ZENSHIN 2002/02/25(No2042
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週刊『前進』(2042号1面1)
米帝ブッシュの世界戦争路線粉砕! 有事立法阻止・小泉打倒へ
松崎JR総連カクマルを打倒せよ 3・17革共同集会に総結集を
国鉄決戦軸に闘う春闘再生へ
国際階級闘争の新しい時代――昨年の9・11〜10・7をもって開始された国際的な内乱・内戦の新段階――の、その全様相が全世界人民の前にはっきりと姿を現してきている。全世界の労働者階級人民と被抑圧民族の闘いが再び血の敗北にたたき込まれ、帝国主義の基本矛盾の爆発が第3次世界大戦にまで行き着くことを許すのか、それとも今度こそ帝国主義の全世界的な打倒=世界革命勝利を実現できるのか。これが今、21世紀冒頭の世界に生きるわれわれにリアルに問いかけられている課題である。革共同は、反革命カクマルによる3・14本多書記長虐殺(75年)から27年目の3・17革共同政治集会(豊島公会堂)を、このような歴史的・世界史的課題を自分自身の双肩に引き受ける決意をもって開催する。以下、革共同集会への圧倒的な結集を呼びかけます。
第1章 革共同の党的飛躍を大胆に実現する時だ
革共同は、闘うイスラム諸国人民が敢行した9・11反米ゲリラ戦を帝国主義国の人民に対する激しい糾弾として、何よりも帝国主義国で闘う共産主義者・マルクス主義者への糾弾として受けとめ、新たな7・7自己批判=階級的血債の立場に立って、これにこたえる闘いをつくり出していくことを決意した。この決意は、革共同自身が生まれ変わるような闘いとして貫徹されなければならない。それは、昨年の前半、歴史的な第6回大会を実現した革共同の、反スターリン主義・革命的共産主義の党としての矜持(きょうじ)にかけて実践的に物質化されなければならない。
何よりも反革命カクマル完全打倒へ全力で闘うことである。われわれはカクマルを完全な分裂にたたき込んだ。今やカクマル松崎JR総連派は、権力(日帝)との新たな関係を結んで、労働運動・階級闘争においてかつての国鉄分割・民営化時をはるかに上回る犯罪的役割を果たそうとしている。このことを徹底的に暴き、弾劾しなければならない。JR総連のファシスト労働運動は、日本労働運動総体を帝国主義的労働運動へと変質させていくことを自己の使命としている。誰よりも率先して、賃下げ容認のワークシェアリング導入を叫んできた松崎の存在を顧みるだけでもそれは明白である。これを粉砕・打倒することは全労働者人民の義務である。
カクマル黒田中央派はJR東労組の第4次労使共同宣言も、「テロ弾劾」声明も、松崎のワークシェアリング論も批判できず、逆に屈服・追従・賛美して、ますます危機を深めている。
JR総連松崎打倒の嵐(あらし)のような闘いの発展と3・14復讐戦貫徹=総反攻完遂・カクマル完全打倒をとおして、階級情勢総体の今ひとつの質的転換をかちとり、革共同の党的発展を大胆に実現する時が来たのだ。
3・17革共同集会をそのような鮮烈な歴史を画する集会としてかちとろう。
第2章 <連帯戦略>で世界戦争危機を世界革命へ
さらにわれわれは、2・17戦犯ブッシュ訪日阻止闘争を爆発させ、「闘うイスラム諸国人民(パレスチナ・中東・ムスリム人民)と連帯し、帝国主義のアフガン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」の闘いをこじ開け、その力をもって革共同集会をかちとらなければならない。
また、底なしの帝国主義経済の危機と小泉「構造改革」、02年日経連労問研報告のもとでの賃下げ・首切り・春闘解体の一大資本攻勢と真っ向から対決して、02春闘を戦闘的・階級的に闘い、その力をもって革共同集会を実現しよう。
帝国主義と対決し、帝国主義を打倒する労働運動を発展させるためにも、資本との階級攻防を労働者階級の究極の解放(革命)のための闘いと結びつけて闘うことのできる革命的労働者党の建設が切実に問われている。国労をめぐる事態を見れば明らかなように、帝国主義への全面的屈服を強要する既成政党や連合・全労連指導部、社民やスターリン主義者、カクマル松崎JR総連派とカクマル黒田中央派を打倒して、労働者人民の階級性・戦闘性を真に解き放っていくことのできる革命党の建設こそが、情勢そのものによって求められているのだ。
米帝ブッシュは、帝国主義世界経済の29年型大恐慌への突入(破局化)が必至という情勢下で、アフガニスタンにおける人民殺戮(さつりく)を継続・激化させているだけでなく、イスラエルによるパレスチナ人民虐殺の無差別テロを凶行している。そしてついにその延長でイラクへの91年「湾岸戦争」を上回る本格的な軍事侵略に打って出る意志をもむき出しにした。米帝は、これを単独ででも強行するとしている。
それだけではない。フィリピンでは米比共同軍事演習の形をとって、イスラムゲリラ勢力アブ・サヤフを軍事的にせん滅・掃討する作戦が1月末から開始された。この作戦は沖縄と直結して展開されている。
米帝は、アジアにおいても、一方ではフィリピンからインドネシアへの戦争拡大を念頭におき、また一方では北朝鮮に対する侵略戦争の開始・体制転覆の機をうかがっている。北朝鮮・イラク・イランをなんと「悪の枢軸」と規定することによって、政権転覆をも狙った戦争を激化させ、全世界に拡大しようとしているのだ。さらに核戦略をエスカレートし、核戦力を文字どおり独占して全面的な世界支配の体制を築き上げようとしている。米帝ブッシュは、いわゆる「同盟国」をも軍事的に恫喝し追いつめ、帝国主義間争闘戦を激化させながら、大きく対中国侵略戦争の構えを取りつつ、全世界を第3次世界大戦にたたき込もうとしているのだ。
2月8日オタワでのG7財務相・中央銀行総裁会議において、「世界経済は再び景気拡大に向かう」などということが確認されたが、こんなものは気休めにもならない。アメリカと日本を先頭に、今や世界経済総体がどん底に転げ落ちようとしている。世界経済の激烈な恐慌化と侵略戦争・帝国主義戦争(軍事的対立の深刻化)の本格的な激化・拡大の趨勢(すうせい)は押しとどめようがないのだ。ほかならぬ基軸帝国主義である米帝自身が先頭に立って、帝国主義としての自国のむき出しの利害をかけて全世界を戦争に引き込む政策をとっている。経済的支配のためにもそうする以外にないのだ。
日帝経済は、小泉政権の政治危機によって一層救いがたい泥沼に落ち込み、円、株、国債のトリプル安から、全面的な「日本売り」への発展必至の情勢にある。小泉政権は、「デフレ・スパイラル」を脱却するための政策を国際的に約束したが、どんな策を打っても日帝経済の破綻(はたん)は免れない。「すべての経済指標が2けたの落ち込み」というのが日帝経済の現在の姿であり、そこからの脱出の方策は、どこにもない。国際的約束はそれが実効を伴わないということでさらに一層信用を失墜し危機を促進するだけだ。
日帝経済が世界経済の最弱の環となり、その破綻が29年型の世界大恐慌(破局)への引き金を引く可能性がこれまでになく高まってきているのだ。
第3章 有事立法・改憲阻止へ大運動を巻き起こせ
こうした中で日帝・小泉は、経済危機と支持率低下でグラグラになりながらも「構造改革こそが大事」とあくまで叫びながら、労働者人民に一切の犠牲を集中しようとしている。また、米帝ブッシュの軍事戦略・戦争政策のエスカレーションに必死で対応するためにも、待ったなしで有事法制化に乗り出したのである。
小泉は、具体的に「武力攻撃事態への対処に関する法)として一括法案を3月中に提出する方針を固めた(2月5日の政府与党合意)。これは自衛隊=帝国主義軍隊が出動して外への侵略戦争をやるための法整備そのものである。報道によれば、自衛隊の防衛出動と防衛出動待機を発動し、安保条約第5条に基づく米軍との共同作戦を展開しうるための本格的な戦争法案とされている。それは基本法部分と自衛隊法改悪を中心とする個別部分で構成される。まずは自衛隊の本格的出動に関する基本的核心的問題を一気に突破する攻撃である。
゛国民の権利と義務の問題は扱わない″というのは完全なペテンである。有事立法は「戦争放棄」の現行憲法の基本原則を覆し、基本的人権の制限・圧殺を含む非常事態宣言(憲法の停止)をその核心とし、自衛隊=軍隊と国家権力の無制限の武力行使・暴力行使を合法化するものである。実際、日帝は、この「武力攻撃事態対処法」とあわせて、治安弾圧を一気にエスカレートしているのだ。
このような形で、有事立法・改憲の全面的攻撃が振り下ろされてきた。待ったなしの大決戦が始まったのだ。自国帝国主義=自国政府が全面的な戦争体制を確立し、外への本格的な侵略戦争・帝国主義戦争に突入していくことに対する歴史的な階級決戦の開始としてこの事態をとらえ、その立場から革命的反戦闘争を爆発的に巻き起こしていかなければならない。3月革共同集会を、その宣言と決意を腹の底から打ち固める場としてかちとろう。
革共同に対する日帝国家権力の弾圧・組織破壊との死闘に勝利しなければならない。獄中同志奪還の1億円基金運動を全国・全人民の中に持ち込もう。
三里塚4・18暫定滑走路開港阻止へ、3・31−4・14闘争の総決起集会として、3・17革共同集会をかちとろう。
沖縄闘争、入管闘争を国際的内乱の最先端として闘いぬこう。
1・24狭山異議審棄却決定に怒りの総反撃を!
今われわれは、革命的共産主義者として、20世紀冒頭のレーニンの闘いを今日的に引き継がなければならない。革命的情勢の接近に対応する革命党の3つの義務を全力をあげて遂行していかなければならない。
レーニン主義的な党の建設を核心にすえて、始まったばかりの21世紀冒頭の国際的内乱の闘いを全戦線で開始しよう。3・17豊島公会堂へ総力で結集せよ。
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週刊『前進』(2042号1面2)
アフガン3次出兵阻止に立つ 反戦共同 横須賀・舞鶴・佐世保で
2月12日、13日の自衛艦隊第3次出兵に対して、反戦共同行動委員会は、不屈に闘うアフガニスタン人民との連帯をかけ、横須賀、舞鶴、佐世保で闘う労働者人民とともに出港阻止闘争を闘いぬいた。
◆2・12横須賀
2月12日、反戦共同行動委員会は横須賀基地からの補給艦「ときわ」出港阻止闘争に立ち上がった。米英軍への自衛艦隊による補給がアフガニスタン空爆などの侵略戦争を決定的に支えている。これをなんとしても阻止したいと、60人が午前7時半ごろ横須賀ヴェルニー公園に集まった。
左手の自衛隊基地岸壁では、ときわ(8150d)が出港の準備中だ。「出港を許さないぞ」「自衛官は出兵命令を拒否しよう」とシュプレヒコール。
大山尚行全学連委員長が「この出兵はアフガニスタンへの空爆、地上戦を継続・拡大するものだ。不屈に闘うアフガニスタン人民への敵対をやめろ。自衛隊はインド洋から撤兵せよ」と激しくアジった。続いて神奈川県労組交流センターの労働者が「沖縄に次ぐ第2の基地県の労働者として侵略出兵を絶対許さない」と闘志をぶつけた。
たまらず神奈川県警が「無届け集会」だと排除にかかった。だが反戦共同行動委の部隊は戦闘意志を爆発させ、踏みとどまって、権力を押し返した。
午前9時前、弾劾の中をときわが出港した。さらに激しくシュプレヒコールをたたきつけた。
その後、権力の封鎖を実力で突破して、海上自衛隊横須賀総監部への申し入れを行い、担当者に受け取らせた。見送りに来た自衛官の家族たちも注目した。
神奈川県労組交流センターは「武器、燃料、食糧の補給とは戦争継続のための活動だ。イスラエルでも170人を超える兵士が軍務を拒否している。自衛隊も拒否すべきだ」と詰め寄った。婦人民主クラブ全国協議会は「とめよう戦争!女たちの全国キャラバン」の取り組みを伝え、全学連、反戦共同行動委が、海自艦隊第3次出兵と有事立法の阻止を突きつけた。
◆2・12舞鶴
100b先に灰色の巨体があった。4950dの護衛艦「はるな」だ。後部甲板にローターを折り畳んだ対潜ヘリを搭載した艦影に特徴がある。
12日午前8時、京都府の舞鶴基地前(桟橋前)は前夜からの大雪で一面の銀世界。関西反戦共同行動委を中心とする60人は、はるなのアフガニスタン侵略戦争への出撃に怒りの声をあげた。中国侵略からの帰還者の受け入れで有名なこの桟橋から、再び侵略戦争への出撃を許してはならない。
「たたかうイスラム諸国人民と連帯して、パレスチナ・アフガニスタン侵略戦争を阻止せよ」と書いた横断幕を艦上からはっきりと見えるように掲げ、3台のマイクから「自衛隊の兵士よ、侵略戦争への出港を拒否せよ」「侵略の先兵になるな。今からでも遅くはない。ともに闘おう」と、熱烈に呼びかけた。
9時50分、はるなは出港阻止の声の中で離岸し、島陰に消えていった。
部隊は直ちに出港弾劾闘争に決起した。東舞鶴駅前で舞鶴市民に向け街頭宣伝を行い、海上自衛隊舞鶴地方総監部へ怒りの弾劾デモを行った。総監部前では「はるなの出港を許さないぞ」「侵略戦争を絶対に阻止するぞ」とシュプレヒコールをあげた。
◆2・13佐世保
2月13日午前6時、長崎県佐世保市の前畑埠頭に反戦共同行動委員会の労働者・学生が登場した。朝もやの中、対岸に護衛艦「さわかぜ」(3950d乗組員250人)が見える。
小雨がぱらつく中、午前7時半、反戦共同行動委は独自集会を始めた。全学連が「昨年11・25米軍基地に向けた実力決起の闘いを引き継ぎ、闘うイスラム諸国人民と連帯してアフガニスタン侵略戦争を体を張って阻止する」と力強く戦闘宣言、被爆者青年同盟、部落解放同盟全国連合会から熱烈なアピールを受ける。続々と結集する佐世保地区労の労働者が注目する。
8時半、佐世保地区労の集会に合流する。総勢200人の集会は終始、怒りの発言が続いた。午前9時、さわかぜが立神岸壁から出港する。怒りのシュプレヒコール、「アフガニスタン侵略戦争反対!」「日本の参戦阻止!」
午前10時、佐世保市の中心部、四ケ町商店街の一角にある島瀬公園で反戦共同行動委は集会を開催した。
「アフガン侵略戦争は終わったのか! とんでもない。空爆は連日続き、パレスチナ、フィリピン、ソマリアでも戦争と虐殺がくり返されている。パレスチナでは女性や子どもたちが自爆決起に立ち上がっている。2・17戦争屋ブッシュの来日、日米首脳会談を阻止しよう」と基調が提起された。集会後のデモは市内目抜き通りを抜け、佐世保橋から自衛隊総監部を経て平瀬ロータリー、米軍基地を席巻した。佐世保市民の熱い注目を一身に受けた。
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週刊『前進』(2042号2面1)
闘争団の首を切る査問委を粉砕せよ 2・3中央委決戦の総括と課題
国労の解体的危機うち破り 本部を打倒する反転攻勢を
2・3国労拡大中央委員会は、国労本部がまたも機動隊を導入し、闘う闘争団員らの統制処分のための査問委員会設置を暴力的に決定した。労働組合が解雇者を、解雇撤回闘争を不屈に闘っていることを理由に統制処分にかけるという、前代未聞の暴挙に出たのだ。闘争団の切り捨ては、国労そのものを変質・解体に導く恐るべき攻撃である。革共同は、国労が結成以来最大の解体的危機に陥っていることに警鐘を乱打するとともに、闘う国労組合員を先頭に総力を挙げて闘い抜くならば国労の階級的再生の歴史的好機が到来することを確信をもって訴える。2・3中央委では、闘争団員を始めとした闘う国労組合員と支援者が雨の中、機動隊と対峙し、怒りの包囲・弾劾の闘いを展開した。会場内では反対派の中央委員と傍聴者が、強権的議事運営による査問委員会設置強行に必死に反撃した。チャレンジ一派や反動革同らの大反動の密集に対して、闘争団を先頭とする闘う翼は国労内外に一層不屈の隊列をつくり出しているのだ。この隊列をさらに強化・拡大し、あらゆる手段で査問委員会を粉砕しよう。高嶋―寺内執行部を徹底追及・弾劾し打倒しよう。
国鉄決戦の新段階開いた不屈の決起
2・3中央委員会決戦の総括の第一は、この激烈な攻防をとおして、階級的労働運動の存亡をかけた国鉄決戦の一大階級決戦としての新たな段階を切り開いたことである。
今日、29年型世界恐慌過程に突入し、世界戦争の危機はますます深まっている。9・11反米ゲリラ戦争に対する米帝を始めとする帝国主義のアフガニスタン侵略戦争、米帝とイスラエルによるパレスチナ人民抹殺攻撃に続き、米帝ブッシュはイラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と言いなし、さらに侵略戦争を拡大しようとしている。これに対してパレスチナ人民を先頭に不屈の民族解放闘争が闘い抜かれている。
この中で、帝国主義を打倒する労働運動の登場と発展が決定的に求められている。被抑圧民族人民と連帯する労働者階級の壮大な闘いをつくり出さなければならない。この日本における階級的労働運動の砦(とりで)としての国鉄決戦は、そうした世界史的意義を持つ闘いなのである。
さらに国鉄決戦は、小泉「構造改革」攻撃との対決の最前線であり、第2の分割・民営化攻撃、メンテナンス合理化―外注化攻撃との対決など、02春闘の最先端的位置を持っている。
国鉄決戦は、その前進と発展の中で、一方で「ジェイアール東日本ユニオン」=チャレンジ・ユニオンというとんでもない帝国主義的労働運動派を析出するに至った。彼らチャレンジは「利益配分を、一に株主配当、二に設備投資、三に内部留保、四に社員の賃金・労働条件の優先順位とする」などと、資本でもこうまで露骨には言えない言辞をろうしている。そして国労組合員だけを対象にして脱退オルグをするという、「外部」からの国労解体攻撃を強行しているのだ。
他方で、残存チャレンジ(および反動革同)の高嶋―寺内執行部は、「労働組合が労働者の首を切る」という帝国主義的労働運動の極致とも言うべき大反動に突き進んでいる。資本でもできない労働組合の「内部」からの解体である。
