週刊『前進』(1970号1面1)
闘争団を切り捨てる極悪の不当労働行為「4党合意」は絶対粉砕だ
戦闘的労働運動の防衛と発展へ国労臨大続開を断固阻止しよう
9・3自衛隊治安出動演習粉砕を
恐慌・戦争・大失業の時代に突き進む帝国主義と、労働者階級人民との非和解的な激突の情勢がますます深まっている。革命的情勢の急速な接近を前に、排外主義やファシスト的扇動の攻撃を粉砕し、労働者人民の階級的怒りを全面的に解き放つ革命的大衆行動を組織して闘う、新しい党の登場が死活的に求められている。帝国主義的労働運動を打ち倒して進む戦闘的労働運動の新潮流の力ある登場が、すべての闘う労働者から圧倒的に求められる情勢が来た。二〇〇〇年決戦の前半戦が切り開いた地平を引き継ぎ、全党と戦闘的人民の総力をあげて、今こそ断固とした歴史的挑戦に打って出よう。その当面の最大の決戦として、八・二六国労臨大続開の強行を絶対に阻止せよ! 闘争団の命がけの決起に連帯し、闘う全国労組合員と全国の国労支援勢力の巨万の大結集で大会会場を包囲し、国労解体の恐るべき策動を実力で粉砕しよう。八・二七−九・二相模補給廠(しょう)の有事野戦病院訓練阻止、九・三自衛隊治安出動演習阻止の闘いに総決起しよう。あらゆる反動攻撃と対決し、十一月労働者集会の大成功へと突き進もう。
第1章 戦争と資本攻勢の嵐に階級的反撃を
二十一世紀を前にして、帝国主義の危機と腐敗はますます深まっている。米帝経済のバブル崩壊と一九二九年型世界大恐慌の本格的全面的爆発の切迫、世界経済のブロック化と各国帝国主義による勢力圏の再分割をかけた争闘戦の激化・非和解化、国内階級矛盾の激化と政治支配体制の反動的再編、新たな侵略戦争への突進が、今や世界の至るところで始まっている。ロシアや残存スターリン主義の危機の進展もこの情勢を激しく加速させている。
他方では、これに対する労働者階級人民と被抑圧民族人民の根底的な決起が、第二次大戦後の歴史を革命的に塗り替えるまったく新たな様相と勢いをもって開始されている。とりわけ北東アジアは中東とともに、この両者が真っ向から激突する、世界史的な危機と激動の最大の発火点となろうとしている。
こうした中で日帝と森・自公政権の危機は一層深まっている。七月沖縄サミットの大破産は、この危機を決定的に激化させた。さらに、そごうの倒産や日債銀問題が示す日帝金融危機・経済危機の深化、財政危機の破局的進行、中尾元建設相の逮捕や久世金融再生委員長の更迭など自民党政治の末期的な腐敗の全面露呈は、政治危機、階級支配の危機を拡大している。
この日帝の体制的危機の爆発と日米争闘戦の激烈化、アジア情勢の大激動は、日帝を激しく揺さぶり、帝国主義としての延命をかけた〈外に向かっての侵略戦争と内に向かっての階級戦争〉に、絶望的に突き進ませるものとなっている。都知事石原のファシスト的突出はその最先端である。
八月十一日、日銀は「ゼロ金利解除」を決定した。日帝はこの間、九七年の拓銀と山一証券、九八年の長銀、日債銀の相次ぐ破綻(はたん)として爆発した金融・経済恐慌の危機脱出のために、一方で赤字国債の大増発による巨額の財政資金投入を行い、他方で資本主義の歴史上もかつてないゼロ金利政策をとることで、労働者人民に徹底して犠牲を強制し、金融資本・大資本の露骨な救済に走ってきた。そして今、「景気回復」の展望などどこにもないまま、そのあまりにも破産的な政策をもはやこれ以上継続できないという土壇場に追い詰められた。
このゼロ金利解除は何を意味するか。日帝経済危機の一層の深まりと、一切の矛盾の労働者人民への転嫁がこれまでをも上回る規模と激しさで襲いかかってくるということだ。ゼネコンを始め大企業などの倒産の続出、大量首切りと賃下げ、リストラの嵐(あらし)、一大資本攻勢との激突は不可避だ。そして、すでに六百四十五兆円もの巨額に達した国と地方の借金のさらなる急膨張と国家財政の破滅は不可避である。それは大増税と福祉切り捨て、最後は国債の日銀引き受けによる悪性インフレとむき出しの戦争経済への道だ。
日本帝国主義は末期的な危機にのたうち回り、大恐慌とアジア人民虐殺の侵略戦争から第二次世界大戦へと進んだ一九三〇年代の破局の道へ、再び絶望的に突き進もうとしているのだ。
だがこれに対して、沖縄を先頭とした労働者人民の怒りの大決起が、七月沖縄サミット粉砕の決戦とそれを引き継ぐ八・六広島−八・九長崎反戦反核闘争の高揚としてたたきつけられている。そして何よりも、七・一国労臨大を粉砕した闘いを突破口に、労働者階級本隊の中から、JR総連=カクマルのファシスト労働運動を打倒し、連合支配を下から突き破って進む闘う労働運動の新潮流の登場を切実に求める闘いが急速に広がっている。
国鉄決戦と今秋十一月労働者集会への大結集こそ、戦闘的労働運動の防衛と発展、闘う新潮流の飛躍のかかった死活的な闘いだ。二〇〇〇年決戦の前半戦が切り開いた地平の上に、戦争と大失業、一大資本攻勢の嵐と全面的に対決して、今こそ新潮流運動の圧倒的な飛躍を日本労働運動の生き死にをかけた決戦として実現しよう。ここから二十一世紀の勝利を開く新たな闘いを押し開こう。
第2章 闘争団の絶対防衛は全労働者の課題
今秋十一月へ向かっての歴史的挑戦と飛躍をかちとるための第一の、かつ最大最高の決戦は、八・二六国労臨大続開の強行を実力阻止する決戦である。
この闘いはすでに一刻の猶予もない。絶対勝利あるのみだ。全党は直ちに非常の決意をもって総決起し、国鉄労働運動の防衛とさらなる戦闘的発展のために、何よりも日本労働運動の精華である闘争団の絶対防衛を掲げて、国労組合員やすべての闘う労働者とともに、全力で闘いぬかなければならない。
七・一臨大の「四党合意」粉砕の闘いは、今日の階級情勢を一変させる巨大な化学変化を引き起こしている。そこにおける闘争団とその家族の命がけの決起と正義の訴えは、十四年間の不屈の闘いと相まって、今日の資本攻勢の中で苦闘する労働者階級の魂を揺さぶり、その根底的な怒りの決起を呼び起すものとなりつつある。
事実、七・一の衝撃は、国労三万のみならず、今や全労連、全労協の全体に波及し、さらに連合八百万労働者にも大きな影響を与えている。七月下旬の全労連大会は、「四党合意」絶対反対の意見が続出し、全労連本部に態度の明確化を迫った。革同上村派の大裏切りとそれを支持する日共中央の恫喝をはねのけて、全労連八十六万が総体として「四党合意」に反対する方向に大きく動き出している。
続く全労協大会では、発言者のほとんどが「四党合意」撤回、続開大会の中止を求め、各組合が国労の存亡を文字どおり自らの存亡に直結する事態としてとらえて決起を開始した。
そこには、首を切られながらもあらゆる困難と重圧をはねのけて十四年間の不屈の闘いを貫いてきた闘争団が、こともあろうに国労本部から「三度目の首切り」を宣告されようとしたことに怒りを爆発させて実力決起したことへの、労働者としての心底からの熱い共感がある。この闘争団を卑劣にも「暴徒」呼ばわりしてたたき出そうとする連中への、腹の底からの階級的人間的怒りと激しい弾劾がある。
今日の日帝危機の中で、国鉄分割・民営化型の暴力的な解雇・賃下げ・労組破壊の攻撃がまさに全労働者を直撃している時、千四十七人の存在と闘いは今や圧倒的多数の闘う労働者にとって「明日のわが身」そのものとしてあるのだ。七・一の十三時間の死闘が多くの労働者に闘いと団結への確信を与え、ついにその巨大な怒りを爆発させ歴史的決起を始めたということである。
この事態に絶望的に追い詰められた日帝は、それゆえにこそ、ますます国労の解体と国鉄闘争圧殺に躍起となっている。政府・自民党、JR資本、JR連合、JR総連=カクマルを始めとして、あらゆる反動勢力がこの一点で結束し、密集した反革命となって襲いかかっている。国労本部のチャレンジ一派と上村革同は今やその完全な手先となり、闘争団への敵意と憎悪をむき出しにして露骨なつぶし攻撃を加えている。
その手口は実に許しがたいもので、そこにはもはや労働者性のひとかけらもない。チャレンジ一派が牛耳る盛岡地本や長野地本では、闘争団への資金カンパ拒否や物販の締め出しにより、糧道を断つという卑劣な攻撃が起こっている。さらに革同上村派は、「闘争団は国労の傷口にわいたウジ」「十四年も(争議を)やっていると人格が崩壊する」などという、ファシスト・カクマルばりのとんでもない暴言を闘争団に投げつけるまでに至っている。
まさにチャレンジや上村革同は、闘争団を一刻も早く切り捨て、闘いの旗を自ら引き降ろし、国労を解体してJR連合=帝国主義的労働運動に合流するというただそのためにこそ、八・二六続開臨大を強行しようとしているのだ。「四党合意」に反対する闘争団員や組合員を警察権力の力を借りてでも排除して、最初から分裂を覚悟で突き進もうというのである。
これはおよそ労働組合の「執行部」を名乗る者の姿では断じてない。続開臨大の強行自体が反階級的犯罪行為、反労働者的暴力そのものである。
国労本部の転向と裏切りに階級的怒りをいよいよ爆発させて、闘争団と国労全組合員の正義を続開大会実力阻止、執行部総退陣、闘う新執行部樹立として断固として実現しなければならない。
すでに闘争団とその家族は、襲いかかる大反動をはねのけ、全力で決起を開始した。求められているのはただ一つだ。この闘争団を、三万国労組合員と全国の国労支援勢力百二十万の総力決起の力で絶対に防衛し支えることだ。そして八・二六当日、一万の決起によって大会会場の社会文化会館を包囲し、七・一をはるかに上回る怒りの総結集で、「四党合意」を完全に葬り去る闘いを貫きとおすことである。
この決戦を前にして動労千葉は、「四党合意反対! 一〇四七名闘争の勝利をめざす八・二二労働者集会」を開催し、戦闘的労働者と全人民の国鉄決戦への総決起を呼びかけている。国労と並ぶ国鉄闘争の当事者であり、分割・民営化以来の一切の闘いの革命的牽引(けんいん)者であり続けた動労千葉が、闘争団と合流して千四十七人闘争の最先頭に立つことは、まさに今日の歴史の要請だ。新潮流運動の大飛躍をかけて八・二二集会に総結集し、そこから八・二六の勝利へ断固進撃していこう。
「四党合意」粉砕・闘争団絶対防衛派の最先頭で決起することの中にこそ、闘う新潮流運動の大躍進の展望がある。同時にその中から全産別で闘いの新たな前進を切り開き、十一月への巨大なうねりを巻き起こそう。
第3章 相模補給廠の有事野戦病院演習弾劾
今秋決戦の勝利を切り開くための当面する第二の課題は、九・三自衛隊首都治安出動訓練粉砕の闘いである。
「ビッグレスキュー東京2000〜首都を救え〜」というこの演習は、「防災訓練」の名目のもとに陸海空三自衛隊による首都制圧・治安出動の実動演習を、自治体と民間をも総動員して大々的に繰り広げるものである。都知事・ファシスト石原が四月九日に陸自練馬駐屯地で行った「三国人、外国人が災害が起こった時に大きな騒擾(そうじょう)を起こす」という差別的デマ暴言による朝鮮人・中国人への排外主義襲撃の扇動に基づいて自衛隊を動かす断じて許すことのできない攻撃だ。
石原と防衛庁の計画によれば、参加する自衛隊は人員七千八百人、車両一千台、航空機百機、輸送艦・護衛艦数隻に及ぶ。部隊の一部は十二月開業予定の都営地下鉄大江戸線の試運転車両を使い、練馬駐屯地から都心に突入し、各所に展開する訓練を行う。空からはパラシュート降下演習、海上では護衛艦などによる強襲揚陸演習が行われる。
これに警視庁、海上保安庁、東京消防庁など百を超える機関が参加し、自衛隊三軍を統括する統合幕僚会議議長の指揮下に、軍と一体となって「毒ガスや暴動の発生」「市街戦」をも想定した内乱鎮圧訓練を強行しようとしているのだ。
