オープンハウス説明会に行ってきた 夢のような未来予想図をまくし立てるNAA職員

週刊『三里塚』02頁(1172号02面05)(2025/11/24)


オープンハウス説明会に行ってきた
 夢のような未来予想図をまくし立てるNAA職員

(写真 説明会会場内のようす【11月16日 多古町】)

(写真 空港機能強化で全てがうまくという循環図)


 11月16日、多古町コミュニティプラザで開かれたNAAのオープンハウス=対話型説明会に行ってみた。成田空港の周辺地域で連続して開かれている機能強化説明会の一つだが、紛糾を避けるために住民が一斉に集まる従来型の集会を開かないというのが最近のトレンドらしい。
 会場のロビーには写真、地図、解説などが載った大型パネルが展示され、「NAA」の青いスタッフジャンパーを着た中高年の職員たち20人以上が来訪客を待ち構えている。資料だけ受け取って帰ってもよかったが、一通り説明を受けてみることにした。
 まず、なんで空港の機能強化が必要なのかについて「日本の国際競争力強化だ」と何のてらいもなく職員は強調した。そのために新滑走路を造り、空港敷地を2倍に拡張し、年間発着枠を34万回から50万回に、旅客数を4千万人から7500万人に拡大するのだと自慢げに述べた。
 そして「発着時間を現在の朝6時~夜11時から朝5時~深夜0時30分に広げる」と当たり前のように言うに及んで、こっちも腹が立って口を開いた。「朝5時って普通みんなまだ寝てる時間だろう。なんで勝手に早められるんだ。睡眠を削られる人の立場をまったく考えてないのか」
 すると職員は「そうですね......」とそれまでの饒舌(じょうぜつ)を止めてしまう。そこにすかさず別の職員が、待ってましたとばかりに現れて、「防音対策はこのようにやってる」「スライド方式で」などとしゃべり始める(スライド方式は何の騒音対策にもならない)。
 さらに機能強化の用地取得面積が86%まできたとドヤ顔で述べるので、「つまりあと14%の方は買収に応じてないということね。それで29年までにできるなんて言えるのか」と問うと、「説得してなんとかがんばる」みたいな「決意表明」を繰り返すばかり。最後は「強制的にでも立ち退かせる」という本音が垣間見えた気がした。
 また予定地のうち芝山町(菱田地区)は田んぼが多いので軟弱地盤となっており、時間をかけて地質改良工事をやらないと滑走路造成に至らないという事情を、正直に認めた。ますます工事の行方は不透明である。
 また説明者は、「機能強化で空港が発展すれば地域への投資も拡大し、地元の観光・産業に貢献し、地域と空港がともに発展していく」などという好循環を力説した。「それはそちらの願望でしょう。これから日本は労働人口が減ってくこと一つとっても、そんな絵に描いたようなサイクルが実現する保証がどこにあるのか」と反論すると、職員はまたしどろもどろに。だが、彼らにとっては来訪客に対してとにかく「一通りの説明」をやりきることの方が大事なようで、語り手を交代しながら次のパネルへと誘導される。
 「みなさんの不安や心配に答える」というのが説明会の趣旨だったはずだが、結局小一時間のNAA側の説明を受けた上で、「これでは不安、疑問、心配は消えないどころかより膨らんだ。多古町に越してこようかという風に心を動かされなかった」と言ってやった。そして、「夢みたいな経済発展の未来予想図を描くのはやめて、本当の住民の声を聞くべきじゃないのか」と言い残して、会場を後にした。
(東京・中岡一樹)

このエントリーをはてなブックマークに追加