ZENSHIN 2001/10/15(No2025
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週刊『前進』(2025号1面1)
全世界の労働者・被抑圧民族と連帯し 10・21国際反戦デーに立て
国労再生かけ大会決戦勝利へ 裏切り者打倒、闘う執行部を
米日帝のアフガン侵略戦争絶対阻止
十月五日、臨時国会に提出された「対テロ軍事行動支援特別措置法案」を徹底的に弾劾する。自衛隊が米軍基地を警備する自衛隊法改悪案も提出された。日帝は難民支援の調査と称してパキスタンに自衛官を派遣した。六日には自衛隊のC130輸送機がパキスタンに向かった。日帝はアフガニスタン・パキスタン侵略戦争に事実上参戦したのである。日本の階級闘争は戦時下の闘いに突入した。今こそ闘うアジア人民と連帯し、日帝のアフガニスタン・中東侵略戦争参戦を内乱へ転化する巨大な反戦闘争の爆発をかちとろう。国労大会決戦の勝利から十・二一国際反戦闘争の爆発をかちとり、十一月労働者集会を一大反戦闘争としてかちとろう。
第1章 対テロ新法、自衛隊法改悪を阻止せよ
小泉は所信表明演説で「テロリズムとの闘いは、わが国自身の問題であります。わが国は、国際社会と協力して、主体的に、効果的な対策を講じる」と、「日帝=当事者」論をもって参戦宣言を行った。
さらに小泉は、「自衛隊を危険なところに出しちゃいかんでは話にならない」とまで言い切った。その言葉どおりに、対テロ特措法=米軍支援法では、自衛隊の活動範囲を「外国の領域」にまで拡大し、そこでの武器・弾薬輸送、修理・整備、野戦病院、戦闘参加者の捜索・救助など物品・役務の提供を規定し、武器使用も無制限に拡大して、事実上の戦闘地域で米軍と自衛隊が共同作戦を展開できるように道を開こうとしているのだ。まずはアフガニスタン侵略の最前線基地であるパキスタンへの出兵が狙われているが、「当該外国の同意」をデッチあげてアフガニスタンに攻め込むことすら可能とする法律なのだ。
日帝はペテン的に、自衛隊の活動範囲を「戦闘行為が行われておらず、行われることがない地域」に限定するとしているが、まったくのごまかしである。そのことは前述の小泉発言が示しているし、そもそも野戦病院などは軍の戦時編成で野戦部隊、つまり第一線部隊に属する組織であり、後方支援組織ではないのだ。
しかも侵略軍に対するアフガニスタン、パキスタン、中東人民の怒りは激しいものであり、それは必ず侵略軍に対して爆発するのである。日帝・小泉はこのことを百も承知で、自衛隊出兵を強行しようとしているのだ。
また、十月三日、東京入国管理局は在日アフガニスタン人十一人を拘束した。これは、アフガニスタン人民への排外主義をあおり、自衛隊の侵略戦争を正当化しようとするものだ。すさまじい排外主義攻撃であり、徹底的に弾劾しなければならない。
まさに今、世界大恐慌情勢への突入、帝国主義間争闘戦の空前の激化のもとで、「報復」「テロ対策」を口実にして、帝国主義による帝国主義的利害のための侵略戦争が大々的に開始されようとしているのだ。
われわれはこれに対して巨大な大衆的反戦闘争を実現し、侵略戦争絶対粉砕の回答をたたきつけなければならない。
第2章 「テロ弾劾」の排外主義の宣伝許すな
「テロ弾劾」の大合唱を粉砕しなければならない。
なぜ九・一一反米ゲリラは起きたのか。九・一一は、米帝を先頭とする帝国主義の、長きにわたる侵略戦争と新植民地主義支配、その残虐なテロルと暴力、搾取・収奪、差別・抑圧への被抑圧民族人民の巨大な怒りの爆発であった。
帝国主義の侵略と圧制に抗して決起した人民の抵抗闘争を、帝国主義は「テロ」「テロリスト」とののしり、恐怖してその絶滅を絶叫しているのだ。
それゆえブッシュや小泉と一緒になって「テロ弾劾」を叫ぶことは、これまでの帝国主義の侵略と植民地支配を一切免罪し、被抑圧民族の民族解放の闘いを敵視し敵対し、資本主義社会の階級対立、階級闘争を押し隠すものである。さらに「報復」「制裁」の名による帝国主義の新たな侵略戦争を承認し、支持することになるのである。
かつて日帝が、一九二〇〜三〇年代に中国人民、朝鮮人民の抵抗闘争を「共匪(きょうひ)」などと呼んでその鎮圧を叫び、実は日帝の帝国主義的利害のための侵略戦争を拡大していった歴史を忘れてはならない。そして、再び繰り返してはならないのだ。
「テロ反対」のキャンペーンは、「死者・行方不明六千人」という九・一一ゲリラの衝撃性の前に、帝国主義国の労働者人民の階級性を解体していくための帝国主義によるイデオロギー攻撃なのである。
このような労働者階級の階級性を解体し、侵略戦争に動員していく帝国主義の攻撃に屈服し、犯罪的役割を果たしているのが、日共スターリン主義だ。
日共は、自民党や民主党以上に激しく「卑劣なテロ弾劾」を叫んでいる。日共は、「テロ根絶のためには、軍事力による報復ではなく、法にもとづく裁きを」と題した「各国政府首脳への書簡」を発表し、それを各国大使館と小泉に届けて懇談したのである。
そこには帝国主義が繰り返してきた人民虐殺、侵略戦争に対する怒りも弾劾もなく、被抑圧民族人民との連帯の表明もない。全世界の人民に向かって帝国主義との闘いを呼びかけるのではなく、「各国首脳」に「テロ絶滅」=民族解放闘争の圧殺をお願いしたのだ。帝国主義のイデオロギー攻撃に完全に屈服し、労働者階級を侵略戦争に動員する日帝・小泉の手先となっているのだ。
民族解放闘争と帝国主義打倒闘争の結合
われわれは、九・一一反米ゲリラを米帝下のプロレタリアート人民および全世界の帝国主義下のプロレタリアート人民への弾劾として受けとめなくてはならない。本質的にアメリカ帝国主義を打倒せよと呼びかけられているのである。
しかし、他方でわれわれは九・一一反米ゲリラをそのまま「支持する」ことはできない。弾劾・糾弾として受けとめることと、この闘いを支持することとは峻別(しゅんべつ)されなければならない。この戦闘は米帝とアメリカ人に対する怒りの戦闘であるが、これそのものを全世界労働者人民に対して米帝打倒の呼びかけをめざしたものだと受け取ることはできない。なによりも、このような方法によっては米帝は打倒できないのである。
この闘いは、あまりにも絶望的な闘いである。帝国主義国プロレタリアートへの絶望が含まれている。民族解放の達成のためには、帝国主義国の労働者階級人民の帝国主義に対する反乱を呼び起こし、労働者階級の自己解放の闘いと結合する中にしか、勝利の道はない。プロレタリアート自己解放の闘いと民族解放の闘いが世界史的に統一し、その力で帝国主義を世界から葬り去ることによってしか、民族解放も人間解放もかちとることはできない。
われわれは「九・一一」を帝国主義の数々の凶暴な侵略と抑圧、それに対する帝国主義下のプロレタリアート人民の屈服がもたらした被抑圧民族の絶望的闘いとしてとらえ、なんとしてもこれをプロレタリアートの力強い闘いに転化するために全力で闘わなくてはならない。
「九・一一」こそは米帝の世界支配の破産のあらわれであり、瓦解(がかい)の始まりである。米帝としての世界体制がいよいよ崩壊・瓦解へと突き進む過程に突入したのだ。力強いプロレタリアートの闘いが断固として登場しなければならない。〈アメリカ帝国主義の打倒、日本帝国主義の打倒、米帝体制としての世界体制の転覆の時代の到来〉と受けとめて、猛然と決起しようではないか。
第3章 世界大戦の危機に革命的反戦闘争を
「九・一一」による米帝の政治的・軍事的・経済的権威の崩壊、米帝神話の崩壊は世界戦争と世界恐慌過程を加速させている。米帝経済がグラグラになっている。米株価の急落が世界の株価の急落に波及し、ドルの動揺が起きている。米帝経済の景気後退により世界経済の収縮過程が始まり、米帝バブル経済によって支えられてきた世界貿易構造も、国際資金循環も大動揺過程に入りつつある。
この情勢は、世界を戦争にたたき込むことで米帝の生き残りを図るというブッシュ政権の世界戦略の強行を一層加速している。
もともとブッシュ政権は、米帝のバブル崩壊と世界大恐慌・大不況の時代への突入にあって、米帝特有の巨大な軍事力をもって政治的にも経済的にも独自 利害の貫徹をむきだしにして延命する戦略をもって登場してきた政権である。
米帝は歴史的にも、二九年恐慌と三〇年代大不況の時代を、第二次世界大戦に突入することをもって他の帝国主義に勝ち抜き、唯一強大となり、その圧倒的力で戦後の帝国主義支配体制を築いた。米帝は、バブル経済の崩壊と世界大恐慌の到来という情勢のもとで世界戦略を見直し、ミサイル防衛構想をぶちあげ、軍需予算の圧倒的増強を計画し、最後は世界戦争に訴えて、民族解放闘争を圧殺して帝国主義間争闘戦にかちぬこうとしていた。
「九・一一」を契機にして、ブッシュ政権はこの帝国主義的侵略戦争―帝国主義世界戦争の道を一挙に突き進もうとしているのだ。
戦後世界体制の基軸国であった米帝が、その歴史的没落のもとで自己の生き残りをかけて猛然と他帝国主義との争闘戦を展開しているのである。
その米帝が「九・一一への報復」「テロ対策」を口実としてアフガニスタン・中東侵略戦争を開始した。これは「終わりなき戦争」の始まりであり、帝国主義が打倒されなければ第三次世界大戦にまで突き進むしかない侵略戦争と帝国主義間戦争の始まりである。
中東は戦後一貫して石油資源の独占的支配をめぐる帝国主義間争闘戦の激突の場であった。それがいまや、中央アジア・カスピ海の石油・天然ガス資源の強奪をめぐる全帝国主義諸国と旧スターリン主義ロシア、残存スターリン主義中国を加えた壮絶な争闘戦の場になっている。
アメリカ石油資本は、トルクメニスタンからアフガニスタンを経由してパキスタンに至るパイプラインを計画している。
米帝はアフガニスタンの内戦でいったん中止に追い込まれているこの石油・天然ガス略奪計画を凶暴な軍事力をむき出しにして独占的に進めようとしている。
「米国はアフガンの支配者を選びたくはないが、平和で経済発展する国家をめざす者たちを支援する」(米国家安全保障会議)という米帝ブッシュの宣言は、「報復」「テロ対策」を掲げたこの戦争が、一片の正義性もない、米帝の露骨な帝国主義的利害、資源略奪、アフガン・中央アジア勢力圏化のための帝国主義的侵略戦争であることをはっきりと示している。
まさに石油・天然ガスの独占的支配をめぐる帝国主義各国およびロシア・中国を巻き込んだ強盗戦争が始まったのだ。
重大なことは、これが中国情勢と密接に絡まっていくことである。中国スターリン主義は世界恐慌の進展の中で国内階級闘争の爆発を抑えるだけの力を持たず、国内統治力の瓦解的情勢に突入せざるをえない。そうした混乱情勢の中で、中国市場の奥深く入り込んでいる日米欧帝国主義が中国市場の分捕り・制覇をめぐって争闘戦を激烈化させていくことになる。
中央アジアをめぐる侵略戦争の開始は、こうした中国の動向、中国市場をめぐる市場強奪戦争とも絡み合いながら、帝国主義の中国侵略戦争とその継続としての帝国主義間戦争を不可避としていくものである。
こうしてこの戦争は、世界恐慌の爆発と世界経済の統一性の崩壊と収縮の中で、たちまち全世界を巻き込んだ世界戦争へ発展せざるをえない。第三次世界大戦への道がこのような形で始まったのだ。
米日欧帝国主義のアフガン・中東侵略戦争を断じて許してはならない。アフガニスタン人民は、十九世紀以来のイギリス帝国主義の三度にわたる侵略戦争、そして一九八〇年代の旧ソ連スターリン主義の十年間の侵略戦争を撃退した歴史をもつ不屈の人民である。しかし、長期にわたる侵略との闘い、内戦の中で数百万人の人びとが住む家を失い難民化し、貧困と飢餓に直面している。
このアフガン人民の頭上に爆弾の雨を降らせ、虐殺する侵略戦争をどうして許すことができようか。自衛隊がそのための武器・弾薬を運び、米軍と共同作戦を展開することをどうして許すことができようか。
今こそ、闘うアフガン・中東人民、アジア人民と連帯して、帝国主義打倒をめざす国際的な反戦闘争を、帝国主義の足元から大きくつくり出していかなくてはならない。
第4章 労働者の団結を! 11月労働者集会へ
九月二十九日にワシントンやサンフランシスコ、ロサンゼルスなど全米で反戦デモが行われた。ワシントンでは一万人、サンフランシスコでは五千人が参加した。他方でニューヨーク州のバッファローで反戦の街頭演説をしていた市民運動家が「この非国民」と聴衆から激しいヤジを浴びた。在米のイスラム教徒やアラブ系住民に対する襲撃が続発し、愛国主義と排外主義が吹き荒れている。だが、こうした情勢の中で、何十万人という人びとが反戦デモに立ち上がり、その闘いは日に日に拡大している。九・一一をのりこえる闘いは、アメリカの労働者階級自身の米帝打倒をめざす闘争にかかっている。
また、アフガニスタン、パキスタンやインドネシアなどイスラム諸国で反米闘争が闘われている。
この国際的反戦闘争の先頭に日本の労働者人民が躍り出なければならない。この戦争が、侵略戦争であり、第三次世界大戦に日本の労働者人民を駆り立てるものである以上、この侵略戦争を命をかけても粉砕しなければならないのだ。
十・二一国際反戦デー闘争、十一月労働者集会を全世界の被抑圧民族人民、闘うアジア人民と連帯した大闘争としよう。
そして、米軍支援法制定阻止、自衛隊法改悪阻止を掲げ、今秋の臨時国会闘争に決起しよう。
在日米軍および自衛隊基地への侵略出兵阻止の基地闘争を全国で展開しよう。侵略戦争の最前線基地で闘う沖縄人民と連帯して決起しよう。
帝国主義的排外主義、愛国主義のイデオロギー攻撃と真っ向から対決し、戦闘的大衆行動の爆発をかちとろう。
さらに、目前に迫った十・一三―一四国労大会をめぐる決戦に総決起しよう。日帝の攻撃に屈服し、闘争団を売り渡し、国労解体に走る裏切り反動執行部を絶対に許すな。高嶋―寺内執行部を打倒し、闘争団を断固守りぬいて、闘う新執行部を樹立しよう。
国労大会決戦の勝利から十一月労働者集会の大結集へ進撃しよう。すさまじい資本攻勢・戦争動員の攻撃と対決し、全世界の労働者階級と被抑圧民族の団結と連帯のために闘おう。
歴史の岐路・選択がここにある。革共同の六回大会路線を今こそ全面的に実践し、反帝・反スターリン主義世界革命に向かって闘い進もう。
そのためにもレーニン主義で武装し、革命的情勢の成熟に対応した革命党の三大義務(革命的宣伝、革命的大衆行動の組織化、非合法・非公然の党建設)の全面的な推進へ闘おう。こうした情勢だからこそ、党建設の闘いはいよいよ死活的になっている。党勢倍増、機関紙倍増に取り組み、なんとしても実現しよう。
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週刊『前進』(2025号1面2)
“参戦国会”粉砕に立つ 反戦共同行動委 全国で出兵阻止の炎
開会日に闘う ●国会前
臨時国会が始まった九月二十七日、反戦共同行動委員会は国会闘争に立った。
目の前の国会の中で小泉が参戦をアジり、テロ非難決議を上げ、参戦法案をつくろうとしている。正真正銘の戦争に直面しているのだ!