これこそまさに有事立法攻撃である。ガイドライン下の侵略軍事作戦演習そのものであり、東交を始めとした労働者や都民に対する徴発・徴用攻撃だ。石原はこれを、軍による一種の反革命クーデターの予行演習として計画してさえいる。文字どおり「戦車の前に座り込んでも阻止しなければならない」(ある杉並区民の言葉)事態であり、闘う全都民、労働者、学生、人民の一大統一戦線と総力決起の力で絶対に演習を粉砕しなければならない。
また、八月二十七日から九月二日にかけて神奈川県相模原市の米軍相模補給廠で行われようとしている有事を想定した米軍の統合衛生野外演習「メデックス2000」は、この九・三と完全に連動した攻撃だ。在日米軍のほか、在韓米軍や米本土の部隊も参加し、ベトナム戦争以来といわれる大がかりな野戦病院の建設や傷病者輸送訓練を行う。九・三と一体の闘いとして全力で粉砕闘争に決起しよう。
反革命カクマルは、沖縄サミット決戦への敵対が大破産した中で、巻き返しのための九・三闘争へのファシスト的介入・破壊策動を強めている。大衆的弾劾をたたきつけ、粉砕一掃して闘いの爆発をかちとろう。
この闘いは、在韓米軍撤退要求を掲げて新たな歴史的闘いに立ち上がっている南朝鮮人民との連帯をかけた闘いであり、さらにファシスト石原の排外主義攻撃との命がけの闘いに決起している在日朝鮮・中国・アジア人民への連帯・支援・防衛をかけた闘いである。さらには、サミット反革命の破産の巻き返しをかけた日米帝による名護新基地建設攻撃の絶対阻止へ、不屈の再進撃を開始している沖縄人民との革命的連帯をかけた闘いである。
さらに今秋政治決戦の爆発に向かって二〇〇〇年決戦の前半戦を引き継ぐ重層的な闘いを展開しよう。沖縄闘争の戦略的大闘争化を全力をあげて闘いとろう。日帝・森政権の反革命的突撃路となっている教育改革攻撃との対決を強めよう。広島に続く国立への攻撃を粉砕しよう。船舶検査(臨検)法案の今秋国会提出・成立強行策動を阻止し、有事立法・改憲粉砕へ前進しよう。郡司とめさんの遺志を引き継いで、不屈に闘う三里塚反対同盟との血盟も新たに十・八三里塚現地大集会への全人民的大結集をかちとり、暫定滑走路粉砕へ断固前進しよう。
さらに、介護保険闘争の大衆的、全国的、政治闘争的発展を力強く着実にかちとっていこう。朝鮮侵略戦争切迫情勢の中でますます強まる排外主義・差別主義の大洪水と闘おう。
八・一五盗聴法施行を弾劾し、組対法、第二破防法攻撃に続く司法反動の激化と対決しよう。長期獄中同志を奪還する大衆的な闘いの前進を切り開こう。
これら一切を十一月労働者集会の大結集に結実させるために全力をあげよう。
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週刊『前進』(1970号2面1)
8・26臨大続開阻止、闘争団絶対防衛を
7・1の偉大な地平守りぬき国労再生へ歴史的蜂起貫こう
東京地本は「警備動員」拒否せよ
革共同中央労働者組織委員会
闘争団と家族の皆さん。国労三万組合員と家族の皆さん。そして国鉄闘争を支援する多くの労働者の皆さん。八月二十六日に迫った国労の続開臨大に対して、革共同は党の責任と存在をかけて、続開臨大という階級的犯罪行為を弾劾し、その強行を絶対に阻止し、「四党合意」を徹底的に粉砕するために総決起することを固く誓い、ともに闘うことを訴えます。
第1章 国労による「三度目の首切り」攻撃を許すな
日帝権力、JR資本らとその先兵になり果てた国労本部、宮坂・チャレンジ一派、革同上村一派は、八・二六続開臨大で何を行おうとしているのか。
風雪に耐え、血と汗にまみれながら闘い抜いてきた国労闘争団とその家族の十三年間のすべてを抹殺し、切り捨て、なんと国鉄労働組合の手による「三度目の首切り」を執行しようとしているのである。しかも、あの七・一臨大での闘争団と家族の命をかけた決起と血叫び、国労組合員の底の底からの怒りの訴えを踏みにじってである。
七・一臨大強行の大罪を徹底的に居直り、あくまでも国労を無条件全面降伏の地獄に引きずりこもうとしているのである。
こんなことがあってよいものか。恥ずべき反動的裏切り者によって、国労がこれ以上じゅうりんされてよいのか。これを許しておいて、国労に未来を託してきたすべての労働者が生きていくことができるのか。
二〇〇〇年決戦において、日本労働者階級が苦悩と怒りと涙の中から切り開いた七・一臨大の自己解放的な偉大な歴史的地平を、少しでも汚し、一歩でも後退させることがあってはならない。
七・一に決起した闘争団・家族、国労三万組合員、そして七・一に感動し、闘いの希望と勇気を見いだした幾百万の労働者に襲いかかる八・二六続開臨大の暴挙に対して、根源的怒りを爆発させなければならない。七・一をはるかに上回る一万人の力で逆に包囲し、続開臨大を絶対に阻止し、「四党合意」にトドメを刺し、本部総退陣、国労の再生をかちとろうではないか。
今まさに戦争と恐慌、一大資本攻勢の嵐(あらし)が襲いかかる中で、この国労の変質・解体の攻撃は、階級的労働運動の絶滅攻撃としてある。八・二六は掛け値なしに、二十世紀から二十一世紀にかけての労働者階級の命運を決する階級決戦である。開始された蜂起は最後まで貫かなければならない。労働者魂をいかんなく発揮し、怯懦(きょうだ)を打ち捨てて総決起しよう。
第2章 不屈の闘争団と共にJR本体の総決起を
八・二六続開臨大阻止に向けて、闘争団と家族、国労組合員は、七・一決起に対する「暴力・暴徒キャンペーン」を全面的に打ち破り、不屈に決起している。
そもそも、七・一は、日帝権力、JR連合、JR総連=カクマル、チャレンジ一派、革同上村一派などすべての反動勢力に決定的打撃を与えている。「四党合意」という日帝権力による一個の「国策」を、労働者の実力によって粉砕したことは偉大なことなのだ。労働者が自らの力で、誰にもわかる勝利をもぎりとったことは、本当に素晴らしいことなのだ。
だからこそ、すさまじい大反動の嵐がまき起こった。七・三国労本部見解を頂点とする「暴力」「暴徒」「外部勢力」などという許しがたいキャンペーンは、闘争団をこの機に押しつぶし、国労からたたき出し、さらに中間左派的勢力の分裂や分断を持ち込もうとする、きわめて悪らつな意図をもっていたのだ。同時にこのキャンペーンこそ、追いつめられたチャレンジや上村革同らの底の浅いデマとペテンを示すものであった。
「演壇占拠が暴力と破壊であるなら、戦後労働運動はすべて暴力と破壊の歴史ではないか」「四党合意こそ巨悪の暴力だ」という真理を突きつけるならば、たちどころにその邪悪な意図が暴かれ、権力へのぶざまな奴隷的屈服を暴かれるものなのだ。
七・一の一大決起の戦闘的・自己解放的な力と声は、ついに「暴力」キャンペーンを打ち破り、国労三万と多数の労働者に勇気と確信をよみがえらせた。
七月二十一日になってようやく八・二六続開臨大の開催を決定したことは、この極悪キャンペーンが破産し追いつめられた本部やチャレンジ、上村革同の醜悪な開き直りと不正義を暴くものでしかない。自らの不正義が暴かれることを恐れて、闘争団を「暴徒」や「破壊分子」として統制処分にかけることもできないのだ。彼らが唯一頼みとするのは、国家権力の暴力と「多数の巨悪の暴力」なのだ。どこまでも権力にすがり、「四党合意」=「JRに法的責任なし」を認め、国労を売り渡し、闘争団を切り捨て、しかる後に「暴徒」として除名処分でたたき出そうというのだ。
あくまでも臨大続開を阻止することの中に、七・一に決起した闘争団と国労組合員の正義は貫かれるのだ。臨大続開阻止、「四党合意」完全粉砕の闘いの中に、戦後労働運動の大義と、国労の正義、階級的労働運動の再生がかかっているのだ。
この勝利は、かくして階級闘争の歴史の金字塔としてさん然と輝いているのである。
支援打ち切るチャレンジら
さらに闘争団と家族は、闘争団の「糧道」を断つという卑劣な策動を断固はねのけて闘い抜いている。
まずチャレンジ一派が機関を私物化する盛岡地本、長野地本などによる、国労運動史上、戦後労働運動史上に類例のない最も不正義で反労働者的所業を徹底的に断罪しなければならない。彼らは七・一の決起を理由として、闘争団の物販やDLR(傷病災害救援)基金を中止し、カンパをストップしたりしているのだ。はっきり言おう。「演壇占拠」は、国労の組合規約のどこをとっても統制処分にはならないが、闘争団支援を勝手に打ち切ることは、即刻、組合員資格停止に値する。
この暴挙は、単なるチャレンジや上村革同の脱線ややり過ぎではない。
彼らは常々、闘争団は邪魔であり、一刻も早く切り捨てたいと腹の底から思っている。JR連合に合流し、国労の旗を引き下ろし、売り渡す機会を虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのだ。追いつめられて、その本音を暴露したに過ぎないのだ。
問題は、それにとどまらない。この事態は、「四党合意」を受け入れた瞬間から何が始まるかを先取りしているとも言える。
そもそも七・一直後のJR連合大会での明石事務局長集約で、゛千四十七名問題を解決したら、ただちに国労の名称など、組織形態の変更を行え゜と言い放っていることと重ね合わせれば明白なのだ。「四党合意」を受け入れたら直ちに、組織形態の変更と称して、闘争団の解散、一切の支援の打ち切り、それに従わない場合は、闘争団員の除名、さらに国労の名称を変更してJR連合と合流していくということなのだ。
また、革同上村一派はこのチャレンジ一派以上に闘争団の決起に悪罵(あくば)を投げつけ、闘争団切り捨ての意思をむき出しにしているのだ。(注1)
七・一決起とその後の反動は、「四党合意」受諾が百パーセントの無条件降伏であり、「ゼロ回答」のままで闘争団を解体し切り捨て、国労を資本・権力に売り渡すものであることを、さらに徹底的に暴いているということである。
闘争団と家族は、命にかえても「JRに法的責任なし」を認めず、七・一に決起し、さらにその後の大反動を打ち破り、一歩一歩力強く本部を追いつめ、八・二六臨大続開を阻止し、「四党合意」を最後的に葬り去ろうとしているのだ。
「四党合意」は不当労働行為
今、闘争団は、心からJR本体の組合員と合流して闘おうとしている。JR本体組合員が、これにこたえ、ともに決起することが今ほど求められている時はない。
なぜなら、「四党合意」は、JR本体の国労組合員に襲いかかる大攻撃であるからだ。そもそも分割・民営化の際に、採用差別とともに配属差別を受け続けているのは、ベンディングを始めとする多くのJR本体の労働者である。さらに貨物労働者の耐えがたい賃金格差、あらゆる職場での日常的な昇進・昇格差別、数々の不当配転、合理化攻撃の嵐、そのすべてに無数の不当労働行為が貫かれている。
JR本体の国労組合員と家族こそ、この十三年間、不当労働行為と闘い、生きてきたのだ。人間の誇りと尊厳を失わず、仲間を裏切らない絆(きずな)を固め、闘争団とともに日々の不当労働行為と闘うことをもって国労の団結を守り抜いてきた。不当労働行為弾劾の闘いこそ、地域の労働者との連帯を可能とし、広範な国鉄闘争支援の陣形をつくりあげてきたのだ。
「JRに法的責任なし」を認めることは、そのすべてを失うことだ。そればかりか、闘う武器を投げ捨て敵にひざまづき、命乞いを強制されるのだ。労働者として人間として、どうして許すことができようか。
チャレンジどもは、「JRに法的責任なし」を認めれば、労使関係が「正常化」され、昇進・昇格差別はなくなり賃金は上がる、というとんでもないウソを並べている。これは奴隷に甘言をたれる奴隷主の言葉に等しい。この大失業とリストラの時代に、闘わずして、どうして自らの生活を守ることができるのか。今こそ、JR本体の国労組合員は臨大続開会場に総結集すべきなのだ。
第3章 酒田東京地本委員長は再び裏切るのか!
