ZENSHIN 2002/04/08(No2048 p08)

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週刊『前進』(2048号1面1)

革共同の4月アピール

有事立法阻止! 4・14三里塚へ
 動労千葉・総連合ストライキ引き継ぎ小泉政権打倒せよ
 5・26へ全国で大運動まき起こせ

 3・30春闘総行動が打ち抜かれ、動労千葉―動労総連合の怒りに満ちた歴史的なストライキが日本中を揺るがした。労働者階級の日本帝国主義・小泉政権打倒への反撃が火を噴いたのだ。この闘いの地平を引き継いで、階級的労働運動再生の闘いをさらに発展させよう。労働運動の中に闘う息吹を持ち込み、総屈服を強いられた連合支配下の労働組合運動に一層鮮明な分岐をつくり出そう。同時に、この4―6月、いよいよ有事立法阻止・改憲粉砕・日帝打倒の闘いへ全力決起する時だ。反戦共同行動委員会の呼びかける5・26全国総結集闘争を軸に思い切って総決起しよう。有事立法決戦を戦後最大の政治決戦として死力を尽くして爆発させよう。

 第1章 三里塚は有事立法を粉砕し戦争を阻む砦

 日帝はアフガニスタン侵略戦争に自衛隊を派兵し、今現在も米軍支援作戦を続行中だ。東ティモール派兵は質的エスカレーションを含んでいる。米帝主導による世界中での「反テロ戦争」に深々と参戦するために、戦前並みの有事法制を整備し、教育基本法を改悪し、労働者人民を戦争に総動員する体制をつくりあげようとしている。
 02春闘では、主要業種で軒並みベアゼロ妥結となり、定期昇給の凍結や賃金カットや「ワークシェアリング」と称する賃下げ・解雇自由化が横行し始めた。連合の全面屈服、全労連の裏切りの中で、「総額人件費削減」「解雇のルールづくり」など、95年以来の日経連労問研報告路線を全面的に貫徹させてきている。戦時体制への移行と経済危機脱出のために、一切の犠牲を労働者人民に転嫁しようとしているのだ。そのための戦後的労資関係と雇用関係の反動的転覆攻撃が全面化している。
 資本攻勢と政治反動が一体となって労働者を襲い、雇用破壊が進行し、経済危機が戦争国家化と反動攻勢を激しく促進している。まさに「新たな15年戦争」前夜というべき政治・経済情勢である。
 春闘決戦の地平を引き継ぎ、4−6月、有事立法、三里塚、沖縄、国鉄をめぐる決戦に全力で決起しよう。本アピールでは間近に迫った三里塚暫定滑走路開港阻止決戦と4−6月決戦の闘う方針を明らかにしていきたい。

 4・18暫定開港阻止を

 三里塚現地と反対同盟は、4月18日の暫定滑走路開港を前に、日帝・国土交通省、空港公団の激しい攻撃にさらされている。日帝は有事立法攻撃の一環として三里塚闘争を解体し、三里塚闘争勢力を一掃しようとしているのだ。
 有事立法攻撃の核心は、有事=侵略戦争発動における憲法の停止と国家緊急権の行使である。具体的には、一方で侵略軍隊である自衛隊の武力行使の制約を完全に取り払い、他方で戦争体制に人民を強制的に動員(徴兵、労役など)することや物資調達や、民有地の収用などを強行するものである。さらに言論・結社の統制や、労働運動・労働組合の弾圧、反戦派の投獄などを決定的な環とするものであり、国内治安戦争の全面化である。
 三里塚闘争はこの37年間、軍事空港建設に対して農地の収用を拒否し続け、人民の最強の抵抗闘争として、有事体制づくりを根本から揺るがしてきた。土地収用法による事業認定を失効させ、千葉県収用委員会を解体に追い込んでいることが、闘いの到達地平を象徴している。収用委員会は行政権力の暴力発動機関であり、国家支配に不可欠の権力装置だ。それがまる15年間も崩壊状態を強制されているのだ。戦時体制への移行が差し迫る中、国家の暴力装置が機能しない空間を階級闘争のただ中につくり出している三里塚闘争の革命的意義は絶大だ。
 したがって有事立法攻撃は、一連の有事法制を国会で成立させるとともに、有事体制を根本から脅かす三里塚闘争を始めとする人民の戦闘的闘争拠点の解体なしには成立しないのである。
 とりわけ三里塚闘争勢力の解体・一掃なしに日本における有事体制の確立はない。だからこそ日帝権力は、三里塚闘争の終えん、敗北を人民に強制し、日本における戦闘的農民・住民闘争、反戦闘争、階級的労働運動の総体に敗北感を強制しようとしているのだ。
 4・18暫定滑走路開港阻止をめぐる闘い自体が有事立法攻撃との闘いであり、日米帝のアフガニスタン・中東侵略戦争阻止の一大戦場なのである。
 日帝は暫定滑走路開港の暴圧で反対同盟・敷地内農民、周辺住民を屈服させようとしている。そのために航空機騒音直下の危険をことさら強調している。生活する農家の頭上40bに航空機を飛ばし、50bの至近距離で航空機を自走させ、爆噴射にさらす。これが開港の現実だ。
 国交省の計画は、あくまでも暫定滑走路を当初計画どおり南側に1120b延長し、3300b滑走路にすることだ。横風用滑走路予定地と交差する部分の400bを含めると、平行滑走路は3700bになる。それは事実上の4000b滑走路であり、米軍B52級の大型爆撃機が使用可能な軍用滑走路となる。
 だが平行滑走路計画が当初計画から大きく後退し「暫定」にとどまったことは、国交省・公団の無惨な敗北である。国際空港として使い勝手の悪さは論外で、運航上も危険きわまりない。誘導路は「への字」に曲がっている。管制塔からの死角が3カ所もある。着陸帯幅が国際基準の半分しかない。滑走路延長上の立ち木が進入表面を突き破り、滑走路は南側発着の場合、実質1920bしか使えない。もとより暫定滑走路はジャンボ機(成田空港発着の95%)がまったく使えない。中型機以下でも近距離便だけだ。完全に国際空港失格である。にもかかわらず国交省は発着枠制限いっぱいまで飛ばし、騒音で地権者農民をたたき出し、本来計画の滑走路に延長することを狙っている。公団は昨年11月、B滑走路の完成予定期日が切れたことを受けて、同期日を2004年3月31日に変更する申請を国交省に行い、認可を受けた。つまり公団は現在、法的環境としては当初計画どおり3300bへの延長工事を継続しているのである。
 そのために暫定路の国内線を無理やり増やし、アジア便の増便をねつ造さえしているのだ。開港直後には中国、韓国便は実需の1・5倍近い路線が設定されている。9・11反米ゲリラ戦以降、航空需要は急激に落ち込んでおり、現在も回復していない。にもかかわらず国交省・公団は暫定滑走路の運航便拡大のために内外の航空会社を日参した。ひとえに地権者を追い出し滑走路を延長するためだ。
 さらに公団や千葉県、成田市などは、地域反動を組織し「空港は周辺地域の経済的活性化をもたらす」「空港反対農民と三里塚闘争は地域の敵だ」などという反動キャンペーンに全力をあげている。断じて許すことはできない。

 延長阻止決戦突入へ

 4・18開港を新たな突破口に、三里塚闘争は平行滑走路の延長阻止決戦に突入する。この延長阻止決戦は、航空機の爆音による公団の一方的攻撃から、農民の生活を防衛する闘いである。三里塚闘争は日帝の侵略戦争体制と真っ向から対決し、空港建設を37年間阻止し続けてきた。この三里塚闘争を労働者階級人民の闘いでなんとしても守りきらなければならない。わが革共同には、反対同盟とともに絶対に勝利をかちとる階級的義務と責任がある。
 革共同の闘いは一貫して三里塚闘争の発展とともにあった。67年10・8羽田闘争以来のベトナム反戦闘争と70年安保・沖縄決戦、大学闘争、80年代反動攻勢との闘い、国鉄分割・民営化攻撃との闘い、85年10・20三里塚十字路戦闘−11・29浅草橋戦闘、90年天皇決戦、そして三里塚治安法決戦。このように革共同と革命的左翼によるすべての闘いの実体が三里塚に結実してきた。だからこそ、一大政治決戦は必ず三里塚決戦とともに発展してきたのである。
 また革共同のPT、PU(先制的内戦戦略の第一、第二段階)下の政治闘争が戦争的制約下におかれている中で、革命勝利への基本路線を貫く最重要の政治闘争として三里塚闘争を闘い抜いた意義はきわめて大きい。厳しい二重対峙戦争の条件下で、死活的な政治闘争を三里塚闘争が保証したのである。
 さらに三里塚闘争は日本におけるゲリラ・パルチザン戦闘を生み出し発展させてきた。9・11情勢下で国際階級闘争が新たな発展を遂げようとする中、革共同がこれと断固として連帯を宣言できるのは、二重対峙・対カクマル戦争と三里塚の激烈なゲリラ・パルチザン戦闘を勝ち抜いた経験があるからだ。その点で、三里塚闘争は今なお日本における最高の戦闘的闘争拠点であり、国際階級闘争からも注目を浴びている闘争なのである。
 4・14三里塚現地総決起闘争に結集し、反対同盟との血盟をあらためて誓い、日本労働者階級人民とわが革共同の決意を全世界に示そうではないか。

