ZENSHIN 2002/04/08(No2048 p08)

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週刊『前進』(2048号1面1)

革共同の4月アピール
有事立法阻止! 4・14三里塚へ
 動労千葉・総連合ストライキ引き継ぎ小泉政権打倒せよ
 5・26へ全国で大運動まき起こせ

 3・30春闘総行動が打ち抜かれ、動労千葉―動労総連合の怒りに満ちた歴史的なストライキが日本中を揺るがした。労働者階級の日本帝国主義・小泉政権打倒への反撃が火を噴いたのだ。この闘いの地平を引き継いで、階級的労働運動再生の闘いをさらに発展させよう。労働運動の中に闘う息吹を持ち込み、総屈服を強いられた連合支配下の労働組合運動に一層鮮明な分岐をつくり出そう。同時に、この4―6月、いよいよ有事立法阻止・改憲粉砕・日帝打倒の闘いへ全力決起する時だ。反戦共同行動委員会の呼びかける5・26全国総結集闘争を軸に思い切って総決起しよう。有事立法決戦を戦後最大の政治決戦として死力を尽くして爆発させよう。

 第1章 三里塚は有事立法を粉砕し戦争を阻む砦

 日帝はアフガニスタン侵略戦争に自衛隊を派兵し、今現在も米軍支援作戦を続行中だ。東ティモール派兵は質的エスカレーションを含んでいる。米帝主導による世界中での「反テロ戦争」に深々と参戦するために、戦前並みの有事法制を整備し、教育基本法を改悪し、労働者人民を戦争に総動員する体制をつくりあげようとしている。
 02春闘では、主要業種で軒並みベアゼロ妥結となり、定期昇給の凍結や賃金カットや「ワークシェアリング」と称する賃下げ・解雇自由化が横行し始めた。連合の全面屈服、全労連の裏切りの中で、「総額人件費削減」「解雇のルールづくり」など、95年以来の日経連労問研報告路線を全面的に貫徹させてきている。戦時体制への移行と経済危機脱出のために、一切の犠牲を労働者人民に転嫁しようとしているのだ。そのための戦後的労資関係と雇用関係の反動的転覆攻撃が全面化している。
 資本攻勢と政治反動が一体となって労働者を襲い、雇用破壊が進行し、経済危機が戦争国家化と反動攻勢を激しく促進している。まさに「新たな15年戦争」前夜というべき政治・経済情勢である。
 春闘決戦の地平を引き継ぎ、4−6月、有事立法、三里塚、沖縄、国鉄をめぐる決戦に全力で決起しよう。本アピールでは間近に迫った三里塚暫定滑走路開港阻止決戦と4−6月決戦の闘う方針を明らかにしていきたい。

 4・18暫定開港阻止を

 三里塚現地と反対同盟は、4月18日の暫定滑走路開港を前に、日帝・国土交通省、空港公団の激しい攻撃にさらされている。日帝は有事立法攻撃の一環として三里塚闘争を解体し、三里塚闘争勢力を一掃しようとしているのだ。
 有事立法攻撃の核心は、有事=侵略戦争発動における憲法の停止と国家緊急権の行使である。具体的には、一方で侵略軍隊である自衛隊の武力行使の制約を完全に取り払い、他方で戦争体制に人民を強制的に動員(徴兵、労役など)することや物資調達や、民有地の収用などを強行するものである。さらに言論・結社の統制や、労働運動・労働組合の弾圧、反戦派の投獄などを決定的な環とするものであり、国内治安戦争の全面化である。
 三里塚闘争はこの37年間、軍事空港建設に対して農地の収用を拒否し続け、人民の最強の抵抗闘争として、有事体制づくりを根本から揺るがしてきた。土地収用法による事業認定を失効させ、千葉県収用委員会を解体に追い込んでいることが、闘いの到達地平を象徴している。収用委員会は行政権力の暴力発動機関であり、国家支配に不可欠の権力装置だ。それがまる15年間も崩壊状態を強制されているのだ。戦時体制への移行が差し迫る中、国家の暴力装置が機能しない空間を階級闘争のただ中につくり出している三里塚闘争の革命的意義は絶大だ。
 したがって有事立法攻撃は、一連の有事法制を国会で成立させるとともに、有事体制を根本から脅かす三里塚闘争を始めとする人民の戦闘的闘争拠点の解体なしには成立しないのである。
 とりわけ三里塚闘争勢力の解体・一掃なしに日本における有事体制の確立はない。だからこそ日帝権力は、三里塚闘争の終えん、敗北を人民に強制し、日本における戦闘的農民・住民闘争、反戦闘争、階級的労働運動の総体に敗北感を強制しようとしているのだ。
 4・18暫定滑走路開港阻止をめぐる闘い自体が有事立法攻撃との闘いであり、日米帝のアフガニスタン・中東侵略戦争阻止の一大戦場なのである。
 日帝は暫定滑走路開港の暴圧で反対同盟・敷地内農民、周辺住民を屈服させようとしている。そのために航空機騒音直下の危険をことさら強調している。生活する農家の頭上40bに航空機を飛ばし、50bの至近距離で航空機を自走させ、爆噴射にさらす。これが開港の現実だ。
 国交省の計画は、あくまでも暫定滑走路を当初計画どおり南側に1120b延長し、3300b滑走路にすることだ。横風用滑走路予定地と交差する部分の400bを含めると、平行滑走路は3700bになる。それは事実上の4000b滑走路であり、米軍B52級の大型爆撃機が使用可能な軍用滑走路となる。
 だが平行滑走路計画が当初計画から大きく後退し「暫定」にとどまったことは、国交省・公団の無惨な敗北である。国際空港として使い勝手の悪さは論外で、運航上も危険きわまりない。誘導路は「への字」に曲がっている。管制塔からの死角が3カ所もある。着陸帯幅が国際基準の半分しかない。滑走路延長上の立ち木が進入表面を突き破り、滑走路は南側発着の場合、実質1920bしか使えない。もとより暫定滑走路はジャンボ機(成田空港発着の95%)がまったく使えない。中型機以下でも近距離便だけだ。完全に国際空港失格である。にもかかわらず国交省は発着枠制限いっぱいまで飛ばし、騒音で地権者農民をたたき出し、本来計画の滑走路に延長することを狙っている。公団は昨年11月、B滑走路の完成予定期日が切れたことを受けて、同期日を2004年3月31日に変更する申請を国交省に行い、認可を受けた。つまり公団は現在、法的環境としては当初計画どおり3300bへの延長工事を継続しているのである。
 そのために暫定路の国内線を無理やり増やし、アジア便の増便をねつ造さえしているのだ。開港直後には中国、韓国便は実需の1・5倍近い路線が設定されている。9・11反米ゲリラ戦以降、航空需要は急激に落ち込んでおり、現在も回復していない。にもかかわらず国交省・公団は暫定滑走路の運航便拡大のために内外の航空会社を日参した。ひとえに地権者を追い出し滑走路を延長するためだ。
 さらに公団や千葉県、成田市などは、地域反動を組織し「空港は周辺地域の経済的活性化をもたらす」「空港反対農民と三里塚闘争は地域の敵だ」などという反動キャンペーンに全力をあげている。断じて許すことはできない。

 延長阻止決戦突入へ

 4・18開港を新たな突破口に、三里塚闘争は平行滑走路の延長阻止決戦に突入する。この延長阻止決戦は、航空機の爆音による公団の一方的攻撃から、農民の生活を防衛する闘いである。三里塚闘争は日帝の侵略戦争体制と真っ向から対決し、空港建設を37年間阻止し続けてきた。この三里塚闘争を労働者階級人民の闘いでなんとしても守りきらなければならない。わが革共同には、反対同盟とともに絶対に勝利をかちとる階級的義務と責任がある。
 革共同の闘いは一貫して三里塚闘争の発展とともにあった。67年10・8羽田闘争以来のベトナム反戦闘争と70年安保・沖縄決戦、大学闘争、80年代反動攻勢との闘い、国鉄分割・民営化攻撃との闘い、85年10・20三里塚十字路戦闘−11・29浅草橋戦闘、90年天皇決戦、そして三里塚治安法決戦。このように革共同と革命的左翼によるすべての闘いの実体が三里塚に結実してきた。だからこそ、一大政治決戦は必ず三里塚決戦とともに発展してきたのである。
 また革共同のPT、PU(先制的内戦戦略の第一、第二段階)下の政治闘争が戦争的制約下におかれている中で、革命勝利への基本路線を貫く最重要の政治闘争として三里塚闘争を闘い抜いた意義はきわめて大きい。厳しい二重対峙戦争の条件下で、死活的な政治闘争を三里塚闘争が保証したのである。
 さらに三里塚闘争は日本におけるゲリラ・パルチザン戦闘を生み出し発展させてきた。9・11情勢下で国際階級闘争が新たな発展を遂げようとする中、革共同がこれと断固として連帯を宣言できるのは、二重対峙・対カクマル戦争と三里塚の激烈なゲリラ・パルチザン戦闘を勝ち抜いた経験があるからだ。その点で、三里塚闘争は今なお日本における最高の戦闘的闘争拠点であり、国際階級闘争からも注目を浴びている闘争なのである。
 4・14三里塚現地総決起闘争に結集し、反対同盟との血盟をあらためて誓い、日本労働者階級人民とわが革共同の決意を全世界に示そうではないか。

 第2章 国際連帯掲げ革命的反戦闘争創成しよう

 5・26有事立法阻止闘争を軸とする4−6月決戦の第1の闘争方針は、アフガニスタンやパレスチナを始めとする闘うイスラム諸国人民・アジア人民と連帯し革命的反戦闘争を爆発させ、有事立法の国会提出・成立を阻止する闘いである。
 アフガニスタンは、〃第2のベトナム”ともいえる情勢になりつつある。
 米帝はアフガニスタン東部パクティア州で3月冒頭から、タリバン・アルカイダの最後的掃討を掲げ、アナコンダ(大蛇)作戦と称して新型爆弾による攻撃を開始したが、完敗に終わった。3月20日、アフガン東部ホストの飛行場近くにある米軍駐留地が、ロケット弾や機関銃で数時間にわたり襲撃され、多数の米軍兵員が負傷する事態となった。
 これに対し米英などの帝国主義侵略軍は、アフガニスタン人民への残虐な皆殺し作戦をさらに重ねようとしている。タリバン・アルカイダは4月から本格的地上戦を挑もうとしている。アフガニスタンの民族解放闘争勢力は、米軍の大軍事作戦にもかかわらず、果敢に反撃に転じているのである。
 パレスチナでは、イスラエルによる占領と大量虐殺に対する人民の激烈な闘争が発展している。米帝とイスラエルは、パレスチナ人民の自爆戦闘を含む闘いに追いつめられ、ペテン的「停戦提案」で再度の本格的侵略戦争体制の立て直しを図ろうとしている。停戦提案とは、テネット米CIA長官が公言するように「イスラエル側が昨年9月の位置まで軍を撤退させるのと引き替えに、パレスチナ側に武装闘争の中止を要求する」というものだ。パレスチナ人民の命がけの決起がイスラエル国内で反戦・反軍闘争の高揚に転化し、徴兵拒否運動が爆発的に発展し、イスラエルの国内支配が根底から揺らいでいるからである。
 米帝はこの停戦案を飲ませることでパレスチナ人民の武装解除と反イスラエル武装闘争の撲滅を図ろうとしている。パレスチナを米帝(および米の全面的軍事支援を受けたイスラエル)の軍事力で制圧し、それをもってイスラム諸国人民の解放闘争全体を鎮圧し、中東支配の崩壊的危機を立て直そうとしているのだ。
 パレスチナ人民は停戦案粉砕の決死の戦闘を闘いぬいている。パレスチナ人民は国と土地を奪われた民族であり、武装闘争こそが民族の誇りと土地および帰還権を奪還し解放に向かう道なのだ。停戦受け入れは、すなわちパレスチナの死を意味するからだ。イスラム諸国人民の解放闘争の発展は最終的にイスラエルを国家として崩壊させる以外にないものだ。
 米帝は「反テロ戦争の第2段階」に突入すると宣言してイラクへの戦争開始の準備に入った。早ければ5月末にも開戦に踏み切る情勢である。この戦争は、米帝による中東石油支配の維持、そのためのイスラエルとシオニズムの絶対的防衛の戦争である。米帝はイラク、イランを軍事的制圧下に置こうとしているのだ。
 世界危機の世界戦争への転化の攻撃と対決し、国際連帯を掲げ、日本の地で革命的反戦闘争を巻き起こそう。

 第3章 有事立法阻止へ百万人民の行動的決起を

 日帝は米英のアフガニスタン侵略戦争の最も忠実な協力国として自衛隊を派兵している。日帝は今度こそ91年湾岸戦争の轍(てつ)を踏まないためにと称して、侵略参戦体制を抜本的につくりあげ、自衛隊を実戦部隊化し侵略戦争を遂行しようとしている。それ以外に帝国主義として延命する道がないからである。
 日帝は有事立法を4月10日までに国会提出する方針である。政府案の全容もほぼ明らかになった。有事対応の枠組み・理念を示した包括法案と、個別法としての安全保障会議設置法改正案、自衛隊法改正案、米軍の行動に関する特別措置法案の4本を一括して提出するという。
 日帝は「武力攻撃事態への対処」と称して、有事概念を大幅に拡大解釈している。「有事」を国家の戦争だけでなく、「ゲリラ攻撃」や「ミサイル着弾」にまで広げようとしている。昨年12月の外国船事件のような事態をもって有事となす方針だ。それだけで国全体を戦争体制にたたき込み、憲法と基本的人権の一切を停止しようとしている。また国家機関の臨戦態勢化も一気に進む。安全保障会議には米帝のNSC(国家安全保障会議)を想定した常設会議が設置され、軍事政策の統合・調整にあたる。有事には明治憲法下で労働者人民のすべての権利を停止した非常大権(天皇の大権)を行使できる首相直属機関となる。国家安全保障会議が憲法にとって代わるのだ。
 米軍の行動に関する特別措置法案は、米軍支援の名のもとに日帝の集団的自衛権を事実上承認するものだ。
 さらに自衛隊法改悪案は現在のアフガニスタン、パレスチナ、中東情勢に対応し、自衛隊を実戦部隊として派兵するものであり、また南北朝鮮情勢や中国・台湾情勢の激動化に対して日帝が侵略戦争で介入していくことを想定している。
 4〜6月決戦の中心的な闘争課題は、この有事立法阻止・改憲粉砕決戦に猛然と決起することである。有事立法阻止の国会闘争を中央政治闘争として闘いぬこう。その基礎をつくりだすために、百万人民の行動的決起―署名運動に全力で取り組もう。5月26日に反戦共同行動委が呼びかけている有事立法粉砕全国総決起闘争を最大の集約点にして、4−6月決戦に全力決起しよう。

 沖縄闘争が決定的に

 さらに、有事法制成立阻止の革命的反戦闘争の中に、三里塚闘争と沖縄闘争を位置づけて闘いぬくことである。
 日帝は国会での有事立法の成立と資本攻勢の強化の中で、4月三里塚「暫定滑走路」開港、5月沖縄復帰30年記念式典、部落解放闘争に対する同対事業打ち切りなどをもって、階級闘争を戦闘的に牽引(けんいん)してきた労働者人民の闘争拠点を破壊する攻撃を最大級に激化させている。
 日帝は5月19日に、三権の長が出席する本土復帰30年記念式典を強行することで沖縄闘争解体攻撃を強めている。この攻撃は5・15体制、SACO路線(96年の日米のペテン的「基地返還合意」)の破綻(はたん)の中で、沖縄人民をより差別的な支配構造のもとに組み敷き、基地の島としての沖縄を強制する攻撃である。沖縄を日帝自身の最大の侵略前線基地として再編・強化しようとしている。断じて許すことはできない。名護新基地建設阻止闘争を先頭に沖縄闘争の根底からの爆発をかちとろう。
 さらに、日帝は治安体制の抜本的強化と法制的整備を一気に進めつつある。とりわけ今国会でテロ資金供与防止条約の批准狙っている。この条約が義務付ける関連法は、テロを口実に資金没収から逮捕まで、権力の恣意(しい)でどのような弾圧も可能とする悪法だ。絶対に許してはならない。サッカー・ワールドカップのフーリガン対策を口実にした治安体制の本格的強化と対峙し、闘いぬこう。

 国鉄決戦の勝利開け

 4―6月決戦の第2の闘争方針は、春闘後も激化する資本攻勢との闘いだ。
 3・30春闘総行動の地平を踏み固め、動労千葉・動労総連合の歴史的なストライキに呼応して闘おう。国鉄決戦を中心に春闘総行動を引き続き推進しよう。
 日経連会長・奥田は、今春闘を「各社とも日経連の高コスト構造の是正、生産性に即した賃金決定の貫徹などの主張を理解し、交渉に臨み、雇用形態の多様化・柔軟なワークシェアリングの導入、定期昇給の見直し・凍結等についても新しい方向が打ち出された」と中間総括している。さらに、日経連は連合、全労連の屈服を見て、春闘後の賃金制度全体の反動的改革を叫び始めた。この総資本の大攻勢に真っ向から対決していこう。
 春闘を引き継ぐ決戦場は国鉄決戦である。国労本部はJR資本への屈服をさらに深め、国労闘争団の切り捨てに続いてメンテナンス合理化の先兵となり、外注化を受け入れ、出向者への裏切りを行った。松崎・JR総連を打倒し、国労本部の裏切りを粉砕して、国鉄決戦の勝利をかちとろう。
 4―6月決戦の第3の闘争方針は、有事立法攻撃下での差別・抑圧攻撃の一挙的激化と対決し闘うことである。
 ワールドカップ開催とテロ対策を口実に、戦時型入管体制の攻撃が強められている。在日・滞日の朝鮮・中国・アジア人民、イスラム諸国人民を支援・防衛・連帯する闘いに決起しよう。第11回全国大会の画期的成功をかちとった部落解放同盟全国連合会と連帯し、全国連5万人建設をともに闘いとろう。社会保障制度の反動的転換攻撃を許さず闘いぬこう。
 4―6月決戦の第4の闘争方針は、松崎・JR総連カクマルと中央派カクマルという2つの反革命と対決し、対カクマル戦争の新局面を闘いとることである。
 4―6月決戦の第5の闘争方針は、超長期獄中同志の奪還闘争、1億円保釈金カンパ闘争へと猛然と決起することだ。
 有事立法阻止への総決起の中で党建設の闘いを断固推し進めよう。学生戦線の圧倒的前進をかちとろう。

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週刊『前進』(2048号1面2)

4・21沖縄市長選勝利へ 基地撤去訴える 桑江テル子氏の当選を
 革共同沖縄県委員会

 (1)

 3月16日、桑江テル子氏が4月21日投票の沖縄市長選への立候補を表明した。アジア最大の米空軍基地・嘉手納基地を抱える沖縄市(旧コザ市)は、70年コザ暴動―全軍労闘争を頂点に沖縄闘争の焦点となってきた街である。桑江氏の沖縄市長選への挑戦は、基地絶対反対の闘いを、沖縄問題の縮図である沖縄市で貫くものである。
 桑江氏は、1995年秋以来の沖縄の新たな闘いを牽引(けんいん)する「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の先頭で闘ってきた。また、沖縄市職労委員長(沖縄で初の女性の労組委員長)に就くなど沖縄の戦闘的労働運動を文字どおり一身に担ってきた。そして、地元・沖縄市や全県全国で基地撤去と住民自治のために奔走してきた。「いなぐや(女は)戦(いくさ)のさちばい(先駆け)」という沖縄女性の生き方そのものを生き、闘ってきた。
 桑江氏は沖縄市長選出馬にあたって、「ともに生きる・ともに創る」をモットーに「市政民主化」と「基地の街・沖縄市を平和な街に」を基本政策に掲げている。また、名護市長選と同様、選挙告示の一カ月前に至るまで候補者を擁立できない既成党派・既成労組指導部の指導能力の破たん(「革新共闘体制」の崩壊)を戦闘的にのりこえ、95年秋以来の新たな沖縄闘争を力強く発展させようとしている。
 革共同は、宮城康博氏を先頭にした名護市長選闘争に引き続き立ち上がった沖縄市民と、これに真っ向からこたえて出馬する桑江氏の闘いを断固支持し、その当選のために全力をあげる決意である。すべての闘う労働者人民が、全国・全戦線でともに立ち上がることを呼びかける。

 (2)

 沖縄市の現職の仲宗根市長は、4年前の市長選で、沖縄で自公体制による首長選の枠組みを初めてつくり、そのもとに上原康助元衆院議員ら転向分子を取り込み、大田県政を倒す反革命策動の先頭に立った人物である。そしてSACO路線(96年12月の日米の基地返還合意のペテン)に飛びつき、米軍嘉手納基地と自衛隊基地内の市有地の20年賃貸借契約に応じた。さらに2000年沖縄サミットでは、日米帝にとり入るために「クリントン広場」なるものを市の予算で建設するなど、「沖縄基地との共存・共生」策を度はずれに推進してきた。
 その「見返り」として、仲宗根市長は「地域振興」と称して「泡瀬干潟の埋め立て」という自然破壊を、多くの市民の反対の声を無視して、行政独裁で強行しようとしている。
 沖縄市の心ある市民は、この仲宗根市政にもう我慢ならない、基地への隷属を強いる沖縄市政を打ち破ろうという新たな決意とエネルギーが満ちる中で、桑江テル子氏という最高最良の市長候補を推し立てた。
 泡瀬干潟埋め立て問題は重大な環境破壊であるとともに、「基地との共存・共生」か「基地撤去」かを問う問題である。仲宗根市政は「基地のために土地がないから干潟を埋め立て、リゾートを誘致し、地域振興と雇用を拡大する」という。「基地撤去は現実性がない」「現にある基地との共存」が、泡瀬干潟埋め立ての最大の動機であり目的である。
 時の権力者に隷従する事大主義は沖縄の保守反動勢力の特徴であるが、仲宗根市政のそれは、従来の事大主義のレベルを超えて、「国策に身も心も捧げる」というあの沖縄戦での「全県民総動員の思想」そのものだ。仲宗根市政とは、小泉政権が狙う有事立法・改憲−戦争国家化を自治体レベルで実践し、基地の街・沖縄市を先頭に沖縄を戦場にするものだ。絶対に許すわけにはいかない。

