週刊『前進』(1982号1面1)
臨検法案・改憲阻止、森政権打倒へ
機関紙=財政決戦に総決起し今こそ闘う労働者党建設を
採用差別本州事件11・8高裁反動判決弾劾
「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 十一・五全国労働者総決起集会」は、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の呼びかけ三労組を先頭に、東京・日比谷野外音楽堂に昨年を大きく上回る三千二百五十人を集めて大成功した。集会の成功の熱気と感動的地平を押し広げ、十一−十二月闘争を全力で闘い、二〇〇〇年決戦に勝利しよう。国鉄決戦をさらに推進し、政権存亡の危機にあえぐ森反動政権打倒、臨検法案阻止を中心とする諸闘争を、改憲阻止に向かって集約しつつ闘いぬこう。最大の決戦は、機関紙拡大闘争と財政闘争を両輪とする党建設の闘いである。激動と革命の二十一世紀を切り開く革共同の建設と躍進をかちとれ。
第1章 資本攻勢に反撃する闘う新潮流の大登場
十一・五労働者集会の基調は、呼びかけ三労組である関西生コン、港合同、動労千葉の各代表のあいさつで鮮明に提起された。
三労組の代表は、それぞれの発言をとおして、資本と闘う団結を強め、千四十七人の解雇撤回闘争に勝利し、大失業と戦争の攻撃を打ち砕き、二十一世紀こそ労働者階級が社会の主人公となる時代であることを高らかに宣言した。そして「団結こそ命であり力である」との確信をもって、「今こそ闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」と呼びかけた。
とりわけ、嵐(あらし)のような拍手を浴びて壇上に上がった国労闘争団の特別アピールが圧巻であった。闘争団と戦闘的国鉄労働者を代表して北海道と九州の二人の闘争団員は、七・一国労臨大、八・二六続開大会、十・二八−二九定期大会で「四党合意」決定を阻み、ついに休会に追い込んだ勝利の熱気と息吹をそのまま伝え、「ここに集まった労働者人民と共同の闘いとして国鉄闘争勝利をかちとっていこう」と訴えた。
また北海道の二つの国労闘争団から熱烈な連帯のメッセージが寄せられ、さらに「四党合意」撤回の労働委員会闘争を闘う国労組合員が、「四党合意」を絶対に阻止し、闘う執行部を確立する不屈の決意を明らかにした。
全国の労働者は日々、激しい資本攻勢と闘いぬいている。民間では倒産・リストラ、大失業と賃下げ、団結破壊の嵐にさらされつつ闘いぬいている。さらに全逓での人事交流・職場破壊攻撃の激化、NTTでの大合理化・首切り、省庁再編とそれにともなう行革攻撃、特殊法人全廃の攻撃、「教育改革」と一体の教組圧殺攻撃が続いている。中小民間ではさらにすさまじい雇用破壊・賃金破壊の攻撃が進んでいる。
国労闘争団を先頭とする千四十七名闘争の勝利こそが、これらの激化する資本攻勢を粉砕する最大の突破口なのだ。全参加者がそれを確信した。集会は、これらの資本攻勢と真正面から対決する集会としてこれまでの最高の闘いとなった。
国労大会決戦の地平と課題
十一・五集会の大成功は日帝権力・資本とそのファシスト先兵、カクマル=JR総連に大打撃を与え、戦闘的労働運動の再生の展望を力強く指し示した。
国鉄決戦勝利を開き、資本攻勢を打ち破る戦闘的階級的な労働運動の新潮流が、いよいよ公然と大登場することに成功した。二十一世紀の労働者階級の未来は十一・五労働者集会にこそあることが、天下にはっきりと示されたのである。
十・二八−二九国労大会で「四党合意」を三度阻止した勝利は、七・一−八・二六の偉大な地平を「一票投票」の強行をもって逆転しようという、国労本部執行部の大反動を打ち破ってかちとられた。その意義は、実に大きい。
闘争団を先頭に「一票投票」絶対反対を貫き、闘う国労組合員は「四党合意」撤回を求める労働委員会闘争などさまざまな闘争形態を駆使して決起した。だが、「一票投票」と代議員選挙の結果は、「数の重圧」となって闘争団と戦闘的組合員に襲いかかった。しかしこんなことで闘争団のこれまでの闘い、人生を押しつぶしたり、切り捨てることはできない。根底からの怒りが大会で噴き出した。この闘争団と反対派代議員の存在と闘いが、大会を規定したのだ。
こうした中で、大会冒頭の高橋委員長発言は、「四党合意」への危惧(きぐ)を表明せざるをえなかった。「四党合意」の当事者である社民党はあいさつに来ることもできず、日本共産党はペテン的、アクロバット的に「四党合意に問題あり」と言ったが、革同上村一派の犯罪性は許せない。今や革同内の分裂も非和解的になっている。
その後の大会の討論では、経過報告などをめぐる攻防と激突が続き、ついには反対派代議員と闘争団、傍聴者の渾身(こんしん)の決起と反撃によって、本部執行部は休会を宣言せざるをえなかったのだ。
これは三度、「四党合意」を阻んだ感動的勝利である。闘争団を先頭に「絶対に四党合意を許さない」という固い決意が、敵の大反動を押し返したのだ。
この過程で国労本部の闘争団圧殺・切り捨ての正体が、闘争団においても、支援の人びとにおいても、いよいよ鮮明になった。
「闘争の前進が密集した反革命を生み出し、その密集した反革命を打ち破ることによって階級闘争は前進する」という激動期の論理が、この国労大会決戦で生き生きと実践された。「四党合意」をめぐる攻防の中で、チャレンジ宮坂、革同上村一派らが自民党など四党の手先であり、敵階級の側に移行した者であると、闘う国労組合員と支援は一層強く実感し、革命的大衆行動のもつすさまじい威力が発揮されたのである。
もちろん、「四党合意」をめぐる闘いは、まだ何も決着していない。最後の勝負はこれからである。しかし三度阻止した地平は限りなく大きいのだ。
十一月八日、東京高裁はJR採用差別本州事件の裁判の控訴審において、JRの法的責任を否定し、中労委と国労の控訴を棄却する反動判決を下した。日帝権力とJR資本の意志は、あくまで国労解体と国家的不当労働行為のゴリ押しである。この反動判決を徹底弾劾し、「四党合意」粉砕へ、怒りも新たに猛然と決起していく必要がある。
「四党合意」を絶対に粉砕し、国労現執行部を総退陣させ、新たな闘う執行部をなんとしてもつくり出そう。闘争団と千四十七人の闘いを守り、勝利しよう。
第2章 JR総連=カクマルの対立と亀裂と崩壊
JR九州労で起きた大量脱退は、実は九州労丸ごとのJR総連からの離反である。九州労のカクマル指導部は退職間近の組合員たちを九州労に残し、大多数の相対的に若いメンバーをJR連合に移行させることを狙った。つまり九州労が丸ごとJR総連から離反し、組織分裂したという大変な事態が生じたのだ。
カクマル機関紙『解放』一六四三号掲載の九州地方委員会論文は、脱退届けを撤回した一人のカクマル分子が九州労執行部から「執行権と組合員権停止」の処分を受けたと、大騒ぎして「弾劾」している。
こうした中でカクマルは、脱退を首謀した「四人組=組織破壊者」に向かって「われわれは……何人ものリーダーを傷つけられ虐殺され失った」「汗と涙を流して国鉄改革と我々の未来のためにたたかってきた」などと、「裏切り者」への憎悪を込めた圧力と白色テロの恫喝を加えている。何よりもカクマルの頭目・黒田自身が、「地獄」とか「闇(やみ)」とか叫び、白色テロを叫んでいる。
しかも、このJR九州労のJR総連脱退が、JR総連本体である東労組と東京地本に波及することは不可避であり、むしろ危機の根源はそこにある。JR貨物労組でも相次いで脱退が起きている。
反革命通信一六四二号のカクマル交通運輸労働者委員会の論文によると、なんと「退職したJR総連OBメンバー(南雲)」なるカクマルが、JR総連傘下の各単組内において「『会長(松崎明)は過去の人だ』とか、『山本勝彦(黒田寛一)は変質した』とかという言辞をふりまいている」という。大変なことだ。
実際、九州問題の発生という重大な問題がJR総連内部で起きているというのに松崎は発言できず、沈黙している。さらに黒田に対する批判、反発が渦巻いている。これは黒田・松崎の綱領的破綻(はたん)、組織現実論の大破産であり、「権威」の失墜ということである。
さらに深刻なのが、JR総連が中心になって組織している9条連をめぐって起きている事態だ。9条連の九・四集会ではカクマルが排除された。十月六、七日の9条連全国総会では、JR総連書記長山下が総会アピール案に「革マル派の介入」を非難する文言を入れたことで、紛糾した。
山下なる人物は、JR総連をカクマル的に強化するために六月に書記長に就任した人物である。それがこのありさまだ。まさにJR総連とカクマルは、極限的な対立・亀裂・崩壊に突入しているのだ。
さらに反革命通信一六四三号は、わが『前進』のJR総連打倒の戦闘宣言に、「介入しないでくれ」と悲鳴をあげている。中でも「ゴリのカクマル分子が集団的に松崎と中央に反発し離反した」との暴露に大打撃を受けている。
カクマルは、今回の事態が「政府・自民党とJR各社の一部の経営陣によるJRの完全民営化をもにらんでの労組破壊攻撃」であるなどとインチキな分析と弁解をしているが、問題はその先である。
JR東労組は、今年三月、第二の分割・民営化攻撃と言うべき「シニア協定」と、それとセットで鉄道業務の全面外注化を受け入れた。これはすさまじい大合理化攻撃であり、実は東労組カクマルすらどうなるか分からないほどのものである。黒田と松崎は、地方のJR総連組織を犠牲にしてでも、東労組のカクマルだけが生き延びるという反革命的な決断を行った。これに反発し、黒田・松崎の意図を察知したJR九州労カクマルは、組織ぐるみで資本のもとに、JR連合のもとに走ったのだ。
カクマルは国鉄分割・民営化攻撃の先兵となり、歴史的な大転向と裏切りに走った。それ以来のカクマル松崎のファシスト労働運動路線が、ここにきて完全に大破産したのである。動労千葉と国労を軸とした国鉄闘争の不屈の前進が、ついにJR総連=カクマル松崎路線の総破産情勢を生み出したのだ。
6面につづく〜1面からつづく
組織的対立と亀裂と崩壊に突入したJR総連=カクマルを、今こそ国鉄労働者を先頭とする労働者人民の総決起で打倒しよう。これこそ国鉄闘争勝利の展望を開く決定的な情勢である。JR総連を解体し、国労の組織拡大をかちとるチャンス到来なのだ。この点でも、国労自己解体の裏切り路線=「四党合意」は絶対に許すことはできないのである。
第3章 森政権の絶望的危機と改憲狙う超反動性
日帝・森政権は、改憲・有事立法と教育基本法改悪と「ITリストラ」攻撃を推進する超反動政権である。同時に、暴言・失言と腐敗・スキャンダルにまみれた極悪政権である。
その森内閣の支持率は二〇%を切り一〇%台に低下し、政権存亡の危機にあえいでいる。だが森はその危機をのりきるためにも、参院への非拘束名簿式の導入のための公選法改悪の暴力的強行に続き、大反動攻撃に出ている。
今こそ超反動・森政権打倒を掲げ、船舶検査=臨検法案を始めとする諸反動法案粉砕へ闘いぬこう。
まず日帝・森は、沖縄サミット以後、名護新基地建設の強行にがむしゃらに突進している。政府、県、名護市の三者による米軍普天間飛行場の「代替施設協議会」や、この間中断されていた日米間の「普天間委員会」を相次いで開催し、名護新基地建設強行に向かって攻撃を強めている。名護新基地建設を阻止し、第三次安保・沖縄闘争と改憲阻止決戦を闘いぬこう。
さらに日帝・森の改憲に向かっての全面的な攻撃と対決しなければならない。
憲法調査会は改憲推進機関である。憲法調査会粉砕闘争は当面の改憲阻止闘争の環である。特に十一月三十日にファシスト石原慎太郎が参考人として調査会に出席しようとしている。これを許さず、粉砕せよ。
また、森は船舶検査=臨検法案を今国会で成立させようとしている。臨検法案とは、武力行使法案であり、戦争法案であり、新ガイドライン関連法の一環である。日帝・自衛隊が、「船舶検査」と称して他国の船舶を武力で威嚇し臨検を行い、それを拒否した(と見なした)場合には武力行使発動を合法化する戦争突入法案である。これは有事立法でもあり、憲法九条を破棄する改憲攻撃そのものである。
臨検法案は十一月九日、衆院本会議で審議入りした。森は、野党の全面屈服のもとで審議もないまま今週にも委員会採決を狙っている。全力で阻止しよう。
さらに、「厳罰化」を中心とする少年法改悪の本質は、少年を戦争に動員するためのものであり、教育基本法改悪、改憲攻撃の突破口である。絶対反対以外にないものであり、阻止しなければならない。また医療法、健保法の改悪との重大な闘いがある。そして同時に介護保険廃止の闘争を全力あげて闘おう。その先頭で十一月六日、厚生省交渉が闘われた。さらに闘いを強めよう。二〇〇一年七月に向けて、都議選決戦に突入しよう。
さらに、教育基本法改悪に向かって教育改革国民会議の公聴会を全国各地で開き、「教育改革」を反革命的な国民運動として展開しようとしている。来年の通常国会には「奉仕活動」の義務化と「不適格」教員の排除法案を提出しようとしている。また、東京ではファシスト石原が「心の東京革命」と称して下からのファシズム運動を展開し、同時に国立の「日の丸・君が代」反対闘争への処分と圧殺攻撃を加えている。
改憲攻撃そのものでもある教育基本法改悪、「教育改革」と闘いぬこう。来年の「日の丸・君が代」闘争、教労攻撃への反撃と一体のものとして闘おう。全学連を先頭に国公立大学の独立行政法人化を阻止するために全力をあげよう。
また、「司法改革」攻撃と闘おう。これは「基本的人権の擁護と社会正義の実現」を掲げて闘ってきた弁護士のあり方を一変させ、日弁連を総翼賛化するものであり、「闘う裁判」「争う裁判」を抹殺する攻撃である。断固、粉砕しよう。
十一月二日から日本全土で日米共同統合軍事演習が強行され、各地で反対闘争が展開されている。全力で反撃していこう。
さらに、外国人参政権法案をめぐって繰り広げられている排外主義・差別主義キャンペーンと対決しよう。在日朝鮮人・中国人を始めとする闘うアジア人民との連帯を貫こう。資本攻勢と闘う労働者階級の階級性の鮮明化のためにも、この闘いを重視しなければならない。
党勢2倍化が可能な情勢だ
十一・五集会にまでのぼり詰めた二〇〇〇年決戦の勝利を、この十一、十二月さらに打ち固め、一層拡大するために、もうひと踏ん張り闘いぬかなければならない。ここで求められているのは、二〇〇〇年決戦の成果を党建設に結実させることである。党勢の二倍化はまったく可能である。
厳しい資本攻勢のもとにあって闘いを求めている労働者人民は今、革共同の提起を切実に求めている。
何よりも機関紙拡大闘争に意識的計画的に取り組もう。党活動の軸をここにすえてやりぬこう。
財政闘争の重大性は、来る二十一世紀の闘争がかつてない規模のものになることからも切実な課題である。改憲阻止決戦、都議選決戦を軸とする来年の闘いは、激しく革共同の飛躍を求めている。飛躍の保障は財政にある。冬期一時金カンパ決戦に総決起しよう。
機関紙=財政決戦での勝利こそが、二十一世紀の展望を開くのだ。
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週刊『前進』(1982号1面2)
暫定滑走路着工粉砕闘争一周年 12・3三里塚現地へ
三里塚芝山連合空港反対同盟が、十二・三現地闘争の呼びかけを発した。暫定滑走路工事粉砕へ、一年間決戦を闘う三里塚へ駆けつけよう。(編集局)
◇お知らせ
たたかう仲間のみなさん。三里塚現地は十二月三日に暫定滑走路着工から一周年を迎えます。弾劾の嵐の中で強行した工事は、滑走路と交差する小見川県道のトンネル工事に始まり、現在、滑走路と誘導路部分の造成工事に入りました。十月下旬には東峰の生活区域へとフェンスを押し広げ、今後、一部畑をつぶして竹林を刈る工事を強行しようとしています。絶対に許してはなりません。
