COMMUNE 1999/12/01(No.290 p48)

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12月号 (1999年12月1日発行)No290号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉  自自公3党合意の反動性



●政治資料 連合の政治方針

 

    10・10三里塚総決起集会

三里塚ドキュメント(9月) 内外情勢(9月)日誌(8月)

羅針盤 超反動の連立政権

  自自公連立政権が10月5日成立した。連立政権合意書は、経済、社会保障、安保、政治行政改革、教育改革などすべての分野にわたって反人民的な政策合意を取り決めたとんでもない内容である。安保の問題では、PKF本体業務参加凍結解除を始め、有事立法への踏み込み、領域警備の法整備など、5月の新ガイドライン法成立を踏まえた全面的な侵略戦争体制づくりに踏み込んでいる。明白に有事立法と改憲の道への踏み出しだ。さらに日帝の大資本救済のための赤字国債の際限のない発行と、労働者に対するリストラ、賃下げ、福祉切り捨ての攻撃、また、教育改革を掲げて教育の目的を「国家社会に有為な人材の育成」に変更している。これこそ戦争のできる国民を作り出そうとするものだ。恐るべき超反動政権が誕生したのである。

 9月30日に起こった東海村核燃料会社JCOの臨界事故は、日本の核開発史上最悪の事件となった。レベル5の重大な事態は79年の米スリーマイル島原発事故に匹敵するものである。作業中に被曝(ひばく)した労働者2人は即死していても不思議でないほどの重症である。事態の責任は核開発に全力を挙げてきた日帝政府・科学技術庁にあり、さらには日本の核開発・核武装化政策そのものにある。核と人類は絶対に共存できないのだ。そして、その核をこのように非人間的に扱う日本帝国主義のもとでは労働者人民は生きていくことはできない。今回の恐るべき事故の実態が明るみにでるにつけ、このことが実感として明白になっている。すべての原発・核施設の運転をやめさせ、核武装政策をやめさせなければならない。

 自自公との闘いは年内にも予想される衆院解散・総選挙に際して長谷川英憲さんを押し立て国政選挙に決起する闘いをもって切り開かれる。自自公体制の超反動的大政翼賛会政治は、民主党の反動化、日本共産党の翼賛化によって、今や労働者の階級的利益を守る政党がまったくなくなってしまったという総翼賛化によって支えられている。全反動諸政党を向こうに回して労働者民衆の支持を訴えるこの衆院決戦は日本階級闘争の帰すうを決するものとなる。そして、ガイドライン・沖縄・三里塚決戦を一層発展させなければならない。普天間基地の県内移設(名護市辺野古への新基地の建設)との闘い、三里塚暫定滑走路の年内着工阻止の闘い、PKF凍結解除と東西ティモール自衛隊派兵の攻撃との闘いを一体のものとして闘いぬこう。

 そしてもうひとつの階級決戦として、闘う労働運動の新潮流をめざす闘いを全力でこじ開けなければならない。この闘いにとって、今ファシスト・カクマルが「ニセ白井パンフ」を使って襲いかかってきている反革命攻撃を打ち破ることが決定的である。カクマルが今かつてない規模のデマ運動を繰り広げている最大の理由は、カクマル=JR総連の自自公体制の先兵化である。JR総連は「連合政治方針見直しに対する対案」において、なんと日米安保と自衛隊を容認したばかりか、国連決議に基づく多国籍軍の侵略戦争にも賛成の立場を表明したのだ。そしてこの立場から、ガイドライン法が成立したという戦時下の労働運動にあっては、闘っても無駄だ、闘うべきではないという結論を導きだすのだ。これが、カクマルのファシストデマ運動の形をとった白色襲撃の根拠だ。カクマルを包囲・打倒・一掃しよう。      (た)

 

 

翻訳資料

●政治資料

連合の政治方針(新・旧政治方針の対照)

