COMMUNE 2004/05/01(No338 p48)

ホームページへ週刊『前進』季刊『共産主義者』月刊『コミューン』出版物案内週刊『三里塚』販売書店案内連絡先English

5月号 (2004年5月1日発行)No338号

定価 315円(本体価格300円)


〈特集〉 イラク占領統治は崩壊している

口占領下における戦闘的労働運動の爆発的進展
口イラク社会の階級構成と労働者階級の重要性
□占領の恐るべき実態と激化する民族解放闘争

資料/12・9自衛隊のイラク派兵閣議決定後の記者会見での小泉発言

●翻訳資料 なぜ労働党は鉄道労組を除名したか 

国際労働運動 南朝鮮・韓国/大統領弾劾政局に抗し3・20へ 室田順子

    動労千葉ストライキ

三里塚ドキュメント(2月) 政治・軍事月報(2月)

労働月報(2月)  闘争日誌(1月)

コミューン表紙

  階級的決起の威力

 米英日帝の03年のイラク侵略戦争の開戦から1年、3・20国際反戦大闘争は、全世界の労働者人民の闘いと連帯して、日本でも大規模にかちとられた。日比谷公園では、陸・海・空・港湾労組20団体を中心に6万人の労働者・学生・市民が集まり、大成功をかちとった。われわれはこの3・20闘争を、日帝のイラク派兵戦略の根幹を揺り動かすような、戦略的力関係を大変動させる闘いにするために全力で取り組み、切り開いてきた。それは、昨年11・9の日韓米3国連帯行動から出発し、それを発展させるものとして位置づけられてきた闘いである。それが大きな意味で、国内の闘う諸勢力を動かし、大結集につながっていったのである。日帝・小泉打倒の闘い、「侵略を内乱へ」の闘いを階級的=国際的に全力で切り開いたのである。

 動労千葉は2月の指名スト・非協力闘争の画期的な勝利に続いて、3・12〜14の春闘ストに立ち上がり、247本の運休を出すなど、大きな打撃を日帝権力とJR資本に与えた。動労千葉は春闘ストとして大幅賃上げ要求とともに「反合理化・運転保安確立」を掲げて闘った。重大事故を招く総武緩行線の6分40秒の短縮などに対して「闘いなくして安全なし」の精神で闘ったのだ。さらにカクマルJR東労組の組合員に対して結集を呼びかける組織拡大春闘として闘われた。このストライキは、3・20国際反戦大闘争を階級的・戦闘的に切り開くものとなった。資本攻勢に対する闘いとイラク侵略戦争に対する反対の闘いが一体化して帝国主義権力に突き付けられたのだ。それは労働者の階級的な実力決起の威力の大きさを教えている。

 3月9日、ついに国民保護法案など有事関連7法案と3条約(協定)が閣議決定・国会提出された。米軍行動円滑化法案やACSA改定案は、日米帝の安保をテコとしての対北朝鮮侵略戦争を完全に実行可能にするものである。国民保護法案は、北朝鮮への先制攻撃がブッシュ・ドクトリンに基づいて開始されそれに北朝鮮が反撃してくることに対してどう対応するかを想定したものだ。この法案が出てきたことは、それだけ米日帝の北朝鮮侵略戦争が現実問題として切迫してきたことを示しているのだ。97年新ガイドライン、99年周辺事態法、03年武力攻撃事態法法として、北朝鮮侵略戦争のために進められてきた法整備が、この有事関連法案の成立によってすぐにも発動されるようになるのだ。4〜6月、全力で対決し粉砕しよう。