農家を追い出すための工事は、進めば進むほどますます矛盾を深めます。天神峰団結街道の破壊と東峰神社の立木伐採は、暫定滑走路を滑走路として完成させ運用するために避けることのできない暴挙なのです。反対同盟は総力をもってうち破る決意です。
しかしこれらのすべては三十余年にわたる破産の結果です。成田に拘泥した結果、遅れに遅れた航空政策はついに限界を迎え、「羽田空港の国際化」と「首都圏第三空港構想」が堰(せき)をきって動き出しました。追い詰められた千葉県は「平行滑走路の早期完成」をけたたましく叫び、成田の地盤沈下の危機をあおって収用委再建の衝動を強めています。
わが反対同盟は、この秋の全国集会で暫定滑走路粉砕の一年間決戦を宣言しましたが、着工強行一周年にあわせて現地闘争にたち、二〇〇一年の勝利へと前進します。成田で二本目の四〇〇〇メートル級軍用滑走路建設につながる暫定滑走路を粉砕し、戦争体制づくりと有事立法を阻止しよう。多くの皆さんの決起を呼びかけます。
二〇〇〇年十一月五日
記
暫定滑走路着工粉砕闘争一周年
12・3三里塚現地総決起闘争
【日時】12月3日(日)午後1時30分
【集合場所】成田市天神峰・市東孝雄さん宅前
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(1982号1面3)
革命の21世紀を開く冬期一時金カンパを
すべての労働者、農民、学生、市民の皆さん。革共同は、二十一世紀に向かう壮大な革命の事業の成功のために、二〇〇〇年の冬期一時金カンパを熱烈に訴えます。
二九年型世界大恐慌が本格的に切迫し、世界は一気に新たな゛戦争か革命か゜の時代への突入の様相を強めています。こうした中で、ユーゴスラビア人民、パレスチナ人民の決起、朝鮮人民を始めとしたアジア人民の闘いが、帝国主義の抑圧と支配にあえぐ全世界の人民の決起を促し、鼓舞しています。
私たちは、この全世界の闘いと連帯し、二十一世紀をプロレタリア世界革命の勝利の時代とするために闘いぬかなければならないと、決意を新たにしています。
日本帝国主義は、深刻な恐慌と不況の中で、侵略と戦争の攻撃を強める一方で、リストラと合理化、首切りと賃下げなど労働者を路頭にほうり出す理不尽な資本攻勢の大攻撃を強めています。
しかし、この資本攻勢の激化に対しては、労働者階級が団結をもって反撃に立ち上がれば必ず勝てるのです。国労闘争団を始めとする国鉄千四十七人闘争の不屈の勝利的前進が、そのことをよく示しています。私たちは、十一・五労働者集会の大成功によって、その確かな手ごたえをつかみました。
また、日帝・森政権の底なしの腐敗と危機、超反動性への怒りは、労働者階級の反乱、決起を激しく促しています。
日帝は絶望的な体制的危機の突破と延命をかけて、朝鮮・アジアへの侵略=侵略戦争の道に突き進むしかありません。そのための戦争国家体制の構築に向け、労働者人民に対する治安弾圧の強化=警察国家化を、必死に策動しているのです。その攻撃の頂点が、有事立法と改憲の攻撃です。
二〇〇一年は、闘うアジア人民と連帯し、日帝の有事立法=改憲攻撃と全面対決する年としなければなりません。
二十一世紀は、労働者階級人民が決起し反帝・反スターリン主義世界革命の勝利を切り開くことができるのか、それとも世界の人民を犠牲にして延命しようとする帝国主義の侵略と戦争と破滅の道を許すのか、この二者択一しかありえません。
しかし、帝国主義者どもが自らの手で自らの幕を引くことなどありえない以上、全世界の労働者階級人民が自ら、スターリン主義とファシズムを粉砕し、のりこえて、帝国主義を打倒する以外に道はありません。
問われているのは、反帝・反スターリン主義の闘う労働者党の建設です。そのための、労働者人民と結びつき、要求にこたえることのできる資質の獲得です。時代をとらえる進攻精神です。
日本共産党は、党規約の前文削除を始め全面改定で大転向をさらに進め、ファシスト・カクマル=JR総連はかつてない内部対立と組織分裂にあえいでいます。今こそ真の闘う労働者党が、公然と登場する時です。
この壮大な事業をともにやり遂げるために、革共同に圧倒的な年末一時金カンパを寄せていただくようお願いします。
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週刊『前進』(1982号2面1)
21世紀を労働者が主人公の時代に 資本攻勢を打ち破る熱い息吹
11・5全国労働者集会 国鉄闘争勝利へ総決起
日比谷野音 闘争団と合流し勇気と感動
“団結”掲げ労働運動の再生へ
十一月五日、日比谷野外音楽堂で「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 十一・五全国労働者総決起集会」が集会実行委員会の主催により開かれた。全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の三労組の呼びかけによる十一月労働者集会は今年で三回目を迎えた。「四党合意」に対する国労闘争団の命がけの決起は、全国の労働者に限りない勇気を与えている。集会には、国鉄闘争勝利を軸に一大資本攻勢への総反撃を開始しようと結集した三千二百五十人の熱意にあふれた。すべての参加者が、二〇〇〇年の激闘を全力で闘いぬいてきたのである。新たな労組・労働者も多数集まり、今年の集会はさらに大きく厚みを増した。二十一世紀を労働者階級の勝利の時代とすることへの確信を与えたこの日の闘いについてレポートし、階級的労働運動の再生へ、さらなる闘いを訴えたい。(本紙・長沢典久。主な発言要旨は別掲)
陣形の新たな広がりを示す
この日、東京は闘いの勝利を切り開くにふさわしい、突き抜けるような青空が広がった。昼前には、日比谷野外音楽堂に全国から多くの労働者が組合旗を押し立てて詰めかけた。
開会に先立ち、沖電気被解雇者の田中哲朗さんのミニコンサートが行われ、早くも会場は熱を帯びた。
正午、司会を務める動労水戸の労働者が力強く開会を宣言した。港合同の労働者も、司会として「集会の第一のスローガンは国鉄闘争勝利、キーワードは全労働者の団結です。二十一世紀に向け資本の大攻勢と高まる戦争の足音に労働者の荒々しい反撃を」と集会の意義を訴えた。
主催者を代表して動労千葉の中野洋委員長があいさつし、三点の集会の獲得目標を提起した。
「一つは、四党合意が出され、千四十七名闘争は大変な決戦場裏に突入した。四党合意は国労の三回の大会でことごとく決定を阻まれた。これは、国鉄闘争を応援してきた労働者全体の勝利だ。三組合が全国の労働者に集会を呼びかけた契機も、九八年の五・二八反動判決だった。国鉄闘争勝利に全力を振り絞ろう」「二つ目に、多くの労働者が得手勝手にリストラされている。連合は資本の救済者に成り下がった。労働者・労働組合が団結して敵の攻撃への反撃を開始する。そのための組織基盤をつくり出そう」「三つ目に、ガイドライン法制定以降、状況は改憲に向けて進んでいる。労働者が団結して巨大な統一戦線を形成し反撃に立つ」
連帯のあいさつを佐藤昭夫早稲田大学名誉教授、宮島尚史元学習院大学教授、作家の宮崎学さん、日本基督教団靖国・天皇制問題情報センターの小田原紀雄さん、弁護士の鈴木達夫さんが行い、それぞれが新潮流運動への期待を表明して、参加者の奮起を促した。
続いて、呼びかけ三組合の代表が発言した。
港合同の代表は、連続する資本の自己破産攻撃との激闘を報告し、「断固たる反撃がなければ敵の横暴は野放しだ。われわれは断固として独占を相手取り闘う」と表明。また「中曽根は労働委員会に出てこい、という四党合意糾弾の闘いを全国でさらに強力に推し進めよう」と呼びかけた。
関西地区生コン支部の代表は、「私たちこそ新しい労働運動をつくりあげる確信に満ちた隊列だ」と宣言し、「仲間を見捨てず、団結を強固にして闘うことを外せば、労働組合の存在意義はあるのか」と問いかけて「四党合意」を批判。また、「中小零細企業労働者が生き延びるため、産別・業種別闘争を全国の仲間と共有したい」と訴えた。
動労千葉の田中康宏書記長は、「日本の労働者はきのうまではおとなしかったかもしれない、きょうもまだおとなしいかもしれない、しかし明日もおとなしいとは限らないことを絶対に示したい」「新たな闘いの胎動は確実に始まっている」と断言。「国鉄労働者こそ、矢面に立って全国の仲間たちの怒りの声を結集する」と決意を表明した。
会場を圧した闘争団の訴え
司会が、北海道の二つの闘争団から寄せられたメッセージを紹介した。
満場の拍手の中、闘争団員と労働委員会闘争に立った国労組合員が登壇した。会場には張り詰めた空気が流れた。「四党合意」以来の激闘を生死をかけて闘いぬいてきた闘争団の発言に、全参加者が真剣に耳を傾けた。
北海道の闘争団の労働者が熱を込めて訴えた。「国労は闘う労働組合として再生できる。皆さんは国鉄闘争支援の主役だ。四党合意は絶対に許さない」
九州の闘争団の労働者は、あふれる思いと決意を次のように語った。「本部は七・一を強行し、闘争団の壇上占拠という結果になった。宮坂の顔、上村の顔の裏に敵権力のせせら笑う顔が見えてどうしようもなかった」「一連の闘いの中で闘争団自身が一皮も二皮もむけた」「学校政治を打破して自らの意思で立ち上がった」「動労千葉、全動労の皆さんが、国労に対して『勝手なことをするな』と声を上げていただきたい。正義の闘いであり、負けるわけにいかない」
全参加者が、闘争団の闘いを心から支持し、闘争団の苦闘をわがこととして全力の闘いを貫いてきた。それが、勝利を求め、あらゆる妨害をのりこえて闘う闘争団との歴史的な大合流を生み出したのだ。
続いて、「四党合意」撤回地労委闘争に立った国労組合員が、「労働委員会闘争を国労組合員二万五千人の申立人闘争として切り開く」と決意を述べた。
沖縄行動団が登壇した。代表して電通労働者が発言し、「サミットで沖縄闘争を圧殺しようとした敵のもくろみは完全に粉砕された。名護新基地建設を実力で阻止する」と宣言した。また、NTTが宮古、八重山の営業所を廃止して強制配転・首切り攻撃を仕掛けていること、NTT労組がその先兵と化していることを弾劾し、「あらゆる闘いで断固粉砕する」と決意を表明した。
広島県教組の労働者は、教育改革国民会議を先頭とした教育基本法改悪攻撃、「日の丸・君が代」強制攻撃を弾劾し、「闘う日教組の再生に向けて、闘いの旗を掲げる」と訴えた。
決意表明では、東京の地域合同労組の代表が「四党合意には階級的労働運動をなくしたいという政府の浅はかな願望がある。階級的労働運動の原則を忘れず闘おう」と訴えた。都職労の労働者は、都のマイナス人勧とファシスト石原都知事を弾劾して「現場の労働者はストをやろうと言っている。都区職の労働者が都知事にノーと言えるのかが問われている」と発言した。
全金本山労組の代表は「解雇撤回を貫くという選択に対して、上部団体も闘争破壊の攻撃をかけてきた。だが、三十年の闘いでこの選択の正義性は明らかだ」と宣言した。関西合同労組の代表は、「被災地のがれきの中から団結が育っている。しごと開発事業打ち切りの攻撃に対し、就労者が新たな労組を立ち上げた」と報告した。
「人事交流」攻撃と闘う全逓労働者が、「職場は郵政公社化攻撃のただ中にある。連合全逓をひっくり返す闘いは国鉄闘争勝利と一体だ」と発言した。医療労働者が、闘いによって労働者の権利を獲得してきた歴史を振り返り、戦争への道を繰り返すなと訴えた。化学産別の労働者が、「職場では合理化と闘うためにも国鉄闘争を支援しようという声が広がっている。二十一世紀を働く仲間の時代に」と呼びかけた。
リストラ反対のかけ声高く
出版労働者が十一・五アピールを読み上げ、採択された。三一書房労組の三角忠委員長が行動提起を行い、戦闘的デモの貫徹を訴えた。関西生コンの代表が閉会のあいさつをし、「今こそ日本労働運動の階級的再生を。労働運動の原点に立ち返ろう。違いをのりこえ、大同団結を」と呼びかけた。港合同の代表が音頭を取り、全員でインターナショナルを歌い、団結ガンバローを行った。
集会後、参加者は八てい団に分かれて常盤橋公園までのデモに出た。「リストラ反対、団結勝利」の掛け声が響き、沿道の労働者・市民が注目した。手を引く子どもに「こうしてデモをすれば、首切りをやめさせることができるのよ」と説明する母親の姿もあった。
この日の闘いを貫いて、参加者は二〇〇〇年の闘いがつくりだした勝利の大きさを実感し、次の闘いへの熱意に燃え立った。
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週刊『前進』(1982号2面2)
呼びかけ組合代表あいさつ
中曽根よ、出て来い! 全国金属機械・港合同
三回目を迎えました本日の集会、文字どおり新たな労働者の結集を含め、まさに全国の闘う労働者の集会として開催されたことを喜びたいと思います。
われわれが体験したこの一年間の敵の倒産・リストラ攻撃の現実は、今日の体制危機を反映しながら、直接、独占が労働の現場に踏み込んできて経営者を指揮して、労働組合を明確に意識しながら倒産させるという、自己破産攻撃の連続でありました。この一年間、必死になって闘いながら、工場を占拠し、連日の闘いを展開してまいりました。
この闘いの現実の中でわれわれが感じたことは、直接、独占が闘争の現場に乗り込んで、労働組合と対決をする、まさにそうした対決の構造です。
裁判所は一年以内に倒産処理をせよという訴訟指揮を行っている。そこには、破産法に言う「公正中立」などはどこにもなく、労働組合がかちとった協定に対するまともな評価はどこにもなく、労働債権確保に対する一定の配慮もどこにもない。これが今日の倒産攻撃の赤裸々な現実です。
この攻撃に対して断固たる反撃がない限り、敵の攻撃、敵の横暴はまさに野放しである。こうした現実に対してわれわれは、独占を相手取り、闘いぬこうとしています。
さて、「四党合意」問題ですが、自民党は今日、「国労自身が認めたから何が問題だ」と居直っております。労働委員会は「これは国労内部の問題ではないか」と、へっぴり腰です。しかし、これほどまでにあからさまな、露骨な不当労働行為はなかったのであります。自民党は労働委員会の答弁書で、「国労とJR各社との長年にわたる紛争から、国労所属職員を始め使用者としてのJR各社ばかりでなく、国民一般も多大の迷惑を受けている。四党合意は、紛争を閉塞(へいそく)することを条件に退職者の就職や紛争解決の和解金の額及びその交付方法についてあっせんを申し出たに過ぎない。訴訟の取り下げを要求しているのは、握手するには矛を収めるのは常識であろうという考えから出発したもので他意はない。訴訟を継続している者に対して解決案を出しても意味はないし、無駄でもある」と断言している。
これこそが自民党の不当労働行為の明白な自白であります。全国の労働委員会はへっぴり腰を改めよ。労働委員会の見識を取り戻せ。自民党・中曽根よ、労働委員会の審問廷に出て来いという、私たちの「四党合意」糾弾の闘いを全国にさらに強力に推し進めていきましょう。
資本の根幹食い破る 全日建運輸連帯・関生支部
困難な局面にあって、多くの妨害をはねのけて今年も新たに多くの労働組合が参加し、闘いの隊列に参加されたことを感謝します。
私たちこそが二十一世紀の新しい労働運動、新自由主義と呼ばれる帝国主義的な動向に対して真っ向から闘う労働運動とがっちり手をつないだ闘いをしている。まさに私たちこそが新しい労働運動をつくりあげる、確信に満ちた隊列であると思います。
国鉄闘争はまさに階級闘争の環ですから、ここに大きなくさびを打ち込もうとした敵権力に対して、真っ向から闘いを対置する。これは国労のみの問題ではなく、日本の労働者階級すべてが、ともに闘いぬかなければならないと思います。
私たちは、「他人の痛みはおのれの痛み」を団結のかなめにおいて三十五年間闘ってきました。労働者が仲間を見捨てることなく最後まで闘いぬく、団結を強固にして闘いぬくということを外せば、労働組合の存在意義はあるのでしょうか。労働組合にとっての原点、基本を守りぬき、国鉄闘争にも全面的な支援・共闘を行っていきたい。