(解説)
 連合は、10月の第6回定期大会でガイドライン法と安保・自衛隊を全面肯定し有事体制づくりと改憲を推進する新政治方針を決定した。
 新政治方針の1.の(1)政治理念では、「連合は、国際協調を基本に世界諸国との共存共栄のために努力し、国際政治・経済・社会の発展、地球環境保全、世界の恒久平和に貢献する」として、「国際貢献論」を全面に押し出している。
 2.の「国の基本政策に関する連合の態度」では、「国際社会の現実とわが国の置かれている立場を直視し‥‥、アジア・太平洋地域の安定および世界の平和と繁栄の実現をめざし‥‥」として、「わが国」の支配階級と同一の地平に立ってアジア・太平洋地域へ積極的に侵略していく立場を表明している。
 また、2の(3)「国民的論議とコンセンサスを」の項では、「わが国を取り巻く情勢を的確にとらえつつ、国土と国民の安全を確保する視点で国民的論議を起こし」として、祖国防衛主義を鼓吹している。
 連合は、まさに新ガイドライン体制構築のための一翼となることを宣言したのだ。初めの新政治方針案文ではより露骨に、、「ガイドライン関連法案成立を機に、‥‥従来のあいまいで具体性のない防衛論議から、‥‥平時対応・周辺事態・有事体制の区分の中で、国民的論議を行えるよう努める」となっていることからも明らかなように、連合は新ガイドラインを前提とした基本政策をたてているのだ。
 自衛隊に関しては、「自衛権は独立国家の固有の権利」として、「自衛隊は‥‥これを認め」とする立場を引き続き維持しつつ、さらに「縮小」というペテン的表現で、現行の「軍縮」というあいまいな立場をさらに後退させている。
 安保体制に関しては、新たに「日米関係について」という項目を設け、「日米関係については、長年培ってきた相互信頼関係に基づき、今後も相互受益を目指し、維持強化する。」という安保強化の立場を打ち出している。
 4.の労働組合と政党との関係の項では、旧政治方針で「労組と政党との関係」となっていた見出しを「労働組合の政治活動と政党との関係」へと変え、連合の政治活動を主眼におくことを鮮明にし、プラス政党との関係という位置づけにした。連合の政治活動を主軸にし、政党との関係はその一環にしただけでなく、「政党・政治家との協力関係」などと、政党よりも政治家との関係に重点を移してた。また、「政策要求は協力政党以外に対しても行う」として、直接政府に対して政策要求を行うことを打ち出している。 
 連合は、この新政治方針の採択をもって、自自公を中心とする翼賛体制の一角を形成する立場に完全に立ちきった。世界危機の爆発と帝国主義による世界再分割戦への全面的突入という情勢下で、日帝の危機感を共有し、大政翼賛会的政治体制の一翼に直接組み込まれる存在へと反革命的に転化したのだ。
 今こそ連合打倒、新たな階級的労働運動の新潮流の形成の闘いを大前進させ、日帝に対する大反撃を叩きつけよう。

 

 旧政治方針

(1993年10月7−8日、第3回連合定期大会採択)
(主な変更部分はゴシックにした。編集部)

改訂後の政治方針

(1999年10月14-15日、第6回連合定期大会採択)
(主な変更部分はゴシックにした。編集部)

 

1、連合の政治理念と政治的役割

(1)政治理念
@連合は、主権在民、基本的人権、恒久平和を基調とする日本国憲法の理念にそい、自由、平等、公正で平和な社会の実現に努力する。
A連合は、左右の全体主義を排し、人権と民主主義を護り、民意が適正に反映される健全な議会制民主主義が機能するわかりやすい政治の実現をめざす。
B連合は、人間優先のゆとりある生活の実現をめざし、国民と連携して、つねに社会正義を追求する。
C連合は、国際政治、経済、社会、地球環境保全への取り組みを強め、国際協調を重視し、世界の恒久平和に貢献する。
D連合は、市場経済体制を重視し、福祉社会の実現と世界諸国との共存共栄のために努力する。

(2)期待する政治
@自由(リベラル)を基本に、国民各層、各界の参加を推進し、「ゆとり・豊かさ・社会的公正」の実現のために公共(国民)利益を優先し、政治経済、社会の構造改革ができる政治。
A世界の構造変化に対応し、日本の安全保障の確保や国際経済摩擦の解消はもとより、世界の平和・軍縮、人権、環境、南北問題など、国境をこえた人類的テーマをもって国際貢献することを基本に、現実の国際政治に対し、外交が推進できる政治。
B国民のため、勤労者のための奉仕をめざし、広く国民に開かれた民主的な党運営と国民の政治参加を推進し、自己改革力をもった清新な政党ないし政治勢力を基軸とした政治。
(3)政治的役割とその位置づけ
@勤労国民を代表する組織体として、国民の合意形成の中心的役割を担う。
A「連合の進路」を基本に政治改革を推進し、個別的利益追求型の政治から公共利益にたった政治の実現に向け、期待する政権の政治基盤を形成する。
B世界的な構造変化をふまえつつ、「日本の進路」の策定と政策制度改善の取り組みをとおし、日本の政治、経済、社会の改革をマクロ的視点から追求する。

