COMMUNE 2003/11/01(No333 p48)

ホームページへ週刊『前進』季刊『共産主義者』月刊『コミューン』出版物案内週刊『三里塚』販売書店案内連絡先English

11月号 (2003年11月1日発行)No333号

定価 315円(本体価格300円)


〈特集〉 アメリカ労働運動の歴史(上)

口創成期から8時間労働制獲得したメーデーへ
口戦争と大恐慌の時代をストライキで切り開く

●討議資料 自治労21世紀宣言(案)
●翻訳資料1 英TUCの戦闘的転換
●翻訳資料2 米兵士と家族の手紙

国際労働運動 南朝鮮・韓国/盧武鉉政権との総力闘争へ 室田 順子
国際労働運動 アメリカ/大学病院で不当労働行為を粉砕 平岡 保

    国労、闘争団処分を強行

三里塚ドキュメント(8月) 政治・軍事月報(8月)

労働月報(8月)  闘争日誌(7月)

コミューン表紙

 社告

 日帝は、外への侵略戦争、内への階級戦争の動きを強めています。イラク侵略戦争の泥沼化、北朝鮮侵略戦争情勢の緊迫と一大資本攻勢の激化は一つの事柄の二つの側面です。労働者は生きるためには資本と闘い、そして帝国主義の侵略戦争と闘い、帝国主義を打倒する以外にいかなる道もありません。その闘いの主力は労働者階級です。そうした時代を闘うための誌面づくりに全力をあげるつもりです。
 こうした認識に立って、本誌は、今後、労働運動について多くの誌面を割いていきます。  特集は、資本攻勢とそれとの闘い、春闘や諸産別の闘いと課題を真正面から取り上げ、職場の討議資料となるように努めるつもりです。
 「ニューズ&レビュー」のコーナーは9月号より、「国際労働運動」と改め、南朝鮮・韓国の労働運動をはじめ世界の労働運動をどんどん紹介していきます。
 翻訳資料は、米帝の動きを掲載するとともに、労働運動に関連するものを積極的に取り上げていきます。
 日誌は9月号より改革しました。「政治・社会」欄を改め、「政治・軍事月報」欄としました。「経済」「国際」欄を改め、「労働月報」欄としました。今後とも、本誌を活用されるようお願いします。


  国際的団結の前進

 8月の自治労大会で画期的な勝利がかちとられた。階級的労働運動を完全に否定する新しい自治労綱領である「21世紀宣言」が、激しい批判と弾劾の中で、採択に必要な3分の2を得ることができず、否決されたことである。連合の中の最大産別である100万自治労で、日本経団連・奥田ビジョンを労働運動に持ち込もうとするこの宣言に対して、反対の闘いが爆発したことは決定的に重要である。一方、9月13、14日の国労大会では激しい攻防の中で、闘争団員22人に「組合員権3年の権利停止」の処分が強行された。その上、5・27臨大闘争弾圧の張本人である東京地本・酒田が新委員長になるという極悪の反動執行部が生まれた。同時に、国労を解体するこの反動に対して、国労の革命的再生に向けた闘いが一歩を踏み出した。

 11月労働者集会は、こうした階級的攻防の最先端の闘いを始め、全国の闘う労働者人民の力で、倒産・解雇・賃下げ・不安定雇用化と労働法制・社会保障制度の解体攻撃を打ち破る総決起の場である。また、有事法制の完成・発動を阻み、自衛隊イラク派兵と北朝鮮侵略戦争を阻止する大衆的な決起の場でもある。この闘いは、動労千葉の闘いに学び、動労千葉の闘いに続いて、戦闘的労働運動を復権させていく闘いである。しかもそれは、アメリカや韓国の戦闘的労働運動と結合を開始した、国際主義の旗を掲げた闘いである。全世界で帝国主義の侵略戦争と民営化攻撃に対する闘いが巻き起こっている。ひとつの軍勢として帝国主義と対決する国際労働者階級の闘いのネットワークを形成していくことは決定的に重要なことである。

 9・20自民党総裁選で小泉が圧勝し、第2次小泉改造内閣が登場した。小泉は北朝鮮侵略戦争の最強硬派である安倍晋三を自民党幹事長に抜擢し、「拉致議連」を始め極右の札付きの連中を次々と入閣させた。法相には改憲推進派を、文科相には教育基本法改悪推進派を、とまさに小泉独裁政権というのがふさわしい人事だ。ここに、米帝と共同・競合してイラク派兵、北朝鮮侵略戦争に突進する日帝・小泉の危機性と凶暴性が示されている。小泉は臨時国会で対テロ特措法の2年延長を強行し、10月10日衆院解散、11月9日総選挙に向かっている。これに対する労働者階級人民の回答は、イラク派兵阻止の反戦闘争を爆発させるとともに、一切を11月労働者集会の大爆発に向かって集約していくことだ。ここで必ず勝利しよう。

