ZENSHIN 2001/09/03(No2019 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2019号1面1)

9・1有事出動演習阻止を 排外主義うち破り在日アジア人民と連帯せよ
 帝国主義の破局と対決する全世界の労働者階級の総決起を
 「失業は当然」と公言する小泉打倒!

 八月の小泉反革命粉砕闘争は連続的=決戦的に打ち抜かれ、素晴らしい前進を切り開いた。八・一沖縄に続く八・六広島|八・九長崎反戦・反核闘争は、戦争国家化=改憲攻撃と全面対決して闘い抜かれた。「つくる会」教科書採択阻止闘争は、公立中学校ではすべての市区町村の採択区で阻止する大勝利をかちとった。そして小泉の靖国神社公式参拝をめぐる国論二分的情勢をつくり上げ、参拝絶対反対の声を靖国神社構内にとどろかせ、多くの人びととともに参拝実力阻止闘争をたたきつけた。この八月闘争の戦闘的高揚を豊かな教訓とし、八月末から秋へ、日帝・小泉の戦争国家化=改憲・有事立法攻撃と全面対決し、九・一自衛隊有事出動演習阻止、九|十月臨時国会でのPKO五原則見直しとPKF凍結解除粉砕、十・一六ブッシュ訪日阻止・日米首脳会談粉砕、国鉄決戦、大失業攻撃との対決、三里塚決戦、沖縄闘争などの全面的発展をかちとり、十一月労働者集会へ上りつめよう。その闘争の基本に革共同六回大会路線をすえて闘い抜こう。

 第1章 戦争・革命の時代に6回大会路線貫け

 二十一世紀冒頭の今、世界史は数十年に一度あるかないかの大激動の中に入りつつある。世界経済は、米帝経済の景気悪化を震源地として、米、欧、日、アジアにわたる世界同時不況の切迫を不可避とする情勢に入った。
 わが革共同が強く提起し続けてきたように、世界経済は確実に二九年型世界大恐慌・大不況を不可避とし、世界経済の分裂化・ブロック化を激成しつつある。それは同時に、帝国主義間争闘戦をますます激化させ、旧スターリン主義圏・残存スターリン主義圏をも対象とする勢力圏分割戦を非和解化させ、世界戦争を必ず引き起こすものなのである。
 帝国主義がその根底的危機ゆえに外への侵略戦争・内への階級戦争に訴える以外に生きる道がなくなり、結局は世界戦争にのめり込むしかない情勢、すなわち第三次世界大戦か反帝・反スターリン主義世界革命かの世界史的決着を求める情勢がぐいぐいと近づき具体化しつつあることを、すべての労働者階級・被抑圧民族人民の共同の実践的認識としようではないか。
 米帝経済はこの四|六月期、バブル崩壊が一段と明確になった。IT産業の不振、収益悪化・赤字化、通信業界の過剰債務が明らかになった。ブッシュは大型減税と金融緩和・金利引き下げなどで対応しようとしているが、バブル経済の崩壊を押しとどめることはできない。
 日帝経済は、IT不況が深まり、ハイテク産業、電機産業の減収減益・赤字化が続出している。株価のバブル崩壊後の最安値更新が連続し、景気は後退し、恐慌要因は再激化している。日銀は金融緩和の拡大で対応した。当座預金残高を五兆円から六兆円に増やし、国債買い切りオペを月額四千億円から六千億円に拡大した。この効果はまったく現れず、残る手は、国債の日銀引き受けとインフレ目標設定となる。だがそれは、不良債権、過剰債務を処理するどころか、ますます増加させ、日帝経済の破局化を強めるだけである。
 こうした中で、米帝ブッシュは、国益最優先の内外政策をとっている。それは一方的外交・単独行動主義(ユニラテラリズム)と言われるが、帝国主義の争闘戦原理のむき出し化ということだ。具体的には地球温暖化防止をめぐる京都議定書からの離脱、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約の破棄の要求、CTBT(包括的核実験禁止条約)の批准拒否、生物兵器禁止条約の議定書の拒否方針、世界人種差別撤廃会議のボイコットの可能性などがある。そこには、米帝金融資本と独占資本、とりわけ石油・軍需・兵器産業の救済と生き残りが最優先されている。
 米帝ブッシュの新世界戦略は第一に、国防戦略を見直し「二大戦域同時対応」戦略を放棄してアジア重視を打ち出したことだ。それは単なるアジアシフトというものではなく、米帝の世界戦略の環・重心は、残存スターリン主義問題と対他帝の争闘戦問題にあるとするものであり、そこから対中国=対日政策を軸にした世界戦略を形成しようというものである。
 第二に、中国・朝鮮侵略戦争とその勝利のために日米同盟を世界戦略上の要(かなめ)として打ち出し、強力に推進することである。これは同時にまた「同盟」とは裏腹に、日帝に戦わずしての敗北を強制するものだ。米帝の対日争闘戦は新段階に突入した。
 第三は、ミサイル防衛構想を大胆に推進することである。これはTMD(戦域ミサイル防衛)とNMD(国家ミサイル防衛)を一体として推進する世界核戦争体制の構築であり、米帝の排他的世界支配を狙う攻撃である。
 このように米帝ブッシュ政権は、実際に中国・朝鮮侵略戦争を軸に世界戦争をもって米帝の覇権と帝国主義的利害を護持する戦略を、それがどんなに絶望的であっても、それしかないものとして、打ち立てつつある。これは真に恐るべき情勢である。
 米帝ブッシュ政権の対日争闘戦のすさまじい激化政策を前に、日帝は小泉政権の登場という形で、改憲=戦争国家化と「聖域なき構造改革」路線を真正面から掲げ、資本主義・帝国主義の行き詰まりへの現状打破・疑似体制変革的な装いをもって、極右的ファッショ的な国家改造計画に突進するしかないのである。
 小泉の反革命路線の根幹にあるのは、日帝金融・独占資本(大企業・大銀行)の延命の絶望的追求である。日帝は当面は米帝世界戦略に沿って独自路線を追求していくが、米帝と日帝の利害は中国・アジア|世界支配という点で根本的に対立しており、日米争闘戦の非和解的激化・発展は不可避である。
 すべての読者諸君。革命的情勢の急速な接近という時代認識を徹底的に鮮明にさせよう。革命党の義務と任務を明確にさせ、革共同のレーニン主義党への飛躍をかちとろう。このことを全面的に提起したのが革共同第六回大会である。党勢倍増、機関紙倍増の達成がいかに急務なのか。それはこの世界史的情勢において、力ある情勢決定要因として革共同が躍り出なければ、革命情勢をたぐりよせることができないからだ。
 六回大会路線は、「二十一世紀のできるかぎり早い時期に、死滅しつつある資本主義=帝国主義とその支配体系の全面的打倒を、反帝・反スターリン主義世界革命の勝利として実現し、資本主義社会から共産主義社会への世界史的移行をかちとる」という鮮明な綱領的時代認識に裏打ちされた革命達成路線である。革共同が六回大会で決定的に深化させたマルクス主義・レーニン主義の思想・路線|反スターリン主義・革命的共産主義運動の理論と実践こそ、全人民が心の底から待ち望んでいるものである。六回大会路線で武装し進撃しよう。

 第2章 教科書・靖国闘争を継続し改憲阻止へ

 日本の労働者人民とアジア人民・在日アジア人民の闘いは、小泉の八・一三靖国神社参拝という卑劣な暴挙に対して、その攻撃を根幹で打ち砕く断固たる反撃を加えた。
 第二次世界大戦|アジア・太平洋戦争強行の不正義の牙城(がじょう)、アジア人民虐殺の神社であり、アジア人民の最大の憎悪の的である靖国神社は、アジア人民の糾弾と反戦闘争の火で真っ赤に染め上げられた。この共同闘争は全人民に非常な感動を与えた。
 「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」という国際主義的連帯闘争が侵略戦争の砦(とりで)=靖国神社をじゅうりんして闘いとられたのだ。
 靖国闘争はこれで終わったのではない。それどころか、われわれは、靖国神社問題を日帝の戦争国家化=改憲攻撃のひとつの頂点的攻撃と位置づけ、靖国闘争を日帝の戦争国家化阻止=改憲・有事立法攻撃粉砕の柱へと積極的に押し上げ、靖国神社を日帝=天皇制の戦略的弱点に転化してしまう闘争を決定的に強化していくことを断固として宣言しようではないか。
 小泉は八月十三日の談話で言っている。
 「祖国の未来を信じて戦陣に散っていった御霊(みたま)の前で、今日の日本の平和と繁栄が、その尊い犠牲の上に築かれていることに思いをいたす」と。
 「祖国の未来」「今日の日本の平和と繁栄」とは何か。それは、日帝国家の利益、天皇制=国体の護持ということ以外の何ものでもない。つまり、小泉は、国家=天皇のためどんどん死んでくれてありがとう、膨大な死がいの山を見て涙が出るほどうれしいとほざいているということなのだ。
だから小泉は、残された国民は、戦死者に感謝し、再びお国のために戦争に行き、天皇のために死ぬべきだ、と新しい戦争をあおっているのだ。
 小泉とはなんと卑劣なのだろう。過去のアジア・太平洋戦争における戦死者を、新たな戦死者をつくり出すために徹底的に利用している。戦争で殺された兵士・人民に対する謝罪も追悼の気持ちも何もないのだ。侵略され、虐殺されたアジア人民の存在、叫びはまったく無視・抹殺されているのだ。
 日本人兵士も日帝によって殺された。アジア人民を虐殺させられ、そしてその戦争で殺された。小泉は特攻隊を賛美しているが、日本軍の「特攻作戦」こそ日帝が兵士を鉄砲玉、モノとしか考えていなかった証拠だ。アジア人民を大虐殺し、日本軍の兵士も犬死にさせたのだ。日本軍戦死者二百三十万人のうち約六割は餓死、戦病死といわれる。兵士を人間扱いしていなかった証拠だ。
 天皇と帝国主義は、労働者人民に戦争を押しつけ、死を強制し、その犠牲による侵略の戦果を自分たちだけがむさぼり食った。しかも天皇は、自分の延命、保身のためにポツダム宣言受諾を引き延ばし、沖縄戦、広島・長崎の原爆、ソ連参戦でさらに多くの労働者人民を死に追いやった。こういう連中が、三百万人の戦争犠牲者の上にふんぞり返って戦後も恥知らずに生き延びたのだ。支配者階級として再度権力を握ったのだ。「平和と繁栄」もこうした連中のためであった。
 その戦後的「平和と繁栄」の時代も完全に終わった。戦争と大失業の時代に再突入した。その途端、日帝・小泉は再度、靖国神社を持ち出し、戦争犠牲者を悼み、感謝を捧げようと言い出した。魂胆は明白である。小泉はA級戦犯を祭る靖国神社を公式参拝することで、アジア・太平洋戦争が正しい戦争であったと、あらためて態度表明することにしたのだ。これは、「もう一度侵略戦争をやる」という宣言である。
 アジア人民の怒りは沸騰している。日帝は、今日に至ってもなお侵略戦争と植民地支配の責任をまったくとっていない。アジア人民は、日本軍軍隊慰安婦制度やその他の戦争責任追及・賠償要求で、日帝を激しく追及している。
 日本の労働者人民は、アジア人民との共同闘争を発展させ、靖国神社攻撃をボロボロにしよう。

 教科書闘争の勝利の地平

 「つくる会」教科書採択阻止闘争の勝利の意義は実に大きい。
 これは、広範な労働者人民が力でもぎり取った勝利である。何よりも南朝鮮人民、中国人民の「つくる会」教科書への激しい弾劾行動があった。在日朝鮮人、中国人が各地で立ち上がった。こうしたアジア人民、在日アジア人民の闘いに支えられ、励まされて、日本の労働者階級人民は、戦後史を画するようなアジア人民との国際主義的連帯闘争を展開し、「つくる会」教科書の採択を阻止したのだ。
 東京都、愛媛県での養護学校における採択は絶対に許すことはできない。採択撤回へ闘いを強めよう。
 この「つくる会」教科書の採択阻止闘争の勝利が、八・六広島―八・九長崎闘争の高揚に結びつき、靖国闘争の爆発につながった。
 「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」という戦略的総路線が豊かに物質化された。これは、「七・七自己批判」の実践的貫徹であり、七〇年闘争の地平を継続し発展させるものだ。
 小泉打倒・小泉反革命粉砕の血路はついに開かれたのだ。いざ、八月末から九・一闘争〜今秋決戦の爆発をかちとり、十一月労働者集会に上りつめよう。

 第3章 小泉反革命粉砕へ今秋決戦の爆発を

 九・一自衛隊有事出動・治安出動演習阻止闘争は、
戦争国家化阻止=改憲・有事立法粉砕の重大な闘いである。全力で闘おう。
 九―十月臨時国会ではPKO五原則見直しとPKF凍結解除=自衛隊のアジア侵略戦争への派兵、東ティモール出兵との闘争が重要課題である。また、有事立法攻撃がついに現実化してくる。有事立法闘争を一大人民運動としてつくり出し、階級的労働運動の正面課題に押し上げることだ。
 沖縄では、中国・朝鮮侵略戦争の最前線基地化の攻撃、名護新基地建設の攻撃が重大段階を迎えた。沖縄人民と連帯して闘おう。
 三里塚闘争は、今秋暫定滑走路完成・年内テスト飛行、千葉県収用委員会再建策動をめぐって緊迫している。十・七三里塚現地闘争に結集しよう。
 国労大会は十月十三、十四日である。千四十七人問題の反動的決着を粉砕し、第二の分割・民営化攻撃への総反撃に立つ決戦として闘い抜こう。国鉄決戦の勝利が十一月労働者集会の成功のかぎである。七月の完全失業率が初めて五%台に乗る見通しになったことについて小泉は、八月二十三日、「改革していくうちに、ある程度失業者が増えるのはやむを得ない」と言い放った。大失業と労働組合解体の小泉「構造改革」と全面対決して闘おう。
 獄中同志の奪還は今秋決戦の最大の柱のひとつである。無実の罪で無期懲役や未決で十五年も拘留されていることが許せるか。四同志の保釈奪還十万人署名運動を柱に全力で獄中同志を取り戻そう。
 一切はレーニン主義的な党の建設にある。帝国主義経済の破局と第三次世界大戦の切迫、そして階級情勢の全面的な大流動化という革命的情勢の急接近の中で、革共同の抜本的な飛躍が切実に求められている。党勢倍増のポイントは大衆の側にではなく、党の側にある。財政闘争もしかりだ。マルクス主義・レーニン主義―反スターリン主義・革命的共産主義で研ぎ澄まされた革共同の自己変革的決起が情勢を一変させる。労働者階級人民は根底的な本物の共産主義革命を切望しているのだ。党建設の自覚的観点からも今秋決戦―十一月を闘おう。

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週刊『前進』(2019号1面2)

9・1演習 川崎・調布・各地で行動を
 関東大震災 朝鮮人・中国人大虐殺弾劾 

 昨年の都知事石原主導による九・三防災訓練「ビッグレスキュー東京2000」=自衛隊治安出動演習に続いて、今年も九月一日に、より大規模で、かつ質的にもエスカレートした防災訓練が強行されようとしている。小泉の八・一三靖国神社公式参拝の強行を受けた九・一演習は、新しい帝国主義戦争・侵略戦争に向けて実際に自衛隊が国内外でどう軍事展開・治安出動するか、それを労働者人民がどう支えるかを訓練するものであり、いわゆる「周辺有事」対応のための戦争演習そのものである。(6面に関連記事)
 八・六ヒロシマ|八・九ナガサキ反戦反核闘争、八・一三〜一五靖国闘争、「つくる会」教科書粉砕闘争を闘い抜き、小泉反革命粉砕の大衆的総反撃のうねりをつくり出してきた地平をさらに発展させるひとつながりの決戦として、九・一闘争に総決起しよう!

