ZENSHIN 2001/06/18(No2009 p06)

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週刊『前進』(2009号1面1)

小泉反革命−ファシスト石原と真っ向対決 けしば氏を必ず都議会へ
 小泉の新たな「国家改造計画」に労働者人民の総反撃叩きつけよ
 都議選−参院選勝利へ総力を

 都議選決戦は最後の追い込みに突入した。六月十五日の告示、二十四日の投票日は目前だ。全党は一人残らず総蜂起し、闘う全人民の最先頭で小泉と石原の反革命政治を打ち破り、けしば誠一氏をなんとしても当選させ、都議会に送ろう。日帝・小泉政権は、「構造改革」のデマゴギッシュな扇動政治をもって現在の経済危機、政治危機を超反動的にのりきり、ファシスト的勢力をも総動員して改憲と戦争国家化への道に突き進もうとしている。小泉反革命打倒・ファシスト石原打倒へ、闘う労働者人民の死活をかけた総反撃をたたきつけよ! 杉並では闘う住民の決起が爆発的に始まっている。この決起に連帯し、すべての同志が残された二週間を、けしば氏当選へ必死に頑張りぬこう。全国の力を杉並へ! 全力で闘えば当選は絶対に可能だ。党の底力を発揮し、死力を尽くして闘おう!

 第1章 人民に「痛み」を強制し改憲=戦争国家化狙う

 六月都議選決戦は、日帝・小泉政権およびその最大の先兵であるファシスト石原と真っ向から対決する重大な政治決戦である。
 小泉の掲げる「聖域なき構造改革」とは、日帝の大銀行や大企業(一握りの金融独占資本)を経済恐慌の嵐(あらし)から救うために、労働者人民にとてつもない犠牲を転嫁する政策だ。リストラ・大失業と中小企業の連鎖倒産、賃金切り下げなどによる恐るべき生活破壊に加えて、社会保障の打ち切りや大増税をも強制し、弱肉強食、優勝劣敗の地獄に全社会をたたき込もうとしているのだ。
 同時に、労働者人民の怒りの爆発を抑え、そらすためにも、帝国主義的な民族排外主義とウルトラ国家主義をあおりたて、改憲攻撃、戦争国家化攻撃をむき出しにしてきている。帝国主義の危機が世界大恐慌とブロック化として爆発し始めた中で、「つくる会」教科書に示されるような「国のために死ね」という価値観を再び全人民に強制し、勢力圏の再分割をかけた新たなアジア侵略戦争・世界戦争に突進する道を押し開こうというのである。
 日帝ブルジョアジーと自民党は、森政権に代わる小泉政権の登場とそのデマゴギッシュな扇動政治の満展開をもって、当面する都議選と参院選を全力でのりきった上に、そうした新たな国家大改造に一気に突き進もうと狙っている。
 そのために小泉は、その「構造改革」をあたかも今日の日帝の危機を解決する万能薬であるかのように押し出し、「痛みを伴うが我慢しろ」などと声高に叫んでいる。労働者階級が一時的に犠牲を甘受しさえすれば経済危機は突破できるかのようなペテンにかけて、自らを「改革者」と見せかけているのだ。
 五月三十一日、小泉政権の構造改革の具体化として経済財政諮問会議が七つのプログラムに分けて青写真を公表した。

 経済財政諮問会議の犯罪性

 そこでは、既存の制度を全面的に見直すことで「経済と財政の再建」を図るとして、@銀行の不良債権処理とともに、A特殊法人の民営化など行革攻撃の徹底、B歳出の徹底削減と税制改革(増税)、C教育改革と労働市場の改革攻撃などをあらためて強調している。さらには、以下のような反革命的大攻撃に踏み込んでいる。
 すなわち、D「創造的破壊のプロセス」と称する低生産部門の大幅切り捨てとそれに伴う予算配分の見直し、E医療・年金・介護・福祉など戦後の社会保障の理念・制度を全面解体してその一切を個人別に統合管理する「社会保障個人勘定」の創設、F医療費の総額規制や年金生活者に対する税制優遇措置の撤廃、G地方交付税の削減や市町村合併によって戦後の地方自治制度を根幹から破壊し、地域格差を積極的に容認する「地域間競争」政策への転換、H地方の犠牲の上に「都市再生」を掲げた露骨な大都市優遇政策への転換、などである。
 ここで小泉が言っていることは、日帝の金融独占資本が生き残るためにアメリカ型の競争社会に引きずり込み、労働者階級をもっと徹底して犠牲にするということだ。中小企業や一部の弱体大企業をも連鎖倒産の嵐の中にたたき込み、数百万人、いや一千万人単位の失業者とその家族を路頭に迷わせ、しかも社会保障は一切打ち切ることを国家として決断したということなのだ。「国はもはや労働者人民の生命と生活に責任など持たない。これからは人民が国のために進んで命を差し出せ」||これが小泉が主張し、かつやろうとしていることの核心である。
 だが、それは、金融独占資本の延命をひたすら求めることで、不況と財政危機を一層激化させ、実際には日帝の経済恐慌をいよいよ大爆発させていくものだ。米帝経済のバブル崩壊の進展と併せて、世界大恐慌への発展につながっていくものだ。そして結局は一九三〇年代の日本が中国侵略戦争から第二次大戦へと突き進んだように、軍需経済化と日米争闘戦激化の中での凶暴きわまりないアジア侵略戦争、帝国主義間戦争へと不可避に突っ込んでいくことになるのである。
 したがって小泉政権が、中曽根や森や石原と一体となった超タカ派政権として登場しているのは偶然ではない。小泉のイデオロギーはファシスト石原とほとんど同じ極右の思想だ。かつての戦争が天皇と日帝支配階級の利益と延命のために二千万人ものアジア人民を侵略、虐殺、じゅうりんし、日本の労働者人民をもそこに総動員して沖縄戦や広島・長崎の惨禍を強制した、帝国主義による徹底的に不正義の戦争であった事実を否定し、全面的に美化することを、小泉自身が先頭に立ってあおっているのだ。
 小泉の首相としての八・一五靖国神社公式参拝は、日帝による朝鮮・中国・アジア諸国への公然たる再侵略宣言である。新たな戦争に対する日本人民への総動員令発動だ。特攻隊を美化し、再びアジア人民虐殺のために血を流せと要求する小泉を断じて許すな!
 彼らは今、日帝を没落の危機から救うためにはもう一度戦争をやる以外ないと本気で考えている。だからこそ改憲に、有事立法と集団的自衛権行使に、靖国や教育改革・教科書攻撃に次々と踏み込んで、そのすべてを「構造改革」として打ち出してきているのだ。
 小泉政権が「痛みに耐えよ」と言い放って推し進めているこの新たな国家改造計画の正体が全面的に暴かれるならば、労働者人民の怒りはこれまで以上に爆発してくることは間違いない。それゆえに小泉はマスコミの力をも動員し、「自民党内守旧派対小泉」の構図を意図的に演出して自らを「改革者」にまつりあげ、人民をペテンにかけて一切の攻撃を貫徹しようとしているのだ。野党はこれに完全屈服し、恥知らずにも今や小泉の応援団に成り下がっているありさまだ。
 外相・田中真紀子の言動を巡る大混乱も、結局は安保強化と日帝の独自の軍事大国化、戦争国家化を促進し、そこに収れんしていくものでしかない。
 この恐るべき情勢に、怒りを爆発させて立ち上がらなければならない。六月都議選と七月参院選は、小泉反革命との激突の一大戦場となった。ここで本当に労働者階級の危機感と怒りを解き放ち、小泉反革命の正体を暴いて、断固たる総反撃をつくり出そう。

 第2章 小泉=石原連合と闘い杉並教科書決戦爆発へ

 小泉政権を支える最大の柱は、小泉自身のデマゴーグ性とともに、ファシスト石原との連合にある。都知事・石原こそ小泉の攻撃の最先兵だ。六月四日、都議会での所信表明演説で石原は、小泉構造改革を「東京の理念と相通ずるものがある」と賛美し、「東京からは、日本を変えるための必要な政策を、これまでにもまして積極的に建言していきたい」と述べ、小泉政権と一体となって、福祉切り捨てや改憲攻撃を推進する決意を表明した。
 実際にも石原は、中曽根、森とともに小泉と連携し、料亭での密会を重ね、その政策形成に深々と関与している。ファシスト石原が、首都東京の権力を独裁的に握って労働者人民の階級的決起を抑圧し、他方で民間ファシスト勢力を闘う人民への妨害・襲撃にけしかけている。このことが、小泉の反革命攻撃を貫徹する上で実に重大な役割を果たしている。
 この小泉・石原の反革命連合に対して、首都のど真ん中から階級的反乱の火の手を上げ、大衆的闘いを爆発させて全国的総反撃への転換点をつくり出すのだ。それこそ今次都議選なのである。石原と対決できるただ一人の政治家=けしば氏を、杉並から都議会に送り込み、石原都政に風穴を開けることが重要なのだ。
▼その闘いはすでに白熱的に開始されている。小泉や石原の政治によって切り捨てられようとしている高齢者や女性を先頭に、大衆自身の死活をかけた決起が続々と始まっている。小泉・石原との対決を真っ向から掲げた都政を革新する会を先頭に、地域住民自身の主体的な要求闘争、住民運動の前進が力強くかちとられている。
▼とりわけ「つくる会」教科書の採択絶対阻止の闘いは、石原との正面対決そのものだ。石原自身が「新しい歴史教科書をつくる会」の賛同人であり、この歴史歪曲と戦争賛美と皇国史観の教科書を率先して東京都で、とりわけ杉並で採択させようとしてきたのだ。
 これに対して、杉並区内の女性や沖縄出身者、教育労働者を先頭に、「子どもたちを戦争に導く教科書を許すな!」の叫びが大きく上がっている。六月十二日には、韓国九十九団体の呼びかけにより、世界七十九カ国で日本大使館・領事館への一斉抗議行動が闘われる。この怒りの国際行動に日本の労働者階級人民の階級性と国際主義をかけて固く連帯しよう。朝鮮・中国人民の最低限の要求としてある韓国政府と中国政府による日本教科書修正要求を断固支持して闘おう。
 杉並を先頭に、「つくる会」教科書の七月採択を絶対に許すな。広島を先頭とする教育労働者の不屈の闘い、教育関連法案阻止の闘いと結合し、小泉と石原をぐらぐらに揺さぶる教科書決戦を爆発させよう。
▼五月二十五日、百人を超える高齢者が介護保険に対する集団不服申し立てに立ち上がった。この杉並区での闘いは、全国に広がる介護保険への怒りの最先頭に立つものである。石原都政はこれに対し、申し立てをした住民一人ひとりに脅迫電話をかけて取り下げを強要した。この許すことのできない卑劣な攻撃に直ちに激しい抗議をたたきつけ、闘いは広がっている。
 「人民が団結し、自らの人間としての尊厳をかけて本気で立ち上がれば必ずこの世の中を変えられる」||この確信が、実際に闘いに立つ中で、多くの労働者人民につかみとられようとしている。介護保険闘争への石原都政の激甚な反応は、石原や小泉らがその傲慢不遜(ごうまんふそん)なふるまいの裏側で、実は人民の決起をどれほど恐れているかを示すものだ。
 実際に石原は、新潟県刈羽村の住民投票で日帝の核燃料サイクル開発計画に「ノー」が突きつけられたことに、「一部の反体制の人たちがたきつけて、日本をぶっ壊しちゃおうということだろう」と敵意と憎悪をむき出しにしている(五月二十八日)。これが石原の本音だ。今こそ小泉打倒・石原打倒を全人民に呼びかけ、杉並都議選決戦の勝利へ攻めのぼろう。
▼こうした中で五月三十日、闘う国労闘争団支援の大集会が日比谷公会堂を埋め尽くす三千人の結集をもってかちとられたことは、全階級情勢を一変させる歴史的な意義をもっている。
  6面につづく〜1面からつづく
 この一年間の「四党合意」による闘争団圧殺と国労・動労千葉解体の攻撃、第二の分割・民営化攻撃という全反動の粉砕へ、ついに闘う闘争団を中軸とした国労の階級的再生をめざす本格的闘いが開始された。都労連を始めとした首都の闘う労働組合がこの場に総結集し、国鉄決戦を基軸に、日帝・小泉の「構造改革」路線と正面から対決していく一大陣形が形成されたのは決定的なことだ。
 昨年七・一以来の国労大会をめぐる激突と、今春闘での動労千葉百二十時間ストライキの貫徹の上に、新潮流運動の大躍進、連合打倒、JR総連・松崎打倒と日本労働運動の戦闘的再生へ向けた決定的情勢が訪れているのだ。この力に徹底的に依拠し、さらに拡大して闘おう。
 都議選決戦に続いて行われる七月参院選において、都政を革新する会は、比例区で出馬する大田昌秀前沖縄県知事と、東京選挙区から出馬する沖縄社会大衆党の新垣重雄書記長の推薦を決定した。革共同は、小泉反革命と闘う大統一戦線形成の立場に立ってこの決定を断固支持し、都議選と参院選を完全に一体の政治決戦として闘いぬくことをすべての人民に訴える(3面参照)。
 とりわけ大田氏の出馬は、ますます激化する日米帝の侵略戦争政策と沖縄圧殺の攻撃に対する、沖縄人民のやむにやまれぬ怒りを背負って立つ闘いだ。沖縄人民の怒りと連帯して闘い、ともに勝利しよう。

 都議選必勝へ全党総蜂起を

 今や、六月都議選決戦でのけしば誠一氏の当選を何がなんでもかちとることを抜きにして、他の一切の闘いの勝利はない。六月二十四日の投票日まで残された時間はわずかであり、権力の弾圧や極右・ファシスト勢力の妨害、自民党を始めとした巨大政党との真っ向からのぶつかり合いが日に日に激化している。だが全党の同志、闘う全人民のあらゆる力を東京・杉並の一点に集中して決起するならば、全反動と反革命を粉砕して歴史的な勝利をもぎとることは必ずできる。今こそ総蜂起し、けしば氏を必ずや都議会に送り込もう。
 今日、小泉や石原に屈服する全野党、とりわけ都議会の惨状はすさまじい。民主党はそれを支持する連合とともに、小泉「改革」にエールを送り、労働者の階級的利益を完全に投げ捨て、逆に大失業攻撃と社会保障制度の解体を進んで労働者人民に押しつける側に回っている。日本共産党は都議会第二党の座にありながら、石原都政には「是々非々だ」と言ってファシスト石原との対決を公然と否定し、石原を擁護する大裏切りを行っている。
 驚くべきことに、現在の都議会には、「つくる会」教科書に絶対反対の声をあげて闘う議員がただの一人もいないのだ! これが都議会の現実だ。

 けしば誠一氏の大きな実績

 けしば氏こそは、小泉や石原と真っ向から対決して闘う力と実績を持ったただ一人の政治家である。しかも彼の背後には、戦争への道を絶対阻止し、いのちとくらしを自らの手で守るために、歴史的決起を開始した巨万の人民がいる。このけしば氏を都議会に送り込むならば、ただ一人であっても石原都政に風穴を開けることは必ずできる。
 それは、けしば氏が住民とともに行動する議員として、他の政治家とは決定的に異なる道を歩んできたからこそできることなのだ。
 けしば氏は、全共闘運動の闘士、全学連委員長代行として七〇年安保・沖縄闘争の先頭に立ち、以来反戦・反権力の立場を一貫して貫き、三里塚や沖縄やアジア人民・在日アジア人民の不屈の闘いに学び連帯して闘いぬいてきた。その志を根底にすえて、三期十年にわたる杉並区議としての地道な活動を続け、とりわけ高齢者、女性、労働者、中小零細商店など、働く民衆のいのちとくらしと平和の要求を第一に掲げてともに歩んできたのである。
 このけしば氏を、すべての闘う労働者人民の真の代表として、今こそ都議会に必ず送り出そう。日帝・小泉政権と石原ファシスト都政による新しい型の国家改造攻撃に真っ向からの反撃をたたきつけよう。その勝利をもって七月参院選へ進撃し、日帝の根幹を揺るがす労働者人民の新たな闘いの火ぶたを切ろうではないか。