  

1、連合の政治理念と政治的役割

(1)政治理念
@連合は、主権在民、基本的人権の尊重、恒久平和を基調とする日本国憲法の理念にそい、自由、平等、公正で平和な社会の実現に努力する。
A連合は、左右の全体主義を排し、人権と民主主義を護り、民意が適正に反映される健全な議会制民主主義が機能するわかりやすい政治の実現をめざす。
B連合は、市場経済体制のもとで、社会的連帯を基調に、人間優先のゆとりある生活ならびに活力ある高度福祉社会の実現をめざすとともに、国民と連携して、つねに社会正義を追求する。
C連合は、国際協調を基本に世界諸国との共存共栄のために努力し、国際政治・経済・社会の発展、地球環境保全、世界の恒久平和に貢献する。
(2)期待する政治
@「ゆとり・豊かさ・社会的公正」の実現のために公共(国民)利益を優先し、政治経済、社会の構造改革ができる政治。
A日本の安全保障の確保、国際経済摩擦の解消、世界の構造変化への対応はもとより、世界の平和・軍縮、人権、環境、南北問題など、国境をこえた人類的テーマをもって国際貢献することを基本に、現実の国際政治に対し、外交が推進できる政治。
B広く国民に開かれた民主的な党運営と国民の政治参加を推進する、自己改革力をもった清新な政党・政治勢力を基軸とした政治。
C経済産業優先を改め生活優先の社会をめざし、持続可能な経済社会システムの形成と勤労者・生活者の雇用とくらしを重視する政治。
D中央集権型システムを改革し、幅広い住民参加にもとづく地方分権型社会への移行を推進できる政治。
(3)政治的役割とその位置づけ
@勤労国民を代表する組織体として、国民の合意形成の中心的役割を担う。
A勤労者の生活と権利を守ることを基本に、「連合の進路」を基本とした政治を推進し、個別的利益追求型の政治を排し公共利益にたった政治を実現するため、期待する政権の成立・維持を労働組合の立場で支援する。
B日本の政治、経済、社会の改革を、連合の策定した「日本の進路」を踏まえつつマクロ的視点から追求するとともに、政策・制度要求の実現に向けた取り組みをおこなう。

 

2.国の基本政策に関する連合の態度

 連合は、労働界の統一にあたって労働組合の立場からまとめた「連合の進路」と「国際自由労連の方針」にもとづき、国際社会の現実を直視し、国民生活の安定と世界の平和と繁栄を実現するため、国の基本政策について、つぎの態度をとる。
(1)新しい世界情勢の中で
 いま、世界は歴史的な転換期にある。米ソ両超大国を頂点とした東西冷戦構造は崩れさり、新しい世界秩序の構築が模索されている。
 それに伴い、軍縮が世界の流れとなっている。
(2)国民的論議とコンセンサスを
 こうした「世界の現実」の中で、わが国の外交・防衛政策については、従来の冷戦時代のイデオロギーにとらわれた発想から脱し、ポスト冷戦時代の安全保障のあり方について国民的な論議を起こし、国民的コンセンサスづくりに努めなければならない。
(3)憲法問題について
@われわれは、憲法論議を否定するものではない。
 われわれは、憲法の平和主義、主権在民、基本的人権の尊重の三大原則を重視し、その貫徹を期す。
Aわが国の現状は、国民世論の動向を見ても明らかなとおり、憲法改正を俎上に乗せることは不適当であると判断する。
Bしたがって、憲法制定時と今日の国内外情勢との間に生ずるギャップについては、一連の基本法を制定することによって、これを補完することが望ましい。
(4)わが国の外交・防衛のあり方について
@新しい世界秩序形成は、国連をはじめとする国際機関を軸として構想すべきであり、わが国は国連等にいままで以上に積極的に協力する。
A日米安保条約について
 日米安保条約がこれまで果たしてきた役割を評価しつつ、日米関係を重視する立場から、今後も維持する。その際、日米安保の性格は、世界の軍縮傾向の中で、軍事的側面から経済・社会・文化的側面へと比重を移していく。
B自衛隊について
 国際ルールとして、自衛隊は独立国家の固有の権利であることを確認する。
 自衛隊は、@専守防衛、A徹底したシビリアンコントロール、B非核三原則、を前提としてこれを認め、今後のあり方として、軍縮の方向を指向する。
 また、憲法を補完する立場から「安全保障基本法(仮称)」の制定をめざす。
C韓国問題については、連合がICFTUに加盟した時点で前進的に解決済みであることを確認する。
D第2次世界大戦の反省を、アジアの近隣諸国はもちろんのこと、全世界に明らかにし、改めて平和に徹する日本の立場を鮮明にするため、国会決議を行うよう与野党に対して強く申し入れる。

