COMMUNE 2004/03/01(No336 p48)

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3月号 (2004年3月1日発行)No336号

定価 315円(本体価格300円)


〈特集〉 アメリカ労働運動の歴史(下)

口負担増・支給減を毎年激化させる04年金改悪
□破産した帝国主義から労働者の生存権を守れ
口人民に責任を転嫁する少子高齢化論のペテン
口血と汗で獲得してきた日本の年金制度の歴史

●資料 04年・年金改悪厚生労働省案
●資料 04年年金改悪与党合意
●資料 04年税制改悪与党合意

国際労働運動 南朝鮮・韓国/イラク派兵、FTA、労働弾圧に反撃 室田順子
イギリス/大規模山猫ストにたった労働者 丹沢望

    三里塚団結旗開き

三里塚ドキュメント(11-120月) 政治・軍事月報(11-12月)

労働月報(11-12月)  闘争日誌(10月)

コミューン表紙

  新指導路線の下に

 小泉は、1月1日に靖国神社参拝をすることによって、イラク派兵に向かっての決意表明を行った。これは、朝鮮や中国が政府を含め国を挙げて反対と抗議を集中することをわかった上で(過去3回も抗議されて居直ってきた)、それに意識的に逆らう形で行ったものだ。これまでの靖国参拝と違って、今回は自衛隊の本格派兵を前に、「殺し殺される軍隊」への転換を、「死んだら靖国に祭る」という意志を表明することで貫徹しようとしているのだ。派兵される兵士に「立派に死んでこい、死んだら靖国に祭って英霊になる」という靖国精神をたたき込むために、あえてこの時期を選んで参拝を強行したのである。そこに日帝・小泉のなみなみならぬ意志を読み取ると同時に、それ以外に方途のない敵のもろさをも見抜くことが必要だ。

 自衛隊派兵は、12月の先遣隊派兵に続いて、1月陸上自衛隊の先遣隊、航空自衛隊の本隊の派兵へと続き、2月から3月には陸自本隊の派兵が強行されようとしている。小泉は、12・9派兵基本計画閣議決定に際して「戦争に行くのではない」「人道復興援助のために行くのだ」と繰り返したが、自衛隊が行く所がまさに戦場そのものであることは、誰がみても明白だ。まさに、今日の情勢は、戦後史の一大転換点である。日帝が泥沼の侵略戦争の当事者となり、さらにその対象を広げ、帝国主義の侵略戦争――世界戦争へとのめり込んでいく出発点になるのだ。派兵阻止の人民の怒りと危機感が年末から年始にかけて爆発を開始している。3・20国際反戦闘争の空前の大爆発をかちとることに一切の力を集中させよう。

 今年の1・1革共同政治局アピールは、昨年の11・9労働者集会の成功を踏まえ、革共同の〈新指導路線>を鮮明に打ち出している。それは「日本の戦闘的階級的労働運動の本格的再生をめざして党を変革し、労働組合運動の推進・発展と労働者細胞建設を党活動の中心に据えること」である。そして、日帝の「外への侵略戦争との闘い」と「内への階級戦争との闘い」をひとつのものとして一体的に闘うことが提起されている。今、イラクに対して、さらには北朝鮮に対して侵略戦争に突入しつつある日帝は、同時に、国内的には人民を食わせていくことができなくなり、一切の犠牲を労働者人民に押しつけるに至っている。まさに帝国主義を打倒しなければ、労働者階級は生きていけなくなっていることをはっきりさせなければならない。

