COMMUNE
2008/xxx/xx(No.3xx p48)
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11月号 (2008年11月1日発行)No.388号 定価 315円(本体価格300円+税) |
〈特集〉 米帝の中東・中央アジア資源略奪戦 □新たな世界戦争の発火点に浮上したグルジア ●討論資料 EUの対米・対ロ争闘戦が激化 川武 信夫 ●国際労働運動 南朝鮮・韓国/“公共機関の民営化中断せよ”−−室田順子 休載 三里塚ドキュメント(8月) 政治・軍事月報(8月) 労働月報(8月) 闘争日誌(7月) | |
金融大恐慌の開始▼3世紀続いてきた資本主義の最大の危機が始まった。世界金融大恐慌に突入した。だがこれは入り口にすぎない。今日の世界情勢を規定するのは資本主義・帝国主義の最末期の根本矛盾そのものだ。実体経済の何倍にも膨張させた投機マネーで世界中の労働者や農民から搾取と収奪の限りを尽くしてきたブルジョアジーの命脈は尽きた。社会主義の客観的前提条件はある。資本主義・帝国主義の危機の激化こそ革命の原動力だ。 |
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討論資料-1 ●討論資料 EUの対米・対ロ争闘戦が激化グルジアが新たな戦争の発火点 世界大恐慌が爆発する中で、帝国主義間争闘戦が、グルジア戦争をもって、明らかに新たな段階に入りつつある。そのなかで、ロシアの凶暴化に対抗しつつ、EU帝国主義の軍事的突出が激しく行われている。 ● 転換示す二つの事態 この間、二つの重要な出来事が起きた。ひとつは、7月下旬、イランの海上封鎖を想定して大西洋上(アメリカ東海岸)で行われた米英主導のNATO合同軍事演習に、フランスの海軍と空軍が初めて参加したことだ。米帝のイラク開戦に反対していたフランスが、今年6月に発表した『国防白書08年』でNATO軍事部門への復帰を宣言して直後のことであり、世界戦争情勢へのフランス帝国主義の踏み込みを示すものだ。 ● 仏がペルシャ湾に軍事基地 昨年来、フランス帝国主義は激しい勢いで、軍事・外交政策を展開している。まず、今年1月、サルコジ大統領が、UAE(アラブ首長国連邦)を訪問し、軍事協定を締結した。この協定により、ペルシャ湾のアブダビにフランスの海軍基地を建設することが合意され、3月には実現した。 ● EU=地中海同盟の結成 フランス帝国主義は、中東へ進出するなかで、旧植民地諸国を含む北アフリカの再勢力圏化を図っている。アルジェリア(旧植民地でサハラ砂漠に天然ガスを保有する資源国)と昨年12月に原子力協定を、今年6月には軍事協定を締結した。旧植民地ではないが、リビアとのあいだで、アメリカを出し抜いて、昨年原発協定を締結している。 ● ゙独自の核。主張のサルコジ 注目すべき点は、フランスの軍事・外交政策の展開において、核エネルギー、原発、さらに核戦力がテコとされていることである。 ●仏独で頻発する原発事故 こうした最中に、フランスとドイツで重大な原発事故が頻発している。
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討論資料-2 フランス08年国防白書地中海からペルシア湾をめざす
フランスの国防白書が6月16日発表された。サルコジの狙いは、帝国主義間争闘戦の世界的激化のなかで、フランス帝国主義の軍事的政治的位置を、NATO、EUという枠組みを足場にして、世界的戦場にむけて飛躍させることである。白書は、NATO軍事組織へのフランスの復帰を宣言し(注)、フランス帝国主義にとっての戦略的基軸として地中海から中東・アジアにいたる地域を設定した。そして、独自の「核抑止力」の堅持・拡大を、こうした戦略構想を支える軍事力の核心として再確認している。同時に、挙国一致的な戦争動員体制の構築を呼びかけ、新たな階級戦争宣言をしている。 白書の特徴1 白書は、「前回白書を発表した1994年から、とりわけグローバリゼーションの衝撃のなかで、世界は根本的に変わった」「ジハードを志向するテロリズムが、フランスとヨーロッパを狙っている」そして「2025年までには、フランスとヨーロッパは、新しい勢力によって開発される弾道ミサイルの標的内に入るであろう」と危機感をあおりたてている。そうした脅威に対応するための新たな「戦略的展望」を提出することが今回白書の課題であるとする。 2 白書は、このような新たな状況のなかにおける安全保障問題とは、「一国家の生命を危険に陥れるようなすべての脅威、危険に対処することである。それは、国防政策を含むだけでなく、国内治安政策をも含む」と提起し、国防と治安を表裏の関係にあるものとして強調している。 3 国家安全保障の確保のために、防衛・治安部隊は次の五つの戦略的機能に習熟すべきであるとする。「@予知と待ち受け、A予防、B抑止、C防御、D出動(攻撃)」。「予知と待ち受け」は、「新たな、最優先の戦略機能である」とされ、「不確実で不安定な世界において、予知能力」が重要として、宇宙からの情報を含むあらゆる種類の情報の重要性を強調する。「防御」は、「危機管理能力と即応システムの強化」を提起し、「その中心は、通信情報システムと民間警報システムである」と、その役割を担う「民間組織と軍の協働関係」を新しい戦略の原則の一つとして規定している。 4 軍事力の重点配置を行う地域として、「大西洋から地中海、ペルシャ湾、そしてインド洋にいたる地域」を「フランスとヨーロッパの最も重大な戦略的利害がかかっている」戦略的基軸として設定している。さらに、フランス帝国主義の旧来の勢力圏である「アフリカの東西海岸、サハラ砂漠」において、「予防的行動的な軍事力を保持する」と、アフリカ平和維持軍の強化を宣言している。これは地中海同盟を狙うものだ。 5「独立した核戦力の保持」を強調している。具体的には、「海上発射弾道ミサイル潜水艦、および核戦闘可能な戦闘機に搭載する空中発射ミサイルである」と書いている。これは、明らかに地中海からペルシャ湾、インド洋へかけての戦略的基軸での実戦を想定して言っているのだ。 6 EUとの関係について「危機管理と国際安全保障の主役はEUであるべきだということは、われわれの根本的信念である」と宣言しつつも、実際にはNATOから独立した、すなわち米帝の指揮に従属しないEU独自の戦略的展開、しかもフランスの核戦力をバックとした展開を主張している。 7 白書は、そのうえで、「EUとNATOの役割が相互補完的である」として、NATOとフランスの関係調整の問題に入っていく。つまりフランスはNATOに復帰するが、平時において永続的にNATO軍の指揮下におかれるということはないと、対米独立性を主張し、フランス帝国主義の階級的国家的利害をつきだしている。 8 フランスブルジョアジーの軍事産業の利益を、対米的に押し出している。 9 最後に、見過ごせないのは、公務員労働者の戦争動員と教育の軍事化である。 白書は、争闘戦激化の宣言であり、階級戦争の宣言であり、戦争動員指令である。 |