安保3文書改定へ自民党が提言 「年単位の継戦能力」確保し中国侵略戦争の最前線に
安保3文書改定へ自民党が提言
「年単位の継戦能力」確保し中国侵略戦争の最前線に
自民党の安全保障調査会が5月25日、安保3文書改定のための政府への提言案を決定した。提言は、日本が実際に戦闘に入った場合を想定して「年単位の継戦能力の確保」(同会幹事長・大野敬太郎)を主眼としたものだ。アメリカ帝国主義とともに中国侵略戦争―世界戦争を遂行する以外に帝国主義としての延命の道がない日本帝国主義が、世界大戦における最前線を担う(労働者人民を犠牲にして!)意志をむき出しにしたものである。絶対に許してはならない。
AI・無人機に死活かける
提言の内容は、4月27日に開催された「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」の初会合と重なり、「継戦能力」を最大のテーマに「新しい戦い方」=無人機(ドローン)とAIの利用・導入拡大を目指すものだ。この提言は6月上旬にも政府に提出され、高市政権はそれを受けて安保3文書の改定に着手する形となる。「有識者」(帝国主義ブルジョアジーと自衛隊・軍事コミュニティーの代表者)と与党・自民党の一致をもって、「挙国一致」の構えで労働者階級人民の反発をたたき潰しながら、新たな安保3文書のもと文字通りの戦時体制の構築へ突き進むことを狙っている。それは米国家安全保障戦略(NSS)―国家防衛戦略(NDS)が要求する通り、中国侵略戦争へ向けた「第1列島線(日本列島―沖縄・南西諸島―台湾―フィリピン)上の強力な拒否防衛体制」の中心を日帝が担うという支配階級の意志表明である。
提言は、「新しい戦い方」としてウクライナ戦争やイラン侵略戦争などを踏まえ、無人機の大量導入とAIを活用した「意思決定の迅速化」を可能とすべきだと掲げる。イラン侵略において米軍は、「メイブン・スマートシステム」と呼ばれるAIを用いた意思決定によって、同時に1千カ所を攻撃することを可能とした。現代戦争は長距離ミサイルによる精密打撃が主役となることなどにより、レーダーや衛星、無人機に加えサイバー活動などで整理しなければならない情報量が膨大になっている。米国の情報軍需産業パランティアが提供したこのシステムを使えば、「何時間もかけていた作業が数分で終わる」(日本政府高官)とされる。中国侵略戦争を米軍とともに遂行するには、米軍の意思決定速度に合わせなければならない。日帝は、自衛隊の人員不足への対応策としてもAIや無人機による省人化が必要で、これらの技術を死活的に求めているのだ。すでに1月には防衛相・小泉進次郎がパランティア社を訪問するなど日帝は準備を進めてきていた。
提言は無人機についても、これまで日帝が進めてきた多様な種類かつ大量の導入に加え、「長距離運用が可能なもの」を明示した。これは、高市政権がすでに検討を開始している「長距離自爆型ドローン」のことだ。イランの自爆ドローン「シャヘド」のコピーを米軍も導入しており、日帝も追随しようとしているのである。こうした無人機の大量導入・運用は、そのインフラとして衛星通信などの確保を必要とし、膨大なデータを扱うことを必然とする。ゆえに、AIによる情報整理・意思決定の迅速化がいっそう必須となるのだ。高市政権が今、「データセンター」を安全保障上の重要インフラとして位置付けているのは、それが中国侵略戦争にとって必須の軍事インフラでもあるからだ。
「継戦能力」の正体は総力戦
そして、提言が特に強調するのが「継戦能力の確保」だ。これはウクライナ戦争を念頭に「高消耗・長期化を前提とする」ことが明記されているが、その意味するところは軍需産業の強化・拡大や司令部の地下化など軍事基地の防衛強化にはとどまらない。その核心は、文字通りの総力戦体制の構築にある。
提言では、「国有施設民間操業(GOCO)」「民生用の生産ラインを防衛用途で活用する」ことに触れており、要は軍事への「民間協力」の拡大が核心だ。安保3文書の「防衛力整備計画」は「民間委託等の部外力の活用」を掲げ、すでに2024年3月には「民間力活用推進班」が自衛隊内に発足。基地などの施設管理や食事の提供、艦艇・航空機乗員の訓練、弾薬や装備品の整備業務などは急速に外部委託が進められている。各地の自治体で行われている自衛隊への15、18、22歳の住民名簿の提供もこの一環と言える。かつての大日本帝国とは別の形で動員体制がつくられていっており、そのさらなる拡大が今回の提言で強調されているのだ。それは「特定利用空港・港湾」指定による民間インフラの軍事利用とも一体のものである。
戦後日米安保体制において日帝は、米軍を「矛」、自衛隊を「盾」として米帝の世界支配を担うことで延命してきた。ゆえに「有事」の基本方針は「1カ月程度自衛隊が耐えて米軍の来援を待つ」こととし、物資の備蓄もそれに合わせた規模だった。しかし今回の提言は、「自国防衛の国家意思を明確に示し、地域における平和と安全を守る旗手としての覚悟を示す」とし、「年単位の継戦能力の確保」を掲げている。つまり、これは単に自衛隊が長期戦を戦い抜く能力を持つことにとどまらず、自衛隊自身の侵略軍隊化という質的転換をも示しているのだ。
提言は軍事費について北大西洋条約機構(NATO)や韓国、オーストラリアを例に出し、実質的に国内総生産(GDP)比3・5%化(20兆円規模!)を目指すことを主張した。また「喫緊の課題」として「認知戦」を挙げ、「外国からの影響工作」と闘い抜く必要を強調。実際には、反戦闘争を弾圧することこそが「喫緊の課題」だと言っているのだ。
さらに、「米国が提供する核抑止力の信頼性を一層確保」することを明記。昨年の笹川平和財団による非核三原則の解体を主張した提言で述べられたように、「日本国内への米核兵器の持ち込み」を図るものにほかならない。そしてこれは、提言で「次世代の動力」を活用した「潜水艦の保有」を明記したこと=原子力潜水艦の保有を進める意志をあらわにしたことと一体だ。原子力潜水艦の運用の代表例は、核兵器を搭載した戦略原潜だ。提言は、「米核兵器を搭載した自衛隊の戦略原潜」の登場を視野に入れているのだ。
6・14反戦闘争を爆発させ、日帝・高市政権を打倒して世界戦争をとめよう!
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自民党提言案の骨子
●AIを用いた指揮システム導入
●多種・大量の無人機の導入・利用拡大。長距離攻撃無人機の保有も視野に
●「国有施設の民間操業(GOCO)」の導入
●「有事」に民間生産ラインの軍事転用を可能とすること
●NATO諸国・韓・豪を例に、軍事予算のGDP比3.5%化を示唆
●「米国の核抑止の一層の確保」
●「次世代の動力」の潜水艦=事実上、原子力潜水艦を保有する意思を明確化