 

2、国の基本政策に関する連合の態度

 連合の政治理念は上記の通りであるが、安全保障問題など国の基本政策については、国際社会の現実とわが国の置かれている立場を直視し、国民生活の安定はもとより、アジア・太平洋地域の安定および世界の平和と繁栄の実現をめざし、当面以下の態度をとる。
(1)新たな世界情勢の中で
 いま、世界は東西冷戦終結以降、経済的グローバル化が進展、特にアジア・北米・欧州地域を基軸とする経済圏が形成されつつあり、21世紀に向けての新世界秩序の構築が模索されている。
 一方、91年の湾岸戦争以来、コソボ紛争に至る地域戦争、宗教対立や領土問題、民族紛争等が多発しており、世界の平和維持が共通課題になっている。
(2)国の基本政策の視点
 こうしたグローバル化が進展した「世界の現実」の中で、わが国の「国の基本政策」は、従来の外交・防衛政策のみの視点だけではなく、経済的グローバル化のなかで、わが国の経済再生を果たしていくためにも、わが国の経済社会のあり方も、「国の基本政策」の重要課題の1つとして位置づけていく。
(3)国民的論議とコンセンサスを
@わが国の外交・防衛政策については、イデオロギー的発想から脱し、わが国を取り巻く情勢を的確にとらえつつ、国土と国民の安全を確保する視点で国民的論議を起こし、国民的コンセンサスづくりに努める。
A防衛論議は〔大会提出前の案文|以下「案文」|では、この部分は「ガイドライン関連法案成立を機に」となっていたが削除された〕、従来のあいまいで具体性のない防衛論議から、国民の権利と義務との関係および民主主義のルール遵守を前提に、平時対応・周辺事態対応・有事体制の区分のなかで、国民的論議を行えるよう努める。
Bわが国の経済社会のあり方については、日本経済の再生・活性化を念頭に、公正・公平なルールの確立を前提として、わが国の国民生活に寄与できる国民的合意形成に努力する。
(4)憲法問題について
@われわれは、憲法論議を否定するものではない。
 われわれは、憲法の平和主義、主権在民、基本的人権の尊重の三大原則を重視し、その貫徹を期す。
Aわが国の国民世論動向の現状は、グローバル化の進展や国際情勢の変化、環境問題、情報公開等の理由から、憲法論議への関心は高まってきている。しかし、まだ論議自体が国民的広がりを見せておらず未成熟なため、現状では憲法改正を俎上に乗せることは、時期尚早と判断する。
Bしたがって、憲法制定当時想定しえなかった問題については、個別に法制化していく。
(5)わが国の外交・防衛のあり方について
 日本国憲法の遵守、国連中心主義による外交努力を基本に、アジア諸国との連携に基づくアジア・太平洋地域の安定および世界平和の実現に向けて、積極的役割を果たす。
@新しい世界秩序形成は、国連をはじめとする国際機関を軸として構想すべきであり、わが国は国連等にいままで以上に積極的に協力する。
A日米関係について
 日米関係については、長年培ってきた相互信頼関係に基づき、今後も相互受益を目指し、維持強化する。特に、日米安保条約における軍事的側面にとどまらず、日米経済関係に着目した日米経済安全保障の強化をはかる。
B日米安保条約について
 日米安保条約がこれまで果たしてきた役割を評価しつつ、日米関係を重視する立場から、今後も維持する。
C自衛隊について
 国際ルールとして、自衛権は独立国家の固有の権利であることを確認する。
 自衛隊は、専守防衛、徹底したシビリアンコントロール、非核三原則、を前提としてこれを認め、今後のあり方として、軍縮の方向を指向する。
 また、憲法を補完する立場から「安全保障基本法(仮称)」の制定をめざす。
(6)日本の米軍基地のあり方について
@「日米安保体制」と「日本の米軍基地」の存在という関係については、基本姿勢として日米安保の役割を評価し、日米安保を基軸としたうえで「日本の米軍基地」の整理・縮小をめざしていく。
A特殊事情にある沖縄の状況を十分に踏まえ、日本全体での沖縄の痛みの分かちあい(沖縄の過重な負担の軽減)、国と県の十分な意思疎通(沖縄に対する特別配慮)を講じ、国民全体の問題として考えていく。
B米軍基地問題の解消をめざし、基地の整理・縮小、日米地位協定の見直しについての具体的履行とそれに伴う跡地利用策と、雇用対策の確保を政府に求めていく。
Cとりわけ沖縄においては、将来希望のもてる対応策として、「国際都市形成構想」等、産業振興策の推進とその確保を政府に求めていく。
(7)平和・核・軍縮のあり方について
 世界の軍縮をめざし
〔この部分は「案文」にはない〕、核兵器廃絶および臨界前核実験を含む全ての核実験の禁止、生物・化学兵器の全廃、対人地雷の撤去および製造・輸出の全面禁止に向けて、わが国は積極的な役割を果たす。
(8)わが国の経済社会のあり方について
 わが国の経済は、グローバル化の進展や、少子高齢化、情報化が進行するなかで、雇用の安定を確保しつつ、環境、資源・エネルギー、南北問題などの地球的課題に挑戦し、国際経済とも調和した、持続可能な成長を、秩序ある市場経済のもとで追求していかなければならない。
 公正なルールとセイフティーネットのない市場経済は、いたずらに混乱を引き起こす。とりわけ、国際競争力を強化し資本の論理のみに傾斜した市場原理至上主義に立脚した市場経済論は、格差を拡大し、弱者を疎外する。市場の失敗を補完・補正しうる内外の経済的・社会的枠組みを確立することが不可欠である。
 国際経済面では、WTOを軸に、透明性の高い市場システムのもとで、公正な貿易と投資のルールを確立し、各国経済の発展に寄与すべきである。この国民貿易や投資を律するルールについては、労働基本権や基本的人権など、国際的に普遍的な労働に関する原則が包含されるべきであることは論をまたない。また、市場の弊害、とりわけ国際金融におけるヘッジファンドなどの投機的取引による経済の攪乱を防止し、通貨と経済の安定を維持するための有効な対策が、不可欠である。
 こうした経済システムの上に、活力ある高度福祉社会、環境と調和した経済、参加型の連帯社会を築き上げていかなければならない。