猛烈な危機感を募らせる学生や労働者、都政を革新する会のけしば誠一代表ら三十人が開会前から議事堂前に駆け付け、終日座り込みをしながら、ビラを配ったり、マイクを握り全力の訴えを行った。
衆参両院では、小泉首相が所信表明演説を行った。小泉は「米国を強く支持する」と米帝の軍事報復=帝国主義侵略戦争を支持、「わが国は…主体的に、効果的な対策を講じる」などと参戦を主張した。
議事堂前では、けしば誠一さんが「類例のない長期で大規模な残虐な侵略戦争が行われようとしている。自国の参戦に反対し、被抑圧民族と連帯して国際反戦闘争に立とう」と呼びかけた。
全学連の学生は「国会闘争、基地闘争、あらゆる闘いに立ち上がろう。侵略戦争を絶対に阻止するという決意と立場が実際に戦争を止める」と訴えた。
午後、テロ非難決議が衆参両院で提案された。「米国政府を支持し…(日本政府も)可能な限り協力」という文案だ。これは日本政府の宣戦布告とも言うべき恐るべき決議だ。自由党は自衛隊派兵を明記するよう要求し、日本共産党は全会派が一致できるように若干手直しせよと哀願した。日共はテロ非難=侵略戦争に賛成なのだ。
国会には日帝の参戦に断固反対し、革命的大衆行動を宣伝する党はない。巨大な反戦デモが国会を包囲するような闘いが必要だ。
自民、公明、保守の与党三党に加え、民主党が賛成。決議が採択された。その瞬間、反戦共同行動委員会は衆院議員会館前につめより、激しく抗議のシュプレヒコール。「日本の参戦を許さない」「参戦法案粉砕!」。制服警官が排除しようと襲いかかってくる。しかし弾圧をはねのけ弾劾を貫徹した。
アフガニスタン人民数十万人を虐殺する侵略戦争が明日にも始まろうとしている。十月五日に参戦法案が国会提出され、航空自衛隊派兵が閣議決定された。国会闘争と基地闘争が決定的に重大だ。
繁華街をデモ ●仙台市内
みやぎ反戦共同行動委員会は九月二十四日、仙台市内でアフガン侵略戦争と日帝の参戦阻止の緊急集会・デモに立った。
「すべての元凶は帝国主義にある。日本の労働者階級が被抑圧民族と連帯する反戦闘争に立ち上がらなければならない」と全学連が基調提起。労働者は「自由や民主主義への攻撃と言うが、帝国主義に自由や民主主義などあるのか。報復という言葉は資本や帝国主義に抑圧されている人が使う言葉だ」と発言した。
繁華街のデモに出発。学生の戦闘的なスクラムは圧倒的な注目を集めた。緊急行動には、かつてない労働者・市民の参加があり、アフガン侵略戦争阻止の展望を示した。(写真上)
自衛官に訴え ●広島・呉
広島反戦共同行動委員会は九月三十日、海上自衛隊呉地方総監部に対し出兵阻止を掲げ抗議に決起した。
呉基地配備の強襲揚陸艦「おおすみ」は医療部隊や補給・輸送活動のために真っ先に出兵しようとしている。さらに護衛艦、補給艦など海自支援艦隊の中軸を担おうとしている。
総監部に中止を申し入れ「報復戦争とは人民大虐殺の侵略戦争だ。出兵を拒否せよ」「再び呉が侵略戦争の拠点となることを見過ごすことはできない」と強く抗議した。(写真下)
その後、街宣を行った。ある女性が駆け寄り「自分の夫は自衛官。絶対に戦場に行かせたくない。改憲にも反対」と署名した。ひとりの自衛官は、不安な心情を打ち明けながら、ビラを熱心に読んでいた。
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週刊『前進』(2025号2面1)
四党合意で国労を売り渡すチャレンジ・革同たたき出せ
国労大会へ非和解的激突を貫こう 大会議案(第2次草案)を粉砕せよ
十月十三、十四日に開催される国労第六八回定期全国大会は、〈国労の解体か再生か〉をかけた歴史的大会になる。国労中央は大会議案の「第二次草案」で、「四党合意」の破産を居直り、闘争団切り捨ての方針をむき出しにした。この議案を粉砕し、激しい分岐と激突の大会としなければならない。そして「四党合意」を破棄して闘争団切り捨てを打ち破り、高嶋―寺内執行部を打倒し、チャレンジ一派と反動革同を国労からたたき出し、闘う執行部を樹立しよう。これ以外に国労の階級的再生はないばかりか、国労そのものの存続の道はないのだ。まなじりを決して、非和解的・非妥協的な決戦を貫徹しよう。
労働者階級の団結をめぐる重大決戦
まず、今大会の歴史的・階級的位置を確認したい。
今大会は、昨年五・三〇「四党合意」以降の七・一臨大から今年一・二七続開大会までの四回の大会の決着をかけた大会であるだけでなく、二十年を超える国鉄分割・民営化反対闘争のすべて、国労五十五年のすべてがかかった大会だ。今日、九・一一反米ゲリラに対する米日欧帝国主義による「報復」という名のアフガニスタン・パキスタン侵略戦争への突入という情勢下で、そして、小泉の「聖域なき構造改革」が本格化する情勢下で、まさに〈戦争と大失業〉に全力で対決すべき日本労働者階級の生死をかけた決戦である。
この時、国労中央を牛耳るチャレンジ一派や反動革同一派ら一握りの裏切り者によって、国労が血の海に沈められることなど断じて許すわけにはいかない。国鉄労働者の汗と血でつづられた国労の伝統、誇りを踏みにじられてはならない。
朝鮮戦争下の一九五一年、総評は第二回大会において、前年の「北鮮(ママ)軍の侵略反対、国連軍支持」というアメリカ帝国主義の侵略戦争支持の立場から「平和四原則」に転換した。同年の国労第一〇回新潟大会では、「愛国労働運動」を掲げる中央本部の方針案に対して、「平和四原則」方針案が対置され、「平和四原則」派が圧倒的多数で勝利した。これで民同が分裂し、民同左派が国労の権力を握り、総評全体が「左転回」するという戦後日本労働運動における画期的事態となった。
今大会は、朝鮮戦争下の新潟大会をほうふつとさせる左右の分岐、大激突となることは不可避だ。それは、米日帝のアフガニスタン・中東侵略戦争下で、日本労働者階級が被抑圧民族人民と連帯して国際反戦闘争の一翼を担いうるか否かをかけた決戦でもある。
すでに、大会を前に激突が開始されている。国労闘争団共闘会議(準)主催の国鉄闘争勝利九・二五集会には、闘う闘争団とJR本体、首都の闘う労働組合の千人が結集し、主催者あいさつで「現執行部は歴史の舞台から速やかに退場すべきだ。四党合意を葬り去り、闘う方針を確立してほしい」と訴えられた。闘う闘争団が提起した基調でも「闘争再構築の方針」が提起された。
九月二十九日に国労中央が行った北海道闘争団オルグでは、「四党合意以外に解決はない」と居直る寺内書記長に対して、闘争団員が次々と「四党合意の破産を認めろ」「本部は二度と来るな」と激しい弾劾をたたきつけた。
こうした闘いを一点、国労大会に全力で集中し、歴史的勝利をもぎりとろうではないか。
議案は新井文書と同じ国労解体方針
「二〇〇一年度運動方針(案)第二次草案」は、国労中央があくまでも「四党合意」による「ゼロ回答」受諾―闘争団切り捨てを決定しようとしていることを露骨に示している。
もともと「第一次草案」は六月に出されたが、核心部分はすべて先送りするというデタラメな代物だった。大会日程も決定できずに、なんとか「解決案」なるものを出させようとあがきにあがいてきた。もはや万策尽きて、ようやく「第二次草案」を出してきたのだ。そのこと自体に「四党合意による解決」のペテン性が示されている。絶対に粉砕しなければならない。
「第二次草案」の犯罪性は第一に、一・二七以降の「四党合意に基づく解決」なるものの見るも無残な破産を徹底的に開き直り、「四党合意」をもって国労の解体と売り渡し、闘争団切り捨てに突き進もうとしていることである。
「参議院議員選挙等により現在まだ解決内容が示される状況には至っていないが、確実に解決に向かって進んでいる」などという誰も信じないデタラメで、「四党合意による解決」の破産を開き直っている。
また、五月十四日の「四党協議」で「『四党合意』による解決は、完全民営化法案が成立すればむずかしくなる。最高裁での判決が出されれば困難になる」「数字が出たらのめるか、のまないかであり、国労が判断すればよい。ただし一部が和解し、一部が裁判を継続するでは解決にならない」などが確認されたことをそのまま載せ、この「認識をふまえて、早期に解決をはかる」と言っている。
新井前中執の文書で言う「この問題の解決を図るためには、不満があろうとなかろうと、国労が四党合意に基づき示された解決内容を丸呑(の)みするしか方法がない」という立場を、国労中央がとったということだ。国労中央が一・二七以降言ってきた「解決水準を上げる交渉」なるものはあり得ず、ただ「のむか、のまないか」であり、国労中央は、これを丸のみすることを今大会で決定するということなのだ。
だが、そもそも「四党合意」は、一・二七大会で機動隊の国家暴力によって強行されたことに明らかなように、国家権力の国労解体の意志を突きつけたものだ。「四党合意による解決」とは、あらゆる意味で国労解体以外にない。国労中央は、自ら進んで国労を解体する意志を国家権力に表明したということだ。この「四党合意」を粉砕するか否かに、国労の再生か解体かの非和解的な対立があるのだ。
闘う闘争団の統制処分策す
第二に、「闘う闘争団」に対して、敵意と憎悪をむき出しにして、大会決定(運動方針案の可決)をもって事実上の「処分・整理」をしようとしていることだ。闘う闘争団を次のようにののしっている。
「決定された方針に従わない一部闘争団と闘争団員は、『闘う国労闘争団』という別組織を結成し、……すでに国労からはなれた別組織と言わざるをえない」「『闘う闘争団』の行動は国労方針と国労組織を無視した解決を妨害する行動であり、すみやかに解散し国労に団結する事を強く訴える」
いったい一・二七大会で機動隊を導入し、戒厳令下で「四党合意」を強行したことが、国労の団結破壊=組織破壊の極みでなくて何か。さらには、「ゼロ解決」を強制し、闘争団と家族の十五年間の生活と闘いのすべてを踏みにじり、抹殺しようとしているのはいったい誰なのだ。闘う闘争団は、これに対して国労の旗を守ろうと必死に闘っているのだ。これを「国労からはなれた別組織」と規定することは、闘う闘争団を排除し、自ら国労を解体しようということだ。
このような方針を認めることは、正義の死である。労働者の死である。
この草案をもって闘争団に襲いかかろうとしている本部執行部、チャレンジ、反動革同を絶対に許すことはできない。
JR職場の闘いも完全に投げ捨てる
第三に、今日の小泉「構造改革」のもとでの第二の分割・民営化攻撃、JR東の「ニューフロンティア21」を先頭とするJRの大合理化・リストラ攻撃に全面屈服していることだ。そして、JR本体の闘いをも完全に投げ捨てようとしているのだ。
草案は、「採用差別事件の……早期に解決をはかり、JRで働くすべての人達に責任がもてる労働運動が出来うる組織に一日も早く築きあげる」と言う。
採用差別事件を片づければ、JR職場の闘いができるかのように言っているが、冗談ではない。解雇撤回の原則を投げ捨てて、どうして職場の闘いができるというのか。゛闘争団問題ばかりやって職場の闘いができない゜などと公言してはばからないチャレンジこそ、率先して職場の闘いを裏切っているのだ。
草案では、「『設備部門のメンテナンス再構築』では……不十分さを残しつつ、妥結せざるを得なかった」と、メンテナンス合理化の妥結を完全に居直っている。安全の根幹をなすメンテナンス部門の外注化、そして国労組合員の多数を出向に出す外注化攻撃を認めて、どうやってJR職場に責任をもつというのだ。採用差別問題があるから妥結せざるを得なかったとでも言うのか。
ここでの核心は、「JRで働く人達に責任がもてる組織」とは実は国労の単一体を解体し、会社ごとのバラバラの組織にし、JR各資本との「労使関係の正常化」の名のもとに「JRの健全経営」に協力する労資協調組合に転換するということにある。それは、新井の言う「JRの経営形体に応じた新たな組織体制」ということなのだ。
しかも草案は、「全ての事件については労使関係の改善を図ることを最大の目的とし、積極的に和解を求め解決をはかる」と言う。配属差別やJR発足後の不当労働行為との闘いを、「労使関係の改善」を口実に放棄するということだ。
紛れもなくJR連合合流路線であり、JR東においては「第四次労使共同宣言」体制とJR総連・東労組カクマルに全面屈服する道にほかならない。
以上の大会議案の反動性は、まさに〈国労の解体か再生か〉をかけた非和解的・絶対的対決性を浮き彫りにするものである。この議案を全面的に粉砕することこそ、国労組合員に課せられた今大会の最大の任務である。そして国労大会決戦の勝利が、今日の米帝による侵略戦争と日帝・小泉の参戦、小泉「聖域なき構造改革」を打ち砕く、日本労働者の階級的団結をつくり出すのである。
十・一三―一四、東京・社会文化会館に国労組合員と支援の労働者は大結集し、機動隊導入をはね返し、国労の再生へ総力を挙げて闘うことを訴える。
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週刊『前進』(2025号2面2)
動労千葉30回大会 団結固め大失業・戦争に立ち向かう
新世代の田中体制を確立 JR総連解体・組織拡大へ挑戦
中野委員長は常任顧問に
九月三十日、十月一日の両日、国鉄千葉動力車労働組合第三〇回定期大会が千葉市のDC会館で開催された。田中康宏書記長が新委員長に就任したのを始め、中村栄一新書記長ら新しい世代が新執行部に選出された。今日の動労千葉をつくり上げた゛第一世代゜の中野洋委員長、布施宇一副委員長が勇退。中野委員長は常任顧問に就任し、布施副委員長は特別執行委員として、後進の指導にあたる。
中野委員長は、冒頭のあいさつで勇退を表明し、「私は人生のすべてを労働運動に費やし、皆さんのようないい仲間に出会えて本当に幸せだ。今後も新しい執行部をバックアップしたい」とあいさつした。
田中新委員長は、就任のあいさつで「嵐(あらし)の中の船出だが、荒波をのりこえて前進する」と、最先頭で闘う決意を明らかにした。(要旨別掲)
ここに「全組合員の力を結集して『大失業と戦争の時代』にたち向かい、二十一世紀に通用する新世代の動労千葉を創(つく)りあげよう」という大会のメインスローガンの実現に向けた田中新体制が確立した。
大会は、君塚正治副委員長が「資本主義体制と真正面から対決する以外に生きる道はない。飛躍をかけた大会にしたい」と宣言して始まった。
中野委員長は冒頭のあいさつの中で、情勢について特に次のように述べた。
「世界恐慌前夜情勢下でアメリカにブッシュ政権が登場し、日本では小泉政権が『聖域なき構造改革』を掲げて登場した。その中で九・一一反米ゲリラ事件が起こった。ブッシュはアフガンや中東への全面戦争に乗り出し、小泉政権は参戦に踏み切ろうとしている。断じて許してはならない。事態の根本原因はアメリカ帝国主義にある。もとより、あのゲリラ行為で帝国主義が打倒されるとは考えていない。労働者階級が団結して民族解放闘争と結合した時に打倒する展望が開ける。アメリカの労働者階級を敵に回すやり方は間違っている。しかし大事なことは、それを理由に世界戦争にも行きかねない戦争が準備されていることに警鐘を乱打し、国際的な反戦闘争に立ち上がることだ」
そして、「大失業と戦争の時代には、今までの経済成長のもとでの労働組合のあり方では通用しないことを確認してきたが、まさに労働組合のあり方が問われている」と訴えた。
田中書記長が提案した運動方針案のポイントは次のとおりだ。
@「四党合意」による国鉄闘争解体攻撃をはね返し、千四十七人の解雇撤回・原職復帰をかちとる。国労大会を見据え、職場の闘いと千四十七人の闘いを結合して闘う。
A保守三部門の全面外注化攻撃との闘いを軸として「ニューフロンティア21」=第二の分割・民営化攻撃に対し組織を挙げて立ち向かう。
B大幅賃上げ獲得―貨物の超低額回答打破に向け、〇二年春闘に立ち上がる。
C恒常的ストライキ体制を強化し、「第四次労使共同宣言」体制と対決して、強制配転者の原職復帰、不当労働行為根絶、JR総連解体に立ち上がる。
D小泉超反動政権打倒、有事立法制定―憲法改悪阻止に向けて、労働運動の新しい潮流の本格的発展と反戦・政治闘争に立ち上がる。十一・一一労働者集会の五千人結集をめざす。
