日帝の対中国軍事挑発許すな 小泉が先島諸島訪問 中国侵略戦争の「前線視察」

週刊『前進』04頁(3424号02面01)(2025/12/01)


日帝の対中国軍事挑発許すな
 小泉が先島諸島訪問
 中国侵略戦争の「前線視察」

(写真 陸自石垣駐屯地を視察する小泉【11月22日】)

 防衛相・小泉進次郎が11月22、23日、中国侵略戦争の「最前線基地」として要塞(ようさい)化を進めてきた沖縄・先島諸島の宮古島分屯基地、石垣駐屯地、与那国駐屯地を訪問した。日本帝国主義・高市が「存立危機事態」発言で台湾への軍事介入を公言し、中国側の激しい抗議を受けている最中での露骨極まる軍事的挑発であり、中国侵略戦争の「前線視察」そのものだ。

自衛隊を激励し首長に協力要求

 日帝・高市=小泉は、中国侵略戦争突入へ中国スターリン主義との政治的・軍事的対立を自らエスカレートさせ、排外主義を扇動し、その中で沖縄の反戦意識、反基地闘争を解体し、先島諸島・沖縄―日本列島全体を台湾・中国本土とともに中国侵略戦争の戦場にたたき込もうとしている。
 小泉は10月の就任以来、「南西地域の防衛体制強化」を喫緊の課題と位置づけてきた。今回、高市と示し合わせた上で沖縄本島に入りもせず先島諸島へ乗り込んだ小泉は行く先々で「戦後最も厳しい安全保障環境に直面している」とし、「国民の命と平和な暮らしを守り抜くには自衛隊の防衛力強化が必要だ」「地元の理解と協力が不可欠だ」と強調した。防衛相が台湾にほど近い与那国島を訪問して自衛隊を激励すること自体が、中国への挑発であると同時に、自衛隊増強・軍事要塞化に反対する住民への恫喝だ。
 住民の実力闘争で9月の日米共同訓練での物資輸送訓練を中止させた宮古島では、航空自衛隊宮古島分屯基地を視察して嘉数登市長と面談。「市民の心配、懸念」を口にする市長に対し、あくまで日米共同訓練の重要性を強調した。
 台湾に最も近いミサイル部隊が配備されている石垣島では陸上自衛隊石垣駐屯地を訪問して同部隊を視察し、隊員家族を激励。面談した極右・中山義隆市長は「国境離島を守る首長として心強く思う。島に自衛隊がいることで即時の対応ができ安心」などと述べた。
 さらに小泉は与那国島の陸自与那国駐屯地を視察。台湾からわずか約110㌔メートルに位置する与那国島では来年度、妨害電波により敵のレーダーを無力化する対空電子戦部隊の配備が予定されている。さらに、航空機や弾道ミサイルの迎撃が可能な03式中距離地対空誘導弾部隊の配備も狙われている。住民の怒りを背景に、さらなる自衛隊増強への「慎重な立場」を表明して8月の町長選で当選した上地常夫町長に対し、小泉は「国防の最前線を担え」と恫喝したのだ。

反戦闘争に敵意再び沖縄戦強制

 しかし、日米帝こそが沖縄人民の命と生活を破壊し、地獄の戦場に投げ込もうとしている張本人だ。
 自衛隊は、先島諸島南側の海域を「台湾有事の際の『天王山』になる戦略要衝地」と位置づけ、10月には海自護衛艦と掃海母艦が機雷戦訓練を行った。大規模軍事演習の激増、那覇空港や石垣港の「特定利用空港・港湾」指定、中国本土にまで届く長射程ミサイル配備計画に加え、国家安保戦略に沿って進む「シェルター建設」も、実現不可能な「住民避難計画」も、先島諸島を含む南西諸島がミサイルの飛び交う戦場となることを想定したものだ。政府は先島諸島に、「2027年度末」ころまでに数百人が2週間避難できる「特定臨時避難施設」と称するシェルターを建設しようとしている。それは「ミサイルや爆弾の直撃には耐えられない可能性が大きい」などと報じられているようなものであり、行き着く先は多くの住民が避難先のガマで死に追いやられた沖縄戦の再来だ。
 これに対する怒りの爆発は不可避だ。だからこそ小泉は視察後の会見で、自衛隊への「過度な抗議活動を含め、一部の方々の心ない行動により、隊員だけでなく、子どもたちや家族まで肩身の狭い思いをする。このような状況を必ず変えなければならない」などと述べ、沖縄の反基地闘争への敵意をむき出しにした。そこにあるのは「沖縄県民=スパイ」とみなし住民を虐殺した「皇軍」の意識そのものだ!
 小泉の与那国島訪問とミサイル配備計画に関して中国外務省は11月24日、「攻撃兵器の配備で地域の緊張を故意に引き起こし、軍事的な対立を扇動しようとしている」「日本軍国主義の再燃を断じて許さない」と批判した。これに対し小泉は翌日の会見で、米海兵隊が島々に拠点を築き自衛隊と一体化して中国艦船を攻撃することを押し隠した上で、「他国を攻撃するものではなく防御を目的とした装備品」とペテンを弄(ろう)し居直った。
 こうした中、在沖米兵による女性への性暴力も激化している。小泉訪沖のわずか3日前には、6月に発生した米兵による少女への性暴力事件を、日本政府が5カ月も隠蔽(いんぺい)していたことも発覚した。
 沖縄人民と怒りをひとつに、日帝・高市打倒、中国侵略戦争阻止へ、全国で反戦・反基地闘争を闘おう。
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