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週刊『前進』(2009号1面2)

当選へあらゆる形の協力を

 けしば誠一予定候補(杉並区)を押し立てた東京都議会議員選挙は、いよいよ六月十五日告示、二十四日投票と、最後の激突局面に突入しています。
 自民党支配の破綻(はたん)のどんづまりの危機の中から極右・小泉政権が誕生し、政局は極端に不安定で流動的な状況に入りました。
 小泉−石原のもとにファシズムと戦争に向かうのか、労働者人民の生き生きとした闘いの時代に入るのか、二〇〇一年六月の凝縮された瞬間に二十一世紀の行方が決せられようとしています。都議選−参院選の政治過程は都議選で決まります。ここでの都革新の登場、けしば予定候補の当選は、政府支配階級に大打撃を与え、労働者階級人民を限りなく勇気づけるものになるでしょう。小泉−石原に対する確固たる対極として、けしば予定候補を都議会に送り込もうではありませんか。
 都革新とけしば予定候補は「福祉、くらし、平和」の課題を掲げ、小泉−石原の「変革」の幻想のもとで実際の生活にのしかかってくる苦しみの一つひとつと対決して闘ってきました。介護保険で切り捨てられる高齢者と家族とともに具体的なケースごとに解決の方向を探り、みんなの問題として闘いを呼びかけ、先頭に立ってきました。
 戦争賛美の教科書が教室に持ち込まれることに反対し、教育労働者、地域住民とともに学習を重ね、石原都政の「こころの東京革命」というファシズム運動から子どもたちを守る闘いをつくりあげてきました。
 都議選必勝のためには、何よりも予定候補者けしば誠一さんの人となりを広範な区民に理解してもらうことが大切です。働く人びと、差別に苦しむ人びとと苦楽をともにし、どんな圧力にも屈せずに闘いの先頭に立つバイタリティーと政策力、清新な人柄を区議十年の実績を踏まえて訴えていくことです。
 杉並は定数六人に対して十一人が名乗りをあげている有数の激戦区です。その中で、都議選としては新人というハンディをのりこえて、「けしばなら何かやってくれる」「彼となら一緒にやれる」という区民の声が次々と寄せられるようになってきました。
 このうねりと全国の『前進』読者の皆さんが結びついた時に、激戦を抜け出して勝機をつかむ可能性が出てきます。全国から杉並に力を集中し、けしば誠一予定候補の必勝に向けた闘いを訴えます。
(1)杉並区のお知り合いの方に声をかけてください。選挙は知人からの依頼が最も効果的です。特に組合の仲間と選挙の依頼で結びつくことは、組合の強化にもつながります。
 遠隔の方は電話と手紙で依頼してください。電話と直筆の私信には制約はありません。
 同窓会名簿などあらゆるつてを探ってください。また職場の仲間、友人にも「杉並にお知り合いはいませんか」とたずねて「声かけ」を依頼しましょう。
 同時に、その名簿を選対に集中してください。
(2)杉並区民の参加する集まりを教えてください。趣味の会や同窓会など、政治的な集まりでなくても会の合間に主催者の許可を得て支持を訴えることができます。そこでのあなたのお口添えも重要です。
(3)公選はがきを書いてください。選対からはがきを受け取って、あて名とあなたのお名前を書いた上でもう一度選対に戻してください。直接投函することは違反になります。
(4)電話をかけてください。ご自分のお知り合いに電話するほか、選対と連絡して各種名簿の方への電話依頼にご協力をお願いします。
(5)カンパをお寄せください。皆さんの個人カンパ以外には資金はありません。一人ひとりの「勝ちたい」というお気持ちをカンパとして集中してください。
(6)ぜひ杉並に来てください。都革新の選挙はすべてボランティアによる闘いです。最後は現地に駆けつけてくださる人の力で決まります。
 「勝手連」も大歓迎です。街頭演説や個人演説会に友人を誘って参加しましょう。
 さまざまな方向からの波を、最後は巨大なひとつの力にまとめて劇的な勝利をかちとろうではありませんか。
 最後は一票で決まります。最後の一瞬まで全力で闘いましょう。

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週刊『前進』(2009号1面3)

都議選勝利の原動力は皆さんの大カンパです

 すべての同志諸君!『前進』読者、支持者の皆さん! ついに東京都議選は最後の決戦に突入しました。十五日告示、二十四日投票。文字どおり待ったなし、最後の決戦です。
 労働者階級と人民の未来は、この二週間の闘いで決まるのです。けしば誠一候補を、東京都議会に送り込めるかどうか、この一点に階級闘争の命運がかかっています。
 最後の決戦を闘いぬくために、一円でも多く、一日でも早く、革共同にカンパを集中してください。皆さんのカンパが勝利の原動力なのです。
 革共同は、皆さんから寄せられたカンパを一円たりとも無駄にしません。都議選必勝の力として、心して使わせていただきます。
 革共同が全力で支援し、当選をめざす都政を革新する会のけしば誠一氏は、小泉・石原の超反動政治と真っ向から対決する闘う議員です。けしば氏を都議会に送ることで、日本の政治は確実に変わります。
 今回の都議選は、小泉政権との全面的な対決として闘われます。都内には小泉とのツーショット写真があふれています。民主党を始めとする野党は、八〇%を超える支持率に恐れをなし、日帝・小泉の前に屈服しています。小泉は、旧来の自民党型政治を右から破壊する「変革者」として登場し、独特の政治的幻想をつくり出しています。
 しかし、その内実は何でしょうか。憲法改悪であり、集団的自衛権の承認です。靖国神社に公式参拝し、「お国のために命を捧げよ」と言うのです。「聖域なき構造改革」と称して、大リストラ・首切り、賃下げ、福祉切り捨てを強行しようとしています。東京都知事・石原と一体になって「つくる会」教科書の採択を狙っています。
 小泉政権の本質は次々とあばかれ、労働者人民の怒りが急速に燃え上がっています。その先頭にけしば氏が立っています。けしば氏と都革新に寄せられる支持は日を追って大きくなっています。
 介護保険の廃止を求める運動、「つくる会」教科書の採択を許さない運動、リストラ・首切りとの切実な闘い、これらがけしば氏当選の一点に合流し燃え上がろうとしているのです。ファシスト石原都政と対決する議員を、なんとしても都議会に送り込みましょう。
 私たちの未来を、私たち自身で切り開くために、闘う革共同にカンパを寄せていただきたいのです。そのカンパで、わが革共同は必ず勝利します。けしば氏の当選を必ずかちとります。最後の二週間、ともに闘いましょう。

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週刊『前進』(2009号2面1)

国労の再生へ不抜の拠点 国労闘争団共闘会議(準)を結成
  “人間の尊厳かけて闘う” 3000人が日比谷公会堂埋める 

 五月三十日、日比谷公会堂で「JRの不当労働行為は許さない! 国労闘争団共闘会議(準備会)」の結成集会が開かれた。三千人の労働者・市民が結集し、「解雇撤回・地元JR復帰を闘う国労闘争団」を支援する不抜の陣形を築いた。四党合意から一年目を迎えたこの日、全参加者は、権力・資本に屈した国労本部を許さず、JRの不当労働行為責任をあくまで追及し、人間の尊厳をかけて最後まで闘いを貫く決意を打ち固めた。ここに、国鉄闘争と日本労働運動にとって新たな歴史的一歩が切り開かれたのだ。

 あきらめぬことが大切

 午後六時すぎ、都労連、都職労や東京清掃、各区市職労などの旗を掲げた労働者の大隊列が、続々と日比谷公会堂につめかけた。会場は見る見るうちに三千人の人波で埋まった。まさに、「首都圏は『闘う国労闘争団』支持に決まった」(闘う国労闘争団ニュース第五号)ことが示された。
 「五・三〇集会には参加するな」という国労本部の敵対と妨害をはねのけ、JR本体の国労組合員も各職場から連れ立って集会に結集し、その数は五百人に達した。機動隊を導入して強行された一・二七国労大会での四党合意受諾の決定以来、国鉄闘争解体の大反動が吹き荒れる中で、国労組合員はその重圧を打ち破り、闘う闘争団支持の立場を行動によって表明した。
 一人ひとりの参加者が、四党合意を切っ先とする国鉄闘争解体の攻撃や、「聖域なき構造改革」を唱える小泉政権のもとでの大リストラ攻撃に対して、いかに闘うべきかを自己に問い、主体的決断に基づいてこの集会に集まった。ここに、権力・資本のいかなる攻撃にも屈しない、不退転の決意を固めた労働者階級の隊列が登場した。国労の階級的再生と日本労働運動の戦闘的再生への、力強い胎動が開始されたのだ。
 集会では、衆議院議員の川田えつこさんが記念講演を行った。川田さんは、HIVに感染した次男の龍平さんとともに国を相手に薬害エイズ訴訟を闘い、勝利した経験を、静かに、しかし一語一語に力を込めて語りかけた。
 その闘いは、巨大な国家権力との闘いであっただけでなく、敵の大きさの前に展望を見失い、闘おうとする者を抑え込む人びととの必死の格闘でもあった。しかし川田さんは、龍平さんの怒りと、差別・偏見を打ち破って尊厳ある人間として堂々と生きていきたいという希求を受け止め、支えられて、この試練を突き抜けてきた。
 「運動の中で、何度もやめたいと思った。夫は『国家相手の裁判は勝てない、無駄だ、長い、必ず負ける』と言った。夫への対応をどうしたらいいのか、どう生きていけばいいのか分からず、家に閉じこもるようになった。しかし、加害者はのうのうとして、被害者は隠れるように死んでいる。私は泣き寝入りをしているのではないか。裁判は人間の尊厳を取り戻す闘いだ。夫と別れて、私は原告に加わった」
 「仲間とともに闘おうとして仲間からも排除された。裁判の和解の時、謝罪という言葉が入らないことを知って龍平は激しく泣いた。『なぜ原告に確認を取らないのか、おかしい』と言った。裁判で『こんな確認は納得できない』と言い続けた。『川田さんがこだわっていると和解はつぶれる』と言われ、私も龍平も一晩泣き続けた」
 全参加者が、その言葉に身じろぎもせず聞き入った。川田さんは、講演の最後を次のように結んだ。
 「最も大切なのは、あきらめないことだ。三千五百人の人間の鎖が厚生省を揺るがした。一人ひとりが、厚生省を謝らせるという思いで集まった。そしてついに裁判所が画期的な和解勧告を出した。一人の力は小さい。でも、一人から始まる。一人ひとりの手がつながった時、社会を変えられる。皆さんの闘いは人間の尊厳を取り戻す闘いです。私は、人間の尊厳を取り戻す闘いを皆さんと一緒にやっていきたいと思い、きょうここに来た。あいまいなまま解決すれば、後悔しかない。これからさまざまな困難があるが、さまざまな出会いもあるはずです。私たち大人が責任を果たし、子どもたちの未来のために頑張っていきましょう」
 会場からは、万感の思いを込めた拍手が送られた。

 首都の闘う労組総結集

 昨年七月一日の国労臨時大会で演壇から訴えた音威子府闘争団家族の藤保美年子さんが登壇した。
 「政府はいつも国民を苦しめている。それを分かっていながら、本部は闘いの旗を降ろしてしまった。当たり前のことを言える誇り高いはずの国労が、『ラストチャンス』と言い、機動隊と数の力で四党合意を決めてしまった。『闘う闘争団が妨害している』と醜い攻撃をしているが、そんなことで割り切れる十四年の闘いではなかった。時の政府は、一人も路頭に迷わせない、組合差別はしないと言いながら、改革法によって採用差別を行い、夫たちの首を切った。非人間的に扱い、夫の名誉を傷つけ、私たちの名誉を奪った政府・JRの責任は、私たちが闘い続ける限り、どんなことがあっても消し去ることはできない。私たちは、夫とともに精一杯納得できる解決に向け頑張ります」
 藤保さんの発言にこたえて再登壇した川田さんは、「生きるとは、休み休みであっても、闘い続けることです。人間らしい生活ができる社会のために、闘い続けなければなりません。皆さんのビデオを見て、涙がこぼれました。ここに人間の尊厳を取り戻す闘い、日本の政治状況を変えていく闘いがあると思います。同じ思いで闘っていると感じます。一緒に手をつないで闘っていきましょう」と述べ、藤保さんと固い握手を交わした。人間の尊厳をかけた二つの闘いが、感動的に合流した。鳴りやまぬ拍手が会場に響いた。
 矢沢賢都労連委員長が特別発言に立ち、「四党合意は不当だ。労働者の権利を捨てるものだ。社民党が党として加わっているならばその責任は重大だ。ともに闘ってきた者の決意は揺るがない。都労連は闘いが何年続こうと不当解雇撤回を求める闘争団と連帯し、支援を続けると決定している。闘争団は、国労の旗のもとにあくまで解雇撤回をかちとる熱意を燃やしてほしい。指導部に労働運動の道を誤らせてはならない。決定権を握っているのは闘争団自身だ」と訴えた。
 全国から結集した闘争団と家族二十二人が登壇し、一人ひとりが決意を述べた。「一人になっても解雇された悔しさを晴らしたい。しかし、たくさんの人に励まされた方がいい。きょうは闘いが間違っていなかったと確信した」「首切りに妥協はない」「踏まれて育つ麦のように、真実は絶対に勝つ」「橋本にうそをつかれて採用差別され、中曽根にうそをつかれて首を切られた。四党合意のもとでの解決では一生浮かばれない」「東京地本組織部長から『国労を出て行け』というメールが来た。こんな本部に負けることはできない」「不当労働行為をあいまいにした解決は絶対に認めない」
 最後に、闘う闘争団の内田泰博共同代表が、「本日の集会は、二十一世紀にふさわしい新たな労働運動の歴史的一歩となった。主体的闘いで、納得のいく解決をつくり出す」と、きっぱりと決意を表明した。
 行動提起が行われ、国労闘争団共闘会議の九月結成に向け、全国各地で集会を開催し、支援を広げることなどが訴えられた。国労闘争団共闘会議(準備会)の結成を宣言した集会アピールを闘争団員が読み上げた。全参加者が「がんばれ闘争団 ともにGO!」と染め抜かれた色とりどりのバンダナを振って、闘う闘争団を激励した。

 闘争団・JR本体・支援の大合流で反転攻勢へ

 昨年五月三十日以来の激闘を経て、闘争団はもはや揺らぐことのない決意を固めてこの集会に登場した。国家権力とその恥ずべき手先と化した国労本部の執拗(しつよう)な攻撃は、闘う闘争団に幾度となく厳しい試練を突きつけた。だが、そのすべてを打ち破って、闘争団は労働運動の戦闘的牽引(けんいん)者として自らを打ち立てた。
 JR本体の国労組合員も、国労内の激烈な分岐と反動の中で、ニューフロンティア21を始めとした第二の分割・民営化攻撃との激しい攻防の開始を見据えつつ、闘う闘争団とともに人生をかけて立ち上がることを決断した。闘争団とJR本体が合流し、国労の階級的再生への決定的な拠点が築かれたのだ。
 さらに、この集会の勝利を実現した地平と空間を押し開いたのは、動労千葉の百二十時間ストライキであった。今こそ、国鉄闘争の千四十七人闘争としての発展をかちとろう。
 この一年の激動は、国鉄闘争支援陣形の中にも大きな流動と分岐を生み出した。この集会に結集した多くの労働組合・労働者は、自らに襲いかかる一大資本攻勢との死活的反撃を貫徹するためにも、闘う闘争団との階級的連帯を決断したのである。ここには、小泉「構造改革」を打ち破り、連合支配を根底から覆す怒りと力が秘められている。労働者階級は、反転攻勢の端緒を確実につかみとった。労働運動は新たな時代に入ったのだ。
 ここに示された労働者の力をさらに大きく解き放つためにも、五・三〇の熱気を六月都議選決戦の勝利になんとしてもつなげよう。
 国労代議員選挙と八月国労大会を、国労の階級的再生をかけて闘おう。五・三〇集会の力と広大な陣形をさらに堅固に打ち固めるのは、この闘いでの勝利である。国鉄闘争と国労の解体に突き進むチャレンジ、革同一派を打倒して国労の階級的再生をかちとろう。