E新世代の動労千葉の執行体制を確立し、新体制のもと、組織強化・拡大の闘いに全力で挑戦する。
討論では、「おかしいことはおかしいと言える職場を組合の垣根を越えてつくり、組織を拡大する」「動力車の精神を継承し、原理・原則を変えずに、平成採の受け皿となる組織をつくろう」など、JR総連解体・組織拡大に向けた意欲あふれる発言が続いた。
また、検修・構内業務の外注化や十二月ダイヤ改定に伴う合理化、「ニューチャレンジ21」と言われる貨物の大合理化―基地統廃合などに対する闘いの強化を求める発言が相次いだ。
反合・運転保安の原則を貫く
中野委員長は最後の総括答弁で、「動労の原理・原則は反合・運転保安確立の闘いだ」と強調し、「動労は六〇年代初めに『闘いなくして安全なし』のスローガンを確立した。千葉地本は七二年船橋事故で『運転士に責任転嫁するのは許せない』と、東京地本カクマルの敵対を打ち破って勝利し、運転保安闘争をさらにレベルアップさせ、全国一の労働条件を獲得した。それが分割・民営化で一瞬にして奪われた。今度のメンテナンス合理化は、列車の安全をつかさどる部門を外注化し、安全を脅かすものだから問答無用に反対だ。だから闘う以外にない。こういう原理・原則でオルグし、組織を拡大してほしい」と訴えた。
また、「動労千葉は日本労働運動がやれなかったことにチャレンジし、団結を維持した。そういう組合が組織を拡大するという歴史にない闘いに挑戦しよう」と檄を飛ばした。
新役員選出後、満場の大拍手の中で新旧役員があいさつした。退任する布施副委員長が「第二の分割・民営化に対して闘う方針が確立されたと総括できる」と述べ、繁沢敬一副委員長が「歴史的大会となった」と閉会を宣言した。
大会には多くの来賓、支援が駆けつけた。三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長が「成田空港を絶対に軍事使用させない。十・七全国集会に結集を」と訴えたのを始め、葉山岳夫弁護士、社民党千葉県連、新社会党千葉県本部、都政を革新する会の結柴誠一前区議、動労水戸の辻川慎一副委員長、OB会、家族会、中江昌夫船橋市議、水野正美勝浦市議が、中野委員長らの勇退を惜しみつつ、新体制への期待を表明した。
一日目の議事終了後、千葉市内で、被解雇者で定年となる五人の組合員を励ます会が盛大に催され、団結の力を強く印象づけた。
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週刊『前進』(2025号2面3)
荒波のりこえ進む 田中康宏新委員長の決意
責任の重さを痛感している。中野委員長、布施副委員長という卓越した指導力を持つ大先輩の次に委員長を引き受ける責任の重さであり、これから動労千葉は嵐の中に船出する、そのかじ取りをする責任の重さだ。しかし動労千葉は、どんなに厳しくても「俺は労働者だ。俺は動労千葉だ」と堂々と言える団結をつくり上げた。未来は必ず開けると確信している。この団結は結成以来二十年以上の時の積み上げ、組合員一人ひとりの思い、怒りの積み上げによってつくられた。それを大事にするという原点に返って出発したい。
二十一世紀は、動労千葉も今までどおりでは存在できない。積み上げたものを守りぬいた上で大きく脱皮する時代だ。新しい世代の執行部がつくられたのは、大きなチャンスだ。この執行体制をひとつのチームとして、組合員の負託にこたえられるようにつくり上げたい。私自身が飛躍してその先頭に立つ。その上で、組合員全員が切磋琢磨(せっさたくま)し合ってつくりたい。そうすれば荒波をのりこえて前進することができる。ぜひ組合員の皆さんのご協力をお願いする。
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週刊『前進』(2025号2面4)
人権司法の解体許さぬ 「司法改革」反対の集い 弁護士、労働者ら訴え
九月二十日午後六時から東京・霞が関の弁護士会館・クレオで「司法改革に反対する弁護士・学者・労働者・民衆の集い」が開かれた。五百五十人の弁護士や労働者、市民が参加し、私も「司法改革」の危険性について認識を新たにした。
この集会は、日弁連の中で「司法改革」に反対してきた「憲法と人権の日弁連をめざす会」が主催。゛まやかし「司法改革」−許すな改憲の道−゜をスローガンに、弁護士だけでなく広範な学者、労働者、市民に呼びかけた「司法改革」に反撃する本格的な第一歩の集会である。
主催者を代表して、めざす会の高山俊吉弁護士が集会の意義を提起した。
「世界大戦、世界恐慌という言葉がかつてない現実性をもって語られる時代」に、九・一一事件を口実として「小泉が自衛隊派兵に走っている。小泉は、構造改革攻撃の中で『社会インフラとして司法改革は大切』『着実に推進』『基本法を抜本的に見直す』と明言し、行革など一連の改革攻撃の最後のかなめと位置づけている」と、「司法改革」が侵略と戦争国家化への大攻撃だと指摘した。
さらに、「司法改革は、基本的人権を破壊し、人民に滅私奉公を要求する攻撃」であり、「刑事人権司法の解体、重罰化、治安強化、労働法制の根底的解体、民事司法の弱者切り捨て、闘わない弁護士をつくる」ことをとおして「改憲への下地づくり」を狙うものと警鐘を乱打した。そして、「弁護士、労働者らの普遍的課題」として「弁護士、学者、労働者、民衆が熱烈な団結と連帯で司法改革攻撃を打ち破ろう」と声を強めて呼びかけた。参加者は熱い拍手でこたえた。
提起を受け、各発言者が「司法改革」を弾劾した。
小田中聡樹東北大名誉教授は、「戦後憲法下の人権を守るための司法」が戦後解体されていく過程をたどり、「現在の司法改革はそうした司法反動を完成させ、戦後司法の最後的解体をめざすもの」と断じた。
佐藤昭夫早大名誉教授は、労働者の団結権の決定的重要性を強調し、「人権とくに労働者の権利がまったくない」「国鉄分割・民営化攻撃=国労つぶしの攻撃をそのまま引き継ぐ司法改革」粉砕を呼びかけた。国労闘争団の労働者が、国労の四党合意受け入れを弾劾し、JRの法的責任を追及し闘う決意を表明した。
エッセイストの朴慶南(パクキョンナム)さんは九・一一事件による排外主義拡大に大きな危機感を表明し、「在日慰安婦裁判」を闘う宋神道(ソンシンド)さんが怒りと悔しさを訴えた陳述書を読み上げ、「他民族を踏みつける日本政府は日本の民衆に対しても抑圧者」と日本の労働者人民に連帯を熱く呼びかけた。
迎賓館・横田爆取裁判弁護団は、「同裁判の長期化は証拠もなしに裁判を続ける検察の暴挙によるもの」と指摘し、十五年もの超長期勾留を弾劾した。
土屋公献元日弁連会長は、「司法改革」の狙いを「闘う弁護士の弾圧」「弁護士自治の解体」「弁護士を報国運動に動員していくもの」と暴露した。
安田好弘弁護士は、自らがデッチあげ逮捕された経験から、司法改革審議会の最終意見書が逮捕・勾留による人権侵害になんら触れていないと批判した。
「恐るべき裁判員制度」と題する寸劇も弁護士によって演じられた。争議中に事件をデッチあげられた労組指導者が、ロースクール導入による費用高騰で弁護士を奪われ、短期集中公判のための事前準備手続きで無実を訴える機会を奪われ、職業裁判官による裁判員の統制で有罪証明もなしに死刑判決を受けるまでが熱演され、笑いの中で裁判員制度の危険性を強烈に印象づけた。闘う決意を高らかに表明した集会宣言が拍手で確認された。
「司法改革」攻撃が、戦争のために国家と司法のあり方を全面的、根底的に変えるすさまじい攻撃であることが鮮明に示され、絶対粉砕の決意がふつふつと沸き上がってきた集会だった。
(投稿 H・Y)
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週刊『前進』(2025号2面5)
訂正
2023号3面の三一闘争の記事で九九年十一月十四日、二〇〇〇年一月十四日とあるのは、それぞれ九八年十一月十四日、九九年一月十四日の誤りでした。
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週刊『前進』(2025号3面1)
日帝・自衛隊の侵略出兵を阻止せよ
米軍支援法、自衛隊法改悪は第三次世界大戦への道だ!
10・21国際反戦闘争に総決起を
日帝のアフガニスタン・中東侵略戦争参戦を絶対に許すな。これは「軍事報復」「テロ根絶」を名目とした残虐な帝国主義的侵略戦争である。日帝・小泉は「テロ対策特別措置法」(米軍支援法)案、自衛隊法改悪案の成立をもって、アフガニスタン・パキスタン侵略戦争に全面的に参戦しようとしている。これら戦争法案を絶対に阻止しよう。
米帝ブッシュは九月二十日の議会演説で「必要なすべての武器を用い」「これまで経験したことのない長い作戦」を行うと核兵器使用を含めた総力戦を宣言し、アフガニスタンを始めとした中央アジアを制圧するための民族抹殺戦争に踏み切った。
米帝は、この戦争でタリバン政権を転覆=親米政権を樹立し、他帝国主義、ロシアとの争闘戦にうちかって、中東支配の再編と石油支配、中央アジアにおけるパイプライン敷設の独占を狙っているのだ。
この戦争は、民族解放闘争の爆発と帝国主義間争闘戦の激化をもたらし、ロシア・中国などをも巻き込んだ中東・アジア全域に広がる泥沼の侵略戦争に拡大していかざるをえない。これは第三次世界大戦の扉を押し開くものだ。
日帝・小泉政権は、米帝が激しい対日争闘戦の質をもって対米支援要求を突きつけたことに対して、「湾岸戦争の二の舞いをくり返すな」「戦場に日の丸を立てろ」と、この不正義の侵略戦争に参戦し、ここで戦争国家への大転換を成し遂げようとしている。すでに日帝は、在日米軍基地、日本を米軍の出撃基地として提供し、米艦隊の護衛を行うなど超法規的に集団的自衛権行使へと踏み出した。
他国で戦闘に突入
米軍支援法案は、周辺事態法をもはるかに飛び越えて、他国領土(パキスタン)に自衛隊を派兵し、他民族虐殺の侵略戦争に踏み込むものである。これは敗戦帝国主義日帝が戦後史を根底的にくつがえして侵略戦争に突進するものであり、憲法第九条破棄の大攻撃である。
@同法案は自衛隊の活動地域を日本領域、公海だけでなく、「当該外国の同意」を条件にして他国領域にまで広げた。また武器・弾薬についても輸送、補給ができるとした。
同法案が成立すれば、難民支援、医療支援、米兵らの捜索・救助、物資の輸送や補給などを理由に、アフガニスタン侵略戦争の最前線基地となるパキスタンに自衛隊が武装してのり込むことになる。また、かいらい政権をデッチあげて、アフガニスタンにも行くということだ。
すでにパキスタンでは各地で反米デモが吹き荒れており、九月二十一日にはパキスタン最大の都市カラチで警察部隊の発砲により、デモ隊四人が射殺され、百人以上が逮捕されている。アフガニスタン侵略戦争が始まれば、武装闘争や内戦が起こるのは不可避だ。
Aそのため同法案は武器使用基準を大幅に拡大し、本人と他の自衛隊員の防護のためだけではなく、「職務上自己の管理下に入ったものの生命・身体の防護」のためにも武器使用できるとしている。自衛隊は、米軍の友軍=侵略の軍隊としてパキスタンに乗り込み、「自衛隊員や武器の防護のため」「難民や米軍などの傷病兵の防護のため」と、民族解放闘争に立ち上がったパキスタン人民、アフガニスタン人民を虐殺しようとしているのだ。
九月二十四日、小泉は「自衛隊は危険なところに出してはいけないということでは話にならない。危険が伴っても、自衛隊に貢献してもらう」と公言した。小泉は自衛隊員に「国のために死ね」「アフガン人民、パキスタン人民を殺せ」と言っているのだ。
B米軍支援法が定義する「戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで活動が実施される期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる」地域というのは大ウソだ。野戦病院や難民キャンプは戦場付近、国境付近に設置されるのであり、自衛隊はいつでも戦闘地域となりうる場所で活動するのだ。そもそも米兵に医療を施し、戦闘要員として回復させることは戦闘行動の一環である。野戦病院は後方支援組織ではない。PKO協力法案の制定をめぐる議論でも「武力行使との一体化」の恐れがあるとの内閣法制局見解が示されたものだ。
Cまた日帝は護衛艦、補給艦、P3C哨戒機などを派兵し、インド洋で米軍支援の「海上自衛隊艦隊」を編成しようとしている。この海自支援艦隊は米軍の武器・弾薬などの輸送や給油、修理・整備、通信などを行い、アフガニスタン人民への爆撃、大虐殺に手を貸そうとしている。航空自衛隊のC130H輸送機はディエゴガルシア島を拠点にパキスタンの内陸基地まで物資を輸送するという。
Dまた同法案では自衛隊の作戦展開は、内閣総理大臣を始めとした参謀本部が基本計画を決定=実行し、国会の承認を必要とせず、事後報告でよいとしている。統合幕僚会議が海外で初めて自衛隊三軍を統合運用する。
これは日帝の本格的な参戦であり、日帝・軍部の戦争突撃への絶えざるエスカレーションの始まりだ。「二年の時限立法」というのは、侵略戦争が続いていれば延長するというごまかしだ。
無制限の武器使用
これと同時に自衛隊が在日米軍施設の警護を行う自衛隊法改悪が行われようとしている。治安出動時の自衛隊の武器使用はこれまで警察官職務執行法を準用するとしてきた。同法は、自衛隊員が治安出動や警護出動などを行う際に「合理的に必要と判断される限度で」いくらでも武器使用を拡大できるようにした。自衛隊の秘密保持のための罰則も強化している。
またこれと一体で、陸上自衛隊に数百人規模の特殊部隊を創設、さらに「テロ制圧能力の一層の向上」のためと称して、警察機動隊にも千丁の自動小銃が配備されるという。まさに戦時体制への大転換が始まっているのだ。
すでにアフガニスタンでは国連の食糧支援がストップし、約百万人の国内避難民が餓死の危険にさらされている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の羽生勇作副所長は「米軍が攻撃を始めれば、最大で七百万人が飢餓に瀕する恐れがある」と警告している。もうこれ以上、帝国主義の侵略と虐殺を許すわけにはいかない。
まさに自国帝国主義の民族抑圧と侵略戦争に対していかなる態度をとるのか、が日本人民に問われているのだ。「この二十年間に約二百万人のアフガニスタン人民が殺された。テロ事件まで、世界は見向きもしなかった」(アフガン人医師)という怒りを受け止めよう。一人のアフガニスタン人民も殺させるな。
全学連を先頭に国会闘争に立ち、米軍支援法案、自衛隊法改悪案の成立を阻止しよう。米軍・自衛隊の出撃阻止の現地実力闘争を闘い、国際反戦闘争の爆発をかちとろう。十・二一闘争に総決起しよう。
■2法案の骨子
【テロ対策特別措置法案】
一、二年間の時限立法。継続が必要な場合は二年延長
一、活動地域は日本領域、公海、外国領域(当該外国の同意が必要)で、現に戦闘が行われておらず、行われることがないと認められる地域
一、実施内容は協力支援活動―米軍等に対する物品及び役務の提供(補給、輸送、修理・整備、医療、通信など)、捜索救難活動、被災民救援活動
一、基本計画の決定・変更時にはその内容、終了時には結果について国会に報告
一、武器使用は、自己と隊員、職務上管理下に入った者の、生命・身体の防護のためやむをえない必要がある場合
【自衛隊法改悪案】
一、首相は、米軍施設警護のために自衛隊に警護出動を命じる
一、警護出動時、治安出動時、武装工作員鎮圧のため、自衛隊員は合理的に必要と判断される限度で武器使用が可能
一、自衛隊員の秘密保持のため罰則を強化
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週刊『前進』(2025号3面2)
被青同は虐殺許さない 被爆者の怒りで米日帝のアフガン侵略戦争阻止を
全国被爆者青年同盟委員長 友野 幽
全世界のプロレタリアート人民へ、被爆者、被爆二世、三世より訴える。
九・一一反米ゲリラを口実とするアメリカ帝国主義主導の全面的な中東・アフガニスタン侵略戦争がついに始まった。「報復」という名の帝国主義による侵略戦争を断じて許すな!
