日現在で523人の死亡が家族によって確認され、なお1600人が行方不明だという。
シャロンは、全パレスチナ人民を殺すか、全占領地から追放しなければイスラエルが本当に崩壊してしまうと思っている。そしてパレスチナ人民は、今ここで一歩でも引くことがすべてを失うことであり、パレスチナの地から追われ50数年にわたって難民生活を強制されてきた歴史の再来・永続化であることを知っている。だからこそ全パレスチナ人民が死を覚悟して自らの土地に踏みとどまり、イスラエル軍の全面攻撃と対峙し、全人民蜂起に突入しているのだ。それは87年インティファーダ(民衆蜂起)以来、不屈に培われてきた闘いと全組織力の発露であり、パレスチナに自己権力を打ち立てる闘いそのものなのである。
パレスチナ人民への抑圧と迫害の歴史
米帝とイスラエルは「テロリストの掃討」とか「テロの根絶」と称して、この民族抹殺的な大虐殺を合理化しようとしているが、こんなふざけきった話があるか! 全パレスチナ人民が革命的テロリストとなって極限的闘いに決起せずにはいられない現実をもたらしたのはいったい誰なのか。米帝であり、イスラエルではないか!
米帝=イスラエルは、パレスチナ―中東でいったい何をやってきたのか。シャロンがやったことは、実は戦後50数年にわたって米帝とイスラエルがやってきたことなのだ。
戦後米帝は、中東と石油の独占的支配、民族解放闘争の圧殺の拠点として、アラブ諸国のど真ん中にイスラエルという軍事基地国家の楔(くさび)を打ち込んだ。パレスチナ人民は、米帝によるイスラエル建国によって、家も土地も国までも奪われた。1967年第3次中東戦争以降は、全パレスチナを武力占領され、数百万人が難民生活を強制された。
占領地ではイスラエル軍政のもとで植民地的支配を強制されてきた。許可なく水をくむことも、作物を栽培することも、認可なき書籍を読むことも、許可なく移動することもイスラエル軍によって禁圧されてきた。すべての銀行が閉鎖させられ、民族資本は徹底的に破壊された。米帝の巨額の資金投入のもと、イスラエル製品がダンピング価格で出回り、占領地の96%がイスラエル製品によって占められている。軍の包囲の中で主要産業である農産物輸出が妨害され、あげくに農地そのものを軍が強奪してきた。地元産業だけでは食べていけずイスラエル領内への出稼ぎを強いられてきたパレスチナ人民は、イスラエル人労働者の半分以下の賃金で働かされ、賃金のさらに20%を税金として奪われてきた。
こうした一切の現実は、米帝が年間30億jもの財政投入と武器供与によってやらせてきたことだ。パレスチナ人民は、石を投げただけで射殺され、小銃で応戦すればミサイルを撃ち込まれ、F16戦闘機で空爆を加えられてきた。ゼネストに訴えれば、イスラエル軍は商店に火を放ち、何の理由もなく数万・数十万の人びとを逮捕・拷問し、虐殺し、数千・数万の家屋を問答無用に破壊してきた。こんなめちゃくちゃな暴虐が数十年にわたって続けられてきたのだ。
米帝は、このイスラエルを軍事拠点として、アラブ諸国への侵略戦争を4度も5度も繰り返し、中東石油を支配し民族解放闘争を圧殺してきた。これが現代世界の現実であり、帝国主義の新植民地主義支配なのだ。日帝の戦後発展や、われわれ自身の生活もまた、このパレスチナ―アラブ諸国人民の膨大な流血と民族抑圧の上に成り立っているのだ。
パレスチナ人民はこの現実の中から不屈の闘いに立ち、米帝とイスラエルに対する武装闘争、革命的テロリズムをたたきつけている。それは民族抹殺攻撃を受けてきた者の積もりに積もった怒りの爆発だ。「一人でもイスラエル兵をせん滅してやる」「絶対に報復してやる」という闘いに、自爆決起を頂点に全パレスチナ人民が挙族的に立ち上がっているのだ。これに対して、どうして「テロ反対」ということが言えるのか。諸悪の根源は、米帝の民族抑圧と侵略戦争にこそあるのは明白ではないか。独立と解放をかけて闘う主体であるパレスチナ人民の立場に立つのか、この民族解放闘争を大虐殺をもって根絶しようとしている帝国主義の側に立つのか、これがわれわれ一人ひとりに問われているのだ。
米帝の先兵=イスラエルの崩壊的危機
パレスチナ人民の不屈の闘い、全アラブ諸国と全世界で巻き起こるパレスチナ連帯、米帝―イスラエル糾弾の闘いが、米帝の世界支配―新植民地主義支配体制―中東・石油支配の支柱であるイスラエルを崩壊的危機にたたき込んでいる。
イスラエルとは、米帝の中東支配の先兵として膨大な軍事費と武器を注ぎ込まれてきた軍事基地国家だ。絶えざるユダヤ人入植と領土の外延的拡大、パレスチナ人民追放と民族解放闘争圧殺を国是とし、それを担うことを役割としてきた国家ならざる国家なのだ。それは「ユダヤ人の民族国家」などではない。米帝がデッチあげ、米帝が支えて初めて成り立つ人工的な軍事基地国家にすぎない。
このイスラエルが、パレスチナ人民の怒りの全人民蜂起の中で、国是的危機、崩壊的危機にたたき込まれている。兵役拒否、反戦運動が高揚し、厭戦(えんせん)主義が広がり、イスラエル兵の士気と規律は極度に低下している。外資の逃避、観光収入の激減、軍事支出膨大化などによって経済は極度の危機に陥り、イスラエル国家存立の生命線である移民流入も前年比で2割も減少している。こうしたかつてない危機の中で、シャロンは国家存立をかけた起死回生のかけとして、パレスチナ人民を大虐殺する究極の侵略戦争に踏み切ったのである。
しかしこのシャロンが強行した全面戦争に対して、パレスチナ人民は決死の徹底抗戦をたたきつけた。ジェニン難民キャンプには多くのパレスチナ解放戦士が、防衛戦を闘うためにあらゆる組織から結集し、「抵抗は予想をはるかに超えている」、(イスラエル軍将校)「悪夢だ」(イスラエル兵)とイスラエル軍を恐慌状態にたたき込んだ。
ジェニン大虐殺と1週間にわたる徹底抗戦は、全パレスチナ人民―全世界人民の魂を揺さぶり、鼓舞している。ジェニンは、ナチス・ドイツにとってのスターリングラードと同じように、必ずイスラエル解体―米帝の中東支配の全面的崩壊へと向かう歴史的な転換点になるのだ。
イスラエルの危機の中で、あらためて米帝が前面に引きずり出されてきた。だが、パウエルまで投入した民族解放闘争の圧殺を狙ったペテン的「仲介」策動は、パレスチナ人民のすさまじい自爆戦闘によって完全に粉砕された。米帝の威信と権威はガタガタになり、その没落と無力性を満天下に暴き出した。こうした中で米帝ブッシュは、あらためて「対テロ戦争」を絶叫しているが、ブッシュの戦争策動は、米帝の中東支配―新植民地主義支配のより巨大な破綻(はたん)を引き寄せるものだ。
米帝ブッシュ政権は、歴史的没落を極める中で基軸帝国主義として世界体制の暴力的再編に自らのむき出しの帝国主義的利害をかけ、現在の世界秩序の破壊に踏み込んでいる。とりわけ世界恐慌の全面的爆発、9・11反米ゲリラ戦争の爆発という世界支配の危機に対して新軍事戦略(01年QDR路線)を確立し、「対テロ戦争」を全面発動している。あらゆる「脅威」を口実に、米帝の側から先制的に侵略戦争を発動し、もって他帝国主義をたたき落とそうとしている。日本やドイツなどの帝国主義は、このブッシュ政権の世界戦争政策に食らいつき、画歴史的な戦争政策に激しく突進している。世界は第3次世界大戦を不可避とする過程に突入したのだ。
被抑圧民族人民と帝国主義国の労働者階級が連帯し、世界革命に同時に一体となって決起することが、現実の課題として提起されている。パレスチナ人民の血叫びと英雄主義に満ちた総蜂起になんとしてもこたえよう。日本の労働者階級・学生が、今こそ闘うパレスチナ・中東・ムスリム人民と連帯して世界史的決戦に立ち上がる時だ。
〔U〕「首相大権」のもと日帝が武力を行使する有事立法
米日帝のイラク・朝鮮・中国侵略戦争の切迫
米帝がアフガニスタンやパレスチナで行っている被抑圧民族人民に対する大虐殺を日帝が行おうとするものが有事立法3法案だ。これは朝鮮・中国侵略戦争法であり、武力攻撃法である。自衛隊の侵略実戦部隊化の新自衛隊法であり、首相大権法である。そういうものとして、戦後初の、侵略戦争と国家総動員のための非常事態法体系なのである。
日帝は、戦後一貫して超えられなかった「武力行使」の領域に一気に踏み込んできた。「守る」ためではなく「攻める」ためだ。米日帝の朝鮮・中国侵略戦争が激しく切迫し、日帝が主体的に参戦しようとしているからこそ、「武力の行使」を公然とねじ込んだ極悪の有事立法3法案を出してきたのだ。
日帝が米帝の新軍事戦略に必死に対応しながら、自国の帝国主義的利害をかけて侵略戦争に突進していることを徹底的に断罪しなければならない。
第一に、米帝がアフガニスタン・中東への大規模な侵略戦争を継続し、中国・朝鮮に対する世界大戦級の侵略戦争の発動に激しく突き進んでいることだ。
米帝ブッシュ政権は、01年QDR(9月発表)と02年1月一般教書演説において、米帝の新たな軍事戦略を打ち出した。米帝の新軍事戦略は、あらゆる「脅威」を口実に米帝の側から先制的に世界大的な戦争を発動するというものであり、とりわけ、中国スターリン主義を最大のターゲットとしたものだ。そして、ブッシュの強行している「対テロ戦争」とは、米帝の世界支配の破綻点から沸きおこる民族解放闘争や旧スターリン主義や残存スターリン主義が生み出す危機に対して、どんどん先制的に戦争を仕掛けて撃破するものだ。
重大なことは、米帝の新軍事戦略が、米帝の歴史的没落とその絶望的凶暴化に規定されていることである。もはや米帝は、歴史的没落の危機を世界戦争に転化する以外に方策がないのである。米帝の歴史的没落と日米対立の非和解化こそ、今日の世界戦争過程への突入と有事立法攻撃の核心問題なのだ。
