ZENSHIN 2001/12/03(No2032 p06)

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週刊『前進』(2032号1面1)

侵略戦争と首切り・賃下げ、治安弾圧の日帝・小泉政権を打倒せよ
 12・15獄中同志奪還集会かちとれ
 侵略の先兵=日共・カクマル打倒し 労働運動の断固たる主流派へ

 日帝はアフガニスタン侵略戦争参戦に踏み切った。十一月二十五日、海上自衛隊の三艦船の横須賀、呉、佐世保出港に対して、激しい反対闘争が闘われた。国会ではアフガニスタンへのPKO派兵を強行するためのPKO法改悪案が提出された。国会闘争に決起し、断固阻止しよう。さらに日帝の資本攻勢が激しく展開されている。闘う労働組合の団結と大反撃が求められている。来春闘の最先頭に立って闘おう。そのためにも国鉄闘争の勝利へ闘おう。さらに決戦を迎えた暫定滑走路阻止の三里塚闘争を闘い、十二・一五獄中同志奪還大集会に総結集しよう。党勢拡大、機関紙拡大の闘いを強め、年末一時金カンパ闘争に全力で取り組むことを訴える。

 第1章 空爆・大虐殺強行の帝国主義打倒せよ

 米帝は、アフガニスタン人民の頭上に燃料気化爆弾、クラスター爆弾などの残忍きわまる爆弾を雨あられのように投下し、虐殺の限りをつくしている。
 ゛新植民地主義体制諸国人民などいくら無差別に残虐に殺してもかまわない、餓死しようと難民がどれほど出ようとかまわない″という米帝のこのような態度が、九・一一反米ゲリラ戦争を引き出したのだ。
 最も激烈に闘われているパレスチナで、さらに中東やアジア、アフリカ、南米、世界中の新植民地主義体制諸国で、゛被抑圧民族人民の民族自決を求める正義の訴えを聞け、帝国主義が国家テロで生存権を奪い、勝手気ままに侵略戦争を行い、飢餓、難民生活に追い込みながらそれを当然とし、さらに多くの帝国主義の利益を追求するやり方はもう我慢ならない″という叫びが九・一一だった。
 米帝はこの九・一一ゲリラに報復すると称し、「テロ根絶」「国際テロリズムとの闘い」と言ってアフガニスタン人民を無差別虐殺し、アフガニスタン・中央アジア・カスピ海をめぐる侵略戦争・強盗戦争を展開している。
 米帝のアフガニスタン侵略戦争は新たな段階を迎えた。米帝に支援された北部同盟がカブールを制圧した後に、タリバン兵や民衆が多数虐殺されている。米帝は、タリバン国家として成立していたアフガニスタンそのものに侵略戦争で襲いかかり、タリバン政権を暴力的に転覆することで、アフガニスタンに国家的分裂と社会的混乱を再び持ち込んだのだ。
 帝国主義各国は、勝手にタリバン政権崩壊後をみこして早くも新政権構想などを立て、アフガニスタンの分捕り合戦を開始している。アフガニスタンの諸勢力と結合し、有利な形で新政権に影響力を持ち、勢力圏として抱え込むことを追求している。
 そのもとで国連はアフガニスタン全勢力代表者会議を通じて暫定政権づくりをしようとしているが、タリバン以外の諸勢力、それと結びつく周辺国や帝国主義諸国の利害がからみあい、アフガニスタン侵略戦争はロシア、中国をまきこんだ帝国主義間争闘戦となっている。
 こうした中で、日帝は復興会議の主導権争いに加わり、そのためにも軍事侵略行動を一刻も早く展開しようとしているのだ。これはアフガニスタンに平和ではなく、より大規模な侵略と戦乱をもたらすものだ。こうして今起きていることは、第三次世界大戦の過程への突入である。
 アフガニスタン人民は、こうした帝国主義の侵略戦争やソ連の軍事侵攻に民族解放をかけた不屈の闘いを一貫して続けてきた。帝国主義に対する民族解放闘争、ゲリラ戦争の永続的で巨大な爆発は確実である。日本の労働者階級人民は「闘うイスラム諸国人民と連帯し、侵略戦争を国際的内乱へ」の闘争をさらに戦略的に前進させよう。

 第2章 PKO法改悪阻止国会闘争に立とう

 日帝・小泉は、「テロ根絶」を叫び、一挙に侵略戦争参戦に突入した。
 自衛隊艦隊の展開地域は日本−グアム島−シンガポール−ディエゴガルシア島−アラビア海−ペルシャ湾と、太平洋からインド洋まで第七艦隊と同じ範囲にまで広がった。特にペルシャ湾が自衛隊の活動範囲に入っていることは決定的である。もはや自衛隊は、侵略戦争・強盗戦争を基本任務とする帝国主義軍隊と化したのだ。
 さらに自衛隊艦船と並んで海上保安庁の巡視船もマレーシア沖まで展開する。これは日本海軍のアジア全域への登場として、アジア諸国に侵略の脅威を与えている。
 さらに日帝はPKF(国連平和維持軍)の凍結解除と武器使用条件緩和を内容とするPKO法改悪案を国会に提出した。今回のPKO法改悪案では武器使用基準がテロ対策特措法より拡張された。文言はテロ対策特別措置法第一一条と同じだが、解釈として「他国のPKO要員や国際機関職員の防護、要人警護が事実上可能になる」という。
 これは明らかに部隊行動基準だ。他国のPKO部隊が攻撃された場合でも自衛隊は武器使用つまり戦闘行動に入るというのだ。軍事行動に突入する契機は無制限になり、行動範囲も無制限になる。憲法九条的制約は事実上なくなるのだ。
 武器使用基準の拡張が必ず安易な武器使用から部隊同士の戦闘に発展し、現地人民への虐殺戦争に発展することは明らかだ。さらに自衛隊員に死者が出れば、泥沼の侵略戦争への道が開かれていくのだ。
 自衛隊の現職幹部自衛官はマスコミのインタビューに「他国が攻撃されたらともに戦う」「間違って市民を殺すかも知れない」「平時に人を殺せば殺人、有事に人を殺せば英雄」「誤爆はやむをえない。いやなら国外に出るしかない」などと侵略軍隊のイデオロギーを平然と吐いている。自衛隊自身が現場幹部から侵略軍隊化してきているのだ。全力で反戦闘争を展開して侵略軍隊=自衛隊を追及し、自衛隊内部に反軍闘争をまきおこし、粉砕しなければならない。
 戦前、日本人民は、日帝権力に屈服し、侵略に加担した。それは朝鮮・中国侵略戦争−太平洋戦争の道であり、沖縄戦と広島・長崎原爆の道であった。
 アフガニスタン侵略戦争を前にして、日本人民はアジア人民・イスラム諸国人民への搾取と収奪と虐殺を断固拒否し、ブルジョアジーの叫ぶ「平和と繁栄」を否定し、闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民と連帯して侵略を内乱へ、日帝を打倒する道を進まなければならない。これが日本の労働者階級人民のきわめて切迫した世界史的任務である。
 日本共産党は「各国政府首脳への書簡」で「国際テロを根絶するためには……テロリストの逃げ場が地球上のどこにもないという状況をつくることが不可欠です」と言い、さらに「私たちは、中東の政治問題を解決しなければテロ問題が解決しないという形で、二つの問題を結び付ける態度はとらない」とパレスチナの闘争を完全に否定し、全世界の民族解放闘争を否定している。九・一一−十・七情勢の中で日本共産党はさらに反革命的に変質した。
 日本共産党スターリン主義は、完全に帝国主義の側に立って、反革命的本性をむき出しに帝国主義の攻撃を先取りし、労働者を裏切る方針を出している。
 さらに日本共産党は戦争と大失業時代における日帝の大攻撃である司法制度改革推進法に賛成した。
 日本共産党の裏切りを徹底的に弾劾し、既成の社・共の枠をのりこえる巨大な国際連帯の反戦闘争を生み出そう。

 第3章 資本攻勢、団結破壊に02春闘で反撃を

 米帝バブル経済の崩壊による景気後退が本格化し、そこに九・一一の大衝撃が加えられ、消費が落ち込み、景気後退はさらに加速化している。それは全世界に影響を与えているが、特に日帝への影響が大きい。
 日帝・政府は、〇一年度経済成長見通しを当初のプラス一%からマイナス二・三%に下方修正した。四年連続のマイナス成長になる。来年もマイナスで五年連続は必至で、経済規模は約五百二十兆円から二十兆円もの縮小となる。日帝の経済恐慌は一段と深まっているのだ。
 こうした中で、日帝・小泉は、「テロ根絶」で全政党の総翼賛化を図り、挙国一致体制を推進しながら、戦争国家化攻撃を強め、大失業攻撃をしかけている。全野党が「テロ撲滅」の名のもとに、帝国主義に総屈服している。
 労働者階級には、首切り、賃下げ、生活苦、労組解体、社会的差別の攻撃が激しく襲いかかっている。餓死者、一家心中、自殺、悲惨な事件や資本への怒りの爆発などが激発している。その背後には生死の瀬戸際で、生活苦と必死に闘っている膨大な労働者人民大衆がいる。
 九月期決算では日立、富士通、NECなど大手企業が軒並み巨額の損失をだし、大量首切り計画を発表した。上場八十二社で十二万人、東芝一万七千人、日立一万千百人、松下八千人などである。
 十一月八日、NTT労組は、臨時中央委員会で十万人の大首切り攻撃を受け入れた。十万人のうち退職後の新設子会社で再雇用される転籍対象者(五十一歳以上)のうち五万五千人の賃金が一五−三〇%引き下げられる。
 連合とNTT労組中央は「労使の主体的改革」とか「構造改革による確かな未来を切り開こう」などと大ペテンを使ってこれを組合員に飲ませようとしたのだ。これでは労働者は生活できない。中央本部を打倒しよう。
 しかし、日帝・政府総合規制改革会議はこんなものではまだ足りないとばかりに、さらに労働力の不安定雇用化の増大を図るために派遣労働の制限を原則撤廃することを打ち出し、より資本が解雇をしやすいようにするための解雇ルールの法制化を強行しようとしている。
6面につづく〜1面からつづく 
 また、連合は十月十八日に日経連と「雇用に関する社会合意」推進宣言を結んだ。その中で連合は「生産性の向上やコスト削減など経営基盤の強化に協力するとともに、賃上げについては柔軟に対応する」ことを約束している。断じて許せない。
 戦争と大失業の時代にあっては、労働者階級人民は、帝国主義を打倒する労働運動を闘う以外に生きることができない。帝国主義が帝国主義間争闘戦に勝つためとして侵略戦争に突っ走り、労働者を犠牲にして延命するのか、それとも労働者が戦争と大失業の根源である帝国主義を打倒して共産主義の未来社会を建設するのか。二つに一つである。
 問われているのは真に革命的な宣伝・扇動であり、労働者人民の怒りの決起を結集する網の目のような革命党の労働者細胞の生き生きとした存在である。来春闘に向かって党としての飛躍をかけて闘おう。侵略戦争と首切り、賃下げ攻撃の先兵、連合指導部、日共、カクマル、JR総連を打倒し、労働運動の断固たる革命的潮流の運動をつくりだそう。

 闘う労働者党を建設しよう

 文部科学省は教育基本法改悪について十一月二十六日に中教審に対して諮問する方針を固めたと報道された(十一月十八日付朝日新聞)。それによると一年をめどに答申を得て、早ければ〇三年の通常国会への提出を目指すとしている。
 日帝は教育基本法改悪に向かって動きだした。重大事態である。アフガニスタン侵略戦争参戦に踏み込んだ小泉は、戦争国家化をどしどし進めているが、さらに本格的に侵略戦争を遂行するために教育改革攻撃を不可欠としている。学校教育を天皇制を基軸とする日本の文化と伝統を教えこむものに変えようとしている。愛国心・国家主義・国家への奉仕・国防の義務を徹底的にたたきこもうとしている。
 「日の丸・君が代」の強制と処分攻撃、戦後教育の否定、「つくる会」教科書の攻撃、「指導力不足教員」排除の攻撃、奉仕活動の実質的義務化、東京都での新たな主任制攻撃と連動した差別分断賃金攻撃などがすでに始まっている。こうした攻撃と闘いながら、〇二年を有事立法阻止・改憲粉砕および教育基本法改悪阻止の年として、全人民的な巨万の反対運動をつくりあげなければならない。
 十二・一五長期獄中同志奪還大集会は、権力のまったく不当な弾圧への怒りを爆発させ、なんとしても獄中同志の無罪・即時奪還をかちとる力ある運動を発展させるために行われる。獄中同志に心から連帯し、その獄中闘争の戦闘精神を自らのものとして闘い抜いていくことを訴える。
 今日、まさに革命的情勢が急接近している。何よりも九・一一情勢という形で米帝を基軸とする帝国主義世界体制―新植民地主義体制の打倒が全世界の被抑圧民族の叫びとして痛烈に宣言されているのである。ここから一切の事態が回転している。帝国主義の侵略戦争と国内での一大資本攻勢や反動・暗黒政治の攻撃と対決する帝国主義国の労働者階級人民の総決起を大きくつくり出していくことである。情勢は、帝国主義を打倒する党と労働運動を求めている。
 今こそ革共同の革命党としての登場が切実に求められている。十一・一一労働者集会の地平の上に立って、階級的労働運動の戦闘的発展をかちとろう。職場、学園、地域の労働者人民の中に機関紙を真正面から持ち込み、機関紙の倍増、党勢倍増、年末一時金闘争に全力を投入しよう。

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週刊『前進』(2032号1面2)

広大で反戦ストに立つ クラス決議携え防衛庁抗議 法大

 弾圧うち破り 広島大学

 広島大学で十一月十六日、アフガニスタン侵略戦争反対のストライキが貫徹された。ストライキ実行委員会は一カ月前から、被爆地ヒロシマの大学から全国・全世界の人民に反戦と連帯を呼びかけるストライキをやろうと訴えてきた。
 全学生がスト方針をめぐり、戦争を止めるにはどうしたらいいのか考え、キャンパス中で白熱した議論がまきおこった。こうした激論の中で、二十四クラスでスト決議があがった。
 スト当日、ストライキをつぶそうと、八十人以上の職員や反動教官が、マイクを奪うなど暴力的に弾圧してきた。反戦の声をあげさせないという戦時下の帝国主義大学の腐敗した姿だ。「そんなことやったって戦争は止められない」「処分するぞ」という恫喝に対し、戦争への根底的な怒りと絶対やりぬくという決意で弾圧を粉砕、午前中のスト集会を貫徹した。
 大学当局の様子を見ていたある学生は「平和を希求するはずの大学の方が間違っている。スト実の方が正しい」とスト集会に合流した。また学内のムスリムの留学生、全国の大学、労働者、米国の国際行動センター・ANSWERなどから熱い連帯のメッセージが寄せられた。ストライキという行動によるアピールが具体的連帯をつくりだしていったのだ。
 スト集会をうちぬき、昼休み集会、学内デモを圧倒的注目の中でかちとった。「かっこいい」「がんばって」という声援も飛び交った。この一日の行動で、キャンパスの雰囲気は一変し、大学が「反戦の砦(とりで)」と化した。
 解説や分析をいろいろすることよりもまず、本気で怒り、絶対に止めるという行動に立ち上がった時に、初めて多くの学生が決起する。これがストライキの教訓だ。闘いは始まった。広大に続き全国の大学でストライキ闘争、学生運動を爆発させていこう。
 (投稿 広大/Y・G)

 法大からデモ 法政大学

 法政大生と首都圏の学生は十一月十六日、アフガニスタン侵略戦争参戦の基本計画の閣議決定を弾劾する対防衛庁闘争に決起した。
 法政大では米軍の無差別殺りくを黙って見ていられるのかとクラス決議をあげてきた。いくつかの結節点や苦闘をへて、「テロ根絶」の排外主義宣伝を打ち破り圧倒的大差でクラス決議があがるようになった。「クラス決議をもって、佐世保現地に決起し、実力で自衛隊出兵を阻止しよう」と具体的な行動方針をもってクラス決議運動を進めてきたことが重要だった。
 この日の行動は一年生がビラやゼッケン、プラカードを作り、クラス決議をあげたすべての法政大生の行動として闘われた。
 法大生の注目の中、市ケ谷キャンパスで昼休み集会を行った。憲法改悪に反対する会が「自衛隊派兵は絶対に許せない。三十四のクラス決議を持って、法大生の総意として派兵の中止を防衛庁に申し入れる」と、防衛庁デモと佐世保現地闘争への参加を呼びかけた。
 続いて十一月九日の佐世保現地闘争の報告が行われた。「くやしいけれど目の前で自衛艦が出兵していった。佐世保市民は圧倒的に反対で、第二のエンプラ闘争を待ち望んでいる。再び佐世保に行き、第二陣派兵を絶対に阻止したい」
 キャンパス内デモを行い、防衛庁デモに出発。
 防衛庁正門は緊張した警備体制だ。法大生が防衛庁文書課職員に対して、クラス決議文と決議のあがった三十四クラスを読み上げ、法大生の総意として「基本計画の閣議決定を白紙撤回すること、自衛隊の派兵をただちに中止すること、PKO協力法の改悪を行わないこと」を申し入れた。

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週刊『前進』(2032号1面3)