 「防災訓練」の名で軍事演習

 第一に、「防災訓練」の名での自衛隊有事出動演習を弾劾・粉砕し、日帝・小泉政権の戦争国家づくり阻止=改憲粉砕の闘いとして決起しよう。
 九・一防災訓練は、川崎市と調布市を中心に七都県市合同という広域にわたって行われる(ビッグレスキュー東京2001はその一環)。しかもその中身は、露骨な新ガイドライン演習、つまり中国・朝鮮を敵と見なした軍事的後方支援演習である。
 新ガイドライン法でいう戦闘地域への突入、在外日本人の救出、負傷あるいは孤立した戦闘員の後方への輸送などを想定し、そのための陸海空自衛隊の前進基地や後方拠点の設営の訓練、港湾や飛行場、高速道路の軍事使用、架橋・渡河訓練、戦時医療=トリアージ訓練、空中機動力展開訓練、米軍との連携作戦演習(米軍横田基地・赤坂プレスセンターを使用)などが行われる。さらには、「都市ゲリラ・コマンドウへの対処」を想定した自衛隊治安出動とその具体化である市街戦訓練がある。
 重大なことは、小中学生・高校生を強制的・半強制的に奉仕活動に動員して訓練を担わせることを始め、労働者住民の総動員体制づくりのための訓練であるということだ。有事法制の先取り演習そのものだ。
 しかも小泉自身が、多摩川河川敷(調布市側)→調布基地跡地→川崎港→新川崎へと陸自ヘリで移動視察する。靖国参拝攻撃や教育改革攻撃による「国家のため、天皇のために死ぬことは日本人の最高の栄誉ある死である」とする帝国主義的国家主義・愛国主義・排外主義の大扇動と一体となって、自衛隊の侵略軍隊化のための演習に労働者人民・若者の動員訓練を行うのが九・一演習である。
 反戦・反侵略、反戦・反軍の闘いを強力にまき起こし、日帝・小泉政権の戦争国家化=改憲攻撃を真っ向から粉砕しよう。九・一闘争を、小泉粉砕・小泉政権打倒を真っ向からたたきつけて闘おう。

 国際連帯かけ総決起しよう

 第二に、アジア人民・在日アジア人民との血債をかけた国際連帯の闘いとして総力決起しよう。
 小泉=石原=自衛隊統幕議長を最高指揮官とする有事演習を、こともあろうに一九二三年の関東大震災=朝鮮人・中国人大虐殺の「九・一」の日に強行することは、それ自体がすさまじい在日・滞日アジア人民への排外主義を扇動する大攻撃である。しかも在日朝鮮人が多く居住する川崎市、調布市を自衛隊三軍が制圧するのは、排外主義的襲撃そのものである。
 この攻撃は、日本の労働者人民が「つくる会」教科書粉砕闘争、小泉靖国公式参拝粉砕の闘いをとおしてアジア人民との国際連帯の闘いを懸命につくり上げつつあることに心底恐怖し、それを一挙に解体するための攻撃でもあることを直視しよう。これを絶対許さず、関東大震災における朝鮮人・中国人大虐殺徹底弾劾、米日帝の中国・朝鮮侵略戦争阻止、改憲粉砕・有事立法阻止、アジア人民・在日アジア人民との連帯を大きく掲げ、国際主義的連帯の闘いを飛躍的に強化しよう。
 第三に、小泉の靖国参拝、「つくる会」教科書攻撃、有事法制|改憲、労働組合破壊、首切り・リストラと低賃金強制などの攻撃に怒りを燃え立たせ、九・一自衛隊有事出動演習粉砕闘争に総決起しよう。九・一から今秋決戦、十一月労働者集会へ総進撃しよう。

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週刊『前進』(2019号1面3)

 おわびと訂正

 前号1面の「ヒロシマ大行動」と説明のある写真は、6日朝の小泉祈念式典出席弾劾デモの写真でした。8・6ヒロシマ大行動実行委員会、被爆56周年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会ならびに読者の皆さんにおわびし、訂正します。

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週刊『前進』(2019号2面1)

小泉「構造改革」攻撃うち破る11月労働者集会5千人結集へ
10月国労大会決戦で血路開け
 革共同中央労働者組織委員会

 日帝・小泉政権の改憲・戦争国家化攻撃への労働者人民の死活をかけた反撃が始まった。八・六ヒロシマ大行動への三千人の結集、小泉の八・一三靖国神社参拝の強行に対する国際主義的連帯を貫いた怒りの決起、杉並、国立、栃木などで「つくる会教科書」採択を阻止した大衆的、国際主義的闘いなど、小泉による改憲−有事立法−教育改革攻撃と真っ向から激突し、それを打ち破る感動的な歴史的闘いが爆発している。小泉の一大反革命に対して、ついに労働者人民の渾身(こんしん)の反転攻勢が奔流となって開始されたのである。いよいよ今秋から来年にかけて、小泉の改憲・有事立法、教育改革(教育基本法改悪)−戦争国家化攻撃、「聖域なき構造改革」による大失業攻撃に、全面的な反撃をたたきつけなければならない。その一大階級決戦の号砲が今、鳴り響いている。九・一自衛隊有事出動演習阻止闘争を突破口に九−十月闘争に決起しよう。そして、十月国労大会と十一月労働者集会の大結集に向け、労働者の中にくまなく入り込み、その壮大な組織化を実現するため、全党の死力を尽くした総決起をかちとろう。

 恐慌と戦争の切迫に労働者階級の反撃を

 小泉反革命の登場が意味するものは、帝国主義世界戦争の切迫であり、米日帝の中国・朝鮮侵略戦争の恐るべき現実性である。戦争そのものが、まさに小泉の台頭という形で労働者階級に突きつけられている。戦後体制のもとでのあらゆる価値観、諸権利は木っ端みじんに吹き飛ばされ、排外主義や国家主義や愛国主義が洪水となって労働者を直撃し、恐るべき勢いで飲み込もうとしているのだ。
 日帝・小泉は「聖域なき構造改革」を掲げ、「現状打破」の幻想をふりまき、「八〇%以上の支持」と参院選圧勝をもって階級闘争を反革命的に制圧・絞殺し、侵略戦争に突進しようと企てている。さらには、全産業で嵐(あらし)のような資本攻勢を仕掛け、労働組合とあらゆる形の階級的団結を解体しようとしているのだ。
 小泉反革命の背景には、米帝ブッシュ政権の登場がある。ブッシュ政権によって、帝国主義世界戦争の危機はすさまじい勢いで現実のものとなっている。
 「ユニラテラリズム(単独決定主義)」を唱える米帝ブッシュは、ジェノバ・サミットでは、地球温暖化防止京都議定書からの離脱、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約の破棄要求、CTBT(包括的核実験禁止条約)の批准拒否を打ち出し、米帝一国のむき出しの帝国主義的利害をごり押ししてきた。
 これは、ブッシュが軍事産業や石油産業の直接的利害の代表として大統領に押し出されていることをも契機としつつ、米帝がバブル崩壊の危機と二九年型世界恐慌の突入情勢のもとで、新たな世界戦略への転換を貫こうというものなのだ。
 ブッシュは、単独決定主義をもって新ミサイル防衛構想をぶちあげ、これまでの「二大戦域同時対応」戦略から中国スターリン主義の転覆を基軸に据えた対中国−アジア重視へと転換し、日米同盟を日帝押さえ込み的に強化するという新たな世界戦略を打ち立てた。これは、対中国−対日帝政策を世界政策の軸としながら、直接の戦争発動によって危機を打開しようとするものであり、中国・朝鮮侵略戦争の危機を一挙に引き寄せている。この米帝の露骨な戦争政策に突き動かされながら、小泉は改憲・戦争国家化攻撃へと激しく突き進んでいるのである。
 他方で日帝は、帝国主義間争闘戦での敗勢を深め、没落と破滅の淵(ふち)に突き落とされている。日銀によるこの間の金融の量的緩和政策は、小泉「構造改革」が唱える不良債権処理の本格的な実施を前に、企業収益の悪化をくい止め、円高と一万二千円を大幅に割り込んだ株価の下落を阻止し、なんとか危機を先送りさせようとするものだったが、それは完全に焼け石に水となった。
 逆に円高は進行し、株価はバブル崩壊後の最安値をさらに更新している。九月中間決算を控え、また時価会計の導入を前に持ち合い株の解消売りも増大し、株価の一万円割れすら時間の問題だ。巨額の不良債権と含み損を抱えた金融資本の破綻(はたん)とともに、今後大型倒産が激しく重なり、株の再下落から不況の悪矛盾的拡大、「デフレスパイラル」が進行し、今度こそ日帝経済は奈落(ならく)の底に転げ落ちようとしている。
 こうした恐慌と戦争の現実的切迫に対して、革共同は今こそ労働者党としての真価をかけて、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の戦略的総路線を真っ向から掲げ、その実現のための命がけの実践に総決起しなければならない。

 レーニン主義の党建設

 革共同は、都議選決戦の厳しい敗北に対して党中央の深刻な自己批判を行い、小泉反革命との対決における「たじろぎ」を思想的・組織的問題としてえぐり出した。まさに帝国主義戦争の現実性に直面した革命党として、根底的な思想的格闘と死闘的実践の問題が突きつけられたのである。帝国主義戦争の切迫という今日の情勢の中で、それに勝ち抜く党の根底的全面的な自己変革と飛躍をかけた闘いが激しく迫られている。
 帝国主義戦争の切迫とは、革命的情勢の接近であり、レーニンの「革命党の三つの義務」の強烈な実践が問われるということだ。革命的情勢の急接近を大衆に明らかにし、プロレタリアートの革命的自覚と決意を呼び覚ますとともに、革命的情勢に対応するあらゆる「革命的大衆行動」を支援、促進、発展させなければならない。そのためにも革命的情勢に応ずる組織、すなわちレーニン主義によって武装された革命的労働者党の建設が死活的課題となっているのである。
 レーニンは、『第二インターナショナルの崩壊』の中で、革命的情勢の特徴を列挙した上で、次のように述べている。
 「およそ革命的情勢があればかならず革命がおこるというわけのものではなく、ただつぎのような情勢からだけ、すなわち右に列挙した客観的変化に主体的変化がむすびつくばあい、つまり旧来の政府を粉砕する(またはゆるがす)にたる強力な革命的大衆行動をおこす革命的階級の能力がむすびつくようなばあいにだけ、おこるものだからである」
 革命的情勢の急接近の中で求められる「革命的大衆行動」の組織化とは、労働者階級の怒りと決起に結びつき、その徹底的な階級的獲得と組織化を推し進めることである。そのためにも、労働者階級の中に深々と党を建設していくことなのである。
 中央指導部を先頭にした党の全面的な自己変革の闘いは、今秋における小泉反革命との全面対決、十月国労大会の勝利と十一月労働者集会への大結集運動の中で、労働者党の強大な建設と一体となって徹底的に実践されなければならない。

 徹底した団結破壊で大失業強制する小泉

 小泉は「痛みを伴う」「聖域なき構造改革」を唱えつつ労働者階級に大失業を強制し、徹底した搾取と収奪、犠牲を強い、改憲・戦争国家化攻撃を押し貫こうとしている。十月国労大会−十一月労働者集会に至る決戦は、この小泉「構造改革」の階級的性格を徹底的に暴露し、それとの全面的な対決を貫く闘いである。
 六月二十一日、小泉を議長とする「経済財政諮問会議」は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を打ち出した。
 基本方針の第一の核心は、対米争闘戦における日帝の敗勢と没落への危機感を絶叫しつつ、日帝の体制的危機の絶望的突破をかけたものとして打ち出されたということである。
 日帝資本は、九五年の日経連「新時代の『日本的経営』」を皮切りに「構造改革」路線を打ち出し、九九年の「経済戦略会議報告」(樋口レポート)、二〇〇〇年、二〇〇一年日経連労問研報告でその本格的な実行へとかじを切った。それは、九七年末から噴出した金融危機によって日帝経済の破産が突きつけられる中で、日帝ブルジョアジーが全体重を傾けて打ち出したものであった。経済財政諮問会議の基本方針は、これらを直接的に受けたものであるが、そこでは「日帝没落の危機感」がさらに激しく表明されている。そればかりでなく、「構造改革」を国家戦略そのものとして全面的に展開しようとするところに、明白な歴史的大転換が存在する。
 また小泉「構造改革」は、これまで日経連が唱えてきた「経済・社会の構造改革」路線を貫く「高コスト構造の是正」「総額人件費の視点」を基底に据えつつも、その実行にあたってむき出しの国家主義、愛国主義、排外主義のイデオロギーを扇動し、極右的・ファッショ的な国家改造にまで突き進もうとしている点においても、決定的な転換なのである。
 基本方針の第二の核心は、何よりも不良債権処理によるすさまじい大失業攻撃を「労働市場の構造改革」をもって強行しようとしていることである。しかも、首切りやリストラをとおした「労働力の流動化」を、「現状破壊的」=暴力的に強行しようというのである。
 そのために小泉は、あらかじめ「低成長宣言」を打ち出している。小泉は、いったん大不況になろうが構わないと言い放っているのだ。「サービス分野で五年間に五百三十万人の雇用を創出する」などという計画をねつ造しているのも、五百万人以上の大量の失業者を能動的に生み出そうと思っているからなのだ。小泉の狙いは、「今後雇用機会の拡大が見込まれるサービス部門への労働移動が円滑に行われること」などとうそぶきながら、この五百万人の失業者を低賃金のサービス部門に注ぎ込むことにある。すなわち、終身雇用制を全面的に解体し、五百万人どころか数千万人の全労働者を対象とするような規模で「創造的破壊」=大失業を推し進め、ほとんどすべての労働者を不安定雇用と低賃金労働者に置き換えようとしているのである。
 これは、もとより公務員すら例外ではない。いや、むしろより激しい攻撃が襲いかかる。基本方針に言う「七つのプログラム」のうち、「民営化・規制改革プログラム」と「地方自立プログラム」はセットになって押し出され、「創造的破壊」そのものとして郵政民営化、特殊法人の廃止・民営化が強行されようとしているのだ。それを突破口とする「公務員制度改革」は、戦後地方自治制度、戦後公務員制度の解体と一体で、公務員労働運動、全逓労働運動などの全面的解体と変質を狙うものである。そして、これらを「徹底した行政改革」として遂行し、全公務員労働者に不安定雇用と低賃金を拡大しようとしているのである。
 さらに、「七つのプログラム」のうち「保険機能強化プログラム」は、戦後社会保障の制度と理念を解体し、労働者への高負担と収奪を一層強め、とりわけ女性と高齢者を不安定・低賃金労働に駆り立てようというものである。
 基本方針の第三の核心は、労働運動=労働組合の解体、団結破壊攻撃に向けての歴史的踏み込みが行われたということである。
 国家・社会改造とも言うべきこれだけ大規模な首切り・リストラと不安定雇用化・低賃金化の攻撃は、労働組合の徹底的解体なしにありえない。
 小泉は明らかに、米帝がレーガン時代において強行した、徹底した労働組合破壊をつうじての低賃金化・不安定雇用化、社会保障解体の歴史的大攻撃をめざしている。さらに小泉にとっては、労働組合を解体し、階級意識、階級的団結を破壊し尽くさなければ、戦争国家への改造攻撃もありえない、ということだ。
 基本方針が、改憲攻撃の一環でもある「司法改革」を強調していることは、労働法制の全面的な改悪や労働委員会制度の解体によって団結権の根底からの破壊を狙うものである。また「国民や企業の経済活動にかかわる民事・刑事の基本法について抜本的に見直す」としていることは、労働組合運動への刑事・民事免責を取り払い、団結権を解体して、労働組合や労働運動全体を組対法型治安弾圧の対象にする恐るべき攻撃である。

 労働法制も全面改悪へ

 これらの小泉「構造改革」を具体的に実行するものとして、総合規制改革会議が七月二十四日に発表した「重点六分野に関する中間とりまとめ」がある。
 特に六分野のうち〈人材(労働)分野〉の「規制改革」は、まさに小泉「構造改革」が、アメリカ型=レーガン型資本攻勢をモデルとして具体化されようとしていることを示している。
 ここではまず、規制改革の理由を「人口高齢化」と「国際競争環境の変化」(争闘戦の激化)などによる「個別企業、産業の栄枯盛衰のテンポは早くなる」(倒産と失業が激増する)ことに求めている。そして、「就職から定年退職まで一企業で雇用を保障するのではなく、労働市場を通じて雇用を保障していく体制への移行が必要」と言い放ち、規制改革の主要な目的のひとつが終身雇用制の解体にあることを宣言している。
 今ひとつは、これまで「労働条件等は……集団的に決定されてきた」が、「能力・成果主義賃金の浸透など、労働条件の個別決定化も進んできた」とし、また「パートや派遣労働などを選択する個人も増えている」として、労働組合の解体や「雇用の流動化」「就労形態の多様化」=不安定雇用化の「進行」を促進するために規制改革を断行する、と宣言していることだ。
 さらに「規制改革」の具体的な項目として、@派遣労働の常態化、派遣対象業務の拡大により、正社員を徹底的に削減するリストラを推進する、A有期雇用契約期間を一年から五年に延長し、解雇規制法理を解体する(従来は、反復して締結された労働契約は期間の定めがない雇用と同様に扱われ、解雇に対する一定の規制が存在した)、B「解雇の基準やルールを立法で明示することを検討」するとして、「整理解雇四要件」には触れず、解雇規制を撤廃するための「解雇ルールの立法化」を進める、C裁量労働制を拡大し、労働時間について規制がない労働者を増大させる、などの方策を打ち出している。これらは、労働基準法を始めとした労働法制の全面改悪を進め、さらにそれによって社会保障制度の全面解体をも促進しようとするものである。
 以上のことからも、小泉「構造改革」が、アメリカ型資本攻勢をモデルにして労働組合の団結を解体し、階級意識を粉砕し、大量の首切りと大規模な合理化・リストラを自由自在に進め、社会保障を徹底的に解体し、その結果、膨大な不安定・無権利・低賃金の労働者をつくりだそうとするものであることが分かる。
 要するに、現在のアメリカ社会がそうであるように、ほんの一握りの金持ちの対極に膨大な無権利・低賃金の労働者と失業者が存在するような社会にしようとしているのだ。貧富の差が広がれば広がるほど「聖域なき構造改革は前進した」ということになるのである。
 そして、一九三〇年代のように、低賃金労働者と失業者に向かって排外主義と愛国主義をふりまき、戦争国家化を推し進め、侵略戦争への総動員を図ろうとしているのだ。
 問題は、小泉「構造改革」がどういう推移をたどろうが、帝国主義間争闘戦の激化と世界経済のブロック化の趨勢(すうせい)、日帝経済の恐慌と破局へののめり込み、帝国主義戦争の切迫、階級対立の先鋭化は不可避である、ということだ。だからこそ小泉は、どんな破産にたたき込まれようとも、さらに強権的、暴力的、現状破壊的な「構造改革」・国家改造攻撃に突き進む以外にない。こうした中で進行する階級間の極限的な激突、非和解的対立は、労働者階級に戦争か革命かの問題を究極的に突きつけている。帝国主義は戦争以外に生き延びることはできない。労働者階級にとっては、排外主義、国家主義の扇動を打ち破り、階級的団結を固め、小泉を打倒して、プロレタリア革命を成就する選択以外に生きる道はないということなのである。