第二に、米帝が中国スターリン主義を体制的に転覆する大規模な侵略戦争を強行しようとしていることである。米帝の対北朝鮮政策はその決定的な水路として行われている。米帝は、北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつけ、核査察を要求して追いつめ、米帝にとって最も都合の良いタイミングを計って、朝鮮侵略戦争を発動しようとしているのだ。
そして北朝鮮に対しても新たな軍事作戦計画を策定したと報道されている。それは、「米韓作戦計画5027」を新安保ガイドラインや01年QDRなどに基づき、より実戦的にしたものに間違いない。「作戦計画5027」は、米軍50万人、空母5隻を含む艦船200隻、航空機1600機を動員する大戦争計画である。@その第一段階では、北朝鮮に攻撃の兆候が見えた段階で軍事境界線(38度線)に集結する北朝鮮軍部隊や北朝鮮国内の軍事的要衝に対して猛爆を加える。A第二段階では、北朝鮮内の軍事基地や主要施設に対する集中的な空爆を行う。B第三段階では、韓国軍や在韓米軍、さらに駐留海兵隊などの地上部隊を投入する。C第四段階では、首都・ピョンヤンを軍事制圧、北朝鮮政権を転覆して韓国主導の南北統一を実現する。在韓米軍のシミュレーションでは、「核兵器を使わない場合でも100万人の犠牲者が出る」と予測している。
「作戦計画5027」のような大規模な侵略戦争の発動は、日本全土を出撃基地とし、国家総動員体制を敷くことなしには成り立たない。有事立法とは、中国・朝鮮に対する米日帝の大規模侵略戦争のための総力戦体制・総動員体制確立のための法律なのだ。
第三に、没落帝国主義化にあえぐ日帝の体内から、帝国主義的排外主義と愛国主義、侵略戦争への絶望的衝動が噴き出していることである。4・21小泉の靖国神社参拝は有事立法と一体のものであり、アジア人民に対する宣戦布告であり、日本の労働者人民に対して「再びお国のために命を差し出せ。命がけで協力しろ」というものだ。日帝の没落帝国主義化の危機の激しさ、そこから噴き出す絶望的な戦争衝動こそ、有事立法攻撃の本質なのだ。
小泉の「国家の緊急事態への対処に関する首相談話」に明らかなように、日帝は「テロ・不審船・拉致事件」で北朝鮮への排外主義を扇動し、「テロ」や「不審船」を口実にして朝鮮侵略戦争に突入することを決断したのだ。
日帝が「外部から攻撃される」のではない。米・日帝国主義が北朝鮮スターリン主義に対して軍事重圧をかけ、体制転覆をかけた侵略戦争を発動しようとしていることが戦争の原因なのだ。日帝こそ、朝鮮や台湾を植民地支配し、中国や東南アジアに対して侵略戦争を行い、アジア人民を虐殺してきたのだ。アジアに侵略してきたのは常に日帝ではないか。戦後も帝国主義は、朝鮮半島を分割し、朝鮮人民を分断し、在日朝鮮人・中国人に入管体制という植民地主義的民族抑圧を継続してきたのだ。これに対して朝鮮人民は、民族統一を要求して、戦後の全過程を連綿と闘い続けてきたのである。
北朝鮮スターリン主義が問題なのは、この朝鮮人民の民族統一の要求と闘いを裏切ってきたことだ。そして、帝国主義の支配と戦争政策に対して、世界革命の一環としての南北分断打破=民族統一の闘いを放棄したところから、かつまた日本の労働者階級に日帝打倒を呼びかける立場を否定したところから、一国社会主義体制の防衛のための軍事力学的な対抗に終始していることだ。だが、このことをもって米日帝が侵略戦争を行うなど断じて許されない。朝鮮の未来は朝鮮人民自身が決めることだ。
日帝が北朝鮮スターリン主義の危機と反人民性につけこみ、侵略戦争を発動し、朝鮮人民を虐殺することを絶対に阻止しなければならない。
被抑圧民族を大虐殺するための有事立法
有事立法3法案とは何か。
第一に、日帝が帝国主義的利害をかけて中国・朝鮮侵略戦争に参戦し、自衛隊が被抑圧民族人民を虐殺する武力行使を行うものだということだ。
武力攻撃事態法案で「武力攻撃事態を終結させるために実施する措置」として、「武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の行動」が明記されたことが超重大である。自衛隊が被抑圧民族人民を虐殺する武力行使を行い、軍事的に壊滅・制圧して「武力攻撃事態を終結させる」ことを真っ向から打ち出したのだ。「武力の行使」という文言をねじ込んだことに、日帝のすさまじい戦争意志と中国・朝鮮侵略戦争の切迫性がある。
憲法第9条の「戦争の放棄、戦力不保持、交戦権の否認」は、真っ向から否定されたのである。戦後、日帝が超えたくて越えられなかった一線である国権の発動としての戦争、武力の行使についに踏み切るというのだ。99年周辺事態法や01年テロ対策特別措置法でも「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない」などと書かざるをえず、一貫して「日本は戦争をやらない」「戦場には行かない」「武力の行使はしない」「武力行使とは一線を画する」などとペテン的に言ってきたことを、すべて蹴破って正面から「自衛隊による武力の行使」を打ち出したのだ。まさに、自衛隊が帝国主義軍隊として魂を吹き込まれ、日帝が侵略戦争を遂行する戦争主体として登場しようというのだ。しかも、「武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。この場合において、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない」(武力攻撃事態法案第3条)と言う。これは、相手を壊滅させて戦争を終結させるために無制限の武力行使を行うということだ。
米帝が最新兵器を使ってアフガニスタン人民を大虐殺している侵略戦争や、イスラエルがパレスチナ人民を大虐殺している侵略戦争を自衛隊がやるということなのだ。それは、日帝が南京大虐殺や三光作戦などで中国人民や朝鮮人民、アジア人民を2000万人以上も虐殺していった侵略戦争と植民地支配の歴史を再び繰り返すということなのだ。いったい憲法第9条とは何のために存在してきたのか。再び侵略戦争を繰り返さないためではなかったのか。
「武力攻撃事態」概念を拡大し侵略戦争へ
日帝が中国・朝鮮侵略戦争に主体的に参戦し、自衛隊の武力行使を発動するために「武力攻撃事態」という概念を打ち出してきたことを絶対に許してはならない。旧来の有事立法研究が対象とした日本有事とはまったく違うのである。
「武力攻撃事態」の定義は、「武力攻撃のおそれのある場合」「武力攻撃が予測されるに至った事態」ということに核心がある。日本が武力攻撃された場合に備えて有事立法が必要という問題ではない。日本が武力攻撃を受けるという「おそれ」や「予測」をもって「武力攻撃事態」を宣言し、日帝の側から早期に戦争に突入するのだ。中谷防衛庁長官の「周辺事態は武力攻撃事態のひとつ」という発言に示されるように、「武力攻撃事態」の概念を無限に拡大して中国・朝鮮侵略戦争に参戦しようとしている。こんな強引な解釈で日帝は侵略戦争をやろうとしているのである。
自衛隊法改悪で、出動待機命令の段階から自衛隊の陣地構築を可能としている点など、「予測されるに至った事態」から自衛隊の戦闘行動を開始するとしているのは、有事立法3法案全体の特徴である。まさに米・日帝の側から侵略戦争をしかけるという観点で、3法案が組み立てられているのだ。
それだけではない。武力攻撃事態法案では、「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態においては、武力攻撃の発生が回避されるようにしなければならない」(第3条)として、日本に対して武力攻撃があったから反撃するというのでもなく、「武力攻撃が予測される」というだけで、敵の武力攻撃の発生を未然に防止するという理由で先制攻撃をもって相手を粉砕することまで打ち出している。新安保ガイドラインでは「自衛隊及び米軍は、密接に協力し調整して、弾道ミサイル攻撃に対応する」とあり、弾道ミサイルが発射されようがされまいが、相手の軍事基地を自衛隊が先制攻撃することも構想しているのである。
また、「武力攻撃事態以外の……緊急事態への対処」として、「テロ」「不審船」対策を日帝自身の対テロ戦争として高く位置づけ、日帝が「不審船」を撃沈することで「武力攻撃が予測されるに至った事態」をつくり出し、朝鮮侵略戦争に突入することまで狙っているのだ。
武力攻撃事態法案は、自衛隊が米軍と並ぶ戦争の主体となって日米(日米韓)統合作戦を担うという点で重大な飛躍がある。日帝は、「集団的自衛権は保有するが憲法上行使できない」としてきた政府見解を覆し、憲法を公然と踏み破って自らの帝国主義的利害をかけて中国・朝鮮侵略戦争に突入しようとしているのだ。日共の「アメリカの戦争に協力するための有事立法」という主張は、攻撃の核心を隠ぺいする主張である。
ナチスの全権委任法に等しい首相大権法
第二に、武力攻撃事態の宣言をもって首相に全権が集中されて憲法停止の非常事態法体制に移行するということだ。日帝が侵略戦争を遂行する戦争主体となり、国家を挙げての侵略戦争に突入するからこそ、首相独裁体制が必要となる。
武力攻撃事態法案では、首相が「対処基本方針」=戦争計画を閣議決定するだけで戦争に突入する。この国家の意思決定の過程に、国権の最高機関のはずの国会が介在する余地はまったくない。
「対処基本方針」は、安全保障会議に新たに設置される専門委員会が事前に戦争計画として準備していたものが出される。専門委員会は、自衛隊幹部、警察や外務省の幹部職員で構成されており、在日米軍との戦争計画の立案や国家総動員計画の作成を行う。
すでに、新安保ガイドラインの包括的メカニズムに基づいて、在日米軍と自衛隊幹部で構成される日米共同計画検討委員会(BPC)で戦争計画が準備され、関係省庁局長等会議で国家総動員体制が検討されている。今年2月に行われた日米共同統合指揮所演習では、在日米軍と自衛隊のほかに外務省、警察庁、海上保安庁、国土交通省、厚生労働省が参加した。安全保障会議とその常設機関である専門委員会は、在日米軍と密接にリンクしながら戦争準備を進めるのだ。
