COMMUNE 2008/07/(No.384 p48)

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07月号 (2008年7月15日発行)No.384号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉  イラク革命の主役は石油労働者だ

 □米占領下の階級闘争を牽引する石油労働組合 9
  □3万人増派によっても崩壊止まらぬ占領支配 19
  □違憲判断下された空自のイラク米兵輸送作戦 25
  資料 イラクの労働組合から米労働組合へのメッセージ

●討議資料 EU揺るがすストライキの波 

●国際労働運動 南朝鮮・韓国/米牛肉輸入反対で6万人決起−−室田順子

    4・26尼崎闘争

三里塚ドキュメント(4月) 政治・軍事月報(4月)

労働月報(4月)  闘争日誌(3月)

コミューン表紙

羅針盤 6・29サミット決戦

▼サミットとは、正真正銘の帝国主義強盗の会議だ。帝国主義ブルジョアジーはこれまでも、世界を戦争と貧困にたたき込んで自分たちだけが生き延び、逆にそれによって肥え太るやり方を繰り返してきた。新自由主義攻撃はそれを極限まで拡大した。その行き着いた先が今日の、労働者から住む家も食糧も奪い、教育も医療も崩壊し、金融資本のマネーゲームがすべてを支配する腐り切った社会の姿なのだ。そして今、世界金融大恐慌の本格化の中で、危機にあえぐ金融資本・大資本が生き残りをかけた激しい国際競争を繰り広げつつ、一切の犠牲を労働者階級と農民におしつけ、さらには戦争によって延命しようとあがきにあがいている。空前の食糧危機、インフレの爆発、リストラ・大失業の大波が全世界を襲い始めている。世界の労働者を飢えさせて金もうけする! これが資本主義の本質だ。相次ぐ大災害も、その正体は帝国主義及びそれと結託してきたスターリン主義による人災だ。こんな連中の支配を一日たりとも許しておくことはできない。

▼今や各国の資本家階級は、労働者階級の怒りの爆発におびえ、その反乱と革命を予防するために必死になっている。サミット準備のために都内で実施された警備訓練は、「サミット粉砕・帝国主義打倒」の横断幕を掲げてデモする労働者の隊列を警察機動隊が襲撃して解散させるというものだ。上等ではないか! 彼らにたたきつけるべきはもはや資本主義社会の部分的・一時的な「改良」の要求などでは断じてない。帝国主義の完全な打倒、プロレタリア世界革命あるのみだ。その先端を切る歴史的な闘いが、5月1日のメーデーで闘われた。アメリカで、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)がイラクとアフガニスタンからの即時撤兵を求め、軍事物資の輸送を実力阻止する闘いに立った。これに移民労働者を始め多くの労働者が呼応し、米西海岸の29港湾を完全に封鎖した。そしてこの侵略国・アメリカの労働者の戦争阻止の実力決起に、侵略された側のイラクの港湾労働者がイラクの港湾を封鎖する感動的な連帯ストで応えたのだ。交戦国の労働者が階級としてひとつになり、自らの職場生産点で戦争阻止の連帯した実力行動に立つ。ここに、戦争を現実に止め、世界を変える力がある! しかもこの闘いは、ILWUの現場労働者が資本・権力の圧殺策動やILWU本部の動揺・屈服と対決する中でかちとられた。イラクの労働運動も、米占領軍・かいらい政権による弾圧や宗派勢力による分断を打ち破って不屈に闘われている。

▼そして重要なことは、この闘いが実は日本の11月労働者集会を軸とする日米韓3カ国の国際連帯を土台として、その前進の上に切り開かれたということだ。このことを誇りをもって確認しよう。闘いの核心は、職場生産点での攻防にある。国鉄・教労・全逓・自治体の4大産別を先頭に、すべての労働者が自らの職場で、資本・当局の職場支配権を覆す非和解の闘いに突入することだ。7月洞爺湖サミット粉砕へ、4大産別を先頭に、今こそ職場生産点を労働者の団結と革命の拠点に変える闘いを白熱的に前進させよう。その力を6月29日、動労千葉が呼びかける東京・代々木公園での集会に総結集し、世界の帝国主義強盗どもを震撼(しんかん)させる戦闘的大集会とデモをかちとろう。闘う学生は全国学生ゼネストに立ち上がろう。 (U)

 

 