 第2章 国際連帯掲げ革命的反戦闘争創成しよう

 5・26有事立法阻止闘争を軸とする4−6月決戦の第1の闘争方針は、アフガニスタンやパレスチナを始めとする闘うイスラム諸国人民・アジア人民と連帯し革命的反戦闘争を爆発させ、有事立法の国会提出・成立を阻止する闘いである。
 アフガニスタンは、〃第2のベトナム”ともいえる情勢になりつつある。
 米帝はアフガニスタン東部パクティア州で3月冒頭から、タリバン・アルカイダの最後的掃討を掲げ、アナコンダ(大蛇)作戦と称して新型爆弾による攻撃を開始したが、完敗に終わった。3月20日、アフガン東部ホストの飛行場近くにある米軍駐留地が、ロケット弾や機関銃で数時間にわたり襲撃され、多数の米軍兵員が負傷する事態となった。
 これに対し米英などの帝国主義侵略軍は、アフガニスタン人民への残虐な皆殺し作戦をさらに重ねようとしている。タリバン・アルカイダは4月から本格的地上戦を挑もうとしている。アフガニスタンの民族解放闘争勢力は、米軍の大軍事作戦にもかかわらず、果敢に反撃に転じているのである。
 パレスチナでは、イスラエルによる占領と大量虐殺に対する人民の激烈な闘争が発展している。米帝とイスラエルは、パレスチナ人民の自爆戦闘を含む闘いに追いつめられ、ペテン的「停戦提案」で再度の本格的侵略戦争体制の立て直しを図ろうとしている。停戦提案とは、テネット米CIA長官が公言するように「イスラエル側が昨年9月の位置まで軍を撤退させるのと引き替えに、パレスチナ側に武装闘争の中止を要求する」というものだ。パレスチナ人民の命がけの決起がイスラエル国内で反戦・反軍闘争の高揚に転化し、徴兵拒否運動が爆発的に発展し、イスラエルの国内支配が根底から揺らいでいるからである。
 米帝はこの停戦案を飲ませることでパレスチナ人民の武装解除と反イスラエル武装闘争の撲滅を図ろうとしている。パレスチナを米帝(および米の全面的軍事支援を受けたイスラエル)の軍事力で制圧し、それをもってイスラム諸国人民の解放闘争全体を鎮圧し、中東支配の崩壊的危機を立て直そうとしているのだ。
 パレスチナ人民は停戦案粉砕の決死の戦闘を闘いぬいている。パレスチナ人民は国と土地を奪われた民族であり、武装闘争こそが民族の誇りと土地および帰還権を奪還し解放に向かう道なのだ。停戦受け入れは、すなわちパレスチナの死を意味するからだ。イスラム諸国人民の解放闘争の発展は最終的にイスラエルを国家として崩壊させる以外にないものだ。
 米帝は「反テロ戦争の第2段階」に突入すると宣言してイラクへの戦争開始の準備に入った。早ければ5月末にも開戦に踏み切る情勢である。この戦争は、米帝による中東石油支配の維持、そのためのイスラエルとシオニズムの絶対的防衛の戦争である。米帝はイラク、イランを軍事的制圧下に置こうとしているのだ。
 世界危機の世界戦争への転化の攻撃と対決し、国際連帯を掲げ、日本の地で革命的反戦闘争を巻き起こそう。

 第3章 有事立法阻止へ百万人民の行動的決起を

 日帝は米英のアフガニスタン侵略戦争の最も忠実な協力国として自衛隊を派兵している。日帝は今度こそ91年湾岸戦争の轍(てつ)を踏まないためにと称して、侵略参戦体制を抜本的につくりあげ、自衛隊を実戦部隊化し侵略戦争を遂行しようとしている。それ以外に帝国主義として延命する道がないからである。
 日帝は有事立法を4月10日までに国会提出する方針である。政府案の全容もほぼ明らかになった。有事対応の枠組み・理念を示した包括法案と、個別法としての安全保障会議設置法改正案、自衛隊法改正案、米軍の行動に関する特別措置法案の4本を一括して提出するという。
 日帝は「武力攻撃事態への対処」と称して、有事概念を大幅に拡大解釈している。「有事」を国家の戦争だけでなく、「ゲリラ攻撃」や「ミサイル着弾」にまで広げようとしている。昨年12月の外国船事件のような事態をもって有事となす方針だ。それだけで国全体を戦争体制にたたき込み、憲法と基本的人権の一切を停止しようとしている。また国家機関の臨戦態勢化も一気に進む。安全保障会議には米帝のNSC(国家安全保障会議)を想定した常設会議が設置され、軍事政策の統合・調整にあたる。有事には明治憲法下で労働者人民のすべての権利を停止した非常大権(天皇の大権)を行使できる首相直属機関となる。国家安全保障会議が憲法にとって代わるのだ。
 米軍の行動に関する特別措置法案は、米軍支援の名のもとに日帝の集団的自衛権を事実上承認するものだ。
 さらに自衛隊法改悪案は現在のアフガニスタン、パレスチナ、中東情勢に対応し、自衛隊を実戦部隊として派兵するものであり、また南北朝鮮情勢や中国・台湾情勢の激動化に対して日帝が侵略戦争で介入していくことを想定している。
 4〜6月決戦の中心的な闘争課題は、この有事立法阻止・改憲粉砕決戦に猛然と決起することである。有事立法阻止の国会闘争を中央政治闘争として闘いぬこう。その基礎をつくりだすために、百万人民の行動的決起―署名運動に全力で取り組もう。5月26日に反戦共同行動委が呼びかけている有事立法粉砕全国総決起闘争を最大の集約点にして、4−6月決戦に全力決起しよう。

 沖縄闘争が決定的に

 さらに、有事法制成立阻止の革命的反戦闘争の中に、三里塚闘争と沖縄闘争を位置づけて闘いぬくことである。
 日帝は国会での有事立法の成立と資本攻勢の強化の中で、4月三里塚「暫定滑走路」開港、5月沖縄復帰30年記念式典、部落解放闘争に対する同対事業打ち切りなどをもって、階級闘争を戦闘的に牽引(けんいん)してきた労働者人民の闘争拠点を破壊する攻撃を最大級に激化させている。
 日帝は5月19日に、三権の長が出席する本土復帰30年記念式典を強行することで沖縄闘争解体攻撃を強めている。この攻撃は5・15体制、SACO路線(96年の日米のペテン的「基地返還合意」)の破綻(はたん)の中で、沖縄人民をより差別的な支配構造のもとに組み敷き、基地の島としての沖縄を強制する攻撃である。沖縄を日帝自身の最大の侵略前線基地として再編・強化しようとしている。断じて許すことはできない。名護新基地建設阻止闘争を先頭に沖縄闘争の根底からの爆発をかちとろう。
 さらに、日帝は治安体制の抜本的強化と法制的整備を一気に進めつつある。とりわけ今国会でテロ資金供与防止条約の批准を狙っている。この条約が義務付ける関連法は、テロを口実に資金没収から逮捕まで、権力の恣意(しい)でどのような弾圧も可能とする悪法だ。絶対に許してはならない。サッカー・ワールドカップのフーリガン対策を口実にした治安体制の本格的強化と対峙し、闘いぬこう。

 国鉄決戦の勝利開け

 4―6月決戦の第2の闘争方針は、春闘後も激化する資本攻勢との闘いだ。
 3・30春闘総行動の地平を踏み固め、動労千葉・動労総連合の歴史的なストライキに呼応して闘おう。国鉄決戦を中心に春闘総行動を引き続き推進しよう。
 日経連会長・奥田は、今春闘を「各社とも日経連の高コスト構造の是正、生産性に即した賃金決定の貫徹などの主張を理解し、交渉に臨み、雇用形態の多様化・柔軟なワークシェアリングの導入、定期昇給の見直し・凍結等についても新しい方向が打ち出された」と中間総括している。さらに、日経連は連合、全労連の屈服を見て、春闘後の賃金制度全体の反動的改革を叫び始めた。この総資本の大攻勢に真っ向から対決していこう。
 春闘を引き継ぐ決戦場は国鉄決戦である。国労本部はJR資本への屈服をさらに深め、国労闘争団の切り捨てに続いてメンテナンス合理化の先兵となり、外注化を受け入れ、出向者への裏切りを行った。松崎・JR総連を打倒し、国労本部の裏切りを粉砕して、国鉄決戦の勝利をかちとろう。
 4―6月決戦の第3の闘争方針は、有事立法攻撃下での差別・抑圧攻撃の一挙的激化と対決し闘うことである。
 ワールドカップ開催とテロ対策を口実に、戦時型入管体制の攻撃が強められている。在日・滞日の朝鮮・中国・アジア人民、イスラム諸国人民を支援・防衛・連帯する闘いに決起しよう。第11回全国大会の画期的成功をかちとった部落解放同盟全国連合会と連帯し、全国連5万人建設をともに闘いとろう。社会保障制度の反動的転換攻撃を許さず闘いぬこう。
 4―6月決戦の第4の闘争方針は、松崎・JR総連カクマルと中央派カクマルという2つの反革命と対決し、対カクマル戦争の新局面を闘いとることである。
 4―6月決戦の第5の闘争方針は、超長期獄中同志の奪還闘争、1億円保釈金カンパ闘争へと猛然と決起することだ。
 有事立法阻止への総決起の中で党建設の闘いを断固推し進めよう。学生戦線の圧倒的前進をかちとろう。

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週刊『前進』(2048号6面1)

●特集/新入生のみなさんへ 中核派とともに世界を変革しよう!

