ZENSHIN 2001/05/21(No2005 p06)

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週刊『前進』(2005号1面1)

5・27小泉打倒−都議選勝利へ 全国から東京・芝公園に総力結集しよう!
労働者階級の怒りの総決起で改憲阻止・リストラ攻撃粉砕を
 戦争賛美教科書を採択させるな

 「改革断行」「聖域なき構造改革」の名のもとに、没落帝国主義・日帝の生き残りをかけて、改憲と戦争、倒産と首切り、福祉切り捨ての大攻撃に突入する小泉自民党政権。この日帝・極右小泉政権を労働者階級の怒りの総決起で打倒せよ。その最大の戦場が、都議選−参院選だ。都議選投票日まであと四十日、けしば誠一候補(都政を革新する会)は必勝を期して連日、大奮闘している。だが、激戦を制してけしば候補が勝利するためには、闘う労働者人民の新たな力の集中が絶対に必要だ。求められているのは、小泉反革命の流れを逆転させる必死の蜂起戦だ。街頭宣伝戦、戦闘的大衆運動、支持者獲得・拡大闘争を全力で闘い、必ず当選をかちとろう。

 第1章 「小泉改革」は改憲と戦争と大失業だ

 内外情勢は、革命的情勢への急速な接近を示している。二九年型世界大恐慌の爆発は完全に避けられなくなっており、帝国主義間争闘戦と戦争への動きは日増しに激化している。米帝ブッシュ政権は、アジアの戦争的緊張をつくり出しており、帝国主義の侵略戦争情勢が加速されている。その中で日帝支配階級はこれまでどおりのやり方では階級支配を維持できなくなり、ついに九条改憲を叫ぶ小泉極右政権を生み出した。
 これから歴史が右に行くか左に行くかは、まさに労働者階級の闘いの爆発いかんにかかった。労働者階級の怒りと現状変革を求める巨大なエネルギーが、出口を求めて爆発し始めた。これを猛然と促進し、小泉政権打倒・都議選勝利へ総決起しよう。
 小泉新政権は、九一年以来のバブル経済の大崩壊と恐慌過程への突入、米帝の対日争闘戦の激化と日帝の敗勢、アジア勢力圏化をめぐっての後退、すなわち日帝のすさまじい没落帝国主義化の危機の中で生み出された。森反動政権に対する全人民的な不満と怒りの爆発という日帝・自民党の絶望的な危機の中で、都議選・参院選の強行突破という至上命令のもとに、日帝の中にある最も反動的要素が前面化し、凝縮し、それが自民党全体の危機感を結集し、ついに極右勢力が権力中枢に押し上げられた。
 小泉は「自民党の解体的出直し」とか「自民党を変え、日本を変える」などと現状打破を唱えて総裁選に勝利した。
 だが第一に、つい昨日まで三十年近くも派閥政治の中にどっぷりと浸り、森派会長として腐敗と反動の森政権を基軸的に支えてきた張本人が、小泉なのだ。小泉はまさに〈自民党による自民党のための〉政治支配の反動的立て直しを使命として登場したのである。
 第二に、日帝危機は、絶望的破滅に向かっていよいよ深まった。だからこそ日帝はその体内からかつてない右からの現状打破の凶暴性を噴出させてきたのだ。
 革命党と、闘う労働者人民は、満身の怒りと革命的危機感を燃やして、小泉政権打倒、自民党保守反動政治打破のために全力で決起しなければならない。
 その当面する最大の政治決戦こそ六月都議選決戦である。小泉政権の登場、その反革命的ペテン的な大衆誘導による「八割の高率支持」などという幻想と大反革命を突き破って、けしば候補の当選をかちとろう。
 小泉は、福田赳夫のもとで育った、自民党の中でも極右の系譜を引く極反動政治家である。
 その極反動ぶりは、総裁選から所信表明演説(五月七日)に至る小泉の発言を見ただけでも明らかだ。
 @九条改憲と戦争
 「周辺事態」に対応する集団的自衛権と有事立法の推進を表明し、「命を捨てる自衛隊に敬意をもつ憲法に」と九条改憲を主張。侵略戦争のための動員機関=靖国神社にも「いかなる批判があろうと必ず参拝する」と公言した。「つくる会」教科書への韓国・中国の批判に対して「惑わされることはない」と開き直り、その教科書採択から現場教員を排除するやり方で、戦争賛美教科書を「国定教科書」として全国の子どもたちに押しつけようとしている。さらにSACO貫徹=沖縄基地強化を明言した。
 A倒産と大失業攻撃
 「不良債権を二、三年以内に処理」として中小企業倒産、大量首切り推進を公言。「百万人が失業者になってもたいしたことはない」(四月十三日立会演説会)とうそぶき、郵政民営化と公務員制度改悪による公務員のリストラ・賃下げを明言している。
 B福祉切り捨て、社会保障の解体と大増税
 「年金・医療・介護は自律・自助が基本」「高齢者は金持ち。もっと負担すべき」と叫んで福祉を切り捨て、社会保障制度解体をさらに進めようとしている。
 これらの「改革断行」のために小泉は、極反動的人物を党三役と内閣に集めた。自民党国防族の中心であり、改憲と集団的自衛権が持論の山崎拓を党幹事長に据え、小泉=山崎枢軸で固めたこと、また防衛大出身の元幹部自衛官・中谷元を防衛庁長官に据えた(戦後初めて!)ことは、小泉政権が改憲・戦争内閣であることを示すものである。
 さらに「経済再建のために賃下げと消費税率を一四%に」と主張する御用学者・竹中平蔵を民間から入閣させ経済財政担当相に据えた。また、石原伸晃を行革担当相にし、公務員に対するリストラと賃下げ、労働運動つぶしの攻撃を決定的に強めようとしている。
 重要なことは小泉が五月七日の所信表明演説で、「聖域なき構造改革」によって「競争的な経済システムをつくる」とか「二十一世紀にふさわしい競争政策を確立する」「都市の国際競争力を高める」などと、「競争」=帝国主義間争闘戦をしきりに強調したことである。「今の痛みに耐えて明日を良くしよう」などとも言っている。こうした競争のあおり立ては、日米争闘戦での敗勢という深刻な日帝危機からの脱却と対米対抗力の形成を国家目標にするということだ。それは、日帝の側から日米争闘戦とアジア勢力圏化をめぐる対立を激化させ、朝鮮・中国・アジア侵略戦争と日米戦争すら避けられないものとしていく。
 そもそも今の緊急経済対策(四月六日改定)のように、一切の犠牲を中小企業や労働者人民に押しつけて、帝国主義国家体制と大資本の延命のために日帝の総力を集中するやり方は、日帝が行ってきたあの戦争のやり方そのものではないか! 戦前、日帝政府が、国民に向かって「国難」を強調し「非常時経済政策への協力」を迫ったのと同じやり方なのだ。
 小泉は所信表明で「構造改革を実施する過程で、非効率な部門の淘汰(とうた)が生じ、社会の中に痛みを伴う事態が生じることもある」などとヌケヌケと言っている。それは「日帝国家の存立のために、人民は犠牲になれ。命を捧げよ」と言っていることと同じなのだ!
 もうすでに、三百四十万人もの失業者があふれている。小泉は、「聖域なき構造改革の断行」によって、これをもっと拡大しようとしているのだ(百三十万人増という試算がある)。
 小泉所信表明が行われた七日、NTTは今後三年間で六万人の人員削減(社員半減)、五十一歳以上の社員の賃金二〜三割カットの大リストラ計画を明らかにした。労働者はどうやって生活しろと言うのか。
 日帝ブルジョアジー、小泉政権は、「聖域なき構造改革」「構造改革なくして景気回復なし」などを掲げて、対米争闘戦に勝利するためには米帝以上にアメリカ型社会経済に変えよ、レーガン反革命以来のアメリカ型強搾取社会=労働運動解体の体制をつくれと叫び、ついにそのための本格的攻撃体制をつくり出した。労働者の尊厳と権利、生活を踏みにじる大資本攻勢を全産業で強行し、日帝と大資本が生き延びるために、「改革に伴う痛み」は我慢せよと言っているのだ。
 小泉の「構造改革」とは、まさに日帝国家と独占資本が延命していくために、一切の犠牲を中小零細企業や労働者階級に押しつけるものでしかない。朝鮮・中国・アジアの周辺事態対応↓集団自衛権行使と有事立法体制↓そのための改憲が必要という小泉の改憲論は、対米対抗の独自の戦争国家化路線である。
 小泉の政治は、労働者人民を再び侵略戦争国家づくりと侵略戦争に動員していく戦争政治なのだ!

 第2章 「ミサイル開発」で経済活性叫ぶ石原

 小泉政権の成立は、日帝支配階級内部での極右への権力移行が行われたという意味を持つ。自民党総裁選の過程をとおして、これまで一貫して日帝の権力中枢を握ってきた田中派以来の主流派閥、竹下―橋本派がほぼ最終的に破産を遂げて、その中から、まったく新たな極右勢力が台頭してきたのだ。小泉―石原―中曽根―森の極右ラインが形成された。中曽根などはまるで院政を敷いているかのように振る舞っている。
 こうした中でいよいよ重大化したのが、ファシスト石原との対決である。小泉は自民党内でなお少数派であり、政治的基盤は脆弱(ぜいじゃく)である。だからこそ、ファシスト石原と結託し、一体化し(石原伸晃の入閣を見よ)、その中で権力基盤を強化する方向に向かおうとしている。こうして、日帝権力中枢の中に石原ファシズムが完全にビルトインされるという重大事態が生み出された。このことは、日帝危機が排外主義・国粋主義と戦争へと転化していく過程を決定的に促進する。
 この間の石原の言動を見よ。「首都圏十兆円の大型公共事業を」とか「独自のミサイル防衛を」と叫び、軍需経済化による経済危機突破を叫んでいる。外郭環状道路や放射五号線、圏央道などの大型道路建設や羽田空港再拡張、成田暫定滑走路建設などは、ヒトラーのアウトバーンづくりにも比すべき軍用道路建設、軍事空港建設だ。
 さらに「日本はいま一度、第二次大戦をやって、今度はアメリカを打ち負かすべきだ」などと発言し、中国・北朝鮮に対する戦争挑発の排外主義扇動を繰り返している。そして昨年に続いて、今年も九月一日に「首都防衛」のための大がかりな軍事演習を強行しようとしている。
 小泉と石原のドッキングは、この石原の言っている恐るべき排外主義と戦争、対米対抗の道を、日本帝国主義本体がどんどん突き進んでいくということだ。情勢はきわめて重大である。
 小泉の「改革」路線の本質は、米帝の攻勢によって非和解的に激化している市場と勢力圏をめぐる帝国主義間の再分割戦に、なんとしても生き残ろうという日本帝国主義の絶望的なあがきである。米帝を軸に、米帝と中国、北朝鮮、ロシアがそれぞれの生き残りをかけた激しいパワーポリティクスを展開する中で、アジアの戦争的危機はますます深まっている。日帝は、この情勢に揺さぶられ危機を深めながら、だからこそますます戦争国家化の道に突き進んでいるのだ。

 米帝ブッシュの戦争政策

この間の米帝ブッシュ政権の動きは、アジアにおける戦争の危機を激しくつくり出している。▽沖縄から発進した米海軍EP3電子偵察機の中国軍機との戦争挑発的な接触事件(四月一日)、▽台湾への駆逐艦(四隻)、潜水艦(八隻)などの大型武器売却決定(同二十四日)、▽「台湾が攻撃されたら米軍は台湾防衛のために軍事力を行使する」とのブッシュ発言(同二十五日)、▽大がかりなミサイル防衛計画の発表(五月一日)、▽「二正面作戦」に代わる東アジアでの戦争に主眼を置いた新戦略への転換。▽さらには北朝鮮に対してのKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の枠組みを見直すという恫喝。
 こうした米帝の戦争挑発に、中国は激しく反発し、対抗的な軍事力強化を強めている。また、ロシアは北朝鮮と軍事技術協力協定を結んだ(四月二十七日)。
 米帝はいわゆるアーミテージ報告路線をもってますます日米新安保とガイドライン、そして沖縄基地の戦略的重要性を強調し、沖縄基地増強、名護新基地建設の攻撃を決定的に強めているのである。
 それに対して、日帝・小泉政権は、日米安保ガイドラインの実効性のある本格的な戦争国家化=改憲の強行突破に転じたのだ。東アジアにおける戦争情勢に日帝の体制的死活をかけて積極的=主体的に全力で対応しようとしているのだ。
 レーニンが『帝国主義論』で喝破したような、帝国主義の強盗どもによる争闘戦と世界分割と戦争の過程が、このような形で激しく進行しているのだ。
 まさにアジアは、米日帝による恐るべき侵略戦争前夜情勢にある。このことを見据えて、全力で反撃していかなくてはならない。

 第3章 小泉・石原と闘えるのは けしば候補だ

 六月都議選決戦は、この小泉新政権の改憲・戦争と倒産・大失業、福祉切り捨ての大悪政に対して、日帝打倒の怒りと決断をかけて労働者人民の一大反撃をたたきつける階級決戦だ。
 小泉政権の政治基盤はいまだ脆弱(ぜいじゃく)であり、闘う勢力が真っ向から小泉政権打倒をたたきつけ、階級的反撃を組織して闘い抜くならば、必ず崩壊の危機にたたき込むことができる。小泉政権がたどる道は対外的には、米帝との激突、アジア人民の総反撃への直面、国際的孤立化であり、まさに絶望的な破滅の道でしかないのだ。
 「小泉改革の行き着く先は大失業と戦争だ」「小泉改憲・リストラ内閣を倒そう」というけしば候補の街頭演説は、多くの区民の心をとらえている。けしば候補と都政を革新する会は、戦争と天皇制を賛美する「つくる会」教科書を採択させないために、保護者とともに教育委員会闘争、街頭宣伝を闘い、大きな反響をつくり出している。
 区民とともに「つくる会」教科書採択阻止を闘い、小泉政権および石原ファシストと真正面から対決して闘っている候補は、十二人の候補者のうち、けしば候補ただ一人だ。
 民主党は「小泉さんの構造改革論は民主党も賛成。問題は自民党にそれができるかだ」などと小泉政権にエールを送り、「改革」を競い合い、反労働者的なブルジョア政党としての正体をあらわにしている。
 また日本共産党は、経団連など財界四団体に「意見交換」を呼びかけ、「共産党は大企業の敵ではない」「経済の中で大企業が果たす役割を重視する」(志位、五月九日の経済同友会との会合で)と、恥知らずな転向者ぶりを売り込んでいる。まさに日本共産党は、日帝の危機の中でその最後の番兵として立ち現れ、労働者人民の闘いに真正面から敵対しているのだ。
 民主党や日本共産党の裏切り、反人民性をとことん暴き出して闘おう。
 都議選決戦に総決起し、「腐りきった政治と社会を根底から変革する力は、民衆の立ち上がりにこそある。結局、戦争に行き着くしかない政治と経済の全部をひっくり返そう。今こそ生活と権利を守るために、労働者人民はデモ・ストに立ち上がり、選挙で自民党に断を下し、自民党の悪政を打ち破ろう。その先頭で闘うけしば候補を都議会に送ろう」と熱烈に訴え、小泉への幻想を吹き飛ばして、けしば候補の当選をかちとろう。
 五・二七総決起闘争(主催/反戦共同行動委員会)を、小泉政権打倒・都議選決戦勝利、「教育改革」|改憲攻撃粉砕と沖縄闘争勝利の総決起集会として全力でかちとろう。

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週刊『前進』(2005号1面2)

「阻もう改憲」5・3集会 戦争への道に警鐘
 けしば区議 “教科書採択阻む”