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週刊『前進』(2009号2面2)

けしば誠一氏 女性の力信じ共に闘う議員
 <いのち・くらし・平和>第一 子どもと親の立場に立って

 けしば誠一氏は「平和・福祉・くらしで、石原都政と真っ向勝負」「政治を変えるのは私たちの力です」と区民に訴えて闘っている。この間、自民党政府の悪政と体を張って対決してきたけしば氏の実績と主張を知って、多くの女性から「けしばさんは、口先だけの野党とは違う」「私たちの力になってくれる人だ」という期待と共感、激励が寄せられている。
 けしば氏は、こうした女性の声、要望を聞き、そこから学びながら、女性たちの願いの実現のためにともに全力で奮闘している。
 今度の都議選には藤田あい子氏(生活者ネットワーク)、福士敬子氏(自治市民93)ら三人の女性が立候補を予定している。だが、けしば氏こそ、ほかのどの立候補予定者よりもその実績、政治姿勢、政策内容において、女性のためにともに闘う代表である。
 何よりも小泉政権と石原知事が戦争とリストラの政治を進め、「つくる会」教科書などで女性差別の攻撃を強めている時に、この小泉・石原の攻撃と真正面から闘うことなしに、女性の権利を守ることはできないのだ。だから、小泉・石原と最も鋭く対決するけしば氏こそ、現に最も良く女性の権利を守り、女性とともに闘っているのである。
 このことをすべての区民、女性有権者に訴えて、けしば氏への支持を圧倒的に拡大しよう。

 戦争賛美の教科書許さず

 けしば氏は第一に、アジア侵略戦争の歴史を正当化し、子どもたちを再び戦場に送る「つくる会」教科書の採択に反対し、全力で闘っている。同時に、奉仕活動の義務化、戦争に反対する教員の排除を狙う教育改革関連法案に断固反対して闘っている。
 小泉と石原の「教育改革」攻撃は、弱肉強食の競争原理を正面からあおっている。子どもたちが連帯と友愛の精神を育み、助け合い協力しながら成長していくことを徹底的に妨害するものだ。それは差別を助長し、「いじめ」をはびこらせる。教育の場を「体罰と強制」の場につくり替えようとするものである。
 杉並の母親たちは、「こんな教科書を子どもたちに渡せない」と強い危機感で立ち上がっている。子どもの人権を守り、子どもたちの未来をつくり出すために感動的な闘いを開始し、それは日々拡大している。
 けしば氏は、こうした区民の立ち上がりと連帯し、「つくる会」教科書採択絶対阻止、「教育改革」攻撃粉砕へ全力で闘っている。
 けしば氏は第二に、学校給食の民間委託に反対して闘っている。この間、保護者の同意ぬきで実施を急ぐ区当局を、区議会で徹底追及してきた。そして、多くの保護者、調理職員との団結した力で、小学校二校、中学校一校で計画されていた四月民間委託強行を断念させた。現在、九月実施阻止へ闘っている。
 学校給食は子どもたちの成長のために、とても重要なものである。だから、給食は教育の一環として大切にされてきた。ところが、民間企業による給食ではそうした教育的観点は一切なくなる。利潤追求を目的とするために労働者の労働条件の低下、食材の低コスト化は避けられない。
 日本給食サービス協会(百六十六社が加入)は「学校給食委託の提言」の中で、「献立が複雑すぎて採算が合わない」とか「食材は大量一括購入し冷凍品も活用を」とか「作業の大変な手作りはほどほどに」などと行政側に注文を付けている。民間委託されれば、おいしくて栄養のある給食の水準が低下していくことは明らかである。
 けしば氏は、何よりも子どもたちのために、そして保護者たちのために、学校給食の民間委託に断固反対して闘っている。
 自民、公明、民主はもとより生活者ネットワークも「スマートすぎなみ計画」による区職員のリストラと学校給食の民間委託化推進に回り、区民の利益を裏切っている。

 介護と福祉の切り捨て反対

 けしば氏は第三に、介護と福祉の切り捨てに反対し、介護保険制度廃止、「介護は全額公費負担で」の要求を掲げて、高齢者とともに闘っている。
 介護保険制度の実施以来一年以上がたったが、介護保険が介護と福祉の切り捨てであることは完全に明らかとなった。高齢者を先頭とする人民の怒りが爆発している。「在宅介護の充実」とは名ばかりで、結局は家族に、とりわけ女性にその負担、重圧が押しつけられている。
 これに加えて、小泉政権とファシスト石原都政の社会保障解体・福祉切り捨て攻撃が、「自立自助」の名のもとに、大多数の労働者家族の介護の負担を一層重くしている。それは高齢者からは生きる希望、誇りを奪い、生命を奪うものだ。
 小泉が「痛みに耐えろ」「弱いものは淘汰(とうた)されるべきだ」などと言うのは、このような現実を開き直り、「国家のために役立たない者は消えてなくなれ」と言っているに等しい。断じて許すな!

 女性が安心して働ける職場と保育所を!

 けしば氏は第四に、働く女性の権利、職場、労働条件の向上のために闘っている。大恐慌時代の本格的な到来の中で、大失業・リストラ攻撃が吹き荒れ、とりわけそれが女性労働者に最も矛盾がしわ寄せされる形で強行されている。けしば氏は、女性に対する差別的な低賃金、労働条件の切り下げに断固反対して闘っている。
 杉並区は業務の委託化と非常勤化で長年、区の職員を削減してきた。今や二千人がパート・嘱託などとして区の仕事に就き、そのほとんどが女性である。しかも、これを三年、六年で解雇する雇用年限(雇い止め)が導入されている。けしば氏は区議として、一貫して雇用年限に反対し、パート・嘱託の女性労働者の労働条件の改善に力を尽くしてきた。
 そして現在、山田区長の「スマートすぎなみ」計画(十年間で区職員千人削減)に反対し、資本攻勢を階級的団結ではね返す〈新潮流〉運動と連帯して、女性労働者の職場と権利のために闘っている。
 けしば氏は第五に、石原都政と山田区政による公立保育所つぶし・保育職員の大リストラに反対し、女性が安心して働けるための保育所と職場づくりのために闘っている。
 低額の保育料で子どもを安心して預けられる公立の保育所がもっとたくさん必要なのに、都と区の施策の方向は、それとはまったく正反対だ。
 山田区長は「スマートすぎなみ」計画による千人削減のかなりの部分を、保育所の民営化による保育職員の削減で進めようとしている。これは民間大資本に営利追求の市場として保育の分野を開放しようというものだ。こうした施策のもとでは、保育職員の労働条件切り下げ、子どもたちの保育条件の悪化は避けられない。
 現に石原知事が推し進めている「認証保育所」計画は、これまでの認可保育所の設置基準に比べて子ども一人当たりの基準面積や人員配置数などの大幅緩和を打ち出している。
 「駅前保育所」「十三時間保育」などと宣伝しているが、このような構想自体が、女性労働者を低賃金労働力として徹底的に搾取し活用していくための体制づくりであり、保育・福祉の領域をJR東日本など民間大手資本の営利追求の市場として提供するものである。そこでは、子どもの発育・成長や母親のことなど、まったく考えられていない。
 けしば氏は、このような攻撃を断じて許さず、〈いのち・くらし・平和〉という女性たちの切実な要求の実現のために、全力で闘っている。藤田氏や福士氏は、女性の願いと要求を真に託せる人物ではない。けしば氏を六月都議選の勝利で、なんとしても都議会に送ろう。

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週刊『前進』(2009号2面3)

「郵便新生」6月決着許すな 全逓大会へ怒りの決起を

 六月二十−二十二日に行われる全逓第五五回定期全国大会(長崎ブリックホール)は、「郵便新生ビジョン」=郵政民営化攻撃粉砕の大決戦である。(前号6面、全逓委員会論文参照)
 「郵便新生ビジョン」による一万四千人から数万人にも上るといわれる大量人員削減攻撃について、連合全逓中央は大会議案においても明らかにしようとせず、組合員にはひた隠しにしたまま受け入れを強行しようとしているのだ。
 それだけではない。許せないことに連合全逓中央は、「新生ビジョン」に基づく具体的施策について、すでに「労使合意」し、地方段階の交渉でも大会前に事実上の決着を図ろうとしているのだ。
 具体的には、三月末に提示された施策のうち、「混合作業」と「ビジネス地域(大都市)における通常郵便物の午前中配達」に短時間職員と非常勤職員を導入し、本務者を大量に削減する計画である。十月一日実施に向けて、すでに五月八日に郵政事業庁と連合全逓中央が合意し、五月十六日には東京郵政局が東京地本に対し、管内で四百四十八人の本務者の削減を提案してきた(近畿郵政局は三百六十二人削減を提案。全国で千四百九十八人削減)。
 東京地本執行部は、「東京に割り振られた『四百四十八名』の数字そのものの変更は不可能」とし、全国大会をはさんで六月三十日には交渉を終了するとしている。交渉を始める前から「変更は不可能」などと言うことは、中央段階で決まった人員削減を、どんなに現場の抵抗があろうが、それを押しつぶして貫徹するということではないか。
 また、中央交渉では「三月末で示された内容では済まない広がりも見せ始めた」と言う。
 連合全逓中央は昨年十一月以来、「労使共同作業」で「郵便新生ビジョン」をつくってきた共犯者だ。「何万人」もの人員削減を突きつけられて、それを容認し、「全逓が繰り返し主張してきた内容を随所にとりいれさせた」「評価できるビジョン(案)をつくることができた」(大会議案)と自画自賛しているのだ。
 連合全逓中央と総務省・郵政事業庁との間では、明らかにされている一万四千人をさらに上回る人員削減が事実上合意されていると見なければならない。
 これ以上、組合員に伏せたまま勝手に首切り計画を推進することなど断じて許さない。全国大会に向かって現場から怒りの声を上げ、すべての計画を明らかにさせなければならない。その怒りと力を全国大会に総結集し、石川|菰田執行部を徹底追及し、打倒しよう。連合全逓中央を打倒し、現場の怒りの反乱を組織すること、闘う全逓労働運動を再生させること、このことが「郵便新生ビジョン」|郵政民営化攻撃を打ち砕く道である。
 「郵政民営化」を「構造改革」の目玉に掲げる小泉極右反動政権は六月四日、小泉の私的懇談会「郵政三事業の在り方について考える懇談会」を発足させた。「分割・民営化」を公然と主張している座長の田中直毅(経済評論家)を始め、ほとんどが郵政民営化推進論者で占められている。ここでは「公社化後の民営化」にとどまらず、公社そのものを地域分割することを検討するというのだ。
 小泉の郵政民営化攻撃に対する総反撃に立たなければならない。族議員や郵政官僚らと癒着し、民営化後の労働貴族としての生き残りを策すような連合全逓中央はこれと「対決」できない。彼らは、小泉に屈服し、民営化攻撃の先兵になろうとしているのだ。
 連合全逓中央をぶっ飛ばし、全逓労働者の真の怒りをたたきつける時だ。長崎大会闘争に全力で立とう。

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週刊『前進』(2009号2面4)

 訂正

 前号2面の5・27集会決議の見出しの中で「3・1共同声明」とあるのは「3・11共同声明」の誤りでした。また末尾の日付の「2000年」は「2001年」の誤りでした。

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週刊『前進』(2009号3面1)

杉並区議会 けしば区議、山田区長と対決
 介護・教科書・行革などで追及 傍聴の支援者と一体

 六月一日午後一時から六月杉並区議会(初日)が開かれ、けしば誠一区議が一般質問を行った。介護と福祉を要求する杉並住民の会など多くの住民が傍聴席を埋め尽くしてけしば区議を応援した。けしば区議は、一般質問で介護保険問題、「つくる会」教科書・教育改革問題、「スマートすぎなみ計画」によるリストラ問題、大型道路建設の問題などについて鋭く山田区政・石原都政を追及した。区は、まともに答えることができず、居直りに終始した。この姿に住民を犠牲にする山田区政が浮き彫りになった。
 けしば区議は冒頭、介護と福祉を要求する杉並住民の会の介護保険料徴収に対する不服申し立てに、東京都が申立人一人ひとりに電話をかけて「裁判になりますよ」「申し立てを取り下げた方がいい」と申し立てそのものをつぶそうとしたことを厳しく弾劾した。
 その上で、「厚生労働省の集計によると、東京都では、要介護認定を受けたお年寄りのうち、実に四七%もの人が、介護保険を使えないという実態が明らかになっています」「全国で、お年寄りの餓死、衰弱死、孤独死が相次いでいます。いま、区内の数多くのお年寄りが、『生活できない』『早く死んでしまえというのか』という、苦渋に満ちた声を上げています」と介護保険の実態を明らかにし、「区長は、区民の立場に立ち、国・厚生労働省に保険料の引き上げ中止を要請し、減額措置の継続による現状据え置きを要請すべき」と要求した。
 さらに杉並区に対しても「国が値上げを強行するならば、杉並区による独自の介護保険料の減免・助成の実施は待ったなしの状況」「全国の数多くの自治体が、独自の減免・助成制度を設置しています」と迫った。さらに国に対して介護保険制度を抜本的に見直し、公費による介護の実現を要求するように突きつけた。
 次に、「つくる会」教科書と教育改革に関連しては、昨年十一月に教育委員に任命された大蔵雄之助と「つくる会」が深い関係にある具体的事実を示し、「教育行政への区民の信頼を回復するためにも罷免を行うべき」と要求した。
 さらに石原都知事が「つくる会」の主要メンバーである藤岡信勝や小林よしのりを「都政を考える懇談会」に任命したことを追及しながら、四月十二日の教育施策連絡会で市区町村の教育委員を前に「みなさん一人ひとりが最終的に目を通して選んでいただきたい」「教育委員の責務を果たすのが面倒なら、やめてもらいたい」と発言したことをどう考えるのかただした。
 杉並区の教科書採択要綱と細目で、教育現場の意見を排除するために絞り込みや学校票を禁止した問題について厳しく追及し、教職員の意向を反映させるよう迫った。
 また、沖縄戦のひめゆり学徒の生き残りの区内在住者が、強制的に動員されたにもかかわらず「つくる会」教科書で進んで参加したかのように書かれていることを弾劾して区教委に申し入れを行ったことを突き付け、「歴史を改ざんし、歪曲した『つくる会』教科書の採択」はするな、と要求した。
 さらに、学校給食の民間委託化など「スマートすぎなみ計画」のリストラ・首切り政策を追及した。安全でおいしい給食を犠牲にして、給食調理の労働者に不安定雇用の劣悪な労働条件を強制する民間委託化が労働組合運動への攻撃であることを暴いた。さらに社会福祉協議会の給食・配食の民間委託問題、地域区民センター窓口業務の委託化、委託団体職員の解雇・不安定雇用の問題について、労働者の権利を守り、奪われた権利を回復するために鋭い追及を展開した。
 さらに、外郭環状道路、放射5号線の大型道路建設が、公害と環境破壊問題を放置したまま、住民を無視して、あるいは住民に立ち退きを強制する形で進められようとしていることを中止するよう要求した。
 けしば区議の質問は、山田区長を始め区当局を決定的に追いつめ、当局側は完全に頭を抱えてうなだれた。
 答弁に立った山田区長は、「つくる会」教科書問題では、「教育委員会の専権事項」と回答を拒否し、大蔵と「つくる会」との関係について明らかな事実を突きつけられながら「関係ない」と居直った。
 介護保険問題について高齢者担当部長は、「介護保険料の引き上げ撤回を国に要請するつもりはない」「区独自の減免・助成は考えていない」と福祉切り捨ての態度をあらわにした。
 また教育長は、教育施策連絡会での石原の発言について、「責務として強く認識した」と述べ、教科書選定についても「ルールに則り十分審議して決める」と答弁した。これは杉並区の教科書採択要綱・細則に基づいて、現場の意見を排除して選定を進めるということであり、「つくる会」教科書を選定するつもりであることを示している。
 けしば区議は再質問に立ち、介護保険について区側の「所得に配慮した保険料の設定」という言いぐさの犯罪性について、区民の声を紹介しながら弾劾した。
 また、教科書問題については大蔵教育委員が「つくる会」と関係のある人間であることを事実をもって示した。特に大蔵が「慰安婦について強制連行はなかった」と発言した問題について、そうした主張を繰り返しているのは「つくる会」の藤岡信勝だけであることを明らかにし、大蔵を擁護する山田区長を弾劾した。
 教科書選定問題では、現場の教員の意見を尊重することを強く要求した。
 杉並区は、再質問に対してもまともに答えることはできず、山田区政の反動性をさらけ出した。
 議会終了後、集まった住民に囲まれてけしば区議が「大勢の人に集まっていただいて力強く質問することができた」と感謝の言葉を述べた。住民は、「素晴らしかった」とけしば区議の奮闘をたたえ、けしば区議を都議会に送り出すために全力を尽くすことを誓いあった。

