中国侵略戦争阻止へ 高市政権を倒せ 高市・所信表明演説 防衛費激増と戦時経済を掲げ戦争突入を宣言

週刊『前進』04頁(3420号03面01)(2025/11/03)


中国侵略戦争阻止へ 高市政権を倒せ
 高市・所信表明演説
 防衛費激増と戦時経済を掲げ戦争突入を宣言


 高市が10月24日に行った所信表明演説は、日本帝国主義の中国侵略戦争突入宣言だ。日帝が帝国主義として延命しようとする限り、戦争に突き進む以外にない。だから日帝は高市のような極右を首相に据えるしかなかったのだ。他方、高市への労働者人民の怒りは急速に高まっている。11・2労働者集会に結集した力を倍加させ、反動国会粉砕・高市打倒の11~12月決戦を闘おう。中国侵略戦争を何としても阻止しよう。

大軍拡の前倒し達成へ補正予算

 高市の所信表明が戦争突入宣言であることは、防衛費の対国内総生産(GDP)比2%化を今年度中に前倒し達成するとしたことに端的に表れている。GDP比2%とは約12兆円に上る巨額だ。そのための補正予算編成にも高市は言及した。今年度当初予算ですでに8兆7千億円に膨らんだ防衛費は、これを突破口にさらに際限なく拡大する。
 高市は「中国、北朝鮮、ロシアの軍事的動向等が深刻な懸念となる」中で、「我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要だ」と強調した。高市が言う「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」とは、日帝自身の戦争として中国侵略戦争を遂行するということだ。
 高市は2022年末に策定された安保3文書についても、「来年中に改定する」と明言した。岸田政権下で策定された3文書で長射程ミサイルなどの取得に踏み込んだ日帝は、実際の戦争を想定して、原子力潜水艦の保有をはじめさらに強力な軍事力の確保に突き進んでいる。

改憲・外国人排斥と反戦闘争弾圧

 これは国家の基本的なあり方の転換を不可避にする。高市は自身の在任中に国会による改憲発議を実現するため、憲法調査会による「議論の加速」を求めた。自民党と日本維新の会の連立合意書には、9条改定と緊急事態条項の制定に向けて、今臨時国会中に両党が条文を起草し、来年の通常国会に改憲案を提出すると書かれている。改憲攻撃も急切迫しているのだ。
 日帝にとって戦争は、天皇のもとへの国民統合なしに遂行しえない。連立合意書は、「(天皇位は)古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえ、現状の継承順位を変更しない」ことを強調した。「万世一系」という史実に反する神話が再び押し出され、祖父ヒロヒトの戦争責任を居直るナルヒトとその一族が統治の要にされようとしている。
 外国人排斥・排外主義はこれと表裏一体だ。高市は「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し」「政府として毅然(きぜん)と対応する」と言い放った。外国人対策の担当相に側近の小野田紀美を充て、入管体制をさらに戦時型に再編し、「不法滞在者ゼロプラン」のもとで外国人の命をこれまで以上に踏みにじるのだ。絶対に許せない。
 攻撃の対象は外国人だけではない。連立合意書は「スパイ防止法の速やかな成立」を確認し、高市はその運用の司令塔になる「国家情報局」の設立を閣僚に指示した。そこで言われる「スパイ」とは、何よりも戦争に反対して行動する労働者人民のことを指す。参政党は「極端な思想を持つ公務員は辞めてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法だ」とあけすけに述べた。連立合意書には「日本国国章損壊罪の制定」が盛り込まれ、参政党がそのための法案を今国会に提出した。国家を絶対化し、人民をひれ伏させることが目的だ。

国家財政と経済は政治統制下に

 中国侵略戦争への突進は、財政や経済を戦争に全面的に従属させる。高市は「『責任ある積極財政』の考え方の下、戦略的に財政出動を行う」と打ち出した。その軸は、巨額の防衛費の支出だ。「経済安保」と称する経済の軍事化をはじめ、食料、エネルギー、健康、防災などすべての財政支出を高市は「危機管理投資」と呼ぶ。これは国家財政の一切を戦費として位置づけるということだ。
 9月に出された「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」報告書は、「防衛支出は、国民にとって単なるコストではなく、国の将来を守るための投資である」「防衛と経済は、『大砲かバターか』という言葉に代表されるような二者択一のものではない。 防衛費の増額は……防衛産業の強化につながり 、生産ライン構築や雇用など下請けを含めた波及効果が見込まれる」と露骨に記す。高市はこれを文字どおり実行に移そうとしている。
 それは財政赤字をさらに拡大し、すでに末期的危機にある日帝の財政を総崩壊に導く。日本の国と地方自治体の長期債務残高は今年度末に1330兆円、対GDP比で211%に膨らむ見通しだ。だが高市は「戦争に勝てばどうとでもなる」と言わんばかりに、大軍拡と戦争経済化に踏み出してきたのだ。
 このもとで物価はさらに高騰し、労働者人民は破滅に追いやられる。高市は「税と社会保障制度の一体改革」「現役世代の保険料負担の抑制」を表明した。維新は年間4兆円の医療費削減を叫んでいる。医療を壊滅に追い込むに等しい暴論だ。その維新と手を組んだ高市は、従来の自民党ではなしえなかった社会保障制度の全面的な解体に踏み込んできたのだ。
 中国侵略戦争に突進する高市と対決する勢力は国会内には一つもない。参政党、国民民主党、日本保守党などの極右が高市のもとに密集し、今臨時国会を機に反動政策を一気に押し通そうとたくらんでいる。11~12月はこれを打ち砕く決戦だ。労働者人民の実力で高市政権を打倒し、中国侵略戦争を阻止しよう。
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