 国労大会を小泉打倒の一大総決起の場に

 十月十三、十四日の国労第六八回定期全国大会とそれに至る過程は、国労の生死と日本労働者階級の命運をかけた戦後労働運動史上、最大最高の大決戦になった。この国鉄決戦の死闘をとおして、十一月五千人結集の血路は切り開かれる。
 国労大会の第一の課題であり、国鉄決戦の最大の攻防点となっているのは、小泉「構造改革」による国労・動労千葉解体攻撃を全面的に打ち破ることである。
 小泉反革命の戦争国家化攻撃、「構造改革」攻撃の環は、労働者の階級的団結の根絶にある。だが、小泉「構造改革」の「前身」とも言うべき中曽根の臨調行革=国鉄分割・民営化攻撃にもかかわらず、十四年たった今日も、千四十七人闘争を先端に国労・動労千葉(動労総連合)が階級的団結の砦(とりで)として不屈に存在している。これを放置したまま、労働組合解体を根幹とする「聖域なき構造改革」を断行しようとしても、それが根本的な挫折に突き当たることはあらかじめ明らかだ。まさに国鉄闘争こそ、小泉「構造改革」に敢然と立ちはだかっているのである。
 十月国労大会は、国労の解体か再生かをめぐって、小泉反革命と真っ向から激突する戦場となった。折しも、小泉「構造改革」のもとでの資本攻勢は、いよいよこれから本格的に激化し、首切り・リストラ・倒産攻撃の嵐が吹き荒れようとしている。この真っただ中の十月に国労大会が開催される。今国労大会を、怒りのこぶしを挙げる労働者階級の最先頭に立つべき国労組合員と国鉄闘争支援陣形の、小泉政権打倒の一大総決起の場にしなければならない。
 第二の課題は、一切の反動の元凶である四党合意にとどめを刺し、闘争団切り捨てを粉砕し、反動執行部打倒−闘う執行部樹立をかちとることである。
 現執行部を始め、チャレンジと反動革同は、ゼロ解決でも何でものみ、闘争団・千四十七人闘争を解体し、国労を内側から破壊しようと策している。
 チャレンジ一派などは、闘争団を切り捨て、国労の分裂を強行することで連合合流路線に突き進もうとしているのだ。だが、この策動は次々と崩れ、袋小路に入った。だからこそ、国労大会では分岐と激突が極限化し、そのすべてに決着が求められる。チャレンジと反動革同らは、焦り、いらだち、追い詰められながら、一・二七のようになりふり構わず、数の暴力と国家暴力をもって絶望的に突進してくるであろう。だが、こうした理不尽極まる不正義は、国労に脈々と息づく階級的力を必ず呼び起こす。今こそ、国労と国鉄労働運動の階級的底力を爆発させ、その階級的エネルギーに徹底的に依拠して、二カ月間の死闘に突入しなければならない。
 四党合意撤回の労働委員会闘争を強化し、闘争団・千四十七人闘争を守り抜き、発展させよう。
 第三の課題は、JR東日本の「ニューフロンティア21」によるメンテナンス合理化−全面外注化攻撃と対決し、職場からの総反撃を巻き起こすことである。
 メンテナンス合理化は、国労職場を絶滅・一掃する歴史的な大攻撃だ。ニューフロンティア21は、小泉「聖域なき構造改革」の最先端をなし、日経連路線を字義どおりに推し進めるすさまじい攻撃である。鉄道会社のあり方を根本的に転換し、分割、外注化によって職場を解体する。労働者に出向・転籍を強要し、一万人削減を突破口にほとんどのJR労働者を不安定雇用にし、能力給を導入して低賃金化を極限的に推し進める。さらに、それら一切をテコとして、労働組合を解体しようとするものだ。まさに第二の分割・民営化攻撃そのものである。
 だが、この攻撃は万能、万全なのか。まったく違う。そもそも分割・民営化攻撃は、安全問題の爆発、JR総連カクマルとの結託体制の瓦解(がかい)、三島・貨物会社の破綻によって、完全に破産しているのだ。JR法改定にもかかわらず、ニューフロンティア21=第二の分割・民営化攻撃は初めから危機にたたき込まれている。この敵の危機を徹底的に見抜かなければならない。闘争団・千四十七人と合流し、職場の階級的団結を打ち固めて不屈に立ち上がるならば、権力・資本の危機の根幹を射抜くことになる。敵の攻撃を、小泉「構造改革」の最弱点に転化することができるのだ。
 国労職場には、ふつふつとした怒りがたぎっている。国労大会を待たず、今この時に、国労の生死をかけた攻防が開始されている。中央本部・エリア本部の裏切りを許すな。合理化の先兵・JR東労組カクマルを打倒しよう! 今こそ動労千葉百二十時間ストライキに続こう。

 今こそJR総連解体を

 第四の課題は、「第四次労使共同宣言」を徹底弾劾し、ファシスト労働運動と帝国主義的労働運動を打ち破り、国鉄決戦の新段階を切り開くことである。
 八月一日、JR東会社とJR東労組は、「二十一世紀労使共同宣言」と銘打った第四次労使共同宣言を締結した。JR東資本=大塚は、ニューフロンティア21をなりふり構わず強行するために、JR総連=松崎・カクマルを再び先兵として採用したのである。この攻撃を貫くためには、分割・民営化攻撃とは違うレベルで、凶暴かつ資本に完全に忠実な先兵が必要となったということだ。大塚は、松崎にファシスト労働運動としての独自的展開はもはや一切許さないとタガをはめた上で、松崎・カクマルとの結託を再形成した。
 他方、JR総連=松崎・カクマルは、ファシスト労働運動としての延命を求めてのあがきの末に、黒田・カクマルとの分裂抗争を深め、ついに第二の分割・民営化攻撃においてもその最悪の先兵となることを資本に誓った。これは、企業と国家の危機に際してファシスト組合として何でもする、帝国主義の戦争政策にも賛成するという、ファシスト労働運動の極致の宣言だ。
 この事態には、分割・民営化の危機と破産、小泉「構造改革」の激しさと危機性が余すところなく示されている。資本・カクマル結託体制こそ、分割・民営化体制の最弱の環であり続けてきた。日帝権力とJR資本は、一層むき出しの姿をとって松崎・カクマルとの結託に依存せざるをえないのだ。
 さらにこの事態は、チャレンジ=帝国主義的労働運動派の「労使正常化」=「民主化」路線の壊滅的破産をも突きつけている。JR総連カクマルと闘うのではなく、資本にすがり、四党合意などの奴隷的屈服をもって取り入ろうとしたチャレンジ一派の思惑は、今や根底的に破産した。
 国鉄決戦は、あらゆる意味で重大な歴史的転機を迎えている。第二の分割・民営化攻撃への一大反撃が求められている。「第四次労使共同宣言」を徹底弾劾し、JR総連解体・打倒の闘いを国労大会から十一月労働者集会に至る闘いの決定的一環として据えなければならない。
 四党合意撤回、闘争団切り捨てを許すな、メンテナンス全面外注化阻止・シニア制度粉砕、闘う執行部樹立へ、国労大会の歴史的勝利のために、九−十月決戦に総決起しよう。

 階級的団結を打ち固め

 国労大会決戦を打ち抜き、十一月労働者集会への五千人結集をなんとしても実現して、小泉反革命への総反撃に立つ労働者の強固な隊列を登場させようではないか。国鉄決戦を最前線に、全逓、教労、自治体の四大産別を始めとする全産別・全戦線で、小泉「構造改革」の大失業と戦争攻撃に全面対決を貫こう。
 動労千葉の春闘百二十時間ストライキは、階級的団結の力を鮮やかに示し日本労働運動に階級的再生の息吹を与えた。全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部と全国金属機械労働組合・港合同は、中小民間の労働者を襲う激しい倒産・首切り攻撃と真っ向から対決し、血のにじむような闘いの中で団結を守り抜いている。この三組合から学び、階級的団結の強化と拡大をかちとろう。
 小泉「構造改革」を粉砕する力は、階級的団結を本格的に強化することである。この中に、小泉反革命を根底から打ち破る勝利の道がある。
 小泉「構造改革」に屈服し、その先兵となった連合に対する労働者の怒りは煮えたぎっている。十一月労働者集会への五千人結集の実現は、階級的労働運動の新潮流が日本労働運動の主流派に躍り出る決定的な突破口を開くものとなる。今こそ、連合・全労連を打ち破る労働者の壮大な決起をつくり出そう。
 さらに、今秋から来年にかけての攻防は、小泉の有事立法−改憲攻撃との全面的な激突になろうとしている。この闘いの中心軸を、労働運動こそが担わなければならない。十一月労働者集会は、その決戦陣形を築くものである。
 今日、苦闘する労働者階級に必要なのは、マルクス主義・レーニン主義を労働運動の武器にして、階級的団結の力を獲得し、プロレタリア自己解放闘争の発展をかちとることである。プロレタリア的情熱をたぎらせ、宣伝・扇動、オルグ活動、学習会を積み重ね、十一月労働者集会への五千人の組織化をかちとろう。レーニン主義の党を建設しよう。

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週刊『前進』(2019号3面1)

「つくる会」教科書採択阻止闘争、勝利の地平
 改憲・戦争国家化と対決し教科書・教育闘争の発展を
 東京・愛媛養護学校採択撤回をかちとろう

 労働者人民が力でもぎ取った大勝利

 「つくる会」教科書採択阻止の闘いは歴史的な大勝利をかちとった。公立中学では市区町村の五百四十二採択区でゼロ。都道府県立学校では歴史・公民が東京の養護学校の一部、歴史のみが愛媛の養護学校・ろう学校四校。国立中学はゼロ。私立中学は歴史・公民が六校、歴史のみが一校、公民のみが二校。生徒数比率では、歴史が約八百冊で〇・〇六三%、公民が約千六十冊で〇・〇八二%(教科書情報資料センターの調査による)。「つくる会」が目標とした「生徒数の一〇%」どころか、〇・一%にも及ばない惨状だ。
 敵は数年がかりで「つくる会」教科書採択へ道筋を引いていた。採択制度改悪を求める請願が地方議会で採択され、採択制度の大改悪で教育労働者が排除された。政府・文科省は「つくる会」教科書を検定合格させ、韓国・中国両政府からの再修正要求はごう然と拒否、逆に「内政干渉を許すな」と排外主義キャンペーンを展開した。そうした中で多くの採択区でぎりぎりのせめぎ合いとなった。教育委員の「つくる会」教科書への賛否が同数になった教委、僅差(きんさ)だった教委も多い。しかし広範な人民の闘いが「つくる会」教科書の採択を阻止した。労働者人民が力でもぎり取った勝利である。

 栃木と杉並が全国情勢決す

 とりわけ全国情勢を決したのが、栃木県下都賀(しもつが)地区と、東京・杉並区における勝利である。
 七月十一日に公立校で初めて「つくる会」教科書採択を決めた下都賀地区教科書採択協議会では、教組、地区労や自治労、市民団体などが猛然と決起し、二十五日の再度の協議会で決定を白紙撤回させた。
 杉並では、昨年十一月の山田区長による教育委員人事差し替えに危機感を高めた人びとが、申し入れ行動、区役所前座り込み、署名提出行動などを連日展開した。七月二十四日には五百五十人の「人間の鎖」が区役所を包囲し、そして二十五日、「つくる会」教科書の採択は阻止された。「つくる会」派教育委員、勝共連合機関紙『世界日報』主筆の大蔵雄之助も、「軍隊慰安婦は売春婦だった」発言を徹底追及し辞任を要求する闘いによって、「つくる会」教科書を推すとは言い出せなかった。
 この二つの勝利で、闘う者すべてが「すべての地区で採択を阻止できる!」と圧倒的に自信を持った。
 都知事・石原は、文教地区・杉並における採択を突破口に、他地区での雪崩うつ採択を狙っていたが、この思惑を杉並の闘いは完全に打ち砕いた。そこで石原は、唯一自らが直接採択できる都立養護学校で採択し、「障害児」に押しつけるという差別主義的な暴挙に突き進んだ。しかしその後採択が行われた地区でも「つくる会」教科書採択はゼロ。都教委の採択が、ただただ石原の政治的意図のみに基づく暴挙であることを完全に浮き彫りにした。

 “絶対反対”の決意・思想が闘い広げる

 教科書闘争の第一の総括点は、小泉およびその改憲=戦争国家化攻撃と対決する労働者人民の巨大な反転攻勢を、「つくる会」教科書採択阻止闘争として切り開いたことである。
 われわれは今年前半の重大な全国政治闘争として教育闘争を位置づけ、教育関連六法改悪阻止、「つくる会」教科書阻止、「日の丸・君が代」強制とその処分攻撃粉砕を一体のものとして決戦的に闘いぬいた。
 教科書攻撃は、日帝の戦争国家化攻撃の決定的一翼に位置している。日帝は今、有事立法や改憲攻撃をもって、ヒトとモノと土地の戦時総動員体制を確立しようとしている。しかし日帝には致命的な弱点がある。圧倒的大多数の人民が「過ちは再びくり返さない」という反戦平和意識を持ち続けている現実を解体できていないことだ。
 「特攻隊」精神で、「国のために戦い、命を捧げる」子どもたち・青年たちをつくり出すことが日帝にとって死活的課題であり、そのために教育と教科書に総攻撃をかけてきたのだ。
 これに対して、われわれは「新たな侵略戦争のための『つくる会』教科書採択絶対阻止!」「韓国・中国の再修正要求断固支持!」を掲げて決起した。この決意と思想が広範な労働者人民の闘いに火をつけ、大衆的スローガンとなり、闘いは燎原(りょうげん)の火のように広がった。戦後の日本の階級闘争の中で培われてきた全蓄積が「つくる会」教科書採択を許さない闘いの力となった。
 小泉の戦争国家化攻撃を労働者人民が緒戦で阻んだ勝利の意義は巨大だ。教科書・教育闘争を改憲・戦争国家化阻止闘争として階級闘争の中に定着させた。

 アジア人民と共同闘争開く

 第二の総括点は、アジア人民・在日アジア人民との共同闘争を画歴史的に闘ったことだ。日本階級闘争に日帝を打倒する力が存在することを内外に示すことができたのは、革命運動にとって大きな意義がある。
 「つくる会」教科書に対してアジア全域で激烈な抗議闘争が展開された。日本軍軍隊慰安婦とされた女性たちを始め、多くの人びとが訪日し、抗議闘争に決起した。六月の文科省包囲行動、全世界一斉行動、八・六ヒロシマ大行動が、アジア人民と日本人民の共同闘争として闘われた。
 われわれは一九四八年の阪神教育闘争の歴史を掘り起こし学び、在日朝鮮人・中国人―アジア人民の全存在をかけた決起に今度こそ血債をかけて連帯し、「連帯し侵略を内乱へ」を貫いて闘うことを誓い、決起した。アジア人民・在日アジア人民の限りない援助を受けて、日本人民は「この闘いに絶対にこたえよう」と決起した。アジア人民と生きた共同闘争を展開し、その中で日本人民の階級性が研ぎ澄まされ、根底的に決起し、勝利した――この経験の意義は計り知れない。

 広範な運動体を各地で形成

 第三の総括点は、教育闘争を担う運動体が各地で生まれ、教育労働運動を軸とする闘争陣形が土台的に形成されたことである。
 「つくる会」教科書に反対する集会が全国一千カ所以上で行われ、各地で教育労働者、保護者、労組、市民団体などを糾合した運動体が形成された。上部団体を超えた教組の共闘も多く実現された。教育・教科書への攻撃が改憲=戦争国家化攻撃そのものであることに強烈に危機感を持って闘う教育闘争の運動体が広範に形成されたのだ。
 敵は改憲=戦争国家化へ向けた攻撃として教育・教科書への攻撃を今後ますます強めざるをえない。この大攻撃と全面対決して闘う教育闘争の戦線を、さらに大胆に広げていこう。

 教育労働者の採択権を奪還し追撃を

 「つくる会」教科書をめぐる次の闘いの火ぶたは切られている。「つくる会」は八月十六日、二〇〇六年度使用開始の中学校歴史教科書に再び検定申請すること、二〇〇五年度使用開始の小学校社会科教科書への新規参入を発表した。息の根を止めるまで、さらに追撃戦に打って出よう。
 今回、他の七社でも、日帝の戦争犯罪に関する記述が大幅に削減された。唯一日本軍軍隊慰安婦問題の記述を残した日本書籍は採択区数比率で一四・七%から六・九%に激減した。教科書改悪を許さず闘おう。
 教科書闘争の課題の第一は、小泉の戦争国家化=改憲攻撃との対決である。教科書をめぐる攻防は、教育現場だけで争われるものではない。小泉の激烈な戦争政策に対する労働者人民の巨大な全国政治闘争として、改憲粉砕・有事立法粉砕・教育基本法改悪阻止の大奔流をつくり出し、教科書攻撃を打ち砕くのだ。
 第二に、教科書それ自身をめぐる闘いである。
 東京・愛媛の養護学校の採択を絶対許さず、撤回を求めて闘おう。来年四月使用開始を絶対に阻もう。
 今回の採択の教育委員会議事録、選定審議会資料、調査部会報告などを公開させ、現場の研究がどの段階でいかに覆されたのかを明らかにさせよう。「つくる会」教科書を推した教育委員を徹底的に追及しよう。「教育委員会の権限による採択」のでたらめさを暴き、奪われた採択権を教育労働者の手に奪還しよう。
 愛媛では二〇〇三年度開校予定の県立中高一貫校三校の教科書が来年採択されるが、愛媛県知事・加戸は「扶桑社が一番ふさわしい」と公言している。さらなる採択を絶対に阻もう。
 教育労働運動の防衛と発展をかちとり、教科書闘争をさらに継続しよう。