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週刊『前進』(2009号3面2)

杉並 高齢者がパレード

 介護と福祉を要求する杉並住民の会結成からちょうど1年目の6月1日、住民の会は阿佐ケ谷駅前と杉並区役所前で街頭宣伝を行い、介護保険の廃止と10月からの65歳以上の保険料値上げ反対を訴えた。11時過ぎから行われた街宣では、高齢者が思いを込めてまくビラが次々と受け取られた。保険料値上げ反対の署名も次々と集まった。「署名をしているよ。していこうよ」と若い二人連れも。阿佐ケ谷駅前で街宣を行った会員たちはその後けやき公園から出発したパレード(写真)に合流した。高齢者のパレードに沿道の関心が集まった。

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週刊『前進』(2009号3面3)

都が不服申立人を電話で脅迫 都庁に厳しく抗議
 「権利侵害だ」と住民の会

 介護と福祉を要求する杉並住民の会を中心に百五人の住民が五月二十五日に東京都の介護保険審査会に不服申し立てしたことに対し、東京都が一人ひとりの住民に直接電話をかけ、「裁判になるぞ」とか「取り下げろ」とつぶし攻撃をかけてきた。介護保険制度への怒りが高まっていることに対し、強権的に圧殺しようとしてきたのだ。法律を踏みにじって住民の権利を圧殺しようというのだ。
 怒りに燃えた住民の会は六月一日、代表を先頭に都庁を訪れ厳重に抗議した。抗議にはけしば区議も同行した。抗議によって「今後は個人への電話はしない」「連絡の必要があった場合は住民の会代表を通して連絡する」と約束させた。
 東京都からは福祉局の介護保険課審査請求係の責任者二人が出てきた。最初にけしば区議が、「不服申し立てをした住民から『東京都から電話がかかってきて、裁判をやる、本当に自分で申し立てたのかと脅された』という相談を受けた。法律に基づいた権利で不服申し立てをしたことに対して窓口でこうした対応をするのは改めてもらいたい」と抗議した。参加した住民からも「私の所には七時半に電話がかかってきた。いつも八時に寝るのになぜこんな時間にかけてきたのか」と役所の時間を過ぎてまで恫喝の電話をかけてきたやり方を弾劾した。「人権侵害だ。当然の権利として不服申し立てをしたのに、裁判になるぞとはどういうことか」と怒りの声が浴びせられた。
 都側の説明は、「行政不服審査請求は、行政処分に何らかの違法不当があるのでその取り消しを求めるという行政訴訟手続きですよというのをご案内した」というものだ。「脅しの電話だ」とすかさず反論がたたきつけられた。「裁判になるぞと言ったでしょう」という追及に、「言ってません」と否定した。「何人もの人が、裁判になるぞと脅されたと言っているんだ」とさらに追及した。
 「都営住宅に住んでいる人が怖がっている。都の役人から電話がかかってきて、追い出されるかもしれないと心配しているんだ。自分の思っていることも言えないんだ」と東京都がやったことがどういう現実を引き起こしているかを突きつけて抗議した。けしば区議が、「都の役人から『裁判になるぞ』という電話をもらって住民の人たちが怖がっている。一人ひとりに電話をかけるのは止めてもらいたい」と強く要求した。
 東京都はまともに答えることはできない。結局、今後一人ひとりには電話はかけず、代表を通じて連絡することを確認させた。
 最後に石原都知事あての抗議文を読み上げ、代表が係長に手渡した。
 介護保険料徴収に対する不服申し立ては、十一人分の追加申し立てが行われ、総計で百十六人となった。

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週刊『前進』(2009号3面4)

参院選へ都政を革新する会が大田昌秀氏、新垣重雄氏を推薦
 小泉反動政権への沖縄の怒りと連帯し闘おう

 (一)

 都政を革新する会は、七月参議院議員選挙において比例区では前沖縄県知事の大田昌秀氏を、また東京選挙区では沖縄社会大衆党の新垣(あらかき)重雄氏を推薦することを決定し、五月二十七日の芝公園での反戦共同行動委員会の集会で発表した。反戦共同行動委も両氏を推薦して闘うと中野洋代表が表明した。
 革共同は、この決定を断固として支持し、東京都議選におけるけしば誠一氏必勝の闘いと結合して、参院選における大田氏、新垣氏の当選のために、全力で決起することを全同志、支持者の皆さんに心から呼びかけたい。

 (二)

 日帝の体制的危機が全面的な政治危機を生み出す中で、日本の政治史上かつて例を見ない右翼的ファシスト的政権=小泉政権が成立し、一カ月以上が経過した。腐敗しきった自民党政治を一掃してくれるのではないか、そしてどうしようもない政治的閉塞(へいそく)状況を打ち破って政治の改革を行ってくれるのではないかという幻想にもとづく「大衆人気」をバックに、小泉政権は右翼的ファシスト的なデマゴギーを振りかざして、金融独占資本(大銀行と大企業)を救済するためのリストラ・倒産・大失業の攻撃、福祉切り捨て・社会保障解体と大増税の大攻撃を強め、同時に排外主義・愛国主義・国家主義をあおり立て、集団的自衛権と有事立法を叫び、戦争と改憲への道を突っ走ろうとしている。
 特に小泉は、「つくる会」教科書採択という戦争政治を推進し、八・一五には靖国神社公式参拝を強行しようとしている。絶対に許すことはできない。

 (三)

 時あたかも、イタリアの五月総選挙で右派「自由の家」が勝利し、ファシスト政党・北部同盟を支柱とするベルルスコーニ政権が登場しようとしており、全ヨーロッパを震撼(しんかん)させている。これと対応するように、没落帝国主義国家・日本においても、戦後政治の枠組みそのものを右から揺さぶり、一気に突き崩して、右翼的ファシスト的な国家改造計画を推し進めようとする政権が登場してきたのである。
 ファシスト・デマゴーグである石原慎太郎は、自分と同類の右翼政治家・小泉の登場を受けて、その最先兵となり、都政を握っているという立場を最大限に活用して、さしあたり小泉の反革命綱領を徹底的に推進しようとしている。
 中曽根を顧問格に、小泉―石原の連携が成立し、石原の息子・石原伸晃(杉並区選出)が公務員の大量首切りを行う行政改革担当の閣僚となった。小泉はこれみよがしに石原父子と会談し、極右的な同じ思想、同じ路線の持ち主であることを確認しあっている。まさに、小泉―石原―中曽根の右翼ファシスト連合が今現在の日本の政治権力の中枢を牛耳っているのだ。
 この中で行われる六月東京都議選と七月参院選は、今後の文字どおりの歴史の分岐点となった。
 こうした情勢の中では、選挙闘争の持つ意義は「平時」の何倍も重要なものとなる。ファシスト的反革命勢力が革命派を一掃し、階級的な運動を全面的に解体して、暴力とデマゴギーで人民大衆を組織し獲得していくのか。それとも、この逆流を切り裂いて、革命派が大胆に政治的登場をかちとっていくことに成功するのか。このことが今後の全情勢の帰すうを決することになるのである。
 この情勢の中で「選挙ではなく真の階級闘争を」と言うとするならば、それはかつてレーニンが批判したように、「純粋な抽象的な階級闘争」を探し求めることになる。もし、現実のこの決戦の激しさの前に少しでもたじろぎ、いろいろな口実を設けて力を出し惜しみするようなことがあるならば、まさに火を噴いている階級闘争の戦場からの逃亡者となるしかない。
 ドイツの三〇年代においても、ナチスは選挙戦をとおして台頭したという事実を、われわれははっきりと想起しなければならない。この現実の戦場で全反動と対峙し勝ち抜くという闘いから逃げて、どんな前進をかちとることもできない。これは、階級闘争の歴史的な真理である。

 (四)

 杉並はその最も白熱した戦場である。小泉・石原と真っ向から対決し、革命的な統一戦線戦術をも駆使して、けしば誠一氏を東京都議会に送りこむ闘いこそが、六―七月都議選・参院選決戦の核心点をなしている。
 杉並は、「つくる会」教科書の採択阻止をめぐる決戦の最前線である。都政を革新する会が軸になって、教育闘争でも、介護・福祉をめぐる闘争においても、感動的な大衆的決起がつくり出されている。この先頭にけしば誠一氏が立っている。けしば氏以外に、小泉・石原の戦争政治、一大資本攻勢、極右イデオロギー、ファシスト的デマゴギーと真に対決できる政治家はいない。
 七〇年安保・沖縄決戦を代表する人格であるけしば誠一氏を都議会に送るこ と、ここにこそ今現在、否応なく世界史の焦点に位置している日本の階級闘争を革命的に前進させるためのカギがある。
 そのようなものとして、六月都議選決戦は、参院選決戦(国政選挙決戦)と完全に一体である。小泉と真っ向から対決する参院選決戦方針をもつことが、都議選におけるけしば氏必勝にとっても決定的なのである。

 (五)

 都政を革新する会が推薦している前沖縄県知事の大田昌秀氏には、二年前の杉並区議選で新城節子氏を、昨年の衆議院選挙(東京八区)で長谷川英憲氏を推薦していただいた。
 大田氏は、今回、社民党の比例区からの候補者として出馬するが、大田氏の出馬が一社民党候補としての出馬を超えた意味をもっていることはあらためて言うまでもないであろう。沖縄青年委員会や故古波津英興氏の闘いと存在を媒介に、昨日今日の関係ではない杉並と大田昌秀氏の結びつきがあることは、紛れもない事実である。
 大田氏は、小泉政権の登場に激しい危機感を抱いている。氏は、「昨今の日本の状況はきわめて危険」という厳しく深刻な認識をもって、今回の参院選への出馬を決意された。われわれは、大田氏が沖縄戦の体験にもとづいて、小泉との真っ向からの対決を決断して立ち上がったことを、感動をもって受けとめる。「十代の頃、銃をとって戦場に出て二十歳にもみたず、むしけらのように死んでいった多くの学友たち、恩師のことを思うと現在の危険な潮流を腕を拱(こまぬ)いて傍観するわけにはいかない」(最近の大田氏の言葉から)という、やむにやまれぬ心情から大田氏は決起されたのである。
 また大田氏は、「戦争を知らない世代が増大したことに伴い、集団的自衛権の行使や有事立法化の怖さを知らず甘く見ている潮流に強い危機感を抱いています」と言っておられる。この言葉は、一般的な危機感の表明であると同時に、それ以上に、小泉ら自民党政治家や既成の野党政治家への批判と危機感の表明でもあるだろう。
 さらに重要なことは、大田氏は、沖縄基地問題を真っ正面から提起されていることである。
 「沖縄の基地問題にしても沖縄だけで解決するのは不可能と思い知らされたこと」が、氏が出馬を決断させた大きな理由なのだ。
 われわれは、米帝ブッシュと小泉政権が、沖縄圧殺=新基地建設(県内移設)攻撃を力ずくで貫徹しようとしていることを見据えなければならない。小泉は沖縄に対する「思いやり」などひとかけらもない人物である。沖縄問題を日帝の国内問題として力で「解決」することが、米帝への対抗上、絶対に必要であると考えている人物なのだ。
 田中真紀子外相の言動を巡混乱は、結局は、日米安保の強化と独自の戦争国家化、沖縄基地の強化、名護新基地建設強行へと集約されていかざるをえない。沖縄が二十一世紀も基地と共存していくのは当たり前というのが帝国主義者どもの認識なのである。
 来年、二〇〇二年の沖縄復帰三十周年を前にして、日帝の沖縄政策は総破産している。ただむき出しの基地強化、基地の永続的押しつけしかないのだ。米帝ブッシュは、沖縄基地の位置づけをレベルアップし、下地島・波照間の基地としての使用などを含む新たな戦略的展開を目指している。また日帝・自衛隊も、下地島の基地化などの攻撃に動き出そうとしている。
 沖縄闘争がこれから真に日本階級闘争を揺るがし、発展させ、アジア情勢に決定的な影響を及ぼすような、新たな歴史的爆発過程に突入していくことは確実である。
 こうした沖縄をめぐる状況を見た時、今回参院選において大田氏当選のために闘うことの重要性が、いよいよ明白となる。われわれは、革共同として、大田氏が国政の場で、かつての知事としての闘いとは別の形で沖縄を訴え、そして小泉政権の改憲と戦争への突進と真っ向対決し闘われることを、積極的に支持する。そしてそれを都議選におけるけしば当選と結合して闘う。小泉・石原の反革命陣形に対して、大田氏・けしば氏の民衆議員を送り出すことが、情勢を変える力となる。それこそがわれわれの方針である。

 (六)

 沖縄社会大衆党書記長の新垣氏は、新社会党と政策協定を結んで東京から立候補するという異例の出馬に踏み切った。われわれは、今回の東京選挙区の候補者状況を見た時、新垣氏を推すという都政を革新する会の決定は、正しい政治的方針であると判断する。
 新垣氏の改憲阻止・安保反対の立場は鮮明であり、大田氏と同様に沖縄基地問題を中央でぶつけて闘うという立場で出馬されている。そこにある沖縄の危機感と怒りを真っ向から受けとめようではないか。
 都労連傘下の労働組合 で、新垣氏支持の一定の動きが出ているのは、それ自体が労働運動における新しい情勢を反映している。この兆しに断固としてかみ、革命的再編を断固として推し進めよう。
 さらにわれわれは、沖縄においては、参院沖縄選挙区で照屋寛徳候補の再選必勝のために全力で決起するということを、併せて確認しておきたい。

 (七)

 けしば誠一氏の杉並における闘いは、今あらゆる反動をぶち破って、ついに勝利の展望をこじ開けつつある。これから残されたラストスパートを、持てるすべての力を出し切って闘い抜き、必ず勝利の二文字をわが手にしなければならない。小泉反革命とファシスト石原に対して噴き出しつつある怒り、危機感と固く結合し、参院選決戦と一体で、都議選決戦の終盤戦を全力をあげて闘い抜こう。

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週刊『前進』(2009号4面1)

「つくる会」教科書 国際連帯で採択阻止を
 79ヵ国152都市一斉デモへ 6・12 韓国の運動本部が呼びかけ

 「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の採択阻止をめぐる決戦を全力で推進しよう。「つくる会」教科書の発行者・扶桑社は、歴史と公民の教科書の市販を強行した。七月採択阻止へ向けて六月が最大の攻防である。六月十二日には世界七十九カ国で同時デモが闘われる。闘う朝鮮・中国−アジア人民と連帯して、東京・杉並を頂点に「つくる会」教科書採択絶対阻止の大衆運動を爆発させよう。

 “日本政府が謝罪するまで展開する”