 五十四回目の憲法記念日の五月三日、「戦後五十年を問う八・一五労働者・市民の集い全国統一実行委員会」が主催した「阻もう! 改憲・戦争への道/五・三労働者・市民の集い」に参加しました。
 四月二十六日に発足した小泉内閣は、九条改憲を公言する改憲内閣です。ますます激しくなるであろう改憲攻撃粉砕の闘いにとってこの日の集会はとても大切な集会です。
 主催者あいさつで弁護士の葉山岳夫さんは「小泉内閣は、改憲、有事立法、靖国神社参拝、『つくる会』教科書支持を掲げる超反動内閣だ。改憲と戦争の道を進んでいる。今日の集会の意味は大きい。自衛隊や安保を容認する立場では闘えない」と訴えました。
 続いて「憲法に迫る危機」と題して元学習院大学教授で弁護士の宮島尚史さんが講演。宮島さんは、小泉内閣の性格を「戦前の軍部の考えとナチス・ドイツの考えをミックスしたようなもの」だと話し、「軍部は『国を守る』と言って、天皇だけを守り、沖縄では住民を殺した。ナチスは大衆の心をつかむために、矛盾したことや場所によって違うことを平気で言った」と警戒を呼びかけました。
 続いて「どうなってる!? この日本」と題して、まず桑江テル子さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会)、朴慶南(パクキョンナム)さん(エッセイスト)、西川重則さん(平和遺族会全国連絡会事務局長)の三人がそれぞれ問題提起。その後会場からの質問・意見にこたえながら討論が行われました。
 沖縄から駆けつけた桑江さんは、基地・軍隊が、どんなに沖縄県民の人権や環境を脅かしているかを真剣な表情で話し、@軍隊は住民を守らない、Aどんな差別も許さない、B自立した生き方を、という「沖縄の心」を全国に広げたいと熱を込めて訴えました。
 在日朝鮮人二世の朴さんは「小学生の時、日本の軍国主義が復活するという父の言葉に、あるわけないと思っていた。しかし一昨年のガイドライン関連法、盗聴法で本当に怖いと思い始めた」と話し始めました。そして一九二三年の関東大震災における朝鮮人・中国人虐殺を紹介しながら、相手の立場に立って、想像力と感受性を働かせて、勇気を持って闘っていくことが大切だと訴えました。
 憲法調査会の傍聴を続けている西川さんは、憲法調査会は、改憲を実現するために政治的に発足したものだと弾劾し、いよいよ明文改憲がはっきり見えてきたと警鐘を乱打しました。
 三人の鋭い問題提起に触発されて次々と質問が出され、活発な討論が行われました。それをまとめて鈴木達夫弁護士が改憲阻止を本格的に闘うために無数の学習会が必要だと強調しました。
 都議選を全力で闘っているけしば誠一さんは、杉並での「つくる会」教科書の採択をめぐる緊迫した闘いを報告しました。山田宏区長や石原伸晃衆院議員のもとで、杉並が東京で最大の焦点になっていると話し、教育労働者や保護者・住民たちの運動、在日朝鮮人・中国人とともに、必ず七月採択を阻むと強く訴えました。「つくる会」教科書の採択を阻むためにもけしばさんの当選をかちとりたいと思いました。
 弁護士の高山俊吉さんは、司法改革は改憲や戦争ができる国づくりと連動し、弁護士を国家統制の手先にする攻撃だと弾劾しました。戦前、高山さんの両親が治安維持法で逮捕された時、弁護士が転向を勧めたという話を紹介し、民衆とともに進む、闘う弁護士でなければならないと力強く語りました。
 教育現場や動労千葉からの力強い発言がありました。右翼も押しかけて来たりで、盛りだくさんの集会でしたが、時間がたつのを忘れるくらい充実した集会でした。
 (投稿 水野まこと)

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週刊『前進』(2005号2面1)

小泉「構造改革」うち破り第二の分割・民営化粉砕へ
 闘争団支えるJR本体の決起を

 日帝国家権力は、この五月、国鉄闘争解体攻撃を決定的に強めようとしている。四月十日にJR会社法改定=JR完全民営化法案を国会提出し、六月末の会期末までの成立を狙っている。このような中で登場した小泉新政権は、改憲と戦争、「聖域なき構造改革」と称する大大失業攻撃を加速度的に強める極右政権である。全産業での国家的大リストラを強行するためにも、国鉄分割・民営化攻撃の積み残した最大の問題である千四十七人問題の反動的決着、国鉄闘争の解体に突き進んでくることは明らかだ。JRの第二の分割・民営化を断行しようとしているのだ。これと真っ向から対決し、闘争団とJR本体の国労組合員が総決起することを訴える。

 1047人闘争こそ階級的総反撃の拠点

 小泉政権は、「構造改革を実施する過程で……社会の中に痛みを伴う事態が生じる」(五月七日、所信表明)と言い放っている。その「痛み」を強制されるのは、ほかならぬ労働者階級なのだ。郵政民営化をも叫ぶ小泉政権の登場によって、資本家階級は攻撃を一挙にエスカレートさせようとしている。大リストラを強行した資本だけが生き残れるとばかりに、NTT東西地域会社の人員半減を始めとして次々と大合理化攻撃を打ち出している。大失業攻撃との闘いが、階級決戦として巨大な規模でまき起ころうとしているのだ。
 こうした中で日帝資本は、この階級決戦を圧殺するために、今春闘に対する解体攻撃、労働組合そのものを否定・解体する一大資本攻勢を激化させている。その最先端の攻撃が、機動隊導入による一・二七国労大会での四党合意受諾の強制である。それは国家暴力による国労解体攻撃だ。
 今、国鉄闘争が、この階級決戦の先がけとして発展するのか否かが問われている。一大資本攻勢との階級的激突の深まりは、国鉄闘争の発展の条件を拡大している。千四十七人という最大の解雇撤回闘争が、労働者階級全体とより深く結びついて発展する時代が到来したのだ。千四十七人闘争の一角を占める動労千葉の百二十時間ストライキの爆発と労働者人民の圧倒的共感は、国鉄闘争の発展の方向を提示している。
 四党合意による反動的決着を拒否し、「解雇撤回・地元JR復帰」「JRに法的責任あり」「政府・JRは国家的不当労働行為の責任をとれ」などの要求を不屈に貫く闘争団の闘いこそが正義である。国労の旗と組織を守るだけでなく、それをとおして労働者階級の総反撃の拠点となることができる。その時に国労そのものも大きく発展する展望が開かれるのだ。

 ニューフロンティア21の核心は国労解体

 JR本州三社の完全民営化に向けたJR東日本の「ニューフロンティア21」を始めとする大合理化=第二の分割・民営化攻撃こそは、今日の一大資本攻勢の最先端の攻撃だ。
 ニューフロンティア21の結論は、「これらの改革には、当然のことながら多くの困難や痛みをともなう」が「社員一人ひとりが……目標を達成するために」「貢献」しろ、というものだ。労働者は「痛み」を進んで受け入れろというのが、今や小泉政権による国家的大号令となったのだ。
 すでにJR東は、シニア制度で、六十歳定年後に関連会社への試験による選別再雇用という最悪の制度をスタートさせ、今年度には設備部門、検修・構内業務の外注化を強行しようとしている。ニューフロンティア21は、これらを核心的攻撃としてJR東の本体から一万人を削減する大攻撃だ。NTTや郵政の例を見るなら、人員削減の上積みは不可避だ。
 それはまた、鉄道会社としてのあり方を一変させ、保守部門の全面外注化で安全に一切責任を持たない会社になる。「株主価値重視経営」の名のもとに、駅空間を利用した金もうけなどが最優先される。ニューフロンティア21がグループ全体の経営構想となっているのは、連結決算の導入に対応したものだが、さらに時価会計の導入は、「完全民営化」=政府保有の全株放出が日帝経済の恐慌の再激化を引き起こさずにはおかない情勢の中で行われようとしている。このことに危機感を深め、資本としての生き残りをかけて労働者への搾取を強め、利潤を確保しようというのである。
 だが、十四年間の国鉄分割・民営化体制、JR資本とJR総連カクマルの結託によるJR体制の破綻(はたん)の上に、しかも国労・動労千葉解体という国鉄分割・民営化攻撃の最大の狙いを完遂できないままに強行せざるを得ない。始めから破綻的である。
 JR東資本は結局、JR総連・東労組(カクマル)をあらためて資本の先兵として徹底的に屈服させ、国労や動労千葉を解体して、徹底して労働者に犠牲転嫁するしかない。国労・動労千葉解体こそ、JR完全民営化|ニューフロンティア21=第二の分割・民営化攻撃の核心である。
 今やJR本体の国労・動労千葉の組合員が闘争団・千四十七人と一体となって、この攻撃に総反撃しなければならない。とりわけ設備部門の全面外注化による国労解体攻撃に対して、自らの生活と国労の組織の存亡をかけて立ち上がらなければならない。必死に闘う国労の旗を守りぬいて闘っている闘争団とともにJR本体組合員が総決起すべき根拠がここにある。
 だが、国労中央|高嶋・寺内執行部やチャレンジ一派、革同一派は、このようなJR完全民営化|ニューフロンティア21=第二の分割・民営化の攻撃に全面屈服している。

 「完全民営化」に屈服する国労本部許すな

 四月十日付の国労本部の「『完全民営化』法案に対する国労の見解」は、ひたすら四党合意による「解決」を政府に哀願し、完全民営化の矛盾点を指摘しつつも基本的にそれを容認し、完全民営化の中で「正常な労使関係」を求めるという屈服ぶりをあらわにした。
 国労東日本本部のチャレンジ一派、革同一派は、東日本鉄産労(グリーンユニオンと統合)との四月十六日からの統一行動で、「私たちは、この法案が成立し、JR本州三社の完全民営化が実施されることを期待しています」などという連名のビラを配布した。「革マル派問題の解決」を口実に、JR完全民営化推進、JR連合との合体路線を公然と突き進んでいる。
 身も心も政府権力、資本に売り渡した国労中央は、四党合意による国労解体攻撃に屈し、訴訟取り下げから闘争団切り捨てのゼロ解決の丸のみへと決定的に踏み込み、全国労組合員を敵に差し出そうとしている。
 四月十二日付「指示二八号」は、闘う闘争団の行動を「解決を阻害する『反組織的行動』」と決めつけ、統制処分をちらつかせ、それに組合員も支援も一切参加するなと恫喝している。
 訴訟取り下げ策動に対し四月二十六日に闘争団員二百十二人が最高裁に訴訟参加の手続きをとったことに対しても、直ちに「極めて遺憾」との見解を出した。
 さらに東京地本の某幹部は、闘う闘争団に対して「八カ月に及ぶ混乱を経て決められた方針に対して本部を信用できないとの理由で混乱を持ち込むなら国労を出てくれ」というメールを送りつけている。だが機動隊まで導入し、国労に「混乱を持ち込んだ」のはいったい誰なのか。国労本部と東京地本執行部ではないか。そんな連中を信用できるというのか。
 「解雇撤回・地元JR復帰」を掲げて闘うことが「解決を阻害する」というのなら、そんな「解決」など闘争団の要求とは百パーセント相反するゼロ解決ということだ。こんなものはぶっ飛ばすことこそ正義だ。
 闘う闘争団を先頭とするこの間の反転攻勢の地平に圧倒的に確信を持ち、JR完全民営化|第二の分割・民営化攻撃粉砕へ五月国鉄闘争の大攻勢に立とう。

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週刊『前進』(2005号2面2)

メーデー 解雇・リストラへの怒り
 国際連帯を裏切る連合

 今年のメーデーは、連合が初めて中央大会を四月末に移し、労働者階級の国際連帯に背を向けるという重大な裏切りの中で闘われた。労働者階級はこれに抗して、全国で力強くメーデーを貫徹した。
 中核派や労組交流センターは、カクマルの敵対を粉砕して各会場で「小泉政権打倒」「動労千葉のストに続き闘う労働運動の再生を」と訴える大宣伝を展開し、圧倒的共感を呼んだ。
 ●連合系は、四月二十八日、代々木公園B地区でメーデー中央大会を開き十万人が集まった。連合中央は許しがたいことにメーデーに小泉首相を招き、小泉は「改革を断行しなければ日本は沈没する」などと発言した。鷲尾悦也連合会長も「連合は痛みの伴う改革を否定しない」と述べて、これに応じた。
 だが、参加した労働者は「改憲NO」「成果主義賃金反対」「NOと言える労働組合」などのプラカードを掲げ、デモを貫徹した。
 会場にこそこそと現われたカクマルは労働者から見向きもされず意気消沈し、JR総連も精彩のない真っ暗な表情で会場の隅にたたずんでいるだけだった。
 ●全労協系の日比谷メーデーは、五月一日、日比谷野外音楽堂からあふれる二万人の参加で開催された。
 南朝鮮・韓国の全国金属産業労働組合連盟仁川本部組織部長で大宇(テウ)自動車共同闘争本部の陽鶴龍(ヤンハギョン)さんが、労働歌謡のメンバーとともに駆けつけた。陽さんは、千七百五十人の大量整理解雇の撤回を求めて警察権力の襲撃と激突し血を流して闘う大宇自動車労組の闘いを感動的に報告し、「責任は金大中政権そのものにある。首切りのない社会をつくるために頑張りたい」と訴えた。「千四十七人が解雇されて闘い続けていることを聞いている」と国鉄闘争にも触れ、「日本と韓国の労働者が連帯して新自由主義を粉砕するためにともに闘おう」と訴え、日本語で「万国の労働者団結せよ!」と呼びかけた。集会の第二部では、韓国挺身隊問題対策協議会が「つくる会」教科書を糾弾した。
 主催者あいさつを行った酒田充国労東京委員長に対しては、「裏切り者」「恥を知れ」など、四党合意強行の先頭に立ったことに激しいヤジが浴びせられた。
 一方、矢沢賢都労連委員長は、「労働者精神にふさわしいメーデーだ。その象徴が国労解雇撤回闘争だ」と訴え、東交労働者が都電撤去反対闘争で解雇された時に、当時の東交指導部が被解雇者を除名処分にしたが最終的に東交指導部のもとに解雇は撤回された例を引いて、国労本部の闘争団切り捨て策動を暗に批判。「国労の皆さん、闘争団のために頑張って下さい。闘争団の皆さん、国労とともに頑張って下さい。あなた方の闘いは、すべての労働者の誇りだ」と訴えた。
 東京闘争団の労働者は、「解雇撤回・JR復帰まで闘う」と決意を表明した。
 「JRに責任あり! 闘争団ガンバレ」「侵略戦争を賛美する歴史教科書反対」「石原の外国人差別発言弾劾」などと書かれた横断幕が目立った。
 ●東京地公労系の「メーデー実行委員会」は五月一日、明治公園で二〇〇一年東京メーデーを開き、一万四千人の公務員労働者が結集した。「やはりメーデーは五月一日だ。闘いの歴史と伝統、権利を守ろう」という思いで、自治労東京傘下の区職、都庁職、東京清掃のほか東交、東水労、東京教組などの労働者が集まった。
 「公務員制度改悪粉砕」と記した横断幕やプラカードが林立し、教育労働者は「教え子を再び戦場に送るな」の横断幕を掲げた。集会後、二コースに分かれてのデモが行われた。
 ●全労連系は五月一日、代々木公園で中央メーデーを開き約八万人が参加。
 闘いを求める労働者を前に、日本共産党の志位和夫委員長は「小泉氏は自民党政治を変える中身を何ひとつ持っていない」とあいさつし、小林洋二全労連議長も「小泉内閣は国民のための改革をやろうとしているのか」などと述べ、極右小泉政権への屈服と武装解除を説いた。「資本主義の枠内での民主的改革」路線の反革命性が示された。
 賃下げ・リストラ・解雇に反撃する闘う労働運動の新潮流が求められている。

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週刊『前進』(2005号2面3)