これらは、国鉄決戦の革命的発展が引き出したものである。国労の防衛と再生は、彼ら帝国主義的労働運動派による2つにして1つの歴史的大反動を徹底的に粉砕することで可能となるのだ。これをそのまま許していては、国鉄闘争−1047人闘争は、反動の前にたたき伏せられる。まさに国労の存亡をかけた一刻の猶予もない決戦が新たに開始されたのだ。ここに日本労働運動の存亡もかかっているのである。
組合が解雇者の首切るのか
第二に、査問委員会設置の決定こそ、まさに労働組合が犯した歴史的暴挙であり、怒髪天をつく怒りを爆発させなければならないということだ。
労働組合が、資本に首を切られた解雇者を、機関決定の統制処分をもって再び首を切るようなことは、歴史上初めてである。この資本に魂を売り渡すことを容認し、許容すること自体が、労働組合の恐るべき変質をもたらすのだ。
こんなことがあってよいのか! 許されてよいのか! この査問委員会設置の決定に全身の怒りでうちふるえない労働者はいない。この査問委員会を粉砕する渾身(こんしん)の総決起をかちとらなければならない。
この点で、脱退・分裂策動の首謀者=新井・今井らへの査問委員会設置などは、闘争団への除名処分のためのペテン的隠れみのでしかない。真の狙いは、闘争団統制処分にあり、闘争団切り捨てにあるのだ。
国労本部は、「脱退・分裂よりも闘争団の鉄建公団訴訟の方が悪質だ」と言ってはばからない。脱退・分裂を放置したばかりか、今度はそれをテコにして闘争団への査問委員会設置を強行してきたのだ。大阪・岡山採用差別事件の上告を放棄し、さらに「訴訟取り下げは解決時」という大会決定を「中執決定」で勝手にひっくり返し、すべての訴訟の取り下げを画策しながら、闘い続けようとする闘争団を除名処分にするとはなんということだ。絶対に許すことができない。
国労本部はまた、闘う闘争団を支援する「国労組合員支援者」(中央委議案)をも除名を含む統制処分にかけようとしている。4党合意に反対する組合員全員を暴力的にたたき出そうとする策動にほかならない。統制処分の対象を無制限に拡大し、その脅迫と恫喝で国労を丸ごと変質・解体しようという攻撃である。
また、この査問委員会設置は、組合民主主義を根底的にふみにじり、傍聴制限で傍聴席をがらがらにして異様な「密室状態」をつくり、一方的な討論打ち切りをもって強行された。こういうデタラメなやり方で査問委員会も進行しようとしていることは間違いない。規約も何も関係ないのだ。ウソにウソを重ねた本部は、さらに恐るべき裏切りを重ねようとしている。
今こそ、分裂・脱退―チャレンジユニオンを解体・粉砕するとともに、この査問委員会を何がなんでも粉砕する国労組合員の怒りの総決起をかちとらなければならない。
機動隊導入は国労解体狙う権力意志
第三に、この大反動を強行するためにこそ、機動隊を導入したことである。
今回の機動隊導入は、これまでの大会(社会文化会館)とは違い、組合員の団結の砦である国労本部(交通ビル)そのものを機動隊で封鎖した。しかも、午後4時ごろまでの予定で議事日程が組まれていたが、警察権力は午後2時までには終了するようにと強要し、それに応じて強権的議事運営が強行されたのだ。
これは、国労に闘争団を切り捨てさせるという日帝国家権力の意志に基づいて、権力自らが直接にのりだしてきたことを意味する。闘争団への統制処分―切り捨てこそが国家権力の意志であり、国労本部に一貫して繰り返し突きつけてきたことなのだ。中央委への機動隊導入はその最後通牒(つうちょう)なのだ。
今や「解決案」=ゼロ回答を丸のみするのか否かという次元を超えて、国家権力・JR資本は、「闘争団を切り捨てろ」と本部に迫っている。なぜなら闘争団切り捨てこそが、国労解体に直結するからだ。
この査問委員会設置こそ、4党合意という権力・資本による国労解体攻撃の行き着いた姿だ。言い換えれば、4党合意と闘う闘争団と国労組合員、支援の存在は、権力・資本をとことん追いつめてきたのだ。
この闘争団の不屈の存在に対して、権力・資本は、闘争団とJR本体を切り離し、闘争団をせいぜい「争議団」のひとつに押しやろうとしている。闘争団を切り捨て、国鉄闘争の旗を降ろし、変質・転向をとげた国労など痛くもかゆくもないのだ。もうそれだけで国労は解体されていると言ってもよい。後は、国労の名称変更、JR連合への合流は一気になしとげられると思っているのだ。
国労本部、チャレンジ、反動革同は、この権力・資本の完全な先兵となり、闘争団の切り捨て―統制処分の査問委員会設置を決定したのだ。
第四に、この一大暴挙に断じてひるむことなく、闘う闘争団員を先頭にした組合員の不屈の決起がかちとられたことである。
中央委を目前に控えた1月28日、闘う闘争団員・家族283人が鉄建公団を相手に解雇無効・地位確認と不払い賃金の支払いなどを求めて東京地裁に訴訟を提起した。この新たな訴訟は、統制処分と生活援助金打ち切りの恫喝をはねのけて断固として闘い取られ、国労本部に大打撃を与えた。また、この決起の激しさは、国労内の非和解的対立を一層鮮明にし、あくまでも闘争団とともに闘い抜くのか否かの新たな分岐を生み出している。そして、なんとしても闘争団の決起を守り抜いて闘おうとする一層不屈の隊列を登場させているのだ。
鉄建公団訴訟支えJR本体の決起を
今後の方針は何か。
第一に、査問委員会設置をあらゆる手段で粉砕することである。これと一体で分裂・脱退問題で国労本部を徹底的に弾劾することだ。この怒りの総決起、追及・弾劾の激しさによって、墓穴を掘ったのは本部であるという現実を引き出すことができる。
第二に、闘争団の鉄建公団訴訟を断固支持し、防衛することである。
この闘いは絶対的正義の闘いである。政府・JRの責任追及と解雇撤回・地元JR復帰をあくまでもかちとる新たな闘いである。4党合意を徹底弾劾し、その破棄をかちとる闘いである。国労再生を実現する攻勢的闘いへと発展させなければならない。
さらに、この訴訟は87年から90年の清算事業団での権力犯罪を歴史的に暴くものである。JR不採用から清算事業団解雇という2度の首切りの国家的不当労働行為の全容を暴ききる闘いである。
また4党合意労働委員会闘争―行政訴訟の闘いと結合し、これらの闘いを支える壮大な陣形を新たにつくり出そう。
第三に、新たなファシスト労働運動へと純化する松崎・カクマルJR総連派と徹底対決し、打倒することである。JR労働運動の大再編の中に躍り込み、JR総連を解体し、国労(および動労千葉)の組織拡大を実現していくことである。
JR総連は、JR東日本の「第4次労使共同宣言」で、「新たな企業経営の創造」「企業内労働組合主義の更なる徹底」などの企業防衛主義を叫び、「一段と質の高い労使関係の構築」を打ち出している。第二の分割・民営化―ニューフロンティア21を労資一体で強行するということだ。これは、10月の日経連と連合の「『雇用に関する社会合意』推進宣言」の先鞭(せんべん)をつけたものであり、さらに02年日経連労問研報告、小泉の施政方針演説でのワークシェアリング推進に至る。
これらは、日帝権力・ブルジョアジーが、松崎・JR総連を今日の資本攻勢―日経連路線―労働組合解体の先兵として、あらためて登用したことを意味する。
松崎は、最近の『サンデー毎日』の連載で、ワークシェアリングをいち早く提唱したことを自慢し、日帝資本の先兵になることを誓っている。この松崎・JR総連を打倒することは、国鉄決戦のみならず、全労働者階級の死活をかけた課題である。
動労千葉は、このJR総連解体・組織拡大を軸にして、第2の分割・民営化攻撃―構内・検修業務の外注化、動労千葉根絶攻撃との組織を挙げた3カ月決戦に突入し、春闘総行動に向けて闘い抜いている。
国労のJR本体組合員は、設備メンテナンス合理化攻撃のもとで多くの組合員が出向に出され苦闘を強いられている。これと闘わない本部を弾劾し、ともに総決起しようではないか。
有事立法阻止の反戦闘争と結合し、02春闘の最先頭で闘おう。
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週刊『前進』(2042号2面2)
海保の外国船撃沈・虐殺を容認する日共を許すな
帝国主義の武力行使に賛同
日本共産党は、昨年12月22日の海上保安庁による外国小型船に対する銃撃・撃沈・虐殺の攻撃について、1月28日になって「見解と提案」なるものを発表した(1・29付赤旗)。
この見解は、「今回の事件にたいする海上保安庁の対応について」と「いわゆる『不審船』への対応をどうするか」の2つの部分からなり、前者については「@領海と排他的経済水域は、はっきり区別することが必要、A海上保安庁の対応は、国際法上の根拠を欠いたあやまったもの」、後者については「@領海内では、基本的には現行法規による対応で可能、A排他的経済水域においては、周辺国と共同対処できるルールづくりを、B海上における警察活動は、第一義的に海上保安庁がおこなうべき」としている。
この見解は、(「不審船」が)「出没しているということは、わが国の安全と秩序にとって、放置できない」としており、徹底的に日帝の国家利害の立場に立った、排外主義的な見解であり、日帝の武力行使を公然と擁護し承認する戦争容認の態度表明である。これは、日帝のアフガニスタン・中東侵略戦争への参戦、有事立法・改憲攻撃の強まりの中で、流れにさおさし戦争協力する超反動的な立場である。徹底的に弾劾しなければならない。
第一に、この「見解」には、海保の巡視船が小型船を銃撃し沈没させ、15人の外国人を殺したことに対する弾劾の言葉が何ひとつない。「15人死亡」という事実すら、この見解から排除されている。つまり、戦後の日本が初めて交戦・武力行使し、外国人を殺したことについて、弾劾する立場ではまったくないのだ。
12月22日に何が行われたのか。日本の排他的経済水域(領海外)で、「不審船」として追い掛け回し、20_機関砲で威嚇射撃、後に船体射撃を繰り返し、巡視船4隻が計600発もの銃撃をして、中国の排他的経済水域で撃沈したのである。そして、それを「不審船がロケット砲を撃ってきたから」と言って「正当防衛」を強弁しているのだ。これは、明白に憲法9条違反の武力行使であり、他国人民の虐殺である。だが、日共はこの肝心のことを弾劾の対象にせず、海保の行動を承認しているのだ。
第二に、日共は「領海内か、領海外か」を言いたて、領海内であれば銃撃も撃沈も問題ないかのように言っているが、内であろうと外であろうと、日本が武力攻撃を行ったことそのものが重大事態なのである。
第三に、日共は「第一義的に海上保安庁がおこなう」ことを強調することによって、自衛隊の補完物であり、アジア諸国の軍隊と比肩する軍隊である海上保安庁の活動を全面擁護していることである。
昨年10月の参戦3法案(テロ対策特措法、自衛隊法改悪、海上保安庁法改悪)攻撃に対して、日共は船舶に対する危害射撃を認めた海保法改悪に賛成した。この法改悪が今回の撃沈・虐殺事件の引き金になっているのであり、日共はその「共犯者」なのである。
第四に、日共はアリバイ的、ペテン的に「周辺国と共同対処できるルールづくり」と言うが、それは中国や韓国の理解を得られる範囲内で武力行使をやってほしいとお願いするもので、武力行使容認論だ。
1999年3月の能登半島沖の「不審船」事件では、海上保安庁の威嚇射撃に続いて、海上自衛隊が護衛艦とP3C対潜哨戒機による追跡と警告射撃と爆弾投下を行った。戦後自衛隊が初めて武力行使に踏み切った事件だった。日共は、これを事実上容認した。この時も、日共は「海保が必要な措置をとることは当然」ということを前提にしていた。つまり「主権侵害」に対して「防衛のための措置」=軍事力発動は当然、という立場であり、その上で自衛隊の出動については、慎重にという程度の話なのである。
しかし、「主権を守る」というが、その主権とは日本の帝国主義国家主権以外の何物でもないのだ。そうした階級的規定を抜きに国家主権を論ずることはできない。そしてこの帝国主義的主権を防衛する立場に立つということは、そのための軍事力発動は無限に認めることになるのである。
日帝は、帝国主義間矛盾の深まりの中で、アフガニスタン・中東侵略戦争参戦にのめり込み、有事立法・改憲攻撃を具体化して国会提出を強行しようとしている。そして、自衛隊を補完する国家暴力装置として海上保安庁の武器・装備を強化している。この重大な時に、日共は海保の武力行使を当たり前のことのように論じ、自国帝国主義を擁護しているのだ。
帝国主義の最後の番兵として、人民の排外主義的組織化に精を出し、帝国主義への屈服を組織する最悪の反革命=日共スターリン主義を打倒せよ。
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週刊『前進』(2042号2面3)
交流センター第9回総会 春闘総行動へ全力 “帝国主義との対決を”
全国労組交流センター第9回定期全国総会が、国労の拡大中央委員会決戦のまっただ中の2月2、3日、神奈川県川崎市内で開催され全国から多数の代議員、傍聴者が参加した。
今年の総会は、9・11−10・7情勢、日本帝国主義の侵略戦争参戦という決定的事態に交流センターが日本の労働運動としてどう対決するのかが問われた歴史的に重大な総会だった。
入江史郎副代表の「大仕事のやれる時代が来た」との開会あいさつを受け、佐藤芳夫代表のメッセージが代読された。
討論の最初に「9・11」について、半年間の議論を受けて討論が行われた。そして「9・11」がパレスチナ・中東人民の根底的な怒りの爆発であり、糾弾として受けとめること、侵略戦争の開始に対して、帝国主義と対決する実践に踏み出すこと、国際連帯を掲げた反戦闘争を断固闘うこと、これらの諸点での一致をかちとった。
さらに、中野洋代表が、「闘う労働者はテロ弾劾なんて絶対に言わない。労働者を信頼しろと言っている私自身がそのことを学んできた」とテロ弾劾論の誤りを指摘した。
討論では、職場での資本攻勢との激しい切り合いを踏まえた実践的な発言が多く見られた。NTT労組の労働者は、連合、全労連の裏切り方針について「あまりにも攻撃が激しい。帝国主義を打倒する立場でないと闘えなくなる」と述べ、闘う方針を提起し続ける電通部会のビラが職場の圧倒的信頼をかちとってきたことを報告した。
さらに倒産争議を闘う金属労働者が発言し、少数派から一気に職場の全労働者を組織したこと、それは3年間闘いを訴え続けた結果であること、全労連の裏切り方針をのりこえて闘っていることを発言した。
また、連合傘下のJC(金属労協)でワークシェアリング・賃下げ攻撃と対決して闘う中小の労働者は、連合指導部の「賃下げへの抵抗は分かる。それをのませるのが団結」という団結解体発言を暴露し、その打倒への決意を語った。
諸発言を受けて中野代表がまとめを提起した。
「9・11―10・7情勢の中で、帝国主義と対決する労働運動と言い出した。なぜか。帝国主義の側が恐慌情勢の中であまりにも凶暴な攻撃に出てきたからだ。だが、それは敵の弱さの表れであり、分裂も始まっている。労働者階級の中でも分裂が起こっている。連合は労資協調主義と言ってもほめすぎなぐらいの裏切りを電機とNTTを先頭にやっている。労働運動の大流動・大再編は不可避だ」
「帝国主義の危機の時代には、要求が前進しなくても労働者は団結を強化して闘いをやめない。この運動のやり方が『帝国主義と対決する労働運動』の核心だ。3月春闘総行動で勝負しよう。そして有事法制反対の百万人署名運動を担おう」
最後に新役員を決定して闘う体制を築いた。
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週刊『前進』(2042号2面4)
2002春闘勝利へ
NTT大合理化=新3ヵ年計画と真っ向勝負で闘う 電通労働者 A
「去るも地獄、残るも地獄」の選択
私たち電通労働者はこの1月、逆らえば「全国流動社員として全国どこへでも飛ばすぞ」という恫喝を背景に「辞表」を出せと迫られました。「去るも地獄、残るも地獄」の選択を迫られたのです。
この2年間、能力給を導入した「新賃金制度」、1県1拠点という広域集約の「中期事業計画」など激しい合理化との攻防を繰り広げてきました。私たちは職場ビラをまき続けることで、これらの合理化の不当性と仲間の決起を訴え続けてきました。このことをとおして「継続は力なり」ということを、身をもって学ぶことができました。それは、ビラを作る作業は何が問題で何をどう訴えれば良いのかということから出発して、門前に立つことで内外に反対派としての自分の主体を打ち立てる作業だったと思います。
この2年の攻防で、思わぬ仲間の感動的決起、予想をも超える獲得物がありました。すべてビラまきを中心とした活動が生み出したものだと確信できます。小なりと言えども電通にわれらありということを内外に示した2年間のビラまき活動だったのです。
こうした中、昨年4月突如として「新3カ年計画」が発表されました。「新3カ年」は、賃金の20〜30%のカットというとんでもない攻撃ですが、それにも増して悪らつなのは、「一旦(いったん)退職」ということの持つ意味です。労組活動家にとって資本に「辞表」を出す行為は、反対派として最後の一線を越えるかどうかを意味します。その一方で、拒否すればこの2年間つくりあげてきた職場の仲間との関係の断絶を意味します。この攻撃は「辞表」の提出で活動家の骨を折り、出さなかったら現職場から放逐するという、悪らつな攻撃なのです。
「新3カ年」を迎えうつために私たちは原則を打ち立てました。それは「辞表」を出すのも「拒否」するのも「意識的な一つの選択をする」という立場に立つことです。一旦退職して再雇用される新会社ではさらなる合理化が待ち受けています。職場に残ることをとおして職場の仲間とともに新たな合理化を迎えうつ主体となるということがひとつです。原則を貫いて「新3カ年」と真っ向から闘い抜くということがもうひとつです。いずれにせよ、私たち活動家にとっても厳しい選択となりました。
