明日も耕す 農業問題の今 デジタル農業が描く未来 「無人化」目指す企業
週刊『三里塚』02頁(1077号02面04)(2021/12/03)
明日も耕す 農業問題の今
デジタル農業が描く未来
「無人化」目指す企業
「スマート農業」の名のもとに、日々新たなデジタル農業技術が新聞やテレビで紹介されている。中には「なるほどこれはいいな」と思うものもある。だが全体として捉えるとどうか。デジタル農業のねらいは何か。
雑誌「日経ビジネス」11月29日号掲載の記事をひとつ紹介したい。
「クボタ、デジタル化で開くニッポン農業の未来」というもので、スマート農業に力を入れる国内農機最大手クボタの取材記事だ。
冒頭、千葉県北部の神崎町にある農事組合法人が紹介されている。事務所のパソコンとコンバインがつながっていて、コンバインには収穫量を計測するセンサーと、水分やタンパク質の含有量から食味を測るセンサーが搭載されている。事務所にいながら、収穫した米の量だけでなく味まで手に取るようにわかるというのだ。
これは体系的なスマート農業の確立に向けた実証実験だそうで、次のステップとなるのが農機の自動化だ。トラクターやコンバイン、田植え機といったクボタの農機をこうしたシステムと連携させ、将来の完全無人化を目指しているという。
技術写し取り
インタビューで北尾裕一クボタ社長が語る。「農家の皆さんの頭の中にあるノウハウをデータで見える化して、就農のハードルを下げる。農業経験のないパートが大規模法人で働いても、簡単にトラクターを運転できて、肥料をどれだけまいたらいいのかもわかる。こういった新しい農業のやり方を提案しています」
国内農業は高齢化で先がないから、知恵と技術だけスマート農業に写し取って、企業がやりましょうというのだ。
農家を追い出す
デジタル農業のもっとわかりやすい例を、鈴木宣弘氏が『どう考える?「みどりの食料システム戦略」』(農文協ブックレット)で紹介している。遺伝子組み換えで悪名高いモンサントが2013年に買収した会社は、人工衛星によるリアルタイムモニターをアプリで行い、使うべき農薬や化学肥料、種苗まで提案する。
農地の肥沃度や区画ごとの収量、地域の気象データなどの管理・分析をひとまとめにして行うことができる。モンサントは、そうしたデジタル農業技術を提供する企業になろうというわけだ。
ここにGAFAなどのIT大手企業も加わり、ドローンやセンサーで管理制御されたデジタル農業で、種から消費まで掌握したビジネスがもくろまれる。最終的には農家が追い出される。
岸田政権が掲げる「デジタル田園都市国家構想」は、まさにこの道を行くものだ。
「小農の権利宣言」「家族農業の10年」といった流れの対極で、イノベーションAI、スマート技術といった言葉とともに促進されるデジタル農業。これははまさに企業のための農業、企業による農業支配だ。