COMMUNE 2008/10/01(No.387 p48)

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10月号 (2008年10月1日発行)No.387号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉  日韓労働者の団結で11月1万人へ

□イミョンバク政権打倒100万人が立ち上がった
□ソウル本部・動労千葉の理念交流の到達地平

●翻訳資料 ロサンゼルス統一教組のストライキ 丹沢 望 訳 

●国際労働運動 南朝鮮・韓国/8・15光復節に3万人が決起−−室田順子
●国際労働運動 ドイツ/ ルフトハンザ航空労働者がスト−−川武信夫

    8・6ヒロシマ反戦闘争

三里塚ドキュメント(7月) 政治・軍事月報(7月)

労働月報(7月)  闘争日誌(6月)

コミューン表紙

羅針盤 福田政権打倒せよ

▼8月2日に発足した福田改造内閣は、麻生太郎を幹事長に取り込んで、衆院解散・総選挙を完全ににらんだ、極めて反動的・反労働者的な政権だ。しかしそれが日帝ブルジョア政治委員会としての司令塔を欠いた、ボロボロの政権であり、また労働者階級人民の怒りに痛撃され、統治能力も喪失した危機的政権であることに、本質的に変わりはない。そもそも福田政権の危機を根底で規定しているものは、小泉・安倍の構造改革路線―新自由主義攻撃とその破産である。その推進と破産が生み出したものは、労働者階級への民営化と労組破壊、無慈悲なリストラと賃下げ、非正規雇用化による貧困と格差の耐え難い拡大であり、医療・福祉と社会保障制度の解体、農業破壊と地方の崩壊であった。このすさまじい現実と労働者階級人民の怒りの爆発に、福田政権は痛撃されて、喘(あえ)ぎに喘いでいるのだ。そしてこの小泉改革を継承するのかどうかをめぐって、今や自民党と支配階級自身が分裂している。
▼今回の内閣改造で、小泉路線を原理的に引き継ぐいわゆる「上げ潮派」なるものが排除されたり、郵政民営化の「造反組」2人が入閣したり、「2011年プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化」(骨太方針Y)の先送り論が浮上したりという現実に、そのことがはっきりと表れている。「日帝再建綱領」としての「骨太方針Y」は崩壊がいよいよ進み、それと同時に中川秀直(元幹事長)ら「上げ潮派」との支配階級内の分裂が深刻化している。しかし世界金融大恐慌に直撃され、帝国主義の「最弱の環」としての日帝は、すでに昨年末から今年初めにかけ景気後退と不況に突入している。4〜6月期のGDP(国内総生産)速報値は年率で2・4%減と、マイナス成長に転落した。輸出も設備投資も個人消費も「総崩れ」になっている。
▼政権末期的な危機にあえぎつつ日帝・福田がやろうとしていることは、一方で労働者階級人民への徹底的な階級戦争の攻撃だ。福田は内閣改造で「増税派」(財政再建派)の与謝野(経済相)などを重用し、消費税大増税への攻撃を本格化しようとしている。社会保障費の毎年2200億円削減も貫くと言っている。世界的なインフレの爆発の中で石油や食料品の大幅値上げ攻勢にうって出ている。そして何よりも、公務員労働者に対する200万人の首切りや賃下げ、日本全体を丸ごと民営化する道州制導入攻撃を本格化しようとしている。その突破口となるのが、ファシスト府知事・橋下による「大阪維新」なる大攻撃だ。福田への怒りを今こそ爆発させなければならない。
▼そして他方で福田の際立った超反動性は、外への侵略戦争攻撃である。福田はすでに宇宙基本法を成立させ、さらに「派兵恒久法」の制定に積極的だ。アフガニスタンやスーダンへの派兵も策動している。そして決定的なのが、来年1月で期限が切れる対テロ新特措法(給油新法)を衆院で「再可決」してでも延長し、インド洋に海自艦隊を派兵し続けようとする攻撃である。秋の臨時国会ではこれが大きな焦点、対決点となる。11月1万人総決起の決定的な課題として、階級的労働運動の力で日帝・福田政権を打倒し、プロレタリア革命をたぐり寄せるために総決起しよう。08春闘に向けて一律大幅賃上げ闘争の爆発、「生きさせろ!」のゼネストを実現するために闘おう。 ,3,1,‐1(U)

 

 