労組の屈服に頼る敵の弱点つく
しかし「新3カ年計画」は、脆弱(ぜいじゃく)な攻撃でもあるのです。それは、NTT労組指導部の全面屈服のもとで、電通労働者がこの攻撃に異を唱えないことを前提にして成り立っている攻撃なのです。あくまでも「自主退職」した形態をとらなければなりません。ここに最大の弱点があるのです。
多くの電通労働者が、この1月、不本意な「辞表」を提出しました。それはNTT労組指導部の屈服という現実の前に強制されたものなのです。だが、電通労働者がそれをのりこえた瞬間、「新3カ年」は破綻(はたん)の道を歩む以外はありません。
「新3カ年」は小泉「構造改革」攻撃の最先端に位置し、戦後労働運動が獲得してきたものをすべて解体する凶暴さを持つ攻撃です。
しかし敵の弱点もしっかり見すえて「新3カ年」攻撃と真っ向から勝負していく決意です。
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週刊『前進』(2042号3面1)
2・11福岡 戦争に進む小泉打倒を 有事立法阻止へ集会・デモ
2月11日、福岡市天神の警固公園で「アフガニスタン・中東侵略戦争反対!有事立法反対!非常事態基本法国会上程阻止!2・11福岡行動(集会とデモ)」が開催された。
激しい寒風の中、集会は福岡県労組交流センターの労働者の司会で始まった。 冒頭に主催者を代表して反戦共同行動・福岡の石崎昭哲代表があいさつし、「戦前、2月11日は紀元節といわれ、侵略と戦争一色の日であった。われわれは今日、反戦の旗高く翻す闘う日として迎えている。有事法制は改憲そのものだ。小泉は戦争体制をつくることに全力を挙げている。今こそ小泉戦争内閣を倒そう」と訴えた。
集会の基調を九州大学学生自治会の学生が意気高く提起した。「重大な情勢の中で2・11闘争に決起している。米帝はアフガンを始めフィリピンでソマリアでボスニアで戦争の火を拡大している。ブッシュは戦犯だ。そのブッシュを呼んで小泉は日米首脳会談を開こうとしている。2月12、13日には自衛隊艦隊を再びアフガン侵略戦争に出撃させようとしている。1月24日には狭山異議申し立てを棄却した。戦争のために人民は死ねという攻撃だ。断じて許せない」
「9・11とは何だったのか。9・11は13億イスラム人民の怒りを体現した民族解放闘争だ。パレスチナでは子どもや女性が命をかけた闘いに立ち上がっている。戦争の元凶である帝国主義をともに打倒しようという呼びかけに、国際的内乱の闘いでこたえよう」
「有事立法の核心は非常事態基本法だ。首相が非常事態を宣言し、憲法を停止し、行政権力や軍隊に行動の自由を与えるのだ。かつての国家総動員法の再来だ」「テロ撲滅のためと言って戦争を許していいのか。こうして戦争は始まっていく。戦争に突き進む小泉政権を打倒しよう」
全参加者が熱烈な拍手で基調報告を確認した。
部落解放同盟全国連合会が、狭山異議審棄却決定に怒りをたたきつける特別アピールを行った。「差別決定への怒りの大会として全国連大会を開催します。特別抗告審闘争に必ず勝利する。全国連5万人建設こそ狭山の勝利の保証だ」
婦人民主クラブ全国協福岡支部の代表、自立労働組合・福岡の労働者、北九州労組交流センターの労働者が決意を表明した。反戦共同行動・長崎が「2・13佐世保からの自衛隊艦隊の三たびの出兵を阻むため、現地闘争に総決起しよう」と緊急アピールを行った。闘う学生が「2・17ブッシュ訪日阻止・日米首脳会談粉砕へ、全学連は首都東京に総結集して闘う」と戦闘宣言を発した。
1時間の集会が瞬く間に終わり、いよいよデモに出発した。寒風をついて横断幕が翻る。林立する旗とのぼり、市民の注目の中でシュプレヒコールが天神のビルにこだまする。
この日の闘いは有事立法反対・非常事態基本法国会上程阻止を掲げた闘いの始まりだ。今国会への上程を全人民の力で粉砕しよう。
集会に先立って、右翼の妨害をはね返して1時間の天神街頭宣伝戦に立った。
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週刊『前進』(2042号3面2)
岩国 大型ヘリ配備弾劾 米軍基地に抗議
2月7日に強行された米軍岩国基地への大型輸送ヘリ(CH−53Dシースタリオン)の配備を弾劾し、2月8日正午、広島・山口反戦共同行動委は基地正面ゲート前で申し入れ行動を貫徹した。
ハワイ所属のこのヘリは普天間基地から飛来した。名護新基地建設と一体の海兵隊岩国基地の強化を許してはならない。ブッシュ訪日と自衛隊艦隊第3次出兵の直前に強行されたこの攻撃は、岩国を中国・朝鮮侵略戦争の最前線基地にするものだ。しかもアフガン空爆以降、このような部隊展開は在日米軍基地では初めてである。「想定外のテロを契機に、岩国は日本の中心に位置するため」「配備は恒久的」(米軍準機関紙・星条旗)と叫んでの岩国基地強化を、参加者は激しく弾劾した。
当日朝の警察権力による不当捜索を粉砕し、パレスチナ・イスラム諸国人民の闘いへの連帯を込めて、意気高く抗議を貫いた。
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週刊『前進』(2042号3面3)
イスラエル・シャロン政権の侵攻・空爆・虐殺許すな
不屈のパレスチナ人民と連帯を
パレスチナ情勢は緊迫の度を増している。イスラエル軍は2月13日、戦車とブルドーザーを先頭にガザ地区北部のベイトハヌーンとベイトヤヒヤに大規模侵攻を行い、いくつかのビルの住民に立ち退きを命じて占拠した。さらにパレスチナ治安部隊施設を攻撃し、パレスチナ警官3人を虐殺した。イスラム運動ハマスが射程10`のカッサム2ミサイルを開発し、10日にイスラエル国内に発射したことに対して、イスラエルは全面戦争的な攻撃に踏み切ったのだ。10、11日のガザやナブルスへの連続空爆に続き、大規模な地上作戦に突入した。「安全保障地帯」の名のもとに占領地のイスラエル軍支配地域を拡大しようというのである。
イスラエルのシャロン首相は2月7日に米帝ブッシュと会談し、「パレスチナ自治政府に対し圧力をかけ続ける」と確認し合った。「テロとの戦争」と称してパレスチナ人民抹殺攻撃を強めようとしているのだ。
この間、イスラエル軍はパレスチナ解放勢力に対する虐殺攻撃を一層強めてきた。2月4日にはガザ地区でDFLPの活動家が乗った乗用車をミサイルで爆撃し虐殺した。2月8日にはジアド・アブ・マヤラ少年(13)が、イスラエル軍に撃たれて虐殺された。2月11日にはイスラエル軍がヨルダン川西岸のハルフルの町に侵攻し、2人の活動家を逮捕、町を去る際に3つの建物と鉄工所を破壊した。その時負傷したタリク・ヒンダウィさんはイスラエル軍によって治療を妨害され出血多量で死亡した。イスラエルは、空爆と地上軍による攻撃で連日のようにパレスチナ人民を虐殺し続けているのだ。
一方、これと並行して、パレスチナ自治政府アラファト指導部を一層屈服させ、和平策動に取り込む攻撃も強められている。シャロンがパレスチナ自治政府のクレイ評議会議長、PLOのアッバス事務局長と会談したのを受けて、イスラエルのペレス外相とクレイ評議会議長の間で和平案が合意されたと言われている。一方、自治政府のアラファト議長は、米紙ニューヨークタイムズ(3日付)に寄稿し、パレスチナ解放闘争をテロリズムと非難、「テロと闘う」という態度を表明した。しかもその中で「イスラエルの人口統計学の関心」を考慮するとし、イスラエルによるパレスチナ住民追い出しの容認を表明したのだ。これは「難民の帰還の権利」の放棄を意味している。
「イスラエルの人口統計学の関心」とは、パレスチナ住民よりもユダヤ住民の方が多くなければならないというものだ。この間、シオニスト右派の間では「人口統計学の問題の解決のためにナチスのアプローチを採用すべきだ」と公然と語られており、パレスチナ住民追い出しが強められている。特に東エルサレムではエルサレム市全域を支配するためにパレスチナ住民追放のための計画的な家屋の破壊が行われている。インティファーダ開始以来すでに1千の家屋が破壊され、7千人が住む家を失った。農民のオリーブやブドウの木をブルドーザーで破壊する、搾乳工場を襲撃するという攻撃も続いている。
だが、パレスチナ自治政府の屈服にもかかわらず、パレスチナ人民に言語に絶する抑圧と屈服を強制する和平策動はけっして成功しない。すでにパレスチナ人民は「オスロ合意」に基づく暫定自治のペテンをのりこえて闘いに決起しているからである。自爆決起やイスラエル軍に対する銃撃戦など、闘いはあらゆる制動を打ち破って不屈に闘いぬかれている。
こうした中で2月11日には数百人のパレスチナ人民が自治政府の刑務所を包囲し、拘留されていた戦士十数人を解放した。1月31日にイスラエル軍が自治政府刑務所に拘留されているイスラム聖戦のモハンメド・ヤシン氏を暗殺しようと銃撃した。暗殺は失敗したが、これに対し住民が何度も自治政府刑務所に抗議して、拘留者の解放を実現している。
米帝のアフガニスタン侵略戦争と一体のイスラエル・シャロン政権による全面的なパレスチナ人民抹殺攻撃を許してはならない。今こそパレスチナ人民の血叫びにこたえよう。2・17戦犯ブッシュ訪日阻止闘争に続き、パレスチナ反戦闘争の高揚を実現しよう。
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週刊『前進』(2042号3面4)
極悪の高橋決定−狭山異議審棄却(下)
差別捜査の事実を隠蔽し 弁護側新鑑定を門前払い
高橋棄却決定は万死に値する
1・24高橋棄却決定は、全文が部落差別に貫かれた極悪の差別文書である。棄却決定文には部落差別についての言及は一言もない。警察の被差別部落に対する襲撃的な集中見込み捜査、部落の青年に対する筆跡検査、血液型検査、アリバイ捜査、デッチあげ逮捕などの差別捜査の事実や、差別逮捕にかんするT氏のビデオ証言を完全に無視抹殺している。露骨な部落差別発言である奥富栄や内田幸吉の虚偽供述や偽証についてもほおかむりし隠ぺいしている。
「狭山再審のみ第1次再審請求から第2次再審請求・異議審まで、ただの一度も事実調べを行わないことは部落差別である」という部落解放同盟全国連の糾弾を受けながら、事実調べを拒否して棄却を強行した罪は万死に値する。
権力の差別犯罪を正当化し居直る、東京高裁・高橋裁判長の差別棄却決定を怒りの炎で焼きつくし粉砕しなければならない。
石川さんは部落差別ゆえに小学校にも満足に通えず、読み書きを学ぶことができなかった。弁護側の諸鑑定は、事件当時、石川さんは漢字もほとんど書けず、書字・表記能力、国語力が小学校3年生くらいの力であったことを科学的、学問的に明らかにした。
高橋棄却決定は、高木決定とまったく同じく、〃@石川さんの狭山署長あての上申書を始めとする文書は、当時の石川さんの書字・表記能力の常態を示すものではない、A9月6日付の関巡査あての石川さんの手紙は暢達(ちょうたつ=のびのびしていること)であるが、2、3カ月で飛躍的に向上することはあり得ないから、石川さんには事件当時から脅迫状を書くだけの書字・表記能力はあった、B上申書などの書字・表記能力の低さは、心理的緊張などによるものである”と強弁し、脅迫状は石川さんが書いたものだと断定している。
高橋裁判長は、石川さんを犯人にデッチあげるために、自覚的、意識的に部落差別の現実・存在を否定し、部落差別ゆえに石川さんが文字の読み書きを学ぶことができず、漢字がほとんど書けなかった事実を、〃社会生活の経験があれば書ける”などと言って、否定しているのである。そして、部落差別によって学ぶことができなかった石川さんが、権力との闘いの中で、独学で短期間で書字・表記能力を向上させた事実を認めようとせず、2、3カ月でそんなに急速に上達するはずがないと言って否定し、差別的心情をあらわにしている。
東京高裁要請行動で、茨城や長野の被差別部落の婦人は、部落差別によって文字を学ぶことができなかった自らの悔しさを語り、「石川さんは脅迫状を絶対に書いていない、石川さんは無実だ」と訴えた。
高橋裁判長と陪席裁判官は、その必死の訴えに耳を貸そうともせず、自覚的、積極的に裁判所による差別犯罪を自ら担い、差別者としての本性をむき出しにして、石川さんに有罪を宣告したのである。
われわれは、差別犯罪に手を染めた、差別者東京高裁・高橋裁判長と陪席裁判官を怒りをこめて打倒しなければならない。
指紋問題での実験結果を否定
齋藤実験鑑定は、公開実験の結果、指痕が221カ所、石川さんの指紋に合致するものが18個検出された事実から、〈石川さんの「自白」どおりに素手で脅迫状が書かれたら必ず指紋が検出され、石川さんの指紋が一つも検出されないことなどあり得ない〉ことを証明した。そして、石川さんが脅迫状を書いたのではなく、「自白」が虚偽であることを明らかにしたのである。
高橋棄却決定は、「実験の条件設定が本件封筒・脅迫状の作成、保管状況等を正しく再現できたものか明確ではないから」というふざけた理由で、〃高木決定の結論(「必ず指紋が検出されるとは限らない」)を左右するものではない”と言って、齋藤実験鑑定を切り捨てた。
「本件封筒・脅迫状の作成、保管状況」など真犯人でないかぎり誰にも分からないのであり、再現できるわけがない。また、警察での脅迫状・封筒の保管状況が、脅迫状と封筒から石川さんの指紋が一つも検出されなかった事実と関係ないことは、被害者の兄の中田健治や木村巡査の指紋が脅迫状から検出されていることから自明である。「保管状況の再現」が、実験の条件設定にされるべき理由も必要性も存在しない。
実験の条件設定は、石川さんの「自白」どおりに脅迫状とその封筒の作成を行うことであった。実験は、齋藤実験鑑定書を読めば明らかなとおり、石川さん本人とほか2名によって厳格に「自白」どおりに行われている。しかも、マスコミ関係者や市民20人の立ち会いのもとで公開実験として公明正大に行われた。
高橋棄却決定は、「自白」どおりに実験が行われたか否かを検討もせず、そもそもその必要性もなく条件設定も不可能な「本件封筒・脅迫状の作成、保管状況の正しい再現」の有無を問題にするというペテン的すり替えの手口で、齋藤実験鑑定を門前払いしたのである。断じて許されない。
実験によって18個も石川さんの指紋が検出された事実は決定的である。齋藤実験鑑定は、「指紋は常に検出されるとは限らない」という寺尾確定判決、「指紋が必ず検出されるとは限らない」という高木棄却決定を、具体的事実をもって粉砕した。
弁護団は再三にわたって、大学の法医学研究室などの公的な第三者機関で、指紋検出の公開実験を行うことを裁判所に要請してきた。しかし、高橋裁判長が要請を無視して実験を行わないために、齋藤鑑定人による鑑定実験を公開で行うことになったのである。齋藤実験鑑定の条件設定をうんぬんするなら、齋藤鑑定人の尋問を行うべきであり、高橋裁判長自らが、指紋検出の公開実験を行うべきなのだ。
殺害態様も高木決定の引き写し
弁護側鑑定は被害者の殺害態様が絞殺(ひも・縄などで首を絞めて殺すこと)であることを明らかにし、埼玉県警鑑識課警察医の五十嵐鑑定の扼殺(やくさつ=手・腕で首を締めて殺すこと)説が誤りであることを指摘した。
上山第1鑑定は、死体の前頸部(ぜんけいぶ=首の前の部分)の真ん中辺を横に走る、帯状に青白く退色した部分(蒼白帯X)の存在を発見し、軟性索状物(マフラーやスカーフなど)による索痕・絞痕と判定した。
さらに、上山第2鑑定は、左後頸部(こうけいぶ=首の後ろの部分)に上下に走る数条の縦縞(たてじま)模様の存在を発見し、それが軟性索状物によって形成されたものであることを指摘した。また、ルーペによる観察で、後頸部に左右に伸びた帯状のまだらに見える圧迫痕が存在する(特に左後頸部)ことを指摘して、後頸部に幅広い軟性索状物による圧迫があったことを証明し、上山第1鑑定を補強した。
上山第1・第2鑑定は、殺害の態様が絞殺であることを動かしがたい事実として証明し、五十嵐鑑定とそれに基づく寺尾確定判決の扼殺説を否定した。また、五十嵐鑑定の扼殺説に照応して警察のストーリーに基づいて作られた石川さんの「自白」が、虚偽であることを明らかにしたのだ。
しかし高橋棄却決定は、高木決定と同じく、この後頸部の縦縞模様や帯状のまだらに見える圧迫痕に関する上山鑑定の指摘を無視抹殺し、その存在の有無の確認や、それが絞殺痕か否かの具体的検討も、上山鑑定人に対する尋問も行わず、後頸部には軟性索状物による索痕は見当たらないと強弁した。そして、五十嵐鑑定の所見は、「後頸部には、索状の緊縛による異常変化はなかった」と判定しているのだから後頸部には絞痕はなく、絞殺ではないと強弁し、上山第1・第2鑑定を退けたのである。
高橋棄却決定の殺害態様に関する判示は、高木棄却決定文の引き写しであり、独自の内容は皆無である。扼絞併用説も高木決定と同じであるが、検察側石山鑑定のインチキな「ブラウスの襟(えり)で締めた」説を評価している。高橋棄却決定文は石山鑑定の要約を長々と記載し、「確定判決の当否を判断する場合には、石山鑑定も検討の対象にすべきである」などと、石山鑑定を持ち上げ、全面支持を表明している。
石山 夫(いくお)は、悪名高い古畑種基の後継者として、権力の冤罪(えんざい)の片棒をかつぐ検察側鑑定書を作成し、島田事件や日産サニー事件など多くの再審事件で、無実の人を苦しめてきた憎みて余りある御用学者である。
こんなでたらめな高橋棄却決定を木っ端微塵に粉砕しなければならない。
全国連第11回全国大会の成功をともにかちとり、特別抗告審闘争の勝利へ進撃しよう。
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週刊『前進』(2042号3面5)
今こそ「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて!