関西地区生コン支部においても三十数分会が裁判闘争、地労委闘争を闘っています。不当労働行為を許さない、やられたらやり返す。「四党合意」を容認すれば公然と不当労働行為がまかり歩き、組合つぶしが容認されてしまう。こうした事態は断じて許せない。
私たちは産別運動、業種別運動において政策闘争を展開し、生コン業界の五つの関連労働組合と共闘し、労働組合主導の業界再編を形作ってきました。春闘でも、経営者会との集団交渉において統一要求、統一交渉、統一闘争、統一妥結を行ってきました。この中で賃上げをかちとり、業界で発生した失業に対しては雇用責任を負うという共同雇用責任体制を確立してきました。全国四千万を超える中小零細企業労働者がいかに生き延びていくのかという時に、全国で少ない産別・業種別闘争の闘いを全国の仲間と共有していきたいと考えています。
われわれがいかに闘いを構築し、ストライキを打ち抜き、団結権を基礎にした団体行動を全面展開するかが問われています。資本の根幹を食い破っていく労働組合の本来の闘い、本来の労働者魂をつくっていきたいと考えています。
ここに集まったすべての労働組合が共闘し、研鑽(けんさん)を積み、ともに闘っていくことを確認したいと思います。
世の中を変える力を 国鉄千葉動力者労働組合
私が何よりも訴えたいことは、労働運動の現状を変革するために、きょうこの場から立ち上がろうということです。日本の労働者はきのうまではおとなしかったかも知れない。きょうもまだ、おとなしいかも知れない。しかし、あしたもおとなしいとは限らないということを絶対に示したい。
連合の鷲尾会長は、惨たんたる結果の春闘を総括して、「今の労働組合指導部に批判が集中して、変わった運動が出る。これは経営者にとっても好ましくないはずだ」とを泣き言を並べた。「変わった運動」とは私たちのこの運動のことです。それが当たり前の労働運動になって大きく広がろうとしています。
国鉄闘争をめぐっても、闘争団や家族の奮闘によって、先の国労定期全国大会で「四党合意」が三度粉砕されました。この闘いは二十一世紀に向けた労働運動の展望を大きく切り開く可能性を持っています。「四党合意」は、日本の労働運動全体に決定的な一撃を食らわす大陰謀です。動労千葉も「四党合意」の謝罪と撤回を求める不当労働行為の申し立てを行いました。矢面に立って、全国の仲間たちの怒りの声を結集して闘いを展開したい。
しかも国鉄闘争をめぐる情勢は大きなチャンスを迎えています。千四十七名の解雇撤回闘争の最大の障害物は、JR当局とJR総連カクマルの結託体制です。これが崩壊を始めた。九州労の八割が一斉に脱退した。それもJR総連カクマルの仲間割れによって起きている。東日本でも西でも東海でも貨物でも、カクマルの内部分裂です。
私たちは、十月三十日、ストライキの事前通知を行いました。シニア制度、鉄道業務の全面的な外注化の大合理化攻撃に対して大闘争を準備をしています。
一方、日本の資本主義体制はにっちもさっちも行かない。選挙制度改悪は、自民党政治の崩壊を示している。国家的な大リストラ攻撃が襲いかかっている。世の中が根本的に間違っている。労働者を徹底的に痛めつけ、独占企業に湯水のように金をつぎ込んで救済する、こんな世の中は打ち倒す、私たちはその力を持っています。私たちは、敵の側が労働者を獲得するのか、闘う労働運動の新たなネットワークを求めるわれわれが労働者の気持ちを獲得するのか、という壮大な組織戦に挑みたい。
もっともっと腹の底から怒りの声を上げましょう。団結を広げましょう。自信と確信をもって立ち上がりましょう。二十一世紀は私たち労働者の世紀だと言える、そういう扉を開くことを訴えます。
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週刊『前進』(1982号2面3)
11・5アピール
全国の仲間のみなさん!
二一世紀を目前にして、労働運動はかってない激動と試練の時を迎えています。
十月の米日株価の暴落は、米経済のバブル崩壊がいよいよ近づいていることを示しました。日本経済は、銀行救済や公共事業に湯水のように血税をつぎこんでも景気回復は進まず、膨大な財政赤字だけが積み増しされています。
そごう、千代田生命など大手の倒産が相次ぎ、中小・下請けは再び倒産・首切りの嵐にさらされています。二年来の賃下げは、労働者家計を圧迫し、生活苦が労働者全体に広がっています。
経済再生の切り札のように言われている「IT革命」は、労働者への首切りと不安定雇用化の攻撃です。そして「競争社会への再編」を掲げた新自由主義改革は、市場競争万能主義で規制緩和を強行し、その一切の犠牲を労働者に転嫁するものです。また企業再編法制を強行し、労働者の雇用と権利は一顧だにされず、整理解雇・倒産解雇が大手をふってまかりとおろうとしています。これと果敢に対抗しようとする労働運動は、組対法弾圧や損賠攻撃など団結権破壊の攻撃にさらされています。
新安保ガイドライン法を転換点に政治反動が急ピッチで進み、教育基本法改悪、有事立法や徴兵制準備、沖縄の名護新基地建設、そして明文改憲が政治日程にのぼっています。排外主義暴言や治安出動演習など、石原都政はファシズムへの危険な徴候を示しています。
しかし、労働者人民の我慢も限度に達していることは、長野知事選や東京衆院補選にも示されたところです。経済危機の一切の犠牲を労働者におしつけ、果ては「神の国」「滅私奉公」思想までおしつける森政権への侮蔑と怒りは高まる一方です。
資本主義体制の危機は、社会と政治の根本的変革の条件を成熟させているのです。弱肉強食の競争社会、戦争する国づくりにNOを! いまこそ労働運動は、その中心部隊として登場しなければなりません。
政府・支配階級は、「JRに法的責任なし」を認めよとする「四党合意」によって国鉄闘争と国労運動を解体する大攻撃をかけてきました。分割民営化以来の不当労働行為の集大成というべきこの攻撃に対して、闘争団と現場組合員は、七・一臨時大会、八・二六続会大会、十・二八−二九定期大会と、三たび「四党合意」を阻止しました。
上部団体の違いを超えて、この闘いに熱い共感と支援が寄せられています。労働組合を現場組合員の手にとりもどし、たたかう労働運動を再生する道が示されたのです。
そして多くの労働組合がその本来の役割を忘れさり、企業の論理に取り込まれてきました。しかし、「会社あっての労働者」という合理化協力のいきつく先は、過労死であり容赦ない首切りです。JCOや雪印、山陽新幹線など「安全崩壊」が示すように、資本の効率性の論理にまきこまれて犠牲をおしつけられるのは労働者なのです。
いまや、多くの労働者がこのことに気づき始め、資本と闘う団結を、当たり前の労働組合をとりもどそうと必死でたたかいぬいています。
三年目を迎えた「たたかう労働組合の全国ネットワーク運動」は、今年、大きくその陣形を広げることができました。きょう日比谷野音に集まった私たちを結びつけたのは、労働者が社会の主人公となる社会変革をめざす思いであり、高まる戦争の足音への危機感です。なによりも「団結こそ命であり力である」という確信です。
私たちは、さらに多くの仲間に「全国ネットワーク運動」への結集を呼びかけます。
国鉄一〇四七名闘争に勝利し、大失業と戦争の攻撃をうちくだこう! 本集会を出発点に全産別、全職場で闘いにたちあがり、二一世紀を労働者が主人公となる時代、たたかう労働運動の輝かしい勝利の時代にしようではありませんか。
右、決議します。
二〇〇〇年十一月五日
十一・五たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!全国労働者総決起集会参加者一同
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週刊『前進』(1982号3面1)
特別アピール 「四党合意」は葬り去る 国労闘争団と連帯
国労は再生できる 国労北海道A闘争団
「四党合意」をめぐってご心配をおかけしています。結論から言います。国鉄労働組合、まだまだ闘う労働組合として再生できる、やせても枯れても国鉄労働組合だということを、今、ひしひしと感じています。「四党合意」は紛れもなく闘争団を切り捨てる攻撃です。「この機を逃せばラストチャンスがなくなる」と言うけれども、「四党合意」こそ国労にとって最大のピンチです。これをけることによってビッグチャンスが必ず来るという確信を持っています。
私たち闘争団は、この十四年間、怒りと闘う姿勢で頑張ってきました。こんな「四党合意」によって、われわれの闘いを抑えることはできない。
本集会の参加者の皆さんは、国鉄闘争の支援の主役なんです。もう脇役ではありません。ぜひ闘争支援の主役として、われわれと一体となって闘っていただきたい。そして闘う新潮流を築いていってほしい。
今、定期大会が休会中ですから、続開大会ではまた「四党合意」が繰り返される。これを私たちは絶対に許さないし、機関決定させない。あくまでも「四党合意」を撤回させる。「改革法承認」から今日まで、こんな無駄な時間を費やしてはいられない。本来の敵である政府・JRに対して激しい闘いを挑んでいきたいと思っています。ぜひ私たちとともに闘いましょう。
正義は絶対負けぬ 国労九州B闘争団
七・一臨大、八・二六続開大会、そして先日の定期大会、特に二日目の雨の中「闘争団頑張れ」のかけ声をかけてくれた皆様方に厚くお礼を申し上げます。
私どもは六月二十八日、二十闘争団・有志で本部に申し入れをしました。国労の悪しき体質、いわゆる学校政治を打破して、闘争団が初めて自らの意志で立ち上がりました。そういう中で本部は七・一を強行した。私も会場で宮坂、上村の顔を見た時、その裏に敵権力がせせら笑う顔が見えてどうしようもなかった。そういう思いで闘争団は壇上に駆け上がりました。
それ以降、国労本部、各機関は、闘争団を暴力集団扱いし、人間としてやってはならない卑怯な兵糧攻めをした。そういう中で八・二六続開大会が決定され、私どもは連日、本部と話し合いをしました。「四党合意」によって、私たち闘争団の望む解決は一切ないことが明らかになりました。
九月の一票投票も厳しい結果になりました。これを受けての定期大会は、圧倒的にこちら側の不利な状況でした。ただ二回の臨時大会と違ったのは、少数の反対派代議員が体を張って徹底的に闘った。そして「経過」を承認させないと頑張るだけ頑張って、休会に追い込みました。
私ども闘争団は、一連の闘いの中で、一皮も二皮もむけ、闘うことができたと考えています。
今、闘争団の中で反対している闘争団に対して徹底した糾弾行動と、専従から外すとか「アルバイトに出ろ」と、反対する声を消そうという動きがある。
私たちが踏ん張って闘いぬけば、今のリストラ攻撃の中で苦しみ、闘いぬいている多くの民間中小の仲間の心の支えになる。そのことが私たち国労の、闘争団の使命だと考えています。
今後の方向については、上村革同、チャレンジは「辞表を返せ」と言っているそうだが、委員長以下全員辞めていただき、闘う執行部をつくる。もう一点、敵権力の側も千四十七名問題と言っている。国労もそう言っている。私は、動労千葉の皆さん、全動労の皆さんに、国労に対して「勝手なことするな。お前ら何をやっているんだ」と声を上げていただきたい。
闘争団も弱さはあります。しかし、正義の闘いです。絶対に負けるわけにはいかない。人間として労働者として、間違ったことは間違い、正しいことは正しいと言える、そういう正しい労働運動をつくるためにも、全国の闘う仲間と固く連帯し、来る続開大会、なんとしても「四党合意」を葬り去るために全力を挙げて闘いぬきます。
国労全体に広げる 地労委闘争 申立人の国労組合員
「四党合意」について、文字どおりの階級的労働運動絶滅攻撃として、真っ向から闘わなければならないと思います。中曽根の臨調行革―国鉄分割・民営化攻撃は国鉄労働組合を解体・抹殺しようという攻撃でした。二〇〇〇年五月三十日に再び三度、国労をなきものにしようとする「四党合意」攻撃が現れてきました。むき出しの国家的不当労働行為である「四党合意」と闘うために、全国各地で地方労働委員会闘争に立ち上がっています。
これまで、数々の地労委での勝利命令を受けてきました。今なお効力をもっている地労委命令を国労自らが投げ出す、国労自ら労働委員会制度を否定する「四党合意」受け入れをどうして認めることができるでしょうか。
私たちは、国労の中で着々と地殻変動を起こしながら、闘う労働運動の全国ネットワークの一翼を担っていきたい。各地での労働委員会闘争を、国労組合員二万五千人の申立人闘争として切り開くために全力を挙げたい。こうした闘いこそが、来る続開大会を含めて、「四党合意」を最終的に葬り去る闘いの道筋になると思います。
国家的不当労働行為との闘いを、国家的不当労働行為によって幕を閉じるわけにはいきません。全力で取り組むことを決意します。
新基地建設を阻む 沖縄行動団
私たちは、沖縄と全国の人民の怒りで、沖縄サミットをズタズタにしました。七・二〇嘉手納包囲闘争には二万七千人が結集しました。さらに七・二一サミット粉砕名護現地闘争、七・二二那覇市内デモをたたきつけました。沖縄サミットをもって沖縄闘争を圧殺しようとした敵のもくろみは完全に粉砕されたのです。
名護新基地建設阻止闘争は第二、第三の島ぐるみ闘争として爆発しようとしています。われわれは何年かかろうが、名護新基地建設を実力で阻止します。「人柱になっても辺野古の海を守る」と宣言する地元のオジーやオバーと連帯して、勝利することを誓います。
私たちのNTTの職場でも、三人に一人が異動対象というすさまじい首切りの嵐が吹き荒れています。異動できない労働者には、現在の賃金の半分で代理店の契約社員として残るという道しか残されません。この攻撃を許すならば、次はさらに広島や福岡、大阪に出てくれというものです。何よりもNTT労組中央本部が先兵になっていることを徹底的に糾弾しなければなりません。必ずやこの首切り・合理化攻撃を粉砕することを宣言します。
このような状況だからこそ、国鉄闘争を労働者全体の力で守り抜かなければなりません。その立場で十月二十二日、沖縄において、国鉄闘争支援集会の成功をかちとりました。
国労大会をめぐる闘いは労働者が腹の底から怒りをもって決起すれば必ず勝利することを示しました。まさに本日の集会こそ、全国の労働者の闘う道しるべです。連合指導部もろとも資本主義を打倒する労働運動を築き上げましょう。
「教育改革」と闘う 広島県教組の労働者
中曽根康弘、町村信孝らが牛耳る教育改革国民会議は恐るべき会議です。首切り・倒産が相次ぎ、子どもたちが将来への展望をなくしているというのに、それを「戦後教育が危機の原因だ」と言い、労働者とその子どもたちを戦場に駆りたてようとしています。
国民会議の中間報告は、教育の目的を教育基本法の「人間の育成」から「日本人の育成」に変えようとしています。さらに「満十八歳の国民すべてに一年間の奉仕作業を義務づける」と打ち出しました。「日の丸・君が代」と奉仕作業によって、身も心も国家に捧げ尽くせというのです。
さらに「日の丸・君が代」に反対する教員を「不適格教員」として教壇から排除しようとしています。
ユーゴスラビア、フィリピン、南朝鮮、パレスチナ、そして「四党合意」をめぐる闘いと勝利を見てください。わが日本の労働者階級は、ついに怒濤(どとう)の進撃を開始しました。
広島でも国立でも反撃が開始されています。私たちは「日の丸・君が代」にあくまで反対し、教育改革国民会議の解散を求めます。
われわれの手で闘う労働運動の夜明けの戸をこじ開けよう。闘う日教組の再生へ、闘いの旗を高く掲げていくことを決意します。
連帯のあいさつ
不当労働行為に反撃始まる 早稲田大学名誉教授 弁護士 佐藤昭夫さん
