ZENSHIN 2002/03/18/(No2045
p06)
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週刊『前進』(2045号1面1)
動労千葉・総連合ストライキに連帯し春闘総行動の大爆発へ
連合・JR総連のスト破壊うち破れ
革共同中央労働者組織委員会
02春闘は、02年日経連労問研報告−労働組合破壊の一大資本攻勢と、有事立法・改憲攻撃との階級決戦であり、政治決戦である。小泉「聖域なき構造改革」粉砕の大決戦である。革命党としてこの歴史的攻撃に「立ち遅れ」は絶対に許されない。今必要なのは渾身(こんしん)の怒りと危機感だ。帝国主義はその生き残りをかけて激しい資本攻勢をかけている。それに抗して、動労千葉・動労総連合は春闘ストライキ方針を決定した。ついに反撃の火の手は上がったのだ。いよいよ闘う労働運動の歴史的登場を果たす時が来た。帝国主義を打倒する労働運動が力強く登場するチャンスである。党と階級の存亡のかかった今春闘に、死力を尽くして立ち上がろう。
第1章 渾身のスト闘いぬく労働者に合流しよう
動労千葉は、3月2日、定期委員会を開催し、3月28日〜31日、72時間の春闘ストに立ち上がることを決定した。動労総連合傘下の動労水戸、動労連帯高崎、動労西日本もストに立つ。
動労千葉は、第2の分割・民営化−検修・構内の全面外注化阻止、動労千葉根絶攻撃粉砕を中心とする3カ月決戦方針を1月冒頭に確立し、検修・構内関係の職場である幕張、習志野、京葉の3電車区で3月20日から無期限の時間外・休日労働拒否闘争に突入している。
動労千葉は、以下の闘争課題を掲げて3カ月決戦を闘い抜いている。
@02春闘勝利、大幅賃上げ獲得、貨物ベアゼロ攻撃−差別・能力給の導入阻止!
A検修・構内外注化−新保全体系合理化阻止、反合・運転保安確立!
B1047名(動労千葉9名)の解雇撤回・原職復帰!
C反戦−国際連帯、有事立法・改憲阻止、小泉超反動政権打倒!
D新たな動労千葉根絶攻撃粉砕、JR総連解体−組織強化・拡大!
Eシニア制度撤廃−定年延長実現! 強制配転者の原職復帰、士職登用、不当労働行為根絶!
国労本部による闘争団への統制処分強行という国鉄闘争が迎えている危機に対して、動労千葉はこれを打ち破り、闘う闘争団と連帯し、1047人の解雇撤回を要求して職場生産点からストライキに立ち上がる。検修・構内外注化撤回を求め、第2の分割・民営化阻止に向けて揺るぎない団結をつくり出す闘いに立つ。それはまた、大幅賃上げ獲得・貨物ベアゼロ攻撃−差別・能力主義賃金を阻止する闘いだ。同時に国際連帯を掲げた反戦春闘として全力決起している。
何よりもこのストライキは、戦闘的労働運動の拠点としての誇りにかけて、組織と団結を守り抜く渾身の決起なのである。
第2章 労組破壊・終身雇用制解体攻撃を粉砕せよ
動労千葉のストライキは、いかなる情勢の中で闘われようとしているのか。
29年型世界大恐慌過程への突入と帝国主義の断末魔の危機の中で、米帝は世界を戦争にたたき込んで延命しようとあがいている。日帝は、そこにある帝国主義間争闘戦の力学に促迫されて戦争体制の確立に突進し、激しい資本攻勢で一切の犠牲を労働者階級に転嫁しようとしているのだ。
他方、帝国主義による言語に絶する民族抑圧・支配・暴虐に対して9・11反米ゲリラ戦争が爆発した。これによって国際階級闘争は一変し、新段階に突入した。アメリカを中心とする帝国主義の民族抑圧と侵略に対して、アフガニスタン、パレスチナを始め13億イスラム諸国人民の怒りを体現した命がけの闘いが貫かれている。このすさまじい決起に今、全世界の労働者は魂を揺さぶられて立ち上がっている。
国際階級闘争が新たな段階を迎えている中で、今春闘は日帝・資本と労働者階級の非和解的激突−階級決戦の様相をますます深めている。そして、資本攻勢に抗する闘いと、政治反動、有事立法、侵略戦争の攻撃に反撃する闘いは階級決戦として一体なのである。
今春闘の課題の第一は、労働組合破壊と終身雇用制−年功賃金制解体をとおして労働者の階級的団結を根絶しようとたくらむ日経連労問研報告路線と徹底対決し、戦闘的労働運動の防衛と再生をかちとることだ。
今年の日経連労問研報告は、アメリカ型(レーガン型)の資本攻勢を露骨に宣言した。日経連がアメリカ型の資本攻勢を打ち出し、労働組合破壊・終身雇用制−年功賃金制の解体を宣言したのは95年の「新時代の『日本的経営』」であった。そして00年労問研報告で、資本攻勢の基本戦略としてアメリカ型に踏み切ることを明らかにした。そこで「2、3年が勝負」であると強調し、それから3年目の今年、「思い切って踏み込む」と、日帝・資本はその存亡をかけて攻撃を加えている。
80年代のレーガン政権以来のアメリカ型資本攻勢とは、労働者階級の歴史的獲得物を根こそぎ奪いつくし、労働組合の破壊を強行し、その土台の上に規制緩和・競争原理を全面貫徹し→それによる国内市場の独占的確保と資本収益の増大を図り→それをもって対外争闘戦の武器に転化する、というものであった。そこには、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くという強烈な目的が貫かれていた。
今年の労問研報告は、こうしたアメリカ型資本攻勢の貫徹に向け、戦後労資関係の反動的転換−労働組合破壊、終身雇用制と年功賃金制解体、春闘解体の全面的発動を並々ならぬ決意で明らかにしている。そして、終身雇用制の解体にターゲットをすえている。
定昇解体・賃下げと対決を
こうした資本攻勢といかに闘うか。
一つ目は、定昇解体を軸とした激しい賃下げ攻撃と対決し抜くことである。
労問研報告は、「国際競争力の維持という観点からは、これ以上の賃金引き上げは論外である。場合によってはベア見送りにとどまらず、定昇の凍結・見直しや、さらには緊急避難的ワークシェアリングを含め、これまでにない施策に思い切って踏み込む」と言い放った。
今春闘において「定昇見直し、縮小・廃止」を強行する企業は6割を超え、賃上げすると答えた企業でも「定昇のみ」が7割以上、「定昇・ベアとも実施」はわずか1割に過ぎない(産労総合研究所調査、東証一部・二部上場企業対象)。
資本にとって、賃下げの目的は総額人件費の削減にある。労問研報告は「もはや賃金か雇用かの選択を論議して済む状況ではない。……いかに企業が生き残るか、……雇用・賃金・労働時間を含めた総額人件費の観点から、突き詰めた論議を」と述べている。つまり、雇用・賃金・労働時間をセットで考えて、そのすべてが総額人件費の削減につながらなければならないと主張している。それは、徹底的なリストラ・首切りと賃下げを断行し、賃金は時間給制度に変える、どんな賃金水準でも労働条件でも従え――ということだ。
二つ目は、終身雇用制解体−全労働者の不安定雇用労働者化との闘いだ。ここに今春闘の核心がある。
労問研報告は「ワークシェアリングを雇用形態の多様化の一環として位置づける」と主張する。つまり終身雇用制解体−雇用形態の多様化−不安定雇用化のためのワークシェアリングであると明言し、目玉として押し出した。
95年の日経連「新時代の『日本的経営』」の発表以降、日本の労働者構成は大きく変わった。「正規雇用労働者」は減少し、パート、派遣、契約社員などの「非正規雇用労働者」は雇用者総数の3割近く(1346万人)に達している。
資本は、倒産、リストラ・首切り、出向、転籍などの攻撃をとおして不安定雇用化を強行している。また企業再編法制のもとでの持ち株会社化、分社化は、不安定雇用労働者の増大に拍車をかけている。こうして日帝・資本は、雇用総数の90%を不安定雇用労働者にしようとしているのだ。NTT11万人削減・実質50歳定年制の攻撃は、その最先端をなすものだ。
これまで終身雇用制を前提・土台にして成り立ってきた労資関係、雇用・賃金・労働時間・労働条件、社会保障制度、労働法制などのすべてが解体・改悪されようとしている。
三つ目は、労働法制の改悪・解雇ルールの法制化や戦後社会保障制度の解体など、労働者の生活を一変させる攻撃との闘いである。
四つ目に、労問研報告は「労使は社会の安定帯」論を例年以上に強調し、労組が協力することによってのみ資本攻勢を貫徹できると、闘いの圧殺、組合破壊の意図をむき出しにした。
そして「治安の強化」「警察官の増員」を強調し、資本攻勢への労働者の怒りの爆発、とりわけ高失業にたたき込まれている青年労働者の反乱に恐怖して、それを国家権力の発動によって圧殺すると宣言している。労働運動を治安問題として明確に位置づけたという意味で、決定的に重視しなければならない。
日経連と連合は「『雇用に関する社会合意』推進宣言」を昨年10月に発表し、日経連の唱えるワークシェアリングを労資の協力で実行すると叫んでいる。絶対に認めることはできない。
第3章 階級攻防の最先端=国鉄闘争の勝利を
今春闘の課題の第二は、この資本攻勢との攻防の最先端で闘い抜かれている国鉄闘争の勝利−第2の分割・民営化阻止の闘いに全力で決起することである。
日帝資本は、資本攻勢を貫徹するために1047人闘争を先頭とする国鉄闘争をなんとしても解体しようとしている。それが4党合意の攻撃だ。昨年1月27日の国労大会における、1千人の機動隊を導入しての4党合意強行は、国鉄闘争解体への敵の並々ならぬ意志を示したものだ。
4党合意をめぐる攻防は、ジェイアール東日本ユニオン−分裂組合結成と、機動隊を導入しての2・3国労中央委における解雇撤回を掲げて闘う闘争団への査問委設置強行−統制処分策動で、新たな段階に入った。この二つのことは、国鉄労働運動の中から階級性を百パーセント否定した帝国主義的労働運動派が生まれたことを意味する。帝国主義的労働運動か、4党合意絶対反対か。中間の道はない。国鉄労働運動は新たな分岐・流動・再編過程に入ったのだ。
さらに、JR東日本のニューフロンティア21−1万人削減やJR西日本の9千人削減、JR貨物の2千人削減(4人に1人がクビ)など、第2の分割・民営化攻撃が襲いかかっている。それは極限的な要員削減攻撃であるとともに、終身雇用制・年功賃金制を解体し、労働者を弱肉強食の競争にたたき込み、分割・民営化過程で果たせなかった国鉄労働運動解体を強行しようとする攻撃だ。
JR東日本は、保線、電力・信通関係の全面的外注化を昨年10月に強行した。2千人を超す労働者(多数が国労)が出向を強制された。これは帰る職場のない出向であり、次は転籍だ。それはJRにおける首切り攻撃であり、終身雇用制解体の攻撃そのものである。保守3部門(保線、電力・信通、検修・構内)の全面外注化は、安全の崩壊をもたらす運転保安無視の重大な攻撃だ。
現在の攻撃の焦点は、動労千葉の職場がある検修・構内外注化である。地方段階での提案が行われていないのは、千葉支社・水戸支社のみとなっている。
また、この外注化攻撃と一体の「新保全体系」合理化4月強行の攻撃がかかっている。これは安全を無視して電車の検査周期を大幅に延長するというものだ。
同時に年金制度の改悪を徹底して悪用し、60歳以上の労働者を外注会社に低賃金で再雇用するシニア制度は、再雇用に際して「試験」を課し、組合差別・選別をする断じて許せないものだ。このシニア制度に反対している動労千葉の組合員は試験を受けることさえ拒否されている。JRとJR総連カクマルの結託体制による露骨な組合差別である。動労千葉は、この不当労働行為を許さない地労委闘争に立ち上がっている。
また、JR貨物はこの2月に、3年間の中期計画として「ニューチャレンジ21」合理化を発表した。それは、早期退職制度、転籍、出向により9千人の社員を2千人削減し、鉄道部門を5千人体制にするという極限的合理化だ。さらに、「人事・賃金制度の抜本的見直し」と称して年功賃金制を廃止し、来年度から成果主義人事・賃金制度を導入しようとしている。
今求められているのは、職場生産点からのストライキを中心とした反撃だ。1047人闘争の勝利を実現するのも職場生産点からの決起である。
この第2の分割・民営化の先兵となることを宣言したものこそJR東日本とJR東労組カクマルの昨年8・1「第4次労使共同宣言」だ。東労組カクマルは職場では「スーツ・ネクタイ着用運動」、また日貨労カクマルは「クリーンアップ作戦運動」などにのめり込み、終身雇用制と年功賃金制の解体を先取りした新たな「働こう運動」に走っている。
カクマル松崎は、「小泉さんに突っ走ってほしい」「(小泉の)言っていることは正しいし、大いに声を張り上げてやってもらいたい。その限りでは、できる限りの応援はしたいと思います」(サンデー毎日1・20号)と、小泉構造改革を全面的に支持し、エールを送っている。さらに松崎は、JR東労組顧問に加えてJR総連の特別顧問に就任し、「テロ根絶」を叫んで反戦闘争の解体にのりだしてきた。第2の分割・民営化の先兵=JR総連カクマル打倒へ総決起しよう。
国際連帯・反戦春闘に立とう
今春闘の課題の第三は、国際連帯・反戦闘争−有事立法阻止・改憲粉砕への労働者階級の総決起をかちとることである。
小泉は2月18日、ブッシュとの共同記者会見で、イラン、イラク、北朝鮮を名指ししたブッシュの「悪の枢軸」発言を称賛し、「テロ根絶のために協力する」と言い放ち、今国会で有事立法(非常事態法)を強行しようとしている。
有事立法とは何か。@侵略戦争遂行へ国家緊急権=憲法停止を規定、A自衛隊の海外侵略発動にも内乱鎮圧の治安出動にも一切の自由を与える、B労働者は権利の一切を否定され、侵略戦争に協力させられる、C首相に三権掌握の超独裁的権限を付与する、というものだ。まさに戦前社会の再来であり、大日本帝国軍隊の復活だ。この有事立法の強行が目の前に迫ってきているのだ。有事立法阻止の闘いは戦後最大の政治決戦となった。
パレスチナ人民を始めとする13億イスラム諸国人民および朝鮮・中国−アジア人民と固く連帯し、国際連帯・反戦闘争に立ち上がろう。日本帝国主義打倒の闘いこそ国際連帯を貫くものだ。国際連帯の質を持った階級的労働運動をつくり出そう。有事立法阻止・改憲粉砕の数万、数十万の労働者の決起を全力でつくり出そう。大署名運動に決起しよう。反戦春闘として全力で立ち上がろう。
職場生産点でともに決起を
動労千葉の72時間ストを先頭に、それと連帯・合流し02春闘に職場総決起することを重ねて訴える。
第一に、労働組合破壊、終身雇用制−年功賃金制破壊、春闘解体・賃闘圧殺の日経連路線と対決し、職場生産点から立ち上がろう。
第二に、動労千葉のストライキ支援行動に全力で立とう。動労千葉の決起を全職場に宣伝し、ともに生産点から02春闘に立つことを訴えよう。すべての争議に勝利しよう。韓国の公益部門民営化反対を中心としたゼネストに連帯し闘おう。
第三に、反戦闘争に立とう。有事立法阻止・改憲粉砕の数万、数十万の決起をつくり出そう。
以上の闘いの集約点として全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、動労千葉の3組合の呼びかけにこたえ、3・30「02春闘総行動中央総決起集会」(要項2面)に総力決起しよう。新宿へのデモに立ち上がろう。
3・17革共同政治集会に全力で結集せよ。そして今春闘を細胞建設の飛躍をかけて闘い抜こう。
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週刊『前進』(2045号1面2)
動労千葉 第2の分割・民営化と対決し 3・28〜31 72時間ストを決定
3月2日、動労千葉は第46回定期委員会をDC会館で開き、3月28日から31日にかけての72時間ストライキ方針を決定した。
今春闘最大の決戦の日時は明確になった。動労千葉とともに、3月春闘総行動に全力で決起しよう。
決定されたスト方針の概要は以下のとおりだ。@旅客の全乗務員を対象に3月29〜30日のストを実施する。A29日非番の者は28日から、30日泊まり勤務の者は31日までのストとする。B旅客・貨物の全地上勤務者を対象に29〜30日のストを実施する。
君塚正治副委員長が「3月29−30日を最大の山場とする闘いに進みたい」と訴えて開会を宣言した。
田中康宏委員長があいさつに立ち、「春闘3カ月決戦の終盤戦に全組合員の総決起をかちとろう」と訴え、今春闘の課題は、@JR東日本の検修・構内外注化阻止、A1047人闘争の危機的状況を動労千葉の闘いで打開する、B大幅賃上げ獲得・貨物ベアゼロ攻撃打破にあると提起した。
JR東日本は昨年末、検修・構内外注化の強行に向けて、幕張電車区で繁沢敬一副委員長と長田敏之組織部長を強制配転するという動労千葉破壊攻撃をかけてきた。動労千葉はこれに対し年頭から3カ月決戦を構え、2月20日からは検修職場で時間外・休日労働拒否の非協力闘争に突入した。また、JR東日本は電車の検査周期を大幅に延長する「新保全体系」の導入で、検修部門の極限的な合理化に突き進もうとしている。
田中委員長は、「JRは新保全体系合理化をなんとしても4月強行突破しようとしている。この攻防は重大局面を迎えた。第2の分割・民営化攻撃と真っ向から対決する」と宣言した。
さらに、1047人の解雇撤回闘争が重大な岐路に立っていることを指摘し、「この闘争を絶対につぶすわけにいかない。闘いの起死回生をかけて動労千葉は立ち上がる」と発言した。
