ZENSHIN 2001/04/16(No2001 p06)

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週刊『前進』(2001号1面2)

動労千葉の120時間スト 第2の分割・民営化(ニューフロンティア21)に反撃

 国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、四月一、二日のJR東日本における四十八時間全面乗務員ストライキを中心に、前後の三月三十一日、四月三日の指名ストを含めて四日間、九十六時間の春闘第二波ストを打ち抜いた。三月二十八日の第一波ストと合わせて実に百二十時間に及ぶ大ストライキを一糸乱れぬ団結で貫徹したのだ。第二波スト突入者は四日間で延べ約四百人。第一波と合わせて延べ五百人近い組合員が決起した。JR東日本千葉支社は、四日間で七百九十九本が運休し、約二十一万人に影響したと発表。久留里線、鹿島線は一、二日は全面運休、東金線、内房線、外房線、総武本線も運転率は五五―七五%にとどまった。四月二日はJR東日本の入社式があり、本社は「一本も止めるな」と千葉支社に指令したが、JR総連・東労組の組織的危機の中でスト破りに全面的に動員することもできず、予想を超える運休となった。
 動労千葉が今春闘で掲げた要求は、三万八千円の大幅賃上げ、JR貨物の格差回答―ゼロ回答打破、シニア制度―業務の全面外注化阻止、運転保安確立、千四十七人の解雇撤回などだ。これに対してJR貨物は二年連続でベアゼロを回答。JR東日本もベア九百六十四円(〇・二八%)の超低額回答だ。JR東労組は、昨年より百円上積みのベアと取引して、業務の全面外注化を裏切り妥結した。動労千葉は、これらを断固拒否してストを打ち抜いたのである。
 動労千葉の乗務員ストは、九五年十一月の勝浦運転区廃止阻止を掲げた七十二時間スト以来五年ぶり。その間のあらゆる組織破壊攻撃をはね返して培われた組織力をいかんなく発揮し、“動労千葉ここにあり”を強烈に示した。
 ストは、JR資本だけでなく、黒田・カクマルと分裂して一層のJR資本の先兵となって延命しようとする松崎・JR総連に大打撃を与えた。「ニューフロンティア21」―第二の分割・民営化攻撃にさらされる全国鉄労働者に対して、また連合などの幹部の裏切りのもとで苦闘する全国の労働者に対して“このように闘おう”と素晴らしいメッセージを送った。さらに、「四党合意」に抗して闘う不屈の国労闘争団を激励し、千四十七人闘争の勝利に向けた新たな闘いの開始を告げ知らせた。動労総連合傘下の動労水戸、動労連帯高崎、動労西日本もストに決起した。動労千葉・動労総連合に続こう。

 動労千葉各支部と運休状況(4月1日)

 写真特集

週刊『前進』(2001号2面1)


熱気と解放感誇りに満ちて

 動労千葉の三月二十八日の第一波、三月三十一日から四月三日の第二波、計百二十時間の大ストライキは、ものすごい解放感と熱気の中で闘われた。組合員の一人ひとりの姿に「おれたち労働者こそ社会の主人公だ」という誇りが表れていた。
 四月二日午後一時から千葉県労働者福祉センターで開催された春闘第二波スト総決起集会には、スト突入者を先頭に全県から四百二十人の組合員が結集した。スト中でなければ、これだけの組合員が一堂に会することはない。その意味でも、ストは労働組合の団結を固める重要な場だ。
 冒頭、君塚正治副委員長(動労総連合委員長)が「この春闘は動労千葉の二十一世紀を占う」と開会あいさつ。司会者は「全国の労働者の怒りを代表するストだ」と宣言した。
 中野洋委員長があいさつに立ち、「八百本の運休を出す成果を挙げて貫徹されつつある。動労千葉の力を示すことに成功した。ニューフロンティア21に大変な痛打を与え、カクマルの分裂問題で内部のタガがゆるんだJR総連にもダメージを与えた。四党合意をのんで、機動隊を導入して大会を強行した国労の一部幹部に対する打撃、闘争団を始め国労の闘う仲間に激励を与えることに成功した」と訴えて、ストの意義を全面的に明らかにした。
 まず国鉄労働運動をめぐる情勢について、「国労の四党合意をめぐる攻防は、国労が闘う労働組合に生まれ変われるのかをめぐる攻防だ。カクマルとJR総連グループの対立、抗争、分裂は、会社とJR総連が一体となった体制が大きく揺らいできたことを示している。国労が四党合意を蹴って団結を守れば、JR総連をぶっかいて、闘う労働組合がJR全体を制することが可能だ」と述べた。
 中野委員長はまた、「JR東日本はニューフロンティア21を出し、鉄道は単なるお客を運ぶ手段に過ぎない、駅を活用して金をもうける会社にする。その実態が保守三部門の全面的な外注化攻撃だ。『痛みを伴う』と言っているが、冗談じゃない。分割・民営化で大変な痛みを強制された。それをまたやるというのだから、動労千葉は『断固ノー』である。第二の分割・民営化は鉄道会社のあり方を根本的に変える。労働組合、労働者はどうしたらいいのかと突きつけられた。この闘いをとおして、団結を強化し、本気になって組織を拡大しよう。こういう時代には間違いなく力が勝負を決する。若い仲間を入れて、みんなの力を結集して打ち破ろう。かつて分割・民営化攻撃の時に示した大変な熱気を取り戻し、労働者魂を示そう」と檄(げき)を飛ばした。