 イラク侵略戦争に対する怒りと危機感、資本攻勢に対する怒り、労働者人民の中にある広範かつ鋭い階級的怒りを掘り起こし、大結集して、巨大な闘いをつくりだすこと、その中から強力な労働者党をつくりだすことが、待ったなしに求められている。プロレタリア革命の綱領と路線を持った党派はわれわれだけである。日本共産党をみよ。彼らは1月に行われた23回大会をもって、労働者の階級的な闘いと永遠に手を切った。帝国主義が体制的危機を深め、侵略戦争と資本攻勢によってのりきるしかなく、その歴史的生命力を完全に失っている時、日本共産党はそれを革命に転化する好機ととらえるのではなく、資本主義の再生に向かって協力することを誓う、労働者の敵の側に階級移行したのである。今こそ、社民党、日本共産党に代わる闘う労働者党の建設へ、すべての闘う労働者が革共同とともに闘う時である。(た)

 

 

翻訳資料

  資料

 04年年金改悪厚生労働省案(概要)

 「持続可能な安心できる年金制度の構築に向けて(厚生労働省案)」の概要

 《改正の背景》

【平成12年改正で残された課題】
○基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げ
○厚生年金、国民年金の保険料引上げの凍結解除
○女性と年金に関わる課題
【平成12年改正以降の社会経済の変化】
○少子高齢化の一層の進行(平成14年新人口推計)
 ・現行の給付水準を維持した場合、最終的な保険料水準は、
  厚生年金;現行の13・58%から22・8%(国庫負担2分の1。3分の1の場合は26%に上昇
  国民年金;現行の13300円から20000円(国庫負担2分の1。3分の1の場合は28900円。いずれも平成16年度価格)に上昇
○女性の社会進出、就業形態の多様化等、個人の生き方、働き方の多様化に柔軟に対応できることが更に要請

 《改正の基本的考え方》

1 社会経済と調和した持続可能な制度の構築と制度に対する信頼の確保
〜現役世代の負担への配慮と公的年金にふさわしい水準の確保〜2 多様な生き方、働き方に対応し、より多くの者が能力を発揮できる社会につながる制度

 《改正の具体的内容》

1 社会経済と調和した持続可能な制度の構築と制度に対する信頼の確保
〜現役世代の負担への配慮と公的年金にふさわしい水準の確保〜

◆給付と負担の見直し
《現行》
○5年ごとの財政再計算の際に、給付と負担を見直し 
○永久均衡方式   
(負担)                          
・厚生年金 年収の13・58%(平成8年〜)       
・国民年金 13300円(平成10年〜)
(給付)                         
・現役世代の平均的な手取り年収の約6割(標準的な厚生年金(基礎年金を含む))  
○新規裁定者090:1人当たり賃金伸び率−スライド調整率で改定
○既裁定者090:物価上昇率−スライド調整率で改定
(給付と負担の見直しに当たっての基本的課題)
○基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げ
○厚生年金、国民年金の保険料引上げの凍結解除
《厚生労働省案》
○保険料水準固定方式と給付の自動調整の採用   
○有限均衡方式の導入
(負担) 最終的な保険料水準は、     
・厚生年金 20%に固定   
・国民年金 17,000円台(平成16年度価格)に固定
(給付)            
・社会全体の保険料負担能力の伸びに見合うよう年金改定率(スライド率)を調整
 ※調整は名目額を下限とし、名目額は維持
○新規裁定者090:一人当たり賃金伸び率(マイナス)スライド調整率で改定
○既裁定者090:物価上昇率(マイナス)スライド調整率で改定
スライド調整率         
公的年金被保険者数の減少率+平均余命の延びを勘案した一定率(0・3%)
(2025年度までは平均0・9%)
○高齢期の基本的な部分を支えるものとして、給付水準は50%を下限とし、50%から50%台半ばを確保   厚生年金の最終保険料率20%に固定            
 基準ケースで所得代替率54・7%[2013年以降]
2 .多様な生き方、働き方に対応し、より多くの者が能力を発揮できる社会につながる制度

