ZENSHIN 2001/07/30(No2015 p06)

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週刊『前進』(2015号1面1)

 小泉打倒・戦争国家化粉砕

 アジア人民との国際連帯かちとれ

 教科書、広島・長崎・靖国闘争へ

 七・二九投票日の参議院議員選挙において、比例区・オータ昌秀候補(前沖縄県知事)、東京選挙区・新垣しげお候補(沖縄社会大衆党書記長)の当選を、闘う沖縄人民とともにもぎりとろう。都議選闘争を総括し、二〇〇一年後半戦の展望を明らかにする七・二九東西革共同集会に大結集し、党勢倍増に向かって前進しよう。小泉反革命、改憲・戦争国家化と真っ向から対決して八・六広島、八・九長崎反戦・反核闘争を全国の力で成功させよう。小泉の来広、来崎を許すな。「つくる会」教科書の採択攻撃を粉砕せよ。八・一五小泉の靖国神社公式参拝を絶対に許さず、闘うアジア人民と連帯して必ず阻止しよう。千四十七人問題でのゼロ回答を粉砕し、国労執行部打倒へ突き進め。これらの重層的な七―八月決戦を全力で闘いとり、二〇〇一年の秋の闘いを切り開こうではないか。
 革共同集会に総結集しよう

 第1章 小泉反革命と徹底対決し参院選勝利へ

 米帝ブッシュ政権は世界大恐慌の危機の中で、従来から画然と政策的転換を行い、中国・朝鮮侵略戦争を本気で構え、ブロック化と軍需経済化と争闘戦激化にかじを切った。
 日帝・小泉は、このブッシュの政策に対応して、「小泉改革」という名の大反革命攻撃に出てきている。小泉反革命の本質は、日帝の基本路線として、金融大独占資本を救済するための攻撃にある。
 七月二十日から始まる帝国主義首脳会議(ジェノバ・サミット)に対しては、米帝と日帝に対する全世界の人民の怒りが噴出しようとしている。米帝ブッシュのミサイル防衛構想(七月十五日、迎撃実験が成功)は、中国を射程に入れた核戦争を構想したものであり、中国・朝鮮侵略戦争危機を激成する。日帝・小泉はこの米ミサイル政策に同調している。
 また、京都議定書問題は、地球温暖化防止策に対して、軍需・石油産業の独占体の利害を優先する米帝が議定書から離脱し、小泉がこれを擁護し、米を抜きにした批准には応じないとしている問題である。世界を破滅に導く二大帝国主義国に対して、今まさに怒りが爆発しようとしている。
 小泉反革命とは何か。日帝の没落と大恐慌の危機のもとでの、改憲・戦争国家化の攻撃であり、「構造改革」の名で倒産と大失業の攻撃を進める攻撃である。
 改憲・戦争国家化の攻撃では、小泉は憲法九条改悪を公言し、集団的自衛権行使を掲げ、PKF(国連平和維持軍)参加凍結解除、有事立法の策動を強め、沖縄新基地建設の攻撃を進めている。沖縄の米兵犯罪問題での「地位協定見直し要求」の声の高まりに対して小泉は「地位協定の運用改善」の名で見直し拒否を明言している。小泉政権は沖縄圧殺政権でもある。
 教育改革攻撃、「つくる会」教科書問題での韓国政府からの再修正要求拒否の回答は、戦争国家化攻撃の最先端の攻撃である。さらに小泉は八・一五靖国神社公式参拝を公言し、実行しようとしている。
 この中で九・一治安出動演習とも連動して、治安弾圧攻撃が一挙に強まっている。六月二十七日に小泉と石原都知事が会談し、警察力の強化を意志一致している。司法改革の攻撃も戦争国家化に沿った司法のあり方に変える攻撃である。
 小泉の「聖域なき構造改革」とは何か。銀行の不良債権を二、三年で実質処理するとして多数の中小企業を倒産に追い込むものであり、それによって二、三百万人の大失業を新たに生み出すものである。他方、銀行に対しては公的資金をさらに注ぎ込み、しわ寄せを労働者人民に強制する。国債の発行を三十兆円に抑えるとしているが、歳出カットは社会保障の高負担、低サービス化である。歳入のアップは消費税増税以外にない。一五%アップが閣僚から語られている。行政改革では、郵政民営化による大リストラが策動されている。さらに、低生産部門の切り捨て、戦後社会保障の理念と制度の全面解体、地方自治解体の攻撃が盛り込まれている。
 一言で言って小泉「構造改革」は、改憲と戦争国家化に向かって日本社会を優勝劣敗、弱肉強食の地獄に追い込むものであり、「痛みを覚悟せよ」として、労働者人民にすべての犠牲を押しつけるものである。 
 決意も新たに、日帝・小泉政権打倒、戦争国家化攻撃粉砕、米日帝の中国・朝鮮侵略戦争阻止に総決起しようではないか。
 その一環として、小泉の参院選での反革命攻撃と対決するために、独自の候補を持たないわれわれが可能な最大限の闘いをつくりだすものとして、オータ選挙闘争をさらに強く押し上げていくことを訴える。
 比例区のオータ昌秀候補は、そのアピールの中で、「政府・与党は、戦没者の血であがなった憲法を変え、新たな国造り、すなわち再び戦争のできる国造りを企図している。憲法に違反する集団的自衛権の行使や有事法制の立法化の動きは、まさにその端的な現れだ。その意味で、日本は文字どおり危機的状況にある」と訴えている。
 少年時に沖縄戦で「鉄血勤皇隊」に動員され、戦火の中で九死に一生を得た経験をもつオータ候補は、二度とあのような戦争を起こしてはならないと誓い、学者として知事としてその信念を貫いてきた。その激しい危機感と怒りを共有して、オータ候補を必ず国会に送るために全力を尽くそう。比例区なので、全国すべての有権者がオータ候補に投票できる。職場の仲間、労組にオータ支持を持ち込み、あらゆるツテを求めて、家族、親類、友人、知人にオータ候補への投票依頼を行おう。
 また、東京選挙区の新垣しげお候補(沖縄社会大衆党書記長)は、「東京で沖縄を問う」を掲げて闘っている。投票を集中しよう。

 第2章 8・6−8・9−8・15闘争の大高揚を開け

 「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書(扶桑社)が栃木県下都賀地区(二市八町)の教科書採択協議会で採択が決定されたが、ただちに反対の声が内外から巻き起こり、ついに白紙撤回に追い込んだ。現場から採択を求める声がないにもかかわらず、採択協議会の中で「つくる会」が多数派工作をしていたのだ。各市町教委は続々不採択を決めている。教科書をめぐる闘いは、全国的に白熱した攻防に突入した。
 南朝鮮・韓国の国会は、再修正要求を拒否する日本政府に対して、日韓関係の全面見直しを求める決議を上げた。朝鮮人民、中国人民の怒りの声はいたるところから噴出してきている。
 朝鮮・中国の再修正要求はまったく正義であり、日帝による侵略と戦争の数えきれない大きな被害を受けた人民の当然の最低限の要求である。これを「内政干渉だ」とか「日本の検定制度が分かっていない」などとしてはね返すことは、日本が侵略し被害を与えたことを開き直るということであり、抗議する権利を認めないということである。
 6面につづく〜1面からつづく
 そしてそれは「つくる会」教科書が展開する日帝の侵略と戦争の歴史の美化を政府として承認するものである。これは実におそるべきことであり、戦後の日帝の対アジア関係を反動的に一変させるものだ。
 また、これと連動して、小泉の「靖国神社公式参拝」の意志表示が就任前後から繰り返されていることは超重大問題だ。小泉は、「二度と戦争を起こさないために靖国に行く」と言っている。そして「反対する理由が分からない」と言って、自分の方が正当で、反対する方に問題があるかのようにすり替えている。
 また、A級戦犯が合祀(ごうし)されていることについても、「区別することがいいのか」などと、分け隔てなく祈るかのように言っている。さらに韓国や中国の抗議について、「八月十五日以後に関係を考える」と言って、靖国公式参拝を強行した上で、その既成事実の上に韓国や中国に対して旧宗主国的位置を復活させようとしている。
 これらは一つひとつが絶対に許せないものである。「戦争を起こさないために行く」というのはとんでもない言い草だ。靖国神社こそ、「二度と戦争を起こさない」思想の正反対に位置している。靖国思想とは「死んだら神として祭るから、安心して国のために命をささげよ」という思想だ。首相として参拝するとは、首相が人民に「国のために命をささげよ」と号令を発するものである。
 また、反対する理由が内外からこれだけ示されているのに、分からないふりをする。これは問答無用ということだ。「死んだ者に区別はない」というのもペテンだ。靖国は死者を選別して、天皇のために死んだものを「英霊」として祭る神社である。
 とりわけ、中国や韓国との関係がどうなっても、態度を改めることは絶対にないと強調していることは、決定的に重大だ。これは国交断絶も辞さないということである。戦後、多くの閣僚が過去の植民地支配と侵略戦争の歴史を居直り美化する発言をして厳重な抗議を受け、後から「謝罪」や「罷免」を余儀なくされることを繰り返してきた。これを「屈辱」と転倒してとらえ、この歴史に終止符を打ち、諸外国から何を言われようと、強行突破し、新大東亜共栄圏づくりに足を踏み入れようとしているのである。
 だが、そんなことが許されるのか。韓国や中国にとって日本は、かつての侵略国だが今は敗戦国となって牙(きば)を抜かれた国というようなものではない。米帝に次ぐ経済力を持ち、再軍備し、新ガイドライン協定と周辺事態法を成立させて、戦争ができる国になっているのである。また小泉は憲法第九条の改悪を公言し、集団的自衛権の行使を叫び、有事法制の具体化を指示して戦争国家化を必死で進めている政権である。しかも、アジアに対する侵略戦争の出撃基地である沖縄を一層強化しようとしているのである。つまり日本は、米帝ブッシュとともにアジアで戦争を起こそうとしている強大な帝国主義国家なのである。
 その日本の首相が靖国神社に公式参拝することは、新しい戦争のためのあからさまな宣言にほかならないのだ。そういう極右国粋主義を公然と表明するような人物が日本の首相になり、しかも八割の支持を集めているのだ。かつて侵略された諸国の人民から見れば、それはどれほど戦慄(せんりつ)する事態か。
 それを小泉は、さしたる重大問題ではないかのように扱って、クリアしようとしているのである。事態はきわめて深刻なのである。
 靖国公式参拝策動は、「つくる会」教科書と一体の攻撃である。この二つの攻撃との闘いを、朝鮮・中国・アジア人民と連帯して圧倒的にかちとらなければならない。この闘いには七・七精神の真価がかかっている。七・七精神はわれわれの内的な確認ではなく、労働者人民全体の課題であり、この靖国参拝阻止、「つくる会」教科書採択阻止の闘いの中に貫かれなければならない。
 今年の八・六広島、八・九長崎の反戦・反核闘争は、八・一五靖国公式参拝阻止と一体の闘いだ。
 第一に、何よりも、六・二三沖縄に続いて、小泉は八・六広島、八・九長崎に訪問することをとおして、八・一五靖国公式参拝の道を掃き清めようとしている。六・二三も八・六も八・九もそのように靖国公式参拝のための手段にしてしまおうとするものである。と同時に、沖縄戦や原爆被爆者を「英霊」化しようとしている。この攻撃に対する反撃として、また八・一五靖国闘争の突破口として八・六、八・九を闘いぬかなければならない。
 第二に、米帝ブッシュがミサイル防衛システム(NMD、TMDの統一)をもって核先制発動体制を確立しようとし、日帝・小泉がこれに全面的に協力を誓いつつ、独自の核開発を策動していることに対する反撃の闘いである。
 第三に、改憲・教育改革攻撃に対する闘いだ。教育労働者を始めとする人民の結集をかちとろう。
 八・六広島、八・九長崎の大成功の上に、八・一五にあらゆる力を結集して小泉の靖国参拝を阻止せよ。

 第3章 革共同集会の大成功をかちとり党建設へ

 八月は、同時に、国鉄決戦の月である。国労本部、チャレンジ一派と革同一派が、千四十七人問題の最終的決着を次期大会で図ろうとしているが、その内容たるや「一人八十万円、関連会社への七十五人再雇用」というゼロ回答に等しい案であり、それを押し通す確信が持てないために大会日程さえまだ決められない状態である。昨年五・三〇の四党合意の反動的内実が完全に明らかになったのであり、このような「解決案」を推進してきたチャレンジ一派と革同一派の犯罪性を今こそ弾劾し、国労執行部を打倒して闘う国労を再生しなければならない。
 三里塚闘争は炎天下の七月十五日、現地総決起集会をかちとり、東峰神社立ち木伐採を強行した権力・公団を弾劾し、暫定滑走路建設阻止、千葉県収用委員会再建阻止を高らかに宣言した。夏から秋へ、さらに闘いを強めよう。
 当面する最大の闘いは、東西革共同政治集会の大成功をかちとることであり、夏期一時金カンパ闘争に勝利することである。
 小泉反革命と真っ向から対決し、米日帝の中国・朝鮮侵略戦争阻止、戦争国家化阻止、改憲粉砕決戦の陣形をつくりだすために、その中核となり前衛となる革共同を強力に建設することが待ったなしに求められている。
 都議選の結果が突き付けていることは、小泉反革命との対決において厳しい敗北を喫したという問題と同時に、今日の大恐慌と戦争に向かう情勢に革命的に対決するわが革共同の党的確立と党勢拡大がまだまだであり、党勢倍増をかちとることが急務であるということである。世界史が大恐慌|世界戦争か、反帝国主義・反スターリン主義世界革命かの岐路にある時、革命的な戦略と総路線を持ち、帝国主義権力を打倒して労働者階級の権力を打ち立てる展望をもった党である革共同が、その戦略・総路線にふさわしい力を現実に持たなければならないということである。
 そうでなければ日帝・小泉の反革命の荒波に飲み込まれ、「革共同は正しいことを言っていたけれども敗れてしまった」ということになってしまう。そのような敗北は、「よく頑張った」などと美化されることではなく、階級的な裏切りであることを厳粛に確認しておかなければならない。
 小泉反革命と必死に対決し、その恐るべき反人民性を余すところなく暴きだし、革共同が小泉と闘う中心勢力として登場しよう。
 今年の東西革共同政治集会は、きわめて重大な歴史的集会だ。都議選を総括し、強大な革命党・労働者党を建設する大方針を提起し、秋に向かっての戦闘陣形をともにつくりだすために、すべての同志、闘う労働者人民が、権力の大弾圧体制を粉砕して、集会に大挙参加され、革共同とともに小泉反革命と対決して闘う道を選択することを心から訴えたい。革共同集会の大成功をかちとり、八月から秋に向けての突撃態勢を築き上げよう。
 夏期一時金カンパ闘争を強力に推進し、財政再建を貫徹しよう。不況とリストラ攻撃の中で、生活はきわめて苦しくなっている。だが、そうであればこそ、この現実を根底から覆していく闘いのための党建設、党財政建設が決定的だ。闘う労働者人民から一層のカンパを寄せてもらうことが重要なのである。