労働運動再生へ交流 中野動労千葉委員長著書の出版祝い

 四月二十八日、中野洋動労千葉委員長の著書『戦後労働運動の軌跡と国鉄闘争』の出版記念パーティーが東京・亀戸文化センターで開かれ、約百人が集まり交流を深めた。
 本書は昨年九月一日発刊で、七・一国労臨時大会において四党合意受け入れを阻止した画期的闘いをふまえ、戦後労働運動の総括と国鉄闘争の勝利の展望を示したものだ。以来八カ月、一・二七続開大会での四党合意受諾強行を経て国鉄闘争が新たな激突情勢に突入した中で、立場の違いを超えた労働運動指導者らが“闘う労働運動の再生゜を一致点に一堂に会した。
 元動労総連合委員長で勝浦市議の水野正美さんが進行役を務めた。呼びかけ人からまず佐藤昭夫早大名誉教授が、「歴史を知らないと現在も将来も理解することはできない。この本は現在の国鉄闘争に焦点を当ててどうすべきかを明らかにした。学ぶところが多い」と本書をたたえた。そして「千四十七名闘争は国労、全動労、動労千葉がかかわっている。大きく包んで運動を広げたい。国労本部は四党合意を受け入れ、訴訟を取り下ろす可能性が強い。本部が国労の旗と伝統を投げ捨ててもわれわれが闘うんだと、闘争団の二百余名が訴訟参加を申し立てた。一層運動を大きくしよう」と訴えた。
 次に東京東部労組の足立実さんが、「戦後労働運動の総括は、先輩が闘った階級闘争から何を堅持し何を克服するか、労働運動が勝利するために、どうしてもやらなければならない重要な作業だ。この本は、実践家の総括、論点で書いた本だ。語り言葉で書かれて読みやすい。労働者は本を読むのが苦手だが、無学を誇っていい理由はない。たくさんの労働者に読んでほしい」と述べた。
 元千葉県高教組委員長の横堀正一さんが、「国鉄闘争を始め労働運動を再建する運動や教育基本法問題など、この著書を契機になお一層スクラムを組んで闘いたい」と語った。
 著者の中野委員長は、「私のパーティーを利用して交流を深められれば幸いだ」と謝意を表すとともに、次のように訴えた。
 「この本は、ともに闘ってきた動労千葉組合員や無数の労働者がつくった。国鉄闘争は歴史的にも大きな役割を果たしている。国鉄闘争の勝利をとおして日本労働運動を再生したい。このことを動労千葉の組合員や国労組合員にわかってほしかった。小泉内閣は、極右ファシスト的な内閣だ。労働者が街頭に出てデモ、ストをやり、政権をぶっ倒すべきだ。新しい潮流をつくって迎え撃たなければならない。国労本部の四党合意を受け入れる連中をぶっ飛ばさなければならない。そういう思いで百二十時間ストをやった。今こそ労働者は団結すべきだ。激動下で闘い抜くために私の本が役立てばうれしい」
 動労千葉顧問弁護団の葉山岳夫弁護士が乾杯の音頭をとり、元動労本部書記長で船橋市議の中江昌夫さん、国労闘争団の労働者や国鉄闘争を支援する多くの労働組合代表らからのあいさつが続いた。全日建運輸連帯関西地区生コン支部の武建一委員長や全国金属機械港合同田中機械支部の大和田幸治委員長からのメッセージが紹介された。
 これらにこたえ、動労千葉の田中康宏書記長が「戦後、歴史に残る闘争がたくさんあるが、つぶされてきた。こんな歴史を繰り返してはならない。国鉄闘争は大変な局面だが、私たちも千四十七名の一員として責任をもって担いたい」と決意表明した。 (大沢 康)

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週刊『前進』(2005号2面4)

“裁判勝利、職場復帰を” 全逓4・28反処分集会 「郵便新生」に怒り

 全逓の反マル生越年闘争に対して一九七九年四月二十八日に強行された懲戒免職五十八人、解雇三人などの大量不当処分から丸二十二年を迎える四月二十七日、全逓四・二八連絡会は、「不当処分二十二カ年糾弾! 四・二八反処分総決起集会」を東京・南部労政会館に百二十人の全逓労働者らを集めて開催した。
 四・二八連絡会の代表が「小泉が首相になり、民営化の論議が出ている。反処分闘争を全逓は九〇年八・二二文書で清算したが、連絡会を結成して十年間闘ってきた。二十一世紀になお元気に闘い続けている。公社化に向けての闘いの重要な柱が四・二八闘争だ」と訴えて始まった。
 争議団などからの連帯あいさつがあり、赤羽局共に闘う会の被免職者は、朝の局への団交要求の闘い、昼の総務省への申し入れ行動を報告し、連絡会とともに処分撤回まで闘う決意を表明した。
 四・二八裁判は、被免職者の本人尋問が五月で終わり、処分当時の東京郵政局人事部長と全逓の石井委員長の証人調べに入る。弁護団からは「全逓本部の取り下ろしで二年間中断したが、それから十年間闘ってきた。狙い撃ち的処分であることを明らかにして勝利する」との報告があった。
 基調提起を被免職者の神矢さん(大崎局)が行い、「裁判闘争に全力を上げるとともに、不当なものは不当だと言い続け、郵政当局に解決の決断を迫る闘いを展開しよう」と方針を提起した。大崎局当局が全逓東京みなみ支部に「組合員に毅然(きぜん)たる指導を」と申し入れ、全逓本部が「組合員資格を回復した以上、四・二八闘争終結という大会決定に従え」と排除策動を強めていることを明らかにし、これを許さず闘うことを確認した。
 また、郵便新生ビジョンによる大合理化攻撃を具体的に明らかにし、「不当処分以来、闘う全逓労働者の合言葉は『反合・反マル生・反処分』だった。今の時代に生きた普遍のスローガンだ。職場労働条件も、労働組合も、現場の手に取り戻そう」と訴えた。
 決意表明では、「精神障害者」差別による分限免職と闘う兵庫・芦屋局の高見さんが、「去年、最高裁で上告を棄却され、再審を求めている。職場闘争の力で高見闘争を支える労働組合にしよう」と訴えた。
 また、全国から集まった全逓労働者が、「強制配転に反対する会をつくって近畿郵政局闘争を闘っている」「闘う国労闘争団と連帯して郵政民営化を粉砕する」「郵便新生ビジョン粉砕へ、全国大会に向けて、労働者を売り渡す中央本部を打倒しよう」「新生ビジョンは、連合全逓中央の協力なしには成り立たない。連合全逓を打倒し、日本労働運動を再生させる闘いに」と、次々と発言した。
 人事交流で飛ばされた職場から新しい仲間を連れて参加した労働者もいる。人事交流や人員削減攻撃への怒りが、四・二八陣形の新たな広がりをつくり出していることを実感させた。
 これを受けて、被免職者の徳差さん(向島局)が、「現場の実力的闘いと支部内外の闘いで絶対に職場に戻る」と決意表明。神矢さんが再び立ち、「この一年が大事な闘いだ。裁判に勝って、何があっても職場に戻る。職場に戻り、マル生、不当処分を謝罪させ、今の労使関係を覆して職場労働者とともに闘う」と力強く訴えた。
 この集会に先立って、四・二八連絡会は、午後の大崎局前闘争を闘った。
 全国労組交流センター全逓労働者部会は、午前中に総会を開いた。基調では、極右・小泉新政権の登場によって、郵政民営化攻撃との闘いが重大な階級決戦となったことを確認した。また、一万人から数万人の削減を狙う郵便事業新生ビジョンが「十七年ぶりの抜本的改革」と言われていることから、十七年前の合理化から今日までの当局との攻防を振り返り、当局の労働者支配の破綻(はたん)の結果が今回の新生ビジョンであること、事業危機とは労働者支配の危機であること、当局、資本、労働貴族の癒着と利権構造が事業危機の元凶であることを暴き、連合全逓中央を打倒し郵便新生ビジョン|郵政公社化|民営化攻撃を打ち破る展望を明らかにした。
 そして、六月全逓全国大会闘争と都議選闘争を全力で闘う決意を固め合った。

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週刊『前進』(2005号2面5)

資本攻勢&労働日誌 4月17日〜28日
 ●いすず川崎工場が閉鎖に
 ●求人倍率3ヵ月連毒悪化
 ●連合メーデーに小泉出席
 1年以上失業最悪に 労働力特別調査

●17日 予備校に勤務する女性が産休と育児時間を欠勤扱いにされ一時金が支払われなかったとして裁判で争っていた事件で、東京高裁は一審判決を支持、予備校側に126万円余りの支払いを命じた。
●18日 トラック大手のいすゞ自動車は、大型トラック生産拠点の川崎工場(川崎市川崎区、約2100人)の閉鎖について最終調整していることを明らかにした。
◇札幌の特別養護老人ホームで、介護保険導入による経営不安を理由に賃金削減を強行しようとしている法人側に対し、職員労組はストライキを行った。
◇求人・採用時の年齢制限廃止を企業の努力規定にすることなどを柱とする「再就職促進関連一括法」が成立した。一部を除き10月1日から施行される。リストラ促進の雇用流動化策の一環。
●20日 日立造船は、主力の有明工場で実施している従業員の賃金削減を、この5月から本社や他工場の造船部門全体に拡大する。この結果、削減の対象は従来の2倍の約2200人となる。(日経)
◇郵政事業庁の足立長官は10日の記者会見で「相当突っ込んだことをやらなければ」と発言。14万人の郵便職員を1万人以上減らす狙いとみられる。(日経)
◇産労総合研究所が発表した2001年初任給の決定動向に関する調査結果によると、初任給の引き上げを「凍結する」と答えた企業は63.3%で3年ぶりに減少したものの、「引き上げる」と答えた企業(30.9%)を依然大きく上回っていることが明らかに。
●25日 日経連は、全国中小企業の春闘回答状況をまとめた。調査対象の25.7%に当たる198社で回答が出されており、回答額平均は4643円、アップ率は1.77%。昨年実績比では金額で23円減少、率で0.02ポイントのマイナスだ。
●26日 国際通貨基金(IMF)発表の「世界経済見通し」によると日本の失業率は2001年は5.3%、2002年は5.2%と悪化予測。
●27日 総務省発表の3月労働力調査では、完全失業率は前月から横ばいの4.7%。厚労省発表の3月の職業紹介状況では、有効求人倍率は前月から0.03ポイント減の0.61倍で3カ月連続の悪化。同日発表の2000年度平均の完全失業率は最悪だった前年度と同じ4.7%。
◇総務省発表の労働力特別調査によると、失業期間が1年以上におよぶ完全失業者数は83万人で過去最悪を記録した。(要旨別掲)
◇「セガ」のリストラ方針に応じず、“隔離部屋゜勤務を強制されているJMIUセガ分会の組合員17人が、会社による嫌がらせは無効として東京地裁に提訴。
●28日 連合メーデーの中央大会が東京の代々木公園で開かれ、26日に就任したばかりの小泉首相が出席した。首相の出席は96年の橋本首相以来5年ぶり。

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週刊『前進』(2005号3面1)

戦争・改憲・有事立法の危険極まる小泉自民党 就任会見・所信表明で本性暴露
 「痛みを伴う改革」とは大リストラと福祉破壊
 日帝危機で登場した極右政権

 森内閣が圧倒的な労働者人民の怒りの中で退陣し、「自民党を変える。日本を変える」「構造改革なくして景気回復なし」と幻想をあおり立てた小泉が自民党総裁に選出され、極右小泉政権が登場した。小泉政権は、日帝支配の危機の中で、改憲・戦争へと突進するために登場した。小泉が掲げる“構造改革゜とは大失業、大増税であり、福祉切り捨てである。それは戦争国家体制の確立のために、経済、社会、政治・行政のあらゆる面で日本を根本的に転換させようとする攻撃だ。小泉政権を許すことは改憲と戦争を許すということである。都議選決戦になんとしても勝利し、極右小泉政権打倒へ猛然と決起していこう。

 集団的自衛権・靖国参拝・9条改憲公言

 小泉政権は第一に、改憲・戦争内閣である。
 改憲と集団的自衛権行使は小泉の持論であり、自民党総裁選の過程でも、就任の記者会見でも公然と主張した。「周辺事態で米軍が攻撃されたときに黙って見ていられるのか」と集団的自衛権を明言し、靖国神社公式参拝についても繰り返し公言している。
 五月七日の衆参両院本会議での所信表明演説では「改憲」という言葉は使っていないが、改憲を狙っていることは明確に出ている。首相公選制について「早急に具体案を提示する」としていることだ。憲法第九条の改憲には八割近くの人が反対しており、それを真正面から主張すると改憲はできないから、首相公選制を前面に出して九条改憲の突破口にしようとしているのだ。首相公選制自身が首相に独裁的権限を集中しようというものであって、戦争体制の構築に向けたものにほかならない。
 小泉は、有事立法の制定についても公然と打ち出した。周辺事態法=新ガイドライン関連法とこの有事立法、土地収用法の改悪が一体となることによって戦前のような国家総動員体制がつくられようとしているのである。さらに教育改革関連法によって奉仕活動の義務化を狙い、徴兵制への攻撃を一挙に強めている。
 こうした改憲=戦争体制構築の一環として、小泉は教育基本法の改悪を宣言している。「日本人としての誇り」「新たな国づくりを担う人材を育てるための教育改革」として、教育の反動化を狙っている。小泉は、「新しい歴史教科書をつくる会」の侵略戦争を賛美する教科書に中国や南北朝鮮を始めアジア各国で抗議が沸き上がっていることに対して、「内政干渉だ」「惑わされることはない」と公言した。小泉は韓国政府の再修正の要求も拒否して「つくる会」教科書採択を強行しようとしている。
 すでに各自治体で現場の教師の意見を排除して教育委員会の独断で「つくる会」教科書を採択しようとする攻撃が強められており、実際にこの教科書が使われるという事態に突入しようとしている。絶対にこの攻撃を許してはならない。「つくる会」教科書の採択を全力で阻止しよう。
 戦争政策の推進ということで特徴的なことは、沖縄米軍基地の強化を真っ向から打ち出したことだ。特に普天間基地の名護移設の強行を主張している。「日米安保体制が、より有効に機能するように努める」として米軍基地を強化しようとしている。それを「沖縄県民の負担を軽減する」などと言っていることは絶対に許せるものではない。
 小泉政権が、猛然と改憲と戦争に向かっている根底には日帝のすさまじい体制的危機がある。世界大恐慌の爆発はもはや避けられない中で、経済危機の戦争への転化とそのための戦争国家体制の確立を目指して凶暴な攻撃にでてきているのだ。石原都知事が言う「再びアメリカと戦争をして勝つ」体制をつくろうということなのだ。中曽根、森、石原が一体となって小泉を支えているのも重大事態である。
 小泉政権を許していたら本当に戦争になる。労働者人民の怒りの決起で、なんとしても小泉政権を倒さなければならないのだ。

 「聖域なき構造改革」唱え大失業と大増税

 第二に、小泉が掲げる「聖域なき構造改革」「構造改革なくして景気回復なし」というスローガンは大リストラと大増税である。
 所信表明演説の中で小泉は、「痛みを恐れず」とか「社会の中に痛みを伴う」と繰り返している。それは、「痛みをがまんせよ」「大量首切りと大失業、大増税を受け入れよ」ということである。こうした小泉「改革」で景気が良くなることはありえない。むしろ景気がさらに悪くなる。その上で、大資本の生き残りのために労働者民衆に犠牲を押しつけようとしているのだ。これこそが小泉「改革」の狙いなのだ。
 小泉が打ち出している経済の「改革」は不良債権の処理と「競争的な経済システムを作る」ことである。
 一九九八年の小渕内閣の時以来二十六・五兆円の公的資金を銀行に資本注入して何十兆円かの不良債権の処理を行った。恐慌の進展で新たに百五十万人が失業して、失業者は三百五十万人になり、失業率は五%へと上がってしまった。小泉はこれをさらに大規模にやろうとしているのだ。金融庁は不良債権が四十八兆円あると言っている。不良債権予備軍は百三兆円ある。その処理のために四十兆円の公的資金の投入が必要だと公然と言われている。それは何百万人という失業者を新たに生み出すのだ。こんなことが許せるか。
 「競争的な経済システムを作る」ということも、競争力のない企業はどんどんつぶしてしまうということだ。所信表明演説では「非効率な部門の淘汰」と主張している。それによって大量の労働者が失業に追いやられていくのだ。
 なぜ、借金を抱えながらもなんとかやっている中小企業をたたきつぶそうとしているのか。それは、所信表明演説の中で「公正取引委員会の改革」をうたっていることに示されている。「競争的な経済システム」とは、実は資本の独占体制の強化のことだ。米帝や欧州帝との争闘戦に勝ち抜くために「地球規模での競争時代」と押し出し、巨大独占体制をつくろうとしているのだ。
 小泉は、さらに財政改革を打ち出した。「国債発行を三十兆円以下に抑える」とか「財政バランスを実現」と言っているが、その一方では不良債権処理のために銀行にはばく大な資金を投入するのである。その裏に隠されているのは大増税である。消費税を一三%にすることが必要だと公然と言われており、消費税一四%が持論の竹中平蔵を経済財政担当相にすえたのもそのためである。
 さらに行政改革では、特殊法人を「ゼロベースから見直し」と、不必要と判断した特殊法人はつぶし、必要なものでも民間に移行させようとしている。小泉は持論としてきた郵政民営化も打ち出した。その過程で膨大な労働者が首を切られようとしている。「IT国家実現」では、さらに六万人のNTT労働者が職を奪われようとしているのだ。
 この小泉政権の攻撃を許すのか否か、まさに労働者階級の生死をかけた決戦が訪れているのである。小泉の攻撃に対して労働者人民が黙って屈することなどありえない。労働者人民の怒りの爆発の先頭に立って全力で決起しよう。