また、日経連労問研報告が〃ベアは論外、定昇凍結、ワークシェアリングで賃下げ”を打ち出し、終身雇用制の解体を軸に全労働者を不安定雇用にたたき込もうとしていること、連合がこの攻撃のすべてを容認し、資本の先兵になっていることを弾劾し、「労働組合の存在意義が問われている。団結して全労働者の権利を前進させるのが労働組合だ。この原点に立って動労千葉らしく闘いたい」と訴えた。そして、「貨物ベアゼロをなんとしても打破する」と述べ、ベア要求を放棄したJR総連・日貨労を許さず、2千人合理化と成果主義賃金の全面導入を策す貨物「ニューチャレンジ21」を粉砕しようと力説した。
さらに、有事立法が国会に出されようとしている情勢の中で今春闘を反戦春闘として闘うことを強調し、「今春闘はJR総連解体−組織拡大春闘だ。あらゆる課題をそこに絞り上げる。若い仲間をなんとしても動労千葉に結集させたい」「終身雇用制解体は、連合のような労資協調も認めないということだ。労働運動の大きな分岐・流動・再編が始まる。その中で動労千葉が求心力を発揮する闘いを」と呼びかけた。
経過報告を繁沢副委員長が行い、当面する取り組みと春闘スト方針を中村栄一書記長が提起した。
質疑応答では、検修・構内外注化の最焦点である幕張支部の委員などから、本部を先頭とした強固な闘争態勢の構築を求める発言が続いた。貨物支部の委員は、ベアゼロ攻撃とニューチャレンジ21をなんとしても打ち砕く決意を語った。
総括答弁に立った田中委員長は、「検修・構内外注化や、それと一体のシニア制度を拒否して毅然(きぜん)と闘えば敵の攻撃は必ず破たんする」「動労千葉は攻撃と真正面から闘って団結を守ってきた。ストを断固闘い抜くことを訴える」と再度強調した。
スト方針を含む全議案が満場の拍手で決定された。「3月末のストライキに全組合員の力を結集してたちあがる」とうたいあげた闘争宣言が採択された。
動労総連合傘下の各組合もストを構えて闘う方針だ。動労千葉に続き、春闘勝利へ闘い抜こう。
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週刊『前進』(2045号1面3)
パレスチナ イスラエル軍をせん滅 人民大虐殺に決死の反撃
パレスチナ情勢がきわめて緊迫し、新たな局面を迎えている。イスラエル・シャロン政権の成立以来、パレスチナ人民に対する民族抹殺的な虐殺攻撃をかけていることに対し、パレスチナ人民は一歩も引かずに闘い抜いており、その闘いにより逆にシャロン政権の危機が深まっている。
衝突の激化の中で昨年1月からの死者はパレスチナ人が1千人に上っており、そのうち3分の1は未成年者である。一方ユダヤ人の死者も300人に上っている。この3月に入ってからだけでも双方の死者は 人を越えている。
シャロン政権は、パレスチナ自治区に戦車を先頭に侵攻を繰り返し、戦闘機や攻撃ヘリコプター・アパッチからミサイルを撃ち込んでパレスチナ人民を虐殺してきた。自治政府の施設を破壊し、活動家を暗殺し、ブルドーザーで次々とパレスチナ難民の家を破壊し、農民の果樹を踏み倒し、農地を破壊してきた。
こうした攻撃に対してパレスチナ人民は激しく闘い抜き、とりわけ最近ではイスラエル軍に対するゲリラ攻撃とシオニスト入植者に対する襲撃を強めている。3月3日にはファタハ軍事部門のメンバーがヨルダン川西岸のユダヤ人入植地オフラに通じるイスラエル軍検問所を襲撃し、兵士7人と入植者3人を次々と狙撃しせん滅した。2月19日にもパレスチナゲリラがヨルダン川西岸のイスラエル軍検問所に襲撃をかけ、イスラエル兵6人をせん滅した。2月14日にはガザ中部のユダヤ人入植地でイスラエルが最強を誇るメルカバ3戦車を破壊し、兵士3人をせん滅した。
イスラエル軍は浮き足立ち、見境のない攻撃をますます強めている。3月4日、イスラエル軍はパレスチナ人母子の乗った乗用車をミサイル攻撃し6人を虐殺した。妊婦の乗った車を狙い撃ちする事件や、救急車を阻止して患者が死亡する事件も連続している。
一方、シャロン政権に対する非難がイスラエル国内でも高まっている。1月に始まったイスラエル軍予備役兵士による「軍務拒否の手紙」の賛同署名者は400人近くに上っている。昨年12月には70%台だったシャロン政権の支持率も急落し最近の調査では42%まで落ちている。最大の日刊紙イデオトアハロノトからも「かぎを返して政府を去れ」「結果から判断すれば現政権は0点だ」と書かれている。加えて昨年の海外からの投資が前年比で60%と落ち込み、失業率も10%を超えて、経済危機がますます深刻化している。
シャロンは何の見通しも展望ももっておらず、「交渉のためにはまずパレスチナ人をたたく必要がある」と武力襲撃を一層強めようとしている。パレスチナ人民にとって、もはや闘う以外に一切の生きる道はなく、膨大な血の犠牲をのりこえて不屈に戦い抜いている。米帝とイスラエルのパレスチナ圧殺に対して死を賭して戦い抜くパレスチナ人民と固く連帯し、パレスチナ反戦闘争に立ち上がろう。
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週刊『前進』(2045号2面1)
たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!
春闘放棄を許すな とりもどそう団結!
02春闘総行動中央決起集会
【日時】3月30日(土)午後1時から(集会終了後デモ)
【場所】東京・宮下公園(渋谷駅東口)
《統一スローガン》
●全労働者の団結で、たたかう春闘をよみがえらせよう!
●全労働者の団結で、大失業攻撃をうち砕こう!
●全労働者の団結で、国鉄1047名闘争に勝利しよう!
●全労働者の団結で、戦争への道を止めよう!
●全労働者の団結で、小泉超反動政権を打倒しよう!
《呼びかけ》
全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部
全国金属機械労働組合・港合同
国鉄干葉動力車労働組合
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春闘解体をうち破り小泉政権打倒、国鉄闘争勝利へ総行動を
闘争団への統制処分粉砕せよ 査問委強行の国労本部許すな
国労本部は、2・3拡大中央委員会での査問委員会設置の決定を受けて、まったく許しがたいことに3月11日に第1回査問委員会を開催しようとしている。
ついに国労本部は、鉄建公団訴訟を起こした闘争団員らに対する統制処分の発動へと具体的に動き出したのだ。査問委員会を包囲・弾劾し、闘争団員への統制処分を絶対に阻止しよう。
この査問委員会をめぐる闘いは、02春闘のただ中での、日帝権力・資本の労働組合破壊攻撃との闘いそのものである。闘争団への統制処分を許すか否かは、国労という戦後日本労働運動を中軸で担ってきた労働組合が、帝国主義の側に獲得され解体されるのか、階級的労働運動の側が獲得し再生させるのかをかけた歴史的攻防である。
春闘の最大の山場で、国労本部はJR資本との闘いを放棄するばかりか、闘う組合員を査問委員会にかけようというのだ。これ自体、労働組合破壊の道にほかならない。
日帝権力・JR資本は、こういう形で、闘争団とJR本体を分断し、国労そのものを完全にたたきつぶすことを狙っているのだ。高嶋―寺内らチャレンジ一派(および反動革同)の国労本部は、この国家権力の意を受けて、帝国主義的労働運動派の奴隷頭としての延命を図ろうというのだ。
闘争団への統制処分策動を粉砕し、今こそ高嶋―寺内執行部を打倒しよう。
闘争団に「国労離れろ」と恫喝
闘争団への統制処分を狙う国労本部の言動は、鉄建公団訴訟に立ち上がった闘争団員らへの憎悪しかない、常軌を逸したものとなっている。
2・3中央委員会で決定した方針では、初めから「除名」を絶叫し、「一部闘争団のこのような行動は……組合員として、闘争団員としての資格も権利もみずから放棄した行為」などと決めつけている。
寺内書記長は、その後、「国労方針に背いてわが道を行くという決断をした人たちは、統制処分を受けるまでもなく、自らこの組織を離れるべきでしょう」(公益企業レポート2・15付)とまで言っている。
国労本部は、2月22日付の『国鉄新聞』に「採用差別事件の早期解決へ全組合員の総団結・総決起を」という討議資料を掲載した。
形の上では「国労組織を分裂させて新組合を結成した首謀者に対する統制処分」を前に置いているが、それは闘争団に対する統制処分を強行するための隠れみのでしかない。
国労本部は、「分裂組合の問題点」の第一として次のように言う。
「彼らが分裂組合を結成した要因の一つとして、一部闘争団員を含む組合員が第六七回全国大会の決定を公然と否定し、大会決定に反する組織を結成し、独自の勝手な行動を進めていることを理由としています」「彼ら(闘争団)の行動は、国鉄闘争の解決を喜ばない勢力が『解決交渉』を先延ばしする格好の口実となっており、しかもこれらの一部組合員は、デマ宣伝や恫喝などによって、大会における率直な討論と正常な運営さえも妨害しました」と。
分裂組合は、こうした「困難な状況から逃げ」ているから問題だ、国労にとどまって、闘争団を切り捨てるために一緒にやるべきだということでしかない。
国労本部は、分裂組合がその「創設構想」で「利益配分を、一に株主配当、二に設備投資、三に内部留保、四に社員の賃金・労働条件の優先順位とする」と言っていることに対して、「労働組合の自己否定であり、自殺行為」と批判してはいる。
だが、そうした資本主義・帝国主義のイデオロギーをもって分裂していった者よりも、権力・資本と闘い続ける闘争団の方が「悪質」(寺内の1・28記者会見)というのが国労本部の本音である。「労働組合の自己否定、自殺行為」とは、そのまま国労本部に当てはまる言葉なのだ。
春闘放棄する本部に怒りを
そして、この討議資料は、「鉄建公団訴訟は利敵行為」「許すことのできない団結破壊」などと、原告の闘争団員らにあらん限りの悪罵(あくば)を投げつけている。
だが、敵=権力・資本との闘いを全面放棄した者が何を言うか! 団結とは権力・資本と闘うためにある。その団結を、機動隊の力を借りた4党合意受諾でずたずたにした国労本部こそ、最悪の団結破壊者だ。
国家権力の不当労働行為責任を徹底的に追及して闘おうとする鉄建公団訴訟を始めとする闘争団の闘いこそ、国労の闘う団結を回復する正義の闘いなのだ。
JR本体の組合員は、春闘を放棄して闘争団を切り捨てる国労本部を許さず、設備メンテナンス合理化=外注化による出向攻撃への怒り、貨物のベアゼロ―賃下げ攻撃などへの怒りを爆発させ闘争団とともに闘おう。ストに立つ動労千葉・総連合とともに3・30春闘総行動に総決起しよう。
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週刊『前進』(2045号2面2)
鈴木・外務省疑惑で腐敗露呈 末期的危機深める小泉内閣
労働者の怒りでぶっ飛ばせ
日帝・小泉政権は、支持率が50%前後に急落し、発足1年を待たずにすさまじい政治危機、経済危機に突入した。鈴木宗男と外務省をめぐる疑惑は、鈴木一個人の問題ではなく、帝国主義の危機であり、日帝・小泉政権の責任の問題である。また、鈴木の議員辞職で済む問題ではなく、小泉打倒まで闘いとらなければならない問題だ。この情勢に猛然と対応し、アフガニスタン・中東侵略戦争、中国・朝鮮侵略戦争に向かって有事立法・改憲攻撃を前面化させ、反動的に突破しようと突き進む日帝・小泉政権を、今こそ労働者階級人民の怒りの総決起で打倒しなければならない。3・30春闘総行動を、そのための最大の決戦としてかちとろう。
「デフレ対策」と不良債権処理は両立せず
米帝ブッシュが、2月訪日に先立って、1月17日に小泉あての親書を送っていたことが2月28日に米帝からリークされた。2月日米首脳会談や国会演説でのブッシュの小泉称賛とはまったく裏腹に、この親書では、日本経済への危機感を露骨に表明していた。
米帝はその歴史的没落の中で、米帝体制としての世界体制の崩壊の危機に直面し、その戦争的打開に突入した。米帝は、最弱の環である日帝の経済危機の爆発が、世界を29年型世界大恐慌に本格的に引きずり込むことのリアリズムに脅かされているのだ。
ブッシュは、「銀行の不良債権や企業の不稼働資産が、早期に市場に売却されていないことに、強い懸念を感じる」「不良債権を処分し、塩漬けになっている資金や企業の不稼働資産を解き放ち、最も効果的に資金を活用できる人たちの手にゆだねることが必要」と言う。要するに日帝解体的な要求を突き付けたのだ。
これがリークされたのは、2月27日の日本政府の「総合デフレ対策」に対する米帝の「失望感」の表明であり、激しい対日争闘戦である。この「総合デフレ対策」は、「不良債権処理の促進、金融システムの安定、市場対策、貸し渋り対策」などを掲げているが、そもそも「構造改革」と「デフレ対策」は両立しないものだ。不良債権処理を徹底的にやるということは、競争力や収益力のない銀行と企業をどんどん倒産させ、つぶすということで、本質的に激しいデフレ政策である。不良債権に手を付けることは、恐慌を再激化させるものである。
政府の株価維持策(PKO)によって株の空売り規制が行われ、かろうじて日経平均株価が1万1000円台まで戻したが、これは官製相場にすぎない。
大銀行・大企業が生き残るための反労働者的で反人民的な小泉の「構造改革」は今や完全に破産した。
こうした中で日帝は、すべてを労働者階級への犠牲転嫁、首切り・賃下げ、団結破壊をもってのりきろうとしているのである。
ロシア、ODA利権を食い物にした鈴木
政治的にも小泉政権は発足後最大の危機に直面している。2月20日の鈴木宗男と田中真紀子の参考人招致をもって外務省問題の幕引きを狙っていた小泉のもくろみに反して、鈴木疑惑がクローズアップされ、日帝の政官財癒着の腐敗と危機を全面露呈することになっている。
外務省は、3月4日に調査報告書を発表し、外務省への鈴木の介入を一定明らかにしたが、それはまったく部分的なものだ。外務省は鈴木の横やりにあった被害者のごとく振る舞っているが、政官財は完全に癒着しており、政治を、外務省を私物化しているのだ。それを押し隠そうとしているのだ。
では、鈴木は何をしたか。ロシアとの関係では、北方4島支援事業の入札疑惑である。国後島(くなしりとう)緊急避難所兼宿泊施設(通称・ムネオハウス)建設工事と国後島桟橋改修工事の計画決定過程から、工事の入札にいたるまで主導的に動き、鈴木の選挙区の工事業者が入札できるようにした。
ロシアに関しては、択捉島(えとろふとう)プレハブ診療所建設、色丹島(しこたんとう)自航式はしけ、同島小型発電機、色丹、択捉、国後のディーゼル発電施設など、総額70億円以上の金が動いており、ここに鈴木がたかったことが明らかになりつつある。
また、アフリカでは、鈴木は16カ国との友好議員連盟の会長をしており、ODA(政府開発援助)利権に食い付いている。ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電計画への介入で疑惑が指摘されている。アフリカのODA事業を受注した日本の企業11社が鈴木に政治献金している。
さらに、駐日コンゴ民主共和国臨時大使への外交官身分証明書(IDカード)発給に介入したことが問題になっている。
また、外務省にかかわる疑惑ばかりではなく、防衛庁、国土交通省にからんでも、いくつも疑惑が指摘され始めている。
鈴木疑惑で二点強調すべき重要な問題がある。
一つは、鈴木が沖縄SACO路線貫徹の攻撃を推進する中で不正を働いていたことだ。
@00年の沖縄サミットの際、1日2万食の随行員らの弁当を、北海道の仕出し業者が納入した。鈴木が弁当の納入業者を仕切り、利益を得ていた。A01年、那覇空港の検査・警備業務をめぐり、地元警備業者の意向を受けて、航空会社と国(旧運輸省)への口利きをした。B99年、浦添市の国立組踊(くみおどり)劇場の設計を請け負った下請け業者が、当時北海道・沖縄開発庁長官の鈴木の有力後援者だった。このように沖縄に新基地を押しつける攻撃の先頭に立つ鈴木が、同時にその沖縄を食い物にし、利権をあさってきた。まったく許せないことだ。
二つめは、アイヌ民族に対する攻撃である。昨年7月、鈴木は「アイヌ民族は今はまったく同化された」と発言し、北海道ウタリ協会がこれを問題視した。同協会の理事長が鈴木の帯広市の後援会長をしていたため、この発言に抗議せず、そのため8月の理事会で解任された。また、8月に南アフリカで開かれた「国連反人種主義・差別撤廃世界会議」にNGO(非政府組織)枠で参加する予定だった同協会の副理事長も一緒に解任された。ところが外務省は、同会議の参加者の交代を認めず、同協会の参加を阻止した。鈴木が外務省に介入し、参加を妨害したのではないかと、同協会は真相の究明を行う方針を決めた。アイヌ民族抹殺攻撃の先頭に立つ鈴木を弾劾しなければならない。
有事立法提出阻止し春闘総行動の爆発を
問題は、鈴木個人の腐敗や汚職ではない。小泉内閣全体の問題であり、日本帝国主義の政官財癒着の構造的腐敗の問題である。
鈴木自身、橋本派の幹部であり、実力者の野中の腹心として力をつけてきた。鈴木の犯罪は、橋本、小渕、森、小泉の歴代内閣すべての腐敗の現れである。
また、ODA利権に群がって利益を得ているのは鈴木だけのことではなく、小泉自身を含めた自民党政治の腐敗そのものだ。ロシアやアフリカは、これまで手が付けられなかったところに鈴木が目をつけたということである。