 第1節 長期獄中同志即時奪還せよ

 権力の革共同に対する治安弾圧を粉砕しよう。迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判における保釈申請却下と東京高裁の抗告棄却を絶対に許すことはできない。こんな悪質な「人質政策」をどうして許すことができようか!
 また、無実の水嶋秀樹同志を八八年九・二一千葉県収用委会長せん滅戦闘の容疑でデッチあげ起訴したこと、さらに無実のM同志をデッチあげ起訴し、さらに再逮捕したことも実に悪らつな攻撃だ。
 これらの革共同に対する集中的な攻撃は、小泉反革命のもとで治安弾圧体制が次元を画する転換を遂げていることを示している。日帝権力は、帝国主義的国家主義・排外主義・差別主義をあおるとともに、革共同の壊滅をめざして襲いかかってきているのだ。
 われわれはこの事態に対して、革命的な反発力をもって断固たる反撃に立ち上がらなければならない。敵は体制が盤石だから攻撃してきているのではない。逆に、体制的危機がきわめて深刻であり、帝国主義打倒の革命によってしか解決しないという情勢だからこそ、革命党に対する攻撃に踏み切ってきているのだ。
 第三次世界大戦の危機に対して真っ向から反帝国主義・反スターリン主義世界革命とその一環としての日本革命を対置する総路線のもと、猛然と闘いぬこう。

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週刊『前進』(2015号1面2)

 7・15三里塚

 炎天下、600人がデモ貫く

 東峰神社違法伐採に怒り

 北原事務局長”我々に理と正義”

 記録的な猛暑の中で七月十五日、三里塚芝山連合空港反対同盟主催の「七・一五三里塚現地闘争」が東峰開拓道路で闘われた。
 先月十六日の東峰神社の立ち木伐採の暴挙に怒りを燃やす労働者や学生ら六百人が結集。暫定滑走路粉砕と千葉県収用委の再建阻止を誓った。
 「六月十六日、東峰神社の立ち木伐採が強行された。反対同盟は、北原鉱治事務局長を先頭に全力で決起し、政府・公団の不当を満天下に明らかにした」
 冒頭、反対同盟の伊藤信晴さんが高らかに宣言。
 続いて北原鉱治事務局長が「公団と政府を弾劾する。どちらに理があるか。公団のやり方は三十六年間変わっていない。小泉は戦争で死んだ人たちを英霊だと言っている。亡くなったのは日本人だけではない。日本の侵略戦争で二千万人以上のアジアの人を死に追いやった。アジアからの弾劾と批判は当然。戦争を美化し、死者を英霊化し、再び戦争をやろうとしている。三里塚は健在です。われわれに理と正義はある。闘おう」と力強くあいさつした。
 顧問弁護団を代表して葉山岳夫さんがあいさつに立ち、東峰神社立ち木伐採の完全な違法性を弾劾、小泉政権との対決と八・一五集会への結集を呼びかけた。
 動労千葉からは田中康宏書記長があいさつ。立ち木伐採は違法な権力の暴挙だと弾劾し、「支配階級の戦争準備に対して、われわれは何を対置するのか。小泉と正面から対決し、闘う側からの社会変革の提起、闘いの提起が必要だ。そういう歴史の分岐点にいる」と訴えた。
 関西実行委からは東灘区住民の会の白石裕さんが発言。七月一日の関西新空港反対全国集会の報告をするとともに、三里塚とともに闘うと決意を表明した。
 北富士忍草母の会の天野美恵事務局長は、東峰神社の立ち木伐採を怒りを込めて弾劾し、「三里塚のかたきは三里塚で、北富士のかたきは北富士で」と闘志あふれる言葉で十一月の米軍演習をさせないと語った。
 部落解放同盟全国連合会の代表は、「六・一六の闘いに反対同盟の実力闘争の精神を見た。いま闘わずしていつ闘うのか。石川一雄さんと心を一つにして狭山異議審闘争を闘おう」と呼びかけた。
 都政を革新する会の結柴誠一さんは、「小泉と対決する唯一の候補として都議選を闘った。残念ながら当選しなかったが、確信をもって闘った」と報告し、参院選でのオータ昌秀候補、新垣しげお候補の当選を訴えた。婦人民主クラブ全国協は、代表の西村綾子・相模原市議を先頭とする「つくる会」教科書採択阻止の闘いを報告した。
 ここでデモに出発。東峰神社に向かった。立ち木伐採以後、フェンスで囲まれた東峰神社を初めて見る人も多い。根元からバッサリ切られた切り株を目の当たりにあらためて強い怒りが込み上げる。
 立ち木伐採阻止を先頭で闘い不当逮捕された萩原進事務局次長が当日の様子を説明した。「権力は、閣議決定以来、空港建設はいつもこのようなやり方でやってきた。これが小泉政治の正体だ。体を張って闘いぬく。今回の闘いで新たなる三里塚闘争の地平を築いた。沖縄や北富士、全国の労働者とともに歴史の主人公となる闘いをやる」
 逮捕をものともせず闘った萩原さんの力強い決意に大きな拍手があがった。
 天神峰の市東孝雄さんは「クレーンでつるされる木を見て、怒りが爆発。公団と押し問答になった。ここでやらずにいつやるのか。初めてだったけど、やればできる。実力で闘う」と決意を語り、十月の全国集会を呼びかけた。鈴木謙太郎さんも「いつでも突っ込む覚悟がある。十・七全国集会で会いましょう」と頼もしい言葉であいさつした。
 小林なつ婦人行動隊長がカンパアピール。「国家権力のウソとペテンと暴力を許さず闘いぬく萩原さんのように闘う」と語った。
 反対同盟あいさつの最後に鈴木幸司さんが立ち、「われわれの闘いには正義がある。全人民の力で廃港に追い込もう。戸村精神で闘い、完全勝利をかちとろう」と呼びかけた。
 再びデモに出発した。付け替えられた小見川県道を通る。ズタズタにされた東峰・天神峰に、怒りのシュプレヒコールが響く。頑として存在する市東さん宅のところで右折し団結街道を進み、現闘本部前を通過。市東さんの畑がデモの解散地点だ。
 最後に、全学連の大山尚行委員長が「暫定滑走路阻止へ全力で闘う。全学連は臨戦態勢で反対同盟を守りぬく。十・七全国集会に総決起する。七−八月闘争の頂点で八・一五靖国公式参拝を阻止する」と力強い決意表明を行った。
 ここで、小林なつさんからスイカが参加者に振る舞われ、猛暑の中の闘争を貫徹し、乾いた喉を潤した。
 反対同盟が呼びかける十・七集会に全国から総結集しよう。

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週刊『前進』(2015号1面3)

 戦争と大五失業の小泉と闘う熱いカンパを

 革共同を支持し、ともに闘う仲間のみなさん!

 夏期一時金カンパを寄せられるよう訴えます。

 目前に迫った参議院議員選挙は、大恐慌と迫りくる戦争の時代の日本の今後を大きく左右する政治決戦の場となりました。
 小泉政権の反動的・超右翼的性格は日とともに明らかになっています。皇国史観と滅私奉公の教育を目指す「つくる会」の歴史・公民教科書の採択の攻撃を、朝鮮、中国などからの激しい反対の声、とりわけ韓国の政府、各自治体、各学校からの無数の日韓交流計画の拒否などの強い抗議の声をも無視して、小泉政権はあくまで居直ろうとしています。
 さらに八月に小泉は、六日広島、九日長崎訪問に続いて、十五日にはついに靖国神社公式参拝を強行しようとしています。小泉がこのように半世紀前の戦争賛美に奔走するのは、ほかでもなく深まる内外危機の中で、日本の新たな戦争を準備するためです。小泉政権の行き着く先が、改憲と戦争であることは今やまったく明らかです。
 小泉は「聖域なき構造改革」を金看板にして参議院選挙にのぞんでいます。だがそれは、今日の日本が陥っている深刻な経済的・政治的・社会的危機を何一つ解決するものではありません。ただただ、日本の巨大独占資本と金融資本を多額の血税をそそぎ込んで救済し、他方で幾百千万の労働者、農民、中小企業、公共部門、そして地方に一方的な「痛み」を強制しようとするものです。
 少なくともこれ以上は倒産と失業を増やしてはまずいとしてあがいてきたこれまでの政権とは違い、倒産も失業もどんどん増えてかまわない、その中にのみ日本帝国主義が国際競争に勝ち抜く道があると踏み切っているところに、小泉政権の鋭い反革命的転換性が示されています。
 しかしこれは当然にも、日本全体をおおうきわめて大きな階級的矛盾と社会的危機を激成せざるをえません。だからこそ小泉は、強権とイデオロギーによってこれを抑え込むために、この秋にも有事立法と教育基本法改悪の策動を本格化させ、戦争国家化、そして改憲への道を切り開こうとしているのです。
 小泉政権の高支持率なるものは、今日の時代閉そく状況にまったく無力な野党への絶望と、いわゆる「構造改革」が自民党、とりわけ橋本派の既得権益を解体する政策であるかのごとく見せかけるデマとトリック、それへの幻想に支えられたものに過ぎません。
 私たちは、去る六月の都議選における痛苦な敗北をのりこえ、七月参院選で小泉反革命に一矢を報いるために、比例区ではオータ昌秀前沖縄県知事、東京地方区では新垣しげお沖縄社会大衆党書記長を推薦して闘っています。反戦・反安保闘争の最前線・沖縄からの立候補者の勝利のために多くみなさんの絶大な支持を訴えます。
 これらの闘いの先頭に立つ革共同への熱烈な夏期一時金カンパを要請します。

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週刊『前進』(2015号2面1)

 「ゼロ回答」の受諾絶対阻止へ

 「本部一任」で強行突破狙うチャレンジ・革同引き降ろせ

 国労解体攻撃に総反撃しよう

 国鉄決戦は、国労と日本労働運動の生死をかけた重大な攻防の過程にある。四党合意で国労を最後的に解体しようと企てた敵権力の攻撃は、闘争団を先頭とする国労組合員の決起によって大きく阻まれている。国労本部−チャレンジ・革同一派は、一・二七大会で機動隊を導入してまで四党合意受諾を強行決定したものの、その核心的内実を貫徹することができず、今や矛盾と混乱をさらけ出し、醜悪な責任のなすりつけあいを演じている。だが、小泉政権にとって国鉄闘争の解体なしに「聖域なき構造改革」を押し貫くことはできない。敵権力の手先と化した国労本部は、危機を深めれば深めるほど、次期定期大会での反動的突破を図ってくる以外にない。彼らは、次期大会で「ゼロ解決」を受諾するか、さもなくば「本部一任」「白紙委任」を取りつけようとたくらんでいる。四党合意を最後的に葬り去るか、その全面的な貫徹を許すのか。次の大会こそ、一切のあいまいさを許さない決着点となる。闘争団を先頭とする闘う国労組合員は、この攻防に勝利する揺るぎない決意と態勢を、直ちに打ち固めなければならない。

 「解決案提示されず」で亀裂と醜悪な抗争

 すでに本紙で暴露したように、六月二十九日、社民党の渕上幹事長と自民党の甘利副幹事長が会談し、「和解金一人八十万円、JR東海・西日本・貨物の関連会社への七十五人程度の再雇用」という案が示された。会談では、これを「甘利案」として提示するよう求めた渕上に対し、甘利が「渕上案」として示したらどうかと迫ったという。
 四党合意に基づく「解決」とは、「八十万円、七十五人」以外のものではありえない。それは、九九年に運輸省が国労に「JRに責任がないことを認めろ」と迫った際にまとめたという「運輸省試案」とまったく同一のものだ。四党合意とこの「解決案」は、初めからセットになっていた。四党合意を受け入れれば、そこから解決水準をめぐる交渉が始まるかのように言う国労本部の説明は、すべてペテンだったのだ。
 この間の四党協議で、甘利は「解決水準をめぐる交渉はありえない」と何度も言明している。甘利はあらためてこのことを国労本部に突きつけた。この間、本部は、闘争団を始めとする国労組合員の闘いに動揺し、「八十万円、七十五人」以上のものは引き出せないと本心においてはあきらめながら、「もう少し何とかならないか」という懇願を権力に対して行っていた。甘利は、その国労本部の顔面をひっぱたいて、“一切の抵抗を抑え込んで、この案で押し通す腹を固めてこい。その上で出直せ゜と恫喝したのである。「渕上案として示せ」とはそういう意味だ。
 それはまた、五・三〇集会の成功に示された闘う闘争団と国労本部との今日の力関係のままでは、自民党が「解決案」を示しても、闘争団のすさまじい怒りの反撃を引き出す結果となることを、権力は恐れたということだ。
 一方、チャレンジの田口九州本部書記長らは、六月末までには必ず「解決案」が出ると言いふらして、自民党による「解決案」の提示を機に、一気に反対派を押しつぶそうと画策していた。だが、その思惑は破産した。現在チャレンジ一派は、こうした反動的思惑が外れたことの責任をめぐって、亀裂を深め、醜悪な対立を繰り広げている。
 だが、はっきりさせなければならないのは、ひとたび権力・資本に身を売り渡したチャレンジ・革同一派の行き着く先は、敵権力の意を受けて、国労解体の最悪の先兵になるほかはないということだ。本部が危機と矛盾を深めるほど、それは彼らの一層の反動化を促すものとなるのである。
 国労本部は、「定期大会は九月下旬から十月中旬の間に行う」とは確認したものの、いまだにその具体的日程を決めることができないでいる。「ゼロ回答」受け入れを強行する腹構えも見通しもないままに大会を開くことは、彼らにとって執行部権力の喪失を意味するからだ。
 こんな醜悪な自己保身のために、大会日程を決めないなどということ自身が、組合員に対する許しがたい裏切りだ。JR東日本が全面外注化を十月一日にも実施しようとしている時に、それへの反撃の方針を大会で議論さえしないとは、組合員を資本のえじきに差し出すということだ。