 「小泉と石原倒せ」を選挙闘争の合言葉に

 小泉政権は第三に、社会保障解体内閣である。
 所信表明演説には「福祉」という言葉が一言も出てこない。代わって、「これからは『給付は厚く、負担は軽く』というわけにはいきません」と福祉切り捨てを公言した。そもそも小泉は、介護保険制度を強行した時の厚生大臣なのだ。
 所信表明では「自助と自律の精神」を強調している。「政府は義務を放棄するから、自分の金で解決しろ」ということなのだ。さらに「世代間の均衡」ということが言われている。この言葉は、高齢者があたかも若い世代の負担になっているかのように言いなして、医療や介護での高齢者の自己負担を一層増やそうということである。
 労働者民衆に戦争と大リストラを強制する小泉政権は一刻も早く打倒する以外にない。戦争体制構築に向かって一体化する小泉と石原の連合を許すな。
 そのための重大な政治選択の場が都議選である。「小泉改革」への幻想を吹き飛ばし、「小泉と石原倒せ」を合言葉に都議選、参院選の勝利をかちとろう。自民党を全員落とせ。労働者民衆とともに歩み、ともに闘うけしば誠一氏こそ、労働者民衆の未来を切り開く政治家だ。けしば誠一候補の当選をかちとり、小泉政権を打倒しよう。

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週刊『前進』(2005号3面2)

教育改革関連法案阻止を
奉仕活動義務化は徴兵制の道 「不適格教員」免職攻撃許すな

 今国会に提出された教育改革関連法案のうち、「子どもゆめ基金」を創設し、体験学習を支援するという名目で奉仕活動を推進する独立行政法人公立オリンピック記念青少年総合センター法改悪は日本共産党も賛成し成立した。また差別・選別を強化し、教育労働者の不安定雇用化を促進する義務教育定数標準法改悪も成立した。
 教育改革関連法の核心となる@徴兵制への道=奉仕活動の義務化、A「問題児童・生徒」の出席停止措置、習熟度別学習、B「不適格教員」免職制度などを導入するための学校教育法、社会教育法、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)の改悪案が、これから衆院で審議が開始される。さらに国立学校設置法改悪案も提出されようとしている。
 改憲と戦争と大リストラの小泉超反動内閣との最初の激突が教育決戦である。国会闘争へ決起しよう。

 地方教育行政法改悪の狙い

 今回は特に、地方教育行政法の改悪による「不適格教員」免職制度の問題に絞って暴露・弾劾したい。
 「不適格教員」免職制度は、「児童・生徒に対する指導が不適切」「研修等の措置を講じてもなお指導が適切に行えない」という要件を満たせば教員を免職にできるというものであり、首切り法案だ。
 地方公務員法二七条が本人の意に反する降任・免職を「法律に定める事由」に限定しているのは、公務員が「国民全体の奉仕者」として職務を遂行できるよう、当局の恣意的な処分に枠をはめるためだ。
 また教育基本法は、六条で「主権者育成」という教員の職務遂行の観点から「身分の尊重」をうたい、一〇条で教育内容への行政の介入を「不当な支配」として禁じている。
 この制度は、教育行政が児童・生徒への指導内容・方法を一方的に「不適切」と決めつけ、あいまいな理由で無際限な裁量による免職を可能にするものである。教育基本法一〇条の解体であり、「公務員制度改革」の先取りである。
 これは、「日の丸・君が代」に反対している教師、「教え子を再び戦場に送るな」と闘っている教師など文部科学省にとって「好ましくない」教師を免職にし、学校から追放し、日教組をつぶす反動法案だ。
 さらに「不適格教員」免職制度は、あらゆる教員に襲いかかっていく。「つくる会」教科書を受け入れない教員が「不適格教員」とされるのだ。良心ある教師はこんな教科書を受け入れるはずがない。
 ところが、歴史の真実を伝える授業が「教科書使用義務の違反」にされかねない。別のプリントなどを使って軍隊慰安婦問題をとりあげれば、「保護者の苦情」をデッチあげ「指導が不適切」などという烙印(らくいん)を押されかねないのだ。
 日帝は、「つくる会」教科書を採択させて学校教科書を侵略賛美の教科書に変えるだけではなく、学校から侵略と戦争に反対の立場を貫く教師を追放し、日教組を解体し、戦争賛美の「聖職教師」に総入れ替えしようとしている。
 これがこの教員首切り法案の狙いであり、それは教育基本法改悪・改憲、戦争国家化の道だ。
 法案では、「不適格教員」の認定手続きは、都道府県教育委員会規則で定めるとし、文部科学省は認定基準・方法のガイドラインを通知で示すという。

 研修所送りは人活センター

 「不適格教員」への対策は東京都が一番先行している。都では、「指導力不足等教員」の認定を人事考課(勤務評定)制度とリンクしている。五段階評価の下位にランクされた教育労働者を、高校の場合は校長が「指導力不足等教員」と申請(小中学校は校長の調書に基づいて教育委員会が申請)し、都教委の判定会が一方的に認定するシステムになっている。
 認定された教育労働者は研修所に送り込まれ、「指導力ステップアップ研修」を受けさせられる。「ステップアップ研修」とは、校長や教育委員会に忠誠を誓わせる「思想改造=転向強要」だ。それに応じないと「分限免職」するというものだ。研修所はまさに教育労働者版の「人活センター」なのだ。
 さらに東京都では、懲戒処分者全員を現場から外し、研修を義務づける「服務事故再発防止研修」と称する新たな制度をつくった。戒告以上の処分を受けた教職員に説諭・訓話のあと反省文を書かせ、校長の「保護監察」下に置き、反省しなければさらに必要な措置をとるというものだ。まさに懲罰研修・思想改造研修そのものであり、二重処罰だ。
 この攻撃は国立市での教育労働者への攻撃の中ですでに始まっている。「日の丸・君が代」に反対し、子どもたちを主体にした卒業式・入学式を行ってきた十七人の労働者が不当処分された。その労働者の一人が研修所に送り込まれたのだ。これを許すなら、これがすべての教育労働者の明日の姿になる。
 さらに平和教育の内容を理由に、一方的に研修所に送り込まれた例がある。
 東京の教育労働者で米軍沖縄基地問題を考えるために、普天間基地のビデオ(NHK製作)を見せたことが、保護者によって教育委員会に通報され、二度の処分の上、研修所に送られ、長期研修を強制されている。この攻撃には産経新聞や右翼都議会議員が加わり、懲戒解雇にしろなどというふざけた攻撃を加えている。まったく許しがたいことである。
 敵は平和教育を攻撃している。米軍の沖縄基地の現実を問題にすることが許せないというのだ。基地の現実を教えることこそが沖縄問題を教え、平和を教える社会科の教育ではないか。
 この法案はこうしたデタラメな理由で研修所に送られた教育労働者を免職にしてしまうウルトラ反動法案である。
 こんな憲法や教育基本法を踏みにじる法案が通ったら、平和教育、人権教育、民主主義教育、部落差別や民族差別を許さない教育、教え子を再び戦場に送らない教育をした教育労働者は皆教育現場から排除され、クビにされてしまう。
 ところが日教組本部は「教育基本法改正と取引された法改正」などという的外れなことを言って反対していない。
 事態は切迫している。教育関連四法案粉砕の国会闘争へと決起しよう。教育基本法改悪阻止、改憲粉砕闘争を闘い抜こう。都議選に勝利しよう。

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週刊『前進』(2005号3面3)

学生の練り歩きで街が熱く

 五月冒頭、都政を革新する会は連休行動として区内十二カ所で練り歩き行動を展開した。
 「こんにちは! けしば誠一です!」「憲法改悪、大リストラの小泉政権を倒そう!」「戦争賛美の教科書採択反対!」||元気な声が商店街に響く。全国から駆けつけた学生たちが区内を駆けめぐった。黄色のジャンパーに都革新の青の腕章、水色ののぼり旗が五月の風と競って進む。
 街の空気が変わった。その風を待っていたようにエネルギーが解き放たれる。「頑張って!」と手を振り、ガッツポーズでこたえる商店主、「ごくろうさん」とペットボトルが差し入れられた。
 街頭は確実に熱くなっている。「小泉政権は民衆に犠牲を強いる戦争内閣。労働者の首切りが経済対策だという小泉政権は許せません」と訴えるけしば氏に、「俺も反対だよ!」とバス停から大きな声が飛んだ。
 「つくる会」教科書採択反対の請願署名が続々と集まっている。「こんな政権、打ち倒すしかないわよ」と怒って署名した女性、「もっとビラをもらおうよ」と話していた高校生たちは「まさかこんな内容だったなんて」「戦争中の教科書みたい」「被害を受けたアジアの人たちと一緒に生きていけないよ」と次々に語ってくれた。

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週刊『前進』(2005号3面4)

杉並 住民の会が区交渉 “介護保険料倍額撤回を”

 四月二十七日、介護と福祉を要求する杉並住民の会は、十月からの第一号被保険者の介護保険料の倍額徴収の撤回などを要求して杉並区との交渉を行った。
 杉並区はこの四月に行われた組織改編に伴い、高齢者福祉部の担当責任者を交代させた。これまで住民の会は区との交渉を重ねて、福祉を削減しようとする区の姿勢を一つひとつ打ち破って低所得者への利用料減免などの成果をかちとってきた。新体制はこの関係をくつがえそうとする山田区長の策動だ。
 交渉は午後一時半から区役所内で持たれた。新城せつこ区議の司会で、最初に住民の会の代表があいさつした。「最近年寄りが多くなったと言われる。厄介者が多くなっておまえたちどうするんだ、と問いかけられている。しかし年寄りは人間について理解がある実力者である。年寄りを含めた世の中をつくっていくことが私たちに課せられている」と区が住民の声をきちんと聞くことを要求した。
 続いて三月二十六日の要請項目に対する区の回答を聞いた。その中で杉並区は、低所得者の利用料助成と前回約束したBさんの利用者負担問題で障害者施策の適用で軽減を図るということについては確認したものの、移送サービスの充実については今年度は何もするつもりがないと態度を翻してきた。この回答に怒りの声があがった。
 けしば誠一区議が、杉並区の介護保険実態調査の「適切な介護サービス」「おおむね満足」という結果報告のペテンを暴いた。「保険料」の項目を設けなかったなど質問の内容、回答の中でも利用者は「良くなった」とは思っておらず結果報告がデタラメであること、民生委員を使ったプライバシー無視のアンケートのやり方の問題などを追及した。交渉に参加した区民が、アンケート調査の対象であったのに来なかった事実を明らかにし、調査のデタラメを暴いた。
 区の居直りに対して「命のメッセージ」に寄せられた声が突きつけられた。
 「医療費というのは、一回八百円では済みません。私は、歯、目、腰、内科にかかっているので、一回病院に行くと三千二百円、足が悪いのでタクシー代もかかります。そこへ介護保険料を払うともう大変です。どうやって生活していけというのでしょうか」
 「痴呆の親の介護をしているが、介護している家族が倒れた場合に緊急対応できる区の施設をつくってほしい。そうでないと、自分自身が病院に運び込まれても、病院から抜け出してこなければならなかった」||これに続いてこの日の具体的な要求項目について区の回答をただした。ところが福祉に対する区の姿勢の後退が明らかになった。特に十月からの保険料二倍化の撤回要求に対して区は、「保険料は低所得者に配慮した設定になっている」などと平然と主張した。
 会員たちは「杉並区は血も涙もないのか」「区長はなぜこの場に出てこないのか」「餓死者まで出ているじゃないか。なぜこんなむごいことをするのか」など激しい追及を浴びせた。
 世話人の長谷川英憲さんが、「月十万円の年金の人と、年収五千万の人の介護保険料の違いはどれくらいあるのか」とただした。前者が月約三千円に対して、後者は月約四千五百円なのだ。長谷川さんは「保険料は高額所得者に配慮しているんだ。低所得者に厳しい」と追及し、区のペテンを粉砕した。
 住民の会の事務局長が、「継続して要求していきたい。次回は区長が出てもらいたい」と要求した。杉並区は「要望については持ち帰って検討したい。どなたか代表の方と相談したい」と文書回答を拒み、交渉を打ち切りにしようとする姿勢を見せた。激しい弾劾の中で、杉並区の担当責任者たちは制止を聞かずに逃げ帰った。
 交渉を終えた後の話し合いでは、「きょうの杉並区の対応を見ていて、一番最初に区と交渉した時の態度を思い出した」と感想があり、「これまで交渉を重ねて区の態度を変えさせたように、粘り強く交渉していこう」と確認しあった。

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週刊『前進』(2005号3面5)

教育法案反対で集会 東京 教育労働者に危機感

 四月十三日、多摩教組、アイム89、東京都学校ユニオンの教職員の三組合が呼びかけた「教育基本法改悪反対/教員の選別・排除を許すな/教育六法案反対/四・一三討論集会」(シニアワーク東京)に参加しました。
 まずアイム89の教育労働者が、昨年四月に導入された人事考課制度について報告しました。校長・教頭が毎年、各教員に「S・A・B・C・D」と五段階の絶対評価をつけ(校長の方針にあわない人は必ず「C」以下にされる)、それが教育委員会で五段階の相対評価に振り分けられます(毎年必ず誰かが「D」にされる)。本人には一切明らかにされないこの評価が「指導力不足等教員」認定にも使われようとしています。
 さらに今年三月、都教育長が「服務事故再発防止研修実施要綱」を定め、懲戒処分を受けた教職員全員に研修を義務づけました。「日の丸・君が代」反対で処分された教職員は、すぐに研修所に呼ばれ、説諭・説話を聞かされ、報告書を書かされます。「『間違ってました。ごめんなさい』という報告書を書かないと、いつまでも学校現場に戻れないのではないか」と危機感をもって訴えました。
 続いて「教育関連六法案について」と題し、多摩教組の見城赳樹委員長が講演しました。教育改革国民会議最終報告と文科省の「二十一世紀教育新生プラン」を批判して、教育関連六法の中でも最大の核心である「不適格教員排除」「奉仕活動の推進」「問題児の出席停止」の三法案が残っていること、さらに今後教育基本法の改悪も準備していることを訴え、「教育基本法には第一〇条を始め、現場の教職員にとって使える内容があったのは事実で、それをつぶすことを許してはならない」と訴え、「権力にとっては国立の教育をつぶすことが大きな課題だった。その国立から反撃をつくりだすために闘っていきたい」と訴えました。
 この後、国立の市民から「国立への敵の攻撃は、私たちの闘いが正しかったことを示しています。若い世代や全国との結びつきがつくられていることに確信を持って、何があってもつぶされない運動の広がりをつくりましょう」という発言がありました。また千葉高教組や都高教、「研修所送り」にされている東京と千葉の教育労働者など多くの発言が行われました。
 とりわけ「つくる会」教科書が検定に合格したことに誰もが強い危機感を持って、なんとしても採択を阻もうと誓い合いました。
 (投稿 渡部亜紀)

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週刊『前進』(2005号4面1)

