ZENSHIN 2001/09/24(No2022
p06)
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週刊『前進』(2022号1面1)
9・11反米ゲリラに対する革共同の見解
米日帝の軍事報復阻止を 第3次世界大戦の危機と対決せよ
世界の労働者と被抑圧民族は団結し 反帝・反スターリン主義世界革命へ
日帝・小泉の有事立法阻止・改憲粉砕を
九月十一日、世界戦争と民族抑圧・新植民地主義の牙城(がじょう)であり、世界の金融・証券、貿易、産業を握る搾取と収奪の元凶であるアメリカ帝国主義に対して、被抑圧民族の積もり積もった怒りが大炸裂(さくれつ)した。この事態は、全世界の帝国主義支配階級が中東・アラブ人民や朝鮮・中国―アジア人民などにいかに暴力的かつ傲慢(ごうまん)にふるまい、どれほどの苦しみを与えてきたのか、それに対する被抑圧民族の憤激がどれほど深く大きいかを激しく突きつけている。同時にこの事態は、アメリカを始めとする帝国主義諸国の労働者人民に対して、帝国主義の歴史的・今日的悪行をいつまで許すのか、なぜその足下から戦争と民族矛盾の根源である帝国主義の打倒の闘いに立ち上がらないのかと、絶望的不信を突きつけている。労働者人民に求められていることは、この事態の深さをしっかりと受けとめ、なおかつ九・一一を根底的にのりこえて、全世界の労働者階級と被抑圧民族の団結した真の解放の道を切り開くことだ。われわれは、今こそ「侵略と戦争の根源=帝国主義とスターリン主義を打倒せよ、全世界の労働者階級と被抑圧民族は固く団結しよう、反帝・反スターリン主義世界革命をかちとれ」の闘いを心から激しく呼びかける。「被抑圧民族人民と固く連帯し、米帝のパレスチナ圧殺・中東侵略戦争阻止、米日帝の中国・朝鮮侵略戦争阻止、第三次世界大戦の道を許すな」の闘いに総決起しよう。アフガニスタン・アラブへの軍事報復を絶対阻止せよ。日帝・小泉政権の中東侵略戦争参戦阻止、戦争国家づくり阻止=改憲粉砕・有事立法阻止・一大資本攻勢粉砕の今秋決戦に総進撃しよう。
米帝は民族抑圧の元凶
九月十一日、アメリカで四機の旅客機が奪取され、米帝の中枢でありシンボルでもある世界貿易センタービル南北二棟と国防総省ビルに次々と突入した。一機はペンシルベニア州ピッツバーグに墜落した。マンハッタンにそびえ立つ四百三十b、百十階建ての巨大なツインタワービルは完全に倒壊し、隣接するビルも次々と倒壊し、威容を誇るペンタゴンは壊滅的な打撃を受けた。米帝史上、いや世界史上も前例のないゲリラ戦争が敢行され、膨大な流血と破壊が生み出された。
国防総省での死者は約百九十人と推定される。十三日にニューヨーク市長は、ツインタワービル関連の遺体収容九十四人、行方不明四千七百六十三人(乗客乗員、消防士、警察官などを含む)に上ると発表した。
ニューヨークの一切の通信は不通となった。ニューヨーク株式市場は閉鎖され、主要な取引所も閉鎖された。米のすべての空港からの飛行機の離発着は禁止され、空港は閉鎖された。首都ワシントンは非常事態宣言を発令した。
米帝はブッシュの命令で国内はもとより沖縄米軍基地など世界中の在外基地・政府施設で最高度の戦時厳戒態勢に入った。米全土で米軍機が監視飛行を強め、政府・軍は全施設の警備を緊急対応計画に入れ、ブッシュは「戦争行為だ」「報復をやる」と公言した。
求められる階級的な視点
事実関係の詳細がなお不明であるが、本質的に言って、九・一一は、被抑圧民族によるやむにやまれぬ決死の反米一斉ゲリラ戦争である。彼らが訴えるものをしっかりと受けとめることなしに、このゲリラ戦争を非難することは絶対に許されない。はっきりさせなければならないことは、アジア、アラブ・中東など世界の被抑圧民族が迫害され、差別され、帝国主義の一切の矛盾を犠牲転嫁されて苦しんでいるということだ。同時代に生きる者としてこの苦しみを自らの苦しみととらえないままに、帝国主義イデオロギーに撹乱(かくらん)され、階級意識を曇らされている自らの現状を問う一大衝撃として、この事態を階級の視点でとらえなければならない。
被抑圧民族の苦しみと怒り
われわれ革共同が訴えたいことの第一は、世界の被抑圧民族の抑えがたい怒りが米帝に向かって大爆発したということである。