 国労の分裂画策するヤカラをたたき出せ

 今日、本部は「ゼロ回答」受諾への反動的突破口を押し開こうと必死に策動している。彼らは、九八年の定期大会における宮坂補強案と同様に、大会直前に突如として「ゼロ回答」受諾を提案し、クーデター的に押し通そうと狙っている。それができない場合でも、大会で「本部への白紙委任」を取り付け、独断で「ゼロ回答」受諾に持ち込もうとしているのだ。
 これはもはや、国労分裂策動である。「八十万、七十五人」という自民党・国土交通省の「解決案」は、徹頭徹尾、国労の解体を意図している。こんなものを受け入れるのは、国労の自殺行為そのものだ。
 闘争団は、国家による首切り犯罪を謝罪させ、自らの人間的尊厳を回復するために十五年におよぶ闘いを貫いてきた。JR本体組合員もまた、資本=カクマル結託体制下での暴力的労務支配に抗して、労働者としての階級的魂をかけて闘いを貫いてきたのである。
 今日、JR東日本の「ニューフロンティア21」を始めとした第二の分割・民営化攻撃が襲いかかっている。その時に、涙金で闘争団を売り渡し、国労組合員を二度と資本に対して立ち上がることのできない苦境に突き落とすことは、断じて許せない暴挙である。
 チャレンジ一派は、今やこのことを隠そうともしない。今回の全国大会代議員選挙で、秋田のチャレンジは、露骨に次のように主張した。「四党合意に基づき千四十七人問題をすみやかに解決する。国労の改革を行う。本州三社の完全民営化により『国鉄労働組合』の名称を変更する。単一体から会社毎の連合体組織とする」。これは宮坂補強案の内容そのものである。四党合意を認め、「ゼロ回答」を受け入れた先にあるのは、国労の解体とJR連合への吸収合併だ。
 本部に巣くうチャレンジ・革同は、全面外注化攻撃と闘おうともせず、自ら国労分裂策動を推し進めながら、あろうことか国労の団結と闘いを守り抜こうとする闘争団と組合員に「分裂主義者」などというまったく転倒した非難を投げつけている。上村に成り代わって革同のキャップに収まった久保中執は、本部中執でも革同学校でも、「意図的に混乱を持ち込んできている」などと闘う闘争団を罵倒(ばとう)し、「分裂主義者との思想闘争」「機関への集中」などという言葉で、闘争団切り捨てを暴力的に強行するための意思一致を図っている。
 だが、国労を丸ごと権力に売り渡そうとたくらむ彼らこそ、一握りの分裂主義者にすぎない。もはや彼らに、いかなる延命の余地も与えてはならない。立ち直るすきを残してはならないのだ。

 「国労つぶしが目的」と中曽根が再び公言

 小泉政権は、こうした国労本部の屈服と転向を突いて、国労解体・国鉄闘争解体の反動的意思をますますむき出しにしつつある。
 JR完全民営化法の国会審議の中で、国土交通大臣の扇千景は幾度となく千四十七人を侮辱する許しがたい言辞をはいた。扇は、JRから差別的に排除され、清算事業団に押し込まれた国鉄労働者が、あたかも政府による特別の恩恵を与えられたかのように描き出して、次のように発言した。「(分割・民営化に)あくまで反対と言って動かなかった人もいる。私たちは、それを差別することではなくて、あらゆるところで雇用対策……職業相談は平均で延べ七十四回、就職あっせんも延べ三十四回実施した」「約千五百人の管理者が、三年間にわたって再就職の援助をした」
 さらに扇は、千四十七人が解雇撤回を掲げて闘っていることへの反動的憎悪もあらわに、「自殺をしたり家族で心中したり、あらゆる失業者が出ている中で、(再就職先を)示してくれなければしないよという甘えも一般失業者から見ればおかしい」と、ごう然と言い放ったのだ。
 副大臣の泉信也も、「名簿作成の段階で組合の考え方が影響したというふうには考えていない」と、採用差別を開き直った。
 だが、国鉄が採用候補者名簿の作成にあたって露骨な組合差別を行ったことは、すでに歴史的に確定している事実である。その事実さえ、国土交通省は絶対に認めないと言いきったのだ。泉はさらに、ILO第二次勧告に触れて「適正な、早急なというのは形容句であって……四党合意を受け入れるよう強く要請するというところに主眼がある」とも答弁した。「公正な補償」など問題ではない、ILO反動勧告に従って、つべこべ言わずに四党合意を受け入れろと、わめき散らしているのである。
 泉は、保守党を代表して四党合意に署名した張本人だ。国鉄分割・民営化という国家的不当労働行為を居直り、隠ぺいし、その総仕上げを狙う四党合意の本質は、再びむき出しになった。支配階級は、千四十七人の不屈の闘いにおびえ、追い詰められながら、今また“不当労働行為はなかった。組合差別もなかった。JRにも国鉄清算事業団にも政府にも責任はない。千四十七人に補償する義務など誰にもない゜という絶叫を開始したのだ。
 権力はあくまでも、千四十七人を踏みにじり、国鉄闘争を敗北のうちに終結させ、国労を解体することに狙いを定めている。

 小泉「改革」と国労解体策動

 小泉政権は、「聖域なき構造改革」を掲げ、二、三百万人の労働者を新たに失業にたたき込み、労働者の階級的団結を根底から破壊して、戦争のできる国家体制をつくりあげようとたくらんでいる。二十九年型世界大恐慌が本格的に始まり、日帝の帝国主義間争闘戦における敗勢がいや応なしに突きつけられる中で、小泉は労働者人民に一切の犠牲を転嫁してその反革命的突破を図っている。だからこそ、国鉄闘争の解体は一刻の猶予もない課題となったということだ。
 こうした中で、小泉の「指南役」としてしゃしゃり出てきたのが、国鉄分割・民営化を強行した張本人である中曽根康弘だ。『新潮45』七月号に掲載された「誰が『小泉改革』を阻んでいるのか」というタイトルのインタビューで、中曽根は、分割・民営化の目的は国労解体にあったことを、またしてもあけすけに公言した。
 「(二百二億)裁判が続いていたから、国労は精神的に相当参っていた。これで民営化を断行すれば国労は潰れるだろう。同時に総評が解体され、日本の労働界や社会環境に大きな変化が起こるに違いないという考えも私にはあった。そういう大きな目標があったからこそ、断固としてやったわけだ」
 さらに中曽根は、嫌がる国鉄官僚のしりをたたいて二百二億円スト損賠訴訟をやらせたのは中曽根自身であったこと、「組合に取り込まれてしまった」などとして仁杉総裁以下の幹部を首にしたことなどを、自慢げにひけらかしている。
 これは、単なる過去の回想談などでは断じてない。中曽根が言いたいのは、小泉反革命を全面的に貫徹するためには、労働者の階級的団結を全面的に破壊する以外になく、連合傘下の労組を含め、労働組合を血の海に沈めるためのリアルな政策を小泉は持て、ということなのだ。
 その先にあるのは、改憲であり戦争だ。中曽根は、「(小泉が)総裁選で掲げた『憲法改正』『集団的自衛権の容認』『首相公選』『教育基本法・教育の改革』『靖国神社参拝』『二十一世紀の新しい道を拓く』といった公約は、いずれもかつて私が言っていたことでもある」と述べて、小泉反革命の指南役として自己を押し出している。
 ここで重要なのは、中曽根が、改憲−戦争国家化という「大きな目標」のために、国鉄分割・民営化を断行したと言い放っていることだ。こうして、“帝国主義国家の存立のためには、労働者の権利など顧みるな。団結権など認めるな゜という反革命的論理を、大手を振ってまかり通らせようとしているのだ。
 一方で小泉の側も、中曽根の「指南」を「参考になる」と言って受け入れた。日帝がその行き詰まりを根底的に打開できず、混迷に混迷を重ねてきた「失われた十年」の根底には、国鉄闘争の不屈の展開がつくりだした階級関係が存在した。だからこそ支配階級は、中曽根が果たそうとして果たせなかった国鉄闘争の解体を、今ここで憎しみを込めて押し貫こうと構えているのである。
 国鉄闘争は小泉反革命と対決する最前線の闘いだ。
「ゼロ回答」受諾を断じて許すな。高嶋−寺内執行部打倒、闘う新たな執行部の樹立へ、闘争団と闘う国労組合員は直ちに闘いの態勢を整えよう。

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週刊『前進』(2015号2面2)

 栃木からの報告

 下都賀地区・住民が教委に抗議

 「つくる会」教科書採択覆す

 ”敵は一握り”と勝利を確信

 全国の皆さん! この間、栃木県・下都賀(しもつが)地区での「つくる会」教科書の採択をめぐる大攻防は、ほぼ勝利を手中に収めつつあります。
 この投稿を書いている現在、確かに一面ではいまだ予断を許さないところもありますが、下都賀地区内の二市八町のうち、ほぼ全部の教育委員会が「採択反対」もしくは「採択協議会での再審議を要望」となっています。この間の闘いによって、教育委員会の中には「文部科学省の指定する期限、八月十五日のぎりぎりまで反対を貫く」と言っている教委もあります。いわば絶対反対派です。こうした絶対反対派をも、この間の闘いは生み出しました。七月二十五日の再度の採択協議会では「反対」が多数を占めるのははっきりしてきました。
 私たちは、排外主義と愛国主義に満ち満ちた「つくる会」の戦争賛美本を「教科書」として持ち込もうとした小泉政権の大攻撃を、全国“初゜の採択地区で、全国“初゜に真正面から粉砕しつつあります。
 栃木県は一九六〇年代をとおして、勤評闘争などで生み出された教育労働者の闘いが、実に卑劣かつ熾烈(しれつ)をきわめた攻撃にさらされる中で次々と後退を強いられ、労働組合は破壊され、自民党のボスや保守反動が大きい顔をしてきました。教組は片隅に追いやられてきた感さえあります。
 しかし、教育労働者はもちろん、地域の労働者、子どもを抱えた母親たちなどが今、次々と闘いに立ち上がっています。その数は日を追うごとに、実に感動的に増えてきています。あの「保守王国」とさえ言われた栃木県で!
 七月十三日、この日の県内の朝刊には「栃木県で公立中初の採択」の文字が踊っていました。「こんなことがあっていいはずがない」「絶対にひっくり返してやる」「ひっくり返して採択阻止の全国への号砲としてみせる」……。そうして私たちの闘いは始まったのです。
 報道のあった十三日当日、私たちは朝から栃木市教委に押しかけました。そこには国内だけではなく、南朝鮮・韓国を始め国外のマスコミも駆けつけていました。また、栃木市のみならず下都賀地区内の各市・町の教育事務所には、すでに「抗議」と「採択するな」のFAXが押し寄せていました。
 何よりこれに度肝を抜かれたのは、当の栃木市や小山市、その他の町の教育委員、教育事務所の役員でした。教科書問題を開き直り、靖国参拝を傲然(ごうぜん)と強行しようとしている小泉内閣の「支持率八〇%」に安心しきっていた下都賀地区の自治体役員自身が、おろおろして「いったい何が起こったのか」というふうでした。「当然だ! それだけ重大でとんでもないことを決めようとしているんだ。自覚すべきだ」。要請行動の人びとからは、激しい怒りが噴出しました。
 週明けの十六日の石橋町教育事務所には、「つくる会」側が組織した「採択しろ」のFAXと、県内はもとより全国の心ある人びとからの「採択するな」のFAXの激しい応酬の中で、地元住民を先頭とした要請団が次々と押しかけました。職場を休んでかけつけた労働者、子どもを抱えた母親、在日の人たち、戦争体験をしてきたお年寄り……。さまざまな人びとが、それぞれの思いを胸に教育事務所(教育委員会)に思いの丈をぶつけにやってきました。その数は、十七日には、小山市一カ所でついに数十人に上りました。
 今回の下都賀地区での「採択」を工作したのは栃木市の教育長です。神道の宮司でありながら教育長であるというとんでもない人物です。彼は、利益誘導もちらつかせながら採択地区協議会で多数派工作を行い、候補にさえあがっていなかった「つくる会」本の「採択決定」を多数決で強行したのです。しかし、こうしたやり方こそ小泉政権の正体そのものです。
 こんな勝手な横暴を許してなるものか! 確かに、それは最初は少数の決意した人びとの声でした。ところが、実はこの怒りは下都賀地区住民・労働者の多くの思いだったのです。小山市を始め下都賀地区は、在日の人たちが多く生活する街でもあります。十三日の闘い以降、翌週には日に日に闘いが闘いを呼び、教育事務所に押しかける人の数が増えていったのです。
 この間の闘いによって下都賀地区が不採択を決めれば、栃木県内の八採択地区のうち、すでに五つの採択地区で不採択がはっきりしたことになります。小泉政権の「栃木県でまず採択。それを東京に、そして全国に波及させる」という思惑は、最初の段階で大きく粉砕されつつあります。
 皆さん! 勇気を持って立ち上がりましょう。実は敵はごく一握りだ||私たちはこの間の闘いでそのことを深く確信しました。ともに闘い、右翼・小泉純一郎を打ち倒しましょう。それは可能なのです。
(投稿・栃木県 M)

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週刊『前進』(2015号2面3)

 JR総連が公明党を推薦

 国会でのヨイショ発言の見返り

 小泉内閣の先兵化を許すな

 JR総連カクマルは、松崎明のJR東労組会長退任をもって権力・資本に全面的に屈服して延命しようとあがいている。六月十七|十九日のJR東労組定期大会では、第二の分割・民営化の先兵となることを権力・資本に誓った。(前号2面参照)
 こうしたJR総連カクマルの新たなファシスト的延命策の一環として、今回の参院選においては、なんと小泉政権の与党である公明党候補を推薦し、全力で支援しているありさまだ。
 JR東労組大会には、公明党の太田昭宏幹事長代行が来賓として出席した。
 JR東労組の千葉書記長は総括答弁で、都議選、参院選について、「完全民営化に向けた国会審議のなかで、誰が妨害し、誰が協力してくれたのかをはっきりとさせて闘っていきたい。……JR東日本の労使の努力によって今日があることを、国会のなかで主張していただいたのが公明党だ。組合員にしっかりとこの現実を訴えて、推薦議員の当選を期して取り組みを強化することをお願いしたい」と述べた。東労組は、公式には参院比例区で民主党候補を推薦しているが、実際は公明党候補の当選に全力を挙げるということだ。
 六月七日の参院国土交通委員会で公明党の森本晃司議員は、「民営化が成功している要因の中に、各社の経営陣の努力があったと思う。もう一つの要因は、JR東日本の一番大きな組合である総連の皆さんも含めて、その努力があったのではないかと思っている」とJR総連・東労組を最大限に持ち上げた。
 さらに、「カクマル疑惑」が大々的に取り上げられたことに対して、森本は「何かJR東日本全体がカクマルに侵されているんではないだろうかという不安感を抱くような話もあり、私はそういうことは持たしてはいかぬと思っている」と、カクマル問題など問題にすべきではないと強調したのである。
 こうした公明党議員の発言は、JR総連カクマルの要請に基づくものである。野党議員のほとんどが「カクマル疑惑」を追及する中で、追い詰められたJR総連カクマルは公明党議員に自分たちにとって有利な質問をしてもらい、その見返りに参院選で支援しようという方針なのだ。
 松崎・JR総連カクマルは、国鉄分割・民営化時には、自民党・中曽根の先兵となり、その後の選挙では自民党や小沢・新生党|新進党の候補らを推薦してきた。「国鉄改革の完遂、JR総連の政策を支持する議員」を推薦するとして、時の権力にすり寄ってきたのだ。そして今度は、公明党を支持するというわけだ。
 公明党とは、言うまでもなく創価学会を基盤とする宗教政党である。宗教政党が権力を握ることを狙って、小沢と野合し、細川政権の与党となり、新進党に加わった。そして、今度は自民党との連立を組み、自自公連立|自公保連立政権に参加している。公明党は今や小泉政権の与党として、小泉の極右的・ファッショ的な国家改造を支え、推進しようとしている。
 JR総連カクマルが公明党を支援するということは、小泉政権の先兵となるということだ。「憲法九条を守る」などとペテン的に言うJR総連カクマルが、改憲内閣を支持するということなのだ。
 「政教一致問題」の追及から逃れようと「反自民」から自民党との連立に転換した公明党。そして、黒田カクマルから分裂し、「カクマル疑惑」の追及から逃れようと権力・資本にすり寄ったJR総連カクマル。一方は正真正銘の宗教政党であり、もう一方は松崎を「教祖」とするファシスト的組合権力集団である。明らかに相通ずるものがある。この両者が実に反革命的な連合を組んだのだ。
 だがそれは、崩壊的危機に陥ったJR総連カクマルのなりふり構わぬ絶望的なあがきにすぎない。
 新たなファシスト的延命策を粉砕し、松崎・JR総連カクマルを打倒しよう。