「対処基本方針」を閣議決定するや首相は、自らが本部長を務め、全閣僚で構成する「武力攻撃事態対策本部」を設置する。政府各省庁の権限のすべてが対策本部に委任され、その下に自衛隊の管区に合わせた全国6地方に区分けされた「地方対策本部」が設置される。自衛隊各方面隊の命令のもとに地方自治体が掌握され、首相直轄で自衛隊を中心に全国―地方を軍政・軍令のもとに組み敷く。
首相は、地方自治体や指定公共機関(独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社やNHK・民放、JR、NTT、電気・ガス会社など)に対して強大な「指示権」を行使する。その権限は、地方自治体の長や指定公共機関が拒否したり、ちゅうちょしたりした場合、頭越しに首相が代わって「自ら実施」させることができるという強権的なものだ。
まさに、立憲主義、議院内閣制を基本とする現行憲法体系が破壊され、首相独裁による戦争法体系に国の仕組みを大転換するのだ。有事を宣言し開戦を決定するのが首相ならば、戦争計画を決定するのも首相であり、自衛隊の最高の指揮監督権を有し、自治体や民間を統制するのも首相なのだ。首相に全権が集中される首相大権法と言うべきものだ。ナチスの全権委任法や明治憲法に等しい非常事態法体制構築を絶対に許してはならない。
国防を「国民の義務」とし総動員体制狙う
第三に、労働者人民の戦争動員を始めとした国家総動員体制を確立するということだ。
武力攻撃事態法案では、「武力攻撃事態への対処においては、国、地方公共団体及び指定公共機関が、国民の協力を得つつ、相互に連携協力し、万全の措置が講じられなければならない」(第3条)とある。戦争のために国家総動員体制が敷かれるということだ。そして、国、地方公共団体及び指定公共機関は、米軍や自衛隊を総力で支援=戦争協力する「責務」を持つことになる。
「国民は……必要な協力をするよう努めるものとする」(第8条)として労働者人民の戦争協力が明記され、基本的人権が大幅に制限される。また、「武力攻撃事態への対処において国民の協力が得られるよう必要な措置を講ずる」(第21条)と、より強い罰則規定で労働者人民を戦争動員しようとしている。
自衛隊法改悪案では、労働者人民が戦争協力させられ、自衛隊の行動の自由のために基本的人権が制限され、土地や家屋が強制収用されることが出されている。医師・看護婦、土木技術者・建築技術者、土木労働者・建築労働者、鉄道・道路・航空・船舶・港湾などの交通・運輸労働者、自治体、清掃、食品……などすべての労働者人民が戦争協力・動員され、自衛隊の軍事行動に協力させられるのだ。労働者人民は、自衛隊の軍事行動で必要となれば、土地や家屋、田畑などを強制的に提供させられる。
「生活関連物資等の価格安定、配分その他の措置」(武力攻撃事態法案第2条)とあるように、自衛隊が必要とする物資が優先的に確保され、労働者人民は後回しとなる。戦中の配給制の復活も想定されている。自衛隊の物資の保管命令に違反すれば懲役刑に処されるのだ。
武力攻撃事態法案では、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利」について、「これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のもの」(第3条)などと「自由と権利」を踏みにじることを打ち出している。
労働者人民の基本的人権を踏みにじり、国を中心にして地方公共団体や指定公共機関、民間業者から労働者人民まで戦争動員し、国家総動員体制を確立しようとしているのだ。
自衛隊の行動自由化し軍事最優先社会に
第四に、自衛隊の軍事行動に対する制約を取り払おうとしていることだ。
米軍が北朝鮮に空爆を開始する段階こそ、「武力攻撃が予測されるに至った事態」であり、自衛隊に出動待機命令が出される段階である。今回の自衛隊法改悪によって、日帝は、自衛隊の出動待機命令の段階であらかじめ陣地を構築するために出動させようとしている。米軍の動きと合わせて自衛隊を出動させようということだ。しかも、この段階において、自衛官が自己の判断で武器を使用することを可能としようとしている。
日帝は、攻撃した相手がゲリラなどで反撃することを想定し、あるいはキャンペーンして自衛隊を出動させ、首都を戒厳状態におき、政府や自治体の施設の警備、自衛隊基地や在日米軍基地の警備、原発警備や海岸防衛、海上警備行動や警戒監視などで、どんどん自衛隊を出動させ、自衛隊の軍事行動のために邪魔になるものは、破壊・変更し、法律を適用除外として、必要なところに陣地や基地をつくり、爆弾や燃料を満載した車両を夜間も無灯火で走らせようとしている。
まさに、自衛隊の存在自体を憲法と現行法制より上位に置き、自衛隊の武器使用を始めとするあらゆる行動に必要な人と物を総動員する攻撃だ。
「警報の発令、避難の指示、被災者の救助、施設及び設備の応急の復旧その他の措置」(武力攻撃事態法第2条)も、自衛隊の軍事行動(戦闘、陣地構築、通行、兵たん施設設置など)を円滑に行うという観点から、労働者人民を統制するための措置なのだ。
まさに、自衛隊は何をやっても許されるということであり、小泉の言う「命がけで戦う自衛隊」への協力を当然のこととして強制するというのだ。
戦時治安弾圧の強化と情報・言論の統制
第五に、戦時治安体制確立ということだ。すでに、組織的犯罪対策3法や団体規制法(新破防法)、国民総背番号制(今年8月から実施)など、治安弾圧立法の制定と労働者人民の管理・統制の攻撃は強まっている。昨年の自衛隊法改悪によって、国内諸施設の警護を名目として平時から自衛隊を展開配置することができるようになった。
有事立法3法案と一体のものとして個人情報保護法案など「メディア規制3法案」も今国会で成立が狙われている。マスメディアを始め情報・言論を統制し、戦前の大本営発表の体制を確立することを狙ったものであり、戦争国家体制=国家総動員体制の重大な攻撃だ。武力攻撃事態法案では、「社会秩序の維持に関する措置」(第22条)をあげ、戒厳令などの治安弾圧立法の制定も狙っている。
さらに、有事立法3法案と並んで入管法改悪が狙われている。武力攻撃事態法案の「避難の指示」とは、国家権力が労働者人民を統制することであるが、在日外国人に対しては「相手国の国籍を有する外国人の安否情報の管理及び提供」などと敵国人民として扱い、治安弾圧の対象として予防拘束・強制退去を行うことを狙っているのだ。
中国・朝鮮侵略戦争に反対する労働者人民の闘い、在日朝鮮・中国人民の闘いを圧殺する大攻撃である。
沖縄の最前線基地化=沖縄戦の再現許すな
第六に、沖縄に新たな基地強化=最前線基地化とすさまじい犠牲を押しつける攻撃だということだ。有事立法は、沖縄戦を再現する攻撃なのだ。
沖縄戦で行われたことは、有事立法が何をもたらすかを示している。沖縄戦で日本軍は陣地構築や飛行場建設に沖縄人民を動員する一方、沖縄人民を邪魔者扱いした。日本軍にとって、沖縄人民は守る対象ではなく、戦闘に動員し、働かせ、食糧や避難壕(ごう)を奪い、最後は米軍の捕虜となることを許さずに自決を強要する存在だった。そして、1945年には17歳から45歳の男性のほとんどを軍隊に召集し、沖縄全土を焼き尽くすような地上戦を強行し、当時の沖縄県民の3分の1の約20万人が殺されたのだ。
これが、有事立法の「避難の指示」「国民の協力」の実態だ。沖縄人民の「命どぅ宝」の叫びは、沖縄戦を再び絶対に繰り返さないということなのだ。
5・19沖縄復帰30年記念式典は、沖縄闘争を圧殺し、沖縄を戦争に動員する〈再びの沖縄戦〉への道である。沖縄人民と連帯して、式典粉砕の沖縄現地闘争を闘おう。名護新基地建設阻止を有事立法粉砕の最先端の攻防として闘おう。
闘う朝鮮・中国・アジア人民、在日・滞日人民と連帯し、闘うイスラム諸国人民と連帯して、5・20大阪・扇町公園、5・24明治公園、5・26全国総決起闘争(東京・芝公園)へ大結集し、5−6月決戦の大爆発をかちとろう。
「テロ根絶」「小泉改革を応援する」「自衛隊は必要」と叫ぶ松崎JR総連と、それを批判せずにすり寄るカクマル中央派。彼らの介入と敵対を断固粉砕して、有事立法3法案を絶対阻止しよう。
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週刊『前進』(2052号7面2)
イスラエル大使館に抗議デモ 全学連
全学連は4月19日、イスラエルによるパレスチナ人民大虐殺を弾劾し、イスラエル大使館に抗議デモと申し入れを行った。
イスラエル軍がパレスチナ自治区に軍事侵攻し、戦車やミサイルで難民キャンプ丸ごと破壊し、1000人以上とも言われる人民を虐殺したことを断じて許すことはできない。パレスチナ人民は次々と命がけの闘いに立ち上がり、「虐殺を止めてほしい。イスラエル軍の攻撃と闘ってほしい」と呼びかけている。全学連は、この大虐殺にいても立ってもいられない気持ちで抗議デモに立ち上がった。
イスラエル大使館は、法政大学から2`足らずの麹(こうじ)町にある。大使館前では、パレスチナ人民の闘いの写真入りプラカードや横断幕を掲げ「イスラエル軍によるジェニン、ナブルスでの大虐殺を許すな! アメリカとイスラエルは虐殺をやめろ!」と声を限りに訴え、沿道の人たちからはものすごい注目が集まった。
デモ終了後、イスラエル大使館に行き、イスラエルによる大虐殺への抗議行動を行った。通りかかった労働者からは「警察なんかに負けずに頑張れよ!」の声。誰もがイスラエルによるパレスチナ人民虐殺に怒っているのだ。
何度でもイスラエル大使館に抗議をたたきつけ、巨万の人民がイスラエル大使館を包囲する闘いが必要だ。パレスチナ連帯を掲げて、ともに闘おう!