5・23狭山統一行動へ
高裁行動 再審開始を要求 「ネット」での差別弾劾

 五月七日、部落解放同盟全国連合会と部落解放共闘会議は、東京高裁第五刑事部(高橋省吾裁判長)に対して狭山再審を要求する高裁要請行動を約四十人の参加で戦闘的に闘い抜いた。
 石川一雄さんが「殺人犯」としてデッチあげ逮捕されて以来、まもなく三十八年がたとうとしている。日帝・東京高裁は、石川さんの無実の叫びと数々の無実の証拠・証言を踏みにじって再び「異議審棄却=石川有罪」という極悪の差別判決を出そうとしている。
 権力による部落差別への怒りと、異議審での棄却策動を断じて許さない決意に燃えて、朝の裁判所前ビラまきから、決起集会、昼休み霞が関デモ、午後一時からの要請行動と、終日の行動を戦闘的に闘い抜いた。
 決起集会であいさつに立った解同全国連中央本部の中田潔書記長は、「五月に新証拠についての補充書が、六月に弁護団の最終書面(総括意見書)が出されて、異議審は大詰めを迎える。棄却を許さず、事実調べ・再審をかちとるために本日の要請行動から五・二三狭山統一行動、七・八中央闘争へと闘いを強めよう。その中で一〇回大会の熱気を持続させ、全国連の組織と運動の一大飛躍をかちとろう」と呼びかけた。
 昼休みデモの後、一時過ぎから要請行動を二時間にわたって行った。参加各団体は、足跡や脅迫状の筆跡などに関する新証拠、新鑑定によって寺尾判決、高木棄却決定の誤りは明らかだから、直ちに事実調べを行うべきだと強く主張した。
 さらに、全国連中央本部は、三月ころからインターネット上で狭山差別裁判を直接使った悪質な部落差別扇動が続発していることを具体的に暴いた。極悪の差別者が、「冤罪を叫ぶ声にだまされてはいけない」「部落民であることがいまやひとつの凶器にとって代わられている」などとまったく許しがたい差別扇動を行っている。権力の部落差別犯罪を糾弾する石川さんと部落大衆を敵視し、憎悪する部落差別扇動が、インターネット上で公然と展開されているのだ。
 解同全国連は、「こうした差別的、ファシスト的な部落大衆抹殺の扇動の大元が、誰より、最高裁や東京高等裁判所という国家的機関である」と怒りをもって弾劾し、「こうした差別を許さず、石川さんが一日も早く人間としての尊厳を回復できるために、部落大衆が差別されることなく安心して生活していけるように」と、再審開始、事実調べ、証拠開示の勧告・命令を強く要求した。
 さらに、石川一雄さんは無実であり、部落差別に基づく見込み捜査、逮捕、取り調べ、起訴、裁判、判決のすべてを取り消し、差別裁判を自己批判し、石川一雄さんに謝罪することを要求した。
 要請を受けた訟廷管理官は、インターネットでの差別扇動について、さすがに「人間として許せない」と答えざるをえなかったが、要請団は、差別の元凶が国家権力であり、差別判決であることを徹底糾弾してこの日の要請行動を戦闘的に闘い抜いた。

 異議申し立て棄却を許すな

 日帝の危機のもとで登場した小泉新政権は、極右天皇主義者であり、侵略戦争と首切・りリストラ、部落差別と排外主義扇動の政権である。高橋裁判長は、この小泉新政権のもとで、一度の事実調べも行わず、今夏にも石川さんの無実の訴えを踏みにじって、異議申し立ての棄却を強行しようと狙っている。断じて許してはならない。
 解同本部派は狭山闘争と差別糾弾闘争を投げ捨て、帝国主義に屈服する融和運動の道を転げ落ちている。こうした中で解同全国連の闘いが、三百万部落大衆の解放の未来を照らすものとして重要になっている。
 全国の労働者・学生は解同全国連と連帯し、狭山闘争に今こそ総決起しよう。狭山紙芝居と署名運動を武器に、権力の差別犯罪、無実の石川一雄さんの闘いとその叫びを全国の人びと、労働者・学生の中に押し広げよう。五・二三狭山統一行動から六・四狭山要請行動、七・八狭山中央闘争(高木再審棄却決定二カ年弾劾)に総決起しよう。

 《お知らせ》

 解同全国連のホームページを紹介します。
 http://www.zenkokuren.org/

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週刊『前進』(2005号4面2)

<投稿>

4・27決起反軍裁判 最高裁の棄却弾劾する
 強行派兵29年の在沖自衛隊と対決し 反軍闘争の強化を
 反戦自衛官 小多 基実夫

 自衛隊の反人民性弾劾した裁判

 三月十二日、最高裁第一小法廷(藤井正雄裁判長、井嶋一友裁判官、大出峻郎裁判官、町田顕裁判官、深澤武久裁判官)は、七二年四・二七決起反軍裁判の上告を不当にも棄却し、自衛隊と沖縄五・一五体制の手先としての姿をあらわにした。
 一九七二年五月四日、自衛隊は、私たちが五・一五沖縄返還と自衛隊の沖縄派兵などに反対し、自衛隊内から労働者・学生、沖縄人民の闘いに合流したことに逆上し、「自衛官としてふさわしくない」と懲戒免職の処分を下した。
 以来二十九年間にわたった四・二七決起反軍裁判は、自衛隊を裁判の被告席に引っぱり出して、処分を撤回して原隊に復帰させるよう迫り、自衛隊の侵略性、反人民性、非民主性などを弾劾し続けてきた裁判闘争であった。
 全国の多くの仲間の皆さんがともに闘いを担ってくださったおかげで、ここまで闘いぬくことができました。心からお礼申し上げます。
 しかし、法廷闘争は終わってもこの裁判で争い続けてきたことには、何ひとつ決着がついていない。沖縄の自衛隊、立川の治安部隊、兵士の労働者としての人権、いずれもこれから現場でこじ開けていかなくてはならない重要課題ばかりだ。
 勝利するまでともに闘っていただくよう全国の皆さんにお願いします。

 沖縄占領軍意識丸出しの自衛隊

 最高裁判決当日の三月十二日、在沖縄の航空自衛隊の幹部自衛官による女子中学生への卑劣極まりない暴行事件が発生した。また、三月下旬には、陸上自衛隊与座分屯地の曹長が、飲酒運転のうえ交通事故を起こして、そのまま駐屯地に逃げ込んでしまったという「当て逃げ事故」が発生した。自衛隊当局は、「反基地感情の高まりを懸念して」「不祥事再発防止と綱紀粛正を指示した」と、とおりいっぺんの見解を発表した。
 沖縄人民に対する自衛隊の態度、自衛官の行動が、在沖米軍とうりふたつだというのはいったいどういうことであろうか。その原因は、根本的なものである。
 一九七二年、「ノルマンディー上陸作戦」と豪語して強行派兵した自衛隊は、那覇空港を包囲して抗議する沖縄県民に対して、陣取った空港建物の明かりを消し、銃を構えて、沖縄県民に対峙した。これが在沖縄自衛隊の上陸第一日目の最初の行動であった。つまり、自衛隊はもともと沖縄への占領軍的意識をたたき込まれている軍隊であると言わねばならない。
 そういう意味では、沖縄人民にとって今日の自衛隊は、沖縄住民を虐殺した日本軍沖縄守備隊や、軍政支配を行ってきたアメリカ占領軍と同質の軍隊であるということである。
 復帰当時、私が自衛隊の沖縄派兵に反対した最大の理由も、このような自衛隊の沖縄観に対するおそれと反感からであった。
 帝国主義軍隊としての本質をむき出しにした七二年の強行派兵が、「むち」とするならば、それ以降の二十九年間の在沖縄自衛隊は、不発弾処理と離島からの急患空輸などの民生協力業務を前面に出し、あるいは多額の交付金をばらまくなど懐柔策である「あめ」の政策を主にしてきたに過ぎないと言えるのではなかろうか。
 そういう点を踏まえて、今回自衛隊当局が「不祥事再発防止と綱紀粛正を指示した」という、その代物を見なければならない。『朝雲』四月五日付によれば、空幕副長を委員長として急きょ設置された「不祥事再発防止委員会」は、三月三十日に、次の四項目の対策を打ち出したという。
 @隊員が地域の特性に対する理解と愛着心を深めるためのパンフレットの作成。
 A地元の人びととの交流を深めるための「地域の歴史・文化を学ぶ日」(仮称)の設定、および隊員やその家族のボランティア活動(清掃など)などによる相互理解の促進。
 B隊員のモラルを向上させ、地元の理解と協力なくしては自衛隊の任務を全うできないことを周知させるような標語の作成。
 C五高群(女子中学生暴行事件の犯人、目黒博光二等空尉の所属した第五高射群)に対する服務特定監査の実施。(服務規律の確認や、暴行事件の原因究明・防止などを目的に五高群の全隊員に対し面談や筆記の方法で行う)
 要約すれば、あくまで「反基地感情の高まりを懸念して」の対策であり、「B自衛隊の任務を全う」するためにということが唯一の総括基準ということなのである。そのために、@隊員教育のためのパンフを作り、A隊員の家族までをも動員して交流し、浸透をはかる、Cその実行のために全隊員に面談や作文による思想調査、素行調査を強制し、相互監視体制の強化を軸とする隊内生活の締め付けの強化を図るということが打ち出されたのだ。
 それらは、「沖縄の人びとに奉仕する」とか、「沖縄の人たちを守る」というような立場とは無縁である。そればかりか、沖縄人民を「工作する対象」としての視点が貫かれた「浸透作戦」あるいは「宣撫(せんぶ)工作」という立場から語られているのは明らかである。
 二十九年前の派兵から今回の事件に至り、さらにその事後処理にあたっている今日においても、なお一貫している沖縄人民に対する自衛隊当局の基本姿勢そのものが、こういう犯罪を生み出す根本的な原因と言えるのではないだろうか。
 この事件、今回の犯罪に即してその背景を考えてみると、在沖縄自衛隊においては、沖縄県政でのこの間の自衛隊と基地を容認する勢力の台頭や自治体による自衛官募集業務の開始が、「四半世紀以上にわたり県民に展開してきた宣撫工作の勝利」、すなわち「沖縄人民をついに押さえ込んだ」という思いあがりを生み出していたと言える。
 犯人の目黒博光二等空尉(いわゆる空軍中尉)が沖縄の第五高射群に着任したのは、九八年という革新・大田知事が保守の稲嶺候補に敗れた知事選の真っただ中においてであった。部隊をあげて選挙戦に取り組んだ在沖自衛隊が勝利に沸く中に、沖縄民衆の心、自衛隊と米軍への怒りをまったく自覚しないで着任した目黒という人物においてこそ、在沖自衛隊の沖縄県民に向かう根本的な姿勢が最もストレートに体現されていたと言えよう。

 5・15体制粉砕へ小泉と対決を

 日帝・小泉内閣は、中谷元という元幹部自衛官(軍人)を防衛庁長官に任命するという、「文民統制(シビリアン・コントロール)」の形式をもかなぐり捨てた戦後史を画する人事を行い、しかも真っ先に「有事法制の作業を進めるよう」命じた。
 こうしたきわめて危険な小泉内閣―石原都政のもとで、水を得た魚のように張りきって自衛隊の治安作戦の急先鋒(せんぽう)を務めているのが元陸自北部方面総監の志方俊之である。志方は最近の著書で、「市民の中には敵に情報を売る人がいる」と、自衛官に向かって反人民的・排外主義的な扇動を強めている。
 思い起こすべきことは、かつて沖縄では、゛天皇の軍隊″が、「米軍に情報を流す」「敵のスパイである」と言って沖縄人民を殺害した生々しい事実である。
 改憲と有事法制を掲げた反動・小泉政権のもとで沖縄の軍事基地が一層強化され、戦争政策の矛盾が極限的に百二十万人の沖縄県民に押し付けられようとしているからこそ、その沖縄で自衛隊に対決し、政治的に包囲し、自衛隊をがたがたにして、兵士を人民の側へ、ともに闘う仲間として獲得していく反戦・反軍闘争を強化していかねばならない。
 今回、このような卑劣な犯罪を許してしまい、少女の心に一生ぬぐい去ることができない傷を負わせてしまったことは、本当に申し訳ないかぎりである。反戦闘争、とりわけ反軍闘争が、こういう事件・犯罪の歯止めとして機能すべきなのに、その非力さが自衛隊の「占領軍意識」をほしいままにさせてしまい、こういう事件を許してしまったのだと思う。
 戦争と軍隊の犠牲にされる民衆、そして下級の兵士にとって、わが反軍闘争が本当に存在価値のある闘いになるよう力をつけ、発展させていかなくてはならない。
 原隊復帰をかけた反軍裁判を長い年月をともに闘ってくださった全国の仲間の皆さん。全国の二十六万人の自衛官にとって、本来、小泉政権は、彼らをアジア侵略戦争の戦場にたたき込む非和解的な敵である。自衛官とその家族にとって、反戦闘争の進展が自らの運命を直接に左右する身近なものになる時代に入ったと言える。
 都議選決戦を闘い、安保―沖縄―自衛隊、改憲―有事立法の闘いを全国でともに闘いましょう。

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週刊『前進』(2005号4面3)

2001年日誌 阻もう! 改憲=戦争への動き 4月18日〜5月8日
 小泉が首相で初の改憲表明 韓国政府が教科書修正要求

●F15が護衛訓練 米国防総省は、これまで単独、非武装で行っていた対中偵察飛行に米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機を護衛につけるための飛行訓練を、沖縄周辺で開始。(19日)
●「普天間代替」建設費用は最高9千億円 普天間飛行場の代替施設の建設費用の試算が最高で九千億円、最低で千五百億円となることが明らかに。(20日)
●銃携帯法的問題なしと施設庁 防衛施設庁の宇田川新一次長が会見で、米軍基地の日本人警備員に銃携帯が義務づけられている問題で、法的には問題ないとの認識を示した。(20日)
●自民総裁に小泉 自民党総裁選で小泉純一郎が圧勝した。総裁選過程で小泉は九条改憲、靖国参拝、集団的自衛権を主張。(24日)
●プルサーマルで初の住民投票へ 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でのプルサーマル計画実施の是非を問う住民投票について、刈羽村長が五月二十七日に投票を実施すると発表した。同計画をめぐる住民投票は全国初。(24日)
●沖縄で県民大会 那覇市の与儀公園で「海兵隊削減による米軍基地の整理・縮小を求める県民総決起大会」が開かれた。約四千人が参加した。(25日)
●掃海部隊が海外へ シンガポール沖のマラッカ海峡で六月に行われる機雷掃海共同訓練に、海上自衛隊が掃海艇などを派遣することが明らかになった。九一年のペルシャ湾派兵以来のこととなる。(25日)
●小泉内閣発足 小泉純一郎自民党総裁が、衆参両院の首相指名投票で第八七代首相に選ばれ、自民、公明、保守三党による連立内閣が発足した。(26日)
●有事法制の検討を指示
小泉首相が、中谷元・防衛庁長官に、有事法制の「検討を進めてもらいたい」と指示した。(26日)
●「首相公選制に限定して改憲」 小泉首相が首相就任後初の記者会見で、首相公選制について「国民に理解されやすい。その際はほかの条項には触れない」と述べた。現職首相が改憲意志を明確にしたのは初めてのことだ。(27日)
●衆院憲法調査会に首相招請の方針 衆院憲法調査会の中山太郎会長が記者会見し、年内に小泉首相を同調査会に招き、首相公選に関して意見聴取する考えを示した。(27日)
●名護市長を選ぼう会が発足 米軍普天間飛行場の代替施設建設に反対の名護市民が、来年二月に任期満了となる名護市長選挙の候補を公募する「わったー市長を選ぼう会」の結成大会が開かれた。(27日)
●「15年問題」の議論拒否
 米政府高官が、米軍普天間飛行場の移設条件として沖縄県などが求めている十五年の使用期限問題について「使用期限の議論には立ち入らない」と言明、移設条件は「人為的に期限を設けるのではなく、軍事的な必要性に基づくことが必要だ」と強調した。(27日)
●演習参加の米軍機が民間空港使用 在沖米海兵隊が、フィリピンで行われる合同軍事演習参加のため、給油を目的に下地島(伊良部町)、波照間(竹富町)の両民間空港の離着陸を県などの抗議にもかかわらず強行した。(28日)
●防衛大綱改定へ日米協議
 米軍の包括的な戦略見直しを踏まえ、日本政府も防衛政策の根幹である防衛計画大綱の改定を視野に米国と戦略協議に入ることが分かった。(30日)
●コブラゴールドに自衛隊幹部を派遣 防衛庁は米、タイ、シンガポールが五月に行う共同軍事演習「コブラゴールド」に、陸海空三自衛隊幹部らをオブザーバーとして初めて派遣することを決めた。(30日)
●ミサイル防衛拡大へ ブッシュ米大統領が、米本土ミサイル防衛(NMD)計画より大がかりなミサイル防衛システム網を構築する方針を明らかにした。米ソ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の「束縛」をのりこえる必要性と米国が一方的に戦略核兵器の弾頭数を「最小限」まで削減する考えも示した。(1日)
●ジュゴン希少種指定へ
沖縄本島周辺の海に生息、国際的にも貴重とされる国の天然記念物ジュゴンについて、環境省は国内希少種に指定し保護に乗り出す方針を固めた。(3日)
●小泉首相が所信表明演説
 小泉首相が、衆参両院の本会議で所信表明演説を行い、有事法制着手も表明した。(7日)
●米が二正面作戦を放棄
ラムズフェルド米国防長官は、米通常戦略のかなめである二正面同時作戦を放棄する方針を固めた。新戦略は空海軍を主に投入する台湾海峡などでの危機に対処できる戦力の整備を求めると見られている。(7日)
●米が偵察飛行再開 米国防総省によると、米軍が中国沿岸での米機の偵察飛行を再開した。(7日)
●韓国政府が35カ所再修正を要求 韓国政府は、「つくる会」中学歴史教科書などで「事実が歪曲されている」と指摘し、三十五カ所を再修正するよう日本政府に正式要求した。(8日)