国鉄の分割・民営化とは、当時の中曽根首相が言っているように「国労をつぶし、総評をつぶす」という狙いで行われた。しかしいまだ国労が闘っているという中で、「四党合意」で国家的不当労働行為の総仕上げを狙っている。これに対して、国労闘争団の人たちを中心とする反撃が始まり、さらに国労と動労千葉の人びとが不当労働行為に反撃する労働委員会闘争に立ち上がっています。
今、歴史に学ぶことが必要です。一九三七年七月に日本が中国への侵略戦争を開始した時、当時のナショナルセンターだった全国労働総同盟は、十月に争議絶滅宣言を出しています。翌年には国家総動員法がつくられ、労働組合は解散し、産業報国連盟がつくられ、国民徴用令で労働者が戦争に動員されていった。
戦争を担うのは労働者です。労働者が動員を拒否したら戦争はできない。そして最も被害を受けるのも労働者や民衆です。団結して反対したら、彼らの思惑を打ち砕くことは必ずできます。怒りをひとつにして、敵のたくらみを打ち砕くために団結しましょう。
リストラ促進法との対決を 元学習院大学教授 弁護士 宮島尚史さん
会社分割法、労働契約承継法が成立して、会社を分割し営業譲渡して生き延びるということが、面倒な手続きを省略して簡単にできるようになりました。労働者をどうするかは企業相互間の決定にゆだねられてしまう。労働者を無権利状態に追い込み、労働者のリストラを促進する法律です。
二〇〇〇年の夏は「四党合意」に対する熱い闘いの夏でした。三度の大会決定を粉砕し、国家的不当労働行為を許さない運動が進められています。国鉄労働者と多くの労働者の闘争の成果です。さらに全国で「四党合意は不当労働行為だ。自民党も運輸省も労働委員会に出てこい」という新しい運動を展開しています。
治安・軍事体制の強化、教育・司法制度改悪、失業、労災・職業病の増加、政府や単産の一部の中央幹部と大企業あげての不当労働行為、さらに憲法改悪作業の総仕上げという支配勢力の悪あがきに対し、強い抵抗を示しましょう。
連帯と統一は闘いの中から 作家 宮崎学さん
私はこの一年、盗聴法に反対する候補者を推し立てた選挙戦を闘い、また石原慎太郎のファッショ的な暴挙に反対し、治安出動反対集会に参加してきました。
国労定期大会における高橋委員長あいさつは「腐っても鯛だ」と言っているのだろうと思います。私も実は、国労は「腐っても鯛だ」と思い一生懸命応援してきたし、今もその立場は変わっていません。しかしもう一方で「腐ったら鯛ではないのではないか」とも考えています。腐った鯛よりも生きのいい鯵(あじ)の方がいいのではないか。
闘争団の労働者は何ゆえに解雇されたのか。国労組合員だから解雇されたのです。その国労が、国労組合員であったがゆえの解雇を容認することなど、断じて許せません。
そこに闘う人、不当な差別を受ける人がいるなら、どんな困難があろうと連帯し闘う姿勢を貫くべきだと思います。闘うことによってのみ連帯は生まれるし、闘うことによってのみ統一は保たれると思います。
来年また勝利を報告できるよう、ともに歩みます。
有事法制反対百万人署名を 日本基督教団靖国・天 皇制問題情報センター 小田原紀雄さん
「四党合意」の問題ですが、組対法戦線の教訓は、闘いの最中に神経をとがらせて次の方針を求めることだと考えています。形式的にはわれわれは少数派であり、多数派に民主主義的な手続きでやられたのでは敗北は明らかです。現場に肉薄し、実力でわれわれの思想性を貫徹すべく闘うという方法しか残されていないということを、戦争が直前に迫ってきた中で、肝に銘じておきたい。
私も呼びかけている「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」は、十月に、全国の連絡会代表者の交流会を行いました。来年に向け方針を討議し、「教育改革」を戦争に直結するものとして断固反対すること、有事法制に対して百万に達する署名運動を取り組むことの二つを確認しました。全国各地の連絡会も元気で、次の闘いに向かっていこうという熱意がひしひしと伝わってきました。
また来年十一月、次の年へ闘いの決意を固めるこの集会に参加したいと思います。元気でやりましょう。
戦時司法への大転換許さぬ 弁護士 鈴木達夫さん
今、弁護士と日弁連に、司法改革という大攻撃が押し寄せています。戦時司法への大転換の攻撃です。
攻撃の方向は二つです。一つは刑事弁護の国家管理と「迅速な裁判」です。証拠も証言もいいかげんに済ませ、およそ裁判とは言えない形で有罪にし、獄に放り込もうとしている。
二つに、弁護士と弁護士会の御用化です。戦時中、多くの弁護士が大政翼賛会の先頭に立ったことへの反省から、私たち弁護士には基本的人権の擁護を使命とすることが義務づけられています。このあり方を変えようとしているのです。
この攻撃の先頭に立つ中坊公平氏は「弁護士は意識を変え、公共の利益の担い手になれ」と言っています。とんでもない話です。
これに対して、十一月一日の日弁連大会において、三千五百人の弁護士が反対して決起しました。
司法改革は、憲法改悪に向けた攻撃です。労働者民衆と連帯し手を結び、司法改革を絶対につぶし、憲法改悪を許さない闘いに進みたい。勝利しましょう。
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週刊『前進』(1982号3面2)
11・3 熱気満ち団結まつり
「方針は曲げず」と決意固く 国鉄闘争勝利を誓う
十一月三日、東京・亀戸中央公園で「守れ、平和と人権を! 許すな、首切り自由を! 十一・三団結まつり」が開かれ、のべ一万五千人が参加した。会場は終始、熱気と笑顔に包まれた。出店数も過去最高で、完売の店が続出した。
国労本部は、今年の団結まつりには賛同しないという態度をとり、国鉄闘争を支援する多くの人びとに背を向けた。だが、闘争勝利を願う支援の熱意は、例年にない活気を生み出した。
メインステージでは、東京清掃労組の代表が「闘争団と良心的代議員の力で何とか四党合意を食い止めた。われわれも闘いへの決意を固めている」と発言し、藤崎良三全労協議長も「四党合意を押し通すことに無理がある。闘争団の気持ちに依拠し、納得できる解決を」と訴えた。JR東日本一株株主会の山口孝会長は、「宮坂さんや上村さんは残ろうと画策しているが、現執行部は総辞職して新体制を作るべき」と痛烈に国労本部を批判した。
最後に、闘争団が国鉄闘争勝利の揺るぎない決意に燃えてステージに並んだ。国労家族会の代表が「方針を曲げるつもりはない。JRで働く夫の労働条件を改めさせるためにも、闘争団の納得のいく解決を」と力強く訴えた。
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週刊『前進』(1982号3面3)
11・17都労連秋闘ストへ 石原と対決し賃下げ阻止を
都労連は八二%の高率でスト権を確立し、十七日に始業時から実力ストを闘おうとしている。秋季賃金闘争はいよいよ決戦段階に突入した。
人勧攻防の焦点
今年の人事院勧告では「給与に関する報告」とともに異例の長文の「公務員人事管理の改革に関する報告」が出された。そこでは、@能力・実績主義賃金と新人事管理システムの導入、A来年四月からの新再任用制度の円滑実施に努力、B来年一月の中央省庁再編にともなう行政のスリム化と人事管理の弾力的運用、C公務員の意識改革を通じて組織活力を強化することを強調している。
この攻撃は、公務員とりわけ自治体労働運動を解体し、戦後の公務員のあり方を破壊し、日帝国家の侵略戦争と人民支配の担い手として再組織していくことを狙うものである。改憲と一体の大攻撃である。日帝は来年一月の省庁再編を契機に、この大攻撃を全面的・本格的に開始しようとしているのだ。
だが、日帝の体制的危機の中での省庁再編の強行は、日帝の危機を救うどころか、逆に危機の一層の爆発の引き金にならずにはおかない。都労連の秋季賃金確定闘争は、まさに日帝・森、ファシスト石原を直撃する闘いである。国鉄決戦と一体のものとして十七日のストを断固かちとろう。
第一の焦点は賃金カットとの闘いである。都職員の賃金は、一年間で十七万六千六十四円削減された。さらに今年の都の人事委勧告は、@基本給の改定は見送り(ベアゼロ)、A期末手当は〇・二カ月の削減、B官民格差分はわずかに扶養家族・住宅手当平均〇・一三%(五百六十八円)プラスを勧告した。
これに対して都労連は、「昨年度の労使合意である期末手当〇・一五カ月削減を優先すべきである」と主張し、〇・二カ月削減に断固反対している。都側は、昨年の人勧無視の態度とはうって変わって、人勧を使った攻撃をかけている。まさに全国最大の賃金カットを跳ね返す闘いが切実に求められている。
第二は、調整手当と特殊勤務手当の大くくり化の攻撃である。今年は更新年にあたり、都側から一段と厳しい特殊勤務手当の統廃合=大くくり化が提案された。しかも多くは手当の据え置きである。
第三は、新再任用制度の導入の攻撃である。都側は「定年退職者の雇用」とせずに、「五十五歳から六十五歳の高齢職員の雇用のあり方」として一括提案した。五十五歳定昇停止(現行五十八歳)となれば、都で働く労働者の賃金は、退職金へのはね返りを含めて行政系は百二十五万円、現業系は百九十五万円の減額となり、生活を直撃する。
さらに都側は、都労連の「希望者全員再任用」の要求を拒否し続けている。「成績と業績」をもとに選別して再任用するというのだ。それによって在職中の労働者の働き方までも拘束しようというのである。
都側は、フルタイムの再任用者の賃金を低く抑え、短時間勤務者を増やして、人件費を圧倒的に削り込もうとしている。都の狙っている新再任用制度は、日経連の「総額人件費の削減と雇用の流動化(=首切りの自由化)」攻撃の貫徹そのものであり、強烈な行革リストラ攻撃である。
第四は、能力・業績主義の導入との闘いである。東京都の能力主義・業績主義人事管理は、現在残っている@定期昇給制度の見直し、A給料表構造の見直し、B一時金への成績率導入を行えば、ほぼ完成というところまで来ている。
この三点に踏み込んだものこそ、都が七月に発表した「東京都における人事制度の現状と今後の方向」(人事白書)である。人事白書は、定期昇給分を担保にして特別昇給と普通昇給を成績昇給で一本化し、全部を成績昇給に切り替えることを打ち出している。成績・実績によってしか昇給しないとするならば、賃金削減と賃金格差は膨大なものとなる。
第一回交渉で都は、一時金への成績率導入とともに級格付けの廃止を提案した。これは「職」と「給」を統一し、生計費原則を放棄して職務職階給を優先しようとする大攻撃である。
翼賛化との対決
人勧制度は公務員賃金の抑制機構であることがますます明白となった。今や「人勧完全実施」要求は、賃下げの要求でしかない。人勧に依拠することは賃闘の放棄にしかならない。
中央省庁改革法や地方分権一括法では、地方公務員制度改革を大きくうちだしている。明治維新、戦後改革に続く第三の「国のかたち」を改造する攻撃として「経済戦略会議報告」(樋口レポート)では、労働委員会制度や人事院勧告制度の廃止も盛られている。
また野中自民党幹事長は十月十四日の講演で、与党三党の行財政改革推進協議会が公務員の労働三権を認める方向で検討していると述べた。これは人勧を廃止し、公務員に対する首切り・賃下げを大々的に推し進めるという宣言であり、現業職場のはぎ取り、民営・民託化と一体の攻撃の宣言である。まさに、公務員、自治体労働運動に対して、国鉄分割・民営化にも比すべき大攻撃が襲いかかろうとしているのであり、大決戦は不可避である。
こうした中で、現行憲法の枠に制約される国・政府に先行して、石原と都はファシスト的に突出して「公務員=全体の奉仕者」論(憲法一五条)すらかなぐり捨て、「公の幸福追求を自らの使命とする『あるべき公務員像』を東京から発信する」(都政改革ビジョン)などと、公=国家主義を前面化させた攻撃をかけているのだ。
この攻撃の核心は、まぎれもなく労働組合の団結破壊にあり、翼賛化の攻撃である。公務員を国に奉仕する官吏につくりかえようというのである。断じて許してはならない。
実力スト貫徹を
人勧に依拠した賃闘ではもはや闘えない。賃金は労働者の団結した力で、実力でかちとるものである。今秋季の賃金確定闘争は、戦後の都労連・都庁職・都職労の闘いの総括と、これからの展望をかけた重大な決戦である。
ファシスト石原打倒! 都政改革ビジョン=行革リストラ攻撃粉砕! 都労連労働者は国鉄決戦と連帯し、十一・一七ストライキを戦闘的にかちとろう。
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週刊『前進』(1982号4面1)
「会長(松崎)は過去の人」「山本勝彦(黒田)は変質」組織内に言いふらすJR総連OB
対立と亀裂深めるカクマル=JR総連打倒へ猛追撃を
『解放』「介入はやめてくれ」と悲鳴
十・二八、二九国労大会での感動的勝利の対極で、JR九州労からの大量脱退として爆発し始めたカクマル=JR総連の組織的な対立・亀裂・崩壊の危機は、いよいよ深刻化している。カクマルは反革命通信『解放』紙上でついに、JR総連OBカクマルの発言を引用する形で、「松崎は過去の人」「黒田は変質した」と決定的事実を自認した。このような自認が、カクマル組織の中央からの離反・亀裂を一層引き起こし、JR総連の大崩壊的危機を引き寄せることは確実である。カクマル『解放』は、わが革共同の断固たる戦闘宣言に激しい悲鳴を上げている。今こそ国鉄決戦の勝利と一体のものとして、カクマル=JR総連完全打倒へ猛然と闘いぬこう。
「残存九州労本部」にカクマルが侵入、暴行
反革命カクマルは、わが革共同が本紙一九七九号で「まなじりを決してカクマル=JR総連打倒の闘いに総蜂起せよ」と呼びかけたことに大打撃を受けている。『解放』十一月六日付で「中核派の『介入』を粉砕せよ!」という駄文を掲載し、われわれの戦闘宣言に悲鳴を上げている。
さらに、われわれが「黒田=松崎の゛東労組絶対主義゜とシニア協定締結の大屈服こそが元凶」と批判し、また「『動労の歴史的使命は終わった』とか『過去の違法ストをお詫びする』と言って動労を反革命的に路線転換させ、分割・民営化の先兵となる路線に踏み切った張本人は、黒田・松崎ではないか」と批判したことに打撃を受け、このことに一切沈黙しているのだ。カクマルの急所を完全にえぐったのだ。
カクマルの白色テロ支配が、いま国鉄(JR)で、沖縄で、そしてカクマルの「虚点」=早稲田大学で決定的に崩壊しつつある。カクマル=JR総連を完全打倒し、日本階級闘争から一掃し、階級闘争の爆発的発展を切り開く展望がはっきりと形を見せ始めたのだ。
カクマルの内部矛盾・対立、亀裂と分裂は、動労千葉および国労闘争団を先頭とする国鉄労働者の不屈の闘いと、わが革共同の闘いが生み出したものである。この結合した闘いが、黒田=松崎のファシスト労働運動路線、「労使結託体制」=ニアリーイコール路線の大破産をつくり出したのである。
国鉄闘争の爆発が、分割・民営化の先兵となったJR総連=カクマルの労働運動世界での孤立化をつくり出した。さらに、盗聴と白色テロ、政治的窃盗を繰り返すカクマルへの全人民的怒りが、カクマル=JR総連を追いつめた。これがカクマル=JR総連の内部矛盾・対立、亀裂・崩壊を拡大していったのである。
JR総連が人民の弾劾でどれほど消耗してしまったかは、九州労脱退グループの声明(JR連合=九州労組への加入にあたっての声明)で、「様々な内外からの批判や指摘がなされ、民間労働組合としての在るべき姿が問われてきました」などと述べていることにも明らかだ。
同じことを松崎足下のJR東労組書記長・千葉勝也は「昨一年間は、組織破壊に抗する闘いに明け暮れた」「非常に苦しい一年だった」(公益企業レポート七月十五日付)と言っている。(昨年の苦しさなどは、これからカクマルを襲うであろう〈地獄の苦しみ〉の、ほんの始まりでしかないのだ!)