 

3、われわれの求める政権の姿と定着、発展

(1)われわれの求める政権の姿
@自民党による単独・長期政権と個別利益の調整に終始する政治と決別するためには、政権交代のある政治を実現することが不可欠である。政権交代は、政治と行政との役割分担の明確化や緊張関係の維持、さらには行政に対する政治のリーダーシップを確立するために重要である。
 あわせて癒着と利権による政治腐敗の構造を断ち切ることが重要である。連合は、政治改革を求める連合の態度を基本に改革をすすめる。政党は不断の自己改革とともに既成政党の枠組みを超えた新しい政治勢力の結集と政党の再編成を推進していくべきである。
A連合は、われわれの求める新しい政治勢力の結集・発展に努力する。
 新しい政治勢力は、
a.これまでの経済産業発展から生活者(勤労国民)重視の政治の実現をめざす。
b.自民党に代わる政権を担いうる新しい政治勢力の結集を基本とし、
究極的には二大政党的体制をめざす。プロセスとしては、「連合の進路」、「運動方針」をはじめ「政治方針」、「政治改革」など、連合と「目的と政策・要求の一致」する政治勢力の最大限の結集をはかる。
(2)われわれの求める政権の定着、発展
 連合は、生活者(勤労国民)重視の政権の定着、発展に努力、参加する政党および政治家と幅広い協力関係をすすめる。
@連合は、政策・制度課題の実現をめざし、構成組織の組織内議員(「連合の進路」「連合の運動方針」「連合組織内議員懇談会運営要綱」に賛同すること)による「連合組織内議員懇談会」を拡充し、国会との連携強化をはかる。
A連合は、生活者重視の政治への転換をめざし、われわれの求める政権の基盤づくりに協力する。そのため連合と「目的と政策・要求の一致」する政党および政治家、団体、有識者と「連合政治フォーラム(仮称)」を設置するとともに、参加する政党および政治家(候補者を含む)を選挙活動を通して国政の場に送りだす努力をする。

B連合は、各界各層の有識者と広く連携し、新しい政治家、将来政治家として嘱望される人材について発掘、養成等の取り組みに協力する。
C連合は、一連の「政治改革」の実現に伴う衆議院選挙に対し、われわれの求める政権の定着、発展のために選挙協力を推進する。

