ZENSHIN 2001/05/28(No2006 p06)

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極右・小泉−ファシスト石原と闘うけしば氏必勝を

「構造改革」とは大リストラ 「痛みに耐えろ」と労働者に犠牲を押しつける小泉

 小泉政権が掲げる「聖域なき構造改革」は労働者階級に何をもたらすのか。大リストラ・大失業−首切りと不安定雇用化、賃下げと大増税、社会保障解体である。小泉は、「今の痛み」に耐えよと強要し、「構造改革」を進めれば景気が回復し「明日はよくなる」という幻想をふりまいているが、それはまったくのペテンだ。そもそも自民党・森派の極右政治家である小泉に、「改革」の能力も思想もない。小泉の「改革」の主張は始めから破産しており、中身は反人民的である。小泉打倒・都議選勝利に立とう。

 「不良債権処理」で倒産激増、100万人の失業増が不可避

 五月七日、小泉は所信表明演説で「聖域なき構造改革」を声高に叫んだ。
 第一は、「構造改革なくして景気回復なし」という「経済・財政の構造改革」。具体的には、@二年から三年以内に不良債権の最終処理を目指す、A二十一世紀の環境にふさわしい競争的な経済システムを作る、B財政の構造改革だ。
 第二は、「行政の構造改革」。特殊法人のゼロベースからの見直し、郵政三事業は二〇〇三年公社化後に民営化を含めて検討することを打ち出した。
 第三は、「社会の構造改革」。これは教育改革、社会保障改革などだ。
 これらが「痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず」というスローガンのもとに打ち出されている。
 小泉は、「非効率な部門の淘汰(とうた)が生じ、社会の中に痛みを伴う事態が生じることもある」と言い放っているが、それは労働者階級に対して「痛み」を強制する大リストラ宣言である。「今の痛みに耐えて明日をよくしようという『米百俵の精神』」などというのは、「欲しがりません、勝つまでは」という戦時のスローガンだ。
 小泉はまた、「これまでは抵抗勢力にひるんで実現できなかった」と言っているが、抵抗勢力とは何よりも労働者階級である。労働者の団結と抵抗、労働組合の闘いに対して敵意をむき出しにして襲いかかろうとしているのだ。
 もし小泉の「構造改革」が実現されると、労働者階級に何をもたらすのか。
 (1)まず、不良債権の最終処理。ニッセイ基礎研究所の試算では、二十二・二兆円の不良債権処理で百三十万人が失業し(二月時点の失業者三百十八万人と合わせて四百四十八万人に)、失業率が一・九ポイント上昇する(二月時点の四・七%から六・六%に)。実際、小泉は「百万人が失業者になってもたいしたことはない」(四月十三日立会演説会)とうそぶいている。
 不良債権処理では、民事再生法などで企業を法的に整理するなどの手法がとられるが、昨年四月施行の民事再生法によって、労働者の全員解雇や選別再雇用、退職金カットなどが強行されている。愛知県の山田紡績はパートを含めて全員解雇。百七人が解雇無効とパートへの退職金支払いを求めて訴訟を起こした。工作機械メーカーの池貝(本社・川崎市)は、五百五十人全員に解雇通告。百二十人は再雇用するが、勤務地や技能、査定、年齢で選別される。退職金は五割カットで、銀行だけが債権をほぼ回収できる見通しだという。こうした訴訟に至ったケースはマスコミで報道されるが、これは氷山の一角でしかない。
 百万人もの失業が家族を含めて数百万人の人びとの生活を破壊し、塗炭の苦しみに陥れるのだ。これに耐えよと言うのが、小泉「改革」の正体なのだ。