 こうした中で自民党総裁選過程の、亀井静香の応援演説で発せられた石原の右翼テロ賛美の暴言は、明らかに北朝鮮侵略戦争をあおるものであり、重大である。外務省官僚を個人攻撃することで、石原が叫んでいることは、要するに北朝鮮に経済制裁せよ、戦争も辞さずにやれという扇動である。石原はこれほどの排外主義テロを扇動しても、都知事選で300万票を集めた自分の支持は揺るがないと思っているのだ。それは戦慄すべきことだ。関東大震災で政府権力の排外主義デマによって6000人余の朝鮮人・中国人を虐殺した歴史をもつ日本人民として、本当に真剣に対決しなかったら、同じことの繰り返しを許すことを今の事態は示している。日帝・小泉政権は、こうした排外主義を北朝鮮侵略戦争の体制づくりに最大限利用しているのだ。小泉政権打倒の闘いとして怒りを爆発させていくことが求められている。(た)

 

 

翻訳資料

 翻訳資料-1

 ●翻訳資料1

 英TUCの戦闘的転換

 村上和幸訳

■解説】

 今年2月のロンドン200万人のイラク反戦デモは、最大労組Unison(自治体労働者)を始め、CWU(通信・郵便)、RMT(鉄道・陸海運輸)、ASLEF(鉄道)など多くの組合が組織動員で参加した。だが、イギリスのナショナルセンターTUC(労働組合会議)は、労働貴族の伝統が根強く、ぎりぎりになってやっと戦争反対の声明は出したものの、現実には動かなかった。
 そのTUCでついに力関係が激変した。この春・夏に行われた各単組の大会や執行部選挙の結果、TUC大会の代議員に戦闘的潮流が大幅に進出し、9月8日から行われた大会の討論は、ブレア政権反対で完全に覆い尽くされた。伝統的な指導部も、これまでと態度を変えなければ、自分が生き残れなくなっている。
 Unisonが提案した第36号決議=公共サービスに関する決議がPCS(国家公務員主体の労組)などによる若干の修正を経て圧倒的に採択された。これは、ブレア政権の中心的な政策である民間委託・民営化とGATS(サービスの貿易に関する一般協定)への対決を強化するというものだ。
 そしてRMTが提案した第80号決議がさらに圧倒的に採択された。イラク戦争の不正義性、多国籍企業の暴利、英国内での人種差別主義・民族排外主義などを弾劾し、イラクの支配をイラク人民に返して連合軍の撤退を呼びかけ、この大会が世界の先頭に立って闘うという決議だ。
 「サッチャー、レーガン、中曽根」と並び称されるあの労働者階級への大攻撃路線を覆す反転攻勢が、その本家本元イギリスでついにナショナルセンターのレベルで開始されたのだ。
 以下は、イギリスの日曜紙『オブザーバー』に掲載されたTUC大会の記事である。商業紙だから極力抑えた報道をしており、RMT、PCS、Unisonなどのブレア政権の中心的政策を攻撃した発言を除外している。それでもTUCの空気が一変したことは読み取れると思う。