帝国主義国の労働者階級人民よ! ヒロシマ・ナガサキの原爆地獄は、日本帝国主義のアジア侵略戦争に日本の労働者階級人民が加担した帰結としてあったのだ。ヒロシマ・ナガサキを決してくり返してはならない。今こそ、被抑圧民族人民との国際主義的連帯にかけ、帝国主義国プロレタリアートの真の階級的利害にかけて米日帝国主義の軍事報復=アフガニスタン侵略戦争反対に立ち上がろう!
二〇〇一年九月十一日、満身核兵器で武装された世界最強を誇るアメリカ帝国主義の中枢中の中枢で、反米ゲリラが炸裂(さくれつ)。世界貿易センター南北ビルは崩れさり、軍事的牙城(がじょう)ペンタゴンが壊滅的打撃を受けた。われわれ被爆二世は、まずもって、この決死のゲリラに決起した彼らが訴えるものを、しっかりと受けとめたいと思う。
九一年湾岸戦争、九九年ユーゴスラビア侵略戦争で大量の劣化ウラン弾を撃ち込み、今なおイラクの子どもたちに放射線障害の犠牲を強いた者は、いったい誰か。四八年イスラエル建国デッチあげ以来、中東支配、石油支配の独占を狙ってパレスチナ人民から土地を奪い、屈辱的な難民キャンプ生活を強い、迫害と殺戮(さつりく)の日々を強制してきた張本人は誰か。米帝ではないか!
パレスチナ難民の子どもたちがヒロシマを知っていたと聞いて、私は大変衝撃を受けた。その子どもらの頭上に米帝はイスラエルを先兵にミサイルを撃ち込み、戦車砲とブルドーザーで民家の破壊に及んでいるのだ。断じて許せない!
米帝ブッシュは、「反テロリズム」を゛踏み絵″に中東・パレスチナ人民の民族解放の武装闘争を圧殺し、世界の米帝的再編のためにアフガニスタン人民を゛生け贄(にえ)″にしようとしているのだ。全世界を戦争の火の海にたたきこもうとしているのである。
万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ! 中国やロシアなど、残存スターリン主義、崩壊スターリン主義の帝国主義への屈服、裏切りを許さず、国際帝国主義強盗どもの世界再分割争奪戦、帝国主義侵略戦争、帝国主義間戦争、世界核戦争―第三次世界大戦の危機をなんとしても阻もう!
九・一一ゲリラはそのことを訴えているのだ。
許せないのは日帝・小泉首相である。米帝ブッシュの帝国主義間争闘戦−侵略戦争に弾き飛ばされまいと、アフガニスタン報復=侵略戦争参戦をファッショ的に決断。九月十九日、軍事報復支援に自衛隊派遣など対応七項目の措置を発表した。すでに在日米軍基地からアフガニスタンに向け、戦闘爆撃機、空母キティーホークが出撃している。広島の秋月弾薬廠(しょう)から岩国米軍基地へアフガニスタン人民虐殺のための弾薬が運び込まれている。あらゆる手段を尽くしてこれを阻もう!
小泉首相の言う「憲法の枠内、武力行使と一体化しない」などペテン極まりない。日帝・小泉は、米帝の九・一一「報復」戦争を奇貨として、「新法」をもって侵略戦争に本格的に踏み出し、一気に集団的自衛権行使=対外侵略武力行使、有事立法、改憲へと突き進もうとしている。断じて許してはならない。これを許せば、揚げ句の果てにヒロシマ・ナガサキがある。劣化ウラン弾や地下壕破壊型核兵器B61−11が使われることは必至なのだ。われわれはこれを決して看過する訳にはいかない。
考えても見よ! 米帝は原爆投下を謝罪したか?
核と帝国主義によって、半世紀経た今もなお被爆者は殺され続け、私たち被爆者の子供たちにまで原爆の爪は襲いかかっている。帝国主義への被爆者、被爆二世の怒りは、深まりこそすれおさまることはない。
アメリカでは「報復」戦争反対の数千人のデモが世界貿易センターのあったニューヨークで闘われ、ベルリンでは「ドレスデン、ハンブルク、ヒロシマ、ベトナムにテロを加えてきたのは誰だ!」との横断幕が掲げられた。パキスタンのカラチでは銃撃で死者を出しながらの反米デモが闘われている。
今こそたたかうアフガニスタン人民、パレスチナ人民、アラブ諸国人民と連帯し、性根をすえ、「米帝の軍事報復=アフガニスタン侵略戦争粉砕! 日帝の侵略戦争参戦阻止!」に決起する時だ。直ちに、反戦行動に立ち上がろう。十・二一国際反戦デーに午後二時、原爆ドーム前から戦闘的デモに決起しようではないか!
わが全国被爆者青年同盟は反戦被爆者の会と共に、被抑圧民族人民との連帯にかけ、命にかけてその先頭に立つ。共に闘わん!
二〇〇一年九月二十五日
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週刊『前進』(2025号3面3)
小泉改革と闘う新潮流を 11月労働者集会の成功のために(5)
民間のリストラ攻撃 小泉構造改革の中心軸 連合の全面屈服が首切り加速
問われる労働運動の原点
九・一一反米ゲリラ戦争のさく裂。この被抑圧民族人民の積もりに積もったやむにやまれぬ怒りの爆発は全世界に衝撃を与えた。アメリカ帝国主義はその心臓部を射抜かれてぐらぐらになっている。アメリカ帝国主義を先頭に米日欧帝国主義は「報復」を掲げてアフガニスタン・パキスタン人民への一大侵略戦争・虐殺戦争に今日明日にも突入しようとしている。
労働者階級は、日帝が侵略戦争に突入しようとしている今こそ、権力・資本による労組解体・団結破壊と対決してかけがえのない闘う団結を維持し、膨大な未組織労働者の中に団結をつくり出す闘いを実現しなければならない。それを基礎に、レーニンとロシアの労働者階級人民が第一次世界大戦に対置した闘いの再現が今求められている。その闘いとは、戦争のもたらす一切の不正義と悲惨さ、労働者階級への犠牲の押しつけに対して「パンと平和」を掲げて街頭と職場で闘い、ついには戦争の根源である帝国主義・資本主義ロシアを打倒するプロレタリア革命に勝利し、世界革命の呼びかけを発したあのロシア革命の闘いだ。
連合の戦争協力路線を粉砕し、連合支配を打ち破って労働者階級の下からの総反撃を組織する上で決定的に重要な、民間におけるリストラ・首切り攻撃の実態と、それへの反撃の方向性を電機と民間中小を中心に検討したい。
恐慌情勢下で数百万人失業
今春のNTTの十一万人合理化攻撃発表を突破口に、資本攻勢は昨年までとは一変した。七月下旬に四−六月の第一・四半期の決算を発表した電機資本は、NECを除き赤字に転落、四−九月の中間期業績見通しも赤字転落に下方修正するところが相次いでいる。経営危機を背景に、電機資本は七、八月次々とリストラ策を発表(別表参照)。数字を見ただけで胸が痛み怒りがこみ上げてくる。これらは小泉の構造改革路線の実行そのものだ。
しかも九・一一情勢で「下期以降の甘い経営見通しは完全にうち砕かれ」、富士通やNECでは主力工場が生産休止に追い込まれるまでになっている。七月に史上初めて五%を突破した完全失業率は八月も回復せず、さらに小泉による不良債権処理の本格化が重なれば日帝経済は文字どおり奈落の底に落ちていく。
電機資本はこの間、アメリカのITバブルに浮かれて次々と設備投資を行ってきたが、まさに設備が完成しようという時期に米帝のITバブル崩壊が直撃し、ITもだめ、「携帯」もだめ、という中でお先真っ暗の状態だ。
その内容を見てみると、「コンピューター・通信機器部門の国内外の工場を統廃合」(富士通)、「三カ所の半導体組み立て工場を一つに統合、電子部品事業を分社化」(NEC)、「半導体メモリー事業の分離、他社との統合」(東芝)など、不採算部門とされる分野を工場丸ごと廃棄や分社化し、統合再編することで過剰生産力を一気に暴力的に処理しようとしている。
それは、労働者階級にとっては、一方で「余剰」とされた二割もの労働者(約十万人)が街頭に放り出され、他方で残った労働者も新会社へ転籍させられ、NTTや松下電器のように地域別賃金制度で賃金が二割から三割も切り下げられ、労働条件も大幅に悪化することを意味している。
中小の労働現場ではさらに激しいリストラの嵐(あらし)が吹き荒れている。その一端が組合員の減少という形で現れている。民間中小を組織している連合傘下の全国一般では「一年に一地方本部分(約二千人)の組合員を喪失している現状」がある。また、金属・機械・電機の中小を組織しているJAMは結成二年目にして七%も組合員を減少させている。これらの多くはリストラによるものだ。
今後、日帝・小泉が不良債権処理に本格的に手をつければ、直ちに中小零細企業とゼネコンなどの倒産ラッシュを引き起こすことになる。今後中小の闘いはますます非妥協的にならざるを得ない。
電機連合鈴木発言を許すな
では、このような労働者階級にとって過酷とも言えるリストラ・首切り攻撃を電機連合委員長・鈴木が言うように労働者も「自ら反省し」受け入れなければならないのか。断じて否だ。
鈴木は自動車総連の大会の来賓あいさつで「例えば半導体の製造設備は、フル生産すると世界需要を上回るほどある。結果として、企業内のミクロの労使関係では正しくても、産業全体のマクロでは問題となることがわかっていて、各組合はなぜ止められなかったのか。結果的にかなりの数の人員削減をつきつけられることになる。自ら反省しないといけない」と述べた。
帝国主義の過剰資本・過剰生産力の矛盾の爆発を押しとどめることができなかったことは労組の責任であり、労働者階級は反省しなければいけないと言っているのだ。
なんということか。マクロでは世界大恐慌をもたらし、戦争によってしか解決できないほどの膨大な過剰資本・過剰生産力を、ミクロの個別資本があくなき私的利益を追求することで積み上げ、結果として戦争に至るのが資本主義・帝国主義ではないのか。
歴史を振り返って見よ。第一次世界大戦、第二次世界大戦と、何度資本主義はこの誤りを繰り返してきたことか。この資本主義・帝国主義の根本的な矛盾である過剰資本・過剰生産力の矛盾の爆発に対して、労働者階級が「反省し」、自らおめおめと首を切られたら問題は解決するのか。けっしてそうではない。
現在の電機不況を最先端にする大恐慌情勢進展の背景には日米帝国主義間のすさまじい死闘=争闘戦がある。労働者が首を切られて資本の整理=強化に「貢献」したとしても、新たなより「強くなった」個別資本間と帝国主義間のよりすさまじい争闘戦の爆発が待っているだけだ。それは、結局は世界戦争に行き着くしかない帝国主義の「死の病」なのだ。レーニンが言ったように帝国主義こそ死滅しつつある資本主義だ。全世界の労働者階級と被抑圧民族の団結した力で打倒し、葬り去る以外に問題の根本的解決はないのだ。
仲間へのリストラ・首切り攻撃を許すような労働運動は、被抑圧民族の虐殺をも容認し、率先してその加担者になり、やがては自らも戦争の犠牲者となってしまう。「一人の首切りも許すな」という労働運動の原点が「戦時下の労働運動」への突入とも言える現在、死活的に問われている。
十月四、五日に開かれる連合第七回定期大会は日帝の侵略戦争開始に対して協力を誓う歴史的な大会になろうとしている。そのキーワードこそ「参加」である。資本や国家の危機に際しては「抗議」や「要求」をしてはいけない、むしろ「参加」してともに危機を突破しようというのだ。これこそ腐りきった戦前の「欲しがりません勝つまでは」の産業報国会の思想そのものだ。その行き着く先がアジア人民の大虐殺であり、ヒロシマ・ナガサキ、沖縄戦であったことをあらためて思い起こそう。
日帝・資本の雇用政策の転換
この夏以降の電機を先頭にした一大資本攻勢は、追い詰められた個別電機資本の攻撃ではけっしてない。それは、日帝国家権力と総資本の労働者階級への画歴史的攻撃の決断を背景にしたものである。
日帝は九九年二月に発表した経済戦略会議の最終答申で九〇年代の日帝の対米争闘戦における敗勢的現実からの巻き返しをかけて労働者支配の一大転換を打ち出した。
それは、「摩擦なき労働力の移動」をスローガンに「時代遅れになった」企業や不採算部門は分社化などしてどしどしつぶす、そこで働く労働者はエンプロイアビリティ(雇用される能力)がないのだから無慈悲に首を切るというのだ。
経済戦略会議の参加メンバーでもあった竹中が主導する経済財政諮問会議の「骨太の方針」や産業構造改革雇用対策本部での終身雇用制解体策動、総合規制改革会議の労働分野の提言など、小泉構造改革の中軸をなす各提言はみなこの「摩擦なき労働力の移動」というスローガンを掲げ、労働者への一大攻勢をたくらんでいる。
五月十七日、小泉内閣の発足を受けて開かれた日経連総会で奥田は、今年の三月以降の恐慌情勢の一挙的展開を前に「(不良債権の処理のためには)大量の失業の発生も、致し方のないこと」とむき出しの大リストラ攻撃を宣言した。
このように現在電機で始まっている一大資本攻勢は、日帝が生き残りをかけて繰り広げている小泉反革命攻撃の中心軸である。労働者階級に展望を与えることができず、ただただ犠牲転嫁によってしか生き延びることのできない資本主義の危機の中に、革命の現実性を見ることができる。
団結こそ労働者の勝利の力
あらためて言おう。資本の危機・国家の危機は労働者の責任ではない。労働者に犠牲を転嫁しないと生き延びられないのなら、そのような支配階級は打倒されるべきなのだ。
われわれ労働者階級こそが、実際の生産を担っている。資本家などいなくても十分やっていけるのだ。九・一一反米ゲリラ戦争が突き付ける被抑圧民族の怒りと真正面から向き合い、日帝の侵略戦争を許さない闘いを職場から開始しよう。団結を守り、団結をつくり出してリストラ・首切りを許さない闘いの中に革命のヒドラが宿っている。労働者への犠牲転嫁を許さず、闘う団結を維持・回復する闘いこそ「革命的祖国敗北主義」の闘いそのものだ。このことに確信を持って国労闘争団、動労千葉を先頭とする国鉄闘争を基軸に闘う労働運動の新しい潮流をつくり出そう。十一月労働者集会を小泉「聖域なき構造改革」路線と戦争国家化攻撃に対決し、国際反戦闘争をつくり出す総決起の場としよう。
主要電機メーカーのリストラ計画
●東芝
1万8800人削減、国内1万7000人
●富士通
1万6400人削減、国内5000人
●日立製作所
1万4700人削減、国内1万2000人
●NEC
4000人削減、国内2500人
●松下電機産業
希望退職で国内5000人程度削減
●京セラ
約1万人削減、グループの2割
●アイワ
約5000人削減、グループの半分
●合計(その他含む)
約7万8000人削減、国内約4万人
〔湯村宏則〕
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週刊『前進』(2025号4面1)
10・31−11・2狭山中央闘争へ
渾身の力で東京高裁高橋の狭山異議審棄却策動粉砕を
全国部落青年戦闘同志会
超切迫の棄却情勢に怒りの総決起を
米帝によるアフガン・中東侵略戦争突入、そして日帝による参戦と戦時体制突入という大反動情勢のただ中で、今、狭山異議審棄却攻撃が超切迫している。東京高裁−高橋裁判長はすでに決定文の作成に入っているとも言われており、この十−十一月にもなんらかの決定が行われようとしている。だが、異議審において一度の事実調べも行われておらず、事実調べのない決定とは棄却以外の何ものでもない。
狭山異議審棄却を断じて許してはならない。異議審の決定は、高木決定(再審棄却)の破棄−再審開始以外にはありえないし、断じてあってはならないのだ。狭山闘争は、今や、その成否をかけた決戦局面に突入したのである。
こうした中で、十月三日から五日にかけて、部落解放同盟全国連と大学解放研による、異議審棄却阻止の固い決意を込めた座り込み闘争が、高裁をにらむ日比谷公園において打ち抜かれた。この闘いは、米帝による中東侵略戦争を徹底弾劾し、日帝の参戦阻止への全国の部落大衆の総決起を呼びかける檄(げき)であり、そして、狭山異議審棄却攻撃に対する渾身(こんしん)の実力反撃ののろしである。この闘いに続こう。
石川一雄さんは、今秋の狭山異議審決戦に向けて、「まさに今が最大の正念場であります。私は、ここに皆さん方の良心に再度訴え、そして、私の人間としての純粋な憤りを感じ取っていただきたいと思います」(八・九上告棄却二十四カ年糾弾闘争へのアピ−ル)と、今こそ「人間としての純粋な憤り」をたたきつけることの重要性を訴えている。
この石川一雄さんの闘志をわがものとし、<無実・差別>に立脚した狭山差別裁判への根源的な怒りを燃えたたせ、日帝の侵略戦争参戦と戦時体制構築の攻撃をも焼きつくす渾身の糾弾闘争に立ちあがろう。全国連の呼びかける十・三一−十一・二狭山中央闘争へ全国から総結集しよう!
