ZENSHIN 2001/06/18(No2009 p06)

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「つくる会」教科書 国際連帯で採択阻止を
 79ヵ国152都市一斉デモへ 6・12 韓国の運動本部が呼びかけ

 「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の採択阻止をめぐる決戦を全力で推進しよう。「つくる会」教科書の発行者・扶桑社は、歴史と公民の教科書の市販を強行した。七月採択阻止へ向けて六月が最大の攻防である。六月十二日には世界七十九カ国で同時デモが闘われる。闘う朝鮮・中国−アジア人民と連帯して、東京・杉並を頂点に「つくる会」教科書採択絶対阻止の大衆運動を爆発させよう。

 “日本政府が謝罪するまで展開する”

 「つくる会」教科書との闘いは、日帝・小泉反革命と最も鋭く激突する政治決戦である。この闘いは、革共同の「七・七自己批判」の精神を鮮明にさせて、アジア人民との国際主義的連帯をなんとしてもかちとり、小泉反革命打倒の転機をつくり出せるかどうかのかかった闘いである。
 六月十二日、韓国の「日本歴史教科書改悪阻止運動本部」の呼びかけで、世界七十九カ国・百五十二都市の日本大使館と領事館前で一斉に抗議集会とデモが行われる。日本には韓国から約百人の代表団が来日、東京・大阪・名古屋・神戸・川崎の五カ所で抗議行動に立つ。集会が開かれる都市は、韓国のソウル・釜山(プサン)・大邱(テグ)の三カ所、米のワシントン・ニューヨークなど十九カ所、さらにアジア、北米、中南米、中東、アフリカ、ヨーロッパなど全世界で一斉行動が行われる。
 同運動本部は、韓国挺身隊問題対策協議会の呼びかけにより、民主労総、韓国労総の二大ナショナルセンター、全国教職員労働組合、韓国教員団体総連合など教職員組合、韓国大学総学生会連合など、労働団体、市民団体、女性団体、宗教団体、学生団体が総結集して、四月二十三日に拡大改組された団体だ。五月二十四日にはソウルで「日本の教科書を正すための国際キャンペーン宣布式」を行い、共同代表を務める僧侶の宋月珠(ソンウォルチュ)さんは「日本政府が歪曲された歴史教科書を再修正し韓国国民に謝罪するまで、世界各地で抗議集会を展開して国際世論を呼び起こす」と宣言した。
 全世界で歴史歪曲と戦争賛美の「つくる会」教科書に対する怒りの炎が燃え上がっているのだ。
 また四月三日に文科省が「つくる会」歴史・公民教科書の検定合格を決定して以降、抗議のための来日も続いている。
 四月十一日から十六日、韓国キリスト議員連盟会長で日本抗議訪問団韓国代表の金泳鎭(キムヨンジン)議員が国会前で抗議の断食闘争に決起した。四月二十五日には、日本軍軍隊慰安婦の生き証人として日帝の戦争責任を追及している黄錦周(ファンクムジュ)さん、金恩禮(キムウンリェ)さんが、韓国挺身隊問題対策協議会とともに来日。文部科学省への申し入れ・抗議行動、国会前座り込みに立ち上がった。
 五月十日には韓国の国会議員四人が、扶桑社を相手に「つくる会」歴史教科書の出版や販売禁止を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。申立書では「日本の侵略に対する韓国内の激しい抵抗を記述しないなど、日本の侵略戦争と植民地支配による被害を認めず、日本の行為を正当化して韓国国民に深い侮辱を感じさせている」と訴え、申立人の一人、宋永吉(ソンヨンギル)議員は「戦争で被害を受けた我々の人権を侵害して教科書が出版されてはならない」と話した。 
 六月二日に新宿区で行われた「教科書問題日韓共同シンポジウム〜共通の歴史認識形成のために〜」(主催・日本マスコミ文化情報労組会議/韓国言論労働組合連盟)には、韓国から二十二人の代表が参加した。
 基調を提案した河棕文(ハジョンムン)漢信大学教授は「今回の『教科書問題』は八二年のときとは相当違う色合いを見せている」として、韓国内でのナショナリズムの影響力が低下し、政府に代わって市民運動が対応を牽引(けんいん)してきたことと、日本の周辺事態法制定や、憲法調査会設置と改憲の動きを指摘し、「九〇年代に築き上げた『市民連帯』の力は、いや応なく今回の教科書問題をつうじて試される。教科書問題という難関は、日韓の『市民連帯』のレベルをアップグレードする貴重なチャンスでもある」と、日本と韓国の労働者人民の共同闘争の発展を訴えた。
 さらに六月十、十一日には「歴史歪曲を許さない アジア連帯緊急会議」(呼びかけ・「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク/平和を実現するキリスト者ネット/子どもと教科書全国ネット21)が行われる。朝鮮、中国、マレーシアなどアジア各地から約五十人が参加し、十一日には文部科学省への申し入れ行動に決起しようとしている。

