ZENSHIN 2001/06/25(No2010 p06)

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戦争賛美の「つくる会」教科書使わせぬ 6・13杉並区議会
 “大蔵教育委員を罷免せよ” けしば議員が鋭く追及 区民の怒りの決起の先頭で

 「大蔵委員の罷免しかない!」。杉並区議会の教育委員選任の議案に対して、けしば誠一議員は反対の質問に立ち、山田区長に鋭く迫った。傍聴席からも激しい弾劾の声がわき起こり、「つくる会」教科書を絶対に採択させない区民の決意をたたきつけた。都議選告示を目前にした六月十三日、杉並区議会の六月定例会の最終日に、欠員となっていた教育委員の人事案が提案された。山田区長は、教育委員会の欠員を補充することによって、「つくる会」教科書が「民主的に採択された」という装いをこらそうとしていたのだ。その意図は見え透いており、「『つくる会』教科書を採択させるな」と怒りに燃えて多くの区民が傍聴につめかけた。

 居直る山田区長弾劾

 午後一時から開かれた区議会は、二時過ぎには教育委員会人事案が提出されると見られていた。ところが区当局と与党会派が結託し、「つくる会」教科書採択を阻もうと立ち上がった住民の怒りをそらすために、議案採決の後に行うべき議長・副議長の選挙などの議事を次々と入れて教育委員の選任を大幅に遅らせた。こうすれば子ども連れの母親たちは夕方には帰らざるをえないと狙ったのだ。傍聴者の怒りは逆に高まるばかり。傍聴席からあふれた区民は、区役所ロビーのモニターテレビにくぎ付けになった。
 山田区長が提案した教育委員の補充人事は、PTA連合協会の会長も務めた安本氏で、学校給食の民間委託にも反対した人だ。山田区長は、PTAも反対できないような人を教育委員に補充し、PTAの声も聞いたかのような形を装って「つくる会」教科書の採択を強行しようとたくらんでいるのだ。
 質問に立ったけしば区議はまず、前日十二日に韓国の「日本の教科書を正す国際キャンペーン」の呼びかけで世界七十一カ国、百二十五都市で日本大使館抗議行動などが闘われ、日本でも文部科学省包囲の抗議行動が行われたことを明らかにし、全世界の平和を脅かす「つくる会」教科書採択の策動を弾劾した。そして今回の教育委員の人事が「つくる会」教科書採択のためにのみ行われることを暴き出した。「つくる会」に連なる大蔵雄之助氏を教育委員から罷免することが、新たな教育委員人事の前提だと突きつけた。
 また、山田区長に教育行政の中立性、教育委員会の独立性についてどう考えるのかと質問した。山田区長は昨年十一月、三人の教育委員を解任し、統一協会系の三人を選任しようとたくらんだ。それ自身が地方教育行政法違反であり、教育行政を支配しようとする山田の策動を露骨に示すものだった。
 大蔵氏は統一協会の機関紙「世界日報」の執筆者であり、自衛隊にクーデター決起を促して自殺した三島由紀夫をたたえる三島研究会発起人で、三島の遺志を継ぐ「憂国忌」発起人でもある。けしば議員は、この事実を突き出して大蔵氏が教育委員としてまったくふさわしくない人物であることを鮮明にした。大蔵氏を教育委員に任命した山田の狙いは、まさに勝共連合によって教育委員会を独占することにあったのだ。
 けしば議員はさらに、昨年十一月の教育委員の入れ替えによって、教育委員会が崩壊に等しい状態に陥っていることを明らかにした。委員会を開いても何の論議もできず、行政の報告を受けるだけの不活発な事態が続いているのだ。