革共同の歴史的飛躍のために大カンパを

 九・一一反米ゲリラ戦争と、アフガニスタン侵略戦争の開始によって、世界は真に戦争か革命かが問われる情勢に突入しました。重大な決意を込めて、本年末の一時金カンパを熱烈に訴えます。
 ここではただ一点訴えます。それは、戦争か革命かの情勢にあって革命党の決定的重要性です。
 世界恐慌への本格的突入に向かっていた帝国主義世界経済は、九・一一によって決定的打撃を受け、その巻き返しをかけて、米・英帝のみならず日・独帝など全世界の帝国主義が強盗的侵略戦争にのり出しています。
 アフガニスタンやパレスチナを始め全世界の被抑圧民族人民と、帝国主義国の労働者階級が結びつき団結して、侵略戦争を止めるために、今こそ「反帝国主義・反スターリン主義」の旗が高々と掲げられなくてはなりません。革共同が党として歴史に登場する必要があるのです。
 九・一一反米ゲリラ戦は、自らの命にかえても自分たちの民族の生死をかけて闘われている点で、帝国主義国の労働者へのすさまじい決起の訴えとなっています。深く胸がえぐられるような衝撃を覚えます。英雄的でありながら、絶望的でもある決起の背景にあるものは、米帝を始めとした帝国主義の侵略と抑圧への根底的な怒りです。同時に、そこにはスターリン主義への絶望もあることを見て取らなくてはなりません。
 全人類解放の思想であるべき共産主義の思想はスターリン主義によってゆがめられ、およそ人間解放の思想とは似ても似つかぬ、むしろ被抑圧人民をさらなる隷従と塗炭の苦しみに追いやるものへと転化しました。帝国主義の侵略と抑圧に苦しんできたイスラム諸国では、これは決定的でした。
 イスラム諸国人民の一定の世代の多くはマルクスを学習した経験を持つと聞きます。しかし、そのマルクス主義と共産主義にかけた願いは、スターリン主義によって裏切られ、踏みにじられていったのです。
 今こそ、この裏切りのニセ共産主義=スターリン主義を全面的に打倒・一掃し、真の共産主義の旗をうちたてなくてはならないのです。反スターリン主義・革命的共産主義の革共同こそが本物の革命党として登場しなければなりません。そして、世界革命と全人民解放がなしとげられなくてはならないのです。
 革共同は、この残虐きわまる帝国主義強盗戦争に対して、反戦闘争、街頭宣伝に、すべての行動と闘いに、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の訴えが必要だと考えています。革共同は第六回大会を開催し、このことを確認しました。
 今世紀の早い段階で革命を達成することを誓った私たちは、今が決定的チャンスだと思っています。今こそ大量のビラやパンフレット、様々な出版物や宣伝物が必要です。何より本質的に非合法な存在である革命党を維持、強化するためにも多額の資金が必要です。
 革共同を真の革命党にするために、絶大なカンパを心からお願いします。

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週刊『前進』(2032号2面1)

戦争、首切り・賃下げと対決し 02春闘の戦闘的爆発かちとれ
 11・11集会の地平を全労働者階級へ
 革共同中央労働者組織委員会

 全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の三組合の呼びかけによる十一・一一労働者集会は、日比谷野音に三千二百五十人の結集をかちとり、帝国主義の侵略戦争と小泉「構造改革」への労働者階級の総反撃の火柱を上げた。九・一一反米ゲリラ戦と十・七米帝のアフガニスタン侵略戦争開始という世界史の大転換は、全階級情勢をすさまじい激動にたたき込んでいる。小泉の戦争国家化攻撃と一大資本攻勢が、全労働者の生活と生存、闘いと団結を破壊している。三労組の「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」という呼びかけから始まった新潮流運動は、この時代に労働組合はいかに団結し、闘うのかの指針を打ち出す歴史的使命をかけてこの集会を闘い抜いた。革共同には、三組合の呼びかけに全力でこたえ、集会の成功をともにかちとる責務が突きつけられていた。それは、レーニンの言う革命的情勢の接近に対応する「三つの義務」を、十一月労働者集会という革命的大衆行動として実現するということでもあった。闘いは緒に着いたばかりであり、われわれはまだ三組合の呼びかけに十分にこたえきれてはいない。だが、三千二百五十人の結集には、あらゆる反動を打ち破る階級的怒り、「テロ弾劾」論などの階級解体攻撃との死闘をくぐり抜けた力がはらまれている。それは、戦争と大失業の攻撃と必死に格闘する労働者階級の根源的な力の凝縮である。それは、数万、数十万、数百万の労働者の決起へと必ずや発展するものである。今こそ労働者階級の決起への限りない信頼を根底に据えて、全党のさらなる自己変革と前進を実現しよう。

 “帝国主義を打倒する労働運動”が登場した

 十一月集会の意義の第一は、九・一一−十・七情勢への突入の中で、帝国主義の侵略戦争を阻止し、帝国主義を打倒する労働運動への飛躍をかけた結集がかちとられたことである。
 それは、帝国主義への怒りを階級的団結の核心とする闘う労働運動の新潮流の登場を告げ知らせた。その決意が「十一・一一アピール」として全面的に打ち出された。全発言者と全参加者には、帝国主義の侵略戦争への怒りが満ち満ちていた。首都のど真ん中に、戦争阻止の決意と帝国主義への怒りを込めたシュプレヒコールがこだました。
 労働運動の中に、ついに帝国主義打倒の赤々とした路線が復権したのである。「資本主義にノーと言える労働運動」をさらに貫きつつ、今や「帝国主義を打倒する労働運動」が力強く打ち立てられなければならない。労働者にとって、そうしなければ生きていけない情勢が訪れている。
 さらに、帝国主義への怒りとその打倒を核心とする階級的団結は、階級的共同闘争の新たな発展をつくりあげた。これは労働者自己解放を基軸に全人民の解放を実現する「全人民ソビエト」の萌芽形態である。
 それはまた、「闘うイスラム諸国人民との国際的連帯」の闘いへと必ずや発展する。階級の解放と民族の解放を統一し、プロレタリア世界革命の道を押し開かなければならない。
 十一・一一は、日本労働者階級にとって国際主義的連帯闘争の開始であり、労働者の力による壮大な国際反戦闘争を切り開く出発点をつくり出したのだ。
 第二に、国鉄決戦を基軸とする「階級的労働運動の防衛と発展」の新たな歴史的出発点を切り開いたことである。
 小泉の戦争国家化と「構造改革」攻撃に最前線で対決する国鉄決戦は、一・二七国労大会での機動隊導入−四党合意の強行から十月全国大会を経て、歴史的分水嶺(れい)を越えた。
 大会では、四党合意の不正義と破綻(はたん)が徹底的に暴かれた。全反動が密集した国労解体策動は打ち砕かれ、国労内に非和解的な分岐と激突が生み出された。闘う闘争団を先頭に「対案・対抗人事」がたたきつけられ、ついに国労再生への胎動が始まった。
 この勝利は、春闘百二十時間ストライキを打ち抜いた動労千葉の闘いと合流することによって、千四十七人闘争の新たな発展を押し開いている。
 国鉄決戦の不屈の前進は四党合意の攻防をとおして百万国鉄支援陣形の戦闘的再編を促し、連合・全労連傘下の労働者の階級的大流動をも引き起こしている。
 またこの間の国鉄決戦の教訓が明らかにしたものは、日帝・資本の労働組合解体攻撃に対して労働者があたり前に闘い、団結を守り抜くためには、転向し屈服する腐敗した既成指導部を打倒する以外にないということである。
 労働運動の非和解的な分岐と流動の中で、十一・一一労働者集会は、連合指導部・JR総連カクマル指導部を打倒する拠点をさらに不抜に打ち固めるものとなったのである。
 第三に、小泉「構造改革」による労働組合破壊攻撃と闘う路線と潮流が、三組合の団結をとおして確立され、登場したことである。
 小泉は、連合・全労連・JR総連など既成労働組合指導部の反動化と腐敗、転向に付け入り、それをテコに労働組合破壊の攻撃を大々的に仕掛けている。
 一方で、首切り・リストラ、賃下げ、強労働を極限的に推し進め、労組に屈服と転向を強い、分断と団結破壊の攻撃を強めている。
 他方では、連合も含めた労働組合の存在そのものを圧殺する暴力的な攻撃に乗り出している。それは、国家権力が直接的に労働基本権・団結権を破壊する攻撃だ。国労大会での機動隊導入による四党合意の強行、「不正経理」問題による自治労解体、教労での「不適格教員」排除、民間中小・合同労組への刑事弾圧など、全産別にわたって大攻撃が襲いかかっている。
 国家権力による労組根絶攻撃や、それに屈服・転向する既成指導部に対して、真に原則的に闘い、団結を固めてきたのが三組合だ。三組合の血と汗の歴史と存在を、今や全労働者が切実に学び、共有し、この団結の旗のもとに結集すべき時代が到来したのだ。
 戦闘的魂をもったすべての労組活動家は、今日の労組破壊のあらしの中で、自らの労働組合の団結を守るために連合など既成反動指導部と敢然と対決し、打倒し、組合権力を獲得しなければならない。また、反動のあらしの中でバラバラに分断された中小・未組織の労働者を今こそ組織し、闘う労働組合を無数につくり出して、総反撃に立たなければならない。
 十一・一一は、まさに三組合を中軸とする闘う労働組合の新潮流運動の強化・拡大こそ闘う労働者の希望であり、唯一の勝利の道であることを指し示した。
 第四に、ファシスト・カクマルの激しい集会破壊攻撃を打ち破ってかちとられたことである。
 カクマルは十一・一一の破壊にファシスト党としての存亡をかけ、総力を挙げてきた。だがこの凶暴な攻撃は、カクマル中央派とカクマルJR総連派が完全に分裂している中で起きたことであり、両者の崩壊的危機を自己暴露するものでもあった。それは、ファシスト反革命の絶望的あがきだった。革共同の対カクマル戦の勝利が、ついに彼らをそこまで追い込んだのだ。
 カクマルの反革命妨害との攻防に十一・一一の最後の成否がかかっていた。そして、新潮流運動に結集する労働組合は、断固とした決起でファシストの総力を挙げた破壊策動を粉々に打ち砕いた。こうした敵対は、逆にカクマルの反革命性を自己暴露するものとなり、十一・一一大結集の力へと転化したのである。
 この勝利は、カクマル中央派とカクマルJR総連派の分裂・瓦解(がかい)を一層激化させるとともに、労働運動に対するカクマルの積年のファシスト的圧殺攻撃を大きく打ち破るものである。とりわけ、JR東日本とJR東労組が結んだ「第四次労使共同宣言」に示される、新たなファシスト労働運動の延命策に根底的な打撃を与えたのだ。
 第五に、革命情勢の接近に対応した革命党の三つの義務を貫く、革共同の自己変革をかけた総決起が開始されたことである。
 今こそ、革共同第六回大会の地平を打ち固め、都議選決戦の敗北をのりこえるレーニン主義の党建設に邁進(まいしん)しなければならない。
 十一・一一集会をとおしてわれわれが確認しなければならないことは、革命的大衆行動とは、労働運動・労働組合の強化をとおして普遍的に発展するということである。また、宣伝・扇動は、労働運動・労働組合運動の場で実践的に鍛えられ、変革されなければならない。労働運動に深々と根をはった闘いの中で、労働者党建設・細胞建設は粘り強く不屈に実現されなければならないのだ。
 われわれは今なお必死の格闘の渦中にあり、闘いは今ひとつのところで爆発的発展には至っていない。しかし、党が党として屹立(きつりつ)し、巨万の階級の前に登場して、プロレタリア革命への大道を押し開く闘いは力強く開始されている。
 「全階級・全人民の一斉武装蜂起へ、党と階級の関係の革命的形成をかちとる」という革共同の五月テーゼ―第六回大会路線の本格的実践を開始し、「労働者の中へ」、労働組合の権力獲得・拠点建設へ、今こそ突入しよう。

 春闘放棄を宣言した連合指導部うち倒せ

 十一・一一集会の歴史的成功から必然的に引き出される結論は、ここに実現された勝利を、〇二春闘の戦闘的高揚から〇二年決戦の革命的爆発へと発展させなければならない、ということである。
 まず、〇二春闘をめぐる情勢を簡単に見ておこう。
 第一に、世界恐慌情勢はますます深刻化している。米経済は、鉱工業生産指数が二九年恐慌以来の十三カ月連続の下落となった。
 このもとで日本経済は、銀行株主導の株安を続けながら、鉱工業生産指数は大幅に低下し(前年同月比一二・七%減)、所得減少による消費支出の大幅減少や、物価下落を伴う激しいデフレスパイラルも進行している。
 企業業績は、九月中間期決算で連結経常利益が前年同期比四六%減と急速に悪化した。とりわけ、IT不況の直撃で、電機は製造業全体の減益額の大半を占める巨額の赤字に転落している。十月の企業倒産件数は前月比二一・九%増の千九百十一件、「不況型倒産」は過去最悪を記録した。政府は今年の経済成長見通し(名目)を当初の一%からマイナス二・三%に下方修正した。そして、九月の完全失業率はついに五・三%に達し、完全失業者は三百五十七万人になった。
 第二に、小泉「構造改革」のもとで首切り・リストラ、賃下げ、強労働と生活破壊が今ひとつ激烈な段階に突入したことである。
 九月二十一日に経済財政諮問会議が打ち出した「改革先行プログラム」は、労基法改悪を始めとする労働法制の全面改悪と、「円滑な労働移動」「多様な就労形態」「解雇ルールの法制化」の名による徹底した首切り・賃下げ・不安定雇用化を打ち出した。
 電機とNTTは、攻撃の典型だ。電機は、業績赤字を理由に、分社化・統合などをとおして激しい人員削減を加速させている。大手だけで計八万人と言われ、下請けを含めれば、その数はさらに膨大になる。
 NTTは、東西地域会社などの十四万人のうち十万人を対象に、国鉄分割・民営化を上回るすさまじい攻撃を仕掛けている。その内容は、@五十歳以下の四万五千人は手当をカットして新設子会社へ配転・出向させ、A五十一歳以上の五万五千人は退職させ、地域子会社へ再雇用するとともに賃金を二〜三割カットする、Bそれに応じない場合は勤務地を問わず他業種・グループ内他企業への配転・出向を強いる、というものだ。
 日経連は、「日本の賃金は国際競争力低下の一因」と言い、企業防衛主義・国益主義を掲げて賃下げなどの総額人件費削減を強行しようとしている。
 さらに介護保険料の値上げ、医療制度改悪、年金制度改悪、企業の年金基金や健康保険組合の解散の急増など、戦後社会保障制度の解体による生活破壊攻撃は恐るべき勢いで進んでいる。
 第三に、小泉「聖域なき構造改革」が「公務員制度改革」や郵政民営化、「特殊法人改革」を突破口に、戦争国家への改造攻撃として推し進められている。
 自治労「不正経理」問題への刑事介入は、幹部の腐敗を狙って仕掛けられた大がかりな組織破壊攻撃だ。小泉は、連合の最大組織である自治労への攻撃をとおして「公務員制度改革」を強行し、自治体労働者の戦争動員を押し貫こうとしているのだ。自治労幹部の腐敗と既成連合指導部を弾劾し、都労連秋期確定闘争をテコに、「公務員制度改革」との一大決戦に勝利しなければならない。
 郵政民営化攻撃は、連合全逓中央の「郵便新生ビジョン」への全面屈服と裏切りを引き出し、〇三年公社化をテコとする全逓労働運動解体を激化させている。
 これらと一体のものである「特殊法人改革」は、七法人の廃止・民営化をテコに労組破壊を狙う一方、官僚の利権は温存し、その財政的矛盾を大増税として労働者に転嫁するものだ。
 これらは、戦争国家への改造を狙う大規模な攻撃であり、労働者・労働組合を暗黒支配に組み敷くものである。この切っ先に「司法改革」があり、参戦三法やそれに続く爆弾テロ防止条約の批准に伴う爆取など七法の改悪、入管法改悪、国際的組織犯罪条約批准の攻撃がある。
 第四に、この資本攻勢の中で連合は裏切りと転向を一層深化させ、春闘の完全放棄を打ち出した。
 十月十八日、連合と日経連は「『雇用に関する社会合意』推進宣言」を出し、「労働側は生産性の向上とコスト削減など経営基盤の強化に協力するとともに、賃上げには柔軟に対応する」「雇用の維持のために、日経連・連合は多様な働き方やワークシェアリングにむけた合意形成に取り組む」と言い放った。これはまさに、春闘放棄・賃金闘争解体の宣言だ。
 連合は十一月十三日の中央委員会で「統一ベア要求」の見送りを決定し、ついに春闘を自ら崩壊させた。さらに「ワークシェアリング」を方便にして、賃下げだけでなくリストラ・人員削減も「社会合意」として受け入れるとしている。電機連合は「解雇のルールづくり」を唱え、労働組合として「雇用の流動化」=解雇の自由化を促進する方針を打ち出した。
 また連合は、「経営基盤の強化に協力する」として、JR東労組・松崎カクマルの「第四次労使共同宣言」に対応して企業防衛主義・国益主義を全面化させた。連合の「雇用確保」こそ、電機連合・鈴木の「労働組合は国益に従え」の発言と一体のものであり、労働者を愛国主義、排外主義へと動員するものである。
 〇二春闘をめぐる日帝の資本攻勢の激化は、このような連合の極限的な裏切りと転向によって可能となったのである。