第4回 宮城 大山 春江さん(小学校)
「指導力不足教員」制度
職場の団結破壊許さない 「もの申す」教員の排除ねらう
「長期特別研修」 実態は土木工事
――宮城の「長期特別研修制度」について聞かせてください。
大山 2000年4月に「公立学校教員長期特別研修に関する要綱」が施行されました。その目的は「教育指導力等について特に学校現場を離れて再研修を要すると認められる場合に……学校以外の教育機関等における多面的な指導のもとに……指導力の伸長を促し……」とされています。
その第一号として、小学校教員のAさんが同年4月から研修に送られました。その実態はとんでもないものです。「研修の実施機関」とされたのは「松島野外活動センター」。そこで毎日、朝から晩まで土木作業を行わされました。国鉄分割・民営化の時に国鉄労働者が人材活用センターで草むしりなどをさせられたのと同じようなものです。
しかも本人に対して〃なぜ長期特別研修に送るのか”という説明は何もありません。3月末に、何の理由も示さずにまったく突然「長期特別研修に行ってもらう」と言われたんです。
Aさんは何度も県の情報公開を請求し、その結果「『長期特別研修教員に関する検討会議』検討結果」という文書が公開されました。しかし公開された書類はすべて「白塗り」。「勤務の状況」「教育指導力についての状況」などの項目に記された内容はすべて消された文書が「公開」されたんです。いったい何が問題とされたのか、どういう研修が必要と判断されたのかは何もわからず、ただ結論として「長期特別研修を必要と認める」という一文が記されていました。
この研修について、昨年5月に地元のテレビが取り上げて放映し、また県や市の教研集会で事態が明らかになりました。私たち組合員も初めて実態を知って、本当に驚きました。
日共系執行部は制度に反対せず
――組合の対応は。
大山 宮城県教組は日教組に加盟していますが、執行部は共産党系です。この問題に対する執行部の対応も、制度そのものには反対せず、いろいろ条件をつけようというスタンスで、大きな問題があります。
昨年6月の定期大会の執行部原案では「指導力不足教員」問題について、「プライバシーを守れ」「客観的で公正な判断を」などと求めました。執行部に反対する私たちの仲間は「制度そのものに反対すべき」と批判し、「政府・文科省が法制化を狙う『指導力不足教員の排除』には、廃案を目指し断固反対します」という修正案を出して、全面的に受け入れさせました。
しかし昨年9月の「『指導不適切教員』問題に対する宮教組の見解」でも、「『指導不適切』の概念は極めて狭いものに限定されるべきであり、いかなることがあっても管理職・行政による恣意(しい)的な運用や安易なレッテル貼りを許してはならない」とありました。組合の会議では「制度そのものが問題なのに『恣意的運用』だけを問題とするなんておかしい」と何人もが批判しました。
――現場の雰囲気は。
大山 Aさん自身も「実際には物を申している人が対象にされている。東京では『日の丸・君が代』に反対している人が対象とされている」と危機感を持って訴えていますが、実態があまり知られない中で、「研修」という名前にごまかされている面があります。
一番怖いのは、この制度と一体で、教育現場のさまざまな問題について「個人の力量で解決すべき」という考え方がまん延してしまうことです。今までは、保護者からクレームがきたり、クラスでいろいろな問題が起きた時、職場のみんなで話し合って意見を出し合って解決してきました。
でもこういう考え方が破壊されて、「クラスをうまく経営できないのは担任に力量がないからだ」という考え方をたたき込んでいくものになるわけです。この制度が賃金とリンクさせられたら余計に、お互いに支え合っていくという考え方が壊されてしまうという危機感を持っています。
労働者の抵抗への危機感から
――今なぜ「指導力不足教員制度」なのですか。
大山 教育基本法改悪の動きと「指導力不足教員制度」の2つは一体の攻撃です。今、政府は「国のために命を投げ出して戦う子ども」をつくるために、教基法を変えようとしている。でも教育を担うのは教育労働者であって、現場が「日の丸・君が代」反対とか平和教育が大事とか言っていては、いくら教育基本法を変えても教育は変わらない。文科省には、いざ戦争って時に子どもたちが愛国心に燃えて戦争を担うというように全然なっていない、教育労働者を変えなければならないという危機感はすごくあると思います。
教育基本法が改悪されたら、今の憲法や教育基本法の精神にもとづいて教育することが「指導力不足だ。不適格だ。問題教師だ」と言われることになる。ものすごく許せない攻撃です。
――いかに闘っていくべきでしょうか。
大山 以前、ストライキなどを闘っていた時は、職場のみんなが支え合う関係がつくられていた。今、組織率も下がり団結が弱くされている現状はあります。職場の団結が破壊されていくと、たとえばワンマンな校長が教員につらくあたり、病気になって辞表を出させられるところまで追い詰められてしまう。団結ってすごく大切なんですよ。
「不適格教員制度」って本当に他人ごとではありません。保護者のクレームなどを口実に処分をデッチあげるということがいくらでもまかり通ることになってしまうわけで、校長の方針に反対したり、物を申したりする教員は現場から排除するためのシステムです。
だから、「個人の力量次第」って考え方じゃだめだ、みんなで団結して一緒にやっていこう、と訴えて団結を強化することと、教育労働者を「物言わぬ教師」にするためのもの、本質は邪魔な教育労働者を排除していくものなんだ、と訴えて反対していくのと両方が必要だと思います。
「教え子を再び戦場に送らない」ことに確信をもっている教育労働者はいっぱいいます。そういう人たちと手をつないでともに闘っていけば、簡単には負けないと思っています。
(聞き手/本紙 大西 晶)
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週刊『前進』(2042号4面1)
有事立法粉砕決戦に立て
憲法停止し全権を首相に集中 中国・朝鮮侵略の戦争体制狙う
土地、物資を強奪、人民を戦争動員
片瀬 涼
小泉首相は今国会冒頭の施政方針演説で、有事立法の関連法案を国会提出することを明言した。有事立法との闘いは、すでに一刻を争う正念場となっており、02年最大の政治決戦に押し上げなければならない。日帝はいまや対米対抗的で全面的な戦争国家づくりへ突進している。有事立法批判の大規模な宣伝・扇動、大衆的な論議を急速に巻き起こし、有事立法を粉砕する革命的大衆行動を総力でつくり出そう。
有事立法の基本方針
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全般
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個別
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@ 総則的規定 |
・武力攻撃事態への対処に関する基本構想 |
・国の責務 |
・武力攻撃事態への対処に関するための国の意思決定 |
・国と地方自治体との関係 |
・武力攻撃事態への対処に関する法制の整備に関する基本方針 |
A 武力攻撃事態への対処に関する法制の整備項目 |
1 自衛隊及び米軍の行動の円滑化に関する事項 |
@ 自衛隊の行動の円滑化 --> *1 |
A 米軍の行動の円滑化 --> *2 |
2 国民の安全確保,生活の維持等に関する事項 --> *3 |
3 国際的人道法の順守に関する事項 --> *4 |
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今国会提出
*1
自衛隊法の改悪(第1分類)
物資の収用,土地の使用、業務命令など
自衛隊法による関係法の改悪(第2分類)
法律の適用除外、特例措置(自衛隊)
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できれば今国会提出
*2
米軍支援のための法制
米軍の行動に必要な施設、物資等の確保など
関係法の改悪
法律の適用除外(米軍)
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次期国会以降
*3
警報、住民避難、各種応急措置、復旧
船舶、航空機の安全確保
経済関係諸措置 |
*4
傷病者、衛生要員等の取り扱い
捕虜の処遇
武力紛争の影響を受ける一般人の保護
戦争犯罪人に対する処罰 |
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国家緊急権の発動で戦争動員と治安維持
今国会に提出される有事立法は、有事対応の理念や枠組みを示す「基本法」的規定と、自衛隊法改悪などの個別法を、「武力攻撃事態への対処に関する法制」(仮称)として一本化し、「包括法」として提出する方向となった。
包括法に盛り込む形で今国会に提出される個別法は自衛隊の行動に関する法制で、物資の収用や土地の使用、業務従事命令などのための自衛隊法の改悪(第1分類)、道路法や建築基準法、医療法など関係法適用を除外するための自衛隊法改悪(第2分類)だ。米軍の行動に関する法制も間に合えば提出するという。それ以外の個別法は次期国会以降となる。
新聞で報道される有事立法の検討項目を見ると、国の責務・意思決定、国と地方自治体との関係、国民の安全確保……と、わかりにくく巧妙な表現だ。しかしよく検討してみると、本格的な戦前型の戦争国家づくりであり、実に重大かつ全面的で恐るべき内容だ。
ここで重大なことは、日帝が「テロも不審船も拉致問題も有事だ」(小泉)として有事の概念を「対テロ戦」を軸とするものに決定的に転換させていることだ。日帝はそのことで敗戦帝国主義としての戦後的制約を一挙に問答無用に突破しようとしているのだ。
日帝の狙いは、米帝のブッシュ・ドクトリン――世界危機の世界戦争への転化の路線――に帝国主義としての存亡をかけて必死に対応し、現実のアフガニスタン・中東侵略戦争、そして切迫する中国・朝鮮侵略戦争を日帝自身の主体的戦争としてなんとしても遂行することである。他方、自衛隊法などすでに存在する現行の広義の有事法制の延長線上にではなく、それと次元を異にするまったく新たな戦争法体系を暴力的に形成し、そのことで現憲法停止を可能にすることだ。
したがってそれは、上からの血みどろの階級決戦の国家的決断をしたということにほかならない。そのために日帝は、排外主義的で愛国主義的な「テロ根絶」論を大上段に振りかざして戦後史を転覆する歴史的大攻撃で正面突破しようとしているのである。
本稿では、有事立法の基礎的な問題も含めて有事立法攻撃の全体を批判し、有事立法阻止決戦にただちに突入することを訴える。
戦前の国家総動員法をモデルに
有事とは、正確には戦時・戒厳事態のことだ。つまり軍隊が戦闘行動に入る事態であり、かつ軍隊が中心になって治安維持を図る事態だ。
緊急事態や非常事態もほとんど同じ意味で、一般的には、戦争や内乱で、通常の統治体制では対処できないと考えられる場合を指す。このような事態に対処するための特別の権力を、帝国主義は「国家緊急権」と規定している。
帝国主義国家は「国家緊急権」の発動によって、権力を集中・強化し、憲法による国家権力への拘束を停止し、基本的人権を制限・停止して、@軍隊の編成(徴兵など)と作戦行動の達成、A軍需品の徴発、工場・土地などの管理・使用・収用、労働者の徴用、B思想・言論の統制、集会・結社やストの禁止など国内治安の維持……などを行い、戦争をやるのだ。
戦前の日帝は、明治憲法で戒厳や非常大権、緊急勅令などの規定を持ち、国家総動員法や治安維持法などの一連の有事体制の法体系を構築し、アジア侵略戦争と対米戦争を展開し、労働者階級人民の総動員と治安維持を図った。そして最終的には第2次世界大戦で敗北した。
戦後の日帝も、かなり早い段階から有事立法制定を狙ってきた。特に65年に国会で暴露された「三矢研究」は、自衛隊統幕会議制服組による第2次朝鮮戦争を想定した図上研究で、核兵器の使用や日米統合作戦本部の検討と並んで、非常事態措置法令が研究された。この非常事態措置法令を超短期間に国会議決し、自衛隊による軍政に移行するのが三矢研究のシナリオだった。それは国家非常事態宣言、戒厳、労働者の動員、物資の徴発、ストライキの制限、政府権力の強化と集中、有事徴兵制や軍法会議の設置、防諜法、軍事費の獲得……など、戦争に必要な要件を一挙に可能にするもので、国家総動員法などの戦時法を模範として再現するものだった。
新ガイドラインと一体の戦時法
その後、78年(78年〜84年)の有事立法攻撃があり、そして90年代に入って、日帝の有事立法攻撃はさらに拍車がかかった。帝国主義と帝国主義の対立の激化、とりわけ日米争闘戦の激化の中で、94年には朝鮮侵略戦争へ突入寸前まで行き、96年の安保共同宣言(安保再定義)を経て、97年に日米防衛協力の新指針(新ガイドライン)が策定された。新ガイドラインは「周辺事態における日米両国の軍事的協力関係の具体的あり方」、つまり米日帝の朝鮮・中国侵略戦争体制の構築と発動をめざすものだ。それは日帝が再び、侵略戦争へ踏み出すことを意味した。
99年成立の新ガイドライン関連法は、「周辺事態での協力」を法制化するもので、輸送、補給、警備、機雷除去、物資の提供といった米軍への「後方地域支援」を規定した。これは自衛隊の参戦を合法化し、地方自治体や民間を戦争に総動員するものだ。
しかし、現憲法は陸海空軍その他の戦力の不保持、交戦権の否認という規定を持ち、戦争=有事に関する規定は一切ない。憲法を規定してきた階級関係もいまだ転覆されたとはいえない。日帝がガイドライン関連法の実効性を確保するためには、この戦後憲法体系を全面転覆し、現行の法体系の総体を戦時法として再編する必要がある。それが有事立法なのだ。
占領下で行われた50年朝鮮戦争
有事立法は何を実現しようとしているのか。50年朝鮮戦争ではどうだったのかを検討すれば明白だ。
朝鮮戦争で米帝は、米軍60万人と韓国軍200万人を動員し、占領下にあった日本を巨大な出撃・兵站(へいたん)基地として総動員した。在日米軍は、沖縄、北九州、中国地方などから連日出撃して空襲を行い、日本から軍需品や役務を調達し、港湾の使用、鉄道や海運を総動員、看護婦も動員した。
連合国総司令部(GHQ)は、朝鮮戦争を遂行するために労働者階級、在日朝鮮人民の闘いを徹底的に弾圧し、戒厳体制を敷いた。戦争に先立ち、GHQはまず「赤色教員追放」を指示、小中高の教育労働者約2千人を解雇し、団体等規正令で在日朝鮮人連盟(朝連)解散を強行した。50年6月に入ると、日本共産党幹部の公職追放が始まり、戦争勃発の翌日には日共の機関紙「アカハタ」の発行停止を命令。ついで新聞・放送関係でレッドパージが始まり、国鉄、電通、郵政、石炭、造船、鉄鋼など全産業に広がった。さらにGHQは集会、デモの禁止を指示し、事実上の戒厳令状態を敷いた。
一方で、日本政府には占領軍のための特別調達庁が設置されており、大規模な人員と部局を持ち、全国を網羅した調達システムを構築した。そして米軍の宿舎、物資、労務など朝鮮戦争に必要なあらゆるものを調達した。
戒厳状態のもとで、国鉄は戦争勃発から2週間の間に数百本の軍事臨時列車を運行した。休暇もなく、火薬類運送規定もGHQの要求で解除され、弾薬類などの危険な輸送が強制された。100d以上の船舶は、GHQの管理下に置かれ、米軍輸送に動員された。朝鮮上陸作戦に動員され命を落とした人も多い。軍関係の工場では強制出勤、徹夜作業が強制され、発電所や軍需工場では米兵や警備員がカービン銃を持って監視した。また日本赤十字が全面協力し、全国で数千人の医師や看護婦が動員された。
無条件降伏した日本で、GHQは日本占領管理の最高機関であり、最高司令官の命令は日本のすべての法令に優先するとされ、即時施行をさせた。GHQは日本政府だけでなく、各省庁や民間の機関や団体も直接指揮・命令した。占領軍という強大な権力で、日本全土を戒厳状態に置き、米軍が日本中で自由に活動し、労働者人民を戦争に総動員して初めて米帝の朝鮮戦争は成立したのだ。
有事立法とは、日帝自身が敗戦帝国主義としての戦後体制を破壊して、究極的にはこのようなものをめざすものなのだ。
空港・港湾・道路・病院などを軍隊最優先に
有事立法とは、日帝がガイドライン体制・「対テロ戦争」体制のもとで外に向け、アフガニスタン・中東侵略戦争参戦を本格化し、何よりも実際に中国・朝鮮侵略戦争を遂行するための戦争国家づくりなのだ。
政府・与党が出している有事立法の対象は「防衛出動命令」「防衛出動待機命令」で、「周辺有事」=中国・朝鮮侵略戦争とは関係ないかのように押し出しているが、これはまったくのペテンである。それは自衛隊と在日米軍が2年に1度行っている日米共同統合演習(指揮所演習)を見れば一目瞭然だ。例えば一昨年の同演習は、朝鮮半島有事を想定して行われている。シナリオは朝鮮半島で戦争が勃発し、自衛隊が日本人救出に米軍とともに出動し、日本国内では治安出動と防衛出動待機命令を発令、最終的には自衛隊が防衛出動する想定になっている。
さらに「米韓作戦計画5027」を想起する必要がある。日帝はそこに主体的に参戦することに踏み切っているのだ。また、昨年12・22外国船撃沈・虐殺事件のように自衛隊自身がどんどんアジアに向けて侵略的軍事行動をやる体制に入りつつある。日帝の有事立法の想定は抽象的なものではなく、実際に中国・朝鮮に対して砲火を加える帝国主義侵略戦争なのである。
自衛隊の作戦行動の自由確保
自衛隊や米軍の作戦行動を達成するための有事立法として第1分類、2分類と言われる部分がある。
〈土地収用・物資の徴発〉
自衛隊法第103条は、防衛出動の際、病院施設の管理、家屋・土地の使用、物資の収用などを規定している。現在は手続きを定める政令がなく、実際には実効力はない。また現行の自衛隊法では、所有者が不在の場合、物資収用や土地使用はできない。この政令を有事立法で制定するのだ。
また民有地に陣地を構築しようとした場合、現在はそこにある建築物を自衛隊は撤去できないが、それを可能にしようとしている。国有地の場合も、海岸法、河川法、森林法、自然公園法などの法律には土地の形状変更などに関する制限がある。これらの法律に有事の特例措置規定を設けようとしている。また建築基準法には、建築物の構造に関する基準が規定されており、戦時に緊急で、指揮所や航空機用シェルターなどの新たな建築物を自衛隊は自衛隊基地の中でも勝手に建設できない。そこで建設基準法の特例措置の規定を設けようとしている。