まさに、「JR総連=カクマル=ファシスト労働組合」の全社会的な暴露・弾劾の闘いが決定的な威力を発揮したのだ。そしてJR総連の危機は、動労千葉や国労闘争団のような、労働者の団結を基礎にして日帝・資本と対決していく最も労働組合らしい原則的闘いが、必ずファシストに勝利できる展望を示しているのだ。
十月五日に六百五十二人という大量の組合員が集団脱退したJR九州労では、同十七日に二度目の集団脱退が行われ、脱退者の合計は七百三十七人、全組合員の八割に達した。しかも、事態は残留した部分も含めて、JR九州労の丸ごとのカクマルからの離反であることが明らかとなった。
十月五日の大量脱退後、何が起きているか。
@十月九日にカクマル中央から派遣された小西・神保・浅野の三人が、福岡の九州労本部事務所に侵入し、「狩生(副委員長)、北(委員長)はどこだ」「九州労破壊を行っているのはお前らだ」「おれたちがつくった九州労を壊されて黙っていられるか」などと叫び、杉山書記長に暴行し、組織重要書類を盗み出した。
A残存の九州労本部は、これに対して「JR総連・JR九州労への組織介入・破壊に手を貸してきたのはやつら(=カクマル)ではなかったのか」「盗っ人たけだけしいとはこのことだ」と、カクマル小西らを「やつら、盗っ人」とののしり、組合員に向かって「不測の事態も予想される。場合によっては警察に通報しろ」とK=K連合むき出しで非難している。ゴリゴリのカクマル分子どもが、このように暴力的に対立する事態に発展しているのだ。
Bこれに関連し十月十九日に残存の九州労本部は執行委員会を開き、「九州労からの脱退届を撤回した」福岡地本内の分会書記長カクマルを「執行権及び組合員権停止処分」とした。
C他方、カクマル九州地方委は「九州労残存執行部三役の輩は、あらかじめ退職間近の組合員たちは九州労組織に残し、大多数の相対的に若いメンバーは養殖組合(JR連合を指すカクマル用語)になだれ込ませる、という計画を立てていた」と弾劾した(『解放』十一月六日付)。
九州カクマルの最大実体であるJR九州労の丸ごとの離反は、ひとにぎりの解放社九州支社グループを除いて、九州カクマル組織が総瓦解(がかい)、総失陥したことを意味する重大事態である。
黒田と松崎の求心力と「権威」は今や失墜
カクマルにとってさらに深刻なことは、九州の大量離反は、JR総連崩壊の第一幕でしかないということだ。JR総連の危機は、北海道、西日本、東海、貨物労組など全国で激化しており、何よりもJR総連の最大実体、組合員四万五千人の東労組においてこそ、最も深刻なのだ。
『解放』十月三十日付の「交通運輸労働者委員会」論文は、「JR貨物労組の組合員の相次ぐ脱退」に言及、それは「JR総連傘下各単組・各地方本部に所属する組合員たちのブッカキとして現れるに違いない」と悲鳴を上げている。
▼西労では、昨年、安全問題で松崎に指令されて、いやいやながらインチキなストまでやらされたことへの不満が爆発、゛このままでは黒田・松崎にいいように利用され、挙げ句の果てに会社にリストラされるだけ゜として黒田・松崎への反発を強めている。そして、組合員の脱退が相次ぐ中で、会社の増収活動への積極協力路線を打ち出し、メーデーの時には西労幹部が組合員にカクマルビラの受け取りを拒否させた。一方カクマルは「会社幹部とイチャイチャしている長田書記長」ら西労幹部への批判を強めてきた。
▼北海道労組でもメーデーでカクマルのビラまき隊と組合員が小競り合いし、また六月の定期大会では委員長佐々木が「カクマルがわが組合幹部などに『支援』と称してスパイ工作をしている」と非難した。
▼貨物労組もカクマルの介入、ビラまきを非難。
▼東海労では九月の東海九条連集会にカクマルが押しかけて東海労委員長・堀を恫喝。
このようにJR総連傘下のすべての単組でカクマル=JR総連のおぞましい内部対立・亀裂、組織的危機が拡大しているのだ。
そして、最も深刻な危機の集中点が東労組であり、とりわけ東京地本だ。その証拠に『解放』一六三一号(八月七日付)で、吉田忠雄署名の駄文が「東京地本のダラ幹」への悪罵(あくば)を繰り返しているのである。
今年一月の東労組とJR総連の「旗開き」にカクマルが押しかけたことへの抗議に対して、カクマル議長・植田が「労組への介入ではない」と反論した。今春にはJR総連主催の「国鉄改革の完遂を実現する四・一六集会」(日比谷公会堂)の会場前でビラまきのカクマルと組合員が小競り合いした。これを前後してカクマルは『解放』や『主張』『進撃』を使って嶋田邦彦(東労組副委員長)や鳴海恭二(東労組東京地本書記長)ら幹部への「ダラ幹」批判を繰り返した。
九州労の大量脱退をめぐっては、直後の七日にファシスト性むき出しの「東労組声明」が出され、それをカクマルは「怒りがみなぎっている」と絶賛した。しかし当該の東労組執行部はこれを現場におろさず、ネグレクトするという事態が起き、「これは一体どういうわけなのか」とカクマル中央は憤慨している。
しかもJR総連本部は、JR九州労の大量脱退や貨物労組合員の相次ぐ脱退などにまったく対応不能に陥っている。「JR総連ならびに各単組・地方本部の役員たちは拱手(きょうしゅ)傍観し、どこ吹く風と決めこんでいる」(『解放』十月十六日付)というありさまである。
このように、カクマル内部の矛盾・対立、亀裂と分裂が進んでいるのであり、JR総連のタガがはずれ、「オレはオレ」と開き直って、資本になお一層屈服することで生き残ろうとするカクマル分子が続出しているのだ。
そして、極め付きは前述のカクマル交運委論文である。決定的に重大な内部危機をさらしているのだ。
「痛苦なことに、退職したJR総連OBメンバー(南雲)が『会長は過去の人だ』などとほざいて、JR総連下部メンバーに反感を植えつけるということをやっている」
「JR総連傘下の各単組内においてヘンなことをやっている自己に負い目を感じて、このヘンな自己を正当化するために『会長は過去の人だ』とか、『山本勝彦は変質した』とかという言辞をふりまいているのかもしれない」
いうまでもなく「会長」とは松崎明(JR東労組会長、カクマル副議長)のこと、山本勝彦とはカクマル頭目・黒田寛一のことである。JR総連カクマルの中でも松崎に次ぐような反革命的な影響力を持つ「南雲」が、公然と黒田・松崎批判を展開し、「JR総連下部組合員たちをダメに」していると、カクマル交運委論文は告白している。
今まで黒田・松崎とともに数々の悪行を行ってきたカクマル南雲があれこれ「批判」する資格などまったくないが、実際に松崎は、深まるJR総連の組織存亡の危機に対して何ひとつ指導力を発揮できず、超無責任を決めこんでいる。「黒田の変質」という点も、その露骨な反米愛国主義への先祖返り、「マルクス主義」のえせ看板の投げ捨てということから顕著であり、これもカクマルの内部危機を促進してきた。
こうして黒田と松崎は、その「権威」も求心力も今やまったく喪失しているのである。
だからカクマル交運委論文も南雲の発言に対して、まったく弱々しい反論しかできない。「無能な自己を省みずにデマをでっち上げ」と一言弾劾するのみで最後には「わが党の交運労働者たちを卑下し無きものとみなすことなかれ!」(ヘンな文章だ)などと哀願している始末だ。
3000人削減・大幅賃下げの全面外注化に屈服
二九年型世界大恐慌の危機のもとで、新日鉄が十年間で労働者を半減したような資本攻勢に、日帝・資本は一斉に踏み込んでいる。JR東資本もまた、「シニア協定」およびそれと結合した大合理化(設備部門のメンテナンス再構築=全面外注化)計画を強行しようとしている。これはJR本体要員を三千人削減し、関連会社に移した熟練労働者をフルタイム月額十三〜十四万円の超低賃金で労働させるという大攻撃である。
これに対してJR東労組は、「従来の効率化の概念に留まらず、ダイナミックに企業構造をも変えようとしているところに施策の大きな特徴がある」と絶賛し、「今までの延長線上の取り組みで何とかなるという代物ではない。現実を直視する勇気と主体的な取り組みが不可欠」(JR東労組『緑の風』九月十五日付)として、会社側提案を丸飲みしたのだ。
東労組は三月一日のシニア協定の裏切り妥結の際に「労使は鉄道事業業務等の委託をさらに深度化して着実に推進する」という一札を入れて、第二の分割・民営化ともいうべき大攻撃の先兵となることを誓ったのだ。しかも、組合員にはこのことを一切知らせずに、「シニア協定」は「東労組だからこそできた大成果」などと組合員をだましてきたのだ。
JR総連内のカクマル「ダラ幹」グループは、こうして完全に資本に屈服し、「大塚社長との強靭な労使協力体制」を呼号し、国労や動労千葉の首切りを資本に要求し、さらには東労組組合員の首をも差し出すことをもって、おのれのファシスト的利害を守りぬこうという、まったく卑劣な動きを強めている。
一方、黒田とカクマルは、「ダラ幹」グループを「JR総連産別主義」だとか、反カクマルの「セクト主義だ」などとののしりながら、地方組織を犠牲にしてでも、あくまでも東労組にしがみつき、たこつぼ的にJR内カクマル組織を固めることで大リストラ攻撃をかわそうと、延命策を探っているのだ。
黒田とカクマルが「大塚体制との対決」だとか「動労型労働運動をよみがえらせよ」などと言うのは、「ダラ幹」グループとの対抗上言っているだけで、資本への屈服ぶりでは「ダラ幹」グループと少しも違いはない。その証拠にカクマル『解放』は、東資本の「設備部門のメンテナンス再構築」の大合理化攻撃にまったく沈黙し、これを受け入れているではないか。何が「大塚体制との対決」か! このファシスト的ペテンを絶対に許すな!
分割・民営化の罪は消えぬ
ともあれ、カクマル内での黒田・松崎の権威の失墜、反革命的求心力の喪失という決定的事態が進んでいるのだ。だが、どんなに卑劣な手段で生き延びようとしても、分割・民営化の先兵となった階級的犯罪は絶対に消せない。カクマルはこれへの断罪から永遠に逃れられないのだ!