国労本部は、七・一臨大で、このJR本体の国労組合員を「警備動員」に駆り立て、闘争団と敵対させた。このようにして組合員に分断と団結解体をもたらした。国労本部の道義のかけらもない続開臨大強行は、JR本体組合員に、さらに耐えがたい苦痛と恥辱を押しつける。
七・一に続き八・二六において「警備動員」による団結解体をもたらそうとしている張本人こそ、中央本部とともに酒田東京地本委員長その人である。七・一において早朝からの臨大阻止行動にもかかわらず、臨大強行の裏切りを最後的にもたらしたのが、準備地本としての東京地本・酒田委員長である。この裏切りは、まさに万死に値する。
さらに、「警備を増やせばよい」という東日本エリア本部・飯田委員長と談合・結託して臨大続開を最先頭で推進しているのである。
この酒田委員長の反動的役割を断じて看過することはできない。続開臨大の強行は、準備地本の膨大な警備動員ぬきにありえない。そもそも東京地本が準備地本を拒否すれば、東京で開催することはできない。これをあろうことか積極的に推進するとは、もはやチャレンジ、上村革同と同罪であるばかりか、闘争団切り捨ての最先兵として断罪されなければならない。
そして七・一の闘争団の命がけの決起を踏みにじりヌエ的態度で自分を高く売りつけようとする、この酒田委員長の「風見鶏」こそが、今や「最悪の裏切り者」に転化しようとしているのである。
酒田委員長の立場は、実は最も積極的な臨大支持である。七・一の休会に打撃を受け、続開臨大を推進するものである。では、その酒田委員長の論拠は何か。
それは゛臨大で「四党合意」を受け入れればよい。定期大会ではどうせ低い「解決案」が出てくるのだから、そこで否決すればよい゜というものである。これは八・四全国代表者会議で、チャレンジの吉田長野地本書記長の「四党合意を受けなければ国労は終わりだ。最終解決案は、全組合員の一票投票で」と、寸分違わない意見である。
問題の核心は、チャレンジ吉田も酒田も、実際の「解決案」が「ゼロ回答」であることを知っているということだ。特にチャレンジ一派にとっては、「ゼロ回答」のままで「JRに法的責任なし」を認めて、これ以上闘う必要なしとして、闘争団に解散を迫る=切り捨てることこそがすべてなのだ。
この間、「社民党渕上幹事長サイドから流されている」とされる運輸省の「解決案」なるものでは、「新規採用者が八十人程度、不採用の解決金が八十万円」と言われている。(注2)
本部、宮坂・チャレンジ、上村革同らは、このまったくの「ゼロ回答」を「JRに法的責任なし」を認める前に出したら大反乱が起きてしまうことに恐怖して必死に隠しているに過ぎないのだ。だから、まず何としても「四党合意」で「JRに法的責任なし」を機関決定し、その機関決定をかざして闘争団を押しつぶし、切り捨てようというのだ。なんというだまし討ちか。
東京地本・酒田委員長のように、臨大を推進し、「解決案」次第では「引き返せばよい」と称して「四党合意」をいったん受け入れることは、このチャレンジ一派や革同上村一派と、実際には同罪であるということだ。「現三役に闘争団切り捨てを絶対にやらせる」という点では酒田委員長と吉田らチャレンジ一派、反動革同は、同一行動であるといってよい。その違いは、せいぜい「一票投票」で「解決案」が否決できると思っているか思っていないか、である。
あえて言えば、それも正確ではない。「和解路線」の名でここまで屈服を推進してきた責任、「国労ジリ貧論」でここまで敗北主義を蔓延(まんえん)させてきた責任は、完全に同罪なのだ。それは結局、闘争団の切り捨てと国労の自己解体に行き着くのである。
酒田委員長はさらに裏切りを重ねるのか。東京地本の「警備動員」を自ら拒否せよ。
そして東京地本の国労組合員に心から訴える。自らの信念と誇りをかけて「警備動員」を拒否し、逆に社会文化会館を包囲して、闘争団とともに闘おう。
第4章 日本労働運動の未来のかかった大決戦へ
八・二六は、日本労働運動の未来のかかった決戦である。七・一に「演壇占拠」にまで上りつめた闘争団を先頭とする国労組合員の決起を、ビデオなどで目の当たりにして、巨万の労働者は、抑えようのない感動と高揚感を覚えている。それはなぜか。そこに労働者の怒り、自己解放性、団結の力を見たからなのだ。この原点に立ち返って、明日から闘おう、自分の組合で団結を懸命に固めようと誓ったからなのだ。
戦争と恐慌の情勢の深まりのもとで、大失業攻撃が激化している。二〇〇〇年春闘での賃下げ、そごう倒産−民事再生法適用を始めとする倒産攻撃、公務員労働者へのベアゼロ、賃下げ攻撃、「経済白書」や日経連の八月経営トップ・セミナーに見られる「IT(情報技術)」をもテコとした大リストラ攻撃などが労働者階級を襲っている。
この中で、苦闘する一人ひとりの労働者たちが国鉄闘争の行く末に自らの命運をかけ、必死に闘おうとしている。これに日本労働運動全体が大きく揺さぶられ、新たな歴史的大流動と分岐を開始しているのだ。全労連や全労協の百数十万の労働者が国鉄決戦をめぐって激しく揺れ動き、自己の生死をかけた決起を開始している。連合傘下の八百万の労働者が連合の危機と破綻(はたん)のもとでこれに続こうとしている。八・二六の一万大結集の現実性は日々高まっているのである。
そして、この巨万のうねりと闘う労働組合の新潮流運動の歴史的大合流が始まろうとしているのである。
この二〇〇〇年十一月の新潮流運動の労働者集会を前にした日本階級闘争の重大な革命的転換にあたって、革共同は、国鉄決戦の全重量を受けて立ち、闘争団の絶対防衛と国労防衛の歴史的な党的責任を果たしきる主体として自己を完全に確立していかなければならない。
プロレタリア自己解放の大地にしっかりと立ち、動労千葉との固い連帯と絆を打ち固め、動労千葉主催の八・二二集会から八・二六大決戦をもって、十一月労働者集会の血路を切り開かなければならない。
今こそJR総連=カクマル打倒をかちとろう。階級的労働運動を防衛・再生し、闘う労働者の党を建設しよう。
その一切の出発点が、八・二六続開臨大を阻止する総決起をかちとることである。闘争団・JR本体の国労組合員を先頭に、社会文化会館を包囲する一万労働者の決起をかちとろう。
【注1】革同上村一派の反動性を示す三好元教授発言
革同上村一派が「四党合意」受諾の強行のために七・一臨大前に持ち上げていた「札幌闘争団討議資料」の筆者である三好宏一北海道教育大元教授は、最近、「演壇占拠は国労のウミが出たようなものだ。闘争団は国労の傷口にわいたウジだ」「中小の争議でも二〜三年でおかしくなっている。十四年もやっていると人格が崩壊する」などと、断じて許せぬ暴言を吐いている。
【注2】八十万円の「解決金」は「退職金割増」
七月下旬から流布されている「怪文書」に記されている「解決金八十万円」について、八月七日の闘争団連絡会の幹事会で国労本部の宮坂書記長が、「九〇年三月三十一日の退職者と九〇年四月一日の解雇者との差額。これが八十万円と言われているもの」と説明したという。つまり、「四党合意」で言う「解決金」とは「退職金の割増」に過ぎないのだ。
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週刊『前進』(1970号2面2)
賃金下がり出費は増えて・・・困窮深まる労働者の暮らし
私鉄総連「生活実態調査」から
私鉄総連の「一九九九年生活実態調査報告」(六月発行)を見ると、そこには歴史的な賃金引き下げ攻撃のもとで、生活費を切りつめ、将来への不安を募らせながら暮らしている労働者の状況が示されています。
この調査は、昨年十月に実施されたもの。調査対象は全国の大手組合百二十八世帯、中小組合百四十八世帯、ハイヤー・タクシー組合二十一世帯です。(以下、数字は千円単位に四捨五入。世帯人員はいずれも四人)
まず収入を見ると、中小世帯では基準賃金二十七万二千円、基準外九万六千円、内職パート収入五万六千円で、その他含めて四十七万九千円の収入です。ここには四万二千円の預金引き出しが含まれています。
ハイタク世帯では、基準賃金十四万円、基準外十二万円、内職パート四万二千円で、その他含めて四十万五千円の収入です。八万七千円の預金引き出しが含まれます。ハイタク労働者の基準賃金は、世帯収入の三分の一を占めているに過ぎません。大手とハイタクでは、基準賃金で実に二十万円の格差があります。
これを前年十月の調査と比較すると、大手・中小世帯の平均では、基準賃金、基準外賃金ともそれぞれ五千円減少しています。ハイタク世帯では基準賃金が一万八千円減少し、それを基準外賃金二万四千円増で補っているのです。
支出を見ると、大手・中小世帯の直接生活費(消費支出)が二十八万九千円で、前年と比べて一万四千円減っています。とくに食料費は三千円減、被服履物費は五千円近く減、その他生活費は七千円の減です。
一方、社会的支出は七万二千円で、前年比で八千円も増えました。主なものは厚生年金保険料三万五千円、健保料一万四千円、地方税一万千円などです。所得税が一挙に九千円近くの負担増となったのです。
また、ハイタク世帯の支出を見ると、直接生活費は二十六万円で前年比五千円減です。下げ幅が大手・中小世帯より小さいのは、すでに節約も限界にきているからでしょう。前述のように、生活を維持するためにハイタク世帯の預金の取り崩しは大手・中小世帯を大きく上回っているのです。
家族で外食するのをやめ、晩ご飯のおかずを減らし、新しい服を我慢して消費を切りつめても、税金や保険料は無慈悲に搾り取られていくのです。
調査対象世帯の組合員および妻の感想文が紹介されています。その一部を紹介します。(抜粋)
▽私の賃金だけでは生活が成り立たない現実に寂しさを感じます。同時に妻のパート収入に頼らなければならない生活に疑問を持ちます。(大手・三十九歳)
▽景気低迷、ワンマン手当廃止、輸送人員の減少などの話がある中、家計の中では今までなかった教育費などの出費が新たに増え、この先の生活に不安が増える一方です。上の子に続き下の子が幼稚園に入ったら私一人の収入ではもう無理です。(中小・三十二歳)
▽昨年夏からずっとマイナス収支が続いています。このような状態ではとても生活していけません。この先のことを考えると不安がいっぱいです。(ハイタク・二十七歳)
▽歩合制の占める度合いの大きい賃金体系の中で、毎月の収入も安定していませんので不安です。今月も特に低い賃金額で生活自体は完全に赤字です。どこまで我慢の生活が続けられるのか…。他業種に比べて同じくらいの賃金水準まで持ち上げる様考えられないものかと思います。(ハイタク・四十八歳)
▽一家四人で子どもも成長していく中、出費は増えても賃金は上がらないの繰り返しです。生活の中にゆとりすら感じることができない日がここ何年間か続いているような気がしています。衣服もあまり買わないようにしたり、子どもたちにはかわいそうなのですが、行きたいという所へも連れていってやれません。(中小・三十三歳の妻)
▽買い物一つにしてもなるべく安い物を買うようにしています。ぜいたくかもしれないけど、もう少し心のゆとりのある生活がしたいです。(ハイタク・五十歳の妻)
このように、身を削るようにして働いてもなお、労働者は家族を養っていけるだけの賃金を受け取っていないのです。妻もパートに出て、それでも「食べることで精一杯」の生活から抜け出せないでいるのです。
本当に資本家どもに対する怒りを抑えることができません。こんな資本主義社会は絶対におかしい、変えなければならないと、心から叫ばずにはおれません。
私鉄総連を始めとする連合や全労連の労働運動は、こうした労働者の声にこたえるものとはなっていません。大幅賃上げと労働条件の確保と、また大手、中小、ハイタクの著しい賃金格差の是正のために、どれほど真剣な闘いを組織しているでしょうか。
今春闘で中小の私鉄労働者がストライキで闘いました。「こんな賃金では生活できない」「まともな暮らしができる賃金をよこせ」という、やむにやまれぬ決起です。そして、こうした闘いにこそ、労働者の未来があり、希望がある、と私は思うのです。
新潮流運動を闘う私たちの使命は重大です。国鉄決戦の勝利を突破口に飛躍しようではありませんか。
(投稿/N・K)
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週刊『前進』(1970号3面1)
革命的大衆行動を闘う党へ
8・5尼崎 意気高く関西革共同集会
八月五日、尼崎市立労働福祉会館で関西の革共同政治集会が行われ、四百十人が結集した。三時間にわたる集会は白熱的な集中と高揚に満ちたものとなった。
集会の冒頭、プロレタリア革命に生涯を捧げ七月八日に亡くなった京都の片岡三起子同志への一分間の黙祷(もくとう)を行った。
司会の女性同志が力強い開会宣言を発し、闘う戦線からの連帯と決意の表明が行われた。関西「障害者」解放委員会、女性解放闘争を闘う若い女性同志、全国沖縄青年委員会の仲宗根朝寿副委員長、青年アジア研究会の代表が発言し、それぞれに二〇〇〇年決戦前半戦の前進の上に立ち、七・七路線を貫徹して排外主義・差別主義と徹底対決することが真の階級的闘いをつくりだすと提起した。