94年の朝鮮侵略戦争の最切迫の時、米韓軍は12万人の死傷者を想定し、重傷米兵千人を日本の病院で手術・治療できるように要求した。この場合、自衛隊が野戦病院を設置することになるが、現行の医療法では、病院を設置する場合、一定の構造設備を要し、厚生労働大臣と協議するとされている。これに特例措置を設けようとしている。
自衛隊や米軍が作戦行動に必要な土地の使用や物資の徴発を可能にし、米兵宿舎、野戦病院、訓練施設、陣地などをつくれるようにしようとしているのだ。
〈武器・弾薬の輸送〉
有事立法で、武器や弾薬の大量輸送を24時間フル稼働で、高速道路など一般車道でできるようにしようとしている。しかも自衛隊や米軍車両とわからないようにナンバーなども偽装できるようにしたり、夜間無灯火での運転などを可能にしようとしている。
戦時には弾薬を大量に消費する。そのため輸送部隊は、昼夜を問わず大量の弾薬を迅速に戦闘部隊に輸送する必要がある。現在ある「火薬類の運搬に関する総理府令」では、火薬類の運搬は夜間を避けて行うことと規定されている。さらに「危険物船舶輸送及び貯蔵規則」は一定量以上の火薬類を船舶に持ち込んではならないとなっている。これに有事規定を設けて、危険な弾薬・火薬類を24時間体制で大量に運べるようにしようとしているのだ。
道路や橋が損傷していたら、自衛隊が補修できるように道路法に有事規定を設けようとしている。さらに住民の避難誘導のための道路指定などと称して、軍用道路の確保が行われる。
〈出動拒否に厳罰〉
自衛官を戦場に駆り立てるための有事立法もある。
自衛隊法第30条には「出動を命じられた職員に対する出動手当の支給…は、別に法律でこれを定める」と規定しているが、まだ有事出動した自衛官に対する補償は決まっていない。
他方、防衛出動命令を拒否した自衛官に対する罰則は7年以下の懲役または禁固となっている。治安出動命令の場合は3年以下だ。これ自体が断じて許せないが、旧陸海軍刑法では最高は死刑だった。有事立法では、出動拒否や敵前逃亡に対する厳罰化や軍法会議の設置が狙われている。
さらに予備自衛官、即応予備自衛官制度のエスカレーション(有事徴兵制)、交戦規則(ROE)の策定も出てくるだろう。墓地、埋葬等に関する法律の改悪で、墓地や火葬場以外で埋葬、火葬できるようにする項目もある。
協力拒否者には「厳罰」で恫喝
自衛隊や米軍だけでは戦争はできない。50万の米軍と自衛隊の作戦行動を支えるためには、労働者を総動員し、日本全土を出撃・兵站基地化することなしには不可能である。
〈国家総動員〉
自衛隊法第103条1項は、自衛隊の要請で都道府県知事が病院、診療所、その他政令で定める施設の管理、土地、家屋、物資の使用ができる。物資の生産……輸送を業とする者に取り扱う物資の保管や物資の収用を行うことができる、となっている。2項では、医療、土木建築工事、輸送業者に、自衛隊が指定した同種の業務の従事命令が出せる、となっている。
このようにすでに自衛隊法には広範囲にわたる動員法があるのだ。だが、その手続きなどを決めた政令がない。またこの「協力義務」を拒否した場合の罰則についても、自衛隊法にはなんら規定されていない。これが第1分類として今国会に提出される。
〈戦時の防災計画〉
いまひとつ指摘しておきたいのが、第103条3項が災害救助法の準用を規定している問題である。
首相を会長とする中央防災会議が作成する防災計画では、指定公共機関として日赤、NHK、道路公団・空港公団・JRなどの輸送機関、電気・ガス会社、通信関係などを指定している。防災計画は、防災上必要な施設、人員、物資、輸送などを規定したもので、首相のもとに一元的に組織されており、実は行政機関、公共機関の戦争動員計画そのものなのだ。
防災計画の定める事項には、医療、建築、輸送関係者の従事命令のために、その職業、住所、氏名などの名簿を作成し、災害発生の場合にすみやかに公用令書を交付執行できるように準備する、となっている。
その実態は、防災訓練を見ればよくわかる。例えば石原のビッグレスキューでは、自衛隊だけでなく海上保安庁・建設省・食糧庁などの国家機関、新宿区や世田谷区など自治体、東京電力、東京ガス、NTT、日赤、医師会、消防団、各種ボランティア団体まで動員している。これはそのまま有事の動員・協力演習であり、有事になればそのまま戦争動員機関になるのだ。
〈港湾・空港の強制使用〉
有事立法第3分類の検討項目には、特定港湾、空港の封鎖及び自衛隊による使用という項目がある。これによって全国の港湾・空港で、民間の通常輸送業務を制限し、自衛隊や米軍が独占的に使用するのだ。
米軍への輸送協力は、弾薬や燃料が対象になるが、実態は民間輸送業者だ。しかし周辺事態法9条2項では「依頼」ができるだけだ。前述のように自衛隊法103条関係の政令が有事立法として出てくることになる。その際、弾薬・火薬などの危険な輸送を昼夜行うために、自衛隊だけでなく民間業者にも適用する各種法律の有事の特例規定が必要になる。
第3分類には、船舶・航空機の安全確保の項目に、特定船舶に対する自衛隊等による保護というものもある。自衛隊が民間の輸送船や航空機を護衛して戦場まで輸送することもある。
〈医療機関の戦時動員〉
自衛隊法103条では病院、診療所の管理と医療関係者の従事命令が出せるとなっている。野戦病院の設置とともに病院・医療労働者の動員が問題になる。
日本赤十字は、朝鮮戦争の時、九州の各県支部を動員し日赤出身の看護婦を戦前の召集令状(赤紙)を使用して秘密裏に召集した。三矢研究でも日赤を自衛隊の指揮下に置くことが研究されている。
第3分類にジュネーブ条約関連の項目があるが、これは民間人を戦場に派遣し従事させるためにも必要なのだ。例えば、戦争動員された民間人が捕虜の待遇に関するジュネーブ条約の適用対象になるには、軍隊(自衛隊)の身分証明書が必要だ。民間人を戦場に動員するために、こうした有事立法も出してくるのだ。
さらに労働者の戦争動員のために、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法、労働安全衛生法などの労働法の適用除外が有事立法として出てくる。
反戦運動弾圧し戒厳下で戦争へ
自衛隊や米軍の作戦行動の達成や国家総動員を実現するには、権力の集中と強化による戦争指導体制の構築、反戦運動弾圧などの治安維持が必要となる。
産経新聞で報道されている有事立法の法案要旨では、@緊急事態に対処するために、首相を会長とする中央緊急事態対処会議を設置し、その下に都道府県、市町村の緊急事態対処会議を置く、A首相は、重大緊急事態を布告できる、B緊急事態が発生した場合、都道府県知事は従事命令・緊急命令・保管命令が出せる−−などとなっている。
〈首相に独裁権力〉
これこそ憲法も法律も無視し、首相のもとに一切の権力が集中する状態を意味する。首相が重大緊急事態を布告すれば、どんな命令でもできるという規定になっているのだ。首相(緊急事態対処会議)に超法規的権限が与えられるのだ。
地方自治体は国から独立した組織として存在し、地方に関する行政は、原則として関与せず、地方自治体にまかすというのが憲法の言う「地方自治の本旨」だ。しかし、緊急事態対処会議は、国→都道府県→市町村とトップダウン式に組織される。地方自治の完全否定だ。そして防災計画で見たように、この各級緊急事態対処会議のもとに各種行政機関や公共事業、民間業者、地域団体が組織される。第3分類で「隣組」に相当する自主的民間防衛組織の設立が言われているが、この組織が末端を構成することになる。
〈首都は戒厳状態に〉
戦争となれば、反戦運動や労働者の闘いの弾圧が問題になる。新ガイドラインでは、ゲリラ・コマンドウ、弾道ミサイル対処を口実に自衛隊の治安出動を追求している。さらに9・11以後は、「対テロ」で戒厳状態に置こうとしている。現にアメリカ社会で起きている事態はその一例だ。昨年の自衛隊法改悪で、警護出動で米軍基地などを警護できるようになったが、それに加えて治安出動発令前の情報収集段階から自衛隊は武装して出動できるようになっている。かなり早い段階から事実上の治安出動をするということだ。
1923年の関東大震災では戒厳令下、陸軍5万3000人が出動し、186カ所の検問所を設け、東京の外周の要点を押さえて交通を統制し、東京を封鎖した。石原がビッグレスキューで追求する最大の目的がそれだ。軍隊で制圧し、人民を排外主義扇動で組織し、東京を戒厳状態に置くのである。有事立法の検討項目で国民の安全確保、生活の維持とか民間防衛をあげているのは、そういう意味だ。民間防衛とは「隣組」で地域を反動的に組織し、労働現場でも軍需工場や軍事輸送の防衛組織に労働者が組織され、反戦運動、ストライキやサボタージュを弾圧するのだ。
そうして戦争への総動員体制を発動するのである。実際には、戒厳をこのように発動していこうとしているのだ。有事に際し、既成事実を背景に一挙に制定し実行するのだ。
また破壊活動防止法や組織的犯罪対策法など、一連の治安弾圧法も有事立法として体系づけられるのだ。
今春闘争の大爆発で日帝・小泉政権打倒を
有事立法の核心をまとめるとどうなるか。
第一に、日帝が、米帝の凶悪で対日争闘戦的な世界戦争路線に対応=対抗して、国家をあげてアフガニスタン・中東侵略戦争、中国・朝鮮侵略戦争をやるための歴史的大攻撃だ。絶対に許してはならない。闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民への血債をかけて連帯し絶対阻止へ闘おう。
米帝ブッシュはイラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、空前の大軍拡を行って侵略戦争を全世界に激化・拡大させている。それは世界危機を世界戦争へ転化させる凶暴な路線だ。中国・北朝鮮スターリン主義の危機と相まって、中国・北朝鮮侵略戦争情勢は緊迫している。
これに対応するものとして日帝・小泉の有事立法・改憲攻撃があるのだ。
第二に、労働者の戦争動員を粉砕する闘いと、大失業攻撃との闘いを結合させて闘おう。小泉政権の戦争国家化、大失業攻撃に屈服し、戦争翼賛勢力化する日本共産党、連合や全労連、JR総連と対決し、帝国主義を打倒する労働者階級の闘いをつくりだすことだ。
第三に、有事立法は戦前型の社会の再現であり、行き着く先は沖縄戦の道だ。
敗戦色が濃くなる中、日帝は本土決戦を呼号して沖縄戦に突入した。沖縄では飛行場建設のために民家や農地を強制収用し、学校・公民館や民家を兵舎として提供させ、「現地物資を活用し、一木一草と言えどもこれを活用すべし」の軍の方針で食料や牛・馬まで徴発された。飛行場建設や陣地構築に労働者や勤労奉仕隊が徴用された。最後は学徒隊として中学生までも動員され、20万人もの沖縄県民の命が奪われたのだ。
有事立法は、兵士に戦場に行くことを強制し、あらゆる物資を徴発し、労働者階級人民を戦争動員し、最後は命を捨てることを強制するものなのだ。
第四に、三里塚では36年間、軍事空港建設のために憲法や法律さえ無視した、むき出しの暴力による土地収奪が行われてきた。国家権力が三里塚でやってきたことに有事立法の赤裸々な正体がある。一方で、三里塚農民と労働者人民の実力闘争は、この権力の暴虐を完全にうち破ってきた。いまや収用委員会は解体され、空港建設の事業認定は失効し、強制収用ができない状態だ。国家の暴力装置、強制力が機能しないのだ。これは有事立法粉砕の闘いにとって貴重な教訓だ。
有事立法粉砕の革命的大衆行動をつくりだす条件は大いにある。学習・批判と宣伝・扇動を全力でやり、あらゆる闘争形態・戦術を駆使して闘おう。有事立法阻止・改憲粉砕の闘いを、戦後史最大の決戦とし、日帝・小泉政権を実力で打倒しよう。3月中旬国会提出阻止へ全力で闘おう。
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週刊『前進』(2042号4面2)
第3次自衛隊の出兵を強行 ACSA「日本有事も適用」
●パウエル長官、イラク攻撃を示唆 パウエル米国務長官は、米下院外交委員会で、イラクのフセイン政権打倒を「米国だけで行わねばならないかも知れない」と述べ、単独行動も辞さない構えを表明、イラクが98年以来拒否している国連による大量破壊兵器査察の即時受け入れを要求。「あらゆる行動を検討している」と述べた。(6日)
●対イラク船舶検査で艦船給油を日本に要請
アフガニスタンでの軍事作戦への支援とともに、対イラク経済制裁の船舶検査を行うオーストラリア海軍が日本政府に対し、艦船への燃料補給を要請していることが分かった。(7日)
●フィリピンが米に対等指揮権認める 米国の対テロ作戦の一つとしてフィリピン南部で行われている米比合同軍事演習「バリカタン02−1」で、実施要項の草案がフィリピン上院委員会に提出された。フィリピン軍に指揮権があると主張していたフィリピン側が譲歩し、米軍に対等の指揮権を認める内容であることが明らかになった。(7日)
●東海岸外しジュゴンの調査 沖縄本島周辺に生息する国の天然記念物・ジュゴンについて、環境庁は普天間飛行場の移設予定地の本島北部の東海岸とは反対側の、本島北西沖で生息分布調査を行うことを決めた。検討会ではアドバイザーとして出席したオーストラリアのアンソニー・プリーン博士が「基地建設で藻場が失われ絶滅の恐れがある」と警告。移設予定地を外したことに批判の声があがっている。(8日)
●奄美に米軍ヘリ飛来 昨年、鹿児島県の奄美空港に米軍機が111回、奄美群島5カ所の民間空港に自衛隊機が332回飛来したことが、鹿児島県土木部港湾課のまとめで分かった。米軍機の空港使用は主に燃料補給が目的で、9・11以降の10〜12月に半数の53回飛来した。(8日)
●ACSA「日本有事にも適用」と山崎 自民党の山崎拓幹事長と中谷元・防衛庁長官が会談し、自衛隊と米軍の間で燃料などの兵站支援を行う「日米物品役務相互提供協定」(ACSA)を日本有事にも適用できるようにする改定案を今国会に提出することで合意した。また国連平和維持活動(PKO)法について「武器の使用条件を国際標準に見合ったものにする必要がある」として、@自己防衛に限らず任務遂行のために武器を使用できるようにする、A要人や他国部隊を守る「警護任務」を可能にする、B停戦合意や受け入れ国の同意がなくてもPKOに参加できるようにする−の3点で合意した。今国会に法案提出を目指す。(9日)
●米軍基地跡から次々と廃油缶 沖縄県北谷町美浜の米軍基地跡地から発見された大量のタール状廃油入りドラム缶の撤去作業で、作業終了予定だったが、さらに新たなドラム缶が見つかり、範囲を広げて作業を継続することになった。これまでに撤去したドラム缶は138本、除去した汚染土は計約300dになった。(11日)
●日米地位協定改定案提出へ 自民党と社民党の沖縄県選出の国会議員らが、在日米軍人らの法的地位や施設運用上の権利などを定める日米地位協定の改定案をまとめた。個別の米軍施設の使用目的や条件を10年ごとに審査する新たな条項を明記、施設内で環境汚染や事故があった場合、日本側の立ち入りを大幅に認める内容となっている。次期通常国会で議員立法化を目指すという。(11日)
●第3次自衛隊艦隊が出港 テロ対策特措法に基づく米軍などの支援のため、海上自衛隊の補給艦ときわが横須賀基地(神奈川県)から、護衛艦はるなが舞鶴基地(京都府)から出港した。佐世保基地(長崎県)の護衛艦さわかぜも13日出港。昨年11月に出港した護衛艦くらまなどと交代する。(12日)
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週刊『前進』(2042号5面1)
自衛隊の兵士諸君に訴える
不正義の侵略戦争で被抑圧民族を殺すな 労働者階級とともに反戦を闘おう
はじめに
自衛隊の兵士諸君。自衛隊史上かつてなかった歴史的転換が、今やってきている。小泉政権が、歴代自民党政権の反革命的・反人民的宿願をついに果たすかのように、戦後日本のあり方の体制的転覆とそこでの戦後憲法の全面否定を暴力的に進めつつある。その核心にあるのが、自衛隊が「専守防衛」を建前とする自衛隊から「予防的=先制的な侵略戦争」に打って出る帝国主義侵略軍隊へと変貌(へんぼう)するという問題である。
この中で自衛隊の多くの兵士と家族がさまざまに悩んでおり、追いつめられていることがいろいろな機会に語られている。逆に「いよいよ自衛隊の出番だ」と意気込んでいる兵士も少なくない。
われわれは、兵士諸君に懸命に呼びかける。
昨年11月以来のアフガニスタン・中東への度重なる出兵は何のためか。3月からの東ティモールへの本格的派兵では何をやるのか。中国・朝鮮への領域警備は何を意味するのか。それらは日本帝国主義が再び三度アジアの軍事大国として復活して、自衛隊兵士を矢面に立たせつつ、イスラム諸国やアジア諸国への帝国主義侵略戦争を行うものではないのか。兵士諸君が出兵してやろうとしていることは、今日の世界で虐げられ抑圧されている他民族人民を虐殺する不正義の侵略戦争なのだ。出兵することは、かつての大日本帝国軍隊のあの非人間的悪行を自らの体で再現することなのだ。出兵してはならない! 出兵拒否を本当に貫くにはどうすればいいのか、ともに真剣に考えようではないか。
われわれは、闘うイスラム諸国人民・闘うアジア人民に固く連帯して、自国帝国主義の侵略戦争に対して公然と反対し、職場、学園、地域、街頭で革命的反戦闘争を巻き起こそうと闘っている。同時に、兵士諸君が軍隊組織の中で何を求めているのかを知ることが、反戦闘争を闘うものの重要な義務だと考えている。
すでにマスコミ報道されているように、イスラエルの予備役将校50人が軍務拒否の声明――「占領地での戦闘任務は本来の国防の域を超えている、パレスチナ人の権利を侵害することを良心にかけて拒否する」――を発した。それが日を追うごとに増え続け、署名者は200人を超えた(2月9日現在)。加えて、昨年9月以来、本隊の将兵の中ですでに500人が戦闘任務に就くことを拒否し、うち数十人が投獄されている。イスラエル軍の内部からパレスチナ軍事侵攻―占領地軍事制圧に反対する強烈な闘いが火を噴いているのだ。
このイスラエルの軍隊内反乱の問題を侵略出兵する軍隊の中にいる自分自身の問題として受け止めてほしい。ここに、自衛隊の兵士諸君への熱烈な思いでわれわれの反軍アピールを打ち出す次第だ。
帝国主義侵略軍隊がついに動き出した!