すべての闘う国鉄労働者の皆さん! 全国の労働者諸君! JR総連打倒と国鉄闘争の勝利、国労の階級的再生の課題は一体のものだ。今こそJR総連=カクマル打倒へ総決起しよう。
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週刊『前進』(1982号4面2)
北富士 “命ある限り闘う” 米軍演習中止申し入れ
北富士での沖縄米軍の本土移転実弾砲撃演習が開始された十一月四日、忍草母の会は、演習場入り口の中道(なかみち)の途中に設置した大看板と座り込みテント前で集会を開き、日帝・山梨県の入会権圧殺策動と闘うことを宣言した。この日は、九十四歳の渡辺喜美江・母の会会長が元気な姿を見せ、集会の中心に座った。
「入会権撲滅、桧丸尾強奪の山梨県は不倶戴天(ふぐたいてん)の敵」などと大書したベニヤ板七十枚を超える大看板は、第二組合と吉田恩組(富士吉田外二ケ村恩賜県有財産保護組合)が桧丸尾強奪のために立木を交換したその林に立てられた。演習場の出入りに際して嫌でも見えるこの大看板は、自衛隊が農民圧殺の存在であることを突きつけている。
集会では母の会事務局長の天野美恵さんが、米軍が日曜日も演習をするのは母の会のゲリラを恐れているからだと強調。また、東京地裁が忍草区会事務所は「入会集団のものである」ことを認め、第二組合による天野さんの追い出し策動が打ち砕かれたことに触れ、圧殺の先兵となっている山梨県とこれからも徹底的に闘うことを宣言した。
続いて発言した渡辺さんは「入会地が自分たちのものになるまでは県とでも何とでも闘う。桧丸尾が私たちの権利になるまで闘う。命のあらん限り闘い続けます」と不屈の闘魂をこめてあいさつ。座り込みの先頭に立つ大森ふじえさんは「これから座り込みを続けます。ご支援をよろしく」と力強く発言した。
次に都政を革新する会代表の長谷川英憲さんが、「命のあらん限り闘うという母の会の決意は私たちを本当に奮い立たせてくれる。米軍・自衛隊、山梨県は本当に理不尽。母の会の富士を平和の山に取り戻すまで闘うという決意を私たちみんなのものとして闘う」と表明した。婦人民主クラブ全国協代表の西村綾子さんが、「富士が戦争の訓練場になっていることに対し五十数年も闘ってきた闘いは不滅です。今日から大演習が行われます。戦争準備のエスカレートに、北富士を先頭に私たちの大奮闘で反撃ののろしを上げよう」と呼びかけた。
全学連の大山尚行委員長が、「日米共同統合演習が全国で行われているが、これと四つに組む闘いとして北富士闘争がある。北富士は米軍と自衛隊の朝鮮・中国侵略戦争を止めている。全学連はこの北富士闘争を全力をあげて闘っていく」と決意を表明した。
最後に天野さんが、「北富士は、権力もない、金もないけど、闘う力がある。命を投げ出しても闘い続ける」と力強く宣言して、全体でシュプレヒコールをあげ集会を締めくくった。
集会後、参加者は自衛隊梨ケ原廠舎に米軍実弾演習中止の申し入れ行動を行った。
演習場入り口は自衛隊、警察の物々しい警備体制が敷かれ、北富士業務隊の青木久道演習場管理室長が対応に出た。長谷川さん、西村さん、大山委員長らが代表して申し入れ書を読み上げ、反戦兵士の小多基実夫さんが自衛隊兵士に向かって決起を呼びかけた。自衛隊は放送を使って申し入れ行動を妨害しようとしたが、その策動を粉砕して申し入れ行動を貫徹した。
演習場入り口に大看板設置
この闘いに先立って三日、母の会は北富士演習場入り口への中道に大看板を設置した。冷たい雨の中、作業に決起した部隊は入会組合の天野豊徳さんの指揮のもとに足場用のパイプを組んで看板の台を設置し、ベニヤ板一枚に一文字という大看板を組み上げた。
吉田恩組と第二組合が様子をうかがいに来るが何も手出しできない。翌日からの米軍演習に向けて厳戒態勢を敷いている警察権力も遠巻きに見守るだけだ。
座り込みのテントも含めてすべての作業を暗くなるまでに完了させて、勝利感に満ちて集会。天野事務局長が「これからも入会権を盾に闘っていく」と、座り込みの先頭に立つ大森さんが「入会権を奪う吉田恩組、山梨県を許すわけにはいかない。精一杯闘っていく」とあいさつした。
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週刊『前進』(1982号4面3)
2000年日誌 阻もう!戦争への動き 11月1日〜7日
初のガイドライン演習開始
「日本も武力行使を」と鳩山
●参院憲法調査会が活動再開へ 参院憲法調査会が運営検討委員会で、調査会を十五日に開くことを決めた。評論家の佐高信氏、ジャーナリストの野中ともよ氏らから意見を聴く。五月十七日以来、半年ぶりの活動再開だ。今後は地方分権、安全保障、首相公選などをテーマに取り上げていくという。(1日)
●日米共同演習始まる 自衛隊と米軍による日米共同統合演習が九州の演習場や日本海など周辺海域、空域で始まった。新ガイドライン法の成立後、日米が実際に部隊を動かして行う実動演習は初めて。「周辺事態」を想定し、「在外日本人の輸送」や公海での米兵の「捜索救助」を行う。演習には、自衛隊員約一万五百七十人と米軍約一万八百三十人が参加。主に九州と中国地方の自衛隊、米軍の基地を使う。(2日)
●公開審理手続きを開始
沖縄県収用委員会が、米軍楚辺通信所(読谷村)と牧港補給地区(浦添市)の反戦地主所有の土地の強制使用手続きについて、国や反戦地主から意見を聴く公開審理に向けた裁決手続きを開始することを決めた。当山会長は「(公開審理開始は)年内には厳しい状況だが、使用期限が切れるまでに裁決が出せる前提で取り組みたい」と話している。(2日)
●次期防でNBC兵器対処強化方針 防衛庁が来年度から五年間の「中期防衛力整備計画」(次期防)で、NBC(核・生物・化学)兵器への対処能力を強化する方針を固めた。具体的には、@陸上自衛隊の六個師団の化学防護小隊を化学防護隊に改編し強化、A来年三月に発足する陸上自衛隊研究本部でこれまで実績がなかった生物兵器対処の研究の本格化、などを推進する。(3日)
●ロシアが未臨界核実験
ロシア原子力省報道部が、北極圏ノバヤゼムリャ島で十月二十日と二十七日、二回の臨界前核実験を実施したことを明らかにした。
(3日)
●教育改革国民会議の公聴会がすべて終了 森喜朗首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」が、新潟市で公聴会を開いた。同会議はこれで全国四カ所での公聴会を終え、今後、学校現場などを視察する予定という。十四日には全体会議を再開し、年内に最終報告書をまとめる。(4日)
●奉仕活動義務化「促進」を法文化へ 文部省は、すべての小、中、高校の児童・生徒による奉仕活動や体験学習への参加を「促進」するため、学校教育法と社会教育法を改悪する方針を固めた。「奉仕活動、体験学習の促進」という条文を新たに設ける方針。来年一月の通常国会に両改悪案を提出し、早ければ二〇〇二年度から実施する考えだという。(4日)
●北富士で米軍砲撃訓練開始 在沖米海兵隊が、山梨県の北富士演習場で、沖縄県の県道104号越え実弾砲撃訓練の本土移転に伴う実弾砲撃訓練を始めた。十六日までの訓練日程のうち砲撃は十二日まで連続で実施する予定。同演習場での訓練実施は一九九七年七月、九八年四月に続き三回目だ。第一二海兵隊約百六十人が車両約四十両、一五五_りゅう弾砲四門を使用して行うという。(4日)
●那覇市長選が告示 任期満了に伴う沖縄県那覇市長選が告示され、無所属新人で前市健康福祉部長の堀川美智子候補(社大、社民、共産、民主推薦、自由連合支持)と、無所属新人で前県議、前自民党県連幹事長の翁長雄志候補(自民、公明、保守、無所属の会推薦)の二人が立候補の届け出を行った。十二日投票で即日開票される。(5日)
●「武器提供で済むか」と鳩山 民主党の鳩山由紀夫代表が、先に集団的自衛権を行使できることを憲法に明記すべきだと発言したことに関連して、さらに「例えば周辺事態で、後方地域支援と前線での活動は本来区分けできるのか。日本だけが武力行使できないということで、他の国と行動が変わってしまう。日本が危機にさらされているとき、武器の提供だけで済むのか」と述べた。(6日)
●コソボで劣化ウラン弾汚染調査 昨年の北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴスラビア空爆でコソボ自治州を中心に使われた「劣化ウラン弾」による環境汚染について、国連環境計画(UNEP)調査団が初の調査を実施する。空爆後コソボ住民や同州に展開する国際治安維持部隊(KFOR)兵士に「バルカン症候群」と呼ばれる疾患が報告されている。(6日)
●ジュゴン一頭を確認 国の天然記念物ジュゴンの生息調査を進めている沖縄県那覇防衛施設局が、名護市東海岸の嘉陽沖で遊泳しているジュゴン一頭を、小型飛行機から確認したと発表した。調査は来年一月まで、沖縄本島周辺のほぼ全域で上空からの目視や主要箇所でのダイバーによる藻場調査を実施する。結果は「代替施設協」に報告される。(7日)
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週刊『前進』(1982号5面1)
10万人保釈運動の力で 須賀・十亀・板垣・福嶋無実の4同志奪還を
長期未決勾留が14年目に突入
須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に対する長期未決勾留は、この十月でついに十四年目に突入した。福嶋昌男同志は八年目に入っている。四同志は無実だ。一九八六年の迎賓館・横田戦闘には何ひとつ関与していない。デッチあげ弾圧と不屈に闘う四同志に対し、屈服・転向しない限り保釈すら認めないという非道な攻撃を断じて許すな。多くの弁護士、学者、宗教者などが「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人署名運動」と十二月集会を呼びかけている。これにこたえ、四同志を奪還するために総決起しよう。
「無実を争えば保釈しない」と転向強要
四同志への前代未聞の超長期未決勾留は、獄中非転向を貫いて闘う不屈の革命家に対する日帝国家権力の許すことのできない報復弾圧だ。と同時に、改憲と戦争へ突き進む日帝が、侵略戦争体制確立のために再び暗黒の警察国家をつくり出そうとする攻撃の一環だ。
警察ににらまれ、いったん逮捕・起訴されたが最後、自動的に「有罪」とされ、無実・無罪を争えばそれを理由に保釈すら拒否される。こんなことがまかり通れば警察・検察は弾圧のし放題、デッチあげのやりたい放題だ。戦前の治安維持法下で展開されていたのとまったく同じ質の攻撃が、今、四同志への攻撃として襲いかかっている。このことにまず、怒りを爆発させなくてはならない。
何よりも、十年を超える勾留を「不当に長期ではない」とぬけぬけと言い放つ裁判所を、どうして許せるかということだ。
須賀同志、十亀同志、板垣同志は一九八六年五月四日の迎賓館へのロケット弾戦闘と同年四月十五日の米軍横田基地へのロケット弾戦闘を口実として、翌八七年十月十三日にデッチあげ逮捕された。警察権力は、八六年十月の岩手爆取弾圧で不当逮捕されてすでに東京拘置所にいた三同志を、迎賓館・横田の両戦闘とは無関係であることを百も承知で獄中で再逮捕したのである。同時に、同じく無実の福嶋昌男同志をデッチあげ指名手配した(福嶋同志は九三年三月に不当逮捕された)。
当時の日帝・中曽根政権は、「戦後政治の総決算」を掲げて、軍事大国化と日米安保の強化、天皇制攻撃や国鉄分割・民営化の強行などに強権的に突き進んでいた。これに対して三里塚や国鉄を頂点に、労働者人民の激しい実力抵抗闘争があらゆる形で燃え上がっていた。これに恐怖した中曽根は、革共同と革命軍の「組織絶滅」を叫び、とりわけ八七年秋の天皇訪沖阻止決戦の爆発に対する予防反革命として、四同志へのデッチあげ大弾圧に踏み切ったのである。
だが、四同志は無実であり、当然にも「証拠」など何ひとつない。警察・検察は、四同志と両戦闘を直接に結びつけるものを、ただの一つも法廷に持ち出すことができない。そればかりか、四同志を「事前共謀」容疑で起訴しながら、デッチあげに必要な最低限のストーリーであるはずの、「いつ、どこで、だれと、どのように共謀したのか」を具体的に語ることすらできないのだ。
「直接証拠はないので間接証拠の積み重ねで立証する」と称して検察官が法廷に大量に出してきたものは、須賀・十亀・板垣の三同志が最初に逮捕された岩手県内の借家からの押収物である。だがこの岩手借家は迎賓館・横田戦闘の数カ月後に初めて借りたものであり、両戦闘の発生時にはそもそも存在しなかった。そんなものをいくら調べてもおよそ無意味だ。せいぜい、須賀同志らが「他のゲリラ事件に関係していた」「だから本件にも関与した可能性がある」という予断と偏見をあおり立てることができるだけである。
このように、デッチあげは最初から破産しており、そのために、公判開始から十数年が経過した今なお、検察立証が終わるめどすら立たない。こんな裁判はもはや「裁判」ですらない。十年もかけて検事が有罪を立証できないこと自体が被告が無実であることの証明であり、直ちに裁判を打ち切り、無罪判決か公訴棄却の決定を出すのが裁判所の責務ではないか。
にもかかわらず東京地裁は、憲法と刑事訴訟法の原則をも公然と踏みにじり、検事の要求をすべて丸のみして不当なデッチあげ裁判を強行し続けている。そして裁判が続く間、保釈を一切許可せず、四同志にまる十三年、八年という長期勾留を強制し続けているのである。しかもそれを、「不当に長期の勾留とは言えない」とうそぶき、「裁判が長期化するのは被告・弁護人が無罪を主張して執拗(しつよう)に争っているからだ」と、とんでもない開き直りをしているのだ。
無実の被告人が冤罪を晴らそうと裁判を必死に争うのは、あまりにも当然ではないか。それがなぜ、保釈拒否の理由になるのだ! 無実・無罪を争えば保釈しない、検事が有罪を立証できなくても起訴した以上は十年でも十五年でも勾留するというのは、まさに司法の名による暴力であり、極悪の人権侵害だ。基本的人権の全面的な否定だ。絶対に許さず、真っ向から弾劾して立ち上がろう。
病気と闘う須賀同志への治療拒否許すな
同時に弾劾しなければならないのはこの未決勾留の恐るべき非人道性である。
未決勾留とは本来、被告人の公判への出廷確保を唯一の目的としたものであり、その範囲を超えて国家権力がほしいままに被告人の自由を奪い、苦痛を科することは許されない。
しかし、実態はそれとはまったく逆だ。憲法一八条は「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」としているが、東京拘置所で実際に行われているのは、まさに違憲の「奴隷的拘束」そのものである。そこでは、すでに判決が確定し服役している既決囚と未決の収容者とを分かつものは、労役の有無だけで、ほかはほとんど変わらない。否、狭い独房の中で一日中過ごすことを強要され、他者との接触も体を動かす機会も極度に制限されている長期未決囚の生活は、服役者と比べても一層苛酷(かこく)なのだ。
「司法改革」攻撃の一環として不当なデッチあげ弾圧を受け、十カ月間東拘に勾留された安田好弘弁護士は、労役に従事して房の外できびきびと体を動かしている服役囚を「うらやましい」と思うほど、「未決勾留は苛酷にして理不尽であり、非人道的であった」と語っている。房内では日中は机の前に同じ姿勢で座り続けなくてはならず、勝手に横になることさえも許されないのだ。それはまさに檻(おり)の中の動物にも等しい扱いだ。
こうした未決勾留を、五年、十年を超える長期にわたって受け続けることがいかに残酷かは明白である。事実、四同志は、超長期勾留の中で全員がその健康を破壊されながら、権力への怒りと不屈の革命家精神を燃え立たせて日々全力で闘いぬいている。