 労組解体攻撃粉砕し闘う団結とり戻そう

 〇二春闘は戦時下の春闘解体攻撃と対決する巨大な階級決戦そのものである。
 第一に、一律大幅賃上げを掲げ、賃金闘争と首切り反対・解雇撤回闘争を結合させて、春闘再生を闘いとることである。
 そのためには、日経連の春闘解体攻撃、連合などの春闘放棄を断じて許さず闘うことが必要だ。
 賃金闘争を否定し、賃上げを要求しない労働組合は労働組合ではない。労働組合は、何よりも資本の搾取と闘い、資本の日常的権利侵害に対して、階級的に団結して闘い抜く組織である。また、賃上げ要求を放棄することで雇用確保を図るなどという連合の方針は、さらに徹底したリストラ・首切り攻撃を引き出すものでしかない。そもそも、連合の唱える「雇用確保」とは、この大失業情勢の中で頻発する解雇撤回闘争を見捨て、圧殺することの上に成り立っている。
 連合の春闘放棄・解体は労働組合の死だ。春闘再構築の闘いは、労働組合解体攻撃を打ち破り、団結を取り戻し、よみがえらせる死活的闘いだ。そのことによって、六千万労働者の階級的利害はギリギリのところで守り抜かれるのだ。
 第二に、戦時下の春闘解体攻撃と対決し、帝国主義への怒りを核心とする階級的団結を打ち固めることである。
 そのために、闘う労働組合の力による反戦闘争の爆発をかちとらなければならない。連合や日共・全労連、JR総連カクマルの「テロ弾劾」による恥ずべき戦争協力を徹底的に弾劾しなければならない。反戦闘争こそ、労働者階級を壮大に組織し、労働組合を不抜のものへと強化する。階級的団結を国際的連帯に結びつけ、春闘再構築の一環として闘うことである。
 さらに、〇二春闘の突破口として国鉄決戦の飛躍と発展をかちとることだ。国鉄決戦は、一大資本攻勢・労働組合破壊攻撃と対決する最前線に位置している。それは、春闘再生をかちとる階級的砦(とりで)としての役割をますます果たさなければならない。四党合意を破棄し、帝国主義的労働運動派による国労解体策動を打ち破ろう。第二の分割・民営化攻撃と対決し、国労の再生をかけて一月国労中央委員会の勝利へ前進しよう。
 第三に、この春闘の階級決戦としての位置を見据え、ここに階級的魂と情熱を注ぎ、労働者の団結と闘いの先頭に立つ党の根底的決起をかちとることだ。
 何よりも十一月労働者集会の組織的総括を深め、レーニン主義の党建設への必死の飛躍をかちとらなければならない。党生活の三原則(会議、機関紙、財政)をかちとることは、階級の党として真に立つための死闘であり、革命勝利への豊かな創造的闘いである。財政闘争に勝利しよう。機関紙活動こそが、宣伝・扇動の変革をかけた全党的飛躍の環である。
 特に労働組合運動の日常的実践をかちとり、職場の組織化、労働組合の権力獲得の闘い、労働組合づくりを死活的に推し進めよう。労働運動への習熟に全身全霊を傾けよう。とりわけフラクション建設を粘り強く不屈にかちとることである。マルクス主義の復権と日常的学習の闘いは、組合内のフラクションを活性化させ、青年労働者を育て、獲得するための不可欠の闘いだ。これらを実現するためには、中央指導部を先頭とした自己変革が求められる。それは、党が自然発生性を克服して、今こそ目的意識的な党へと変革されなければならないということでもある。
 十一月集会の地平を打ち固め、二〇〇二年冒頭の国鉄決戦を突破口に、〇二春闘決戦勝利へ、不退転の闘いを推し進めよう。

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週刊『前進』(2032号2面2)

11・11労働者集会を闘って

 種から芽、芽から幹へ 関東 電機労働者 大岩三夫

 戦争体制下において゛労働者″による決起をかちとったことは、小泉政権と一体になった資本のリストラ攻撃の中で苦闘する労働者に、闘いの方向性を示したのみでなく、大いなる勇気を与えることとなったことは多言を要しない。
 さらに、十・七の米帝の空爆以降、帝国主義諸国の十字砲火の中で、民族自決の闘いを続けるアラブ・イスラム人民との連帯の歴史に、新たなページを切り開いたことを確認したい。
 十一・一一への組織化の道は、国家ぐるみの大リストラ攻撃と戦争下での組織化という、組織化そのものを階級闘争として撃ち抜かないかぎり、一人の組織化も、一枚のチケットもさばくことができないという、かつて経験したことのない゛いばらの道″であった。
 オルグにあたっては、十一・一一への呼びかけに専念するのではなく、戦争下で行われる十一・一一の意義を前面に打ち出し、小泉内閣の「聖域なき構造改革」以降の大リストラ、九・一一事態以降の「テロ」問題、「報復」に名を借りた侵略戦争について論議し、「今、あなたが、あなたの組合が何をなすべきか」を問い、十一・一一の意義を絡ませることに終始した。
 旧知の間柄でも、昨年までは「そこまではかんべんしてよ」とか「うちの組合では無理な話だ」であったものが、「なんとか行くように努力する」「行けないかも知れないが、カンパだけでも」と大きな変化をかちとることができた。
 現在、大半の労働組合では、高度成長期の経済主義と、バブル以降の連合支配下の中で、資本との闘いへの押さえつけと妥協のみを指導され、多くの仲間が首を切られ、職場を追われる事態になっても、組合旗一本揚げられない事態に追い込まれている。
 とはいえ、こうした事態をやむなしとして受け入れているのでなく、懸命に闘いの方向性を模索している姿勢は、「このままでは、企業は生き残れても、組合は死んでしまう」という悲痛の叫びの中からくみ取ることができた。
 一組合に三度も四度も足を運ぶことはけっして楽しいことではなく、自己のオルグ能力に疑問を持つこともしばしばであった。しかし、オルグ先で゛是″の言葉を受け取った時は、オルグの基本が、誠意と足であることを学ぶことができた。三十六労組と四十余人に呼び掛けた十一・一一への回答は、二組合と九人であったが、種から芽へ、芽から幹への確信を得ることができた。
 「帝国主義戦争を内乱へ」導く主体としての労働者階級を、掘り起こし組織化する作業は緒についたばかりである。十一・一一集会で獲得した゛地平″を労働者の中に還流していかなければならない。
 十一月集会に向けて掘り起こしたすべての畑に、余すところなく゛階級闘争″の種をまこう。職場・生産点で苦闘する労働者と連帯し、連合の運動を完膚なきまでに打ち破り、リストラ攻撃を労働者の団結とストライキをもってはね返し、帝国主義にノーと言える組合旗をかざそう。
 最後に、十一・一一集会の組織化に向け、昼夜をいとわぬ努力をされた三労組に心から敬意を表し、新たな連帯の闘いを誓いたい。

 6回大会路線の勝利  関東 労働者 湯浅克利

 戦争と大失業の時代、帝国主義世界体制の危機の時代に、既成勢力は体制翼賛化を深め、急速に影響力を失っている。今、日本労働者階級が必要としているものは、この時代を鮮明に解き明かす理論であり、勝利する路線である。われわれは、革共同第六回大会においてこれを手にした。
 労働者集会の総括の核心は、何よりもこの六回大会路線の勝利性を鋭く開示しているということである。また、これを全党員のさらなる確信に転化できるならば、わが党を軸とする闘う勢力が、数年を待たずに日本労働者階級の主導勢力になるという現実性である。
 わが地区においても、その歴史は、権力やカクマルの攻撃、さらに既成政治勢力の厚い岩盤の前で、孤立や苦闘を強いられてきた。しかし、その厳しい現実の中で、党員は必死に党を守り続けてきたのである。実は、この党員の存在こそがわれわれの財産であり起点だということであった。特に、女性同志の存在と闘いは、その苦闘の深さゆえにより大きな力であった。
 われわれはまず、党員総会を開催し第六回大会路線で武装することから始めた。それぞれ個別に見えた党員の歴史や苦闘的実践を、大会路線のもとに位置付け直したのである。そのことによって党組織としての一体化をつくりだすことに成功したのである。
 さらに、基本会議を変革し、下部主義的偏向を意識的に排し、積極的主体的討論を組織した。この基本会議における討論と決定を動力として組織戦を実践した。その結果、それを自らかちとった党員自身が瞠目(どうもく)したのだが、数としても社民党の集会と互角で、内容的には圧倒する地区反戦集会を実現したのである。
 この集会は、党の決起と大衆の自発的決起が一体となった真に感動的な集会となった。この成功の上に、十一月集会も組織的・大衆的決起によって、多くの初参加の労働者をかちとるなど、昨年を超える結集を実現した。
 しかも、実はそれにとどまらない成果をかちとっているのである。それは何よりも、このような成果を実現した党員自身の深い確信が「来年」の展望を保証しているということであり、そのような確信をもった党員による実践が労働者大衆の党に対する信頼を生み出し、党勢が拡大するというプロセスに入ったということである。
 十一月集会に対するカクマルの妨害宣伝が無力だったように、われわれの闘いはこれまでの勝利の上に、日本労働者階級人民をめぐる組織戦という新たな段階に入ったのだ。問われているのは、党指導の革命的変革である。党員を信頼し、日本労働者階級の歴史的戦闘性を深く確信し、党と階級との間に生き生きとした関係を形成し、党に獲得することである。

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週刊『前進』(2032号2面3)

あくまで解雇撤回へ 闘争団が行動に立つ

 十一月十四日、JRの不当労働行為は許さない国労闘争団共闘会議(準)は、JR東日本本社、最高裁、国土交通省に対する要請・宣伝行動に立ち上がった(写真は国土交通省前)。
闘争団の代表による厚生労働省への要請も行われた。十月十二日の国労全国大会前日の行動に続く第二波総行動として闘われ、闘う闘争団と支援の労働者ら約百人が参加した。
 JR東日本本社前では、「JRは労使紛争の解決を図れ」「JRは不当労働行為をやめろ」「設備メンテナンス合理化反対」とシュプレヒコールを上げた。
 発言に立った闘争団員はそれぞれ四党合意に対する怒り、それを推進する国労本部への怒りを語った。また、全国の闘争団で「賛成派」と言われている闘争団の中にも国労本部への不信の声が広がっていることが明らかにされた。
 参加者は、あくまでも解雇撤回・地元JR復帰を求めて、政府・JRの法的責任を追及して闘い抜くことをあらためて確認した。

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週刊『前進』(2032号3面1)

都労連 賃金カット延長阻む スト構え石原を追い込む

 都労連(東京都労働組合連合会)の 秋期確定闘争は、十一月二十日未明、二年間の時限的措置として条例化されていた「給与の四%削減措置」の継続を石原都知事に断念させて妥結した。一昨年に続き、再び都労連十万人の大衆的実力闘争の前に石原都知事を引き出して屈服させたことの意義は計り知れなく大きい。しかし同時に圧縮させたとは言え、全国で初めて勤勉手当(一時金)への成績率の導入を許したことは、依然として石原都知事との対決という点で、都労連指導部の限界を示している。あくまでも二時間ストライキを貫徹して、さらに非妥協的に石原を追い込むチャンスだったのだ。
 人勧がマイナス勧告を続ける中で、石原都知事は十一月八日、二年間の時限で行ってきた給与の四%削減の継続を主旨とする「給与削減措置の今後の取扱い」について団交通告をしてきた。これに対して都労連は「給与措置の背景にかかわることのみを分離して提案を受けるわけにはいかない」と猛然と反発し、団交を拒否して反撃態勢を強めた。二十日に二時間ストを設定、十二日に二十九分職場集会での意思一致、十四日から連続した庁内五百人の座り込み、九日三千人、十六日八千人、十九日一万人の決起集会など、石原都知事との対決機運は急速に現場に充満した。
 そもそも四%の給与削減措置は、九九年の労使合意によるものであり、この合意は、都労連第二波二時間ストライキを倒すことと引き替えに妥結したものである。反故(ほご)にするのであれば、再び二時間ストに突入するのは当然のことだったのだ。
 石原都知事はこの二年間、虎視眈々(こしたんたん)と都労連の弱体化を狙ってきたが、再びストライキを含む都労連の反撃の前に提案を断念させた。この意義は大きい。石原都知事は、労働者の実力闘争の前には無力であることを再びさらけ出した。実力で反撃を組織する都労連の団結と存在は、軍都・東京をめざす石原都知事にとって最大の弱点であることがますます鮮明になった。
 しかし同時に、妥結にあたって一般職員への成績率の導入を許したことはやはり致命的屈服である。時限的な四%賃金削減と違い、成績率は制度として導入される。制度はいったん導入されれば、その影響は拡大し、公務員制度改革の強行の先べんをつけることにもなる。しかも全国の自治体で阻止し続けてきた一般職への成績率の導入攻撃が、都労連の屈服で一挙に強まることになりかねない。矢沢都労連指導部の責任は大きい。
 成績率導入の都側の当初提案は、@主任級以上、A区分は三段階、B原資は対象全員から給与の三%を拠出、C上位の者二割程度のみに増額し他の八割は減額するというものであった。具体的には年間最大で二十四万円程度の差が生ずる。妥結案はこのうち、@を係長以上に、Bを一%に圧縮し八万円程度の格差にとどめた。しかし係長級とは言え、一般職(組合員)にまで踏み込んだのは初めてである。成績率はいったん制度として導入を許せば拡大は無限になる。勤勉手当(一時金)から定期昇給にいたるまで、査定対象は拡大する。しかも成績率は賃金格差以上に職員の競争と不信をあおり、職場を荒廃させ、団結を破壊する。
 都労連の妥結方式はただちに全都全国に波及する。二十一日には特別区の確定最終団交が設定されている。中野区を始め三特別区、茨城県職を始め十府県職などにおいて、給与削減措置の継続を阻止し、さらに一般職員への成績率の導入を絶対に阻止しよう!
 また、石原都知事は給与削減の断念にあたって「都財政のいかんによっては、給与削減措置など内部努力策は再度相談する」とのただし書きに固執した。年明けにも都税収の見通しが報告される。この時、新たな削減案を提出する余地を残したのである。
 ファシスト石原知事との闘いはまだ始まったばかりである。一九八一年一月二十一日の二時間スト以来の越年ストライキ体制を構築し、徹底して闘いぬこう。日帝・小泉の公務員制度改革をうち砕こう。

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週刊『前進』(2032号3面2)

厚木基地撤去へ5000人 「爆音を止めろ」“戦争反対”の声高く

 十一月十八日、「違法な爆音を止めろ! 厚木基地はいらない!」大行動が行われ、神奈川全県から五千人の労働者が結集した。厚木基地爆音防止期成同盟、神奈川平和運動センター、県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会、原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘の四団体が実行委員会を結成して行われた。
 出発式会場の海老名市東柏ケ谷近隣公園には教組や自治労、地区労など労働組合の旗が林立した。午前十一時二十分から行われた決起集会では、厚木基地爆音防止期成同盟委員長の鈴木保さんが「憲法を破って自衛隊がインド洋に派遣された。明るい世界、豊かな未来をめざし、反基地・平和運動を闘おう。アメリカの新たな戦争に徹底抗戦しよう」と力強く訴えた。「インド洋に向かったのは『自衛隊』ではない。軍隊だ」「小泉内閣を一日も早く打ち倒そう」などの発言が続いた。北海道から沖縄まで全国の平和運動センターなども登壇した。
 デモは南回りと北回りの二コースに分かれて厚木基地を包囲し、「厚木基地の違法爆音を許さないぞ! 米軍の軍事報復は許さないぞ! 日本の戦争加担に抗議するぞ!」と力強いシュプレヒコールが響きわたった。厚木基地正面ゲートでは、とりわけ大きな弾劾の声をたたきつけた。
 デモ終着地の大和市引地台公園では、実行委員会参加団体が模擬店を出し、イベントが行われた。婦人民主クラブ全国協議会もテントを並べた。デモを闘い抜いた労働者が続々と到着し、地元住民も多く参加して大いににぎわった。
 ステージでは韓国から訪日した仁川・米軍基地返還市民運動本部委員長のキムソンジンさん、民主主義民族統一全国連合女性局長のソンミヒさん、民主主義民族統一全国連合自主統一局長のチョンヨヌクさんが発言した。キムさんは「米軍がアフガニスタンで民衆を殺している。私たちは仁川のプピョン基地前で座り込みを続けているが、何年かかっても基地がなくなるまで闘う。韓国、日本、東アジアからすべての基地を追い出すため、固く連帯して闘おう」と訴えた。
 また同実行委は反革命カクマルの排除を決定し、防衛隊を組織してカクマルの介入を阻み闘い抜いた。カクマルは登場を策したものの排除され、反戦闘争の敵対者の姿をさらけ出した。
 九・一一以降、厚木基地の訓練はさらに激しさを増し、爆音をまき散らしている。これに対して厚木基地爆音防止期成同盟と第三次厚木基地爆音訴訟団は、九月二十四日に三百人の抗議集会を行うなど、連日の抗議闘争を闘っている。
 この日の五千人もの労働者の大結集は人民の「戦争反対」の思いが日増しに強まっていることを示した。アフガニスタン侵略戦争と日帝の参戦を絶対阻もう。

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週刊『前進』(2032号3面3)

法政大 中村哲さん講演会に200余人
 アフガニスタンの実情を聞く “自衛隊派兵取り消して”