 「つくる会」教科書との闘いは、日帝・小泉反革命と最も鋭く激突する政治決戦である。この闘いは、革共同の「七・七自己批判」の精神を鮮明にさせて、アジア人民との国際主義的連帯をなんとしてもかちとり、小泉反革命打倒の転機をつくり出せるかどうかのかかった闘いである。
 六月十二日、韓国の「日本歴史教科書改悪阻止運動本部」の呼びかけで、世界七十九カ国・百五十二都市の日本大使館と領事館前で一斉に抗議集会とデモが行われる。日本には韓国から約百人の代表団が来日、東京・大阪・名古屋・神戸・川崎の五カ所で抗議行動に立つ。集会が開かれる都市は、韓国のソウル・釜山(プサン)・大邱(テグ)の三カ所、米のワシントン・ニューヨークなど十九カ所、さらにアジア、北米、中南米、中東、アフリカ、ヨーロッパなど全世界で一斉行動が行われる。
 同運動本部は、韓国挺身隊問題対策協議会の呼びかけにより、民主労総、韓国労総の二大ナショナルセンター、全国教職員労働組合、韓国教員団体総連合など教職員組合、韓国大学総学生会連合など、労働団体、市民団体、女性団体、宗教団体、学生団体が総結集して、四月二十三日に拡大改組された団体だ。五月二十四日にはソウルで「日本の教科書を正すための国際キャンペーン宣布式」を行い、共同代表を務める僧侶の宋月珠(ソンウォルチュ)さんは「日本政府が歪曲された歴史教科書を再修正し韓国国民に謝罪するまで、世界各地で抗議集会を展開して国際世論を呼び起こす」と宣言した。
 全世界で歴史歪曲と戦争賛美の「つくる会」教科書に対する怒りの炎が燃え上がっているのだ。
 また四月三日に文科省が「つくる会」歴史・公民教科書の検定合格を決定して以降、抗議のための来日も続いている。
 四月十一日から十六日、韓国キリスト議員連盟会長で日本抗議訪問団韓国代表の金泳鎭(キムヨンジン)議員が国会前で抗議の断食闘争に決起した。四月二十五日には、日本軍軍隊慰安婦の生き証人として日帝の戦争責任を追及している黄錦周(ファンクムジュ)さん、金恩禮(キムウンリェ)さんが、韓国挺身隊問題対策協議会とともに来日。文部科学省への申し入れ・抗議行動、国会前座り込みに立ち上がった。
 五月十日には韓国の国会議員四人が、扶桑社を相手に「つくる会」歴史教科書の出版や販売禁止を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。申立書では「日本の侵略に対する韓国内の激しい抵抗を記述しないなど、日本の侵略戦争と植民地支配による被害を認めず、日本の行為を正当化して韓国国民に深い侮辱を感じさせている」と訴え、申立人の一人、宋永吉(ソンヨンギル)議員は「戦争で被害を受けた我々の人権を侵害して教科書が出版されてはならない」と話した。 
 六月二日に新宿区で行われた「教科書問題日韓共同シンポジウム〜共通の歴史認識形成のために〜」(主催・日本マスコミ文化情報労組会議/韓国言論労働組合連盟)には、韓国から二十二人の代表が参加した。
 基調を提案した河棕文(ハジョンムン)漢信大学教授は「今回の『教科書問題』は八二年のときとは相当違う色合いを見せている」として、韓国内でのナショナリズムの影響力が低下し、政府に代わって市民運動が対応を牽引(けんいん)してきたことと、日本の周辺事態法制定や、憲法調査会設置と改憲の動きを指摘し、「九〇年代に築き上げた『市民連帯』の力は、いや応なく今回の教科書問題をつうじて試される。教科書問題という難関は、日韓の『市民連帯』のレベルをアップグレードする貴重なチャンスでもある」と、日本と韓国の労働者人民の共同闘争の発展を訴えた。
 さらに六月十、十一日には「歴史歪曲を許さない アジア連帯緊急会議」(呼びかけ・「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク/平和を実現するキリスト者ネット/子どもと教科書全国ネット21)が行われる。朝鮮、中国、マレーシアなどアジア各地から約五十人が参加し、十一日には文部科学省への申し入れ行動に決起しようとしている。

 アジア−全世界に広がる怒りの決起

 韓国内で闘いは広がっている。五月十六日には、ソウルで日本の歴史教科書歪曲と軍国主義の復活に抗議する集会が相次いで開かれた。「大韓民国独立有功者遺族会」と「光復会」は、ソウル宗廟(チョンミョ)公園で天道教などの宗教団体と市民・労働団体の関係者千人が参加して「日本の教科書歪曲糾弾国民大会」を開き、ソウルYMCA前まで一`にわたるデモ行進を行った。主催者は、宗教団体の韓国SGIなどが行った約百万人の国民署名を国会に提出しようとしている。 
 挺対協は同日、改築工事が終わった日本大使館前で定期水曜集会を開き、日本の歪曲教科書の是正を要求した。「過消費追放汎国民運動」本部はタプゴル公園前で抗議集会を開き、市民に日本商品不買キャンペーンへの参加を訴えた。 
 抗議の闘いは中国、台湾、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどアジア全域に拡大している。
 香港立法会は五月二十三日、「日本の改ざん歴史教科書に反対する動議」を採択した。「日本の文部科学省が最近、右翼団体により作られた中学の歴史教科書を認めた」ことに対し日本政府に「謝罪と賠償を求めていく」と訴えている。

 戦争賛美の教科書を絶対使わせるな

 闘いの広がりの中で、五月八日に韓国政府が三十五項目の再修正を、十六日には中国政府が八項目の再修正を日本政府に対して要求した。しかし小泉や遠山文科相はいずれも「日本の教科書は国定教科書ではない。いったん検定に合格した教科書の再修正はできない」と帝国主義的大国主義・排外主義をむき出しにして傲然(ごうぜん)と居直り、再修正要求を一蹴した。今現に「つくる会」教科書を採択すべき教科書として全国で展示していること自身、朝鮮・中国人民の「検定合格を白紙撤回せよ」「再修正せよ」という要求を拒否する行為だ。
 また六月一日には麻生自民党政調会長が、自民党都道府県連の政調会長に通達を出した。教科書をめぐり「国の内外に憂慮すべきさまざまな動きがある」とし、「アジア近隣諸国からは……修正を要求されたりし、国内では……一部の教科書を採択させない運動も展開し、各地の教育委員会に働きかけているが、これは明らかな教育への政治的不当介入」「各教育委員会の自主的な判断と責任により、公正な採択がなされなければならない。教科書採択に当たって公正性が損なわれることのないよう厳重に監視」せよというものだ。教育委員会への申し入れなどの各地の闘いを「教育への政治的不当介入」とし、それらを一切無視して「つくる会」教科書を採択せよ、と言っているのだ。
 「つくる会」教科書攻撃は、ファシスト石原だけでなく、小泉首相その人が積極推進しているのであり、日帝・小泉政権の「聖域なき構造改革」の重大な柱に位置づけ直されていることをはっきりつかまなければならない。小泉は「つくる会」教科書、教育改革、靖国神社公式参拝などを突破口として、帝国主義侵略戦争をやれる国家への改造を狙っているのだ。日帝・小泉政権打倒の怒りをたぎらせて闘おう。
 南朝鮮人民を始めアジア人民の必死の叫びは、日本の人民への心底からの連帯の呼びかけであり、限りない援助である。日本の労働者人民の階級性と国際主義を真に発揮して、全力でこたえようではないか。
 杉並では、けしば誠一氏と都革新を先頭に、住民運動が一気に広がっている。教科書攻撃の急先鋒(せんぽう)=石原が知事の座に居座る首都・東京、その最大の攻防点である杉並で採択を阻止することが、全都|全国で採択を阻む力になる。けしば候補の都議選勝利=当選をかちとり、七月採択阻止へ攻め上ろう。

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週刊『前進』(2009号4面2)

法政大 西野さん招き講演会 400筆の署名を集めて

 五月二十二日、法政大学で「軍隊慰安婦政策の抹殺を狙う『つくる会』教科書を採択させない五・二二法大集会」(主催/五・二二企画実行委)が開かれ、六十人が参加しました。この間、法大では歴史歪曲・侵略賛美の「つくる会」教科書の採択と奉仕活動の義務化に反対する署名が四百筆以上集まっています。この集会は、署名運動の第一次集約と採択阻止に向けた集会として開かれました。
 集会では、日本軍軍隊慰安婦について日本政府の責任を追及して闘ってきたルポライターの西野瑠美子さんが講演しました。西野さんは、歴史歪曲・侵略賛美の「つくる会」教科書が検定合格した背景として、すでに数年前から自民党議員や「つくる会」などがグルになって動いてきたこと、教員を排除して教育委員会が独裁的に教科書を採用する動きも石原都知事のもとで進められていることを明らかにしました。
 そして「つくる会」歴史教科書の具体的な批判を行いました。まずこの教科書が「歴史を学ぶのは、過去の事実について、過去の人がどう考えていたかを学ぶこと」と記していることについて、「これは当時の考え方、例えば『大東亜新秩序』『アジア解放のための大東亜共栄圏の建設』といった正義の戦争として教えることの布石」と批判し、「大東亜戦争と記していることに検定意見がつかなかった。この教科書は全体として、天皇中心の歴史観、つまり皇国史観で貫かれている。侵略戦争の記述や『慰安婦』記述がまったくなく、植民地支配を正当化している」と怒りを込めて弾劾しました。
 また「女性蔑視と女性史無視」の教科書であるとして、「人物コラムで津田梅子と与謝野晶子を取り上げていますが、津田梅子が女性の自立を模索したことにはまったく触れていません。与謝野晶子が家制度下の結婚制度に反発し、女性の性別役割に反対し、男性・女性の対等性を主張したことにもまったく触れていない」と弾劾しました。
 さらに公民教科書について、国旗・国歌の強調が全体を貫いていること、「北朝鮮脅威や国際緊張を強調して、軍備増強をあおり、安保を肯定している」「天皇中心の神の国を強調」「日本国憲法を批判し、改正論を主張している」など全面的に批判しました。
 最後に西野さんは「各地で学校票を排除し、教育委員会に採択権限を持たせる動きが進んでいます。『つくる会』はこの教科書を一〇%、約十五万冊以上採択させようとしています。アジアの人たちとともに、『つくる会』教科書を採択させない大きな運動をつくりましょう」と激しい危機感を込めて訴えました。
 西野さんの講演を受け、「つくる会」教科書を絶対に採択させない決意を新たにしました。とりわけ杉並は最大の攻防です。けしばさんの当選をかちとり、その勢いで「つくる会」教科書の採択をなんとしても阻みましょう!(投稿 T)

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週刊『前進』(2009号4面3)

全金本山 夏季物販アピール 全面謝罪迫る大攻勢へ

 全金本山労組の夏季物資販売・カンパ闘争に総決起しよう。
 この夏季物販は、五月の仙台地裁での和解協議の打ち切りという中で、本山資本に全面謝罪を迫る大攻勢の闘争資金を確立する決定的な闘いだ。さらに、小泉極右政権が「聖域なき構造改革」と称して労組をつぶし、労働者を路頭に放り出そうとしていることに対し、あらゆる職場から「一人の首切りも許さない」労働運動をつくり出す闘いだ。「全金本山闘争の完全勝利から闘う労働運動の再生を」を合言葉に、昨年を超える拡大を実現しよう。
 全金本山労組の「二名の解雇撤回・全員の原職奪還」の闘いは、青柳充氏の不当解雇から三十年を迎えた。三月の三十周年の全国闘争には、二日間で三百五十人を超える支援が結集し、「一人の首切りも許さない」という当たり前の労働運動を守り抜いてきた勝利感とともに、完全勝利への決意を新たにした。
 動労千葉・動労総連合、都職労、全国の争議団などから、当時はまだ生まれていなかった青年労働者、学生まで実に広範な人びとが結集するのが全国争議拠点である全金本山闘争だ。
 この三十年間に延べ数万人の労働者が門前闘争に結集し、職制、暴力ガードマン、機動隊と対決し、資本とはいかなるものか、労働組合とは何かを身をもって学んだ。その力が、統制処分後も全金本山闘争を支えてきた。
 この闘いを目の当たりにし、全面敗北を実感した本山資本と富士銀行は、「金がない」「全員退職なら」などと、最後のあがきともいうべき卑劣な対応で、ついに仙台地裁での和解協議は打ち切られた。
 五月の全国闘争で全金本山労組の長谷武志委員長は、「全面解決を迫って、つばぜり合いをしてきたが、会社のかたくなな対応で解決とはならなかった。二名の被解雇者の『解雇撤回』を口にしながら、二十九名の職場復帰の条件がまとまらない。丸二十八年、二十九名はどういう状況に置かれているのか。『青柳解雇はおかしい』と言っただけでどうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。どれだけ会社は、労働者を食い物にしてきたのか。『金がない』など通用しない。本当に会社が謝罪するまで闘争を強めていく。この夏の物販は本山闘争に込められた思いを職場に持ち込んで、一人ひとりを組織していく」と、会社への怒りと決意を語った。
 庄子和副委員長は、「四月一日で定年を迎えた。三月に会社から封書が来て、『四月一日には会社に出てこなくていい』と書かれていた。このような仕打ちにあらためて怒りがわいた。希望退職に追いやられた人の思いも含めて、退職しても闘争には勝ちたい」と決意を明らかにしている。
 今後、仙台地裁の本訴の場に攻防は移るが、局面はまさに最後の力勝負となっている。仙台地裁の担当裁判官の突然の退官、東京地裁からの着任、和解打ち切りという流れの中に、個別本山資本の意思を超えて、「一人の首切りも許さない」という労働運動を絶対に勝利させるわけにはいかないという国家権力の意思があることも明らかだ。
 であればこそ、階級的労働運動の力で全面勝利をかちとるのみだ。二〇〇一年の大攻勢をさらに強めよう。門前闘争、東京支店闘争、富士銀行闘争、「みずほホールディングス」株主総会闘争、ユーザー闘争などを闘おう。そのためには闘争財政の確立が不可欠だ。死活的に夏季物販闘争を闘いとろう。
 小泉政権の登場は、本物の労働組合、労働運動が求められる時代が来たことを示している。あくまで職場の仲間、地域の仲間を信じ、労働組合の原則を守り、労働者階級の未来に向かって闘い抜くこと以外に進むべき道はない。「一人の首切りも許さない」労働運動を広げ、とりわけ民間、中小からの反撃に立ち上がろう。
 ◇販売品目◇
1 花火・レジャーデラックス 2,500
2 花火・ハッピーバッグ 1,500
3 夕張メロンゼリー 3,000
4 もりおか冷麹 1,400
5 稲庭そうめん  2,000
6 札幌ラーメン 1,000
7 讃岐うどん 1,000
8 博多ラーメン 1,000
9 信州五割そば 1,300
10 稲庭うどん 2,800
11 梅ぼし 1,500
12ヨーロピアンコーヒー 670
13 りんごジュース 1,100
14 みそ汁 1,200
15 石けん 1,100
16 チーズ 870
17 スティックアイスゼリー 1,000
18 玉ねぎスープ 1,400
19 手づくりカレー 1,000
20 胡麻昆布 1,000
21 いかチーズサンド 900
22 梅エキス 1,500
23 さけキムチ茶漬 1,100
24 あつ焼いか 900
25 鮭明太スティック 900
26 大麦若葉 900
27 くまのプーさんバスタオル 2,000
28 牛たんの干し肉 1,000
29 スモークドチキン 1,300
30 ウーロン茶 500
31 焼のり 400
32 マカダミアナッツ 950
33 チーズかつお 900
34 梅にんにく 1,300
35 野菜たまごスープ 1,100

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週刊『前進』(2009号4面4)