四同志へのこの超長期未決勾留は、いつ終わるとも知れず、実質、無期刑にも等しいものであり、刑罰の先取りである。その意味でも断じて容認できず、一刻も早く終止符が打たれなければならないのだ。
とりわけ須賀同志は、九八年二月の腰椎(つい)間板ヘルニア発症以来、必要な治療もまったく受けられない中で、すでに二年九カ月にわたって歩行困難な状態が続いている。毎回の公判にも車椅子(いす)で出廷し、痛みのために途中で退廷するしかない。無実を争っているのに、裁判を受ける権利すら奪われてしまっている。
本年二月、被告・弁護団の闘いによって医療鑑定がかちとられたが、そこでは、ほとんど寝たきりの生活を強いられてきた結果として、通常のヘルニアでは考えられないほど広範囲の「下肢筋力低下、筋委縮、感覚障害」が起きていることがはっきり確認されている。許しがたいことに東拘当局は、この鑑定結果がつきつけられても須賀同志を病舎にも移さず、鑑定書に記載された治療やリハビリを依然として一切、拒否し続けている。そして裁判所の保釈却下は、それを公然と追認しているのだ。
この治療拒否は、権力による明白な犯罪であり、須賀同志に対する拷問以外の何ものでもない。日帝権力はここで、デッチあげ弾圧と闘うこと自体を国家権力による「懲罰」の対象とし、「外に出て治療を受けたければ無実を争うのをやめよ」と脅迫してきているのだ。
非転向の政治犯に獄中で肉体的精神的拷問を加えてその屈服を引き出そうとするこの卑劣な攻撃に対し、須賀同志は毎回の法廷で声をはりあげ、裁判官をにらみつけ、全身火の玉となって弾劾の闘いを貫いている。東拘当局に対しても具体的要求をつきつけ、その迫力に医務当局がたじたじとなるような闘いを展開してきている。ほかの三同志もまったく同じだ。
彼らの命がけの決起に連帯し、この卑劣な拷問弾圧をはね返し、須賀同志への治療と四同志全員の保釈奪還をかちとることは、全党の同志の責務であると同時に、闘う人民すべての死活のかかった闘いだ。このことを真正面から全人民に訴え、絶対に勝利をもぎとらなくてはならない。
「予防拘禁」復活で戦時治安体制構築狙う
日帝が今日、四同志に対してくりひろげているこの異様な超長期未決勾留の攻撃は、一九三〇年代の政治犯・思想犯に対する「予防拘禁」の復活に等しいものである。否、その公然たる復活をも明白に狙う攻撃であると言っていい。
日帝は、中国・アジアへの侵略戦争と第二次大戦遂行のために、天皇制ボナパルティズムのもとで人民のあらゆる自由と権利を圧殺し、国家と社会をまるごと軍事監獄的な状況にたたき込んだ。その中心となったのが、治安維持法と秘密警察=特高警察による全人民への監視と抑圧の体制であった。だが闘う人民の大量逮捕と投獄のみによっては弾圧を徹底しきれない中で、日帝が最後に依拠したのが「思想犯保護観察制度」と「予防拘禁制度」の導入であった。
そこでは、天皇と政府権力の前にはいつくばることを拒否して非転向を貫く者に対し、刑期を終えて出獄しても権力の厳重な監視下において、必要とあれば直ちに再収監できる体制が構築された。あるいは、出獄そのものを認めず、半永久的に社会から隔離して拘禁し続けた。転向して侵略戦争に積極加担しそのことを実際に行動で証明するか、さもなくば生涯獄から出られないかの二者択一が突きつけられていったのだ。
今日、安保・ガイドライン攻撃と並行して進む司法の反動化の中で、「人質司法」と呼ばれる攻撃が常態化している。一般刑事事件も含め、「否認して裁判を争うものは保釈しない」という攻撃だ。保釈拒否=未決勾留の継続が、警察・検察への屈服を強要する手段として露骨に使われているのだ。四同志への攻撃は、その頂点に位置するものにほかならない。
組織的犯罪対策法や団体規制法(第二破防法)などに始まる新たな治安立法の制定と、それに続く「司法改革」攻撃の進展は、この情勢にますます拍車をかけている。それらは戦後憲法のもとでの警察・検察と司法のあり方を根本から覆し、再び戦前・戦中のような治安弾圧体制とそれを支える司法をつくりだす攻撃として、今日、全面展開されている。これ自体がまさに重大な改憲攻撃だ。
だが他方では、これに対する労働者人民の、怒りと危機感に満ちた新たな根底的な決起が激しい勢いで始まっている。十一月一日の日弁連臨時総会では、数千人の弁護士による「司法改革」反対の巨大な反乱がかちとられた。日帝・森政権やファシスト石原が焦りにかられて改憲と有事立法への一層むきだしの攻撃に突き進めば進むほど、人民の怒りと抵抗があらゆる戦線で爆発し拡大するという情勢に入ったのである。
獄中四同志の不屈の闘いは、その最前線で日帝と激突するものとなっているのだ。これを、現下の司法反動を真っ向から打ち破る闘いとして、「司法改革」攻撃粉砕の闘いの一環として位置づけ、全人民的大運動に今こそ転化して闘おう。
学者・弁護士・宗教者を始め戦闘的人士五十人によって呼びかけられている「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」を、全法曹界の中に、さらにあらゆる地域・学園・職場の中に持ち込み、大発展させよう。十二月二日(土)午後二時から都内代々木八幡区民会館で「知っていますか? 人質司法の実態/無実の四人を取り戻そう12・2集会」が開かれる。呼びかけにこたえて結集し、ともにその成功をかちとろう。
「知っていますか? 人質司法の実態 無実の四人を取り戻そう12・2集会」
12月2日(土)午後2時 代々木八幡区民会館
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週刊『前進』(1982号5面3)
東京地裁に保釈要求 署名呼びかけ人先頭に
十一月六日、迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の弁護団は、東京地裁刑事一一部に対し、須賀同志、十亀同志、板垣同志についての新たな保釈請求を行った。大衆的な保釈署名運動の開始以来、第四次の保釈請求である。これを受けて十一月九日、「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」の呼びかけ人・賛同人と被告家族による、東京地裁への申し入れ行動が闘われた。
呼びかけ人を代表して牧師の森山つとむさんが申入書を読み上げ、三人を直ちに保釈し、不当な長期勾留から解放せよと強く迫った。続いて参加した諸人士が次々と発言。「病気になっても勾留を続けるというのは人殺しと同じだ」の声に、応対した職員は終始首をうなだれて一言も発することができなかった。 最後に今回の提出分として、署名千九百五十八筆を提出した。
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週刊『前進』(1982号5面2)
11〜12月機関紙拡大闘争のために
闘いの核心を伝える『前進』活用し労働者階級の獲得を
前進経営局
闘いの息吹を労働者の中へ
十一、十二月機関紙拡大闘争に決起しよう。
われわれは、十一・五労働者集会の組織方針の柱の一つに、機関紙拡大闘争をすえることを決定し、すべての指導機関、細胞で猛然と決起した。この方針は圧倒的に正しかった。『前進』は、十一・五集会の組織化に大きな威力を発揮した。『前進』は国鉄労働者を始め、多くの労働組合、労働者人民の中に猛然と持ち込まれた。首都圏での機関紙拡大闘争の報告によると、読んでもらいたい人のリストは四ケタの数にのぼり、その中から十一・五過程で三ケタの人に対し『前進』拡大オルグが行われ、数十部の拡大に成功した。
九、十月の二カ月で、今年前期の拡大闘争に匹敵する拡大を実現した。
十一月機関紙拡大闘争が決定的である。「四党合意」を三度阻んだ国労大会の勝利と、十一・五労働者集会の成功は、闘う新潮流が日本階級闘争の中心軸に躍り出る情勢をつくりだした。この感動が労働者階級人民を包んでいる。十一・五集会の大勝利に引き続き息もつかせず、十一・五に結集した人びと、十一・五への結集を働きかけた人びと、働きかけようとした人びとのすべてに、十・二八、二九国労大会と、十一・五労働者集会を報道した『前進』を持ち込もう。゛鉄は熱いうちに打て゜である。
十一・五労働者集会に向かって猛然と労働者オルグ、労働組合オルグに突入したように、計画的・組織的に取り組もう。
十一月機関紙拡大闘争は年末一時金カンパ決戦の規模を規定する闘いでもある。
一時金決戦はそれ自体、独自に取り組まれなければならない。が、機関紙活動は、党財政の絶対的な規模、基盤を決定するものだ。機関紙拡大闘争を十一月に先行的に取り組めば取り組むだけ、年末一時金闘争の展望が開けてくる。
機関紙拡大、財政強化、党員拡大の党勢二倍化の闘いを一体的に闘いぬき、二十一世紀に勝者として突入しよう。
新潮流運動の発展をかけて
十一、十二月機関紙拡大闘争は新潮流運動の防衛と発展をかけた闘いである。
国労定期大会の勝利と、十一・五労働者集会の大勝利は、新潮流運動の防衛と発展をかちとり、日本労働運動の革命的再生をかちとる党の責任を、重々しくわれわれに提起している。『前進』を武器に「労働者の中へ」を実践し、党派闘争を闘いぬき、階級内部に根をはった闘う労働者党を建設しなければならない。
国鉄闘争は、戦後最大の労働運動弾圧攻撃である国鉄分割・民営化攻撃との闘いであり、全労働者の未来を決める闘いである。この闘いが、七・一臨大以来三度、「四党合意」を阻む勝利を切り開いた。この闘いに続き、十一・五労働者集会が、資本攻勢と闘う団結を強め、国鉄千四十七人闘争に勝利し、大失業と戦争の攻撃を打ち砕く新潮流運動としてかちとられた。
十一・五労働者集会にあふれていたのは、゛労働者は闘わなければ生きていけない゜゛闘えば勝利できる゜という確信であり、゛労働者と闘う人民が主人公となる社会をつくろう゜という熱望である。
敵がどんなに強大であっても、国鉄千四十七人闘争のように、団結し連帯して闘いぬけば、それを跳ね返し、勝利の展望をつかむことができることが示された。労働者にとって、それ以外にいかなる道があろうか。腹をすえ、゛資本主義にノー゜と命がけの決起を決意した、労働者の自己解放性に満ちたすばらしい闘いが始まった。この闘いが感動と共感を呼び、支援と連帯の輪が広がり、どのような攻撃をもってしても打ち砕くことのできない闘いへと発展している。
新潮流運動が切り開いたこの情勢に、党は責任を持たなければならない。
十一・五に向かって熱烈に開始した、「労働者の中へ」を恒常的に実践し、『前進』を労働者人民の中に持ち込み、闘う労働者党を建設しなければならない。日本労働運動の革命的再生の基礎がここにある。
21世紀、革命勝利の挑戦へ
十一、十二月機関紙拡大闘争は、同時に二十一世紀の反帝国主義・反スターリン主義世界革命の展望をきりひらく闘いである。
世界史が激動期に向かって大きく動きだした。国鉄闘争と沖縄闘争を軸とした大激動、大高揚の始まりはこの現れであり、その最先端をなす闘いである。
帝国主義世界経済は完全に行き詰まり、戦後世界体制が崩壊局面へと突入し、戦争と恐慌の深まりが重なりあって進んでいる。
これに対して、国際プロレタリアート人民は、ユーゴスラビア、パレスチナ、南朝鮮を始め、全世界で嵐(あらし)のような決起を開始している。炭坑労働者のストライキを先頭に、ゼネストと大衆的蜂起でミロシェビッチ独裁体制を打倒したユーゴスラビアの闘いは、労働者階級こそが社会の主人公であることをいかんなく指し示した。
反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命をもって突破すべき時代が到来している。ロシア革命によって開始された世界革命の事業を、今こそ完遂しなければならない。
たしかに、この闘いは容易な闘いではない。しかし、『前進』は、全世界で生起している事象を革命的に解明し、闘いの勝利の指針を提起している。自らが担っている闘いの真実がつかまれ、人民の確信になるやいなや、闘いはまさに革命的に発展する。これは、世界の労働者人民の闘い、国鉄や沖縄の労働者人民の闘いが示している。
『前進』で、反帝国主義・反スターリン主義の綱領と路線を、闘うすべての労働者人民に持ち込み、闘う労働者党を建設しよう。この闘いに勝利してこそ、われわれは二〇〇〇年決戦の勝者として、二十一世紀への挑戦権を手にすることができる。
日共を一掃しカクマル倒せ
十一、十二月機関紙闘争は、『前進』を武器に日本共産党スターリン主義との党派闘争に勝利し、労働者人民を綱領的に獲得する闘いである。それは、ファシスト・カクマル完全打倒の闘いとも一体である。
スターリン主義反革命として、労働者人民の闘いに敵対してきた日本共産党は、「有事の自衛隊活用」を宣言して改憲派に大転向し、危機を深める日帝の「最後の番兵」として延命しようとしている。
日共=革同上村派こそは、国鉄闘争破壊の「四党合意」策動の最悪の先兵である。上村革同との闘いは、国労闘争団とその家族、国鉄労働者と全労働者人民にとって、生活と存在をかけた闘いであり、絶対に負けられない闘いである。この労働者の根源的な決起が、日共の動揺と危機、革同の分裂をもたらしている。日共を労働戦線から一掃し、労働者を革命的共産主義で獲得する絶好機が到来している。
国鉄分割・民営化攻撃の核心は、革命的共産主義運動が日本労働運動の革命的中軸に躍りでようとすることを、日帝・権力が、ファシスト・カクマルを先兵にしてたたきつぶそうとしてきたことにある。しかし、動労千葉と国労闘争団を始めとした国鉄闘争の前進と、他方で、革共同の五月テーゼ−一九全総の闘いが、この攻撃に大反撃をたたきつけ、総破綻(はたん)に追い詰めているのだ。この闘いこそ、カクマル=JR総連の日帝・資本との結託体制を暴きだし、矛盾を突きだし、九州労から始まってカクマル=JR総連に深刻な亀裂を強制しているのである。
カクマル=JR総連をファシスト先兵として、日帝が労働者人民を支配してきたことを考えると、このカクマルの危機の爆発の意味は限りなく大きい。カクマル=JR総連を打倒し、労働運動を革命的に再生する絶好機が到来したのだ。
その最大最良の武器は『前進』である。
二十一世紀の勝利への道は、革共同の党派的勝利と党建設によって切り開かれる。その環は、十一、十二月における『前進』拡大と一時金決戦の成功にある。
悔い残さない実践を貫こう
客体的な意味でも、主体的な意味でも、革命的共産主義運動の歴史の中で、これほどの情勢を迎えたことはかつてなかった。これは、われわれが自らの実践によって切り開いた情勢でもあるのだ。
毎週、路線的な全体性を体現したすばらしい『前進』が発行されている。労働者人民は『前進』に期待している。この『前進』を、十一、十二月、定期購読で、バラ売りで、宣伝紙で、どれだけ労働者人民の中に持ち込めるかに、二十一世紀の革命的展望がかかっている。
十一月に向かっての闘いで決定的であったのは、指導部を先頭にした、「労働者の中へ」の日ごとの実践と点検であった。
第一に、全党員が拡大対象リストを完全に出し切ろう。拡大できそうだと思う人だけをリストアップするのでは、本来の対象を狭めてしまう。読んでもらいたい人の全員のリストである。このリストを検討し、当面のオルグ対象と方針を決定し突進しよう。
第二に、機関紙拡大闘争での〈方針形成〉−〈実践〉−〈総括〉−〈総括に基づく新たな方針形成〉のサイクルを強力に実践しよう。十一月の拡大闘争に猛ダッシュしよう。そして二〇〇一年新年号の拡大・活用計画を今から準備して取り組もう。これが二〇〇〇年から二十一世紀への跳躍台だ。
第三に、何よりも、『前進』をよく読み、『前進』で一致する組織討論をやりぬこう。これこそが絶対的な基礎であり、闘いのエネルギー源である。
悔いのない闘いをやりぬき、二〇〇〇年決戦に勝利しよう。党勢二倍化を機関紙拡大で切り開こう! 機関紙を中心にした、レーニン主義的な党をつくろう!