荊冠旗を押し立て侵略戦争阻止せよ
今秋狭山決戦への総決起のために訴えたいことの第一は、全国の部落大衆は、米帝による中東侵略戦争と日帝による参戦に反対し、この戦争を阻止するために全力で立ち上がらなくてはならないということだ。
今秋の狭山異議審棄却攻撃との攻防は、日帝による参戦と戦時体制づくりのための狭山闘争の解体、部落解放運動の絶滅という空前の大反動との激突である。九・一一反米ゲリラと、その「報復」を口実とした米帝による中東侵略戦争への突入によって、今や事態は完全に一変した。日帝は、帝国主義としての存亡をかけてこの戦争への参戦・自衛隊派兵を強行し、日本を戦時体制にたたき込んで、有事立法−改憲への道を一挙的に突っ走ろうとしている。狭山闘争の解体をテコとした部落解放運動の絶滅・一掃の攻撃は、この日帝の戦争体制づくりにとって死活的課題であり、今やこの日帝の参戦という超ど級の大反革命こそが、東京高裁−高橋による異議審棄却衝動の最大のエネルギ−をなしているのである。
この日帝の攻撃は、部落大衆にとっては、「戦争という国家の非常時に部落差別と闘うなどもってのほか、部落差別をがまんしろ」というものであり、部落大衆に、再び「肉弾三勇士」の道を強制するものにほかならない。部落解放運動は、いまや全国水平社の戦争協力と全国水平社の解体−大政翼賛運動への吸収という一九三〇年代後半の情勢に比すべき歴史的分岐点にあるのだ。
だが、この戦争は、帝国主義の強盗戦争以外の何ものでもない。「テロ対民主主義の闘い」などでたらめだ。それは労働者階級と人民をたぶらかして、この強盗の戦争に動員し、命を投げ出させるペテンなのだ。ことの本質は、米帝による中東侵略と民族抑圧の開き直りであり、それに逆らう者を皆殺しにしようとする新たな独裁支配のための戦争なのである。
そして、日帝は、その分け前を要求するためにこの戦争にかみ込もうとしているのだ。それは徹頭徹尾、帝国主義の大独占資本の利害のためだけの強盗の戦争、侵略戦争なのである。
部落大衆と労働者階級・人民は、この強盗の戦争に加担して、アラブ人民やアジア人民と殺しあっては絶対にならない。それは、自分で自分の首を絞めることにしかならないのだ。今、部落大衆のとるべき態度は、帝国主義の利益のために膨大な被抑圧人民の命を奪うことでは断じてなく、労働者階級と固く手をとりあい、アジア人民やアラブ人民を始めとした被抑圧民族人民と連帯・団結して、共通の敵である戦争と差別の元凶=帝国主義を打倒するために闘うことなのだ。
全世界の労働者人民と連帯し、米帝による中東侵略戦争をやめさせよう。部落解放運動の魂をかけて、日帝・小泉政権による参戦を阻止しよう。荊冠(けいかん)旗を押し立てて自衛隊基地を包囲し、自衛隊の出兵を阻止しよう。
実力糾弾闘争の力で再審の門開こう
第二に訴えたいことは、東京高裁−高橋による狭山異議審棄却攻撃に対して、今こそ部落大衆と労働者階級による渾身の実力糾弾闘争をたたきつけなくてはならないということである。
高橋裁判長は、狭山異議審担当に就任以来、一貫して「異議審だから」事実調べはしないという態度をとり続けてきた。新たに筆跡、足跡鑑定、指紋鑑定(脅迫状・封筒はもとより、物証とされるもののどれにも石川さんの指紋がついていない)などの証拠が次々に提出されているにもかかわらず、一度の事実調べも行わず、そのすべてを無視・抹殺しているのだ。
高橋裁判長は、初めから高木決定の護持=棄却の意志をむきだしにして、そのタイミングを狙い、その方便のみを探るという態度をとり続けてきたのだ。
この高橋のもとで、書記官や廷吏は、この間、事実調べを求める要請行動に対してきわめて硬直的で、傲慢(ごうまん)な態度をとり続けてきた。七〇歳代の高齢の全国連同盟員が「差し違えてでも異議審棄却を許さない」と言ったことにいちゃもんをつけ、これを「裁判所に対する脅迫だ」と主張し、「撤回しなければ要請行動を打ち切る」というような暴言が繰り返されている。
しかし、冗談じゃない!
いったい裁判所は、石川一雄さんに何をしてきたのか。法も裁判の制度もことごとく踏みにじり、白を黒と言いくるめ、無実の石川さんを部落民だというそれだけの理由で殺人者にデッチあげたのはいったい誰だ。次々に明らかになった無実の証拠を前にして、なおもこの差別的デッチあげを開き直り、それらの証拠のどれ一つとして事実調べも行わず、今なお石川一雄さんに「殺人犯」の汚名を着せ続け、これからも犯罪者扱いしようとしているのはいったい誰なのか。
この裁判所の態度こそ、正義と民主主義を泥靴で踏みにじる、天人ともに許されざる行為ではないのか。これを糾弾することは、百パ−セントの正義である。この正義の糾弾を、こともあろうに「脅迫だ」などと非難して、撤回を要求する権利など裁判所には一ミリもない。こんな裁判官こそ打倒されるべきなのだ。
そもそも、部落大衆にとって、裁判所に要請行動を行うという行為が、いかに大変な闘いなのか。みんな、身銭を切って、いつ首になるかもしれないという不安定就労の実態をおして、それこそ生活を犠牲にして要請行動に立ち上がっているのだ。それは、高齢者にとっては、命をけずるような闘いなのだ。要請行動とは、部落大衆による、まさに命をかけた糾弾闘争なのである。
異議審棄却を断じて許すな。高橋裁判長を打倒し、事実調べを貫徹し、再審の門をこじあけよう。その一切の力は、裁判所の「良心」や「見識」でもなければ法律でも制度でもない。部落大衆と労働者人民による差別徹底糾弾闘争、国家権力の差別犯罪に対する徹底糾弾闘争なのである。
第三に訴えたいことは、狭山闘争は、これから本格的な発展の時代を迎えようとしているということである。
われわれは、この戦争と差別の逆巻く時代をぶっとばして、今こそ全国の部落大衆と労働者階級の手で、七〇年代をはるかに超える大糾弾闘争の爆発を闘いとらなくてはならない。
戦争突入という大反動情勢は、狭山闘争と部落解放運動にとって「暗黒の時代」の到来を意味するだろうか。事実は、百八十度逆だ。このままではもはや生きられない、もう我慢ができないという、三百万部落大衆の丸ごとの決起の時代の到来なのだ。
小泉政権による「聖域なき構造改革」のもとで、いったい部落大衆はどういう現実にたたき込まれようとしているのか。大リストラや、社会保障の解体などの全矛盾が、集中的に襲いかかってくるだけではない。同和対策事業の文字どおりの全廃によって、戦後の部落解放運動が闘いとった権利をみじんも残さず一掃するという事態が襲いかかっているのだ。
それは、差別に対する国の責任の放棄、差別によって奪われた生活を取り戻す権利の抹殺、「差別をやめろ」と要求する権利さえことごとく奪うというものだ。小泉改革によって、部落大衆は、本当に生きられない、差別によって絞め殺される時代に投げ込まれているのである。
小泉改革と対決し解放運動の発展を
それだけではない。小泉改革の最後の言葉は、「お国のために命をささげろ」だ。二九年型の大恐慌と大不況の中で、独占資本が生き延びるため、独占資本の権益を守るためにとことん労働者や人民に犠牲を強制し、結局最後には、戦争に駆り出し、命を投げ出せと要求するのだ。
この小泉「改革」の正体が、今や完全に明らかになっている。部落大衆は、もはや闘わなければ生きられないというぎりぎりの地点から、陸続と立ち上がり始めている。今、広がりつつある、本部派の制動を突き破った差別糾弾闘争や、対行政闘争への全国的な決起は、まだほんの始まりにすぎないのだ。
一九三三年、中国侵略戦争の真っただ中で闘われた高松差別裁判糾弾闘争を想起せよ。戦時下において、部落大衆は、全国行進隊を組織し、司法省を始めとする国家権力中枢に攻めのぼり、司法大臣、検事総長らを徹底的につるしあげ、差別裁判の謝罪と差別裁判官、検事の左遷を闘いとった。この事件が起こった時、当時の水平社は、新聞を発行する金もない、事務所には人がいないという状態だった。戦時下で、労働運動や部落解放運動には特高警察の弾圧が襲いかかっていた。だが、二九年恐慌下の不況と生活苦、差別の洪水に苦しめられ、もはや我慢ができないという部落大衆の怒りのエネルギ−は、これらの反動をぶっとばして空前の実力糾弾闘争となって爆発した。この闘いは、支援署名、カンパ運動という形で労働組合や生協組織にまで広がり、階級的共同闘争陣形の形成をも促進した。
今、われわれは、こうした情勢にいることをしっかりと確認しなくてはならない。狭山闘争の歴史的勝利−事実調べ、再審開始を闘いとり、石川一雄さんの完全無罪をかちとり、これを基軸に、部落解放運動の爆発的発展を闘いとらなくてはならない。
今日、本部派は、「プロジェクト報告」なる反動路線によって、解放同盟の運動と組織の大改変を行おうとしている。そこでは、〈部落差別の撤廃〉という部落解放運動の綱領的原点が完全に抹殺され、差別糾弾闘争が、〈事実確認会・糾弾会〉の否定と、権力・行政機関による差別事件の解決を基本方針とするものに書きかえられている。名実ともに、公然たる帝国主義的融和運動への変質だ。
だが、こんなものでは、けっして部落大衆を組織することはできない。差別徹底糾弾こそ、この激動情勢下の部落大衆の唯一の行動原理なのだ。そして、部落大衆を解放の主人公として打ち鍛え、部落大衆の団結と労働者階級の階級的団結をつくりだす唯一の原動力なのである。
全国連の三大闘争の本格的な発展を闘いとろう。六千部落、三百万部落大衆の中に分け入り、全国連の五万人組織建設へ進撃しよう。狭山闘争は、部落解放運動にとって、その命ともいうべき闘いだというだけではない。沖縄闘争、三里塚闘争、国労闘争団の闘いとならぶ、日本階級闘争の誇りうる精華である。そして、戦争を阻止し、戦争と差別、失業と抑圧の元凶=帝国主義を打ち倒す全人民の闘いの砦(とりで)である。風雲急を告げる今秋異議審決戦に総決起しよう。全国から十・三一−十一・二中央闘争に立ちあがろう!