翻訳資料

 翻訳資料

 ロサンゼルス統一教組のストライキ

 丹沢 望 訳  

■解説■

 07年の11月労働者集会や08年8・6広島、8・9長崎に参加して日米の教育労働者の国際連帯の強化に重要な役割を果たしたアーリーン・イノウエさんの所属するロサンゼルス統一教組(UTLA)でこの6月、極めて重要な闘いが爆発した。
  6月6日、4万8000人の教育労働者、学校の保健室の看護師や心理分析家、ソーシアルワーカー、図書館の司書などを組織するUTLAのうち4万人が、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーが提案した教育予算の削減に反対する始業時1時間のストライキに決起した。多くの教師が抗議の気持ちをこめておそろいの赤いTシャツを着てピケットを張った。
  この闘いに2万人以上の保護者と生徒が合流し、ロサンゼルス統一学区の約900の幼稚園、小学校、中学校、高校の門前などで、極めて大衆的なピケット闘争、デモなどが行われた。教師、保護者、生徒が一体となった教育予算削減反対闘争は、地域社会からも大きな支持を得ており、校門前を通勤する車などから、ピケットを支持するクラクションが鳴り響いた。
  ロサンゼルス統一教組は全米で2番目に大きな巨大学区内のAFT(アメリカ教職員連盟)、NEA(全米教育協会)、CTA(カリフォルニア教職員協会)、CFT(カリフォルニア教職員連盟)などに加盟する教職員を統一した教組である。それぞれの組合の体制内指導部の制動を打ち破り、教育予算削減反対の一点で強力な統一行動を実現し、シュワルツェネッガー知事に大打撃を与えたことは、アメリカにおける教育労働者運動に今後重大な影響を与えるであろう。
  また、ロサンゼルス統一学区の教育予算の削減と、それにともなう教育労働者の賃下げや労働条件の悪化に対して、教師たちが真っ向から労働者としての権利を要求して立ち上がり、しかもそれを生徒の教育環境の悪化反対の闘いと結合して、生徒、保護者、地域社会全体との広範で強力な共闘体制を確立したことは重要な意味を持っている。
  ヒスパニック系やアフリカン・アメリカンの住民の多い地域での教育の崩壊状態を根本から変革するためには、教育労働者を軸に地域の労働者人民、生徒、保護者の統一戦線を強力に構築して闘うしかないことが極めて鮮明になったのだ。
  全体で6万人にも及ぶ教育労働者と労働者人民の今回の決起は、まさにアメリカ合州国の教育戦線における大反撃の開始を告げ知らせるものである。
  われわれはこのような画歴史的闘いを実現したUTLAの教育労働者と「日の丸・君が代」反対闘争やCAMS(校内の軍国主義に反対する連合)の闘いを通じて連帯し、UTLAとCAMSの指導者であるアーリーン・イノウエさんを通じて海を越えた共闘体制を築いてきた。
  この共闘体制は、今年8月の広島、長崎反戦・反核闘争へのアーリーン・イノウエさんの参加を通じてさらに強化された。
アメリカの教育労働者の闘いを教訓化し、同質の闘いを日本でも実現するために闘おう。