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週刊『前進』(2015号3面1)

 改憲・戦争国家化と大失業 小泉反革命と徹底対決せよ 3 

”国のために命を捨てろ” 靖国神社への公式参拝

 アジア侵略戦争を「聖戦」と全面肯定し殉国思想を扇動

 小泉政権の戦争的正体を最もよく表しているものに、靖国神社への公式参拝の攻撃がある。
 「家族や国のことを思って戦争に行かざるをえなかった人への敬意も込め、総理として参拝する」「戦没者に心からの感謝で参拝したい」。小泉は首相就任直後にこう語り、八月十五日に靖国神社の公式参拝を強行しようとしている。
 中曽根が一九八五年に強行して以来、十六年間できなかったことを、公然と強行しようとしているのだ。
 靖国神社とは何か。日帝の侵略戦争とそれへの人民動員のための国家神道の頂点をなした神社である(別掲参照)。アジア侵略戦争を行った「天皇の軍隊」の戦死者を「英霊」として祭り、労働者人民に「国のため」「天皇のため」に命を捧げることを強制してきた機関である。
 靖国神社に首相が参拝することは、明治維新以来の日帝のアジアへの侵略と戦争のすべてを「聖戦」として全面肯定することであり、「国のため」「天皇のため」に労働者人民が命を捧げる“殉国の思想゜の復活にほかならない。小泉は“あの戦争は正しかった゜“国のために命を投げ出せ゜と扇動して日本を戦争のできる国へとつくりかえようとしているのだ。
 小泉は「尊い命を犠牲にして日本のために戦った」とか「国のためを思って戦争に行った」などと言う。また、「家族と離れ、戦場に赴いた方々の気持ちを思うと、本当に胸が打たれる」「なぜ戦没者に敬意を表する行為がこれほど批判されなきゃならないのか」などと公言している。まったく許し難い言辞だ。これこそ日帝の侵略と戦争の歴史を百八十度ねじまげる規定である。
 「国のため」と言うが、それは実際には、日帝支配階級の利益のために、日帝の支配体制の危機のりきりのために行われた侵略戦争、帝国主義戦争だった。「日本のため」と称して、アジアを侵略し、植民地にし、筆舌に尽くし難い惨禍をもたらし、二千万人ものアジア人民の生命を奪ったのだ。
 小泉は「戦場で命を捨てることは大変なことだ。いやなことがあると特攻隊の気持ちになれと(自分に)言い聞かせる」と言う。
 これほど恥知らずな反動的主張があるだろうか。小泉は「戦場で命を捨てる」などと気安く言うが、いったい誰が戦場で命を捨てることを強制したというのだ。誰が「玉砕」や「特攻隊」となって命を捨てることを強制したというのだ。日帝支配階級の利害と延命のために始めた侵略戦争で、労働者人民の命を消耗品のように使い捨てたのではないか。
 しかも敗戦が決定的となってからも、国体=天皇制の延命のために天皇は、「もう一度戦果をあげてから」と戦争を継続し、沖縄を捨て石にし沖縄県民の四分の一を死に追いやった。最後にはヒロシマ・ナガサキで数十万人の労働者人民に死を強制した。中国・アジア、太平洋に展開した百数十万人の兵士がジャングルの中で飢餓と熱病に苦しんで死んでいったのだ。
 小泉よ。「特攻隊の気持ち」などというが、日帝に「特攻隊」として無念に死を強制された若者たちの気持ちが分かるというのか。冗談ではない。
 これ以上の小泉のふざけきった暴言を許してはならない。

 「つくる会」教科書と一体の攻撃

 「靖国の思想」は、特に学校で子どもたちに徹底的にたたき込まれた。
 「君のため国のためにつくして死んだ人々をかうして神にまつり、又ていねいなお祭りをするのは天皇陛下のおぼしめしによるものです。私たちは陛下のおめぐみの深いことを思ひ、ここにまつってある人々にならつて、君のため国のためにつくさなければなりません」
 修身の教科書で、こう教え込まれた「軍国少年」たちは、「学徒出陣」「特攻隊」で若い命を失ったのである。
 そういう意味でも、今日の靖国公式参拝の攻撃は、「つくる会」教科書とセットの攻撃である。学校で戦争は正しいと教え、国のために命を投げ出すことを美徳と教え、最後は靖国神社で「英霊」となることを最高の名誉だと言って、侵略の銃を持たせることを狙っているのだ。

 8月広島・長崎反戦反核闘争から8・15公式参拝阻止へ

 アジア人民の怒りが爆発し、韓国国会が対日関係見直し決議をあげるなど、韓国や中国では国交断絶すら問題になっている。日本国内でも批判の声は強い。しかし、小泉は「よそから批判されてなぜ中止しなければならないのか」「なんでそんなに靖国神社が批判されるのか理解に苦しむ」などと傲然(ごうぜん)と居直り、あくまで八月十五日に靖国神社公式参拝を強行しようとしている。
 小泉は「つくる会」教科書や靖国参拝の強行をとおして、労働者人民の戦後的な反戦平和意識を解体・一掃し、国のために命を捧げることこそが最高の価値・美徳だと扇動して、労働者人民の意識・価値観を転覆しようとしているのだ。
 同時に、それは日帝のアジア侵略を、欧米列強からアジアを解放する戦争だったと肯定し賛美することである。アジアへの再侵略宣言そのものである。闘うアジア人民と連帯して小泉の靖国参拝を粉砕しよう。
 また小泉は、六月二十三日の沖縄「慰霊の日」の訪沖に引き続き、八月六日の広島、八月九日の長崎に乗り込もうとしている。戦後連綿と闘われてきた労働者人民と被爆者の反戦反核の闘いを解体し、被爆者を英霊化する大攻撃である。
 小泉は、八・六ヒロシマ、八・九ナガサキ、八・一五を反戦の日から戦争翼賛の日へと百八十度転換しようとしているのだ。これを絶対に許してはならない。
 「つくる会」教科書の採択を全国で阻止し、八月広島・長崎の反戦反核闘争を大爆発させ、八・一五靖国公式参拝阻止の一大闘争へ進撃しよう。

 小泉の改憲・戦争への攻撃との最も鋭い階級的対決点

 問われているのは、小泉反革命を根底的=階級的に批判し対決し、小泉反革命打倒へ総決起することだ。
 世界大恐慌の現実化のもとでの日帝経済の危機、米帝の対日争闘戦の激化、自民党政治の破綻、閉塞感のまん延など、日帝の危機は絶望的だ。この中で、自民党で最も極右的な連中、小泉や中曽根や石原が、今日の日帝の危機を開き直り的に提示し、「痛みを伴う改革」「聖域なき構造改革」しか日本(の人民)の生きる道はないとエセ現状打破的に登場して日帝権力の中枢を握ったのだ。
 それは戦争と大失業で一切を打開しようという凶暴な路線である。小泉がやろうとしているのは、大リストラ、大増税、福祉切り捨てで金融独占資本(大銀行と大企業)を延命させることであり、改憲・集団的自衛権・有事立法・靖国公式参拝・「つくる会」教科書で日本を戦争のできる国へつくりかえることである。
 日帝の延命のためには大失業と戦争しかないという小泉のむきだしの階級的イデオロギーの提示に、すべての政治勢力がたじろいでいる。小泉の「構造改革」に対して、「改革の元祖はわれわれだ」(民主党)とか「国民が主人公の政治を目指す日本改革」(日本共産党)などと、今やすべての政党が「改革」を合唱している。本質的な対決性などない。日帝が延命するための「改革」を競っているだけなのだ。
 同じ立場と主張なら、現に権力を握る小泉自民党に幻想的期待感から支持が集まるのは当然である。参院選情勢も小泉反革命の嵐(あらし)の前に、野党勢力は危機的な状況にある。
 しかし、ここには単に既成野党の危機にとどまらない問題がある。小泉は、戦後的な平和と民主主義を正面から否定し、解体しようとしているのだ。
 戦後的な平和と民主主義、労働者階級の階級性が根本から解体され、日帝とともに戦争と破局の道を進むのか。それとも日帝と小泉反革命を根底的=階級的に批判し、帝国主義・資本主義を打倒する革命的階級として、労働者階級と革命党が登場できるのか。歴史選択的に問われる局面が到来しているのである。根底的=階級的批判を貫く以外に小泉反革命と対決することはできない。この点について一ミリでもあいまいさがあれば、われわれもぶっ飛ばされるのだ。
 小泉「改革」の根底的批判とその貫徹(=打倒)は、帝国主義・資本主義打倒の立場以外ない。資本主義を打倒し、社会の主人公となって新たな社会を建設する労働者階級の革命性と力に立脚して闘うということだ。それは戦後的な平和と民主主義の論理を突破して、労働者階級の怒りと闘いが、日帝打倒として解き放たれる時が来たということなのだ。
 革共同は、小泉反革命に対する真の批判者として断固として闘う。すべての労働者人民に小泉反革命との全面対決を訴え、その打倒へ全力で決起する。
 その決定的闘いとして、八・一五靖国参拝阻止闘争に決起しよう。参院選でオータ昌秀氏、新垣しげお氏の当選をかちとろう。
 (片瀬涼)

 靖国神社とは何か


 戦死者を「神」と祭り、天皇のための死を強制
 靖国神社は、戊辰戦争(明治維新)の明治政府軍の戦死者を祭るために、一八六九年に東京招魂社として明治政府によって創立された。「招魂」とは、幕末に登場した考え方で、自派の死者のみを手厚く弔祭し、その死をたたえ、反対派の死者を敵として追及することを特徴としている。これによって自派の活動家たちを死に赴かせた。
 日帝がアジアへの侵略と戦争を展開していく中で、東京招魂社は靖国神社と改称された。一般の神社は内務省管理だったのに対し、靖国神社は、陸・海軍が管理する軍の神社だった。日帝は、伊勢神宮・靖国神社から地方の小さな神社にいたるまで国家の管理下に置き、天皇の祖先神だと称する天照大神(あまてらすおおかみ)を最高神とし、天皇を「現人神(あらひとがみ)」として崇拝させた。日帝の戦争は、天皇の意思により開始され、「現人神」による「聖戦」だとされた。
 伊勢神宮と靖国神社を頂点に全国の神社が、出征兵士の壮行、戦勝と兵士の武運長久の祈願、日本軍の勝利の祝勝行事、戦死者の慰霊などの場となり、労働者人民の戦争動員の重要な場となった。仏教やキリスト教などの信者も例外なく参加を強制され、従わないものには徹底的な弾圧が加えられた。
 靖国神社は、日帝が行った戦争の戦死者を「神」として祭り、慰霊し、顕彰することを目的としている。そして靖国神社の「神」になるただひとつの条件は、天皇のために戦死することだった。特に十五年戦争に突入してからは、毎年春秋に、天皇が大元帥の軍服着用で「神拝」を行った。
 そして「死んで靖国神社で会おう」などという言葉に見られるように、戦死を厭(いと)わないで、むしろ国のため、天皇のために死ぬことこそが皇軍兵士の名誉だとして、戦意を高揚させる、日帝の戦争遂行に不可欠な施設となっていったのである。
 戦後も靖国神社は、政教分離原則により「国及びその機関は、いかなる宗教的活動もしてはならない」と規定した戦後憲法のもとでも、一宗教法人の神社として延命し、戦前と寸分違わぬ形とイデオロギーを保持したままで存続している。
 現に靖国神社には二百四十六万六千三百四十四人(二〇〇〇年十月十七日現在)が「英霊」「軍神」として祭られているのだ。
 またA級戦犯として処刑された東条英機(日米開戦時の首相)や板垣征四郎(「満州国」デッチあげの首謀者)、松井石根(南京大虐殺の最高司令官)ら十四人が「昭和殉難者」として合祀(ごうし)されている。

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週刊『前進』(2015号3面2)

 オータ氏当選へ一週間決戦

 ”二度と戦争許すな”

 12日那覇市で立候補大一声

 小泉超反動政権打倒の政治決戦

 参院選比例区でオータ昌秀候補(前沖縄県知事)、東京選挙区で新垣しげお候補(沖縄社会大衆党書記長)の当選をかちとるために、あと一週間、全力で闘い抜くことを訴える。
 二十九日の投票日に向かってオータ候補、新垣候補は全力で闘っている。
 今次参院選は、小泉超反動政権の改憲と戦争国家化、労働者人民に大失業などの「痛み」を強制する悪政を許すのか、それとも小泉自民党政権を打倒し、日帝と真正面から激突する新たな階級闘争の時代を切り開くのかをかけた重大な選挙戦である。小泉反革命粉砕の政治決戦の一環としてオータ氏、新垣氏の当選のために全力で決起しよう。
 小泉政権は、日帝の絶望的な体制的危機の中で、戦争と大失業に突撃する内閣である。改憲、「つくる会」教科書・教育改革、靖国神社公式参拝、集団的自衛権、有事立法など、矢継ぎ早にかけている攻撃は、明白に中国・朝鮮侵略戦争のための総力戦体制づくりだ。小泉政権は、「構造改革」と称する倒産・大首切り攻撃で新たに二百〜三百万人の失業者を生み出し、「一千万人大失業時代」をつくり出しながら、それが生み出す体制危機の排外主義的突破をもかけて、中国・朝鮮侵略戦争に突き進もうとしているのだ。
 オータ氏は、日帝が再び侵略戦争にのめり込んでいることへの重大、深刻な危機感をもって立候補を決意した。オータ氏は、一九四五年の沖縄戦に学徒隊として動員され、沖縄が戦場となる中で学友の大半と恩師を失った。そのオータ氏は「戦場で固く心に誓ったことは、いかなる大義名分があろうと、二度と戦争を繰り返させてはならないということであった」と語る。
 ところが、自公保政権下の現在の状況は、「かつてない危機的状況である」と警鐘を乱打し、「戦争を生き延びた者の義務として、このような危険きわまる潮流を拱手傍観(きょうしゅぼうかん)することは、断じてできない」と、出馬にあたって、その決意を表明している。
 「二度と戦争を繰り返してはならない」は、今こそ私たち一人ひとりの決意でなければならない。社民党比例代表候補としての出馬とはいえ、大田氏の当選は社民党的な枠組みを超えた労働者人民の戦争反対の決起を押し開く。まさに参院選決戦の核心は、小泉反革命打倒をかけてオータ氏の当選をかちとることだ。