A 中核派の時代観・世界観 国際連帯で帝国主義を打倒しよう
 島崎 光晴

 アメリカのアフガニスタン戦争をどう見るのか。9・11の反米ゲリラをどう見るのか。20世紀とはどういう世紀だったのか。そして21世紀冒頭の世界は、日本はどこに向かおうとしているのか。日本の学生はどういう価値観で生きるべきなのか。これらすべての疑問に、中核派だけが明快な回答を出している。以下、中核派の時代観・世界観のポイントをQ&Aで解説する。新入生の皆さん、戦争を阻止し世界を変革するためにともに闘おう。

 パレスチナを見よ! 耐えがたい民族抑圧

 アメリカはなぜアフガニスタンで戦争をしているのか?
 アフガニスタン人民の民族解放の闘いをつぶすためだ。これはアフガンだけでなく、イスラム諸国での民族解放の動きを抑えつける戦争だ。ブッシュは「テロとの戦い」と言っているが、その「テロ」とは民族解放闘争を指している。つまりこの戦争は、他民族に対する侵略戦争だ。アメリカは9・11の反米ゲリラで大打撃を受けたものだから、アフガンで戦争を始めたわけだ。
 アメリカのやり方はひどいと思うが、9・11のようなテロはやはり良くないのでは?
 あのようなゲリラがなぜ起きたのか。航空機をのっとった19人のアラブ人は、生還しようと思っていない。彼らには、自分の命を投げ出してでも許せないものがあった。あなたは、自分の命に換えてでもなしとげたいという経験をしたことがあるだろうか。そこを考えてほしい。
 何が許せなかったのか。それはアメリカがパレスチナやイスラム諸国でやっている抑圧と侵略だ。イスラエルは、アメリカの中東政策を推進する国家だ。同じアラブ人なら、誰もがパレスチナのことをわがことと考えている。だから、パレスチナで何が起きているかを抜きに、9・11を考えることはできない。
 パレスチナでは87年からインティファーダが始まった。パレスチナの独立を目指した民衆蜂起だ。イスラエル軍に石を投げる多くの子どもたちが銃で撃たれて死んだ。子どもたちはなんと思ったか。「石だけで闘って大勢殺されたのだから、なぜ銃をとってはだめなんだ」「いずれ死ぬ時は、石ではなく手投げ弾で死にたい。石を投げたぐらいで殺されたくない」(広河隆一『パレスチナ難民キャンプの瓦礫(がれき)の中で』)と。
 ゛どうせ殺されるんだったら、もっと意味のある死に方をしたい″というこの気持ちを考えないといけない。それほどパレスチナやアラブの人たちは民族として抑圧されている。
 民族の抑圧とは何か?
 パレスチナを見ればいい。ヨルダン川西岸のベツレヘム市近くのアル・カダール村は人口8500人。一昨年来のイスラエル軍の攻撃によって4人が死亡、400人が負傷した。その1人、昨年2月に撃たれて死亡したラエド・ムッサ君(23)。彼の家には数日ごとに、ラエド君の兄弟たちが抵抗運動に加わらないよう脅すため、顔を墨で黒く塗った完全武装の兵士が深夜現れる。少年・青年たちは毎夜、村の薄暗い店先にたむろするしかない。「夜自宅にいるとイスラエル兵が僕たちを捕まえに来るから、毎晩ここに来ている。明け方になったら家に帰って寝る」(『世界』01年10月号)
 パレスチナ人民は「大きな牢獄に住んでいる」と言う。人間としての自由も文化も宗教も奪われ、牢獄のように支配され抑えつけられ、そして殺される。これこそ民族的抑圧なのだ。それに対してパレスチナ人民は、本当に決死の闘いに立ち上がっている。
 なぜ民族の抑圧が起きるのか?
 世界を帝国主義が支配しているからだ。話は1世紀ぐらい前にさかのぼる。19世紀末に、当時の「強国」は植民地を拡張し、世界を分割した。各「強国」が先を争ってアフリカなどを軍事力で占領し、自国の領土に併合してしまった。20世紀に入るころには世界の分割は完了し、基本的に全部、各国の領土になってしまった。植民地=自国領土にできなかったところは、実質上の支配が及ぶ勢力圏とした。これで世界は帝国主義国と植民地・勢力圏とに、つまり抑圧民族と被抑圧民族に分かれるにいたったのだ。
 だから、例えばアメリカや日本とアフガニスタンとの関係を考える場合、゛対等な国家間の関係″と勘違いしてはいけない。帝国主義国による民族的抑圧を抜きに、世界をとらえることはできない。たしかに、第2次大戦後に多くの植民地が独立した。しかし、実態は植民地と何も変わらない。第2次大戦以前のむき出しの植民地主義に対して、第2次大戦後は新植民地主義と言う。
 帝国主義は昔の時代のことなのでは?
 いや、今も帝国主義時代のままだ。中核派の時代観、世界観の一番のポイントはここにある。世界では、特に被抑圧国では帝国主義という言葉は普段、当たり前のこととして使われている。日本で使われていないだけのこと。学生や労働者はしっかりした時代観を持つことが重要だが、それをわざと曇らせるような教育、マスコミ報道が行われているのだ。
 帝国主義とは、何か?
 帝国主義とは独占資本主義、言い換えると資本主義の独占的段階のことだ。これはレーニンが『帝国主義論』で書いている。19世紀末から20世紀にかけて、「強国」で大企業が現れた。どの産業でもわずか数個の大企業で各国の市場を支配する状態になった。これが独占だ。しかし各企業はそれに満足せず、もっと利益を得ようとして国内外で市場を奪い合う。
 しかも、19世紀末には世界が分割され、各国の植民地=領土とされた。19世紀まではイギリスやフランスが植民地を、ある意味では好き放題に取っていた。しかし世界分割が完了してしまったものだから、各国はもっと植民地を取るためには他国の領土を奪うしかない。つまり、植民地を独占しようとする。それは戦争にまで行き着く。世界の市場でも、世界の領土でも、独占的に奪い取ろうとするような資本主義、それが帝国主義だ。
 なぜ戦争が起きるのか?
 今話したように、各資本や各帝国主義国が、世界市場と世界領土を他資本・他帝国主義国から奪い取ろうとするからだ。これを再分割という。特に、植民地の原料資源を独占的に確保しようとする。今のアメリカなどがやっている中東侵略戦争も石油資源に狙いがある。また各国が不況になると、新しい市場を求めて植民地・勢力圏を奪おうとする。市場が目いっぱいになって資本家の儲(もう)けが少なくなる状態、これが資本の過剰だ。そうなると資本家は国外にカネを貸し付けたり工場を造ったりして、儲けを増やそうとする。これを資本輸出と言う。さらに、国内の矛盾を国外への侵略によってそらそうとする。排外主義だ。
 これらが帝国主義の植民地主義、侵略戦争を引き起こすこととなる。そして各帝国主義は、植民地・勢力圏を奪い合う帝国主義間争闘戦を強めていく。その究極が世界戦争だ。現在も帝国主義であるかぎり、第3次大戦に向かっていかざるをえない。