 1〜3月の派兵阻止闘争、そして3・20大闘争は、ファシスト・カクマル両派に決定的な打撃を与え、その危機を一層促進している。カクマル中央派は、「暗黒の21世紀」論で路線的な展望喪失を自白している。彼らの「派兵阻止闘争」は、すべてアリバイ的なものである。「米CIAの謀略」論を乱発して、〈米英日帝のイラク侵略戦争との対決>という本筋をあいまい化している。JR総連なきカクマルは、危機と分解と衰滅の道をたどるしかない。一方のJR総連は、日帝権力がこれまでのあり方を容認できなくなっている中で、JR労資結託体制にすがりつき「会社と組合を守れ」と叫んで、資本の先兵としての延命を図っている。JR総連とはそもそも民営化攻撃の先兵として出発したのであり、「憲法9条を世界に」などと、あたかも反戦闘争の側に立っているかのようなペテンは、完全に打ち砕かなければならない。 (た)

 

 

翻訳資料

  ●翻訳資料

 なぜ労働党は鉄道労組を除名したか

 04年2月 ボブ・クロウRMT委員長

 村上和幸訳 

 【解説】

 ブレア労働党政権と、民営化・戦争に反対する労組、RMTは、ついに決裂に至った。
 RMTとは、「鉄道・海運・運輸」の頭文字で、この3業種にまたがる組合員数6万7千のイギリス最大の運輸産業労組だ。
 イギリスの労働運動の中でも特に鉄道部門は、RMTを軸にした3労組が戦闘的に闘っている。
 鉄道(地下鉄を含む)では、RMTが全現業職場を組織している。ASLEFが運転職場、TSSAが事務職労組だ。この3組合は、労働党政権による鉄道民営化に反対し、再国有化を求めて共闘している。ASLEFは、昨年の委員長選で右派クーデターがあったが、現場では右派の統制はきかず、RMTのストに、ASLEFの運転士は密接に協力している。
 100万、200万規模の反戦デモを組織しているイギリス戦争阻止連合に、鉄道3労組はともに参加している。ASLEF本部役員であるマーレー氏が、戦争阻止連合の議長だ。RMTは、個人としてではなく、組合として戦争阻止連合の運営委員会に入っている。イギリスのナショナルセンターであるTUCの昨年の定期大会では、RMTが提案したイラク反戦決議が採択された。
 資料の@は、2月7日、ロンドンで行われた「労組左翼大会」でのクロウRMT委員長の演説で、Aは、RMTホームページに掲載された2月12日付けの同委員長の労働党と組合との関係を説明した文章で、いずれも抄訳である。