 沖縄−本土貫く沖縄闘争発展へ

 同時に、オータ氏の当選をかちとることで、沖縄闘争の前進を切り開こう。
 日米首脳会談で小泉は、沖縄米兵による女性暴行事件について、一言も抗議しなかった。それどころか、「沖縄基地の重要性」を再確認し、日米安保同盟=戦争体制づくりの一層の強化を誓約した。その具体化として、名護の巨大軍事基地建設や、さらには台湾や中国本土により近い下地島に米軍基地を造る計画を進めて、中国・朝鮮侵略戦争の臨戦態勢をつくろうとしている。
 オータ氏は、名護新基地建設計画の撤回を要求して闘っている。
 米軍基地・米軍犯罪に対する沖縄の人民の怒りは頂点に達している。まさに、その怒りが火砕流のごとく流れ出し、日米両政府と激突する情勢が成熟しつつあるのだ。
 オータ氏の当選は、沖縄人民の闘いを鼓舞し、沖縄闘争の一層の発展の展望をつくり出し、さらに沖縄人民と連帯した本土人民の決起をつくり出すのだ。
 オータ氏の当選をかちとり、「つくる会」教科書採択阻止、小泉の八・一五靖国神社公式参拝阻止、そして今秋PKO法改悪阻止の闘いの爆発を切り開こう。

 当選をめざしてあらゆる闘いを

 しかし、選挙情勢はけっして楽観できない。「小泉人気」を使った自民党の大反動攻撃と野党の総屈服を全力で打ち破らなければならない。また、確かにオータ氏は前沖縄県知事として、また沖縄の心を代表する人格として、本土でもよく知られているが、今回の参院選にオータ氏が立候補していることを知らない人たちが、まだたくさんいるのだ。
 だから、できるだけ多くの人びとにオータ氏が立候補していることを知らせ、支持を訴え、周りに支持を広げることを訴えよう。
 同時に、東京選挙区から立候補している新垣しげお氏の勝利のために闘おう。
 オータ氏が東京で街頭演説する日程が決まった。二十三日(月)午後三時〜四時に新宿駅西口、同日午後六時半〜七時半に荻窪駅北口である。応援に駆けつけよう。
 都革新が連日街頭で訴え
 都政を革新する会は、連日、杉並区内の駅頭で街頭宣伝を行い、オータ氏、新垣氏への支持を訴えている。十六日夕には西荻窪駅前で看板を立て、ビラをまき、長谷川英憲代表と結柴誠一元区議がマイクを握って小泉反動政権との対決を訴えた。

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週刊『前進』(2015号3面3)

 比例区はオータ、東京選挙区は新垣

 最終日まで周りに支持の拡大を

 参院選マニュアル

▼オータ候補は、比例区(社会民主党)に立候補しています。比例区ですから全国どこに住む人でも投票できます。非拘束名簿式ですから政党名を書く必要はありません。比例区の投票用紙にオータ昌秀と書いて下さい。
▼新垣候補は、東京選挙区で立候補しています。選挙区(東京選挙区のみ)の投票用紙に新垣しげおと書いて下さい。
▼前日までに自分の不在者投票は済ませて、投票日当日まで組織化に全力を尽くそう。その上で東西の革共同集会に結集しよう。
▼職場の仲間や学友、家族・親類・友人・知人に投票を呼びかけよう。選挙は知人からの依頼が最も効果的です。直接あるいは電話・手紙で依頼して下さい。電話と直筆の私信には制約はありません。
▼オータ候補は、全国のすべての有権者が投票依頼の対象です。新垣候補は、東京選挙区ですから、東京都内在住の親類・友人・知人に投票を呼びかけて下さい。
▼全国各地でのオータ候補、都内での新垣候補の街頭演説や個人演説会に友人・知人を誘って参加しよう。
▼全国各地で行われている反戦共同行動委員会の街頭宣伝やビラまきに参加しよう。
nオータ昌秀後援会
・那覇市字天久57番地
 電話098-941-6675〜8
・東京都港区赤坂2-18-19
 電話03-6229-2764
nオータ昌秀事務所
・大阪府茨木市新庄町1-2 白雲ビル201号 北摂市民ネットワーク内 電話0726-20-8007
・福岡市博多区千代4-29-51 河野ビル2階 電話092-651-6226

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週刊『前進』(2015号4面1)

 8月広島・長崎反戦闘争へ被青同がアピール

 小泉首相の祈念式典惨禍許すな

 戦争国家化・核武装化阻止しよう

 全国被爆者青年同盟

 全国被爆者青年同盟から被爆五十六周年八・六広島−八・九長崎反戦・反核闘争への総決起を訴えるアピールが発せられましたので、紹介します。このアピールにこたえ、全国から八・六ヒロシマ−八・九ナガサキに総力結集しよう。(編集局)

 第三次大戦・世界核戦争の危機の現実化

 被爆五十六周年八・六−八・九反戦・反核闘争は、戦後最大の階級決戦情勢の中で迎えようとしている。帝国主義がその基本矛盾を世界大恐慌と新たな侵略戦争―世界戦争として爆発させていく過程に突入し、アジアが核戦争危機の最大の火点となった。
 死の苦悶(くもん)にのたうち回る帝国主義諸列強による帝国主義間争闘戦を原動力とし、ロシアや残存スターリン主義中国・北朝鮮の取り込みまたは体制転覆的取り込みを当面の危機点として、第三次世界大戦・世界核戦争の危機が現実化している。
 中国・朝鮮−アジアを最大の標的とした米帝ブッシュ政権の核軍事力を振りかざした世界再編、帝国主義的勢力圏化・再分割戦への踏み込み、拡大ミサイル防衛構想の核戦争戦略は、先制第一撃能力の確立、先手必勝ということである。 米帝の対日争闘戦とその戦争化に追いつめられ、断崖絶壁に立たされた没落帝国主義日帝は、ついに極右政権=小泉反革命を登場させ、いよいよアジアへの帝国主義的侵略戦争とそのための戦争国家化と同時に独自の核武装攻撃を強めている。

 被爆を「受忍しろ」と迫る小泉反動政権

 小泉反革命の最大の特徴は、「過去の戦争への反省」という戦後日帝がしぶしぶではあれ掲げてきた文言を投げ捨て、過去の戦争を公然と賛美し、新たな戦争をくり返そうとしている点にある。
 そのために「国は国民のため」との戦後的価値観を「国民は国のため」へと転換させ、国家・天皇制への忠誠を再び強制し、「改革」に伴う痛みは我慢しろ、首切り、リストラも「お国のためだ。耐え忍べ」というのだ。
 ゆきつくところは、被爆も「国を挙げての戦争による『一般の犠牲』として、すべての国民に等しく受忍しなければならない」(八○年茅答申)、 「(被爆は)戦争中のことでもありやむを得なかった」(七五年天皇ヒロヒト)ということだ。
 これでいいのか! こんな小泉の「恒久平和」などの言辞にだまされるな! 「在韓被爆者に対する健康管理手当打ち切りは法の下での平等に反する」との大阪地裁判決を不服として、国は控訴した。これが小泉の正体だ!

 新たな戦争狙う小泉の憲法九条改憲攻撃

 小泉首相は四月二十七日の自民党新総裁就任後の記者会見で、「憲法九条は、日本は戦争の後遺症が強いから、政治課題にのせるのは難しい」と、労働者階級人民の反戦意識を「後遺症」と言い放った。困難ではあるが今や「後遺症」は克服すべきだとの改憲意思を表明したのだ。
 原爆地獄の地の底からの血叫び、「くり返すな! アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ」の圧殺宣言である。「後遺症」とはなんたる言い草か! 被爆者(被爆二世、三世)は被爆から半世紀経った今もなお、原爆後遺症と帝国主義によって殺され続けているのだ! この原爆と戦争、核を必要とする者どもに対する人間的本源的怒りを「後遺症」などと罵倒し、改憲を狙う小泉を絶対許すな!

 被爆者の「英霊」化狙う小泉の祈念式典参加=慰霊碑参拝粉砕■

 小泉首相の、六・二三沖縄−八・六広島、八・九長崎祈念式典参加=慰霊碑参拝―八・一五靖国神社公式参拝は、戦争犠牲者を「英霊」化する攻撃である。
 日本軍によるアジア人民虐殺の「血で書かれた歴史的事実」を抹殺し、沖縄戦の犠牲、被爆死、異国の戦場での野垂れ死にを「靖国の魂」で限りなく美化し、「今日の平和と繁栄の尊い犠牲」「平和の礎」と「英霊」化するものである。
 さらに、若者に向かって日米帝国主義のアジア勢力圏化をめぐる争闘戦に命を捧げる「誇るべき日本人」「特攻隊」たれ、「お国のため、日帝ブルジョアジー延命のために命を捧げよ、これこそ尊いことだ」とあおる攻撃である。
 ヒロシマ・ナガサキの階級性を解体しようとする、この小泉反革命の祈念式典出席−「英霊」化攻撃粉砕の闘いは、労働者階級人民総体にとって、プロレタリアート自己解放の重要な環である革命的反戦闘争の「原点」をめぐる課題だ。
 闘うアジア人民と連帯し、六・二三沖縄−八・六広島−八・九長崎−八・一五靖国神社公式参拝と続く小泉の「英霊」化=戦争動員攻撃を断固粉砕しよう! 小泉の来広・来長攻撃を断じて許すな!

 日帝独自の核武装攻撃強める小泉政権

 日帝・小泉の被爆者「英霊」化−抹殺の狙いは、本質的に対米対抗性をもった日帝独自の核武装の道、核武装=改憲、改憲=核武装への踏み込みにある。それはNMD・TMDへの参画をもテコに、集団的自衛権行使を「研究する」と宣言し、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の再稼働−核燃サイクルの推進、いつでもミサイルに転用可能なH2ロケット再打ち上げ策動、情報収集衛星(偵察衛星)の国産決定、中谷防衛庁長官の「TMD日本独自運用」発言などに明らかに示されている。
 被爆者の核に対する怒り、憲法九条にこめた平和への希求を、「空論」(「つくる会」公民教科書)と嘲(あざけ)り、核抑止力論をあおる教科書を、あろうことか被爆地ヒロシマで使えと教育労働者に強要しているのだ。
 小泉の言う「平和」というペテン的言辞にどうしてだまされよう! 小泉が「二度と戦争をくり返さないために靖国神社に公式参拝する」と言うのは戦争をしないというのではない。「負ける戦争はくり返さない」ということにほかならない。こんな反革命的ペテンにもはやヒロシマ・ナガサキはだまされはしない。

 小泉政権打倒、教育改革−有事立法・改憲絶対粉砕へ

 今夏の八・六広島−八・九長崎反戦・反核闘争は、極右小泉政権の反人民的反革命的「改革」攻撃との階級決戦場として一挙に押し上げられた。
 戦争突撃政権=小泉反革命の「構造改革」とは、日帝・独占金融資本の延命のために、労働者階級人民にすべての矛盾と犠牲を転嫁するものであり、∧外に向かっての侵略戦争−内に向かっての階級戦争∨への挑戦そのものである。
 日本労働者階級人民に問われていることは、血債の思想の実践的貫徹にかけ、朝鮮・中国−アジア人民との国際主義的連帯にかけて、戦争突撃政権=小泉反革命に対し真っ向から対決するのか、それとも再び自己の階級性を解体し、帝国主義の侵略戦争−アジア人民虐殺という階級的犯罪に手を染め、自ら階級としての恥ずべき死、人間としての屈辱的死をくり返すのか、この二者択一である。
 「くり返すな!」を小ブル平和主義的スローガンへと変質させた既成原水禁運動を、質量で真にのりこえる絶好期が到来した。アジア侵略戦争を「自存自衛」だの「アジアの解放」などと居直り、祖国擁護イデオロギーをくり出して、帝国主義戦争をくり返そうとする日帝・小泉政権に対し、もはや社共・既成原水禁運動のような祖国擁護主義では闘えない。小泉反革命と真っ向から対決する闘う新しい階級的潮流こそ戦争を止め、核を廃絶する力だ。
 すでに、被爆地・広島を主戦場に教組・教育労働者を先頭にした教育決戦が爆発している。「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな!」「教え子を再び戦場に送るな!」を原点として「日の丸・君が代」強制拒否に決起した教組・教育労働者に対する大量処分攻撃に、反撃の闘いが開始された。
 被爆五十六周年の八・六広島−八・九長崎反戦・反核闘争を、「小泉政権打倒! 教育改革−有事立法・改憲粉砕! 日帝の戦争国家化・核武装化阻止!」の闘いとして爆発をかちとろう! 「改憲=核武装」派へ転向した日共スターリン主義、今や「日本人の郷土的風土」を押し出し国粋主義・日本民族主義の鼓吹者に転落したファシスト・カクマルの闘争破壊を許さず、今こそ、「くり返すな! アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ」をかかげて闘おう!
 全国から八・六広島−八・九長崎反戦・反核闘争へ総結集し、小泉首相の祈念式典参加=慰霊碑参拝を粉砕せよ! 闘う朝鮮・中国−アジア人民との国際主義的連帯にかけて、日帝のアジア侵略を内乱へ転化せよ! 
 「被爆者解放・日帝打倒!」の旗の下、すべての被爆二世、三世は全国被爆者青年同盟に結集せよ!
 ともに闘わん!