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週刊『前進』(2005号4面4)

紹介 共産主義者 128号 29年型大恐慌の到来
 ●現代帝国主義の全面的解明 島崎論文
 ●改憲阻止決戦の路線的提起 坂内論文

 日帝の絶望的体制的破局が生んだ「小泉反革命」との激突こそ、革命的情勢の急接近の中での最重要の闘いだ。本号はその勝利のための必須の武器だ。

 革命情勢の接近

 島崎光晴同志による「世界大恐慌と革命の時代の到来」は、年頭より明確になった米経済のバブル崩壊の現情勢にこたえた本号の中心論稿である。革命的情勢の到来を根底的に明らかにする経済的解明である。
 レーニン帝国主義論を武器に、今まさに死の苦悶(くもん)にあえぐ現代世界の危機的性格と矛盾構造を全面的に分析している。
 第一章は、現代世界を解明する方法・理論を基本的に確認し、その上に二十世紀の帝国主義―現代帝国主義を概括した総論である。筆者は三点述べている。要約すると次のようになる。
 無理やり維持されてきたドル体制が崩壊する時こそ、二九年世界大恐慌を上回る世界大恐慌が不可避なこと、基軸国=米帝における腐朽にまみれたバブルとその崩壊という形で帝国主義の命脈は尽きようとしていること、世界革命に敗北するならば帝国主義は世界戦争に行き着くということだ。以上が突き出すことは、今やプロレタリア革命が現実のものであるということであり、本稿の結論である。
 以降の各章では、米帝・日帝・アジア・EUを各論的に具体的に分析する。
 九〇年代米帝経済について、九五年ドル高転換がもたらした米バブルとその引き延ばしの構造とその歪み・脆弱(ぜいじゃく)性を明らかにしている。そして昨年四月以来、バブルは崩壊過程に入っており、今後恐慌に向かわざるをえないことを反論の余地なく論じている。九〇年代米帝経済の本質が争闘戦と大失業攻撃にあり、バブル崩壊で一層それにのめり込むことを指摘している。
 日帝経済については、九七年以来の金融危機・経済危機の全体像をとらえ、日帝の総力をあげた恐慌対策とその破綻(はたん)性を明らかにした。二〇〇一年半ばの現在、米帝による重圧のもとで不良債権処理に追いつめられた日帝の絶望的姿が浮き彫りになる。
 以上に立って、世界危機の最大焦点としての日米争闘戦を軸にしたアジア市場再分割の様相を分析し、ブロック化の進展にともなって世界戦争が一挙に切迫する情勢を喝破している。大恐慌への突入は革命的情勢の急接近であると明快に断じ、帝国主義の全面的打倒、反帝・反スターリン主義プロレタリア革命の現実性を指し示した。革共同第三回大会以来の現代世界認識の正しさと一貫性を示し、カクマルを始め帝国主義擁護派を迫力をもって一蹴(いっしゅう)した。

 改憲決戦の意義

 坂内昌之同志の巻頭論文「都議選勝利、改憲粉砕、自民党政治打倒!」は、改憲阻止闘争の歴史的意義をアジア・日本人民の闘いを軸に全面的に論じた重要論文である。とりわけ本年前半の教科書問題・教育改革攻撃との闘いの意義と課題を鮮明にした。
 前半部で改憲攻撃の現段階を大づかみにし、それを不可避にしている要因を分析した。日帝の戦後体制の象徴的表現である憲法第九条を戦後階級関係の歴史的諸条件においてとらえ、その階級的意味を全面的に解いている。
 後半では憲法をめぐる階級決戦の歴史的意義を確認した。それは日本人民の、アジア人民・在日アジア人民と連帯した、戦後史の決着をかけた日帝打倒論そのものであることを明らかにした。まさに革命的共産主義運動の真価が問われる歴史的大闘争としての革共同の戦略的総路線の提起である。

 七・七路線深化

 いまひとつの重要企画は、入管闘争と部落解放闘争に関する綱領的提起だ。
 革共同中央入管闘争本部による「入管闘争と七・七路線について」は、日帝のアジア侵略の本格的開始という情勢のもとで、日本労働者階級の階級的=国際主義的再生、アジア人民との真の階級的連帯をかちとるための提起である。七〇年七・七以来三十年の実践の地平が豊かに確認され、七・七路線と入管闘争の全面的・運動的・組織的発展をめざし、国籍差別・国籍条項差別攻撃との闘いの意義を始めとして革共同一九全総第五報告路線の深化がかちとられている。
 革共同中央部落解放組織委員会による「部落解放闘争の綱領的諸問題」は、戦争、大失業、差別の大洪水情勢に真っ向から立ち向かう闘争路線を、日本革命における部落解放闘争の綱領的テーゼに基づいて提起した。部落解放闘争の階級的意義の明確化の上に、狭山闘争の死活性を始め、部落解放闘争の戦略的諸問題を提起している。

 白井を徹底批判

 野田利一同志の白井朗批判は、「南北首脳会談の歴史的意義について」という反動的小論の徹底的批判である。プロレタリア自己解放に敵対するための白井民族理論なるものの反革命性を粉砕している。
 深沢史子同志の女性解放闘争論は、プロレタリア女性の教育改革・改憲攻撃への決起の呼びかけだ。今日の資本攻勢下での労働者家族の実態が描かれており、「二重の抑圧」論が深化されている。
 巻頭の特別アピールは、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の四同志の即時保釈・奪還への渾身(こんしん)の檄(げき)である。
 本号を武器に都議選決戦勝利と党勢二倍化を課題とする革共同の戦略的大前進運動の血路を切り開こう。

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週刊『前進』(2005号5面1)

今秋東峰神社立ち木伐採阻止へ
小泉の改憲攻撃を打ち破り三里塚暫定滑走路粉砕せよ
 斉田 猛

 自民党の新総裁・小泉純一郎を首相とする極右政権が登場した。小泉は、日本帝国主義の危機と腐敗がもたらす人民の怒りを「右からの改革」で取り込み、日帝・自民党の最後の救済者になろうとしている。小泉がやろうとしていることは、反動的教育改革であり、「聖域なき構造改革」と称する労働者の大量首切りであり、憲法改悪による自衛隊と集団的自衛権の合憲化、そして戦争である。小泉政権への全人民の怒りを組織し、都議選決戦の勝利で反撃しよう。小泉政権の戦争体制づくりに対し、三里塚、沖縄、北富士を先頭とする反戦闘争の爆発でこたえよう。三里塚は反戦・反権力闘争の最強の砦(とりで)である。戦争国家化攻撃は三里塚の鎮圧なしには不可能だ。暫定滑走路の来春供用開始攻撃を焦点に、三里塚闘争は小泉政権との重大な激突点になろうとしている。今秋東峰神社立ち木伐採攻撃を実力で粉砕しよう。堂本暁子千葉県知事による敷地内切り崩し策動を粉砕し、今秋決戦へ向けた五〜七月闘争に立とう。

 三里塚は極右政権と全面対決する砦

 世界危機―米帝危機―日帝危機の中で、「これまでどおりのやり方ではやっていけなくなった」(レーニン)日帝・支配階級は、小泉純一郎というファシスト的「改革派」を登場させ、一九三〇年代型の危機突破政策に訴えてきた。既成支配構造の一定の破壊をもあえて行い、日帝の延命と自民党政治の生き残りをかけて極右の小泉を政権の座につけたのである。
 帝国主義対労働者人民の闘いは、三〇年代的な論理で回転し始めた。
 労働者人民を再びアジア侵略戦争に動員する攻撃を許すのか、資本主義に断固「ノー」を突きつけ、新たな社会の建設=日本革命に向かって奮闘するのか、の歴史的決戦局面に入った。
 杉並都議選の勝利と反戦闘争の巨大な高揚に向けて今こそ前進しよう。
 三里塚は労働者人民が革命に向かって進む戦略的拠点である。一九六六年以来築かれている労働者人民の解放区的拠点を、日本帝国主義は、三十五年かかって鎮圧できていない。三里塚の一地域に地方県警を上回る機動隊(千五百人)を二十年以上も常駐させてなお闘いを根絶できないのだ。
 三里塚闘争をつぶすためにあらゆる無法が強行され、今も行われている。弾圧のための新規立法(成田治安法)までが使われた。だが三里塚闘争はこうした攻撃を粉砕し、日帝・権力を圧倒する戦略的力関係を維持している。
 小泉にとって、この三里塚闘争の存在は、国鉄闘争を始めとする戦闘的労働運動とともに絶対に許容できない。小泉流の「改革」やファシズム的極右反動が進行すればするほど、三里塚闘争と日帝権力の激突は避けられない。二〇〇二年四、五月の成田暫定滑走路「供用開始」をめぐり、小泉政権との決定的な激突が始まろうとしているのだ。

 最初から2500メートル前提の暫定工事

 三里塚現地における暫定滑走路建設、闘争破壊攻撃が激しさを増している。
 第一に、暫定滑走路の供用が来春四、五月に強行されようとしている。
 国土交通省と空港公団は、従来二〇〇二年五月二十日としてきた供用開始時期を、五月連休前に前倒しし、闘争破壊を強めようとしている。すべての予定を一カ月前後くり上げ、十一月三十日としてきた工事完成時期を、十月三十一日に早めようとしている。
 つまり、工事完成に続く完成検査やテスト飛行、慣熟飛行、ノータム(関係国への供用開始予定の通知)が続々と反対同盟農民に襲いかかるのである。
 とりわけテスト飛行が年内にも強行されることは、「供用開始の現実」を目の前でデモンストレーションすることになり、農民追い出しのための゛究極の威圧″となる。三里塚闘争は一九九〇年成田治安法決戦以来の決戦を迎えたのだ。
 第二に、来春供用開始に向け、東峰神社立ち木の伐採が秋に強行されようとしている。東峰神社の約十bにもなる杉の木は、暫定滑走路の進入予定表面より九bも突き出していて、このままでは二千百八十b予定の同滑走路は千七百四十b分しか使用できず、国際空港としては使えない。
 そのため、東峰神社の立ち木を伐採しなければ暫定滑走路は使い物にならない。にもかかわらず伐採の法的根拠はまったくない。
 しかし空港公団は違法を承知で、十月三十一日の暫定滑走路工事の完成期限が近づくのを待って「テスト飛行の必要がある」などの「緊急性」を口実に、航空法四九条をタテに千葉地裁に仮処分を申請し、一九七七年に岩山大鉄塔を破壊したようなやり方で、この秋抜き打ち的に立ち木を切り倒そうとしているのだ。
 反対同盟は体を張った実力闘争で立ち木を死守する決意を明らかにし、すべての人びとに共同の決起を呼びかけている。今秋立ち木伐採阻止決戦に向け、五〜七月から闘争体制をうち固めなくてはならない。

 追い出し狙う頭上40メートル飛行

 ここで暫定滑走路建設自体の驚くべき農民殺しについて、あらためて弾劾しなくてはならない。
 暫定滑走路は、もともと滑走路など造れない場所にむりやり押し込んだアクロバット的計画である。そのため、民家の頭上四十bにジェット機を飛ばし、目と鼻の先で轟音とジェット噴射のガスをまきちらしながらジェット機が自走するという、常識では考えられないデタラメな空港計画となっている。
 「国際線需要」を満たすために滑走路を造るのではなく、平行滑走路(二千五百b滑走路)予定地内に住む農民一家を追い出すためだけの滑走路建設なのである。しかも「国内線需要対策検討会」なるものを作り、需要のない所に需要を作ってまで飛行頻度を増やそうとしている。このデタラメを全社会に暴露し弾劾しなければならない。
 四月二十六日、さらに新たな事実が判明した。航空機が着陸する際の衝撃に耐えるために通常滑走路の先端に行う補強用のコンクリート舗装工事を、暫定滑走路の南端については省略している事実が明らかになったのだ。公団は「地権者との用地交渉の進展により延長する場合に備えてのこと」(四月二十七日付千葉日報)だと説明している。
 要するに暫定滑走路は最初から、二千五百bないしそれ以上に延長することが大前提だったのだ。「ただ農民をたたき出すためだけの地上げ工事」という事実があらためて暴露された。だから今日まで公団は工事計画の詳細を明らかにできなかったのだ。怒り心頭に発するとはこのことだ。
 こうした暴挙を、「平行滑走路の建設について強制的手段はとらない」とした円卓会議最終報告(一九九四年九月)を真っ向から踏み破って強行しようというのだ。これが「民主主義の壮大な実験」(シンポ―円卓会議を賛美する公団の言葉)の結末なのだ。国土交通省と公団が、成田空港建設における無法と農民殺しにまた一つ犯罪行為を、それも限りなく重い大罪を重ねようとしていることは絶対に許せない。暫定滑走路建設を即刻中止せよ。
 日帝・国土交通省、公団が法律さえも踏みにじり、むき出しの国家暴力で暫定滑走路を建設しようとしていることに対して、もはや労働者人民の闘いを縛るものは何もない。われわれはこの大罪にふさわしい苛烈(かれつ)な実力闘争と革命的武装闘争を爆発させ、怒りの深さと罪の重さを滑走路建設加担者に思い知らせるであろう。

 堂本知事の三里塚破壊策動は許さぬ

 この暫定滑走路建設攻撃の先兵の役を買って出ているのが、千葉県知事になった堂本暁子である。
 堂本は当選すると真っ先に成田市長の小川国彦の後援会パーティーに参加(四月七日)、小川から「成田問題の扱い方」の指南を受けた。ここで「県が二千五百b滑走路実現の主体になる」との政治姿勢を明確にした。そして四月九日、当時首相であった森喜朗や扇千景国土交通相と会談し「二千五百b滑走路の実現」と三里塚闘争破壊のための四者協議会の設置を打ち出して了承を取りつけた。さらに四月十五日には「成田は一気にやってしまおうと思って」と公言し、国土交通省・南関東地方懇談会で四者協議会の立ち上げを正式に明らかにした。
 四者協議会というのは、国土交通省、空港公団、千葉県、地元自治体の四者をメンバーとする闘争破壊兼見返り要求機関である。
 堂本は「無党派」「市民派」づらをし、「真摯(しんし)な話し合い」と称して敷地内農民との「直接対話」を狙い、反対同盟を切り崩そうとしている。
 そもそも堂本は、自民党・社会党・さきがけ連立政権でさきがけの議員団長をやった保守政治家だ。「市民派」というのは大うそだ。一九九三年から九七年まで政権与党に加わり、小選挙区制導入(細川政権)、消費税増税(村山政権)、沖縄米軍用地特措法の改悪(第二次橋本政権)に加担、成田問題でも村山政権が小川国彦とともに小川嘉吉らを切り崩した時、政権与党の当事者として責任を負う立場だった。まさに三里塚の敵である。
 堂本の三里塚闘争破壊策動に対し、反対同盟は四月二十日、千葉県議会弾劾闘争に決起した。革命軍は四月十八日、千葉県企画部理事・石塚碩孝への火炎攻撃をたたきつけた。
 われわれは堂本が三里塚現地へ入ることを許さない。敷地内切り崩し策動を木っ端みじんに粉砕する。