◆在職老齢年金制度の見直し等(高齢者の就業と年金)
《現行》
○60歳台前半の在職者は、一律に年金の2割を支給停止
○65歳から69歳までの在職者は、
@ 被保険者として保険料を負担(退職時に年金額は改定)
A賃金と厚生年金の合計額が高い場合は厚生年金の
全部又は一部を支給停止
○支給開始年齢は、男性は2025 年まで、女性は2030年までの段階的な引上げが開始したばかり
《厚生労働省案》
○60歳台前半の在職者の年金の一律2割の支給停止の廃止
○70歳以降の在職者も、65歳から69歳までの在職者と同様の取扱とする
○65歳以降の老齢厚生年金の繰下げ制度を導入
(支給停止の効果は継続)
○さらに支給開始年齢を引き上げることは、今回改正では行わない

◆短時間労働者への厚生年金の適用拡大
《現行》
○厚生年金の適用基準は、労働時間及び労働日数が「通常の労働者の概ね4分の3以上」
○厚生年金の標準報酬の下限は98000円
《厚生労働省案》
○週所定労働時間20時間以上の者を基本に適用
適用に当たっては、産業・企業に与える影響等を踏ま えて、経過措置など配慮
○標準報酬の下限を引き下げて適用。被扶養配偶者の給付は行わない

◆次世代育成支援の拡充
《現行》
○厚生年金被保険者について、育児休業中(1歳まで)の保険料を免除(労使分ともに)。給付算定上、育児休業取得前の標準報酬で保険料納付されたものとする取扱い
《厚生労働省案》
○子が3歳に達するまでの間、
@ 現行の育児休業中の保険料免除措置の拡充
A 勤務時間短縮等により標準報酬が低下した場合の年金額計算上の配慮措置(従前の標準報酬を適用)

◆女性と年金
《現行》
○第3号被保険者制度により、第2号被保険者に扶養される配偶者(主に妻)の基礎年金は個人単位とされたが、報酬比例の給付は第2号被保険者(主に夫)名義
○夫婦双方の年金受給額には開きがあり、離婚した女性の高齢期の所得水準が低くなる問題
○現行の遺族年金制度は、
@自分自身の保険料納付に基づく給付の全部又は一部が受けられなくなるとの指摘
A子のいない若齢期の遺族配偶者である女性は、遺族厚生年金を生涯受給可能
《厚生労働省案》
○個人単位での給付と負担の関係に向けた見直しとなる年金分割制度を導入
離婚時の厚生年金の分割(保険料納付記録の分割)の仕組みを設ける
○遺族年金の見直し
@自らの老齢厚生年金を全額受給した上で、現行水準との差額を遺族年金として支給
A子のいない若齢遺族配偶者への給付の有期化

◆障害年金の改善
《現行》
○障害基礎年金と老齢厚生年金の併給はできず、障害を有しながら就労し保険料を納付したことが年金給付に結びつく仕組み
《厚生労働省案》
○障害基礎年金と老齢厚生年金の併給を可能する(障害を有しながら就労したことを年金制度上評価する仕組みとする)
3、それ以外の事項
○年金課税の見直し 世代間・世代内の公平を考慮して見直し
○国民年金保険料の徴収対策の強化
・所得水準に応じた多段階免除制度の導入
・単身世帯を中心とした免除基準の見直し
・失業中などの若年者について、世帯主の所得にかかわらず保険料納付を猶予する仕組みの創設等
○年金制度の理解を深めるための取組↓年金個人情報の定期的な通知、点数化して表示
○第3号被保険者の特例届出の実施↓過去の未届期間の救済
○年金積立金の運用の在り方の見直し↓年金積立金運用の新たな仕組み等
○企業年金の安定化と充実
・厚生年金基金の免除保険料率の凍結解除、厚生年金基金解散時の特例措置
・確定給付企業年金制度等の給付建て制度のポータビリティの確保・確定拠出年金拠出限度額引き上げ等
[企業型(他の企業年金がない場合)3・6万円↓6・6万円への引き上げ等の税制改正要望]
○福祉施設の見直し 閣議決定等を踏まえた福祉施設の見直し