 予算削減抗議で1時間スト貫徹

  ロサンゼルスタイムズ紙08年6月7日号

 フランシスコ・バラ-オルタ、ジェーソン・ソング

 数万人のロサンゼルスの教師と保護者たちが6月6日の朝、通行人に対してプラカードを振り、スローガンを叫びながら、教育予算削減案に抗議して1時間のデモ行動を行った。この抗議行動で、アメリカで2番目に大きな学区の生徒たちは、体育館や視聴覚教室や運動場で待機させられ、授業開始が遅れた。ほとんどの抗議行動は午前9時までには終わった。
  ロサンゼルス統一教組によって組織された抗議行動は、アーノルド・シュワルツェネッガー知事が最近提出した予算案に注意を喚起しようとするものだった。この予算案は昨年566億jであった教育予算を1億9300万j増やすというものだ。だがサンゼルス統一学区では、この予算案が、生活費の上昇分や、一般予算から制限なく支出されるはずのいくつかのカリキュラムへの補助金の削減が含まれていないため、学区予算は3億5300万j不足するだろうと予測している。
  学区の担当職員は、この抗議行動が、生徒の出席率にどのような影響を与えたか、あるいは抗議行動に参加した教師が一時間の給料分を罰金として科されるとすれば、この日の金銭的損害がどの程度なのかはすぐにはわからないとしている。
  学区のスポークスウーマンのエレン・モーガンは、抗議行動の際、生徒の怪我や安全上の問題は報告されていないと述べた。
  教育委員会が6月11日の水曜日に学区の予算について投票を行う準備をしているときにこのような抗議行動が行われた。学区当局は、学級の削減は避けられると期待しているが、試用期間中の教師は恐らくレイオフされるかもしれず、組合が闘争にうってでる可能性があると述べている。
  ロサンゼルスの教職員組合のA・J・ダフィー委員長は、「ロサンゼルス教師にとっての偉大な日」という共同デモンストレーションを呼びかけた。また彼は今月、学校年度が終わる前にもう一度抗議行動を行うかもしれないと述べている。
  だが今日の朝、ロサンゼルス市内の高校で約75人のデモ隊に参加したダフィーは、学区の責任者たちに抗議するよりも教育予算削減問題について討論することを勧めた学区の最高責任者のデービッド・ブリューワーが教師たちに合流すれば、抗議行動はより強力なものになるだろうと述べた。
  ダッグ・R・アーラー(24歳)は、抗議行動に参加したロサンゼルス高校の教師だ。
  「私はこの闘いにとりわけ関心を持っています。なぜなら私は教師一年生だからです。自分の職を守る闘いではできることは何でもしています」と社会科の教師であるアーラーは述べている。
  12年制の10年生であるガブリエル・リバスは、教師の闘いを支持する観点からこの闘いを見ている生徒の一人だ。
  「先生たちが抗議する権利を行使しているのはかっこいいと思うよ」と彼は言った。
  ガブリエルは、一日のうち最初の1時間くらいは体育館や視聴覚教室で過ごすことを期待しているこの学区の生徒たちの一人だ。学区の管理責任者たちは、教師たちがピケットを張っている間、大部分の生徒たちが教師の闘いの支援者や、生徒の親たちからなるボランティアや、学校管理者に見守られながら、カフェテリアや、視聴覚教室や運動場で待機していると述べている。学区当局は生徒の監督を援助するために、さらに中央事務局から450人を各キャンパスに派遣することを計画していた。
  東ロサンゼルスのベルベデール小学校では、約300人の保護者、教師、生徒がドラムを打ち鳴らし、マラカスを振り、「私たちの学校を救え」という英語とスペイン語で書かれたプラカードを掲げた。プラカードにはクレヨンやマーカーで書かれた手書きのものもあった。
  「これはこの州に住む私たち全てに影響を与えます。この闘いで子どもたちにシュワルツェネッガーの関心を向かせられるなら、1時間の授業が失われることには価値があります。あいつらがすべてをとりあげれば、事態は最悪になるだろうからね」と、東ロサンゼルスのリザベス・ロマン(25歳)は、3人の子どもたちと「教育にもっとお金を」と叫びながらデモをしながらスペイン語で語った。
  数人の教師やボランティアたちは、学校裏のバスケットボールのコートにいた約300〜400人の生徒や学内で映画を見ている年少の生徒たちを監督していた。生徒たちを監督していた教師たちは、抗議行動を行っている教師たちと連帯して生徒たちに事故がおきないように監督を行っていると言っていた。両親が抗議行動に参加している生徒だけがこの行動に参加することを許可された。
  抗議行動を組織する活動を手助けした第2学年の教師のエドワード・ステファニアンは、朝の集団行進にハンドマイクを持って参加した。
  「もっとたくさんの本がほしい、教室をもっと改善したい、わたしたちは生徒たちによい教育を受けさせるために必要なものがほしいだけだ」と、彼は語っている。
  彼の生徒の一人である8歳のロベルト・カスタネーダは、ブルーのクレヨンで「アーノルド知事はわれわれのお金を返せ、子どもたちから盗み取るのはやめろ」と書いたプラカードをもって彼のところに走り寄ってきた。「学校にもっとお金を!」とこの少年は叫んでいた。