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週刊『前進』(2015号4面2)

 「つくる会」教科書

 日帝・小泉政権の修正拒否に南朝鮮・韓国で怒り沸騰

 七月九日、小泉政権が韓国および中国の教科書修正要求を公式に全面拒否して以降、朝鮮・中国・アジアで日帝・小泉政権に対する嵐(あらし)のような抗議行動が爆発している。この力強いアジアの闘いと結合し、「つくる会」教科書の採択阻止へ全力で奮闘しよう。

 韓国国会で対日決議

 韓国では、七月十八日に開かれた国会本会議が「日本の歴史教科書歪曲是正要求決議」を満場一致で採択した。
 この決議は、九八年の日韓共同宣言の破棄を含め、対日関係全般の見直しを韓国政府に促すことなど、日本政府が教科書の修正に応じるまで強硬姿勢をとるべきだと主張している。歴史教科書の歪曲を主導している日本人の入国制限のための立法措置も確認した。
 さらに決議は、「自らの侵略事実を隠蔽(いんぺい)、歪曲し、歴史的な責任にそっぽを向く日本は国際社会の指導的国家の資格がない」と、国連安保理常任理事国入り阻止を韓国政府として積極的に検討するように要求している。
 小泉政権による修正拒否を受け、すでに韓国政府は、日本大衆文化の追加開放措置の中断、大学生・教員らの相互交流の中断、海上自衛隊艦艇の入港拒否などを「第一次対抗措置」として発表した。
 同時に、地方自治体が姉妹都市を訪問、直接「つくる会」教科書を採択しないよう求める動きが広がり、さらに対日交流事業の中断宣言が相次いでいる。この交流中断の動きは教育界・文化界・宗教界など民間レベルでも急速に広がっている。まさに民族をあげた大運動が展開されている。

 三つの行動計画決議

 「日本の教科書を正す運動本部」は七月九日午前、ソウルのタプコル公園(旧パゴダ公園)で「日本政府の歪曲歴史教科書修正拒否糾弾集会」を開き、政府の断固たる対応を要求した。韓国挺身隊問題対策協議会など全国約八十の市民団体で構成された運動本部の代表ら約百人は、「世界の良心的勢力と力を合わせ、最後まで闘争していく」ことを誓った。
 参加者はまた、@全国の自治体による日本の姉妹提携自治体への抗議訪問、A日本のマスコミに歪曲教科書の不当性を知らせる広告掲載、B歪曲教科書刊行を後援した企業製品の不買運動など三つの行動計画を決議した。
 運動本部は、春川(チュンチョン)市議会が相互交流契約を結んでいる山口県防府市議会に送った、「歪曲教科書を採択した場合、ワールドカップ共催など友好的雰囲気と地方自治体間の親善関係が崩れる恐れがある」という内容の書簡を公開。さらに、「忠清南道(チュンチョンナムド)市民団体代表団が六月に熊本県議会などを抗議訪問し、また、ソウル端草区(ソチョグ)が姉妹都市の東京都杉並区に歪曲教科書不採択を促すなど、地方自治体などの活発な参加が続いている」と紹介した。
 参加者は集会後、日本大使館まで行進した後、四十万人の署名録が入った箱を大使館に渡そうとしたが、なんと日本大使館は受け取りを拒否するという暴挙に出たのである。
 七月十一日、「水曜デモ」がソウルの日本大使館前で闘われた。日本軍軍隊慰安婦とされた八人の女性たちが先頭に立ち、「後世のためにも教科書歪曲問題は絶対譲歩できない」と言明。「日の丸」と日本産タバコを燃やして抗議した。

 日韓教組の共同闘争

 日本と韓国の教職員労組が歴史の副教材を共同で製作し、来年から授業で活用することを決めた。
 民主労総傘下の全国教職員労働組合(全教組)の大邱(テグ)支部は八日、「広島県の教職員組合と共同で、歴史と平和に関する教材をつくることに一致した」と発表した。金亨燮(キムヒョンソプ)支部長は、「副教材の発刊など議定書の交換は、日本政府の歴史教科書歪曲に対する民間レベルの共同対応という点で意味を持つ」と述べた。
 また、韓国教員団体総連合会(教総)と過消費追放運動本部は十六日、日本の歴史歪曲を糾弾する市民・学生・父母など二百五万人の署名を李漢東(イハンドン)国務総理に渡した。
 李君賢(イクンヒョン)教総会長は声明書をとおして、「日本の歴史教科書歪曲是正拒否と関連し、日本政府は誠意ある措置をとり、隣国との葛藤を解消すべきであり、韓国政府は断固たる対応で歪曲教科書是正を要求しなければならない」と促した。

 日本の新聞紙上に広告

 七月十六日、「日本の教科書を正す運動本部」は仁寺洞(インサドン)で日本の新聞に歴史教科書歪曲に抗議する広告を掲載するための募金活動を展開し、「一億ウォン程度の寄付を集め、日本の主要な新聞に広告を出す計画」を明らかにした。
 また同日、ソウル江西区(カンソグ)のソンジ中・高校の学生五百余人と父母七百余人が、タプゴル公園で日本の歴史教科書歪曲を糾弾する集会を行った。
 韓国での闘いは、どうすれば日本での採択阻止の闘いと効果的に結合できるかという問題意識で展開されている。それは、日韓の過去の負の歴史を共有し、教訓化することによって、両国の労働者人民の未来を主体的に切り開こうという闘いだ。
 「つくる会」教科書採択阻止から小泉の靖国神社公式参拝絶対阻止へ、杉並、栃木を始め全国各地で、暑い夏の熱い闘いを全力で闘おう。
 アジア人民との共同闘争で小泉政権を打倒せよ。

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週刊『前進』(2015号4面3)

 2001年日誌 阻もう!改憲=戦争への動き

 7月11日〜17日

 韓国国会 対日関係の見直しを決議

 石原と自衛隊が「図上演習」

●「A級戦犯選別できぬ」
 小泉純一郎首相は主要七党党首討論会で、靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯について、「日本人の国民感情として、亡くなるとすべて仏様になる。A級戦犯は現世で死刑という刑罰を受けている。死者をそれほど選別しなければならないのか」「心ならずも戦争に行かざるを得なかった圧倒的多数への慰霊を、ひと握りのA級戦犯が合祀されているだけでおろそかにしていいのか」などと述べた。(11日)
●栃木の採択協議会が「つくる会」教科書採択の方針
 栃木県小山市、栃木市など二市八町でつくる「下都賀採択地区教科用図書採択協議会」が、下調べ段階で評価の低かった扶桑社の中学歴史教科書を、逆転で強引に来春から地区内の公立中学校で使用する方針を決めた。(12日)
●参院選始まる 第一九回参議院通常選挙が公示され、二十九日の投開票に向けた選挙戦が始まった。小泉内閣になって初めての国政選挙。(12日)
●韓国、日本文化開放を中断 韓国のキムハンギル文化観光相が、歴史教科書の再修正要求を拒否した日本政府への対抗措置として、これまで段階的に実施してきた日本大衆文化の追加開放を中断すると発表した。(12日)
●「数カ月以内に」ABM条約に抵触 米国防総省のウォルフォビッツ副長官は、上院軍事委員会で証言し、ミサイル防衛の実験施設の建設を来年四月に開始する考えを示し、防衛網開発が「数カ月以内」に米ロ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約に抵触するとの見通しだと述べた。同条約の一方的廃棄をも辞さない構えだ。(12日)
●那覇市情報公開訴訟で国敗訴確定 海上自衛隊那覇基地の対潜水艦戦作戦センター(ASWOC)の庁舎建設資料をめぐり、国が那覇市の公開決定取り消しを求めた「那覇市情報公開訴訟」の上告審で、最高裁が上告を棄却、国の敗訴が確定した。これにより那覇市が情報公開条例に基づき、一九八九年に公開決定したASWOCの建設資料二十一点は請求から十二年ぶりに公開される。(13日)
●韓国国会委が対日関係を見直し決議 韓国国会の「日本歴史教科書歪曲是正特別委員会」が、九八年に発表された日韓共同宣言の破棄を含め、全面的な両国関係の見直しを韓国政府に求める決議案を、満場一致で採択した。(13日)
●米軍が新戦略 ラムズフェルド米国防長官が、「二正面戦略」を放棄し、@本土防衛に加え、A一つの大規模紛争での決定的勝利、Bアジア、欧州、中東などの地域の海外駐留米軍による敵対行動の抑止、Cその他の地域での限定的期間の小規模紛争の制圧、の四つの主要任務を承認した、と米ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。(13日)
●米ミサイル防衛実験隔月で 米国防総省のケイディシュ弾道ミサイル防衛局長が、地上配備型迎撃ミサイルによる迎撃実験は「隔月の実施を見込んでいる」と述べた。海上配備型も今年九月と十二月の実験後、隔月実施を目指し、来年には空中配備レーザー兵器の実験も行う予定であることを明らかにした。(13日)
●米軍、夜間外出禁止を拒否 外務省や沖縄県、北谷町、在沖米軍などによる事件・事故への対応策を協議する臨時会合で、県や北谷町が強く求めた在沖米四軍の夜間外出禁止について、米軍は拒否した。(13日)
●米ミサイル迎撃実験が成功 米国防総省が、ミサイル防衛の迎撃実験に成功したと発表した。太平洋ハワイ上空の宇宙空間で、迎撃ミサイルから切り離された迎撃体が標的弾頭に命中したという。(15日)
●島田市議に情報公開 那覇市が、情報公開訴訟での国の全面敗訴を受け、開示請求者の島田正博・那覇市議に、海上自衛隊那覇基地のASWOCの庁舎建設資料を市政情報センターで公開した。(16日)
●韓国の遺族が靖国合祀の位牌返還を要求 韓国の「太平洋戦争被害者補償推進協議会」のメンバー十人が、小泉首相と金大中大統領に対し、靖国神社に合祀されている親の位牌の返還を求める嘆願書を郵送した。「日本の歴史教科書歪曲と小泉首相の靖国神社参拝発言に憤怒を禁じ得ない」などと訴えている。韓国政府も翌日、返還を日本政府に公式要請する方針を明らかにした。(16日)
●「つくる会」教科書採択白紙に 栃木県の下都賀採択地区の採択協議会が扶桑社版の中学歴史教科書の採択方針を決めた問題で、同地区の藤岡町の教育委員会が全会一致で協議会の決定を否決した。これにより、協議会の決定は白紙に戻され、再検討されることが決まった。壬生町教委も同教科書を採用しないことを決めた。(16日、17日)
●都と自衛隊が図上演習
東京都が大規模地震の想定と称し、自衛隊、警視庁など二千人の参加で「図上演習」を行った。(17日)

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週刊『前進』(2015号4面4)

 訂正

 2012号7面の反戦被爆者の会と全国被爆者青年同盟のアピール「在韓被爆者への『援護法』適用を拒否/国側の控訴を弾劾する」の9行目、大阪地裁が原告側勝訴の判決を出したのが「五月一日」とあるのは、「六月一日」の誤りでした。おわびして訂正します。

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週刊『前進』(2015号5面1)

 沖縄米兵暴行事件に全国で抗議

 元凶は基地と安保だ基地撤去・沖縄奪還へ

 米帝と小泉の居直り許すな

 六月二十九日、沖縄県北谷町でまたも凶悪な米兵犯罪がくり返された。われわれはこの性暴力事件を絶対に許さない。沖縄圧殺を狙う日帝・小泉政権を徹底的に弾劾し、打倒する。米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒までとことん闘い抜く決意だ。
 反戦共同行動委員会は沖縄の怒りと連帯し、全国で弾劾闘争を闘った。
 あらためて今回の事件は絶対に許せない。米兵は介抱を装って女性に暴行を働くという卑劣の上にも卑劣な女性差別の襲撃を行った。しかも米兵は一言も謝罪しないどころか、「合意の上」と居直っている。女性を二重三重に踏みにじる態度は断じて許せない。
 米国防総省は「単独犯であり集団暴行事件ではない」「他の者は目撃者」などと言うが、他の米兵も女性を助けるのではなく、犯人が逃亡する手助けさえしたのであり、米兵による集団暴行事件と言うべき蛮行である。米軍そのものが、帝国主義軍隊の本性をむき出しにした性暴力犯罪の温床なのだ。
 「被害者にも落ち度があった」などという田中外相の暴言を許すな! 暴行を受けた女性の悲しみと悔しさはどれほどか。多くの沖縄の女性たちも、この事件に怒り、もがき苦しんでいる。本土人民は、こうした苦痛を沖縄人民に強いている現実を痛苦にとらえ返さなければならない。被害者を始め沖縄の女性たちの闘いにこたえ、米日両政府に徹底的な弾劾をたたきつけよう。
 この事件の責任は、米日両政府にある。日米帝国主義が中国・朝鮮侵略戦争を狙い、沖縄の米軍基地を強化している中で、強制わいせつや放火など米軍犯罪が急増している。北谷町での米軍の事件・事故だけで今年すでに七件となった。これでも「氷山の一角に過ぎない」(町基地対策課)。
 ところが小泉政権は、今回も日米同盟と沖縄米軍基地に悪影響を及ぼさないようただただ腐心するという対応をとった。小泉を筆頭に閣僚たちは、日米地位協定の見直しにさえ反対し、「運用の改善で対応する」という沖縄人民をなめきった態度だ。米兵の引き渡し要求から四日もかかった犯人の逮捕で「円満解決した」とする小泉政権を許すわけにはいかない。小泉は、国のために沖縄は犠牲になれ、「痛みに耐えよ」と言っているのだ。これこそ小泉改革の正体だ。
 もはや、形だけの「遺憾」を表明し、「再発防止」や「綱紀粛正」を繰り返すだけの対応では許されない。これではまた犠牲者を増やすだけだ。こうした米兵事件を防ぐには米軍基地の全面撤去しかない。
 暴行事件に沖縄人民の怒りが高まり、労働者や女性たちが連日の抗議行動に決起している。
 七月十三日には米軍基地の県内移設に反対する女性たちが名護市内で米兵暴行事件に抗議する集会とデモを行った。集会では「戦後五十六年間沖縄の女性が犠牲になり続けている」「子や孫に悲しい思いをさせないために、名護市への基地の移設は絶対に阻止する」などの声が上がった。
 また米軍基地を抱えるほとんどの自治体で連続的に抗議決議が上がっている。
 北谷町の決議では「国土のわずか〇・六%にすぎない県土に、全国の米軍施設の七五%という過密な基地の集中配備がその根元にあることは明白である」「米軍基地の集中配備を抜本的に見直す以外に、問題の抜本的解決はない」と言い切っている。
 何度抗議しても繰り返される米軍事件に「もう我慢の限界だ」「米軍基地撤去しかない」という声が日増しに強くなっているのだ。
 また日本政府に対する稲嶺県政の弱腰にも責任がある、との批判も高まっている。ここ数年間、日帝が稲嶺県知事や岸本名護市長などを使って、沖縄の闘いを抑え込んできたやり方を突き破る闘いが始まっているのだ。
 沖縄の闘いと連帯し、本土と沖縄を貫いて新たな沖縄闘争の爆発をかちとっていくときだ。参院選でのオータ昌秀氏、新垣しげお氏の当選に向けて全力をあげよう。
 さらに全国で米兵暴行事件を弾劾し、名護新基地建設阻止・米軍基地撤去へ闘いを強めよう。沖縄縄圧殺狙う小泉政権と対決し、七〜八月決戦を闘おう。