鈴木の証人喚問、それに引き続く議員辞職勧告決議という事態の進行は、橋本派の崩壊的な危機であり、ひいては自民党そのものの最後的な危機である。
もともと小泉は、日帝経済の絶望的危機の中で、最後の「切り札」として出てきた政権で、その成立自体が日帝危機の極限的現れなのであった。そして小泉政権は、発足後最大の危機に直面している。小泉が倒れたら自民党は後がないのだ。鈴木問題の日帝にとっての深刻さはそこにある。
日帝・小泉は、この危機の労働者人民への転嫁、春闘解体、戦後の終身雇用制の解体を軸とする一大資本攻勢、首切り・賃下げの押しつけ、有事立法・改憲攻撃を決定的に強めようとしている。日帝の凶暴な攻撃は、敵のどん詰まりの危機の激しさゆえであり、余裕のなさの現れなのである。
野党各党のように、鈴木の私利私欲に走る所業を「国益を損なうもの」として「国益擁護」の立場から「批判」するのも間違っている。日帝の国益を追求することと政官財の癒着で利権をあさることは一体のものであり、帝国主義の腐朽性の一つの現れなのだ。
帝国主義が恐慌と戦争に向かって突っ走り、労働者人民がこれ以上の犠牲は耐えられないと感じ、大衆の活性化がこれまでになく強まっている。しかし、社・共、連合、全労連、JR総連は、帝国主義を打倒する勢力ではなく、その翼賛勢力として腐敗と無力性をさらけだしている。この中で、闘う春闘の復権をかけて、3・30春闘総行動が呼び掛けられていることは決定的に重要だ。動労千葉―動労総連合のスト決起に連帯して立ち上がろう。ここにこそ、「帝国主義を打倒する労働運動」をつくり出し、労働者人民が自己解放的に闘っていく道がある。
帝国主義、小泉・自民党、ブルジョアジーに対する怒りを底から総結集し、怒りの爆発を闘いとろう。
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週刊『前進』(2045号2面3)
労問研報告 95年日経連報告の貫徹狙い 終身雇用解体を宣言
2月26日付の日経新聞は、主要企業の半数が「終身雇用制を維持できない」と考えているとの調査結果を公表した。日経新聞は「年功的な日本型雇用慣行は急速に崩れてきた」と論評している。
02春闘は、この終身雇用制解体攻撃との歴史的な攻防として闘われる。
その観点から02年版日経連労問研報告を見ると、「雇用形態の多様化・柔軟なワークシェアリング」の狙いがはっきりする。
労問研報告では「日経連は従来から、基幹的従業員の長期安定雇用を柱に多用な雇用形態を組み合わせる『雇用ポートフォリオ』の考え方を提唱してきた。今後は、雇用環境の変化と個別企業の実情に即して、この考え方を徹底し、柔軟な応用動作を展開することが望まれる」と言っている。
さらに「すでに昨年10月、連合とはこうした共通認識に立って『「雇用に関する社会合意」推進宣言』を提起し、政府もこの労使合意を支援する姿勢である」と言う。
ここで言う「雇用ポートフォリオ」の考え方とは、95年5月に、日経連の「新時代の『日本的経営』」(新・日本的経営システム等研究プロジェクト報告)で提唱されたものである。〔ポートフォリオとは書類カバンのことだが、資本はそれを各種の証券・株式の組み合わせを意味する言葉として用いている。「雇用ポートフォリオ」とは、株式などと同様に労働力も自由に売り買いできるようにすべきということだ〕
この報告で日経連は「欧米先進諸国は、日本的経営について、いわゆる終身雇用慣行、年功賃金制度、企業別労働組合の3つを象徴的な特徴としてとらえている」が、「日本的経営の特質は、終身雇用慣行や年功賃金制度といった制度・慣行ではない」として、「制度や仕組みは、環境条件の変化に応じて変える必要がある」と、終身雇用制、年功賃金制度の解体を宣言した。
そうして具体的には、三つの雇用グループ――@長期蓄積能力活用型グループ(期間の定めのない雇用契約)、A高度専門能力活用型グループ(有期雇用契約)、B雇用柔軟型グループ(有期雇用契約)――に分けて、これらを効果的に組み合わせた「雇用ポートフォリオ」をつくるべきだというものだ。
@は管理職・総合職・技能部門の一部の基幹職に限られ、Aは企画、研究開発などの専門分野であり、大多数の労働者はBの「雇用柔軟型」にするということだ。Bは、時間給制・職務給で昇給はなし、退職金・年金もなしにするというのだ。しかも、「定期昇給」という言葉を、単なる「昇給」に言い換えている。
なお、「新時代の『日本的経営』」報告は、終身雇用制、年功賃金制度の解体を挑戦的に宣言しながら、「企業別労働組合=労使関係の基本的な機能・役割は今後とも維持されなければならない」「経営環境が常に変化し、それに柔軟に対応していくためには、企業別労使関係は従来以上に重視される」としていた。
その企業別労働組合を中心とする連合が、ついに日経連との「『雇用に関する社会合意』推進宣言」を結ぶところまで変質を遂げたことを見てとり、しかも日帝資本がどん詰まりの危機に追いつめられて、終身雇用制解体をあらためて宣言したのが02年版労問研報告である。この日経連路線への怒りを爆発させ、02春闘を闘おう。
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週刊『前進』(2045号2面4)
2002年 2月14日〜28日
陸・海・空・港湾労組20団体 有事法制反対の声明
東京と宮崎の賃金格差37%
雪印食品で全員解雇
●14日 失業者の増加を受けて、厚労相は失業給付の抑制と保険料の引き上げを含めた雇用保険の見直しを行うことを言明した。
◇繊維メーカーのクラレは定昇を半分に抑え、残りを能力給にすることを組合側に提案すると発表。
●15日 日経連の奥田会長は報道各社のインタビューで春闘解体の意向を語った。(3面参照)
◇厚労省は、2001年の賃金構造基本統計調査の都道府県別速報を発表。「現金給与額」は東京都が最も高く40万400円。最も低いのは宮崎県の25万2400円で、その差は37%に達する。
◇帝国データバンクによると、1月の負債額1000万円以上の倒産件数は19%増の1620件。負債額、件数とも1月としては戦後最悪。また、東京商工リサーチによると、昨年、企業の倒産により被害を受けた労働者の数は前年比5.5%増の22万680人と過去最悪を記録。
●18日 電機連合は、春闘に向けた中央闘争委員会を開き、ワークシェアリング指針の素案を提起した。(要旨別掲)
◇三菱電機は定昇制度を1年間凍結することを労働組合側に申し入れた。東芝も昇給幅を圧縮する方向で検討を始めた。
◇電力10社の労組は初のベア要求断念の春闘要求を会社側に提出。
●21日 日立製作所は就業規則で禁止している労働者の副業を、昨年11月から今年3月までの期間限定で認めていることを明らかに。
●22日 4月解散を決めた雪印食品は3月末で全労働者を解雇。
◇連合の緊急雇用実態調査によると、過去1年間で賃金カットが行われた企業は15.3%。提案を受けているところも加えると21.3%に達する。規模別では、9人までの小企業で37.2%と顕著。
●26日 陸・海・空・港湾労組20団体が「周辺事態法を発動する『有事法制』に反対し、幅広い共同行動を呼びかけます」との声明文を発表した。
◇連合の春闘第1回要求集計によると、平均賃上げ方式の平均要求額は、昨年を1843円も下回る6409円(引き上げ率2.0%)。
◇連合と同官公部門連絡会は連名でILO(国際労働機関)結社の自由委員会に「日本政府が公務員制度をILO87号条約などを正しく適用した制度に改めることを求める」との内容で提訴。連合がILOに提訴するのは初めて。
◇日経新聞が行った調査によると主要企業の半数が終身雇用を維持できないと考えている。
●28日 日本精工は全労働者の定期昇給制度を廃止する方向で労働組合と協議に入った。
◇宿直勤務中の仮眠時間は労働時間に当たるとの判断を最高裁が示した。
◇勤務開始前や終業後の点呼、引き継ぎが労働時間に当たるとの判断を東京地裁が示した。
電機連合の「雇用の確保・創出に向けた考え方(素案)」
ワークシェアリングの具体化として以下の4点を確認。
(1)労働時間の短縮と賃金の減額による緊急時のワークシェアリング
(2)半年や1年を超える長期帰休・休業制度
(3)ラインあたりの班編成を増やすことで1人あたりの労働時間を短縮する交代制勤務制度
(4)地域別の賃金カットが前提の地域限定勤務制度
特に、長期一時帰休について、@従業員としての身分は在籍のまま、A休業(帰休)期間中の賃金は一定の範囲で保証、B期間中の兼業を認める、C期間中を「活用」した実習型教育訓練制度の新設を検討、などというもの。これは実質的にレイオフ(一時解雇)そのものだ。
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週刊『前進』(2045号3面1)
春闘解体をうち破り小泉政権打倒、国鉄闘争勝利へ総行動を
“妥結の展望が見えない” 定昇廃止に全面屈服の連合
3月に入って春闘情勢は一層激烈な様相となっている。連合の屈服につけ込んだ経営側が、賃下げと終身雇用制解体を意味する定昇凍結・廃止を始めとした「逆提案」を相次いで行っているからだ。
この攻撃は戦後労働者支配のあり方の反動的転換を狙うものであり、それを許せば労働者はばらばらにされ、労組的団結は破壊されて、ついには戦争動員を許すことになる。もう我慢できないという声が満ちあふれている。動労千葉の72時間ストライキのように実力で闘おう。連合、全労連指導部の裏切りをのりこえて労働運動の荒々しい復権を実現し、闘う春闘を再生することが文字どおり死活的に求められているのだ。以下、今春闘の現状を概観する。
5割の企業「終身雇用維持できぬ」
今春闘は、3月13、14日の大手の回答に向かって最大の山場にさしかかっている。例年ならば一定の妥結水準が明らかになる3月上旬になっても、自動車、電機、鉄鋼などの大手産別で軒並み「妥結の展望がまったく見えない」という異常な状態にある。
これは、経営側が、1月の日経連「労問研報告」の「賃上げは論外。定昇見直しも」という路線どおり、連合のベア要求放棄の屈服路線につけ込んで、電機を中心にベアゼロどころか定昇の凍結・廃止と、賃下げの逆提案を次々に行っており、連合指導部が「今年は異常事態。従来の延長線上では対応できない」と対応不能に陥っているからだ。
特に、今春闘では経営側の定昇廃止の攻撃がきわだっている。産労総合研究所のアンケート調査では、今春闘で定期昇給見直しを考える企業は約6割にも達している。この背景には、日本の企業が終身雇用制を維持できないと感じている事実がある。日経新聞の調査によると、終身雇用制を将来も堅持するとした企業はわずか19・5%で、53・9%もの企業が見直しを検討しているのだ。
三菱電機では経営側が、定期昇給の停止と、基本賃金の切り下げなどを提案。また松下電工や三洋クレジットは定昇制度の廃止を、キヤノンでは定昇とともに春闘そのものを廃止し、賃金は毎月労使協議会で成果主義でもって決定することを労組が認めた。JAMでも日本精工で定昇を廃止し、所定内労働時間を1時間短縮し、基本賃金を6%程度カットするワークシェアリングを導入することになった。これをJAM型ワークシェアリングと称しているのだ。
定期昇給は、すでに明らかなように現在の賃金構造と水準を維持するものであって、資本にとって「総額人件費」の増加をもたらすものではない。にもかかわらず資本がベアゼロにとどまらず定昇破壊に攻撃の狙いをしぼってきているのはなぜか。
それは、単に賃下げを強行するだけでなく、定昇と一体の年功賃金制度と終身雇用制、すなわち戦後の労働者支配のあり方を資本の側から暴力的に破壊し、不安定雇用にたたき込むところに狙いがあるからだ。95年日経連「新時代の『日本的経営』」路線を百パーセント実現することなしには生きていけないほど日帝・資本は追い詰められている。
ワークシェア賃下げ認めた連合
29年型世界大恐慌の爆発過程に追い詰められた日帝・資本の攻撃に対して連合指導部はぶざまな屈服ぶりをさらけ出している。
連合は2月7日に開催した中央委員会で、「ワークシェアリングに関する基本的考え方(案)」を決定したが、そこで「労働者は、時短にともなう一定の収入減(時間当たり換算額は不変)を容認する」とワークシェアリングによる賃金カットを正式に容認した。
現に4月からの導入を決定した三洋電機のワークシェアリング制度は、最大で1人当たり、月間約38時間(5日分)労働時間を短縮して、基本給を最大20%カットするというものだ。電機連合の推進するワークシェアリングは、このような操業短縮分の賃金カットと、長期一時帰休(実質レイオフ)の容認である。
春闘まっただ中の2月15日、日経連の奥田会長は記者会見で、春闘解体・破壊宣言を行った。
「首切り自由」を宣言した奥田
奥田はまず、「大部分の労組がベアを要求していない。現在の経済の厳しさを理解し、労使協調的な交渉を進めている労使の姿勢が見え、高く評価している」などと連合の屈服につけ込む姿勢を明らかにした。
定昇制度について「昇給曲線を見直す可能性はある。会社によっては賃下げするところも出てくる」などと年功賃金破壊の意図をむき出しにした。
ワークシェアリングについて、「85%が導入に反対しているというアンケート結果もあるようだが、我々が提案しているものは緊急避難型だ」と、日経連の狙うワークシェアリングが、単なる賃下げを意味する緊急避難型なのだということを強調している。
さらに連合がベアゼロと定昇凍結・廃止、賃下げを容認してまで求めている雇用安定協定について、「賃金や雇用契約が硬直的になり身動きがとれなくなる。個人的には結ばなくてもいいと考える」などと、連合がいくら屈服しても首切り自由の権利は手放さないと言うのだ。闘わなければ雇用維持もできない。
奥田発言への怒りを組織し、春闘総行動に職場から総力決起しよう。
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週刊『前進』(2045号3面2)
韓国 “発電売却撤回しろ” 弾圧はねのけスト続行
韓国の発電産業労組は、2月25日午前4時25分ゼネスト突入以来、11日目のゼネストを続行中だ(3月7日現在)。「労働者の生存権を売り飛ばす発電売却を撤回しろ!」という要求を一歩も譲れないものとして掲げ、イホドン委員長以下スト指導部に対する会社側の告訴・告発、逮捕令状発付という弾圧下、組合員の98%がスト隊列を堅持して歴史的なゼネストを家族ぐるみで貫いている。
金大中政権はIMF管理体制下で労働者階級に過酷な犠牲を強いることで延命してきた。整理解雇制が導入され、大企業のリストラ、公企業の分割・民営化・海外売却攻撃が激しく吹き荒れている。
25日早朝、国家基幹産業民営化・海外売却阻止を掲げ、鉄道・発電・ガスの3労組が民主労総、韓国労総の指導下でゼネストに突入した。スト前夜、発電とガス労組5千人がソウル大に、ソウル地域鉄道労組3千人は建国大に集結した。発電労組300人は済州でも拠点を設けて集結。ソウル大では学生たちが道路を占拠し、権力と激突して労働者の進入路を保障した。3労組委員長以下指導部は明洞(ミョンドン)聖堂に入った。
25日には民主労総の公共連盟傘下の全国社会保険労組、韓国電力技術労組、地域暖房公社労組など約1千人が連帯ストを闘い、26日には金属産業連盟傘下113万人が連帯ストライキを展開した。解雇撤回を要求し400日を超えるストを続ける韓国通信契約職労組は、組合員100人がソウル大死守隊となり労働者の連帯闘争の先頭に立った。
25日昼、ガス労組妥結、次いで27日早朝に鉄道労組が妥結した。日帝植民地時代から続く一昼夜交替勤務制の3組2交替勤務制への変更などが合意書に盛り込まれたが、建国大でろう城中の組合員は、民営化撤回のない合意は納得できないと金在吉(キムジェギル)委員長に詰め寄った。
スト拠点への公権力の投入が切迫する中、発電労組は電撃的に「散開闘争」に入った。26日夜、ソウル大から組合員5千人が消えたのだ。以来、5人から10人で500余のチームをつくり、中央争議対策委員会(スト状況室)と連絡網を張り、金大中政権を恐れさせる驚異的な団結力を示して闘っている。「同志たち! われわれは、発電労働者と全労働者のための、歴史的な闘争の主体としてそびえ立ちました」「勝利が迫っています。少しも乱れず、中央争対委の闘争命令によって、最後の復帰命令まで闘いましょう!」
3月5日、韓国ガス公社労組は臨時代議員大会を開き、満場一致で韓国労総を脱退、民主労総に加入を決定した。3月24日には30万人の公務員労組が創立大会を迎える。民主労組として誇り高く闘う発電労組ストの熱波は、これを暴力的に弾圧しようとする金大中政権と全面激突しながら、南朝鮮での階級闘争を大きく推し進めている。
今や金大中政権と労働者階級は非和解であり、労働者階級が生きるためには打倒に攻め上るしかない。3・21小泉訪韓を見すえ、民主労総は3月15日、韓日投資協定国会批准阻止のための闘争決意大会を開く。段炳浩(タンビョンホ)委員長と拘束労働者の奪還へ、ワールドカップ情勢下での賃団闘(賃上げ闘争)へ、闘いは激しく進む。
不屈に闘う発電労組ストライキを断固支持し、連帯表明を届けよう。闘う韓国労働者人民と連帯し、3・30春闘総行動に立とう。今が小泉政権打倒の時だ!