2001年日誌 阻もう!改憲=戦争への動き 5月30日〜6月5日
 山崎幹事長「今秋にPKF凍結解除」
 小泉、森、中曽根、石原が会談

●日本軍軍隊慰安婦の訴え棄却 第二次大戦中に強制的に軍隊慰安婦とされた四人の中国人女性が日本政府に損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁柳田幸三裁判長は被害事実の認定すら行わず、訴えを棄却した。(30日)
●「PKF凍結解除を秋の国会で」 自民党の山崎拓幹事長は、訪米中のワシントン市内で同行記者団と懇談し、現在凍結されている国連平和維持軍(PKF)の本体業務に参加できるよう秋の臨時国会で法改悪する考えを表明した。また武器使用制限の緩和など国連平和維持活動(PKO)参加五原則も見直す意向を示した。(31日)
●「アジア・太平洋兵力10万人維持」 パターソン米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は、訪米中の与党三幹事長らと会談し、アジア・太平洋地域の米軍十万人体制は維持すると述べた。(31日)
●米国務副長官「PKO5原則見直しを」 アーミテージ米国務副長官は、訪米中の与党三幹事長との会談で、「安全保障上、アジアで最大の問題は中国だ」と指摘し、武器使用などを制限しているPKO参加五原則の見直しを強く求めた。(1日)
●外務省幹部が田中外相の発言をリーク 田中真紀子外相が五月二十五日にアジア欧州会議(ASEM)の昼食会でイタリアのディーニ外相に対し米国のミサイル防衛構想への疑問を表明していたことを外務省筋が明らかにした。また別の外務省幹部は、五月二十八日の日豪外相会談でも田中外相が同じ趣旨の発言を行ったと暴露した。(1日)
●予備自衛官を民間公募
退役自衛官の志願者で構成する「予備自衛官」に公募制を導入する改悪防衛庁設置法が、参院本会議で可決成立した。「一般公募」(十八〜三十三歳)と、医師や弁護士を対象とする「技能公募」があり、一般の場合、三年以内に五十日間の訓練を受ければ、自動的に予備自衛官(二士)に任用される。(1日)
●在外被爆者にも援護法適用 韓国に帰国したことを理由に被爆者援護法に基づく健康管理手当をうち切られたのは違法として、在韓被爆者の郭貴勲(カクキフン)さんが国と大阪府に処分の取り消しなどを求めた訴訟で、大阪地裁の三浦潤裁判長は、在外被爆者への援護法適用を初めて認める司法判断を示した。(1日)
●米がミサイル防衛共同研究拡大を打診 日米が進めるミサイル防衛共同研究で、米国防総省が防衛庁に研究分野拡大を打診している、と朝日新聞が報じた。打診されたのは迎撃ミサイルを発射するイージス艦のシステムで、ブッシュ政権のミサイル防衛構想で打ち出されたもの。(2日)
●米兵が女性宅侵入 キャンプ・ハンセン所属の米海兵隊三等軍曹ルドルフ・ロドリゲス容疑者が、金武町内の女性宅に侵入し、逃走する際に隣家のビニールハウスを壊したとして、住居侵入と器物破損の現行犯で逮捕された。(2日)
●60年代に名護海上基地構想 埋め立て式の滑走路や大型港湾施設、核兵器が貯蔵できる弾薬庫を名護市キャンプ・シュワブ沖に建設する構想が六〇年代半ばに立案されていたことが、米軍関係文書「海軍施設マスタープラン」から明らかになった。(2日)
●「基地返還求めるなら集団的自衛権行使を認めよ」
 自民党の山崎拓幹事長が熊本市内で講演し、「基地の返還を強く求めるなら、集団的自衛権の行使(を認める)というのは必要だ」と述べた。(4日)
●米中軍事交流を全面停止
 ラムズフェルド米国防長官は、四月一日の米偵察機事故以来、中国との軍事交流をすべて停止していたことを明らかにした。第三国での会合で米中が同席した場合でも接触を避けるよう指示するなど、徹底した措置だった。(4日)
●「つくる会」教科書が異例の市販 「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史・公民教科書が全国の書店に並んだ。(4日)
●小泉首相「あとは石原知事に」 五月二十九日に都内のホテルで行われた小泉純一郎首相、森喜朗前首相、中曽根康弘元首相、石原慎太郎都知事の四者会談で、小泉首相が、改革に失敗して内閣が退陣に追い込まれたら「あとは石原知事にお願いする」と発言していたことがわかった。中曽根元首相は「石原新党は国民の要請だ」と発言し、他の出席者もこれに同調したという。(4日)
●土地収用法改悪は今国会で 石原都知事は都議会での質疑で今国会に提出されている土地収用法改悪案の「今国会での成立を強く望む」と述べた。(5日)
●外国人選挙権見送りで抗議デモ 永住外国人地方選挙権法案の採決が今国会でも見送られたのを受け、在日本大韓民国民団が集会を開き、全国から集まった在日朝鮮人ら約四千人が集会後に国会周辺をデモ行進した。(5日)

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週刊『前進』(2009号4面5)

石原は「つくる会」の賛同者!

 都知事・石原慎太郎は「新しい歴史教科書をつくる会」の発足当初から今にいたるまで、「つくる会」の賛同者である。
 「つくる会」は九六年十二月、評論家の西尾幹二や東大教授の藤岡信勝、漫画家の小林よしのりら九人が呼びかけ人となって発足した団体である。同会は、発足一カ月後の九七年一月二日に二十五人の賛同者の参加を発表。その一人が「作家 石原慎太郎」だった。
 そして二〇〇〇年九月に発表された賛同者の中にも石原慎太郎の名が存在する(別掲資料)。石原の都知事就任は九九年四月。知事就任後も公然と賛同者に名を連ねているのだ。
 教科書採択にあたっては「公平性」確保のために、発行者やその親族、教科書の著作や編集に関与したことがある者は教育委員や選定審議員になることは禁じられている。にもかかわらず、なんと「つくる会」賛同者が、都知事の権力を振りかざし都下の中学校で「つくる会」教科書を使わせようとしているのだ。
 石原は扶桑社発売の月刊誌『正論』六月号のインタビューで、以前、藤岡信勝に都教育委員になるよう依頼して断られた、と発言している。都教委に「つくる会」理事を引き込むことまで狙っていたのだ。教科書闘争はファシスト石原との対決そのものだ。「つくる会」教科書採択を阻み、石原に痛打を浴びせよ!

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週刊『前進』(2009号5面1)

7・15三里塚現地闘争へ 暫定滑走路11月完成阻止を
 千葉県収用委再建許すな 土地収用法改悪阻止せよ

 戦後自民党支配の延命と右からの大再編をもくろむ小泉政権は、中曽根、石原を始めとする極右的ファシスト的勢力と一体化し、八〇%を超える支持率を背景に、リストラ・大失業攻撃を強め、改憲と戦争国家化に突き進もうとしている。それは日米争闘戦の敗勢と没落の危機にあえぐ日帝の大反動である。日帝はアジア勢力圏化の再構築のために、航空政策の抜本的転換と首都圏再開発、そのための土地収用制度の改悪を狙っている。この大反動に対して、都議選と三里塚決戦が鋭く対決している。都議選決戦は小泉―石原と真っ向から対決する大決戦となった。三里塚闘争は暫定滑走路工事が最終段階に入り開港圧力による敷地内農民圧殺攻撃との緊迫した決戦に突入した。三里塚反対同盟は、七・一五三里塚現地闘争を決定し、大結集を呼びかけている。残る二週間、党の総力をもってけしば候補の必勝をかちとり、その力を七・一五三里塚現地に結集させよう。そのために、小泉反動政権
下の三里塚闘争の局面と、その決戦性、勝利性を明らかにする。
 江波敏之

 小泉・石原の首都圏再開発と空港政策

 小泉内閣は五月七日の所信表明で「日本経済再生の処方せん」として「地球的規模での競争時代にふさわしい自立型経済の確立」を掲げた。その改革の一つとして首相を本部長とする「都市再生本部」の設置を打ち出した。
 「都市の再生と土地の流動化を通じて国際競争力を高める」とする小泉の日本再生構想は、九八年七月に小渕内閣の下で発足した経済戦略会議報告に沿うものであり、石原の首都圏再開発と一体である。
 石原は「東京構想2000」で次のように書いている。「超音速旅客機などの超高速交通機関が実現すれば、シンガポールまで約三時間。東アジアは現在の東京圏内に相当する」「東京圏における空港機能の不備は、活発化する国際間の交流を阻害し世界における日本の地位を低下させる」として、「国際競争力を強化するための東京圏の活力向上」が必要だと強調している。
 そしてその中軸に首都圏の国際航空機能の整備を位置づけ、「羽田再拡張」「二十四時間就航可能な国際空港の実現」を打ち出した。さらに米軍横田基地の返還をぶちあげた。
 この背後にあるのは対米争闘戦での敗勢とアジア勢力圏化の破綻(はたん)である。三里塚闘争はアジア侵略・勢力圏化を狙う日帝の航空政策を三十年遅らせた。アジアハブ(国際基幹空港)の設置競争に敗れた日帝は、空港容量の限界と高額着陸料で利用離れがおこり、国際会議場がシンガポールや香港に移るなど、「ジャパンパッシング 」という事態に陥っている。
 この破綻からの脱却をかけた小泉・石原らによる航空政策の大転換が始まろうとしている。五月二十四日、国土交通省は公共事業見直しの一環として、地方空港の新規建設を原則的に凍結する方針を固めた。神戸や能登など建設中の空港は計画通りに進めるが、二〇〇三年度に始まる「八空整」(第八次空港整備五カ年計画)からは、地方空港の新規整備を原則実施せず、大都市圏の空港整備に財源を重点的に振り向ける方針。国内空港網の充実(地方空港整備)を目指すとしたこれまでの空港政策からの大転換である。
 ここで「大都市圏」とは東京圏のことである。「八空整」の軸は羽田空港の再拡張と首都圏第三空港(ただし調査・決定まで)、成田空港平行滑走路の継続・完成である。
 成田暫定滑走路は、年間六万五千回の離着陸として計画されたが、あまりに短くて需要に堪えず、一万五千回前後にとどまり、採算度外視の公共事業として記念碑的な破綻事業である。羽田国際化と再拡張を進めるとしても、成田平行滑走路の「暫定止まり」は、日帝にとって致命的だ。当初計画二千五百bの完成と、延長部分を加えた三千七百b滑走路の完成を、日帝・国土交通省はあらためて構想している。
 この首都圏空港構想とともに、石原は外郭環状道路や放射5号線、圏央道などの道路整備を計画し、これらを「首都圏十兆円の大型公共事業」と大々的に打ち出している。これに反対する住民運動を鎮圧するために、土地収用法の改悪をもくろみ推進してきた。
 アジア勢力圏の再構築を狙う首都圏空港政策が、小泉―石原の首都圏再開発の中軸で動きだしている。

 完成―開業による農民追い出し攻撃

 小泉―石原の反動路線のもとで、三里塚闘争は暫定滑走路をめぐる全面的な決戦に突入した。十一月三十日に予定される開業まで六カ月。死者二人を出すほどの無謀な突貫工事が強行されており、前倒しの完成も予想されている。こうした工事強行によって地域破壊が進んでいる。

 十一月完成―開業による農民たたき出し

 現在の攻防局面を一言で言えば、最終段階に入った軒先工事と完成後のテスト飛行(騒音と開港圧力)による農家追放攻撃との激しい闘いである。
 計画発表以来、われわれは何度も暫定滑走路建設の反人民性、暴力性を訴えてきた。それがいよいよむき出しになっている。
 市東さん宅周辺も東峰地区の生活区域でも空港敷地は約三bの高さに土盛りされている。滑走路表面が現在の地形よりもこの分だけ高いためだ。その高さで空港敷地がせり出し、住民の暮らしを威圧している。東峰神社は空港内に取り込まれ、そこに向かう道はフェンスで囲まれた通路になった。小見川県道付け替え道路は人家に迫り、生活道路はローカライザー(計器着陸装置)で不自然に曲げられ不便を強いられている。
 この住民の生活と人権を踏みにじって強行される軒先工事の暴挙こそ、日帝権力の農民殺しそのものだ。
 この攻撃は十一月までさらに激化し、完成とテスト飛行―開港圧力との闘いがこれに続いて襲いかかる。
 七八年暫定開港(四千b滑走路)は次のような経過をたどった。
 @七七年五月七日、飛行検査を開始(前日に岩山鉄塔破壊)
 A十一月二十六日、飛行場と航空保安無線施設および航空灯火の完成検査合格
 B十二月三日、エアラックノータム(ICAO=国際民間航空機関および関係五十カ国に開港日などの航空情報を発出)
 C十二月二十二日、慣熟飛行を開始(翌年二月二十二日まで二カ月間で約四十回実施)
 D七八年三月三十日、開港予定(粉砕され五月二十日に延期)
 一期暫定開港は飛行検査から開港まで十一カ月を予定したが、今回暫定滑走路は六カ月足らず。十一月三十日の工事終了後に二カ月程度で検査を済ませてノータム発出、慣熟飛行を経て開港となる。
 この飛行騒音と開港圧力が最大の追い出し攻撃であり決戦である。

 東峰神社の立ち木伐採

 これに先立ち東峰神社の立ち木伐採攻撃との闘いが不可避である。
 国土交通省と空港公団の計画は当初計画二千五百b平行滑走路の完成であり、これは農家の移転を前提とする。したがって平行滑走路の中心に位置する東峰神社(立ち木)も破壊撤去されていることを前提に工事が進められてきた。
 しかし着工と軒先工事による移転攻撃は失敗し、暫定短縮滑走路による開業が避けられない。南側からの進入表面を九b突き出し飛行障害になる立ち木の撤去が不可避となったのである。伐採は緊急性を要件とする断行的仮処分によることから、今秋、工事完成―テスト飛行の直前の強行が策動されている。われわれは、三里塚反対同盟との血盟にかけてあらゆる手段で立ち木伐採を阻止する。

 収用委員会の再建

 さらに重要な闘いは、六月千葉県議会(人事決定議会)における収用委員再任命阻止の闘いである。
 「成田の地位を維持するためにも平行滑走路は暫定滑走路ではなくフル滑走路にすべきだ。そのためには収用委を復活させる必要がある」(昨秋、自民党千葉県連の国会議員団会議)
 収用委再建は沼田退任の公表前後から動きだし、自民党推薦で知事選に出馬した岩瀬良三は「収用委復活」を公約し敗れたが、六月に入って千葉県町村会が「収用委員会の機能回復決議」を上げるなど緊迫してきた。堂本知事の下で収用委員再任命の動きが急速に高まっているのである。
 成田では土地収用法の規定に基づく事業認定の期限切れによって収用権限は失効した。空港公団は収用裁決申請を取り下げ、その失効を追認した(九三年六月十六日)。仮に収用委員会が再建されても強制収用はできない。運輸省(現国土交通省)はシンポ・円卓会議で「一切の強制的手段を放棄する」と確約した。収用委の再任命はこの現実を踏まえない暴論だ。しかし強制収用しなければ、暫定滑走路が「フル滑走路」にならないことも事実である。収用委再任命の強行は実力で阻止する。

 関連する諸攻撃

 さらに、殺人的騒音で敷地内反対同盟と農家を追い出すために、「国内線便充実対策検討委員会」が航空需要をねつ造することに血道をあげている。これもまた農民追い出しの最悪の攻撃である。
 堂本知事は当選直後から「平行滑走路完成」を掲げ国土交通省と千葉県、空港公団、空港周辺市町村で構成する「四者協議会」を設立した。革命的ゲリラ戦と大衆的反撃で、その後「用地問題はテーマとしない」と表明したが、これで許されるものではない。成田新高速鉄道の建設費用約千三百億円をひねり出す協議機関として、ゼネコンと関係議員の利権落としであることは明白であり、成田新高速鉄道粉砕を掲げ闘う。