 @「労組左翼大会」での演説

 ここで発言できることを本当にうれしく思っています。
 あと17分で、RMTは労働党から追放されるだろう。もし、P&Oフェリー社、ジャービス社など、会社の通告書に昼までに回答せよと言ってきたら、私はそういう会社を同じように軽蔑してやる。昨日、労働党のイアン・マッカートニー〔議長〕が、組合の中の「ボブ・クロウら支配集団」には困っていると言ってきた。
 「支配集団」とは何か。支配集団は、毎年の定期大会だ。大会代議員の一人ひとりが、現場の組合員だ。専従役員ではない。一人ひとりが鉄道産業……で働いている。代議員だけが投票権を持っている。選挙されたわけでもない労働党の議長よりも、少々上等なのだ。
 われわれの組合は、よく知られているように1899年にドンカスター支部から提出された労働党を創設する動議を出したという組合だ。それまでは、自由党を支持してきた。保守党と自由党との選択という中で、自由党にわれわれを代表させてきた。当時も、今と同様、労働者をどこが代表すべきかをめぐって議論があった。ある者は、自由党の内部にとどまって、そこで闘うべきだと主張した。他の者は、労働党代議委員会を創設すべきだと主張した。
 この労働党がだ、今、われわれを追放する前に、一度も釈明を許さない。審判請求をさせない。彼らは、われわれがどの規則に違反したのか何も言わない。規則2A項を順守するようにと繰り返すだけだ。だが、2A項は、各人が党の綱領とマニフェストを順守するようにと定めている。
 だから、私は質問した。「授業料上乗せ徴収はマニフェストに書いてあるのか? あんたたちは、それに反対投票をした国会議員を除名するつもりなのか? もし、それはマニフェストに書いてないというなら、授業料上乗せ徴収を導入したブラウン〔蔵相〕とブレアを除名するのか?」と。
 RMTは、鉄道産業の再国有化を求めて運動している。今では、鉄道利用者の誰も民営化を支持していない。われわれは地下鉄を民営化しないように頼んでいるのだ。労働党は、うちの組合員の6000人分の地下鉄を民営化したうえに、さらに今、イーストロンドン線の民営化をやろうとしているじゃないか。
 キングズクロス駅やユーストン駅に行ったら、組合員に民営化のことを説明するのがどんなに難しいかわかる。彼らに、「ここを民営化したのは誰ですか」と聞けば、「ニューレイバー」〔ブレアの下の労働党〕だと答える。「本線を民営化したのは誰」と聞けば、「保守党」だと。それでは、赤いの徽章〔労働党〕が青い徽章〔の保守党〕に代わって民営化したら、何か違いが生まれるのか。どっちにしても、労働者階級に手向かう保守党の政策を遂行しているのだ。
 われわれは、海運産業の破壊をやめさせる運動を行っている。また、反労組諸法の撤廃を要求している。労働党の国会議員は、野党だった時は反労組諸法の立法に反対票を投じながら、圧倒的な多数議席を得たら撤廃を拒否している。こんなことは認められない。
 こういうことが、われわれが運動してきたことだ。われわれの議員団のところに行って、「これがわれわれの政策だ。これを支持するか」と言った。彼らは、支持しないと言った。そして、指図は受けないと言ったのだ。
 結構だ。しかし、われわれも指図は受けない。そこで、ジョン・マクドネルやジェレミー・コービーのような議員と、新しい議員団を作った。ジョン・マクドネルは、もし党がRMTを追放しても、自分はRMTの議員でありつづけると言った。ウェールズ議会選にジョン・マレックが無所属で出て当選したが、われわれは彼を支援した。私は、労働者を踏みにじる労働党議員よりも、むしろ無所属で労働者を代表する人のほうを支持する。
 だから、こんなことは言ってはいけない。「何が起こってもわれわれは労働党を支持する」と。いわば、われわれは一年中、連中をこき下ろしても良いが、7月10日には、労働党に投票しろということだ。またもう一つ、悪い戦争をやるのを支持しろというのか。
 われわれは、労働者がわれわれの支援を求めてきた時は、いつも支援してきた。RMTは、タフ・ベール〔註1〕の闘いをやってきた。1926年のストライキを闘った。1972年、74年の鉱山ストを支援した。
 われわれは、公共部門労働者、看護師、救急労働者を支援してきた。1984年から1985年まで、ひとかけらの石炭も運ばなかった〔註2〕。それでわれわれは解雇者を出した。そして、数千ポンドを炭鉱労働者に拠出した。
 こういうことが、われわれが労組としてやることだ。誰かが、RMTに来て、選挙に出たい、RMTの方針を支持する、社会主義社会を望むと言ったら、なぜ、われわれがそういう人を支持してはいけないのか。執行委員会が承認したら、それでいいではないか。〔RMTの〕スコットランドの7つの支部は、スコットランド社会党(SSP)に加入したいと言ってきた。RMTのスコットランド協議会は、スコットランド全地域がSSPに加入することを投票で、70パーセント対30パーセントで、決定した。
 組合の外部から、この組合が自分の金で何をすべきか、誰を支持すべきかを指示してくれなくても良い。私にそれを指示できる特権を持っているのは、この組合の組合員だけだ。われわれは、労働党に小切手を送った。もし、彼らがそれを現金化しないというなら、銀行に眠ったままでいい。
 われわれは、自分たちの大会の民主的な決定を守って行く。
 【註1 タフ・ベール 歴史的に「犯罪」として扱われてきた労働組合の闘いが、「権利」への転換を勝ち取ってきた過程での画期をなす事件。1901年タフ・ベール鉄道のストに対し、貴族院(最高裁としての機能を持つ)が、民事共謀を適用し、ストが経営者に与えた損害について、組合に多額の賠償金を科した判決を出した。19世紀後半に刑事免責を勝ち取っていた労働組合運動は、これを機に、民事賠償からの免責を求める闘いに入っていった。1906年の労働争議法の制定で民事免責が勝ち取られた。】
 【註2 84−85年、政府の20の炭鉱の閉山計画に反対した、鉱山労働者全国組合(NUM)の労働者のスト。2人の死者、2万人の負傷者、200人の逮捕者、966人のスト処分解雇者をだす、壮絶な激突となった。もっとも戦闘的な組合、NUMへの集中攻撃は、サッチャー政権による労働運動破壊の天王山だった。85年、ストは敗北し、労働運動の右傾化と労働党内でのニューレーバー派=ブレア派の台頭が一挙に進んだ。だが、多くの労組がこのストに連帯して闘ったことが、人頭税反対闘争を爆発させ、90年にサッチャーを退陣に追い込んだ力の基礎になった。特に、鉄道の労組が、スト破りの採掘した石炭の輸送を首をかけて拒否しつづけたことが、現在のイギリス労働運動の階級的団結の核になっている】
…………………………………………………………………………………