連帯のあいさつでは、国賀祥司泉佐野市議が沖縄サミット決戦の勝利の巨大さを訴え、「名護新基地建設阻止、沖縄闘争は必ず爆発する。大破産しつつある関西新空港を必ず廃港に追い込む」と語った。
部落解放同盟全国連合会荒本支部の阪口克己書記長が、「全国連第九回大会以来、部落差別の大洪水に対して狭山闘争を軸に徹底的な糾弾闘争を行って五万人建設へ大前進すると約束し実践してきた。高木決定以降一年が過ぎようとしているが、いまだ事実調べさえ行わない。異議審闘争の正念場を闘う」と戦闘宣言を発した。
三里塚決戦勝利全関西実行委員会の永井満代表は、「さまざまな反動の中で、血を流してでも闘う人びとのこれだけの結集があれば、暗黒の三〇年代は繰り返されない。関実に結集するすべての住民は、どんな弾圧があろうと闘いぬく」と決意を語った。
さらに、三里塚芝山連合空港反対同盟、北富士忍草母の会からのメッセージが全体で確認された。
拍手が鳴り響く中、都政を革新する会の長谷川英憲さんが登壇して特別報告を行った。長谷川さんは、衆院選で二二、七九九票を獲得し、再挑戦の権利を得たこと、介護保険廃止の運動をさらに発展させ、次期衆院選に立候補して必ず勝利する決意を明らかにした。
カンパアピールの後、天田三紀夫革共同書記長の基調報告に移った。
天田書記長が後半戦の方針
天田書記長は、二〇〇〇年決戦前半戦における沖縄サミット決戦、七・一国労臨大決戦、衆院選決戦の偉大な地平を総括し、「われわれは前半の重層的な決戦において多くのことを学んだ。革命の展望と綱領の上に立って闘いぬけば、革共同は強化され、発展する。つまり革命的大衆行動を決戦的に打ちぬくことの党建設性である。そのために革命党は労働者階級の中にもっと根を張らなければならない。『二つの連帯戦略と一つの打倒戦略』で労働者階級を決起させるなら、われわれは確実に革命の展望を切り開くことができる」と提起した。
さらに内外情勢について「世界恐慌過程への突入・米帝バブルの崩壊をくい止めることは不可能だ。世界経済の分裂とブロック化、帝国主義間争闘戦の激烈化が引き起こされ、大失業時代が到来する中で、労働者人民の壮大な決起の時代が始まった」として、中国・台湾情勢、南北朝鮮情勢、中東情勢について掘り下げ、歴史が大きく動き始めたこと、その中心にアジア勢力圏化をめぐる日米争闘戦の非和解的激化があることを明らかにした。
「日本帝国主義の経済・政治・体制的危機がさらに激しく爆発している。依然として不良債権問題が日帝経済の根幹を揺るがしている。日帝はアジア侵略に向かうしかない。資本主義が体制として成立しなくなっており、死の苦悶(くもん)にあえいでいる。階級的労働運動の新たな台頭で世界史を切り開くことが求められている」と訴えた。
そして、二〇〇〇年決戦後半戦の方針を提起した。「何よりも第一に、すべての闘う人民が十一月労働者集会へ全力をあげて決起することだ。労働者階級は力ある運動体を求めている」と訴え、八・二六国労臨大続開大会を阻止し、国鉄決戦を軸に、教労、都労連、全逓決戦を一体で闘いぬくことを提起した。
第二に、有事立法・改憲阻止決戦、名護新基地建設阻止の決戦、九・三自衛隊三軍治安出動演習粉砕を訴え、読売改憲試案を断罪して「有事立法・改憲阻止闘争を本格的に立ち上げる」と宣言した。また、三里塚決戦、関西新空港闘争、北富士闘争への全力決起を訴えた。
第三に、介護保険闘争の爆発、排外主義・差別主義との闘い、「司法改革」攻撃との闘いと超長期獄中同志の奪還を訴えた。
最後に、来年の都議選に結柴誠一杉並区議を押し立て、絶対に勝利して石原都政を打倒すると宣言した。
11月大結集へ熱い決意表明
続いて決意表明に移った。初めに国鉄労働者が、「四党合意を完全に粉砕して分割・民営化に革命的に決着をつける。七・一臨大は労働者人民に決定的衝撃を与え、階級支配の根幹を揺るがしている。八・二六続開大会での劇的勝利をなんとしても実現し、十一月労働者集会の大勝利で連合、全労連、カクマルを打倒して二十一世紀へ進撃しよう」と訴えた。
全逓労働者は、「郵政公社化との対決が決戦化している。団結破壊と首切りの強まりの中で、闘わない全逓本部への現場の怒りが爆発している。本部を打倒し闘う」と決意を述べた。
教育労働者は、「職場、組合に国鉄決戦を持ち込むことが十一月労働者集会総決起の道」とし、「『日の丸・君が代』闘争は大阪も勝負だ。処分攻撃をはねかえし、労働者の階級的組織化を軸に闘う」と訴えた。
自治体労働者は、「自治体労働運動は既成指導部の屈服で首切り・賃下げ攻撃のただ中にある。われわれの力量が問われている。真の労働者党への飛躍をかけて十一月労働者集会大結集の先頭に立つ」と述べた。
被災地で闘う民間の同志は「一大資本攻勢の猛攻撃に対して、必死の反失業闘争が実を結び、労組が次々と結成されている。労働者階級が陸続と立ち上がり始めている。既成労働運動をのりこえて党を建設する条件は完全にある。十一月労働者集会が勝負だ」と決意を語った。
部落青年戦闘同志会の同志は「同志会は昨年来の介護保険闘争の地平の上で、差別にさらされている部落民の怒りと要求に結びついて、今一歩の飛躍を実現する。狭山署名を推進し、異議審闘争に勝利する」と決意を表明した。
最後に西本吉伸全学連副委員長が、「われわれが待ち望んだ時代が到来した。『二つの連帯戦略、一つの打倒戦略』を貫き、九・三演習阻止、有事立法・改憲阻止決戦に全学連は打って出る」と宣言した。
全員で決意も固くシュプレヒコールを行いインターナショナルを斉唱した。
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週刊『前進』(1970号3面2)
郡司とめ三里塚反対同盟婦人行動隊長が逝去
しめやかに告別式 悲しみ越え勝利誓う
八月九日午後三時五十九分、三里塚芝山連合空港反対同盟の郡司とめ婦人行動隊長が、脳血栓のため入院先の千葉県八街市の病院で亡くなった。郡司さんは、六月二十四日に入院して以来、三里塚闘争勝利への執念を燃やし、力の限り病魔と闘い続けた。だが、反対同盟を始め全国の三里塚闘争勢力の「一日も早い回復を」という願いはかなわなかった。
告別式は八月十一日午後一時から、千葉県匝瑳(そうさ)郡光町の光セレモニーホールで行われた。告別式には、郡司さんの逝去を心から悼んで、全国から二百五十人が参加した。
反対同盟を始め、天田三紀夫革共同書記長、中野洋動労千葉委員長、長谷川英憲都政を革新する会代表、天野美恵北富士忍草母の会事務局長、永井満全関西実行委員会代表、中田潔部落解放同盟全国連合会書記長、大山尚行全学連委員長、婦人民主クラブ全国協議会の代表など、反対同盟との血盟を誓い、三里塚闘争の勝利を自らの階級的責務とする人びとが、郡司さんとの最後の別れをしようと参列した。
読経が続く中、反対同盟の北原鉱治事務局長が「追悼のことば」(別掲)を、小林なつ婦人行動隊副隊長が「婦人行動隊の弔辞」(別掲)を郡司さんの遺影に捧げた。
北原さんは、「とめさんと私は一九六六年反対同盟結成以来の、無二の同志でありました」「反対同盟の幹部として終始一貫、迷うことなく『空港絶対反対・一切の話し合い拒否』の正しい道を選ばれました」と、反対同盟にとってなくてはならない存在だった郡司さんの逝去の大きさ、悲しみの深さを表した。さらに「三里塚の語り部」として全国各地に三里塚闘争勢力をつくり出し、「全国に幅広い共闘と連帯のきずなを築いた」と郡司さんの生前の功績をたたえた。最後に、「反対同盟は悲しみを乗り越えて、とめさんとともに空港反対闘争の勝利を必ず実現することを誓います」と、郡司さんの遺影を前に三里塚闘争勝利への不退転の決意を誓った。
小林さんは、「『天の半分は女性が支えているんだよ』というのが郡司さんの口ぐせでした。私たち農家の女性のおかれていた昔ながらの慣習にとらわれず、一家を代表する闘士として同盟の役員となり、あらゆるたたかいの先頭にたってこられた」と郡司さんの遺影に語りかけた。農村の女性の闘う姿、女性の解放を求める闘う姿を体現してきた郡司さんの闘いが、三里塚闘争の勝利的前進の大きな原動力であったことをたたえた。そして郡司さんの闘いを引き継ぎ、「勝利の日まで闘っていく決意です」と締めくくった。
告別式の参列者は、北原さんと小林さんの追悼の言葉に、在りし日の郡司さんの闘う姿を思い浮かべて、次々と焼香を行い、ほほえみを浮かべた郡司さんの遺影に、「郡司さん、長期にわたる闘い、本当にご苦労様でした。残された私たちは、三里塚闘争の勝利を必ず報告できるように闘います」と厳粛に誓った。
告別式を終えた参加者は郡司さんとの最後の別れをするために、芝山町小原子の部落の墓地に集まった。水田が広がる中の小高く盛り上がった丘の上にある墓地で、郡司さんの遺影に線香を手向け、紙に包んだコメを捧げて、野辺の送りを行った。
参加者は、三里塚闘争の創成期から一貫して指導者として三里塚闘争の勝利を牽引(けんいん)してきた郡司とめ婦人行動隊長の逝去に、深い悲しみと無念を胸にしまい込みながら、反対同盟とともに暫定滑走路建設実力阻止決戦に必ず勝利してみせると、十・八全国総決起闘争への大結集を誓い合った。
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週刊『前進』(1970号3面3)
反対同盟の追悼の辞
無二の同志だった 事務局長 北原鉱治さん
追悼のことば
郡司とめさん。
あなたの訃報に接して、反対同盟は心の底から突き上げる深い悲しみを抑えることができません。心臓の病をかかえつつも、それを少しも感じさせない闘魂で、つい先だってまで闘いの第一線にあり続けたあなたの遺影を前にすると、我が身の引き裂かれるような悲しみでいっぱいです。
とめさんと私は一九六六年反対同盟結成以来の、無二の同志でありました。体を張って闘った測量阻止闘争、市営グラウンドでの激突、そして駒井野三番地点で闘った七一年強制代執行、七八年暫定開港と石橋政次を始めとする数々の裏切り、二期工事の強行とその後のシンポ・円卓会議、昨年十二月の暫定滑走路の強行と、嵐のような闘いを私たちは必死の思いで闘ってきましたね。
その間あなたは反対同盟の幹部として終始一貫、迷うことなく「空港絶対反対・一切の話し合い拒否」の正しい道を選ばれました。とめさんあればこその反対同盟だったと言って過言ではありません。
「天の半分は女が支える」という信条を、あなたは自ら実践しました。三里塚の語り部は、頓智(とんち)のきいた話で人々を魅了し勇気づけ、全国各地で多くの人に慕われました。誠に押しも押されもしない「三里塚のおっかあ」でした。反対同盟はあなたを婦人行動隊長に戴いたことを心の底から誇りとするものです。
とめさんが日本の侵略行為に激しい衝撃を受けたのは七二年に日中友好協会の招きで反対同盟が中国を訪問した時のことでした。「煉瓦を積み上げた食料庫に人々を押し込んで火をつけたという話を聞いた時には、私も戸村さんもすごく衝撃を受け、言葉に尽くせぬ気持ちになりました」と委員長を偲ぶ談話のなかで語っています。この訪問で石井細菌部隊の残虐さを目のあたりにしたことから、戦争への痛苦に満ちた反省と戦争反対の強い決意を心に刻みました。
また部落解放同盟全国連合会との交流から多くを学び、あらゆる差別を許さない姿勢を終生貫きました。婦人部との連帯はとめさんの命でした。
北富士忍草母の会との熱い団結、日本原との交流、反戦反核の先頭にたつ広島の小西のぶ子さんとのふれあい。動労千葉を我がことのようにして思い続けました。全学連の学生たちを我が子のように愛しました。全国に幅広い共闘と連帯のきずなを築いたのは、とめさんの尽力によるものであることを強調しなければなりません。
米軍基地撤去闘争にたちあがったこの夏の沖縄。サミットに反対する沖縄現地に行くことを心待ちにし、「これが最後になるかもしれない」と周囲に漏らしたことはご自身の余命を感じたからだったのでしょうか。そのための路銀を用意し、病を得てそれがかなわぬとなると、代わりに行く人に役立てて欲しいと差し出しました。最期の一息まで、かくも誠実に、みごとな闘いを貫いたとめさんの姿を思うと、胸がつまり涙が流れて止まりません。
反対同盟はまたしてもかけがえのない人を失いました。その死は断じて受け入れ難く、こうして遺影となった今も、再び蘇ってほしいと願うのは私ばかりではありません。
このような思いを述べれば、「何を弱気なこと言うでねえ」としかられそうな気がします。「おらあどこにもいかないよ」「いつだって皆んなといるでねえか」という声が返ってきそうな気がします。
きっとそうでありましょう。闘いの苦しい時も、嬉しい時にも、とめさんは、わが反対同盟の婦人行動隊長です。一治さんを始めとするご家族の皆さん、そして反対同盟、とめさんの琴線に触れた全国の人々の心のなかに、永遠に生き続けるのであります。