 十一月十七日に法政大学で「中村哲医師講演会/アフガニスタンの人びととともに十八年」が行われ、二百人を超える人が参加しました。中村さんは一九八四年以来、パキスタンとアフガニスタンで医療活動を行っています。講演は中村さんが活動する「ペシャワール会」を紹介するスライドを上映しながら行われ、ソ連侵攻と内戦過程での医療活動や、近年の干ばつに対して井戸を掘る事業が紹介されました。
 その後質問に答え、マスコミの報道について「『正義=アメリカ、悪=タリバン』という図式ですべての行動を描いている」と断罪し、「アフガニスタンの女性の人権について欧米はいろいろ言っていますが、最も尊重されるべき人権は生存権です」と偽りの人権擁護を弾劾しました。
 アメリカの戦争目的については「アメリカがやっているのは西部劇です。復讐心を満足させようとしています。しかし世界貿易センタービルは金融資本の中枢でした。グローバライゼーションの中で金融資本が無限に増殖しようとしている。アメリカの金融資本のためにアフガニスタンを攻撃している。こんな世界は続かない。これは『終わりの始まり』です」と資本主義の暴力を批判しました。
 自衛隊派兵に対しては「取り消してくれ、と言いたい。難民支援になんで自衛隊が必要なのか。私は有害無益であると確信をもっています」と述べました。
 また「アフガニスタンの人びとのために、私たちに何ができるか」と問われ、「立場によってできることは違うでしょう。大人たちがやっていることに対して『本当かな』と考えてみてほしい。若者の特権は動けること、やり直しがきくことです」と学生や青年に呼びかけました。最後にアフガニスタンの人びとから受け取った中で一番大切なこととして、「人を助けることは、自分が助かることなのです」と述べました。
 中村さんをとおしてアフガニスタンの人びとの訴えを聞き、あらためてアフガニスタン侵略戦争を絶対に止めようと思いました。私は自衛隊派兵を阻むため佐世保現地に行きます。それこそがアフガニスタンの人びとにこたえることだと思います。ともに闘いましょう。 (投稿 法大生 K)

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週刊『前進』(2032号3面4)

反戦地主 知花昌一さん梅香里を語る
 沖・韓民衆連帯の一体感 戦時下の米軍基地と対決

――十月に韓国の米空軍国際射爆場のある梅香里(メヒャンニ)を訪れ、ソウルでの梅香里闘争の集会に沖縄から参加された知花昌一さんにお話をお聞きします。アフガニスタン侵略戦争が始まった激動の中で韓国の運動と合流されたわけですね。
◆国際文化祭に参加
 十月十三日に「第三回梅香里の平和のための国際文化祭」が民主労総を含めて百三十余団体という広範な実行委員会をつくって行われました。
 そこに沖縄のミュージシャンに来てくれということで、(シンガーソングライターの)まよなかしんやさんと一緒に行ったんです。
 韓国とはかれこれ五年くらいの付き合いがあるんです。沖縄も韓国も米軍基地がいっぱいあって、犯罪・被害がある。韓国では韓米地位協定(SOFA)など不平等な差別的な取り決めがあって、在韓米軍はやりたい放題やっている。
 それで民衆レベルの連帯と交流が反戦地主の公開審理、「象のオリ」の不法占拠、立ち入りという沖縄の反基地闘争の高揚の中で始まったんです。一九九六年の公開審理に韓国から四十七人がやって来た。沖・韓民衆連帯ということで毎年交互に行き来して、学びあってきました。
――西山正啓監督の「梅香里」で、駐韓米軍犯罪根絶運動本部事務局の鄭柚鎮(チョンユジン)さんが「命(ぬち)どぅ宝」を知って生き方を問われたと話す場面が出てきますね。
 鄭柚鎮さんは、沖縄に留学して沖縄の状況を勉強し、それを韓国に持ち帰って運動の中に生かしてくれています。ほかにも「わが土地取り戻し汎国民運動」の金容漢(キムヨンハン)さんだとか、いろいろな運動の人たちが、こぞって沖縄に来てくれたんです。
 そういうさなかに梅香里の問題がクローズアップされた。これまで韓国では反基地運動ができないという状態があったんです。というのは、北朝鮮との関係は戦争状態が続いていて、反基地闘争は北を利する、と弾圧されてきた。
 ところが金大中(キムデジュン)が大統領になって、民主化運動が進み、基地問題や米軍犯罪もどんどん洗い出してきた。
 梅香里にはちょうど四十年前に沖縄で行われていたような現実があるんです。僕が小さいころ、読谷の残波岬は、ファントムの実弾射爆場だった。岬の先にトレーラーやジープなどを置いて、それを標的にする実弾射爆場でした。反対運動が起こってやめたんだけど、これと同じ状況が今の梅香里です。
 梅香里では沖縄から行った戦闘機も爆撃をやっている。国際射爆場なんです。民家も近いし、米軍としては実戦訓練に近いものがやれる。爆弾が投下されて大きな被害を受けています。陸地での射爆中止をかちとったんですけど、海上にある島の一つが消えるくらい、爆撃をやっている。
 「梅香里米空軍国際射爆場撤廃のための住民対策委員会」の全晩奎(チョンマンギュ)さんらを中心として運動がつくられてきた。皆若いですよ、三十代、四十になったくらいです。ずっと関心を持ってきた中で、西山監督が梅香里の映画を撮ることになった。
◆肥沃な海に鉄の塊
 訪韓の第一日目は飛行場から直接梅香里に行った。全晩奎さんの事務所の道を隔てたすぐそこが射爆場で、厳重な警備で新品の鉄条網が敷かれていた。
 そこで、全晩奎さんは漁師をやって生活しながら闘っている。彼が案内してくれたんだけど、梅香里の港の反対側、射爆場寄りの所には、鉄の塊が海にわっとある。機銃掃射を受けてメチャクチャになった車が、集められて山のように捨ててあるんです。
 その辺は貝がいっぱいいる。貝を中心に焼いて食う露店みたいなのがある。そこでもう貝三昧(ざんまい)ですよ。安くておいしい。本当に肥沃な海です。
――国際文化祭の会場はどこなんですか。
 会場はソウルの漢江(ハンガン)の河川敷。そこにすごい舞台を作って、芝居は出るわ、民族芸能的なものは出るわ。歌と踊りも。三千人くらい集まった。
 国際文化祭の前に、民主労総のアフガニスタンへの侵略戦争反対の集会が約五百人で開かれて、僕らもそこに合流したんです。
 集会では、僕らが思っているのとまったく同じように、「アフガンへの米軍の攻撃は間違いだ、利権をめぐってのアメリカの戦争だ」と言っていた。「アラブの人たちがこれだけやられてきた歴史を考えるべきだ」と、国際連帯を訴えていた。
 その後の国際文化祭では、最後に近くなってから沖縄から来たと紹介され、まよなかしんやの出番になった。乗りに乗って歌いまくって、「アイヤ、イヤサッサ」という掛け声とともにみんな総立ちになって盛り上がった。
――どんな歌ですか。
 しんやさんは多くの歌を歌ったが、印象に残ったのは「なぜ」という歌。少女がなぜレイプされたのか、ユングミさんがなぜ殺されたのか。電光掲示板で歌詞の翻訳を流しながらやった。僕も三線を弾いて、「花」を会場の人たちと一緒に歌いました。いい交流ができたなと思います。
 同じ米軍との闘いの中で、韓国の人たちが沖縄の運動との関係を密にしながら闘っている。
 韓国には反戦地主がいない。米軍が土地を取って、そのまま基地にしている。地主もものが言えない時代だった。土地の所有権を取り戻すために「わが土地取り戻し汎国民運動」ができた。あるいは、米軍の飛行場の近くの人たちは爆音訴訟を準備している。
 僕も嘉手納基地爆音訴訟の原告ですが、烏山(オサン)米空軍基地の爆音はもっとすごい。滑走路の真下に民家がいっぱいあり、その屋根すれすれに飛んでいる。日米地位協定に比べても韓米地位協定はさらにひどい。韓国では容疑者の逮捕権もなく、判決が下りてからしか身柄は取れない。
◆戦争で犠牲激化
――韓国と沖縄の現状を比べてどうですか。
 この情勢で警備はどうかと、韓国の米軍基地を二つも三つも見てきましたが、米軍の警備は沖縄と同じくらい厳しい。違うのは正面に機動隊がいないということ。沖縄には機動隊四百五十人、九州と中国管区から来ています。最強の軍隊がいながら、それを守るというんだからこっけいです。
――「だいじょうぶさぁ沖縄」というたれ幕が那覇空港にありますね。
 国や県は、基地は危険だと、戦争に対する反撃があるだろうからと警備体制をバッチリとっている。自分たちが危ないと警備しているのに、何を根拠に安全だというのか。
 修学旅行のキャンセルはすごいですよ。僕の修学旅行の案内も軒並みキャンセルです。六百八十校がキャンセル。四百億円というすごい観光収入減です。関連を含めるともっとすごい。おそらく倒産も出る。今、沖縄の失業率は九・四%です。「沖縄は米軍基地と共生せよ」と言った防衛施設庁長官がいたが、最悪の状態です。
 「基地があるからお金が落ちる」、土地代が三百億円、思いやり予算なんか含めると千八百億円と言われている。それで沖縄の経済が潤っていると言う人がいる。それが戦争状態になってすでに四百億円、関連も含めると倍くらいふっとんだ。沖縄の観光収入が三千八百億円くらいだから、すでにその三分の一くらいは消し飛ぶことになる。
 基地があってこれからも持続的に沖縄の経済が発展するということはない。基地は撤去すべきだということに変わっていかなければいけないはずです。
――名護新基地ですが、十五年問題など問題になっていませんね。
 ふっとんでいる。辺野古の行政委員会は、リーフ内かリーフ外かでぐらぐらしているわけですが、十五年問題なんか一言も出てこない。岸本市長からも、稲嶺知事からも出てこない。
 プエルトリコのビエケスが射爆場撤去の問題で十一月に住民投票をすることになっていたのが延期になった。戦争状態になったからということです。だからアメリカの権力者にとって、戦争体制になったら基地撤去など話にならんということです。
 十五年問題は一切ない。だからちょっとやばい状況です。辺野古の「命を守る会」や「二見以北十区の会」は地元として一生懸命やっている。これをみんなで支えていくという闘いになります。この二、三年が、基地の再編を阻止することができるかどうか、大きな試練になります。
◎ビデオドキュメンタリー映画
■ 梅香里 ■
 読谷村のチビチリガマをとおして沖縄戦を追った『ゆんたんざ沖縄』で知られる西山正啓監督の最新作。梅香里と沖縄、そして大分県日出生台演習場を抱える湯布院の人びとによる地域合作ドキュメンタリーである。
 ソウルから南西に約60`、梅香里は、肥沃な大地、広大な干潟に恵まれていた。朝鮮戦争中の1951年、突然米空軍の爆撃演習場とされ、今もアジア最大の国際射爆場。1956年生まれの全晩奎氏は、演習のため土日しか許されない干潟で漁業をしながら射爆場撤去闘争の先頭に立っている。フィルムは梅香里の現実を映し出し、軍事基地撤去を訴えている。カラー・78分
*12月1日(土)〜21日(金)BOX東中野で劇場公開。問い合わせは梅香里上映配給東京事務局、電話03-3394-3734。

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週刊『前進』(2032号3面5)

 資本攻勢&労働日誌 11月4日〜14日
 ●厚労相、解雇法制化を明言
 ●ワークシェア政労使確認
 ●連合がベアなし春闘決定
 NTT労組 “解雇がワークシェア”

●4日 坂口厚生労働大臣は解雇ルールの法制化について2003年までに法案を提出するつもりであると明言した。また、ワークシェアリングを進めると発言した。
●5日 「緊急雇用対策実現! 労働基本権確立・民主的公務員制度改革を求める11・5中央集会」が開催された。連合と同官公部門連絡会が主催。全国から官公労を中心に1万500人が参加した。
●6日 連合会長代行に榊原日教組委員長が内定、13日の中央委員会で正式に決定した。
●7日 東芝は半導体事業に携わる社員1万2000人を対象に、今月下旬から月に2〜4日間、一時帰休することを決めた。
●8日 NTT労組は臨時中央委員会を開き、NTT東西会社などの約11万人を子会社にリストラし、51歳以上の労働者を退職・再雇用して最高30%の賃金カットの方針を賛成多数で承認した。(津田委員長発言は別掲)
●9日 政府、連合、日経連の三者は政労使雇用対策会議を開催し、ワークシェアリングについて今後検討を進めることを確認。
◇98年に最高裁判所の「労働関係民事・行政事件担当裁判官協議会」(会同)が「同じ仕事をしていても雇用形態が異なれば賃金格差は許される」との見解を示した問題について、法務省は「最高裁の公式見解ではなく、(裁判官が)これに縛られることはないだろう」との考えを明らかに。国連社会権規約委員会のILO差別・平等部長は最高裁の考えを問題視、「裁判官の裁量で、国際法を国内法よりも低く見ているのでは」「裁判官教育は行われているのか」などの指摘があった。
◇「育児・介護休業法の一部改正案」が参院本会議で全会派の賛成により可決・成立した。
●12日 来年4月に発足する日本経済団体連合会の初代会長に奥田現日経連会長が内定した。
◇連合が院内集会を開催。社民党の辻元政審会長は、同党として中長期的にはワークシェアリングを目指すと述べた。
●13日 連合は中央委員会を開きベア要求を盛り込まない02年の春闘方針を決めた。また、パート時給10円増要求方針を復活した。
◇JR西日本は2005年までに労働者の2割の9000人を削減、3万2000人体制にする方針を発表。
◇住友金属工業は2002年度に賃金を平均5〜10%削減する方針を明らかにした。
●14日 JR連合は、来春闘では「賃金カーブ維持に加え、ベア確保による賃金引き上げを求める」との姿勢を明らかにした。来年2月の中央委員会で正式決定する。
◇来春卒業を予定している高校生の9月末の就職内定率は前年同月に比べて5.5ポイント減の37.0%となり、87年の調査開始以来最悪であることが明らかになった。

NTT労組・津田委員長発言(要旨)
●10万人首切りと賃下げを「日本型ワークシェアリング」と言い放つ

 組合は、転籍にともなう賃金カット分を一時金などで100%補てんするように求めていたが、会社側は最終的に55%だけ補てんする回答を示し、組合側は屈服して承認。これについて津田委員長は以下のように発言した。
 「最終回答に不満はあるが、最低限納得し得る条件として判断する」
 「雇用確保を重視した日本的な新しいワークシェアリングモデル」
 「今の雇用情勢下で、失業をだしていいのか。これ以上の希望退職をやれば、指名解雇になってしまう」
 「組合員の十分な期待に答えられず痛恨の極みだが、現状におけるよりよい選択として決断してほしい」

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週刊『前進』(2032号4面1)

立ち上がるアメリカ労働者階級
 アフガニスタン反戦闘争を軸にアメリカ革命へ深まる階級激突

 排外主義の嵐に抗し国際連帯を訴え闘う 「レーバーノーツ」などの新潮流

 九・一一反米ゲリラ戦争の爆発と米帝のアフガニスタン侵略戦争突入のもとで、アメリカ階級闘争は内乱的激突を深めている。すさまじい排外主義の嵐(あらし)が吹き荒れ、労働運動が戦時体制を口実として徹底的に抑圧・弾圧される中で、アメリカ労働者階級はプロレタリア国際主義の貫徹、アメリカ帝国主義打倒の血路を切り開くための必死の闘いを続けているのである。われわれは反帝国主義・反スターリン主義世界革命の勝利をともに闘いとる立場から、米帝打倒の本隊たるべきアメリカ労働者人民の闘いに一層注目し連帯して闘いぬいていかなくてはならない。 ,3,1,‐1関口 一平 
 労働運動における帝国主義的排外主義とプロレタリア国際主義との分岐・分裂が「九・一一」と侵略戦争突入によって一層鮮明になり、促進されている。体制内改良派のアメリカ労働総同盟・産別会議(AFL―CIO、ジョン・スウィーニー執行部)は九・一一直後にブッシュ全面支持を打ち出し、報復戦争突入直後の十月九日には、日刊紙十数紙に「われわれはテロリズムへのわが大統領の反撃を支持する」との全面広告を出した。全米自動車労組(UAW)本部もそれに合流した。九〇年代初頭の戦闘的指導部を転覆して旧右派執行部が再登場した全米運輸労組(チームスターズ)もまた、八〇年代=レーガン時代のような激しさで「テロリストをかくまっているあらゆる国への戦争」を要求している。
 だが、他方で九・一一直後から大衆的な報復反対の闘いが全米で力強く始まっている。九月二十一日の一万人のニューヨーク反戦デモに続いて、二十九日にはワシントンなどで反戦デモ(数万人)が組織された。同デモには「打倒されるべきはアフガニスタンではなく帝国主義だ」とするスローガンが登場した。
 十・七報復戦争開始後にも繰り返し反戦デモが闘われている。まさに階級闘争の内乱的分岐が激しく進行しているのだ。反戦集会・デモの全米的な広がりの最深部には、労働者階級の新潮流の闘いがあり、アフリカ系、ラテンアメリカ系、アジア系など移民労働者のコミュニティーの運動が不屈に闘い抜かれている。
 アメリカ労働者階級の戦闘的グループはこの間「反グローバリズム」を掲げた国際連帯の闘いを進めてきた。その蓄積の上に現在の情勢のもとで、国際主義と階級的視点を堅持して闘うという、アメリカ労働運動史上でも画期的な転換を闘いとりつつある。その中心が、労働組合活動家集団「レーバーノーツ(Labor Notes)」などに結集する新潮流の闘いである。
 レーバーノーツは九〇年代のアメリカ労働運動を戦闘的経済闘争の面で牽引(けんいん)してきた。全米自動車労組、チームスターズを始めとするアメリカ既成労組の下部に大きな影響力を持つ。ローカル(支部)単位でみれば彼らが執行部を握っている組合がアメリカ、カナダに多数存在する。(アメリカの労働組合の多くはカナダを含めて組織されている)
 彼らは近年、帝国主義的労働運動の牙城(がじょう)であったAFL―CIO中心のアメリカ労働運動を根底から揺り動かす闘いを展開してきた。そのレーバーノーツが今日、経済主義的限界を打破し、九・一一反米ゲリラの直後から報復戦争反対を打ち出し、国内のアフリカ系アメリカ人、ムスリムらへの排外主義攻撃、差別攻撃と激しく闘っている。(『レーバーノーツ』bQ71)
 その労働者的立場は、彼らが十月に出した論説に明らかである。それはまず冒頭で、九・一一反米ゲリラの犠牲になった数千人の労働者の死を悼んだ上で、次のように述べている。
 「米国政府は戦争を準備しているが、労働運動はそうした攻撃がどのような影響を与えるかを熟慮しなければならない。……労働運動は過去六年間、多少なりとも自らを建て直してきた(*)。そして新たな状況下で、われわれは岐路にある。すなわち、資本家的グローバリゼーションに対抗し、他国の労働者と固く団結し続けるか、それとも『アメリカこそ一番』という姿勢に転落するのか。あるいは、移民労働者の権利のために闘い続けるか、それとも国家間の分断線に沿って仲違いしていくのか」
 (*一九九五年にAFL―CIO史上初の選挙で、従来国家権力・資本と一体化してきた旧執行部を打倒してスウィーニーの改良的執行部を選出したこと)
 また、「世界はアメリカをとるのか、それともテロリストをとるのかのどちらかだ」というブッシュの恫喝の中で、レーバーノーツは、「ある労働組合運動が非協調的で『非米的』であると決めつけられた時、われわれはそれでも新たな組織戦略を追求し続けられるか。企業がレイオフ(首切り)に踏み切った時、われわれは譲歩せずに闘うことができるか」と問いかけている。(一九五〇年代前半のマッカーシー旋風の時、当時の左派労組は「非米」のレッテルを張られて全面屈服し、左翼知識人は次々と転向していった)
 「今後数カ月、労働運動にとって最も危険なことは政府が戦争とそれに伴うあらゆる醜いものへの同意をねつ造しようとすることだ。戦時には、労働者や他の社会団体のすべての正当な要求が利己的だと見なされる。労働者の社会保障基金への攻撃が直ちに求められたことに注意せよ」
 このように、自国政府の戦争政策が必ず国内への階級戦争、労働者階級への圧殺攻撃として吹き荒れることに警鐘を鳴らしている。