 (3)

 沖縄市長選闘争の意義はどこにあるか。
 第一に、闘うイスラム諸国人民と連帯し、アジア・中東侵略戦争の出撃拠点・沖縄基地を撤去する闘いである。米帝ブッシュの新たな世界戦争路線に対し、米軍基地撤去を闘う南朝鮮・韓国人民との国際的共同闘争そのものである。
 第二に、日帝・小泉政権の有事立法・改憲攻撃と真っ向から対決する選挙戦である。
 仲宗根市政は、軍用地奪還・基地撤去という反戦地主を先頭とする沖縄県民の闘いを踏みにじって、市の財産を米軍・自衛隊に提供した。これこそ有事立法・改憲による戦争国家化の最先頭をいくものである。こんな戦争翼賛市政を絶対に許してはならない。
 第三に、「SACO路線粉砕・名護新基地建設阻止! 米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の沖縄労働者人民の自己解放をかけた闘いの突破口を切り開く闘いである。
 「基地との共存・共生」を露骨に展開する仲宗根沖縄市政は、名護新基地建設に群がる利権屋連中の本家本元であり、また、沖駐労に象徴される基地容認の帝国主義労働運動勢力の後ろ盾である。それは、高良倉吉らの「沖縄イニシアチブ」論や、上原康助らの「現実的対応」論という、日米安保と日帝への屈服を県民に強いる反革命イデオロギー(日帝の国家意志)の具体化なのだ。
 沖縄市長選闘争は、このような攻撃を粉砕し、95年10・21県民大会と97年12月名護市民投票以来の沖縄労働者人民の合言葉「沖縄のことは沖縄人自らが決める」を闘いとる選挙戦なのである。
 第四に、差別的抑圧的な日本−沖縄関係を転覆し、本土―沖縄を貫く労働者人民の階級的団結を切り開く闘いである。
 桑江氏は、95年9月の米兵による少女暴行事件に衝撃を受け、全国を駆けめぐって沖縄基地撤去を訴えてきた。桑江氏を当選させる闘いには本土−沖縄の労働者人民の共同闘争の真価がかかっている。
 第五に、沖縄における既成指導部の歴史的破産をのりこえる新たな運動の発展と革命的指導部の形成をかけた決戦である。
 沖縄市と中部地域は戦後の沖縄階級闘争の決戦場である。地域の労働者たちは沖縄労働運動の戦闘的伝統を堅持して労働者階級としての筋を通して闘い、連合路線を拒否し、上原康助らの「現実的対応」路線を破たんに追い込む闘いをやりぬいてきた。今回の桑江氏の出馬は、その闘いの伝統・精神・力をまざまざと指し示すものである。
 わが革共同は、こうした沖縄市・中部地域の労働者人民の闘いに敬意を表し、沖縄市・中部地域の労働者人民とともに「名護新基地建設絶対阻止! 米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の21世紀沖縄闘争を必ずや切り開く。名護市長選に続く沖縄市長選への決起は、その戦闘宣言であり、革共同6回大会路線の本格的実践である。
 革共同の党的飛躍をかけて沖縄市長選闘争に総決起しよう。桑江テル子氏の勝利のために、全国の同志・支持者の皆さんの全力決起を訴える。

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週刊『前進』(2048号2面1)

JR東労組がベアゼロ妥結
動労千葉ストライキはJR総連解体の号砲だ
 闘争団支える陣形築こう

 動労千葉・動労総連合は、日帝・資本の春闘解体攻撃と真正面から対決し、大幅賃上げ獲得を掲げてストライキを闘い抜いた。JR資本は、日経連路線のもとにベアゼロを振りかざし、労組解体と大合理化−第2の分割・民営化攻撃に突き進んでいる。これに対して、動労千葉・動労総連合は唯一ストライキで反撃した。他方、JR総連カクマルは、JR東日本においてもベアゼロを受け入れた。資本のファシスト先兵としての彼らの正体は、これまでになくむき出しになった。JR総連打倒の決定的なチャンスが到来した。国鉄闘争をめぐる状況は一変したのだ。動労千葉・動労総連合のストライキによって切り開かれた地平を打ち固め、裏切りと転向を深める国労本部を引き下ろして、国鉄闘争勝利へ総決起しよう。

 「労使共同宣言」の帰結がベアゼロだ

 3月27日、JR東日本はベアゼロ回答を出した。JR資本は、西日本、東海、九州、貨物でもベアゼロ回答を出していた。そして、ついに東日本もベアゼロに踏み切ったのだ。
 昨春闘まで、JR東日本は西日本の回答を見た上で、それにほんのわずかの上乗せをしてベア回答を出していた。この、東日本資本によるわずかばかりの施しものこそ、東労組カクマルが「組合員の利益を守れるのは東労組だけ」などとうそぶくことのできた、最大の根拠だったのである。
 日帝資本は、29年型世界大恐慌過程の深まりと帝国主義間争闘戦の激化の中で、生き残りをかけてベアゼロ・定昇凍結−大幅賃下げの歴史的な資本攻勢に乗り出した。
 JR東日本も、日経連路線を最先端で押し貫いてベアゼロを強行した。東労組カクマルとの結託に亀裂が入ることも覚悟しながら、彼らにより一層の屈服を迫ったのである。東労組は、なすすべもなく敗退し、そそくさとその場で妥結した。昨年8月の「第4次労使共同宣言」の帰結が、このベアゼロ妥結である。東労組は、JR連合を「養殖組合」などと罵倒(ばとう)してきたが、東労組こそ唾棄(だき)すべき資本のファシスト先兵にほかならない。
 今春闘でJR総連・松崎カクマルがやったことは何だったのか。動労千葉・動労総連合のストライキに敵対し、資本と一体となって傘下組合員にスト破りを強制した。その代償がベアゼロだったのだ。日貨労カクマルに至っては、ベア要求さえ放棄して、「クリーンアップ作戦」と称するただ働きを組合員に押しつけた。ファシスト的労働代官としての松崎カクマルの正体は、もはや誰が見ても明らかだ。JR総連内部から、もう我慢ができないという怒りが噴出することは避けられない。
 JR総連カクマルが唱える「JR春闘」なるものは、資本とは一切闘わず、東労組の組合員をも資本に差し出して、カクマル分子だけが生き残ろうとするものだ。他方で彼らは、゛アフガン支援カンパがJR総連の春闘だ″などとわめきながら組合員を引き回している。帝国主義の残虐きわまる侵略戦争を肯定し、帝国主義による「復興」なるものを前提にした「支援カンパ」など、帝国主義のアフガニスタン侵略を翼賛するファシスト運動以外の何ものでもない。松崎カクマルは、小泉政権が有事立法の国会提出に全力を挙げているこの時に、そのファシスト先兵として名乗りを上げたのだ。断じて許すな。
 だが、そのおぞましい正体は、動労千葉・動労総連合の渾身(こんしん)のストライキ決起によって余すところなく暴かれた。JR体制とJR総連による労働者支配への、積もりに積もった怒りの噴出口は、実力でこじ開けられたのだ。ここにこそ、国鉄闘争の勝利をつくり出す道がある。

 解雇撤回へ実力の反撃

 動労千葉は、ベアゼロ・賃下げに踏み込んだ日経連路線と真っ向から対決し、大幅賃上げ獲得・組織強化拡大を掲げて春闘ストに決起した。これに対する一大反動として、3月28日、東京地裁は動労千葉12人の組合員に対するJR採用差別事件で、労働委の救済命令を取り消す判決を下した。国労に対する98年5・28反動判決と同様に、国鉄改革法を絶対化する超反動的論理で、JRの不当労働行為責任を免罪したのである。
 この攻撃に対して、動労千葉は判決当日をもって72時間の乗務員ストライキに突入した。
 「1047名の解雇撤回・原職復帰」を要求項目の柱に掲げて闘い抜かれた動労千葉・動労総連合のストライキこそ、労働組合の本来の闘い方を体現するものだ。被解雇者と本体労働者が団結を打ち固め、解雇撤回を実力でもぎりとるためにストライキに決起する――これこそが解雇撤回を真に実現する力をつくり出すのである。
 動労千葉のストライキは、国鉄闘争を解雇撤回闘争の原点に引き戻した。国鉄闘争は、今こそ1047人闘争としての発展をかちとらなければならない。
 JR総連を解体し、JR体制を打倒して、1047人の原職復帰を闘いとるための巨大な突破口は切り開かれた。この勝利を、今こそ徹底的に打ち固めなければならない。

 闘争団の糧道断つ国労本部を許すな

 しかし、国労本部は、こうしたチャンスをむざむざと踏みにじり、国鉄闘争を敵権力に売り渡そうと策している。
 3月25日、国労本部は全国代表者会議で次のような許しがたい方針を決定した。@最高裁に対する訴訟参加を申し立てた闘争団員、鉄建公団訴訟の原告に加わった闘争団員を対象に、生活援助資金の支給を停止する、Aこれらの対象者が大半を占める闘争団については、国労の統一物販から排除する、Bこれらの闘争団の物販オルグについて、各地本にオルグの受け入れ停止を指示する。
 なんということだ! 国労本部は、被解雇者から生活の糧を奪うという卑劣きわまる手段を用いて、闘争団に屈服を迫っているのだ。しかも、多くの労働者が必死に春闘を貫いているさなかにおいて、こうした恥ずべき決定を強行したのだ。さらに国労本部は、4月の査問委員会で闘争団への統制処分に突き進もうとしている。もはや国労本部には、労働組合指導部を名乗る資格など一片もない。
 今、権力は再び国鉄闘争の解体に焦点を据えて攻撃を仕掛けている。破産寸前の4党合意をなんとしても立て直し、国鉄闘争を壊滅させようと躍起になっている。国鉄闘争は、今日の資本攻勢に憤る労働者をさらに奥深く獲得しつつあるからだ。他方、国労本部は、「4党合意に基づく解決」を再勧告した今年3月のILO結社の自由委員会報告を盾にとって、「いかなる状況があろうと4党合意という解決基盤を堅持していく」と叫んでいる。
 だが、闘争団はこうした攻撃に断じて屈せず、不退転の決意を固めて新たな闘いへと踏み出した。この闘いをすべての労働者の力で支えなければならない。

 神奈川地労委の勝利に続け

 JR本体と出向先の国労組合員に訴えたい。
 昇進差別事件での神奈川地労委の勝利命令は、闘えば勝てることをはっきりと指し示した。東労組カクマルと結託し、国労差別を会社存立の「根幹」に置いてきたJRのあり方は、厳しく断罪されたのだ。「国労ジリ貧」論は、差別に抗して粘り強く闘い抜いた国労組合員の力によって打ち砕かれた。
 この勝利に確信を固めよう。こうした闘いの成果をも敵に売り渡す4党合意を、最後的に葬り去ろう。本体と出向先の組合員が、メンテナンス合理化への怒りをあらためて燃え立たせ、闘争団とともに立つならば、JR体制を根底的に覆すことはできるのだ。
 権力・資本の手先へと転落した国労本部を打ち倒し、国労の階級的再生をかちとろう。JR総連打倒の攻勢に立とう。

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週刊『前進』(2048号2面2)

有事立法にさおさす日共
「テロ弾劾」の行き着く先は帝国主義侵略戦争への屈服

 有事立法・改憲阻止が全人民的な重大な課題として登場し、労働者人民の大闘争が今まさに求められている。この決戦期に日本共産党はどのような態度をとっているのか。98年には「安保廃棄の凍結」を掲げ、一昨年の第22回大会で「有事の自衛隊活用」を打ち出し、米日帝の朝鮮・中国侵略戦争への加担を公然化させてきた日共は、昨年の9・11反米ゲリラ戦を転回点に、一層帝国主義に屈服し、自国帝国主義の最後の番兵としての本性をさらけだしている。ここでは、@「テロ根絶」論の犯罪性、A昨年12・22外国小型船銃撃・撃沈・虐殺事件に対する態度、B有事立法に対する立場、C排外主義攻撃に対する態度、の4点を中心に批判する。

 「テロ根絶」合唱に参加

 日共は、昨年9・11反米ゲリラ戦に対して、いち早く「テロ弾劾」の態度表明を行い、「テロ根絶」のために帝国主義に協力する姿勢を鮮明にした。
 「無差別に市民を殺りくした同時多発テロは、人類文明を否定する、最悪の歴史の逆流でありました。しかし、それにたいして報復戦争に訴えたことも、歴史の大きな流れにてらしてみれば、二十世紀に人類がかちとった世界の平和秩序の流れにさからう、逆流にほかなりません」(志位委員長、日共の新年旗びらき)
 日共はこうして「テロ」と「報復戦争」を同列に並べている。そもそもここには反米ゲリラ戦争がいったいなぜ起こったのか、その原因は何か、ということがまるでない。9・11の決起は、米帝によるイスラム・アラブ人民に対する積年の残虐な支配、抑圧に対してたたきつけられたものだ。
 20万人ものイラク人民を虐殺した1991年の「湾岸戦争」以後だけを見ても、米帝がやってきたことは、イスラエルと結んだパレスチナ人民大虐殺の攻撃に集中的に示されている。
 こうした帝国主義の被抑圧民族に対する侵略と虐殺と抑圧の現実を、帝国主義のもとにある労働者人民は、ほとんど知っていなかったし、知ろうともしてこなかった。こうした現実に対する怒りが9・11ゲリラとして極限的に爆発したのだ。だから帝国主義のもとで闘う人民は、この決起を自らに対する糾弾として受けとめなければならない。
 ところが、日共はブッシュが「アメリカにつくのか、テロリストにつくのか」と叫んだことに震えあがり、「アメリカにつきます」と誓い、帝国主義の世界秩序を守る立場から、「テロは最悪の歴史の逆流」などとののしるのだ。
 日共は、「テロ」を否定することによって民族解放闘争を否定し、「報復戦争反対」などと口先では言いながら実は帝国主義の民族抑圧、侵略戦争、虐殺に加担しているのである。

 撃沈と虐殺を完全容認

 帝国主義が9・11を口実に侵略戦争に突入している中で、昨年12月22日に日帝・海上保安庁は、米軍、自衛隊と連携しつつ、日本の領海外で、外国の小型船を「不審船」として追尾し、銃撃を加え、撃沈し、乗員15人を虐殺した。
 これは、日帝が(海上保安庁はアジア諸国から見ればれっきとした軍隊だ)戦後初めて他国と交戦し他国人民を公然と殺害した歴史的な事態であり、これ自体が戦争の発火点になるような重大な戦争行為だった。
 日共はそもそも、12・22の前段に、昨秋国会でテロ対策特措法など参戦3法案の成立が策動された時に、そのうちの一つ「海上保安庁法改悪案」に賛成していたのである。この法案は、海保が直接船体を攻撃する「危害射撃」をできるようにするもので、相手の撃沈・殺害を法的に正当化する重大な改悪だった。日共はそれを「海保は軍隊でなく警察力」であるとして合理化した。
 こうして参戦法案の一つに賛成したことで内外の批判と弾劾が高まっている最中に、撃沈・虐殺事件が発生したのである。追い詰められた日共が党として正式に見解を発表するのは1月28日になってからである。
 この「見解」は第一に、銃撃・撃沈・虐殺の事実そのものを一言も弾劾していない。それどころか第二に、「不審船」を「放置できない」として、警察力をもって取り締まることを主張している。日共は、「このような船舶が、領海はいうまでもなく、排他的経済水域で出没しているということは、わが国の安全と秩序にとって、放置できない」と言い、それに対して海上保安庁が行動するのは「主権の行使」として当然だと支持している。
 第三に、海保が事実上軍隊(第二自衛隊)として行動していることを、軍隊でなく警察力であると言ってごまかしている。
 日共の海上保安庁に対するこのような態度は、今日、小泉政権が「テロも不審船も拉致事件も有事だ」というキャンペーンをもって有事立法攻撃を加えてきていることに加担するものである。問題は、この「不審船」事件も、有事立法攻撃の一環として最初から位置づけられていたということだ。日帝は、北朝鮮や中国に対する排外主義攻撃をここぞとばかり満展開し、それと「備えあれば憂いなし」などの単純化した標語で侵略を正当化し、一気に有事立法を策動し、米帝とも対抗的に、独自の日本式「対テロ戦争」の体制を築こうとしているのである。
 ところが日共は、「不審船」について「この問題を有事体制づくりに利用することに反対する」などと言いながら、事実上は撃沈を支持し、有事立法攻撃にさおさしているのだ。

 「脅威ない」論の反動性

 次に、現在の焦点である有事立法に対する日共の態度はどうであろうか。
 第一に、有事立法は「アメリカの戦争への参戦体制」だという対米従属論からの対応が日共の主張のすべてであると言っていい。
 「小泉首相は、『日本有事の備え』といいますが、その『備え』は、アメリカの戦争への協力のための『備え』でしかありません」「(有事立法は)日本国民をアメリカの戦争に総動員するという、反国民的な戦時立法」(『前衛』4月号・小泉親司)
 だが、有事立法は、日共が言うような、アメリカに押しつけられて、日帝が不本意ながらアメリカの戦争に国民を動員するために行うというものではない。日米間矛盾の深まりの中で、日帝が主体となったアジア勢力圏化をめぐる戦争、自衛隊の戦力投入を主軸とするアジア侵略戦争に突入しようとしているのである。米帝ブッシュの世界戦争路線に日帝が必死に対応し、自力で戦争のできる国家体制づくりを行おうとしているのである。
 日共は、この帝国主義としての絶望的凶暴性を正反対に描きだしているのだ。それは、アメリカのためではなく「日本の国益のための戦争とそれへの動員ならいい」ということになってしまうのである。
 第二に、日共は「日本に対する外からの脅威はない」ということを強調し、「だから有事立法は不要」という論法をとっているがこれも「脅威があれば必要」というもので、まったく日帝を免罪するものだ。
 日本はすでにアフガニスタン侵略戦争に参戦し、またPKO東ティモール派兵でアジアにも出兵している。その参戦国である日帝が、さらに米帝とともに朝鮮・中国侵略戦争を自らの戦争として起こそうとしており、そのために有事立法が必要になっているのだ。 
 日共は、日帝支配階級と同じ立場に立って、「日本にどこからか攻めてくることはあるだろうか、それにはどうしたらいいか」と問題を立てているのだ。
 第三に、したがって、有事立法攻撃が憲法を破壊する重大な攻撃であり、日本の労働者人民の底力を根こそぎ奮い起こして立ち上がらなければならない時に、アリバイ的に「反対」を掲げて波乱なく通過・成立させ、日帝の前に屈服させようとしていることである。
 このような日共の制動を根底的に打ち破らなければ、有事立法粉砕闘争の大爆発はかちとれないし、人民は勝利できない。

 排外主義的「宗男追及」

 最後に、この間の鈴木宗男疑惑問題で、日共がとっている態度の反動性について指摘しておきたい。
 志位は、鈴木宗男がロシア外務次官と秘密会談を行い、そこで北方諸島の「二島先行返還」を主張していたことを示す記録を暴露し、「会談記録は、対ロ領土交渉で、二重交渉がおこなわれており、それが現実に日本外交をゆがめていたというきわめて深刻で、重大なものである」と騒ぎ立てている。鈴木の行為は「ロシア側の歓心をかって、利権をむさぼるところに動機がある」「鈴木氏は国民の税金だけでなく、日本の主権も食い物にしていた」と「弾劾」している。
 鈴木が、外務省に深く介入し、ODA(政府開発援助)などに食い込んで利権をあさっていたことが、日帝政治の腐敗として労働者人民の大きな怒りの的になり、自民党離党などのペテンではすまない、小泉政権を揺るがす状況になってきている。ところが、日共は問題を排外主義的にねじ曲げているのだ。
 日共は、戦後の日帝が「北方領土」問題を使って労働者人民の階級意識を解体し、対ソ連(対ロシア)の排外主義的な国民結集策を行ってきたことに完全に同調し、それどころか、「四島ではなく全千島返還」を掲げて、ウルトラ排外主義、愛国主義の路線を推進してきた。その日共から見て、「四島」どころか「二島(歯舞、色丹)」で交渉するという鈴木の態度は「国益を売り渡すもの」という「弾劾」の対象なのである。
 これは、鈴木を「国賊」とののしって宣伝カーを走らせる右翼団体と同じ立場、同じ主張である。領土問題が、排外主義と愛国主義の攻撃であり、帝国主義戦争に向かって国民動員を図っていくものであることに警戒を促すどころか、自らその最も熱心な旗振り役を買って出ているのだ。
 有事立法攻撃の本格的な強まりの中で、日共のこれらの言動は、実に危険な反革命的役割を果たすものである。日共は闘う人民の味方ではない。日帝の側に身を置いた極悪の敵である。この日共の制動を打ち破って前進する度合いに応じてのみ、闘いは前進する。日共を打倒し、闘いぬこう。

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週刊『前進』(2048号2面3)