 A組合の労働党との関係について

 100年以上前の労働党創設を助けたRMTが、除名された。この除名のやり方の破廉恥な急ぎぶりは、党を支配する一派の考え方をよく示している。われわれが対話を行うために最善の努力をしたにもかかわらず、聴取も、まともな議論もなかった。
 この党の決定は、この労組の空気をまったく過小評価している。党との関係が緊張しだしたのは昨日今日のことと思っているらしい。01年のRMT定期大会は、ニューレイバーが方針を変えないかぎり、組合は財政的にも政治的にも支持できないという動議を可決した。
 その時から、あらゆる部門の組合員を攻撃し、民営化している政府の党にRMTが巨額の金を与えることを正当化するのは、非常に難しくなってきていたのだ。
 ロンドンでは、地下鉄労働者が、民間部門にされてしまうことに怒りまくっていた。RMTの海運部門は、人種関係法第9条――船主が肌の色の違う者には別の賃金を払うことを許容する抜け穴――の廃止という約束を党が実行するかを見守っていた。
 政府は、鉄道の悲惨な状態をどうにかするにも金がないと言いつつ、不法なイラクへの攻撃には何十億も使っている。
 こんな嫌な事態の中でも、RMTの03年の定期大会は、規約の政党所属についての変更で合意することは非常に難しかった。しかし、この定期大会は、ローカルのレベルで、他の形での代表を持つ〔他党の議員を持つ〕権利を要求したのだ。
 労働党は、この権利に反対し、先週金曜の〔RMT〕臨時会議は、それに屈することを拒否した。臨時会議の42対8という圧倒的な票差の議決は、広範な組合員の感覚を明確に示している。
 労働党政権への疎外感は、左翼組織の人というより、もっと広範な、かつては労働党に忠実だった人々が抱いているのだ。そうした党派が乗っ取るなどと考える人は、とんでもない思い違いをしている。
 労働党への加盟は、まだRMTの規約に記載されている。これは、今後ともRMTの方針だ、RMTは、党の100年の歴史の中に編み込まれており、党本部の一片の書簡では変えられない。
 RMTは、今も党が変革され、伝統的なルーツに立ち戻ることを望んでいる。しかし、この困難性は、巨大だ。今後ともRMTは、進歩的な政策を、広範な労組、労働運動の中で進めていく。活動家、労働党議員、党にとどまっている組合と建設的に協力する。
 そしてまた、われわれの政策を推進しうるすべての進歩的諸組織と協力していく。われわれは、片隅の少数派の運動になろうとは思わない。組合員は、適切な代表を求めている。