 “ムスリム防衛は労働組合のつとめだ”

 さらに、以下のように九・一一ゲリラが突きつけたものを受け止める姿勢を打ち出していることも重要である。
 「戦争への熱情に違和感を覚える組合活動家は、米国の国際社会での振る舞いや外交上の優先課題を見直すべきだと声を上げ、世界中の労働者との連帯を一層深めよう。戦争の犠牲はまずもって両国の労働者階級が負わされるのだ」
 「アメリカへの世界の憎しみの大部分は、アメリカ企業の他国での振る舞い、および現体制を支えるためにアメリカ政府が用いる軍事力に基づいている」
 十月のこの論説に先立ち、『レーバーノーツ』は南朝鮮・韓国の民主労総が九月十七日に出した声明文を直ちに自らのホームページに載せて全米に紹介した。民主労総の声明文は「『対米テロ』の相手である米国に向けられた憎悪を正確に知り、これを正しく解決する方法を探すべきだ」「米国民の死は、当然哀悼すべきである。だが、米国が殺したさらに多くの弱小民族の無念の死に関心さえもたないとすれば、大きな問題だ」と、アメリカと全世界の労働者階級に呼びかけたものである。これをレーバーノーツが積極的に全米に紹介したことは、アメリカ労働者階級の階級的覚醒(かくせい)、排外主義との闘いに大きな意義をもっている。
 看護婦労組カナダ連盟のキャサリン・コナーズ委員長は、『レーバーノーツ』誌上に「この危機が終わるまで、われわれは皆ムスリムである」という文を寄稿してムスリム防衛を訴えている。
 「アラブ人やムスリムがとりわけ差別されている……。看護婦は昔から弱い者の擁護者である。すべてのカナダ人の健康を守ることが看護婦の役目であり、コミュニティーの防衛が労働組合の務めである」
 「デンマークの王は第二次世界大戦中、彼の同胞を(ナチスの)攻撃から守るために゛ダビデの星″を自分のコートにつけた。今日、われわれはカナダの指導者たちに゛ムスリム・カナダ人の支援者。われわれはすべてカナダ人だ″と書いたステッカーを身につけることを要求する――私たちの同胞を迫害から守るために」「カナダには三十万人のムスリムがいる。私は十二万人の看護婦を代表してこう言う、゛われわれはこの危機が終わるまでみんなムスリム・カナダ人だ――私たちは全部で四十二万人だ″と」
 また『レーバーノーツ』に投稿したUS航空の客室乗務員労組のジョシュア・フリーズさん(AFA〔乗務員組合〕フィラデルフィア地区評議会メンバー)は、米航空会社の経営者が「九・一一」を利用して大量首切りと賃下げを行い、政府から多額の援助と融資保証を取りつけ、途方もない利益を得ていることを怒りを込めて弾劾している。
 レーバーノーツが九・一一直後からこういう態度、主張を打ち出した背景には、この間の反グローバリズムの国際連帯の取り組みがある。この闘いはさまざまな潮流を含みながら、ここ数年の間に急速に広まった。その中から米帝を始めとする帝国主義の侵略と新植民地主義支配、搾取・収奪に反対する潮流が登場してきた。韓国の民主労総もその一環で闘っている。この国際連帯闘争の中で、アメリカ労働運動の新潮流は、アメリカ帝国主義が世界で何をやってきたのか、そして今何をしているのかを強烈に自覚したのである。中南米やアジアの労働者がアメリカ帝国主義の激しい軍事的圧制のもとで搾取・収奪されている事実を、ある意味では衝撃的に突きつけられたのだ。
 このことが示すものは、一国の労働者が階級性を獲得していく上で、インターナショナルな闘いがとても大切だということである。
 レーバーノーツは、この間の反グローバリズム闘争と移民労働者の権利獲得闘争に取り組む中で米帝批判へと進み、韓国労働運動との連帯も強めてきた。昨年の米大統領選では民主党ゴア支持のAFL―CIOスウィーニー指導部を批判した。学生運動との連帯にも積極的である。またアフリカ系アメリカ人のコミュニティー運動と連帯し、そのために独自組織をつくり、そこから労働運動の新しいオルガナイザーを生み出す取り組みを強めている。
 アメリカ労働運動の注目すべき流れには、全米電機労組(UE)のような独立労組の闘いもある。

 米帝の残虐なイラク制裁の実態を暴露

 一方、『プログレッシブ(The Progressive)』(ハワード・ジン氏とマシュー・ロスチャイルド氏が主筆)は報復戦争反対闘争を呼びかけ、米帝の残虐きわまりないこの間の中東侵略の実態を毎号生々しく暴露している。(ハワード・ジン氏は一九六六年八月に東京で開かれた革共同主催の反戦集会に参加し講演した)
 同誌の九月号は、ペンタゴンの資料を暴露して、米軍の空爆によるイラクの浄水・給水施設の破壊や、経済制裁による塩素など消毒剤の途絶の狙いが、イラク国内にコレラや肝炎、腸チフスをまん延させることにあることを暴いている。
 ハワード・ジン氏は、九月十四日の段階で次のような主張をインターネット版で打ち出した。
 「レーガンはリビアを爆撃した。ブッシュはイラクで戦争をした。クリントンはアフガニスタンを爆撃し、スーダンで製薬工場を爆破した。『テロリストにメッセージを送るため』に。それがニューヨークとワシントンのこの惨事にたどり着いたのだ」
 「われわれは、アメリカの軍事行動の犠牲者であった人びとが世界中で感じている憤りを考える必要がある。ベトナムでは爆撃で威嚇し、ナパーム弾とクラスター爆弾を使って農村を攻撃した。ラテンアメリカではチリやエルサルバドルなどで独裁者と暗殺団を支持した。イラクでは百万人の人びとが経済制裁で死んだ。そして、現在の状況を理解する上で最も大事なことは、ヨルダン側西岸とガザ地区のイスラエル占領地では、百万人以上のパレスチナ人が、わが国政府がイスラエルにハイテク兵器を供給しているために、容赦のない軍事占領下で生きているということである」
 「われわれには、テレビで見ている恐ろしい死と苦しみの光景(九・一一)が、長い間、世界の他の場所で続いていたことを想像することが必要なのだ。そして、……一部の人びとがどのように無言の怒りを越えてテロリズムに向かうかを理解することが必要だ」
 「われわれの時代の戦争は常に無差別であり、無実の人びとに対する戦争であり、子どもたちに対する戦争である。戦争は百倍に拡大されたテロリズムである」
 すさまじい排外主義の嵐の中で、言葉を選んでいるが、九・一一反米ゲリラの背景にあるものを指摘し、ブッシュの戦争突入が労働者に何をもたらすかについて警鐘を鳴らし、テロ非難でなく、国際主義の立場に立つべきことを呼びかけているのである。
 このようにレーバーノーツやプログレッシブなどが階級的、戦闘的な反戦論を展開していることは、アメリカ労働者階級の今後の運動に決定的な意義をもっている。

 すさまじい人種差別燃え上がる抵抗闘争 ムスリムコミュニティー拠点に

 60年代公民権闘争以来の活動家が牽引

 労働運動の戦闘的潮流とともに、アフリカ系、アラブ系、アジア系、ラテン系コミュニティーの動向は、米帝の階級支配を根底から揺り動かす決定的意義をもつものである。米帝の階級支配にはすさまじい人種差別が構造的に貫かれているのであり、中でもアフリカン系アメリカ人のコミュニティーと米帝権力との激突は、隠れた国内戦ともいうべき激しいものである。
 その運動的中心となっているのが、ムスリム・コミュニティー運動である。その構成の核になっているのは、基本的に一九六〇年代の公民権闘争とベトナム反戦闘争を闘った活動家たちである。一九六六年に彼らが結成したブラック・パンサー・パーティー(BPP)は、「すべての権力を人民へ」を掲げて武装闘争を戦闘的に闘いぬいた。米帝権力のすさまじいデッチあげ弾圧、逮捕・投獄、銃殺などで壊滅的攻撃にさらされた。今日のコミュニティーの活動家の多くが、こうした闘いを担ったSNCC(学生非暴力調整委員会)の経験者である。
 八〇年代レーガン以来の資本攻勢の中で、黒人社会、移民社会にはその犠牲、矛盾がすさまじい勢いで襲いかかっている。失業率は白人の二倍であり、中でも青年の失業率はさらにその二倍だ。職を得ても極度に不安定で、しかも差別的な低賃金が強制される。資本攻勢は二重三重に差別的に加重されて彼らに襲いかかっているのだ。
 また、六〇年代、七〇年代に被抑圧民族人民、女性、「障害者」が闘いとってきた反差別の地平・権利が、八〇年代レーガン政権以来、ブッシュ―クリントン政権をとおして奪われ、突き崩されるという反動的逆流が強まっている。アメリカ帝国主義は、階級的搾取構造の上に、人種差別の二重構造、三重構造を不可欠としている。そういう差別構造をつくり出さない限り、労働者の闘いを抑えつけることができないのだ。
 こういう中で、黒人の青年たちが麻薬や暴力行為を口実に逮捕されるということが頻繁に起こる。刑務所はすさまじい人種差別のるつぼだ。コミュニティーに襲いかかるあらゆる差別、抑圧、貧困と闘い、また投獄された青年たちを守るために、活動家たちはムスリム学校、保育所をつくり、モスクを拠点化し、団結をつくりだして生活し闘ってきた。
 これへの米帝の恐怖が、ムスリムの中心的活動家に対するデッチあげ弾圧、長期投獄攻撃などとして吹き荒れているのである。
 昨年三月には、ラップ・ブラウン氏が警官殺害事件(超重罪)のデッチあげで逮捕された。彼は六〇年代にBPPの中心的活動家として公民権闘争、ベトナム反戦闘争を闘い、その後ムスリム・コミュニティーの指導者となり、八〇年代末には゛米国ムスリムの偉大な十人″の一人に選出された著名な人物だ。そのような人物を何の証拠も示さずデッチあげで逮捕し、長期投獄してしまうのが米帝なのである。
 米帝は移民法や反テロリズム法の「公開されない証拠」(米国の安全保障を危うくする恐れがある時は、証拠を裁判官以外に示さないでよいとするもの)の適用によって、国内のムスリムを集中的、狙い撃ち的に逮捕し、長期投獄する攻撃を繰り返してきたのだ。
 こうした中で、ムスリム・コミュニティーの怒りと闘いの機運が極点にまで達しているのだ。昨年四月には六〇年代前半の公民権闘争の中心的リーダーたちが集まって、SNCC結成四十周年の協議会を開いた。ラップ・ブラウン氏のデッチあげ逮捕に怒りの声を上げるとともに、六〇年代の活動家と現在の学生運動のリーダーたちが、新旧の経験を語り合った。そこには明らかに公民権闘争の体験を普遍化し、若い世代に継承していこうという意識性が貫かれている。

 ナイキの搾取反対し13大学で学長室占拠

 協議会後の昨年五月に、学生たちは十三大学で学長室占拠闘争に決起した。アンチ・スウェット・ショップ・ムーブメント(搾取工場反対運動)である。これはアメリカ国内の労働者に対する搾取のみならず、米企業の全世界における搾取・収奪に反対して闘われた。例えばスポーツシューズで有名なナイキが、インドネシアに大工場をもち、現地の労働者をすさまじく搾取・収奪している。そのことで高収益をあげているナイキが学生相手に利益を上げ、大学は自校のマーク入りで新入生にナイキ靴を売っている――こんなことは断じて許せないと、学生たちは立ち上がった。各大学に警察が導入され、攻防戦が闘いぬかれた。
 このように学生運動も、コミュニティーとの連帯、国際連帯の行動に取り組む中で戦闘性を強めている。
 コミュニティーの中で起きていることは、「九・一一」以前にもこのようにすさまじい内戦的激突だったのだ。一方、労働運動も、前述のレーバーノーツのような戦闘的翼が全米の主要な労働組合の中に巨大なフラクションを形成するに至っている。これとムスリム・コミュニティー、移民コミュニティーが合流・結合するとき、完全にアメリカは内乱化する。いや、すでに潜在的に内乱・内戦化しているのだ。
 米帝支配階級はこれに激しい危機感を持っている。これを何によって突破しようとするか。その矛盾の排外主義的な排出、国外的転嫁である。九・一一反米ゲリラに大打撃を受けた米帝はその世界支配の危機から戦争に突入したが、同時に国内支配の危機からも、そののりきりをかけた戦争突入を不可避としていたのだ。〈外に向かっての戦争〉と〈内に向かっての戦争〉は完全に一体なのだ。
 現在のアメリカは、すさまじい戦時体制、排外主義、愛国主義の洪水のもとにある。ムスリムやアラブ系移民に対するポグロム(民族的迫害・襲撃)が日常化している。ブッシュは「ムスリム差別はよくない」などと言っているが、米移民帰化局(INS)の理由なし逮捕・拘束権をこれまでの二日間から七日間にまで拡大し、CIA、FBIと共同してアラブ系移民を襲撃している。
 十月末現在でFBIなどは九・一一ゲリラに関与した疑いで千人以上を逮捕した。うち百八十人が移民法違反、残りが一般の犯罪容疑での逮捕だ。逮捕者の氏名や拘留場所すら明らかにしていない(東京新聞十一月一日付夕刊)。レーバーノーツはINSのポグロムを暴露し弾劾している。
 改悪された反テロリスト法は、盗聴やメール、インターネットの傍受の権限を大幅に拡大し、さらに外国人について特定の容疑がなくても七日間は拘束できるとするきわめて不当なものだ。また移民法の改悪で外国人の国内移動を常時監視するシステムを検討している。まさに国内総密告体制を組織しているのだ。 
 このような人種差別、排外主義のもとで、アフリカ系アメリカ人を始め移民労働者のコミュニティーが、命の危機、理由なし逮捕・投獄の迫害と必死で闘い抜き、生活している。

 米日帝打倒−世界革命勝利へ共に闘おう

 六〇〜七〇年代における公民権闘争からベトナム反戦闘争の過程で、アメリカの労働組合は、労働者の闘争参加を阻止した最も反動的な存在だった。だが今日、「九・一一」の翌日から労働運動の新潮流は下部組合を組織して立ち上がった。アメリカ労働者階級の闘いは、CIAとFBIのすさまじいポグロム体制の強化と労働運動つぶしの攻撃の中で、紆余(うよ)曲折は避けられないが、必ずや不屈に前進していくだろう。アメリカ・プロレタリアートの勝利のためには、全世界の被抑圧民族人民との階級的連帯闘争の貫徹と、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の決定的な環としてのアメリカ帝国主義打倒−アメリカ革命の階級的立場、反戦闘争論が決定的に重要である。
 アメリカ帝国主義支配階級は外と内とで戦争を始めたが、その不正義の戦争は必ずアメリカと全世界の労働者階級、被抑圧民族人民の怒りと闘いに一層火を付けずにはおかない。それはすでに現実となっている。
 日本の闘う労働者、革命的共産主義者は、アメリカ労働者階級、被抑圧人民の闘いと固く連帯しよう。闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を粉砕しよう。一切の排外主義、ポグロムを絶対に許すな! 
 帝国主義国の労働者階級の階級的決起と、被抑圧民族の民族解放闘争の結合・連帯によって、アメリカ帝国主義打倒、日本帝国主義打倒、世界革命勝利へ突き進もう。これこそ全世界の労働者階級と被抑圧民族の唯一の解放の道である。