 ロシア革命が示した戦争を阻止する闘い

 そんなに何回も世界戦争が起きるものなのか?
 本来はそうではない。本来なら第1次大戦だけで終わっていたはず。なぜかと言うと、第1次大戦下の17年にロシア革命が起きているからだ。ロシアでは、レーニン率いるボルシェビキ党が「帝国主義戦争を内乱へ」のスローガンを掲げ、労働者・兵士・農民の決起で、戦争をやっている政府を倒した。第1次大戦は「どちらの側から見ても帝国主義戦争(すなわち侵略的、略奪的、強盗的な戦争)」(レーニン『帝国主義論』)だった。だからボルシェビキは、自国政府を守るのではなく、「自国政府の敗北」を掲げて闘い、ロシア革命に勝利することによって戦争を終わらせた。
 1871年にパリコミューンという初の労働者権力が生まれたが72日間しか続かなかった。しかしロシア革命は、革命後の国際反革命干渉戦争を打ち破り、プロレタリア革命として勝利した。ここに世界革命の過渡期の時代が始まった。
 プロレタリア革命とは何か?
 資本主義社会は、資本家階級=ブルジョアジーが労働者階級=プロレタリアートを支配し、搾取して成り立っている階級社会だ。労働者がこの支配と搾取から解放されるためには、資本主義社会を転覆しなければならない。「私有財産を廃止」して、「資本がすべての成員の共同の財産に転化する」ようにする。そのために「プロレタリアートによる政治権力の奪取」が必要となる。しかも、一国だけでなく世界的に資本主義を打倒するため、「万国の労働者は団結せよ」のスローガンで闘う。いずれもマルクス・エンゲルスの『共産党宣言』からの引用だ。
 これが共産主義の思想、マルクス主義だ。レーニン主義は帝国主義時代のマルクス主義と言える。
 でもソ連は崩壊したではないか?
 それは、ロシア革命がスターリン主義によって歪められたからだ。1920年代にスターリンがソ連共産党内で権力を握ってから、社会主義・共産主義に向かう道は閉ざされ、変質してしまった。例えば「ノルマ」というのはソ連で使われていた言葉だ。労働者の解放を目指した革命だったにもかかわらず、労働者を強制労働に駆り立てる体制にねじ曲げられた。少しでも異を唱える者は大量に粛清され、強制収容所に送られた。
 国際的に見ても、世界革命という本来の目標は捨てられ、むしろ各国の労働者人民の闘いがソ連の外交の手段・道具にされてしまった。例えばヒトラーがドイツ首相となった33年、ソ連はヒトラーを批判していない。当時のソ連外交が親独だったから。ところが30年代半ばに反独・親仏政策に転換、30年代末には独ソ不可侵条約に再び転換。結局、ドイツ人民の運動はソ連外交にほんろうされ続け、壊滅してしまった。
 スターリン主義とは何か?
 革命後にロシアで何が必要だったかということを考えてみよう。一方で、ロシア革命はあくまで世界革命の突破口にすぎず、世界革命の完遂のために闘っていくことが必要だった。他方、ロシアで社会主義に向かって過渡期の政治・経済を建設していくことが必要だった。そういう一個二重の任務が、革命ロシアに突きつけられた。
 ところがスターリンは20年代前半に一国社会主義論を打ち出して、前者の世界革命を放棄してしまった。世界革命の完遂という展望から切り離して、一国における社会主義革命・社会主義建設を自己目的とするにいたった。そこから、労働者を抑圧するスターリン主義官僚の支配体制がつくられた。国際的な共産主義運動は、それを守るための手段に変質させられた。つまりスターリン主義の本質は一国社会主義にある。
 スターリン主義によって世界はどうなったか?
 20世紀はその初期に世界革命に向かい始めたにもかかわらず、スターリン主義によって歪められてしまった。29年大恐慌の後には、世界中で革命情勢が成熟し、世界革命の絶好のチャンスが到来した。しかし、スターリン主義によって押しつぶされた。本来ならここで世界革命は達成できていたわけで、人類は第2次大戦など見なくてすんだのだ。しかも、ソ連は第2次大戦で米英連合国に加担して戦争をするという、とんでもない裏切りを働いた。さらに第2次大戦後には、30年代以上の革命情勢が日本やヨーロッパで生まれたにもかかわらず、これもスターリン主義―各国共産党によって握りつぶされた。米ソがヤルタ会談で戦後世界の゛線引き″をし、西欧や日本は帝国主義の支配下に置くことを確認したからだ。
 つまり、ロシア革命で世界革命への過渡期が始まったにもかかわらず、過渡期が歪められてしまった。世界は、帝国主義とスターリン主義の世界分割支配体制に変容するにいたった。

 世界大恐慌が始まり第3次大戦の危機に

 なぜソ連は崩壊したのか?
 もともと社会主義は世界的な条件のもとでしか実現できない。しかも、スターリン主義のもとでソ連の労働者・農民と諸民族は抑圧され、その自己解放性が奪い取られた。これでは社会主義ができるはずもない。むしろ国内矛盾は激化せざるをえなかった。さらに、世界革命を裏切ったものだから、延命した帝国主義からの重圧や重包囲を受けた。スターリン主義の本質からして、その破産は不可避だった。
 特に70年代にアメリカは、ベトナム侵略戦争に負けた後、ソ連が突出して対抗的軍事行動に出てきたことから、対ソ重圧を強めた。ソ連は、アメリカとの核軍拡競争やアフガン侵略戦争などを行ったが、それはソ連の重荷となった。このように、帝国主義の危機が深まるにつれ、ソ連の危機も深まって崩壊にいたった。それは゛社会主義の破産″ではなく、スターリン主義の破産なのだ。
 帝国主義の危機とは何か?
 第2次大戦後の世界は、アメリカを基軸にして60年代までは、経済発展と統一をたどった。しかし71年の金ドル交換廃止と74―75年世界恐慌で、世界経済は不況と分裂の時代に突入した。また、60年代から70年代のアメリカによるベトナム侵略戦争とその敗北、ベトナム革命の勝利は、帝国主義とスターリン主義の世界体制を崩壊させていった。そして現在、スターリン主義が崩壊し、帝国主義は死の苦もんにあえいでいる。実際に、世界大恐慌と世界戦争が切迫しているのだ。
 本当に世界大恐慌になるのか?
 すでに29年大恐慌を上回る世界大恐慌が始まりつつある。日本経済は97−98年に恐慌に突入した。米経済も90年代後半のバブルが00年から崩壊しており、昨年夏ごろから恐慌に突入している。もっとも、米政府がさまざまな恐慌対策をとっているため、依然として借金をして消費を増やす傾向が続いている。しかし、それがどこまでも続くことなどありえない。米経済は必ず本格的な恐慌に突入する。
 今でさえ、世界中で失業と飢餓が増大しているが、世界大恐慌が本格化すればそれは極限的に激しくなる。労働者を搾取して成り立っている資本主義社会が大失業を生み出すという事態だ。まさに、資本主義そのものの破産ではないか。
 世界戦争は本当に起きるのか?
 第3次大戦の危機が強まりつつある。29年大恐慌が第2次大戦に行き着いた歴史を思い出そう。実際、ブッシュ政権は「テロ根絶」と称して侵略戦争を中東、中央アジア、東南アジア、朝鮮に拡大しようとしている。いずれも第1次大戦、第2次大戦の火点となったところだ。しかもブッシュ政権は、中国に対する侵略戦争を構え始めている。中国侵略戦争は朝鮮侵略戦争ともつながっており、まさに世界大戦級の性格を持つ。
 これらの動きを促進しているのは帝国主義間争闘戦の激化だ。アメリカは、世界を破滅と戦争に引きずりこんででも他帝国主義国をたたきつぶし、自分だけが生き残る道に踏みこんだ。しかも中国、朝鮮、中央アジアが火点となっている。すでに崩壊したスターリン主義圏や今も残っているスターリン主義圏をめぐって帝国主義同士の奪い合い、分割戦が起きているのだ。

 アジア・イスラムに〈血債〉を負っている

 日本はどうなるのか? やはり構造改革しなければダメなのでは?
 小泉政権は「構造改革」を国策とした。日本の経済・社会・政治のすべてが行き詰まってしまったからだ。しかし小泉政権がやっていることは何か。労働者にとって「構造改革」とは、首切りと大失業、賃下げと権利破壊にほかならない。しかも銀行の巨額の不良債権や破滅的な国家財政は、もはやどうやっても解決しない。
 さらに、日本は80年代以降、アジアを勢力圏にしようとしてきたが、アメリカとの争闘戦で負けて、今や見る影もないほどに没落してしまった。だから、帝国主義国としての生き残りをかけて、日本を戦争国家にしようとする策動が強まっている。小泉政権は、有事立法を制定して憲法も変えようと狙っている。
 しかし、そうした小泉政権の政治に対して、労働者人民の怒りがマグマのように噴き出しつつある。今や日本は、革命的情勢が急接近している情勢にある。日本のすべての問題の解決の道は、「構造改革」ではなく革命にこそあるのだ。
 中核派は何を目指しているのか?
 反スターリン主義=革命的共産主義で、世界革命をやり抜くことだ。ロシア革命によって世界革命の過渡期に突入したにもかかわらず、スターリン主義によって歪められた。しかし、そのスターリン主義が破産し、今や帝国主義の危機(基本矛盾)が爆発しつつある。この現代世界を転覆して共産主義を実現するには、反スターリン主義=革命的共産主義の思想以外にない。
 マルクス主義・レーニン主義の思想と理論を復権し、反帝国主義・反スターリン主義世界革命をかちとらなければならない。その一環として、日本帝国主義を打倒し日本革命に勝利するのだ。だから中核派は、〈反帝・反スターリン主義世界革命の旗のもと、万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ〉というスローガンを掲げて闘っている。
 では、世界革命のためにどうするのか?
 闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民(パレスチナ・中東・ムスリム人民)と連帯して闘う。日本の労働者・学生は、抑圧民族の人民として一貫して排外主義に汚染されてきた。社会的・文化的な伝統の中で汚染されてきていることを自覚し、それを意識的に変革することが大切なのだ。
 つまり日本の労働者・学生は、血で支払うべき債務=血債を負っている。アジア人民、イスラム諸国人民に対する血債を支払うために闘わなければならない。これが中核派が最も訴えたいことだ。
 闘って展望があるのか?
 学生・人民が立ち上がれば、必ず戦争は食い止められる。戦争をやるしかない現体制を覆すこともできる。それはロシア革命が示したことだ。
 しかも、パレスチナ、イスラム諸国、韓国、中国など世界中で学生・人民が立ち上がっている。すでに9・11をもって、国際的内乱の時代が始まっているのだ。゛日本で孤立した闘いをやろうとしている″と勘違いしてはいけない。逆だ。世界中ですでに闘いが起きていて、世界から見れば「日本では何をしているんだ」と弾劾されている。今、本当に求められているのは日本の学生や労働者の決起だ。日本で立ち上がれば、世界を変えられる。
 このような世界変革の担い手になることによって初めて、自らも解放できる。同時に、自己を変革することなしに世界を変革することはできない。これまでの価値観を根本的に問い直し戦争に向かう世界を変革するために立ち上がろう。すべての新入生の皆さん、中核派とともに闘おう。

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週刊『前進』(2048号7面1)

●特集/新入生のみなさんへ 中核派とともに世界を変革しよう!