………………………………………

 階級戦争

 『オブザーバー』03年9月14日

 イギリスの新たに強硬になった労組と財界との再接近を期待していた向きは、それを忘れたほうが良いであろう。
 最近選出された中核的な労組指導者と政府の関係は、〔財務大臣〕ゴードン・ブラウンの演説で、さらに見通しがなくなってきた。穏健な旧体制のもとで経営側と労組側を結びつけてきた産別的なパートナーの軌道から、両者はさらに離れていっている。
 ケビン・カランGMB〔英国一般労組〕委員長〔「総書記」だが、日本の委員長に相当〕は、演説の初めにまず怒りに満ちたトーンで、規制と熟練不足のために海外に移転すると脅す経営者を「不満屋」とこき下ろした。
 「政府と財界は労組がはるかに強硬になってきていることを認識しはじめている」「われわれは、150年間続いてきた力だ。われわれは説教されるのではない。われわれのほうが、説教してやるのだ」
 TGWU(交通・一般労組)のトニー・ウッドリ委員長は、イギリス産業連盟〔日本経団連に相当〕のディグニー・ジョーンズ会長を「『古き悪しき時代』の労資紛争を労組のせいにしている」のは「都合の悪いことは忘れるものだ」と非難した。ウッドリィーは、公正雇用保護法規についての彼のかかわりを問題にした。技術者の組合であるAMICUSのデレク・シンプソン〔委員長〕は、「ディグニー・ジョンソンは、組合は過去のものだと言う。しかし彼こそ、1970年代に属している」と述べた。
 大会で討議された中心的な諸問題――雇用保護、年金、情報と協議、反労組的諸法規の撤回――においては労組と財界のギャップはさらに広がった。
 財界は対立を回避しては来なかった。ジョーンズは、協力を呼びかけることも、近代的な労組を賞賛することも出来たはずだった。しかし彼は、非妥協的にカランの非難に反論した。彼は、規制削減の必要性を強調し、労働力の「柔軟性欠如」と失業の「因果関係」を主張した。
 産業連盟は、まさにTUC大会代議員に誤解の余地のないメッセージとして、この機会に発言したと考えている。産業連盟副会長のジョン・クリドランドは、
 「財界の主張は変わっていない。大きく変わったのは労組側だ」
と言っている。
 シンプソンは、
 「ディグニー・ジョーンズは、パートナーシップを語っていて、それには反対しにくいかもしれない。しかし、産業連盟のメンバーはその約束を果たさないのだ。彼は、山猫ストを問題にし、われわれにそれを統制することを求めている。だが、彼のメンバーはまったく統制しないようだ」
と述べた。シンプソンは、柔軟性の真の意味は、イギリスで雇用と解雇を簡単にできるようにすることだという。「ディグニー・ジョーンズが、財界への規制が多すぎる、税金が高すぎると言うが、真実は正反対だ」。
 ウッドリも同様だ。
 「政府は、自分たちを権力につけるために長い時間を費やしてくれた人びとの声を聞くべきだ。しかし彼らは、16年も彼らを権力から遠ざけてきた大企業の声ばかり聞いている」
と述べた。そして8週間のストライキの後で解雇できる°8週間ルール″を廃止すべきだと主張した。彼は、自動車部品メーカー、フリクション・ダイナミクス社の例をあげた。そこでは、米国のオーナーが8週間ルールを使って労働者を解雇した。それから雇用裁判所を通じた異議申立が認められたことに対して、会社を破産管財人に引渡し、そして名称を変え、破産管財人が元の経営者に売り渡した。
 「この種のことを止めさせるためには、雇用法の変更のために圧力をかける必要がある。われわれはここを攻撃すべきた」
 おそらくウッドリは、多くの労組リーダーの中で、企業がどうやって生きていくかについてもっとも理解があるだろう。彼は、自動車産業での交渉を通じて、特にローバー危機をめぐる交渉で理解してきた。それでも産業連盟は、年金問題、8時間ルールや二次争議〔支援行動、連帯ストなど〕禁止などの保守党による立法の撤回問題で労組の要求を受け入れようとはしない。
 ウッドリと彼の仲間は、財界と同じことに関心をもっている。パートナーシップなどだ。だが、それらについての定義は、財界とは違っている。その違い方は、彼ら以前の労働組合運動のトップの違い方よりはるかに画然と大きくなっている。また彼らは、道を開くために、さらに強硬な戦術を主張している。問題は、この新たに見出された団結がもつかどうかだ。もつとすれば、今後、財界との対立がいっそう大きくなりそうだ。

 