 

3.われわれの求める政権の樹立、定着、発展

(1)政権交代のある政治の実現
 国民主権に基づく政治、明確な政策と実行力を持つリーダーシップの豊かな政治、癒着のないクリーンな政治を実現し、国民が信頼できる政治を行わなければならない。そのためには政権交代のある政治の実現が不可欠である。
 連合は、このため、政権を担いうる新しい政治勢力の結集に努力し、究極的には二大政党的体制の確立をめざす。
(2)われわれの求める政治勢力
 われわれの求める新しい政治勢力は、上記「1.連合の政治理念と政治的役割」に賛同するとともに、「連合の進路」、「日本の進路」、「運動方針」、「政策・制度要求と提言」など、連合の政治理念や政策の基調を共有し、その実現に向けて協働できる勢力である。また、不断の自己改革に努め、癒着と利権による政治を否定する勢力である。連合は、連合と「目的と政策・要求の一致」する政治勢力の最大限の結集をはかる。
(3)われわれの求める政権の樹立、定着、発展
 連合は、われわれの求める政治勢力による政権の樹立、定着、発展に協力する。そのため、協力、協調関係にある政治家を支援するとともに、各界各層の有識者と広く連帯し、新しい政治家、将来政治家として嘱望される人材の発掘、養成などに取り組み、われわれの求める政治勢力の基盤づくりに協力する。また、各種選挙に積極的に取り組む。

 