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週刊『前進』(2032号4面2)

2001年日誌 阻もう!改憲=戦争への動き 11月13日〜20日
 参戦の基本計画を閣議決定 中谷防衛庁長官が出兵命令

●米ロ戦略核を3分の1以下に ブッシュ米大統領とロシアのプーチン大統領が会談し、双方が戦略核兵器を現有の三分の一以下の水準に削減する方針を表明。またブッシュは、ミサイル防衛(MD)計画の実験・開発のため弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃を求めたが、プーチンは受け入れず、決着は先送りされた。(13日)
●名護新基地「規模大きすぎる」 沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題で、移設予定地とされる名護市辺野古区行政委員会が建設位置について審議した。名護市から提供された航空写真をもとに検討されたが、予想以上の巨大さに「あまりに大きすぎる」との声が相次ぎ、継続審議となった。(14日)
●新基地反対で住民集会
名護市の命を守る会とヘリ基地反対協が、「大事なことはみんなで決めよう/新基地建設反対を要求する住民集会」を開いた。辺野古の住民や二見以北十区の会などが参加した。(14日)
●アフガニスタンに英軍中心の多国籍軍 アフガニスタン南部のカンダハルなどでタリバンと北部同盟の激戦が続く中、「治安維持」を名目に英軍が中心の多国籍軍が展開することになった。第一陣として英海兵隊員百人がカブール近郊のバグラム空軍基地に到着した。英軍は四〜六千人規模の部隊を派遣する。一方米は、ラムズフェルド国防長官が「米軍がアフガニスタンで半恒久的な平和維持活動に従事することはまず考えられない」と述べ、多国籍軍には米軍は参加しない方針を表明した。(15日)
●在韓米軍基地が再編へ
韓国国防省関係者が、米韓安保協議会で、すべての在韓米軍基地(約二万四千六百f)の半分以上にあたる約一万三千四百fを二〇一一年までに段階的に返還することで原則合意したことを明らかにした。韓国側は返還の代わりにソウル近郊の議政府、烏山、平沢と韓国南部東部・浦項の四カ所約二百五十fを米軍に提供する。(15日)
●基本計画が閣議決定 自衛隊参戦の基本計画が臨時閣議で決まった。最大で自衛隊員千五百人、艦船六隻、航空機八機を出す。活動期間は十一月二十日から来年五月十九日までの半年間。イージス艦派遣は見送りになった。(16日)
●改憲派議員連が国民投票案 超党派の憲法調査会推進議員連盟が、改憲のための手続きを定めた「国民投票法案」と「国会法改正案」をまとめた。議員立法で来年の通常国会への提出を目指すという。法案は、国会が発議した日から六十〜九十日の間に国民投票を行い、賛成が有権者の二分の一を超える場合に国民の承認があったとし、政府が改憲の手続きを行うなどとなっている。(16日)
●軍民共用が得策と沖縄担当相 尾身幸次内閣府沖縄担当相が「議論の最中で私が意見を言うのはどうかと思うが、沖縄のためにも北部のためにも、二十〜五十年の将来を考えれば軍民共用の方がいいと思う」などと述べた。(16日)
●小中学450校が自衛隊体験 小中学校の「総合的学習の時間」の一環として昨春から始まった「職場体験」授業で、自衛隊基地を選んだ学校が昨年度、約四百五十校にのぼった。中には泊まりがけで自衛隊員と一緒の訓練に参加したり、戦車に乗って機関銃をさわっていたりした例もあるという。(17日)
●住民投票で原発反対7割
 原子力発電所誘致の賛否を問う三重県海山町の住民投票が行われ、誘致に反対する票が投票者の七割近くを占め賛成票を大きく上回った。原発建設についての新潟県巻町(九八年)、プルサーマル計画についての同県刈羽村(今年五月)に続き、原子力をめぐる住民投票で推進派が敗北。投票率は八八・六四%、有権者総数八七四八人。(18日)
●関与なくてもイラク攻撃と米 ライス米大統領補佐官(国会安全保障問題担当)が「イラクのフセイン大統領は大量破壊兵器の取得を画策しており、九月十一日の話を持ち出すまでもなく、危険な人物だ」と答えた。(18日)
●PKO法改悪案閣議決定
 政府が国連平和維持活動(PKO)協力法の改悪案を閣議決定した。臨時国会中の成立をめざしている。国連平和維持軍(PKF)の本隊業務への参加凍結を解除するとともに、武器使用の大幅緩和などを画策している。(20日)
●海・空自に出兵命令 小泉首相が、米英軍を後方支援する自衛隊の活動内容の詳細を定めた実施要項を承認。支援活動期間を来年三月三十一日までとした。これを受けて中谷防衛庁長官が海上、航空自衛隊に対し、出兵命令を出した。派遣規模は海自千二百人、空自百八十人。(20日)
●アフガニスタン会議始まる アフガニスタンへの「人道援助と復興」を協議する日米共催の高級事務レベル会議がワシントンの米国務省で始まった。G8などが参加した。(20日)

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週刊『前進』(2032号5面1)

アフガン人民虐殺許すな
PKO法の改悪を絶対阻止し 日帝のアフガン侵略粉砕せよ
 今こそ国際反戦闘争の爆発を

 「テロ根絶」を口実とする米英帝のアフガニスタン侵略戦争が、残虐な民族抹殺戦争、帝国主義的な強盗戦争であることがますますむき出しになっている。日帝は自衛艦隊を派兵し、国連平和維持活動(PKO)協力法を改悪して、数千人の軍隊でアフガニスタンに軍事侵略しようとしている。さらに、かいらい政権づくりにも積極的に参画して、米英帝とならぶ凶悪な参戦国家として登場しようとしている。絶対に許すな。闘うイスラム諸国人民と連帯し、日帝の侵略戦争参戦=戦争国家化を粉砕しよう。

 民族抹殺の残虐な侵略戦争をやめろ

 十一月十四日、タリバンは帝国主義の物量を動員した暴風雨のような侵略戦争によって膨大な犠牲を強いられ南部山岳地帯へと「戦略的撤退」を行った。これを受けて米軍は「タリバン、アルカイダの掃討戦」を叫び、アフガニスタン南部で特殊部隊による検問所を設置するなど、アフガニスタン全土の軍事的制圧、地上戦にのりだした。来週にも海兵隊千六百人を送り込もうとしている。
 空爆はすでに五十日近く続けられ、何千人、何万人のアフガニスタン人民が虐殺されたかも確かめられなくなっている。米軍は山岳地帯や残されたタリバン支配地域に、B52戦略爆撃機による激しいじゅうたん爆撃をくり返している。アフガニスタン北部のクンドゥズでは、一度に千人以上を虐殺するような空爆が連日行われている。ラマダン(断食月)初日の十六日には、アフガニスタン東部ホストのモスクを爆撃した。
 また米軍は、北部同盟が「タリバン狩り」と称する虐殺や略奪を行うにまかせている。十三日、マザリシャリフでは、学校内に隠れていた少年兵ら百人余りが処刑された。パシュトゥン語しか話せない民衆がタリバン協力者として虐殺されているという。ソ連の軍事侵略を敗北させた後の内戦を制圧して成立したタリバン政権を暴力的に破壊する侵略戦争の激化が、アフガニスタンを再び国家的分裂に追い込んでいる。
 ペシャワール会スタッフは、ジャララバードで数千人の死体が路上に転がり、タリバン兵士三百人の首がさらされているのを見たという。米軍はこうした虐殺行為が世界に知れわたるのを恐れて、アフガニスタンの状況を伝えてきたアルジャジーラ(カタール)のカブール支局を空爆し、完全に破壊した。
 「ブッシュの戦争は貧しき者へのテロ行為だ」(ニューヨークの反戦集会でのシュプレヒコール)。このような虐殺はもはや一日たりとも許してはおけない。米軍はただちに爆撃、虐殺を中止せよ。
 さらに米帝は「テロ根絶」の名のもとにパレスチナ人民を始めとするイスラム諸国人民の民族解放闘争の根絶をも狙っている。
 十九日、パウエル米国務長官はパレスチナ問題への積極関与を宣言した。この中でパウエルは「パレスチナ指導部は暴力とテロの停止に向けて、百%努力しなければならない」と要求した。だがイスラエルは、占領を続けているパレスチナ自治区ジェニンから撤退しないばかりか、二十日にはガザに侵入して民家を破壊した。米帝の中東「和平」工作は、イスラエル・シャロン政権によるパレスチナ解放闘争の根絶戦争を援護し、エセ「パレスチナ国家」の空文句でパレスチナ人民に全面屈服を迫るものにほかならない。
 またアメリカのマスコミは、イラクに「ハイジャックテロ」の秘密訓練施設があるとの報道を行い、次はイラクだとキャンペーンしている。十八日、ライス米大統領補佐官は「イラクのフセイン大統領は大量破壊兵器の取得を画策しており、九月十一日の話を持ち出すまでもなく、危険な人物だ」と、反米ゲリラへの関与がなくてもイラクを攻撃することがありうるとの見解を示した。十九日には、ウォルフォウィッツ国防副長官も「軍事作戦はアフガニスタンで始まったが、アフガニスタンで終わるとは限らない」と戦線を他の「テロ支援国家」に広げる意図をあらためて示唆した。

 中国・朝鮮に対する軍事包囲網作りも

 九・一一以降、米英国内ではあからさまな帝国主義的支配の要求が叫ばれるようになっている。
 十月中旬に米シカゴ・サン・タイムズ紙に載った「帝国主義こそ解決策」という論説は、「(エジプトでは)反米感情が高まるばかりで、間接統治は失敗した。それがはっきりした以上、アメリカは帝国主義に戻り、アフガニスタンやその他の中東の反米諸国を直接統治すべきだ」と主張している。
 英ガーディアン紙に載った論文「新しい帝国主義の時代がきた」は、ニアル・ファーガソンというオックスフォード大学の歴史学の教授が書いたもので、「アメリカは非公式な帝国から、おおっぴらに帝国主義を行う帝国へと変わるべきだ」との副題が付いている。この論文は「今後アフガニスタンだけでなく、パキスタンやサウジアラビアなども、欧米が手をつけられない状態になる前に、植民地にしてしまった方がよく、アメリカが支払うコストから見ても帝国主義は実は安上がりだ」と主張している。
 実際、国際帝国主義がアフガニスタンで行っていることは、レーニンが『帝国主義論』で書いたような、新たな勢力圏分割、石油・天然ガス資源をめぐる帝国主義の強盗戦争そのものである。この戦争の特別な目的として、中央アジア・カスピ海の石油・天然ガスの開発利権があることは今や常識となっている。
 十一月十四日、国連安全保障理事会はタリバン政権崩壊を受け、アフガニスタンへの多国籍軍派遣を事実上承認する決議を採択した。イギリスはただちに約百人の先遣隊をカブールに送り、フランスなどが競って大部隊を送り込もうとしている。日帝もPKO協力法を改悪して自衛隊を派兵しようとしている。
 二十日、米日を共同議長国としてワシントンでアフガニスタン復興会議が開催された。ここでも米日と、この両国に主導権を握らせまいとする英仏がぶつかりあっている。帝国主義強盗どもが、「復興」「人道的支援」の美名のもとに利権の分捕り合いを始めているのだ。

 勢力圏獲得のため強盗戦争

 この戦争は、二九年型世界大恐慌の過程が始まった中で、帝国主義が体制的延命をかけてぶつかり合う資源、勢力圏の分割・再分割のための侵略戦争であり、さらには中国・朝鮮侵略戦争から第三次世界大戦へと行き着くものだ。
 米帝ブッシュ政権は、二九年型世界恐慌―長期大不況の到来を見据え、中国スターリン主義転覆の侵略戦争を構えることを核心に据えて、世界戦争政策、核軍拡を強力に展開してきた。九・一一反米ゲリラで世界支配の破綻(はたん)を突きつけられた米帝は、より凶暴化して世界戦争政策にのめり込んでいるのだ。
 米帝は「米国につくか、テロリストにつくのか」という゛ブッシュドクトリン゜を振りかざして「テロ根絶」を掲げた侵略戦争を展開することで、中東・中央アジア諸国へのプレゼンスを強化・形成し、この地域と資源を独占的に支配しようとしている。また、これをとおして中国・朝鮮をにらんだ軍事的包囲網を形成しつつある。
 この間米帝がインドとの軍事協力を強化し、中国包囲網を形成してきたことに対して、中国はパキスタンとの軍事協力を強化してきた。また六月十五日にロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンとの間で「上海協力機構」を立ち上げ、「反テロ」を定めた上海協定に調印するとともに、米帝のミサイル防衛構想に反対することを確認した。ところが米帝は、アフガニスタン侵略戦争をとおしてパキスタンや中央アジア諸国を取り込み、米帝との軍事同盟に引き込みつつある。
 日本など他の帝国主義も、米帝ブッシュの軍事戦略のもとに進められているこの新たな世界再分割戦争からはじきとばされ、米帝にたたきつぶされないために、より凶暴化し、アフガニスタン侵略戦争への参戦を競っているのだ。

 PKF凍結解除でアフガン駐留狙う

 日帝・小泉政権は、テロ対策特別措置法に基づく基本計画、実施要項を定め、初めて自衛隊の「戦時派兵」を発令した。自衛艦隊の第二陣として、掃海母艦うらが(横須賀基地)、補給艦とわだ(呉基地)、護衛艦さわぎり(佐世保基地)を出航させ、さらにC130輸送機六機、支援機(攻撃機)二機を投入する。海自艦が米軍艦船に燃料の輸送・補給を行い、空自機は米軍に兵員、物資を輸送する。(図参照)
 自衛隊が米軍の民族虐殺戦争を全面的に支えるということだ。「広島、長崎を経験した日本人民は無差別虐殺に加担するな」というアフガニスタン人民の血叫びにこたえて自衛隊派兵を粉砕しなくてはならない。
 また自衛隊がペルシャ湾、インド洋からオーストラリア、グアムまでの広い範囲で活動することは、それ自体が決定的な帝国主義軍隊化だ。海上保安庁もマレーシア沖まで展開し、アジア人民を威圧して回るのだ。
 十一月二十日、政府はPKO協力法の改悪案を閣議決定し、国会に提出した。国連平和維持軍(PKF)本隊業務への参加凍結を解除し、武器使用基準を大幅に緩和しようとしている。すでにテロ対策特措法で「自己と隊員、職務上の管理下に入った者」の防護のために武器を使用できるとしたが、今回のPKO法改悪案では他国の部隊や国連職員をも防護の対象とした。また武器防護のための武器使用も可能にした。日帝は「地雷除去」などを口実に、アフガニスタンに陸上自衛隊を出兵することを狙っているのだ。
 今回の派兵に関して、中谷元・防衛庁長官は東京新聞のインタビューで、「憲法解釈の拡大で自衛隊の活動範囲を広げる手法には限界がある。憲法改正を議論すべきだ」という趣旨の発言を行った。憲法調査推進議員連盟は十一月十六日の総会で、憲法改悪の手続きを定めた「憲法改正国民投票法案」「国会法改正案」を来年の通常国会に提出することを決めた。
 情勢は完全に一変した。日帝がついに憲法第九条を強権的に突破し、戦時派兵に踏み切ったことで、有事立法・改憲=戦争国家化攻撃が画然と激化しているのだ。

 小牧現地闘争に決起しよう

 アフガニスタン侵略戦争は帝国主義の世界再分割戦争であり、被抑圧民族の大虐殺と第三次世界大戦へと行き着く戦争だ。
 日本の労働者階級人民は国際反戦闘争の先頭に立ち、第三次世界大戦へと突き進む米帝と何よりも自国帝国主義=日帝を打倒しなければならない。闘うパレスチナ、中東、イスラム諸国人民との連帯をかけ、自国政府のアフガニスタン侵略戦争参戦を命がけで粉砕しなくてはならない。
 国際反戦闘争の爆発、世界革命の現実性は圧倒的に存在する。
 米帝ブッシュは、「テロを根絶するまで戦争を続ける」と言う。日帝・小泉政権は憲法を否定し、憲法の上に国連憲章を置くという形で、一気に戦争国家へと突き進み、アフガニスタン人民を皆殺しにする世界人民の敵としての姿をむき出しにしている。だが、帝国主義の民族抑圧、収奪が存在する限り、被抑圧民族の闘いがやむことはない。
 アフガニスタン人民は帝国主義やスターリン主義の侵略と不屈に闘ってきた誇り高い歴史を持つ民族だ。抵抗をやめ、帝国主義の言いなりになるなどということはありえない。またこの戦争は、アフガニスタンだけでなく、全イスラム諸国人民の怒りに火をつけた。被抑圧民族人民の民族解放闘争は全世界的に爆発していく。
 帝国主義は三たび世界大恐慌と世界戦争の過程にのめり込み始めた。帝国主義はもはや命脈が尽きた。帝国主義国の労働者階級の闘いが、「テロ根絶」の排外主義を打ち破り、闘うイスラム諸国人民、被抑圧民族人民との連帯へと突き進むとき、世界革命の情勢は大きく切り開かれるのだ。
 「闘うイスラム諸国人民と連帯し、アフガニスタン侵略戦争を阻止せよ」「戦争国家化=改憲に突き進む日帝・小泉政権を打倒せよ」のスローガンのもと闘おう。空自派兵阻止の小牧現地闘争に決起しよう。PKO法改悪を阻止し、陸自の東ティモール、アフガニスタン出兵を阻止しよう。
 〔早乙女 優〕

