ZENSHIN 2000/09/18(No1973 p06)

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週刊『前進』(1973号2面1)

闘争団の切り捨てと組合破壊許すな
国労本部の責任を開き直る「一票投票指令」に猛反撃を
 不当労働行為=四党合意葬れ

 八・二六国労臨大(続開大会)で、七・一に続いて二度にわたって「四党合意」受け入れの方針案の採決を阻止した(前号既報)。「四党合意」を事実上破産に追い込んだ大勝利である。そして、本部執行部総退陣の情勢を引き寄せた。ついに闘う新たな執行部を国労三万の総力を挙げてつくりだすべき時が来たのだ。どん詰まりに追いつめられた国労中央は、この情勢を「全組合員の一票投票」で反動的に巻き返すクーデターを策動している。国労中央は八月三十一日、「執行部提案(第六六回臨時全国大会方針)について全組合員の一票投票を指令する」として、九月二十六−二十九日を投票期間とする「指令第一〇号」を発した。これはまさに゛闘争団切り捨て゛を全組合員に迫る断じて許せぬ暴挙である。この一票投票を絶対に中止させ、闘争団を守り、執行部総退陣へ闘いぬこう。

 二度にわたり敵の攻撃を阻止

 闘争団の14年かけた決起が本部を徹底的に追いつめた
 今秋の国鉄決戦は、五・三〇「四党合意」から七・一−八・二六の激闘を引き継ぎ、その闘いに決着をつける、一層激烈な攻防である。当面の「一票投票」絶対阻止の闘いから、全国大会代議員選、十月二十八、二十九日開催予定の定期全国大会に向けて、全力を挙げて闘いぬこう。
 そのためにも、まず八・二六続開臨大をめぐる闘いに勝利したことをはっきりと確認しなければならない。総括の核心は、二度にわたって「四党合意」という敵権力の攻撃を打ち破ったことが、ものすごい勝利であるということだ。
 確かに、あくまでも臨大中止を求めて闘った闘争団、組合員、支援の労働者にとって、大会が強行されたことは本当に悔しい。いったんは高橋委員長が中央執行委員会で大会中止を提起するところまで追い込み、さらに本部総辞職の表明にまで追い込みながら、最終的に現執行部がクーデター的に居座り、「四党合意」も残った。だが、それは逆に「四党合意」の完全粉砕、現執行部の総退陣にまであと一歩のところまで迫ったということなのだ。
 この勝利の地平に確信を持ち、この勢いで前進することが求められている。

 大反動を打ち破り正義貫く

 七・一の勝利が敵にものすごい打撃を与えたがゆえに、その後の反動はすさまじかった。この反動に闘争団がひるまず断固対決して打ち破ったことが、勝利の決定的な要因である。
 七・一でやむにやまれず「演壇占拠」にまで上りつめた闘争団の闘いに対して国労中央は「大会破壊の暴力行為に対し、非難すると共に憤りをもって抗議する」という七・三見解を出し、革同上村一派は闘争団を「暴徒」呼ばわりした(東海エリア本部声明など)。盛岡地本のチャレンジ一派は、音威子府闘争団のオルグに対して「北海道にお引き取り願いたい」「闘争団カンパもストップする」と通告するなど、闘争団を゛兵糧攻め゛にする許しがたい攻撃に出た。
 これが「四党合意」の本質なのだ。闘争団を切り捨てろ、という敵の攻撃の狙いを、チャレンジ一派や革同上村一派が率先して実践してきたのである。
 だが、闘争団は、ひるまず自らの行動の正義を訴えて闘いぬいた。「暴力・暴徒」キャンペーンを振りまいている連中が、JR本体の組合員に対して「四党合意で一人一千万円が出る」などのデマによって「四党合意賛成」にオルグしていた。闘争団がJR職場に入り、真実を訴える中で、彼らのデマが暴かれ、しだいに「暴力」キャンペーンも打ち破られていった。
 そして、七・一の闘いに心底から感動し、労働者自己解放の力、日本労働運動の再生の力を見いだした支援・共闘の労働者の決起である。七・一以後、闘争団の闘いをめぐって、まさに日本労働運動を二分する情勢となった。