4、労働組合と政党との関係

(1)協力関係の基本
@労働組合は政党は、性格と機能を異にし、相互不介入のもと、相互は完全に独立したものである。
A労働組合は、「目的と政策・要求の一致」する政党および政治家と協力して、政治課題の実現をめざす。
B労働組合は、上記@、Aの原則のもとに
労働組合にとって望ましい政党および政治家を支援、選挙協力をすすめ、政治的な影響力を強める。
(2)協力関係の基準
@協力関係の基準
a.経済産業優先から生活者(勤労国民)重視の政治を実現し、発展させるため、「連合の進路」、「運動方針」、「政治方針」など連合と「目的と政策・要求の一致」する政党および政治家との協力関係を基準とする。
b.特定政党支持は、従来(旧ナショナルセンター)のような固定的な関係を見直し、勤労国民の立場にたち、連合と「目的と政策・要求の一致」する政党および政治家との政策重視のもとによる協力・協調関係とする。
c.組織と政党との協力関係を深めるととに、組合一人ひとりが活動に積極的に参加することに重きをおき、組合員と政党および政治家との幅広い協力関係を日常的に積み上げることを基本とする。
d.連合・構成組織は、組合員の政治意識と参加を強める活動の推進と政策・制度の改善をめざし、組合員の大結集をとおして、政党および政治家との協力関係を強める。
A連合・構成組織の取り組み
a.連合・構成組織は、連合と「目的と政策・要求の一致」する政党および政治家との協力関係を強めつつ、組合員をはじめ勤労国民を代表する組織体として、国民の共感・共鳴を呼ぶ世論喚起の行動を推進し、政策・制度の改善をはかる。
b.組合員の政治意識を高め、政治活動へ積極的に参加できる環境づくりに努力する。そのため、労働組合の取り組む政治活動の意義と重要性の徹底、連合の要求内容、連合・構成組織が協力関係をもつ政党および政治家の活動情報など組合員が活動するうえでの判断材料の提供をおこない、日常的な協力関係を深めていく。
c.政治活動の推進や政策・制度の改善のための「財政措置」についても、具体化をはかる。
B政党および政治家と組合員の協力関係
 組合員は、生活者重視の政治の実現と発展のため、自主的に、政治家の後援会や党員・党友として参加し、日常的な活動の中で、政党および政治家との信頼関係を確立する。
 その活動と並行し、連合と「目的と政策・要求の一致」する政党および政治家の躍進のために選挙活動・個人献金・カンパなどに積極的に参加する。
(3)労働組合の政治活動の目的と基本
 連合・構成組織は、「ゆとり・豊かさ・社会的公正」の実現と生活者重視の政治への転換をめざし、われわれの求める政権の定着、発展に協力する。
 この活動と勤労国民の雇用と生活の安定や世界の平和・民主主義・国際貢献に役割を果たすため、政治、経済、社会的諸条件の改革と改善のため、世論喚起への行動をとおし、国会および政府・政党などに働きかけ、目標を実現する。
 政治活動は、使用者・政党などの外部からの介入を許さず、自主的な判断と意思にもとづいて行動するとともに、労働組合存立の基盤になっている「自由と民主主義体制」をふまえ、民主主義のルールにもとづいて取り組む。
 労働組合が政治活動をすすめていくうえで、政党および政治家と協力関係を深めることと選挙活動が重要である。あわせて、組合員の政治に背をむける傾向の強まりをふまえ、組合員の政治意識を高めるための「政治教育」の推進と政治への参加を強めることを、当面の政治活動の基本に位置づけ展開する。そのための機構の設置と推進に努める。
(4)選挙活動の基本と推薦要綱
@選挙活動の基本
a.労働組合の基本的な目的である「雇用と生活の安定」を実現するためには、企業内の労働条件の取り組みに併せ、社会的な政策・制度改善をめざした政治活動への取り組みが重要である。
b.労働組合の政治活動のなかで、選挙活動が重要な位置づけにある。組合員(国民)の一人ひとりが、政治に直接参加できる機会は選挙だけであり、選挙における労働組合の政策と要求を通した影響力の発揮が必要である。
c.この視点からも、連合は、勤労国民を代表する組織体として、国民合意形成の中心的役割を担うことが期待され、政策・制度要求の実現のため、選挙活動の重視と強化をはかる。
d.連合は、「ゆとり・豊かさ・社会的公正」の実現と生活者(勤労国民)を重視する政治への転換をめざし、われわれの求める新しい政権と政治勢力の定着と発展に協力する立場で選挙活動に取り組む。
e.具体的には、「連合の進路」、「運動方針」にもとづき「目的と政策・要求の一致」する政党および政治家との幅広い協力関係を日常的に積み上げ、連合の機関で決定のもとに選挙活動に取り組む。
A推薦要綱
a.推薦の範囲
(a)連合は、衆・参議院の国会議員ならびに都道府県・政令指定都市の首長選挙における立候補者について連合本部・機関が推薦を決定する。
(b)上記選挙以外の候補者の推薦については、各地方連合会の機関で決める。
b.推薦基準
(a)「連合の進路」「運動方針」にもとづき「目的と政策・要求の一致」によって活動を果たしてきた立候補者、または、果たしえると判断できる候補者を選択する。
(b)人格、識見、行動が連合の推薦候補者として、ふさわしいと判断される候補者を選択する。
c.推薦手続き
(a)衆・参議院の国会議員ならびに都道府県・政令指定都市の首長の候補者の推薦については、推薦基準に照らし連合本部の機関が決定する。
(b)構成組織は、推薦基準にもとづき連合本部・機関に対して推薦の申請を行う。また、地方連合会も政党および政治家からの要請と機関での検討をおこない、本部の機関に推薦の申請をおこなう。
(c)連合本部は、推薦決定にあたって構成組織および地方連合会と充分な連携・協議のもとに機関への付託を決定する。
d.地方連合会の推薦
(a)衆・参議院の国会議員ならびに都道府県・政令指定都市の首長以外の地方連合会が推薦する候補者は、この推薦基準にもとづきおこなう。

 