闘争団が国労再生への決意

 国労闘争団の労働者が、「近い将来、闘う労働組合として再生してあいさつに来たい。ストに立ち上がった動労千葉の皆さんに心から敬意を表す。四党合意が機関決定されたが、あくまでも職場に帰る。金も取る。失われた時間を返してもらう。同じ鉄路に働く仲間として頑張ろう」と訴えると、ひときわ大きな拍手がわき起こった。
 動労千葉弁護団の阿部裕行弁護士は、シニア制度を鋭く批判し、地労委闘争に勝利する決意を述べた。
 都政を革新する会のけしば誠一杉並区議は、「胸のすくような快挙だ。閉塞(へいそく)感を吹き飛ばしている。労働者の権利を守り、乗客の命を守る崇高な闘いだ」とスト決起をたたえ、「自民党・金権腐敗政治にトドメを刺すために都議選に必ず勝利したい」と支援を訴えた。
 水野正美勝浦市議は、「今回のストは、歴史を切り開く闘いだ。これが新たな労働運動の出発点だ」とあいさつした。

外注化阻止の闘いは継続へ

 基調報告に立った田中康宏書記長は、「一人ひとりの力がこれだけ大きなものをつくっている。素晴らしいことだ。闘う部分と裏切っている部分が鮮明になった。動労千葉の側に未来がある」と組合員をねぎらい、「JR東日本は大打撃を受け、JR東労組はこのストに顔面蒼白(そうはく)になっている。この闘争の渦中で、東労組組合員が離反してしまうのではないかとせっぱ詰まった行動に出ている。組織的崩壊状況だ。そういう状況にくさびを打ち込んで、動労千葉に結集する。そのインパクトは千葉にとどまらない。われわれの闘いが全国に響く時が来た」と訴えた。
 田中書記長はさらに、交渉経過に触れ、ベア百円の上積みで検修職場の労働者を売り渡す全面外注化を妥結した東労組を弾劾し、会社に対して再考を求めたが、会社は一切はねつけた状況の中でスト突入指令を下ろしたことを明らかにした。そして、「外注化は、これから支社、現場段階で闘争が続く。施設関係では、出向期間が過ぎたら転籍になる。シニア制度で再雇用を拒否された組合員の雇用を確保しなければならない。このストを集約した後も闘いを継続していきたい」と奮起を促した。