◎発電産業労組 2000年12月、金大中政権は韓国電力の分割・民営・海外売却を狙う「電力産業の構造改編促進に関する法律案」を国会に提出した。韓国労総傘下の韓国電力労組はストを構えて阻止闘争に立ったが、スト撤回−妥結。その後、与野党一致で法が成立、01年4月に5つの発電会社が韓電から分離した。労組も韓電労組から分かれ7月に発電産業労組を設立して民主労総に加盟した。会社側は労組を認めず弾圧を続けた。イホドン委員長以下組合員5609人。
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週刊『前進』(2045号3面3)
介護保険・国民健康保険
命奪う罰則制度なくせ 生きる権利掲げて闘おう
介護保険が強行実施されて丸2年を迎えようとしている。この間、介護保険の実施によって数々の悲惨な現実が生み出されている。
何よりも、お金がないために介護保険が受けられない現実が強制されている。要介護認定を受けた人でも利用率は6割にとどまる。お金がないために介護保険を受けることをあきらめた人、手続きが難しいために介護を受けたくても受けられない人がいる。
こうした中で、老老介護世帯の衰弱死、孤独死、あるいは介護疲れによる心中などの悲惨な事件が膨大に生み出されている。
さらに重大な問題は、この大失業攻撃のもとで介護保険料が上乗せされたために国民健康保険の保険料が払えなくなった世帯数が激増していることである。しかも介護保険制度の導入で保険料滞納者への制裁措置(罰則)が決められた。これが医療にも貫かれることになり、保険料を払えない人から介護や医療が奪われているのだ。こうした中で昨年10月、第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料が倍額に引き上げられた。
厚生労働省の昨年6月段階の調査によると、国保の保険料を払えず滞納している世帯が390万世帯に上っている。そして保険料滞納によって短期保険証に切り替えられた世帯が69万世帯、資格証明書に切り替えられた世帯が11万世帯に上っている。保険料の滞納世帯数は介護保険の実施によって急激に増えている。
資格証明書に切り替えられた場合には、医療にかかったときはいったん窓口で全額を自己負担で払い、その後1カ月の領収書をまとめて役所の窓口で償還払いの申請を行い、その約2カ月後に保険給付が受けられるということになる。実質的に医療が受けられなくなるのである。実際に保険医団体の統計で、資格証明書による受診率は国保証による受診率の20分の1だという。多くの人が医者にかかるのをやめてしまうのだ。
何よりも、罰則によって介護保険給付そのものが受けられなくなるのだ。介護サービスを受けている人が1年間滞納すれば「現物給付」から「償還払い」となり、いったんは全額支払わなければならない。1年半滞納すれば「現物給付」の一部または全部が一時差し止められる。
現在介護サービスを受けていない場合でも、介護サービスを希望し要介護と認定されても、介護サービスを受ける時に、滞納した期間に応じて自己負担が1割から3割に引き上げられる。64歳以下の第2号被保険者の場合も、特定の病気で介護保険サービスを受けている場合、1年間滞納すると償還払いにもならず、給付の差し止めから始まることになる。
実際に80歳になるAさんは、年金が月額1万5000円未満のため介護保険料の天引きができなかった。Aさんは娘さんの援助でかろうじて生活しており、体が不自由なため週2回のヘルパーの介護を受けていた。自治体は、介護保険料を支払わないと罰則を適用すると言い、2月6日に「介護保険給付の支払い変更予告通知」を送りつけて償還払いにすると言ってきた。Aさんは「貧しい年寄りを殺す気か。私を餓死させるのか」と怒っている。
介護を資本のもうけの手段としたために起こっている事件・事故など、矛盾が様々な形で表れている。この上さらに医療制度改悪が強行されようとしている。健康保険の医療費の本人負担が2割から3割に引き上げられ、高齢者医療でも対象年齢が75歳に引き上げられ、医療費自己負担の月額限度額が引き上げられるなど大改悪が行われようとしている。
介護保険に対する労働者人民の怒りが全国で高まっており、各地で不服審査請求などの闘いが起こっている。こうした怒りの中で介護保険料の減免を行っている自治体が310に上った。この現実は、高齢者を始めとした労働者人民の怒りの決起で介護保険を廃止に追い込むことができることを示している。「介護は全額公費負担で」「必要な人に必要な介護を」のスローガンを掲げて広範な決起を巻き起こしていこう。
昨年12月9日、「介護保険に異議あり、全国ネットワーク」の結成総会が開かれ、全国にこの運動を広げようとしている。そしてこの3月29日に介護保険と国民健康保険の罰則制度をなくさせ、医療制度改悪を阻止するための国会行動が闘われようとしている。高齢者を始め労働者人民の生きる権利を掲げ、この闘いにともに決起しよう。
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週刊『前進』(2045号3面4)
関西 “新百万署名を” 有事立法阻止へデモ
関西の百万人署名運動を中心とする反戦勢力は、自衛隊派兵と有事立法の3月国会上程に対し、400人近い仲間が大阪市天王寺区民センターに結集し「アフガニスタン侵略反対・戦争法と憲法改悪をとめよう!2・10集会」を行い、デモを貫徹しました。(写真)
兵庫と学生の百万人署名運動の司会で、冒頭「パレスチナレポート2001」の上映とパレスチナ難民支援を長く続けてきた関西連絡会世話人の村山盛忠さん(日本基督教団阿倍野教会牧師)の講演を受けました。帝国主義の侵略戦争とパレスチナ人民抑圧の事実は、私たちへの鋭い糾弾として突きつけられました。
関西連絡会世話人で弁護士の大野康平さんが「有事立法・改憲攻撃の背後にはかつてない経済危機がある。既成勢力の屈服を突き破り、昨年の教科書闘争のように、人民大衆の手で未来を切り開こう」と基調提起を行いました。
続いて学生連絡会から京都大学の闘いの特別報告と、婦民全国協の全国キャラバンの報告とカンパアピールが行われました。
闘いのアピールの最初に、「日の丸・君が代」処分と闘う大阪の教育労働者が「処分を受けた7人が呼びかけて90人で集会を行い、処分反対共闘会議を結成した」と発言。名護市長選に多数が決起した全学連から宮城啓副委員長が名護新基地建設阻止を訴え、全体で確認しました。
全国金属機械港合同の中村吉政副委員長は「港合同は倒産争議を闘ってきた。元気の出る春闘を実現しよう」と訴えました。
部落解放同盟全国連合会の滝岡広治統制委員長は1・24狭山異議審棄却を激しく弾劾し、「部落解放は労働者階級の解放と一体で実現できる」と訴え、万雷の拍手で確認しました。
続いてアジアの平和を考える京都若者の会からのアピールがあり、最後に百万人署名運動の兵庫・奈良・中河内・北摂・京都の代表が登壇し、「6月までに100万人の署名を達成しよう」とまとめました。その後集会宣言を採択し、大阪一の繁華街である難波まで元気にデモ行進しました。
(兵庫・労働者 J・Y)
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週刊『前進』(2045号3面5)
A 開港阻む反対同盟(下)
実力闘争で守った拠点
青年行動隊「団結の家」(D)は、反対同盟の一坪共有地に建っている。青年行動隊の会合や支援連の休憩所に使っていた建物だ。
ところが土地の所有権の一部を取得した公団が90年2月、共有者である反対同盟には一言の連絡もなく、「土地の共有者の管理権の行使」と称して数百人の機動隊を動員、建物の周りに鉄パイプを打ち込みフェンスを張り、扉を付けカギをかけて封鎖した。
中をのぞくと、ほこりが積もっているが当時のままだ。毛布や旗ざおなどが見える。突然の理不尽な封鎖だった様子がうかがえる。
しかし反対同盟が存在する限り、それ以上のことはできない。今も滑走路を阻む反対同盟の重要拠点だ。
団結の家の南側に東峰墓地がある。ここには大木よねさん、萩原作治さん、川嶌邦夫さんら故人となった反対同盟員が永眠している。墓地の前で、71年の強制代執行にただ一人立ちはだかった大木よねさんのことをしばし考えた。この地が権力に奪われてはならないとあらためて思う。
市東孝雄さんの家屋と畑(E)は、誘導路に隣接している。母屋は、孝雄さんの父東市さんが84年5月に新築した。当時、東市さんは「三里塚に権力万能神話は通用しない。われわれは絶対勝つ。新築はその決意の一端だ」と語った。
市東さんの住む天神峰は、九十九里浜へ流れる川と利根川の分水嶺で、下総国と上総国の境界線の峰というのがその名の由来だ。
家の前の畑には「空港絶対反対・農地死守/暫定滑走路建設強行実力阻止!」と書いた大きな看板があり、夜はライトアップされる。この看板は、県北部地域全体でかなり有名だ。
畑は白菜の収穫が終わり、春の種まきを待つ。畑の平らな所では切り干し大根が天日干しされていた。
天神峰現闘本部の北にも市東さんの畑がある。この畑と現闘本部、北原鉱治事務局長名義の一坪共有地の存在が誘導路を「へ」の字に曲げ、着陸帯を半分にしている。畑の大きさは約5反。小松菜や空豆などを植えているそうだ。
団結街道の途中に要塞のようにそびえ立つのが天神峰現地闘争本部(F)だ。現闘本部は、反対同盟の本部事務所で、幹部会や実行役員会もここで行われた。また反対同盟の公民館的な存在として農作業や作付けについて農民が相談した場所でもある。66年12月、反対同盟が材料を持ち寄り、自分たちの手で建てた。
現在の現闘本部は88年9月、わずか5日間の突貫工事で増築・強化されたものだ。3階建て高さ9bの鉄骨の建物。壁には「農地死守・空港廃港/強制収用粉砕・二期工事阻止」と書いた大きな看板があった。
現闘本部は90年1月、成田治安法による封鎖処分を受けた。成田治安法は、成田空港周辺3`以内の建物について、運輸(国土交通)大臣の認定だけで使用禁止や強制撤去できるという希代の悪法だ。
反対同盟は全員がろう城の決意を固めていた。ところが封鎖前日、警察が「家宅捜索」「現場検証」と称して翌朝まで占拠、そのまま運輸省に引き渡し封鎖した。なんという卑劣さ!