闘うイスラム諸国人民と連帯を 若い力で国際反戦闘争に立つ時
 パレスチナの現実を知ろう

 新入生諸君。昨年9・11反米ゲリラ戦―10・7アフガニスタン侵略戦争をもって、世界は大激動に突入した。帝国主義の戦争に加担するのか、それとも全世界の被抑圧民族人民と連帯して、恐慌と戦争に突き進む帝国主義を打倒するために闘うのか。今それが君に問われている。ユダヤ人の高校生は「アラブ人と平等に暮らす国をつくる」と、収監覚悟で兵役を拒否し、シオニスト国家=イスラエル打倒に立ち上がっている。日本の学生も、有事立法・改憲攻撃に突進する日本帝国主義・小泉政権を打倒する闘いに、逮捕や流血を恐れず決起すべき時だ。60年代〜70年代のベトナム反戦闘争を引き継ぎ、日本の学生こそが国際反戦闘争の最先頭に立とう。

 9・11をどう受けとめるか 侵略と虐殺への糾弾

 昨年9月11日、19人のムスリムの戦士がペンタゴン(国防総省ビル)と世界貿易センタービルというアメリカ帝国主義の中枢に航空機で突っ込んだ。彼らは生きて帰れないことを覚悟のうえで、かつ多くの犠牲とそれがいかに激しい反革命を引き出すかを知りながら壮絶な反米ゲリラ戦争を敢行した。それは米帝のパレスチナ・中東人民に対する虐殺、民族抑圧、搾取と収奪の歴史と現実に対する、イスラム諸国人民の怒りがいかに深いものであるのかを強烈に突きだした。
 私たちは9・11で帝国主義国の労働者人民が多数犠牲になるという事態に直面するまで、被抑圧民族人民がそれを数千倍、数万倍するような犠牲を強いられてきたことについて真剣に考えてこなかった。イスラム解放勢力は最初からアメリカの労働者人民を敵と見なしてきたのではない。イスラム諸国人民は、国連での抗議を含めて、米帝やイスラエルによる虐殺を告発するアピールをくり返し行ってきた。私たちはそうした現実を知る機会が何度もあったにもかかわらず、これと主体的に向き合い、イスラム諸国人民の闘いをつかむことをしてこなかった。
 98年8月、ケニアとタンザニアにある米大使館に自爆決起がたたきつけられた。米帝はその報復としてアフガニスタンとスーダンに百発の巡航ミサイルを撃ち込んだ。スーダンでは医薬品のほとんどを生産していたアル・シーファ工場が爆撃で全壊し、マラリヤや結核、寄生虫などへの治療薬が民衆に渡らなくなった。そのため数十万人(その多くは子どもたち)が死亡した。私たちはこの米帝の無差別虐殺をどれほど強く弾劾しただろうか。
 ビンラディン氏は「対米宣戦布告文書」で、イスラエル軍がレバノン南部のパレスチナ難民キャンプを爆撃して140人の人民を虐殺した96年4月の「カナの虐殺」や、米帝によるイラク侵略戦争(湾岸戦争)と経済制裁で60万人ものイラクの子どもたちが殺されたことを指弾し、「世界は知っていたが何もしなかった」と糾弾している。私たちもそのうちの一人ではなかったのか。
 私たちに必要なことは、ブッシュや小泉と一緒になって「テロ反対」を叫ぶことではなく、闘うイスラム諸国人民(パレスチナ・中東・ムスリム人民)と連帯し、国際反戦闘争に決起することだ。帝国主義国の労働者人民と被抑圧民族人民が連帯して闘うことこそ、私たちの生活や生命、人間性を守り、帝国主義の支配をうち破り、あらゆる戦争をなくす道だからだ。
 1月27日、ワファ・イドリスさんは、パレスチナ赤新月社の医療ボランティア活動を行っていたが、パレスチナの子どもたちが目の前でイスラエル軍に次々と殺されていくのを見て、エルサレム中心街で自爆決起を行った。彼女は前日、イスラエル軍に撃たれたパレスチナ人を救急車に乗って搬送中にイスラエル軍の検問で手当が遅れ、死ぬのを経験したことで、最後の決心をしたという。2月27日には、ナジャフ大学の女子学生ダリン・アブアヤシェさんが、イスラエル軍の検問所で自爆決起した。彼女は1カ月前に兄弟を、1週間前には婚約者をイスラエル軍に殺された。
 自分と同世代のパレスチナの若者が「孤立無援」ともいえる状況の中で、自らの命をも投げ出して続々と立ち上がっている。そうすることでパレスチナの未来をつかもうとしている。彼らはどういう思いで決起したのか。そのことを自分に引き寄せて考えよう。彼らは「パレスチナのこの現実にいかなる態度をとるのか」と全世界人民に必死でアピールしているのではないだろうか。彼らに「孤立無援」を強制してきたのは私たち自身ではないのか。
 私たちは自分の無知や無関心が被抑圧民族人民にいかに困難な現実と闘いを強いてきたのかをつかまなくてはならない。帝国主義がパレスチナ・中東人民にどれほどすさまじい虐殺や民族抑圧を行ってきたのか、その中で彼らがいかに必死で闘いぬき生きぬいてきたのか、について学ばなくてはならない。

 家族を殺され故郷追われる

 帝国主義は第1次世界大戦以降、中東の石油資源の略奪のために暴力と虐殺、民族抑圧を行ってきた。とりわけ第2次世界大戦後は、産業と戦争のための戦略的資源として石油が絶対的な位置を高めたために、帝国主義の中東石油支配は言語に絶する凶暴性をもって展開されてきた。その核心がパレスチナ問題である。英帝がシオニズム(注1)と対決するパレスチナ人民の闘いやアラブ民族主義の高揚を圧殺できずに破産する中で、米帝はパレスチナに軍事基地国家=イスラエルを建国することをテコにアラブ民族主義や民族解放闘争を圧殺し、中東石油支配を独占していった。それはパレスチナに住んでいた数百万人のアラブ人を暴力的に追放するという恐るべきものだった。
 イスラエル建国で何が行われたのか。47年米帝はソ連スターリン主義の協力のもとで、国連総会でパレスチナ分割決議を強引に採択させた。同決議は全人口の30%のユダヤ人に全土の56%、かんがいされた土地の86%を割り当てた。(もともとユダヤ人の所有地はわずか6%であったのに!)
 ユダヤ人シオニストは、この分割決議を受けて、パレスチナ人民を追放するためのダレットプランという侵略戦争を行った。48年4月9日、デイルヤシン村では254人のパレスチナ人民を無差別に虐殺し遺体を井戸に投げ込んだ。そして生き残ったパレスチナ人民をエルサレム市内で引き回した。それはパレスチナ人民を恐怖のどん底にたたきこみ、故郷を捨てさせるための大虐殺だった。
 こうした虐殺戦争を展開したうえで、同年5月14日にイスラエル建国が宣言され、アメリカが真っ先に承認した。イスラエルができた地域には475のアラブの村があったが、80%以上の村が破壊され、残ったのはわずか90村であった。家族を殺され、家や畑が略奪され、故郷を追われたパレスチナ人民が、イスラエルと武装闘争で闘うのはあまりにも当然である。
 その後米帝は、イスラエルを使って5次にわたる中東戦争を行い、何十万、何百万人ものアラブ人民を虐殺し、アラブ諸国を屈服させ、中東石油支配を暴力的に貫徹してきた。
 82年6月のイスラエル軍によるレバノン侵攻では何が行われたのか。
 イスラエル軍は「イスラエルの安全確保のために国境から40`以内のパレスチナ・ゲリラを掃討する」とレバノンに侵攻し、2万4千人と推定されるパレスチナ人民を虐殺した。30万〜50万人が家を焼かれた。クラスター爆弾、リン爆弾など米国製の残虐な最新兵器が大量に使われた。まさに「レバノンは米兵器の実験場だった」(当時の米国防長官・ワインバーガー)
 PLO(パレスチナ解放機構)は1万7千人の死者を出し、レバノンから撤退した。そしてPLO主力の撤退後、イスラエル軍とレバノンのファシスト勢力がサブラ、シャティーラの2つの難民キャンプで3千人とも言われるパレスチナ人民を無差別に虐殺した。
 この侵略に大打撃を受け、闘う拠点を失ったパレスチナ人民は、5年後「初めてわれわれパレスチナ民衆が独立を求める闘争を始めた」(ファタハ指導者フセイン・シェーク氏)という民衆蜂起を開始した。

 インティファーダの子ども

 87年イスラエル占領下のパレスチナ西岸とガザで「インティファーダ」が始まったのだ。それはイスラエルの軍事、経済などすべてに及ぶ民族的抑圧に対して、パレスチナ人民が自力で自己権力を打ち立て、人民自身が武装闘争に総決起していくという新たな民族解放闘争であった。パレスチナ人民は防衛委員会、医療救援委員会、イスラエル軍に破壊された家を再建するための家屋再建委員会、教育機関の閉鎖に抗して人民教育を行うための学生の委員会などの人民委員会を組織し、助け合って生活と闘いを守り抜いた。第1次インティファーダ(民衆蜂起)は、87年から93年末まで闘われ、数千人の死者と全人口200万人中12万人の投獄・拷問をのりこえて闘い抜かれた。戦車や機関銃で攻撃するイスラエル軍に、パレスチナの青年や子どもたちは石で立ち向かった。この時に石を投げて闘った少年たちが、現在はパレスチナ人民の指導部となって、イスラエルを決定的に追いつめる武装闘争を行っているのだ。
 パレスチナ人民は、こうした苦難の歴史をとおして、老若男女を問わず人民全体が民族解放闘争の中に身を置いて生きている。こうしたパレスチナ人民の闘いを「テロ」と非難することがどれほど許しがたいことかは明らかだ。
 米帝ブッシュは「アメリカにつくのか、テロリストにつくのか」と全世界に突きつけ、民族解放闘争の根絶を狙う「対テロ戦争」に踏み切った。小泉首相は「日本は主体的に対テロ戦争を行う」と宣言し、有事立法・改憲攻撃に突進している。日本の学生は〈帝国主義の側に立つのか〉〈被抑圧民族人民と連帯して国際反戦闘争に決起するのか〉が、自分自身の問題として問われているのだ。