東労組脱退の新組合員登壇

 動労千葉家族会などのメッセージが紹介され、JR東労組から加入した新組合員がさっそうと演壇に上がった。
 「東労組で、悪いものは悪いと三年ぐらい言い続けてきたが、組織破壊者のレッテルを張られ、二〇〇一年元旦に動労千葉に結集した。東労組の役員は腐敗、堕落している。青年組合員の不満、不信が渦巻いている。彼らが望んでいるのは、JR総連、JR連合の既成の波ではない。そういうところに魅力を感じないとはっきり言う。第三の波を、千葉の地から大きなうねりをつくりたい」
 この力強い訴えに、割れるような拍手が送られた。
 さらに、各分科会、協議会、各支部代表が次々と決意表明した。動労千葉争議団の労働者は、「国労が四党合意を認めたが、国労闘争団は新たな闘いを始めた。私たちも動労千葉執行部の正しい判断のもとで、こういう闘いを背景に原職を奪還する」と述べた。
 集会後、千葉駅、千葉支社に向けてデモ行進した。四百人もの組合員の大隊列は圧巻だ。黄色いゼッケンに身を固め、スローガンが書かれたプラカードを手にした組合員の表情は皆、解放的で明るい。第二梯団(ていだん)の先頭の幕張支部は「委託阻止、闘争勝利」とコールしながらデモした。千葉支社を取り巻き、「JRは不当労働行為をやめろ」とシュプレヒコールをたたきつけた。
 国鉄決戦はきわめて緊迫した局面を迎えている。
 三月十五日、自民党など四党は国労本部に対して採用差別事件の訴訟取り下げを露骨に要求した。さらに自民党は、「解決案」の内容について「白紙委任」を国労本部に迫っている。
 国労本部は、この攻撃に全面的に屈服し、当事者を無視した訴訟の取り下げに突き進もうとしている。
 こうした中で、闘争団は不屈の闘いを貫いている。 三月二十六日から二十八日まで、闘争団全国連絡会議は「闘争団の求める解決要求の実現」を掲げて国会前座り込みを貫徹した。
 さらに、「解雇撤回・地元JR復帰を闘う闘争団」は三月、ILOに派遣団を送り、反動的な第二次勧告を覆すために闘争団の側からの追加情報を提出した。
 三月三十日には、「解雇撤回・地元JR復帰を闘う国労闘争団と共に闘う三・三〇集会」が日本教育会館で開かれ、四百人が結集。
 闘争団の代表は、臨時大会に機動隊を導入して闘争団に非難を加える本部を批判し、「敵を見失ってはならない。JRと政府の責任を追及し、全面解決要求の実現をめざす。『JRに責任なし』に反対する。不退転の決意で闘う」ときっぱりと発言した。
 ILO派遣団に加わった闘争団の代表が、行動の報告を行った。
 佐藤昭夫早稲田大学名誉教授は、訴訟取り下げ策動との闘いについて、「個々の闘争団員の訴訟参加も早速始めておくべき。国労組合員有志と動労千葉が申し立てている四党合意撤回の地労委闘争を広げることも重要だ」と提起した。
 山口孝明治大学名誉教授は、「辞めたはずの上村氏と宮坂氏が席を与えられている。問題を起こした人は引いて、反対派が執行部になるべきだ。現執行部は人間として醜いことをしている」と痛烈に本部を弾劾。
 音威子府闘争団家族の藤保美年子さんは、「闘争団の闘いは本部が言うような生やさしいものではなかった。取り戻すことのできない十四年。中途半端な解決はありえない」と訴えた。
 闘争団からの行動提起では、闘争団支援の陣形強化などが訴えられた。
 各支部は、この総決起集会に先立って、さまざまな行動に決起した。
 ストに突入した三月三十一日、桜の満開時では二十五年ぶりという雪にみまわれた。千葉運転区支部は、運転区の近くの会場で約九十人でスト突入集会を開催した。運転区の入り口には「JR東日本本社」と書かれた緑腕章を付けた職制が門扉を閉ざしてロックアウト。これにシュプレヒコールをたたきつけた。四月一日にもDC会館で集会。家族会や千葉労組交流センターが激励に駆けつけた。組合員は運転区の監視行動に決起。スト破り動員者には当局が警備をつけて退勤させていた。これを弾劾して意気高く闘いぬいた。
 全支部がそれぞれ集会や学習会を開き、意志統一した。検修・構内業務の全面外注化の対象となる幕張支部が職場ビラまきを行うなど、文字どおり全組合員の総決起でスト行動を貫徹した。
 JR東日本は、ストによる混乱を回避しようと、首都圏の各駅や車内で動労千葉のストをアナウンスし、張り紙をした。マスコミも一斉に報じた。労組交流センターが支援を呼びかけるビラを駅頭で配布した。こうした中で、全国の労働者の注目と共感が集まった。職場ではこの話題で持ちきりになった。
 動労千葉本部には、ストに対する激励の電話が数多く寄せられた。特に、安全を破壊する合理化と闘っていることが支持された。
 動労千葉の春闘ストライキは、二十一世紀の日本労働運動の再生の展望を切り開く歴史的な闘いとなった。
 中野委員長は、二日の総決起集会で、「世界的な恐慌と戦争の情勢、森政権の改憲、教育改革、有事立法の攻撃に対して、労働者は団結して敵に向かっていかなければならない。政府を打倒するためには、労働者がストライキをやり、大規模なデモンストレーションをやって政権に引導を渡さなければならない。日本の多くの労働者に対する一つの大きなメッセージとして、われわれと一緒に闘おう、そうすれば勝利の展望が切り開かれるということを示す」と、今回のストの大きな意義を述べた。
 また、田中書記長は、「労働者階級の歴史は、こぶしをあげて権利を認めさせてきた歴史だ。その歴史の一翼を先頭で担っているという誇りを持ちたい。怒りや不満だけでは社会は変わらない。それに火を付けなければならない。労働組合の原点は団結だ。労働組合らしく団結してストを闘う」と訴えた。
 動労千葉のストは、大幅賃上げや大合理化阻止、千四十七人の解雇撤回などの課題を掲げるとともに、労働組合の原点である団結とストライキを復権し、政府・資本との原則的対決を日本労働者階級全体にアピールする闘いとしても、画期的な意義を持つ闘いとなったのである。