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週刊『前進』(2019号3面2)

NTT労組大会へ訴える
51歳首切りと大幅賃下げ狙う「新3カ年計画」白紙撤回せよ

 八月二十九、三十日に開催されるNTT労組第四回定期全国大会でNTT労組中央本部は、NTT東・西地域会社を始めとしたグループ全体で十一万人もが「転籍」の対象となる空前の大リストラ=「新三カ年経営計画」の受け入れを強行しようとしている。
 「新三カ年計画」など絶対に認めるわけにはいかない。組合員の怒りの決起で白紙撤回させなければならない。中央本部を総退陣させ、資本と闘う本来の労働組合をよみがえらせなければならない。
 「新三カ年計画」は、二万七千人削減を始めとした「中期事業計画」が継続中の今年四月に提案された。それは「更なる構造改革」と称して、@東・西地域会社において聖域を設けることなくコスト構造の抜本的改革に取り組む、A東・西地域会社の本体機能を企画・戦略、法人営業等に特化し、設備保守、故障修理等の業務は、地域単位に設立する子会社等へアウトソーシング(外部委託)する、B退職・再雇用制度の導入による雇用形態の多様化などで人的コストの逓減を図る、というものだ。
 具体的には、五十一歳以上の労働者を退職させ、退職金を支払い、地域別の子会社に再雇用する。子会社では賃金を地域の水準に合わせて一五―三〇%削減する。六十歳以降も公的年金受給開始年齢まで再雇用する。この退職・再雇用を希望しない労働者は、勤務地限定のない本体業務に配転され、現行の人事・賃金制度で六十歳定年となる。対象者は、東・西地域会社などで五万八千人に上る。
 さらに五十歳以下でアウトソーシング業務に従事する労働者も子会社への在籍出向となり、五十一歳で退職・再雇用を迫られる(五十歳以下でも退職・再雇用を選択できる)。
 これらには、すでにNTT―MEなどに出向中の労働者も含まれ、全体で十一万人以上が対象となる。
 要するに、「新三カ年計画」とは、五十一歳首切り攻撃、五十歳定年制の導入であり、諸手当の廃止と相まって生活を根幹から破壊する攻撃である。年金制度の改悪を逆手にとって、超低賃金で労働者のスキル(熟練)を絞り尽くし、搾取し尽くすものだ。NTT労組中央本部は「強制解雇は絶対に行わせない」と言うが、会社からは「首を切る」とは絶対に言わずに、「労働者が自主的に退職した」と強弁するための大陰謀だと言っても過言ではない。
 いったい、これの何が「雇用確保」か。職場オルグでは、「生活破壊であり、白紙撤回しかない」「一票投票で組合員の声を聞け」という怒りの声が噴き出している。
 七月三十一日に記者会見した中央本部の津田委員長は、「分会役員は『会社案は組合員に説明できない』と職場説明を拒んだ。こんな提案を受ける組合に存在意義があるのか、なぜ五十一歳以上なのか、NTTを支えてきたのは団塊世代ではないか、といった強烈な反発が、入り口のところではあった」と、自らが組合員の信任を受けていないことを認めている。だが、それを開き直って「フレーム(枠組み)は認めざるを得ない」と言うのだ。大会で決める前に受け入れ方針を発表するとは何ごとか。
 今大会方針では、「新三カ年計画」を「『自らの課題は自らの力で乗り越える』との立場にたった労使の主体的改革」だと位置づけ、「構造改革による確かな未来を切り開こう」などというスローガンを掲げている。そして、「全組合員で痛みを分かち合う」と、組合員への痛みを強制しようというのだ。「所定内賃金の減額分の一〇〇%補償」などの「激変緩和措置」を求めることを条件に「新三カ年計画」を受け入れ、「年内に労使間の決着を図る」ことを決定しようとしているのだ。
 だが、「激変緩和措置」が実現される保証もなく、「独立採算制」の子会社においては一層の賃下げと人員削減は不可避だ。何の見通しもなく、今大会で受け入れを決定し、後は中央本部に一任せよと言っているのだ。組合員の生活と命を中央本部にゆだねることなど断じてできない。
 「聖域なき構造改革」「痛みを伴う」「構造改革なくして景気回復なし」などと、痛みを我慢して構造改革を進めれば明るい未来があるかのように言う小泉政権と、中央本部の立場はまったく同じだ。大資本を救済するために労働者に大失業を強制し、「雇用形態の多様化」と称して労働者の大半を超低賃金の不安定雇用化しようとする「構造改革」そのものだ。NTT資本とNTT労組中央は、小泉「構造改革」の最悪の推進者である。
 「NTTグループ解体反対」と称して「企業防衛」と自らの保身のために組合員を犠牲にする中央本部を打倒しよう。組合員と、小泉改革のもとで痛みを強制されようとしている全労働者の未来をかけて、NTT「新三カ年計画」を葬り去ろう。
(マル青労同電通委員会)

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週刊『前進』(2019号3面3)

“沖縄から小泉打倒へ” 8・15靖国参拝弾劾し集会

 小泉の靖国神社参拝に対し、沖縄からも闘う労働者人民の怒りの抗議がたたきつけられた。八月十五日夕方、沖縄労働組合交流センターなどの実行委員会による「戦争と改憲=小泉の靖国神社参拝弾劾八・一五沖縄集会」が、那覇市・でいごプラザで開かれた。小泉の十三日の突如の参拝強行に怒りを燃やした労働者、市民約六十人が集まり、戦争阻止と小泉の打倒を宣言した。
 集会に先立ちビデオ「沖縄戦−未来への証言」が上映され、参加者は小泉や「つくる会」教科書が侵略戦争を正義の戦争として賛美することの犯罪性をしっかりと確認した。
 司会が十三日、十五日の東京での闘いに連帯してこの集会をかちとろうと訴えて集会は始まった。北中城村議の宮城盛光氏、民衆会議、沖縄万人(ウマンチュ)の力で星野さんを取り戻す会、全国沖縄青年委員会の新城峯子委員長などが連帯のあいさつを行い、それぞれ小泉の靖国神社参拝を糾弾し、戦争国家化攻撃との闘いへの熱烈な決起を呼びかけた。
 基調報告をNTT労働者が提起。「小泉首相の靖国神社参拝を弾劾し、アジア人民の声を裏切ってはならないと、この集会を持った。小泉首相は本気で戦争をやろうとし、そのために変革を語り、『国家の危機を救うのは構造改革』と叫び、労働者人民に痛みを強制し、靖国神社に参拝し、『つくる会』教科書を押しつけてきた。戦争によってしか生き延びられない国家は労働者人民が打ち倒すべき。沖縄の闘いは日本帝国主義を直撃する。連合の変質・屈服に抗し、新たな潮流を!」と熱烈に訴えた。
 基調提起を受け、NTT労働者、バヤリース労組の労働者、基地労働者、民間のパート労働者などが、職場の実態と闘いを報告、決意表明した。
 司会、基調提起、各発言など、集会のほとんどを青年が担い、若々しい気力あふれる集会として大成功した。
 集会に先立って、同日昼、那覇市の中心地・パレットくもじ前で、沖縄労組交流センターと反戦共同行動委員会の十五人が、小泉の靖国神社参拝の弾劾と反戦・反基地闘争への決起を訴える街頭宣伝を行った。
 十四日夜には「ヤスクニ神社国営化反対・沖縄キリスト協議会」による「小泉首相の八・一五ヤスクニ神社参拝の中止を求める八・一四集会」も開催された。

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週刊『前進』(2019号3面4)

「大学構造改革」と徹底対決を
入試ミス隠ぺい−大学腐敗許すな
 マル学同中核派富山大支部

 独法化攻撃下の大学の腐敗示す

 富山大を始め、山形大、金沢大など全国の大学で入試ミスが相次いでいる。闘う富大生は、入試ミス隠ぺい問題として暴き出された富山大学の底なしの腐敗を徹底的に追及してきた。学生自治会の呼びかけた「真相究明・責任者処罰・被害者への謝罪と補償を求める」全学署名が四百を超え、学生の怒りの声がわき起こっている。
 「当時、学生が寮食器を要求して押しかけていて、これ以上問題を広げたくなかった」と居直る学生運動つぶしの張本人、能登谷元学生部長(前副学長)をわれわれは絶対に許さない。能登谷暴言を「個人的なものだから関知しない」と免罪し、夏休みに入ることでなし崩し決着を図ろうとする富大当局。当初から介入し、この問題を国立大学の再編・統合−国策遂行大学化のテコにしようとしている日帝・文科省。闘う富大生はこの大学の腐敗と国立大独法化攻撃を串刺しに粉砕するため、波状的な追及行動を闘ってきた。七月五日には「国立大学独法化阻止全国ネット」代表の豊島耕一氏を招いた講演集会と学生大会が八十人の参加で開かれた。
 そもそも今なぜ、入試ミス問題が相次ぐのか。
 九〇年代前半の大学審路線−教養部廃止攻撃をとおして、大学の設置基準が緩和された。そして九七、八年過程で独法化攻撃が正面化し、国家主導で大学間の競争が激しく促進された。各大学が資本との露骨な提携を強め、生き残りをかけて入試制度の「自由化」を進めた。九七、九八年を境に入試ミスが続発していることは、その独法化への先取り対応競争のあせりときしみが、必然的に入試ミス問題として爆発したことを示しているのだ。
 富山大学の場合、時澤前学長−能登谷元学生部長の工学部「同窓会」派閥が産官学協同路線を推進してきた。企業との癒着を全面化させ、学生を「製品」として企業へ売り込み、その見返りとして補助金を得る大学運営を、独法化への「生き残り路線」として行ってきた。そうした腐り果て利権体質にまみれた連中が二年間にわたる入試ミス隠ぺいの張本人だったのだ。
 富山大学の入試ミス隠ぺい事件は、日帝・文科省の「大学改革」攻撃とそれに追従してきた大学が根っこから腐りきっていることを示した。独法化攻撃は、米帝と対抗するために国家が「中期目標」「中期計画」を強制し、資本などの「外部評価」で大学を縛り、大学間の競争を激化させるものだ。このもとで、「大学の自治」「真理探究」を掲げてきた大学の矛盾と腐敗は極点に達している。
 大学を資本主義の競争原理そのままの「人材育成」の場としてきた日帝の大学支配そのものを粉砕しなければならない。現在の腐敗した大学のあり方を革命的に覆し、大学を学生の手に取り戻そう。

 大学の侵略戦争推進機関化攻撃

 六月十一日、遠山文科相は政府の経済財政諮問会議において、「大学の構造改革の方針」(通称「遠山プラン」)を明らかにした。この「遠山プラン」は、その名のとおり、小泉「構造改革」の大学版である。改憲と戦争国家化に向けて、大学を戦前型の侵略戦争推進機関として再編していくものだ。
 遠山プランは、@再編・統合をつうじて国立大の大幅な削減を目指す、A大学の管理運営に民間的な経営手法を導入する、B第三者による公立・私立を含む大学評価のシステムを設け、評価の高い大学に重点的に予算配分や助成を行う、ことを掲げている。
 「トップ三十の大学」に分野ごとに重点的に予算配分を行うとされ、文科省は説明にあたって、「大学側に努力がないなら見捨てて行かざるを得ない」「脅しをさせていただく」と最大限の表現をとった。
 遠山プランは来年度から導入されると報じられている。来年から大学の統廃合を激しく進行させ、これまでの戦後大学・戦後教育を一変させる大攻撃だ。
 遠山プランが、従来の「一県一校」方針を転換し、「国立大学を大幅削減」「トップ三十校育成」を公式に文科省方針として打ち出したことは、これまでの攻撃の延長線上ではない質的飛躍がある。
 小泉は、全国大学のわずか三十校を超エリート大学、すなわち新たな「帝国大学」として育成し、残りの九五%以上の大学は大幅な再編を強制しつつ安価な労働力供給機関とし、それができない大学はどんどんつぶしていくというのだ。「国策に従わない大学」「もうからない学問」は徹底的に切り捨て、大学を国家と資本の完全な奴隷−侵略の先兵にしようというのだ。絶対に認めることはできない。
 小泉反革命政権は、侵略戦争のできる国家へと飛躍するために、従来の自民党支配と文科省官僚の利権構造を右から破壊し、大再編する「大学の構造改革」攻撃を、国家意志としてしかけている。これは、「つくる会」教科書の検定合格や教育改革六法改悪強行と一体だ。教育に攻撃を集中し、「国家のために命を捧げよ」と若者を侵略の先兵に仕立てようとしている。その中心環として大学を侵略翼賛・国策遂行大学に完全に転換させる大攻撃をしかけてきているのである。この小泉反革命の「大学の構造改革」攻撃と全国学生は真っ向から対決しよう。

 小泉反革命と闘う学生運動を

 国立大の独法化攻撃の中で、ここ数年、学寮廃寮攻撃、自治会解体攻撃、サークルボックスなどの破壊、学生団体の団結破壊の攻撃が激化している。没落帝国主義・日帝にとって、戦争国家として飛躍するためには、戦闘的学生運動も学生の自由なキャンパスももはや放置できない。小泉の「大学の構造改革」路線はその質的転換点である。
 今、戦争か革命かの時代への突入の中で、学生一人ひとりにどのような生き方を選択するのかが問われている。「二度と侵略の銃は握らない」という戦後大学の原点に立脚し、革命的祖国敗北主義を掲げ、アジア人民と連帯する革命的学生運動を本格的に登場させよう。
 今日の大学の底なしの腐敗と反動化、「つくる会」などの反動教授の跋扈(ばっこ)、空洞化した学問の現実などに対して圧倒的に多くの学生が怒り、「大学と学問を学生の手に取り戻したい」と憤っている。学生の総反乱の条件は満ち満ちている。改憲・ガイドライン・沖縄の政治闘争と「大学の構造改革」粉砕の大学闘争とを両輪的相乗的に組織し、爆発させよう。
 小泉「大学改革」攻撃と真っ向から対決しよう。
 「日帝の中国・朝鮮侵略戦争阻止!」「大学の構造改革攻撃粉砕!」「国立大独法化阻止!」を掲げ、全国大学の学生自治団体の広範な団結をつくり出し闘おう。広島大学に続き、闘う自治会権力を全国に確立しよう。学生戦線の革命的統一を実現しよう。第六一回全学連大会の成功をかちとろう。富山大学の学生は徹底的に闘う。全国の学友諸君、団結しともに闘おう。

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週刊『前進』(2019号4面1)

小野田襄二、小野田猛史、三島浩司および宮崎学が関与した
公安調査庁スパイ事件に対する革共同の態度と闘いのアピール

 (1)

 本年四月に出版された宝島社の『公安アンダーワールド』の序章−「工作」および同時に出回ったその原本において、公安調査庁東北公安調査局の樋口憲一郎による小野田襄二、小野田猛史および三島浩司(旧姓山本)へのスパイ工作が記されており、その中で九五年から九六年にかけて宮崎学への工作が行われていたという記載があることが判明した。
 この問題について革共同は独自の真相究明の調査を行うとともに、五月以来、宮崎学と数度にわたって真実の告白と自己批判を求める真剣な討論を行うなど事実の解明に全力をあげてきた。その結果、今回の『公安アンダーワールド』と原本(以下樋口報告書とする)に掲載されている内容について、わが革共同と日本の革命運動・大衆運動の破壊のために国家権力−公安調査庁がきわめて大がかりな一連のスパイ工作を展開してきたという事実の確証を得るにいたった。ここに、この公調スパイ事件に対する革共同の厳正な態度を明らかにするとともに、すべての労働者人民に公調解体・スパイ分子追放の闘いにともに決起されるよう訴える。

 (2)