 妥結直後に賃下げ強行 労組否定に踏み込んだ日帝資本
 屈服重ねる連合打倒を

 今春闘は、史上空前の利益を上げたトヨタがベアゼロを強行するなど、春闘解体攻撃が吹き荒れている。しかも、電機資本を先頭に13日の妥結直後に賃金カットや定昇凍結、時間外割増率の切り下げなどが提案され、それに連合指導部が唯々諾々と従うという、本当にとんでもない事態が進行している。これでは賃金闘争をやって妥結する意味がないではないか。
 労働組合の存在そのものを否定するこうした日帝総資本の大攻撃と、それへの連合中央のぶざまな屈服は、中小の春闘を一層の苦境にたたき込んでいる。これに対して、動労千葉・動労総連合のストライキを先頭に反撃が始まった。
 資本の組合破壊を許さず、連合中央を打倒し、3・30春闘総行動の成功を出発点に、闘う春闘の再生を今こそかちとろう。

 妥結内容覆す提案が続々と

 3月13日の金属大手の軒並みベアゼロ、とりわけ史上空前の1兆円もの経常利益が予測されているトヨタのベアゼロは、「国際競争力」をふりかざした日帝総資本の階級意志を示したものだ。そして定昇の凍結、賃金カットも当然という資本攻勢の方向を確定した。
 13日のベアゼロ(定昇維持)の妥結直後に、日立製作所が組合に賃金の5%カットを申し入れた。さらに松下電器、NEC、東芝でも、定昇実施の半年間延長や、時間外労働賃金の割増率を法定の25%にまで引き下げることが、交渉妥結の翌日の14日までに次々と組合に提案された。
 これに対して、「あの妥結はいったいなんだったんだ」「そんな提案をおめおめと聞いてくる組合幹部は絶対に許せない」とすさまじい怒りの声が一斉に上がった。
 さらに、三菱電機では年間7日の特別協定休日を設け、その分の約3%の賃金をカットすることが提案され、すでに組合は認めてしまっている。これは、休日の賃金を一定保証する一時帰休ですらない、むき出しの賃金カットだ。妥結内容を掘り崩すこうした提案は、沖電気、安川電機、明電舎でも行われ、富士通でも検討されている。
 春闘妥結の意味を根底から否定するこのような攻撃は、電機において最も激しくかけられているが、三菱自動車でも定昇実施の延長、いすゞでは基準内賃金の7%カットが提案され、住友重機では定昇を凍結し賃金を15%もカットするという提案が行われた。ダイワボウ、オーミケンシも定昇凍結だ。
 大手で行われた妥結直後の定昇凍結・賃金カットという攻撃は、中小の闘いに困難をもたらしている。中小の春闘妥結はまだ数%にとどまっており、闘いはこれからだ。しかし、大手の惨状を受けて、定昇制度のない中小では文字どおりのゼロ回答が多く、始めから賃金カットなどの逆提案も相次いでいる。
 時間外労働賃金の割増率の法定25%への引き下げも、許すことができないものだ。電機連合(当時、電機労連)は1973年の春闘で、産別統一要求として時間外割増率を5%積み増して30%に引き上げることを実現した。こうした労組の獲得物を解体しようという攻撃なのだ。
 連合が22日に発表した賃上げ集計結果によると、平均方式の加重平均は5565円(1・78%)の水準であり、前年同期に比べると約580円も低くなっている。連合が2月末に公表した定昇分の平均は5884円であり、定昇分を割り込む回答内容だ。

 労組との合意破棄した石原

 さらに、自治体の賃金カットも広がっている。都労連に対する4%賃金カットの継続攻撃を頂点に、鳥取県の5%賃金カットなど、全国10の都県で攻撃がかけられている。
 都労連は、昨秋の確定闘争で2年前からの基本給4%カットの打ち切りを東京都と労使合意した。ところが、石原都知事は組合との合意を破棄して賃金カットの継続を打ち出してきた。そして、今春闘における日経連のベアゼロ、定昇凍結・解体攻撃を受け、いったん2年間の賃金カットを打ち切るが、あらためて8月から1年間、4%賃金カットすることで合意するという事態となった。
 ここでも、組合との合意など問題にもしないという日帝総資本の凶暴な意志が貫かれている。そして、組合指導部の屈服が日帝総資本のとんでもない攻撃をまかり通らせているのだ。
 こうした妥結直後の賃下げ攻撃は、何を意味しているのか。
 妥結内容を根底からひっくり返すような提案を資本が一斉に行っている現実は、賃金を含めた労働条件を組合との団体交渉で決めるという戦後的労資関係そのものを否定してきているということなのだ。
 日帝・資本の組合破壊を許すな。それに屈服した連合中央を打倒せよ。そこに労働者階級の勝利がある。

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週刊『前進』(2048号2面4)

全逓4・28反処分裁判で反動判決

 3月27日、全逓の78越年反マル生闘争に対する79年4・28不当処分の取り消しを求めた裁判の第1審判決公判が東京地裁で行われた。民事19部の山口幸雄裁判長は、被免職者の原告7人の請求を棄却した。断じて許せない超反動判決である。満腔(まんこう)の怒りをもって弾劾する。原告と弁護団は、直ちに控訴して闘い続ける決意を表明した。被免職者を守り抜き、不当処分粉砕・原職奪還へともに闘い抜こう。そして、反処分闘争を投げ捨て郵政民営化を労使一体で推進する連合全逓中央を打倒しよう。(詳報次号)

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週刊『前進』(2048号3面1)

有事立法国会提出許すな
 首相の独断で戦争に突入 戦前と同様の国家総動員
 全国で反対運動まき起こせ

 小泉政権は4月上旬にも有事立法を国会に提出する。有事立法粉砕の闘いはいよいよ決戦に突入した。小泉政権が今国会への提出を狙う有事法案は、実にすさまじい内容だ。全体を「武力攻撃事態における我が国の平和及び安全の確保に関する法制」とし、@枠組みを示した包括法案と、個別法としてA安全保障会議設置法改悪案、B自衛隊法改悪案、C米軍の行動に関する特別措置法案の4本からなる。有事法案の閣議決定−国会提出を許すな。ただちに5・26決戦を頂点に4−6月決戦に突入することを訴える。

 日帝が有事デッチあげ戦争を始める

 政府が3月19日に明らかにした有事法制の政府検討状況の概略は、超反動的なものだ。それは、われわれが有事立法の核心的本質として弾劾してきたことが、そのまま法案の条文となっている。首相(と軍部・警察・官僚)の独断で開戦を決定。憲法を停止、軍隊を一切の制約なしに戦闘行動に突入させ、首相に独裁権力を集中させ、労働者人民を戦争に強制的に総動員するものだ。
 政府は有事立法を「武力攻撃事態への対処」だと言う。では、この「武力攻撃事態」を誰が決めるのか。
 前述した政府概略で決定的に重大なことは、首相直属の安全保障会議の強大化である。「武力攻撃事態」発生の認定、緊急事態宣言、首相を本部長とする対処本部の設置などを定める「武力攻撃事態対処の基本方針」を、まず首相が安全保障会議に諮問する。そして安保会議で対処方針案を作成して答申。首相はこの安保会議の答申を受けて対処方針を閣議決定するという。政府概略は、この安全保障会議を強化するために常設組織として防衛庁、警察庁、外務省などの幹部職員・幹部自衛官による「専門部会」を設置するとしている。また、この対処方針は、国会承認を義務づけず、国会への報告だけとなっている。
 どう読んでも、有事認定から開戦に至る戦争への突進を止める法的な手だてはない。首相のもとで、防衛庁、警察、外務省の幹部らが密室で有事を認定=戦争開始を決め、作戦計画や労働者人民の戦争動員、戒厳や治安弾圧を決めるということなのだ。そして最終的には首相の独断で閣議決定し、戦争を始めるのだ。国会承認もいらない。国民投票も公聴会もない。すべては首相の独断だ。これは戦前の大本営や軍部のやり方とどこが違うのか。ごく少数の政治家、軍人、官僚の密室謀議でなにがしかの事件をデッチあげ、戦争を始め、拡大していった、戦前とまったく同じなのだ。
 このように、今回明らかになった有事立法は、首相直属の安全保障会議の権限を強大にするものであり、そこに攻撃の核心がある。つまり、日帝の国家意志決定のシステムを抜本的に改編してしまうのだ。それは憲法の上に首相=安保会議の絶対的な権限を置くものであり、「武力攻撃事態」の名のもとに、憲法を停止してしまうものだ。
 さらに小泉首相が「武力攻撃に対する備えと9月11日以降のテロ発生に対する備え、不審船など不可解な行動に、どう対応するかが有事法制の基本的な考えだ」(3月21日)と述べているように、日帝にとって有事とはなんでもよいのだ。いや日帝自身が有事をつくりだして戦争を始めるのだ。つまり昨年の12・22外国船撃沈・虐殺事件のように、日帝が「有事」を引き起こして戦争を始めるということだ。日帝支配階級の利害のために、首相の独断で、他民族抑圧・虐殺の侵略戦争を始め、労働者人民を強制的に戦争動員するのだ。戦前の戦争と破滅の歴史をそっくりそのまま繰り返すのか!ということが本当に問われている。

 徴用・徴発・物価統制、戦時国債の発行

 政府概略では、首相の独断で有事=戦争開始を決めた後、首相が緊急事態を宣言し、首相を本部長に、関係閣僚や自衛隊の統合幕僚会議議長をメンバーとする対策本部を設置するという。
 そして、対策本部が「国の関係行政機関、地方公共団体等に対し行使しうる権限等を規定」するとしている。これは首相が各省庁や地方自治体、電力・ガス・通信事業者、金融機関などに対して必要な指示を行う権限(法的拘束力を持つ)を与えるということだ。具体的には、首相が地方自治体の首長に対して、土地保有者への土地提供命令や物資を保管する業者への物資収用命令、医療、建設、運輸業者などへの従事命令などの指示を出すが、指示の中身を明確にせず、限りなく首相への白紙委任的な権限を狙っている。
 日帝が行う戦争に、各省庁や地方自治体、公共団体をとおして、労働者人民を総動員する権限を、首相に与えるということだ。物資の保管(供出)命令などを拒否した民間人には、懲役を含む罰則規定を設ける。災害救助法では保管命令に従わない場合、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金を科す。戦争協力しない人間は監獄へぶち込むということだ。保管命令だけでなく、医療、建設、輸送業者が従わなかった場合の罰則も狙っているのである。
 地方の対策本部は、陸上自衛隊の北部(札幌市)、東北(仙台市)、東部(東京・練馬)、中部(兵庫・伊丹市)、西部(熊本市)の5つの各方面隊別に設置される。ここに都道府県知事や自衛隊の現地司令官らが参加する。これは事実上の軍政を敷くことを露骨に示している。
 中央政府−地方自治の一切を軍事的に再編し、すべてにおいて自衛隊を最優先にするということだ。自衛隊が要求する土地や物資、労働力を、地方対策本部を通じて労働者人民に強制するのだ。
 さらに@生活必需物資の配給、譲渡、引き渡しの制限または禁止、A物の価格または役務の給付の最高額の決定、B金銭債務の支払い延期と権利の保存期間延長――などの政令を出すことも検討している。これは軍隊優先で戦争に必要な物資を確保するなどの戦時経済統制を行うということだ。Bは戦争を始めるために膨大な戦債を発行し、戦争が終わるまでは返済しないということだ。
 有事立法が国家総動員体制づくりであることは明らかとなった。戦前型暗黒社会の再現を許すな。
 有事立法は、実際の日帝の戦争突入と一体的な攻撃となっている。
 小泉政権は、小泉自らの命令のもと、昨年の12月22日に外国船撃沈・虐殺を強行した。しかも、撃沈した船の引き揚げを、対中国の軍事挑発を承知で強行しようとしている。さらに、いわゆる「拉致問題」を「北朝鮮が日本国民を脅かす治安問題」として大キャンペーンを展開し、それがあたかも「北朝鮮はテロ国家」「北朝鮮による間接侵略」であるかのようにデッチあげようとしている。自民党外交部会では、北朝鮮との国交正常化交渉の凍結や朝鮮総連への破防法適用までもが議論されている。
 さらにファシスト石原に至っては、朝日新聞の「私の有事法制論」と題するインタビュー(3月10日)で「たくさんの日本人が工作船で北朝鮮に拉致されているんだ」「昨年末の不審船だって、中国で覚醒剤積み込んでいるんじゃないの。その覚醒剤が日本の若者たちの精神も肉体もむしばんで、それが引き金になって凶悪な犯罪が頻発する。これは侵略、戦争ですよ」「中国が日本のODAを使って軍隊をつくっている」などと言っている。石原はストレートに北朝鮮・中国と戦争するために有事立法が必要と言っているのだ。
 このように、日帝は有事立法で「日本への武力攻撃事態への対処」なる論理を米帝ブッシュの「対テロ戦争」の論理と重ね合わせつつ、日帝独自の排外主義・愛国主義とデマゴギーで塗り固め、〈日帝自身が主体となった中国・朝鮮侵略戦争〉〈自衛隊の戦力投入を主軸とする中国・朝鮮侵略戦争〉を打ち出している。日帝が、ブッシュの「悪の枢軸」論以上の悪質なかたちで、北朝鮮や中国を「テロ国家」と決めつけて、侵略戦争を対米対抗的にやろうとしているのだ。

 集会やデモ・署名で直ちに行動を!

 有事立法を絶対に阻まなくてはならない。閣議決定−国会提出を許すな! 有事立法の正体を暴き、徹底批判し、全人民的な論議と反対の闘いをつくりだそう。有事立法は、憲法も基本的人権も民主主義も国民主権も、何もかも百パーセント抹殺し、日帝が他民族虐殺・抑圧のための侵略戦争を独断で始め、自衛隊兵士を戦場に送り、労働者人民を総動員するものだ。
 ただちに有事立法阻止闘争に猛然と決起しよう。職場・学園・地域で、集会、デモ、請願行動、学習会、署名の取り組みを今日から呼びかけよう。有事立法に関係のない人はいない。日帝の不正義の侵略戦争に文字どおり全人民をひきずり込むのが有事立法なのだ。百万人単位の反戦決起は必ずつくれる。ガイドライン闘争を数十倍するような闘いをつくりだそう。
 反戦共同行動委員は5月26日の全国集会(都内)を頂点に、国会闘争や4月28日の全国統一行動(東京は午後1時半、文京シビックホール)の方針を決定している。全力で闘おう。

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週刊『前進』(2048号3面2)

東ティモール 自衛隊出兵 恵庭・千歳で阻止闘争

 北海道反戦共同行動委員会と全学連は、3月22日に自衛隊が千歳基地から東ティモールにPKO派兵されようとしていることに対し、派兵を体を張って阻止する決意をもって、21、22日の連日、侵略出兵阻止の現地闘争に決起した。
 今回のPKO派兵は、人員総数680人、携行武器は機関銃10丁にライフル568丁といずれも過去最大規模であり、防衛庁長官・中谷が「今回は死を覚悟しなければならない」と語ったと言われている。まさに自衛隊が侵略軍隊としてアジア人民の前に登場しようというものだ。
 そもそも日帝はアジア侵略戦争時、東ティモールで4万人の民衆を虐殺し、多数の女性に「軍隊慰安婦」となることを強制した。今回、先遣隊に対して「軍隊慰安婦」とされた女性らが「自衛隊は帰れ」と怒りをたたきつけた。日帝・自衛隊はこの血叫びを踏みにじって派兵を強行し、有事立法攻撃と一体で再びアジア侵略戦争を遂行する帝国主義として登場しているのだ。
 反戦共同行動委と全学連は、派兵前日の21日に恵庭市内で集会をもった後、派兵隊員が集合している南恵庭駐屯地に向けてデモを行った。デモコース沿いには自衛隊官舎が立ち並んでいたが、多くの自衛隊員、家族がデモ隊に注目し、中には手を振って激励する人もいた。基地前では、警察権力の弾圧を跳ね返して派兵中止を申し入れた。
 派兵当日の22日には、早朝から千歳市内の中心部に陣取った。そして、派兵近しの情報に直ちに空自千歳基地正面ゲートに向かい、反戦自衛官の小多基実夫さんを先頭に出兵中止のシュプレヒコールをたたきつけた。そして、自衛隊に抗議文を受け取らせた。
 小多さんは基地に向かって訴えた。「派兵部隊が現地住民に歓迎されているという報道はまったくのウソだ。『自衛隊は帰れ』と糾弾されている。アジアの民衆に絶対に銃を向けてはならない!」。この熱烈な訴えは基地内の多くの隊員の心を揺さぶった。
 その後、出兵しようとしている空自基地に向け、スクラムも固く戦闘的デモに打って出た。基地横では声を限りに「侵略出兵を拒否しよう!」と呼びかけた。
 千歳市内の街頭宣伝でも市民の多くが自衛隊関係者という中で、制動を打ち破ってたくさんの人が署名をし、カンパ要請に応じた。「家族が自衛隊員で署名はできないけど派兵には絶対反対」「学生が先頭で頑張ってほしい」などと、感動的な合流をかちとった。このうねりは必ずや隊内反戦決起につながるだろう。
 北海道カクマルは惨たんたる姿をさらした。彼らは集会・デモもできず闘争から完全逃亡した。空自基地ゲート前で国家権力となれ合っていたカクマル分子どもは、わが部隊の断固たる登場を見るやゼッケン・ヘルメットを投げ捨て、ほうほうの体で逃げ出した。反戦共同行動委と全学連は、反革命どもの出兵〃激励行動”を断固粉砕し、千歳現地を戦闘的・革命的に塗り替えた。

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週刊『前進』(2048号3面3)

全学連 首相官邸に抗議 “侵略狙う訪韓許さぬ”

 3月21日、全学連は、小泉の韓国訪問阻止を掲げて首相官邸前での抗議闘争に決起した。(前号に速報)
 午前9時、首相官邸前に登場した法政大と首都圏の学生は、「闘う朝鮮人民と連帯し、小泉訪韓を阻止するぞ!」と書かれた横断幕を広げ、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
 警備の機動隊は、「抗議文を受け取れ」という要求に対して問答無用で排除しようとしてくる。学生たちは、機動隊と激しくぶつかり合いながら、実力抗議をたたきつけた。抗議文を内閣府の担当者に手渡すとともに、虎ノ門まで機動隊と対峙しながら行進し、沿道の労働者人民に「小泉訪韓を阻止しよう。闘う朝鮮人民と連帯して闘おう! 動労千葉のストに連帯し、宮下公園での3・30春闘総行動に結集しよう」と熱烈にアピールした。
 韓国では、先月末からのゼネストと一体で、民主労総が韓日投資協定阻止を掲げて小泉訪韓阻止の闘いに決起している。朝鮮人民は「私たちは米国と日本が結束して戦争を起こした場合、どうすべきか。明らかに彼らと闘うべきである」「私たちはパレスチナの少年らが石をもって、前進してくるイスラエル軍の戦車に突進する姿を新聞紙上で見ることができた。私たちの中の誰があの少年の気迫に続くことができるだろうか」(韓国の詩人、キムヒョンヒョ氏)と、烈々たる闘争宣言を発している。
 小泉は、金大中との会談でも「拉致問題」を押し出し、北朝鮮に対する排外主義を扇動し、有事立法の閣議決定―国会提出と朝鮮侵略戦争の発動に突き進んでいる。この排外主義扇動と真っ向から対決し、闘う朝鮮人民との連帯をかけて有事立法攻撃を粉砕しよう。4・28闘争―5・26中央総決起闘争の大爆発へ。

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週刊『前進』(2048号3面4)

司法制度改悪を粉砕せよ
弁護権の抹殺と支配強化で〈戦争協力の司法〉狙う

 司法制度改革推進本部(本部長・小泉首相)は司法改革の推進計画をまとめ3月7日の同本部顧問会議で了承し19日に閣議決定した。その内容は、まず司法書士や弁理士に条件付きで訴訟代理権を与える法案を今国会に提出し、次いで年内の次期国会に法科大学院(日本版ロースクール)創設にともなう新たな司法試験実施のための司法試験法改悪案を提出し、さらに03年に民事訴訟関連法案、04年に刑事訴訟関連の法案を国会提出し、成立をめざすというものである。
 司法制度改革とは、帝国主義の体制的危機と帝国主義間争闘戦―世界戦争危機の深まりのもとで、日帝が敗戦帝国主義としての制約を反動的に突破し、日米争闘戦に勝ちぬくための戦争国家づくりをめざす攻撃である。つまり、有事立法・改憲攻撃と一体の攻撃であり、侵略戦争に率先協力する司法をめざすものだ。それは、現憲法のもとで司法が一定程度果たしてきた「国権による私権・人権の侵害を抑制する」という役割を最後的に解体する大攻撃である。絶対に粉砕しなければならない。

 有事立法・改憲攻撃と一体で

 司法制度改革推進本部は小泉首相を本部長とし、全閣僚がメンバーとなる政府の機関であり、司法制度改革推進法が昨年の12月1日に施行された日に同法に基づいて発足した。
 昨年12月27日付で発令された顧問会議のメンバーには、今井敬(経団連会長)や大宅映子(ジャーナリスト・評論家)、奥島孝康(早大総長・日本私立大学連盟会長)、小島明(日経新聞論説主幹)、佐々木毅(東大総長)、笹森清(連合会長)、志村尚子(津田塾大学長)、佐藤幸治(京大名誉教授・近畿大法学部教授)の8人が任命され、座長には司法制度改革審議会の会長を務めた佐藤がそのまま居座った。
 いずれも、政府の審議会委員を兼任しているとして自民党からも批判が出るほどのひどい御用学者とブルジョアジーの代弁者、労働代官で固められている。とくに、早大総長の奥島は、早大のサークルスペース撤去・学生会館封鎖を強行した学生運動圧殺の憎むべき敵である。大宅も、「新しい歴史教科書をつくる会」の呼びかけ人に名を連ねている極悪人である。
 こんな連中の推進する司法改革が人民のためになることなど1ミリたりともありえない。