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週刊『前進』(2025号4面2)
(写真) 解同全国連、座り込み闘争に突入
部落解放同盟全国連合会は10月3日、狭山異議審棄却阻止の座り込み闘争に決起した。午前10時過ぎから約100人で集会を開催。青年、学生が先頭に立ち、「石川一雄さんの怒りにこたえて闘う」と3日間の座り込み突入を宣言した(東京・日比谷公園)
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週刊『前進』(2025号4面3)
介護保険 “保険料とらないで” 杉並住民の会 不服審査で口頭陳述
九月二十一日、十月一日と介護と福祉を要求する杉並住民の会の介護保険不服審査請求に基づく口頭意見陳述が東京都庁会議室で行われた。不服審査請求は、杉並区が十月から介護保険料の満額徴収を始めることに対し、五月二十五日に起こしたもの。九月二十一日は申請人百八人のうち二十一人分、十月一日は十一人分の陳述が行われた。補佐人を含めて五十人が発言し、述べ百人が参加した。
集団による口頭陳述は、高齢者の生きた現実を突き付けて介護保険がどんなに高齢者を苦しめるものかを明らかにしたいと折衝を重ね、ついに実現した。
二十一日午後一時半からの口頭陳述では、請求人の高齢者がそれぞれの生活の現実を生々しく語った。
「障害のある孫娘と二人で暮らしている。生活保護を申請したが通帳のお金を全部使ってからでないともらえなかった。孫が入院した時は人から金を借りてやっと入院させた。介護保険料が値上げになるので毎日悩んでいる。介護保険料を私から引かないでほしい」
「年金は三万八千円で、夫も子どももいない。年金では足りないので家政婦をしているが、足が痛くて医者に通っている。あと一年働けるかどうか。働けなくなったらどうなるのか。三万八千円ではヘルパーは頼めない。介護保険料はないようにしてもらいたい」
こうした現実が次々に明らかにされた。また介護保険の実態についても、「九十歳の母が要介護1と認定されたが、家事援助を依頼しても、家事援助ではやれないと、六カ所頼んで断られた。複合型にしてやっと引き受けてもらえた」という現実が明らかにされた。
十月一日の口頭陳述では、戦中、戦後を生きてきた高齢者の人生が語られ、一生懸命生きてきたそれぞれの人生に感動するとともにあらためて介護保険に対する怒りをかき立てた。
「戦争で焼け出されて、お舅(しゅうと)と子ども二人を抱えて働きどおしに働いて、上の子は小学校にしかやれず、下の子は二人で頑張ってやっと学校に入れた。子どもの世話にならないと思っていたら、転んでけがをして、娘が勤めを辞めて介護しており、娘も貯金を使い果たした。これ以上保険料が上がったらどうしようかと思って毎晩財布の金を勘定している」
「戦争が終わって十三歳で母と死別し、弟たちの面倒を見て、十五の時から働きに出て労働するしかなかった。夫とも死別し、七十歳の時に体を壊して働けなくなった。年金は月三万五千円しかなく生活が困難です。介護保険料を上げないで下さい」
こうした実態が次々に陳述されていった。
九月二十一日には口頭陳述終了後に住民の会が都庁内で記者会見し、介護保険を廃止し、高齢者が人間として生きる希望を持てる社会を実現するために高齢者が主体となって運動を広げていくことを宣言した。
保険料倍額化に怒り燃やし 介護保険を廃止に追い込め
十月一日をもって第一号被保険者(六十五歳以上の高齢者)の介護保険料の経過措置が打ち切られて二倍になった。介護保険が実施されて一年半、介護保険の反動的本質がいよいよ鮮明になっている。
その第一は、介護保険がごく一部の金持ちを除いて高齢者に「さっさと死ね」と言うに等しいということだ。日帝は、高齢者は金持ちだと宣伝し、介護保険料を強制徴収している。だが多くの高齢者はわずかな年金で暮らしており、介護保険料や医者代などを引けば食べるのもままならない。こうしたわずかな年金で生活している高齢者は介護が必要になっても利用料の自己負担が払えないために介護保険が利用できない。実際、心中や自殺などの事件が多発している。
特徴の第二は、介護を受けている人の介護の質が破壊されたことだ。訪問介護は細切れに、時間も短縮された。施設では人員削減のために介護事故が急増した。保険金支払い対象の施設事故(転倒や転落)は、一九九九年十月からの一年間で前年同期の一・七倍に急増している。
第三に、介護保険は国家的詐欺ではないかということだ。保険料を取り立てながら、要介護認定を受けた人が訪問介護を断られたり、「満杯」を理由に施設入所を断られている。施設不足のまま放置している自治体も多い。これは悪質な詐欺そのものである。
一方で、厚生労働省は高額の家賃を取るケアハウス(有料老人ホーム)などを推奨しており、利用料自己負担とは別に五万、十万の家賃を払える一部の富裕層だけが介護保険を利用できる仕組みになっている。
介護保険に対する怒りの声は全国に満ちあふれ、不服審査請求の動きが各地に広がっている。自治体は、利用料や保険料を減免せざるをえなくなっており、東京新聞によれば減免を実施した自治体は調査した四百七十二自治体のうち百七十七自治体(三七・五%)に上っている。介護保険はすでに破産的事態に陥っている。介護保険の廃止、「必要な人に必要な介護を! 介護は全額公費負担で」の実現へさらに闘おう。
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週刊『前進』(2025号4面4)
2001年日誌 阻もう! 改憲=戦争への動き 9月25日〜10月2日
防衛庁先遣隊が現地へ出発 米「国防計画見直し」を提出
●ブッシュ訪日は延期 ブッシュ米大統領が、十月に予定していた東アジア歴訪について、二十、二十一日に中国・上海で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)への出席にとどめることを決め、予定されていた訪日、訪韓、APEC後の北京訪問は延期された。(25日)
●多国間戦闘訓練に海自が「調査研究」で参加 海上自衛隊が七月にオーストラリアで行われた多国間戦闘訓練「カカドゥ」に、防衛庁設置法の「調査研究」名目で、幹部自衛官一人を派遣していたことがわかった。(26日)
●米が未臨界核実験を実施
米エネルギー省がネバダ州の実験場で、ブッシュ政権になって初の未臨界核実験を実施したと発表した。ブッシュ政権は包括的核実験禁止条約を死文化する方針を示しており、米政府内では地下核実験再開の声も出始めている。(26日)
●臨時国会始まる 第一五三臨時国会が始まり、小泉首相が衆参両院で所信表明演説を行った。また反米ゲリラに抗議する決議を与党三党と民主党などの賛成多数で可決。(27日)
●自衛隊機派兵を決定 日本政府はアフガニスタンからパキスタンに流入する難民対策と称して、自衛隊機のC130輸送機四、五機を派兵する方針を決めた。国連平和維持活動(PKO)協力法に基づくものという。(28日)
●イージス艦派兵当面見送りへ 情報収集を名目にインド洋に派兵が検討されてきた海上自衛隊のイージス艦が十月初旬の派兵は当面見送られることになった。防衛庁は海自佐世保基地のイージス艦「こんごう」を派兵する準備をしていた。(27日)
●機動隊に自動小銃 警察庁が全国の警察本部の機動隊に自動小銃を新たに約千丁配備する方向で検討を始めた。(29日)
●自衛隊の武器使用他国と同じに 自民党の麻生太郎政調会長が自衛隊の武器使用基準について「武装難民もいると考えられる。自衛隊員の武器携帯はもちろん、使用も他国と同じような基準を考えないといけない」と述べた。(28日)
●先遣隊がパキスタンへ
航空自衛隊輸送機のパキスタン派兵のため、防衛庁など政府の調査団が成田空港から現地に向かった。(29日)
●米軍への物品提供はACSA適用せず 日本政府は、米軍などの軍事報復に際し自衛隊の後方支援が実施された場合、有償が前提の日米物品役務相互提供協定(ACSA)を適用せず、無償で輸送・補給などの支援業務を実施する方針を固めた。(30日)
●米軍等支援法案の政府案
米軍などの軍事行動を自衛隊が支援できるようにする新法の政府案の全容が明らかになった。武器使用では、救援や医療の活動の際に他国軍の傷病兵や難民を防護するとして周辺事態法やPKO法に比べ大幅に基準が緩和されている。また自衛隊の活動範囲については外国領土まで広げている。米軍などへの支援の内容は、周辺事態法を踏襲。武器や弾薬の輸送も含めている。国会の事前承認は必要とせず、基本計画を閣議決定後に国会に報告するとしている。(1日)
●警護出動を新設 自衛隊が在日米軍基地を警備できるようにする自衛隊法改悪案の最終案が明らかになった。「治安出動」が発令される前の段階で、首相が自衛隊に「警護出動」を命じることができる規定を新設する。「治安出動」発令下の武器使用は警察官職務執行法が準用されるが、武装ゲリラへの反撃を理由に、同法の規定を超えて武器使用ができるようになっている。(1日)
●攻撃準備完了とブッシュが表明 ブッシュ米大統領が「米軍は準備ができている」「兵員二万九千人と二個の輸送戦闘部隊、上陸作戦部隊一個と軍用機数百機を展開し、予備役一万七千人と州兵数千人を動員した」と攻撃準備完了を宣言した。(1日)
●米がQDRを発表 ラムズフェルド米国防長官が今後四年間の米国の軍事指針となる「四年ごとの国防計画見直し(QDR)」を連邦議会に提出した。九月十一日の反米ゲリラを踏まえ、米本土防衛と特殊部隊強化を最優先に掲げている。また「二正面戦略」の見直しを明記。中国への警戒感と日本からベンガル湾へ至る東アジア地域での戦力強化の姿勢を示した。(1日)
●米軍支援法「2年期限」で合意 自民、公明、保守の与党三党の幹事長、政調会長が会談し、米軍等支援新法の政府案について協議。二年の時限立法とし、さらに二年間の延長手続きを盛り込むなど一部を修正して、ほぼ政府案の骨格のまま了承された。(1日)
●NATOが集団的自衛権行使を決定 北大西洋条約機構(NATO)が大使級理事会を開き、NATO加盟国の集団的自衛権を定めた北大西洋条約第五条の正式発動を決めた。(2日)
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週刊『前進』(2025号4面5)
『前進』ホームページ メールから
九・一一。その時、世界中に衝撃が走る中で、私はテレビの前で「快さい」を叫んでいました。アメリカの暴虐に正義の断が下されたんだ! 直後的な感想です。
そして、党の見解が出されて、アメリカという帝国主義足下の労働者が数多く犠牲になっている。そういう事態の中で、九・一一を心底うけとめるという意識が抜け落ちていることに気づかされました。階級的に事象をとらえ、被抑圧民族の真の解放の道筋を端的に指し示す革共同の「見解」に同感です。
アメリカの軍事報復への突入は、今や、すべての人びとの関心事です。どこに行っても話題になります。日本の参戦ということにも危機感を持っている人は大勢います。今こそ、街頭で猛烈な宣伝・扇動が求められていると肌で感じます。世論は二分化しつつあると思います。この情勢下で、革共同の存在意義が問われていると考えます。
ぜひとも、頑張ってください。握手。
(男性・20歳代)
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週刊『前進』(2025号5面1)
沖縄県民へのアピール 沖縄闘争は侵略阻止の最前線
第三次大戦の危機と対決し 米軍基地全面撤去へ闘おう
革共同沖縄県委員会
沖縄県民と軍事基地は共存できない
九・一一反米ゲリラ戦争の爆発は、二十一世紀の階級闘争の勝利が万国の労働者と被抑圧民族の団結の中にあることを衝撃的に突きつけるものであった。
被抑圧民族の積もりに積もったアメリカ帝国主義に対する怒りの爆発に対して、米帝ブッシュ政権は報復を口実にアフガニスタン・中東に対する侵略戦争に突入しようとしている。世界史は第三次世界大戦への道を許すのか否かの決定的な局面を到来させている。
沖縄の闘いもまた大きな歴史の分岐点を前にして、その真価が問われる情勢に突入した。戦後沖縄の反戦・反基地・反安保の闘いの根底に流れる「沖縄戦を二度と繰り返してはならない」の原点に依拠し、これをどう革命的に発展させていくかが問われている。
われわれはすべての県民に、今こそ沖縄闘争の原点を貫き、九五年十・二一集会での「基地全面撤去」の決意と闘いを今こそ再構築し貫きとおさなければならないことを強く訴えるものである。
戦時下に突入した沖縄闘争
九・一一反米ゲリラ戦争以降、沖縄米軍基地(そして全国の在日米軍基地)は文字どおり「戦時下」に突入した。米軍はただちに報復という名の侵略戦争に突入している。在沖海兵隊一万二千人が派兵に向けて昼夜を問わず激しい演習を繰り返し、読谷村トリイステーションの特殊部隊グリーンベレーはすでにアフガニスタンで展開していると言われている。嘉手納基地は最大の前線基地と位置づけられ、中東に向かって軍用機が次々に飛び立ち、補給機が殺到している。ベトナム戦争以降「遊休化」していた那覇軍港からもヘリコプターなどが積み込まれ出撃している。
米軍基地のなんたるかが県民に衝撃的に突きつけられている。米兵は殺気立ち、誰彼かまわず銃を突きつけている。取材に訪れた新聞記者からカメラを強奪し、基地の中から、ゲートから銃口を日常的に県民に向けている。
基地労働者に対しては、復帰前の基地労働者に対する扱いと同じような許すことのできない人権じゅうりんの「検問」が連日繰り返されている。通勤用の自動車のトランクからエンジンルームまで、さらには労働者の私物のすべてが、武装した米兵によって隅々まで調べ上げられ、米兵が「不審者」「不審物」と見なしたものが「発見」されると即座に銃が突きつけられるという異常な事態が日常化している。軍服を着た米兵以外はすべていったん「テロリスト」と見なして威嚇し、問答無用に米軍に「協力」させるということがまかり通っている。
米軍基地あるがゆえの事件・事故がどれほどの県民の命を奪い、尊厳を傷つけ、生活を破壊してきたことか。これ自身本当に許し難いことであるが、あえて言えばこのことは「ことの半分」である。米軍基地は侵略戦争の出撃拠点であり、今われわれの眼前で起こっていることが米軍基地の偽らざる「本当の姿」なのだ。信じる県民はほとんどいないとはいえ、米軍は事件・事故が起こるたびに繰り返し「良き隣人政策」と言ってきた。しかしいったん戦争になるや、米軍は県民に銃口を向け、県民を「テロリスト」扱いする。これが「良き隣人政策」の本当の姿なのだ。
米軍の侵略戦争に全面的に加担し協力するか、それとも銃口を向けられるのか、米軍は県民にこの二者択一を迫っているのだ。米軍から銃口を向けられた上での県民と基地との「共存」などあり得るのか。「基地との共存」とは侵略戦争への全面加担・全面協力しか意味しないことが完全にはっきりした。
稲嶺県政の「安保容認・基地容認」「基地を誘致しての振興策」路線の行き着く先は、米軍の侵略戦争への県民の積極的加担しかない。それは沖縄戦と戦後沖縄のすべてを否定し「第二の沖縄戦」を県民が受け入れること、つまり沖縄の破滅の道しか意味しない。
そもそもブッシュ政権は中国・朝鮮への世界大戦級の侵略戦争を構想し準備し、その最前線基地として沖縄米軍基地の再編・強化を狙っていたのだ。ブッシュ政権はアメリカ帝国主義のバブル経済の最後的崩壊と他帝国主義とりわけ日本帝国主義との争闘戦に勝利するために、その持てる軍事力のすべてを投入し、戦争で一切の危機を乗り切ろうとそのチャンスを虎視眈々(こしたんたん)と狙っていたのだ。
そして九・一一反米ゲリラ戦争に「報復」するとして、一気にそのどす黒い野望をむき出しにした。ゲリラ発生後ただちに在沖米軍は臨戦体制に突入し、湾岸戦争中にもなかった五段階のうち最高レベルの警備体制「デルタ」に格上げした。十八日付米軍準機関紙「星条旗」紙上で、ノース司令官は「われわれはテロリストに対する戦争を準備している。われわれの生活は劇的に変化した。もう戻ることはない。それに慣れろ」と絶叫している。
