週刊『前進』(1964号3面1)
6・23沖縄反サミット訴えデモ
”名護新基地許すな”
「慰霊の日」に反戦の誓い
六月二十三日、糸満市摩文仁で開かれた沖縄県主催の全戦没者追悼式であいさつに立った森に、参列者から「『神の国』発言で安らかに眠れないぞ!」と、沖縄の怒りがたたきつけられた。その午後、森は「英霊のみ霊に哀悼をささげた」とうそぶいた。他方、県の招きで在沖米軍トップ、四軍調整官が初めて追悼式に出席した。また、同日午前より米軍はキャンプ・ハンセンで激しい実弾演習を繰り広げ、山火事を発生させた。七月沖縄サミット粉砕は全人民の課題である。こうした中で、沖縄人民の米軍基地撤去、名護新基地建設絶対反対の思いは、六・二五総選挙で普天間基地県内移設反対を公約に掲げた候補の圧勝に結実した(沖縄三区)。六月二十三日、沖縄現地の闘いを取材した。(本紙・室田順子)
第1節 “G8いらないよ”那覇国際通りに響く
六月二十三日夕、那覇市牧志公園で沖縄サミットに反対する実行委員会(呼びかけ/西尾市郎、知花昌一、島田善次、まよなかしんや、島田正博の各氏)主催の六・二三反サミット反基地行動が闘われた。
「G8の身がってを許すな! 米軍基地の永久固定化に反対しよう!」の横断幕が掲げられた。集会のオープニングにマヨナカシンヤさんの「G8サミットいらないよ! 沖縄の未来と子どもたちに軍事基地はいらない!」の歌声が響きわたった。
司会の西尾市郎牧師は、「G8は世界の富を確保する武器輸出国であり、これまで戦争を推し進めてきた国々です。一年前にはコソボに対する空爆がありました。そのG8が来るわけです。そんな中で黙っておれないわれわれは、あるいは少数者かも知れませんが、観察している限りみんなサミットなんて反対なんです。状況を切り開いていく私たち少数者の運動は重要です」とあいさつ。
呼びかけ人を代表して島田善次さんが緊迫した面持ちで訴えた。「サミットと基地はリンクしないと言っているが、明らかにリンクしている。(県主催の追悼式には)今年から四軍調整官も出てきています。これは沖縄に対する地ならしです。そういう中でサミットを正面から撃つ、批判の声を上げる、行動することです。声を上げない民は滅びる。頑張りましょうよ」
実行委員会の参加団体から発言が行われた。まず一坪反戦地主会北部ブロックを代表して安次富浩さんが名護の状況を踏まえた報告と決意を語った。
「名護にヘリ基地を押しつけるためにサミットを部瀬名にもってきている。このG8台風が名護から去った後、次に来るのは普天間基地押しつけだ。私たちは絶対に名護・辺野古への基地押しつけを拒否します。命を守る会はクリントンに普天間基地をアメリカにもって帰ってくれと直訴をする。森首相には安保が必要ならヤマトにもっていきなさい。これが偽らざる心境です」「このサミット期間中に真っ向から闘い、アジアの平和を阻害する米軍基地をなくしていく闘いを進めていきましょう」
アイヌ民族と連帯する沖縄の会、アジアと連帯する沖縄集会など次々と闘う決意が明らかにされた。
沖縄労組交流センターの代表は、県主催の追悼式への森参列、米四軍調整官の初の招請を弾劾し、「七月二十日の嘉手納基地包囲闘争をなんとしても成功させ、その力でサミット反対の大きな声を沖縄から上げていこう。アジア人民との連帯をかけて全力で頑張ろう」と力強く訴えた。
最後にシュプレヒコールを上げて国際通りへデモは出発した。ギターを抱えたマヨナカシンヤさんが歌でデモ隊を引っ張る。私服警官による不当な弾圧を一切許さず、元気なデモが進んだ。混み合う沿道から少年たちが手を振って声援。六十人ほどのデモ隊が大きな存在感をアピールした。
デモ終点の県庁前で、西尾さんが「日米政府にだまされちゃならない。沖縄の基地はいらない、米軍基地は出ていけという基地包囲を沖縄の民衆の力で成功させていこう。第三回、第四回に向けて行動を進めていこう」と次の行動を提案し、昼間の国際反戦沖縄集会から引き続いた一日の闘いをしめくくった。
第2節 国際反戦集会開く“連帯し基地なくせ”
「世界の武器輸出国の首脳たちが、もうすぐこの地に揃(そろ)います。……沖縄戦では武器が『鉄の暴風』となって……二十万余の人たちがその犠牲になりました。その事実を無視しサミットを開催することは、私たちにとってこれほど屈辱的なことはありません」(集会アピールより)
沖縄戦終結から五十五年目の六月二十三日、沖縄一坪反戦地主会を中心とする実行委員会主催の第一七回国際反戦沖縄集会が糸満市にある「魂魄(こんぱく)の塔」で開かれ、約四百人が集まった。沖縄労組交流センター、全学連現地行動隊は「基地押しつけと戦争のためのサミット反対!」「米軍基地の県内移設反対」ののぼり旗を掲げともに闘いぬいた。
昼前、灼熱(しゃくねつ)の太陽のもと、ひめゆり公園近くから魂魄の塔まで平和行進し、塔の前で「再び私たちは立ち上がる」と題された集会アピールを糸数慶子さんが読み上げ、参加者全員で黙とうした。
昼食後、海勢頭豊さんが平和のメッセージを歌い、集会が始まった。冒頭、一フィート運動事務局長の中村文子さんが主催者代表としてあいさつし、「天寿を全うしたいという願望を阻害する最たるものが戦争です。沖縄戦を忘れてはいけない。世界の平和を築くために皆で頑張りましょう」と切々と訴えた。
「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」とともに参加した韓国、フィリピン、プエルトリコなどの女性たちが、基地と闘う沖縄への熱い共感を表明し、盛んな拍手が送られた。
辺野古の命を守る会・ジュゴンの会の嘉陽宗義さんは、「朝鮮に何をしたか、中国では南京大虐殺、これを誰がした。日本はまず罪を償うべきだ」と訴え、七月二十一日までにクリントン大統領と森首相あてに請願署名を集めて直訴すると表明。那覇軍港の浦添移設に反対する市民の会、ヘリ基地反対協からの現地報告もあり、平和祈念資料館問題も提起された。
杉並星野文昭さんを救う会会員の声楽家が星野暁子さんとともに参加し、歌でアピール。さわやかな歌声が風に乗って流れた。
最後に、一坪反戦地主会の新崎盛暉代表世話人が閉会のあいさつに立ち、「今年の県の慰霊祭にはなんと米軍の四軍調整官が招待され、軍事同盟が登場している。基地の整理・縮小・撤去をめざし、七月二十日に会いましょう」と嘉手納基地包囲闘争を訴えた。
七月サミット決戦に向かって、沖縄の闘いは確実に熱く燃え始めている。
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