 7・6関西

 ”基地の島”の現実許せぬ  米領事館に抗議

 七月六日、関西反戦共同行動委員会は、またもくり返された米兵による女性暴行事件に怒りを燃やし、沖縄人民の闘いに連帯して、約二十人でアメリカ領事館に対する緊急抗議行動に立ち上がった。
 まず怒りを込めてシュプレヒコールをたたきつけ、参加した団体が次々と抗議の申し入れを行った。
 関西反戦共同行動委として関西労組交流センター事務局長の松田勲さんが、「引き起こされた犯罪への対処の仕方が主要な問題なのではない。このような事件を引き起こし続ける米軍の侵略の軍隊としての本質が問題なのであり、存在が問題なのだ」と日米安保粉砕・米軍基地撤去、名護新基地建設阻止を訴えた。
 全学連の学生は、沖縄人民の闘いへの連帯を表明するとともに、「年頭からくり返される米兵の犯罪は、米帝ブッシュ政権と日帝・小泉政権が、日米安保体制を中国・朝鮮侵略戦争の臨戦態勢としてエスカレートさせ、その発動に向かって本格的に動き出している中で頻発している事態である」と、とりわけ先日の日米首脳会談での日米安保強化、朝鮮・中国−アジアへの戦争政策の激化に対する怒りと危機感をたたきつけた。
 最後に、全国沖縄青年委員会の仲宗根朝寿副委員長が、「いつまで沖縄は、基地の島・戦場の島の現実を強制されなければならないのか」と怒りをあらわにした。さらに「沖縄人民の怒りは頂点に達している。それは米軍への怒りであると同時に、日米安保の重圧の一切を沖縄に強制し続ける日本政府に対する怒りである」「沖縄の闘いは韓国・梅香里(メヒャンニ)やフィリピンの闘いとともに、日米帝国主義を追いつめ、実力で安保粉砕・基地撤去の闘いを切り開くものだ」と発言し、沖縄との連帯を訴えた。
 対応した米領事館の職員には、「必ず申し入れの内容を伝えます」と言わせた。
 申し入れ後、再度怒りのシュプレヒコールをたたきつけ、団結ガンバローで緊急抗議行動を終わった。
 度重なる米軍犯罪、日帝・小泉政権の改憲・戦争国家化攻撃の激化の中で、緊急抗議行動には通行人からも圧倒的な注目と共感が寄せられた。

 7・7福岡

 ”米軍基地の存在が根源”  九大自治会先頭に

 七月七日、反戦共同行動・福岡は、福岡市大濠にあるアメリカ領事館に対して、六月二十九日に起きた沖縄米兵による女性暴行事件弾劾の緊急行動に立った。弾劾行動は、警備の警察権力の妨害をはねのけて、闘われた。
 闘いの先頭に立った九州大学自治会の学生は、この差別襲撃に対して怒りを込めて弾劾し、この事件が米帝ブッシュ政権の新たな軍事戦略、そのもとでの在沖縄米軍基地の強化によって生み出されていることを明らかにした。そして何よりも、小泉反革命政権が、新ガイドライン体制―日米安保の強化をテコに、改憲=戦争のできる国家への転換を推し進めようとしていることを暴露し、徹底的に弾劾した。
 婦人民主クラブ全国協議会・福岡支部の代表は、「米軍基地の存在こそが米兵の女性暴行事件の根源だ」と弾劾し、米軍基地撤去、名護新基地建設阻止を訴えた。
 今こそ、全国で沖縄闘争の新たな爆発を闘い取っていくときだ。米軍基地への怒りの声は沖縄で、全国で沸き上がっている。
 小泉は、集団自衛権行使と有事法制の検討、PKF凍結解除を打ち出し、実際に自衛隊の海外武装派兵(侵略出兵)を狙っている。そのためにこそ、六・二三沖縄慰霊式典への出席に続いて、八・六広島、八・九長崎の祈念式典への出席―八・一五靖国神社公式参拝を公然と宣言し、労働者人民に「命をかけて戦った者への尊敬」を扇動しているのだ。
 小泉反革命政権を打倒せよ! 今こそ、小泉政権と対決する労働者人民の大衆的闘いが求められている。
 九州大学自治会の学生を先頭に、七・八「つくる会」教科書採択阻止闘争から、八・九長崎反戦反核闘争の成功に向かって全力で闘うことを確認して、行動を終えた。

 王城寺原

 海兵隊演習を弾劾  米兵事件への怒りに燃え機動隊はねのけデモ

 七月四日午前九時、宮城・陸上自衛隊王城寺原(おうじょうじはら)演習場前に結集したみやぎ反戦共同行動委員会の労働者と学生は、沖縄米海兵隊による一五五_榴(りゅう)弾砲実弾射撃訓練阻止の闘いに立ち上がった。
 「ドーン」というものすごい大砲の発射される音が響き渡る中、直ちに演習場ゲート前で怒りの集会が行われた。
 基調提起に立った労働者は三点にわたって闘いの意義を訴えた。
 「まず第一に今日の闘いを、米兵による女性暴行事件への怒りに燃える沖縄人民と固く連帯して闘おう。実弾砲撃演習は六年前の沖縄の少女暴行事件を契機として爆発した怒りを抑えつけるために本土五カ所に移転されている。しかし沖縄では基地の『痛み』は減ったかといえばむしろ逆に極限にまで大きくなっているではないか。そんな中、きょう王城寺原演習場に来る途中、陸上自衛隊が『米軍歓迎』の看板を掲げていた。総力をあげて米軍歓迎ムードを作り出そうとしている。基地への怒り、演習への怒りを払拭(ふっしょく)しようというのだ。沖縄人民とともに戦争につながる一切の基地や演習をなくすために闘おう」と沖縄人民との連帯にかけて闘うことを提起した。
 第二に、小泉反動との闘いとして、「小泉の『構造改革』の一切に日本の戦争国家化が貫かれている。この小泉反動をあいまいにせず見据えて、打倒していこう」と訴えた。
 第三に、ガイドラインの実戦化との闘いとして「今回の演習にあたっては砲台の仙台港への荷揚げが初めて民間の労働者を動員して行われた。断じて許せない。戦争動員に反対して闘う労働運動を作り上げよう」と発言した。
 学生は「今演習は、米帝ブッシュがアジア戦略重視を発表した直後の、中国・朝鮮侵略戦争のための演習だ」と弾劾し、「演習阻止へ先頭で闘う」と宣言した。
 いよいよわれわれの戦闘意志は頂点に達し、デモに打って出た。「人殺しのための軍事訓練をやめろ! 戦争のための基地をなくせ!」
 周辺部落を通過すると何人もの地元住民が家の外に出てきて激励の声をかける。演習場に隣接する畑には住民の手によって演習反対の大きなのぼり旗が高々と掲げられている。地元住民と思いをともにしたデモ隊は、演習場ゲートへ向け進撃して行く。「基地・戦争と民衆は相入れない! 沖縄・アジア・全世界の人々と手を結び闘うぞ!」
 われわれの怒りはついにジグザグデモへと転化し、公安刑事、機動隊を蹴散らしてデモを最後まで貫徹した。
 小泉反動との闘いはこれからだ。何よりも参院選でのオータ昌秀氏の当選、「つくる会」教科書七月採択阻止、八・六ヒロシマ大行動への大結集をかちとろう。
(投稿・東北大T)

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週刊『前進』(2015号5面2)

 改憲阻止シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史

 第2部 15年戦争の末路(1)

 「戦死者310万人」の意味

 「国体護持」へ大惨禍と屍の山

 野垂れ死んだ兵

 第二部では、日帝の十五年戦争が最後には日本人民に何をもたらしたかを中心に見ていきたい。
 十五年戦争は、日帝の中国・アジア侵略戦争であり、米英帝国主義との帝国主義間戦争であった。それは、中国を始めとするアジア人民を二千万人以上も大虐殺した戦争であった。そして日本労働者人民は、スターリン主義の裏切りによって、自国政府の戦争に向かっての攻撃を阻止できなかったために、戦争に動員され、最前線で銃口を中国・アジア人民に向けさせられ、虐殺と略奪の実行者となり、筆舌に尽くしがたい惨害を与えた。
 米英帝国主義との戦争でも、本来階級的きょうだいであるべき労働者同士が殺し合いをさせられた。
 その結果、政府の公式発表でも日本軍兵士二百四十万人が戦場で死んだ。最近出た『餓死(うえじに)した英霊たち』(藤原彰著、青木書店刊)によると、日本軍の死者のうち六割の百四十万人が飢餓と栄養失調、病気で倒れたということである。
 例えば、ガダルカナル島での餓死者は一万五千人、東ニューギニアでは十一万五千人、中部太平洋で十二万人余、インパール作戦を含むビルマ戦線で十四万五千人、フィリピンで四十万人という兵士が飢えに苦しんで野垂れ死にした。
 なぜそのようなことになったか。その要因として、日本の軍隊は補給・兵たんを軽視した作戦を繰り返したことがあげられている。中国侵略戦争では「糧は敵による」、すなわち中国人民から略奪することで補給をまかなった。それができないところでは、たちまちに食料不足が生じた。本質的には、他民族を虐殺し略奪する帝国主義軍隊は、自国の兵士の生命も人権も軽視し、消耗品のようにしか扱わなかった。
 小泉首相は、「国のために命をささげた人をたたえることのどこが悪いのか」と開き直って靖国神社公式参拝を強行しようとしている。だが、戦死者の実態を見よ。国=天皇の名において戦場に送られ、殺され、あるいは餓死させられた人びとを美化し、「英霊」にすることは、戦争の責任を覆い隠すものであり、恥知らずなことである。日本の軍隊がどれほど人間の命を粗末に扱っていたかを知らなければならない。

 沖縄・広島・長崎

 侵略した先の戦場での最後がそのようなものであったという一方で、日本の現実はどうだったのか。
 一九四五年四〜六月の沖縄戦、そして、八月六日の広島、九日の長崎への原爆投下が、帝国主義戦争―どちらの側からも侵略的で強盗的な―の悲惨さを日本人民に突きつけ、二度と再び戦争を繰り返してはならないという教訓を与えている。また、四五年三月十日の東京大空襲を始め、全国各地での米軍機による空襲で「銃後」の日本人は大惨害をこうむった。
 沖縄戦は、敗色濃い日本帝国主義が「本土決戦」の時間を引き伸ばすために、沖縄を防波堤にし、捨て石にした、乱暴極まりない作戦であった。
 四五年二月、近衛文麿が天皇に上奏文を出し、「(国体護持はそれほど心配ないが)憂うべきは敗戦に伴って起こる共産革命」と言って講和を提言したのに対し、天皇ヒロヒトが「もう一度戦果を挙げてからでないと、話はなかなか難しい」と言って、戦争の継続を表明した。天皇の言う戦果とは、敗戦は明白だが、沖縄戦でできるだけ米軍に傷を与えるという意思表示であった。こうして沖縄戦が強行されたのである。
 この沖縄戦の中に、日帝にとっての沖縄とは何か、帝国主義軍隊とは何かが凝縮して示されている。日本と沖縄の関係を根本的に変革するという時、まずこの沖縄戦の歴史をしっかり踏まえることが必要である。
 沖縄戦で米帝は、本土攻撃の橋頭保を築くという戦略的な位置付けをしていたと同時に、戦後のアジア支配にとっての重要性も考慮に入れて最大級の軍隊の投入を行った。つまり、戦後の沖縄の米軍による軍事分離支配とアジア侵略基地化は、沖縄戦突入から始まっていたのである。
 広島、長崎の原爆は、沖縄の失陥という事態にもかかわらず、また七月のポツダム宣言にもかかわらず、日本帝国主義が降伏せず、なおも時間稼ぎを続けようとしたことと、米帝が日帝を軍事的に粉砕するためだけでなく、対ソ対決による戦後世界支配の覇権をかけて人類史上の暴挙に出たことが重なった一大戦争犯罪であり、恐るべき犠牲が強いられたのである。
 広島・長崎の原爆は、一瞬にして十数万の人命を奪っただけでなく、その後も今にいたるまで原爆症で多くの人民を苦しめ続けてきている。沖縄戦、広島・長崎原爆は、それほど大きな痛手をもたらしている。
 四四年七月のサイパン島失陥で日帝の敗勢が確定的になった。そこまで壊滅的に敗北を重ねながら、まだ日本軍は降伏しなかった。それから敗戦まで約一年、日本人の死者三百十万人の過半はこの一年間に集中している。そこからも、「国体」を守るために天皇とその政府がいたずらに民衆の屍(しかばね)の山を築いてきたことが分かる。
 日本の労働者人民は、このおびただしい犠牲を、自らが加担し、かつ積極的に担った帝国主義侵略戦争の結果として、アジア人民への血債にかけてとらえ返さなければならない。

 学徒動員と特攻

 また、この第二部では、学徒出陣と特攻隊について総括する。戦争末期に、追い詰められた日本軍が徴兵猶予を停止して、学生を戦場に送り、また、体当たりの特攻隊を次々に投入した。それは、日帝の戦争の非人間性の極致であって、「国に命をささげた」美しい物語などではない。
 最後に「中国残留孤児」問題は、デッチあげ・偽「満州国」に入植させられた日本人が、ソ連軍の参戦の前に関東軍が撤退したために、筆舌に尽くせぬ苦難を強いられたことによって起こった問題である。沖縄戦と「満州」での関東軍撤退は、帝国主義軍隊は非戦闘員である民衆を守らないことを露骨に表す二つの特徴的な事柄である。
 これから第二部では、日本の労働者人民にとって戦争はどのような結果をもたらしたかを見ていきたい。
 (高田隆志)

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週刊『前進』(2015号5面3)

 法政大

 営自学生大会に800人

 小泉の靖国参拝阻止誓う

 七月九日、二〇〇一年度法政大学経営学部学生大会が八百人の結集で大成功しました。
 全学連の拠点校・法政大学で学生大会が大結集でかちとられたことはとても重要です。
 先日、「つくる会」教科書への中国・韓国政府の修正要求に対して、日本政府は拒否の回答を出しました。さらに小泉首相は八月十五日に靖国神社への公式参拝を強行しようとしています。こうした日本政府・小泉首相の態度は、日本の戦争についてまったく反省しないものであり、朝鮮・中国への侵略戦争宣言にほかなりません。私たち法大生にとって靖国神社はキャンパスの直近であり、全力で参拝阻止闘争に立ちあがらなければなりません。
 私たち法政大学に対しては、ここ二年連続で八月十五日に不当家宅捜索が強行されています。法政大学が反戦運動の砦であるからこその攻撃です。私たちはこの法政で小泉首相と真っ向から対決し、不当な弾圧を跳ね返して、小泉の靖国参拝を阻止しなければなりません。また、不当家宅捜索に加担する法大当局も弾劾しなければなりません。
 戦前は学生の団結や労働者の団結が真っ先に破壊されました。その結果、学生や労働者は戦争に動員されていったのです。学生が自治会のもとに団結していくことが死活的に重要です。
 このような中で、私たちに問われていることの一つめは、学生自治会を守りぬき、全学生の自由と権利を守る組織として発展させることです。経営学部自治会は、学生の個別分断化が進む中、クラスやゼミなどでの学生の団結の強化を促進してきました。
 学生大会ではとりわけ今年度は例年以上に活発にクラス活動が行われたことが報告され、学生の団結の基礎であるクラス活動をさらに強化し、学費問題などの学生の要求を自治会を先頭にして実現することが方針として確認されました。
 問われていることの二つめは、われわれ学生が戦争と差別に対して立ちあがっていくことです。
 小泉政権と真っ向から対決し、日米帝による朝鮮・中国侵略戦争阻止のために立ち上がっていくことが求められていること、実践的には八月十五日の靖国神社公式参拝阻止の闘いを中心に、八・六ヒロシマ、八・九ナガサキ闘争に取り組むことが方針として確認されました。
 学生大会の議事終了後、竹原慎二氏の記念講演会が行われ、盛り上がりました。学生の問題意識や希望をとらえて記念講演の講師を選び、学生に何かをつかんでもらおうとする意識性が成功のカギでした。
 学生大会が成功した最大の理由は、学生の決起に確信を持ち、学生全体に責任を取りきるという立場で臨んだことです。全国大学で学生の自由と権利を体現する堅忍不抜の自治会づくりに取り組もう。法大生は最先頭で闘う決意です。
 (投稿・法政大 H)