しかし分厚い鉄板と有刺鉄線で覆われた現闘本部は、敢然と空港を阻む。
一坪共有地は敷地内外に26カ所ある。郡司一治さん名義の共有地は、滑走路着陸帯の脇に492平方b。現闘本部の近くにあり誘導路を曲げているのが北原事務局長名義の共有地だ。空港は共有地の「穴」だらけだ。2月17日、反対同盟は顧問弁護士とともに実地調査、暫定滑走路の「惨状」を直接確認した(G)。自然に口からこぼれた言葉が「造っちゃいけない所に造ったことが問題だ」
反対同盟の拠点は、国家権力の暴虐に抗して36年間、体を張り血を流して守ってきたものだ。「農地死守・実力闘争」の不屈・非妥協の36年の長い闘いの歴史の上に存在するのだ。三里塚闘争は必ず勝利する−反対同盟の自信と確信がここにある。
(本紙・水野慶太)
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週刊『前進』(2045号4面1)
解同全国連が歴史的大会 “戦争・差別きりさく5万人組織を”
狭山10万人決起へ大方針
3月3―4日、大阪・森ノ宮ピロティホールと荒本解放会館で部落解放同盟全国連合会第11回全国大会が開かれ、差別と闘う部落大衆、労働者、学生、市民1380人が全国から結集し、大成功した。大会では、無実の石川一雄さんと連帯し1・24狭山異議審棄却を徹底糾弾し、特別抗告審―再審勝利を誓い、そのために全国連5万人組織を建設し、10万人の狭山決起を実現する決意を固めた。小泉政権の戦争国家化攻撃の中、5万人組織建設、70年代を超える狭山決起、部落解放運動への歴史的な一歩となった。
石川一雄さんとの血盟誓う
大会第1日は、議案の提案、狭山闘争への決意、各地の闘いの特別報告、同住連(同和住宅家賃値上げ反対全国連絡協議会)の報告が行われた。
解放歌が斉唱され、荊冠(けいかん)旗が続々と入場する中、開会した。南畑安太郎大会運営委員長が開会を宣言。議長団、書記の選出後、石川辰衛副委員長が主催者あいさつに立った。「全国連は1・24異議審棄却を絶対に許さない。棄却決定を木っ端みじんに打ち砕き、再審無罪をかちとるまで闘うことを宣言する。地対財特法が3月末に期限切れとなるが、戦争と差別の時代を切り裂く全国連5万人組織を建設し、差別糾弾を基軸に闘う。9・11ゲリラは、差別され殺され続けてきたアラブ人民の命をかけた反撃の闘いだった。アメリカはこれを口実にアフガニスタン侵略戦争を強行している。〃侵略戦争をやめよ”の声を堂々と上げよう。6千部落、300万部落民の総団結をかちとろう」と熱烈に訴えた。
来賓として、山川博康部落解放東日本共闘会議事務局長、結柴誠一都政を革新する会代表、小西弘泰高槻市議、西村綾子婦民全国協代表(相模原市議)、うえだ下田部病院の代表、伊藤信晴三里塚反対同盟事務局員、繁沢敬一動労千葉副委員長、国賀祥司泉佐野市議(関西新空港反対泉州住民の会)、天田三紀夫革共同書記長、大野康平弁護士が紹介された。伊藤、繁沢、国賀、天田、大野の5氏が発言、1・24異議審棄却決定を弾劾し、ともに闘う決意を表明した。(天田書記長あいさつは別掲)
楠木吉秀事務局長が活動報告案を提起した。「狭山闘争の勝利こそ部落解放運動の歴史的課題であり、300万部落大衆の悲願である。全国連は狭山再審・特別抗告審闘争の勝利の責任をとり、実際に勝利する。石川さんとの血盟にかけて、全国連は狭山闘争に勝つために何でもやる。2―3年のうちに全国連5万人組織建設を達成し、10万人狭山決起を実現しよう。時代は9・11、10・7で一変した。小泉政権のもと、戦争と大失業、差別の大洪水が起こっている。主流派としてやっていこう。組織3原則(機関建設、機関紙・誌、財政闘争)を実践し、団結を強めよう。各地でさまざまな闘争委員会をつくって闘う。理論闘争を活性化させよう。第二、第三の荒本をつくり、茨城、長野に次ぐ県連をつくろう。必ずできる」と強調した。
中田潔書記長が運動方針案を提起した。まず、1・24狭山異議審棄却に対する糾弾闘争陣形づくりと、3月法期限切れ―同対事業打ち切りの中での部落解放運動づくり、という2つの課題を明らかにした。そして、「1・24決定と法打ち切り―同対事業全廃は部落解放運動の絶滅・解体を狙いとしている。大阪・寝屋川市の国守(くにもり)地区では、解同本部派が支部を1年間休業すると宣言した。本部派の容認のもとに診療所閉鎖、中学給食廃止、保育料・家賃値上げ、奨学金廃止、廃品回収事業施設有料化・一部廃止など、次々と事業が打ち切られている。この中で部落大衆が急速に組織から離れている」と現状を暴露した。
さらに「小泉政権は、戦争国家化をめざし、今国会で有事立法を制定し、来年は改憲に進もうとしている。これが小泉の『構造改革』だ」と小泉政権を批判した。「本部派は解放運動とは呼べない腐り切ったものに成り下がった。1930年代の全国水平社は、差別糾弾闘争の代わりに経済闘争、生活向上を差別解消の唯一の道として『部落委員会活動』を推進し、結局は侵略戦争翼賛勢力に転落した。解同本部派は今日、糾弾闘争は新たな差別を生み出す、差別者にも人権があると言って糾弾闘争を投げ捨て、警察権力への告訴に頼る運動になった。戦前の水平社の過ちを繰り返してはならない」と述べた。
差別糾弾闘争を軸に部落大衆の総団結へ
中田書記長は組織建設について、「5万人組織建設は困難もあるが、待ったなしだ。10万人の狭山決起、戦争に向かう小泉政権の打倒、大失業、差別のあらしの前に立ちはだかり、生活と生命を守る全国連の登場が待ち望まれている。できるかどうかは闘い方次第だ」と述べ、全国でかちとられている勝利的な闘いの例を挙げた。「大阪の荒本では診療所を守り、ケア・センターを立ち上げ、就労保障もかちとった。法や事業の枠を越え、部落大衆の基盤に立って闘えば要求闘争は必ず勝利できる」。
そして「支部をしっかりと建設しよう。村の現状をつかみ、主流派として村全体を獲得する青写真を作ろう。少数点在部落の多い関東では、労働者階級との共同闘争がかぎだ。労組交流センター、部落解放共闘会議と協力して闘おう」と組織建設の方針を示した。
さらに「アラブ人民が自らの体を武器として生きて帰ることのない闘いに決起するのは、帝国主義によって極限的に苦しめられているからだ。全国連を5万人にし、実力糾弾闘争を復活させ、労働者人民10万人の決起で狭山再審勝利をかちとろう」と実力闘争の復権を熱烈に訴えた。参加者は両報告に拍手と歓声でこたえ、圧倒的な確信をもって5万人組織建設を実現する意欲をみなぎらせた。
役員人事案が提案された。中央執行委員長に瀬川博(大阪・荒本)、副委員長に石川辰衛(茨城・中田)と村上久義(福岡・甘木)、書記長に中田潔(大阪・荒本)、事務局長に楠木吉秀(同)、中央統制委員長に滝岡広治(大阪・野崎)の各氏が推挙された。
カンパ・アピールの後、各地の婦人と青年が狭山闘争勝利への決意を表明した。それぞれが石川一雄さんと自らの解放をかけて1・24異議審棄却決定に対する怒りの糾弾闘争に決起したことを語った。茨城の婦人は、棄却決定の知らせを聞いて、雪まじりの雨の中、直ちに署名を集め、自ら要請文を書いた。東京高裁の門を開かせ、書記官に要請文を突きつけた。「捨て身の糾弾闘争で国家権力を震え上がらせよう。『女の一念、岩をも通す』の信念で5万人組織建設を実現しよう」と力強くアピールした。長野、兵庫、荒本の青年は「裁判所、国家権力をつぶす」「高橋裁判長を八つ裂きにしてやる」と、石川さんとの連帯、実力決起の決意を表明した。
特別報告として、兵庫の差別糾弾闘争、長野県連結成報告、住宅・医療・介護要求闘争について報告が行われた。長野県連は、12月に結成大会を開き、青年を先頭に大会に参加した。
同住連の数十人が登壇、各地の世話人が高らかに闘いの報告を行った。「11月2日に国交省との交渉で国の責任者に応能応益制度は違法であることを認めさせた」「2月14日、奈良地裁における橿原(かしはら)裁判で値上げ家賃取り立ての仮執行が却下された。橿原市は私たちから1円のカネも取れない。『部落差別は厳存する。数百年の部落差別が30年の同和対策で解決できるとは考えられない』と裁判所が公言した。実質的勝利だ」と晴れ晴れと語った。同住連は差別を許さず、勝利に向かって着実に前進している。
最後に、狭山闘争、住宅家賃値上げ反対、介護要求、有事立法・改憲阻止の4つの決議案が読み上げられ、「差別裁判うちくだこう」の斉唱、村上久義中執のまとめと団結ガンバローで締めくくられた。
第2日は、分科会と全体議事が荒本解放会館で行われた。狭山―差別糾弾闘争、生活要求闘争、共同闘争、組織建設の4つの分科会で、活発な討論、経験交流がなされ、運動方針案の内容が具体的に深められた。全体会議では、本部答弁と全議案採択が行われて2日間の議事を終了した。
第11回大会をもって全国連は、5万人組織、10万人狭山決起を実現する偉大な闘いを開始した。全国連の闘いに学び連帯し闘おう。
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週刊『前進』(2045号4面2)
革共同・天田書記長のあいさつ 全国連に連帯し小泉政権打倒へ決起する
全国連の皆さん。革共同は11回大会に心から連帯します。1月の狭山異議審棄却決定、3月の地対財特法打ち切り・同和対策事業全廃の攻撃に対して、革共同は全国連の皆さんとともに小泉・自民党政権を打倒するために総決起します。
1・24異議審棄却攻撃は、部落差別を開き直り、部落差別を扇動し、労働者階級と被差別人民を侵略と戦争に駆り立てる攻撃です。しかし、小泉・自民党政権の「聖域なき構造改革」路線は完全に破産しています。全国の労働者階級人民は、小泉に対する不支持を表明しています。情勢は完全に変わりました。昨年の9月の反米ゲリラ以来の情勢の中で、小泉への支持と不支持が逆転する情勢が到来しています。私たちは、戦争をなくすために小泉・自民党政権と根底的に対決し、労働者階級と被抑圧人民、被差別人民が社会の主人公になるような時代を、21世紀冒頭、切り開こうではありませんか。
そのためには、全国連の5万人組織建設、階級的労働運動の前進、私ども革共同が社会党、日本共産党に代わる労働者党として日本の社会に物質力をもつ不退転の勢力として登場することが今日、求められています。日本帝国主義が危機にのたうち回り、有事立法・改憲攻撃を激化させ、差別を扇動しています。この2002年、03年、時代を切り裂くために頑張っていきたいと思います。
全国連5万人建設と動労千葉を先頭とする3労組共闘と階級的労働運動の前進、革共同の飛躍的な前進――これらを実現することが部落完全解放、日本帝国主義打倒、命をかけて戦っているイスラム諸国人民との連帯、韓国の労働者人民との連帯の道だと思います。11回大会を突破口にして、革共同は全力で闘うことを誓います。
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週刊『前進』(2045号4面3)
今こそ「教え子を再び戦場へ送るな」を掲げて!
第6回 福岡
谷山明さん(小学校) 鈴木健二さん(小学校) 八神純平さん(小学校)
人事異動要綱改悪 教委の意のままに異動を強制
連合派を倒し団結つくる
同一校勤務3年で異動の対象に
――異動要綱改悪について聞かせてください。
谷山 昨年10月、組合の臨時人事委員長会で「人事異動要綱が改悪されそうだ」という話が出てきました。昨年12月の校長会で「人事異動要綱の見直しについて」という文書が出され、1月には各職場で校長が説明しました。2003年4月の人事異動から導入しようとしています。
改悪点は大きく2点。まず、同一校に3年いる人は全員「異動希望調書」を提出しなければならない。そして異動対象校は「福岡市内の7つの行政区のうち3つを選べ」となる。これまで約20校だった異動希望対象校が一気に約60校になり、教員の意向、希望がほとんど無意味となります。
福岡市では80年代半ばまで、希望校を順位をつけて3〜5校書く方法で、同一校勤務は9年でした。それが80年代後半の人事異動要項改悪で学校群制度になり、異動希望対象校が実質的に3倍に増え、同一校勤務は7年に変わりました。当時は、職場で分会長が本人の希望を聞き、校長に「本人の希望どおりに書け」と書かせていたものです。それが学校群制度導入により、それまで組合が握っていた人事権が教育委員会に移り始めたわけです。
八神 背景には80年代半ば、福岡における解放教育の盛り上がりに対する「教育正常化運動」がありました。解放教育を熱心にやる教育労働者に対し、自民党の下部組織が名指しで「アカ教師」キャンペーンを張り、授業観察にも来た。そういう中で、拠点校をつぶそうと出てきたわけです。
谷山 でもその改悪によっても教育委員会が自由に人事異動をさせるとはならなかった。いよいよ今回の改悪で、教育委員会の意のままの人事を強行しようってことなんです。
八神 教育委員会があくまで固執したのは、留任希望者も異動させることができるという項目です。今までは自分から希望を出さない限り、同一校に7年間いた。それが同一校で3年経った教員は留任を希望しても異動させられる。
谷山 結局、実質的に指導力不足教員制度に該当するものだと考えています。邪魔な人間は教育委員会や管理職の判断で次々職場を変え、辞めざるをえない状況に追い込む。「管理職に反抗するとクビが危ない」って恫喝で「物言わぬ教師」にしていこうと。
八神 現場は危機感を持っています。今年4月の人事異動は従来の制度なので、「来年はどこに行かされるかわからない。異動するなら今年中だ」と、異動希望者が殺到している。
――組合の対応は?
鈴木 僕らは全員動員の行動を起こせ、討論集会を開け、と言ってますが、執行部は反対行動は一切起こしません。10月に組合員の要望書を教育長に提出し、11月に教育委員会に質問状を提出して終わりです。
しかし団結を固めて闘う中でそれでも強行したとなれば、今後、闘い続ける力になっていきます。今、闘いが最も大事です。
――教育現場が多忙化していると言われますが。
鈴木 まず勤務時間の改悪です。福岡では4年前までは8時30分勤務開始、5時勤務終了で、途中45分間の休憩時間があり、7時間45分の勤務時間だった。それが4年前、最後に15分間の休息時間が加えられて、5時15分までとなった。
谷山 「5時になったら仕事をやめ、15分間の休息をとってから帰れ」という理屈なんですが、実際はこの15分間は居残って仕事する時間になっただけで、結局5時15分を過ぎてもずっと残業させられている。
「多忙化」も職場支配権の問題
八神 「校務分掌」の係がどんどん増えていることも大きい。以前は職場支配権を僕らが持っていたから、教育委員会が何か言ってきても、不要な係をつくらせなかったのに。
谷山 学校ごとに300くらいの係がある。教科研究や行事など以前からある係もありますが、最近教育委員会に言われて設置された係が多い。「国際理解教育」「いじめ対策委員会」「学校創意委員会」「ゴミ減量リサイクル推進委員会」等々。教員が20数人の学校も7〜8人しかいない学校も、すべて担当者を割り振って決めるわけです。
八神 係が集まって話し合い、職員会議に提案して一つひとつ議論する。他方、隔週土曜休みで物理的に時間は減っている。それは忙しいですよ。池田小事件を受けて「危機管理研修」をやったり全教室にトランシーバーやブザーを設置したり、なんてことが教委からどんどん持ち込まれる。何の役にも立たない。必要だと思ってもいない仕事ばかりで「やらされてる」って感覚はものすごく強い。分会会議の時間を確保するのも大変です。
谷山 子どもたちの方を向いていたらそんなことに力を入れるのはおかしい。親の仕事などの関係で体操服をきちんと洗って持ってこれるかどうもわからないような子どもに「リサイクルしよう」とか「朝10分間読書をしよう」なんて言うより「昨日飯食ったか?」って聞く方が先でしょ?
