団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1172号01面06)(2025/11/24)


団結街道


 クマが街にまで現れて人を襲う被害が相次いでいる。「ある秋田県民はまるで無差別に襲撃し対話の通じないテロリストが、山の中や市街地の至る所に野放しになっている状態と表現」と報じられている▼恐れられつつも「山の神」とあがめられてもいたクマとの共生がこれほどにまで困難となっている直接の原因はどんぐりの大凶作と聞く。ただそれは単なる自然現象ではない。人間活動の結果としての温暖化の影響が大だ。人口減少と過疎化で容易に人間の生活圏にクマが侵入できるようになったことも挙げられるが、リスクを犯して人に近づかずとも生きていけるなら、クマもそれに越したことはない▼そもそもクマは臆病な動物として知られている。その臆病さこそが追いつめられると凶暴化する原因だ。クマに自信があれば人に全力で向かっていく必要はない。臆病な自尊心と尊大な羞恥心(しゅうちしん)から人喰い虎となった李徴(中島敦『山月記』)を見よ▼クマには失礼だが、プライドは高くて自分に自信がない臆病者である排外主義者や「愛国者」たちの行動様式とクマは酷似している。自国帝国主義が没落し「追い詰められている」がゆえに凶暴化し他国をたたく▼クマは自らの生存を守る文字通りの自己防衛だが、「愛国者」たちのそれは実際には侵略戦争に他ならない。侵略を内乱へ。クマと人との共生の道も資本主義の打倒なしに進まないところに今きている。
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