 日共・革同の動揺と危機

 七月末の全労連大会では、当初「四党合意」を評価した指導部に対して批判が集中した。全労協大会でも怒りが噴出した。「四党合意」の張本人である社民党の大会でも「撤回」を求める発言が出された。連合傘下を含む百万をはるかに超える労働者が、この事態に注目し、闘争団支持の声が広がったのだ。
 この過程で、日本共産党は、沈黙を続けて「四党合意」を推進してきた。だが、七・一の事態に追いつめられ、ついに八月十九、二十日付の『赤旗』で、イニシャル署名ながら事実上の「党声明」といえる「一〇四七人の採用差別と国労の続開大会について」という論文を出さざるを得なくなった。「四党合意」については「具体的中身が何もないまま、『法的責任なし』をおしつけている」と言っている。もちろん、この論文の本質は、国労内の日共・革同上村一派が最も徹底して「四党合意」を推進し、闘争団に敵対してきたことを押し隠している点できわめてペテン的である。しかも、「どう具体的に解決するかは、いうまでもなく国労自身が決めること」だとして、国労が「四党合意」受諾を決めれば容認するというものであり、「暴力行為は許されません」と七・一の闘いに敵対するものである。にもかかわらず、同時にこれは革同内の動揺と危機を促進するものとなった。
 革同上村一派は、チャレンジ一派とともに機関を私物化し、「自警団」と称する警備動員に組合員を駆り出そうとしていた。だが今やこれを強行すれば、いよいよその反革命的正体が暴かれ、ガタガタになるところに追いつめられたのだ。
 こうして、七・一に対する密集した大反動は、闘争団の正義の闘いの前に押し返されたのである。
 われわれは、「七・一を上回る一万人の大結集で臨大続開を阻止せよ」と訴えた。実際に、JR本体の組合員、支援共闘の労組から八・二六への大結集の地熱が熱くなっていった。
 また、動労千葉は千四十七人問題の当事者として四百人の結集で八・二二集会を開催した。動労千葉を支援する労組は、国労支援陣形とも重なり、その原則的な主張が多くの労働者・労働組合の心をとらえた。
 八月二十四、二十五日には、大阪、東京、千葉でJR本体の国労組合員が「四党合意」を不当労働行為であるとして、地方労働委員会に救済を申し立てた。
 国労中央は、こうしてほうはいとわき上がる労働者の決起に追いつめられた。

 闘争団の怒りの原点に立ち

 さらに、この八・二六続開臨大をめぐる闘いの勝利の原動力は、何よりも闘争団の不屈の闘いである。
 八月二十二日から始まる上京闘争団の国労本部に対する「申し入れ」−交渉は、ものすごい迫力をもって本部を追いつめた。このまま闘争団の要求を無視し、大会を強行したらどうなるか。七・一以上の事態となって、本部執行部が完全に打倒される情勢となったのである。
 闘争団の主張のポイントは、あくまでも「解決案なき臨時大会反対」であった。それは「四党合意」に反対する二十闘争団と有志の主張であるにとどまらず、全闘争団員の思いを代表するものであった。「四党合意」によって「解決案」が出るのか、もし出るとすれば、闘争団の納得のいく「解決案」なのか、と国労中央に迫った。これは、五・三〇の「四党合意」以来、国労中央が「直ちに具体的な解決作業が始まる」「同時並行だ」「七・一臨大では、解決作業が具体的に進んでいることを目に見えるように報告できるようにする」などとしてきたペテンと欺瞞(ぎまん)を完全に暴いた。
 音威子府闘争団家族の藤保美年子さんは、八・二六社会文化館前の集会で、「私たち闘争団家族の中に、賛成している家族もおります。それも確かな気持ちです。なぜだか皆さん、分かりますか。十四年たってつらいんです。『これをウンて言えばJRに戻れる』という言葉を信じて、『賛成』と言っている家族もいるんです。そこのところの責任は、本部がきちっととらなければならない」と訴えた。同様の主張を闘争団・家族は、本部との交渉の中でぶつけた。
 ウソとペテンで組合員をだまし続けてきた本部は、その責任をとれ! この訴えは、最も鋭く本部総退陣を迫るものだった。
 また藤保さんは、七・一臨大の演壇から「私たちはもう解雇されたあの時から(時間が)止まっているんです」と訴えた。八・二六では「十四年たったら私たちも当初のことを訴えることを忘れているのかもしれません。分割・民営化にあたり、国労組合員がJR採用者と不採用者に分けられた。仲間同士がもめあう、仲間割れするように仕組んだあの分割・民営化。あの時のことをもう一度思い出して下さい」と訴えた。闘争団・家族の原点は、分割・民営化とそれを強行した国家権力への根底的な怒りである。その後の十四年間、まさに自らの人生、家族の生活をかけ、命をかけて闘いぬいてきた。この原点が、「四党合意」への怒りをとおしてよみがえったのだ。ここから闘争団の決死の思いをつかまなければならない。
 分割・民営化とは何だったのか。八七年の分割・民営化で採用差別された七千六百三十人が清算事業団に送られ、さらに九〇年三月三十一日、清算事業団の三年間の「雇用対策」の期限切れにより、四月一日をもって千四十七人が解雇された。二度もの解雇という攻撃を受けながら、政府・JRの首切り責任を追及し、不屈に闘いぬいてきたのが闘争団である。
 この千四十七人の闘いは、まさに分割・民営化に抗して闘いぬいた国鉄労働運動が生み出した精華であり、国労の宝である。国労中央がいかに揺らぎ、無指導でも、原則を貫いて闘いぬいてきた。この闘争団と一体となって進むことで、闘う国労の旗が守られてきたのである。
 「四党合意」とは、政府・JRの首切り責任をこの地上からなくし、しかも、それを国労に承認させ、労働組合によって「三度目の首切り」を強行させるという攻撃、そして闘争団を切り捨て、戦後国労運動の伝統も労働者の誇りも人間的尊厳も、すべて捨て去れという攻撃なのだ。
 闘争団・家族、国労組合員にとって、こんなものは断じて認めることはできない。これを組合員に強制して恥じないのは、そうした国労の誇りある伝統を捨て去って、一刻も早く国労の名前も捨て、JR連合と一緒になりたいと考えている宮坂・チャレンジ一派や革同上村一派などの裏切り者・転向者だけである。