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週刊『前進』(2032号5面2)

イスラム・中東の学習参考文献 C

5 レーニンの関連論文・手紙
 〈大ロシア主義、排外主義の克服とムスリム問題をめぐって〉
▽レーニン全集(巻)
「アジアの目ざめ」(19)
「後進的なヨーロッパと先進的なアジア」(19)
「民族問題にかんするテーゼ」(19)
「民族問題についての論評」(20)
「民族自決権について」(20)
「大ロシア人の民族的誇りについて」(21)
「革命的プロレタリアートと民族自決権」(21)
「社会主義革命と民族自決権(テーゼ)」(22)
「ユニウスの小冊子について」(22)
「自決にかんする討論の総括」(22)
「一九〇五年の革命についての講演」(23)
「ロシア共産党(ボ)綱領草案 民族関係の分野での綱領の条項」(29)
「トゥルケスタンの共産主義者の同志諸君へ」(31)
「東方諸民族共産主義組織の第二回全ロシア大会での報告」(30)
「ゲ・カ・オルジョニキッゼへの電報」(30)
「インドの革命的団体へ」(31)
「トゥルケスタンにおけるロシア共産党の任務について」(42)
「民族と植民地問題についてのテーゼ原案」(31)
「共産主義インタナショナル第二回大会 民族・植民地問題小委員会の報告」(31)
「ロシア共産党(ボ)中央委員会トルコ局へ」(35)
「大国主義的排外主義との闘争についての政治局への覚え書」(33)
「少数民族の問題または『自治共和国化』の問題によせて」(36)
「(同)つづき」(36)
「エリ・デ・トロツキーへ」(45)
「ペ・ゲ・ムヂヴァニ、エフ・イェ・マハラッゼその他へ」(45)
▽国民文庫
『民族自決権について』 
『民族問題にかんする批判的覚書他』
『帝国主義と民族・植民地問題』

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週刊『前進』(2032号5面3)

「暫定」開港許さぬ テスト飛行阻止・第3波闘争

 三里塚芝山連合空港反対同盟が十一月二十一日、飛行テスト阻止・暫定滑走路開港実力阻止第三波の現地闘争を行った。
 頭上で飛行テストが強行される中、東峰部落開拓組合道路に、反対同盟を先頭に首都圏の学生・労働者七十五人が結集。意気軒高と敷地内をデモした。
 鈴木謙太郎さんの司会で集会が始まった。
 まず北原鉱治事務局長があいさつした。「アフガニスタンでは毎日、何百人も殺されている。小泉政権は自衛隊の海外出兵を強行し、世界に侵略国として登場した。反対同盟は三十六年間、戦争と成田空港の軍事使用に反対して闘ってきた。アフガニスタンでの大量虐殺を心から憂える。暫定滑走路粉砕、軍事使用阻止へ命をかけて闘う」とアフガニスタン侵略戦争阻止をかけて三里塚闘争を闘うことを力強く提起した。
 続いて全学連の松尾純一副委員長が決意表明した。「テスト飛行は絶対に許さない。千葉県の堂本知事が現地に来て『騒音は確かに大変だ。補償が必要』とふざけたことを言っている。騒音が大変なら暫定計画を直ちに中止しろ。暫定滑走路攻撃は、アフガニスタン侵略戦争、成田空港の軍事使用、自衛隊参戦と一体だ。アフガニスタン人民、イスラム諸国人民と連帯して侵略戦争を阻止しよう」と、自衛隊出兵阻止の現地闘争を呼びかけた。
 デモに出発した。開拓道路から小見川県道へ進み、東峰部落を周回して、東峰神社へ向かった。立ち木を伐採した跡から竹が少しずつ伸び始めている。東峰神社の前で、シュプレヒコールを行った。さらに東峰十字路北側の開拓道路へと進んだ。開拓道路の先端で集会を持った。
 本部役員の鈴木幸司さんが「三十六年間の闘いが最高潮に達しようとしている。正義の闘いの確信を持って、すべてをかけて勝利する。日本に絶対戦争はさせない。成田空港は完成させない。三里塚の闘いの思想こそが最大の武器だ。それはどんな武器よりも力を持つ」と訴えた。
 続いて都政を革新する会の北島邦彦事務局長が「自衛隊の参戦は許せない。軍事空港反対を掲げ、民衆の実力闘争を育てきた三里塚闘争が大きな意味を持ち始めている。都革新も街頭で署名を訴えています。特に若い人が『空爆はおかしい』と言って署名をしてくれる」と話した。
 三里塚教会の戸村義弘さんも駆けつけた。「『週刊三里塚』で市東さんが『飛行機を撃ち落としてやりたい』とあった。これは私がいつも心に思っていること。空港を阻止できるように知恵を結集して、私もみなさんとともに闘い抜く」とあいさつした。
 再びデモに出発した。小見川県道を進む途中で、テスト飛行のYS−11が頭上直近を通過した。轟音(ごうおん)が腹の底まで響く。これが農民の暴力的追い出し攻撃の実態だ。誰もが「飛行機を撃ち落としてやりたい」と思った。

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週刊『前進』(2032号5面4)

 改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
 第2部 15年戦争の末路 (11) 学徒動員 絶望的な前線に送られた学生

 日本の敗戦が濃厚となってきた一九四三年九月二十二日、東条内閣は「国内体制強化方策」を発表して、学徒(大学、大学予科、高等学校、専門学校の学生・生徒)の徴兵猶予停止の方針を発表し、十月二日に「在学徴集延期臨時特例」を公布、さらに十二月二十四日の勅令で徴兵年齢を十九歳に引き下げた。
 一八七三年の明治政府の「太政官布告」以降、すべての満二十歳の男子は常備軍への服務が義務づけられてきたが、帝国主義の国家中枢を担う立場にあった「修学中の者」に対しては、特別に免役措置がとられてきた。それは、日清戦争、日露戦争、第一次大戦をとおして一貫した政策であった。しかし、中国人民の民族解放闘争による中国侵略戦争の破産、対米戦争での大敗と多数の兵力喪失という事態の中で、日本帝国主義は最終手段として理科系および教員養成学校以外の学徒を前線へと送り込むことを決定した。「学徒出陣」は、日帝の絶望的あがきであり、破産的現実そのものであった。
 こうして一九四三年十月二十一日、「出陣学徒壮行会」が神宮外苑競技場を始め各地で執り行われ、約十万人とも二十万人とも言われる十代後半〜二十代の学徒たちが戦場へと送り出されていった。植民地台湾・朝鮮出身の学徒たちも、志願を拒否すれば「休学・退学」を迫られ、強制的に動員されていった。

 学徒兵の末路

 この敗戦必至の情勢下で前線に送り込まれた学徒兵たちを待っていたのは、絶望的な死、それだけであった。
 「飛行機に乗る以上、先に死が待っているのは常識であったが、飛行学校の教育は厳しかった。『お前たちは消耗品である』という一言に始まる訓示を皮切りに、死ぬことだけが生きがいといったような訓練が続いた」(生き残った学徒兵の回想より)
 絶望的情勢下での焦りやいらだちの中で、上官の殴打によって訓練中に命を落とす者も続出した。燃料も武器も乏しい中で戦場に送られた学徒たちの多くは、自らの命を爆弾に代える「特攻隊」に投入された。飛行部隊に配置された学徒は航空機で、また海軍に送られた学徒は人間魚雷「回天」やモーターボートによる水上特攻「震洋隊」に押し込められ、突撃させられた。
 また、米軍によって制海権が奪われた海上での無謀な輸送によって移動中に撃沈された者、補給路が絶たれた前線で餓死する者、病死する者なども続出した。学徒たちの末路は、まさに犬死にそのものであった。
 逃れられない死に直面した学徒兵たちは、生きることへの最後の執着や必死の自己肯定の言葉などを日記や遺書に書き残した。そこには戦争への疑問や自らの「運命」をのろう言葉がつづられている。
 だが、アジア侵略・勢力圏化という戦争目的への怒りや闘うアジア人民の存在に肉薄した言葉はほとんど見受けられない。日本の労働者人民がアジア人民の闘いから分断され、排外主義に屈服した結果、自らも帝国主義によって犬死にさせられたのである。

 大学の戦争協力

 学徒出陣は、学徒たちにとってけっして突然の出来事ではなかった。政府は、一九三八年の国家総動員法をもって、大学の戦争動員をエスカレートさせてきた。三八年に「学徒勤労動員」を開始して武器製造などに動員し、三九年には「軍事教練」を大学の必修とした。また、マルクス主義研究者や、進歩的、自由主義的な主張を行う教授たちを大学から追放し、あらゆる学問を「国体明徴」のもとに位置づけていった。皇国史観に貫かれた「国史」、植民地支配のための「植民地経営論」、ナチス型経済学などが研究され、七三一細菌戦部隊への京都大学教授の参加を始め、大学が直接的な軍事技術開発にかかわっていった。そして最終的に、「皇国の興廃はまさに諸君の双肩にかかっている」などと言って学生たちを直接戦場に送り出していったのである。

 学生運動の解体

 日本の大学は、その出発点から「帝国の大学」として国家目的のもとに位置づけられてきたが、学生たちはけっして唯々諾々と従ってきたわけではなかった。
 学生運動は、一九一七年のロシア革命をうけて最大の盛り上がりをみせ、二九年世界大恐慌下では労働争議や小作争議の先頭で闘った。大学の戦争動員に対しては、二三年の早稲田大学での軍事研究反対闘争、二五年の軍事教練を拒否した小樽商高事件、治安維持法が適用された京都学連事件など、さまざまな抵抗闘争を闘いぬいた。また、河上肇らマルクス主義者の教授の大学追放と学生運動の非合法化に反対して、数百人の学生が抗議デモを闘った。
 戦闘的に闘われてきた学生運動にとって決定的転換となったのは、二八年三・一五弾圧―二九年四・一六弾圧による日本共産党員の大量逮捕であった。天皇制テロルによる弾圧に直面した学生運動指導部は、アジア人民の不屈の民族解放闘争と連帯し、非合法・非公然下での帝国主義打倒の闘いを発展させることができるかどうかが問われた。
 しかし、日共指導下にあった学連、学生自由擁護同盟、新人会などの学生運動組織は、弾圧への日和見主義と路線的混乱の中、「無産解放運動との連帯」という名目のもとで自発的に解体していった。日共は、侵略戦争下でのプロレタリア党建設とその一環としての学生戦線の建設という課題の困難さに屈服したのである。国際スターリン主義の世界革命と日本プロレタリア革命を否定する綱領である「三二テーゼ」をもって闘いは路線的にも敗北した。
 党的人格的継承性をまったく欠き、路線的ジグザグを繰り返す「前衛」のもとで、学生たちは一千人を超す大量検挙を受けながらも必死の抵抗を試みていった。しかし、個々の抵抗は組織的闘いへと発展せず、逆に「学校報国隊」などの戦争動員組織に飲み込まれていった。学生運動の壊滅と学生自治、大学自治の一掃によって、一切の抵抗力が奪い尽くされた後、大学は「陛下の大学」「兵営」となり、帝国主義の階級支配とアジア侵略戦争遂行の重大な一翼を担っていったのである。
 (奥井恭子)

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週刊『前進』(2032号6面1)

12・15獄中同志奪還大集会へ
21世紀革命の勝利かけて戦時治安弾圧打ち破ろう

 革共同は、十二・一五獄中同志奪還大集会に、すべての同志と、闘う人民の総結集を訴える。爆取・無期攻撃と不屈に闘う長期獄中同志の奪還は、日帝の戦時治安弾圧体制と対決し打ち破る闘いの決定的な柱だ。二十一世紀の革命へ向けた党の歴史的飛躍をかけて、新たな闘いに立とう。

 日帝権力との死闘勝利の歴史を体現

 革共同は、日帝国家権力や反革命との非和解的な対決を貫いてきた。七〇年決戦を打ち抜いた革共同に対して、日帝権力は破防法攻撃に始まる組織絶滅を狙った大弾圧を加え、反革命カクマルは「首根っこ急所論」を振りかざして背後から襲いかかってきた。これに対し、革共同は七〇年決戦の特殊な継続としての二重対峙・対カクマル戦を戦い、七五年三・一四本多書記長虐殺反革命をのりこえ先制的内戦戦略をもって権力・カクマルとの相互絶滅戦をやり抜いてきた。
 その上に九〇年天皇決戦と九〇年代の階級的攻防をやり抜き、今、二十一世紀冒頭の階級闘争の帰すうを決する、革命党としての新たな飛躍の条件をつかみ取っている。権力・反革命のどんな攻撃にも屈することなく、どんな犠牲をも恐れることなくどこまでも革命勝利をめざして闘い抜いてきたことが、その一切の土台である。
 日帝国家権力は革共同に対して、破防法適用(団体解散・非合法化)の攻撃のみならず、白色テロル、革命家抹殺攻撃を一貫して仕掛けてきた。革命家の虐殺、デモや闘争現場での大量逮捕・起訴、デッチあげ逮捕や指名手配、そして長期勾留・長期投獄の攻撃である。これらの一つひとつに対し、われわれは不屈の革命家魂をもって完黙・非転向を軸に闘い抜き、打ち破ってきた。それは、弾圧を受けた個人とその家族の血のにじむような闘いと、それを支える革共同救対部の献身的な闘いによって、個別的・組織的に実現されてきた。
 その中で、現在獄中二十七年目を迎えた無期攻撃と闘う星野文昭同志(徳島刑務所)、爆取弾圧で十五年目の長期未決勾留を強いられている須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志、同じく九年目の福嶋昌男同志(以上の四人は東京拘置所)の五人は、革共同と日帝権力との非和解的な関係を自己の存在そのものによって最も鋭く体現している同志である。
 革共同とは何なのか。革共同とは、今獄中にあって権力と切り結んでいるこの五人の同志が全存在をかけて体現しているものそのものである。反帝国主義・反スターリン主義世界革命の一環として、日帝国家権力を打倒しプロレタリアートの独裁・労働者権力を樹立するために、全存在、全生涯をかけて闘い抜いている共産主義者・革命家の政治的結集体、これこそが革共同である。革共同は、労働者階級の解放、プロレタリア革命、共産主義の実現のためにどんな弾圧や投獄、反革命の襲撃にも屈することなく闘い抜いてきたし、これからも闘い抜く革命家の集団である。
 このことによって、革共同は、労働者階級、闘う全人民、被抑圧民族人民との固い結合と信頼関係を築き上げることができるのである。五人の同志はまさにそのような闘いを最も鋭く体現している。
 だからこそ、権力のこの五同志に対する攻撃は、社会的隔離抹殺の自己目的化ともいえるものとなっている。この現実に対して腹の底から階級的怒りを爆発させなければならない。そして彼らを奪還するために、総力をあげて決起しなければならない。十二・一五集会は、そのために行われる集会である。

 星野同志への無期攻撃を打ち破ろう

 星野同志は、一九七一年十一月十四日の沖縄「返還」協定批准阻止の渋谷暴動闘争で、機動隊せん滅の「実行犯」だとして、七五年八月に事後逮捕された。
 七一年十一月十日、沖縄の全島ゼネスト暴動闘争においてペテン的な沖縄「返還」強行に対する沖縄人民の怒りが爆発し、機動隊せん滅戦が革命的に敢行された。それに先立つ同年九月には、三里塚で機動隊三人がせん滅される大闘争が闘い抜かれた。こうした中で十一・一四渋谷闘争において機動隊が人民の実力決起の前に敗走し、一人が完全せん滅されたのである。これは人民の闘争の偉大な勝利であった。
 これに対して権力は、この七〇年安保・沖縄決戦への階級的憎悪に満ちた報復として、星野同志にすべての責任を負わせることを決断し、殺人罪を適用し、死刑を求刑したのである。
 あらためてすべての人がはっきりと確認してほしいが、権力は、星野同志を「殺人の実行犯」として起訴したのである。なぜか。ただデモ隊全体を指揮していたというだけでは機動隊せん滅行為との直接的関係などまったくないのであって、殺人罪による死刑求刑など不可能だからである。
 したがって権力は、まったくのデッチあげと証拠ねつ造で星野同志に死刑を求刑した。それに対して、われわれを先頭に「死刑阻止」の運動が大きく盛り上がり、署名は十二万を超えた。だが、東京地裁は二十年の反動判決を出した。ところが、国家権力は許しがたいことに一審二十年の判決を不服として控訴審で無期刑を追求し強要したのである。東京高裁は、検察権力の意志に従い無期の判決を下し、最高裁もそれを追認した(八七年)。そのすべては完全な政治裁判であり、完全なデッチあげだ。星野同志は、まさに七〇年安保・沖縄闘争に対する政治的報復として無期の判決を受けたのだ。
 このでたらめな判決に対する当然の再審請求(九六年四月提出)に対して、裁判所はきわめて政治的に対応し、一方的にこれを棄却した(二〇〇〇年二月)。このような、ブルジョア法の論理からも理不尽きわまりない権力・裁判所の動きの中に、彼らの恐怖と憎悪が示されている。
 権力の星野同志への対応は最初から、死刑求刑・極刑攻撃を貫徹し、それができないなら何がなんでも獄中に閉じこめておくということなのだ。刑務所における処遇やその他の権力の動きなどをみても、権力の星野同志に対する階級的憎しみと恐怖はますます強まっている。
 その背景にあるのは、星野同志がそのために命をかけて闘った沖縄の現実が、日帝の七二年「返還」政策の歴史的破産の結果、今日鋭い緊張の中にたたき込まれているということだ。七〇年決戦の歴史的正義性がますます明白となり、世界史的な戦争と恐慌、日帝の体制的危機の進行の中で、七〇年のような階級的大闘争が再び避けられないものとなってきているのだ。