 まず前提的なこととして、権力による文書や報告書の常であるが、樋口報告書に記載されている事柄は、事実のねつ造や歪曲、あるいは誤認が多く、虚構性がきわめて強いということである。スパイ分子やスパイ工作の対象者が得手勝手なデマを告げている場合もあれば、公調の担当者が意図的に脚色したり、誇大に記して報告書を上げている場合もある。いずれにせよ権力の作成した文書をそのまま事実としてうのみにするのではなく、階級的警戒心をもって批判的に対することは、労働者人民の原則的な態度であることを共通の確認としたい。
 その上で第一に、このスパイ工作の全体の出発点には、わが革共同から逃亡した脱落・敵対分子である小野田襄二が存在し、暗躍していることである。小野田が身も心も完全に権力の手先となって、知りうる限りの人物と情報を権力=公調に売り渡し、革共同破壊のために跳梁(ちょうりょう)していることを、革共同は断じて許しておくことはできない。小野田は、自ら積極的に反革命的な情報集めのために立ち働くだけでなく、何人もの人間を公調に引き合わせ、スパイの道に引き込む仲介人としての役割を買って出ているのである。その一人が実兄の小野田猛史である。両人ともかつて革共同の最高幹部でありながら、党から脱落し転向し、最も恥ずべきスパイに成り下がったものであり、その階級的犯罪はまことに重い。
 そもそも小野田襄二は、六七年に脱落・逃亡し、敵対分子になり果て、六九年に埼玉大生・滝沢紀昭同志を虐殺した集団の最高責任者である。加えて、職業的スパイ分子としての悪行を重ねている小野田襄二は、最悪の反革命転向・腐敗分子として、革共同と日本の労働者階級の名誉にかけて断罪・処断されなければならない。
 第二に、小野田襄二を介して公安調査庁の積極的な協力者に成り下がった今一人の職業的スパイ分子が三島浩司である。三島ほどあけすけにスパイ活動をしてきた人物をわれわれは知らない。戦前・戦後における日本の革命運動の中でも特筆されるべき悪質なスパイ分子であり絶対に許すことはできない。
 三島はかつて社青同解放派の幹部であり、六五年に再建された都学連の委員長についたという経歴と弁護士という社会的な地位を利用し、公調からの高額のスパイ工作資金を当てにして、自ら権力の手先となって、救援運動を闘う隊列の内部から、ありとあらゆる情報を権力に売り渡してきたのである。
 三島が、小野田を介して公安調査庁の樋口と最初に接触するのは九〇年代初めであるが、三島が積極的に樋口との接触を要求し始めるのは九四年の朝鮮侵略戦争の切迫情勢下においてである。まさに、米帝の対日争闘戦の激しい展開が朝鮮侵略戦争への突入をも辞さずに追求されている情勢の中で、危機を深める日帝の対北朝鮮政策の空隙(くうげき)をついて、職業的なスパイ分子としての投機的野心をもって公調との接触を三島自らが要求したのである。
 以後、三島は何かと口実をつくっては北朝鮮情報と革共同情報などと称して公調に頻繁に会い、「大物ぶり」を演出して、公調から多額の金を受け取ってきている。
 また、三島は弁護士としての資格を利用して、九四年当時すでに大きな社会問題となりつつあったオウム真理教をめぐる刑事・民事裁判にもかかわる中で、自らの利益のためのみの目的で公安調査庁への接触を強めていった。オウム真理教が宗教の形態をとった新しい型のファシスト集団であることが、日々全人民的に明らかになりつつあった時に、元都学連委員長で弁護士という経歴・肩書きを利用して私腹を肥やすという、人間としては絶対にやってはならないことを三島は「職業」とするに至っていた。最も唾棄(だき)すべき卑しい人間に成り下がった三島浩司は、労働者人民の戦線、救援戦線から放逐されなければならない。

 (3)

 第三に、宮崎学が、この三島のスパイ活動の一端を担っていたのである。そのことは、われわれに対して宮崎が告白したところから完全に明らかである。この問題に関して、わが革共同はまずもって、盗聴法・組対法反対闘争以来、宮崎を労働者人民の闘いの隊列に受け入れ、闘いの先頭に押し上げてきたことに対して、重大な責任を負っていることを、全労働者階級人民に心から謝罪する。同時に革命党としての不明を恥じ、深く自己批判しなければならない。
 われわれは、かつてスターリン主義日本共産党に籍を置き階級的敵対関係にあり、しかもその後左翼的矜持(きょうじ)とは縁を切った宮崎と年月を経て接点ができて以来、宮崎にいくつかの要請をし、一定の重要な協力を受けてきた。宮崎は革共同への期待を表明してきた。そこにおいて独特の経歴とスタンスを取る宮崎が果たして共同闘争者たりうる人物かどうかの革命党としての死活的な見極めが当初から根底になければならなかったが、われわれは宮崎への評価と対応を決定的に誤ったのである。
 今回、樋口報告書が出回る以前の段階では、宮崎は公調への裏切り的協力について、革共同に対しても、労働者人民に対しても口を拭って隠してきた。われわれが追及するや最初は事実を否定したのである。
 このような対権力の無節操な人物を運動の前面に登場させ、あたかも闘う人士であるかのように多くの労働者人民に思わせてしまった責任は、わが革共同にある。また革共同は、宮崎が運動の中に入り込んで活動する過程で、いたたまれずに自らのスパイ活動を進んで明らかにし、潔く労働者人民の批判を受けるという見地に立つにいたる思想的葛藤をなすような緊張ある関係をつくることができなかった。これらの点でわれわれの責任を認め、すべての闘う労働者人民に謝罪する。
 実際、今回の事実調査を通じてつかむにいたったが、日帝権力・公調は、われわれのこの対宮崎関係の弱点を突いて、革共同への重大な組織破壊攻撃をかけてきていたのである。党として、宮崎問題を権力の組織破壊とりわけスパイ化攻撃との闘いの血の出るような教訓としなければならないと考える。

 (4)

 冒頭に述べたように、わが革共同は五月以来、宮崎との真剣な討論を行ってきた。公安調査庁は労働者人民の闘いを破壊するための国家権力機関そのものであり、その国家権力と接触をもち情報を提供することは人民的・人間的な正義とは相入れないものであること、自己のスパイ行為に関して真摯(しんし)な自己批判が必要であることを繰り返し厳しく批判してきた。しかし七月中旬段階で、われわれは、宮崎の口先での謝罪と自己批判は信用できないと判断し、八月上旬時点で、党として宮崎自身の思想問題にまで深めた全面的自己批判の表明と、一切の大衆運動から身を引くことを厳しく要求し、関係の決別を通告した。
 宮崎が労働者階級人民に自己批判しなければならない問題は何かについて明らかにしておく必要がある。
 九五年二月二十一日、三島を介して東北公安調査局の樋口と会談した件に関しては、宮崎の記憶では時期が「三月初旬である」という見解の相違はあるが、「ちゃんこ鍋吉葉」において会談したことは事実である。さらに二度目は九五年八月か九月に、京都のブライトン・ホテルの「ほたる」という店で会った。三回目は九六年四月頃、帝国ホテルのレインボーラウンジで会った。二回目と三回目の会合については出回っている樋口報告書の限りでは記載がないが、事実として宮崎は告白し、認めている。
 つまり、宮崎学は公安調査庁がいかなる存在であるのか十分に自覚していたにもかかわらず、直ちに席を蹴って退席するという態度をとらなかったのである。それどころか、おそらく二時間近くもその場に同席し会話を交わし続けたのである。しかも重大なことは、三回目は、宮崎の側から三島を介して公調に会談を申し入れたこと、その目的がなんとオウム真理教の関係者からの依頼に基づく裏取引であったということである。
 宮崎は、三回の会談内容について弁解に終始するのみで一部について以外、ついにわれわれに明らかにしなかった。特に権力・公安調査庁と裏取引をしたことを開き直り、「自分は清く正しく美しく生きているつもりはまったくない」などと公言した。会談内容も回数も大いに疑念が残されているのである。
 また宮崎は、九四年頃、ある同志の病気療養のための場所をわれわれに提供したことがあるが、その提供が終わった後にその件を三島に話したことを明かした。しかし、たとえ病気療養のためであっても、このような形をとった革命党幹部への住居の提供の事実を第三者に漏らすこと、まして職業的なスパイである三島に漏らすことは、最悪の場合は生命にかかわる問題であり、階級的・人間的信義に反することであって、とうてい許されないことである。さらに関連して、当時不動産業をやっていた宮崎の事務所および関係重要書類が公調による情報収集の対象とされていたこと、重要書類が公調の入手するところとなっていたことも判明した。革共同は、この問題について革命党の組織的死活にかかわるものとして、他の問題とは区別して宮崎の謝罪と自己批判を求めてきたのである。

 (5)

 宮崎は、この討論の中で一定の重大な事実を告白し始め、自らのスパイ行為について謝罪を表明したが、参議院選挙における「新党・自由と希望」(いわゆる白川新党)からの自らの出馬問題を提起してきた。これに対して革共同は《何といっても白川勝彦は自治相・国家公安委員長までやったことのある、権力中枢と直結する人物である。自民党を離脱したといっても、その新党の綱領的内容をなす『自民党を倒せば日本は良くなる』という彼の著書を見れば明らかであるが、何ら自民党当時の階級的立場の転換に基づく離党ではないのである。むしろ公明党との連立政権に反対して、自民党単独政権論を主張しているのである。この白川勝彦を党首とする白川新党からの立候補は、宮崎が階級敵と手を結んだことを意味する。革共同は、いかなる意味でも敵階級と手を結んだ人と運動を共にすることはできない》ということを全力で提起し、出馬を断念することを説得したのである。
 だが、宮崎はわれわれの説得を踏みにじり、真相解明と自己批判の討議も一方的に打ち切り、白川新党からの立候補に踏み切った。そうである以上、革共同としてはそれまで取ってきた「共に闘う立場から真実を解明していく」という共同の立場を継続することはできなくなったと最後的に判断した。敵階級の中枢と直結する人物と席を同じくしている人物と、権力のスパイ攻撃との共同の闘いを継続することはいかなる意味でも不可能だということである。
 わが革共同は、宮崎学が権力のスパイ工作に応じるという転落を遂げたところから再起し、今回の公調スパイ事件の全容の真実を告白し、労働者階級人民に対する真摯な自己批判をなしとげるよう全力を尽くしてきた。だが、宮崎がスパイ行為とまったく同根の、より開き直った誤りを積み重ね、自己批判の闘いを自ら放棄したことをわれわれは重大視し、宮崎との決別を宣言し、権力のスパイ攻撃との断固たる闘いを貫徹することを宮崎に通告した。
 この点に関連して、われわれは、小野田襄二、小野田猛史、三島浩司ら転落スパイ分子と宮崎を同列におくつもりはない。前者は完全な粉砕の対象である。しかし、宮崎が大衆運動の場に登場することについては絶対に反対であり、全面的自己批判を要求し続けるものである。

 (6)

 革共同は今回の公安調査庁による一連のスパイ攻撃に対して、労働者階級人民の闘いを守り発展させるために、革命党と大衆運動の破壊のためにのみ存在する公安調査庁の解体を断固訴えるものである。
 そもそも、公安調査庁は、戦後革命を鎮圧するために米軍占領下で公布された団体等規正令を継承する破壊活動防止法が制定された五二年に設置された行政機関であり、破防法を適用して労働者階級の闘う組織(当然にも革命党は第一の対象)を解体するためにのみ存在する調査機関である。その発足以来、労働者人民の内部に潜入し、闘う人びとの生活的人間的苦しみや困難を逆手にとって金で篭絡(ろうらく)することをこととしてきた国家機関である。
 わが革共同に対しても七〇年闘争に対する第三次破防法攻撃まで加え、九〇年天皇・三里塚決戦においては組織解散の適用を全力で追求した。だが、天皇制・天皇制イデオロギーを打倒して日本革命に突き進むわれわれの不屈の闘いと決意の前になすすべもなく敗れ去り、公安調査庁の組織そのものの存亡の危機に立たされたのである。
 公安調査庁は、そのような危機の中で迎えた九四年の朝鮮侵略戦争の切迫情勢を奇貨として、労働組合から住民団体まで戦争に反対し平和を願う人民を「国家の敵」として破防法の対象に設定し、あくどい「調査(スパイ活動のこと)」活動を繰り広げて生き残りを図るという一層の反革命的策動を行ってきたのだ。
 本年の四月から七月にかけて、京都・大阪・奈良・神戸市において、在日朝鮮人の外国人登録原票の写しを合計百五十九人分(請求したのは二百人以上)も大量に取り寄せていることが判明している。在日朝鮮・中国・アジア人民の存在それ自体を破防法適用の対象として調査するという断じて許すことのできない排外主義的な、悪質で不法な攻撃を行っているのである。
 わが革共同は、七〇年の三次にわたる破防法攻撃との闘い以来、党の非合法・非公然体制を強化し、スパイ攻撃に対してはレーニン主義的党組織の建設をもって党の骨格を守り抜いてきた。とりわけ、九〇年代に入ってから激化しているスパイ政策の展開に対して、全党における原則的な闘い、党生活の三原則の貫徹をとおして勝利してきた。
 われわれはあらためて、労働者人民の闘いを解体する目的のためにのみ存在する国家機関=公安調査庁は、労働者階級人民の闘いで解体しなければならないこと、その手先となったスパイ分子は戦線から放逐し打倒しなければならないことを怒りをもって心から訴えるものである。

 (7)

 日帝・小泉政権は、三〇年代を超える帝国主義の体制的危機が世界戦争として爆発していく情勢の中で、従来の自民党政治ではどうにも身動きがとれない日帝の体制的な危機を背景に、あたかも体制変革者であるかのような手法で登場してきたものである。小泉自身が、鉄面皮で恥知らずなデマゴギーを駆使して、直接に労働者人民を反動的に扇動し、国家主義・排外主義・天皇主義に組織しようとする手法をとっているのである。日本帝国主義の最も反動的で侵略的なエネルギーを解き放つことによって、戦争国家体制の構築のための「国民」の名による独裁政治、強権政治を目指しているのである。さらには、労働者人民に「痛みに耐えよ」と襲いかかって労働運動を祖国防衛主義に転落させ、侵略戦争に労働者を動員する攻撃をかけてきているのである。
 だが、労働者階級人民に「痛みを強制する」小泉政権の反革命的な攻撃が、何の抵抗も受けずに進められることなどあり得ない。小泉の靖国神社参拝粉砕に猛然と決起し、日帝のアジア侵略と侵略戦争を賛美する「つくる会」教科書の採択を阻止した労働者人民の闘いは、アジア人民・在日アジア人民の闘いと連帯した、小泉反革命に対する巨大な闘いの開始なのである。
 この本質的に革命的祖国敗北主義を貫いている労働者人民の闘いの深部に革共同が存在していることは決定的であり、そのことに恐怖する日帝権力の組織破壊攻撃が一層激化することもまた不可避である。
 われわれは、破防法−組対法・団体規制法攻撃と一体の革命党に対するスパイ攻撃に対して、レーニン主義的な組織原則をもって党と大衆運動を防衛しぬかなければならない。党生活の三原則の貫徹こそ組織建設の核心問題なのであるが、とりわけ権力のスパイ攻撃に勝利する闘いの核心点は基本会議における徹底した政治討論をとおして党的一致をかちとることにある。
 また、日帝・国家権力の組織破壊のためのスパイ攻撃に対する闘いできわめて重要なことは、権力の攻撃があった時や、またどのような偶然的な事態から生じた権力との接触であれ、軽重にかかわらずすべてを速やかに党中央に報告することである。
 この党的な政治的・思想的一致の力こそが、権力による系統的で執拗(しつよう)なスパイ攻撃を見破り、明るみにし、摘発・粉砕する力となる。権力のスパイ攻撃を真っ向から粉砕する闘いは、党を守り、大衆運動と労働者人民の団結を守る、階級闘争の第一級の共同の課題である。怒りも新たに、公調解体・スパイ分子放逐の闘いを強化していこう。ともにレーニン主義の党建設に勝利しよう。

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週刊『前進』(2019号4面2)

8・9狭山 証人調べを要求 斎藤実験鑑定突き付け

 八月九日、部落解放同盟全国連合会と部落解放共闘会議は、全国から五十人が結集して東京高裁に対する狭山要請行動に決起した。
 二十四年前のこの日、最高裁の上告棄却によって石川一雄さんへの「無期懲役」が「確定」した。要請行動は、八・九への怒りに燃えて、夏休み前の異議審棄却策動を打ち砕く決意で終日戦闘的に闘われた。
 朝の裁判所へのビラまきの後、前段の集会が行われた。基調報告で全国連の楠木吉秀事務局長は「いつ棄却決定が出されてもおかしくない情勢だ。棄却阻止へ、九月十日の要請行動、十・三一へ決起しよう。石川一雄さんの闘いと固く連帯し、狭山百万人署名の大運動を作ろう。小泉政権の登場は決定的事態だ。解同本部派は同和事業がなくなる見返りを期待したが、小泉政権の登場でなくなった。戦争と改憲の小泉政権のもとで部落は焼け野原になる。小泉政権を打倒しよう」と鮮明に提起した。
 昼休みデモは、右翼が「反ソデー」と称して全国から街宣車を連ね小泉支持を叫ぶのを跳ね返して闘われた。
 午後からの要請行動では、六月四日に東京高裁に出された「脅迫状」と「封筒」の指紋検出実験をした斎藤実験鑑定に基づいて徹底した追及が行われた。
 斎藤実験鑑定は、石川さんと男性二人が「自白」どおりの方法で「脅迫状」を書く公開実験を行い、当時の警察の鑑定方式で鑑定を行った。結果は、ベタベタとついた指紋が検出された。もし仮に石川さんが「脅迫状」を書いたなら必ず指紋は検出されることが科学的に完璧(かんぺき)に立証された。
 要請団は「『自白』どおりなら『脅迫状』から石川さんの指紋が出ないなどありえない。斎藤鑑定人の尋問を行え」と追及した。
 東京高裁の管理官は「実験で『自白』どおりに脅迫文を書いてみたら指紋が検出されたということはわかりました」と回答せざるをえなくなった。
 「一般に…指紋が必ず検出されるとは限らない」とした高木決定は、斎藤実験鑑定によって完全に崩壊した。極悪の高木決定は直ちに取り消されなければならない。斎藤鑑定人の尋問なしに高橋裁判長が棄却決定を強行することなど絶対に許されないのだ。
 七月十二日、狭山弁護団は最終の補充書を提出し、十七日には高橋裁判長に面談した。一昨年、高木裁判長は最後の鑑定書提出から一カ月、弁護団との面談から半月で棄却決定を出している。また東京高裁は、八月一日付で要請行動担当の管理官の人事を一新した。
 高橋裁判長の棄却策動は切迫している。二年間闘ってきた異議審闘争の最大の決戦局面に突入したのだ。
 小泉政権の登場は、狭山異議審の棄却、同和事業の打ち切り攻撃により部落解放運動を解体し差別を激化させる、今までと質を異にする攻撃だ。小泉政権打倒を掲げ、全力で狭山異議審決戦に決起しよう。
 不屈に闘う石川さんと固く連帯し、事実調べなしの棄却を策動する高橋裁判長を徹底糾弾し、棄却策動を粉砕しよう。高橋裁判長は事実調べ|再審を行え!
 次回九月十日の要請行動に全国連とともに解放共闘は全力で決起しよう。

