米日が台湾強奪の動き公然化 高市、軍事協力深め中国を挑発

週刊『前進』04頁(3420号03面02)(2025/11/03)


米日が台湾強奪の動き公然化
 高市、軍事協力深め中国を挑発


 10・28日米首脳会談と横須賀での米核空母艦内におけるトランプ・高市演説は、「最強の日米同盟」と日本帝国主義の軍事力の「抜本的強化」をもって中国侵略戦争を遂行するという宣言だった。高市は日米会談の内容について、「中国に関する様々な課題について意見交換を行った」「双方が台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて確認した」と、中国侵略戦争が最大テーマであったことを明らかにした。一方、高市は台湾との政治・経済、さらに軍事的関係をも画然と強化し、中国スターリン主義を挑発している。日帝・高市こそ戦争放火者だ。

台湾との経済・安保協力強化する日帝

 「台湾有事は日本有事」と強調した元首相・安倍晋三の路線継承者を自任する高市は4月にも訪台して総統・頼清徳と会談し、「安保・経済安保協力強化」で一致した。頼は高市の自民党総裁―首相選出に際して熱烈な祝辞を寄せている。
 日帝はこの間、各分野で台湾との協力・交流を急ピッチで進めてきた。3月には元自衛隊統合幕僚長・岩崎茂が行政院(内閣に相当)の政務顧問に就任。6月には海上保安庁と台湾海巡署(海保に相当)が沖縄県の先島諸島沖で大型巡視船を派遣して海上合同訓練を行い、同盟国などの参加も視野に定例化を進めている。9月には台湾の立法院長(国会議長に相当)が来日して自民党最高顧問の麻生太郎と会談したほか、自民党と台湾の与党・民進党の議員が台湾で「日台与党2プラス2」を開催した。
 「中華民国建国記念日」とされる10月10日の「双十節」には、超党派の議員連盟である日華議員懇談会から約30人が訪台して記念式典に出席し、頼に高市の親書を手渡した。式典で頼は「実力による平和」をうたい、イスラエルの「アイアンドーム」を参考にした新防空システム「台湾の盾」の構築を表明。九州からフィリピンに至る「第1列島線」全体の安全保障が深刻な脅威にさらされているとし、トランプの要求に応じて来年の軍事費を域内総生産(GDP)比3%超、2030年までに5%とする方針を改めて示した。行政院はすでに、軍事費約23%増を盛り込んだ26年度予算案を発表している。

「一つの中国」否定の狙いは軍事介入

 こうした動きの背景にあるのは、中国侵略戦争の全面的な突入を決断した米帝が台湾との関係を根本から転換しようとしていることだ。その最大の表れが、米国務省と米国在台協会(対台湾の窓口機関)が9月に打ち出した「台湾地位未定論」だ。これは米帝が、中国の「一つの中国原則」を「認知する」という形でうやむやにしてきた「一つの中国政策」に基づく「あいまい戦略」に終止符を打ち、台湾を事実上の「独立国」、なおかつ「同盟国」とみなすことを意味する。
 台湾地位未定論のルーツは、1945年の日帝敗戦と植民地台湾・朝鮮の解放、そして中国革命勝利―49年の中華人民共和国樹立を経て朝鮮戦争が勃発した50年にトルーマン米大統領が発した声明にある。それは台湾海峡不介入を宣言していた米帝が「台湾防衛」へと方針転換するためのロジックであり、実際にトルーマンは「台湾海峡中立化」を掲げて米海軍第7艦隊を台湾海峡に派遣。蒋介石・国民党に全面的な軍事的・経済的支援を行うことで台湾を人民解放軍から「防衛」し、米帝の事実上の軍事的植民地・分断基地国家として固定化した。
 ニクソン大統領訪中(72年)、米中国交正常化(79年)の前へと時計の針を巻き戻すかのように台湾地位未定論を持ち出した米帝は、中国スターリン主義の「一つの中国原則」を公然と否定し、台湾強奪の侵略戦争に決定的に踏み出したのだ。すでに米帝はバイデン政権下でこれを法的に否定する立場を表明し、今年2月には米台関係を記したオンライン文書「ファクトシート」から「台湾独立を支持しない」という文言を削除した。
 間もなく発表される新たな国家防衛戦略(NDS)にも「米本土の防衛」と並んで「中国による台湾の軍事制圧の抑止」が最優先課題として位置づけられることが判明している。軍事介入策の具体的なシナリオも含む「抑止」の明記は、米帝が「台湾防衛」を掲げて中国に対する侵略戦争に突入するということだ。
 台湾・中国、朝鮮半島を含めた東アジアを戦火にたたき込む帝国主義戦争を絶対に繰り返させてはならない。台湾・全中国人民と固く連帯し、日帝打倒・中国侵略戦争阻止へ闘おう。
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