 戦争国家化攻撃と対決する砦=三里塚

 小泉政権の登場によって三里塚現地闘争の階級的意義はいよいよ鮮明である。
 第一に、小泉政権の「聖域なき構造改革」は、大資本の延命のためのかつてないリストラと大増税をもたらす。これと一体となって「つくる会」教科書の採択、教育改革、靖国公式参拝、集団的自衛権の承認、九条改憲など、民族主義的、国家主義的イデオロギーによる「上からの内乱」攻撃が始まっている。こうした攻撃は、労働者人民の決起をまきおこし階級決戦を不可避とする。
 七〇年安保・沖縄決戦、八五年中曽根の「戦後政治の総決算」との闘い、九〇年天皇決戦と、三里塚闘争は絶えず歴史的な階級攻防の最先端で闘われた。三里塚が戦闘的農民と革命的左翼の根拠地であり、労働運動、反戦闘争、住民運動の団結の砦(とりで)だからである。われわれは始まった小泉「構造改革」の大反動に対して、人民の実力闘争の最強の砦=三里塚を拠点に決戦を挑むのである。
 第二に、小泉―石原が押し出す「競争力のある首都構想」とその中心にある首都圏空港政策との闘いである。「日本の再生」「国際競争力のある都市構想」とは、日帝のアジア再侵略構想であり、対米争闘戦にうち勝つ戦争国家づくりである。三里塚闘争は、小泉・石原反革命と対決する最強の実力闘争拠点なのである。
 第三に、三里塚現地闘争は軍事空港建設阻止の闘いである。
 成田空港は朝鮮侵略における全土基地化のカナメに位置している。インド西部地震の被災者救援を口実にC130自衛隊輸送機が成田空港を使用した。これを恒常化する動きが、集団的自衛権と九条改憲を掲げる小泉のもとで進むことは明らかだ。基地強化と闘う沖縄とともに、三里塚闘争は日米帝の朝鮮・中国―アジア侵略を阻止する反戦闘争の拠点として、いよいよその真価を発揮するのだ。
 第四に、特に土地収用法をめぐる闘いの重大性だ。
 土地収用法改悪の目的は、国家による土地強奪手続きの簡略化による反対運動の禁圧である。一坪共有運動の効力を奪い、土地を拠点とする闘争を無力化し解体する攻撃である。
 ファシスト石原の外郭環状道路や放射5号線、圏央道は、この土地収用法の改悪を前提に計画され進行している。これら首都圏環状道路は首都圏再開発のカナメであるとともに、有事の軍用道路だ。
 そもそも土地収用法の改悪自体、軍事施設のための土地収用を掲げた旧土地収用法への回帰であり、戦時土地強奪の先取り攻撃としてある。一坪共有地を始め各種共有地で暫定短縮滑走路にとどまった成田、誘導路が今も「く」の字に曲がる航空自衛隊百里基地(茨城県)という現実では、日帝は侵略戦争を遂行できない。ここでは人民の力が帝国主義の国益や戦争意志を圧倒してきた。一坪運動や立ち木トラストの闘争形態は、全国の空港やダム、道路、産廃処理場反対運動においても広がってきた。
 小泉政権は「厳しい財政事情を踏まえた公共事業の効率化・迅速化」をうたって、八〇%支持率をテコに土地収用法改悪を今国会で強行しようとしている。
 委員会付託―審議入りの動きに対して三里塚反対同盟は「今国会成立阻止・廃案」を掲げ、五月十六日から三日間の国会前座り込みと議員要請行動に決起して情勢を切り開いた。事業認定を実力で失効に追い込んだ三里塚闘争が、土地収用法改悪阻止―廃案の闘いの先頭に立つことの意義は絶大である。

 三里塚闘争の今後10年を決める決戦

 暫定滑走路完成まであと五カ月、開港まで一年。この過程は三里塚闘争の今後十年を決める大決戦である。小泉政権の反動攻勢と対決し、暫定滑走路粉砕へ総決起しよう。
 闘いの方向の第一は、七・一五三里塚現地闘争への大結集をかちとることだ。暫定滑走路工事は約一〜二カ月程度の前倒し完成が予想される。十・七三里塚全国総決起集会は、東峰神社立ち木伐採、工事完成をめぐる一大決戦集会となる。七・一五闘争でこの決戦の突破口を開き、恒常的臨戦体制を構築しよう。
 何よりも、最終段階に入った暫定滑走路工事阻止に決起しよう。これと対峙しつつ、今秋東峰神社立ち木伐採を絶対に阻止・粉砕することである。
 闘いの方向の第二は、土地収用法改悪阻止の国会闘争に決起することである。今国会成立阻止|廃案へ。土地収用攻撃と闘う全国の住民運動、反戦・反基地闘争と連帯し改悪阻止の大運動を巻き起こそう。
 闘いの方向の第三は、六月千葉県議会での収用委再建を絶対に阻止することである。六月県議会初日の十三日、三里塚現地支援勢力を中心に千葉市内で街頭宣伝を行う。堂本知事の「平行滑走路完成」を阻止するために全力をあげよう。
 この三里塚闘争の勝利のためにも、都議選決戦に絶対に勝利しよう。都議選は直接的に石原との闘いである。その首都圏再開発、航空政策と土地収用法において三里塚闘争の占める位置は重大である。三里塚現地攻防、国会闘争を都議選決戦と結合して闘おう。
 ファシスト・カクマルを粉砕しよう。
 七・一五三里塚現地闘争の大爆発を闘いとろう。

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週刊『前進』(2009号5面2)

 改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
 第1部 第2次世界大戦 (7) 日帝にとっての大戦 下
 帝国主義こそが戦争の元凶

 一九四一年十二月八日、日本軍は、ハワイ真珠湾とマレー半島、香港、フィリピンなどを奇襲。ついに日米帝国主義は軍事的激突にいたった。政府・大本営は、この戦争をアジアを白人帝国主義の支配から解放し「大東亜共栄圏」を建設する目的を持った「大東亜戦争」と呼ぶと声明したが、実際には、侵略と勢力圏化のための偽りのスローガンでしかなかった。
 緒戦は日帝の゛圧倒的勝利″のうちに進んだ。日本軍は真珠湾攻撃とマレー沖海戦によって米英の軍事力に大打撃を与えた。そして東南アジアの各地を急襲して太平洋の制海権と制空権を掌握した。日帝は開戦後約半年の間に太平洋沿いの広大な地域を占領した。
 しかし、開戦時の米帝は国民総生産で日本の十一・八倍、航空機生産で五・二倍、船舶建造で五倍の開きがあった。この差は戦争が進むにつれ拡大した。
 四二年六月、艦隊決戦による早期戦争終結をめざしたミッドウェー海戦で主力空母四隻を撃沈され、日帝は太平洋正面の制海権と制空権を失う。一方、中国戦線でも、日帝は南方軍の二倍以上の兵力を投入。「焼き尽くし、殺し尽くし、奪い尽くす」の三光作戦を展開するが、中国人民の激しい抗日闘争を粉砕することはできなかった。
 四三年二月初旬のガダルカナルの敗北によって、太平洋戦線の主導権は連合国側に移る。同月のスターリングラード攻防戦で、ソ連軍がドイツ軍に勝利する。この二つの戦いが第二次世界大戦の局面を大きく転換したのであった。

 アジア解放の嘘

 日米開戦の直前、大本営は「南方占領地行政実施要領」を決定した。それは@重要国防資源の獲得、A日本軍の現地自活、B現地住民の日本軍への服従と独立運動の抑圧を掲げていた。「大東亜共栄圏の建設」「アジア解放の聖戦」という言葉がいかにインチキだったかがよくわかる。
 東南アジアの占領地には日帝企業が進出し、石油・ボーキサイトなどを日本に輸送した。日本軍は米などの食糧を略奪し強制供出させたので、数百万人もの餓死者が出た。
 また現地の住民を戦争に協力させるために、皇民化政策を推進した。神社をつくって参拝を強制し、日本語の学習を義務づけた。台湾・朝鮮での皇民化政策はより徹底しており、「創氏改名」が強制された。
 日本軍は各地で、反日分子との理由で多数の人民を虐殺した。鉄道建設や陣地構築などのためにアジア人民や連合軍の捕虜を強制的に重労働に従事させた。
 敗勢に転じた日帝は、戦争に協力させるために、四三年八月にビルマ、十月にフィリピンの「独立」を認め、同盟条約を結んだ。東条首相は、条約の文面は対等でも実際の支配は日本が握っている、と説明した。しかしマレーやスマトラ、ボルネオ、セレベスなどの独立は認めなかった。
 「大東亜共栄圏」建設の本質は、欧米の植民地支配からの解放ではなく、欧米帝国主義にかわって日帝がアジア全域を支配しようとするものだったのだ。
 四四年、米軍は、ニューギニア北岸からフィリピンをめざすコースと、中部太平洋諸島を通ってフィリピンをめざすコースの二手に分かれて大攻勢を開始した。同年六月のマリアナ沖海戦の惨敗と七月のサイパン島失陥によって、東条内閣は総辞職する。この頃から、日帝の戦時経済は完全に崩壊段階に突入した。

 沖縄・広島・長崎

 四四年十月、マッカーサー率いる米軍はフィリピンのレイテ島に上陸する。十一月には米軍は日本本土への空襲を開始した。
 四五年一月、日帝は、フィリピン・台湾・沖縄方面でできるだけ敵の出血を強いながら、日本本土での決戦準備の方針を決める。二月に近衛文麿は「心配なのは、敗戦よりも敗戦によって起きる共産革命」と、戦争終結を進言した。しかし天皇は「もう一度大きな戦果をあげてからでないと(国体護持は)難しいと思う」と、これを拒否した。
 四月一日、米軍は兵力十八万で沖縄本島に上陸。日本軍は、国体護持の「捨て石」作戦として沖縄戦を強行した。そのために沖縄県民を総動員し、県民十五万人以上が犠牲となった。
 五月八日、ドイツが降伏。中国でも日本軍は大きく後退した。そして八月六日広島、九日長崎に原爆が投下された。九日のソ連の対日参戦をへて、ついに万策尽きた日帝はポツダム宣言を受諾した。第二次世界大戦は日帝の無条件降伏によって終結したのだ。

 過ちくり返すな

 日帝にとって第二次大戦とは何だったのか、最後に総括的に考察してみよう。
 @日本帝国主義は、朝鮮・中国・アジアへ侵略戦争を繰り広げ、ついには日米戦争へといたった。日帝は、アジア人民の民族解放闘争を解体することができないばかりか、最後には米帝に軍事的に粉砕された。
 日本は朝鮮・中国を始め、フィリピン・ベトナム・インドネシア・ビルマ・タイ・インド・マレーシア・シンガポール・オーストラリア・太平洋諸島など、東アジア、東南アジア一帯の広大な地域に筆舌に尽くせぬ侵略と戦争の爪痕(つめあと)を残した。二千万人のアジア人民が殺された。他民族虐殺の侵略の銃を握った日本人民にも大きな惨禍をもたらした。
 A日米戦争は、アジア侵略戦争の帰結であり、日米帝国主義の世界支配をかけた帝国主義の強盗戦争だった。一握りの支配階級の利害のために人民を戦争にかりたて、中国からアジア全域に戦火を拡大し、権益を守るために米英帝と激突するにいたったのだ。「自存自衛の戦争だった」などという議論は大ウソだ。
 日帝の侵略と戦争の歴史は、日帝が帝国主義であるかぎり不可避的だった。日帝のアジア侵略を内乱に転化するプロレタリア革命の闘いこそが必要だった。しかし、それはスターリン主義によって圧殺された。
 B二九年型大恐慌が現実化する中で、存亡の危機に直面する日帝は、再び侵略と戦争の道を進み始めた。同じ過ちをくり返してはならない。そのためにスターリン主義をのりこえ、「連帯し侵略を内乱へ」を実現する革命党の登場が今こそ求められている。
 (片瀬涼)
 (第一部おわり。第二部は近く開始します)

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週刊『前進』(2009号5面3)

関西反戦共同行動委など 憲法公聴会を弾劾 神戸

 六月四日、仙台に続く衆院憲法調査会の地方公聴会がホテルオークラ神戸で開かれた。関西反戦共同行動委員会は「小泉政権打倒・憲法改悪阻止」を掲げ、改憲のための公聴会を弾劾する闘争に立った。
 「憲法を生かす会・神戸」や「とめよう!戦争への道百万人署名運動兵庫県連絡会」など地元神戸が中心となった「ストップ改憲!『神戸公聴会』を監視する実行委員会」の下で関西反戦共同行動委も闘い抜いた。
 神戸公聴会は、一般公募の陳述人はたったの二人という改憲のための「セレモニー」のようなものであるにもかかわらず、多くの陳述者から改憲反対論が語られた。
 四日、午前十一時から「百万人署名運動兵庫県連絡会」が呼びかけた元町での街宣が行われ、正午からは実行委員会主催の抗議集会が百五十人の結集でホテルオークラ裏のメリケンパークで行われた。そして十二時半から公聴会傍聴者にビラをまくと同時に、憲法調査会への弾劾・申し入れ行動を行った。
 その後も神戸の繁華街である三宮と元町で街宣を続けつつ、百三十人で「公聴会弾劾、改憲阻止」のデモに立ち、労働者・市民の圧倒的な共感を集めた。終日闘争の締めくくりとして午後六時から報告集会がもたれ、改憲阻止へさらに闘い抜こうと誓い合った。

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週刊『前進』(2009号6面1)

7・1関空粉砕全国闘争へ
有事法制の制定攻撃と一体 「軍事空港」二期強行許すな

 七月一日、大阪湾岸住民四団体と関西反戦共同行動委員会の主催、三里塚反対同盟の協賛で、関西新空港反対全国闘争が泉佐野現地で開かれる。最終盤の白熱的攻防に突入した都議選決戦に、全党・全人民の総決起で何がなんでも勝利し、その力で息もつかせず七・一関西新空港粉砕全国闘争に総結集しよう。

 小泉の戦争政治と対決し関空粉砕を

 日本帝国主義と自民党政治の絶望的危機の中から、ついに小泉政権という極右反動政権が登場した。
 米帝ブッシュ政権は、世界大恐慌への突入情勢の本格的開始の中で、日帝への帝国主義間争闘戦を強めつつ、全世界とりわけアジアにおけるむき出しの戦争政策を展開し始めている。
 米帝の世界戦略はアジア重視に転換し、中国・北朝鮮に対する敵視と軍事恫喝・戦争挑発に突っ走っている。そして日帝に対しては、集団的自衛権の要求に見られるように、米戦争戦略に自衛隊を全面動員することを求めてきている。
 こうした情勢の激変の中で、没落帝国主義からの脱出と延命をかけて、存亡の危機に直面した自民党の中から登場したのが小泉極右政権である。小泉改革とは大失業と戦争の政治にほかならない。今日の日帝の危機はそれ以外にいかなる打開の方策もないのだ。
 小泉が所信表明演説で「治にいて乱を忘れず」として有事法制の検討着手を言明したことを決定的に重視しなければならない。有事法制制定は新ガイドライン・周辺事態法の発動にとって不可欠であり、その意味で小泉の所信表明は明白な戦争発動宣言なのだ。
 有事法制は、戦後法制の全分野を網羅するが、その核心的内容は空港・港湾を軸とした日本全土の兵站(へいたん)基地化であり、労働者人民の全面的戦争動員にある。
 有事の際の数十万人規模の兵員移送と軍需物資輸送において、民間航空機と民間空港は圧倒的な比重を占める。日帝が、三里塚で違法・無法な暫定工事を強行し、関西新空港建設においても計画総体がぼろぼろの状態で、なおかつ二期工事を強行するのは、ここにこそ根拠があるのだ。
 関西新空港反対闘争は、沖縄闘争を先頭とした全国の反戦・反基地闘争の柱であり、小泉政権の戦争国家化攻撃を真っ向からうち砕く闘いである。