翻訳資料

 討議資料

 EUゆるがすストライキの波

 階級的実力に自信を深める労働者階級

  08年メーデーは、世界革命へ向けた労働者国際連帯の闘争日として歴史的な地平を切り開いた。アメリカの国際港湾倉庫労働組合(ILWU)による西海岸29カ所の港湾封鎖闘争は、これに呼応したイラク港湾・石油労働者を先頭にした実力闘争をもって、帝国主義侵略国アメリカの労働者と被侵略国イラクの労働者の階級的連帯・団結として結実した。
  この闘いは、移民労働者の06年大メーデー決起を受け継ぎ、教育労働者を始めとする闘う労働者の隊列を決起させた。そして、海を越え、ILWUと固い盟約を交わした動労千葉、そして韓国民主労総の階級的労働運動の断固とした推進と結合し、最末期帝国主義の階級解体的攻撃と闘う全世界の労働者に、巨大な激励のアピールを発した。
  サブプライムローン問題に始まる世界金融大恐慌に直撃されているEU帝国主義経済の根幹であるドイツ・フランス・イギリスを始めとする諸国でも、新自由主義攻撃に対する労働者階級の積年の怒りがストライキの波として爆発している。
  それは、EUに新たに加盟し、「低賃金国」としてヨーロッパ労働者階級の分断のテコとされてきた中東欧諸国(ルーマニアやハンガリーなど)にまで広がり、地続きのロシアの鉄道やボーキサイト鉱山の労働者のプーチン圧制とそのもとでの″無制限の”資本家的搾取への怒りのストライキとも共鳴し合っている。
  「福祉国家のモデル」のように言われてきた北欧スウェーデンやデンマークなどでも、医療・福祉労働者がストライキに立ち上がり、アジア・中南米・アフリカでも、労働者の決起が続いている。
  1917年ロシア革命以来の革命情勢の到来である。青年労働者、学生のぎりぎりの「生きさせろ」の叫びは、「革命をやろう」「革命をやりたい」の声にまで高まり、最末期帝国主義=資本主義に代わって社会の全生産と全活動を担い、組織していくのは労働者階級だという誇りと自信に満ちた姿が全世界に登場しつつある。ここに革命の現実性があり、革命勝利の根拠がある。
  では嵐のようなストライキの波は何を示しているのか。

  金融恐慌下のスト決起

  第一に、昨年来のEU労働者階級のストライキへの決起は、まさに世界金融恐慌の爆発と進展過程のただなかで、帝国主義ブルジョアジーの階級支配を根底から揺るがす勢いをもって開始された。
  従来「労働者階級は、不況期には萎縮して保守的となり、激しい闘いには立ち上がることができない」などと体制内労働運動派は宣伝して、労働者の怒りを抑え込もうとしてきた。しかし、不況とインフレのただなかでの今回のEU労働者のストライキ決起は、このような反動的「神話」を行動をもって粉砕してしまった。
  「大幅賃上げなどやったら、国際競争力が低下する」「低賃金地帯に工場を移転するしかない」などというブルジョアジーの恫喝を粉砕したのは、ドイツの機関士労組(GDL)の30%賃上げ要求だったし、42%賃上げ要求をもって決起したルーマニアのルノー工場1万人のストライキだった。
  この要求は、労働者をもう生きさせていけない資本主義への打倒宣言に等しい。このような大幅賃上げ要求が他の労組の要求からみて「突出したものだ」などという非難は、体制内労働運動指導部からのものである。
  現場の労働者からは、「これまでの数年間、われわれの賃金はあまりにも低く抑えつけられてきた。このぐらい要求して当然だ」「やつら資本家はもうかっているんだ」「これ以上我慢できない」「闘うしかない」「ストライキで打撃を与えてやるのだ」という声がメールで飛びかっている。

 新自由主義・民営化へ反撃

  第二に、新自由主義攻撃、とりわけ民営化攻撃による職場破壊、団結破壊への反撃が、闘う労働者の共通のものとなっている。今年3月から4月にかけて闘われているフランス港湾労働者の闘いは「港湾業務の民営化反対」だし、大学生・高校生の決起は「教育の民営化反対」の叫びだ。
  イギリスの郵便労働者の闘いは、郵政民営化の結果としての競争激化のしわよせ、労働強化に対する闘いである。特にイギリスでの民営化は、別表で見るように徹底した規制緩和と市場原理の野放しの展開の結果、鉄道を始めガス、水道、電力、病院などあらゆる公共サービス領域で事故が多発し、安全性がおびやかされ、労働者の命が危険にさらされている。これに対する闘いだ。動労千葉の「闘いなくして安全なし」||これは、労働者の万国共通のスローガンである。