 争う権利奪う「裁判迅速化」

 3月7日の司法制度改革推進本部顧問会議で、本部長の小泉首相は「裁判は早く行わなければいけないのであり、こういう点を踏まえて司法改革に取り組んでいただきたい」とあいさつし、司法改革の核心が裁判の迅速化にあることを明言した。しかし、それで、無実・無罪を争う被告人が早く無罪となって釈放されるのか。国などを相手に訴訟を起こした薬害エイズ訴訟や戦後補償を求めるアジア人民の裁判闘争が早く終わって勝利できるのか。まったく逆である。「裁判の迅速化のために」という論理で、労働者人民が裁判で争う権利を奪うことに、この改悪攻撃の狙いがある。
 刑事裁判で言えば、近代ブルジョア刑法の「無罪推定の原則」を否定するものであり、捜査権力を批判的に検証し被疑者・被告人の人権を守る弁護活動を全面的に否定するものである。
 司法制度改革審議会意見書(01年6月12日)「刑事司法制度の改革」によれば、@準備手続きの創設、A連日的開廷の確保等、B裁判所の訴訟指揮の実効性の確保、C弁護体制等の整備などとなっている。
 @準備手続きの創設とは、第1回公判が始まるまでに裁判所が取り仕切って争点整理を行い、審理計画まで決めてしまうということである。
 捜査権力(警察・検察)は証拠を独占し、操作し、デッチあげの場合もいろいろと準備した上で起訴してくる。しかも、立証予定の証拠開示すらまともにしない。他方、捜査権限もない被告・弁護人が第1回公判前までの短期間で自己に有利な証拠の収集を行うことは現実的にはほとんど不可能であり、開示された証拠の検討もままならない。
 第1回公判までに争点整理をしてしまうということは、それ以降はもはや「儀式としての裁判」でしかないものにしてしまうということだ。多大な時間と労力を費やして被告人の有利な証拠収集や鑑定を準備しても、すでに裁判は終わっているのである。
 A「公判は可能な限り連日、継続して開廷することが原則」とし、そのために必要な制度を新たに導入するとしている。連日、継続して開廷されたら、被告・弁護人の防御権はなきに等しい。また、民事事件で生計を立てている現在の弁護士の業務実態では、連日開廷の裁判では弁護を引き受けることはできなくなる。

 国家による弁護士の統制

 B以上のようなやり方で被告・弁護側を絶対的に不利な状況に追い込んでも、なお不屈に闘う被告・弁護側に対しては、裁判所の訴訟指揮権を一層強化して圧殺しようというものだ。
 C弁護体制等の整備とはどういうことか。Aに述べたように現在の弁護士の業務実態では刑事弁護を引き受ける弁護士は限られてしまう。それで、刑事事件に専従できる体制として公的弁護制度の創設と、私選弁護については法律事務所の法人化を不可欠としている。しかし、営利を目的とした弁護士法人では私選弁護は限定的とならざるを得ない。
 また、公的弁護制度とは、要するに刑事弁護を国家管理にするということである。現段階ではストレートに刑事弁護を国家管理することはできないので、自主懲戒権を核心とする弁護士会自治を破壊して、国家による弁護士統制を強めるものである。法科大学院創設も弁護士の養成段階から国家の統制を強めるためであり、大学自治や学生自治活動の破壊が前提となっている。すなわち、弁護士会の翼賛化が司法改革のいま一つの狙いなのである。
 「裁判内容に国民の健全な社会常識がより反映」されるような裁判員制度の導入とは、反戦闘争を闘う労働者や革命党を国益主義や排外主義で弾圧する役割しか果たさないのである。また、裁判員制度の導入のためには裁判の連日化が不可欠という論理は、被告人の人権を省みない暴論だ。
 民事裁判においても「裁判の迅速化」のために「計画審理を定めるための協議」が義務づけられる。ここでも「裁判の迅速化」は、情報を独占し証拠の保存・調査・収集能力において格段に有利な条件を持つ国家などの行政権力や大資本をますます有利にするだけだ。また、「専門委員制度の導入」とは、例えば労働界の代表として連合会長が「専門委員」になるような結果しかもたらさない。
 さらに労働関係の裁判においても、救済機関としての労働委員会制度を解体し、「迅速化」と称して労働者の権利を抹殺しようとしているのだ。
 3・30春闘総行動を闘いぬいた力こそ、司法改革を粉砕する力である。弁護士会の翼賛化に反対して闘う弁護士は5千人もいる。有事立法・改憲阻止、司法改革・改憲阻止へ全力で決起しよう。
 (村上進一)

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週刊『前進』(2048号3面5)

写真

 有事立法反対 新宿駅頭で街宣
 3月24日午後、中核派は、東京・新宿駅の新南口で「有事立法阻止」を掲げてビラまき、署名集めを行い、『前進』を販売した。いくつも熱烈な討論の輪が生まれ、新しい仲間を獲得した。

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週刊『前進』(2048号4面1)

激突深まるアメリカ階級闘争
排外主義の激化に抗して国際連帯の闘いが広がる
 村上 和幸

 圧倒的な軍事・政治・経済の力で世界を支配してきた米帝の威信は、9・11反米ゲリラ戦で地に落ちた。ブッシュ政権がいかに凶暴に戦争をエスカレートさせようと、もはや威信の回復はできない。国際的内乱の時代が始まったのだ。ここではアメリカ国内に焦点をあてて、階級闘争の激化を見ていこう。

 「非常事態」体制下での治安弾圧

 ブッシュは昨年9・11直後、「反テロ戦争」を宣言するとともに、軍を最高警戒態勢に入れた。アフガニスタン侵略戦争、世界戦争への突進の開始と同時に、軍事力によって米社会全体を制圧する態勢をとったのだ。そして9月14日、「国家非常事態」を宣言した。多数の中東系、ムスリム系の人びとを9・11反米ゲリラ戦との関係の有無にかかわらず逮捕した。人名も、人数も、留置場所も発表されず、突然何百人もが社会から消えた。
 ブッシュの戦争扇動発言を受け、ニューヨークポスト紙などは「求むビンラディン 生死は問わず」という西部劇スタイルの大きなポスターを配るなどの排外主義キャンペーンを展開した。そうした中で、中東系、ムスリム系の人びとやシーク教徒が襲撃された。
 10・7アフガニスタン侵略戦争突入によって、米国内の治安弾圧と排外主義は、さらにエスカレートした。超法規的逮捕者は、一挙に1千人を超えたと見られる。

 憲法体系を破壊

 60―70年代の公民権運動、ベトナム反戦闘争そして75年のベトナム失陥への巻き返しとして、70年代から米帝は、米国憲法の権利章典に違反する反動的な治安立法を行ってきた。特に、80年代のレーガン反革命以来、それが激化してきた。
 米帝の人口当たりの囚人数は、この20年間に急増し、今や世界の主要国より一けた多い。その刑務所にも民営化が導入され、国家的治安対策だけではなく、私企業の利潤追求さえも囚人数増加の動因となっている。
 警察や他の諜報機関の盗聴も激しい。すでに94年の段階で盗聴令状発付件数が1154件に上り、1件あたり約2千回盗聴されている。電話会社には、あらかじめ盗聴装置を設置しておくことが義務づけられていて、盗聴がシステムそのものになっているのだ。
 だが、昨年10月26日に成立した反テロ法は、これまでの反動立法とはまったく質の違う超反動法だ。米国憲法の権利章典に違反しているという水準ではない。米国憲法・権利章典を全面的に抹殺するものなのだ。
 この反テロ法は、USAパトリオット法=愛国者法と言う(「テロ行為を傍受し遮断するのに必要な適切な手段を与えて、アメリカを団結させ強化する法」の頭文字をとったもの)。
 愛国者法は、「テロ」の範囲を軽微な器物損壊等にまであてはまるように拡大している。そしてその拡張されたテロ概念に基づいて、国務長官が国外・国内の「テロ組織」を指定する権限を持つ。
 テロ組織とされた組織に属したり、それを支援すると見なされると罪になる。特に非米国市民は、まだテロリスト組織に指定されていない組織を支援した場合でも、それがテロ活動を助長しなかったと証明できなければ拘留・追放がありうることになった。罪刑法定主義も不遡及(そきゅう)原則も無罪推定原則も、その痕跡さえ残さずに破壊されている。
 個人・団体に対する書類・記録の提出命令、盗聴令状なども、その必要性を示す確度の高い証拠を裁判所に示す必要はなくなり、検察が必要だと認証すれば良いことになった。令状発行の判断は、裁判所ではなく検察が行うのだ。令状主義の破壊だ。しかも、盗聴は、1つの令状で全国どこででもできるようになった。
 そして、長期の拘留、独房監禁が可能とされ、しかもそれが繰り返されて、事実上無期限化できる。

 特殊軍事法廷

 11月13日のブッシュの一片の軍事命令で「ミリタリーコミッション」という特殊な軍事法廷が設定された。これは、従来の軍法会議でさえない。大統領と国防長官が専制的命令権をふるう機関にすぎない。最低限の「適正手続」の外観さえとらず、ここで「テロリスト」と決めつけられたら、上訴などの救済措置を追求することは一切禁止だ。
 アフガニスタンで捕虜にされたアルカイダの兵士も、米国内で「テロリスト」とされて逮捕された人びとも、国際的取り決めに基づく戦争捕虜としての権利も、国内法による刑事被告人としての権利も認められない。

 人種差別と戦争に反対する労組

 米国内の状況は、中南米の軍事独裁政権下さながらだと言われている。むろん米帝が中南米独裁政権のまねをしたのではなく、その逆だ。直接的な治安弾圧の面だけ見ても、こうした軍事独裁政権は、米帝がつくったものだ。たとえばジョージア州の米軍基地内にあるSOA(スクール・オブ・アメリカズ)などでは、中南米などのかいらい政権の要員に残虐な弾圧方法が教え込まれてきた。議会内野党、慈善団体、修道院にいたるまで少しでも批判的な勢力にはスパイを送り込み、暗殺部隊で襲撃し、拷問する手法が教育されてきた。
 今度は、米国内でその内容を全面的に実施しようとしてきているのだ。
 だが、公民権運動、ベトナム反戦闘争、NAFTA(北米自由貿易地域)反対闘争、WTO反対闘争などをつうじて、米帝の人種差別、侵略戦争との闘いを積み上げてきた闘う人民は、凶暴な弾圧と排外主義の重圧にひるまず新たな闘いを開始している。
 ニューヨークで開かれた世界経済フォーラムに反対して1月31日にAFL−CIOなどが行った集会では、ナイキのメキシコ工場の労働者の労組組織化闘争勝利の報告など各国の多くの労組からの発言を受け、米帝の世界支配との闘いの決意を固めた。AFL−CIO執行部は9・11後、ブッシュの「反テロ戦争」支持の声明を出すまでに屈服を深めたが、その傘下の多くの労働者の突き上げで、ブッシュ支持をトーンダウンせざるをえなくなった。
 独立系のUE(統一電機ラジオ機械労組、約3万人)は、暴力的な排外主義の嵐の中で大会を開き、「人種差別主義と戦い、労働者階級の団結を築け」という決議を上げた。
 「団結はあらかじめ当たり前のこととしてはならない。われわれの成功は、結局は、人種差別との闘いにかかっている」「わが労働運動、わが組合が、人種差別が浸透した社会からの影響から免れているわけではないことを認識する必要がある。意識的にこの力がわれわれ自身の組織に及ぼす作用を最小限にする取り組みをせねばならない」として、侵略戦争反対と国内での人種差別反対の闘いに組合自身の自己変革をかけて決起することを誓った。
 これは、これまでUEがNAFTAに反対するメキシコの労組との連帯闘争を行い、移民労働者、アフリカ系アメリカ人(黒人)の差別反対闘争と組合への組織化に取り組み、そしてそれが組合の活動家・幹部の構成まで変えていったことの成果なのだ。

 死刑囚釈放運動

 昨年12月18日、元ブラックパンサー党の無実の死刑囚ムミア・アブ・ジャマル氏の死刑判決が、裁判官による違法な陪審への教示に基づくものだったという連邦地裁決定が出された。
 獄中のジャマル氏は、9・11後も必死に反戦闘争を呼びかけている。
 このジャマル氏の無罪釈放運動が全米の闘う人民の統一戦線の軸になってきたことによって、アメリカの階級闘争全体の中で、差別・排外主義との生きた闘いが実際に大きな位置を占め、階級闘争全体の質を押し上げてきたのだ。また、アメリカ帝国主義との闘いの本質的な非妥協性、不屈性が確保されてきた。
 また、ジャマル氏無罪釈放運動は、アフリカや欧州を始め、世界的な団結の広がりを生み出してきた。
 今回の連邦地裁決定は、ジャマル氏自身の闘いと全米的・世界的規模での署名運動、労組や各種団体の大衆的集会・デモなどが、階級闘争を質量ともに押し上げてきたことに米帝が重大な危機感をもった結果としてかちとられた大前進であろう。だが、死刑が当面なくなったとはいえ、有罪判決自体は認め、無罪証拠の検討さえ拒否した不当決定だ。再審釈放を求めた不屈の闘争が新たに開始されている。

 エンロン倒産で米帝への憎しみ

 昨年12月、エンロン社が破産法11条の適用を申請し、最終的に倒産した。
 大量の労働者が職を失っただけではなく、退職金も老後の年金も失った。労働者は粉飾決算を見せられ、エンロン株の購入を奨励され続けた。経営危機が明らかになりつつあった時期にも、株売却は禁じられた。401k年金もエンロンの株や社債で運用されていたから、倒産で紙くずになった。
 他方、エンロンの経営陣や、巨大金融グループは、株や社債を値下がり直前に売り抜け、巨額の利益を手に入れた。おまけに、エンロン経営陣は、経営危機が全社会的に明らかになり、11条申請が間近になった時期に巨額のボーナスを自分で自分に支払った。
 エンロンは、経済誌で「超優良企業」ともてはやされてきたが、この5年間で税を払ったのはたったの1年だけだ。あとは、カリブ海のタックスヘイブンにペーパーカンパニーを置いて、そことの間で経理操作を行ってごまかしてきた。
 株価も、数千のペーパーカンパニーとの間の複雑な経理操作によって表向きの利益を膨らませて、つり上げてきた。たとえ、経営実態とかけはなれた株価であっても、それが上がりさえすれば、経営陣も巨大銀行ももうかるのだ。そして、実態とのずれがどうしようもなくなった時には、その矛盾を労働者にしわ寄せすればいいというわけだ。
 だが、こんな詐欺商法を行ったエンロンが米帝の傍流企業ではなく、れっきとした中軸中の中軸であることが、ごまかしがきかない事実として知れ渡ってしまっている。
 エンロン社は、売上高全米7位、世界16位にランクされる巨大企業だ。しかも米帝金融グループ第1位のシティグループ、第2位のJPモルガン・チェースなどと事実上融合していたといえる企業なのだ。しかも、天然ガス、石油、電気という米帝経済の中軸といえる産業部門の企業だ。
 また、巨額の政治献金をもって、規制緩和・民営化、新植民地主義体制諸国の構造調整政策推進のためのロビー活動を行ってきた。そして、規制緩和・民営化、構造調整政策によって膨大な利益を上げてきた。それをIT導入と結びつけて、電子商取引の中心となり、米帝の「ニューエコノミー」なるものの旗手とされてきた。
 そして、エンロンと一体になって規制緩和・民営化を進めてきたのが、ブッシュ一族なのだ。ブッシュへの政治献金の圧倒的な第1位がエンロンだ。その一体的関係は、ブッシュが石油会社経営者だった時代以前にまでさかのぼる。
 エンロン倒産の衝撃は、エンロンがこのように米帝の中軸企業だったこと、あるいはブッシュ政権との一体的関係にあったことだけではない。
 倒産過程でエンロンがあげてきた膨大な利益が、あくどい経理操作、労働者人民や新植民地主義体制諸国からの搾取・収奪の結果であることが満天下に暴露された。しかも、そうした不正がエンロンだけではなく、規制緩和・民営化が行われた以上、あらゆる巨大企業に共通のものだということが知れ渡ってきたのだ。
 またカリフォルニア州の「電力規制緩和」の主犯もエンロンだ。それは、第2次大戦時以来の大規模停電を招き、地区によっては電力価格を10倍にまで高騰させたのだ。エンロンなどのエネルギー卸会社はカルテルを組み、電力買い占めで暴利を得ていた。
 規制緩和・民営化は、80年代のレーガン反革命以来の帝国主義の基本路線だ。単なる一政策ではなく、危機に立つ帝国主義が、労働者階級の歴史的獲得物をことごとく奪い、帝国主義間の熾烈(しれつ)な争闘戦を闘って延命するための、それ以外に道がない必死の延命策だ。エンロン倒産はこの基本路線の破産だ。
 かつてない広範な労働者や中間層が、エンロン事件の中で、米帝への憎しみに目覚めている。先進的な闘う人民は、エンロンの侵略企業としての実態を暴露し、国内のエンロン闘争を国際連帯の闘いに結びつけようと必死に闘っている。
 ブッシュ政権は、人民の怒りで急激な政権崩壊に至りかねない危機にあり、それを排外主義的にそらすためにも世界大的戦争、核戦争への衝動を強めている。
 日本の労働者階級人民はアメリカ労働者階級人民とともに、被抑圧民族と連帯し、米日帝の侵略戦争、世界戦争を、国際的内乱に転化するために闘おう。

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週刊『前進』(2048号4面2)

国立大独法化阻止へ 「人間の鎖」で文科省包囲

に反対し文部科学省を包囲する「人間の鎖行動」(主催/国立大学独法化阻止全国ネットワーク)が約200人の学生・教職員・労働者の参加で大成功をかちとった。対文科省直接行動として闘いをさらに一歩前に進めるものとなった。
 3月22日、国立大学の独立行政法人化に反対し文部科学省を包囲する「人間の鎖行動」(主催/国立大学独法化阻止全国ネットワーク)が約200人の学生・教職員・労働者の参加で大成功をかちとった。対文科省直接行動として闘いをさらに一歩前に進めるものとなった。
 集会では、全国ネット事務局、育英会労組、各大学教職組、学生団体から発言が行われた。東北大を代表して発言した日就寮の学友は、有朋寮廃寮化を始めとする自治寮つぶし・学生自治破壊の攻撃の実態を明らかにし、独法化攻撃の正体を弾劾して戦闘的に牽引(けんいん)した。
 日帝・文科省は、3月6日に調査検討会議最終報告案を公表した。それは、教職員の非公務員化、中期目標と運営費交付金による徹底した国家統制、ブルジョアジー等の大学運営参加、大学自治・教授会自治の解体、大学と教職員・学生の争闘戦(戦争)への動員など、日帝の国家意志をあからさまに貫くものだ。国立大学協会は、4月19日の臨時総会で、このとんでもない報告を追認しようとしている。有事立法・改憲攻撃と一体で、国立大独法化をめぐる動きが緊迫した局面に突入している。
 国立大独法化攻撃―「トップ30」構想による日帝・小泉政権の「大学の構造改革」攻撃との闘いは、世界戦争危機と世界革命情勢の急速な煮詰まりの中で、闘うアジア人民・イスラム諸国人民との連帯を具体的に問い、大学と学生のあり方を根底から問うものだ。革命的反戦闘争―有事立法阻止の国会闘争と一体で、「独法化絶対阻止!」の旗を鮮明に掲げて大学闘争を両輪的に闘おう。自治寮・学生自治団体破壊攻撃との闘いを、さらに戦闘的・大衆的に発展させよう。
 組織的危機にのたうつ学生カクマル分子は、介入と闘いの戦闘的発展の破壊を狙って登場し、必死ですり寄ろうとしたが、誰からも相手にされず、逃げ帰った。  (投稿/東京A)

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週刊『前進』(2048号4面3)

 今こそ「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて!

 第9回 東京 畑 緑さん(小学校)
 教育労働者の闘う道
 「教育改革」攻撃と全面対決し闘う日教組運動の再生を

 戦後教育解体の動きが本格的に

 ――「教育改革」をめぐる現状を聞かせて下さい。

 4月から学習指導要領が変わり、週5日制が始まります。中教審も「学校にゆとりが必要」と言いますが、実際は土曜日がなくなり、今まで以上にすし詰めの教育が強いられます。
 小学校では、6時間目の授業は子どもにも負担だし、教員にもものすごい労働強化なんです。だからこれまで2年の移行期間は、6時間目を減らし、年間総時数を確保するために、15分ずつ週3日に分けて1時間の授業数を生み出すなど、現場が工夫してきました。しかし来年度の教育課程を届け出る今になって、教育委員会は「それは認めない」と言ってきた。
 学校教育法に基づけば教育課程の編成権は各学校にあり、教育委員会が認可するようなものではない。でも今、校長も教頭も教育委員会に査定されていて、何でも「お伺いをたてる」関係で、結局教委の言うとおりにさせられている。
 もうひとつ許せないのが石原が「心の東京革命」で強制してきた道徳の公開授業です。教育基本法10条が禁じる「不当な介入」そのものです。実際、現場は「やりたくない」とそっぽ向いてますけどね。「日の丸・君が代」に始まり、道徳授業公開、教育課程への介入など、「行政指導」の名のもとに戦前型教育を強制しようとしています。
 そして、ひと握りのエリートを育成するための習熟度学習が導入されようとしています。これまで多くの教員は「みんな一緒が当たり前」という考え方で、すべての子どもたちに権利としての教育を保障することに意を砕いてきました。ところが今の少人数学級はそういう考え方を完全に否定し、生活集団としてのクラスをばらばらにして、学習の効率を上げるため差別を持ち込むものです。私たちが求めてきた30人以下学級は絶対認めません。
 さらに東京では主幹職の設置が決まりました。職員会議を無視して「決定権は校長にある。案をつくるのは主幹を含めた管理職。あとの人は黙って働けばいい」と、「命令による教育」の復活を狙うものです。
 人事考課の業績評価でS、A、B、C、Dという相対評価をつけ、しかも一定の割合でDランクをつくり、Dの人は研修所送りにして排除する、あるいはその恫喝で屈服させようとしている。戦後教育を解体するという動きが本格的に始まったということです。

 ――今春「日の丸・君が代」闘争については?