そして米国防総省は十月一日に発表した「四年ごとの戦略見直し」(QDR)で、九・一一情勢下であらためてアジア重視の方針のもとにアジア十万人体制の維持を打ち出したばかりではなく、空母の増派や空軍の後方支援基地、海兵隊装備の事前集積基地の強化をも打ち出した。
米軍基地と沖縄県民との関係の絶対的非和解性が突きつけられ、沖縄の「新たな戦前」という情勢に対して、県民が「基地全面撤去」の原点を守り抜くことができるのかどうか、ここに歴史を分かつ正念場中の正念場の決戦を迎えたのだ。
小泉は「第2の沖縄戦」を強制している
ブッシュの「報復」を「支持する」として日本を一気に「戦争のできる国」につくり替えようとしているのが小泉だ。「自衛隊は危険なところに出しちゃいかんでは話にならない。危険を伴うかもしれないが活動してもらう」と公言する小泉を断じて許してはならない。「アフガニスタン人民を殺せ」「戦って死ね」ということだ。
戦争がどのように始まるのか? 今まさにわれわれの目の前で進みつつある事態こそがそれなのだ。「有事立法をつくり、憲法第九条を改悪し、それからでないと日本は戦争をできない」などという考え方はまったくの間違いだ。小泉は臨時国会の所信表明演説で憲法前文を都合よく曲解してこの侵略戦争に参戦しようとしているではないか。
まず戦場に自衛隊を派兵し、そこで実際に戦闘行動に突入し、その既成事実を労働者階級人民に追認させる形で日本を「戦争のできる国」に一気につくり替えようというのが小泉だ。自衛隊を絶対に派兵させるな。アフガニスタン・パキスタン・中東人民に自衛隊が銃口を向けることを絶対に許してはならない。
小泉政権は、ブッシュ政権の中国・北朝鮮への戦争政策の核心がアジアをめぐる日帝への激しい争闘戦であることを自覚し、さしあたっては日米安保同盟のもとで独自の戦争国家への道を全力で追求している。今回の小泉の言動と行動は欧州帝国主義と比較しても「突出」している。日帝は九一年イラク・中東侵略戦争(湾岸戦争)での「悪夢の再来」を恐れ、日本を「戦争のできる国」につくり替える有事立法制定―改憲に踏み込み、ここで一気に憲法のハードルを越えようとしているのだ。
小泉政権が「戦争のできる国」への「飛躍」を、さしあたって日米安保同盟を最大限活用して行おうとしていることは、わが沖縄に一切の矛盾が集中することを意味する。もともと小泉は、自民党橋本派のようにペテン的にでも「沖縄の痛み」などと口にするような人物ではなかったが、もはや戦争である以上、一切を戦争の論理で押し切ってくることは明白である。
「振興策」などの買収策は、そもそもいつまでも続くものではあり得ない。もはや戦時である以上、「お国のために」という論理で問答無用の沖縄圧殺に乗り出してくることははっきりしている。小泉は、自衛隊に「危険なところにいけ」=゛死ね!″と言っているのだ。何よりも米帝との関係で、なんとしても九五年以来の沖縄県民の闘いを最後的に根絶やしにすることが日帝には死活的に求められている。「沖縄問題も『解決』できない日帝に何ができるのか」というアメリカ帝国主義の突きつけに小泉は「回答」を出さなければならないのだ。
したがって小泉は、沖縄県民の要求に耳を貸すわけなどなく、ただ一点、暴力で沖縄を圧殺する方向に突き進むしかない。それは沖縄問題の階級的基礎そのものをも揺り動かす事態へと発展していく。
米帝ブッシュ政権の登場と九・一一ゲリラ戦争への報復を口実にした侵略戦争の開始という超ど級の事態の中で、一気に沖縄問題の核心をめぐる最大の激突を迎えたのだ。「基地あるところ必ず戦場になる」という沖縄戦の原点をめぐって、「基地全面撤去」か「第二の沖縄戦」かという戦後沖縄史の原点をめぐって、倒すか倒されるかの過程に突入したのだ。
稲嶺打倒! 侵略基地撤去かちとろう
九・一一を目の当たりにして、誰もが「基地のある沖縄も『テロ』のターゲットになる」と直感的に感じた。すでに沖縄への修学旅行のキャンセルが九千二百人に上り、バス会社だけでも損失は八千万円に上ると報道されている。沖縄の観光産業は大打撃を受けている。同時に沖縄の今年八月の完全失業率は九・二%、九八年八月の過去最悪記録に並んだ。「県政不況」というデマで大田県政を誹謗(ひぼう)し、日本帝国主義の物質力を背景に知事の座をかすめ取った稲嶺県政の「振興策目当ての基地誘致」の犯罪性と破産性が完全に明らかになった。
この期に及んで「基地誘致」がいったい何を意味するのか。文字どおりアフガニスタン・中東人民虐殺の侵略戦争に積極的に加担することしか意味しない。普天間基地の代替施設の「十五年使用期限問題」など、米帝にとっては゛沖縄の要求は『テロリスト』を利する″ことしか意味せず、まったく問題にもならない情勢に突入した。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)路線は完全に破綻(はたん)したのだ。「金融特区」構想などは、この間のアメリカのITバブルの崩壊によって「絵に描いた餅(もち)」と化していたが、「狙われる」ような沖縄に進出する物好きな資本がどこに存在するのか。世界貿易センタービルの倒壊を見よ。米軍基地誘致と引き換えの「振興策」としての「金融特区」は、アジア・中東人民にとって「第二の世界貿易センタービル」でなくて何なのか。
はっきりさせなければならない。なぜ「沖縄が狙われる」と感じるのか。それは「振興策のためならば基地容認」という稲嶺県政の必然的な帰結なのだ。九五年十・二一のように県民が基地全面撤去で闘っていれば、たとえ沖縄に米軍基地が集中していようとも「狙われる」とは感じないはずだ。米軍基地撤去のために闘っている沖縄県民が「狙われる」理由などまったくないからだ。つまり今回の九・一一ゲリラ戦争はある日いきなりなんの前触れもなく起こった事件などではなく、そこに至る歴史と現実があることを分かっているからこそ、そして眼前の米軍基地こそ、その「歴史と現実」をアジア、中東、全世界の人民に押し付けてきた元凶であることを分かっているからこそ、「狙われる」と感じるのだ。
マスコミもあらゆる既成政党も「テロ非難」を合唱し、沖縄の議会でも「テロ非難決議」が上がっている。しかし人間というものが理不尽な権力によって抑えつけられた時、それに唯々諾々と従う存在ではなく、命をかけてでも立ち上がるということは、米軍支配のもとで闘い続けてきた沖縄県民には誰よりもよく分かることではないのか。七〇年のコザ暴動は「卑劣な」「テロ行為」だったのか。「暴力はいけない」ということで否定されるべきものだったのか。否だ。
九・一一ゲリラが突きつけたことは、中東・アラブ人民が米帝を先頭に帝国主義諸国にどれほど痛めつけられ、命を奪われ、民族の尊厳を踏みにじられ続けたのか、このことに対する人間として民族としての怒りはどれほど深いのか、ということであり、このことを真っ向から受け止めることが求められているのだ。
帝国主義こそが戦争と抑圧の根源なのだ。帝国主義ブルジョアジーによって搾取され収奪されてきた世界の労働者階級と、帝国主義に侵略され虐殺されてきた被抑圧民族が今こそ団結して、第三次世界大戦への道を阻止し、帝国主義を打倒するプロレタリア世界革命に勝利することこそが人間解放の道であることを、革共同は強く訴えたい。
沖縄県民こそが国際階級闘争の先頭で闘うことが必要なのだ。そしてそれは可能なのだ。アメリカ帝国主義が行おうとしている侵略戦争は、県民の経験した沖縄戦を数倍、数十倍する人民虐殺である。軍事支配と「基地の島」がどれほど沖縄県民を苦しめ続けてきたのか、そしてその基地が朝鮮・中国・アジア―中東の人民をどれだけ虐殺してきたかを知っている沖縄県民こそ、被抑圧民族人民と連帯した国際反戦闘争の先頭で闘わなければならない。
九五年十月二十一日の十万人決起は日米安保体制と日米両帝国主義をぐらぐらに揺さぶり、全世界の労働者階級人民と被抑圧民族人民を鼓舞激励した。沖縄の闘いはアメリカ帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を阻止する最先端の闘いであり、アジア・中東の被抑圧民族人民の闘いにこたえる闘いであり、帝国主義足下の労働者階級人民の決起を促す闘いである。
アメリカ帝国主義のアフガニスタン侵略戦争絶対阻止! 日本帝国主義・小泉政権の参戦絶対阻止! 米軍基地全面撤去の闘いを今こそ全力で、命がけで闘い抜こう! 十・二一国際反戦デー闘争に立とう。
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週刊『前進』(2025号5面2)
北富士 参戦と演習に反対 忍草農民が大看板
北富士忍草農民は九月十六日、自衛隊演習場正面の中道に「アメリカでの同時テロ多発事件に対し『何でもやる』と発言した小泉総理は、北富士演習場における入会地『手ごめ』演習に対しどう対処するのか―忍草国有地入会地守る会」と書かれた大看板を立てた。(写真)
北富士演習場では九月十一日以来、「反米テロの対象になる」と自衛隊と警察が厳戒体制に入っている。
演習場にされている梨ケ原一帯は忍草農民の先祖伝来の入会地だ。忍草母の会、入会組合の入会地奪還の米軍演習実力阻止闘争の前に、政府・防衛庁は六〇年と六一年の二度、梨ケ原に忍草農民の入会慣行が存在することを認め、これを将来にわたって尊重するという覚書を出した。東京地裁も入会権があることを認めている。ところが政府・防衛庁はこの覚書を自ら破り、忍草農民の入会地を占拠し、日夜演習を繰り返している。
忍草農民の生活の糧を奪ってきた自衛隊が海外で人民の利益になることをするわけがない。日帝の報復作戦への参戦を絶対許すな。北富士演習場を撤去し、入会地を農民の手に取り戻そう。十一月北富士での米軍実弾演習に反対しよう。
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週刊『前進』(2025号5面3)
那覇 “報復戦争やめよ” 市民連絡会が座り込み
九月二十一日から二十二日に、那覇市で「沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会」主催の「アメリカの報復攻撃と自衛隊参加、沖縄からの出撃反対」を訴えた座り込み行動が行われた(写真)。県庁前広場で二十一日正午から始まった座り込みには常時二十〜三十人が参加し、二十二日夕方の市内デモまで夜どおしで続けられた。
ニュースで知って駆けつけた人、飛び入りで参加する人などもあった。並行して行われた街頭演説では、「アメリカ政府の発表ばかりが報道され真実が知らされない」「沖縄戦を体験した人には、攻撃を受ける側の人の姿が真っ先に浮かぶ」「戦争体験者から『戦争が始まってから反対するのでなく、始まらぬように運動すべき』と言われた」と、さまざまな人がマイクをとり報復戦争反対を訴えた。通行する市民が次々に署名・カンパに応じた。
座りこみ行動を二十二日午後六時に終え、集会の後、参加者百人で国際通りを牧志公園までデモ行進した。デモに先立つ集会で「座り込み行動に敵対したカクマルの排除」が宣言された。
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週刊『前進』(2025号5面4)
革共同の緊急アピール 参戦を阻む今秋反戦闘争の大爆発へ 決戦資金カンパを
すべての労働者、学生、人民のみなさん!
日本帝国主義・小泉政権は今、アメリカ帝国主義ブッシュと一緒になってアフガニスタン・パキスタン侵略戦争に参戦し、武装した自衛隊の出兵を開始しようとしています。革共同は、この重大情勢の到来にあたり、今こそすべてのみなさんが、侵略と戦争の元凶である日本帝国主義打倒に向かって総決起することを心から訴えます。そして今秋決戦の爆発をともにかちとるために、わが革共同へ今秋決戦資金カンパを寄せてくださるよう熱烈に訴えます。
九・一一反米ゲリラは、帝国主義の危機の爆発を全面的に加速しました。すでに一九二九年型世界大恐慌過程に突入しどんづまりの危機にあった米・日帝国主義は、九・一一で一挙にその凶暴な帝国主義の姿をあらわにしました。自らの体制的危機を民族圧殺と大虐殺の戦争でのりきろうとしており、中東、アラブの石油・天然ガス資源の独占を争い、国際的階級闘争を解体して延命しようと策しています。
今や支配階級は今までどおりのやり方では支配していけなくなっています。他方で、被支配階級も現状の変革を強烈に求めています。一言でいえば、革命的情勢の急速な接近です。
革共同はこの情勢を主体的にとらえかえし、われわれが希求し展望してきた革命的情勢の成熟に対応した革命党の三つの義務(革命の宣伝、革命的行動、非合法・非公然の党建設)を実践的に貫徹するために全力で決起します。
今ほど、わが革共同の登場が待たれている時はありません。「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の戦略的総路線を貫徹する激烈な闘いを実践的に推進することが、待ったなしの課題です。革共同に決定的な飛躍が突きつけられています。われわれはその責任を必ず果たす決意です。
現在、米本土そのものでも反戦の闘いが一気に広がっています。九月二十九日、「アフガニスタンを第二のベトナムにするな!」「戦争では何も解決しない」と、ワシントンで一万人、サンフランシスコで五千人、ロサンゼルスで三百人のデモが闘われました。全世界で新しい、荒々しい階級闘争のうねりが始まっています。
被抑圧人民の根底的な怒りと帝国主義足下の労働者の苦闘とが重なりあう中で、全世界が大激動期に突入しました。全世界の反戦運動、階級闘争は、今後さらに不可避的に激化していきます。それは、帝国主義こそが虐殺・抑圧・貧困・飢餓の元凶だからです。被抑圧民族人民への搾取と収奪、差別と抑圧の上に帝国主義が成り立っているからです。
この全世界人民の闘いが勝利するためには、マルクス主義・レーニン主義、反スターリン主義・革命的共産主義で武装した革命的前衛党が全世界の労働者階級人民と被抑圧民族人民の前に登場することが絶対に必要です。
革共同に課せられたことは、党として全面的に登場し、小泉政権の参戦を絶対阻止することです。日帝・自衛隊の出兵を阻むために総決起し、十・二一国際反戦デー闘争から十一月闘争へ革命的大衆行動を爆発させることです。この課題のために全党が「労働者人民の中へ」を実践することです。そして非合法・非公然の党を死活的に建設することです。
私たちは、米・日帝国主義を先頭とする国際帝国主義の侵略戦争と真っ向から闘う労働者階級の隊列をつくりあげるために、全力で決戦に突入します。労働者階級の中へ入り、階級の解放と民族の解放をかちとる道はマルクス主義以外にないことをはっきりさせ、マルクス主義・レーニン主義で武装した労働者階級の隊列をつくりあげるために全力で闘います。宣伝・扇動の党として、労働者自己解放闘争の党として、今こそ献身性と戦闘性と英雄主義を発揮し、この二十一世紀の冒頭、訪れた世界革命の時代に、全力で決起します。
一枚一枚のビラを「紙の弾丸」として、革共同の革命的思想を込めてつくりあげて、一人でも多くの労働者人民に届けていきたい。
こうした闘いをやり抜くためには、決戦を支えぬく闘争資金カンパが死活的に必要です。『前進』読者・支持者・協力者のみなさんに、今秋決戦資金カンパを全力で寄せてくださるよう、心から訴えます。
革共同の前進の中に、国際階級闘争の発展があります。この情勢を革命党のヘゲモニーで変えるために総決起しよう。十月―十一月闘争の爆発をなんとしてもかちとろう。
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週刊『前進』(2025号5面5)
軍報速報 暫定開港阻止へ火炎ゲリラ 10・2 千葉
革命軍は以下の軍報を発表した。
十月二日午前二時四十五分ごろ、わが革命軍は、千葉県睦沢町上市場にある千葉県企画部交通計画課の生田昌司宅と乗用車に対して火炎攻撃を敢行した。
十・二戦闘は、暫定滑走路の来春開港と、開港をもって敷地内農民、地権者、周辺住民を大騒音でたたき出そうとする国土交通省、空港公団、千葉県に対する反撃の闘いである。