 アフガニスタン空爆の下 爆弾と飢餓との戦い

 帝国主義がアフガニスタンやパレスチナで行っている侵略戦争を、君は許せるだろうか。
 米軍は「タリバン政権の転覆」を掲げて都市を爆撃し、あらゆる施設、空港、放送局、モスク、病院、学校、人家を破壊した。米軍は「テロリストの逃亡を防ぐ」と、バスやトラックを片っ端から爆撃した。さらに「タリバン、アルカイダと関係がある」と決めつけて地方の村落を空爆で破壊し、住民を虐殺した。実際には「無実の罪でやられた村の方がじつは多かった」(ペシャワール会医師の中村哲氏)と言われる。
 ジャララバード近郊のコラム村は空爆で35人の村民が殺され、20軒ほどの家はほぼ全壊した。生活の糧であった家畜800頭も殺されたために全員が村を捨てた。なぜこの村が空爆の対象にされたのかはいまだ不明である。夫や息子を亡くした女性たちは「なぜ私たちがこのような目に遭わなければいけないのですか。私たちにこのようなひどい仕打ちをした米国と戦いたい。本気でそう思います」と怒りと悲しみを訴えた。
 10月7日から11月14日までのカブール空爆だけで4000人弱の市民が「誤爆」で死亡した(ニューハンプシャー大学マーク・ヘロルド教授)。ジャララバードでは現時点で2百数十人の死亡が確認された。とくにクラスター爆弾の被害が甚大で、今も子どもたちの手足を吹き飛ばし虐殺している。デージーカッター(燃料気化爆弾)や、サーモバリック(熱圧爆弾)など戦術核兵器に匹敵する威力の新型爆弾が投下され、B52戦略爆撃機によるじゅうたん爆撃で激しく空爆されたアフガニスタン北部のクンドゥズや東部山岳地帯で、どれほどの人民が犠牲になったか不明だ。
 アフガニスタンは人口の半分の1200万人が被災し、餓死線上にある者が400万人という大干ばつに苦しんできた。昨年2月から行われた米帝主導の国連制裁が追い打ちをかけ、10月からは空爆が始まった。去年だけで少なくとも百万人が餓死した。中村哲氏は「米国が犯した罪というのは、たんに爆撃で人を殺したというだけではない。この大ききんの最中で空爆を行うことによって治安を乱し、そしてさらに数百万人の餓死の現実を作り上げた」と弾劾している。
 こうした恐るべき現実が「アメリカは正義で、タリバンは悪」という図式で正当化されているのだ。タリバンがアフガニスタン人民を抑圧してきたと宣伝されているが、タリバンはアフガニスタンで多数を占めるパシュトゥン部族の伝統的慣習に従って政治を行っていたにすぎない。客人を厚遇するという習慣に従い、ビンラディン氏らを引き渡さなかったことが、なぜ政権転覆の理由になるのか。米帝(帝国主義)の都合や価値観だけで、被抑圧民族人民を虐殺することが正義なのか。ほんとうに怒りにたえない。
 アフガニスタンの学校約2200校のうち8割の1800校が空爆で破壊され、使用不能になった。何百、何千人もの女性が夫や家族を殺され、生活の糧を奪われたが、米帝は何の補償も行っていない。タリバン政権が崩壊して略奪や強姦(ごうかん)が横行し、女性や子どもの生命と人権が脅かされている。こうした事実は隠され、「女性が解放された」「復興が始まった」などとデタラメな宣伝が行われているのだ。
 米軍はタリバン政権を転覆して米石油資本ユノカルのコンサルタントであったカルザイを議長とする暫定政権を樹立したが、アフガニスタンをまったく制圧できていない。侵略戦争は今も激しく続けられ、日本の自衛隊が補給や給油などを行い、これを支えている。これに対しタリバンやアルカイダの兵士たちは、徹底抗戦を続けている。無差別の空爆、虐殺を行う米帝へのアフガニスタン人民の怒りと憎しみは燃えさかっている。帝国主義のかいらい政権づくりは必ず失敗し、アフガニスタン侵略戦争の泥沼化は避けられない。
 私たち日本人民は、このアフガニスタン侵略戦争を支えているのが、インド洋で展開する自衛隊であることを断じて許してはならない。全学連は11・25佐世保で自衛隊のアフガニスタン出兵を阻止するために実力闘争を行った。爆撃と飢えや寒さに耐え、「息が絶えるまで米国に対するジハード(聖戦)を戦う」(マンスール・タリバン司令官)と宣言し不屈に闘うアフガニスタン人民、イスラム諸国人民と連帯して、侵略戦争を本当にぶっ止める闘いを爆発させよう。

 崩壊し始めた軍事基地国家

 パレスチナでは、米軍のアフガニスタン侵略戦争と連携して、イスラエル・シャロン政権によるパレスチナ自治区(注2)への全面戦争が行われている。自治区の産業も徹底的に破壊され、ガザの失業率は70%に達している。
 イスラエル軍は3月に入り、「テロの基盤を破壊する」と82年レバノン侵攻以来の最大規模の作戦を展開した。イスラエル軍は兵員2万人、戦車200両で自治区に侵攻し、2百数十人を虐殺し、5000人のパレスチナ男性を拘束した。そして救急車や幼稚園、盲学校までも見境なく爆破した。00年9月以来のイスラエル軍侵攻によるパレスチナ人の死者は1200人を超えた。これに対して「パレスチナ人民の抵抗運動は後戻りできない段階に達した」(ファタハ事務局長のマルワン・バルゴーティ氏)と不退転の民族解放闘争が爆発している。
 なぜこれほどまでにイスラエル軍は凶暴化しているのか。それはイスラエルそのものが解体的危機にあるからだ。パレスチナ人民の自爆決起やゲリラ戦争は、イスラエル軍の基地や検問所、入植地、イスラエル領内で激しく闘われ、00年9月以来のイスラエル側の死者も400人にのぼっている。とりわけパレスチナ人女性の自爆決起はユダヤ人に衝撃を与えた。「占領地が崩壊し始めている」「イスラエルが小さくなっているのだ」(広河隆一氏)
 イスラエル軍内部でも動揺が始まり、予備役将兵の軍務拒否や高校生らの兵役拒否運動が広がっている。当初70%あったシャロンの支持率は35%に急落した。
 そもそもイスラエルは米帝の中東支配のために人為的に作られた軍事基地国家であり、米帝による財政的軍事的支援、移民の流入による入植地・占領地の拡大、シオニズム排外主義イデオロギーの貫徹を国家存立の絶対的な基礎としている。それが根本から崩壊しようとしているのだ。
 この間エジプトやヨルダン、シリアなどでもパレスチナ人民に連帯する数千、数万人のデモが行われ、中東全体が大動揺している。サウジアラビアやエジプトなどアラブ諸国が体制危機に直面している。米帝は大慌てでジニ特使やチェイニー国防長官を中東に派遣し、「和平」策動を行っているが、それは危機に立つイスラエルを建て直すためであり、イラク侵略戦争へのアラブ諸国の合意を得るための悪らつなものだ。
 9・11は帝国主義の凶暴な虐殺や民族抑圧に対する中東アラブ人民の反転攻勢が始まったことを示した。国際階級闘争は完全に新たな局面に入り、帝国主義国の労働者階級の闘いと被抑圧民族の闘いの結合の巨大な可能性が生みだされている。日本の学生は闘うイスラム諸国人民と連帯し、アフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化していこうではないか。