動労総連合の統一スト

動労水戸 他労組の若者巻き込む展望

 国鉄水戸動力車労働組合は、四月一日、二日の両日にわたるストライキを貫徹した。一日、勝田運輸区で乗務員と検修の二人がストに決起。翌二日には水戸運輸区、大子運輸科で乗務員やベンディングなどの組合員十五人が続々とストに突入した。
 二日午前十時すぎ、水戸運輸区前でスト支援行動が闘われた。
 国分勝之委員長が、「検修・保守部門の全面外注化が行われようとしている。JR労働者の将来をかけた闘いとしてストを闘う」と、運輸区の労働者に力を込めて訴えた。
 訴えが続く中、ストライキに突入した組合員を全員が拍手で迎え、力強いシュプレヒコールを行った。
 水郡線・大子運輸科では、午後零時半すぎからスト支援行動が闘われた。「ニューフロンティア21で鉄道事業は三番目に後景化し、ローカル線が切り捨てられる。ともに決起しよう」という訴えが響いた。
 午後五時半から、水戸市民会館で総決起集会が開かれ、スト貫徹中の組合員を始めほとんどの組合員が結集した。組合員の顔は、ストに決起した自信と確信で生き生きと輝いている。
 各職場からのスト報告の後、国分委員長が総括を提起した。
 「動労千葉は列車を止めるストライキをやっている。昨年の十一月のストライキから、東労組以外の組合に『スト破りをやるな』と公式に申し入れ、ひざ詰めの話し合いをやってきた。今回のストはこの地平をより深めた。他労組と東労組の若者を巻き込む展望を今回つかんだ」
 「検修の全面外注化が五月の連休明けにも提案され、十月にも実施されようとしている。すべての職場がそうなる要素を持っている。どこで闘えば効果的かを見据えて闘う。動労水戸として一番大事な昇進・昇格差別撤廃へ闘う」
 辻川慎一副委員長は、「全面外注化に対して組織戦として闘うことが問われている。職場がなくなろうとしている。不当配属に対して『原職奪還』と言っているが、『原職』がなくなろうとしているのだ。組合の路線にかかわる問題だ」と檄を飛ばした。
 JR東日本は、規定を無視して東労組以外の労組員にスト破りを強制した。スト破りを強いられた他労組の組合員は動揺し、資本への反発をますます強めている。今回のストは、千四十七人闘争と連帯し、JR体制への総反撃の芽を確実に生み出した。

動労連帯高崎 闘争団の怒り受け止め決起

 四月一日、国鉄高崎動力車連帯労働組合は二十四時間ストに決起した。
 早朝、当局にスト通告をした和田山繁委員長を先頭に、組合員と国労高崎など支援の労働者は熊谷駅に結集。駅頭を制圧してスト支援を呼びかける宣伝行動を繰り広げた。
 午前十時から、熊谷商工会館で動労連帯ストライキ貫徹総決起集会が行われ、約四十人が参加した。
 和田山委員長が報告と基調提起を行い、ストの勝利を宣言した。
 「本日のストライキは、労働者がやられっぱなしの状況下で労働者としての当たり前の権利行使だ。地域共闘の中から闘いをつくり出す。国労闘争団の怒りを本隊のおれたちが受け止めて闘う。JR東労組は、連帯高崎への横川での拉致・監禁事件のようにカクマルそのものだ。東労組を解体し、組織拡大の闘いに粘り強く立ち上がろう。きょうのストは二十四時間だが、大合理化攻撃で大事故が続発する中、重要な闘いとして貫徹した」
 大動員で参加した国労高崎地方本部と同熊谷支部の代表は、「本来なら国労がストライキに決起しなければいけないところ。ストを提起さえできない国労中央本部の現状を突破するために、動労連帯高崎と連帯してともに闘う」と力強い決意を表明した。闘争団からのメッセージが寄せられ、大きな拍手で確認された。
 熊谷地区労議長、大倉電気争議団、化学一般ニッショー・ニプロ支部、昭和高分子労組を始め、合同労組、教組、自治労など十を超える労組が連帯のあいさつをした。最後に力強く団結ガンバローを行った。
 動労連帯高崎は、国労や闘争団とも手を結び激励して、首都圏を揺るがす動労総連合の大ストライキの重要な一環を担いぬいた。

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