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週刊『前進』(2052号8面1)
ジェニンの大虐殺を許すな
闘うパレスチナ人民と連帯し 米帝・イスラエルの侵略戦争を国際的内乱の爆発で阻止せよ
イスラエル軍のパレスチナ自治区全面侵略の中で、またしても人民大虐殺が凶行された。ヨルダン川西岸北部の町ジェニンで、1000人を超えるパレスチナ人民が無差別大虐殺されたのだ。この暴虐を許せるか。これこそが、帝国主義とシオニズムの正体だ。米帝とイスラエルの凶暴きわまるパレスチナ・中東支配の現実なのだ。パレスチナ人民は、この筆舌に尽くしがたい暴虐に激しい怒りを燃やして、不屈に闘い抜いている。この闘いに連帯し、今こそパレスチナ反戦闘争と有事立法粉砕決戦に決起しなければならない。労働者人民の国際的反戦闘争で、イスラエルのパレスチナ人民虐殺を直ちにやめさせよう。シオニスト国家=イスラエルを打倒しよう。
サブラ・シャティーラ以来の戦争犯罪
この間のイスラエルによるパレスチナ自治区侵攻の中で何が起こったのか。
まず、ジェニンの大虐殺を徹底糾弾しなければならない。
イスラエル軍が報道関係者を入れさせないで凶行を働き、しかも事態が漏れ伝えられ始めるや、徹底した隠ぺい工作を行っていることにより、全容はいまだ明らかになっているわけではない。だが、イスラエル軍がジェニンのパレスチナ難民キャンプで行った人民大虐殺は、82年のサブラ・シャティーラの大虐殺以来の大犯罪である。
まず、具体的事実のいくつかを見てみよう。
ある親子は、イスラエルのブルドーザーによって難民キャンプの家を破壊されそうになり、逃げようとした。母親は子どもの一人を腕に抱えていた。親子が家から一歩外に踏み出した時、イスラエル軍のアパッチ攻撃ヘリから銃撃され、14歳の少年が殺された。
ある家では17歳の少年が家の外に出てイスラエル兵に頭を撃たれて殺された。家族が遺体を家に運び込んだところ、イスラエル軍に砲撃され、家は破壊された。イスラエル軍はその家をブルドーザーで踏みつぶしてがれきの山にした。一家8人は、全員ががれきの下敷きになった。
ある家では、娘が屋外に出てイスラエル軍に銃撃されて負傷し、娘を連れ戻しに出た母親も撃たれて傷を負った。母親が病院に行かせるように激しく抗議し、イスラエル軍が病院に連れて行くと言って2人は家を出たが、いまだに行方不明のままである。
さらに、イスラエル軍に拘束された武器を持たない男たちが壁際に並ばされ、一斉射撃で銃殺されたことが目撃されている。
こうした事態がジェニン難民キャンプの全域で展開されたのだ。
ジェニンには4月2日夜からイスラエル軍が侵攻した。イスラエル軍は戦車の前にパレスチナ人男性を立たせ、人間の盾として突撃を行った。電気、水道、電話などのライフラインを切断し、救急車にも銃撃を加えて動けないようにした。
街の中心部で最大の激戦が闘われ、イスラエル軍も23人が死亡している。シャロンが10日にジェニンを視察し現地部隊を激励した。その後、虐殺のための虐殺がさらに大規模に行われたのである。イスラエル軍が街を制圧して動くものすべてを銃撃し、住民が家から一歩も出られない状態をつくり出し、アッパチヘリからの爆撃とブルドーザーで家を破壊し、戦車で踏みつぶしていったのだ。
しかもこの虐殺は米国務長官パウエルがシャロンを「平和の人」とたたえ「停戦の仲介」と称してシャロンやアラファト議長と会っているさなかに行われた。
街は大地震が襲ったように破壊された。がれきの下からわき上がる死臭が立ちこめ、所々に手や足が突き出していた。がれきの下にはまだ生存者がいるかもしれないが、イスラエル軍によって重機の搬入が阻止され、がれきを撤去することもできない状態が続いた。23歳の青年は運良く助け出されたが、イスラエル軍は撤退後も街を包囲し、街につながる道路に土山を築いて車が入れないようにし、食料や水、医薬品の搬入を妨害している。
それだけではない。イスラエル軍がジェニンで大虐殺を行った事実が明らかになると、それを隠ぺいするため、がれきに穴を掘って、虐殺したパレスチナ人の遺体を埋め、その上を戦車で踏みつぶした。遺体を集めてトラックで運び出した事実も、あちこちで目撃されている。
1万5000人のジェニン難民キャンプの住民のうち、すでに死亡が確認された人は500人を超えている。まだ行方がわからない人は1600人に上る。
イスラエル軍は3月29日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区に対して全面的な侵攻作戦を開始した。29日にラマラに突入して凶暴な侵略戦争を拡大したのを皮切りに、30日にはヘブロン、ナブルス、ベイトジャラにも侵略戦争を拡大し、さらにカルキリヤ、ベツレヘム、トゥルカレム、ジェニンと西岸全域に侵攻、4月19日にはガザにも侵攻した。各地でパレスチナ人民虐殺を行ったのだ。
イスラエル軍は4月21日に西岸自治区からの撤退を発表した後も、ラマラのパレスチナ自治政府を厳重に包囲し、アラファト議長の殺害を狙っている。また、ベツレヘムの聖誕教会は、武装勢力がいるという口実で、200人の人びとが重包囲下に置かれたままだ。イスラエル軍は撤退発表の裏で次々と別の難民キャンプへの侵攻を繰り返している。
米帝はイスラエルに撤退を迫るかのように装う言動を重ねていた。だが、フライシャー報道官が「米国の言うことに敬礼して『かしこまりました』と言わなくても国民は驚かない」と発言したことに示されるように、米帝は表向きの撤退要求の陰で実際にはイスラエルにパレスチナ人民虐殺への承認を与えていたのだ。
国連安保理でジェニンへの調査団派遣が決議されたが、これに対してもイスラエルは調査団の人選に言いがかりをつけて引き延ばしている。あらゆる手段でジェニンの大虐殺を隠ぺいしようとしているのだ。
パレスチナ人民に加えられているこの暴虐、これこそがイスラエルによるパレスチナ侵略の歴史そのものであり、米帝の中東支配の現実なのだ。パレスチナ人民を次から次に大虐殺し、息もできないような軍事占領下に置き、最新鋭の兵器で重武装した軍事基地国家・イスラエルの存在によって恫喝し、アラブ人民の決起を抑えつけてきた。この現実を根底から転覆する以外に、パレスチナ人民の解放は実現されないのだ。
存立の危機に立つシオニスト国家
イスラエル・シャロン政権と米帝によるパレスチナ侵略戦争の凶暴な展開の根底にあるものは何か。
米帝は9・11ゲリラ戦闘への報復としてアフガニスタンへの無差別爆撃・人民大虐殺を展開してきた。それと一体となって、シャロン政権はパレスチナ人民の闘いを圧殺するために人民虐殺の凶暴な戦争を拡大してきたのである。29年型世界大恐慌過程が進行し、世界支配体制自身が根底的な危機を迎える中で、中東を始めとした民族解放闘争を根絶するために凶暴な侵略戦争を強行しているのだ。
この間、パレスチナ人民の不屈の決起によって、イスラエルは国家存立の危機に追いつめられている。パレスチナ人民への巨大な抑圧の上に成り立っているシオニスト国家イスラエルは、パレスチナ人民の不屈の闘いによって永遠にその支配の安定が得られない状態にある。経済的にも90年代前半は6%の成長率だったのに、00年は4・7%、01年は2・7%に落ちており、02年はさらに1・7%に後退すると見られている。01年1−9月の外国からの投資額は、前年同期に比べて70%も落ち込んだ。観光収入は65%減少し、業界全体で雇用の4分の1が失われた。失業率は、02年には10%に達する見込みだ。こうした中で、イスラエルからのユダヤ人の流出が過去最大になっている。
イスラエルは、もともとパレスチナの地とは縁もゆかりもないヨーロッパのユダヤ人を、シオニズム運動によってパレスチナに移住させることによって成立した。そのイスラエルにとって、こうした危機の深刻化は国家の崩壊につながる問題をはらんでいる。だからこそシャロン政権は、パレスチナ人民の闘いを圧殺しようと全面的なパレスチナ人民虐殺戦争に訴えているのだ。
シャロンは、こうしたイスラエルの国家存立の危機に直面し、政権に就く以前の00年9月にイスラム教の聖地アルアクサ・モスクをじゅうりんして、パレスチナ人民の闘いを暴力的にたたきつぶそうとする策動を開始した。そして、9・11ゲリラ戦闘とそれに対するブッシュ政権のアフガニスタン侵略戦争と一体となって、パレスチナ自治区への侵攻、パレスチナ人民を民族丸ごと抹殺する攻撃に踏み込んでいるのだ。
こうしたイスラエルの危機は、同時に米帝の中東支配体制の根底からの危機を意味している。米帝は、イスラエルを中東に打ち込んだくさびとして中東支配を貫いてきたのである。この危機をのりきり、アラブ・中東人民の決起を暴力的に抑えつけるために、米帝は何がなんでもイラク侵略戦争を強行しようと全力を挙げた策動を展開している。パウエル国務長官の中東訪問は、イスラエルのパレスチナ侵略戦争を支えると同時に、イラク侵略戦争突入に備えてアラブ諸国に屈服を迫ることが狙いであった。米帝は、自らがイラクへの凶暴な侵略戦争に突入することで、パレスチナ人民、イスラム諸国人民の闘いを解体しようと企てているのである。
だが、そうした米帝の策動は、シャロン政権のあまりにも凶暴なパレスチナ人民大虐殺に対し、全世界でパレスチナ人民と連帯しイスラエルを弾劾する闘いが巻き起こったことによって完全に行き詰まっている。
石油という戦略的資源を産出する中東は、米帝の全力を挙げた凶暴な支配のもとに置かれてきた。その支配を担う柱として軍事基地国家イスラエルが据えられているのである。米帝は毎年60億j近くの資金援助、武器援助を与えてイスラエルを支え続けてきた。したがって、パレスチナ人民の闘いは、本質的に帝国主義の全体重をかけた凶暴な支配との闘いとして闘われてきたし、それを打ち砕くことなしに勝利はないという関係にある。
パレスチナ人民の血叫び受け止めよ
われわれはパレスチナ人民の血叫びを受け止め、その怒りを、苦しみと悲しみを、そして何よりもパレスチナ解放にかけた熱い思い、血叫びを、新たな7・7自己批判をもってわがものとしなければならない。パレスチナ人民が置かれている現実と、パレスチナ人民の上に加えられた暴虐の歴史、それと必死に闘い抜いてきたパレスチナ人民の闘いの歴史をしっかりと学ばなければならない。
パレスチナ問題とは何か。パレスチナ人民は今、どのような現実の中で生き暮らしているのか。
イスラエルは、ヨーロッパで差別と迫害を受けてきたユダヤ人に「シオンの丘(エルサレム)に帰ろう」とあおるシオニストの運動を使って彼らをパレスチナに移住させ、そのことによってデッチあげられた国家である。そこに住んでいたパレスチナ人民は土地を追われて難民となり、イスラエルの凶暴な軍事支配のもとで言語に絶する迫害と抑圧を強いられている。