 郵政事業民営化やNTT6万人転籍など人員削減加速

 (2)さらに小泉「改革」は郵政民営化や特殊法人の整理、公務員制度改革による公務員首切りなどによって、大失業攻撃の全社会的な貫徹を狙っている。
 総務省・郵政事業庁は、三月末に「郵便新生ビジョン」を策定し、一万二千人余の人員削減計画を提示。小泉政権が郵政民営化の検討を打ち出したのを受けて、約一万四千人に削減幅を拡大した(読売新聞五月十四日夕刊)が、人員削減はこれにとどまらないことは明らかだ。
 小泉は『郵政省解体論』(九四年刊)で、「そもそも、民営化するということはキツイことなんです。働いている人にとってみれば楽はできません。いつ首を切られるかわからない。NTTにしても、民営化したからあれだけの人員削減ができたんです。公社だったらできなかったでしょう」と言っている。民営化とは人員削減=首切りだということを隠そうともしない。
 そのNTTは、東西地域会社の約十一万二千人(三月末現在)の社員のうち六万人以上を今後三年間で削減する大リストラ策を打ち出した。
 地域ごとに通信設備の保守・管理などを担当する子会社を設立し、現在こうした業務を担当している社員と五十一歳以上の全社員は、いったん退職させ子会社に再雇用し、賃金は二〇−三〇%カットする。また、東西地域会社の子会社で電話工事を委託しているNTT−MEグループの約五万人のうち約四万人を新設する地域子会社に転籍させる。東西地域会社の六万人以上と合わせ、実際には十万人もの労働者が転籍などの対象となる。
 さらに、各企業は人員削減計画を次々と打ち出している(別表参照)。小泉の登場によってもっと上積みされようとしている。

 「2、3年の期限付雇用」「解雇ルールの明確化」も検討

 (3)小泉はさらに、「二、三年の期限付き雇用の対象拡大」「解雇ルールの明確化」の検討を厚労省に指示した。小泉は「二、三年の期限付き雇用ができたり、社員の解雇をしやすくしたりすれば、企業はもっと人を雇うことができる」とうそぶいている。終身雇用制を全面的に解体し、正規労働者を首切り自由の使い捨て労働者に置き換えようというのだ。
 現在、期限付きの雇用契約は最長一年が原則で、パートなどの場合、一年以内の契約でも更新を繰り返せば、期限の定めのない雇用と同様に安易に解雇はできない。だが、九八年の労基法改悪で、一部の研究職などに最長三年の契約を導入した。これを全労働者に拡大しようというのだ。
 現在、解雇は、四要件の判例によって事実上制約されている。解雇ルールの明確化とは、これを突き崩し、労働者の抵抗の武器を奪う。連合などは逆に解雇規制法を求めているが、連合内でも電機連合などは、小泉と同様の解雇のルール化を主張しているのだ。
 小泉「構造改革」とは、労働者階級を大失業にたたき込み、低賃金と不安定雇用で搾取を強め、国際競争力の強化、帝国主義間争闘戦に打ち勝つために我慢して働けと強制し、さらに侵略戦争と帝国主義間戦争に駆り立てようというものだ。徹頭徹尾、資本救済のための「改革」だ。
 小泉は「一、二年はマイナス成長になってもいい」とも言っている。要するに小泉の「改革」なるものはペテンであり破産的でしかないが、もしそれが強行されるなら、労働者階級にすさまじい倒産とリストラ、大失業をもたらす実に反人民的な攻撃なのだ。
 労働者の総決起で小泉打倒、都議選勝利を開こう。

 

主な企業の人員削減計画(2000年度末比)
石川島播磨重工業 2003年度末までに連結人員を約3000人削減
川崎重工業 2004年度末までに連結人員を約2000人削減
住友金属工業 2002年度末までにグループ人員を約7400人削減
日産自動車 2002年度末までにグループで2万1000人削減(99年度末比)
三菱自動車工業 2003年度末までにグループで約9500人削減
アイワ 2001年度中にグループで約5000人削減
ケンウッド 2003年度末までにグループで1000人削減
東京電力 2003年度末までにグループで1400人を削減
NTT東西 2万7000人削減(99年7月比)に加え、2003年度末までに6万人以上削減
JR東日本 2005年度末までに本体で1万人削減
ダイエー 2001年度中に本体の正社員を2000人削減
マイカル 2004年2月末までにグループで2700人を削減

 

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