  八王子市教育委員会が今年1月に出した「国旗掲揚及び国歌斉唱の指導について(通知)」には「国歌斉唱の際には……全教職員が起立して斉唱するものとする」「国歌の指導については……歌詞や旋律を正しく、美しく歌えるように指導する」とあります。これまで以上の踏み込みです。しかし実態は、教員も子どももほとんど歌わず、管理職と一部の保護者が歌っている職場が今も多い。
 小学校は6年の3学期に憲法学習があり、そこで戦前の天皇主権が戦後、国民主権に変わったことなどを勉強しています。その直後の卒業式で「君が代」を率先して歌う人なんてほとんどいない。「美しく歌う」「全員が歌う」なんてところには絶対に行きつかせない闘いが今もしぶとく続いていることが、日帝にとっては許せないんですよね。

 時代認識を鮮明に攻勢に出よう

 ――2002年をいかに闘うべきでしょうか?

  まず教育闘争をつくり出すことです。
 昨年の教科書闘争は、何よりも地域・保護者とともに共同闘争をつくり出した点で画期的でした。「教育改革」は「資本・国家・天皇のために命を投げ出す」ことを要求しているわけで、それに対して、教育を労働者人民の手に取り戻そうという要求は広範に生み出されています。保護者・住民も労働者であり、教育闘争の主体です。そして子どもたちこそ主人公であり、未来の仲間です。地域の労働者の中に入り、労働組合と結びついていかなくてはいけないと思います。
 右翼ファシスト勢力が「国民運動」をしかけ、教委が反動的に保護者を組織して教員パージに出てくる中で、地域・保護者と結んで「教育改革」攻撃を跳ね返していくことが、権利としての教育を守り、教育労働運動を守り闘い続けるためにも、絶対に必要です。
 そして、今ほど時代認識を鮮明にして闘うことが必要な時はありません。時代認識を獲得し、労働者階級の一員として闘う立場を鮮明にさせ、闘う労働組合の新潮流に合流する方向性を示すことが大事です。
 組合の仲間は「大変だ、大変だ」って言いますよ。でも私たちは「帝国主義が危機だから、戦争に向かうしかなくなっているから起きてる攻撃なんだ」ということが見えているから、積極的、攻勢的に闘うことができる。教育をめぐる攻撃も、実は本当に大変なのは敵の側です。そういう認識を持ち込んで、怒りを引き出すことだと思います。
 私たちが「敵よりも一日長く」という精神で頑張れば、時代をつくることができる。これは本当に興奮する事態だと思っています。
 私たちは「闘う日教組運動の再生を」と掲げていますが、それは何よりも、自分の組合の中で討論を常に組織して、方針の形成の先頭に立ち、組合員と一緒に反撃していく、そこで主流派として労働者を獲得していくことが核心です。
 そして教育基本法改悪反対運動と反戦闘争の先頭に立つことです。今、教育基本法改悪攻撃という教育労働運動を左右する重大攻撃に対して、日教組本部が反対しない。これをのりこえて教育基本法改悪反対の運動を全国の教育現場から巻き起こしていく闘いが死活的です。8・6ヒロシマ大行動は、闘う日教組運動再生の水路となっています。
 今まさに教組の存在意義が根本から問われています。でも学校現場で教育労働者が頑張っているし、戦前のように、校門を入ると奉安殿に敬礼し「君が代」を直立不動で歌うなんてところに行きつくには、敵の側にはいくつものハードルがあり、こちらの側には闘える余地がいっぱいあります。私たちは、絶対に「教え子を戦場に送らない」闘いの先頭に立ちます。
 (聞き手/本紙・大西 晶)
 〔シリーズおわり〕

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週刊『前進』(2048号4面4)

 東ティモールPKOに派兵 有事法案4月上旬国会提出

●有事法案4月上旬に提出 政府は与党3党協議会で、今国会に提出を狙う有事立法関連4法案の取りまとめ状況を説明、与党側は大筋で了承。政府は、4月10日までに法案を提出する方針。(20日)
●北朝鮮の核合意順守を「認定しない」と米フライシャー米大統領報道官が、北朝鮮の核合意順守状況をブッシュ大統領が今年は「認定しない」と決定したことを明らかにした。米政府は、合意の枠組みを維持するためとして、重油の供給は従来どおり進める方針という。(20日)
●小泉が訪韓 小泉首相が訪韓し、金大中大統領と会談、日韓投資協定署名式に出席した。小泉首相は同行記者に有事立法について「武力攻撃に対する備えと、9月11日以降のテロ発生に対する備え、不審船など不可解な行動に、どう対応するかが有事法制の基本的な考えだ。そういう議論に堪えるものを出さないといけない」と語った。(21日)
●米韓合同演習始まる 韓国の国防省が在韓米軍との合同軍事演習の「戦時増援演習(RSOI)」と「フォール・イーグル」が27日までの日程で始まったと明らかにした。両演習は昨年まで個別に行われていたが、今年から統合された。前者は指揮系統の点検、後者は野外機動訓練に重点が置かれる。(21日)
●99年「不審船」への海自射撃は炸裂弾 1999年3月に能登半島沖で起きたいわゆる「不審船事件」で、海上自衛隊の護衛艦2隻が警告射撃として発射した砲弾35発が船体や乗員に危害を及ぼす可能性のある炸裂弾だったことが分かった。またP3C哨戒機は空対艦ミサイル・ハープーンを搭載し、攻撃する態勢をとっていたという。東京新聞が報道。(21日)
●東ティモール派兵 東ティモールでの国連平和維持活動(PKO)に参加するため、陸上自衛隊の第1次東ティモール派遣施設群303人が、北海道千歳市の航空自衛隊千歳基地から出発した。(22日)
●テロ対策法案、今秋にも 政府は、大規模テロや不審船など緊急事態への対応を盛り込んだ法案を今秋の臨時国会にも提出する方針を固めた。政府は、緊急事態を「日本への武力攻撃に至らない事態」とし、自衛隊や警察に新たな任務や権限を付与することや、自衛隊と警察、海上保安庁の役割分担、自衛隊と警察との連携強化の具体策などを盛り込む方向で検討している。(22日)
●嘉手納にクラスター爆弾 非人道兵器として国連人権小委員会で製造・使用の禁止が決議されたクラスター爆弾が、沖縄の嘉手納基地に配備されていることが分かった。在沖米海兵隊報道部は「(クラスター爆弾の一種の)MK−20だと思われる」と存在は認めたが「配備状況や目的は答えられない」とコメントした。(22日)
●比大統領、米軍増員認める フィリピンのアロヨ大統領が、イスラム武装組織アブサヤフ掃討を狙う米比合同軍事演習バリカタン02−1に参加する米兵約300人の増員を認めた。現在、660人の米兵が参加。(22日)
●削減後も5千発近くの核弾頭保持 今後10年間で2200〜1700発に削減することでロシアと合意している戦略核弾頭について、米政府はロシアとの調印後も約2400発の弾頭を廃棄せず「早期対応戦力」として温存する方針であることが、米国防総省の機密文書「核体制の見直し」で判明。(22日)
●米軍支援を延長 政府はテロ対策特措法に基づく実施要項で3月末までとしているアフガニスタンでの米軍支援活動の実施期間を5月19日まで延長する方針を固めた。(25日)
●有事対処、国会承認求めず 政府は有事立法の武力攻撃事態への対処基本方針について国会承認を義務づけず、国会への報告にとどめることを決めた。(26日)

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週刊『前進』(2048号5面1)

7・7路線の実践的貫徹を 4−5月入管闘争かちとろう
「テロ対策」口実に激化する排外主義的治安弾圧許すな
 佐久間 祐

 日帝・小泉政権の有事立法・改憲攻撃の中で、その具体的先取りとして入管攻撃が激化している。日帝のアフガニスタン侵略戦争への参戦と同時に、戦時入管体制は一層強化され、国内におけるアフガニスタン侵略戦争ともいうべきアフガニスタン難民への凶暴な入管攻撃が激しく進行している。闘うアジア人民、イスラム諸国人民との連帯をかけ、激化する排外主義攻撃を粉砕し、7・7路線の具体的実践の本格的推進が強烈に求められている。有事立法4月国会提出阻止闘争と結合して、入管法・外登法−入管体制粉砕の4〜5月入管闘争をこれまでの地平をはるかに超える質量で爆発させ、国際主義的連帯闘争を一層発展させよう。

 アフガン難民に対する拘束と収容

 昨年から現在まで、入管攻撃は激しく在日・滞日人民に襲いかかっている。とりわけ9・11情勢のもとで「テロ対策」を口実にした外国人への排外主義的治安弾圧として日常的に横行している。このことを怒りをもって弾劾しなくてはならない。
 この間の動きの中で第一に重大なことは、9・11情勢の進行過程で、「アフガニスタン難民狩り」とも言うべき一斉拘束・収容が相次いだことである。
 法務省・入管はこの捜索に先立って、数十人のアフガニスタン人に対し、東京入管への出頭を命じ、タリバン政権やウサマ・ビンラディンとの関係を調査した。その上で、10月3日、アフガニスタン人9人を含む12人を拘束、強制収容したのだ。牛久にある東日本入管センターだけでも24人(1月末)、大阪・茨木にある西日本入管センターには4人が収容されていると言われている。
 3月1日、東京地裁がこのうち7人の執行停止を決定し、仮放免となり、さらに病気の1人が仮放免となった。さらに3月26日、病気の2人が仮放免になった。部分的な仮放免は、残された被収容者に不安と絶望を呼び起こし、6人が硬貨や洗剤などを飲んで自殺を図った。昨年10月以降、すでに8人のアフガン人が自殺を図ったと伝えられている。
 国連難民高等弁務官(ルード・ルベルス)でさえ、日本の難民政策を批判し「本国に帰れない人をなぜさらなる恐怖にさらすのか。もっと人間的で文化的にならなくてはならない」と述べている。
 第二に、在日朝鮮人に対する排外主義扇動と治安弾圧が激しく推進されていることである。昨年8月明らかになった公安調査庁による外国人登録原票の入手問題は、在日朝鮮人・中国人をあらためて破防法攻撃のもとに組み敷こうとするものだ。
 さらに10月、朝銀破たんを口実として朝鮮総連に対して家宅捜索を強行したことである。これは1950年の団体等規正令による当時の朝連(在日朝鮮人連盟)に対する家宅捜索以来の大弾圧である。
 「北朝鮮の拉致事件」キャンペーンは、日帝による許し難い排外主義扇動である。小泉の「テロも不審船も拉致も有事」という発言と相まって国内を恐るべき排外主義的大洪水にたたき込み、北朝鮮脅威論を叫んで一挙に有事立法制定へ正面突破の道を突き進もうとする攻撃にほかならない。
 第三に、「外国人犯罪者」キャンペーンが大々的に展開され、密告制度を利用した労働者階級の排外主義的動員が開始されたことである。
 昨年来、「不法就労摘発」月間が増加し、絶え間なく外国人労働者に襲いかかっている。しかもこうした攻撃を行う一方で、法務大臣の自由裁量権を拡大し、国家権力のほしいままに乱用しているのだ。かの鈴木宗男の私設秘書が偽造旅券での滞在を続け、しかも永住権を取得しているという事実は、入管体制のもとでは本来あり得ないことであり、それだけ特権的な措置を受けてきたことを物語っている。
 また酒田短大問題として明らかになったことは、営利に走る大学側が、中国人を食い物にして私腹を肥やしてきたことを示している。
 日帝・小泉の戦争国家化攻撃の中で、在日・滞日外国人に対する入管攻撃が日々激化していることをけっして見逃してはならない。

 9・11に対応した入管体制の強化

 日帝は9・11反米ゲリラ戦に対して「国内テロ対策等における重点推進事項」を決定、その冒頭に入管体制の強化を掲げた。それは、@テロ組織関係者の不法入国防止対策の強化、A査証審査段階でのテロ組織関係者の割り出しと来日阻止、Bテロ組織関係者とつながりのある疑いのある「不法滞在者」の取り締まり強化、という3本柱から成り立っていた。そして、この「テロ対策」の具体化として昨年11月22日に入管法改悪を強行した。
 この改悪は、5月からのワールドカップの「フーリガン」対策を口実にしているが、実際は9・11情勢に対応したものであることは明白である。
 この改悪は、一つには、日本で開催される国際的な競技会や会議に関連して殺人、暴行、脅迫、器物損壊を働く「おそれのある者」の上陸を拒否し、さらに入国後このような行為を行った者は直ちに強制送還する、というものである。「フーリガン対策」は口実であり、「テロ組織関係者の不法入国防止」を最大の目的としている。
 二つには、「外国人犯罪に対してより厳正に対処する」として、刑法犯にかかわる強制送還と上陸拒否の対象者の範囲を拡大した。これにより従来なら無期または1年以上の懲役・禁固でなければ強制送還に該当しなかったものが、例えば執行猶予でも強制送還になるという事態が生まれる。
 三つには、「不法入国・不法滞在対策の一環」として偽変造文書の作成などにかかわった者を強制送還するというもの。
 四つには、入国審査官に対し事実調査権を新たに与え、上陸や在留に関する調査をこれまで以上に厳しくできるようにした。
 また、この入管法改悪では「…のおそれのある者」「…の疑いのある者」を上陸拒否や強制送還の対象にすえたという点で、予防反革命的な治安弾圧性をむき出しにしている。
 入管体制はこの改悪をつうじて入国阻止と強制送還の体制として有事体制的性格を全面化させた。昨年12・22「不審船」撃沈・虐殺事件は、日帝が戦後初めて他国人民を戦争行為で殺害した事件であるが、そこには日帝がテロリストと見なした者については殺してでも入国を阻止するという入管体制の有事法体制への転換をはっきり見てとることができる。

 有事立法と一体で入管法改悪を画策

 日帝・小泉政権は今通常国会でさらに入管法を改悪しようとしている。昨年と今次の改悪攻撃は一体のものであり、「テロ対策」の貫徹として行われることは明白である。さらに、日帝の有事立法第3分類に「戦闘行為からの住民の保護」という項目があり、その中に「相手国の国籍を有する外国人の安否情報の管理及び提供」が出されている。まさに有事立法攻撃として入管法改悪が行われようとしているのだ。
 今次改悪の具体的法案はまだ発表されていないが、日帝がたくらんでいる改悪の方向性は重大な内容をもっている。一つには、正規の在留資格保持者に対して、その在留期間中に資格外活動が判明した場合、資格更新時を待たず即座に在留資格を取り消して強制送還できるようにするというものだ。二つには、そのために入管当局による日常的な監視・管理、調査・摘発を徹底的に強化するというものである。つまり、治安管理をより強化して、日帝が「国益」を損なうと判断した場合、在留期限などを無視して有無を言わさずに強制送還するということだ。
 日帝は「日本人の配偶者」という在留資格に焦点をあて、「偽装結婚」や「不法就労」の増大への対策であるとキャンペーンして、連続した入管法改悪の必要性を強調している。
 だが問題は、「日本人の配偶者」という在留資格の性格にある。つまり、それは日本人の配偶者に対して付与されるのであり、在留期間中はその活動内容を一切問われない。このことは日帝や入管当局が「テロ対策」の観点からみた場合、その期間中に何をしているのかわからない、特に政治活動についてまったく把握できないということを意味する。だからこそ入管当局による日常的監視を強化し、「日本人の配偶者」の在留資格を持つ人びとを日常生活の細部にわたって圧迫することを始め、その動向を常時把握できるようにし、その上で「テロリスト」と見なせば在留資格を取り消して強制送還さえできるようにしようとしているのだ。
 在留資格制度に手をつけ、「日本人の配偶者」などの比較的安定した在留資格保持者を入管当局が常時監視し、自由裁量権を振り回して強制送還にたたき込むのである。こんなことがまかりとおるなら、在留資格制度は極度に不安定化し、どんな在留資格をもっていても常に退去強制の危機にさらされることになる。入管法がまさに破防法型の予防反革命的治安弾圧法と化してすべての在日・滞日外国人に襲いかかるものになるからだ。
 したがって、こうした攻撃の論理を許すなら、その矛先は日本人の配偶者から永住権者の配偶者、定住者、永住者へと拡大していかざるをえない。さらに、その先には入管特例法下の在日朝鮮人・中国人をもターゲットとする攻撃が出てくるだろう。前述した在日朝鮮人に対する破防法調査の攻撃や、朝鮮総連本部に対する家宅捜索の攻撃は、まさに在日朝鮮人を「テロ対策」の対象にひき据え徹底的に予防反革命的に弾圧するという日帝の階級意志をはっきり示しているのだ。
 9・11−10・7情勢下で完全に参戦国となった日帝は、朝鮮・中国―アジア人民、イスラム諸国人民への予防反革命的な治安弾圧攻撃を加えるために、連続的な法改悪を進めようとしている。9・11以降、日帝は、在日・滞日外国人への実質的な有事立法攻撃そのものとして、アルカイダ関連者の名簿を作成し、新規入国者に対する入国審査を極限的に厳しくする一方、すでに日本に在留しているイスラム諸国人民に対する入管弾圧を激化した。その結果、牛久や茨木の入管収容所にはアフガニスタン人が多数収容され、あるいは日本に亡命して闘う反政府活動家がデッチあげ逮捕されている。しかし日帝はこれではまったく不十分だとして、重ねて入管法を改悪しようとしているのだ。

 入管闘争の新たな国際主義的発展を

 このように有事立法攻撃と入管法改悪攻撃は相互に結びつき一体化し、またそのことでそれぞれの凶暴性を一層増幅するという構造をもっている。だからこそ、有事立法粉砕と入管法改悪阻止を一体のものとして闘うことが求められている。有事立法決戦の空前の歴史的爆発をなんとしても実現し、そのただ中で入管問題、入管法改悪問題を死活的に宣伝・扇動していくことだ。
 97年以来の相次ぐ入管法改悪の中で、社・共と既成在日団体は総屈服し、入管法は今や対決法案ですらなくなっている。国会の中では改悪案提出即成立という事態が既成事実化している。こうした現実に激しい危機感と怒りをたぎらせ、これを革命的に打開する闘いに猛然と決起しなければならない。入管体制は日帝の戦争国家化と軌を一にして改悪され続けてきた。82年法施行以降、PKO法−日米安保ガイドライン−周辺事態法の動きと一体のものとして改変されてきた。このことは、日帝が外国人の存在を国策によって自由に支配できるものと考えていることを示している。この点だけをとっても、入管体制が植民地支配の国内的貫徹であることを示していると言える。
 われわれは、02年新年号政治局アピールで新たな7・7路線を確立し、すでにその実践的貫徹の闘いを推し進めてきている。入管法・外登法−入管体制粉砕を基軸に、入管闘争の新たな発展を切り開こう。さらに戦争責任追及・戦後補償要求の闘いを日本労働者階級の階級的責任として担いぬかなければならない。職場で、学園で、地域で、入管闘争を原則的に闘いぬこう。「闘うアジア人民と連帯し」「闘うイスラム諸国人民と連帯し」階級的共同闘争の全面的発展を実現しよう。

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週刊『前進』(2048号5面2)

韓国 民主労総、ゼネストへ 不屈の発電ストを防衛

 南朝鮮・韓国の民主労総は4月2日、ゼネストに突入する。韓国発電労組とその家族の1カ月を超えるストライキ闘争に支援・連帯する10万人のゼネストが、労働弾圧を激化させる金大中政権と真っ向から激突する歴史的な闘いとして爆発しようとしている。
 金大中政権と発電会社5社は、ストを続ける組合員が復帰命令期限の3月25日午前9時までに職場復帰しない場合、全員解雇するという方針を固めた。そして25日、組合員4千人の解雇手続きに入った。
 この暴挙に対し翌26日、民主労総は緊急非常代議員大会を開き、発電所売却など国家基幹産業私有化中断、発電労組弾圧・労働運動弾圧粉砕のためのゼネスト突入を参加代議員501人の満場一致で決議した。4月2日午後1時にゼネスト突入、それ以前に発電労組未復帰労組員の大量解雇、李鎬東(イホドン)委員長以下指導部がろう城する明洞聖堂に公権力が投入された場合は、許栄九(ホヨング)民主労総委員長職務代行の指令でゼネストに突入することになった。
 生存権死守を体現した不屈の発電労組の闘いは、民主労総を始め労働者の蓄積した怒りを解き放とうとしている。
 3月24日夜、散開闘争を繰り広げる発電労組2千人が延世大学の野外劇場に集まり、業務復帰拒否と総力闘争などを確かめる決起集会を開催した。鉄パイプと火炎ビンで武装した学生たちが組合員の進入路を確保して、警察部隊と対峙した。集会後、徹夜の座り込みに入った発電労組に対して深夜0時、警官3700人が学内に突入して襲いかかった。死守隊は火炎ビン200本で反撃した。組合員381人が連行された。
 そして迎えた25日朝、発電会社5社は復帰率を高めるためバスを用意、市内の各警察署から組合員を運ぶという暴挙に出た。全国36の発電所前では朝7時から組合員家族が家族対策委員会のもとに集まり、業務に復帰しようとする労組員の前に立ちはだかった。
 23日には、6万5千人の全国公務員労組が民主労総のもと創立を宣言した。あくまで不法団体と規定する金大中政権はこの結成大会会場の高麗大に公権力を投入、代議員ら174人を連行する暴挙を働いた。
 韓国は97年アジア経済危機でIMF管理下にたたきこまれ、一切の矛盾と犠牲を労働者に押しつけて延命してきた。だが、労働運動の大爆発が金大中政権の存立を根底から突き崩しているのだ。今、その労働者階級の生存権をかけた決死の闘いが金大中政権を追い詰めている。
 ゼネストの渦中でブッシュ、小泉の訪韓と対決し、さらに4・2ゼネストに突き進む民主労総傘下の労働者人民、発電労組とその家族の闘いはいよいよ真価を発揮しようとしている。韓国の労働者の歴史的決起に全力で連帯しよう。