4、労働組合の政治活動と政党との関係

(1)労働組合の政治活動
@労働組合の基本的目的である「雇用と生活の安定」を実現するためには、企業内の労働条件の改善の活動に併せ、国・地方の政策・制度の改善・改革をめざした政治活動への取り組みが不可欠である。
A労働組合は、自主的な判断と意思にもとづき政治活動を行い、使用者・政党などの外部からの介入を許さない。また、労働組合運動の基本原則である「自由にして民主的」を基本に、民主主義のルールにもとづいて取り組む。
B連合および構成組織は、勤労者の雇用と生活の安定、世界平和の実現、民主主義の擁護、国際貢献に役割を果たす。このため、政治、経済、社会的諸課題の解決と諸条件の改善に向けた改革を国会および政府・地方自治体、政党などに働きかけ、目標を実現する。活動にあたり、協力・協調関係にある政党および政治家との協力関係の強化、求める政治勢力の発展をめざしての選挙への取り組み、組合員の政治意識を高めるための政治教育が重要である。
C政策・制度要求の実現に向けては、審議会等の政府・地方自治体の諮問機関への参加、協力・協調政党および政治家と連携した院内外の活動、世論喚起、大衆行動などを行う。取り組みに際しては市民グループや諸団体との連携を強める。また、情報公開法制定および市民による行政サービス監査委員(オンブズマン)制度導入を推進し、政策の実施状況の点検活動を行う。
D組合員は、連合の政治理念や政策の基調を共有しその実現に向けて協働できる政党および政治家の躍進のために、選挙活動・個人献金・カンパなどに積極的に参加し、日常的に政治活動をおこなうことが期待される。
(2)政党との関係
@労働組合と政党とは、性格と機能を異にし、相互に独立・不介入の関係にある。
A連合は、政策・制度要求の実現のために、政党および政治家への働きかけを行う。
B連合は、上記@の原則のもとに、「ゆとり、豊かさ・社会的公正」の実現に努力する労働組合にとって望ましい政党および政治家を支援し、選挙協力をすすめる。
C連合および構成組織は、「連合の進路」、「日本の進路」、「政治方針」、「政策・制度要求と提言」など、連合の政治理念や政策の基調を共有し、その実現に向けて協働できる政党および政治家と協力関係をもつ。その場合の関係は、固定的な支持関係ではなく、政治理念・政策重視による協力・協調関係とする。
(3)選挙活動と推薦基準
@選挙活動
 連合は、「ゆとり・豊かさ・社会的公正」の実現と生活者・勤労者を重視する政治への転換をめざし、われわれの求める新しい政権と政治勢力の樹立、定着、発展に協力する立場で選挙活動に取り組む。
A推薦基準
a.推薦の範囲
(a)参議院議員、衆議院議員ならびに都道府県・指定都市の首長選挙における候補者については、連合本部・機関が推薦を決定する。
(b)上記選挙以外の候補者の推薦については、各地方連合会の機関で決める。
b.推薦基準
(a)「連合の進路」「運動方針」「政治方針」、「政策・制度要求と提言」など、連合の政治理念や政策の基調を共有し、その実現に向けて協働する立場で活動をしてきた候補者、または、活動しうると判断できる候補者を選択する。
(b)人格、識見、行動が連合の推薦候補者として、ふさわしいと判断される候補者を選択する。
(c)推薦にあたっては、政策協定を締結する候補者であることを要件とする。
c.推薦手続き等
 別に定める「推薦要綱」に基づき対応する。

 新確認事項〔この項は修正案にはなかった〕
 (1)連合と構成組織は「連合の政治方針」の実現に向け、諸条件の克服に今後も努める。具体的には、政権交代可能な二大政党的体制への政界再編に向けて、民主党を基軸とした、勤労者・市民を基盤とする幅広い政治勢力の結集をめざす。
 (2)構成組織と政党との関係はつぎのとおりとする。
@構成組織は連合の決定した方針を尊重し、統一的対応に努める。A構成組織の個別の判断については、当面これまでの支持協力関係を考慮して、連合および構成組織が相互に理解しあうものとする。

 

5、政策形成・決定・実施過程への取り組み

1)政策形成過程での取り組み
 連合と構成組織、地方連合会は、800 万組合員をはじめ勤労国民の共感・共鳴を得つつ、自らの知恵と手で「政策制度要求と提言」と「産業政策」をつくり、要求行動をとおし「ゆとり・豊かさ・社会的公正」の実現に努力している。
 この政策・制度と産業政策づくりを質的にも発展させるとともに、政策形成過程の取り組みとして、国会、政党・政治家・政府・省庁、経済団体、市民グループとの「政策協議」や要求実現をめざす取り組みを強める。
(2)政策決定過程での取り組み
 政策決定(国会、議会での法案審議)への要求反映も、民主主義のルールにたって労働組合の政治活動の重要な活動領域である。
 審議会、委員会等の諮問機関への参加、公述・参考人としての参加、要求実現のための署名、請願、要請行動、協力政党および政治家と連携した院内外を通した世論喚起、大衆行動等の取り組みをすすめる。
(3)政策実施過程での取り組み
 法律や政令、条例、通達などの決定された内容について、実施状況や市民生活を通しての点検は、労働組合の社会的責任なり貢献として重要な活動である。
 そのため、情報公開・オンブズマン制度(行政サービス監視機関)の制定と参加、勤労国民をはじめ国民への啓蒙活動や地域社会における苦情処理、世話(相談)活動を重視し、取り組む。
(4)政党および政治家の政策や活動について
 政党および政治家の政策と国会・各級議会での活動の把握と組合員への情報提供が重要な取り組みになる。
 連合・構成組織は、適宜に法案対応をはじめ活動状況について調査し、組合員ならびに国民への情報提供に努める。
                           以上