 爆取弾圧4同志への人質攻撃許すな

 須賀、十亀、板垣の三人の同志は、一九八六年十月岩手爆取弾圧で、爆取三条(爆発物の製造・所持)で他の同志とともに不当逮捕された。その一年後の八七年十月、日帝権力は彼ら三人を八六年東京サミット時の迎賓館と米軍横田基地へのロケット弾戦闘の件で、爆取一条(爆発物の使用)で獄中でデッチあげ再逮捕した。福嶋同志は九三年に同じく爆取一条でデッチあげ逮捕された。
 岩手弾圧についてはまったく不当な有罪判決が下され、三人はその刑期もすでに終えているが、迎賓館・横田裁判での未決勾留が続けられ、今日まで獄中生活から解放されていない(したがって三同志の獄中闘争は通算十六年になる)。
 この四人の同志にかけられている弾圧は、何の証拠もない完全なデッチあげ弾圧である。その本質は、三同志への裁判で、検察側立証に十三年も費やしながら証拠らしい証拠を何ひとつ提出できないところに明白に示されている。福嶋同志の裁判でも同じだ。しかも裁判が続く間、保釈が一切拒否されるという異様な状態に置かれている。
 権力は、彼らがデッチあげ弾圧を徹底的に断罪しつつ、同時に、爆弾闘争を含む武装闘争によって人民が国家権力を倒す権利があることを真っ向から主張していることに、完全に打ちのめされている。だからこそ階級的憎悪と恐怖をむきだしにして、獄中に閉じ込め続けることを自己目的化しているのだ。これは権力による白色テロ攻撃そのものである。
 八〇年代の革共同の対権力武装闘争は、すさまじい政治的軍事的威力をもって日帝に打撃を与え、人民の闘いを鼓舞激励した。三里塚二期阻止、国鉄分割・民営化阻止、東京サミット粉砕、天皇訪沖阻止などの政治闘争・大衆闘争、あるいは大衆的武装闘争の蜂起戦的な貫徹と結合してたたきつけられた革命軍のゲリラ・パルチザン戦闘は、日帝権力との本格的な内戦的激突を端緒的に切り開いた。日本の階級闘争は、対権力の武装闘争という点で八〇年代においてそれまでの全経験を上回る高い地平を形成した。
 それは、かけがえのないものとして、革共同の、そして本質的に言えば日本の労働者階級人民の闘いの経験と蓄積(帝国主義国における本格的武装闘争の経験)として、今日に継承されているのである。そのすべてがこれからの二十一世紀の「戦争と革命の時代」において、全面的に開花し発展していくものとなることは確実である。
 権力は八〇年代の内戦的攻防において、中核派ならばすべて有罪というでたらめきわまりない論理で襲いかかってきた。われわれはこれに全力で反撃し、弾圧を打ち破って、血を流してでも武装闘争を闘い抜く権利を守りとおしてきた。八四年自民党本部への火炎戦闘に対する藤井高弘同志へのデッチあげ弾圧、八七年皇居ロケット弾戦闘に対する内藤雄二同志へのデッチあげ弾圧と徹底的に闘い、完全に勝利した。さらに橋本利昭同志への度重なるデッチあげ弾圧に対しても徹底的に争い、粉砕した。
 また、八五年の十・二〇三里塚戦闘と十一・二九浅草橋戦闘への大量弾圧・重刑攻撃とも断固として対決し、粉砕して闘ってきた。
 このような勝利の経験をとおして、われわれは、権力の弾圧に対して真っ向から立ち向かうならば、必ずこれを打ち破ることができるという自信と確信を形成してきたのだ。
 権力は八〇年代の攻防において、われわれの本格的な対権力武装闘争の端緒的な開始に顔面蒼白(そうはく)となり、ありとあらゆるデッチあげ弾圧を繰り広げたが、しかし革共同と革命軍をつぶすことはついにできなかった。
 われわれは、九〇年決戦を貫徹し、八〇年代のすべての経験を継承して九〇年代に突入した。そして九〇年代の十年間の苦闘が結実し、革共同がいま一段の質的な前進をとげたとき、そのとき八〇年代の経験がすべて生きてくることを権力はよく知っているのである。
 革共同のこのような前進に対し、権力は、四人の同志をいわば人質にとるという内戦的な白色テロルの論理で対応してきているのである。権力は四同志の存在と闘いに、武装し戦う革共同の革命的魂そのものを見ている。だからこそ、何の証拠もなしに爆取一条(死刑・無期または七年以上の実刑という重罪)で十五年も勾留し、半永久的に獄から出さないという階級的意志をむき出しにしているのだ。

 不屈の獄中同志に全力でこたえよう

 星野同志と須賀、十亀、板垣、福嶋の四同志は戦後日本の階級闘争が生み出した政治犯である。日帝権力は、刑法の実行行為論ではどんな具体的な証拠も提出できないがゆえに、政治的階級的判断だけで、つまり、不屈の革命家であるという理由だけで彼らを獄中に閉じこめている。ただただ政治的な報復あるいは見せしめ、または予防的な弾圧として、超長期の獄中生活を強制しているのだ。
 このことを今こそ全人民に暴き、このあまりに理不尽な攻撃に対する階級的怒りを爆発させていかなければならない。
 五人の同志は、不屈の革命家魂をもって闘い抜いている。革共同の、獄外の闘いに檄(げき)を送り、もっともっと労働者階級と結合せよ、党建設を前進させよと叱咤(しった)している。この獄中からの決起の呼びかけに全力でこたえ、侵略戦争を内乱に転化する闘いの前進をなんとしても切り開かなければならない。
 同時にわれわれは、彼らが極限的とも言える命がけの闘いを日々貫いていることをはっきりさせなければらない。彼らの怒りと苦悩を受け止めなければならない。マルクス主義者として、革命のために非転向で闘い抜く意志と思想をもち、自らの闘いに誇りをもち、その歴史的正当性、正義性に確信をもち続けているという理由で(ただそれだけで!)、なぜ獄中にいなければならないのか。健康を破壊され、医療すらも奪われ、同志や仲間たち、そして愛する人と自由に語り合う権利すらも否定されている現実を許しておくことができるのか。
 獄中では本質的に人間的な権利は否定されている。日本の監獄制度は特に非人間的で劣悪だ。ましてそれが十五年、二十年、三十年、無期となってきたとき、それは非人間的な状態を極限的に強制するものとなるのだ。革命家であるならば心穏やかに獄中生活を送っているはずなどと考えるのはとんでもないことだ。獄中での一日一日が生存をかけた闘いなのである。理不尽な権力の弾圧に対する炎のような怒りと、それを上回る外の同志への信頼によってこそ、彼らは生き抜き、闘い抜いているのである。
 われわれは、獄中同志の存在と闘いを「七・七自己批判」と同じ精神をもってとらえなければならない。獄外にあるわれわれが敗北主義に陥り、「今は奪還できる力関係ではない」というような発想をもった瞬間に、革命運動は腐敗する。われわれは、全力をあげて獄中同志の思いと一体となり、彼らの怒りと悔しさをわがものとしてその存在と闘いを全人民に訴え、権力への怒りと抗議を組織しなければならない。われわれ自身が国家権力に対する煮えたぎるような怒りをもって彼らを絶対に守り抜き、ともに闘わなければならないのである。
 現在、下獄して闘っている長期獄中同志についても同じことが言える。爆取デッチあげ弾圧とカクマルせん滅戦への弾圧で重刑攻撃を受け、現在獄中十二年の倉持嘉之同志は、これからさらに五年間の獄中闘争を闘おうとしている。カクマルせん滅戦の現場で権力の銃弾を受けた片山武夫同志は獄中十一年目である。浦山正博同志は獄中八年目の下獄闘争を闘っている。
 さらに、権力による卑劣なデッチあげ指名手配の攻撃と長期にわたって不屈に闘い続ける同志たちの存在がある。二〇〇一年の弾圧で新たにデッチあげ起訴され、裁判闘争・獄中闘争を開始した同志たちがいる。
 こうした不屈の革命家・革命戦士たちの存在と闘いの偉大さを確認し、彼らに敬意を表するとともに、熱烈に連帯して闘おう。

 ロシア革命の精神を継承する闘いを

 階級闘争の歴史は、国際的にも日本的にも、おびただしい人民の自己犠牲の歴史でもある。革共同の歴史は、七〇年決戦以後をとってみても、何千、何万という労働者学生人民のそうした闘いによって支えられてきた。権力の弾圧だけでなく、反革命カクマルとの闘いで虐殺され、負傷した同志も数多い。それらのすべてをのりこえてわれわれは前進してきた。われわれは、日帝権力や反革命との闘いにおける勝利をおびただしい血の代償によってかちとってきたことを、厳粛に確認しなければならない。
 われわれは七〇年決戦以後、特殊な「内戦」過程に突入し、権力・反革命との相互せん滅戦的な死闘を闘ってきた中で、十年、十五年の長期獄中闘争を闘い抜いてきた多くの同志、革命戦士をもっている。しかしこのことをもって、権力の弾圧との闘いの厳しさを軽視するような傾向にいささかでも陥ってはならない。当該獄中同志と家族の直接の犠牲と負担がどんなに厳しいものであるかをはっきりさせ、党と階級の隊列全体で、獄中の革命家とその家族を守り支え、どんな犠牲をも跳ね返して闘う陣形を作り出すことにもっともっと力を注がなければならない。
 この点でわれわれは、ロシア革命の経験や国際階級闘争の経験からあらためて学ぶべきである。レーニンとボルシェビキは、一九二二年のコミンテルン第四回大会で国際赤色救援会(モップル)の創設を提起し、帝国主義権力の弾圧や反革命の白色テロルによる階級闘争の犠牲者を救援し守り抜く闘いを、世界革命のために闘うプロレタリアートの絶対不可欠の任務の一つに位置づけた。また特に、革命ロシアの労働者が国際階級闘争の犠牲者を救援する闘いに最先頭で立ち上がることが、世界革命の勝利と国際主義的連帯の強化のために決定的であることを強調し、実践している。
 われわれは、このモップルの精神と実践を現代革命の中に復権・継承し、権力の弾圧に対する闘いそれ自身を政治闘争・大衆闘争として徹底的に本気で闘わなければならない。
 今、九・一一反米ゲリラ戦の炸裂(さくれつ)と帝国主義のアフガニスタン侵略戦争突入という世界史の新たな転回の中で、階級情勢は質的転換をとげた。日帝・小泉政権は侵略戦争への参戦とともに、「テロ根絶」論を振りかざして戦時下の治安弾圧体制を一気に築きあげようと全力をあげている。「司法改革」や新たな治安立法の制定策動を始め、有事立法・改憲攻撃にあらゆる面で拍車がかかっている。
 こうした情勢であればあるほど、権力との命がけの闘争を貫いている革命党と革命家の存在が情勢を左右する決定的意味をもつのである。権力の革共同に対する弾圧そのものが階級闘争の焦点となるような情勢がさらに進行していくことは確実である。革命を真っ向から掲げ、非転向で闘い抜く党派はもはや革共同以外に存在しないからである。日帝にとって、「テロ根絶」とはまずもって革共同への弾圧を意味するのだ。
 したがってわれわれは、これまで以上にどんな権力の弾圧や犠牲をも恐れずに闘い抜くことを決意しなければならない。そうであればあるほど、爆取・無期攻撃と不屈に闘う五人の長期獄中同志を奪還する闘争を、革共同の存在をかけた一個の政治闘争として取り組まなければならない。
 迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧と闘う四同志を奪還する闘争は、宗教者・学者・弁護士を先頭に呼びかけられた十万人保釈署名運動を軸に推進されている。われわれは、党としてこの闘いに全力でこたえ、権力・裁判所を追いつめる情勢を必ずつくり出す。革共同は、すべての人民に四同志保釈のための一億円保釈金カンパ運動を呼びかける。この闘いを全力で推進し、来年の早い段階でなんとしても彼らを奪還しよう。裁判の傍聴、面会や手紙による激励の行動に立ち上がろう。
 「無実の政治犯」である星野同志を奪還するための闘争の軸となるのは、星野無実をつきつける異議審闘争の展開と大衆闘争の発展である。全国で展開されている星野救援会の運動をさらに発展させ、星野再審十万人署名を軸にあらゆる手段で闘おう。星野同志奪還の闘争は監獄制度そのものとの闘争でもあることを明確にしなければならない。全人民的な大衆闘争で国家権力を追いつめることによってこそ、奪還への道が開けるのだ。星野暁子さんを先頭になんとしても新しい情勢を切り開こう。
 革共同による十二・一五長期獄中同志奪還大集会に、すべての同志とすべての闘う人民は総結集しよう。

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週刊『前進』(2032号6面2)

呉で出兵阻止のデモ スト決起の広大生先頭に

 十一月十七日、アフガニスタン侵略戦争の基本計画が閣議決定された翌日に、広島大学の学生を先頭に、広島反戦共同行動委員会は海上自衛隊呉基地への抗議闘争に決起した。呉基地からは第二陣として、補給艦「とわだ」が出兵しようとしている。自衛隊がアフガニスタン侵略戦争に参戦することなど断じて許すことはできない。
 この日、労働者・学生は、艦艇が一望に見渡せる呉市の「アレイからすこじま公園」(Fバース前)に結集した。
 集会では、前日にストライキ闘争を貫徹した広島大学の学生が発言に立った。「二十四クラスのスト決議の力で、ストライキをやり抜きました。自衛官の皆さん、勇気をもって出兵を拒否してください」と、熱烈にアピールした。
 そして直ちに地方総監部に向かってデモを行った。デモコースの自衛隊の官舎に向かって、婦人民主クラブの仲間が直接呼びかけた。「自衛隊員の皆さん、家族の皆さん。アフガニスタンへの戦争は紛れもなく、不正義の戦争です。この戦争に加担してはなりません。あなたがたのお子さんと同じような子どもたちが、老人が、連日のように殺されているのです。勇気をもって出兵を拒否するならば、この戦争を止めることができます」と訴えた。官舎の部屋からは、多くの自衛隊員や家族がデモ隊に見入り、訴えを真剣に聞いていた。
 総監部前では、出兵の中止を呼びかける申し入れ行動を行った。
 出兵阻止を全国の自衛隊基地を貫いて闘おう。自衛官に直接働きかけ、帝国主義軍隊を内側からガタガタに揺さぶり、この戦争を絶対にストップさせよう!

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週刊『前進』(2032号6面3)

機関紙活動 実践の中から
 戦争めぐり激論し14部販売 東京 S・A

 私はこの間、新宿・渋谷・新橋など都内各所で毎週一回、街頭署名・宣伝活動に参加しました。「帝国主義によるアフガニスタン侵略戦争反対・自衛隊の出兵阻止」を訴え、『前進』を計十四部販売しました。
 「九・一一反米ゲリラ」をどうとらえるか、米英軍による「十・七空爆開始」をどう考えるか――街頭では、まさに左右の議論が激突しました。「アメリカのやり方は本当にひどい」「このままでは日本はこの侵略戦争の当事者になってしまうのではないか」と、危機意識を持ち、多くの人が署名をしました。
 特徴的だったのは、若者の反応が非常に良かったことです。二十代が一番多く署名していきました。また、高校生も敏感に反応していました。ある時、五人の女子高校生グループが私の前をいったん通り過ぎてから立ち止まり、なにやら相談していました。クルッと向きを変えて再び私の前にやってきて、全員が署名していったのです。
 次に署名者が多いのは五十代、その次が三十代。残念ながら四十代が一番署名人数が少なかった。
 もう一つ感じたことがあります。それは、確かに多くの人びとは戦争に反対しているわけですが、同時に「日本は戦争をしに行くわけじゃない」と思っている人が少なからず存在するという現実です。ここには、「自衛隊の派兵には賛成だが、戦争にも反対だ」という「奇妙」な感覚、バランスがあるということです。帝国主義の「テロ根絶」イデオロギーに取り込まれてはいても、同時にまた、「反戦・平和意識」も健在だということではないでしょうか。
 やはり、日本共産党などの「テロ根絶論」の問題点と、日本の参戦の現実をていねいに暴露し、討論すれば必ず獲得できると思います。
 戦争反対の旗幟(きし)を鮮明にして今こそ街頭に出よう! 私はこれからも「戦争に反対する新聞『前進』」を街頭で広めていきたいと思います。

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週刊『前進』(2032号6面4)

 『前進』ホームページメールから

 アフガニスタンの情勢は急速に展開している。最近では、米軍の空爆があまり報道されていない。しかし、現実に帝国主義の侵略にアフガニスタン人民は日々さらされているのだ。
 アフガニスタンの人々の意思とは無関係に帝国主義の利害むきだしで「タリバン後」なるものを画策している。新聞記事を読むだけでもおぞましい。自分の人生をどうして他人に決められなければならないのか! それも、帝国主義者に!
 帝国主義とはこういうものだと身にしみて感じる。絶対に許せない。日帝足下の人民として何ができるのか。答えは明白である。自衛隊の出兵阻止! 本当に生き方を問われる瞬間だ。逮捕・流血を恐れず、佐世保現地闘争へ駆けつけたい。深紅の中核旗のもと実力阻止のあらゆる闘いに立ちあがりたい。
 (男性・20歳代)

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