 アジア−全世界に広がる怒りの決起

 韓国内で闘いは広がっている。五月十六日には、ソウルで日本の歴史教科書歪曲と軍国主義の復活に抗議する集会が相次いで開かれた。「大韓民国独立有功者遺族会」と「光復会」は、ソウル宗廟(チョンミョ)公園で天道教などの宗教団体と市民・労働団体の関係者千人が参加して「日本の教科書歪曲糾弾国民大会」を開き、ソウルYMCA前まで一`にわたるデモ行進を行った。主催者は、宗教団体の韓国SGIなどが行った約百万人の国民署名を国会に提出しようとしている。 
 挺対協は同日、改築工事が終わった日本大使館前で定期水曜集会を開き、日本の歪曲教科書の是正を要求した。「過消費追放汎国民運動」本部はタプゴル公園前で抗議集会を開き、市民に日本商品不買キャンペーンへの参加を訴えた。 
 抗議の闘いは中国、台湾、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどアジア全域に拡大している。
 香港立法会は五月二十三日、「日本の改ざん歴史教科書に反対する動議」を採択した。「日本の文部科学省が最近、右翼団体により作られた中学の歴史教科書を認めた」ことに対し日本政府に「謝罪と賠償を求めていく」と訴えている。

 戦争賛美の教科書を絶対使わせるな

 闘いの広がりの中で、五月八日に韓国政府が三十五項目の再修正を、十六日には中国政府が八項目の再修正を日本政府に対して要求した。しかし小泉や遠山文科相はいずれも「日本の教科書は国定教科書ではない。いったん検定に合格した教科書の再修正はできない」と帝国主義的大国主義・排外主義をむき出しにして傲然(ごうぜん)と居直り、再修正要求を一蹴した。今現に「つくる会」教科書を採択すべき教科書として全国で展示していること自身、朝鮮・中国人民の「検定合格を白紙撤回せよ」「再修正せよ」という要求を拒否する行為だ。
 また六月一日には麻生自民党政調会長が、自民党都道府県連の政調会長に通達を出した。教科書をめぐり「国の内外に憂慮すべきさまざまな動きがある」とし、「アジア近隣諸国からは……修正を要求されたりし、国内では……一部の教科書を採択させない運動も展開し、各地の教育委員会に働きかけているが、これは明らかな教育への政治的不当介入」「各教育委員会の自主的な判断と責任により、公正な採択がなされなければならない。教科書採択に当たって公正性が損なわれることのないよう厳重に監視」せよというものだ。教育委員会への申し入れなどの各地の闘いを「教育への政治的不当介入」とし、それらを一切無視して「つくる会」教科書を採択せよ、と言っているのだ。
 「つくる会」教科書攻撃は、ファシスト石原だけでなく、小泉首相その人が積極推進しているのであり、日帝・小泉政権の「聖域なき構造改革」の重大な柱に位置づけ直されていることをはっきりつかまなければならない。小泉は「つくる会」教科書、教育改革、靖国神社公式参拝などを突破口として、帝国主義侵略戦争をやれる国家への改造を狙っているのだ。日帝・小泉政権打倒の怒りをたぎらせて闘おう。
 南朝鮮人民を始めアジア人民の必死の叫びは、日本の人民への心底からの連帯の呼びかけであり、限りない援助である。日本の労働者人民の階級性と国際主義を真に発揮して、全力でこたえようではないか。
 杉並では、けしば誠一氏と都革新を先頭に、住民運動が一気に広がっている。教科書攻撃の急先鋒(せんぽう)=石原が知事の座に居座る首都・東京、その最大の攻防点である杉並で採択を阻止することが、全都−全国で採択を阻む力になる。けしば候補の都議選勝利=当選をかちとり、七月採択阻止へ攻め上ろう。

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