空港公団は、東峰神社の立ち木を無断で伐採する強盗行為を行い、さらに農家の頭上四十bに航空機を飛ばして、敷地内住民を追い出す脅迫行為を行おうとしているのである。空港公団は周辺住民を完全に無視して、強権をもって暫定滑走路建設を推し進めている。このような日帝の数限りない悪行に対して、十・二戦闘は怒りの反撃をたたきつけたのである。
また、この十・二戦闘は千葉県と堂本知事に対する闘いである。堂本知事は成田空港の完全空港化の最も熱心な推進者である。そのために四者協議会を設置し、成田新高速鉄道の建設に躍起になっている。千葉県企画部は空港建設の推進機関であり、生田はその交通計画課に所属し、成田新高速鉄道建設のための調査をやり、現在では芝山鉄道を担当している。
われわれは成田空港建設に協力する者を絶対に許さない。とりわけ堂本知事のもとで、完全空港化を策動する者は容赦しない。
十・二三里塚ゲリラ戦闘は、成田空港の軍事使用、軍事空港化に反対し、日帝のアフガニスタン侵略戦争への参戦と対決する闘いである。アフガニスタン侵略戦争への日帝の参戦が本格化したとき、成田空港は完全に軍事空港になる。すでに自衛隊の先遣隊は成田空港から出兵している。
わが革命軍は、成田暫定滑走路の開港と完全空港化、日帝のアフガン参戦、成田空港の軍事空港化の攻撃に対して、全力をあげて闘い抜く。
二〇〇一年十月二日
革命軍
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週刊『前進』(2025号6面1)
橋本同志に無罪判決 大阪高裁控訴棄却
犬の臭気選別を完全粉砕 8年の裁判、執念の勝利
検察の上告を絶対許すな
九月二十八日、大阪高裁第二刑事部(豊田健裁判長)は、無実の橋本利明同志の一審無罪判決を支持、控訴棄却の判決を出した。橋本同志は、九三年天皇訪沖阻止のゲリラ戦闘への報復弾圧としてデッチあげ逮捕・起訴された。以来、不屈・非転向を貫いて裁判を闘い、デッチあげの手段として登場した「犬の臭気選別」の非科学性・デタラメ性を暴き、粉砕し尽くすとともに、被告・弁護団の闘いを支援する大衆的な救援運動を積み上げてかちとった歴史的勝利である。米日欧帝のアフガン軍事報復−第三次世界大戦切迫情勢の中でかちとったこの無罪判決は、きわめて大きな意義を持っている。この地平から星野文昭同志、爆取デッチあげ四同志を始めとする超長期獄中同志の奪還へ、大衆運動の爆発をかちとろう。
判決公判には四十人を超える人びとが駆けつけた。満杯の傍聴者が見守る中、午後一時半に開廷した。豊田裁判長は「証拠品に被告のにおいが着いていたとの証明には限界があり、被告が犯人だとする根拠にはならない」とし、検察官の控訴を棄却し、あらためて無罪判決を言い渡した。大勝利だ! 「警察犬の臭気選別」によるデッチあげを粉砕したぞ! 被告、弁護団、傍聴者の高揚感、勝利感が法廷に満ちあふれた。
判決後、記者会見が開かれた。橋本同志は詰めかけた記者に向かって、「私は無実でありながらデッチあげで八年間も被告席に座り続けなければならなかった。これに対する謝罪、コメントが判決には一言もない。またデッチあげの首謀者である京都府警・窪内國男、さらにデッチあげ下手人の一人である犬の訓練士・竹本昌生に対する弾劾の文言さえない判決であり、まったく許せない」とまず怒りを表明した。さらに、「しかし、『犬の臭気選別』を真っ向から粉砕し、デッチあげの手段としてもはや使用できないものとして完全破産を突きつけたことは大勝利である」ときっぱりと宣言、検察官はデッチあげの破産を見据え、上告を断念する以外にないと突きつけた。
この勝利は、革共同が、被告・弁護団とともに、日帝・国家権力の九三年天皇訪沖阻止に対する政治的デッチあげ弾圧と真正面から対峙・対決して、そのカラクリを暴き出し、同時に四回に及ぶ大衆的な裁判闘争支援集会、一審判決前に短期間で三千筆を超える署名運動、地裁段階以来毎回の公判に対するデッチあげ弾劾ビラまきなどの大衆運動的闘いの積み上げによって切り開いたものである。
特に、デッチあげの唯一の手段としてあった「犬の臭気選別」を完全粉砕したことである。「犬の臭気選別」とは、「現場遺留品」のにおいをかいだ警察犬が、「五つ並べたものから『被疑者のにおいのついたもの』を選んだ」から「被疑者が真犯人」とするものだ。
これまで警察サイドの人間以外には研究はもちろん、実験した経験のある人もいないという現実があった。犬はあまりにも飼いならされて、人間の挙動に影響されやすいため、そもそも動物の行動実験のための対象とされないのである。
日帝・警察権力はそこに付け込み、「犬の嗅覚(きゅうかく)が鋭敏である」という「神話」がいまだ崩されていないことを逆手にとって、その「神話」を、科学的真理であるかのように吹聴してきたのである。
デッチあげのカラクリ
橋本同志とわが革共同は、卑劣なデッチあげには必ず不自然・不合理な破綻(はたん)点があるという立場で、デッチあげ弾圧と対峙した。そして、権力の隠し持つ捜査関係資料の開示を強力かつ執拗(しつよう)に要求し、ついに「犬の臭気選別」に関するほとんどすべての資料を開示させることに成功した。
この敵側の資料の中に必ずデッチあげのカラクリが存在すると確信して徹底的な検討・分析を行うと同時に、動物実験に関する科学的文献を徹底的に精査し、「有名なパブロフの条件反射の研究では犬が使われたのに、その後科学的研究において犬を使った実験がなぜ行われていないのか」を検討し、動物の行動実験における科学的原則の確立にとって、二十世紀初頭にドイツで解明されたクレバー・ハンス現象の重大性を鮮明にさせた。
このような観点から、開示させた「犬の臭気選別」に関する資料を検討・分析することで、「犬の臭気選別」デッチあげの「濃度コントラスト」「指図・誘導」「外部臭」という三大要因を全面的・科学的に明らかにした。この実証的成果を立証し、原審・京都地裁での無罪判決をかちとったのである。
控訴審の大阪高裁第二刑事部は、一審無罪判決を切り崩そうとする検察官、京都府警の策動を積極的に受け入れ、検察官請求の証人尋問としてデッチあげの下手人の一人である竹本昌生訓練士の尋問と検証選別を刑事訴訟法の精神(「一事不再理」という近代刑事法の根本的原則)を踏みにじって強行した。
この高裁の策動は、被告・弁護団の断固たる反対尋問をとおして動物の行動実験における科学的原則としてのクレバー・ハンス現象の排除の絶対的必要性を科学的に明らかにすることで、高裁が行う「検証選別」に最低の科学的基準を守らせた。その結果、すでに本紙上でも明らかにしたように、臭気の作成・臭布の配列において、選別に立ち会う人が誰も答えを知らないという方法と濃度コントラストのない状況で竹本の訓練した犬に選別を行わせた結果、犬は十五回の選別において一回も「対照臭布」をくわえて持ち帰ることができずに終わった。また、この選別中に、一度くわえたが、すぐに落とした布は、すべて「誘惑臭布」であるという結果となった。
この結果、高裁第二刑事部と検察官の思惑は完全に破綻し、残りの検察官請求の臭気選別に関する百二十点以上の証拠調べ請求をすべて却下し、結審した。
高裁は、判決公判を当初八月三十一日と指定しながら、判決直前の八月十六日に突如として判決期日の延期を一方的に指定、そして迎えた判決公判だった。
今回の橋本裁判控訴審の大勝利に対して、追い詰められた国家権力=検察官が上告審での反動的逆転を狙い、上告に踏み切ることは明らかである。
直ちに日帝・国家権力に対するデッチあげ弾劾の宣伝攻勢をたたきつけ、検察官の上告攻撃を粉砕するために全力をあげて闘いぬこう。大阪高検に、デッチあげ弾劾・上告弾劾の申し入れを行おう。検察官は上告を放棄し、デッチあげの権力犯罪を謝罪せよ。
橋本裁判の経緯
一九九三年四月の天皇訪沖阻止の革命軍の火炎ゲリラ戦闘に対する日帝の階級的報復として同年十二月二日、無実の橋本利昭同志が非現住建造物放火などの罪名で「実行犯」としてデッチあげで不当逮捕され、起訴された。以後、橋本同志は四年三カ月もの不当長期勾留を強いられ、不屈・非転向の獄中闘争を闘う。九八年十月二十二日に京都地裁で完全無罪判決をかちとり、「犬の臭気選別」を唯一の手段とした卑劣なデッチあげ策動を粉砕した。検察官が控訴したため控訴審を闘ってきた。
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週刊『前進』(2025号6面2)
9・18柳条湖事件70年――日本の侵略史講座
林さん 「闘う日本人と団結」
九月二十二日、「満州事変(九・一八)七十周年記念集会」が東京・文京区民センターで開かれた。主催は林歳徳さん(在日台湾人元日本兵)とともに足掛け十九年にわたって活動を続けてきた「日本のアジア侵略史講座実行委員会」。
時まさに九・一一対米ゲリラ事件直後の緊迫した情勢での開催となり、侵略史講座は米日帝によるアフガン軍事報復という新たな侵略戦争と向き合う場となった。それは同時に、日帝植民地下の台湾に生まれ、日本軍軍属として徴用されて赴いた中国大陸で、南京大虐殺の目撃者となった林さん。その戦場から逃亡し、以来、日本の地で在日として生きることを強いられてきた林さんの半生と向き合うものだった。
林さんは、「国粋やくざ石原は『第三国人』と言ったが、これは何か。植民地出身の在日台湾人、在日朝鮮人のことだ。私の在留資格は特別在留、難民として日本にいる。私の悲しい本籍は、大日本帝国台湾総督府……。ヒロヒト最後の勅令、入国管理令二四条以来いつでも収容できる、いつでも逮捕できる。外国人は煮て食おうと焼いて食おうと日本の自由という現実は何も変わっていない」と訴え、九・一一事件について「朝鮮戦争にアメリカは勝てなかった。ベトナム戦争はアメリカの虎がベトナムのねずみと戦って勝てなかった。今度はアメリカの虎がモグラと戦う。アメリカ帝国は壊滅する。これは因果応報だ」と喝破した。
そして質疑応答をした後に林さんは、「日本はだんだん悪くなっている。これはどういうわけだ。天皇制は廃止すべきだ。私は闘う日本人とともに闘う。その団結のためには日本人がアジア人になるように努力すべきだよ。私のお願いです!」と力説した。
集会の冒頭にビデオ「消えた一四七七七人――南京大虐殺の真相を追って」が上映された。パネルトークでは『侵略』制作者の森正孝さんが「アメリカの報復戦争の本質をとらえよう」と問題を提起し、実行委の木元茂夫さんは、前日二十一日に横須賀港内でキティホーク出航阻止を闘ったビデオを紹介し、「新たな戦争立法を成立させないために全力を尽くす。戦争への道を阻んでいこう」と訴えた。
会場からは、公安調査庁による登録原票入手の問題や在日のアラブ系外国人に対する圧迫・迫害への危機感、自衛隊の参戦阻止の闘いなど、活発な意見が出された。婦民全国協の西村綾子代表は相模原市議会での「テロ弾劾決議」反対の取り組みを報告し、戦争への道にからめとられない闘いをしようと訴えた。
(室田順子)
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週刊『前進』(2025号6面3)
読者からの手紙 「障害者」排除思想が根底に 東京 E生
第二〇一八号の「養護学校の採択に怒り/数百人座り込む」と「『重大犯罪精神障害者処遇法案』粉砕を」という記事はとても良かったと思います。
「つくる会」教科書が東京と愛媛の養護学校の一部で採択されたことは本当に許せません。中学校の採択は区市町村の教育委員会、養護学校の採択は都県教育委員会という違いが影響しているかもしれません。しかし「つくる会」教科書の根底に流れる思想には「障害者」排除があります。「障害児」のためとされるべき養護学校において、これを排除・差別する教育が行われるのはなんと矛盾したことでしょうか。
同じような思想は、「重大犯罪精神障害者処遇法案」にも見られます。犯罪を防ぐために「精神障害者」すべてを排除しようという考えは、つまるところ、すべての人民を犯罪者扱いし、どこかに閉じこめておこうという、管理・治安国家への道につながるのではないでしょうか。
カンパ(一万円同封)を送ります。役立てて下さい。『前進』の活躍を期待しています。
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週刊『前進』(2025号6面4)
紹介 『スパナ』 十亀弘史獄中句集 獄中15年を闘う息遣いが聞こえる
「迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧事件」で未決勾留十五年の獄中闘争を闘いぬいている十亀弘史同志の獄中句集が刊行された。獄中十五年の肉声・息遣いが伝わってくる句集である。獄中同志を一日も早く奪還するためにも『スパナ』を多くの人に広めたい。
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『スパナ』というタイトルは「しつかりとスパナを掴(つか)む多喜二の忌」という句による。十亀さん自身がつけたものだ。句界では「芭蕉忌」「子規忌」など有名な俳人の忌日が季語になっている場合がある。しかし、「多喜二忌」という季語は無い。
一九三三年二月二十日正午ころ、小林多喜二は特高警察によって築地署に連行され三時間に及ぶ拷問を受け午後七時ころ絶命した。作者はそのことを知っている。工場で油と汗にまみれた額を拭(ぬぐ)いながら、ふとカレンダーを見ると二月二十日、多喜二が国家権力に虐殺された日だ。今ごろ拷問を受けていたのだろうか、作者は思わずスパナをしっかりと握り締めている。作者の多喜二に対する思いが凝縮されている。
表紙のスパナ(十亀弘史画)には5・7・5の長さが記され、1917という製造番号がついている。十亀さんの遊び心である。
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獄中とはどういうところなのか。どのような気持ちでどのような生活をしているのだろうか。十五年がどういう長さなのか。俳句はそれを十七文字で表現する。
囚人に瞬時の微笑いぬふぐり
小さな鶏小屋のような運動場の片隅にいぬふぐりが咲いている。独房の囚(とら)われ人の運動場は独房と同じように極小であり、一周しても二十歩ほどにしかならない。しかし、かたばみが咲いていたり、ミミズが穴を掘ったあとがあったり、アリが歩いていたり、自然に触れることのできる唯一の機会なのだ。作者にとっては「春告げる花」でもある。
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「序」の中で十亀さんは、闘いのためにほとんど断絶状態だった両親との文通を獄中で再開し、十年ほど前からは、手紙に俳句を添えるようにし始めたのが俳句へのかかわりの最初だったと述懐している。
つれあいの十亀トシ子さんは「中核派である、革命家であるというだけで十五年間を未決のままで獄に閉じこめられた怒りは、押しとどめることはできません」(あとがき)と述べ、一刻も早く身柄の保釈を実現することを誓い、訴えている。
俳句界で活躍している専門家も一文を寄せて、秀句を十句選んでいる。
「雪だね囚人子供のやうになる」という句は、上五が「雪だねと」が原句だったが、添削によって、説明調になってしまう「と」を取ることで素晴らしい一句になった。
「ある俳人の鑑賞」は別の結社の専門家の鑑賞を編集者がまとめたもの。句集には解説はないが、この「鑑賞」が解説の役割を果たしている。
この俳人は、最末尾の「はとすずめみいと鳴くねこ春よ来い」の句を「生きとし生けるものへの普遍的平等な幸せを願う作者を象徴している」と評し、「軽妙洒脱(しゃだつ)の中に暖かさ」があると、その感動を語っている。
私も、十亀さんならではの独自の世界を醸し出している一句だと思う。魂の高さがにじみ出た、芭蕉の言う「底をやぶる」句である。
(小泉義秀)
〔十亀弘史句集刊行委員会発行/定価一〇〇〇円前進社でも扱います〕
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