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週刊『前進』(2019号4面3)

2001年日誌 阻もう!改憲=戦争への動き 8月15日〜21日
 有事法制が来春国会にも
 米2空母が中国沖で大演習

●現職閣僚五人が靖国神社参拝 靖国神社に小泉内閣の五閣僚が参拝した。中谷元防衛庁長官、武部勤農水相、村井仁国家公安委員長、片山虎之助総務相、平沼赳夫経済産業相が参拝。前日までの参拝とあわせて、小泉内閣の九閣僚が参拝した。また「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は八十八人で集団参拝。石原慎太郎東京都知事も参拝した。(15日)
●「つくる会」教科書0・1%未満 来年度から小中学校で使われる教科書の採択が終了した。「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書は、全国の市区町村立と国立の中学校で使われないことが決まった。採択したのは東京都と愛媛県の養護学校の一部、同県のろう学校だけ。私立校も数校に。(15日)
●米軍が欧州から1万5千人撤退 ブッシュ政権の米国防戦略見直しで、欧州に駐留する米兵十万のうち一万五千人を撤退させ、海軍一個空母機動部隊の削減を計画していることが、米軍事専門誌ディフェンス・ニュースの報道で明らかに。また削減計画の中には、空軍一個航空団(約千人)と米国内の陸軍二個師団が盛り込まれている。(15日)
●9・1で横田基地を利用
 東京都が九月一日に予定している「ビッグレスキュー東京2001」で、米軍横田基地を利用することが決まった。自衛隊の大型輸送機による人員・物資輸送訓練で同基地を利用する。米軍は、航空管制や飛行場の安全管理で協力するという。米軍赤坂プレスセンターも会場に。(16日)
●有事法制、来春国会にも
 政府・自民党は、有事法制について、早ければ来年一月召集予定の通常国会に提出する方針を固めた。具体的な提出時期は、二〇〇二年度予算案成立後となる見通し。(16日)
●10年の強制使用を申請
来年九月二日で使用期限が切れる沖縄県の米軍普天間飛行場と那覇港湾施設(軍港)の一部の土地について、那覇防衛施設局が、沖縄県収用委員会にそれぞれ十年の継続使用裁決を申請した。米軍用地特措法に基づく手続き。収用委員会は公開審理などを開くことになる。(16日)
●米軍の新たな戦略目標
ウルフォウィッツ米国防副長官が記者会見で、米軍の新たな戦略目標として、@核・生物・化学兵器や弾道ミサイルによる攻撃への対処、A米軍兵力を遠方に派遣・維持する体制づくり、B長距離ミサイルを含めた遠距離からの正確な攻撃能力などをあげた。(16日)
●在日朝鮮人の登録票を公安調査庁が取り寄せ 公安調査庁が、破壊活動防止法に基づく調査の一環として、京都市在住の在日朝鮮人八十七人の外国人登録原票の写しを各区役所から取り寄せていたことがわかった。登録原票には、顔写真や家族構成、居住歴などの個人情報が載せられている。(16日)
●新造海自イージス艦にTMD機能 海上自衛隊が現行の中期防衛力整備計画(中期防)で新たに建造する二隻のイージス護衛艦が戦域ミサイル防衛(TMD)機能を持つことが明らかになった。イージスシステムは、目標の探知から情報処理、迎撃までを自動処理する対空ミサイルシステム。海自が採用する最新イージスシステムは、TMDを構成する海上配備型上層システム(NTWD)機能を搭載できる。(17日)
●米「一戦完勝戦略」に転換 ラムズフェルド米国防長官は、米軍の戦力構成の見直し作業で、現在の「二正面戦略」を転換し、敵国の一時占領も視野に入れ、ひとつの紛争に完勝することを想定していることを明らかにした。(17日)
●PKF凍結解除法案提出へ 自民、公明、保守の与党三党は、国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加凍結の解除や国連平和維持活動(PKO)参加五原則を見直すための法案を、九月に召集予定の臨時国会に提出する方針を固めた。東ティモールPKOを念頭に置いたもの。(17日)
●「防衛力のあり方」の抜本見直し 防衛庁は、自衛隊の組織編成や装備体系を含めた「防衛力のあり方」の抜本的な見直し作業に着手する方針を固めた。九月にも中谷防衛庁長官の下に制服組も含めた検討委員会を設置。防衛計画大綱の改定も想定し、来年度中にも一定の結論を出す意向という。(17日)
●米2空母が南中国海で訓練 米海軍第七艦隊が、南中国海の公海で、空母カールビンソン、コンステレーションを中心とする二空母群が訓練を行った。中国軍の福建省での台湾上陸作戦などの演習に対抗したと見られる。(17日)
●警察が米に反対運動を報告 京都府舞鶴港に九九年八月、米海軍の駆逐艦が寄港した際、警察が、政党や労働組合の入港反対活動の具体的な内容を米側に通報していた。反対集会の主催者や時間、参加人数などが詳細に記されているという。米政府が公開した資料でわかった。(21日)

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週刊『前進』(2019号5面1)

第6回大会で改定された革命的共産主義者同盟の規約

 第六回全国大会(二〇〇一年)で改定された革命的共産主義者同盟の規約全文と、規約改定委員会による解説を掲載します。すべての労働者・学生・人民は革共同に結集し、世界革命勝利へともに闘おう。(@AB……は解説の便宜上つけたもの。編集局)

  同盟の目的
@共産主義社会の実現こそは、労働者階級自己解放のたたかいの最後の到達点である。言うまでもなく、この階級的解放は同時にあらゆる人間の抑圧・差別からの解放、すなわち普遍的・全面的解放として実現される。この共産主義社会の実現こそ、革命的共産主義者同盟の究極の目的である。この目的の実現のため、同盟は反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命をめざしてたたかう。
A一九一七年ロシア革命は、いっさいの階級支配を廃絶し、人類史の前史に終止符をうつべき新たな時代をきりひらき、資本主義から社会主義への世界史的過渡期の到来を告げしらせた。
B帝国主義は資本主義の最後の世界史的発展段階であり、死滅しつつある資本主義であり、まさにプロレタリア世界革命の前夜である。ロシア・プロレタリア革命の勝利は、全世界の労働者階級の前にこのことを明らかにした。ロシア労働者国家の樹立は、プロレタリア世界革命の拠点として全世界の労働者階級に巨大な激励を与え、全世界の革命的激動をひきおこした。
Cだが、ヨーロッパ革命の敗北がロシア労働者国家を孤立させるなかで、厳しい困難に直面したとき、それに屈服した反革命的疎外物としてスターリン主義が発生した。スターリン主義は、「一国社会主義論」にもとづいてプロレタリア世界革命を否定し、マルクスの共産主義論を否定し、国際共産主義運動の変質をもたらし、労働者評議会(ソビエト)を解体してソ連を労働者国家と無縁のものとした。
Dソ連スターリン主義は、ソ連の労働者階級・諸民族にたいする新たな抑圧者として社会主義への前進の反動的疎外物になると同時に、資本主義国における労働者階級の革命闘争を絞殺し、死に瀕(ひん)した帝国主義を延命させる役割をはたした。
Eまた、中国スターリン主義も民族解放・革命戦争のなかから登場したが、同じくスターリン主義として世界革命に敵対し、中国人民の抑圧者となり、全世界の労働者階級のたたかいの圧殺者になってきた。
F帝国主義との平和共存政策と一国社会主義路線を進めるなかで、その根本矛盾を深めてきたソ連スターリン主義は一九九一年、歴史的な破産をとげ崩壊した。
Gここにおいて、帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制はついに歴史的崩壊過程に突入した。そして、現代世界政治の基軸は、(帝国主義の基本的延命に根底的に規定されつつも)帝国主義とスターリン主義の対峙(たいじ)・対決関係として政治的・軍事的・形態的に総括されていた関係から、帝国主義と帝国主義のむきだしの対峙・対決関係へと転換したのである。それは、帝国主義の基本矛盾が、過剰資本・過剰生産力状態の重圧と帝国主義間争闘戦の激化のなかで、二九年型世界大恐慌、世界経済の分裂化・ブロック化として爆発していく過程への突入であり、帝国主義の侵略戦争、帝国主義間戦争、旧スターリン主義や残存スターリン主義を巻きこんだ世界戦争として爆発していく過程への突入である。
Hソ連スターリン主義の崩壊はスターリン主義の歴史的破産の現実化であるが、そのことはスターリン主義打倒の戦略的重要性をいささかも変えるものではない。旧ソ連をはじめ崩壊したスターリン主義国における超反動的な資本主義化政策と対決し、第二のプロレタリア革命を貫徹するたたかいは、スターリン主義打倒の戦略を核心にすえることなくしてはけっして成就しない。また、中国などの残存スターリン主義を打倒するたたかいはけっして容易なものではない。
Iしたがって、プロレタリア世界革命のための全世界の労働者階級のたたかいは、死に瀕した国際帝国主義を打倒すると同時に、破産したスターリン主義諸国における第二革命を完遂し、中国などの残存スターリン主義を打倒するものでなければならない。言うまでもなく、それはプロレタリア世界革命の一環としての民族解放闘争(民族解放・革命戦争)の完遂の事業と有機的・一体的に推進されることによってはじめて勝利をかちとることができる。
Jスターリン主義の歴史的破産、帝国主義の基本矛盾の全面的爆発は、いまや帝国主義とスターリン主義のもとでの第三次世界大戦か、反帝国主義・反スターリン主義の世界革命かしか選択の余地のない時代が到来したことをつきつけている。
K反帝国主義・反スターリン主義世界革命の戦略こそ現代革命の基本戦略でなければならないことは明白である。
L同盟は、七〇年七・七自己批判をふまえて、帝国主義国の労働者人民は、被抑圧民族の民族解放闘争、とりわけアジア人民・在日アジア人民のたたかいと血債をかけて連帯していくことが労働者国際主義を真に鮮明化し貫徹していく道であることを確認した。
M同盟は、この労働者国際主義の立場にたち、朝鮮、中国、ロシア、アメリカをはじめとする全世界の労働者階級・人民大衆と固く連帯して世界革命の勝利をめざしてたたかう。そして、世界革命のきわめて重要な一環をなす日本プロレタリア革命の実現のため、日本帝国主義打倒にむけてたたかう。そのために、たたかいのなかで樹立した「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の戦略的総路線をかかげてたたかう。
N同盟は、プロレタリア社会主義革命をとおして、真の労働者民主主義すなわちプロレタリア独裁をつくりだすため、労働者階級の自己権力=労働者評議会の樹立をめざしてたたかう。
O同盟は、労働者階級自己解放の事業を一貫して歪曲・抑圧しつづけてきた反労働者的な既成左翼、すなわち社会党(社会民主党)と日本共産党をのりこえ、これに代わる闘う労働者党を築きあげるためにたたかう。
P同盟は、六二年第三回全国委員会総会で提起された飛躍的課題にたじろぎ、脱落・逃亡し、七〇年安保・沖縄決戦のなかで反革命集団に転落した黒田・カクマルがおこなった数かずの反革命的凶行、とりわけ七五年三・一四反革命による本多延嘉書記長虐殺を断じて許さない。熾烈(しれつ)な戦いのなかで樹立した先制的内戦戦略を堅持し、ついにかちとった九一年五月テーゼを豊かに発展させ、圧倒的に物質化し、「現代のナチス」であるファシスト・カクマルとあらゆる戦線でたたかい、労働者人民の先頭にたってカクマルを包囲し追いつめ、三・一四復讐(ふくしゅう)戦貫徹=総反攻完遂、カクマル完全打倒の勝利をかならず実現する。
Q同盟は、理論闘争、政治闘争、経済闘争の前進のためにたたかう。
R同盟は、スターリン主義者によるマルクス主義・レーニン主義の歪曲をうち破り、マルクス、エンゲルス、レーニン、トロツキーの革命的マルクス主義の伝統を受けつぎ、さらに創造的に発展させる努力を不断になしとげ、理論闘争における前進をきりひらいていく。
S同盟は、革命的大衆行動、労働組合運動、革命的議会主義のたたかいの前進のためにたたかうとともに、とりわけ不断に労働運動・労働組合運動の先頭にたち、その階級的発展のためにたたかい、労働者民主主義創造のたたかいを現在的にきりひらいていく。
(21)世界大恐慌と第三次世界大戦が歴史的に切迫する情勢のなかで、万国のプロレタリアと被抑圧民族は、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の旗のもとに団結しよう。社民党・日本共産党に代わる真の労働者党を建設し、日本革命の勝利にむかって前進しよう。

 第一条 同盟員の条件
 同盟の目的と規約を認め、毎月一定額の同盟費を納め、同盟の一定の部署に属してたたかう。
 (イ)革命的献身性と同盟の目的にそった生活態度。
 (ロ)マルクス主義青年労働者同盟、マルクス主義学生同盟の先頭にたってたたかう。
 (ハ)同盟の機関紙・誌を読み拡大すること。
 (ニ)革命的マルクス主義の学習と創造的発展のための努力。
 (ホ)同盟の決定に従うこと。
 (ヘ)同盟の活動と組織状況にかんする機密の保持。
 (ト)他のあらゆる団体と関係した際、組織に報告し、承認されること。
 第二条 加盟
 加盟は同盟員二人以上の推薦を必要とし、細胞で審議したうえ決定、一級上の機関によって承認される。
 第三条 同盟の構成
(1)同盟は細胞と全国委員会を基本組織とし、細胞、地区委員会、都道府県委員会、地方委員会、全国委員会、全国大会に組織される。全国大会は同盟の最高議決機関であり、全国委員を選出する。全国委員会は党を全国的に組織するとともに、全国大会から次の全国大会までのあいだ、大会に代わる党の方針決定をおこなう。
(2)全国委員会は政治局を日常的指導機関として選出し、同盟議長および書記長を選出する。政治局は、その決定の執行のために、機関紙編集局と中央執行委員会を設ける。
 各級機関の指導のもとに、小委員会として労働者組織委員会、産別労働者委員会、学生組織委員会、弾圧対策委員会、各種戦線の組織委員会あるいは闘争委員会、軍事委員会を組織する。
(3)中央執行委員会は、そのなかに書記局を設けることができる。また、同盟本部を支える部局を設けることができる。
 第四条 同盟員の活動
 全同盟員と各組織は、同盟の目的の実現のために、自発性と創意性にもとづき、規約を守り、組織的に活動する。同盟員はいっさいの討論の自由を保障され、その行動においては統一を守る。同盟員はその職業の選択と変更にあたって、自分の所属する組織および各級上級機関に報告し、その承認を必要とする。
 第五条 同盟の財政
 同盟の資金は同盟費、同盟の事業収入、カンパなどによってまかなう。
 第六条 同盟員の処分
 同盟の目的にそむき、階級的犯罪を犯し、規約に違反した同盟員には除名その他の処分がおこなわれる。処分は同盟員の属する細胞・各級組織の三分の二の多数決によっておこなわれ、政治局の承認を必要とする。なお、処分を受けた者は、全国委員会、大会にたいして再審を要求することができる。
 付則 この規約は二〇〇一年八月一日から施行される。
 規約の改正は全国大会と全国委員会総会においておこなわれる。全国委員会総会でおこなわれた規約の改正は、次の大会で批准を受ける。

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週刊『前進』(2019号5面2)

規約の解説
 規約改定委員会

 「革命的共産主義者同盟規約」の改定=新規約の採択は、第六回全国大会に課せられた重大な課題の一つであり、大会の歴史的意義がここに示されている。
 旧規約は、六五年の第二回大会で採択され、その後開催された大会においては改定されずに今日まできたものである。
 そのため今回の改定にあたって、規約前文である「同盟の目的」に、その後の三十五年間に及ぶ闘いの意義や大情勢・階級情勢の変化の内容を反映させることが求められた。
 それは主体的な問題について言えば、翌六六年の第三回大会での反帝・反スターリン主義世界革命戦略の基本的確立、七〇年安保・沖縄決戦の切り開いた地平と破防法攻撃との闘いの開始、七〇年七・七自己批判の画期的意義、七〇年代から八〇年代にかけての二重対峙・対カクマル戦と先制的内戦戦略の意義、九一年五月テーゼの歴史的位置――などを包摂したものにするということである。他方、大情勢に関しては、とりわけ九一年のソ連スターリン主義の崩壊とそれ以後の現代世界をいかに規定するのかという綱領的テーマに回答するものにしなければならなかった。
 また旧規約の「同盟の目的」は、制定の当時、スターリン主義との対決がわれわれの大きな課題になっていたことを反映して、反スターリン主義の原理がストレートに展開される傾向をみせている。これ自体はマルクス主義の原理としては正しいが、規約改定にあたってそれを表現として豊かに正しく発展させることが重要な課題となった。
 新規約はこれらの課題を基本的に達成したものとして画期的にかちとられた。
 修正ないし加筆された重要な個所について確認していきたい。