とめさん、ご覧なさい。空港はじつに無様な姿をさらしています。平行滑走路は破産し、おいつめられたあげくの暫定滑走路も造る前から無用の長物となるは必至です。空港反対闘争は勝利に向かう新たな闘いに入りました。
空港を廃港に追い込むことこそ、とめさんの御霊を慰めることであると信じます。反対同盟は悲しみを乗り越えて、とめさんとともに空港反対闘争の勝利を必ず実現することを誓います。三十五年間の長きにわたりほんとうにご苦労さまでした。安らかにお眠りください。
二○○○年八月十一日
常に闘いの先頭に 婦人行動隊副隊長 小林なつさん
婦人行動隊の弔辞
郡司とめさん。三十四年前に空港反対同盟が結成された当初から、婦人行動隊の指導者として元気にたたかってこられた、あの郡司さん。あなたがもう帰らないなんて、とても信じられません。悲しみはあまりに大きく、なかなか言葉になりません。
郡司さんは、以前の農村の常識を塗りかえた人でした。「天の半分は女性が支えているんだよ」というのが郡司さんの口ぐせでした。私たち農家の女性のおかれていた昔ながらの慣習にとらわれず、一家を代表する闘士として同盟の役員となり、あらゆるたたかいの先頭にたってこられた郡司さんの姿に、私たち婦人行動隊はもとより、多くの仲間たちが励まされてきました。
また反対同盟は全国の多くの友人、共闘団体にめぐまれ、固い連帯の絆をむすんできました。これは三里塚闘争のかけがえのない宝物です。これも農作業の合間をぬって東に西に奔走(ほんそう)してくださった郡司さんのがんばりのたまものです。残された私たちは、この宝物を大事にして、勝利の日までたたかっていく決意です。
郡司とめさん。どうか私たちのたたかいを末長く見守り、導いてください。
二〇〇〇年八月十一日
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週刊『前進』(1970号3面4)
盗聴法の施行を弾劾 廃止運動拡大へ院内集会
盗聴法の施行が強行された八月十五日、盗聴法の廃止を求める署名実行委員会は、午前十一時から参議院議員会館内で集会を開き、施行強行を弾劾するとともに盗聴法廃止に向けてさらに運動を広げていくことを力強く宣言した。
昨年の組対法制定阻止闘争に続き盗聴法廃止署名運動を担ってきた労働者、市民が会場をぎっしり埋め、多くのマスコミが注目する中で集会が開始された。
まず、廃止署名実行委事務局の海渡雄一弁護士が発言し、盗聴法制定と施行強行にもかかわらず、廃止署名運動が闘い抜かれ、盗聴法廃止法案が国会に提出され続けていることの画期的意義を強調した。
ともに盗聴法に反対し、国会内で闘う議員も駆けつけ、発言した。
橋本敦議員は、「犯罪に無関係な記録の消去や盗聴記録の悪用を防ぐ保証はどこにもない。盗聴法は有事の際の国民管理のため」と弾劾した。
福島瑞穂議員は、「私の議員としての役割は盗聴法廃止」と力を込めて宣言し、「国会で具体的な盗聴をチェックしていく」と決意を述べた。
円より子議員は、「衆参で廃止法案を提出して廃止をかちとる」と決意表明し、畑野君枝議員も、「運動を今日から新たな段階で進めよう」と呼びかけた。
保坂展人議員は、盗聴機器の公開拒否などを弾劾するとともに、重大問題として「逆探知の合法化で誰と誰が話したかという膨大なデータが残る」と警鐘を乱打した。
続いて、十一日に盗聴法の違憲・施行差し止め訴訟に踏み切ったフリージャーナリストの寺沢有さんが報告した。寺沢さんは、警察腐敗を暴いていく過程で警視庁公安に尾行された経験をリアルに紹介し、「盗聴法によって、権力を告発するような取材は不可能になる」と訴え、「警察データ流出事件が示すように盗聴記録も流出するのは明らか」と警告した。
ネットワーク反監視プロジェクトの小倉利丸さんは、「技術的に歯止めができているのか。回路図やプログラムを公表すべき」と要求、「電子メールの盗聴・逆探知については施行規則すら決められていない」と現場のやり放題であることを指摘し、「廃止以外にない」と訴えた。
破防法・組対法に反対する共同行動など市民団体も闘いを報告し、廃止署名がこの日までにすでに二十万筆を超えていることが明らかにされた。
最後に海渡弁護士がまとめを行い、今後の闘いの課題として、@廃止運動継続の意義の確認、A警察の盗聴の実態の暴露、B警察が集めているデータとそれによって作られているデータ・ベースの実態解明、C盗聴は有効というキャンペーンへの反撃、D警察腐敗を暴き、盗聴法廃止の世論を作っていく態勢の維持、の五点を訴えた。
盗聴法施行強行に対し新たな闘いの開始を全員で決意した。(投稿 H・T)
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週刊『前進』(1970号3面5)
狭山勝利へ統一行動 上告棄却23カ年
東京高裁糾弾闘争軸に
七七年八・九の狭山差別裁判上告棄却から二十三年、部落解放同盟全国連合会と部落解放共闘は、差別判決への怒りも新たに狭山百万人署名統一行動として全国統一行動を闘った。
東京では切迫する異議審棄却情勢と対決し、三十人が参加して東京高裁糾弾・要請行動を闘った。
午前十時から裁判所隣の弁護士会館で決起集会を開いた。あいさつに立った解同全国連の楠木吉秀事務局長は、「けっして忘れることのできない八・九を迎えた」と切り出し、狭山闘争への全力決起を呼びかけた。さらに、この間インターネットを使った部落差別の扇動や、警視庁の現職警官・OBによる民間への個人情報の提供など、部落差別と在日朝鮮人・中国人への排外主義の攻撃が強まっていることを徹底弾劾した。
そして、解同本部派がまったく闘わない中で、「全国連こそが部落差別の洪水に仁王立ちして反撃していこう」と呼びかけた。
基調報告に立った小森勝重・狭山闘争本部事務局長は、「第一次再審の異議審では十三カ月で棄却決定が出た。第二次の異議審は今月で十三カ月だ。棄却情勢は切迫している。今日の要請行動を全力で闘おう」と呼びかけた。そして、七月の全国青年交流集会の大成功に続き、八月二十六日から山口で開かれる婦人部大会(全婦)の大成功へ闘うことを呼びかけた。
昼休みに霞が関デモを行った後、午後一時過ぎから東京高裁糾弾・・要請行動を闘った。要請団は、毎回繰り返される警備職員の大量配置、警察と一体の弾圧、正門閉鎖の暴挙を直ちにやめるよう強く要求した。「全国連のまったく正当な要請行動を犯罪扱いしている。こういう裁判所のやり方が部落差別をあおっているのだ」と怒りの追及が長時間にわたって行われた。
さらに、「第一次再審でも第二次再審でも、狭山のみ事実調べを一度もやっていない。こんなことは常識では考えられない。異議審でも、今日まで事実調べをやっていない。また「検察庁に証拠を開示するよう勧告せよ」という要望も無視している。これは、高橋裁判長が異議申し立てを棄却しようとしているとしか考えられない」と鋭く弾劾した。要請団は、「事実調べをしないことは断じて許されない。高橋裁判長は、次回までにその理由を答えよ」と強く要求した。
こうして、要請行動は昨年七月以降のまったく理不尽で一方的な「四条件」などの屈服強要攻撃をはねのけて、二時間半にわたって実力で貫徹された。
異議審は、棄却か否かの切迫した段階を迎えている。東京高裁・高橋は、あくまで暗黒の部落差別判決を押し貫こうとしている。断じて許してはならない。再審の扉をこじ開けるのは狭山大衆闘争の力だ。狭山百万人署名運動を全国で巻き起こし、その力で事実調べ・再審開始をかちとり、異議審闘争に勝利しよう。
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週刊『前進』(1970号4面1)
21世紀の闘い担う反戦反核の新しい潮流が大登場
既成原水禁運動の破産のりこえ
8・6広島
ヒロシマ大行動に2800人 ”核と戦争はくり返さない”
被爆五十五年を迎えた八・六広島−八・九長崎反戦反核闘争が大高揚をかちとった。有事立法・改憲、教育改革・教育基本法改悪と全面的に対決する労働者階級人民の一大運動が開始された。この勝利を突破口に、二〇〇〇年決戦後半戦へ全力で決起しよう。
八月六日、広島県立総合体育館において「被爆五十五周年 再び戦争をくり返すな! 八・六ヒロシマ大行動」(主催・同実行委員会)が開催された。地元広島を先頭に全国から二千八百人が結集し、大成功をおさめた。
集会は正午過ぎ、県立世羅高生の元気なバンド演奏で始まった。
沖縄のフォークシンガーのマヨナカシンヤさんが登壇。「沖縄サミットに反対し全国・全世界から集まった仲間とともに闘った。またやろうぜ!」と訴え、原爆詩人・峠三吉さんの詩から作った「くずれぬ平和をかえせ」を熱唱した。続いて「チビチリガマの悲劇は皇民化教育の結果だ。『日の丸・君が代』の強制に断固ノーと言おう」と訴え、「チビチリガマ」「チバリョー」を歌った。高校生が「翼をください」を参加者と一緒に合唱した。
午後一時、司会の部落解放同盟広島県連女性部副部長の森原愛子さん、広島県高等学校教職員組合書記長の吉村憲二さんの二人が紹介された。
開会あいさつを前参議院議員の栗原君子さんが行った。「平和憲法、教育基本法に手がつけられようとしています。子どもたちに平和な未来を渡すため、今頑張らねばなりません。沖縄の新基地建設に大きな反対運動をおこし、改憲を阻もう」と訴えた。
被爆者の訴えとして反戦被爆者の会の下田礼子さんが「日本がアジアにひどいことをした結果、被爆があった。『過ちは繰り返しません』と誓った、今その時がきました」と訴えた。
「基地・安保とたたかう沖縄から」と題して、ヒロシマ大行動の共同代表であり七・二〇嘉手納基地包囲人間の鎖行動の共同代表の佐久川政一さんと、うないネット・コザ主宰、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の桑江テル子さんが発言した。
佐久川さんは「七月二十日、日本各地と世界中から二万七千百人が集まって、嘉手納基地を完全に包囲しました。私たちは嘉手納包囲行動で、米軍基地だけではなく、日本政府と沖縄の稲嶺県政も包囲したんだと思っています。平和憲法が真に生かされる二十一世紀をつくるため闘いましょう」と呼びかけた。
桑江さんは「クリントンは『アジアの平和は日米同盟でもっている』と言うために沖縄に来たのです。私たちは国際女性サミットを開催し、アメリカ、日本、韓国、フィリピン、プエルトリコの五カ国の女性で、九項目の要求を採択しました。軍隊は権力者を守るためには戦うが、じゃまになったら国民も殺すものです」と発言した。佐久川さんと桑江さんには檄布が渡された。
「全国のさまざまな立場から」と題して、元日教組書記長の中小路清雄さんと日本YWCA会長の江尻美穂子さんが発言した。中小路さんは「教育改革国民会議が分科会報告で、一年間の奉仕活動の義務化と教育基本法改悪を打ち出し、教育勅語を教育の中核に盛り込もうとしている。広教組、広高教組とともに闘い、組合つぶしの攻撃に反撃しよう」と訴えた。
江尻さんは「日本人さえよければいいという日本にしたくない。国境を越えて連帯して、二十一世紀こそ平和な世紀にしていきたい」とアピールした。
次に原爆詩人の栗原貞子さんが紹介された。司会から、交通事故や病気でいったんは詩作や朗読をあきらめていた栗原さんが、若い世代に思いを託そうと九年ぶりに詩を朗読してくれることになったことが報告された。ギター伴奏にあわせて栗原さん自身が選んだ二編の詩の朗読が始まった。
「生ましめんかな」は、被爆直後の地下室での出産と助産婦の実話をもとにして、被爆直後の八月三十日に作った詩だ。(別掲)
二編目は「何のために戦ったのか」。九一年、戦後初の自衛隊掃海艇のペルシャ湾派兵からの帰還の時に作られた。栗原さんはこの詩の最後に、ひときわ声を高くして、力の限り訴えた。「一度目はあやまちでも/二度目は裏切りだ/くりかえすまい軍都広島/くりかえすまい軍港呉/再びアジアに銃を向けまい」
栗原さんの人生をかけた叫びを全員が身震いする思いで受け止め、満場の拍手でこたえた。栗原さんの詩の朗読活動を続けている俳優の吉永小百合さんから寄せられた「いつまでも私達のリーダーでいらして頂きたいと願っております」というメッセージと、広島の小学生からの花束が栗原さんに渡された。
基調報告を元衆議院議員で解放同盟広島県連顧問の小森龍邦さんが行い、「改憲、教育基本法改悪、『日の丸・君が代』強制など、政権党は国民をマインドコントロールしようとしている。アメリカは地上で臨界前核実験を行い、核開発に余念がない。『日の丸・君が代』強制に広島の教組、高教組、解放同盟は一歩も引かない運動をやっている。ここに集まった正味の反核運動を、来年、再来年とさらに大きな運動にしていこう」と提起。
カンパアピールを広島県基督教信徒会会長・駕屋晴治さんが行い、政党からのあいさつに続き、帯広、紋別の国労闘争団などからのメッセージが紹介された。