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週刊『前進』(2015号6面1)

 M同志デッチあげ再逮捕弾劾

 凶暴な転向強要攻撃許すな

 前進社への不当捜索に反撃を

 警視庁は、七月十一日、すでに「有印私文書偽造、同行使」で起訴されたM同志に対して、同じ「有印私文書偽造、同行使」なる容疑の不当な再逮捕を行った。また他の一同志に指名手配攻撃を加えてきた。
 これは四月の三里塚ゲリラ戦闘に関して車両証明書をとったなどというデッチあげ弾圧だ。革共同と三里塚闘争への権力の政治的な階級的報復である。M同志は一切無関係である。警視庁は無実のM同志を直ちに釈放しなければならない。
 権力は、同日、四月十八日の千葉県企画部理事宅へのゲリラ戦闘を理由とした「現住建造物放火、火炎びん取締法違反」なる口実で前進社への不当な家宅捜索を行った。二百五十人以上の公安警察官を動員し、朝七時過ぎから五時間にも及ぶ前進社占拠そのものであった。日帝は、四・一八戦闘が、堂本千葉県知事による話し合い攻撃を粉砕した超ど級の戦闘であったことに心底から恐怖したのである。
 日帝・小泉は反対同盟農民の実力闘争、それと連帯した支援のゲリラ戦闘を死ぬほど恐れている。
 今回の弾圧は、大衆闘争や人民の決起を恐れる小泉政権の反革命的治安政策の本質を示すものである。

 勾留理由開示で無実明らか

 そもそも陸運局で「車両証明書」を取ること自体は誰にでも認められた行為であり、それ自体、実害もまったくないものである。今回「有印私文書偽造、同行使」という形で「犯罪」とし、しかも同一の「容疑」を何度にも分けて再逮捕するのは、長期勾留を目的とした転向強要攻撃そのものである。人権侵害もはなはだしい。無実のM同志へのこの蒸し返し再逮捕を絶対に許してはならない。
 七月十七日に開かれた勾留理由開示公判において、裁判官は「いつ私文書偽造行為が行われたかは分からない」などと告白した。警視庁は、M同志の容疑に根拠がないことを知っており、虚偽「自白」をつくり出そうと転向強要を狙って長時間の取り調べを行っていることが暴露された。まさに精神的拷問であり、密室の権力犯罪である。当然にも法廷全体に怒りの弾劾が響き渡ったのである。
 M同志への最初の起訴に際しても、彼らは「臭気鑑定をするぞ」「ウソ発見器にかける」などと言い、証拠がないままデッチあげ起訴したことを問わず語りに語っているのだ。

 東峰立木伐採攻撃と同様の違法な再逮捕

 権力は、デッチあげ弾圧を見せしめ的に繰り返すことで、M同志を屈服させ、また反対同盟と血盟を結んだ革共同を破壊し、正義の三里塚ゲリラ戦闘の阻止を狙っていることは明白だ。M同志はこの凶暴なデッチあげ弾圧を完黙・非転向の闘いで完全にはね返し、戦闘的に闘い抜いている。
 日帝・空港公団は、六月十六日、成田空港の暫定滑走路予定地南端に位置する東峰神社を急襲し、東峰部落の共有財産である神社の立ち木を伐採するという違法・不法な強盗的行為を行った。
 三里塚闘争は小泉戦争政権と真正面から激突し、暫定滑走路建設粉砕を貫いて闘っている。また反対同盟は土地収用法改悪に反対して闘った。侵略戦争を阻止し、軍事空港をつくらせず、人民が闘えば必ず勝利できる地平を断固として堅持している。戦争の道をひた走る日帝・小泉は、この闘いをなんとしても破壊したいのだ。
 暫定滑走路建設に立ちはだかる三里塚反対同盟農民へのだまし討ち襲撃が神社の立木伐採であり、反対同盟と全国人民の闘いが大爆発することを恐れた攻撃である。
 M同志への蒸し返し逮捕攻撃は、これと同様の不法で根拠のない弾圧だ。
 弾圧で闘いを押しとどめることはできない。人民の怒りの決起が、敵の不正義で違法・不法な攻撃に激しく反撃し、戦闘的大衆闘争として、実力闘争、武装闘争として大爆発することは不可避である。七月十五日の三里塚現地闘争では、このことがはっきり宣言された。
 小泉反革命政権の大失業と戦争政策に対決し、三里塚闘争の勝利をともにかちとろう! 見せしめとしての無実のM同志へのデッチあげ再逮捕を弾劾し、転向強要攻撃を粉砕しよう!
 警視庁による前進社への不当な家宅捜索弾劾!
 警視庁は無実のM同志を直ちに釈放せよ!

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週刊『前進』(2015号6面2)

 基本文献学習シリーズ 1

 マルクス『ゴータ綱領批判』 再販によせて

 マルクス主義復権の闘いが階級闘争の前進を開く

 戦争と大失業の時代プロレタリア革命へ

 待ち望まれていたマルクス主義基本文献学習シリーズ1の『ゴータ綱領批判』が再版された。
 このシリーズは九四年発刊以来すでに1〜5まで刊行され、続刊の計画が進められている。さらに、新訳刊行委員会から原典の新訳として『共産党宣言』と『ドイツイデオロギー』が発刊されている。革共同の五月テーゼ(九一年)の貫徹の一環としてマルクス主義の原点的復権を進める闘いが、その研究と実際の闘いの現場における取り組みが一体となって進展していることを示すものとして、これは大きな意義を持っている。
 「戦争と大失業の時代」の到来の中で、マルクス主義の真の力の復権が今や死活的な意味で待ったなしになっている。
 スターリン主義の歴史的崩壊の一方で、資本主義−帝国主義の基本矛盾の爆発が歴史を画する形で始まっている。帝国主義国−新植民地主義体制諸国−旧スターリン主義・残存スターリン主義諸国の全体をとおした全世界の労働者階級・被抑圧人民の現実の課題として、世界革命−世界的な共産主義の実現を目指す運動の再創造の歴史的復興の時が来ている。
 この時を逃さぬ闘いの実現のためにこそ、われわれは「二十一世紀の早い時期におけるプロレタリア革命の実現」をめざして、マルクス主義の理論と実践の原点からの復権に取り組んでいるのである。こうした闘いの前進を示すこの再版を機に、この闘いを一層の勢いで進めていこう。

 最大の核心は労働者階級自己解放の思想

 われわれが提起したシリーズ第一弾としての『ゴータ綱領批判』の新たな読み直しにおいて提起した内容の中で、最重要のものは、何よりもまず「労働者階級自己解放の思想」をマルクスの提起の決定的核心として具体的に浮き彫りにすることであった。
 これまで第二インター(社会民主主義)とスターリン主義によるマルクス主義の解体の中心は、集中的にこの労働者階級自己解放の思想に向けられてきた。彼らによって、労働者階級は宿命論的に規定されたり、生産力によって規定された客体的存在として扱われてきた。労働者階級が革命的意識性をつかんで階級形成・党の建設を進め、蜂起をもって資本家階級を打倒し、自ら支配階級になり、階級と階級対立を廃絶して、人類全体を共産主義に導いていく能力を持った歴史的存在であることは軽視、無視されてきた。
 一八七五年に書かれた『ゴータ綱領批判』との関係で見てみれば、一八七一年パリ・コミューンにまで至った労働者の階級闘争の発展とそれに対するブルジョアジーの必死の弾圧の強化の中で、最大の焦点となったドイツの労働者運動がいかなる闘いを進めるかは、歴史的な課題であった。
 この中でマルクス派たるアイゼナッハ派の指導部はぐらつき、労働者党の統一の機会にあたって、ラサール派への屈服・妥協に走る。これに対してマルクスは、ここでこそ『共産党宣言』で打ち立てられ、『資本論』によって確証され、そしてパリ・コミューンで実証された労働者階級の力への決定的信頼を踏まえた闘いの階級的原則を貫くことを要求して「ドイツ労働者党綱領評注」というサブタイトルをもつ本書を書いたのである。
 だが、基本的にこの批判は投げ捨てられ、ラサール的な日和見主義的反労働者的綱領のもとでの運動が進行してしまった。ここで問題になっていたことの本質は、第一次大戦への屈服、参戦に至る以後のドイツ社民党の腐敗の中に明らかであるが、労働者階級の階級的力の増大がブルジョアジーとの階級的激突に至ることにおびえ、国家権力への日和見主義=労働者階級の自己解放の闘いの否定、敵対、不信に陥り、国家にすがって労働者の地位の向上を図るという思想に陥っていることであった。ラサールの「鉄の賃金法則」「国家援助による生産協同組合」「公正な分配」などの思想は、空想的社会主義と古典派経済学のごたまぜによる労働者救済の思想を根拠にしていた。
 いま一つ『ゴータ綱領批判』の中で提起されている大事なことは、「現実の共産主義」、つまりまさに今ある資本主義の転覆の中で、そこにある現実の材料(物質的な材料という意味でもそれを使って社会を運営する人間の発展という意味でも)で「生まれ出たばかりの共産主義」をつくり出せるということである。
 資本主義はその運動の必然的帰結として主客の両面で共産主義を成立させうる現実的条件を生み出すのである。これは労働者階級自己解放というものが、単に労働者階級の革命的意識の形成の面で確認されているのではなく、現実の根拠を持つものとしても確認されているのである。
 このことを積極的に確認したのがレーニンの『国家と革命』で、「読み書き・計算」ができる者(資本主義は全人民にそうすることを不可避とした)なら誰でも共産主義社会の中で管理の役割を果せるとした。この『国家と革命』は『帝国主義論』とともに、第二インターの腐敗と裏切りに対する対決の中から、とりわけ『ゴータ綱領批判』をテコにして、『共産党宣言』の帝国主義段階における復権を目指すものとして闘いとられたものである。その思想の貫徹としてロシア革命が実現された。

 労働者の自らの力への自信の回復の好機

 今われわれの立っている地点は、文字どおりの歴史の岐路である。人類が三たび世界大戦への道に引き込まれるのか、それともそれを転覆し、世界革命への展望を切り開いていくのか。
 小泉反革命の歴史的意味は、帝国主義間争闘戦の危機にたつ日帝の、戦争にまで進む絶望的な巻き返し策へののめり込みである。
 米帝の本国における労働者階級搾取と支配のドラスチックな強化と「グローバリズム」と称する帝国主義間争闘戦|帝国主義間の政治経済的重圧と旧および残存スターリン主義圏と新植民地主義体制諸国をめぐる勢力圏争いに対して、自らも労働者階級に一切の犠牲を集中し、帝国主義間争闘戦に軍事的にも勝ち抜くために「聖域なき改革」と称する大攻撃に訴えようとしているのだ。かくして全世界を巻き込む資本の強圧的支配とその国家間激突、戦争への転化の情勢が急速に強まっている。
 このことは戦後五十年余の帝国主義・資本主義の特異な「繁栄」が、ソ連スターリン主義の崩壊を契機として、ついにどんづまりの危機に入り、帝国主義段階の基本矛盾たる戦争を爆発させる以外にないところにさしかかったということだ。資本主義を「市場経済」などと言い換え、解釈を変えて資本主義の反人民性を塗り隠すブルジョア経済学の必死のびほうも、結局は労働力の商品化とそれに基づく搾取、そして矛盾を根本の要因とする恐慌や戦争としての爆発を、覆い隠すことはできない。
 ブルジョアジーのぐらつきのもとで進む帝国主義の危機に駆られた歴史を画する大攻撃は、労働者階級の階級意識と自らの力への自信の回復の好機に転化できるし、しなければならない。
 労働者階級に自信を持った決起を促していく力を持つマルクス主義の復権の最良の入り口として『ゴータ綱領批判』を、この時代に労働者階級・被抑圧人民が勝利するためにさらに読み込み、労働者階級人民の中に広めていこう。

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週刊『前進』(2015号6面3)

 関西反戦共同行動委

 広教組招き講座

 「つくる会」採択阻止へ

 七月六日、大阪市内の「エルおおさか」で関西反戦共同行動委員会主催の反戦連続講座が、四十人の労働者、市民を結集して開かれた。この間、大阪府教委、兵庫県教委を始め関西一円の教育委員会に「つくる会」教科書を採択しないよう申し入れ行動を連続的に取り組んできた。いよいよ決戦の七月、採択を阻止する闘いを強めていくために講座を開催した。
 婦人民主クラブ関西協議会大阪西支部の司会で、初めに国賀祥司事務局長(泉佐野市議)が、教科書採択の真っただ中での講座の意義を述べた。同日、沖縄での米兵による女性暴行事件糾弾の米領事館闘争を闘った労組交流センターの労働者が闘争報告を行った。
 続いて広島県教職員組合の闘う教育労働者が、「『つくる会』教科書はアジアへの宣戦布告だ」と題して、一時間にわたり講演した。まず、今春卒・入学式をめぐる攻防を報告し、「広教組、広高教組七十七名への処分に対し、七月三日人事委員会への不服申し立てに立ち上がった」と、組織決定で処分撤回闘争に立ち上がったことの大きさを訴え、八・六広島への総結集を呼びかけた。
 さらに「『つくる会』教科書は、戦争を担える青年が育っていないことに危機感を持った政府が、思想教育で戦争できる子どもたちをつくろうとするもの。公民教科書では特攻隊を賛美し、国防の義務をこれでもかこれでもかと記述している」と批判。「われわれがイヤだと言えば戦争はできない。そこが弱さだ。だからペテンにかけようとしている。『つくる会』教科書は戦慄(せんりつ)すべき内容だが、もろい。必ず粉砕できる」と確信をこめて提起した。
 その後、活発な質疑と闘いの報告が行われた。卒業式での「日の丸・君が代」強制に卒業生が全員着席した高校の教員は「府教委による私への呼び出しは生徒たちの決起への報復だ。十三日に断固抗議に決起する」と報告した。婦民関西協は「つくる会」教科書採択阻止の緊急座り込みリレーへの参加を呼びかけた。
 会場では、卒業式での「日の丸・君が代」強制に反対し不当処分を受けた東大阪の二人の教育労働者の抗議声明も配られた。
 最後に仲宗根朝寿事務局次長が、「『つくる会』教科書採択阻止に向け広範な大衆運動をつくり出そう。参院選で大田昌秀さんの当選をかちとり、八・六広島−八・九長崎−八・一五靖国闘争に総決起しよう」と集会をまとめた。

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