自衛隊の兵士諸君。ついに憲法の枠組みと精神をじゅうりんする恒常的出兵情勢となった。日本全体の戦争国家化=憲法改悪に先駆けて自衛隊は帝国主義侵略軍隊として動き出してしまったのだ。問題は、この情勢の中で、兵士はどのような態度をとるのかである。
昨年9・11反米ゲリラ戦争が爆発した。それに対して、帝国主義の総力を挙げた不正義のアフガニスタン侵略戦争が実に残酷な展開を見せている。日本帝国主義は自衛隊をまぎれもない<戦時>に、アフガニスタン―インド洋という実際の〈戦場〉そのものに出兵させ、最前線の軍務に従事させるという侵略戦争参戦を強行した。しかも、隣接する中東地域では、イスラエルによるパレスチナ自治区への力まかせの越境的軍事侵攻が同時進行している。だが、イスラム武装勢力やパレスチナ解放勢力を先頭にしてパレスチナ・中東・ムスリム人民のすさまじい流血の国際的内乱の闘いが燃え上がっている。
また、この同じ時期の昨年12月22日に、海上保安庁が米軍・自衛隊と連携して、外国船銃撃・撃沈・15人虐殺の暴挙を、しかも日帝国家の領域外(中国の経済専管水域)で、しゃにむに強行した。ことは実に重大だ。
第一に、海保の行動は戦争行為そのものである。領海進入をしていないにもかかわらず、しかも発見時点で逃げている船を攻撃したのである。強力な武器で威嚇し、直接射撃し、先制攻撃を加え続けた。徹底的に追いつめ、そしてせん滅戦を敢行したのだ。第二に、99年の外国船事件以来、日本帝国主義は国家の最高決定方針として今回のような事態とそれに対する軍事作戦の発動を虎視眈々(こしたんたん)と狙っていたことが明らかである。小泉が「逃がすな」と至上命令を出した。それは〃だ捕せよ、それができなかったらせん滅せよ、どんなことがあっても逃がすことだけはするな”という意味なのである。第三に、今回の海保の軍事行動は海保の活動が「警察任務」などというものではなく、軍事行動=戦争任務であり、海保が自衛隊の実質的な一部にほかならないことを暴露した。
これらの意味で、日本の軍隊が周辺海域で「不審船はせん滅する」という形で戦力行使=交戦権発動をしたというのが、今回の事態である。戦後日本はここにはっきりと恐るべき転回をとげたのだ。小泉政権は、国会答弁などでも、得手勝手な口実を設けて海外に侵略軍を派兵することを「常識だ、神学論争はやめだ」として強行しようというのだ。それは、自衛隊がついに21世紀における新たな9・18柳条湖事件を起こすということなのだ。
しかも今、小泉政権は有事立法をついに具体化してきた。3月中には法案を閣議決定・国会提出する方針である。
内閣官房の文書によれば、そこでは、「武力攻撃に至らない段階から適切な措置をとる(=自衛隊出動を行う)」ことが明記されるというのである。その段階から、日本中をいち早く自衛隊の戦闘行動優先の社会に塗り替えるのである。土地収用、道路行軍、空域独占、海上・海路の排他的制圧、鉄道の優先使用、電波の優先管理、住民の強制退去、食糧・水・資材などの一方的調達・備蓄など、自衛隊が自由に行動する絶対的権利を与える。そこで起こる私権の制限はすべて甘受せよというのである。それに反対して拒否したら罰するという。軍隊への協力が全国民的義務とされるのだ。これは、財産権、身体の安全、思想・表現・結社の自由、生存権などの基本的人権を、有事=戦時=非常事態を口実に、ことごとく封じ込め圧殺するということにほかならない。そしてそれを、閣議決定もなく、国会の承認・討議もなく、首相に絶対的な独裁的権限を与え、その命令ですべて行うことができるようにするというのである。つまり、実質的にも形式的にも憲法を停止しようというのだ。
有事立法とは、帝国主義支配階級が自衛隊を帝国主義侵略戦争のための戦力として自由に駆使するための、自衛隊(および米軍)行動法であり、同時に国家総動員法である。それらは、憲法を停止して、憲法と別体系のものとしてつくられる非常事態法=首相独裁権限法という戦争法体系なのである。
自衛隊の兵士諸君にとって、有事立法とは、自衛隊がついに国家・社会の前面に合法的に登場するものだと、まるで兵士のプライドをくすぐるかのように説明される。だが、そうだろうか。それは自衛隊兵士を自国の労働者人民・在日アジア人民・在日イスラム諸国人民への直接の鎮圧者として押し出すとともに、侵略戦争の戦場に問答無用に死にに行かせるものなのだ。あえて逆説的に言うと、憲法は、帝国主義国家が自衛隊兵士を侵略戦争の戦場に送り出したり、国内で労働者人民に銃を向けさせたりすることを禁止してきたという意味で、自衛隊兵士の生命・人権・倫理を守ってきたものなのである。それを取り払ってしまうのが、有事立法なのである。
現在の自衛隊の恒常的出兵情勢は、この有事立法・改憲=戦争国家化をすでに大きく先取りしているものだ。事態は、すでに決定的に回りだした。戦後日本の超反動的大転換の歯車を、もうこれ以上けっして回させず、逆にここで大逆転させることができるかどうかという、本当にぎりぎりの断崖絶壁にある。自衛隊の兵士諸君はその当事者中の当事者なのである。
侵略戦争を止めよう不正義の軍務拒否を
自衛隊の兵士諸君にわれわれが声を大にして最も訴えたいことは、今現在アフガニスタン・中東、フィリピンで激しく進行している被抑圧民族人民への不正義の侵略戦争をともに力を合わせてやめさせよう、本当にやめさせるためには諸君の決起が絶対に必要だ、ここで侵略軍務拒否に決起することこそ兵士の生き方ではないのか、ということである。
第一に、正義の戦争なら行くという人がいるなら、問いたい。帝国主義の行う戦争でどこに正義の戦争などというものがあるのか、あったのか。海外派兵に良い海外派兵と悪い海外派兵があるのか。ない! 強大な帝国主義軍隊の派兵それ自体が人類史における戦争犯罪なのだ。
アフガニスタンを見よ。タリバン政権を転覆すると称して行っていることは、都市を空爆し、病院、モスク、学校、民間空港、人家を破壊し、村を攻撃し、土地・田畑を破壊し、数千人もの民間人を虐殺することではないか(昨年12月6日現在3800人以上)。それはユーゴスラビア空爆の際の民間人の死者の倍を超える規模だと言われている。今もそれは継続・強化・拡大されている。
米軍は空爆や爆弾投下やミサイル攻撃をするときに対象識別など何もしていない。本質的・現実的に無差別攻撃である。非武装のアフガニスタン人民、子ども、お年寄り、女性がむごたらしく、一方的に殺されているのだ。
では、タリバン・アルカイダ・ムスリム義勇兵なら殺してもいいのか。とんでもない。米英軍の燃料気化爆弾、クラスター爆弾など最新鋭の大量破壊兵器、核兵器並みのすさまじい虐殺兵器に比べたらほとんど非武装に近い軽武装でしかない相手を一方的に攻撃しているのだ。それは、多くの人々が言っているように、超大国による国家的テロルそのものだ。超大国のテロルは自由、被抑圧民族のやむにやまれぬ命がけのテロルは悪だというのは、根本的にまちがっている。
なぜなら、タリバン・アルカイダ・ムスリム義勇兵の側の論理も道義も一切問答無用などというのは、実は「アメリカの正義や法」が他の人民を納得させることができない勝手気ままな、排他的な、本末転倒したものでしかないからだ。そもそも9・11ゲリラはなぜ炸裂(さくれつ)したのか。19人の戦士が3千数百人の死が結果することにもひるまず、自らの命を投げ出してでも訴えたことは何か。パレスチナを圧殺するな、人民虐殺をやめろ、アラブ差別・イスラム否定をやめろ、世界はそれに加担し続けるなと、帝国主義による民族自決の否定に対して全身全霊をかけて猛反撃しているのだ。そこには被抑圧民族人民の民族としての誇り、人間の尊厳があり、同時代に生きる人間として自らへの糾弾として受け止めなければならない深刻な問題があるのだ。
それに対して、「アメリカ民主主義だけが民主主義で、唯一の人道だ」というアメリカ帝国主義唯一絶対主義の基準で、他国を悪だと決めつけるやり方は、タリバン政権やアルカイダだけでなく、全世界を敵とみなすものであり、そこには一片の正義も、何の普遍性もないのだ。
米・英帝国主義がアフガニスタンに対して行っている軍事作戦は、まぎれもない民族自決圧殺の侵略戦争だ。日本帝国主義はそれを支援するため、はるかアフガニスタン―インド洋にまで打って出た。そこでの日帝・自衛隊の作戦行動は、米軍の規定する〈戦闘地域〉の真っただ中での米軍支援活動であり、直接に空爆のための爆撃機や特殊部隊が出撃する作戦の不可欠の一環をなし、このアフガニスタン侵略戦争の一部をなすものであることは明白である。そんな侵略戦争の担い手になっていいわけがないのだ。
第二に、国家のためなら命を投げ出しても惜しくないという人がいたら、聞きたい。この侵略戦争で利益を得るのは誰なのか。
それは、一握りの帝国主義ブルジョアジーであって、侵略される側の人民はただ植民地支配を強制されるだけだ。侵略戦争によって、抑圧されてきた民族が解放されるのか。けっして解放されない。
またそこに動員される帝国主義国の兵士も労働者人民も何の利益も受けない。出兵する兵士は、自衛隊の中で、ひいては日本国家の中であたかも尊重されているかのようだが、実はけっしてそうではない。出兵すると出世し、給料も上がる。だから出兵部隊に入るために競って努力することがまるで義務のようにされるし、志願も出てくる。だがそれは戦場で死ぬことを前提としているのだ。
「崇高な自己犠牲」などまやかしであり、大うそだ。そうではなくて、自衛隊が、日帝ブルジョアジーの帝国主義的勢力圏奪取、対米争闘戦貫徹のための最大最強の道具として徹底的に使われる段階に入ったということである。自衛隊の兵士が自分の命を投げ出してまで帝国主義国家に義理立てすることなど何もない。侵略軍務を断固拒否しよう。
それだけではない。第三に、不正義の侵略戦争を担うということは、アフガニスタン人民やアジア人民の正義の民族解放戦争に迎え撃たれ、せん滅されるということになるのだ。帝国主義の手先としてせん滅されるのだ。
9・11反米ゲリラ戦争は、パレスチナ人民に対する米帝=イスラエルによる土地占領、パレスチナ人追放(450万人が難民となり帰還権を求めている)、拷問、虐殺、自治区封鎖など民族自決圧殺の数々の暴挙に対するやむにやまれぬ怒りの爆発であり、かつまたパレスチナを始めとするイスラム諸国人民総体への非人間的差別・抑圧に対する積もりに積もった憎しみの炸裂である。それは民族解放のためのゲリラ戦争であり、民族自決の叫びなのだ。
また9・11以後のアフガン戦線が示していることは、タリバンなどアフガニスタン人民とアルカイダなどムスリム兵士たちが、米帝の支配からの民族の解放を実力でかちとろうとして、犠牲を恐れずに英雄的に戦闘していることだ。軍事力のあまりの差にもかかわらず、彼らは果敢に闘い、しばしば米軍をせん滅している。彼らは命をかけて、アフガニスタンを始めとする13億イスラム諸国人民の民族自決という正義の要求のために闘っている。その英雄的戦闘は何ものをも恐れないすさまじいものだ。
自衛隊がアフガン出兵をするということは、こうした民族解放戦争の前面に立ちはだかること、被抑圧民族の解放闘争の敵として登場すること以外のなにものでもない。その侵略戦争において起きる侵略軍兵士としての自らの死は、人道や正義のための死ではなく、人間らしい死でもない。無駄死、犬死だ。
逆に、自衛隊が敵としている被抑圧民族人民、その武装解放勢力は、兵士諸君の友なのだと受け止めるべきではないのか。彼らは、帝国主義国労働者人民と自衛隊兵士に対して、共通の敵が日本を含む帝国主義であることを教えている。彼らは、われわれを殺すな、敵を間違えるな、と激しく怒りをたたきつけているのだ。彼らの決死の自爆戦闘、少年少女の決起、流血の闘いを真にみすえるなら、民族の誇り、人間の尊厳をかけた生きざまがつかみとれる。
自衛隊の兵士諸君。帝国主義の支配に抗する同じ友である被抑圧民族人民を殺しに行く侵略戦争に、けっして出兵してはならない。
第四に、さらに重要なことは、同じ自国の労働者人民が、あるいは欧米帝国主義国の労働者人民が侵略戦争を阻止し、被抑圧民族の闘いに連帯する反戦闘争に決起していることである。
われわれ日本の労働者人民は、安保反対、沖縄差別撤廃・基地撤去、新ガイドライン反対を掲げて、一貫して反戦闘争を闘っている。監獄行きとなろうと、袋だたきにあおうと、殺されようと、断じてひるまず、反戦を貫く覚悟で闘っている。兵士諸君に軍務拒否を呼びかけることが、兵士諸君に存在と生活を投げうつ大変な決断を要求するものだと分かっている。だがなおかつそれを訴えないではいられない。なぜなら、軍隊の中から反戦の声を挙げることこそが、帝国主義の戦争・侵略戦争をやめさせる決定的な最後的な力だからだ。
兵士と労働者階級人民の戦争反対の大合流をつくり出そう。われわれは、兵士諸君の決起に猛然と連帯し、諸君の決起にこたえる闘いを必ずまき起こす。
第五に、では兵士諸君はどうするのか。
日帝は侵略戦争遂行と帝国主義間戦争突入のために、戦争国家化をなしとげようとしている。その一環として、最も鋭い先端的な攻撃として打ち出されるのが、上官の命令に従えという隊内支配の極限的強化である。軍律と軍事秘密防衛の名で、隊内生活をぎりぎりと締め上げ、生活と存在のすべてを軍隊という監獄に縛りつけてくる。民主主義を抹殺してしまう。考えるな、社会問題を議論するなとやってくる。一切の人間的権利が一掃される。それは現状の比ではない。
ところで、いつの時代にも、どのような場合にも、そして現在の自衛隊においても、労働者・農民あるいはその子が食うために軍隊に入るというのが、ほとんどの入隊の動機なのである。戦争で人殺しをしようと思って入隊する人はいない。帝国主義の不正義の侵略戦争のために、兵士の権利を圧殺されてもいいなどとは思っていない。
だから真の勇気とは、侵略戦争で不正義の人殺しをすることではなく、隊内で臆病者と非難されても、それを拒否することであり、実はそれは孤立した態度ではないのだ。
では、侵略戦争遂行のための隊内支配の締め付けに対して、闘う権利を獲得し、隊内民主化をかちとるには、どうすればいいのだろうか。昨年11月以来、辞表をたたきつけ退官する兵士たちが出た。それもぎりぎりの選択の一つだ。だが同時に、これは自分だけの問題ではなく自分の仲間を守る問題でもある。古参兵士は若い兵士を、より上の階級の兵士は部下を守るという問題でもある。一人ひとりの反戦の意志を集団の力にすることが必要なのだ。この闘いの実現のために、ともに考えよう。ともに隊内に闘う抵抗組織をつくろうではないか。