 「同盟の目的」に関して

 第一に、「同盟の目的」の冒頭の@において、「この階級的解放は同時にあらゆる人間の抑圧・差別からの解放、すなわち普遍的・全面的解放として実現される」という文章が挿入された。これは、労働者階級自己解放の闘いと人間の普遍的・全面的解放の同時・一体的な構造を明確にするためである。
 第二に、スターリン主義の問題に関しては、Cにおいてスターリン主義の生成の規定を正確にし、Eにおいて中国スターリン主義に対して「民族解放・革命戦争のなかから登場した」とその面での理論的前進を反映させた規定を行った。
 第三に、ソ連スターリン主義崩壊という大情勢上の歴史的な変化を受けて加筆されたのがFとGである。
 Gの前半において、現代世界の対決構造の転換について、「現代世界政治の基軸は、(帝国主義の基本的延命に根底的に規定されつつも)帝国主義とスターリン主義の対峙・対決関係として政治的・軍事的・形態的に総括されていた関係から、帝国主義と帝国主義のむきだしの対峙・対決関係へと転換したのである」と体制間矛盾論をのりこえる正確な規定がなされている。
 その後半において、帝国主義の基本矛盾が世界戦争として爆発していくことをいくつかの帝国主義論での不可欠なキーワードをもって明解に叙述している。
 第四に、HからKにかけて、ソ連スターリン主義崩壊以後におけるスターリン主義打倒の戦略的重要性を強調し、反帝・反スターリン主義世界革命戦略こそが現代革命の基本戦略であることを綱領的にしっかりとおさえている。
 第五に、L以降は「同盟は」という言葉で始まる文章となり、革共同の基本路線と任務体系が全面的に明らかにされている。
 Lは、簡潔な叙述の中に七・七路線の内容が明らかにされている。ここは綱領的内容において旧規約と決定的に違う点である。
 Mでは、旧規約で「世界革命のきわめて重要な一環をなす社会主義日本革命の実現」とされている個所を、まず原理的・思想的に「同盟は世界革命の勝利をめざしてたたかう」と規定し、次いで「その一環をなす日本プロレタリア革命の実現」と明確にした点が重要である。またこのMに、このかん確立した戦略的総路線の三つのスローガンが組み入れられている。
 Pで、四十年に及ぶ反革命カクマルとの闘いに関する規定を相当な分量をとって新たに入れた。
 Qから(21)にかけては、旧規約の対応する個所を整理してより詳細に展開している。そして最後の21の「万国のプロレタリアと被抑圧民族は、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の旗のもとに団結しよう」という呼びかけの中に革共同の綱領的前進が示されている。

 規約の各条項に関して

 第三条(同盟の構成)を大幅に改定したことが最大の特徴である。それは、六九年四・二七破防法弾圧以降の非合法・非公然活動への突入と、同盟本部事務所の本格的な建設にもとづく本部活動の強化・発展に対応したものであり、ここにもこの三十五年間の闘いの前進が反映されている。
 ひとつは、全国委員会に関連する改定である。新規約でも「同盟は細胞と全国委員会を基本組織とする」という旧規約の規定を受け継いでいるが、この規定は革共同独特の規定である。全国委員会は同盟の中央指導機関として、全国を指導する大きな細胞であり、これに無数の労働者細胞を始めとする細胞が対応している関係にある。このレーニン主義的党組織論の原理をはっきりさせたい。
 新規約での改定点は、内戦の激化と非合法・非公然活動への突入の中で大会が久しく開催できなかった状況のもとで、全国委員会が大会に準じるものとして機能してきたことをふまえて、その規定を明記したことである。
 いまひとつは、旧規約で「全国委員会は政治局を日常的指導機関として選出し、中央機関として書記局(書記長)と機関紙編集局(編集局長)をおく」としていたのを、「政治局と同盟議長および書記長を選出する」と規定した。
 そして政治局は、公然・非公然の分割をのりこえた一体のものとして構成されており、その政治局決定の公然面での執行機関として中央執行委員会を設けるという規定を新たに入れた。またそれにあわせて、機関紙編集局も政治局のもとに設けるとした。さらに中央執行委員会のもとに、書記局と同盟本部を支える各部局を設けるとした。
 他の条項は一部の字句修正はあるが、基本的に旧規約を受け継いでおり、各条項の内容をしっかり確認していってほしい。
 以上が、今回の改定の重要な点であるが、第一条(同盟員の条件)に「同盟の目的と規約を認め」とあるように、「同盟の目的」は今日的に革共同の「綱領」としての位置にあるきわめて重要なものなのである。
 闘う労働者・学生・人民にこの新規約を提示して討論を行い、革共同(マル青労同、マル学同)への加盟オルグを積極的に繰り広げることを強く訴える。

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週刊『前進』(2019号5面3)

 改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第2部 15年戦争の末路 (3)
 沖縄戦A 米軍上陸の後 「集団自決」を強いられた住民

 慶良間諸島上陸

 米軍は沖縄作戦を「アイスバーグ(氷山)作戦」と名付けた。艦船千四百隻、兵員十八万三千人、補給部隊を含めると約五十四万人という大部隊を動員した。日本軍の沖縄守備軍(第三二軍)は離島を含めて陸軍が八万六千四百人、海軍が一万人、現地で動員された学徒隊、防衛隊約二万人を加えても合計十一万〜十二万人という陣容だった。つまり敵戦力の四〜五分の一程度でしかなかった。初めから戦力差は歴然としており、勝敗は戦う前に決まっていたのである。
 三月二十三日に空襲を開始し、翌日には沖縄本島南部に艦砲射撃を加え始めた米軍は二十六日、日本軍の予測を外して、沖縄本島ではなく、那覇の西方約三十`に点在する慶良間(けらま)諸島に上陸し、数日にして全域を占領した。
 まず慶良間諸島に上陸したのは、沖縄本島攻撃の橋頭保を築き、艦船の停泊地を確保するためだった。また、宮古・八重山も英軍の空襲と艦砲射撃にさらされた。
 米軍上陸直前の沖縄の人口は約四十五万人。沖縄はそれから三カ月に及ぶ「鉄の暴風」と呼ばれた猛攻撃にさらされることになる。
 米軍は慶良間諸島上陸の三月二十六日に米軍海軍軍政府を置き、布告第一号を発した。それは「南西諸島およびその近海の住民に対するすべての権限と行政責任が占領軍指揮官たる軍政長官に帰属する」とするものである。つまり米軍は上陸と同時に占領宣言を行ったのだ。布告は司令官の名をとって「ニミッツ布告」と呼ばれた。

 離島の集団自決

 慶良間諸島には日本軍の地上部隊は存在せず、海上挺身隊と特攻艇が配備されていた。これはベニヤ張りの一人乗りモーターボートで爆弾を積んで敵艦船に体当たりしようとするものだった。米軍の沖縄本島上陸を想定して、米艦を背後から奇襲する計画だった。しかし、逆に米軍に不意をつかれた特攻部隊は、艇を捨てて山中に逃げ込んだ。日本軍は、住民を集め、手榴弾(しゅりゅうだん)を配って「集団自決」を命令した。渡嘉敷島で三百二十九人、座間味島で百七十一人、慶留間(げるま)島で五十三人が命を絶たれた。それは米軍の攻撃による死者をはるかに上回るものだった。
 渡嘉敷島の「集団自決」を十六歳の時に体験した金城重明さんは、その様相を次のように伝えている。
 「一千名近くの住民が一カ所に集められた。軍からの命令を待つためである。……いよいよ軍からの命令が出たとの情報が伝えられた。配られた手榴弾で家族同士が輪になって自決が行われたのである。しかし、手榴弾の発火が少なかった為、死傷者は少数に留まった。けれども不幸にしてその結末はより恐ろしい惨事を招いたのである。……夫が妻を親がわが子を兄弟が姉妹を鎌(かま)や剃刀(かみそり)でけい動脈や手首を切ったり、こん棒や石で頭部を叩(たた)いたり、紐(ひも)で首を絞めるなど、考えられるあらゆる方法で、愛する者達の尊い命を断っていったのである。文字通りの阿鼻(あび)地獄であった」(『軍国主義的皇民化教育の末路としての「集団自決」』)
 「当時の精神状況からして、愛する者を生かしておくということは、彼らを敵の手に委(ゆだ)ねて惨殺させることを意味したのである。従って自らの手で愛する者の命を断つことは、……唯一残された愛情の表現だったのである」(同)
 この事件は三月二十八日のことだった。米軍の本島上陸の四日前である。

 本島「無血」上陸

 四月一日、米軍は沖縄本島中部西海岸(現在の読谷村、嘉手納町、北谷町)に上陸を開始した。連合国軍の四四年六月のノルマンディー上陸作戦に匹敵する、太平洋戦争史上最大の大作戦であった。
 米軍はこの日未明から上陸五分前まで、千三百隻の軍艦を並べ、そこから五インチ砲四万四千八百二十五発、ロケット弾三万三千発、臼砲(きゅうほう)弾二万二千五百発を上陸地点に撃ち込んだ。三十平方bに二十五発という密度の猛攻撃だった。
 だが、日本軍はこの上陸作戦にまったく反撃せず、米軍にとっては意外な「無血上陸」になった。これは艦砲射撃のあまりの激しさになすすべがなかったこともあるが、日本軍が基本的な戦略として、水際作戦ではなく上陸後の長期持久戦法をとったためである。大本営にとって、沖縄本島に米軍を釘づけにし、なるべく長期にわたって戦争を続けることで本土攻撃までの時間稼ぎを行うことだけが目的だった。沖縄がじゅうりんされ、焦土となり、沖縄人民の命が大量に失われることはまったく無視されたのである。
 米軍はその日の内に北飛行場(読谷)、中飛行場(嘉手納)を占領した。日本軍は、米軍の上陸前に自ら両飛行場を爆破していたが、すぐに米軍によって修復され利用された。米軍は翌日には東海岸に達し、本島を南北に分断した。そこから南と北に向かって進攻し、日本軍の手薄だった北部では二十日ころには全域を占領した。
 この本島上陸直後にも、「集団自決」事件が起こっている。代表的な例が読谷村の「チビチリガマ」で四月二日に起こった八十四人の「集団自決」だ。そのうち半数以上の四十七人は十二歳以下の子ども、幼児である。親が子を「愛するがゆえに」殺したのである。
 ガマの中に中国戦線で従軍看護婦をした女性がいて、日本軍が中国人の捕虜や住民に対して行った虐殺や暴行を目撃した経験をもっていた。このため、「捕虜になったらひどいことをされる」という話が現実味をもって受け取られた。日本の侵略戦争とその残虐さの裏返しとして、「集団自決」があったのだ。
 この「集団自決」事件の調査を行った知花昌一さんは、この事件は「皇民化教育がもたらしたもの」と断罪している。「生きて虜囚の辱めを受けず(捕虜になることは恥、その前に自ら死ね、ということ)」とうたった「戦陣訓」に縛られていたのだ。(高田隆志)

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週刊『前進』(2019号5面4)

公判書類の房内所持規制 「3メートル制限」打ち破る

 七月十九日、東京地裁民事第二部(市村陽典裁判長)で、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志が提訴していた、公判書類の房内所持規制処分の取り消しを求める行政訴訟と国家賠償請求訴訟の判決が出された。
 判決自体は「請求を却下する」という許しがたいものだったが、「公判書類の所持規制は強制ではない」と言わざるをえず、東京拘置所による不当な制限、権利侵害を粉砕する勝利をかちとった。現に今、三同志は三b制限を超えて、必要な公判書類を全部房内で所持している。
 九七年十月から「被収容者の領置物の管理に関する規則」により、全国の拘置所・刑務所で被収容者の領置品の総量規制が強行された。そのこと自体、長期獄中闘争を闘う同志たちに一層の不自由を強制するもので、断じて許されないが、東京拘置所は、その機に乗じて裁判に必要な訴訟書類の房内所持を、積み重ねた高さにして三b以内に規制してきたのである。
 迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う須賀、十亀、板垣の三同志は、十数年に及ぶ長期裁判のために、房内に四〜六bの訴訟書類を所持していた。それが、三b制限により半分前後の訴訟書類を房内から奪われてしまったのだ。
 東拘に勾留されているのは、裁判のためであり、裁判に必要な書類はすべて房内に所持できて当然である。長期裁判・長期勾留に屈せず、デッチあげ裁判と全力で闘いぬいている三同志にとって、裁判書類は絶対に必要であった。所持制限の攻撃は、三同志の裁判闘争を妨害し破壊するもので、断じて許されない。
 三同志は、直ちにこの規制処分の取り消しを求めて行政訴訟と国家賠償請求訴訟に訴えた。
 法務省・東拘当局は、慌てて、「三b制限は強制ではなく指導であり、その指導に原告(獄中三同志)らが任意に従った」などと大ウソをつき始めた。他方で三b制限は東拘所長の合理的な裁量権の行使であり違法性はない、と主張した。
 しかし、三b制限の「合理的理由」について、捜検や視察に支障をきたすというへりくつしか主張できず、三同志は、実際、壁際に並べられた書類によって捜検や視察に支障をきたすことなどまったくない事実を明らかにした。さらに、視察や捜検の便宜のために在監者の防御権が侵害されてはならないことを怒りをこめて弾劾した。
 こうした攻防をとおして結局東拘による規制を粉砕したのだ。判決は、規制自体の違法性や、規制で防御権を侵害した事実を無視する許しがたいものであったが、三b制限をまったく正当化できなかった。
 司法改革・改憲攻撃を強める日帝・法務省は、獄中処遇の劣悪化、権利はく奪攻撃を強めている。
 獄中同志の闘いと一体となって、獄外では九八年六月に自由人権協会の声明、九八年十一月に東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会から法務大臣および東拘所長あての文書による申し入れ、九九年に国会質問、昨年九月には日弁連に申し立てた人権救済で法務省への勧告をかちとった。さらに抗議集会・デモなどを闘った。
 法務省・東拘の違憲・違法な攻撃を、獄中同志と一体となった裁判闘争および広範な闘いで完全に粉砕した。この勝利の上で、裁判闘争勝利と獄中同志保釈・奪還のために全力で決起しよう。保釈署名運動を全国から猛然と巻き起こそう。

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週刊『前進』(2019号6面1)

9・1防災訓練粉砕 関東大震災の虐殺の歴史くり返すな
 インタビュー 反戦自衛官 小多基実夫さん

 9・1自衛隊有事出動演習について反戦自衛官の小田基実夫さんにお話を伺いました。(編集局)

 統幕議長がすべて指揮

−−九月一日に七都県市合同防災訓練が行われます。今年の「ビッグレスキュー東京2001」はその一環として行われます。防災訓練と言っていますが、何が狙いなのでしょうか。
 石原都知事は、昨年の「ビッグレスキュー東京2000」と今年の「2001」を通して「都市防災」と称する自衛隊の有事(=治安)出動をひとつのフォーマット(型式)として確立しようとしています。昨年は政治的パフォーマンスという要素が強かったですが、今年はより実質的なところで踏み込んでいます。
−−昨年と今年ではどう違うのでしょうか。
 昨年の「ビッグレスキュー2000」では、自衛隊は七千百人を動員し、初の自衛隊三軍の統合演習として行いました。統合幕僚会議議長が自衛隊三軍の指揮をとりました。これも初めてです。そして統幕議長は、自衛隊だけでなく、実質的に「ビッグレスキュー2000」のすべてを統裁官として指揮しました。指揮の実体は、都庁よりも市ケ谷の防衛庁にある中央指揮所だったと言ってもいい。すべての訓練が自衛隊を中心に行われたのです。
 これを東京という政治・経済の中枢で実行したのが「ビッグレスキュー2000」の大きな特徴です。
−−では今年の特徴は。
 今年は七都県市合同としては川崎市が中心となり、自衛隊も川崎市に大量投入されます。東京では、自衛隊が指揮所演習(CPX)と呼んでいる、いわゆる図上演習を行った後で実動演習をやるという二段構えでやることがポイントです。
 ですから七月十七、十八日に行われた総合防災指揮所演習という図上演習には重大な意味があります。この指揮所演習には、都・区職員を始め警察、消防など八百人の動員に対し、自衛隊はなんと千二百人が参加しています。昨年の九・一では指揮幕僚関係での自衛隊の参加は百五十人ですから、十倍以上です。
 この指揮所演習は、自衛隊の大きなヘゲモニーの下で行われた。これは首都の治安維持や災害出動を自衛隊中心にやることを意味します。練馬駐屯地や朝霞駐屯地に指揮所を設置し、都や警察・消防と調整するという形で行われています。指揮系統も陸上自衛隊の東部方面隊が中心です。
 つまり、戦争であれ、災害であれ、自衛隊の指揮下に入らないと何もできないという状況になっている。自衛隊が情報や指揮系統をがっちりおさえているからです。この実動演習が九月一日に行われるのです。
−−具体的には指揮所演習で何をやったのですか?
 この指揮所演習は、初動対処から増援部隊の到着までをロールプレイング(役割演技)方式で三十二時間ぶっ通しで行っています。
 練馬駐屯地の指揮所演習では、政経中枢型師団と呼ばれる第一師団が、初動段階で東京二十三区に連絡幹部を派遣。続いて十五区を第一普通科連隊が、残り八区を第三一普連が制圧。この二個連隊に群馬・相馬原のヘリ旅団とか習志野の空挺団が加わり三十二時間持ちこたえて、その後、全国からの増援部隊と交代する、という想定で訓練を行っています。
 昨年の「ビッグレスキュー2000」の時もそうでしたが、訓練開始と同時に、東京周辺の空域は自衛隊の航空統制下に入ります。また知事の出動要請よりも早く、自主派遣という形でやっているのも重大な問題です。