帝国主義は、このシオニストの運動を利用することによって中東侵略を進めてきた。特に米帝は、第2次世界大戦後、各国を暴力的に脅迫することによって47年国連でパレスチナ分割決議を強行した。それによって48年第1次中東戦争でシオニスト国家イスラエルがデッチあげられたのだ。そして56年第2次中東戦争、67年第3次中東戦争、73年第4次中東戦争、82年レバノン侵略戦争(第5次中東戦争)と侵略戦争に次ぐ侵略戦争を繰り返してきた。まさに米帝の中東支配とイスラエルの歴史は、パレスチナ人民虐殺の歴史そのものである。米帝の全面的なバックアップを受けたイスラエルの凶暴な侵略戦争で周辺アラブ諸国を脅迫し、米帝の中東支配に屈服させてきたのである。
ヨーロッパにおけるユダヤ人問題は、帝国主義がユダヤ人に対する差別・抑圧を使って人民を排外主義へと動員し、侵略戦争・帝国主義戦争に突入していったことによって激化し爆発した。まさにユダヤ人問題とは帝国主義の問題であり、帝国主義を打倒しない限り解決しない問題である。だが、帝国主義はこの帝国主義のユダヤ人への差別・抑圧によって起こったファシスト的なシオニズムの運動を利用することによって中東侵略を進めてきた。
パレスチナ人民は、半世紀以上たった今も450万人もの人びとがその土地を追われたまま、ヨルダンを始め、レバノン、エジプト、シリア、湾岸諸国などで難民生活を強いられている。100万近くの人びとがイスラエル領内で人種差別的な厳重な監視下の生活を強いられている。ヨルダン川西岸、ガザ地区では、それぞれ170万人、100万人の人びとがイスラエル占領軍の極限的な抑圧のもとに置かれている。
93年暫定自治開始以後もイスラエル軍の極限的な抑圧はなんら変わらず、パレスチナ人民が「アパルトヘイト」と呼んで弾劾する軍事監獄状態が続いている。イスラエルは67年第3次中東戦争で占領した地域からの撤退を要求した国連決議にもかかわらず、一方的に占領を続け、土地を奪って入植地を建設し、水資源も奪ってきた。ユダヤ人入植者は、パレスチナ農民のオリーブやオレンジの木を焼き払い、ブドウ園やイチゴ畑をブルドーザーで踏みつぶし、学校帰りの子どもたちをオノで襲ってけがをさせたりしてきた。
こうした軍事監獄状態が続く中、67年のイスラエル占領から20年を経て、イスラエル占領下で育った子どもたちが石でイスラエル軍戦車に立ち向かい、インティファーダ(民衆蜂起)の闘いを開始したのである。
民族解放闘争に命をかけた自爆決起
インティファーダは、極限的な抑圧状況に置かれたパレスチナ人民の根底からの怒りの決起であり、人間としての尊厳をかけた憤激の爆発であった。インティファーダの中で蜂起の統一指導部を形成し、イスラエルによる住民支配、経済支配を打ち破るために立ち上がった。この闘いは、いかなる強大な軍事力も、いかに凶暴な人民虐殺も、けっしてパレスチナ人民の決起を抑えつけられないことを突きつけたのである。
インティファーダへの決起に対してイスラエル軍は石を投げる少年たちに容赦ない銃撃を加え虐殺を繰り返してきた。インティファーダがあれば住民の家をブルドーザーで破壊し踏みつぶしてきた。さらにインティファーダに対する懲罰的措置として経済封鎖を行い、住民生活を極限的な危機に陥れてきたのである。
そして、89年アルアクサ・モスクでのパレスチナ人21人の虐殺という事態を契機にして、インティファーダの中での自爆決起が開始された。
93年暫定自治開始の幻想はすぐにはがれ落ちた。イスラエル軍とユダヤ人入植地に包囲されたパレスチナ自治区は、軍事監獄と変わらないものだった。イスラエルによって封鎖された経済は、一層イスラエルへの依存を強めざるを得なかった。そうした中で、ネタニヤフ政権の入植地拡大政策に対して第2次インティファーダが闘われ、さらにパレスチナ人民を民族丸ごと抹殺しようとするシャロン政権の登場に対して、一層激烈な第3次インティファーダが爆発するのである。
パレスチナ人民の自爆決起は、「決死の闘い」とか「死を賭(と)した決起」というレベルを超えている。パレスチナ人民は、自らの命を投げ出して闘う以外に一切の闘う手段すら奪われたような極限的な抑圧状況の中に置かれている。その中でなおかつパレスチナの解放のために、10代の若者が、高校生の女性が、20代の青年が再び生きて帰ることのない闘いに敢然と決起しているのだ。それは、極限的な抑圧の中で「将来がない」という絶望によるものでは断じてない。パレスチナ人民に加えられてきた暴虐の数々と、肉親を殺され、友達を殺された怒り、慟哭(どうこく)と血叫びの中で、民族の解放に自らの未来を見い出し、そのために自己を犠牲にする、「個に死して類に生き」ようとする必死の闘いなのである。
このパレスチナ人民の闘いと連帯して全世界で闘いが巻き起こっている。中東ではエジプト、レバノン、ヨルダン、シリア、イラク、イエメン、モロッコなどで連日のように万余のデモが闘われている。ヨーロッパでは、イタリア、フランス、ドイツ、イギリスなどで10万人規模のデモが巻き起こっている。アメリカではワシントン、サンフランシスコを始め全国で20万人がデモに決起した。
そしてイスラエルでも、パレスチナ人虐殺を阻止するためのデモが闘われ、またイスラエル軍の包囲下に置かれたパレスチナ人民に食料や水、医薬品などを届けようとする闘いが起きている。そして、国際連帯を掲げる人びとがパレスチナ人民の虐殺を阻止しようとパレスチナの地で必死の闘いを繰り広げている。
われわれは、パレスチナ人民の必死の血叫びにこたえて、この日本の地でパレスチナ連帯の反戦闘争を爆発させなければならない。全世界のパレスチナ連帯の闘いと一体となって、日本におけるパレスチナ反戦闘争を全力で構築しよう。
パレスチナ人民のこの闘いは、イスラエル内においてもパレスチナ人民と連帯した運動を生み出し、若者の兵役拒否や予備役の軍務拒否の運動にまで広がっている。一方ではイスラエル兵を恐怖の中にたたき込み、イスラエルそのものを存立の危機へとたたき込んでいる。だからこそシャロン政権は、凶暴で全面的なパレスチナ人民虐殺戦争に訴えているのである。
これはパレスチナ解放闘争の決定的な局面である。いかなる犠牲をも恐れないパレスチナ人民の不屈の決起が米帝・イスラエルの侵略・抑圧を打ち砕くのか、米帝・イスラエルが実際にパレスチナ人民を抹殺してしまうのか。今や情勢はそこまで煮詰まっているのである。米帝・イスラエルによるこれ以上のパレスチナ人民虐殺を絶対に許してはならない。
石油資源の略奪のためにさらにパレスチナ人民を虐殺し続けるのか、それとも闘うパレスチナ人民と連帯してシオニスト国家イスラエルを打倒し、帝国主義の中東支配を打ち砕くのか。日本人民の血債をかけた決起が求められているのだ。
今こそパレスチナ反戦闘争と有事立法粉砕決戦に決起しよう。小泉政権を打倒し、米日帝の朝鮮・中国侵略戦争、中東侵略戦争を絶対に阻止しよう。
〔秋原義明〕
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週刊『前進』(2052号8面2)
メディア規制3法案粉砕を
有事立法と一体の戦時治安法「人権擁護」を掲げ報道を圧殺
日帝・小泉政権は、今国会で、有事立法3法案とともに個人情報保護法案、人権擁護法案および青少年有害社会環境対策基本法案のいわゆる「メディア規制3法案」の成立を図っている。この攻撃は、有事立法攻撃と一体の攻撃であり、テロ資金規制法案、保安処分新設立法などと並ぶ治安弾圧立法であり、戦前の治安維持法のような暗黒社会をつくりだす悪法である。
これらの法案が成立すれば、報道機関が戦後初めて内閣府や法務省の監督下に置かれる事態となり、報道の自由は圧殺され、戦時体制が敷かれることになる。有事立法3法案とともに、この3法案を真っ向から弾劾し、粉砕するために闘うことを呼び掛ける。
昨年3月に国会提出され、継続審議になっていた個人情報保護法案は、4月25日に衆議院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、内閣委員会に付託された。また人権擁護法案は、今年3月に国会提出され、参議院先議となり、4月24日、参院本会議で趣旨説明と質疑が行われた。また、青少年有害社会環境対策基本法案は、自民党によってすでに条文化され、国会に提出されようとしている。いずれも今国会成立がめざされており、事態はきわめて緊迫している。
それぞれの法案の基本点を見れば、その問題点は明白である。
個人情報保護法案では、「個人情報を扱うすべての者が守るべき基本5原則」として、@利用目的の明確化、A適法、適正な取得、B正確性の保持、C漏えい防止などの安全確保、D本人が関与できる透明性、を守ることが義務づけられる。報道は罰則付きの義務規定からは外されたが、大きな制約になることは変わりない。また将来の罰則にまで発展するものである。
義務規定に違反した場合、主務大臣は勧告や改善命令を出すとされる。
個人情報保護法案は、プライバシーの保護やマスコミの過剰取材の抑制などを口実として掲げているが、報道・表現を権力によって規制するものであることははっきりしている。
取材対象の政府や権力を保護し、取材制限することで、政治家や官僚などの疑惑や権力犯罪を暴露させない効果が狙われていることは明白である。「適正な取材」などと言うのは、内部告発によって暴露することを妨害するものである。
また、人権擁護法はどうか。「人権擁護」というもっともらしい名のもとに設置される人権委員会は、法務省の外局であり、独立性はまったくない。その人権委員会が、報道機関の「過剰取材」などの判断権を持ち、規制するというものだ。
そもそも権力による人権侵害や抑圧を跳ね返すことが本来の人権擁護の意味ではないか。もともと国連規約人権委員会から日本に対して勧告があったのは、日本の代用監獄制度などを改善せよというものであった。監獄や警察の留置場や入管の収容所における非人間的な抑圧の現状は、世界的に見て劣悪なレベルにあるのだ。
ところが、この監獄や入管を扱っている当局である法務省が人権委員会を事実上取り仕切るのだ。身内を取り締まるわけがないし、また、拘置所などで被害を受けた人を法務省の機関が救済するはずもない。結局、権力機関および政治家、官僚の「人権」を守り、表現行為を圧殺するものとなるのだ。
青少年有害社会環境対策基本法案は、「青少年の性若しくは暴力に関する価値観の形成に悪影響を及ぼす……社会環境」への対策として、出版・表現に携わる事業者に、国および地方公共団体に協力することを義務づけるものだ。これも青少年対策を口実に、言論・出版・表現の国家統制を強めようとするものである。
これらはいずれも、朝鮮・中国侵略戦争のための国家総動員体制の構築を狙う有事立法攻撃と一体のものであり、戦争国家化に向かう攻撃である。99年の盗聴法、団体規制法以来の攻撃は一気にエスカレートすることになる。
事態はきわめて重大であり、切迫している。有事立法粉砕決戦の中に、このメディア規制3法案粉砕の闘いをしっかりと位置付けて、ともに粉砕し廃案に追い込むために闘おう。