八神 子どもをめぐる環境悪化も多忙化につながっている。不登校や朝学校に来ない子どもが増えた。親が失業したり、夜遅くまで働いていて遅くまで起きているから朝起きられなかったり、確かに仕方がないって状況なんですよ。でも僕らはそれに対応して、朝に電話かけたり、休み時間に家に迎えに行ったりしてどんどん忙しくなっている。
谷山 組合がこういう事態に対してなんら闘わないから、現場が多忙化するんです。多忙化っていうのは力関係の問題です。
結局は、労働者の団結をつくりあげていく以外に克服できん。人事異動要綱など一つひとつの攻撃に対して職場闘争をがりがり闘い、団結をつくり出していかなくてはならない。
八神 僕らも「組合内の批判勢力」ではやっていけない。連合派の組合執行部を倒し、闘う方針を出す組合にしないといけん。「今こそ反戦闘争を闘う組合を」ってことがすごく大事です。目の前の戦争と闘わなかったら、何のための日教組なのか。でもみんな危機感は持ってますし、その危機感を糾合する方針を打ち出せるかどうかです。責任は重いと思っています。
(聞き手/本紙 大西 晶)
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週刊『前進』(2045号4面4)
“教基法改悪反対” 千葉高教組が500人集会
2月9日、千葉県高等学校教職員組合の主催する「教育基本法・憲法改悪反対/『日の丸・君が代』強制反対/千葉県民集会」が千葉県教育会館で開かれた。昨年・一昨年同様、多くの右翼の街宣車が大音量で会場周辺を走っていたが、組合員と市民、小・中学校の教職員が数多く参加し、500人を集めた。
主催者あいさつは委員長が行い、国労千葉地本書記長が、国鉄闘争勝利に向け闘っていくとあいさつした。基調報告は、集会を契機に憲法・教育基本法改悪を許さない広範な取り組みを開始し、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを高く掲げて闘うことを明らかにした。
長谷川孝さん(教育総研委員・駒沢大学講師・元毎日新聞記者)が、「憲法・教育基本法改悪をめぐる情勢と課題」と題して講演した。日教組の全国教研で地元宮崎県教組委員長が「ついに教え子を戦場に送ってしまった」と発言したことを引用して、「〃教え子を戦場で死なせてしまった”とならないために、今こそ教育基本法を守ろう。教育基本法を〈いま〉に生かそう」と訴えた。
次に3分会が発言し、生徒会や職員会議の決定を無視して「日の丸・君が代」が強制されていることは教育基本法10条違反であり、生徒とともに「おかしいことはおかしい」と言い続けるという訴え、沖縄の修学旅行で平和学習を行っている取り組みなどが報告された。退職教員、子どもと教科書千葉ネット、保護者が発言し、最後に〃今集会を出発点に、憲法と教育基本法の改悪を許さず、守り生かす運動を広範に展開して「教え子を再び戦場に送らない」ようにしていきたい”という集会アピールを読み上げ、デモに移った。
千葉高教組の「日の丸・君が代」強制反対集会は今年で3年目になる。組合として組織を挙げ集会・デモを行っているのは、組合員が「日の丸・君が代」強制反対をねばり強く闘っていることの証(あかし)だ。今こそ「教え子を再び戦場に送るな」の旗を高く掲げ、教職員組合こそが反戦の闘いを担おうと強く思った。(投稿 大谷奈緒子)
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週刊『前進』(2045号4面5)
2月27日〜3月5日
米軍、グルジア・イエメンへ
東ティモールへ自衛隊出兵
●米軍、グルジアへ ブッシュ米大統領が、グルジアの「対テロ掃討作戦」への米軍派遣について、アルカイダのメンバーがグルジアとチェチェン共和国の国境近くの山岳地帯に逃げ込んだとの見方を示し、訓練目的の米軍部隊派遣などの支援は米政府のテロとの闘いの一環であると語り、米軍をグルジアに派兵する方針を正式に明らかにした。(27日)
●キャンプ・ハンセンでまた山火事 沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン内レンジ4着弾地付近で原野火災が発生した。13万平方bが延焼した。実弾射撃訓練による失火。今年に入って米軍の演習中の原野火災は6件となり、昨年1年間の5件を上回った。(27日)
●嘉手納爆音が激化 米空軍嘉手納基地の軍用機による騒音が激化している。地元の北谷町の測定によると、ここ数日、1日の騒音発生回数(60デシベル以上)が400回を超え、今年1月の日平均約100回の4倍に達している。住民らによると、F15戦闘機が住民地区の上空を次々と旋回飛行。嘉手納基地の滑走路に向け、住宅地上空で高度を下げながら着陸体勢に入り、激しい爆音が住民生活を襲っているという。(27日)
●イエメン派兵も検討 ブッシュ米大統領が、イエメンに軍を派遣する方針を固めたことを明らかにした。特殊部隊や米軍顧問約100人を派遣し、イエメン軍の訓練にあたるという。(28日)
●ニクソンの「核兵器使いたい」肉声テープ
ベトナム戦争中に当時のニクソン米大統領が核兵器の使用を示唆していた会話の録音テープが公表された。72年4月25日のキッシンジャー大統領補佐官との会話。(28日)
●米、自衛隊の軍事支援、期間延長を打診
アフガニスタンで軍事作戦を支援している自衛隊の活動期間について、米政府が日本に対し、自衛隊の基本計画で定めた5月中旬までの期限をさらに延長するよう非公式に打診していることが明らかになった。(1日)
●象のオリ05年に全面返還へ 日米合同委員会は、日米特別行動委員会(SACO)最終報告で返還が確認されていた楚辺通信所(沖縄県読谷村)の移設先となるキャンプ・ハンセン内での通信システム工事実施を承認した。2005年5月末までに移設を終了し、楚辺通信設備を全面返還するという。同施設の移設はSACO合意目標の2000年度末までに間に合わず、国が一部土地の強制使用手続きを延長していた。(1日)
●東ティモールPKO派兵 東ティモールでのPKO(国連平和維持活動)に、陸上自衛隊北部方面隊施設群の先発隊24人が、北海道千歳市の航空自衛隊千歳基地からC130輸送機で出発した。今月中旬から本隊も出発、過去最大の680人が出兵する。(2日)
●アフガンで米軍が最大規模の攻勢 アフガニスタン東部ガルデス近郊の山岳地帯に対する米軍の攻撃が過去最大の規模となった。米正規軍2千人以上を戦闘に大量投入。米軍や地元勢力のほか、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、デンマーク、ノルウェー部隊も参加している。また米軍は洞くつなどに潜むアルカイダ兵士を熱風と衝撃波で窒息させて殺す「サーモバリック爆弾」という新型の大型爆弾を使用している。(3日)
●ディリで自衛隊に抗議行動 自衛隊PKO先遣隊が東ティモールのディリに到着した。かつて日本占領下のティモールで軍隊慰安婦にされたサラ・ダシルバさん(80)ら約20人が空港で「自衛隊帰れ」と抗議行動に立った。(4日)
●「在沖海兵隊、部隊移転計画なし」 在沖米海兵隊のロン・ヤーウェル外交政策部長が「今のところ、部隊を移す計画はない」と述べ、現段階での兵力削減につながる部隊移転計画はないと言明した。(5日)
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週刊『前進』(2045号5面1)
5・19「復帰30年」式典粉砕せよ
5・15体制の瓦解、SACO路線の破綻強いる人民反乱
革共同沖縄県委員会
昨年の9・11反米ゲリラによって沖縄をとりまく情勢も一変した。沖縄の現状を一言でいえば、9・11情勢に突き動かされた5・15沖縄「返還」体制の最後的破綻(はたん)=SACO路線(96年12月の「沖縄に関する日本特別行動委」での「基地返還合意」のペテン)の破綻ということである。この情勢の中で復帰30年目を迎える本年5・15はきわめて重要な決戦場となった。
9・11−10・7情勢と基地沖縄の現実
日帝・小泉は、稲嶺知事、岸本名護市長などを先兵に、復帰30年を祝うとして愛国主義と排外主義で染め上げた式典を、「三権の長」の参列のもとに5月19日に沖縄で政府と沖縄県の共催で開催し、沖縄人民をより差別的な支配構造のもとに組み敷いていくテコにしようとしている。
これは「復帰幻想」「SACOのペテン性」が全部はがれ落ち、基地との共存、すなわち沖縄は永遠に基地と戦争(日米安保)の犠牲のもとに我慢せよということを居直り的に突き出し、これへの屈服を迫りながら、有事立法・改憲攻撃の最先端として、沖縄闘争を最後的に圧殺・解体し、人民を排外主義と侵略戦争へと動員していこうとするものだ。
5・19「復帰30年」式典を、沖縄と全国の人民の怒りの総決起で粉砕せよ。
一方、沖縄人民は、1995年9・4事件(米兵による暴行事件)を契機に爆発した沖縄の人民反乱の徹底貫徹へと新たな胎動を開始しつつある。2月3日投票の名護市長選闘争は、確実にこうした沖縄人民の根源的な闘いの展望を指し示した。こうして本年5・15(19)闘争は、差し迫る名護新基地建設への暴力的突破をめぐる攻防を最先端に、21世紀の沖縄、日米安保体制をめぐる日帝対労働者階級人民の非和解的対決をより一層深め激化させていく決戦場となった。それは小泉の有事立法・改憲攻撃、戦争国家化と侵略戦争参戦への攻撃と対決し阻止する闘いと一体だ。
開始された有事立法・改憲攻撃粉砕決戦の大爆発を新たな沖縄闘争の発展をかけて、本年5・15闘争を戦略的、路線的に位置付け、本土−沖縄を貫いて闘い抜こう。
本年5・15闘争を有事立法・改憲阻止決戦と新たな沖縄闘争の歴史的突破口として全力をあげて闘い抜こう。そのために第一に確認すべきことは、9・11によって情勢が一変し、米帝・ブッシュが10・7アフガニスタン空爆の開始以来「テロ撲滅」を掲げた民族解放闘争抹殺の侵略戦争を次々と拡大しており、この水路をとおして第3次世界戦争への現実的過程が始まったということである。
「テロ絶滅の正義の戦争の立場に立つのか、テロリストの立場に立つのか」「テロリストをかくまうものも同罪」とのブッシュの恫喝は、9・11によって受けた打撃に対するすさまじい危機感であるとともに、自らの危機を基本的には世界戦争に転化してでも米帝のみが生き残ろうとする恐るべき意図を表すものだ。
ブッシュはさらに「02年は戦争の年」「イラン、イラク、北朝鮮は悪の枢軸」発言に見られるように言動をエスカレートさせている。このような情勢の急展開は、日米争闘戦、日米安保体制、沖縄の米軍基地をめぐる情勢・諸関係をも一変させ均衡破壊をもたらしている。
9・11以降の在沖米軍および沖縄の基地の動向を見ておこう。9・11によって在沖米軍は歴史上かつてない厳戒体制に入った。9・11直後は全基地への基地労働者の立ち入りを禁止し、その後現在も、沖縄県民を敵と見なして銃口を外に向けた警備が続いている。日帝政府は約5カ月間警察機動隊450人を本土から派遣し、米軍基地警備のために張り付けた。10・7アフガン空爆、侵略戦争の開始に向け在沖米軍は臨戦体制に入り、補給・訓練・出撃へとフル稼働している。
米帝・ブッシュの侵略戦争は、果てしなく拡大している。アフガン侵略と直結して中央アジアへの米軍の派兵・常駐、イラクへの侵略戦争挑発、イエメンへの特殊部隊派兵、そしてフィリピンへの在沖米陸軍特殊部隊・グリーンベレーの派兵など、「テロ撲滅」の名をかぶせればなんでもできると言わんばかりである。特にフィリピンへのグリーンベレーの派兵と、北朝鮮、中国(・台湾)情勢は重要である。
フィリピン南部を拠点とするムスリムの武装解放組織アブサヤフがアルカイダと関係があるなどと言いがかりをつけ、フィリピン軍との合同ゲリラ鎮圧訓練と称する戦争挑発を行い、これに対する反撃があればただちに「正当防衛」として鎮圧の戦争に切り換えるという、帝国主義による古典的な侵略戦争そのものだ。
昨年末、東中国海で起こった日帝・海上保安庁による外国船撃沈・虐殺事件は、米軍の北朝鮮、中国への戦争挑発に能動的、積極的にこたえ、独自の北朝鮮への戦争挑発を行いながら侵略戦争参戦を図る日帝・小泉の反革命的軍事行動であった。
そもそも米帝は、9・11以前から台湾問題に露骨に介入しつつ中国に戦争挑発し、全面戦争を辞さず中国スターリン主義政権の転覆まで突き進むという「新世界戦争戦略」を本気で展開している。そのために沖縄の米軍基地の「思い切った再編」を追求するなどしていたのである。
9・11によって米帝・ブッシュの世界戦争路線は具体的発動という段階へと転換した。そこから沖縄に対する方針も大転換している。沖縄は恐るべき戦争の真っただ中に投げ込まれようとしている。
有事立法・改憲阻止の最先端なす闘い
第二に確認すべきことは、9・11以降の米帝ブッシュによる侵略戦争拡大の中で、日帝・小泉が追い詰められ危機を深めながらも、必死で軍事大国化と侵略戦争への突入・参戦にむけての絶望的飛躍を成し遂げようと、労働者人民への階級戦争攻撃を強めていることである。それは今日、有事立法・改憲攻撃という戦後史を画する大攻撃を軸にかけられている。この中で、日帝・小泉は沖縄に対する政策を反動的、反革命的に転換しつつある。
9・11は、米帝を追い詰めることによって日米関係を抜き差しならない帝国主義間対立の激化に移行させた。「テロリストの立場に立つのか、それともアメリカの立場につくのか」というブッシュの態度は日米関係を激変させた。帝国主義としての侵略戦争に対する歴史的無準備の壁にぶち当たっている日帝は、ひとまず米帝の言うことを全面的に聞くしかないところに立たされている。しかしそれは日本共産党やカクマルの言うような「アメリカの言いなり」とか「米国への屈従」などというものではまったくない。日米安保同盟の強化、対テロ戦争への協力というロジックを使いながらも、その根底にものすごい対米対抗的な独自の軍事大国化と自前の侵略戦争への衝動をはらんだものである。小泉が北朝鮮をやり玉にあげ「テロも、不審船も、拉致事件も有事だ」と叫んでいることは、日帝の歴史的、伝統的な植民地形成、侵略戦争への衝動を噴出させていることを示している。
こうした日米関係、朝鮮・中国・アジア情勢に対応した日帝・小泉の政策は、沖縄に対する対応をも大きく規定している。何よりもデッドロックにぶち当たっている沖縄の米軍基地問題、SACO路線の貫徹(名護新基地建設)をめぐって、米帝から文字どおりの待ったなしの強行を突き付けられている。
名護新基地建設に即して言えば「これ以上の遅れはアメリカの戦争政策に対する日本の非協力」と見なされてたたかれる関係へと変化し、新基地建設の「15年期限」設定など、とても口に出せる状況ではないのだ。そして小泉は自らの手先である稲嶺や岸本などへ恫喝を加えて新基地建設の実行を迫り、ペテン的な「条件」を無視して暴力的に突破していく決断をした。名護市長選闘争は、こうした日帝・小泉の新たな沖縄への攻撃の質的転換との真っ向からの対決だったのだ。
第三に確認すべきことは、このような沖縄の情勢は主体的に規定するならば、5・15体制の全面的瓦解(がかい)ということである。それはまたSACO路線の破綻でもある。
5・15体制とは何か。戦後日帝の存立条件をなす日米安保体制は、沖縄を丸ごと米軍政下に売り渡し自由使用を保証することによって成り立っていた。日帝は沖縄県民をブルジョア的な意味でも自国民扱いせず、差別的に非人間的な軍事監獄状態にたたき込んできた。この現実への人間的怒りを基礎に米軍政からの脱却を日本への復帰に求め全県的な大闘争となって爆発したのが復帰闘争である。
日帝による72年沖縄「返還政策」とは、この復帰闘争を圧殺・解体し、沖縄を米軍基地と日帝の南進拠点とすることを目的にしたものだった。すなわち沖縄県民の要求をかなえるかのようなペテンでだまし、ごまかし、買収・懐柔して押さえ込み、沖縄人民の苦悩の根源、沖縄問題の根幹=米軍基地・日米安保体制の護持を至上命令とし、その上に日帝のアジア再侵略の前線を確保しようとしたのだ。
このような日帝の基軸的国策、沖縄差別支配の体制が5・15体制である。日米安保体制の内的構造としての沖縄人民に対する差別支配の本質は、復帰の前も後も何の変化もない。本質的には日本帝国主義のもとでの、琉球処分以来の日本−沖縄関係そのものである。
復帰してからも相も変わらぬ米軍基地による沖縄人民の被害、生命と人間的尊厳への脅威、こうしたことに対する沖縄人民の怒りが三たび全人民的に爆発したのが95年9・4事件を契機とする反基地闘争の大高揚、新たな人民反乱であった。50〜60年代の復帰闘争がそうであったように、この新たな人民反乱も日米安保体制に対する沖縄人民の怒りの爆発として日帝の存立を根底から脅かすものであった。同時にそれは5・15体制の破綻を刻印するものであった。