 収用法改悪阻止の5月国会闘争へ

 三里塚闘争破壊の一環として土地収用法改悪の動きが本格化している。五月中旬には国会審議が始まると言われている。
 土地収用法改悪攻撃は第一に、有事立法の核心部を先取りするものとして、軍用地のための土地収用の合法化を狙う攻撃である。
 第二に、三里塚闘争や沖縄闘争が土地収用法と対決して闘いとってきた地平を破壊する攻撃である。問答無用の土地収用法攻撃に対し、三里塚や沖縄は長い年月かかって一坪共有運動を前進させ、収用委員会審理での抵抗闘争の地平を獲得してきた。今回の収用法改悪は、一坪共有運動を禁止し、収用委員会での公益性論議自体を禁圧して、三里塚や沖縄のような闘いを鎮圧する狙いを持っている。
 そして第三に、三里塚の直接的破壊を狙っている。現在、成田空港二期工事については、一九九三年六月をもって事業認定が失効している。つまり任意買収でしか用地を取得できない。三里塚闘争は、土地収用法を゛さびつかせ″、千葉県収用委員会を解体するという偉大な地平をかちとっているのだ。
 この現実を転覆するために日帝・国土交通省は、三里塚闘争の破壊を前提にした上で、「未買収地強奪のための特別立法」をも選択肢に入れて残る空港用地を強奪しようとしている。土地収用法改悪は、「反対のための反対を目的とした所有権は保護しなくていい」という前例を作り、特別立法に道を開く攻撃である。
 しかし、このような方針は反対同盟とわれわれの闘いがある限り必ず破産する。反対同盟を先頭に、沖縄人民と連帯し、土地収用法改悪阻止の国会闘争に立とう。

 三里塚勝利へけしば当選を

 最後に当面する任務・方針を確認したい。まずこの五、六月、なんとしても東京都議選決戦に勝利し、けしば誠一候補の当選をかちとることだ。その中で、教育改革関連法案を粉砕し、「つくる会」教科書の採択を許さない大衆行動を爆発させよう。
 この勝利の上に今夏、今秋の三里塚決戦を闘おう。
 まず第一に、東峰神社立ち木伐採攻撃との激突に向け三里塚実力闘争を準備することだ。反対同盟の檄(げき)にこたえ、九〇年以来の決戦に立ちあがろう。「頭上四十bのジェット機飛行」という人権侵害を弾劾し広くアピールし、暫定滑走路の暴虐性を徹底的に暴露しよう。
 第二に、全学連現闘を先頭に、反対同盟農民の営農を防衛することである。
 全国から三里塚現地を訪れ、援農を行い、交流し、反対同盟を激励しよう。
 第三に、革命的武装闘争の貫徹である。国土交通省・空港公団が、空港建設史上最悪の農民殺しを強行するならば、われわれはそれにふさわしい苛烈な革命的ゲリラ戦の反撃でこたえる。四・一八戦闘に続く闘いを炸裂させるであろう。
 小泉政権による改憲・戦争国家化攻撃の激化のもとで三里塚は重大な決戦を迎た。五〜七月闘争に決起し、今秋東峰神社立ち木伐採を阻止しよう。

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週刊『前進』(2005号5面2)

 改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
 第1部 第二次世界大戦(4)
 戦争の未曽有の様相 全人民を巻き込んでの総力戦

 第二次大戦では、正規の軍事力がフル動員されただけでなく、侵略された国々で侵略軍に対する抵抗が、民族解放戦争、あるいはレジスタンスとして展開された。この戦争は、その内部で、帝国主義(およびスターリン主義)の不正義の戦争と被抑圧民族人民の革命戦争・民族解放戦争とが激突しつつ展開された。

 他民族の大虐殺

 第二次大戦の第一の特質は、帝国主義がその植民地・勢力圏の再分割の戦争に突入した際に他民族に対する大虐殺を行ったことである。帝国主義戦争と他民族虐殺は一つのものだ。
 日本軍は、一九三七年の盧溝橋事件以来、中国侵略戦争を全面的に拡大し、上海から当時の国民政府の首都南京に攻め込んだ。そこで同年十二月から翌年にかけて、南京をじゅうりんし、軍民を問わず中国人民を次々に虐殺した。虐殺と略奪と強姦(ごうかん)が至る所で行われ、投げ捨てられた中国人の死体が長江を埋めるという地獄絵が展開された。その数は三十万人とも言われている。この南京大虐殺の事実をなかったことにしようとしているのが「つくる会」などの戦争開き直り派である。彼らは大虐殺の歴史に向き合い、反省するのではなく、無視抹消することで、同じ侵略と戦争の歴史を繰り返そうとしているのだ。
 一方、ナチス・ドイツがアウシュビッツ収容所を始め各地で強行したユダヤ人大虐殺は、第二次世界大戦の際だった特徴をなしている。収容所のガス室などでナチスによって虐殺されたユダヤ人は六百万人にも及ぶ。ヒトラーは、一九三八年ころから「ユダヤ人問題の最終的解決」を掲げ始めたが、その内容は究極的にはユダヤ人を絶滅することだった。ナチスによるドイツ民族の愛国主義的結集政策が他民族抹殺の排外主義と一体のものであったことがそこに示されている。
 この二つを頂点に、また広島・長崎の原爆と沖縄戦など世界中で繰り返された大虐殺は、世界戦争を不可避とした帝国主義の残虐さの極限的現れであった。

 戦略爆撃の展開

 第二の特質は、戦略爆撃の全面化ということである。長距離爆撃機による空爆は、空軍力の発達によるもので、戦争に空前の残虐さを付け加えた。
 一九三八年に首都を重慶に移した国民政府を攻略するために、日本軍はもっぱら空爆による攻撃を展開した。一九四三年まで五年間に日本軍による重慶空襲は合計二百十八回、延べ九千五百十三機の攻撃で、死者一万千八百八十九人と記録されている。この攻撃は、民間地域への無差別攻撃だった。
 空爆は、その下に生活する人民の家屋を焼き、破壊し、人びとを殺し傷つけるものであるのに、攻撃者がそれを直接目で見、感ずることがないために、銃や剣で虐殺するのとは違う安易さを与える。
 この重慶爆撃の先駆けをなしたのが、一九三七年四月のナチス・ドイツ軍によるスペイン・バスク地方の都市、ゲルニカに対する空爆であった。このゲルニカ爆撃に続いて、同年七・七盧溝橋事件から中国侵略戦争を全面化させた日本軍が、九州や台湾の基地から渡洋爆撃を行い、南京、杭州などの諸都市を空爆し始めるのである。
 ゲルニカから重慶爆撃に至る空爆が、その後の本格的な戦略爆撃の突破口を開き、ヨーロッパ戦線では、一九四五年二月の英米軍によるドイツの都市ドレスデンに対する戦略爆撃(一夜にして廃虚と化し、六万とも十万ともいう死者を出した)や、太平洋戦争末期のB29による東京など日本の諸都市の空襲へとつながっていった。
 ドレスデン空爆や東京大空襲では、焼夷弾(しょういだん)が使われた。これは上空からガソリンなどを散布して火災を起こさせる爆弾で、一面が火の海になり、酸素がなくなって窒息する被害をもたらす。
 この戦略爆撃の極限が広島、長崎だった。米帝による原爆は、一瞬にして広島で十万人以上、長崎で七万人以上の人民の命を奪っただけでなく、原爆症をもたらし、戦後五十年以上を経ても苦しみを与え続けている。
 そして、この戦略爆撃の論理は、戦後の帝国主義とスターリン主義の世界支配のもとで一層強化され、朝鮮戦争で、ベトナム戦争でより大規模に繰り返された。アメリカのベトナム侵略戦争では、沖縄を出撃基地として北ベトナムに対するB52戦略爆撃機による渡洋爆撃(北爆)が強行された。また一九九一年の米帝などによるイラク・中東侵略戦争では、トマホークミサイルによる空爆がバグダッドに対して集中した。帝国主義は、世界支配を維持するために必要とあらば、住宅の密集地に爆弾を降り注ぐことをちゅうちょしない。第二次大戦の問題が今日に脈々と続いているのだ。

 国家総動員体制 

 第三の特質は、帝国主義の両陣営において、国家総動員体制がとられたことである。
 日本では、天皇制・天皇制イデオロギーのもとに、治安維持法による革命党弾圧と国家総動員体制が敷かれた。徴兵・徴用・徴発・土地収用が全面的に行われ、政治・経済・社会生活がすべて戦争中心になり、「前線も銃後も同じ」として、全人民に「滅私奉公」が強制された。沖縄でも皇民化教育が強要され、植民地朝鮮・台湾で民族抹殺の皇国臣民化が暴力的に展開された。
 一方、真珠湾攻撃以後、本格的に参戦するアメリカは総兵力が最大時千二百万人にも膨れあがり、軍需産業の雇用が新たに五百万人増えるなど、全社会が戦争体制に塗り替えられた。
 一方で、中国、アジア諸国では全人民的な民族解放闘争が闘われた。

 軍隊慰安婦政策

 さらに、第二次大戦の総括として、日本軍における軍隊慰安婦制度の存在という問題は日帝の凶暴性、非人間性、残虐性を示すものとして特筆すべきことがらである。
 第二次大戦の教訓は、軍隊は民衆を守らないということであり、世界戦争の結末は広島・長崎だということである。
(高田隆志)

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週刊『前進』(2005号5面3)

泉州住民の会総会 “関空二期やめよ” 国賀市議と住民が団結

 四月二十二日、泉佐野市・泉の森ホールで関西新空港絶対反対泉州住民の会総会・講演会が開かれ、地元の住民を中心に九十五人が参加した。
 初めに森田恒一代表が主催者あいさつに立ち、「警察の弾圧をうち破り国賀祥司事務局長を泉佐野市議に四期連続当選させ、空港反対運動を前進させてきた。きょうはこのように多くの住民の参加を得て総会を開くことができた。来年五月の市議選に絶対勝利しよう」と感慨深く語った。
 集会には淡路町反対同盟、東灘区住民の会が駆けつけ、代表して淡路の安藤眞一さんが「泉州住民の会とともに軍事空港反対を闘う」とあいさつした。
 メッセージ紹介などの後、国賀事務局長が二〇〇一年度運動方針案として、@関空二期事業をやめさせよう、A空港優先の泉佐野市政と闘おう、B新ガイドラインと関空の軍事使用に反対しよう、C全国の空港反対運動、反戦運動、労働運動、解放運動に連帯して闘おう、と提起した。そして七月一日の全国集会の開催、大阪湾岸住民の闘う陣形の強化、憲法改悪・教育改革粉砕の闘いなどを具体的に進めようと提案し、拍手で採択された。
 休憩をはさんで二つの講演が行われた。
 最初に国賀さんが講演し、「空港推進派は関空が来たら泉佐野は発展すると言ってきたが真っ赤なうそだった。泉佐野市の累積赤字は三十一億円で赤字再建団体になる寸前だ。これを防ぐには二期事業に反対し、空港関連の借金を国や府に返上することだ」と明快に提起した。そして、泉佐野で初めて予算案を否決して修正させた市議会での取り組みを報告した。参加した市民は、空港絶対反対議員の存在と力の大きさをあらためて認識し、闘いの決意を固めた。
 次に元パイロットの講演があり、参加者は普段知る機会のない貴重な話に聞き入った。関空の飛行コースや民間機の軍事利用、ニアミス事故などについて活発な質疑が行われた。
 泉州住民の会総会・講演会は、住民の会と国賀市議、地元住民ががっちりと団結し関空反対闘争を力強く進めている姿をしっかりと示した。二期事業阻止・軍事使用反対の関西新空港闘争をともに闘おう!

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週刊『前進』(2005号6面1)

「つくる会」教科書の採択を強要する石原の策動許すな
 杉並頂点に全国で採択阻止を

 小泉政権の登場によって「新しい歴史教科書をつくる会」編集の教科書の採択をめぐる攻防がますます決戦化している。小泉は総裁選の過程でも「(合格した教科書を中国や韓国が批判しても)日本がそれに惑わされることはない」と公言してきた。さらに五月八日、韓国政府が中学歴史教科書に三十五カ所の再修正を要求したことに対し「再修正はできない」と宣言した。戦争賛美の「つくる会」教科書を一冊たりとも使わせるな! 各区市町村が採択する教科書を文科省に報告する期限は八月十五日、各教委は七月中旬から下旬に採択する教科書を決定する。五〜六月の闘いが一切を決する。東京・杉並を先頭に、全国で採択阻止の猛然たる闘いを巻き起こそう。

 現場教員排除する採択制度の大改悪

 戦後の教科書は、戦中の「国定教科書」への反省から、各学校ごとに現場教員が自主採択するところから始まった。しかし、六三年の教科書無償措置法で、教科書無償化と引き換えにそのあり方は踏みにじられた。広域採択制が導入されたことによって、良心的な教科書は集中攻撃されて姿を消し、教科書会社の寡占化が進み、文部省の教科書統制が強められてきた。
 しかし日教組と出版労働者は採択地区の細分化や各種委員会への参加、採択過程の公開などに取り組み、その成果もあって、現場教員の意向が一定反映されるシステムになってきた。
 公立小・中学校の教科書の採択地区は、現在全国で五百四十三地区ある(平均すると三つの市または郡で構成)。国立・私立の小・中学校、高校は、各学校ごとに採択している。
 採択ではこれまで「学校票」「絞り込み」などの方式が取り入れられてきた。「学校票」は、各学校で使いたい教科書を示した希望票(学校票)を提出し、その集計を参考にしながら選定委員会が選定する。「絞り込み」とは、教科書の内容の比較資料をつくる教員中心の調査機関が、推薦対象を絞り込んだり、順位をつけたりすることである。
 採択区ごとに仕組みは違うが、いずれも現場の教員が一定参加してきたのである。また部落解放運動の力によって、「同和教育研究協議会」などが採択にかかわってきた地域も多い。
 しかし今回の教科書採択に向けて、採択制度が大改悪されている。「学校票」や「絞り込み」の廃止を決定したり、各区市町村教育委員会にその指導をしている教育委員会が、十五都道府県に上っている(東京、神奈川、北海道、広島など)。各採択区ごとの採択要綱の改悪も進んでいる。
 現実には、検定合格した小学校百五十五種類、中学校百五種類の教科書を、各区市町村のたった五人の教育委員が読み、判断することなどできるわけがない。結局、採択制度改悪の目的はただ一つ「つくる会」教科書の採択を可能にするということだけである。
 採択制度改悪は「つくる会」の地方議会決議運動と一体で強行されてきた。九九年から「つくる会」「日本会議」などが、地方議会に対して採択制度の改悪を求める請願・陳情運動を始めた。これらの請願や意見書が採択された地方議会は現在、三十一都道府県、百四十区市町村に上る。
 この背景には、八六年の高校教科書「新編日本史」の総括がある。「日本を守る国民会議」編集の「新編日本史」は、四百カ所以上書き換えさせられ検定合格が内定した後、さらにアジア人民の闘いの中で四回の異例の再修正を余儀なくされた。しかも「新編日本史」(現・最新日本史)は検定に合格したものの採択が進まず、二〇〇一年度に使用されるのは十九校、約二千七百部にすぎない(高校の教科書採択は各校ごと)。「つくる会」はこの「敗北」を繰り返さないために、採択制度改悪に取り組んできたのだ。