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週刊『前進』(2048号5面3)

 第3部 植民地支配の歴史(7)
 台湾E 民族自決の要求 日帝統治下、営々と抗日闘争

 西来庵事件

 抗日闘争の鎮圧に執念を注いだ佐久間総督の9年にわたる在任期間には、先住民族の果敢な反撃とともに、漢民族系台湾人の蜂起が繰り返される。主なものだけでも1907年(明治40年)北埔事件、12年の林杞埔事件、土庫事件、13年(大正2年)の羅福星事件、李阿斉事件、東勢角事件、14年には沈阿栄事件、張火爐事件、六甲事件、そして15年には林老才事件と続いた。過酷な弾圧でも解放を求める闘いを抑えることはできなかったのだ。
 佐久間の後任、安東総督は就任早々の15年8月、西来庵事件に遭遇する。1911年の辛亥革命の影響を受けた余清芳、羅俊、江定、林豹成らが3年間の地下準備と綿密な計画のもと蜂起したのだ。台湾から日本人を追い出し「大明慈悲国」を樹立しようと、「我朝大明の国運初めて興(おこ)るや、本帥は天を奉じ義を挙げ賊を討ち兵を興し罪を伐つ、大に四海の英雄を会し倭奴(わど=日帝のこと)を攻め滅ぼし、良民を安じ暴を鋤(す)き万民の倒懸を解き群生の性命を救う」と呼びかけた。
 8月3日未明にターパーニー近くの南庄で蜂起した300余の義勇兵は、警官派出所を火炎ビンで焼き払い、警官、公学校長ら20余人を殺害した。この蜂起の参加者は数千人に膨れ上がり、激しいゲリラ戦が9月まで続いた。『台湾総督府警察沿革史』には、「(義勇兵の)各占領地は掩堡(えんぽ)を構築し、我が軍の討伐に備へ、極力反抗を続けたるをもつて、一村を挙げて匪徒(ひと)に加担するあり、形成はなはだ不穏を極め、余力をもつてついにターパーニーに殺到するに至れり」とある。住民が蜂起に協力したため、日本軍は鎮圧できなかったのだ。蜂起参加者は数千の規模となり、日本軍は兵士・住民309人を殺害、逮捕者1413人、余清芳など868人に死刑が宣告された。その後も江定に率いられた数百人が山地でゲリラとなり、翌年春まで抵抗を続けた。先住民政策の破産を突きつけた30年霧社事件、日米開戦後の40年代に高雄州で相次いで発覚した武装蜂起計画など、台湾植民地支配の全過程をとおして抵抗は続いたのである。

 「差別教育撤廃」

 1917年ロシア革命の波はアジア全域に押し寄せた。日帝植民地統治下の朝鮮では19年に三・一独立運動が爆発、中国では五・四運動が北京から広がった。
 19年にはそれまでの武官総督に代わって文官総督、第8代の田健治郎総督が就任し、以下の政策を掲げる。@同化政策、A差別教育撤廃(22年に台湾教育令を改正し「台湾人の内地人諸学校入学」を認めたが、現実にはごく一部にすぎなかった。あくまで植民地支配のためであり、依然として高等教育から台湾人を排除するものだった)、B地方自治制度確立、C第一回国勢調査、D日台共婚戸籍令制度、E笞刑(ちけい)廃止、F総督府評議会制公布施行、G高等学校設立、H民事法令施行など。こうした政策のもと、耐えがたい民族抑圧の植民地支配はそのままに、合法的収奪、分断・弾圧が巧妙に行われていったのである。
 この時期の抗日運動の中心に立ったのは、日本で学んだ台湾人留学生だった。台湾人留学生は「大正デモクラシー」下の日本の地で中国人・朝鮮人留学生と活発に交流し、政治意識を高めていった。20年に新民会を結成、11月28日に東京富士見教会で開かれた六三法撤廃集会には当時の留学生数の3分の1にあたる200人が集まった。この新民会を、台湾総督府は「綱領は……その実践においては民族自決主義の立場に立ち、島民の啓蒙運動を行うと共に、合法的に民権の伸張をはからんとするにありたるは、疑う余地なき事実なり」と分析した。
 留学生たちは夏休みなどで帰郷した際、各地で啓蒙講演を行い、労働組合を結成させ、台湾総督府に民主自治を要求した。
 こうして民主自治要求は全島に広がり、21年2月28日には台湾に独自の議会を設置する請願書が日本の貴族院請願委員会に提出された。田総督はこの請願を、「帝国台湾統治の大方針に違背、あたかも英国の豪州またはカナダにおけるがごとき独立ともいうべき自治体となるを意味する」と真っ向から否定した。代わりに勅令241号で「台湾総督府評議会」が制定された。総督が評議会長になり、副会長の総務長官以下総督府高級官僚が7人、台湾在住日本人が9人で、台湾人はたった9人、それも総督が任命する。民主自治要求を逆手にとった新たな分断策そのものだった。

 「親日的台湾」?

 日帝の台湾の近代化、インフラ整備はイコール過重な租税、使役となって台湾人民にのしかかった。小林よしのりは『台湾論』で、農業技師・末永仁が生み出した蓬莱米を賛美し、さらに嘉南大圸(たいしゅう)を「当時アジア最大のダムで、水路の長さは万里の長城の6倍以上!」と絶賛しているが、その建設や灌漑(かんがい)の費用は多額の水租となって農民たちを苦しめた。
 台湾の主要産業であった製糖業でも、その原料のサトウキビの買い取り価格は、「原料採取区域制度」によって製糖会社が一方的に決定できるというものだった。24年には、適正価格の買い取りを求めて組合を組織した農民たちが、警察と衝突し多数の検挙者を出した二林事件が起こった。
 25年には台中で開墾地の元総督府官吏たちへの払い下げ問題で農民たちの怒りが爆発、一人の青年が敢然と農民組合を組織し、宣言を発した。「請ふ国際労働会議を観よ。吾人の団結の自由を保障せり。是れ農民の覚醒(かくせい)を促し奮発を欲するのみ」
 各地で闘われていた争議は、組合を立ち上げて連携し、26年台湾農民組合が誕生、1年あまりで全国に20支部、組合員数も万を数えるまでに拡大した。27年の全島大会には日本農民組合や労働農民党がかけつけ、連帯を表明した。
 この後、日帝の侵略戦争の全面化とともに皇民化政策が強行され、あらゆる抵抗運動は総督府による激しい弾圧にさらされる。
 小林よしのりがことさらに描く「反日的な朝鮮」「親日的な台湾」という対比構図は、小林による完全なねつ造だ。民族自決・独立、解放をめざした台湾人民による日帝の植民地支配との闘いは営々と続けられたのである。
(室田順子)

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週刊『前進』(2048号6面1)

 ●特集/新入生のみなさんへ 中核派とともに世界を変革しよう!

 中核派の時代観・世界観
 国際連帯で帝国主義を打倒しよう
  島崎 光晴

 アメリカのアフガニスタン戦争をどう見るのか。9・11の反米ゲリラをどう見るのか。20世紀とはどういう世紀だったのか。そして21世紀冒頭の世界は、日本はどこに向かおうとしているのか。日本の学生はどういう価値観で生きるべきなのか。これらすべての疑問に、中核派だけが明快な回答を出している。以下、中核派の時代観・世界観のポイントをQ&Aで解説する。新入生の皆さん、戦争を阻止し世界を変革するためにともに闘おう。

 パレスチナを見よ! 耐えがたい民族抑圧

アメリカはなぜアフガニスタンで戦争をしているのか?
 アフガニスタン人民の民族解放の闘いをつぶすためだ。これはアフガンだけでなく、イスラム諸国での民族解放の動きを抑えつける戦争だ。ブッシュは「テロとの戦い」と言っているが、その「テロ」とは民族解放闘争を指している。つまりこの戦争は、他民族に対する侵略戦争だ。アメリカは9・11の反米ゲリラで大打撃を受けたものだから、アフガンで戦争を始めたわけだ。
 アメリカのやり方はひどいと思うが、9・11のようなテロはやはり良くないのでは?
 あのようなゲリラがなぜ起きたのか。航空機をのっとった19人のアラブ人は、生還しようと思っていない。彼らには、自分の命を投げ出してでも許せないものがあった。あなたは、自分の命に換えてでもなしとげたいという経験をしたことがあるだろうか。そこを考えてほしい。
 何が許せなかったのか。それはアメリカがパレスチナやイスラム諸国でやっている抑圧と侵略だ。イスラエルは、アメリカの中東政策を推進する国家だ。同じアラブ人なら、誰もがパレスチナのことをわがことと考えている。だから、パレスチナで何が起きているかを抜きに、9・11を考えることはできない。
 パレスチナでは87年からインティファーダが始まった。パレスチナの独立を目指した民衆蜂起だ。イスラエル軍に石を投げる多くの子どもたちが銃で撃たれて死んだ。子どもたちはなんと思ったか。「石だけで闘って大勢殺されたのだから、なぜ銃をとってはだめなんだ」「いずれ死ぬ時は、石ではなく手投げ弾で死にたい。石を投げたぐらいで殺されたくない」(広河隆一『パレスチナ難民キャンプの瓦礫(がれき)の中で』)と。
 ゛どうせ殺されるんだったら、もっと意味のある死に方をしたい″というこの気持ちを考えないといけない。それほどパレスチナやアラブの人たちは民族として抑圧されている。
 民族の抑圧とは何か?
 パレスチナを見ればいい。ヨルダン川西岸のベツレヘム市近くのアル・カダール村は人口8500人。一昨年来のイスラエル軍の攻撃によって4人が死亡、400人が負傷した。その1人、昨年2月に撃たれて死亡したラエド・ムッサ君(23)。彼の家には数日ごとに、ラエド君の兄弟たちが抵抗運動に加わらないよう脅すため、顔を墨で黒く塗った完全武装の兵士が深夜現れる。少年・青年たちは毎夜、村の薄暗い店先にたむろするしかない。「夜自宅にいるとイスラエル兵が僕たちを捕まえに来るから、毎晩ここに来ている。明け方になったら家に帰って寝る」(『世界』01年10月号)
 パレスチナ人民は「大きな牢獄に住んでいる」と言う。人間としての自由も文化も宗教も奪われ、牢獄のように支配され抑えつけられ、そして殺される。これこそ民族的抑圧なのだ。それに対してパレスチナ人民は、本当に決死の闘いに立ち上がっている。
 なぜ民族の抑圧が起きるのか?
 世界を帝国主義が支配しているからだ。話は1世紀ぐらい前にさかのぼる。19世紀末に、当時の「強国」は植民地を拡張し、世界を分割した。各「強国」が先を争ってアフリカなどを軍事力で占領し、自国の領土に併合してしまった。20世紀に入るころには世界の分割は完了し、基本的に全部、各国の領土になってしまった。植民地=自国領土にできなかったところは、実質上の支配が及ぶ勢力圏とした。これで世界は帝国主義国と植民地・勢力圏とに、つまり抑圧民族と被抑圧民族に分かれるにいたったのだ。
 だから、例えばアメリカや日本とアフガニスタンとの関係を考える場合、゛対等な国家間の関係″と勘違いしてはいけない。帝国主義国による民族的抑圧を抜きに、世界をとらえることはできない。たしかに、第2次大戦後に多くの植民地が独立した。しかし、実態は植民地と何も変わらない。第2次大戦以前のむき出しの植民地主義に対して、第2次大戦後は新植民地主義と言う。
 帝国主義は昔の時代のことなのでは?
 いや、今も帝国主義時代のままだ。中核派の時代観、世界観の一番のポイントはここにある。世界では、特に被抑圧国では帝国主義という言葉は普段、当たり前のこととして使われている。日本で使われていないだけのこと。学生や労働者はしっかりした時代観を持つことが重要だが、それをわざと曇らせるような教育、マスコミ報道が行われているのだ。
 帝国主義とは、何か?
 帝国主義とは独占資本主義、言い換えると資本主義の独占的段階のことだ。これはレーニンが『帝国主義論』で書いている。19世紀末から20世紀にかけて、「強国」で大企業が現れた。どの産業でもわずか数個の大企業で各国の市場を支配する状態になった。これが独占だ。しかし各企業はそれに満足せず、もっと利益を得ようとして国内外で市場を奪い合う。
 しかも、19世紀末には世界が分割され、各国の植民地=領土とされた。19世紀まではイギリスやフランスが植民地を、ある意味では好き放題に取っていた。しかし世界分割が完了してしまったものだから、各国はもっと植民地を取るためには他国の領土を奪うしかない。つまり、植民地を独占しようとする。それは戦争にまで行き着く。世界の市場でも、世界の領土でも、独占的に奪い取ろうとするような資本主義、それが帝国主義だ。
 なぜ戦争が起きるのか?
 今話したように、各資本や各帝国主義国が、世界市場と世界領土を他資本・他帝国主義国から奪い取ろうとするからだ。これを再分割という。特に、植民地の原料資源を独占的に確保しようとする。今のアメリカなどがやっている中東侵略戦争も石油資源に狙いがある。また各国が不況になると、新しい市場を求めて植民地・勢力圏を奪おうとする。市場が目いっぱいになって資本家の儲(もう)けが少なくなる状態、これが資本の過剰だ。そうなると資本家は国外にカネを貸し付けたり工場を造ったりして、儲けを増やそうとする。これを資本輸出と言う。さらに、国内の矛盾を国外への侵略によってそらそうとする。排外主義だ。
 これらが帝国主義の植民地主義、侵略戦争を引き起こすこととなる。そして各帝国主義は、植民地・勢力圏を奪い合う帝国主義間争闘戦を強めていく。その究極が世界戦争だ。現在も帝国主義であるかぎり、第3次大戦に向かっていかざるをえない。

 ロシア革命が示した戦争を阻止する闘い

 そんなに何回も世界戦争が起きるものなのか?
 本来はそうではない。本来なら第1次大戦だけで終わっていたはず。なぜかと言うと、第1次大戦下の17年にロシア革命が起きているからだ。ロシアでは、レーニン率いるボルシェビキ党が「帝国主義戦争を内乱へ」のスローガンを掲げ、労働者・兵士・農民の決起で、戦争をやっている政府を倒した。第1次大戦は「どちらの側から見ても帝国主義戦争(すなわち侵略的、略奪的、強盗的な戦争)」(レーニン『帝国主義論』)だった。だからボルシェビキは、自国政府を守るのではなく、「自国政府の敗北」を掲げて闘い、ロシア革命に勝利することによって戦争を終わらせた。
 1871年にパリコミューンという初の労働者権力が生まれたが72日間しか続かなかった。しかしロシア革命は、革命後の国際反革命干渉戦争を打ち破り、プロレタリア革命として勝利した。ここに世界革命の過渡期の時代が始まった。
 プロレタリア革命とは何か?
 資本主義社会は、資本家階級=ブルジョアジーが労働者階級=プロレタリアートを支配し、搾取して成り立っている階級社会だ。労働者がこの支配と搾取から解放されるためには、資本主義社会を転覆しなければならない。「私有財産を廃止」して、「資本がすべての成員の共同の財産に転化する」ようにする。そのために「プロレタリアートによる政治権力の奪取」が必要となる。しかも、一国だけでなく世界的に資本主義を打倒するため、「万国の労働者は団結せよ」のスローガンで闘う。いずれもマルクス・エンゲルスの『共産党宣言』からの引用だ。
 これが共産主義の思想、マルクス主義だ。レーニン主義は帝国主義時代のマルクス主義と言える。
 でもソ連は崩壊したではないか?
 それは、ロシア革命がスターリン主義によって歪められたからだ。1920年代にスターリンがソ連共産党内で権力を握ってから、社会主義・共産主義に向かう道は閉ざされ、変質してしまった。例えば「ノルマ」というのはソ連で使われていた言葉だ。労働者の解放を目指した革命だったにもかかわらず、労働者を強制労働に駆り立てる体制にねじ曲げられた。少しでも異を唱える者は大量に粛清され、強制収容所に送られた。
 国際的に見ても、世界革命という本来の目標は捨てられ、むしろ各国の労働者人民の闘いがソ連の外交の手段・道具にされてしまった。例えばヒトラーがドイツ首相となった33年、ソ連はヒトラーを批判していない。当時のソ連外交が親独だったから。ところが30年代半ばに反独・親仏政策に転換、30年代末には独ソ不可侵条約に再び転換。結局、ドイツ人民の運動はソ連外交にほんろうされ続け、壊滅してしまった。
 スターリン主義とは何か?
 革命後にロシアで何が必要だったかということを考えてみよう。一方で、ロシア革命はあくまで世界革命の突破口にすぎず、世界革命の完遂のために闘っていくことが必要だった。他方、ロシアで社会主義に向かって過渡期の政治・経済を建設していくことが必要だった。そういう一個二重の任務が、革命ロシアに突きつけられた。
 ところがスターリンは20年代前半に一国社会主義論を打ち出して、前者の世界革命を放棄してしまった。世界革命の完遂という展望から切り離して、一国における社会主義革命・社会主義建設を自己目的とするにいたった。そこから、労働者を抑圧するスターリン主義官僚の支配体制がつくられた。国際的な共産主義運動は、それを守るための手段に変質させられた。つまりスターリン主義の本質は一国社会主義にある。
 スターリン主義によって世界はどうなったか?
 20世紀はその初期に世界革命に向かい始めたにもかかわらず、スターリン主義によって歪められてしまった。29年大恐慌の後には、世界中で革命情勢が成熟し、世界革命の絶好のチャンスが到来した。しかし、スターリン主義によって押しつぶされた。本来ならここで世界革命は達成できていたわけで、人類は第2次大戦など見なくてすんだのだ。しかも、ソ連は第2次大戦で米英連合国に加担して戦争をするという、とんでもない裏切りを働いた。さらに第2次大戦後には、30年代以上の革命情勢が日本やヨーロッパで生まれたにもかかわらず、これもスターリン主義―各国共産党によって握りつぶされた。米ソがヤルタ会談で戦後世界の゛線引き″をし、西欧や日本は帝国主義の支配下に置くことを確認したからだ。
 つまり、ロシア革命で世界革命への過渡期が始まったにもかかわらず、過渡期が歪められてしまった。世界は、帝国主義とスターリン主義の世界分割支配体制に変容するにいたった。

 世界大恐慌が始まり第3次大戦の危機に

なぜソ連は崩壊したのか?
 もともと社会主義は世界的な条件のもとでしか実現できない。しかも、スターリン主義のもとでソ連の労働者・農民と諸民族は抑圧され、その自己解放性が奪い取られた。これでは社会主義ができるはずもない。むしろ国内矛盾は激化せざるをえなかった。さらに、世界革命を裏切ったものだから、延命した帝国主義からの重圧や重包囲を受けた。スターリン主義の本質からして、その破産は不可避だった。
 特に70年代にアメリカは、ベトナム侵略戦争に負けた後、ソ連が突出して対抗的軍事行動に出てきたことから、対ソ重圧を強めた。ソ連は、アメリカとの核軍拡競争やアフガン侵略戦争などを行ったが、それはソ連の重荷となった。このように、帝国主義の危機が深まるにつれ、ソ連の危機も深まって崩壊にいたった。それは゛社会主義の破産″ではなく、スターリン主義の破産なのだ。
帝国主義の危機とは何か?
 第2次大戦後の世界は、アメリカを基軸にして60年代までは、経済発展と統一をたどった。しかし71年の金ドル交換廃止と74―75年世界恐慌で、世界経済は不況と分裂の時代に突入した。また、60年代から70年代のアメリカによるベトナム侵略戦争とその敗北、ベトナム革命の勝利は、帝国主義とスターリン主義の世界体制を崩壊させていった。そして現在、スターリン主義が崩壊し、帝国主義は死の苦もんにあえいでいる。実際に、世界大恐慌と世界戦争が切迫しているのだ。
 本当に世界大恐慌になるのか?
 すでに29年大恐慌を上回る世界大恐慌が始まりつつある。日本経済は97−98年に恐慌に突入した。米経済も90年代後半のバブルが00年から崩壊しており、昨年夏ごろから恐慌に突入している。もっとも、米政府がさまざまな恐慌対策をとっているため、依然として借金をして消費を増やす傾向が続いている。しかし、それがどこまでも続くことなどありえない。米経済は必ず本格的な恐慌に突入する。
 今でさえ、世界中で失業と飢餓が増大しているが、世界大恐慌が本格化すればそれは極限的に激しくなる。労働者を搾取して成り立っている資本主義社会が大失業を生み出すという事態だ。まさに、資本主義そのものの破産ではないか。
 世界戦争は本当に起きるのか?
 第3次大戦の危機が強まりつつある。29年大恐慌が第2次大戦に行き着いた歴史を思い出そう。実際、ブッシュ政権は「テロ根絶」と称して侵略戦争を中東、中央アジア、東南アジア、朝鮮に拡大しようとしている。いずれも第1次大戦、第2次大戦の火点となったところだ。しかもブッシュ政権は、中国に対する侵略戦争を構え始めている。中国侵略戦争は朝鮮侵略戦争ともつながっており、まさに世界大戦級の性格を持つ。
 これらの動きを促進しているのは帝国主義間争闘戦の激化だ。アメリカは、世界を破滅と戦争に引きずりこんででも他帝国主義国をたたきつぶし、自分だけが生き残る道に踏みこんだ。しかも中国、朝鮮、中央アジアが火点となっている。すでに崩壊したスターリン主義圏や今も残っているスターリン主義圏をめぐって帝国主義同士の奪い合い、分割戦が起きているのだ。