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週刊『前進』(1982号6面1)
橋本控訴審 「臭気選別」検証許すな デッチあげ粉砕の正念場
弾圧粉砕した一審無罪判決
一九九三年四月の天皇訪沖に対する革命軍の火炎ゲリラ戦闘への日帝の階級的報復として加えられた橋本利昭同志への「実行犯」デッチあげ弾圧との闘いは現在、大阪高裁での控訴審闘争で重大な局面に突入している。
一審京都地裁では、被告と弁護団、革共同の闘いによって、「犬の臭気選別」のデッチあげのカラクリを全面的に暴き出し、九八年十月、無罪判決をかちとった。
しかし、この当然の無罪判決に対して、デッチあげ弾圧手段としての「犬の臭気選別」を護持するため、検察官は不当な控訴を行ったのである。
この検察控訴は、近代刑事法の原則を踏みにじり、憲法三九条の一事不再理規定に違反するものである。そもそも一審無罪に対する検察控訴は、欧米帝国主義国ですら行わない近代刑事法を否定する無法である。
検察官は、控訴審での逆転有罪判決を政治的権力的に強奪することで、「万人の個人臭を選別できる」とする「犬による臭気選別」を治安対策のためのデッチあげの主要手段として護持しようとしているのだ。
検察官は、八七年の最高裁決定を唯一の根拠に「犬の臭気選別」結果だけで有罪判決を要求することを本格的に狙ってきている。
この最高裁決定は「@専門的な知識と経験を有する指導手、A優れた臭気選別能力の犬、B適切な臭気の採取・保管および臭気選別の実施方法、の三条件があれば、有罪認定の用に供しうる」としたものである。
橋本裁判は、この最高裁決定の三条件そのものと全面的に対決する裁判として闘われてきた。控訴審であらためて無罪をかととり、国家権力のデッチあげ手段としての「犬の臭気選別」を刑事裁判の証拠方法として葬り去るためにも、絶対勝利以外にない。
控訴審ではこの間、橋本事件選別を行った犬の訓練士Tを証人として、検察・弁護側の双方が尋問してきた。検察側は原審判決を否定できる内容を提示できるどころか、ますます橋本事件選別は証拠能力などないことをさらけだした。追いつめられた検察は、裁判所による「検証」をすべきと主張、裁判所も、この検察官要求を受け入れる意向を示している。
この「検証」とは、新たに裁判所の責任で「犬の臭気選別」実験をやるということである。事件とは関係のない別の臭い、別の犬を使ってやる選別実験は、本件裁判とは、何の関係もないことは明らかである。裁判所は「検察にも弁論の機会を与えたい」と、破産した検察官に助け船を出しているのである。
検察官は、この「検証」でT訓練士と犬に一定の「成績」をおさめさせ、「有罪認定の用に供しうる」とした最高裁決定を復権し、あわよくば「犬の臭気選別」は信用できるとして、無罪判決を逆転しようと狙っている。さらに、裁判の長期化で橋本同志を被告席に縛り付けようとしているのだ。
次回十一月十五日の第一〇回公判は、この「検証」をめぐる攻防である。この正念場を迎えた橋本裁判への総決起を訴える。
以下、この間の二回の公判と「検証」問題にいたる経過を報告する。
「臭気」破産は決着済みだ
八月三十日の第八回公判では、証人T訓練士に対する検察側の再主尋問が行われ、T証人に対する検察・弁護側の尋問はこれで終了した。
第三回〜七回まで弁護側は、T証人の行った橋本事件選別のデタラメさをあらためて暴き出し、壊滅的に批判してきた。
それを受けた再主尋問では、検察官は、なんとわずか十分間の尋問を行い、@不持来は誤持来とは違う。犬が確認できなかっただけで間違ったものを持ってきたわけではないから、逆に犬の優秀性を表す。A不持来があるということは、指図・誘導がないということであり、動物が人間の無意識の動作、表情からすら答えを知ってしまうというクレバー・ハンス現象もないことを明らかにしている。Bゼロ選別、「移行臭」による選別は、T訓練士が発案したもので、警察庁の「警察犬による物品選別実施要領(以下「実施要領」と略記)」はそれを後追いしたもの。CT訓練士は、本年の八月十日付で「一等訓練士長」に昇格した。現役では「一等訓練士長」はT一人、第一人者。DT証人の過去の言動によって疑惑をもたれているようだが、選別はあくまで同臭性の結果。E五十年間で千回近い事件選別をやっているが、現在まで冤罪の申し立ては一件もない。FTの訓練所で生の選別(=検証をやれということ)を見てもらえればわかってもらえる、というものであった。
これは、この間暴露されてきたT訓練士の「実施要領」にすら違反する選別のデタラメさを、現役訓練士の「第一人者」ということで、「実施要領」を超えている存在として押し出し、他方では、暴露された信用できない人物像と選別とは別物として、新たに「検証」をやって判断すべき、というものである。
これは、原審判決や、この間の弁護側の反対尋問で暴露されたT証人の選別の信用性失墜を、論争の土俵を丸ごと変えてしまい、すり抜けようという検察官の策謀である。今回公判にあわせたかのようなTの昇格など、裁判所に国家意思を恫喝的に示しているものである。
九月二十九日の第九回公判では、控訴審のこれまでの審理の結果をふまえての検察側の提出した弁論要旨はわずか十六n。それに対して、弁護側の意見書は、百四十五n、別冊のT訓練士の証言等の変遷をまとめたものが百七十八nで、合わせて三百二十三nになる膨大なものである。
検察官弁論要旨は、@「過去に臭気選別によって冤罪が生まれた事実はない」というウソを始め、A証拠として採用されてないものにもとづく意見、B「警察や指導手がインチキする」と考えるのかと裁判所を恫喝し、Cクレバー・ハンス現象など、すでに弁護側によって反論・反証しつくされている問題に対する一知半解なケチツケなど破産的なものである。
最大の問題は、D一切の結論として「本件事件は、犬の臭気選別能力の証明力が争われているものであり、机上のみで判断することなく、検証選別を実施することにより実際に警察犬の臭気選別を生で見て、臭気選別能力を判断すべき」と言っていることである。
弁護側は、@Aについて「事実に反する、証拠に基づかない意見」として削除を要求した。裁判所は「なんらかの対応を検察官に求めることもあり得る」と、このデタラメな検察官の陳述を許した。ここにも裁判所の検察におもねっている姿勢が明白である。
高裁は直ちに控訴棄却せよ
弁護団は「当審におけるこれまでの証拠調べによって、今後新たな証拠調べをすることなく、控訴を棄却し、被告人が無罪であることを明確にする判決が速やかになされるべきであることが明らかになった」と、検察が要求している「生の検証」などまったく必要ないまでに審理していると批判した。
さらに@証言等の言説の変遷・矛盾を指摘し、橋本事件選別の適切性に関するT証言の信用性・信頼性は欠如している、ATは事件選別の実施以前に選別の内容や目的を知っていた、B犬はカンニングしていた、C臭いの濃淡などで識別する訓練を受けた犬が、どうして臭いの質(同臭性)で選別できるようになるのかを「営業上の秘密」として一切明らかにせず、まともな訓練データも出さないという、犬の訓練過程の問題性、DTは明らかに指図・誘導をしていることなど、を証拠にもとづいて鋭く指摘し、Eいろいろ疑惑をもたれる言動はあるが犬は「同臭性で選んでいる」という検察側の主張を壊滅的に批判した。
こうして、次回第一〇回公判は、この「検証」をめぐる大攻防となった。この裁判闘争は、司法の大反動の時代を迎えている中で、断固とした反撃戦として検察控訴を迎え撃って、勝利的に展開してきた。現在権力は、この裁判闘争の土俵そのものを変えてしまおうとしている。なんとしてもこの大反動を突き破り勝利しよう。
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週刊『前進』(1982号6面2)
新刊紹介 共産主義者 126号
改憲阻止の決戦へ
●憲法闘争への原論的提起 柏木論文
●階級闘争深部での勝利 革共同救対部論文
21世紀の緒戦
国労定期大会、十一・五労働者集会の勝利を力に、二十一世紀を決する改憲阻止の歴史的階級決戦に立とう。本号はその本格的準備のための企画だ。
巻頭の桐原論文は、教育改革国民会議中間報告をテコに始まった教育基本法改悪攻撃の画歴史性に警鐘を打ち鳴らし、これとの対決を訴えた重要論文。教育改革攻撃を突破口にした改憲攻撃の構造を明快にえぐり出している。
論文全体が、@中間報告の反動性、石原教育改革のファシズム性、A教育改革における新自由主義批判、規制緩和と中央統制を両軸にした戦後公教育解体の手口、B教育改革をめぐる戦後教育労働運動史の素描、など重要な視点から論究されている。戦後教育の本質を掘り下げ、今日の日帝危機にもとづく「教育の崩壊」なるものに深く階級的批判を加えている。
教育をめぐる闘いが結局のところ戦後階級関係そのものをめぐる激突であることを突き出し、「日の丸・君が代」強制に対する教育現場の闘いの決定的意義と、それが全人民的な政治闘争テーマであることを強調している。
柏木論文は、改憲攻撃の本格化と背景をあとづけつつ、戦後史的決着のかかった歴史的階級決戦としての憲法闘争の本質を明らかにした。九四年の第一次読売改憲試案と本年の第二次試案の比較検討を通じて、新ガイドライン体制下での有事立法・改憲攻撃の意図と方向性を鋭く暴き出し、憲法問題に対する労働者階級の基本的視点を提起した必読の論稿である。
川武論文は日本共産党の七中総決定=二二回大会決議案を全面的に批判し、日共の公然たる改憲派への転向を突き出した。「国民の党」への反階級的排外主義的純化と「有事の自衛隊活用」なる九条破棄宣言を中心的に批判した。
九八年三中総での「暫定政権」論―安保容認論以来のとめどない屈服・転向を弾劾し、破産を開き直ったスターリン主義反革命の打倒を訴えている。
今年前半を総括
本号のいまひとつの重要企画は本年前半の総括である。
二〇〇〇年決戦の最大課題として戦後最大の政治危機下で、国政への初の挑戦をかけた六月衆院選決戦の東京西部地区委員会による総括は、森自公政権打倒、石原打倒を掲げて闘った唯一の党としての課題と飛躍性を圧倒的に確認しきっている。そしてプロレタリア自己解放の原理を核心にすえ、介護保険制度廃止の大衆闘争を住民自身の自主的決起としてかちとる、まったく新しい理念と実践、組織論をもった、既成議会主義政党とは違う政党として登場したことを力強く論じている。
沖縄サミット粉砕決戦の総括論文は二本。
火川論文は、サミットを軸に展開された帝間争闘戦と世界危機の激化を見据え、世界革命の立場からサミット粉砕決戦の世界史的意義を全面的に論じた。さらに戦後憲法体制と沖縄政策を統一的に検討し、改憲阻止決戦の深化に重要な視角を提起している。
沖縄県委員会論文は、サミット粉砕決戦そのものを名護の闘いをめぐる攻防を軸に総括した。沖縄大衆の怒りが全情勢を規定していたことを勝利の核心として意気高く確認し、サミット粉砕決戦勝利から沖縄階級闘争の大衆的実力闘争的発展を展望している。
中村論文は、三度にわたり「四党合意」を粉砕し、新たな段階に入った国鉄闘争の歴史的展望を切り開く視点から、動労千葉の結成から今日にいたる闘いをふりかえり、「階級的団結の強化」の意義を明らかにした。
カクマルの危機
滝沢論文は、九州労脱退問題で組織的危機に揺さぶられているカクマルが党是としてきた「謀略論」を、その手口、認識論、組織路線、政治・軍事路線など多角的に分析し、ファシストの本質に迫った鋭い考察。
水本謀略論から神戸謀略論にいたるカクマルのファシスト的純化を克明に追跡し、これらを破産に追い込んだ反ファッショ解放戦争の前進を総括している。先制的内戦戦略に結実した労働者自己解放闘争の力が、大衆的決起の時代にこそ絶大な勝利の原動力になることを確信できる。
五十嵐論文は、アジア勢力圏化をめぐる日米帝の激突と軍事情勢を背景に九七年以降急展開する朝鮮、中国・台湾、インドネシアにおける危機の実態と新たな人民決起の歴史的高揚の局面を鋭くとらえた論考。
河東論文は、JCO臨界事故一周年を弾劾、核燃サイクル計画の核武装としての本質を暴露し、新たな反核闘争の路線を鮮明に提起している。宇宙開発計画の軍事転用の意図をあわせて批判する。
林論文は、今春の公的年金制度改悪の批判をとおして資本攻勢と戦後社会保障制度解体との連動性を考察した意欲的レポート。『厚生白書』にみる家族イデオロギーの再編・強化の視点も重要だ。
岩崎論文は、強制入院強化の移送制度と保安処分導入を狙う精神保健福祉法批判。「福祉法的取り込み」による攻撃をも対象化し「障害者」抹殺攻撃の実態に迫った。
革共同救対部論文は、迎賓館・横田爆取デッチあげで超長期未決勾留されている四同志の早期奪還のアピール。四同志の闘いが日帝との最前線の闘いとして階級闘争の質を根底で規定していることを確認、党の決起と革命的大衆行動の必要性を強調する。
書評は、『新訳ドイツ・イデオロギー』の刊行の意義と画期的な中身を分かりやすく解説している。
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週刊『前進』(1982号6面3)
連載 部落解放運動−その課題と展望 第9回 階級的共同闘争の復権
階級の仲間として連帯を 部落大衆の決起に学ぼう
差別・排外主義との闘いは死活的
部落解放運動は労働者階級自身の闘いである。
日帝の朝鮮・アジア侵略戦争が切迫する時代は同時に、それと一体となった差別・排外主義の攻撃が激しく吹き荒れる時代である。労働者階級は、侵略戦争に向けた諸攻撃と全力をあげて対決するとともに、差別・排外主義との闘いを、自らの階級性をかけた死活的課題として担い、闘わなければならない。
差別・排外主義と闘いぬくために、すでに決起を開始した朝鮮・中国・アジア人民の生きた民族解放闘争の現実から徹底して学び、血債をかけた決起を実現しなければならない。さらに、石川一雄さんを先頭とした狭山闘争を始めとする生きた部落解放闘争の現実に徹底して学び、階級的連帯をかけて立ち上がろう。
階級的共同闘争は、差別・排外主義をうち破り、日本革命−プロレタリア権力樹立への道を開くための死活をかけた闘いだ。われわれはあらためて七〇年代狭山闘争こそ、戦後階級闘争において誇るべき階級的共同闘争として闘いぬかれたことを確認しなければならない。
七〇年代狭山闘争は、権力の差別犯罪に対する石川一雄さんの徹底糾弾闘争への決起を共同綱領に、三百万部落大衆の自己解放的決起をきりひらく戦後解放運動の最大の闘いとして発展した。狭山闘争は、石川さんを先頭とする三百万部落大衆の決起と、これに学び連帯する労働者階級の決起がひとつに結合することによって、戦後階級闘争史上類例のない階級的共同闘争として闘いぬかれたのである。
70年代狭山闘争の実現した地平
狭山闘争はいかにして闘われたのか。
国家権力の差別犯罪を糾弾する石川さんの魂の叫びは、三百万部落大衆の心をとらえ一つにしただけでなく、労働者階級の心をもとらえ、階級本隊の決起をつくりだしたのである。
石川さんに対する権力の差別犯罪は、労働者階級が部落差別・人民分断支配に屈服している現実をとおして生み出され日々再生産されているのである。労働者階級が階級性を自らのもとに取り戻す闘いは、労働者階級が石川さんと三百万部落大衆の差別徹底糾弾闘争に深く学び、連帯することなくしては実現されない。こうして七〇年代に、国鉄、全逓、教労、自治労を始めとした総評労働運動の基幹部分からの決起が開始されたのだった。
この闘いの中で、「部落の解放なくして労働者の解放なし、労働者の解放なくして部落の解放なし」という階級的共同闘争のスローガンがうちだされた。これが、部落解放運動と労働者階級の、差別をこえた階級的連帯の共同の旗印となった。こうして二審判決を目前にした七四年九月公判闘争の、日比谷公園を埋め尽くす十一万人の決起へとのぼりつめたのである。
狭山差別裁判徹底糾弾闘争の爆発は、部落差別・人民分断支配をつき崩し、階級支配を根底的危機にたたきこむという、戦後階級闘争史にも特筆すべき地平をかちとり、七〇年代階級闘争の最大級の闘いとなったのである。こうした階級的共同闘争の発展は同時に、労働者階級の階級的団結をうち固め、七〇年代の労働運動の戦闘的発展の牽引(けんいん)力となったのである。
七四年十月三十一日の第二審寺尾裁判長による「無期懲役」の差別判決以降、解同本部派の裏切りと屈服のもとで、差別糾弾闘争の解体、階級的共同闘争の否定によって、狭山闘争はいったんは後退の現実に置かれている。だが、狭山闘争が切り開いた地平とその魂と伝統は、今日もなお脈々と受け継がれているのだ。
何よりも日帝・国家権力、裁判所、本部派のすさまじい狭山闘争圧殺攻撃の中で、石川一雄さんは部落解放の戦士として闘志をみなぎらせ、国家権力への差別徹底糾弾の意志をいよいよ固めている。
さらに七〇年代狭山闘争への労働者階級の決起の中心を担った動労千葉を始めとする戦闘的労働運動の隊列が、階級的共同闘争の地平と精神を受け継いで資本攻勢と闘いながら、狭山再審闘争の勝利のためにともに闘いぬいている。こうして狭山闘争は、今も脈々と息づいているのである。
部落差別は日帝の階級分断攻撃
以上の七〇年代狭山闘争の総括を踏まえて確認すべき点は、部落解放同盟全国連合会の九三年の第二回大会テーゼの歴史的階級的意義である。全国連は、部落差別の本質を〈階級支配の一環としての身分的差別〉であると二回大会テーゼで明らかにした。ここで全国連は、部落解放運動が身分的差別撤廃の運動であると同時に、身分的差別=階級支配そのものと対決する階級闘争であることを明確にしたのである。
二回大会テーゼの今ひとつ重要な点は、身分的差別との闘いは差別糾弾闘争として闘いぬかれなければならないことを明確にしたことである。そして差別糾弾闘争は労働者階級との階級的共同闘争として闘いぬかれなければならないことを明らかにしたのである。
階級的共同闘争は、部落差別の撤廃が日本革命−プロレタリア権力の樹立、共産主義社会実現の究極的勝利を媒介として達成されるという階級的真理に根ざしたものであり、部落解放運動と労働者階級の、両者の階級的連帯にもとづく共同の闘いをとおして初めて実現されるのである。
日帝の階級支配の一環としての身分的差別とは、身分的差別によって階級の中に差別と分断をもちこみ、階級支配が貫かれるという、日本帝国主義の階級支配の独特の性格に起因する。部落民は労働者階級の仲間であり、身分的差別によって分断された労働者階級の一員である。この現実をうち破るために労働者階級は、身分的差別に屈服してきた現実を自己批判的にとらえ返し、階級的団結の新たな形成のために立ち上がらなければならない。こうした階級的共同闘争こそ労働者階級の階級性を打ち鍛える闘いなのである。
戦争の時代の到来、差別・排外主義の吹き荒れる時代の中でわれわれは、今こそ階級的共同闘争の復権をかちとらなければならない。それは何よりも新たな狭山闘争の発展の中に実現されなければならない。石川一雄さんに加えられた国家権力の差別犯罪は、過去の問題では断じてなく、現に今も極悪非道な攻撃として日々貫かれている。これを断じて許すな! われわれは七〇年代狭山闘争の切り開いた地平をはるかにこえる巨大な階級的共同闘争の爆発をかちとるために、闘わなければならない。
〔峰山尊道〕
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