これに対し日帝は総力をあげて圧殺に動いた。それがSACO路線である。それは本質的に5・15体制の護持のためのびほう策、72年「返還」政策の二番せんじであり、必ず破綻するものであった。既成左翼は、日帝・橋本政権の攻撃に対する大田知事の屈服を基点として完全に破綻し歴史的な衰退と崩壊を開始した。大田知事の敗北以来の4年間は、闘う名護市民を先頭とする沖縄の労働者人民の階級的、基盤的力と日帝の攻撃が均衡状態にあり、SACOが容易に貫徹できない宙ぶらりんの状態でもあった。しかし一方でこの4年間は、既成左翼にとって代わる革命的な党の形成の未成熟、指導部の未形成という主体の問題がつきつけられ、人民にとっては苦しい反動期でもあった。
この均衡はいずれ破られる、破られなければならないものであった。それはまず9・11によって追い詰められた日帝の側からの自己破産的な攻撃として動き始めた。すなわち「15年期限」や「使用協定」の露骨な無視、振興策のゼロ化の脅しなどをもっての名護新基地建設の暴力的な強行という形で、ペテンの要素をかなぐり捨て「痛み」だけを差別的に強要するということだ。それは、いよいよ沖縄人民の根底的怒りの爆発を準備するものである。
既成左翼のりこえ革命的な指導部を
「復帰30年」の5・15闘争をめぐる沖縄の情勢をしっかりとつかみ、これに全面的に対決し勝利していくための課題は何か。
一つめは、9・11を真っ向から見据えこれを帝国主義国の労働者人民への糾弾・弾劾と激励としてとらえ、自らの解放の闘い、あらゆる闘いを再点検し、これにこたえる闘いとして再構築していくことである。
結局、5・15の破綻とは、日帝のウソとペテンがはがれ落ち、そのことを居直った日帝が、愛国主義・国家主義、排外主義を振りかざして沖縄人民は基地との共存のもと侵略の先兵となるしかない、と露骨に強制することによって、帝国主義のもとでの沖縄問題の解決の不可能性が赤裸々となることである。「沖縄イニシアチブ論」とはそのことを沖縄の側から肯定する路線だ。
こうした情勢は当然沖縄の闘いに歴史的な飛躍を迫る。問題は、米軍基地撤去=沖縄奪還を日本帝国主義の打倒として実現していく勝利の道筋をどう描くかということに帰着する。既成左翼の屈服と崩壊の原因は、この根本問題から逃亡していることにある。
沖縄で既成左翼をのりこえた革命的な党・階級的指導部と新しい闘いを構築する環は、9・11を受けとめ見すえることをとおして、沖縄の米軍基地と日米安保体制の全体をとらえて闘うことである。沖縄人民が歴史的に強制されてきた非人間的な現実に対する怒りに、今現在アフガニスタン、パレスチナ、全世界で米帝とその同盟者が残虐この上ない虐殺を繰り返していること、その出撃拠点として沖縄の基地があり、この基地との「共生」を強いて加担を強制する日本帝国主義への怒りを重ね合わせて闘わなければならない。
「闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民との連帯」こそ現下の沖縄闘争の新しい命と力を生み出す源だ。階級的血債論の立場(革共同の7・7自己批判の立場)に立ちきった、国際主義的連帯論こそがカギをなす。今こそ「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」のスローガンが真価を発揮する時だ。
二つめには、労働者階級の決起論を確立し、連合やカクマルなど帝国主義の手先を打ち破り、戦闘的労働運動の防衛と再生の闘いをつくり上げていくことである。そのために、一大資本攻勢のもと失業率8・4%を強いられ苦闘する沖縄の労働者の先頭に立って、春闘に決起しよう。動労千葉・動労総連合の偉大なストと連帯し3・30総行動に立とう。
三つめには、既成左翼をのりこえる党を建設することである。今こそ『前進』をすべての労働者人民の中に拡大し、それを軸にして党勢の拡大をかちとろう。
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週刊『前進』(2045号5面2)
反戦共同 有事立法阻止へデモ 東京 大衆決起へ理論武装
3月2日、東京・渋谷区本町区民会館で反戦共同行動委員会が主催して「有事法制制定阻止/小泉政権打倒/3・2集会」が開かれた。100人の労働者・学生・市民が結集し、有事立法問題の学習を深めた後、有事立法の3月国会提出を阻止する固い決意をこめて戦闘的デモを闘い抜いた。
集会では軍事問題評論家の片瀬涼氏が「迫りくる世界戦争と有事法制攻撃」と題して約1時間、講演した。片瀬氏は、9・11反米ゲリラ戦争と帝国主義のアフガニスタン侵略戦争が世界情勢を一変させ、世界はまさに戦争に突き進んでいること、このもとで日帝がついに中国・朝鮮侵略戦争の戦争体制づくりのために、敗戦帝国主義の制約の突破をかけて有事立法攻撃に踏み込んできたことを暴き出した。そして、有事立法の具体的イメージとして50年朝鮮戦争の際の日本の総動員態勢の様子を明らかにし、さらに現在の有事立法攻撃の具体的中身を分かりやすく暴露し、警鐘を鳴らした。
憲法改悪との関連についてドイツの例を挙げ、かつて世界一の民主的憲法といわれたワイマール憲法のもとでヒトラーは全権委任法(「人民と国家の苦難を除去するための法律」)によって憲法の効力を停止し、(つまりワイマール憲法は形式的には存続したままで)ファシズムと帝国主義戦争に突き進んだことを提起した。日帝・小泉政権が「緊急事態基本法」のもとで狙っていることは、このヒトラーと同様の戦争のための超憲法的な全権掌握であることを暴露し、有事立法阻止を改憲阻止闘争そのものとして位置付け、絶対阻止へ闘おうと呼びかけた。
基調報告を結柴誠一東京反戦共同行動委事務局長が提起した。結柴さんは、QDR(4年ごとの国防計画見直し報告)を中心に米帝ブッシュの凶悪な世界戦争戦略を暴露し、米日帝の中国・朝鮮侵略戦争と断固対決し、有事立法阻止へ闘おうと呼びかけた。
集会ではまた、三里塚現地闘争本部、反戦自衛官の小多基実夫さん、全国沖縄青年委員会の新城峯子委員長が特別報告を行い、青年アジア研究会と教育労働者、そして全学連の学生が決意表明した。
集会後、参加者は断固たるデモ行進に出発した。政治警察の許し難い弾圧体制に、戦争のための反戦闘争つぶしだと怒りを燃やし、片瀬氏が講演で紹介した「徴兵は命かけても阻むべし母祖母おみな牢に満つるとも」の歌の精神を貫いて意気高くデモに出た。中国語とハングルのプラカードを掲げ、都庁前で極右石原ファシスト都政を弾劾し、JR新宿駅南口で多数の労働者市民にアピールしてデモ行進した。
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週刊『前進』(2045号5面3)
第3部 植民地支配の歴史(5)
台湾C 後藤新平 植民地経営と抗日勢力討伐
1898年3月28日、陸軍中将・児玉源太郎が第4代総督、後藤新平が民政局長(後に長官制となる)に着任した。後藤は満鉄総裁に転出する1906年11月まで、抗日勢力の分断と解体を図るために巧妙であくどい政策を実施した。
「生物学的統治」
後藤は持論の「生物学的統治」を掲げた。統治の三策として、@台湾人は死を恐れるので、高圧的な手段で威圧する、A台湾人は拝金主義なので、小さな利益をえさに誘惑する、B台湾人は体面にこだわるので、実質のない肩書を与えて自己満足させる、という徹底した民族差別政策を全面的に展開したのである。
後藤はアヘンの厳禁策を漸禁政策に変えることで地主・富農・商人層の有力者たちに取り入った。さらに「紳章」という台湾に限定された勲章を与え、治安維持などに協力した者には塩、たばこ(専売制)の販売特権などの経済的利権を与え、懐柔策を展開した。
他方、討伐作戦のためには警察官に台湾語を学ばせ情報収集力を強化した。清朝時代の「保甲制度」を採用、10戸を1甲、10甲を1保とした連保連座制度で地域を掌握。17歳から40歳の男を「壮丁団」に組織して警察の補助機関とした。
11月3日には「匪徒(ひと)刑罰令」を公布する。その第1条は「目的を問はず、暴行又は脅迫を以て其(その)目的を達する為、多衆結合するを匪徒の罪」として「首魁(しゅかい)及び教唆者」「建議に参与し又は指揮を為(な)したる者」を死刑とし、さらに第3条は「未遂犯罪の時に於てすなわち本刑を科す」とされ、植民地支配に抵抗する者は誰でもどのようにも処罰できるのだ。
小林よしのり『台湾論』は、この後藤の施策を「後藤新平は現地の民情にあった施策をすべきだと考え、これらの難問をまとめて解決する手段を取った!」「台湾人をアヘン仲買人、小売人にして利益を上げさせる代わりにゲリラ対策に協力させて治安維持に役立てた」と絶賛する。侵略と植民地支配を賛美し、これに抵抗する人民の闘いを徹底的に憎悪し、これを圧殺し殺し尽くそうとしたことを喜びとしているのだ。
さらに小林は「後藤新平は抗日ゲリラに対して過去をとがめないので投降しなさいと呼びかけた。そして投降した抗日ゲリラに土木工事を請け負わせる」とたたえたが、事実はまったく違う。
鶴見祐輔編集『後藤新平』には「明治三十年(1897)から三十四年(1901)までに捕らえた土匪の数は八千三十人、殺戮(さつりく)した者は三千四百七十三人、また明治三十五年の大討伐にさいして捕虜とし裁判によって死刑とした者は五百三十九人、臨機処分に付して殺戮した者は四千四十三人の多きを数えた」と記されている。「臨機処分」とは、投降策に応じて出頭してきたゲリラを「帰順式」と偽って一カ所に集め、一斉射撃で虐殺するというものだ。
02年に、斗六で行われた帰順式では、義勇兵の指導者と兵士78人をだまし討ちにして一挙に殺害した。帰順した後も「義勇兵と秘密裏に連絡を取っている」との口実で、逮捕・殺害された指導者もいたのである。
土地調査事業
7月には「台湾地籍規則および土地調査規則」を公布し、土地調査事業を開始したが、抗日ゲリラに阻まれ、98年からのべ167万人を動員してようやく05年までに終了した。
これによって総督府は、台湾の耕地面積を正確に把握した。大地主からはろくな補償もせずに土地を取り上げ、零細農民には重い税金を課した。
さらに10年から林野調査事業を始め、全林野の96%を総督府所有林にしてしまった。台湾人の財産である農地・林野は次々と没収された。これに対して山岳地帯に住む先住系諸民族は激烈な抗日戦を挑んだ。
製糖業の振興に伴う土地の強制買収、原料甘薯(かんしょ)の不当な買い上げ制度、三井・三菱などの大企業への土地払い下げをめぐって、農民の激しい抵抗闘争が闘われた。
すでに96年3月から台湾総督府は日本人の台湾訪問および台湾への移住を許可し、植民地経営を展望して日本人の移住を進めた。98年までに2万5千人もの日本人がやってきた。日本全国から一旗揚げようとする者たちが殺到し、台湾の土地・建物・物資をほしいままに強奪したのである。
総督府官吏の汚職、利権あさりとともに、在台日本人の横暴、悪行が広がり、台湾総督府ですら放置できないほどだった。00年、総督府は「台湾保安条例」を定め、植民地支配の妨げになる者に退去命令を出すことを決めたほどだ。
小林が描く台湾
小林よしのりは、「台湾の飲料水は不衛生で病原菌の温床だった。そこで23年間に及ぶ上下水道の整備工事が進められ、日本より早く上下水道が整備されることとなった」「台湾には道らしい道もなく、川に橋もなかった……そこで交通網の整備がただちに着手され、南北縦貫鉄道、港湾、道路の建設が行なわれた」と「開発」を美化する。
水害、鉄砲水対策で「毎年100万本の苗木を無償配布し、補助金を交付して造林事業につとめた」「台湾銀行を設立、通貨・金融制度も確立した」「数年のうちに治安は世界一よくなり、泥棒もいなくなって、『夜不閉戸』の状態になった」とまで主張している。
しかし、小林が「近代化」と呼んでいる日本の植民地経営、「開発」が台湾の人びとにどれほどの犠牲を強いたのか。土地の所有関係の登記に伴い、入会地や山林・原野などを官有地に編入、台湾人民から土地や農地を暴力的に奪った。そして道路建設やその維持費用は地元住民に重税となってのしかかった。
総督府の「文明」導入を支えた主要な財源は、樟脳(しょうのう)・食塩・アヘン専売による収入だ。台湾人民は、総督府によるアヘン生産・販売の独占を「台湾人毒殺政策」と呼んで批判した。
鉄道敷設や水道の普及は入植した日本人のためのものであり、したがって植民地支配を貫くためのものだ。台湾人から民族の尊厳も、人としての自由も権利も土地も家も根こそぎ奪い、幾多の命までも奪ったのが台湾植民地支配である。
13年、抗日武装蜂起をくわだて死刑となった羅福星(ルオフーシン)は「余が既往の行いは総て是れ自由平等の権利を行ひしに過ぎず……汝等野蛮国を脱して文明の国を樹てんと欲する美挙なり」と言い残した。29歳だった。(室田順子)
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週刊『前進』(2045号6面1)
爆取裁判
検察立証の核心崩壊 大町鑑定のトリック暴く
弁護側が重要証人 3同志無実鮮明に
3月1日、須賀武敏同志 、十亀弘史同志、板垣宏同志に対する迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判の第161回公判が、東京地裁刑事11部(木口信之裁判長)で行われた。
この日は弁護側の重要証人であるA氏が出廷して、検察立証の核心を突き崩す決定的証言を行った。同時に、2月8日の保釈却下に対する被告・弁護団・傍聴席の一体となった怒りが爆発し、法廷の内外で徹底的な弾劾をたたきつけた。
午前の法廷では検察側が出している最大の「物証」である「切削痕(こん)」鑑定を粉砕するための証人尋問がかちとられた。
過去の裁判で検察官は、3同志と迎賓館・横田の両戦闘を結びつける直接証拠が何もない中で、岩手アジトで押収したとする信管とダイス(ネジ切りの工具)を持ち出し、迎賓館・横田戦闘の現場にあった信管がそのダイスで作られたと主張した。その根拠として、警視庁科学捜査研究所の大町茂に、「ダイスの切削痕が一致する」というデタラメな鑑定を出させていた。 この日出廷したA証人は砥石(といし)による研削加工技術の専門家であり、数十年間砥石と研削技術の研究を、生産現場の技術指導の観点から続けてきた第一線の技術者である。証人は、終始自信に満ちた堂々たる態度で自分で行った実験結果に基づいて証言した。その結果、大町の鑑定は科捜研の看板だけに依拠した非科学的なものに過ぎず、その主張にはなんら事実の裏づけも客観性もなく、推量と独断でしかないことが暴露された。大町鑑定は完全に粉砕された。検察は3同志デッチあげの最大の根拠を失った。
大町が展開していたデタラメな主張は、次のようなものだ。
@信管のネジ切りにはダイスを使うが、ダイスの刃には、ダイス製作の刃づけの過程で生まれる独特の紋様がある。
Aダイスの刃の紋様はネジ切りの時にネジに残る。信管のネジにはダイスの刃の紋様が転写される。
Bダイスの刃づけは小さな砥石を使った手作業で行われる。
C刃づけに使われる砥石は砥粒(とりゅう)が常に脱落して変化するので、ダイスの刃の紋様で同じものはない(ダイスの切削痕は「指紋のようなもの」だというのだ)。
D岩手借家のダイスの刃の紋様と迎賓館・横田のロケット弾で使われた信管の紋様は(大町が)見た限り一致している。
だから「岩手借家のダイスで迎賓館・横田のロケット弾の信管が作られた」と大町は言い、検察はそこから「岩手借家にいた被告たちが迎賓館・横田のロケット弾の信管を製作した」と強弁して、「共謀」デッチあげの唯一の根拠としてきたのだ。
だがこの大町による「固有の切削痕」説は、実際にはなんら根拠がないデタラメなものだ。
そもそも検察側立証で大町がやったことは、現場と岩手の二つの信管のネジ部分に光を当てて凹凸を浮き上がらせ、その陰影を並べた低倍率の比較顕微鏡写真をもって「一致している」としていたのである。それは照明と倍率で巧みに「一致」が演出されたものであった。だが大町鑑定の写真に写っている二つの紋様には、一致などとはおよそ言えない、いくつもの違った線があったのだ。弁護側の反対尋問ではこれが指摘・暴露され、すでに「一致」説は完全に粉砕されているのである。
今回の弁護側立証では、それに加えて、大町の主張の根拠そのものの恣意(しい)性を完膚なきまでに暴露する具体的な実験結果が提出されたのだ。
まず、検察側の鑑定が比較顕微鏡による20倍写真であるのに対して、A証人の実験は、溝の深さという3次元情報まで分かる「粗(あら)さ曲線測定器」による40倍のチャート・グラフによるものである。
そこでは、砥石によるダイスへの刃づけ過程は、初期摩耗での砥粒の脱落は見られるがそれはごく短い間で、すぐに落ち着いた定常状態となり、同じ砥石の紋様が繰り返し現れる(おなじ紋様のダイスの刃が繰り返し作られる)ことが明らかにされた。「同じ紋様のダイスはひとつしかない」なる大町のデタラメが、定常状態では同じ紋様を示すチャート・グラフで完全に明らかとなったのである。