翻訳資料

 翻訳資料-2

 米軍兵士と家族の手紙

 村上和幸訳 

【解説】

 「部隊を引き戻せ」、これが現在のアメリカ反戦運動の中心スローガンになった。
 もともと米軍兵士は、「制服を着た労働者」であり、帝国主義支配階級とは相いれない階級的利害をもっている。兵士は、世界の人民の虐殺を担わされるとともに、自分自身が使い捨てにされ続けてきた。現在アメリカのホームレスの3分の1は退役兵士だ。ベトナム戦争兵士の枯葉剤後遺症、91年湾岸戦争兵士の劣化ウラン後遺症などは深刻だ。
 したがってアメリカには、多数の退役兵士や家族がさまざまな団体を作り、後遺症の治療や生活保障を求めるとともに、反戦運動にも積極的に参加している。こうした反戦、反政府、反体制的な元兵士の分厚い層の存在を基礎にして、現在の反戦兵士への支援活動が活発に行われている。
 たとえば、MFSO(「軍人家族は声をあげる」)も、そうした元兵士や労働者の反戦運動に支えられて兵士の家族たちが作った団体だ。多数の家族たちが、部隊をイラクから引き戻すために活動をしている。さまざまな家族の生の声を兵営に届けることを通じて、兵士の間での反戦意識の高まりを作り出している。また、労働者階級全体の反戦運動の一つの核にもなっている。
 SNAFU(「軍隊組合支援ネットワーク」)という団体は、従来からあった良心的兵役拒否者の支援だけではなく、軍隊内での反戦組織作りに重点を置いた活動を展開している。兵士を部隊ごと大規模に獲得するたたかいは、帝国主義を打倒するプロレタリアにとって不可欠の構成要素だ。
 ここに掲載する翻訳資料は、MFSOとSNAFUが公表している手紙だ。そのうち在イラク米軍兵士たちのものは、部隊全体が、ブッシュ政権と軍指導部に対する怒りを表明している。しかも第3歩兵師団第2旅団と公然と名のってそれを表明している。
 イラク侵略戦争、占領の泥沼化の中で、このような事態が大量に発生している。部隊の中で、政府と軍指導部への不信と怒りが渦巻いている。これがアメリカ帝国主義の戦争政策の決定的な弱点になっている。
 たしかに、この手紙では、イラク侵略戦争そのものの不正義性についての自覚はまだ表明されていない。しかし、ねばり強い働きかけをすれば、こうした部隊は必ずその自覚を獲得していく。反戦、反軍活動が実を結ぶ広範な基盤があるのだ。
 日本の自衛隊は、本格的な戦争の経験がなく、イラク派兵の前から重大な危機に陥ることは確実だ。大胆に働きかけ、反戦、帝国主義打倒の隊列に兵士を獲得しよう。

 米軍兵士と家族の手紙

第3歩兵師団第2旅団の兵士たちより〔SNAFUより〕
 英雄というと、あこがれの対象だと思われています。しかし、われわれは誰も英雄等の名で呼んでくれと頼んだことはありません。これまで9カ月間、われわれは厳しい生活をしてきました。戦争開始前に6カ月間近くも訓練し、3月20日にイラクに入った最初の米軍部隊となり、そして事実上戦争を終わらせた4月7日、8日のバグダッドへの攻撃強行をまかされました。われわれは、忘れられ裏切られた第3歩兵師団第2旅団の兵士です。当旅団は、別名「センド・ミー旅団」と言われています。われわれの任務部隊のモットーは「やれる」で、長い間このモットーを守ってきたのです。当部隊は、7月にアル・ファルージャに入り、今もそこに駐留しています。
 われわれは皆、与えられた任務を完遂してきました。期限どおりの帰還を不可能にするような任務も遂行してきました。時々入手する新聞にはみな、他の部隊が帰還していると書いています。われわれが次の任務を命じられている時でもです。また、われわれの地元の新聞にこの部隊の司令官(バッフォード・ブラント少将)が投書したことも読みました。彼の言葉を読むたびに、絶望が深くなります。故郷の人のほとんどが、ここの状況についての彼のウソを信じていると思うからです。
 われわれの士気は高くない、というより低いというべきでしょう。士気は、存在しません。われわれは故郷に帰れると2回聞かされました。そして2回、イラクに留まるように移動停止命令を受けました。基礎訓練の時に兵士に対してお説教された、あの陸軍の名誉と正直はどこに行ったのでしょうか。前線に近ければ近いほど、兵士に対する扱いは悪くなります。われわれは全員、例外なく下痢しています。前線では、1カ月以上も新鮮な野菜を食べていないからです。こういう時に、ブラント少将と取りまき連中は、バグダッド国際空港(われわれが奪取した)でバーガーキングにありついています。第3歩兵師団の兵士は裏切られ、忘れられたと感じています。多くの戦友が、この国の解放を助けるために倒れました。われわれは皆犠牲を払っていますが、その代償は何でしょうか。家畜のように扱われることです。戦闘の間中われわれと行動を共にした報道関係者のほうが、軍の指令系統よりもよほどわれわれを支えてくれた。
 われわれの部隊、装備は消耗しきっています。われわれの多くは本当に恐ろしい経験をし、メンタルヘルスの専門家に、この環境から出ることが必要だといわれました。しかし、ブラント少将とサンチェス中将(第5軍団司令官)は、こうした仲間を前線から引き上げようともせず、副官たちがウソを上申するにまかせ、そのウソを世界中に広げています。
 この手紙の最後に言いたいことは、われわれはあなたの助けを本当に求めているということです。この手紙をあなたの地域の議員や地域のメディアに送り、第3歩兵師団第2旅団が故郷に帰れるように頼んで下さい。兵隊の一人ひとりは、そのあたりの野良犬のようにではなくて、英雄として扱われるべきです。兵隊たちは、家族に再会し、故郷に帰れるのが当然なのです。読んでくれてありがとうございます。