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週刊『前進』(2052号9面1)
米帝ブッシュの世界戦争路線
アフガン・パレスチナ・イラク侵略戦争の激化・拡大阻止へ
米帝ブッシュの「対テロ戦争」は、民族解放闘争の直接的な圧殺のための古典的とも言える帝国主義的侵略戦争である。それは帝国主義間戦争に必ず発展するものだ。米帝はアフガン侵略戦争を続行し、イスラエル・シャロン政権を支えてパレスチナ侵略戦争を強行し、さらにイラク侵略戦争を構え、世界戦争路線を突っ走っている。日帝の有事立法攻撃はそれに必死に対応するものだ。何がなんでも粉砕しよう。パレスチナ人民の闘いは「対テロ戦争」と闘う国際階級闘争の最前線だ。ジェニン大虐殺を糾弾せよ。ジェニンの英雄的蜂起戦に続こう。闘うイスラム諸国人民と連帯し、世界戦争・核戦争に突き進む日米帝国主義を打倒しよう。
米帝こそパレスチナ人民虐殺と民族抑圧の元凶だ
米帝のアフガニスタン・パレスチナ・イラク侵略戦争を絶対に許すな。米帝・イスラエルの戦争犯罪を徹底的に追及し、パレスチナ反戦闘争、有事立法粉砕決戦に立ち上がろう。
米帝こそイスラエルに大量の武器と資金を援助し、パレスチナ人民の虐殺と民族抑圧を行わせている張本人である。イスラエル軍のパレスチナ人民虐殺戦争は米帝ブッシュの「対テロ戦争」の最重要の柱だ。それは米帝・イスラエルによるパレスチナ侵略戦争そのものなのだ。
ブッシュは1月29日の一般教書演説で何と言ったのか。ブッシュは「対テロ戦争」の目的のひとつはパレスチナ民族解放闘争を闘う「ハマス、ヒズボラ、イスラム聖戦」などの「テロリストのキャンプを壊滅」することだと言ったのだ。さらにブッシュ政権はパレスチナ解放機構(PLO)主流派のファタハ系武装組織「アルアクサ殉教者旅団」までも「外国テロリスト組織」に指定する手続きを開始した。これらがイスラエルへの作戦指令であることは明らかだ。すなわちパレスチナ自治政府を「テロリスト」をかくまったアフガニスタンのタリバン政権に見立て、「テロリストのキャンプを壊滅」するためにパレスチナ自治区・政府を解体せよということだ。「ブッシュ大統領が、テロに対してやるべきだと言っていることを、まさにやっているのだ」と、シャロンが言っているのはそういうことだ。
3月29日、イスラエル軍はヨルダン川西岸を再占領し、パレスチナ人民を総せん滅・追放する侵略戦争に踏み切った。「テロの基盤を壊滅する」と、パレスチナ自治政府や社会生活の基盤をことごとく破壊し、人民を虐殺している。
米政府がアフガニスタンでの無差別空爆を「民間人の犠牲にこれほど配慮した戦争はない」(ラムズフェルド米国防長官)と宣伝しているのにならい、イスラエルは「かつて例を見ない道徳的な基準と配慮にしたがって、民間の住民に損害を与えないやり方で(自衛権を)行使している」(4月7日内閣コミュニケ)などと言っている。
3月30日、ブッシュは直ちに「イスラエルが自分たちを守ることは全面的に理解する」と強い支持を表明した。米帝の態度に国際的な非難が高まる中で、ブッシュは「イスラエル軍の撤退を求めた」が、それは「イスラエルが米国の要求に従わなくても、経済・軍事支援停止の制裁は行わない」(フライシャー大統領報道官)と断った上での大ペテン政治であった。実際にも米政府は4月10日に年間30億jの対イスラエル支援(うち軍事援助21億j)を決めた。これはイスラエルの軍事侵攻への公然たる支援でなくて何なのか。
4月8〜17日にパウエル米国務長官が「仲介役」と称して中東・欧州を歴訪した。親米派のモロッコ国王モハメド6世にさえ「まずイスラエルに直行すべきではないのか」などと批判されたように、それはイスラエルのパレスチナ人民虐殺に時間を与え、サポートするものでしかなかった。
パウエルはイスラエル軍の侵攻はアラファト=自治政府がきちんとテロを取り締まらないからだという態度を貫いた。そしてイスラエル軍による包囲・監禁を圧力に、「自爆決起をテロとして非難する声明を出さないかぎり会わない」などとアラファト議長を恫喝した。「テロ非難」声明が出たら、次にはこの声明を実行せよと迫ったのだ。
よく「暴力の連鎖」などと言われる。本当にそうなのか。ちがう! それは米帝・イスラエルの一方的な犯罪行為を隠ぺいし、民族解放闘争を否定して、パレスナ人民虐殺を正当化するものでしかない。
米帝が中東・アラブ支配のために軍事基地国家=イスラエルをパレスチナにつくり、そこに住んでいた数百万人ものアラブ人民を暴力的に追い出したのだ。土地を奪われ、家族を殺され、故郷から追い出された人びとが、抵抗闘争に決起するのは必然であり、最高に正義の闘いなのだ。しかもイスラエルはパレスチナ人民が難民として追われた地域にまで軍事侵攻し、入植地を拡大し、虐殺と民族抑圧を行っている。200カ所もの検問所をつくり、自治区を軍隊が取り囲み、パレスチナ人民の生活や経済を徹底的に破壊してきた。パレスチナ人のオリーブ畑がブルドーザーでつぶされ、イスラエルの入植地や基地に変えられていった。米帝の「和平」とは、イスラエルがより安全にパレスチナ人民から土地を奪い、民族抑圧を貫徹するためのものでしかない。
この現実に対して、パレスチナ人民はインティファーダ(民衆蜂起)に立ち上がった。イスラエル軍は石を投げるパレスチナ人の青年や子どもたちを次々に撃ち殺した。パレスチナの青年たちは「どうせ殺されるなら意味のある死に方をしたい」「すべてを奪われ、もう何もない私たちが払うことができるのは、ただ自分の命だけなのです」と言い、命を投げ出して闘っている。
これを誰が非難できるというのか。4月12日に、女性として4人目の自爆決起をしたアンダレーブ・タクタカーさん(20)は「私の体を通じて、真実を語りたいのです」というメッセージを残した。彼女が死をもって伝えようとしたパレスチナの真実をはっきりと見ようではないか。
今回のイスラエルの軍事侵攻は、48年にパレスチナの故郷を追われ、50数年にわたって難民生活を強いられてきた歴史の再来だと、パレスチナ人民は認識している。ここで屈服すればまたすべてを失うことになると、パレスチナ人民の誇りと未来をかけ、死を覚悟して自治区にとどまり闘いぬいている。その英雄的な闘いはイスラエル軍高官をして「ジェニン・キャンプは、パレスチナ人のマサダ(古代ローマ軍と闘ったユダヤ人のとりで)になっている。彼らはけっして投降しようとしない」「軍事作戦でも完全にはテロ基盤は破壊できない。作戦はパレスチナ人の志気を高め、イスラエルへの憎悪を強めている」と言わしめている。
このパレスチナ人民の闘いに全世界の被抑圧民族人民がどれほど涙を流し、勇気づけられていることか。それは帝国主義国の労働者人民の階級的な魂をもとらえ始め、全世界でパレスチナ連帯の反戦闘争が爆発している。パレスチナ人民の闘いは、30年代のスペイン内戦のように、全世界で侵略戦争を行い、世界戦争に突き進む米帝(帝国主義)と対決する国際階級闘争の最前線となっているのだ。
イラク制裁と査察再開策動
パレスチナ人民の闘いは米帝の「和平」策動を破産させ、イラク侵略戦争へのアラブ諸国の合意を困難にしている。だが米帝は、イスラエルのパレスチナ侵略戦争が中東問題の核心となっている構図をねじ曲げるためにも、イラク侵略戦争を凶暴に進めようとしている。切迫するイラク侵略戦争を絶対に阻止するために決起しよう。
米帝は5月末にイラク制裁措置の延長と査察再開を国連安保理で決定し、イラク侵略戦争へ向けて最後の追い込みに入ろうとしている。4月6日、ブッシュがブレア英首相との会談後「米国の方針はフセイン政権の転覆だ」と語ったように、査察はイラク侵略戦争のための口実でしかない。米英軍はイラク空爆を断続的に行い、すでに米特殊部隊がイラク国内で工作を開始している。
3月22日、イラクは国連に対し、「査察官はどれだけ滞在するのか、米英の査察官は中立を守れるのか、米英軍の空爆や国連制裁の被害の賠償は受けられるのか」など19項目の質問を提示したが、国連安保理は回答を拒否した。イラクの駐日臨時代理大使アブドゥルワハブ・M・ガザル氏は「国連査察チームは(98年まで)7年半の間、一般の家庭からモスク、学校、病院、大統領府まで調べたが、大量殺傷兵器を発見できなかった」「98年末の米英軍によるイラク攻撃は、まちがいなくその情報にもとづいている。イラクは国連の査察に協力したはずなのに、その結果が空爆になったのだ。そして空爆は98年末から現在にいたるまで断続的に続き、多くの女性や子どもたちが犠牲になっている」と訴えている。
今もイラクは、化学兵器に転用される可能性があるとの理由で医薬品の輸入が禁止されている。浄水場は空爆で破壊されて十分に復旧しておらず、消毒用の塩素も輸入できない。医薬品の不足と不衛生な飲料水により子どもたちがどんどん死亡している。こうした現実をいつまで許すのか。米英帝のイラク空爆、国連のイラク制裁を弾劾し、直ちにやめさせよう。米英日帝のイラク侵略戦争を絶対に阻止しよう。
アフガン空爆の遺族が決起
アフガニスタンでは、現在も東部山岳地帯で米英軍などによるタリバン、アルカイダの掃討と称する新たな軍事作戦「ターミガン(ライチョウ)作戦」が激しく展開されている。6月10日にアフガニスタン次期暫定政府を決める緊急国民大会議(ロヤ・ジルガ)議員の選出作業が始まり、ザヒル・シャー元国王が帰国する中で、内戦が激化している。米人権団体は、「各地でパシュトゥン人の村が襲われ、虐殺や略奪、強姦(ごうかん)が行われている」と報告している。
他方、タリバン・アルカイダの兵士は米軍の駐留地やカブールの英軍を中心とした国際治安支援部隊(ISAF)を攻撃するなどの果敢なゲリラ戦争を闘っている。米軍のアフガニスタン空爆から半年たった4月7日、カブールで肉親を殺された遺族らが集会を開き、米政府に補償を要求した。アフガニスタン各地から15家族60人が、同じ境遇の計400家族の嘆願書を持参し、悲しみと生活苦を訴えた。米民間活動団体グローバル・エクスチェンジによれば、約2万人の遺族がいると考えられている。
闘うアフガニスタン人民と連帯し、米帝による人民虐殺や餓死の強制、タリバンおよびアルカイダ兵士の虐殺を徹底的に弾劾せよ。昨年12月6日の時点で3800人の民間人が殺され、タリバン・アルカイダ兵は昨年11月下旬までに6千人以上が殺されたと報告されている。11月10日マザリシャリフでの少年兵ら100人の虐殺、11月26日カラハンギ収容所での約600人全員の虐殺など、米英軍の支援のもとでの捕虜の大虐殺も明らかになっている。
何よりも日帝・自衛隊がこのアフガニスタン侵略戦争を支えてきたこと、アフガニスタン侵略戦争の泥沼化の中で、5月19日までと定めた派兵期間を延長しようとしていることを徹底的に弾劾し、新たな派兵阻止闘争に決起しよう。
歴史的没落にあえぐ米帝の延命をかけた軍事戦略