 対テロ戦争宣言する小泉 有事立法は戦争の道

 ブッシュ政権は1月29日の一般教書演説でイラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、「対テロ戦争」のエスカレートを宣言した。そしてフィリピン、イエメン、グルジアに米軍を展開させ、イラク侵略戦争発動に動いている。しかもブッシュはイラクや北朝鮮、中国に対する核戦争計画を立てるよう指示し、そのための地下攻撃型の戦術核兵器の開発・製造を命じたことが明らかになった。この恐るべき世界戦争・核戦争の危機を見据え、これを阻止するためにどうするのか、真剣に向き合おう。
 現代帝国主義は米経済のバブル崩壊と米帝の「対テロ戦争」をもって、世界大恐慌から世界戦争へと向かう過程に入った。この巨大な情勢を前に、君はどういう生き方を貫くのかが問われているのだ。
 日本の学生がどういう闘いをやるのかが決定的だ。日本帝国主義(資本主義)は没落を深め、追いつめられた支配階級は戦後憲法のもとでの体制を自ら破壊し戦争国家化に突進している。第二次世界大戦前のドイツのように、日本は世界史の動向を決定的に左右する位置にあるのだ。
 最大の決戦は、4月上旬に国会提出されようとしている有事立法4法案を阻止することだ。有事立法は朝鮮・中国侵略戦争を日帝独自の「対テロ戦争」として主体的に推進していくための戦争法だ。その成立を許すことは、中国・朝鮮侵略戦争を認め、憲法9条破棄を認めることだ。絶対に粉砕しよう。
 小泉が「いざというときの備えに有事法制は必要だ」などというのはうそだ。まったく逆だ。有事法制こそが「有事」をつくり出すのだ。事実、小泉は「対テロ戦争」の主体的な推進を宣言し、「テロも不審船も拉致問題も有事」だと、「有事」の概念をどこまでも拡大して、北朝鮮への排外主義をあおりたて、朝鮮・中国侵略戦争の情勢を自ら強引につくり出そうとしているではないか。
 昨年12月22日、海上保安庁の巡視船が小型外国船を銃撃・撃沈し、15人の乗組員を虐殺した。日帝は巡視船25隻、航空機14機、イージス艦「こんごう」と護衛艦「やまぎり」を投入し、これを完全な軍事作戦として行った。日帝が戦後初めて他国に戦闘をしかけ、他民族虐殺を行ったのだ!
 あろうことか、日帝はこれを「正当防衛だった」とデマ宣伝している。実際には海保庁こそが国際法に違反して領海外の小型外国船に機関砲を浴びせかけ、9時間も追いかけ回し、最後は反撃されたからと撃沈したのだ。これは中国軍が発砲したというデマで中国全土への侵略戦争に突入していった1937年の盧溝橋事件と同じ手口だ。日帝は朝鮮・中国侵略戦争を自らの「対テロ戦争」として進めようとものすごい戦争意志で突進しているのだ。
 この間の「拉致事件」キャンペーンは、こうした日帝の侵略戦争政策の一環であり、断じて許せないものだ。これが「拉致」と言えるのかどうかもまず問題だが、何よりも重要なことは、帝国主義こそ朝鮮民族を南北に分断し、在日朝鮮人民に植民地主義的民族抑圧的な入管体制を強制している元凶であるということだ。そして朝鮮侵略戦争を行おうとものすごい体制で襲いかかっている。すべての問題はここから発生しているのだ。
 しかも日帝は朝鮮を植民地支配し、第2次世界大戦の過程では百万人を超える朝鮮人民を強制連行し、20万人の朝鮮女性を強制的に、あるいはだまして連行し軍隊慰安婦として虐待した。ところが小泉と日本政府は、この歴史的大罪について謝罪も賠償も拒否し居直っているのだ。
 南朝鮮の学生は、日米帝国主義こそが南北朝鮮人民を対立させ、朝鮮侵略戦争を行おうとしていると弾劾し、真っ向から闘い抜いている。パレスチナで、中東で、全世界で同世代の若者が、命がけで帝国主義の侵略戦争や民族抑圧と闘っている。彼らと連帯して闘うことはどれほどすばらしいことだろうか。国際反戦闘争に決起しよう。
 すべての新入生諸君。有事立法制定を阻止するために直ちに行動しよう。4・14三里塚闘争、4・28全国統一行動、5・26全国闘争に立ち上がろう。
 〔早乙女 優〕

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週刊『前進』(2048号7面2)

兵役拒否し刑務所に  イスラエル・18歳の決断

 3月17日、「兵役拒否〜イスラエル・18歳の決断」という番組がNHKで放映された。主人公はイスラエルのヤイール・ヒロ君、18歳。昨年夏、同世代の男女62人の連名で、イスラエルのシャロン首相に「イスラエル軍のパレスチナ人への攻撃はテロ同然であり、われわれは兵役を拒否する」と手紙を送った1人だ。  決断のきっかけは2000年10月にテレビで見た、銃撃戦に巻き込まれたパレスチナ人の親子が虐殺される映像だった。  イスラエルでは18歳になると男子は3年、女子は1年9カ月の兵役が課せられる。そして兵役を拒むと、軍刑務所への勾留と自宅の往復の日々が長ければ1年間続く。  建国以来初の事態をシャロン政権は厳しく非難した。ヤイールの街でも兵役拒否の決断は冷たく受け取られ、孤立したヤイールは高校中退に追い込まれた。それでも信念を曲げず、昨年12月に軍の招集を受けて26日間、1月末から約1カ月、刑務所に収監された。  ヤイールたちの行動はイスラエル社会に衝撃を与えた。軍の予備役兵の中からも、占領しているヨルダン川西岸とガザ地区での任務を拒否する声が上がり、賛同する兵士は360人を超えた。  父親の「お前は、ユダヤ人がまた世界中に散らばることになってもいいのか」との問いに、「それでもいいんじゃない」と答えるヤイール。  ヤイールは語る。「私はユダヤ人が自分たちの国をつくるというシオニズムに強い疑問を持っている。私が支持するのは、ユダヤ人とアラブ人が平等に暮らす一つの国をつくることだ。兵役拒否は、私にとって社会改革を続ける活動の始まりに過ぎない」。命がけのパレスチナ人民の闘いが、ついにイスラエル国内から、シオニスト体制を否定する運動を生み出したのだ。この中にこそ、問題の真の解決の道筋がある。  2月9日にテルアビブで行われた軍の占領に反対する1万人集会で、ヤイールの仲間は訴えた。「60年代、アメリカのホワイトハウスの前でベトナムからの撤退を迫るたった1人のデモがありました。どんなに困難な変革も少数の声から始まるのではないでしょうか」。戦争と虐殺を憎み、信念を貫きとおす決意と行動こそ、時代を動かす力だ。ヤイールたちと連帯した行動を日本からも起こそう! (F) (写真は2度目の出頭の朝、「最後までくじけない」と語るヤイール)  ヤイール・ヒロ君の兵役拒否宣言  私の名前はヤイール・ヒロ。18歳です。兵役を拒否します。おそらく水曜日に刑務所に入れられます。この手紙は、多くの人が軍隊に対して、私と同じ思いを抱いていると思って書いています。  イスラエル軍は、パレスチナ人から受けるテロよりもはるかに激しい攻撃を彼らに加えています。それが平和につながるとは思いません。イスラエル国家によって生み出された〈不毛な〉ユダヤ人空間は、ユダヤ人住民にとってもゲットーです。この空間の中にいる者は、ユダヤ人であれアラブ人であれ、安全ではいられません。  大部分のイスラエル市民はこの国の実情を変えたいと望んでいます。それでも国家は、あらゆる手を尽くして平和、福祉、平等に立ちふさがり、おかしなことに、最後はいつも資本家や将軍たちの利益につながっていくのです。マスメディアや教育制度を駆使して、悪意に満ちた国家主義的宣伝、嫌悪、恐怖をまき散らし、「アラブ人対ユダヤ人」「東洋対西洋」というように反目させて、私たちを分断して支配しようとしているのです。彼らこそ、私たちが物理的・経済的安全を実現することを阻んでいる真の敵です。  われわれユダヤ人は、パレスチナ人と手を結び、共存すべきだと思います。このような理由から、私は兵役を拒否します。  (昨年12月、軍の召集の前日に記した手紙より抜粋)

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週刊『前進』(2048号8面1)

●特集/新入生のみなさんへ 中核派とともに世界を変革しよう!

マルクス主義講座 @ 『共産党宣言』を読む(上)
 “獲得すべきは全世界だ” 高らかな世界革命の宣言
 水井 省一

 「支配階級よ、共産主義革命のまえに震えあがるがよい! プロレタリアは、この革命において鉄鎖以外に失うものは何もない。プロレタリアが獲得すべきは全世界である」。『共産党宣言』のこのマルクスの言葉を現実のものとする時代――プロレタリアートが全世界を獲得する時代が、1917年のロシア革命以来、再びやってきました。今月から月1回、マルクス主義講座を開きます。資本主義社会の体制的破たん、行きづまりが全面的にあらわになっている中で、マルクス主義こそ、労働者人民が未来を獲得できる唯一の根底的思想=世界観であり、革命的実践の指針であり、人生をかけるに値する価値観そのものです。今こそ、マルクス主義の学習と主体化を深め、帝国主義と対決し、全世界を獲得するために闘おう。最初に『共産党宣言』を取り上げます。(マルクスの著作を学習するには、前進社新書の「マルクス主義基本文献学習シリーズ」が何よりも最適のガイドブックです。ぜひ、全冊をそろえて学習して下さい)