  市内のクイーン・アン・プレイス小学校では、この朝、約30人の教師と保護者が赤いTシャツ(授業放棄の象徴)を着て、「教育予算削減をやめろ」と書かれたプラカードを持ち、「われわれの学校を救え」とシュプレヒコールをあげた。
  娘のマーレを車で幼稚園に送り届けた保護者のジュリオ・ネバレスは、抗議行動の間、教師たちが娘を安全に監督してくれると信頼していると語った。
  「不良集団がこの辺でうろついているのが時々心配になるよ。でも、この学校はいい学校だよ。不良たちもいつも先生から指導されているよ」と語った。
  西ロサンゼルスのダニエル・ウエブスター中学校では、約30〜40人の教師がプラカードを掲げて行きつ戻りつしながら、サワテルからナショナル・ブールバードの間をデモ行進した。デモ隊は交通を渋滞させ、ドライバーからのクラクションを誘発した。だが、それが支持の意思表明か、いらだちの気持ちからなのかははっきりしなかった。朝の通勤客が交差点をゆっくり通過すると、数百人の生徒が学校の運動場にいるのが見えた。白と黒の制服を着た彼らが集まっている光景はショッキングなものであった。
  この場所からすぐ近くのユニバーシティー・ハイスクール(UCLAの学生が準教員として教育実習を行ったことからこういう名前がつけられた)では、約200人の教師と保護者がドライバーにプラカードを振ったり、シュプレヒコールや歓声を上げたりした。
  53歳の体育の教師で学校の水泳のコーチであるパメラ・ドーマンは、「カリフォルニア州は裕福な州なのに、教育予算の支出額では50の州のうち48番目になってしまったという重大は問題を抱えていると思うわ」「教育予算を削減し、カリフォルニア州を50番目にしてしまうなんてとんでもないことだと思うわ」と語っている。
  ユニバーシティー・ハイスクールで20年間にわたって働き、ロサンゼルス統一学区に25年間いるドーマンは、シュワルツェネッガーが諸学校の支持を基盤にして知事に選出されたのに、今になって教育予算を削減することを提案していることに困惑していると語った。
  読書指導の教師であるカイル・ムーディ(28)は、抗議行動に参加したが、非識字率を低下させるための闘いへの州知事からの支援を必要としている。
  彼は「文字を読むことのできない9年生や10年生がうちの学校にいます。これは学校にもっと教材を投入しなければならないことを示している以外のなにものでもなく、減らすことは問題にもならないのです」と述べている。
  ハイランド公園内のフランクリン高校では、2年生のスティーブン・ラゾ(15歳)は、7時20分に教室が開いた時には、大部分のクラスメイトが抗議行動には参加しなかったと言っていた。「州政府はこんなにたくさんのお金を教育部門から取り去って戦争なんかに使っている。小さな子どもたちがこのお金を教育のために必要としているのに、こんなことはフェアじゃないよ」「先生たちにはもっと多く給料を払うべきだよ」と語った。
  ロサンゼルス統一学区の職員は、生徒を朝、学校に登校させるように保護者に要請した。 学区の最高責任者のデービッド・ブリューワーは、6月3日の10丁目小学校での記者会見で「学校は子どもたちがいるべき最良の場所です」と述べた。
  同日、学区側は抗議行動中止を求める仮処分を申し立てた。だが、ロサンゼルス郡高等裁判所判事のデービッド・P・ヤッフェはこの申し立てを却下した。この週の初め、州の公職関係局は、教師のデモが生徒たちを危険な目にあわせる可能性があるという憂慮を表明した学区のデモ差し止め命令申し立てを却下した。
  ダフィーは、「裁判所が学区の要求は納得しうるものではないということを理解したことを喜んでいる」と表明した。ブリューワーと同様に、公共機関の最高管理責任者であるジャック・オコーネルも、時間どおりに仕事に出勤し、ピケットを張るかわりに州の予算審議過程について生徒たちと討論することを、全教師に要請した。彼は、生徒の安全を心配していると述べ、もし生徒たちが学校に来なければ学区は財政収入を失うと警告した。
  ジャック・オコーネルは「私は不満がどの程度のものか理解しているが、われわれは教師が期待どおりにクラスにいる必要があることも理解しています」と述べている。
  今週、教師たちに対して職場に遅れて出勤することを再考するように要請していたシュワルツェネッガーは、6月5日、報道官を通して、彼も教師たちの憂慮を理解していると述べた。
  アーロン・マクレア報道官は、「知事も教師たちと同様に予算に不満がある」と述べた。
  今朝の抗議行動の時間が近づくにつれて、ボイル・ハイツのルーズベルト高校で抗議行動を展開している数百人の保護者と教師たちは、急速にこの日の抗議行動と一体となって動き始めた。8時45分まで学校に残ったグループはカリフォルニア大学ロサンゼルス校でパフォーマンスを行うためにバスを待っていたメキシコ人の学生の一団だけであった。