次に「核と戦争、憲法改悪を許さないヒロシマ、『日の丸・君が代』に立ち向かうヒロシマから」として七人が発言した。
広島県教職員組合委員長の山今彰さんは「原爆被害と、それをもたらした侵略戦争の実態を正しく認識する教育が、なぜ文部省に是正されなければならないのか。差別を許さない教育が、なぜ文部省に偏向教育と攻撃されなければならないのか。辰野教育長は七月、府中市の十六校長に戒告処分を強行した。広教組は多くの人びととともに闘い抜く」と訴えた。
ピースリンク広島・呉・岩国世話人の湯浅一郎さんは「岩国基地の沖合二百十五fを埋め立て拡張して一・四倍にしようとしている。広島に米艦船を入港させることも狙っている。広島県民の大きな力をつくり阻もう」と発言した。
僧侶で世界人権宣言広島県実行委員会会長の沖和史さんは「新しい靖国法案を実現しようとする動きが表面化してきた。再び英霊を作り上げようとしている。私たちは命の意味を再び政府に奪われてはならない」と訴えた。
高陽第一診療所医師の吉田良順さんは「昨年九月三十日、東海村で臨界事故が起き、大内さん、篠原さんの二人が亡くなった。戦争がある限り核兵器はなくならない。大きな民衆運動をおこそう」と呼びかけた。
次に三人の高校生・学生が登壇した。「集まろう高校生八・五平和文化祭」実行委員の高校生が、前日の文化祭の成功を報告した。
また、今年三月に世羅高校を卒業した田丸尚絵さんのメッセージを妹の訓子さんが代読した。
広島大学反戦委員会の被爆三世の一年生は「沖縄サミットに対し、沖縄県民の基地はいらないという思いと一緒になって嘉手納基地を包囲しました。被爆の原因は結局は天皇制だ。僕らには戦争を止める力がある。団結して闘いましょう」とアピールした。
最後に、集会アピールを広島県日本中国友好協会青年委員会の渡辺久男さんが読み上げた。(別掲)
閉会あいさつを広島大学名誉教授で百万人署名運動広島県連絡会代表の北西允さんが行い、「今年は参加者は二千八百人で、昨年を上回りました。さらに大きな運動をつくって、二十一世紀を迎える来年、盛大な八・六集会を開催しましょう」と提起した。広高教組委員長の安保英賢さんの音頭で団結ガンバローを三唱し、国鉄西日本動力車労働組合委員長の平岡誠さんの行動提起を受けて、デモ行進に立った。広島のメインストリートを平和公園まで長蛇のデモが続き、「戦争反対、改憲阻止」のコールが長く長く響きわたった。
デモ解散地の平和公園の原爆資料館前で栗原君子さんがまとめと方針提起を行った。「憲法改悪や教育基本法改悪を許さず、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワの闘いを結び、二十一世紀、子どもたちに平和で豊かな社会を残すため頑張りましょう」。力強い提起を受け、団結ガンバローを三唱し、全参加者は今秋から来年の八・六へ闘う熱い思いを抱いて帰路についた。
集会アピール
私たちは「再び戦争を繰り返すな」の熱い想(おも)いをもって、被爆五五周年の八月六日、ここヒロシマに全国から結集しました。
今、戦争・核戦争を阻むために民衆の総力を結集すべき重大なときを迎えています。先日、アメリカがロスアラモスで、地上での臨界前核実験を開始していることが明らかとなりました。核恫喝にとどまらず、劣化ウラン弾やハイテク兵器を駆使して罪のない民衆を殺傷するアメリカ政府。また、東海村で尊い人命を奪い、度重なる原発事故を省みず核武装さえ狙うかに見える日本政府。「新しい歴史教科書をつくる会」(右翼・自由主義史観)は、「核廃絶は絶対正義か」と疑問を呈し「核兵器に戦争抑止力がある」とする中学教科書を作成しています。絶対に許すことはできません。
日本を再び「神の国」とし「教育勅語の復活」を狙う森首相は、ついに「一八歳の国民全員に一年間の奉仕活動を義務づける」と徴兵制の復活をも公言しました。そして憲法改悪です。また政府は、巨大企業を手厚く保護救済する反面、中小零細企業を見捨て、労働者の首きりを行っています。介護保険導入で福祉を切り捨てるなど、民衆への犠牲の一方的押し付けは、戦争準備にほかなりません。戦争で犠牲を受けるのはいつでも労働者民衆です。生きるためにこそ、戦争反対に立ち上がりましょう。
沖縄では、七月二〇日、二万七千人の人間の鎖が嘉手納基地を包囲し、「戦争のための基地はいらない、沖縄をアジア太平洋の軍事拠点から文化が息づく平和拠点の島に」と世界にアピールを発しています。ヒロシマとオキナワの連帯、全国の力を結集して沖縄名護の新基地建設を阻止し、朝鮮・中国、アジアヘの侵略戦争を何としてもくいとめましょう。
「日の丸・君が代」強制、平和・人権教育つぶしに直面したヒロシマでは、反核・平和、自己解放を求める若者たちがたちあがってきています。二〇世紀最後の年、本日の「8・6ヒロシマ大行動」を新たな出発点として、戦争への道を断ち切る、二一世紀の力強い民衆運動の発展を作り出しましょう。
二〇〇〇年八月六日
被爆五五周年再び戦争をくり返すな!8・6ヒロシマ大行動 参加者一同
栗原さんが詩を朗読 若い世代に思いを託し
生ましめんかな
こわれたビルディングの地下室の夜だった。
原子爆弾の負傷者たちは
ローソク一本ない暗い地下室を
うずめて、いっぱいだった。
生臭い血の匂い、死臭。
汗くさい人いきれ、うめきごえ
その中から不思議な声が聞こえて来た。
「赤ん坊が生まれる」と言うのだ。
この地獄の底のような地下室で
今、若い女が産気づいているのだ。
マッチ一本ないくらがりで
どうしたらいいのだろう
人々は自分の痛みを忘れて気づかった。
と、「私が産婆です、私が生ませましょう」
と言ったのは
さっきまでうめいていた重傷者だ。
かくてくらがりの地獄の底で
新しい生命は生まれた。
かくてあかつきを待たず産婆は
血まみれのまま死んだ。
生ましめんかな
生ましめんかな
己が命捨つとも
一九四五・八・三〇
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週刊『前進』(1970号4面2)
平和文化祭が成功 ”高校生は主張する”
八月五日午後、「集まろう! 高校生八・五平和文化祭」(同実行委主催)が広島市アステールプラザで開催された。高校生を中心に約二百人が参加した。
冒頭、実行委員会の高校生が「私たちは、おかしいものはおかしいと社会に向かって主張し、お互いの意見を交流し合うことが大事なんじゃないかと考えました」とあいさつした。
続いて、高校生バンドのライブ演奏でにぎわった。
反核映画「にんげんをかえせ」の上映後、反戦被爆者の会の下田礼子さんが自らの被爆体験を語り、「核や差別のない社会をつくるため、若い人たちにこそ頑張ってほしい」と訴えた。
高校生のフリートークが一時間あまり行われ、「十七歳」問題や、ヒロシマと核問題、「日の丸・君が代」、沖縄と米軍基地など、この日のために準備した真剣な発言が相次いだ。
フィナーレに「翼をください」を合唱し、「明日、ヒロシマ大行動でまた会いましょう」という呼びかけで文化祭は終わった。
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週刊『前進』(1970号4面3)
森の式典出席を弾劾 ヒロシマの怒り突きつけ
被爆五十五年を迎えた広島で八月六日早朝、八・六広島―八・九長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会主催の森首相来広弾劾・翼賛式典糾弾闘争が闘われた。
「天皇中心の神の国」「国体護持」など、戦争と天皇制の暗黒の道を突き進む日帝・森と森発言に、被爆者を始め広島中で怒りがわき上がっている。天皇制=国体の延命のため沖縄戦、広島・長崎の被爆があったのだ。森の式典出席など許すことはできない。
友野幽被爆者青年同盟委員長は「核戦争の危機の深まりの中で被爆五十五年目を迎えている。『神の国』発言の森首相の来広は被爆地ヒロシマ・ナガサキの蹂躙(じゅうりん)だ。被爆者からも゛会いたくない”゛ヒロシマにふさわしくない”という森発言弾劾の声があがっている」と訴えた。
「侵略翼賛・被爆者英霊化の祈念式典糾弾/森首相の来広許すな」と書かれた被青同の横断幕を先頭に平和記念公園に向かってデモが出発。八時十五分、平和公園の真横に到着したデモ隊は森首相に向かって「森の式典出席弾劾」「被爆者の英霊化を許さないぞ」「有事立法・改憲阻止」などのシュプレヒコールをたたきつけ、原爆ドームまでのデモを貫徹した。
最後に、実行委を代表して入江史郎さんが「森政権と対決しない反戦反核闘争はない。ヒロシマ大行動の先頭で闘おう」と総括提起、参加者はヒロシマ大行動へ合流した。
被爆者解放と部落解放結び 解同全国連集会
部落解放同盟全国連は午前十時、アステールプラザで総決起集会をもった。
最初に二人の被爆者が被爆体験を語り、反戦・反核の闘い、狭山異議審闘争への決意を述べた。次に同和住宅家賃値上げ反対全国連絡協議会の二人の世話人が連帯のあいさつを行った。
全国連中央本部の金平通雄共闘部長が基調報告を行った。八・六と後の苦難を生き抜いた被爆者の怒りを紹介し、核戦争を繰り返さない決意を固め、この日の行動を爆発させようと呼びかけた。狭山異議審闘争の高揚を百万人署名運動と高裁要請行動を軸につくり出し、五万人組織建設を実現しようと訴えた。
中央本部の中田潔書記長はインターネットによる差別攻撃の激化を糾弾し、狭山闘争の強化を訴えた。各地区の決意表明、行動方針の提起を受け、団結ガンバローを三唱した。
被爆者の訴えに決意新たに 全学連独自集会
八月六日午前十時、全学連主催の学生集会がアステールプラザで行われた。
反戦被爆者の会の下田礼子さんの講演が行われた。
被爆当時十五歳だった下田さんは、「天皇のためと思いこんで学徒動員で働いていた。大本営発表はいいことしか言わなかった。終戦になってだまされていたと知った。本当のことを若い人に伝えたい。戦争は何ひとついいことはない」と時折涙ぐみながら訴えた。
下田さんの訴えに、沖縄サミット粉砕を闘い抜いてきた全学連はあらためて広島・長崎反戦反核闘争―今秋決戦への決意を固めた。
次に広島大学の学生が基調報告に立った。
「ヒロシマ・ナガサキはアジア侵略戦争の帰結であり、労働者階級が戦争を止められず、逆に侵略の銃を握った結果だ。二度とアジア侵略戦争を許さないという原点に立って闘おう」
さらに高校生の発言や各大学の一年生などから力強い決意表明が行われた。
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週刊『前進』(1970号5面1)
8・9長崎
”新たな核戦争危機と対決” 反戦集会で180人が誓う
八月九日午後五時から、八・六−八・九反戦反核闘争全国統一実行委員会主催の「アジア大激動! めざめよ労働者! 被爆五十五周年ナガサキ反戦大集会」が長崎市NBCビデオホールで開催された。百八十人が参加した。
集会の第一部は、ウチナーフォークシンガーのマヨナカシンヤさんのライブから始まり、まず「原爆許すまじ」の歌を熱唱した。さらに沖縄サミット反対の闘いを報告、「ウチナンチュは新たな闘いに入っている」と語り「チバリヨー」を歌った。
主催者あいさつを、八・六−八・九全国統一実行委員会代表で三一書房労組委員長の三角忠さんが行った。「労働者の反戦決起で核戦争を止めよう。ヒロシマ、ナガサキ、オキナワがひとつになって、反戦反核運動の新たな潮流をつくりだそう。九・三首都治安出動演習阻止闘争を闘い、十一月労働者集会への大結集を」と訴えた。
連帯のあいさつとして、まず部落解放同盟全国連から福岡県・甘木支部の代表が「今こそ大きな反戦反核運動をまきおこそう。狭山闘争をともに闘おう」と訴えた。
全国被爆者青年同盟の友野幽委員長が、八・六ヒロシマ大行動の成功を報告し「既成原水禁運動をこえる運動が開始された。被青同は先頭で闘う」と宣言した。
反戦共同行動福岡代表の石崎昭哲さんが「八月の青空を見ると、八・六、八・九、八・一五を思い出す。森の『神の国』発言、石原の『三国人』発言などは、支配者が追い込まれていることの現れだ。みなさんとともに闘う」と発言した。
休憩をはさんで第二部に入り、司会が、演壇に掲げた国労佐賀闘争団の森田友彦さんの遺影を紹介した。
再度マヨナカさんが反戦地主の闘いを歌った「バラと地球」などを歌った。
カンパアピールに続き、実行委員会から基調報告が行われた。「アメリカは、実際に核戦争をやりぬく体制を構築しようと全力をあげている。その最大のかぎがNMD(米本土ミサイル防衛)構想だ。アメリカは、あらゆる国の核ミサイル攻撃を無力化して、核報復を受けることなく核攻撃をしかけられる体制を構築しようとしている。劣化ウラン弾の使用など、核使用の敷居は低くなっている」と、米帝の核戦略を強く弾劾した。また、こうした中で既成原水禁運動が「反戦と反核を切り離し、反核一本やりでやるべき」と言い出したことを断罪し、「反戦、反核を一体のものとして闘おう」と提起した。