 完全破綻した関西新空港の二期工事

 対策不可能な地盤沈下進行

 昨年夏から年末の予算編成期の過程で、地盤沈下問題が衝撃的に噴出し、加えて関空会社の経営破綻(はたん)が解決不能の段階に達していることが暴露された。
 この二つの問題について、運輸省(現国土交通省)、大蔵省(現財務省)、関空会社の三者が何ひとつ打開策を出せないまま二期予算を計上し、ずるずると工事を強行しているのである。結局のところ国税を野放図に投入し、いわゆる地元負担を増やし、空港労働者に極限的労働強化と人員削減を強制するなど、一切合切を人民への犠牲転嫁でのりきろうとしているのだ。これを断じて許してはならない。
 地盤沈下問題について、関空会社は「予想外」を連発して開き直ってきた。
 着工時には「最終的に八メートル沈下」と公表して工事を始めた。しかし工事中から急速に沈み始め、関空会社は「開港後五十年かけて十一・五メートル沈下で収束」と修正し、三・五メートル分の土砂を積み増した。これが一期工費を一・五倍=一兆五千億円にも膨れ上がらせた最大要因である。そして、いざ開港してみると五十年どころか、たった六年(二〇〇〇年十二月時点)で平均十一・七メートル沈下と予測を軽く突破してしまったのだ。関空会社は今度は最終予測を十二メートル〜十二・五メートルと再修正した。言を左右にしてその場をごまかしているにすぎないのである。
 現在、空港島の標高は平均海面から三メートル。現在も空港島は年間平均二十〜三十センチ沈み続けている。あと一メートルも沈めば高潮の時には波が護岸を越え、島内の建造物を直撃する。関空会社はこれも予測の範囲内と強弁するが、人命のかかった問題に対して、このような無責任な態度は許されない。
 問題は単に空港島の標高が低くなっているだけではない。きわめて危険な事態が現に発生している。
 一つは、沈下によって地下水面が上昇し、その水圧と浮力でターミナルビルの地下室や燃料タンク群が破損の危機に直面していることである。タンク群はとっくに消防法違反の状態となっており、全日空の格納庫はヒビだらけで塩が各所で噴き出している。
 関空会社は今年一月末から二百七十二億円もかけて対策工事を始めた。この工事は、とりあえずターミナルビルとタンク群の周囲の地下に幅一メートル・高さ四十メートルの「止水壁」を構築し、中の地下水をポンプで吸い上げ続けようというものである。こんなものは根本的解決にならないが、それでもやらなければ電気系統などが集中したターミナルビルの地下が破損し、空港の全機能が停止する可能性があるのだ。
 いま一つは、ターミナルビルの不等沈下対策が限界に来ていることである。
 ターミナルビルの柱には不等沈下に備えて一本一本ジャッキが据えられ、常時ビルの傾き、ゆがみなどを測定してコンピューターでジャッキを制御し、調整する方式がとられている。このジャッキアップシステムが限界に来ているのだ。
 当初、関空会社は「四十センチ」の対応で十分と言ってきたが、すでに段差が五十センチを超えるところが出てきている。そこでジャッキアップのためのボルトを長いものに換えると言うが、それでも七十センチが限界と言われている。ボルトをたった二十a延ばしたところで何年もつのか。
 ターミナルビルや燃料タンクが損壊すれば大惨事となる。国土交通省・関空会社はこれを無展望な小手先細工でのりきろうとしているのだ。日帝は、空港島で働く労働者、利用客、地元住民の安全などまったく考えていないのだ。

 「民活」の矛盾示す累積赤字

 五月二十三日、関空会社は二〇〇〇年度収支決算を公表した。経常収支百五十七億円の赤字である。
 関空会社は、「前年度に比べて八十億円も改善した」と胸を張り、「二〇〇四年度には単年度黒字」とまで言って見せた。しかし公表された粗雑な決算表を見ただけで、「八十億円改善」の中身がいかにもろいものであるか、「二〇〇四年度黒字」にいたってはなんの根拠もないことが透けて見える内容である。
 まず八十億円の内訳である。これは、国際便が若干増えて二十九億円の増収、人員削減や清掃業者などへのしわ寄せによる支出減が十二億円、有利子負債の借り換えなどで利払い減が三十三億円弱というのが主な中身である。
 不況で年々減少してきた乗り入れ便数が一日七便増えているのは、関空会社が二十億円もの身銭を切って、着陸料を二年間だけ九%下げた結果生じた一時的なものである。これをいつまでも続けることは不可能なのだ。
 不況による便数減の圧力は依然として収まっていない。JASなどは今年度後半から関空便を大半運休することを明らかにしている。さらに韓国・仁川空港の開港によって国際便が大量に移行するとも言われている。そうなれば昨年度の増収など一瞬にして吹っ飛ぶのだ。
 十二億円の支出減については、もともと悪名高い強労働・強搾取の関空職場の労働者から文字どおり最後の血の一滴をしぼり、さらに首切りを行ってひねり出したものである。空港の安全面から言っても、こんなことがいつまでも続くわけがないのだ。
 さらに有利子負債の借り換えについて、関空会社はこれで来年度以降も年々減っていくと言っているがこれは大うそである。関空会社の有利子負債は一兆円という巨額の負債であり、その圧倒的な部分が財政投融資資金なのだ。財投資金の借り換えなどあり得ない。二〇〇〇年度の関空会社の利払いは四百二十二億円。この借金地獄から逃れるすべはない。
 関空会社の累積赤字は千七百二十九億円に膨れ上がった。今後もますます増えていく。これはいずれ税金で穴埋めする以外にない。この現実に誰も責任をとろうとしない。高額の役員報酬はそのまま維持されている。中曽根「民活」第一号の根本的矛盾が腐臭を放って全面露呈しているのだ。
 やりたい放題に利権をばらまく一方で、労働者人民に多大な犠牲を強要する軍事空港を、関空会社もろとも怒りをこめてたたきつぶさなければならない。

 空港依存の市財政危機を人民に転嫁

 関空の地元中の地元、泉佐野市が赤字再建団体転落寸前の財政状態に陥っている。現在赤字再建団体となっている自治体は福岡県の赤池町のみで、泉佐野市が転落すれば二つめとなる。
 なぜこうなったのか。原因ははっきりしている。空港関連税収を当て込んで、市民生活とは無縁の空港関連事業に多額の借金をつぎ込んできたからである。
 空港関連の借金は、りんくうタウンの浸水対策の下水道や空港引き込み線のための南海高架化事業などが代表的なもので、総額で千六百十六億円にものぼる。
 向江前市長ら推進派の皮算用では、りんくうタウンにビルが林立し、多額の固定資産税収入で借金は返済できるはずであった。しかしバブルは崩壊し、りんくうタウンは広大な野原のままとなり、泉佐野市に残ったのは膨大な借金だ。
 年間予算が四百億円にも満たない小さな自治体が、毎年六十億円近い公債費(借金返済)を抱え込めば破産するのは当然である。
 新田谷現市長も二期推進・空港優先市政を継続する一方で、再建団体転落の危機を福祉切り捨てと市の労働者の昇給ストップでのりきろうとしている。絶対に許してはならない。
 しかも、市民と労働者への犠牲転嫁でのりきれるほど事態は甘くないのだ。労働者・市民を苦しめるだけ苦しめて、結局は赤字再建団体に転落することは目に見えている。
 日帝と空港推進派は「空港で地元繁栄」「泉佐野は国際都市に」のうそで、二十年以上も市民をだまし続けてきたのだ。この空港が軍事空港であり、空港建設が地域経済を荒廃させ、市民生活を破壊し、自治体財政をも破綻させることを一貫して訴えてきたのは、国賀祥司市議と泉州住民の会のみである。
 いま広範な労働者・市民の中から、新空港に対する怒りがよみがえりつつある。この怒りと結びつき、二期阻止・軍事空港粉砕の闘いの爆発をかちとろう。

 二期工事即時中止かちとれ

 小泉政権の「聖域なき構造改革」は郵政とNTTを皮切りに、空前の大リストラとむちゃくちゃな賃下げ地獄に労働者総体をたたき込む攻撃だ。小泉改革の目的は、そうした右からの体制再編とも言うべき攻撃をとおして労働者階級を戦争に動員するところにある。
 小泉政権が着手しようとしている「特殊法人見直し」から、最悪の特殊法人である関空会社がはずされた事実は、小泉改革の正体を如実に示している。軍事空港建設は、それがどんなに破綻状況にあろうとも、日帝としては選択の余地のない政策なのだ。
 関空二期工事は、水深二十bの海域で一期とまったく同じ工法で行われている。埋め立て面積五百四十五f、投入する土砂は実に二億五千万立方bにのぼる。地盤沈下は一期よりもはるかに深刻な規模で起きる。しかも二期島沈下による引き込みで一期島にも甚大な影響をもたらすことが確実視されている。
 こうした無謀な工事に、一兆五千六百億円もの巨費が投じられるのだ。関空会社は新たに八千七百億円の有利子負債を抱え込む。工費は必ず青天井に膨らむ。二期の負債が一兆円を超えることは確実である。関空会社の年間利払いは一千億円に迫る額となるのだ。こんな「株式会社」がどこにあるか。関空の経営形態の変更は不可避である。民活の仮面が最後的に引きはがされ、国策としての軍事空港建設がむき出しの形で押し出されてくるのだ。
 不屈に闘う泉州−大阪湾岸住民と固く連帯し、関空二期工事を中止に追い込もう。都議選決戦に勝利し、七・一泉佐野現地に全力で結集しよう。

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週刊『前進』(2009号6面2)

沖縄5・15闘争に参加して

 基地撤去の意気込み実感 東北大1年 中島章

 五月十五日、沖縄入り。今回の沖縄反戦ツアーの趣旨と予定の説明を受けた後、夕方から平和市民連絡会主催の集会に加わった。
 沖縄の人たちは五・一五を一九五二年四・二八の日本が沖縄をアメリカに売り渡した日に続く第三の「琉球処分」と呼び、「屈辱の日」として、復帰二十九年目の今日に至るまで、毎年抗議と基地撤去運動を展開してきた。まったく改善の見られない基地の現状に悲観している様子はみじんも感じず、むしろ基地のない沖縄を自分たちでかちとっていこうとする意気込みを肌で感じた。
 集会後の那覇中心街でのデモでも、その思いは色濃く、一時間にも満たないデモだったが、参加者の団結の高まりはすごい力強さだった。
 十六日は、名護街頭での新基地反対の呼びかけとビラ配りの後、五・一六集会に参加。労働者が多数結集しており、沖縄の現状が具体的に話された。
 十七日は、沖縄平和祈念資料館を見学する。とても二時間では見切れない膨大な資料が展示されており、国内唯一の地上戦だった沖縄戦の様子が克明に掲示されていた。また、戦後から今まで沖縄が歩んできた過程も詳しく示され、けっして沖縄の民衆が望んではいない状態が続いているということを強く感じた。
 今回の沖縄闘争の中で、とても印象深かった言葉が二つある。一つは、名護の「命を守る会」の金城祐治さんが、「基地反対運動の中でも、笑いを忘れないでいきましょう」と話していたこと。次に、五・一六集会での知花昌一さんの、「私たちは基本的人権なしのアメリカの独裁から逃れるという点で一九七二年五・一五の日本復帰を本当は望んでいたんです。でもあの復帰はペテンだった。あの日以来私たちは、基地のない沖縄を目指して闘ってきました」という言葉だ。
 基地が抱えている問題は多い。騒音、環境汚染、労働問題等々。半永久的に使用できる基地が沖縄に建設されようとしている現実から目を背けることは、日本の戦争国家化を暗に認めているのと同じだ。
 沖縄の新基地反対運動を全国規模で展開していくことは、侵略国家化を阻止する大きな手立てになることを今回の沖縄で実感した。

 「屈辱の日」5・15に衝撃 富山大1年 神野実

 僕は今年四月に大学に入り、改憲問題や独立行政法人化問題、「つくる会」教科書問題、沖縄の新基地問題などに取り組んできましたが、問題の現状があまり実感できないというのが本音でした。これが僕が今回五・一五闘争に参加した理由です。
 僕が五・一五闘争に参加してすごいショックを受けたのは、沖縄が日本に「復帰」した「五・一五」という日のとらえかたが、僕と沖縄の人たちとではまるっきり違っていたことです。僕は「祝いの日」と考えていましたが、沖縄の人たちは「基地の無条件撤去」の願いを裏切られた「屈辱の日」としているのです。
 意識の違いだと初めは思いましたが、実は沖縄に関する知識が乏しかったのです。沖縄についてまったく無関心だったのです。もう戦争はしたくない、平和だと言いながら、差別的に米軍基地を押し付けられた沖縄に目を向けていなかったのです。
 沖縄では米軍による犯罪が連日報道され、今年はすでに主な犯罪が三十件以上起こっている現状に驚きました。数年前は二百件近くの年もあったそうです。「アジアの平和」という言葉とは逆に米軍が平和を脅かしているのです。沖縄の全空域も米軍戦闘機の訓練に使われます。
 平和市民連絡会の集会でのヘリ基地反対協、軍港反対浦添市民の会の話から、基地への不安感と撤廃要求がありありと伝わってきました。集会の後のデモ行進からも、沖縄の平和に対する思いを実感しました。十六日に、命を守る会の金城祐治さんのパワフルな活動を聞いたり、街頭宣伝に対する市民の反応を見ても同じことを痛感しました。
 また同時に、沖縄米軍基地を沖縄だけの問題にすましてはいけないこともはっきりと感じました。
 米軍基地が強化されようとしています。また、小泉政権は、憲法改悪、有事立法の成立をたくらみ、アメリカと協力して日本を戦争をできる国にしようとしています。この沖縄と国会の動きは同一のものなのです。だからこの沖縄の新基地、軍港建設阻止は、直接日本の戦争の動きを阻止することなのです。今やらなければならないことは、本土の人たちが沖縄と連帯して、全基地撤去、憲法九条改悪阻止を実現し、日本政府が行う戦争への動きを止めることだと感じました。
 沖縄の現状を知った学生として、沖縄の人たちと連帯し、米軍基地撤去に全力で取り組む決意です。

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週刊『前進』(2009号6面3)

狭山高裁行動 高橋裁判長の辞任迫る 事実調べ拒否を徹底弾劾

 六月四日、部落解放同盟全国連合会と部落解放共闘会議は、東京高裁第五刑事部への狭山再審要請行動を三十人の参加で行った。
 要請行動に先立ち午前十時から決起集会を行った。基調報告に立った全国連の滝岡広治中執は冒頭、「高木の棄却決定から二年がたとうとしている中で、高橋裁判長が弁護団に対し『補充書を出す場合には六月四日までに』などと期限を切ってきたことから判断して、六、七月中にも棄却がありうる超緊迫情勢である」と警鐘を鳴らした。
 そして、「事実調べを一切拒否して棄却を狙っている高橋裁判長に怒りを爆発させて、要請行動を闘おう」と呼びかけた。
 さらに、「第五刑事部の村木判事による゛少女買春事件″の性犯罪は、村木の個人的問題ではなく東京高裁の差別的な体質が引き起こした事件である」「第五刑事部は狭山異議審では石川一雄さんの無実を示す数々の新証拠が提出されていながらまったく事実調べを行わず、東電女性社員殺害事件では一審で無罪判決が出たネパール人男性マイナリさんに対して違憲・不当な拘置決定を行うなど、まったく許しがたい人権無視、部落差別・民族差別の裁判を行っている。このような裁判所の体質が、村木の許すことのできない女性差別犯罪を引き起こしたのだ」と弾劾。
 「こんなやつらが、石川さんを裁くことなど許されない。高橋裁判長は即刻辞任すべきだ。狭山事件の審理をもう一度振り出しに戻して、事実調べからやり直すべきだ」と強く訴えた。
 この後、井橋昌夫中央委員がこの日の要請行動の具体的な内容の提起を行い、さらに参加各団体が闘う決意を表明した。
 昼休みに霞が関をデモ。次いで高裁正門前で怒りのシュプレヒコールをあげた後、二時間にわたる要請行動を闘いぬいた。
 村木事件の追及を恐れる高裁当局は、「裁判所の見解は高裁長官談話のとおり」とか、「裁判官会議で高橋裁判長の監督責任を問わないことが決められた」などという極反動的対応でのりきろうとした。しかし、要請団はこれを断じて許さず、徹底的に追及し、糾弾した。
 また、「これは異議審ですから(事実調べは行わない)」という高橋裁判長の対応は差別そのものであることを糾弾した。
 これまで長く苦しい闘いを経て再審開始と無罪をかちとった免田事件や松山事件、島田事件などは、狭山の異議審と同じである即時抗告審で事実調べが行われ、棄却決定が取り消されて再審が開始されているのだ。狭山事件に限って事実調べを行わないという高橋の対応はまったく部落差別そのものだ。
 要請団はこのことを具体的に突きつけ、高裁・高橋裁判長の事実調べ拒否の対応を徹底弾劾した。
 情勢の緊迫の中で、全国連が主催する七・八狭山中央闘争はいよいよ重大な決戦となった。石川一雄さんの不屈の決起にこたえて異議審棄却攻撃を打ち砕くために、首都を揺るがす闘いに全力で立とう。

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