検察もこれには必死で対応した。反対尋問で彼らは「チャートには微小な違いがありますね」などと、砥粒の脱落を強調しようとした。だがA証人は、「大町鑑定で行っている方法ではこのような微小な違いは検出できないと思います」と断言し、むしろ大町鑑定のずさんさが暴露される始末だった。
また、検事は証人の行った機械を使った研削実験と、ダイスを刃づけするときの手作業の違いを強調しようとして、「手作業では砥石の当たる位置にばらつきがでるのではないか」と質問した。これに対してA証人は、技術者としての経験をもとに、「熟練者の五感はすばらしいものであり、機械よりはるかに精密なものができるのです」と有無を言わせぬ確信と説得力できっぱりと断言した。
最後に板垣同志が大町鑑定の手法について質問した。これにもA証人は、「あのような写真映像で同一性の結論を出すことはきわめて危険だ」と、大町鑑定そのものを疑問視した。
大町鑑定でさもさもに言われていたことは、なんらかの実験をもって実証されたり、一定の資料的蓄積や理論から客観性をもって主張されたものではまったくない。検察は、無実の被告をデッチあげるために、大町に「同じ紋様の刃はひとつしかない」と言わせる必要があったのだ。事実も確かめない、デッチあげのためのトリックだ。3・1公判はこの大町のデタラメ性を、実験とその結果のチャート・グラフで誰にも分かる形で暴いた。
検事は、無実の被告に、「直接証拠はないが間接証拠がある」として13年間検察側立証を延々とくりひろげた。しかしその「間接証拠」なるものは、唯一問題とされた切削痕ですらデタラメであり、一切ががらくたの山でしかなかったことが明らかになった。全人民の怒りの爆発で無実の3同志の保釈奪還、無罪勝利をなんとしてもかちとろう。
公判予定
☆福嶋裁判(東京地裁)
3月13日(水)午後1時15分
☆3同志裁判(東京地裁)
3月22日(金)午前10時
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週刊『前進』(2045号6面2)
保釈却下に怒り爆発 80人が東京地裁包囲デモ
3・1公判は、朝から傍聴券を求める長蛇の列ができ、傍聴券が足りずあふれた人びとは法廷前に陣取り、裁判を見守った。A証人の重大な証言にデッチあげ弾圧への怒りと確信を新たにした傍聴者は、昼休みに日比谷公園に移動し、保釈却下弾劾の裁判所包囲デモに立ち上がった。80人のデモ隊は、福嶋同志を含めた4同志に対するあまりにも卑劣な却下攻撃に人民の怒りを燃やし、声を限りにシュプレヒコールをあげ、こぶしを振り上げた。
「無実の政治犯を釈放せよ」「権力犯罪を許さないぞ」――裁判所一帯を完全に制圧し、圧倒的に注目を浴びながら、戦闘的なデモを展開した。
午後の法廷はデモの戦闘的高揚を受け、保釈却下への怒りが爆発した。須賀同志、板垣同志、十亀同志がそれぞれ保釈却下への火のような怒りをたたきつけ、「木口裁判長らは権力の番犬だ。こんな権力犯罪がいつまでも許されていると思うな。獄内外一体となった力で、必ずやこの責任をとらせるから覚悟せよ」と断固たる戦闘宣言を行った。
3人の陳述が終わると大きな拍手が法廷を包んだ。それを制止する裁判長に、傍聴席から弾劾の怒号がこだました。動揺を隠せない木口は、退廷命令を乱発し始めた。すかさず「木口裁判長退廷!」の怒りの声。4人に退廷命令が出され、その間にも傍聴席から弾劾が続いた。裁判長は退廷命令に対する3同志の異議申し立てを途中で打ち切り、閉廷を宣言した。しかし、傍聴者は着席したまま誰も動こうとしない。結局木口は見境もなく全員退廷命令を発し、暴力的に法廷を閉じることとなった。
被告団を先頭とする党の全力の決起が新たな大衆的怒りを解き放つ大きな転機となった公判闘争だった。
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週刊『前進』(2045号6面3)
牛海綿状脳症 BSE問題を考える (上)
木崎 隆生
現代資本主義と政府行政の大罪
昨年、この日本でも3頭の牛がBSE(牛海綿状脳症)を発病していることが相次いで確認された。
これまで一般に「狂牛病」と訳されてきたが、それは差別的用語であるばかりか、病気自体の実体を正しく表現していない。本来 はBSE(Bovine Spongiform Encephalopathy=牛海綿状脳症)と呼称すべきものである。
日本での発症に至るまでの政府、農林水産省や厚生省↓厚生労働省の対応の反人民性と犯罪性は本当に許し難いものであった。
しかも今回、雪印食品による食肉すり替えの詐欺事件までもが発覚した。会社中枢部の指示で行われた計画的で大規模な詐欺事件である。だがこれは氷山の一角で、業界では不正表示が頻繁に行われてきた。
雪印資本は、事件が発覚するや食肉部門から撤収するとし、雪印食品で働くパート・嘱託労働者千人の解雇を発表した。さらに雪印食品そのものを解散する計画を進めている。
結局は、不正の責任を根本的には反省せず、労働者人民、畜産農家や食肉業者、関連中小企業に犠牲転嫁し、無慈悲なリストラをやって大企業本体は生き延びるということである。
BSE問題の根底には、現代資本主義(帝国主義)とその政府が、資本の効率と利潤を優先して農民(酪農家)や労働者人民(消費者)を無視し、あまりにも反人民的な政策をとり続けてきたことがある。また農水省や厚労省などの行政が大資本の利益本位で、人民の命と暮らしを軽視してきた現実が存在している。
許し難いことだが、こうした現代資本主義と政府・行政の腐敗と反人民性が、人びとの命と暮らしに直接かかわる食肉の生産現場から流通・販売までを覆いつくしている現実が、BSEの発覚として明らかになったのである。
牛に同種間での「共食い」を強制
ではBSEとは、どういう病気なのか。牛の神経細胞が破壊され、病名のとおり、脳に空胞ができてスポンジ状になる。音などに対する異常反応や動作不安、けいれんなどの症状を起こす。後肢がふらつき、最後には起立できなくなる。牛の場合、潜伏期間は3〜6年と言われ、発症後2週間から6カ月で死亡する。
BSEの病原体は、細菌でもウィルスでもなく、プリオン(Prion)と呼ばれる蛋白質である。プリオン蛋白は、動物もヒトも通常は体内に持っているが、異常型プリオンが体内に入ると、次々と正常なプリオンを異常型へと変化させてしまう。これが脳に蓄積して発病にいたる。
このBSEはなぜ発生したのか。これには、大きく2説がある。一つは、牛に牛の肉を食べさせる「共食い」(カニバリズム)を続けた結果、発生し広まったという説。もう一つは、羊のプリオン病であるスクレイピーが感染したとする説。一般には後者が言われているが、むしろ前者の説に問題の核心がある。
農業・畜産業の生産性を上げるために、牛に牛の肉を飼料として食べさせる同種間リサイクルが始まったのは1960年代中ごろからだが、その約20年後の85年にイギリスでBSEが初めて発症した。今日、「肉骨粉」は牛や羊を始めとして多くの動物の肉が使用されている。しかし実はBSE発生の根源は、自然界では基本的に起こりえない人為的な「共食い」の強制とその継続にあったのだ。
イギリスでBSEが大流行した90年代に、ピーク時には年間3万頭以上が発病した。草食の牛に同種間の「共食い」を強制して発生したBSEは、その後クズ肉のリサイクルとして始まり一般化した「肉骨粉」により拡散されていった。
これまでに、イギリスでは確認されているだけで18万頭以上のBSEが発生している。BSEに感染している牛が廃棄されずに「肉骨粉」にされたり、大量に輸出されて、これがまた多くの牛(豚やニワトリ)のエサとなるという悪循環が繰り返されてきたのだ。
「種の壁」を越えヒトにも感染へ
ここで問題は、BSEに感染した牛肉を食べると、ヒトにも感染するということである。通常、細菌やウィルスによって感染する病気には「種の壁」があり、種を越えて感染するものはまれだ。しかしBSEのプリオン蛋白はこの壁を越えて人間にも感染するのだ。
これまで知られているヒトのプリオン病の一つに、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)がある。多くは50歳代以降に発症し、1年以内で死にいたる。これは普通、自然状態で百万人に1人の割合で散発的に発生するとされている。
CJDはそもそも感染性ではないが、70年代に感染例が報告された。死亡した患者(CJDだと後に判明)から、角膜を移植された女性がCJDを発病したのである。
こうした医原性CJDで最も深刻なものに、脳外科手術後の処置としてヒト乾燥硬膜を移植したことによって起きたCJDがある。ドイツの医薬品会社がヤミで手に入れた脳硬膜を医療用の乾燥硬膜として販売した。その中にCJD患者の死体からのものがあり、医原性CJDが広がった。
だが日本の厚生省は乾燥硬膜の輸入と国内での使用を放置し続けた。こうして70人以上の乾燥硬膜による患者が発生。患者と遺族は訴訟を起こし、医薬品会社と厚生省の責任を追及してきた。これが、いわゆる薬害ヤコブ病である。
潜伏期間の長い変異型ヤコブ病
これに新しく変異型ヤコブ病と呼ばれるプリオン病が加わる。BSEのヒトへの感染だ。通常のCJDとは違って主に若年層で発生することが特徴だ。確実に死に至ることは同じであり、まだ治療法はない。
ヒトにおける潜伏期間は10年以上とみられる。イギリスでは、牛のBSEが爆発的に発生しだした80年代半ばから、ちょうど10年たった90年代になって次々と発病が確認されている。変異型CJDで死亡した人は、発表されているだけでイギリスで百人以上。フランスやアイルランドなどでも確認されている。5年後、10年後にどれだけ発病するか予測もつかない。
農水省や厚労省は、食肉市場に出る牛について「全頭検査をしているから、今や日本の牛肉は安全だ」と言っている。だが「肉骨粉」が飼料にされ、潜伏期間が長いので発症はしていないが感染している牛はいるはずだ。しかも現在の水準では、感度の高い検査キットを使っても、脳にある程度以上の異常型プリオンが蓄積していないと検査で見つけられない。
BSEの潜伏期間は3〜6年という。しかし肉牛はそんなに長く飼育されないで食肉化される。だから、発症していないが感染して異常型プリオンを持つ牛肉をすでに食べたり、また今後食べる可能性を否定できないのだ。
(つづく)
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週刊『前進』(2045号6面4)
「重大犯罪精神障害者処遇法案」提出阻止を 保安処分新設を許すな
日帝・小泉政権は、「重大犯罪精神障害者処遇法案」(仮称)の国会提出・成立を狙っている。絶対に粉砕しなければならない。
これは、昨年、大阪で起こった池田小事件を契機に「精神病は恐ろしい」「犯罪の温床」と決めつけ、「病者」の隔離・抹殺をあおる一方、有事立法制定攻撃と一体で保安処分を新設し、戦争遂行体制とそのための治安弾圧を一挙に拡大する攻撃だ。
法案は「再犯のおそれ」なる将来予測を根拠に、「不定期刑」に似た保安施設への予防拘禁を地裁=司法判断で宣告しようとしている。強制通院制度と保護観察を新設し、二度三度と保安施設へ再収容することも可能としている。
74年「改正刑法草案」発表や、81年に法務省刑事局が発表した「治療処分」の名による刑法改悪=保安処分導入策動を阻止してきた闘いの地平を引き継ぎ、法案絶対阻止へ闘いぬこう。
予防拘禁と無期限拘束も
政府与党は2月15日、「重大な触法行為をした精神障害者に対する新たな処遇制度の骨子」を発表、16日には厚労省が「精神障害者の保健・医療・福祉の総合計画(仮称)」を発表、セットで新処遇制度案を打ち出した。
@「骨子」は、目的で「心神喪失等の状態で重大な犯罪に当たる行為を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的に適切な医療を行い、並びに医療を確保するために必要な地域社会における観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止等を図り、もってその社会復帰の促進を図る」と掲げている。
「医療・福祉」の言葉をちりばめているが、要は「保安処分で『精神病』由来の犯罪の再発防止を行う」と言っているのだ。しかも「保安処分は社会復帰と一体」とまで豪語している。なんとすさまじい社会防衛論の吹聴か。本人の闘病や背景にある社会的矛盾・差別を顧みず「病気」や「障害」を「本人の責任」や「社会の悪」と見なし、すべての「病者」を敵に回す論理だ。
A中身はどうか。「心神喪失(非理・事物の判断力を失っている)か心神耗弱(こうじゃく、前記判断力が劣っている)」状態で、「殺人、放火、強盗、強姦(ごうかん)・強制わいせつ、傷害」の5つの容疑(未遂も含む)で「不起訴」か「無罪又は実刑以外の有罪」を受けた場合に、検察の申し立てで対象者を地裁新設の「審判」に回すという。本来、刑事手続きとしては終了するところを「精神障害者」に対しては保安処分審判を開始するというのだ。
審判は一人の裁判官と一人の精神科医との合議。決定は両者の「意見の一致」によるという。だが審判を開始する上で、対象者の「心神喪失・耗弱」状態の最終判断は2、3カ月ほどの医療鑑定を経るとはいえ裁判官が行う。また対象者の罪状認定も重大犯罪容疑であろうが一人の裁判官が単独で行う。一方精神科医はその協力者的補佐に置かれ、予防拘禁の手先にさえされようとしている。
さらに重大なのは、不起訴なり、無罪、執行猶予だった人が、審判というコースに乗せられると、一転して「既に犯罪を犯した者」として扱われることだ。刑事法廷とは違うとは言え、裁判所の役割は「責任なきものを罰しない」という刑法の責任主義を放逐し、現行刑事手続きや裁判過程の一切を踏みにじるものになる。
他方、被害者には申し立てによる傍聴を認め、審判が被害者感情に一方的にくみするのを助けている。この審判方式はただただ「精神科医との合議制」を標榜(ひょうぼう)することで保安処分であるとの批判から逃れようとしているが、実質は司法処分としての保安処分そのものだ!
Bでは、何を審判するのか。「心神喪失等の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれ」だという。「おそれ」に応じて「指定医療機関への入院収容」=保安施設か「保護観察所と連携した指定通院医療機関への強制通院」かを決めるのだ。
だが「再犯(対象行為)の予測」は未来の予測であり、できるわけがない。データをいくら集積しようが個人の行動を特定するのはおよそ不可能だ。これをできると強弁するのは罪刑法定主義を否定し、予防拘禁と「不定期刑」を導入する魂胆からだ。
実際、保安施設収容は6カ月ごとの更新で何回でも可能とし、強制通院でも5年ほどの上限があるが、保護観察長はいつでも入院収容へ切り替える申請ができる。無期限拘束そのものだ。しかも、審判では裁判所は退院期日を定めない。「指定病院なり保護観察長が『再犯のおそれ』がないと認めたとき医療の終了を地裁に申し立てることができる」とすることで、司法は退院の決定を回避し病院長などに責任を転嫁さえしようというのだ。
「病者」抹殺の攻撃粉砕せよ
C「指定入院病院」は「患者対看護者数が1対1。独立病棟で全室個室、ドアが施錠可能」と報道されている。厳重管理下で人格破壊や電気ショック、矯正治療の人体実験をこれまで以上に暗躍させる。
厚労省はこの保安施設のお先棒をかつぎ、10年で30カ所800床を指定し、来年度中には関東と西日本の国立病院に2カ所設置するという。
また強制通院の医療機関も診療所を含めて検討されている。さらに少年法や仮釈、執行猶予時に使われてきた保護観察所機能を拡充し、地域の保健所、福祉・医療機関との連携を強め、保安処分の一機関として改編しようとしている。
厚労省の「保健・医療・福祉の総合計画」も「精神障害者ホームヘルパー等福祉拡充策」を小出しにしつつ、「病者」への手帳管理を軸に翼賛団体をとおしてこの保安処分新設容認への屈服を引き出す面からも一体的に提案されている。
日帝の「精神障害者」対策は「まず強制入院ありき」である。強制入院を規定した精神福祉法体制のもとで入院患者35万人、うち半数が5年以上という長期入院を日々生み出してきた。たとえ「不起訴」、無罪、刑務所等出所後でも25条検察官、26条矯正施設長通報によって措置入院=再収容が日常だった。しかも昨今検察は「病者」に「責任能力あり」と懲罰的に起訴を多発し、精福法と刑事施設拘禁との一体となった循環的長期保安拘禁を強めてきた。
保安処分新設攻撃はこの流れを一層加速させ、さらに日帝の有事立法を促す攻撃だ。有事立法・改憲粉砕決戦の爆発の中でともに保安処分粉砕に立とう。
3・24保安処分反対集会・デモに結集しよう。
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