 一票投票で「本部信任」も強要

 いったん総退陣を表明した本部は居座るつもりなのか
 今、国労中央は、このような「四党合意」を「全組合員の一票投票」にかけようとしている。それは、組合員一人ひとりに闘争団の切り捨てを迫るものであり、「四党合意」をあくまで貫徹しようとするとんでもない反革命策動である。
 八・三一「指令第一〇号」では、「中央執行委員会は、第六六回臨時全国大会続開大会決定として『執行部提案(第六六回臨時全国大会方針)』について全組合員一票投票を指令する」として、その「実施要綱」を明らかにした。
 われわれは、この「指令第一〇号」を、七・一臨大決起に対する七・三本部見解を上回る大反動として徹底的に弾劾する。
 「指令第一〇号」は、八・二六の闘争団・家族、国労三万、そして社会文化会館を取り巻いた三千人の労働者人民の決起とその叫び、願いを真っ向から踏みにじり、そのすべての闘いの成果と地平を反革命的に転覆しようとする闘争圧殺宣言である。
 闘争団は、八・二六に至る本部に対する交渉で、はっきりと「一票投票絶対反対」の意思を表明していた。そして、八・二六の後も、「『四党合意』には一点の正義もなく、『一票投票』でその賛否を問うことは『闘争団切り捨て』の賛否を問うのに等しく、直ちに撤回・中止すべきです」(上京闘争団事務局、FAX通信)と訴えている。(別掲資料参照)
 当事者の闘争団が絶対に反対し、中止を要求している「一票投票」を本部はあくまでも強行しようとしているのである。絶対に中止させなければならない。
 まず何よりも「JRに法的責任なし」を大会で決めろという極悪の政治的支配介入=不当労働行為の是非を組合員に問うということそのものが断じて許せないことである。それは労働組合としての自主性を放棄し、自らの死を宣言するに等しい。「一票投票」の強行は、「四党合意」の反動的核心に組合員を屈服させるものなのだ。