 恐慌と戦争の今こそ『宣言』の実現のとき

 「妖怪がヨーロッパに出没している――共産主義という妖怪である。古いヨーロッパのすべての権力が、この妖怪を退治するために神聖な同盟を結んでいる」
 この有名な書き出しで始まる『共産党宣言』は、今から150年以上前の1848年、マルクスとエンゲルスによって、当時の労働者の革命的な国際組織である共産主義者同盟の綱領として書かれました。それは「社会の最下層であるプロレタリアート」が「上部構造全体を空中に吹き飛ばす」闘いによって解放をかちとる道を、時代を突き抜けて、労働者の心臓をぐいっとつかむ迫力ある言葉と文体で示したのです。『宣言』の正しさは、直後に全ヨーロッパ的規模で爆発した1848年革命によって、まず示されました。こうして『宣言』は、多くの闘うプロレタリアートの魂をとらえ、世界の革命運動、労働運動の理論的・実践的な支柱となっていったのです。
 私たちが今、『共産党宣言』を学ぶ意義はどこにあるか。それは、今日ほど資本主義(帝国主義)の体制的行きづまりがあらわになっている時はなく、その全矛盾が集中されている労働者人民にとって、この体制=現代世界を根底的に転覆する以外に生きられなくなっているからです。この時、資本主義の歴史的な有限性を解明し、共産主義革命の必然性を説いた『共産党宣言』の内容とマルクスの革命的精神に学ぶことがとても大事だからです。
 確かに、マルクスの時代から現在まで、歴史はさまざまな道を歩んできました。しかし、この社会=資本主義の根幹をなす資本家階級による労働者階級の搾取は、弱まるどころかますます強まり、あくどくなり、凶暴化しているではありませんか。マルクスとエンゲルスの時代の資本主義は、ほぼ十年ごとの周期的恐慌で自らの生産力を破壊し、労働者を街頭にほうり出すことをつうじて発展しました。またレーニンの時代以後、今日に至る現代の資本主義=帝国主義は、世界の分割と再分割のために2回の帝国主義世界戦争を戦い、被抑圧民族人民と労働者人民の大量殺戮(さつりく)をつうじて生きながらえてきました。この残虐な世界戦争をブッシュや小泉ら帝国主義者どもはまた繰り返そうとしています。
 こうした中で、被抑圧民族人民は生存を脅かす民族抑圧、貧困と飢餓、そして殺戮と破壊にさらされています。また帝国主義国の労働者人民は失業・賃下げ・社会保障切り捨て、差別の激化、生活苦に追い込まれています。資本家どもはますます搾取を強め、ばく大な利益を上げています。
 資本主義は、封建制社会を転覆する時には「自由・平等・博愛」(これ自体ブルジョアジーの階級的利害の表現ですが)などのスローガンを掲げていましたが、帝国主義段階に入ってからはそうした見せかけの民主主義や進歩性もなくなり、いま帝国主義は、人類の歴史上でもかつてなかったほどの〈民族抑圧と大量殺戮と破壊の体制〉として延命しています。資本による労働者の強搾取の結果として高度に発達した生産力そのものによって、労働者人民は生存を脅かされ、核戦争で大量に虐殺される危機にすらあるのです。
 これは、利潤の追求(より多くの剰余労働の搾取)を生産の唯一の動機・目的とし、それに追いまくられる資本主義社会が、その根本的な問題性、矛盾を破滅的なかたちであらわにしているということです。地球上の60億人民に、抑圧と破壊と殺戮しかもたらさない、腐りきったこの帝国主義の体制・社会を根本からひっくり返すことは、労働者人民が人間として生きていくための切実な要求です。自らの労働によって社会の生産を担っている労働者階級が社会の主人公となるのは、まったく当たり前のことではないでしょうか。
 その世界革命の道は、1917年のロシア革命によって切り開かれながら、スターリン主義の一国社会主義論によって反動的にねじ曲げられてきました。しかし、今やソ連邦の崩壊が示したようにスターリン主義の歴史的な破産があらわになり、資本主義も末期的な危機を深めています。だから今こそ、この世界革命の事業を復活させ、継承し、発展させることが、21世紀初頭を生きる私たち労働者人民、学生のさし迫った実践的課題となっています。その機は完全に熟しているのです。

 鋭い資本主義批判と労働者階級解放の道

 『宣言』でマルクスとエンゲルスは、資本主義が産業革命で到達した巨大な生産力をもって世界的に発展しようという、その始まりの段階で、資本主義生産の矛盾の爆発の必然性と、歴史的な有限性(永遠不滅の体制ではないということ)をはっきりさせました。そして、発展する資本主義が、資本家にますます大きな富をつくり出す一方で、生産の担い手である労働者を奴隷的な惨めさに突き落としていく現実を直視し、腹の底から怒りました。この中で二人は、労働組合運動や革命運動に立ち上がっている労働者階級の勝利の道を必死で考えました。
 そして労働者階級の惨めさの現実的な根源は、〈生産手段が資本家階級に独占されていることによって、労働者階級は自らの労働力を商品として資本家に売り賃金奴隷となって働く以外に生存すらできなくなっていること〉――ここにあることを明らかにしました。
 だから労働者階級は、〈自ら生産的労働を担いながら最も虐げられている階級だからこそ、階級社会総体を廃絶し、一切の抑圧・差別・貧困を地上から消滅させる根源的な闘いによってしか自らを解放できない〉こと、逆に言えば、〈こうした歴史的社会的地位にある労働者階級こそが、人類数千年の階級社会の歴史を終わらせ、共産主義社会を建設できる唯一の世界史的存在である〉ことをはっきりさせたのです。しかも世界市場を基礎とした資本主義生産の発展の中で、共産主義社会を建設する革命の条件がつくられていくことを明確に示したのです。
 マルクスが『宣言』で述べたこと、すなわち労働者階級人民が団結して資本家階級から政治権力を奪い取り、社会の変革の主人公となっていくこと――この闘いは、いま私たちが生きている2002年の世界の現実そのものです。
 アフガニスタンやパレスチナ人民の闘いを見て下さい。彼らは団結して、アメリカ帝国主義やイスラエル・シャロン政権の民族抹殺と虐殺の戦争に真っ向から立ち向かい、不屈の反撃に立ち上がっています。動労千葉の労働者のストライキは全社会を揺るがしています。まさに帝国主義の侵略戦争と世界支配を打倒する国際的内乱が激しく火を噴き、全世界に広がっているのです。
 マルクスは『宣言』の冒頭で、「これまでのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」「抑圧者と被抑圧者は、つねに敵対関係にあり、ときには隠然とした、ときには公然とした闘争をたえまなくおこなってきた」と述べています。いま現に私たちの前で起きていることは、まさにこのことなのです。世界の支配階級は、全世界の労働者人民と被抑圧民族を階級的に搾取、抑圧している「抑圧者」でありながら、「被抑圧者」が民族解放をかけて命がけの抵抗、武装解放闘争に立ち上がることを「悪」「テロリスト」呼ばわりして、自らの支配をあくまでも維持しようとしているのです。
 今こそ労働者階級と被抑圧民族人民が全世界で連帯し、帝国主義を打倒する闘いに、ともに立ち上がっていくことで、私たちは全世界を獲得できるのです。

 労働者の革命的団結と勝利の不可避性

 『宣言』は、短い前書きと4つの章からなっています。
 第1章 ブルジョアとプロレタリア
 第2章 プロレタリアと共産主義者
 第3章 社会主義的および共産主義的文献
 第4章 種々の反政府党に対する共産主義者の立場
 第1章では、ブルジョアジーとプロレタリアートの階級対立が、資本主義の発展のさまざまな段階を経て激化・進展していく過程が描かれています。資本主義は一つの歴史的な社会として生成・発展・没落の過程を必然的に通っていく存在であること、資本主義の発展の中でブルジョア的生産力とブルジョア的生産関係が対立に陥り恐慌として爆発し、体制としての矛盾、行きづまりにぶつかっていくこと、そして、プロレタリアートが資本主義を打倒する革命的階級として登場し成長していく過程が鮮やかに描かれています。
 1章から印象的な部分を紹介しましょう。
 「工業の発展とともに、プロレタリアートの数が増加するだけではない。プロレタリアートはよりいっそう密集した巨大な集団となり、かれらの力は大きくなる。そして、かれらは、自分の力をますます自覚するようになる」(新訳本23n)
 「個々の労働者と個々のブルジョアのあいだの衝突は、ますます二つの階級のあいだの衝突という性格をおびる。労働者は、ブルジョアに対する同盟を結成し、賃金要求のために結集するようになる。労働者は、自ら恒常的な組織をつくり、反抗の場合にそなえて備蓄をおこなうようになる。闘争は、ときによっては暴動となって爆発する」(同)
 このマルクスの分析は、現代の資本主義社会をもとらえています。労働者階級の反乱=暴動を恐れる資本家どもの危機感は、昔も今も変わりません。だからこそ、彼らは労働者の団結を恐れ、労働者階級の上層を買収したりして、労働運動の分裂と圧殺に躍起になってきました。
 今日の日本で言えば、「経済危機を乗りきるために、労使が一体となって」などと言って首切りや賃下げに率先して協力するJR総連カクマル・松崎や連合会長・笹森などは、その労働貴族の典型であり、資本家階級の手先です。
 彼らは、まさに今、労働者階級が団結して立ち上がって資本家階級を打倒し、社会変革の本当の主人公に飛躍すべき時に、「労働者階級は資本家に飼われなければ生きていけないのだ」という永遠の奴隷の思想を振りまき、労働者を抑えつけようとしているのです。こんな裏切り者たちは一刻も早く打倒すべきです。
 第1章の末尾は次のような印象的な言葉で結ばれています。
 「工業の進歩は、〔資本の論理にたいして〕無意志・無抵抗なブルジョアジーによってになわれているが、競争による労働者間の孤立化ではなく、組織による労働者の革命的団結をもたらす。……ブルジョアジーはなによりも、自分たち自身の墓掘り人を生みだす。ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」(同29n)
 今こそこの『共産党宣言』を全面的に実現し、戦争と恐慌に対してプロレタリア世界革命でこたえる時がやってきたのです。
 (つづく)

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