 アジア・イスラムに〈血債〉を負っている

日本はどうなるのか? やはり構造改革しなければダメなのでは?
 小泉政権は「構造改革」を国策とした。日本の経済・社会・政治のすべてが行き詰まってしまったからだ。しかし小泉政権がやっていることは何か。労働者にとって「構造改革」とは、首切りと大失業、賃下げと権利破壊にほかならない。しかも銀行の巨額の不良債権や破滅的な国家財政は、もはやどうやっても解決しない。
 さらに、日本は80年代以降、アジアを勢力圏にしようとしてきたが、アメリカとの争闘戦で負けて、今や見る影もないほどに没落してしまった。だから、帝国主義国としての生き残りをかけて、日本を戦争国家にしようとする策動が強まっている。小泉政権は、有事立法を制定して憲法も変えようと狙っている。
 しかし、そうした小泉政権の政治に対して、労働者人民の怒りがマグマのように噴き出しつつある。今や日本は、革命的情勢が急接近している情勢にある。日本のすべての問題の解決の道は、「構造改革」ではなく革命にこそあるのだ。
 中核派は何を目指しているのか?
 反スターリン主義=革命的共産主義で、世界革命をやり抜くことだ。ロシア革命によって世界革命の過渡期に突入したにもかかわらず、スターリン主義によって歪められた。しかし、そのスターリン主義が破産し、今や帝国主義の危機(基本矛盾)が爆発しつつある。この現代世界を転覆して共産主義を実現するには、反スターリン主義=革命的共産主義の思想以外にない。
 マルクス主義・レーニン主義の思想と理論を復権し、反帝国主義・反スターリン主義世界革命をかちとらなければならない。その一環として、日本帝国主義を打倒し日本革命に勝利するのだ。だから中核派は、〈反帝・反スターリン主義世界革命の旗のもと、万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ〉というスローガンを掲げて闘っている。
 では、世界革命のためにどうするのか?
 闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民(パレスチナ・中東・ムスリム人民)と連帯して闘う。日本の労働者・学生は、抑圧民族の人民として一貫して排外主義に汚染されてきた。社会的・文化的な伝統の中で汚染されてきていることを自覚し、それを意識的に変革することが大切なのだ。
 つまり日本の労働者・学生は、血で支払うべき債務=血債を負っている。アジア人民、イスラム諸国人民に対する血債を支払うために闘わなければならない。これが中核派が最も訴えたいことだ。
 闘って展望があるのか?
 学生・人民が立ち上がれば、必ず戦争は食い止められる。戦争をやるしかない現体制を覆すこともできる。それはロシア革命が示したことだ。
 しかも、パレスチナ、イスラム諸国、韓国、中国など世界中で学生・人民が立ち上がっている。すでに9・11をもって、国際的内乱の時代が始まっているのだ。゛日本で孤立した闘いをやろうとしている″と勘違いしてはいけない。逆だ。世界中ですでに闘いが起きていて、世界から見れば「日本では何をしているんだ」と弾劾されている。今、本当に求められているのは日本の学生や労働者の決起だ。日本で立ち上がれば、世界を変えられる。
 このような世界変革の担い手になることによって初めて、自らも解放できる。同時に、自己を変革することなしに世界を変革することはできない。これまでの価値観を根本的に問い直し戦争に向かう世界を変革するために立ち上がろう。すべての新入生の皆さん、中核派とともに闘おう。

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週刊『前進』(2048号6面2)

コミューン 5月号 開始された総蜂起

 パレスチナで偉大な民族解放戦争が爆発している。1月下旬以降の2万人のイスラエル軍によるすさまじいパレスチナ人民虐殺戦争に対しても一歩も引かず、むしろ激烈な反撃戦をたたきつけ、シャロン政権を完全に体制的危機に追い込むという勝利的地平をかちとっている。イスラエルとイスラエルを拠点とする米帝の中東新植民地主義体制の崩壊的危機は完全に不可避の段階に突入した。
 特集は、第1章でパレスチナ人民の反撃戦の爆発過程を具体的に明らかにし、それがシャロン政権に対しいかに重大な打撃を与えたかを明らかにした。第2章では、パレスチナ解放戦争の爆発によって引き出されたイスラエル国内での反戦運動、兵役拒否運動の歴史的高揚とその意義について分析した。第3章では、今日のパレスチナ解放闘争の武装闘争としての発展が、87年から93年までの第1次インティファーダを基礎にしてこそかちとられたものであることを明らかにした。この章では、イスラエルによるパレスチナ人民の植民地的支配・抑圧の現実についても暴露した。
 「国際情勢」では、エンロン事件を解明する。エンロン、巨大金融資本、ブッシュ政権は、エンロン倒産直前まで労働者の年金を食い物にして暴利をむさぼり、憎しみの的になった。またこの倒産事件は、エンロンを最先頭に進められた規制緩和・民営化、構造調整=再植民地化政策そのものの破産を意味する。

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週刊『前進』(2048号7面1)

●特集/新入生のみなさんへ 中核派とともに世界を変革しよう!

闘うイスラム諸国人民と連帯を 若い力で国際反戦闘争に立つ時
 パレスチナの現実を知ろう

 新入生諸君。昨年9・11反米ゲリラ戦―10・7アフガニスタン侵略戦争をもって、世界は大激動に突入した。帝国主義の戦争に加担するのか、それとも全世界の被抑圧民族人民と連帯して、恐慌と戦争に突き進む帝国主義を打倒するために闘うのか。今それが君に問われている。ユダヤ人の高校生は「アラブ人と平等に暮らす国をつくる」と、収監覚悟で兵役を拒否し、シオニスト国家=イスラエル打倒に立ち上がっている。日本の学生も、有事立法・改憲攻撃に突進する日本帝国主義・小泉政権を打倒する闘いに、逮捕や流血を恐れず決起すべき時だ。60年代〜70年代のベトナム反戦闘争を引き継ぎ、日本の学生こそが国際反戦闘争の最先頭に立とう。

 9・11をどう受けとめるか 侵略と虐殺への糾弾

 昨年9月11日、19人のムスリムの戦士がペンタゴン(国防総省ビル)と世界貿易センタービルというアメリカ帝国主義の中枢に航空機で突っ込んだ。彼らは生きて帰れないことを覚悟のうえで、かつ多くの犠牲とそれがいかに激しい反革命を引き出すかを知りながら壮絶な反米ゲリラ戦争を敢行した。それは米帝のパレスチナ・中東人民に対する虐殺、民族抑圧、搾取と収奪の歴史と現実に対する、イスラム諸国人民の怒りがいかに深いものであるのかを強烈に突きだした。
 私たちは9・11で帝国主義国の労働者人民が多数犠牲になるという事態に直面するまで、被抑圧民族人民がそれを数千倍、数万倍するような犠牲を強いられてきたことについて真剣に考えてこなかった。イスラム解放勢力は最初からアメリカの労働者人民を敵と見なしてきたのではない。イスラム諸国人民は、国連での抗議を含めて、米帝やイスラエルによる虐殺を告発するアピールをくり返し行ってきた。私たちはそうした現実を知る機会が何度もあったにもかかわらず、これと主体的に向き合い、イスラム諸国人民の闘いをつかむことをしてこなかった。
 98年8月、ケニアとタンザニアにある米大使館に自爆決起がたたきつけられた。米帝はその報復としてアフガニスタンとスーダンに百発の巡航ミサイルを撃ち込んだ。スーダンでは医薬品のほとんどを生産していたアル・シーファ工場が爆撃で全壊し、マラリヤや結核、寄生虫などへの治療薬が民衆に渡らなくなった。そのため数十万人(その多くは子どもたち)が死亡した。私たちはこの米帝の無差別虐殺をどれほど強く弾劾しただろうか。
 ビンラディン氏は「対米宣戦布告文書」で、イスラエル軍がレバノン南部のパレスチナ難民キャンプを爆撃して140人の人民を虐殺した96年4月の「カナの虐殺」や、米帝によるイラク侵略戦争(湾岸戦争)と経済制裁で60万人ものイラクの子どもたちが殺されたことを指弾し、「世界は知っていたが何もしなかった」と糾弾している。私たちもそのうちの一人ではなかったのか。
 私たちに必要なことは、ブッシュや小泉と一緒になって「テロ反対」を叫ぶことではなく、闘うイスラム諸国人民(パレスチナ・中東・ムスリム人民)と連帯し、国際反戦闘争に決起することだ。帝国主義国の労働者人民と被抑圧民族人民が連帯して闘うことこそ、私たちの生活や生命、人間性を守り、帝国主義の支配をうち破り、あらゆる戦争をなくす道だからだ。
 1月27日、ワファ・イドリスさんは、パレスチナ赤新月社の医療ボランティア活動を行っていたが、パレスチナの子どもたちが目の前でイスラエル軍に次々と殺されていくのを見て、エルサレム中心街で自爆決起を行った。彼女は前日、イスラエル軍に撃たれたパレスチナ人を救急車に乗って搬送中にイスラエル軍の検問で手当が遅れ、死ぬのを経験したことで、最後の決心をしたという。2月27日には、ナジャフ大学の女子学生ダリン・アブアヤシェさんが、イスラエル軍の検問所で自爆決起した。彼女は1カ月前に兄弟を、1週間前には婚約者をイスラエル軍に殺された。
 自分と同世代のパレスチナの若者が「孤立無援」ともいえる状況の中で、自らの命をも投げ出して続々と立ち上がっている。そうすることでパレスチナの未来をつかもうとしている。彼らはどういう思いで決起したのか。そのことを自分に引き寄せて考えよう。彼らは「パレスチナのこの現実にいかなる態度をとるのか」と全世界人民に必死でアピールしているのではないだろうか。彼らに「孤立無援」を強制してきたのは私たち自身ではないのか。
 私たちは自分の無知や無関心が被抑圧民族人民にいかに困難な現実と闘いを強いてきたのかをつかまなくてはならない。帝国主義がパレスチナ・中東人民にどれほどすさまじい虐殺や民族抑圧を行ってきたのか、その中で彼らがいかに必死で闘いぬき生きぬいてきたのか、について学ばなくてはならない。

 家族を殺され故郷追われる

 帝国主義は第1次世界大戦以降、中東の石油資源の略奪のために暴力と虐殺、民族抑圧を行ってきた。とりわけ第2次世界大戦後は、産業と戦争のための戦略的資源として石油が絶対的な位置を高めたために、帝国主義の中東石油支配は言語に絶する凶暴性をもって展開されてきた。その核心がパレスチナ問題である。英帝がシオニズム(注1)と対決するパレスチナ人民の闘いやアラブ民族主義の高揚を圧殺できずに破産する中で、米帝はパレスチナに軍事基地国家=イスラエルを建国することをテコにアラブ民族主義や民族解放闘争を圧殺し、中東石油支配を独占していった。それはパレスチナに住んでいた数百万人のアラブ人を暴力的に追放するという恐るべきものだった。
 イスラエル建国で何が行われたのか。47年米帝はソ連スターリン主義の協力のもとで、国連総会でパレスチナ分割決議を強引に採択させた。同決議は全人口の30%のユダヤ人に全土の56%、かんがいされた土地の86%を割り当てた。(もともとユダヤ人の所有地はわずか6%であったのに!)
 ユダヤ人シオニストは、この分割決議を受けて、パレスチナ人民を追放するためのダレットプランという侵略戦争を行った。48年4月9日、デイルヤシン村では254人のパレスチナ人民を無差別に虐殺し遺体を井戸に投げ込んだ。そして生き残ったパレスチナ人民をエルサレム市内で引き回した。それはパレスチナ人民を恐怖のどん底にたたきこみ、故郷を捨てさせるための大虐殺だった。
 こうした虐殺戦争を展開したうえで、同年5月14日にイスラエル建国が宣言され、アメリカが真っ先に承認した。イスラエルができた地域には475のアラブの村があったが、80%以上の村が破壊され、残ったのはわずか90村であった。家族を殺され、家や畑が略奪され、故郷を追われたパレスチナ人民が、イスラエルと武装闘争で闘うのはあまりにも当然である。
 その後米帝は、イスラエルを使って5次にわたる中東戦争を行い、何十万、何百万人ものアラブ人民を虐殺し、アラブ諸国を屈服させ、中東石油支配を暴力的に貫徹してきた。
 82年6月のイスラエル軍によるレバノン侵攻では何が行われたのか。
 イスラエル軍は「イスラエルの安全確保のために国境から40`以内のパレスチナ・ゲリラを掃討する」とレバノンに侵攻し、2万4千人と推定されるパレスチナ人民を虐殺した。30万〜50万人が家を焼かれた。クラスター爆弾、リン爆弾など米国製の残虐な最新兵器が大量に使われた。まさに「レバノンは米兵器の実験場だった」(当時の米国防長官・ワインバーガー)
 PLO(パレスチナ解放機構)は1万7千人の死者を出し、レバノンから撤退した。そしてPLO主力の撤退後、イスラエル軍とレバノンのファシスト勢力がサブラ、シャティーラの2つの難民キャンプで3千人とも言われるパレスチナ人民を無差別に虐殺した。
 この侵略に大打撃を受け、闘う拠点を失ったパレスチナ人民は、5年後「初めてわれわれパレスチナ民衆が独立を求める闘争を始めた」(ファタハ指導者フセイン・シェーク氏)という民衆蜂起を開始した。

 インティファーダの子ども

 87年イスラエル占領下のパレスチナ西岸とガザで「インティファーダ」が始まったのだ。それはイスラエルの軍事、経済などすべてに及ぶ民族的抑圧に対して、パレスチナ人民が自力で自己権力を打ち立て、人民自身が武装闘争に総決起していくという新たな民族解放闘争であった。パレスチナ人民は防衛委員会、医療救援委員会、イスラエル軍に破壊された家を再建するための家屋再建委員会、教育機関の閉鎖に抗して人民教育を行うための学生の委員会などの人民委員会を組織し、助け合って生活と闘いを守り抜いた。第1次インティファーダ(民衆蜂起)は、87年から93年末まで闘われ、数千人の死者と全人口200万人中12万人の投獄・拷問をのりこえて闘い抜かれた。戦車や機関銃で攻撃するイスラエル軍に、パレスチナの青年や子どもたちは石で立ち向かった。この時に石を投げて闘った少年たちが、現在はパレスチナ人民の指導部となって、イスラエルを決定的に追いつめる武装闘争を行っているのだ。
 パレスチナ人民は、こうした苦難の歴史をとおして、老若男女を問わず人民全体が民族解放闘争の中に身を置いて生きている。こうしたパレスチナ人民の闘いを「テロ」と非難することがどれほど許しがたいことかは明らかだ。
 米帝ブッシュは「アメリカにつくのか、テロリストにつくのか」と全世界に突きつけ、民族解放闘争の根絶を狙う「対テロ戦争」に踏み切った。小泉首相は「日本は主体的に対テロ戦争を行う」と宣言し、有事立法・改憲攻撃に突進している。日本の学生は〈帝国主義の側に立つのか〉〈被抑圧民族人民と連帯して国際反戦闘争に決起するのか〉が、自分自身の問題として問われているのだ。

 アフガニスタン空爆の下 爆弾と飢餓との戦い

 帝国主義がアフガニスタンやパレスチナで行っている侵略戦争を、君は許せるだろうか。
 米軍は「タリバン政権の転覆」を掲げて都市を爆撃し、あらゆる施設、空港、放送局、モスク、病院、学校、人家を破壊した。米軍は「テロリストの逃亡を防ぐ」と、バスやトラックを片っ端から爆撃した。さらに「タリバン、アルカイダと関係がある」と決めつけて地方の村落を空爆で破壊し、住民を虐殺した。実際には「無実の罪でやられた村の方がじつは多かった」(ペシャワール会医師の中村哲氏)と言われる。
 ジャララバード近郊のコラム村は空爆で35人の村民が殺され、20軒ほどの家はほぼ全壊した。生活の糧であった家畜800頭も殺されたために全員が村を捨てた。なぜこの村が空爆の対象にされたのかはいまだ不明である。夫や息子を亡くした女性たちは「なぜ私たちがこのような目に遭わなければいけないのですか。私たちにこのようなひどい仕打ちをした米国と戦いたい。本気でそう思います」と怒りと悲しみを訴えた。
 10月7日から11月14日までのカブール空爆だけで4000人弱の市民が「誤爆」で死亡した(ニューハンプシャー大学マーク・ヘロルド教授)。ジャララバードでは現時点で2百数十人の死亡が確認された。とくにクラスター爆弾の被害が甚大で、今も子どもたちの手足を吹き飛ばし虐殺している。デージーカッター(燃料気化爆弾)や、サーモバリック(熱圧爆弾)など戦術核兵器に匹敵する威力の新型爆弾が投下され、B52戦略爆撃機によるじゅうたん爆撃で激しく空爆されたアフガニスタン北部のクンドゥズや東部山岳地帯で、どれほどの人民が犠牲になったか不明だ。
 アフガニスタンは人口の半分の1200万人が被災し、餓死線上にある者が400万人という大干ばつに苦しんできた。昨年2月から行われた米帝主導の国連制裁が追い打ちをかけ、10月からは空爆が始まった。去年だけで少なくとも百万人が餓死した。中村哲氏は「米国が犯した罪というのは、たんに爆撃で人を殺したというだけではない。この大ききんの最中で空爆を行うことによって治安を乱し、そしてさらに数百万人の餓死の現実を作り上げた」と弾劾している。
 こうした恐るべき現実が「アメリカは正義で、タリバンは悪」という図式で正当化されているのだ。タリバンがアフガニスタン人民を抑圧してきたと宣伝されているが、タリバンはアフガニスタンで多数を占めるパシュトゥン部族の伝統的慣習に従って政治を行っていたにすぎない。客人を厚遇するという習慣に従い、ビンラディン氏らを引き渡さなかったことが、なぜ政権転覆の理由になるのか。米帝(帝国主義)の都合や価値観だけで、被抑圧民族人民を虐殺することが正義なのか。ほんとうに怒りにたえない。
 アフガニスタンの学校約2200校のうち8割の1800校が空爆で破壊され、使用不能になった。何百、何千人もの女性が夫や家族を殺され、生活の糧を奪われたが、米帝は何の補償も行っていない。タリバン政権が崩壊して略奪や強姦(ごうかん)が横行し、女性や子どもの生命と人権が脅かされている。こうした事実は隠され、「女性が解放された」「復興が始まった」などとデタラメな宣伝が行われているのだ。
 米軍はタリバン政権を転覆して米石油資本ユノカルのコンサルタントであったカルザイを議長とする暫定政権を樹立したが、アフガニスタンをまったく制圧できていない。侵略戦争は今も激しく続けられ、日本の自衛隊が補給や給油などを行い、これを支えている。これに対しタリバンやアルカイダの兵士たちは、徹底抗戦を続けている。無差別の空爆、虐殺を行う米帝へのアフガニスタン人民の怒りと憎しみは燃えさかっている。帝国主義のかいらい政権づくりは必ず失敗し、アフガニスタン侵略戦争の泥沼化は避けられない。
 私たち日本人民は、このアフガニスタン侵略戦争を支えているのが、インド洋で展開する自衛隊であることを断じて許してはならない。全学連は11・25佐世保で自衛隊のアフガニスタン出兵を阻止するために実力闘争を行った。爆撃と飢えや寒さに耐え、「息が絶えるまで米国に対するジハード(聖戦)を戦う」(マンスール・タリバン司令官)と宣言し不屈に闘うアフガニスタン人民、イスラム諸国人民と連帯して、侵略戦争を本当にぶっ止める闘いを爆発させよう。