ブッシュ政権は、世界大恐慌、長期大不況の時代に突入し、再び帝国主義の生き残りをかけた死闘の時代が始まることを認識して、世界危機―米帝危機を世界戦争で突破していくことを基本路線としてきた。とりわけ旧スターリン主義圏や中国などのスターリン主義が帝国主義の支配の巨大な破綻点としてあり、ここが帝国主義の勢力圏分割の最大の戦場となっていることを重視した軍事戦略をうちだした。また帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制の崩壊によって朝鮮半島や中東の新植民地主義支配が決定的な破綻に直面していることを戦争的に巻き返していくことがうち出された。それは帝国主義間の争闘戦を軍事的に制覇するための戦略なのである。
ブッシュは「2正面戦略からの転換」と「ミサイル防衛構想」を柱とした世界戦争戦略を発表し、また核爆発実験禁止条約(CTBT)や弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの離脱など「米国の利益」を排他的に追求するものとして世界大戦級の戦争を準備してきた。
これに対し、9・11反米ゲリラ戦争が米帝の軍事・経済の中枢にたたきつけられた。この壮絶な自爆戦闘は米帝を震撼(しんかん)させた。米帝ブッシュは、被抑圧民族の怒りがいかにすさまじいものであるかを強烈に突きつけられた。ブッシュは自らの世界戦争政策がいかに巨大な危機を生みだすかを再認識し、より一層凶暴化した。
だが9・11が米帝ブッシュの侵略戦争を生みだしたわけではない。世界大戦級の戦争に訴えることはブッシュ政権の既定路線であった。米帝の「対テロ戦争」が、あたかも9・11反米ゲリラ戦争に対する報復戦争のようなものとして正当化されてきたが、そこにはものすごい虚構があるのだ。
ソ連スターリン主義の崩壊と米帝の中東石油支配の危機の中で、90年代からカスピ海沿岸―中央アジアをめぐる石油・天然ガスなどの資源争奪戦が始まっていた。97年4月には米国務省が「カスピ海沿岸部の石油開発は……安全保障上の観点からも重要」と議会で報告し、同年9月には米軍がカザフスタン、ウズベキスタン、キルギスとの軍事演習を行った。米帝はこうした動きの中で、98年の段階からアフガニスタンのタリバン政権の転覆を準備してきたのだ。
「対テロ戦争」の本質は何か
米帝は、9・11反米ゲリラ戦争をたたきつけられたことで、自らの戦争政策が民族解放闘争の爆発や他帝国主義の対抗的な争闘戦の激化などを加速させ、米帝の予想をもはるかに超えて進展する可能性があることを認識し、第3次世界大戦をも見据えた01年QDR(4年ごとの戦力見直し)やNPR(核戦力体制の見直し)をうち出した。
昨年9月30日に国防総省が発表したQDRは「米軍の目的は米国の国益」「国益への脅威を決定的に打破する」と宣言した。そしてこの「決定的」とは「米国の意志を貫き、将来ありうる脅威を取り除く」ことであり、「体制の変革や占領を含む」とした。また従来の「脅威対応型」戦略を転換し、予測不可能なあらゆる「脅威」に備えて、米帝の側から先制的に戦争にうって出る「能力対応型」戦略を採用した。そのために兵器体系の最先端技術化、軍隊の再編を徹底的に進め、他帝国主義を圧倒するとした。01年QDRは米本土防衛の強化とアジア重視戦略(対日争闘戦を核心に据えた中国・朝鮮侵略戦争政策)をより明確にした。
1月9日に発表したNPRでは、核戦力と通常兵器との一体化やBMD(弾道ミサイル防衛)計画を進め、実際に核兵器を使った戦争をやる方向をうち出した。付随する機密文書では、イラクや北朝鮮、中国など7カ国への核戦争計画を策定するよう指示し、地下施設を破壊する新型戦術核兵器を開発・製造することを命じた。
BMD計画に関して、ラムズフェルド国防長官が核弾頭を搭載した迎撃ミサイルの研究を国防科学委員会に指示したことが4月11日に明らかになった。BMDに核弾頭を使うとすれば、敵国の弾道ミサイルの加速段階、ないしは発射前の段階で撃ち込む以外にない。でなければ米自身や衛星通信システムが壊滅的な打撃を受けるからだ。この事実はBMDが防衛計画ではなく、先制核攻撃の計画であることを暴露するものだ。
米帝ブッシュの「対テロ戦争」の本質は何か。それは世界大恐慌の過程が始まり、米帝と帝国主義の歴史的没落が決定的となる中で、基軸帝国主義=米帝が「テロ根絶」=民族解放闘争の圧殺戦争という世界大的な侵略戦争、世界戦争にうって出たということだ。米帝は新植民地主義支配体制の崩壊や残存スターリン主義・旧スターリン主義の危機に対し、自ら既存の世界秩序をもぶち壊して先制的に戦争・核戦争をしかけ、そのもとに他帝国主義を組み伏せ、たたきつぶして世界大恐慌、大不況の時代を生き残ろうとしているのだ。それは争闘戦的敗勢=帝国主義的没落に追い込まれた他帝国主義の絶望的な凶暴化をも引き出し、戦後世界体制を最後的に崩壊させ、世界大恐慌と世界戦争へと導く。そして何よりも民族解放闘争、プロレタリア階級闘争を爆発的に激化させるのだ。
こうして世界戦争・核戦争による人類の破滅か、世界革命による人類の解放かをめぐる大決戦がものすごいテンポとスケールで迫っているのだ。全世界で被抑圧民族人民を大虐殺し、世界戦争・核戦争をやるしかない体制はもはや絶対に打倒しなければならない。
日帝の有事立法攻撃粉砕を
日帝など諸帝国主義は米帝の「対テロ戦争」に共同的=競合的に参戦し、激しい戦争的突撃を開始した。
米帝はアフガニスタン侵略戦争で全地球測位システム(GPS)を使い、RMA(軍事における革命)と呼ばれる、情報システムを最大限に活用した作戦を展開した。これに衝撃を受けた欧州帝国主義はGPSに対抗して独自の衛星ナビゲーションシステム・ガリレオの開発を決めた。ブッシュの「悪の枢軸」発言を「世界にとって新たな脅威だ」と批判したベドリヌ仏外相は、「対米外交には協調と抵抗の両面が必要だ」とする外交指針演説を行った。独帝はアフガン侵略戦争に爆撃機や特殊部隊を投入し、1万人の軍隊を海外展開させ、これを背景に中東、西南アジア、中国などでも独自の外交を展開している。米帝の鉄鋼のセーフガード発動に対しては、EU(欧州連合)が直ちに報復措置に訴えた。帝国主義間争闘戦が質的な転換を伴って激化しているのだ。
日帝は日米争闘戦の激化によって最も激しい没落にたたき込まれ、政治・経済の危機を爆発させている。日帝は絶望的に凶暴化し、今国会で有事立法制定=改憲への正面突破をはかり、米帝と並ぶ最も凶悪な帝国主義として登場しようとしている。小泉政権は「テロも不審船も拉致問題も有事だ」と北朝鮮への排外主義をあおり立て、朝鮮・中国侵略戦争政策を日帝自身の主体的な「対テロ戦争」として激しく進めている。日帝はイスラエルがパレスチナ侵略戦争でやっている以上に激しい軍事的突出を行おうとしているのだ。
00年10月、アーミテージ現国務副長官ら民主・共和両党の軍事戦略担当者が共同で「米国家戦略研究所日米関係特別報告」を発表した。同報告書は、97年新安保ガイドラインで定めた日米共同作戦計画の水準を超えて日帝が中国・朝鮮侵略戦争に参戦することを要求し、そのためには日帝が集団的自衛権を行使することが必要だと主張した。有事立法3法案はこの米帝の要求にこたえつつ、日帝が争闘戦的な生き残りをかけ、共同的=競合的に中国・朝鮮侵略戦争に全面的に参戦しようとするものだ。
ついに日帝が戦後憲法体制を突き破って非常事態法を制定し、自衛隊を帝国主義軍隊として復活させ、侵略戦争主体として登場しようとしているのだ。闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民と連帯し、有事立法3法案を日帝・小泉政権もろとも打倒しよう。パレスチナ反戦闘争と有事立法粉砕闘争とを結合させ、5・26全国総決起闘争の戦闘的大衆的な大爆発をかちとろう。日本の学生、労働者は反帝国主義・反スターリン主義の旗高く、帝国主義打倒に立ち上がろう。
〔早乙女 優〕
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週刊『前進』(2052号9面2)
コミューン 6月号 有事立法徹底批判
4月17日、有事立法3法案が国会に提出された。5−6月有事立法・改憲決戦に全力で突入するために有事立法の学習を急速にかちとろう。今号はそのための武器である。
第1章は、Q&A方式で有事立法とは何かを明らかにした。有事立法攻撃は自衛隊の創設以来、日米安保の強化・憲法9条の空洞化とともに進んできたが、今回の有事立法は中国・朝鮮侵略戦争のために、周辺有事において自衛隊の武力行使を可能にする日米安保の大改悪=集団的自衛権の行使であり、憲法9条の完全破棄である。
第2章は3法の核心である武力攻撃事態法・要綱案(閣議決定された法案の最終検討段階のもの)の逐条批判。@「国民の協力の努力義務」、A「日本有事の定義を周辺に拡大」、B「首相に武力攻撃事態の認定等の全権」、C「地方公共団体への指示権と代執行権」、D「国民の自由と権利の制限」の5項目に整理して弾劾している。
特に武力攻撃事態の定義を周辺有事に拡大している点について徹底的に批判した。その他、資料として陸・海・空・港湾労組20団体の声明などを掲載。
国際情勢は「パレスチナ抹殺戦争と連帯闘争の爆発」。イスラエル軍のジェニン大虐殺を頂点とする自治区壊滅の侵攻を怒りをこめて弾劾し、それに対するパレスチナ人民の自爆決起などの不屈の闘争、さらにイスラム・全世界に広がる連帯闘争の高揚を伝える。
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週刊『前進』(2052号A面1)
軍事輸送に率先協力するJR総連は有事法の先兵
反対闘争への介入を許すな
日帝・小泉政権の有事法制攻撃に対して、労働者階級の決起が爆発的勢いで始まった。日帝がついに戦後憲法を解体し、米帝との共同的=競合的な対中国・朝鮮の世界的大戦争に突き進もうとしていることに、労働者階級の怒りが急速に高まっているのだ。とりわけ陸・海・空・港湾労働者を先頭にして、有事法制の核心のひとつである労働者の戦争協力、戦争動員を拒否する労働者・労働組合の闘いが広範に始まったことは決定的に重要だ。
この時、高揚する有事法制反対闘争にもぐり込み、その破壊を策しているのが、松崎・JR総連カクマルである。彼らは「戦争反対」「憲法改悪反対」などの仮面をつけて介入を図っているが、断じて許すことはできない。JR総連カクマルは、JR資本と労資一体で戦争―軍事輸送に積極的に協力するファシスト労働運動なのだ。
松崎・JR総連カクマルの正体を暴き、彼らを有事法制反対闘争の戦線から放逐・一掃し、より巨大な闘いの高揚をかちとることを訴えたい。同時に、松崎・JR総連と大分裂したカクマル黒田・中央派が、このJR総連に必死にすがりつきながら、完全に一体となって闘争破壊を策している。JR総連もろともカクマルを打倒しよう。
「自衛戦争」を支持し何が「有事法反対」か!