米帝は、ここ十年をとっても九一年イラク・中東侵略戦争、九九年ユーゴスラビア侵略戦争の大殺戮(さつりく)を強行し、世界大戦級の侵略戦争政策を推し進めてきたが、ブッシュ政権になってそれは一層むき出しの形でエスカレートしている。
地球温暖化防止の京都議定書から離脱した。ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約の破棄に動き、CTBT(包括的核実験禁止条約)からも離脱表明し、米帝のみが生き残るためのミサイル防衛構想を推進している。アフガニスタンとイラクに経済制裁を加え続け、イラク空爆を断続的に継続している。人種差別反対世界会議(南アフリカで開催)で満場の弾劾を受けながら、米帝はイスラエルの軍事侵攻を擁護してイスラエルとともに退場した。
国連での「イスラエルによる六七年占領地の返還」の決議がほとんど可決情勢にあるのに米帝のみが拒否権を発動して成立を妨害している。そのイスラエルは、「テロとの闘い」を公約とするシャロン体制のもとで、米帝が供与あるいは技術協力した最新兵器を使ってパレスチナ自治区への軍事侵攻を繰り返し、ムスタファPFLP議長暗殺作戦を強行し、ヨルダン川西岸を戦車で制圧し、パレスチナ人民への挑発的な敵対を路線化してきた。昨年九月以来の新たなインティファーダに対して、石を投げれば銃殺し、自爆テロルに訴えればミサイルをぶちこんで大量虐殺を加え、八百人ものパレスチナ人民を虐殺してきている。
そもそも米帝は、第二次世界大戦後ずっとイスラエルを先兵にしてアラブ・中東人民を抑圧し虐殺し、アラブ諸国に侵略軍隊を駐留させ、中東の支配者としてふるまってきている。
それらに輪をかけて、ブッシュは、アメリカでなければ民主主義でない、アメリカだけが正義で、アメリカが世界の法だという、傲慢な帝国主義的本性を露骨な上にも露骨にしている。この米帝にはどのような正義もない。平和を語る資格などない。「民主主義の敵」という言葉は、米帝にこそ投げ返されなければならない。この米帝に対してパレスチナ・中東人民を始めとする被抑圧民族が怒りと憎しみをたたきつけることには絶対の大義がある。
では、帝国主義諸国の労働者階級は、九・一一によって、おびただしい死者・負傷者、壊滅的被害が生み出されたことをどうとらえるべきだろうか。特にアメリカの労働者階級がどのような回答を出すのか、ぎりぎりと求められている。
米帝とすべての帝国主義は被抑圧民族の深い怒り、悲しみ、そのエネルギーを無視し、侮蔑(ぶべつ)し、おごりたかぶり、暴力的抑圧者としてふるまってきた。巨大な政治的・軍事的・経済的大国中の大国が、イスラエルを先兵にしてパレスチナ人民を迫害し、より弱小な新植民地主義諸国に軍事侵攻し、被抑圧民族を侵略しておいて、それでいて自らの国はどこまでも安泰でいられるなどということがありえるだろうか。その不正義の暴力をほしいままにふるっておいて、自分ひとりが平和と繁栄を得るなどということができるだろうか。そんなことは通用しないのである。
今回の事態は、米帝が被抑圧民族をじゅうりんし、かつ見くびるという、そのあまりにも大きな誤りの咎(とが)を受けたということなのだ。事態の責任を問うとしたら、その責めは米帝とその最高責任者ブッシュこそが負わなければならない。われわれは、アメリカの労働者階級の仲間たちに、かつてない悲しみと苦しみの試練をのりこえて、米帝とその数々の不正義の悪行を真っ向から見据え、断固として被抑圧民族と連帯して世界反動の砦(とりで)・米帝=自国帝国主義を打倒する闘いに総決起することを心底から訴える。
第3次世界大戦の現実性
訴えたいことの第二は、事態の原因をつくり出したのは米帝および国際帝国主義なのだということ、その米帝など帝国主義が一貫して準備し構築している一切の戦争政策・戦争体制をやめさせよ、粉砕せよということである。自らの延命のために排他的な勢力圏分割戦に訴え、結局被抑圧民族への侵略戦争―帝国主義国家間戦争にのめり込む帝国主義を打倒することを、全世界の労働者階級人民の共同の決意としなければならないということである。
「自由主義社会は新しい戦争の挑戦を受けている」などと帝国主義者はほざいている。「報復の悪循環」などと言われてもいる。だが違うのだ。まずもって米帝による侵略戦争、新植民地主義支配、その巨大な世界大的暴力がある。「新しい戦争」を起こそうとしているのは米帝の側だ。