 市街戦を想定した訓練

−−「防災」という言葉の持つイメージと離れた軍事演習そのものですね。
 そうです。自衛隊は、防災訓練を治安作戦としてやっている。災害出動も治安出動や市街戦の作戦として考えておけば間違いないということです。後はライフルを持つのか、スコップを持つかの違いだけです。
 自衛隊の作戦は、すべて軍事行動です。その意味で、災害救助も治安出動も基本的な考え方は全部同じ。作戦的にはほとんど同じと言ってもいい。災害救助も軍事行動の線を離れない。だから阪神大震災の時も、命令がないと自衛隊は何もしないで見ているだけ。個々の自衛官が人助けをするというように、臨機応変には動かないようになっているのです。
 結局、自衛隊の問題意識は、『周辺事態』や『防衛出動』にしろ『治安出動』にしろ、有事の際に自衛隊がどうやって首都東京を制圧するのか、あるいはどうやって戦時体制、戦争動員体制をつくるのかということなんです。
−−具体的には?
 ヘリコプターなどでの偵察訓練、地下鉄や輸送艦・輸送機を使っての部隊進出や部隊集結の訓練も、自衛隊による都心制圧作戦そのものです。災害時のがれきの撤去と内乱時のバリケードの撤去に違いはない。昨年銀座や都庁でレンジャー部隊がやったビルからの救出訓練と、ゲリラを制圧するためにビルに突っ込む作戦は、基本的に同じです。交通規制と称してやった検問などの訓練も、橋や高速道路のインターチェンジなど東京へつながる交通を封鎖する、全部そういう意味を持っている。市街戦がベースになっています。
−−被災者の救助という観点は全然ない……
 昨年の「ビッグレスキュー東京2000」のサブタイトルは「首都を救え」で「都民を救え」ではないのですね。だから想定死者の数は発表しても、何人救出したかは発表しないし、おそらく意識にもないのでしょう。
 自衛隊はそもそもレスキュー部隊ではないので、災害救助は得意ではない。石原の言うように、治安維持にこそ重点がある。台風や地震は、どこで起きるかはわからない。しかし治安出動とか戦争が始まったらどうするかは、あらかじめ想定できる。国会や首相官邸など永田町をどう制圧するのかとか、霞が関でどうとか、具体的にいろいろ想定できるわけです。だからこそ「防災訓練」を毎年やる意味があるわけです。自衛隊は「ビッグレスキュー」でそれをやっています。

 治安出動の「敵」は誰か

−−「防災訓練」は有事出動訓練そのものですね。
 ここで問題は、自衛隊が、軍事作戦として「災害出動」や「治安出動」する場合、「敵」は誰なのかということです。これは石原が言っているように、敵は在日を含むアジア人民ということなんです。「外国人は、必ず犯罪や騒擾(そうじょう)を起こす。首都を救え」ということです。そうして自衛隊を「国軍」として前面に押し立てて東京を制圧する。これは関東大震災の時の排外主義の構図そのものなんです。
 在日朝鮮人作家の朴慶南(パクキョンナム)さんが「毎年九月一日に防災訓練が行われるたびに、また襲われるのではないか、いざという時にこの日本人は守ってくれるのか、それとも襲ってくるのかと考える」と本の中で書いています。彼女は私と同い年ですが、思いにこんなに差があるのか、と愕然(がくぜん)としました。「敵」とされる側、殺される側の恐怖感をきちっと考えなくてはならない。
−−それは自衛官にもあてはまる。
 自衛官に働きかける場合も、そこが重要です。ひとりの人間としての個々の自衛官に、人民に敵対するなと呼びかけることが大切です。また小泉首相は「命がけで戦う決意を示すのが自衛隊だ」と言っている。しかし自衛官のほとんどは命をかけて国のために志願しているわけではない。総理大臣という自衛隊の最高命令権者の立場から有無を言わさず自衛官に「命を捨てよ」と要求するようなやり方は本当に許せない。
 「ビッグレスキュー2001」には、高校生もボランティアで動員するようです。参加しない人も自宅待機。内申書のことなどを考えると、ほとんど強制です。それを学校内で割り当て、親にハンコまで押させて校長の成果として動員するわけです。本人の考えとは関係なく学校、地域、親など周りの人間が高校生を半ば強制で参加させる。特攻隊とボランティア。案外近いのではないでしょうか。
−−最後に一言。
 石原たちは、九・一のフォーマットを完成させて全国化させると言っているが、労働者人民の側から言っても、石原に「敵」と名指しされた在日アジア人民との連帯・結合を深め、闘いを発展させるチャンスです。この訓練の階級的本質が自衛官にも強烈に伝わるように闘いましょう。
 【写真は「多民族共生社会の防災を考える9・3集会」のデモ(右)と装甲車上の石原慎太郎(左)(2000年9月3日)】

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週刊『前進』(2019号6面2)

闘いの現地からのアピール
 川崎 自治体労働者動員の有事演習と断固闘う

 今年の九月一日に強行されようとしている七都県市合同防災訓練は、小泉反革命とファシスト石原が一体となった戦争国家づくりの重大攻撃である。
 米日帝の中国・朝鮮侵略戦争の切迫情勢の中で「防災」に名を借りて、首都圏全体を対象にした治安弾圧訓練、有事出動訓練、有事立法の先取り演習を強行しようとしているのだ。

 防災訓練になぜ軍艦出動なのか

 今年は川崎市が幹事都市で、川崎市を中心に行われる。昨年九月三日に石原が自衛隊七千百人を投入して行った「ビッグレスキュー東京」は、その一環として位置づけられ、三多摩を中心に行われる。
 逆に言えば、昨年、東京都で強行された首都制圧の治安弾圧訓練をもっとエスカレートさせ、首都圏全体を連動させ、陸海空の自衛隊を総動員しての治安出動訓練を行うということだ。
 川崎市では、川崎の公共ふ頭(東扇島)に、戦後初めて自衛隊艦船が入港するという、許せない計画が強行されようとしている。
 海上自衛隊輸送艦「さつま」に陸上自衛隊の三十人(横須賀の一〇五教育大隊)とジープ二台を載せて(海自と陸自共同の物資・人員輸送訓練)入港し、東扇島の二号岸壁へ上陸。岸壁にはあらかじめ大型車両十台が結集、上陸した陸自とともに車両隊は中央会場まで「行軍」する計画だったが、これは中止された。
 「輸送艦」と称して正体を隠しているが、正式名称は戦車揚陸艦=LSTで、五〇口径三インチ連装速射砲と四〇_連装速射砲を装備する、まさに侵略戦争のための軍艦である。
 さらに海上自衛隊の特務艇「はしだて」を使って医療訓練と後方医療施設への搬送訓練。世界一優秀といわれる海上自衛隊の掃海艇「はつしま」も出動する。
 「はつしま」には二〇_機関砲と掃海装置が設置されている。掃海艇とは機雷を除去する以外なんの用途もない戦争目的の艦船である。当局は「水難救助」だと強弁するがまったくのペテンだ。防災訓練になぜ砲撃・射撃の装備した艦船が必要なのか。災害時に人民を救うのではなく、人民に銃口を向けるための治安訓練であることは、このことからも明らかだ。
 「自主防災組織」に参加する川崎区の住民二百人は、テントの中でこうした自衛隊の訓練を見学した後、自衛艦の施設を見学する計画となっている。「七都県市」という自治体の名前を使いながら、川崎港での訓練では、自治体や住民の出番はまったくない。自衛隊艦船三隻と海上保安庁のヘリコプターが主役の、有事立法制定の地ならしのためのものでしかない。
 戦前の港湾施設は、アジア人民を虐殺した日帝のアジア侵略戦争の出撃場所であり、それゆえ天皇直轄の管理下にあった。戦後、地方自治法や港湾法が制定され、港湾施設は地方自治体の管理になった。
 周辺事態法第九条一項には「地方公共団体の管理する港湾施設の利用」の項目がある。しかし、周辺事態法といえども「必要な協力を(自治体に)求めることができる」とされていて、自治体に港湾施設の軍事利用や港湾管理者に戦争協力を強制することはできない。そのため有事立法の制定が必要なのだ。
 今回の川崎港への入港は、それを突破するための反動的な訓練で、絶対に許すことはできない。
 中央会場(新鶴見操車場跡地)でも自衛隊が大量動員される。巨大なスクリーンを設置、各地の訓練、自衛隊の「活躍」を映し出し、参加した住民に見せる計画も予定されている。
 小泉ら政府視察団は、陸自ヘリ「ピューマ」に乗って移動し、調布→川崎港→中央会場を視察する。小泉は「自衛隊を尊敬し感謝すべき」と呼号し、自衛隊を「国のため、天皇のために喜んで戦って死ぬ」軍隊にしようとしている。

 「防災」に名借りた治安弾圧訓練

 さらに川崎工業高校に、自衛隊・警察・消防を集結させ、中央会場までの移動訓練が予定されている。幸スポーツセンターでは死体収容訓練が行われる。また航空自衛隊入間基地から羽田空港を経由した川崎市への資機材等の広域輸送訓練も行われる。七会場のうち四会場に自衛隊が投入される。川崎市全域を自衛隊が制圧するという治安弾圧訓練そのものである。
 一九二三年関東大震災の時、六千人以上の朝鮮人、六百人以上の中国人が日帝軍隊、警察、自警団によって虐殺された歴史を絶対にくり返してはならない。
 当時、神奈川県では朝鮮人の在住者約三千人のうち千七百九十五人が虐殺された(朴慶植著『天皇制国家と在日朝鮮人』)。しかも今回の訓練会場のひとつである多摩川河川敷の二子玉川近くの中洲で当時三百〜四百人の朝鮮人が軍隊によって包囲され虐殺されている(同)。
 一九六〇年の安保闘争の高揚に危機感をもった日帝・自衛隊は、関東大震災のことを詳しく研究した。そして軍隊が素早く治安維持にあたったことを高く評価。それ以降、本格的な有事の治安弾圧体制の研究に入る。七〇年安保・沖縄闘争の高揚の中で、まさに治安の観点から九月一日が「防災の日」と定められ(関東大震災時の朝鮮人・中国大虐殺の史実を隠すものだ)、それ以降、毎年総合防災訓練が行われてきた。「防災」を利用しての自衛隊の治安弾圧訓練であることは明白である。

 市職労港湾支部が業務要請拒否

 川崎では反撃の闘いが開始されている。ある市民団体は、この訓練に抗議し、川崎港に上陸した自衛隊が中央会場まで移動する計画をついに中止に追い込んだ。川崎の在日朝鮮人が多く住む地域を自衛隊が「行軍」することを阻止したのだ。川崎市職労港湾支部などの組合も闘いに立ちあがっている。港湾支部は「自衛隊艦船の防災訓練参加に反対する抗議声明」を発表、港湾当局との交渉を続け、組合員一丸となって当局の組合員の防災訓練への参加−業務要請を拒否することを決定した。
 闘いはすでに切り開かれている。九・一防災訓練への怒りが、労働者、市民の間に広がっている。小泉反革命−石原ファシスト打倒の秋の決戦の突破口として九・一防災訓練粉砕に全力で決起しよう。排外主義を粉砕し、闘うアジア人民・在日アジア人民と連帯して闘い抜こう。
(労働者H・O)

 三多摩 石原の排外主義攻撃絶対許さない闘いを

 九月一日、七都県市合同防災訓練の一環で「東京都総合防災訓練(ビッグレスキュー東京2001)」が実施されようとしている。これは「防災」に名を借りた有事訓練であり、ガイドライン発動のための有事立法の先取り訓練だ。改憲と戦争国家体制づくりの最先端の攻撃だ。粉砕に立ち上がろう。

 自衛隊主導で行われた図上訓練

 ビッグレスキュー2001は、実動訓練に先立って本部運営訓練(図上訓練)を強行したことに最大の特徴がある。この図上訓練は、七月十七、十八日に三十二時間昼夜を徹して行われた。訓練会場は、東京都防災センター(都庁)、立川防災センター、杉並・江東・八王子・調布の各区市役所。さらに陸上自衛隊東部方面隊の朝霞駐屯地、練馬駐屯地、府中基地、横須賀基地(後に立川駐屯地も加わっていたことが判明)も会場となった。
 この訓練に参加した陸海空自衛隊員は統裁部(コントローラー)三百五十人、演習部隊(プレイヤー)八百五十人の計千二百人。都庁九階の訓練会場に大量の迷彩服の自衛隊員が入り込んだ。見学者がシャットアウトされた「陸自連絡室」では、二十人ほどの自衛隊員が、陸自の動きを秒単位でモニター表示。情報を自衛隊が一手に掌握。完全に自衛隊主導で行われた。
 各区市役所会場で行われた自治体での図上訓練は、総合防災ソリューション(河川情報センター)という会社がシナリオを作成し、すべてその指示のもとに動かされた。これは、その九割以上が自衛隊出身者(代表は元陸自一佐)の完全な自衛隊の御用会社だ。
 図上訓練は、自衛隊が企画・運営・訓練の評価に至るまで自治体と自治体職員を監督して行われた。東京都参与・志方俊之(元陸上自衛隊北部方面総監)は、昨年のビッグレスキュー2000を総括して、今回は「都市型大規模防災訓練のフォーマットを完成させたい」として「区役所や市町村役場、すなわち現場レベルのスタッフの訓練」を重視すると言っている。
 東京都は、「陸上自衛隊が本訓練と並行して東部方面隊指揮所演習を実施するので、訓練内容について連携を図る」としているが、「連携」とは、自衛隊の指揮下に区市町村が入ることを意味している。まさに「防災」に名を借りた戦時動員訓練にほかならない。
 ビッグレスキュー2001の訓練会場は、JR八王子駅前、都立南多摩高校、調布基地跡地、多摩川河川敷、立川広域防災基地である。さらに米軍横田基地および同赤坂プレスセンターを利用して自衛隊の大型輸送機による人員・物資輸送訓練が行われる。横田基地を防災訓練に利用するのは初めてだ。石原は、横田基地について「返還」公約を反故にし、地元住民の基地撤去の声を踏みにじって軍民共用化を狙っており、今回はそのための布石を打つものである。横田基地は、四千b級滑走路を有する戦略輸送拠点だ。この横田基地を利用することで、九・一訓練が侵略戦争を想定した戦時訓練であることがますます明白となった。

 ボランティアは戦時動員の道

 特に南多摩高校の高校生をボランティアとして動員しようとしていることは絶対に許せない。なんと二学期の始業式を三日にずらして強行するという。ここでは、トリアージも訓練項目に入っている。トリアージとは、「治療の優先順位による患者の選別」ということで、「回復の見込まれる人」を優先治療して戦場に送るという軍事用語だ。
 防災訓練への生徒の参加は、応募の形をとっているが、「安否確認訓練」ということで事実上全員が防災訓練に参加させられる。沖縄戦では鉄血勤皇隊や従軍看護婦隊も「志願」によって編成されたが、実際は強制だった。このことを想起すれば、事態は重大だ。小泉の「国のために命を捧げよ」という扇動が、実行されようとしているのだ。
 そもそも、自衛隊の「災害派遣」は、治安出動の一環として位置づけられている。「自衛隊の災害派遣に関する訓令」第一八条には「派遣部隊等は……救援活動のために特に必要がある場合は、最小限度必要とする火器及び弾薬を携行することができる」と明記されている。自衛隊の災害派遣の目的は明白だ。火器・弾薬がなぜ必要なのか。
 防衛庁の作成した「南関東災害派遣計画」によると、自衛隊の活動は、第一に「航空機による空中偵察や艦艇による被災地沿岸の偵察」であり、「要人の緊急輸送や交通統制の警察支援」である。人命救助については「可能なかぎり救助活動を実施」としか書かれていない。自衛隊にとって「災害派遣」の主目的は治安維持でしかない。実際、自衛隊は「人命救助」の訓練など行っていないし、装備もノウハウもない。

 大虐殺は過去の問題ではない

 小泉や石原らは関東大震災で多くの死傷者が出たことは語るが、六千人以上の朝鮮人・中国人虐殺という歴史的事実は隠ぺいする。
 関東大震災の発生で危機に立たされた当時の支配階級は、軍隊と警察による戒厳令を敷き、「朝鮮人が放火し、井戸に毒を投げ込んでいる」といったデマを流布、大虐殺を強行した。そして自警団に組織された日本人は、武器を手に虐殺を繰り返した。さらに亀戸事件のように、社会主義者・労働組合活動家へのテロルも吹き荒れた。この国家的犯罪を忘れてはならない。
 石原は、昨年四月九日、陸上自衛隊記念式典で自衛隊に在日外国人襲撃をあおる許しがたい暴言を吐いた。今年四月八日の記念式典でも、まったく同趣旨のことを述べている。
 排外主義攻撃は、過去のことではなく、今現在、身震いして見据えなくてはならない課題である。九月一日を、虐殺の歴史を見据え、二度と繰り返さない闘いの日としなければならない。調布の多摩川河川敷周辺には在日朝鮮人が多く住む。あえてこの場所を会場としたこと自体が許しがたいことだ。
 当日、小泉や石原らは、各訓練会場を訪れ、視察するという。小泉は「侵略されたとき命がけで戦う決意を示すのが自衛隊だ」と自衛隊を扇動し、自衛隊を侵略軍隊にしようとしている。戦争に突き進む小泉政権と対決し、九・一合同防災訓練(ビッグレスキュー2001)粉砕に立ち上がろう! (労働者K・M)

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