続いて動労千葉の労働者が「動労千葉は昨年の大会で戦争協力拒否宣言を発しました。分割・民営化で解雇された千四十七人のうち九人は動労千葉です。国労本部の裏切りを許さず、九人を守りながら、反戦・反核闘争を闘う」と発言。国労小倉地区闘争団の松崎博巳さんが、「国鉄分割・民営化と闘って十四年、闘いの正念場が七月一日の国労臨大だった。『JRに法的責任なし』と決めてしまったら、これから誰と闘うというのか。続開大会を何度でも流会にさせる」と決意を表明した。
司会から、元長崎市長の本島等さんが集会に参加していることが報告された。
青木雄二さんが唯物論説く
そして元漫画家の青木雄二さんが登壇した。「今、哲学を知らない人間が多すぎる。唯物論を教えると国民が賢くなるからと、文部省もあえて教えない」と語り、マルクス・エンゲルスの「人間の意識が彼の存在を規定するのではなく、彼の社会的存在が彼の意識を規定する」という言葉を引用しながら、唯物論を解説し、「リストラ・大失業で、労働者が『もうやっていられない』ということになりかねない時代が来た。唯物論を多くの労働者に広めていけば、必ず政治を変革できる」と力説した。
三里塚芝山連合空港反対同盟、北富士忍草母の会、全関西実行委員会、都政を革新する会のメッセージが紹介された。自衛隊の海外派兵に反対する学生の会が「戦争の元凶・帝国主義を打倒して核と戦争を廃絶しよう」と決意表明した。
まとめとして、長崎被青同の柴田利明さんが発言した。「今日の集会で講演することをもって、青木雄二さんに右翼が『国賊は出て行け』と攻撃を加えてきた。時代がマルクス主義を必要とする労働者の時代であることを示すものだ。断固反撃しよう。まず九月三日の石原の首都治安出動演習に反撃しよう。沖縄に連なり、アジアに連なり、団結して核のない二十一世紀をつくろう」
最後に団結ガンバローを三唱して、八・九長崎闘争を締めくくった。
100人が祈念式典弾劾 森首相の出席許せぬ 長崎市内をデモ
午前十時から反戦反核闘争全国統一実行委員会主催の八・九長崎反戦反核総決起闘争が百人の労働者、学生などの結集で闘われた。
集会は浦上天主堂下の天主公園で開かれ、初めに全国被爆者青年同盟の友野幽委員長が八・六ヒロシマ大行動を始め八・六広島反戦反核闘争の大成功を報告し、「労働者民衆の中にこそ新たな核戦争の道を止める力がある」と提起した。
沖縄から駆けつけたマヨナカシンヤさんは「チバリヨー」の歌にのせながら、「ともに核兵器のない世界をつくるため闘いましょう」と熱く呼びかけ、「広島、長崎、世界に響け、沖縄と結ぶ平和の心」と歌い、基地撤去まで闘い抜くとを宣言した。
統一実行委員会の代表が基調報告を提起した。米帝が臨界前核実験や新たな核弾頭の開発、NMD開発など、核先制攻撃力の強化と他国の核戦力の無力化を狙っていることを弾劾した。そして森首相の長崎入りに怒りをたたきつけ、既成原水禁運動の破産をのりこえて反戦反核運動の発展をかちとる新たな潮流をつくり出そうと訴えた。
さらに都留文大生協労組、スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合、関西の学生が発言し、日帝の核政策、侵略と戦争の攻撃と闘い抜く決意を表明した。
決意表明として全学連の学生が、原水禁の集会での「国破れて核廃絶残るでは違うのではないか」という発言に対し、「こんなやつらに任せていたら未来はない」と強く弾劾した。
意気高く決起集会をかちとり、ただちにデモに出発した。平和公園での祈念式典への森の出席を弾劾し、米日帝の朝鮮・中国―アジア侵略戦争を絶対に許さない決意を込めて力いっぱいシュプレヒコールをあげ、戦闘的に長崎市内デモを打ち抜いた。
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週刊『前進』(1970号5面2)
軍艦島(端島)ツアー ”日帝の本性象徴”
八月八日、八・六−八・九反戦反核闘争全国統一実行委員会は、軍艦島(長崎県端島)ツアーを行った。軍艦島(写真)は、長崎港から船で南西に約四十分、約十八キロのところにある。
軍艦島は、三菱資本が石炭採掘のためだけに開発した島で、島の周囲全体が海面から高さ約九bの防波堤で固められている。周囲約一・二キロの小さな島に、最高時は五千八百人の労働者が働いていた。第二次大戦中は強制連行された朝鮮人、中国人が強制労働させられた。海底で採炭するため、事故も続出した。あまりに過酷な労働から逃れるために海に飛び込み、命を落とした労働者も数知れない。日本帝国主義の恐るべき本性を象徴するような島だ。
要塞(ようさい)のような島に林立する日本最古の高層アパート群。今は廃虚となった巨大なコンクリートの塊から、労働者の呻吟(しんぎん)が聞こえてくるようだった。
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週刊『前進』(1970号5面3)
改憲阻止闘争へ一歩
戦後55年8・15集会に320人集う
第二次世界大戦に日本帝国主義が敗北してから五十五年目の八月十五日、「戦後五十年を問う八・一五労働者市民の集い」全国統一実行委員会が主催する集会に参加しました。帝国主義の戦争と植民地支配の二十世紀、その最後の年の八・一五をどのように過ごすのかは、日本の労働者階級人民の未来がかかった大切な問題だと考えながら、会場の「なかのZEROホール」に向かいました。
二〇〇〇年八・一五集会は「『神の国』と軍靴−歴史はくり返すのか」をメインテーマに、「有事体制下の二〇〇〇年八月十五日」に焦点を当て、作家の梁石日(ヤンソギル)さんと西川重則平和遺族会全国連絡会事務局長の対談、大江志乃夫茨城大学人文学部名誉教授の「アジアとの百三十年・日本の軍隊と侵略」の講演、コメディアンの松元ヒロさんの「どうも、怪しい…」と題するひとりコントが行われました。
また特別アピールで森政権が推進する教育基本法改悪と「司法制度改革」の危険性に警鐘が鳴らされました。さらに日立就職差別裁判元原告の朴鐘碩(パクチョンソク)さんが「労働者が抑圧されている状況と民族差別は表裏一体だ」と指摘。反戦自衛官の小多基実夫さんが九・三治安出動演習を粉砕しよう、国鉄労働者が八・二六国労臨時大会続開を中止させようと、それぞれアピールしました。
じつに盛りだくさんの内容の集会でしたが、焦点はみごとに一つの点に合わされていました。昨年五月に新ガイドライン法が強行成立させられ、日本帝国主義が再びアジア侵略戦争に乗り出そうとしていること、そのために日本の国家体制を反動的に改造しようとしていることが浮き彫りにされたのです。それは、森政権が改憲を急ぎ、有事法制制定を急いでいる姿となっているし、教育基本法改悪の動きとなっていることに端的に示されていることも明らかにされました。
こうした日本帝国主義の動きが、石原都知事を先頭にして自衛隊を使った朝鮮人・中国人に対する排外主義扇動となって現れていること、また階級的労働運動の解体の攻撃が激しくかけられていることも同時に明らかにされました。
そして、日本帝国主義の侵略戦争攻撃と真っ向から闘い、これを転覆するために闘う決意を固めることが訴えられました。改憲を阻止し、有事立法制定を許さない闘いの歴史的一歩をしるした集会でした。
(投稿 Y・F)
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週刊『前進』(1970号5面4)
2000年日誌 はばもう!戦争への動き 8月2日〜15日
学生対象に予備自衛官公募
9・3自衛隊7800人参加で合意
●総選挙後初の憲法調査会
衆院憲法調査会が総選挙後の新メンバーによる初めての全体討議を開き、「二十一世紀の日本のあるべき姿」をテーマに意見交換した。(3日)
●C130が緊急着陸 沖縄県宜野湾市の米海兵隊普天間飛行場所属のKC130空中給油兼輸送機のエンジンが不調となり、同飛行場に緊急着陸した。一歩間違えば住民を巻き込む惨事になりかねない事故に、県民からは「いつも危険と隣り合わせ。安心できない」と怒りの声があがっている。(4日)
●「船舶検査(臨検)」法案提出で合意 自民、公明、保守の安全保障に関するプロジェクトチームが総選挙後初の会合を開き、新ガイドライン関連法案から削除された船舶検査活動について、次期臨時国会に新たに法案を提出することで合意した。同法案の成立にあたって削除された政府案の条項をそのまま出し直す方針。そのほか、国連平和維持活動(PKO)参加五原則を堅持したうえで平和維持軍(PKF)への自衛隊参加の凍結解除を進める、二〇〇一年度予算編成に向け空中給油機導入の必要性について検討を進めることを合意した。(4日)
●学生や社会人対象に予備自衛官を公募 防衛庁は、退職自衛官を対象にしてきた現行の予備自衛官制度を大幅に見直し、定員の一部を学生や社会人などから公募する方針を固めた。次期中期防衛力整備計画で正式決定され次第、二〇〇二年度から募集を開始する。公募制度は陸上自衛隊の予備自衛官に適用され、当初は約二百人規模。(5日)
●海外日本人救出で自衛隊機 海外に滞在する日本人が武力紛争や暴動に遭遇し、退避が必要になった場合の救出に関する政府の危機管理マニュアルの全容が明らかになった。救出には、まず民間チャーター機や臨時便を検討するが、現地情勢から使用が困難な場合には、閣議決定を経て政府専用機や自衛隊の輸送機(C130)や船舶、ヘリコプター、海上保安庁巡視船などを利用。(8日)
●代替施設協議会を設置
中川秀直官房長官(沖縄開発庁長官)が参院予算委員会で、米軍普天間飛行場の移設に伴う代替施設十五年使用期限問題について「そのことも含めて協議機関を立ち上げる」と述べた。今月二十五日に初会合が開かれる予定。(8日)
●憲法調査会が地方公聴会決める 衆院憲法調査会は幹事懇談会で、年末までに調査会を七回開くことを決めた。また、年内に地方公聴会を開くことや、ヨーロッパ各国の憲法の制定過程や運用、改正の実態を調査するため、九月十日から調査団を派遣することなどを決めた。(9日)
●野中幹事長が名護へ 自民党の野中広務幹事長が沖縄県名護市で北部地域の市町村長と懇談、「今後は普天間をどうするかが大きな命題となる。ご苦労をかけるが、よろしくお願いしたい」と、米軍普天間飛行場の名護移設の協力を要請した。(10日)
●墜落の空自機は女川原発近くを飛行 航空自衛隊松島基地(宮城県矢本町)所属の「ブルーインパルス」のT4練習機二機が先月四日、同県牡鹿町の山中に墜落した事故で、「飛行規制空域」と定めていた東北電力女川原子力発電所の半径三・六`以内を飛行機が飛んでいたことが明らかになった。これまで基地側は、事故機は制限空域内を飛行しなかったと説明していた。(10日)
●命を守る会が首相官邸に中止を請願 命を守る会の金城祐治代表ら六人が首相官邸や米国大使館を訪ね、名護新基地計画の即時中止を請願した。金城代表らは二万人余の署名と森首相、クリントン米国大統領あての請願書を渡した。(10日)
●来年から奉仕活動 文部省は、小中学生に奉仕活動させ、社会性を養うことを目的にした事業を早くも二〇〇一年度から始める方針を固めた。「共同生活による奉仕活動などの義務化」を提言した教育改革国民会議の報告を受けたもので、全市町村が対象。(12日)
●陸海空自7800人が参加 東京都と防衛庁・自衛隊は、九・三治安出動演習に、陸海空三自衛隊から約七千八百人が参加することで合意した。一個師団に相当する人数で、他に車両約千台、航空機約百機、輸送艦や護衛艦など数隻を動員する。(12日)
●10閣僚が靖国参拝 大島文相ら森政権の閣僚九人が靖国神社を参拝した。十一日に参拝した西田自治相とあわせ、十人となった。森首相と中川官房長官は、十五日の参拝は見送った。保岡法相と森田運輸相が「公的な立場で参拝した」と明言し、平沼通産相は「通産大臣と記帳した」と説明した。また石原東京都知事が都知事として公式参拝した。(15日)
●盗聴法施行 警察などに電話や電子メールの盗聴を認めた盗聴法(通信傍受法)が施行。(15日)
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週刊『前進』(1970号6面1)
9・3は防災でなく治安出動だ
対外侵略戦争と一体の首都戒厳演習を許すな
反戦自衛官小多基実夫さんに聞く
九月三日の自衛隊三軍による治安出動演習が目前に迫った。この演習はまぎれもなく、ファシスト石原を先兵とした日本帝国主義の排外主義的な首都制圧演習であり、新安保ガイドライン発動=対外侵略戦争のための演習だ。この歴史的な大反動を労働者階級人民の総力で粉砕しなければならない。この日本階級闘争の本格的試練を、労働者人民の総決起をつくり出し、自衛隊兵士の反乱をつくり出して、新たな階級闘争の発展を切り開こう。反戦自衛官の小多基実夫さんにインタビューした。(編集局)
排外主義デマ扇動と襲撃の策動粉砕を!