米帝および日帝を先頭とする帝国主義は、一九二九年型世界大恐慌の現実化という情勢の中で断末魔の危機にあえいでいる。ニューエコノミー論が早くも破れ、ITバブルとその崩壊という形で金融資本の危機が激化している。帝国主義の過剰資本・過剰生産力の矛盾がどうにもならない重圧となってまさに帝国主義を押しつぶそうとしている。そこから米帝などは軍需経済化を強めるとともに、実際に世界大戦級の戦争を遂行する路線をとっている。米帝ブッシュは、「ならず者国家を懲らしめよ」「将来の脅威を防げ」などと叫んで、全世界にミサイル防衛網を張り、残存スターリン主義中国を最大のターゲットとする本格的な一大侵略戦争=核戦争体制を再構築している。
それは他方では、これまでの米帝の中東和平策動の歴史的破綻(はたん)を自認して、イスラエル軍事侵攻とそれによるパレスチナ抹殺を強行し、そうすることで、破産した中東支配・石油支配の建て直しのために問答無用の暴力的突破に舵(かじ)を切るものである。それらが米帝ブッシュの新世界戦略の組み立てである。それは第三次世界大戦=核戦争を不可避とする動きそのものだ。
そこでは、@ソ連スターリン主義崩壊以後の戦後体制の崩壊過程において帝国主義諸国が分裂化と争闘戦激化の果てしない道を進んでいること、A他方、旧スターリン主義体制および残存スターリン主義体制がきわめて反動的な資本主義化政策を強行しており、世界史上類例のない混乱と危機をつくり出していること、B帝国主義諸国はその世界分割戦・勢力圏分割戦において広大な旧および残存スターリン主義圏に対する取り込みまたは体制転覆的取り込みの政策に出ており、それを突破口として新たな対立を激成しつつあること、C以上のような帝国主義対帝国主義の対立は帝国主義が帝国主義である限り第三次世界大戦へと突き進むしかないものであること――これらがくっきりと浮かび上がっている。
第三次世界大戦の危機を真っ向から見据えよう。そして、帝国主義とそれと絡み合った旧スターリン主義および残存スターリン主義への怒りを爆発させて壮大な世界革命の闘いに決起しようではないか。
集団的自衛権行使粉砕せよ
訴えたいことの第三は、今回の事態への「報復」を口実とする米帝およびそれに協力=参戦する日・欧帝国主義の軍事侵略行動を絶対に許してはならないということである。
ブッシュは「テロリストの首謀者を捕らえ罰する。テロリストと彼らをかくまう勢力を区別しない」「テロを超えた戦争行為だ」と叫んでいる。これは重大な言辞だ。米帝ブッシュは実行行為の証拠がなくても、デッチあげてでも「九・一一という戦争に対しては国家の自衛権を発動できる」と強弁することで、どんな侵略戦争をも遂行する決断をしたということである。九八年に、クリントンが証拠もなしにアフガニスタンやスーダンを巡航ミサイルで攻撃したように、今回もまた、米帝ブッシュは、アラブ諸国あるいはアフガニスタンへの軍事侵略を事実上宣戦布告したのである。
それに呼応して、小泉は「民主主義社会にとって重大な挑戦」「米国を強く支持する」「犯人を追及すべき」「報復は当然」と語り、「米軍施設の防衛に自衛隊の出動も考える時」などと言っている。十二日の安全保障会議では、陸海空三軍を最高の警戒態勢に入れることを決めるとともに、有事立法を急ぎ、この秋の臨時国会で制定すること、さらに対米支援と日米同盟関係を強化することを確認している。小泉はブッシュに歩調を合わせて「戦時である」と公言し、事実上「周辺事態」認定を行い、有事体制を先取りしようとしている。
欧州帝国主義がいち早く対米支援のためのNATO条約第五条の集団的自衛権を、NATO結成以来初めて発動することを決定した。その中で日帝は、従来の対応のままでは帝国主義として蹴落とされる危機に追い詰められている。そこから日米安保同盟の強化の飛躍点をなす集団的自衛権行使=対外侵略武力行使に踏み切る国家的決断を早めているのだ。日帝は、九・一一を反革命的チャンスとして戦争国家化=改憲の道を一挙に押し渡ろうというのである。そこに小泉「聖域なき構造改革」の最も先端的な攻撃がある。