 不正が行われるのは不可避

 「一票投票」などと言うと、あたかも民主主義的な手続きに見えるが、まったく逆で、闘争団の生死に関することを決定するのに、闘争団も他の組合員と同じ一票にすること自体が圧倒的に不平等である。本質的に闘争団を無視し排除するものなのだ。これによって闘争団とJR本体の組合員は分断され、その団結はますます解体されるのだ。
 そもそも国労の規約にないものを、委員長の特別発言の「拍手承認」だけでやるなどということは、重大な組合民主主義破壊である。「選挙規則」を準用してやるなどということは成り立たない。また、代議員選挙のやり方は、機関によりまったく違い、チャレンジや革同上村一派は、あらゆる不正をやろうとしている。機関役員を握っている彼らの前で、組合員の思想調査=踏み絵としてやられるのだ。
 その上で、さらに「指令第一〇号」によって、その反動的狙いが一層明らかになっている。
 ここでは、「一票投票」が「第六六回臨時全国大会方針」の是非を求めるものだと言っている。なんということか。これでは「四党合意」の是非を問うだけでなく、いったんは総退陣を表明した本部執行部の「信任投票」となるではないか。要するに、゛四党合意受け入れを決定した本部の方針と行動をすべて認めよ゛ということなのだ。五・三〇以降、二枚舌、三枚舌、ウソとペテン、開き直りの数々を行ってきた本部の言動をすべて承認しろということではないか。
 さらにいま一つの問題がある。それ自身、「一票投票」を打ち出した許しがたい委員長の特別発言とも矛盾するものだということである。
 高橋委員長は特別発言で、七・一臨時大会の「休会」は、「中央本部の対応に起因していると認識してお詫びする」と述べ、その「混乱に至った原因」として「闘争団との意見交換、合意形成が不十分だったこと」や「『四党合意』後、直ちに解決に向けて具体的作業に入り、七月一日までに一定のものが提示されるだろうということであった」が、「何ら具体的な前進のないまま大会を迎えざるを得なかった」ことなどの四点を挙げている。
 その上で、五点目に「この間の(執行部の)責任は免れない」という立場から「本部原案の四党合意」について「一票投票」を行うと言っている。
 ところが、「指令第一〇号」では、こうした本部執行部の「責任」については一切触れず、「組織内外の実態を踏まえ」などと言っているのだ。宮坂書記長は、闘争団との交渉で、「皆さんは反対しているが、賛成の組合員もいるから、一票投票をやる」と言い放った。つまり、本部の責任は徹底的に開き直り、闘争団の意思を無視し、組合員にその責任を押しつけようというのだ。

 あらゆる闘いで投票中止へ

 このような「指令第一〇号」のもとでの「一票投票」など何一つ道理はない。「指令第一〇号」は無効であり、即刻破棄されなければならない。このような国労中央の居直りと闘争団切り捨てのための「一票投票」はあらゆる闘いをもって絶対に中止させなければならない。
 そして「四党合意」を完全に粉砕し、本部執行部総退陣、闘う新執行部樹立へ大決戦を闘い抜こう。

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週刊『前進』(1973号2面2)

 ”切り捨ての賛否問う投票”

 闘争団が次々反対表明

 闘争団は次々と「一票投票」の中止を求める文書を出している。上京闘争団FAX通信と帯広闘争団の要望書の抜粋を紹介します。(編集局)

●上京闘争団FAX通信

 2000年8月30日
 上京闘争団事務局
 8月26日の続開臨時大会は、執行部提案の採決は行わず、高橋委員長のあいさつを拍手で確認する形で閉会しました。
 委員長あいさつは、……「執行部として、この間の混乱の責任は免れない。次期定期全国大会で信を問う」としました。
 しかし、その一方で委員長あいさつは「全組合員の一票投票を行い、『4党合意』について賛否を求める」とも言っているのです。本部自身が認めている4つの反省点が何ひとつ改善されておらず、混乱の原因がそのまま残っているのに、国労規約にさえない「一票投票」をなぜやろうとするのでしょうか? 賛成・反対の判断材料=具体的解決案を組合員に示せないのに「一票投票」を強行することは、いたずらに組織内の混乱を増大させるだけです。
 「4党合意」には一点の正義もなく、「一票投票」でその賛否を問うことは「闘争団切り捨て」の賛否を問うのに等しく、直ちに撤回・中止すべきです。
 また、8月25日の「エリア代表者会議」の中で、国労東海本部から「運輸省から指導されているので、今までの話はなかったことにしてくれ」とJR東海会社から通告されたとの報告がありました。そうであれば、「4党合意」は事実上、相手側から取り下げられており、「一票投票」を実施する意味がありません。いたずらに組織内の混乱を拡大するだけであり、百害あって一利なしといわざるを得ません。

●「四党合意」の承認を求める全組合員投票の中止を求める要望書

 2000年8月29日
 国労帯広闘争団
 ……全国20闘争団と有志との話し合いの中で本部は「四党合意の受諾にあたり、全中執が問題はあるが2項と3項以下は同時進行・セットであるので苦渋の選択をした」と述べています。つまり「四党合意」は問題があることを全執行委員が認識していたことになります。そしてこの「同時進行・セット」が「苦渋の選択」の前提条件だったのであり、この条件がなくなった以上「四党合意」は受諾を撤回するのが本来のスジではないのかということです。
 にもかかわらず受諾を撤回するという自らの責任を放棄して国労の規約にもない全組合員の一票投票で賛否を問うというのは本末転倒であり、かつ内部の組織分裂を誘発し、一層の組織混乱を生み出すと言えます。よって、仮に全組合員の投票を実施するとすれば、全中執が「四党合意には問題がある」と認識していたことを全組合員に知らせるべきであり、その上で本部として受諾を撤回するかどうか判断できないがゆえに全組合員投票を実施することにしたことを組織内外に明らかにすべきではないでしょうか。

 

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