今、日本は侵略戦争へ国家を挙げて突入していこうとしている。その時に、自衛隊が帝国主義ブルジョアジーの利益のために戦場に駆り立てられるのか、それとも労働者人民の側につくのか、自衛隊兵士が自国の帝国主義戦争に反対して決起することができるかどうかが問題になっている。そういう時代がきたのだ。
だからわれわれは、自衛隊兵士諸君の人間としての良心、労働者・農民出身のその魂に熱烈に訴えてやまない。
人民の闘いで〈自衛隊包囲・解体・獲得〉を
02年政治局1・1アピールで、われわれは「日帝・自衛隊のアフガニスタン出兵阻止闘争を戦略的・路線的に強化すること」を強調し、「自衛隊包囲・解体・獲得の反軍闘争を、党的取り組みを抜本的に変革して再強化しよう」と訴えた。反戦闘争は必ず反戦・反軍闘争でなければならないし、反軍闘争が位置づいたとき反戦の革命的威力が帝国主義を真に痛打する。
われわれは帝国主義軍隊との物理的せん滅戦を必ずやりぬかなければならない。そこにおいて帝国主義軍隊を動揺させること、これが反軍闘争の最も重要なポイントをなす。なぜなら、われわれは自衛隊を解散させるのではなく、革命の側に、労働者階級の側に階級移行させる、つまり内部から革命的な主体的転換をさせようとして闘うのだからである。兵士の恐怖、動揺を兵士の人間的苦悩、権利意識の発露としてとらえて、それと結びついて反戦・反軍闘争を積極的に展開していくのだ。兵士を、そして士官をも階級の側に獲得するのだ。
労働者階級が軍隊の階級移行を隊内兵士とともにかちとる闘いは、本質的・直接的に、国家が独占する暴力を労働者階級人民の手に奪い返す意義をもっている。ロシア革命以来のレーニン主義の革命的伝統、しかしスターリン主義によって踏みにじられ歪曲されてきた帝国主義軍隊包囲・解体・獲得の闘いを、今こそ生きた具体的な実践として蘇らせていこうではないか。
反軍闘争は革命の成否を決する位置をもつ闘いである。反帝国主義・反スターリン主義世界革命の展望とその一環としての日本におけるプロレタリア社会主義革命の死活をかけて、反軍闘争を一から開始する決意で猛然と推進しよう。ここにアフガン・パレスチナ反戦闘争と有事立法阻止・改憲粉砕闘争を軸とする02年決戦の環中の環があるのだ。
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週刊『前進』(2042号5面2)
第3部 植民地支配の歴史(3) 台湾B 日清戦争
台湾略奪−−領土拡大めざす
1894年日清戦争の勝利―翌年の下関条約での「台湾割譲」をもって日本は台湾植民地支配を開始する。それは、1945年8月15日の日帝敗戦まで51年間にわたって続き、台湾人民を言語に絶する苦悩と絶望の淵(ふち)にたたき込んだのである。
甲午農民戦争
日清戦争は、日本が朝鮮と台湾の略奪を目的として行った初めての本格的な侵略戦争である。当時朝鮮は、清朝の属国として李氏王朝の悪政と腐敗がはびこり、また日本の朝鮮侵略によって人民の生活は貧窮の極みに達していた。その中で朝鮮人民は甲午農民戦争(「東学党」の乱)に朝鮮全土で決起していった。朝鮮の国王は、反乱鎮圧のために清の出兵を要請した。
だが日本もまた天津条約を根拠に朝鮮派兵を強行した。天津条約は、84年の甲午政変(親日派の金玉均らが日本の支援をバックに起こしたクーデター)の事後処理をめぐる日清間条約であり、この中で日本は「変乱重大事件」の際の朝鮮派兵を清に認めさせていた。
甲午農民戦争を鎮圧した後も、日本軍隊は朝鮮に居座り続けた。それどころか、同じく朝鮮に駐留していた清国軍の撤退や、清国と朝鮮の間の諸条約の廃棄を要求し、清に対する最後通牒(つうちょう)を突きつけたのだ。
そして7月26日、朝鮮公使大鳥圭介が軍隊を率いて閔氏政権を葬り、大院君を推したて傀儡(かいらい)政権を擁立するクーデターを敢行した。同時に、大量の海陸軍が武力侵攻した。8月1日になって日本は清に宣戦布告した。清も同日、宣戦布告し、日清間の激突が始まった。
だが、この戦争は平壌攻防戦や黄海海戦での勝利をはじめ日本の勝利に終わった。この中で日本は、11月21日に旅順で軍民1万人以上とも言われる無差別虐殺を凶行した。現在に至るまで日本政府は、この旅順虐殺事件について沈黙したままである。しかし、後の三光作戦や南京大虐殺に至る中国人民の大殺りく作戦が、すでに日清戦争の中で行われていることを銘記しなければならない。
強硬に台湾割譲
翌95年3月20日に日清間交渉が下関(当時馬関)で始まり、4月17日に下関条約が調印された。日本側主席全権の伊藤博文は居丈高な態度で交渉に臨み、この中で清側主席全権・李鴻章の暗殺未遂事件が引き起こされ、欧米諸国からの対日非難が高まった。
下関条約の内容は@清が朝鮮の独立を認め、A遼東半島、台湾、澎湖列島の日本への割譲、B2億両(当時約3億円)の軍事賠償金、C日清通商航海条約の締結など、日本の要求を全面的に認めるものだった。
日本は清−朝鮮の宗属関係を暴力的に転覆して朝鮮侵略、植民地支配へと突き進み、同時に、遼東半島略奪をもって中国侵略への野望をむき出しにした。軍事賠償金の巨額さの中で、この後、清は対外借款の泥沼に陥り、それが欧米列強の更なる侵略を生み出す構造がつくり出された。東アジアをめぐる帝国主義間の激突は一挙に激化拡大していくのである。
何よりも、日清戦争は台湾略奪―植民地支配のための戦争であった。日清戦争において日本軍隊は台湾をにらんで澎湖列島を占領した。すでにこの時点で日本は、一方で朝鮮半島を拠点とした中国東北部から中国全土への侵略と、他方で、台湾を拠点としたフィリピン、インドチャイナなどへの南進政策としてアジア侵略を構想していたのだ。
日本が朝鮮と並ぶもう一つの「利益線」として台湾を措定し、日清戦争の戦利品として略奪を狙っていたことは明らかである。下関条約の過程で、清国側は何とか台湾の割譲を日本にあきらめさせようとした。だが、日本は強硬に台湾割譲をのませ、下関条約第2条に「清国政府が台湾・澎湖島およびその付属の各島嶼(とうしょ)を永遠に日本に割譲する」と規定させたのである。
台湾出兵時の樺山資紀(初代台湾総督)や水野遵(初代民政局長)らの調査に加え、1890年にも再調査し、下関条約時に当時の大蔵省官僚は、「日清戦争の経済の観察」なる論文の中で「台湾及び澎湖列島の略取」をあげ、台湾は農産物や資源が豊富であり、また南洋諸島貿易のための要所であり、植民統治を行うべきであると結論づけているのである。
日本が日清戦争に勝利し、遼東半島、台湾、澎湖列島を略奪しようとすることに対し、列強は重大な関心を示した。とりわけ、激甚に反応したのは帝政ロシアだった。ロシアは下関講和条約調印前の4月8日、早くも対日干渉に動き、日本に遼東半島略奪を断念するよう求める共同勧告への同意を各列強に迫った。
「三国干渉」
中国東北部から朝鮮半島への侵略を狙っていたロシアにとって、日本の遼東半島領土化は大打撃となるからだ。ロシアの提案に対し、フランス、ドイツはそれぞれの帝国主義的利害から直ちに同意した。一方、イギリスは対ロシア牽制(けんせい)の観点からこれには乗らなかった。
こうした中でロシアは、台湾の割譲は認めても、遼東半島の割譲は武力をもってでも阻止するとの方針を固めた。すでにロシアは日清戦争の最中から海陸軍の大部隊を極東に集結させていた。そして、下関条約調印直後の4月23日、露仏独三国による対日干渉が行われた。
日清戦争を闘った後の日本に、露仏独連合軍を相手に戦争を構える余裕はなく、これを受け入れるほかなかった。日本は「三国に対しては譲歩するが、清国に対しては一歩も譲歩しない」ことを方針とし、遼東半島の放棄を決定した。
こうした三国干渉によって、日本内部にはロシア主敵論、対ロシア排外主義が一挙に生み出され、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」の名のもとにより一層の大軍拡―戦争国家化政策が推し進められていく。と同時に、日本は、台湾に対する徹底的な武力侵攻に依拠した植民支配政策に全力で乗り出していった。
日清戦争―三国干渉によって、日本は台湾出兵以来の野望であった台湾略奪を成し遂げた。だがそれは帝国主義国家が一方的に決めた領土略奪の取り決めである。それに対して、台湾人民は日本の植民地支配に猛然と反対し、反日・民族解放闘争に決起していくのである。 (五十嵐茂生)
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週刊『前進』(2042号6面1)
3・8国際婦人デー闘争のために
闘う女性は侵略翼賛攻撃を拒み国際反戦闘争に立とう
名取 悦子
9・11反米ゲリラ戦争をもって、国際階級闘争はまったく新しい段階に入った。新しい時代にふさわしい3・8国際婦人デー闘争を闘いとろう。革共同は、新たな7・7路線として「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」のスローガンを提起した。02年の3・8の任務は、この闘いの先頭に女性の万余の隊列を登場させることだ。すべてのプロレタリア女性は、「テロ根絶」を掲げた侵略戦争翼賛攻撃を打ち破り、国際反戦闘争の先頭に立とう。有事立法・改憲攻撃を阻止し、小泉政権を打倒しよう。全世界の労働者階級、被抑圧民族人民と団結し、世界革命の扉をこじ開ける3・8を実現しよう。
イスラム諸国人民と連帯かけた3・8を
02年の3・8国際婦人デーにあたって、9・11反米ゲリラ戦争、帝国主義の侵略戦争、日帝の参戦への鮮明な態度が必要だ。
9・11反米ゲリラ戦争は、アメリカを始めとする帝国主義国によるパレスチナ、中東、イスラム諸国全体に対する長期的で全面的な、暴虐の限りを尽くした民族抑圧、虐殺戦争に対する激しい怒りの爆発であり、民族解放闘争として闘われた。またそれは、彼らの必死の闘いと真剣に向き合うことのなかった帝国主義国の労働者人民、何より世界革命の党を自認してきた革共同自身への徹底的な自己批判の要求であり糾弾であると、私たちは受け止める。
同時に私たちは、9・11によって、パレスチナ人民を始め闘うイスラム諸国人民が、帝国主義打倒をともに闘う仲間であり、私たちが本当に自己批判し、血債をかけて彼らと連帯し闘うことができるならば、現実に帝国主義を打倒し、世界革命を実現できるという巨大な展望を感動をもってつかむことができた。
革共同は、自己変革をかけてこの糾弾と向き合い、実際に帝国主義の侵略戦争を阻止し、米帝を始めとする世界帝国主義、何よりもまず自国帝国主義=日帝を打倒する闘いに全力で決起を開始した。02年3・8国際婦人デーにあたり、すべての労働者階級人民、プロレタリア女性が、この闘いにともに立ち上がることを心から訴える。
帝国主義は昨年10・7アフガニスタン侵略戦争への突入、全世界への侵略戦争の拡大をもって新たな世界戦争の泥沼に完全に足を踏み入れた。1917年、「パンと平和」を掲げた女性労働者のストとデモ、3・8国際婦人デー闘争が、戦争を内乱へ転化するロシア革命の火ぶたを切った。今こそ3・8国際婦人デーを復権する時がきた。アフガニスタン・パレスチナ反戦闘争、有事立法・改憲阻止闘争の巨大な大衆闘争への発展を押し開く闘いに立ち上がろう。
「タリバンは女性抑圧者」の悪宣伝を許すな
女性の反戦決起の組織化にとって第一に重要なことは、アフガニスタン侵略戦争を「タリバンのブルカ強制や女性抑圧からの解放」と宣伝している帝国主義者のペテンと断固闘うことである。
帝国主義が今行っている戦争は誰のための戦争なのか? 「女性の権利」のための戦争なのか? まったく違う。
帝国主義諸国は競い合って参戦し、アフガニスタン全土への無差別爆撃を繰り返している。報道されているだけでも、すでに1万人以上を殺し、新たに120万人の難民を生み出している。民族圧殺の侵略戦争そのものだ。
暫定行政機構とは何か? 帝国主義国が、アフガニスタンを中央アジアの石油や天然ガスの輸送ルートとして、中東−アジア支配の拠点として確保するために、基地をつくり軍隊を駐留させ、「復興」と称して支配しようするものだ。何が「女性の権利」か! 何が復興か!
帝国主義によって語られる「女性差別反対」「女性の権利」とは、極悪の民族皆殺し戦争を正当化するための、ためにする宣伝にほかならない。それはまた、帝国主義国の女性を排外主義に取り込み、反戦闘争への決起を封じ込めようとするものだ。
そもそも「民主化」や「女性の権利」を「先進国」が与えるものだとする論は、傲慢(ごうまん)な抑圧民族の論理である。このような強盗の論理に、プロレタリア女性は、断じて与(くみ)してはならない。
何より、イスラム諸国の女性たち自身が、自ら民族解放闘争、女性解放を闘う主体であるということだ。
パレスチナのインティファーダ(民衆蜂起)の中で、殺され、逮捕された男たちに代わって女性たちが外に出て働き、政治や世界について議論を交わし、闘いの先頭に立っている。ガザ地区では闘いの中でスカーフをまく女性が増えたと言われる。多くの女たちが、イスラエル兵に投石で闘う少年たちを支え、男たちを励まし、自らも銃撃、逮捕、拷問を恐れずデモに立ち上がっている。1月21日のパレスチナ女性、ワファ・イドリスさんの自爆テロ決起の背景には、こうした数知れない女性たちの解放闘争への決起があるのだ。
アフガニスタンでも、空爆に追われた難民キャンプで、民族の誇りを守るために、自らブルカをかぶり始めた女性たちがいる。米軍による執拗な掃討作戦をかいくぐって、アルカイダの兵士とともにその家族である女性たちが闘っている。
私たちは、真の女性解放がプロレタリアートの階級的解放をとおした人間の普遍的解放の中にこそあること、階級社会と帝国主義による世界支配こそが一切の女性差別・抑圧の根源であり、人間が人間を支配する関係の根底的転覆なしには女性解放はないことを確認してきた。9・11を受けてさらに、この闘いが、世界的存在としてのプロレタリア階級の階級的団結、被抑圧民族ならびに被差別人民との階級的団結をもって初めて達成し得ることを、はっきりと確認しよう。すべての女性は、あらゆる侵略戦争翼賛論を打ち破り、侵略戦争阻止のために立ち上がろう!