湾岸戦争退役兵のイラク戦争反対の手紙〔MFSOより〕

MFSO様
 私は第一湾岸戦争の兵士でした。1994年に米陸軍を退役しました。今、私の甥が、陸軍に勤務し、バグダッド近くのどこかにいます。私は、絶対にこの占領に反対です。ジョージ・ブッシュはウソをついてわれわれを戦争に導いていったのです。私はまた、占領の継続がブッシュを大統領に就任させたスポンサー企業に借りを返すためだけのために必要なのだと信じています。また、これは階級戦争に非常に近いものだと思います。金持ちと力ある者は、遠く離れた国で自分の子どもたちが死ぬことを心配する必要がもうなくなっています。全員が志願兵というシステムは、低所得と中所得の家族から若者を吸いとっています。こういう若者たちは、自分たちの生活をもっと良くしようと願っていますから。だから、ジョージ・ブッシュが死地に送り出したこの若い男女は、ブッシュや彼のエリート仲間からはるかにかけ離れているのです。これは、彼自身の身近な損失ではありません。彼とその政権が「受け入れられる損害」という言葉で言っていることをわれわれ皆が考えてみるべきでしょう。
 私が貴組織とともに何をする必要があるか教えて下さい。
 R・スミス
 米国陸軍一等軍曹(退役)
 英語教師
 横須賀、日本
イラクに送られた州兵の手紙
 次の手紙は、MFSOを支援する活動をしているある教授が受け取ったものである。「これは、今日、私の元の学生から受け取った手紙です。彼はイラクで州兵部隊に勤務しています。明らかに彼は大急ぎでこの手紙を書いたようです……」 〔MFSOの前書き〕
 こんにちは、いかがですか。私は、この状況から想像されるよりは、かなり元気です。ここでのことについて私が感じていることは、非常に単純です。つまり、われわれはここにいるべきではないということです。こういうふうに私が感じるわけは、われわれは、戦争を戦う理由というよりも、政治的な理由から戦っているということです。正規軍〔州兵ではなく、米陸海空軍・海兵隊のこと〕のリーダーたちが、唯一気にしていることは、制服の見てくれ〔階級章と勲章〕です。私の部隊がキャンプペンシルベニアに戻った時、第一機甲師団は1つの星を持ち帰りました。「誰がより大きな****を持っているか」ということで、他の上級リーダーと制服の見てくれを……。
 この部隊は、ゲートからほとんど毎日、車列をイラクに送り出しています。彼の兵隊たちは襲撃され、それを切り抜けることもできないのです。私にとって、あれはリーダーではありません。利己的な人間、自分のことしか気にしない人間です。……

 兵士の母親の手紙

ドナ・ウィリアムソンの子息ザックは、イラクで勤務している。彼女は、政府のウソと操作について、そして軍人家族が集まって声をあげることの重要性について書いている〔MFSO〕
 こんにちは。
 私の息子はイラクにいて、われわれはあなた方の尽力に感謝しています。ザックは、みなにたいへん愛されている息子であり、夫であり、父親です。彼はこの戦争に非常に反対しています。われわれは、この政府のウソと操作に怒っています。全部、表に出ているものの反対です。新たなトリックが毎日暴露されているようです。そして「大統領」の厚かましさ。彼は、「かかってこい」と言っています。彼と彼の愛する者たちが安全な所にいるのに。この「大統領」に対しては上品な言葉など言っていられません! 誰が、彼がウソをついていると考えているのか。何が、ここでの真の問題なのか。私の1人息子は向こうにいます。そして彼は、このウソつき政権の代表たちに対する敵意に応えるべきです。息子はこの国を愛しているし、喜んで仕えます。しかしこの戦争についてはそうではありません。彼は恥じています。われわれ全員が、この戦争に入っていったやり方に恥じるべきです。命は毎日、危険にさらされています。あらゆる所が危険です。そして、この政権は今、軍人の危険手当のカットについて語っています。軍人は、あらゆる瞬間に生命をかけているのに。
 ザックは、もともとは、この9月の初めにはこの海外勤務を終えるはずでした。しかし今は、彼の配備の終了は決まっていません。士気は低く、心配は高まっています。
 私は、他の軍人家族が戦争に反対して声をあげているのを知って勇気づけられました。政府と報道が、反対者を非愛国者だと印象づけようとしているからです。われわれの子どもは、犠牲にされています。われわれはアメリカ人としての権利を持っているだけではなく、市民の義務として不法で悪い戦争に反対する声を上げる義務があります。
 あなたがたの尽力に感謝します。