柏崎刈羽原発の再稼働許すな 福島の怒り先頭にして核武装推進の高市打倒
柏崎刈羽原発の再稼働許すな
福島の怒り先頭にして核武装推進の高市打倒

高市政権は、岸田政権が関係閣僚会議で「国が前面に立って」東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に全力を挙げるとした路線を強化し、原発再稼働にのめり込んでいる。国として新潟県、柏崎市、刈羽村に再稼働容認の表明を求め、桜井雅浩柏崎市長は再稼働を認め、花角英世新潟県知事に対し「決断」を迫っている。さらに東電が「最終局面」として1千億円もの資金を地域振興などに拠出すると表明。花角県知事は再稼働に際しては「県民の信を問う」などと言ってきたが、意識調査も反対の意志が強く反映されたことに焦りながらも、ついに容認を表明した。12月2日から開始される県議会に確認させ「早期決着」を狙っている。
他方で、高市は12月初旬にも福島現地を訪問しようとしている。高市政権と真正面から対決して、柏崎刈羽原発の再稼働阻止へ、急切迫する決戦を闘おう。
戦争国家への転換かけた原子力政策
高市は国会答弁で、中国が台湾に武力行使を行った場合、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」であると言い切った。野党の追及に対しても撤回せず、中国への事実上の戦争意思を表明した。
殺傷能力のある武器の輸出を解禁し、軍需産業と原子力産業を日本資本主義の中軸に立てようとしている。さらには「原子力潜水艦を持つ」と豪語し、戦争国家として凄(すさ)まじい飛躍を遂げようとしている。原潜は、ウラン燃焼の際に酸素を使わず、水を発生させ、燃料補給も必要ないために、船員の体力の限界がなければ何カ月間も潜水できる。高いステルス性能を備え、魚雷や対艦ミサイル一発で海上艦を撃破する攻撃力を持つ。海中の「ミサイル基地」となる巨大な軍事力であり、これだけでも「原子力の平和利用」を完全に逸脱する凄まじい転換だ。欧米の核武装では、原潜に搭載された核ミサイルが大きな柱になっており、米軍との共同運用によって「核共有」すら可能になると指摘されている。小泉防衛大臣は「今までの制約を取り払って」原潜保有を進めるとし、実際に高市は安保3文書改定の前倒しで、「非核三原則」の見直しに踏み込もうとしている。
日本の原子力政策は核武装政策、融合炉研究、核燃サイクルのための原発最大限活用という意味でも、軍需産業を中心とする経済への転換という意味でも、決定的なアクセルを踏んでいる。破綻する核燃サイクル、債務不履行(デフォルト)の危機にある東電の現実を突破するための唯一の策としても柏崎刈羽原発の再稼働が位置づけられている。そのために犯罪者である東電を救済し、福島の怒りを徹底的に解体して健康被害の現実を徹底的に押し潰そうとしている。
福島を切り捨てて際限のない大軍拡
また、軍事費を国内総生産(GDP)比2%へ押し上げるために、私たちの生活は決定的に切り捨てられようとしている。高齢者の医療負担増や、薬の保険適用縮小、さらには金融資産への課税なども問題となっているが、こんなものでは全く足りないレベルの軍事費の増額だ。高市は「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」などと所信表明演説で言っている。「被災地に金を使うのはもういいだろう、福島で医療費を負担している場合か」ということが本音であり(医療費の国庫補助分は復興財源を通しても県予算に組み込まれている)、「福島を切り捨てなければ東北の切り捨てはかなわず、国民全体の生活に踏み込めない」という意味で、福島を大きな焦点にしているということだ。あの3・11東日本大震災と福島第一原発事故の衝撃で、多くの人たちが心を痛め、「東北への支援は当然」という気持ちを持ち続けている。この意識を転換させなければ日本全体の労働者・民衆の生活破壊に踏み込めないし国威発揚はない。まさに高市政権の中国侵略戦争への突進こそが、柏崎刈羽原発再稼働と福島圧殺へ突き動かす最大の動力となっている。
高市政権は、こうした意味で原発の再稼働、核燃サイクルの維持・発展を徹底的に進めようとしている。避難規定も大幅に緩和して大雪の際には5㌔メートル圏内も屋内退避とし、「原発事故で逃げる必要などない」と言い切り、返す刀で東海第二原発の運転差し止め判決も粉砕していく――こういう攻撃として柏崎刈羽原発の再稼働が進められている。
福島第一原発事故を引き起こし、多くの命を奪い、今も健康被害を福島県民・若者に強いながら何の責任も取らず、また取ることもできず、廃炉の仕方もわからず、原子力緊急事態宣言の解除もできない。いかなる意味でも原発事故に責任など取れない現実が今も深く強烈に進行している状況の中で、東電を免罪し原子力政策の復活を成し遂げる。そのためには福島の健康被害を否定し、東電への怒りをたたき潰す。これは高市政権の第一の生存条件にすらなり始めているということだ。
内部被曝の強制と新たな核戦争阻止
帝国主義の核政策は労働者階級人民に対する被曝・内部被曝の強制を前提としている。高市政権は核武装を公然と進める内閣だ。「核共有」とはアメリカの「核の傘」の問題を超えて、自衛隊が原爆を落とす、中国にヒロシマ・ナガサキを強制することを意味している。もっとこの点を繰り返し徹底的に暴露しなければならない! これに被爆者が、広島・長崎が、日本労働者階級が黙っているはずがない。一方で被爆者の体験を語り継ぐことが決定的な課題となるほどに被爆者の高齢化が進むが、他方では日本がひっくり返るような激しい怒りがこの中に存在している。そこには内部被曝という原子力特有の非人間性が、ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、チェルノブイリ、そしてフクシマとして一貫して継続され、繰り返され、人々に強制されてきた歴史がある。今こそこの怒りを解き放ち、高市の核武装を阻止する闘いを展開しよう。
11〜12月の柏崎刈羽原発の再稼働攻防、そして12月の福島への高市訪問との闘いが来年の3・11を切り開く決定的な闘いでもある。高市政権との真正面からの対決として、12月を構え闘おう。戦争と核武装の高市政権を打倒する闘いとして、反戦・反核・反原発の声を上げよう。
(吉井宗)