 崩壊し始めた軍事基地国家

 パレスチナでは、米軍のアフガニスタン侵略戦争と連携して、イスラエル・シャロン政権によるパレスチナ自治区(注2)への全面戦争が行われている。自治区の産業も徹底的に破壊され、ガザの失業率は70%に達している。
 イスラエル軍は3月に入り、「テロの基盤を破壊する」と82年レバノン侵攻以来の最大規模の作戦を展開した。イスラエル軍は兵員2万人、戦車200両で自治区に侵攻し、2百数十人を虐殺し、5000人のパレスチナ男性を拘束した。そして救急車や幼稚園、盲学校までも見境なく爆破した。00年9月以来のイスラエル軍侵攻によるパレスチナ人の死者は1200人を超えた。これに対して「パレスチナ人民の抵抗運動は後戻りできない段階に達した」(ファタハ事務局長のマルワン・バルゴーティ氏)と不退転の民族解放闘争が爆発している。
 なぜこれほどまでにイスラエル軍は凶暴化しているのか。それはイスラエルそのものが解体的危機にあるからだ。パレスチナ人民の自爆決起やゲリラ戦争は、イスラエル軍の基地や検問所、入植地、イスラエル領内で激しく闘われ、00年9月以来のイスラエル側の死者も400人にのぼっている。とりわけパレスチナ人女性の自爆決起はユダヤ人に衝撃を与えた。「占領地が崩壊し始めている」「イスラエルが小さくなっているのだ」(広河隆一氏)
 イスラエル軍内部でも動揺が始まり、予備役将兵の軍務拒否や高校生らの兵役拒否運動が広がっている。当初70%あったシャロンの支持率は35%に急落した。
 そもそもイスラエルは米帝の中東支配のために人為的に作られた軍事基地国家であり、米帝による財政的軍事的支援、移民の流入による入植地・占領地の拡大、シオニズム排外主義イデオロギーの貫徹を国家存立の絶対的な基礎としている。それが根本から崩壊しようとしているのだ。
 この間エジプトやヨルダン、シリアなどでもパレスチナ人民に連帯する数千、数万人のデモが行われ、中東全体が大動揺している。サウジアラビアやエジプトなどアラブ諸国が体制危機に直面している。米帝は大慌てでジニ特使やチェイニー国防長官を中東に派遣し、「和平」策動を行っているが、それは危機に立つイスラエルを建て直すためであり、イラク侵略戦争へのアラブ諸国の合意を得るための悪らつなものだ。
 9・11は帝国主義の凶暴な虐殺や民族抑圧に対する中東アラブ人民の反転攻勢が始まったことを示した。国際階級闘争は完全に新たな局面に入り、帝国主義国の労働者階級の闘いと被抑圧民族の闘いの結合の巨大な可能性が生みだされている。日本の学生は闘うイスラム諸国人民と連帯し、アフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化していこうではないか。

 対テロ戦争宣言する小泉 有事立法は戦争の道

 ブッシュ政権は1月29日の一般教書演説でイラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、「対テロ戦争」のエスカレートを宣言した。そしてフィリピン、イエメン、グルジアに米軍を展開させ、イラク侵略戦争発動に動いている。しかもブッシュはイラクや北朝鮮、中国に対する核戦争計画を立てるよう指示し、そのための地下攻撃型の戦術核兵器の開発・製造を命じたことが明らかになった。この恐るべき世界戦争・核戦争の危機を見据え、これを阻止するためにどうするのか、真剣に向き合おう。
 現代帝国主義は米経済のバブル崩壊と米帝の「対テロ戦争」をもって、世界大恐慌から世界戦争へと向かう過程に入った。この巨大な情勢を前に、君はどういう生き方を貫くのかが問われているのだ。
 日本の学生がどういう闘いをやるのかが決定的だ。日本帝国主義(資本主義)は没落を深め、追いつめられた支配階級は戦後憲法のもとでの体制を自ら破壊し戦争国家化に突進している。第二次世界大戦前のドイツのように、日本は世界史の動向を決定的に左右する位置にあるのだ。
 最大の決戦は、4月上旬に国会提出されようとしている有事立法4法案を阻止することだ。有事立法は朝鮮・中国侵略戦争を日帝独自の「対テロ戦争」として主体的に推進していくための戦争法だ。その成立を許すことは、中国・朝鮮侵略戦争を認め、憲法9条破棄を認めることだ。絶対に粉砕しよう。
 小泉が「いざというときの備えに有事法制は必要だ」などというのはうそだ。まったく逆だ。有事法制こそが「有事」をつくり出すのだ。事実、小泉は「対テロ戦争」の主体的な推進を宣言し、「テロも不審船も拉致問題も有事」だと、「有事」の概念をどこまでも拡大して、北朝鮮への排外主義をあおりたて、朝鮮・中国侵略戦争の情勢を自ら強引につくり出そうとしているではないか。
 昨年12月22日、海上保安庁の巡視船が小型外国船を銃撃・撃沈し、15人の乗組員を虐殺した。日帝は巡視船25隻、航空機14機、イージス艦「こんごう」と護衛艦「やまぎり」を投入し、これを完全な軍事作戦として行った。日帝が戦後初めて他国に戦闘をしかけ、他民族虐殺を行ったのだ!
 あろうことか、日帝はこれを「正当防衛だった」とデマ宣伝している。実際には海保庁こそが国際法に違反して領海外の小型外国船に機関砲を浴びせかけ、9時間も追いかけ回し、最後は反撃されたからと撃沈したのだ。これは中国軍が発砲したというデマで中国全土への侵略戦争に突入していった1937年の盧溝橋事件と同じ手口だ。日帝は朝鮮・中国侵略戦争を自らの「対テロ戦争」として進めようとものすごい戦争意志で突進しているのだ。
 この間の「拉致事件」キャンペーンは、こうした日帝の侵略戦争政策の一環であり、断じて許せないものだ。これが「拉致」と言えるのかどうかもまず問題だが、何よりも重要なことは、帝国主義こそ朝鮮民族を南北に分断し、在日朝鮮人民に植民地主義的民族抑圧的な入管体制を強制している元凶であるということだ。そして朝鮮侵略戦争を行おうとものすごい体制で襲いかかっている。すべての問題はここから発生しているのだ。
 しかも日帝は朝鮮を植民地支配し、第2次世界大戦の過程では百万人を超える朝鮮人民を強制連行し、20万人の朝鮮女性を強制的に、あるいはだまして連行し軍隊慰安婦として虐待した。ところが小泉と日本政府は、この歴史的大罪について謝罪も賠償も拒否し居直っているのだ。
 南朝鮮の学生は、日米帝国主義こそが南北朝鮮人民を対立させ、朝鮮侵略戦争を行おうとしていると弾劾し、真っ向から闘い抜いている。パレスチナで、中東で、全世界で同世代の若者が、命がけで帝国主義の侵略戦争や民族抑圧と闘っている。彼らと連帯して闘うことはどれほどすばらしいことだろうか。国際反戦闘争に決起しよう。
 すべての新入生諸君。有事立法制定を阻止するために直ちに行動しよう。4・14三里塚闘争、4・28全国統一行動、5・26全国闘争に立ち上がろう。
 〔早乙女 優〕

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週刊『前進』(2048号7面2)

兵役拒否し刑務所に イスラエル・18歳の決断

 3月17日、「兵役拒否〜イスラエル・18歳の決断」という番組がNHKで放映された。主人公はイスラエルのヤイール・ヒロ君、18歳。昨年夏、同世代の男女62人の連名で、イスラエルのシャロン首相に「イスラエル軍のパレスチナ人への攻撃はテロ同然であり、われわれは兵役を拒否する」と手紙を送った1人だ。
 決断のきっかけは2000年10月にテレビで見た、銃撃戦に巻き込まれたパレスチナ人の親子が虐殺される映像だった。
 イスラエルでは18歳になると男子は3年、女子は1年9カ月の兵役が課せられる。そして兵役を拒むと、軍刑務所への勾留と自宅の往復の日々が長ければ1年間続く。
 建国以来初の事態をシャロン政権は厳しく非難した。ヤイールの街でも兵役拒否の決断は冷たく受け取られ、孤立したヤイールは高校中退に追い込まれた。それでも信念を曲げず、昨年12月に軍の招集を受けて26日間、1月末から約1カ月、刑務所に収監された。
 ヤイールたちの行動はイスラエル社会に衝撃を与えた。軍の予備役兵の中からも、占領しているヨルダン川西岸とガザ地区での任務を拒否する声が上がり、賛同する兵士は360人を超えた。
 父親の「お前は、ユダヤ人がまた世界中に散らばることになってもいいのか」との問いに、「それでもいいんじゃない」と答えるヤイール。
 ヤイールは語る。「私はユダヤ人が自分たちの国をつくるというシオニズムに強い疑問を持っている。私が支持するのは、ユダヤ人とアラブ人が平等に暮らす一つの国をつくることだ。兵役拒否は、私にとって社会改革を続ける活動の始まりに過ぎない」。命がけのパレスチナ人民の闘いが、ついにイスラエル国内から、シオニスト体制を否定する運動を生み出したのだ。この中にこそ、問題の真の解決の道筋がある。
 2月9日にテルアビブで行われた軍の占領に反対する1万人集会で、ヤイールの仲間は訴えた。「60年代、アメリカのホワイトハウスの前でベトナムからの撤退を迫るたった1人のデモがありました。どんなに困難な変革も少数の声から始まるのではないでしょうか」。戦争と虐殺を憎み、信念を貫きとおす決意と行動こそ、時代を動かす力だ。ヤイールたちと連帯した行動を日本からも起こそう! (F)
(写真は2度目の出頭の朝、「最後までくじけない」と語るヤイール)

 ヤイール・ヒロ君の兵役拒否宣言

 私の名前はヤイール・ヒロ。18歳です。兵役を拒否します。おそらく水曜日に刑務所に入れられます。この手紙は、多くの人が軍隊に対して、私と同じ思いを抱いていると思って書いています。
 イスラエル軍は、パレスチナ人から受けるテロよりもはるかに激しい攻撃を彼らに加えています。それが平和につながるとは思いません。イスラエル国家によって生み出された〈不毛な〉ユダヤ人空間は、ユダヤ人住民にとってもゲットーです。この空間の中にいる者は、ユダヤ人であれアラブ人であれ、安全ではいられません。
 大部分のイスラエル市民はこの国の実情を変えたいと望んでいます。それでも国家は、あらゆる手を尽くして平和、福祉、平等に立ちふさがり、おかしなことに、最後はいつも資本家や将軍たちの利益につながっていくのです。マスメディアや教育制度を駆使して、悪意に満ちた国家主義的宣伝、嫌悪、恐怖をまき散らし、「アラブ人対ユダヤ人」「東洋対西洋」というように反目させて、私たちを分断して支配しようとしているのです。彼らこそ、私たちが物理的・経済的安全を実現することを阻んでいる真の敵です。
 われわれユダヤ人は、パレスチナ人と手を結び、共存すべきだと思います。このような理由から、私は兵役を拒否します。
 (昨年12月、軍の召集の前日に記した手紙より抜粋)

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週刊『前進』(2048号8面1)

●特集/新入生のみなさんへ 中核派とともに世界を変革しよう!

 マルクス主義講座 @ 『共産党宣言』を読む(上)
 “獲得すべきは全世界だ” 高らかな世界革命の宣言
   水井省一

 「支配階級よ、共産主義革命のまえに震えあがるがよい! プロレタリアは、この革命において鉄鎖以外に失うものは何もない。プロレタリアが獲得すべきは全世界である」。『共産党宣言』のこのマルクスの言葉を現実のものとする時代――プロレタリアートが全世界を獲得する時代が、1917年のロシア革命以来、再びやってきました。今月から月1回、マルクス主義講座を開きます。資本主義社会の体制的破たん、行きづまりが全面的にあらわになっている中で、マルクス主義こそ、労働者人民が未来を獲得できる唯一の根底的思想=世界観であり、革命的実践の指針であり、人生をかけるに値する価値観そのものです。今こそ、マルクス主義の学習と主体化を深め、帝国主義と対決し、全世界を獲得するために闘おう。最初に『共産党宣言』を取り上げます。(マルクスの著作を学習するには、前進社新書の「マルクス主義基本文献学習シリーズ」が何よりも最適のガイドブックです。ぜひ、全冊をそろえて学習して下さい)

 恐慌と戦争の今こそ『宣言』の実現のとき

 「妖怪がヨーロッパに出没している――共産主義という妖怪である。古いヨーロッパのすべての権力が、この妖怪を退治するために神聖な同盟を結んでいる」
 この有名な書き出しで始まる『共産党宣言』は、今から150年以上前の1848年、マルクスとエンゲルスによって、当時の労働者の革命的な国際組織である共産主義者同盟の綱領として書かれました。それは「社会の最下層であるプロレタリアート」が「上部構造全体を空中に吹き飛ばす」闘いによって解放をかちとる道を、時代を突き抜けて、労働者の心臓をぐいっとつかむ迫力ある言葉と文体で示したのです。『宣言』の正しさは、直後に全ヨーロッパ的規模で爆発した1848年革命によって、まず示されました。こうして『宣言』は、多くの闘うプロレタリアートの魂をとらえ、世界の革命運動、労働運動の理論的・実践的な支柱となっていったのです。
 私たちが今、『共産党宣言』を学ぶ意義はどこにあるか。それは、今日ほど資本主義(帝国主義)の体制的行きづまりがあらわになっている時はなく、その全矛盾が集中されている労働者人民にとって、この体制=現代世界を根底的に転覆する以外に生きられなくなっているからです。この時、資本主義の歴史的な有限性を解明し、共産主義革命の必然性を説いた『共産党宣言』の内容とマルクスの革命的精神に学ぶことがとても大事だからです。
 確かに、マルクスの時代から現在まで、歴史はさまざまな道を歩んできました。しかし、この社会=資本主義の根幹をなす資本家階級による労働者階級の搾取は、弱まるどころかますます強まり、あくどくなり、凶暴化しているではありませんか。マルクスとエンゲルスの時代の資本主義は、ほぼ十年ごとの周期的恐慌で自らの生産力を破壊し、労働者を街頭にほうり出すことをつうじて発展しました。またレーニンの時代以後、今日に至る現代の資本主義=帝国主義は、世界の分割と再分割のために2回の帝国主義世界戦争を戦い、被抑圧民族人民と労働者人民の大量殺戮(さつりく)をつうじて生きながらえてきました。この残虐な世界戦争をブッシュや小泉ら帝国主義者どもはまた繰り返そうとしています。
 こうした中で、被抑圧民族人民は生存を脅かす民族抑圧、貧困と飢餓、そして殺戮と破壊にさらされています。また帝国主義国の労働者人民は失業・賃下げ・社会保障切り捨て、差別の激化、生活苦に追い込まれています。資本家どもはますます搾取を強め、ばく大な利益を上げています。
 資本主義は、封建制社会を転覆する時には「自由・平等・博愛」(これ自体ブルジョアジーの階級的利害の表現ですが)などのスローガンを掲げていましたが、帝国主義段階に入ってからはそうした見せかけの民主主義や進歩性もなくなり、いま帝国主義は、人類の歴史上でもかつてなかったほどの〈民族抑圧と大量殺戮と破壊の体制〉として延命しています。資本による労働者の強搾取の結果として高度に発達した生産力そのものによって、労働者人民は生存を脅かされ、核戦争で大量に虐殺される危機にすらあるのです。
 これは、利潤の追求(より多くの剰余労働の搾取)を生産の唯一の動機・目的とし、それに追いまくられる資本主義社会が、その根本的な問題性、矛盾を破滅的なかたちであらわにしているということです。地球上の60億人民に、抑圧と破壊と殺戮しかもたらさない、腐りきったこの帝国主義の体制・社会を根本からひっくり返すことは、労働者人民が人間として生きていくための切実な要求です。自らの労働によって社会の生産を担っている労働者階級が社会の主人公となるのは、まったく当たり前のことではないでしょうか。
 その世界革命の道は、1917年のロシア革命によって切り開かれながら、スターリン主義の一国社会主義論によって反動的にねじ曲げられてきました。しかし、今やソ連邦の崩壊が示したようにスターリン主義の歴史的な破産があらわになり、資本主義も末期的な危機を深めています。だから今こそ、この世界革命の事業を復活させ、継承し、発展させることが、21世紀初頭を生きる私たち労働者人民、学生のさし迫った実践的課題となっています。その機は完全に熟しているのです。

 鋭い資本主義批判と労働者階級解放の道

 『宣言』でマルクスとエンゲルスは、資本主義が産業革命で到達した巨大な生産力をもって世界的に発展しようという、その始まりの段階で、資本主義生産の矛盾の爆発の必然性と、歴史的な有限性(永遠不滅の体制ではないということ)をはっきりさせました。そして、発展する資本主義が、資本家にますます大きな富をつくり出す一方で、生産の担い手である労働者を奴隷的な惨めさに突き落としていく現実を直視し、腹の底から怒りました。この中で二人は、労働組合運動や革命運動に立ち上がっている労働者階級の勝利の道を必死で考えました。
 そして労働者階級の惨めさの現実的な根源は、〈生産手段が資本家階級に独占されていることによって、労働者階級は自らの労働力を商品として資本家に売り賃金奴隷となって働く以外に生存すらできなくなっていること〉――ここにあることを明らかにしました。
 だから労働者階級は、〈自ら生産的労働を担いながら最も虐げられている階級だからこそ、階級社会総体を廃絶し、一切の抑圧・差別・貧困を地上から消滅させる根源的な闘いによってしか自らを解放できない〉こと、逆に言えば、〈こうした歴史的社会的地位にある労働者階級こそが、人類数千年の階級社会の歴史を終わらせ、共産主義社会を建設できる唯一の世界史的存在である〉ことをはっきりさせたのです。しかも世界市場を基礎とした資本主義生産の発展の中で、共産主義社会を建設する革命の条件がつくられていくことを明確に示したのです。
 マルクスが『宣言』で述べたこと、すなわち労働者階級人民が団結して資本家階級から政治権力を奪い取り、社会の変革の主人公となっていくこと――この闘いは、いま私たちが生きている2002年の世界の現実そのものです。
 アフガニスタンやパレスチナ人民の闘いを見て下さい。彼らは団結して、アメリカ帝国主義やイスラエル・シャロン政権の民族抹殺と虐殺の戦争に真っ向から立ち向かい、不屈の反撃に立ち上がっています。動労千葉の労働者のストライキは全社会を揺るがしています。まさに帝国主義の侵略戦争と世界支配を打倒する国際的内乱が激しく火を噴き、全世界に広がっているのです。
 マルクスは『宣言』の冒頭で、「これまでのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」「抑圧者と被抑圧者は、つねに敵対関係にあり、ときには隠然とした、ときには公然とした闘争をたえまなくおこなってきた」と述べています。いま現に私たちの前で起きていることは、まさにこのことなのです。世界の支配階級は、全世界の労働者人民と被抑圧民族を階級的に搾取、抑圧している「抑圧者」でありながら、「被抑圧者」が民族解放をかけて命がけの抵抗、武装解放闘争に立ち上がることを「悪」「テロリスト」呼ばわりして、自らの支配をあくまでも維持しようとしているのです。
 今こそ労働者階級と被抑圧民族人民が全世界で連帯し、帝国主義を打倒する闘いに、ともに立ち上がっていくことで、私たちは全世界を獲得できるのです。

 労働者の革命的団結と勝利の不可避性

 『宣言』は、短い前書きと4つの章からなっています。
 第1章 ブルジョアとプロレタリア
 第2章 プロレタリアと共産主義者
 第3章 社会主義的および共産主義的文献
 第4章 種々の反政府党に対する共産主義者の立場
 第1章では、ブルジョアジーとプロレタリアートの階級対立が、資本主義の発展のさまざまな段階を経て激化・進展していく過程が描かれています。資本主義は一つの歴史的な社会として生成・発展・没落の過程を必然的に通っていく存在であること、資本主義の発展の中でブルジョア的生産力とブルジョア的生産関係が対立に陥り恐慌として爆発し、体制としての矛盾、行きづまりにぶつかっていくこと、そして、プロレタリアートが資本主義を打倒する革命的階級として登場し成長していく過程が鮮やかに描かれています。
 1章から印象的な部分を紹介しましょう。
 「工業の発展とともに、プロレタリアートの数が増加するだけではない。プロレタリアートはよりいっそう密集した巨大な集団となり、かれらの力は大きくなる。そして、かれらは、自分の力をますます自覚するようになる」(新訳本23n)
 「個々の労働者と個々のブルジョアのあいだの衝突は、ますます二つの階級のあいだの衝突という性格をおびる。労働者は、ブルジョアに対する同盟を結成し、賃金要求のために結集するようになる。労働者は、自ら恒常的な組織をつくり、反抗の場合にそなえて備蓄をおこなうようになる。闘争は、ときによっては暴動となって爆発する」(同)
 このマルクスの分析は、現代の資本主義社会をもとらえています。労働者階級の反乱=暴動を恐れる資本家どもの危機感は、昔も今も変わりません。だからこそ、彼らは労働者の団結を恐れ、労働者階級の上層を買収したりして、労働運動の分裂と圧殺に躍起になってきました。
 今日の日本で言えば、「経済危機を乗りきるために、労使が一体となって」などと言って首切りや賃下げに率先して協力するJR総連カクマル・松崎や連合会長・笹森などは、その労働貴族の典型であり、資本家階級の手先です。
 彼らは、まさに今、労働者階級が団結して立ち上がって資本家階級を打倒し、社会変革の本当の主人公に飛躍すべき時に、「労働者階級は資本家に飼われなければ生きていけないのだ」という永遠の奴隷の思想を振りまき、労働者を抑えつけようとしているのです。こんな裏切り者たちは一刻も早く打倒すべきです。
 第1章の末尾は次のような印象的な言葉で結ばれています。
 「工業の進歩は、〔資本の論理にたいして〕無意志・無抵抗なブルジョアジーによってになわれているが、競争による労働者間の孤立化ではなく、組織による労働者の革命的団結をもたらす。……ブルジョアジーはなによりも、自分たち自身の墓掘り人を生みだす。ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」(同29n)
 今こそこの『共産党宣言』を全面的に実現し、戦争と恐慌に対してプロレタリア世界革命でこたえる時がやってきたのです。
 (つづく)

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