JR総連は、4月17日に有事関連法案についての「意見」を連合に提出した。JR総連は、ここで「国会において実質を伴った審議をつく」すことや「連合はこの法案に明確に反対するべき」ことを求めているが、自らが戦争協力を断固拒否して闘うとは一切表明していない。
「武力攻撃事態法案」では、国や地方公共団体とともにNHKや電気・ガス・輸送・通信その他の公益的事業を営む法人が「指定公共機関」とされ、自衛隊や米軍の行動のための物品、施設、役務の提供が強制される。当然、ここにはJR各社が含まれる。
JR総連は、「鉄道は軍事的役割を担わされ、乗客を含めて攻撃対象とならざるを得ない」とは言うが、自らが鉄道労働者として、この軍事輸送を拒否するとは絶対に言わない。また、「被害者」の側面を強調するばかりで、他国人民を虐殺する「加害者」になることを拒否するとは絶対に言わないのである。
JR総連カクマルは、国鉄分割・民営化の時も「反対」から積極推進に転換したように、表向きは「反対」を掲げながら裏切っていくのだ。それがカクマルの路線であり、カクマル中央派と組織的に分裂したとはいえ、カクマルとしての本質はまったく変わっていない。JR総連カクマルの「有事法制反対」もアリバイであり、絶対反対で闘おうというのではなく、いざ成立したら全面協力するということなのだ。
それは、この間の言動からも明らかである。
第一に、JR総連は「独立国家の自衛権」を掲げ、「自衛のための戦争」には賛成だということだ。
1999年に日米新安保ガイドライン法=周辺事態法が成立した直後、JR総連は連合の「新政治方針」に対する「対案」で、「国際ルールとして、自衛権は独立国家の固有の権利であることを確認する」として国家の「自衛権」を完全に承認することを表明した。同時に自衛隊を承認した。「縮小の方向を指向」などと条件を付けているが、通常兵力では米軍に次ぐ世界第2位の軍事力を持つ自衛隊の存在を容認したことはきわめて犯罪的である。
これは明確に帝国主義国家としての日本の「自衛権」を認め、その日本帝国主義の軍隊である自衛隊の武力行使=侵略戦争を認めるということだ。
「自衛権」とは、憲法第9条に違反する自衛隊を合法化するために打ち出してきた日帝のイデオロギーそのものだ。そして今、日帝・小泉が「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保」と称して、武力攻撃事態法案などの有事法制3法案を提出しているのとまったく同じ論理である。
JR総連の頭目・松崎明(特別顧問、JR東労組顧問)は、昨年末に出版した『鬼の咆哮(ほうこう)』で、自衛隊について「平和を護持するという意味においても、日本にはこれからも必要な組織だと考えている」と言い放った。これは「平和の護持」のために自衛隊の武力行使に賛成するということではないか。
JR総連は、実際には有事法制賛成なのだ。
自衛隊を運びスト絶滅叫ぶ労働者の敵
第二に、JR総連はすでにJRの軍事輸送に協力することを宣言している。
「新政治方針」を決定した99年10月の連合大会で、JR総連書記長・小田(現委員長)は、周辺事態法成立について、「私たちJRも自衛隊法101条によって、武器、弾薬、兵員の輸送を担わされることになりました」と発言した。小田が言っているのは、自衛隊法101条の規定に反対して軍事輸送を拒否するということでは断じてない。自衛隊の存在を容認したからには、自衛隊法の規定に従わざるを得ないというわけだ。それは、有事法制が成立すれば、それにも従うということではないのか。
現代においても、軍事輸送における鉄道の位置はきわめて大きい。大量の軍需物資、武器・弾薬や兵員を輸送するためにはトラックや航空機だけでなく、貨物列車が必要になる。国鉄時代には軍事輸送の貨物列車を優先して運行するための「裏ダイヤ」が組まれていたことは゛公然の秘密″だ。旅客6社と貨物会社に分割されたとはいえ、国鉄時代と同様に、自衛隊法で自衛隊との「緊密な連絡」が義務づけられていることから、現在のJR各社もそうした準備を迫られていることは明らかだ。
実際、88年には、開通して間もない青函トンネルを、戦車と装甲兵員輸送車を積載した軍用列車を運行した。この時、JR総連カクマルは「自衛隊もJRにとっては大切なお客様」と開き直った。厚木基地などの米軍基地への燃料輸送にもJRは利用されている。こうしたJRの軍事輸送に抗議することもなく、むしろ積極的に協力しているのがJR総連カクマルだ。
軍事輸送を拒否して闘うということは、国家権力およびJR資本との激しい闘いとならざるを得ない。JR総連にはこうした闘いを絶対にやれないし、やる意志もないのだ。
第三に、JR東資本とJR東労組の「21世紀労使共同宣言」(01年8・1)こそ、労資結託体制での軍事輸送推進宣言である。
これは「労使心を一つにして……業務の徹底した効率化に不断に取り組み」と合理化協力を誓い、「一段と質の高い労使関係の構築」をうたったものだ。松崎は「労使はニアリーイコール」などと言っているが、これは徹底的に資本・経営の利害に立った労資一体化論にほかならない。
保守部門の全面外注化攻撃推進も02春闘でのベアゼロ妥結も、すべて「労使共同宣言」から必然となる。そして、JR資本が軍事輸送を担うとなれば、「労使心を一つにして」率先してそれに協力することに行き着く。松崎は「理想を食って生きていくわけにはいかない。だったら軍需生産でもなんでもやっていくようにしなければならない」(95年7月、水戸)と、資本が生き残るためには軍需生産に賛成することすら繰り返し表明しているのだ。
さらに、この「労使共同宣言」は、国鉄分割・民営化過程のものから一貫して「ストライキ絶滅」の宣言としてある。
02春闘でも、動労千葉・動労総連合のストライキに対するJR総連のスト破りは、かつてない激しさだった。有事法制攻撃下では、ストライキを始めとする労働者の実力反撃など暴力的にたたきつぶすということになる。
松崎は、この情勢下でなお、「権力者のやり方に我慢ならないからといって、ストライキや順法闘争に持ち込んでも、一般の市民の理解は得られない」(『鬼の咆哮』)、「私たちは1回もストライキやったことないし、これからもやらないんですよ。観念的労使対決論からストをやる時代ではないんですから」(サンデー毎日1・27号「鬼の回顧録」A)などとうそぶいている。
労働者・労働組合の武器であるストライキに対する憎悪を込めたこの言辞こそ、ファシスト労働運動の正体を示している。
JR総連松崎とカクマルを打倒しよう
第四に、「テロ弾劾」の声の大きさを日共スターリン主義と競い合う排外主義である。帝国主義の暴虐に対して命がけで闘うパレスチナ人民、アフガニスタン人民との連帯の立場などひとかけらもない。JR総連が取り組む「アフガン難民救援」運動なるものは、帝国主義のアフガニスタン侵略とそのもとでの「復興支援」の一翼を担うものでしかない。
ところで、このJR総連を「階級敵」と規定し、「執行部打倒」宣言まで行ったカクマル中央派は今、このJR総連を「アフガン難民支援の闘いの広がり、憲法第九条を守り広げる闘い」(『解放』4・15付)などと全面賛美している。カクマルは日共が「『テロ制裁』の土俵に呑(の)みこまれている」とか「自衛隊を活用することをも是認」と言って批判するが、ほとんど同じ主張をしているJR総連をなぜ批判しないのか。
カクマルは黒田・中央派と松崎・JR総連に大分裂したが、実は両者の立場はほとんど一緒なのである。
今こそ、JR総連カクマルとカクマル中央派を打倒・一掃し、有事法制絶対阻止へ闘おう。
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