−−九・三演習ではいったい何が行われようとしているのでしょうか。
九・三演習は、「ビッグレスキュー東京2000〜首都を救え〜」と命名し、あたかも「防災訓練」であるかのように装って行われようとしていますが、絶対に「防災訓練」ではありません。だが自衛官も「人命救助」のための演習と思わされています。
この演習は、自衛隊の武装部隊を全都に展開させて、在日朝鮮人・中国人、在日アジア人民、そして日本の労働者人民を「暴徒」と見立てて、軍隊の銃を突きつけるものです。その本格的な演習、初めての大規模な治安出動演習として行われようとしている点を徹底的に明らかにしなければなりません。
−−自衛隊が本当に戦争に突入することを想定して演習するということですか。
そうです。この演習は、軍隊の武力をふりかざした労働者人民、アジア人民に対する威嚇であり、デモンストレーションです。こんな演習をやらせてはならない。日本の労働者人民が、排外主義的デマを口実にした襲撃から在日外国人労働者を身を挺して守れるかどうかが問われています。そして、自衛官を労働者の仲間として獲得していけるかどうかがかかっています。
日本政府が本当に侵略戦争に打って出ようとしている中で、日本階級闘争にとって本格的な試練が訪れていることに身を引き締めて対決せねばなりません。腹をくくって闘わなくてはならない事態に直面しているのです。
パラシュート降下やバリケード撤去訓練
−−自衛隊は具体的にどのような演習計画で臨もうとしているのですか。
八月十二日の読売新聞の夕刊によれば、これまで自衛隊員四千人の参加とされていたものが、自衛隊員七千八百人、車両千台、航空機百機、護衛艦・輸送艦など数隻が参加すると発表されました。
計画は大きく三つの課題をあげています。@初動対応訓練、A生活支援体験訓練、B部隊集結訓練となっています。それと、全体を一つにまとめる合同訓練があります。この@からBのテーマ別に都内九カ所に分かれて演習が行われます。
出動部隊として、陸上自衛隊では、初動部隊として第一師団(東京)、第一二師団(群馬)、第一次増援部隊が第六師団(山形)、第一〇師団(愛知)と指定されています。そのほかに警視庁、海上保安庁、消防庁など約百機関、二万四千人が参加する大規模な演習です。人数からみても三分の一が自衛隊。自衛隊が「国家非常事態」への対応の中軸に座って、自治体・民間を動かす首都戒厳演習として強行されようとしていることは明白です。
それをよく示しているものに、白鬚(しらひげ)西地区での「パラシュート降下による偵察活動訓練」というものがあります。これは計画の「初動対応」です。パラシュート部隊が偵察活動を行うということは軍事的常識から言ってありえません。パラシュート部隊というのは、敵に制圧されていて地上からは近寄れない場所、ヘリコプターも着陸できない、ヘリがホバリング(空中停止)して部隊を地上に降ろすことも不可能な場所に突入する時に投入されるわけです。パラシュート部隊は敵制圧地域への突撃部隊です。突撃してヘリポートを確保する。そうして空路から部隊の進出−集結を可能にすることを任務にしているのです。
しかもパラシュート降下というのは危険な作戦です。レンジャー部隊がビルに突入する作戦を行う場合、ヘリをホバリングさせて、ロープで降下します。部隊を投入するときに一番安全なのはヘリを着陸させること。それができないときは、攻撃されたときにすぐに撤退できるように低空でホバリングして部隊を降ろします。
−−「災害救助」と言いながら敵との戦闘を想定したものなのですね。
もし本当に災害救助を目的にした演習であれば、医療部隊が真っ先にこなければならないはずです。
もう一つ例をあげると、葛西会場で行われる自衛隊と警視庁、道路管理者による道路障害物除去訓練というのがあります。これは、軍隊の側からいえば、市街戦における民衆の武器であるバリケードの除去・撤去、武装解除の訓練です。
近代の民衆蜂起による市街戦では、大型バス、トラックなどがバリケードとして必ず登場する。軍隊の戦車、装甲車などによる襲撃に対する唯一の防御策といっていい。だから、治安出動部隊にとってバリケード撤去が鎮圧のための不可欠の作戦となります。この作戦の水先案内人として地元の警察や道路管理者、つまり自治体労働者を動員しようとしています。これは有事法制下で警察や自治体を軍隊の指揮に従わせることを演習するものです。
それと、演習計画の生活支援の項目。これは住民を軍隊が統制し、それに従わせるための訓練です。ひいては捕虜を統制・管理して従わせる目的の軍隊のための訓練です。住民が水をもらったり、弁当をもらうのに訓練など必要はありません。あらかじめ訓練が必要なのは統制する側、自衛隊なのです。
ガイドライン発動=朝鮮侵略戦争の演習
−−このような治安出動演習の狙いはどこにあるのでしょうか。
今年二月に新安保ガイドライン・周辺事態法に基づいて、「朝鮮有事」を想定した日米共同統合指揮所演習が行われました。
九六年に梶山官房長官(当時)が「朝鮮半島でドンパチやって日本に影響ないなんてことはない。例えば大量の避難民がきた時、偽装難民もある。武器供与されたらどうする。彼らには国内に組織がある。南と北の。それが内紛状態になった時、日本の自衛隊はどう戦うか。まったく能力を欠く。市街戦は一回もやったことがない。紛争、戦争は可能性としては市街戦、あるいは局地的なゲリラから始まる」と発言した。
こうした排外主義的デマの認識に立って「東京を守れ」と叫んで、今度の治安出動演習をやろうとしています。
今年十一月上旬から中旬にかけて、日米共同統合実働演習が行われようとしています。「朝鮮有事」を想定した全国規模の実働演習です。この演習に陸上自衛隊東部方面隊は参加していません。「朝鮮有事」への対応で、東部方面隊は政経中枢師団として首都治安任務、首都制圧を任務としている。つまり、九・三演習は、この新安保ガイドライン発動演習の重要な一環として行われようとしていると見ていいと思います。朝鮮侵略戦争発動演習としてある日米共同統合実働演習の一部だということです。
−−治安出動演習は朝鮮侵略戦争の演習として行われようとしているということですね。
治安出動演習は、ともすると国内での出動だから、対外侵略戦争とは別のものという理解が生まれがちです。しかし、治安出動とは対外侵略戦争と一体のものであるということです。
一つには、さきほど言ったように梶山発言に示された朝鮮人民や中国人民を敵視して、侵略戦争と一体の国内での市街戦として想定されています。
いまひとつは、対外侵略戦争を行った時に、占領地での治安維持のための治安出動ということが想定されているということです。正規軍を相手にした戦争を想定するときに、これを治安出動とは言いません。非正規軍を相手に治安出動することを想定しているのです。また、PKO出兵を行うときにこのような治安を確保する任務を行おうと、先取り的に訓練をしようとしていると考えてよいと思います。
国際主義的な反戦反軍闘争として闘おう
−−それでは、反戦反軍闘争はどのように闘うことが必要でしょうか。
九・三治安出動演習が侵略戦争と一体のものとして行われようとしているのですから、これとの闘いはガイドライン・周辺事態法発動との闘いという内容を持ちます。したがって、新安保ガイドラインが想定する侵略戦争と闘うという国際主義的な反戦闘争として闘い抜くことが必要です。
とりわけ、在日朝鮮・中国人民を始めとする在日アジア人民を日本の労働者人民が国際主義にかけて守りぬくことが絶対に必要です。石原都知事が先頭になって、労働者人民を排外主義の扇動によって組織し、侵略と虐殺の先兵に仕立て上げようと策動しているのですから、なおさらです。
またアジア人民への排外主義襲撃を担わされようとしている自衛隊を国際主義的な反戦闘争で包囲することが大切です。自衛官の階級的良心に訴えて動揺を引き出し、獲得していかねばなりません。全国の自衛官は労働者人民がどのような態度で自衛隊に対するかを緊張して見ています。
そうした意味で、闘うアジア人民と連帯し、国際主義の旗を掲げた反戦闘争が反軍闘争とひとつのものにならなければなりません。
反戦兵士と連帯する会は九・三演習の直前、八月二十七日に東京・池袋の豊島区民センターで、゛反軍のつどい゜を行います(要項別掲)。ぜひ参加して下さい。
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週刊『前進』(1970号6面2)
”名護新基地やめよ” 「命を守る会」が東京行動
八月十日、沖縄県名護市辺野古のヘリポート建設阻止協議会(命を守る会)は、アメリカ大使館と首相官邸に対する請願行動に立ち上がった。
命を守る会の金城祐治代表ら六人の代表団は、午後二時前に島袋宗康、東門美津子両国会議員らとともにアメリカ大使館を訪問、続いて首相官邸を訪問し、「在沖米海兵隊普天間基地の名護市辺野古移設に反対する請願署名」を提出し、辺野古への新基地建設計画の即時中止を求めた。
その後、命を守る会は、参議院議員会館で記者会見を行った。宮城保事務局長が「サミットの際に森総理大臣とクリントン米大統領に会って名護市民、辺野古住民の思いを直接訴えたいと申し入れた。私たちは七月二十一日に部瀬名のサミット会場まで行ったが、首相にも大統領にも会うことができず、きょうの東京行動になった」と経過を説明した。さらに「今回の請願行動は沖縄選出の四国会議員の仲介で実現したが、アメリカ大使館では二等書記官、首相官邸でも官房長官の秘書官が対応したに過ぎなかった」と報告した。そして「辺野古には海兵隊基地がある。その上、わずかに残った海を奪われてしまったらどうやって生きていけばいいのか。これ以上の基地はいらないという最低限の要求だ。私たちは白紙撤回まで命をかけて闘う。きょうがそのスタートだと決意している」と切々と訴えた。
同日夜「東京行動報告会」が命を守る会の主催で開かれた。会場の中野商工会館大ホールには一坪反戦地主会関東ブロック(上原成信代表)を始め百五十人を超える人びとが駆けつけた。
冒頭、金城祐治代表があいさつした。「きょうは長い間の胸のつかえが少しはとれた。大事なことはみんなで決めようと運動してきた。名護市長のリコール運動では一人で署名(受任者)を百以上も集めた方もいた。それがサミットで私たちが悪いことをしているような風潮になり、サミットに反対するのが悪いという現状だ。私たちは逆にこの異常さを世界に訴えていこうと考えた」「大事な転換期の今、平和を水や空気のように考えず、子や孫たちに受け継ぐ努力をしなければならない。沖縄で悲惨な二十世紀を生き抜いてきたおじいちゃん、おばあちゃんが命を守る会の運動の大きな核。この沖縄の運動を日本の平和運動と位置づけともに頑張りましょう」
ここで金城代表が、宮城事務局長、西川征夫前代表、そして「毎日、事務所を守っているおばあさん」を代表して二人、ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表の五人を紹介した。会場から盛んな拍手が送られた。
宮城事務局長が経過報告を行い、西川さんが「サミット後が第二ラウンド。きょうの新聞に出ていた国立高専は私の家から百b。政府はすべてをヘリポートにリンクさせている。いやなものはいやと信念を貫き、命を守る会を続けていく」と力強く断言。安次富さんは、「サミット厳戒体制で沖縄人民に脅しをかけたが、その結果、反発が生まれた。厳しい闘いが続くが新基地建設を断念させるまで闘う」と決意を述べた。
東京各地で闘う労組、沖縄出身者から熱い連帯の思いが語られ、最後に金城代表の音頭で「明けゆく二十一世紀の平和のために団結ガンバロー」。゛サミット後゜の闘いは新基地阻止へ力強くスタートした。
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週刊『前進』(1970号6面3)
読者からの手紙
闘う労働者の党へ飛躍期待 K・S
『前進』一九六五号の「『四党合意』採決強行をを阻む」という記事に共鳴しました。
『前進』は、国鉄解体からJRになって今日までの国労の闘いのこと、それから三里塚空港の闘いのことなど、世間の多くの人が忘れていたであろうことについて、くわしく、わかりやすく書いています。これからもこのような記事を続けることを希望します。
国会で、ただ話しているだけの政党には何の力もありません。時には実力をもって行動し、闘う労働者の党が必要です。そのような党になるべく、中核派の闘いに期待します。
夏季カンパを同封します。がんばってください。
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週刊『前進』(1970号6面4)
紹介 共産主義者125号
政治危機下の挑戦
●国鉄決戦の正念場にむけて 巻頭論文
●白井の新たな反革命策動を衝く 仲山論文
本号は、二〇〇〇年決戦後半戦に向けた労働者階級の階級的使命と今秋闘争の課題がテーマだ。
今秋決戦の核心
冒頭の三論文は労働運動をめぐる今春総括。
巻頭論文−篠塚同志による国鉄論文は国労臨大直前に書かれたものだが、こんにち七・一の勝利から八・二六続開大会粉砕を目指す時点からあらためて読み返す時、国労本部の「四党合意」、闘争団切り捨てを弾劾した闘争団による「演壇占拠」の決起の圧倒的正義性、「四党合意」を事実上粉砕した七・一の勝利性と階級的意義が、疑いの余地なく確認できる。そして、当面の決戦課題が本部打倒、新たな執行部確立であることを鮮明にし、労働運動の新たな潮流の歴史的飛躍を展望している。
松室同志の教労論文は、今春の「日の丸・君が代」攻撃に全国で反撃した勝利感あふれる総括が圧倒的である。これをふまえガイドライン攻撃の一環としての攻撃の歴史性、階級性を鮮明にし、日帝の今秋の教育基本法改悪−「教育改革」攻撃の狙いを暴き、これとの対決を訴えている。
倉吉同志による春闘総括は、今春闘における賃下げと社会保障制度解体にみる資本攻勢についてのリポートで、その戦後的階級関係の絶滅攻撃を分析したもの。さらにそれとの対決のなかで開始された新たな闘いの意義を強調している。
石原と対決する
特集「石原反革命粉砕!九・三自衛隊治安出動演習許すな!」は三本。
宇田川同志の反軍論文は九・三演習の指揮・展開・規模をリアルに暴き、その全貌(ぜんぼう)に迫る。日帝のアジア侵略の衝動をえぐり、国軍としての権限強化と天皇制軍隊復活をとおしてガイドライン下の自衛隊の治安弾圧部隊としての飛躍の狙いを弾劾する。
三浦同志のアピールは九・三が排外主義扇動をてこに都と区の労働者をアジア人虐殺と侵略戦争に動員する攻撃にほかならないことを訴えた都労連労働者の力あふれる石原打倒宣言。
小谷同志は関東大震災時の中国人・朝鮮人大虐殺における国家中枢・軍隊・警察のデマ扇動と虐殺への関与、民衆の直接加担の事実を直視し、その階級的省察をとおして四・九石原暴言の恐るべき排外主義的狙いを掘り下げた。九・三闘争が日本人民にとってアジア人民との血債をかけた連帯の実践課題であることを徹底的に明らかにしている。
内村同志の本の紹介は『倒せ、ファシスト石原』(野口正敏著・前進社刊)の核心を簡潔にまとめた。
篠原同志のカクマル批判は、昨秋出版されたカクマル黒田の『政治判断と認識』を取り上げ、彼らのこんにちの画歴史的な反革命的飛躍を情勢論、運動路線に沿って全面的に批判する。カクマル「謀略論」の原点と今日におけるその全面破綻(はたん)の意味、その取り繕いのためのファシスト的純化、黒田の転向ぶりなど、彼らの今日的転向を象徴する同書の位置を完膚なきまでに暴き尽くした。
白井朗の転落
「白井朗のさらなる転落と腐敗」は、白井が今春出した『中核派民主派宣言』なる反革命出版物に対する批判を中心に、カクマルとの直接の会見、結託にまで至り新たな段階に入った白井の脱落・逃亡と反革共同策動の核心点を鋭くえぐり出している。そのイデオロギー的転向=民族解放に名を借りたプロレタリア自己解放の否定、プロレタリア革命否定の論理。こうした理論的装いをとりながら表れた小ブル的人間的腐敗の有り様、組織的無責任ぶり、権力への転向・屈服の現実を総体として壊滅的に批判し、白井の反革命策動の粉砕を訴えている。
藤沢同志の「日共・不破のレーニン主義解体」は、昨年来レーニン国家論を最後的に否定した日共のさらなる理論的綱領的転向を斬った力作。衆院選での民主党との暫定政権構想にみられるブルジョア政権参加のための理論的準備作業として、九四年二〇回大会での「資本主義の枠内での民主的改革」路線を最後的に完成させたと明快に指摘している。マルクス・エンゲルスの民主共和制論も突っ込んで考察し、日共の転向を疑問の余地なく暴き、「国家機構粉砕」論と「国家死滅」論を現代的に積極的に再度押し出している。
荒瀬同志の反戦・反核論文は八・六−八・九闘争を二〇〇〇年決戦の中に位置づけ、その歴史的意義を鮮明にする。被爆者解放闘争の階級性、自己解放性、国際主義的精神を高らかにうたい、既成運動の破産を乗り越える綱領的路線論文。
「公訴棄却・即時釈放せよ」は迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘う四同志を代表した十亀同志の更新意見陳述。公訴のデッチあげ性、保釈請求却下に対する怒りの弾劾が鋭い。四同志奪還へ活用しよう。
「インタビュー三里塚を語る」は、前回に続き萩原進さんの「大地を守り農業に生きる」決意。今回は氏の人生をかけた農業に対する思いと、戦後農政の象徴としての空港建設に対する怒りが語られている。
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