 石原教育行政の反動性暴く

 さらに石原都知事の教育行政の問題性を追及した。教育委員の任命権を持つ石原知事は、「つくる会」の賛同人に名を連ねている。このこと自身、教科書行政の公平性から大問題だとただした。石原知事は「つくる会」の藤岡信勝を東京都教育委員に任命しようとさえした。それはできなかったが、藤岡信勝、小林よしのりを石原の私的諮問機関「東京の問題を考える懇談会」に任命し、教育委員との懇談を行わせている。
 けしば議員はまた、区の教科書採択要綱について追及した。学校票や絞り込みを禁止したことが、「つくる会」教科書を採択するためであったことを鋭く暴いた。
 けしば議員の追及に山田区長はまともに答えられない。日帝が強制連行した日本軍軍隊慰安婦を「売春婦だった」と発言し、教育委員への選任にあたってその発言を糊塗(こと)するためにウソをついた大蔵氏を、「人格、識見の優れた人物」を選んだと言うにいたっては、黒を白と言いくるめるペテン以外の何ものでもない。
 議長は当局側が質問に答えていないにもかかわらず議事を進行し、けしば議員と新城せつこ議員が激しい弾劾をたたきつけた。
 けしば議員は怒りを倍加させて再質問に立った。戦後、教育を一般行政から独立させたのは、「国のために死ぬこと」を強制した教育への国家統制を排除するためであったと述べ、杉並区の「教育委員会は死んだ」と弾劾した。ウソを繰り返す大蔵氏は教育委員としてふさわしくないことを突きつけ、あらためて大蔵委員の罷免を要求した。また、具体的事実をもって大蔵氏のウソを指摘したにもかかわらず、区長は何も答えてはいないことを強く弾劾した。「つくる会」教科書を強引に採択し、強制しようとしている山田区長の策動は、再び戦争に突き進もうとするものだと語気鋭く迫った。
 山田区長は、再質問に対してもまともに答えようとはしない。質問をはぐらかしてそそくさと逃げた。議長は、区当局が何もまともに答えていないにもかかわらず質問を打ち切り、採決に入った。
 ここでもけしば区議は断固とした意見表明に立ち、大蔵氏の辞任がない限り教育委員の人事案に反対することを突きつけた。特に石原都政が産経新聞の悪らつなデマ報道を使って教員への処分を強行したことを弾劾し、そうしたやり方が「デマと暴力が支配することになる」と暴いて、あらためて山田区長の謝罪を要求した。

 都革新、区役所にデモ

 傍聴席からも激しい抗議が沸き上がり、「つくる会」教科書を強制しようとする山田区長の攻撃を労働者人民は絶対に許さないことをたたきつけた。議場が騒然となる中で議長は採決を強行した。この質疑と傍聴席の声に突き動かされ、共産党と無所属会派も都革新の側に立ち、議案に反対の意思を示した。
 区議会終了後、けしば区議は傍聴に駆けつけた区民に、強行採決せざるを得なかったのは、傍聴席と一体の闘いが敵を追いつめたからだと語り、「勝利した」と感想を述べて、さらに「つくる会」教科書を粉砕するまで闘うことを表明した。「つくる会」教科書を絶対に許さないためにも都議選に勝利する決意を明らかにした。
 区議会に先立って、都政を革新する会はけやき公園に百人近くが結集し、デモで区役所に押し掛け、「つくる会」教科書の採択を許さないと訴えた。「山田区長は『つくる会』教科書を強制するな!」「『つくる会』教科書を使わせないぞ!」のシュプレヒコールがこだました。
 区役所前では、区の「つくる会」教科書採択の動きに危機感を燃やす市民団体が、署名やマイクでのアピールを行っていて、デモ隊の到着を拍手で迎えた。


若者たちも けしば支持

 生き生きした訴えが全世代の心をつかむ

 私たち学生は六月九日、高円寺駅頭でライブ&リレートークの街頭宣伝を行いました。若者がギターを弾きながら介護保険や石原批判の歌を歌い、自分たちで作ったビラをまき、自分たちの言葉で訴えた素晴らしい宣伝でした。
 既成政党が小泉政権や石原知事と真っ向から対決せず、民衆に政治への不信、絶望感をもたらしている中で、私たち若者が生き生きと「私たち民衆の力で政治を変えよう!」と真剣に訴えている姿が労働者の圧倒的注目と共感を呼びました。内容は、小泉政権や石原知事のこと、介護保険や沖縄のことなどです。
 今までビラを受け取らなかったような若い世代がどんどんビラを受け取っていく情勢をつくり出しました。
 二十代の男性は、街宣を見て「素晴らしいね。僕ら若い世代は政治にシビアだよ。小泉とかいいなんて思わないよ。石原慎太郎は危ない。頑張ってよ」と言ってくれました。
 主婦・高齢者・労働者の反応も良くて、四十代の女性は「(ビラを)できるだけ多くの人に渡して。どんどん頑張って」と話しかけてきました。七十代の男性からも「若い人が頑張らないとね」という激励を受けました。
 五十代の男性は「(けしば陣営は)こういうのなんだ」と若者が自己解放的に活動している様子に感心したようでした。若者が何を考えているのか非常に興味を持っているということもあり、立ち止まって私たちの訴えに聞き入る人もたくさんいました。
 既成の政党とは絶対に違う! 住民と行動する議員というけしばさんのイメージを思いっきり押し出し、労働者の心をしっかりとつかむことができました。
 街頭では、けしばさんと労働者の合流が始まっています。私たちは、さらにけしばさん当選のために全力で闘います。
(投稿/学生・佐藤絵理)

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