日帝の対米支援=参戦を絶対に粉砕せよ。それは米帝の軍事報復行動と共同作戦をとるということである。日米安保同盟―新安保ガイドライン体制を決定的にエスカレートさせるものであり、テロ報復の名で一気に集団的自衛権行使に踏み切るものである。今や公然とパレスチナ・アラブ人民の敵、中東人民の敵として登場するに至った日帝を断じて許してはならない。「聖域なき構造改革」路線もろとも小泉を打倒せよ。
闘いの展望と方針
全世界の労働者階級と被抑圧民族の真の解放の道は何なのか。われわれは、九・一一反米ゲリラ戦争の意味するものを真剣に受けとめる立場に立つ。だが同時に、九・一一によってはけっして真の解放の道は切り開くことはできないと考える。九・一一には、アメリカ労働者階級、すなわち米帝打倒の革命主体であり、世界革命の担い手であり、被抑圧民族の友であるべきアメリカ労働者階級の存在と闘いが措定されていない。そこからは、被抑圧民族自身の真の解放と勝利の展望は絶対に導き出されない。そうではなくて、帝国主義国の労働者階級を根底的に信頼し、彼らの決起を切実に求め、彼らの決起と団結することをめざして闘うことが被抑圧民族の闘う人民には不可欠なのだ。同時に、帝国主義国の労働者階級は、被抑圧民族の苦しみと怒りを真っ向から受けとめ、彼らの不信をぬぐい、信頼を回復するために闘うこと、血債の思想で連帯の内実をかちとっていくことが求められている。
米帝を始めとする帝国主義の世界支配、それと絡み合った旧スターリン主義および残存スターリン主義の反革命というこの世界総体を根底から打倒する反帝・反スターリン主義世界革命こそが真の解放の道である。これこそがマルクス主義・レーニン主義のプロレタリア革命の今日的実現である。反帝・反スターリン主義世界革命の綱領・戦略のもと、全世界の労働者階級と被抑圧民族が固く団結することこそ、今最も必要なことだ。
われわれは決意も新たに被抑圧民族人民と固く連帯して米帝打倒、日帝打倒、帝国主義打倒・スターリン主義打倒に総決起することを宣言する。
米帝を労働者人民の力で打ち倒すことはまったく可能だ。ブッシュは「米国は強い国だ」としきりに強調しているが、九・一一の直後には「屋台骨が折れた」と米帝の脆弱(ぜいじゃく)性を吐露していたのである。米帝の中東政策が完全に破綻していたことが白日のもとにさらされた。
それだけではない。折しもバブル経済の崩壊に落ち込んでいた米帝は、ドル下落、株式暴落の過程を激化させている。東京株式市場は、十二日に、大暴落を予感し一万円の大台を割り込んだ。TOPIXも一〇〇〇の大台を割った。九・一一の衝撃によって加速された帝国主義の矛盾の爆発はとどまるところを知らない。まさに米帝の超大国神話、帝国主義の万能神話が崩壊したのである。
帝国主義は二十一世紀を迎えた今、没落期の危機にあえいでいる。帝国主義の最期の時が確実に迫って来ている。
世界史を決定してきたのは、労働者階級と被抑圧民族の団結した力である。二十世紀の一七年ロシア革命を見よ。六〇年代から七〇年代のベトナム民族解放闘争を見よ。レーニン主義の思想と綱領・戦略とその実践は今、反スターリン主義・革命的共産主義運動としてよみがえり、二十一世紀革命を必ずや切り開くだろう。
九・一一反米ゲリラ戦争をめぐる革共同の見解をすべての労働者人民の中に積極的に持ち込もう。九・二三反戦闘争に決起しよう。
二〇〇一年後半の最大の決戦である十一月全国労働者集会に小泉反革命への労働者階級の怒りを総結集させよう。連合指導部を打倒し、JR総連を解体し、一大資本攻勢の嵐(あらし)をぶち破る階級的労働運動の躍進をかちとろう。
十・七三里塚全国集会・デモに総決起し、急迫する暫定滑走路建設攻撃を粉砕せよ。
十・一六〜一七日米首脳会談粉砕闘争を軸に今年の十・二一全国統一行動を闘いとろう。ブッシュと小泉に怒りをたたきつけよ。
四党合意粉砕・闘争団防衛の国鉄決戦勝利をかけて、十・一三〜一四国労大会に決起し、その力で十一月全国労働者集会に進撃しよう。
有事立法阻止・改憲粉砕の十〜十一月臨時国会闘争を、全学連を先頭に闘い抜こう。教育改革攻撃−教育基本法改悪阻止へ闘おう。
反帝・反スターリン主義世界革命の旗のもと革共同に結集してともに闘おう。
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