COP30 戦争と環境破壊の元凶は帝国主義 米中エネルギー対立深刻化 「脱化石燃料」で合意できず

投稿日:

週刊『三里塚』02頁(1173号02面04)(2025/12/08)


COP30
 戦争と環境破壊の元凶は帝国主義
 米中エネルギー対立深刻化
 「脱化石燃料」で合意できず

(写真 COP会場の外で森林保全を激しく訴える先住民たち)

(写真 アマゾンでの森林火災)


 11月10~22日、ブラジルの都市・ベレンでCOP30(第30回国連気候変動枠組条約締約国会議)が開催された。今回のCOPは、帝国主義諸国・大国の利害対立がむき出しとなり、見せかけの気候変動対策さえも放棄・ボイコットするという歴史的会議となった。激しい議論の応酬の末に採択された文書には「化石燃料」という文言すら盛り込まれなかった。
 この分裂・対立が作り出された最大の要因は、米帝トランプの存在である。「地球温暖化は史上最大のでっちあげ」と言い放つトランプは、政府高官すらも代表参加させなかった。この米帝に続き、3分の2にあたる70カ国以上の国が、温室効果ガス排出量の削減目標の提出すら拒んだ。帝国主義は、2015年のパリ協定で採択された「1・5度目標」(世界の気温上昇を産業革命前と比べて1・5度以内におさえる世界的合意事項)などかなぐり捨て、自国の利害を押し出したのだ。とりわけ、再生可能エネルギー市場を独占する中国と、化石燃料にしがみつく米帝の利害の対立がよりむき出しになった。
 一方で、今回のCOPは、「地球環境を守る」というスローガンとは裏腹に、約1600人の化石燃料産業や原発関連のロビイストが参加した。これは過去最大で参加者のうち25人に1人という割合だ。この一方で、海面上昇や干ばつなど気候危機で最も影響を受ける国の人々や地元・アマゾンの先住民族の代表者たちは会場に入ることすらできない。COP30はまったく欺まんに満ちた国際会議であった。

熱帯森林の危機

 そもそも22年以来、軍事独裁国家・産油国続きであったCOPの開催国が、今回ブラジルに選ばれた最大の理由は、アマゾンの熱帯森林の深刻な危機にあった。アマゾンの森林は「地球の肺」とも呼ばれ、地球全体の気候の循環を安定させる「エコシステム」の最重要な役割を果たしてきた。しかし、現在、ブラジル国内では森林伐採や大規模開発によって、すでに21%の森林が失われている。さらに記録的な干ばつと、乱開発による森林破壊によっていたるところで火災が発生。森林はサバンナ(乾いた草地)化して生態系が破壊されている。二酸化炭素の吸収源であったアマゾンから山火事などによって年間10億㌧の二酸化炭素が排出された。いまやアマゾンは地球全体の炭素吸収源から炭素排出源となろうとしている。この惨事を作り出した張本人は日帝をはじめとする帝国主義だ。

核と原発の日帝

 今年に入って世界の全発電量に占める再生可能エネルギーの割合が、はじめて化石燃料を上回った。これに危機感をもった日本の反動右派勢力は、太陽光発電計画に対し「乱開発だ」「自然破壊だ」と規制をはじめ、洋上風力発電の計画に圧力をかけ、次々と計画が頓挫に追い込まれている。今年の春、第7次エネルギー基本計画で「再エネ比率を40年までに4~5割程度」としたものの、早くも赤信号となっている。そして高市政権のもとで、「原子力潜水艦の保有」「非核三原則の見直し」をはじめとする核武装政策とともに、エネルギーにおいても原発を次々と稼働させようとしている。そして、世界的に批判される石炭火力発電も絶対に手放さず原子力(核)産業と軍事産業を「成長・育成」させようとしている。
 帝国主義の利害をむき出しにしたCOPに対して、世界中から集まった約7万人のデモ隊が会場を包囲し、アマゾンの先住民たちが会場内に突入した。帝国主義の破壊と略奪、COPの欺まん性を徹底弾劾した。
 アマゾン流域には220万人の先住民族が暮らし、生活と自然を守り続けてきた。しかし、帝国主義は先住民を圧殺して森林や鉱物資源を略奪してきた。この30年間で、アマゾンでは1690人以上の環境活動家が殺害、あるいは行方不明となっている。帝国主義による地球環境破壊の本質とは、農民・先住民を圧殺し生存を奪う階級戦争なのである。
 COPの階級的性格は、ウクライナとガザにおける戦争の進行と同時一体で激変した。ウクライナ戦争の3年間で、2億3700万㌧、ガザ戦争で、3200万㌧の莫大な二酸化炭素が放出された。これはオランダ、ポルトガルなどの国家規模の年間排出量に匹敵する。帝国主義は、地球環境の持続可能性を破壊し、中国侵略戦争―世界戦争をやろうとしているのだ。
 2018年に世界を席巻した気候危機を阻止する闘いのうねりは、ウクライナ、ガザで続く戦争と「1・5度目標」の達成がほぼ不可能という情勢のなかで、大きな路線分岐に直面している。これらの闘いは、ガザ虐殺反対などの反戦闘争や苛烈な圧政・弾圧と闘う民族解放とともに進む「反帝国主義」の闘争の爆発と一体となって進む以外にない。世界の労働者階級と被抑圧人民は、団結して地球環境破壊に立ち向かい、帝国主義を打倒しよう。(是永真琴)

このエントリーをはてなブックマークに追加