 「責任果たさぬ教委はクビ」と叫ぶ石原

 教科書攻撃の最先頭に立っているのが東京都知事・ファシスト石原である。
 就任直後の九九年五月、石原の教育政策をバックアップする「教育再興ネットワーク」が結成され(「つくる会」理事の藤岡信勝らが代表委員)、「歴史教材の公正化と健全な愛国心の育成」などを運動方針に掲げた。九月には、石原が私的諮問機関「東京の問題を考える懇談会」を設置し、藤岡信勝、小林よしのりをメンバーにした。
 石原は九月の都議会で「私は、現今の教科書にいろいろ疑義も不満もある。教科書の採択は、あくまでも教育委員会の専管事項」と発言。その後も「(現在の教科書は)やっぱり非常に偏っている」(昨年三月)、「教科書を採択する権限は、あくまで区市町村の教育委員会にあることを周知徹底することが、大きな業務の一つ」(同七月)と繰り返し述べてきた。
 また東京は昨年四月から採択制度が変更された。それまでは二十三区の採択事務は都教委が行い、区教委は関与していなかった。各学校が一〜三位まで希望順位を付けた「学校票」を封印して区教委に送り、区教委はそれを都教委に転送するだけだった。このままでは「つくる会」教科書採択は不可能だと、「つくる会」は「学校票」制度を攻撃してきた。その中で、採択事務が区に移管され、区によっては採択からの教員はずしが進んでいる。
 今年一月、都教委は「都の教育目標・基本方針」を大改定した。「教育は……我が国の歴史と文化を尊重し国際社会に生きる日本人の育成とを期して、行われなければならない」と、教育改革国民会議が打ち出した「日本人の育成」論を取り込み、今まであった「憲法・教育基本法の精神」の言葉は消された。これも“都の教育目標を踏まえた教科書を採択せよ゜と、仕向けるためのものだ。
 続く二月八日、都教委は「教科書採択事務の改善について(通知)」を各区市町村教委に通知した。
 この「通知」で何よりも異様なのは中学では歴史教科書だけ取り上げて「『わが国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる』など、新学習指導要領に示されている『目標』等を最もよく踏まえている教科書を選定する」と明記したことだ。「つくる会」教科書を名指ししたのと同義だ。さらに「『教職員の投票によって採択教科書が決定される等、採択権者の責任が不明確になる』おそれのある規定があるときは、速やかにその規定を改正し」「『絞り込み』の規定があるときは、速やかにその規定を改正し」と、現場教員から決定権を奪うことを宣言した。
 石原は三月の都議会でも「ある教科書がターゲットになっている。特定の方々がよき教科書をつくろうと編集中の教科書に、外国がああしろこうしろ、好ましくないと言うことは、憲法の侵害であり、日本の自由主義体制に対する内政干渉による棄損」と発言。
 さらに四月十二日、都内の教育委員約三百五十人を集めた教育施策連絡会で「教育委員は名誉職じゃない。教育委員の責任を果たすのが面倒くさいなら、辞めてもらいたい。最たる仕事が教科書採択だ。学校の先生に採択を依頼し、それを追認するというのでは困る」と述べた。“「つくる会」教科書を採択しない教育委員はクビ゜という恫喝そのものだ。
 「つくる会」がめざす「一割の採択」は東京・大阪など都市における採択なくしてありえない。まさに首都・東京こそ決戦場だ。

 杉並区での採択を絶対に阻止しよう

 東京の中でも最大の焦点は杉並区である。
 杉並区は、採択事務の区移管に伴い昨年三月に制定した「採択要綱に関する細目」において、各学校が提出する教科ごとの「調査研究報告書」について「特定の教科書を採択すべき教科用図書として表記したり、他の教科用図書との比較をする表記をしたりしてはならない。また、順位も付してはならない」と定めた。
 そして昨年十一月、山田区長は五人の教育委員のうち三人の変更を策動し、悪名高い弁護士の佐藤欣子については反対運動によって阻まれたものの、残る二人は勝共連合系の人間に差し替えた。その一人、東洋大学教授の大蔵雄之助は「慰安婦は売春婦だった」と暴言を吐いてきた人物だ。
 東京・杉並において「つくる会」教科書が採択されることなど、どうして許せるか。都議選必勝と一体で「つくる会」教科書採択を絶対に阻止しよう。
 すでに朝鮮・中国−アジア人民の猛然たる決起と連帯した闘いが全国で巻き起こっている。杉並では署名運動が始まり、広範な怒りと危機感が続々寄せられ、区教委へのデモと申し入れも闘われた。全国各地で教育労働者を先頭に「つくる会教科書採択阻止」を掲げた集会、教委への申し入れなどが闘われている。労働者、市民、そしてアジア人民・在日アジア人民との共同闘争も広がっている。
 歴史歪曲・戦争賛美・皇国史観の内容を暴露し、大衆運動を巻き起こし、各教委へのデモ、申し入れ、座り込みに立とう。展示会場にかけつけよう。この闘いのただ中で、けしば候補の当選を絶対にかちとろう。

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週刊『前進』(2005号6面2)

反戦共同行動委 高嶋教授招き学習会 沖縄の怒りにこたえ

 東京・文京区民センターで四月二十八日、反戦共同行動委員会の主催で「四・二八沖縄デー全国統一行動/東京講演学習会」が行われた。約五十人が参加し、改憲阻止と「つくる会」教科書攻撃粉砕の決意を一層固める場となった。
 四十九年前のこの日、サンフランシスコ講和条約が発効。沖縄の分離支配、米軍の占領の継続が強制された。沖縄では「屈辱の日」と呼ばれている。
 法政大学の学生の司会で始まり、東京反戦共同行動委員会代表の長谷川英憲さんが主催者あいさつを行った。「小泉首相は、改憲を主張し、『つくる会』教科書に賛成している。バックには石原や中曽根がいる。自民党の危機の中から出てきた極右政権だ。教科書攻撃と改憲で戦争国家化と戦争を担う青年をつくりだそうとしている。六月都議選で、これと対決する」
 最初に「沖縄公開審理闘争と米軍用地特別措置法について」と題して、東京会議の狩野正幸さんが講演した。狩野さんは、特措法の歴史を追いながら、「特措法は沖縄だけにかけられ、沖縄は憲法の外に置かれている」と弾劾した。そして改悪・再改悪された米軍用地特措法下での公開審理闘争の意義と展望を訴えた。
 続いて、琉球大学教授の高嶋伸欣さんが「教科書と沖縄」と題して講演を行った。高嶋さんは元高校社会科教員で、教科書訴訟を闘い、「つくる会」教科書に対しても先頭で批判を展開している。
 高嶋さんは豊富な資料を引用しながら、日本軍軍隊慰安婦や沖縄戦などの問題について、「つくる会」教科書による歴史の抹殺や歪曲を指摘し、批判した。特に、「ひめゆり部隊が勇敢に戦った」などという「つくる会」教科書の沖縄戦を美化する記述に、沖縄では強い怒りが上がり、採択阻止の闘いが始まっていると語り、杉並区など全国で「つくる会」教科書の採択を阻もうと訴えた。
 東京反戦共同行動委員会代表の三角忠さんが、改憲阻止と「つくる会」教科書採択阻止へ全力で闘うことを訴え、行動提起として五・二七全国総決起闘争を訴えた。

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週刊『前進』(2005号6面3)

世田谷で区民集会 “真実を伝える教科書を”

 四月二十七日、東京・世田谷区で「STOP!『あぶない教科書』|『子どもたちに真実を伝える教科書を』区民集会」が開かれました。「つくる会」教科書が検定に合格する中で、危機感をもつ区民が続々と集まり、百三十人を超える参加となりました。この集会は「とめよう!新安保ガイドライン」百万署名世田谷の会、子どもと教科書ネット21・世田谷、世田谷区教職員組合(世教組)、東京都教職員組合(都教組)世田谷支部の四団体が連絡先になった実行委員会の主催で、世田谷で「つくる会」教科書の採択を許さないアピールが採択されました。
 講師の琉球大学教授・高嶋伸欣さんは、豊富な資料で、コラムが「神武東征」で始まり「昭和天皇」で終わる「つくる会」教科書を批判しました。また日本軍により慰安婦とされた女性たちの記述がないことについて、「つくる会」理事の坂本多加雄が「トイレの構造の歴史を教科書に載せないのと同じだ」と再三主張していることを取り上げ、戦前、不特定多数の男性に性を売ることを余儀なくされていた女性たちを「共同便所」と呼んだことを連想させる、女性差別に満ちた主張だと断じました。
 質疑と意見では、短い時間に中身の濃い発言が相次ぎました。世教組と都教組世田谷支部の発言を聞き、管理統制の強まる教育現場で苦闘する教職員を支える地域の運動が求められていると感じました。百万署名世田谷の会から、戦争体験に基づき、この教科書を批判する発言がありました。
 卒業式・入学式をめぐって学校に申し入れをした保護者からは、「地域の人たちが一緒に申し入れをしてくれて心強かった。これからも広げていきたい」と頼もしい報告がありました。
 在日朝鮮人女性は「合格した教科書は、一社を除いてすべて『慰安婦』の記述が消されている」と厳しく指摘し、「つくる会」教科書を糾弾して韓国から来日している日本軍軍隊慰安婦たちの訴えを受け止めてほしい、とアピールしました。台湾人元「慰安婦」裁判の支援をしている方の発言もありました。
 「障害者」の高校入学を求める運動からは、差別のない教育をともに目指していきたいと熱い訴えがあり、地域で反戦運動をしているグループは、憲法改悪と戦争に突き進む小泉新政権を強く批判しました。
 世田谷での「つくる会」教科書の採択を絶対に阻もうと思いました。 (N)

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週刊『前進』(2005号6面4)

連載・治安国家との対決を(3)
 拡大する組対法の適用 刑の加重・没収保全を強行

 激しい反対闘争の中、九九年八月十二日、組織的犯罪対策法・盗聴法・刑事訴訟法改悪のセットからなる組対法三法が制定された。このうち組織的犯罪対策法は、昨二〇〇〇年二月一日に施行された。以来、少なくとも十一件の適用事例が報道されている。

 団体禁圧

 組対法は、破防法(破壊活動防止法)が直接に団体の解散を目的としていたのとは違い、団体の活動の禁圧に焦点を当てている。ヒト・カネ・モノの面から団体の活動を事実上不可能なところに追い込んで、団体・組織をつぶす目的を持った法である。
 しかも、ここでいう「団体」とはきわめてあいまいで、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体」と規定され、必要ならどんな市民団体にも労働組合にも当てはめられる。
 その内容は、主要には以下の三つの柱からなる。第一に、殺人や逮捕・監禁、詐欺、恐喝、威力業務妨害などの十一の犯罪類型について、それが団体の活動として行われた場合の刑の加重。第二に、従来麻薬取り締まり関係だけに認められていたマネーロンダリング(資金洗浄)罪の適用範囲の大幅な拡大。第三に、これも麻薬関係だけに例外的に認められていた起訴以前の段階での財産の「没収保全」を可能としたことだ。
 この間の適用事例では、それらがすでにどしどし発動され始めている。
 組対法の初適用は二〇〇〇年三月、大阪で、「とばく開帳図利」事件に対して行われた。組織的・継続的にとばくを開いたとして、暴力団の組長と幹部に従来の水準を上回る実刑判決が下された。同様の刑の加重は、このほかにも「とばく開帳」関係でもう一件(大阪)、「威力業務妨害」で三件(静岡・石川・兵庫)、「強要」で一件(兵庫)と全国的に起きている。
 本年二月には大阪で、殺人未遂容疑で逃走中の暴力団組長に逃走資金二十万円を渡したとして、七人の組員が「犯人隠避」で逮捕された。これが組ぐるみの行為とされて組対法の適用を受け、刑が加重された。
 マネーロンダリング罪も昨年十月、東京での詐欺事件に適用された。投資会社の社長が詐取した金で大正生命の大株主となり、自分と腹心の三人を取締役に選任させたとして告発され、組対法にいう「不法収益による事業経営の支配」をもくろんだとされた。
 「犯罪収益の没収保全」は、昨年五月に熊本で起きた事件に適用された。労働者派遣法に違反したとして、派遣会社とその経営者が、派遣料二百万円を逮捕の翌日に没収保全された。

 本格発動

 このように、組対法の対象罪はきわめて広範囲に適用され、暴力団から経済事犯にまで及んでいる。全国の警察が適用に動いていることからすると、組対法を本格的に労働組合・革命党に振りかざす段階に入ったと言える。すでに、東京と大阪に「組織犯罪捜査センター」を設置し、二月十九日には警察庁長官が「組織犯罪対策の推進を」と檄(げき)をとばしている。
 「刑の加重」の適用事例を見てみると、これまでの刑法犯では「とばく開帳図利」で実刑を受ける者はおおよそ一割、実刑でも二年以下にとどまっていた。また「威力業務妨害」はほとんど罰金刑にとどまっていた。それが組対法が適用されることにより、いずれも実刑でしかも三年を超える判決が出てきた。ビデオテープ四本を貸せと言っただけで懲役三年である。
 組織に属しているだけで刑が加重される、実刑の恫喝で組織からの離脱を図るという、組対法の本来の法目的が見えてきている。
 「犯罪収益」の起訴前の没収保全も重大である。そもそも裁判はおろか、起訴もされないうちから有罪扱いして、組織の金を没収するという処分に踏み切ること自体、「疑わしきは罰せず」の原則を公然と否定するものだ。「犯罪」に金が動いたとされた場合、疑いがかけられた段階でまずその金を押さえる。そのことによって没収・追徴を確実にし、組織から金を取り上げるのが目的である。
 さらに、今後はマネーロンダリングの規制も強まってくる。組対法では「疑わしい取引」について、金融機関に対し金融監督庁への届出義務を課している。同庁が出した参考例では「口座を開設してもすぐ閉鎖する」「個人が複数の通貨への両替を頻繁にする」などがあり、各金融機関からの届出は昨年の四月段階で、週百件ペースで一昨年の五倍の情報が集中していると報道された。
 組織あるいは組織を名乗ることのできない萌芽(ほうが)的集団にくみしていれば、例えば逮捕・監禁容疑で逮捕された場合、逮捕以前に盗聴がなされ、逮捕直後に財産の没収保全が行われ、判決ではほぼ実刑とされるのだ。

 労組弾圧

 刑の加重の対象となる団体は、法の審議過程での政府答弁のように「オウムや住専、暴力団」だけを対象としているのではまったくない。その真の矛先は、革命党と戦闘的労働組合、さらに広く市民団体に向けられているのだ。
 今年一月、全日建運輸連帯関西生コン支部の二人の組合員が、団交要求行動に対して「業務妨害」をデッチあげられて逮捕されている。組対法で刑の加重を規定している十一の対象罪のうち、過去に労働運動弾圧の常套(じょうとう)手段に使われた罪名は、逮捕及び監禁、強要、信用棄損及び業務妨害、威力業務妨害、詐欺、恐喝、建造物損壊など七つに及ぶ。狙いは明白だ。
 大失業攻撃の中で、労働運動への刑事弾圧の一層の激化は必至だ。組対法が戦闘的労働組合つぶしの武器として本格的に発動されることを断じて許さず、階級的団結を守りぬくために闘おう。    (立花茂)

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週刊『前進』(2005号6面5)

日本軍軍隊慰安婦 私たちの存在を否定するのか!
 韓国挺対協が日本政府に抗議

 日本軍軍隊慰安婦の生き証人として日帝の戦争責任を追及している黄錦周(ファンクムジュ)さん、金恩禮(キムウンリェ)さんが4月25日、韓国挺身隊問題対策協議会とともに来日。翌26日、文部科学省に「つくる会」教科書の検定合格を取り消すよう申し入れた。居直る官僚の態度に黄さんは「私が体験者だ。消すことなどできない!」と怒りを爆発させた。27日午前、挺対協は文部科学省前で抗議行動を行い(写真)、国会前で終日座り込んだ。この闘いにこたえ採択絶対阻止を!

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