  反復・波状・無期限スト

  第三に、闘いが、生産点=職場における資本との実力対決としてのストライキとして爆発していることだ。しかも従来の体制内労働運動指導部の統制下の1日限りのアリバイ的ストライキと違って、数次にわたる反復スト、波状スト(拠点職場を次々と移動させる)などの形をとっていることだ。
  昨年後半のドイツ機関士労組の半年におよぶストライキを先頭とし、イギリス郵便労働者の昨年6月から10月にいたる数次のストライキ(いくつもの部分ストを含む)や、同じく昨年10月から11月にかけて、フランスの公共企業労働者のストライキが、鉄道・都市交通・電力・ガスを始め、国家公務員・地方公務員、教育労働者、医療労働者をも含む、事実上のゼネスト状態として全フランスを揺るがし、それが08年の港湾労働者の闘い、学生の闘い、移民労働者の新たな決起へと発展していくというダイナミックな展開である。しかも、こうした行動は、組合大会・職場集会などで圧倒的な多数で決定されている。

 職場・産別こえた連帯行動

  第四に、闘いが職場や産別、ナショナルセンターの違いを越えて、デモや集会で連帯し、合流して発展していることである。
  昨年10月のフランスの交通・エネルギー関連労働者のストライキは、特別年金制度改悪に反対する闘いであった。この改悪攻撃は、鉄道・ガス・電気事業に関連する労働者の年金保険料納付期間が、これらの領域の労働が危険な作業であるとして、他の産業部門よりも2年半短くされていることを、「特別扱い」「特権」だとして、サルコジ政権が労働者間に分断を持ち込む攻撃だった。このストライキに教育労働者が合流して、分断攻撃を粉砕した。また、交通・エネルギー関連労働者自身のスローガンに「新規採用者への差別待遇反対」が掲げられている。
  昨年末の闘いは、体制内労働運動のブレーキにもかかわらず今年に受け継がれている。高校生の決起に続いて、教育労働者と公務員労働者30万人がサルコジの公務員削減と反動的教育改革に反対してストライキ・デモに決起、闘いは5月22日の国鉄・パリ交通労働者のストにつながっていく。文字通りのゼネスト状況だ。
  イギリスの闘いでも、今年4月の教育労働者の「21年ぶりのストライキ」に、大学教員労組、自治体労働者が連帯ストを行っている。どこでも労働者のキーワードは「階級的団結」だ。

 体制内労働運動突き破る

  第五に、決定的なのが、どこの国のどのような組合の闘いでも、体制内労働運動、既成指導部との激突なしに労働者のストライキ運動は一歩も進まないということである。
  この間の最大の裏切りは、昨年11月のフランス労働者階級の総決起、すなわち公共企業労働者が職場集会で体制を固め、24時間ストに突入するというゼネスト前夜的な状況のただなかで、主要労組本部が、政労資3者会談を自ら提案し、屈服的妥結を急いだことである。SNCF(フランス国鉄)労組のパリ北支部は、これに対し、「闘いなしの妥結反対」「決定するのはわれわれだ」という決議を上げた。
  今年4月、CGT(フランス労働総同盟)本部の幹部とサルコジ大統領は、「両者間で社会保障の削減で政策的に合意した」とマスコミ(それぞれが、仏ルモンド紙と英ファイナンシァル・タイムズ紙で)で発表した。そしてさらにサルコジは「大統領就任以後、労組幹部と定期的に会談し現在に至っている」とあけすけに公表した。
  昨年のゼネスト情勢の背後で、このような裏切りが進んでいた。ストライキの売り渡し以後、鉄道労働者のCGTからの脱退が続いているという。フランスのフィガロ紙は、「組合本部は、下部労働者にのりこえられた」と書いた。 イギリスでも、ドイツでも、郵便労働者のストライキは、組合本部の中止指令を覆して、山猫ストとして闘われている。
  現在の労働者の厳しい現実を生み出したのは、新自由主義攻撃に屈服し、自らその先兵になって労働者の職場からの闘いを抑えつけてきた体制内労働運動そのものだという怒りが、闘う労働者の共通の認識になってきている。
  ストライキに決起した全世界の労働者は、ストライキに対する攻撃・弾圧が強まれば強まるほど、ストライキが敵階級に与える打撃に手応えを感じ、自分たちの階級的な力に自信を深めてきている。『前進・速報版』に掲載される労働者たちの自己解放感に満ち満ちた表情がそれを示している。
  「どのストライキも、本当の主人は資本家ではなくて、ますます声高く自分の権利を主張している労働者であるということを、そのつど資本家に思いださせる」(レーニン『ストライキについて』)。体制内労働運動との対決、新たな階級的労働運動の再生・復権は、最末期帝国主義の新自由主義攻撃と闘う全世界労働者の共通の不可避の階級的課題である。