「テロ弾劾」論を打ち破ろう
女性の巨大な反戦決起のために第二に、既成の女性団体の「テロも戦争も反対」論を打ち破り、のりこえることが必要だ。
これらの女性団体は、「戦争も反対」と言いながら、日帝の参戦の事実と正面から対決しようとはしない。こうした潮流が主催する3・8「女の祭」にいたっては、超一般的な「武器と暴力反対」があるだけで、今現に行われている戦争に対する「戦争反対」の一言もない。
なぜ、そうなるのか。どちらの側にも立たないという装いを取りながら、実は「テロ=悪の根源」論に屈服しているからだ。
私たちは、9・11がなぜあのように激しい形態でなければならなかったのか、パレスチナで米帝とイスラエルが何をしてきたのかを知らなければならない。
米帝・英帝は、シオニスト(ユダヤ人を「選良の民」とする排外主義者たち)を押し立てて、村全体を焼き討ちするような言語に絶する手段でパレスチナ人民から土地を奪い、軍事力で占領してイスラエルという国家を強引に建国した(1948年)。奪われた祖国の大地を取り戻すために闘うパレスチナ人民、アラブ人民の当然の闘いに対して、米帝とその全面的支援をうけたイスラエルは、5回にもわたって戦争をしかけ、その後も、パレスチナ自治区への越境攻撃、抵抗に対する虐殺を繰り返し、占領地の維持・拡大をはかってきた。今日まで50年以上にわたって、十数万人もの殺りくと450万人にもおよぶ難民を生み出す史上類例のない民族抑圧と圧殺が行われてきたのだ。昨年だけをとっても、9・11までに600人近いパレスチナ人民が虐殺されている。
〃命の重さは同じだ”と言うが、命の重さに天と地ほどの差をつけてきたのは、帝国主義の側なのだ。そしてほかでもない私たち自身が、この帝国主義の残虐を許し続けてきたのだ。これへの反撃の激しさを、私たちは受け止める責任がある。今や、日帝は昨年11月の自衛隊派兵によって、直接アフガニスタン人民を攻撃する参戦国となっている。いかなる意味でも「どちらも悪い」などという客観主義的立場に立つことは許されない。
労働者人民は、帝国主義者の側に立つことを断固として拒否しよう。
「テロ反対」は、もともと労働者の価値観ではない。それは世界の労働者階級と被抑圧民族を分断し、殺し合わせようと帝国主義がふりまいているイデオロギーにすぎない。また、プロレタリア女性の多くが「戦争反対」なのは、単に子を産む性として「命の大切さ」を知っているからだけではない。帝国主義に搾取、収奪されている階級であり、「二重の抑圧」を受けている現実ゆえに、今の戦争の階級的本質を感じとっているからだ。
女性たちは、労働者階級の一員として自覚し、決起した時には、敵をせん滅し打倒するまでやまない戦闘意志で味方を率いる力をもっている。「テロ=悪の根源」論、「テロも戦争も反対」論を打ち破り、圧倒的なプロレタリア女性の反戦闘争への決起をつくり出すことはまったく可能だ。
女性の戦争動員と対決を
女性の反戦決起にとって重要な第三は、女性を国益擁護、体制翼賛に動員しようとする攻撃と闘うことである。
戦争参戦を開始した小泉政権は、在日朝鮮・中国人民への排外主義をあおりたて、在日ムスリムを始めとする在日外国人への入管攻撃の激化、部落差別を公然と居直る狭山異議審棄却、小泉や石原都知事によるあけすけな女性べっ視の発言、家族崩壊の危機に対応した家族制度・家族イデオロギー攻撃の激化など、排外主義と差別・分断攻撃をかつてなく強めている。
石原都知事は「生殖能力を失った女の長生きは無駄で罪」と福祉の会議で発言した。女性を「子産み道具」「性の対象物」として見るファシスト石原を許すことは絶対にできない。
経済危機、政治危機が激しく進行する中、小泉政権は、この支配の危機を補完するために、複数の女性閣僚の登用、女帝容認論、緒方貞子のアフガニスタン復興会議議長起用などをとおして、意識的に女性の動員をはかろうとしている。
しかし、プロレタリア女性には、仕事に就くことも子どもを産むことも困難な状況が一層押しつけられている。支配階級の側から持ち出される「女性の能力活用」「男女共同参画」とは、女性労働者、労働者家族の女性にとっては、資本の延命と侵略戦争遂行のために、労働力も、自分と家族の命もとことん差し出せということでしかない。
プロレタリア女性は、侵略戦争と搾取の強化への動員をきっぱりと拒否し、差別・分断攻撃をはね返して、階級的団結の強化のためにこそその力を出し切ろう。
有事立法・改憲阻止、小泉政権打倒しよう
日帝の戦争国家づくり―戦争突入の開始が、労働者人民へのすべての攻撃を規定している。小泉「構造改革」は、労働者人民に「痛み」「我慢」を一方的に強制し、戦争遂行のために、人、物、金の一切を投入する攻撃だ。
01年12月の完全失業率は5・6%、職探しをあきらめた人を加えると、失業率は約10%になる。
すでに、男女雇用機会均等法(85年)、国鉄分割・民営化(87年)、総評解体(89年)と労基法改悪(99年)で女性労働者の状況は一変してきた。女性雇用者は30年間で倍増し、01年の男女比で女性は40%になった。増加した女性雇用者の大半は不安定雇用、低賃金、パートと派遣労働者である。
だが、02年春の資本攻勢は、これをはるかに超える激しさである。日経連と連合は「雇用に関する社会合意」とワークシェアリングで協定した。連合は、NTTの11万人解雇と賃金3割引き下げを「これもワークシェアリングの一種」と認めた。連合の率先協力でワークシェアリングの名による「終身雇用制と年功序列賃金制」解体、新たな労組破壊と解雇・賃下げが始まった。ワークシェアリングは「時短」とか「男女の仕事と家庭の両立」など均等法導入の時と同じ「女性のため」というペテン的な手口を使っている。
「家族全員就労型社会」をめざすというかけ声のもとで低賃金が強制され、税制、年金、社会保障すべてで労働者家族は動員され、そして解体される。
小泉反革命攻撃のもとで、労働者人民は、子を産み育て、老後を安心して暮らすこともできなくさせられている。出生率は1・39と劇的に低下した。
介護保険料と国民健康保険料が払えず、保険証を取り上げられた世帯は、17万世帯に急増した。その上に医療制度全面改悪や年金改悪など、労働者人民の生活は破壊されている。
このような資本と小泉政権の攻撃こそが、労働者家族の崩壊、児童虐待、高齢者虐待、ドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)等の家族間の対立を引き起こしている最大の原因にほかならない。
家族全員の生活といのちを引き受けているプロレタリア女性の耐え難い怒りが、あらゆる方向から噴き出している。この怒りと要求の一つひとつに対して、連帯と団結の必要を訴え、資本との闘い、反戦闘争に意識的に結びつけよう。こうした女性の決起は、必ず階級全体を揺り動かし、帝国主義を打倒する巨大な力となる。
婦人民主クラブ全国協議会の「とめよう戦争! 女たちの全国キャラバン」は、名護新基地建設阻止・米軍基地撤去を掲げ闘う沖縄を始めとして、全国各地で闘う女性たちと合流し、新しい反戦決起を生み出した。反革命カクマルやJR総連松崎のファシスト労働運動、連合、全労連の裏切りを弾劾し、帝国主義を打倒する労働運動の中心に女性労働者が決起しつつある。闘う国労闘争団の先頭には家族の姿がある。自衛隊の派兵実力阻止を闘った全学連で、名護市長選の闘いで、女性たちが先頭に立っている。
三里塚・北富士で闘う女性たちに続こう。狭山異議審棄却と闘う部落解放同盟全国連の婦人たちに学び連帯しよう。獄中同志奪還を家族とともに闘おう。
日本帝国主義・小泉政権は、昨年11月25日の自衛隊派兵をもって、アフガニスタン侵略戦争に参戦した。12月22日には、海上保安庁が外国船を撃沈し、乗組員全員を虐殺する事態が発生している。小泉政権は、現在のアフガニスタン・中東侵略戦争、中国・朝鮮侵略戦争を実際に戦うために、有事立法を今国会で成立させようとしている。有事立法の核心は、緊急時の憲法停止であり、実質的な改憲攻撃そのものだ。
有事立法・改憲攻撃を打ち砕き、小泉政権を打倒する巨大な女性の決起をつくり出そう。党建設こそ核心だ。すべてのプロレタリア女性は、革共同に結集し、ともに世界革命をめざして闘おう!
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週刊『前進』(2042号6面2)
婦民キャラバン北上中!
「とめよう戦争! 女たちの全国キャラバン」が沖縄から北海道まで、反戦を訴えて北上中!
婦人民主クラブ全国協議会が西村綾子代表を先頭に全国を巡っている。1月19日に相模原を出発、21日には有事立法反対を国会前でアピール、有楽町街宣を展開した。
1月23〜25日に闘う沖縄の女性たちと合流し名護市長選を応援した後、福岡、広島、愛媛・松山から神戸、大阪、京都、名古屋、横浜、川崎へ。
2月2日、東京・杉並に登場。雪まじりの寒風の中、「戦争反対の声をあげよう」と西村代表(写真)。今後、北海道まで北上する。(K)
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週刊『前進』(2042号6面3)
爆取弾圧3同志裁判
逮捕警官を追及 違法な襲撃の実態を暴く
2月7日、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に対する迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の第160回公判が東京地裁で行われた。
この日は、元岩手県警公安課の千田孝に対する弁護側主尋問が行われた。千田は、1986年10月の岩手借家への不当捜索時に、須賀同志を公務執行妨害をデッチあげて「逮捕した」とされている警官である。
千田は、この家宅捜索が「捜索」とは名ばかりの権力による無法な襲撃そのものであったという事実をなんとか隠蔽しようと、「今は記憶にない」「自分は下っ端に過ぎず、何も知らなかった」などと言い逃れに終始したが、被告・弁護団の核心をついた迫力ある追及をとおして、次々と襲撃の実態を自己暴露した。
さらに須賀同志に対し、捜索令状も示さず警官であることを明かさないまま拉致したことが突きつけられると、「玄関で令状を示した」からいいんだと開き直った。しかし、示したところを現認したのかという追及にいたたまれず、「(他の警官が)令状を手にしているのを見たので、示したと思う」「玄関で女性が警察だ、警察だと大声で数回叫んだ」から室内にいた人間は認識したはずだと苦しまぎれの居直りを行った。
この点については前回公判で高田同志が「強引に手を捕まれた瞬間ギャーと叫んだが、警察だ、警察だと叫んだことはない」ときっぱり証言しているように、ガサの違法性を取り繕おうとしたウソの証言だ。
転び公妨をデッチあげて違法逮捕した事実も明らかになった。室内にいた須賀同志に「動くなと言って近づいていったところ、自分にぶつかってきた。突然のことでよろけた」と言いながら、その一方で「凶器をもっているかも知れず、用心して手をハの字にして腰にあてがい、近づいていった」とも言うのである。明らかな自己矛盾である。
あまりにもデタラメな証言をくり返す千田に対し、被告・弁護団の怒りが爆発し、尋問は終了せず今後に継続することになった。
証人尋問に先立ち、3同志の意見陳述が行われた。
まず須賀同志が、東拘当局が提出した病状照会回答書のデタラメな記載を徹底弾劾し、新たな医療鑑定を直ちに行えと要求した。板垣同志は、爆取デッチあげ弾圧の本質を明らかにするための証人が1人も採用されていないことを弾劾し、弁護側証人の全員採用を要求した。十亀同志は、三好前最高裁長官が皇室中心の憲法を作ろうとする極右組織の会長に就任したことを暴露し、狭山異議審棄却を弾劾して、裁判所が腐りきっていると怒りをたたきつけ、直ちに保釈せよと木口裁判長に迫った。
昼休みには、10万人保釈署名運動の大横断幕を広げ、裁判所前を制圧して街宣が行われ、その場で多数の署名が集まった。
次回3・1公判は、弁護側の重要証人が出廷する。検察官は本件デッチあげの最大の柱として、岩手の借家から押収されたダイスが、「切削痕」の一致により、迎賓館・横田のロケット弾製造に使用されたものだと強弁してきた。だがこの警察鑑定はまったく非科学的でデタラメなものだ。検察官は次回公判でデッチあげの破産が暴かれることに今や恐怖しきっている。
3・1公判(午前10時、東京地裁)は、デッチあげ弾圧粉砕・3同志の保釈奪還と無罪戦取への決定的転換点を開く闘いだ。総結集し、地裁を包囲する大闘争としてかちとろう。
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週刊『前進』(2042号6面4)
一斉不当捜索を弾劾する
2月8日早朝、日帝国家権力は前進社本社・支社を始め全国31都府県の闘う団体の拠点や事務所、および個人宅など120カ所におよぶ不当捜索を強行した。
これは、今なおアフガニスタン・パレスチナ人民を虐殺し続ける米帝ブッシュに対する人民の怒りが、2・17ブッシュ訪日に向け爆発することに恐怖する日帝・小泉政権の予防弾圧であり、絶対に許すことができない。
警視庁はその後も引き続き、2月9日に法政大学学生会館や都政を革新する会、さらに2月14日に労組交流センターや個人宅へと不当捜索を拡大している。
前進社本社の不当捜索では、早朝7時過ぎに襲撃的に押し掛け、問答無用で玄関のドアを2台のエンジン・カッターで破壊して押し入ろうとしたが、文字どおりの鉄壁の前になすすべもなく敗退した。
焦りにかられた公安部は、捜索でも得手勝手な押収をしようとしたが、同志たちの断固たる原則的反撃でこれを粉砕した。公安部は健康保険料に関する書類を押収しようとしたり、購入したばかりでセットもされていないパソコンを「立ち上がらないから」ととんでもない言いがかりで押収しようとしたり、壁にかかったカレンダーや貼り紙まではがし、スピーカーやエアコンのカバーまではずして弾劾され、挙げ句の果てにトイレの備品まで壊して修理を要求されるというドタバタぶりだった。
だが、このような不当捜索で、今春闘争の爆発を抑えることなどできない。2・17ブッシュ訪日阻止闘争から春闘総行動、三里塚―有事立法阻止決戦の爆発で、日帝・小泉を打倒しよう。
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週刊『前進』(2042号6面5)
名護市長選を闘って
「名護の未来は」 富山大1年 K・D
「負けないでおきましょうね」――やすひろさんが私たちに言った。宮城やすひろに入れた11148人は絶対に勝つつもりで入れた。有権者だけでなく、中学生、高校生も基地反対の思いを貫いている。
私は名護にきて、沖縄人(ウチナーンチュ)にふれて、沖縄に「生きていく」ことの苦しさと沖縄人の強さを知った。マイクをもって、のぼりをもって、ビラをもって、とにかく名護の街を走りまわってたくさんの人と接して、現在の私にいちばん必要なものを取り戻すことができた。
やすひろさんは市長にはなれなかったけれど、私たちは確実に勝った。私たちは最後の最後まで基地建設絶対反対を貫いて闘うことを決意した。命にかえて基地建設を止める、と。
選挙が終わって、私はいろいろな人と握手をかわした。みんなみんな、とても力強かった。「名護の未来はこの手の中にある」そう感じた。私は、どんなことがあっても、みなさんと一緒に、最後の最後までたたかい、生きていきます。
基地反対の思い 山形大 N・G
私は選挙活動に参加するのは初めてでした。残念ながら当選には至らなかったものの、やすひろ当選を願って闘った人たちの基地建設反対の思いはさらに強くなったような気がした。
確かに選挙は負けて悔しい。そして、宣伝でもっと上手にアジテーションができなかったことが悔しい。
しかし、今回岸本に投票した人たちも「基地なんていらない」ということが確認できたし、何よりもまだ選挙権のない小・中・高の生徒たちが圧倒的に基地建設反対だったこと、このことがこれからの闘いの原動力、活力となっていくことが確認できた。
「戦争はだめ」 東北大 T・G
1月19日から2週間の選挙闘争をやり抜いた。ビラまきや街頭でのアジなどで名護市民の中に飛び込んでいったが、さまざまな反応があった。その中に、「2度と戦争をやってはだめ。今度戦争になったら連れて行かれるのはあんたたちだからね」と言うオバーの言葉があった。オバーの思いを体現する形で、今選挙闘争の中で基地問題を反戦闘争として訴えることができて本当によかったと思う。
結果は本当に残念だったが、宮城さんを先頭にして次なる基地建設阻止の闘いへの決意を固めた。自分も名護・沖縄人民に確信を持って、沖縄と連帯する闘いの爆発をかちとるため、今回の経験を生かして全力で闘いを推し進めたい。
(写真は、1月30日のオキマート前街頭演説会。その横を通過する沖縄労組交流センターの宣伝カー)
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